○渡辺(三)
委員 いまの
局長の答弁を聞いておりますと、それだけを聞いておりますと非常に筋道も立った、そのとおりのように聞こえますけれ
ども、過去における三回の使節団といいますか
調査団といいますか、そうした方々の
調査の結果も踏まえて、今度は政府が責任を持って、いわゆる政府レベルの技術交流をやって最終的に詰めたい、こういうふうにおっしゃっていますけれ
ども、私は四十一年以降というふうに申し上げましたが、もうすでに七年前の段階で政府が言っておられました幾つかの点、それがやはり同じような形で疑問点としていま出されているわけです。これは七月五日の答弁にもし誤りがなければ、同じような内容のものが依然として出されておるという状態ではないか、このように私は思うのです。
これは
農林省当局十分に知っておられて、もう何回も検討されたと思いますけれ
ども、第一回は
昭和三十一年の十月から約六十日間、しかも民間使節とは言いながら、
日本生物化学研究所の学術部長の高松博士が行っておられて、そうしてその報告書も、正式に
昭和三十二年の四月に
農林省に提出されていますね。それからさらに第二回のときには、やはり中国の家畜防疫衛生
状況の視察というかっこうでの中国訪問が四十年の八月に、これは日中食肉協議会会長という資格ではありますけれ
ども、大石武一さんが団長で行っておるわけです。しかも団員としては麻布獣医大の教授をしておられる入江さん、さらにまた東大の助教授の石田さん、こういう方々が一緒に、この問題の技術的な究明のために向こうに行っておられる。この二回とも、先ほど申し上げましたように報告書が出ておるわけです。さらに第三回目は、これは議事録にもそれをめぐっての質疑応答が、何年か前に国会で行なわれておるわけですが、
畜産振興事業団の副
理事長の田中良男さんが訪中をしておられる。この田中さんは元
農林省畜産局衛生
課長をやっておられたわけです。もちろん資格は政府代表団というかっこうではありませんけれ
ども、相当の権威のある人が、当時国交回復しておりませんからこういう形をとらざるを得なかったと思いますけれ
ども、相当綿密な
調査をして、これもまた、文書でもって報告が出ております。
報告書の写しを私ここに持ってきておりますけれ
ども、この中にはこういうふうに書いてあります。「中国の家畜防疫衛生管理に関する技術水準は極めて高く、且つ獣疫の予防体制も良好であり、完璧な防疫措置がとられている。わずか十数年の短期間に、各種の家畜、家禽の伝染病を撲滅し、或は制圧し得たのは、一にかかって極めて単純なしかも基礎的な防疫の原則を、忠実に実行した結果に外ならないと判断される。」云々、こういうふうに出ておるわけです。
私はなぜこういうことをいま、七年前というふうなことで申し上げたかといいますと、農林大臣がかわったりあるいは
局長がおかわりになると、そのつどこの問題に対する見解が少しずつ変わったり、もとに戻ったり、こういうふうな
状況を繰り返しておったんでは、国交が回復した今日でありますから事情は急速に変わるかもしれませんけれ
ども、やはり長い間同じところで低迷してきたんじゃないかと思うんですね。前回の質問の際にも私、申し上げたのですが、これは
局長からぜひきょうは明確に答弁をいただきたいと思うのですけれ
ども、これは
昭和四十一年五月二十六日の参議院の農林水産
委員会の議事録の写しであります。この中で、当時の檜垣
局長が明確に述べておるわけですが、「今日までの
調査の結果から私の判断いたしますところでは、これ以上
調査すべき問題は残っていないというふうに考えておりますので、正式に田中副
理事長の報告書が出ましたならば、この問題の前向きの解決をはかりたいという気持ちでございますので、理由を明らかにいたしました上で上司の裁断を仰ぎたいというふうに考えております。」こういうふうに、国会の正式な答弁の中で言っておるわけですね。すでに問題は残っておらない、
調査すべきことは全部
調査したのだ、明らかにそういう趣旨にとれる答弁が行なわれている。でありますから、こういう点については、やはり同じ問題で長い間堂々めぐりをしてきたというような印象は、どうしてもぬぐえないわけですよ。したがって、その点、今日の段階における
局長の明確な御答弁をひとついただきたいと思います。