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中澤委員 櫻内さん、そんな、おれにしらばくれたって通用しないんですよ。というのは、農安法なんというのは、最初農安法をつくったのは、ぼくは農林
委員で、価格安定をやらなければいかぬからということでっくり出した
法律なんですよ。あの価格でだれがっくりますか、あなた。基準価格というものを、生産費をある段階まで上げればつくりますよ。それを上げればつくるのに、価格はいつも
経済合理主義の原則から、外国価格と見合いながらの低水準価格にしてあるのです。そこに
経済合理主義のガンがあるというのです。だから、何も高いものを
日本の農民がつくらぬでもいいじゃないか、外国の安いものを買ってくればいいじゃないか、これが終始一貫した
政府の態度でしょう。だから農安法が価格安定、引き上げが入っているなんと、そんなことを言ったら笑われますよ。入っていたってそれはただ品目が入っているだけであって、価格基準というものがあんなでたらめなものでどうして農民がつくりますか。もしもあなたがそう主張なさるならば、価格安定法の基準を徹底的に洗ってみましょう、そうしてある程度
日本の農民の零細経営の中での生産に間に合う価格に最低保障を引き上げましょう。それならば農民はつくりますよ。そういうことでだんだんだんだん
日本の
農業というものは重大な問題になってくる。あなたは自給率七〇%などと言うけれども、米以外
一体どうなっていますか。
これはこのごろあなたの
役所からちょっと出させてみたものです。これは簡単な問題じゃないのです。重大な問題に五年、十年後はなってくるんですよ。現に国際連合食糧機構はどういう
議論をしていますか。三十年後に人類が七十億になったとき食糧はどうなるのだと
議論しているんじゃないですか。ことしのいま大豆が大問題になっている。なぜ大豆が問題になっておるか。
日本の自給率はどうなっていますか。これはあなたの
役所から、ちょっと持ってこいといってきのう持ってこさしたのです。大豆は三百三十二万トンが必要量なんですよ、
日本は。その中で、つくられているのは十二万二千トソなんです。三百二十万トン輸入なんですよ。これ、自給率どうやって上げますか。私が重大だと言うのは、今後国際インフレは食糧から出ると私は見ているのです。現にそうでしょう、木材の暴騰は何で出ました。まさに国際インフレの一環じゃないですか。
日本の需要が膨大だ、いままで買っていたのがだんだん外国の木材が少なくなった、輸入量が少なくなった。木材大暴騰で大
騒ぎでしょう。家を建てる人はもう家を建てられないじゃないですか、庶民大衆は。今度大豆でしょう。一応自給率をちょっとおもなものだけ見ても、いま小麦の国内生産量は四十四万トンです。国内消費量は五百二十万六千トンですよ。そうすると十分の一の小麦しかつくられていないわけです。大麦は三十六万四千トンしかつくっていない。必要量は百五十五万六千トンですよ。これ、どういうんですか。自給率なんていわれる数字じゃないですよ。これがまだ二割、三割あって、これから
政策で自給率を向上させるというなら話はわかりますよ。なたねは二万三千トンしか生産がないです。必要量は四十三万トンですよ。これも十分の一以下です。それから大豆がいま言ったように十二万二千トンで三百三十二万トン、三百二十万トン足らないわけです。その他の豆類も、雑豆ですね、これが
日本の生産量二十九万五千トンです。これは北海道
中心の、帯広
農業が雑豆
中心ですが、必要量は六十一万三千トンなんです。だからお正月のおせち料理の中に入っているもので国内のものはないんですよ、もう。全部外国の輸入品なんです。それから濃厚飼料、いろいろな計数があって、これは農林省で出したんだけれども、ぼくはちょっと疑問があって、
議論すればこんなことで長くなるからやめますが、濃厚飼料は五百六十万九千トン、この見方は非常に甘いんだよ、私に言わせれば。それはおくとして、必要量は千四百十一万五千トンになっているのです。必要量というか、最初最も近い数値をとらしてみたのです、どのくらいになっているかという。これで自給率向上なんていえますか。だからこれは重大な問題なんですよ、
農業問題というのは。いまのうちに本気で
政府が取っ組まれないと、十年後には私はたいへんな事態になってくると思うのです。大豆自体でもはや目をさまさなければいかぬでしょう。早く大豆の国内自給量を少なくとも二割なり三割までは引き上げる、それには価格
政策をどうするかとか、そういうことをもっときめこまかく具体的に手を打っていかぬと、この自給率を皆さん見てどう思いますか。
このごろ重大な事態があったのですよ。皆さんお知りの人もあるが、去年九十日の海員ストライキやったでしょう。まさに
日本の豚と鶏は餓死の直前に来たんですよ。それをなぜ私が知っているかというと、全農連が
日本の飼料の六五%のシェアを持っているわけです、かつての全購連が。これがいま十日間でもう底をついてしまった。船は入ってきているが、荷揚げできないのです、九十日ストで。いま一月ストライキをやったら、
日本の豚や鶏は全部餓死なんです。そういう事態が現実に去年あったんです。だから、食糧とかこういう問題というものを、いま一度各閣僚諸公も基本的に頭をかえて考え直さないとだめですよ、こういうことをやっていては。しかも、今後どんどんとソ連の凶作による被害が
——もはや明らかに全部小麦価格の大暴騰が始まっているでしょう。だから、
日本経済そのものが食糧によって外国
経済の変動をそのまま頭からかぶってくるわけですよ、この自給率じゃ。だから、これは農林
大臣ばかりの問題じゃない。
総理、あなた、夢みたいなことばかり言っていないで、農林
大臣にどうするということを基本的に建て直させなさい。これに幾ら金をつぎ込んでもいいですよ。さもないと食糧というものを
——きのう
北山君も、戦争できぬのかという話で食糧問題を取り上げたが、そういう角度もあるけれども、これはえらい
時代になってきているんですよ。だから、そういう点において、思いっ切り
農業投資にぶち込もう、そういう態度を
政府がとらない限りは、この自給率向上なんというものは問題にならぬですよ。だから、それは単に、自給率向上というのは農民がよくなりゃいいという問題もあるが、そうじゃなくして、世界の中の食糧
——私は十年後には農家でなければ嫁に行かないという人がぼつぼつ出てくると思う。なぜそう言うかというと、これは食糧が
国民不安の大きな原因になってきますから。だから、そういう点をよくひとつ
政府は考えなくてはいかぬと思う。これは
答弁はあなた方長くなるから、基本だけ教えておきますよ。
そこで次に
総理に伺うが、この
列島改造の中で特に
——私は、これはあなたの私見だからそう問題にしたくないけれども、この中で、国際情勢から農産物をどうしても輸入する、自由化を推進するということが書いてあるわけです。今後もこの自由化推進
政策というものはどこまでも進めますか。農産物ですよ、工業品じゃないですよ。