○青柳
委員 私は、日本共産党・革新共同を代表いたしまして、ただいま提案されております
二つの法案に対し
質疑をするわけでありますが、最初にこの
二つの法案に対する共産党・革新共同の態度を明らかにしておきたいと思います。
結論的に申しますと、この両案はいずれも棄権をする以外に方法がないと
考えております。その
理由は、わかりやすくいいますと、従来の
俸給体系が上に厚く下に薄いという形になっておる。それを全般的にベースアップをするというのがこの法案でございますので、勢い上により厚く下にはあまり厚くならない、比較的にはより薄くなるという予盾を来たしておるからであります。上というのは概略的に申しますと
司法行政に携わる幹部クラスの人たち、またよく職制といわれる人たち、管理職といわれる人たちのことをわれわれは上というふうに概括的にいいたいと思うのであります。そういう人たちに対してこんなに手厚い
給与をしなければならないという根拠はわれわれは見出すことができません。むしろ下級の職にあって毎日労働強化され、国民に対するサービスのために健康をそこなってまで苦心しておられる
方々に対してこそ
給与をもっともっと上げるべきだというふうに
考えております。そこで憲法は
裁判官については
俸給を
法律をもって保障するということになっておりまして、これは、民主主義のもとで
裁判の独立を保障するためには、当然主権者である国民が
法律をもってこれを保障し、一部の勢力が
裁判官の
俸給を左右するというようなことで
裁判の独立を侵害しないようにという
趣旨のものでありますから、われわれはそれがこういう
法律の形で出てくることには当然のことだと思って賛成をするわけでありますけれども、中身が問題だということでございます。そこで、それにいたしましても、下級の
方々に対して従来よりも何がしか改良が施されておるわけでありますから、この
部分については積極的に賛成をする。もちろん不満な点はありますけれども、改良
部分についてこれを反対する筋はないわけでありますから、不十分であるといいながらも賛成をする。そうしますと、勢い、
二つにこの法案が分かれていない以上、上の
部分と下の
部分に分かれていない以上、われわれとすれば、残念ながら賛成もできないし、反対もできない、棄権をせざるを得ない、わかりやすくいえばそういうことでございます。
ところで、
司法行政というものの持っている機能というものはもちろん必要でございます。私どもは
司法行政は必要ないというような
考え方はありませんが、この
司法行政こそが先ほどからよくいわれている中正、公正に行なわれることが大事だと思うのです。これが何らかの要因によりまして不公正に行なわれるということになりますと、事実上憲法の保障している
裁判官の身分というようなものが裏からくつがえされる結果になるわけで、その最たるものが、給料が人によって違う。同じような経歴、同じような能力を持って、同じように働いていながら、ある者に対しては非常に厚いけれども、ある者に対しては低い。明らかにだれが見ても不公正だ。その原因は一体どういうことか。不公正であるべきでないのに不公正であるというのは何ゆえかといえば、それは要するに
司法行政の衝に当たっている上級の
部分においていろいろな
判断をする際に、これはどうも好ましくない
裁判官である。どういう
意味で好ましくないかといえば、わかりやすくいえば、反体制的である。時の
政府の政治方針などに従順でない。
法律は厳格に守る。憲法は厳格に守る。憲法や
法律をじゅうりんしている時の
政府には迎合しないというような気骨を持って、また憲法に保障されている
法律と良心に従って
裁判をする立場で貫く、そういう人間は好ましくないということになって、これを本来ならば首にしたいのだけれども、なかなか、十年の任期のときに拒否する以外手がない。したがって、いやがらせの手段でやめさせよう。これは給料を上げてやらないということが
一つの有力な手段になることは明白であります。もう
一つは、任地をなるべく不便なところに置く。そこに定着させるか、島流し的に左遷するというか、そういうような
措置、そのほかにもいろいろあろうかと思いますが、給料のことが今度は問題になっておりますので、
最高裁に質問いたしたいと思います。
給料について本人が明らかに不公正だというような
措置がとられた場合、これに対して当該
裁判官はどういう方法でその救済を求めることができるのか。
人事院というようなものは
最高裁のほかにあるわけではありませんので、これは
一般の行政職の場合と
裁判官の場合、違いますから、その不服申し立ての方法とか救済申し立ての方法というのは保障されているのかどうか。また過去において、そういう制度があるとすれば、それは活用されていたのかどうか、これをお尋ねしたい。