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村山(喜)
委員 しかしながら、税法の定めるところでは、一般に公正妥当と認められる会計処理の
基準に従ってやらなければならぬというような
法律の制定あるいは指導原理があります。そうなってくると、その出し入れが明確になればよろしいのだというようなことでは、まあ指導はされるでありましょうが、しかしどうも現実の結果といたしましては、複式簿記を導入して、そして税の取りやすいような形を
商法の
改正によってやろうとしているのではなかろうかと思われるような行政姿勢もあるわけです。この点については、きわめて重要な問題でございますので、そういうような小さな、零細な個人
業者にしわ寄せがこないように、ぜひ徹底して御指導を
お願いをしておきたいと思います。
そこで、次の問題でございます。これは
商法と税法、それに
企業会計原則の接点に関する問題でございますが、今度の
改正を見てみますと、どうも私
たちが
考えておるものとは相反するような
方向のものが出されてきているのではなかろうかという気がしてなりません。それは
商法の二百八十七条ノ二によりまして特定引当金の措置がとられているわけでございますが、今度調整をしたのだということで、この特定引当金の措置等につきましては未処分損益計算として取り出すようになっているわけでございますが、その中身について見ますと、これは幾多の変遷がいままであるようでございまして、私の手元にあります資料によりますと、「税法と
企業会計との調整に関する意見書」というのが、
昭和四十一年の十月十七日に
企業会計
審議会の特別部会で出されておるものがございます。これは税法との
関係でありますが、「
企業会計原則上
利益剰余金に属するとみられている価格変動準備金等について、税法がその繰入額の損金経理を要求することは、
企業会計上妥当でないと
考えられる。」「
企業会計原則によれば、価格変動準備金、海外市場開拓準備金、海外投資損失準備金、証券取引責任準備金、
株式売買損失準備金、特別償却引当金等は
利益剰余金に属すると
考えられている、」こういうような解釈が出まして、そして大蔵省の証券局長から国税庁長官にあてた指導文書によりましても、これは四十三年の二月二日の通達でございますが、これによりましても、「今後
企業会計の
基準に照らして費用又は損失と認められないような租税特別措置法上の諸準備金については、
企業ができるだけ
利益処分方式を採用するよう指導したい、」ところが、この
商法の二百八十三条によりまして計算規則がありまして、決算の公告がそれぞれ
新聞等に出ているわけでございますが、これを見てまいりますと、いわゆるそれは
資本の勘定に入るべきものが損失のほうに計上されるような形をとって会計処理がされているわけですね。
それで、今度この
法律が
改正をされましたときの
内容を、
企業会計原則修正案によりまして
損益計算書と
貸借対照表を比較
検討をしてまいりますと、
損益計算書の中で未処分損益の部として特に振り出してまいりますが、それは、
資本の部に本来は入るべきものでさえも今度
資本の部にはそれを入れちゃいかぬ。そしてそれは特定引当金の部として負債の部に入れなさいということで処理をされようとしているわけですね。そうなってきますと、
貸借対照表が今日決算公告として
新聞には出る、そういう形をとってまいりますと、これは
利益留保性のものが負債の部に計上されているじゃないか。これは本来ならば
資本の部に計上されなければならないのに、これが負債の部に計上された形の中で、いわゆる投資家に提供をされるということになってまいりますと、どう見ましてもB/Sの当期純
利益とP/Lの当期純
利益が一致をしない、こういうようなものも出てくる。私はこれらの
企業会計原則修正案によるところの
損益計算書や
貸借対照表の今後の、まあ
新聞公告に出される
内容を見まして、どうもおかしなことを
考えているなという気がしてなりません。だからこれについては
大臣に答弁を求めるわけにもいきませんが、実務者のほうで説明を願いたいと思うのです。