○山原健二郎君 私は、
日本共産党・革新共同を代表して、ただいま
提案されました
文部大臣奧野誠亮君に対する
不信任案に対し賛成
討論を行なうものであります。(
拍手)
賛成の
理由は数々ありますが、ここで述べる主たる
理由は、とどまることを知らぬ再三、再四にわたる常軌を逸した奧野君の暴言に、
国民とともに許しがたい憤りを禁じ得ぬからであります。
今
国会に
筑波大学法案等重要なる
法案を
提出した
責任者である奧野君が、その
審議の過程においてみずから紛糾の種をまき、しばしば
審議を中断させた事実は、
国会審議に対する重大な妨害
行為であり、その
責任のきわめて大なることをまず
指摘しておきたいのであります。(
拍手)
奧野君が今
国会中において行なった公式の場における暴言は、数えあげれば枚挙にいとまがありませんが、顕著なものだけでも次の四点をあげることができます。
まず四月十二日、衆議院本
会議におきまして、人材確保
法案についての
質問に対する
答弁にあたって、公然と日教組誹謗を行ない、自由民主党の選挙公約を棒読みにして
答弁にかえるという、教育の中立性をみずから踏みにじる、文部大臣としてあるまじき
発言をあえて行なったのであります。
四月二十一日には、全国教育長
会議において、教
職員団体の正当な
要求に基づく四・二七統一
行動に対して大量に処分することを強要し、あまつさえ、日教組を反
政府団体と断定し、引き続いて、スト断固処分を呼びかける誤った内容の新聞広告に六百四十万円もの公金を浪費するという狂態を演じたのであります。
さらに、六月二十一日に開かれました国立大学長
会議においては、
筑波大学法案に
反対する大学関係者の声を圧殺するため、他の大学にけちをつけるより勉強せよとか、
反対声明を出すのは劣等感を持っている大学だという、文教
行政者としてあるまじき不謹慎な言辞をほしいままにしたのであります。
さらに八月三十日、またもや、全国都道府県教育委員長・教育長合同総会において、
憲法第二十八条をまっこうから否認し、一片の通達で公務員労働者にスト権が与えられたなどと歴史の事実を歪曲、偽造し、かつまた、屎尿くみ取り、じんかい焼却等の労働者に対するべつ視と差別意識をむき出しにして、その前近代的かつ反動的体質をいかんなく暴露したのであります。(
拍手)その上に、
政治が好きなら教員をやめて
政治屋になれと低劣な放言を行ない、
国民がひとしく持つ基本的
権利すら否認する
態度をとったのであります。
奧野君は、これらの
発言を追及されるや、そのつど、ごまかしと陳弁にこれつとめ、六月二十二日には
国会の場において遺憾の意を表し、「今後かかる誤解を招くことのないよう十分注意いたします。」と議事録に明確にとどめたのであります。
ところが、その舌の根もかわかぬ八月三十日、またまた前述のように、いままでの奧野暴言録の集大成ともいうべき暴言を行ない、あえて紛糾の種をまいたのであります。それは常識の域を逸脱しているばかりか、これこそ、
国権の
最高機関たる
国会に対する面従腹背でなくて何でありましょうか。
また、奧野君の
発言態様はきわめて卑劣であります。なぜなら、その
発言は正確な記録にとどめ得ぬ形態をとり、
責任追及の手をたくみに回避しつつ、なおかつ指導、助言の
立場を利用し、地方
行政機関や大学管理者に対しどうかつと強要を行なっているからであります。これは奧野君の品性上の問題としても看過できぬところであります。(
拍手)
以上あげた数々の暴言の中に一貫して流れる思想性があります。それは何か。
まず第一に、それが前に述べたように
憲法、教育基本法に対する重大な挑戦であるということであります。同時に、教員の身分や
権利についての国際的基準として確認されている一九六六年、ILOユネスコ特別
政府間
会議で採択された教員の地位に関する勧告の内容を全面的に否定していることであります。しかも、この勧告につきましては
日本政府は賛成しているのであります。この点、奧野君のとった
態度は国際的信義にももとるものであるということをいわざるを得ないのであります。(
拍手)
第二に、教員や教
職員団体や大学の教授会等に対する抜きがたい敵視観がその根にあるということであります。これが、今
国会に上程されている
筑波大学法案の中で教授会の権限剥奪等に具体的に織り込まれております。また、この
法案提出にあたっても、戦後大学の理念の反動的転換をはかり、学問の自由の否定と大学の自治への介入、教育の
国家主義的統制へ通ずる重要問題でありながら、大学関係者はもとより、
国民的合意を全く得ようとしなかったかたくなな
態度の中にもあらわれております。
さらにつけ加えますならば、この
法案に不当にも故意に抱き合わせた医学部、医科大学、養護学校などの設置については、
筑波大学法案から分離し、すみやかに成立をさせようではないかとの
国民の願いに立ったわれわれの道理ある
提案を、にべもなく拒否し続けて、今日もなお地元関係者や万をこす受験生、父母に物心両面にわたる苦痛を与えている事実こそは、のがれることのできない奧野君の文部大臣としての
責任であることを、私は糾弾するものであります。(
拍手)
第三に、奧野暴言が教育の地方分権制に対する重大な侵犯
行為であるということであります。たとえば、福岡県が今回行なった教
職員の六割をこえる大量処分について、何ら調査も行なうことなく、全国の地方教育
行政の
責任者を前にして、福岡を孤立させるな、福岡に続けとの、進軍ラッパにも似た
発言を行なったことは、まさに指導、助言の域を越えた越権
行為であり、地方教育
行政の自主性を踏みにじる乱暴な
行為であるといわざるを得ません。(
拍手)
以上の事実から見ましても、奧野君が、文部大臣の地位にふさわしくない人物であることは明白であります。
いま
国民は教育に何を求めているでしょうか。それは、すべての児童生徒に基礎的な学力をつけてもらいたい、自主的な
判断力を、豊かな情操を、健全なからだを育ててほしい、そして何よりも一人一人の児童生徒が未来の主権者にふさわしい青年になるよう、行き届いた教育をしてもらいたいと、切実に願っていることを忘れてはなりません。しかも、これこそ、
憲法と教育基本法が高らかに差し示している大道であります。
この
国民の願いに誠実にこたえ、懸命に
努力することこそ、文部大臣の
最大の責務ではないでしょうか。奧野君は、就任以来、この
任務に背を向け、いたずらに管理統制、教員取り締まりにうき身をやつしてきました。あなたの脳裏には、処分あって教育はないのであります。
かくて、
わが国の文教予算の総予算に占める比率は、本年に至ってついに一割を割ったではありませんか。このような貧弱な教育諸条件の上に、財界の
要求する労働力養成のための差別と選別教育の強引な推進は、いま何を生み出しているでしょうか。全国教育研究所連盟の調査が示すとおり、半数以上の子供が教科を理解できないでいるという衝撃的な報告となってあらわれております。また、ことしは児童生徒の自殺件数は、戦後最高を記録しているではありませんか。かかる教育の荒廃をもたらした文教
行政上の失政の
責任もまた、のがれることはできないのであります。
先ほど、自由民主党を代表しまして山崎君が申されましたところの教育荒廃の数々の事例、その要因はあげて
政府・
自民党にあるということで、私は全部お返しをいたしたいのであります。