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青柳分科員 一志の
法務大臣としての措置はお聞きいたしたわけでありますが、このような記者会見での
発言がありましたので、公害問題に取り組んでおり、特に名古屋高等
裁判所あるいは検察庁に対応する地域、たとえば富山のイタイイタイ病あるいは四日市のぜんそく公害、こういう関係の人々がたいへんに憤慨をされまして、その真相を確かめるために、これは公開の席上で述べられたことでありますので、公開の質問状によって真相を確かめるために、さっそく川口検事長に面会を求める、そして公開質問状を提出して回答を求めるということになったようでございます。新聞記事によりますと、二月の十三日に関係者が、いまこれから読み上げますような公開質問状を持って会見を申し入れたそうでございます。あいにくとその日は川口検事長は不在だということで、中嶋という次席検事を通じてこの質問状を提出して、一週間以内に答えをしてもらうように求めたそうでございます。その内容を記録にとどめる
意味で、私はこれから読み上げます。
公開質問状
名古屋高検検事長として着任した川口光
太郎氏は、去る二月八日着任後の初の記者会見で所信と抱負を述べ、威たけ高に驚くべき
発言をしている。右
発言は広範な問題にわたる重大な
発言であるが、そのうち公害問題に関連する部分について公開質問をして明確な回答を求めるものである。
公開質問状
現在、公害問題は全
国民的課題となっており、発生源企業に対する厳しい規制と取締りが焦眉の問題となっている反面、いわれのない被害の一方的受忍を強いられてきた住民達の多くが猶救済されず放置されている現状である。
日本
国民の人権の回復と国家百年の大計のためにも公害反対の世論喚起と各分野における確乎たる施策の確立が益々要望されている現在、一地方の検察の
責任者としての検事長の所信表明は驚くべき独断と偏見に満ち、一方的に検察が企業の側に立つと
解釈されてもやむをえないような内容に終始している。
公害問題に深い関心をもち、様々な分野で活動している私達
法律家も被害者住民も、今回の検事長
発言を黙視することはできない。ここに厳重に抗議を表明するとともに、同
発言の真意を正し、民意に問うため次のとおり公開質問状を提出するものである。期日を定め私達に対し直接明解な応答をなされるよう強く要望する。
記
一、検事長は、「一部で公害問題が反
体制運動に利用されている」と言明している。一部とは何を指し、どのような事態をあげつらっているのか確答されたい。
二、また「最近の公害事件では動員される学者や弁護士に偏向した動きがあり心配だ」と述べている。どのような人物を指し何を偏向と公言しているのか具体的に責任ある回答を求める。
三、「
青法協が四日市で集会を開くなど」と具体的な事実をあげ、そのことと「地域の住民運動が反
体制運動に利用されている」という
発言を結びつけている。確かに
昭和四五年七月青年
法律家協会弁護士学者合同部会は、全国の法曹や被害住民、学者とともに公害の現実を認識し被害者救済の法理論を前進させるため二日間にわたり交流集会を開催している。このことがどのように不当であり、どう検事長の所信と関係するのか、明確に答えられたい。
四、検事長は更に公害
裁判そのものに関して「会社側の証人を
採用しない
裁判所の姿勢」に言及し批判しているが、具体的に如何なる訴訟の如何なる事例を問題にしているのか、事実に基づき釈明されたい。
五、右の四つの質問にかかわる深部の問題として、検察庁がそれらの問題にとやかく言及して問題視する権限の根拠如何。また、それらの歪曲した認識に基づき今后何をしようとするつもりなのか、明確に答えられたい。
昭和四八年二月一三日
四日市
公害訴訟弁護団
右代表者団長 北村 利弥
富山イタイイタイ病弁護団
右代表者団長 正力喜之助
四日市公害患者の会
右代表者代表委員 加藤 光一
同 阪 紀
一郎
同 谷田 博昭
同 小井 弓子
同 岡田 芳和
イタイイタイ病対策
協議会
右代表者会長小松義久
青年
法律家協会弁護士学者合同部会
名古屋支部
右代表者支
部長 石川 康之
民主
法律家協会名古屋支部
右代表者支
部長 大脇 保彦
東海労働弁護団
右代表者常任幹事 安藤 巌
自由法曹団東海支部
右代表者支
部長天野末治
民主主義科学者協会
法律部会名古屋
支部
右代表者支
部長 室井 力
名古屋高等検察庁検事長
川口光
太郎殿
こういうものを出して回答を求めたのでありますが、なかなか回答をするという返事がないので、この関係者のほうから再々名古屋高検の係の者、たとえば中嶋次席検事などに電話をいたしまして、どうなったんだということで催促をいたしました結果、なお日にちは数日前に知らしてもらいたい、富山のイタイイタイ病の患者とかあるいは四日市ぜんそくの被害者とか、そういう
人たちもその回答を聞く場合には参加したい、だからすぐ当日来いというようなことは困るというような申し入れもし、なお川口検事長のスケジュールをなるべく尊重して
都合のよろしい日をいってくれということでやった結果が、二月二十三日の午後三時に来てもらいたいという連絡があった。
そこで、
先ほど述べました公開質問状を出した多くの方々が出かけてまいりまして、検事長に会うために名古屋高等検察庁におもむいたわけであります。ところが、弁護団には会うけれ
ども被害者には会わないとか、別な機会にしてもらいたいとかいうようなことをいって、最初は全員を通さなかったようでありますが、結局、交渉の結果全員がある部屋に通されて待っておりましたところ、次席と刑事
部長という方があらわれまして、検事長は急用で岐阜へ何か
人事問題で行った、直接お会いできないので、検事長が
自分で書いた釈明書があるから代読をさせてもらいたい、これで回答にかえたいという申し入れがあったそうです。一同はあ然として、激しく抗議し、被害者は富山、四日市から来ている、人を呼んでおいて、急用でいないとは何事かと被害者が詰め寄る。こういうことで、結局結論的には、検事長は月並みな文書回答で問題を打ち切ろうとしている、あくまで直接回答を求め、事態を明らかにする必要があるということにこの関係者の人々は意見が一致して、そして直接本人から聞きたい、だから代読はお断わりする、岐阜におられる検事長に即刻電話し、きょう何時に帰庁するのか、また、きょう会えないとすればどの日がよいのか問い合わせてもらいたいと、要望したそうです。次席は部屋から出て、しばらくしてあらわれ、岐阜の検察庁に電話を入れたが連絡がつかない、検事長がきょう急用で出かけ、皆さんをすっぽかした形になったのは何とも申しわけないが、直接書かれたものもあるのだから、何とか私が読むところで了解してもらいたいと、繰り返して懇請したけれ
ども、それは断わって、もう一度来るということで、その場ですわり込みもしないでみんな引き上げたわけでございます。
ところが三月二日になって、もちろんそれまでにも催促をしたのですが、
先ほどの中嶋次席から電話があって、検事長はもう絶対直接会うことはしないという回答をしたというのであります。
いま、十四日に手紙を
法務大臣によこして、反省をしているような態度を示したというのですが、それはあくまでも内部的なことであって、監督する
立場の
大臣にそういう手紙を出されたこと自体、私は悪いとは申しませんけれ
ども、それに引き比べて、このような不誠実な態度をとっていることに対して、
法務大臣はどうお
考えになりますか。