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田中内閣総理大臣 重化学工業中心のものから知識集約的な産業に移っていかなけりゃならないということは、これは言っております。言っておりますし、実際、去年からことしを見てまいりますと、やはり
産業界も、無制限に原料を
輸入できないということで、知識集約的なものに転換をしなければならないという動きは確かにあります。ありますが、いま御
指摘になったように、私は、急激に
輸出が一体減るのかということで、
輸出抑制ということは当然やっていかなきゃならないと思うのです。やらなければ先方から、セーフガードの問題や課徴金の問題やいろいろな問題が当然起こってくるわけでありますから、それは起こってこなければ転換できないというようなことではなく、やはり
産業界でブロック別に新しい日本の産業構造はどうあるべきかということを、
政府も強力に勉強したり指導したりしていかなければならないと思います。
もう
一つは、すべての原材料を日本に持ち込むということよりも、現地でもって製品化するという問題は、相手国からだいぶ要求されておるわけであります。銅鉱を持っていかないで、カナダでもって製錬をしてくれとかいろんなことが要求されておるわけでありますから、そういう問題も十分考え、実行に移さなきゃならないと思います。
輸入の問題は、やはり
輸入拡大ということをどうしてもやらなけりゃいかぬし、
輸入を
拡大することによって消費者に反映をせしむるということでなければ恩恵はないわけでありますから、
輸入拡大に対しては、資本の
自由化や物の
自由化や、それも進めなければならぬと思うのです。残っておる三十三品目、これは三年間で百二十から三十三になったわけでありまして、ほかの国でもいろんなことを二国間でやっておりますので、必ずしも私は日本の非
自由化品目というものが多いとは思いませんが、しかし、これだけ攻撃を受けておるわけでありますし、しかも、それだけではなく、やはり日本は新ラウンドを推進しなければならないという特殊な
状態にあります。そういう
意味で、縮小均衡を絶対に求められないという日本でありますが、国内的な政策は
考え方によってはあると思うのです。これは、大豆でも何でもいろんなものがございますが、これは
政府で
機関をつくって国内産のものは買い上げておってもいいじゃないか。必要なときには放出をすればいい。
不足払いをやるというような、いろいろな過去にやったものもありますから、そういう新しいものもやりながら、生活必需品やそういうものが
国民に、
フロートしたような場合には、それだけ安くなったんだということがやはり反映するようにしなきゃならぬと思うのです。
私は、やはり今度の円の
変動相場制によっては、対米
貿易とかいろいろなことを考えますと、一時は下がらぬかもしれません。なかなか国内に急激に転換できませんから、出血
輸出というものもあるかもしれません。これは、出血
輸出をしないようにあらゆる角度から検討しなければならぬと思いますが、しかし私は、どうしてもある時期はこのままの
状態でいくのではないかと思うのです。しかし、年間を通じて考えると、対米
貿易というものは、やはり今度の四十一億ドルないし四十二億ドルというものが、四十八年度の年間を通ずると、私がかって言った二十九億九千万ドル、向こうは一年たったら十九億九千万ドル、九億九千万ドルが望ましいと言いましたが、そんなにはならないような気がいたしますが、やはり相当程度バランスはとれるだろうというような感じがいたします。
だから、産業構造の改善というものに対しては、これから都市から地方に移っていくような場合がありますから、同じものの工場設備をやられては困るのです。そういう場合でも、日銀とか銀行ともいま話をしておりますが、やはり新しい方向の産業設備投資ということにしぼっていこうということで、選別融資もしょうという考えにもなっているわけであります。