○安宅
委員 時間もありませんから、私は簡単な質問をいたしますが、この質問は、私は非常に重要な問題だと思っているのです。いままで
日本の
政府が、
アメリカの圧力に屈し続けて、そして今日の本予算案に盛られている内容などをつぶさに見るとき、
政府の農業政策というものは、ついには将来、食糧自給率を極度に低下させてしまう。私は、朝鮮問題を専門にいまやっておりますが、隣の韓国の農業を見たときにりつ然たる思いがするのです。主食をもって諸外国から干渉される、そういう国になるのではないかという、
日本の将来というものを憂えて、私はそういう意味で質問をさせていただきたい。
この
根本は、この間の第四分科会で、食糧自給率の問題あるいは米の投機の問題、農地法の、現在の農地法では農業政策全般を将来にわたって遂行していくために、たいへん大きな支障があるのではないかという質問に対して、そのとおりだと認めざるを得ない農林省の
立場というものが暴露されました。特に、米の投機については、いま盛んに首相はモチ米の話ばかりしておりますけれども、そうではないということも私どもから追及され、その投機の状況というものは情報が入っておるかということを二月六日のこの予算
委員会で私が質問したときに、農林大臣は、そういう情報は入っておりません。「食糧は
政府において管理をしておりまするので、所要のものの確保については万遺漏なきを期しておりますし、その点で問題がないと、こう思います。余り米などについて流動性がございますが、量はたいしたことございませんので、それが現在、投機に向かっておるというふうには見ておりません。」こういう答弁なんです。余り米というのは何か。これは非常に重要なことなんですよ。私は時間がないから簡単に言いますけれども、大体四〇%ぐらいが銘柄米以外の
政府米として売られている。現実にそれの販売は、それの四五%の半分以下しか売れていないのです。売れていないから余り米になって、それを今度米屋さんは自主流通米やそういうものに化けさせて全部売っている。そういうことが実際なんですよ。二兆円動くという
日本の米の
流通性、その中で、大体八割はもうすでに
政府の手から離れているのが現状なんです。モチ米だけじゃありませんよ。余ったもの、売れないものは、すべて自主流通米にしたりいろいろなことをしてまぜて売ってもいいという指導をしておるのですから、現実にはそういうことになっているのですよ。これは
国民は知らないのですから、ぜひ知らせなければならない。
だから、米の投機というのは必ず起きるということ、しかも、物統令が廃止されて、食管制はもうすでに骨抜きにされて、必ずそういう時期が来るということで、一流商社を含めてすべてその中に飛び込んでおるのです。それを一国の農林大臣が、二月六日の質問のときに、そういう
事態は報告を受けていません、情報は入っていませんと言うのでは、でくの坊の農林大臣だということを、私は分科会でこれを追及したのです。この問題についてどういうように考えるか、まずひとつ、これは農林大臣に聞いておかなければならない。
特に
総理に聞いておきたいことは、こういうことをあなたは知らないのではないか。知っているのですか。知っているのだったらえらいことですよ。安宅君、そういうようになっていないと言うなら別です。たった全流通量の二割しか
政府の手は及ばない。あとは全部米は余り米としてまぜられて、自主流通米の価格で、千六百円ではなくて二千二百円から二千六百円で売られている。横流しをいま徹底的に追及してみたところで、物統令で取り締まることはできないと警察庁は私に答弁しておる。そのとおりですよ。ところが、横流しをした連中でさえも、一俵から五百円くらいしかいまもうけていないのですよ。ところが、考えてみなさい、
政府が十キロで五百円くらい高い値段で売れるように直接指導していったならば、
政府自体が横流しをしているといわれても、これは絶対に過言ではないではありませんか。こういうことをやっておるのが今日の
状態。その中で、物統令は間違っていない、そして今度はまた、あなたは食糧の自由化を
アメリカに対してやると言う。農林大臣はやらないと言う。閣内不一致じゃないですか。このことについては
総理大臣に聞きたい。こういうことが第一番目であります。
それから第二番目は、先ほど申し上げました農地の買い占めですね。まあここに入る前に、私は具体的な問題でちょっとうっかりしましたが、ただしておかなくてはならない。分科会のときの問題ですが、ただしておかなければならない。その中で、
政府でさえも親方日の丸でやっているので、それでやっておるのかもしれませんけれども、
政府任命の米価審議会の
委員をしておる男が、しかも、この人は全国食糧事業協同組合連合会の専務であり、山形県米穀商業協同組合
理事長である。この人が社長なんですが、山形県食糧株式会社というのがあります。金山国次郎という人ですが、四十七年の十二月に突如としてやめた。そのおいがいま社長です。この会社が一万数千俵の横流しをしておるのですね。こういうことについて見るとき、あるいは新潟県の北蒲原郡の農協などは、
政府に売るよりもこっちのほうに売ったほうがいいという直接指導を農協の幹部がしておる。きょうは茨城県の問題が毎日新聞に出ておるのを私は見た。
これは
政府に対して、もう自由になる、物統令はない、食管制はくずれるであろうという期待、見通しというものをあなたの政治の中から見出して、そうしてすでに投機に入っておるのを農林大臣は知らないということなんです。これは重要なことです。米価審議会の
委員たる者がやっておる。四期も連続してその任にある者がやっておる。もはや世も末じゃありませんか。農林大臣、あなたはこういう者はやめさせるべきだと私は思う。そうして農林大臣は、これらの問題について、二月六日に情報が入っていないと言い、その後四の五の分科会で私に対して言ったことについては、あれはほんとうに
国民に対して不明をわびるべきだと私は思う。
時間がないからずっと続けていきます。さらに今度は、先ほど入ろうとした土地の買い占めであります。いまの農地法では、農地のままでさえも農民の手から農地が離れていくことができる。たとえば生産法人の例ですが、いい生産法人もありますよ。悪いやつは悪いことをしているのです。そういうことは分科会で詳細述べましたから、きょうは言いません。
それからまた、先ほど
美濃さんが言ったように、山林原野に至っては、もう虫食いどころの
状態じゃないです。蚕が桑の葉をぺろっと食ったみたいになっているじゃありませんか。農地はすでに虫食い
状態になっている。周辺にはバイパスができる、高速道路ができる。登記こそしていないけれども、仮登記のままやっているのもおるようですが、すでに、農民の名義にはなっているけれどもそうではないものが、ばく大な土地があるはずです。そういう工業用地や遊戯場、ボウリング場に至るまで、もはや農民の手から離れていることは皆さん御承知のはずなんです。山林原野ではない、農地なんですよ。そのために現在の農地法では、農地のままでも農民の手から離れていく。転用制限という条文はあるけれども、これは空文になっているのではないか。したがって、農業政策は将来について、たとえばあなたのほうの農林省が十月につくったところの計画がございましたですね。農産物の需給の展望と生産目標というのを出しました。こういう農業政策全般について、将来の政策について遂行するためにこれは非常に支障があるのではないか、いまの農地法でさえも支障があるのではないか、こういう質問に対し、そのとおりだということを構造改善
局長が述べている。
こういうことで、あなたは、米で食わなければならないところの生まれでございますと言って、生まればっかり幾ら宣伝したってですよ、
田中さん、とんでもないことになってしまう。
日本列島改造論には農地はやらないと書いてある。これを見越して、この人たちはすでにそうなるであろうというので、そうしてすでに、米の投機と同じように農地も全部買い占めている、こういう
状態なのでありますが、これに対する分科会の答弁がまことに不十分だったので、きょうは関連質問に立っておる、こういうことであります。すべて私の話の中には答弁を要求することばがたくさんありますから、最後のことだけ答弁だと思わないで答弁をしてもらいたい。これは時間がないからそう言うのです。時間のないというのは哀れなものです。私はこれはやはり考えなければならないと思っているのです、
国民に知らせるために。特に
日本の農業というもののその危機を把握して、これを憂えて、
日本の農業を何とかしなきゃならないと言っているまじめな農村青年や、そういう人人に希望を与えるためには、あなた方はでたらめな、農業を廃棄していく、崩壊させていく、韓国の農業のようにしてしまう、そういう政策は断固としていま改めなければならない。これは
田中内閣の崩壊につながるだけではない。
日本の百年の大計を誤ることになるからであります。
以上を申し上げまして、
関係者の答弁を願います。