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1973-03-05 第71回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第3号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月五日(月曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 前田 正男君       足立 篤郎君    瀬戸山三男君       阿部 昭吾君    小川 省吾君       柴田 健治君    山田 芳治君       和田 貞夫君    岡本 富夫君    兼務 井出一太郎君 兼務 伊能繁次郎君    兼務 宮崎 茂一君 兼務 井上 普方君    兼務 上原 康助君 兼務 大原  亨君    兼務 安井 吉典君 兼務 荒木  宏君    兼務 梅田  勝君 兼務 多田 光雄君    兼務 大久保直彦君 兼務 神田 大作君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君  出席政府委員         運輸大臣官房長 薗村 泰彦君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸大臣官房会         計課長     杉浦 喬也君         運輸大臣官房観         光部長     中村 大造君         運輸省港湾局長 岡部  保君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       小林 正興君         運輸省航空局長 内村 信行君         海上保安庁長官 野村 一彦君         気象庁長官   高橋浩一郎君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君  分科員外出席者         文部省初等中等         教育局財務課長 松浦泰次郎君         文化庁文化財保         護部記念物課長 古村 澄一君         厚生省医務局総         務課長     山高 章夫君         厚生省社会局更         生課長     角田 耕一君         水産庁漁政部長 増満 二郎君         運輸省航空局飛         行場部長    隅  健三君         気象庁観測部地         震課長     末広 重二君         建設省都市局区         画整理課長   中野 三男君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         日本国有鉄道旅         客局長     柳井乃武夫君     ————————————— 分科員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   辻原 弘市君     柴田 健治君 同日  辞任         補欠選任   柴田 健治君     小川 省吾君 同日  辞任         補欠選任   小川 省吾君     山田 芳治君 同日  辞任         補欠選任   山田 芳治君     和田 貞夫君 同日  辞任         補欠選任   和田 貞夫君     辻原 弘市君 同日  第一分科員伊能繁次郎君、大久保直彦君、第二  分科員井出一太郎君、井上普方君、安井吉典  君、第三分科員宮崎茂一君、上原康助君、大原  亨君、多田光雄君、第四分科員荒木宏君、梅田  勝君及び神田大作君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計予算運輸省所管  昭和四十八年度特別会計予算運輸省所管  昭和四十八年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 前田主査(前田正男)

    前田主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十八年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。  質疑に先立ち、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力賜わりますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく、簡潔に行なわれますようお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  3. 柴田(健)分科員(柴田健治)

    柴田(健)分科員 まず、運輸大臣基本的なことをお尋ねしてから本論に入りたいと思います。  近ごろ道徳論が盛んに言われておるのですが、道徳基本というのは、運輸大臣はどうとらえておるか、これをまず聞かしていただきたい。道徳基本は何かということを、まず運輸大臣考え方を聞かしていただいてから本論に入りたいと思います。
  4. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 たいへんむずかしい御質問でございますが、私個人といたしましては、これは要するに道徳というものは人間社会お互いが助け合って暮らしていかなければなりませんが、この間においてお互いが守っていかなければならぬ、そうして社会秩序を維持いたしまして、お互い人間生活を快適なものにし、また社会生活秩序のあるものにするためにどうしても考えていかなければならぬ、そういったところを強調をしていかなければならぬと思います。道徳というものについていろいろこれを論じる場合の方角といいますか、方向によりましていろいろのことがいえるだろうと思いますけれども先生の御指摘のような一般的、包括的にそもそも道徳とはということになりますと、私は非常に各方面からいろいろな意見が出てくると思いますけれども、私たち公共事業を預かっておりますものといたしましては、その間に考えていかなければならぬ道徳というものは、いま申し上げた意味におきまして社会をよくするために、またお互い人間生活というものを豊かな、そして楽しいものにするために守るべき事柄、そういったものが道徳律として考えられなければならぬ、私はそういうふうに観念いたす次第でございます。
  5. 柴田(健)分科員(柴田健治)

    柴田(健)分科員 いろいろ幅の広い御説明を聞かしていただいたのですが、私たちはまあ簡単に考えている。私らの考えを申し上げると、道徳というものは人間同士がだまし合いをしない、裏切らないというのが基本にならなければ道徳というものは生まれてこない。人間人間を裏切ったりだましたりしないというこういう基本がなければ、道徳というものはほんとうには生まれてこない。道義基本責任だ。責任が守られてこそ、初めて道義というものは生まれてくる。そうしてまた、私たち義理人情というものは大事だ。義理人情基本というものは人を愛することだし、助け合うことだ。この人を愛すること、助け合うことによって、社会秩序や節度やまた連帯感というものが生まれてくる。その三つが人間社会にとって、また特に指導者にとって一番基本でなければならぬ、私はそう思う。簡単なものだ。それをいろんな日本語を理屈をつけて、それぞれの立場で主観を交えて言われるからややこしくなる。基本はきまっておると私は思う。  そういう立場大臣に申し上げたい。運輸行政責任は、運輸大臣最高責任者ということは間違いないと私は思うのです。そういう立場で、運輸行政全般最高責任者として、いま日本交通体系をどうするかということについていろいろ配慮されておると思いますし、またいろいろの計画を実施されておる。たとえば新幹線、この新幹線の中で東海道新幹線山陽新幹線ができ、私はきょうは時間がございませんから、山陽新幹線だけについて申し上げますが、山陽新幹線が着工してから六年近く、だいぶになりますが、六年の間にいろいろな問題が起きておる。たとえば騒音なりまた振動なりといういろいろな公害のために住民がたいへん苦しんでおる、迷惑をしておる。これはもう大胆の耳には十分入っていると私は思う。それをなぜ今日まで解決しないのだろうか、こういう気がするわけです。この解決ができない理由は何だろう。この点は私が先ほど申し上げた、やはり約束は守っていく、人間同士が裏切ったりだましたりしないという基本的な考えがない限り、これはもう前進しないだろう。ただそのときの方便、戦術的に言いのがれ、責任のがれというところに問題があるのではなかろうか、こういう気がするのですか、いまそういういろいろな問題が起きているのがなぜ解決できないのか、大臣としてどういう見解を持っているかお尋ねしたい。
  6. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 新幹線騒音振動の問題につきましては、これは私から言うまでもございませんが、東海道新幹線ができました当時、これもできるだけの配慮をしたと思いますけれども、初めての試みでございますから、結果的に見ますと必ずしも沿線住民方々要望に十分沿っているものばかりとはいえないと思います。今日なお改善をしなければならぬ点がたくさん残っておると思います。その後山陽新幹線が着工されまして、いま岡山まで新幹線が運行されておるのであります。この場合は、私は結果的に見まして、東海道新幹線におけるいろいろの経験、その後の研究というようなものが相当山陽新幹線には織り込まれておると考えております。私どものほうにはそのほうの主管官庁であります環境庁から、御承知のように新幹線として守るべき基準というものを一応示されておるのでございます。これにつきましては現地国鉄の間で具体的にどういう交渉があったか、これは私一々存じません。存じませんけれども、その実情を話を聞いて、国鉄のとるべき態度につきましては現地住民に十分、これは環境庁からこういう基準が出ておるけれども、これを達成するのにどういう方法があるか、こういった方法がある、こういった方法があるというようなことを具体的に申し上げて、そうしてこれはどのくらいの時間がかかりますというようなことも現地住民話し合いをしておられると考えておるのであります。東海道新幹線関係はいま申し上げたような経過がございまして、これは環境庁基準並みにいたしますのには若干時間がかかると思います。しかし、山陽新幹線のほうにつきましては、当初からそういう計画をし、またそういう研究を進めながらやっておりますので、東海道新幹線に比べますと、これははるかに結果は、住民方々からごらんになっても望ましい結果に近づいておると考えておるのであります。そういう点につきましていまお話しの道義道徳というようなもの、これは現地とどういうような具体的な折衝があったか、私はさっき申し上げたようによく存じませんけれども国鉄としては誠意を尽くして沿道住民話し合いをして、そしていま言ったような方向で現在開発しておるものは全部それを実行いたしますし、多少経費がかかりましても全部実行しておると思いますし、それから今後開発の結果なお騒音被害振動被害を少なくし得るというものは、開発ができ次第それを実行に移すという方針をとっておるのでございます。私は、沿道住民に対しましては誠意を尽くしてこの問題に取り組むように指導をしておりますし、国鉄もそういう態度であると思っております。
  7. 柴田(健)分科員(柴田健治)

    柴田(健)分科員 国鉄総裁に伺いますが、ここに文書があるのです。昭和四十二年三月九日に取りかわされた文書なんです。これには山陽新幹線建設のための西大寺市立古都小学校というのを具体的に書いてあるんですよ。そして、日本国有鉄道山陽新幹線工事局として宮下局長名前でちゃんと文書が取りかわされているんです。もう具体的に対象物件はきまっているんですよ、古都小学校とか。これは四十二年三月ですから、もう六年たっている。それで一つも前へ進んでない。市の当局が困って、どうするか、父兄からは、住民からは責められて弱っている。国鉄のほうは、話し合いはしています、陳情は受けておりますという。今度は国鉄のほうが柄のほうに行ってしまっている。建設するときは向こうが柄を持っている。用地買収その他は住民が柄を持っている。あなたはそのころは拝み倒して、何とかやってくれ、今度はでき上がったら、国鉄のほうが柄を持ってあとは知らぬ、ぶった切る、こういう姿勢がある。なぜこういう公文書を取りかわしながらそれが守られぬのか、私はその点を聞きたい。総裁としてどうですか。
  8. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 その小学校の問題は、私はよく存じております。ただ、老朽になっているので、それをどこかへ移転したいというお話があることもうすうす伺っております。その前に、現地技術者との間に、国鉄技術総力をあげて騒音の減少につとめる、そしてその結果を見た上でということのお話し合いになっております。その点は十分私のほうでも了承していることでございますが、念のためにその当時の実際の仕事をやっていた担当者からもう一ぺん御答弁させます。
  9. 内田説明員(内田隆滋)

    内田説明員 ただいま先生の御指摘のとおり、昭和四十二年の三月に覚え書きが取りかわされております。そして、要旨は、山陽新幹線開業に際しまして、授業支障のないように、国鉄技術陣総力を結集して万全の措置を講ずべきこと、要するに音源対策をしっかりやりますという約束をしまして、もし万一そういうようなことをやりましても授業支障のあるときは、国鉄責任において校舎改築等、有効適切な措置を講ずるよう配慮いたしますということになっておるわけです。  この問題につきましては、開業後、古都小学校は線路から約百二十メートル離れておりまして、窓ぎわで七十四ホンぐらいの騒音がございました。これは一般基準からいうとそう高いものではございませんけれども、特に小学校授業をやるということで、その後、防音壁を約八十センチ高くいたしまして、それから吸音板をつけまして、大体校舎のところで平均が六十四ホン、六十三ホンから六十五ホンということで、学校授業をするのに六十五ホン以下であればまず差しつかえないということで、われわれとしてはできるだけの誠意をもちましてこの問題を解決したということでございまして、その点は国鉄のわれわれの誠意をおくみ取り願いたいというふうに考える次第でございます。
  10. 柴田(健)分科員(柴田健治)

    柴田(健)分科員 もう解決したという判断だ。おかしいじゃないですか。そういう防音装置をしたと言われたんですが、御承知のようにあの学校は鉄筋でも何でもない、木造なんです。どんなにしたって、日本木造の場合は振動なり騒音は防ぎようがない、いまそういう認識に立っておるわけです。どうも私は、いまのような答弁をされると前へいかない。この確認書というものはもう少し検討してもらわないと、責任を負うというのは、あなたのほうの立場で認定しない限りは、もうその約束は不履行になるのだ、履行しないのだ、こういう解釈になってくる。私は、こういう確認書を交換したら、やはり責任を持って絶えずやっていただかなければならないし、すぐ話し合いというか、直ちに解決できるような、そういう窓口で市の当局話し合いをしてもらわなければ困ると思う。あなたのほうがそういう考え方なら、これはもう前進しないし、解決もしない。いつまでたってもこの論争というか紛争の種は消えていかない、こういう気持ちになりますが、どうですか。解決したという判断話し合いをもうしないのですか。
  11. 内田説明員(内田隆滋)

    内田説明員 この音の問題につきましては、現地でもお互いに六十五ホン以下であるということを確認して、まあこの程度であるならばやむを得ないというふうになっておるわけでございます。ちなみに、これは法令ではございませんけれども文部省のいわゆる保健体育審議会におきましても、学校病院等騒音は六十五ホン以下にしなさいという勧告が出ているわけです。その基準にも大体合致しておりますし、われわれとしては、この程度に下げさせていただければ一応授業には支障ないものということで了解を得ているというふうに考えております。  なお、振動につきましては、この小学校は百二十メートル離れておりますので、全く新幹線影響はございません。
  12. 柴田(健)分科員(柴田健治)

    柴田(健)分科員 それはおかしいと私は思うのです。市のほうは、もう移転しなければならぬと確認をしているのですよ、市の教育委員会は。やはり新幹線影響ですよ。住民のほうは、父兄のほうはもう何としてもこれはできない。それはあなたのほうが、文部省がどういう基準を出そうと、市の当局のほうは納得してないということなんです。市の当局はいつ納得したのですか。いつ、何年何月にそういう話し合いを持って確認したのですか。市のほうはどうなんですか。
  13. 内田説明員(内田隆滋)

    内田説明員 六十五ホンにつきましては市と立ち会いで確認をしたということでございまして、私のほうでお聞きしておりますのは、先生のおっしゃるとおりに非常に老朽校舎で、それとは別途に移転改築をしたいという話は聞いておりますけれども、その問題とは直接われわれは関係はないのだというふうに解釈しておる次第でございます。
  14. 柴田(健)分科員(柴田健治)

    柴田(健)分科員 いや、いつ確認をしたかということを尋ねておるのですよ。何年何月、市の当局国鉄とが話し合いをして、そういうことは了解したのだという確認をした期日を知らしてください。簡単でいいですよ。いつやったのですか。市のほうが了解したというのは、何年何月にどこの場所で確認したのですか。
  15. 内田説明員(内田隆滋)

    内田説明員 音は下がったという事実を確認したわけで、校舎移転その他についていいとか悪いとかということは、われわれは別個の問題であって、その問題についてお話し合いをしたことはございません。
  16. 柴田(健)分科員(柴田健治)

    柴田(健)分科員 時間がないから次へ進みます。いずれまたあらためてこの問題はなにします。  次に、姫新線合理化の問題ですが、いまこの地元が非常に騒いでおる。これは岡山管理局の管内で、いままで国鉄当局の案に沿うて、たとえば宇野線であるとか伯備線、吉備線、津山線ということで順次合理化を進めてこられたのですが、いままでかつてないほど姫新線沿線市町村はたいへんな反対運動が盛り上がっておる。これは国鉄当局よく理解されておると思うのですが、県も市もあげて、どうも国鉄の一方交通やり方については理解できないという判断に立っておるわけですが、御承知のように、あの姫新線の横の線というものはほかの乗りものが全然ないわけです。そしてまた、いま御承知のように中国高速自動車道建設をやって、これがせめてでき上がるまで待ってくれとささやかな願いを込めて反対運動をやっておるのですよ。反対理由というものはいろいろあります。国鉄のほうもよく理解されておると思いますが、もう少し話し合いをして住民納得をするような、そういう立場がとれないのか。盛んに知事が仲に入って管理局長である加賀山局長が苦慮しておられるようでありますけれども、本社のほうももう少し手助けをして、やはり住民意思というものをくみ取っていく、そういう姿勢がとれないものかどうか、そういう気がするのですが、総裁どうですか。
  17. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 姫新線につきましては、先生いまおっしゃいましたように、現地で県御当局とその他といろいろお話ししておる最中でございますが、私、一昨日ですか、加賀山局長と直接話をいたしましたが、非常に努力をいたしまして現地の御理解を得るような方策をいろいろ講じているようでございます。たとえば実施期日等につきましても、非常に平和友好裏現地ともいろいろお話ししておるようでございまして、したがって、特にまだ実施期日もきまってないというようなことであります。旅客、貨物につきましても——貨物はたしか八十数名のうち三人だけまだ御納得いただけない。あとは大体御納得いただいたというふうな報告も聞いております。したがいまして、私どもといたしましても、特に大臣から御注意がございましたように、決して住民を無視したり住民か何と言ってもやるんだということでなしに、弾力的に住民の御理解を得た上でやっていきたいという方針でございます。わりあいにこの地区は、地元とも話し合いといたしましては友好裏に進んでいるというふうに私ども了解いたしております。
  18. 柴田(健)分科員(柴田健治)

    柴田(健)分科員 私も加賀山局長に会い、県知事にも会って、不測の事態が起こらないようにというそういう心配をしながら——そういう心配もあるものですから町村長にも会ったり知事にも会ったりして、いろいろいいぐあいに話し合いをしてくれということで今日まで努力してまいりましたけれども、どうも見ておると一方交通なんですね。きまった以上はしようがないのです、こういう、常に笑顔を見せながら伝家の宝刀を抜くという姿勢がくずれてない。大臣承知のように、あそこは国の法律でいろんな区域指定があってやっておるわけですね。たとえば低開発促進法指定を受けておるとか、あそこは広域市町村の二十五万都市をやるのだということで、関係地域住民というものはささやかな希望を持っておる、そういう地域なんです。内陸工業地帯をつくるということもいわれておる。それぞれの省のいろんな指定を受けておる。そういう指定を受けておる地域だけに、何としてもこの交通体系がくずれると根本的に計画がくずれてしまう。だから住民を裏切る行為になる。市町村長もそれだけにつらい立場に立たされておるわけですね。そういうほかの関係各省との連絡というものをどう国鉄はとっておるのだろうか、こういう点について大臣としてはどういう調整をせられる意思があるのか、せられたのか、その点の見解を承りたいと思います。
  19. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 具体的に姫新線の問題について特別にわれわれのほうで討議をしたことはございませんけれども一般的に国鉄近代化合理化の線に沿いまして同じような問題について各地から要望が出ておることは事実でございまして、この問題についていま国鉄総裁からも御答弁申し上げたのでございますが、一般的に申しますと近代化合理化は必要でございますけれども、しかし、その地域実情を見まして、実際に荷物もお客さんも非常に少なくなっておるという場合に、これは無人化できないかとかあるいは委託駅にできないかとかいろいろな方法考えまして、地域住民方々とも話し合いをして、納得のできるような線で妥結をするようにということをわれわれも国鉄に対しては言っておるのでございまして、ただ国鉄が案として一応きめたものを、何でもかんでもそれを押しつけて実行するというようなかまえ方はとらないようにということを指示してございます。でございますから、この具体的な問題につきましても、それは一人の駅員がおるよりも二人おったほうがいいのだ、そのほうが便利なんだというようなことではなしに、最小限度やはり国鉄近代化合理化というものには御協力願いながら、地域住民の便益というものを最小限度守るにはどうしたらいいかということについて、両方から十分に話し合いをして結論を得ていただくようにする以外には方法はないのではないか、このように考えておる次第でございます。
  20. 柴田(健)分科員(柴田健治)

    柴田(健)分科員 大臣はなかなかものわかりのいい答弁をせられる。理解はできるのですが、今後あくまでも話し合い——私は昔の人はいいことばを残しておると思うのです。お互いにみなが考えなければならぬことだ。三人寄れば文殊知恵ということがあるのですね、大臣承知のように。三人寄れば文殊知恵というのは民主主義基本なんですね。ただ国鉄だけが一方的に押しつけるのではなしに、関係住民地方公共団体もいろいろな機関知恵をしぼって話し合いをする、知恵を出し合っていくというその姿勢がなければならぬ。これが民主主義基本であると思うのです。いま国鉄やり方を見ると民主主義じゃない、金主主義になったのではないか。民主主義をやめて金主主義で、金もうけで、列車優等列車という名前をつけて、一般住民普通列車に乗りなさい、優等列車大量直行型のレジャー用ですね。前の藤原部長に、私は、あなた日本人かと言ったことがある。気に入らなければ乗ってくれなくていい、そういう暴言を吐き出す人がおる。こういう人を第一線に置いて、住民の協力だとか理解だとか、そういうことはあり得ないと思う。私は、国鉄合理化の内容はいずれまた決算委員会でやりたいと思っておるのですが、とにかく投資額一つもそれぞれの路線に明確にしないで、ただ収益勘定の中で、たとえば姫新線にしても、あるいは東京行きの切符を買ったら、その中の切符の実収入はこれだけであります。あとはみな山陽本線やほかの線で取ってしまうのですよ。このあたりは百何人しかおらないのに六百三十人ほどがいるのです。収益勘定の人員としては、収益をあげるためには、姫新線を動かすためにはこれだけの人員がいるのです。人員割当をかってにやってあんな経理のやり方をしたら、どの路線も赤字が出ますよ。それはそれぞれの路線ごとに投資額を出して、そこには固定資産というものを基本的に明確にして、そして赤字が出るか黒字が出るかということを出さないと住民理解しない。いまの国鉄の計数整理のやり方というものは、どうも意識的に赤字路線を出して、それで国民の目をごまかしてともかく合理化をやるのだというやり方をしておる。姫新線の四十七年度の一カ年の収益は何ぼあがっておるのか。四十四年も四十五年も知っておりますけれども、四十七年でどれくらい収益があがっておるのか、ちょっとそれを聞いておきたい、こう思います。
  21. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 いまのお話の中で、これは決してあなたの御議論に反論するわけじゃないのですけれども、大体におきまして計算のしかたというものは非常にむずかしいわけです。ですから、いろいろ原価計算しようと思いましても、路線別にお客さんと荷物を分けてというふうにこれはなかなか出にくいのです。というのは、御承知のように旅客、貨物を通じまして、両方にまたがる経費がたくさんございます。設備費のほうもそうですし、それから運用する管理費等についてもそうでございます。しかし、大体において、大づかみでいいますと新幹線だけはもうかっている。その他は、在来線は相当損している。貨物部門においてはもっと大きな損をしているということが現実のようです。しかし、それで今度はまた路線別にやっていけ——それはやっていろいろな前提を置いてやればできないことはないと思います。ある前提の上に立っての原価計算ということは、やればできないことはないと思います。しかし、そういうことでこの路線は非常に採算が悪いからどうしようとか、この路線は採算がいいからどうしようということになりますと、国鉄の本来持っておる全国一貫してのこの公共的交通機関としての職責が果たせなくなってくる。それで全般的に見まして、赤字路線であっても何でも、将来の計画にどうしても必要であるというものは残していく。そのかわりに、国ができるだけのめんどうを見ようというような姿勢で政府は考えておるのでございまして、この姫新線につきましても、将来これが、いまお話しのようにだんだん地方の中核都市のようなものができてくる可能性があると思いますが、そういう場合にはもう輸送需要がうんとふえますから、それに対応したような設備は、損をしても得をしてもどうしても充実しなければ国鉄の使命を達成できない。こういうことになっていくのでございまして、国鉄もその腹をくくっておると考えますので、この点決して議論をするわけじゃないのですけれども、そういうような方向で政府も指導をしており、国鉄もそういう方針にのっとってやっておるということだけは、この機会にひとつ御理解をいただきたいと思います。
  22. 柴田(健)分科員(柴田健治)

    柴田(健)分科員 時間が来ましたから、中途半ぱなことになりましたけれども、十分話し合いをして、姫新線については不測の事態が起きないように、最善の努力をしてもらいたい。  それから大臣は、先ほど各路線ごとの収益の問題はむずかしいと言いましたけれども地元の管理局単位には出ておるのです。あなたが知らないだけです。ちゃんとどこの駅から乗ってどうなった、本線が何ぼ、幾ら、たとえば二千円の料金の内ではこの路線は何ぼとちゃんと金額を出して、その路線ごとの一カ年の収益がどうだとちゃんと出している。大臣はその点まだ十分説明を聞いておらぬからそういう答弁をしますけれども、よく勉強してもらいたいと思います。とにかく姫新線については十分話し合いをして、住民納得するようにするということを、国鉄総裁大臣と一言ずつ言ってください。
  23. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 姫新線近代化、合理につきましては、極力住民の御理解を得るように努力いたします。
  24. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 先ほど申し上げましたような方針で、住民の声を十分反映するようにして、一方国鉄近代化合理化についても住民方々によく御理解いただけるように、双方で話し合って処理をしていかなければならぬと思っております。
  25. 柴田(健)分科員(柴田健治)

    柴田(健)分科員 終わります。
  26. 前田主査(前田正男)

    前田主査 これにて柴田健治君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  27. 上原分科員(上原康助)

    上原分科員 私は、復帰後の沖繩の空港あるいは港湾の整備計画に関連して若干お尋ねをしてみたいと思うのです。  これまでもたびたび予算委員会なりそのほかの委員会でも取り上げられてきたことですが、まず最初に那覇空港の整備計画に対して、たしか昨年の七、八月ごろだったかと思いますけれども、運輸省が整備計画を作成して、いわゆるマスタープランを作成して発表したことがあったと思うのです。私たちもそのマスタープランが着実に遂行されることを期待しておったわけですが、御案内のようにいろいろな事情でマスタープランそのものが実行できない段階に至っている、こういうふうに理解しているわけなんです。そこで、なぜ那覇空港の整備計画が当初の方針どおり進まなかったのか、その点についてまずお伺いをしたいと思うのです。
  28. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 先生承知のように、当初海洋博の開催がきまりまして、それまでに本格的な那覇空港の整備をしたいということで案をつくりましたし、その実行に努力をすべく準備をしておったわけでございますけれども、外務省といいますか、日米関係の協議の結果、あそこが民間航空機のために全部クリアになるということができませんで少しおくれました。そのために、本来の那覇空港の本格的な整備というものがおくれたことは先生承知のとおりでございます。運輸省としましてはどうしても暫定措置考えなければなりませんので、これは海洋博が開催されるときまでにはおそらくP3の問題も解決すると思いますが、しかしそれでは工事が間に合いません。でございますから、いま考えておりますのは、空港北側の埋め立て地域にエプロン、駐車場、それから仮設ターミナル等をこしらえまして、現在使っておりますエプロン、ターミナル、駐車場なんかと一体としてこれを利用することによりまして海洋博のときの空港の受け入れ体制は一応できる。それにすぐまた追っかけて、本来考えておりました空港東側の中央部に本格的なターミナル、エプロン、駐車場等を施設していくという計画には少しも変わりはないのでございます。ただ、海洋博のときに本格的なものができるという予定を立てておりましたが、そういう障害がございまして工事が間に合わないということのために、いまの暫定的な施設をせざるを得ないということになっておることを御承知願いたいと思います。
  29. 上原分科員(上原康助)

    上原分科員 その経緯なり事情については私もある程度知っているわけですが、そういたしますと、確認しておきたいことは、やはり当初の方針がうまくいかなかったということは那覇空港が全面的に民間飛行場としての使用ができなかった、ことばを変えて申し上げますと、P3が居すわったから当初計画が順調に進まなかった、こういうふうに理解していいですか。
  30. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 P3の受け入れ先の、嘉手納と思いますけれども、そのほうの受け入れ体制が具体的にその時期に間に合わなかったのでおくれた、こういうことに御理解いただいてけっこうでございます。
  31. 上原分科員(上原康助)

    上原分科員 いまの御答弁あまり消極的なんですが、私は特に何も海洋博ということに限定しているわけじゃないのです。海洋博以前の緊急性の問題なんですね。御承知のように、いまの那覇空港のターミナル施設などというのは、ジャンボが就航して以来全くイモを洗うような状態なんですね。いろいろな面で不自由をお客さんに与えている。しかも、那覇空港の照明施設あるいは着陸用誘導装置などは野戦用のもので、国際水準に達していないということは、運輸省がもう一番御承知だと思います。施設そのものも老朽化している。滑走路やケーブルなどの諸施設も老朽化して、安全性の面から言っても非常に問題があるということを、私たち、専門家なり関係者から間々聞かされているわけなんですね。そういう、万一事故でも起きた場合、一体だれが責任を持つかということなんです。さらに、自衛隊のスクランブル態勢等の面からしても、早急にもっと積極的に施設の近代化あるいは安全性の確保というものをやっていただかないと、これからますますふえていく沖繩への旅行者に対して、さらにまた五十年の海洋博との関係において、そのほか空港だけじゃなくして運輸交通体系全般に関することなんですが、もっと真剣にお考えになっていただきたいと思うのです。それで、当面の緊急性でいろいろ御計画もあるようですが、滑走路のかさ上げなりその他若干の安全施設について、三月中旬以降何か御計画があるとも承っているのですが、そこら辺について御説明していただきたいと思うのです。
  32. 内村(信)政府委員(内村信行)

    ○内村(信)政府委員 那覇空港の施設の改良の問題でございますが、先生指摘のようにいろいろな不備もございます。そこで、私どもといたしましては、長期計画を立てまして、全体として六十億くらいの金をかけましてしっかり整備したいと思っておりますが、さしあたり先生指摘の滑走路のかさ上げ、これにつきましては、十分米軍とも打ち合わせをいたしまして三月の十五日からそのかさ上げの工事を開始したい、こういうふうに考えております。
  33. 上原分科員(上原康助)

    上原分科員 それはかさ上げだけですか。
  34. 内村(信)政府委員(内村信行)

    ○内村(信)政府委員 十五日から始めるのはかさ上げだけでございます。
  35. 上原分科員(上原康助)

    上原分科員 その他の誘導装置とか安全性の面における施設については、全然計画はないのですか。
  36. 内村(信)政府委員(内村信行)

    ○内村(信)政府委員 照明とかILSその他の整備改良につきましては、新年度それぞれ着工いたしたいということで、来年度予算に組んでおります。
  37. 上原分科員(上原康助)

    上原分科員 そういたしますと、滑走路については現年度の予算でやって、誘導装置、照明その他につきましては新年度の予算でやるということですか。
  38. 内村(信)政府委員(内村信行)

    ○内村(信)政府委員 さようでございます。
  39. 上原分科員(上原康助)

    上原分科員 こまかい点まで触れられませんが、やはり関係者のいろいろな方々の御意見を伺っても米軍機の緊急着陸が一番多いということ、あるいは一月一日からの自衛隊のスクランブル態勢、そういう面で、必ずしも民間優先の管理体制になっていないわけですね。飛行場そのものが名目上は運輸省の所管だといっても、実質的には、月の飛行量を見ても自衛隊や軍用機のほうが多い、そういうデータも出ているわけです。そういった面からも、やはり運輸省として、今後全面的に民間国際空港に持っていくということは、政府がおきめになった振興開発計画においても、あるいは県から出ている振興開発計画案にしても出ているわけですから、そういう面について大臣として、もっと積極的に那覇空港の全面開放に向けて御努力をする決意があられるのかどうか、伺っておきたいと思うのです。
  40. 内村(信)政府委員(内村信行)

    ○内村(信)政府委員 先生指摘のように、那覇空港の米国からの返還ということは、沖繩の返還の大きな目玉としてとらえていたこと、これは事実でございます。したがいまして、那覇空港に現在米軍機がおりますが、これはあくまでも暫定的なことでございまして、私どもとしては、一刻も早くこれが那覇空港からよそへ行ってもらうということを望んでいるわけでございます。  ただ、国内的に言いますと、自衛隊との共用、これはいろいろ議論があったところでございますが、結局、結論といたしましては、那覇空港は、私ども、民港として管理運営するのであるけれども、その一部を自衛隊が共用するということにつきましては政府部内の意見として統一しております。したがいまして、直ちに自衛隊を出して民間しか使わない、これは不可能だと思います、しかし、御指摘のように、やはり民間空港として私どもが管理してまいります空港でございますから、それを主体として運営してもらいたいというふうに考えております。  それからなお、軍用機、民間機の使い方でございますが、初めは確かに軍用機が相当ございましたが、現在におきましてはむしろ軍用機が横ばいで、十二月の例をとりますと、民間機のほうが若干発着回数が多いというような現状でございます。
  41. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 那覇空港を将来国際空港にするかどうかという問題、これについては、もう少し事態の推移を見て、本格的にきめなければならぬ問題だと思っております。しかし、現実に非常に民間航空機の離発着が多いわけでございますから、これに応じたような施設を充実していかなければならぬことは当然でございまして、ことに御指摘のように航空機のほうは、何といっても安全第一でございますから、安全を阻害するような方法で、これは米国との関係におきましても、自衛隊との関係におきましても、そういうことは絶対させちゃいかぬ、これはもう第一の方針でございますから、この点については十二分に注意をして処理をいたしたいと思います。  ことに、いま局長から申しましたように、最近におきましては、那覇空港における軍用機の発着というものは非常に少なくなってきつつありまして、民間機のほうがずっと多くなってきておるということが数字にあらわれてきておりまして、だんだん民間空港としての本来の姿を取り戻してきているということは御理解をいただけるかと思います。  そこで、先ほど申し上げましたように、将来についてもいろいろ計画がございますので、だんだん仰せのようにしていけると思っておりますし、それから自衛隊との関係につきましては、これはもう御承知のように、日本に空港が少ないものですから、一部分自衛隊に訓練のための共用を許しておるところが全国にも若干ございます。どうも沖繩におきましては空港が少ないものですから、ここで自衛隊機に若干の共用を許すということは、これはやむを得ないのではないかと思っております。しかし、そのために民間航空機の安全を害するということは、これは絶対にさせないようにいたします。
  42. 上原分科員(上原康助)

    上原分科員 まあわれわれ県民は、あるいは国民の立場においても、やはり全面的に民間国際空港に持っていくべきだ。また政府のいろんな開発構想なりこれまでの御発言からしても、東南アジア、いわゆる南の玄関にしていくのだということで、将来羽田あるいは成田、大阪に次ぐ国際空港にしていくということは、たびたび御発言の中に出ておるわけですから、やはり国際空港にしていくという御計画を立てると同時に、安全性の面、そして基本的に私たちは自衛隊との共用は反対ですが、それを政府のほうでは、これはやむを得ないというお立場をとるかもしれませんが、そういった方向で、緊急にこの那覇空港の整備というものをお進めいただきたいということを強く御要望申し上げておきたいと思うのです。  これとの関連で、その他のローカル空港ですが、沖繩でいうローカル空港、宮古、石垣あるいは久米島、そのほかにも南大東なり、いろいろな御計画があると思うのですが、そういったローカル空港についても並行してお進めになるということをこれまで御答弁賜わったのですが、やはりいまの那覇空港の現状もさることながら、宮古にしましても石垣にしても久米島にしても、ただ滑走路があるというだけのことなんですね。照明装置や誘導装置は全然なされていない、そういった面から危険率は非常に高いといわざる得ないのです、われわれしろうとが見ても。したがって、そういうローカル空港の整備計画についてはどうなっておるのか、少し御説明をいただきたいということ。  それが一つと、いま一つ、時間があまりありませんので、例の下地島の訓練飛行場のその後の工事の進捗状態なり、あるいは今後の御計画なりについてもひとつ御所見を賜わっておきたいと思うのです。
  43. 内村(信)政府委員(内村信行)

    ○内村(信)政府委員 まず第一の御質問、海洋博の開催ということを考えて那覇空港を考えた場合に、ほかの一般の離島空港の整備がおくれやしないかという御懸念があると思います。それに対しましては、私どもは決してそういう考え方は持っておりません。沖繩の離島空港の整備は、那覇空港の整備と並行して進めてまいりたいというのが基本的な考え方でございます。すなわち宮古島、石垣それから久米、こういったところには現在YS11型が飛んでおるわけでございます。さらに南大東、与那国、多良間、こういったところにつきましては、現在飛んでいないところもございます。あるいはYSを飛ばすにいたしましても、空港の規格からして若干規格が足りないという点もございますので、その点につきましてはSTOLというふうな、いわゆる短距離の滑走路で離着陸ができる、こういうふうなものを取り入れまして、それによって航空法にきちっと適合した安全性を確保した空港にしたいという考え方で整備をいたしております。  さらに、先生指摘の、夜間照明施設あるいは対空通信施設、こういった保安施設の整備につきましては、これを四十八年度中には完成いたしたいということで、来年度の予算案に計上してあるところでございます。  なお、波照間、伊是名そういったところもございますけれども、そういったところについては、現在調査を実施している段階でございます。  それから下地島の訓練飛行場の問題でございますが、これは先生承知のように返還前からずいぶんと問題になっておったことでございまして、その間現地のほうの反対あり、賛成あり、いろいろございましたけれども、結局沖繩県としてもこれをやるべきであるということに統一されまして、私どもとしては、これに対して全力を傾注したいというのが基本的な態度でございます。そこで、訓練飛行場の施設の概要といたしましては、三千メートルの滑走路一本、それからエプロン、そのほかに無線、照明施設、こういうものを設置することとして、総事業費は約八十億を見込んでおります。このうち、四十六年度までにいわゆる沖繩援助資金等約十七億が、それから四十七年度、四十八年度にはそれぞれ九億八千五百万あるいは八億五千万程度の補助金が計上されておりまして、四十八年度中には用地造成を完了させまして、滑走路の路盤工事に着手する予定でございます。さらに、四十九年度、五十年度には滑走路の舗装及び保安施設等の施設の整備を完了いたしまして、五十一年度には供用を開始いたしたいということを目途に、整備を進めておるわけでございます。
  44. 上原分科員(上原康助)

    上原分科員 この点についてはまたいずれお伺いしますが、下地島の点ですけれども、政府の御計画だけをきょうは承っておきたいと思うのです。  時間がございませんので、次に港湾整備の計画なんですが、私は沖繩の交通体系の整備は、空港ももちろん大事ですが、特に離島をたくさんかかえている関係上、地方港湾の整備は最も急務だと思うのです。それで政府の計画なり予算等についても若干調べたのですが、計画はかなり立てておるようなのです。ただ懸念されることは、どうもすべてが海洋博、海洋博というような大きいところだけに目が向けられて、特に離島の港湾整備は取り残されるのじゃないかという懸念を私たち非常に持っておるのですよ。そういうことがあってはいかぬのです。本来ならば、そういった離島僻地の港湾なり交通体系を整備して、その後にでっかいのをむしろつくるべきだと思うのですね。したがって、離島港湾整備についてもぜひ並行して進めてもらいたいということが一つ。  さらにいま一つ、流通港湾ということとの関係で、中部に新しい商港を新設すべきだということが、中部開発振興会からこれまで政府なり関係者にたびたび陳情が出ていると思うのですね。中城湾に新しい港をつくるのだということが発表になったということもあるのですが、臨海工業とは別に、そういった流通港湾としての新港計画が中部にあるのかどうかということについて、お聞かせをいただきたいと思います。
  45. 岡部政府委員(岡部保)

    ○岡部政府委員 ただいま先生のおっしゃいました港湾の整備全般的な問題で、離島港湾をどういうふうに考えるのだという問題については、先生の御持論、私全く賛成でございます。と申しますのは、何と申しましても沖繩県が非常にこまかい離島によって成り立っている。特に有人の島が四十六もございます。そういう島について、日常の交通の手段として海運を使うのは当然でございます。そのための出入り口、いわゆる玄関を港として整備しなければならぬというのは全く必要でございます。ただ残念ながら、現在までに港湾の整備が十分であるとは、とても申し上げかねる状態でございます。したがいまして、私どもとしては離島港湾の整備を十分やるつもりでございます。  そこで、私ども考えております沖繩県の港湾の整備の大きな方針をここで申し上げさせていただきたいと思います。  まず、離島の連絡基地と申しますか、拠点の港湾を整備しなければならぬ。これはたとえば、先ほど先生のおっしゃいました比較的大規模な港湾の整備になるではないかという意味の港湾でございます。まず拠点港湾の整備ということでございます。たとえば那覇港でございましたり、あるいは宮古群島、八重山群島においては平良港であったり石垣港であったり、こういう拠点港の整備をまず第一点に考えなければならぬ。  第二の重点といたしましては、やはり先ほど申しました有人島四十六島の港湾を何とか整備しなければならないというのが考え方でございます。これは将来的には全部りっぱな港をつくるのが理想でございますが、さしあたりでは、まず港湾法にいう港湾と漁港法にいう漁港、これを両方あわせて考えなければならぬ。これは当面そういうことを考えて少しでも役に立つように、両方で力を合わせて整備をしようという考え方でございます。  第三点といたしましては、まことに申しわけない話でございますが、さしあたりの問題としては、荒天時には使えない港でもしようがないのだ。と申しますのは、いわゆる岸壁、船の着く施設を中心にまず整備しよう。本来ですと、港ですから、荒れたときに船が安全に停泊できるということで防波堤をつくったり何かするわけでございますけれども、とてもそれだけのことをやっているいとまがない。まずとりあえず船の着ける、「けい留施設」と法律上は呼んでおりますが、岸壁のような施設をまずつくろう。それで天気の荒れたときには、まことに申しわけないけれどもこれは使えないのだが、少なくも天気が少しでもおさまればこの港の機能を発揮させるということをまず考えなければいかぬ。  第四点には、それではどんな船型を考えるのかという問題でございます。船型といたしましては、現在有人島四十六島の港を見ますと、いわゆるくり舟しかとても着けないというような港がだいぶあるわけでございます。これでは幾ら何でもひどい。いろいろな航路がございますから、そういうものの現在動いておる船があれば、とりあえずそういうものがちゃんと接岸できるようにしよう。そういうことでなくても、少なくとも五トン程度の船は着けるようにしようではないかという一つ基準をもってこれから整備をするつもりでございます。  そこで、先ほどお話にございましたいわゆる海洋博という特殊な問題があってそっちのほうに金をとられてしまって、一般の港湾整備が非常になおざりになるのじゃないかという点でございますが、これはざっくばらんに申しますと、四十七年度、四十八年度においては、いささかその感なきにしもあらずでございます。と申しますのは、大体沖繩県の港湾整備の整備事業費の約半ばがいわゆる海洋博関連の港湾整備に向けられております。したがって、残りの半分がそれ以外の港湾の整備に使われる。それでは、いま全体の計画としてどういうふうに考えておるかと申しますと、昭和四十七年度以降昭和五十年度まで、現在の五カ年計画の中に入ります四カ年でございますが、この五カ年間で私ども考え方では、沖繩県の港湾の整備は事業費約三百五十億円程度——それ以上になると思いますが、約三百五十億円程度の事業はしなければならないという考え方でございます。そこでこの海洋博関連のはこれの約二割、七十億弱でございます。したがって、全体としてはそんな大きなウエートではない。しかも那覇新港であったりあるいはその他の平良、石垣の港であったり、あるいは運天の港であったり、こういうところで当然今後の港湾整備として必要な施設をただ繰り上げてやるという考え方でございますので、その点は、現実に港湾の整備としてもそうおかしくない非常に必要な施設でございます。ただ、時間的にどうしても繰り上げてやらなければならないという点で四十七年度、四十八年度の事業としては、いささかこちらに重点がぐっと寄っておるということだけは事実でございます。
  46. 上原分科員(上原康助)

    上原分科員 中部に新しい港湾をつくるという御計画についてどうかということと、どうも長い御答弁をいただいて時間がなくなってしまったのですが、最後に、その件との関連において、やはり那覇港の整備ということと関連して那覇軍港ですね。いまアメリカが使っている軍港そのもの、あれ全体が那覇港なんですが、どうも那覇軍港というと那覇空港とみんな政府のおえらい方々間違ってしまったりするのです。那覇軍港そのものは、私はやはりこの時点においては返すべきだと思うのです。一体東京湾がアメリカに押えられておったらどうなるかというのですよ。あれが大きなガンなんですから、運輸省としても新しい港を東海岸につくるということと同時に、那覇軍港を開放せしめる、そういう方向で沖繩の港湾整備あるいは交通体系全般について、離島航路の問題、空港整備というものを立体的にやらなければいかぬと思うのです。そういう面でひとつ大臣の決意を、ぜひやるという御答弁をいただいて、あとたくさんあったのですが、きょうは質問を閉じたいと思うのです。
  47. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 中部港の問題でございますが、これは現地のほうからそういう計画が出てまいりました場合には、これは当然われわれのほうとしても、その計画をもとにして具体的にこれを促進するための努力をしなければならぬと思っておるわけでございます。  あとのほうの那覇港の米軍との共用の問題でございますが、これはまあ見方によっていろいろの見方があると思いますが、われわれとしましては、将来の那覇港というものは、ますます民間の港湾としても活用される率が多くなってくる大事な港でございますから、その点はしかし私から具体的にどうします、ああしますということを答えられるような立場じゃございません。この点につきましては外務省ともよく相談をいたしまして、日米関係でもそういった那覇港の性格というものをよく理解してもらうようにこの上とも努力したいと思います。
  48. 前田主査(前田正男)

    前田主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、安井吉典君。
  49. 安井分科員(安井吉典)

    安井分科員 昨年、社会党の私どもは、過疎行政バス調査団を編成して、北海道地方と中国地方に派遣いたしました。私はその北海道行きの調査団長で実情をよく見てまいりましたので、その結果に基づいて若干のお尋ねをしたいと思います。  農村の人口がどんどん流出して過疎化を続けていく。その上にいわゆるモータリゼーションが進んで既存のバス事業の経営が非常に悪化している。北海道には国鉄バスもあるのですが、それも例外ではない。これに対してバス企業の側は関係市町村に財政援助を要求してくる。たとえば最初の年に五十万円だけ助成をしてくれという。ところが翌年になったら、それが百五十万円出してくれなければ困るという。次の年はどうしても二百万助成してくれなければやめなければいけないという。つまり市町村の側は、現在住民の足であるそのバスの廃止を認めるか、それとも会社側の要求する援助額を出すかという選択に迫まれておる。それなら、もういっそのこと少し赤字が出ても市町村営でやったほうが、こういう形で市町村営というものがどんどんふえてきているというのが実態のようであります、一口に言って。これは基本的には過疎に追いやった政府の政治責任ということにもなろうかと思いますし、同時に、バス事業者が公共性を忘れた営利主義に走っている結果によるのではないか、こういうようなこともその調査の結果感ぜられました。同時に、その市町村営バスが誕生するまでに陸運行政が非常に無理解であるということが一つのネックになっていたこともわかりました。それからもう一つは、市町村の財政負担がどんどん増大して、過疎であり弱い財政基礎の上に立っている状態であるにかかわらず、それが非常に大きな重みになっているというふうな点を見てきたわけであります。  ですから、きょうはひとつその行政バスに対する法律的処理の問題と、それからそれに対する財政援助の問題を中心にしてお尋ねをしたいと思うのでありますが、しかし既存のバス業者の問題を無視してネグレクトしていくわけにいきませんので、その点だけ初めにちょっと伺っておきたいと思います。  どうも黒字でもうかるうちは経営はどんどんする、しかしもうからなくなったら弊履のごとく捨て去るという態度は私はどうも問題があると思う。政府のほうもこれに対するてこ入れとして、運輸省が地方バス路線維持費補助金を拡大して、辺地だけではなしに、バス企業の集約を条件に対象を拡大し、車両購入費補助にあわせて路線維持費補助を増加させるというふうな対策を講じつつあるということを私も伺っております。しかし、その予算額は事業者側の要求にはなお遠く、もっと増額される必要があるのではないか。  それから特に乗車密度五人ないし十五人の路線だけが対象になるわけでありますが、五人未満は全く見捨ててよいのかどうかということです。私の調べた北海道では人口密度が何といっても基本的に少ないわけですから、五人未満で、いまの運輸省の基準で見捨てられる路線は約八十線、年間の赤字額は約二億円という状況のようであります。非常に深刻です。国のほうがやらなくとも、その次は北海道として何かしなければいけないということになるのではないか。たとえ北海道当局がやらなくとも、地元市町村としては住民の足を守るためにどうしても対策を講じなければならないということになっていくわけであります。国がその五人未満の問題について責任を免れようとしているのは、私どうもふに落ちないわけでありますが、その点だけまず先に伺っておきたいと思います。
  50. 小林(正)政府委員(小林正興)

    ○小林(正)政府委員 地元のバス事業者が、経営が非常に悪化してきたというような理由で、先生承知のように非常に廃止あるいは休止を要望して、市町村地元の方と摩擦を生じているわけであります。こういった従来の状況に対処しまして、新しい補助制度を確立すべく四十七年度から新しい方策を考えたわけでございます。これは、先生指摘のように、従来の路線バスを極力維持しよう、こういうようなことで補助制度を考えたわけでございますが、その際に、乗車密度十五人までのいわゆる不採算路線というようなものにつきましてどういう補助を考えたらいいか。いまある路線すべてを——非常に競合してやっておる場合もございますし、あるいはそのほか若干手渡ししたほうがより重点的なバス路線網が整備される地域もございます。そういったことを踏まえまして、まず第一次的には、地元市町村要望を都道府県におきまして一定の整備の地域内で路線というものを再検討してもらうこういう考え方をしたわけでございます。  その際に、ただいま御指摘の五人未満という非常に乗車密度の少ない、お客さまの少ない路線について、あるいは廃止されなければならぬ場合も相当起こり得るであろう、こういうふうなことで、そういった場合に対処しての補助の問題としましては、代替バスの車両購入補助というようなものを国と地方自治体で考えよう、こういうことにいたしたわけでございます。
  51. 安井分科員(安井吉典)

    安井分科員 その点、財政的な問題点はあとでまた触れたいと思いますが、もう一つ指摘しておかなければなりませんことは、国鉄バスも赤字だということでどんどんやめていくわけです。私はバス事業者が公共性を忘れているのではないかということを初めに申し上げたのですけれども、政府のほうも、もうかるときだけやって、もうけがなくなったらやめるというふうなそういう考え方ではだめじゃないか、またもうける路線だけはどうしても放そうとしないで、もうからない路線を捨てるというのはおかしいじゃないかというふうな御指導をされていると思いますが、しかし、国鉄バスで赤字路線はどんどんやめていくでしょう。やめてしようがないから市町村営になっておるのが、私の調べたところではたくさんあるわけですよ。そうなれば、政府自体がバス業者を指導するという資格がないのではないか、こう思うのですが、その点どうお考えですか。
  52. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 過疎地域のバスの問題で初めからいろいろ御意見を伺いましたが、私は原則的には先生と同感でございます。もうかってももうからなくても、辺地の住民の方の最後の足といってもいいようなものでございますからね。これは将来にわたりまして、今度四十八年度には事務当局説明によりますと、四十七年度に比べて非常に財政支出もふやすようにしたし、また新しい制度も考えたということでございます。一歩前進していると思いますが、その財源が足りないというので、地方住民が非常にまた困っておるというような事情が出てくると思いますから、これは財源が足りないところはふやせばいいのですから、その点は実情に沿いまして今後とも財源措置を十二分に講じられるようにしなければならぬと思いまするし、それからまた、いまのお話のように、国鉄の問題、これは実は私実態をよく存じませんが、よく調べまして、お話しのような方向で、やはり国鉄自身も地方閑散線の問題と同じような考え方でこれに対処していくべきだと思います。これについては具体的によく検討いたしまして、その方向で努力をしたいと思います。   〔主査退席、瀬戸山主査代理着席〕
  53. 安井分科員(安井吉典)

    安井分科員 そこで、本題のいわゆる過疎地域市町村営バスの問題点でありますが、その路線免許を道路運送法の四条の青バスにしているところもあるし、それから百一条の白バスにしておるところもある。調べてみるとまちまちなんですね。しかも一定の基準もないような感じがあるわけです。市町村側は白バスで特認されたほうがやりやすいわけであるが、陸運局はなかなかそれを認めたがらない。どうしても認めないものですから、その結果四条の認可、こういうふうなものに変えたものも多いようでございます。しかし、四条では規制が非常に多いわけです。そしてまた、四条で認めたからといって、行政バスは赤字ですから、もう少し路線を延長したいあるいは貸し切りをやりたい、こういってもそれは一切認めない。そういうやり方ですが、この過疎地域対策緊急措置法の十五条に「交通の確保」の規定があって、「国の行政機関の長は、過疎地域交通を確保するため、」「自家用自動車を共同で使用し、若しくは有償で運送の用に供するときは、道路運送法に基づく免許又は認可について適切な配慮をするものとする。」という規定が現にあるわけですけれども、これは全く死文も同様で、一方民営はやめるというが、やめる日付までに認可が来ないということでトラブルが続いておるという状況がございます。私は、既存の路線が廃止されると同時に認可がすぐにいくような仕組みにしなければいかぬと思うのですが、この点どうです。
  54. 小林(正)政府委員(小林正興)

    ○小林(正)政府委員 間もなく民間バスが廃止されまして、かわりの代替バスを市町村が行ないます場合に、従来、御指摘のように四条で正式のバス事業の免許申請をするというような場合があったことは事実でございます。しかし、これはまだバスが今日ほど苦しくないころには、町村自体の自主的な考え方でバス事業として正式にやりたいという場合もかつてはございました。しかし、最近のように非常に苦しくなりまして、もうバス事業としてやれない。文字どおり代替バスだ。そういった特別の措置なんだというような場合には、現在ではそういう状態が多くなっておりますので、有償運送の許可という非常に簡単な方法でやっておるわけであります。ただその際に、どちらがいいかというような点については、代替バスでありますから、弾力的な有償運送の許可ということでやったほうが正規のバス事業の経営ということよりかいいかと思うわけでございますが、いろいろ地元方々のまた別の面の御意見、たとえばそれでは事業として運行管理あるいは安全の面の体制が不十分ではないか、やはりやる以上はしっかりした体制でやるべきだというような御意見も従来はしばしばあったわけでございます。しかし最近は、これは過疎化に伴う特別の措置でございますから、先生指摘のように、非常に弾力的な方法で処置するほうが実態に合う、こういうことで現在は指導しております。
  55. 安井分科員(安井吉典)

    安井分科員 私もいまおっしゃった両面の問題があると感じてまいりましたが、特に安全という方向でなければいけないし、いまのところ事故がそうないのかもしれませんけれども、あったらこれはたいへんですね。それからまた、走ったり走らなかったりということでも困るわけですよ。そういう意味で、四条のきちっとした仕組みの中にはめ込んだほうがいいということもありますけれども、過疎だということは、入口も少ないし、財政力もない役場がやるわけですからね。なかなかそうはいかないのではないか。だから特認は百一条でいって、しかし安全性だとかパンクチュアルな運営だとかそういうようなものは、別に義務づけるというふうな四条と百一条の中間みたいな、そういう特例規定のようなものがあってはどうかという気がするわけであります。そのことが過疎法の十五条の「交通の確保」という趣旨に沿うのではないか、こう思うのですね。免許はあくまでわりあいにたやすく与えるが、運行そのものはやはりきちっとしなければいかぬですよ。それももちろん限度がありますけれども、その点どうですか。
  56. 小林(正)政府委員(小林正興)

    ○小林(正)政府委員 現在私ども指導方針といたしましては、御指摘のように、百一条の有償運送の許可を弾力的に運用すべきである、こういう考え方でやっております。  それから安全の面につきましては、過疎地域でございますので比較的問題は少ないかと思うわけでございますが、それにしましても、これについては指導でやれるのではないか。特に代替バスを経営するといいますか運行するのは市町村でございますし、そういった点については十分連絡、指導等を行なえると思っております。
  57. 安井分科員(安井吉典)

    安井分科員 現地へ行って気づくところでありますが、たとえば北海道の士幌町などは国鉄バスが三線走っていたわけです。これは三線ともみんなやめてしまった。そのことで三十六キロを町営でやらなければいけないことになった。国のかわりを始めたわけですね。そのことでバスをいま四台持っているのですよ。しかし、そのほかにスクールバスが二台と厚生省の補助の患者輸送車がある。それから町の車もある。この町は財政規模七億円、人口もたしか四千人から五千人の間くらいだったと思います。その町で九台の車を持ってやっていて、年間の赤字が、その行政バスだけでも全部合わせると約七百万円から九百万円持ち出しでやっているわけですね。私も行ってびっくりした。そういう山の中の町が九台も車を持って、それでやっているわけですよ。ですから、そういうことからいえば、これは国鉄も投げるのですから、民営でやれるわけないですよ。そういう過疎のところで、スクールバスは学校の子供を乗せる、文部省の補助でいくのだから、もうそれだけで一切乗ってはいけません、患者輸送車は、厚生省の補助で患者をただで運ぶのです、こうであります。いわゆる行政バスというのはいまのようなことなんですね。だから国の行政は、上のほうではいろいろあって、患者輸送車もスクールバスもいいですよ。しかし、末端の町村へいったらそういうふうな状態が起きている。私は、むしろこうなれば、だれも経営をやろうという意欲が起きないようなところでは、スクールバスだって患者輸送車だって、お金をもらってお客さん乗せてもいいのじゃないか、こう思うのです。ただ、これはいろいろな法律やあるいは仕組みの中で問題があると思うのですが、どうですか。もう少し弾力的な運用、総合的な運用というものはできないものですか。
  58. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 趣旨においては非常にごもっともだと思います。これは運輸省だけで処理できません。ですから、関係省と一応その問題について基本的な打ち合わせをしてみたいと考えます。ただ、運輸省としましては、先ほどもお話がありましたように、今度は少し過疎地のバス対策について、経費のほうは十分でなかったかしりませんが、制度としましては一応そのかっこうをつけまして、それに非常に努力を始めておるということでございますから、その点は関係市町村だけが非常に苦しんでおるのじゃなくて、国も都道府県も相当にそれに対して協力いたしまして、住民の足を守るための対策を一応きめたわけです。まだ足らぬとおっしゃれば、これは足らぬかもしれませんね。この点についてはもう少し実情を具体的に把握しまして、次の年度にはもう少し思い切った対策を講じるように努力をしたいと思います。
  59. 安井分科員(安井吉典)

    安井分科員 文部省からも厚生省からも大急ぎで来ていただいて、十分検討しておいでになっているのじゃないとは思うのですが、どうですか。この次までにひとつ検討していただきたいと思うのです。
  60. 山高説明員(山高章夫)

    ○山高説明員 僻地につきましては、先生のお話のとおり患者輸送車を相当数補助いたしております。実態上は地域住民の方が便乗というような形で利用しているケースもあるかと思いますが、ただいまの先生のお話のように、いろいろ制度的にも検討しなければならないということになりますと、道路運送法上の問題点もいろいろありましょうから、運輸大臣から御答弁がありましたように、私どもできる限り運輸省と協力して、御趣旨の線に沿うように検討してみたいと思います。
  61. 松浦説明員(松浦泰次郎)

    ○松浦説明員 文部省におきましても、学校統合等に伴いまして通学緩和のために、先生から御指摘のありましたように、スクールバス等を毎年相当数補助しておるのでございますが、関係市町村からそういう御質問のような要望も私どもいただいておりまして、予算執行上の補助条件の問題にもなってくることでございますので、とりあえず大蔵省方面にも予算概算要求の時点からそういう要望をいたしまして、検討をいたしております。今後運輸省とか関係各省とも十分御相談しまして、検討してまいりたいと考えております。
  62. 安井分科員(安井吉典)

    安井分科員 私は全国のどこでもそれをやれというのではなしに、過疎の全く見捨てられた地域については条件をきちっときめて、そういうような総合的な運用というものがあってもいいのじゃないかという提起なんです。三省にまたがっているかあるいはもっと広いのかもしれませんが、ひとつ御検討を前向きにしていただきたい、こう思います。  そこで、もう一つ最後に財政援助措置の問題でありますが、四条の青バスの場合は、さっきのお話のように過疎行政バスになった場合は車両購入費補助があるわけですね。しかし、それの地元負担、つまり補助残あるいは車庫を建てるとか、そういうようなことには過疎債の適用がない。それから百一条の白バスの場合には車両購入費の補助がなくて、しかし過疎債のほうの適用はある、こういうふうに昨年の段階は聞いてきたのでありますが、ことしも同じなんですか。今度少し改善されましたか。
  63. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 昨年までは御指摘のようを状態であったようでございますが、それを改正いたしまして、四条の青バスにつきましても、地方負担あるいは車庫の建設費に過疎債を適用いたしました。白バスについては、もちろん一定の過疎債を発行いたすようにいたしております。
  64. 安井分科員(安井吉典)

    安井分科員 白バスの国庫補助は……。
  65. 小林(正)政府委員(小林正興)

    ○小林(正)政府委員 白バスにつきましての国庫補助につきましては、廃止路線代替車両購入費補助ということで、廃止に伴い代替バスを運行する市町村に対しまして国が車両購入費の三分の一、都道府県が三分の一、地元負担三分の一、こういう方式で補助をいたしております。
  66. 安井分科員(安井吉典)

    安井分科員 では、もう白でも青でもやることになったわけですね。
  67. 小林(正)政府委員(小林正興)

    ○小林(正)政府委員 さようでございます。
  68. 安井分科員(安井吉典)

    安井分科員 それはけっこうだと思います。ただ、国庫補助がバス一台百五十万円を基準にして三分の一補助。三分の一というと五十万円でありますが、しかし、四十七年度の実績は三十四万円しか渡ってないそうですね。都道府県のほうはきちっと三分の一の五十万円を出しているわけでありますが、しかし実際は、三十四万円で国庫補助は打ち切られているという実情があるようであります。どうですか。
  69. 小林(正)政府委員(小林正興)

    ○小林(正)政府委員 四十七年度の分につきましては、ただいま予算の配分と申しますか、補助金の交付の作業をやっておりまして、まだ最終的には決定いたしておりませんが、予算に定める満額交付できると思います。
  70. 安井分科員(安井吉典)

    安井分科員 その前は三十四万円だったのですか。
  71. 小林(正)政府委員(小林正興)

    ○小林(正)政府委員 その点についてはただいまちょっと手元に資料がございませんので、四十六年度以前の問題でありますか。
  72. 安井分科員(安井吉典)

    安井分科員 四十六年度だと思いますがね。
  73. 小林(正)政府委員(小林正興)

    ○小林(正)政府委員 これは後ほど調べてお答え申し上げます。
  74. 安井分科員(安井吉典)

    安井分科員 これはどこへ行っても三十四万円しかもらってないですよ。百五十万円の三分の一なら五十万円のはずです。都道府県のほうはきちっと五十万円出しているんだが、運輸省の事務当局の話によれば、初めは五十万円予算を組んでいたが、希望が多くて延ばして、予算の範囲内だからこれしかありませんよということで、三十四万円になったという説明のようです。これは市町村の話によりますれば、ほんとうかうそか知りませんが、どこへ行っても同じなんだから、おそらく間違いないと思いますよ。どうですか。
  75. 小林(正)政府委員(小林正興)

    ○小林(正)政府委員 これは四十五年から始めた制度でございまして、四十五年、四十六年の実績につきましては先生指摘のとおり、希望が多くて予算の交付率といいますか、若干下回っていることがあるいはあったかもしれませんが、そういったことが今後はないように国と都道府県とから同額出ますように、まず第一義的に都道府県で出していただきまして、その半分を国が都道府県に補助する、いわゆる間接的な方法を四十七年度から用いるようにいたしております。
  76. 安井分科員(安井吉典)

    安井分科員 それではきちっと三分の一必ず当たりますね。
  77. 小林(正)政府委員(小林正興)

    ○小林(正)政府委員 さようになると思います。
  78. 安井分科員(安井吉典)

    安井分科員 どうも看板に偽りありで、五十万円あげますよと言って三十四万円しか渡さなかったということは、民間の取引ならたいへんなことです。それがまかり通っているという補助方法というのは問題があるのです。いま一例だけなんですが、自治省も御存じだと思うが、幾つもあるのです。こういう国庫補助のあり方は地方財政法違反なんですから、そういうふうなことが絶対ないようにしてもらいたい。  行政バス路線の運行費にも国庫が補助をするという配慮があってもいいじゃないか。民間バスは車両購入費も出すし、それから運行費も出してやっているわけであります。北海道は、国のがないものですから、一台について四十八万円の運用費補助を道で出しているようです。全国ほかの県でもそういう仕組みをやっているところがあるそうですね。それは都道府県の仕事というふうなことでなしに、もう少し国がきちっとめんどう見てやるという仕組みにしてはどうかと思うのですが、どうですか。
  79. 小林(正)政府委員(小林正興)

    ○小林(正)政府委員 現在までのところ、廃止に伴います代替バスの車両購入費の補助をいたしておりまして、その運営につきましては、自家用バスでございますから監督等については現在いたしておらないわけでございます。その経費がどうなっておるかというようなところまでは、私どもとしては突っ込んで調べてございませんし、今後の問題かと思います。
  80. 安井分科員(安井吉典)

    安井分科員 これももっとよくお調べをいただいて、きちっと対策を講じていただきたいと思います。  それから、自治省のほうも特別交付税で何か措置されていると思うのですが、しかし、ルール計算の中に入っていないというふうな話なんですね。実際にそういうようなものをめんどう見ているのだという話はあるのだけれども、一体どれだけ見てくれておるのか。それよりも見てくれておるのか、くれてないのかわからないというような意見が強いわけであります。ルール計算の中にはっきり入れて、都道府県のそういう支出に対しても、それから市町村の直接の支出に対してももっとめんどう見てやる、しかもそれをルール計算ではっきりしてあげるということか必要ではないかと思うのですが、いかがですか。
  81. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 市町村の代替バスの運行赤字につきましては、いま御指摘のように、特別交付税の計算にあたりまして今年度は赤字額の二分の一程度をめどにいたしまして計算いたしました。おおむね一億九千万ばかり算定いたしております。ただ、特別交付税の性格上、御承知のように一般財源として交付するわけでございますので、なかなかひもをつけるというわけにはまいりません。私どもとしましては、本来政府の適切な援助があってしかるべきではないかということで運輸省とも御相談いたし、私ども自身も予算要求を重ねてまいってきたわけであります。なかなか実現いたしません。そこで、やむを得ず特別交付税でかような算定をしておるというような状態であります。今後お話しのような点を含めまして努力してまいりたい。  それから、先ほど申し上げました過疎債の運用でございますが、ちょっと御訂正させていただきたいと思います。  青バスにつきましては、御承知のように運行維持補助金の対象になりますのはほとんどが民営でございまして、白バスはほとんど市町村営でございます。市町村営の青バスについて従来車庫を適用外にしておりましたが、車庫も車両と含めて適用内にする。青バスにつきましてはほとんど実態がございませんので、本年度もまだ対象に入れることにしておりませんが、実態を見まして四十八年度以降適切な運用をしてまいるように努力していきたいと思います。
  82. 瀬戸山主査代理(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山主査代理 安井君に申し上げますが……
  83. 安井分科員(安井吉典)

    安井分科員 時間がないそうですからこれで終わりますが、青バスの実績がないということは、青バスには過疎債を適用しないということだから出してこないだけです。現実に道さえ開かれれば、当然たくさん出てくるはずです。ですから、財政措置の強化についてさらに特別な御配慮をお願いしておきたいと思います。  結論としてちょっと申し上げたいのは、市町村の側がたいへんな苦労をしておる。たとえば十勝の池田町長はこう言っておりました。赤字になっても私は通す。ツートンカラーの町営バスが、たとえからになっても走らせる。この地域は国も見捨てた過疎地帯かもしれないが、町がこのバスを走らせることで見捨てないのだ。それだけでも住民の心のささえになるのだ、こう言っておりますよ。それから士幌町の町長は、七億円の予算のうち九百万円も出しているので、こんなことで続くのですかという質問に対して、過疎というのは町や住民責任じゃないのだ。しかしながら、これ以上このバスがなくなったらたいへんなんだ。この町営バスをやめるときはこの町がなくなるときだ。住民の足を守ることで私は住民の命を守るのです、こう言いました。これくらいの実態があるわけですから、運輸省、自治省、それから関係当局もひとつ真剣にお取り組みいただきたいということを最後に申し上げて、終わります。
  84. 瀬戸山主査代理(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山主査代理 これにて安井吉典君の質疑は終了いたしました。  次に、小川省吾君。
  85. 小川(省)分科員(小川省吾)

    小川(省)分科員 まず最初に、国鉄両毛線の問題についてお尋ねをいたします。  両毛線桐生駅周辺連続高架事業という工事名で呼ばれております事業でございますが、私ども地元では通常両毛線の高架と言っております。桐生市内は、御承知のように両毛線が横断といいますか縦断といいますか、横切っておりまして、一方渡良瀬川が町の西部を通っておりまして、交通渋滞が非常に激しいわけであります。十年前から地元の強い要望がありまして、私どもの伺っておるところでは、昭和四十五年度に国や国鉄当局やあるいは地元と協議の上で、四十六年度を調査期間として四十七年度から着工、総工事費はおよそ七十億、国の負担が七八%、国鉄一〇%、県、地元が六%ずつで工事着工を開始するというふうに聞いておるわけでありますけれども、いまだにその着工が見られていないようでございます。そういう点について、具体的な経過と建設計画についての展望はどうなっておるのか、その点についてまず最初にただしたいと思います。
  86. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 両毛線の高架につきましては、いまおっしゃいましたとおりずっと準備が進んでおりますので、現時点におきます進捗状況につきまして担当の内田務理事から具体的に申し上げたいと思います。
  87. 内田説明員(内田隆滋)

    内田説明員 両毛線の高架につきましては、先生の御指摘のとおり四十五年に調査費がつきまして、四十六年に私のほうから県に調査の概要につきまして報告をいたしております。したがって、四十七年度には建設省の事業費が九千万円ついて事業に取りかかることになったわけでございますが、その後、具体的な設計につきまして県並びに市、地元国鉄と御協議いたしましたところ、いろいろと話し合いがございまして、いままで具体的な設計がきまっていない、ほとんどきめましたけれども、一部まだきまっていないというのが実情でございます。ただ、大体の見通しといたしましては、設計協議もほとんどきまる見通しでございますので、四十八年度からは着工の段取りになろうかと思います。  もう少し詳しく申し上げますと、まず一番初めに勾配の問題がございます。線路の勾配でございます。これを十ミリで私のほうは——十ミリと申しますのは千分の十の勾配で高架橋に取り付けるということで設計を御協議申し上げたのですけれども、十を十五にしていただけないかというお話がございまして、両毛線のいわゆる制限勾配が十一・五ということですが、十一・八ということで地元とお話し合いがついております。  それからその後、四十七年の九月には、いわゆる線路が地元のいろいろの民家に支障する、特にガスタンク等に支障するので、こういうようなものにひっかけるのは非常にぐあいが悪いというお話がございまして、その後設計を変更してまいりましたところ、また民地にひっかかるのをなるべく少なくしていただけないかということで、このお話がことしの二月にございまして、それにつきまして、私のほうから三案を御提示いたしておりまして、三案のうちで地元で一番よろしいものを御回答いただくことになっております。その御回答をいただければ、私のほうは設計を進めてまいりたいというふうに考えております。
  88. 小川(省)分科員(小川省吾)

    小川(省)分科員 説明を承りましたが、確かに勾配の問題がネックになっておるようですが、四十八年から着工ということで一応安心したわけですけれども、四十七年着工ということでいまお話しのように九千万円も予算化をしたけれども、三月にきて地元ではそれを他のほうに振り向けていくという形になっているようです。踏切が十三カ所もあって、中にはあかずの踏切などといわれるようなひどい交通渋滞も来たしておりますので、ぜひそういう観点に立って促進をしていただきたいと思います。  それから、いま勾配の問題がありましたけれども、勾配のほかに相生町地先に操車場の何か電留線をつくる、それで誘導線とか新しい鉄橋をつくらなければならないということで工事費に若干の増加がくるので、その点も一つの隘路になっているとかいうふうな話も聞いておりますが、そういう事実がございますか。
  89. 内田説明員(内田隆滋)

    内田説明員 御承知のように、ただいまの桐生駅の裏には電留線がございまして、高架にするためにはこれを移転しなければいけないということで、いまの御指摘の場所に移転することになっております。それにつきまして若干の工事の増加が見込まれるわけでございますが、これらの点につきましては、県並びに市とお話し合いを進めておる最中でございます。
  90. 小川(省)分科員(小川省吾)

    小川(省)分科員 時間の関係がありますから、ぜひひとつ促進をして地元の期待にこたえるように、当局としても努力をいただきたいと思っております。  次に、実は東武鉄道妻沼線と申しますか、詳しくは東武鉄道大泉−妻沼線ということになるのだろうと思いますが、この問題についてお尋ねをいたします。  最初に大臣にお尋ねしたいのですが、民有鉄道、いわゆる私鉄に対する免許の問題であります。この鉄道の計画は、いわゆる戦時中の緊急の物資あるいは人員の輸送等に関連して計画をされたわけでありますが、昭和十七年六月八日に免許が出て、同年の十一月に工事認可になって、工事の竣工が二十年の五月という予定で着工をされて、ピアを数脚建てたまま実は敗戦を迎えたわけであります。そのままにずっと移行をしてきたわけなんですが、ずっと着工されないままになってまいりました。以後、東武鉄道株式会社は、認可については更新をしてきておるわけであります。つい最近は四十四年十二月から四十九年の九月までの認可をたしか更新を受けているはずであります。そこで、当然私鉄であろうともこれは国民の足でありますから、特に慎重な配慮をして免許なりありいは認可の更新というものはされるものだというふうに考えていますが、それに対する行政的な指導といいますか監督といいいますか、そういうものはどういう形でなされておるのか、まず最初に伺いたいと思います。
  91. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 御指摘のとおり、この妻沼線は戦時中昭和十七年に免許をいたしまして、そのうち熊谷から妻沼までの十・一キロ、これは戦時中開業いたしたわけでございますが、御指摘のとおりそれから先のいわゆる川の部門につきましては、橋脚の大部分を完成して今日に至っている次第でございます。この問題につきまして更新の申請が出ておりまして、そのつどいたしております。ごく最近で申しますと、四十四年の九月さらにこれの期限を延長いたしまして、今回は五年間ということで四十九年の九月七日までしておるわけでございます。この建設申請につきましての群馬県及び地元関係町村から早期完成という要望が強いことも十分承知しておるわけでございますが、これにつきましては、いわゆる利根川の橋梁の完成に要する建設費用、それから現在すでに開通しております区間の電化、複線化に要する費用を加えまして、大体旅客営業のみの場合で約三十七億、貨物営業も加えますと六十億円を要するという見込みでございます。現在この問題がおくれております一つ理由といたしましては、四十五年の一月に接収解除されました大泉飛行場あと地の問題でございまして、これは先生よく御承知の企業誘致あるいは工場建設という問題があるわけでございますが、これが将来の採算性ということにも大きな問題になっておるわけで、そういった関係でこの問題はなかなか東武鉄道ひとりでやるというには大きな負担がかかるわけでございまして、東武といたしましてもなかなか踏み切れなかったわけでございます。そこで東武鉄道としましては、ごく最近でございますが、昨年の暮れ十二月に一つの新しい提案をいたして、これを県並びに関係地方公共団体に提出しているわけでございます。  これの内容を申し上げますと、いま申し上げましたように多額の費用を要しますし、その後の採算性の問題もございますので、ぜひ関係の県並びに地方公共団体の協力を得たい、こういうわけでございまして、群馬、埼玉両県並びに関係町村、それから東武鉄道、これがそれぞれ出資いたしましたいわゆる第三セクターというものをつくりまして、この新しい第三セクターの会社が新線を建設いたしまして、そしてさらに、現在の東武の既設線の一部もそれを使用いたしまして熊谷−太田間、これを鉄道として経営いたしたい、そしてさらに赤字が出ました場合に、その赤字補てんにつきまして県並びに地元の公共団体が行なうということにつきまして、こういった案を昨年の十二月に県並びに関係公共団体に文書でもちましてお願いいたしまして、現在それぞれ関係のところにおいて御検討いただいているというように聞いております。私どもも、この動向を見守りながらこの鉄道の問題について対処してまいりたい、かように考えております。
  92. 小川(省)分科員(小川省吾)

    小川(省)分科員 私もいま御答弁のあったその東武鉄道株式会社の提案はここに持っておるのですが、そうではなくして、三十年にわたる長い間免許を持ち、更新を認可してきたわけですね。実際に地元では唯一の——群馬県の東部、私どもいわゆる東毛地域と言っておりますけれども、唯一の足でございます。そういう点で会社が更新を申請して、それが認可をされる、そうなれば当然建設をするのだろうとぼくらは思っているわけです。当然認可をする側にしても、認可だけ継続して与えておくという気持ちで認可をされるわけはないだろうと思うのです。そうだとすれば、従来の中で——焦点はあとで触れますけれども、認可をしていくたびに、具体的に認可をしていくにあたっての条件なりあるいは当然建設をするであろうということを含めて認可が決定になるのだと思いますけれども、そういう行政指導責任であるとか、あるいは東武に対する監督であるとか、そういう点についてはどうなんですか。
  93. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 私どもといたしましては、免許いたしましたものが地元の足といたしまして大事なことということは十分承知いたしておるわけでございまして、何とかこれが所期のとおりに建設され、営業されたい、こう思いまして東武鉄道のほうも指導いたしながら、この竣工期限の更新をしてきたわけでございます。しかし、御指摘のとおり戦後すでに二十数年もたって一体どうするのかという御指摘、また地元方々の御不安、疑問という点も当然でございますので、昨年、いま申し上げましたような形でこれをもってはっきりいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  94. 小川(省)分科員(小川省吾)

    小川(省)分科員 そういたしますと、一応東武鉄道によって工事に着工するという点についてはあきらめたといいますか、一応打ち切りにして、東武鉄道が提案しているような新しい会社組織、しかも地元市町村等に出資をお願いして新会社を設立して、既存のものはその会社が貸与を受けるような形にして、いわゆる第三セクターといいますかデベロッパー的な役割りを果たした会社にしていかなければならぬというふうに当局のほうでも思っているわけですか。
  95. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 私といたしましては、先ほど申しましたように建設費用が多大にかかりますこと、並びに現在地元におきます開発計画ということもまだ見通しがはっきりしていないという状態におきまして、やはり一つの企業といたしましてこれを十分一人の、独力でもってやっていけないという以上、いま申しましたような第三セクターでやっていく以外方法がないのじゃないか、かように考えております。
  96. 小川(省)分科員(小川省吾)

    小川(省)分科員 しかし、従来認可更新をずっと戦後続けてきた。当然現状輸送構造の改善とか、鉄道赤字の問題がありますけれども、御承知のように、あそこのところは桐生から太田、太田から妻沼、熊谷を通ずるバス路線も東武が専有しているわけですね。だからあたら鉄道を開設してもバスが振りかわるだけで、東武自体としては、バスの客が鉄道にかわるだけでプラスにならぬということは、認可をする際だって当然わかっていたはずだと思うのですね。そうだとするならば、こういう具体的なあれに入る前に、やはり東武に対する鉄道の建設を促進するという方向がとられてきた経過があると思うのですけれども、どうなんですか。
  97. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 一番最初にこの免許をいたしましたときには、いわゆる当時の軍の要請もございまして、工員の通勤あるいは貨物輸送ということでございました。戦後もいろいろとこういった面で更新してきた、新しい立場で検討してきたわけでございますが、御承知のとおり戦後道路事情というものが非常に改善されてまいりまして、全国的に申しまして鉄道と自動車のいわゆる分野というものにつきまして、これは国鉄、私鉄を問わず出ておるわけでございますが、総合交通政策の立場におきましても、やはり鉄道の分野というものと自動車の分野というものがあるわけでございまして、戦後経済情勢あるいは社会情勢あるいは道路状況というものがいろいろと変わってきたわけでございますが、私といたしましては新しいこういった問題、それからいわゆる地元におきます開発計画、こういったところで、やはり鉄道としての特性というものが今後も生かされるかどうか、かような点も開発計画というものを十分見守りながら対処してまいりたい、かように考えております。   〔瀬戸山主査代理退席、主査着席〕
  98. 小川(省)分科員(小川省吾)

    小川(省)分科員 実は先ほど説明の中でも出ましたけれども、太田と大泉にかかる地域の中で、米軍に接収されておった太田大泉飛行場五十万坪が返ってきましたね。あの中には三分の二の国有地があるわけです。たしか四十三年の六、七、八月ごろだったと思いますが、当時一つの案として、あそこの国有地の中に貨物ヤードをつくって、これは国鉄と東武が相協力するということなんですが、あと地を貨物ヤードとして利用してこれを建設したらどうかというふうな、一つある時期というか、そういう経過がありましたか。
  99. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 確かにそういうことを検討したこともございます。
  100. 小川(省)分科員(小川省吾)

    小川(省)分科員 実は私どもは、東武に当局が免許の更新をするけれどもなかなか東武が踏み切れない、こういうことで、昭和三十年ごろだったと思いますけれども、新しく国鉄でぜひこれを継続してやってほしいという地元の強い要望がありまして、そういう中で、四十二年の太田大泉飛行場の返還に伴って貨物ヤードの建設等、そういう話が出てきた。これは非常にけっこうなことだというふうに思っておりましたし、ある意味では高崎線と両毛線とのまさに短絡線的な要素をなすものでありますが、そういう点、輸送構造の変化はあったでしょうけれども貨物ヤードについては倉賀野だということで立ち消えになったというふうに聞いておりますけれども、そういう事実ですか。
  101. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 一時期、いま先生のおっしゃいます太田付近、あそこは私どものほうのブランクの地帯でございまして、貨物輸送についての計画もあったのでございますが、法規的にも多少むずかしい問題もございます。また、いまたまたまおっしゃいました倉賀野あるいは埼玉県側の篭原というところで代替基地をやろうじゃないかというふうに思いましたので、あの計画は、私どもといたしましてはもう断念したわけでございます。
  102. 小川(省)分科員(小川省吾)

    小川(省)分科員 断念されたようでありますが、ともかく長い間、昭和十七年以降三十年にわたって免許を与え、認可を更新してきた。これはやはり国民の足を確保するという立場からすれば、東武鉄道自体に当然責任がありますけれども、免許を与え、認可を与えた側にも責任があると私は思うのです。特に群馬県の東部地域というのは、ある意味では平坦部であり、発展性もあるわけでありまして、新しい群馬の一つの重要な拠点ともなっているわけであります。それだけに、何といっても熊谷に通ずる足の確保ということは、地元としては強い要望があるわけであります。そういう点、東武に対して免許の更新、認可の更新をしてきた、そしてまた国鉄自体としても、貨物輸送構造の変遷だということで、そういう計画があったけれどもあきらめられたということでは、これは容易ではない事態であります。そういう点で、そういう考え方を再検討していただく気持ちがあるかどうか、重ねてお伺いをします。
  103. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 そういう御指摘の点もございますものですから、現在新しい一つの方策というものにつきまして、関係の県あるいは市町村あるいは東武鉄道において、その新しい第三セクターというものによりまして、地元開発あるいは地元住民の足の確保、こういうことについてさらに私は前向きで検討されることを希望し、その様子を見守って対処してまいりたい、かように考えております。
  104. 小川(省)分科員(小川省吾)

    小川(省)分科員 様子を見守ってということなんですが、そうすると、この免許を与え、認可を更新をしてきた側とすれば、この会社側から出てきたところの新しい提案といいますか、新しい構想については、別に指導もしない、見守るだけで別に指導をなされる気持ちはまるきりないわけですか。
  105. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 私といたしましては、地元の県、市町村というところにおきまして、県会なりあるいは市町村会、こういったところにおきまして、やはり御議論がされると思うものでございますが、ぜひともこういったところにおきまして、十分に御審議をいただきまして態度をきめたいと思っておりますが、私のほうといたしまして、県なりあるいは関係市町村に積極的に働きかけるということはいかがか、かように考えております。
  106. 小川(省)分科員(小川省吾)

    小川(省)分科員 そうなりますと、いわゆる鉄道ですから、これは公共性を持っているわけですが、これらの免許だとか認可の更新という問題はどうなるのかという、その責任ですね。そういう状態になれば、あとは会社が地元と相談をしてやってくれればいいじゃないかというふうに言われましたけれども、私は、そういう認可の更新をしたりあるいは免許を与えた側の責任というもの、当然行政的な指導責任というものがあると思うのですね。そういう点を十二分にやはり発揮していただいて、そうしてつとめていただかないといけないのじゃないかと思うのです。特に、この新しい案でも、とにかく現状の中では東武鉄道というのは合理化がおくれてたいへんなところだと聞いておりますが、実際は不動産をたくさん持っているのですね。しかし、ここでいっておるのは、いわゆるデベロッパー的な第三セクター的な要素を与えてもらって、鉄道収入による以外に収入がなければ、それでも若干の赤字が出るだろうという計画案ですね。その点は専門家から見てこの計画案自体はどうですか。
  107. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 いわゆる鉄道の性格と申しますものも長い間にいろいろと変わってきておるわけであります。戦前におきましても、鉄道というものはいわば独占的企業でございまして、非常に地元としても大事なものでございますし、また取りかえのない唯一の機関でございます。また、運賃収入その他の面におきましても、戦前は大体収支を保っておったわけでございますが、戦後はいわゆる自動車との競争、特に自家用車の発達ということによりまして、鉄道はすべて非常に収支が悪くなってきておるわけでございます。そういうわけでございまして、いま東武を含めまして大手私鉄におきましても、その収支はきわめて悪いのでございますが、そういう地帯にさらに鉄道でなければいけないかどうか、また鉄道を絶対必要とする場合も、鉄道運賃だけの収支でやっていくということは非常に問題がございますので、やはり今後つくります私鉄につきましては、政府といたしましてもいろいろの助成方策は考えており、また進めておるわけでございますが、やはりいま御指摘のような新しい開発区域におきましては、開発利益の還元、こういったことも含めまして考えないと鉄道の収支というものはむずかしいのではないか、かように考えております。
  108. 小川(省)分科員(小川省吾)

    小川(省)分科員 この中でも、いみじくもいっているのですが、県や市町村に資本を出してもらい、デベロッパー的な要素を与えていただいても、現在の開発に対する国民の風当たりや土地税制の改正、こういうふうな点を考えた場合には非常にむずかしい、何としても地方公共団体の補助金を継続的に出してもらうことが必要なんだというふうに説いておりますけれども、私はこの地域の場合には、よくある赤字過疎線の場合とは非常に異なっている要素があると思うのです。これは好むと好まざるとにかかわらず発展性を持っている地域でありますし、そういう要素を持っている地域でありますから、いわゆる国鉄線等で問題にされておる過疎赤字線というものとは類を異にしていると思いますので、そういう点で、国鉄がむしろ地方公共団体に出させて、その上でそれだったら何らかの助成をはかるということではなくして、むしろ国鉄当局が、そういう意味ではこういう中に乗り出していって——事実、高崎線と両毛線との短絡線的な要素もなすわけでありますから、そういうものこそどうしても私鉄がそれをやることが困難だというふうに判断をされるならば、むしろ国鉄がそういう中に乗り出していってやるということが国民の足をほんとうの意味で確保することになるのではないかというふうに考えます。  先ほど総裁説明の中でも、若干法的な問題があったということを言われておりますが、なぜそういう場合に私鉄企業を育成をしながら、相提携をしながら国鉄が乗り出し得ないのか、非常に疑問に思いますが、その点についてはどうですか。
  109. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 いま御指摘の両線を結ぶということにつきましては、現在の鉄道敷設法の別表にはございませんものでございますから、もしそういうことをいたすとなりますと、手続的に申しまして鉄道敷設法の改正を必要とするわけでございますから、そのためにはもちろん国会の御審議をいただくわけでございますが、その前に鉄道建設審議会におきまして、こういった新しい線の必要性、そういったものについて、いわゆる道路状況あるいは今後の輸送状況それから収支、そういったすべての面につきまして十分検討を重ねていかなければいけない、かように考えております。
  110. 小川(省)分科員(小川省吾)

    小川(省)分科員 いずれにいたしましても、非常に長い戦前からの懸案でございまして、私ども地方の県や市町村議会あるいは県、市町村の首長を含めて、地域住民全体を含めてこの開設を切望している事業でございます。そういう点を十分勘案をしていただきまして、長い間免許をし、認可の更新をしてきたわけでございますから、そういう責任を持ってぜひひとつ東武鉄道株式会社を指導をし、具体的にこれが着工でき、建設をするような、責任ある指導体制をぜひお願いをしたいと思っています。  と同時に、私はいま申し上げたように、法改正等もありますでしょうけれども、もしそういう場合においては、そういうものこそ、むしろそれが私鉄にまかせておいてはできないという状態ならば、ほんとうに国鉄責任を持って肩がわりをしてでも実施をするというふうな方向で対処をするということが、国有鉄道としての国民の足を守る真の意味になるのではないか、こういうふうに考えておりますので、ぜひそういう態度で臨んでほしいというふうに思っておりますが、できればひとつ見解をお聞かせいただきたいと思います。
  111. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 私といたしましても、東武鉄道がいたずらに権利の上に眠るというようなことがあっては絶対にいけませんので、私どもは今度の提案につきまして、これをもってはっきり、いかなる措置をすべきか、いわゆる四十九年まで期限がありますが、いたずらに権利の上に眠らせるというようなことがないようにいたしたい、かように考えております。
  112. 小川(省)分科員(小川省吾)

    小川(省)分科員 時間が経過をしているようですから、最後に一つだけ。  いま御答弁を聞きましたので、ぜひひとつそういう態度指導、監督をし、督励をするという立場に立って、地域住民の足を守るという意味で、住民の悲願を達成するような責任ある指導要望をいたします。また、別の機会に取り上げることといたしまして、ぜひ実現をしていただくように切望して、質問を終わります。
  113. 前田主査(前田正男)

    前田主査 これにて小川省吾君の質疑は終了いたしました。  次に、多田光雄君。
  114. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 昨年の十月二十四日ですか、運輸省が北海道の岩内線、既存の岩内線じゃなくて、新しく岩内線の着工認可をおろしたわけです。この岩内線は、明治の中期から地域住民が八十年にわたって願望してきた線であって、運輸省の着工認可がおりてから、住民が中心になって岩内町というところでは数百万の金をかけて盛大な起工式をやる、こういう喜びようであったわけです。ですから、関係住民の期待と関心、喜びというものを関係の皆さんも十分御理解願えると思うのです。  そこで、ただこの岩内線の着工認可にまで至る経過、この問題は、将来予想される国鉄赤字線の赤字の分担の問題、こういう問題について地方自治体あるいはその関係住民にとって至大の関係があるということ、さらにまた、ことしから政府がかなりローカル線を急ピッチでつくっていく、そうすればいよいよこういう問題がこれから派生するというおそれがないわけではない、そういう問題について幾つかお伺いしたい、こう思っております。  そこで、これは大臣にお伺いしたいのですが、昨年中ごろまでローカル線をなるべく合理化するという方針であったのですが、田中総理の列島改造が出てから、逆にことしは予算もローカル線建設に伸びるという状況になってきているのですが、この変化は、やはり総理が施政演説に述べている、つまり列島改造、これと関係があるものとだれでも考え、新聞もそう書いているが、この点についてひとつ簡潔に大臣のお答えをいただきたい。
  115. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 もちろんそういう内閣全体の方針関係がないとは申しませんが、それと同時に、昨年廃案になりました国鉄の財政再建措置の要綱では、できるだけ国鉄の赤字を早く解消しなければならぬという考え方から、地方の閑散線は御承知のようないろいろの条件を付しまして、これを廃止の方向で努力をするという案を出したわけですが、それについて衆議院における御審議の際に、各委員から非常に御意見が出ました。それを拝見いたしますと、地域住民の足を簡単に奪うようなことがあってはならないじゃないか、もっと地域住民の意見を聞いて、最後の交通体系を守るようにしてもらいたいということが圧倒的だったようでございます。  この点は御承知かと思いますが、そういう点を考え合わせまして、これはやはり各委員のお話しになるような点を十分参酌をしてこの問題に取り組まなければならないということで、実は今度出しております再建案では、いまおっしゃるような方向で、ただ赤字線だからといって何千キロか去年計画いたしましたようなものを、地域住民意思いかんにかかわらず廃止の方向で努力をするんだということではなしに、基本的には道路輸送のほうにかえたほうがいい、またかえることが地域住民にとってもかえって利益であるというようなことで、実際かわったのも御承知のようにあります。今後も出てくると思います。そういったものについては、いままでと方針を変更したわけじゃございませんが、しかし一方的に国鉄のほうで、これは非常に赤字が多いんだからやめるんだという線を予定いたしまして、それを強引に推進していくというような態度は、今度改めたほうがいいというようなことにしたわけでございます。その点においては、昨年の提案とは具体的な方策において若干変更をいたしておるということは事実でございます。
  116. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 確かに議事録を読みまして昨年そういう論議があったということは私も承知をいたしておりますが、変わり方があまりにも手のひらを返したような変わり方でして、大臣も言ったように列島改造、一応これは皆さんの国策ですね、その一環としてやられていることに了承して間違いございませんな。これは簡潔に……。
  117. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 もちろんそれに関係があることは事実でございます。
  118. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 国鉄のいわゆるAB線はいま何本ありますか。
  119. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 現在鉄道建設公団におきましてAB線を建設しているわけでありますが、これは現在三十九線ございます。
  120. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 これは着工認可が全部おりているのですか、それともこれからおりるというのですか。
  121. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 そのうち工事実施計画が提出されていない、したがってこちらがいまだ認可していないという路線が八線ございます。
  122. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 そこで、新線建設の場合、その建設費、それから営業の赤字、これを地元の自治体あるいは任意の有志、個人、これに何らかの形で負担させているようなことがあるのかどうか。
  123. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 現在までそういう事例はございません。
  124. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 それでは、赤字が予想されるような場合、その赤字の地元負担が予定されているようなケース、こういうものがあるかどうか。
  125. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 これはいろいろと各線によって違いますが、AB線の中で現在一番よろしいのは、中村線と申しまして四国にあるのでございますが、これが一番いいかと思っておりますが、概して申しますとAB線は収支はよろしくございません。
  126. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 それでは、現実に地元から赤字負担を申し出ておられるような新線計画、これはありますか。
  127. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 現在運輸省に対しまして直接経営上の赤字を負担するという申し出はございません。
  128. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 運輸省以外で公団その他はどうですか。
  129. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 私どものほうには、昨年の九月十六日でございますか、岩内線建設促進期成会という会から、将来これが開通した際に営業収支の損失が出た場合には、その金額を関係町村が負担するというような一方的なお申し出がございました。
  130. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 関係町村が負担するというふうに総裁は言いましたけれども、そうですか。間違いありませんか。
  131. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 これは非常に抽象的な文章でございますから、法律的にどうこうというふうには考えられませんが、ここに書いてあることをそのままリテラルに読みますと「その金額を関係町村が負担することといたしますので、」と書いてあります。私もあまり内容を聞いておりませんので、書いてある字句をそのまま読み上げますとそういうことでございます。
  132. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 昨年運輸省が国鉄再建計画案をつくったときに、赤字線を向こう五年間残すような場合に、国が二分の一、それから地方自治体が三分の一、それから国鉄六分の一負担云々という、こういう案があったわけですが、それはいまどうなっているか、それからいま一つは、そういう考え方を放棄したのかどうなのか、この二点について簡潔に……。
  133. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 昨年国会に再建法と運賃法の改正法案を出しましたときに、御指摘のとおり、運輸大臣が国民経済的に見まして道路輸送に転換すべきことを適当と認める路線を認定いたしまして、これを五カ年間に廃止する、廃止するまでの間は建設費を国が二分の一、地方が三分の一、残りの六分の一を国鉄が負担するということでまいりましたが、先ほど大臣が申しましたように、新しい国土の開発、過疎過密の対策、こういうことがございまして、今回は頭からそういうふうにキロ数をきめ、また具体的な路線をきめて認定する、かような方策は現在はとっておりません。
  134. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 そうすると、総裁にちょっと伺いますが、岩内線を昨年十月に認可したのは、総裁が言っておられる、あいまいであるというけれども関係市町村が負担をするということを前提にしてこの着工認可を与えたのですか。
  135. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 認可は、これは運輸大臣の認可でございまして、国鉄と鉄建公団はいわゆる協議いたしまして、それに基づきまして鉄建公団から工事実施計画の認可申請が出る、かようなことに相なっております。
  136. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 大臣からもいまの件について伺います。
  137. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 いま局長がお答えしたとおりでございますが、運輸省といたしましては、地元の負担があるかないかによりまして認可の内容を変えるということはありません。
  138. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 実はこれは新聞報道で、私も新聞社に再三確かめた内容で、間違いがあれば新聞社のほうにひとつ抗議をしてもらいたいと思うのですが、北海道新聞の四十七年十月二十七日、ここに、佐々木運輸相は同日こう言っておるのですね。「地元約束があったから認めた。今後、各町村がそれぞれの議会で正式に決めるものと確信している。もし約束が守られなければ工事命令を出さないこともあり得る」こういうことを佐々木運輸大臣は言っているし、また、同じ記事によれば、「運輸省鉄道監督局でも今回の国鉄赤字の地元負担を今後の路線建設のさいのテストケースとして、なんとか実現に持ち込みたいとしている。」こういう記事が出ております。さらにまた、同紙によれば、期成会の会長の長浜金太郎という岩内町長さんはこう言っております。「赤字を地元で負担しない限り認めないという国の方針があるので、負担しても建設したいとの願いを込めて提出したものだ。」こういう趣旨の記事はかなり私の手元にあります。いま大臣はかわりましたけれども大臣はそういうことはないと言うけれども、前任者が言ったということによって、もしこの事実があるとすれば、これはほごにできないものである。これはどう思いますか。
  139. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 前大臣がどこでどういう発言をしたかは私具体的にはよく存じません。ただいまの運輸省の方針といたしましては、先ほど申し上げましたとおりでございます。
  140. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 私は非常に責任のない発言だと思っております。大臣がかわったとしても国鉄方針、これは一大臣がかわったことによって変わるものではないと思うのです。こういう事実があったかどうか。そのことをまず聞きましょう。
  141. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 私どもといたしまして、地元が赤字を負担しなければ認可をしない、こういうようなことは一切、そういう書面はどこにも出しておりませんし、またそういったことを申し上げた事実もございません。
  142. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 そこで、地元負担というけれども、これは二通りの意味があると思うのです。一つは、地方自治体が負担するという問題と、いま一つは、地方自治体以外の任意団体、個人有志、これが負担する。こういう二つの場合が考えられると思うけれども、前者については、さきの国会で、これは地方行政委員会だったと思いますが、当時の門司委員が質問して、このことに対しては、自治省は、自治体がこれを負担するということは法の違反であるということを明確にしていたし、運輸省の側としても、自治体からこの負担をしてもらおうというふうには思っていなかった、これは有志である、こういうことを述べていました。これは速記録に全部出ております。これは時間がないから一々申し上げるまでもないと思います。  そこで、今日の現法律のもとで、地方自治体に、いかなる理由に基づこうとも国鉄の経営の赤字その他について負担させるという意思はもちろんないと思いますが、どうですか、大臣
  143. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 地方財政再建促進特別措置法という法律がございますね。これの二十四条に、そういう地方団体からの国または公社に対する寄付を禁止するという規定がございますから、もちろんこれには政令で特例が認められるようになっておるようですけれども、この法律の精神によりまして、地方自治体から国または公社に寄付を出すということは、法律の禁じているところであります。この法律の禁止規定に反して国鉄がそういう寄付を受けるということは絶対あり得ないことだと私は思っております。
  144. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 そうすると、当然国の一機関として現行の法律を守ることがたてまえにある限り、運輸省として、当然公団にしても国鉄にしてもそうだろうと私は思いますが、しかしながら個人有志のたとえば寄付とか協力、こういうものは受け取るということも考えておりますか。
  145. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 それは法的にはあり得ると考えております。
  146. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 法的にというのは、どの法に基づいてですか。
  147. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 ただいま大臣が申しましたように、いわゆる地方財政再建促進特別措置法におきましては、市町村国鉄に対しまして寄付を出すことは禁止されておるわけでございますが、いわゆる地元の有志が出すということにつきましては別に法的な規制というものはないからでございます。
  148. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 それでは、もう少し具体的に聞きましょう。新線の場合、岩内線の赤字見込みは一億あるいは発表によれば二億といわれておる。この内容をちょっと教えてください。
  149. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 国鉄並びに鉄建公団におきまして、それぞれ開業前におきましての収支というものの見通しは立っておりますが、これはいわゆる今後におきます開発計画の促進、あるいは御承知のように現在の在来線との関係で、いかに運行系統、運行回数をやるかによっていろいろ数字は違ってくるわけでございますが、いま申されましたような一億ないし二億、かような見方もできるかと思っております。
  150. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 一億ないし二億ですね。
  151. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 それはそういった見方もできるというわけでございまして、たとえて申しますと、今後の計画によってはそれだけの赤字が出ないという場合も考えられるわけでございます。
  152. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 私はその回答が非常に不満なんだけれども国鉄のほうは、あの線はつくっても赤字だ赤字だと言っているのです。そうして採算が合わないからといっていままで引き延ばしたともいわれている。そのためにあの貧乏な——貧乏という例をあげましょう。北海道は、とりわけ市町村は貧しいけれども、たとえば財政力の指数からいうと、あそこの関係八町村の入っている後志というところの財政負担能力は非常に低い。北海道は、この財政力の指数からいうと、全国平均が五三・二、それに対して北海道の平均が三五・九%です。はるかに低い。その中でも特にあの八カ町村の入っているところの後志というところの財政力というのは、これはわずかに一八・四%、北海道で最も貧しい町村です。そこがあえて赤字を負担してまで引いてほしいというのは、それなりの理由があったはずだと思います。  それからいま一つは、いまはっきりしないというけれども国鉄のようなところが百億に達するといわれておる新線を引くのに、どれだけの赤字が出るのか出ないのか、こういう見通しも立たないで着工認可をおろしたということはとうてい信じられないけれども、それはどうですか。
  153. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 国鉄のほうの収支につきましてはあるいは国鉄のほうから答弁すべきかと思いますが、いま私が申しましたのは、開業後の収支予想というのはいろいろな見方がございますものですから、たとえば鉄道建設公団の見方、かようなものでございますから、そのような意味で申し上げたのでございます。
  154. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 そうすると、有志個人に出してもらうことは違法ではない、こう言われたけれども、あなたがいま言ったように、事と次第によっては、一億から二億の赤字が出るという場合に、地方自治体には責任を負わせない、有志個人からはもらうこともあり得る。その場合、この赤字負担は期成会に入っている個人、これは十六名ですが、これからもらうことになりますか。
  155. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 運輸省のほうには、いまのその期成会十六名の方からの書面というものは来ておりませんし、この工事の認可後におきまして具体的なそういったこともございませんものですから、どういったお気持ちかということについては、私ども承知いたしておりません。
  156. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 もしそういう事態が起きた場合どうしますか。あそこに線路をつくれば、当然公団のほうから国鉄にこの線路が委譲されるわけです。その場合、赤字が出た場合、すでにこういう陳情書が出ている。それに対して、あなたはどういう対処をされますか。これはまあ一つの予想ではありますけれども……。
  157. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 先生の御指摘のように、これは予想でございまして、私たちといたしましては、いわゆる認可いたしましたあとにおいて、向こうからそういったことに対しましてどうこうするとか、あるいは具体的な申し出というものも全然ございませんし、また動きもございませんものでございますから、現在におきましては、何ともまだお答えできない状態でございます。
  158. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 この任意団体、個人に一億から二億の赤字というものが払える能力が一体あるのかどうなのか。いまの時勢で、あの国鉄の赤字を自治体には負担させない、有志の場合はあり得るということで、わずか十六名——これも市長、議長です。これは個人ということになっておるけれども、いかに金があったとしても、そういうものを払う力もないし、また払わないだろう。そういうことを考える者はだれもいないだろう。そうすると、それはどうなるかというと、必ずこれは地元住民に対する寄付であるとか、そういうものに転嫁されていくのです。いままでの無数の経験からそうなんです。  そういう意味では、私は、この赤字の問題に対して、むしろ大臣に聞きたいと思うのだけれども、いかなる場合であっても、地元住民や自治体には現行法のもとではやれないと先ほど言っているのですから、負担をかけないようなそういう誓約を行なえるかどうか。これは大臣にちょっとお伺いしたい。
  159. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 法律の観点からいたしますと、先ほどお尋ねがあり、お答えしたとおりでございます。しかし、この法律に触れない範囲内において、地元住民が非常に国鉄——これは単に新線建設だけではないと思います。国鉄のいろいろの設備についても希望が出てくると思いますが、そういったものについて地方の住民が、たとえば土地について、土地はこういうふうにありますから、駅前の広場を何とかしてほしいというようなこと、これはおそらくいままでにもありましたし、今後もあるだろうと思います。そういったものは一切地方住民の好意を国鉄は受けてはいけないのだということをきめるということは、私はこれは非常に不適当だと思います。要するに、そういった問題につきましては、具体的な事実が起こりました場合に、国鉄の本来持っておる使命、それから地方住民のこれらに対する要望、あるいは財政的な負担能力、そういったものを勘案いたしまして具体的にこれをきめていくのが一番適当じゃないかと思っております。
  160. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 そうすると大臣、将来はそういうこともあり得るということですか。
  161. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 そういうこととおっしゃるのがよくわかりませんが……。
  162. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 そういうことというのは、赤字が出た場合に、現行法のもとでは自治体にはできないのだから、個人とか有志の協力もあり得るのかということです。
  163. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 これは理論的にはあり得ます。理論的にはあり得ますが、先ほど申し上げましたように、これは要するに寄付をしようという人たちの負担能力の問題でありますとか、どういう赤字に対して寄付をしようというのか、そういった問題を具体的に勘案いたしまして、われわれとしては、これは法律にはありませんけれども国鉄に対しまして適当な行政的な指導をしていくという以外に方法はないかと思います。
  164. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 鉄建公団の方、来ておりますか。
  165. 前田主査(前田正男)

    前田主査 来てないようですね。
  166. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 鉄建公団、呼んだのじゃないですか。  それでは大臣、こういうふうに理解してよろしいですか。もう一度念を押しますが、現行法のもとでは地方自治体に赤字を負担させるということはしない。よろしいですね。
  167. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 はい。
  168. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 しかし法的には、将来赤字が出た場合、任意の団体、個人に負わせるということも可能だけれども、いまはそういうことは考えていないということですか。
  169. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 前半はお話しのとおり、これは法律の命ずるところによりまして、法律の禁止規定を破ってまで国鉄が寄付を受けるということはあり得ないと思います。  それから後半の問題、任意の団体あるいは個人が寄付をしようという場合に、それを受けるか受けないか、受けさせていいかどうかということは、これは具体的に判断しないといけない。いまお話しのように、そういう負担能力がないのにどういうふうにして無理をしてやるかというようなことになってまいりますと、これは適当であるかどうかという判断にかかってくるわけでございますから、そういう点については、この赤字という面だけではなしに、寄付をしようという人たちのそれに対する要望あるいはその負担能力、そういったものを十分勘案いたしまして、具体的にその地域住民のためになるように、あるいは国鉄の新線建設が促進されるように、両面からこれは考えていかなければならぬということを先ほどから繰り返し申し上げているわけでございます。
  170. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 そうすると、地元から出ているこの期成会の要望書をたてにして、文書であれ口頭であれ、地方自治体はもとより、住民に対してもいまからそのことによってそれを強要するとかいうことは考えておりませんね。
  171. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 地元からの寄付がないと新線建設はやらないのだというような方針は、運輸省としても立てておりません。
  172. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 次に伺いますが、岩内線建設はどういうメリットが国鉄にあったのでしょうか。これも時間がないので簡単に……。
  173. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 岩内線につきましては、これは三十二年四月に調査線になり、三十九年に運輸大臣から鉄道建設公団に対しまして工事線の指示をした路線でございますが、これにつきましては、沿線地域開発というものに資することはもちろんでございますが、現在ございます函館本線、これが急勾配でございまして、大体千分の二十でございますが、これが今回考えています岩内線におきましては平坦な海岸線を使いますので千分の十、こういうことによりましてバイパスとしての意義、場合によってはこのほうを有効に使うということによるメリット、かようなものがあるわけでございます。
  174. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 この新線については、昭和四十年からの調査費、それから用地の買収費、測量その他の約四億、予算によれば五億五千万、これはもうすでに出たことになっておる。それだけ力を入れておる。そうすると、地元住民要望があろうがなかろうが、これは国鉄としてはそういうメリットがあるのだから考えていたというふうに私は理解する。  そこで伺いたいのは、いまの函館本線にはそういうデメリットがあるから将来岩内線にもっと力を入れて、函館本線を実質的に向こうを走らせていくというようなことを考えているのじゃないですか。
  175. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 輸送情勢というのは年によって非常に変わってまいります。さて、現時点におきましてあの岩内線を函館本線のかわりに使えるということを申し上げるのは少し無理かと思います。ただ、函館本線のバイパスとしての役目はある程度は果たせるだろうという程度の輸送力しかない、私はそう思います。
  176. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 そうであれば赤字は一つの脅迫ですよ。あれは国鉄のほうに第一に利益があるのです。現在の函館本線においてはいろいろなデメリットがある、だからそれを補強する。いま総裁言われたバイパス的なものがある。つまり短期で見れば赤字に見えるけれども、函館本線全体から見れば決してこれは赤字ではないのです。これはむしろ赤字を理由にしてあなた方はいかにも住民の利益をとろうとしている、こう解釈する以外にない。私は非常に残念なことだと思うのです。国鉄はそこまで考えているのではないかと私は思うのです。  そこで、ついでに私は伺いたいが、新幹線は北海道のどこを走るのですか。これをちょっと伺いたい。
  177. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 現在青森から……(多田分科員「いや、道内。函館から」と呼ぶ)道内につきましては、主として鉄道建設公団、国鉄の連名でございますが、そこにおいて、昨年の六月に調査の指示をいたしまして、一年以内に報告するようにしておるわけでございますが、まだ現在どちらをとるかというようなことにつきましては、地形、地質その他いろいろな点について調査中でございます。
  178. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 この新幹線とのからみ合いで、いろいろ道内で取りざたされている。しかも新幹線を引くことによって、室蘭回りだとか小樽回りだとか、それぞれ地元の代議士、その他が中心になって、選挙前後からやっている。新幹線を引くということは北海道の経済に重大な変化を与える問題です。ですから、私は、新幹線を引くのであれば、地元住民の声をもっと広範に聞くこと、秘密にしないでこれを明らかにしてもらいたい。それが列島改造で皆さんが一応たてまえとして言っている住民の福祉、それから住民の利益、そしてまた国土の均衡ある発展に資するものだと私は思うが、大臣それはどうですか。
  179. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 いま鉄監局長が申し述べましたように、新幹線の問題は、いまお話しのような点を含めまして調査中でございます。調査結果が出てまいりました場合には、もちろん将来の展望、北海道をどういうふうにして開発し、どういうふうにして住民の福利に役立たせるかというような点を勘案いたしまして、運輸省においてこの新幹線の路線を決定するという段取りになるわけでございますから、その機会には、いまお示しのような点も十分考慮をした上できめなければならぬと思っております。
  180. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 それはいつごろですか。
  181. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 現在調査中でございまして、一年以内ということでございますから、ことしの六月の末にいわゆる調査報告が出てまいります。さらに、それに基づきまして整備計画を決定するわけでございますが、整備計画を決定する前に鉄道建設審議会に諮問いたしまして、整備計画を決定し、そして整備計画によりまして建設主体がきまりますと、今度はさらにそれに基づきまして工事実施計画の認可申請が運輸省に出されてくる、かように考えておりまして、四十八年度におきましては工事に着手したい気持ちでございます。
  182. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 最後に一、二点。私はここに資料を持っておりますが、前任者の運輸大臣のときではあるけれども、岩内線を認可した。そしてその認可の前に、地元からこういう陳情書が出ている。そして新聞がうそでなければ、大臣は、地方が負担をするということで認可したということを、大臣だけじゃなしに、かなりの国鉄やその他の方が発言をしておられる。ここに新聞の切り抜きがありますから、新聞が間違いなければ……。そして非常に大きな論争を起こした。自治省との意見の食い違いもあった。道でも意見の食い違いがあった。こういう軽率なやり方に対して、総裁としても大臣としても、どういう責任をとるのか。しかも、厳然として自治法や財政法があるたてまえを知らないわけはないのです。そういうふうな軽率な態度をとっていることはどういう態度か。これが一点。  第二番目に、私は岩内線をすみやかにつくってもらいたい。これはいつ着工するのか、このことを伺いたい。
  183. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 大臣としての責任でということでございますが、実はその新聞記事を私まだ読んでおりません。早速取り寄せて読んでみます。  しかし、この機会にお尋ねがございましたので、ただいまはっきりと申し上げておりますように、運輸省といたしましては、この公の国会の論議の席上でお答えをしておることでございますから、法律に違反するような方法で地方自治体から寄付金を取るというようなことは毛頭考えていないということをこの機会にはっきりと申し上げておく次第でございます。
  184. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 いまの着工の時期の問題でございますが、これは鉄道建設公団において工事いたしますので、現在いろいろと鉄建公団において調査準備中でございまして、これの整い次第やりたい、こういうふうに考えております。
  185. 多田分科員(多田光雄)

    多田分科員 ともかく岩内線についてはさまざまな混乱を下部に与えています。したがって、早期に岩内線の着工をやってもらいたい。  それから先ほど言いましたように、あくまでも地方住民や自治体に赤字の負担をさせない。法の改正をこれはあなた方考えているかもわからないけれども、現行法のもとではそういうことをやらないということを私は強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  186. 前田主査(前田正男)

    前田主査 これにて多田光雄君の質疑は終了いたしました。  次に、井出一太郎君。
  187. 井出分科員(井出一太郎)

    ○井出分科員 時間がたいへん制約されておりますから、私も簡潔にお聞きしますので、もう簡単にお答えをいただけばけっこうであります。  実は新聞等で御承知のように、浅間山が活動を始めました。浅間山が爆発をしまして——気象庁長官見えていますね。いまそこへ石ころを二つばかりお目にかけましたが、これが火口の近辺に降り注いでおるその現物でおります。私は長野県側でございますが、噴煙は群馬から関東の方面へたいへんに降り注いでおるという状況でございます。   〔主査退席、瀬戸山主査代理着席〕 浅間山ろくの追分というところに気象庁の測候所がございまして、たいへん迅速に予報などをお出しをいただいておりますので、この機宜の処置は地元でもたいへん感謝をしておるように見受けております。せんだっては長官御自身でその現場をごらんになりたということも聞くのでありますが、地元のほうから私のところへいろんな要請が来ております。これは主として長野県側でございますが、小諸市、軽井沢町、御代田町の市長、町長から文書が参っておるのでありますが、約十一年間ぐらい浅間山は活動を休止しておりまして、去る二月の一日に突如として中爆発というものがあった。その爆発といい、噴火といい、これは学問的用語があると思いますが、それはいませんさくしておる時間はございませんが、ともかくあのあたりには年間一千万人に近い観光客があらわれるのでありまして、幸いいまの時期でございますから、今度は人的被害はございませんでしたけれども、いまそこに持ってまいりましたような小石、火口付近は鶏卵大ないしはこぶし大、こういうものが降ったということは軽井沢の測候所の発表の文書にもあるわけでございまして、これが加速度をもって落ちてくるのですからたいへん危険でございます。今回はホテルの窓ガラスとかあるいは自動車のフロントガラスが割れたという程度でございますが、これがもし時期が真夏なんというときだったとすればたいへんなことだと思います。ここにある文書によりますと、過去八回、昭和になって八回爆発があった。その際の死傷者が二十五名というような記録がございます。  そこでお尋ねしたいのは、非常に一生懸命やっていらっしゃるが、あの測候所の人員というものがどうも少し手薄ではないか。これはああいう高冷地でありまして、特別な気象観測、これをしなければならぬのが主たる任務でありましょうが、同時に地震の観測もやっておられる。長官ごらんになって、いまの人員が手薄ではないのか、あるいはその装置みたいなもの、観測の計器、これらもどうも私はそう完全なものとは思えないのでございまして、そういうものをどうごらんになったか。しかも、いま予算の時期でございますから、四十八年度の予算にこのことが盛り込んであるとは思いませんが、何か臨機にそういう要望に沿い得るような手だてがあるものか、まずその一点を伺いたい。
  188. 高橋(浩)政府委員(高橋浩一郎)

    ○高橋(浩)政府委員 ただいま先生、お話しになりましたように、この問題は現在なかなか大事な問題であろうかと思います。一応あすこはA級火山でございまして、気象庁としては最も力を注いでおるところでございます。しかしながら、施設におきましては、かなり整備はしておりますけれども、必ずしも十分ではないと思われておるのでございます。したがって、今年度とりあえず、たとえば地震を観測する場合に不便があったり何かいたしますので、そういった点も改良するということを考えまして、二十四時間監視体制ができるようなふうに持っていきたいというふうに考えております。  それから、来年度におきましては、いろいろ火山の問題につきましては技術的にむずかしい面がございまして、はっきりわからない点はございますけれども、一応、傾斜計というものがありまして、地面の動きを見ますと、ある程度火山の噴火の予知に参考になる資料が得られるわけでございます。そういった機械を来年度はあすこへ据えつけたい、こういうふうに考えております。
  189. 井出分科員(井出一太郎)

    ○井出分科員 とりあえず何か臨機な措置はおやりをいただけるようですし、ないし次の予算年度にはこれは概算要求にもお出しになって、いまの傾斜計ですか、こういうものを御設備を願えそうでありますが、その点特に重点的におやりいただきたいと思うのであります。  浅間山の爆発より以前に、二、三年前でございましたか、松代群発地震というものが発生をいたしました。これは二年くらいの期間、ずいぶん地元ではこのために恐怖を受けたのでありますが、あそこには私、当時行ってみました。相当な施設があるようでありますが、これなども今回の浅間噴火にやはり何らかの関連的な活用というものがあり得るのでございましょうか。
  190. 高橋(浩)政府委員(高橋浩一郎)

    ○高橋(浩)政府委員 火山の爆発の問題につきましては、一番問題になります点は、その予知の技術的な根拠と申しますか、それが問題になるわけでございます。その面は、遺憾ながらまだ現在の段階におきましては十分できていないといったところが本当のところであろうかと思います。しかし、そういったことを解明していくためには、いろいろな方面の協力が必要でございまして、そういった際に、この松代の高度の地震計とか傾斜計とかいろいろございます。そういった資料も十分活用してやっていけるのではないかと思います。また、あそこの浅間には、先生も御承知のように、東大の地震観測所がございまして、そういった方面でも研究を進めておるわけでございまして、そういった方面とも十分連絡をとって総合的に進めていく必要があるのではないか、こんなふうに考えておるわけでございます。
  191. 井出分科員(井出一太郎)

    ○井出分科員 前回の松代の場合でございますが、東大の観測所と気象庁の受け持たれる測候所と、ときによってはまちまちな発表のようなことがございまして、これは当時、一体どっちがほんとうなのか、地元住民その他もたいへん迷ったことがあるのであります。今回はそういうことはなく、一元的に諸発表は測候所を通じてなされておるようでございまして、私はこれはたいへんけっこうだと思うのであります。東大は学問の分野、測候所は行政といいましょうか、そういうことですから、今回はその点はたいへんいいと思っておりますが、有機的な連絡でございますね、これは東大は火口に近い、もっと高い場所にございますから、その間の、お互いにセクトでは困るのでございまして、こういう連携はどうでございましょう。うまくいっておるように思われますか。
  192. 高橋(浩)政府委員(高橋浩一郎)

    ○高橋(浩)政府委員 少なくも浅間に関しましては、今回の場合におきましては十分連絡をとっております。また、私、参りましたときにも、特にその点念を押してきましたので、十分やっていけるかと思います。ほかにも桜島とか阿蘇にもございまして、そういった方面につきましても、そのような浅間と同じような事態が起きました場合には、十分連絡をとってやるようにしたいと思っております。
  193. 井出分科員(井出一太郎)

    ○井出分科員 松代地震の起きました当時、これは一般の俗説かもしれませんが、浅間山と松代の地方というものが何か地下においては相通じておるのだ、浅間はたいへん静かである、もっぱら松代にエネルギーがいまのところ発散しておる、このようなことを巷間伝え聞いたことがあるのですが、これはどうでしょうか。何らかの関連性みたいなものがやはりあるのでしょうか。
  194. 高橋(浩)政府委員(高橋浩一郎)

    ○高橋(浩)政府委員 いまの問題はかなり専門的なことでございますので、末広地震課長にお答えさせたいと思います。
  195. 末広説明員(末広重二)

    ○末広説明員 これは地下におきましてはどういうふうな仕組みになっているか、火山のエネルギーと地震のエネルギーがどういうふうに供給されているかということにつきましては、おそらく大もとは一緒だと思いますが、それが実際の地表面にあらわれた現象の場合、火山になるか地震になるかといったようなことをきめる最後の仕組みが実はまだよくわかってないのでございまして、ただいまのところ、われわれは表面の現象としては一応関連がない、ただ、ほんとうにもっと地球の深くへいった大もとでは関連がある、エネルギーは一緒のところから供給されているのだろうと思っております。
  196. 井出分科員(井出一太郎)

    ○井出分科員 幸いきょうは専門家もおいでになったわけでありますが、松代地震の際に、松代町長の中村さんというお年寄りが東京へ陳情に参りました。そしてこれは総理もお会いになったんですよ、佐藤さんの時代に。一体、現地の町長は何を欲するのだ、補助金かあるいは施設か、こういう問いに対しまして、その老町長いわく、私は学問がほしいのです。いまや月の世界にまで飛んでいける時期に、地下何千メートルか知らぬけれども、そこがどうもわからないというのでは、日本の学問も貧弱であるというような意味のことを答えまして、これはたいへん有名なことばになりました。しかし、実際はいま末広課長のおっしゃるとおりだと思います。  そこで、気象庁は気象が主でございましょうが、何か水象、地象、こういうものもあわせ研究をなさっておると聞きましたが、どうでございますか。
  197. 高橋(浩)政府委員(高橋浩一郎)

    ○高橋(浩)政府委員 そのとおりでございます。気象研究所というのがございまして、そこに地震研究部というのがございます。そこは地震がおもでございますけれども、火山に関する研究も担当しております。
  198. 井出分科員(井出一太郎)

    ○井出分科員 これも私しろうとの知識なんでありますが、浅間山というのは、私はその山麓に生まれ育った人間ですから、たいへんこの山には親近感みたいなものがあるわけで、子供のときからずっと噴火の状況などをながめて大きくなりましたが、いまの時期は上空を大体西のほうから風が吹いてきますから、被害はどうも群馬県はじめ関八州のほうへいくわけですね。天明三年に大噴火があった。いまの鬼押出というのはそのときに溶岩流が流れたわけでございますが、そのときは三日三晩江戸の市中ではあんどんをつけたのだ、こんな言い伝えも耳にしておるのでございます。  そこで、地下のことはようわかりませんけれども、浅間山というのは、あれは那須火山帯とでもいうのですか、それからそのうしろに白根という活火山がございますが、それは何か別の火山系に属するように聞いたのですが、その辺、専門家がいらっしゃったら、ちょっと伺いたいのです。
  199. 末広説明員(末広重二)

    ○末広説明員 お答え申し上げます。  あの場所は、ちょうど那須火山帯とそれから富士火山帯が両方交差しているところでございまして、はっきり草津白根がどっちへ属し浅間山がどっちへ属するかということは、これは実際地下の状態がまだ十分つまびらかになっておりませんためにわからないのでございますが、両方の火山帯が交差しているところだと私ども承知しております。
  200. 井出分科員(井出一太郎)

    ○井出分科員 私もこれは昔の中学校か高等学校のときに学んだ程度の知識なんですけれども、なかなかそういう複雑な地象状態を呈しておる場所である。それで、その間などには一種の破砕帯みたいなものもあるのではないかというような説も聞いたことがありますが、その辺はどうですか。
  201. 末広説明員(末広重二)

    ○末広説明員 あそこは私どもが第三紀から第四紀、つまりいまから約百万年くらい前に、浅間山から草津白根の一連のほかに火山性の山がございますけれども、それができ上がったと考えておるわけでございまして、いま破砕帯であると申しましたのは、非常にその間の花こう岩であるとか変成岩であるとかいったような地層が入り乱れておる。したがいまして、いま御指摘にありましたような断層みたいなものも非常にあちらこちらに複雑にあると考えております。
  202. 井出分科員(井出一太郎)

    ○井出分科員 そういうことを私も聞いておったのでございますが、そこで、さっきも前質問者も新幹線のことにお触れになりましたが、北陸新幹線というものをどこへ通すか、これは十分に技術的な検討をなされた上に決定されるものでございましょうから、私がいまここでその御返事を承ろうというようなやぼなことは申し上げませんが、いま地震課長から伺いましたような要件は、やはり一つの重要なる参考資料にしなければならぬのではないか。ことに今回の浅間の爆発というものは久しぶりのことでもありますし、これはあるいは相当長期間続くのではないか、あるいは続かぬかもしれませんよ、これはわからぬ。けれども、そういうことはやはり事前に一つの大きな参考条件にすべきものではなかろうか、こういう感じがいたしますが、これはむしろ磯崎さん、ちょっとあなたの感触だけ承りましょう。
  203. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 実は北陸新幹線のことは私のほうといたしましていま調査中でございますが、御指摘のようなあの爆発等から見ましても、あの付近は、群馬県と長野県の県境付近はなかなかむずかしいところでございます。私どもも、十分気象庁あるいは大学等の御調査、御意見を参考といたしまして、いやしくもきめてからやってみたけれどもトンネルが掘れないということでは困りますので、十分慎重に日本の地震火山国の災難にあわないような鉄道をつくらなければいけないということで、いまいろいろ勉強中でございます。
  204. 井出分科員(井出一太郎)

    ○井出分科員 この点は新谷大臣も私の言うことをお耳にとめておいてくださればけっこうであります。  それからあと一つ、どうも一時を過ぎて御迷惑ですが、もう十分ばかりごしんぼういただきたいのでありますが、浅間山関係はこの程度にいたしましょう。  もう一つ、これも地元のことで恐縮なんでございますが、小海線という線、これは信越線の小諸から中央線の小淵沢へ抜ける一名高原列車とも称しておりますが、大臣はここをお通りになったことがございますか。
  205. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 ございません。
  206. 井出分科員(井出一太郎)

    ○井出分科員 一ぺんひとつおいでください。私が御案内しますけれども、なかなかいいですよ。風光絶佳ですし、特にこの線が有名なのは、野辺山駅というのがございまして、これが海抜千三百何十メートル、日本じゅうでの国鉄の最高地点だそうであります。その他その近隣の駅は、いずれも標高の非常に高いところにあります。ここに長い間SL機関車といいますか、汽車ポッポが通っていたわけですよ。これは国鉄合理化といいますか、国鉄がお苦しいこともわかっておりますし、いろいろと近代化しなければならぬことでございましょうが、昨年の十月ごろ、この蒸気機関車は廃止をされまして、あとはディーゼル車で運転をしておるという状況であります。  このごろSLブームとでもいいましょうか、古きものに対する一つの郷愁みたいなものもあると思いますが、こういうものにたいへん人気が集まってきておるようでございます。そうして現在、承るところによれば、日本国内、東北とか中国の片すみに幾らか残っておるそうですけれども、東京近辺ではどうもここが最後の地点らしいのであります。これは写真マニアも集まるらしいですね。蒸気機関車が通ると、もうえらい人気なんです。これは単なる郷愁だけではなくして、私の見るところをもってすれば、どうもやはり蒸気機関車はダイナミックな感じがするというのですね。それからひとつ手づくりのよさとでもいいますか、何というか非常にプリミティブなああいうものがかえっていま人気を呼んでおる。これは単なる合理主義だけでない、何かそういうものが一カ所や二カ所あってもいいのではないか。しかも八ケ岳の山ろくを走る、富士の展望をほしいままにできる、まことに景勝の地でありますから、地元はぜひこれを残したいのだ、こういうことを私のところに言ってきておるのであります。  かてて加えて、私のところにこのごろこういう写真集を贈呈してくださった方がございます。塚本さんという、これはあまり国鉄に御縁のある人ではなさそうでありますが、たいへんりっぱな写真集でございまして、この塚本さんがTBSか何か朝の時間にアナウンサーと一問一答をやったらしいのですね。これが全国に非常に反響を呼びまして、これはほんの一部で、私置いていってくれと言って——小海線にC56をひとつ存置したいという署名簿ですね、これは一部でありますが、何か一万くらいあるようです。その放送を聞いたといって、その人のところにはがきが盛んに来るわけです。これは三千くらい来た、こういうようなことでございますから、国鉄のほうにもこのことは伝わってはおると思いますが、何かひとつ感想なり、あるいは何かうまい措置をしてくださるといえば、それでいいのですがね。
  207. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 私自身もたいへん機関車が好きなほうでございます。小海線、あそこから機関車が姿を消すことは私としては非常にさびしいと思っておりますが、一応去年の十月で全部やめたわけでございます。ことしの夏にもう一ぺんひとつSLの高原列車でも動かしてみようというような気持ちを持っておりますが、いずれにしましても機関車自身が非常に先行きの短い存在でございますし、部品あるいは石炭といろいろ問題がございまして、常時運転することはちょっと無理ではないかというふうに思います。しかし、あの蒸気機関車C56が千三百メートルの高いところを自分で登っていったということは事実でございますが、せめてそういうものをシンボライズするようなものを何かつくってみたいという気持ちは持っております。夏の臨時列車をいつまでやれるか、これもわかりませんが、ことしはとりあえずぜひやってみたい。そうして、ぎすぎすした世の中で多少ああいうのんびりしたものもあったほうがいいのではないかと思いますが、いつまで続けられるかちょっとわかりませんが、ことしの夏にはぜひやってみたいと思います。
  208. 井出分科員(井出一太郎)

    ○井出分科員 かなり前向きな御答弁だと了承いたしますが、これは単にそこの路線だけで収支計算なさいますと、なかなか採算がとれるものではなさそうであります。しかし、これを目当てにお客が集まるようですよ。清里とか野辺山とかいう駅の付近の旅館に聞いてみましたら、そのときはえらいお客だ、こう言うのです。だから間接的に見れば、そのために中央線を通り、あるいは信越線を通るそのお客の計算をなされば、りっぱに採算が可能じゃないか、私はこう思うのです。したがって、夏何かそれをひとつ試験的にもう一ぺん復活してみたいとおっしゃいますが、ここに地元の市長や町村会等から来ているのは、せめて日曜日あるいは祭日、そのときに、一往復ぐらい動かしてくれぬか。これは長野の管理局へも東京西管理局へも陳情はしておるようでございます。そうなれば、いま総裁がおっしゃったように、ぎすぎすしたこのごろの世相に、これは悪くないですよ。そういうふうにひとつお計らいをちょうだいしたいのでありまして、よくあちこちに機関車が静止したままでサンプルとして飾ってあります。あれじゃ実際おもしろくないのです。やはり動いていなければならない。われわれ汽車ぽっぽで育ったせいもありましょうが、何か私も心引かれまして、一ぺんこういう席で申し上げてみたいと思ったのでありますが、もう一ぺんひとつ前向きにその点を……。
  209. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 滅び行くSLに対してあたたかいおことばを賜わりましてありがとうございます。私も、SLが国民から非常に惜しまれている事情をよく知っております。また、いまの塚本さんの御本、あるいは杉並の人の非常な御熱意は知っておりますので、ぜひ国民のそういう心あたたまる思いやりに報いなければならないというふうに考えております。
  210. 井出分科員(井出一太郎)

    ○井出分科員 これでおしまいにいたしましょう。
  211. 瀬戸山主査代理(瀬戸山三男)

    ○瀬戸山主査代理 これにて井出一太郎君の質疑は終了いたしました。  午後は一時三十分より分科会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時十二分休憩      ————◇—————    午後一時三十一分開議
  212. 前田主査(前田正男)

    前田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続けます。大久保直彦君。
  213. 大久保(直)分科員(大久保直彦)

    ○大久保(直)分科員 きわめて短時間でございますけれども、いろいろなハンディを背負いながら社会経済活動に最近著しく進出をしております身障者の国鉄利用について若干の質問をしたいと思います。  最近、身障者の交通事故がしばしば起きておるわけでございますけれども、具体論に入りたいと思いますが、去る二月一日に高田馬場の駅で一人の盲人の方がホームから落ちて入れ違いに入ってまいりました山手線にひかれて即死した事件がございました。この問題について、不幸になくなられた方は高田馬場にございますヘレンケラー学院に通っておりました学生さんだと伺っておりますけれども、この事件が起きてから同学校の中でもいわゆる国鉄利用、通勤その他で乗りものを使うことに対してたいへん恐怖感を持ってかなり休んでおられる方も次々に出ておるようでございますが、こうした事件があって、その後国鉄当局として安全対策の上からいろいろ措置をなさっているんだと思いますが、その経緯について初めに伺っておきたいと思います。
  214. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 先般の高田馬場の駅におきます問題につきまして、非常に私も心を痛めた次第でございます。常日ごろヘレンケラー学院その他と私のほう、高田馬場駅、目白駅と実はよく連絡をいたしております。御承知かと存じますが、テープも張ってあったのでございますが、ちょうどその方は高田馬場の逆のほうからおいでになった、それでああいう事故が起きたのは非常に残念に思っております。たまたまきのうの新聞にいろいろ出ておりましたけれども、私どもといたしましても極力設備の面で御心配ないようにとはいかないまでも、私どもの心の通じるようなことをして差し上げたいという気持ちで一ぱいでございます。そうたくさん金のかかることでもございませんし、できるだけ身障者の方々も安心して国鉄が利用できるように、また普通のお客さんと同じように旅行ができるようにというふうな角度からいろいろない知恵をしぼっているわけでございますけれども、根本的なかまえといたしましては、先般の事故は私も非常に心を悩ましまして、何とかそういうことのないようにできるだけ学校側その他と御連絡いたしまして、いろいろな方法を教えていただいて、そして御安心して電車に乗っていただけるようにしたいという気持ちで一ぱいでございます。
  215. 大久保(直)分科員(大久保直彦)

    ○大久保(直)分科員 総裁のお耳にも届いておると思いますけれども、この事件発生後すぐ三日の日に盲人連合会と国鉄当局との話し合いが持たれて、斉藤局長からも盲人連合会のほうに何か具体案があれば即刻でも提出してもらいたいというような御提示があって、その後二月九日高田馬場駅長の呼びかけでまた再度協議が持たれて、二月十五日には今度日盲福祉センターにおきまして関係団体が集まっていろいろ協議が行なわれたように伺って、私も再三の御努力並びにそういった対策を講ずる旨の前向きの姿勢はそれなりに評価をいたしますが、しかし聞くところによりますと、二月十五日の会議に国鉄の旅客局関係課長さんが御出席になるということであったのがそのままで何らお申し出もなく欠席をされたということで、いわゆる盲人連合会の方等も非常にその辺の誠意という問題について何かふっ切れないものがあるというようなことをいろいろ聞いておりますのですけれども、その点については何かお聞きになっておられますか。
  216. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 その会議に欠席したことはちょっと聞いておりませんでしたが、旅客局長が来ておりますので局長から……。
  217. 柳井説明員(柳井乃武夫)

    ○柳井説明員 その会議の件、手違いがございましたのでまことに申しわけないと思います。決してそのような誠意がないということではございませんで、まことに手違いがあったことをおわびいたします。
  218. 大久保(直)分科員(大久保直彦)

    ○大久保(直)分科員 事人命に関することでございまして、盲人協会の方々学校もいわゆる欠席者が出たり等して神経が高ぶっているおりからでもございますので、どうか誠意を疑われるようなことは今後とも絶対ないように、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  先ほど総裁からもお話がございましたが、高田馬場の駅というのは御承知のように約三百名以上の方が駅周辺にありますいわゆる盲人関係施設に通われておる特殊な駅であると思いますけれども、この高田馬場の駅をひとついわゆる盲人の交通対策のモデル駅にしてみてはどうかというような考え方もあるわけなのですが、この点についてはどんなものでございましょうか。
  219. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 御承知のようにあの学院から駅へ来るまでの道路がございますが、非常に珍しく、私も実は日本にあれほど整備された道路があるということを存じませんでしたが、ああいうふうな盲人の方に非常に至れり尽くせりの道路があることは非常に心打たれるものがございました。いまおっしゃいましたように高田馬場の大体新宿寄りの入り口はほとんどあのためにあるようなものでございますので、いまおっしゃったような角度からいろいろな対策、たとえば柱の防護だとか、あるいはいまの自動券売機の問題とかいろいろ考えなければならない問題、また階段の問題もございます。あまり大きな階段じゃございませんが階段もございます。そういったことにつきましてできるだけひとつ学校とも十分お打ち合わせいたしまして、正直いってたいした金じゃございませんから、できれば何かそういうようなモデルの駅と申しますか、いわゆる社会福祉というほど大きなことじゃございませんが、私どもの気持ちのあらわれるような駅にしていきたい。いまちょうど目白と半々くらいになっておりますが、私どもの気持ちはそういう気持ちでございます。
  220. 大久保(直)分科員(大久保直彦)

    ○大久保(直)分科員 総裁からそういう前向きな御発言があれば非常にけっこうなことだと思いますけれども、ただ具体的に、先ほどもお話がございましたが、いわゆるキックライン、点字ブロック等のホームでの設置、それから駅員さんのいわゆる盲人の方々に対する誘導といいますか、安全を兼ねたそういう対策がやはり考えられなければならないのではないか、こう思うわけでございますけれども、現実問題としていわゆる誘導安全をはかるための駅員の増加ということはどんなものでございましょうか。
  221. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 あの駅はそういう特殊な駅でございますので、駅長その他の人選も相当気をつけてやっているように聞いております。そういう気の配れるような人というような人選をしているようでございますが、駅員全体の頭数の問題、私、ちょっと調べてまいりませんでしたけれども、もし私どものほうの駅員で——時間がたしか朝は大体九時だそうでございますが、帰られる時間はまちまちのようでございます。それらもいろいろ考えまして、もし人力でそういうことがカバーできるならそういうことも考えてみなければならないのじゃないかというふうに思い、ます。
  222. 大久保(直)分科員(大久保直彦)

    ○大久保(直)分科員 私が調べましたところでは、現在は誘導員という方は一名だそうなんですね。確かに帰路は時間差がいろいろございますので、これはなかなか全面カバーというのはむずかしいと思いますけれども、せめていわゆる登校なりで出てくる午前の分だけでも少し人員を補強していただいて、これらの方々の安全を期する対策をぜひとも講じていただきたいと思います。私も現場を見たわけではありませんが、当事者の方々の御意見によりますと、誘導の任に当たってくださる方は非常に懇切丁寧に手を引いたりなんかしてくださるようですけれども、ほかの駅員の方がわりと関心がないというと語弊がありますけれども、そっぽを向いているようなところがあって、確かにあのラッシュ時にたいへんお仕事も多いと思いますけれども、できればその増員の問題とあわせて駅員全員の方にそういった旨の訓練といいますか、安全をはかる旨のいわゆる教育等を重ねてお願いしたいと思いますけれども、それは局長のほうでどうですか。
  223. 柳井説明員(柳井乃武夫)

    ○柳井説明員 十分検討いたしたいと思います。
  224. 大久保(直)分科員(大久保直彦)

    ○大久保(直)分科員 それに関連いたしまして、長い間ずっと問題になってまいりました例の身障者の割引規定について伺いたいと思うのですけれども、五条の二にうたってございます身障者並びに介護者割引でございますが、これはいろいろこの規則ができるまでのいきさつ等はあったと思いますが、私考えますのに、身障者の方が、もし国鉄当局の手配が万全であれば、私は介護者なしの旅行というのは可能だと思うのです。ヨーロッパ等の事情をいろいろ開いてみますと、もう国民的な意識の中にわれら兄弟であるというそういう強い連帯感がありまして、むしろその国の国鉄等には、きょうはこういう方が乗車されておりますという車内アナウンスまでされているところもあるようでございます。そのように、もし一人で旅行が可能であるならば、私はそういう体制というのは非常に望ましいのではないかと思うのでありますが、御承知のように、現今の交通情勢下ではやはり介護者がどうしても付き添わなければならない、こういったのがいまの現実でございますけれども、しかし、そのために当事者に百キロ以上の場合は五割引き、介護者に対しても五割の割引が現在行なわれておる。しかし、もし国鉄当局の受け入れ体制が万全であるならば、介護者の必要はないということになりますと、いま必要不可欠の状態として、この介護者が付き添わなければならない。それでは両方とも五割引いていただいても、実際身障者の方が旅行する場合はその運賃は全く何ら変わりはない、こういう計算になるわけですけれども、そういういまの現実から推しはかって、何らかの形でこの身障者に対する割引というのは検討できないものだろうかという気持ちがいたしておるわけであります。介護者の五割はやむを得ないにしましても、身障者そのものに対する国鉄の割引ということについてはいままでいろいろと議論もあり、また御検討もされたことと思いますけれども、現時点では総裁はどのような御見解をお持ちなのか、伺っておきたいと思います。
  225. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 こういう問題であまりしゃくし定木なことを申し上げるのは、私もたいへん心苦しいのでございますが、一応こういうことにつきましては、やはり国の保障というのは少し大げさでございますけれども、国としてめんどうを見ていただく。私のほうはさっき申し上げたように、いろいろな設備あるいはそういう面でもってできるだけ保護していくというふうに考えるのが筋ではないかというふうにも思っております。身障者の方に対する割引の問題、いろいろとたくさん私の耳にも入っております。私どもといたしましては、いま先ほど先生がおっしゃったような、ほんとうに旅行される場合の不便、御不自由を物理的に消すことが第一ではないか。そして、最近何か身障者の範囲が非常にふえまして、内科的疾患にまで及ぶというふうに聞いておりますが、そういたしますと、非常な金の問題もございますし、これはやはり国としての対策として厚生省その他がお考えおき願う、私のほうは輸送機関としての考え方を貫いていきたいというふうに思っております。非常にしゃくし定木のことを申し上げて恐縮でございますが、考え方といたしましてはそういうふうな考え方を一応持っております。
  226. 大久保(直)分科員(大久保直彦)

    ○大久保(直)分科員 身障者ではなくて戦傷病者に対しては運輸省から援助金が出されて割引が行なわれておりますね。これはやはりいろいろハンディを持っておられる方に対する国鉄当局の御配慮である、このように思っておるわけでございます。ただ、身障者の方にしてみますと、旅行のときは確かに五割引いていただける。しかし介護者も同行しなければならない。その場合も五割の割引で、二人で一人前という言い方は変な言い方でありますが、自分が目的を達成する場合に全く同等の運賃を払わなければ旅行できないのが現実の問題になっておるわけでございます。そういう意味では、身障者ということに対して何らかの御配慮を重ねて御検討いただけないものか、こういう意見もあるわけでございますが、それについてはいかがなもんでございましょうか。
  227. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 いまの身障者の方々に対する割引につきましては、運賃法に入りましたときからちょっといろいろいきさつがございまして、戦傷病者のほうは非常にすっきり国でめんどうを見るということで始めからきまっておりました。何か身障者のほうはそういう打ち合わせが十分なされないままに割引だけぽっと入ってしまったというようないきさつがあるようでございます。私どもといたしましては、戦傷病者のようなああいうすっきりした形でもってこの問題を取り上げていただきたいというふうに思うわけでございますが、いまの本人の問題あるいは距離の制限の問題あるいは急行料金等いろいろあると存じておりますが、私どもといたしましては、やはり運賃問題よりも設備問題にもう少し重点を置いて勉強して具体的な方法を講じていくのがまず第一ではないかいうふうに思う次第でございます。
  228. 大久保(直)分科員(大久保直彦)

    ○大久保(直)分科員 設備問題等について御配慮いただくことは非常にけっこうなことと思いますが、割引問題につきましても重ねて御検討をいただくというお考えはないでしょうか。
  229. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 趣旨はお話しのとおりだと思います。社会政策的な見地からそういった方向でさらに割引制度を強化していくということは、私もそれは趣旨においては賛成でございますが、国鉄総裁申しましたように、そういった問題について一切国鉄の負担において何もかもやれといっても限度があると思います。この点は関係の他の省とも協議いたしまして、なるべく近い機会にそれが予算化され、あるいは場合によっては立法化されるような方向で協議を進めてまいるのがかえって一番手っとり早いかと考えます。そういう方向で努力いたします。
  230. 大久保(直)分科員(大久保直彦)

    ○大久保(直)分科員 厚生省の方においでをいただいておると思いますけれども、いま運輸大臣から御答弁がありましたように、きわめて前向きにこの問題を詰めてまいりたいということでございましたが、運輸省が戦傷病者に対して援助金を出しておる等の前例もあることでございますので、厚生省として福祉行政の面から財政援助をしていただいて、それでいわゆる身障者の社会活動がよりスムーズになされるような御検討、御配慮をぜひとも強力に進めていただきたいと思いますけれども、現段階においてどういうお考えをお持ちか伺っておきたいと思います。
  231. 角田説明員(角田耕一)

    ○角田説明員 お答えを申し上げます。  先生がおっしゃるように、私どもには障害者から非常に強い要望がございまして、それぞれ運輸省なり国鉄に福祉の向上という意味で何とかお願いを申し上げたいということで繰り返しお願いを申し上げております。私のほうの立場としましては、そういう改善措置が行なわれるようにしていただきたい、こういうふうに思いますけれども、現在の国鉄の財政事情等から見まして非常にむずかしい問題もあろうかと思います。今後とも運輸省、国鉄当局と十分に検討して前向きに進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  232. 大久保(直)分科員(大久保直彦)

    ○大久保(直)分科員 いまの御答弁、重ねて積極的に御推進いただくことをつけ加えておきたいと思います。  先ほど総裁からお話がございました距離制限の問題でございますけれども、これは長い間運輸委員会等でもいろいろ問題になっておるようでございまして、現行は片道百キロをこす部分について、いわゆる割引が適用されるということでございます。しかし現実問題としては、百キロ以上の旅行というものはかなり少ないケースであって、むしろ身障者の方が望んでおられるのは、五十キロ近辺の旅行というものに対してこういった割引措置が講じられれば、これが最も現実的に一番望ましい方向ではないか、こういう御意見も多々伺っておるわけなのですけれども、この距離制限の距離を再検討なさる御意思はございますでしょうか。
  233. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 その問題も、先ほど大臣からおっしゃいましたような問題の中に入ると思います。ただ、これは政府部内のことを私が申してはおかしゅうございますが、先ほど厚生省のお話でも、何か全部国鉄にやらせるのだというような感じでは、私はいけないと思います。やはり厚生省の予算として取って考えるという前向きな姿勢は厚生省自身もお持ちくださっていると思いますが、先ほどの御答弁だと、運輸省と国鉄に頼むのだということでは、私は非常に困ると思います。そういう問題を全部総合して、大臣のおっしゃったような形でもって進めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  234. 大久保(直)分科員(大久保直彦)

    ○大久保(直)分科員 ちょっと待ってください。先ほどの課長の御答弁は、全部運輸省のほうに頼むというのじゃなくて、厚生省自体としてもその問題については取り組むということでございましたね。さっきのは、厚生省は知らないで、運輸省、国鉄に全部頼むという御答弁でしたか。
  235. 角田説明員(角田耕一)

    ○角田説明員 厚生省が逃げ腰ということじゃ全然ございません。もちろん戦傷病者の問題は現在運輸省で予算を計上していただいておりますし、そういう前例もございますので、十分に前向きに話し合いを進め、これは各省でどうするかということを前向きにひとつ検討してまいりたい、こういうことでございます。
  236. 大久保(直)分科員(大久保直彦)

    ○大久保(直)分科員 国鉄総裁のいまの御答弁も、ただ国鉄だけがどうこういわれてもこれは非常に困る話である、各省庁との連携その他協議が必要であるという御趣旨は、私はよくわかります。ただ、大胆からも先ほど御答弁ございましたけれども、この距離制限の問題はかなり現実的な切実な問題でございますので、各省庁との協議とあわせて、国鉄当局としてもやはり音頭をとってこの問題は前向きに改善をされるべきである、こういう御意見をお持ちいただければと思うのですけれども、その点についてはどうですか。
  237. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 なかなか端的にお答えするのはむずかしい問題でございますが、私どもの気持ちも先生にはおわかりいただいているというふうに私は思いますので、ひとつ大臣のいまいろいろおっしゃったような線で考えなければいけないと思います。
  238. 大久保(直)分科員(大久保直彦)

    ○大久保(直)分科員 では、いまの同じ問題を大臣に重ねてお願いしたいと思いますけれども、確かに国鉄の割引問題、距離改定の問題については、国鉄当局だけではなかなかむずかしい問題が多々あるかと思います。ただ、いまこうしたきわめて過激な活動が要求される社会において、身障者の方々も積極的にいわゆる社会、経済活動に参加なさっておられる。またリハビリテーションの結果、年々その数もふえてまいりますし、またそれなりの大きな社会的意義も生まれておるわけでございます。こうしたこともあわせて、先ほどの生命に関する交通安全の問題とともに、これらの方々がより円満な社会活動がなされるべく、やはり何といってもいまは行動の時代でございますので、その足の面、こうした面で格別の御配慮をいただきたいと思いますけれども、あわせて大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  239. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 先ほど申し上げましたような方向で進みたいと思います。ただ、運輸省のほうはそういう交通手段を受け持っているところでございますから、いろいろな方法論については、やはり運輸省自体あるいは国鉄自身いろいろ知恵を出しまして、こういう方法をとったら一番有効適切であるというようなことは、これは積極的に考え出さなければならぬと思います。そういうものをもとにいたしまして——どうも各省庁ともこういった予算というものには熱心なようでありますが、なかなか取りにくいという点も現実の問題でございますから、各省で協議いたしまして、一番有効適切な方法で、さっき申し上げましたような方向でひとつ積極的にこれと取り組んで、社会福祉の増進ということに少しでも役立てるようにしたい、私はさように考えております。
  240. 大久保(直)分科員(大久保直彦)

    ○大久保(直)分科員 それからいまの割引の問題に関連して一つだけ伺っておきたいのです。急行券の割引をいまなさっているようでございますけれども、現実の乗客の実態または国鉄ダイヤを検討してみますと、急行列車というものは、さがさなければむずかしいくらいだんだん数が少なくなってきておる。ほとんどいまは特急に切りかわっておるわけでございます。こういう現実的な面からしますと、急行券だけの割引をしているというのは時代的なギャップを非常に感ずるわけなんです。これは特急券まで含めて割引をするのか今日的な対策ではないか、このように思いますけれども、これは大臣のほうにお願いしますか。
  241. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 それは私よくわかりませんので、政府委員から……。
  242. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 実は急行料金に拡大いたしましたのは、たしかそう古い話ではなかったと記憶いたしております。非常に御要望がございまして急行料金を拡大したのでございますが、その後非常に特急がふえ、あるいは新幹線の問題等もございますので、これらも全部先ほどの大臣の御答弁のように総合的に考えていかなければいけない。やはり距離の五十キロの問題と特急の問題と一体どっちが先になるのかという問題もいろいろあると思います。これら十分関係省庁の御意見を承りまして、できるだけのことをいたしたいというふうに思います。
  243. 大久保(直)分科員(大久保直彦)

    ○大久保(直)分科員 時間があと二分しかありませんので、いままでいただいた御答弁を整理して重ねて御要望を申し上げておきますけれども、この運賃割引の問題につきましては、一つは距離制限の問題です。現行片道百キロという問題でございますが、できればこれは全廃という方向で将来検討されれば非常にいい方向である。もし距離制限を全くなくすということが不可能であれば、せめて現行の百キロから五十キロ程度まで距離制限を短縮するという点が一つ。それからいわゆる急行券の割引につきましては、急行券だけでは非常に今日的ではありませんので、特急券の割引も含めて、先ほどの大臣の御答弁とあわせて御検討いただく、こういったことを重ねて要求し、最近いわゆる身障者の方々交通安全の問題に関して、事故がひんぱんに起きておる。こうした不幸な事態を防ぐ意味からも、先ほど総裁からも御答弁がございましたが、高田馬場をまず身障者の方に対する交通対策のモデル駅として今後とも積極的に進めていただく。さらにあらゆる角度からこの身障者の方の交通問題、安全対策をお講じいただきたい、このことを最後にお願いいたしまして、時間もちょうど来ましたので、私の質問を終わりたいと思います。
  244. 前田主査(前田正男)

    前田主査 これにて大久保直彦君の質疑は終了いたしました。  次に、神田大作君。
  245. 神田分科員(神田大作)

    神田分科員 まず国鉄総裁にお尋ねいたしますが、国鉄は膨大な赤字をかかえて、その経営にだいぶ苦しんでおることは周知のことであります。この赤字の上にまた赤字を重ねるような赤字新線を建設しておりますが、それはいかなる考えであるか、運輸大臣のほうからお聞きいたします。
  246. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 これは一見して非常に矛盾するように見えますけれども、運輸省としましては矛盾しておるとは考えておりません。昨年、国鉄の財政再建策を提案いたしました際に、いろいろ議員の方々から御議論もいただきまして、地方の閑散線をそう簡単に廃止してはいかぬぞというような御意見もたくさん拝聴したのでありますが、私どもやはり過疎地域における開発計画というものが、これは速度はおそいかもしれませんが、徐々に行なわれるものであると考えておるのでございます。そういう点を考えますと、新線について、もう絶対に採算がとれないから、全然これは建設しないのだというたてまえをとることは、ちょうど現存の地方閑散線をそう簡単に廃止してはいかぬぞという問題とも関連をいたしまして、やはりこれは必要なところは建設していく必要があるのじゃないかと考えておる次第でございます。しかし、これはもちろん開発いたしましても採算はとれないことは明瞭でございます。したがいまして、これに対しましては、国鉄全体の赤字を補てんする意味での財政の援助をいたしますことは御承知のとおりでございますけれども、いわゆるAB線といっておりますものにつきましては、御承知のようにこれは全額を工事費は政府の出資でまかなっておりますし、国鉄に対しましては、完成いたしました暁にはこれを無償で、つまり資本費の負担がなくても開業できますように、無償で国鉄に貸し下げまして、国鉄がそれを管理運営していくという体制をとっておるのでございます。
  247. 神田分科員(神田大作)

    神田分科員 もちろんこれは田中首相が列島改造でもって、過疎地をなくすためには、そういうことが必要だということを聞いております。しかしながら、これは程度問題だと思うのです。実情に沿わぬような線も私見ております。これはいわゆる政治圧力によって新線をつくっておるというようなことも聞いておるし、たとえば係数にして一七六四とか一九三三、一五九八というように、百円の収入をあげるために、千七百六十四円かかるとか、千九百円もかかるというような、こういう線をばく大な費用をかけて建設しておる。片方においては赤字線を廃止する、こういうような矛盾した政策をやっておりますと、国鉄のこのようなことに対します国民の信頼は失われる。そういう点について、時間がありませんから、ぼくは三十分でたくさんの質問事項があるのですから、簡単に説明してください。
  248. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 もちろんそういう点を十分考えまして、必要の度合の強いものから順次これは実際の建設に移していくという考えでございまして、現在まだ十分に建設費を与えてない路線もたくさんございますが、建設の必要性が強いものにに相当大幅な建設費を与えまして、早く完成するようにということで努力をいたしておりますので、いまお述べになりましたような趣旨は、AB線の実際の建設にあたりまして十分考えながら処理をしておるつもりでございます。
  249. 神田分科員(神田大作)

    神田分科員 大臣はそういうことを言いますすが、一般的に見て、一部の圧力によって建設している、また赤字線で必要ないままでの線路ははずしていくというようなことに対しましては、慎重に考慮してもらうと同時に、田中内閣になってから、従来の赤字線のいわゆる廃止問題に対してはどのように考えられるか、簡単にお答え願います。
  250. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 ちょっと先ほども触れましたように、政府の姿勢といたしまして、日本全国土にわたりまして豊かな社会をつくり上げようということで、過密過疎の極端な現象を解消していこうということでございますから、地方の路線に対しましてもこれはできるだけ配慮しなければならぬという姿勢であることはもちろんでございますけれども、そのほかに、これは運輸省の固有の仕事といたしまして、地方のローカル線をどうしたらいいかということにつきましては、昨年廃案になりましたが、昨年の廃案になった提案ではいろいろな条件を付しまして、キロ数も大体予定いたしまして、こういう順序で、こういう方法で赤字線はだんだんに廃止をしていくのだということを提案をしたわけでございます。それに対しまして、御承知のように、昨年の国会におきまして非常に議員の方々から強い希望あるいは強い御意見が出まして、そういったものを簡単に廃止しちゃいかぬじゃないか、もっと地方の住民意思もくめ、地方の実情も、さらに過疎現象を激化しないようにしなければいかぬじゃないかというような御議論が出まして、これはなるほどごもっともな御意見でございますから、今度の再建計画におきましては、そういう点を若干修正をいたしまして、議員の方々の御希望に沿い得るような線を設定をいたしまして、いまの地方の赤字線に対処するということにしている次第でございます。
  251. 神田分科員(神田大作)

    神田分科員 赤字線を実情に即していままでの政策を転換するということは私も賛成いたします。つきましては、この赤字線と指定したものを、わざわざお客が乗らぬようにダイヤ改正——時刻表の問題についてちょっと国鉄総裁に申しますが、たとえば真岡線、この真岡線というのは赤字線だといってだいぶ騒がれた。ところがダイヤを見ると、たとえば上りでいうと茂木発五時五十四分が下館で二十二分待ち合わせ、小山で五十九分ち合わせ。同じ七時二十分茂木発が小山で一時間待ち合わせ。次の八時五十分が下館で五十八分、小山で五十四分の待ち合わせ。これだけではありませんが、その程度にします。今度は下り線ですが、下り線の一番大事な、たとえば十四時三十三分上野発が小山で四十四分待ち合わせ、これは下館で十七分待ち合わせ。それから上野発十六時十分が小山で四十二分待ち合わせ。それから、だいぶ工場も入ってきて、真岡に着々と工業団地をつくっておりますが、大事なこれが、上野十六時十分、小山で一時間四十二分待ち合わせ、そうして真岡でとまってしまう、茂木まではいかぬ。いわゆる残業をやった人たちが茂木まで帰れない。このためにわざわざバスをやる、あるいは残業を禁止するというような問題がある。上野発の十九時三十五分が小山で一時間三分の待ち合わせをする。こういうようなダイヤを組んで、そうして汽車に乗れといったってだれが乗りますか。一時間も二時間も待ち合わせ、これでは赤字線をますまます赤字線にする利用度を低下して、だれもお客が乗らぬから廃止する、そういう意図を持ってあなたたちはやっているのか、それとも住民の便利を考えてやっているのか、その点を簡単にひとつ国鉄総裁にお尋ねを申し上げます。
  252. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 ダイヤの編成につきましては、やはり利用者の数あるいはその他の状況等によってやっているのでありまして、意識的に利用を減らすというようなことではなしに、やはり利用状況を勘案してやっているわけでございます。
  253. 神田分科員(神田大作)

    神田分科員 いまの答弁は、いまぼくが指摘したのと合わないでしょう。一時間も二時間待ち合わせても利用者の利便をはかっているつもりか。そういうことをやっているから順法闘争でも何でもあなたたちはやられるのですよ。大体国鉄が今日非常な重大な入学試験の時期に順法闘争のためにいろいろ弊害を及ぼし、あるいはまた利用者に非常な被害を及ぼしている。これはいわば、払うべきものはちゃんと払う、やるべきことはちゃんとやらせるという、そういう姿勢がない。いわば当事者にそれだけの能力が欠如しているのではないか。いまの答弁がそうですよ。私の指摘したことに何と答えるのですか。こういうことを改める気があるのかないのか、その点についてお尋ねします。
  254. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 列車回数の多いところ、すなわち人口の多いところから人口の少ないところに行く場合には、どうしてもだんだん列車が減ってまいります。ですから、逆に人口の少ないところから出てくるほうはわりあいに利用しやすいのです。たとえば東北本線と水戸線と同じ列車回数ということはできません。したがって、東北本線は何本か受けて向こうへ行く。水戸線は何本か受けて向こうへ行く。これは人員輸送力に差のある真岡においてはやむを得ないダイヤの組み方でございますが、いまおっしゃったようなことで非常に御不便があるということもちょっと聞いております。去年の春非常に大きく減らしたわけでございますが、その後たしか真岡線も調整したと思っておりますが、十分具体的な事情を調べまして、少なくとも朝夕の通勤ぐらいはちゃんとできるようにダイヤはしなければいけないというふうに思っております。
  255. 神田分科員(神田大作)

    神田分科員 もうちょっと聞きたいが、時間がありませんから、この点は後刻の機会にお尋ね申し上げます。  次に、運輸大臣にお尋ねしますが、先月二十一日イスラエル空軍機がリビア民間航空機をシナイ半島上空でもって撃墜しましたが、この点は大臣はどのように考えておられますか。
  256. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 この問題につきましては、あの辺の上空を日本の民間機がやはり通過しておるのがございますので、いろいろの点において、現地のそういう紛争の中に巻き込まれて日本の民間機が思わざる被害を受けることは非常に困ることでございますから、民間会社に対してその点を十分に注意をして航行するように指示いたしました。ことに承っているところによりますと、リビアの民間機がインターセプショナル・シグナルに従わなかったために撃墜せられたんだということを聞いたものですから、もしこういうような、同じような状況になったときには、このインターセプショナル・シグナルに従うようにということを関係航空会社に対しまして指示をいたしまして、日本の航空機がそういう被害を受けないようにといい措置を一応とった次第でございます。
  257. 神田分科員(神田大作)

    神田分科員 これはイスラエル当局に対しては何らかの措置をとりましたか。
  258. 内村(信)政府委員(内村信行)

    ○内村(信)政府委員 先生指摘のリビアの民間機が撃墜された事件でございますが、これは世界的に非常に大きな反響を起こしました。と申しますのは、あそこは日航のみならず相当各国の航空会社が運航しておる場所でございます。したがいまして、今回の事件につきましては国際民間航空機関、いわゆるICAOと申しておりますが、こういう機関がございまして、ここでこの問題を取り上げられまして、そこで二月二十八日に臨時総会を開催いたしまして、今回のイスラエルの行為を非難した。と同時に、調査委員会を設置することを勧告をする旨を決議しております。そういうような方法で国際的な手段を、これはもう各国共通の問題でございますから、とると同時に、私どもといたしましては、先ほど運輸大臣が申し上げましたように、日本航空に対しては特に特段の注意を払うようにという注意をしたわけでございます。
  259. 神田分科員(神田大作)

    神田分科員 イスラエル当局に対しては直接これらに対しては申し入ればしないのですか。
  260. 内村(信)政府委員(内村信行)

    ○内村(信)政府委員 それは私ども外務省とも相談いたしましたけれども、これにつきましては世界各国共通の問題であり、かつ世界各国の国際民間航空機関でも取り上げておる問題があるので、それにまかすべきだ、こういうことでございました。
  261. 神田分科員(神田大作)

    神田分科員 こういうような重大な問題については、これは外務省を通じ、あるいは運輸省としては外務省と相談をして、イスラエル当局に対して、もし日本の民間機が、相当通っておるわけですから、これらに対しては万全の措置をとるように直接ちゃんと申し入れるべきだと私は思います。国際関係もあるけれども、国際機関でそんなのを相談している合い間にそういう間違いができたらどうするのですか。そういう点について私は大臣にすみやかにイスラエル当局に対しましてそのような危険なことのないように厳重な申し入れをしていただきたいと思います。大臣答弁してください。
  262. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 これはどうも日本の運輸省がイスラエルに対して直接に抗議をしたり、申し入れをしたりすることは適当ではないと思います。やはりこういうものは外交問題でございますから、外務省を通じてそういう措置をとるべきだと思います。しかしいま局長が申しましたように、その当時も外務省と事務当局が相談したようでありますが、ICAOにおいてそういうふうな世界各国の航空関係機関が集まって、そういう行為を非難すると同時に、調査委員会を設置して今後そういう事態が発生しないようにお互いに申し合わせをしてやろうじゃないかということになったようでございますから、これは直接に関係国にいわば日本国として申し入れるかどうかということは外務省が判断すると思いますけれども、一応そういうふうな事態が再発しないような措置がとれたということで、われわれは外務省のそういう行動、措置に対しましては一応の信頼を持ちまして、あと日本の航空機が飛びました場合に不測の損害を受けないようにということで厳重に注意を喚起したということでございます。そういうふうに御了承いただきたいと思います。
  263. 神田分科員(神田大作)

    神田分科員 間違いが起きなければいいが、間違いが起きた場合には運輸省としては重大な責任を負わなければならないと私は思います。よほど御注意を願いたいと思います。  次に、コンコルドの購入問題でございますが、これはアメリカのパンアメリカン、トランス・ワールド社はコンコルドの契約を破棄された。コンコルドの購入については非常に公害、特に爆音等による公害をこうむるというので問題になっておるが、わが国はこれの仮契約をしておりまして、まだこれを破棄しておらぬようでありますが、このことについて大臣はどう考えられますか。
  264. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 コンコルドの問題につきましては、二月の末でもって従来企業と企業の間で結んでおりました回答の期限が切れるということになっておったようでございます。ところが、その後私のところにもイギリスとフランスの駐日大使がそろって来られまして、コンコルドの開発の状況、その後テスト飛行はしたけれども、こういう点について非常に非難があるので技術的な改良を進めておるんだというような御説明があり、何とかしてこれはフランス政府、イギリス政府、両方ともこの問題については非常に大きな関心を持っておるので、日本としても再考してくれというような申し入れがございました。そこまではそのとおりでございますが、私はこういう御返事をしたのでございます。この問題は、どの機種がいいかということは企業間においておきめになる以外にはないでしょう。われわれ日本政府といたしましては、航空機の安全が確保されることが第一であります。ですから、安全が確保されれば、あとは企業間でひとつ御相談を願って、いいと思えば関係企業はそうきめるでありましょう、いけないと思えばきめないでありましょう、これは企業間の相談にまかせるわけです。ただ、そのときに申し上げましたことは、率直に言いまして、このコンコルドについては、いまお話しのように、かつて、昨年でございましたか、日本に試験機を持ってきまして、試験飛行をやってみましたところが非常に大きな騒音があったというようなことがございました。これについて関係住民から非常に拒否反応が起こっておりますことは事実でございます。だからそういう点を率直に両大使にお伝えしますということを申しておきました。
  265. 神田分科員(神田大作)

    神田分科員 これは企業間の問題であるということでありますが、イギリス、フランスの大使か外務大臣あるいは運輸大臣であったかだれだったか、とにかく政治的な動きをしておるでしょう。これに対して、日本はそういうことに対して相手が政治的な動きをしておるのに対して、企業間の話だからいいんだというようなことで、これを見過ごすべきじゃないと思うのです。私はこれはやがて政治問題になると思うのです。というのは、これは大臣も認めたように、試験飛行の際における爆音はとうてい近隣の人たちには納得できないような重大な影響を与えておるのでありますからして、こういう点については私はもっと政治的な判断をもって対処してもらいたい。これは時間がないから、その問題はあとでまた他の機会にお尋ねします。  次に、成田国際空港は一体いつ開港になるのですか。
  266. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 成田空港の開港の時期はいつかということでございますが、御承知のようにわれわれは一日も早く空港の完全な開設ということを望んでおりますが、不幸にして今日まで、当初予定いたしましたような計画が順調に進んでおりません。一番大きな問題は、航空機燃料の輸送に要するパイプラインの問題でございます。これで二、三重要な問題がございますが、一言で申し上げますと、そのために行き詰まっておるのでございます。しかし、空港自身の設備の問題は、大体目鼻がついてまいりました。ターミナルビルその他設備のほうは本年度内に大体でき上がるということでございます。そこで、やはり私どもはここまで工事を進めてまいりましたので、早く開設したいということで、この航空機燃料の輸送に要する本格的なパイプラインの問題はいろいろの関係の折衝を進めながら、一方で暫定的にこの航空機燃料の輸送問題を取り上げまして、いまそれについて関係方面と毎日鋭意折衝を続けておる段階でございますが、この問題は、そうそんなに長い間かからなくても済むようにしなければなりません。しかし、なお重要な二、三の問題が残されておりまして、それについていま折衝を続けておりますので、その点がもう少し明瞭になりませんと、何月ごろ開港するかということを的確に申し上げる段階に至ってないのでございます。
  267. 神田分科員(神田大作)

    神田分科員 そうすると、これは羽田空港がああいう過密状態になって、そのために不測な災害が起きないとも限らないのですね。だから、あそこまでもう進んだ以上は、これは大臣も陣頭に立って促進して、いまから戻すわけにはいかぬことなんだから、ひとついつになるかわからぬというようなことじゃなしに、ちゃんとめどをつけてやってもらわなければならぬのじゃなかろうか、こう考えるのです。  次に、大阪の空港ですね。伊丹国際空港も非常に問題になって、これは周辺の市街地に対しまして騒音公害を及ぼしておる。これではどうにもならぬし、狭くて今後困るというのでありますが、この伊丹国際空港に対してはどのような手を打っておりますかお尋ねします。
  268. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 これは御承知のように航空審議会のほうに諮問をしておりまして、その結果を待っております。航空審議会に対しまして諮問しておりますことは、関西における国際空港、これの位置及び規模等でございます。どの程度の規模の空港をどこに置いたら一番よろしいかということにつきまして諮問しておりまして、この航空審議会におきましては関係の各機関地元方々とも連絡をいたしまして、いろいろな案をいま練っておると聞いております。これもいつごろ答申が出ますか、われわれは早いほうがいいと思っておりますけれども、御承知のような現地事情がございまして、まだ最終的に審議会が結論を出すところまでは行ってないという状況でございます。
  269. 神田分科員(神田大作)

    神田分科員 そんなのんきなことを言っていると、土地の買い占めや何かされて、私の聞くところによるともう土地があの辺にないんだ、買収ができないんだ、不可能であろうというようなことを私は聞いていますが、これは実際あの広大な土地を見つけるのは容易でなかろうが、そういうことに対して政府の打つ手、運輸省の打つ手がのろい。民間に全部買い占めされている。高いものを買って、あとどうにもならぬ。この問題に対して大臣どう考えるのです。これは伊丹でいまのような状態だと交通災害等が起きる可能性が十分にある。その点についてもうそういうのんきなことを言うときじゃないということを私は申し上げたい。
  270. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 さっきの御答弁が、私、関西の新空港のことかと思ったものですから、ちょっと間違えました。すみません。  伊丹の問題は、これはのんきだとおっしゃるのもごもっともですけれども、これは関西における国際新空港ができるにいたしましても、さっきのような諮問の結果が出まして、どこにどのくらいの規模というのが出てまいりましてから工事に着手するわけでございますから、これは相当の年月が要ると思います。その間は現在の伊丹の空港、これを閉鎖するかどうかというようなことになりますと、やはりいまの伊丹の空港を——住民の方のいろいろのそれに対する考えはありますけれども、それを極力住民方々があまり騒音のためにお困りにならないようなあらゆる手段を講じまして、そうしてやはり新空港ができるまではいまの伊丹の空港で関西の空港をまかなっていく以外に方法はないかと思っておる次第でございます。そのためには今度の国会で関係の法律案を用意いたしまして、予算と法律案の御審議を願うことになっておるわけでございます。具体的にはそのとき申し上げますけれども、それによりまして、いままでいろいろ御非難のある点は極力解消していきまして、住民方々も暫定的なこの伊丹の空港についてある程度納得していただけるような方法を講じるつもりでございます。
  271. 神田分科員(神田大作)

    神田分科員 時間がありませんので、私はこれ以上お聞きすることができないから、別の機会にお聞かせ願いたいと思うのです。  最後にもう一点。国鉄が独立採算制をやっておる、国鉄に公益事業として独立採算制をしいておる、それ自体が間違っておる。そういう独立採算制でやっていけるわけがない。そのために賃金なんかを勧告があったにもかかわらず払わないとか、あるいはストライキをやる、それに対しては今度は処分をする、処分撤回闘争をやる、また順法闘争を繰り返している。こういうような状態ではこれはますます国民の信頼を失い、国民全体の経済を麻痺させることになるのですが、これは私はもうとりもなおさず大臣として英断をもって国鉄当局の、いわばさっき言った当事者能力の問題ですね、この問題だと私は思うのですが、この重大な闘争の繰り返しによる国民に対する被害、それは国鉄ができない独立採算制をしいるというようなことをやって、国鉄へ政府が金を出し惜しみして、片方においては赤字になるのはわかっておる新幹線をどんどんつくらせておる、そういうところに原因がある。これに対して、時間がないのでまことに残念ですが、私は大臣に率直な決意を聞きたいと思います。
  272. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 非常にお尋ねは幅の広いお尋ねでございますが、時間がないので簡単に最後の労使問題だけについて申し上げますが、私は、いまの国鉄における労使問題が、国鉄が単に経費の出し惜しみをしておる、いわゆるあなたのおっしゃる当事者能力がないために、それでああいうふうな状態になっておるとは——私はそういう問題についてはあまり深い経験を持っておりませんが、そうではないと思っております。その労使問題の沿革から見ましても、やはりこの労使間の不信感というものが一番のもとになっておるのじゃないか、私はそういうふうに思っておるのでございまして、この点は国鉄からも再々報告を聞いておりますが、昨年来この労使間の不信関係であったのが、いろいろの問題にぶつかってそれが相当回復してよい方向に向かったということを聞いておりましたが、最近になりまして、またお話しのように非常に争議行為が続発しておりまして、この点については国鉄当局に対しまして早く両方がこの不信感を回復して、国鉄のいま重大な危機になっておりますから、労使双方がこれに向かって相協力をして再建に邁進できるような体制を早くつくってほしいということを繰り返して要望しておるのでございます。監督官庁といたしまして、労使問題について直に介入いたしますことはこれは避けなければなりません。したがいまして、国鉄当局に対しましてそういうふうなことを強く要望しながら結果を見守っておるというのが現状でございます。
  273. 神田分科員(神田大作)

    神田分科員 重大な問題であるから、このことにつきましては後刻また詳しく尋ねる機会をつくりたいと思います。しかし、大臣国鉄だけに責任を負わせず、運輸省として、政府として、やはりなすべきことはなす、そういう態度をとって、これら限りのない闘争の繰り返しを円満に解決できるような方策をとるべきであるということを強く要望して私の質問を終わります。
  274. 前田主査(前田正男)

    前田主査 これにて神田大作君の質疑は終了いたしました。  次に、山田芳治君。
  275. 山田(芳)分科員(山田芳治)

    山田(芳)分科員 大臣、最初に「公営交通事業の経営健全化に関する報告」という公営交通問題研究会から自治大臣にあてた答申はお読みになったことがありますか。
  276. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 読んでおります。
  277. 山田(芳)分科員(山田芳治)

    山田(芳)分科員 この中に大都市交通政策の樹立という項目がありまして、大都市交通対策というものは地下鉄網を根幹として、市電や市バスを補完機関としながら、都市政策というものを総合的に組み合わせながらやらなければいけないということが書かれておるわけであります。特に最近のように、大都市における交通というものは総合的にやらなければいかぬというふうに考えるわけでありますが、しからば運輸行政の中のいわゆる交通部門と最も地域ごとに総合的な行政をやっているところの地方自治体、都道府県なり大都市との間における関連というものが非常に少ないと思うのです。私は二十数年地方行政一本でやってきた人間でございますから、地方行政の立場から考えて、現在の交通事情というものが非常に問題を起こしている点は、統一的、総合的施策に欠ける点が多いからだと思うわけでございます。そういう意味において、まず第一に、地方自治法附則の第八条の中で、御承知だと思いますけれども、陸運事務所というものが各都道府県に出先機関として置かれているわけでありますが、これは地方自治法第八条で当分の間これを置くと書いてある。昭和二十二年にできた地方自治法における当分の間というのは一体——当分の間といえばわれわれの常識からいえば三年か五年を当分の間だと思うのだけれども、四分の一世紀以上を経て、三十年になんなんとしておるのに、まだ当分の間ということは、私たちの常識でも、法律論からいってもどうも理解ができないので、この当分の間という意味は一体大臣どういうふうにお考えになっておられるか、まずお伺いしたいと思います。
  278. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 その当時書かれました当分の間というのは、どのくらいを予定したのか実はつまびらかにしておりません。ただしかし、いまお話しの陸運事務所の関係につきましては、これは地方自治のほうで非常にお詳しい方でありますから言うまでもありませんが、二、三年前でございましたが、関係各省でもって覚え書きを交換いたしまして一応の線を出しております。決してこれはそのままで放置したのではありませんで、関係各省とも熱心にこの問題についての討議を続けまして、最後に三省の覚え書きになったと聞いておるのでございます。
  279. 山田(芳)分科員(山田芳治)

    山田(芳)分科員 いまその話を次にしようと思ったのですが、そういうのが出ておるので、せめてすみやかに陸運事務所を都道府県知事の所管の中に入れていただくように、大臣ひとつ御努力を願いたいということをまずお願いをしておきたいのですが、所見はどうでございましょう。
  280. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 この覚え書きをつくるにつきましても、あとから聞いた話でございますけれども関係各省非常に苦労したようでございます。その結果、他の厚生、労働等の各省との間におきましても、内容は違いますが、種類は同じような交渉があったように聞いております。しかしこの陸運関係の行政につきましては、覚え書きでもはっきり書いておりますように、これは形は別といたしまして、内容的にはやはり日本全体の総合交通体系の中で処理をしていくべき問題が多うございますから、そういう意味において、これはやはり陸運関係の仕事でございましても、覚え書きに書いてありますように運輸省所管の仕事として、これはある意味において全国統一的に取り扱ったほうがいいというふうに私は理解しておるのであります。
  281. 山田(芳)分科員(山田芳治)

    山田(芳)分科員 われわれとしては一日も早く陸運事務所を都道府県知事の所管の中に入れてほしいという要求を持っておるし、その方針で進みたいと思いますが、まあいろいろの事情がそれぞれの省にあるであろうと思いますけれども、具体的に、それならば、せめて私が次にあげるような問題については、陸運事務所を一応知事は統括をしておるというような形になっておるわけでありますけれども、ある部分については知事の権限下にある陸軍事務所であり、ある部分については各地域の、ブロックの陸運局長の権限の中にあるというような形になっているわけですが、その陸運局長の権限を知事の権限の中へ移し入れ、陸運事務所は当分の間管理をやるということであるとしても、その事務は、現在でも、たとえば行政処分などは知事名前でやっているわけですね。ですから、それについては知事に決裁を持ってくるわけです。ほとんど秘書課に置いていって、めくら判をわれわれが押してきたというのがいままでの例でありますけれども、そういうこともできるわけですから、私が以下あげるような問題は、これは少なくとも各都道府県の中において、しかも私が最初言いました総合的な交通行政の中で処理するほうが、ブロックの、たとえば近畿ならば大阪まで、あるいは東北ならば仙台までわざわざ行かぬでもやれるというようなものではないかというふうに思うので、ひとつこの点についての考え方をお伺いしたいと思うのです。  まず一つは、当該都道府県内におけるバス路線の新設や休廃止などは、府県をわたるものについては、これは当然陸運局へ行ってしかるべきものだと思うけれども、都道府県の当該区域内におけるバス路線の新設、休廃止などは、陸運事務所の所管として知事におまかせになったらどうかというのが一つ。  次は、路線バスの中で、大臣は御承知ないかもしれませんけれども、たとえば大都市へ入ってきますと、競合しているバスなどは、お客さんはおろすけれども、乗せてくれないのですね。ラッシュアワーの時間にあれだけ人が一ぱいいるのに、おろしはするのだから乗せてくれてもいいのじゃないかと思うのです。それはもう協定によって、ここは乗客は乗せませんといって、遠距離から来るところのバスには、あのラッシュアワーの通勤で一分でも早く職場に急いでいる勤労者が乗りたくても乗れないということは、われわれは住民立場に立つと非常に問題がある。そういうような権限こそ知事に譲ったらどうですか。その地域においてそういうことが必要だというならば、知事考えたらいいじゃないか。それを一々運輸省までということはいかがなものか。第二番目はそれです。  第三番目は貨物の運送なんですが、大きなトラックがあります。それは日通をはじめとする大きなトラック運送会社、都道府県を縦断をしていくようなものは、これはもちろん運輸大臣の所管で当然であろうと思いますけれども、五台ないし六台くらいの小規模の、都道府県内を営業範囲とするような貨物運送営業については、都道府県知事におまかせなすったらいかがなものであろうか。  それから第四番目に、タクシー業者に対する指導監督の問題でありますけれども、もちろんタクシーの免許とか増車あるいは個人タクシーの認可——個人タクシーの問題、ハイタクの問題はあでと触れますけれども、こういうような問題についても、地域の特性というものを生かしながらやっていくことが望ましいというふうに思うのです。たとえば日曜日を一つ例にとりますと、京都などは非常に日曜日は混雑するのですね、タクシーが町の中を走って。ところが大阪や名古屋へ行くと、もうほとんどがらがらであるというような状況を呈しているわけですね。そういうのを一つ見ても、これはいかに地域によって差があるか、地域に即したそういう行政をやることが必要であるかということをわれわれは感ずるわけなんだけれども、こういう点についても知事に譲っていくということが必要ではないだろうか。  それからもう一つ、最後に、先ほど触れましたけれども、どうも陸運事務所が知事の所管にあるがごとくあらざるがごとく、非常にその点の権限関係が不明確である。もう少しやはり知事の所管に属する部分についても説明その他をやるべきだと思いますけれども、私などは、県の当局におったけれども、およそこの決裁などというものは持ってこられたことを見たこともないような形になっているということでは、総合的な交通の問題というものを処理しにくいのではないか。特に先ほども言いましたように、人のいやがる処分の権限だけは知事に与えるけれども、いいこと——いいことだと言うことがはたして適当かどうか知りませんけれども、認可とか新設の許可とかいうものは、みんな陸運局長に留保しておって、処分をするといういやな権限だけは知事の権限である。こういうことでは、私は、都道府県を陸運行政の中で一体どうお考えになっておるかということについてはなはだ疑問を感ぜざるを得ないという点があるのですが、この点についていかがなものでしょうか。
  282. 小林(正)政府委員(小林正興)

    ○小林(正)政府委員 ただいま先生指摘のとおり、バスにしろ、貨物トラックにしろ、タクシーにしろ、非常にそれぞれの地域の利用者に密着した行政でございます。そういった観点から、各地域の特性を十分に生かしながら許認可行政にしても、あるいは指導行政にしても、いかなければならぬことは、お説のとおりだと思います。具体的に御指摘ございました路線バスの免許にあたって、現在地域住民との関連を全く無視して、免許あるいは廃止の許可をするということは、いたしていないわけでございまして、こういった点については、道路運送法上も六大都市、そのほか福岡市あるいは仙台市等、こういったところにつきましては、地方公共団体の意見を徴しながらやっておる、こういう規定になっておるわけでございます。また道路との関連が非常に深いわけでございますので、道路管理者たる府県知事との協議というようなものもいたしながら処分をいたしておるわけでございます。  なお、大臣の権限を現在では、政府全般の許認可の合理化、簡素化、こういうような見地から現地の陸運局長、あるいはものによりましては府県知事とか陸運事務所長、これに相当大幅に落としておりまして、現在留保しておるような権限というのは、非常に利用者の立場から見ていかがかと思われるような、たとえば運賃の権限、こういうようなものについて留保しておるわけでございまして、その他については極力出先機関に落としておるわけでございます。  それから第二点のクローズドドアについての御指摘でございますが、これにつきましては、歴史的な経緯があるところでございまして、全国的に見ますと、大阪あるいは京都にあると思うのでございますが、私ども承知しておる範囲では、大阪にこの問題が従来からあったようでございます。これは大阪の市域を中心とします公営バスというようなものが、その地域のバスを担当いたしております。一方バスの特性から郊外から入るいわゆる民間バス、こういうようなものが、やはり直通で都心部に入りたい、こういう要請が非常に多いわけであります。この間、それぞれの、市域を中心に担当しております、大阪で申し上げますと、大阪市交通局、郊外を担当いたしております民営バスとの間に、従来、免許をめぐりまして事業者間の利害の衝突が非常にあった。こういったものを調整するために公営バスという側から見まして、その市域内の輸送を郊外からの乗り入れということで荒らされては困るということでクローズドドア制をとっておるわけでございまして、このこと自体は、やはり利用者の立場から見まして、乗りにくいバスということになる面もございますので、全国的に見ますと、こういうようなものについては、極力やめていくという方向で行政指導をいたしておりますが、直接の利害関係にあります公営バス側においては、なかなかそういった問題については、一挙には踏み切れない。ただ方向としては、そういう方向指導しております。  それからトラックの免許あるいはタクシーの指導、監督に関する権限の問題でございますが、先生、御指摘のとおり、非常に狭い地域に限られた輸送がいま主として行なわれるということは事実でございますが、各県ごとの免許の方針等につきましても、ある程度の統一した方針でやっていくというようなことも必要かと思います。なお、この問題は国かあるいは地方自治体の権限にするかといういわゆる権限の問題として問題をとらえるというようなことでなくて、運輸省といたしましては、トラックの免許、あるいはタクシーの免許というものの制度そのものをもう少し弾力的に自由化の方向でやっていってはいかがかということで、国と県の権限というような問題を離れまして、事業の免許制度そのものについても、やはり新しい事態にふさわしいような制度を考えていきたいということで、運輸省にございます運輸政策審議会等の意見もございまして、一般的に申しますと簡素化、自由化の方向で監督行政を進めていっているわけでございます。
  283. 山田(芳)分科員(山田芳治)

    山田(芳)分科員 私はそういう将来の政策についての運政審の答申その他も見ていないわけではありませんけれども、少なくとも現在ある権限を、陸運事務所自身を都道府県の知事の権限内に入れないなら、すべていま私が言うた程度のものを知事の権限にまかしていくというぐらいの努力をしていただかないと、法律的に言っても私は問題が残っているのではないかということを御指摘したわけです。時間がございませんから一応これで終わります。  次は、地下鉄の問題であります。地下鉄については四十八年度予算の中で一定の前進を遂げて、補助金につきましても三分の二、しかし実質からいえば五一%ということで、間接費を除外されているという点は残念で、将来これは間接費を含めて三分の二補助に努力をしていただきたいというふうに思うわけでありますし、また建設時の一括交付方式、これも一ぺんには無理ならば、六年に分けての建設のときに清算するという方式をとってもらいたいというふうに地方団体としては考えるわけでありますから、こういう点について引き続いて努力をしてもらいたいし、また融資条件についても今度改善され、二十五年ということになりましたが、長期の五十年くらいのものがなければとてもやっていけないのじゃないか。先ほども申し上げたように、地下鉄網を根幹とするということが大都市交通の政策の樹立であるということがいわれていることは、おそらく大臣も同感であろうと思います。  私もヨーロッパ各地の地下鉄なり大都市交通の事情を見てきましたけれども、パリのようなところに行けば三、四百メートル歩けば必ず地下鉄の駅があるというような、地下鉄網というものが都市交通の最大のささえになっているし、地下鉄に一等車がついておって、どんな人でも地下鉄に乗ることがあたりまえというふうになっているというような状況まで持っていかなければ、今日の大都市交通の問題は、日本のように道路の狭いところではできないというふうに思います。そういう意味では地下鉄についてはもっと強く運輸省当局が、特に大臣のように運輸省のベテランの方が大臣のときにがんばってもらいたいものだというふうに思うわけでありますが、この点につきまして大臣の御所見をお願いしたいと思います。
  284. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 お話しのように、大都市におきましては、大都市を中心としての交通機関というものは相当地下鉄に依存をしていかなければならぬと思います。現在でもだんだん依存度合いが強まっていると思いますけれども、今後は道路の拡張にしましても限度がございますから、やはり地下で低公害の交通機関ということになりますと、地下鉄が一番よろしいことになるので、これについてはいまお話しのように、方向といたしましては国としても最大限の協力をするのが当然かと思います。そういう意味で実はそれでは足りないのだとおっしゃっているようでありますけれども、四十八年度予算におきましてはいままでの仕組みを少し変えまして、これでも財政当局とずいぶん交渉いたしましてここまで持ってきたのでございます。今後さらに地下鉄全体の問題としましては残された問題で相当大きな問題があると思います。そういった問題にさらに具体的に取り組んでまいりまして、この大都市における地下鉄というものの位置づけもし、そうしてそれに対する国の助成の制度も完備したものにしなければならぬということを私は考えておる次第でございます。
  285. 山田(芳)分科員(山田芳治)

    山田(芳)分科員 昭和四十八年から京都市も地下鉄を建設するということで運輸大臣から免許をいただいておるわけであります。いずれ工事の許可をいただくことになると思いますが、文部省の記念物課長さんおいでいただいておりますか。——お願いをしたいのは、京都は特に埋蔵文化財が非常に多いわけであります。おそらく京都の烏丸通りというまん中の通りを掘っていけば、平安時代の遺跡のいろいろなものが出てくる。ところが、従来どうも文部省では遺跡が出るとストップをかけるけれども、それはあと一体どういうふうに処理していいかという指示がないままにストップがかかっておる。そうすると、業者もそれだけで機械を借りている経費もかかるし、人夫を雇っている経費もかかる。ストップがかかって遊んでいる人間の経費、そういう補償はだれかというと原因者だ。原因者はだれかというと土地を所有しておる者だ。すべてそういうことになると、地方団体や国の場合はまだしも、個人のものだったらとてもやっていけないということにもなる。しかし地方団体においても、一日遊べば何千万もかかるということで、二年も三年も放置しておるという状態が非常に多いわけです。私は一々例をあげません。京都にたくさん例があります。そういうことをやられたのでは、これはたいへんなことだと思うのです。埋蔵文化財の大事なものは保存するということは当然だと思うのです。しかし、これがほんとうに保存すべきかそうでないのかという結論はすみやかに出してもらわなければ、地方団体の長といってもそう文化人ばかりがおるわけじゃないわけでして、そういう点はひとつ文化庁の権威ある判断の中で処理できるように、いまからお願いをしておきたいと思うのです。この点についての所感をひとつ……。
  286. 古村説明員(古村澄一)

    ○古村説明員 いまの先生の御意見、確かにごもっともな点が多いわけでございますが、いま京都市の地下鉄は、聞いておりますところでは、市街地の中を走っておるということでございまして、もしも路線の中へ重要な遺跡がかかりますれば、これは最小限発掘調査だけはやっていただかなければならぬ、そういうことを考えておりますので、その調査地点あるいは調査体制というものについては十分指導を加えていきたい。そのことがゆえにいつまでも結論が出ないという形にはしたくないと思います。
  287. 山田(芳)分科員(山田芳治)

    山田(芳)分科員 それをひとつよろしくお願いいたします。  時間がありませんが、若干オーバーしても前の人がオーバーしたのでお許しをいただきたいと思いますが、ハイタクの関係でございます。個人タクシーの問題とハイタクの問題なんでありますが、個人タクシーをもっとふやしていくという方針が若干変更されているのかどうかという点をお伺いしたいのですが、当初個人タクシーというものは、関係閣僚の話でも、やはりハイヤーやタクシーで働いていた諸君が将来自立をしていくということで好ましいのだということでこれが推進されて今日まできているわけでありますが、現実に最近の実情を見ると、ほんとうにハイヤーやタクシーから働いている労働者の諸君が自立をしているというのが三分の一くらいであって、それ以外の人も相当入ってきているということになると、若干従前の形とも違ってきているという点もあるように思う。だけれども、個人タクシーというものは一般的に非常に評価も出ているというふうに思うのですけれども、しかし、これは調査したところによりますと、京都は二十一時ごろ、大阪では二十三時ごろではもう個人タクシーはほとんど稼働してないということですね。先ほど言った運政審の答申にあるように、タクシーというものは公共的交通機関であると規定しているわけですね。だから、公共的なものであるならば、二十三時が公共の範囲に属するか、夜の一時までも要るか、そういう問題は別としても、京都では二十一時、九時ですから、これはまだ普通の人が起きている、普通の日常生活をしておる時間だ。そういうときにすでにもう個人タクシーがいないということになると、公共的という意味になるのかどうか。ところが個人タクシーの人に聞きますと、みな、ええもう夜はやりませんというのが大部分です。それはなぜかというと、おそらく百五十時間なり百八十時間なりの時間を一応制限しておられるようでありますけれども、それでけっこうやっていけるというふうに考えるよりしかたがないと思うのです。ところが一方ハイヤーやタクシーのほうは百五十キロ走るとしても、キロ当たり四十八円くらいかけて、一月働いて二十万前後の売り上げがあって、その四割が労働者に返るとしても十万前後の収入しかない。これではハイヤー、タクシーのほうに労働者がいかないのはあたりまえで、最近大きなハイヤー、タクシーの会社では車が相当遊んでいるのが実態ですね。車はあるけれども労働者がいない、それは労働条件がきわめて悪いからだというふうに思う。公共的交通機関であるというならば、もっとこの待遇改善について——個人タクシーは深夜までやらぬでもやれるというのだから、普通の利益率でハイヤー、タクシーの会社がやれるのならば、ある程度のものを労働者に還元をしてやれば、私は労働者がもっとハイヤー、タクシー会社に集中をして、そして遊んでいる車なんというのはなくなるだろうし、深夜に乗客が金を見せ出して、そうしてわれ先に乗車を急ぐことも——それがいいか悪いかは別としても、少なくとも必要なときに必要なところに行けるということだけは、公共的交通機関である限りは確保していくというのが運輸省としての責任ではないか。そのためにはハイヤー、タクシーの労働者の待遇改善についてもっと積極的に指導をしてやってほしい。こういう点を、先ほど言ったように、知事にもある程度権限をまかせば、知事が直接そういうものに乗り出していけるという点もあるので、そういう点も含めてひとつ今後運輸大臣のハイヤー、タクシーの労働者の労働条件の向上について格段の努力をお願いしたいと思うのですが、この点についてはどうでございましょうか。
  288. 小林(正)政府委員(小林正興)

    ○小林(正)政府委員 前段の、個人タクシーが非常にふえてまいっておりますが、しかし夜間等については必ずしも公共的な見地から十分な輸送力となっていないというような御指摘かと思います。従来、個人タクシーを増強していくという、運輸省としましては、そういう方針昭和三十五年以来個人タクシーの免許制度について資格要件を公示いたしまして、できるだけ簡易に免許をとり得るというようなことでやってまいった結果、今日では、ところによって違いますが、東京あたりではすでに一万五千台をこえる個人タクシーになっておる。京都あたりも、ちょっと統計は古うございますが、法人の車が約五千台に対しまして個人タクシーが千七百九十台と相当な量にのぼっておるのは御承知のとおりでございます。したがいまして、最近問題になっておりますのは、従来のようにただ単に法人タクシーではサービスが悪い、個人だけがいいというような、個人が非常によくて法人が悪いというような単純な状況ではなくなってきているようでございます。  一つは、ただいま先生が御指摘の、夜間における輸送力になかなか個人タクシーはなじみにくいということが一つございます。また非常に運輸省が免許を促進いたしました結果、中には法人の悪質運転手とほぼ同様な乗車拒否をやるとか、そういった面もかなり出てまいっておるわけでございます。したがいまして、今後の行政方針としては、あるいは法人あるいは個人というものを含めまして、いわゆる利用者の立場から見て適正な輸送力というものをいかにすれば確保できるか、こういうような観点からの検討が必要かと思うわけでございます。そういったことで今後対処してまいりたいと思うわけであります。  それから、法人タクシーの内部における労働条件の問題でございますが、これも確かに先生指摘のとおり、そういった労働条件等が悪いために個人タクシーのほうに移っていくという問題、あるいは労働条件が悪いからサービスが十分行なわれない、こういうようなことが従来から非常に大きな問題であった。これにつきましては、先生承知のとおり、労働条件につきましては本来労使間で労働時間あるいは賃金というようなものを決定すべき問題ではございますけれども、労働省のいわゆる二・九通達という通達につきまして非常に事こまかにきめこまかい通達措置をして指導しているわけです。ただいま御指摘の賃金等の問題につきましては、いわゆる累進歩合制というようなものを禁ずる、また固定給と歩合との比率というようなものについての改善をはかる、こういうようなはっきりした基準方針が出ておるわけでございます。こういった線に沿って労働基準局が非常に厳密な監査をやっておるわけでございまして、これは労働基準局の監査というようなもの、それから運輸省陸運局といたしましては、そういった実態をよく相互に連絡いたしまして、その状況につきまして運輸省は道路運送法上の観点からこれから指導監査を強化していきたい、こういうたてまえでやってておるわけでございます。御指摘の線については、ただいま申し上げましたような方針でなお一そう指導を強化していきたいと思います。
  289. 山田(芳)分科員(山田芳治)

    山田(芳)分科員 最後に、いま申し上げた特にハイヤー、タクシーというものについては、御承知のように最近団地がふえて、団地の中におけるバスが大体十時ごろになったらたいがい終わるという。最近は相当延びたところも出てきました。非常に大きな団地では十一時、十二時近くというのも出てきたようですけれども、やはり大都市周辺の近郊におけるハイヤー、タクシーの利用というものが非常に住民のためには必要である。それ以外に方法がない。マイカー以外には方法がないという形になっているものですから、ハイヤー、タクシーの労働者の生活向上については、大臣一そう取り組んでいただきたいと思います。  最後に、私の地元で恐縮ですが、京都市の地下鉄については、大都市交通基本的な問題でもございますので、十分御協力をいただきたいことをお願いして、私の質問を終わります。
  290. 前田主査(前田正男)

    前田主査 これにて山田芳治君の質疑は終了いたしました。  次に、伊能繁次郎君。
  291. 伊能分科員(伊能繁次郎)

    ○伊能分科員 私は、沿岸漁業における刺し網漁業操業と、それが海上交通の安全に重大な影響を及ぼす問題について、海上保安庁長官並びに水産当局にお尋ねをいたしたいと思います。   〔主査退席、足立主査代理着席〕  去る一月二十二日、銚子沖で起こりました大目刺し網漁業による小型はえなわ漁船の事故につきまして、水産庁のほうに県等を通してどういう御報告がきているか、きているとすればどういう御報告がきているか、まずお伺いします。
  292. 増満説明員(増満二郎)

    増満説明員 お答えいたします。お話しの件につきましては、二月十七日でございますが、千葉県の水産課のほうから水産庁のほうに電話で、二月十六日に銚子の海上保安部に千葉県の外川漁協の組合員三名が一月二十二日の事件に関して逮捕されたという報告を受けました。報告では、この事件は一月二十二日の朝六時ごろに犬吠岬南々東約五十キロ付近の海上で漁場に向かう途中の小型のはえなわ漁船三隻が流し網をスクリューにからめる事故を起こしたことから、同じような行動をとっておりました僚船の十数隻が大目流し網を切断、漁獲物を持ち帰る等の不祥事件が発生したことに関しての問題でありますという報告がございました。
  293. 伊能分科員(伊能繁次郎)

    ○伊能分科員 いまお話しのあった点については若干実情と違う点がありますが、これについて海上保安部でこの問題についてどういう経過でああいうような強権発動の措置に至ったか、その実情を少し詳しくお話しを願います。
  294. 野村政府委員(野村一彦)

    ○野村政府委員 私のほうは、今年の一月二十二日の早朝でございますが、銚子港を出港いたしました銚子市の外川漁協所属の小型はえなわ漁船約三十隻、これが同日の朝五時半ごろでございますか、犬吠岬の南々東十数海里付近の漁場に到着をいたしましたところ、かねてその付近に、対立関係にあったと申しますか、異なる漁種でございます大目流し刺し網漁船四隻が操業しておりまして、かねてから漁種が違いますし、そういう立場からいろいろと問題が両漁船団の間にあったやに聞いておりますが、そこで何といいますか非常に感情的な対立が激化いたしまして、そして私どもの聞きましたところでは、その小型はえなわ漁船が、第七美法丸と申します大目流し刺し網の船四隻を取り囲んで、いろいろとばりざんぼうを浴びせて、そして多数の威力を示すとともに、網を切断をした、そして流し刺し網漁業の操業を妨害し、網を切断すると同時に、漁具あるいはすでに船の上にありましたマグロなどを奪い窃取した、こういう判断に基づいて捜査を開始したわけでございます。  先生御案内のように、この事件の発生に至ります前に、昨年県の水産部のあっせんによって、一応大目流し網とはえなわとの自由操業でありました両方の漁業に対して、暫定的に十海里以遠の海域で許可漁業にするという方針がきめられたそうでございますが、本年の二月にこれがまたもとの自由操業に戻ったといういきさつがあるようでありますが、その間、両者の対立は非常に激化して、感情的にもしこりが残っておったということを聞いております。そういうような経過を踏まえまして、一月二十二日に漁場における両者の対立が行なわれた。  そこで、先ほど申し上げましたように、三十隻の船団のほうの、私ども判断では三隻の船が中心になって、いわゆる威力をもって相手の自由なる操業を妨害する、そしてそれと関連して一部の漁具あるいは漁獲物を持っていったというような届け出が銚子の海上保安部に対してございました。銚子の海上保安部はその当時の様子をいろいろと調べておったわけでございますが、ある程度の証拠をつかみましたので、二月十六日に威力業務妨害容疑ということで小型はえなわ漁船三隻の船長を逮捕しまして、そして二月十八日に身柄を送致をしたわけでございます。  その途中におきまして、もちろんいろいろ三名の人以外の人を任意で調べ、また対立関係にありました他方の船団の関係者をも調べたわけでございますが、現在までのところ、この三名を検察庁に送りまして、検察庁において調査をしておる、こういうふうな状況でございます。
  295. 伊能分科員(伊能繁次郎)

    ○伊能分科員 事実の認識についてはいろいろ問題がありますが、ここでさようなことを言うことは差し控えたいと思います。  問題は、いま長官からお話しのように、根の古い問題でして、これは水産庁でもよく御存じだろう。この種のものを放置しておくことによっていろいろと問題が起こることは明らかでございますが、昨年の一月にも同じような問題が起こり、これはたまたま陸上で起こった。県庁へ双方が陳情に行った際に同じような乱闘が起こった。これは陸上だから、私が仲へ入って円満におさめました。その後、双方で自粛体制をとるようにということで私も慫慂をし、県も慫慂をしたのですが、事実上自粛体制というようなものは行なわれがたい海の状況です。ということは、黒潮の温度の低い水が沿岸に近く流れてくれば、大目流し刺し網がそれに網をかけるというようなことになり、せんだっての一月二十二日のときにも、小型の船団はまだ操業もしないし、五時半です。六時というのは若干違うようですが、暗いところで、七、八メートルの風があって、相当に高い波がある。まだ一月の五時半、六時では、とても海上を全部見るということができない。したがって、流し網のランプがついておったとかついてないとかいうような議論がありますが、魚をとるためのえさを、サバをとる漁場へみんなが行こうと思ったその途中で、いま水産庁は五十キロと言いましたが、これは長官のお話しのように十五キロです。そんな近いところまで流し網が来ておった。それに気がつかずに船がずっと行ったから、小型の船が流し網にひっかかってしまって、スクリューを巻かれてしまった。そういうような事態が起こった。これは過去においてもそういう事態が起こっておる。そこでみんなが転覆をしてはいけないからといって助けに行くと同時に、網を切ってもらわなければいけないということを要求に四はいの船のほうに行った。これが実情です。その間に双方で大きな声を出したり何かして、争いになったことも私は想像にかたくないと思う。  そこで問題は、その協定があった。その協定には違反をしておる程度のところまできておるわけですね。そこが一つありますが、こんなことはたいした問題じゃないが、七、八メートルの荒天だった。それと、事故にひっかかったときに、小型が被害を受け、網にひっかかって、それをほっておけばひっくり返って沈没する。大きな網がスクリューにひっかかれば、その網にぐっと引っぱられますから、そこで直ちに海上保安庁に無電を出したわけです。ところが、海上保安庁は小型のロランの一キロワットの無電では傍受できるシステムになってないので、外川の漁協へ無電を出した。そして漁協から海上保安庁へ電話で、SOSを打っておるから助けに行ってくれということを小型のほうから出したわけです。そうしたところが、海上保安庁では、たまたまその日の夜中に、銚子の河口でもって暗礁に乗り上げた船の事故があって、それの救難にたいへんな時間がかかって、いま帰ってきたばかりでもって出て行かれないという拒絶の電話があった。そこにも一つ問題があると思います。これは、海難があれば、くたびれておろうと何であろうと当然出るべき性質のもの、それが海上保安庁の本来の使命ではないか、かように思います。こういう問題がある。  それから、網をとったとか流したとかという問題ですが、ひっかかってスクリューを巻かれてどうにもならなくなった船は、直ちに曳航されて造船所に行って上架しております。そこでもって網をとらなければとれない。そういうような状況で、この間に共同謀議とか最初いろいろな問題が起こりましたが、出て行くときにそんな共同謀議なんかするわけがないです。これははっきりしておる。そういうことで、初めから偏見をもってこの問題に捜査がされた。第七美法丸から被害届けがあったのかどこから被害届けがあったのか知りませんが、安房の美法丸からの電話の内容、これは二月二十二日です。十六日に引っぱられております。  それからもう一つ、そのほかの船からも、天津の利栄丸からも電話がかかって、利栄丸のほうはひっかかった網——緊急な措置ですから魚なんかどろぼうできるわけのものじゃない。たまたま網を切るときに一匹のマグロがかかっていたから、それを持ち帰って漁業会に持っていって売って、その金は返した、送ってやった、これは利栄丸です。美法丸のほうは、自分たちは海上保安庁に願ったのではない、海上保安庁が来て、過去にもいろいろな事故があったから、この際徹底的に調べてやると言ってきた、こういうことなんですね。ですから、この種の問題は往々にして過去においてもあったのだから、被害届けがあったらいきなりこっそり保安部長が漁業協同組合に名前も言わないで来ていろんな事情を調べたり、まわりから妙なことをしないで、逃げ隠れしないのだから、オープンに双方の言い分を聞くべきであった。昨年も同様です。そういう措置をとって円満に片づけるべき筋合いのものであったが、一方的に強権をふるった動機が何かあるのではないかと思うのですが、その辺について長官、もう少し詳しい御説明を願えませんか。
  296. 野村政府委員(野村一彦)

    ○野村政府委員 ただいま先生の御質問に関連してお答え申し上げますと、スクリューがからまって、そしていろいろともつれたということは私どもも報告を受けております。また、それに関連して、銚子無線ですか、そこを通じまして救難の要請があったということも、私ども調べてそのとおりでございます。ただ、先生御案内のように、当時の天候から見まして、また僚船がその付近に非常に多数おった、それから従来の例から見まして、網がスクリューにからまれたというような状態ですと、これは非常に切迫した海難というものではございませんで、そこで僚船でそれを助けてもらってやるということもしばしば漁船相互間の海難救助の相互救助の形態として、これは漁船だけではございません、商船もそういう場合があるわけでございますが、やっておった。そういう判断のもとに、これは巡視船が行くよりも、そこで僚船でやったほうがより効果的だという判断をしたわけでございます。  それから、ただいまの被害届けの件でございますか、これは私ども現在捜査中の事件でございますので、あまり詳しいことは申し上げかねますが、被害船としては四隻ほどの船からいろいろな被害届けが出ております。それは、マグロが紛失したり、網が切断されたり、標識灯が破損をした、それからロープがなくなったとか、いろいろな被害届けが銚子の海上保安部に出されたわけでございます。銚子海上保安部といたしましては、もちろん任務にかんがみまして、海上における治安の維持に当たる、それから事件が起こった場合にはそれを海上における犯罪容疑として捜査をするという任務を持っておるわけでございますが、そういう立場から、これはもちろん公平でなければなりませんし、非常に片寄った見方をしたり先入観を持ってやるということは最もつつしむべきことでございます。本件につきましては、私は、これを所轄しております第三管区の海上保安本部長あるいは銚子の保安部長、そういう者を呼んで、いろいろと報告を受けました。保安本部長は二回私のところに参りましたし、銚子の保安部長は一回私のところに参りまして、いろいろその間、先生から承りました相手方の言い分と申しますか、そういうものも伝えて、公平にこれを処理をしているということについての質問をいろいろ私なりにしたわけでございますが、彼らとしましては、結局その当時の様子から見まして、一方はいわば無抵抗である、すでにそのこと自身が水産行政上いろいろ問題のあるところであろうと思いますが、ともかく漁場において平穏に操業をやっておった、そこに一方が通りかかった、そしていま言いましたようないろいろと威力でもって操業という業務を妨害されるような事実があったということで、それを裏づけられる被害届け、それから証拠の物件、そういうものもあがっておるわけでございます。そういうことで、加害者と推定される漁船の責任者等にいろいろ出頭を命じて任意で取り調べるということを当然考えたわけでございますが、その数が非常に多くて、もちろん住居等は調べますればわかりますので、そういう点は問題はないかと思いますが、端的に申し上げますと、非常に多数の方がおるし、感情的に対立した両方のグループのことでもあって、証拠を保全するという意味から、やはりどうしても強制捜査に踏み切らざるを得ないという判断を加えたわけでございます。  それから、他方の相手側の大目流し刺し網につきましては、これはもちろん片一方を調べる途中においていろいろ調査をしたわけでございますが、本件に関しましては被疑者という立場ではございませんで、いわゆる単なる被害者であるという判断でございまして、その点につきましては厳正公平に海上保安部においても措置をしたものだ、私どもはかように考えております。
  297. 伊能分科員(伊能繁次郎)

    ○伊能分科員 直接に現地を見ておられない長官としては、私は、一応そのとおりの御報告があったろうと思います。しかし対立抗争云々は、当面の具体的な当事者からいくと、安房のほうの大目流し刺し網の人と銚子の外川の小型はえなわの連中との対立はないわけです。たまたま二十二日には安房のほうの人たちが操業をしておったということ、銚子の大目流し刺し網の連中は偶然にも操業をしておらなかった。対立はそのほうにある。したがって加害者であると言っていますが、一応常識的な協定の線、話し合いの線をはるかに越えた沿岸の十五キロくらいのところに流し刺し網か来ているということは常識上想像できないわけです。そこで、行ったところが、三ばいの船がスクリューにひっかかってきた。そうすると、ひっかかったから助けろというので、みんながわあっと来た。そうすると向こうに四はいの船がおったということで、網を切れ、それでなければ船は沈没してしまうぞというようなことでお互いの論争になったので、その点では少し海上保安庁の調査が、過去のいろいろないきさつその他に対する調査も十分でなかった。したがって当面の問題だけを見て、過去における長い実情というものを見られなかったのみならず、海上保安部の捜査というものは、捜査権の問題であるから警察と区別はないといえばそのとおりでしょうが、しかしこの種の問題は、海上保安部は、今後、将来においても、海上交通の安全を確保するという観点から、それに重点を置いて調べるべきであって、保安部長が私服で来たり、何かごそごそやるということは、過去にいろいろなことがあった点からいって、どうも今回の事態に適切であったとは思えません。そこで、いきなり三人を引っぱった。しかもその間に一月の二十二日から二月の十六日までの期間がある。片っ方の話だけを聞いて、内々に調べて、いきなり引っぱるということは、私はこれは水産庁の漁政部長にもよくこの間の事情を聞いていただきたいと思うのですが、これは決して公正な措置であったとは思えない。しかもその後二月の二十八日まで十数日間にわたって毎日五人、十人関係者を呼んでいますから、不安で船は出られません。多いときは十数人、少ないときでも七、八人。商売ができない。これは公平に見て容易なことではなかろう。数千万円の損害をしております。過去のいきさつというものもいろいろあるわけでして、当初私は検察庁へも電話をしました。それから長官にも電話をして、海上保安部長へも電話ばかりでなく行って話も聞いたわけです。そして、まあこの程度なら円満におさまるかな、こう思っておったら、四十八時間の勾留期間が切れて検事勾留になった。それで十日の間にできるだけ早くお調べを願いたいといっておったのが、検事勾留との関係でついに十数日間も置いて今日に至る。これは普通の悪徳犯罪とは違うわけです。めいめい商売にかかわる。ことに小型の連中、これは海上保安庁長官は御存じないが、漁政部長は御存じでしょう。小型の連中にとっては、自分で七トンか六トンの船ですから二、三人の船員を連れていって毎日かせぐ商売で、それが大目流し刺し網の連中に網を一ぺんにやられたらとても商売にならないというので、前々から紛争を起こして、県も、この問題の調整をしよう、これは結局中央でやっていただく以外には道はあるまいということで、私は水産庁長官にもお願いをしております。場合によれば沿岸十五海里ぐらいまで流し網をされたら、これは魚族資源保護の観点からいってもどうも適当でない。こういうようないろいろな問題があったときに、いきなり強権で一方的に、たとえば事前に漁業組合長を呼んで内々意見を聞くとかなんとかいうようなことはあってもよかりそうなもので、漁業組合の理事を呼んで内々に意見を聞くというようなことがあってもしかるべきだと思ったら、こそこそやっていきなり三人を引っぱった。そのうちの一人は、やられた船ですから、網を切ったということを自白しております。そのほかの連中は、自分たちはこの問題では回りへ行って守ってやる、はるか遠くのほうにいたので、守ってやる立場をとって関係はないと言っておるから、いまだに調べたって、私どもは何もしておりませんということを二人は言っておる。こういう状況です。私は、内容はもう弁護士に頼んであるから、そういったこまかいことは申し上げませんが、この種の措置が、海上交通の安全をつかさどる海上保安部においてそういった形で今後強権が発動されるということであれば重大な問題だ、かように考えるので、特に今回質問をいたしたような次第ですから、この問題についての取り扱いがもう検事のほうへ行ってしまったから知らぬというのは非常に怠慢な話である。なぜあれだけの、十数日間の期間に調べが完了できなかったのか。起訴しかるべしという書面を進達をしたかどうか。一昨日次席検事に会っても、これは私は聞きもしませんし、聞くべき筋合いのものではない。しかし、これであと十八日で二十二日たつわけです。二十二日たてばおそらく検事も処理をするだろう。私は次席検事に前々から電話をかけておったら、次席検事は特に金曜日にみずから現地へ行って、八日市場の検事と、海上保安部長がいなかったから、こちらは東京へ来ていて、担当の次長に会ったかして事情を聞いて、一昨日私は会ったわけです。その際に次席検事の言うには、伊能君が五日に国会でこの問題を質問されるというが、それまでに調査を終えて釈放できぬかということを尋ねに行ったところが、検事のほうは、自分のところへ来たのがおそいので、五日では調べが終わらないから、かえって釈放してあとでごたごたしてもいけないから釈放は無理でしょう。私はこういう話を次席検事から聞いて、それはまあそれでやむを得ないだろう、しかしこの種の事件はこういうことであったということは検察庁当局には、私の知っている限りの事実、ここに組合からの報告書も出ておりますが、その内容をだいぶ話をしましたが、私は基本は、海上交通の安全を守る海上保安庁としてこの問題についてはどうも片手落ちであったということはいなめない、かように思います。ですから、今後この種の問題についてそういう措置がとられるのでは、零細漁民が生活に困ってしまう。大型の連中は大きな網でもってとる。片一方ははえなわで一本づりです。それが二十日も仕事ができない。毎日毎日参考人として呼ばれる。これは人権的にも私は重要な問題だと思う。したがって私がお願いしたいことは、すみやかにこの処理をしていただきたいことと同時に、この種の問題について、事情を双方から責任者を呼んで聞かないで一方的にやるというようなことは、海上の安全を保持する海上保安庁の態度としてどうであったかということを、長官にもう一度お尋ねをして、これ以上私は質問しません。
  298. 野村政府委員(野村一彦)

    ○野村政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、海上保安庁の任務はいろいろあるわけでございますが、大別いたしまして、海上における安全の確保ということと、海上における治安の維持という二つの面があるわけでございます。本件は海上における治安の維持ということに当たるわけでございますが、私どもは、海上における治安の維持という観点からあらゆる犯罪を予防する、もちろん海上の安全を確保するということと並行する場合が多いわけでございますが、犯罪を予防するとともに、不幸にして犯罪が起こった場合、それを厳正公平に処理するという任務も持っておるわけでございます。本件のみならず、私着任いたしましていろいろ各管区の報告を聞きますと、いわゆる漁業紛争というものは非常に多いわけでございます。しかもその漁業紛争というものは非常に根深いものでございまして、やはり基本的には水産行政といいますか、そういうものが十分現地に浸透して、そしてそこに秩序ある漁業が行なわれるならば、あるいは未然に防がれるであろうと思われるような漁業紛争が、かなりあるわけでございます。それに基づいたいろいろの海上事犯というものがあるわけでございますが、そういうものを取り調べます場合には、私どもももちろん任意捜査と申しますか、それぞれ両者の言い分を聞き、そしてたとえば被疑者としてこれを調べなければならない場合でも、任意捜査によって調べるということが捜査としての本筋であるということは当然のことでございます。  本件の場合につきましても、私どもは当然そういう観点でもって処理をしたわけでございます。その結果が、結局一月二十二日に起こった事件が二月十六日まで現実に捜査に着手するまでに時間がかかった。任意捜査でありますと、やはり証拠の収集とかあるいは証拠の隠滅とか、そういう問題について問題があるという判断をした場合には、これは海上保安官の独断ではできないことでございますので、所轄検察庁を経て裁判官の令状をもらって強制捜査をする、いわば最後の手段に訴えたわけでございます。もちろん捜査は任意捜査でやるべきがたてまえでございますので、そういう意味で私ども今回の事件につきましても、現地の保安部長からいろいろと私も直接話を聞いたわけであります。厳正公平にやったものと確信しておりますが、この点についてはさらに将来いろんな観点から、これと似たような問題が再び起こらないように検討したいと思います。なお、本件につきましては、やはり抜本的な解決が私は必要であろうと思いますので、それについては私どものほうからも関係の官庁にお願いをする、こういうようにして早く本件が処理されるように措置したい、かように思います。
  299. 伊能分科員(伊能繁次郎)

    ○伊能分科員 最後に一言だけ……。  この問題は、水産庁にお願いいたしますが、単に千葉県だけの問題ではございません。千葉県の大目流し刺し網の船でない、岩手県からも、福島県からも、茨城県からも来るということで、千葉県だけでは解決しない問題です。したがってこの種の問題については水産庁で基本的に漁業調整をしていただかなければならぬ、かように考えて私は水産庁長官にもお願いをいたしておりますので、至急この種の問題については水産庁としても御検討をお願いしておきます。  それからもう一つ、長官にあえて申し上げますが、事実の問題について、SOSを出したがおいでになれなかった。そうすると威力業務妨害であったかどうかという現場を海上保安庁は見ておらないわけです。そうすると、一方的な話だけで断定をしたということ、これは私ははなはだしくまずいと思う。もしあなた方がSOSによって来ていれば、まだ残骸その他ある程度のことはわかったろう。一方的な話だけでもって、任意捜査はこそこそ捜査であって、当事者は一人も呼んでおらない。漁業組合長その他責任者をすら呼ばれないで、黙って私服で漁業組合へ来ていろいろなことを、私服で来たからあまり調べにはならなかったでしょう。そういうようなやり方は非常に公正でない。これは反省していただかなければならない。この点だけ申し上げて、私の質問を終わります。
  300. 足立主査代理(足立篤郎)

    ○足立主査代理 これにて伊能繁次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、荒木宏君。
  301. 荒木(宏)分科員(荒木宏)

    荒木(宏)分科員 日本共産党・革新共同の荒木でございます。  関西新国際空港建設計画についてお尋ねを申し上げたいと思いますが、すでに発表されました運輸省案につきましては、これが騒音、大気汚染あるいは災害、また環境破壊、こういったことについて地域住民の中に非常に大きな不安と強い憤りがある。それをもとに反対運動が起こっておることは大臣もよく御承知のとおりであります。私は、限られた時間でありますけれども、そういった地域住民の気持ちをくんで、その立場に立ってお尋ねをいたします。  まず第一に、騒音、とりわけ横風用滑走路による騒音被害について政府委員にお尋ねをしたいと思います。  御案内のように昨年の十月に調査がやられました。そのときの調査結果による気象条件は、百メートルの高度のところで十六・五度、九百メートルになりますと気温が十度、千五百メートルになると五・八度。つまり当日の気象状況は上に行くほど気温が低くなっている。御案内のように、運輸省が発行された航空機騒音テキストによりますと、上に行くほど気温が低い場合には音は上に逃げるからあまり遠くへ行かない、むしろ問題があるのは上が高くて下が低い場合、これが音が遠くへ行くのだ、こうおっしゃっているのですが、そうだとすると、昨年の横風用テストの場合には全く問題のないといいますか、音が遠くへ行かぬようなときにテストをして、これでもう済んだとおっしゃるのかどうか。つまりこのときの気象条件、温度の関係からいって、この調査は完全なものと言えるかどうか、ひとつ御見解を伺いたい。
  302. 内村(信)政府委員(内村信行)

    ○内村(信)政府委員 騒音調査と温度の関係でございますが、そういったような議論がおありになることは確かでございます。ただ、騒音調査をいたします場合には、あらかじめいろいろの準備をいたしまして、日にちを特定してやりますものでございますから、したがって、その場になってすぐ変えるということは事実としてはなかなか困難でございます。したがいまして、騒音調査については何回もやっておるわけでございまして、これからもなお必要であればやりたいと思っておりますが、先般やりました横風用の調査がそういうふうなぐあいで必ずしも当を得た日ではないという場合には、またあらためてそういった状況における調査もやって皆さまの御納得を得たい、こういうふうに考えております。
  303. 荒木(宏)分科員(荒木宏)

    荒木(宏)分科員 これはあまり誠実なお答えと思えませんね。私は仮定のことを伺っておるのではなくて、過去のテストの結果を数字をあげてお尋ねをしている。むしろ運輸省自身が音が遠くへ行くので問題ですよとはっきりおっしゃっているような条件のときにやられてないから、もちろん気象条件をあらかじめ制御することはむずかしいでしょうが、あれで事足れりとなさるのかどうか、あれで十分だと言えるのか、つまりもっともっと検討、調査の必要があるのじゃないか、こういうことをお尋ねしておるのです。
  304. 内村(信)政府委員(内村信行)

    ○内村(信)政府委員 ただいま御返答申し上げましたのがちょっとことば足らずでございましたが、先生おっしゃるように、疑念というものはあくまで残さないほうがいいというのが私どものほうのたてまえでございますから、したがって、もっと調査をする必要があればもっと調査をいたします。
  305. 荒木(宏)分科員(荒木宏)

    荒木(宏)分科員 さらに調査をするという御意見のようですから、あわせて関連する問題点を申し上げておきますが、ことに運輸省のテキストによりますと、御案内のように冬場、十二月、一月、二月、それから夜間、このときに音は遠くへ行くものだ、こうおっしゃっている。そのとおりだとすれば、もちろん夜間の調査も必要でしょうし、あるいは横風用についての冬季の調査も必要でありましょうし、今後まだまだそういう点についての調査も当然必要だと思われますが、そのように確認してよろしゅうございますね。
  306. 内村(信)政府委員(内村信行)

    ○内村(信)政府委員 皆さまの御納得のいくまで調査はいたしたいと思います。
  307. 荒木(宏)分科員(荒木宏)

    荒木(宏)分科員 それでは、あのときの風向きが御存じのように南東の風で、しかも一千三メートルからゼロまで無風状態、ああいったときの調査で、大体あの地方は冬場風が強くて、西風十メートルをこえることはまれではないのですよ。前回の四十六年ですか、あのときの調査だって、岸和田では十メートルでしょう。深目では十・七メートルですよ。ですから、そういったことで住民納得のいくまで調査は続ける、決してあんなものでは十分とはいえない、こういう御意向だということを伺っておきまして、その上でさらにお尋ねしたいのです。  四十七年の二月に、当時の飛行場部長が大阪府堺市においでになって堺の議員さん方に、横風用滑走路はつくらない、こういうことをおっしゃったという話なんですが、そのことは耳に入っておりますか。
  308. 内村(信)政府委員(内村信行)

    ○内村(信)政府委員 私も存じております。
  309. 荒木(宏)分科員(荒木宏)

    荒木(宏)分科員 ところが、現在では横風用滑走路をつくることを前提にしてその調査をやっているというのでしょう。御案内のように、すでになされた調査では、ウインドカバレージの数字が、風速限界が二十ノット、十ノットで違いますけれども、それによって必要だというふうに前言をひるがえしておられる。あのときに横風用滑走路はつくらないというふうにおっしゃったのが、時半年を出ずして前に言ったことをひっくり返すようなことがなされている。このことについて、住民納得のいくような説明をされたことがありますか。
  310. 内村(信)政府委員(内村信行)

    ○内村(信)政府委員 おっしゃるとおりに、当初の予定では、ウインドカバレージからいいまして、おそらく滑走路一本でよかろうというふうなことでございましたが、(荒木(宏)分科員「いや、住民説明したかどうかですよ」と呼ぶ)住民説明いたしました。ここにおります飛行場部長が参りまして説明いたしました。
  311. 荒木(宏)分科員(荒木宏)

    荒木(宏)分科員 それで住民の皆さんは納得しましたか。納得しなかったでしょうが。あなた方が、横風用が問題になったときに、それはつくりませんよと言って追及をかわしておいて、そうして今度はそのことについて住民からどうしてなんだという追及があるのに、いいかげんな説明をなさっている。私どもたいへん不誠実だと思いますよ。  しかも、次にお尋ねしたいのは、四十六年九月にあなた方が発表なさった調査概要によりますと、海上から進入をしてきて、そしてサークリングアプローチをする場合には、これは泉南市の上空を通らざるを得ないだろう。いま部長がごらんになっているその本の三七ページにあります。泉南市の上空を通らざるを得ない、こうおっしゃっているのですよ。このときに、サークリングアプローチするとしても泉南市の上空を通らざるを得ないであろう、こういうふうにおっしゃった根拠を伺いたい。四十六年九月にはっきりそうおっしゃっている。その根拠は一体どういうところにあるか、これをお伺いしたい。
  312. 内村(信)政府委員(内村信行)

    ○内村(信)政府委員 問題が二つあったように思います。後段のほうにつきましてはサークリングアプローチの問題、前段につきましては非常に不誠実ではないかというお話がございました。  この点、私少々弁解させていただきたいと思うのでございますけれども、と申しますのは、私ども航空審議会に諮問しておるわけでございますが、航空審議会というものは政府の御用機関ではない。それで独立でもって皆さんがほんとうに客観公正にものごとを判断しようじゃないかというのが基本的な態度でございます。そこで、私どもといたしましては、一番初めは滑走路は一本でよかろうと思っておりましたけれども、その後航空審議会であらゆる角度から検討いたしました結果、やはりそれではいかないであろう、しかし、かといって横風滑走路をつくった場合は騒音が陸地にいくようではいけないというので、こういうことは隠しておいて、あとで要るんだというようなことをやってはいけない、むしろ初めから公にしておいて、横風滑走路をやった場合にはこうなる、こうなった場合にはこういうふうになるということを示唆すべきだということから、むしろ皆さんに十分に御判断をいただくという意味でやったということを、ひとつこの気持ちを御了承願いたい、こういうふうに思います。  それからサークリングの問題につきましては、飛行場部長から御返答申します。
  313. 隅説明員(隅健三)

    ○隅説明員 ただいま先生の御指摘は、われわれが四十六年九月に出しました調査概要の三七ページ、「泉南候補地の横風滑走路に陸側から進入する場合には海側から進入し、サークリングをしたとしても着陸機は泉南市上空から滑走路に進入せざるを得ず騒音が問題となろう。ただし、横風滑走路であるため、その使用頻度は多くはない」この点を御指摘になったことだと思います。この点につきまして、航空審議会のほうにおきましては、当初から陸地においては七〇ホン以上の騒音はしないという前提でいろいろの作業を進めておりまして、この調査概要とは違った横風用滑走路の位置、たとえば海岸から九キロ離す、そういうときに陸上を全然経過しないで海だけでのサークリングというものができるかどうか、そういう技術的な検討をいたしました結果、この前の十月のときに、陸地を通らずに海からの横風用滑走路の進入の調査をしたわけでございまして、このときと若干の事情が違ったということを御了解いただきたいと思います。
  314. 荒木(宏)分科員(荒木宏)

    荒木(宏)分科員 部長、あまりふざけちゃいけませんよ。このときに、泉南市の上空を通らざるを得ないであろう、つまり、ほかにはないんだということをはっきり言っているのですよ、あなた方は。その後、審議会の経過なんということをおっしゃるけれども、審議会の経過録によりますと、この飛行経路について検討されているのはたった一回しかないでしょう。しかもその資料もちゃんとありますよ。あのときにちゃんと図面を書いて、この飛行場の位置によっては、当然泉南市の上空をサークリングしたとしても通らざるを得ない、こう言っておきながら、そのことについて大いに問題が出てくると、今度はちょこっと図面を書きかえて、何らの科学的検討なくして図面をほんのちょっと書き直して、それですっとサーカスみたいに入れますと言っているのですから、科学的な検討も何もないんじゃないか、その位置の選定については。私の言っていることはそのことですよ。ですから、まず、いままでなされた調査について、気温の関係で問題があるところは全く取り上げられていない。それから風速の関係、風向の関係もそうです。季節の関係もそうです。それと前の部長の言明と違うということについても、決して住民の皆さんは納得していない。おまけに場所の選定についてはきわめて恣意的である。こういう調査の状況について大臣は一体どう思われますか。これは政治的な立場から責任のある御見解を伺いたい。
  315. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 ただいまはいろいろな角度から、いろいろの条件のもとにあらゆる調査をしている際だと思います。その中で、いろいろ御指摘のようなこと、あるいはお答えしましたような事情、そういったことがあったかもしれませんが、しかし、私としましては、この航空審議会が新しく関西空港をつくろうというのでありますから、これはほんとうに国際空港、飛行場としまして完全な姿でありたい、またいま非常に各方面でやかましくいわれております騒音の被害につきましても、これを最小限度のものにしないと地元納得をなかなか得にくいだろうということで、この両方からあらゆることを考え、あらゆる条件のもとにおいて最善と思われる結論を出していただきたいと思っておるわけです。われわれとしましては、その結論の出るのを首を長くして待っているということでございまして、その道程においていろいろいきさつがあったかもしれませんが、その詳しいことを私はよく存じません。存じませんが、結論として申し上げられることは、今後とも、いつどこでどんなことがあったか、これは地元方々にも連絡すべきものはしなければならぬと思いますけれども、私は、もっと基本的な問題があったならば、あらゆる点について調査を進めて、地元にとっても納得できるような条件、それから国際空港としての十分な資格を備えた空港の設備その他を完備するようにあらゆる努力をしなければならぬ、こう思っているわけです。
  316. 荒木(宏)分科員(荒木宏)

    荒木(宏)分科員 大臣、お尋ねしていることをすりかえてはだめですよ。私は今後のあなたの決意表明を伺ったのではないのです。あらゆる場合を考えてとか、いろいろな条件を考慮してとか、そんな抽象的なことを聞いたのじゃないのです。いままであなたが最高責任者をなさっている運輸省が設置をする方針でもって現実に調査をやってきているのですよ。これはだれもが否定することのできない事実ですよ。そして審議会の答申を待っているというふうに、まるでよそごとのようにおっしゃるけれども、これは運輸省の付属機関でしょう。決して第三者機関じゃないですよ。だから付属機関が現に過去の事実としてやってきたその事実をとらえて、これで完全なものとあなたはお思いになるかどうか。いままでやってきたこの事実で、調査で、これでもう十分ですと言い切れるのかどうか。そのことを伺っているのです。
  317. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 完全なものとは少しも思っておりません。航空審議会は運輸省の諮問機関であることも事実でございますが、しかしその実態は、いまお示しになりましたように、相当大きな部分を航空局において調査の実務をお手伝いしておることも、これも事実でございます。したがって、そういう条件のもとにおいていままでやってきたことが、これでいいかどうかとおっしゃいますと、私はまだ結果を聞いておりませんから具体的な判断はできませんが、もしもおっしゃるように、なお調査を要する部分があれば、それはもちろん調査してもらわなければ困るということを申し上げたわけでございまして、その意味においては、これまでの作業が完ぺきであって、これ以上調査することはないなんということは少しも考えておりません。今後ともこういった問題については、各方面からの意見を聞きながら、技術的にももっと深く掘り下げて調査を進めていかなければならぬ、こういう気持ちでおるわけでございます。
  318. 荒木(宏)分科員(荒木宏)

    荒木(宏)分科員 大臣、政府委員に聞いてください、いるんだから。これでいいのかどうか聞いてくださいよ、わからぬとおっしゃるなら。それで仮定の問題じゃなくて、先ぬど政府委員のほうでこれで十分じゃないというふうにおっしゃったのですから、大臣も政治的立場責任あるお立場として、いまのままでは十分ではありません、こういうふうにお認めになったというふうに私は伺いますが、よろしいですね。
  319. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 先ほど政府委員が説明したように、まだ調査も十分でないという点があるようでありますから、その点は私も責任者として、当局及び航空審議会がこのような考えでいれば、もちろんそれはまだ調査は足りないのだという判断をせざるを得ないのでございます。
  320. 荒木(宏)分科員(荒木宏)

    荒木(宏)分科員 そこでお尋ねしますが、騒音に続いて大気汚染ですね。非常に大きな問題になっています。ことに大阪府下では、いま光化学スモッグの被害が四十六年からどんどんふえてきまして、この問題を抜きにしてはもう政治は論ぜられないというぐらいに大きな政治問題になっています。そこで、候補地とされている地域について、たとえば泉南沖について光化学スモッグの被害状況、それから航空機の排出する窒素酸化物による光化学スモッグの複合汚染の状況、これについての調査があったかどうか。私どものいままで調べたところによりますと、四十五年そして四十六年、このときに東京と大阪で二、三日、若干の調査をなすっている。そして四十七年に、これは環境庁ですが、大気保全局のほうできわめて一般的な自動車、航空機あるいは電力、そういった複合汚染の寄与率の調査をなすっている。しかし、どれを見ましてもこれだけでは十分じゃない、早急にもっと十分な調査をしなければならぬということを調査担当者自身がおっしゃっているんですよ。これは御存じのとおりでしょう。そこで、私がいまあげました幾つかの調査以外に、その後十分な調査を光化学スモッグについて、窒素酸化物の汚染状況についてなさったかどうかを伺いたい。
  321. 隅説明員(隅健三)

    ○隅説明員 ただいま先生の御指摘のとおり、環境庁あるいは羽田で調査が行なわれたことは事実でございます。それ以外に、われわれといたしましては、現在、航空公害防止協会に豊中地区の大気汚染の状況を調査を依頼いたしております。それ以外に、泉南において総合的な光化学スモッグの調査はまだ実施いたしておりません。
  322. 荒木(宏)分科員(荒木宏)

    荒木(宏)分科員 だとしますと、候補地として選定しておいて、そこの人たちが命と暮らしを守る問題で一番大事なことだと言っていることを、よもや調査せずに済ますという手はないでしょう。ですから、その点についても、いまなされている調査方法と調査項目を、それがきわめて不十分だというふうに指摘せざるを得ないのですけれども、その点について、これは大臣に、政治責任者としてのお立場から伺いたい。いまの内容をはっきり申し上げたんですから……。
  323. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 航空機と光化学スモッグとの関係でございますが、これはもちろん調査をする必要があると思います。ただ、この問題、私はあまりくろうとじゃありませんから、抽象的なことしかまた申し上げられなくて、おしかりを受けるかもしれませんが、世界の各国でも、日本の空港よりもっともっと飛行機の発着が多いような場所でも、やはり若干の調査をしておるようでございまして、その結果は、まだはっきりと科学的な解明ができてないというふうに私は聞いておるのでありますが、いずれにいたしましても、これは一つの重要な調査項目であることには間違いないと思います。
  324. 荒木(宏)分科員(荒木宏)

    荒木(宏)分科員 これは大臣、申し上げておきますが、四十六年の九月に、いま問題になっておるその泉南では、ある中学校で女生徒が十三人この被害で倒れたということから、たいへんな関心が起こりまして、警報や注意報、予報の発令回数がふえ、被害がずっと広がっているのです。そこへ持ってきて、堺、泉北の臨海工業地帯があるでしょう。岬では関電が二百四十万キロワットの発電所の増設を計画しておりますよ。そこへこの飛行場でしょう。しかも、これについて十分な調査がまだないと言っている。因果関係があることははっきりしていますよ。もっとその点を徹底的に調査をすべきであるし、それがはっきりするまでは軽々に飛行場をつくるなということを言う住民の気持ちはもっともだとお思いになりませんか。ほんとうに政府が、政治が、住民の命、国民の暮らしを守るというのなら、その声を取り上げるのが私はほんとうに為政者のなすべき道だと思います。いまおっしゃったように、十分な調査検討を尽くす、それまでは軽々な処置をしないということを期待をいたしまして、関連してもう一点お伺いいたします。  同じく四十六年九月に出された調査概要によりますと、約三億立米の土砂が飛行場の建設に必要だ、こう書いてあります。これは四八ページにあります。第一期だけで二億二千四百万立米が要ると書いてある。候補地ははっきりきまっているんですよ。たとえば、泉南沖の場合あるいはまた神戸沖の場合、これだけの土砂を一体どこから持ってきますか。これは大臣に直接お聞きするのもどうかと思いますから政府委員に伺いますが、このことについては一体どう考えているのですか。
  325. 内村(信)政府委員(内村信行)

    ○内村(信)政府委員 確かに先生の御指摘になりましたように、埋め立て工法を使うとすれば、その土砂をどこから持ってくるか、非常に大きな問題でございます。そこで、端的に申しますと、要するに、私どもだけできめられないというのが結論でございます。そこで、地方公共団体の宅地造成計画、そういったものとの関連におきまして、そういうところから土砂を持ってくるとか、そういう意味では地方公共団体と十分御連絡を申し上げた上で、これで可能であるというふうなことになって初めて実現するというふうに私は考えております。
  326. 荒木(宏)分科員(荒木宏)

    荒木(宏)分科員 局長、ふざけたことを言ってはいけませんよ。飛行場をつくると言い出したのは運輸省でしょう。自民党内閣じゃありませんか。大阪府は困ると言っているんですよ。府会の反対決議もありますよ。泉南市なども、そういうことはもうしてもらっては困る。岸和田市もそうでしょう。高石市もそうでしょう。貝塚市もそうじゃありませんか。泉佐野市もそうでしょう。田尻町、岬町もそうでしょう。南海町も、みんなそうじゃありませんか。地方公共団体に相談をしてつくるというのは、何というふざけたことを言うんですか。自分のほうから言い出しておいて、めどもなしに、反対をしているところに、さあこの土をどうしますか。それが政治ですか。  大臣、これはあなたにお尋ねしたい。この三億立米の土砂をどうするかについては、私がいままで調べたところでは、運輸省の中でも審議会でも全く検討された形跡がない。しかも、よく御案内のように、あの大阪の商工会議所の会頭でさえ、昨年の公聴会のときに、この土取りのことが心配だと、これを推進している当の御本人である商工会議所の会頭さんですらそう言っているのですよ。それを何ですか、地方公共団体と相談してやるというのは。国民をばかにするにもほどがあるじゃないか。大臣のはっきりした御見解を伺いたい。
  327. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 関西国際空港につきましては、今日まで私よりもあなたのほうが経過はよく御存じのようですから、詳しくは申し上げませんが、この計画が始まりまして……(荒木(宏)分科員「土砂のことをはっきり言ってくださいよ」と呼ぶ)土砂のことを言います。その点については、地方公共団体、したがって、ここには大阪府、兵庫県、大阪市、神戸市等が出席されまして、昭和四十六年九月二十三日でございますが、今後の航空輸送時代に対処するために、公害のない国際空港を建設してもらいたい、このためには公団の設置を急ぎたいというようなことについて、この四者との間に意見の一致があったということが、ここに議事録に残っております。私が申し上げたいのは、もちろん地元の各自治体がこぞって反対しているというのに、その場所へ持っていってできるはずはありません。ですから今後、大阪の関西国際空港というものの内容がどんなもので、そして公害がどうなって、いまのおっしゃったような工法ですね、つくり方、それがどういう方法で、どの場所につくるかというようなところがだんだんきまってまいりますれば、ただ反対反対ということだけではなく、だんだんこれは地方団体にも具体的な話をして、そしてわれわれとしては最大限そういう方向で了解を求めて進めていくという方法をとる以外にはないわけでございます。したがいまして、いまの段階では、そういう工法の問題について、局長が申しましたが、地方公共団体に協力を得てと言いましたが、それはこういった段階を経た上で、地方自治体がそれに対していろいろな意見があると思います。それに対して、それならば、こういう方法でいくのならばひとつ完成しようじゃないか、こういうことになった場合の話でございまして、それは反対しているのに土だけ持ってこいと言ったって、できるはずはないと思います。  ただ、私はしろうと考えですが、前々から技術者の話を聞いておりますと、海の中に飛行場をこしらえる場合に、これはしろうとの考えにすぎませんが、いろいろな方法があるということですね。支柱を立てて飛行場をつくるような方法もあり、あるいはフローティングドックみたいに飛行場全体をフロートして浮かせるような方法もある、いろいろな方法があるようでございまして、もしも場所がだんだんここがいいだろうというふうにきまり、そしてその規模がきまってきました場合には、航空審議会におきましては、その工法につきましても、どういう方法が一番公害をもたらさないかということについても当然調査研究をいたしまして、私のほうに、こういう方法がよろしいと思いますという答申をしてくれるはずでございます。だから、そういった点はまだ今日、それならばフローティングドック式のそういう方式でいくのかと言われますと、それはまだ何もその方法をとるほどの腹をきめておりません。そういう結論は出ておりません。また埋め立てでやるのか。埋め立てでやるのが一番通常かもしれませんが、それについても結論は出ておりません。今日そういった問題について、すべてまだ不確定事項があまりに多いのです。だから早くその不確定事項を一つ一つ確定させるようにして、そうしてわれわれに、こういう規模で、こういう場所に、こんな方法でつくられるのが一番いいであろうということを早く答申をしてもらいたい。そのときにはもちろん航空審議会といたしましても、いまはオブザーバーで入っておられるようですが、関係の地方団体の意見も十分聞いた上でそういう答申をしていただけるものと考えておるわけでございます。
  328. 荒木(宏)分科員(荒木宏)

    荒木(宏)分科員 時間が来ましたので、一言私の意見を申し上げて質問を終わりたいと思いますが、大臣がいまおっしゃいましたが、しかし事務当局の作業の進行は、御案内のように、すでに候補地の比較検討項目を定めて、それの評価採点作業を進めておるのですよ。先ほど来、たとえば横風用滑走路の騒音のテストについても不十分な点は政府委員自身がお認めになった。また光化学スモッグの窒素酸化物との関係についても十分な調査がないということもお認めになった。さらに土砂に至っては政府自身の原案すらないということがはっきりしましたよ。地方議会が反対決議をしているのは当然ですよ。これは政府のほうから持ち出した話なんだから、はっきり最後まで責任ある態度を示すべきだと思います。ことに、これはもうよく御案内のことですが、たとえばロンドンの第三空港では、ロスキル委員会などでは十二年間もかかって九回に及ぶ報告書を出していますよ。ヨーロッパだって一年間に五十日もの調査をして、そして結果を明らかにして、ほんとうに命を大事にする政治を実際の行動で示しているでしょう。ですから、いま問題になっておりますこの航空政策、日本の空をアメリカと自衛隊がほしいままにしている、そういう現実や、民間航空がアメリカの不平等な航空協定でたいへんにしわ寄せを受けているという現実や、航空関係労働者の労働条件が非常によくない、管制官の退職が約三割にもなる、そういった現実をすみやかに改めて、そしてほんとうに人命を大事にし、住民の意向をくむ、そういう立場に立った政治をやっていただきたい。そのためには伊丹のいまの問題も解決しなければならぬでしょう。そういうことを運輸省当局、ことに大臣が政治姿勢として強く示される、そうなれば当然いまの案は撤回すべきですよ。そのことを強く申し上げて、私の質問を終わります。
  329. 足立主査代理(足立篤郎)

    ○足立主査代理 これにて荒木宏君の質疑は終了いたしました。  次に、大原亨君。
  330. 大原分科員(大原亨)

    大原分科員 私は、広島市の赤字線である宇品線に対する運輸省、国鉄態度、それからもう一つは、最近方々で始まり出しましたが、広島駅の小荷物、手荷物の民間委託の問題、この二つにしばって質問をいたします。  最初に、きょうは建設省の出席も願っておるわけですが、宇品線と関係があるから言うわけですが、最後に旧広島市内における区画整理の地点として残っておる段原地区の区画整理が非常に大きな問題になっておるわけですが、これは原爆が落ちた爆心地から反対側で、比治山の東側の残った地域がスラム化しておるわけですが、消防車も入れない、何とかしょう。しかし零細な地主が非常に多い。借地借家人その他の利害が錯綜している。もう一つは、広島市でやった東西の区画整理の中で、たとえば他の地域では全然なかったような一坪換地、二坪換地といって、土地がない人に一坪、二坪の土地を与えて、そこからひねり出した土地を与えて、それをもとにして五十坪、百坪の土地を分配したような、そういう区画整理も行なわれて、いま裁判になっておる。だから区画整理としましては地域住民は非常に大きな関心を持っておるわけです。もう一つは、その密集地帯へ広島の駅の前を通って宇品へ行く三十六メートル幅の道路をつける、あるいは東西を貫く二十八メートル幅の道路をつくる。これは比治山を一部ぶち抜く、こういう区画整理があるわけであります。この問題は非常に大きな住民の関心、住民運動となりまして、県の審議会でも大きな問題になっておりますが、建設省はこの現状をどう判断して、将来どのようにしようとしておるのか、その問題についてひとつお答えいただきたい。
  331. 中野説明員(中野三男)

    ○中野説明員 先生がおっしゃいますように、現在段原の区画整理の問題につきましては、一万名以上の方々から事業計画に対する意見書が出てまいっております。二月中にこの方々の中からその意見について口頭陳述をいたしたいという方々が二千数百名出てまいりましたので、その方々の総代の方、あるいは個人でそういう意見を申し上げたいという方々の口頭陳述を広島県当局は受けたわけでございます。現在この口頭陳述にかかったものにつきましで意見書の処理を急いでおる状況でございますけれども、広島県の知事の認可にかかるわけでございますが、この事業計画の認可につきましては、今月の中旬以降に、広島県の都市計画地方審議会にその裁断をまかされておるわけでございまして、審議会が中旬以降にその意見の採択、不採択をきめてくださるのではないか。そういたしますと、もし事情が許しますれば、広島県当局は今年度内、つまり三月末までにでもでき得れば事業の認可をいたしたいというふうな態度でおるようでございます。ただ問題は、この住民方々の約六割くらいの方々が非常に零細な土地が多いわけでございますが、そういう過小宅地が多いということ、あるいは六割くらいの方々が借家人であるというような非常に特殊な事情がございますので、そういう問題を具体的に適切な処理をしなければ、この問題はうまくいかないのじゃないかというふうに考えております。広島市当局もこの問題につきましては非常に真剣に考えておるようでございまして、何らかの具体的な対策を打ち出すものというふうに私ども期待しておるわけでございます。そういたしまして、住民方々の御同意を得ながらこの事業を進めていきたいというふうに思っておりますので、私ども、できるだけ皆さん方の御意向に沿うような方向で御指導申し上げて、事業の進捗に助力をしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  332. 大原分科員(大原亨)

    大原分科員 説明員の答弁としてはあまり出過ぎたことも言えないと思うのですが、しかしいずれにしても、生活環境に非常に大きな変動や、あるいは住宅の問題等含めて零細過小地域があるわけですから、非常に大きな住民の関心になっておる。あなたが言われたように、三月末にかなりめどがつくようなことでは全然ないと私は思います。私は原則的には町を何とかしなければならぬと思うが、しかし、これは原爆被災地で最後に残った締めくくりみたいなものですから、平和記念都市でもあるわけですから、全体的に見て、最後に残ったところをどうするか、こういうところは慎重にやってもらいたい。  それから、この問題に関係をして、国鉄の赤字線の最たるものといわれておる宇品線があるわけであります。広島駅から宇品港まででありますが、これは私が説明するまでもなく、一日に夜間一回往復する貨物が通っておるだけでありまして、この沿線部に学校その他があったわけでありますが、通学する方が非常に存続を希望いたしました時代があるのですが、それはもうバスに切りかえたわけであります。それで鉄道の線路にはぺんぺん草がはえておりまして、そういうふうに減歩とか区画整理、町づくりの問題で非常に大きな関心を持っておる段原地区を通っておるわけです。そうして、草がはえ、たとえば、それが宇品へ行く途中では国道のバイパスに交差するわけですが、立体交差も全然やっていないというわけです。国鉄は一方では、国の方針で道路をつくるからのけのけ、こういうことだけれども、この国鉄の宇品線はどういうふうに将来しようとしておるのか、こういう強い関心を持っておるわけであります。当然、区画整理について、建設省が承認いたしました原案については大変更を求めておるわけでありますが、その際に問題となるのはこの線路でもあるわけであります。したがって、一体どうするのか、どういうふうに国鉄考えておるのか。こういう点についてお答えいただきたいと思います。
  333. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 宇品線の問題でございますけれども、いま先生指摘のように、東広島から宇品まで一日に一往復という非常にわずかな回数で輸送サービスをいたしております。ただ、東広島の駅の扱い場所が非常に狭いという問題もありまして、この宇品の場所において発着する荷物は、広島において非常に消費される生活に関係の深い物資を扱っておりまして、年間において大体八万六千トンほど扱っておる、こういう状況になっておるわけでございます。この扱いをいまのようにいたしましたのは、御案内のように、昨年の四月から、しばらくこういうかっこうでこの地域の輸送の要請にこたえていこう、こういうことになったわけでございます。しかし、今後の問題といたしましてどのように考えるかということにつきましては、宇品港の整備の問題もございます。それから国鉄貨物輸送設備の問題もございます。これらを考えながら、地元の公共団体、それから利用されておる荷主の方、それから一部線路敷につきましては国の財産でもございます。したがいまして、そういう地方公共団体、国あるいは荷主さん等々関係のところと協議いたしまして、今後の問題点としてあのあり方については検討いたしたい、かように考えております。
  334. 大原分科員(大原亨)

    大原分科員 これは単なる赤字線のときの議論としてではなく、労使間でもかなり議論になったことがあるのですが、いまはそれほどの議論ではないわけです。地域住民も旅客輸送しているときには大きな関心を持っておりましたが、いまはあまり関心はないわけです。言うならば、石ころがあり木が横たわっておる、遊び場になっておる、草がはえておるというふうなことですから、町を近代化しよう、都市づくりをしようというときに、これをこのままでいつまでやっているのか。たとえば広島市の交通を打開するために、総合的な交通体系一つとして国鉄の環状線をやる、芸備線あるいは可部線周辺のことを考えた環状線の一環としてこれを生かすのだとか、そういうこと等があるとかいうことなら、またこれも一つの議論でありますが、しかしいまのままで漫然、都市づくりをやろうというときに、あれだけほっておくというようなことはおかしいではないか、こういう議論があることは当然だと私は思うわけです。もう少し具体的な意見をひとつ聞かせてください。あなたができなかったら、総裁が帰ったときでもいいから……。
  335. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 ただいま先生指摘のような、いろいろな考え方でもって、いろいろな御意見があることを承知いたしております。
  336. 大原分科員(大原亨)

    大原分科員 環状線をつくるのですか。
  337. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 そういう御意見がいろいろあることは聞いております。ただ、現時点においては、先ほど申し上げましたように、特定の荷主さんでございますが、この荷物が広島市の生活に非常に直接関係のあるもので、その荷物を扱う場所、輸送、この問題がありますので、さしあたりこういうかっこうでありながら、いま先生の御指摘の問題点も、あるいはまたもっと基幹のルートとしてこれを変更すべきじゃないかということも含めまして、今後十分検討してまいりたい、かように思っておるわけです。
  338. 大原分科員(大原亨)

    大原分科員 つまり住民から見れば、駅のほうから宇品へ向かって三十六メートルの道路ができるわけだ。あと二十八メートルの道路が比治山を通って縦横に突き抜けるわけですよ。そういう町づくりのために、そういう基幹的な道路のために区画整理で減歩とかその他あるわけですよ。そういうときに、ぺんぺん草がはえておるような、遊び場になっておるような線路が残っているというふうなことはおかしいではないか。だからそれと一緒にこの問題を解決してもらいたい。ほかのいろいろな意見は混乱するから私は言わないけれども、この問題はほっておいて、そうして住民の側だけにそこのけそこのけお馬が通るというようなかっこうではいけない。こういう意見です。当然でしょう。しかも一昼夜一往復しかないのですよ。しかもこれがもう、動脈的な意義を持っておるような展望や構想を持っておるのかといえば、そうじゃないわけです。だから一体これはどうするのだということです。あなたはもうこれ以上はだめですか。そこで私が言うのは、あなたが言ったことを翻訳して、よくわかるように言うと、そのことは、市とかあるいは県の地元で、この鉄道をどうするかという、そういう問題について区画整理等との関係考えながら意見を出してきた場合には、その意見を十分尊重して国鉄も処理する、こういうふうに翻訳してよろしいか。
  339. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 そのとおりでございます。
  340. 大原分科員(大原亨)

    大原分科員 それでは、国鉄としてはもうのけてもらいたいのはやまやまである。何ら部内においては組合との関係を含めて障害はない。しかしながらいま貨物がひとつ残っているので、将来構想との関係云々でということである。   〔足立主査代理退席、主査着席〕 地元で十分この問題については案を出してもらいたい。こういうふうにもう一回言っておきますけれども、その点いいですね。
  341. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 現在、先ほど申し上げましたように輸送のサービスをしておるわけでございます。この輸送のサービスをどういう形で転換していくかという問題ももちろんあるわけでございます。しかしそれだからといって地元のいろいろな計画にすぐ支障を生ずるというような結果になっては非常によくないので、現在やっておる輸送サービスをどのように転換していくかということも含めまして、そして地元要望といいますか、いろいろな計画、御意見も十分組み入れまして、積極的に検討して対処していく、こういう気持ちでございます。
  342. 大原分科員(大原亨)

    大原分科員 いままでは沿線学校への通学生がかなりおったわけです。それでこれは存続してもらいたいという運動が起きたわけですよ。しかしそれを押し切って貨物一本で一往復だけしておるわけです。運輸大臣は聞いてみられるとわかるでしょう。国鉄がいかに自主的な機能を失っているかということはまのあたりわかるでしょう。
  343. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 これは実はいままでよく実情を知りませんでした。いま質疑応答を聞きまして、大体宇品線の実態がわかったような気がいたします。これは国鉄にもさらにこれが対策を講じさせますが、なおこういった問題は地元の、若干かもしれませんが、関係者がおられますから、それをただ頭から無視してやめてしまうというわけにもいかないと思いますから、あとの問題も十分に地元話し合いをしながら、それでいまここまでのお話し合いのように、それが真実だと思いますけれども、それが真実であれば、これは早急に措置をしたほうがいい問題ではないかといま感じておるわけでございます。至急にこれは検討させます。
  344. 大原分科員(大原亨)

    大原分科員 つまり住民の側から見れば、やはり旅客の足がたくさんの人には一番大きな関心だったわけです。しかし、これはある意味で押し切ったわけですよ。それで貨物が残っている。貨物も私は無視すべきではないと思うのですけれども、しかしあのような形でぺんぺん草がはえて汽車も通らない、そういうところが残っておりながら、減歩があり、町づくりがどんどん一方的に進んでいくということでは、これはいけない。だから、その点についてはいままでの質疑応答にとどめて建設局の意見は聞かないけれども建設局はよくその事情を聞いて、ひとつ十分連絡をとりながら、地元側の住民の意見を無視しないように、納得できるようにやってもらいたい。これから区画整理なんて、そう簡単に密集地帯ではできるものじゃないのです。一方的に机の上でやったからといってできるものではない。こういうことを申し上げておきます。  第二の問題ですが、広島駅の手荷物、小荷物を民間委託をするという問題です。これはかなり利用者があるわけであります。近くの商売人の方々はもちろんですけれども、重要な関心をいま持っておるわけです。山陽線で手小荷物を民間委託に出した、外託をした、そういう駅の実情を簡単にひとつお答えいただきたい。
  345. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 横川駅におきましてはフロントの関係を委託いたしております。岩国の駅におきましては積みおろしの仕事を委託しております。柳井駅では取り扱いその他を委託いたしております。徳山駅では積みおろし、小郡駅では積みおろし、それから厚狭ではフロント、それから下関では積みおろし。呉線では……。(大原分科員「山陽線だけでいいです」と呼ぶ)広島の駅では積みおろしの仕事を委託しております。
  346. 大原分科員(大原亨)

    大原分科員 たとえば横川という、広島市内の三つの駅の一つがあるわけですけれども、それのフロントの外託をやったわけですが、しかしそこだけ一部をやると、そうすると、いままでのように、荷物を引き受けて、そしてどういう荷物をいついつ引き受けていついつ送ったというようなことでなしに、まとめてぽんと送るようなかっこうになっておる。そういう住民の意見として、それではどうも大切なものを預けたりした場合に責任を持ってくれるかどうかわからぬという。つまり一人の人間と同じように荷物も一つの大きな仕事ですから、その取り扱いというものの一部面だけを切断をして、それを外注に出すというふうな仕組みというものを、そこまでやはり民間委託をやるのかどうかフリーなとか、いろいろなことはありますけれども、専門家にまかすというふうなこともあるでしょうが、しかしそういう国鉄の業務自体の荷物ですから、そういうものの一部を切って外注に出すというふうなメリットが一体どこにあるのですか。なぜこういうことをおやりになるのか、その理由を聞かしてもらいたい。
  347. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 荷物の取り扱い関係につきましては、全国的に、いわゆるフロントといいますか、委託、引き渡しというそのフロントの仕事も、あるいはまた物理的な積みおろしというような作業も、かなりもう終戦後間もなくから委託というかっこうで部外にお願いしてやっておるわけでございます。町中にむしろサービスのフロントを設けて、そして駅まで持ってこなくてもそこで扱うようにしたほうが荷主さんの都合もいいのじゃないかということで、最初その荷物のフロント、積みおろし、それから駅への持ち込み、そういうような仕事を国鉄の代行機関としてやる体制をつくったわけでございます。それが逐次実績、経験を重ねまして、かなり信頼できるかっこうに成長してきておりますので、そういう観点から国鉄としては、そのフロント、積みおろしを委託するのに非常に適当であるというような場合にお願いする。で、委託してやっておる。こういう経緯でございます。東京におきましても非常に量の多い秋葉原とか池袋とかいうような駅、この近辺でもかなり大きな駅は、そういう実績、経験を一つずつ積み重ねながら逐次お願いしておる、こういう姿でございます。
  348. 大原分科員(大原亨)

    大原分科員 国鉄の再建計画ですか、合理化計画との関係はどういうことですか。
  349. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 先生指摘のいわゆる再建計画、こういう観点からの部外委託という問題は、昭和四十四年のおしまい、四十五年、六年、七年と、このようにやっておるわけでございますけれども、ただいまの荷物の委託あるいは引き渡しの請負委託、それから積みおろしの委託というふうなことは、直接その再建計画関係して積極的にこれをどうするのだ、こうするのだという考え方では取り組んではおりません。先ほど申し上げましたように、すでに古い、前からこういうかっこうで経験を積みながら、やることが適当であるという場合に一つ一つやってきておる、こういう次第でございます。
  350. 大原分科員(大原亨)

    大原分科員 十六万なら十六万の合理化がある、あるいは新幹線をやる、そういうこととの関係で定員を減していく、そしてこういうような形態、仕事の形態を変えていく、こういうことではないのですか。
  351. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 大きな意味では再建計画の中に予定しておる場合もありますし、それから、何でもかんでもこれでもって、必ず委託にして幾らか浮かせることによって何人計画するというような、そういうことまで具体的にきまっておるわけではございません。これは管理局の要員の運用の中で、先ほど申しましたように、ここを委託してやったほうがいい、委託ができる、差しつかえないという判断のもとに一つずつやっておるわけでございます。
  352. 大原分科員(大原亨)

    大原分科員 そこから何名ほど定員がそこのフロントを外託することによって減って、そうしてそれを受けるほうはどういう人が仕事をするのですか。
  353. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 この広島のフロントの場合を限定した御質問ではないかと思いますが、(大原分科員一つの例だ」と呼ぶ)広島の場合には、いま計画されておる要員の関係では、四十五名が現在の職員よりも少ない数でやれる、こういう計画になっております。
  354. 大原分科員(大原亨)

    大原分科員 よく外託、民間委託をやっておる場合には、私どもまのあたり見るのですが、国鉄は五十五歳の定年ですよね。まあ実際上は退職勧奨をするのでしょうが、五十五歳でやめた人がそこへ行って働くのですか。
  355. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 先ほど来申し上げておりますように、これは、委託を受けてやる会社のほうはかなり年月もたっておりますので、会社自体でその要員が出ておる場合もございます。国鉄をやめて入る場合には、原則的には五十五歳で退職された人が入る、こういう姿でございます。
  356. 大原分科員(大原亨)

    大原分科員 つまり五十五歳なら五十五歳、管理職だったら五十三歳かな。——やはり五十五歳ですか。それであなたはやめていきなさい、外郭団体にお世話しますよ、こう言うてやるわけです。そしてそういう働ける人はぐるっと回して、新幹線ができるからそのほうへ回す、こういうことでしょう。
  357. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 大体そういう要員の運用でございます。
  358. 大原分科員(大原亨)

    大原分科員 そこでその外託へ行った人は月給をもらう。月給は安くできるようにする。安くして国鉄を五十五歳でやめた人を雇う。そうすると、この人は年金をもらう。年金をもらいながら、五十五歳で安い賃金で働く、こういうことになるのですか。一般的に言えばそうなる。つまり、賃金をきめるときには年金を見ながら、外郭団体でやっておる駅はこうですよと勧奨するというかっこうですか。
  359. 原岡説明員(原岡幸吉)

    ○原岡説明員 御指摘の、年金分を外郭団体で働く場合に差し引いて給与を考えておるかどうかという問題については、一つ一つ違いますので全部のことを申し上げられませんけれども、大体こういうような場合にはそういうことをやっているふうには考えられます。ただ、こういう条件だからやめて向こうに行けというようなことは、一々どの程度話しておるか、これはよくわかりません、具体的な退職の条件でございますので……。
  360. 大原分科員(大原亨)

    大原分科員 運輸大臣、きょうは総裁見えぬのだけれども、やはり国鉄人間を新陳代謝をする、外郭団体に出していく、そうしながら合理化の帳づらを合わしていく。そのときに、私はマル生運動と同じだと思うのですけれども、非常に非近代的であると思うのは、五十五歳から公共企業体の年金はあるわけです。公務員も一緒ですが、これはいつもこういうかっこうではないのです。というのは、厚生年金をかけておりますけれども、六十歳になってからです。厚生年金は五十五歳から私どもはもらえるようにいたします、そういう案をつくっておりますが、六十歳なんです。外郭団体だったら六十歳まで、働く能力があればそこで収入があるわけです。五十五歳で勧奨しているような、そういうところはないですよ。そこで一番いびつなことは、年金を当てにしておいて賃金を下げてやるわけですよ。そういたしますと、この年金には、最近二、三年、若干の改正はありますけれども、スライド制がないものだから、やめたらうんと格差ができるわけです。年金と所得水準、生活水準の格差ができるわけですよ。これじゃ、とてもじゃないが生活できない。少々物価のスライドをやったって追っつかないですよ、一五%以上賃金が上がっているわけですから。ですから、定年を延長して、職場を安定させながら、将来年金で食えるような年金制度をつくっていけるような近代的な構想なしに、こういういびつな合理化をやるのはマル生運動と同じことをやっている。私はそういう面から見ましたけれども、そういう帳づらを合わせるようなことはあまり意味がないのじゃないか。そこで、ある程度人件費云々で頭の数があるのだろうけれども、フロントからずっと一貫した荷物を扱っておいてやらないと、それを助役さんとか管理者だけが監督しているだけではむだなことではないか。現実では二重の仕事をしなければならぬ場合がある。こういうことを言っているのです。だから、小さいところ、いなかのほうで荷物もばらばらというふうなときには、ある程度そういうことについて民間委託ということがあるかもしれない。私の常識的な考え方を言うと間違っておるかもしれぬが、あるかもしれないと思うけれども、大きなところで、そういう旅客と貨物についてはサービスをするという国鉄の使命からいって、こういうことを簡単にやるというふうな頭の構造が私は知りたいのです、国鉄の頭の構造を。私はマル生運動をやっているのと同じことだと思う。たとえば年金一つとってみても、国鉄は年金が成り立たないようになっているのですよ。何かといったら十何万人も首を切ってしまって、定数を減らす。そうすると保険料を払う人は少なくなってくるのです。それで五十五歳からもらうのですから、いまの政府の績み立て方式的な考え方でやるならば、それは保険料は高くなるわ、年金の給付は値切らにゃいかんわ、こういうことになってしまう。国鉄のほうから年金を出していく。自分たちのほうはタコの足を食べるようなかっこうでそこに働く。それは賃金の面においては若干、定数の帳づらでは何か問題は整理されているように見えるかもしれないけれども、そんな合理化はいまの近代化とはおおよそ方向違いではないか。そうでしょう。五十五歳でやめてそこに行って働く。賃金を下げて年金を出していく。そうしたら国鉄当局も年金の分担金をここから払わなければいかぬことになる。賃金では払わないけれども年金で払う。いまのような年金は、五十五歳から出せるようにするけれども、六十歳から完全に出していく。六十五歳からはさらによくしていくとか、そういうふうに年をとるに従って所得水準に合わせるような傾向になりつつある。ですから、雇用と年金との関係考えないで、定年を五十五歳で——六十五歳にしようと労働省は言っているが、五十五歳で切っている。国鉄の経営がきびしいからといって、五十五歳で切っておいて、そして働く労働者の生活安定ができるかどうか。そんなことはとんでもないことだ。きょう大蔵省の主計官その他が出席していると思いますけれども、そういうことで国鉄合理化を進めたら、これは前近代的なマル生運動と同じことだ。  時間もきましたから私は協力いたしますが、こういう問題については地域住民の意見も十分聞く。近くに商店がずらっとあり、中小メーカーその他もあるわけですから、これを利用している乗客ももちろんありますけれども、手小荷物というのは国鉄の残した一つのサービスなんだから、これについての考え方は、そう機械的に、外郭団体ができたからこれからひとつかせげるようなところをつくってやるということだけでやると、非常に問題になる。たとえば国鉄のスト権の問題があるけれども、経営体が違って労働者の組織も違ってくればちぐはぐになることがある、こっちはストライキ権があるからここだけストライキをやるということになると。全部がずっと通しているということになればまだいい。だから、労働問題というものは経営上の便宜だけを考えてやってはいけないという問題も出てきて、利用者にとんでもない不便をかけるだけではなくて、今度は国鉄の労働者にその問題が転嫁される、こういうことにもなるわけですから。一貫した仕事についてやるようなときには、一方的に三月一日からやるとか四月一日からやるというふうなことはいけない、そういう考え方でやるのだったら。この再建計画等についてもそういう結果を踏まえてやっているわけです。五十五歳でやめさせるところが一体どこにありますか、どこの職場にありますか。将来もそうするのですか。そんなことはあり得ないですよ。そんなことをやっていたら日本の年金制度自体もパンクしてしまう。そうすると、ほんとに個人個人の立場に立って見たならば、一生不安におとしいれることになる。一番働く力の出るときに国鉄に働いて、そして五十五歳でおっぽり出される。そういうことはあり得ない。そういう感覚でいまの問題を火がついたようなかっこうでばたばたやるということはいけない。私は別の観点でこの問題に頭を突っ込んでみて、これは国鉄考え方は非常に間違っておるということを痛感をいたしました。運輸大臣、私の質問を聞かれましてあなたの御感想を聞いておきたい。
  361. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 委託の問題でございますが、これは先ほど国鉄からもお答えいたしましたように、必ずしもこれは再建計画と裏表の問題ではないようでございます。再建整備法ができます前の四十二年から行なわれておる。前からこういう制度があったと思います。要するに、これは一般民衆に対するサービスを非常に低下させるかどうかという問題、そういう問題でいまおっしゃったように私も国鉄に対して言っているのですが、委託に限らず、無人化の問題でもやはり地元のほうと十分相談をして、たとえばそのかわりにこんな方法がありますがいかがでしょうかということで、具体的に話し合いをして、やはり国鉄自身も非常に困っているのですから、近代化合理化しなければならぬというたてまえは国民の方にもよく御理解いただいて、そしてお互いに話し合って協力してもらうというような方向で進みなさいと言っているわけです。この問題につきましてもそういう方向国鉄に対処させるようにしたいと思います。  それから定年制の問題でございますが、これは私から御答弁するのはいかがかと思うのですが、これは国鉄だけでございません、全官公吏といいますか、あるいは他の公共企業体にも影響がございますので、それについては先般労働大臣からも聞きましたが、前向きでもって検討しようということになっておりまして、そういう方向で総理府総務長官と労働大臣が中心になって、これが政府の窓口になっていま検討している際でございますから、その結果を待ちましてわれわれもこれに対処したいと思っております。
  362. 大原分科員(大原亨)

    大原分科員 近代化合理化とは関係ない、再建プランとは関係ないと言われたのですが、常務理事は、これはある意味ではそうだ、流れはそうだと。しかし、こんな関係があったら大ごとですよ。そういうことについては国会において議決もしていないし、去年は運賃の問題は廃案になったのですから。そうなっておるのにどんどん既成事実をつくっておるということになりますと、そういうことを私に言わしたら、それはたいへんなことだ、それは絶対いかぬぞということになりますよ。だから、そういうことはそういうことでやっているらしいと私はにらんでおるのです。国会で否決になっても、承認されなくても既成事実をつくってやろうとしている。そのやっていることがほんとうにサービスの向上になるかといえばそうではない。そういう力仕事について、五十五歳でやめた人や、あるいは兼業農家の人で季節的に不安定なそういう人等はどうせ安い賃金で持ってくるのだろうと私は思う、いままでの例によると。そういうかっこうで大きな影響をやったのじゃ少なくともいけないのではないか。そういうことから見て、労使間はもちろんですが、住民との間においても国鉄はどうあるべきだということで、十分納得できるような姿においてこの問題を処理する、そういうことを私は強く要望して、後の機会にこの問題を取り上げる、こういうことで私の質問は終わります。
  363. 前田主査(前田正男)

    前田主査 これにて大原亨君の質疑は終了いたしました。  次に、和田貞夫君。
  364. 和田(貞)分科員(和田貞夫)

    和田(貞)分科員 空港整備計画の中で、関西新国際空港の問題について触れてみたいと思うわけなんですが、聞くところによりますと、三月に航空審議会の結論が出されて答申がなされる、こういうように仄聞するわけなんですが、航空審議会の結論のいかんにかかわらず、運輸省として、関西に、いまの伊丹空港以外に、場所は別として、新空港が現時点におきましてもなお必要性がどうしてもあるのかないのか。あると考えておられるのか。あると考えておられるのならば、なぜ必要があるのだという自信のほどをひとつこの機会に聞かせてもらいたいと思います。
  365. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 これは私どもが言うまでもなく、関西方面のあらゆる自治体でございますとか、あるいは団体でございますとか、そういう方々からいままで、おそらく何年間にわたりまして、関西における中心になる国際空港がほしいという要望は何回も出ておったと思います。これはそういう要望だけではなしに、実際に関西におきまして、旅客も貨物も航空便によって輸送されてくる分量が年々非常に増加しておることも事実でございます。そういう事情でございますから、私は、運輸省といたしましてもおそらくそういう問題について航空審議会に諮問をいたしましたが、そういう諮問をいたしましたことは、結局そういうふうな内外の要望を受けまして、これはやはり関西における政治、経済、文化の必要から、各分野における発展ということを考えまして、この関西新空港をこしらえたほうがいいという結論になってそういう手続を進めておるものと考えておるのでございます。いまそういう視点に立ちまして、いままで運輸省が、運輸大臣から航空審議会に対しまして、関西国際新空港の規模とか、あるいはその位置とか、どうしたらいいだろうかということについての意見を求めているのは私は適切であろうと思っております。
  366. 和田(貞)分科員(和田貞夫)

    和田(貞)分科員 いまの答弁の中で要望ということばが出ましたが、この要望というのは、いわゆる賛成派といいますか、空港に利用価値があるという財界、産業界の諸君。それから乗客が非常に増加しているということ。乗客が非常に増加しているという、その増加しているという数字的な事実は事実としても、その内容というものはやはりよく見きわめてもらわなければいかぬ。国際線の利用者の場合についてもそうです。これは必要性があって海外に渡航するという人よりも、乗客の半数以上がやはり観光客であるというこの事実。国内線につきましても、東京−大阪間をはじめとして、実際に必要に迫られて飛行機を利用しておるという乗客よりも、これもまた半数以上が観光団、団体客が占めておるというこの事実は当然把握しておられると思うのです。そういうところからいきますと、やはりこれとは逆に、神戸港に対して神戸市民を中心とした住民反対運動がいまなお厳然としてあるし、泉南沖につきましても泉州路の住民が厳然として反対運動をやっている。御案内のとおり、一月二十五日でありましたか、泉佐野の議会におきましてはもうすでに反対決議がなされておるのです。地域のいわゆる空港を必要とする、空港の利用価値があるという産業界、商工会議所を先頭にして、泉佐野市議会の反対決議を白紙撤回さそう、こういう動きがありましたけれども、これは住民運動に阻止されましてそのことができなかった事実が厳然としてあるわけです。さらに二月二十八日には、この泉州路で岸和田市議会だけが反対決議がなされておらなかったのでありますが、岸和田市議会もおそまきながら本会議におきまして全会一致で反対決議を行なった。こういう事実の上に立ちまして、要望もあるがというのではなくて、やはりこれだけ反対の強い住民運動があり、泉州路におきましては泉州路の沿線各議会がこぞって反対決議を可決しておるこういう事実の中で、一体、要望といういま大臣が言われたこととこの事実とどちらを重視するのか。たとえば乗客の増加ということにつきましても、はたして、いま申し上げました客観的事実の上に立ってのそれが増加であり、その上に立って空港の必要性というものがあるのか。こういうことをつぶさに検討してもらいたいと思うのです。そういう上に立って、いま答弁された大臣考え方というものはなおそういう考え方になるのかどうか。その点ひとつもう一度あらためてお聞かせ願いたい。
  367. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 いろいろ条件がございますので、私は決定しない条件については仮定の上に立ってお答えをしておるわけでございます。関係の関西方面の地方自治体、大阪府も兵庫県も、それから関係の市もどこも全部、関西にはそういう国際空港は要らないのだということを決議されて、もう空港なんか要らない、こういうことであれば、そこに持っていこうと思ってもできるはずはないと私は思います。しかし、先ほども他の委員の御質問に対してお答えしたのでございますけれども、ここに、私の手元にあります書類を見ますと、これはちょっと古うございます。おととしの九月二十三日ですが、大阪で大阪府の知事やら兵庫県の知事やら、大阪市、神戸市の助役さんが集まられまして、こういうことを確認しておられるのです。大阪の国際空港の現状にかんがみまして——いまの伊丹でございますね——かんがみ、また国際的な航空輸送時代に対処するため、国の責任において、すみやかに公害のない国際空港が建設されること、及びそのためには公団の設置、東京と同じように公団の設置が必要であることについて皆さんの意見が合致した。なお技術的な問題についてはまだ解明されてない問題が多うございますから、そういった問題についてはさらに一そう掘り下げて検討を行なって、住民理解と協力が得られるきびしい条件のもとに進めることを要望する。こういうようなことが確認されておるわけでございます。国際空港の案が出ましてから今日に至りますまでの間にいろいろの意見が各方面から出されておるということも事実でございまして、そういう意見の成り行きを見ておりますと、これはおそらく、お前それは考え違いだとおっしゃればそうかもしれませんが、公害問題が非常にいま叫ばれておりまして、特に伊丹の空港における公害問題なんかを身をもって体験しておられる方々なんかにとりましては、関西の国際空港というものからさらに大きな公害が出るのじゃないかというような御心配から、もう空港は反対であるというようなところに来ているのじゃないかとも考えられるのです。この点につきましては、御承知のように運輸省としましては、いま航空審議会に、これは非常な一流の専門家が集まっておられますし、各方面の権威者がそろっておられるように思いますけれども、それに諮問をいたしまして、関西の新国際空港の位置をどうしたらいいか、それからどういう規模の国際空港がいいのか、空港としての機能というようなものにつきまして、ひとつ十分慎重に検討した上で答申をしてもらいたいということをお願いしておるわけでございます。いま結論を待っておりますが、先ほど仰せのようにこれは三月とか四月とか、そういうふうに早く出ることはないと私は思っております。もっとおくれると思います。先ほどもお答えしたのですけれども、これについてはいろいろ審議会として調査すべき事項もまだあるようでございます。そういったことを十二分に調査いたしまして、運輸省としましてはそういう答申の結果に基づきましてこの新空港をどうするかということについて、十分運輸省自体としても調査、検討した上で、もちろんこれは関係地方団体に対して協力、理解を求めて、その基礎の上に立って今後の建設が進められるものならば進めていこうということでございますから、まだいまそこまでいろいろな作業がいっていない。したがって、いまここでいろいろお話ししましてもいろいろな仮定の、不確定な条件の上に立っての議論になりますので、具体的にはいまちょっと申し上げられないのですが、大体私はそういう考え方で、関西の空港問題に対しましては十分地元の意見を尊重する態勢をとりながら、関西方面でもやはり新しい近代的な国際空港が必要であろうという前提の上に立って調査、検討をいたしておるということで御了解をいただきたいと思います。
  368. 和田(貞)分科員(和田貞夫)

    和田(貞)分科員 大臣は、必要があろうという、必要性を認めた前提に立っていろいろと答弁されたりしておるのですが、だから当然、運輸省当局が必要性あるという前提に立っておれば、やはり航空審議会自体がその方向に指向した答申の結論になってくるということは既成の事実だと思うのですがね。白紙のままで答申をされるという形でなければ。頭から必要性があるんだ、こういう事実の上に立って、それじゃどうだということであれば、審議会自身が調査をやるにしても何にしても、後ほど触れてみたいと思いますけれども、必要性があるという前提に立っての調査、必要性があるという前提に立っての結論、こういう方向に作業が進められていくという危険性があるわけなんですが、その点、いま大臣が触れられたこの必要性があるということは、運輸省当局として既成の事実として確固たる考え方に立っておるのかどうか、もう一度お聞かせ願いたいと思います。
  369. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 当時の詳しいことは政府委員から答弁させますが、審議会に諮問しております事柄の中に——これはもちろん運輸省としましてはさっきも申し上げましたように、そういう必要性があるという前提のもとに、そういう考え方のもとに航空審議会に諮問していることは事実でございますけれども、しかしその審議会に諮問しておる内容は、ここに検討内容として審議会が取り上げております問題の中に、まず第一に関西国際空港の必要性というのがございまして、航空需要から見た必要性というようなことが書いてございまして、これは決してわれわれのほうで航空審議会を拘束するようなことはいたしておりません。これはもう自由に調査をし、自由に討論をして、そういう問題について忌憚のない、政策に間違いのないような答申を出してもらうのが諮問機関の性格でございますから、決してある一つの前提を置いて、これはこうなければならないのだという前提で、その前提の上に立っての答申ということではないのでございますから、この点、さっき申し上げました審議会との関係におきまして多少ことばが足らなかったかもしれませんが、そういうことも含めまして審議会に諮問をしておるということでございます。
  370. 和田(貞)分科員(和田貞夫)

    和田(貞)分科員 そうであろうとも、やはり運輸省当局がその必要性があるという考え方に立てば、おのずから審議会自身は、どんな考えを言おうが、そうなってくると思うのです。また大臣が必要性がある、その理由として先ほど述べられた乗客の数がふえるということ、あるいは新空港をつくってほしいという要望があるということ、さらにはまた、新しく四十六年の九月に神戸、大阪の知事、市長がこういう申し合わせをした。こういう申し合わせをしたということは、いま大臣が言われたことから以降かなりの変化をしているわけです。これは大阪の知事も含めてこの誘致をしようということを申し合わせたなどというような受けとめ方は非常に大きな誤りであって、その後この黒田府知事の真意というものについて、大阪の府議会でただす、あるいは住民自身が運動の中で知事に直接ただす、そういう中で、そうではないのだということが住民の代表やあるいは議会の中で、いま大臣が把握しておられるようなことは逆の考え方というものを答弁しておるということであるわけです。そうすると、これはもういま述べられた理由の中からは、必要性があるということが少しもその理由として出てこないわけです。なぜその必要性があるのかということをもう一度ひとつお聞かせ願いたい。
  371. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 私は先ほど申し上げましたように、やはり日本の国際空港としましては東京に一つということだけではなしに、政治というのは別でございますけれども社会問題、経済問題、文化問題等につきまして、関西方面がやはり日本の国の一つの中心になっているところでございますから、そういう点を考えましても、可能であれば関西にも国際空港というようなものが設立されることが必要であろうという考え方は、私いまも持っておりますが、しかし、それに対応する地域住民あるいは地方自治団体の考え方が非常に流動的であるということも実は承知しておるのでございます。ですから、最終的に申し上げますと、そういう事情があるにかかわらず、運輸省は航空審議会の答申がありました場合に——おそらく航空審議会といたしましてもそういった現実の事実を無視した答申はなかなかできないと思います。だからなかなか答申はむずかしいと思いますけれども、そういう答申があった場合に、運輸省がそういう地域の意向を無視して独走するということはこれはあり得ない、私はそう思っております。のみならず、これは副次的な問題としてお考え願いたいと思うのですけれども、現在の伊丹空港の状況ですね。これなんかも実際問題としては非常に考えなければならぬ問題だと思います。これ以上航空に対する需要はどんどんふえてくる。それと、いまは伊丹空港のほうは便数をなるべく少なくするようにしている。夜間のある時刻以後の離発着というものは制限しているとか、ジェット機についても制限しているとか、地域住民のいままで要望された点は、われわれとしては地域住民の福祉を守るために可能な限り実現してまいりましたが、しかし需要のほうはどんどんふえてくる。そこでどうしたらいいかという問題が起こるわけでございまして、伊丹空港を今日以上に混雑させることはもうできません。そうなりますと、これから航空機自身もいろいろ改良を加えておって、騒音の少ない、公害の少ない航空機がだんだん出てくるかとは思いますけれども、現在のままで推移いたしますと、いままでもたとえば八〇ホン、八五ホン以上ということになってまいりまして、早くこういう措置を何か考えなければいかぬ。今度の法律案を出しているのもそういう趣旨ですが、これだけでは足りない。でありますから、そういうような現在ある伊丹空港との関連におきましても、これは地元の合意が得られれば、もっと公害、被害の少ないところに新しい空港を建てるのが筋道じゃなかろうか。こういったことも、これは政策論よりも実際問題としてわれわれとしては考えざるを得ないというようなこともあわせて考えまして、いまのような措置をとろうとしているわけでございます。航空審議会がどういう答申を出してくれますか、われわれとしては、それによってこれは慎重に考えるべき問題であろうと思っております。
  372. 和田(貞)分科員(和田貞夫)

    和田(貞)分科員 あなたの言っていることが当てはまらないのですよ。一つは、この伊丹空港が公害が起きておるから、だからよそに持っていくのだ。よそに持っていく空港はできるだけ公害がないようにというようなこと。公害がないような空港ができるのであれば、現存する伊丹の空港をまず公害がないような空港にする措置を加えてみて、なるほどこれはやはり政府のいうとおりに、あるいは公害のない空港ということを言うている人たちが言うてることがほんとうだな、なくしようと思えばなくなるのだな、音もしない、排気も起こらない飛行機が飛んで、飛行場ができても全然公害がないな、そういう空港をつくろうと思えばできるのだという実証の上に立てば、いまあなたの言うこと、なるほどそういう空港ができるのだということを住民納得することができると思うのです。  それからもう一つは、先ほども言いましたように、客がふえる、客がふえるというけれども、ふやしているのですよ、政府も飛行機会社も。こんないい商売ないですよ、航空業界ほど。私だっていますぐ、飛行機会社をつくって、これだけの援助をやるから社長になれといったら、私、ならしてもらいますよ。こんなに、航空業界ほど物心両面にわたって政府が過保護政策をやっている業界というのはどこにもないですよ。どこの国を見たってないですよ。そういうようなこととあわせて、航空業界自身が、飛行機会社自身が宣伝にこれつとめて、農協のじいさん、ばあさんを無理やりにリボンつけて飛行機に乗せるようなことをやったり、東南アジアや台湾やどこそこへ行くことを宣伝でかり立てて、そうして客をふやしている。客がふえる、客がふえるというが、客がふえるのではなくて、客をふやすように、乗せるように政府と航空会社があおり立ててやっているのですよ。  だから、その上に立ってこの空港が関西に必要なんだ。住民反対しているにもかかわらずそういうような理由をかってにつくって、必要なんだ、必要なんだといっても、これは当を得た答弁にならないですよ。私は納得するわけにはいかない。少なくともやはり白紙の状態に立って、航空審議会といったような——たちはやはり航空審議会というものを信用するわけにはならないですけれども、少なくとも形式的には、必要性があるのだという考え方ではなくて、白紙の状態に立って航空審議会のこの結論、あるいは住民考え方の動向あるいは地域の実態や議会の動向、そういうようなものを察知した上で、運輸省としては必要性があるのかどうか、あるいはつくるべきか、そうでないのかという結論を出す、こういう考え方に立ってもらわないと、白紙の状態で諮問しているのだといっても、これはそんな目で見ているわけにはならない。その点大臣もう一度反省をしながら——先ほど言われた答弁の内容、理由、成り立たないのです。必要性があるという理由にはならない。もう一度その考え方を繰り返して述べてもらいたい。
  373. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 どうもしゃべり方がへたで、納得していただけない点がたくさんあるかと思いますが、私は結論的には御意見と多少違う点があるように思います。日本として東京国際空港のほかに大阪にも国際空港があったほうがよいという前提で私は考えておりますが、しかし、先ほど来申し上げましたように、空港の問題は非常にいま国民が注目しておられまして、被害がないということはあり得ないと思いますが、しかし最小限の被害といいますか、騒音公害をとどめる努力というものはもちろんしなければならない。でありますから、今度の法律なんかも出しまして、これはいずれ御審議願いますが、いま一番日本で住宅の密集地帯にあります伊丹空港なんかについては、これは端的にそういうふうな公害についての非常に強い国民からの要望が出ておりますから、それにこたえまして、こういう措置もしよう、こういう措置もしようということで今度この予算と法律案を提案しておるわけでございます。その結果どうなりますか。お話しのようにやっぱりだめだということになりますか、あるいはそれはこうしたほうがいいだろうということになりますか、これは御審議のときに十分御意見を聞かしていただきたいと思います。いずれにいたしましても、私たち運輸省としましては、そういうことを最大限やりながら、いまの関西国際空港につきましては、航空審議会の答申を得ました場合には——もう必要ないという答申が出るかもしれません。しかし答申の中で、こういう規模でこういう場所にやったらどうだという答申が出るかもしれません。これについて運輸省が決して審議会を拘束しておるわけではありませんから、自由に答申していただけると思いますが、この段階におきまして、地域方々、地方団体とも十分連絡、協議をいたしまして、そうしてできるなら、既定の方針地域のほうでも入れられるならば、そういう方向に向かってこれから努力をしていこう、こういう趣旨でございます。まだ言い方が悪いので十分でないかもしれません。結論だけ見ると非常に変わったようですけれども、その結論に至るいろいろの考え方を話し合っていきますと、先生ともそんなに開きがないと私は思っているのでございます。  それから、これもまたよけいなことを言うようなことになって恐縮ですが、日本に外国からたくさんの方が来られます。航空機を利用される方が最近ますますふえてきておりますが、これは見方によりまして、そんなに積極的に勧誘しなくてチェックしたらどうだろうというような意見もないことはないと思います。そういう意見も成り立つかもしれませんが、しかし全体としましては、こういうように世界各国の状況がだんだん変わってまいりまして、平和を求めてお互いに交流をして、相手国の実情を知り合って、そこに世界じゅうの国々が友好関係を深めていこうというのでございますから、それはいわば商用を持ったり公務を持ったりして来る人ばかりじゃもちろんないと思いますけれども、そういう人たちの中でもできるだけそういう機会に交流を広めて、日本実情を知ってもらうということはこれは意味のないことではない。したがって、政府としましては、どの省でもそういったものを積極的にチェックしようというような方向では考えてないということでございますから、あまり議論がましいことは言いたくございませんし、御意見は御意見として私も謙虚に承っておきますが、そういう点をひとつ御理解いただきたいと思います。
  374. 和田(貞)分科員(和田貞夫)

    和田(貞)分科員 時間がありませんので、一つこのことだけお答え願いたいと思うのですが、航空審議会のどういう結論が出ようとも、いまあなたの考え方はそうであろうとも、少なくともその設置が予定される地域住民反対だという運動が高まり、その地域の自治体が反対だという考え方を貫く限り、これはやはり成田の教訓というものがあるわけですからね。海であろうが空であろうが陸であろうが、住民意思に反してあなたの考え方あるいは運輸省の必要であるという考え方を強行するということはないでしょうね。そのことだけひとつ……。
  375. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 この地域住民ということばの中にはいろいろな問題が含まれていると思うのです。それで個人個人でも実にわれわれに投書も来ましたし、いろいろしまして、反対だ、賛成だというような意見が寄せられますけれども、やはりわれわれが一番対象にして交渉しなければならぬというのは地方団体でございます。地方団体と十二分に協議を遂げまして、それと一緒に協力してもらえるというような体制のもとにおいて計画を進めていくという以外には方法がございません。
  376. 和田(貞)分科員(和田貞夫)

    和田(貞)分科員 だから、地方団体の議会が反対、こういう決議がある限りはそれを無視するということはない、こういうように受けとめていいですか。
  377. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 そういうふうに御了解くださってけっこうでございますが、ただ私つけ加えて申し上げておきますけれども……(和田(貞)分科員「ただは要らぬ」と呼ぶ)いや、これは聞いてください。私たちのほうはただそんな単純なものじゃないです。そういう場合には、かりに反対を決議されましても、それに対しては実はこういうことなんです、内容はこうでございますということは十二分に御説明をして、できるだけ理解と協力を得られるだけの最大限の努力はいたすということだけは申し上げておきます。
  378. 和田(貞)分科員(和田貞夫)

    和田(貞)分科員 それじゃ時間がありませんのでなんですが、これはもう少し時間をかけて、また別の機会にしたいと思いますけれども、やはり先ほどから繰り返しておりますように、いま大臣なり運輸省が必要性ということをいっておる、その必要性の理由ですね。繰り返しますが、客が多くなった、これは当てはまらないというのですよ。客観的に客がふえていっているのじゃなくて、客をふやすように、乗せるように、極端にいうならばいやでも首を引っぱってきて乗せるように、政府と航空会社が結託をして乗客をふやすようにしているのだというこの事実をもう少し正確に把握してもらいたい。  それから、設置してくれということを要望しているということも一つ理由にあげていますが、設置してくれということを要望しているのはこの地域住民じゃなくて、やはりこの飛行場ができたことによってその飛行場の利用価値があって、それを利用することによって利潤を追求するという産業界、財界、これだけしか、利用することについて利益をもたらして、必要性を感じて、必要性があるのだから早くやれ、早くやれといっているところはどこを見渡してもないのです。それだけなんです。だからそういうような要望というものよりも住民要望が主体というように把握すべきである、こういうように私は思うわけです。  さらに、財界筋が必要性があるということで宣伝これつとめておる中で、地元繁栄論を言うております。私は、飛行場とは違いますが、堺の臨海工業地帯の造成された地域に住んでいるのですが、あれだけの大きな規模の造成事業が五カ年計画で行なわれて、地域の市長は、地元繁栄だ、ときによっては税金ただになりまっせ、こんな宣伝もこれつとめたことがあるのですが、税金がただになるどころか高くなる。それからそういう事業によって地元は何にも繁栄しておらない。これは飛行場の造成にいたしましても工業地帯の造成にいたしましても、その事業をやる土建業界というのは、地元におる二百万、三百万というような零細土建業者はしゅんせつ船を持っておるのではなくて、ダンプをたくさん持っておるのではなくて、そんな機材は持っておらないし、そんな工事ができるはずはない。資本力もない。結局地元の土建業者ではなくて、東京や名古屋に本社のある大手の土建業者がやってきて事業をやる。済んでも帰らぬ。地元に居すわる。そうすると、むしろその事業が終わったことによって、地元地域の河川の改修だとか道路の補修だとかやっておった零細土建業者のなわ張りというか、そういう仕事までも大手の土建業者が取ってしまって、どんどんと中小零細な土建業者がつぶれていってしまう、こういう事実が現象面としてあらわれておる。あるいは商売人でも同じことです。看板一つでも、あの臨海工業地帯の造成事業の中で地元の看板屋に注文があったことはないんですよ。みんな大手の土建業者の系列あるいは進出企業の系列の中に注文がある。決して地元繁栄論というものは、そういう誘致運動をしておる人たちの言っておる理由にはならないのです。事実が事実として出ておるわけなんです。空港の建設問題についても同じようなことが唱えられてくると思うんですよ。こういう事実をやはり客観的に正確に把握していただいて、住民反対という意思に従って運輸省として善処されたい、こういうように思うわけなんです。  時間がありませんのでまたの機会にこの点について触れさせていただきたいと思います。この辺で私の質問を終わりたいと思います。
  379. 前田主査(前田正男)

    前田主査 これにて和田貞夫君の質疑は終了いたしました。  次に、梅田勝君。
  380. 梅田分科員(梅田勝)

    梅田分科員 私は、大都市公営交通事業について政府の見解を質問したいと思います。  快適な市民生活を営む上で、都市計画都市公共交通機関の果たす役割りが近年ますます重要となっていることは言うまでもありません。ところが、先日私が予算委員会一般質問でただしましたとおり、大都市における通勤、通学の混雑は依然として解消されず、ラッシュ時における路面交通の渋滞は目をおおうばかりであります。その結果国民は困る、地方公営企業は経営困難という、まことに国民にとりましては迷惑千万な事態が発生していることは重大であります。そこで大臣に質問いたしますが、昭和三十五年以来六大都市における公営交通機関で表定速度、つまり記録、ダイヤに基づいた運行の速度ですね、これがどうなっているか。バス、電車ともに昭和三十五年と比較して改善されたところはあるのかないのか。東京、名古屋、京都、神戸の例で、バス並びに電車でそれぞれどうなっているか、お答え願いたいと思います。
  381. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 たいへん数字にお詳しいので、三十五年との比較をしろとおっしゃっておりますが、手元にはございません。おそらく政府委員の手元にもいまないかもしれませんが、必要であれば調査の上なるべく早く提出させますが、現在持っておる資料に基づいて一応政府委員から答弁させます。
  382. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 私も正確な資料を持っておりませんが、大体申しますと、バスが十三キロ、路面電車が十二キロでございますが、ただいま私の手元にございますのでは、京都の例をちょっと申し上げますと、昭和三十七年を一〇〇といたしますと、昭和四十六年におきまして市電が九一に下がっておりまして、時速が十二・六キロでございます。それからバスのほうでございますが、これは三十七年を一〇〇といたしますと八九でございまして、このほうは時速が十三・九キロ、こういうふうになっております。
  383. 梅田分科員(梅田勝)

    梅田分科員 私ども調べた数字がございますが、京都の場合は、バスは三十五年のときには十六・三キロ、これを一〇〇にいたしますと昭和四十五年は十三・九キロで八五に下がっておるわけですね。それから電車の場合を見ますと、京都は十四キロ、これが四十五年には十二・二キロで八七です、指数は。この場合、電車の減り方よりもバスのほうが大きい、こういう事実がございます。同様に東京、名古屋、神戸、このいずれもが路面電車の低下率よりもバスのほうが大きい。とりわけ、東京の場合にはバスのほうはずっと四十五年まで歴年減っていく傾向なんですね。ところが電車のほうは、合理化し撤去していっていますからそういう傾向もあるのじゃないかと思いますけれども、四十三年から向上の傾向が出ている。表定速度が逆に速くなる傾向が出ている。そういう点で路面電車とバスとの違いが明確に出ている。こういう事実を運輸省としてはお認めになるかどうかということをまず聞きたいのです。事実そのものを。
  384. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 都営交通のデータを私持っておりますので、ちょっと御質問にお答えしたいと思いますが……(梅田分科員「だらだら言わないで、事実を認めるかどうかだけ」と呼ぶ)東京都で見ますと、バスは三十五年度に比べまして四十五年度は八六%、路面電車も八六%でございます。横浜市は四十五年度バスは八五%、それに対して路面電車は七三%で、路面電車の表定速度の落ちが横浜市の場合には大きくなっております。それから名古屋市の場合にはバスは八〇%、路面電車は八七%ということで、路面電車のほうが落ちの率は低い。京都市はいま御指摘のとおりでございます。大阪市の場合には、これは現在路面電車はなくなっておりますので比較できません。神戸市の場合にはバスが八四%、路面電車八七%というふうに、市によりまして必ずしも同一とは申せない状態にあろうかと思います。もう一つは、路面電車はだんだん撤去いたしておりますので、撤去いたしました結果、かなり走るところが残っておるところはどちらかといいますと表定速度の落ちが少ないということが言えるのではないか、かように思います。
  385. 梅田分科員(梅田勝)

    梅田分科員 私聞きたいのは、全体として表定速度が減っておる、この事実はもう否定できませんね。
  386. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 バス、路面電車通じまして減っております。
  387. 梅田分科員(梅田勝)

    梅田分科員 自治省では「大都市公営交通事業財政再建の経過と反省」という文書をお出しになったですね。その中で、企業環境の急激な悪化による財政再建計画実行上のそごが生まれたと御説明されております。そして「急激な都市構造の変化およびモータリゼーションの拡大に伴なう路面渋滞等」をあげておられるわけです。都市構造の急激な変化は、御承知のように自然に生まれたものではありません。昭和三十五年より大規模に始まったいわゆる所得倍増、高度成長政策、これによりまして大都市に対する産業の集中、それから労働力の流動化、人口が集中をして過密、過疎という現象があらわれたのは御承知のとおりです。さらにモータリゼーションですね。いわゆる自動車優先政策、これによって自動車生産が激増して、道路に自動車があふれるようになってきた。これまた自然に生まれた現象ではありません。自然現象ではない。あくまでも社会現象。政治がそれをもたらしたということは明白であります。  そこで私は運輸大臣にお伺いしたいのですけれども、自治省がいっておる企業環境の悪化、この原因ですね。これについて運輸省はお認めになっておるのか、それとも違う見解があるのか。認めないのか。それを単純明快にお答え願いたい。
  388. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 いま数字でお示しになったとおりだと思います。したがいまして、それが現在だんだん悪くなっておることは事実だろうと思います。
  389. 梅田分科員(梅田勝)

    梅田分科員 モータリゼーションの結果、道路がうまいことすっすっと行かぬようになった。そして大衆の足としての公共輸送機関としてのバス、これの運行も停滞してきた。あるいは、傾向は少し違いますが、路面電車におきましても同じように表定速度が低下してきた。こういう事実を総合的に考えますと、自治省、つまり政府が今日まで計画的に進めてきたところの路面撤去計画、そういう政策、これは運輸行政としては重大な誤りがあったのじゃないか。最近は電車の傾向とバスの傾向というものは明らかに違ってきておるのだから、若干違う例もあるということで反論なさっておりますけれども、われわれ京都ですから、京都の場合は明らかに違っておるという点で、通り一ぺんの、従来のとにかく撤去しろ、赤字だというようなやり方は改める必要があるのじゃないかと思いますが、まず皆さん方がとってきたその政策について反省されておる点はないのかどうか。
  390. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 これはむしろあなたのほうがお詳しいと思うのですけれども、そういったことは一般的にどの都市にも共通の政策として機械的に言うわけにはいかぬだろうと私は思います。多分都市都市でそれぞれの計画を持ち、都市実情に合ったような交通政策をおとりになることは当然でございまして、ですから、ある都市では路面電車を取り払うことを非常に急激におやりになったところもあるし、そうでないところもあると思います。これはやはり地方地方の実情に応じましておきめになったことでございまして、一般的にそういう結果が出たから、どこの都市にでもこれが通則的に当てはまる、そうでなければならないのだということには私は考えておりません。
  391. 梅田分科員(梅田勝)

    梅田分科員 それでは、各都市実情によって政府の施策というものは変化があり得るということでございますか。
  392. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 もちろんそうだと思います。各都市がいろいろ違った特性を持っておりますから、それに応じた交通対策というものを講じるのは当然だろうと思います。ですから、ある都市ではうんと道路を広くして、道路中心でやるものもありましょうし、あるいはいまおっしゃったような路面電車というものもありましょうし、あるいは地下鉄に転換していくのもありましょうし、それは各都市都市の具体的な実情によっておきめになることでございまして、それに対しましてわれわれのほうとしましては、どの都市にも共通の原則というものをつくって、これが方程式だというので押しつけようと思ったってこれは無理だと思います。それで、それぞれの都市がそれぞれの考え方を持ってお進みになった場合に、その都市交通難を緩和する意味で、あるいは積極的には市民の生活をもっと豊かにする意味で、それに対して国としましてできるだけの援助をし、それから助成をしていくという方法をとっておることは御承知のとおりでございます。
  393. 梅田分科員(梅田勝)

    梅田分科員 大いに助成をしていただいたらけっこうなんですがね。しかし大臣がおっしゃるように自治省は指導していないんですよ。運輸省は運輸行政立場としてそれぞれの都市に見合った交通機関というものが必要だということで御指導なさったかしりませんけれども、これからしようというのかしりませんけれども、いままでは、たとえば自治省が出された反省文ですね、自己批判書だ。これにどう書いてあるかといえば、いわゆる「不採算であるとともに大都市交通手段としての役割を果し得なくなった路面電車は、計画的に撤去し、」と、これははっきり政府の方針としてやっていたんだな。その結果、地域住民が非常に大きな迷惑をこうむり、実際に生きた交通機関であるにもかかわらず、財政が赤字だということで撤去を余儀なくされるという事態が続いてきたわけですね。ですから、私はあとでさらに追及したいと思いますけれども、京都のように学術文化の町、千年の古都、古都保存法もあれば、京都国際文化観光都市建設法というような法律もある。そして日本の心のふるさととして守っていかなければならぬようなそういう京都の市電、これ、いま何人利用しているか御存じですか。
  394. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 現在一日が大体三十万人程度の利用だというふうに聞いております。
  395. 梅田分科員(梅田勝)

    梅田分科員 一日三十万人も使っている輸送機関、これは京都市民というのは百四十万ですからね、これはなくてはならない交通機関なんですね。ところがいままで自治省が御指導なさったのは、とにかく財政は赤字だからこれはもう計画的に撤去しなさい、そういう指導しかやっていなかった。そこで、大臣が、各都市実情に応じてそれがほんとうに市民の足を守るにふさわしい、そういう快適な乗りものだということになれば、実情に応じて考えるというのでありますから、私はそれをあとでも追及いたしますけれども、期待をしておきたいと思うのです。  そこで、路面交通が快適に走るためには、軌道敷内に自動車が入ってきてじゃまをしますといけない。私はこの間長崎へ行ったのでありますが、長崎の市電というのは軌道敷内に車を入れないように十分交通規制をやるということで、わりとすいすい来るんですね。そうしますと、ああいう細長い町では非常に便利な、ほんとうに日常の生活手段として市電が利用されているというものをつぶさに見てきたわけです。京都の市電も同じような意味で交通規制をやれば、十分に企業的に採算がなるかどうか、よっぽど営業的政策をとらなければなりませんけれども、かなり希望が出てくるというように思うわけです。そういう点で、政府が精力的に路面電車における軌道敷内の自動車の規制をやる考えはないかどうか、お伺いしたいと思います。
  396. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 どうもこれは私の所管でないようでございます。
  397. 梅田分科員(梅田勝)

    梅田分科員 あなたの管理の電車がうまく走らぬようだから、文句言わなければならぬ。
  398. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 これはたぶん公安委員会関係の仕事ではないかと思います。
  399. 梅田分科員(梅田勝)

    梅田分科員 そんなことはわかっていますよ。わかっているから、政府として、運輸大臣として、自分の管轄している電車がうまく走らぬという問題については、国家公安委員長なりに厳重に要求するというぐらいの姿勢がなかったら市民の足を守れないということを申し上げたい。その決意を聞きたい。
  400. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 ただいま路面電車の問題は先生指摘のとおりでございますが、同時にバスのほうの問題もありますので……。
  401. 梅田分科員(梅田勝)

    梅田分科員 バスのことを聞いているのではない。市電のことを聞いている。
  402. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 すでに、そういったことをどういうふうにやれば交通が円滑に運ぶかという点につきまして、総合的に検討すべきだ、かように考えております。
  403. 梅田分科員(梅田勝)

    梅田分科員 それはまたあとで運輸委員会で何ぼでもやりたいと思います。  そこで財政の問題に触れたいと思いますが、路面交通事業の不良債務ですね、これが激増の一途をたどっているのは御承知のとおりであります。四十七年度末で八百七億円が見込まれております。そして現行の再建計画の終了を待たずに、自治省は新たな手直しを今国会に提出をしてきております。この事実は、昭和四十年度末の不良債務をおおむね七年で解消するということでやってきた政府の施策というものがむざんにも破綻をしたというように理解していいですか。
  404. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 お話しのように四十一年度から七年間の予定で財政再建を行なってまいりました。その再建の骨子は、先ほどお話があったわけでございますが、大都市におきましては路面電車はすでに交通需要に対応することが困難であるという各種の判断をもとにいたしまして、各市から再建計画を立てて、それを私どものほうに御提出いただいて、それを受けて承認をする、こういう方針をとってまいったわけでございます。(梅田分科員「そんなことは聞いていない、失敗かどうかを聞いている」と呼ぶ)先ほど来、自治省が一方的に計画撤去を進めたという話でございましたけれども、それはやや事実に反するというのが私の考えでございます。  失敗であったかどうかということでございますが、この再建計画は、現在やっておりますのは料金収入でもって、いわば企業内の収支の中で過去の不良債務を支払っていくということでございます。しかしその点については先ほど御指摘の、交通環境が著しく変化をしたというようなこと、それから人件費が毎年ベースアップいたしますが、料金はなかなか適正化が困難であるというふうなこと、またその他の各般の事情が加わりまして、企業収支でもって過去の不良債務を返していくということが現実問題としてできなくなったということは事実でございます。そこでそれを是正するための別な新たな再建方策を考えたいということで、今国会に予算並びに法案を御審議願おう、かように考えているわけでございます。
  405. 梅田分科員(梅田勝)

    梅田分科員 労働者は働いて、そして片一方ではインフレが起こった場合には賃上げをしろということは当然のことだし、社会の生産水準、生活水準というものが上がれば、賃上げするのは当然なんだ。ところがあなた方が指導した再建計画というものは、賃上げをまるきり計算に入れてないようなものを指導したわけだ。そしてあなた方は実際に反省の問題として、これは当初から無理があった。給与改定のことを全然計算に入れなかったのはやっぱり最初から無理があったということを反省しているじゃないですか。そして実行上のそごにおきましても、あなた方は見通しの甘さの問題とかその他具体的に書かれているわけだ。これは政府の文書でしょう。だから私は、政府が地方の公営交通企業の財政をほんとうに再建する意思があったのかどうかということがまず疑わしいわけだ。これが全然できていない、こういう事実からやはり深刻な反省をするべきだということを申し上げているわけです。  ところでさらに次の質問を続けますが、それじゃうまくいかなかったということで、今度は新しいものを出してきた。今度の新再建計画では、不良債務のたな上げといいましても、翌年から十五年間に均等で払っていけという計画でございますね。そうですね。
  406. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 法案がまだ提出したばかりでございますが、私ども考えておりますのは最高十五年ということで再建債の償還をやる。ただ再建債の償還につきましては、先ほど申しましたように企業会計の中で措置することは困難であろうと思いますので、国と地方公共団体一般会計で不良債務の返還をしていく、かような考えでございます。
  407. 梅田分科員(梅田勝)

    梅田分科員 地方財政はそんなに豊かじゃないですよ。無限の財源を持って、そしてどんどんと公営企業につぎ込むという、それほどの余裕のある地方自治体はどこもないですよ。もともとこの赤字というものは国の政策の貧困から、あるいは誤った政策から出ているんだ。だから当然、生まれた赤字は政府の責任においてこれは帳消しにいたします、政府は十五年かかろうが二十年かかろうが払っていきます、こういう態度でなければいまの公営企業の赤字というものは解消できない、私はそのように思うのです。実際に具体的な事実に携わっておりますからよく知っております。これは絶対できるものじゃない。あらためて聞きますけれども、それじゃそういう方式でやって、いまのそれぞれの公営企業が赤字なしで今後もやっていけるというように確信がありますか。
  408. 森岡政府委員(森岡敞)

    ○森岡政府委員 公営交通事業は、路面交通のほかに地下鉄事業も大都市の相当数のところは経営いたしております。地下鉄事業につきましては相当思い切った助成の拡充をいたしたわけでございますが、路面交通事業につきましては、先ほど来申し上げましたような不良債務のたな上げなり公費負担によるその再建債の償還なり、あるいはまた自動車の購入費に対する補助なりというふうな各般の措置を組み合わせましてこれから新たな再建に入っていきたい、かように考えておるわけでございます。ただ、最初御指摘もございましたように、交通環境といいますか、都市の構造もかなり変わってきておりますので、この企業環境がいまのままでありますとこれはなかなか困難なことであろうと思います。同時に、企業といたしましても料金問題あるいは経費の節減問題につきましては、これは企業経営上もうちょっと努力しなければなるまい。そういうふうな措置を複合組み合わせまして、私どもといたしまして将来赤字を生ずることのないような努力を内外ともに続けてまいる、こういうことが必要ではないか、かように考えております。
  409. 梅田分科員(梅田勝)

    梅田分科員 結局また前回と同じ誤りを繰り返すということだと思うのです。それをはっきり言いなさい。結局、京都の場合を例にあげますと、四十八年度分を含めまして政府が実際に自治体に援助をいたしましたのは六千三百万円です。ところが京都市は現在までにすでに六十七億円も財産処分をしております。いま撤去計画がおくれておりますので、いまの計画をさらにやりますと一そう大きくなりまして、七十八億二千六十六万円財産処分をしなければならぬ。ところが当初にありました赤字というのは、昭和四十一年のときには十四億三千万円なんですよ。結局五・四六倍も財産処分をしなければ当初のあれが消えないというくらいに地方の公営企業というものは急速な悪化を遂げたのです。これが実態なんですよ。だから、市民が実際に必要としている乗りものを政府が保障していく。少なくとも政府の誤った政策の結果財政が貧困になっている、困難になっている、そういう状況のもとでは、当然新谷大臣が言われたように、その地方の実情にふさわしい乗りものでありますから、それに必要な財源を保障すべきだというように考えるわけです。そういう点で、いま計画されております内容、これは非常に問題がありますから今国会でいろいろ議論されるわけでありますけれども、十分に検討して、そしてもっと積極的な財政援助政策をやるように要望しておきたいと思います。  それから次に、運輸省が昨年、公共料金の値上げは抑制すべきだということで、地方自治体から出されました運賃値上げを認めないで実施をおくらすという事態がございました。われわれは値上げを認めるものではありませんよ。当然公共料金の値上げというものは抑制をすべきであります。しかし公共企業体の側からいいますと、それなりの財政計算をやって、それだけ値上げしてもらわないと困るということで出すわけですから、認められない場合には一定の損失が出てくるわけです。そういう点で京都の市議会では、いろいろ乗客減も考慮して、値上げの時期がずれたという問題で、約十六億五千万円の補正をやらざるを得ないという問題が起こっているわけなんです。そういう点で、フランスでは国が値上げを拒否した場合その財源を補償する方式がとられているのは御承知かと思います。こういう点、政府は、公共料金の値上げを抑制する場合は当然そういう裏づけの財源を補償すべきだと思いますけれども大臣の御所見を承りたいと思います。
  410. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 いまその具体的事例はまだよく承知しておりません。したがって、その当時どういう事情でどういう条件で抑制したのか、いまお答えする材料を持っておりませんが、必要に応じて政府委員からお答えさせます。ただ、いまおっしゃたように公共料金の値上げを抑制するという大きな基本的な方針については、私もそれは同感でございます。今度国鉄の運賃の値上げについて国会の議決を求める法律案を出しておりますけれども、これはまたそこで御説明申し上げますが、公共料金といいましてもやはり料金体系の中の一環をなしているものですから、コストアップしている中で、公共料金だからということだけで長い間固定化していくということになると、これは料金体系の中で混乱を招くものですから、そういった点も考えまして、国鉄の問題については皆さんに非常にしかられながら今度はああいう法律案を提案しているわけでございます。一般的にいいまして、公共料金の値上げを押えたからすぐにそれによって生じる損失を国が全部持てとおっしゃいましても、それはやはり具体的な事情によりまして考えなければならないので、公共企業体の場合はわれわれのほうが優先的に見なければならぬし、地方自治体の経営する公営機関というようなものにつきましては関係の自治体あたりで、その結果がどうなるか、どういうふうに財政を圧迫した結果どういうことになるかということを十分具体的に考えてもらって、そこできめてもらわなければならぬと思います。今日まだそういったことについての制度とか法制というのが、おっしゃったように日本では整備されておりません。しかしわれわれは、法律、それから予算の範囲内で、われわれの手の及ぶ限り、さっき申し上げましたようにそれならそういったものに対しては、たとえば地下鉄なら地下鉄、民鉄なら民鉄、そういったものにつきまして、こういうふうな条件のもとにこういう補助をしよう、あるいはこういう財政援助をしようということはきめておりますので、その範囲内で極力おっしゃったような結果に対しまして、これは結果を緩和しそして地方の住民の福祉につながるような政策をとることについては努力をしているということで御了解いただきたいと思います。
  411. 梅田分科員(梅田勝)

    梅田分科員 私はとても了解できぬですね。  地下鉄問題をやりたいと思ったのですけれども、これは後日に譲ることにして、ただ先ほど地下鉄をつくればいいかのような御発言がございましたけれども、地下鉄はどんどん赤字でどうにもならないということなんです。この三三%にいたしましても、これは絶対に赤字はなくならない。だから私は、国道並みの補助を、少なくとも幹線道路は四分の三やっていますから、そういう大幅な援助をしてやらないと、地下鉄だってうまくいかない。これをひとつ最後にお聞きしたい。
  412. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 いまの、ことし出しております予算案でまた御不満のようでございます。これでもあなたのお立場からごらんになるとまだ足らぬということのようですが、われわれとしましては、四十七年度と比べまして御承知のように画期的に努力をして、そして今度は何とかして、これで地方自治体の御満足かいかなくてもどうにかこれならやれるというような体制をつくったと思っておるのです。なお、将来こういった問題については、いわゆる交通機関についての公共性というものが、今後ともふえはしますけれども減ることはないと思います。だから、そういう実情を見ながらこれはさらに前進する方向考えていかなければならぬとは思っておりますが、今度出したのは、これはとても足りないから四分の三出せとおっしゃいましても、ちょっと今度は——もちろんこれはいまの予算では間に合いませんし、将来の問題にして検討さしていただきたいと思います。
  413. 梅田分科員(梅田勝)

    梅田分科員 第七次の道路計画は十九兆五千億も出すのですよ。出そうと思えばやれるのです。そういう点でいまの答弁はきわめて不満でございますけれども、時間でございますので後日に譲りたいと思います。これで終わります。
  414. 前田主査(前田正男)

    前田主査 これにて梅田勝君の質疑は終了いたしました。  次に、井上普方君。
  415. 井上(普)分科員(井上普方)

    井上(普)分科員 お伺いしますが、去年のいまごろは赤字線を廃止する廃止すると盛んにおっしゃっていたのですが、どうなっているのですか。
  416. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 お答えいたしますが、昨年の国鉄の財政再建整備法の改正案を提案いたしました際には、おそらくそういうことを運輸省当局からも国鉄当局からも御説明をしたと思います。議事録をまだ十分に検討したわけではありませんが、あのときの提案の一つに、やはり地方の閑散線と申しますか、鉄道として機能をだんだん失ったような路線につきましては、これはいろいろ条件がございますけれども、この条件に当てはめるように持っていきまして、そしてこれを漸次に廃止する方向で処理をするということになっておりましたことは事実でございますが、しかしその点はどのくらいの実績かあがりましたか、若干実績がございますから、これについては事務当局から報告させますけれども、やはり予定のとおりにはなかなかまいらなかったようでございます。今度提案いたしております内容は……(井上(普)分科員「まだ提案してないでしょう」と呼ぶ)法律案はまだ本会議にはかかりませんけれども、提出はしてございます。それから予算につきましても、詳しい説明はいたしませんが、そういったことが盛られておるわけでございます。結局赤字線といいますか、地方のローカルのあまり採算のよくない線、これにつきましては、この前の国会で皆さん方から非常に御討議をいただいて、こういう赤字線廃止のごときは国鉄考え方だけで一方的にこれを処理するのは困る、もっと地方住民の意見を聞いて、過疎地域住民の足を守らなければいかぬじゃないか、こういうようなお小言をさんざんいただいたということを聞いております。そういう点も十分今度は根拠にいたしまして、そういう点について運輸省も国鉄もだいぶ反省をしたと思いますが、今度出しております案ではそういう点を考慮に入れ、さらに田中総理が言っております、列島改造というと少し大げさでございますけれども、過密過疎の現象をもっとこれを抑制をして、全国土にわたって、どこに行きましても国民が豊かな生活ができるような環境をつくるのだというようなことにこたえまして、今度は赤字線の廃止という方針につきましては修正を加えまして、この前の御審議のときにおっしゃいましたように、これは地元住民方々の意見を十分に聞いて、納得が得られればそれをたとえば道路に切りかえて、そうして自動車を走らせるとかバスを走らせるとかいうふうに持っていったほうが、地元もそれでよろしいというならばそれで切りかえていきましょう、しかし、地元のほうでどうしても、赤字線であるけれども残してくれという希望が強いというようなものにつきましては、地元のそういう意思をくんでやろう、そういうことに転換をしてきたことは事実であります。
  417. 井上(普)分科員(井上普方)

    井上(普)分科員 地元住民意思を千分に聞いて、それによってやるのだという方針は前々からそのとおりだったのです。そのとおりで、道路に切りかえるというお話は、地元住民納得の上でというのが大原則であったと思います。それはともかくといたしまして、国鉄方針を変えたのは、国会の審議によって変えたのですか。違うのでしょう。それは違うのです。赤字線で廃止する路線を国鉄並びに運輸当局は四十六年に発表されました。ところが田中さんが出てきてからですが、北海道の何とかという赤字線を、当然赤字線になるところを鉄道を走らすようにした。世間は非難ごうごうであった。ところが出てきたのが列島改造論で、今度は過疎過密を直すのだということで、国鉄の使命を認識せられた。それではその前に赤字線であるという理由のために撤去せられたところはどうなるのです。もう一度線路を敷き直すのですか、どうなんです。
  418. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 どのくらい撤去されましたか、あとで政府委員から説明させますが、先ほど申し上げましたように若干そういったのはあろうと思います。しかしそれは先ほども申し上げましたように、私はこのように了解しておるのです。いままでのように赤字線、つまり鉄道を運営しておるよりも、地元方々の意向を十分反映してそれを道路輸送に切りかえたとか、代替の交通機関があるとかいうようなことで切りかえの可能なところを切りかえたものと考えます。
  419. 井上(普)分科員(井上普方)

    井上(普)分科員 そういう地元納得を得、代替輸送があるところ、こういうことで何線でございましたか、あの当時は百幾らの赤字線を撤去するんだということで御発表になったはずです。
  420. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 いまの線の問題でございますが、昨年いたしましたときには具体的に線名とかいうことは申しておりませんで、大体その中でいま大臣が申しましたような線について、あらかじめ運輸大臣が認定していこうということでございます。ただ、あえて線名で申しますと、かつて国鉄の諮問委員会におきまして八十三線というのがあったわけでございます。
  421. 井上(普)分科員(井上普方)

    井上(普)分科員 ところが八十三線のうちでやったところとやらぬところとができておる。しかもその地元納得なんというのはまさしく国鉄当局の圧力によって、はっきり申し上げる、実は調印させられております。それから私の選挙区でも鍛冶屋原線というものを廃止いたしました。ここにも持っておりますが、これはこの前磯崎さんとこの問題につきまして論議したことがございます。そのときには実に不届きな文章の書き方によって、これを地元住民や町議会が反対し、県議会が反対しておるものをやったのです。それについては一々国鉄職員が住民の家を戸別訪問して、そして圧力をかけながら、利益誘導的なことをやって、道路はこのようによくしますというようなことをやりまして、ついに町議会をしぶしぶ納得させたのであります。いまその地元では何と言っていますか。田中さんが出てくるのが半年おそかった、こう言っています。町議会で堂々とこういうことが言われておるのです。そのように非常に強引なやり方によりまして、実は私どもの県、徳島県におきましては鍛冶庵原線が廃止になりました。これについての国鉄当局態度といいますものは、まさしく強引そのものということば一言であらわせるほどの執拗さをもってやりました。町長に対しましては住民はものすごい反発をしています。おまえは自民党の町長だから、政府の圧力によって、あるいは国鉄の圧力によってあのときにとうとう屈してしまった。リコール運動も起こしかねないような動きであります。いいですか。そこで、私がこれをいただいたのが四十六年五月です。このときに地元住民に対しまして、利用する住民に対しましてお約束になった。約束をしているのです。もし廃止するならば、三カ月以内にこのレールは撤去してそこに代替輸送の道路をつくるんです、こうおっしゃっておられるのであります。ところが、私も先般総選挙の際に走ってみまして、ここには道路がもうできておるはずだがと思って行きましたら、何のことはない、線路はあげておりますけれども、草ぼうぼうで自動車の通れるようなものじゃない。えらい約束が違うな、町議会議長さんどうしたんだといって聞きますと、いや国鉄さんは、実は約束したんだけれどもやってくれないんだ、結局あのときの約束で、当初の約束とは全然違ったものが出てきた、困ったことです、こういう話なんであります。これを廃止いたしましたのが四十七年の二月でございますか、こういうふうなことじゃ困ると思うのです。一たん約束したら、地域住民との約束は守ってもらわなければなりません。しかも地元住民はそれが残ることを非常に希望しておったにもかかわらず、住民にとっては強引なる手段によって実は廃止させられたのであります。この約束が守られていないことです。いかがお考えになりますか。
  422. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 私もその辺の事情はよく知っております。先生もよく御承知のはずであります。それをよくごらんくださいますと、三カ月以内というのはいわゆる緊急整備、地名は詳しくなりますから、手前のほうと奥のほうと、それは国鉄の費用でやります、四十七年の五月に両方ともでき上がっているわけです。詳しく申し上げますれば、片一方は四十七年の五月二十八日三千万円国鉄負担でございます。それから片一方の手前のほうは四十七年三月十四日一千百万円国鉄負担、これはすでに四十七年の三月、五月にそれぞれでき上がっております。その後の実施のしかたにつきましては先生も御承知のように、四十六年すなわち一昨年の十月十六日、すなわち廃止の前に、ここにいま現物を持っておりますが、上板の町長、町議会、県の総務部長それから国鉄のほうの総局長とちゃんとした確認書をつくりまして、その確認書によってやっているのでありまして、いま私のほうが約束を守らないとおっしゃられること非常に残念なことなんです。
  423. 井上(普)分科員(井上普方)

    井上(普)分科員 総裁、あなたは約束を守っておるとおっしゃいます。その確認事項でしょう。十月段階での話でしょう。五月の段階というのはどうなっておるのです。五月の段階で住民一人一人に当たっての話のときの約束と十月の約束とは違うのですよ。御存じですか、現地でそういうことがやられておるのを。
  424. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 その先生のお手元にあるパンフレット、それはその後先生の委員会における御指摘で直したことは先生承知かと思いますが、それは、新しいのをお持ちでございませんが、もう少し版の小さいのを先生にも差し上げたのがございます。それによりまして実際の実施上の問題を、十月十六日にいまの関係者四名、県の総務部長も入りまして、道路予算を伴うものでございます、国鉄予算でできるものは先ほど申し上げましたとおり緊急整備、あとは道路予算でございますので県も入れて、したがって県の補助なり地元の町村の負担なりということで確認を結びましたわけです。もしこれ以上詳しいことをあれでしたら、私どものほうの担当の局長も参っておりますから、もう少し詳しく御説明申し上げます。
  425. 井上(普)分科員(井上普方)

    井上(普)分科員 磯崎さんのいま左手におられる、赤字線廃止するときの理事の方でしょう。私もそのときに論争したので知っております。そのことは知っております。しかし、五月段階で住民説明した内容と、十月にあなた方が県の圧力をも借りて調印をさした内容とは違うのですよ。これはこの線路をはずした場合道路にいたします、一年以内にやります、こうおっしゃっているのですよ、各人に。あなた方が住民に御説明しておることは、いいですか、国鉄職員が一軒一軒当たってそう言ってやっているのです。なんなら私はその証拠も持ってまいります。現在はどうかというと、両側はやられています。それはおっしゃられているとおり。ところがまん中のところが全然できていないじゃありませんか。いまは町長のリコール騒ぎも起こりかねない。住民の諸君は、あのときうんと言ったから鍛冶屋原線は廃止になったんだ、あのときもう少しがんばっていればあと四カ月で田中さんが出てきてこうならなかったのにといって、現在は非常に不信が起こっております。で、住民に対して赤字線をともかく廃止した、そのことにつきましての住民納得は実はまだとれておりません。いまでも反対同盟があります。こういうような状態なんであります。したがって、一たんお約束になったことは、これは十分に守っていただかなければいかぬ。たとえ国鉄職員が出先に行ってしゃべったことにいたしましても守っていただかなければならぬと思うのであります。あの当時八十幾線赤字を出されて、名前はあげなかったかもしれません。ちょいちょいあげられておった。しかし諮問委員会で出されておって、事実全国にわたって出されておったその線のその後は一体どうしているのです。
  426. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 先ほどからのお話、少し二つの問題がこんがらかっておりますので申し上げますと、四十三年には国鉄独自の判断でと申しますか、国鉄の諮問委員会が八十三線区二千六百キロをやめるべきだ、こういうふうに申しまして、これは私は国会の委員会でも御説明したことがございますし、線名もはっきり外に当時出ております。その後運輸省としまして、昨年度の予算編成にあたりまして、これはもうすでにおやめになったことですから申し上げますが、三千四百キロ余りの路線を五年以内にやめる、もしやめられなかったら云々ということで、昨年の廃案になった予算措置はできたわけでございます。これは御承知のとおりです。まだ予算に百五十億残っておるわけでございます。それは先ほど大臣がおっしゃったとおり、昨年のいわゆる三千四百キロを五年以内にやめるということは今度はやめたわけでございます。しかし私どもといたしましては、昨年の総合交通体系その他でもって、地方交通——どもは赤字線ということばは使っておりません、地方交通線でもって道路輸送で間に合うものについては道路輸送に転換するという方針には変わりないわけでございます。したがいまして、いままですでにやめたのは百キロちょっとございますが、大体年間三十キロくらいは、いままでやめたものと大体同じ程度のものがあるという前提のもとに、いま御審議願っておる予算案の中にも、その三十キロ分を廃止した場合のアフターケアの金がついておるわけです。したがって、全部廃止計画をやめたのでなく、いままでやめたと同じ程度のものについては当然道路輸送に転換できるものとして、年間大体三十キロと申しますのはいままで私どもが過去三年間にやってきた年間実績をとってきたわけですが、年間三十キロくらいならば、いままでの客観情勢から見て道路輸送に転換できるということで、いま御審議願っておる予算案にそれが組まれておるわけです。したがって、昨年の三千四百キロの問題は一応死んでおります。しかしその前の、道路輸送に転換できるものは転換するんだという総合交通体系における地方交通線問題の取り扱い方はいまもって変わっていないわけでございます。
  427. 井上(普)分科員(井上普方)

    井上(普)分科員 時間がございませんので、私は深くは問いません。  それでは、先ほどもおっしゃいました自動車輸送に転換するんだといって道路整備の金百五十億は使わずに残っておるのですね。  ではどうです。せっかく去年廃止して、いま皆さん方が地元住民に対してお約束して十分できていないところ、それを早くやったらどうです。県道にするのでございましょうから県のほうに委託しておるようでございますが、途中の間は現在遅遅としてはかどっておりません。これらも国鉄があるいは操作をして早く道路整備をやる必要があるんじゃございませんか。あの付近を私らも走ってみまして、頭としっぽのところが、特にしっぽのところが非常に道路状態がよろしゅうございますが、胴体のほうは、これはまさに非常に困った道路になっておるのです。やはり地元住民、利用者に対しては迷惑をかけています。やられたらどうですか。百五十億も金が余っているのですから、どうでございますか。
  428. 磯崎説明員(磯崎叡)

    磯崎説明員 先生承知かと思いますけれども、いわゆる胴体のほうもすでに県にお譲りしてございます。土地は時価の十分の一、すなわち一億一千何百万円という時価を十分の一に否定いたしまして、一千万円でもってすでに地元——地元の県にでございますが、あの土地を全部お譲りいたしました。したがって、私のほうといたしましてはもうすることは全部してしまった、もう登記も県にお移ししております。したがって、あとはもう県でやっていただく。それはやはり県全体としての道路整備のお考え方があるということでございます。
  429. 井上(普)分科員(井上普方)

    井上(普)分科員 あなた何ですよ。道路にする土地を県に安く譲ったからといって、地元の鉄道を利用しておった人たちに何の影響があるのです。汽車に乗っておった乗客さんは、県に道路を安く売ったってそれは何ら関係はありませんよ。早く道路ができて、あなた方が言う代替輸送が十分にできることが最も望ましいのです。それが全然進んでいない。土地を県に安く譲ったところで、県がその土地を利用して道路をつくらなければ、住民には何の意味がありますか。そしてまた、そういうお約束のもとに早く道路にかえるんだということであなた方はあの説得をやったんじゃありませんか。だから、あなたのほうで百五十億も金があるなら、しかも県のほうは貧乏県なら、融資なりあるいは何なりという形で道路を早く整備してほしい。それでなければ住民に対して約束が守られないというくらいの親切心はあってしかるべきじゃないですか。
  430. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 いまの百五十億という金でございますが、これはちょっと予算のつけ方が違いまして、いわゆる運輸大臣が認定いたしまして五年間に廃止する場合のお金でございますので、それを直ちにそのまま御指摘のようなことに使うわけにはまいりませんが、私ども運輸省といたしましても、いわゆる地方閑散線が廃止されましたときには、国鉄はもちろんでございますが、運輸省といたしましても、そのつど建設省のほうに書面をもちまして道路の整備をお願いしておるわけでございまして、今後もその点につきまして、いま御指摘の点につきましても、運輸省といたしましても努力をいたしたい、かように考えております。
  431. 井上(普)分科員(井上普方)

    井上(普)分科員 できていないから私は言うのですよ。それが県道になる、県に譲ろうが、何をしようが道路になってくれれば住民は何にも文句を言わないのです。安く県に譲ったので私はあと知りませんなんということは、顧みて他を言うということばが昔からありますが、そのとおりだと思うのです。ただこういうような、特に住民に対し不便をかけるんだというようなときに、一時的——皆さん方は一時的とお考えかもしれません。しかしながら住民は鉄道がほしい、それを無理やりに撤去したんだ。あの鍛冶屋原線の例につきましても、もう私はここで申し上げませんけれども、あれをまた延ばすために鉄道敷まで用意しているのです。それを住民の願いを打ち切ってやっておるのでございますから、これはせめて住民要望にこたえるような方法をとっていただきたいと思います。  それから、陸運局は来ておりますか。——実は私先般もこれはお聞きしたのでありますが、調べてみますと、実はこの間うちから土地問題で少し勉強しておりますと、私鉄関係におきまして非常にたくさんの土地を持っておるのであります。この内容を御存じでございますか。
  432. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 鉄道監督局といたしましては、いわゆる地方鉄道の会計規則によりまして鉄軌道の収支内容ということについては詳細に承知いたしておりますが、その他の兼業につきましては、いわゆる不動産事業といたしましてその各年度の損益は承知しておりますが、具体的な面積は承知いたしておりません。
  433. 井上(普)分科員(井上普方)

    井上(普)分科員 損益の関係——運賃で、おたくは私鉄の関係をやっておるはずです。そうすると私鉄の経営内容というものを十分に知っておらなければいけない。それじゃお伺いしますが、私鉄の財産目録で一体どのくらい土地があるのです。何億くらいと評価されておるのです。これは突然の話であなたもなかなかお答えにくいと思います。しかしながら私が調べてみますと、東京、首都圏におきまして実は大手を上から順番に調べますと、二十社のうちで全部、東武にいたしましても西武にいたしましても、あるいはまた帝都にしましても京成にしましても、全部ともかく市街化地域の土地を大量に持っておるのであります。全部あります。その上へもってまいりまして東急不動産なんという会社も持っておる。住宅問題、土地問題がこれだけ大きいときに、その内容を監督官庁である運輸省は知っておらなければいかぬと私は思うのです。これはお調べになる御用意がございますか、どうですか。
  434. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 私たち私鉄の監督といたしまして、また特にいま御指摘のような運賃の認可につきましてもわれわれ責任を感じておりますので、私鉄の収支につきましては十分努力いたさなければいけませんが、私たちといたしまして、法律上の手続が、現在鉄軌道関係の収支またそのいわゆる財産内容ということば明確に承知いたしておりますが、兼業といたしましての収支、これにつきましては、報告は受けておりますが、特に不動産の場合二つに分けまして、たとえば不動産の土地の所有の場合とそれからいろいろな管理をしている場合とあるかと思うわけでございますが、これの個々については承知いたしておりませんで、全体として不動産業としての各期の収支、これは把握いたしております。
  435. 井上(普)分科員(井上普方)

    井上(普)分科員 収支はどれくらいになりますか。突然のことで、大まかでけっこうです。
  436. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 たいへんあれでございますが、そういった財務関係の資料はちょっと持っておりません。
  437. 井上(普)分科員(井上普方)

    井上(普)分科員 突然こういうことをお尋ねいたしまして、資料をお持ちでないこと、私もある程度わかります。しかし現在の首都圏における宅地の不足の現況を見てみますときに、私鉄がいかに大きく持っておるかということに実は一驚するのであります。したがいまして、この土地問題は、いま国としましても重要な問題であります。そこで大臣、これは政治家である大臣の決断なんです。私鉄関係の持っております土地につきまして、十分御調査になる必要が私はあるのじゃなかろうか、こう思うのであります。それは権限上からいえばただ路線上の収支だけでいいでしょう。しかしながら国民の要求しておりますこの土地問題に対処するには、やはり行政機関全体が一丸となって対処しなければならないと思います。その中における私鉄関係の土地所有がいかに大きいかということを考えますと、これは運輸大臣としてもほうっておくわけにはいかぬと思いますが、いかがですか。
  438. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 これは、運輸省に与えられた権限の上から申しますといま鉄監局長が申しましたとおりでございまして、この不動産業としての問題は一元的に建設省が扱っておることは御承知のとおりでございます。宅地建物取引業法でございますか、そういうことで建設大臣がすべての不動産業につきましていろいろの規制をしたり報告を取ったりしておることは御承知のとおりでございます。この点につきましては、政府全体の責任においてでございますけれども、同じことをこれは関係があるからと申しまして甲の役所も乙の役所も一緒になってやりますとかえって混乱いたしますので、これは鉄道軌道の事業に非常に影響が大きいというときには建設省と十分打ち合わせいたしまして、この点について遺憾のないような措置をとっていくということがよろしいのじゃないかと思います。
  439. 井上(普)分科員(井上普方)

    井上(普)分科員 この土地問題についてはそのような段階はもう過ぎておる。ある人は、土地問題によって暴動でも起ころうかというような事態だとさえ極言しております。行政機関が一体となってともかく土地問題の解決に臨まなければならない。これは新谷さん、あなたは運輸大臣であると同時に国務大臣なんですよ。そういうような立場に立って土地問題を真剣に取り扱っていただきたい。その中において、特に私鉄が持っております、あるいは私鉄がダミーを使って買っております土地の広大さというものは首都圏におきましては一驚するほどなんです。こういうようなことをひとつ十分お考えの上で今後とも対処していただきたいと思うのですが、どうでございますか。
  440. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 その点はおっしゃられるまでもなく、閣議におきましてわれわれも土地問題につきましては発言もし、建設大臣に対しましていろいろアドバイスもしておるのでありまして、今後も、特に鉄道軌道の会社とは非常に関係の深い土地でございますから、十分留意いたしまして、土地問題が国民のために解決されますように努力をしなければならぬことはおっしゃるとおりでございますから、そのように努力いたします。
  441. 井上(普)分科員(井上普方)

    井上(普)分科員 終わります。
  442. 前田主査(前田正男)

    前田主査 これにて井上普方君の質疑は終了いたしました。  次に、宮崎茂一君。
  443. 宮崎分科員(宮崎茂一)

    宮崎分科員 私は、地方開発という観点から、運輸大臣の所管事項につきまして二、三御質問したいと思います。  御承知のように田中内閣になりましてから日本列島改造論というものが出てまいりました。大都市の過密、そしてまた地方におきましては過疎がございます。こういうような段階で、もうこれ以上日本の経済が発展いたしますと、そしてまた大都市に人口が集中するということになりますと非常な問題が起こる、だから田中内閣としては地方にひとつ分散をしよう、こういうような政策だと承っておるわけでございます。したがいまして本日は、運輸大臣がこの地方の開発に対して実行の手段として持っておられますところの国鉄、特に新幹線の問題、それから港湾、この二つの事業が地方開発につきまして運輸大臣がほんとうに現場におきまして一番実現の手段を持っておられるわけでございますから、この二点にしぼりまして御意見を伺いたいと思うわけでございます。  なお、日本列島改造論の中にも、あるいはまた最近出ました経済社会基本計画の中にも、これからの国土開発の問題として全国の交通、通信のネットワークをつくるのだ、これが一番基本になる問題だ、こういうふうにいっております。そしてその中でも新幹線鉄道と高速自動車道の建設、それから電話の問題、こういうのをとらえているわけでございますが、まず大臣の所管でございますところの新幹線、これをひとつ大いにやるということなのかどうか。列島改造論とともに、このような大臣の所管事項につきまして、大臣の所信と申しますか抱負と申しますか、そういったものをひとつお教え願いたいと思うわけでございます。
  444. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 お示しの点、これは非常に広範になりますが、端的に申しますと、やはり交通ネットワークを完備しようという命題だろうと思います。そのためには、一番根幹になるのは、鉄道についていいますと新幹線の問題、これは御承知のようにいま山陽新幹線までできております。それからさらに追加をいたしまして東北新幹線、それから信越に至ります幹線、さらに九州のほうへ伸びる幹線、それから東北から北海道のほうへ伸びる幹線というようなものを逐次計画に入れまして、いまそのうちの新しい五線につきましては国鉄と鉄建公団において調査をいたしておりまして、その報告が出次第、なるべく来年度内には着工に移したいと考えております。これがほんとうに骨格になりまして、それから今度は地方の都市都市との間を結ぶような鉄道がやはり問題になってくると思います。これにはやはり在来線を相当に使って新幹線との連絡というものを十分にしないといけないということで、在来線の複線電化というようなものを進めておるわけでございます。それから、そういうふうにしてまいりますと、鉄道だけではなしにもちろん高速道路などもございますけれども運輸省所管事項としましては、やはり問題になりますのは地方の港湾と航空関係の空港の整備、この二つが並行的に取り上げられなければならぬと思います。そういったものをあわせまして、日本交通体系というものを整備し、そして過密過疎の状況を解消する意味におきまして、地方的な交通体系もそれに応じましてだんだんに整備していく。いまの港湾とか空港とかいうものをあわせまして整備していくというようなことが、われわれに当面与えられた一番中心の課題になるというふうに考えておる次第でございます。
  445. 宮崎分科員(宮崎茂一)

    宮崎分科員 いまの大臣のお話でもわかるわけでございますけれども新幹線は新しい日本交通の背骨でございます。日本列島というのは、考えてみますと非常に細長いわけでございまして、北海道から九州のはじっこまでございます。したがいまして、私は新幹線計画はいろいろあろうかと思いますけれども、青森から鹿児島まで、これは背骨でございますから、早くまっすぐ通していただきたいと思うのですが、その点につきましてはどうですか。もしなんでしたら国鉄のほうからでもどなたかおいでになりますか。
  446. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 ただいま大臣が申したとおりでございますが、博多までは四十九年度に完成いたします。それから盛岡まで、それから新潟までは五十一年度に完成いたします。それから先のいま調査いたしております五線でございますが、これは五十三年度に完成する予定になっております。
  447. 宮崎分科員(宮崎茂一)

    宮崎分科員 いまのお話で青森まではどうなりますか。五十三年度でございますか。
  448. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 盛岡までが五十一年度でございまして、青函が五十三年度に完成する予定でございますので、青森からさらに札幌まで、それから鹿児島まで、長崎まで、これを五十三年度中に完成する予定にいたしております。
  449. 宮崎分科員(宮崎茂一)

    宮崎分科員 五十三年度完成ですか。私は、この背骨はなるべく早く完成させるということと、それから年次計画というものをしっかりして公表したほうがいいんじゃないかと思うのです。といいますのは、それに関連をいたしまして、いろいろな道路の計画なりあるいはまた企業がそういったものを見込んで早く企業の立地をきめる、いろいろな問題がございますから、ひとつなるべく早く、そしてまた駅、これが一番重要でございまして、途中のほうは何もとまらないわけですから、駅をどこにつくるか、こういったことも大事だと思いますが、たとえば九州新幹線につきまして、駅をどこにつくるというようなことがわかっておるのかどうか、ひとつお答え願いたいと思います。
  450. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 ただいま工事いたしておりますいわゆる工事三線と申しますが、これは経過地あるいは途中の駅、これも明確でございますが、調査五線につきましては、先ほど大臣が申しましたように、ことしの六月の末までに調査報告が国鉄、公団から来るわけでございまして、それを運輸省におきましてさらに十分検討いたしまして、それに基づきまして整備計画をつくり、さらにその後に国鉄、公団から工事実施の認可申請が出てくる、こういうことでございまして、いま御指摘のいわゆる完成時期の問題あるいは駅の問題、これはそういった手続を経まして明確になる次第でございますが、御指摘のようにいわゆる各地方におきます問題もございますので、できるだけすみやかにこういった点もきめなければならない、かように考えております。
  451. 宮崎分科員(宮崎茂一)

    宮崎分科員 この新幹線の場合でも、私は鹿児島ですからよく存じておりますが、たとえばいまの西鹿児島駅に乗り入れるということは大体確実だといわれておりますし、またそうしなければ従来線との連絡はつかないわけですね。そういたしますと、ほんとうにやるということであれば、いまのうちに西鹿児島駅の市街地の駅のあたりは早く調査なり買収なりそういったことをされる意思はあるかどうか、こういった問題について国鉄のほう、いかがですか。
  452. 内田説明員(内田隆滋)

    内田説明員 国鉄の工事はすべて認可申請事項になっておりますので、いま運輸省のほうの秋富局長が言われました工事の実施計画の伺いを出しまして、それが認可になりましてから実際の工事に着工するという形になりますので、目下のところはそういうようなことができないことになっております。
  453. 宮崎分科員(宮崎茂一)

    宮崎分科員 それでは博多から先のこの九州新幹線につきましては、五十三年度までに完成はする、その間に調査はする、しかし駅の配置はどうなるかわからない、大体こういうことでございますか。
  454. 秋富政府委員(秋富公正)

    秋富政府委員 昨年の六月の下旬に国鉄、公団に調査の指示をいたしまして、一年以内に調査の報告を出すように、こういうことにしているわけでございます。したがいまして、順調にまいりますと、ことしの六月の下旬に国鉄、公団からそれぞれ調査の報告が出るわけでございます。これをもとといたしまして、運輸省におきましてさらに慎重に検討いたしまして、鉄道建設審議会に諮問いたしまして整備計画をきめるわけでございます。整備計画が決定いたしました後に、国鉄、公団からそれぞれ工事の実施計画の認可申請が出てきまして、これを認可いたしますと工事に着手できるわけでございまして、運輸省といたしましては、国鉄、公団にそれぞれ四十八年度といたしまして五十億の工事費を計上いたしておりまして、順調にまいりますと四十八年度にいま申しました調査五線の工事に着工するという段取りでございます。
  455. 宮崎分科員(宮崎茂一)

    宮崎分科員 実は私は、九州新幹線につきまして八代から南のほうに二線あるというふうに聞いておりますが、この前、いわゆる出水を回る、海岸を回る線と、陸地を回って鹿児島へ行く大口線ですか、これが国鉄の案だ、これはうそかほんとかわかりませんけれども地元の人方が陳情に参りました。私は、国鉄のほうで初めから、ルートをこういう理由でどういうふうにやったほうがいいというふうに、どっちかおきめ願ったほうがいいのじゃないかと思いますが、いわゆる海岸線と山の中の線、これについては国鉄で何か調査とかそういったことをやっておられるのか、それとも全然白紙なのか、その点はいかがですか。
  456. 内田説明員(内田隆滋)

    内田説明員 いま六月までに調査報告をいたす中で、いわゆる沿線の人口の状態、地質の状態というようなものを調査中でございます。それらの中でわれわれが見まして輸送面それから技術の面、そういうようなことで最も公正なものをこれからきめるわけでございます。
  457. 宮崎分科員(宮崎茂一)

    宮崎分科員 私が申し上げておりますこの九州新幹線だけではなくて、ほかのいわゆる日本の国土の新幹線が来るといっている末端の地方都市ですね、こういったところにおきましては現在だんだん人口が減っているわけですね。中学、高校卒業生のほとんど八割ぐらいは大都会のほうに就職に参ります。ですから地元民が期待しているのは、早くそういったような近代的な骨格になる輸送施設をつくっていただいて、そして田中総理がおっしゃるように、大都市があまりにも過密にならないように、また過疎を解消しようということで非常に熱望しているわけです。ですからそういった関係でなるべく早目に調査もして、そしておきまりになったならば、こういうふうにしてやるんだということのほうで発表されたほうが、ほかのいろいろな企業なりほかの政府の事業なりそういったものに関係が深いわけでございますから、ひとつなるべく早くやっていただきたいと思うわけでございます。このことをひとつ大臣にも要望しておきます。  それでは次に、先ほど大臣のお答えの中にもございましたけれども、大都市の人口を減らし、そしてまた地方の過疎を解消するという一つの政策といたしましては、その大都市の工業を地方に持っていくということが一番重要なことになるわけでございます。ところが、なかなか内陸工業というものはそう簡単に移りません。したがいまして、私は、この地方への分散の一番のきめ手と申しますか、それはやはり臨海性の工業だろうと思うのです。これ以上、大都会にありましては臨海性の工業はもうどうにもならない。したがいまして現在あるものでも地方に持っていって、大都市の空気をもっとよくしようという計画があるわけです。このような計画が青森県とか鹿児島県で一応立てられております。こういうことにつきまして、地元におきましては、いろいろ公害問題その他で反対なりそういったものがございます。私は長い目で見るべきだと思っているんです。日本列島改造論にいたしましても、これは五年、十年かからなければできない仕事ですから、いま現在それが非常に評判が悪いとか、新聞報道によりますと、そのために田中内閣の評判が落ちたというような話もございますけれども、もうちょっと長い目で見て、十年あとになって、ああ、やったほうがよかったというような、いわゆる将来の時点に立って見直されるんじゃないかと私は思うのです。ですから、そういう観点からひとつ大臣、こういう工業の地方分散、特に青森とか鹿児島に大型の工業を分散しよう、こういうことを考えておりますが、大臣の所管ではございませんけれども、所管でないと申しましても、実現の手段は実は大臣が持っておられるわけです。港をつくり、そこへ埋め立て地をつくる、これは自治省の起債になりますけれども、それについてはどういうふうにお考えになりますか、ひとつ御所見を承りたいと思います。
  458. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 これは関係各省が非常に広範囲にわたると思います。これは運輸省だけで先行いたしましても、そこにそういった工業地帯ができるかどうか、産業都市ができるかどうかということは非常に疑問でございますから、関係各省と具体的に相談をいたしまして、何といいましても、そういう地方の中核都市なんかを考えますと、それがどういう産業、どういう工業を誘致するにいたしましても、やはり一番先導的な役割りをするのは交通関係だと思います。交通関係が先導しませんとできっこありません。そういう意味において、私どもも非常に大きな責任を負っていると思います。これは具体的にこれからいろいろな法律もできまして、また計画もできますから、それに応じまして、運輸省も必ずその中に入っておりますから、仰せのような趣旨に基づきまして、私たちとしては立ちおくれにならないように、むしろ運輸行政のほうがいつもそういう工業再配置とかあるいは中核都市建設とかいう問題の先頭に立って措置をしていけるような体制をもちまして進みたいと思っているのでございます。今日、具体的に、北海道でどうするか、東北でどうするか、九州でどうするかということはまだ政府の中でも確定していないと思いますけれども、これからそれが具体化されていく段階にあると思っております。
  459. 宮崎分科員(宮崎茂一)

    宮崎分科員 この港湾の埋め立て事業と申しますか、つまり臨海工業地帯の造成でございますが、これにつきましては、今国会の自治省の予算にも計上されていると思うのでございますが、全般的に見てどうですか。感じとして、非常に公害とかその他で縮小されるような見通しになるのか、それともやはり日本全体として前年、いままでぐらいのベースになるのか、それによって実は地方分散とかそういったものも、地方開発の度がはかれると思いますが、その点はいかがですか。
  460. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 一般的に申しまして、われわれのほうもこの港湾については非常に予算のときに熱心に主張いたしました。のみならず関係の府県も非常にこれは熱心でございます。でございますから、結論だけ申し上げますと、昨年度に比べて非常に見劣りがしたというよりも、やはり相当の伸び率を示しておる。この見通しでまいりますと、地方港湾につきましてもそんなに御心用いただくような結果にはならない、四十八年度もそういう実績は十分あげていけるというふうに考えております。  数字的には局長から御説明させます。
  461. 岡部政府委員(岡部保)

    ○岡部政府委員 ただいま先生の御質問のございました臨海部の用地造成につきましての、いわゆる港湾管理者が実施する面に対する港湾整備促進法に基づく地方債のワクでございますが、前年度、昭和四十七年度当初五百四十五億円に対しまして、四十八年度の計画は七百五十六億円、前年度の一・三九倍、三九%の伸びというような数字をもっていまの計画といたしております。したがいまして、ただいま大臣申しましたように、決して消極的ではなくて、むしろ今後工業用地あるいはもちろん都市開発用地も含まれるわけでございますが、これに必要なものは大いに実施していかなければならないという考え方であるわけでございます。
  462. 宮崎分科員(宮崎茂一)

    宮崎分科員 いま前年度の三九%増しですか、そういうお話がございましたが、御承知のようにこの公害問題で、いろいろと個所ごとに申し上げますと変化があると思うのです。ですから、たとえば私の地元では、もし造船所が来ればうんと金が要る、うんと埋め立てをやらなければいかぬ、来なければあまりやらぬでもいい、こういうことがあるのです。それに対しては弾力的に対応できるようになっているかどうか、その点簡単にお答え願いたいと思う。
  463. 岡部政府委員(岡部保)

    ○岡部政府委員 先生のおっしゃいましたとおりでございまして、個々の計画、これは昨年以来各港湾管理者からの計画をわれわれは徴しております。したがって、そういうものをもとにいたしましく大体全国的にこういう姿でいくという計画を一応全般的には持っておりますが、現実にはいろいろな、たとえばいまおっしゃいましたような問題あるいは漁業補償の交渉の段階等々の条件がございます。したがって現実的にはこの一つのワク内で具体的に操作していくということで、非常に流動的であり得るということをお答え申し上げさせていただきます。
  464. 宮崎分科員(宮崎茂一)

    宮崎分科員 もうあまり時間がございませんので簡単に質問をいたしますが、今回港湾法を改正されるということでございますが、そのおもな趣旨は簡単に言って何でございますか。
  465. 岡部政府委員(岡部保)

    ○岡部政府委員 今回港湾法を改正いたしたいということで、ただいま運輸委員会に付託になりまして御審議をいただいているわけでございますが、ごくかいつまんでこの要点を申し上げさせていただきますと、従来の港湾法というものが、港湾管理者の設立によりまして港湾の開発管理の方法を定めることを目的といたしておったわけでございます。しかもこの法律がつくられました時期が昭和二十五年でございます。したがって、このような時期のいわゆる経済情勢と申しますか社会情勢と申しますか、そういうものをバックにいたした法律でございますので、最近の問題点というものが現行法ではなかなか処理できない点が新しく起きておるわけでございます。  そこで、今回の法改正の主眼といたしておりますのは、港湾の環境整備施設、廃棄物処理施設、港湾公害防止施設などの整備を推進することなどによりまして、港湾の環境の保全をはかることといたしました。またあわせて海洋汚染の防除体制を強化することといたしておる次第でございます。このように環境の整備というものを港湾法の体系の中に大きく取り入れたということが一つの大きな点でございます。  さらに国土の適切な利用及び均衡ある発展をはかっていくための港湾あるいは航路の計画的な開発利用及び保全の体制を確立する、いわゆる計画的にこういう港湾あるいは航路というものの開発利用、保全をはかっていくという計画的な手法をもう少しこの港湾法に取り入れたいというのがその次の点でございます。  さらに港湾区域外の港湾関係の諸施設と申しますか、港湾施設と非常に似ております、同じような性格を持っておる施設の安全性を確保したいということで、いわゆるマリーナでありますとかシーバースでありますとか、港湾区域外にもこういう港湾の施設と同様な施設ができつつあります。こういうものの施設の安全面を確保しようというようなこともこの法律に織り込もうというようなことでございまして、最近の新しい情勢をこの昭和二十五年に成立いたしました法律の一つの改正として大きく取り上げようということがこの考え方の中心でございます。
  466. 宮崎分科員(宮崎茂一)

    宮崎分科員 そういたしますと、いま五カ年計画で実施中でございますが、これは昭和四十六年度から始まっているわけですが、その新しい事態はこの五カ年計画の中にどのように四十八年度は織り込まれることになるわけですか。
  467. 岡部政府委員(岡部保)

    ○岡部政府委員 たとえば環境整備関係の事業というものが従来の昭和四十六年度からの五カ年計画でございますから、この五カ年計画が閣議決定を見ました後に、新たな情勢でつけ加えなければならないというような環境整備の事業というものもあるわけでございます。そこで、これは先生もよく御承知のことでございますが、この港湾整備五カ年計画という中に調整項目という項目がございます。これは、この計画をつくりました段階で十分各港の張りつけ作業がまだまとまっていない、今後の情勢によってこれを張りつけていくというために、言うなれば保留のワクというようなワクがございます。また全体の問題といたしまして、新しい事態が生じた場合に、これを考えるための予備費というワクもございます。そういうような保留のワクがございますので、こういうものをとりあえず四十八年度においては取りくずしていくという考え方でこの五カ年計画そのもので進んでいくという考え方でございます。
  468. 宮崎分科員(宮崎茂一)

    宮崎分科員 わかりました。つい最近経済社会基本計画というのができ上がったわけですね。これはもう最近の経済が非常に変わってきた、輸出がうんと伸びるし、ドルはたまるし、あるいは公害問題その他が出てきた、そしてまた過密過疎の解消もしなければならぬ、そういうことで新しい経済社会基本計画が政府によって発表されたわけです。ですから港湾の五カ年計画も今年度、四十八年度で三年目になりますけれども、本来ならばやはりこの新しい経済計画に沿ってこれから五カ年計画の改定をやらなければならぬと思うのです。ほんとうは四十八年度からやらなければならぬと思いますが、あるいはその作業が間に合わないということもあると思いますが、大臣、ひとつこの新しい経済社会基本計画に従ってこれから新しく全体の港湾を洗い直して、さらにまた四十九年度からでも——間に合わなければ四十九年度からでもいいと思いますが、新しい時代に処した港湾計画をおつくりになる気持ちがあるかどうか、その点を大臣にお伺いいたします。
  469. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 いまの経済社会基本計画の中で予期しております港湾に対する投資その他の数字というものは、大体いまの五カ年計画とマッチしておるのです。しかし、おっしゃるようにこれがいまの田中総理の構想のようにどんどん地方の開発が進んでくるということになりますと、見直さなければならぬ事態もないとはいえません。それにはもちろんちゅうちょしないで積極的に取り組みまして、既定の五カ年計画のある部分を変更するということもあり得るかと思いますが、いまのところは基本計画からは別にいまの五カ年計画が足りないとか、はみ出しておるとかいうことではなくて、ちょうどうまく計画が合っておるということで御了承いただきたいと思います。
  470. 宮崎分科員(宮崎茂一)

    宮崎分科員 大臣、四十八年度のことを申しておるわけではございません。新しい事態が出てきたわけですね。法律改正をするような事態が出てきたわけです。それに対して、いま局長は、そういう項目がないから、少しばかりの予備費を取りくずしてやりましょう、四十八年度は過ごしましょう、こういう話なんですね。私はそれでもいいのです、間に合わないのですから。しかし四十九年度、これは四十九年度と申しましても、八月には大蔵省に予算要求するわけです。したがいまして、その時点では新しい経済社会基本計画に従って考え直して計画を変えるとか、そういったようなお考えがあるのかどうか、そういうことをお聞きしておるので、私はほんとうにやるべきだと思っておるのですが、大臣どうですか。
  471. 新谷国務大臣(新谷寅三郎)

    新谷国務大臣 少しお尋ねを誤解しておりましたが、四十九年度以降の問題につきましては、さっき申し上げましたように、事態の推移にかんがみまして、いままでの五カ年計画にとらわれることなく必要な計画を確定していくという態度でございますから、その点は御安心いただきたい。
  472. 宮崎分科員(宮崎茂一)

    宮崎分科員 これで質問を終わります。
  473. 前田主査(前田正男)

    前田主査 これにて宮崎茂一君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして昭和四十八年度一般会計及び特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十八年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係に関する質疑は終了いたしました。  次回は明六日午前十時より開会し、建設省所管について審査を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。    午後七時八分散会