○
吉永分科員 私は、
防衛庁長官御病気のようでございますので、時間を圧縮いたしまして、結論的な要旨の御質問だけにとどめたいと思っております。
第一番目に申し上げたいことは、
自衛隊教育の基本方針についてでございます。
第二番目の質問
事項は、転換期を迎えた
基地問題についての御所見でございます。
第三番目には、大きな都会、たとえば東京大震災等の場合においての
自衛隊のとる処置の想定についてお伺いをしたい。
第四番目は、
自衛隊の離職者の就職審査会の問題について。
この四点について、簡潔にお伺いを申し上げたいと思っております。
まず第一に、
長官にお伺い申し上げたいことは、
自衛隊教育の基本方針についてですが、
自衛隊教育の基本方針は、もちろん国防の本義あるいは国防の基本方針がその根底をなすことは申すまでもございません。
昭和三十二年の四月二十日の
閣議決定事項によって、国防の基本方針というものは明確にされております。「国防の目的は、直接及び間接の侵略を未然に防止し、万一侵略が行なわれるときはこれを排除し、もって民主主義を基調とするわが国の独立と平和を守ることにある。この目的を達成するための基本方針を次のとおり定める。」一つ、「国際連合の活動を支持し、国際間の協調をはかり、世界平和の実現を期する。」第二、「民生を安定し、愛国心を高揚し、国家の安全を保障するに必要な基盤を確立する。」「国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、効率的な
防衛力を漸進的に
整備する。」四、「外部からの侵略に対しては、将来、国際連合が有効にこれを阻止する機能を果たし得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する。」第一次防衛
整備目標、第二次
防衛力整備計画、第三次
防衛力整備計画の
主要項目、第四次
防衛力整備五カ年
計画の大綱においても、同様の方針が貫かれておりますことは、御了承のとおりであります。
私がここで申し上げたいことは、この間然するところなき国防の基本方針のもとに、その信念にのっとって
自衛隊の教育が確実に厳正に行なわれているかどうかということでございます。ことばをかえて申し上げますると、現在の
自衛隊を国防と愛国と任務との使命感に燃え立たせ、身を挺してその使命に殉ぜんとする自覚と誇りを持ち得るような
政府の政策と責任ある指導力というものが
政府によって全くもたらされてきたかどうかという点でございます。
御承知のように、
自衛隊は過去二十年間、政治優先のもとにことさらなる隠忍自重を余儀なくされてまいりました。これはあたりまえのことであり、文民優位の原則は、民主国家の
自衛隊として当然のことでございます。ただ、終戦後の時代風潮の中で、あるいは反軍あるいは反戦思想に災いされて、自分の国は自分で守るというその原則を忘れ去って、
自衛隊の悪口や旧軍の攻撃をしておけば民主主義的自由主義者として、無定見な一部の知識人が横行しておりました。そういう時期に、ある時期は
自衛隊がじゃま者のようにされ、あるときは日陰者のような踏みにじられた境涯に甘んじたことが一再ならずあったように記憶いたします。そうしたことが重なって
自衛隊の精神面の枯渇を招いた、精神力の低下を招いた、無気力を招いたと私は考えております。そうした風土の中におきまして、
政府指導層、責任ある立場の人たちが、敢然としてこれに立ち向かってその蒙を開くという勇気と使命感とが足りなかったのではないか。そのことを私は考え至らざるを得ないのでございます。
自衛隊の無気力化と精神面の低下が真実のものであるとするならば、私はその責任の一半は
政府責任者あるいは自民党自身にあるとさえも考えております。一つの集団、一つの社会、一つの国家において、高々と堂々と掲げ得る建国の理想がなかったら、骨組みを堅確にして不抜の精神と責任ある指導原理を示し得なかったら、その国家、その集団がどういう運命をたどるかは自明の理でございます。申すまでもなく、歴史の実証するところでございます。このことに関しまして、私は
長官の真実の御見解を承りたい。それが第一の質問でございます。
第二に、時間が制約されて非常に少のうございますので簡潔に申し上げますが、
基地問題について御質問申し上げます。
現実の国際情勢の中でわが国の防衛を全うするために、日米安全保障体制の堅持とその運用の適正こそが最も重要であるという基本的理解の中で、今後いかにすれば日本全体の利益を高めつつ、
基地の存在から生ずる諸問題、摩擦を減らせるかという考え方に立って、これからの
基地問題を考え、処理し、対処していかなければならないと私は考えております。九十に近い米軍の
基地が今日日本に存在するという事実は、否定することのできない現実でございます。このことは、自力だけでは核時代の日本は守り切れないという認識を持つかどうかにかかっておるということも論をまちません。この認識を前提にして
お尋ねをいたしたい。
その一つは、今後の
基地対策上に
基地の運用と
国民生活とが調和し得るような努力を日米双方でもっと徹底的に、もっと
計画的に、周密に相談、協議ができないものかどうか。
基地周辺の
整備、防音、防災等に関しまして、
基地周辺の市町村、
基地米軍との話し合いに関して、
防衛庁、自治省、その他の
政府機関がもっと周密に力を入れる余地がないかどうかということであります。
第二番目は、利用度の比較的少ない
基地からその一部または全部を返還をする機運をもう少し高め、折衝の度を強くできないかということであります。特に政治上問題のある
基地は移転方を促進をするということも、右同様の趣旨において折衝方を強く進められる、そういう努力が必要ではないか。
その三は、一部の
基地反対の声のみがまことに針小棒大に誇大宣伝されておる。これに対処しまして
防衛庁自体の広報活動、マスコミ対策、あるいは現地における的確なる情報収集が緩慢ではないか、手おくれではないか、後手後手に回っていはしないか、そういう見方が私たちにされるのでございます。現下の国際情勢下において、日米の相互協力、安保条約がわが国防衛の基本方針であって、わが国の平和と安全のために
基地の存在とその正しい運営が基本的要請であることを、
国民、特に
基地周辺の住民に的確にしんぼう強く、日本の世論として、日本の衷情として理解できるような、そういうあらゆる機会を通じての宣伝、情報、説得、そういうものを普遍する努力をいま少し重ねていただきたいということが、私の質問の要旨でございます。
第三の質問、非常時に対処する
自衛隊の処置。これは一つの例を東京にとりました場合に、大震災が起きたといたします。これは起きないとは仮定できない。必ずそういうことがあり得る。最悪の事態に対処して、それに対応する未然の措置を講じておくというのが政治の要諦でございましょう。それに対しますところの
自衛隊の処置はいかような処置をお持ちになるか。当然、堅確な、的確な構想がおありだろうと思いますが、示し得られる範囲におきまして御解明を願いたい。
その四つ。
自衛隊就職の審査会の問題でございます。これは
防衛庁設置法及び
自衛隊法の一部を改正する法律案の第三十七条の二によります。
防衛庁職員が一人、人事院の職員が一人、総理府の職員が一人、学識経験者が二人、五名の
委員が出て、その中から会長を互選するというようになっております。私は、この
自衛隊離職者の就職に関しまして、この五人
委員会がこの
自衛隊離職者に対して適材適所にその就職をあっせんをする、
決定をする
機関であるのか、あるいはここに就職をしたいという
自衛隊離職者の個々の人々が、こういうところに就職をしてよろしいかという申請をしてその許可をするような、いわゆるお役所的な役目をする
機関であるのか、その辺のことをお伺い申し上げたい。
商事会社に入った
自衛隊の高級幹部、そういう人たちが昨年、一昨年といろいろ取りざたをされました。考えてみますると、
自衛隊出身の方々の就職先というものはきわめて不安でございます。これは陸将以上の諸君の就職をしておる
状況を見ますと、どの会社に行っても嘱託的な待遇を受けて、肩をすくめた
生活をしておる。もう少し、あの有為有能な人々を活用するような、適材適所の国家目的に合するような、国益に合うようなそういう職種の選定、あっせんというものはできないものかどうか、そういうことを意図した
機関であってほしい、そういうように考えておる次第でございます。
以上五
項目に関しまして、まことに簡単ではございますが、
防衛庁長官、
最初の一項だけでけっこうでございます。
あとは関係の
局長の皆さんの御所見を承りたいと思います。