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1973-05-11 第71回国会 衆議院 文教委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月十一日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 田中正巳君    理事 内海 英男君 理事 塩崎  潤君    理事 西岡 武夫君 理事 松永  光君    理事 森  喜朗君 理事 木島喜兵衞君    理事 長谷川正三君 理事 山原健二郎君       上田 茂行君    坂田 道太君       染谷  誠君    高見 三郎君       床次 徳二君    中尾  宏君       野中 英二君    林  大幹君       深谷 隆司君    藤波 孝生君       三塚  博君    山崎  拓君       稲葉 誠一君    小林 信一君       嶋崎  譲君    山中 吾郎君       栗田  翠君    有島 重武君       高橋  繁君    安里積千代君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥野 誠亮君  出席政府委員         文部政務次官  河野 洋平君         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省大学学術         局長      木田  宏君         文部省管理局長 安嶋  彌君  委員外出席者         文部省大学学術         局大学課長   大崎  仁君         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ————————————— 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     成田 知巳君 同月十一日  辞任         補欠選任   勝澤 芳雄君     稲葉 誠一君   成田 知巳君     山口 鶴男君 同日  辞任         補欠選任   稲葉 誠一君     勝澤 芳雄君     ————————————— 五月十日  私学に対する公費助成増額等に関する請願(渡  部一郎紹介)(第三九四九号)  同(広沢直樹紹介)(第四一三四)  養護教諭全校必置に関する請願上村千一郎  君紹介)(第三九五二号)  国立学校設置法等の一部を改正する法律案撤回  に関する請願庄司幸助紹介)(第三九五三  号)  同(石橋政嗣君紹介)(第四〇一三号)  同(川俣健二郎紹介)(第四〇一四号)  同外二件(下平正一紹介)(第四〇一五号)  同(辻原弘市君紹介)(第四〇一六号)  同外一件(中村茂紹介)(第四〇一七号)  同(横路孝弘紹介)(第四〇一八号)  学校教育水準維持向上のための義務教育諸  学校教育職員人材確保に関する特別措置法  案撤回に関する請願庄司幸助紹介)(第三  九五四号)  同(石橋政嗣君紹介)(第四〇一九号)  同(川俣健二郎紹介)(第四〇二〇号)  同(下平正一紹介)(第四〇二一号)  同(中澤茂一紹介)(第四〇二二号)  同外一件(中村茂紹介)(第四〇二三号)  同(原茂紹介)(第四〇二四号)  同(山口鶴男紹介)(第四〇二五号)  四年制大学における養護教諭養成制度確立に関  する請願井上普方紹介)(第四一〇六号)  同外十九件(森下元晴君紹介)(第四一三五  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国立学校設置法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第五〇号)      ————◇—————
  2. 田中正巳

    ○田中委員長 これより会議を開きます。  国立学校設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。稲葉誠一君。
  3. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 私は教育のことは全くのしろうとですし、それから戦争前の教育を受けたものですから、戦後の教育のことについてはよくわからないのです。ざっくばらんな話、きのう私どものほうからきょう質問ということだったものですから、準備が十分できていませんから、どうもあまりいい質問ができなくて恐縮だ、こう思うのですが、最初に常識的なことからお聞きをしていきたい、こういうふうに思います。  日本教育水準というものが、ほかの国と比べて、たとえばヨーロッパだとかアメリカだとかあるいはソビエトとか、いろいろありますね、そういうところと比べて、日本教育水準がどういうふうな標準といいますか、水準にあるというふうにまず考えたらいいのでしょうか。ただ問題は、もちろん教育水準だとか標準だとかということをはかるものは、どこでどうやってきめるかということから考えないと、そこによってまた違ってきますから、また文盲率がどうだとかなんだとかじゃなくて、いろいろな考え方があると思うのですが、そういうことから考えたときに、日本教育水準というものは諸外国と比べてどういうふうなところにあるかという、そういうところからまず承って、それからだんだん質問に入っていきたい、こういうふうに思うわけです。
  4. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 教育水準ということになりますと、知育体育徳育を通じて考えなければならない、こう思うわけでございますけれども、この国際比較はなかなかむずかしいものだと思います。同時に、知育を中心に考えます場合に、義務教育年限がどうなっているか、あるいは進学率はどうなっているかというようなことで判断をする。義務教育年限日本は九年制でございますので、もう先進国のレベルに来ている、こう申し上げていいわけでございます。同時に、それにもかかわらず高等学校への進学率が九割近い。大学への進学率も三割近い。これはアメリカに次いで高いところへ来ているんだ、こう思っておるわけでございます。同時に、一般的な話として、私たち、高等学校までの知育水準は非常に高いですね。大学に入った場合に大学内容進学率が高いものの、内容を誇れるかということになりますと、いろいろ批判があるようでございます。たいへん常識的な話でございますけれども、そういうところで比較をするということになるんじゃなかろうかと思っておるわけでございます。
  5. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、日本教育は、いまのお話を正確にぼくが把握をしてないかもわからない。ぼくはしろうとなのに、あなたのお話、ちょっと早くてよく聞き取れないものだからわかりにくいんですけれども、何だか、高等学校までの教育については、日本の場合は諸外国と比べると非常に知育の面で高いけれども、何か大学のほうへいくとそれが必ずしもそうではないだとか何とか、いろいろなお話があったように思うわけなんですが、そうすると知育のもの、徳育のもの、体育、三つに分けたとしても、そうするとあれですか、ほかの国と比べて、特にアメリカならアメリカでもいいですが、と比べて、どうなんですか。どうもよくわからないのですが、日本のほうが非常にハイレベルだということなんですか。そういうふうに承ってよろしいのか、そこら辺のところがよくわからないので………。
  6. 木田宏

    木田政府委員 大臣からお答えもございましたが、大学教育あり方につきまして日本アメリカ比較いたしました場合に、双方ともたくさんの青年層大学に行っているということは同じでございます。しかし、大学におきます教育あり方という点から考えますと、一般的に私ども聞かされる話でございますが、アメリカ学生はよく勉強させられ、日本学生大学へ行くとのんびりと遊んでいるというような批判を聞くことがございます。確かにアメリカ大学では、学生に対するその日その日のアサインメントがたくさん出まして、相当死にもの狂いになって勉強しないと追っついていけないというような教育の違いはあろうかと思います。しかしまた、研究水準その他等から考えてみますと、日本大学が一がいに低水準であるとか、学生の知能が低い、そういうことはいえないかと思いますが、一つ目立ちます現象といたしましては、アメリカ大学ではかなりたくさんの学生層がまた進んで大学院に入るという現象がございます。日本はその点につきましては、アメリカと比べまして大学院への進学というのが非常に少ないという点は、きわ立った特色であろうかと思っております。
  7. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 大学の数の問題、これはある雑誌か新聞に出ておったのですが、フランスでこういう話があるわけですよ。大学テレビの数が多い国ほど真のインテリが少ないということばがあるのですね。ぼくは何かで見まして非常に感心したのですが、テレビのことは差しさわりがあるから別として、大学の数が、とにかく日本はものすごく多いと一般的にいわれていますね。その実態、よくわからないのですが、何であんなふうに大学の数が日本の場合は多いのでしょうかね。いまの統計で見ると、日本大学——各国によって大学といっても制度は違いますから、一がいに数だけで比較するわけにはいかないと思うのだけれども、特に日本の場合は、戦後にできたいろんな大学、ぼくらも名前知らないような大学もずいぶんありますが、非常に数が多いように聞くわけですね。この点はいまはどういうふうに大学の数があるのかということと——これは調べればわかるといえばそれまでのことかわかりませんが、どうしてこんなに大学の数が多いのですかね。駅弁大学なんということばがあるけれども、それは別として、ことに戦後非常に大学ができたでしょう、そこら辺の傾向がどういうところに理由があるかというようなこと、ほかの国と比べてなぜそんなに日本大学が多いのかということをまずお聞きをして、それからだんだん中身といいますか、入っていきたいと思うのです。
  8. 木田宏

    木田政府委員 なぜ大学の数が多いかという点は、一つには大学へ進む者が多いからということを申し上げられるかと思います。それではなぜ多いかということでございますが、これはやはりわが国全体の国民生活水準が高まっていく、社会構造が高まっていく、そういう社会進展に対応いたしまして、少しでも多くの知的要求を身につけるということが生活の中で必要になり、また大学へ行けるだけの余力が高まってきておるということがいえるかと思うのでございます。  一番進学率が高いという点で申しますと、アメリカが五割前後、同年齢人口の五割前後に達しておると思います。大衆化社会情報化社会知識産業社会、こういう社会の姿になってまいりまして、それに対して生活余力も伴ってまいりますから、大学へたくさん行く。アメリカに三千ほどの大学があり、いま八百万をこえる大学生がおるというような状況になってまいっております。  日本は戦後、アメリカ学校制度を導入いたしましたいまの六・三・三・四の新しい学校制度になりまして、そして大体日本経済社会発展とともにその大学への進学、これは中等教育への進学も同じでございますけれども、逐年高まってまいりまして、今日同年齢人口の約三〇%に近い者が大学へ進む。大学の数が、短大も合わせますと約九百にのぼるというような状況学生数も百八十万という状況になってまいりました。しかし、この現象はいままでヨーロッパ諸国と比べますときわ立ちますけれども各国を通じて、やはり社会進展とともに、大学大衆化学生大衆化という現象が起こってきておりますので、そうした世の中の進みというものが今日このようなたくさんな大学を生み、また大学への進学者を生んでいるということがいえようかと思います。なお、わけても日本国民所得との関係で高い進学率を示しておるということはいえます。その点はまあ明治あるいはそれ以前からでございましょうか、一般的に日本国民知的勤勉度というものがそういう高い進学率を示しておるのではないかというふうに考える次第でございます。
  9. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いまの答弁は、なるほどそのとおりですよ。これはまあそのとおりに違いないし、俗なことばでいえば月並みな答弁というわけだよね。それはそうですけれども大学へみなが行きたがるというのは、アメリカはいま言われたんだけれども、あれじゃないですか、ことばは非常に悪いんでちょっと注意しなきゃならぬことばかもわかりませんけれども、かりに先進国後進国ということばで分けたとして、これはまあ議論があるところなんで、なかなかむずかしいんだけれども後進国ほど、大学へ入らなきゃならない、大学へ入らなきゃならないというので、大学へ行きたいというか、行く率がふえているのじゃないんですか。これはことばがちょっと悪いんで、あまりこれ以上言うと、ある特定の国に対して非難しているようになって申しわけないのですけれども、どうもそういう傾向が強いのじゃないか。  それに関連して、たとえばフランスなどでは、フランス先進国かどうかよくわからぬけれどもフランスにはそんなに大学はないのじゃないですか。ぼくもよくわからぬけれども、どうなんですかね。
  10. 木田宏

    木田政府委員 先進国も、また低開発国も、それぞれ高等教育への要求を持っておりますが、何と申しましても低開発国におきましては、指導者層養成ということに力が入っておるかと思います。これは歴史的な発展上も当然だと思っております。逐次指導者層養成に引き続きまして社会中間層教育大学が受け持っていく、あるいは職種の分化に伴いまして、いろいろな職種にも大学卒業生が迎えられるというふうになってまいりまして、社会全体の発展とともに大学への進学者が広がっていくというのが、各国を通じて見た共通の現象であろうかと思います。  フランスでは大学の数こそ少のうございますが、しかし、一つ一つ大学のかかえております学生数は非常に大きいわけでございまして、今日フランス進学率は二〇%に近くなっておるというふうに私ども承知をいたしております。
  11. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いま言われた六・三・三・四という制度、これはもちろんいまとっているわけですけれども、これをとってきた理由一つと、それからそれをとってきて、ずっとやってきた経過の中で、いま大学院の問題をいわれているわけですが、そうすると、六・三・三・四で特に四の場合にいろいろなあり方についての批判があって、それを変えなければいけないということになってくるわけですか。これは自民党の場合の綱領の中に占領政策を再検討するということがありますね。独立国になったのだから占領政策を再検討するのはあたりまえのことだと思うのですが、そうすると、六・三・三・四なら三・四というものの制度、それも占領政策として再検討しなければいけないという考え方に立っておるわけですか。あるいはそれをやってきた中でどういうふうなプラスなりあるいはマイナスというかな、そういうものがあったと、これは一般論ですから大臣に、常識的な答えになるかもしれませんが、その点はどうなんでしょうか。
  12. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 六・三制そのものは高く評価されている、定着していると、こういわれているわけでございます。同時にまた、幼児期、非常に発達が早い五歳児、六歳児、これは続けて教育したほうがいいんじゃないだろうかということがいろいろ議論されているわけでございます。中教審の答申の中で、そういう意味で五歳児から学校教育を始めていく、そういう意味先導的試行をやってみたらどうかというようなことでございまして、したがいまして、幼稚園と小学校との関連、あるいはまた小学校の五年生から中学校にかけての教育を一貫してやる、そういうくふうを試みてみて、その結果によってまた新しい制度も付加してもいいんじゃないだろうか、これが議論になっておるわけでございまして、そういう意味検討を続けているということでございます。
  13. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いまの点を私は聞きたかったわけじゃなかったのですが、ぼくの質問が、一般的でしたから……。いまの五歳児の問題については、小学校校長会でしたか、東京都の場合、これに反対ですか、何か意見が出ているんじゃないですか。たしかそういう意見が出ていますね。それが一つと、それから大学制度について——制度ですよ。四年なら四年制というか、そういうふうなものについては別に検討しなければいけないとか、そこの点についてはどういうふうに考えているわけなんですか。
  14. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 六・三・三・四制が発足いたしましてから、その後に高等専門学校制度ができまして、今度は高等専門学校を卒業してもやはりさらに進めるような仕組みを考えたらどうかということが一つ課題になっております。   〔委員長退席内海(英)委員長代理着席技術系高等教育科設置したらどうかということでございます。同時にまた、四年制の大学にいたしましても、医学部の場合には六年制でございますけれども、当初の二年は一般教育、そしてあとの二年が専門教育医学の場合には四年が専門教育、これはやはり問題があるじゃないか、むしろ一般教育も四年なり六年なり一貫して行なうべきだ。同時に、当初から専門教育も行なっていくべきだと、こういう教育あり方についての問題があろうかと思います。  それからもう一つは、四年制の大学の上の大学院の問題でございますけれども、現在二年の修士課程、その上に三年の博士課程ということになっておるわけでございますけれども、これにもやはり若干問題があるじゃないかということでございまして、筑波の場合には修士課程は高度な職業人養成がねらいであるべきだ、博士課程は高度な研究者養成を考えるべきだ。だから、博士課程は五年一貫した博士課程修士課程は二年の修士課程というような振り分けをすべきだ。修士課程を経て博士課程じゃなくて、修士課程修士課程博士課程博士課程、それぞれ二年のコース、五年のコースと、こういうふうにしているわけでございますけれども、これはやはりいま一般的にも重要な検討課題だということで大学院制度あり方議論になっているところでございます。
  15. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 大学の設立に関して、文部省のほうで不認可ですか、あるいは直ちに認可しないで延期したとか、そういうふうな例は過去にどの程度あるのですか。これは特定学校名前もあげていただいていいと思うのですが、そしてそれが現在どういうふうになったかということを説明を願いたいと思うわけなんです。ことに、何か私どもの聞く範囲では、医科大学系統にその例が非常に多いように聞くものですから、それの質問をして、なぜそういうふうに認可にならなかったり何かしたのか、原因があったとかどうなったとかいうことをお聞きして、それを最初にして、それから質問に入りたい、こう思うわけなんです。
  16. 木田宏

    木田政府委員 現在大学設置認可申請を待って審査をいたしておりまして、数年間の大体申請数に対しまして認可数は七割、多いときに八割七分という程度の認可数になっております次第でございます。
  17. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、その不認可になった場合に、そのままなんですか。もう一ぺんやり直してきて、あらためて認可をしたというふうなこともあるわけなんですか。どういうふうな条件というか、それがそろえば認可になって、そしてこのように二割なり三割というものが認可されなかったというのは、どういうところに原因があるわけですか。
  18. 木田宏

    木田政府委員 大学大学設置基準に基づいて設置されなければなりません。その基準申請内容が合致しておるかどうかということを審査をいたします。また、私立学校の場合には、学校法人としての適切さということを別途審査をいたしまして、その両面を待って合否をきめておる次第でございます。申請がありまして認可にならなかったものが再度申請をしてこられるケースもございますし、またそうでない場合もございます。
  19. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 ぼくはそういう学校名前をあげて聞くのは、あまり聞きたくないものですから聞かないわけなんだけれども、それで、その学校が現在認可になってやっている場合もありますから、これを学生が聞けばいろいろ芳しくないから、それは配慮して聞くわけですが、どういう点で認可にならなかったのかということですよね。それは、私どもの聞く範囲では、一定の資金というか、それを積み立てて預金しておいて、そのことで承認を得るということが一つ条件になっているのですか。ところが、それが何か非常に不足しておったとかいろんなことがあるわけなんでしょう。どういう点とどういう点が、認可のために、ことに私立学校の場合必要なんであって、どういう点が足りなくて過去において認可にならなかったのか、そこら辺のところを、学校名前をあげるならあげてもいいし、それはあなた方にまかせますが説明をしていただきたい、こう思うわけですね。これはぼくは、あとで聞く医科大学のいわゆる入学金の問題などにも関連するものですから、その点を聞きたいわけなんです。もう少し具体的に、許される範囲の具体的な説明をしていただきたい、こう思うのです。
  20. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 一般的に申しますと、二つの審査側面があるわけでございますが、一つ施設設備が整備されておるかどうか、教員組織が整っておるかどうかという点でございます。これは大学学術局並びに大学設置審議会におきましてその側面審査をいたします。それから法人の面といたしましては、施設設備等を裏づける資金が十分用意されておるかどうかという点が審査の第二の側面でございまして、これは管理局並びに私立大学審議会において審査をされるということでございます。したがいまして、その私立大学認可申請が不認可等になります場合には、第一、第二の側面のいずれかにおいて欠陥があるということで認可されないということでございます。具体的には、個々大学につきまして個々の具体的な欠陥があって認可されていないということでございます。
  21. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 では、その場合に不認可になったというのはほとんど医科大学系統ですか、そこのところが一つと、それから一、二の具体的な例をあげて、こういう点が足りなくて、そうして不認可になったのだ。それが、文部省でこういう点を直せと言ったら直してきて、あらためて認可になったというのもあるかもわかりませんが、あるいはそういうことなしに不認可のままだったとか、いろいろあるわけでしょう。こういう点について具体的に説明を願いたい、こう思うわけなんですが。
  22. 木田宏

    木田政府委員 最近でございますと、例年申請が四十数件前後でございまして、一、二割認可にならないものがあるというわけでございますから、認可にならないものは医学、歯学だけではございません。で、一般的に認可にならないものは、管理局長もお答え申し上げましたけれども、教官の陣容がそろわないとか、あるいは施設その他が整備基準に達しない、いろいろと用意をしていらっしゃいますけれども大学というにふさわしくないというようなケースもかなりございます。そうした場合に、いきなり不認可というような扱いで公表いたすことは一応避けまして、申請者側にお取り下げになったらいかがでございますかということでお話を申し上げて、こういう理由で足りませんということをお話をいたしております。で、その場合に、申請取り下げという形が多く見られるものでございますから、不認可という形のものはきわめて少のうございます。
  23. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それは行政として、不認可という形で出る前に、アドバイスというか何というか、そういう形でやっていくのはこれはあたりまえのことだと思いますし、それが普通の形だ、こう思うのですが、そうするとあれですか、医科大学の場合に、日本の場合は国公立と私立との割合というか、それがどういうふうになっているわけですか。そうすると、現在のような状態でそれをいいというふうに考えているかどうかということが第二点の問題になってきますわね。  それから第三点としては、ほかの国の医学教育というか、これはまあ社会主義国の場合は全然違うから例にならないかと思うのですが、たとえばアメリカにしろ、あるいはイギリスにしろ、あるいはフランスにしろ、そういう国での医学教育、ことに大学教育というものと日本の場合と比べると非常な違いがあるんですか、あるいは違いがないんですか、どういう状態になっているんですか。
  24. 木田宏

    木田政府委員 医学は、医科大学の数をとってその流れを御説明申し上げますと、昭和三十六年には国立が二十四、公立が九、私立が十三ということでございまして、全体四十六の中の大体三分の一が私立であったということでございます。医学につきましては、そういう意味で国公立の学校が大勢を占めておったということが過去の姿としていえるかと思います。  同じ医学系でございますが、歯のほうは国公立よりも私立のほうがはるかに多かったという姿になっております。四十七年の実情で申しますと、総計五十九校のうちで国立が二十六校、公立が八校、私立が二十五校ということでございまして、私学がかなり校数としてふえてきたということがいえようかと思います。しかし、日本学校全体をとってみました場合には、私立学校学生数で八割を占めておるという状況でございますから、医学に関してみます限り、なお国公立の比重が高いということがいえるのではないかというふうに考える次第でございます。  諸外国の例をお尋ねでございますが、イギリスはいわばほとんど全部が準国立のような学校でございますし、フランスも国立、ドイツも州立でございまして、ほとんど国立でございますから、私立というものの比重はきわめて少のうございます。アメリカ学生数の二割が大体私立大学でございまして、医科大学ももちろん私立でたくさんあるわけでございます。医学教育各国におきます実態は、やはりそれぞれの国の歴史と長い伝統がございますために、すべてが一様というわけではございません。病院を中心にいたしまして発達してまいりました医科大学もございますし、大学ができて進んでまいりました医科大学もございますので、一様には申せませんが、そうきわ立った違いがあるというふうには考えておりません。
  25. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そこでだんだん問題に入っていくと思うのですが、いまは四十七年でぼくの聞いたのでは五十九あるのですか、それで私学が二十五ですか、学生は私学が八割だというのですか、ちょっと聞き違えましたか、そういうふうにお聞きしてよろしいのですか。もう少しはっきりした学生の数の数字がありますか。
  26. 木田宏

    木田政府委員 学生八割と申しましたのは、日本大学全体におきます私学の学生の比率が八割というふうに申し上げた次第でございます。  で、大学のほうの医科大学学生定員で申しますと、トータル五千六百の定員の中で私学が入学定員は二千四百ということになっておりまして、大体四割かと思う次第でございます。したがいまして、医学に関します限りは国公立にかなりそのウェートがなおかかっておるということが申し上げられるかと思う次第でございます。
  27. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 八割ということをいま言われたものですから、何かちょっと医学学生が数で八割いるのは変だなと思ったものですから、確かめたわけですが、そうすると、国立が二十六、それから私学が二十五、大体同じような数ですわね。そうすると、あれですか、学生の数は医学系統、これは歯のほうも入っているわけですか。歯のほうは入らない——そうですか。そうすると、医学だけに限るというと、二十六の国立での学生の数と二十五の私立での学生の数というのは、どういうふうになっているのですか。
  28. 木田宏

    木田政府委員 私立の入学定員が二千四百でございますが、国立の入学定員は、国立二十六校でございまして二千六百二十人でございます。公立は八校ほどございまして、入学定員が五百八十人ということに相なっております。
  29. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、私学の場合は、法文系の場合はすし詰めでマスプロで一ぱい入れておりますけれど、これは学校へ来ない。人が多いから、あれでストライキをやるのなら、集団登校をやったほうがいいだろうというような話があるくらいで、全部入ったら入れなくなって、登校ストライキになっちゃうわけです。  そうすると、医学系統の場合は、国立の場合、公立の場合、私学の場合、定数というか、一校当たりというか、これはあまり人数として変化がないというか、そういうふうに承っていいわけですか。
  30. 木田宏

    木田政府委員 医学の場合には、私立でございましても、他の学部に見られるようなむちゃな過剰の実員という現象はございません。総じて二割見当定員を上回った学生数が在籍しているというふうに申し上げられると思います。
  31. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、国立の場合は、やはり定数のある程度の歩増しというか、それはあるのですか、一割くらいは多く入っているのですか。   〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕
  32. 木田宏

    木田政府委員 国立の場合には、定数どおりとるように指導をいたしておりまして、ほぼ定数に近い線でございますが、やはり在籍総数等でとりますと、留年その他も出てまいりますので、若干名定員よりは上回っておるという程度かと考えます。
  33. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、私立医科系統の場合は、二割くらいの定員よりも増になり、やむを得ないというか、文部省としてはこの程度ではしようがないというふうに見ておるわけですか、その点やかましく言っているのですか。
  34. 木田宏

    木田政府委員 私立大学につきましては、医科だけでございません、すべての大学、ことのほかまた新設大学につきましては、認可をいたしましたあと四年間、毎年設置審議会の委員あるいは視学委員等が視察に参りまして、的確な教育が行なわれるように指導助言をいたしております。決して定員を上回って入れていていいというわけではございませんので、私どもも毎年定員によって学生教育を行なうようにという指導を繰り返しているところでございます。
  35. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 ぼくは法科出身ですから、医学学校へ行ったことがないからわかりませんが、二割程度の水増しというのは、医学系統では別段授業に差しつかえするとかどうとかということはないから、だからこの程度は文部省としては黙認しておる——まあ黙認しておると答弁できないかもわからないけれども、とにかく何ということばがいいか、ことばはなかなかむずかしいしあれかもわからぬけれども、実際にはその程度あるということは知っているということかな、そうすると答えは。知っているということと黙認しているということと違うかもしれぬけれども、どうなんですか。(「大臣、そんなことでいいのですか」と呼ぶ者あり)大臣大臣に聞いてくれという話のようだから、どうですか、その点は。
  36. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 率直に申し上げまして、私就任いたしましてから大きな疑問を抱いている一つの点でございます。医科大学の場合にはまだそれほどじゃございませんけれども、歯科大学の場合には、たいへんな定員オーバーの収容になっているわけでございます。やはり認可を受けるときには施設基準がございまして、その施設基準を見合って定員があるわけでございますので、教育上の見地から考えますと、やはり私は問題じゃないか、こう考えておるわけでございまして、今後これに対してどう対処していくかということにつきまして、いまいろいろと議論を重ねておるわけでございまして、そういう意味でも、場合によっては立法措置をお願いしなければならぬのじゃないかというようなことを、かねてから予算委員会その他でもお答えしてまいったところでございます。
  37. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それじゃ、国立、公立、私立医科、歯科の定員と、本日現在で何人一体入っているのか、その調査をして当委員会に出してもらって、そして当委員会の審議の対象にしていってもらいたい。ぼくはレギュラーじゃありませんけれども、きょうはレギュラーですが、やっていただきたい、こう思うわけですね。その資料は出ますか。
  38. 木田宏

    木田政府委員 昭和四十七年度の入学者について申し上げますならば、国立は入学定員二千六百二十人でございまして、入学者は二千六百六十三人、比率は一・〇二でございます。公立は五百八十人の入学定員に対しまして、五百八十七名でございます。私立は二千四百名の入学定員に対しまして二千九百三十七名でございまして、比率は二二%アップということに相なっております。
  39. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それは医学のほうでしょう。だから歯科のほう——あなたは多い多いと言っていて、多いほうは発表しないんだな。
  40. 木田宏

    木田政府委員 歯学につきましては、国立、公立はほとんど定員どおりでございますが、国立が三百四十人の定員、公立が百二十人の定員であります。私立は千六百人の定員に対しまして二千六百九十七名、四十七年度入学しておりまして、この定員に対する入学者の比は一・六九に相なっております。
  41. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、数字合っているのかな。いまの間違っているとあなたはあれだぜ。倍でもないけれども約一・七倍だな。そんなに入っていても、学生はあまり来ないからだいじょうぶなのかな。学生学校にあまり来ないから教育に差しつかえないのかな。そんなに入ってもかまわないのか。大臣は、それじゃいけないから、立法措置をどうのこうの言っておられたけれども、よくわからないけれども大臣が考えておられる立法措置とは何ですか。
  42. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 いま大学学術局長は、平均の数字で申し上げたわけでございます。平均の数字でございますから、上下相当の開きがあるということは、御理解いただけると思います。しかし、現行の制度のもとにおきましては、これに対しまして何ら特別な措置がとってないということでございますので、場合によっては改善を求めることが法的にできるようにすべきじゃないか、こういうこともございまして、今日私立大学でいろいろな問題が起こっておりますので、その総合的な研究課題として検討していきたい、こういうことで議論をしているところでございます。
  43. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 どうもよくわからないのですが、総合的に判断して法的な措置をどうとかこうとかいうのは、ちょっとよくわからないですね。もう少し順序を立てて説明願いたいわけです。たとえばいまの歯のほうは、全体として私立のほうがちょっと多いわけですね、学校自身が。それでしかも一・六九倍ということでしょう。文部大臣失礼だけれども、そのことはいまここで質問があって初めてわかったの、そんなことないでしょう。たいへん失礼な質問なんだけれども、どうなんですか。
  44. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 前々から議論になっているわけでございます。前々から答えていることを私申し上げたわけでございます。私の疑問に思っておりますのは、認可申請を受けまして、認可します。認可しますと、それきりになってしまいまして、認可どおりの運営が行なわれてなくても、文部省は手をこまねいていなければならない、これはやはり問題があるんじゃないか、何か認可と違った場合には、是正できるような道をくふうしていきたい、特に松本歯科大学の問題が起こりましてから真剣に私たち考えているところのことでございます。
  45. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、私立学校法ですか、文部省が報告を徴することができるわけでしょう。報告を徴してどうするのですか。いま、かりにそういう定員よりも非常にオーバーして入っている、あるいはいろいろな問題がありますね。そういうときに文部省として、それじゃ法律的に現在やり得る手だてというのはどういうふうなものがあるのですか。これがまず第一。それを聞いて、それに伴って次の質問に入るわけです。ぼくは直ちに法律的な措置を講ずるのがいいとか悪いとかいうことをいま言っておるわけじゃございません。具体的に、現行法のもとでは、認可があった後に文部省としてどういうことができるのですか。
  46. 木田宏

    木田政府委員 現在の学校教育法の体制では、その十三条に、学校の閉鎖を命ずる場合の規定がございまして、「次の各号の一に該当する場合においては、監督庁は、学校の閉鎖を命ずることができる。」というふうに規定がございますが、それは法令の規定に故意に違反したとき、法令の規定により監督庁のなした命令に違反したとき、六カ月以上授業を行なわなかったときという限定がございます。  なお、私立学校につきましては私立学校法の五条に規定がございまして、同様の趣旨の規定が書いてあるわけでございます。ただ、私立学校につきましては同法の五条第二項に「学校教育法第十四条は、私立学校に適用しない。」という除外規定がございまして、この学校教育法十四条と申しますのは、「学校が、設備、授業その他の事項について、法令の規定又は監督庁の定める規程に違反したときは、監督庁は、その変更を命ずることができる。」という規定なんでございますが、この変更命令の規定を私立学校については適用しないというふうにしておるわけでございます。  したがいまして、文部省といたしましては、法令の規定等を順守してほしいという指導助言をする、それにとどまるというのが現在の実態でございます。
  47. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 文部省私立学校等の関係というのは、私立学校の自治の問題もあり、なかなかむずかしい問題があると思うのです。ただ文部省の権限を強くしてやっていくというやり方は、これは批判の余地があるし、問題だとぼくは思うのですが、それはそれとして、大臣、いまお医者さんの学校では二割増しくらい、それから歯のほうでは七割増しくらい入っているわけでしょう。このことについて、具体的にこれでいいんだとかやむを得ないんだとか、あるいはこれは改善しなければいけないとか、いろいろなことで、命令かどうかは別として、勧告かあるいは話か何か知らぬけれども、そういうふうなことをどこかを通じてやったことがあるのですか、ないのですか。それはどうなんですか。大臣のほうから最初に答えていただいて、こまかい点はあとで……。
  48. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 文部省私立学校の関係につきましては、大学局長から申し上げたとおりでございますが、ただいまの御指摘の点につきましては、私立大学審議会委員の方々に、新しく認可された学校を中心といたしまして、毎年認可のアフターケアということで実地調査をお願いいたしております。その結果、先ほど来御指摘のような事態が明らかになるわけでございますが、そうした事態につきましてはすみやかに是正するよう、審議会からも文部省意見具申がございます。文部省はそれを受けまして、各大学に対して、そうした事態をすみやかに是正するように指導助言をいたしておるわけであります。また、審議会自身といたしましても、現地の調査の場合に、そうした指導を行なっておるわけでございますが、権限的にはこれを矯正する方法がいまのところないわけでございます。大臣認可制度あるいは大学教育水準の維持について立法措置も検討したいと言われておりますのも、そうした点にどう対処していくかということが一つ課題として意識されておるからでございます。
  49. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 その立法措置のことは、これはいま私のここでの感じでは、俗にいうもろ刃の剣みたいなところがありますからね。その点については私どものほうはそれはいろいろ検討しなければならぬ点が確かにあると思うのです。  そこで、お聞きをしたいのは、こういう私立の医、歯の大学で、入学のときにいわゆる寄付金といいますか、それを取っておる。これはいまやかましくいわれておりますね。これは私も四月十二日の決算委員会でお聞きしたのですが、そうすると、そのことについては、四十六年度のものについてはフォローアップしたというか検討したということを言っていましたね。その後、四十七年度も三月で終わったのですが、その四十六年度の結果、それから四十七年度の調査の結果、このことについてお聞かせを願いたい、こういうふうに思うわけです。この前大臣が言われたのは平均のやつ——これは管理局長が話をされましたね。それはまあわかったのですが、そうすると、場所によっては、学校によってはたとえば入学の寄付として二千百万円ですか、取ったのがあるという話がこの前ありましたね。差しつかえなければこの学校はどこなのか教えてもらいたいのだけれども、それもあなたの判断にまかせますが、そうするとそれは四十六年度でしょう。その結果の概要をお知らせ願いたいのと、四十七年度も調査してあればその内容をお知らせ願いたい、こう思うのです。
  50. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 四十六年度の調査結果につきましては、先般決算委員会におきまして稲葉先生にお答え申し上げたわけでございますが、それに対しましては、先ほど申し上げましたようないわゆるアフターケアその他におきましてこうした事態を是正するようにしばしば注意を喚起し、指導助言をいたしておる次第でございます。  なお、四十七年度の状況につきましては、私どもその後調査をいたしておりませんが、しかし、事あるごとに入学時において多額の寄付金を徴収するということは避けてもらいたい。特に入学の条件として寄付金を取るというようなことは絶対やめてもらいたいということを申している次第でございます。
  51. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いま言われた指導助言というのは、これは文部省が直接その私学に対してやっているわけですか。あるいは私学振興財団というのがありますが、そこを通じてやるのですか。それをやったとするならばいつ幾日、どこの大学に対してやったのか。これはわかっているわけでしょう。そんなことは遠慮する必要はないですよ。それをやらなければ直らぬですよね。同時に、それはこのことだけで問題が解決するとはぼくも思わないのですけれども、かまわないじゃないですか。どこの大学にいつ幾日こういうふうな指導助言をした、こういう事実があったからやったんだということを発表したらいいじゃないですか。遠慮する必要はないんじゃないですか。
  52. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 これは文部省から直接各大学に対して指導助言をいたしておりまして、これは私学振興財団を通じてというようなことはございません。  それからなお、指導助言はしばしば多くの学校に対して行なっておりますので、いつ幾日どういうことをやったということは、別途また資料として差し上げたいと思います。ここではちょっと持ち合わせがございません。
  53. 田中正巳

    ○田中委員長 この際、暫時休憩いたします。    午前十一時二十九分休憩      ————◇—————    午前十一時三十二分開議
  54. 田中正巳

    ○田中委員長 休憩前に引き続き会議を続行いたします。  国立学校設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、審議を進めます。稻葉修君。——稲葉誠一君。
  55. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 質問を続けます。  稻葉修さんとよく間違われるのですけれども、だいぶ年が違いますから。学校も同じものだからよく間違われるのです。  それはそれとして、いまの指導助言のことを、ことばじりをとらえて悪いけれども、あなたはしばしば指導助言しているとか、よくわからないようなことを言われますね。そんな、私立学校に対して、私立大学に対して、しばしば指導助言するようなことが、ことばじりをとらえて悪いけれども、そんなにあるのかいな。あるとすれば、どんなことをやっているの、文部省は。
  56. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 文書として、しばしばということば、あるいは適切ではなかったかとも思いますが、定員超過でございますとか寄付金抑制の問題につきましては、かなり多くの大学に対して文書で指導助言をいたしております。それから、新聞でもときどき報道されまする大学のいろんな内紛でございますとかあるいは経理上の諸問題が起きておるような場合だとか、そういう場合には、これはまあときどきと申し上げたほうがよろしいかと思いますが、そのつど学校の方に来てもらいまして、それに対して事情を聞き、いろいろな指導をしておるという状況でございます。
  57. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 国立大学の場合でも、何か地元から後援会みたいなものをつくって寄付を受けるというようなことがあるのですか。どうなんですか、それは。
  58. 木田宏

    木田政府委員 大学によりましては、大学教育研究振興のために、卒業生その他関係者の協力を求める組織を持っておるところがあるというふうに思いますが、必ずしもそう多いケースではないかと思います。
  59. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それは国立大学でしょう。国立大学の場合は、そういう特定の人から寄付を受けてもいいという前提に立っているのですか。その点どうなんですか。これは入学の寄付じゃないけれども、後援会というのは国立大学でもつくっているのがありますね。後援会というのは、選挙じゃないけれども、国立大学の後援会というのがあって金を集めたりするのがあるのですか。こういうのは認めているの。具体的にどこにどういう例がありますか。
  60. 木田宏

    木田政府委員 逐一を承知しておるわけではありませんが、一橋にも一橋の同窓生等を中心にいたしました後援のための組織がありまして、一橋大学教育研究、特に研究活動が中心になろうかと思いますけれども資金の確保につとめるというようなことがございます。また、京都大学でも、これは京都大学の何十周年になるんでありましたか、ちょっと記憶がさだかでございませんが、そうした場合に、同窓生その他に寄付を求めて記念事業をやる、そういうこともございます。和歌山大学でも経済学部関係の方々が同窓生を中心にして、大学をひとつもう少し充実してやろうではないかというふうな、御声援くださっているというお話も聞いたりしております。  断片的でございますが、幾つかの大学でそういう事例はなおあろうかと思います。
  61. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 話をもとに戻しますが、管理局長が言われた寄付が二つの条件がありますね。入学の条件にしちゃいけないというのが一つ、それから不当に高いのが医学でしょう。不当に高いというのは幾らくらいかというのを線を引いて文部省説明しろということになれば、ここまではいいのだということになるから、ここまでは答えにくい。まあ常識的に判断する以外にない。これはそのとおりですね。そうすると、問題は入学の条件ということですよ。そうすると、入学の条件に寄付をしてはいかぬわけだ、こう言うんでしょう。具体的に入学の条件にする場合は、こういう場合が入学の条件に当たるのだというのも、二、三の例を、なかなかむずかしいかわからぬけれども説明してください。
  62. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 入学の条件と申します場合には、私どもはその寄付金を支払わなければ入学を認めないということが入学の条件であるというふうに考えております。
  63. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それは一番はっきりとした場合。一番厳格に、そうして一番はっきりとした場合は、それは寄付しなければ入学を認めない、それは一番はっきりした例ですよ。そういうふうに、各大学で言っているわけですか。そんなことを言うところはないでしょう。あたりまえでしょう。そんなことを言ったら問題になるから言いっこないじゃないですか。だから文部省が言う入学の条件にしてはいけないということについて、それをのがれるためのいろいろな方法というものを講じて、あたかもこれには該当しないようなかっこうでやっているんじゃないですか。そこら辺の実態を文部省としてはどういうふうにつかんでいるわけですか。いまあなたの言われたのは、一番はっきりとした例ですよ。これは一番はっきりとした例で、そうでない、いろいろな形でやっているでしょう。一見厳格な入学の条件に該当するように見えないけれども、実際には社会通念上該当するのだという場合がたくさんあると思うのだが、具体的にどういうふうなことを各私立大学でやっているとあなたのほうでは調査をしているわけですか。
  64. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 組織的な全般的な調査というものはいたしておらないわけでありますが、個々に事情等を聞きますると、入学試験の際におきまして、学校の当局者が父兄等と面談をいたしまして、できれば寄付をお願いしたい、こういうことを申しまして、そこで話し合いの結果、任意の寄付という形で一定額の寄付が行なわれているというふうに理解をいたしております。
  65. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 世間でこういうふうに私立医科大学のいわゆるやみ入学金というか、そういうふうな問題で世論がいろいろわいているときに、どうして文部省としてはそれについての組織的な調査をしないのですか。事実上できないというならまた話は別だけれども、どうしてできないのですか。どうです大臣、する意思がないのかな。
  66. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 たびたび御論議がございまして、たびたびお答えしていることでございますが、こういう問題が起こりましてから、四十五年以後に認可した学校医科、歯科大学がどういう姿になっているのか、あと追い調査をいま進めておるところでございます。同時に、これらの個々大学においてどのような条件が整備されれば、いまのような問題に対しまして世人の納得するような姿に直してもらえるか、その方策を個々具体的に立てていかなければならぬのじゃないだろうか、こんなぐあいに思っているわけでございます。その前提としての調査をいま進めておるわけでございます。同時に、将来の問題としましては、私立医科大学、歯科大学を経営することについてはかなり問題がある、無理がある。ですから、よほど慎重にしていかなければならないだろう。そういうふうに認可法人の切りかえをとらしていただくわけでございます。同時に、むしろ医科、歯科大学については国立、公立を中心にして今後増設を考えていきたい、それ以外に道はないのじゃないだろうか、こうも考えておりまして、それを急ぎたい。四十八年度には三校、四十九年度は四校つくるわけでございますけれども、今後もそういう方向で努力していきたい、こういう方向で進めているわけでございます。
  67. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、組織的調査をやっていないように管理局長は言われるんだけれども大臣のあれでは一部分やっておるように受け取れるのです。それはことばじりですからどっちでもいいのですが、それで、あと追い調査というのは四十五年以降に認可されたものについてでしょう。問題は、その前に、戦後認可されたものの中にたくさんあるんじゃないですか。それを四十五年以降認可されたものに限ったのはどういうわけですか。そこら辺がよくわからないのですがね。
  68. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 私立医科大学、歯科大学において、入学時に多額の寄付金が徴収されている。それはどこに原因があるのか。その原因を見つければ、古い医科、歯科大学につきましても同じような方法で解決策は考えていけばいいんじゃないか、こう思っているわけでございます。  先のことまでお答えする結果になるわけでありますけれども、新しくつくりますときには相当な寄付金が用意できた、施設ができたということで認可申請されているのですけれども、はたしてほんとうに寄付が全部学校に入っているのかどうか、これは一つの問題点だと思っているわけでございます。もう一つは、認可時にはわりあいに規模の小さい学校あるいは設備で申請をされて、その後に規模を大きくする、設備を増強していく、その金をどうまかなうかということになるわけでございます。この二つが多額の寄付金を要する中心じゃないかと私どもは思います。同時にまた、経常的経費も一人年間二百万円くらいかかるわけでございまして、私立の経常費助成につきましては、専任教員等の二分の一は国費で助成するという方向で進んでおるわけでございますけれども、こういうことでいいのかどうか、これらも問題があるかもしれません。そういうことを総合的に判断をしていきたい。だから、個々大学によって事情は違うと思うのでありますけれども、古い大学につきましてはそういう結果からおのずから対応策が考えられるのではないだろうか、こう思っているわけであります。
  69. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 実は四月十二日に私、決算委員会でこのことをお聞きしましたら、その後私どものところにいろいろな電話がかかってきたり何かしまして、この問題で悩んでおられる人が非常に多いわけなんですね。たまたま四月二十三日の朝日新聞に宮本という作家が子供さんのことで投書をされまして、それからそのことに関連しておとうさんの談話や何かが出、学校側の見解等も表明された。それに伴ってまたもう一ぺんこの宮本という人が投書されておったわけですが、これは本郷のある大学で、もとは病院として歴史的にも相当有名だった大学のようですが、これを見ますと、学科試験に合格をして、その中から八十人が選抜されるという面接試験もまあ通った。   〔委員長退席内海(英)委員長代理着席〕 ここら辺のところがあるいは事実関係に争いがあるかもしれませんが、八十名が選抜されるという面接試験も通って、それから父兄の面接になった。そのときに大学のほうから前もって告示してあった任意による寄付金の相談が切出された。それで他の人の例を示して下さいと言ったら、大体一千万円だ、多い人は二千万円だ、こういう返事があった。そこで、せっかく学科が合格しているんですから、子供を見殺しにできないということで一千万円を申し込んだ。だから、その日から金策に四苦八苦して、金を都合できた。それで正式発表を見に行った。寄付の申し込みをしたんだから合格は間違いないと思って発表を見に行ったら、受かってなかった。こういうことで「千万円でも不合格  ひどすぎるぞ私立医大」という見出しで出ているわけです。  この事実関係について、それはこの投書だけなら、ぼくも文部省として事実関係を調べなかったというのもある程度は宥恕すべきかもわかりませんが、その後新聞にも相当出てきたことですから、この事実関係について、文部省としてこのJ医大の当局者を呼んだり何かして調べたことはあるんですかないんですか。
  70. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 調査をいたしました。ただいま先生からJ医大という話でございましたが、その後四月二十九日の新聞によりますと、この医大が御指摘のように本郷の順天堂医大だということが新聞でも明らかになったわけでございますので、順天堂医大の理事文部省へ来ていただきまして事情を聞いたわけでございます。  それで順天堂医大におきましては、第一次試験で学科の筆記試験を行ない、第二次試験で健康診断、小論文及び面接試験を行なっております。そしてそれらの総合評価によって合格者を決定しておる。寄付金の申し込みの多寡によって合格、不合格の判定をすることはしていないという事情の説明がございました。投書者は二次試験にも受かったというふうに考えておったようでございますが、そのようなことは全くないということが大学側の説明でございました。  それで、同大学は入学定員が八十名でございますが、本年度の合格者は八十二名ということでございます。そのうち寄付申し込みをいたした者が七十八名ということでございまして、寄付金の全く払ってない者が四名あるということも申しておりました。寄付をいたしました七十八名につきましては、最低三百万円から最高二千万円までの金額であるということでございまして、総額は約七億五千万円ということでございます。したがいまして、合格者八十二名当たりにいたしましても、また寄付者七十八名当たりにいたしましても、一千万円以下ということになっておるわけでございます。私は一千万円がいいと申すつもりはございませんけれども、投書者がおっしゃいますような、一千万円という金額が少なかったために不合格であったということは、大学説明のとおり、それは事実ではないのではないかというふうな理解をいたしております。
  71. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 この事件でいろいろな問題が私はあると思うのですが、いま言う寄付の申し込みというのは、全体の、入学試験から始まって合格発表までのどういう段階で寄付の申し込みが行なわれたのですか、あるいは寄付の申し込みの勧誘が行なわれて、結果として寄付の申し込みがあったのか、その時期が問題だ、こう思うのですよ。これはどうなんですか、ちょっと速くてよくわからなかったのですが。
  72. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 五月一日に大野理事から説明を求めたわけでございますが、寄付申し込みのための面談は、面接試験のために来学した機会に別の場所で父兄と面談をしておるということでございます。この面談、寄付金の関連の面談をいたしました者は試験委員とは全く別個であって、寄付申し込みの額等は試験委員には全く知らせていないということでございます。  なお、面接の試験委員は十名でございまして、十名の試験委員がそれぞれ評価をして総合的に合格者を決定しておるということでございました。
  73. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 その面接というのはいつ行なわれたのです。全体の試験の一つの流れがあるでしょう。入学試験から学科試験から、何か日時的の流れがあって、どの段階で面接が行なわれたのかということですね。これはなぜそういうことを聞くかというと、申し込みをするほうの人の気持ち、その気持ちがどういう気持ちであったかということに関連してくるので、それで聞くわけなんですけれども、これが入学条件等の問題にからんでくるわけですよ。
  74. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 先ほど申し上げましたように、一次試験と二次試験に分かれておるわけでございますが、二次試験は三月九日に行なわれたということでございますが、その同日、その二次試験とは別個に父兄との面談が行なわれたというふうに聞いております。
  75. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 その二次試験というのは何人ぐらい残っているの、これわかる。
  76. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 一次試験の合格者が百八十一名ということだったということでございます。したがいまして、ほぼ百八十名程度の者が二次試験を受験していると思います。
  77. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 だけれども、その二次試験とは三月九日で、三月九日というのは面接ですか、面接でそのときに寄付の話があったのかなあ、どうなんですか。そうなると、寄付の申し込みを勧誘されたというか、少なくとも寄付の申し込みをした人は、これを申し込めば当然合格ができるというふうに考えたんじゃないですか。そういう趣旨ですね、この人の言っていることは。その考え方が、あるいは間違いだったかもわからぬけれども、それはそれとして、しかしそういうふうに考えれば、寄付まで申し込めば、最初から試験の前に申し込むわけじゃないですからね、試験終わってからでしょう。二次試験も終わってからおそらく申し込むのでしょうからね。そうすれば、当然そこでこれを申し込めば受かるんだというふうに考えたんじゃないのですかね。そこはどうなの。あるいはそういうふうに考えたのは、それはその人の誤まりだったと、結果としては誤まりだったということになるでしょうね、学校側の説明は。誤まりだったのはその人が悪いのかな。それは常識的には二次試験も終わって面接になって、寄付の話が出れば、当然そこでその人が受かるんだというふうに考えたんじゃないの、そこはどうなんですか。ちょっとぼくは試験の内容のことはわからないからあれなんですが、そういう前提でしょう、この人の言っていることは。どういうことなんですかね、そこら辺のところが。そうするとあれですか、二次試験というのは、百八十何人が全部二次試験を受けたんですか。そのときに八十人しか採らないということがはっきりしているのですか。そこはどうなんだろうなあ、そこのところ……。
  78. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 第一次試験の合格者が百八十一名であったということでございます。一方、その順天堂医大の入学定員が八十名であるということも、これも明らかなことでございます。二次試験に何人受けたかということは私は特に確かめておりませんが、一次試験に百八十一名合格しておるわけでございますから、ほぼそれに近い者がおそらく二次試験を受験したであろうと考えるわけでございます。で、第二次試験の結果というものは後日明らかになったわけでございまして、この日に明らかになっておるわけではございません。投書された宮本という方が二次試験も受け、かつ面接の際に寄付金の話が出て受かっているだろうと思われたということは、これはそういうふうに思われたということもあり得るかと思いますが、そう思うことが当然であったかどうか、自然であったかどうか、その点については、これは役所の側として何とも申しようのないことではないかと思います。
  79. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 あなたのほうで大学の人を呼んで話を聞いたというのでしょう。聞いて、こういう疑問をあなたのほうで持たなかったの。あるいはこういう質問をしなかったのですか。じゃ、寄付なら発表になってから寄付の申し込みを受けたらよろしいではないですかと、そういう質問をしなかったの、あなたのほうで。そういうふうにあなたは考えなかったの。学校側の説明を聞いて、はあそうですかというだけ。そこどうなの。大事なところよ。これはむずかしいかもわからぬけれども、大事でしょう、どうなの。
  80. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 実は私ごく短時間大野という方に直接お目にはかかりましたけれども、主として担当官が聞いておりますので、私はそこまで詳細な質問はいたしませんでした。
  81. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 詳細に質問しなかったのは、しなかったのですから、事実ですけれどもね。発表になってから寄付の申し込みを受ければいいじゃないですか。なぜ、面接のときに寄付の申し込みをするのですか、そこはおかしくないですか。おかしいと思わないのですか。そのとき聞かなかったのはいいけれども、いまになってみると、どうなの、おかしいと思わないかい。別に何とも思わないですか、どうなんですか、それは。
  82. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 文部省事務当局といたしましては、入学を条件とするような寄付金については、いけない、学問の神聖さを守り抜いていきたいという気持ちを非常に強く持って指導に当たってきておるわけでございます。半面私学の経営者から見ますと、ばく大な金がかかる。どうやってこれを確保するか、入学金なり、授業料なり、これを必要とする経費に見合ってきめていくということになりますと、たいへんな反発が出てくるわけでございます。したがって、やはり私は実質的には入学を条件とする寄付金になっている面が非常に多いのじゃないだろうか、こう見ているわけでございます。だから、この問題については、ぜひ抜本的な改革をしなければならぬという気持ちでおるわけでございますし、先ほど来そういう気持ちでお答えをしたわけでございます。  稲葉さんが御指摘になりますように、おそらく私も大部分は入学者を決定する前に寄付金の話が出ているのじゃないだろうか、こう思うわけでございます。そうしますと、まさしく入学を条件とする寄付金に実質的になるのじゃないのだろうか、こう考えます。しかし、それはそのまま見のがしていくということは文部当局としてはたえがたい。たえがたいために常にそういう指導に当たっているわけでございますけれども、事実は必ずしも文部事務当局が指導しているような方向にはなっていない、そこに問題がある、かように考えているわけでございまして、そういう問題はやはり根本から対応策をくふうしていかなければならぬのじゃないか、こう思っているところでございます。   〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕
  83. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いま大臣からそういうお答えがあったから、ぼくもこの問題についてはそれ以上聞きませんけれども、これはやはり入学の条件ですよね。一つは時期的な問題からいって、入学の条件ですね。それからこの寄付金の契約がかりに法律的な効力の問題として、入学試験に不合格になったのでしょう。不合格になったらその申し込みは効力がなくなってしまって、もう払わなくていいということになる。ですから、結局条件一つになっていると思うのです。時期的に見ても法律的に見ても、こういうときに、法律論という形でなくて、実際的な社会通念での常識論からいくのが正しいと思うのですが、これは明らかに入学の条件になっておるわけです。  そこで、あなたが言うように、抜本的な解決、解決と言うでしょう。さあ抜本的解決とは一体何かということなんですよ。これはぼくはよくわかりません。新聞に出ていた程度のことですが、これらの私学に対する補助金、これは今度多少ふえていますね。そんなものをもらうより——各校に私学財団ということで分けるでしょう。だから、各校そうたくさんいかないわけでしょう。そんなことより寄付金を取ったほうが早いからというので、これはやめるつもりはない、こういうような談話みたいなものが載っていましたよ。これを一体どうやって抜本的に解決するのかということが一つ。  それと、あらゆる医科大学系統がこういうふうなことをやっているかというと、そうじゃないのです。たとえば慶応だとか慈恵ですか、戦前からある古い大学は、医学部関係でこういうことをやらないそうですね。戦後の医科系統大学がこれをやっているようなんですね。だから抜本的解決というのは、これはことばとしてわかるのですが、じゃ、具体的に大臣としてどういうふうにしていきたいのかということをお聞かせを願いたい、こう思うわけです。こまかい点は局長でいいですけれども、大筋はやはり大臣からもう少し筋を追って明らかにして、お答えを願いたい、こう思うわけです。
  84. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 私立医科大学でも慶応大学は全然寄付金を求めておりません。でありますから、そういう行き方もあるということになるのかもしれません。同時にまた、抜本的な解決としては国公立の医科大学、歯科大学を増設する以外にないということも申し上げてきておるわけでございます。同時に、いままでの問題につきましても、これだけの資産がありましたというのがはたしてそのとおり資産があったのかどうか、これも問題があります。同時にまた、認可をするときには規模の小さいものを入れておきながら、あとでぽんと増設を行なう。財源の当てがない。寄付金ということも従来かなりな実例があるようでございます。そうしますと、それをそのままずっと置いておくこと、これも一つ問題があると思います。やはり苦しいと言うた以上は寄付を出してもらうべきだ、私自身はそう考えております。同時に、すべて入ったものはばく大な金が要る。学校当局としては、寄付で簡単に片づくんだからそうしたいという安易な気持ちを持たれるかもしれません。しかし、それは大問題だ。やはりこの自覚は持ってもらわなければならない。やはりこの金はどうやって相談していくかということでございまして、融資の道を考えていくとかあるいはそれに対して金利の安い金を世話するとか、いろいろな問題があろうかと思います。また経常費助成を今後さらに拡大していくかいかないかというような問題もあるわけでありまして、そういうことを全体的に考えていきたい、その前提としてのあと追い調査をやっている、こう申し上げているわけです。
  85. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 質問は一応これで終わるのですけれどもあと追い調査というのは具体的にいつごろ結論が出るのですか。それに対しての抜本的改正ということを、これは制度の上で、予算の上で、法律の上で、こうおそらく問題点は三つくらいあるかと思うのですが、いつごろまでにどういうふうにしていきたい、これは大ざっぱに大臣としてあるいは局長として考えておるというふうにとってよろしいでしょうかね。
  86. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 現在いわゆるあと追い調査をやっておるわけでありますが、特に三月末決算につきまして、公認会計士あるいは監査法人の監査結果をつけた書類を提出してもらうように要請をいたしております。それはいま作成中でございますので、そうした資料を十分検討いたしました上で、大臣が御答弁を申し上げましたように、予算的あるいは法制的な措置を検討してまいりたいということでございます。
  87. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いまの問題の中で、国立の医学部の、あれは何ですか、昭和五十年までの計画ができておるのですが、何かそういうようなことが委員会の審議の中で出ておるのですけれども、具体的にどこへ設けるかということは実際問題としてなかなかいまの段階では無理かと思うのですが、大体年次計画的にどの程度の医学部を人数的に設けるかということの一応の目安はあることはあるのですか。
  88. 木田宏

    木田政府委員 昭和四十八年には、いま法律で御審議をいただいております旭川以下の三校を予定し、昭和四十九年を目途にいたしましていま創設準備の経費を予算で計上させていただいておりますものが静岡、滋賀、宮崎三県ほどあるわけでございます。  なお、御審議をいただいております筑波大学には、昭和四十九年から医学関係の部門の設置をいたしたいというふうに考えておりまして、現在四十九年度に四校を開設の予定で準備を急いでおるという段階でございます。その後の状態は、将来の医学あり方につきまして私どもとしてはまた調査会を設けて検討を進めておるところでございます。
  89. 田中正巳

    ○田中委員長 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  90. 田中正巳

    ○田中委員長 じゃ、速記をとって。
  91. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 これできようの私の質問は終わらしていただきたいと思いますが、いま大臣が答えられたようなことを、これは全体として国民が非常に熱望しておることですし、いろいろなむずかしい問題、私も確かにあると思うのですけれども、それはそれで英断をもって——べらぼうに高過ぎますからね。これを何とかなくす方向へ進んでもらいたい、これを要望して、私の質問を終わります。
  92. 田中正巳

    ○田中委員長 次に、高橋繁君。
  93. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 私は最初に、今回上程されております問題の新しい法律案の九条の神奈川県に国立久里浜養護学校を置くということについて質問を進めてまいりたいと思います。国立の養護学校設置をするということで今回上程されておりますが、この設置の目的、趣旨についてまず最初説明願いたい。
  94. 木田宏

    木田政府委員 今回設置を予定いたしております久里浜に、国立特殊教育総合研究所をつくっていただきまして一昨年この開設を見、そこにおいては重度重複障害児の教育方法、教育内容等について実際的な研究を進めることにいたしておるわけでございます。この成果を全国の各学校に利用させるようにという意図を持っておるのでございますが、それだけにこの特殊教育総合研究所の研究に対応いたしまして、この研究の成果を現実の教育の中で実現できるような学校がほしいわけでございまして、特殊教育総合研究所とタイアップをした養護学校として今回久里浜に設置をしたい、緊密な連携のもとに運営をはかりまして、全国の養護教育の振興に資したい、こういう次第でございます。
  95. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 各学校で利用し得る体制を整えることとしているが、この実際的研究を行なう上で不可欠となる実験教育の場としてこの国立久里浜養護学校設置するといま説明がありましたが、文部省からいただいた資料にもそうなっておりますが、これで間違いないですか。
  96. 木田宏

    木田政府委員 そのとおりでございます。
  97. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そのよってきたるゆえんのものは、昭和四十五年の三月にこのパンフレットが出されておりますが、特殊教育総合研究所の運営及び建設のあり方についての報告により、いわゆる特殊教育総合研究設置準備協力会議長から出されたこの報告書に基づいて立案検討され、今日に至ったものであるかどうか、その点について。
  98. 木田宏

    木田政府委員 担当政府委員から正確にお答えをしたほうがいいかと思いますけれども、いまの御趣旨のように、この国立の特殊教育総合研究所をつくりますにあたりまして、養護教育の関係者に集まっていただいて、最も必要な内容研究所をつくるということで御相談をいたしたわけであります。いま御指摘がございましたのは、その意見内容になっておるものというふうに考えますし、私どももその線に沿って研究所をつくっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  99. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そうなりますと、今回上程されております——もちろん養護学校ですから、国立学校設置法に当然盛られていいと思うのですけれども文部省設置法にあるところの国立特殊教育総合研究所、これとの関連について、どういうような今後関連を持っていくのか、お答え願いたいと思います。
  100. 木田宏

    木田政府委員 久里浜の養護学校は、その設立の趣旨からいたしまして、特殊教育総合研究所の研究を現実的ならしめるためにつくりたいという次第でございまして、組織としては独立の研究所であり、独立の学校ではございまするけれども、場所は、緊密な連携がとれる同じキャンパスの近くをとりまして、運営上は両者緊密に連絡をはかりながら養護学校教育が行なわれるようにしたいというわけでございます。そのことは、今回御提案申し上げております法律案にも明示して、お願いをいたしておる次第でございます。
  101. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 確かに国立学校設置法には「相互協力の下に教育を行なう養護学校として、」設置をするとあります。ところが、文部省設置法にある国立特殊教育総合研究所の今回の設置法に対する改定といいますか、加えることは、何ら考えていないようでありますが、このとおりですね。その辺もう一回確かめて……。
  102. 木田宏

    木田政府委員 文部省設置法の特殊教育総合研究所の規定自体には、今回の改正は加えておりません。しかしながら、これは国立養護学校をつくりました場合に、その国立養護学校設置の趣旨をただいま申し上げましたように明確にすることによりまして、この養護学校の位置づけ、それと特殊教育総合研究所との連携というものは、きわめて明らかになるものというふうに考えております。具体的には、この養護学校の運営にあたりまして、入学者の決定、教育計画の作成、教材の選定等につきまして、この研究所の研究員及び養護学校の校長等で組織をいたします連絡協議会のような組織を設けまして、研究所の研究と養護学校教育、運営とが緊密に結ばれるように考えていきたいというふうに思っております。
  103. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そうなりますと、やはり文部省設置法の中の国立特殊教育総合研究所の中に、養護学校と緊密な連絡をはかるという一項目を入れなければ、私は今後非常に問題を残すと思うのです。たとえば先ほど局長が言いましたように、この特殊教育総合研究所の運営及び建設のあり方についての答申に基づいてこれを具体化していくということにある。この中に実験学校をつくるという項目があるのです。その実験学校の指導に当たる人は、この研究所の職員並びに研究補助員その他が当たるとちゃんと明記をされておるんですね。そうしますと、独立したものであるけれども、実際は総合研究所長のもとに実際的な研究がなされていくということになると、非常にここにむずかしい問題が出てくると思うのです。その点、心配ないですか。
  104. 木田宏

    木田政府委員 片一方は研究所であり、片一方は学校であるということのために、それぞれその学校として、研究所としての責任体制というのはとられることになろうかと思いますが、今回国立養護学校設置するにつきまして、わざわざ断わりをかけまして、「文部省設置法第十四条に掲げる国立特殊教育総合研究所との相互協力の下に教育を行なう養護学校として、」という設置の目的を明らかにいたしておるわけでございます。ですから、その運営上の問題として両者の緊密な連携というものは十分とっていけるもの、このように考える次第でございまして、設立当初のときの関係者の御意見は十分に反映できると考えております。
  105. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 大臣に聞きますけれども、この所長と校長の関係はどういう立場に——同じく国立ですよ。どういう立場に——置かれるのですか。
  106. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 一方はあくまでも研究所の長でございましょうし、他方のほうはあくまでも教育を実践していくところの長でございますので、別個ではありますけれども、先ほど来お話がございましたように協力関係で仕事を相互にやっていくということだろうと思います。
  107. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 まあ研究所長と校長という立場でということでありますが、実際は研究所の実際的研究を行なうために実験学校として養護学校をつくるわけですから、何を研究すべきかということはこれは所長が命ずると思うのですね。所長の指導下にあるのです。その所長の指導下にある研究を養護学校でやるわけですから、当然私は、この文部省設置法の特殊教育研究所の中にそういう項目を入れなければ必ず問題が起きるということを重ねて主張するわけですが、そういうシステムじゃないですか。
  108. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 先ほど事務当局からお答えをいたしましたように、そういう意味でわざわざ法律の表てに協力という規定を入れておるわけでございます。人事上の面におきましても、いま御指摘のようなことを配慮しながら決定をしていくべきものだ、かように考えます。そして御指摘のような運用が実ってまいりますように配慮していかなければならない、かように考えております。
  109. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 それは、人間的に所長と校長がうまくいけばいいですよ。あるいは校長が権限を持ってこの養護学校はこういうことで研究をしていくんだという一つのパターンを出したとき、研究所は研究所でこういうことを研究をしたいという場合に、お互いにその研究自体の問題で二派に分かれていく場合もあり得ると思うのですよ。そういう懸念をするから、私はやはり所長のもとに実験学校、養護学校をつくって、一体となったこの総合研究所をつくるときの目的に沿った実際的研究を行なうためにそういうことが大事ではないかと思います。もう一度……。
  110. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 お話のようなことでいろいろ検討を重ねてきたようでございます。その結果、しかし一方は研究所だ、一方は学校だというようなことから、研究所付置の学校というようなことはできない。そこで研究所、片一方は学校、別個にしたけれども、法律上協力関係を明記したという経過をたどったようでございます。でありますから、お気持ちをそのまま事務当局でも考えまして今日のような法律規定にしたわけでございますので、運営にあたりましても当然そういうような配慮を尽くしていかなければならない、かように思います。
  111. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 国立学校設置法の中に「相互協力の下に教育を行なう養護学校」とあるのです。ところが、所長のほうにはそういう権限は何もないわけです、載っかってないですから。これを見てわかりますように、実際的な研究を実験学校を通して行なっていくということになっている。にもかかわらず、文部省設置法にある特殊教育研究所の任務といいますか機能といいますか目的といいますかの中には、実際問題としてそういうことは載っていないのです。それで、文部省設置法のほかの例をとりますと、たとえば国立科学博物館をとりますと、「国立科学博物館に附属自然教育園を置き、自然教育及び自然保護の教育に関する事業を行なわせる。」こうちゃんとあるのです。ですから、総合研究所の中にも養護学校を置き、実際的研究を行なうという一項目を入れなければ、所長の権限は、はっきり言えばこの養護学校に対して何ら指導もできない。あるいは極端なことを言えば校長に対して何の権限もない、こういうことになりはしませんか。
  112. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 いままでるるお話がございましたように、特殊教育総合研究所に実験学校あるいは付属学校として養護学校を置くということがいろいろな形で望ましいというお話でございますけれども、それは私どもも考えてみたわけでございますが、しかしながら、現在の文部省設置法あるいは国立学校設置法の体系から申しまして、文部省設置法のほうで特殊教育総合研究所に学校を置くということになりますと、これは正規の学校が置けないというふうな支障がございます。要するに各種学校になってしまう。そういたしますと、それでもなおかつ各種学校として認めたほうがよろしいのか、あるいは別に国立学校として認めて、両方の関係というものを、ただいま大臣からも申されましたように、いろいろなくふうを加えまして円滑にしたほうがよろしいのか、二つのうちどちらをとるかということでございまして、その際に先生御指摘のように、付属の各種学校としてやることももちろん運営上の実績があるわけでございます。しかしながら、国立学校として認めるということも、たとえば教員の待遇の問題その他を考えましても、あるいは児童生徒の扱いの問題等を考えましても、そこにもまた国立学校としての利点があるわけでございます。そのうちどちらをとるかということでございましたけれども、結局先生その他の待遇の問題あるいは児童生徒の扱いの問題、そういうものの利益を私どものほうで優先的に考えまして、こういうふうな措置をとったわけでございます。したがいまして、実験学校として置かれる場合の有利な点が若干形式的にはそこなわれるというふうな点もございまして、その点は先生の御指摘のとおりでございます。私どもも、この法案を通していただきました暁におきましては、文部省設置法の施行規則等におきましても、さらに両方の関係の綿密な連携がとれるように規定を整備いたしまして、御指摘のような点に遺漏のないようにつとめてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  113. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 私は養護学校をつくることは国立でいいと思うのです。ただし、文部省設置法の第十八条の中に、そうした養護学校との連絡をはかり、実際的研究をはかるとかいう項目を入れないと、運営上あとの施行細則できめるにしても、そういう項目がなければ実際問題としてできないじゃないですか。そういうことはないですか。
  114. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 私どものほうでいろいろ法制的にも研究をいたしましたが、文部省設置法の施行規則のほうで両方の関係を書くということは可能であるというふうな見解に立っているわけでございます。御指摘のような点、重々私どももごもっともだと思いますけれども、そういうようにいたしましていまの法律のたてまえから申しますと、確かに不備はあります。御指摘のとおりでございます。しかしながら、そういうふうな規定の整備あるいは大臣からも御説明申し上げましたが、運用上のいろいろな整備によりまして、この問題を円滑に処理してまいるということでまいりたいと現在は考えているわけでございます。ひとつ御了承いただきたいと思います。
  115. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 先ほどちょっと質問しましたが、養護学校の指導には研究員、研究補助員、教育職員、訓練担当職員、ケースワーカー等が参加するとありますが、実際的には研究所の研究員がこの養護学校の指導に当たるということになることは間違いないですか。
  116. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 設置されます養護学校につきましては、これは独立の学校として必要な職員が置かれるわけでございます。しかしながら、ただいま先生から御指摘のございましたように、その研究所の人たちももちろんいろいろお手伝いを願うし、それを通じて研究をしていく、あるいは部外の方々、現在各都道府県に養護学校がございますけれども、そういう方々も御参加を願いまして、またそこでいろいろ御研究をいただく、そういうふうな形にしていきたい、いわばオープンシステムみたいなところも取り入れて、全国の養護学校教育発展に役立ちたいということを考えておるわけでございます。
  117. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 運営上たいへん困る問題が出てくると思うのです。もちろん国立学校設置法によって養護学校ができます。それで、国立学校設置法に基づいての施行細則をつくるのですが、研究所の中の施行細則ができないということになりますね。そうしますと、文部大臣、所長と校長の立場というのは同等な立場になりますか、あるいは研究所長の研究所内での立場はどういう立場に置かれるのですか。
  118. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 研究所長と学校長にどういう人をそれぞれに充てるかによって実質的な違いが出てくると思います。研究所長と学校長ということだけで違いがあるわけではございませんけれども、運用によって、どういう人を充てるかによっておのずから違ってくると思います。同時にまた、運用にあたりましても、研究所のほうは設置法に書いてありますように、「特殊教育関係職員に対する専門的、技術的研修を行なうとともに、あわせて特殊教育に関する研究の連絡及び促進を図る機関とする。」と明記しておるわけでございますので、そういうたてまえにおいて指導助言できるような人を所長に充てていかなければならない、かように考えておるわけでございます。人的配置におきまして御心配になるような問題が十分解決されるように努力してまいりたい、かように思います。
  119. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 先ほども申し上げておりますように、人間的に完成された人ならばうまくいくと思うのですよ。やはり、この円滑な運営、特殊教育研究所をつくった経緯、その目的を果たすためにはやはり研究所の一つに、もちろん学校は普通学校でけっこうです、一つの中に入れてやらなければその目的を達することはできない。したがって、文部省設置法の中に一項目入れなければ、この運営は支障を来たすと重ねて強く私は言いたいのです。そのお気持ちは変わりないですか。
  120. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 先ほど来御指摘いただいております御指摘は、私はほんとうに適切な御指摘だと思います。そういうことを体しまして、運用上私どもは最善を尽くしてまいりたいと考えております。現在のところ、先ほど来申し上げておりますように、そういうように独立の学校として認めるということにつきましても、利点が非常に多いわけでございます。そういう点を勘案いたしまして、どちらのほうが利点が多いか、子供たちのためあるいは先生のため、そういう点を考えまして今回のような措置をとったわけでございまして、御指摘の点につきましては重々気をつけまして、運用に誤りないようにしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  121. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 私は、気をつけてやるとか運営上やるとかというここだけの発言ではまずいと思うのです。やはり設置法の中にきちっと明文化しないと、問題を残すと思うのです、また特殊教育研究所の設立の趣旨に沿っていかないと思うのですよ。ですから、この設立の趣旨の中に、特殊教育内容の面についてみると、「教育内容、方法の実際的な研究が十分でないことから、真に心身障害者の能力、特性等に応じた教育が行なわれているとはいえない。これに加え、近年心身障害者の障害の実態は複雑多岐にわたっていることが明らかになるにつれ、きめこまかく教育を実施すべきであるという機運が高まってきた。また、これまで教育的配慮が十分に及んでいない重度心身障害者や情緒障害者、言語障害者に対する教育の要請が急速に高まってきた。」これが特殊教育研究所の設立の趣旨なんです。その趣旨をほんとうに果たすために、今度実験学校として養護学校ができるのですよ。でありますから、その研究所の中にあって一体となった、先ほど局長がお答えになったこの研究所の職員が指導に当たるということになれば、なおさら、この設立学校のほうに、相互連絡のもとに学校をつくるというこども大事でありますが、もっと大事なことは、研究所の所長の一つの任務としてあるいは研究所の機能として一項目設けなければ、この目的は達成できない。運営上しっかりやっていきます、こういう口約束だけでは私は納得できない、こう思うわけですが、大臣の考えを聞きたい。
  122. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 お話の気持ち、よくわかるのです。わかるのですけれども、私はこのほうがいいという判断に立っているわけでございます。これは学校のほうに、国立特殊教育総合研究所との相互協力、これをことさらに明記しているわけでございます。同時にまた、特殊教育総合研究所のほうは、先ほど申し上げましたように、特殊教育全体についての研修あるいは連絡、促進というような任務を与えておるわけでございます。でありますだけに、当然に、この総合研究所のいろいろな指導を養護学校自身が受けなければならないことになっていると思うのであります。同時にまた、学校はできるだけ独立の形にしたほうが、子供を預ける父兄の立場から見ますと、何か研究材料にされているような感じよりも、独立した養護学校の感じのほうが望ましいのじゃないかなという感じを持つわけでございまして、その辺は感じの問題でございますので、いろいろな意見があるかもしれません。もしかりに、もっと密接な関係をしなければならないということになりますなら、所長と学校長とを兼任させるというような道もあるわけでございまして、ことさらに文部省設置法の上にも規定を入れなければならないとまではお考えにならなくても、これで協力関係を明記している。また、総合研究所は総合研究所としての任務を設置法の中に明確に規定されているということでよろしいんじゃないだろうか。また、その答申の趣旨を受けてこういうような協力関係を規定しているわけでございますので、書き方は何も一つしかないというふうにお考えいただかなくてもよろしいんじゃないか、こんな気持ちを持っているところでございます。
  123. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 それは、全国に養護学校はありますね。それと同じ考え方です、大臣の言うことは。この養護学校でも、この研究所と緊密な連絡をもってやらなければならないのです。当然です、それは。ところが、さらにそれを効果をもっとあげるために、この研究所の中に実験学校をつくってその成果を各養護学校に分配してあげるという目的でなければならないと思うのです。子供を預かるということは、これは別問題です。この養護学校については、全国から特殊な子供を集めてくるのですから、別個に、ほかの養護学校と同じような立場とこの養護学校の設立の趣旨とは全然違うのですから、その辺について、もう一度……。
  124. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 たいへんくどいようでございますけれども、そのためにわざわざ相互協力ということを法律上明記しているわけでございます。同時にまた、研究所と学校とが隣合って設置されるわけでございます。ですから、おっしゃっている気持ちは十分生かされているのじゃないかと私は思うのでございます。
  125. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 気持ちはわかりますよ。気持ちはわかるけれども、それだけでこの運営がうまくいくかどうか、それを私は心配するのですよ。同じ敷地内でしょうが。しかも、研究所の職員が養護学校の指導に当たるでしょうが。それにもかかわらず、文部省設置法の特殊教育研究所の中には何らそれが示されていないということになると、やはり問題を残し、所長と校長とを兼任するということになれば、なおさらのことですよ。なおさら、設けなければりっぱな運営がなされないし、あるいはその成果も期待できない、こう私は判断するのですがね。その辺の心配はないかということです。
  126. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 全然心配はないかと言われますと、私どもも、そういう面につきましてはこれからのことでございますから、大いに気をつけなければいけないわけでございますけれども、しかし、養護学校は養護学校として独立をするということにつきましては、それなりの利点があるわけでございます。その利点を生かしながら、先生が御指摘になっておりますような欠陥を補う方法を十分考えるということが必要であろうかと思いますが、これを私ども文部省設置法施行規則で法的な整備を行なう、あるいは両方の間で意思を通じ合うような会議、定期的な連絡の会議を設けるとか、いろいろなやり方はあるのじゃないかと私は思うわけでございます。いまのところはそれで一応やらしていただきまして、今後重大な欠陥が生じるというふうな場合には、また新しい方法につきまして相談申し上げるという機会はあるかもしれませんが、いまのところは、私どもはこれでいけるのではないかと考えておりますので、ひとつこれでやらしていただきたいということをお願いしているわけでございます。
  127. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 いま、利点がこちらにもある。もちろんありますよ。その利点をてんびんにかけた場合、どういうふうに判断しますか、局長
  128. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 きわめて現実的な問題としまして、これは養護学校でございますと子供たちは正規の学校に入るわけでございます。資格とかなんとか、そういう問題は、障害をお持ちの子供さん方でございますから、これは社会に出てどうということはないかもしれませんけれども、正規の学校教育を受けられるという利点が一つございます。それから就学援助その他につきましても、いまの養護学校と同じような扱いができる。それから先生方にとりましても、研究所の付属施設でございますと、これは研究所員になってしまうというのが普通でございます。そこで、正規の学校でございますと、正式の教職でございますから調整手当等もつくわけでございます。またそのほかにも、教員としてのいろいろな特典というものが加わるわけでございます。  でございますから、いろいろな処理をいたします場合に、子供の側あるいは教育に従事する先生の側、身分、待遇その他から考えましても、これは正規の学校にしておくことが将来のためにはよろしいのじゃないかというふうな多少現実的な面を考えまして、あとは先ほど先生が御指摘になりましたような欠陥が確かにございますので、これを補うような努力をしたいというのが私どもの考えでございます。
  129. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 私は何も国立でつくることを認めないわけじゃない。それはつくってけっこうなんです。そうした場合に、この研究所の中の一環として明記されない場合に、その利点をどういうふうに考えるか、こう聞きたいのです。局長の言うのは、国立学校として設置するのと、それを全然別個にして研究所の中に実験学校としてつくるのとの利点をあげたでしょう。そうではなくて、こうなった場合の利点、欠陥はどういうふうに判断いたしますか。国立の養護学校設置して相互協力のもとにやる、ところが研究所の中にはそういう項目は何もないわけでしょう。その場合に、利点、欠陥というものをどう判断をいたしますかということです。
  130. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 ちょっと先生の御指摘の意味がよくわからないんでございますけれども、私どもは二つの方法しかないというふうに考えたわけでございます。一つは、特殊教育総合研究所の機関の一つとして、各種学校で行なわれる障害児教育というふうな考え方、それから特殊教育総合研究所とは独立した形で、しかも相互の間で協力するような形で行なわれる正規の養護学校教育、その二つの道しかない。そのどちらをとるかという場合に、正規の養護学校として、先ほど御指摘になっておりますような特殊教育総合研究所とは形式的にちょっと離れたような形にはなりますけれども、しかしながら、そちらのほうにただいまちょっと具体的に御説明いたしましたような利点がある。そこで、両方の間の連絡というのはある意味では事実上の問題も含まれるわけでございますから、そういう点につきまして、先生の御指摘は重々ごもっともでありますので、さらに念を入れて規定の上でも整備をするし、それから両者の関係につきまして、これは両方の間での文書を残すというふうなことが必要ございましたら、両方の間で協定みたいな形で文書的に処理をして、具体的には両方の間で定期的な会合を持って円滑な運営をはかる、そういうようにして補っていけば両方の利点がある程度生かせるのじゃないかというふうなことを考えたわけでございます。
  131. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 具体的にこの相互連絡をはかっていくために、いまも局長ちょっと申されましたが、連絡協議会をつくるとか、連絡協調をはかっていくためにどういうことを具体的に考えておりますか、大臣にひとつお願いいたします。
  132. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 ちょっとまだ大臣にこまかい御説明をいたしておりませんので、私からお答え申し上げますけれども、いま考えておりますのは、両方の間で連絡協議会みたいなものをつくりまして、そこで両方の間の協力関係につきましてはっきりした規定みたいなものをつくり、それに基づきまして定期的に相談の機会を設けまして、両方の間の運営の円滑をはかるというふうにしたいということを考えておるわけでございます。
  133. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 もう一回確認をしておきたいのですけれども、所長は校長に対してはどういう権限を持ち得るのか、その辺のあれはどう考えておりますか。
  134. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 これは事実上の問題になると思いますけれども、両方の間で文書を交換いたしまして、所長と校長との関係等につきましても規定ができるわけでございますが、実際問題といたしましては、たとえば校長の人事等につきましても所長に御相談をするとか、あるいはさらに学校との連絡につきましても所長といろいろ御相談をするとかというふうなことが事実上可能であるというふうに考えておるわけでございます。
  135. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 まあむずかしいようなことを言っておりますけれども、やはり私の考えは変わっておりません。文部省設置法で、明らかに研究所の中で実験学校としての機能を発揮でき、しかも研究所としての成果があがるためには、この所長のもとに一体となった研究をするためにも、この文部省設置法の改定といいますか加除といいますか、その点をぜひともひとつ考えていただきたいと思います。  問題は一応ここで切れますから、あとは午後に回します。
  136. 田中正巳

    ○田中委員長 午後二時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      ————◇—————    午後二時四十二分開議
  137. 田中正巳

    ○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国立学校設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。高橋繁君。
  138. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 この国立学校設置法等の一部を改正する法律案につきましては、かなりの問題をはらんでいることは御承知のとおりと思います。ただ午前中審議いたしました国立養護学校の問題一つを取り上げてみましても、かなりの問題がございます。したがって、私たちはかねてからこの医大設置の問題と分離をして審議をすべきであるということを主張してまいりました、国民のためにも。したがって、私は次に医大設置に伴うところの文部省あるいは文部大臣考え方をここではっきりしておきたい。ということは、私は静岡県選出でありますので、その一つの被害県でもあります。したがって、今後の問題もありますので、その問題を取り上げながら、医大設置に今後の参考として文部大臣にひとつはっきりしておいていただきたいということをお願いして質問に入ってまいりたいと思うのであります。  この医大設置については、調査会の議長であります黒川氏からいろいろ報告がなされております。そこで、過日来問題になっておりますが、国立医科大学設置を希望いたした県名は十数県あげられており、逐次、北海道はじめ山形、愛媛ですか、設置をされる法案が本年度出ております。また、来年度の創設準備費がついておるのが静岡をはじめ滋賀、宮崎でありますか、それと茨城、あと残りました八県ですか、この八県について今後一県一校という文部省の考えのようでありますが、今後の医科設置の計画についてどのようにお考えになっておりますか、大臣のお考えをお願いします。
  139. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 いまお話しになりましたように、昭和四十八年三校、四十九年四校の医大を設けますと、八県のほかにもう一つ沖繩があると思いますが、九県無医大県が残るわけでございます。しかし、四十九年に四校つくりますと、厚生省が言うておられます人口十万人に対して医師百五十人という目標は達せられることになるわけでございまして、五十九年でそういう数字になるわけでございます。その後さらにそれがずっとふえていくわけでございます。しかし、今後の医師の需要はなお大きいと思いますので、私たちは五十年以降も国公立を中心にして医大の増設をはかっていきたい。無医大県の解消を目途に国公立を中心に医大の増設をはかっていきたい、こう考えておるわけでございます。しかしながら、いま申し上げましたように、医師の需要をどう考えていくかというようなこととあわせて年次計画等については詰めていきたい、こう考えておるところでございます。
  140. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 残った九県については、五十年、五十一年、五十三年、こう年次ごとに、それでは五十年にはなに県、なに県、こういう計画をお持ちですか。
  141. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 四十九年までは具体化しているわけでありますけれども、五十年以降の問題はいま申し上げましたように、厚生省との話も詰めながら漸次具体的な計画をまとめていきたい、こう思っておるわけであります。
  142. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 計画はないということでよろしいですか。
  143. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 増設を続けていこう、ただ、なに県に幾つを何年につくるという問題につきましては、五十年以降の問題は今後のことにさせていただきたい、こう思っておるわけでございます。
  144. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 それでは、いつごろその計画をお立てになりますか。
  145. 木田宏

    木田政府委員 本年度の予算でも医学設置の一般的な調査費を計上させていただいておりまして、なお残りました県等につきましていろいろの諸般の条件検討しながら今後のあり方を見きわめたいというふうに考えておるところでございます。
  146. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 諸般の情勢を見きわめながら決定をいたしたいというのでは、非常に私は消極的であると思うのです。文部省ですら、そうした今後の医大の設置、医療水準の向上を含めた厚生省との話し合いもあるようでありますが、ないところに非常に問題がいま起きている。したがって、地方自治体がその誘致にからんで誘致合戦を繰り広げられる、こんなことは非常に問題があると思うのです。したがって、文部省が積極的に、国立の医科大学ですから、昭和五十年にはなに県、なに県、五十一年にはなに県、なに県と、もう現時点で立てなければ、また本年から誘致合戦が繰り広げられる、こういうことになると思うが、そのことについてどうですか。
  147. 木田宏

    木田政府委員 医科大学設置いたしますにつきましては、教育研究に必要な医療需要の見込める程度の地域である人口規模、その他のことを考えなければなりませんし、また医科大学との関係で、公的な教育協力病院がどういうふうに整備できるか、また他の病院との関連がどうであるかというようなことの検討もいたさなければなりません。また教官の確保のことがあるのは言うをまちませんけれども、地域の看護婦等、医療技術関係職員の確保ということは、これまたそう簡単なことではないわけでございます。そして将来にわたりますその予定地の県内におけるあり方、また医科大学設置場所としての適否、こうした問題をきめこんでまいりませんと、やはり現実的にどこへどういう手順でつくっていくかというのはきまってこないのでございまして、これらの点を慎重に勘案し、医科大学ができる準備の整ったところにつくっていくという手順は考えたい。全般的には残り少ないことでもございますし、大臣も申し上げましたように、医科大学のない県を目途に整備をするということは私どもも考えておるわけですが、確実に体制を進めるという意味でこうした慎重な手順を踏みたいと思っておる次第でございます。
  148. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 その九県については調査は進められておりますか。
  149. 木田宏

    木田政府委員 四十八年度の調査はこれから進めたいと思っておるところでございます。
  150. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 これから進めるということで、もう来年度四校きまっているのだけれども、その来年度でまた五十年度の創設準備をつけなきゃならないということになりますと、いまから調査を始めてやるということになると間に合いますか。
  151. 木田宏

    木田政府委員 五十年度の体制につきましては、五十年度の予算として本年中に準備を進めることに相なっておりますので、十分に調査ができるものと考えております。
  152. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そうすると、五十年度については何校を予定をされておりますか。
  153. 木田宏

    木田政府委員 今年度のこれからの調査、検討にまちたいと思っております。
  154. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 九県のうち、何県が医大設置をいまのところ希望をいたしておりますか。
  155. 木田宏

    木田政府委員 そのほとんどでないかと思っておりますが、一、二県について御要請を受けたかどうかはっきりしない県がございますけれども、ほとんどの県からは医科大学がほしいというお話は伺っております。
  156. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 だから、ほとんどの県が医大設置を希望しているということになると、これまたじきにこの九県がそろって誘致合戦を展開すると思う。そういう誘致合戦をすることについて、地方自治体は非常に迷惑をこうむっているのです。静岡県で、自分の県で恐縮なんですけれども、浜松、静岡が誘致合戦でたいへん争った事実については御存じですか、大臣。    〔委員長退席、森(喜)委員長代理着席
  157. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 静岡県内の誘致合戦だと思うのでございます。できる限り県内の問題は県でおまとめをいただくようにしたい。国がその中に介入することはあとう限り避けるべきじゃないかな、こんな気持ちを持っておるわけでございまして、同時にまた、無医大県九県残るわけでございますけれども、全部国立をつくっていこう、こうきめておるわけじゃございません。率直に申し上げさせていただきますと、私たちは公立医大というものの価値を高く評価しているわけでございまして、ぜひ県立医大をつくっていただけないだろうかな、こういう考え方もございまして、そういう場合には建設費の助成も新たに始めたい。ことしは経常費助成を創設したわけでございます。やはり医療行政とタイアップしてやっていくということになりますと、県立医大の役割りは私は高く評価されるべきじゃないだろうか、こうも考えておるわけでございますので、ただ国立で全部解消するんだ、こう全部きめておるわけじゃございませんので、そこは御了解を賜わっておきたいと思います。
  158. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 国立にしても県立にしても、やはり実態調査のもとに五十年ではなに県となに県というものがないと、非常に県民に迷惑をかける、国民に迷惑をかけると思うのです。いま県内のことだからと言っておりましたが、県は国立大学であるから文部省設置するんだ、文部省がその設置をきめるんだ、こういってたいへんな誘致合戦をしていたわけですよ。県がきめるんじゃないのだ、文部省がその設置場所をきめるべきだ、こういう観点に立って誘致合戦をいたしたわけです。だから私は、文部省がもっと積極的に五十年にはなに県、なに県と、もう次の段階をきめ、そうした年次計画を樹立すべきだと思うのです。国民に迷惑をかけない上からも、あるいは順調に医療水準の向上を高めるためにも、医師の確保のためにも考えるべきであると思うのです。そのために地方はたいへん——こういうパンフレットまでつくって誘致合戦をしているわけです。たとえば静岡市だけでも、過ぎ去ったことでありますが、一千万以上の金を使ってこの合戦を地方自治体でやっているのです。結局は来なかった。浜松もおそらくそうだろうと思うのです。そういうようなことをさしておいて、文部省が最後になって断を下したという結果になっているようでありますが、したがって私は、この医大の設置については慎重にかまえ、年次計画を立てるべきだ、このように思うわけであります。その点もう一度はっきりひとつ……。
  159. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 静岡県の問題につきまして、私もたいへん御迷惑をおかけしたと恐縮に感じております。それからまた長期計画を立てていくこと、これもおっしゃるとおりだと思います。一応荒い話としては五十二年までに無医大県の解消を目途に医大を設置していくというような合意ができているわけであります。合意はできているわけでありますが、完全に全部に立てるか立てないか。一応の大きな目途は合意しているわけでございますけれども、さらに細目ということになりますと、私は先ほど触れましたが、いままで人口十万人について医師百五十人といっておられたのがもうすでに達成するわけでございますので、これ以上どういう程度までが必要なのか、こういうことにつきましてもやはり関係者間において合意を見ておきませんと、将来また問題が出てきてもいけないのじゃないだろうか。こういうような配慮もあるわけでございます。非常に、きっぱりしたことを申し上げられませんで恐縮でございますが、先ほど政府委員から申し上げましたように、一応調査費をことしは計上さしていただいておりますので、これで計画をさらに具体化さしていただきたい、こう申し上げておるわけでございます。御趣旨はそのとおりだと思います。そのとおりだと思いますが、いま申し上げましたような問題のあることを御理解を賜わっておきたいと思います。
  160. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 それが出ないと地方自治体に非常に問題を残すわけです。年次計画もないということは、先ほど局長が言ったように、九県が誘致したいという希望を持っておる。そうなると、文部省のほうの、あそこの県は準備が整っているかちときめる、最終的にはそうなる。そうなると、地方自治体では医科大学設置のための土地を確保します。これが第一。それから病院をどうすべきかということで用意します。職員の住宅も、そうした誘致をすべく、早めるように相当な無理をして、そうした土地の対策を考えたりそういうことをやるわけです。そうなりますと、私は非常に地方自治体が迷惑をこうむってくると思うのです。そういうことまでさせて医科大学の五十年の設置をきめるのか、それよりも文部省があらかじめ調査をして、大体年次計画を立てて、安心して県が、残ったわずかの県なんです、県がそれに対応して準備できる体制をつくるべきがいいのか、この辺の判断をどうお持ちですか。
  161. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 たいへんくどいようでございますけれども、まず一つは医大を国立だけにきめていない。そこに一つの問題がございます。私立医大も慎重に今後の認可を扱いたいと考えておるわけでございます。私たちの期待のとおりの運営をしていただけるなら認可を拒むべきではない、そういうたてまえはとらない、こう思うわけでございます。反面、公立につきましては、積極的に国が助成までして設置してもらえないものだろうか、こういう考え方を持っておるわけでございます。そういうこともございますので、いま直ちに何年にはなに県、何年にはなに県と、ちょっと言いかねる点があるわけでございます。同時にまた、何人の医師を考えたらいいか。無医大県を解消するだけで、何年でございましたか、人口十万に百五十人というておるのが二百八十八人というような数字になるわけでございます。この辺の問題につきましてもさらに精査しなければならないと思いますし、その間に、公立あるいは私立の医大の増設とか定員増とかいうこともございましょうから、そういうこともあわせて検討しなければなりませんので、なるたけ混乱が起きないように、全体の合意をきっちりさせて、その上で計画をおっしゃっているとおりに明確に示すというような段取りをとらせていただきたい、かように考えているわけでございます
  162. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 一県一校の構想はそのとおりですか。
  163. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 大きな方向は、そうしたいものだ、こう考えているわけでございますけれども、先ほど来申し上げておるような諸条件はあわせて考えていきたい、こう思います。
  164. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 残った県の中で——あとわずかな県ですよ。じゃ、医科大学をどれぐらいあとつくりたいのか。あるいは県立にするのか、私立をどの県に大体やるのか、それくらいの構想はまだお持ちになりませんか。
  165. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 先ほど申し上げましたように、まず何人の医師を国全体として養成すべきか、これにまず合意を得たいのでございます。いままで言うておられた厚生省の目標はもう達成してしまうのです、いままでの計画で具体化したので。でありますから、それだけに私たちとしても、文部省だけが責任を負ってどんどん前に進んでいくということになりますと、あとでまた混乱が起こったりいたしますので、そういうことも固めたいということもございますので、あと何校と、こう言い切れないでおるわけでございまして、おっしゃっていることをできるだけ早く具体化しなければならない、そのとおりに考えておりまして、ことし一年間の調査費をさしあたり計上させていただいて、その中でできる限り明確にしていきたい、こう思っているわけでございます。
  166. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そうすると、本年度中にその目安というか、計画というものはおできになりますか。
  167. 木田宏

    木田政府委員 本年度さらにそうした点についての検討を詰めてまいりたいというふうに考えております。
  168. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そうしますと、九県残っておりますが、一県一校の構想に基づいてそういう計画をお立てになりますか。
  169. 木田宏

    木田政府委員 医科大学のない県がなくなるように、そのことを目途にしてという政府の考え方でございますから、その方向で進めてまいりたいと思います。
  170. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 残った九県については、おそらく財政的な問題でできないという県もあるかもしれません。したがって、その九県については国立医科大学の方向でいきますか。
  171. 木田宏

    木田政府委員 国公立を中心にして考えたいというふうに思っております。
  172. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 本年度中に計画が出れば幸いですけれども、今後の問題としてもう少し懸念をすることは、誘致の問題で誘致合戦をする。そうすると、先ほど申し上げたように、土地の用意を文部省がさせているというふうにとってもいいと私思うのですけれども、そうした問題で地財法違反を文部省が奨励をしているというように、極端な言い方かもしれませんが、とっても私は過言でないと思うのですね。  たとえば静岡につきまして、地元負担は三十億円ですよ。ということは、土地の問題、それから教職員の住宅、それから仮設校舎等を含めますと、大学用地ですね、ざっと約三十億円の負担となろうというような案があるわけです。そういうものを地元に提供をさせて、そして医科大学を誘致しよう。地元は切実な医療水準の向上ということでやっているわけです。残った九県についても今後希望がかなりあるということになると、そういうような地財法違反をさせてまで合戦を繰り広げ、そして陳情合戦、請願合戦をやって設置をしてやるのだというような考えが文部省にはあるような気がして私はならない。だから、先ほどからその年次計画を立ててやれということを私は強く言っているのです。その点について文部大臣はどうお考えですか。
  173. 木田宏

    木田政府委員 医科大学をぜひつくりたいという強い御要請がございますのは、やはり県の医療水準の向上に役立つというような点をお考えの上だろうと思います。私どもも、国立大学であるから国がというような考えではなくて、やはり地域の中の国立大学として、地域の方に喜ばれるような学校を協力してつくるべきではないかというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、ぽつんと国立大学だけがあり得るわけじゃございませんで、先ほども申し上げましたように、特に医科大学につきましては、医療関係職員はたくさん要りますし、また病院という大きいものをかかえまして、地域の医療とも密接な関連を持つことでございますから、そういう点で設置を希望されますところと協力をして医科大学をつくっていきたい、こう思っておるところでございます。
  174. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 じゃ、ちなみに、旭川医科大学の地元負担について、医科大用地として用意をしたようであります。そのほかにどういうものが地元で用意をされておりますか。
  175. 木田宏

    木田政府委員 旭川の医科大学につきましては、ここの場所がいいという地元の市のほうの御要請もございまして、その土地の提供を御用意をいただきました。そしてそれを有償で貸していただくというような方向でいま準備が進んでおります。またその敷地までにエネルギーサプライ等の整備された土地でないと困ります。そうしたエネルギーサプライ等の御用意を地元でしていただきまして、学校がつくれるような状況になっているということをお願い申し上げておる次第でございます。  また、地域の病院等の関係で、あまり大きい付属病院をつくることはいかがかというので、基準よりも若干少ない六百床の病院を建設する予定にいたしておりますが、基準に足らなくてもいいというわけじゃございませんので、むしろ地域の旭川市立病院、これは比較的整備されたいい病院でございますが、これをさらに教育関連病院として十分な診療教育機能を持った病院に御用意をいただく、こういう御努力をいただいております。  また、医学教育のためには、解剖死体等どうしても確保しておきませんと、教育上支障が起こりますので、そうした事柄は地域の課題として御協力をいただくということをお願い申し上げておる次第でございます。
  176. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 地元負担について、用地は国が有償で貸与する、これは今後設置される地元で土地を用意した場合ですね。そういう形をとるのですか。
  177. 木田宏

    木田政府委員 これも一がいにどうというふうに一般論では言いにくいかと思いますが、一般的には地元で御用意いただきました土地を貸していただく、こういう形に今後なろうかと思います。
  178. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そのほかの、たとえば大学の教職員の住宅であるとか、あるいは本校舎ができるまでの仮設校舎という問題についてはどういうようにお考えですか。
  179. 木田宏

    木田政府委員 旭川の場合には、とりあえずの仮の校舎を国立の北海道教育大学の旭川分校のあいた施設を使うというようなめどもございますし、山形及び愛媛につきましては、それぞれ大学でくふうをいたしておりまして、現在医進課程、一般教育用の校舎の建築も急いでおることでございますから、それぞれに対応がとれておるというように考えます。
  180. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 今後医大設置が決定される一つ条件として、そういうような土地の問題であるとか、あるいはこうした病院あるいはまた仮設校舎、こうした問題が完全に整わないと誘致の決定の条件になりませんか。
  181. 木田宏

    木田政府委員 いままでも伺ってまいりました御希望の中には、このここの土地が予定されてあるんだというようなお話も伺って、関係者が見にまいりましたこともございますが、いかにもどうも医科大学のある場所として不適切ではないか、あるいは工事その他を進めてまいりますにつきましても、非常に難点の多いことの予想される敷地等をおあげになる例もないわけではございませんでして、そういう点を地元で御希望になりましても、私どもとしてちょっと御賛同申しかねますというようなケースもあるわけでございまして、場所をどこに、どういうふうにするかというのはかなり大事な要素だというふうに思っております。
  182. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 土地を購入する場合に、あらかじめいままでは地元が先行投資をしてやっているわけですよ。これも問題があるのですね。そういう問題については今後地方自治体に対して指導し土地の買収については国がやるんだという、そういう原則でやらせる方針はお持ちになりませんか。
  183. 木田宏

    木田政府委員 国立の医科大学をつくり、病院をつくってまいりますというのは、やはり地域との関連のあることでございまして、県の御協力を得ずに国だけでここにきめるというふうに、またきめられるものでもないと考えております。したがいまして、こういう点につきましては、地元の御関係の方々と、土地の選定その他について十分御相談を申し上げ、また御協力も得なければうまくいかないのじゃないかというふうに思っております。
  184. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 土地の買収について、いわゆる選定の基準となる段階で購入するのじゃなくて、誘致が決定をされた後に当然土地の買収は始めるべきであって、それ以前にただ誘致をするという意味で買収をするべきでない、こう考えますが、そういう指導はなされませんか。
  185. 木田宏

    木田政府委員 いろいろな御要請の前に措置をされましたことにつきまして、また何とも対応のしようもない点もございますけれども、いずれにいたしましても、御要請がございます際には、大体の心づもりを持って御相談もあり、御希望も出ておることでございますから、十分に意見の交換ができるのではないかというふうに考えます。
  186. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 ですから私は、先ほど申し上げたように、地財法違反を文部省がさしている、それを黙視しているというように言ってもかまわないのじゃないか、こう思うわけですよ。だから残された九県については、誘致の条件なり、あるいは決定する場合によほど慎重にやらないと問題を残すというのです。一つ例をあげて申し上げると、静岡県の場合ですけれども、浜松に決定をいたしました。この浜松に決定をした場合のメリットあるいは静岡市に設置する場合のメリット、デメリット、そういう問題については、どういうようにお考えになって設置をされたのですか。
  187. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 静岡県に置くといたしまして、浜松市が適当であるか、静岡市が適当であるかということにつきましては、担当の課長らが実地調査をいたしましたその調査報告に基づいて決定さしていただいたわけでございまして、一つは立地でございます。静岡の場合にはかなり狭い、台地というと、ことばが悪いかもしれませんが、学校敷地としては適当でなかったというような事情もございました。  もう一つは、関連教育病院の整備の問題でございました。浜松のほうではことし開院したのでございましょうか、たしかりっぱな市立病院ができた、関連教育病院としてふさわしいところがある。静岡の場合にはかなり古い、日赤の病院じゃなかったかと思います、この病院が一つ第二の問題でございました。  第三は、看護婦の養成の問題でございまして、浜松の場合には市立高等学校でございましたでしょうか、衛生看護科がすでに設けられて、それが進んでおり、静岡の場合にはそれが見られないということでございました。  そういう三点が一番基本的な位置決定の判断材料になったように思いますが、そういうような調査結果をもとにいたしまして事務的に判断をした、それを尊重して決定さしていただきました。
  188. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そういう条件設置をいたしたというのでありますが、大臣のこの提案理由の中に「近年における医療需要の増大と医師の地域的偏在に対処し、医師養成の拡充をはかる」こう書いてありますが、この点からいってどうお考えになりますか。
  189. 木田宏

    木田政府委員 今回静岡、滋賀、宮崎と三県につきまして創設準備を予定いたしましたのは、現在残っております無医大県の中で、人口対医師数から見ますと、医師の一番少ない県に大体順番でこう予定をさしていただいたというたまたまの結果でございますけれども、そういうふうな面も考え合わしたわけでございます。  なお、県内でどちらがどうであるかという点につきましては、浜松地区の医師数とか静岡地区の医師数というふうに判断をいたしたわけではございません。大臣が先ほどお答え申し上げましたもっぱら立地上の問題を重視いたしまして浜松にさしていただいた次第でございます。
  190. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 決定についてはよほど慎重でなくてはならないということは、私が先ほどから申し上げたとおりであります。お医者さんの場合非常にデリケートな問題があります。たとえば出身学校別によってかなりの、平たいことばでいえば派閥ですか、そうしたものが非常に強い。ところが、静岡県の場合見てまいりますと、浜松市には、いわば名古屋大学系統の方がきわめて多いのです。したがって、この浜松市に医大が設置をされたということで、静岡県の東部、中部の県民はきわめて遺憾の意を表した。ところが隣りの愛知県は拍手をして喜んだ。しかも隣りの愛知県の豊橋市長からは、たいへんに喜びの手紙が来ておる。県民の大多数が喜んでいないにもかかわらず、他県の市長さんから浜松に医科大学ができたということでお祝いの手紙が来ているということは、私はやはり問題が今後非常に残ると思うのです。医師の地域的偏在に対処するという大臣のこの名文が、将来にわたって静岡県に限っては生きてこない、こう私は将来を非常に嘆くものであります。一体そういう点を考慮されてそこまできめたのか、ただ単に政治的な折衝によってですよ。もちろん土地が確保できておった。関連病院がある。病院数にしても県都静岡市のほうが多いわけです。一体そこまで考えて医大設置をやられたのかどうかという点をもう一度お聞きいたします。
  191. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 「医療需要の増大と医師の地域的偏在」ということをあげておりますが、これは主として無医大県を中心に医大を設置したいという気持ちでありまして、県の中でありますと、県のどこに位置するかということは偏在の問題とはそれほど関係しないんじゃないだろうか、こういう気持ちでこれを書いておるわけでございます。事実、どちらにもかなり大きな病院があるわけでございますし、その病院に対応してお医者さんもいらっしゃるわけでございますので、これはそこまで立ち入った考え方で書いているつもりじゃございません。無医大県解消という気持ちで書かしていただいているわけでございます。
  192. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 もちろん医科大学のない県の解消ということもありますが、一県一校の趣旨からいくと、医科大学のない県の全体に医師の充足をすべきである、そういう観点に立って医大の設置をしなければならない。私はいま公平な立場で言っているわけです。そこまで考えてやらないと医大誘致については非常に問題を残すというのです。国民は医大ができたことによって喜んでいいのか、悲しんでいいのかわからないような状態がいまの静岡県の実態です。ですから私は、設置場所については、あと残されたわずかな県でありますから、将来にわたって誘致すべき、設置すべき場所を文部省がすみやかに決定すべきである、このように言っているのであります。  いま医師のいない県をなくすんだというお話でありますが、たとえば人口十万単位で医師のいる数の調査が出ておりますが、島根県には医大はございませんけれども、全国平均を一〇〇として、十万単位の医師数を全国平均した場合に島根県は一四〇です。平均よりも四〇多い。こういう県もあるわけです。静岡県の場合は八〇です。こういう点から考えますと、一県一校ということが多少矛盾をしてくるというような感じもするわけですがね。そういうことで、誘致についてあるいは設置については慎重にすべきである、このように思うわけであります。  そこで、単科大学医学部というようなことが話題になったことがありますが、今後医大設置については、従来の国立の大学医学部を設置していくのか、あるいは単科大学として設置をしていくのか、その辺についてどういうお考えか、ひとつその態度をお聞きしたいと思います。
  193. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 大学設置する場合の具体の条件によると思うのでございまして、茨城の筑波大学は総合大学、将来の問題としまして静岡の場合は単科大学、宮崎はこれも単科大学になる、こう考えているわけでございます。しかし、これは将来にわたってきめ込んでしまっているわけではございませんで、それぞれの大学設置する場合の具体の条件に基づいて一番好ましい方法をとればいいんじゃないか、こう思っております。
  194. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 それでは医科大学、単科大学でなきゃならないという確たる方針はございませんですね。  次に、医師会が調査をいたしました国民医療年鑑というのがありますが、これを見てまいりますと、地域経済の力を、県民の一人当たりの民力水準という形であらわしております。それと人口十万当たりの医師数の相関の関係をあらわした表がございますが、たとえば静岡の場合の民力水準は、平均を一〇〇とした場合一一〇であります。平均よりも上回っています。ところが医師数は八〇。島根県は民力水準が九五です。しかしながら、医師数は一四〇。富山にしても民力水準が九〇、医師数は八七、佐賀県にしても民力水準が七〇、医師数は九五、こういうふうになっておるわけであります。  先ほどから申し上げているように、静岡県の場合は土地も高いから地元は大体三十億、あるいはもっと出すようになるかもしれませんが、そこまで地元に財政的な問題をしょわせるということになると問題は大きくなってくると思うんです。もちろん州県一校というこの構想は、私は大事であると思うんです。しかし、将来にわたってそうした経済的な負担をさせる、あるいは地方自治体の財政需要の問題等考え合わして二校設置ということを考える県も出てくるんじゃないか。そういう点についてはどういうふうにお考えですか。
  195. 木田宏

    木田政府委員 まあ当面の課題といたしましては、毎度申し上げておりますように医科大学のない県をなくすということを目途に、それを政策課題として考えておるわけでございますが、いまお話がございましたように人口対医師数という観点から申しますと、静岡のように人口三百万もありますところとか、千葉、埼玉といった東京周辺あたりが人口対医師数という点では非常に少ないわけでございまして、そういう人口割りとの関連でいけば御指摘のような御意見があり得てかまわぬというふうにも思う次第でございます。しかし、現在の段階でそれを政策課題として取り上げるということは適切ではない、まだその時期ではないというふうに考えております。  なお、ついでながら、先ほど来府県の人口対医師数のお示しがございましたが、島根、富山等につきましてのお示しの数字が、私ども持っております数字とかなり違うものでございますから、ちょっとふしぎに思ったりしております。
  196. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 これは数字じゃないのです。医師数じゃないのです。十万単位の医師数を、全国平均を一〇〇とした場合の数値でございますから、計算の基礎が違っていますので、その点はひとつ了解しておいていただきたいと思うのです。  先ほどちょっと落としたのですけれども、今後医大設置の県について、教職員の住宅等は地元負担にさせるんですか。
  197. 木田宏

    木田政府委員 国家公務員の入ります宿舎につきましては、国立の宿舎も整備をすることを財政当局にも頼んでおる次第でございますが、病院の関係職員にとりましても、一千人近い職員にもなることでございますし、地域の住民としてそこに勤務するわけでございますから、こうした人たちの居住施設につきまして、地元のほうでもできる限りの御協力を願いたいものだというふうに思っております。もちろん、これを国の施設として使わせていただきます場合には、またそれなりのことも考えなければいけませんけれども、有償で県民、市民住宅等に入れていただく、こういう御便宜がないと、大きな学校をそこへ持っていくということはなかなかむずかしかろうと思っております。
  198. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そういうことが財政上地方自治体でできない場合があると思うのです。そういうことは考えられませんか。
  199. 木田宏

    木田政府委員 主として都道府県が中心になって、そうした地域の体制を御用意いただいておるわけでございまして、若干の宿舎等につきましての県のほうの御配意、あるいはその敷地までに対するいろいろなエネルギーサプライ等の範囲は、当然地域の問題としてお考えおき願いたいというふうに思う次第でございます。
  200. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 私はそれがたいへん問題だと思うのですよ。自治省の関係になると思うのですが、それはやはり明らかに地財法違反になってくると思うのです。その点はどうですか。
  201. 木田宏

    木田政府委員 大学の土地を地元で御用意いただきまして、有償で使わせていただく、その便益を提供していただくということは、別に地財法の違反であるとは考えておりません。また、そこに居住いたします結局県民であり市民である人たちの居住施設について御便宜をいただくことも、別にいまの地財法の規定と抵触する性質のものではないというふうに考えております。
  202. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 教職員住宅あるいは仮設校舎についても同じですか。
  203. 木田宏

    木田政府委員 仮設校舎等は、便宜を一定期間暫定的に提供していただくということでございまして、これまた地方財政法などで禁止されてある趣旨のものとは別のこと、このように考えております。
  204. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 地財法違反でないという判断ですか。その根拠をひとつ……。
  205. 木田宏

    木田政府委員 そのように考えております。
  206. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 その根拠について、もう一度はっきりしてください。
  207. 木田宏

    木田政府委員 地方財政法におきましては、一般的に十二条という規定がございまして、「地方公共団体が処理する権限を有しない事務を行うために要する経費については、法律又は政令で定めるものを除く外、国は、地方公共団体に対し、その経費を負担させるような措置をしてはならない。」というふうに書いてございます。また第二十四条には、「国が地方公共団体の財産又は公の施設を使用するときは、当該地方公共団体の定めるところにより、国においてその使用料を負担しなければならない。但し、当該地方公共団体の議会の同意があったときは、この限りでない。」こういう一般的な原則規定があがっております。  なお、地方財政再建促進特別措置法におきましては、地方公共団体は国に対して寄付金等の寄付をしてはいかぬという規定はございます。今回いろいろな意味で便益の提供をお願いいたしておりますが、これは寄付ということとはおのずから違うことでございまして、一時的、暫定的にいろいろな御協力をいただく、また土地につきましても御協力をいただいて、それを御相談の上で有償で貸していただくということは、あり得ることだというふうに思っております。
  208. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 地財法の第二条に、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」という大原則があるのですよ。そういうことからいって、地方にそうした負担を転嫁してはならない、明らかに地財法違反であると考えるわけです。この点についてもう一度……。
  209. 木田宏

    木田政府委員 地方財政の原則的な大事な規定だというふうに考えております。しかし、先ほど来申し上げておりますように、国立の医科大学をつくるにいたしましても、地域の医療水準の向上というその地方の大きな課題を一緒になって解決するという問題でございまして、地方とは全く関係がない、国だけの仕事というわけには考えておりません。ですから、県が県の立場でいろいろと学校が成立いたしますように御協力をいただくということは、私はあり得ることだというふうに考える次第でございます。
  210. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 それは協力はするんですよ。いわゆる心の上での協力あるいは迎えるためのいろいろな地方での協力というものはしなければならない。また、一体となってやるべきであることは当然のことなんです。しかし、国が負担すべき国立の医科大学そのものについて、地方にそうした財政的な負担をさせるということは一、私は、明らかにこの地財法の大原則からいって違反ではないか、このように思うのです。その点について大臣、あなたは大経験者だから……。
  211. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 お話しのように、本来国の負担すべきものを地方団体に転嫁するようなことをしてはならないと私も考えるわけでございます。したがいまして、本校舎ができる前、やはり仮校舎が要るわけでございますが、こういうものは本来国が用意してかかるべきだ、こう考えますし、御提案申し上げます際に、医科大学につきましては仮の校舎も国のほうで用意しておるようでございます。しかし場合によりましては、かりに使わしていただけるような建物が別途地方団体側にある、あるいは地方団体側がそういうものをつくって、また将来とも地方団体が使えるものがある場合に、便宜を供与していただく、そういう便宜供与の問題になりますと、やはり国と地方がお互いに協力し合っていいのじゃないか、こういうように考えるわけでございます。その協力を受けることがすべていけないというようには理解をしない。ただ、おっしゃいましたように、ことさらに負担を転嫁する、そして国だけが安易な運営をする、これはぜひ慎まなければならない、こう考えております。
  212. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 させるということは違反である、これははっきり、いいですね。確かにそのとおりです。私は予算の分科会でもいまの自治大臣にお伺いしたら、自治大臣も明らかにそう発言しておるのです。したがって、誘致あるいは設置については、どうか文部省あるいは大臣がもっと積極的に計画を立てて、いやしくもそうした地方自治体に負担をかけさせたり、あるいは誘致合戦のためにむだな経費を使ったり労力を使ったりさせるようなことがあっては絶対にならないと、私の県の体験から強く申し上げておきたいと思うのであります。  それから医師の養成について、文部大臣のあるいは文部省の基本的な考えをこの際お聞きしておきたいと思いますが、病気の多様化あるいは社会情勢の変化等によって、医師の分業化といいますか、たとえば専門医あるいは一般の家庭医、家庭医という名前をつけている方もありますが、あるいは公衆衛生、基礎医学、そうした分業の時代に入りつつある、このようにある人は述べております。そういう点について、今後医師の養成という観点から、どのようにお考えになっておりますか。
  213. 木田宏

    木田政府委員 御指摘のように、医学の進歩に伴いまして、専門領域についての医師、専門医という形での養成を積極的に考えなければならぬのではないかという御意見も確かにあるわけでございます。しかし一面、また日常の生活の場におきます患者の相談という点から考えますと、一般医と申しましょうか、総合的にゼネラルな判断をしていただけるお医者さんというのも確かに必要なんでございまして、医学教育の場合に、専門医の方向へだけ持っていっていいというふうには考えておりません。したがいまして、いまの医学教育の課程では、すべての科につきまして、内科、外科、小児科、すべてにわたって一応の知識を得るようなカリキュラムになっておる次第でございます。しかし、だんだん専門分化すればするほど、六年間に修得すべき内容が多くなり過ぎまして、これをどうするかというのがたいへんむずかしい課題でございますので、私どもも関係者の会議でもう一度その辺のところを検討してもらっておる状況でございます。
  214. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 日本の医療行政全体がいま非常な問題にぶつかっているときであると思うのです。したがって、医師養成という将来を見通した問題についても、検討の時期に入ってきていると思うのです。  あわせて、今後の医師の養成という問題でお考えになっていただきたいと思うのですが、さらに医者としての一番の基本的な問題は、やはり患者と医者の人間的な関係を理解することが大事であると思うのです。ところがわが国では、医師の免許状をとらなければ患者に接する資格がないし、また真の医療も行なえない。したがって、そのために、医師の免許状をとらなければ人間的な関係というものが理解できない。   〔森(喜)委員長代理退席、委員長着席〕 そういうことから考えて、ある学者は、いまの医科大学においても約一割ぐらいの人間的に医者としての資格を有しないといいますか、そういう方がいらっしゃるということをある雑誌で私読んだことがありますが、そういうことを考えてみますと、その人たちが一枚の免許状で医師になる、非常に将来に問題を残す。また医科大学設置をされ、医師がどんどん養成をされている段階で、そうした患者と医者との人間的な関係、こういう問題、あるいは人間性を植えつけさせる教育というものについてどういうようにお考えでありますか。
  215. 木田宏

    木田政府委員 御指摘のように、医師はただ知識があればいいというものじゃございませんで、患者さんに対して全人格的な影響力をもって相談相手になり診療に当たるという、人間的な資質を要求される職であると思います。現在大学で勉強しております医学生が、そういう意味ですべて医師の適格者であるかどうかという点は、御指摘のような問題点もあろうかと思いますが、こういう点は教育の過程において大学の教官が適切な指導を与えるということを必要とするのではなかろうかと思う次第でございます。  また、その医師としての心がまえを養いますためには、できるだけベッドサイドで実際の診療業務について患者に対する接し方を日常勉強するということが必要でございまして、その意味からも、医学教育のための病床数をふやしまして、小人数によるベッドサイドのティーチングによって、そうした医師としての心がまえも同時に身につけていく。こういう方向でいまいろんな整備その他を進めたい、こう考えておるところでございます。
  216. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 人間性を重視するということで、いわゆる基礎医学、一般教養あるいは臨床医学ですか、そういう問題でかなり論議の焦点になっておるようであります。そうしたことから、いま基礎医学を教える教授が足りない。それとあわせて、本年度予定をされておる医学部、医科大学の教授陣については確保ができますか。
  217. 木田宏

    木田政府委員 臨床関係の教官につきましては、その教員潜在数というのはかなりの数にのぼるというふうに見ております。したがいまして、一年に三、四校程度設置してまいりましても、それによって教官がたちどころに逼迫するということは考えておりません。  それから基礎系の教員につきましては、事は必ずしも簡単でございません。一年にあまりたくさんの大学をつくるという余力を現在持っていないと思います。その意味でも、設置の進め方は、順を追って考えなければならないというふうに思っておるところでございます。
  218. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 臨床医学のほうは大体充足できるが、基礎医学の面については、本年度設置分については間に合わないということですか。
  219. 木田宏

    木田政府委員 今年度設置分について間に合わないというわけではございません。私どもも、創設の準備費をつけたところにつきましては、そういう教官の確保に慎重な配慮と用意を重ねてまいり、合ったものが法律として御審議をいただけるように努力しておるところでございます。しかし、一般的に申しまして、長老教授はともかくといたしましても、中堅層から若い助手、講師、助教授クラスにつきまして、基礎分野につきましてはそう大きな余力があるとは思っておりませんので、やはり養成の経過を踏まえながら、新しい大学の創設に対応するような人員の確保を考えなければならぬ、こう考えております。
  220. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 四十九年度創設分についてはだいじょうぶですか。
  221. 木田宏

    木田政府委員 これは、ことしの予算で創設準備した若干の人員を中心にして進めてまいるわけでございまして、私ども、この一年間で十分な用意ができるのではなかろうかと思っております。
  222. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 医大については若干問題がありますが、私、今後この法案について審議を進める前に、過日の大臣局長答弁がありました。その答弁について若干確認をしておきたい。そうした上で、さらに議論を進めてまいりたいと思うのであります。  この法案の提出されております筑波新大学法案についての過日の答弁の中で、局長あるいは大臣も、東京教育大学がビジョンを出された。それを文部省が受けて、そして今回の構想を出した、このように発言をされておりますが、それは間違いであるか、それで正しいかという点をはっきりしておきたいと思います。
  223. 木田宏

    木田政府委員 先般もお答え申し上げましたが、東京教育大学は、昭和四十二年に筑波の地に新しい移転の土地を求めて移転しようという決定をいたしました。この決定とともに具体的な移転計画について検討を進めてまいりましたが、その過程におきまして、同大学の単純な移転に終わるということでなくて、これを契機に、新しい構想に基づく大学の実現を期することに学内の方向が定まり、昭和四十四年に東京教育大学の評議会におきまして、筑波における新大学のビジョンの実現を期して移転をすることを決定をし、さらにこのビジョンを具体化したものとして、昭和四十六年六月に筑波新大学に関する基本計画案を評議会で決定した次第でございます。
  224. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 四十四年の七月二十四日に評議会で決定をされた。それが今回の筑波大学のビジョンである。教育大学がそのビジョンを出されたというように申されましたが、それでよろしいですね。
  225. 木田宏

    木田政府委員 東京教育大学として筑波新大学に関する基本計画案をきめましたのは、四十六年六月でございます。
  226. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 四十四年七月二十四日の教育大学評議会で決定をされた。その日付は間違いないですか。
  227. 木田宏

    木田政府委員 先ほど申し上げましたように、四十六年六月に評議会で基本計画案を決定いたしました。——四十四年七月十四日、評議会で筑波における新大学のビジョンの実現を期して筑波に移転することを決定し、学長から文部大臣あてにその文書が出てまいった次第であります。
  228. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そのビジョンは教育大学から一番最初出された、それでよろしいですね。
  229. 木田宏

    木田政府委員 さようでございます。
  230. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 その発言からいきますと、東京教育大学が自主的にこの新大学構想のビジョンを出した、このように判断してよろしいですか。
  231. 木田宏

    木田政府委員 さようでございます。
  232. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そうしますと、ここに非常に問題があるわけです。  昭和四十四年の七月十四日ですか、二十四日ですか。——十四日ですかに、東京教育大学が初めてこの筑波大学の新構想なるビジョンを発表した。いまの発言だとそうだ。そうしますと、昭和四十四年の七月前、六月ですね、時の総理大臣であります佐藤総理は、大学問題の懇談会の席上で、大学移転の考えは失敗だ、むしろ新しいモデルの大学をつくるほうがよいと思う、時の総理が大学問題懇談会の席上で発表をいたしておる。またこれは六月六日の東京新聞、サンケイ新聞等に明らかに掲載をされておる。それと、六月十七日の参議院の文教委員会で当時の坂田文部大臣は、筑波に新しい国立大学の建設を検討中と答弁をしておる。よろしいですか。それに基づいて七月五日には、当時自民党の文教部会は文教制度調査会にモデル大学の懇談会の発足をし、座長に橋本登美三郎氏を置いておる。  ということからいきますと、私は教育大学が七月二十四日に初めて新大学の構想のビジョンを自主的に出したと先ほど局長ははっきり申しておりますが、それ以前に、国の最高責任者であります佐藤総理が、そうした新しいモデル大学をつくるのだという方向をすでに示しておるということから考えると、私は明らかに、この東京教育大学の自主的なもとにこの筑波大学の構想が発表になったということは言えない、このように私は判断をするわけです。この辺についてのお考えはどうですか。
  233. 木田宏

    木田政府委員 大学というのは意見をまとめるのになかなか年月のかかるところでございまして、四十四年七月に、先ほど御説明申し上げましたように、評議会で筑波における新大学のビジョンの実現を期して筑波に移転するという決定をいたしましたが、その際に、そのビジョンというものの中身は学内で討議を続けてこられたものが一応でき上がった次第でございますが、このビジョンの輪郭、ビジョンをつくりますために、四十二年から二カ年かかって学内での論議が、マスタープラン委員会という委員会で続けてこられたわけでございます。ですから先ほど四十四年七月決定をしたというふうに申しましたが、教育大学としてはそこへまいります間に二カ年間の検討を、さらに以前から続けてこられたということは事実でございまして、政府がそういう動きを勘案したというようにおとり上げになれるかもしれませんけれども、この四十四年の近くで文部省が言ったから教育大学がしたという関係にないことだけは明らかでございます。
  234. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 明らかで、ないとおっしゃるのですけれども、ところが先ほどの発言だと、四十四年七月二十四日に初めて教育大学が新しい大学のビジョンをここで発表したわけです。その間に、それは何カ月か何年か知らないけれども教育大学としては構想を練ってきたでしょう。外部に向かっては発表をおそらくされていないはずなんですね、これ以前については。その発表されていない前に、佐藤総理が、あるいは坂田文部大臣や自民党の方々が、そういうモデル大学をつくるべく懇談会を発足したり、参議院の文教委員会で筑波に新しい国立大の建設を検討中であると答弁をしたり、佐藤総理が新しいモデル大学をつくるほうがよいというような発言をするということは、根底に、文部省自体、政府自体にそうした考えがもともとあったのを、そうした教育大学の評議会の決定にしたのである、私はこう判断をする。この辺について、どうですか。
  235. 木田宏

    木田政府委員 お手元の資料にもあるのではないかと思いますが、四十二年の七月に、東京教育大学が総合大学として発展することを期し、条件つきで筑波に土地を希望することをきめまして、それによって東京教育大学はマスタープラン委員会等をつくって検討を始めたわけでございます。こうした東京教育大学の決定を受けまして、四十二年九月に政府として筑波への移転機関等を閣議できめます際に、東京教育大学も筑波に移るという前提での移転予定機関をきめた次第でございます。そのときから東京教育大学が筑波に移転するということを契機にして、いろんな検討を進めているということ自体は私どもも承知をいたしております。よって、二カ年の後に四十四年の七月に至りましてビジョンもまとめて、あらためてまた今度は単なる移転ではなくて、新大学にしたいということを東京教育大学も正式に態度をきめた、こういう次第でございます。
  236. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 まあ移転をするということは、何らかの形で発表になったと思うのですが、そうした新しい大学をつくるという構想は、先ほど申し上げた昭和四十四年七月二十四日が初めてであると思うのです。それはどうなんですか、外部に向かっての発表は。移転は発表したかもしれないけれども……。
  237. 木田宏

    木田政府委員 四十二年以来マスタープラン委員会を東京教育大学が設けまして、いろんな検討の結果が、いまお示しがありましたように、むしろ単なる移転というよりは、こういう形で新しい大学にしたほうがいいという方針がきまってきた、それはやはり二カ年間の討議の過程の中で生まれてきたというふうに考える次第でございます。
  238. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 外部に向かって、新しい大学ができるということは、何回も申し上げるようですが、その年の四月三十日に中教審の答申があったはずです。そこで、その答申の内容は、開かれた大学であるとか、あるいは人事の改善であるとか、中枢的管理機関の確立を強調するんだということから発表になって、その当時からそうした新大学の構想が出てきた。ときあたかも、同じくして七月二十四日にそうした新大学の構想が発表された。その過程の中において、佐藤総理やあるいは坂田文部大臣や自民党の文教制度調査会には、すでにもうこうした新しい構想の大学が発表になって準備に取りかかり、まあ発表というか、そういう形で着々と作業が進められておるということになりますと、私は、東京教育大学がビジョンを自主的に打ち出したということは、どうも納得できない点があるわけであります。それなら、その東京教育大学の評議会で決定をされた、その当時の評議会の構成はどのようになっておったのですか、御存じですか。
  239. 大崎仁

    ○大崎説明員 評議会の構成は、各学部長それから各学部の教授からそれぞれ二名及び光学研究所長、学長というふうに承知をいたしております。
  240. 木田宏

    木田政府委員 ちょっと補足さしていただきますが、先ほど御指摘がございました、四十四年四月三十日に中教審が当面する大学教育課題に対応するための方策について答申をした、そのこと自体は御指摘のとおりでございます。しかし、この答申は、実は当時の大学紛争に対処いたしますための学生問題についての答申でございまして、先ほどお触れになりましたような開かれた大学という答申は、実は四十六年になってからの答申でございます。ですから四十四年四月の答申は、中身が別のものであるというふうに私ども申し上げられるんじゃないかと思います。
  241. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 それは中教審の答申ですか。
  242. 木田宏

    木田政府委員 同じく中央教育審議会の答申でございますけれども、四十四年四月三十日の答申は、大学紛争に関連いたします学生問題を中心にした答申でございました。
  243. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 東京教育大学に創設準備調査のための調査会ですかが設置をされた、その構成をちょっとお聞きしたい、先ほど言ったのと同じですか。
  244. 大崎仁

    ○大崎説明員 教育大学の内部でこの問題を検討する組織といたしましては、まず昭和三十八年に大学移転問題特別委員会というものが設置をされまして、四十二年に先ほど局長からお答え申し上げましたように、マスタープラン委員会というものが発足をいたしております。それの構成メンバー等は、現在ちょっと手持ちの資料がございませんので、至急調査をいたしまして御報告申し上げたいと存じます。
  245. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 この前に、筑波新大学の創設準備調査会、これは文部省に置かれたと思うのですけれども、それが設置をされましたね。そのときの構成についてちょっと先に……。
  246. 木田宏

    木田政府委員 筑波新大学創設準備調査会につきましては、けさほどお手元にこういう資料を差し上げたかと思いますが、構成員はこれの「資料」の三ページにあげてございます。
  247. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 その創設準備調査会のうちの東京教育大学の構成、あるいはそれは大学を代表するメンバーでありますか。
  248. 大崎仁

    ○大崎説明員 創設準備調査会は、通称総会と申します基本的な組織と、それから専門部会とに分かれておりまして、総会のメンバーが十一名ございます。そのうち東京教育大学関係者が三名となっております。ただし、そのうち一名の方は審議途中で定年で他の職にお移りになられた方でございます。  それから専門委員会関係でございますが、これは研究教育、管理運営、施設生活環境と三専門委員会に分かれておりまして、各専門委員会それぞれ二、三名程度の東京教育大学の先生が参加をしておられる次第でございます。
  249. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 その東京教育大学の三名は、大学から選出をされた三名ですか。
  250. 大崎仁

    ○大崎説明員 そのお願いを申し上げるにあたりましては、東京教育大学の御意見を伺いましてお願い申し上げたわけでございます。
  251. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 そのように代表で出てくるようにということで大学へ申し上げたということですか。
  252. 大崎仁

    ○大崎説明員 趣旨といたしましては、東京教育大学のビジョンをもとにして新しい大学の構想をこういう会議で審議をするについて、適任である方をお願いしたいということを学長を通じて御意見を伺いまして、その結果として御推薦をいただいた方々の中からお願いを申し上げた、こういうことだと存じます。
  253. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 私は、そこにも問題があると思うのです。東京教育大学のビジョンを繰り入れれるというために、東京教育大学の教授を三名入れた。しからばこの三名は、その大学を代表した三名でなければならないと思うのですが、どうもその辺は食い違いがあるようであります。その辺はどうですか。
  254. 木田宏

    木田政府委員 文部省で創設準備の調査会その他を設けます際に、関係の方々にお入りをいただくわけでございますが、その関係の方々が関係する組織の意見を完全に代表する、その組織の意見だけで行動するということでは、調査会としても、また動きが非常にぎごちないものになってしまう次第でございまして、むしろそういう関係機関の意向を十分反映し得るような方にお集まりをいただいて、そして会議で十分な御討議をいただくということでないと、会議としての意見のまとめはできないものというふうに考える次第でございます。ですから、私どもそうした委員の方々を御推薦をいただき、御参加をいただきますが、それぞれそういうポストにある個人の方々に御参加をいただくということにならざるを得ないかというように思います。しかしそのことは、大学のマスタープラン委員会の意向というものと全く無関係に走られる方を御推薦いただいたのでは困るわけでございまして、やはりそうした意見の反映は十分はかられ得るように、大学の関係者に御相談をして人の御推薦をちょうだいする、こういうしかたにしておる次第でございます。
  255. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 私は、そういう一番基本になる問題をはっきりした上で今後議論を進めていきたいということでいま質問したのです。わずか二点だけですね。たとえば東京教育大学が初めて昭和四十四年の七月十四日に新大学の構想を発表された。それ以前に、もうすでに佐藤前総理をはじめ当時の文部大臣、あるいは自民党の文教制度調査会、準備がもう着々と進められているのですね。私はそこら辺に、この教育大学が自主的にそういう構想を発表されたものでないと判断するし、またいまの調査会の構成の選出についても、いまの局長の言い方だと、調査会に出てきて意見を合わせるような人、あまりこれについて反対意見を申し上げるような人はまずいというようなクレームをつけて選出をさせたり、明らかに教育大学の代表ではない、教育大学が新しいビジョンを発表するならば、私は大学のほんとうの代表であるべきであると思うが、その点も代表でなく個人の資格で参加をされておる。この二点からも明らかにこの大学構想というものが東京教育大学のビジョンのもとに出されたものではない、このように私は判断をいたします。このことについて文部大臣の考えをお聞きしたい。
  256. 大崎仁

    ○大崎説明員 先ほど正確に御説明申し上げられないで申しわけございませんでしたが、マスタープラン委員会を通称MP委員会といっておりますが、これの構成は、文学部で賛成しておられる委員も含めておられるようでございますが、五学部から五人ずつ選出された委員を中心といたしまして計三十一名ということで構成されておるわけでございます。  それで、先ほど御報告いたしました創設準備調査会には、このMP委員会委員長をしておられました理学部の福田教授と、それから同じくMP委員会委員をしておられました文学部の大島教授が総会に入っておられます。それから先ほど申し上げましたように、各専門委員会にも、MP委員会委員でそれぞれの事項を担当しておられる先生方を中心に御参加をいただいたという結果になっております。
  257. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 大臣、その七月十四日前にそうした佐藤前総理の発言、当時の文部大臣の文教委員会における発言、自民党の文教制度調査会のとった態度というものについてどのように判断をされておりますか、その点を最後に一つ……。
  258. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 自民党は当面の政局の責任を負っておりますので、単に一筑波大学だけではございませんで、多くの大学をつくりたいということをそのころから熱心に議論しておったわけでございます。同時に、大学紛争が非常に激しく各地に行なわれておりましたので、おそらく自民党の党員全体が大学の問題について真剣に考えておったと思います。でありますので、筑波だけお考えいただきませんで、いろいろな大学を考えている、同時に、大学改革ということに真剣に取り組んでおるということを御理解いただきたい。同時に、放送大学という構想が出ておることも御承知だと思いますので多方面にわたってみんなでいろいろ考えていかなければならない、その一つの発言をお取り上げになっているんじゃないか、私はこう申し上げたいのでございます。  同時にまた、東京教育大学最初に決定いたしましたときには、文学部からも評議員が出ておる。その評議員も移転には賛成されたわけでございます。ところが東京教育大学の文学部がこの三人をその後解任されまして、以来ずっと文学部は反対され続けており、たいへん不幸な経過をたどってきておるわけでございます。
  259. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 自余の問題は非常に問題が多いので、まずその点だけ明らかにしまして質問あとに譲りたいと思いますが、最終的には学長不信任が出されたという経過から見て、私は非常に問題をはらんでいると思うのです。したがって、あとに残しまして、一応ここで終わりにさせていただきます。
  260. 田中正巳

    ○田中委員長 次に、安里積千代君。
  261. 安里積千代

    ○安里委員 私は、国立学校設置法等の一部改正の内容に入ります前に、法の立法のあり方あるいはその経過についてまずお聞きしたい、こう思っております。  これは前回他の議員からも多少触れられたことであるかと思いますけれども、この法案の主体をなしておりますのは筑波大学の組織に関しまする一章が中に入りましたことによる改正でございます。そこで、一見をいたしまして、法のあり方からいたしまして奇妙に感ずる形をなしておる法であり、立法そのものにも疑問がたいへんあると思います。  そこで、まっ先にお聞きいたしたいのは、この法律を成案として出されるまでには文部当局としましても十分検討された上のことであり、あるいはまた法制局、専門の方々の御協議も経た上での案だ、こう考えております。お聞きしたいのは、私どもから見ますならば、一見異例的な立法のあり方だと思うのでございますが、当局とされましては、このような立法の形をとるということに対して、何の疑問も問題もなかったのであるか、それとも、やはり法制上問題はあるけれども検討の結果、こういう姿で改正するということになった、こういうことでありましょうか。そのいきさつについて承りたいと思います。
  262. 木田宏

    木田政府委員 筑波大学も国立大学でありますために、国立学校設置法に他の各大学研究所等と一緒に設置をする必要があります。したがいまして、国立学校設置法を改正いたしまして筑波大学設置する、こういうことを考えるのは、これは国立学校設置法のたてまえからいたしましても当然の論理でございます。ただ筑波大学が、従来の大学と違いまして、学部形態もとらないという新しい大学でありますために、その学部形態のところを、筑波大学として関係者が希望いたしておりますような学群、学系という組織でつくっていく、こういうことのために、関連いたします学校教育法の改正等をあわせてこの法案の中に一緒に取り扱わなければならぬということから、法律の形態がいささか複雑になっておるという点はあるわけでございますけれども、基本は、国立大学としての筑波大学を国立学校設置法の中で規定するという基本原則に沿いまして、こうした立法技術に相なった次第でございます。
  263. 安里積千代

    ○安里委員 筑波大学も国立大学一つとして、もちろんその設置につきましては国立大学設置法の一部になる、これは私は問題ないと思います。そのことを私が申すのでなくして、問題は、この法案に盛られておりますその内容、これは単に筑波大学設置するということだけでありますならば、ほかの形においてこれはこれに加えることができる術もあると考えております。問題は、その内容について当然これは設置法において規定すべき問題でなくて、基本であるところの学校教育法その他に関係特に学校教育法に関係する問題でございますので、その内容というものは学校教育法が主体にならなければならぬところの問題である、こういうふうに思うわけでございますが、設置法において学校教育法の内容を変えるというようなあり方に対しましては疑義を持つわけでございますけれども、その内容をこのとおり織り込むことにつきましては、文部当局といたしましてはやはり法制上何らの疑問も差しはさまなかったものでございましょうか、それとも、やはり疑問があるけれどもこれが適当だというようなことに結論づけられたものでしょうか。
  264. 木田宏

    木田政府委員 立法技術といたしましては格別疑問があるわけではございません。ただ、筑波大学が現在の学校教育法に定めてあります学部という組織以外の組織を持ちますために、それを実現しようといたしますためには、学校教育法の関係条文をあわせて修正をする必要がある。そこで国立学校設置法と学校教育法の改正とを並列して、一条、二条という形に規定をしている、こういう立法形態をとった次第でございます。でございますから、法律の形態としては他の法律、学校教育法の修正部分が入りましたり、教育公務員特例法の一部改正部分が第五条という形で上がっておりますけれども、筑波大学設置し、それに関連いたしまして必要な修正をそれぞれの法律で行なう、これを一括御審議をいただきますためにこういうふうな立法形態をとった次第でございます。
  265. 安里積千代

    ○安里委員 国立学校設置法というのは、学校教育法を母体と申しますか、それから生まれて、それが基本になって学校設置法があると考えております。学校教育に関しまする基本的な問題、そしてあと設置法というものは、これは教育行政の組織に関係する問題でありまして、あくまでも中心になりますのは学校教育法だと、こういうふうに思うわけです。ところが、結果的に見ますというと、学校教育法の中におきまする大学に関係する条項というのは三条から七条、枝条項を入れまして七カ条、組織法の問題でございます大学に関係しまするところの問題は七カ条でございます。今度改正されまする一章を入れまして、筑波大学の関係しまする法律というものが四カ条になっております。そうしますというと、その条項の数から見ましても、国立学校設置法の中の一般的な、各大学に関係しまする条項七カ条に対しまして、筑波大学につきましては四カ条も、半分以上も占めておるという形でございます。これは条項の多数であるかどうかということは、数の問題ではございませんが、少なくともこの法案が、一般に国立学校設置法の改正といわずに筑波大学法案だといわれておりますのも、学校教育はかくなければならないという学校教育の基本的な問題よりも、筑波大学という組織を、学校設置法による筑波大学をつくるために、逆に基本になるところの学校教育法を改正をしておる。私は、これは逆だと思うのです。学校教育法というものによって教育の基本はこれだ、だからそれに基づくところの大学設置はこうだということになるのが順序だと、こう思います。けれども、少なくともこの法案から受ける印象は逆になりまして、筑波大学をつくる、そのためには逆に関係の学校教育法も改正しなければならぬ、こういうふうに——もちろん一つの法律でも関連法の改正をすることに差しつかえないでございましょうけれども、少なくとも一般に受けまする印象も、大学教育はかくなければならないというところの基本線は出さずにおいて、筑波大学をつくるためには逆に基本になる学校教育法もこう改正しなければならぬ。だから一般には筑波大学法だ、こういうふうに見られておるのも無理がないと思うのでございますけれども、文部当局とされましては、筑波大学をつくるために学校教育法をこのように改正したのか、それとも、学校教育というものはかくなければならない、だから、それに基づくところの学校設置はこうだと。こういうふうなことでなければ私は筋が通らないと思いまするし、少なくともいままで一般にいわれ、またこの法から受けまする印象は、あくまでも筑波大学をつくるために学校教育法を、関連する法条を変えておる。私は、これが非常に大きな誤解と申しまするか、一般に受けまするところの感じと申しますか、大学法案に対しまするところの強い反対の基本にあるものじゃないか。そしてその筑波大学はどこに主点が置かれておるかというと、学校内部の改正というよりも管理体制を強化するためだ、そのために学校教育法までも変えたんだ、こういったことにとられても無理もないようなあり方だ、こういうふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
  266. 木田宏

    木田政府委員 筑波大学は、いままでの学部、学科制によります、あえて申しますならば縦割りの教育システムというものに対しまして、もう少し総合的な教育、幅広い教育というものを学生に提供し得るようにすべきではなかろうかという教育上の反省から、いままでの学部制度と違った教育のシステムを考えたというのが基本になっておるわけでございます。そこのところから学群という総合的な教育をやりやすくするような教育システムと、教官の組織としての学系というものを構想いたしました。いままでの学部、学科制というものに対して、そういう新たな構想の大学を構想する、これは一つの試みで、許容さるべきことだと思うのでございます。そして大学紛争の過程を通じまして、大学の学部、学科制その他に対する弾力化、もう少し違った形の教育のシステムを考えてもいいではないかという声はたくさんございまして、現行の制度がいわば非常にかた苦しいものとしてとられてまいりました点を弾力化するということは、多くの大学関係者の希望されるところでございました。  そこで、原則論から申しますならば、そうした弾力化を先にしておいて、そして筑波でどのような具体的な構想を考えるかという論理と相なってくるかと思います。しかし、大学の改革は抽象的にだけ考えられるものではございません。やはり筑波のように、具体の内容として構想がまとまってまいりまして、それを制度の上でどういうふうに生かしていけるかということを考えなければならぬわけでございます。でございますから、今回筑波大学は学部、学科制をとらない、新しい総合的な教育システムとしての学群を考える、こういうことを筑波大学の組織として国立学校設置法に書いていく必要がある。しかしそのためには、御指摘のように国公私立にわたります原則法であり一般法であります学校教育法におきまして、学部以外の組織を取り得るという許容を得ておかなければ筑波大学もできないということに相なろうかと考えまして、そこで今回御提示申し上げております法律案では、第一条で、一般国立学校の従来の例によります新設等を規定し、第二条で学校教育法の原則上の許容、弾力化ということ、学部あるいは医学の医進課程二年、専門課程四年という取り扱いの弾力化ということもまた考える。副学長のことも制度として考える。こういう一般的な制度の弾力化等の措置を講じまして、その上で第三条という規定を新たに起こしまして国立学校設置法の中に筑波大学をつくる、こういうシステムにしたわけでございます。よってこの法律の構成は、いま安里委員御指摘がございましたような一般則というものを重視しながら、しかもそれを筑波との関連で一緒に御検討願えるような、そういう立法上の構成をとった次第でございます。
  267. 安里積千代

    ○安里委員 確かにこの法律によりまして、国立学校設置法の第三条が改正になっておるわけであります。そこで、学校教育法第五十三条、ここから生まれておるということも理解されるわけです。同じく教育基本法というのが原則的な基本法であるということを考えまするならば、五十三条が改正になって——この五十三条のことにつきましてはあとでちょっと触れたいと思うのでございまするが、ただし書きの「特別の必要がある場合においては、単に一個の学部を置くものを大学とすることができる。」という条項を削りまして提案されておるようなぐあいになっておるわけでございます。  それで、私の申し上げたいのは、大学教育の立場から従来の学部を廃して、筑波大学に関するものであるというよりは、新しい大学の構想といたしまして、学群、学系というような学部にかわるところのものを置くということを、基本的な学校教育あり方としてもし方向づけたとしまするならば、学部を置く、これがまあ原則。大学なら学部を置く、まあ「常例とする。」ということばを使っておりますが、そうしてただし必要に応じ、また有益な適切な場合においては他の組織を置くと非常に抽象的に書かれておるわけでございまするけれども、むしろ大学教育あり方として、筑波大学が法案にありまするように学部にかわるものとして学群、学系を置くとするならば、これははっきりと第三条の中において、そういう方向で、必要上あるいは有益、適切な場合においては学部にかわってこれも置くことができる、抽象的に、他の組織ということをせずに、そういう方向で学校教育大学教育を進めるのだということがむしろ第三条において明示さるべきものではなかろうか、こう思うから申し上げているわけです。
  268. 木田宏

    木田政府委員 御指摘の点は確かに一つの御意見であろうかと思います。しかし、学部、学科制を改めたいという場合のいろんな弾力化の御意見につきましては、いろいろな考え方がなおあり得るわけでございまして、私どもは、筑波大学で考えられました学群、学系という制度が、その例外的な場合の唯一のものだというふうには考えないほうがよろしいんではないか、こう思った次第でございます。ですから、学部、学科制をとらない場合の試みとして、筑波大学では学群、学系という制度を考えることにした。しかし、学校教育法の原則の上で筑波のパターンだけが例外だというふうに規定をいたしますことは、かえって他の大学の弾力的な改革意欲というものを阻害することにもなりかねませんから、学校教育法の原則の上では学部以外の組織をとり得る、これが充実したものであれば学部という制度でなくてもいいという幅広い規定にさしていただく、このほうがよろしい。そして筑波大学考え方は筑波大学のものとして規定をさしていただいたほうが、今回の改正の趣旨に適するのではないか、こう考えた次第でございます。
  269. 安里積千代

    ○安里委員 確かに皆さん方の御説明の中に、その趣旨はうかがわれるのであります。筑波大学のこのやり方の成果がほかの大学の参考やあるいはまた刺激にもなって、そうして他の大学の改革にも大きくプラスになることを期するということもございまするし、あるいは筑波と同じような解答を出す大学もあるだろうし、別の構想を出す場合もあるだろうし、他の大学の自主性というものを尊重する、こういう立場で、広い意味においてこれがなされたという、だから一つの、特に学群、学系という固定したものを出さなかったんだというところの趣旨は、私も理解できるわけです。私がこのことを申し上げるのは、これがはっきりしまするならば、あるいははっきりしませんでも、いまの国立学校設置法の第三条でございますか、大学の位置、名称、そして別の表がなされております。筑波大学をつくりますならばつくるとして、設置法の中におきまして、この第三条の国立大学の名称、位置及び、これは学部でございますが、別表のとおりだということでございますので、この中に筑波大学を入れるということによりまして、筑波大学設置できます。そうして学部にかわるところの表として、いま問題になっておりまするところの学群、学系の表というものを入れることによりまして、私は持に一章を設けませんでもこれができるんだ。特に筑波大学の一章を設けることによって、この法律は非常に変なぐあいになり、せっかく設置法の第三条において、国立大学の位置、名称というものがうたわれておりますし、そして変わるのは学部にかわる学群、学系があるというだけでございます。そこで、学校教育法の中に、この特別の組織の一つの特例といたしまして学群、学系、そして学群、学系という場合にはこうだということは、教育の基本として学校教育法の中にこれは織り込む。そうして設置法の中におきましては、第三条の表の中に筑波大学を入れる。と申しますのは、学部の問題も、学群、学系の問題も、私はこれは組織というよりも、設置法の中に入れるべきではなくして、むしろ教育の基本に関する問題だ。これはどこに入れるかという単純な問題じゃなくして、大学に学部を置く、これも大学内容といたしまして教育の基本的な問題、そして学群、学系を置く、これも学部と同じように教育の基本的な問題であります。ですから、このことは学校教育法の中に入れまして、これを受けて、設置法においての筑波大学の表の中に、この学校教育法で示されましたところの基本的な学群、学系を入れる、こういう形にならなければ、学校教育法からこれが生まれてきたんだということが私はちょっと形において逆になるんじゃないか、そういうことです。だから、組織のために、学校のために教育内容というのを改めたという印象というものを非常に受けて、そこに、学問よりも大学の管理というものを重視するんだというような、誤解と申しますか、非難を受けるところのもとがあるのではないか。これは私はできることだと思うのです、立法技術上として。そういうことは考えられたことはございませんか。
  270. 木田宏

    木田政府委員 学校教育法の中に、学部以外の組織として、学群、学系その他何がこうという書き方もいろいろ考えたのでございますけれども、しかし学群、学系というのは、いろいろの大学の改革意見の中で、東京教育大学が筑波において考えたいという、非常に個々具体のものでございます。ですから、これを学校制度一般というか、一般化した形として、一般法である学校教育法の中に学群、学系ということばを持ち込みますことは、まだ時期尚早であるし、今回の措置としてもそれは当を得たものではない。やはり東京教育大学が弔え、筑波大学でこれを実現しようとしている一つの試みということで、筑波で独自のものとして立法上位置づけることが適切であろう。そのために、学校教育法では、それらを含めた、なお教育研究上の基本となる組織やほかの考え方もあり得るかもしれないということを踏まえながら、一般則としては抽象的に書くほかはないというふうに考えた次第でございます。
  271. 安里積千代

    ○安里委員 そうしますと、この法の目ざすところは、これが一つのモデルと申しますか、その一つの刺激になり、場合によっては、他の大学におきましても、それぞれ学制の改革あるいはいろいろな案というものがよりよいものが生まれてくるかもしれぬ。そうしますと、ほかの大学においてこれと異なった構想が生まれて、そうして大学の自主的立場から——いま教育大学がプランを出し、意見を取り入れてつくったということを言われておりまするけれども、他の大学においてこれと異なったところの構想のもとに新しい大学を構成しようと思いまする場合には、やはりこれと同じような形でもって、設置法の中にそれぞれの大学の条項をみな設けて改正をされていく、こういうようなことが予想されまするけれども、そのとおりですか。
  272. 木田宏

    木田政府委員 将来のことでございますが、そういう別の構想が、これまた意味のあるものだというふうに考えます場合には、同じようにそれがまた実現できるような立法上の措置を考えなければならぬというふうに思う次第でございます。安里委員も御案内のことでございますが、戦前は学校ごとに官制をつくったという時代もございまして、ですから、一つ一つ学校ごとに意味のある組織でありますならば、特色ある組織をつくるということもまた大学あり方を考えていきます場合には、われわれとして用意しておかなければならぬ。何か一つのパターンだけで全部の大学をきめてしまう、こういうことでないほうがいいんじゃないかという気持ちは持っておる次第でございます。
  273. 安里積千代

    ○安里委員 ほかの大学を拘束するものじゃなくて、各大学のそれぞれの自主的立場を尊重するということがよく言われるわけでございまするけれども、一応こうしたことがねらいにあるんだということを私は理解したかったのであります。  ただ、私は学校教育法を読んでみまするというと、どこまでが組織であり、どこまでが教育の基本に触れる問題であるかということに対しましては、どこで線を引くかということが、これはある程度むずかしい問題だと思って考えております。しかし、少なくとも学長を置く、副学長を置くこういったことは、単なる組織じゃなくして、これは大学教育というものは当然、学校運営と相マッチしていかなければならぬ問題だと思って考えております。だから、学長あるいは副学長といったものも、これは学校教育法に規定されております。決して組織であるところの設置法には規定をされておりません。そうしてまた、大学には「教授会を置かなければならない。」こういう規定もございます。これも、教授会は本来ならば、組織ということも言えないとも限りませんけれども大学には「教授会を置かなければならない。」という規定がございます。これは、教育の自主性あるいは大学教育というものを進めていく上において、最も大事な部門であるという意味において、基本法だる学校教育法の中に「教授会を置かなければならない。」というふうに規定づけられておると思います。その趣旨からしまするならば、筑波大学には教授会というものはないんでしょう。そうしてそこにかわるべきところのものが出てまいりますね。「教授会を置かなければならない。」ということは筑波大学にも同様に適用されてきますか。
  274. 木田宏

    木田政府委員 学校教育法で大学に教授会を置くという規定は、筑波大学にも同じように適用がございます。
  275. 安里積千代

    ○安里委員 そうしますならば、学校教育法におきまするところの教授会の任務と、筑波大学におきまするところの教授会の任務は、学校教育法によりますとその権限の差というのはどうなってまいりますか。学校教育法の五十九条には「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」とあります。そうして今度は、筑波大学法には、大学の運営に関する重要な事項を審議し云々ということがございまするが、この権限とのそごというものは生まれてきませんか。
  276. 木田宏

    木田政府委員 学校教育法におきましては、いま御指摘のように第五十九条におきまして「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」こう書いてございます。この重要事項と申しますのは、教授会が置かれるその組織によってそれぞれ中身もまた違ってくることがあり得るというふうに考えております。教授会は、単科の大学でございますならば、もう大学全体に教授会が置かれますが、多くの場合は学部ごとに置かれる、また研究所に置かれる、全学的な施設等がございますならば、そこにもまた教授会という構成ができてまいりますが、教授会の付置されましたその組織の持っております権能の中の重要事項が教授会の重要事項になってくるというふうに思う次第でございます。  筑波の場合には学群、学系等に教授会というものができることに相なろうかと思いますが、筑波大学の関係では、従来の教授会と学群、学系の教授会の内容がおのずから違ってくる面がございますので、教員会議という呼称でいままでいろいろな作業をし、検討を進めてまいっておりますが、法令上は学群、学系に教授会が置かれるということになろうかと思います。その内容は、これは学群、学系の重要事項を取り扱うということになるわけでございます。また評議会は、全学の重要事項を審議するということになりますので、おのずから取り上げる中身につきましても区分がある、こういうことであろうと思います。
  277. 安里積千代

    ○安里委員 私、質問中でございますけれども、打ち合わせがありますので、中断いたします。
  278. 田中正巳

    ○田中委員長 ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止〕
  279. 田中正巳

    ○田中委員長 速記を始めて。  この際、暫時休憩いたします。    午後四時五十八分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕