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小坂国務大臣 幾つか問題ございましたが、最初に新聞の問題でございます。私は陳情をしたつもりはないんでございますが、日経新聞が
値上げを発表されましたときに、もう少し理由を明確に知りたいし、まあ新聞というのはプライスじゃなくて、オピニオンリーダーが率先して、しかも一片の社告で突然に上げられるということははなはだ困ったことなんで、ぜひ
考え直していただきたい、
値上げを撤回していただきたいということを、
大臣の談話として出したわけでございます。その
あとで
物価安定政策
会議でもってまた、この問題を中心に、新聞社の方に来ていただきましていろいろ
お話をしたわけでございますが、その後読売新聞がまた
値上げをする。同じ理由でその後毎日新聞、サンケイ新聞、それから朝日新聞と、それこそ雨後のタケノコのように
値上げが発表され、実施されんとしつつあるわけですね。
これはどうもまことに困ったことでございますけれども、
値上げを認めておいて、といって私のほうは認めてないんでございますが、
値上げをされてしまえばほかに手段がないというのが現実でございます。
物価安定政策
会議でも非常に強く撤回を要求しておられるのですね。しかし、どうも有効なる手段がない。無冠の帝王といわれるくらい強力な民主社会のリーダーでございますから、なかなか有効な手段がない。そこで、これはやはり一
政府とか政党とかじゃなくて、みんながそういうふうに思っているということによってとめられると思うんで、私はその
意味で、世論政治というのは問題によっては非常に大きな力を発揮できると思うんです。そういうことで、私は決して認めているわけじゃございませんから、この点誤解ないようにお願いしたいと思います。
それから、
物価はみんなどんどん上がるという話で、これも実ははなはだ頭が痛いのでございまして、外国の
物価も上がってくる。そこで、実はデフレ要因として働くと思っておった円の実質的な切り上げ、これが一五・七%ぐらい上がったと思えば、今度は逆に
物価のほうが、ものによって一六%も上がってしまうという
状況でございまして、デフレ要因として働かない。まことに困ったことでございます。
私はこのごろ、日本もものの使い方というものを
考えてもらえないか、まあ二宮尊徳精神なんてことを言っているのはそういう
意味でございますが、所得がふえてみな同じ
態度で使って、そして供給が一定ならば、ものが上がるにきまっております。今度のボーナスも五兆円になろうとしています。例のドルを買いささえて
過剰流動性ができたときと似たり寄ったりの、五兆円というたいへんなお金が出てくるわけでございます。それを全部購買力として投入されたら、これはもうどうにもならぬということです。そこで、預貯金利子の引き上げであるとか、公債を持ってもらうとか、いろいろなことを
考えてやっておるわけでございますが、どうも五・五の
消費者物価の見通しはどうか、こう聞かれますけれども、いまのところは、その見通しもさることながら、もっと大事なことは、この
物価値上がりの火の手をどうして消すか、こういうことだと存じまして、そういう点で財政、金融、その他輸入あるいは特恵関税の適用品目の拡大あるいは
消費者運動、そういうものを全部有効にあんばいいたしまして、何とかこれを切り抜けたい、こう
考えておる次第でございます。