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1973-04-05 第71回国会 衆議院 本会議 第22号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十八年四月五日(木曜日)
—————————————
議事日程
第十八号
昭和
四十八年四月五日 午後二時
開議
第一
国家公務員等退職手当法
の一部を
改正
す る
法律案
(
内閣提出
)
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
日程
第一
国家公務員等退職手当法
の一部を改 正する
法律案
(
内閣提出
)
地方公営交通事業
の
経営
の
健全化
の
促進
に関す る
法律案
(
内閣提出
)及び
地方公営交通事業
の
経営
の
健全化
の
促進
に関する
法律案
(
山口
鶴男
君外十九名
提出
)の
趣旨説明
及び
質疑
午後二時四分
開議
中村梅吉
1
○
議長
(
中村梅吉
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
日程
第一
国家公務員等退職手当法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)
中村梅吉
2
○
議長
(
中村梅吉
君)
日程
第一、
国家公務員等退職手当法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
—————————————
中村梅吉
3
○
議長
(
中村梅吉
君)
委員長
の
報告
を求めます。
内閣委員長三原朝雄
君。
—————————————
〔
報告書
は
本号末尾
に掲載〕
—————————————
〔
三原朝雄
君
登壇
〕
三原朝雄
4
○
三原朝雄
君 ただいま
議題
となりました
国家公務員等退職手当法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
内閣委員会
における審査の経過並びに結果を御
報告
申し
上げ
ます。
本案
は、 二十年以上
勤続者
の
公務外死亡
に係る
退職手当
の
改善
をはかること。
国家公務員等
の
期間
と
公庫等
の
職員期間
との
通算措置
をはかること。 二十年以上
勤続
の
勧奨退職者等
の
退職手当
については、当分の間、
現行
の率で計算した額の二割増の額とすること。等を
内容
とするものでありまして、本年四月一日から施行し、本年一月一日から適用しようとするものであります。
本案
は、二月二十
日本委員会
に付託、二月二十二日
政府
より
提案理由
の
説明
を聴取し、四月三日
質疑
を終了いたしましたところ、
加藤委員外
四名より、「
昭和
四十八年四月一日」としている
施行期日
を「公布の日」に改め、また、「
昭和
四十八年一月一日」としている
適用日
を「
昭和
四十七年十二月一日」に改める旨の、
自由民主党
、
日本社会党
、
日本共産党
・
革新共同
、
公明党
及び
民社党
の
各派共同提案
にかかる
修正案
が
提出
され、
趣旨説明
の後、
国会法
第五十七条の三の
規定
に基づき、
内閣
の
意見
を聴取しましたところ、
坪川国務大臣
より、
政府
としてはやむを得ない旨の
意見
が述べられ、討論もなく、直ちに採決の結果、
全会一致
をもって
修正案
のとおり
修正
議決すべきものと決しました。 なお、
本案
に対し、
自由民主党
、
日本社会党
、
日本共産党
・
革新共同
、
公明党
及び
民社党
の
各派共同提案
にかかる
附帯決議
が
全会一致
をもって付されました。 その
内容
は、次のとおりであります。
政府
は次の
事項
についてすみやかに善処するよう要望する。 一
勤続期間
が二十年未満で
勧しよう
を受けて退職した者の
退職手当
の増額については、今後における民間の
退職金
の動向を配慮しながら、その
改善
について検討を行なうこと。 二
国家公務員等
の
期間
と
公庫等
の
職員期間
との
通算措置
に伴い、国と
公庫等
との間における
相互人事交流
が適正に行なわれ、いわゆる天下りの弊害が起らないよう配慮すること。 以上、御
報告
申し
上げ
ます。(
拍手
)
中村梅吉
5
○
議長
(
中村梅吉
君) 採決いたします。
本案
の
委員長
の
報告
は
修正
であります。
本案
は
委員長報告
のとおり決するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
中村梅吉
6
○
議長
(
中村梅吉
君) 御
異議
なしと認めます。よって、
本案
は
委員長報告
のとおり決しました。
————◇—————
地方公営交通事業
の
経営
の
健全化
の
促進
に関する
法律案
(
内閣提出
)及び
地方公営交通事業
の
経営
の
健全化
の
促進
に関する
法律案
(
山口鶴男
君外十九名
提出
)の
趣旨説明
中村梅吉
7
○
議長
(
中村梅吉
君)
内閣提出
、
地方公営交通事業
の
経営
の
健全化
の
促進
に関する
法律案
、及び
山口鶴男
君外十九名
提出
、
地方公営交通事業
の
経営
の
健全化
の
促進
に関する
法律案
について、
趣旨
の
説明
を順次求めます。
自治大臣江崎真澄
君。 〔
国務大臣江崎真澄
君
登壇
〕
江崎真澄
8
○
国務大臣
(
江崎真澄
君)
地方公営交通事業
の
経営
の
健全化
の
促進
に関する
法律案
の
趣旨
について御
説明
申し
上げ
ます。 この
法律
は、
地方公営交通事業
の
経営悪化
の
現状
にかんがみ、新たに
経営
の
再建制度
を発足させ、深刻な
経営危機
をすみやかに打開し、地域における
交通需要
にこたえることができるよう必要な
措置
を講じようとするものであります。 まず、
地方公共団体
は、
交通事業
を
経営
するにあたっては、
事業運営
の
効率化
と
利用者負担
の
適正化
をはかることにより、その
経営
の
健全性
を
確保
するようにつとめなければならないことといたしまするとともに、国は、
地方公共団体
の
経営
する
交通事業
の
経営
の
健全化
が円滑に推進されるよう配慮すべきことを明らかにいたしております。 次に、
地方公共団体
の
経営
する
路面交通事業
で、
収支
が均衡せず、
昭和
四十七
年度
末において
不良債務
を有するものにつきましては、
昭和
四十八
年度
を初
年度
として、新たに
経営
の
再建制度
を発足させることといたしております。すなわち、
再建団体
は、
経営
の
状況
に応じ、十五
年度
以内の
再建計画
を策定し、これに基づいて、
計画
的に
経営基盤
の
確立
をはかるようにいたしまするとともに、
昭和
四十七
年度
末における
不良債務
をたな
上げ
するため、
交通事業再建債
を起こすことができることといたしております。なお、
交通事業再建債
につきましては、国がその
利子
の全部または大
部分
を補給することといたしまするほか、
当該地方公共団体
の
一般会計
がその元本及び国の補給する
部分
以外の
利子
を
負担
することといたしておるものであります。 さらに、
再建団体
は、
関係行政機関
の長等に対し、
路線バス
の円滑な運行を
確保
するために必要な
措置
を講ずるよう申し出ることができることといたしておりまするほか、
公営企業金融公庫
の
交通事業再建債
の
引き受け等
について、
所要
の
規定
を設けることといたしております。 以上が、
地方公営交通事業
の
経営
の
健全化
の
促進
に関する
法律案
の
趣旨
であります。(
拍手
)
—————————————
中村梅吉
9
○
議長
(
中村梅吉
君)
提出者山口鶴男
君。 〔
山口鶴男
君
登壇
〕
山口鶴男
10
○
山口鶴男
君 ただいま
議題
となりました、
日本社会党提出
の
地方公営交通事業
の
経営
の
健全化
の
促進
に関する
法律案
について、
提案
の
理由
とその
要旨
を御
説明
いたします。(
拍手
) 「
日本
は、
経済
の
高度成長
に伴う諸問題、爆発的な
都市化
、
公害
、
車両
の混雑、その他多くの問題を経験しており、しかも、こうした問題のきびしさは、アメリカをはじめ、どの国にもまさるとも劣らないものであります。かなり昔に、私が初めて知ったころの
日本
の美しさはすばらしいものでありました。
経済
の
成長
、豊かさの代償とはこのようなものであります」と
ガルブレイス教授
は今日の
日本
について述べています。
開発
による破壊、
公害
の激発はさておき、
都市交通
のかなめ、庶民の足である
地方公営交通事業
の
現状
はどうでしょうか。
高度経済成長政策
による
産業
と
人口
の
都市集中
が深刻化する中で、
独立採算制
という手かせ、足かせをはめられ、
経営基盤
の
悪化
と
赤字
の
累積
を続けてきました。 とりわけ、
路面交通事業
は、無
政府
的な
モータリゼーション
の進展に伴い、
住民
の
利便
で、かつ安い
公営交通
には、ますますほど遠い存在となりつつあります。 ちなみに、
地方公営企業
である
交通事業
の
昭和
四十七年の
累積赤字
は一千九百二十九億円に達し、そのうち、一千七百五十九億円が六
大都市
の
交通事業
に集中しているという
現状
は、
歴代
の
自民党政府
の
失政
が、
都市
の混乱、
過度集中
に伴う膨大な外部不
経済
をもたらし、
大都市
を
中心
とした
公営交通事業
に深刻かつ
危機的状態
を招来したことを示しております。まさに、その
責任
の重大さを強く指摘しなければなりません。(
拍手
) このため、
不良債務
は六
大都市
において一千四十四億円、第一次
再建債
の未
償還元金
をも含めると実に一千四百八十一億円、年間の
料金収入
の一・七六倍に達しているのであり、
公営交通事業
のみならず、
地方財政
全体に大きな
負担
となっているのであります。 すでに、ヨーロッパの
資本主義国
の
大都市
、
ロンドン
、ローマ、パリなどにおいても、
交通事業
の一元化、国による
不良債務
の引き受け、
地下鉄
に対する大幅な
資金援助
、
大量輸送優先
の
交通規制等
、抜本的な
施策
を積極的に講じつつある中で、
ひとりわが国
の
都市交通政策
の立ちおくれは、まさにはなはだしいといわなければなりません。(
拍手
)
田中総理
の「
日本列島改造論
」には「開幕した
新幹線時代
、拡大する一日
行動圏
」「縦貫と輪切りの
高速道路
、
幹線自動車道
は一万キロに」などと、
不動産会社
、
土建会社
、
自動車メーカー
などを喜ばせる記事は充満しているものの、
都市住民
の切実な要求である便利で安い
公営交通
の実現、
危機
に直面した
都市交通
、
公営交通事業
の
解決策
については、全く触れていないのであります。 いまこそ、
政府
は、
独立採算
のみを押しつけ、
抜本的対策
を怠ってきた過去の怠慢を反省し、大胆な
政策転換
を行なうべきであります。
公営交通事業
の
経営基盤
を
確立
するためには、まず第一に、
高度経済成長政策
を改め、
国民福祉優先
に
軌道修正
を行ない、
都市交通
は
行政
の一環であるとの認識に立ち、これまでの
不良債務
を
政府
の
責任
において完全解消すべきであります。 第二には、
路面交通
や
地下鉄事業
など、ばく大な
建設費
については、国が全面的に
負担
すべきであります。 第三には、
住民
の身近な
公共輸送
の
確立
のために、大幅な
権限委譲
と
企業環境
の
整備
をはかるべきであります。 こうした諸
施策
の推進によって初めて、
住民合意
による適切な
料金
が
確保
されるのであり、
料金値上げ
、
住民負担
の
増大
のみを押しつける
自民党政府
の
政策
では、
公営交通
の
基盤強化
は絶対にあり得ないのであります。 したがって、今後の
公営交通事業
の
経営基盤
の
確立
をはかるためには、国は、
地方
の
自主的努力
を援助し、国の
責任
において
不良債務
のたな
上げ
をまずはかる必要があります。 以上が、この
法律案
を
提案
いたしました
理由
であります。 なお、わが党は、本法案とともに、
住民生活
に結びついた
地方公営企業
については、
独立採算
の
ワク
を撤廃すること、
地方公営企業
に働く
労働者
の
労働条件確保
をはかること等を骨子とした、
地方公営企業法
の
全面的改正案
を
提案
することを付言をいたしておきます。 次に、この
法律案
の
内容
について御
説明
いたします。 第一に、国は、地域的な
交通
の
確保
に資するため、必要な
財政
上の
措置
を講ずるとともに、
交通施設
の
整備
、
道路使用
の
適正化
など、
交通環境
の
整備
をはかることといたしております。 第二に、
交通事業健全化計画
の
策定手続
及び
内容
については、
昭和
四十八年三月三十一日現在、
不良債務
を有する
団体
が、議会の議決によって十年間の
健全化計画
を定め、
自治大臣
に届け出ることとし、
健全化計画
の
内容
におきましては、
赤字交通事業
に従事する
職員
の
給与
その他の
労働条件
の向上について十分配意した上、(一)
経営健全化
の
基本方針
、(二)
経営健全化
に関する
措置
の
大綱
、(三)
地方債
の各
年度ごと
の
元金償還額
、
利子支払い額
及び
収支見込み
に関する
事項
、について定めるものといたしております。 第三に、
交通事業健全化債
の
発行
及びその
元利補給
については、
交通事業健全化団体
は、
不良債務
の
ワク
内において
健全化債
を
発行
することとし、国は、
元金償還額
の三分の二を
負担
するとともに、
利子
については
全額
または大
部分
を補給することといたしております。 第四に、
地方公共団体
は、国の
元金負担額
及び
利子補給額
を除いた額を
一般会計
から補助するものといたしております。 第五に、
地方公共団体
が自主的に定めた
健全化計画
に著しく支障のあるときは、
自治大臣
は助言または指導することができることといたしております。 第六に、
健全化債
は、
全額
、
公営企業金融公庫
が引き受けることといたしております。 第七に、旧
財政再建団体
の
財政再建債
について
所要
の
措置
を講ずるとともに、附則におきまして、
現行
、
料金
の
認可制
を、
届け出制
とすることといたしております。 以上が、
公営交通事業
の
経営
の
健全化
の
促進
に関する
法律案
の
要旨
であります。
政府提出
の
法律案
とわが
党提出
の
法律案
の相違を一口で表現すれば、
政府案
は、金は少ししか出さないのに
自治体
へは強く干渉するのに対し、わが
党案
は、金は積極的に出すが
自治体
の
自主性
を尊重する案であるといえるのであります。(
拍手
) また、
政府案
の
公営交通事業
の第二次
再建
は必ず失敗し、第三次
再建
は必至となるであろうことが予見されるのに対し、わが
党案
の場合は、
危機
に瀕した
公営交通事業
を
再建
し、
住民
の足と
利便
を
確保
し得る最良の案というべきであります。(
拍手
) 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し
上げ
ます。(
拍手
)
————◇—————
地方公営交通事業
の
経営
の
健全化
の
促進
に関する
法律案
(
内閣提出
)及び
地方公営交通事業
の
経営
の
健全化
の
促進
に関する
法律案
(
山口鶴男
君外十九名
提出
)の
趣旨説明
に対する
質疑
中村梅吉
11
○
議長
(
中村梅吉
君) ただいまの
趣旨
の
説明
に対して、
質疑
の通告があります。これを許します。
山田芳治
君。 〔
山田芳治
君
登壇
〕
山田芳治
12
○
山田芳治
君 私は、
日本社会党
を代表して、ただいま
趣旨説明
のあった、
内閣提出
、
地方公営交通事業
の
経営
の
健全化
の
促進
に関する
法律案
について、その
内容
のきわめて不十分な点を指摘し、その
全面的撤回
を求めるとともに、わが
党提出
の
法律案
に
議員各位
が賛同されることを心から期待する旨の
理由
を申し述べつつ、
内閣総理大臣
をはじめ
関係閣僚
に
質問
をいたしたいと存じます。(
拍手
) そもそも
交通機関
は、その国の動脈であって、
生産
、
流通
及び
一般国民
に与える
影響
がすこぶる大きいのみならず、
政治
、文化、
社会等
に対する
影響
が大きいため、その
公共性
が要求されるとともに、
公共統制
が必要であり、
交通政策
が国の
政策
の
基本
となっていることは、いまさら申し述べるまでもないと存じます。 とりわけ、
公共輸送機関
、特に
都市
内の
公営交通機関
は、
通勤
、
通学
及び市民の足としてその
公共性
が高く、
抜本的対策
が要求されるととろであります。
昭和
三十年の後半から始まる
わが国
の
高度経済成長政策
のひずみの中で、いわゆる三Kならぬ五K、すなわち米、健保、
国鉄
、
国有林
、
公営交通
の軒並みの
赤字
は、まさに
歴代
の
自民党政府
の
失政
を物語っていると存じます。(
拍手
)
交通機関
の
都市
内の
部門
を担当する
公営交通
は、
高度経済成長政策
に伴って、
人口
、
産業
の
大都市集中
と
モータリゼーション
の無
計画
な
増大
により、
路面交通部門
が最も早く、最も強くその
影響
を受けることとなり、その上に、インフレによる
物価騰貴
により、その
経営
の
悪化
は破局的な
状態
となったのであります。 すなわち、
交通機関
の
公共統制
の不徹底、
交通
及び
経済政策貧困
の中で、言うならば
政府
の無策、無
責任
がまさに
都市交通
の面においてその矛盾を明確に露呈したものといって過言でないと存じます。(
拍手
) 戦前の
交通政策
は、事のよしあしは別として、
自動車交通事業法
に代表されるように、一
路線
一
営業主義
という
政策
を採用し、その
路線
を守るという
態度
で臨んでまいったものの、戦後は、
道路運送法
に見られるように、競争を前提とした
交通政策
をとったため、結局、
交通政策不在
、
企業
第一
主義
となったことは、今日の
事態
を招来した最大の
原因
でありましょう。
国鉄
の
公共企業体
へ、
地方公営企業法
の
改正
による
公営企業
の
位置づけ等
がそれをあらわしていると思います。 とりわけ、
昭和
二十七年、
地方公営企業法制定
による
独立採算制
の採用は、
わが国
の
公営交通
における
公共性
の面を著しく後退させ、
経済性優先
の
企業主義
を前面に押し出したものといえます。 こうした中で、
昭和
三十九年から四十一年にかけて、
政府
は、
地方公営企業制度調査会
を設置し、その答申を背景に、
地方公営企業法
の
改正
と、その中での第一次の
財政再建
をはかることといたしました。 その
内容
は、
財政再建
を
独立採算制
の原則の中で実施することとし、
公営交通
については、(一)
路面電車
の
撤去
。(二)
ワンマンカー
の増強による
収支改善
。(三)
車庫用地等
の
不要財産
の
売却
。(四)
人員削減
と
給与体系水準
の
合理化
という名の引き下げ。(五)
料金改定
、
乗客増
を見込んでの増収をはかる、ということが
内容
となっております。 この結果、やむを得ず
再建団体
となった
団体
が、
昭和
四十一年においては、六
大都市
を含めて十三
団体
に及びました。
再建団体
は、
昭和
四十
年度
末における
不良債務
を
財政再建債
四百四十三億円の
発行
によってたな
上げ
し、わずかの
利子補給
を得て
財政再建
を開始したのであります。 しかるに、この第一次
再建計画
の終了する予定の
昭和
四十八
年度
を待たずに、再び破局的な
経営
の
悪化
を来たし、今回
政府
から
提案
されている第二次
再建計画
を立てざるを得ないような
事態
に立ち至ったことは、まことに遺憾といわざるを得ないのであります。この
原因
は、第一次
再建計画
を企図した
昭和
四十一年において、わが党は、単に
企業
内の
合理化
のみでは必ず今日の
事態
を惹起することを指摘し、
政府案
に対し、わが党の
改正案
を
提出
したのでありますが、
政府案
を若干
修正
するにとどまり、本質的なものまで
修正
することを許さなかった
自民党
の
責任
であるといえるでありましょう。(
拍手
) 今回の第二次
再建策
ともいうべき
政府案
は、第一次
再建策
よりは若干の前進は見たものの、わが党の主張する
抜本的対策
がほとんど考慮せられていないのみならず、
再建
後の将来に対しても何らの
対策
が示されない点から見て、まさに当面を糊塗する
びほう策
といわざるを得ません。この案のまま
政府案
が決定され、第二次
再建
が行なわれるとしても、日ならずして第三次
再建案
を講ぜざるを得なくなることは、火を見るより明らかであります。(
拍手
) ここで私は、若干
公営交通
の
現状
を考えてみますと、
公営交通事業
は、
公営企業法
の
適用団体
は六十
団体
、八十事業あります。四十六年で、
バス事業
で二十四億一千六百万人、
路面電車
で四億一千二百万人、
地下鉄
で十億七千九百万人を輸送しており、これは
都市交通
における全
輸送人員
の二〇%に当たります。
交通機関別
にその推移を見ますと、
路面電車
は、
昭和
四十
年度
末には六百六十六キロの
営業路線
を有しておりましたが、
大都市
を
中心
に
撤去
が進められ、
昭和
四十六
年度
末には三分の一を割る二百十八キロとなり、
輸送人員
も
昭和
四十
年度
の二七%に減少いたしました。 一方、
地下鉄
は、
大都市
の
基幹交通機関
として急速に建設され、
昭和
四十
年度
には五十一キロの
営業路線
が
昭和
四十六年末には百三十七キロとなり、著しい
増加
を示し、今後も、横浜、京都、神戸市等で毎年一千億以上の
建設投資
が
計画
されております。
バス
は、
昭和
四十五
年度
まで
輸送人員
は
増加
してきましたが、
昭和
四十六
年度
には、
車両
及び
走行距離
は
増加
はしているものの、
輸送人員
は若干ながら減少している傾向を示しております。 また、速度については、
バス
、
路面電車
ともおおむね二〇ないし三〇%ダウンし、ラッシュ時には時間当たり十一キロメートル前後と相なっております。 次に、
経営状況
についてみますと、先ほどの
趣旨説明
にもありましたように、
昭和
四十六
年度
末の単
年度損失
は四百二十億、
不良債務
千四百八十一億に達しております。
昭和
四十七
年度
末には、おそらく
決損金
は二千億をはるかにこえると思われるわけであります。 こうした
現状
の中で、今回の
再建方策
は、
地下鉄部門
を含めず、
路面部門
のみであり、それも
財産
の
売却費
二百七十億を減額して
不良債務
のたな
上げ額
を八百七億とし、これに対し一定の
利子補給
を行なうこととしているのであります。 一方、
再建団体
は、
再建計画
を定め、
自治大臣
の承認を得なければならないこととなっており、
再建計画
には、「一
経営
の
再建
の
基本方針
」「二
経営
の
改善
及び
合理化
に関する
措置
の
大綱
」をうたっていて、相も変わらず
企業内部
に
責任
を負わせる発想と手法をとっていることは、前回の誤りを全く反省していない
態度
で、許さるべきことではないと存じます。(
拍手
) 第一次
再建計画
の中で、すでになされるべき
合理化
は徹底的に強行され、すでにその限界に達している
状況
は、先日、わが党の
角屋堅次郎
氏を団長として
調査団
を大阪市に派遣いたしましたが、その
調査
によれば、市電はすでに全廃をされ、
バス
はすべて
ワンマンカー
となり、
人員
は
昭和
四十年に一万一千人おったものがすでに三千九百人に削減され、土地の
売却費
二百八十一億円を出し、諸
手当
を徹底的に節減をしているにもかかわらず、
赤字額
は、
昭和
四十七年末で、
累積
、
地下鉄
四百八十五億、
バス
二百九十四億円となっております。これをもってしても、
赤字原因
はあくまでも
企業外要因
によることはあまりにも明白であり、これが
除去施策
を何ら講じなかった
政府
は、みずからをきびしく反省し、その反省の上に立って、今回こそは、わが党が主張している
抜本的対策
と当面の
対策
を講ずべきであると存じます。(
拍手
) また、
再建
にあたっては、
公営交通
に働く
労働者諸君
の
積極的協力
を得られるような方途を講じなければ、
再建策
も達成できないと存ずる次第であります。 以下、これらの点について
質問
をいたしたいと存じますので、
田中総理
をはじめ、
関係大臣
の所信を承りたいと存じます。
質問
の第一は、
基本
問題として、まず
交通環境
の
整備
についてであります。
都市交通
問題は、単に
交通
問題としてでなく、科学的、近代的な
都市改造政策
、
国土利用計画
から出発すべきであり、現在のような無
計画
、無
政策
のまま発達した
大都市
のあとから
道路
、
地下鉄
などの
交通政策
を考えるのは、むしろ逆であり、初めに
都市交通政策
の
先行投資
の上に立って
都市形成
の創造を行なわなかった
政治
の
貧困
が、今日の
都市問題解決
の
困難性
を生み出しているものであります。 そこで、まず
総理
にお伺いいたしますが、長期的な
都市構造
の変革と
計画
的な
都市交通政策
を樹立し、実行可能な
対策
を推進することが強く要求されます。特に、
わが国
では、
職住近接
の原理に立つ、たとえば
ロンドン
のニュータウンのような有効な
大都市交通需要
の
軽減策
をとらず、放任した結果、
大都市
の集積の
利益
、すなわち、
中枢管理機能
はじめ、
工業生産機能
、
流通機能
などの備えられた
大都市
に
企業
が集中し、職場が
中心部
に集中し、住宅は都心の
地価高
を避けて郊外へと移って、
職住
の
遠隔化
を進めたのが
わが国
の
都市集中
の過程であるが、これを抜本的に是正するための
方策
をいかに考えておられるかをお伺いいたしたいと存じます。 ちなみに、三
大都市圏内
の
宅地並み課税実施
は、ますます
都市周辺
に
人口
が集中し、
職住
の
遠隔化
を一段と
促進
するものではないかと考えますが、これはいかがでありましょうか。(
拍手
) 第二に、
職住
の
遠隔化
した現実の
事態
に対処するためには、
通勤通学輸送
を
確保
すべきであり、これが最も有効な手段として、(一)
地下高速鉄道
の
建設促進
(二)
路面交通
については
大衆大量輸送優先
の
交通規制
を実施することが
道路交通対策改善
として強く望まれますが、
地下鉄
については、本
年度
、
地方自治体当局
やわが党の主張を無視できず、従来の二分の一を三分の二にアップし、国と
地方団体
で折半をする
補助制度
ができました。しかしながら、
西欧諸国
で見られるように、
建設費
については国及び
地方団体
で
全額
負担
すべきものと思われるが、
大蔵大臣
の見解をお承りいたしたいと存じます。 また、数百億にのぼる
補助金
を支出する
地下高速鉄道事業費補助
を、単に
交付規則
による
予算補助
は適当でなく、わが党がかつて
立法化
を
提案
した
都市鉄道整備促進法
のごとき
立法措置
を行なうとともに、その中で
都市交通整備計画
を、
関係地方公共団体
の
意見
を聞き、
政府
の
責任
において決定する
内容
を含めて制定する意思がないかどうか。また、
開発利益
の還元を大法人大
企業
から求めるべきであると思うが、
運輸大臣
の御所見を伺いたいと存じます。 次に、
路面交通事業部門
の
大衆大量輸送優先
の
交通規制
を重点にすることについてお尋ねいたしたいと存じます。
バス
の優先専用レーンの拡充、
バス
ターミナルの設置
整備
、自動車の車種別時間帯別
交通規制
及び駐車規制を強化するとともに、自家用車の車庫保有の規制を徹底すべきであり、都心乗り入れ自動車に対する賦課金の徴収及び
交通規制
について、
地方公共団体
の長に対する
権限委譲
強化について
政府
の見解を承りたいと存じますが、この際、イギリスの
交通
省から出されておる
都市交通
のいわゆるブキャナン
報告
及び「
都市
道路
改善
の利用のために」等の有益なるレポートが出されており、注目すべき研究であるが、建設大臣及び
運輸大臣
は、
わが国
におけるこの種の検討と
現状
についてお答えをいただきたいと存じます。 第三に、
大都市
公共
交通
の一元的統一についてお尋ねいたします。 東京の渋谷に駅長が七人いるといわれるほど、
経営
主体が分かれている
現状
の中で、
大都市
の
交通
については、
地方公共団体
が行なう街路
整備
、
都市
計画
事業その他
都市
行政
との関係はきわめて密接であり、
バス
、電車、
地下鉄
を含めて合理的な、総合的、一体的な
都市交通
の
確保
をするためには、共通運賃制、相互乗り入れ制の
促進
、運行
計画
の調整を行なうべきであると思うが、この点について
関係大臣
の御所見を承りたいと存じます。 次に、
公営交通
に対する
財政
対策
についてお尋ねいたします。
地方
公営事業としての
交通事業
は、その本来の目的である
住民
福祉増進のためにどうするべきかということを考えますと、私どもは、その最も根本的な
対策
としては、
独立採算制
を打破することであると存じます。
公共性
すなわち
住民
の足の
確保
と
独立採算制
とは、そもそも両立しないものであることは、すでに
国鉄
経営
諮問委員会でも認めているところであります。このことは、過疎
バス
の運営において最も特徴的にあらわれているところであります。
地方公営企業法
第十七条の二及び同施行令第八条の五は、きわめて狭義の
企業
外
負担
を認めるにとどまり、
経営
に伴う収入をもって
企業
を維持するという
独立採算制
の原則が強く求められている。これでは、当面の
経営
の
再建
はかりにできたとしても、将来にわたって
赤字
を出さないという保証は何らないのであります。今回の
政府提出
の
法律案
には、若干の
改善
策として、第八条に、
再建団体
においては
一般会計
から補助を認めるのであるから、これを単に
路面交通事業
の
再建団体
のみにとどめず、
公営交通事業
全般に及ぼすとともに、水道、病院等
公共性
の強い、
住民生活
に直接つながりのあるものは、
独立採算制
によらず、国庫補助を含め
一般会計
からの繰り入れを既往の分に遡及して認め、これに
地方財政
計画
上の財源
措置
をすべきであると思うが、
総理
、
大蔵大臣
、
自治大臣
の見解を求めます。 また、
企業
債の
利子
の引き下げ、
ワク
の拡大、返済の長期化、たとえば
地下鉄
関係はその耐用年数を五十年程度に延伸すること、
企業
債制度の
改善
、すなわち
公営企業金融公庫
法の
改正
により、
企業
債の
全額
引き受けをすべきであると思うが、大蔵、自治両大臣の見解を求めます。 また、
料金
については、その決定原則を原価
主義
でなく、
住民
の
負担
能力、その他
経済
事情、公共の福祉増進のたてまえを適切に配慮し、妥当なものとすべきではないか。
中村梅吉
13
○
議長
(
中村梅吉
君) 山田君、山田君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡潔に願います。
山田芳治
14
○
山田芳治
君(続) 特に、
政府
のいう受益者
負担
は、いまや、
都市
勤労者については、
政府
の
政策
不在の受難者であっても受益者ではない点を強調したいと存じます。 最後に、私が
質問
をいたしました
内容
につきましては、多くの財源を必要といたします。したがって、
都市
に対して国はもっと多くの財源を付与すべきであります。
公営交通
が、
都市
に集中する
企業
法人の中枢管理機構の中で働く勤労者の
通勤
に必要な大量輸送機関であり、その
公共性
とともに、
企業
法人の便益に貢献している限り、その法人
企業
から、たとえば事務所事業所税として
都市
に還元すること。さらに、
わが国
の法人関係税が諸外国に比べ実効税率が低い点から見て、法人税並びに
地方
税にある法人関係税の税率を欧米先進諸国並みにすることにより財源を生み出し、その一部を
公営交通事業
のために充てるべきであると考えるが、大
企業
のためでなく、国民のために
政治
を行なっていることを言明されている
田中総理
の、この問題に対する決断と実行はどう発揮されるかをお尋ねして、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣
田中角榮君
登壇
〕
田中角榮
15
○
内閣総理大臣
(田中角榮君)
山田芳治
君の御
質問
にお答えをいたします。 まず第一は、
都市交通
体系と
職住
の
遠隔化
に対する
対策
についてでございますが、
都市交通
体系は、
国土利用計画
や
都市
計画
を踏まえて、
都市
活動によって発生する大量で多様な
交通需要
に対して、合理的かつ有機的に対応し得ることが必要であります。 また、
職住
の
遠隔化
の現象に対応して、次のような
措置
を講ずる必要があると考えます。 まず第一に、現在の
大都市
の持つ求心型の構造を多核分散型に改めるため、副都心、新都心を
整備
し、都心の業務機能の分散をはからなければならないと思います。第二は、都心部においては高層住宅を積極的に建設をして、
職住
の近接をはかる必要があります。第三は、都心、郊外を結ぶ効率的な
交通
ネットワークを
整備
し、
都市交通
の機能を高め、快適なかつ効率的な
交通
の
確保
をはかってまいります。 このためには、
都市
の再
開発
を思い切って行なわなければならないわけであります。再
開発
の実施によって、十分な
交通
空間や緑地を持ち、大震火災にも耐え得る、近代的な、環境のよい
都市
の建設が初めて可能になると思うのであります。 第二は、三
大都市
圏における宅地並み課税に関しての御
質問
がございましたから、お答えをいたします。 今回の市街化区域内における農地にかかる課税
措置
は、土地問題の重要性にかんがみ、特に大
都市周辺
においては宅地と農地の税
負担
の不均衡が著しいこと及び現に不足しておる宅地の供給の
促進
をはかる必要があることをも考慮して
措置
することといたしたものであります。これによってむしろ
職住
の近接化が
促進
するものと考えておるのであります。 第三は、
独立採算
性の問題でございますが、この問題に対しては、
大蔵大臣
から詳しく申し
上げ
ますが、
地方公共団体
の
交通
、水道、病院等の
公営企業
というものは、やはり利用者がサービス享受の程度に応じて対価を支払い、
負担
をするという
利用者負担
の原則によることが、事業
経営
の
効率化
に資するものと考えております。また、公平の原則からいたしましても、そうでなければならないと思います。しかし、どうしても
地方公営企業
の中で応益
負担
だけで片づかないものがありますれば、それらの分に対しては、区分を明確にしながら、国及び
地方公共団体
が
一般会計
から補てんをしてまいるということは、従来もとっておることでございますし、この
改正案
でもその面を厚くしておるわけでございます。しかし、
基本
的なたてまえとしては、
利用者負担
の原則に基づく
独立採算
性を維持すべきものである、こう考えます。 それから、必要な財源を
確保
するために、法人
企業
から税を徴収してこれをまかなうべしというようなお話でございますが、その経緯と将来の見通しに対して申し
上げ
ます。
都市
税源の充実のため、
大都市
等に所在する事務所事業所等に対して特別な税
負担
を求めることにつきましては、事務所事業所税または
都市
整備
税の構想を検討してまいりました。しかし、
地方
中核
都市
構想やいわゆる列島改造税制との関連もありまして、
昭和
四十八
年度
におきましては実現を見るに至らなかったわけでございます。しかしながら、
都市
の
財政
需要はますます
増加
する傾向にあり、
都市
税源充実の必要性も一そう強まってきておるところでありますので、今後とも、その実現をはかるよう検討を続けてまいりたいと考えます。 また、法人税
負担
のあり方につきましては、来年四月末に法人税の付加税率、すなわち一・七五%の期限が到来をいたしますので、その機会にこの付加税率を
基本
税率に織り込むとともに、さらに何がしかの引き
上げ
を行なうことについて前向きに検討してまいりたいと考えます。 以上。(
拍手
) 〔
国務大臣
愛知揆一君
登壇
〕
愛知揆一
16
○
国務大臣
(愛知揆一君) 私に対する御
質問
の第一点は、
地下鉄
の
建設費
は
全額
、国及び
地方公共団体
が
負担
すべきではないかということでございます。
政府
は、四十八
年度
予算におきまして、
地下鉄
建設費
補助金
の補助率を従来の五〇%から六六%に拡大するとともに、従来の八年間分割交付から六年間分割交付に短縮するなど、
地下鉄
に対する助成については思い切った拡充をはかっているところであります。これ以上
建設費
を全面的に国及び
地方
の
財政
が
負担
をするということはいかがかと考える次第でございます。 第二は、
交通事業
再建団体
以外の
交通
、水道、病院等に対しても、
独立採算制
によらず、
一般会計
からの借り入れと国の助成
措置
を講ずべきではないか。 このお尋ねは、ただいま
総理
からもお話がございましたとおり、
地方公共団体
が
交通
、水道等の
公営企業
の
経営
を通じて
住民
にサービスを提供する場合に、これに必要な経費については、
基本
的なたてまえとしては、その利用者がサービスの享受の程度に応じて対価を支払うという
独立採算
によるべきであると考えております。もちろん、
地方公営企業
の経費の中には、その性質上、
企業
経営
に伴う収入をもってまかなうごとが適当でない経費もありまするし、また、まかなうことが困難な経費もございますので、それらの経費につきましては、
地方公共団体
の
一般会計
からの繰り出し金等による
企業
の外部からの助成が行なわれております。また、国も
地下鉄
建設費
の補助、四十八
年度
で申しますと百二十二億七千万円を行なっておりまして、
経営
の
健全化
に資することといたしております。今後とも
独立採算制
のたてまえを維持しながら、
地方公営企業法
の許容する範囲内で、必要に応じて
地方公共団体
の
一般会計
等から適正な
負担
、補助を求め、
経営
の
改善
、
合理化
を進めるべきものであると考えております。 第三は、公営事業債の資金
ワク
の拡大や条件の
改善
等でございます。
地方公共団体
の
企業
債につきましては、事業の
公共性
や起債が民間
企業
の資本金にも相当するものであるということにかんがみまして、資金
ワク
に不足の生じないように各
団体
の起債需要を十分把握した上で
地方債
計画
を作成いたしておるわけでございます。 また、起債の条件につきましては、下水道、
地下鉄
の金利、償還年限につきましては、運用上可能な範囲で最優遇の取り扱いをいたしております。 なお、公営公庫については、
政府
保証債の
発行
額を大幅に増額する等によりまして、貸し付け
ワク
は四十七
年度
に比べますと三五%増しの二千九億円を予定いたしまして、できるだけ公庫資金の拡充につとめております。 第四は、自主
再建
に対して
財政
措置
を講ずるかどうかということでございますが、本件については、
自治大臣
の承認を得た
交通事業
再建計画
に基づきまして、
交通事業
の
再建
を推進する
地方
公共企業体
に対しまして、
再建債
の
利子補給
、
バス
、
車両
の購入費の補助を行なうことにいたしておる次第でございます。 最後に、
再建債
については、
利子
だけでなく、元金も国から補助すべきではないかというお尋ねでございましたが、今回の
再建
対策
にあたりましては、
路面交通事業
、
バス
、市電等でありますが、の
累積
不良債務
を
交通事業再建債
の
発行
によってたな
上げ
をいたします。そして国がその
利子
の全部または大半を補給するとともに、
地方公共団体
の
一般会計
がその元本と
利子
の一部を補給することとし、あわせて
再建債
の元利の
全額
を
企業
外の財源によって償還するという、これは実は画期的な
措置
を講ずることとしておるわけでございまして、元本の補給までは、国としての
財政
援助の限界を越えるものと、かように考えておる次第でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣江崎真澄
君
登壇
〕
江崎真澄
17
○
国務大臣
(
江崎真澄
君) お答えを申し
上げ
ます。
独立採算制
の考え方につきましては、
総理
及び
大蔵大臣
から詳しく御
説明
がありましたので、重複を避けます。 そこで、
企業
債について、資金
ワク
を拡大し、利率の引き下げ、それから償還年限を
地下鉄
債の場合は五十年に延長をしろ、
政府
資金以外は
公営企業金融公庫
で全部引き受けろ、こういう御主張を交えての
質問
でございまするが、
交通事業
等公営事業の建設資金につきましては、四十八
年度
におきましてこの
企業
債は一兆一千八百十四億円、これは前
年度
に比べますると五〇%
増加
をさせておるわけであります。それから
企業
債については二千九億円というわけでございまして、
地下鉄事業
に対する、特に
公営企業金融公庫
資金の貸し付け条件などはずいぶん前進をさせ、またそのあり方も緩和をいたして、
地方公共団体
の期待にこたえておるところであります。 次に、
再建債
のうち、三分の二ぐらいは国庫補助にすべきだということでありまするが、これは
地方公共団体
の
一般会計
の
負担
ということにしておりまするが、この
負担
が過重になりませんように、
再建債
はすべて長期債ということで処理をいたしております。 なお、
利子
の補給につきましては、
現行
の
利子補給
を、
全額
または全く
全額
に近い金額、大幅に拡充いたして対処しておるような次第でございます。 それから
料金
は、利用者の
負担
能力を考慮する必要はもとよりございます。しかし、やはり適正な原価を基礎にして決定されなければなりません。これは
独立採算制
にも関係することでありまするが、いたずらに
一般会計
から資金を投入いたしますると、まだ社会福祉
政策
を充実したり社会資本を充実したりしなければならない、その一般の公共事業が停滞してしまうということにもなるわけでありまして、適正な
料金
の決定ということは、これは
企業
である以上必要条件であるというふうに私どもは考えております。 その場合、この
料金
の決定は、
地方
の議会で詳細に検討をされて決定を見るわけであります。だから、何も一々
政府
の許可制にしなくてもいいではないか、これは多くの
意見
が今日までも展開されておりまするので、自治省におきましても、
地方
自治体
の議決を経て
料金
がきまるという点は尊重をいたしまして、関係各省庁と十分連絡をとって善処をしてまいりたいと考えております。 続いて、
都市交通
の一元化についてどう考えるか。これは
大都市
におきましては多数の
経営
主体がありまして、一元化を検討することはまさに必要な点であるというふうに私どもも認識をいたしております。しかしながら、
都市交通
の
経営
主体の一元化につきましては、いろいろこれは複雑多岐にわたりまして、議論も多岐にわたっております。現在の時点では、非常に多くの問題をかかえておりますが、当面、
経営
主体間の、たとえば
路線
であるとか運賃であるとか、そういう調整等につきましては、一本化の機能が事実上果たされるように、十分
行政
指導をしてまいりたい、このように考えております。 以上は
自治大臣
としてでありまするが、続いて、国家公安委員会の
委員長
としてお答えを申し
上げ
ます。 それは、仰せの
都市交通
に関する——急いで申し述べられましたが、御
意見
に関する
部分
については同感の面もたくさんありまするので、これは傾聴いたしました。 そこで、
路線バス
等の優先または専用通行帯の設定、都心部における駐車規制の強化を行なっておりまするほか、警察では、
路線バス
の増車、
バス
ターミナルの
整備
等についても、
関係行政機関
の協力を求めて、善処に出ておるわけであります。また、車庫の保有につきましても、これはせっかく
道路
を広げながらそこに駐車される、これが
交通
渋滞のもとにもなるし、また
交通
災害のもとにもなるということにかんがみまして、今度は政令を
改正
いたしまして、車庫の設置義務の地域を拡大し、すべての市それから町、それから大
都市周辺
の、これはわずかでありますが、村にまで適用する、こういうことにいたしております。これが実効を担保するためには、やはり保管場所法の
改正
を考えていかなければなりません。それから、賦課金を課すことによる
交通
混雑の解消、こういう面においても今後
関係行政機関
とも協議をいたしまして、十分ひとつ配慮をいたしてまいりたいと思います。 以上お答え申し
上げ
ます。(
拍手
) 〔
国務大臣
新谷寅三郎君
登壇
〕
新谷寅三郎
18
○
国務大臣
(新谷寅三郎君) お尋ねの諸点の中で、運輸省に関係ある
部分
についてお答え申し
上げ
ます。 現在
政府
の行なっております
地下高速鉄道
建設費
の補助は、
地下鉄
路線
網の
整備
を
促進
するために、新線建設工事費の一定の割合を補助するものでございまして、従来から
予算補助
の形で補助を行なっておりまして、国及び
地方公共団体
による
補助制度
は
確立
せられておりまして、これによって輸送需要に対応して
都市交通
に多大の効果をあげているものと考えておるのでございます。したがいまして、御
提案
がございましたけれども、この際、
地下鉄
に関しまして特別に新たな
立法措置
をする考えは持っておりません。
開発利益
についてのお話がございましたが、一般的に公共
交通機関
は周辺の土地の所有者とか事業所等に土地価格の騰貴、事業所の便益の
増加
などの
開発利益
を発注していることは事実でございます。したがって、この
開発利益
は
交通事業
者に還元して利用者の
負担
の軽減をはかることも考えるべき問題でありましょうが、
開発利益
の範囲の認定でありますとか徴収方法等、その実施面にはきわめてむずかしい問題が多いのでありまして、今後慎重に検討することにいたしたいと思います。 それから、
都市
バス
についてのお尋ねでございますが、円滑な
都市交通
を実現するためには
国鉄
、私鉄、
地下鉄
などの高速鉄道と並んで、
道路
交通
にあっては、大量
公共輸送機関
でありまする
バス
輸送を
整備
する必要があります。しかし、これは
道路
の混雑などによりまして、
バス
の機能は現在非常に大幅に低下をしておるのが実情でございます。このために、
バス
の機能を回復するために、昨年来
バス
専用レーンとか優先レーンの設定をしたり、
路線
網の再編成をいたしましたり、
都市
用の
車両
の新しい
開発
などを
内容
とする
大都市
バス
輸送
改善
対策
を策定いたしまして、その実現をはかっておるところでございます。運輸省の所管の
都市
用のモデル
バス
につきましては、最近試作車が完成いたしまして、四十八
年度
には東京、大阪で実験運行を行なう予定でございまして、今後も引き続きまして、この方針に基づきまして、
都市
ごとにその実情に適合した具体的な
計画
を定めまして、おおむね五カ年
計画
をもちまして、その実現をはかっていくことにいたしておる次第でございます。 それから、イギリスの
交通
省のいわゆるブキャナン・レポートは
都市
の自動車
交通
と住宅の生活環境との調和を求めて独特の見解を示したものでございまして、これは示唆に富むものと考えます。今日の
都市交通
において、この中に示されておりまする歩行者優先の見地に立ちまして、生活環境をおかさない範囲で自動車
交通
が許容されるという考え方は、
わが国
でも考えるべき点であると思います。 しかしながら、このレポートでは、
都市交通
における鉄道の役割りにつきましては非常に評価が低いのでありまして、
わが国
のような
人口
稠密な地域におきましては、鉄道の役割りをもっと重視する必要があると考えるのでございます。
都市
政策
と
交通機関
との調整の問題でございますが、
地方公共団体
の行なっております街路
整備
とか
都市
計画
事業、その他
都市
の
政策
と緊密な関係のありますことは言うまでもございません。この点につきましては、従来からたとえば大
都市交通
圏にかかる
都市
高速鉄道網の
整備
については、
都市交通
審議会等の場におきまして、
関係地方公共団体
の代表の参加を得まして、十分検討の上でこの
整備
計画
の策定を行なっております。さらに具体的な施設の
整備
の段階におきましては、たとえば
地下鉄
の
整備
にあたって、
都市
計画
法に基づく
都市
計画
決定を経て行なうこと等によりまして、十分に調整をしてきたつもりでございます。今後ともこのような
地方公共団体
の連携を強化いたしまして、御指摘の点につきましては、十分配慮をしてまいりたいと思います。なお、共通運賃制の採用でありますとか、相互乗り入れの
促進
とか、運行
計画
の調整につきましては、従来から
地下鉄
と
国鉄
、私鉄の相互乗り入れの実施でありますとか、ハスの共通回数券でありますとか、定期券の
発行
等必要に応じてこれは行なっておるのでありまして、今後とも充実した
交通
サービスの実現に努力をしたいと考えておる次第でございます。 以上、簡単でございますが、お答えいたします。(
拍手
) 〔
国務大臣
金丸信君
登壇
〕
金丸信
19
○
国務大臣
(金丸信君) 御指摘のありましたイギリス
交通
省から発表の二つのレポートは、
都市
環境と自動車
交通
の調和をはかり、また
都市
内における
道路
の有効利用をはかるためのすぐれた
提案
であると私たちは思っておるわけでございまして、この
提案
に基づきますとともに、これを生かして、建設省はこれを現在取り入れてやっておるわけですが、今後とも十分に検討して全きを期してまいりたい、こう考えております。(
拍手
)
中村梅吉
20
○
議長
(
中村梅吉
君) これにて
質疑
は終了いたしました。
————◇—————
中村梅吉
21
○
議長
(
中村梅吉
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後三時七分散会
————◇—————
出席
国務大臣
内閣総理大臣
田中 角榮君 大 蔵 大 臣 愛知 揆一君 運 輸 大 臣 新谷寅三郎君 労 働 大 臣 加藤常太郎君 建 設 大 臣 金丸 信君 自 治 大 臣 江崎 真澄君 国 務 大 臣 坪川 信三君 出席
政府
委員
内閣
法制局長官 吉國 一郎君
運輸大臣
官房審 議官 原田昇左右君
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