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1973-06-22 第71回国会 衆議院 法務委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十二日(金曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 中垣 國男君    理事 大竹 太郎君 理事 谷川 和穗君    理事 福永 健司君 理事 稲葉 誠一君    理事 横山 利秋君 理事 青柳 盛雄君       井出一太郎君    植木庚子郎君       住  栄作君    松澤 雄藏君       三池  信君    保岡 興治君       日野 吉夫君    正森 成二君       沖本 泰幸君  出席国務大臣         法 務 大 臣 田中伊三次君  出席政府委員         法務大臣官房長 香川 保一君         法務省民事局長 川島 一郎君         法務省刑事局長 安原 美穂君  委員外出席者         法務省民事局参         事官      田邊  明君         大蔵省主税局総         務課長     山内  宏君         大蔵省証券局企         業財務課長   白鳥 正人君         国税庁長官官房         総務課長    熊谷 文雄君         通商産業省企業         局産業資金課長 栗原 昭平君         運輸省海運局総         務課長     二宮  敞君         法務委員会調査         室長      松本 卓矣君     ————————————— 委員の異動 六月二十二日  辞任         補欠選任   山田 太郎君     正木 良明君 同日  辞任         補欠選任   正木 良明君     山田 太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  商法の一部を改正する法律案内閣提出第一〇  二号)  株式会社監査等に関する商法特例に関する  法律案内閣提出第一〇三号)  商法の一部を改正する法律等施行に伴う関係  法律整理等に関する法律案内閣提出第一〇  四号)      ————◇—————
  2. 中垣國男

    中垣委員長 これより会議を開きます。  内閣提出商法の一部を改正する法律案株式会社監査等に関する商法特例に関する法律案及び商法の一部を改正する法律等施行に伴う関係法律整理等に関する法律案、以上三法律案一括議題といたします。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。稲葉誠一君。
  3. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 商法改正案に対する質問が、いままでずいぶん行なわれてきまして、私も大体拝聴しておったのですが、全然といっていいくらいダブる質問がなくて、実に精密な質問が展開されておるので感心をいたしておった次第です。それを聞かれる皆さん方も、なかなか忍耐心の養成に大きなお役に立った、こう思うのですが、その忍耐心にさらにみがきをかける意味でこれから質問するわけですから、どうかお答えを願いたい、こう思うのです。  この商法改正案が出た当時に、いわゆるサンウェーブだとかそれから山陽特殊鋼だとかいうことで粉飾決算の話がございました。それはいつごろで、その後それが刑事事件としてあるいは民事事件、あるいは民事事件の中には会社更生法の問題も含むわけですけれども、そういう形で、どういうふうな変化をたどっておるのか、その点をお聞かせ願いたいと思うわけです。
  4. 安原美穂

    安原政府委員 いま御指摘粉飾決算関係で、御指摘会社、つまり山陽特殊鋼につきましては、昭和四十年十月七日に、商法特別背任あるいはタコ配当あるいは証券取引法違反というようなことで神戸地裁公訴提起をして、目下公判係属中でございます。サンウェーブ事件につきましては、商法タコ配当あるいは証券取引法違反あるいは不実文書行使罪というようなことで公訴提起がなされております。これまた東京地裁係属中でございます。
  5. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 山陽特殊鋼の問題は、どういうことからそういう事件が起きてきたわけですか。私の質問に全部答えてないのは、商法上の何か問題といいますか、会社更生法適用なんかを受けて、その法の進行も、山陽特殊鋼の場合は何かあるのじゃないですか。ちょっとそういうふうに聞いておったのですが、その答弁も漏れておったわけです。私の聞きたいのは、どうしてそういう事件が起きたかということです。それから、起訴したときの条文です。刑法だけですか、商法上の条文もあるわけですか。適用条文をちょっと御説明願いたい、こう思います。
  6. 安原美穂

    安原政府委員 いま申し上げたのでございますが、山陽特殊鋼刑事事件として発展しました契機は、会社の倒産ということから経営陣のいわゆる失敗というものが表に出たということと承知しております。  それから、適用条文といたしましては、いわゆるタコ配当に関する商法四百八十九条三号の法令または定款に違反して利益配当をしたという商法違反、それから、特別背任といたしまして商法の四百八十六条第一項の、会社の社長であります荻野らが、自己利益をはかるために、欠損であるのに役員に対して毎期七百万円、合計三千五百万円の賞与を支給して、会社損害を与えたという商法特別背任罪、それからもう一つは、五期分について内容虚偽有価証券報告書大蔵大臣に提出したという証券取引法違反、以上三つの罪名でございます。
  7. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 商法特別背任刑法普通背任との構成要件はどこがどういうふうに違うわけですか。故意の内容が違うわけですか。
  8. 安原美穂

    安原政府委員 構成要件にかかわりがなくて、ただ身分による加重犯といたしております。
  9. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると山陽特殊鋼の場合などで監査役はおったわけでしょう。監査役はどういうふうな役割りを果たしてきているのか、監査をやって株主総会に対してどういうふうな報告をしているのですか。それから、これに関連して公認会計士が処分か何かされたように聞いているのですが、その間の経過はどういうふうな経過でしょう。
  10. 安原美穂

    安原政府委員 どういう監査をしたかというような詳しいことはわかりませんが、いずれにいたしましても被告人として監査役が起訴され、公認会計士が起訴されておりますので、会計監査につきまして業務監査につきましてこれらの犯罪についての共犯関係にあったということはわかると思います。詳しいことはわかりません。
  11. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 刑事局関係としてはどういう監査をしたかわからないというのは私も無理がないと思うのですが、この事件発端となって昭和四十一年十一月に法制審議会商法部会監査制度についての審議が開始されたというように聞いておるわけです。そうなれば、山陽特殊鋼の場合に監査役がどういう監査をしたか、公認会計士がどういうふうな認定をしたのかというようなこと、それが今度の商法改正発端になるわけですから、民事局としてはその点はっきりつかんでおるのだろうと思うのですが、そこはどうでしょうか。
  12. 田邊明

    田邊説明員 山陽特殊鋼の場合の監査役商法に定めたとおりの監査をやっていない、ほとんど内容を知らないというような状況であったようでございます。それから会計士のほうは私ども明らかにしておりませんけれども、監査役と同種の仕事をしておったと思われます。  それから、民事責任上は監査役取締役と同じように損害賠償の査定を受けております。更正手続そのものは新聞に出ましたように近く終結する予定である、こういう状況でございます。
  13. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いま公認会計士が起訴されたと言っていましたけれども、それはどういう条文で起訴されていますか。
  14. 安原美穂

    安原政府委員 先ほど申し上げました有価証券虚偽報告書記載の罪の共犯であります。
  15. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そこでお聞きをしたいのは、こういう問題が起きてきた四十年ですか。それで今度法案が提出されたのが四十八年ですね。何でそんなに長くかかったのかということです。ここに私は一つ大きな問題があると思うのです。大臣、これはどうしてこんなに長くかかったのですか。それだけで監査制度について法制審議会へ委嘱して審議が始まってから約七年以上かかっていますね。どうしてそんなに長くかかるわけですか。
  16. 川島一郎

    川島政府委員 商法改正経過につきましては前にも一回御説明申し上げたわけでございますが、昭和四十一年に法制審議会としては監査制度改正について審議を開始いたしまして、それからいろいろ問題点を発表し、経済界その他の意見を聞いたりしておったわけでございますけれども、その結果中間的に民事局参事官室試案というものを発表して、それに対する経済団体、大学その他からの意見を求めまして、それをさらに検討して改正要綱案をつくっていった。このために相当時間を要したわけでございますが、商法部会株式会社監査制度改正要綱案を決定いたしましたのは、昭和四十四年の七月十六日でございます。その後、さらに追加して緊急に改正を要する事項審議するということがございまして、昭和四十五年の三月に追加要綱を決定いたしまして、そういう経過をたどりましたために、最終的に法制審議会総会において要綱を決定いたしましたのは、四十五年の三月と四十六年の三月、この二回に分かれてなされておるわけでございまして、四十一年から見ますと数年経過しておるわけでございますが、問題の重要性各界意見を十分に聞く必要があったというような点から考えますと、これはやむを得なかったのではないか、そのように考えております。
  17. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 昭和二十九年の七月に商法改正する必要があるとすればその要綱を示されたいという諮問法務大臣がしていますね、だいぶ前の話ですけれども。それはどういう内容諮問したわけですか。ただそれだけのことですか。そのときに監査役の問題というのは入ってないですか。なぜかというと、こういうことを考えるのです。何か問題が起きるとそれに対応する法案をつくろうとするのです。しかも、その間ああだこうだ、ずいぶん長くかかって出てくる。いままでの改正のしかたがこういう形になってきている。どうもそういうふうに考えられる。しかも、その改正がぽつりぽつりと出てくるわけだ。商法関係もそうですけれども、民法でも抵当関係なんかでもぽつりぽつりと改正が出てくるのですね。そうして改正案についての要綱というのか、法案の解説というようなのを法務省民事局で書いて出す。それでアルバイトしているとはぼくは言わないけれども、そんなことを言っては悪いけれども、そしてまた抵当権の設定の登記のしかたの変更だとか、ああいうのをぽつりぽつりと出す。そうしてはそれを司法書士会に売りつける。売りつけるということばは悪いが、売りつけるのじゃなくて司法書士会などが自主的に買うわけです。こういう形をとっている。どうもそこのところは、それは給料が安いからアルバイトしなければならぬというのはよくわかるけれども、どうもそういう点がありますね。ぼくはやかましく言ったことがある。新谷さんが民事局長のころにあまり民事局人たちが本を書いて、何か時間中に書いているらしい。材料が集まってくるから書けるわけだけれども、そして本にして出すわけです。あまりそればかりやっているというので新谷さんが民事局長のときにやかましく言って、ああいうのはだんだんやめさせますといっておったんですけれども、法案が提出される前に改正案がいろいろな雑誌に発表されているわけです。広く万機公論に決するわけだからいいけれども、悪いとは言いませんけれども、そこで問題になってくるのはどうして、こうやってぽつりぽつりと改正するのですか。もう少し基本的に取り組んで、商法なら商法改正しなければならぬというのなら、もっと大きくやれないのですか。  二十九年の改正、このときにはどういう必要があって、そして何を諮問したのですか。その中には、今度の商法改正と関連するものは入っているのですか、入っていないのですか。
  18. 川島一郎

    川島政府委員 法務大臣法制審議会に対する諮問といたしましては、たしか、商法改正を加える必要があるとすればその要綱を示されたいという趣旨の包括的なものでございます。したがいまして、今回の監査制度改正、これも商法の一部でございますから、その中には当然含まれておるわけでございますが、諮問自体には、どの部分をということが特定してございませんので、いかなる部分改正する必要があり、それについての審議を行なうかということは、法制審議会の内部において決定して、逐次その改正要綱を決定していく、こういう方法をとっておるわけでございます。御承知のように、民法にいたしましても、商法にいたしましても、非常に国民生活あるいは経済活動に密着した基本的な制度に関するものでございますので、これを全面的に改正するということは、言うべくして、なかなか一挙には行なわれないわけでございます。その一部の問題、民法の根抵当にいたしましても、株式会社監査制度にいたしましても、それを審議するのに数年かかるというのは、これはやむを得ないことであろうと思います。  先ほど、何か法務省が原稿料かせぎのためにやっているんじゃないかというようなお話がございましたけれども、そういうようなことは毛頭ございませんので、誤解のないようにお願いしたいと思います。
  19. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 法務省は原稿料かせぎをやっているとは言わないですよ。これはよく勉強されているから感心しているということを言っただけなんですけれども……。  いずれにいたしましても、たとえば監査役の問題が、山陽特殊鋼なりあるいはサンウェーブとか、そういうような前のときには全然問題になっていなかったのですが、監査役制度のあり方ということについて、そこらのところ、何か事件が起きるとあわてふためいてやるわけですね。しかも、やったところで法案が提出されるまでにずいぶん時間がかかる、時間がかかってしかも内容が骨抜きになってしまっている。そこら辺の経過をぼくは知りたいと思って聞いているわけです。  そこで、この法案ができるまでの問題点というか、民事局昭和四十三年九月三日に、「株式会社監査制度改正に関する民事局参事官室試案」というのを出していますね。その第一のところに「監査役職務及び権限等」というので、一から十五までありますね。その資料の一から十五までは、今度の法案の中にどういうふうに生かされているのですか、あるいは生かされていないのですか、ちょっと一つ一つ説明してくれませんか、これは中でわかりきったのもありますけれどもね。
  20. 田邊明

    田邊説明員 御指摘のように、四十三年九月三日に、民事局参事官室試案が示されておりますが、今回の法律案では、その大綱はほとんど盛り込まれております。ただ内容的には、この試案に対する各界意見を取り入れました結果、最終要綱においては試案とは異なる部分がございます。  大綱的に申し上げますと、監査役職務権限、これが第一の部分でございますが、試案が示しました監査役業務監査権限を与える、及び取締役会に出席して意見を述べるというふうな権限はそのまま盛り込まれております。同じく、法律案にございますような差しとめ請求権限というものも盛り込まれております。  試案と若干異なるところは、取締役不正行為等に関連した監査役権限行使の機能の一部、たとえば取締役会社とのいわゆる自己取引に関する承認権というふうなものに関しては、要綱はこれを取り上げなかったという結果となっております。  第二の資格については、試案要綱は同じ結論を示しております。  それから任期も同様でございます。  「監査役選任」の部分に関しましては、当初の試案監査役選任について、監査役候補者指定権というようなものをめぐる比較的詳細な規定を置いておりましたけれども、要綱の面ではこれが整理されて、修正をいたしております。  その他、試案当時に考えておりました内容要綱が異なった大きい点は、「大会社特例」として取り上げました、たとえば会計監査人欠格事由に関する部分。これは試案で申し上げますと第十一の三でございますが、試案当時には、法律案に示したような内容以外に、たとえば会計監査人監査を受ける会社の株式を千株以上持っている場合、その他その会社に対して五十万円以上の債権債務を持つ場合というふうに、非常に詳細な事由を掲げておりましたが、要綱では、商法上の会計監査人たる者欠格事由として、監査の効力に影響を及ぼす部分のみ取り上げられております。  以上が概要でございますけれども、試案が詳細に示さなかった中間配当制度等は、法制審議会要綱で取り上げて、詳細な内容が決定されております。  そのほか、試案に含まなかったもの、いわゆる追加的改正事項と申しております、累積投票あるいは転換社債の発行あるいは抱き合わせ増資の問題、それから休眠会社整理というふうな事柄は、試案以外の事柄法制審議会要綱において初めて決定されたものでございます。
  21. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 一番大きな違いの点を、いまあなた意識的に言わなかったのじゃないかな。
  22. 田邊明

    田邊説明員 試案大綱においては大きい変更を加えていないと私どもは理解しておりますが……。
  23. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 「第十一 大会社特例」の一、「資本金一億円以上の株式会社は、計算書類について公認会計士又は監査法人監査を受けなければならない。」この点が変わっているのじゃないの。
  24. 田邊明

    田邊説明員 私の比較いたしましたのは、試案法制審議会の決定した要綱との比較でございます。法律案の上ではさらにその要綱とは違った措置がなされております。
  25. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 私の聞き方が悪かったかもしれませんが、法制審議会との違いじゃなくて、現在出ておるこの法案との差を聞いておるわけなんですよ。それが私は一つポイントになると思うからお聞きしておるわけですからね。そうすると、そのポイントは要点を二つ、三つ言うと、どことどこになりますか。
  26. 田邊明

    田邊説明員 法律案試案との相違点につきましては、まず第一の監査役権限についての点、その監査役権限部分につきましては、試案が示しておりました監査役取締役解任のためにする株主総会招集請求権、これは法律案では削っております。それから監査役任期に関する部分がございます。試案ではその任期を「就任後三年内の最終決算期に関する定時総会の終結まで」といたしましたが、法律案ではこの部分を二年に修正いたしております。それから、試案で取り上げております第六の監査役の報酬、第七の監査費用規定、これらについては法律案では新たな規定を設けておりません。それから次に大きい点は、御指摘の第十一の大会社特例適用を受けます株式会社の対象が、試案では資本金一億円以上の株式会社でございますが、法律案では資本金五億円以上の株式会社というふうに改まっております。  以上の点が重要な相違点であろうかと思います。
  27. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いま言ったような相違点がなぜ出てきたのかということですね。あなた方が試案をつくったとき、あるいはそれが法制審議会をパスしたとき、法制審議会をパスということばがいいかどうか別ですけれども、そのときの内容が今度の法案の中で変わってきているわけだ。なぜ変わってきたかということだ。あなた方が試案をつくったときはそれが最良だと思ってつくられたに違いないし、たとえばそれがたたき台だという意見なら、たたき台ということもあるでしょうけれども、少なくとも法制審議会を通った時点では、たたき台ということは学者の方々に失礼だと思うのですよ。そうなってくると、試案であり、法制審議会を通ったものが、どうしてこの法案の提案になるまでの過程で、三四年はあるかと思いますが、なぜ変わってきたのか、そこですよ。それをやはり説明していただかないと、ちょっとわからないと思うわけです。
  28. 川島一郎

    川島政府委員 ただいまお話がありました試案、それから法制審議会において決定になりました要綱と比べますと、今回提出いたしました法案内容は若干重要な点において異なるものがあるわけでございます。なぜ変わったかというお尋ねでございますのでごく簡単に申し上げますと……(稲葉(誠)委員「いや、簡単でなくて、そこのところを詳しく説明してもらいたい」と呼ぶ)もともと株式会社監査制度をどのようにするかということはきわめて重要な問題でございまして、改正しかたいかんというものは実際の経済にも大きな影響を持つわけでございます。したがいまして、法制審議会における審議段階からすでにいろいろな議論が分かれまして、実際界と学者の間の見解の相違あるいは大会社と小会社との間の取り扱いをめぐる意見相違、そのほかいろいろな問題があったわけでございます。したがって事柄によりましては、全員の一致のもとにきまった事項もございますけれども、必ずしも全員の完全な了解のもとに成立したと言えない条項もございます。そのような結果、この法制審議会要綱が出ました後におきましても、これを法案作成する段階におきましていろいろな問題があったわけでございます。その二、三を申し上げますと、中小企業関係におきましては、今回の監査制度改正というのは大会社を中心に考えた改正ではない、たとえば監査役権限業務監査に拡大するというのは、大会社においては必要であるかもしれないけれども、中小会社においては必ずしもその必要はないのだ、のみならずそういう業務監査というわずらわしいものをあまり必要のない中小会社にまで強制すると、中小会社運営に非常に支障を生ずる、こういうような意見があったわけであります。  それからまた御承知のとおり今回の改正では、公認会計士あるいは監査法人といったものを株式会社決算監査に充てるという点があったわけですが、この点につきましては税理士会のほうから、これを商法上強制することによって自分たちの職域が侵害されるおそれがあるということで、これもかなり強い反対が示されたわけでございます。  他方また経済の実際界、大会社の側におきましては、監査役権限とか地位が一挙に強大になり過ぎると、従来の会社運営との断層が大き過ぎて混乱を生ずる、このような反対と申しますか批判と申しますか、そういうものがあったわけでございます。したがいまして、法制審議会要綱最終的に確定いたしましたのは、監査制度につきましては四十五年、その他の事項につきましては四十六年でございますが、今回法案を国会に提出いたしますまでに法務省といたしましても何度か案をつくり直しまして、問題となりました点につきましてはすべて相当な考慮を加えたということでございまして、その結果要綱と今回の法案との間に相当重要な点において異なるものが出てきたということでございます。しかしながらこの法案作成にあたりまして、法制審議会の意図しておりました点は、これは十分貫いておるというふうに考えておりますので、こまかい点につきましてはまたお尋ねがあれば申し上げたいと思います。
  29. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると法制審議会で決定される段階では、いま民事局長が言われたような問題点が出てなかったんですか、あるいは出ていたんだけれどもも考慮しなかったんですか、あるいは学者というのは世情にうといから、そういう点よくわからなかったというのかどうなのか、そこら辺が一つですね。  それから少なくとも民事局参事官室試案をつくり法制審議会で決定されたそのものが、相当大きく変色されて出てくる、変色がいいか悪いかということを言っているのではなくて、そのことについて法務省当局としてはどうなのか、やむを得ないというのか不本意というのか、どういうふうに考えているんですか、その点はどうなんですか。
  30. 川島一郎

    川島政府委員 まず法制審議会審議段階において、今度改正案を提出するまでに修正したような点が議論に出なかったかどうかという点でございますが、この点は一部分議論されております。かなりその点に議論が集中いたしまして、その結果、先ほど申し上げましたように、若干要綱作成がおくれたというような経緯があるわけでございます。まあこれは法制審議会構成にもよることかと思いますけれども、法制審議会商法部会というのはどうしても学者の方が中心でございます。もちろん実務家の方も入っておられますし、そのほかの方も入っておられまして、議論は十分尽くすわけでございますけれども、考え方といたしまして、なるべく理想的な案をつくりたいという考え方が働いたということは事実でございます。  それから今回の修正について法務省はどう考えておるかという点でございますが、私どもといたしましては、法制審議会要綱において意図した点は十分今回の法案にも盛り込んだつもりでございますし、また法案作成の過程におきましても、法制審議会商法部会というのが何回も開かれております。そのつど経過を申し上げまして、現在こういう問題が起こっておる、その点についてはどのように対処したらいいかということは、商法部会で絶えず御協議をいただいておるわけでございまして、今回修正いたしました点につきましては、事後的にではございますけれども、法制審議会要綱を答申された後ではございますけれども、商法部会あるいは法制審議会総会に御報告いたしまして、この御了承をいただいております。したがいまして、現状において、今回提出いたしました法案というのは妥当なものであるというふうに考えておる次第でございます。
  31. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 これはあなた、妥当なものであると言わなければたいへんなことになるものね。これはやむを得ないことなんですけれども、わかりますけれども、聞くところによりますと、法制審議会のことを言うとあれですが、法制審議会というのはあまり出席がよくないということはほんとうですか。ことに実務家の方の出席がよくないということが言われますが、これが一つ。  それから、この法案が通らないと、通るかどうかわかりませんけれども、どうなるかなどと立法府でそんなことを言うのはおかしいのですけれども、まあこれは別として、まずこの法案が通らないと新しい商法全体の改正のことについて、法制審議会では審議を始めないということがあるのですか。これはほんとうですか。
  32. 川島一郎

    川島政府委員 出席の点でございますが、これは非常に皆さんよく御出席いただいておりまして、ほとんど欠席される方はまれであるという状態でございます。  それから今後の審議でございますが、商法部会におきましては、この商法改正の問題を終えました後に、現在会社関係改正の問題がございますので、この問題について審議を行なったわけでございまして、本年の二月にその審議を終えて、最終的な要綱を決定し、大臣に対する答申もなされております。おそらく引き続きまた本年度からは新しい事項についての審議が行なわれる、このように考えておる次第でございます。
  33. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そこで私は、この大会社特例で、資本金一億円以上の株式会社というふうに初めなっていたわけですね。それが今度変わったわけですけれども、変わったのがいいとか悪いとかという議論は抜きにして、そういう意味で言うのじゃないですが、この一億円以上の株式会社公認会計士監査法人監査適用するというふうにあなた方も考えたわけでしょう。その考えた根拠は、それなりに根拠があったわけでしょう。それが正しいと思ってやったわけなんでしょう。初めから、これはあぶなっかしい、もう無理だというふうに考えてやったわけなんですか。一億円以上の会社適用しなければ、粉飾決算など防ごうというこの法案の趣旨がなくなるというふうに考えていたんですか。これはどうやって出るまでの過程で変わってきたのですか。
  34. 川島一郎

    川島政府委員 株式会社決算に専門家の監査を受けさせるということは、まあ粉飾決算の問題が契機となってにわかに要望が高まってきたわけでございますけれども、しかしその以前からあったわけでございます。その目的とするところは、株主とか債権者、従業員、まあそういった者の利益を保護するということでございまして、特に大会社の場合には、決算が不適正であったために会社が倒産したり営業状態が悪くなるという場合には、その及ぼす影響が非常に大きいという点を考慮されたわけでございます。したがいまして、もともと大会社ということを念頭に置いておったわけでございますけれども、その場合、これを一億円以上とするのがいいのか、あるいは二億、三億とするのがいいのかということは、ある程度見込みの問題でございます。したがいまして、この商法改正案を法制審議会審議しておりました当時には、おおむね一億ということで、その辺が切りがよかろうということできめられたものでございまして、法制審議会自体といたしましても、一億以上の会社に対して直ちに、即刻足並みをそろえてこの制度を運用していくということは考えていなかったわけでございます。そのことは要綱にも、段階的に適用するということが注で書いてございます。そういうわけでございましたところ、その後いろいろな情勢を見てまいりますと、会社の規模が急速に拡大していく、それから公認会計士の数とか会社の数といったものを考えますと、必ずしも一億が絶対の線ではないというふうにも考えられたわけでございまして、この点につきましては、法制審議会におはかりいたしましたところ、そこは必ずしも一億という数字にこだわる必要はないというような御意見もございましたので、いろいろな実情を勘案いたしまして、修正いたしたわけでございます。
  35. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 その「一億円以上の」というふうに案を出したときには、それなりのやはり根拠というか、確信というのはあったのでしょう。ただ大ざっぱに出したというわけでもないのでしょう。いま法案が変わってきたから何か聞いてみると、いや、そのときにこういう根拠もあったんだということを言いづらくなってきたのかもわかりませんけれどもね。  もう一つの問題は、大会社中小会社というか、それを同じ会社法で適用しているというところに実際の無理があるんじゃないですか。その辺についての考え方というのはどういうふうにしているのですかね。これは現実に裁判をやっている方がそういうことをはっきりおっしゃっていられるのです。たとえば長谷部さんの「裁判会社法」でも、長谷部さんはそういうことを熱心に言われているわけだけれども、中小企業会社というものは、ほとんどと言っていいくらい、現在の会社法の規定を守っていないわけです。現実に守れないわけです。公正証書の不実記載なんというものはざらにあるというか、ほとんどですね。株主総会を開いたようなかっこうをしているだけの話で、何もやっていないで、形だけやっているような形でみんな処理されているわけでしょう。その辺のところから考えても、現在の会社法を、大の会社と中小の会社と二つに分けて、それぞれそれに適したような形に変えていかなければならないのだ、こういうのは実際の実務をやっていらっしゃる方の全部の考えではないし、それから支配的なものだともちょっと言えないし、長谷部さんの考え方は一部であるかもわかりませんけれども、現実に商業関係の裁判をやっておられる方がああいうふうに言っておられるわけですからね。あなた方としてはその点についてはどういうふうに考えているわけなんですか。本件の中でも、最初出したものについて中小企業のほうからいろいろな要望が出てきた、実情に合わないという要望が出たというわけでしょう。それなら会社法というものを二つに分けて——実際どこでどう分けるのか技術的にもむずかしいと思うので、理論的には分けろといえるけれども、実務的にはこれはなかなかむずかしい問題があると思いますが、理論的にもそれから場合によれば実務的にもというか、大きな会社適用されるものではあるけれども中小の会社にはそれは適用しないという形で、二つに大きくジャンルを分けていくという考え方は、法務省としてはどういうふうに考えておりますか。
  36. 川島一郎

    川島政府委員 御指摘の問題は非常に重要な問題でございまして、私も個人的には先生のお考えと同じような考えを持つわけでございます。現在の株式会社というのは大衆から資金を集めて企業をやっていくということを念頭においてつくられておる制度でございまして、したがって大企業というものを前提として考えておるということがいえると思います。しかしながら、実際には資本金一千億以上の大会社から、下は個人企業にひとしいような小規模の会社というものまでございまして、その数は百万をこえているわけでございます。小さな規模の株式会社になりますと、御指摘のように、株主総会を開くようなこともしないし、貸借対照表の公告もしないし、株券も発行しないというような会社が相当数あるわけでございまして、こういった企業につきましては、さらにそういうものに適するような規制というものを考えていかなければならないと思います。この点は仰せのようにおそらく商法に関心を持っている人みんなの認めているところであろうと思います。したがいまして、経済界あたりからもそういった株式会社の規模に応じた規制の方法を考えてくれという要望は相当以前から出ておるわけでございます。  これがなぜできないのかと申しますと、先ほどお触れになりましたように、経過的な措置というものが非常にむずかしいということであろうと思います。その扱いいかんによってはかなり混乱が生ずるおそれがある。しかしながら、それをおそれておったのではいつまでたっても改正ができませんので、何らかの方法を考えながらそういった分けた規制のしかたを進めていく必要はあろうと思います。今回の監査役権限の問題にいたしましてもまさにその一つのあらわれでございまして、今後どういうやり方がいいかというのは法制審議会商法部会で考えていただける問題だと思いますけれども、そういった問題につきましては今後の重要問題としておそらく検討されていくであろうというふうに思います。
  37. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 あなた方の答弁を聞いておると、法制審議会で考えてくれということをよく言うけれども、法制審議会が考えるのじゃなくて法務省が考えるのじゃないのですか。法制審議会というのはどういう性格なんですか、ちょっとよくわからない。審議機関ですか。
  38. 川島一郎

    川島政府委員 もちろん法務省の責任で考えなければならない問題でございます。しかしながら、商法という基本的な法律の、しかも企業の基本的な株式会社に関する問題でありますので、私どもといたしましてはこういう点に問題がある、したがってこの点についてこういう考えはどうであろうかということは法制審議会においても申し上げますけれども、これは当局側として申し上げるわけでございまして、その点について十分学識者あるいは経験者の方々の御意見を伺った上でまとめていきたい、こういうふうに考えておりますので、そういう意味で法制審議会審議を経てきめていきたい、このように申し上げているわけでございます。
  39. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 大臣、この法案がいま出ているわけでしょう。いまの段階ではかりに通ったとすればということしかないわけですけれども、そうしたら監査役権限が強化されて粉飾決算が防げるのですか。この法案ではそんなことはないのじゃないですか。それはこの法案を見て率直な感じですよ。感じだから間違っているかもわかりせまんけれども、たいして内容がないという感じがするのです。どうもそういう感じを受けるんだな。これで粉飾決算を防げるのですか。どういうふうにお考えでしょうか。
  40. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 山陽特殊鋼事件のような事件が起こりまして、よく流行しております粉飾決算、逆粉飾決算というようなものをなくするためには監査制度の強化をしなければならぬという意向は各方面から先生御承知のように強く出てきたわけであります。したがって今度の改正は、それだけではないのでありますが、それが動機になっておる、こういうことでございます。  さて、その結論としまして、ここにお手数をわずらわしております改正法案というものの実施ができて、具体的には監査制度の強化、これが行なわれて、粉飾決算、逆粉飾決算などというものがなくなる見通しがあるのか、そんなことは形だけで役に立たぬのではないかという先生の御意見があるので申し上げるのでありますが、法務省、政府当局はそうは考えていません。これは非常に効果がある、こう考える。どうして非常に効果があるのかというと、監査制度を強化をいたしまして、従来までの会計の帳じりだけを見る、いわゆる会計監査制度から業務監査制度にこれが拡張されていく。そして材料の買い入れから生産工程から、でき上がった製品の販売ルートに至りますまで、詳細なる検討を加えるという権限ができてくる。もう一つ重要な事柄は、その監査役取締役会に出席をする。取締役会を招集する権利はしばらく遠慮したのでありますけれども、取締役会に出席をいたしまして所見を述べる。所見を述べて、これはいけない、逆粉飾じゃないか、これは粉飾じゃないか、この内容はおかしいじゃないか、この貸借対照表は妙じゃないかということになってまいりますときに、損益計算書、剰余金の計算書、こういうものを拝見をいたしまして、これはおかしいではないかということになりましたときには差しとめ請求もできる。ちょっと待て、それを印刷してそれを公表していって、それを取りきめることはいけないではないかということの差しとめの請求ができる。むろんこの差しとめの場合は、じょうかん違反、商法違反というものがないといかぬのでありますけれども、……(稲葉(誠)委員「じょうかんて何ですか、定款をじょうかんとは読まぬでしょう」と呼ぶ)定の字をじょうと発音することはおかしくございません。法学博士の言うておることでございます。(笑声)そういうことでございますので、それを聞かざれば裁判所に請求して仮処分の処置ができるほどの強い権限も持たしておりますので、監査役がしっかりした、経験豊かな大物で、当該事業の中身というものをよく存じ知っておるという人物を得ること、まことにむずかしいことでありますが、そういう人物を漸次日を追うて訓練しまして、そういう人物を得られるようになってまいりますと、粉飾決算のごときはたいへんできにくくなる。これはよいかげんなことではございません。理論的にもそう見ておる。実際の運営においてもそういうことになる、こう考えておるのでございます。
  41. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それは希望ですよね。そういうのを希望的観測というのですがね。  それでは法学博士にお聞きするんだけれども、会社会計監査人との関係は、法律的にはどういう関係になるのですか。民法上どうなっているか。
  42. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 それは会社の、任命関係でなしに、委任関係だと思います。
  43. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 普通の委任でなくして、準委任といっていますね。これはどういうわけですか。
  44. 川島一郎

    川島政府委員 普通の委任というのは法律行為を委任するわけでありますけれども、法律行為に限らず、事務的な、いろいろ監査など加わるわけでありますから、委任に準ずるという意味で、普通、準委任といっているわけであります。
  45. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、委任にしろ準委任にしろ、民法上では、何どきにおいても解約するようなことはできるわけですね。その歯どめは今度の法案ではどうなっていますか。
  46. 川島一郎

    川島政府委員 会計監査人の解任につきましては、規定がございます。取締役会がするわけでありますけれども、監査役の過半数の同意を得なければできないという趣旨の規定がございます。
  47. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そこでどうして、全員の同意を得なければ解約できないというような形にしなかったのですか。過半数というのはおかしいんじゃないか。
  48. 川島一郎

    川島政府委員 監査役全員としなかったかということでございますか。これはいろいろ、場合にもよりましょうけれども、監査役の過半数が同意すれば、取締役がその解任の権限を乱用することは防げるであろうという趣旨でございます。
  49. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 では、監査役の実態調査を法務省でやったことあるでしょう。これは浦野雄幸氏がやったことがある。あれはぼくも知っている、勉強家ですけれども、実態調査やったことあるでしょう。外国の監査制度の研究なんかもしていますけれども、何か、監査役の実態調査やったようですね。そうすると、どういう結論が出てきたのですか。監査役にはどういう人がなっているのですか。何か、議員がなっているのが多いという説もあるんだけれども……。
  50. 田邊明

    田邊説明員 監査役に関する実態調査は、この要綱案をつくる前の段階にいたしました。御指摘のように、監査役の資格、つまり実質的にどういう資格を持った人がなっているかという調査をいたしました。その結果では、過半数以上の者は当該会社の実務経験を有する人が多いわけでございます。それから最近の調査もやっておりますけれども、この調査によりますと、いわゆる大会社に関しては従前とそう変わりはございません。最近の調査では、特に一億円から下の閉鎖的な会社を調査しております。その結果は、御指摘のように、特定の職業、資格を持つ人、たとえば税理士それから公認会計士、そして国会議員、地方議員というふうな資格を持たれる人が案外多いという結果が出ております。これは閉鎖的な会社の場合でございます。
  51. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そこでお聞きしたいのは、監査役権限強化はわかりましたが、監査役の身分関係。やはり会社一つの役員であっていて、会社から常時報酬をもらっているわけでしょう。それをそのままの形にやはり残しておくのですか。ここはどういうふうにしようというのですか。
  52. 川島一郎

    川島政府委員 役員であって、役員報酬をもらうという関係は、特に変わりはございません。
  53. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そのままでそれを残しておいて、監査役権限を強化したから、あなたは、粉飾決算がなくなるというふうに言えるのですかね。それは無理じゃないかな。何だか、監査役制度そのものに対する一つの新しい考え方というか、そういうふうな改変がなければ、とても無理じゃないですか。そういうのは考えませんか。また、そういうのはできないというのですか、日本の場合には。外部の者、監査役というのは会社の役員じゃないという形にはできませんか。それは無理かな。
  54. 川島一郎

    川島政府委員 まあそういう考え方もあるかと思いますけれども、現在の制度で考えておりますのは、株式会社の内部の監査機構を強化する、会社自身のチェック機能を増大させるということでございますので、監査役の、役員であるという地位に変更を加えることはしなかったわけでございます。  ただ、いままでと同じ形にしておいて十分その監査の実があがるかという点でございますが、今回の改正では、権限が拡大され、地位もいままでに比べますと若干強化されております。そういった点から、実際の経済界などにおきましても、商法改正を機会に、それにふさわしい人物を監査役に充てたいという動きもあるようでございます。それからまた、最近の企業の社会的責任というような問題が起こっておるおりから、企業としても十分監査役というものに監査機能を発揮してもらって、そして汚名を挽回する、と言っては言い過ぎかと思いますけれども、国民の企業に対する信頼を得たいというふうに考えておるようでございますので、そういったいろいろな条件のもとで、今回の改正はかなりの効果を期待できるのではないか、われわれとしてはそのように考えておるわけでございます。
  55. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 企業の社会的責任ということばが出てきましたが、じゃ、それを全うするための一つの方法ですね、あなた方のお考えでは監査役権限強化は。私も抽象的にはそうだと思いますけれどもね、実際はあまり意味のない法案だと思うのです。意味があるようにしなればいけないとも思うのですけれどもね。そのほかに商法全体の改正として、いまの企業の社会的責任とも関連してどういう点を改正しなければいけない、こういうふうに大臣は、これはこまかい点はいいですけれども、お考えになっておられるのでしょうか。
  56. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 企業の社会的責任を実現をするためには、何といっても基本的な第一のものは、今回お願いをしております監査制度権限の強化改正であると存じます。それに続いて必要なことは、どうしても取締役会、社長を中心とする執行部でございます、この取締役会の組織運営権限というものについて根本的な改定を加えなければならない。もう一つございます。それは先生仰せの企業の社会性に最も直結をしております株主総会の組織運営でございます。組織運営権限という、これにつきましても、企業に社会性を持たすためには、監査制度だけでなしにこの面にも力を入れなければならない、この三つあるわけです。何で一緒にやらぬのか、こういうおことばが出そうに思いますが、それは一挙にやりますとびっくりぎょうてんをしてしまって、企業はなにぶん生きておるものでございますから、今回一番大事な基本的なものでございますから、これを先にやらしていただいて、実施の状況をつまびらかに見て、その上で残余の抜本的改正にも手をつけたい、こう考えております。
  57. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いま三つのものが取り上げられておって、監査役が一番先に出てきているわけですけれども、これは偶然に山陽特殊鋼とかそういうことがあったので飛びついたというか、世間がそういうことだったのでやったので、本質的にいえば、やはり執行機関が中心ですよ。執行機関がやるので、監査役なんというのは執行機関を十とすれば一か二くらいということしかないと思う。あるいはそこまでいかないくらいかもしれぬのですからね。そこで大臣取締役会株主総会と言われましたよね、これはきわめて抽象的なんですよ、話が。具体的にはこれはどういうふうにしようとしておるのですかね。それはこれからだと言われるかもしれぬけれども、これからだといったって、それは問題になっているところなんだから、ある程度のところはこういうふうにしたい、こういうふうにしたいということが大臣の口から出てこなければ、これは答えにならないのですよ。そこらはもう少し、あなたはいつも明快な答えをされるわけですから、取締役会をどうしたいか、株主総会をどうしたいんだ、こういう具体的なものが何か出てこないのですかね。そうでなければ意味がないですよね。そこはどうでしょうか。一言大臣からひとつ、あとこまかい点は別として……。
  58. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 先生仰せのように監査役制度の強化問題だけを取り上げた、それから取締役会、執行部を中心とする制度だけを取り上げて、それからもう一つ株主総会だけを取り上げて、三つを並べてみると、監査役制度よりあとの二つのほうが大事なものだということは確かにいえるのです。いえるのですが、このたび私たちがねらいを持って改正をお願いしておりますのは、監査役制度を強化して、そして取締役会の行動、反社会性をチェックするようにしよう、このチェック機能というものを持たすことにねらいを置いております。それから株主総会が反社会性を何とかかんとか言われるような、三分か五分間の会議でさっと終わってしまう、形だけというようなことを是正するためにも、監査役が中心となりましてつくり上げますそういう一切の計算書類、損益計算書、それからいわゆる剰余金の計算書、貸借対照表といったものは全部事前にこれを送り届ける。そして株主総会招集の招集状に添付してこれを送り届けるというようなことで、それは監査役が責任をもってチェックをいたしましたものを持っていくのだ、そして判断材料を事前に与えておくのだ、こういうことにいたしまして理想の運営株主総会においてもやってみたいということをねらっております。そういうねらいから申しますと、どこが中心になるかというと、監査制度の体制強化ということが中心となるので、まずこれに手をつけておる、こういう気持ちでございます。
  59. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 私が聞いているのは、いま監査役の問題と取締役会の問題と株主総会の問題、三つ出ているわけですね。三位一体で相互補足しながらということになると思うけれども、いま大臣の言われたのは、いま法案監査役権限強化の法案が出ているものですから、それが取締役会なり株主総会にコミットしてくるというのか何というのか、影響力を持ってくるというのか、何といいますかな、そういう関係だけを取り上げて、取締役会自身の問題、株主総会自身の問題としてたとえば法律改正なら改正ということでどういうふうにしなければならないかということの考え方、これを聞いているわけです。それは抽象的な話しか出てこないわけですね。それじゃお答えにならないのじゃないか。聞きたいのはもっと別な点というか、それ自身の問題をどういうふうにしていくかということが問題じゃないか、こう聞いているわけです。
  60. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 よくわかりました。それは大事な点でございますが、今後時間をかけて検討をいたしますことと、このたびの改正によります実施をいたしまして、実施の状態を勘案いたしまして考える点もございますけれども、基本的な大事な御質問に対しましては、基本的なものについては民事局長からお答えいたします。
  61. 川島一郎

    川島政府委員 お答えをする前に、今度の監査制度はいわば粉飾決算の問題が起こってから思いつきにやったのじゃないかという感じに受け取れたものですから、その点をひとつ釈明させていただきたいと思います。  御承知のように証券取引法というのが戦後間もなくできまして、公認会計士監査というものが始まったわけでございます。そのころから商法制度との関係がどうなるのかということが問題になっておりまして、三十年代になりましてから公認会計士監査制度が整備されてまいりました。そのころからもうすでに何とか商法改正を考えなければいけないのではないか、こういう議論があったわけでございまして、問題はその辺から尾を引いているわけでございまして、粉飾決算の問題がそれに拍車をかけるということになったわけでございますけれども、これは早晩手をつけなければならない重大な問題の一つであったわけでございます。それから御承知のように商法は戦後改正が加えられまして、特に昭和二十五年にアメリカの制度を大幅に取り入れた形の改正が行なわれまして、それが実用にはたして合うのか合わないのかというような点もございまして、法制審議会商法部会では全面的に株式会社制度については検討する必要があるということになったわけでございまして、今回の監査制度改正は、そのいわば一番最初の仕事ということがいえるかと思います。今後株主総会あるいは取締役会改正がおそらく議題にのぼってくることと思いますが、従来株主総会につきましては、現実の姿と法律規定との間に非常に大きな差がある。実際の株主総会というのは株式が大衆化されたということもございますけれども、白紙委任状を集めて、そして形式的にごく短時間に済まされてしまう、こういう形でございまして、はたしてこれで会社の最高機関としての機能が果たしていかれるのかどうかということが問題になるわけでございます。  そこで株主総会改正につきましては、いわば相反する二つの考え方があろうと思います。一つは、株主の議決権などの権利の行使を容易にさせる、そういう意味で、現行法では認められておりませんけれども、書面による決議なども認める、そういう緩和の方向に向かったらどうかという意見、それからもう一つは、いわゆる所有と経営の分離と申しますか、そういう立場をさらに徹底いたさせまして、株主総会には定款の変更であるとか役員の選任、その程度の権限を持たせることにしておいて、利益の処分であるとか決算というようなものは取締役の責任において行なわせる、こういう形に持っていって、そのかわり取締役に対する監督を強化する、その方策を別途考えていくべきではないだろうか、こういうような問題があるわけです。  それから取締役会につきましては、現在社長とか会長とかいうのがおりまして、それが一番権力をふるっておる、あとは社内重役でもってその号令に従って動いておるというような傾向が一部になしとしない、こういった形をもう少し商法の所期するような方向に持っていくためには、取締役会権限とかそういったものについて検討を加える必要があるのではないか。以上のような点が大きな問題点としてあげられると思います。しかしこれは別に国の政策的な問題ではございませんし、やはり実際界の意見を聞きながら、また学識経験者の意見というものを十分に聞きながら改正していかなければなりませんので、いずれの方向が妥当であるかという点につきましてはちょっと私からもお答えいたしかねる次第でございます。
  62. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いまの株主総会にしろ、それから取締役会にしろ、それから監査役の問題もそうかもわかりませんけれども、経済界の実情というか、そういうふうな実際の動きを法律で、ことに商法で規制しようとしても一体どこまで効果があるのかということが基本的な問題ですね、刑法と違いますから。民法の場合もちょっと違う。商法の場合はそういうところは弱いというか何というか、経済界が先に走って、商法が、どういうことばが正確かは別として、あとで規制する程度のことしかありませんし、それがいまの資本主義体制といえば資本主義体制なんだから、そういう法律改正してつくったらどうこう変化があるというようなことはなかなか問題だと思うのです。それはそれとして、まだ商法全体にいろいろな面から考えなければならない点がたくさんあるというふうに思うものですから、これは法案としてやるならやるというような形で早くやってもらうものはやらなければならぬと思うのです。  そこでいろいろな問題の中で、一つはたとえば海商法改正の問題、これは実は今度の国会に出てくるものだとばかり思っていたのです。国際条約は昭和三十二年の十月十日に締結されていたでのすね。海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約が締結されて、これはずいぶんおくれて四十三年五月三十一日に発効しているのですが、四十二年十月から批准の要望が来たけれども、運輸省からも法務省に対して国内法の促進方の申し入れが六、七年前にあったわけでしょう。これは非常に大きな問題なんです。この問題はどういうのがいいのかというのはわかりませんが、いまの海商法がいかにも立ちおくれておって——条約、が締結されているのは三十二年ですからね。この間の関係はどうなっているのですか。どうして今度の国会に出てこなかったのですか。去年の十二月に小委員会では審議を終わったのじゃないですか。ことしの二月六日に法制審議会総会要綱案が決定されているでしょう。どうして今度の国会に出てこないのですか。その関係はどういうふうになっているのですか。
  63. 川島一郎

    川島政府委員 船舶所有者の責任の制限制度に関する要綱案というものは、仰せのとおりことしの二月六日に法制審議会で決定されております。法務省といたしましては、お尋ねのような経緯もございまして、なるべく早い機会に、できれば今国会に提出いたしたいと考えまして鋭意法案作成につとめたわけでございまして、おおむね法案の原案というものはできたわけでありますが、これは実体の規定もございますけれども、手続の面で非常に複雑したものがございまして条文の数にいたしましても百条という大法律になりまして、最後の仕上げの段階でちょっと法案の提出期限に間に合いかねたということもございまして、今回の提出を断念せぜるを得なかったわけでございます。次の国会には必ず提出いたしたい、このように考えております。
  64. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 次の国会には必ず提出したいというようなことは民事局長が言えるのかいな。大臣が言うことじゃないのか。民事局長にそんな権限があるのか。したいと思うというのならいいのかな。  それでどうですか、どういう点が今度提案したいと思う法案内容で、現行法はどうなっているのか。
  65. 川島一郎

    川島政府委員 簡単に申し上げますと、現在の商法上では船舶が航海中に衝突したとか沈没したとかいうような事故によって多くの損害を発生させたという場合には、船舶の所有者が責任を負うことになっております。その責任が非常に多額になるのが普通でございますので、その責任を制限するために委付主義というのが設けられておりまして、船舶とか運送料、そういった海産を債権者に委付いたしまして、その限度で責任をまかなってもらう、こういう制度がとられておるわけでございますが、船舶が沈没して海底に沈んでおるという場合には、債権者としてはほとんど損害の賠償が得られないということになりまして非常に不合理な制度でございますので、これを船舶のトン数に応じた金額の限度で責任を負うといういわゆる金額責任主義に改めたいということでございます。その点が中心でございますが、手続につきまして、まずその責任金額を供託いたしまして、それから債権者を確定し、その上で均分に、まあこれは物の損害と人に関する損害とでいろいろこまかい制約もございますけれども、債権額の割合に応じて分配する、こういうことになるわけでございまして、内容的には非常に手続の面が複雑しておる、こういうことでございます。
  66. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 その条約は四十三年五月三十一日に発効しているのでしょう。発効していて、あなた、もう五年もかかっていて、まだそれに対する国内法ができていないのですか。ちょっとそれはおかしいのじゃないか、外国に対する信義の問題もあるし。外国はもうほとんどこれに伴って国内法をつくっているのじゃないですか。
  67. 川島一郎

    川島政府委員 条約の批准はまだ行なわれておりませんので、法律案と同時に批准案を提出するということにしなければならないと思っています。外国では、イギリス、ドイツ、フランスなど主要な国がすでにこの条約を批准し、国内法の制定をいたしております。
  68. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 現行の会社法というのは、できたのはこれはいつでしたかね、ずいぶん古いですね、明治何年でしたかね。
  69. 川島一郎

    川島政府委員 おそらく商法が制定されて以来と思いますので、明治三十二年かと思います。
  70. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 明治三十二年には船が何隻あったたかという質問はしませんけれども、とにかく、いずれにしても時代おくれもはなはだしいので——それをやらないのだな、こういうようなこと。まあそれは別として……。  それからもう一つ問題になってくるのは、外資が日本にいろいろな形で入ってきますね。それに関連して、この本法案の中にも一部出ていますけれども、どういうふうにしてそれに関連して商法、ことに株式会社法、これを改正しなければならないか。こういうふうな議論があるのですか。これは通産省からそういうふうな要望というようなものが、要望というのか何というのか、あったように私、聞いておったのですが、何か調べたら、正式には通産省のほうから、それに関連して商法改正について要望がなかった、こう言うのですか、その点どうなんですか。これは両方からお答え願えればと思うのですが。
  71. 田邊明

    田邊説明員 通産省からは、この現在の法律案を検討いたしました法制審議会構成員としてかねがね取り上げておりますのは、累積投票制度改正というようなものについては、御要望の御意見が出されております。しかし、その後に一部の新聞紙で報道されました内容については、私どものほうでは、公式に御意見を聞いているわけではございません。
  72. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 これは通産省、まあ責任者の方ではないのでしょうが、通産省側から、ことに外国資本が日本に入ってくることに関連しての商法改正でこういう点、こういう点を改正してもらいたい、これはまだ業界の意見かどうかわかりませんけれども、そういう意見が通産省内部にあるのですか。あるとすればどういう点なんでしょうか。
  73. 栗原昭平

    ○栗原説明員 四十五年の法制審議会商法部会におきまして、累積投票権について御要望申し上げたということは、先ほどお答えのあったとおりでございます。その後四次の資本自由化、あるいは今回五月一日から資本自由化をさらに広げましたけれども、その資本自由化を進めるに際しまして、やはり特に既存企業の経営参加と申しますか、既存企業に対する株式の取得については、実際問題としてかなりいろいろ企業サイドの問題もございまして、この点どう考えるかということが一つの自由化を進める上での問題点であったということでございます。そういった意味で、特にその企業サイドの意に反したような株式の取得について、外資の自由化を行ないますれば、一体どういう企業としての自衛手段があるかというような観点からのいろいろ検討をいたしたことはございます。そういう意味で、たとえばこの累積投票一つでございますが、商法法律上の問題ではございませんけれども、譲渡制限をした株式が、事実上、上場できないということで、運用がなかなかうまくいかないというような問題をたとえばどうするかとか、あるいはTOBといったようなものをこの資本自由化と関連してどう考えていくか、いろいろ法制的な問題を含めて検討したことは事実でございます。そういう問題もありましたので、今回の資本自由化に対しましても、既存企業の株式取得については、一応の自由化をしたわけでございますが、一つ例外的な留保をやはり考えておりまして、その留保と申しますのは、一応自由ではありますけれども、その企業の合意というものが明らかでないような場合には、これは少しいまの時点では日本の事情から申しましても留保をしておいたほうがよかろうというようなことで、とりあえずその点は留保しておこうというような、今回、自由化措置になっております。
  74. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 これはまた別な機会にやらないといけない大きな問題だ、こう思うのです。  そこで、問題がまた別なことになると思うのですが、いわゆる商法の中に刑法規定が相当ありますね。この刑法規定が、従来どういうふうなものがあって、どういうふうに運用をされておるのか、これは刑事局ですね、刑事局からお聞きをしたい、こう思うわけです。
  75. 安原美穂

    安原政府委員 稲葉先生お尋ねの、商法の中の刑法というのは罰則のことと理解いたしますが、罰則をどのように運用しているかという点でございますが、結論から申しまして、そうたくさんの機会に商法の罰則が適用されて処罰といいますか、公訴権を行使しておるということはないわけでございます。そういう意味においては、そう多くはない。従来の実績から申しますと、先ほど来問題になっております粉飾決算関係事件ということで、私どもの承知しておる限りでは、現在粉飾決算関係で起訴したという事件が、昭和四十年以来大体九件ほどでございまして、これは先ほども御説明申しましたように、商法にいう特別背任罪あるいはタコ配当の法令あるいは定款の規定に違反して利益、利息の配当をしたという、商法四百八十九条第三号の罪というようなことでやった場合が多うございまして、特異な例といたしましては、ことしの初めに起訴いたしました協同飼料の事件につきましては、いわゆる自己株式の取得ということで商法四百八十九条第二号の罪ということで起訴した例がございます。さらにさかのぼりまして、いわゆる総会屋の贈収賄罪ということで、商法四百九十四条の増収賄罪ということで総会屋と会社の執行部機関を起訴いたしました東洋電機事件、これは四百九十四条の違反ということでやったものがございますが、そう多くはないわけであります。さらに最近におきます、たとえば昨年中におきます商法違反事件の受理処理状況を念のため統計表で見てまいりますと、検察庁で受理いたしましたものは全部で七十五人ございまして、処理したものは六十二人ございますが、起訴したものは十人ということでございまして、不起訴が五十一人ということでございます。  以上、大体商法の罰則の適用状況でございます。
  76. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 ことしになって、あれはまだ起訴してないのかな。いま逮捕している図書印刷、あれはまだ起訴してないの。
  77. 安原美穂

    安原政府委員 図書印刷のいわゆる贈収賄罪につきましては、目下捜査中でございます。
  78. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いま言った図書印刷にしろ商法上の贈収賄、ことに株主総会に関連して総会屋に金を渡したというのでしょう。あれは新聞紙上で見ると、二万円ぐらいもらったのまで略式で起訴したのか、まだ起訴していないのか、任意で捜査しているという意味かな。そうすると、株主総会総会屋といわれる人はたくさんいるのでしょうが、そういう人にお金を渡したときに商法上の犯罪になる場合とならない場合と、こうあるわけですね。なる場合はどういう場合で、ならない場合はどういう場合なんですか。
  79. 安原美穂

    安原政府委員 いまのなる場合、ならない場合の分かれ目は、おそらく不正の請託、商法四百九十四条に「左ニ掲グル事項二関シ不正ノ請託ヲ受ケ」こういう規定がございますが、そして総会関係は、第一号の株主総会における発言または議決権の行使に関し不正の請託を受けというところに犯罪の成否の分かれ目があるわけでございます。そこで、不正の請託は何かということについての問題が分かれ目でございまして、これにつきましてはもう稲葉先生御専門でございますから御案内と思いますけれども、いわゆる総会屋というものには攻撃型総会屋、いわゆる総会荒らしということで出てくる総会屋とそれから会社株主総会等の運営に協力する協力型総会屋、こう二つに分けられるのですが、いま問題の図書印刷等における問題はいわゆる協力型総会屋、株主総会運営を円滑にすることに協力することによって何らかの報酬を受けるという総会屋をこの贈収賄罪で取り締まることができるかどうかということが問題でございまして、それにつきましては東洋電機の事件につきまして一審、二審と判決が広く狭く、無罪、有罪と変転しまして、最後に最高裁判所で決定がございまして、それによりますと「会社役員等が経営上の不正や失策の追及を免れるため、株主総会における公正な発言または公正な議決権の行使を妨げることを株主に依頼することは、商法四百九十四条にいう「不正の請託」に該当する。」「株式会社の役員に会社の経営上の失策があり、来るべき株主総会において株主からその責任追及が行なわれることが予想されているときに、右会社の役員が、いわゆる総会屋たる株主またはその代理人に報酬を与え、総会の席上他の一般株主の発言を押えて、議案を会社原案のとおり成立させるよう議事進行をはかることを依頼することは、商法四百九十四条の「不正の請託」に当たる。」という最高裁判所昭和四十四年十月十六日の第一小法廷の決定がございます。ここにもありますように、単に円滑に運営されるように依頼するということは不正の請託ではない。円滑にいくのだけれども、公正な株主による発言権あるいは議決権の行使を妨げるような方法、妨げるようにすることを請託する。つまり具体的には、会社に事業上の失敗があるとかいうことで責任追及を免れる、公正な株主の発言権、議決権の行使を妨げるような方法における請託をするということが不正だというのが最高裁判所の決定の趣旨であろうと考えますので、そういう意味におきまして、贈収賄罪というものは、したがいましてその会社経営の実態を把握いたしまして、そこに経営上の失策があるとかなんとか、そういうことを含めて実態を捜査いたしまして、そして不正があるかどうかということを認定しなければならぬという意味におきまして、この贈収賄罪という規定がございましても、これを適用することはそう簡単ではない。いわゆる先ほど申しました協力型総会屋すべてが贈収賄罪にあたるとは一がいには断定できないという問題がございます。
  80. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、たとえばチッソならチッソの会社で公害を出して会社側がその責任を追及される。そうすると、経営の失敗というか何というか、そういうものが追及されるのをおそれて総会屋を頼んできて、総会屋が発言してぱっと終わらしてしまう、こういうようなことが行なわれていますね。チッソばかりでなくて、たくさんの会社で行なわれているらしいけれども、そういうような場合は一体どうなんですか。それにあたる場合もあるのですか。どういう場合にあたりますか。それはなかなかむずかしいかもわからないけれども、どうなんですか。
  81. 安原美穂

    安原政府委員 具体的な会社の名前をレファーしておっしゃいますので、非常に答えにくいのでございますけれども……(稲葉(誠)委員「それじゃ名前をはずしてもいい」と呼ぶ)抽象論として申し上げますと、要は先ほど私申し上げましたように、いわゆる一般株主の公正な議決権あるいは発言権の行使を妨げるようなしかたにおける、妨げるようなことを指導するということが不正の請託であろうと思いますので、そういう意味におきまして、抽象的な問題でございますが、経営上の失策があって、株主がその経営上の失策を追及する発言をすることを妨げるように総会屋に頼むということは、一般論としては不正の請託ということになり得ると思います。
  82. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると法務大臣、いまの結論から出てくると、公害を出しておる企業あるいはその他もありますけれども、そういうようなのが総会屋に金を渡している場合には、その最高裁の判例からいうと商法の四百九十四条に該当する場合が非常に多いというふうに見ていいんじゃないかと私は思いますがね。法務大臣どう考えるかということが一つと、とすればそれに対して一体検察庁は——あなたは直接指揮権は検事総長しかないとしても、どうするかということですね。なぜ私はこういうことを聞くかというと、一体検察庁の使命はどこにあるかということですよ。検察庁がファッショになってはいけないけれども、資本主義の三悪というのは脱税と賣職と選挙違反。選挙違反なんかも入るけれども、この三つをやるのが検事の仕事よ。そうでしょう。警察から持ってきたのを上塗りしているのが検事の仕事じゃないはずですよ。その三つをやることが、検察ファッショと言われるといけないからこれはなかなかむずかしいけれども、検事の仕事、特捜部の仕事であるわけだけれども、いま特捜部はいろいろやっているようだけれども、大臣はいま私が質問した、特定の会社の名前をあげるといけないからあげないでいたしましょう、特定の会社の名前をあげない抽象論でもいいけれども、そういう場合に法務大臣一体どう考えるかということと、その結果としてあなたはどういうふうにしたいのか、これをまずお答え願いたい。
  83. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 企業の反社会性というものが問題になっておりますね。企業の社会性というものをたいへん尊重していかなければいかぬ、こういう時代に不正の請託で金銭の授受が行なわれる。これはいけないということが商法規定にちゃんと書いてある。ところが、これは役所関係はきげんが悪いかもしれぬけれども、私の観測どおりを言いますと、いままでは不正の請託で金銭授受がありましても、その会社が恐喝されて金を取られたんだという場合に恐喝罪で処断をしているが、これは商法の贈収賄罪という、いま言うた四百九十四条に基づく処断はしてないんですね。ところが企業の社会性というものを尊重していく考え方から申しますと、株主総会というものは論議を尽くすべきもの、三分、五分でパチパチといくべきものではないということになりますので、商法のこの規定が厳然と存する以上は、商法の贈収賄罪として処断すべきものであるという方向に向かってこの規定適用するように私は指導をしておるのでございます。  それで、おまえはそういう考えであるとするとこの事件は一体どういうふうにやっていくのかとこう言うが、商法の贈収賄罪というものは、金銭授受があれば贈収賄罪が簡単にできるかというとそうではない。先ほど局長も申し上げたように、不正の請託がなければ金銭授受があっても贈収賄罪は成立しない。そこで、これは不正の請託かどうかということの基準をどこに置くかということです。いま局長もいろいろ説明していましたが、まあ、わかりやすいことばで申しますと、総会で論議を尽くすようにしなければならぬのに、論議を尽くすのにじゃまになるような発言をするやつがあるならば押えてくれ、円満に審議を尽くせるような総会のやり方にじゃまになる者があるならば、そういう発言を押えてくれという意味の請託であると、不正の請託とはいえない。ところが、企業側に欠陥があるものだから、その欠陥を踏まえてあまり論議を尽くされたら困るからその発言を押えてくれという意味の請託であると、同じ請託でもこれは不正の請託である、こうなってくる。判決もそうなっております。そういうことになってまいりますと、一体この請託が不正であったかどうかということをめぐってまことにむずかしい判断をしなければならぬことになります。  そこで、警察と検察との違います点は、どこが違うかというと、同じところで苦労をしていただくのでございますけれども、検察の場合を申しますと、これは公判に持ち込まなければならぬ。公判に持ち込めば裁判がある、弁護士が弁護をする、裁判官が判断をするということになりまして、公判維持をしなければならぬという非常に窮屈な点、責任が検察官にはあるわけでございます。そこで、不正の請託であること間違いなしという認定を裁判所がしてくださることができるような状態を明らかにいたしませんと、どんなに情を憎んでみても起訴はできないということになる。おまえ、ちゃんとやれといったってやらぬじゃないか、起訴ができぬじゃないかという事態が起こらぬとも限らないのは、これは非常にむずかしい判断になりますので、この判断に確信が持てませんと、いかに憎んでみても起訴はできない、こういうことになることが商法の贈収賄罪の特色中の特色というべきものでございます。  しかしそういう困難な中ではありますけれども、企業の社会性という大眼目を胸に置きまして問題の処理をいたしますように、捜査をいたします上に最善を尽くすように指導をしておるわけでございます。
  84. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 だから検察の仕事はむずかしい、これはわかります。これはけしからぬからといって起訴されたらたいへんな騒ぎになりますからね。これはできないのですが、また、検察ファッショという形になっても非常に困る。だけれども、資本主義の三悪というものがいま言ったものだとすれば、それに対して検察陣営が非常に憶病なわけですよ。そんなことをやったら法務大臣の責任問題になるかどうかは別として、非常に憶病であって、あまりやらない。資本主義の害悪というものについての追及が非常に足りないですよ。国民はそれを期待しているんだけれども、さっぱりやらぬわけだ。やるとあと公判がむずかしいとかなんとか——確かにむずかしいかどうかわからぬけれども、私の言っているのがある特定の会社の名前をあげちゃいけないとすれば特定の名前はあげませんが、一般例としてたとえば公害企業の場合に株主が株主総会へ押しかけていく。そこでいろんな追及が行なわれ、その追及は一歩発展すれば会社の不正なり何なりにいきかねない状態になる場合も多い。何が不正かということは、これはむずかしいところがあるからわかりませんが、単に協力してくれということじゃなくて、最高裁のいまの判決に直接結びつくようなところにまでいくのが非常に多いと思うわけだ。それがほとんどじゃないでしょうかね。ところがそれに対しては全くノータッチというか、ほとんどやらない。それでデモや何かでちょっと何かすればすぐ勾留して調べる。ところが検察陣営なり法務省が社会秩序を守るということについて、資本主義だからそういう秩序を守ることになるんだからといわれればそれはそれまでかもしれませんが、それはそれとして、株主総会におけるそういう不正の請託というか、そんなものは幾らでもあるはずですよ。あるはずなのにやらない。  ぼくはもう少し事実関係を調べますけれども、公害関係会社の場合の株主総会は、この最高裁の判例からいって、いま刑事局長が結論を抽象的に答弁しましたけれども、それに当てはまるのが相当多いと思う。だからそういう場合には法務省としてというか法務大臣としてもっと積極的に、それは資本主義の害悪であろうと何であろうと、それによって日本の社会秩序というものがこわれてしまうかもしらぬ。自民党に大きな影響を与えるかもしらぬ。自民党といっては悪いかもしれないけれども、いまの社会に大きな影響を与えるとしてもやるべきものはやらなきゃいけない、こう思うんですがね。そういう点について、商法関係の刑事法の規定などを適用してやっていけということを大臣としてはもっとしっかり言ってもらいたいと思うのですよ。その点をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  85. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 当然過ぎるほど当然な御意見で、激励をいただきましてしっかりやります。最善を尽くす覚悟でございます。
  86. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 まあ、抽象的なことを何回論議しても始まりませんけれども、今度は具体的な事案をもっていまの最高裁の判例とのかかわり合いでお尋ねをしていきたい、こういうふうに思うんです。  そこで、時間もだいぶ参りましたのでこれ以上お尋ねをしないんですが、最後に一言だけお尋ねをしておきたいのは、これは大蔵省の方でしょうね。ぼくはよくわからない点なんですが、税理士と公認会計士との職務の問題ですが、そういうようなことについて、率直に言うとこの法案は、いままで成案があったのが自民党の中でまとまらなくて提案がおくれた、こういうふうにいわれているわけですね。これは前尾さんの法務大臣のころかららしいですけれども、そういうこまかいことは聞きませんが、大臣としては、この法案税理士会に与える影響あるいは公認会計士の人に与える影響をどういうふうに判断されておるわけですか。そしてまたそれに対してどういうふうに調節する余地があるというか、どういうふうにお考えになっているか、これをひとつお聞かせ願いたいわけです。
  87. 田中伊三次

    ○田中(伊)国務大臣 一口に申しますと商法改正は、これと重要な利害関係を持っております公認会計士、税理士に対する影響なんかどうだっていいんだということは考えていないんです。むしろ逆のことを考えておりまして、できるだけその影響が少ないように、よい影響のあるように、やむを得ず窮屈なことになる場合でも双方の間の利害はできるだけ調整をするようにしていかなければならぬ。それは私のほうの任務である、私というよりは政府の任務である、こういうふうに基本的には考えておるのであります。  そこでお尋ねの問題につきましては、いずれも大蔵省所管でございますが、公認会計士法による公認会計士、税理士法による税理士の両者の間の職務の分担を調整するということばになりますが、先生のお話はそういう問題に帰するわけでございますね。この問題は双方に反対がございます。あつれき、せり合いがございます。そこでこれはもっともなことと思うのです。自分の生活、業務をめぐる権能、権限に関して新しい法律ができて、変化があるという場合においては、これはどうしてくれるかというのは当然のことであると思う。それを調整する責任は政府にある、こういうふうに私は考えますので、この間横山先生からもその点について熱心な御発言がございまして、間もなくでございますが、これはほっておいてはいかぬと思いまして、国会で約束したわけではございませんけれども、私から大蔵大臣に、君のほうのお仕事になるので、しかし私のほうの出した商法改正をめぐって影響が出ておるわけであるから、両者を大蔵省にお招きになって、そして公認会計士と税理士との間の主張を調整をしてもらいたい、その調整をしてくださらぬと商法改正が円滑にいかぬのだ、ぜひそうしてもらいたいということを私は懇請をいたしました。簡単なメモでございますが、大臣がこまかいことをどうかと思いましたので、メモをつくりまして、問題点を明らかにいたしまして、これをひとつ部下におろして、私のほうの部下とも相談をしてもらいたいが、しっかり両者を呼んで調整をしてもらいたい、頼むぞということをくどく言うてございます。承知をしたということになっております。努力をしてくださっておることと存じます。結果はまだ聞いておりませんが、結果の報告がなければいずれ私から追っかけて、あれはどうなったかと聞くつもりでございます。最善を尽くしたい。いいかげんにほっておくという考えはございません。
  88. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 時間が二時間くらいになりましたからこれでやめますが、まだほかに聞きたいこともあるのですけれども、別の機会にいたしますが、いま言ったようなことはおそらく連合審査の中で質問が出て十分論議されることだ、こういうふうに思います。  あと一点だけちょっと聞きますけれども、商業帳簿のことに関連して、マイクロフイルム化された帳簿も法律でいう商業帳簿として認めろという意見がいろいろ出てきているわけですね。これは外国ではどうなっているかということと、それから日本は今後これをどういうふうにしていきたいのか、いろいろプラス、マイナスあるらしいけれども、そこら辺のところをまとめてお答えを願って、それに対する質問はまた別の機会にいたしますが、まとめて経過や何かを話してください。
  89. 田邊明

    田邊説明員 お尋ねのマイクロフィルムの問題は、すでに法制審議会でもマイクロフィルムとコンピューターの問題として取り上げて審議をいたしております。そのポイントは、マイクロフィルムは、御承知のように、ある現物を縮小して複写したフィルムというふうにいわれておりますが、これをもって商法のいう商業帳簿の保存義務を履行せしめるようにしてほしい、これが改正要綱の趣旨でございます。コンピューターのほうは、これは商業帳簿を電子計算機等で作成するという方法を認めてほしい。この両者に実はつながりがございまして、コンピューターのほうは、御存じのように、コンピューターの記憶の中からいわゆるすぐにマイクロフィルム化されたものが出てまいるというシステムが非常に発達しております。両者実は同一の問題として議論しているわけでございます。  外国の立法例は、一部にコンピューター及びマイクロフィルム等の作成による商業帳簿というものを認める立法がなされております。多くの国ではこれは解釈上の問題として解決しているというふうな実情にございます。  問題のポイントは、そういう制度を持ち込むときに、わが国の商業帳簿の保存、及びこれをめぐる民事、刑事を含めての裁判上のいろいろな問題、それといま御審議をいただいております監査の問題、こういうものがどうかみ合うかという点についての議論をしておるわけでございます。
  90. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 これで質問を終わりますが、いまの点は、将来の展望を含めて、だんだん時代が変わってくるから、そういう方向に進むだろうと思いますが、プラスもあるだろうし、マイナスもあるだろうし、現行法とのギャップもありますし、いろいろな問題については次の機会にまだ研究をいたしましてお尋ねをいたしたいと思います。  時間が二時間になりましたから、これできょうは質問を終わります。
  91. 中垣國男

    中垣委員長 来たる二十六日火曜日は、午前十時より大蔵委員会、商工委員会との連合審査会、午後四時より法務委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時十六分散会