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1973-09-20 第71回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年九月二十日(木曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 山中 吾郎君    理事 木部 佳昭君 理事 小坂徳三郎君    理事 坂村 吉正君 理事 井岡 大治君    理事 松浦 利尚君 理事 小林 政子君       上田 茂行君    高橋 千寿君       三塚  博君    山崎  拓君       金子 みつ君    中村  茂君       荒木  宏君    有島 重武君       石田幸四郎君    和田 耕作君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画政務次         官       橋口  隆君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         通商産業政務次         官       塩川正十郎君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君     ――――――――――――― 委員の異動 九月二十日  辞任         補欠選任   野間 友一君     荒木  宏君 同日  辞任         補欠選任   荒木  宏君     野間 友一君     ――――――――――――― 九月十九日  物価抑制に関する請願田中美智子紹介)(  第一〇八三二号)  同(村上弘紹介)(第一〇八三三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 九月二十日  建築資材異常価格抑制に関する陳情書  (第七七〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  物価問題等に関する件  緊急物価対策の推進に関する件  請願   一 物価安定対策の確立に関する請願(鈴木     善幸紹介)(第三四二号)   二 公共料金値上げ反対に関する請願(多     田光雄紹介)(第八四〇号)   三 同(小川新一郎紹介)(第一三一一     号)   四 同(沖本泰幸紹介)(第一三八九号)   五 同(瀬野栄次郎紹介)(第一三九〇     号)   六 同(大久保直彦紹介)(第一七一八     号)   七 同(小濱新次紹介)(第一七一九号)   八 同(坂井弘一紹介)(第一八一七号)   九 同(鈴切康雄紹介)(第一八一八号)   一〇 同(有島重武君紹介)(第一八八八      号)   一一 同(梅田勝紹介)(第二〇三四号)   一二 木材建設資材異常価格引下げに      関する請願岡本富夫紹介)(第二      二九一号)   一三 同(井岡大治紹介)(第二三六四      号)   一四 同(北側義一紹介)(第二三六五      号)   一五 公共料金値上げ反対に関する請願      (近江巳記夫紹介)(第二三六六      号)   一六 公共料金値上げ反対に関する請願(塚      田庄平紹介)(第二三六七号)   一七 木材建設資材異常価格引下げに      関する請願久保三郎紹介)(第二      五三八号)   一八 生活物資安定供給に関する請願(鈴      木善幸紹介)(第二五三九号)   一九 公共料金値上げ反対に関する請願      (平田藤吉紹介)(第二六〇一号)   二〇 同(北側義一紹介)(第二六九五      号)   二一 公共料金値上げ反対に関する請願(梅      田勝紹介)(第二八四三号)   二二 同(津金佑近君紹介)(第二九三九      号)   二三 公共料金値上げ反対に関する請願      (金子満広紹介)(第二八八六号)   二四 木材建設資材異常価格引下げに      関する請願阿部哉君紹介)(第二      九四〇号)   二五 同(有島重武君紹介)(第二九四一      号)   二六 同(木島喜兵衞紹介)(第二九四二      号)   二七 同(北側義一紹介)(第二九四三      号)   二八 同(久保三郎紹介)(第二九四四      号)   二九 同(山田耻目君紹介)(第二九四五      号)   三〇 生活関連物資の価格安定に関する請願      (赤城宗徳紹介)(第二九四六号)   三一 公共料金値上げ反対に関する請願      (神崎敏雄紹介)(第二九七三号)   三二 同(広沢直樹紹介)(第二九七四      号)   三三 木材建設資材異常価格引下げに      関する請願青柳盛雄紹介)(第三      〇九四号)   三四 同(石母田達紹介)(第三〇九五      号)   三五 同(中路雅弘紹介)(第三〇九六      号)   三六 同(増本一彦紹介)(第三〇九七      号)   三七 同(大野潔紹介)(第三一七五号)   三八 同(正木良明紹介)(第三三五九      号)   三九 同(松本忠助紹介)(第三三六〇      号)   四〇 公共料金値上げ反対に関する請願      (荒木宏紹介)(第三四四〇号)   四一 同(神崎敏雄紹介)(第三四四一      号)   四二 同(東中光雄紹介)(第三四四二      号)   四三 同(正森成二君紹介)(第三四四三      号)   四四 同(三浦久紹介)(第三四四四号)   四五 同(三谷秀治紹介)(第三四四五      号)   四六 同(村上弘紹介)(第三四四六号)   四七 同(寺前巖紹介)(第三五一〇号)   四八 同(平田藤吉紹介)(第三五八七      号)   四九 木材建設資材異常価格引下げに      関する請願新井彬之君紹介)(第三      五八四号)   五〇 同(広沢直樹紹介)(第三五八五      号)   五一 同(松尾信人紹介)(第三五八六      号)   五二 同(田邊誠紹介)(第三六九八号)   五三 公共料金値上げ反対に関する請願      (浦井洋紹介)(第三八五一号)   五四 木材建設資材異常価格引下げに      関する請願神崎敏雄紹介)(第三      九二六号)   五五 同外三件(中川利三郎紹介)(第三      九二七号)   五六 同外三件(中路雅弘紹介)(第三九      二八号)   五七 同外二件(東中光雄紹介)(第三九      二九号)   五八 同(増本一彦紹介)(第三九三〇      号)   五九 公共料金値上げ反対に関する請願(      浦井洋紹介)(第三九九四号)   六〇 同(木下元二紹介)(第三九九五      号)   六一 同(木下元二紹介)(第四〇九八      号)   六二 木材建設資材異常価格引下げに      関する請願外一件(稲富稜人君紹介)      (第四〇九五号)   六三 同(神田大作紹介)(第四〇九六      号)   六四 同(和田耕作紹介)(第四〇九七      号)   六五 同(阿部未喜男君紹介)(第四二六四      号)   六六 同(石母田達紹介)(第四二六五      号)   六七 同外一件(小濱新次紹介)(第四二      六六号)   六八 同外二件(坂井弘一紹介)(第四二      六七号)   六九 同(瀬野栄次郎紹介)(第四二六八      号)   七〇 同(河村勝紹介)(第四二七八号)   七一 同(諫山博紹介)(第四三三〇号)   七二 同(石母田達紹介)(第四三三一      号)   七三 同(井岡大治紹介)(第四四五八      号)   七四 同外一件(板川正吾紹介)(第四四      五九号)   七五 同(稲葉誠一紹介)(第四四六〇      号)   七六 同(岩垂寿喜男紹介)(第四四六一      号)   七七 同(岡本富夫紹介)(第四四六二      号)   七八 同(金子みつ紹介)(第四四六三      号)   七九 同(清水徳松紹介)(第四四六四      号)   八〇 同(竹内猛紹介)(第四四六五号)   八一 同(広瀬秀吉紹介)(第四四六六      号)   八二 同(武藤山治紹介)(第四四六七      号)   八三 同(湯山勇紹介)(第四四六八号)   八四 同(渡辺三郎紹介)(第四四六九      号)   八五 同(岩垂寿喜男紹介)(第四五八四      号)   八六 同(大柴滋夫紹介)(第四七一八      号)   八七 同(河上民雄紹介)(第四七一九      号)   八八 同(小林進紹介)(第四七二〇号)   八九 同(佐々木更三君紹介)(第四七二一      号)   九〇 同(下平正一紹介)(第四七二二      号)   九一 同(田中武夫紹介)(第四七二三      号)   九二 同(竹村幸雄紹介)(第四七二四      号)   九三 同(楯兼次郎君紹介)(第四七二五      号)   九四 同(横山利秋紹介)(第四七二六      号)   九五 同(木下元二紹介)(第四九七一      号)   九六 同(平田藤吉紹介)(第四九七二      号)   九七 公共料金値上げ反対に関する請願(      野間友一紹介)(第五〇一一号)   九八 同(浦井洋紹介)(第五一四七号)   九九 同(木下元二紹介)(第五一四八      号)  一〇〇 物価抑制等に関する請願石母田達君      紹介)(第五〇一二号)  一〇一 同(中路雅弘紹介)(第五〇一三      号)  一〇二 同(増本一彦紹介)(第五〇一四      号)  一〇三 同(石母田達紹介)(第五二九一      号)  一〇四 物価抑制に関する請願田中美智子君      紹介)(第五二九〇号)  一〇五 同(有島重武君紹介)(第五四二八      号)  一〇六 木材建設資材異常価格引下げに      関する請願山田太郎紹介)(第五      九三八号)  一〇七 同外一件(渡部一郎紹介)(第五九      三九号)  一〇八 物価抑制に関する請願石母田達君紹      介)(第六一一五号)  一〇九 同(石母田達紹介)(第六一九二      号)  一一〇 木材建設資材異常価格引下げに      関する請願柴田睦夫紹介)(第六      一一六号)  一一一 同外三件(林孝矩紹介)(第六三六      八号)  一一二 物価抑制等に関する請願大出俊君紹      介)(第六四三〇号)  一一三 同(広瀬秀吉紹介)(第六四三一      号)  一一四 公共料金値上げ反対に関する請願(      小林進紹介)(第六七七九号)  一一五 同(田中武夫紹介)(第六七八〇      号)  一一六 同外一件(八木一男紹介)(第六七      八一号)  一一七 同(山崎始男紹介)(第六七八二      号)  一一八 木材建設資材異常価格引下げに      関する請願平林剛紹介)(第七一      一三号)  一一九 公共料金値上げ反対に関する請願(      木下元二紹介)(第七三一三号)  一二〇 同(斉藤正男紹介)(第七三一四      号)  一二一 同(山崎始男紹介)(第七三一五      号)  一二二 同(横路孝弘紹介)(第七三一六      号)  一二三 同(小林進紹介)(第七三八四号)  一二四 同(芳賀貢紹介)(第七三八五号)  一二五 同(田口一男紹介)(第七三八六      号)  一二六 大手商社の反社会的行為取締りのため      の法律制定に関する請願阪上安太郎      君紹介)(第七三一七号)  一二七 物価抑制に関する請願神門至馬夫君      紹介)(第七三一八号)  一二八 木材建設資材異常価格引下げに      関する請願外二件(板川正吾紹介)      (第七三八一号)  一二九 同(高田富之紹介)(第七三八二      号)  一三〇 同(八木一男紹介)(第七三八三      号)  一三一 大手商社の反社会的行為取締りのため      の法律制定に関する請願村上弘君紹      介)(第七五七〇号)  一三二 公共料金値上げ反対に関する請願(      広沢直樹紹介)(第七五七一号)  一三三 同(浅井美幸紹介)(第七七二三      号)  一三四 同(石母田達紹介)(第七七二四      号)  一三五 同(中路雅弘紹介)(第七七二五      号)  一三六 同(平田藤吉紹介)(第七七二六      号)  一三七 同(増本一彦紹介)(第七七二七      号)  一三八 物価抑制に関する請願有島重武君紹      介)(第八〇二二号)  一三九 公共料金値上げ反対に関する請願(      中川利三郎紹介)(第八〇七四号)  一四〇 大手商社の反社会的行為取締りのため      の法律制定に関する請願近江巳記夫      君紹介)(第八三〇六号)  一四一 公共料金値上げ反対に関する請願(      荒木宏紹介)(第八五五七号)  一四二 木材建設資材異常価格引下げに      関する請願寺前巖紹介)(第八六      二七号)  一四三 同(瀬崎博義紹介)(第九四六九      号)  一四四 同(川俣健二郎紹介)(第九七九五      号)  一四五 同(田口一男紹介)(第九七九六      号)  一四六 同(山本政弘紹介)(第九七九七      号)  一四七 公共料金値上げ反対に関する請願(      神崎敏雄紹介)(第一〇二五三号)  一四八 物価抑制等に関する請願土橋一吉君      紹介)(第一〇三〇七号)  一四九 物価抑制に関する請願田中美智子君      紹介)(第一〇八三二号)  一五〇 同(村上弘紹介)(第一〇八三三      号)      ――――◇―――――
  2. 山中吾郎

    山中委員長 これより会議を開きます。  本日の請願日程全部を一括して議題とし、審査に入ります。  各請願の内容については、文書表で御承知のことでありますし、また、理事会において御検討願いましたので、この際、各請願について、紹介議員よりの説明聴取等は省略し、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山中吾郎

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  おはかりいたします。  本日の請願日程中、第一、第一八、第三〇、第一〇四、第一〇五、第一〇八、第一〇九、第一二六、第一二七、第一三一、第一三八、第一四〇、第一四九及び第一五〇の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山中吾郎

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山中吾郎

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  6. 山中吾郎

    山中委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、物価抑制に関する陳情書外十一件であります。この際、御報告いたします。      ————◇—————
  7. 山中吾郎

    山中委員長 次に、閉会審査申し出の件についておはかりいたします。  本委員会といたしましては、閉会中もなお審査を行なうため、物価問題等に関する件につきまして、議長に対し閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山中吾郎

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、申し出手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。  次に、ただいま申し出ることに決しました閉会審査案件が付託になり、現地調査の必要が生じました場合には、議長に対し委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 山中吾郎

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣委員の氏名、員数、派遣地、期間その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 山中吾郎

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。      ————◇—————
  11. 山中吾郎

    山中委員長 物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子みつ君。
  12. 金子みつ

    金子(み)委員 経済企画庁にお尋ねいたさせていただきたいと思います。  先般、この委員会できまりました生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律、これが成立いたしまして即日施行されましたので、この法律の中で一番山といわれ、目玉商品のようにいわれておりました物価調査官というものが設定されたわけでございますね。七月の十四日に百六十八名でございますか、関係の三つの役所の中に物価調査官がきめられて、そして活動を開始したということになっていると思います。  それで、今日ただいまの時限では大体二カ月になるわけでございますが、この任命された物価調査官方たち活動が、任命されてから一カ月たった時点でどのような活動があったかというようなこと、あるいはまた今日どのような効果があがっているかということにつきまして、説明していただければと思います。
  13. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 物価調査官は、仰せのように例の買占め売惜しみ防止法目玉のようなものでございまして、この活動によりまして同法の所期の効果があがるかどうかが決せられるといっても過言ではないと存じます。  ただいまのところ、経済企画庁から十一名、農林省から百三十八名、通産省から九十九名、厚生省から三名、二百五十一名の調査官が働いておるわけでございまして、この調査官は、本来その役所において仕事を持っている者が、特にその本務のほかに調査官を拝命しているということでございます。  対象物資は、これも御承知のことと存じますが、念のため申し上げますと、大豆、大豆油、大豆油かす、丸太、製材、合板、綿糸、綿織物、医療用ガーゼ、羊毛、流毛糸流毛織物、生糸、絹織物、灯油という十五品目になっておるわけでございます。  これができましてから、いわゆるにらみというのですか、役所が目を光らせておるということも非常に機能しておるように思うのでございまして、この指定物資につきましては、目下のところ買い占め売り惜しみ状況が顕著であるというものも見られませんし、その価格等においても漸次落ちつきを見せておるわけでございます。私どものほうとしては、立入検査等の機能もございますものですから、ものによってはこれをやらなければならぬと思っておりますが、その場合には必ずひとつ成果のあるような形にいたしたいと思いまして、種々の面で調査を進めておる、かような状況でございます。
  14. 金子みつ

    金子(み)委員 この法律ができましたのが、時期的にちょうど一番物価の高騰がひどかった当時、そして売り惜しみあるいは買い占めが行なわれているのではないかという疑いが非常に持たれました当時、そういう時期は実は去年の秋からことしの春にかけての時期だったと私は記憶いたしております。この法律はそれを踏まえてできたものとも理解いたしますけれども、そういうことで時間的なズレというものがあるような感じがいたします。ですから、たとえば、いまお話もございましたのですけれども、業者の人たちとしてみれば、政府が見ている、目を光らせているという精神的な関心のようなものが、注意のようなものがあったということも事実のようでございますから、この点は、長官が盛んにそれを主張していらっしゃいましたから、わが意を得たりというお気持ちでいらっしゃるだろうと私は思うのですけれども、ところが、実際には物価はそのころは値下がりが始まっていたわけですね。それでもう供給もふえてきましたし、それから相場のほうも行き着くところまで行ってしまって、今度は下り坂というような時期になってきて、そしてその法律ができて調査官活動を開始するというようなことになったのじゃないかというふうな気がいたしますので、目ざましいものはもちろんないわけでございますし、何かそこら辺のズレが、一口に申しますれば非常に残念であったような気もいたします。  それからいま一つ、特に厚生省の所管の医療用ガーゼなんかにつきましては、当時は一反四百円もいたしておりましたし、病院でも診療所でも、もちろん大きな病院でもガーゼが手に入らないということで、これはほんとうに国民の命にかかわるという問題になりまして、私はそのときたしか質問させていただいたと覚えております。そういうようなことがその当時ありましたが、そういう時期は過ぎてしまって、今日ではガーゼは二百五十円に下がってきているわけでございます。  そういうふうなわけで、何かタイミングが悪くて思うような進み方がしていないのでございますが、これは今後の活動に期待するというふうに考える以外に方法はないのかしらというふうに思うのでございますけれども、そういう点は、言うなれば、こういう物価調査官が派遣されて、そして伝家宝刀を抜くなんということがない状態にあることが望ましいということは言えると思うのでございます。しかし今後、過去のようなことが、暮れから春にかけてのような事態が起こる場合には、これはそのような伝家宝刀を抜くというような事態も起こるでございましょうか。あるいはやはり抜かないでやっていこうというふうにお考えなのでございましょうか。
  15. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 伝家宝刀ということばがございましたが、まさに私どもそう思っておりまして、この無言の圧力と申しますか、何かすればたちどころに問題として摘発されるというかまえが非常に大事だと思っております。私ども、その事態を常に注意深く見ておりまして、問題がございますれば直ちに発動いたす考えでございます。  また、かりにこの十五品目の中にございませんものについても、そういうおそれがあって、皆さまがどうしてもこれを指定したほうがいいというお気持ちが強いものについては、今後も指定することを決してちゅうちょするものではないわけでございます。  ただ、おことばにございましたように、やはり燃え盛る時期を過ぎてしまったじゃないかという点は、私もおことばのように考える点も多いわけでございまして、よく後手ということばがございますが、多少そういう点は反省しなければならぬというように思っておりますが、今後はさようなことがないようにいたしたいと思っておる次第でございます。  それからもう一つ、立ちました機会に申し上げておきますが、最近は、ああいう大手の単独の買い占め売り惜しみというあの当時の、私どもお互いに心配をいたしましたもののほかに、非常に広範な層にわたってもう何万件というものが少しずつ買い占め買いだめをする、これが非常に全体のバランスを失しているという問題があると存じます。ことに、実は他の委員会での話でございましたが、ある業界の参考人などは、物が三〇〇%、つまり三倍ですね、になっているというようなことを平気で言うわけでございますね。物ができないならそういうこともございましょうけれども、物はちゃんと生産されている。供給面で特段の差がないのに、何割じゃなくて何百%という、何倍にもなるということが一体あっていいのであろうか。そういうことを、供給に携わっている責任者があたかも当然のことのように言う、その考え方のほうが問題だという感じが私としてはいたしたこともございました。何かこういう問題についてやはり適切な手を打たなければならぬのじゃないかという気はいたしておるわけでございます。
  16. 金子みつ

    金子(み)委員 それでは重ねてお尋ねさせていただきますが、前回ちょっとお尋ねした件でございますけれども、輸入物資が横浜港と神戸港に到着して、そうして商社の倉庫に入り切らないために、コンテナヤードに積み上げたままになっていたり、はなはだしいのははしけの上に載せたままで一週間も一カ月も積み上げてあったという事件がございました。しかも、これが七月、八月というあの暑い盛りの時期でございましたわけです。それで、このコンテナヤードに積み上げられた、あるいははしけの上に載っかったまんまになっているという中身が、まあ綿花とか羊毛とかゴムとか、こういうものはいいといたしましても、中にはお肉や魚がなまのまま入っていた冷凍庫があったわけでございますね。この冷凍庫が、電気を通じて冷やしておっても間に合わなくて、そうしてとうとうこの肉や何かが腐り始めてウジがわいているというような状態もございました。それで、この問題について、荷上げをやっている人たちなんかの話を聞きますと、商社の人たちは、ときどき見にくるけれども、これは少々くらい腐ってもいいんだ、値上げを待って売れば決して損はしないんだという言い方をしている。たまたまそのころがちょうど魚に、メチル水銀やPCBで汚染されていて非常に危険だという問題が起こっていた時期でございましたので、一般の家庭では魚を避けてお肉のほうに寄っていくわけです。それで、それを見込んで商社がそういう態度に出ているというふうに私どもは理解していたわけでございます。  この場合に、すでに物価調査官が設置されていた時期でございましたから、物価調査官がこういう問題については活動を開始できないのだろうかということをお尋ねいたしました。そうしましたら、小島局長がそのとき答弁してくださいまして、肉は指定品目に入っていないとおっしゃるのですね。だからそれは手を出すことになってないというお話でございました。私は非常にびっくりしたのですけれども、生活必需物資の中に食料品はもちろん幾つか、いまお話がございましたように入っておりますけれども、肉や魚が入っていないということはちょっと理解できないのですが、これはどういうことでございましょうか。いま長官は、もし必要なものだったら今後指定することもやぶさかでないという意味のお話がございましたので、この問題は、やはり指定物資として考えていただけないかどうか、入れていただきたいと実はお願いをしたいわけなんですが、お考えはいかがでございましょうか。
  17. 小島英敏

    ○小島政府委員 この前、金子先生からそういうお話ございまして、農林省のほうとも相談いたしたわけでございますけれども、新聞に確かに一部、肉なんかがどんどん腐っているのに値上がりを待っているのだというような報道がなされたことは事実でございますけれども、農林省等と確かめましたところ、商売人としてそういうことはあり得ないというのですね。どんどん腐っているのに値上がりを待っているというようなことは、常識から考えてもあり得ないことでございまして、実態はやはり倉庫の不足というところに基本的な原因がある、こういうふうに私どもは判断をいたしております。  最近輸入物資が非常な勢いでふえておりまして、去年に比べて二倍近くにもなっているということで、一般に輸入物資の保管施設の不足というものが非常に顕著になっている。特にその中でも冷凍施設、冷凍倉庫が著しく不足していたようでございまして、特に横浜がはなはだしかったということでございます。しかし、幸い秋から横浜のそういう能力が非常に顕著にふえるということでございまして、どうやらそういう問題も山を越したというふうに判断をいたしております。  それから、法律に指定できないかということでございますが、これは顕著に値上がりし、あるいは値上がりするおそれがある物資で、しかもその原因が買い占め売り惜しみに基づくものと推定されます場合にこの法律で指定するというわけでございまして、確かに先生おっしゃいますように、肉の動きがやや強い、値段が強調的であるということは事実でございますけれども、どうもこれは基本的に需給の関係、需給と申しましても仮需要、思惑的なものではなくて、やはり所得の上昇に伴って肉に対する需要が非常に強くなる。しかも、先ほど先生もおっしゃいました魚の汚染の問題が一時特に肉の需要を強くしたということは事実でございまして、それに対してどうも国内の供給が伴わない、そこに基本的に肉の価格がやや強くなってくる原因があるというふうに判断いたしております。  そのために、この供給不足を補う道はもちろん国内の生産基盤の強化ということが基本でございますけれども、同時に輸入というものに非常に強くいま力を傾けているわけでございまして、牛肉につきましては、先般も発表いたしましたように、上期の割り当て額を前年同期の三倍ということで、現在輸入が非常にふえつつございます。それから豚肉につきましても、最近の輸入量は一年前の約二・五倍ということで非常に顕著にふえつつあるわけでございまして、特に今回、豚肉についての関税の軽減期間というものを二カ月延長いたしまして、極力肉の相場を冷やすように努力いたしているわけでございます。ごく最近の動きは、そういう動きも反映いたしまして落ちつきを示し始めているというふうに理解いたしております。  したがいまして、今後といえども——肉のようなものは生活必需物資であることはおっしゃるとおりでございますから、もし買い占め売り惜しみ、そういうものが原因で値上がりが進むということが認められました場合には、これはちゅうちょなく指定をいたす考えでございます。
  18. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 いま局長が申し上げたとおりでございますが、おことばはできるだけ私も尊重いたしまして、実態に合うように努力したいと考えます。
  19. 金子みつ

    金子(み)委員 肉類の問題につきましては、今後の状態を見ながら、ぜひ適切な処置をとっていただきたいとお願いを申し上げます。  その次にお尋ねしたいと思っております問題は、最近FAOの報告もございましたけれども、飼料穀類の値段の暴騰、急騰でございます。報告にもございましたけれども、畜産物の需要と、それから飼料にする穀類の生産高とのバランスがとてもとれないということで、非常に飼料が不足するであろうということでございます。飼料が不足するであろうということになりますと、勢い畜産物の生産高も減るということになって、そうすれば値段が上がってくるであろうということは、必然なことながら考えられるわけでございます。  この問題につきましてそういうことが考えられると思っておりますやさきに、日本では飼料を全面的に外国から輸入しているという形をとっておりますために、非常に問題が起こってくるのじゃないかということも想像されます。もうこの九月の一日から、飼料はトン当たり二〇%、一万円から一万二千円も値上がりになっておりますし、同時に、敏感ですから牛肉も豚肉も上がってしまいました。それから、二十年間十五円程度で上がらなかった卵が、いま二十三円から二十五円というふうに上がりました。これは鶏の飼料の関係と思いますが、こういうふうにいたしまして、どんどん、どんどん何でも上がっていくだろうというふうに想像がつきます。  それですから、日本の場合、いま申しましたようにほとんど一〇〇%といってもいいくらい外国に飼料を依存しておる、特にアメリカには九〇%以上ですか依存しておりますから、その結果は非常にみじめなことになるのじゃないだろうかというような心配がございますが、この点の政府のお見通しと、対策をどのようにお立てになろうとしていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。
  20. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 飼料問題は、最近国際価格が非常に高騰いたしておりまして、その関係もございまして、昨年十二月以降本年三月までの間に、トン当たり約八千円、さらに九月に入ってからトン当たり約一万円の値上がりを見ております。  このような配合飼料価格の引き続く大幅な上昇は、お話のように畜産物価格に非常に悪影響を及ぼすおそれがございますので、農林省が中心になりまして飼料緊急対策を決定いたしまして、畜産農家が購入する配合飼料費の一部につきまして金利は年四分の融資措置をとることにいたしますとともに、現行の配合飼料価格安定基金を拡充し、畜産農家に対して、本年十月から来年三月までの間トン当たり三千円、総額二百二十六億円の補てんを行なうこととしており、その間の財政措置が不足いたしますので、二百十一億円を国が別途検討の上補てんをするということを先般の閣議できめたわけでございます。そういうような措置によりまして、できるだけ飼料価格の高騰が畜産物の価格上昇に影響しないようにつとめておりますが、かたがた、国内の自給飼料の問題もできるだけ拡張いたしますように努力したいと考えております。  飼料をずいぶんアメリカから輸入しているわけでございますが、アメリカの農産物は本年度は相当豊作になるであろうということを、先般もシュルツ財務長官参りまして言っておりました。なお、いま劉希文が代表で来ておりまして、中国側のほうも、飼料輸出については非常に積極的な考え方を示していただいております。そういうこともあり、できるだけ多方面に話をいたしまして、高い飼料を入れないようにしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  21. 金子みつ

    金子(み)委員 助成金をお出しくださるということを決定して、その点はずいぶん緩和されると思いますけれども、飼料ができないことは変わりないわけでございますよね。ですから、それが畜産物にはね返らないように飼料代の援助をしていこうというふうなお考えはよくわかるのでございますけれども、飼料ができないことは同じなんで、やはり入れなければならないわけでございます。その飼料を入れるのに、従来のようにアメリカ一辺倒で、日本政府のアメリカ追従政策がこんなところにも出ておるのかしらと思うくらいアメリカからばかり入れていたということが、やはり今回こういうようなことが起こってくる、日本にとっては基本的な政策の反省のよい機会になったのじゃないかというふうな気もするくらいでございます。ですから、いま長官もおっしゃっていらっしゃいましたが、中国とは国交回復もできたのでございますから、中国のほうが安いわけでございますし、中国からの買い入れというものをどんどん積極的に進めるというふうにして、安い飼料が入るということが大事だと思います。飼料が少ないわけでございますから、国内のものは国内のものとして精一ぱいするといたしましても、そのような形に今後進めていっていただくようにお願いしたいと思います。  それから、いま一つお尋ねしたい問題は、公共料金の値上げの問題でございます。  十八日に衆議院で、国鉄の法案も、それから健保も通りました。それでとたんに国鉄運賃の値上げがはっきりといたしましたし、健保の保険料もはっきりと上がるということがきまったわけでございますが、このように値上げがきまりましたら、これがすかさずはね返りまして、私鉄運賃の値上げというのは、もうすでに値上げされるべく発表されているのは御承知のことだと思います。それからまた九月十八日、同日でございますね、値上げの許可が出ました例の関西電力と四国電力、それから大阪瓦斯、この電気、ガスの値上げが決定して、二十九日から実施ということになっております。その値上げ幅がまたものすごく大幅で、申し上げなくても御存じでいらっしゃいますから申し上げませんけれども、その値上げ幅がたいへん大幅になったということで非常に心配しております。  それで、今回の電力やガスの値上げのあり方が、大口需要である産業部門に重点を置いて家庭のほうはなるべく少なく値上げをするという配慮は、評価することができると思っておりますけれども、それでも平均家庭の電気代を考えてみますと、やはり百五十円くらいから二百円近く値上げになるようでございます。ですから、これは決して楽な問題ではなくて、一般家庭で平均キロワットで月それだけずつ上がるということになりますと、やはり問題は大きいと思います。このように電気の値上げ、これは関西と四国の電力だったのですけれども、これはもう直ちにそのあときっと、東京電力にも中部にも北海道にもというふうに全国的に波及していくに違いない、問題は共通していると思いますので、波及していくに違いないと考えます。  このように、運賃の値上げですとか、あるいは電力とかガスとかいう基本的な公共料金の値上がりが次々と行なわれていきますと、当然諸物価にこれがはね返らないわけはないと思うのです。そうすると、せっかく物価を下げるように法律ができたり、それから調査官ができたりというような措置が一方でとられておるのに、片方ではこのようにどんどん公共料金を値上げしていっておしまいになったのでは、国民としては、全く結果的には同じことであって、ほんとうに困ってしまうと思います。  それで、政府は、口をお開きになると公共料金の引き上げは極力これを押えるようにするのだというふうにおっしゃって、値上げをしないように努力をすると言っておられますけれども、このように公共料金を端から上げておしまいになったのでは、決してそれはできることにはならないと思うのです。郵便料金だって、もう来年からまた値上がりするだろうといわれておりますし、それから電話料金はもうすでに決定いたしました。このようになりますと、一体このごろのこの物価の値上がりの張本人はだれなんだろう、これは政府物価を値上げしているんじゃないだろうかという人たちがあります。そういう声も聞こえるようになっておりますので、政府は本気で物価対策をやっておられるのかどうかということが疑わしくなってきたという、まことに残念な状態になるのでございますけれども、この辺をどういうふうに御説明いただけますでしょうか、納得のいくような御説明をいただきたいと思いますので、お願いいたします。
  22. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 公共料金の引き上げからまず申し上げたいと思いますが、これは極力抑制的に扱うというふうに考えております。そのように考えておるのみならず、先般の消費者米価を上げろという問題については、これを押えたわけでございます。今年度は据え置くという方針を決定いたしております。その他の公共料金につきましても、申請がございましたならばその内容を十分に検討いたしまして、真にやむを得ないものを除いて引き上げを認めないという方針を今後とも堅持する考えでございます。国鉄の運賃につきましては、御承知のとおり自民党の委員長の発議によりまして、来年の三月三十一日までこれを上げないということにいたしましたのもそのあらわれだと存じますし、なお健康保険の問題は、実は物価の面からいいますと、家族七割給付を実現するということになりますと、これは金子委員が御専門でございますので、こういうことをあらためて申し上げることも失礼かと思いますけれども、とにかく物価面では、医療費を払わなくていいという面では〇・四%安くなるわけでございます。  実は九月十八日に関西電力、四国電力、それから大阪瓦斯の料金の値上げをいたしたのでございますが、関西電力、四国電力ともに昭和二十九年以来料金を上げておりませんで、二十年、正確に言うと十九年上げておらないわけでございます。大阪瓦斯も、東京瓦斯が昨年上げたわけでございまして、やはり大都市の同じような仕事をしておるものからいたしますと、これまた十三年間据え置いておりますので、これはどうもやむを得ないということであのように措置をいたしたわけでございますけれども、実は家庭用の電力については十分配慮いたすことにいたしまして、定額の電灯については本年中は旧料金を据え置くということ、それから従量電灯甲につきましては年内値上げは五%にとどめるということにいたしております。それによりまして、大体通常の家庭での本年度の電灯料金の値上げというのは、月に九十円というふうに考えておるわけでございます。明年かち百五十円程度になるわけでございますが、本年度はとにかく九十円ということでございますので、たばこを少し節約していただけば出る程度の値上げにとどめたようなわけでございます。あるいはまた、電気をつけ放しで夜寝るというようなことをちょっと消していただけばそこで出るというふうに、真にやむを得ざるものに対する措置であって、私ども非常に苦心をしたというふうに御了承をいただきたいと考えております。また、ガスについては、昭和四十九年の、すなわち来年の五月三十一日までの間、基本料金を、五百円になるところを四百五十円にとどめるという措置をとっておるのであります。  全般の物価に対する影響でございますが、電気のほうで、関西電力の値上げが物価には〇・〇三五%、四国電力のほうは〇・〇〇八%、大阪瓦斯が〇・〇五六%、総計いたしましても〇・〇九九%という物価に対するはね返りを考えておりますが、これはどうも、いま申し上げたように二十年近く据え置いたものでございまして、私どもお願いをしております物価安定政策会議の特別部会でも、公共料金といえども私企業であり、これをただただ押え込んでも、その意味でサービス等に対する影響があるから、これはやむを得まいという御答申でございますわけでございます。私ども、決して政府が先に立って物価を上げるというようなことを考えておりませんので、物価の安定という問題は政府の政策の最重点に置くということで考えております。ただ、物価の問題は経済活動の一つの効果的な面があらわれてくるわけでございます。結果からだけ全体を押えるわけにはいかないというふうに考えておる次第でございまして、やはり政府とともに物価の問題を心配し、供給に見合う消費というものを考え、その間にバランスをとって物価問題を解決していただくように切にお願いしたいと思っておる次第でございます。
  23. 金子みつ

    金子(み)委員 経企庁長官のお話はよくわかりました。わかりましたけれども、結局、ことしは上げないけれども来年になれば上がるわけでございますね。郵便料金だって、電気だって、電話も、それからいまの電報も来年になればまた上がってくるということでございますので、やはり国民といたしましては、いま上がるのと同じ感覚でございます。ですから、経企庁長官としてそのように考慮を払っていてくださるということは、経企庁としてのお役目だと思いますから、それを十分発揮していただかなければならないと思いますが、もとはやはり政府のインフレ政策にあるので、経企庁だけでこれを解決するわけにはいかないことはもちろんわかります。しかし、その一部のあらわれとしてこういうような形になるということを私どもはよくわきまえて、この問題は総合的に考えていかなければならない問題かと思います。しかし、具体的な個々の問題につきましては、やはり直接そのまま消費者に響いてまいりますので、今後も経企庁の、いま長官お話しくださいましたような考慮がさらに一そうはかられて、そして国民生活の安定というものを確立することのためにぜひ努力をしていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。  公取の方に質問をさせていただきたいと思います。  時間の関係もございますので、簡単に申し上げてお答えいただきたいと思いますけれども、公取委員会ではその運営の一助として、いろいろな情報を提供する機関のようなものをお持ちになっていらっしゃると思いますが、その中で消費者モニター制度というのがございますね。この消費者モニター制度というのは目的を持っておつくりになったものだと思いますが、これの実績の中で、いままでどれくらいの実績が上がって、そして公取の立場からはたいへんに役に立った、たいへんに効果があったというふうにお考えになっていらっしゃるものなのか、あるいは、これは一応つくったんだというふうなものなのか、そういうのは、ちょっと御返答なさりにくいかと思いますけれども、しかし、社会問題としてどのくらい役に立っているかということを実は知りたいわけでございますが、率直なところを聞かせていただきたい。
  24. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  消費者モニター制度と申しますのは、一般消費者の消費生活の実態、それから意見を知ること等によりまして、景品表示法あるいは独禁法の施行、そのほか公正取引委員会の消費者保護行政の的確な運用に資するということを目的としまして、昭和三十九年度から設置されたわけでございます。  消費者モニターのやっておりますことは、アンケート方式によります消費生活の実態の調査、これは年九回ほど実施をしております。景品表示法や独禁法の違反事実の報告、これはモニター通信といっておりますが、これは四十七年度におきましては千八百十七件ございました。それからもう一つ、公正取引委員会が行ないます表示連絡会——不当表示について表示連絡会というのを行ないますが、これへの出席。四十七年度におきましては、モニターに依頼をしましたのは表示連絡会四件、公聴会三件、試買検査会一件ということになっております。そのほか公取が行ないます調査への協力といたしまして、価格協定の実施状況、こういうものを調査していただいております。  現在人員は六百名でございますが、謝金としては、一人年間四千円ということでございます。  メリットでございますが、公取の業務、特に景品表示法の業務といいますのは、品質あるいは取引条件等に関する一般消費者の誤認があるかないかということを要件としておりますので’消費者モニターの商品選択あるいは御意見等は特に景品表示法の運用には役に立っているというふうに考えております。それから独禁法につきましても、やはり違反の疑いのある事実というふうなものは通知していただいております。それで、四十七年度のモニター通信の千八百十七件のうち違反の報告は九百五十三件、これは独禁法、景表法合わせましてそういう数になっております。
  25. 金子みつ

    金子(み)委員 ありがとうございました。  それで、そのモニターからの報告でございますが、その報告と、それから公取委員会がもう一つ持っていらっしゃる独占禁止懇話会というのがございますね、これとの関係はどうなるのでございましょう。
  26. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 独占禁止懇話会と申しますのは、これは公取が各界の有識者と広く意見を交換いたしまして、それを通じまして独禁政策の有効適切な運用をはかりたいというのと、あわせて独禁政策の理解を深めていただくということを目的として開催されているわけでございます。これはいわば公正取引委員会の私的な諮問機関というような性格を持っておるわけでございまして、現会員数は二十二名おりますが、そのうち学識経験者十名、産業界から六名、中小企業関係から二名、消費者関係から三名、言論界から二名、一名欠員がございますが、そういうことになっております。  それで、これは第一回の会合を昭和四十三年の十一月に開催いたしましてから、大体夏の七、八月を除きまして毎月一回開催をいたしております。本年の九月十四日で四十一回目を迎えたわけでございます。会合におきましては、皆さま方からきわめて活発に、しかも自由な御意見を出していただいているわけでございますが、最初申し上げましたように、独占禁止懇話会というのは公式の審議会ではございません。したがって、特定の問題について諮問をし、答申を受けるというようなものではございませんが、独禁懇によります会員の御意見というのは、公正取引委員会の業務運営にあたりましては、非常に貴重な指針として十分参考にさしていただいておるということでございまして、いわゆる消費者モニターとは目的が違うということでございます。
  27. 金子みつ

    金子(み)委員 二つのものにつながりがないことは、はっきりわかりました。  そこで、もう時間もございませんので一言だけでございますけれども、この独禁懇話会が非常に大きな役割りを果たすのではないかというふうに考えられるのですけれども、正式な審議会でないということだけに、プラスの面とマイナスの面と両方出てくるのではないかと思います。いわばこれは公取委員長のブレーンのようなもので私的機関でございますから、ですから、諮問したのではないのだからどんな意見が出ようとそれはかまわないということになろうかと思うわけでございます。心配いたしますのは、政府が持っていらっしゃるいろいろな機関がありますけれども、それらの機関がいわば国民に対する政府の運営の隠れみののような、ことばは悪うございますけれども、やりたいことをやろうと思うときに、かってにそのまままっすぐダイレクトにやると問題がありますので、委員会の意見を徴したとか委員会の意見であるとかいうようなことで、隠れみののような存在だったり、あるいは御用機関だったりというようなことがしばしばあるようでございますが、そういうようなことが絶対ないようにしていただかなければならないと思うのです。御用機関のほうは政府側からの有形無形の圧力みたいなものが加わって事実運営されたり、あるいはそれと全然逆の場合でございますと、ちょうど中央医療協議会のように、土俵からはずれていってしまうというような問題もございます。そういうふうに、いずれにいたしましてもたいへんに私どもは危惧するのでございますが、そういう点はもちろんないことだとは思いますけれども、今後もそういう問題については十分注意していただきたいと思いますし、これに限ってはそのことがないよう、独禁法の問題でございますから非常に影響が大きうございますので、その点は十分お考えいただきたいということをお願いしておきたいと思います。
  28. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 先生のおっしゃる御趣旨は十分気をつけまして、いままでもそういうことは絶対ございませんが、今後も公取は公取として、これは行政委員会でございますから、独禁懇の御意見はそれは十分指針といたしまして参考にはいたします。それを隠れみのにするというようなことはないということを申し上げておきます。
  29. 金子みつ

    金子(み)委員 終わります。ありがとうございました。
  30. 山中吾郎

    山中委員長 松浦利尚君。
  31. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は関連質問ですから、電気・ガス料金に限って質問いたします。  もうすでに政府のほうでは認可をしてしまったわけでありますが、経済企画庁にお尋ねをしておきたいのですが、この電気料金、ガス料金の値上げ問題について、物価安定政策会議特別部会の意見が出されておるわけであります。この物価安定政策会議特別部会には消費者の代表は入っておるのかどうか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  32. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 入っております。主婦連、地婦連、大阪地区の主婦連代表、その他の学識経験者あるいはジャーナリスト、そういう人たちが入っております。
  33. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 おそらくその消費者代表は、電気料金、ガス料金の値上げ反対の意見を述べたと思うのでありますが、その点についてはここで明確にしていただけますか。
  34. 小島英敏

    ○小島政府委員 どなたがどういう発言をしたかということは控えさせていただきますけれども、消費者代表の一部の方は、こういう事態であるから電気・ガス料金の値上げには反対であるという意見を表明されております。ただ、特別部会の多数意見は、発表いたしましたような結論になっておるということでございます。
  35. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この特別部会が、公共料金値上げはやむを得ない値上げだという隠れみのに使われておるのじゃないか。結局、特別部会が実質的には値上げを容認する部会になっておるのじゃないか。もっと具体的にことばを荒く言えば、政府物価値上げの隠れみのにこれが使われておるのじゃないかという気がしてならぬ。そういうことについて、大臣、御見解はどうでしょう。
  36. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 さようなことはないというふうに確信をいたしております。
  37. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは具体的にお尋ねをしたいのですが、この料金値上げ問題に関連して、特別部会ではいろんな提言をしておるわけであります。その一つとしては、電気ガス税についてはその撤廃、税率の引き下げ、免税点の大幅な引き上げ等について適切な措置をとれという特別部会の意見が政府に出されておるはずであります。それでは、これに対応するだけの具体的な措置、電気ガス税の撤廃、免税点の大幅引き上げ等についてすでに具体的な措置をなさったのかどうか、そういうお考えがあるのかどうか、その点を明確にしていただきたいと思います。
  38. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 十八日に物価対策閣僚会議を開きました席上で、私は物価安定政策会議の特別部会の報告をいたしました。その中に、いま松浦委員御指摘の電気ガス税について、これの撤廃あるいは免税点の引き上げあるいは税率の引き下げ等について十分検討すべきだという要望があるということを特に述べておいた次第でございます。それに対しまして自治省側から、この問題はなかなか重要な問題である、実は東京ガスの関係者から、昨年のガス税の引き下げによって値上げ分はカバーされておるという発言もあったという紹介もありました。私は、特にそういう要望があるから、この会議においてこれを述べておくということを申したわけでございます。  問題は、これは税でございますから、やはり税制の改正、これは大体来年度の予算の編成に際して行なわれるわけでありますので、明年度については十分その趣旨が通るように、私としては努力したいと思います。  ただ、撤廃ということになりますと、これはなかなかむずかしい問題があると思います。と申しますのは、この電気ガス税というのは市町村税でございますし、これはほとんど徴税費が要らないという関係もあって、市町村はこの税を非常に重く見ておりますので、なかなか撤廃ということは一気にはむずかしいと思うのでありますが、後段にあります免税点の引き上げとかあるいは税率の引き下げとか、そういう点については、これはぜひ実現するように努力いたしたいと考えております。
  39. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 消費者はたまらぬと思うのですね。特別部会から出されて、最終的に政府が料金値上げの認可をする。値上げをする分だけはさっさと行なわれて、値上げをするかわりにこういうことをしなさいという提言については、きわめてあいまいに置かれてしまう。少なくとも料金値上げをしたときには、料金は値上げをしますが、そのかわり皆さん方について、電気ガス税については免税点を大幅に引き上げますよ、あるいはこういうふうに昭和四十九年度から撤廃いたしますという、そういうものがあって初めて国民のコンセンサスを得ることができるのであって、特別部会の提言のいいところだけ、値上げをするというところだけを取り上げて、そのあとの問題を非常にあいまいにしておく。私はいまの政府の姿勢に、自分の都合の悪いところは伏せて、都合のいいところはどんどんと出してしまうという、そういうところがあると思いますね。そうして真にやむを得ない、真にやむを得ないといって公共料金を上げる。せっかく卸売物価がやや安定しかかっておるときに公共料金の値上げに踏み切る。こういうことでは消費者物価に大きくはね返ってくることは、しろうとが見ても明らかなんですね。むしろ、卸売物価が安定しかかってきたときに徹底的に物価抑制策というものを打ち出さなければいかぬのに、逆に、卸売物価が安定しかかってきた段階でこういうふうに、ぱかっと公共料金の値上げに政府が一方的に踏み切ってしまうということになれば、一体物価対策をやっておるのかどうかという疑問すら出てくると思うのですね。  ここに通産大臣がおられないので、もっと具体的にお聞きしたいのですけれども、いずれにしても、この特別部会の提言というものを四十九年度には必ず、物価担当大臣として、公共料金の値上げをしたが、その見返りとして国民に対してこれを必ず実施するという約束がここでできますか。
  40. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 この提言は、正確に申しますと、電気ガス税についてはその撤廃、税率の引き下げ、免税点の大幅な引き上げ等につき、さらに一そう適切な措置を講ずるというので、全部が全部やれというのではないのです。これは、この範囲において一そう適切な措置を講ずるということでございますので、ひとつこの趣旨に沿うてできるだけ適切な措置をとるようにいたしたいというふうに、私は申し上げる次第でございます。  なお、先ほど申し上げたように、消費者物価についてのはね返りというのは私ども非常に気を使っておるのでございまして、定額料金の年内の据え置きあるいはその他の措置によりまして、この年内は一般家庭では電灯料金九十円の値上げに押えるということにいたしておる点は、私どもの苦心もひとつおくみ取りを願いたいと考えておる次第でございます。
  41. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 国鉄運賃の値上げ、先ほど金子委員からも質問がありましたが、三月三十一日と、一応実施期間を今会計年度末ということにしたわけでありますが、電気、ガスについてはもうすでに値上げを発表してしまっておる。  そこで、これは産業計画懇談会の「産業構造の改革」の提言でありますが、この中に実は芦原義重さんが入っておられる。この方は関西電力取締役会長であります。この方が値上げ申請をしてきておる。  ところが、この提言の一六八ページで、電力についての提言が出されておるわけであります。関連質問ですから、もうここでいろいろとくだくだ申し上げませんが、要は、従来は配電線がコストを高めておったけれども、これからは発電そのもののコストが上がってくるんだ、そういうことを前提として、その一七三ページにはこういう提言が出されておるのです。「今後の電力、特に公益事業である電力会社の供給は、家庭用、業務用電力を主体とし、産業用大口電力特に電力を多用する産業の需要を供給面から押え、政策的な現在の原価主義料金を廃止する。いいかえれば家庭用、業務用料金を据え置き、大口電力は環境費用を加算料金として高くし、さらに従量制追加料金を科する。そうすることによって増収をはかり、その分を公害防除費に当てる。」こういう提言がことしの三月十四日、関西電力取締役会長によって出されておるわけですね。  通産省の公益事業局長来ておられるでしょうが、こういう提言がなされておって、しかもこれの関係者が、値上げ申請をしてきた関西電力の会長である。消費者は非常に矛盾を感じますね。片一方でこういういい提言をしておきながら、片一方では料金を値上げをする。  しかも、これに対して通産省は何も対応しないでしょう。電気、ガス事業法の改正をやればいい、政策料金導入のための法改正を今国会に間に合わせればいい。この提言は三月十四日ですよ。なぜこういうことをやらないのか。こんな産業計画懇談会というのは意味ないのですか。意味がなければやめればいい。  この提言をあなた方はどういうふうに扱うつもりですか。料金値上げの申請のときに、この提言は一体どういう役割りを果たしたのですか、その点をひとつ明確に答えていただきたいと思います。
  42. 岸田文武

    ○岸田政府委員 現在の料金制度は、かつて通産大臣の諮問機関として設置されました電気料金制度調査会の答申を基礎として行なわれておるわけでございます。  ただ、いまの御指摘のとおり、各方面で政策料金導入の議論がありますことは、私どもも十分承知いたしております。  料金体系の問題につきましては、やはり福祉社会建設であるとかあるいは産業構造の省エネルギー化であるとかあるいは技術開発等、各般の要請を総合的に判断をしながら検討すべきものであるというふうに私ども考えております。そのため通産省としては、今後こういった料金のあり方についての議論の場を用意いたしまして、学識経験者、消費者代表等も含めまして、早急に検討を開始いたしたいと思っております。
  43. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 早急に検討したいと言うけれども、実際的にこの提言があったのは三月十四日でしょう。三月十四日にすでに提言が出されておって、何も対応しておらぬじゃないですか。提言があったときにすぐ対応しておれば、今度の電気料金の値上げのときに間に合っておるはずですよ。そうでしょう。私の言っていることが間違っていますか。  しかもここで、最後の締めくくりで、きわめて自信に満ちた提言になっている。これは前田さんという人が「あとがき」の中で、自信を持って最後の締めくくりをやっておられる。私の言っていることは正しいんだ、正しくないと考えるなら、ひとつ正しくない点をついて指摘してくれという、割り切った提言のしかたをしているんですよ。  これに対してどういう対応をしたかと言うんです。何もしなかったら何もしなかったと言ってくださいよ。現に何もしなかったんでしょう。
  44. 岸田文武

    ○岸田政府委員 料金制度のあり方は、先ほど申しましたように非常に広範な角度からの検討を必要とするものでございまして、先回の調査会の実例に徴しましても、準備期間に一年、審議期間に一年を要してようやく結論を得たものでございます。もちろん私どもは、今回の情勢にかんがみまして、極力早くという目標を立てまして検討を進めたいと思っております。
  45. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私の質問に対して答えてください。こういうものに対応するだけのことはやったのやらないの。将来のことはいいですよ。
  46. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いまの提言に対して特別の措置を講じたということはございません。
  47. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 通産大臣が来られたら私はさらに質問を続けさせてもらいたいと思いますが、大体ここでこういう提言が政府に出されておって、しかも慎重審議をして——電力関係者も、関西電力の会長が入っておるんだ。そして電力のあり方について、電気料金のあり方についてすら提言しているわけだ。ところが、こういうものについては対応せずに——現実に、これが提言されたときに政府が対応しておったら、今度の料金値上げの問題についても、あるいは今国会において電気、ガス事業法の改正という方向は当然議論されたはずなんです。ところが、せっかく計画懇談会が提言しても、何にもしないでしょう。何にもしないで、指摘をされると、これは将来の問題として早急に云々、こういうことで逃げてしまう。ところが一方では、電気料金の値上げはもうやっちゃったんだから。電気料金の値上げをやる前になぜこれをやらぬのか。  そういう面では、長官、いろいろな、特別部会とか、物価安定政策会議とか、計画懇談会とかというのがありますけれども、金を使うばかりで、実際提言をしたって、政府はやろうとせぬでしょう。自分の都合のいい、公共料金の値上げをしなければならぬということは、隠れみのにして、特別部会からありましたということでばっと値上げをする。国民にとって正しい提言についてはおろそかにして、一つもやろうとしない。指摘されればこれからやろうと言う。こういうことで一体ほんとうに物価問題に真剣に取り組んでおるというふうに国民に映るでしょうかね、政府のやっておることが。しかも、この中に電力の会長さんが入っておるんだから。  この際、これは経済企画庁長官とは直接的な関係のない懇談会ですけれども、こういった政府のあり方は私は改めてもらいたいと思うんですね。現に提言したって対応しておらない。この点について、通産大臣が来られたらまた質問をいたしますが、ひとつ物価担当大臣としてお答えをいただきたいと思うんです。
  48. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 いまの、産業政策に関するものは通産大臣の所管でございますが、物価安定政策会議の特別部会に関しましては、私ども十分その御意見を尊重する考えでございます。あの委員の方々もそれぞれ非常にりっぱな方でございまして、われわれが隠れみのに使うなどということは毛頭考えませんし、また、そういうことになるような方ではないわけでございます。  あの提言の趣旨は、私は非常にそのとおりだと思いますのは、やはり結果が公共料金であっても、やっておる事業は私企業であるということですね。ですから、私企業をただ経済行為の結果だけ押えて、結果として出てくる料金だけを押えて、いつまでも押え切ると、結局はサービスに影響があるということを配意しなければならぬし、そういう点から見ると、やむを得ないというのが私は妥当な結論だと思うのでございます。ただ、これはもう二十年にわたって押えておるのでございますから、他のものが言ってきてもそうそう認める考えはないということは、私は記者会見でも言ったようなわけでございます。真にやむを得ざるものをしたいというふうに考えております。  いま、電気料金が上がるということは、日本だけが悪政の結果こうなるようなお話がございましたが、私は実は国際的な比較をやってみたのです。日本の家計の中に占める消費者物価指数としての光熱費というものはどうなっているかということを実は調査してみたところが、各国に比べて非常に低いのです。一九六〇年から七一年までの比較でございますが、アメリカの場合二〇%これが上がっております。イギリスの場合七九・二%上がっております。フランスの場合四五・一%上がっております。西ドイツの場合三九・七%上がっております。わが国の場合一五・四%でございまして、他のいずれの工業先進国に比べても、家庭用の電気料金というものはそう高いものでないということが、この表からは言えるわけですね。  そこで、私どもは、それにもかかわらず、それもさることながら、家庭に及ぼす影響というものはできるだけ最小限にとどめたいということで、定額電灯であるとかあるいは従量電灯甲、これについても値上げ率を五%にとどめるというような措置をいたしておるのでありまして、やはり国民も、電力というような事業が国民と無縁のものじゃないのだ、国民は電力を消費する以上電気事業というものは健全に育ってもらわなければならないのだということを考えて、みんなで協力してもらわないと、電力というものはエトランジェみたいで、事業者はエトランジェだ、国民とは別のものだ、こういう考えではこの問題は解決しないというふうに考えておるので、御意見のあるところはよく拝聴いたしますけれども、どうぞそういう点もあわせてお考えをいただきたいと思う次第でございます。
  49. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 長官が外国との家計支出の比較を言われましたけれども、これに書いてあるように、「日本の産業用電力料金は、国際比較において低すぎる。」と提言しておるのです。調べてみますと、日本の場合は三・五倍です、家庭用料金が産業用料金に比べて。ところがアメリカは一・六倍、西独で一・九倍、英国で一・六倍、カナダで一・六倍。極端に日本のほうが家庭用電力料金が高くされておるのですよ、国際比較でいくと。確かに家計支出の面でみると大臣が言われたようになるかもしれないけれども、一方、電力の料金比重からいくと、外国に比べて約三倍も高い家庭用電力料金というものが取られておるのですよ。ちゃんと書いてある。国際比較において日本の産業用電力がいかに家庭料金に比べて低過ぎるかと  いうことがあるのです。  だから、一方的に見れば都合のいいように見られているけれども、私がさっきから言うように、国民とのコンセンサスを得るためには、特別部会が答申したように、真にやむを得ないから上げた、しかしそのかわり電気ガス税についてはこうしますぞという対応策がなければならぬ。ここにある、産業計画懇談会が提言しておるように、家庭用電力は据え置いて、そして大口需要者の電力料金をもっと上げなさい。そういうことをして初めてコンセンサスが得られるのですよ。ところが一方的に消費者にだけ、国民にだけ負担をさせる政策をとってくるから納得しない、反対をするということになるのじゃないですか。大臣から言われる一方のほうだけを見れば、そのとおりかもしれない。しかし全体的に見れば、国民はなかなか今度の値上げについては納得しないと思いますね。特に産業構造の改革、産業計画懇談会の提言について、私は通産大臣が来たら、ぜひもう一ぺん、この問題について一体どう考えておるのか。事業局長のほうで通産大臣と打ち合わせをして、一体これをどういうふうに扱うのか、一体いつからこういうふうにするのか、そういう点についてぜひ準備をしていただきたい。十二時から来られるそうでありますから、それまでに準備をしてお答えをいただきたいと思います。  それじゃ、一応私の質問は通産大臣が来られるまで保留して、終わらせていただきたいと思います。
  50. 山中吾郎

    山中委員長 小林政子君。
  51. 小林政子

    小林(政)委員 私は、物価担当の主務大臣としての経済企画庁長官に伺いたいと思います。  最近の物価の急騰というのは、私が申すまでもなく、十九カ月連続上昇のしっぱなしというような状況です。しかもこの八月、東京二十三区部の卸売物価は、前月比でもって二・一%、前年同月比では一七・四%と、引き続き卸売物価が消費者物価の上昇を上回るというような、まさに異常な事態を迎えているわけです。しかも、このような状況のもとで、すでにいろいろとお話の出ておりますように、政府が抑制をすることができる公共料金、たとえば国鉄、健康保険あるいはガス料金というように、次々とこれが値上げをされている。しかも引き続いて近々私鉄も、あるいはまた郵便料金等も、あるいはガソリンなども値上げが申請されるというような、こういう報道もずっとされているわけです。私は、このようにメジロ押しの物価値上げ、まさにこれは政府主導型の値上げではないだろうか、こういう印象すら非常に強く受けるわけです。  まさにこのような中でインフレ政策というものを、むしろ先頭に立って主務大臣としては、物価の抑制という点に重点を置かなければならない。経企庁長官がこういう事態の中で、今回いわゆるガス料金あるいはまた電力料金の値上げというものに対して、やむを得ない措置であるということでこれを認めたということは、一体この認可に踏み切ったという真意を、私はむしろ疑いたいと思うのです。主務大臣として、この抑制のために積極的に、具体的にどのような役割りを果たしてこられたのか。ほんとうに物価を何としてでも押えたい、このような異常な事態を押えなければならないという精神がほんとうにあふれるような、そういう気持ちでもって今回のこの四国電力、関西電力、大阪瓦斯の値上げ問題に対して、積極的にどう抑制のために具体的に役割りを果たしてこられたのか、この点について国民が納得するように御回答をいただきたいと思います。
  52. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 関西電力、四国電力は、昭和二十九年以来十九年間、大阪瓦斯は昭和三十五年以来十三年間、いずれも長期間にわたりまして料金が据え置かれてきたわけでございますが、いろいろ物価安定政策会議特別部会等で御議論をいただきました結果、最近における燃料価格の大幅な上昇、公害保安対策費の急増、電源開発費の増高、資本費また労務費の上昇などコストアップの要因が相次いで生じておりまして、これをそのまま放置しておくことは、利用者に対する安定供給の確保、保安対策の推進、サービスの向上、公益事業本来の職能を達成いたします上にも支障を及ぼすことが懸念されるために、今回通産省が受け付けて私のほうに合い議をしてまいりましたこの値上げ問題に対して、諸経費を厳正に査定いたしまして、必要最小限度の料金改定を認めるということにした次第でございます。  なお、この際、一般の消費者に与える影響を十分に考慮いたしまして、今回の改定にあたっては大要次のような措置を講じましたが、これはさきに金子委員にも申し上げましたことでこれを繰り返しませんが、要するに、一般家庭の定額電灯あるいは従量電灯甲については軽減措置を講ずる、あるいはガスについても明年度五月三十一日までの間、最低の基本料金を五百円を四百五十円に据え置くというような措置を講じましたようなわけでございます。  ただ、私が物価担当大臣として、何でもかんでも押えればいい、その職能を全うしていないではないかというふうな御趣旨のように承りましたわけでございますが、私は極力押える方針をとっておりまして、政府が金を出して済むものならそれをできるだけやらせるという措置で、たとえば消費者米価の問題、これは据え置く、年度内据え置きの方針を、ほとんどすべての閣僚の反対を押し切ってきめましたわけでございます。  なお、国鉄の問題についても、これはなるたけ時期をおくらしてくれということで話しておりまして、結論的には、御承知のごとく与党の委員長の提案によって明年の三月三十一日まで値上げは延期してもらったわけでございます。  ただ、電力会社といいガス事業といい、公益事業ではございますし地域的な独占企業ではございますが、何と申しましてもこれは私企業でございます。政府がこれに対して財政措置をするというようなことはできないわけでございます。そういう意味からいたしまして、先ほど申し上げたようなことで一般の負担を少なくしながら、この値上げも真にやむを得ないものというふうに考えて同意をいたしたようなわけでございます。  ただ、この際申し上げますが、いままで上がっている物価は、この値上げに関係なく上がっている。この値上げがあったために今後また物価が急騰したら、これは私のやり方が悪かったということになると思いますが、私は、この値上げをすることによって自動的に物価が上がるとは実は考えていないのでございます。ある意味においてこれは純経済的にいうと——私がそういうことをこの際、政治家として申し上げるつもりはありませんけれども、経済学者の中には、そういうものを上げたほうが購買力の吸収になるという説を私のところに言ってこられるような方もあるわけでございまして、やはりその点では、ただ野方図に、消費はいいことなんだ、電気をつけっぱなしてもあたりまえなんだ、それを安く豊富に供給しない政府が悪いんだ、あるいは電力事業者が悪いんだという言い方は、今後考え直していかなければならぬ。幸いにしていままでは、非常に豊富な供給に恵まれてまいったわけでございますけれども、今後は、資源の問題あるいは環境の問題等で、そうやたらに物ができてこないと思います。この際このときに、電力もひとつできるだけ節約をしていくということを、ぜひ国民の皆さんに御協力いただきたいと思うのでございます。と申しますのは、節約は、何も個人がけちけちする意味ではないのです。これは自分が節約することによって、またより大量の電力がみなに供給されるという意味で、連帯性の精神をもってひとつぜひ——高くなった分は、先ほど申し上げましたように月に九十円でございますから、それはひとつ節約をしていただくことによって、けしからぬ、けしからぬということでなくて、節約していただくことによって御協力を得たい、心からお願いをする次第でございます。
  53. 小林政子

    小林(政)委員 今回の値上げの理由については、いま大臣から、原油、重油などの燃料費の増額だとか、あるいはまた急激な電力需要の増大に対処してのそういう施設の増設ですか、あるいはまた公害対策事業費等がかさんできている、こういうお話ですけれども、そもそも現在、電力というものは一般家庭用と産業用と、一体比率の上でもってはどういう状態になっているんだろうか。一般家庭用は件数は多いかもしれません。しかし、実際に電力を使っているその量はどこが使っているのか。この点について、たとえば関西電力の場合を例にとってみましても、一般家庭用はおそらく全需要量の二〇%かそこらではないか、あとはほとんどいわゆる産業用電力である。しかも、その電力の中でも大口電力といいますか、それが大体五〇%近くを占めているんではないか、こういうふうに考えますし、関西電力関係の電力を使う量のナンバーワンからナンバーテンまで調べてきた資料を持っておりましたのですけれども、やはり全部大企業によって占められているというのが実態だと思います。  こういう点を考えますと、いま大臣からいろいろと御説明がございました、いわゆる急増する電力の確保、これのために施設の整備というものが緊急に必要なんだ。あるいは大量の重油、原油を輸入していかなければまかなっていけないんだ。それによって相当公害が発生していく。この設備も、何らかの形でこれを防止していくためにはばく大な経費がかかるんだ。こういうことを理由にして、一般家庭用の電力もあるいはまた電灯も、大きな企業の電力も、これを込みにして値上げを行なうというようなことは、これは大臣、私はちょっと筋が違うんじゃないだろうか、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょう。
  54. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 電力というのは、これはいろいろな用途に使われるようですが、大別しまして電灯と動力と原料、この三つだろうと思いますが、それがどういう割合になっているかという点は、通産省のほうから答えていただきます。
  55. 岸田文武

    ○岸田政府委員 電灯、電力の割合につきましては、いまお示しのとおり、大体電灯が全体の二割、電力が八割、その中で大口電力の消費量が全体の半分を占めておるという状況でございます。ほぼ御指摘のとおりかと思っております。  なお、今回の料金改定にあたりましては、先ほどもお話しございましたように、電灯の値上げ率と電力の値上げ率を比べますと、電力のほうにかなりウエートをかけたつもりでございまして、この間の事情もごしんしゃくいただきたいと思います。
  56. 小林政子

    小林(政)委員 電力の需給関係の確保ということで、しかも急激に電力需要というものが増大している、そのためのいろいろな設備も整えなければいけないんだということを、いわゆる値上げの大義名分にも入れているわけですね。だとすれば、電力を使うのは実質的には大きな企業が使っているのであって——確かに家庭用の電灯も、最近は電気洗たく機だとかあるいはまたクーラーだとか、そういう電気製品を使うことによってその消費はふえてはいっても、実質的には、いまの数字でも約二〇%程度であって、そして八〇%は電力である。しかも、その電力の中で、大きな企業が使っておりますものが五〇%を占めているんだ。そのための設備をさらに拡充していかなければならない、こういうことで、今回、一般の家庭用までその理由のために上げるというようなことは、私はどう考えても納得がいきません。その点について、大臣いかがですか、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  57. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 電力の値上げを、家庭用電灯以外の動力あるいは工場用のいろいろな工業資材としての電力というものにかぶせてはどうかという御意見のように承りましたが、それでは工業用の電力を上げるということが物価に影響しないかといいますと、先ほど申し上げたように、動力というのは、モーターを回してそれでいろいろな機械を動かすわけですが、これも相当使いますが、もう一つは、電気というのは不良導体の中を無理に通そうとすると熱を発生し、それがカーボンになり、電気製鋼になり、あるいはカーバイトになりというように、いわゆる電気化学工業の基礎になっていくわけでして、そういうものにかぶせていくことを考えてまいりますと、やはり製品の値上げということにつながっていくわけであります。製品の値上げが原価計算で明瞭に、いわゆる価格統制をしてきちっときまるものならよろしいのでございますが、どうも便乗値上げを生みやすい。そうすると、これは純粋に計算をしてみさせたのですが、いま手元に数字がないので何でございますが、そのほうがかえって物価に対する影響が大きいということが数字的には出てくるわけです。そこに便乗値上げが加わりますとさらにやっかいなことになるという点からしますと、家庭用のほうを安くして工業用のほうを高くするとそれだけ物価が低くなるかというと、それが回り回っていわゆる生必物資の値上げに返ってくるという面もございますので、今回の程度のことはこの際のこととしてはやむを得ない問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  58. 小林政子

    小林(政)委員 この際、電力をただ豊富に提供すればいいというものではなくて、節約をしてできるだけむだな電力は使わないようにすべきだ、一般家庭の主婦に、おたくの電灯をできるだけよく消しなさい、こういうようなことを今度の値上げに際して大臣が、十八日の物価対策閣僚協議会のあとの記者会見でお話しになられたという意味の記事を私はちょっと読みましたけれども、総電力量の八割を占めているところじゃなくて、家庭の主婦の使っている家庭用というのはわずか二〇%という、そこのところでもってけちけち一々電気を消すことがいま必要なんだというようなことは、本末転倒しているんじゃないか。もちろん、野放しでつけていいなんということを言っているわけではありませんけれども、しかし、それをもっと節約して消していけばいいのだというようなことではこの問題は解決できるものではないと私は思います。しかも物価担当の大臣がそういうことをおっしゃったということは、私は非常に心外だというふうに思っております。  この電力料金の問題あるいはまたガスの問題につきましては、私どももこの物価対策特別委員会でも何回にもわたって質疑をいたしてまいりましたし、また他党も非常に重視をして質疑が行なわれてきたわけですけれども、確かに認可権というのは当然政府が持っている。だからといって、その申請されてきたものの中身を検討された結果について、認可権は政府にあるのだからということで、物価に重大な関心を持っている特別委員会に何ら報告もせず一方的に、しかも日時も、正式には突然ということですが、十八日の閣議でもって政府の権限でもって認可した。これはほんとうに世論を軽視しているやり方ではないだろうか。国民は重大な関心を持っているのです。それに対して——これは秘密に属するような問題じゃないと思います。こういうわけで料金の値上げを申請してきたのだ、その申請の中身についていろいろと検討した結果、政府としてはこういうことをいま考えるべきだというようなことが、公の委員会で取り上げられ報告をされて何ら問題がないというふうに私は考えております。この問題については国民が重大な関心を持っているだけに、公共性の強いこういった料金決定については、むしろ積極的に国会の中に報告をすべきではないかと考えますけれども、大臣いかがでございましょう。
  59. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 まず、私が電力の節約について一般の家庭の主婦だけに呼びかけたというふうなお話がございましたが、そういう考えはございません。これは全部が電力の消費を合理的にやろうではないかということを言ったわけでございまして、もちろん工場等においては、大きな電力を消費するわけでございますから、それは大いにやってもらわなければならぬことだと考えておるわけでございます。  次に、本委員会に決定前におはかりすべきではないかということでございますが、それは従来もそうしておりません。これは政府の決定にゆだねられておるものでございまして、私としては、本委員会でしばしばこの問題について御意見がございましたこと、そういう点については十分お気持ちを伺って、事務的な査定をする者についてもその点は十分慎重にやるようにというふうに申しておったつもりでございます。これは政府の決定事項でございますので、政府が閣僚協議会にかけて決定するということで従来ずっとやっております。私はそのやり方をそのまま行なっておるわけでございます。
  60. 小林政子

    小林(政)委員 電力問題につきましては通産大臣も見えることでございますので、私は、公共投資を含むインフレートの問題等について大臣にお伺いしたいというふうに思います。  いわゆる四十八年度の予算編成の基礎となっておりました政府の経済見通し、これは当初消費者物価を五・五%以内にとどめる、卸売物価は二%にとどめるということを堅持していきたい、こういうことでございましたけれども、八月の卸売物価は、先ほども申し上げましたけれども、前年同月比では一七・四、消費者物価の全国総合では七月の前年同月比で一一・九、東京区部におきましては一二・九%と、月を追うごとにずっと急騰しておりますけれども政府としては四十八年度の消費者物価を五・五%以内にとどめるという確たる見通しというものを現時点で堅持していらっしゃるのかどうか。今日の物価急騰というものを見ると、私は政府のこの見通しというものは明らかに誤りであったのではないか、甘かったのではないか、こう思いますけれども、いかがでしょう。
  61. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 今日の物価の情勢はもう御承知のとおりでございまして、非常に異常な上昇があるわけでございます。政府といたしましては、この情勢を鎮静化させるべく、四月以降日銀の公定歩合の引き上げや、それ以前に預金準備率の引き上げ等、いろいろな施策をとってきたわけでございますが、去る八月三十一日の物価対策閣僚協議会におきまして、さらに公定歩合の一%の引き上げや、あるいは財政中公共事業の八%繰り延べを含む緊急物価対策を決定いたしました。その中で特に民間の建設について五千平米以上の建物、また地方においては遊興的な不急不用の建物で三千平米ないし五千平米の間にある大きな建物の建築は抑制してもらうように勧奨するということをきめたり、あるいは信用取引において自動車の割賦販売の条件を締めたり、いろいろな総合的な施策をとっているわけでございます。  累次にわたる引き締め政策の効果が漸次あらわれてまいっておるように感ぜられておりまして、ことに九月に入りましてから、仲間相場でございますが、綿糸においてもあるいは生糸においても、大豆においても、全般に下落の傾向が見えているわけでございます。また海外の物価状況におきましても、西独等においては非常に峠を越したような感じがいたしますし、その他の国においても漸次騰勢が弱まってきておりますので、私どもは、一応物価上昇というものは、卸売物価については峠を越えたというふうに考えておるわけでございます。消費者物価のほうも、実は季節商品が非常に高いのでございます。ことに魚が高い。また生鮮食料品中、魚のほかに野菜も高いのでありますが、そういうものを除きますと、八月は前月に比して〇・五%というわりあいにいい上昇の数字が出ておるわけでございます。これまた、だんだん鎮静化の方向に向かいつつある、かように判断をいたしておるわけでございます。  これらのものを踏まえまして、特に私どもは消費者物価を鎮静化するために、いろいろな複合的な要因から出ている物価の現状でございますから、複合的な施策を講じまして、ぜひひとつ今日のような状況を直してまいりたい、こう思っております。  全般に今後の見通しでございますが、政府といたしましては、あの見通しはどうであるというふうなことをいま言うことは、むしろあまり実効のないことでございまして、どうせ一般の公務員給与の引き上げ等もございますし、そういうことに関連をして補正予算を組むことになろうと存じます。そういう際にでも、ひとつ全般の今後の物価情勢等をにらみまして、さらに経済見通しについても検討してまいりたいと思っております。さようなことでございますが、大体これは毎年やっておることでございまして、補正予算を組む際に経済見通しをさらに修正をして、そして補正予算を組むということをやっておるわけでございますが、私どもは本年もそういう機会に、十分今日の物価情勢と今後の見通しを含めましたものを立ててまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  62. 小林政子

    小林(政)委員 見通しについては、いま大臣、補正予算を組んでその際にまたあらためて検討をというようなお話でしたけれども、私どもは当初から、政府の四十八年度予算編成の基礎である政府の経済見通しについて、これはちょっと問題がある、したがって四十八年度の予算を検討し直して、インフレを引き起こすような、ただ財政の規模をふくらましていくというような四十八年度予算というものに対しては、これはもっと手直しをし、具体的には緊急必要以外のものは、防衛費だとかいうものについてはむしろ若干縮小を——防衛費だけではありませんけれども、これらの問題は全部取り除くべきだという考え方を述べていたわけです。  現在、四月十三日の閣議で物価の騰貴を抑制するんだということで、総需要を押えなければいけないということで公共事業の繰り延べが事実実施をされ、しかも上期の契約を前年に比べて約二〇%ダウンするというようなことがいわれておりますけれども、八月三十一日の閣議でも、物価の騰貴、民間設備投資を抑制していくということで、総需要抑制のために財政執行の繰り延べ措置を講ずる必要がある、こういうことがいわれているわけです。  こういう措置が行なわれざるを得なくなったということは、私どもが当初から主張していた、政府の経済見通しというようなものがインフレ傾向をあおるような財源の膨張につながっていく、こういう予算ではなかったのか、経済見通し全般についてやはり狂っていたのではないか、こういうふうに確信をいたしておりますけれども、この点についていかがですか。
  63. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 補正予算は、先般の人事院勧告に関連いたしまして当然組まねばならぬと思っております。  それから私ども、実は一昨年のアメリカのニクソンの提言に際しまして、できるだけ円の為替相場を切り上げないことが必要であるという世論があったように思うのでございまして、それに従ってドルを買ったりいたしたわけでございますが、結果的にはスミソニアン協定後円切り上げになった。これは一つの見込み違いと言えましょう。  しかし、その後においてもまた、こんなことをして輸出が伸びていると、さらに円の切り上げをしいられる、そういうことが行なわれるのでは中小企業に非常に大きな打撃が来るから、円の切り上げは回避すべしという、これまた強い意見が多かったように思うのであります。それらを背景にいたしまして、六月には公定歩合を引き下げて金融を緩和する、さらに秋には補正予算を組んだ、こういうような点は、いまにして思えばみんな思い違いであったということが言えると思います。むしろあのときは公定歩合を引き上げるべきであったのではないかということをいまになって言う人があるのでございますが、当時としては、中小企業に壊滅的な打撃があるからして、どうしても景気をよくして輸出がふえないようにしなければいかぬ、内需はもっとふやさなければいかぬ、こういうことを言っておったわけであります。  今日、国内における過剰流動性の大幅な増加あるいは国民が国内消費をふやすことが日本の経済をよくする道であるというような消費美徳的な考え方に走っているというような問題もございます。  それから、二月に円が切り上げになった、そして変動相場制になったということがデフレ要因に働くであろうというふうに見ておったのでございますけれども、これは海外において物価高が起きた、世界じゅうにいままでこういうふうに一度に、各国において一気に物価が上がったということは、今日までの経済史にない状況でございます。これは見込み違いといえば見込み違いかもしれませんが、外国の問題であるわけでございます。  そういうようなことがいろいろ重なっておりまするので、私ども苦慮いたしておるわけでございますが、何とかひとつ状況を立て直していこうと思いますし、もう一つは福祉経済でいくということがいままでと違うことなのでございまして、福祉経済というのは政府が金をばらまくということなんです。社会保障をふやすとか公共投資をふやすとか、いままでのような政府が金を出さないで民間の設備投資によって経済をよくするという考え方と変わってきているわけです。そういう点は物価を押し上げる問題でもございます。そういう点をひとつ、日本の経済としては、いままでの産業成長中心の経済から福祉優先の経済へ切りかわっていく大事なときでございまして、この問題を切り抜けて世界に誇るに足る福祉国家をつくってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  64. 小林政子

    小林(政)委員 財政の執行の繰り延べということで、今回の措置は公共事業の繰り延べの計画を政府が発表しております。これを見ますと、一般会計、特別会計、政府関係機関、財政投融資、これを含めて約七千億、これを今回繰り延べをしたい、しかも一般の公共投資については八%、生活関連については四%の繰り延べだ、こういうことがいわれているわけですけれども、しかし、公共事業だといっても、私はいろいろこれは問題があるんではないかというふうに思います。  確かに生活環境の施設の整備費は、対前年比から見ればふえています。しかし、だからといって、それじゃ四十八年度予算の公共事業関係費、災害を除いて二兆五千七百五十七億円、その中でいわゆる生活環境施設整備と住宅対策など国民に密着をしたそういう公共投資というものは一体どのくちいかといえば、これは一般会計の公共事業費全体の中のわずか一六・六%です。そうしてあとは道路その他を含めた産業基盤の整備というものの公共事業が四七・四%を含んでいるわけです。ですから、こういう点から、むしろ生活関連の公共投資は、ものすごく社会資本の中でも立ちおくれていたから今後ふやしていかなければならないんだということがいわれて、そして今回このような措置がとられていたのを、それをまた四%、総需要の抑制のためだということでもって減らしていく、私はむしろこれは非常に矛盾しているのではないかというふうに思うのです。  生活関連の施設整備と住宅対策の経費、これが四十八年度合計でどのくらいになるかといいますと、四千二百九十五億です。このうちの四%というのは幾らになるかというと百七十億です。この生活関連の百七十億をへずっていくということによってどれだけ総需要の抑制になるのだろうか。一般会計全体の中に占める今回のこの措置というものはわずか一・五%だというふうにいわれていますし、財投の場合には約七%というふうにいわれていますけれども、私はこういうような点を考えますと、むしろ生活関連の公共事業費を百七十億削減をする、繰り延べをするというようなことより、むしろもっと減らすべきものはほかにあるのじゃないか、このように考えます。たとえば道路財源一つを見てみましても、相当膨大な額が計上されています。緊急必要なものは、国民が望んでいる、立ちおくれているものはどんどんふやしていかなければならない。しかし総需要の抑制ということで公共事業を繰り延べるのならば、緊急を要しない産業道路やあるいはまた新幹線やこれらの問題を、いますぐに手をつけなければならないという緊急度という点から考えても、私はむしろこれを削減していくべきではないだろうか、このように考えます。簡単に大臣に御答弁いただいて、通産大臣見えておりますので、一応これで中止をさせていただきます。
  65. 山中吾郎

    山中委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  66. 山中吾郎

    山中委員長 速記を始めて。  それでは、松浦利尚君。
  67. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 通産大臣に簡単にお尋ねをいたします。  先ほど、電気・ガス料金の値上げ問題を中心にして経済企画庁長官には御答弁をいただいたのでありますけれども、実は産業計画懇談会が四十八年三月十四日に、産業構造の改革について、特に公害と資源を中心にした提言を通産省に出されておるわけであります。その中で、先ほど公益事業局のほうの政府委員の答弁を求めましたが、電気料金の問題について提起がされておるわけであります。それはくどくどと申し上げませんが、要するに「家庭用、業務用料金を据え置き、大口電力は環境費用を加算料金として高くし、さらに従量制追加料金を科する。そうすることによって増収をはかり、その分を公害防除費に当てる。」電気料金については、要するに大口電力料を高くせよ、こういうふうに三月十四日提言されておるのです。これは関西電力会社の取締役会長である芦原さんも参加をしておる提言であります。  ところが、これについて先ほど政府委員の説明によりますと、通産省は何も対応しなかった、何もしなかった。そしてこれを受けて、電気ガス事業法の改正等を行なえばいいのですが、そういうことも行なわずに、先ほど質問いたしましたところが、将来の問題として検討させていただきましょうという答弁しかない。一体この産業計画懇談会の提言というのをまじめに通産省は受け取っておるのか、受け取っておれば、直接にこれに対応して今国会で事業法の改正まで進み、そして今度の料金改定がこの提言どおり行なわれていったんではないか、そういう疑問が国民の間に非常にあるわけですね。その点について通産大臣の明快な御答弁をいただきたい。これが保留しておる質問の内容です。
  68. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 懇談会の意見具申というものは、正式に通産省に出されたものではございません。しかし、その内容には傾聴に値するものがかなりあると私は心得ております。通産省が正式に諮問したのではなくして、私的団体がそういう意見を出したというので、必ずしも通産省がすぐそれに対応すべき責任があるものではないわけです。産業構造審議会というような正式の機関で諮問した場合には、やはり通産省も対応する法的並びに道義的責任があるような気がいたしますが、この場合は民間の団体が意見を出したわけであります。しかし、そういう手続や形式にとらわれずに中身でものを考えなければならぬと私思っておりまして、その内容については傾聴に値するものがある、そう考えて、つまり政策料金、省資源型産業構造への転換という二つの点についてわれわれは注目したわけであります。  そこで、料金体系を転換するというのにはいままで大体二年くらいかかっておる。詳細な調査研究をやりまして、料金改正の調査会をつくりまして、そうして相当慎重に検討した上にそういう形をとっておるわけです。   〔委員長退席、井岡委員長代理着席〕 今回も、いろいろな情勢を見て、いまのようなお考えも入れて料金体系を検討を加えようと思いまして、取りかかろうと思っておったのです。しかし、その前にも、現行の法規の範囲内においていまのように、家庭の電灯と大口産業用電力との関係については法の許す範囲内においてかなり政策的な手心を加えまして、十二月までは据え置くとかあるいは五%云々という措置もとったり、ガスについても同じように、小口の問題についてはいろいろ配慮を加えたものであります。これはしかし、現行法規が原価主義ということになっておりますから、この法規がある限りこの方針に従わなければなりませんが、解釈で許す範囲内の措置は今度もとったわけであります。しかし、基本的な法規自体を検討すべき時期に来たと思いますから、法規の検討に入りたい、こう考えておるわけです。
  69. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私の申し上げておるのは、料金の値上げを申請した人も——このメンバーである関西電力取締役会長芦原義重さんが、関西電力の値上げを申請しておられるのです。しかもこの計画懇談会の提言の中には会長も入って、そして現在の政策料金は、原価主義ということばが使われておるのですが、これは廃止すべきである、こういうようにうたっておるのです。御本人がそう言っておられる。だとするならば、当然料金値上げという問題について、こういった提言について話し合いがあってしかるべきなんだ、経営者自身がそう提言をしておるのですからね。ほかの人じゃない、値上げを申請しておる御本人がそういう提言をしておられるのですから、むしろ通産省としては、関西電力に対してそういったことについての話をすべきである。先ほどもいろいろとここで経済企画庁長官と話し合いましたが、現に欧米先進諸国に比べて家庭用電気料金が高いのですね。大口産業に比べて三・五倍。ですから、ほんとうに国民の立場で考えるならば、もっとまじめにこの提言に対して通産省は対応すべきじゃなかったかということになる。   〔井岡委員長代理退席、委員長着席〕 もう値上げしてしまったからしかたがないといわれればそれまでですが、それじゃ事業法の改正にいつ取り組まれて、いつこういった提言にのっとって、産業界も認めておる提言について、いつごろ結論を出されるのか、その点について大臣に伺いたいと思います。
  70. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 できるだけ早目に料金問題検討の調査会なりあるいはしかるべき機関をつくりまして発足させて、そしてできるだけ早い機会にこういう新しい方針を出してもらって、われわれはそれに検討を加えて法の改正を行なう、そういう考えを私は持っております。
  71. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 料金値上げをされた側の国民の立場で質問をいたします。  もう上がってしまったのですから、上げられたのですから、次の通常国会に間に合いますか、具体的な問題として。
  72. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 通常国会は無理ですね。
  73. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 にこにこ笑って、無理ですね、こう言われますと、メジロ押しに、あとほかの電力会社から値上げ申請が出てくるでしょう。現に、ことしは出さないけれども、来年出すといっているのです。その場合もやはり今度と同じようにやられるわけですね。結局、現行料金体系のワクの中で審議をする、こういうことですか。
  74. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ですから、なるたけ早く結論を出してもらって、それを検討して、必要あらば法の改正をやりたい、こう考えておるので、まだ検討すべき調査会自体ができていない状態ですから、いつまでというふうにいま私から明言することはちょっと困難ではないかと思います。調査会が発足して、調査会の委員の皆さんの意見も聞いて大体この見当というのが出てくるので、われわれのほうから先に独断的にいつまでにやれと指示することは、調査会の委員の皆さんに対しても失礼ではないか、やはりその人たちの意見も聞いてみなければいけない、こう思います。
  75. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 調査会はいつつくられるのですか。
  76. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 できるだけ早目につくりたいと思っております。
  77. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 どうも抽象的で、できるだけ早く、いつまで、こういうふうになると、政府の言うすぐというのは、ちょうど——私はいなかの山の中ですが、道を聞くとすぐそこですと言うのです。ところがものすごく遠いのです。大臣の答弁もそれと同じことじゃないですか。すぐやります、そのすぐは、だいぶたってからしかやらぬということなんですね。——そういうことじゃないですね。すぐはすぐでしょう。
  78. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 すぐのすぐです。
  79. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それから経済企画庁長官は、小林委員の質問に答えて、国民の皆さんに電力を節約をしなさい、こういうようなことを盛んに、通産省を越えて言っておられるのですが、経営者の皆さんがこういうことをいっておるのですよ。「今後の発電量は、需要がある限り無限供給をするという考えを捨て、まず世界のエネルギー供給に見合った量、即ち在来予想伸び率一三・六%の半分程度とし、しかも逐次伸び率が低下することを織り込んだ供給計画を作り、供給が主で需要が従という方向へ進むべきである。」省力化の方向としてそういう具体的な提言をしておるわけですね。この提言も、大臣のほうはそのとおりだというふうに受け取れますか、そういう方向で指導されますか。
  80. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ことしの夏は電力の節約運動をお願いした次第もあって、節約は美徳である、そういう方向に切りかえましょうということを皆さんにもお訴え申し上げておるところでございまして、省資源型産業構造への転換ということから、いまのような考え方も私は妥当すると考えます。
  81. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それから、この提言によりますと、電力の直接輸入をやれ、こう書いてある。公害その他の問題で、いまわが国の狭い国土で非常に問題がある。ですから直接電力を輸入する方法を研究すべきだ。「世界的にみれば電力は貿易商品の一つである。電力の輸入は、スイッチ一つで切られる危険があるとする向きもあるがその危険性は石油でも同じである。発想の転換が望まれる。」という提言をされておるわけですね。通産省で、電力そのものを輸入するというような計画について、すでに御計画が具体的に進められておるのですか。
  82. 岸田文武

    ○岸田政府委員 ヨーロッパ諸国の場合でございますと国が接しておるわけでございまして、まさに輸入の問題は起こり得るかと思いますが、日本の場合でございますと海底送電線の布設ということが必要になってまいります。現に青森それから北海道の間の海底送電線の建設が計画されておりますが、これもいまの段階ではおのずから規模が限られておりまして、やはり将来かなりかかるのではないかというふうに思っております。
  83. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 もう時間が来ましたから、最後に経済企画庁長官、通産大臣の覚悟のほどをお聞きしておきたいのですが、この前、新聞記者団に対して、新谷運輸大臣が私鉄運賃の値上げを発表されました。経済企画庁長官は、私鉄運賃の値上げを示唆した運輸大臣の発言について、経済企画庁もそれに同調されるのか、それともそういった公共料金、私鉄の関係については抑制をする、押えるというお考え方なのかどうか。  もう一つは、いま各電力会社あるいはガス会社等で料金の値上げの動きが出ておる部分があります。もちろん中小も含めてでありますが、そういうものについてはどういう処置をされようとするのか、それぞれの大臣の立場で御答弁いただきたいと思います。
  84. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 公共料金につきましては、真にやむを得ざるものを除いて厳にこれを抑制するという立場を堅持してまいりたいと思います。運輸大臣の発言は私の関知せざるところでありますが、いずれ何か話があれば、それに対して私の意見を申し述べたいと思います。  他の電力、ガス等の問題については、実は先般記者会見でそういう御質問がございましたが、とにかく関西電力、四国電力ともに約二十年しんぼうしておるのだ、ほかに二十年しんぼうしておるのがあるかねと聞いたわけでございますが、そういうようなことも考慮していかなければならぬと思います。
  85. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いまのところ、伝えられるような申請というものはまだございません。私たちとしては、いまの料金体系の検討の問題もございますし、いろいろ情勢を勘案しながら次の問題は考えなければならぬではないかと、自分では思っておるところです。そういうような観点からいたしまして、できるだけ抑制して国民の皆さんの御期待にこたえるように通産省としては前進していきたいと思っております。
  86. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それで、この産業構造改革、経営者等も含めての提言の最後を読み上げて、私の質問を終わります。  「われわれの第四章に述べていることが仮にも真実に近いものなら、いま世間に通用しており田中総理の「日本列島改造論」にも引用されているところの“昭和六十年のGNPを三〇八兆円とみる見方”を基本とする一連の数字は、完全に根拠を失うことになる。これは当面の政策問題としても極めて重要な意味を持つことであるから、我々が第四章に述べるところは間違っているのか、いないのか、責任ある方面の責任ある研究を、これは国民の名において、希望したいと思う。」  こういう締めくくりが、この産業計画懇談会のメンバーの人によって締めくくられておりますが、ぜひこの問題を含めて物価問題、産業構造のあり方について、政府がこの提言を受け入れられるように希望して、私の質問を終わります。
  87. 山中吾郎

    山中委員長 次に、荒木宏君。
  88. 荒木宏

    荒木委員 物価を安定するということは、国民の皆さんの願いであります。今回、政府は電力、ガスの料金の値上げを認可しましたが、これは国民の物価安定の願い、これを踏みにじり、その期待に反したものと言わなければならぬと思います。今回の電力、ガスの料金の値上げ、これは政府から提出された資料によりますと、関西電力が消費者物価に与えるこの料金値上げの影響は〇・二%、大阪瓦斯が〇・二七%、四国電力が〇・二二一%であります。関係の地域では両方合わせますと〇・四七%。今回の大臣の措置によって、直ちに消費者物価の値上げに関係の住民の皆さんは苦しめられます。しかも、先ほど来指摘されておりますように、当初五・五%の見通しであるにもかかわらず、六月は一一・一%、七月は一一・九%、八月は東京区部で一二・九%。  私は通産大臣にお尋ねをしたいのでありますが、この際、政府の政策として、国民の生活にかかわる公共料金の値上げ抑制の緊急対策、値上げは認めないという緊急対策を政策として出すべきである、この緊急対策をとるのかとらないのか、このことについてお尋ねをいたしたい。
  89. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 公共料金はできるだけ抑制するという方策をいままで政府はとってまいりましたが、その政策を継続していきたいと思っております。
  90. 荒木宏

    荒木委員 私が申し上げたいのは、皆さんはいままで絶えずそういうことを言ってこられた、昭和三十六年の三月七日に閣議了解で公共料金の値上げは認めないというふうな措置をとられたけれども、その後いまのように、極力したいだとか、あるいは構造的改善だとかいろんなことをおっしゃって、物価は上がる一方であります。この際はっきりと、緊急対策として料金の値上げを認めないという、そういう政策をとるのかとらないのか。今度の出されたあの七項目の中には、公共料金のことは触れられておりません。政府が認可権を持っておる公共料金についてこの緊急対策をとるのかとらぬのか、イエスかノーかはっきりしていただきたい。
  91. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いま申し上げましたように、できるだけ抑制するという政策を継続していくつもりであります。
  92. 荒木宏

    荒木委員 つまり、値上げをしないという政策はとらぬということですな。いまの御答弁を私の質問にそのまま振りかえて言うならば、質問をしておるような内容の対策はとらないということ、こういうことなんですね。
  93. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 申し上げましたように、できるだけ抑制する、そういう政策です。
  94. 荒木宏

    荒木委員 今度の電力とガスの料金の値上げ、直ちに響いてくる影響はいま言いましたけれども、卸売物価の関係は、これまた決して無視はできやしません。昭和四十六年度の関係業界の電力料金支払い額、これは政府のほうの資料でありますけれども、たとえば鉄鋼業では千二百九十七億円も払っておる。このうち九電力の中での関西電力のシェアは二二・四%であります。四国電力は二・一%であります。したがって、昭和四十六年度中に鉄鋼業界が電力会社に支払った電力料金、そのうち関電の部分については二百八十億になり、四国電力は二十七億円になります。今度は鉄鋼関係は二八・九%上げるといっているんでしょう。だとすると、金額に直せば関西電力では八十四億円になり、四国電力では八億七千円万になります。九十億円をこえるじゃありませんか、鉄鋼業を見ただけでも。同じ計算で化学産業を見れば、関西電力は四十四億円になり、四国電力は十億円になる。食料品があるでしょう。繊維がありましょう。非鉄金属がありましょう。たくさんの業界にみんな及んでいくじゃありませんか。この値上げを押えるという自信がありますか。このことがはっきりできないのなら、公共料金の値上げはしない、これを政策として出すべきだと思います。  重ねて、公共料金値上げ抑制の緊急対策をとるのかとらぬのか、はっきりしていただきたい。
  95. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、できるだけ抑制する、そういう政策をとっておるということです。  経済はわりあいに動態的に動いておるものでありまして、社会主義国家、共産主義国家のように統制経済はわれわれはやっておらぬのです。統制経済によって硬直したことをやることは人間の創造性を失わせて、それが今日、一部社会主義国家にあるような経済政策の失敗を招いておるところもあるわけであります。われわれ、戦争中、そういう経験も如実にしたところであります。そういう面から、動態経済のもとにおいてできるだけ人間の創造能力、企画力というものを生かすような形で、競争的にものを処理していこうという考えに立っておるわけでありますから、そういう世界において絶対的に規定するということはなかなかむずかしいところであります。それはすべてやっぱりケース・バイ・ケースでものごとの本質や経過を見て、そして適切な処理をしていくということが、原則的にはわれわれ自由経済をとっているものに好ましいやり方です。もとより、国民生活に影響する物価やその他の問題については、われわれは周到な配慮をして一般物資と扱いを異にするということは、これは大切なことであると思います。ですから、そういう点についてはできるだけ政府が努力するということで、われわれとしては常に頭に置いて政策をやっていこう、そして国民の期待にこたえよう、そういう立場に立ってやろうとしておるのであります。
  96. 荒木宏

    荒木委員 私は、社会主義経済を直ちにとれとか計画経済をやったらどうかとか、そういうことは、質問の中ではただの一言も触れちゃおりません。いまこの物価高で国民の皆さんが苦しんでおるときに、政府が認可権を持っておる公共料金の抑制、この緊急対策をとれということが、一体どうして社会主義経済というような論拠になるのですか。それがなぜ計画経済というようなことにストレートに結びつくのですか。皆さん方だって、いまから十年余り前に、閣議了解でそういうことをやったじゃありませんか。私が言っておるのは、いまの国民の物価を上げないでほしいという気持ちをほんとうに考えて、それを実現するとすれば、公共料金の値上げについては抑制するという緊急対策をとるべきである。例がある、過去にもやった、いまはこんな状態だ。しかも、いま私鉄の運賃の値上げについて、先ほど来ありましたが、運輸大臣の年内をめどにという記者会見での新聞報道もあります。私鉄関係での生産費の中での動力費の占める割合は、四十六年の下期では三・三%になっています。その値上げ申請の理由に拍車をかけるということは、これはだれが考えても明らかな事実です。しかも、これに続いて北海道電力あるいは北陸電力、さらには東邦瓦斯値上げの申請の動きもあります。だから、この時期に緊急対策としてとるべきだ。社会主義とか計画経済主義とか、そんなことは言ってないのです。いまの時期にこれをとるべきだと思いますが、その点からいかがですか。
  97. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、できるだけこれを抑制するという政策を私たちは継続していきたい、こういうことであります。
  98. 荒木宏

    荒木委員 先ほど来の繰り返しの答弁で、皆さんが公共料金の値上げを押える、ここではっきりと緊急対策をとるという気持ちも、またそのための政策も持ち合わせがないということがはっきりしたと思います。だとしたら、いま政府が持っておる認可権を国民の手に返上したらどうですか。電気やガスのように国民生活に非常に関係の深い公共料金の値上げの認可については国会できめる、国民の代表がきめるんだ、こういうことにしたらどうですか。皆さん方に意志も能力もないんなら、そいつを返すべきですよ。国会の議決事項にすべきだと思いますが、大臣はいかがですか。
  99. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その考えには賛成いたしかねます。そう短絡ですぐ結びつく要素は必ずしもないと私は思います。
  100. 荒木宏

    荒木委員 物価の安定を願うこと、これはきわめて簡明直截なことです。公共料金の値上げをしないでほしい、これはストレートに、短絡的な国民の願いです。ですから、皆さんは、その国民の願いに短絡的にこたえようとしていないじゃありませんか。皆さん方がそれができないなら、国民の代表である国会で決すべきですよ。物価の安定を願うこと、それにこたえて政府にその意思と能力がないんなら、国会に返上すべきだ。これはまことに政治の直道である。それを短絡的にやることこそ国民の願いにこたえる道じゃありませんか。大臣のこの手続問題についての、なぜこれが短絡になるのか、なぜこれにこたえられないのか、その理由をはっきりおっしゃってください。
  101. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 物価の安定を願うということは、政府も国民も同様でございます。しかし、経済政策の運営という面は、長期的な展望を持って、有機体的に動いている経済自体をよく把握してやらないと硬直を起こすものです。アメリカでニクソンさんが所得政策に近いことをやって、凍結その他をやっておりましたけれども、それを解除したら四%以上一挙に物価が上がり出した。そういう経験も見まして、長い目で見てどちらが国民に対してベネフィットやウエルフェアを与えるかという点も考えなければならぬわけであります。そういう総合的な観点から経済政策全般の運用を考えてみますと、いますぐ公共料金の決定権を国会に返上せよというお考えは短絡ではないか。それだけの内容あるいは国民経済全体の波動の動き、個人の創意による効率性、あらゆる問題が相関関係にあるのでありまして、国会にすぐ持ってくるということはその過程を無視したという感じが私たちはしておるから、短絡と申し上げたわけであります。
  102. 荒木宏

    荒木委員 長い目で見て大局的に政策を進めて——一般的にいえばそれは必要でしょう。物価の問題は現在の問題です。いまの問題をどうするか。さればこそ緊急対策と申しておるわけです。  いま総合的にというお話がありました。また外国の例も出されましたけれども、たとえば、それでは総合的に見て、今回値上げの認可をされた企業の含み資産をどう見ますか。私はここの委員会でも指摘しましたが、一例を大阪瓦斯にとりますと、四十七年の決算で、たとえば有価証券を例にとれば、簿価五億五千五百万円の有価証券が、そのうち上場銘柄を時価で換算してその指数をとれば、これは実に三百億をこえます。これは総合的に見れば一体どういうことになるのですか。この点を見て、そしてどうして今回の値上げの許可になるのでしょうか。企業努力ということをおっしゃるなら、そこの点の手持ち資産の処分ということだって、経営改善ということは十分考えられるはずです。算定要領であるとかあるいはいまのシステムであるとかそういうことは抜きにして、政策として考えてそういった面を総合的に見れば、緊急対策として料金抑制をとるべきである、それができないなら返すべきである、これは当然の筋道じゃないですか。大臣いかがですか。
  103. 岸田文武

    ○岸田政府委員 電力会社、ガス会社の保有しております有価証券、これは商法の原則によって取得価格をもって帳簿に計上するということにさせられております。いまお話の中で、これらを処分すればというお話もございましたが、有価証券の保有は、原材料取得関係あるいは顧客関係等々のいろいろな背景の上に保有しておるものでございます。これを直ちに処分するということは適当でない場合が多いと思います。
  104. 荒木宏

    荒木委員 事務当局の答弁を求めでいるのではありません。そういった事務上の措置ではなくて、私は政策として聞いているのです。政府の担当の所管大臣として一体どう見ているのか、この点で長官に一言お伺いしておきますが、私はここの委員会でその旨の質問をいたしました。検討してここで報告するという答弁がありました。つい二、三日前の朝方に大臣からその点で電話をいただきましたけれども、国民がみな注視をしておるこの公共料金の値上げの問題について、委員会で質問をしてここで答弁をする、資料を提出して調査結果を報告させる、はっきりその旨のお約束があった。先日の記者会見で発言された内容を新聞で見ますと、たとえば土地なども処分をして企業努力を強めるように指導するつもりだという趣旨の記載がありました。だとすれば、いま私が言っておりますことは、土地と有価証券というものはその企業努力の一つになるんじゃありませんか。大臣が前回の委員会でのお約束をはっきり履行されなかったそのことの反省も含めて、いま言っております総合的に見た場合の企業に対するメスの入れ方、このことについてひとつはっきりしていただきたい。
  105. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 六月の末の委員会で、いまお述べになったような趣旨のやりとりがございました。その話に基づきまして、七月初旬から三回ばかりと聞いておりますが、通産当局並びに企画庁のほうから荒木委員に、資料を持って説明にあがったと聞いております。なお、その資料については、山中委員長の御了解を得て当委員会に提出したように聞いております。  私が申し上げたのは、そうした御質問があったから、それに対してお答えをするということは適当であろう、こういうことを申したのでありまして、速記録をひとつお読みいただいたらいいと思いますが、この委員会で討論してその結果きめるというふうには、私は言っておらぬと思います。その趣旨で私は御説明したので、もしこの委員会で御討論の必要をお認めになるならば、討論したほうがいいとお考えになるならば、御質問があれば私はいつでもお答えをするということになると思います。それまで何回も委員会が開かれましたし、商工委員会もあったわけでございますが、その話はなかったようでございます。  それから、土地問題云々ですが、私は記者会見で、電力会社あるいはガス会社が土地を処分したらいいということは言っておらぬと思います。これは何かの聞き違いであろうと思います。
  106. 荒木宏

    荒木委員 その後政府の担当者が見えて説明があって、その整理がしきれないで、それがようやく先日、公害の設備の部分についてだけ終わって、そして含み資産の点についてそれではということで、前回の委員会には大臣は出られなかった、そしてきょうでしょう。値上げ申請許可の前にそれをするというはっきりした約束がありながら、その前にやってしまった。  先ほどの質問の答弁を最初から伺ってはっきりしましたように、いまその緊急対策をとるつもりもない。公共料金を押える政策の持ち合わせもない。結果のはっきりした約束もできない。しかも、五・五%にどうして押えるかということについても確たる答弁がない。しかも、八月には〇・五%の上昇で、これはいいところだという話だが、年間に直せば六%でしょう。見通しからすればすでに倍近く上回っているにもかかわらず、その上さらに三倍近くにまでなることになる。私は、国民の願いにこたえて、公共料金の抑制の措置をとるべきであること、そして、会見や委員会でいろいろおっしゃっておる皆さん方のことばをほんとうに実行するとするならば、その決意を示すものとして、今回の認可を取り消すべきである、このことを申し上げて、質問を終わります。
  107. 山中吾郎

    山中委員長 次に、和田耕作君。
  108. 和田耕作

    和田(耕)委員 中曽根大臣に御質問申し上げます。  今回の四国電力、関西電力、大阪瓦斯の料金値上げの申請について、いろいろと事務当局からも話を聞きました。各業界の方からも大体の話は聞きました。いろいろと申請の理由もあるだろうし、政府としても非常に厳重な審査をしたと思いますけれども、やはり基本原則は原価主義という考え方に基づいて検討なさったと聞いております。それは事実でしょうか。
  109. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 現行の電気料金に関する基礎法規が原価主義ということになっておりまして、今回は原価主義でやりました。ただ、法の許す範囲内において政策的考慮も入れたつもりであります。
  110. 和田耕作

    和田(耕)委員 その法の許す範囲において修正をしたという点は、どのような点でございますか。
  111. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いまお示しのとおり、私ども、一応原価主義をたてまえとして審査を行ないましたが、個々の原価事項査定にあたりまして、特に消費者家庭に影響の多いと思われます送電部門、配電部門等については厳重な審査をしたこと、さらに加えて、先般御報告申し上げましたように、各般の経過措置を設けまして、消費生活に与える影響をなるべく緩和しようという配慮を行なったつもりでございます。
  112. 和田耕作

    和田(耕)委員 主として経過措置ということだと思いますけれども、大臣、私はここらで料金問題の基礎的な問題を再検討してみる必要があるんじゃないかと思うのです。  と申しますのは、電力というのは、たとえば電灯等の問題でも、電力として使用する場合でも、お互いの生活にとってなくてはならないものなんですね。こういうものが、たとえば東京に住んでいる人はわりあい安く、大阪はそれより少し高い、四国に住んでいる人はもっと高いというような料金構成をそのままにしておいていいのかどうか。しかも、これは一般の私企業と違って、独占的な営業を政府は認めているわけです。国民の必需の品物に対して、ある業界に独占的な営業を認めておる。そのような業界において原価主義というものを厳密にやれば、いま申し上げたとおり、東京の人は安い、大阪の人はもうちょっと高い、四国の人はもっと高い、しかも家庭の電力は高いけれども大企業の電力は安いという、現在のような結果になるわけです。非常に高度な公共性を持っておる、国民全体が必要だというものについて、こういう料金のきめ方がはたして妥当かどうか、こういう点について大臣の御所見をお伺いしたい。
  113. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 家庭用の電灯のようなものは、できるだけ全国的に平準化することが望ましいという御指摘は、私も同感であります。ただ、原価主義というたてまえで現在の料金体系ができておりますから、そういうことでやりましたが、先ほど申し上げましたように、料金体系をこれから検討する際には、いまの和田委員の御指摘の点はひとつ大いに検討項目に入れてみたいと思います。
  114. 和田耕作

    和田(耕)委員 その問題はぜひとも御検討いただきたいと思うのです。やかましゅう言いますと、これは憲法問題にも関係すると思うのです。国が独占的な企業を許して、国民だれもが絶対必要な品物に対して、東京に住んでいる人は安くて、四国に住んでいる人は非常に高い。せんだって、選挙法の問題で、鳥取県の有権者と東京七区の有権者を比較した訴えがありました。それに対して裁判所は、これはひどい状態だ、憲法違反のおそれがあるということを言ったわけです。これは問題は多少違いますけれども、同じ日本の国民が、しかも東京におる人も地方におる人も同じような必要性を持っておる品物に対して料金が違うということは、もっと真剣に考えてもらう必要がある。特に、いま大臣おっしゃったように、家庭用の電力というものは、東京の人でも四国の人でも必要なことは同じですね。企業の仕事としても、中以上、大企業になれば、どこで仕事を始めるかという自由な選択の条件がある。しかし、中小の人になると、もうそのような選択の条件はないのです。たとえば洋服屋さんにしてもあるいは食堂にしても、そういうふうな選択の条件がない人、しかも営業のためにどうしても電力を使わなければならないというものに対して、東京の人には安く、地方の人には高くという制度をそのままにしておくということは、私は公平だとは思わない。中以上の企業に対しては、私は相当な違いがあっていいと思います。また、国の政策上のいろいろなあれがあっていいと思います。それは、東京は高く、地方は安くというようなことも、考え方として成り立つと思います。  そういうふうなことで、この際、厳密な原価主義、これは非常に理屈の通った考え方ということにもなりますけれども、ほんとうに原価主義をやるとすれば民営にさせればいい。普通の営利事業にさせればいい。電力は、先ほど長官のお話にもあったように、戦争直前には日本でも国有であった。これは単に社会主義国だけでなくて、現にイギリス、フランスでも国有化している。つまり国有化ということは、いろいろな理由がありましても、国民が平等に必要な品物に対して平等な供給をするというのも大きな理由の一つ、こういうことですから、この料金問題についてはぜひともひとつ、そのような意味から御検討を賜わりたい。いまもそのような御趣旨をいただいたのですから、御答弁は要りませんけれども、ぜひともこれはお願い申し上げておきたい。  それに関して、あるいは今後、これに関連した他の電力の幾つかは申請してくると思いますけれども、家庭用の電力については、この料金問題の根本的検討を待たないで、いまの法的に許す範囲に、もっと、比較的安く適用するような配慮をぜひともする必要がある、そういうように私は思うのです。これもいま大臣からそのような方向の御答弁をいただいたのですから、答弁は求めません。  次の問題は、この料金値上げの理由として、油の値段が非常に上がった、あるいはまた公害に対する費用が非常にかさんでおる等々の理由があると思いますけれども、このような問題は、これは単に電力問題だけではなくて、外国からの輸入価格が上がったというような場合に、現在政府としては全力をあげて物価の安定に努力している、緊急対策をこの間とったばかり、こういうふうな時期でもあるし、物価の安定を来たすまでは、値上がりした油の値段は政府がカバーしてあげるというような考慮は、これはできないものですか。そして電力料金の値上げというようなことにならないで、値上がり分は政府が臨時的な措置にしてもカバーしてあげるというような形で、電力料金の値上げというものをずっとあとの、その物価の問題が心配にならないときまで延ばしていくというような考慮はできないものですか。
  115. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 結論から申し上げると、いまはむずかしいと思います。食管制度のような場合には、いろいろ弾力的に調節するということも、膨大な予算の中でやっておりますけれども、食管制度のようなものといまの電力の体系はちょっと違います。九電力がおのおの競争しながら創意くふうをもって需要者の要望にこたえていく、そういう体系を持っております。私は、その体系がやはり基本的にはいい、それによって競争もするし、またほかの電力会社から刺激も受けるというところもありますし、原子力発電や新しいエネルギーの開発についてもいろいろ創意くふうの花が咲いてくるだろう、そう思いますから、この基本体系は私はいいと思っております。  そういう基本的な考えに立ちますと、油の上がった分だけ国が負担して、補給金みたいなものでもたせるということは、そういうことができればよりベターなことではあるけれども、経済の運営自体においては、その金は国民の税金からやはり出ていることなので、国民が結局は負担していることにもなるわけです。そうすると、ある地域の国民の値上がりの分を全国民で負担するというような形も出てきます。そういういろいろな情勢を考えてみると、必ずしも適当ではないのじゃないか、そういうふうに思います。
  116. 和田耕作

    和田(耕)委員 これは誤解をしてもらっては困りますけれども、いまのような物価がどんどんと上がっておるときには、公共料金に対しては、できるだけこれを上げないように努力するというのが政府の態度ですね。できるだけ上げないようにするという政府の意思の一つのあらわれとして、電気料金を上げない、そのかわり、重油はこれだけ上がっている、それは確かに上がっているから困っているだろう、これについては政府はこういうふうにしてあげようというような、電気料金を上げないという立場から、しかも物価の問題についてはもっと非常に重要な問題なのだということで、臨時的な措置としてそういうことができないものかどうかということをお聞きしているわけです。  これは先ほど松浦君の話にもありました電気、ガスの税金の問題、あれでも同じことだと私は思います。これはなるほど原料、材料は上がっている、あるいは労務費も上がっている、しかしこれを上げては困るのだ、そのためには電気ガス税は免除しょう、まあ全部免除でなくても、これだけ減らそう——かなりむずかしい問題であることはわかっておりますけれども、むずかしい問題であっても、物価を上げてはいけない、公共料金を上げてはいけないという政府の姿勢を示すために、そういう非常の措置をとる。物価の問題についてはそれだけの重視をする必要があるのだということを私は申し上げておるのですけれども、いまの税金の問題については、企画庁長官どうでしょうか。
  117. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 電気ガス税は、昨年も実は下げたし、免税点を上げたわけでございます。来たるべき予算編成期においてもさような問題が起こりはしないかと考えておるわけでございますが、昨年でも、実は下がったことが、これは東京のたとえばガス料金に例をとってみますと、東京のガスの消費者には確かに上がった分をある程度償ったと言えるのでございますが、大阪のほうから見ると、ガスはそのままであるのにそれだけ安くなったではないかという問題があるわけでございますね。それを今度はことしまた考えますと、大阪のほうは上がった分を補償したけれども、その他の地域は、上がらないものについてさらに安くしたじゃないかという立論がおそらく出るでございましょう。それがおそらく徴税当局と——私はそれを主張いたしますが、この間の議論の焦点になるのじゃないか。いま通産大臣が仰せられましたような意味において、この問題はいろいろ論議を呼ぼうかと考えておるわけでございます。
  118. 和田耕作

    和田(耕)委員 これで質問を終わりますけれども、私が特に申し上げたい点は、政府もしばしば声明しておりますように、とにかくいま物価が何ともならないような悪性インフレのような状態に入ることをとめなければならないということを本気に考えておるとすれば、いま申し上げたとおり、特に公共料金についてはそういうできるだけの手を打ってこれを上げないようにする。私は、国鉄料金のときに、とにかく一年延ばしなさい——一年延ばすという意味は、それは事務的なそろばんをはじけば意味がないかもわからない。しかし、政府の態度としては非常に重要なことになるのだ。インフレマインドということばがありますけれども、そういう政府のきびしい態度の表明というものが必要なわけです。それを単に原価主義とかいうそろばん勘定のことだけではじいてはいけない。そういう点で、政府全体として物価に対する取り組み方が、私はまだきびしい姿勢とは思われない。ぜひともこういう点を今後とも御検討を賜わりたいと思います。これを要望しまして、質問を終わります。
  119. 山中吾郎

    山中委員長 次に、石田幸四郎君。
  120. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 通産大臣に対して一点だけお伺いしたいのでございますが、今回関西電力の料金改定申請が認可されることになりましたが、こういった公益性を持つ企業といたしまして、今後の営業活動においてどんな姿勢で社会に対応していくのか、これは社会全体に与える影響はきわめて大きいと思われるのであります。私はここで、いま関西電力等の火力発電に伴う環境破壊あるいは大気汚染、今日までのそういう各会社の姿勢を見ておりますと、終始非常に消極的な態度であるように思えてならないわけであります。これは特に国民全体に与える心理的な問題といたしまして、今回値上げが行なわれたわけでありますからその収益性もおそらく高まろう、そうであれば今日大気汚染等にかかわる火力発電等の公害防止設備に対してももっと積極的な姿勢を示すべきではないかという、そういう国民感情というものは当然生まれてくるのではないかと思うわけです。  それで、環境庁等の対策は別といたしまして、通産省といたしまして、この電力会社等の大気汚染に対する問題をどういうふうに指導をしていらっしゃるのか。今日まで見ますと、火力発電に対するそういう脱硫装置等の設備は非常に少ないわけですね。しかし、そういうような公害防止に伴っての経費が増大をしたというようなことが値上げの理由の一つにもなっておりますので、当然国民全体に対して、電力会社も、また政府といたしましても、この問題についてはこのようにしてまいりますというような明確な姿勢を示す必要があるのじゃないかと、私は特に強く感じておるわけでございます。この点について、環境庁の対策はともかくといたしまして、通産省ではどういうふうに指導をしていかれようとするのか、お伺いをしたいと思います。
  121. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 四日市問題が起きましてから電力会社等にも指導し、一番大きな問題である燃料問題について低硫黄の燃料を使う、そういうことで電力会社もずいぶん努力いたしまして、低硫黄燃料をかなりたくようになりました。それからナフサの生だきにも入っておる。これらは石油化学界とかなりの摩擦を起こしましたが、ある程度われわれはこれを認めて、公害防除のために電力会社を督励したこともございます。これがまず一番顕著に出てきたもので、それから排煙脱硫、この装置をできるだけ早期につけさせるようにいまやっておるところでございます。ガス脱硫その他、ともかくいろいろな技術が開発されるに伴いまして、そういう最新の技術を使って公害を起こさないように、電力会社にも大いに督励していきたいと思っておるわけでございます。
  122. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、さらに問題を詰めまして、一体この電力会社等の公害の防止設備に対しまして、いわゆる将来の計画、たとえば十年計画、十五年計画というのがあると思うのでございますが、大体の見通しとしましては、何年後くらいにおいてこういった公害防止設備が電力会社等において完備するとお考えになっていらっしゃいますか。
  123. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いま大臣からもお答えいたしましたように、電力会社にとりましては公害防止に万全を期するということが、これから一番大事な仕事であるというふうに私ども心得ております。  いまお話の中に今後の見通しはどうかというお尋ねがございましたが、私どもは環境庁の定める環境基準、あるいは各府県の定めております各種の条例、これはすべて適合するという考え方のもとに指導をいたしております。こういった考え方に基づきまして、今回の料金算定におきましても、この料金算定期間における公害防止等に具体的にどういうことを考えているのかということを個々に事情聴取いたしまして、これらの計画に盛り込まれております、たとえば排煙脱硫装置であるとか、あるいは窒素酸化物除去装置であるとか、各種の公害防止装置の設置、あるいは低硫黄化計画、これら諸般の点につきましては、私どもも極力指導を徹底さしてまいりたいと思っております。
  124. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いまの公益事業部長のお話にありますように、概略のところはわかっておるわけでございます。しかし、実際に公害防止設備をして大気汚染に対する効果が十分にあがってくるという、何年先にという大体の見通しがなければこれは空文にすぎないのであって、どうしようもないと思うのですが、この点、大臣どうお考えになりますか。
  125. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは環境庁とも連絡をして、環境庁が指示する公害規制の基準をまず順守させる、そしてそれがある程度できるに従ってさらに規制をきびしくして進んでいく、そういうように段階的に公害問題を防除していく、あるいは芟除していく、そういう方向に進めていくべきであると思っております。  NOx等につきましてはそういう期間の設定等もございまして、そういうような基準をわれわれは守らせるように大いに努力していきたいと思っておるわけでございます。
  126. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 たいへんお答えにくい問題だろうと思いますけれども、いずれにいたしましても関西電力等、いわゆる電力会社は公益事業でございます。そういう意味におきまして、やはり公害防止に対しましても積極的な姿勢を示すべきであるし、また通産省としてもそういう指導性を持つべきだと思うのでございますが、やはり経済の伸展等いろいろありましょうが、この問題につきましては五年計画なり十年計画というような計画を明確にして、そしてその指導をすべきではなかろうか、こういうふうに思います。この点を付言いたしまして、質問を終わります。  残余の問題については、申しわけありませんがあとにして……。
  127. 山中吾郎

    山中委員長 ちょっと速記を待ってください。   〔速記中止〕
  128. 山中吾郎

    山中委員長 速記を始めてください。
  129. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、時間まで私の質問をさらに進めたいと思います。  いま公害防止問題で若干御質問を申し上げたわけでございますけれども、こういうような電力会社は日本でも有数の会社でございます。しかしながら、会社の性格としては、電力供給の責任のみを過大に考えて、それに伴う生活環境破壊とかあるいは権利侵害だとか、そういうものに対する社会的な姿勢というのが非常に甘いのではないかと私どもは思うのです。たとえば送電問題について考えてみますと、鉄塔建設等に対する補償問題、こういう問題がしばしば起こっております。私どもの手元にも、そういうようないわゆる権利侵害というような訴えが来ておりますけれども、そういった意味で、もう少し行政当局が指導性を十二分に発揮をしていかなければいけないのではないか、こういう意味でこれからの御質問を申し上げたいと思うわけであります。  いま私が取り上げようとする問題は関西電力の問題でございまして、特に京都府の大野ダム、和知ダムに関する問題について、若干これから御質問をしたいと思うわけであります。  まず第一に伺いたいのは、いわゆるこういう電力事業、これは水利権とかいろいろな問題がからんでまいりますけれども、そういう電力事業を興すにあたって、さまざまな問題が同時に起きてくるわけであります。いわゆる水利権の問題であるとかあるいは住宅の問題であるとかあるいは漁業権であるとか、そういうような問題がたくさん起こってまいります。  私がいま取り上げようとする問題は鉱業権との問題であるわけでありますが、この「電源開発等に伴う損失補償基準・細則」によりますれば、基準第二十三条に次のように規定されております。「鉱業権の消滅とは、電源開発等の施行により鉱区の全部または一部について当該権利の行使が不可能となる場合をいう。」こういうふうに規定がございまして、いわゆる補償の基準がこれによって示されておるわけであります。しかし、鉱業権と水利権というようなものは当然別個の権利でありまして、水利権の許可を得さえすればダム建設は容易にできるようになっているように私は伺っておるわけでございます。ただ、行政当局としましては、こういうような発電所建設を認める場合、あるいはその発電所が完成をいたしまして湛水をする場合、そういうようなことによって起こってくる権利の損失、そういうようなものも当然加味してこれらの許可権を与えるべきだ、私はこういうふうに思うわけであります。  そこでお伺いをいたしますが、この「電源開発等に伴う損失補償基準・細則」、これがどういう目的でつくられたものであるか、その目的からまず伺っていきたいと思うわけであります。
  130. 岸田文武

    ○岸田政府委員 電源開発等に必要な土地等の取得あるいは土地等の使用に伴う財産権の損害については、やはりこれは正当に見積もり、適正な補償を行なうということが必要でございます。これらにつきまして、個々のケースごとにアンバランスが生ずるということがないように一定の基準をあらかじめ定めておくことが必要かと考えまして、昭和三十七年六月に一般的な損失補償基準としまして「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」というものが閣議決定をされております。それを受けまして、各事業ごとにそれぞれの基準を定める、こういう措置を講じた次第でございます。
  131. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 事業部長さんにさらにお伺いをいたしますが、要するにこれは、水利権とか鉱業権とか漁業権等は別々の権利ですね。しかし、結果的に、そういうダム建設をした場合にそういうものが侵害をされる。法律には抵触しないけれども、結果的にそういう損失が生じてしまう。そういう場合を想定して、そういうような権利を保障するためにこういうような補償基準というものができ上がっている、こういうふうに解釈していいわけですね。
  132. 岸田文武

    ○岸田政府委員 さようでございます。
  133. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 部長さんも御存じのとおり、憲法第二十九条には財産権の規定が明確になっておりまして、「財産権は、これを侵してはならない。」「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」それから「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」何といっても憲法の規定が一番基本になっていると思うのでございます。  大野ダム、和知ダムの状況、それに伴う鉱業権の侵害という問題を現場に行って私どもが見てまいりましたけれども、確かに鉱業権というのは、一つは採掘権という、採掘案ですか、これが問題でございます。この許可を得なければ操業はできない、そういうことになっております。しかし、大野ダム、和知ダムにからむ鉱山の問題については、三十三年当初操業をしておったわけでありますけれども、その後大野ダムの建設に伴っていろいろな支障が出てくるので、それに対する補償を払って休業がなされたわけであります。そういうような過去の既成事実がある。ところが、その後に大野ダムから関西電力が電気を買う必要上、その鉱区の上に送電線を建設をした、こういう既成事実。それから大野ダム建設後にこの和知ダムが建設をされておるわけでございまして、その湛水に伴って一部鉱区に浸水があって操業が不可能である。こういうような二つの問題がからんでいるわけです。  この問題については、関西電力としましては、一個人の企業であるがゆえに関西電力が公共性を主張して、たとえば送電線の下に鉱区があっても、もうすでに送電線があるのだからそれに対して同意をすることはできない、そういうような態度に終始しておって、この損失補償基準にきめられておるような態度で関西電力が問題解決に臨もうとしていない。  当初、この問題が大阪の通産局に問題提起をされたときに、大阪通産局としては、関西電力とその一企業の間に立って、いわゆる和解の話し合いを進めなさいというようなことで行政指導をしていらっしゃるわけです。ところが、関西電力のほうではそういうものに応じない。また、鉱山の持ち主も、進めたいけれども、あまりにも関西電力の姿勢が横暴でこれに応じられるような状況ではない、というような状況になっておるわけでございますけれども、こういう問題に対して、一体公益事業を担当する関係省庁としてどういうような態度で両者に指導をされたのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  134. 岸田文武

    ○岸田政府委員 ただいまお話がございましたように、本件は、大野発電所の問題と和知ダムの問題と二つに分かれているかのように聞いております。大野発電所の操業しております段階でその近辺の鉱業権に基づく施業案の申請がなされ、これが大野発電所の営業に支障を及ぼすということで不認可になった。その後、操業を開始せずにいる間に引き続き和知ダムの問題が起こってきた。この和知ダムの建設によって一体鉱業権にどういう新しい影響を及ぼすことになるのであろうか、こういうような点の判断が両当事者の間になかなかまとまらず、結局裁判に持ち込まれたという経緯のように、私も最近聞いたところでございます。  私も、こういった問題はやはり両当事者が円満に話し合いできめるというのが本筋であろうと思います。たまたま裁判が係争中であるということは承知はいたしておりますものの、私自身としても少し事情を調べまして、どういう対策をとり得るか、検討いたしてみたいと思っております。
  135. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 では、残余の質問は後ほど……。      ————◇—————
  136. 山中吾郎

    山中委員長 この際、委員長から、緊急物価対策の推進に関する件について提案をいたします。  本委員会は、物価問題及び消費者保護の問題等について、熱心な調査を進めてまいりました。特に、最近の消費者物価、地価等の高騰に関しましては、生活関連物資の買占め売惜しみ法案の審査をはじめ、参考人として各界の代表者からの意見聴取、また現地調査等を通じまして物価の安定に鋭意努力してまいりましたが、残念ながら物価は今日なお高騰を続け、ますます国民生活を脅かしていることは事実であり、物価抑制に各般の施策の強化を痛感する次第であります。  ついては、先般来理事会で協議いたしたのでありますが、委員各位の総意に基づき、委員長提案をもちまして緊急物価対策の推進に関する件について決議を行ないたいと思います。  案文を朗読いたします。     緊急物価対策の推進に関する件   最近の物価騰貴は、極めて異常であり、その結果国民生活が著しく圧迫されているばかりでなく、福祉優先が国民的課題となつている今日、公害の深刻化と相まつて国民生活の基盤がおびやかされている。このような重大な事態に対処し、国民生活の安定と向上を図るための有効な諸施策を緊急に講ずる必要がある。   よつて政府は、今後物価の長期かつ構造的問題を徹底的に明らかにするとともに、当面の緊急事項として、少なくとも次の諸点を実施すべきである。  一、財政金融政策を国民福祉優先の方針の下に適切に運営することとし、今後の物価動向に留意して弾力的運用を図るほか、特に中小企業や庶民住宅について適切な配慮を加えること。また、一般法人税率をおもいきつて引上げ環境改善、福祉対策を拡充すること。  二、公共料金政策については、長期的視点に立つた構造的な対策を講ずるべきであるが、公共料金は国がその改定に直接関与するものであり、他の物価に悪影響を与えることを考慮し抑制すること。  三、抜本的な土地対策を確立し、投機的な土地取引を厳に規制するとともに、宅地供給の大幅な拡大を図りつつ、総合的かつ計画的な国土利用を図る措置を講ずること。  四、商品投機等の監視を厳しくし、「生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律」の活用により、食品、木材、繊維等の国際的不足資源の買占め、投機を調査追跡し、これら資源の供給及び価格の安定を確保すること。  五、公正取引委員会を強化拡充することにより、独禁法の運用を強化し、管理価格の常時監視、大企業の流通支配の規制、不当なカルテル及びヤミ再販の規制摘発を厳しく行うこと。  六、食料品等生活必需物資の価格の安定を図るため、農林水産業に対し積極的な財政金融措置を講じて、その国内供給を確保するとともに、輸入国の多角化、相手国の理解の上に開発輸入の促進等により、その安定的供給の確保に努めること。  七、中央、地方卸売市場の整備、拡充と運営の改善、貯蔵、冷凍施設の充実、さらには生産地から消費地への直送体制を推進する等、流通機構の改善を図るとともに、輸入食糧品、飼料等の価格、市場調査、監視等を行うことにより、消費者への利益還元を図ること。  八、消費者運動を育成し、健全な消費生活協同組合への助成を進めるとともに、国、地方自治体の消費者行政を充実すること。  九、関係各省庁の物価行政を整備、拡充するとともにその責任体制を確立すること。特に新設された経済企画庁物価局を強化拡充し総合調査機能の強化を図ること。 以上であります。     —————————————
  137. 山中吾郎

    山中委員長 おはかりいたします。  ただいま朗読いたしました案文を本委員会の決議とするに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 山中吾郎

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、本決議の関係方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 山中吾郎

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいまの決議に対しまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。小坂経済企画庁長官。
  140. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいま本委員会で行なわれました緊急物価対策の推進に関する件の御決議につきましては、この御趣旨を十分尊重いたしまして、物価安定を最重点とする政策運営を行ない、国民生活の向上を実現するよう、さらに一そうの努力をいたす決意でございます。
  141. 山中吾郎

    山中委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。    午後一時五十四分休憩      ————◇—————    午後二時十八分開議
  142. 山中吾郎

    山中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  物価問題等に関する件について質疑を続行いたします。石田幸四郎君。
  143. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 公益事業部長さんにお伺いをいたしますが、電源開発等に伴う損失補償基準、これはどの程度の拘束力があるのですか、この点についてお伺いします。
  144. 岸田文武

    ○岸田政府委員 電源開発に伴う補償は非常にさまざまな場合がございます。個々のケースごとに特殊の事情がございますけれども、それらをいわば統一的なルールとしてくくるものというふうに私どもは理解をいたしております。したがいまして、やはり補償に際してはこれが原則であるというふうに理解をしておるわけでございます。
  145. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 補償の原則はここに明記されているからわかるのでございますけれども、これは単なる指導基準であるのか、あるいは何らかの法律に裏づけされた、法の拘束力があるのか、この点について伺っているわけです。
  146. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私ども、指導基準というふうに心得ております。
  147. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういうふうにいたしますれば、こういうような問題が起こったときに、この基準に基づいて何らかの話し合いをするように、実際に行政当局が、十分な話し合いをしなさいというふうに行政指導したケースというのは、過去において相当数あるんじゃないかというふうに思いますけれども、この点についてはどうですか。
  148. 岸田文武

    ○岸田政府委員 補償の問題はいわば民事上の問題でございまして、両当事者の話し合いにまつというのが原則でございまして、私どもは個々の内容に入ることなく、なるべく円満にいくようにという一般的な指導を行なっておるわけでございます。
  149. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは角度を変えてお伺いをするわけでありますが、この問題は、いわゆる施業案を提出いたしましても、過去において送電線の建設、それから和知ダムの建設というような既成事実がもうすでにでき上がっちゃっているわけですから、それに伴って今度は、採掘権そのものが非常に制限をされているという実態が生まれていると思うのですね。だから、鉱業権並びに採掘案に対する権利としては先にこれが優先をされているべき性質のものだと、こう私ども考えるわけです。そういうものを、関西電力というのは大きな企業、公益企業というような大義名分、あるいはその財力、あるいはまた官庁関係に対するアピールの強さ等もあって、そういうようなことを既成事実としてこしらえた上で、その民間事業者に対して圧力をかけておる。確かにいま裁判問題になっているそうでございますけれども、裁判そのものにしても、こういうような裁判は大体十年から十五年というのが普通ですわね。そうしますと、その間において民間業者がとても裁判にたえ得ないというようなことまで見込んでやっているような姿勢があまりにもあらわにうかがわれるんじゃないかと思って、この問題を実は取り上げておるわけです。  そこでお伺いをいたしますが、関電のほうのいろいろな話を総合して、たとえば鉄塔を建設したのも、それは官庁の、建設省の許可を受けたんだというのですね。あるいは和知ダムに湛水したのも、これは水利権を取得しているから何ら違法じゃないというような、違法性は皆無であるという立場に立って、そしてこの問題をゴリ押ししているような感じがするわけですけれども、しかし、先ほどからも申し上げているように、私はここで合法、違法の問題を取り上げるのではなくて、いわゆる鉱業権というもの、水利権というものは別個の権利でありますから、それぞれ独立した権利でございますから、合法性云々の問題にはあてはまらない、そういう問題としてはなじまないわけですわね。そういうような問題が起こりながらも、その問題が解決ができそうもないということを見通しながらも、関係当局としては、話し合いをしなさいという程度でそれを終わっておるように私は思うのですけれども、関係省庁としてはその程度の行政指導力しかないのか、その点はいかがですか。
  150. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私も、先ほど申し上げましたように、さらに調査をいたしてみたいと思っておりますが、私いままで聞きましたところでは、問題の鉱業権に伴う活動が一体どの程度阻害されるかということが両当事者の間の係争点であったというふうに聞いておるわけでございます。ダムの建設によって水位がどの程度上がるか、それが実際の鉱業活動にどのような影響を及ぼすかというような点が具体的に問題だと思っております。ただ、先ほどお話にもございましたように、そもそも大野ダムの建設に伴う施業案が不認可になったということがその前の段階にあるわけでございまして、それらが両方からみ合って、なかなか両当事者の話し合いをむずかしくしたのではないかというふうに考えるわけでございます。  私の聞きましたところでは、両当事者間で十数回にわたっていろいろ話し合いが行なわれたということでございますが、その内容等につきましても、私さらに調査いたしてみたいと思います。
  151. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これから調査をされるということでございますから、基本的には了解をいたしますけれども、これは、この問公益事業局のほうから御提出をいただきましたもので、訴訟の事件の概要が報告されておるわけです。これはそちらのほうでおまとめになったものだからそのとおりであろうと思うのですけれども、しかし、この内容を見ますと、あまりにも関西電力の強圧的な姿勢といいますか、そういうものが浮き彫りにされてくるわけですね。たとえば「問題は鉱物鉱床の存在が不明である」——そんな鉱物なんか、あるかないかわからぬといっているわけですね。こんな横暴な言い分は私はないと思いますけれども、しかし、すでに税金も納めているし、過去に操業した実績もある、そういうようなことを関西電力等のほうに言っておるわけです。あるいは専門家の調査資料というものも出されているように私は聞いておりますけれども、こういうような姿勢に対して、公益事業部としてはどういうふうにお考えになりますか。  あるいは、もう一つ申し上げれば、「この施業案が認可されておらず、河川法所定の許可も得ていない鉱業権は補償対象とはなり得ないこと」、こういうふうに関西電力は言うておりますが、こんなことは、この細目の中にどこにも書いてない。しかも河川法所定の許可を得ていない鉱業権、そういうような意味で鉱業権が補償されているわけではないのですね。しかも、逆に言えば、先に和知ダム建設という既成事実ができた上でそこに河川法の問題がからんでくるというふうにしか考えられない。そういうような姿勢について一体関係当局としまして、その間の調整をとろうとなさる関係当局としてどういうふうに受け取っていらっしゃるのか、この点について伺いたいと思います。
  152. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私ども、まだ訴訟の内容を入手いたしておりません。したがいまして、さっそく私、入手したいと思っております。やはり公共事業を担当しておる電力会社でございますから、公共的な使命に即するような身の処し方ということが大事であろうと思っております。
  153. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 訴訟の内容を承知しておらぬとおっしゃるけれども、これはそちらが出された資料なんです。公益事業局から出された資料でございまして、そういうような御答弁では困るわけです。私が問題にしているのは、やはり公益性のある企業として当然この補償基準細則がきめられた。その根本的な趣旨というものを考えてみても、当然そういうような違法性はないけれども、トラブルが起こる、あるいは損失を与える場合がある、だからそういう場合はできるだけ補償をするようにということでこういう基準が設けられておるわけでしょう。私から見れば関西電力は、全くそういうような通産省の姿勢、公益事業局の姿勢というものについても無視しておる。そういうものは一顧も顧みる必要はないのだ。ただ、相手が言うていることは不当だから、だからそういうことには応じられぬというような態度。しかも、鉱物が存在するかしないかなんというのは、調べてみればすぐわかることであって、そういうことを調べもしないで、存在が不明であるなんということをきめつけるそういう姿勢について、指導する関係当局としてあまりにも指導の姿勢が弱いのではないかと私は申し上げておるわけなんです。しかも中に入って、いろいろな和解の談合をしなさい、そういうふうに言うておるわけです。言うておる限りにおいては、これこれ、これこれの問題については十分基礎的な問題として考えるべきだぐらいのことは、私は指導すべきじゃないかと思うのですね。あまりにもこれでは、企業のほうに味方して、そういうふうな一個人の財産については顧みないんだという姿勢が過去においては強過ぎたんじゃないかと私は思いますけれども、ここら辺の問題についていかがお考えになりますか。
  154. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 現在、関西電力のほうから債務不存在訴訟を起こしておる、それが非常に公共性のある電力会社としては高踏的な姿勢ではないかということでございます。  そもそもこの事件は純粋な民事問題でもございますので、私たちはその成り行きを見詰めておるわけでございますが、だからといって、ただ単に両者の力関係だけで解決すればいいという性質のものではないと思います。  そこで、先ほど公益事業部長も言っておりますように、事情を十分に調査いたしまして、後日双方に話し合いの機会をできれば持ちたいと思うたりしておりますが、関電がこういう債務不存在訴訟に踏み切ったという背景を私の聞いておる範囲内で申しますと、数十回に及んで話し合いをいたしましたけれども、先方の宇野さんのほうの要求が不確定であったということが第一の理由であったように聞いております。ある場合には金額が非常に膨大な金額でもあったし、ある場合にはそれを非常に下回った金額でもあったしということでございます。  そこで、とりあえず、これでは具体的な話の煮詰めができないということと、それと工事の問題等もございましたので、そういう訴訟にしたと思うのでございますが、この訴訟の実体は、あくまでも現時点においては債務を支払うべき義務がないという訴えになっておるのでございまして、そういう事態が起こった場合、たとえば施業案の認可がおりて具体的に採鉱事業を始められるような場合には、これはやはり話し合って、損失を補償すべきものにはきちっとやらなければならぬ性質のものでございます。  そこで、現在その施業案の申請等がどうなっておるということがやはり一つの大きい、この問題解決のきめ手になってくるわけでございますが、本年の八月八日に宇野さんが再度施業案の申請書を提出されました。けれども、これが、書式等が過去のものと全く同様のものでございましたから——最近におきましてこういう書類の書式等、記載事項あるいは提出する資料等が大幅に改正になりました。したがって、現在宇野さんから提出していただいておる施業案をもう一度検討していただくように期待しておるのでございまして、したがって、この施業案の認可の成り行き等々を見まして私たちも善後措置を講じていきたい、実はこのように思うております。  それが通産省としての正式な考え方でございますが、しかし、先ほど来石田先生がこの問題につきまして、いわゆる不平等なことをしておいてはいかぬという趣旨からこれを言うておられることでございますしいたしますので、その精神を踏んまえまして、その実態を、私自身一度双方に当たってみて、直接調査に入ってみたらと思うたりいたしておるのでございまして、いまのところ、先ほど私が冒頭に申し上げましたようなことでございますので、御了承を賜わりたいと思います。
  155. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 基本的に了解はいたしました。  ただ私、この問題を通して思うことは、私も訴訟内容を両方とも見てみました。しかし、先ほど申し上げましたとおり、いわゆる公益事業局のほうで提出になりました事件の概要というものを見てもわかるとおり、あまりにも関西電力が強圧的な姿勢で臨んでいること、これが問題になっているというわけです。  この事件の性質については、当事者間にいろんな話が行なわれて、あるいは一千二百万であるとか二千万であるとか、あるいは三億数千万であるというような話も実はいろいろ出ておったことも、私は承知しておるわけです。ただ問題は、なぜこの問題を出しますかといいますと、この問題についてはいままで、どの政党とは申し上げませんけれども、代議士もかなりからんでこういう問題の話し合いが行なわれてきたわけですよ。そういうようなこともありますので、私としては慎重に取り扱っておるわけですけれども、いずれにしても、その間に行なわれてきた話し合いの内容を聞いてみても、もう頭から関西電力は、そういうような補償要求に応ずる必要はないんだという態度しか示しておらない。単なる基礎的な問題すら調査もしないし認めもしないというような姿勢であっては、これはいわゆる大企業が対一個人に強圧的な姿勢を示しているとしか私には受け取れないので、このたび特にこの問題を取り上げたわけでございます。これからいろいろな事業を進めていく上においても、こういうような姿勢で臨まれたのでは一般庶民はたまったものではございませんので、お願いをしておるわけでございます。  これは、一つは施業案を認可すれば問題が解決するわけです。一歩前進をするわけでございます。しかし、実際にこの施業案そのものが、すでにこういう既成事実があるものですから、この既成事実にのっとった上で施業案というものを考えなければならないというような大きな制限がすでにかぶされておる現在としては、通産省といたしましては、その制限下におけるそういうような許可しかできないはずなんですね。そうしてみると、それだけでもうすでに、結果的には通産省は関西電力に味方をしたということにもなりかねないと私は思うのですね。そういうようなことがないように今後していただきたい。  やはりこういう財産権の問題については、それぞれの関係者にとりましてはたいへんな金額の違いが出てくるのが普通でございます。特に鉱山なんていう問題は、この調査によりますと含有量七十数億円というような話も出ておるわけであります。そういうようなことから考えてもたいへん複雑な問題がからんでくるわけでございますから、ひとつ平等なお取り扱いをお願いしたいと思います。特に本件につきまして、やはり施業案を認可されるかされないかが、この問題を平等に扱う一つのポイントにもなろうかと私は思いますので、どういう条件ならば施業案が認可をされるのか、そういうことについても御報告をいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。これだけ御要望いたしまして、問題を後日に持ち越したいと思います。  では、以上で終わります。
  156. 山中吾郎

    山中委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時三十八分散会