○沖本
委員 時間がなくなりますので、これからちょっといやなことを申し上げて、それからまた改めていただくところは改めていただかなければならないのじゃないか、こういうふうに
考えます。
これも記事によるところでありまして、私が全部事実を知っておるということではないわけです。しかしこれは十分
考えなければならない日韓
関係の問題だと
考えますので、
大臣も閣僚の一人として政府の方向なり政策決定なり、あるいは自民党の古老の一人として十分考慮していただかなければならない問題ではないかという点について、これは新聞に座談会が出ておりましたからそれを拾ったわけですけれ
ども、これに出られた方は松本清張氏と
宇都宮先生と佐藤勝巳、寺沢一の諸先生方なんですが、これは朝日の十四日の座談会で出ておるわけです。それによると松本清張さんは
——あと飛ばしますけれ
ども、「明治以来、
日本が朝鮮をめぐる謀略に介入している歴史的事実もあるし、ただ主権じゅうりんという表面のことだけでなく、
日本の政界の内部的批判、分析も必要だ。もう
一つ、白昼堂々とあんなふうに連れ去られるということが起こるなら、
日本人自身も不安を
感じる。この点、
警察も政治家もどう
考えているのか。」という点。それから寺沢さんはこの点はいいわけですね。
宇都宮先生のおっしゃっているのは「
日本の
韓国対策を
考え直すことの方が大切だ。
日本は
韓国に援助し、投資もしている。
日本は
韓国経済に大きなウエートを占めている。だが、
韓国内では、援助の一部がピンハネされて
日本に戻っているとの説が定着している。金氏も
日本に求めたいのは、援助が朴政権だけのためでないものにしてほしいということだ、といっていた。この点は、われわれも反省しなければならないと思う。」佐藤先生は「この
事件を契機に、
韓国はダメな国といったとらえ方が広がっては困る。
韓国民がダメなのではない。
日本の歴代政府は、反共の方向で
韓国政府を無原則に政治、経済的に援助してきた。そこにこんどの
事件発生の要因があったと思う。政府筋の一部から、出
入国管理令を再検討すべし、といった意見が出ているが、それはおかど違いだ。この
事件を契機に出
入国管理令を強化する、などということは本末転倒で絶対に許されない。」こういう点と、その
あと寺沢さんの話では「政府は
日本の法律が公然と犯されたことに対して、厳重抗議だけに終わらせず、
犯人の引き渡しを要求し、さらに
事情を明らかにするために金氏に
日本にきてもらうよう強く求めるべきだ。」
宇都宮先生は「朴政権だけが
韓国ではない。北も含めた朝鮮全体との友好
関係、緊張緩和が
日本の
外交の重要課題である。そういう大きな目でこの
事件を見るべきだ。」佐藤先生は「
日本は戦後一貫して、南北の分断の固定化、対立をあおることに加担してきた。そのことがこの
事件で問われている。朝鮮統一を真剣に
考えている人たちに焦点を合わせて
考えなければ、不幸な問題はこんごも起きると思う。政府だけでなく
日本人全部が
考えるべきだ。」松本清張氏は「これは
日本政府と朴政権の間だけの問題ではない。
日本の主権が侵されたうえ、こんな状況では
日本国民が外国に連れ出されることだってあり得ることをまざまざと見せつけた。
日本政府が
韓国に厳重抗議して終わるような問題ではない。国民が発言して、真相を徹底的に究明し、
日本の主権が侵されたことを追及しなければならない」こういう類似記事がたくさん出ているわけです。これは国民全部が読んでいると思います。またいわゆる
宇都宮先生がおっしゃっておる主権の
考え方の中は、国民は独立した国家主権のもとで政府を持ち、生命、財産の安全、言論の自由、経済活動などを保障されている、その主権のもとで安全に生活しているもの、それから外部の力によって不当に自由を拘束されるのは明らかに主権の侵害だ。
大臣が広義だ、こうおっしゃった点ですね。
犯人が他国政府ならもちろんだが、そうでない外部の集団であっても同じことで、
日本政府には
金大中氏の身柄をもとの平穏な
状態に復元する責任があり、それが主権を守ることになるという点を主張しておられるわけです。ですからこういう点は外国のほうも非常に注目してこの問題を見ておるという点何度も繰り返し
大臣もお答えになっておるわけですけれ
ども、ただ
犯人に手錠をかけたということだけでこれを終えてはならないということを言っておるわけですけれ
ども、いま言ったとおり、この週刊現代で
宇都宮先生がおっしゃっておるのは、対韓援助に対してそれにたかる議員がおるのだ、政治家がおるのだ、それが日韓
関係をおかしいもの、まずいものにしておる、それが
日本が弱腰になっている
一つの例だという点も指摘されておるわけです。こういうことがある、ないということは私は事実をつかんでおりませんから言えませんですけれ
ども、こういう内容について、
大臣は、こういう問題をかかえながら今後の対韓援助も
考えなければならない。ただ一方的に
韓国に経済援助をしていくということであってはならないわけですから、その問題の中にもこの問題がからんでいって内在しておるという点を
考えなければならない、私はそう
考えるわけですけれ
ども、
大臣はその点についてどうお
考えでしょうか。またどういうふうにこの問題の
解決に対処していったらいいかという点についてお答えいただきたいと思います。