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1973-03-03 第71回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月三日(土曜日)     午前十時三分開議  出席分科員    主査 臼井 莊一君       塩谷 一夫君    田澤 吉郎君       福田  一君    井上  泉君       上原 康助君    島田 琢郎君       楢崎弥之助君    村山 喜一君       山口 鶴男君    山田 太郎君    兼務 芳賀  貢君 兼務 安井 吉典君    兼務 土橋 一吉君 兼務 坂口  力君    兼務 林  孝矩君 兼務 神田 大作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)         (北海道開発庁         長官)     江崎 真澄君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      二階堂 進君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      坪川 信三君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      福田 赳夫君  出席政府委員         内閣官房長官 山下 元利君         内閣官房内閣審         議室長     亘理  彰君         人事院事務総局         管理局長    茨木  広君         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      須藤 博文君         総理府人事局長 皆川 迪夫君         総理府統計局長 加藤 泰守君         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         公正取引委員会        事務局経済部長 三代川敏三郎君         公正取引委員会         事務局取引部長 熊田淳一郎君         警察庁長官官房         長       丸山  昂君         警察庁長官官房         会計課長    下稲葉耕吉君         警察庁刑事局保         安部長     斎藤 一郎君         行政管理庁長官         官房会計課長  鶴田 輝明君         行政管理庁行政         管理局長    平井 廸郎君         行政管理庁行政         監察局長    大田 宗利君         北海道開発庁総         務監理官    山田 嘉治君         北海道開発庁予         算課長     首藤 泰雄君         科学技術庁長官         官房会計課長  高須 儼明君         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         沖繩開発庁総務         局経理課長   和田 善一君         沖繩開発庁振興         局長      渥美 謙二君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君         自治省行政局長 林  忠雄君  分科員以外の出席者         防衛庁防衛局運         用課長     上野 隆史君         大蔵省主計局主         計官      海原 公輝君         国税庁直税部法         人税課長    上野 雄二君         水産庁漁港部長 矢野 照重君         通商産業省公益         事業局技術長  和田 文夫君         自治大臣官房参         事官      中野  晟君     ————————————— 分科員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   北山 愛郎君     井上  泉君   山田 太郎君     新井 彬之君 同日  辞任         補欠選任   井上  泉君     山口 鶴男君   新井 彬之君     山田 太郎君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     村山 喜一君 同日  辞任         補欠選任   村山 喜一君     島田 琢郎君 同日  辞任         補欠選任   島田 琢郎君     上原 康助君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     北山 愛郎君 同日  第二分科員芳賀貢君、安井吉典君、土橋一吉君、  第四分科員坂口力君、神田大作君及び第五分科  員林孝矩君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計予算内閣所管及び総  理府所管防衛庁関係を除く)      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和四十八年度一般会計予算中、内閣総理府、ただし、経済企画庁を除く所管を議題とし、政府から説明を求めます。坪川総理府総務長官
  3. 坪川信三

    坪川国務大臣 昭和四十八年度における内閣及び総理府所管歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  内閣所管昭和四十八年度における歳出予算要求額は、五十一億三千四百二十六万四千円でありまして、これを前年度歳出予算額四十二億四千二百九十六万三千円に比較いたしますと、八億九千百三十万一千円の増額となっております。  次に、総理府所管昭和四十八年度における歳出予算要求額は、二兆五百六十七億八千百二十四万六千円でありまして、これを前年度歳出予算額一兆七千六百三十六億五千五万三千円に比較いたしますと、二千九百三十一億三千百十九万三千円の増額となっております。  このうち、防衛庁及び経済企画庁に関する歳出予算要求額については、別途、御説明することとなっておりますので、それ以外の経費について、予定経費要求書の順に従って主要なものを申し上げますと、総理本府に必要な経費四千四百五十六億六千七百三万三千円、警察庁に必要な経費六百六十九億三千九百十二万二千円、行政管理庁に必要な経費七十八億二千六百五十二万一千円、北海道開発庁に必要な経費三千百四十億九百九十七万七千円、科学技術庁に必要な経費一千八十二億七千三百二十七万五千円、環境庁に必要な経費百十億四千九百三十一万四千円、沖繩開発庁に必要な経費六百四十五億一千五百二十七万三千円、国土総合開発庁に必要な経費百七億一千七百六十七万六千円等であります。  次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。  総理本府に必要な経費は、総理本一般行政に必要な経費及び恩給の支給に必要な経費等でありまして、前年度に比較して九百七十八億九千百九十一万六千円の増額となっております。  警察庁に必要な経費は、警察庁及びその付属機関並びに地方機関経費及び都道府県警察補助のための経費でありまして、前年度に比較して九十二億三千百三十二万七千円の増額となっております。  行政管理庁に必要な経費は、行政管理庁所掌一般事務処理費都道府県に配置されている統計専任職員費国連アジア統計研修の実施に対する協力及び行政情報処理調査研究等のための経費でありまして、前年度に比較して六億四千四百六十万三千円の増額となっております。  北海道開発庁に必要な経費は、北海道における土地改良農用地開発漁港住宅、林道、造林等事業経費と、治山治水道路整備港湾整備等事業に充てるための財源の各特別会計への繰り入れ金等経費でありまして、前年度に比較して三百六十五億百十六万円の増額となっております。  科学技術庁に必要な経費は、科学技術振興基盤強化国民生活に密接に関連する科学技術等推進原子力開発宇宙開発海洋開発推進及び研究開発一般推進等のための経費でありまして、前年度に比較して百九十五億七千百二十四万二千円の増額となっております。  環境庁に必要な経費は、大気、水質、土壌等に関する公害規制基準強化公害監視設備整備公害健康被害の救済、損害賠償保障制度の創設のための各種調査公害防止事業団の助成、公害防止等に関する調査研究等公害対策に必要な経費及び自然環境保全基礎調査交付公債による特定民有地買い上げ、自然公園等施設整備鳥獣保護等自然環境保護整備対策に必要な経費でありまして、前年度に比較して二十八億七千九百二十一万二千円の増額となっております。  沖繩開発庁に必要な経費は、沖繩における教育振興保健衛生対策農水産業振興に要する経費、並びに沖繩開発事業に要する海岸、漁港住宅環境衛生施設都市計画土地改良造林等事業経費、及び治水治山道路整備港湾整備空港整備事業に充てるための財源の各特別会計への繰り入れ金等経費でありまして、昭和四十七年度において沖繩復帰に伴い要した復帰対策経費減額となっておりますので、前年度に比較して百三十三億二千四百六十七万六千円の減額となっております。  国土総合開発庁に必要な経費は、国土の均衡ある発展をはかり、豊かで住みよい地域社会の形成に寄与するため、国土総合開発に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする国土総合開発庁の設置に要する経費、及び国土総合開発公団に対する出資に要する経費、並びに国土総合開発調整に要する経費であります。  また、以上のほかに、国庫債務負担行為として、総理本府において九十九万一千円、警察庁において七億一千百十一万五千円、北海道開発庁において十九億七千九百九十九万一千円、科学技術庁において三百四十六億一千三百五十四万九千円、沖繩開発庁において二千九百五十五万三千円を計上いたしております。  以上をもって、昭和四十八年度内閣及び総理府所管歳出予算要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いします。
  4. 臼井莊一

    臼井主査 これにて説明は終わりました。     —————————————
  5. 臼井莊一

    臼井主査 質疑申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。
  6. 井上泉

    井上(泉)分科員 いま総理府総務長官予算説明を聞いておる中で、私聞き漏らしたかもしれませんけれども総理府所管同和対策関係予算幾らという説明が何かなかったように思うのです。
  7. 坪川信三

    坪川国務大臣 政府委員から御説明いたします。
  8. 亘理彰

    亘理政府委員 申し上げます。  同和対策関係総理府に直接計上しております予算は、同和対策協議会関係経費が七百九十三万八千円、それから同和問題の連絡調整経費と・いたしまして、これはいろいろ国地方職員等研修関係に要する経費等でございますが、これが七百五十三万五千円、合わせまして千五百四十七万三千円でございます。なお、参考に前年度額を申し上げますと、九百二十万一千円でございまして、昭和四十八年度におきましては、千五百四十七万三千円に増額になったわけでございます。
  9. 井上泉

    井上(泉)分科員 同和対策予算は、総理府としては、この場合、予算金額が少ないから総務長官説明の中から省略しておる、こういうように思うわけですが、そのこと自体が、非常に同和問題に対する認識の不足ということと軽視ということにつながっておるように考えられてならないわけです。そこでひとつ総務長官にお伺いしたいのですが、同和対策事業特別措置法という法律は、どういう経過の中で生まれて、どういう性格を持っておるものであるか、総務長官としての見解を承っておきたいと思います。
  10. 坪川信三

    坪川国務大臣 井上委員指摘の前段の御質疑でございますが、政府といたしましては、昨日の本会議和田議員の御質疑にもお答えいたしましたごとく、同和対策は、国民的なるところの重要な課題であるから、政府は積極的にこれに対する対応策推進いたしておりますと、私も表明いたしたのでございますが、私も就任以来、同和対策重要性にかんがみまして、これらに対する積極的なる措置予算上、行政上講じてもおるような次第でありますし、この点は、つまびらかに申し上げるまでもなく、井上委員も御了解いただけるのじゃないかと思うのでございます。  ただいま特別措置法の問題についてお触れになりましたが、この法律こそほんとうに重要なる同和対策一つの柱になる措置法であると、私は思っておるような次第でございます。したがって、その立法措置にかんがみまして、残されましたる期限内において、同和対策事業推進対策の万全を期してまいりたい、こう考えておる次第であります。
  11. 井上泉

    井上(泉)分科員 まことにけっこうな見解でありますが、おっしゃられるそのことばどおりに仕事が進められてこそ、ほんとうにいわゆる言行一致ということになるわけです。ところが、往々にして言行一致でないのが今日の政府の姿勢であります。  そこで審議室長にお尋ねしますが、総理府各省同和対策一つ窓口のような役割りを果たしておるわけでありますので、全体的に昭和四十八年度の各省にわたる同和対策に関する予算というものはどれだけの金額になっておるのか、お示しを願いたいと思います。
  12. 亘理彰

    亘理政府委員 お答えいたします。  同和対策事業には、予算の上に個々に同和関係事業ということが明示されておりますいわゆる特別の同和事業関係予算と、そのほかに、一般各省事業費の中で、実行あたりまして同和関係配分の予定されます費目と、両方あるわけでございますが、予算上明示されておりますいわゆる同和関係特別ワク予算は、各省通じまして百五十八億九千四百万円でございます。前年度が九十七億九千三百万円でございまして、六二%の増額ということになっております。それからそのほかに、各省所管の中で、実行あたりまして同和関係配分されます、たとえば公営住宅関係でありますとか、農業基盤整備関係でありますとか、そういう事業費がございますが、それを合わせました全体の同和関係予算は、四十八年度におきまして四百二十五億三千万円、前年度が三百十一億八千三百万円でございます。
  13. 井上泉

    井上(泉)分科員 室長同和対策事業特別措置法が十年間の時限立法であるということは御承知と思いますが、こういうふうな予算のぐあいで、はたして十年間における同和対策事業というものが十分できるかどうか。この措置法ができて、各関係市町村、県では、それぞれの同和対策事業というものが計画をされておると思いますが、その計画されておるのを総理府でまとめた総額幾らであって、それが、現在こういう措置法ができてから四年ですから、その間にどれだけ消化されたか、その点をひとつ説明をしていただきたいと思います。
  14. 亘理彰

    亘理政府委員 お答えいたします。  御承知のとおり、同和対策長期計画が四十四年に決定されておるわけでございますが、これは五十三年度までの十年間の計画になっているわけでございます。私どもといたしましては、逐年この線に沿いまして、同和問題の早急な解決のために努力しているところでございますが、なお六年間残されておるわけでございまして、この六年の期間のうちに特別措置法に掲げられました目標に達するために、政府としても全力をあげて努力をいたしたい。もちろん政府だけではございませんで、地方自治体の協力、さらに関係住民の方々の自主的な努力が必要であることば申すまでもないわけでございますが、政府としては、この法律目標を達するために最善の努力を重ねてまいりたいと思います。  なお、この十年間の全体の事業費がどういうふうになっているかということでございますが、これは政府として十年間の計画総額幾らだというふうなことはきめておりません。ただ、四十六年に、御承知のとおり、全国調査をいたしまして、各地方団体から報告されました同和関係物的施設に関する事業費計画がございます。これは全体が四千七百三十三億円ということになっておるわけでございますが、物的施設だけでございまして、たとえば同和教育の問題、同和地区産業振興の問題あるいは人権擁護の問題等々の関係は含まれていないわけでございますが、この四千七百三十三億円ば、四十七年度から五十三年までの七カ年の見積もりでございます。これは全体の事業費でございますが、相当いたします国費ば、現在の単価及び補助率等によって計算いたしますと、約三千百億ぐらいになるかと思います。それに対して、四十七年度の国費がこの物的施設関係で約三百億、四十八年度の見積もりが約四百億でございまして、五十三年までの残す期間内には、この地方団体から報告されました計画の達成は十分に可能であるというふうに思っております。
  15. 井上泉

    井上(泉)分科員 四千七百三十三億という地方団体から出された物的措置の内容、これについては、ひとつ委員長のほうで資料として井上委員の手元に届けていただくように御配慮をお願いしたいと思います。  そこで、大体、この四千七百三十三億というものが非常に少ないというのです。これは、大阪府だけでも四千億以上のものを見込んでおるわけです。そういう中で、四千七百三十三億を出してくださるにあたっても、総理府なりあるいは関係省庁においてかなり地方団体の申し入れをふるいにかけた、そういうふうなきらいがあるように承知をするわけですが、そういう点はなかったですか。
  16. 亘理彰

    亘理政府委員 全国同和地区調査は、四十六年の六月に行なったわけでございますが、これはただいま申し上げましたとおり、物的施設につきまして、地方公共団体の四十七年度から五十三年までの事業計画報告を求めまして、これを集計いたしまして、四十七年度の補助方式及び予算単価等によって算出した結果、総事業費が四千七百三十三億円となったわけでございます。この報告を求める段階におきまして、政府において地元の御要望をふるいにかけたというふうなことはございません。  ただ、かねてから御指摘がありますとおり、いわゆる未調査地区の問題がございます。この報告がありましたのは三十二府県、千市町村でございますが、現実に同和地区があるにもかかわらず報告漏れになっておるのがあるではないかという御指摘がかねてからございまして、私どもも、その点につきましては係官を現地に派遣して実態調査いたしましたり、また先般は、同和対策協議会委員先生方にも実地に御視察を願いましたり、あるいは報告が不十分であると思われる県に対しましては、文書で報告を督促するというふうな措置をいたしております。なお、この点につきましては、地方団体からの申し出がありました場合には、補完調査を行なう等の必要な措置をとり、まして、地区要望を十分に、漏れなく把握できるようにつとめてまいりたいというふうに考えております。
  17. 井上泉

    井上(泉)分科員 その同和対策事業特別措置法に基づく事業計画と、事業消化見通しというものが、いま室長の言われるのには、十分できる。十分できるようであるならば、これに対する年次的ないわゆる青写真というもの、これをやはり総理府としても示すのが行政の親切ではないかと思いますが、そういう全体的な——措置法は十年ですから、十年の間にはこれこれこれこれを、こういうふうに年度を分けてやります、そういうはっきりしたもの、やる計画であるというようなものを、もう四十八年度あたり、つまり今年は五年目ですか、もうことしあたりに、残る五カ年の間にはこうするんだということを示すことが、私は行政としての誠意のあるやり方だと思うのですが、それはどうですか。
  18. 亘理彰

    亘理政府委員 お答えいたします。  先生よく御承知のとおり、同和対策事業関係予算は、毎年非常なテンポでふえておるわけでございます。これは現在社会経済情勢の変化も非常に流動的でございまして、四十六年調査に基づく各地方からの報告額もとにして、年次計画をつくって推し進めるというよりも、現在は毎年の予算計上のしかたにつきましては、同対協の委員先生方からも御意見をいただき、その趣旨に沿って、総理府におきまして、各省連絡調整窓口となりまして、施策の推進をはかっておるわけでございます。  なお、先ほども申し上げましたとおり、調査の対象になりました物的施設関係以外に、産業の問題、同和教育問題人権擁護の問題その他いろいろな問題が出てくるわけでございます。まあ、諸般の情勢も非常に流動的である。それから、同和地区実態もどんどん動いておるわけでございますから、その動きに即して、毎年の実行状況を見ながら予算計上及び執行に最大限の努力をしていくということが適当ではないかというふうに思っておりますので、ただいまのところ、年次計画をつくるということは考えておりません。
  19. 井上泉

    井上(泉)分科員 ことばとしては非常に熱心な取り組みのしかたが述べられておるわけです。ところが四十八年度でも、四百二十五億くらいの同和対策関係予算をもってしては、とてもとてもこの措置法期限内に事業が遂行できるわけはないと思います。  そこで、自治省にお伺いしたいのですが、この同和対策特別措置法で、地方公共団体、つまり市町村が行なう同和対策関係事業については起債が認められる、こういうことになっておるけれども、この起債についても非常に制限があって、県あるいは市町村でこういうことをやりたいといっても、その起債ワクというか、それの承認というものが非常に狭められておる、こういうように聞くわけですが、四十七年度では同和関係起債というものはどれだけあったんですか。
  20. 中野晟

    中野説明員 お答え申し上げます。  四十七年度の同和対策事業債でございますけれども、これは地方債計画上百八十億でございます。できる限り事業執行につきまして支障のないように措置しておるわけでございますが、四十七年度につきましては、まだ実績の額が実はきまってないわけでございます。そこで、四十六年度につきましてちょっと申し上げますと、四十六年度におきましては、計画上百二十億であったわけでございますが、実績の上では流用導いたしまして、百五十七億許可しておるわけでございます。できるだけ同和対策事業執行につきましては起債を充当するようにつとめておる次第でございます。
  21. 井上泉

    井上(泉)分科員 同和対策事業昭和四十六年度に百五十六億、こういう数字が出ておるが、市町村からの要望はどれぐらいあったのですか。
  22. 中野晟

    中野説明員 百五十七億と申し上げたのでございますけれども、これはほとんど要望を満たしておるわけでございます。
  23. 井上泉

    井上(泉)分科員 要望を満たしておるということであれば、その要望を出してくる段階においてかなり押えつけられてきておる、こういうふうに思うわけでありますので、またあとで、具体的な事例を取り上げて、これをもとにして何かの機会に突き詰めていきたいと思います。  今度は、起債でやる以外に、同和地区をかかえている市町村としての財政予算というものは非常に大きいわけで、大きいことに対しては特別交付税ワクで認めるとかいうようなことがいわれておるけれども特別交付税というものは包括的なもので、なかなか分類というものがむずかしいのじゃないか、こういうように思うわけでございます。それをただ特別交付税支給をしておるということでごまかしておるのじゃないか、こういうふうに思うわけです。たまたま昭和四十七年度の特別交付税交付をされたのですが、昭和四十七年度に同和関係についての特別交付税はどれだけのものを配分をしたのか、そのことをお示し願いたいと思います。
  24. 中野晟

    中野説明員 特別交付税同和対策事業の遂行に伴いまして、市町村財政需要というものが重くなるわけでございますが、昭和四十七年度におきまして、つい最近でございますが、府県市町村合わせまして七十五億でございます。なお、四十六年度におきましては、約五十七億交付税で措置しております。
  25. 井上泉

    井上(泉)分科員 地方団体から出てきておる起債事業の中で、私はやはり一番、同和地区の中における産業基盤というもの、これの育成を強固にしていかなければならぬ、こう思うわけですが、その点についてはかなりな金額が要るわけで、それについてのたとえば漁港関係、これなんかにつきましては非常に制約があるように承知をするわけです。この同和対策事業における漁港関係事業については、昨年度——昨年度の実績が出ていないとするならば、昭和四十六年度にどれだけのものが計上されてやられたのか、そうしてまた、四十七年度にはどれだけの計画になっておるのか、起債ワクあるいは補助事業であるのか、同和対策事業であるのか、その点をひとつ水産庁の漁港部長のほうから説明を受けたいと思うのです。
  26. 矢野照重

    ○矢野説明員 お答えします。  漁港関係同和対策事業につきましては、四十六年度から漁港改修事業の一環として計上してございますが、四十六年度におきましては、国費一億一千七百万——当初予算でございます、を計上しまして、一億八千四百二十万の事業を実施しております。その後補正が加わりまして最終的には二億一千五百十万の事業を実施しております。  四十七年度におきましては、当初予算一億八千七百二十万の国費計上しまして、事業費二億七千三百五十五万四千円、その後補正予算が加わりまして、事業費としまして四億三千四百三十五万八千円の事業を実施しております。  四十八年度におきましては、個々の張りつけば現在検討中でございますが、総ワクにおきまして、四十七年度当初予算の五割増であります二億八千八十万の予算計上してございます。
  27. 井上泉

    井上(泉)分科員 漁港関係予算、これは金額二億とかあるいは三億とか出ておりましても、一港当たりの事業予算の中では一億に達しておる漁港というものはほとんどない、こういうふうに承知をしておるわけですが、その点につきましてはいずれまた農林水産委員会で審議をしたいと思います。  そこでまた、総理府室長にお伺いしたいと思いますが、大体、各同和対策関係でも、産業基盤を強めていくような施策というものが最も必要であるけれども、それに対する予算の割り当てというか、一つの各事業省庁ではそれが少ないわけです。たとえば、ことしの四百何十億という予算配分の中で、産業基盤を開発する、強化する、そういう方面における事業費というものはどれだけになっておるのか。
  28. 亘理彰

    亘理政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、同和問題の解決のためには地区住民の経済的地位を向上させなければなりません。そのための産業振興対策が必要不可欠な課題であるということは申すまでもないと思います。従来、住宅とか地区道路とかというような生活環境施設の整備にからめまして、この方面での対策がおくれがちでありましたということは、私どもも御指摘のとおりだと思っております。ただ、同和対策事業特別措置法が制定されました四十四年当時に比べますと、関係予算は相当大幅に増加しておりまして、ただいまお尋ねの点によって申し上げますと、農林漁業関係予算は、四十八年度予算では全体で四十二億六千万円でございます。これは特別措置法の発足しました四十四年度は四億五千万円であったわけであります。また、通商産業関係の同和産業対策予算につきましては、四十八年度におきまして十三億七千万円が計上されておりますが、これも四十四年度にはわずか三千万円であったというふうなことで、非常に大幅な増加をしておる。努力のあとはお認めいただけるのではないかというふうに思います。昨年の暮れに同和対策協議会の会長からも御意見をいただいておりまして、地区のそれぞれの実情に応じまして、構造改善とか新製品の開発とかの施策を推進していくことが必要であるという御意見もいただいております。こういう点も踏まえまして、今後の産業振興対策が地元の実情に即して推進されますように、総理府としても旧来以上にさらに努力をしてまいりたいというふうに思っております。  それからなお、予算のほかに財政投融資の関係におきましても、たとえば農林省関係では、農林漁業金融公庫の資金の中に、歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域の農林漁家の経営改善のためということで、前年度に引き続き十億円の資金が認められております。また、中小企業庁におきましては、同和金融対策として、中小企業信用保険公庫の出資の中におきまして、各府県信用保証協会に対します融資基金の配分を、同和対策ということを十分配慮して行なうということを考えておるわけでございます。
  29. 井上泉

    井上(泉)分科員 時間が参りましたので、最後に自治省にお伺いしますが、国がやることと、あるいは国に対してば同和地区をかかえておる市町村も何かしら強い要求というものはよう出してこないわけですけれども同和地区をかかえておる市町村としては、どうしてもやってやらなければならぬような仕事はたくさんあるわけで、それが財政規模とかいろいろな形で予算が押えられておる、いわゆる起債が押えられておる、こういうように私は承知しておるわけですけれども、いま参事官の話は、そういうことはない、自治体の申し入れについてはほとんど聞き入れておる、こういうふうに承知をするわけですが、そのとおりに理解をしておってよろしいかどうか、なおこの点を確認をして私の質問を終わりたいと思います。
  30. 中野晟

    中野説明員 先ほども説明申し上げましたように、同和対策事業につきましては、その事業重要性から申しまして、できるだけ市町村の負担というものは重くならぬような形で実は措置しておるわけでございます。そういう意味で、たとえば四十六年度でございますけれども、先ほど申し上げましたように、地方負担につきましてその相当部分、ほとんど実は同和対策事業債で見ておるわけでございます。今後もそういう方針でまいりたいと思います。
  31. 井上泉

    井上(泉)分科員 どうもありがとうございました。
  32. 臼井莊一

    臼井主査 次に、山口鶴男君。
  33. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 今度の国会に国立学校設置法等の一部を改正する法律案がすでに提案をされております。また、近く地方自治法の一部改正案という法律案が提案をされる予定であると聞いております。  私、ここで問題にしたいのは、法律案の具体的な内容ではありません。法律案を提出する政府の姿勢についてであります。二階堂官房長官沖繩国会の際に、沖繩関係国内法を審議いたします委員会の理事として非常に精励されたことを私もよく承知しているのですが、あのときの法律を振り返って考えますと、関係する法律が六百本もある。この法律を一まとめにいたしまして国会に提案をされた。中には、私どもとして長い間要求してまいった内容のものもある。それからまた沖繩を不当に差別する、われわれとしては断じて容認できない内容のものも含まれておった。そういうことで非常な論議を呼んだわけでありますが、どうも最近その例を政府は参考にし過ぎるのじゃないかと思うのです。  今度の国立学校設置法等の一部を改正する法律案を拝見すると、旭川と山形と愛媛に医科大学を設置するという内容がついている。いま、国立大学の医学部の競争率たるや三十数倍というので、非常に狭い門です。したがって、私立大学の医学部の入学についてはいろいろいまわしいことも報道されている。また、国民の側から見れば、医療の充実、医者の養成ということは国民的な課題だろうと思うのです。こういった法律と、それからいろいろ問題の含まれている筑波大学の新設とをセットにして、しかも法律の内容は、国立学校設置法それから学校教育法、さらには教育公務員特例法、こういったような法律の改正を取りまとめて一本の法律で出してくる。いわば木に竹をついだといいますか、あえていえば、毒薬をカプセルにでも入れて飲みやすいようにして強引に飲ませる、こういうような国会対策上の配慮が先行し過ぎる法律というのが最近非常に多いのじゃないか。地方自治法の一部改正についても同じであります。  こういった国民の課題である、国民のコンセンサスのある、大学に医学部を設置するという法律は、当然別に提案すべきだ。そして問題のある筑波大学の設置、これに関係する学校教育法の改正とかあるいは教育公務員特例法の改正は切り離して国会に提案をする、そうして十分各党に異論のある問題についてはそれぞれの立場から慎重な審議をしてもらう、こういう態度こそが私は民主的な国会として当然あるべき姿ではないかと思うのであります。どうしてこのように異質なものを強引にくっつけて、あえていうならば、野党が非常にいやがる内容を、何か違ったものでもってカプセルのように包んで強引に飲ませようとするような法律を提案をされるのか、この点に対しまして政府のお考え方をまずお聞きをいたしたいと思います。
  34. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 山口先生ももう長い間国会におられますから、法案の取り扱い等については専門家でございますからよく御承知のことと思いますが、先ほどお述べになりましたとおり、あの沖繩返還の際には、六百本もあるという法律を何で数本にまとめるのかという御議論がございました。しかしそのときも、沖繩がまず帰るということが一つ目標であるし、そのために関連する内容を持った法律であるからということで、五、六本にしぼって出して御審議願った、十分審議していただきましたが、いま具体的にお話がありました学校教育法の法律の内容は別としまして、国会対策上から野党も反対するようなものを一緒にして国会に出す、強引にやるということはいかがかと思うという御質問でございましたが、もしそういうことが事実とすれば、私どもはよく反省もいたします。  しかし、御承知のとおり、国会に出される法律は国会法の五十六条から五十九条まで見ていただきますと、大体議員提案が主たるものである。そしてなおまた、政府も法案を出すことができるというような趣旨の内容が国会法にも規定されています。したがって、国会に出す法律政府も提案権があることは、これはもう十分御承知のとおりであります。  それからもう一点は、昭和三十八年でありますか、同じような議論があったと見えまして、そのときにいまおっしゃったような問題を閣議にはかっております。昭和三十八年の九月十三日の閣議決定、これは「内閣提出法律案の整理について」という閣議決定の要項があります。その第四項「その趣旨、内容において密接な関連がある二以上の改正法律案であって、付託される常任委員会が同一であることその他の事情により統合することが適当なものは、統合して提出すること。」これはいま先生がおっしゃったような議論があって、それを受けて政府が一体どういう基本的態度でそういうことをやるのかということが議論されたときに、七項目でありますが、その第四番目にこういうことが載っておるわけでありまして、私は、いま御議論になっておりますその法案の内容は全く異質のものではない、密接な関連があるというふうに理解をしておりますので、そういう趣旨に基づきまして今回のこの法律も提出したんだ、こういうふうに御理解を願いたいのでございます。
  35. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 近く提出予定の法律の中に、地方自治法の一部改正法案というのがございます。すでにこれは、自治省の省議できめ、自民党の地方行政部会で決定し、さらに昨日自民党の政調会と総務会でこれを確認したそうでありまして、来週閣議決定と同時に国会に上程されるという状況が新聞等にも報道されております。私もこれをこまかい内容で議論しようとは思わないのですが、一体ここにどういう内容があるかといいますと、一つは東京都の都会議員の定数、いま百二十六名です。ところがドーナツ現象のために、二十三区の人口が減ったために、このままでいきますと東京都会議員の定数が百二十五になるのです。しかしそれではいかがかということで、各党とも一致をして百三十人にしたらどうか、百三十人が無理でも従来どおりの百二十六はひとつ確保しようじゃないかということで、今度その内容がこの法律の中に織り込まれる予定のようです。いま一つは、長い間わが党が党として、大臣先ほどありましたように、議員立法大いにけっこうだということで、党の立場から区長公選を国会に提案し、また大衆運動も盛り上がりまして、この区長公選は実現しようやということになりまして、この関係法律もこの中に含まれる。それから、この市町村の連合と申しますか、広域市町村圏を合理的に運営していこうという内容のものも入るわけなのです。  そこで私は、政治家として大臣に聞きたいのですけれども、お互い選挙というのは一番重要ですよ。東京都の都会議員の選挙は七月の十五日に予定されておるのです。そうしますと、この法律がもし六月中にでも成立をしなければ、都議会でもって条例改正をしなければならぬのですから、結局定員が一体何人になるかということがきまらないわけです。同じ選挙をやる身になってみれば、一体都会議員の定数がどうなるのやら、それがはっきりせぬということは、これはお互いにとって一番大きな問題だろうと思うのです。そういった議員のいわば生命ともいうべき選挙に関する法律、しかもタイムリミットがある、そういうものと、長い間国会に提案されて何回も廃案になった、われわれ野党が一致して反対しておるこの市町村の連合の法案と、これをセットにしてそうして強引にこの国会に出してこようというようなことは、私はこれはすべきでない、こういうことを実は議運の理事会の席上でも、ここにおいでの山下官房副長官にも御注意を申し上げておいた。ところが、どうも私の意見は入れられませんで、さっき言いましたような三つのものがセットになった法律が出るようであります。こういうことについては、私はやはり考えていただかなければならぬだろう。それは閣議決定が三十八年にあるということを申されましたが、とにかく政治家として、その議員の定数の問題——これは与野党一致ですよ。それから、野党がいろいろ反対をして何回も廃案になってきた法案をセットにして、しかもタイムリミットは七月十五日ということがある、そういうようなのをくっつけて出すというようなことは、私は政治家としてはすべきではない、かように思わざるを得ないのです。この点はいかがでしょうか。
  36. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 山口先生のおっしゃる御趣旨もよくわからぬでもありませんが、一つ指摘になった点で私が理解しかねる問題は、野党も反対する趣旨のものを、政府はごっちゃにして法律をつくって出すということは、政治家としての姿勢が少し間違っておるんじゃないかというような御意見、私の聞き違いであれば訂正いたしますが、そういう御趣旨であるともしするならば、私はいかがかと思います。これは、やはり各党それぞれ違った立場で政策立案をされておりますから、そういう立場でいろいろ一つの法案に対しても御検討を願っておるわけでありますから、もしかりに政府がそういう強引なことをやるというようなことであれば、これは党独自の修正案なりあるいは法律を出して、国会で堂々と御審議になるのがたてまえである。これは全く私の私見、たてまえ論でありますが、しかし、いまおっしゃるような地方自治法の改正に伴う定数の問題、そういう問題も、担当の局長から内容はよくお聞き取り願いたいと思いますが、これも先ほど申し上げましたような閣議決定の原則に従って、政府は適当である、御審議を願うにふさわしい法律である、こう考えて提出をしておるものだと思いますので、ひとつ具体的な内容については、また、局長も一来ておりますから、お聞き取り願いますが、そういう考え方であることだけをここで申し上げておきたいと思います。
  37. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 野党が反対している法案について、与野党一緒のものをセットにして出すのは政治家としていかがかというふうに大臣お聞きになったとすれば、そういう趣旨ではありません。政治家というのは、やはり選挙、国民の洗礼というものが一番大事じゃないか。地方自治法の一部改正法案の中に、都会議員の定数の問題がくっついている。都会議員も政治家であることは間違いないわけで、政治家とすれば、自分の行なう選挙の定数が一体どうなるかということがはっきりせぬという状態では一番お互い困ることは間違いないではないか、そういった政治家の生命ともいうべきこの定数をどうするかという法律一つある、それと与野党の間でいろいろ意見の異なる問題であり、しかも何回も国会に提案され、廃案になったという経過のあるものをくっつけることはどうなのか。問題は、やはり選挙というものをお互い政治家は一番重要に考えます。そういった選挙に関する問題と、他の異質のものをくっつけるというところに、われわれ政治家としては納得できぬところがある、こういうふうに申し上げたつもりでございます。そういう趣旨でひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  38. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 いまおっしゃるような内容については、私もまだ閣議で報告も受けておりませんし、いつ閣議決定になるのか承知しておりませんが、先生の御発言のとおりとすれば、近く決定されると思いますが、それにしても、自治省がこういう法律を提出する以上は、選挙等に困難があるということを予測して、困難な中に選挙が行なわれる、全くわけのわからぬものを出すということでは私はよくないと思います。しかし、政府が閣議決定をして法律を出すという以上、そういうことも十分見きわめた上で法律を提出することになるだろうと思っております。  なお内容につきましては、私もつまびらかにいたしておりませんから、局長が来ておりますから、局長からひとつ答弁をお聞き取り願いたいと思います。
  39. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 お答えいたします。  現在提出が予定されております地方自治法の改正案は、先生指摘のとおり、東京都の特別区の区長の選挙、その他特別区の制度改正と、それから市町村のいわゆる連合一部事務組合の特例でございます。実は、これらはいずれも地方制度調査会の答申に基づいて提出いたすものでございますし、またいずれも地方自治法のうちの第三編、特別地方公共団体に関する改正でございます。  それから、いまお話しになりました東京都の都議会の、定員の問題につきましては、実は特別区制度の改正と関連いたしまして、特別区の制度について大幅な改正がなされるということ、この時点に着目いたしまして、東京都関係の各党こぞっての御要望に応じて、附則で特別区制度を改正する、その改正をじっと見守るために現行定数を据え置くというものでございまして、確かにことしの七月に選挙が予定されておりますから、それまでには通さなければならぬということは御指摘のとおりでございますけれども、この国会は、現在は五月一ぱいが会期でございます。あるいは会期の延長ということも考えられるかと思いますが、法案自体の内容は非常に短いものでございますので、十分審議に時間をかけていただきまして、私たちは都会の方々に御迷惑をかけないようにすることが可能であると信じておる次第でございます。
  40. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 林さん、ことばには注意いただきたいと思うのです。いま、私ども予算を審議している。国会の会期は五月二十日ですよ。その際、林さんは政府委員でしょう。政府委員の口から国会の会期延長というものがあるかもしれないというようなことを聞いたのは、私、今国会で初めてですよ。このことは政府委員としておっしゃったのですか。とすればこれは問題ですよ。
  41. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 たいへん申しわけないことを申し上げました。おわびをいたします。国会の現在予定されております会期一ぱいまでかけて審議していただいても、都会には御迷惑をかけないということを申し上げようと思った次第でございます。たいへん失礼なことを申し上げました。おわびいたします。
  42. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 そこで、確かにいずれも自治法の特別区制に関係がある、こうおっしゃられましたが、林さんと議論してもしかたがないので、大臣、聞いてください。  それでは、いま地方税法の一部改正案というのが国会に提案されていますね。本会議の趣旨説明をやって、いま地方行政委員会にこれは付託されております。地方税法改正の中に、固定資産税に関する改正もありますね。その固定資産税に関する部分、国会でいま、あるいは国民的な課題にもなっておる農地の宅地並み課税というのがあります。これは一体のものでしょう。その一体のものを、どういうわけか知りませんけれども政府のほうはこれはどうも提案するのはいかがか。ひとつ与野党で一致した話し合いでその結末をつけてくれというので、わざわざ同じ地方税法改正の中の、しかも固定資産税に関する改正が出ているその部分の中の農地の宅地並み課税の問題だけは切り離して、そして国会に提案されているじゃないですか。そういう政府・与党としてどうもちょっと都合が悪い、政府・与党だけどろをかぶったのではぐあいが悪いというようなものは切り離して提案をする。理屈からいえば一緒にしなければいかぬわけでしょう、さっきのお話からいえば。そういうことはする。そうしてさっき言ったように、議員とすれば選挙が一番重要だ。そういう意味で政治家としても最大の関心のある問題と、それから長い間国会でいろいろ問題のあった問題、確かに地方自治法の一部の中で、特別区制にこれは関係するかどうかしらぬけれども、これを一緒にして出すということでは、私は、自治省としても政府としても筋が通らぬじゃないかと思うのです。大臣、内容のこまかい点はいいですよ。同じ、そういう関連があるという議論からいけば、一体で出さなければならぬものを切り離して出す。そうして片方は木に竹をついだような内容をくっつけて出す。これでは政府の法案提出に対する態度は一貫していないじゃありませんか。いかがです。
  43. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 山口先生、木に竹をついだようなものをとおっしゃいますが、あなたも専門家でございますから、全く異質のもので木に竹をついだようなものを一本にして出しているとは思いません。  それから後段の宅地並み課税の問題は、これは政府提案でなく議員立法で出された法律でございますから、そういうことを十分政府も考えておるわけでございますから、御理解をいただきたいと思います。
  44. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 でしたら、議員定数の問題等については、これは議員立法で切り離して出しなさい。他の問題は一体だから地方自治法一部改正として提案をするとか、やり方を自治法のようにしようと思えば幾らも方法はあるはずなんですよ。そうじゃありませんか。局長に聞きましょうか。
  45. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 都議会の議員定数の問題は、この夏の議会に関しまして与野党一致してぜひこういうふうにという御要望があったものでございます。それから、特別区の制度の改正につきましても、地方制度調査会の答申——地方制度調査会には国会の先生もお入りいただきまして、十分議論をした上での御答申の趣旨を尊重しようということでございますし、いま先生が問題とされております連合の問題につきましても、同じく十三次の地方制度調査会の御答申によって今回改正をしよう、しかもこれに関しては御議論があったことは十分承知しておりますが、一方各市、各町村のほうからはぜひ早期成立をというたくさんの要望も参っております。そこで、私たちのほうはこれを政府の信念として提案をいたしまして、十分御審議をいただき、十分その御趣旨を説明すれば、この国会の会期末までには御賛成をいただけるという自信を持って出しておる次第でございます。
  46. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大臣もお忙しいそうですから、一言だけ聞いて大臣御退席いただいてけっこうだと思うのですが、お互いいろいろな立場もありますし、それからまた大臣が言われた昭和三十八年の閣議決定も、それはあるかもしれません。しかし、事は七月十五日のタイムリミットというものがある法律、しかもお互い政治家とすれば選挙というものは最も重要な問題だ、こういうものと他のものとか——それは理屈をつければ関係があるとかないとかいろいろ議論もできるでしょう。しかし、そういうものとがついて国会に出されようとしている。私は、これは分けていただくことがいい、そういうふうに意見を申し上げておきますけれども、しかしそれはそれといたしまして、こういう、お互いすなおに考えてみた場合に、いかがかと思うような法律については、当然、地方行政委員会なり国会において十分話し合いをして、そうして大臣御案内のように、国会法にもいろいろな規定があるわけでありますから、切り離して採決をするとか、いろいろな方法はあるわけであります。そういうことについては国会法の規定というものも十分尊重をして、そうして政府が一たん出した以上は、異質のものをくっつけたものを何が何でもくっつけたままでなければならぬというようなかたくなな態度でなしに、十分国会の話し合いの推移というものを尊重して、そうしてその処理を見守るということはあってしかるべきじゃないかと私は思うのです。そういう意味における大臣のお考え方だけ承っておきましょう。
  47. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 山口先生の御意見は十分承って、今後反省すべきことがあれば御意見を参考として反省をしてまいりたいと思いますが、いまお述べになりましたような具体的な法案は、私が先ほど御説明申し上げたとおりでございますから、御理解をいただきたいと思います。
  48. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大臣、けっこうですよ。  では、山下官房副長官にあとお尋ねしましょう。  山下さんもわれわれと同じ議員でありまして、選挙の洗礼を経てこうして国会にお互い参っているわけでありますが、どうですか、私の言っていることは決して無理なことを言っているのじゃないと思うのですよ。それは昭和三十八年の閣議決定もあるかもしれない。しかし、農地の宅地並み課税については、それは昨年、この一年間実質的なたな上げをやった、これは議員立法。それは間違いない。しかしそのもとになるのは、その前年に政府提案で国会に提案をされて、そうして成立した農地の宅地並み課税の部分について結局問題になっているわけですから、これだけは議員立法で別だ、これは政府提案だ、こういう画然たる区別がつかないことば山下さんもよく御理解いただけるだろうと思うのです。そういった問題は切り離して、他の部分だけ、しかも固定資産税、同じ部分も含んでいる改正を国会に出しているのですよ。そうして片方では、この国民的な課題である国立大学の医学部設置と、それから教育界でも非常に異論のある筑波大学の問題をセットとして片や出す。片や先ほど繰り返し私が申し上げているような区長公選の問題と、東京都議会議員の議員定数の問題と、それから何回も政府が提案をされたけれども今日まで成立を見なかった、いわば審議未了、廃案になった経過もある法律とをくっつけて出してくる。これではすなおに考えたって首尾一貫しないじゃありませんか。そうじゃありませんか。ですから、少なくとも官房長官あり、官房副長官が二人おられて、そうして片や事務次官会議を主催されて、そうして実質的な法律案の取りまとめをやっておられるそういうときに、官僚出身の後藤田さんだけではわからない考え方をやはり政治家出身の山下さんがよく指導する必要があるからこそ、わざわざといっては恐縮かもしれませんが、国会議員出身の官房副長官も置いておられるのだろうと思うのです。その点山下さんのお考え方はどうなんですか。また、そういうことについて役人出身の後藤田さんのほうを十分御指導するつもりはないのですか。
  49. 山下元利

    ○山下(元)政府委員 御指摘の点につきましては、先ほど官房長官からも御答弁申し上げましたが、固定資産税に関する部分につきましては、御説もございますが、昨年の議員立法の経緯等もこれありまして、そうした点につきましてはまだ与野党のお話がまとまらない段階でございますが、それはそれなりにいまの地方税としては決してそれを故意にはずしたわけではなく、またその段階において、もし議員立法という形が出ますならば、もちろんそれは国会の御審議の結果でございますから。ただ政府といたしましては、固定資産税に関する部分については、まだ、従前御提案したことのほかに成案は得ていない段階で、従来どおりさしていただければけっこうだということでそうした提案をさしていただいておるわけでございますが、したがいまして故意に離したということでは決してないことは御承知いただけると思うのでございます。  なおもちろん、選挙につきましてのお気持ちは、私も苦労いたしております者の一人といたしましてお説のとおりでありますが、ただ、先ほども自治省から御答弁申し上げましたとおり、事柄が同じ委員会にかけられるものであります限りは、その法案というものは、成案を得ている以上は一緒に提案させていただいて、そうして国会の御審議を待つというふうなことでございますが、ただ、これとてもまだ、現在閣議の決定をしておるわけではございませんけれども、従前の方針どおりにやらしていただくのが大体の考えでございますけれども、先ほども官房長官が申しましたように、お説は十分拝聴さしていただきたいと思っております。
  50. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 時間が参りましたから、これで終わりたいと思いますが、地方自治法の一部改正につきましてはまだ閣議決定をされていない、そういう段階でありますから、本日の機会をとらえて私どもの考えを申し上げました。ひとつ十分私の申しましたことも参考にしていただいて、閣議決定の際にはひとつ切り離すような善処をしていただくことを強く要請いたしておきたいと思うのです。  それから、今後の問題ですけれども、木に竹をついだと申しますか、あるいは毒薬、ネコいらずを飲ませるのに飲ませやすいようにというのでカプセルに包んで、野党に強引に飲ませようとするような、そういう国会対策上の意図があまりにも見えすいているような法案というものは——昭和三十八年の閣議決定の御説明はいただきましたけれども、そういう意図を含んで何も閣議決定したのではないだろうと私は思います。したがいまして、今後法案を国会に提案する際には、そのような異質なものをくっつけるとか、あるいは毒薬、ネコいらずのたぐいを飲ませやすくするためにカプセルで包むというような、そういった見えすいた、悪質な意図を持つ法律案というものはおつくりにならないように、これも野党の立場として強く要請をいたしまして、質問を終わっておきたいと思います。
  51. 臼井莊一

    臼井主査 次に、土橋一吉君。
  52. 土橋一吉

    土橋分科員 私は、いま東京都内東久留米市というところにおいて切実な問題として起こっておる、陸上の不発爆弾の処理について御質問したいと思うのであります。  この問題は、昨年の五月十七日の参議院におきましても、わが党の塚田議員によって克明な討論が展開をされまして、そうしてその責任の所在は、一応総理府において取りまとめ、関係各省庁との間において具体的な措置をするよう、防衛庁長官の江崎さんと自治大臣の渡海さんその他の答弁によって明確でございます。  そこで、まず最初に、私は坪川総理府総務長官にお尋ねをしたいのですが、今年の一月二十三日、東久総防発第七号によって、藤井顕孝市長から坪川信三総理府総務長官に対して要請書が出ておるのであります。この内容は「不発爆弾の処理について」というので、カッコして要望と書いておりますが、この内容は大体御承知と思いますけれども、ちょっと前文のところだけ読んでみておきたいと思うのであります。  二番目のパラグラフから見ますと、「戦後二十八年経過した今日においても、爆発力・破壊力は少しも衰えておりません。不発爆弾が埋没している付近住民の不安は高まるばかりで夜も安心して眠れないのが実情でございます。当市といたしましても不発爆弾を処理し早く住民の不安を解消したいところですが、現在の財政状況ではとてもこれを処理する能力はございません。戦争行為そのものによって生じたこのことは、一自治体で処理する問題ではなく、当然国の責任において一日も早く安全に処理するのが当然と考えられます。当市内には、現在十一発の不発爆弾が住宅の下、あるいは畑・山林に埋没しており、これを処理するのには、約十一億円の経費が必要となります。」どうか当局におかれましては、この実情を御賢察の上、一日も早く処理方を願いたい、こういうのが出ておりますが、これは知っておられるのかどうか、あるいはそれについてどういう処理を具体的に総理府としてやってくださっておるのか。特に、国の事業でございますので、国がやるとなれば、予算措置を必要とするのでございます。  この問題は、東久留米市の十一発の問題だけではございません。すでにこれは埼玉県におきましても、また東京都下においてもあるし、同時に、関西方面にしましても、九州にしても、とりわけ復帰をいたしました沖繩県においては、この問題が非常に大きな問題と相なっておるのです。つまり、一平方メートル六トンの爆弾が落とされたという地域においては、私が申し上げるまでもなく、この問題は重要であるわけです。この問題とからんで、海上あるいはわが国の周辺海域におけるそういう問題もございますが、ここでは陸上不発爆弾の処理について、ひとつ明確な御答弁を願いたいというふうに思っておるのでございます。
  53. 坪川信三

    坪川国務大臣 お答えいたします。  不幸な戦争によりましての残されました不発弾の処理という問題は、国民の生命、財産につながる非常に重要な問題であることも、私は土橋議員と同様な気持ちを持っておる次第でございます。  いま御指摘になりました具体的な、東京都の東久留米市の藤井市長さんから一月二十三日に出されておりますところの要望書も、私も十分拝見もいたしております。したがいまして、これらに対するところの処置につきましては、やはり自治省あるいは防衛庁と連絡をいたしまして、早急に一ぺん現地を見るべきであるという判断をいたしておりますので、この関係の私のほうの主管の責任のほうにも、ひとつ自治省それから防衛庁と連絡をとって、東久留米市の市長さんとも連絡をして、一度現地を見るようにいま指示いたしておりまして、関係省の日取りがきまり次第、これを派遣いたしたい。そして、その目で見た結果を見まして、どう処置すべきか、また、東久留米市長の藤井さんの御意見、また現地住民の皆さんの御意見も承って、その報告に従って関係省庁と連絡をとって、ひとつ積極的にこの処理方針をきめてまいりたい、こう考えております。
  54. 土橋一吉

    土橋分科員 坪川総務長官のお答えは、私が申し上げた点を具体的にお示しを願って、私はたいへん個人的にも感謝をいたします。  ただ、総理府がいま組んでおります予算というのは、私たちが事務当局の皆さんからお聞きをいたしますと、一億円程度組んであるとかいうお話を聞いておるわけです。従来も東久留米市で七発ほど爆弾を処理いたしましたが、その際にも、渡海自治大臣及び江崎防衛庁長官説明によりますと、幾らかの資金は出すけれども地方交付税によって大体処理をしてきた、こういう御説明がございまして、陸上不発爆弾の処理に当たった当該東久留米市と、隣の、人口比率あるいは住宅地としてほぼ同じ条件下にある、名前をあげては申しわけないのですが、保谷市というのは同じようなかっこうの市でございます。そこへ交付されました地方交付税とそう変わらない。それはいろいろな目算等の説明はございますけれども、少なくともそこでは二千三百万円余の支出をしたというような関係で、地方交付税としていただきましても、その内容が明確でないために、不発弾処理のためにいただいたものかどうか、きわめて内容が不十分でございますので、こういうことがあっては、せっかくいろいろ努力されましても、そこがどんぶり勘定になってしまって明確じゃないわけです。  ですから、私は、こいねがわくは、やはり総理府所管をしていただいておるのでありますから、いまお話しのように、現地へ行ってつぶさに地元の自治体とも協力をしていただきまして、事実をよく見ていただきまして、そうして財政的な措置にいたしましても、地方交付税というような、率直に申し上げてなまぬるい措置ではなくて、かかった金額は即刻払いましょうというような体制をとっていただきたいのが、私がこの質問をいたしておる重要な一つのポイントでございます。そういう点について長官は一体どういうふうに考えておられるのか。依然として、いままでとられましたような措置を講じて解決できると考えておられるのか。それとも、いま仰せになりましたような、だれもがこれでよかったというような措置を講じていただけるかどうか。具体的な措置については、いま申し上げるような点が中心だと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  55. 坪川信三

    坪川国務大臣 御承知のとおりに、不発弾の処理につきましては、昭和三十三年に次官通達をもって、すなわち防衛、通産、自治、警察等の次官通達をもって各関係市町村団体にお願いもいたしており、国の処理方針も提示いたしておるような次第でございます。それに従って、国としてはそうした処理に力を注いでまいったのでございますが、何といっても、これを処理するのには財政的な一つ措置がやはり非常なウエートを持っておる、これが一番必要であるということ。また処理すべき機関が、どこが責任省庁として持つべきであるかということを、私も就任以来いろいろと検討いたしておるのでございますが、やはりこれを処理する場合には、自治体との関係もございますし、交付税の問題も関係いたしてまいるものですから、自治省にもよくお願いしなければならぬ。しかし、それでは実際に処理に当たるというような立場になると、防衛庁の御協力もいただかなければならぬ。こういうことになりますと、責任の省庁を一省にきめるというわけにはいかぬ、こう思うのでございますが、しからばその大事な問題を監督、調整、連絡をはかるところが必要である、こういうような気持ちを持って、総理府がこれに対してのいわゆる連絡、調整と指揮に当たる、そうして関係省庁と連絡を密にして実際の実務に携わっていただく、こういうような態度で、今後もこの方針がいいんじゃないか、こう思っております。  しかし、調査をするにいたしましても、それを実施いたす場合においても、やはり経費を必要といたすものですから、政府が今年度の予算編成の時点におきまして、非常に大事な問題であるからということで、江崎自治大臣もまた私も、やはりこれは予算上取っておくべきであるという発言をいたしまして、官房長官も非常に積極的な賛同もされまして、最終的な予算編成の計数整理ももう終わらんとするときに実りまして、一億円が、ささやかではございますが計上されたというのが率直な、ありのままの経緯でございます。  しかし、私はこれによってもう満足すべき——これなどをやる場合には、一億円などではとてもとても……。ですから、本年度のこうした問題の実施と調査等を踏まえまして、私は、来年度はもっと積極的なるところの予算措置を講ずべきである、こうも考えておりますので、そうした点に努力をいたしてまいりたい。  東久留米市の問題につきましても、御承知のとおりの実態を一度把握いたしまして、そしていかなる方法を講ずべきであるかということについて、その時点に立ってまた関係省庁と十分連絡をして、処理方法、また財政措置の方法等も考究いたし、また自治省交付税その他の問題についてもお願いをいたしたい、こう考えております。
  56. 土橋一吉

    土橋分科員 総務長官、端的にこの点ではっきりさしておかなければならない点は、まず国の責任においてこの問題を処理すべきだという点、これが第一でございます。これはよろしゅうございますね。——すわったままでけっこうですから、国において責任を負うと。で、各関係省庁との関係があるが、とりあえず総務長官の責任において、防衛庁とか自治省であるとかあるいは関係の警察関係、要するにそういう全体の経費その他については、内部ではいろいろ意見もございましょうが、国民に対しては責任をもってあなたのほうで、そういう経費の問題、調べる問題、あるいはまた自衛隊との関連の問題、こういうのを令部総括的におたくのほうで取りまとめて、政府を代表してやってくださるというふうに、私のほうで理解してよろしいのですね。
  57. 坪川信三

    坪川国務大臣 その点は大事な問題でございます。したがって、一切を国が責任を負って、すべてこれを執行するという形よりも、私は、現地の自治体の立場も非常に大事だと考えておるのでございます。したがって、私は、どこの責任とかどこが執行の機関であるというようなことでなくして、国と自治体とが一体となってこれに取り組むという方針でまいりたい、こう思っております。
  58. 土橋一吉

    土橋分科員 総務長官の非常に熱情的な発言の中には、私は了解できるものもあるわけです。地方当該自治団体は、自分の背に腹はかえられない問題です。あなたがそう言われなくたって、地元からは、どうしてくれるんだと、神経衰弱になるほどどんどん市役所とか市会議員さんとかに押しかけていって、どうしてくれるんだ、うちの根太の下にそんなものが埋まっておっては困るということで、これはもう切実な問題でもありますし、当該市町村としてはもうのっぴきならないところまで追い込まれておりますから、政府でその考えでおやりくだされば、あなたがいまお話しになったようなことは、当然それは一緒になって、いろいろな協力体制をとったり、発掘あるいはその災害除去のためには——もう背に腹はかえられない状態ですから、これはもう申し上げるまでもないと思うのですよ。  ただ、問題は、従来のいきさつその他から見まして、所管の官庁がはっきりしていないとか、あるいは出てくる金が非常に少なかったとか、あるいはそれをお願いする場合にも、地方交付金というような形で、内容が非常にどんぶり勘定でわからなかったとか、こういうことになっておりますので、この点を明確にするために所管をまず総理府がおやりくださるということと、内部の関係において、防衛庁がこう言った、あるいは今度は警察庁はこんなことも言っておる、あるいは自治省でもこんなことを言っておるというようなことがございましても、それは国民、第三者に対しては、政府としてあなたのほうで一本にまとめて、そういう内部のいろいろな意見の違いとか調整を全部やっていただいて、そしてこの市町村団体のほうへきちっとした態度を示していただく、それには予算措置を——いまあなたも仰せになったように、非常に大事な問題なんです。ですから、これをやはり地域の——特に東京周辺あるいは大阪とかという大都市周辺では、御承知のように、用地取得のために皆さん非常に苦しんでおるわけですね。これは小中学校の建設あるいはその他の問題でも、あなた、よく御承知だろうと思うわけです。そうしますれば、国でやってやるということになれば、いまお話ございます——たとえば、いま速急に東久留米市の浅間町というところで、これは旧落合部落と称しておりますが、ここでも、地域住民の要請に従いまして、市のほうでは泣く泣く、ない金をしぼって日本物理探鉱という会社に依頼をして、いま探知機でさがしておるわけです。不幸なことに、もしそれが発見されたということになってくれば、住宅地でございますから、宅地をこわすなりあるいは移転をする、あるいは児童疎開をする、病人は病院に入れる、立ち木は植えかえをする、こういう事態においてすぐ金がかかるわけですね。これを頼むだけでも二十七万の金がかかるわけです。一発いわゆる探知機によって調べると三百万円近くかかるわけです。そうしてまたその業者の方々に、表土を取り除くといえば、これでまた一発二百万とか何百万という金がかかる。最小限度、一発でも五百万以上の金がかかるのは御承知のとおりであります。でありますから、それだけの余分な財源を持っていない市町村、自治体としては、こういう問題はすでに起こっておりますので、速急に、日にちはもうごく近日中に、さっそく総理府の職員の方が出張くださいまして、現地のその市町村団体はもうそれでやっておるわけですから、協力をしていただいて、実際の状況を見ていただきまして、どの程度台所は苦しいかあなたも御承知だと思いますので、その点を速急に解決をしていただきたい。  これがまあ、いろいろあなたの仰せになったこと、時間もそうたくさんございませんから、最後に、うちで責任を負うんだ、内部の関係は私のほうで、まあいろいろな関係あるけれども、大体総括をして意見を調整をして、地方自治体や地域住民に私のほうからきちっとする、それで金のほうもきちっと私のほうで、いま申し上げたようないろいろな関係があるけれども、その問題については処理するだけの金はくめん、調達をいたしましょう、こういう点についてはっきりした答弁を賜われば、問題はきわめて簡易な問題であります。  各省の問題を出しますと、これは一般の大衆や地方自治体によってはわからぬですね。防衛庁があんなことを言っておる、それから自治省がこういうふうにおっしゃった、中へ入って総理府はこういうふうな仲介の労をとったとかいろいろなことはあっても、そんなことは第三者にはわからないことであるし、また、それは話がややこしくなってしまっていけませんので、やはりあなたのほうで基本的な責任をはっきりさしていただいて、内部ではいろいろなそういう調整をする問題もございましょうけれども坪川総務長官の名においてきちっとそれが行なわれるようにできるかどうか、またしていただきたいわけであります。この点についてひとつ、簡単でけっこうですから……。
  59. 坪川信三

    坪川国務大臣 お答えいたしますが、東久留米市の不発弾処理の件数一つを考えてみましても九件以上に及んでいるというようなことを聞きましたり、それの問題に関連する費用が十二、三億円を必要とするというようなことも聞いておる次第であります。そうしますと、非常に大事な問題でもございます。また、国民の生命につながるという厳粛な問題でもある。そういうような立場から考えて、私は、第二次田中内閣が成立いたしましたこの際、これに政府は真剣に取り組むという姿勢が必要であるという観点から、閣議において江崎自治大臣も発言していただく、増原防衛庁長官も発言し、私からも発言し、官房長官も発言してこれらの方針をとった、この姿勢も御理解いただけると思います。内閣というのは、もう土橋委員承知のとおり連帯の責任でございますから、そんな責任のなすり合いをいたすなんという体制では、われわれはもちろんございません。全体の責任においてこれを執行してまいるという立場でございますが、これはひとつ御信頼いただきたい。  ただ、いま責任のすべての所在が総理府ということの明言といいますか、はっきりとした方針を打ち出せ、こういうお気持ちは、心情的にはよく理解できるんでございますが、総理府といたしまして何らの執行機関も持っておりませんし、また、税制上の措置を持つ執行体制でもございません。そうすると、何といってもいわゆる自治体、自治省、あるいは警察庁、あるいは防衛庁、場合によっては通産省というような、各般に及ぶ問題でございますから、私は「いわゆるそうした立場で指導をいたす、調整をはかるという仕事が私にある、こういうような気持ちでもうこれに取り組んでおる。それですから 現地の市町村の立場も必要である。現地の市町村の責任もある。いろいろございますので、責任の所在のなすり合いなどという、つまらない、小乗的な考えでないほど大乗的な大きな仕事でございますから、私は、そうした立場で総理府が指導の調整の任に当たって、これと取り組むということで御理解願いたいと思います。
  60. 土橋一吉

    土橋分科員 私も官庁機構のことは幾らか存じておりますので、あなたのいまの発言をせられた、調整をして善処する、これ以上には答弁としてはなかなかむずかしいだろうと思いますが、しかしながら、いま事情を申し上げましたように、この速記録を繰り返し拝見いたしましても、その内容が明確でないために、地元のほうでは、なすり合いをしておるんじゃないかとか、政府は責任をなかなかとってくれないじゃないかとか、こういういわば不信の声がほうはいとして、特にそういうところの地域においては起こっておるやにも聞いておるわけです。ですから、いまあなたがおっしゃったような点を明確にして、やはり全体の調整をとりながらやっていただく。そうして責任は、それは財政の面は大蔵省なり、あるいは発掘の具体的な技術的な援助なり協力防衛庁なり、いろいろありましょうが、要するに全体を総括して、あなたのほうで、東久留米市の当該起こっておる問題、あるいは将来起こるであろうところの全国的なそういう不発弾の処理あるいは海上における危険物のそういう問題については、やはり御処理を願う体制をここで明確にしておきませんと、特に沖繩ば、先ほど申し上げましたように、大きな問題をこれからだんだん出してくるであろうというのでありますので、願わくば、一億円という金額はたいへんな金額ですけれども、とてもじゃないが一東久留米においても十二億ばかりの金がかかるというのですから、もっと予算計上しなければならぬという問題があることを付言をして、私はあなたに対する質問を終わりますが、あなたもお忙しいだろうけれども、この発掘作業の写真——この前とったのは大体六メートルくらい下にあるわけです。色写真ですから、一つ二つ見てください。どんなに苦労しておるか。探知機は、三百万くらいであります。  次は、大蔵省の方にちょっと御質問いたしますが、いま討論の内容でおわかりいただいたと思うのですが、大蔵省としては、いま坪川総務長官もいろいろお話がございましたように、今後東久留米市においても十二億円余の金がかかるという事態でありますので、予算をやはり適切に、これはいつ起こってくるかわからないというきわめて不確定な内容を持っておるものもございますけれども、大蔵省として全面的に協力をするというのであるのか、金を出し惜しみをするというのであるのか、明確にひとつ答弁をしていただきたい。
  61. 海原公輝

    ○海原説明員 お答えいたします。  この交付金が四十八年度予算に託上されました経緯につきましては、先ほど長官のほうから御説明のあったとおりでございます。責任が国にあるか地方公共団体にあるかとの議論は一応別といたしまして、やはり昨今の市町村財政に非常な負担となる場合が出てきたことに着目いたしまして、そういった市町村に対して、国としてもこれに対処していかなければいけないということで、本年度は、初年度といたしまして、とりあえず一億円を計上したものでございます。したがいまして、今後の実施状況を踏まえた上でその後の所要の措賢を講じていくというふうに、財政当局としては考えている次第でございます。
  62. 土橋一吉

    土橋分科員 いまお話も聞いていただいたと思いますが、これは特に、マイホームでそこへうちを建てた、その近所にそんなものが埋まっておるということになれば、これはあなたの場合を考えてもたいへんな問題でございますし、ぜひそういう点について今後特段の配慮をひとつお願いをして、地域住民、特に公共団体が、大都市周辺においては御承知のように非常に困窮いたしておりますので、そういう点を十分勘案をして処置をお願いしたい。きわめて抽象的ですけれども、その点だけ答えてもらえば……。
  63. 海原公輝

    ○海原説明員 お答えします。  財政当局といたしましても、それぞれ国、地方公共団体と緊密な連絡をとりまして、遺憾のないように対処していきたい、かように考えております。
  64. 土橋一吉

    土橋分科員 もう時間が参りましたので、防衛庁上野用課長にちょっとお尋ねをいたしますが、あなたのほうでお出しになっておるこの通遠、これは昭和三十三年法律第百六十四号に基づいて、自衛隊法附則十四項というのでお出しになっておるわけです。この内容を拝見しますと、防衛庁長官の命を受けて陸上において発見された不発爆弾については「処理を行なうことができる。」というふうなたいへんなまぬるい、処理をしなければならないという態度ではない。することもできるというような説明を加えておる。私は、これは非常に遺憾に思うのですが、特に不都合と思われる点は、師団長が、警察からの通告によって当該不発爆弾が埋めてあるところの市町村長と甲、乙で契約を結ぶ場合に、技術的な援助だけをする。これでは実際行動においてやるようになっておるのですけれども、つまり、技術援助だけをするようなかっこうで、うしろ手をしておって、作業員が一生懸命働いておるのをただふらふら見ておって、そして最後に信管を抜くか知りませんけれども、そういうことだけであるならば、ここに書いておる全体の趣旨から見て、不発爆弾その他の処理を具体的にしておるという状況ではないように思うのですよ。  問題の中心はどこにあるかというと、つまり市町村長との間において、技術的な援助以外はやらないんだというような条項を認めなければ協力しないんだ、こういうようなことがうかがわれるのでありまして、こういう不都合な態度ではまことに遺憾でありますので、幕僚長なりあるいは当該担当者は、責任を持ってその市町村協力をして、作業員とも協力をして、作業体制を完備して、この発掘については努力をしてもらいたいというのが私の基本的な要請であるし、願いであるわけです。こういう点についてどんなものですか、ちょっと答えていただきたい。
  65. 上野隆史

    上野説明員 お答え申し上げます。  この通達の基本線となっております点は、御承知のとおり、自衛隊法の附則第十四項で、「自衛隊は、当分の間、長官の命を受け、陸上において発見された不発弾その他の火薬類の除去及び処理を行うことができる。」この規定を、自衛隊は不発弾処理につきましては根拠としておるわけでございます。それで、その趣旨を逸脱することのないよう、こういう基本的な法律がございますので、その趣旨を受けまして現地とのそういう協定を結んでおるわけでございますけれども、それが読みようによっては、いま先生指摘のように、穴を掘るのは地元なり何なりにやらせておいて、自衛隊は手をこまねいて見ておって、いざ、たまが出てきたらそれの信管を抜くような作業をやるだけではないか、そういうようなことで消極的ではないかというような御趣旨かと存じます。それは、先ほど総務長官もおっしゃいましたように、自衛隊の基本姿勢といたしましては、総理府の御指導、それから御調整もとに全力をあげて協力をするという態勢でございます。  しかして、自衛隊が協力するその中身は、やはり自衛隊の持っております専門的知識と申しますか、技術的な能力というものを最大限に活用いたしたいということでございまして、その点において抜かりがないように従来も指導してまいりましたし、今後ともそういう形でやってまいりたいと存じます。  なお、そういうような具体的な事例がございましたらば——具体的な事例と申しますのは、自衛隊が消極的であるというような点がございましたらば、御指摘いただければ厳重指導してまいりたいと存じます。
  66. 土橋一吉

    土橋分科員 相すみませんけど、最後にちょっと。  ここにこういう条項がございますね。この三十三年の防衛庁長官指示の五項の規定ですね。ありませんか。なかったら貸しましょう。この五項の規定の後段のところにある、埋没しておることがきわめて確実であると推定されるような場合に、要するにそれをあたかも拒否をするような体制をとっておるということが、現地で間々言われておるわけです。五項の規定の後段のほう——つまり前段の、探知機をもって不発弾が埋蔵されておることを探知をするという義務はないのだ。しかしながら後段の、ここに確かに不発弾があるというような場合に、いま申し上げたようなことが行なわれていないということが言われておるんです。五項の後段の規定、それはどうですか。これから責任を持っておやりくださるんですか。それだけです。
  67. 上野隆史

    上野説明員 この五項をちょっと読み上げますと、「自衛隊は、積極的に不発弾等を自ら探知する義務を負わないが、それらが現実に露出していなくてもそれらの埋没していることが充分確実であるという通報があったときは、それらの除去および処理を実施するものとする。」この項だと存じますが、この「探知する義務を負わないが、」という点が先ほどお触れになった点と思いますけれども、実は探知する能力が、率直に申しまして現在自衛隊は、探度十メートルにも及ぶようなところにつきましては、その能力が十分でございません。  そこで、そういう情報等によりましてそういうようなものはまず知らしていただく。それに基づきましてやるということでございますが、この後段につきましては、現実に露出していない……。
  68. 土橋一吉

    土橋分科員 その後段を文字どおり、書いてあるようにきちっとやりますかということです。やりますね。責任を持ってこのとおりやってくださるわけですね。そういうことについていささかでもさぼったり、そういうことがないようにきちっとしていただきたい、こういうわけです。
  69. 上野隆史

    上野説明員 はい、かしこまりました。
  70. 臼井莊一

    臼井主査 次に、芳賀貢君。
  71. 芳賀貢

    芳賀分科員 まず、福田行管長官にお尋ねいたします。  行政管理庁におかれては、昨年の十一月から国有林野事業に対する行政監察に入ったわけですが、この際、国有林事業に対する行政監察の主たる目的と、その内容について説明願いたいのです。
  72. 福田赳夫

    福田国務大臣 申し上げるまでもありませんが、ただいま時勢は非常なスピードで変化しておる。その変化に応じまして林野行政が適切にいっておるかどうか、一口に言うとこういうことであります。  つまり、環境保全というようなことが社会的に、また政治的に非常に大きな問題になっておる。林野行政がそれに即応しておるか、こういう問題があります。また、輸入木材、そういう問題が、これは大きな木材問題として浮かび上がってきておる。それに対応してどういう林野行政であるべきか、そういう問題。それからまた、林野の持つところの任務の多様性というか、そういうものがだんだんと高まっておる。そういうようなことを踏まえまして、第一には、何といっても保安林の管理がうまくいっているかどうか。それから木材の供給状態は妥当であるかどうか。それから関連事業が妥当に運営をされておるかどうか。そういうようなことを踏まえまして監察をいたしておる、こういうわけであります。  いま、昨年十一月、またことしの一月までの調査、これは調査結果を取りまとめ中でございます。なお、それでは十分でありませんので、ことしの五月、六月にわたりまして第二次の監察を実施する、そういう計画でございます。
  73. 芳賀貢

    芳賀分科員 これは大事な事項ですから、担当局長でいいですから、その監察の内容、項目等について……。
  74. 大田宗利

    ○大田(宗)政府委員 お答えいたします。  ただいま長官から御説明申し上げましたのですが、その実施の項目につきましては、第一に保安林の問題がございます。保安林の問題と申しますのは、治山あるいは治水という林野の保全事業の問題でございます。これが適正に実施されておるかどうかということでございます。それから第二に、林産物の供給事業がございます。これは林野庁におきます非常に大きな事業でございますが、これが適切に行なわれておるかどうかということがございます。そのほか、関連事業あるいは事業の実施体制というものにつきましてもあわせて監察を実施しております。
  75. 芳賀貢

    芳賀分科員 次に、大臣にお尋ねしますが、いまの説明によると、行管として一番大事な、国の公共企業体である国有林野の職員の定員の問題ですね。御承知のとおり、現在、国有林野の職員の中で、いわゆる定員外といわれる現場作業員、内容は、常用作業員が約一万七千人、それから定期作業員が二万人、合わせて約三万七千人の基幹労働者の諸君が実は国有林事業の中核となって、悪条件の中で営々として努力しておるわけであります。こういう膨大な国の公務員である定員外職員をかかえておる国有林の現場の事業実態ですね、あるいは常用、定期作業員の賃金の状態とかあるいは労働条件の問題等については、これは当然行政監察の第一番目に行なうべき問題だと思いますが、これは入っていないのですか。
  76. 福田赳夫

    福田国務大臣 その職員の身分だとかあるいは勤務状況だとか、それは一応この監察の対象には入れておりませんで、主として事業運営の実態面、これが時勢の変化に適応しておるかどうか、こういうことでございます。定員外職員の勤務状況の問題、そういう問題につきましては林野庁のほうで十分調査をしておるわけでありまして、その結果は随時報告を受けております。
  77. 芳賀貢

    芳賀分科員 これは行管として、定員の実態とか現場作業の実態というものはすでに十分承知しておるから、今回の監察の対象にしないというのか、また、調査をして実態が明白になれば、長年の課題である定員問題を前向きに改善する、そういう必要が出てくるので、つとめてそれを避ける意味で監察の対象からはずしてあるのか。これは福田さんが大臣御就任前から、十一月に始まっておるわけだから、しかし第二次監察も四月から行なうということになっておるので、せっかく行政管理庁として国有林野事業全般の重要な問題を監察するという場合においては、何をおいても定員の問題とか国有林の基幹労働力である作業員の就業状態あるいは労働条件等の問題については監察を進めて、その結果をまとめて、抜本的改善をする必要があれば主管の省に対して勧告を行なうというのが、当然の役目だと思っております。特に、いままでは行政管理庁長官というのは、国務大臣であるものの、ほとんど兼任兼任でやってきておるわけです。今度は幸いというか、福田さんが専任の国務大臣として行管長官になったわけですから、これに専念できると思うのですよ。立場上も、行管長官の立場で田中内閣のやり方を横目でにらんでおるというようなそういう仕事もできるわけですから、この際ぜひ、いままで放置されておった当然行なうべき行管の業務等についても、鋭意前向きにやってもらいたい。
  78. 福田赳夫

    福田国務大臣 私よりは芳賀さんのほうがよく御存じの林野職員の定員外問題ですね、これはもう古い問題でありまして、この十年余りの間論議が、国会においてもまた政府部内においても、たたかわされてきておる問題であります。そこで、一昨年、そういういろいろな経過を経まして、政府は統一見解を国会に示しておる。その線でいまこの問題の処理の方向というものが動いておる、そういう段階でありますので、行政管理庁としては、この問題につきましては監察をあらためていたすという必要はないのじゃないか、こういうふうな見解でありまして、今回の監察におきましては、定員外問題につきましてはこれに触れない、こういうことでございますが、しかし、さらばといって、この問題をおろそかにしておるわけじゃないのです。政府はすでに四十六年に統一見解を発表しておる、その線に従いまして農林省がどういうことをしておる、また今後どういう努力をしようとしておる、そういうことにつきましては緊密な連絡をとりながら、あの統一見解の線の推進に当たっておる、こういう状況でございまして、決して、監察の対象にしないからあの問題はたな上げしているのだ、そういうことではございませんことを御了承願います。
  79. 芳賀貢

    芳賀分科員 大臣は、すでに一昨年、衆参両院の農林水産委員会で林業振興に関する特別決議を行なっておる内容も御存じだと思うわけです。その特別決議の六項目のうちの第五項目が、いま大臣の言われた国有林労働者の定員化の問題あるいは常勤性の問題等について強調しておるわけでして、それを受けて、一昨年の四月に政府の統一見解が出たわけです。昨年も当委員会において、時の中村行管長官、山中総理府総務長官、さらに佐藤人事院総裁等にも出席を求めてこの問題を詰めたのですが、答弁はなかなかうまいことを言うわけですが、実があがらないわけです。それはどうしても主管の行政管理庁において、根本的には定員の是正が一番望ましいわけでありますが、その段階として、たとえば常用作業員については常勤性を与える。それから、毎年反復して季節的な雇用関係に置かれておって、しかも十年も二十年も定期作業員の劣悪な地位に置かれておる二万人の作業員がおるわけですが、これらの諸君についてはすみやかに全員常用化を進めるという、こういう段階的な改善の道というものが示されておるわけでありますが、これが遅々として進まないわけです。ですから、この点について、ぜひ福田さんの在任中に根本的な解決ができる方途を開いてもらいたいと思うのですが、その点はいかがですか。
  80. 福田赳夫

    福田国務大臣 四十六年の統一見解の後におきましても、休暇の問題だとかそういうこまかい点につきまして、定員外労務者の雇用条件の改善、そういうことに努力しておるわけなんです。ですから、今後もひとつそういう方向で努力をいたしたいと、こういうふうに考えますが、最終的な定員内についての措置をとること、これにつきましては、ひとり林野労務者の問題ばかりじゃない、ずいぶんそういう同じような立場にある人の問題もありますので、そう簡単にいく問題じゃなかろうと思いまするけれども、とにかくこの実態が継続雇用であるということにつきましては、政府におきましてもこれを確認をしておるという次第でありますので、その実態に対する認識の上に立ちまして諸問題を解決していきたい、こういうふうに考えているわけであります。
  81. 芳賀貢

    芳賀分科員 政府職員の定員の問題は、御承知の定員法で規定されておるわけですが、その中で公共企業体職員の場合は、これは法律の条文に定員数を明文化してなくて、それぞれの公共企業体に対しまして政令をもって毎年定員を定めるということになっておるわけですが、たとえば昭和四十八年度の国有林における定員の問題等については、どういう方針をとっておられますか。     〔主査退席、塩谷主査代理着序〕
  82. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 先生先ほど御指摘のように、定員令第一条の定員、つまり非現業の職員につきましては、国家公務員のいわゆる総定員の直接の適用を受けまして、これに従って定員等が定められているわけですが、定員令第三条の職員につきましても国の基本的な方針といたしまして、同じ基本的な考え方のもとに、いわゆる五%削減の対象といたしておる次第でございます。
  83. 芳賀貢

    芳賀分科員 いまのは答弁じゃないですよ。四十八年度については、公共企業体の中の林野庁の定員外の作業員等を対象にして、どういう定員の是正をするのか。たとえば、しないとか、減員するとかということですね。ばく然と五%と言ったって、これはわからぬじゃないですか。
  84. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 御質問の趣旨をあるいは取り違えておったかと思いますが、昭和四十八年度におきまして、特別にいわゆる定員化の措置というものは、林野庁についても講じておりません。
  85. 芳賀貢

    芳賀分科員 次に、大臣にお尋ねしますが、問題は少し違いますが、昨年、林野庁の現場作業員三万人の諸君が、第一には、国会における特別決議が全然政府行政努力で前進しておらない、さらにまた、林野庁長官と全林野労働組合の団体交渉による確認事項も実施に移されておらない、あるいはまた、時の農林大臣のこれらの問題に対する確認事項も実行されておらないということで、昨年は二度にわたって、現場作業員の諸君が時間内のストライキを行なったわけでありますが、これに対しましては、三万一千名全員に対して、国家公務員と同様の不当処分を行なったわけです。処分に対しては、公務員並みの処分をする、処遇に対しては、十年働いても二十年働いても、依然として日給制賃金のもとに冷遇されておる。これでは、熱心に生涯を国有林事業に労働を通じて貢献するということは、安心してできないということに当然なるわけであります。これは福田長官が処分を発表したわけじゃないですが、こういう問題についても、行政管理庁として、かかる処分の適否については当然これは注意をする必要があると思うのですが、どうですか。
  86. 福田赳夫

    福田国務大臣 行政管理庁も、御承知のような簡素な機構でありまして、国政の全般に一々容喙する、こういうわけにはいかないのです。特に問題となった事項につきまして、これは監察を要するという問題につきまして監察を発動する、こういうことでありますので、林野庁といってもいろいろな問題があります。まして農林省なんというところになると、膨大な機構で行政をやっておるわけでございますので、これを一々というわけにもまいりませんので、自然、人事のこまかい問題まで介入する、こういうわけにはいくまいと思います。しかし、農林省が、国会でこれだけ問題になっておる定員外労務者の処遇の問題について、どういうふうにやっておるかということについては、重大な関心を持っているわけでありまして、現に報告を受けておりますところによりますと、農林省では、本年になりましてから、定期作業員につきまして、国民の祝日のうち四日間を有給休暇とすること、そういう措置をとる、また、常用、定期作業員につきましては、休日、休暇等約十項目について有給制度を拡大改善する、そういうような措置を逐次とっております。なお、定員外労務者の処遇の改善につきましては、この上とも努力する、こう申しておりますので、農林省のその方針を尊重してまいるということで妥当じゃあるまいか。なお緊密な連絡、これはとってみる考えでございます。
  87. 芳賀貢

    芳賀分科員 次にお尋ねしたいのは、行管として、国有財産の管理状態等についても当然監察の対象になると思いますが、国有財産の中で、これは行政財産、普通財産に分かれておるわけでありますが、特に農林省関係土地改良によって生じた国有財産、これは法的には土地改良法に基づいて土地改良財産と規定してあるわけでありますが、大臣も以前農林大臣もなさっておるので御承知ですが、土地改良財産といっても全国膨大な数に及ぶわけですが、その維持管理の状態ですね、あるいは、管理委託等をほとんど行なっておるわけでありますが、委託者がはたして善意な管理を行なっておるかどうか、あるいは国と管理委託者との間における管理委託契約等の当然具備すべきそういう書類等も適正に保管されておるかどうか、そういう点については、いままで監察あるいは調査をしたことがあるのですか。
  88. 福田赳夫

    福田国務大臣 まあ、行政管理庁の監察は、国政全般に及ぼすわけにはいきませんが、しかし、これは問題がありそうだという点につきましては、これは精力的に監察を行なって、また、監察までいかぬにいたしましても調査を行ないまして、あるいは関係省に注意を喚起するとか、あるいは勧告をいたしますとか、そういうことをいたしておるわけであります。行政財産全体にわたって調査をするとか監察をするとか、これはむずかしいと思いますが、これは問題がありそうだ、あるいはいろいろ関係者からお話を承っておる、こういうような問題につきましては、これは監察なりあるいは調査なりをいたすということにいたしておるわけでありまして、そういう事例は間々あるわけであります。  なお、とにかく土地改良事業なんというものは、これは非常に長年月を要する問題でありまして、その事業の遂行のもとになるところの調査、設計を周到にしなければならぬ、こういうようなことはもちろんでありまするけれども、間々、それが粗漏であったのかあるいははかり得ざる事故がその後起きてきたのか、いろいろ障害のある事例もあるわけでありますが、そういうことのないように行政能率をあげるということにつきましては、行政管理庁としてはこの上とも努力をいたしていきたい、かように考えております。
  89. 芳賀貢

    芳賀分科員 国有財産法の中にも、特に無償貸付財産については、各省庁が毎年度会計検査院の検査を経て、国会に総計算書を提出しなければならぬということになっておるので、それらの問題については、必要なつど国会においてもこれを審議の対象にすることはできるわけですが、私がいま指摘したいのは、国営かん排事業等によってできた土地改良財産、たとえば、かんがい溝路のような場合もこれは土地改良財産になるわけですが、これは当然受益者団体である当該土地改良区等に管理委託を契約に基づいて行なうことになっておるわけです。たくさんの事例はないが、完成した土地改良財産を管理委託する場合、たまたま工事施行の中で特殊土壌によって、泥炭地等によって、地盤沈下のおそれが継続的に憂慮されるというような場合においては、その区間はなかなか完全工事ができない場合があるわけですね。しかし、かんがい溝ですからして一日も早く通水して水田のかんがいの用に供しなければならぬわけですが、そういう点は便宜的に暫定工事を行なって進めるわけですが、その暫定工事部分等も含めて、国営土地改良事業のいわゆる国有財産となるものを委託管理した場合、たとえば、暫定工事の個所は十年間は維持できると思ったものが、地盤沈下あるいは積雪等によって、翌年度から工事が損傷を起こしたり地盤沈下で使用にたえないというような、こういう場合もあり得るわけですね。そういうときに、土地改良財産の管理の面から見て、暫定工事個所について、その部分だけを一たん国営に返上して、国の責任で完全工事を行なってから不安のない状態で管理委託を行なうということも、当然これは行政の手続としてはでき得る問題だというふうに私は考えておるわけです。こういう点については、大臣としてはどう判断されますか。
  90. 福田赳夫

    福田国務大臣 土地改良事業を実施した、実施してみたら土地改良計画を立てたとき予見しなかった事故が発生した、その場合に、その施設を一たん国に復元をしまして、そしてまた国が補完工事をする、そしてできたならば、またこれを管理者たる組合のほうに引き渡すということにすべしというような御議論のようでありますが、私はそういうケースが起こった場合に、要は、組合員たる農民に不測の事態による損害を及ぼしてはならぬ、こういうふうに考えます。そういう方針、考え方のもとにどういう手続をするか、これは手続の問題でありますので、私もはっきりしたことを申し上げるわけにはまいりませんけれども行政管理庁の立場といたしますると、農民に不測の事故による損害のしわ寄せを持っていってはならない、こういうことを実現するための何らかの手だてはありそうなものだなと、こう考え、そういう方向でそういう問題が起きた場合には処理したい、かように考えます。
  91. 芳賀貢

    芳賀分科員 私の申したのは、全体の工事によって完成された土地改良財産をさして言うのじゃないのですよ。たまたま工事上のやなを得ない損を、たとえばかんがい溝にすれば、総延長の中の一部の区間だけがどうしても完全工事ができない、やむを得ず暫定的な工事で、そうして使用目的を果たさなければならぬという場合、本来であればもう完成したものを管理委託すべきものを、事業の目的上、暫定工事部分も含めて委託管理をした場合、その個所がやはり一年もたたないうちに大きな損壊を起こしたというような場合は、もともと暫定工事区間ですから、それはあくまでも受託管理者の責任においてそれを補修、維持しなければならぬということではないと思うのですよ。だから、当該土地改良区の要望によってこの部分だけはなかなか委託管理ができない、この部分だけを一たん国営に返上しますからして、国のほうで管理するとか、あるいは完全な工事を施行したあとで委託をしてもらいたいというよらな申し出があった場合は、これは適法に処理できると思うのですが、どうですか。その点を言っているわけです。
  92. 福田赳夫

    福田国務大臣 手続の問題は、私もどういうふうな手続をしたらいいものかなということをここでお答えすることができませんが、しかし、要は、そういう不測の事態による損害のしわ寄せを農民に及ぼすべきでない。それについては、芳賀さんのお話のように、その損害部分を国に復元しまして、そうして国がその修理、補修の仕事をするという方法もありましょうし、いろいろそのやり方はあると思うのです。しかし、農民の希望するところはそのやり方の方法じゃないのじゃないか。つまり、これは政府計画にそごがあったのだから、政府のほうでその責任をとったらどうだ、こういうことにあるのじゃないかと思いますから、その辺は、私は、これは農林省の方も来ておりますから、農林省のほうでどういうふうな手続を考えておられるか、それをお聞き取り願いたいと思うのですが、私の考え方は、国家のほうで最初計画に間違いがあったというなら、国でいさぎよくそのしりぬぐいのほうはすべきじゃあるまいかということを申し上げておるわけであります。
  93. 小沼勇

    ○小沼政府委員 国営の土地改良事業が完了いたしますと、御承知のとおり、管理の委託契約を結びまして、それで土地改良区等に、県の場合もございますけれども、委託をするということでございます。で、委託した国営の造成施設につきまして、もちろん委託する以前に竣工検査もきっちりやりまして、それで工事が規定のとおりできているかどうかということも確かめて、通水試験もやって、それから渡すというやり方をしているわけでございますけれども、御承知のとおり、委託した国営造成施設につきましては、引き継ぎの日以降、管理受託者が、受益者の三分の二以上の同意を得て、定められた管理の方法に従いまして原料の管理をやるということに政令で定めているわけでございます。この場合に、十分チェックしてそういう引き継ぎをしておりますけれども、万一、引き継いだ後で、数年を出ずして施設が部分的に破損するという場合の補修の責任はどうなるかということでございますけれども、これにつきまして、御承知と思いますけれども、非常に大きな補修はまた別でございますけれども、普通、必要な改築あるいは追加工事等がございます。これにつきましては管理の範囲内に含まれるというふうにされておりまして、小規模な補修事業は受託者の責任でやってもらうということで、政令で定めているわけでございますが、ただ、天災等の不可抗力の理由によりまして、相当規模の補修が必要であるというふうなことが出る場合が間々ございます。そう多くないわけでございますが、そのつどケース・バイ・ケースでいろいろ検討して、次年度予算計上するとか、そういうこともやっておりますけれども、これにつきましてはいろいろの方法がございますけれども、たとえば北海道の場合に、国営の施設改修事業というふうなものによりましてこの補修の事業をやるというふうなことを、私ども考えているわけでございますし、一般的に出てくるわけではございませんで、非常にまれに出てくるケースでございますから、それに対応しながら予算措置を講じて実際に処理をしていくということを、私どもいまやっているわけでございます。
  94. 芳賀貢

    芳賀分科員 時間が限定されておるわけですが、どうもいまの小沼構造改善局長説明は、福田大臣の答弁と全く趣が違うんですよ。ただ、土地改良法の条文とか政令や施行令にこう書いてあるとだけ述べたのでは、問題の解決にならないわけです。もともと完全に工事を完了してから委託管理をすべきものを、都合によって一部が暫定工事のままで委託されておるというその問題の地点で、一年をたたないで大きな破損が生じたわけですからね。そうなると、それは全線にわたって使用ができないということになるんですよ。かんがい溝の場合ですからね。地盤沈下を起こしたとか、その個所が暫定工事のアスファルトマットが全面的に亀裂を生じて使用できないというようなことは、当然暫定工事のままで委託管理をすべきでないのを、便宜的に地元の土地改良区に押しつけたような形になってしまったからです。そういう場合も、土地改良法の規定に基づいて、組合員三分の二以上の同意を得て補修工事の申請をしなければならぬというようなしゃくし定木なことでは、この種の問題というものは解決できないと思うのですよ。だから、わざわざこれは行管長官に、そういうようなまれに見る問題が生じた場合においては、当然、工事施行者の国において、その部分については改善を行なって、心配のない状態のもとで管理委託を行なうというのが当然だと思うのです。ですから、私は、福田長官の言われたことはそのとおりだと思いますけれども、いまの農林省の発言というものは、これは全く法律の条文をただ形式的に読み上げたようなものですから、これはここで了承するわけにはいきませんので、いずれ、これはまた次の機会に、今度は具体的な実例をあげて、この問題の解明をしていきたいと思いますし、そういう場合に、地元の土地改良団体等が行政管理庁の出先である地域の行政管理局等に対して、監察の要請あるいはまた行政相談等を申し出た場合においては、十分実態を監察して、そして行管の立場においても、農林省に対してこれを善処させるというような取り組みをやってもらいたい。ただ、地元から申し出があった場合、農林省の出先の北海道開発局とかその下の建設部の意見を聞いて、それをそのまま伝達するというようなことであっては、行管の責任というものは果たせないと思うわけです。  問題を非常に抽象的に扱ったのでわかりづらいと思いますけれども、現にそういう実例があるわけですから、賢明な大臣のことですから、大体想像できると思いますが、この点に対して積極的な取り組みの御意思を、この際再度表明してもらいたいと思うのです。
  95. 福田赳夫

    福田国務大臣 具体的にどこにどういう問題があるということを承知いたしますれば、それを現地の行管の機関を通じまして調査をいたしまして、農林省とも相談をする、そして妥当な解決ができるように、行政管理庁といたしましてもできる限りの努力をしてみるということをはっきり申し上げます。
  96. 塩谷一夫

    ○塩谷主査代理 次に、村山喜一君。
  97. 村山喜一

    村山(喜)分科員 私は、きょうは統計の問題を中心に政府の考え方をただしてみたいと思っているわけです。といいますのは、昨日ラジオを聞いておりましたら、この一月の物価の上昇が六・二%上昇をした、こういう報道がなされました。きょうの新聞を見てみますと、全国消費者物価指数が、一月の場合には前月比に比べて一%上がった。そして、二月の東京都の消費者物価指数は、前月比に比べて〇・九%上がっているという報道がなされている。しかしながら、これは四十七年度の消費者物価指数の上昇見込みの範囲内にとどまるであろう、こういう説明が加えられているわけです。  そこで、まず初めにお尋ねをいたしたいのは、この物価指数は、ウエートを一万ということで押えたその数値によるものなのか、それとも持ち家の帰属家賃方式をとりました一万七百五十九というこの指数によるものなのか、この点はひとつはっきり示していただきたいわけであります。これは、大臣はそこまではおわかりにならないだろうと思いますから、ひとつ担当の局長のほうから説明を願いたいと思います。  それに、大臣にお尋ねをいたしたいのは、物価対策閣僚協議会というのがございます。私そのメンバーを調べてみましたら、残念ながら総理府総務長官はそのメンバーに入っておいでになっていないわけです。  そこで、あなたのところで、統計局を中心にいたしまして家計調査をやり、そして消費者物価指数を出していく。そのときに、その統計が持っている行政的な、政治的な、そういう面への政策的な問題を提起をしているのだと私は思うわけです。こんなに消費者物価が上がったら、これは一体どういうふうにしたらいいのかというのは、やはり総理府総務長官も物価対策閣僚協議会の一員としてメンバーの中に入って、具体的な数字を示しながら、関係各省庁に対して、消費者物価指数が上がらないような政策をとらせるようにあなたが言われる必要性があるのではなかろうかと、私は思うわけであります。  なぜあなたがお入りになっていないのか、この点について、そしてまた入っていない場合に、どういうような立場で閣僚の一人として物価対策の問題にあなたは発言をなさっているのか、この点を、これは大臣から、お聞かせをいただきたいと思うのです。  その次に、現在、指定統計は幾らの数字になっているのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいわけであります。  それは、後ほどまた関連をして申し上げますが、今日日本の国がGNPで世界で二番目だというところまでくる、そして西ドイツに引き続いて日本が外貨の準備高では二番目だという経済力を持つに至った。そういう中にありまして、御承知のように、いま国際通貨の危機が訪れている。となれば、当然国際比較統計という問題を指定統計の中に入れていろいろと考えなければならない段階にきているのではないかと私は思うのであります。そういうような点から、指定統計のあり方についてお尋ねをしようと考えておりますので、その点について明らかにしてもらいたいと思います。
  98. 坪川信三

    坪川国務大臣 村山委員にお答えいたします。  物価の上昇状況ということは、非常に国民生活に重要な影響を与える問題であることは全く同感であり、私もかく考えております。したがいまして、その物価の上昇の国民の実態というものの統計上にあらわれてくる問題を、やはり四十四年決定いたしました物価対策閣僚協議会に総務長官も臨んで、そうした判断のもとにおいて、基礎に踏まえて提言をすべきではないか、私もその御意見には、御意見として一つの理由がある、こう考えております。ただ、総理府総務長官として統計事務を責任を持って担当いたしております立場から考えますときに、いわゆる国民の正確な中立的な正しい立場において統計事務を処理せなければならぬということもございますので、十二名の閣僚からなる閣僚対策協議会の構成の中に総務長官が入っていないということは、そうした判断で加わっていない、加わらないものと私は考え、そういうように受け取っておることもひとつ御理解願いたい、こう思っております。しかし、非常に大事な国民の消費者物価の問題については、国務大臣として閣議においてそうした問題を討議するという責任は私にも課せられておるものでございますから、そうした立場で、そうした場において私は消費者物価の諸般の問題について取り組みたい、こう考えておることで御了解いただきたい、こう思います。他の問題については、加藤政府委員から答弁を申し上げます。
  99. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 お答えいたします。  昨日発表いたしました全国指数の総弁は一・〇でございますが、これは持ち家の帰属家賃を含まない数字でございます。しかし、持ち家の家賃を含む数字として計算いたしましても、実は一・〇になっております。これは全国の数字でございますが、東京都の場合におきましては、二月分の指数を出したわけでございますが、総合で一・一、これに対しまして持ち家の帰属家賃を含む総合は一・〇ということになっております。  それから、国際統計のことでございますが、統計局の所管事項といたしまして、各国の統計をできるだけ収集するということをその所管事項といたしております。それを国際統計というような小冊にいたしまして編集いたしております。しかし、国際統計について、これを指定統計にするかどうかというようなお話があったかと思いますけれども、これはどういうふうに持っていっていいのか、ちょっと私いまの段階ではわかりません。ただ、指定統計そのものの数のお話もございましたけれども、これは行管のほうのお仕事でございますので、私の段階でお答えできません。以上でございます。
  100. 村山喜一

    村山(喜)分科員 総務長官はいままで物価対策閣僚協議会のメンバーではなかったわけですが、国務大臣としてあなたはこの協議会に出席をされたことはございますか。
  101. 坪川信三

    坪川国務大臣 ありません。
  102. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そういたしますと、あなたのところが、統計的な数字は中立的なものであるから、客観的な立場に立って数字を示して、そうしてあとはほかの構成員にまかせよう、基本的にはこういうような考え方であなたは出席をされなかったのだろうと思います。それで、どちらのほうの立場を今後おとりになりますか。そのお立場に立たれるのか、そういうような統計的な数字をあなたが作為的につくられるわけじゃありません、これはきちっとした数字が出てくるわけですから。その数字を示しながら、こういう状態になっているからという立場で、あなたが関係の閣僚としてお話をされるのが正しいのではないだろうか。これは休日を二日にするとかなんとかという問題も大事ですけれども、こういうような統計の数字を踏まえて、それを具体的に行政や政治に反映をするという姿勢がなければ、統計は統計だという形になってしまうのじゃないですか。その点重ねてお尋ねしておきます。
  103. 坪川信三

    坪川国務大臣 村山委員の御指摘になりました点でございますが、やはり国民の声が、また国民の切な願いが統計の上にあらわれてきておる。その国民の熱意と声を国政に反映させるという立場から、私は非常に大事なことだ、こう考えております。したがいまして、いま仰せになりました点などを私は共感もいたしておるような次第でございますので、こうした構成あるいはそうした点の発言の場等につきましては、私は私なりに非常に重要な問題として取り組むのが当然でございますので、そうした村山委員の御意見も御意見として、とうとい資料といたして、一度官房長官などとも協議をさしていただきたい、こう考えておることだけお約束申し上げたい、こう考えております。
  104. 村山喜一

    村山(喜)分科員 その点はそういうように前向きに取り組んでいただきたいと思います。  そこで、先ほど加藤統計局長から説明がございましたが、普通の数字は、ウエートを一万人とりましてやった場合の消費者物価指数の値上がりというのは、これは低くなるわけであります。そうして持ち家の用属家賃方式を加味した方式でいきますと、普通の場合にはそれよりも上昇をするというのがたてまえになっているわけですが、全国の場合は同じだ、東京の場合にばかえってそれが説明では低いような先ほどの説明でしたが、それは間違いございませんか。なぜそうなったのですか。
  105. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 お答えいたします。  最初に、先ほど東京都の数字を申し上げましたが、あれは実は一月の分でございまして、二月は総合が〇・九に対して、同じく持ち家帰属方式の総合が〇・八でございます。いま御指摘の点は、一月も二月も同じ状態でございます。本来は上がるはずだというお話でございますが、食料等のウエートが非常に高いわけでございますので、その上がり方いかんによっては、入れた場合に全体として総合が下がる場合もあろうかと思います。
  106. 村山喜一

    村山(喜)分科員 これは年度計算で過去の分も調べてみますと、物価安定政策会議ですか、政策提言を行ないまして、新築なりあるいは住宅購入にかかわる分について、これが物価の指数の中に取り入れられていないのは不合理である、その面からくるところの家賃の、新築なりあるいは購入の分についてのものがウエートの中に織り込まれるべきであるという提言に基づいて、それが出されてきて、過去の統計数値を見てみますと、その分を織り込んだ場合には高くなっているわけです。今…はそれが低くなっているというのは、もちろん食料費の上昇の問題等にもよりましょうが、なぜそういう数字が出てくるのか、この点を突き詰めていただきたいと思うのですが、その点はひとつ検討を願いたいと思います。  そこで、時間的な関係もありますから、あと詰めてまいりますが、国際的な比較統計をどの程度お持ちなのか、ちょっと中身を教えてもらいたいと思うのです。
  107. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 お答えいたします。  国際統計の収集についてはできるだけつとめてはおりますけれども、それぞれ各国の統計局と資料の交換等を通じまして集めているわけでございますが、なかなか十分に集まっているとは言いかねるかと思います。ただ、少なくも現時点にわかっておるものを集めまして、毎年、国際統計要覧というような形で印刷しております。
  108. 村山喜一

    村山(喜)分科員 その統計要覧の中で、今日の日本の政治の方向、経済運営の方向なり、あるいは行政推進の中で、一番役に立っているのは何ですか。
  109. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 お答えいたします。  主として国連の資料等が中心になっていくかと思いますけれども、各国の人口の数とかあるいは各国の国民所得の程度といいますか、そういうようなものが中心であろうかと思います。
  110. 村山喜一

    村山(喜)分科員 大臣にお尋ねいたしますが、そういう国際統計要覧によりまして、日本の行政にどの程度の、あるいは政治にどのような政策的な反映をされておりますか、それは検討されたことがございますか。
  111. 坪川信三

    坪川国務大臣 具体的には、どういうような具現をいたすべきかということについてはまだいたしておりませんけれども、各そうした担当のところには、必ずこうした結果をばそれぞれ指示いたし、あるいは通達もいたしております。そうした立場で、私は一つの指針に大きくやはり役立っておるものと期待をいたしております。
  112. 村山喜一

    村山(喜)分科員 どうも、説明聞いておりますと、あまり統計的なものを日本の政治の中に生かすようなかまえが、内閣自体にはないような気がしてなりません。いまおっしゃったように、担当の総務長官もそういうような、あまりやっていらっしゃらないような発言の内容に聞こえてなりません。これはやはり、これから日本の経済が国際化していく、国際化しているわけです、そういう中にあってどうしたらこれを解決をするのかというような、そういうような統計の数値にあらわれたものを基礎にして、もう一回政策の転換の構築をやり直すというような気持ちで取り組みを願いたいと思うのですが、その点はいかがでございますか。
  113. 坪川信三

    坪川国務大臣 村山委員の御提言でございますが、ほんとうに私は大事なことだと考えております。科学的な、主観のない、客観的なるところの一つの判断によって示された累計あるいはそうした数字、そうした結論、こういうようなことをやはり政治の場において貴重な資料として参考にするということは、非常に大事なことでございますので、これらを各行政の府に、またわれわれ各省の責任の場におる閣僚諸公に対しましても、こうした措置を講じながら一つの施策に具現化する、反映が行なわれるというような方向をひとつ私も前向きの姿勢で配慮いたしてまいりたい。全く同感でございます。
  114. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そこでお尋ねいたしますが、失業統計がございますね、これは総理府所管。この失業統計は役に立つとお考えになっておいでになりますか。
  115. 坪川信三

    坪川国務大臣 私は私なりにそうした統計は役立っておる、こう見ております。
  116. 村山喜一

    村山(喜)分科員 日本の失業統計によりますと、最近のものでは、失業率はもう世界で一番小さいのです。マイナス〇・三%です。そこで、いま、私が懸念をしておりますのは、今度ECが共同フロートする、あるいは西ドイツが単独で切り上げをするか、どういう方向が出るかわかりませんが、七日まで市場の閉鎖をやる、日本の場合にもそれに追随をせざるを得ない、こういうような状態が出ております。  そこで大臣、いま変動制に入っているわけですが、それが長期化することは間違いございません。そういう中において、もう先物契約では、バイヤーあたりが持ってくるのでは、一ドルが二百五十円というような円高相場が出ておるようです。そうなってきますと、私は、輸出関連の中小企業はもちろんのこと、国内の企業関係にも相当な影響が出てくる。三百五十円だったら二三%をこえる切り上げですから、いろいろな事情から見まして、そういうところまで追い詰められるんじゃないかという気がしてならないのです。そうなると、経済政策ももちろん、基本的な見方も変えなければならない段階にくるであろうと思いますが、いまここで総理府の失業の統計数値から見ましたときに、これで一体役に立つんだろうかと思われるのですよ。あなたはその失業統計のとり方は説明を聞いていらっしゃるからおわかりだろうと思いますが、いまの失業統計は失業者を失業統計からはじき出す、そういう数値しか出ていないわけです。まあ金持ちのお嬢さんがていさいのいい職業につきたいということで仕事をさがしている、そして自分の家のお手伝いは女中さんにでもまかしている、こういうふうなのが統計数値として出てきているのですよ。中身は御存じだろうと思いますから私は読み上げませんが、そういうような状態です。そのときに、失業率はこれだけだ、いまマイナス〇・三%になっている、こういうような状態であるから心配はするな、こういうような状態の統計数字をながめながら、これから出てくるであろう失業問題に政策的に手が打てるか、私がお尋ねしているのはそのことなんです。それは役に立たないということは、担当の事務当局でも私は認めているところだと思うのです。だから、役に立つ統計でなければならない。そういうふうに、もう役に立たないような統計はやめたほうがいいのじゃないか。それよりも、もっとやらなければならないのは、役に立つような統計数値というものを出して、それを具体的に政策の中に実現をしていくということでなければ生きた統計にならないと私は思うのですが、その点いかがですか。
  117. 坪川信三

    坪川国務大臣 なかなか重要な問題でもあり、また、デリケートな問題でもあるというように、私はいまの御意見を聞いておるわけでございます。いまの立場からいって、私はいまの方法をやめるとかあるいは変更を加えるとかというような考えにつきましては、事務当局とよくまた相談もいたしてまいりたい。いまはそうした考えのないことを申し上げておきたい、こう思っております。
  118. 村山喜一

    村山(喜)分科員 統計局長どうですか。この中の失業統計は現行のままでよろしいというふうにお考えですか。
  119. 加藤泰守

    ○加藤(泰)政府委員 お答えいたします。  私のほうでやっております労働力調査の結果として、私のほうは完全失業者の数を把握しているということでございます。労働力調査におきましては、十五歳以上の人につきまして、月末の一週間における実際の就業状況をとらえ、そして実際就業したくても就業できない状態、そういう方々の数字をとらえるために、いま申し上げましたような、十五歳以上の労働の意欲のある方々の数をとらえて、さらにそこから就業者の数をとらえ、その差として完全失業という数が出てまいるものでございますから、完全失業者だけをとらえた調査ということではございませんので、その点あるいは先生の御質問に対するお答えとしてちょっと違った答えになるかもしれませんけれども、十分その意味においては役立っている、こういうふうに思っております。
  120. 村山喜一

    村山(喜)分科員 長官、お聞きください。これは労働力調査の中に完全失業者というものがあらわれてくるのです。だけれども、これは世間の人が言っております。国民的の常識みたいになっているのです。「失業者を統計の上から失業させる統計だ。」全くおかしいな——これては社会現象の把握はできない。失業が重大な社会問題になることがあり得るということを想定しておかなければならない時代なんです。だから、そのときに役に立たないようでは困るので、見直しを願いたいと思っているのです。それについていかがですか。
  121. 坪川信三

    坪川国務大臣 そうした経済情勢を予測されての大事な問題であることは、私はたいへん大事な御意見として承ってまいりたいと考え、また、具体的な措置については、専門的な立場に立っておる事務当局ともまたよく協議をしたい、こう考えております。
  122. 村山喜一

    村山(喜)分科員 二時間が参りましたのでこれでやめますが、公害統計ですね。長官、日本の場合には公害統計もないのですよ。だから、発生状況の公害統計もない。そして家計調査についても非常に中立的でないというのか、全体を把握できないような調査体系にもなっている。そこで大臣に、この際ぜひそういうような面に対するところの関心をお持ちをいただいておかないと、政策の中で具体的にやる気がないからそういうようなものに関心がないということに結論としてはなります。だから、その点はきちっとしておいていただきたいと思います。  それから国際比較統計をいたしますときに、労働省のとっております毎月勤労統計調査、これなどによりましても非常に問題点があるのです。それは労働賃金の押え方が、経営者の人たち、重役で常勤の人の場合には労賃の中にそれが入っている。だから国際比較の上では、日本の労働者の賃金というのは重役給与まで入っておるがゆえにわりに高いというような数字が出るのですよ。そういうような数字に基づいて国際比較をやってくる、あるいは労働政策を立てていくということになりますと間違いが出てくる。公害統計も、現在は発生状況の統計も数字としてはないのです。そういうような上からは、どういう公害対策をやるのかということも生まれてこないわけです。ですから、私は、やはりここでもっと行政や政治に統計というものを生かしていく、客観的な指標としてそれを正しくつかまえることによって、政治が生き生きとしたものになるようにこれからはやっていただきたいということを大臣に要望しておきますが、最後に大臣の御所見だけお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  123. 坪川信三

    坪川国務大臣 国民生活に非常に重要なる影響を持ちますところの環境の保全、公害問題、これはもう全く重要な問題でございます。これらに対するところの公害の統計または公害対策に対する貴重な資料を持つ公害統計ということ、いわゆる公害の定義と申しますか、あるいはそうした公害から関連するあらゆる問題もございますので、いま総理府といたしましては、環境の状況、いわゆる住宅を中心といたしました環境、しあわせな生活環境に関連する公害というような問題について調査をいたそうという計画を進めておるような次第でございますので、そうした点からひとつ作業を始めていくという方針で、いま御指摘になりました公害全般に対するところの統計調査をどう進むべきかということは、これからの問題として十分検討いたしてまいりたい、こう考えております。
  124. 塩谷一夫

    ○塩谷主査代理 林孝矩君。
  125. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 大臣にお伺いいたします。  第一に、質問は同和対策についてでありますけれども昭和四十六年に実態調査が行なわれました。これはすでに官報等において報告済みのことでありますけれども、この昭和四十六年の実態調査の目的、意図といいますか、それから、その調査から得られたものはどういうものであったかという点について、最初にお伺いしたいと思います。
  126. 坪川信三

    坪川国務大臣 同和対策の問題につきましては、当予算委員会の審議の場においても、あるいは昨日の本会議の審議の場においても、非常に重要な問題である、政府も積極的にこれに取り組んでおるということを表明申し上げておるほど、政府も、私としましても、真剣にいま取り組んでいるようなわけでございます。そうした具体的な同和対策を進めるというような立場から、やはり全国にまたがるところの問題点というものを、ひとつ十分地方の声を集積する必要があるという判断から、御承知のとおりのああした調査が行なわれ、その集まった総計から四千七百三十三億という事業費の数字が出てまいったようなわけでございます。これをいよいよ今後残されます年の間に具体的に推し進めてまいりたい、こういうようなことから、四十八年度の予算編成に際しましても、御承知のとおりに、昨年の約六二%増の予算計上いたしてまいっておるような次第でありますとともに、街路事業あるいは農業の基盤整備事業、あるいはその他公共問題等も含めまして、別なワクといたしまして、百五十九億の以外に、優先的にこれらを、措置を講ずるという予算も、御承知のとおりに、とっておるような次第でございます。また、調査の終わっていないところなどもございますから、そうした調査も、係官を派遣しましたり、あるいは協議会の委員を派遣しましたりして調査を行なう。そして、決して四千七百三十三億が、金科玉条の予算としてそれ以外にない、また、これに拘束されていくというような方針でなくして、物価高あるいは単価の値上がり、こういうようなものも踏まえまして、今後同和対策に対しまして、具体的に推し進めていくという方針も申し上げておきたい、こう思っております。  こうした物的な問題とともに、やはり精神的な問題として、御承知のとおりに、産業対策、あるいは人権擁護の問題、同和教育の問題こういうような精神的な面も重点に心得ながら措置を講じてまいりたい、指導をいたしてまいりたい、こういうような考えでおりますことを御理解願いたいと思います。
  127. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 この実態調査の件に関しまして、私が主張したかった点もその点でございます。四千七百三十三億円という物的な面の調査の結果、こういうものに対して、私の質問のもう一点は、物的なものだけであるということ。したがって、それ以外の、大臣がいま申されました人権問題あるいは福祉、環境あるいは教育、そうしたものに対する調査というものはまだ行なわれてない。そういうところから、一つの問題点は、やはりこの調査に対して補完調査が必要ではないかという点なんです。大臣のいまおっしゃったお話が補完調査をするというふうに受け取っていいのかどうか、その点がひとつ疑問にあるわけです。  それからもう一点は、四千七百三十三億円の調査の結果の事業費というものをどのように受けとめられておるかという点です。これは総理府長官としての見解を求めたい点なんです。その見解に基づいて、総理府という立場を考えますと、各省庁に対して、その結果に基づいた今後の具体的な施策というものに反映していくための行動というものが起こされてくる、そういうように私は考えるわけですけれども、いかがでしょうか。
  128. 坪川信三

    坪川国務大臣 二点にわたる御質疑でございますが、最初のいわゆる補完調査を行なうということは、私先ほども申しましたように、補完調査を行なって、その調査の結論を見ました上において予算配慮をいたしてまいるということは当然だと考えております。また、四千七百三十三億のこうした事業費というものについても、われわれといたしましては、十分これを、いわゆる緊急対応策等も含めまして、それを年々の計画というような方針をとりますとともに、やはり緊急な措置の中にも含めてまいりたい、こういうふうな気持ちでおります。  また、いわゆる地方自治体の大事な問題であるところの補助というような問題点についても、御承知のとおりに、ことしの四つを含めますと事業体が三十三に及んでおるというようにして、当然ではございますけれども、田中内閣といたしましては、また私といたしましては、そうした面をひとつ積極的に推し進めてまいりたい、こう考えておりますので、林委員と憂いを全くともにするという気持でおることだけは御理解願いたいと思います。
  129. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 具体的にもう少し補完調査の内容について話を進めたいのでありますけれども、大臣がお考えになっている補完調査の内容、いわゆる種別といいますか、いま大臣がどの点に関して補完調査を行なうかという具体的な内容についてお伺いしたいと思います。
  130. 坪川信三

    坪川国務大臣 細部にわたる問題でございますので、政府委員亘理室長から答弁させます。
  131. 亘理彰

    亘理政府委員 お答えいたします。  御承知のとおり四十六年の六月一日現在で行ないました全国同和地区調査の結果では、三十二府県、それから市町村の数にしまして千余りの市町村地区数にしますと四千近くの地区についての調査結果が集計されておるわけでございますが、県によりましては、同和地区があると思われながら報告が出ていないところ、あるいは県の中でも必ずしも十分に関係地区が把握されてないようなところもあるように見受けられるわけでございます。先ほど大臣から申し上げましたとおり、この点につきましては、一つは担当官から文書をもちまして関係府県に対しまして調査の充実をお願いしておりますとともに、同和対策協議会委員先生方あるいは係官をそういう地区に派遣いたしまして、実情を調査しておるということでございます。そういういろいろの手段によりまして、いわゆる未調査地区の問題につきましては調査を促進していただく、そして地方団体からお申し出がありましたならば、補完調査をその地区あるいは県について実施をいたしたいというふうに思います。  ただ、現在考えております補完調査は、そういう未調査地区の漏れをなくするということを主眼に考えておるわけでございます。現在の四十六年にやりました調査は、物的施設にかかわるものでありまして、そのほかの人権擁護の問題あるいは同和教育の問題あるいは畜産業の問題あるいは職業安定の問題等々は、必ずしも数量化になじまない面もあるわけでございます。したがいまして、この調査の範囲が政府行政上進めております同和対策の全体というわけではございません。地方団体協力を得て調査結果をまとめようとしておりますのは、その物的施設にかかわる関係のものでございます。
  132. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 同和対策事業特別措置法の第一条に「この法律は、すべての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域について国及び地方公共団体協力して行なう同和対策事業目標を明らかにするとともに、」そのあとですね、「この目標を達成するために必要な特別の措置を講ずることにより、対象地域における経済力の培養、住民の生活の安定及び福祉の向上等に寄与することを目的とする。」このように「経済力の培養、住民の生活の安定及び福祉の向上等に寄与する」ということが目的とされているわけであります。したがいまして、いまの物的施設のみの調査ということは、いわゆる対象地域が完全に調査されてない、未完成地域があるということから、補完調査をするということはけっこうなことです。さらにもう一歩推し進めて、現在対象地域において物的な面以外の面でどういう実態にあるのかという実態を把握するという意味から、総理府としてそういう面での補完調査というものを考えられないものか。それを把握することによって——やはり新しい先ほど大臣がおっしゃいました長期年次計画の策定ということになりますと、そういう面も含めてやらなければ、また、他の面において欠落事項があるということで計画そのものが云々される、そういうことが起こってくるということを心配するわけです。したがいまして、補完調査をするということは非常にけっこうなことであります。その内容については、ただ未調査の地域があって、申し出によりその地域を補完調査する、ただしそれは物的施設のみであるというのではなしに、それ以外の福祉の面はどうなっておるか、また、ここには経済力の培養ということになっていますけれども、住民の生活の安定状態はどうなのかという点についてまでやはり心しなければならないのではないか、そのように考えるわけですけれども、大臣の見解をお伺いします。
  133. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御指摘になりました特別措置法の目的といいますか、経済力の培養、生活の安定、福祉、この三点がうたわれておる、これはほんとうに一番重要な問題でございます。そうした立場から、精神的に考えをどうするかということ、これはほんとうに物も大事でございますけれども、心が大事であるという立場から、御承知のとおりに、街路、自分たちの生活の環境をしあわせにするというような立場からのいわゆる街路の問題、あるいは御承知のとおりに下水の問題あるいは保育所の問題、あるいは学校の問題、こういうように私はやはり教育の場あるいは生活環境の場というような、こうした面を重点に置いてひとつこれから進めてまいるという方針であることを御理解願いたい、こう思っております。
  134. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 よくわかりました。それで時期ですけれども、大臣が考えられているその補完調査というものはいつをめどにして行なわれる考えなのかという点を一点、つけ加えてお伺いしておきたいと思うのです。
  135. 坪川信三

    坪川国務大臣 こうした激動の激しい状況であることを踏まえますときに、これで補完調査が終わったとか、あるいはすべてこれを基礎に置いてというようなことでなくして、私は、こうした補完調査は、絶えず激動し、流動していくこの日本の国民生活の環境の中にあって、同和対策というものの重要性を考えるときに、リミットとかあるいはそうしたものの一つの限定を加えるべき問題ではない、こういうような気持ちで、補完調査を絶えず積極的に連続的に行なう、こういう方針で参りたい、こう考えております。
  136. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 そこで、この措置法時限立法でありまして、大臣先ほどおっしゃいましたように五年目に入った、そういう面ではいわゆるリミットがあり、その十年間の間にこういう目標を達成しようという趣旨に基づいてできた法律でもございます。したがいまして、五年目に入ってあと五年ということで、その五年間に、はたして初期に考えられておった目標がそのとおり達成できるかどうかということが、いよいよ半ばを迎えまして話題になり、真剣に考えなきゃならないというところにきているわけです。そういう面で一つはリミットがあるのではないかということです。したがって、こうした補完調査というものもやはりそういうゴールを目ざしての調査でなきゃならないと私は思います。そして、この時限立法のあとの五年の間に——なぜ私こういうことを言うかといいますと、やはり長期の計画、これが財政という面の計画であれ何の計画であれ、そこに一年、一年、一年という年間計画というものも必要でしよう。長期年次財政計画といいますか、そういうものも必要だと思うのです。そういうことを考えますと、いまこの半ばを迎えた時点で、あとの五年間で年次計画をどういうふうにするかということをある程度のめどを立てなきゃならない時点ではないか、タイミングとしてはそれがタイムリーではないかという気がするわけなんですけれども、いかがでしょうか。
  137. 坪川信三

    坪川国務大臣 国民的な重要な課題であるこの問題につきましては、いま林委員指摘のとおりに、やはり二つの方法で考えていかなきゃならぬ。取り組む人の心組みでございますが、それはいまのお話のように、長期展望に立っての恒久策をいたさなければならぬという問題、また、絶えず流動いたします社会現象を踏まえながら、年々の応急対策をどう講じていくべきかということ。しかもその目標は、時限立法でありますところの最終年度のゴールをどういうような方法でいたすべきであるかというようなことも十分考えながら、各省庁と重要な予算の配慮を十分いたしてまいりたい、こう考えておる次第であります。
  138. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 そこで、はっきり申し上げますけれども、あとの五年間でこの時限立法の完全実施というものが達成されるかどうか。これははっきり言えば、そこが一番課題であるわけです。その点についてはどのようにお考えですか。
  139. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほども申しましたように、そうした目標をもってゴールインをいたしたいということに最大の努力と配慮をいたしてまいるということで御了解いただきたい、こう思っております。
  140. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 その点は了解します。  そうしますと、ではその努力というものの具体的な体系というものはどういうふうに理解すればいいのか。
  141. 坪川信三

    坪川国務大臣 それは御承知のとおりに、その流動する流れの中にあって、いわゆる各市町村自治体から、同和対策に対して私はいろいろと今後要求が出てまいると思います。いわゆる補助率の問題補助対象の問題。こういうような問題を踏まえてまいりますと、私は、いま一定の一つ年次計画というよりも、こうした実態を踏まえて予算配慮と行政指導することが最も現実的な同和対策の姿ではなかろうか、こういうような気持ちで押し進めていくということを御理解願いたい、こう思います。
  142. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 そこで、話がまた戻るわけですけれども、そういう状態だからこそ、こうした——先ほどから大臣が約束されたように、その補完調査一つ例にあげましても早くやらなければならないということです。特に、最近のドルの変動、こうしたことも雑貨とかそういう業界に与える影響が非常に大きいわけです。そういう職業に携わっている人たちの経済状態、こういうものに対する影響等も考えますと、生活の安定という面から考えても、やはりそういう面でもこの措置法というものが生かされなければならない。  ですから、申し上げたいことは、早期に実態把握をするために、こうした物的な面だけではなしに補完調査をやっていただいて、そして適正な施策としてそれが反映されるように、総理府長官がその先頭に立って行動を起こされるということを私は要望するわけです。
  143. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘のとおりでございます。したがいまして、生活の安定、また、民生の向上、福祉の向上、こうした点を中心にして、物心両面にわたる施策に対しての万全を期してまいりたい、こう考えております。
  144. 林孝矩

    ○林(孝)分科員 終わります。
  145. 塩谷一夫

    ○塩谷主査代理 午後二時に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時二十七分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議
  146. 臼井莊一

    臼井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。安井吉典君。
  147. 安井吉典

    安井分科員 時間が限られておりますので、端的に北海道開発の問題についてお尋ねをしたいと思います。  四十八年度北海道開発予算は三千百四十億九百万円、前年度より二六・四%の増というわけで、国全体の公共事業費の増は二八%ですから、それには及ばないが、とにかく大幅増であることには間違いありません。その伸びたということ自体を私は取り上げるのではなくて、問題は内容であります。その内容についても、短い時間で多くの問題を取り上げるのは無理ですから、私、ただここで一つ、この新しい予算の中で、どうも拠点中心主義で、たとえば苫小牧とか道央地区等の予算の伸びは非常に大きいのでありますが、その、反面、産炭地だとかあるいは農村、漁村等への対応は決して十分ではないようであります。総合開発というその名前に反して、むしろ道内の地域的なアンバランスを強めはしないか、道内における過密と過疎を新しくつくり上げる要素をつくっていはしまいか、この点が一つ。  それからもう一つは、生活基盤整備事業費も、これも大臣があとで自慢されるんじゃないかと思うが、相当伸びていることは確かであります。しかし、三千百四十億円のうち四三%ものシェアを占めているのは道路予算、伸びたはずの生活基盤整備事業は百五十七億円で、全体の中のたった五%程度にしかすぎない。大型プロジェクト第三期計画の目玉商品というようなものがどんどん顔を出してきているのも間違いございませんけれども、やはり住民の生活を優先させるという考え方をもっともっと強めるべきではないかということです。内容の問題について、とりあえずその二点について開発庁長官のお考えを承りたいと思います。
  148. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 安井さんの御質問はきわめて重要な点をついておられると思います。北海道をバランスのとれた地域として総合開発をすべきである、これもまさにそのとおりでありまして、私どもも、今後開発してまいります上に十分留意をしなければならぬ点であるというふうに考えます。いま御承知のように、苫小牧東部であるとか、これから行なおうといたします根釧地域の大酪農村の建設であるとか、これは北海道開発における一つの目玉とでも申しますか、北海道自体の大きな開発事業ということになっておりますので、傾斜的にそれに予算が片寄ることは、これは否定しがたいと思います。しかし、第二番目におっしゃった生活基盤を十分整備する事業予算措置をすべきではないか、そのとおりであります。これは、道路は何も企業誘致のための道路ではないわけでして、国土の五分の一、いわゆる二〇%のところに人口はわずか五%である、こういうたてまえからいうならば、その五%の人たちが、まず道路網の整備によって、自分たちの生活の行動半径を広げる、このことがひいては将来の過密過疎を緩和する一番基本にもなるわけでございますから、道路予算が伸びるということは、まず開発の根本がだんだん整備されつつあるというふうにお取り上げを願いたいと思うのです。  それから、生活基盤整備の直接経費等につきましては、当然これは今後も大幅に増額をしていかなければなりません。生活環境の整備等につきましては、北海道開発庁というたてまえだけではなしに、建設省であるとか、他の関係省庁予算分というものも当然あるわけでございまして、今後ともこの充実ははかってまいりたいと思います。おっしゃる意味は十分わかりますので、バランスのとれた、過密過疎にこりた今日の日本の現況として、そういう弊害をもたらさないような開発整備をしてまいりたいと思います。
  149. 安井吉典

    安井分科員 いわゆる総合開発計画というたてまえは、国全体のマクロな計画の中で、北海道の開発を、おくれをとらない形に位置づけていくという点が一つあるわけですが、ただ、北海道といっても九州に四国、それに山口県を合わせたぐらいの大きな広さのものですから、国全体の中で北海道を位置づけても、北海道の中で札幌だけが百万都市になって、農山漁村はどんどん人口が減るばかり、つまりあの北海道という島の中の、六百万人のうち百万人があの札幌だけに住んでいて、いわゆる道央地区には二百万人、三分の一住むわけですからね。ですから、そういうふうな体制の中で、国全体の中の過密過疎という考え方を、北海道の中でもそういうような事態が生じないような配慮をさらに突き進めていただく必要があると思います。また、予算というのは、ただまんべんなくばらまきさえすればいいというものではありませんし、したがって重点化が必要なのは、これは私もわかります。わかりますけれども、目玉ばかりぎょろぎょろしてしまって、ほかのほうはやせこけてしまうという姿では困るわけですよ。予算獲得技術的にはなるほど目玉を設定するということはプラスになるかもしれませんけれども、しかし、現実の計画の中では、そういうきめのこまかな配慮というものを進めていかなければならぬと思うし、あとで国土総合利用計画法ですか、その関係もちょっと触れますけれども、それなどとの関連からいっても、やはり環境整備といいますか、そういうほうの側面がいままで忘れられてきているわけですから、その側面をやはり強めていくという態度を、これからの行政の中で進めていただきたいということを、いまのお答えにつけ加えてひとつお願いをしておきたいわけであります。  そこで、予算総額はふえたが、そのかわり道や市町村の地元負担も当然ふえてきていると思います。四十七年度でも五百十二億円ぐらいだったというふうに聞いておりますが、四十八年度の北海道並びに市町村のこの開発計画に基づく負担はどの程度になるのか、そして、これに対する地方財政措置はどうおやりになるのか、その点をひとつ伺っておきます。
  150. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 北海道の予算の伸びは、いま御指摘のように二六%をやや上回るという伸びを示しております。これを少し詳しく申しますと、地方負担額は前年度比ではなるほど一二八・五というのですから、二八・五%増ということになります。その内訳は、道が六百四十五億八千三百万円、これは前年度比で二五・七%増、市町村が三百三十四億四千二百万円で、これも四七%の増、相当な増が見込まれます。団体等が二百二十五億二千百万円、前年当初比一一四・四ですから、一四・四%増というような形になっておりまするが、いま四十八年度がどうなるかという点については、これはまあ今後計算をしてまいりますので、予想以上のものは出ないわけでありますが、当然地方交付税の交付金、地方債等々をもちまして処置をしていくわけであります。  もとより、北海道の現況が本州とまだバランスがとれていない、そこで総合的な大開発をしようというので、いま三期計画の三年目に入っておるという場面でありますから、市町村財政が決して裕福であるなどとは私ども認識いたしておりません。これはもう自治大臣としまして、従来とも北海道開発庁長官兼務しておるということは、そのあたりにもきめこまかい配慮ができるようにという歴代総理大臣の意向もありまして、これが組織的に兼務をしておる、こういうことだと思います。したがいまして、地方の事情等につきましては、御指摘の点が十分勘案され、市町村に過重な負担になりませんように努力をしてまいりたいと思います。
  151. 安井吉典

    安井分科員 いまの御答弁の数字によっても、北海道、それから市町村団体等の負担額は千二百億円を相当上回る額になるようです、いまの三つを合計いたしますと。とにかくたいへんな数字であります。とりわけ市町村の四七%増というのは、これはすでに自治省がお示しになっております四十八年度の財政計画やあるいは市町村財源の増加の割合等を大幅に、おそらく倍以上も上回る数字ではないかと思います。最近の決算でも赤字がふえてきている状況もあるわけであります。北海道自体にしても、これだけの持ち出しというのはやはり大きな問題ではないかと思う。いずれにしても、国の仕事によって負担増、いわゆるひもつき財政支出のために、自治体本来の単独事業を圧縮せざるを得ないというふうな羽目におちいることを私は心配をするわけです。このために特別に、地方債やあるいはまた地方交付税の措置等を講ずるというふうな御計画はありませんか。
  152. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは、先ほども申し上げましたように、北海道の特殊性ということを自治省においても十分加味しております。今度の市町村分が多いということに見合って、地方交付税なり、また地方債なり、そういうものによってカバーしていく予定で作業を進めておりまするから、御心配の点等については、十分留意いたしまして、かりそめにも、仕事のために市町村が困窮におちいらないように配慮をいたしたいと思います。  それから、予算の本委員会で常に問題になりますあの超過負担の問題、こういう問題がありがた迷惑——仕事の率かふえて非常に市町村が迷惑をするという現象を起こしておることも、これは否定しがたい面もありますので、そういうあたりについても十分留意をしたいと思います。
  153. 安井吉典

    安井分科員 いまの地方財源措置をしっかりやるという御見解は、自治大臣としての御発言と受けとめてよろしいですね。
  154. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 もとより自治大臣としての発言でございます。
  155. 安井吉典

    安井分科員 最近の土地買い占め、地価の上昇、これは全国的な状況であるわけでありますが、日本列島改造論のこれも目玉ですか、いろいろなことを自民党の諸君はいままでも言ってまいりましたが、目玉かどうかわかりませんが、とにかく北海道における土地買い占めというのは、山間僻地の果てまで、おそろしい勢いで進んでいるようであります。その実態を開発庁はつかんでおられるのかどうか。土地が買い占められたり地価が上がるということは、住民の生活に非常に大きな影響を及ぼすということが一つありますし、それからもう一つは、公共事業が、国の事業であろうと道の事業であろうと市町村事業であろうと、全く行き詰まってしまうわけであります。たとえば、大型なパイロット事業をやろうといったって、その土地の一部がすでに買い占められたというふうな例もないわけではありません。道路を延ばそうといったって、土地の買収費に大部分の予算を費やさなければいけないという事態にもなりかねません。そういう実態について把握をされ、何か対策をお持ちですか。
  156. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘の点これまた非常に重要な問題でありますが、現状はまだ把握に至っていないというのが正直なところです。ただし、北海道庁と開発庁とが協力いたしましてこの実情を調査しようということで、いま作業に入っておることもこれまた事実でございます。間もなく実態把握ができると思いますが、いまどうなっておるかということを的確に申し上げられないのは残念であります。  しかし、今度御承知の土地対策新法によりまして、今後の地域の計画的な開発が阻害されるというようなことになっては、これは大問題ですから、事業の中止命令とかあるいは買い戻しとか、いろいろな措置が講ぜられることになってまいるわけですから、この新法と相まって開発庁、道庁の協力体制で、このおよその方向を調べました結果とからみ合わせて、計画が阻害されない形で十分措置をしてまいりたいというふうに思っております。
  157. 安井吉典

    安井分科員 この問題は非常に大きな問題になりかねない要素を持っております。ぜひ調査と対応を十分にやっていただきたいということを要望しておきます。また、そういう資料がきちっとできましたら、国会にもひとつ御提出いただきたいわけです。  それからもう一つ国土の利用に関する総合計画法案あるいは国土総合開発庁設置法案等が準備され、設置法案のほうはもうすでに提案されておるようでありますが、これと北海道開発法あるいは北海道開発庁のあり方についての関連であります。両方をにらみ合わせてみますと、その開発理念において、現在の北海道開発法のほうは、資源開発、産業開発に偏重したような方向になっているし、新法のほうは、豊かな環境を創造することを目的とするということで、最終的に落ちつくのかどうかわかりませんが、そういうふうな書き方になりそうであります。あるいは計画の策定方式においても、新法は、知事が策定をして国の認可というふうな方向のように聞いておりますが、道開発法のほうは、地方公共団体が開発計画に関し内閣に意見を申し出ることができる、つまり、自治体の関与の方式において、新法のほうがだいぶ進んでいるような書き方のようであります。新しいものほどいいものになるのかもしれませんけれども、そしてまた、今日の状況の中で立案されているためにそうなっているのかもしれませんが、この点、長官として、あるいはもう政府としての方針もきまっている段階だと思いますが、どうされるのか、それをひとつ伺います。
  158. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 北海道は、今後の国土総合開発の上からいいましても、すでに歴史二十三年、先導的な役割りをになう重要な地点であります。そのために、私ども閥僚がこの開発庁の長官兼務するということで、その重要性を十分政府としても認めて、特別な予算措置をしてここまで進んでまいったわけであります。今度も、国土総合開発庁の設置に際して、北海道開発庁を存続することにしたという意味も、その重要性と特殊性を加味しての判断、最終決定であるというふうに御了解を願いたいのであります。  いま御指摘の現行の北海道開発法は、すでにもう三十年を経過しておりますので、ややていさいの上からいっても、また、事実その条文を見てみますと、私も、表現として古いなというような点に気がつきます。  県が計画を決定して国に申し出る、住民意思を尊重する、これは、法文としては、ちょうど私どもが提案者になりました中部圏開発整備法、これから始まりました。したがって、当然今度もそういう傾向を強く法案の上に出していくことになりますが、そうかといって、いまの北海道開発法によってカバーできないものでもありませんし、現に開発庁と道庁とはもう緊密不離の関係で開発計画推進してきたわけです。ですから、法文を拡大解釈していけば、現状においても差しつかえはないという見解に立っておりますが、しかし今後の開発法の推移等をにらみ合わせながら、私どもとしましても、開発関連諸法の改正はどういうふうにしたらいいのか、十分留意をしまして、明るい豊かな地域社会をあの北海道に実現する先駆的な意味の開発を完成していくという意味から、実情に合った法律にする必要があるということならば、やはりいつでも対応できるように措置していこう、こういう姿勢でおります。現在は拡大解釈と申しますか、にわかに阻害される点もありませんので、まあ様子を見ながらいこう、こういう姿勢でありますが、もとより不備な点等よくわかっておりますので、弾力的に対処をする、繰り返し申し上げましたが、そういうつもりでございます。
  159. 安井吉典

    安井分科員 大臣は、北海道出身でないのに北海道開発庁長官でやっておられるし、私は北海道出身で大臣にいま質問している、妙なかっこうですけれども北海道開発庁長官というのは、後に総裁、副総裁になる人が必ずやっておるポストですから、そういうことでひとつしっかりおやりをいただきたいのです。  そこで、たとえこの法律の改正があろうとなかろうと、開発理念というのは、やはり豊かな環境つくり、あるいは策定方式についても、自治体を尊重するという方向で、法律の条文の規定はどうあろうと、とにかくこれでいかなければいかぬと思うのですが、それだけひとつ伺います。
  160. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 当然御指摘のとおりだというふうに、この点はもう全く同感です。特に民主主義の体制が進歩的に徹底すればするほど、民意の尊重されない開発行為というものはあり得るものじゃないと思っております。したがって、今後も道はもとより、市町村とも緊密に連絡をとって計画推進努力したいと思います。のみならず、私もこの北海道開発庁長官には非常に熱情を燃やしておりまして、いろいろなアイデアを就任以来ぶっつけておるわけです。今後も努力したいと思いますので、いろいろまた御協力を願います。
  161. 安井吉典

    安井分科員 ちょっと時間がありますので、今度の北海道開発予算の中に層雲峡の地熱発電の調査費が計上されているようでありますが、これはむしろ通産省のほうからお答えをいただきたいと思うのでありますが、私もあまりよく知りませんけれども、ちょっと調べてみましても、わが国の地熱発電についての取り組みは、今日までの段階では十分ではないというふうな感じを受けるわけであります。しかし地熱発電は、熱エネルギーが小さくて大規模発電には利用しにくいというふうな欠点がないわけではないようですけれども、石油も、今週の週刊誌には、石油が間もなく切符制になるのではないかというふうな記事が出るぐらい、九九%以上外国から仰いでいる資源、それに依存している火力発電の限界があります。同じ北海道で、いま伊達火力発電所の住民とのぶつかり合いでたいへん困難な状況になるという事態もあります。原子力発電も今後のエネルギーの中の大きな要素を当然占めるべきではないかと思うけれども、しかし、これもトラブルが絶えないわけであります。そういうような意味からすれば、地熱のほうは、火山国で資源豊富、しかも公害はないというふうなことであります。そういういろいろな意味から、政府としてももう少し熱を入れてはどうかと私は思うわけであります。もちろん、将来の原子力等を含めたエネルギーの中の中核になるべきだというふうにまでは、私は主張するだけの勇気はいまの段階でありませんけれども、しかし、もっと積極的に全国的に調査をする。北海道も、温泉が一ぱいあるということは、地熱の利用の可能性が多いということだろうし、全国的に、日本は火山国ですから、そういう要素はあり得るし、それからこれに対する国の助成措置もほとんどなきにひとしいような状況も反省する必要がある。それからもう一つは、全くこれの根拠法が準備されていないものですから、たくさんの法律一つずつつながりをこなしていかなければ開発ができないというふうな姿の中で、やはりこういうものを中心に据えた単独法をつくる必要があるのではないか。こういうような点をまとめてひとつお答えをいただきたいわけです。
  162. 和田文夫

    和田説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、地熱は大規模な開発はできませんが、国内資源であります。化石燃料のようなそれによる大気汚染等の弊害もないところから、世界的に地熱エネルギーが見直されておる現状でございます。わが国は御指摘のような火山国であります。地熱エネルギーも比較的豊富にありますし、あるいはその利用技術につきましては他国に劣らない水準にございます。このような点を考えまして、地熱発電に関する調査推進を進めていこうということで、四十八年度の予算案におきましても約一億近い、八千何百万の調査費あるいは特別研究費等が計上されておりますし、今後地熱開発について、総合的な位置づけをしていき、関係省庁等とも連絡をいたしまして、先生のおっしゃるような助成措置等も含めまして、いろいろな必要な措置を前向きに検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  163. 安井吉典

    安井分科員 もう時間が来たようですから、多くを申しませんが、私もいままであまり関心がなかったのですけれども、これが一つ調査費という項目に出てきてやっと気がついたというので、おくればせかもしれませんが、発電の問題が全国的なトラブルを起こしているという現状を考えれば、山の中で全く利用価値を知らないままどんどん蒸発をさせたり、あるいは地面の底で寝かしているという資源をそのままにしておく手はないのではないかと思います。ぜひこれは積極的なかまえで取り組んでいただきたいということを最後に申し上げて、終わります。
  164. 臼井莊一

    臼井主査 次に、島田琢郎君。
  165. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 私は、北海道の北見から出ているわけでありますが、きょう大臣以下政府の皆さんにお尋ねをいたします点は、ごく具体的な二、三の点でひとつ見解を示していただきたい、こう思っているわけであります。  まず最初に、大臣にお尋ねをいたしますが、きわめて端的な質問でありますけれども、今日の北海道の総合開発は新全総、あるいはまた道第三期総合開発計画によって進められているわけでありますが、大臣、北海道の開発がほんとうに進んだというふうにお考えかどうか、まず最初にそれをお尋ねいたしたいと思います。
  166. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 北海道の開発は年々相当なスピードで進んでおるというふうに思います。それは私、長官に就任をする前も、年に一、二回は必ず北海道に所用があって参っておりまするが、行くたびに変貌をしておる。これは事実です。ですから、北海道開発庁がすべり出して二十三年目ですか、相当な成果があがったものというふうに考えております。
  167. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 開発が進んだかどうかという議論をやりますと、いろいろな見解の相違が出てくると思いますけれども、私は、表面的に見て、開発が進んでいった、あるいは進んでいる、そういう判断をするだけでは非常に手落ちだ、こういうふうに実は考えます。というのは、なるほど機械的に開発が進められていくでしょうけれども、現実には、北海道の農村を中心にした過疎化は非常に深まっている。これはひとり開発庁長官の責任だというふうに私申し上げるつもりはありません。しかし、これから申し上げます二、三の点についてひとつ御理解が深まれば、私は、なるほどとお感じになるんではないか、こう実は思うわけであります。  全地域にわたって開発が進められていく過程において、私は、国土総合開発法の精神からいってどうも納得ができない点があるんです。それは何かというと、法の第一条の目的の中には、いろいろありますけれども、後段で、「産業立地の適正化を図り、あわせて社会福祉の向上に資する。」こういうことを目的にうたっているわけでありますが、開発が進められていく過程で、産業の立地条件が非常にそこなわれているという事実もありますし、さらにまた、福祉問題、社会的な問題として非常に深刻な様相を帯びている階層もある。特にそれは農村地帯においてきわめて顕著であります。  その第一点は、たとえば河川改修工事を進める、あるいは道路の工事を進めていく、その前段における土地の買い上げ、この中には特に農地が非常に多い場合があります。この農地の買い上げについて、非常に適正でないというふうにわれわれは実は考えているわけであります。さらにはまた、土地を買い上げたあるいはまた代替地の手当てをした、こういう中においても、その工事が始められる前よりもうんと不利な条件になったというふうなところが非常に多い、こういうふうに実は見ているわけであります。したがって私は、長官は北海道の開発は目ざましく進んでいる、こういう判断をなされても、それは表面的なとらえ方であって、内実は逆に非常に深刻な事態をそこに巻き起こしている、実はそういうことを申し上げたいわけであります。  さらに、具体的に申し上げますと、たとえば河川改修を進めていく、そういう過程にあって、農地の買い上げあるいは代替という問題の中で、価格が適正であるとか不適正であるとかということは別におきまして、買い上げた後においての農地のいわゆる登記だとか、あるいはその後の措置について、私はきわめて手落ちがあるんではないか、そういうふうに考えております。  もう少し具体的にお話をしたほうがいいと思うのでありますけれども、私は前段で北見の出身ということを申し上げました。網走管内、北見管内には一級河川、御承知のように常呂川、網走川、湧別川とございます。特に常呂川と湧別川の流域、特に下流地域にあっては、これらのいわゆる堤防敷地の利用の問題につきまして、現地においてはたいへん混乱と非常に困った事態が起こっているわけであります。というのは、この堤防地にたよって今日まで農業を続けてきているという農家が非常にたくさんいるからであります。たとえば、常呂町の例を一つとってみますと、いわゆる堤防用地にたよって、持に堤外地に経営をたよっている農家戸数というのは四百戸ほどあるわけでありますが、この総体の面積は三百三十ヘクタールありまして、全町で持っております農地の割合からいきますと、約八%をこの堤防地にたよっているというのが実態であります。こういう点を見てまいりましただけでも、これらの河川用地の利用にあたって、非常に農民自身が混乱をしたりあるいは困った現象に突き当たったりしているという事実があります。  さらにはまた、河川改修を進めるにあたって土地の買い上げや代替をいたしましたものが、いつまでたっても登記されない。極端なのは、昭和九年に土地の買い上げや代替措置がなされておりながら、今日に至ってもまだ登記がなされていないという実態にあるわけであります。これは、当事者の農家にしてみれば、もういまの経営者の前のいわゆるおとうさんの時代の話であって、いまの経営者を経てさらにまたそのむすこの代に至っているわけでありますけれども、依然自分の土地というのは川のまん中にあって、名義はいつまでも変わらぬという、こういうことによって、家族の中では、こんな不安定な状態であるとすればとてもとうさんの土地を私が引き継いで経営を安定的にこれからやっていくなどというような自信もなければ、また見通しも持てない、こういうふうなことが起こりまして、家族内においてもトラブルがあった。こういうふうな事実さえ生まれているわけであります。  私は、こういう一連の開発途上におきます事後措置というものが適正に行なわれてこそ、初めて総合的に北海道の開発というものが完全であった、こういう評価ができるのでありまして、こういう問題を幾つも幾つも残している過程にあって、これから先も、単に機械的に表面だけどんどん開発が進められていくという事態になりますと、私は、この法の精神にももとるのではないか、そういう一つの判断を持っております。ひとつ大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思うわけであります。
  168. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 過密過疎の問題は、昭和三十七年ごろから、経済社会の急変貌によりまして本州各地各所に起こった大問題であります。北海道の場合は、これはその過密過疎が顕著になりまする前から、開発庁が発足をして、開発整備にかかったわけですね。もし、北海道開発庁のあの傾斜助成による大開発がなされなかったら、北海道というものはどうなったであろうか。この場面を想像しますというと、北海道の内部における過密過疎は、これは私も否定するものではありませんが、北海道全体から申しますならば、人口減というものがなかった、あっても一時的なもので、最小限に食いとめることができた、これはまさに北海道開発庁による傾斜的な助成に基づく開発の結果であるというふうに評価をいたしておるわけであります。  常呂川の問題等につきましては、政府委員が参っておりますので、実情に即した答弁を政府委員から申し上げたいと思います。
  169. 山田嘉治

    山田(嘉)政府委員 河川敷の問題についてお答え申し上げます。  常呂川の河川敷に依存して農業をやっておられる地元の農民の方が非常に多いということに関連いたしまして、この利用の問題について、不安感等をお持ちになっておるために安定した耕作ができないという点につきましては、河川敷の占用許可につきましては、建設省の事務次官通達で昭和四十年の十二月二十三日に出ておるのでございますけれども、その中身といたしまして、公園、緑地あるいは広場、そのほか採草放牧地その他これに類するものなどを許可するということになっておりますので、こういう河川敷によって生活の具を得ておられる農民の方々の実情を十分に考えまして、この通達の準則の趣旨をできるだけそれらの方々の生活の安定が得られる趣旨において解釈をするというたてまえで、建設省とも十分相談いたしまして、河川敷の利用について生活不安を起こすようなことのないように努力いたしたいと考えております。  それからもう一点の、河川事業に伴います用地の交換処理の問題で、交換をしたんだけれども登記が非常におくれておるというようなことで、これまた非常に不安定の原因になっておる。ひどいのは、昭和九年ごろ交換したのにいまだに登記されていないという御指摘がございました。これはまさに御指摘のとおりだと私は思います。建設省のほうから伺いますと、こういった事象は全国的にございまして、建設省におかれましては、これを全国的に調査を進められておるようでございますが、確かに御指摘のとおり、北海道においてはこういう事例が相当多いということも私ども承っておりますので、この登記事務を促進するという観点に立ちまして、建設省とも十分相談をいたしまして、私どもの下部でありますところの北海道開発局等の出先を督励してまいりたいと思っております。
  170. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 私も、大臣がおっしゃるように、積極的ないまのような開発をしなかったらどうなったか、こういう点についての認識はある程度持っております。ただ、せっかくそういうふうに積極的な開発が進められていっても、それらに付随するすべての問題も一緒になって解決されていかなかったら、形だけは変わったし、開発は進んだけれども、その地域に住むことができないということであっては、困る。特に農家にあっては、開発が進められていく過程にあって、農地の買い上げ、もっと極端にいえば、取り上げという事態、こういう事態の中で、前よりも経営の内容が、代替地の問題を出されてきても、非常に条件が悪くなった。大事な土地のまん中に川が通った、道路が通った。経営が二分され、三分されるという状態の中では、いままでのような経営を続けていくことができない。そういうことによって、経営縮小あるいはまた離農というような問題まで出てきている。だから、そういう点などを考えますときに、一面では代替地の問題についても、もっと親切に相談に乗るという、そして後々問題が起こらないようにするという、そういう手だてというものは、出先において親切に話し合いに乗るようなことが必要ではないか。そういう点が私の言いたい点でありまして、特にいま監理官から、たいへん遺憾であるし、また、全国的にも相当のケースがある、こういうことでありますから、私は、この実態についてぜひ明らかにしていただくと同時に、四十年間も登記がされないという、そういうスローモーな行政というものについては、ぜひこの機会に改めてほしい、それに対する具体的なお考えをお聞かせいただきたい、こら思うわけであります。
  171. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 聞発整備が進むにつれまして、一次産業従事者と申しますか、農民、漁民という人たちに迷惑があってはならぬと思います。これは十分留意して、開発庁としても今日までこれらの人々の生活ということを中心に考えながら開発をしてまいったわけでありまして、いま御指摘の具体的な問題につきましては、出先機関も十分いい相談相手になって一緒に問題を解決をするという態度で今後も臨んでまいりたいというふうに思います。  そして、これはさっき山田政府委員からもお答えしておりましたが、建設事務次官の通達が四十年の十二月二十三日出されまして、公園、緑地、広場、採草放牧地その他これに類するもの等を許可対象とするという形でありますから、建設省とも私ども十分相談をいたしまして、できるだけ御期待にこたえられるような親切な態度でひとつ努力をしてみたいと思います。  建設省が来ておられれば、建設省からもこの機会に見解を聞いておくことができれば、ちょうど一緒に聞くことができますから、便利かと思います。
  172. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 きょうは建設関係は私は呼んでおらないわけであります。いまのお話ですけれども、私はもっと具体的に、たとえば昭和九年からもう四十年もたっている。農家の気持ちとしては、もうこれ以上待てないと思うのです。現地で、私も町村の農業委員会長という立場でこの農地問題を取り扱ってまいりまして、具体的にこの問題の処理がついにつかなかった。出先の御意見を聞きますと、とても私ども段階でこれは処理できません。かなり高い政治レベレでひとつ、総体に、全国的にこういう問題があるということが予測されるので、必要によっては、これらを促進するという手だてというものを政治的な立場に立って考えなければならぬではないかという音加味の答えをいただくにとどまって、具体的には何ら進まないというわけであります。私は、農業委員になりましてからもう二十年の間、こうした問題に取り組んでまいりましたが、ついに解決を見ることができなかった。一体どうしてこんなにスローモーなのか。四十年といったら、私どももこれから四十年といえば死んでしまうわけでありますが、一体、こんなにむずかしい内容になっているんだろうかと思って調べてみているわけでありますが、ひとつもむずかしくないと私は思うのです。ですから、私が具体的にということを申し上げたのは、何年ぐらいのもの、たとえば四十年前のものについては、このあと一カ月くらいの間に処理するとか、そういう具体的なお答えをぜひひとつこの機会に私はちょうだいいたしたい、こう思っているものですから、具体的にお答えを願いたいということを申し上げているわけであります。
  173. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これはひとつ分科会で、建設大臣にでも積極的にお話しいただいたらどうでしょう。私のほうも建設省と至急協議することにいたします。やはり主務官庁は建設省ですから、こちらは道民の心を体して協力体制に立つ、こういう形になりますので、ちょうどあなたと同じような立場にも立つわけですが、十分こっちも協議しますから、至急ひとつ詰めていただくことが望ましいと思います。
  174. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 大臣、一しょになってやろうということはわかるわけですけれども、私はどうしてきょうは大臣にこういう問題を持ち出したかというと、北海道の総体の開発を進めていく上において、前段で私いささかくどく——工事進捗第一主義という形で進められていく過程で、こういうひずみあるいは問題が起こっているので、だからそういう前段の地ならしも、あるいは事後措置も、北海道開発を進めていく上に非常に大事な要素だから、ぜひひとつ、建設省も大事ですけれども、これは所管の北海道開発という立場に立って、積極的な責任をもってお進めいただきたい、こういう願いを持っているものですから、きょうは大臣にくどくお話しをしているわけであります。しかし、それはわかりました。時間があまりありませんから、こうした問題について、もう少し今度は開発庁の事務をやっていらっしゃる方とこれからひとつ具体的に方法など詰めていきたいと考えております。  もう一つ、これも大臣に私はお尋ねをしておきますが、行政管理庁の指導に基づいて、開発庁自体の再編成という問題がいま一つ取り上げられておりまして、これは昭和四十七年、昨年からいわゆる再編成五カ年計画で進めよう、こういうふうに考えていらっしゃるそうでありますけれども、これまた出先において、住民を中心にして統廃合に対して非常に心配を持っている。これは一つには、過疎化が非常に深刻になっているという事態の中にあるだけに、神経質になるのは私どもはよくうなずけるわけであります。とりわけ、単に事務だけをとる出先ではありませんし、除雪や道路の改修やら、いろいろ地域の発展のために必要な出先ということで、地域によっては、開発庁の出先機関についてはいままでも具体的にいろいろな提携をしながら、必要によっては協力をしながら進めてきている。少しでもその自治体や地域においての過疎化を防いでいくというような努力に手をかしてきた住民感情からして、私は当然の願いだろうと思っているのであります。これを不用意に進めてまいりますと、さらに過疎化に拍車をかけるばかりか、全体の地域における交通機関等の麻痺という状態にまで発展しかねない心配を一面持っておりますので、これらの統廃合、合理化の問題につきましては、かなり慎重にやっていく必要があるんではないかというふうに私は考えております。これらのスケジュールや具体的なお考えについて、ひとつお示しをいただきたいと思います。
  175. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 住民感情による地方支分局の整理統合に反対をする、これは私わかるような気がするのです。ところが、昭和四十五年十一月の閣議で、この地方支分局を整理再編成するという方針がきめられて今日に至ったわけです。北海道の開発も、御承知のように二十三年目、道路の開発整備も相当進捗しましたし、漁港整備等も御承知のように相当進んでまいったわけです。北海道は広いわけでありますが、時間的、距離的にも以前ほどではなくなった。したがって、行管庁等々から、事務能率があがるように合理化を慫慂せられることは、これは時代の趨勢としてどうも否定しがたいものがあります。現在二百五十三カ所あるわけです。これを四十七年度を初年度として百カ所に整理統合しよう、こういう計画で進められておるわけでありますが、もとより島田さん御指摘のように、住民感情にさからった形になりませんように、納得される形で十分地元の実情等をくみながら、まあ半分以下になるわけですから、考えて推進をしてまいりたい。  なお、これは従業員の問題等もございますので、従業員もその勤務条件が激変するというようなことになってはこれまた問題でありますので、そのあたりにも留意をしながら配慮をして進めていきたいというふうに考えます。もし、詳しい問題等あれば、政府委員から御説明をいたさせます。
  176. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 すでに昨年からこの五カ年計画に入っているのですが、これは、いま大臣がお話しているような点について考えていけば、私はこの五カ年計画で達成することはむずかしいというふうに見ていますが、強行されるおつもりですか。
  177. 山田嘉治

    山田(嘉)政府委員 閣議決定の趣旨に基づきまして一つ計画、構想を立てまして実行しているわけでございまして、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、五カ年間で約百カ所くらいに統合するという目標をもってやっておりますけれども、もちろんその実施にあたりましては、地元の事情等を十分に考えまして実施していきますので、その辺のやり方につきましては、十分弾力的に考えてやっていきたいと思っておる次第でございます。
  178. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 時間があまりありませんので、最後に、だめ押しみたいですけれども一つ私の希望を入れて、御意見を伺いたいと思います。  先ほど常呂川の、常呂町の実態について触れました。この中身については詳しく申し上げる必要はありません。先ほど申し上げたとおりでありますけれども、開発庁の出先の機関では、いろいろな人がかわることによって指導や言い方が変わってくる。去年までは、まあまあそういう形でおつくりになることはいいでしょう、こう言っておっても、異動が行なわれて新しい人が参りますと、いや、これはどうも建設事務次官通達に基づいて云々、こういうふうに実は変わってくる。そのために非常に経営が不安になるわけです。そういう点がやはり統一された見解もとに、私は農家が安心して経営ができるようなそういう指導というものも、ひとつ機関内において行なっていただきたい、こういうふうに実は考えております。これは厳密に押していきますと、次官通達はあくまでもそのまま通すということに強行されてまいりますと、基本論議の中ではたいへん問題になる点であるのかもしれませんけれども、私はそうではなくて、農家が非常に不安で動揺しているのだから、この点についてひとつ措置をお願いしたい、そのための意思の統一を部内においてはかっていただきたい、こういう希望をひとつ申し上げておきたいと思います。  最後に一つ私の提案でありますが、これは私の地域に起こっている問題ばかりではなくて、先ほど山田監理官からお答えの中にありましたように、これらのケースというのは全国的にたくさんある、こういうことでありますが、その実態は単に推測の域にとどまっていては私は困ると思うのです。ですから、これを明らかにするための開発の、あるいはこういう改修の終わった道路、河川に限らず、一般のその開発の事後の問題につきましては、ぜひパトロールを実施していただいて、その実態を全国的に明らかにしながら、あるいは開発庁の所管でありますから、北海道だけでもいいわけでありますけれども、全地域のパトロールを実施してこの実態を明らかにしながら、今後それを解決していくための日程といいますかスケジュールを明らかにして、着実にこれを具体的に解消するようにぜひお願いをしたい。そういう一つの提案を申し上げておきたいと思います。  機能分担というようなことがありますけれども地方自治体と開発庁の機能分担あるいは一心同体になってやるのだ、こういうふうなことがいろいろいわれますけれども、末端においてはその機能分担なり一緒になってやるということが、かえってその責任の分野をあいまいにしてみたり、あるいはその機能の逆な分散になってしまったり、そういうことが私どもとしては非常に心配される点でありますから、こういう方法をぜひひとつ実施をしてほしい、こういう私の希望を持っているわけでありますが、大臣の考えを最後にお聞かせいただきたいと思います。
  179. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 役所の責任者がかわるたびに見解が違う。これは私どもも長い間代議士などしておりますとよく見聞きした事例でありますから、そういうことのないように、今後開発庁の指導をしてまいるつもりでございます。  それから開発された地域、その後の点検パトロールをしろ、これは一つのいい提案でありますから、事務能力の許します範囲、特にやはり北海道開発庁というものの特殊性から考えまして、できるだけ行き届いた政治という意味で検討して、実行に移せるものはすみやかに移してまいりたいと思います。
  180. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 終わります。
  181. 臼井莊一

    臼井主査 次に、坂口力君。
  182. 坂口力

    坂口分科員 きょうは科学技術庁の方に対しましてお伺いをしたいわけでございますが、日本は二十一世紀に向かって進んでいるわけでございますが、それに対して科学技術庁の基本的な今後の取り組み方というものに対してお伺いをしたいと思うわけでございます。  いまわれわれが直面しております深刻な、たとえば公害問題を考えてみましても、産業の発展に伴いましておそらく起こるであろうと想像されておりました公害問題を、起こってしまうまで傍観視してきたということは弁解の余地のないところであろうと思うのでございます。今後一そう産業開発が進みまして、人口もおそらく二十一世紀になりますと一億二、三千万人になるだろうと想定されておりますが、それに対応して、みんなが安心をして生活のできる基本的な科学技術の進歩というものが必要であると思うわけでございます。  そこでまず第一にお伺いしたいのは、環境庁が独立しました現在、科学技術庁としましては、環境問題に対して具体的にどのように取り組んでいかれるか、これについてお伺いをしたいと思います。
  183. 千葉博

    ○千葉政府委員 当庁の環境問題に対します従来の取り組み方でございますが、これは御案内のとおり、環境庁ができます前におきましては、環境問題に関しますいろいろな科学的また技術的な問題に関しましては、科学技術庁が中心となりまして、各省庁の環境関係の科学技術の問題を取りまとめまして、それでこれを総合的に推進してきたわけでございます。ところが、四十六年の七月に環境庁ができまして、それ以後、いわゆる環境保全に関します基本的な政策は、環境庁において立案し推進をするということに相なっておりますが、当庁といたしましては、さらに環境だけにとどまらず、関係各省全体につきましての調整の権限があるわけでございまして、そういったような権限からいたしまして、全般的な科学技術の振興を推進するという観点からこの環境問題を取り上げておるわけでございます。たとえば、緊急に環境問題でいろいろ調査研究を進めなければならぬというような事態に立ち至ったというような場合におきましては、科学技術庁におきましては、特別の研究促進調整費というのを持っておりますので、これの中から緊急研究を推進するための費用を出しまして、関係各省に移しかえをするなどいたしまして、それでこれを進めるというようなことをいたしておるわけでございます。
  184. 坂口力

    坂口分科員 そういたしますと、各省にわたりましていろいろの具体的な問題がございますが、その各省の中でこまかくいろいろ研究をされたそういうデータを一応全部吸い上げて、吸い上げてということばが適当かどうかはわかりませんけれども科学技術庁で全体を把握をなすって、そうして将来どういうふうな方面にさらに力を入れていったらいいかということについての一つのサゼストを与えられる、こういうふうに理解さしていただいてよろしゅうございましょうか。
  185. 千葉博

    ○千葉政府委員 そのとおりでございます。それで、具体的には、科学技術庁では毎年度の見積もりの方針の調整ということをいたしておりますので、それを通じまして先生のおっしゃるようなことを進めておるということでございます。
  186. 坂口力

    坂口分科員 二十一世紀は生命の世紀ともいわれておりますけれども、私は科学技術の面でもこれから二、三十年の間あるいは四、五十年先を展望いたしましたときに、生命現象への挑戦が科学技術の大きなテーマになるだろうと考えております。しかし、過去の歴史が示しておりますように、生命現象への解明が進めば進むほど、一方におきましては生命破壊の魔の手が忍び寄ってくる、これが歴史の示しているところでございます。そういう意味で、われわれが健康を今後さらに維持し、そして増進をさせるための基本的なものといたしまして、良質の水と空気とエネルギーそして食糧、この確保が今後非常に重要な問題になってくるだろうというふうに私は考えております。そういう面でのプログラムが現在科学技術庁にあるかどうか、そういう御計画があるかどうか、これをひと  つ承りたいと思います。
  187. 千葉博

    ○千葉政府委員 ただいま御指摘の生命現象に対する追求でございますが、こういった点につきましては、いわゆるライフサイエンスというようなことがただいま当庁の中でいろいろ取り上げられておりまして、いわゆるわれわれの健康を確保して豊かな生活をするのには、どうしてもライフサイエンスといいますか、細胞の中のことまで立ち至っていろいろ研究いたしませんと、病気の根源もつくことができない。さらにまた、環境の影響も、人体に対する影響でございますが、これがなかなかわかりにくい。こういったようなことで、いわゆるライフサイエンスを大いに取り上げて推進しようという動きがいまあるわけでございます。  それと、いま一面、先生指摘のきれいな空気また水、そういったような環境をどういうふうに保全していくか。そしてまた、それが一体人体に対してどういう影響が出てくるのか。その辺が問題があるのではないかという御指摘でございます。実はこのライフサイエンスを進める一方、その一環でございますか、われわれといたしましては、あらゆる環境問題の中で一番問題となっております化学物質の汚染の問題を解明していこう、これももうちょっと基礎的なところを解明しようという動きがいまあるわけでございまして、プログラムといたしましては、現在、化学物質の安全性につきましては、いわゆる動物実験を中心といたしましていろいろ実験をして、それに安全率をかけて人体の影響をいま考えておるというようなところが実態でございますが、こういった化学物質及び重金属の抜本的な安全性の評価の方法を開発をしようというようなプログラムがいまあるわけでございます。
  188. 坂口力

    坂口分科員 私がいまお伺いいたしましたのは、いまお答えいただきました一面もございますけれども、もう一つ、さらに今後産業が発達をし、人口がふえていきました時点において、私たちの健康を増進するための水と空気とそして食糧とエネルギー、これが確保されなければならない。現在の条件ではなしに、さらに現在よりも悪化する条件が待ち受けているわけでございます。それを計算に入れた上でのプログラム、こういったもののプログラムが現在つくられつつあるかどうか、あるいはすでにそういうふうな問題が話にのぼっているかどうか、そういうふうな点をお聞かせいただきたかったわけでございます。その点につきましてもう少しお聞かせをいただきたいと思います。
  189. 千葉博

    ○千葉政府委員 先生指摘のとおり、エネルギーの需要がますますふえる。そうしますれば空気はよごれる。そういったような点からして、将来に対して一体環境がどういうふうなぐあいになっていくか、そういったものを一体予測しているかというようなことだと思いますが、実はそういった問題意識が十分ございまして、たとえていえば、自動車の排気でございますが、これをきれいにする。きれいにすればまた二面エネルギーの使用量がうんとふえてくる。その辺のところで、この過密都市の空気が一体どうなるか。こういったものをわれわれはどう判断していくかというような点につきましては、問題意識がございまして、いま関係各省といろいろ話し合いなどいたしておるわけでございます。現状はまだそういったような段階にあるわけでございます。
  190. 坂口力

    坂口分科員 皆さんのほうでおやりになっております特別研究促進調整費というのがございます。それの活用状況のまとめを実は見せていただきました。そこで感じますことは、確かにいろいろの面で研究等もおやりになっておりますけれども、いま私が申しましたような、二十年ないし三十年先のことを計算に入れた展望に立っての研究というものがわりに少ないということを思うわけでございます。四十八年度もわずかに増額にはなっておりますけれども、こういった面で、いま申しましたような私たちの健康を増進するための最も基本となるものについての研究というものを、私は科学技術庁というのはもっと今後取り組んでもらうべきではないか、こう考えますけれども、その辺、もう一度念を押すような形になりますが、局長さんの御意見を承っておきたいと思います。
  191. 千葉博

    ○千葉政府委員 特別研究促進調整費の使い方につきましては、いま御指摘のとおりのような方面、たとえばわれわれの生活を健康で豊かにするというような分野に、重点的に使おうという意向を持っておりますので、先生のおっしゃるような方向に重点的に使うつもりでおるわけでございます。
  192. 坂口力

    坂口分科員 われわれが当面いたしております問題の研究を進めることも重要でございますけれども局長がおっしゃったように、より住みよい環境をつくっていくためには、もっと広い視野で、長期的な展望に立っての諸政策が講じられなければならないと思いますし、科学技術庁の果たす役割りというのも、私はその辺に今後ウエートがかかってくるのではないかと思うわけでございます。  そこでお聞きいたしたいのは、今後おそらくあらわれるであろうと思われますいろいろの物質、それが人体にどういうふうな影響を与えるかということを研究を重ねていかなければならないと思うわけでございます。  そこで、たとえば薬物でございますとか、これは厚生省のほうとの関係あるいは環境庁とのほうの関係、いろいろあろうかと思いますが、薬物ですとかあるいは生活必需品に使用されるような物質が、どのようにわれわれのからだに影響を与えるかというような基礎的な研究というのは、今後どしどしと積み重ねていかなければならないと思います。そのときに問題になりますのは、実験方法でございますけれども、一番直接的ではっきりわかるのは、人体実験である、こういうふうな意見もあるわけでございます。先日も御存じのとおり精神神経学会の理事会で、いわゆる人体実験に対する倫理原則なるものを発表いたしました。そこで科学技術庁としての人体実験というものに対する御見解を、私ここでひとつ承っておきたいと思うわけでございます。お願いいたします。
  193. 千葉博

    ○千葉政府委員 この人体実験の問題につきましては、これはきわめて重要な問題であると思います。それで、過去におきましても、各方面で非常に論議を呼んでおりまして、いま先生例に引かれましたように、日本精神神経学会におきましても、ごく最近、この問題につきましていろいろと議論をされておるわけでございまして、一体、その実験の限界をどこに置くのか、全然実験しないで済まされないのかというような問題が、医学界におきまして真剣にいま検討され、また、原案がまとめられた、こう聞いておりますが、当庁といたしましては、従来から、いわゆる基本的には科学技術あるいは医学の進歩というよりも、とにかく生命の尊厳といろこの倫理に立脚しまして、すべてのことは判断されるべきだというふうに私のほうは理解して進めておるわけでございます。
  194. 坂口力

    坂口分科員 先日発表されました精神神経学会の理事会から出ました倫理原則、これにつきまして、十分お読みいただいているかどうか、ちょっとわかりませんけれども、もしもこれをお読みいただいているようでございましたら、これに対する御批判なり、あるいはこの原則には賛成なのか、その辺のところをもう少し立ち入った御意見をいただきたいと思います。
  195. 千葉博

    ○千葉政府委員 実は、詳しくはその問題については私どもまだ読んでおりません。それでまた、私は、そういった点では、どちらかというと門外漢でございますが、十分話だけは聞いておりますので、態度としましては、先ほど申し上げましたような生命のあくまでも尊厳という、そういったような倫理観に立脚してすべてのことを処していきたい、こう考えておるわけでございます。
  196. 坂口力

    坂口分科員 決して門外漢ではないと私は思うのでございます。科学技術庁局長さんとして、どうしてもこれに対するはっきりとした見解を私はひとつお持ちをいただかないとぐあいが悪いと思うわけでございます。  そこで、それではこの人体実験なるものに対して踏み切れない、これは一応できないとして、それじゃ今後どのような方向で基礎的な研究というのを進められるのか。次善の策なるものがあればひとつお示しをいただきたいと思うわけであります。どうでしょう。
  197. 千葉博

    ○千葉政府委員 いま御指摘の人体実験はできない、そうすると、いわゆるいろいろなライフサイエンスあたりを追求していく場合に、これが進まないのじゃないかというような御質問かと思いますが、実はこの化学物質の安全性の評価の手法につきまして、いま関係各方面の方々に集まっていただきまして、どうやって進めるかという点をいまやっておるわけでございます。いわゆる動物の種族間の化学物質の影響の差でございますが、たとえば人間とネズミとどういうふうに違うのだというふうな点でございますが、こういったものの実際の・取り進め方でございますが、たとえば血液を中心に調べるとか、それからまた尿を利用するとか、なるべくそういったような点を進めて、いろいろ種族間の差を調べるということもあるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  198. 坂口力

    坂口分科員 ちょっと人体実験に対する意見があいまいのままで私も議論を進めたものですから、私のほうも悪かったのですが、そういたしますと、人体実験におそれ入りますがもう一度話を戻させていただきまして、人体実験については一応現在の段階では行なわないという原則で進まれるという御意見でございますか。
  199. 千葉博

    ○千葉政府委員 原則としてはやらないということで進めておるわけでございます。
  200. 坂口力

    坂口分科員 たとえば科学技術庁が、先ほどもありましたようないろいろな研究を委託されるような場合がございます。そういう場合に、研究方法でそういった問題も出てこようかと思うわけでございます。そういうふうな、科学技術庁が研究を委託されるような場合に、その方法なるものはすべて研究者に一任されるのか。それとも人体実験というものに対しては一応現状では差し控えるという原則であるならば、提供者に対してそういう条件をつけられるのかどうか、その辺もたいへん今後の問題としては重要な問題になってくると思いますので、その辺に対する御意見を承りたいと思います。
  201. 千葉博

    ○千葉政府委員 研究を進める場合には当庁の人間が入って推進をしておりますので、そういった点は、十分に研究の内容について当庁の意見を浸透させることができる、かようにいま考えております。
  202. 坂口力

    坂口分科員 それでは時間がございませんので……。ほんとうはこの問題はもう少し詳しくお聞きしたいわけでございますが、次善の策として、先ほど局長が述べられましたお話、もう少し具体的にどういうプランなのかということを、課長さんでもけっこうでございますのでお話をいただきたいと思います。
  203. 千葉博

    ○千葉政府委員 さらに補足いたしますと、いわゆる化学物質及び重金属の抜本的な安全性の評価の手法でございますが、それを研究する際には、動物の種類によってはその相違が非常にありますので、最も人間に類似したような動物を選択するというようなやり方も一つあるわけでございます。そのほかいろいろ学識経験者の御意見を聞きながら、先ほど申し上げましたような血液を使うとか尿を使うとか、そういったようなことで、実際の人体の実験を避けて研究を進めるというように、いま考えておるわけでございます。
  204. 坂口力

    坂口分科員 そういたしますと、そういうふうな実験のプログラムというものはすでに進んでいるわけでございますか。これから四十八年度では、それはもう着手されるわけでございますか。
  205. 千葉博

    ○千葉政府委員 四十八年度におきましては、この研究を当然進めたいというように考えておりますし、四十八年度だけじゃなしに、ロングランに研究を進めませんと、なかなかこの研究はむずかしい重大な研究でありますので、少なくとも数年はかかるかと考えております。
  206. 坂口力

    坂口分科員 どれくらいの規模……。
  207. 千葉博

    ○千葉政府委員 約五年ぐらいかかるかと思いますが……。
  208. 坂口力

    坂口分科員 そういたしますと、こういうことでございますでしょうか。人体実験というものは一応避けなければならない。そうすると、動物実験にたよらざるを得ない。ところが動物実験の結果が、はたしてそれがそのまま人間に当てはまるかどうかがわからない。だから、たとえば人間の皮膚にいろいろ影響をするような物質が、はたしてラットで同じように出るかどうか、それがわからない。あるいはまた人間のじん臓に影響するようなものがモルモットのじん臓で同じような結果が出るかどうか、それがわからない。だからその辺のところを、いろいろ動物の種類によってそういう差があるので、人間のからだに最も近い反応を示す動物をさがすという操作を始める、こういう御計画でございますか、その研究の御計画というのは。ちょっとその点お伺いいたします。
  209. 千葉博

    ○千葉政府委員 そういった点も含んでおるわけでございます。
  210. 坂口力

    坂口分科員 そういった点もとおっしゃいますと、その点以外にはどういうふうな点を含んでおるのでございましょうか。
  211. 千葉博

    ○千葉政府委員 それ以外の点につきましては、いろいろ学識経験者の御意向を聞きながら、先ほど申し上げましたような血液に対するいろいろな反応、そういったものを見るとか、また尿を使ってのいろいろな反応を見るとか、そういった点で差異を見ていくというようなこともいま考えられているところでございます。
  212. 坂口力

    坂口分科員 その血液や尿を見るのはわかるのですけれども、それは何のためになさる研究であり、計画なのかということを私はお伺いしておるわけでございます。時間がありませんので詰めることができませんけれども、今後いろいろの公害問題等が起こってまいります。それを詰めていく場合に、いま申されたようなことはたいへん基本的な研究として重要なものだというふうに私考えるわけでございます。どうしましても実験等を進めていく場合に、もっとより基本になる動物と動物との間のそういうふうな差というようなものをはっきりとさせるというようなことがないと、現在のこの研究というのは進まないわけでございますので、そういう面での研究が進んでいる、それを今後大々的にやっていくという、そういう計画を持っているのだということをおっしゃっているのだったら理解ができるわけでございますが、そういうふうに理解をさせていただいてよろしゅうございますか。
  213. 千葉博

    ○千葉政府委員 そのとおりでございます。
  214. 坂口力

    坂口分科員 時間がなくなりましたので、もう少しこまかな面をほんとうはお聞きしたかったわけでございますけれども、きょうはこの辺にとどめたいと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、科学技術庁におかれては、より基本的な問題というものに対して、今後もっと積極的に研究を続けていただきたい、これを要望いたしまして私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  215. 臼井莊一

    臼井主査 次に、上原康助君。
  216. 上原康助

    上原分科員 きょうは沖繩振興開発金融公庫の運営状況なり、特にその中でも中小零細企業に対する貸し付け状況、あるいは特別貸し付けの状況等を中心にお伺いをしていきたいと思います。  そこで、現在の金融公庫の運営状況なり、いま二点についてあげました点などどうなっておるか、まず、御説明をいただきたいと思います。
  217. 坪川信三

    坪川国務大臣 沖繩開発金融公庫の具体的な運用につきましては、政府委員をして答弁させます。
  218. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 沖繩金融公庫は、発足いたしましてから直ちに、復帰の際に衆参の両委員会で附帯決議がつけられました八十億の融資を最初に、その他着々と融資をいたしております。御承知のとおり、四百三十億というワクをもってスタートいたしております。なお、八十億の特別貸し付けの件につきましては、これは本年三月十五日までの累計でございますが、相談にあずかりましたもの約六十四億に到達いたしております。それから実際に資金、これは御承知のとおり三%、二年据え置き、五カ年償還、計七年のきわめて有利な措置でございますが、約四十二億円のお金をお貸しいたしておりまして、大体御要望にこたえてきた、こういうふうな事情でございます。  その余の資金につきましては、発足当初の年度でございましたために、お借りになる方もよく事情をお知りにならなかったこともございますし、また、公庫自身のほうの業務体制を並行して進めなければならないというようなことでございましたので、この正月前後あたりから急ピッチに推進に入っておる、こういう状況でございます。
  219. 上原康助

    上原分科員 いま、御説明ありましたが、確かに振興開発金融公庫法案を承認するにあたって、附帯決議の中で四点が強調され、決議されたという経緯がございます。  そこで、きょう特にそのうちでもお尋ねしておきたいことは、中小零細企業向けの資金が十分確保されているかという点、これは四十八年度予算との関係においてです。さらに八十億の特別貸し付けですが、この件は「沖繩における中小企業者で円経済への移行に伴い事業活動に支障を生ずるものに対し、長期低利の特別融資を行なうこと。」という内容になっておりまして、貸し付け金利も三%、貸し付け期間七年のうち二カ年以内の据え置きということになっております。ただ、残念ながら、御承知と思うのですが、これは一年限りというワクがはめられているわけですね。そうしますと、もうじき一年目が来るわけなんです。したがって、私はこの制度はやはり、沖繩の中小企業の育成、近代化というような面から、あるいは現在のいろいろ円切り上げとの関係、基地経済との関係等においても、一年限りでとめていくわけにはいかないんじゃないかという気がするわけです。ここいらについて検討されておるのかどうか、もう少し詳しく御説明をいただきたいと思います。
  220. 坪川信三

    坪川国務大臣 上原議員御承知のとおり、八十億に対するこの措置は、ドル経済から円経済への移行に伴う中小企業の立場をそんたくいたしましての融資制度でございまして、金利三%、七カ年という特別な措置を講じておるような次第で、もう融資相談を受けているのが六十五億をこえておるというようなことなどにかんがみまして、これをさらに続けるということの措置は、政府といたしましては目下考えていないということを明らかにいたしておきたい、こう考えております。
  221. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 御質問の中で、来年度見通しのことがございましたのでお答え申し上げます。  中小企業資金は、四十七年度は百二十億でございまして、これを来年度百三十三億のワクにいたしております。実は本年度百二十億と申しましても、御指摘の八十億の緊急融資等もございましたこともございまして、実質的にはそれをはずしてみますというと、来年度の百三十三億というのは百二十億とただの比較ではございませんで、相当の充実に実はなっておるわけでございます。  なお、ちょっと先ほどの私申し上げた点につきまして補足させていただきたいのでございますが、四百三十億本年度総ワクと申し上げましたけれども、それ以外に八十億の零細融資、それと二十億の特殊貸し付けを合わせますというと五百三十億というのが総トータルでございましたので、その点、正さしていただきます。
  222. 上原康助

    上原分科員 四十八年度の総資金量は幾らになるのですか。
  223. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 貸し付けのワクは六百三億でございます。
  224. 上原康助

    上原分科員 そのうち中小企業融資がいま御説明いただいた百三十億、そのほかの内訳はどうなっておるのですか。
  225. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 お答え申し上げます。  産業開発資金が百九十八億、ただいまの中小企業等、等とございますのは生業資金等を含んでいますので、これが百三十三億、住宅が百六十億、農林漁業関係が九十億、医療・環境衛生資金が二十二億、合計いたしまして貸し付けが六百三億ということでございます。
  226. 上原康助

    上原分科員 そこでお尋ねしたいことは、資金のワクについては大体理解できるわけですが、沖繩の中小企業の実態についてどう把握しておられるのか、御説明いただきたいと思います。
  227. 岡田純夫

    ○岡田政府委員 復帰前後を通じまして沖繩の中小企業は零細なものが多く、と申しますよりはほとんどが中小、零細企業というふうに考えられるわけでございまして、体質的に弱いといわざるを得ないと思います。したがいまして、これにつきましては何といいましても近代化の措置というものを強く進めてあげる必要があるということから、御承知のとおり、税制あるいはただいまの金融等を含めまして、あらゆる近代化の措置を講じつつあるわけでございます。  たとえば、含みつ糖でございますとか分みつ糖とかいったような糖業につきましても、基幹をなす産業でございますので指定業種にいたしました。そういうふうな近代化の措置を片一方では講じていく。一方、企業間の競合、それも正しい競争は当然あるべきでございましょうが、不公正なあれがあってはいかぬということで、公正取引の面から絶えずそういう点について規制を行ないますとともに、かつ業界間の協同組合でございますとか、そういう合理化体制についても進めるように指導をしてまいっておるという状況でございます。
  228. 上原康助

    上原分科員 ちょっと具体的な数字についてはお聞かせいただけなかったのですが、私の手元にある資料では、沖繩経済に占める中小企業の比重がきわめて高いということはもうどなたも御承知と思うのです。まず、事業所数において四万三千二百五事業所、これは一九七〇年度の統計ですが、ちょっと古いんですが、そのうち九九・六%の四万三千三十五事業所が中小企業であり、その九九・六%のうち八五%に相当する三万五千八百七十六事業所は従業員一人から四人の零細企業なんですね。こういう実態なんです。したがって、先ほどのこととも関連をするんですが、やはり復帰後の制度の変更あるいは経済環境の変化によって、最もこういう中小企業がダメージを受けているわけです。これからも、本土を含めて、いま円切り上げの問題なり変動相場によって、中小企業対策というのは最も大きな社会的政治問題になっているわけですから、そういう実態を考えた場合には、やはり特別貸し付け制度というものを、大臣きっぱり否定をなさったんですが、もう少し私は検討をするに値することだと思うのです。せっかく国会で開発金融公庫を審議をし、いろいろ与野党相談をして、経済変化に伴う中小企業対策、経済変動に伴っての地場産業の育成をやろうということで附帯決議もつけたんだが、残念ながらワクをはめられてしまった。私は、やっぱりもう一度開発庁としてこの内容というものを十分御検討をいただいて、制度を持続せしめていくということでないと、もうやっていけないですよ、これは。その点についてあらためて大臣の、私は決意というよりもぜひ再検討をして、中小企業育成の問題に取り組んでいくという姿勢を明らかにしていただきたいと思うのです。一年限りでやめるとなると、せっかく芽を出したことが功を奏しなくなりますよ。その点いかがですか。
  229. 坪川信三

    坪川国務大臣 沖繩の中小企業対策重要性は、私も上原議員同様な気持ちをもって対処いたしておるような次第であります。したがいまして、中小企業全般に対する金融措置、あるいはその他の行政配慮等においては、いま岡田政府委員が申しましたような立場で、本年度、いわゆる開発金融公庫に対しまして中小企業に対するワクを拡大いたしまして、それぞれ対応策を講じておるということで、ひとつ政府の立場、政府の方針を御理解いただきたいと思う次第であります。
  230. 上原康助

    上原分科員 重ねて念を押しておきたいんですが、いわゆる特別融資の件について、貸し付け金利三%、期間七カ年、そして据え置き二カ年というこの制度に対して、現地の中小企業の実態というものを踏まえて、もう全然一年限りで打ち切るということではなくして、もう少し検討をしていただくという受けとめ方でよろしいですね。
  231. 坪川信三

    坪川国務大臣 御承知のとおりに、この八十億のワクというものは、なぜ設けましたかということは、もう上原議員よく御了承のこと。いわゆるドル経済から円経済への移行に伴うところの立場に立って、これを暫定方法として講じたということで、いよいよこれからは一般ワクにおいて中小企業に特別の配慮をいたしていくという方針、これはそうした平常な姿においての内地同様の措置を講じていくということが、より以上中小企業の育成に資するところ大ではなかろうかと私は考えるのでございます。
  232. 上原康助

    上原分科員 どうもいまの御答弁、納得いかないのですがね。この開発金融公庫を審議する過程でも、いわゆる沖繩県の長い間のそういった事情を踏まえて、助成措置においては本土と異なる方向でやるということは出ているわけですよ、若干はね。いま大臣、円経済になったからそういう手当てをしたんだ、これは何も八十億のワクにこだわってるわけではないのですよ。問題は、どうすれば長期低利で、資金的に中小企業や零細企業に対しての処遇をやるかということが一番問題なんです。資金量はあるのですよ。  こまかい点、まだ説明いただかないのですが、先ほど総務局長ちょっと御説明ありましたように、中小企業等資金貸し付けが百八億のうち、昨年末で実際に貸し付けされたのは十三億四千万円なんですよ。なぜこうなったかといいますと、やはりこの特別貸し付けというものがあったからこういう状況になっているわけですよ。そういう実態を踏まえないと、政府は口ぐせのように本土との格差を是正をしていかれるとか、二十七年間にわたる県民の犠牲と労苦に報いるということを言っておりますが、基地問題さえ十分解決できないでみんなおこっているわけだから、やはりこういうできる面の措置というものは、政府がもう少し親身にお考えになっていくに値することだと私は思うのですよ、大臣。ぜひ検討してください。その点だけはぜひお約束をいただきたいと思うのです。
  233. 坪川信三

    坪川国務大臣 中小企業の立場を憂えられる心情は、私、上原議員同様な気持ちでおります。したがいまして八十億に対する特別のワク、開発金融公庫の金利やはり七%、本土は御承知のとおりに七・七でございます。それだけ何ら差はない。新たな八十億と同様な金利の七%、これも御了解いただけると思う。しかも一般開発公庫の融資状況を見ますときに、かなりまだ余裕がある。そこへさらに本年度は貸し付けのワクを増大しておるというようなことでございますので、私は、この方法によって上原議員が御心配になる措置は万全を期し得る、こういうふうな気持ちを持っておりますから、ドル経済から円経済に移動をする場合の特別措置はもう廃止することが正しいのであって、内地同様、しかし金利等においては低いということで、御心配になる点は果たし得る、こういうような気持ちを私は持っておるものですから、決して冷たいとかあるいは非常に強固というような考えなどはみじんも持っておりません。あなたにもいつも申し上げているように、内地との格差をなくするということ、そして、復帰したことによって沖繩県民がよかったという気持ちを持つ、喜びを与える、この気持ちはもうあなた同様持っておりますし、そうした方針で諸般の政策、対策を進めておることで御理解をいただきたい、こう思います。
  234. 上原康助

    上原分科員 なかなか見解の違い、受けとめ方の相違があるのですが、やっぱり私はそういうことじゃいかないと思うのですね。この制度がせっかく芽を出している以上は、先ほども申し上げましたように、さらに新たな経済環境というのが出てきているわけですから、円の変動相場制への移行あるいは再切り上げ等の問題等と関連して、沖繩の現在の実態からして、なおドル経済に依存をしなければいかない経済環境にあるということも十分御理解いただけるかと思うのです。ですから、あらためて強く要望しておきたいのですが、この一年限りということについてぜひ再検討をいただいて、制度化していくように要望しておきたいと思うのです。  次にお尋ねしたいことは、これは総理府は直接の所管ではないわけですが、例の沖繩大学の問題について大臣の見解をぜひお聞かせをいただきたいと思うのです。  こまかい点につきましては文部省の場合の分科会でお尋ねしますが、御承知のように、復帰時点で国際大学、沖繩大学、いわゆる私立大学は統合するということで進められてきたのですが、残念ながらその効果を十分あげ得なかった。いま沖繩大学の問題をめぐって、現地でも、やはり沖繩大学を存続せしめるべきだという意見が非常に強いわけです。その理由等については多く申し上げませんが、一点だけお伺いしたいことは、やはり大臣としては現地のそういった状況なりをくみ取って、この問題に対して何らかの方法で解決をしていきたいというお考えがあるのかどうかという点。もう政令が出た、あるいは復帰特別措置法で決定を見たんだから、どうにもならないというかたくなな立場をとっておられるのかということ。  あとは一つ、大学設立認可申請を出せば何とかなるのじゃなかろうかという意見も、まあ仄聞するとあるわけです。認可申請をすれば認可されるというお立場なり、あるいはそういう方向で解決をしていくということが可能なのかどうか、そこいらについてぜひ見解を賜わっておきたいと思うのです。
  235. 坪川信三

    坪川国務大臣 御承知のとおりに、沖繩国際大学の設置につきましては、日本にまだ復帰しない以前の昨年の二月において、琉球政府がいわゆる委員会を開きまして、そして琉球政府みずからが、これを統合して沖繩国際大学を設置すべきであるということの委員会の決定が行なわれて、その正式な決定によって沖繩国際大学を設置する、沖繩大学を廃止するということになっておることは、もう現地の事情を一番知っておられる上原先生よく御承知だろうと思うのでございます。私はやっぱり、琉球政府自体がきめましたことにまた反して沖繩大学の存置を認めるということは、筋の通った要望ではない、また措置ではなかろうと思う。すなわち、卒業の見込みもない状態にある大学に入学を許可していくということは、私はやはりこれは妥当な政治ではなかろう。入られる学生がお気の毒だと私は思うのでございます。しかし、こういうような大事な教育の問題ということはやはり話し合いによって——激しい論争とか激しい闘争などを行なってこれなどを処理すべきではない、こう考えております。したがって、私は、あくまでも話し合いによってこれが解決するよう行政的にこいねがっている。最終的にはこれは文部省のほう、文部大臣の権限でございますから、私がとやかく申し上げることはできませんけれども、開発庁の長官としての、責任者から申し上げますならば、いま申しました気持ちで、ひとつ心情を御理解いただきたいこう思っております。
  236. 上原康助

    上原分科員 確かに復帰対策を進める過程において、いま大臣御答弁があったような経緯もあるということを私も理解をいたします。しかし、それは立場をかえて申し上げると、もともと強制結婚を押しつけたようなもので、納得のいかない面もあったわけですね。ですから、そういう結果論とか議論というのはさておいて、やはり私は、事ここに至っては何らかの方法で現地沖繩大学の意向等も尊重しながら、あるいはまた現在県側も、存続をせしめていただきたいという御要請は大臣のほうにも文部省のほうにもあらためて出ていると思うのです。そういう事情の変化がございますから、そこいらを御理解いただいて、この問題を早急に解決できるようにひとつ御配慮をいただきたいと思います。そして、まだ十分話は詰めてはございませんが、認可申請を出した場合においては、やはり沖繩の今後の人材育成というようなこと等も考えあわせて、大学としての実質的な存続をしていくという方向での解決策というものもやっていただきたいということを申し上げておきます。この点についていかがですか。
  237. 坪川信三

    坪川国務大臣 先ほど申しましたように、私は最終的な権限を持ってはおりませんので、私がここで主観的な気持ちでこれに対する責任ある回答は慎しみたい、こう思っております。
  238. 上原康助

    上原分科員 ぜひひとつ解決できる方向で御尽力を要望しておきたいと思います。  次にお尋ねしたい点は、時間もありませんが、例の国家公務員の賃金遡及の問題について、復帰が五月の十五日だったので四月一日にさかのぼるわけにはいかぬ、遡及できない、実施は五月十五日だということになったんですが、前総務長官にもいろいろ御要望申し上げて、ぜひ検討して、これも何とかめどをつけたいということでしたが、懸案事項で今日まで未解決のままになっているわけです。年度も押し迫っている関係もありますし、画一的に政令を改正するとかあるいは法律云々と  いうことではなくして、これまた、やはり何らかの形で解決をすべきだと思うのですよ。こういった懸案事項に対して、どういう処理をしてこられているのか。また、現時点でどの程度この問題解決というのが進んでいるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  239. 坪川信三

    坪川国務大臣 沖繩復帰に伴いましての、沖繩のいわゆる公務員の方々に対する復帰に伴った四月一日から五月十五日の間のこの手当の問題本名前長官からも、事務の引き継ぎをいたす場合によくお聞きもいたしておったわけでございます。本名前長官は、現行法ではなかなかむずかしい、しかし検討いたします、と。私はその引き継ぎを踏まえまして、何らかの方法によって現行の法制度の中からこれが解決でき得るかいなかということをあらゆる角度から検討をいたした。本名さんの言われたその検討に、さらに私は検討を加えまして検討したわけでございますが、御承知のとおりに、現行制度からいいますとなかなかむずかしい。御承知のとおりに、いわゆる千五百名にも及んでおる、大体千四百名にも及んでおられる。そうすると、各省庁の関係もございますし、いろいろ検討に検討を加えましたが、上原議員の心配、また御指摘のある必情はよくわかり、その立場に立たれる方々の気持ちもよくわかるのでございますが、ここで私は、まあ何とかしましょうとか、前向きな姿勢でこれと取り組むというようなことは、もうこの辺で、私らまことに委員に対しては恐縮なのでございますけれども、ここでもう検討を続けるなんという一時のがれは、私はとりたくないという気持ちであることをひとつお許し願いたいと思います。
  240. 上原康助

    上原分科員 時間になってしまったので。心情を理解していただくだけでは問題解決しないんですよ。心情を理解しておられるなら、ひとつその理解を踏まえて解決をしていただかないと、いつまでもこういう議論になるわけですから、先ほど私も申し上げましたように、画一的な方法でできないならば、各省庁の縦割りで方法あるわけでしょう。そこらについては仄聞もしておりますので、できるだけ年度内にできる面からやるということでどうですか。
  241. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま申しましたように、ほんとうに私も心情をお察ししましたものですから、各方面各部面に立って検討、たとえば超過手当の問題とかいろいろございます。そうした横縦とも検討いたしましたが、どうも、さらに検討を続けて御期待に沿いたいと言うことのでき得ない私の心情もひとつお察し願いたい、こう思っております。
  242. 臼井莊一

    臼井主査 次に、神田大作君。
  243. 神田大作

    神田分科員 私はまず、私的独占禁止法の第一章第一条におけるいわゆる公正取引の精神につきまして、公正取引委員会委員長にお尋ねを申し上げます。
  244. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 独占禁止法の目的は、自由主義経済体制のもとで、ほうっておけばいろいろ企業があまりに過大になり過ぎるとか、あるいは相互に結合するというふうなことで、自由活発な競争が行なわれなくなるような状態、そういう状態をあらかじめ防ぎ、あるいは発生したら排除するということがねらいでありまして、結局企業の活動に対する拘束をなくすることによって競争維持の条件を整えさせる、そういうことが主たる眼目でございまして、その過程において不公正な取引方法を用いることも、これも禁止するというふうなたてまえになっております。
  245. 神田大作

    神田分科員 この第一条に「私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限」、こうありますが、この「結合、協定等」という「等」という意味は、たとえば共同で協議の上やるということはもちろん結合、協定にはなりますが、その「等」というところには、たとえば個人的な取引の不公正等が入っておるかどうか、お尋ねします。
  246. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 ことばの上で、「等」という中にどういうものが入るか入らぬかということは、明確なお答えはできないのでございますが、個人であれ何であれ、不公正な取引という場合には、その目的に端的に書いてなくても、別な条文に、不公正な取引方法を用いてはならないということをはっきり出しておりますから、「等」ということの中に、そういった手段を必ずしも、いわゆる共同行為だけというふうには限っていない。しかし、その不公正な取引方法というのも、ほとんど全部の場合、自分に有利なように顧客を誘引するための行為とか、あるいは競争の相手を排除するとか、ある特定のグループ以外のものを競争から締め出そうとか、そういうふうなときに用いられるものとして不公正な取引方法を問題にする、こういうことでございます。目的的には、あくまで全体の競争維持のためにこれの障害となるものを排除することが独禁法の目的ということになっております。
  247. 神田大作

    神田分科員 それでは、「国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。」ということでありますが、このようなことであれば、現在のような、不当な買い占めあるいは売り惜しみ等によって国民生活に重大な影響を与えているこれらの不公正な取引に対して、独禁法によってこれを取り締まることができるかどうか、お尋ね申し上げます。
  248. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 その買い占め等の行為が単独でありましても、その事業者の力があまりにも強くて、他の事業者の事業活動に非常に大きな支障を与えるというほど強力なものであったときとか、あるいは有力な事業者等が共同行為を行なってそういう市場を支配するということでありますと、独占禁止法の対象になり得ます。しかし、このようなことは、いま行なわれております買い占めなどについて、私どものほうもすでに実態調査には着手しておりまするが、まず、共同行為ということで行なわれたものはあまりなかろう、ほとんどないのではないか。たまたま買い占めを行なった連中の考えが同じ方向を向いていた、まあ、右へならえしたといいますか、他より先んじて自分が安く、できるだけ早く買い占める、そして大きな利潤を得る、そういう投機利潤を得るということ、これはお説のとおり、最後に書いてありますところの、健全で民主的な発達に対して、これは確かにそれに反する行為でありますけれども、しかし、独占禁止法は、それらのいろいろな現象のうちで、先ほど私申し上げましたような、競争を拘束するようなものを差しとめようというのがねらいでございますから、買い占めというふうなことをばらばらに行なわれた場合にはちょっと手が出ない、それを取り締まる法律ではないというふうに申し上げるほかないと思います。
  249. 神田大作

    神田分科員 そうなると、現在、多くの商品の買い占めあるいは売り惜しみ等によって非常に国民生活を圧迫しておりますが、現在、これらの問題を取り締まるあるいはまたこれに警告を発し、何らかの措置をするのは、この独禁法以外にはいまのところなかなかないと私は思う。そういう意味合いにおいて、私は、国民生活にこのような重大な影響を及ぼしておる現在のような商取引、不公正な取引を、共同でないからといって取り締まれないとするならば、「等」という字は取ったほうがいいと私は思う。これは私の考えでは、結合、協定はもちろんでありますけれども、「等」というところにはそういう意味も含まっているものと私は思う。もしそれが含まっていないと解釈するならば、独禁法を改正して、速急にこれらの不当な取引を是正させる対策を考えるべきであると思いますが、これらのことにつきまして、独禁法を改正して、これら投機、買い占めあるいは売り惜しみを取り締まれるような真の国民生活を守る独禁法に直すことにつきまして、長官としてはどのような考えを持っておるか、お尋ねをいたします。
  250. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 お気持ちの点はよくわかりますし、通常いわれる買い占めというのは、言ってみれば、市場をある程度独占的に支配して、その結果国民の大衆に甚大なる影響を及ぼすということからいいますと、私どものほうの法律そのものは、私的独占というものを排除するとか禁止する、それから公正な取引を確保する。そのために、確かに名前も独占禁止委員会のほうをとらないで、公正取引委員会になっておるわけでございますから、そういう不公正な行為はなぜ独禁法で取り締まれないかという疑問がおありのことはよくわかるのです。しかし、これは私どものほうだけの解釈で動けるものではないのでありまして、つまり過去二十何年の間に確立した一つのそういう法解釈がある。ですから、目的その他で「等」ということを除いたからといって、それぞれ別個に条文があって、過当な投機行為を行なった者はこれを排除する、取り締まる、また、それに対しては品物の放出命令もなし得るのだというふうな具体的な条文がありますればよろしいのでございますけれども、そういうものはございませんし、昭和二十二年以来のこの独禁法の解釈として、そういうものは法律の外である、別個に法律を設けて取り締まる性質のものであるというふうに解されてきております。  先進国の独禁法、いろいろさまざまでございますが、先進国において、これはもうOECDなどは、常時私どものほうは代表を出しておりますから、そういう独禁法の会議というのがございますが、そういうところにおきましても、先進国の法律にはない。ただし、いま、しいて私申しますが、発展途上国の中には明文を設けているものもございます。こういうものは大体非常に高度に工業化されていない国で、まあ低開発国のちょっと上、あまりはっきり言うとまずいのですけれども、あまり先進国と申しがたいような国においては、いわゆる独占禁止法といわれるようなものの中にそういう条文を入れているものが一、二あるようでありますが、詳しい内容は、私存じません。先進国の中には、いまありましたような独占禁止法で、いまのような買い占め、売り惜しみを取り締まるということが、例としてないわけでございます。
  251. 神田大作

    神田分科員 委員長は、現在の長い間の解釈からしてそのような取り締まりは不可能であるし、改正をするというようなことにつきましても疑問を持っておられるというようなことでありますが、しからば一体、いまのような不当な買い占め、売り惜しみ、これらに対する、また不当な投機ですね、これらについて、どうしたならば国民生活の安定を守る上において、果たすことができるか。国民は独占禁止法を守っておられる公正取引委員会に大きな期待をかけております。こういうような不当な利潤を黙って国が見ておるものに対して、公正取引委員会がこれを取り締まってくれるのじゃないか、そうすることが一番手っとり早い話であるし、それを押える意味において非常に効果がある、こういうように考えておる。そういう意味合いにおいて、私は、解釈上の問題であるからして、これはひとつ委員長としても、内閣にそういう点につきまして強く要請し、国民の輿望にこたえてもらいたいということを、私は強く申し上げたいと思うのでございますが、この点についてどう考えます。
  252. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 おっしゃるとおり、これを放置するという手はないのでございまして、何らかの措置を講ずるのが当然私は必要であると思います。ただそれが、どこでやるのがいいかという問題もありますが、法の運用あるいは目的という点からいいますと、私は別個に法律をつくっていただきたい。明確にしていただきたい。いわゆる独禁法のいろいろないままでの——これは非常に幅が広いのでございますが、しかしさりとて、買い占めをして値段をつり上げて暴利をむさぼるというふうな行為、これに対してはその措置のしかたも違うのですが、在庫その他を一切また調べ上げて放出させなければ意味をなさないわけです。ただ処罰すればいいというわけでもないので、適時に、早期にそういう機能を発動するとなりますと、これは通産省とか農林省とか、それらの常時品物の動きを監視し得る、調査すればすぐにも調査できるところがそれぞれ担当してやったほうがはるかに機動的ではないかというふうに考えますし、ただ、たまたま自民党のほうで立案しておりました法律案が、今度は、新聞報道ではよくわかりませんが、政府案にしてはどうかというようなことにもなっておるので、近いうちには何か固まるということも聞いております。これもやはり全体の衆目の見るところ、やはり別個の法律でいまの事態に対処するのが適当であるというふうに判断したものと思いますし、私もそういう点については公取だけが万能じゃないので、やはり各省あるいは企画庁も加えまして、いまのような事態を早く解決する。当然これはその余波がいろいろな点に響きまして、私どものほうが権限を行使しなければならぬものがすでに出ております。つまり木材が上がったからというて、かりに共同して合板の値段を上げるとかいう問題になりますと、独禁法の問題になってしまうのですが、そういう共同行為の見られない、つかめない、正体の全くつかめないものに対して機動的には動けない。これが現在の独禁法のあり方になっておるわけであります。
  253. 神田大作

    神田分科員 時間がなくなるからそれ以上聞きませんが、あとの機会においてまた私の考えを詳しく申し上げたいと思いますが、自民党が得られた案でもってやろうというようなことでありますが、私はこれは、勧告をしたり、あるいはまたこの程度のことでは、もう効果があがらぬと思うのですが、実力大臣といわれておる福田長官はこの現在の一番重大な、国民生活をおびやかしておるこのような事態を——これは所管違いであると言われるかもしれないが、私は大臣が行管というよりも、いわば党、内閣における最右翼の大臣として実力を持っておられるのですから、これらのことについて、大臣の考え方と——こういう重大な事態に来ておる公取委の機能とか人員等も拡大し、不公正な取引にメスを入れ、国民大衆の生活を守るという考えは、これは国民が大いに期待しておるところです。ところが、たとえば公取委でもって機能の発揮をする場合において、たとえば、先ごろ指摘されましたウニの不当表示といいますか、一つもウニが入っていないのに、酒かすににおいを入れてウニだといって売らせた。たとえば、あのウニの分折をやらせるとか、あるいはその前の牛乳に異種な油が入っておった。これを分折するために半年も、半年の余もかかっておる。これは自分でもってそういう分折の機関を持っていない。農林省なり通産省なりの機関にかけるから、いろいろの都合の悪いものはあと送りにして、公取委の公正な発動が手おくれになってしまうおそれがあるので、これらについて、予算面におきましてももちろんでありますが、公取委の機構の拡大強化、聞くところによると、全国を合わせて三百八十名程度だそうでありますが、こういうような人員ではなく、現在必要な——ほかにはずいぶんむだな人員があります。問題にならぬような、幾らでも縮小できるような人員がある。しかし、公取委の仕事というようなものは非常に重大な、大事な仕事である。そこへ優秀な人材と機能を与えるということは、非常にこれはわれわれといたしましても、国民といたしましても待望しておることでありますけれども、これらに対しまして、福田行政管理庁長官はどのようにお考えになっておりますか、お尋ね申し上げます。
  254. 福田赳夫

    福田国務大臣 官庁の機構、定員に対します行政管理庁の態度は、陳腐になった機構、定員はこれを廃止する、しかし、世の中の進展に伴いまして新たに必要となる定員はこれを充足していく、こういうたてまえでございます。公正取引委員会の仕事は、これはいよいよ、経済情勢の変転から見ますると、大事なものになる。そこで私どもとしては、非常にこれを重要視しておるわけでございますが、とにかく安い政府、こういうようなたてまえから、定員の増加の抑制、こういうことは極力これを進めたいと思うのです。御承知のように、五%の定員を三年間で削減する、こういう方針を着実に進めておるわけでございますけれども、公取につきましては、わずかではありまするけれども、ほとんど毎年増員を行なうというようなことをいたしまして、公取の機能の発揮につとめておる、こういう次第でございます。今後どうするかという問題につきましては、どうしても増員の必要があるというような際におきましては、これは公取委ともよく相談いたしまして、その定員の充足をはかる。定員のゆえに公取の機能が阻害されているということは万々なからしめなければならぬ、そういう考えでございます。  いま具体的に不当表示の商品の問題でございますが、不当表示の商品につきましては、これはお話のように、その分析なり検査を、これを他の機関に委託をする、こういうことをやっておるわけです。それはなぜかと申しますと、不当表示の商品と申しましても、数はもう御承知のように非常に多いわけでございます。それを一々公取で専門家を備えて、そうして検査、分析に当たらせる、これは際限のないようなところになるわけであります。また、それを中途はんぱにやるというようなことになると、検査、分析の実も、実は公正を期しがたい、こういうことになりますので、むしろこれはりっぱな機関がいろいろあるわけです。たとえば貴金属というようなことになると、大蔵省に造幣局がある。そういうようなところに検査、分析をお願いするということのほうが、これは効率的であり、また、国家行政を安く運営していくというために妥当な措置じゃあるまいか、そういうふうに考えておるのです。しかし、その委託方式で何か支障があるというような事態がもしありますれば、これは是正しなければならぬし、また、委託方式でやるがゆえにどうも仕事が進捗がおそくなるというようなことがあれば、これも是正しなければならぬ、そういうふうに考えております。しかし、公取という役所はいよいよなかなか重要な役割りを分担する役所であるという認識は十分持っておりますから、そういう心がまえで対処していきたい、かような考えでございます。
  255. 神田大作

    神田分科員 私は、他の機関に委託することも、これは必要な場合があると思うのです。しかし、比較的簡単にできるような分析というものは、何も他の機関に委託をしなくても、たとえばウニが、酒かすであるかウニであるかくらいのそういう問題は、何も他の農林省や通産省やそういうところへ頼まなくても、自分のところで独立したそういう分析のできる試験所を持ってやるほうが、公取の仕事を迅速に実行できるんじゃなかろうか。何でもかんでも公取でやれと私は言っているんじゃない。そういう点において、私は、非常に簡単な、しかもすぐ分析できるような品物でもって不当なものがたくさんあると思うのですよ。ただ、それが摘発されないだけだろうと私は考える。そういう意味合いにおいて、長官並びに公取委の委員長は、そういうことについてどのようにお考えになられるか、再度御質問を申し上げます。
  256. 福田赳夫

    福田国務大臣 公取委におつとめの諸君も、ある程度の総合的な一般的な能力、経験、知識というものは持っておると思うのです。しかし、それで判断できないというような問題につきましては、これはどうしても専門的な立場から検査なりあるいは分析をしなければならぬ、こういうことになるのです。そういう際の検査、分析は、薄く広いというような一般的な知識では、これはもう妥当な結果は出てこないんじゃないかと私は思うのです。やはり国なりあるいは半分政府的な機関なんかもたくさん調査、分析の仕事をやっておるわけですから、そういう権威のあるところにその調査、分析をお願いする、そのほうが妥当じゃないか、権威のある結論が出てくると私は思うのです。ただ、そのゆえにこの調査、分析の仕事が手間どるということがあれば、これは公取の仕事の目的に沿わないわけでございますから、そういうことはあらしめてはならぬということこそ心すべきじゃあるまいか、委託方式が妥当でないというような考え方にとらわれる必要はないんじゃないかというような感じが私はいたすわけであります。
  257. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私もいま長官のおっしゃった考え方と同じでございます。ただ、私ども公取の実務上の希望から申しますれば、分析をなるべく早くやっていただきたい。範囲が非常に広いので各省にまたがることが多い。まあどちらかというと、これは比較的軽微だというふうに考えられますと、実は当面の相手方はもういろいろあるし、私どももそのためにいたずらに日にちを待たなければいかぬ。これは優先的にというのがどこまで言えるかどうか知りませんけれども、なるべく早くやっていただくということをしていただければ、そのほうがいまよりはるかにいいのじゃないかと思います。
  258. 神田大作

    神田分科員 まだいろいろ長官にも質問がありますけれども、時間の関係もありますからあとの機会に。長官はこれでけっこうです。  それで、公取の委員長にも、質問に対しての答弁をなるべく簡単明瞭にやっていただきたいと思います。  次に、不当表示等によって直接国民の保健衛生等に重大な影響を及ぼしたいわゆるうそつき食品があとを断たない。たとえば、さきには牛かんが鯨の肉であったとか、牛乳に異種脂肪が入っておったとか、さらに最近におけるにせウニ、このごときは、ウニは栄養、保健に非常に重要なものであるとか、あるいは人体に活気をつくる上において必要なものであるというように宣伝され、われわれも珍重がってこれをなめておった。ところがこれは、酒かすをなめていた。こういうばかな話が一体通るかということになる。こういう問題は許しがたい問題。国民として許せない。幸いこれは、おそきに失したけれども、公取がこれを摘発した。これが摘発の内容等においては、警告、それから何カ月かの営業停止処分をしたようでありますが、このいきさつを聞くと時間が長くなりますから、私はいきさつを聞くことは省略いたしまして、これらの全然ウニの入っていないものを食べさせられた国民こそ、全く愚弄された、憤慨せざるを得ないようなことでありますが、このにせウニを製造販売した、そして不当利得を得た業者が、国民に対する謝罪、国民に対する責任をどうとるのか。これらにつきまして、公取委員長の意見、並びに大蔵省としては、これは酒かすをウニとして売ったんだから不当利得がたくさんあると私は思うのですが、これらに対しまして税的措置をとるつもりがあるかどうか、とるとすれば、どういうような形で不当利得を吸い上げるつもりであるか。あるいは農林省としては、JAS規格というものがウニにはあるが、ウニにいろいろまぜたものにはないというが、JAS規格は昭和四十五年に改正されまして、品目別に、たとえばかん詰め類ならかん詰め類、牛乳なら牛乳、あるいはまた清涼飲料水なら清涼飲料水というようなものをちゃんとJAS規格にはめて、取り締まるべきものは取り締まる、いわゆる監督指導の任に当たっておると思いますが、これらについて抜かりがあったのではなかろうかと思いますから、そういうことにつきまして公取委員長並びに大蔵省並びに農林省の意見を聞きます。
  259. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 不当表示に対しまして排除命令が確定した後におきましては、被害者はその不当表示を行なった事業者に対して無過失損害賠償請求をすることができます。ただし、実例として、いままで消費者がこの不当表示の関係でそういう訴訟を起こしたことはございません。
  260. 上野隆史

    上野説明員 税の執行機関の国税庁の立場からお答え申し上げます。  名目のいかんを問わず、利益ないし所得を得た法人、個人に対しては所得税または法人税が適正に課税されるということは、先生承知のとおりでございます。特にそのような所得が仮装隠蔽されております場合には、厳密な調査をいたしまして、これに必要であれば重加算税を課するというのが税法の立場でございまして、これを適正に執行していきたいと考えております。
  261. 池田正範

    ○池田政府委員 農林省の立場から申し上げますと、消費者が品質を厳格に識別できにくい加工食品につきましては、その選択ができるような形に持っていく、そして消費者を保護するということが大事なことでございますので、御指摘のようにJASの規格を広げて、現在三百二十四品目にわたってやっておるわけでございます。しかしながら、御承知のように、加工食品は千差万別でございまして、あらゆる種類のものが常時ふえてまいります。これを一々全部JAS規格という形で——しかも任意の検査でございますから、したがって今度も、珍味のウニ類というものの中でも練りウニあるいは粒ウニ等はJAS規格が設けられているにもかかわらず、当該生産者はJASを受けようとしていなかったというふうな形でもございます。したがって、四十五年のJAS法の改正によりまして、従来はJASを受けなければそれまででございましたのを、今度は規格、品質の基準をきめまして、これに対して表示義務をあらためてつけるという新しい法改正を実現いたしましたので、早急にこれは進めなければならぬ、現在までちょうど十一品目やっておりますけれども、ひとつこういうふうな問題も出ましたので、年次を繰り上げまして、いまのビン、かん詰め、これは野菜から手をつける予定でおりましたけれども、ひとつ水産物につきましても、その加工品を含めまして品質表示基準を早急にきめまして、義務を課したいと考えておる次第でございます。
  262. 神田大作

    神田分科員 今後このようなにせ食品を再び出さないためには、農林省がいま答えられたように、JAS規格の問題もありますが、農林省や公正取引委員会としてはどのように考えておられるか、簡単にお答え願います。
  263. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 この種のもの、いろいろございますが、要するに公正競争規約というのがございまして、公正競争規約をつくって自主的にそういうことを取り締まる、足らないところは公取が補足するというふうにしたいと思っております。
  264. 池田正範

    ○池田政府委員 農林省といたしましては、ただいま申し上げましたような品質表示義務を課する範囲を、スケジュールを大幅に繰り上げまして、早急に問題になるような品目については、これをJAS規格を受けないものについても表示義務で対抗してやっていく。それから一般的にオーソドックスな考え方としましては、JAS規格の品目設定を急ぎ、ひとつ各業界を強力に指導し、そしてJAS規格の中に早くはめ込んでいくという本来の道を力を入れてやっていかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  265. 神田大作

    神田分科員 いま、委員長や農林省のほうからお答えがありましたが、そういうことの答えの中においても、私は公取等の機能を強化する必要があると思うが、先ほど長官も、そのことは考えるというような意味、あるいは考慮する余地があると言われておりますが、ここに幸い平井行政管理局長がおいででございますので、局長としての意見も簡単にお伺い申し上げます。
  266. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど長官が申し上げましたように、過去五年間の例をとりましても、毎年必ずしも十分ではございませんけれども、重点的に公正取引委員会の職員の増強をはかっておりますし、また、不当表示等の問題につきましては、四十七年度から地方府県の職員を動員するというふうな方法も考慮されている次第でございます。さらに、先ほど委員長から御説明ございましたように、公正取引規約をつくって、業界自体が自主的にまずその規制をはかるというような道も開かれている状況でございますが、そういった状態を踏まえまして、四十八年度におきましても増員をいたしておりますが、四十九年度以降においても、私どももそういう点を考慮しながら、必要な増員等を考えてまいりたいと思っております。
  267. 神田大作

    神田分科員 行政管理局長、忙しいようだから、けっこうです。  次に、不況カルテルについてお尋ねしますが、昨年一月、一年間にわたって許可をした鉄鋼業界における粗鋼の不況カルテルの結果、異常ともいえる鉄鋼価格の値上がりを招いたのではないかと思うのです。このような結果は明らかに不況カルテルの乱用であると考えるが、この点について委員長はどう考えられますか。お尋ねいたします。
  268. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 不況カルテルは一番多いときには十三品目でございます。中でも鉄鋼関係が一番大きなウエートを占めておりまして、これを認めた時点において判断いたしますと、当時と現在とは経済情勢がまるで違っておりまして、私は不況カルテルを認可したこと自体はしごく適正なものであったと思います。しかし、その間に、終わりのころになりまして、急激に値上がり等——これは特に仲間相場と称する問屋などの仲間だけの相場ということでありますが、それが、あるとき急騰いたしました。ただ、乱用という点では、乱用ではないのでございますが、不況カルテルを打ち切ったからといってすぐに事業者が増産してくれるわけではない、そういう体制なのです。非常にわずかな期間でございまして、一月余りの期間、私どもは不本意ながら打ち切りをするよりはむしろ価格を冷やす方向が大事じゃないかというので、これを扱ったわけでございます。打ち切りをしたから——かりに法的に非常に厳格に簡単に打ち切りをいましたといたしましても、おそらく、とまっているものを走らせるわけですから、走っているものをとめることはできますけれども、スローモーでやっているものをさあ、カルテルはなくなったから大いに翌日から増産しろといいましても、そう簡単になかなか動かない。また、生産を落としてきておりますから、いろいろ急にふやせないという業界側の事情もございましたが、しかし全体として、鉄鋼の場合は、初めから予見した第三・四半期の量に対して相当量ふやしております。
  269. 神田大作

    神田分科員 時間がありませんから、こまかくは追及できませんが、一体、粗鋼というものは、いわゆる特定の商品とみなすかどうか。いわば粗鋼というのは材料なんです。これに不況カルテルを許したことにあやまちがあったのではなかろうか、こう考える。粗鋼のほかにも、これに類似した、いわゆるビニールパイプ等を使う、あるいはポリエチレン等の材料になるところのエチレン等についても不況カルテルをやっておるわけですが、こういうふうに、材料となる製品に不況カルテルを行なうというような姿勢は、私は正しくないと思うのです。これは大手業者に利潤を追求させる原因になると思うが、その点をどう考えますか。
  270. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 粗鋼そのものは、ごく一部の例外を除けば中間製品であり、結局中間原料ともいえます。半製品でございます。そういうことからいいまして、お説のような点もごもっともでございますが、粗鋼そのものにカルテルを認めたということになっていないのです。生産、販売等にかかる共同行為、非常にへ理屈のように聞こえるかもしれませんが、それにかかる共同行為というので、いわば一種、不況カルテルを実施する上の手段としてこれを認めたというふうに解されております。エチレンはこれは商品として認定されております。
  271. 神田大作

    神田分科員 どうもいまの答弁、私は納得いかないですね。これは都合の悪いときは、たとえば私が、最初に独禁法の精神のときに共同行為等々の等はどうしたかと言うたら、公取が都合のいい解釈をして、粗鋼は商品でなかろうと言えば、これは商品をつくる過程におけるものであるから不況カルテルに該当するというような答弁は、私は納得できません。しかし残念ながら時間がないから、次の機会にこの点について責任を明らかにしていただきたいと私は思います。  次に、精糖の不況カルテルについてお尋ねしますが、精糖関係より不況カルテルの申請を出すとか、出されたとかあるいは不況カルテル的行為を行なったことに対して公取が警告を発したとかなんとか聞いておりますが、その問題につきましてお尋ねを申し上げます。
  272. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 精糖業界から不況カルテルの申請は全くありません。それから、そういう予告らしきものもありません。新聞の情報にかつてあったというだけでありまして、公取に対するそういうカルテルを申請するかのような当たりはまだ全くございません。
  273. 神田大作

    神田分科員 不況カルテル的な行為に対して警告を発した事実はありませんか。
  274. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 それはございます。昨年十二月、もちろん調査をいたしましたのはそれよりもっと早いのでございますが、警告を行ないましたのは昨年の十二月二十七日、全日本精糖工業会に警告を発しております。それから、その日に全日本精糖工業会は、違反行為を行なわないということを決定いたしまして、その旨を公取に上申しております。
  275. 神田大作

    神田分科員 農林省、これは食品流通局長では担当違いかわからぬが、私はこのような砂糖が不況カルテルを申請しなければならぬような状態に追い込まれた問題点を少しくお尋ねしたいと思いますが、だれか答弁できる人おりますか。なければあとでやりますが。
  276. 臼井莊一

    臼井主査 池田局長は帰ってしまったのですが……
  277. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 簡単なら私がお答えします。
  278. 神田大作

    神田分科員 それじゃ委員長答えてください。
  279. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 要するに砂糖業界はずっと以前からでございますが、常に設備投資が先行しておりまして、生産に対する設備の過剰の割合がいつも大きい。そういうことで設備過剰の不況とこう言ってもいいのじゃないかと私は思うのですが、それが結局値段のほうには、低いほうを低くするといいますか、もうからないほうに働きまして、精糖会社はしばしば赤字を出し、中には実質倒産に追い込まれたものもございますが、なおかつ、現在の段階におきましても新しく工場をつくっていくという、言ってみれば万年不況的な体質を持ちながら、増設の動きもあるということでありまして、これは設備のほうを何とかしていただかないと困るという感じでございます。
  280. 神田大作

    神田分科員 これは農林省関係がおらぬからちょっと無理かと思いますが、一方においては精糖会社が不況に悩んでおる。ところが生産者であるところの、たとえば、沖繩が今度返還されておる、サトウキビをつくっておる農民、あるいは北海道のてん菜をつくっている農民は、いわゆる生産費を補わない価格の低落のために悩んでおる。これは私は、砂糖というような非常に重要な食品について、根本的に検討してもらわなければならぬと思いますが、残念ながらきょうはその説明を聞くわけにいきません。  公取は、もし精糖業界から不況カルテルの申請が出た場合は、これを認める考えであるかどうか、これをお尋ねいたします。
  281. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 いまの段階では、私は申し上げることはできませんし、また、申し上げるのは不適当であると思います。かりに出た場合に、いろいろ審議いたしますが、いつも、先ほど申しましたような、設備があまりにも先行し過ぎて設備過剰が続く、そのはね返りが不況カルテルであるということはたいへん好ましくないので、ただ単純に認めるとかというふうにはまいらないのじゃないかという感じがいたします。
  282. 神田大作

    神田分科員 これはもし、そういう申請が出ましても、検討して、そして十分その内容を見きわめた上でなければ返答できないというように解釈してけっこうですか。——それではあとへ戻りまして、一言だけお尋ねしますが、先ほどのにせウニの問題について、われわれ国民としましても、消費者としましても、何とも納得いかない。いわばだまされたわけですね。これらに対して、実はきょうは刑事局関係呼んでおりませんが、私はこのような全然ウニの入っていないものを入っておるとして売った者に対しては、いわば詐欺というか一つの刑事問題に該当するのじゃないかと思うのですが、公取だけでもって製造二カ月禁止でもって納得させるべき問題ではないと私は考えているのですが、これは後の機会に、責任者にも私はただしたいと思いますが、公取の委員長は、いわゆる処分をしたからそれでいいんだというようにただ考えておられるか。私は刑事問題として厳重な処罰をして消費者に謝罪すべきであると思いますが、この点についてどうお考えになりますか、お尋ねを申します。
  283. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 排除命令を受けるような不当表示の場合には、いまおっしゃいましたように、詐欺と紙一重である。両方成立するといってもいいだろうと思うのです。ただ、それが経済上のいろいろな現象でございますので、誇大広告も同様でございますが、いきなり告発に持っていかないで、まず、排除命令をかけまして、これはその店にとっては、名前を発表いたしますから、新聞に名前を出してこの店がこういうことをしておったのだということを公表されるだけでも、かなり社会的な制裁としては、変な罰金をかけられるよりもむしろきびしい場合もあるわけです。ことにそれがその地方の新聞になりますと、中央の場合よりは大きく扱いますから、そういうことが一つの社会的制裁になるし、二度、三度繰り返すことがありますれば、私どものほうでは告発することになっておりますから、やはり最後には刑事事件になり得るということでございます。
  284. 神田大作

    神田分科員 私も、公取委の考えているように、刑事責任の素質が十分あると思うのです。これは酒かすにウニのにおいをさせて、全然ウニを入れていない。幾らかでも、二%なり三%なり入っておれば、これはウニということもあるけれども、全然入ってないで、においをかまして、酒かすをわれわれにウニといってなめさせる、そういうばかなことを、警察当局がこれに対して取り締まりをしないということ自体がふしぎでたまらぬ。そういうものに対しては、徹底的にやはり追及すべきであろうと思います。  時間の関係もありますから、私はこの程度にしたいと思いますが、今後日本の経済情勢が非常な緊迫な情勢になり、あらゆる業者が買い占め、買いだめをし、売り惜しみをし、あるいはまた不当な食品が横行しておるというような、こういう段階でありますので、国民は、公取委は独占法のいわゆる守り神だ、われわれ消費者を守ってくれる神様だと思っておる公取委に、しっかりとひとつふんどしを締めて、これら横行不良食品を摘発、取り締まってもらいたいということをお願いし、委員長の決意をお聞きして私の質問を終わります。委員長の決意をお聞かせ願います。
  285. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 微力ではありますが、できるだけ御期待に沿うように今後も努力してまいりたいと思います。
  286. 臼井莊一

    臼井主査 以上をもちまして、内閣所管についての質疑、及び総理府所管防衛庁及び環境庁を除く部分についての質疑は終了いたしました。  次回は、明後五日月曜日午前十時より開会し、総理府所管中、環境庁に関する事項について審査を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時三分散会