○小林(進)
委員 まあ大蔵大臣ぐらいになったら、そういうドルの性格ぐらいやっぱり科学的に分析してかからなければ、そこから生きた
政策というものは生まれてこないですから、少し勉強が足らないな。
それで、ドルが大幅に蓄積されたということがすべての悪の元凶なんですから、しかも、このドルを蓄積することはだんだん
国民に不利益をもたらしているのでありますから、問題はドルを減らすということ、これが物価対策の中心でなくちゃならぬ。これが物価対策の中心なんだ。ならば、その減らすためにどういう
政策を持っていくべきか。円の切り上げを行なうということも、これは効果的な
一つの
政策でございましょう。ただし、これはもう前回一六・八八%を切り上げをしてみて、これが成功しなかったということは明らかになったわけです。でありますから、この点においては、軽々に円の切り上げをすべきだという説には私は賛成しない。これは
政府の
立場で言っているのじゃありませんよ。わが党の
立場であまり賛成はできない。この前も円の切り上げをおやりになったのですけれども、これは輸出入業者とか、そういうものに直接影響をしたけれども、
国民や全消費者に何も潤すところがなかった。私どもは、その
意味において、円の切り上げにはあまり賛成はできない、こういうことなんです。
それじゃ一体、この手持ちのドルを減らすために他の方法は何かといえば、輸出資本です。この輸出大企業の私的利潤の追求のひずみを是正するというこの方法だ。別な
ことばでいえば、輸出を抑制するということだ。こういう経済
政策に転向をしなければ、このインフレ、物価高というものを防止することはできないのではないか。そのためには、いままで
政府が進めておりました、輸出産業のために特別保護をしてきた一切の
政策というものを、思い切ってこれは転換をしなくちゃいかぬ。わが社会党が流れを変えるというのはこれなんだ。ここで転換しなくちゃいかぬ。税制上、金融上のいままでの優遇処置を撤廃する。租税特別措置法なんという、こういうものは断々固としてやめなくちゃならぬ。そして国庫、
予算の面からも、福祉優先の経済
政策というものにきばっと切りかえていかなければならないと思うのでございまするが、この
考え方にはあなたは決して反対される理由はないと思う、科学的な主張ですから。それに対して、一体
政府はどういうことをおやりになったかというと、この理論構成に沿うた
政策というものを何もおやりになっていないのです。これを私はこれからひとつ
政府に反省を促すために
質問をしていくのでありますが、まず、やっぱりそこで中心になってくるのは、
総理大臣、あなたの姿勢です。やっぱりあなたの頭脳ですべては動くのです。
そこで、最近世論というものは、
総理の思想の転換をいま非常に
要求している。
総理の現状認識はずれている、こういうことを世論は言っているのでありますが、これは
総理、個人的な
考えじゃございませんから、あしからずひとつ。公党の
立場で申し上げるのでありますが、ずれている。それで、その世論を代表いたしまして、こういう説がある。「端的にいって、インフレ、土地、公害をはじめ、
国民生活の現状はきわめて異様である。」もはや異様であるという表現です。「これを調整すべき政治の機能は無策に近い。」それなのに、金権政治や大企業優先の政治はなお横行している。実際に
国民のいら立ち、欲求不満が危険な形で噴出しないかと心配させられるような異様な世相である。これに対し、首相の衆参両院における
答弁にば、「いろいろな補足説明がついてはいるが、
基本的には、過去の高度経済成長
政策を礼賛し、その路線に執着することが本音としてにじみ出ている。日本列島改造問題も、この路線の延長線上に位置づけようとする態度を固執し、改めようとしない。この態度を大胆に改めるところに
国民のための政治の出発点がある、」と言っている。そしてこれを踏み切らねば、自民党
政府は自分で墓穴を掘ることになろう、こう言っております一実にこれは至言だと思うのであります。
総理は、高度成長
政策の
施策を進めることについては自民党のチャンピオンだった。ずっとこれをあなたはお進めになった。その点においてはあなたは非常にくろうとであろうけれども、残念ながら、こう景気が過熱して、インフレがと
めどなくいっているときに、その経済を縮小するとか、安定をさしていき、経済成長から
国民福祉のほうへ
政策を転換するときには、どうもあなたには経験がないんじゃないか、あなたの頭の中にもその思想がないんではないか、これを
国民はおそれている。いわゆる経済成長に油を注いで、さらに過熱させるところのチャンピオンではあるけれども、それをさましたり
国民のほうへ転換せしめるほうの
能力は、どうも首相には経験と思想が足りないのではないかということを
国民は非常に心配をしております。
この
総理のこの
考えが、四十八年度の
予算の中にそのままあらわれている。
ことばだけは福祉
予算といいながらも、実態は何も変わっていない。十四兆二千八百億円、二四・六%の拡大の中に、経済の実質成長率が一〇・七%、消費者物価の値上がりが五・五%。これは政治的
発言であって、実際は七%であるというのは、そこらにいる経済企画庁の作業員までが、五・五%で押えきれるものではないと言っておる。なお貿易収支に対して、四十八年度の貿易収支の見通しが八十一億ドル、今年度の見通しが八十九億ドルといいますから、来年度の貿易の黒字も八十九億ドル。これを全部合わせたら、これは経済成長
予算そのものじゃございませんか。この骨格は。どこに一体福祉
予算と銘打てる性格がございますか、この骨格自体は。これはそのまま経済成長
予算そのものではございませんか。