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竹本委員 ただいまの御
答弁の中で、経済の見通しと、それから
予算のあり方の問題、あるいは直接の関連性の問題については、われわれ民社党としては、他の野党の皆さんとも十分相談して、もう少し相互の関連が深いものであり重大なものであるという認識に立って、さらに相談をしたいと思いますので、これ以上の論議はやめておきたいと思います。
それから、いま御
答弁の中にちょっとありましたけれども、時間がありませんから、私まとめて二つほどここで
質問を申し上げて終わりにしますが、
一つはドルの問題です。ドルの切り下げもあるかもしれないという御
答弁が、いまちょっと中にあったようですけれども、これは私に言わせますと、ドルの切り下げを
日本は要求すべきであるというのが私の意見なんです。今日の問題の禍根は全部アメリカにあるのですよ。
日本がいろいろ
努力をしておられるが、確かにまだその
努力が足らないと先ほどおしかりがいろいろと出ました。私も同感でありますけれども、しかし、やるべきことをやらないでおる一番の悪人は、一番の
責任者はアメリカですよ。今度も
予算は百二十六億赤字でしょう。軍事費は八百億ドルをこえているでしょう。海外援助はやめないのでしょう。海外投資もやめないのでしょう。そんなばかなことをして、アメリカのインフレを押えることがどうしてできますか。アメリカのインフレを押え得ないで、アメリカのドルがどうして安定しますか。さらにアメリカは、ドルの信認の問題からいうならば、金との交換性の問題についても真剣に取り組まなければならぬけれども、一度も取り組んだ様子が見えぬじゃないか。また、それに対して
日本から一ぺんも抗議をしていないじゃないか。われわれはそこを問題にしているのですよ。
世界で一番なまけ者で、今度はスイスのバーゼルの
会議においては、列国の三つか四つの蔵相が集まったときにも、アメリカが一番なまけておる、けしからぬという議論が出たそうでありますけれども、そのことは、黒字国
責任でしょっちゅう被告席にすわっておる
日本が、やっぱりアメリカに向かって一ぺんくらい赤字国の
責任を論及すべきである。一ぺんもやっていないじゃないか。私はその点を非常に残念に思うから、これは
日本の
国民の
国民感情に即して言っている。アメリカこそが反省すべきだ。アメリカこそが国際通貨の
責任をもう少し感ずべきだ。アメリカのなまけた、あるいはベトナムインフレのしりぬぐいを
日本がやらなければならない義理はどこにもない。
日本も反省すべきものは反省したらいいけれども、アメリカの反省をもう少し
世界正義の上に立って要求すべきである。ドルはドルであるからドルである、私は
予算委員会でいつか言ったことがあるが、アメリカは常にそんな勘定だ。
今度も、新しい通貨の国際
会議を持とうという。これは持たなければならぬから持つのがいいですよ。しかし、その主導国にアメリカがなろうとしている。そして
日本の
政府も、八日の晩にボルカーさんがやってきて、
日本の
政府が
市場閉鎖をやったというのは近ごろにない勇断で、これはできがいいと思って初めてぼくはびっくりした、感心したんだが、あとから聞いてみれば、前の晩にボルカーさんと話したというか、おどかされたか知りませんけれども、とにかくそういう経過がある。
しかし、それにもかかわらず私が指摘したいことは、この行き詰まった国際通貨危機の再建について、みずから何にも反省しないアメリカが、また主導権を握って国際通貨の新たなる秩序をつくろうということは、全くこれはナンセンスである。そんな資格はありませんよ。裁判なら裁判官を忌避すべきだ。これが議長になって
世界の主導権を握るとは何事か。まるで融通手形を出して倒産したインチキなやろうが、債権者
会議の議長をやるようなものですよ、これは。こんなばかな話がありますか。アメリカにその資格がないということをもう少し
日本は要求すべきである。私はその点についてひとつ伺いたい。
日本の
総理としてアメリカに対して、もう少し言うべきことは言わなければ、決断も実行もないじゃないか。アメリカに向かって、もう少し強く言うべきことは言う。私は反米じゃありませんよ。しかし、アメリカの
友人としての
立場からいっても、アメリカにただすべきことはもう少したださなければ筋が通らぬ。その点についてドルの切り下げを要求する。
日本は
ほんとうはここで堂々と要求すべきである。アメリカに対してもう少し強く出るべきである。これをひとつ伺いたい。
もう
一つだけ、これは通産大臣に聞きたい。あなたは調整インフレとかなんとかむずかしい理論を説かれておったようであるけれども、それは別にして、
中小企業に対して、円の再
切り上げはあると言って指導してきたか、ないと言って指導してきたか、それを伺いたい。
大臣も行かれた新潟の、全国
中小企業団体何とかいう全国大会というのがありましたですね。あのときに、私は帰りに、ある
政府機関の
責任者と飛行機が一緒でございまして、円の
切り上げは必ずやらなければならなくなるが、君らは
政府機関の
関係者として、一体
中小企業に対してどういう指導をしておるかと私は飛行機の中で聞いたんです。そうしたら、彼はきわめて良心的にこういう返事をした。
政府は円の再
切り上げは絶対やらないと言っておる、そして一生懸命
努力しているから、おそらく再
切り上げにはならないだろうけれども、経済の見通しというのはむずかしいから、場合によっては
切り上げられる場合があるかもしれぬから、そういう場合があってもだいじょうぶなように、いまから準備をしておけよと言って私は指導しておる、こういう話をしてくれた。これは私は非常にまじめな、しかも
中小企業に親切なやり方だと思うのです。そういう
意味で
中曽根大臣に聞きたいが、一体
中小企業に、あなたは円の再
切り上げはあると言って指導してきたか、ないと言って指導してきたか、あるいは黙って何にも指導しないでやってきたか、その点を聞きたい。
それからもう
一つ、ついでに関連して伺いますが、いま円の再
切り上げをやられましたら、大企業はこれにこたえて対応する手を打っておるが、
中小企業はあなたの指導を正直に信じて、何にも無防備ですよ。しかも能力がない。力がないから、円の再
切り上げに耐える力は全然蓄積されていない。あるいは手は打っていない。現に今日は、
政府はインフレではないなどと気のきいたことを言っていますけれども、インフレですよ。換物運動が起こって、たとえば
中曽根大臣、
中小企業の人は機械を買おうと思っても買えないのですよ。知っていますか。モーターを買おうと思っても買えないのですよ。いまは値上がりを待って、商社が買い占めておるために買えないのですよ。だからモーター
一つ買えない。鉄綱も買えない。何もやれないからもう
中小企業は手をあげようとしている。それほど困っておるところに今度は円の再
切り上げで、またコストダウンを要求されるということになれば、
中小企業はもうどうにもならぬ。そういう窮状にあるということを御存じの上に指導しておられるのかどうか、その辺を伺って終わりにいたします。