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1973-03-28 第71回国会 衆議院 法務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月二十八日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 中垣 國男君    理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君    理事 谷川 和穗君 理事 福永 健司君    理事 稲葉 誠一君 理事 横山 利秋君    理事 青柳 盛雄君       井出一太郎君    植木庚子郎君       住  栄作君    千葉 三郎君       三池  信君    佐野 憲治君       日野 吉夫君    藤田 高敏君       八百板 正君    正森 成二君       沖本 泰幸君    山田 太郎君  出席政府委員         警察庁刑事局保         安部長     斎藤 一郎君         警察庁交通局長 片岡  誠君         法務大臣官房長 香川 保一君         法務省民事局長 川島 一郎君         法務省刑事局長 安原 美穂君         法務省人権擁護         局長      萩原 直三君         公安調査庁長官 川井 英良君         公安調査庁次長 冨田 康次君         労働省労政局長 石黒 拓爾君  委員外出席者         警察庁警備局公         安第一課長   鈴木 貞敏君         警察庁警備局警         備課長     室城 庸之君         労働省職業安定         局業務指導課長 加藤  孝君         法務委員会調査         室長      松本 卓矣君     ————————————— 委員の異動 三月二十八日  辞任         補欠選任   楯 兼次郎君     藤田 高敏君 同日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     楯 兼次郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務行政に関する件  検察行政に関する件  人権擁護に関する件      ————◇—————
  2. 中垣國男

    中垣委員長 これより会議を開きます。  法務行政検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。正森成二君。
  3. 正森成二

    ○正森委員 私はこれから、いろいろ国会でも問題がありました破壊活動防止法運用状況等について、質問をいたしたいと思います。  まず、破壊活動防止法は、制定のときにも、いろいろ問題がありましたので、国会でも非常に紛糾いたしましたが、第二条で「この法律解釈適用」、第三条で「規制の基準」というものを定めて、いやしくも基本的人権を侵害するようなことがあってはならないということを定めておりますが、公安調査庁長官はその旨をよく承知し、それに基づいて局員活動指導しておられますか。
  4. 川井英良

    川井政府委員 二条、三条の趣旨をよくかみしめまして、わが庁あげて、全員に間違いないように、いろいろの面で具体的な指導をいたしております。
  5. 正森成二

    ○正森委員 それでは、おそれ入りますが、これからの質問との関係もありますので、私の手元に、公安調査庁が、「開庁二十年の歩み」こう題して、昭和四十七年七月に発行したパンフレットがありますが、そこの末尾に、二条、三条がはっきりと書かれておりますので、念のためにお読みください。
  6. 川井英良

    川井政府委員 「第二条 この法律は、国民基本的人権に重大な関係を有するものであるから、公共の安全の確保のために必要な最小限度においてのみ適用すべきであって、いやしくもこれを拡張して解釈するようなことがあってはならない。」「第三条 この法律による規制及び規制のための調査は、第一条に規定する目的を達成するために必要な最小限度においてのみ行うべきであって、いやしくも権限を逸脱して、思想、信教、集会、結社、表現及び学問の自由並びに勤労者の団結し、及び団体行動をする権利その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を、不当に制限するようなことがあってはならない。2 この法律による規制及び規制のための調査については、いやしくもこれを濫用し、労働組合その他の団体の正当な活動を制限し、又はこれに介入するようなことがあってはならない。」
  7. 正森成二

    ○正森委員 御苦労さまでした。  それでは伺いますが、昭和三十一年五月三十一日の衆議院の法務委員会で、猪俣委員その他の委員から、公安調査庁の二十七条に基づく調査活動について問題が出されました。  そこで問題になりましたことを全部申し上げますと時間がかかりますので、要点を申し上げます。ここに速記録がありますから、なんでしたらごらんください。事案は、日本共産党の神戸市委員会アカハタ湊川分局、こうおたくらは言っておられるわけですが、実際には長田分局でございます。そこから、第六号と称されておりますスパイが窃取した資料、これを石谷恒雄という公安調査局調査官が入手しまして、兵庫地方公安調査局長あてに提出されておるということが暴露された事実でございます。それについては、もちろんあなたの長官在任中ではありませんけれども、ここに速記録があります。ごらんになりますか。——よろしいですね。その中で、当時は藤井公安調査庁長官でございました。それから次長は高橋さんです。お名前は御記憶があると思いますが、その方たちが次のように答弁しておられるわけです。「どろぼうから調査資料を集めておることはありません。」「どろぼうから決して——ろぼうからというと贓品ということになるでしょうが、そういうことはしておりません。」「そういうような方法で持ってきたということを承知で私どもの方でそれをとるようなことは絶対にしておらないつもりであります。」「また今後そんな窃盗をして得た臓物をわれわれが手に入れて、それを調査資料にするなんという、そんな卑怯な、違法な考えをしてはおりません。また、しません。」こういうように明確にお答えになっております。  これはもちろん公安調査庁としての終始一貫変わらざる態度であり、しておりませんし、また今後もしませんということになっておるわけですから、あなた方もそういう方針だと思いますが、誤りありませんか。
  8. 川井英良

    川井政府委員 そのとおりだと思います。
  9. 正森成二

    ○正森委員 そのとおりだと思いますと言われましたが、思いますをつけなくても、そのとおりに間違いありませんね。
  10. 川井英良

    川井政府委員 そのとおりであります。
  11. 正森成二

    ○正森委員 きょうは警察庁やあるいは安原刑事局長も来ておられますが、一言伺いたいのですが、私が司法修習生研修所あるいは現地で指導を受けたときに、窃盗本犯も確かに悪いけれども、そういうのが世の中ではびこっておるのは、それを買う人間あるいはそれを受け取る人間がおるからだ、ある意味では臓物収受臓物故買というのは本犯より悪いんだ、だから厳重に捜査せよということを指導教官から教わったことがあります。それが法を厳正に取り締まるという検察庁の立場としては当然のことであると思いますが、いかがですか。
  12. 安原美穂

    安原政府委員 おっしゃることは、筋道としてはそのとおりだと思います。
  13. 正森成二

    ○正森委員 それではお伺いいたしますが、昭和四十七年の二月二十二日に、金沢公安調査局に、上司に不満を持つ荒井という調査官手引きで、その手下のスパイが侵入し、一連の書類を持ち出し、結果において世間に公表されたことがあります。この事実は御記憶がございますか。
  14. 川井英良

    川井政府委員 私、着任前の事件でありますので、必ずしも詳しくは承知しておりませんけれども、概要については承知いたしております。
  15. 正森成二

    ○正森委員 この事件については、国会において中谷議員から、法務委員会予算委員会分科会で三回ほど質問もされております。そのことは御承知でございますか。
  16. 川井英良

    川井政府委員 着任してから承知いたしました。
  17. 正森成二

    ○正森委員 それでは、この荒井という公安調査官手引き金沢公安調査局からその資料が窃取されたということは問違いなく、その後この事案がどういうように刑事上処理されておるか、あるいは行政上処理されておるか、それについてはお答え願えると思いますが、長官あるいは刑事局長からお答えください。
  18. 安原美穂

    安原政府委員 これは私の着任前で、申しわけございませんが、ここに次長が来ておりますから、次長が一番詳しいと思いますから、次長から。
  19. 冨田康次

    冨田政府委員 私からいまの点、お答え申し上げます。  いま手元資料がございませんけれども、記憶だけで申し上げますと、いわゆる仰せ石川局の件につきましては、持ち出したのは荒井という調査官ではございませんで、村本という調査官でございます。この村本という調査官は、裁判になりまして判決を受けてそれに控訴せず服罪したということでございます。
  20. 正森成二

    ○正森委員 村本という調査官だそうでございますが、村本という調査官がみずから窃取したのですか。それとも自分がふだん使っている情報提供者をして実行行為をなさしめたものですか。そのいずれですか。
  21. 川井英良

    川井政府委員 思い出しました。村本という調査官がたしか学生を使って盗み出さした、こういう事案でございまして、その学生のほうは不起訴処分になったと思います。村本調査官だけが起訴になりまして、いま次長から御説明申し上げましたとおり判決があって確定した、こういうふうに記憶いたしております。
  22. 正森成二

    ○正森委員 それではその使用した学生名前ももちろんわかっておりますね。それから村本さんは窃盗だということで裁判を受けて服罪したわけですから、確かに持ち出されたものが公安調査局資料であったということは間違いありませんね。
  23. 川井英良

    川井政府委員 公安調査庁資料だと思います。
  24. 正森成二

    ○正森委員 ここにそのときに窃取された資料のリコピーの写しがあります。資料の現物は一年前に中谷委員国会に提出というか指示したものであるということですが、資料番号一〇六七、「資料入手調書」というのがあります。これを見ますと、昭和四十六年八月十日付で石川地方公安調査局公安調査官、いま名前が出ました村本宏之報告をしております。その「入手経路等」というところを見ますと、「本職は、昭和四十六年八月六日午后三時頃、金沢市尾張町、喫茶琥珀において協力者甲第十二号と連絡した。その際同協力者本職に対し「これらは去る七月二十日午后三時頃、金沢市中村町所在の日共金沢地区委員会事務所へ行ったところ、事務所のすみに放ったらかしてあったのでもってきたものですが、参考になればおあげします。」と云って提供した。以上」とこう書いてあります。こうしますと、見ていただいてもけっこうですけれども、このようにして入手した調書、これによりますと、日共金沢地区委員会発行の「分局決算報告」、同じく「政治報告」と題する書面がそのことによって入手され、公安調査局に提出されております。これはお認めになりますか。
  25. 川井英良

    川井政府委員 そのただいまお読み上げになりました調書にそういうふうな記載があったということは私も認めるわけでございますけれども、私、来ましてからわずか二カ月間でございますけれども、いろいろこの役所のやっておりますことを見ておりまして、調書にそういうふうな記載がございますけれども、協力者との関係で、その間にいろいろないきさつとか関係がございますので、その記載のとおりその村本調査官がそれを信じて、それを間違いないこととして書いたのが、向こうの言われるとおりのことを聞いてそのまま記載したのかどうかという点につきましては、いまからさかのぼってそれを調査するということはできませんけれども、多少私、そういうようなところにつきましても検討してみる必要がありはしないか、こう思います。いずれにいたしましても、いま仰せになりましたように、明らかにそれが無断で持ち出したというようなことがわかっているような場合に、それを調査資料として調査官が権威あるものとして受け取って、それをまた団体調査資料にするということは、私は適当でないと思います。もとよりその事件が起きたときにいろいろ厳重な訓令、通達、その他、人を集めての指示がなされておりますけれども、私着任以来そのことについてたいへん気を使っておりますが、この機会にこれからもそういうようなことばあってはならないという方針で内部を引き締めてまいりたい、こういう覚悟でございます。
  26. 正森成二

    ○正森委員 いま言いわけどもおわびともつかないような発言がありましたが、国会での予算書によりますと、情報提供者にはそれなりの報酬が明白に支払われておる、報酬なしで動く情報提供者はいないということになっておりますが、当然この甲十二号にも報酬が支払われていたと思いますが、それは間違いないでしょう。
  27. 川井英良

    川井政府委員 当時の記録を調べてくると明確な返答ができるわけでございますが、そのとき、その資料を受け取ったときにそれに見合う報酬が出ていたかどうかということは、ちょっと調べないといま私からはお答えできません。
  28. 正森成二

    ○正森委員 そのときその資料に対してというような限定をつけられましたが、一カ月に幾らとかいうことで報酬が支払われているということは、これは国会でも公然と、一般的にそうだということは認められております。むしろ報酬を払わないで情報提供をするということは例外ですから、甲十二号にしてもあるいはそのほか金沢ではいろいろ出ておりますが、全部報酬が払われているわけでしょう、一カ月とかいうような単位で。それは間違いないでしょう。次長でもいいです。
  29. 川井英良

    川井政府委員 原則、たてまえといたしまして、月ぎめとかあるいは一年に幾らとかいうようなことでもって報酬を支払うというような指導はいたしておりません。これは必ず、協力者から出た資料内容、そのウエートというようなものを勘案いたしまして、そしてそれに見合う合理的な報酬をそのつど提供する、これがたてまえでございます。
  30. 正森成二

    ○正森委員 そうすると、そのつど渡しておるということになれば、この人物に対しても資料提供を受けたのだから渡しているというのが原則ということになるでしょう。そこでお聞きしたいのですが、この資料によりますと、部課長だけでなしに局長が明白に判を押しておる。そうすると、公安調査庁臓物だと知ってもらう。少なくとも刑法にいう臓物収受、これは金を払っておれば臓物故買だということは明らかなことではありませんか。あなた方は昭和三十一年の国会において、臓物を収受するというようなそんなひきょうな違法なことはいたしませんと答えておる。ところがあなたは、いまここに書いてあることがほんとうかどうかよくわからないけれども、ともかく書いておる、こう言ったけれども、それを書いて、本人だけじゃなしに、村本というのはいろいろ問題があったかもしらぬけれども、部課長局長まで判を押してそれを受け取っておるということは、公安調査庁臓物だということを明白に知って情報収集のためにもらったということになるではありませんか。そうすると前に国会において、そんなひきょうな違法なことはしないと言ったけれども、それは全くうそではありませんか。それについての責任と所見を伺いたい。ここに明白に局長は判を押しておる。
  31. 川井英良

    川井政府委員 当時そこに書いてあるとおりのことが真相で、ほんとうにいわゆる賦物であると信じてなおかつ受け取ったかどうかということにつきましては、いまここでお答え申し上げるだけの資料を私持っておりませんけれども、とにかくこのような事件を起こしたということにつきましては、本人につきましては刑事上の処分も行なわれ、また行政的には懲戒免職処分をとっておりますので、そういうことから考えてみまして、たまたまそういうふうな御指摘のようなきわめて遺憾な事件が起きたのは申しわけないことでありますが、三十一年に当時の長官その他が国会答弁いたしましたその精神なりたてまえというものは今日もなお変わっていないわけであります。そういう事件の絶無を期したいわけでありますが、たまたまそういうふうな事件が起きたということはたいへん申しわけないことだと思います。
  32. 正森成二

    ○正森委員 何を言うておるのですか、たまたまそんな事件が起きたなんと言うて。これは現に部課長局長が判を押しておるじゃないですか。たまたまじゃないですよ。局長が認めておるんだ。局の方針としてやっておるんだ。あなたは、専門家だから読むまでもないけれども、公安調査庁調査官というのは官吏または公吏に当たるのかどうか、それについてお答え願いたい。
  33. 川井英良

    川井政府委員 当たると思います。
  34. 正森成二

    ○正森委員 当たるでしょう。そうすると、刑訴法二百三十九条には「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」こう書いてある。告発をすることができるじゃないですか。告発をしなければならないと書いてある。あなたはこの甲十二号の、スパイ窃盗の容疑ありとして告発しましたか。あるいはこの部課長局長臓物収受ということで告発しましたか。それをしなければならない義務があるのですよ。そういう措置をとったかどうか、明確に答弁してください。
  35. 川井英良

    川井政府委員 告発はいままでもいたしておりませんし、告発はしないつもりでありますが、それは内容によりけりだと思います。先ほど私が冒頭に申し上げましたとおり、そこにそういうふうに書いてありますけれども、ほんとうにそれが贓品であるかどうかというふうな事実関係によってきまってくるのじゃなかろうか、こう思うわけであります。
  36. 正森成二

    ○正森委員 何を言うておるのですか。あなたのところの公安調査局局員がだまって持ってきた、だまって持ってきたというのはどろぼうじゃないか。そういう場合に、書いてあるものを局長が何ら異議もとどめずに資料入手ということで判を押して、ほんとうに盗んできたものかどうかわからぬということで調べもせずに、ここに書いてあることを認めるからこそ判を押したのでしょう。それがおかしいということであれば、こんなものは受け取れないとか、臓物でないとわからなかったら受け取らぬとか差し返すのがあたりまえだ。それをやっていないのは、臓物である、しかしそんなことはかまわぬということで判を押して受け取っておるのでしょう。そうすると、犯罪が成立するのは明らかであり、少なくも起訴するかどうかというのは検察庁起訴便宜主義にまかすべきで、公安調査庁がそんなものはたいしたことではないとか言うべき筋のものではない。刑訴法二百三十九条には明白に「犯罪があると思料するときは、」とあって、犯罪があるときとは書いてない、「思料するときは、告発をしなければならない。」と書いてある。あなたがさつき読み上げた二条、三条との関係からいっても当然のことではありませんか。それをやらないというのは、結局公安調査庁というのはどろぼうを飼っておる役所だ、どろぼう共犯だ、公安調査庁長官はどろぼう会社の社長だ、こういうことになる。あなたはこういうことに対して告発をするということを約束されるか、また、本委員会において、今後どろぼうから決して臓物は受け取らないということを誓約するかどうか、それについて明確な答弁を伺いたい。
  37. 川井英良

    川井政府委員 明白に証拠があって、明らかに窃盗したものである、したがって、刑法上の賦物であるということが明らかにわかったようなものを調査官が受け取って資料にするということはしてはいけないということを、もちろん私は先ほどもそういうことを申し上げたわけでありますが、繰り返して、そういうことはさせない、そういうたてまえを申し上げます。
  38. 正森成二

    ○正森委員 いまの答弁はあいまいもことしておる。明確な証拠があって、そして臓物であるということがはっきりしたときにはと限定をつけておる。しかし明確な証拠があってどうこうということは、最終的には裁判所がきめることだ、その前段階として検察庁がきめることだ。その他の公吏官吏犯罪があると思量される、こう思ったら一応調べてくれ、「李下に冠を正さず」ということがある、二条、三条のたてまえからいっても、そういう態度をとることは当然なんだ。あなたがまことに申しわけない、誓約するというならともかく、それにごたごたと条件をつけるというのは、一向に反省していない、どろぼうを飼うのをかばう、そういう態度を持っておると思われてもしかたがない。ですから、そういう疑いを残さないために、今後公安調査官というものは情報提供者がどろぼうしてきたものを受け取ってはいかぬ、贓物収受故買とされるようなことをしてはいかぬという通達を出しなさい。それともそういう通達をすでに出しておるかどうか、それについて明確な答弁を求めます。
  39. 川井英良

    川井政府委員 弁解のようになりますけれども、いわゆる協力者というものと調査官との関係というものはかなりいろいろデリケートな関係があるわけでございますが、そういうふうな場合に、その情報提供をされるほうの側の人は、その情報入手重みをつけたりあるいはその信用性の価値をより高く増大するというようなことのために、私、着任してからいろいろ説明を聞いたところでありますけれども、いろいろなことを調査官に説明するようであります。したがいまして、いま確実な証拠と申し上げましたのは、そういうふうに協力者が言ったことをそのままうのみにいたしまして、それはかってに持ってきたものを知らない間に渡したものであるということで、信用いたしまして、それをすぐに臓物であるかどうかということの判定はかなり軽率な点があるのではないかと思いますので、このような意味におきまして、そういうふうなデリケートな間柄にある関係の人でありますので、明らかにそれが臓物であるというふうな場合においてはそういうふうなものを受け取るべきではない、これは当然のたてまえでございます。
  40. 正森成二

    ○正森委員 何という答弁をしますか、完全にどろぼうの側に立っておるじゃないですか。しかもこの件については局長や部長は判を押すだけで、これが臓物だったらえらいことだからよく調べろということを一ぺんも言っていないじゃないですか。それをやって——いやいや重みをつけるためにどうだとかこうだとかいうことがわかればともかく、しかもそれも疑いがあるんですよ。警察なんかどうですか、臓物であることを知らないで受け取ったのだということで、知情の点を否認しても、検察警察ではびしびし調べて、窃盗本犯臓物収受臓物故買が意を通じて、口うらを合わすというのはあたりまえのことだといって厳重に捜査するじゃありませんか。われわれ弁護人としてそういうことをされた例を幾らでも知っておる。それを贓物故買または収受した一番の親分が、微妙な関係がありますとは何ごとです。ふざけておるじゃないですか。二条、三条のたてまえからいって、いやしくも向こうが言うたならともかく、資料入手調書に明白に書き、局長まで認めることは絶対に悪かった、そんなものは受け取るべきでないというように答えるのが当然なんです。それをさらに、明確な証拠があればとか、のらりくらりと逃げ回るということ、それだから失礼ながら二条、三条をあなたに声を出して読んでもらった。もしいまのような答弁を続けられるとすれば、公安調査局というのは今後もどろぼうを飼い続ける役所、それについてきわめてきびしくない役所、どろぼう共犯というように天下に公言することになる、それは当然でしょう。刑事局長、もし臓物故買窃盗本犯との関係を聞かれて、いまのような答えをされたら、あなたはどう思いますか。
  41. 安原美穂

    安原政府委員 検察のたえまえといたしましては、事柄を明確にする意味において供述の不明確性をあくまでも追及して明確な答弁を得るというのがたてまえでございます。
  42. 正森成二

    ○正森委員 法務省刑事局長のほうがよほど役人らしい。何ですか、あなた。通達を明確に出すかどうか。(「そんなものは出すな」と呼ぶ者あり)何を言っておるのですか。不規則発言はやめてください。しかも単なる不規則発言ではなしに、指示するような発言だ。委員長、そういう発言を取り消す、やめさせるということをあなたが言わない限り、質問は続行しません。
  43. 中垣國男

    中垣委員長 不規則発言はやめてください。
  44. 正森成二

    ○正森委員 そういう通達を出すかどうか、出すならよし、出さなければどろぼうを飼い続けるということをここで認めることになる。通達を出すといいなさい。出しなさい。それは当然じゃないですか。
  45. 川井英良

    川井政府委員 調査官がみずからどろぼうしてきたというものじゃなくて、かねて関係のある協力者を通じて受け取ったということでありますから、その間にいろいろな事情があるということをいままで申し上げてきたわけでございます。私どもの基本方針、たてまえというのは、先ほど読み上げました二条、三条の精神を踏みはずしては絶対いけないことでありますので、その方針に基づきまして、刑法上の犯罪になるようなことはもちろん、犯罪にならないという場合におきましても、法律的に考えて、合理的に考えて、不当、違法な方法でもってものを入手するというのはいけないということ、これはいままでも何回もそういうふうな措置を注意し、また会議の招集のつど訓示、指示等においてそういうことを示達しておるわけでございます。この際あらためて特にこの機会にそれをするということはいま必要ないのではないか、私はこう思っておりますが、いま申し上げたいことは、具体的なケースの場合にそれがはたして事実関係からいってほんとうに基本方針を逸脱したものであるかどうかということは、その具体的なケースの事実関係というものをあらゆる角度から十分に判定した上でないと何とも申し上げられない、こういうことを申し上げているわけでございます。
  46. 正森成二

    ○正森委員 あなた方はこういうようにたまたま入ったあなた方の役所資料に明白に書いてあって、局長の判まで押してあるものについてもそういう答弁をする、もしこういうものがなければ、知らぬ、存ぜぬということで押し通すつもりだ。こういう明白な証拠があるものについて、これは臓物であるかないかということを調べてから受け取るというのじゃなしに、何らそういう理由も付せずに、局長が判を押しておるから、あらためてそういうことをやりなさいと言っておるのです。いままでにこういうことについて通達を出したことがあるのですか。ないでしょう。どろぼうから受け取ってはならない、どろぼう情報者にし続けてはならない、そういう者とは関係を断てという通達を出したことがありますか。
  47. 川井英良

    川井政府委員 いま個々の全部の通達を私読んで、また記憶しておるわけではありませんので、いつ幾日のあれに書いておるとは言えませんけれども、先ほど申し上げましたように、責任関係者というふうなものを本庁に招集いたしまして、具体的な事例につきましてそのつど、先ほど申し上げましたような基本精神の趣旨の徹底をはかっていることは間違いございません。
  48. 正森成二

    ○正森委員 昭和四十七年三月二十四日付で公安調査庁長官から提出された資料があります。それによりますと、秘密区分で秘以上の指定のある訓令、通達の件数は、極秘が九百十五件、秘が三千三百八件、合計四千二百二十三件ということになっております。これは国会報告されております。そこで、あなた方が会議を開き、そういうことのないように言うておるのは、この秘区分に入るものなのかそれとも入らないものなのか、それについて御答弁願いたい。
  49. 川井英良

    川井政府委員 その答弁を、私着任してから過去の答弁をずっと勉強して読んだわけでございますが、それは大部分が秘の区分ないしは極秘の区分に入るものだと思います。
  50. 正森成二

    ○正森委員 そうすると、どろぼうから受け取ってはならぬとかあるいはどろぼうしたスパイとは関係を断つというのは、秘区分の通達等で徹底させておると言うのですか。いまの御答弁だとそういうように聞こえますね。間違いないですか。
  51. 川井英良

    川井政府委員 その国会答弁を勉強したときの気持ちでは、いまの一点だけを通達あるいは指示の中に記載してあるというわけではございませんで、その事件の概要にわたり、またそれと関連あるいろいろな取り扱いの過去の状況というふうなものにわたって、またさらにいろいろなその他の事項も踏まえて、その時期において示達することが適当であると思ういろいろな事柄を一緒に書面に書く場合におきましては通達といたしてありますので、それらが一体となって、いままで当庁におきましては秘扱いになっていたものだ、こういうように思います。
  52. 正森成二

    ○正森委員 結局それだけではないが、こういうどろぼう関係することも含んで通達が出され、それが結果として秘扱いになっておる、こう伺ってもよろしいか。
  53. 川井英良

    川井政府委員 概略的に申し上げましてそういうことになると思います。
  54. 正森成二

    ○正森委員 それでは、そういう通達が出されておってもこういうようなことが起こってくるのだから、特にあなたのように明確な証拠があれば云々というような条件をつけておられるから、いやしくも情報提供者がどこから持ってきたとかというような場合には、それが臓物であるかないかということを確かめなければ受け取ってはならないということを当然通達すべきでしょう。それはあなたの答弁からいっても当然ですね。それはできますか。
  55. 川井英良

    川井政府委員 私の立場からいって御指摘のとおりまさに当然のことであります。この事件が起きたあとでいろいろな会議が持たれたり、またいろいろな通達が出されていると記憶いたしておりますが、それらの中にただいま御要望のあったようなものはすべて含まれていると確信いたしております。
  56. 正森成二

    ○正森委員 それではそういう通達を出されていると確信するというように言われましたので、そういう通達は出されている、それを実行するということを破防法二条、三条の精神からいってもまた四十五条の職権乱用してはならないという精神からいってもされることを切望します。  次の点に移りますが、昭和四十七年の八月七日に名古屋地方裁判所で判決が行なわれました。これは名古屋公安スパイ事件判決として有名な事件でございます。これは専門誌にも載っております。これを見ますと、すでに判決があり、新聞紙上でも実名で報道されておりますから実名を申し上げますが、横井久子という女性、これは学生だったのですけれども、短期大学を卒業した前後、昭和四十一年十月ごろに中部公安調査局公安調査官竹田空海から左翼の学生運動の調査に協力してもらいたい旨依頼されて承諾したということから始まって事件が発生しております。当時この女性は放火及び窃盗を働き、結果として判決としては懲役三年の実刑を受けております。この点について当時国会で四十五年四月一日に赤松勇委員法務委員会質問をしております。当時公安調査庁次長の内田達夫氏は「お尋ねの横井と申します女性とわが庁との関係でございますけれども、とにかくスパイと言われるかどうかは別として関係はございます。」というように明瞭に答弁しておられます。このことについて判決があって、公安調査庁関係を持っておった人間、その後警備警察関係を続けたわけですけれども、関係というのはおかしな関係じゃなしに情報提供関係、それは承知しておられますか。
  57. 川井英良

    川井政府委員 承知いたしております。
  58. 正森成二

    ○正森委員 判決によりますと——あなた方は前の国会答弁では、本人が出かけてきて情報の押し売りをしたかのような答弁をしているけれども、判決は明白に、名古屋市内の喫茶店などで、月一、二回くらいの割合でこの竹田空海公安調査官が落ち合って、愛知県立女子短期大学、そこの自治会室などから入手してきた学生左翼運動に関するビラなどの資料を渡した、あなた方のほうからいえばもらったということで、判決が明白に認めております。したがって、単に向こうから持ってきたというようなことじゃなしに、報酬まで渡してやっておる。それに対して現金千円ないし二千円の供与をそのつど受けておった。四十二年八月ごろまでそれが続いたというように判決は認定しております。これは認めますか。
  59. 川井英良

    川井政府委員 私もその判決を読んだことは読んだのですが、いまの記憶といたしましては必ずしもさだかではありませんが、(正森委員「法学セミナー四十七年十一月号」と呼ぶ)ただいま持っておられるのをお読みになったのだから間違いないと思います。
  60. 正森成二

    ○正森委員 そこで、この女性は最初は公安調査局情報提供者として自治会室などから持ってきたビラを渡せば金になる、こういうことになっておったのですが、それが高じて四十二年八月には大学のクラブ室から現金を盗んだほか三件の窃盗嫌疑で愛知県瑞穂警察署で逮捕取り調べを受けるに及んだ。そこでそのときに起訴猶予にしてやるから情報提供をしろということで、警備課の生田実巡査、課長の羽場良から左翼学生運動に関する情報収集を依頼されてこれを承諾した、こういうように判決は言っております。で、公安警察情報提供者となると同時に公安調査庁のほうとは一応情報提供の縁を切ったというように認定されておる。  そこで、警察の公安の課長が来ていますね。伺いたい。あなた方はこういうように窃盗だということで逮捕した人間情報の収集を頼む。昔江戸時代におかっぴきがごろつきだとかどろぼうだとか、そういう者を手下に使ったのと同じやり方をやって情報を収集するということを公安調査庁から引き継いでいる。引き継いだと言われてもしかたがないことをやってきたのだ。それは間違いないですね、判決が認めておるのだから。しかもこれは検察側が控訴していない、確定しているのです。お答え願いたい。
  61. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 ただいまの御質疑の横井事件、愛知の事件でございますが、私も詳細にその辺の経緯は実は存じておりませんけれども、そういう事件があったということは、昨年、私就任前でございますけれども、そういう話は聞いておりますが、詳しく実は内容を存じておりません。ただおっしゃいました公安調査庁から引き継いでおるとか、あるいは一般にそういう事件をきっかけにして情報活動をするということは、私は、警察としてもそういうことはやっておらないということでございます。
  62. 正森成二

    ○正森委員 それをきっかけとしてそういうことはやっておらないというけれども、実際には現金を盗んだほか三件の窃盗容疑で調べられて、そのあとで情報収集を頼まれておる。そしてその件については不起訴になっている。私はこれについての弁護人調査も聞いておりますけれども、弁護人は録音までとっております。それによりますと、明白に、不起訴にしてやるから情報提供者になれと言われて情報提供者になったんだということを言っておる。そしてこの人は、判決によれば昭和四十五年三月十六日から二十日ごろまでの間に何回にもわたって自治会の部屋等に放火をした。放火をすれば学生が騒ぐ。そして消火にいろいろ従事をするから自治会室からいろいろなものが盗みやすいように思って放火をした上で、そのどさくさにつけ込んで情報資料を取ってきて、それを警察に何回も渡しておる。その中には日本共産党の細胞の名簿、民青同盟員の名簿というようなものも含まれておるということは本人弁護人に言っておる、こういうこと。そしてしまいには、そのどさくさにまぎれて本だとかいろいろなものを盗む。現金も盗むというようなことをやっております。そしてあげくの果てが実刑三年を受けておる。言語道断だ。そういうことを知りながら警察情報提供を求めておる。あなた方はそういうことを必ずしも知らなかったというかもしれないけれども、判決が確定しているのですよ。この判決はこういっております。「しかし被告人が情報収集協力者となったのは、瑞穂警察署の警備警察を担当する各警察官が、被告人が窃盗事件の被疑者として同警察署に任意出頭して取調べを受けたことを知悉しながら、あえて被告人に協力を依頼したことに由来するものであり、かつこれ等警察官において、被告人が大学内に無断で立ち入って、情報資料を収集してくることを予想し得たことは判示冒頭事実の認定に供した各証拠により明白であって、かかる点からして警備警察において、被告人の弱点を握って情報収集の協力を被告人に押しつけたとの非難も、あながち的はずれとは断言できないものがあり、」こう言っておる。裁判所が認めておる。確定しておる。そういうようなことをやっていいのかどうか。今後絶対にやらないということを約束できるかどうか。それをお聞きしたい。
  63. 鈴木貞敏

    ○鈴木説明員 その判決内容、それは確定しているということでございますが、その事実について、そういうケースは非常に遺憾だと思います、率直に言いまして。警察としましては、そういう情報収集の手段としてそういう方法は取るべきでない、また現在もそういうあれで指導はいたしておりませんし、そういうつもりは毛頭ございません。今後もそういう方法、いわゆる起訴猶予ということはちょっと考えられませんけれども、警察の権限の範囲外のことでございますので考えられませんが、公正に今後もやっていくという方針に変わりございません。
  64. 正森成二

    ○正森委員 判決はこう言っています。「盗癖のある被告人が情報収集者として、違法な手段によって情報資料を収集し、これを金銭の対価を得て警察提供しているうち、犯罪に対する罪悪感がかなり麻痺したであろうことは容易に推認しうるところ、本件各犯行もかかる前提条件のもとで行なわれたことを考慮すれば、被告人独りを責めることにとどまらず、その背後にあるものの責任を斟酌して量刑するのが社会正義に合致するものと思惟できる。」判決はこう言っておるのです。「その背後にあるものの責任を斟酌して」、背後にあるものというのは警察だ。警察というのはどろぼうをつかまえるところと違うのか。スパイを、放火をやめさせるのが警察じゃないか。ところが警察がそういうことを教唆して、事実上教唆したと同じことだということをこの判決が認めておる。昔からわれわれはうそつきはどろぼうの始まりといって習ったが、このごろでは公安調査庁がどろぼうの始まり、警察がどろぼうの始まり、こういうことになる。ところがこの事件について関係警察官四名が告訴、告発をされております。それについてどういう処置がとられたか。私どもの調査しておるところでは、一たんは調べておったけれども中止処分ということになったということを聞いております。それについて法務省刑事局長、なぜこんなものが中止処分になって起訴されないのか、それについてお答え願いたい。
  65. 安原美穂

    安原政府委員 突然のお尋ねで詳しいことはわかりませんが、処分といたしましては昨年の十一月二十四日にいま御指摘の生田警察官ら四人につきまして、窃盗教唆、贓物故買、公務員職権乱用の告発がございましたが、証拠不十分のため不起訴になっております。その間中止処分のありましたのは、横井公判の結果を待っておったということでございます。
  66. 正森成二

    ○正森委員 横井の公判の結果を待っておったところ八月に中止になり、しかも判決の理由の中でその背後にあるもののほうが責任が重いといわぬばかりのことを書かれておる。それについて放火の教唆等というのはいろいろむずかしい点があるだろうけれども、現にとってきた物をもらっているのだ。それが嫌疑不十分とは一体何事ですか。そういう態度をもしおとり続けになり、改められないとするならば、検察庁が公正中立な態度検察事務を執行するというようなことはとうてい考えられず、公安調査庁が初めに手をつけて、そういうものを持ってきて金をもらえるというようなそういう人間にまず仕立て上げ、実際に相当大きな窃盗をやれば今度は警察がつかまえてその弱みにつけ込んでさらにどろぼうをさせる、とうとう懲役三年の実刑を受けているというようなことまでさせたものが、しかも公権力を持っておる者が不問に付されるということになります。これは日本の公務員としてゆゆしいことだと思いますけれども、刑事局長はそれについて厳重な捜査をし——警察警察を調べるということはできないわけですから、検察官が認知して事件を処理するということが当然だと思いますが、いかがですか。
  67. 安原美穂

    安原政府委員 おっしゃるとおり、特にわれわれ検察といたしましては、いわば内々の警察官の事件というようなものにつきましては厳正公平ということを非常に意識して処理するというたてまえを伝統的にとってきておりますし、本件につきましてもそのような立場にごうもゆるぎなかったと思いますが、正森先生御指摘の判決判決といたしまして、検察庁といたしましては、鋭意捜査をさせた結果そういう窃盗教唆、臓物故買だということについての犯罪の嫌疑が不十分であるということで不起訴にした。それはそれなりに検察庁としての良心に従って認定をしたものと信じております。
  68. 正森成二

    ○正森委員 そういうお答えだそうですが、この本犯が懲役三年の刑を受けておるという場合に、犯罪の嫌疑なし、しかもこの公判の経過を見ると、弁護人に対しては調書の閲覧、証拠の閲覧というものを検察官が厳重に拒否をしたということを弁護人報告をしております。こういう事件こそ公正に調べた調書は全部見せ、押収したものは全部見てもらうというのが国民の疑惑を解く道であると思う。にもかかわらず普通の事件では行なわれないようなそういう公判維持態度をとっておる。それでは検察庁もまた公安調査庁警察と同じようにグルである。どろぼうを飼うのを助けておるというようにいわれてもしかたがないじゃないか。なぜ弁護人に全部見せるというような公正な態度をとらなかったのですか。
  69. 安原美穂

    安原政府委員 先ほど申し上げましたように、詳しいことはよく承知しておりませんけれども、私ども法務省当局といたしましては、検察庁が不公正な態度をとったとは思いません。
  70. 正森成二

    ○正森委員 そういうことをやって不公正な態度をとったものでないと、この委員会ではごまかせるかもしらぬ。しかし国民が最後には審判をする。そういうようなことをやっておれば、結局検察というのは時の政府の思いのままになり、お互いの役所をかばい合うものだというようなことであいそをつかされることになりかねません。あなたも将来検察陣の中で相当重要な地位に着かれると思うけれども、そういう点を心されなければ結局は国民に見捨てられることになります。そのことを厳重に言っておきます。  時間がありませんから次の問題に移ります。  昭和四十八年の三月十五日、朝日新聞の島根版に「公安調査局長公用車で運転練習 仮免許表示もせず 通勤途中の県道で」こういう大きな見出しで報道がされております。これによると、梶川正勝島根地方公安調査局長が公用の自動車を使って、島根55さ1286、これに乗り込んで、自分がハンドルを持って、仮免許中にもかかわらず運転をしておる。こういう事件が発生しておる。これは、あなた方は専門家だから御存じだと思うけれども、道交法違反ですね、明白に条文まであげてもよろしいが。交通局長が来ておられますけれども、これは明白に違反だと思うが、それについて答弁していただきたい。
  71. 片岡誠

    ○片岡政府委員 いまお話のありましたことは事実だと思います。この際その公用車に仮免許の練習の標識をつけていなかったという事実がございまして、新聞記者からの通報により認知しました松江警察署では、三月十四日の午後五時ごろに出頭いたしてまいりました同局長に対して、仮免許練習の標識をつけなかったことについて、交通課長が口頭で厳重に警告を発したということでございます。
  72. 正森成二

    ○正森委員 何ということをやりますか。これは、あなたは条文をあげられなかったけれども、道交法八十七条の三項違反ですね。これは道交法百二十条一項十四号違反ということで、犯罪になるでしょう。少なくとも反則金で処理されなければならぬ事案でしょう。それが何だ、口頭で注意だけですか。
  73. 片岡誠

    ○片岡政府委員 いまの仮免許練習表示義務につきましては罰則がついておりません。訓示規定でございます。したがいまして警察のなさった処置は正しい。ただし四月一日から、道路交通法の一部改正がございまして、この仮免許の練習表示義務につきまして罰則の規定が設けられました。したがいましてこの時点におきましては罰則はございませんということでございます。
  74. 正森成二

    ○正森委員 局長がこういうことをやって、しかも現在は少なくとも違反でしょう。刑事罰されてもしかたがないんでしょう。これを見るとこう言うておる。「公用車で運転練習したことは、法律家のはしくれとして、」はしくれやな、それは間違いない。「弁解の余地はない。責任はいっさい私にあり、職員は責めないでほしい。もうこんなことはしないが、」このあとが問題だ。「免許はもらえないですかなあ。」こんなことをやって、まだ免許をもらうつもりでおる。道交法の九十条によれば、免許の拒否ということで、法律の規定を守らなかった者については免許を拒否することができるとこう書いておる。そこで、これは公安委員会の権限ですけれども、こういうことをしでかした男、しかもあとでこんなことを言うておる男、これは言語道断で、そして当然免許などは許さるべきではないと思うが、いかがです。
  75. 片岡誠

    ○片岡政府委員 御承知のように現在免許制度につきましては点数制度というものを採用いたしております。そしてたとえば駐車違反である場合には一点、そういう、違反に点数をつけまして、その点数が一定点数に、たとえば六点に達すれば停止が始まる、十五点に達すれば取り消しを始める、こういう仕組みになってございますが、取り消しあるいは停止と同じように、同じ仕組みで拒否または保留の仕組みをつくっております。したがいまして当該事案では、この人が免許を申請してくるかどうか承知しませんが、してまいったときに現在の制度に従って公安委員会は処置をするというふうに考えております。
  76. 正森成二

    ○正森委員 反則金制度で人身事故があったときは九点とかあるいは十何点とかということで、私の承知しているところでは十五点になればこれはいかぬわけですね。そういうことになっておるけれども、しかし、公安調査局長ともあろう者が、こういう順法精神の欠如であることは間違いない、こういうことをやっておる。しかもこの梶川という男は、きょうは時間がないからもう聞きませんけれども、いろいろ違法と思われる二十七条による調査活動も行なっておる。これはまた次回のお楽しみにしておくけれども、こういうようなことはなぜ起こってくるか。それは長官、あなた方がどろぼう情報提供者から何らの反省なく受け取って局長が判を押す、そして養ってきたスパイが今度警察に引き継がれて火つけどろぼうを行なう、しかもそれは検察庁で嫌疑不十分だということで、責任が問われないということだから、結局、おれが法律だというような気で、そんなことはしてもええということで順法精神が麻痺してくるということになるんじゃないですか。そのとおりでしょう。だからあなた方は特に日本国民の人権に対し重大な影響を持つ業務を行なうものは、いやが上にも身を正すべきだと思うのですね。ですからもう一度公安調査庁長官に伺いますけれども、この公安調査局長に対して、あなたはどういう処置あるいは注意をされますか、あるいは今後こういうことはしてはいけないということで、適当な措置をとらなければいかぬと思うのですね。さらに私が最初聞いた問題について、いやしくもよそから持ってきたというようなことを言うた以上は受け取ったらいかぬ。またそういうことを言いつつ持ってくるという者に対しては関係を断たなければいかぬ。こういう通達をしなさいというのは、行き着くところ自分の使っておる情報提供者にそういう犯罪をさせるだけでなしに、公安調査局自身が犯罪の本犯になっておるという経過を示しているからです。ですからそれについて、あなたがどういう態度をとられるかもう一度答弁してください。
  77. 川井英良

    川井政府委員 十五日の新聞に出て、十六日に電話で中国の公安局を通して本庁に報告がございました。それを私見まして、適当でないということで私みずから指示いたしました、この件についての詳細な報告書を文書で提出しなさいという指示を私が直接いたしました。その一応の文書の報告が二十四日、先週の土曜日本庁に参っておりますので、ただいまその文書を検討し、さらに足らないところを指示いたしまして、どういうふうな措置をとるかということについてはただいま検討中でございます。  なお、一貫して最初から御指摘、御叱正のありました点につきましては、今後なお一そう、いままでもそうでありますけれども、戒心いたしまして、法のワクを出ないように誤りなきを期してまいりたい、こういう覚悟でございます。
  78. 正森成二

    ○正森委員 そういう答弁がありましたが、いやしくも違法なことはしないように、そして私が言いましたようにどろぼうがとったというようなものについては、それがほんとうかどうか確かめなければ受け取ってはいけない、もしほんとうだということになれば、絶対受け取ってはならないし、そういうものとは関係を断つ、そうでなければ実刑三年というような、あの横井さんのようなことになってしまうということについては、それはそういう措置をおとりになりますね。うなずかれたけれども、もう一ぺん答えてください。
  79. 川井英良

    川井政府委員 御指摘になりましたような前の二件の石川事件あるいは横井事件というふうな、明らかに不当ないしは違法と思われるような行為につきましては、今後絶対そういうことのないように戒めてまいりたい、こういうつもりでございます。
  80. 正森成二

    ○正森委員 それではこれで質問をきょうの分は終わりますが、もしあなたがそういう戒めを行ない、役所ではそれを通達というのかもしれませんけれども、行なってもなおかつそういう事案が発生したという場合には厳正な処分をされますか。そうしてその事案が重大である場合にはあなたが責任をおとりになりますか。それについて最後にお聞きしたい。
  81. 川井英良

    川井政府委員 その起きた時点におきまして、そのケースについて行為者についての行政上の措置を厳正にまた公正に行なうとともに、私みずからの立場につきましてもその時点において考えてみたいと思います。
  82. 正森成二

    ○正森委員 質問を終わります。
  83. 中垣國男

    中垣委員長 次は横山利秋君。
  84. 横山利秋

    ○横山委員 法務省警察庁、労働省各省においでを願いまして、かねてもう長い間問題になっております仙台市の本山製作所内で起こりました事案につきまして、各省にお尋ねをいたしたい。  まず、委員長はじめ同僚諸君に短い時間で私の質問の趣旨を聞いていただきたいと思うのであります。  去る十二月十二日、仙台市の本山製作所構内で本山製作所の組合支援の集会で、同社が雇い入れている暴力ガードマン、警備課と会社職員数十名らが集団暴行を働いて、四十数名も重軽傷者を発生させました。被傷者の中には私ども社会党の宮城県県会議員である田畑忠雄君、右腕骨折、全治三カ月ら、三名の県会議員も含まれ、ほかにも労働組合員が内臓破裂の疑いのあるものなど、重大傷害が多数にわたっているのです。  私どもは当時全国でも悪名高い右翼暴力団である特別防衛保障株式会社の暴力ガードマンをこの製作所が去年の五月以来導入し、延べ六百名をこえる負傷者を出して暴力の限りを尽くしている本山製作所の実態を県議会でも取り上げるべく視察におもむいて、その結果生じたものであります。そこで社会党議員団としては県本部長をはじめ全県議とも、そういうおそれのないように社会党の議員団を表示するたすきをかけて参加したのでありますが、もうめちゃくちゃに集中的にねらい撃ちがされたものであります。  この暴力ガードマンはかつて関東軍と称して各種労働争議などに暴力介入し、のちに特別防衛保障株式会社として、チッソの株主総会、那珂湊の市役所、報知新聞争議、大阪の細川鉄工争議その他各種の労働争議を暴力をもって介入しておる右翼暴力集団でありまして、昨年十一月一日施行になりました警備業法、いわゆるガードマン規制法制定の端緒となりました集団なのであります。  しかし、本山製作所や細川鉄工におけるこのような暴力行為に対しまして、当初、警察当局が十分取り締まりを行なわず放置しておりましたことに対しましては、私どもが従来から糾弾してきたことなのであります。本山製作所等におきましては、無抵抗の組合員に対しまして、警察の取り締まりがないのをいいことに他の職制及び第二組合幹部までわがもの顔に暴力をふるいました。本山製作所や細川鉄工においては、十一月一日の警備業法施行を前に警備課を社内に設置し、暴力ガードマンがこの特別防衛保障株式会社を退社して各社に入社したとしてその課員に据え、以前より一そう組織的に暴力をふるっておりまして、これはガードマン法の適用をのがれんがための脱法であり、実質上違反行為であるとは私どもが強く考えておるところであります。  このような状況にもかかわらず本山製作所におきましては、世論の批判に背を向けまして十二月十八日に、職場の半数を占めます全金の労働組合員のみに先制的、攻撃的な違法ロックアウトをかけました。これらの行為は経営者が頑迷だから行なうといったしろものでなく、戦闘的な組合をつぶすまで攻撃を加えるという、そういうような感覚が明らかになっておると思われるのであります。  以上が本山製作所の問題の概要でありまして、本件につきましては、もうすでに衆参両院におきましてこれに対する各省の措置を追及をしてまいったところであります。  しかるところ、まず労働省といたしましては職安法違反ということにすでに判断をされ、そしてそれが警察庁に移牒になり、警察庁はすでに先般立ち入り調査をしてしかるべき措置をとられたというのでありまして、本日は、本件に関するその後の状況について、各省から端的に結果を伺いたいのであります。  法務省におきましては、取締役が刑罰諸法令違反を繰り返している場合におきましては大臣の警告要件に該当し、商法五十八条では大臣権限として解散ができることにも相なっておるわけであります。また法務省は、人権擁護局が本件について人権擁護の立場から発動を要望をいたしておるのでありますが、それまたどうなったかの結論も伺いたい。  また、警察庁におきましては、本山製作所の社長は警察友の会、防犯協会の会長でありますか、そういう役員をいたしており、この特別防衛保障株式会社が暴力会社であるということを承知の上で、そこから暴力ガードマンを採用して警備課員にしたことの是非論等も問題になっておるところでありまして、少なくとも本山社長が警察友の会の会長であり、防犯協会の役員であり、しかもこの混乱の際に、多少の時間的余裕はあったとはいえども、仙台中央署の百足警部補が警察を退職してこの本山製作所に就職しておるというようなことで、当初におきまして、警察署と本山製作所の因果関係、癒着関係につきまして新聞その他各方面で警察の姿勢が疑われる、こういう状況になっておることも御存じのとおりであります。  また、労働省の部面におきましては、これら錯雑した状況の中で労働大臣なり労政局において、本質的に本山争議解決のためにいかなる措置をいたしたのかという点が、政府に対する質問の労政関係における焦点でありました。  大臣が他の委員会答弁したのを要約いたしますと、大臣としてもほかってはおかない、何とか努力をするというようなことを言うておるわけでありますが、その後は一体どういうことになったのか等々の問題を、短い時間でありますので従来の経緯はもうけっこうでございますから、警察庁法務省、労働省の順に、今日時点における本山事案に関する私どもの指摘をいたしました結論について、それぞれまず御報告をいただきたい。
  85. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ただいまお尋ねのことで、警察庁に関する部分につきましてお答えをいたします。  第一番には、いわゆる本山製作所の事件に関して、昨年の五月以来の経過において警察のとった措置についての御指摘でございますが、御承知かと思いますが、この本山製作所の紛議に関連して警察がとるべき措置としては二つに分かれると思うのです。一つは紛争の現場におけるいろんな暴行事案、そういったものの処理の面、それからもう一つは、先ほど御指摘もございました警備会社の特別防衛保障会社の問題について、警備業法の適用その他の問題、その二つに分かれるかと思うのでございますが、個々の紛争事案についてはすでに何べんも繰り返し御指摘がございまして、私どももそのつど現場における適切な処理ということに心がけてまいっておりますが、何ぶん現場における非常に大ぜいの人が関係しての瞬間的なできごとでございますので、これは御説明する時間があればまた個々に詳細に警備課長から御説明いたしまするが、それぞれ一生懸命やっておりますけれども、何ぶん現場における臨機応変の措置が御期待どおりにいかないといった場面がありまして、いろいろ従前の教訓を得ては反省し、努力してまいっておるところであります。  それから特別防衛警備保障会社の措置について、過去のいきさつを抜きにして現状だけということでございますので、ごくかいつまんで申し上げますと、当初、警備業法が施行になったときに、警備業法の違反行為があるのではないかという観点からいろいろと検討をし、いわゆる内偵捜査を進めたのでございますが、法の施行前になかなか巧みにいろんな措置を講じておりまして、実質的には、十一月一日以降に警備業法の違反になるような事柄を私どもとしてはなかなかっかみ得ない。そこで角度を変えまして、先ほど御指摘があったように職業安定法違反になる行為がないかということで私どももっぱら努力した結果、この点については職安法四十四条の違反容疑があるということで、そういう疑うに足る材料を得ましたので、これでもって裁判所の捜索許可状を得まして、過ぐる三月六日に宮城県警察本部では、特別防衛保障会社の現在の責任者の高山という者の居宅と、それからすでにやめた元の責任者である飯島あるいはもうやめた実力者である恩慈という者の三人の居宅、それから会社自身を捜索いたしました。そうして捜索に引き続いて、いま申し上げた三人をはじめ関係者を呼び出しまして、何度にもわたって取り調べをやっております。そうした結果と、さらに並行して進めておった捜査の結果をいろいろ検討した結果、本山製作所自体にも職安法四十四条の違反容疑があるという疑いを持ちまして、これまた捜索令状を得まして、三月二十日本山製作所の本社の関係の場所に対して捜索を行なっている。その結果、相当な帳簿その他資料を押収しまして、現在関係者について取り調べを進めておるという状況でございます。その内容は目下捜査中でございまして、詳しいことを申し上げるのはちょっと差し控えたいと思いますが、私ども当初考えておる職安法四十四条の違反の容疑がだんだん強まっており、いろいろな資料が集まっておるという段階でございます。  それともう一つは、いずれも十月三十日以前の行為でございまして、どうもこれがきっかけになって、四十七年十一月一日から以降の違反行為が出れば、警備業法における処置ができるんではないかということを希望しながらやったのでございますが、ただいまの時点では十月三十日までのものしか出ておらない。相当額のピンはね行為などがあるようでございまして、そういうことが明らかになれば、職安法の違反として私どもは法廷で責任を問うように進められるのではないかというふうに思っております。  それから、先ほど御指摘があった本山製作所の社長の本山軍蔵という人が警察友の会の会長をしておるということでございましたが、これはそのとおりその地区の友の会の会長をしておりましたが、本年の二月十四日本人から辞職届けが出て、これを受理いたしております。  それからもう一つは、やはり黒松防犯協会という地区の防犯協会がありまして、そこの顧問をしておるということでございましたが、これは昨年の十月十七日、同協会の役員改正の際に再任されないでそのままになっておりますので、現在は関係しておらないということでございます。  それから、宮城県警の警察官が本山製作所につとめておるということでございますが、これは退職をした者が二人就職しておることは事実でございまして、一人は昭和四十七年十一月十五日宮城県警を退職しまして、一たんは仙台市内のある建材会社に就職したのでございます。その後十二月一日になって本山製作所に再就職しておる。もう一人は、これは昭和四十五年三月三十一日に宮城県警を退職して、本山製作所に就職しております。こういった者はいずれも宮城県警が仲介したのではなくて、本人が自分たちの自由な意思で就職をしておるという実情でございますので、警察としては、その人たちの存在のいかんにかかわらず、厳正中立な立場で取り締まりを行ないたいと思って努力をいたしております。  以上でございます。
  86. 川島一郎

    ○川島政府委員 私からは商法第五十八条の解散命令の関係についてお答えいたします。  商法第五十八条に規定する法務大臣の権限を発動するかどうかという点につきましては、関係各省庁と十分連絡をとりまして、その事実関係の確定をまった上でその処置を検討したい、このように考えております。  御承知のように、法務大臣が商法五十八条に定めております警告あるいは解散命令の申し立てをいたしますには一定の要件がございます。先ほどお話しになりましたように、取締役が一定の違法行為をしているということが前提でございまして、その点についての証拠をととのえる必要があるわけでございますが、民事局といたしましては、昨年当時の警備会社の代表者を呼びまして、事情を聴取などいたしたわけでございますが、その点の証拠を得るに至っておりませんので、最初に申し上げましたように、関係官庁と連絡を密にしながら、事実関係を確定さした上であとの処置を検討したい、このように考えておる次第でございます。
  87. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 労政関係について申し上げます。  非常に長い、しかもこじれた争議で、私どもも非常に大きな関心を持ってこれを見守っておるわけでございますが、御承知のごとく宮城県当局が非常な熱意を持ってこの問題の解決に努力をしておられ、知事も数回にわたり会社の責任者と会われ、また副知事、部長、課長その他がしばしば接触をし、ケースに応じていろいろ勧告等もしておると承知しております。  また、宮城の地労委も不当労働行為の申し立てを数多く受けておりますほかに、またあっせん等の労も試みました。特に、二月のあっせんにつきましては私どもも非常に期待を持って見守っておったわけでございますが、二月十三日不幸にして一応不調に終わりましたけれども、地労委としては、さらにチャンスさえあれば再びあっせん等の労をとることは少しも辞さないという態度でございます。  私どもといたしましては、宮城県当局のこういった真剣な取り組みに一応信頼いたしまして、宮城県当局とは常に密接な連絡をとり、そして私どものほうから宮城県に申し得べきことはいろいろ申しておりますが、宮城県当局の努力というものを第一に表に立てて努力するほかしかたがないのではなかろうかと思っております。  ごく最近も宮城県と連絡をとりましたが、あっせん不調になりました以後におきましては、宮城県当局としては事態を見守り、さらに何らかのきっかけがあればこの解決に向かっての努力の手を打ちたいということを申しておりますので、私どもといたしましては、こういった宮城県当局に信頼をし、これをバックアップするという態度で、いましばらく見守りたいと考えております。
  88. 加藤孝

    ○加藤説明員 本山製作所事件の職安法違反の関係の問題につきまして、私どもも警察当局と連係をとりながら調査を続けてまいったわけでございますが、まず、この特別防衛保障会社につきましては職安法四十四条違反の疑いがきわめて強い、こういうことで警察当局とも連絡をし、その警察当局の調査結果を待っておる段階でございます。  それからもう一つ、本山製作所そのものにつきましても、職安法四十四条の規定が「何人も、その労働者供給事業を行う者から供給される労働者を使用してはならない。」、こういう規定との関係で、本山製作所そのものについても問題があるということで、それらにつきましても、警察当局とも連絡をとりながら、先般警察当局もまた捜査をされたわけでございますが、現在その捜査結果を待っておる、こういう段階でございます。
  89. 萩原直三

    ○萩原政府委員 人権擁護関係について御報告申し上げます。  昨年の五月二十四日に第一組合側から仙台法務局に書面が提出されまして、その書面の記載によりますと、五月二十日から二十二日にかけて、会社の雇い入れたガードマン四、五十名が第一組合員十数名に対して暴力的な行為に及んで負傷をさせたというふうに主張されておりまして、その調査と適切な措置をとられたいという申し立てが出されました。そこで仙台法務局の人権擁護部の係官が、その第一組合の申し立て代理人に事情を聴取いたしまして、六月十日にその申し立てを人権侵犯事件として立件しまして、自後仙台人権擁護委員協議会仙台部会所属の委員と協力いたしまして調査を続けてまいったわけでございます。  現在までの調査内容をごく簡潔にお話し申し上げますと、まず組合側につきましては、第一組合側でございますけれども、申告書に添付されました診断書記載の者六名を合めた十一名について事情を聴取しております。それから会社側につきましては、総務部長、各関係課長、または主任等、合計七名について事情を聴取しております。それから第三者といたしましては、その診断書を作成しました医師ほか一名、合計二名の医師と地労委の事務局長から事情を伺っております。  この事情聴取からただいままでに得ましたところを申し上げますと、第一組合側はその申し立て書記載のような暴行を受けたという供述をしておりますけれども、加害者が特定される段階にまで至っておりません。それから会社側のほうは、右の暴行の事実を逆に否認しておりまして、むしろ自分たちの課長がつるし上げ等の暴行を受けているということで、書面による人権侵犯の申告までいたしておりまして、さらに第二組合側からも同様な主張がございます。  そこで、所轄の仙台法務局人権擁護部といたしましては、今後組合関係者、ガードマン関係者並びに会社側関係者、合計二十名程度につきましてより詳しい事情を聴取する予定を立てております。さらに本山製作所構内の実況検分もいたす予定でございます。ただ先ほど御報告がございましたように、地労委の関係で、実況検分はいましばらく待ってほしいという会社側の申し出もございましたので、そのほうが滞りなく行なわれるのを待っているわけでございます。  以上のような状況でございまして、ただいまのところでは申告書のような事実があるかどうかということが明らかでありませんので、まだ結論を出しにくいというところでございます。  大体以上でございます。
  90. 横山利秋

    ○横山委員 大体各省の御報告を聞いて感ずるわけでありますが、要するに、本山問題の他の労働争議と違いますことは、特別防衛保障株式会社、まあ名前から大体おかしなものでありますが、そういうものが背後に介在をしておるということなんであります。この問題を抜きにしては論じられない。人権擁護局長のおっしゃる、どっちもどっちだというようないまの現状報告でありますが、もしそれ暴力的な特防会社が介入していなかったら、かかる事態には発展をしなかったであろう。どっちが先に暴力をふるったか、それはあなた方から言えば議論のあるところであろう。しかし暴力が生ずる要因となったのは特防が存在しているからということはまぎれもない事実なんであります。  そこで、警察庁に法理論から伺いたいのでありますが、確かにガードマン法、警備業法が制定される前にそこをやめて、そして本山製作所に入ったということは、形の上ではなるほど問題はないようである。しかしながらそれには二つの問題がある。それが合法であるならば、この特防はいつも自分のところの社員をやめさして、そしてそこへ入れて普通の職員にして争議が済んだら退社さして、また自分のところのガードマン会社の職員にするということが堂々とこれから行なわれ得るではないかということが第一であります。  第二番目は、あなたのほうも調査が進んでおると思うのでありますが、ガードマン法が施行されて以後も、この特防から、いわゆる指導的な役割りをする立場において、本山製作所なり細川製作所に対してときどき幹部が顔を見せて現に指導をしておる。コンサルタントとか称して指導しておる。争議の際にも顔を出しておる。ここに出ておりますように証拠写真を入手しておるわけでありますが、こういうふうにいつも出没をしてその指導をしておる。こういう指導をガードマン会社がやり、陰にその報酬を得ておるとしたならば、これもまた合法的だという狭義の解釈ならば成立する。そういう点について一体いまのガードマン法の中ではほんとうに取り締まれないものであるかどうか。また取り締まれないとするならば、ガードマン法を改正をする必要があるのではないか。もしそれこのまま職安法だけで議論をし、職安法だけで起訴をし云々といったところで、本来ガードマン法の運用というものについては、私も、成立当時、地方行政委員としてしばしば論争をした問題であり、その際に警察当局としては、大体この法をもってなし得るというふうにいわれたことであるし、附帯決議もあるし、私どもが最後に、ガードマン法について野党として了承を与えるか与えないかについてのせとぎわになりましたのも、まさにこの一点にかかっておる。その一点がうまいこと警察当局が——私どもが指摘したように、こういうような抜け穴的なやり方でガードマン法の公正妥当な運用ができないとするならば、この際考え直すべきではないか、こう考えるのでありますが、警察当局はこの事案の経過の中からガードマン法の運用なり何なりをどうお考えでありますか。
  91. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 ただいまお尋ねの点は、当時は私いまの仕事ではございませんでしたが、警備業法制定の経過の議事録等を私も拝見しまして、まさに当時先生が問題にされておったとおりであるということを承知いたしております。  御案内のとおり結論として警備業法は、現に警備業をやっておる警備業者と警備員を規制の対象として、いま例にあげて御指摘のように、会社を退社していった者に対しては、表からは適用にならないということになっております。そういうことでいいのかどうかということを当時立案の過程においてずいぶん検討したのでございますが、今日の制度のもとで、従業員が会社を退職していくこと、あるいはその退職した従業員が他の会社に就職するということ、これは職業選択の自由に属する問題であって、警備会社の警備員に限ってこれを法制的に規制するということは、なかなか問題が多いということで、現行のように、警備業者に雇用されている形態だけを規制の対象としたのでございます。  そこで、いまお尋ねのように、やめさせて、そしてどこかの会社へ入れて、済んだらまた戻ってきて雇用してということをやった場合には一体どうなのかということになると思いますが、これはそういう行為をやった者、特定の男が自分の実力下にある何人かの人間を自由にやめさせて、そしてどこかにやって、またもとへ戻すということをやって、実質的に警備業が業として行なわれておるということになりますと、無届けの警備業であるということになって、警備業法の適用を受けることになります。それじゃ、いまの特別防衛保障会社の場合にはどうかということになるのでございますが、先ほど申し上げたように、現在の特別防衛保障会社の幹部は全く別な人間がなっておりまして、役員として届け出になっておる者は、飯島何がしでもなければ恩慈何がしでもない別な人間でございます。現在特別防衛保障会社の役員がいま言ったようなことをやっておるという証拠がなかなかございません。  それから、すでにやめた飯島何がしが、それでは何でもない、特別防衛保障会社の過去の責任者であったが、現在は警備業とは関係のない男が、御指摘のようなことをやっておるかということになると、これはなかなかやっておりません。先ほど写真にあるとおっしゃっている方も、かつてこの警備会社に関係をしたようでございますが、いまはやめておるようでございます。その男が経営コンサルタントと称してあらわれて、実質的にやっておることが警備業の行為であれば、これは警備業法の違反として、私ども無届けの警備業として取り締まりができるのでありますが、なかなかそこのところの挙証がむずかしい、へたくそじゃないかというおしかりを受ければ、まことに恥ずかしいのでありますが、何とかそこのところの実態が明らかになって、証拠立て、立証ができるということになれば、これは無届け警備業としての取り締まりができるというように思っております。  いずれにしても、現在の法制下で警備業法というものがあれば、私どもかなりの取り締まりができるのではないか。たとえば、先般来関西のほうで少年を雇って、しかもこれを十分教育しないで警備員として使っておったというようなことがわかっておりますので、こういうものに対してはきびしい取り締まりをやるつもりで、いまやっております。  以上、お答えといたします。
  92. 横山利秋

    ○横山委員 もう一つ、立法のときに私どもが強く指摘し、また注文しておいたことがあるわけでありますが、それは、立法の当時、警察庁はいわゆるすでに存在しております警備保障会社の十分な意見を聞いたかということを言いましたところ、まだ全国組織も十分でないし、けれども、個々の意見は聞いておる。ところがそういうかたわら、関西の警備会社の集団から、われわれは警察当局から何にも話を聞いておらない、われわれの実態、われわれの意見を調査せず、聞かずして、一部の意見を聞いて、かかる法律案を審議されるのは遺憾である、こういう注文がありました。  そこで私どもといたしましては、警察当局にいろいろな注文をしました。一つは、この警備業界の自主的な組織、自主的な運営、そういうことが非常に大事である。そして法律によって制約ができないこと、それを警備業者がみずから近代的な警備業者として自主的な運営をされることが、最も法律運用の上において必要なことである。その自主的な運用の中には、かかる特防のようなものについては、社会の指弾を受けるようなものについては、組織に参加させないということも必要であり、あるいはまたそこと人間交流もいたさないということも必要であり、社会において公正な運営をいたしておりますガードマン会社と、不公正な、違反と言わなくても不公正な運営をするガードマン会社とを区別をする、そして社会的に選択をさせるとか、そういう法律以前の自主的な運営をされることが十分配慮されてしかるべしという注文をいたしたことがございましたが、この点は現状はどうなっていますか。
  93. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いまお尋ねの件は、私どももまことに御趣旨に賛成でございまして、先ほど来御指摘のように、法をもって規制することにはおのずから限度がある。非常に巧みに立ち回ればどんな法でも裏をくぐれるという、法の限界というものがございますので、御指摘のように業者、業界が自主的に運営して、ことに業界にはいろいろな、大きいものから小さいものまで玉石混淆みたいな感じでございますので、いわゆる大手の警備業界というものは業界の品位を落とすような業者に対してたいへんきびしゅうございます。そういった意味でお互いに自主的に運営して、そして警備業というものの品位を高め、世間の信頼を得るということは、私どもが要望しなくても、心ある業界の者としてはねらっておるところのものだと考えるのでございます。  そういった意味で、警備業法の主管の役所といたしまして、なるたけ自主的な運営ということを、御要望の経過もありまして、やらせておりまして、個々に各県ごとに、県によってはまことに警備業務の少ないところもございますが、大都市周辺にはかなりの警備業界がございますので、各県ごとに組織を持って、全国的にはまた全国警備業協会連合会という組織を持って、その組織でもってお互いに相戒め、また教育し合って、自主的運営の成果をあげつつあるようでございます。  私どもも、先ほど来御指摘がございましたように、法の限界を越えるものについては、できるだけこういうものの役立つような資料を連絡して、そうして自主的な運営でもって業界の円滑な運営ができるようにという努力をいたしております。
  94. 横山利秋

    ○横山委員 その特防はその全国組織に入っていますか。
  95. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 特防は入っておりません。アウトサイダーでございます。
  96. 横山利秋

    ○横山委員 先ほど申し上げたような十二月十二日における私どもの党の宮城県会議員である田畑忠雄君、右腕骨折、全治三カ月をはじめ三名の県会議員が、日本社会党のたすきをかけて参加しておって、右腕骨折、全治三カ月という事態に立ち至りました。その際には四十数名の重軽傷者が出ておるのであります。少なくとも、この第一組合なりのあるいは味方をするにいたしましても、暴力ガードマンが、警備課員という立場にいたしましても、日本社会党のたすきをかけて、一人のみならず複数の県会議員が行って、そうして円満に事を処置をしようという話し合いをしておる最中にねらい撃ちにされ、しかも現場報告によりますと、議員に対して、いなか議員だとかばかやろうだとか罵声を浴びせて暴行を加えておるという事実は、まことに遺憾千万といいますか、この警備課員は暴力ガードマン会社におった人間でありますが、警備課員のやり方の状況がほうふつとして浮かんでくるわけであります。  この問題についても、警察当局のあり方が向こう向こう、こっちもこっちというような意向がいささかでもあるとするならば、もう憤慨にたえぬと思うのでありますが、この事案についてどういう措置をとられましたか。
  97. 室城庸之

    室城説明員 ただいま御指摘の十二月十二日の事件につきましては、当日第一組合員約百五十人と会社側約三十人が加わりましたため、支援労組員など約二百人と会社側の約八十人とが押し合いをするというような非常に大きな乱闘模様になりまして、御指摘の三人の社会党の県会議員の方がけがをされる。また全体の負傷者、私ども確認いたしております範囲ではただいままでのところ三十二名というふうに承知いたしておりますが、そのように全治三カ月を要する重傷をはじめ多くの負傷者が出たわけであります。私どもといたしましては、当日直ちに現場に部隊を投入いたしまして事態の鎮圧をはかると同時に、そのような事件を起こしました関係者について捜査を開始いたしまして、その日のうちに県会議員を突き落としました被疑者を緊急逮捕するということをはじめ、関係者の八人を逮捕いたしまして、ただいまなお継続捜査中でございます。   〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕  そういうことで私どもといたしましてもこのような事態が二度と起こってはならないということで、それ以前にも関係者にこういった事態を起こさないようにという警告をそのつど発してきたわけでございますけれども、それ以後につきましては警察の部隊を現場に持ってまいりましてそのような不測の事態を避ける以外に事態の解決がむずかしいという判断をいたしまして、この事件を契機といたしまして自来警察の部隊をほとんど連日、問題の起きそうな時間に会社の門前に配置をするという形で事態の回避につとめておるわけでございます。  ただいま先生から御指摘ございましたように私ども警察といたしましては、一方の側にだけ立ってどちらが悪いという形で捜査を進めるわけにはまいりませんので、起きました事態をあくまでも公平、中正な立場で評価いたしまして、その中から事案の責任者を抽出するということを中心にやってまいっておるわけでございます。もちろん従来の長い間のいきさつから関係者の間にいろいろな複雑な事情がありますことは私どももよく承知いたしておるわけでございますけれども、原因はともかく、起きました事態について私どもはあくまでも厳正な立場で捜査を進める。これは警察の姿勢の基本になるものであろうと思いますが、そのようなことで事件そのものにつきましてはあくまでも中立的な立場でこれを評価していくということで捜査をいたしておるわけでございます。
  98. 横山利秋

    ○横山委員 そういうことをあなたが最後におっしゃるなら一言言っておかなければならぬ。先ほどあなたのほうからくどく弁解じみたお話がございましたが、当初において警察の姿勢が非常に疑われたということです。この問題を抜きにして議論するわけにはまいらぬのです。事案のあった本山製作所の社長は警察友の会の会長である。防犯協会の役員であった。そして警察から二人の職員が会社の警備課におる。一体本山製作所と宮城県の警察署との関係はその癒着関係というものが容易に想像できる。癒着はしてないと言っても現在警察友の会の会長ではないか。そうするとあなた方先般もあれはおれたちが選んだんじゃない。警察を支持する皆さんが随時選んだものである。こういうわけである。随時選んだものにしても、友の会の会長というのは警察と常日ごろ一緒になって一ぱい飲んだりごはんを食べたりしている関係である、これも容易に想像できる。したがって、当初において警察の立ち上がりはきわめて悪いということは各方面より批判を浴びたわけです。警察ばかりではない、ほかのほうでもそうですけれども。ところが今度のをいろいろ調べていったら、一つは特別防衛というあちこちで札つきのものであった。そしてこれはいかぬということになって、先般第一会館で私が強く指摘して直ちに友の会の会長をやめさせなさいと言ったときにあなた方は何と言いましたか。私どもが選んだものじゃないので私どもの自由になりません、そんな表面的なことばを私伺おうとは思わない。今日の警察友の会の会長が警察の威信、警察の信用、警察の業務に多少なりとも誤解を与えるおそれがあるとするならば、方法はいかようにもあるはずだと私は言った。結局自発的におやめになった、こういう話で、自発的であるか、どういう方法であるか、容易に私は想像はできると思う。そういう中で警察の姿勢が疑われているのだから、この際はっきりした姿勢をもって問題の処置に当たらなければならぬとくどく私がかねて言っておるのであります。あなたが一方に偏することがいかぬというならば、逆にいままで一方に偏しておったからいかぬのだ。いままで一方に偏している事実、ないしは事実がないとすれば、社会から疑われていることから問題が始まっておる、こういうふうに私は言いたいのでありますから、その点は社会的にそういう誤解があったということを十分に考えながら問題の処置に当たっていただきたいと思う。  それから法務省に伺うのですけれども、川島さんにこの際伺っておきたいのは、これも国会でしばしば議論の対象になったのでありますが、商法五十八条。大臣権限で会社を解散できるということについてどうも法務省としては、実際問題としてはそういう権限はあるけれども、おれたちに調査権限はなし、またその商法五十八条を発動する手続き規定もなし、また法務省内部においてそういうことは初めてであるから担当者もきまっていなかった。だから実際問題おれのところにはできぬ。これは結局警察なりあるいはほかのほうに依頼してそういうものが上がってきたらそれをもとにして自分のところでやるよりしかたがない、どうもこういうような感じがいたすわけであります。このことはよろしくない。少なくとも法務大臣が権限を持ち、そうして実行しなければならないわけであります。みずからの手によって手続規定も定め、そうして担当者も日ごろ常置され、事態に即応して直ちに発動するということがなければ、全くこの商法五十八条は空文になるではないか。この機会に商法五十八条の運用についてどういうふうにお考えなのか、この際明白にしておいていただきたい。
  99. 川島一郎

    ○川島政府委員 商法五十八条の解散命令の運用についてどう考えるかという点でございますが、これは一般的に申し上げますと、手続は非訟事件手続法にきまっております。法務大臣がみずから解散命令に該当するような事実を発見する場合もございましょう。しかし法務大臣がそのために常時見張りをしておるというわけにもまいりません。そこで非訟事件手続法におきましては第百三十四条ノ四という規定におきまして、裁判所その他の官庁、検察官及び公吏、一般の官庁とか公務員すべてをさすものと思いますが、そういうものが「職務上商法第五十八条第一項ノ請求又ハ警告ヲ為スベキ事由アルコトヲ知リタルトキハ之ヲ法務大臣ニ通知スベシ」、こういう規定がございます。したがって、こういう解散命令に該当するような事実があるということを官庁あるいは公務員が知った場合には、それを法務大臣に通知して、そしてそれに基づいて法務大臣が判断を加える、そして解散命令申し立ての手続をとる、こういうことになろうと思います。これが法律の予想している手続でありまして、この規定自体、これと類似の規定はほかの場合にもございまして、私は手続が不備だというふうには考えておりません。  なお本件のような場合におきましては、現に警察その他でお調べになっておりますし、その結果が判明いたしますれば、これに基づいて解散命令の必要があるという場合には法務大臣に通知をいただくことになるわけでございますので、その上で法務大臣が所定の手続をとる、こういうことになろうかと思います。  なお本件につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように国会でもいろいろ御指摘がございました。その関係で特に代表者を民事局に呼びまして担当の者が事情を聴取した、こういうことをいたしておるわけでございまして、商法五十八条の解散命令、これはきわめて実例は少ない案件でございますけれども、手続的にはいま申し上げたような手順によって運ばれるべきものであるというふうに考えております。
  100. 横山利秋

    ○横山委員 私は法務省どうも気に食わぬのだけれども、通知を受けたるときはというて、法務大臣が知りたるときはというのはないのですかね。つまり法務大臣が見ておって、あなた方が見ておって、これはけしからぬなと思いしときはというのはないのですか。人から言われなければやらぬというのがどうも法務省。続いて人権擁護局も同じことなんでありますけれども、このごろの人権擁護局のあり方について注文をしたいと思いますが、通知を受けたるときは主義であって、みずから人権擁護局が知りたるときに前へ出るということがほとんど皆無である。話が発展して恐縮でありますが、たとえば公害にしても人権問題にしても、いまの世相でいっぱいある。そのときに国民の中で、もう数年前と違ってそういう人権問題を提起したいと思ったときに、さっと法務局の人権擁護部というものが頭に上がってこなくなっている。大体警察へ飛び込むかあるいは県庁、市役所へ飛び込むか弁護士のところに飛んでいくか、そういうことになって、法務局の人権擁護部へ飛び込むということがたいした役にも立たぬということになってしまっておる。これらは法務省が通知を受けたるときはくらいで、通知を受けたらずっとおまえのほうで資料証拠をつくって出てきてもらいたい。今度の本山事件でもそうであります。先般も人権擁護局に文句を言ったわけでありますが、本山の組合から調べてもらいたいといったら、出てこい、出てくるよりももう現場へ来て一ぺん見てくれというたら、文句を言うなら出てくるのがほんとうじゃないかというて、この間訴えをされてから私がおこるまで、数カ月にわたって出てこい出てこいというような雰囲気があったそうであります。聞けば、人権擁護部としては一方の要請を受けて出動したんではそちらのほうに味方をしておると思われてもかなわぬということのような話がございました。まことに何という官僚的なものの考え方であろうか。警察が出動するにしたってどこが出動するにしたって、それぞれの自主的な判断があるのは当然のことである。片方の訴えがあったら片方も呼んで、どうだったと調べるのがあたりまえであって、そういう官僚的な、一方に偏すると見られてもかなわぬというようないい方をもって、文句があるなら、訴えがあるなら人権擁護部に出てきて話をするのが正当であろうということをもって前に出ることをちゅうちょされるということは、私はたいへん遺憾なことである。同じようにいまの話の法務大臣の権限につきましても、通知を受けたるときはだから、通知をするほうが証拠をつくって持ってこいといわんばかりの話では、商法五十八条の大臣の責任というものが十分な運用ができないと思いますが、御両所からお考えを聞かしてもらいたい。
  101. 萩原直三

    ○萩原政府委員 ただいま先生の御叱正がありました点につきましては、人権擁護局といたしましては十分その運用について考慮していきたいと存じております。  ただ私たちの仕事といたしましては、個々の具体的な人たちが人権侵犯の目にあいまして救済を必要とするという場合に、その事実上の擁護救済をはかろうというところをねらいとしておるのでありまして、どうしても被害者とされる人本人がどういう意向を持っておるかということは相当重視しなければなりませんので、やはり本人の申告ということが調査の開始の一つの要件になっておるわけでございます。しかし何もその申告がなければ動かないというのでは毛頭ありません。(横山委員「動いておらぬですよ」と呼ぶ)それはそういう実情にあるとしますればわれわれもよく考えて直していきたいと思いますけれども、たとえば先生御指摘の公害の問題につきましても、いわゆる小公害に属する事件につきましてはわれわれが相当アクチブに働いておりまして、どこにも持って行きようのないような非常に苦労をしている方々にある程度の救済措置を講じておるつもりでございます。また学校の先生が生徒に体罰を加えるというような例も間々起こるのでございますけれども、そういう場合には何も被害者の申告を待たずにわれわれがアクチブに動いて、今後そのようなことが起こらないように、そのようなケースを通じまして啓発活動につとめているわけでございます。  最後にこの本山製作所の事件につきましては、先生御叱責の点もございまして、われわれも今年に入りまして局の担当の職員を現場に派遣しまして、できるだけ調査を迅速にし、真相を明らかにするように指示させております。そして当初の現場に行って調べるということを差し控えましたのは、先ほど先生も御指摘のように、われわれあくまで任意の調査、そしてあくまで自主的な本人の行動を目途としての立場から見ますと、なおさら中立を保つということが必要でございまして、あの段階で私どもが現場に参りましたならば、逆の立場から無用な疑いを受けるというおそれがございましたので、できればわれわれのほうに来ていただけないだろうかということをお願いしていたわけでございます。しかしその後、先ほど御報告申し上げましたとおりわれわれのできる範囲で極力調査を進めております。
  102. 横山利秋

    ○横山委員 関連質問がありますから、私この辺で締めくくりたいと思うのでありますが、警察庁にしても法務省にしてもあるいは労働省の職安にいたしましても、私どもがすみやかにてきぱき処置をしてもらいたいと思いますのは、それだけの理由はありますけれども、基本的にはそういう來雑物の問題はすみやかに処理することによって、本来的な労働争議が一日も早く解決することを要望したい。そういう來雑物があるとますます問題の処理がややこしくなっていくから、こういう特防はいかぬのだ、そして暴力を働いたやつは起訴をするのだ、職安法違反である、そういうおかしな会社は解散するのだというような処理をきちんとてきぱきと一刻も早くやってもらうことによって、本来的な労働争議をすみやかに解決をしたいというにほかならないのであります。ですから法制的なことはそれぞれの所管できちんと処理をしていただくのでありますが、肝心の争議の解決という点については労政局長、いまお話の向きによれば、現地において県当局も地労委もきっかけをもう一ぺん見守っておるということでありますが、これはやはり労働省がいわゆるムードづくりなりあるいは双方説得なり、そういうことにもっと努力してもらわなければいかぬと思うのです。その点で先ほどちょっと指摘したかもしれませんけれども、十二月十八日に、組合がストライキ通告もしていないのにロックアウトを通告してきた。全金組合員二百二十名全員に就労拒否、賃金不払い中にこのロックアウトは先制的、攻撃的であり、違法のロックアウトであるとわれわれは考えらる。また会社はバリケードや板べいやあるいはガードマン等によって、仮処分決定で認めている正当な組合活動も妨害をしておるということでありますから、会社が労働法規も知らないのじゃないか。そして円満解決をしようとする気持ちがないのではないか。そういう点は十分会社側に対しまして、そんなおまえさんたちのやっていることはガードマン法や職安法、あらゆる点で問題があるのであるからこの際ひとつ円満解決のために、こんなばかげた違法的なことや仮処分決定を否認するようなことはやめて、団体交渉に応じて、本来的な解決を急ぐべきではないかというような処置——先般も大臣は委員会におきまして、私も一生懸命やっております、やっておりますなんていうことを言うておったのですが、ことばの問題でなく実行に合わしてもらいたい。こういうことを労働省に要望いたしたいのでありますが、石黒さんどうですか。
  103. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 先生から御指摘のありました点につきましては、私どもも気持としては全く同じ気持ちを持っております。私どもとして手を打つべきことがあれば、それは労をいとわずやるつもりでおります。ただ常時、不断に県の当局並びに地労委がこの事件を見守ってやっておるというときに、私どもが不用意に出ていくということは決して事態の解決にプラスにはならないと思いますので、今後とも県当局とは密接な連絡をとりまして、私どものほうが直接出たほうがよろしいというケースになりましたならば、私どもはもちろん労をいとわないつもりでおります。現在のところ県当局は、ちょっと待ってくれというような態度でございますので、一応私どもとしては県当局の意向を尊重しながらさらに見守りたいというふうに考えておる次第でございます。
  104. 大竹太郎

    ○大竹委員長代理 日野君。
  105. 日野吉夫

    ○日野委員 時間もだいぶ切迫していますし、横山委員からだいぶ詳しい事情を申し述べましたから、簡単に要点だけ申し上げたいと思うのであります。  関連でありますから簡単に申し上げます。実は私宮城県出身でありまして、本山事件発生以来いろいろの関係を持っております。三カ月の負傷を受けた県会議員の田畑君というのは私の選挙責でございまして、ちょうど十日の日に選挙があって私こっちへ来ておりますと十二日に負傷して入院した。急遽引き返しまして見舞いをし、それから本山事件の実情を聞き、直ちに社会党の国会調査団が編成されましたのでそれに参加をいたしましてつぶさにこの事件内容調査したのでありますが、実に驚いた状況であったのでございます。このことは過般の第一会館で各省の皆さんと相談会を持ったときにも私申し上げましたが、だいぶ期間がかかっておるのであります。長い時間かかっておるのであります。五月二十九日の仮処分が出た時点から考えましてもかなりの時間が経過をいたしております。その間に皆さんも御承知のような六百名をこすところの負傷者が出ているということ、診断書の数が百三十幾通ですか、しかも労働者は全部診断書をとるというようなことをやりません。よほどのひどい者と経済力のある者でなければとってありませんから、まだまだ多い実情。しかも、きょう向こうから入った報告によりますと、こうしてじんぜん日を送っている間に、三月六日以降でもだいぶ問題が起こっておる。まさに無警察状態であります。法治国の姿としてあるまじき事態だ、こう思っておる。一体政府は何をしているんだと。いまの答弁を聞いていても、積極的にこれを解決してやろうという意思がどこにも見当たらないような気がするめで、私はこの点に非常に大きな不満を持っているのであります。それで私この問題を実際調査に行った場合、まず県警の諸君と会いましたが、まことに驚いた。いま国会内でも地方行政などでもこの間いろいろ議論になっているようでありますが、警察と会社とガードマンと癒着したあの事態が今日のあれを引き起こしたのではないかというようなことをいわれて、私もまさにそういう状況でないか、こう思うのであって、この点を改めない限り進展がないのじゃないか。そういたしますと、私はいま法務委員会におりますが、いよいよ不正な会社に対しては解散権までも持つ法務大臣のもとで法務委員会が開かれているこの事態を、法務省は積極的に何とかこの法秩序を保つ上において解決をしようという意図があるのかないのか、この点まず法務省から、この事態をどう考えるか、これに対してどう対処していくかという基本的な姿勢をひとつ聞いておいて、その上に質問を継続したいと思います。
  106. 川島一郎

    ○川島政府委員 私は民事局でございますので、御質問の中の解散命令の関係だけしかお答えできない立場にあるわけでございますが、解散命令の関係では、先ほど横山委員の御質問にお答えいたしたように、これは商法五十八条に規定する要件があるかないか、その点の証拠があるかないかということに問題があるわけでございます。商法五十八条は、取締役が特定の違法行為をしたという場合に法務大臣が警告し、あるいは解散命令の申し立てをする、ああいう規定になっておりまして、本件の場合、取締役がこの違法行為に関与しておったかどうかという点が一つの問題になるわけでございます。そういった点につきましては、事実関係がまだはっきりいたしませんので、われわれも関係者を呼びましたけれども事実を否認しておりますし、強制的な調査権というものもございませんので、警察あるいは検察庁調査の結果、事実関係の確定した上で対策を考えたい、こういう段階でございます。法務省全体といたしましては、そのほかに検察庁もございますし、また人権擁護局というのもございます。そういった立場ではそれぞれの立場に立って調査をなさっておるわけでございますので、大臣がおられませんので法務省全体の立場としてお答えするわけにはまいりませんが、私の所管で申し上げますと、先ほど申しましたとおりでございます。
  107. 日野吉夫

    ○日野委員 そうすると、結局それらの報告調査をまってということで、自分からやる意思はないのですな。出向いて現地調査をやるとか、機関を督励してこれを推し進めるという積極的なものがないように伺うが、そう受け取っていいですか。
  108. 川島一郎

    ○川島政府委員 商法五十八条の解散命令の関係では仰せのとおりでございます。これはそこまでの調査権というものも認められておりませんし、法務大臣がその独自の立場で五十八条の関係調査を行なうということはいたしておりません。
  109. 日野吉夫

    ○日野委員 その解散権の問題だけじゃなしに、まだ法秩序の維持の問題、暴力行為が無制限にエスカレートするこの実情を、法の番人としてあなたらは積極的にこれを阻止するという、何か指導するという方針は持ってないのですか。きょうは法務大臣おらぬから、法務大臣のいるときにゆっくり聞こうと思いますが、法務省としてそういうことに対して無関心でいいのですか。その点をちょっと。
  110. 川島一郎

    ○川島政府委員 問題を解散命令の範囲に限りますと、この事件において問題となりますのは、本山製作所自体ではなくして、これと警備業務の委託契約をした特別防衛保障株式会社ですか、その会社が問題になるわけでございます。ところで、この会社は昨年の五月に契約をいたしまして、そうして十月にその契約が解除になっております。したがって、御指摘の十二月当時は形式的にはもう関係がございませんことになっております。したがいましてわれわれが問題といたしますのは、主として契約期間中である十月までの行為についてその特別防衛保障株式会社の代表者が違法行為を行なうに当たって関係をしたかどうか、こういう点でございます。それ以後の関係につきましては、これは裏の関係として問題にする余地が全くないとは言えないと思いますけれども、われわれといたしましてはそこまで調査権もないのに乗り込んでいって事実を調べるというわけにはまいらないと思うわけでございます。
  111. 日野吉夫

    ○日野委員 そこが問題ですよ。いまも横山君からも指摘されておりますが、この法律が出れば一切が解決できるとあなたたちはいって今日まできて、われわれもそう思っていた。けれども、出てみればザル法ではありませんか。ひとつもそれは適用にならないで、それをちゃんと知ってか知らぬでか、実施の前に会社を解散して全部会社の中にもぐり込んで新規採用したと称して、依然として同じことをやって犯罪を繰り返しているじゃありませんか。これを何とも取り締まれないという、そんなばかなことは、私は法治国にないと思う。新しい法の改正をやるとか何とか手段があるでしょう。こういう積極的な姿勢がひとつもないことを私は非常に遺憾に思うのです。  時間がありませんから次の点にいきますが、警察庁室城さん、見えていますね。あなたが二月二十二日、参議院の社労の委員会答弁した問題が、私ここにあると思うのですよ。いまなおこういう考えでおられるのか。このことが、私は今日の事態を発展させて、これは警察庁の重大責任じゃないかと思う。こういうことを言っております。私はここに仮処分の原本を持っていますが、これはこう解釈すべきものですか。これならば当然、県会議員がかってに行ったのだから、けがしたって何でもないんだ、正当防衛でおれたちはやったのだから、あれをやれということになりはしませんか。この解釈のしかたでですよ。こういう解釈をしていますよ。第一項と二項と分けているが、これは分けて解釈すべきものですか、どうですか。ひとつこれは研究問題として残しましょう。  この解釈が今日の事態のエスカレートを呼んだ原因になると思う。室城さんの説明が、もし宮城県警がこの見解をとって、おそらくこの見解が宮城県警の解釈と一致するでしょう。これによってガードマン連中を使嗾してやらせたと現地は見ているのですよ。現地はそう見ている。それで地方行政委員会でも山本弥之助君がこういうことを言っている。これは重大じゃありませんか。  ここにこういうことをあなたは言っている。十二日の事件にも「県議団などいわゆる支援関係の方が御一緒に入ろうとされたというようなケースにつきましても、厳密に言いますと、仮処分内容は組合員が入ってもいいということでございまして、支援関係の方は組合事務所に行くまでの間が妨害されないというような仮処分内容になっておりますので、」と、こういうことで、「警察といたしましても、この仮処分内容につきましては十分尊重いたしまして、現場措置等において誤りのないように」ということを言っておりますが、この諸君が入って悪いという禁止規定がどこかにあるのですか。そう解釈すべきものなんですか。組合員が主催する会合に県議団あるいは支援団体が行って悪いということは、この仮処分の原本のどこを見てもないですよ。それが、組合員以外は入っちゃならない、組合員以外の者がかってに入ったのだからということになるならば、これを逆用して、そしてさっき横山君が言ったような、いなか県会議員が一体何しに来やがったんだということでやるのはあたりまえじゃありませんか。こういう指導をしていたのです。私、現地に行ってあの大会に参加したのです。そのときの、ガードマン、会社員、警察もずっと立って見ておりますけれども、あの態度というものはまことに癒着もひどい。むしろ積極的に支援した形跡があると私見るのです。大体全金の労働組合なんというのは気の荒いことでなかなかたいへんなものなんですよ。しかも、全国の支援組織が出ていて、総評というバックもあって、ほんとうならば、第二組合やガードマンなどをそこに入れて、そんなにいばってやれる筋合いのものじゃないのです。ところが、あそこは逆に、もう全金の組合が、自重するようにと押えているからでもありますけれども、そういう形で圧迫を受けて、争議を一挙にもみつぶそう。その背後に何か大きな力があってこれをやっている。そこで今日まで長引き、そして多くの負傷者を出す。全く許すべからざる事態を生んだ根本原因だ。これはひとつきょうここで、いま時間の催促をされていますから、私、全部を言いませんが、ひとつ法務委員会を中心に、この解釈の統一をはかってこの点を明確なものにしましょうよ。そうでないと、いつまでたってもこの解釈が金科玉条に通用するとするならば、私は、ますます今後の事態発展を憂慮しなければならぬ、きょうすでに問題が起こっているのですから。いま報告を受けたところによりますと、三月二十四日の早朝、会社の関川総務課長が、組合員長谷武がカメラを持って入ったというので、これを取り上げてさんざん暴行を加えているという事実、こういうことが無制限に続いていくとしたら、これは重大であります。法務委員会としてこれは無視できません。  そこで委員長に伺いますが、本委員長いないからあれですが、どうです、参議院の社労かどこかで現地調査の計画があるようですが、これはひとつ法務委員会でも現地調査ぐらいやって、いままでのようなそんな消極的なことで向こう調査の結果を待つというようなことじゃいけません。実際、行ってみなければこの実情はわかりません。おそらく室城さんなども現場に行って見てないのでしょう。だろうと思います。やはり現地を見て、実情がそうならば、私も何もこれは争議をどこまでもエスカレートさせようとは思いません。横山君がいま言われたように、最後に何かこういう事態を収拾しなければならぬという観点でいるのでありますから、何とかひとつその点を考えてもらいたい。労働省が中心になるか、最後は法務省が、やはり解散権も持っているのですから、法務省が中心に積極的な動きを見せることがいいのだと思うので、これは委員長とも相談して、理事会にもかけて、現地調査、それから各省を糾合してこの仮処分法律の見解の統一をはかるというような積極的な姿勢をとる必要があるのでなかろうかと思うのであります。  あとまたもう一人質問者もおりますし、私、いろいろ調べておるのでありますが、できるだけ法務委員会を中心にやってもらいたいと思いますから、きょうはこの辺でとどめておきますが、労働省はどうですか。もっと積極的に、あなたも待っているだけでなしに、ひとつ争議の事態収拾について何か案があったら簡単にお答え願いたいと思います。
  112. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 事態収拾につきまして、法律問題については裁判所あるいは地労委の不当労働行為という手続が進んでおりまして、裁判所からも一件仮処分が出ておる、それから不当労働行為も一件結審に至っておりますので、近く出ると思います。争議全体の解決という点につきましては、御承知のごとく、十二月から二月にかけて地労委のあっせんが行なわれ、このあっせんも非常に大もののあっせん委員で、非常に期待しておったのでございますが、それが不幸にして不調に終わりました。やはり地労委を中心といたしまして、私どもそれにできるだけ協力するという体制で、さらにこの解決のために努力していきたいと思います。
  113. 室城庸之

    室城説明員 先ほど仮処分内容をどういうふうに解釈するかというような御指摘がございましたが、私、引用されました社会労働委員会でのお答えは、内容をどういうふうに考えておるかということでお答えを申し上げたわけでございまして、その解釈は現在もそのように解釈すべきものというふうに考えております。ただ、警察が使嗾してというようにおっしゃいましたが、これは私ども、いかなる場合にも、ガードマンが何か実力で正当防衛行為をやるのだというようなことを正当のものと評価しておるわけでは決してございませんし、これを使嗾するということもございません。あくまでも紛争の原因を取り除いていただくように警告をし、あるいはできる部分につきましては指導も申し上げるというような形で、実際にトラブルが起きました場合には、いわゆる警察の出動を要請して警察の手でこれを解決をしたいというのが私どもの念願でありまして、したがって、警察法律あるいは仮処分内容を解釈して、そしてガードマンをして何かをやらせるというようなことはちっとも考えておりません。むしろ、私どもとしましては、こういうトラブルが御指摘のように相次いでおりますので、できることならばそのトラブルの発生のもとになっております労使関係というものが一日も早く正常化してもらうということを期待しながら、その間にいろいろあらわれてまいります事件につきましては、これは警察の責任として、放置しておくわけにまいりませんので、先ほどもお答えいたしましたように、厳正公平な立場でこれに対処していく、できるだけそういうトラブルにならないように私どもとしても十分対処してまいりたいというふうに考えております。
  114. 日野吉夫

    ○日野委員 いまの答弁がありますから、簡単に私も反論しておきますが、もしこの事態であの仮処分がないとしたら、あなた方どういう取り締まりをしますか。こういう事態は、むしろ、この仮処分があってあの解釈があったから起こったので、仮処分がなかったらむしろフリーなあれでやはり警察の取り締まりはあるでしょう。その場合も一つ考えてみなければならぬと思うのです。普通の場合仮処分なんというのはないのですからね。でも、こういう紛糾しないような取り締まりはあるわけですから、そこらをひとつ考えてくださいよ。これだけ申し上げておきます。
  115. 大竹太郎

    ○大竹委員長代理 先ほど現地調査をしたらどうかというお申し出がございましたが、きょうは私、代理でもございますから、委員長に申し上げて、理事会その他でまた協議することになると思いますが、よろしく御了承いただきたいと思います。  藤田高敏君。
  116. 藤田高敏

    藤田委員 まことに恐縮ですが、私、商工常任委員会のほうで質問をしておりましたために、先輩議員の質問の要旨について必ずしも的確に把握しておりませんから、一部ダブる面があろうかと思いますが、この問題については、もうすでに指摘がありましたように、昨年来の国会でも問題になっている。私自身も、この七十一特別国会の三月二日の予算分科会、三月六日のこれまた予算分科会、それぞれ質問を通じて、一定の問題解決に向けて労働省なりあるいは警察当局は努力をしておることも事実だと私は思うのです。しかし、この問題の経過から見て、われわれ、問題の解決にあたって民主的に問題を処理していきたいという立場から見ると、きわめてその対応のしかたが緩慢であった、このように指摘せざるを得ないと思うわけです。いろいろ問題がありましょうが、私は、何といってもこの問題の基本的な問題は、本山製作所の経営者の労働組合に対する認識の欠如だと思います。国会で問題になっておるのは、整理のしかたには幾つかあろうと思いますが、職安法違反の問題、それからガードマン会社それ自体の警備業法に照らして適法であるかどうかという問題、三つ目の問題は、先ほども問題になりました商法上の問題というふうに、幾つかに分けることができると思いますが、そのうち職安法違反の問題については、先般の委員会でも明らかになりましたように強制捜査に踏み切ったということですから、これは早急に職安法違反の事実についての捜査をやることが緊急な課題だ。私は、この問題についてはその後どういうところまで進捗をしておるか、その見通しを含めてお尋ねをいたしたい、それが一つ。  時間の関係で、委員長は十五分程度しかくれないものですから、私まとめて質問します。  順序は入り組みますけれども、二つ目の問題は、私きょうは特にこの点は突っ込んで論議をしたいと思うのですが、これは明らかに警備業法違反である、これはこの前の予算の法務を中心とする分科会でも私指摘をして、法務大臣にも、警備業法違反の事実がある、また一方では先ほどから触れておるような暴力事犯の問題があるのだということで、当局の対応のしかたについて要請をしたのですが、警察当局の見解からいけば、警備業法三条の欠格事由ですね。いわゆる禁錮以上の刑に処せられた云々、これは、そういう者がガードマン会社の役員やメンバーにおったけれども、脱法行為として逃げてしまって、会社の警備課員になっておるから、これにひっかけようとしてもひっかけようがないのだということが当局側の見解であったと思う。しかし、私はきょうはそれだけたくさん持ってきておりませんが、たとえばここにガードマンがヘルメットをかぶって、このあたりの警視庁の機動隊が持っておると同じようなたてを持って労働者の入門を拒否しておる、こういう実態が明らかに幾つかおります。これは明らかに警備業法の十条、「護身用具」から見て、この種のものはガードマン会社が持つべき正当なものでない、これは一ついえますね。たくさん材料はあります。これが一つ。  これと、順序不同になりますが、第二条の四号に「人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務」、むしろ暴力的なあるいは人命に危害を及ぼすようなことに対してはこれを警備するというのが、この警備業を営むものの定義であり、責任である。この二条の定義からいけば、ここにたくさんありますけれども、ガードマンがこういうふうに首を絞めて殺すようなことをやっておるのです。随所にあるのです。これは首実検しておりますから、だれがやっておるというのもわかっておるわけですが、そういうことをやっておる事実、これはもう第二条になにしますね。この二つは少なくとも警備業法違反だ。それと、一番大事な問題は、一番大事なと言えばみんな大事ですが、第八条の「警備業務実施の基本原則」、これは警備業法が地方行政委員会で審議されたときに一番問題になった。「警備業者及び警備員は、警備業務を行なうにあたっては、」「他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」これは、いわゆる労働組合の正当な行為に対して不当な干渉なり介入をしてはならぬということが国会でも一番論議になったのです。そうしてそういうことは、この法律の厳に禁止しておるところでございますというのが政府当局の統一した見解、これは当然のことなんです。これは明らかに第八条違反というものであります。この特別防衛保障会社、俗にいうガードマン会社の場合は、本山製作所だけではないのです。いままで私自身が国会で言ったように、大阪の細川鉄工に来てもやる、最近では東京の教育社、そういうところに来てやる、あるいはチッソの株主総会に来てやる、とにかく最近起こっておる問題にはみなこの会社が介入している。これは明らかに暴力会社といったほうが適切なんだ。それほどまでに明確な、われわれ法律専門家でない者が見ても、このわずかな、単純な、二十一条しかない法律の中で、三条も四条も、しかも基本原則に違反するような事実があるものに対して、今日まで警察当局は何をしておるのか、明らかに十五条の営業の停止、公安委員会は、いま私が指摘したような何があるとすれば、警備業務にかかる営業の全部または一部の停止を命ずることができる、あるいは営業の廃止を命ずることができる、これは公安委員会自身の権能としてできるわけです。これだけはっきりしたことが、その法律に違反することが明確であるし、しかも六百人からの負傷者を出すような暴力行為が起こって、法務大臣自身もこの間の委員会で、三十七名が警察から検察に送られてきておるというような暴力事犯がこの問題に関連して起こっておる。それに対して今日まで私どもがこれだけ指摘をしても、その後、業法自身三条だけの脱法行為でどうにもならぬということで、営業の停止なりあるいは廃止について、警察、公安委員会当局自身は、極端に言えば何もやっていないじゃないか、やっておるとすればどういうふうにやってきているのか、その経過をひとつ具体的な説明してもらいたい。
  117. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 お尋ねの最初の職安法違反事件の経過と見通しですが、これは先ほど横山先生に詳しくお答えしたので、概要だけかいつまんで申し上げたいと思いますが、特別防衛保障会社がやっておる行為が、職安法四十四条違反になる可能性があるということで、四十四条違反で検挙した例は一件もないのでございますが、とにかく特別防衛保障会社がこの本山製作所の事件に介入しておるということが、やはり事柄を紛糾させる一つの原因だと私ども考えて、あらゆる法を適用して、この連中の介入を排除したいという観点から、一生懸命研究した結果、四十四条違反というものがあるのだという疑えるだけの材料を手にしたわけです。それで、三月六日に違反容疑でもって捜索をしたわけでございますが、それに引き続いて関係者を呼び出して何回も取り調べをして、それからさらにその後三月二十日に至りまして本山製作所の側にも職安法四十四条違反容疑があるという資料を集めて、令状を得て本山製作所の本社及び守衛室だとか警備員の寮だとかそういうところを捜索して資料を押収して、目下本山製作所の関係者に対して取り調べをしているという状況でございます。その内容はまだ具体的に申し上げる段階ではございませんけれども、昨年の十月三十日までの間における職安法違反容疑事件というものがだんだん濃くなっておる。やがてこれは警察の手で具体的にまとめることができるものであるというふうに思っております。  それからいわゆるガードマン法の違反事件が一ぱいあるのに警察は何をしておるかという警備業法違反事件の問題でございますが、昨年の十月三十日までは特別防衛保障会社との契約がございましたが、昨年の十一月一日以降警備業法が適用になってからは、届け出のある特別防衛保障会社は何にも本山製作所と法律的な関係がございません。ただいま写真などでお示しになった人たちは、私どもが捜査した限りでは本山製作所の人間になっている。月給を本山製作所からもらって、それからそのほかいろいろな保険なんかも本山製作所の職員として加入しておるという状況でございます。ただ、その人間の相当数がもと特別防衛保障会社の人間だったという事実はございますが、昨年の警備業法施行の時点以降、特別防衛保障会社の人間としてガードマンの仕事に当たったということが法律的にはなかなかはっきりいたしません。はっきりしないのみならず、むしろ本山製作所の人間としてやっておる。したがって警備業法違反になる警備業者として特別防衛保障会社が、法適用以降本山製作所に法律的に責任をとれる状態で出ておるということがなかなかいえません。したがって、たてを持っておっても、これは本山製作所の警備員がたてを持っておる、あるいはまたそのほかの違反事項についても本山製作所の職員がやっておるというかっこうになっておりますので、警備業法を真正面から現在の特別防衛保障会社に適用するということは困難でございます。ただ、いまの御指摘の事案を私ども警察取り締まりの立場から見ますと、前の特別防衛保障会社の責任者であった飯島何がしあるいは恩慈といったようなものが現在は全くフリーの立場で、過去における使用者と雇われ人との関係で現在の本山製作所の警備員になっている人間に対して支配関係でもってやっておるという事態がもしつかめれば、そういうことが立証できれば、法廷で争えるだけの証拠があれば、私は飯島何がしなどが無届けの警備業法をやっておるという責任を問うことができるのではないかというふうに思っております。ところがそういう問題についてはなかなか暗黙の、言わず語らずの関係でやっておったり、それからむしろ形式的には月給を払っているのは本山製作所であるとかいった反対証拠のほうが非常に多いものでございまして、挙証の問題としてたいへん技術的な問題を申し上げて申しわけないのですが、そういう技術的な立証の問題として困難な点が多いので、警察としてもそういう壁を打ち破って、御指摘のようなことが真相であればこれは明らかにする責務があるというふうには思っております。
  118. 藤田高敏

    藤田委員 私はこの委員会でまた半ば同じような答弁を聞くことはきわめて心外に思うのですね。三月六日の委員会でもこの特別警備保障会社に籍を置いておると見られる川嶋とか恩慈とか金田とかいうのは本山にもおれば大阪の細川にもおる、それからまた最近では東京の教育社に顔を出すという形で、それはあなたがおっしゃるようにこれは全部とは言わぬにしても、その中のリーダー格になるようなもの、たとえば本山製作の警備員として給料をもらっておるかしらぬけれども、そこの会社の社員であれば、そこの会社の警備だけに当たるべき者が細川におったり、教育社に来たりして、移動しておるわけです。結局これは、ようやく職安法違反について強制捜査に踏み切ったと同じように、きわめて悪質な形で本山製作自身も使っておることは間違いない。これはすでにこの前の予算の分科会で指摘をしておるように、そうであればそういう人物についてその後追跡調査をやったかどうか。わかっておるわけですからね、首実検をやって。そして私どものほうから写真を持っていって、これが何月何日に本山におっただれそれだ、これが大阪の細川に同一人がおるだれそれだということを指摘しておるのですから、労働組合の手でその程度のことができるものが、捜査権を持っておる警察当局においてその程度のことができないわけはないのです。その後そこまでおっしゃるのであれば、なぜ人物的に追跡調査をやらないのか。人物的な追跡調査をすれば、その保障会社に実質的に籍を置いておる者が動いておるということもわかるだろうし、そういうふうに全国またにかけて、極端にいえば動いて正当な労働運動なり労働争議に介入しておるような者については、追跡調査をすればすぐわかるのじゃないですか。結局あなたが言われるように捕捉しがたいというような言い分ですけれども、私はやる気があればこの程度のことはすぐわかると思うのです。それがいまだにわからないところに、もう当初来から言われているように、技術的にはむずかしいと言われながら、警察のこの問題に取り組む態度がきわめて手ぬるいのじゃないか、こういう指摘を受けておると思うので、私は実体論として警備業法違反だという事実をどのようにしていわばさがし出すかということについての努力に欠けているのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  119. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 いまの御指摘の点は、警察のやり方が手ぬるいというおしかりでまことに恐縮に存じますけれども、追跡調査、現にもと警備保障会社におって本山製作所に現在おる者は、警察で把握できる限りのものは把握いたしております。その人たちについて月給がだれが払っておるか、一体それでいろいろな健康保険組合、そういったものの納入関係はどうなっておるかといったようなことを追跡調査をいたしております。  それから警備課員と称して来ておるが、現在特別防衛保障会社に籍があるかどうかといったようなこと、これは先ほど申し上げました職安法違反事件に関連して名簿その他を押収してその中におるのかどうか、月給がどこから出ておるのかというようなことをしさいに追跡調査をした結果、先ほどお答えしておるように、形式的には現在の特別防衛保障会社との関連がつかめておりません。つかめておらないのみならず、ないという形式になっておる。したがって実体論について先生の御指摘のことは決して私は否定しませんが、それが現在会社は、社長に新しい高山弘憲という男が経営しておる特別防衛保障会社とのつながりがなくて、事実上もとの関係でもって形式的には本山製作所の人間になっておる。そういう実態を無届け警備業法としてとらえる努力をして、それで御指摘のような実態があれば無届けだということにしたいと思うのですけれども、遺憾ながら現在使われておる人間は月給は本山製作所から明らかに出ておりますので、はたしてそういうものをじょうずにそういう脱法行為としてつかまえ得るかということが困難だということを申し上げておるのでございます。
  120. 藤田高敏

    藤田委員 最後に一つ。時間が来たようですから、いまの無届け警備業、実質的に無届けの警備業をやっておるかどうかについて、そういう立場から警察は検討をさらにやってほしいということ。それと、これは警察当局に聞くこと、あるいはあなたから直ちにそのことについての答弁をすることの適否の問題はあるかもわからぬが、私はこういうことであれば警備業法が逆に隠れみのになって、労働争議についてでも、これがかえってここで法律で、目的、定義でうたっておるようなことにならないで、もう本山事件に代表されるようなことになると思うのですよ。そういうことであれば、こんな警備業法なんというのはないほうがいいとぼくは思う。警察もある意味では、こんなことであれば警備業法はないほうがいいんじゃなかろうかというふうにさえ思うのだが、どうですか。
  121. 斎藤一郎

    ○斎藤(一)政府委員 警備業法の立法並びに施行の効果についてお尋ねなのでございますが、私どもは一般的に今日までもう数カ月、半年近くなりますが、見たところでは、全国の、従前は把握できなかった警備業界の連中が届け出をしてまいりまして、そこへどんな者がおるかというようなことも把握できる。それから先ほど横山先生にお答えしたのですが、連中の業界における自主的な運営というのは、非常に法律の制約できないところをカバーすることになるので、自主的運営を促すような効果もございますし、それから大多数の警備業者というのは非常に法に従ってやろうということですが、中には先般来大阪、兵庫で少年を雇って、そして教育もしないで警備業に従事さした、こういうものに対してはきびしい営業停止を食らわして、そして取り締まりをしていこうというので、八、九分どおり非常に効果がある。中に、まさに特別防衛保障会社は脱法行為をもって私どもの取り締まりの目をくぐっておりますが、それの一事をもって警備業法の効果はないんだ、ないほうがいいんだというふうに考えるべきじゃないと私は思っております。
  122. 藤田高敏

    藤田委員 時間がもうないようですから、またやります。
  123. 大竹太郎

    ○大竹委員長代理 次回は、来たる三十日金曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時二分散会