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矢口最高裁判所長官代理者 管理職手当を受けておる
職員の
割合というものが
裁判所は比較的多いほうに属するということは、御指摘のとおりでございます。これはやはり
裁判所の
仕事の特殊性というものからくるというふうに御理解をいただきたいと私考えております。と申しますのは、
行政官庁でございますと、これは
稲葉委員も十分御
承知のように、組織で
仕事をいたしております。上に行くほどピラミッド型になっておりまして、権限は多く与えられるけれ
ども、組織そのものの機構としては小さくなってきておるということでございます。ところが、
裁判所は御
承知のように、
簡易裁判所にいたしましても、
地方裁判所にいたしましても、単独で裁判をするというのが原則でございます。いわば、裁判官の一人一人が、
行政官庁でいいます組織の最小区分、
通常課というふうに考えられておりますけれ
ども、そういった課に当たるようなものでございます。したがいまして、裁判官が十名おりますと、実はそこには、
行政官庁的な見方をしますと課が十あるというのと同じであるわけでございます。課が十あるということになりますれば、その課にはそれぞれの
管理職というものが少なくとも複数はおるのが
通常でございます。
裁判所の場合はむしろ
一つの裁判体というものに
主任書記官一人でということで、一人の
管理職しか置いていないというのが実情でございます。しかし、そうといたしましても、御
承知のように単独体で裁判をしておるそのものが
一つの課に当たる行政組織ということに相なりますと、たとえば
主任書記官ということにいたしましても、たとえば
主任家庭裁判所調査官ということにいたしましても数が非常に多くなってまいるわけでございます。そういうことはやむを得ないことではなかろうかというふうに考えております。
私
どもこの
主任書記官というようなのが
管理職であるということは、
行政官庁でいいますと、いま申し上げたようなものでもございますし、また一面、各省にございます参事官でございますとか、
審議官でございますとか、そういったその
仕事そのものによって、組織の長ではないけれ
ども、
仕事の
中身そのものはやはり課長と同じウエートを持っておるような職、そういった職というものにも一面当たることが考えられるということで、もしこれを拡張してまいりますと、
一つの部の中に
主任書記官という
管理職、なお参事官的なものに当たる
書記官というようなことで、複数の
管理職を置くということも考えられるようなものであるわけでございます。しかし現在は、そういう
意味で
各部には一人しか
主任書記官という
管理職は置いていないということでございます。これが
裁判所の
仕事のやり方というものからくるやむを得ざる各省との相違ということにあるわけでございまして、そういうことから
管理職の数がある
程度ふえざるを得ないということであるわけでございます。したがいまして、これが、そういったことのない司法行政部門、
事務局部門ということになりますと、
管理職の数は各省並みあるいはそれよりもむしろ少ないくらいということに相なっておるわけでございます。
もう
一つは、これはちょっとそこまで申し上げていいかどうかと思いますが、やはり
管理職ということに相なりますと、ここには当然昇格、級別定数上の上位等級への格づけというような問題もございますので、これは
職員のためでもあるということはあるわけでございます。しかし、これは副次的なものでございまして、むしろ
裁判所の機構というものがいま申し上げたような
管理職的なものの
割合を多くせざるを得ない機構に相なっておるということに由来する、このように御理解いただきたいと思います。