○小島
説明員 衆参両院の全会一致の御賛同を得まして
経済企画庁の設置法一部改正が通りまして、物価局が発足できましたことをまず御礼申し上げます。
物価局ができまして現在最重点でやっておりますことは、先ごろきまりました当面の物価
対策といいますか、総合的な物価
対策の七本の柱がございまして、その
政府の合意で決定したものが実際に推進されるかどうかということを厳重に監視をし、不十分な点があればプッシュをしてまいるということが
一つでございます。それから同時に、先日の閣僚協でもさらに新しい
幾つかの点が追加されておりますので、今後やはり毎月の物価の動向を十分監視しながら、さらに総合物価
対策に追加すべきものがあれば立案し、これを
政府の合意にもってまいりますように、極力
政府内部でまず
努力をする、そのための各種の仕事に最善の
努力を尽くすということが当面の最重点かと思っております。
それから後段のお話の、
国民心理の問題をおっしゃいましたが、私
どももたいへん同感でございまして、毎月発表されます物価指数が、前年同期に対してますます上げ幅を高くしていくという
現状でございますので、
国民の皆さんが、ますます
事態が悪化しつつあるというふうに受け取って、前途に対して非常に悲観的な見方をされますと、一そう
事態が悪くなるわけでございます。
そこで、私
どもがこれから特に
消費者の方々によくお話し申し上げ、理解を得たいと思っておりますことは、
日本の場合のCPIの上昇あるいは卸売物価の上昇は、確かに昨年後半から現在に至るまでやや異常
状態でございますけれ
ども、先進諸国に比べますと、まだインフレの症状といいますか、という点から見ると、
原因分析してまいりますとそれほど致命的な
状態になっているわけではない。つまり今回のインフレ傾向の最大
原因は、一昨年のニクソン・ショック以来のいわゆるレートの問題にやや固執をして、不況をいかに克服するか、あるいは再度の引き上げをいかに防止するかということが
政策の最大の課題にされて、そのために景気振興がはかられたわけでございますが、ここにやや力が置かれ過ぎて、実際は景気が過熱しつつあるというところに最大のポイントがございます。それからもう
一つは、先ほど来お話が出ておりますような海外インフレ、あるいはことしはいろいろな悪い
条件が重なり過ぎまして穀物の不作だとかいう問題も重なってくる。さらに、過剰流動性とそういう海外物価高というものから来る一種の
投機的な動きが加わる。それから第四番目には、これはやや
長期的なんですけれ
ども、公害の問題あるいは環境コストといわれるような面で、やはりコストアップの要因がある。それと最近、賃金の上昇に伴って、特に中小企業等においてはだんだんコストインフレ的な要因も加わっているというようなところだと思います。
これらの
原因の中で第一の
原因につきましては、現在
政府が
全力をあげて総
需要の調整をはかりつつあるわけでございまして、さらに必要があれば今後も追加していくということでございますので、第一の点と、三番目に申しました過剰流動性
思惑対策というような点は、今後明らかに
事態は改善してまいるというふうに思います。
それから第二の海外要因というのが、これは先ほど
大豆のお話が出ておりますように、部分的には一時おさまっていたのがまたややぶり返すような品目もないわけではございませんけれ
ども、一般的には、やはりことしの
世界的な穀物のできぐあいというものは、各種の情報を調べますと、少なくも昨年のようなことはない。昨年よりはかなり
事態が改善するという見通しでございますので、秋以降は、ことしに比べればそういう
事情はかなりよくなってくるというように思います。先ほど
農林省の
局長も言われましたように、非常に
長期的な食糧と人口の
関係ということは、また別途いろいろ問題がございますけれ
ども、少なくもことしと来年と比べまして、来年のほうがそういう面の
事態はかなりよくなるというふうに思います。
そういたしますと、あとに残る問題というのは、非常に
長期的に見た公害あるいは環境コストの問題とか、産業構造がシフトしていくことに伴う発熱問題、あるいは賃金アップその他のコスト要因、これらはやや残りますけれ
ども、やはり今回の物価上昇の一番根元になった問題というものは、今後改善していくことが十分可能でございます。現在もそういう
方向で動いているわけでございます。
そこで、実際の物価の動きを見ましても、CPIの瞬間風速と申しますか、一月、二月前に比べての上昇率を見ますと、やはりことしの三月、四月が一番のピークでございまして、それからは、また上がってはおりますけれ
ども、上がり方は少しずつ鎮静しているということでございますが、幸か不幸か、去年の七月ごろまでずっと横ばいでございましたから、前年同月で比較いたしますとなおしばらくは上がり続けることになりますけれ
ども、そういう
意味で瞬間風速は一時のピークを過ぎておりますので、そういう点を
国民の皆さんによく理解していただいて、
事態が悪化したというので、また三月、四月ころ見られましたような買い急ぎ傾向が出ますと全く
事態が悪くなってしまうので、自分の首を締めることになりますので、
政府も
全力投球いたしますとともに、
国民の皆さんにそういう点をよく理解していただきたい、そういうふうに思っているわけであります。