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1973-06-28 第71回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十八日(木曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 山中 吾郎君    理事 稲村 利幸君 理事 木部 佳昭君    理事 井岡 大治君 理事 松浦 利尚君    理事 野間 友一君       近藤 鉄雄君    三塚  博君       山崎  拓君    中村  茂君       渡辺 三郎君    荒木  宏君       石田幸四郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    小島 英敏君         通商産業政務次         官       塩川正十郎君         通商産業省公益         事業局長    井上  保君  委員外出席者         大蔵省証券局企         業財務課長   白鳥 正人君         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 岡部 祥治君         水産庁漁政部水         産流通課長   平井 清士君     ————————————— 六月二十八日  理事小林政子君同月二十六日委員解任につき、  その補欠として野間友一君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 山中吾郎

    山中委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  去る二十六日理事小林政子君の委員解任により、理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行ないたいと思いますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山中吾郎

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、理事野間友一君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 山中吾郎

    山中委員長 物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  5. 松浦利尚

    松浦(利)委員 まず、長官お尋ねをしたいのですが、衆議院の物特委員会あるいは商工委員会、あるいは参議院等におきまして、商社の問題あるいは過剰流動性の問題が議論されましたときに、長官は、過剰利得に対する税制措置あるいは法人累進課税という問題も検討したい、こういう御発言があったというふうに私は聞いておりますし、たいへん前向きな発言だと理解をしておったわけでありますが、きょうの新聞の報ずるところによりますと、トップである田中総理自身がそのことを打ち消しておられる。そういった税制はなじまないということで打ち消しておられるわけでありますが、この前お話しになったそのことはいまでも総理に進言をして、過剰利得に対する税制措置というものは考えていくべきだと考えておられるのか、それともそういった税制措置というのは、物価担当大臣として、総理が言った以上は放棄するというふうに考えられるのか。私は非常に重要な意味を持っておると思うのです。トップがああいうふうに打ち消してしまった段階で、大臣にこういう質問をするのはあるいは酷かもしれませんけれども、物価問題というのはそういったことによって解決していくものじゃないと思うのですね。やはりいいことはいいでどんどんと実行していくことによって、危機に来た物価は安定をする方向をとり得るということをわれわれも考えるわけですから、そういった意味では、ひとつ大臣の所信をこの際明確にお聞かせいただきたいと思うのです。
  6. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 参議院物特で私は、個人累進の税率があるごとく、法人にもさような考え方を導入することはどうかという点を研究してみたいということを申しました。それも非常に臨時な、こういう過剰利得が問題とされる際の対策として考えてみたいということを申したわけでございますが、その考え方に基づきまして専門家ともいろいろ話したところが、どうも法人超過利得累進税率を適用するというのはなじまないのではないかという意見が多うございまして、それに対しまして、いわゆる超過利得というものを吸収する方法ですね、そういうようなことを少し研究してみてくれということを実は申しておるわけであります。庁内にもそのことを申して研究を命じましたし、また、東畑先生のやっておられます税制調査会に対しても——これはあのときも、個人意見でありますと断わったのです。個人意見であるが、そういうことを考えておるので、ひとつ専門的見地から検討してもらいたいということをお願いしてございますので、いずれ検討されると思います。  昨日の総理の御発言は、総理大臣としておっしゃったことでございまして、これは、個人として私の言うたことと比ぶべくもない重要な発言であると思いますけれども、私が研究を依頼してある趣旨については、先ほど申しましたとおりでございます。研究は続けていきたい、こう思っております。
  7. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は非常に疑問に思うのです。物価担当大臣あるいは通産大臣がそういったことを発言をしておるにかかわらず、直接担当大臣意見が、時経ずし総理の口からさっと打ち消しのような発言が出る。国民が非常に期待をしておる、ところが今度はそれに水をぶっかけるということでは、私は物価対策はとり得ないと思うのです。ことばで物価対策と言うけれども、実質的には物価対策というのは何もしておらぬという結果に終わるのではないかと私は思うのです。そういった意味で、物価に対して閣内に不一致があるのじゃないか、総理物価担当大臣との間に物価に対する見解相違があるのじゃないか、そういった気がしてならぬわけですけれども、そういったものについての断層というかみぞは、現実にないわけですか。私たちは、あるという気がしてならぬのですが、その点どうでしょう。
  8. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 閣僚としての私と総理との間には、全く見解相違はありません。ただ、個人として、私は絶えず問題を研究していきたい、こういう気持ちがございまして、その研究したいという気持ちを述べ、しかもそれの研究に着手しておるわけでございます。その点で別に食い違いはないと思います。総理大臣とされては、総理大臣立場でおっしゃったことでございます。これは政府の公式の態度と了解していただいてけっこうでございます。私はそれに従うことに、今後とも異議はございません。ただ、研究研究として、さらに続けたいと思っております。
  9. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、くどいようですが、結局、過剰利得に対する税制措置というのは、税制調査会に諮問をして、一応大臣として試験的に研究は続けるけれども、きのう田中総理大臣参議院物特発言したように、政府見解としてはそういう考えはない、公式的にこれからもとる意思はない。しかし、物価担当大臣としては調査は進めるのだ、研究はするのだということであって、田中内閣としてはそういう措置は今後もとらないのだ、そういうふうに、きのうの総理発言をわれわれは理解しなければならぬわけですが、それでよろしいですか。
  10. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 田中総理のお考えはきわめてはっきりしておると思います。私も個人意見を述べ、これを税制調査会検討してもらっておりますから、それが取り上げられるべきものであるということになりますれば、そのときにおいて新たに問題になるというように考えております。
  11. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、税制調査会の答申が出ればその段階で、総理が先ごろそう言ったけれども、長官意思のような方向税制調査会から結論が出てくれば、総理考え方も変わるでしょう、そういうことですね。
  12. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 そこまで私として申し上げると、ちょっと言い過ぎになると思いますが、いずれにしても税制調査会検討してもらっておりますから、専門家的な見地から見て累進課税はだめだ、しかし何らかの方法が、これがいいだろうということがあれば、それはそのときに総理大臣が、それに基づいてまた御検討をなさることがあるかもしれません。しかし、いずれにしても税制調査会というものはそういうものでございまして、検討して政府意見が出てくるわけでございまして、その段階において、またそのときに判断を仰ぐということになろうかと思います。
  13. 松浦利尚

    松浦(利)委員 長官にこんなことを申し上げるとたいへん失礼になるかもしれませんけれども、そうなってくると、物特委員会やその他で物価問題を議論をしたときに、担当大臣である長官が御説明になっても、総理が打ち消すということであれば、あとで結局総理出席をして、ここでわれわれと議論をしなければ、責任が持てない。大臣発言についてすら、個人的な見解であろうと何であろうと、総理がそれを打ち消すということになれば、われわれはここで実際に物価問題を議論をしてみても、大臣からそういった答弁を引き出してみても、結局最終的には総理が、いや、それはもうやらぬのだということを、打ち消すような発言をしてしまえば、われわれが幾らここで議論を詰めてみても意味がない、私はそう思いますね。そういった点について、私たち非常に疑問に思っているのです。逆に言うと、物価特別委員会で、ここでわれわれがいろいろ議論している、一体何が国民に対して残るのか、いま非常に疑問に思います。  その点、大臣どう思われますか。非常にふしぎでたまらぬのですね。大臣の苦しい立場もわかります。しかし物価担当大臣として、私が言っておることについて反論があれば、ひとつ反論してください。
  14. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 政府答弁というのは反論はできないということになっておるので、そうでなくて私の考えを申し上げたいと思いますが、私は、委員会の討論というか質疑応答というものは、できるだけフランクにお互いに話し合って、立場は違ってもその中から結論を見出していくというのがいいと思っておるのでございます。ですから、実は私の答弁は、かなり役所で考えてくれたものと変わっておる場合もございます。それが私はまた、議会人としてとるべき態度だと考えておるわけでございます。ただ、企画庁長官として御答弁申し上げる場合には、それは当然総理との間に、新しいことを申し上げる場合には調整をいたしまして、それで申し上げるわけでございます。しかし、先ほど申し上げたような点から、いろいろ心情的にも理論的にも話し合いをするということになると、これは個人見解ですがといって申し上げることも、これはまた一概に否定するべきものでもないように私は思っておる。  そういう意味で、私は個人のということをお断わりして、個人見解なんか述べては何もならぬじゃないかといわれればそれまでだから言わないけれどもと言ったら、それは個人でもいいからということで、個人見解を申し上げたわけであります。ですから、個人として思っているというのは、もうまさにそのとおりなんですから、したがって、個人であるけれども、ひとつ専門家検討してくれ、こういって庁内にも言い、税制調査会にもそのことを、東畑先生にはっきり、個人見解であるという書簡をくっつけて差しあげて、聞くところによりますと、正式に取り上げて検討されるようでございます。ですから、これはこれで意義があると思うのでございます。  ただ、ここで公式に内閣としての態度を述べます場合には、私は、個人見解と断わりませんで、経済企画庁長官の公式の見解ということで申します場合には、事前総理と調整したものを申し上げます。したがって、その間に私は非常に矛盾はないように考えておるところなんでございます。  こういうことをやることが、むしろ委員会の論議というものを非常に実り多いものにすることができるのじゃないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま大臣の言われたこともわかりますけれども、しかし、実際にやりとりをする中で、大臣個人的な意見であってもそれが公式的に出されて、そしてわれわれもそれに賛意を贈って、そういう方向が出るだろうと期待を持っておると、水をぶっかける。お互い物価問題で真剣に議論して一つ方向が出ると、水をぶっかける。確かに総理はオールマイティであるかもしれませんね。しかし、一応コンセンサスを得たものまで総理自身が水をぶっかけるということになれば、これは個人的な見解であったかもしれないけれども、しかし、いまもう危機に来ておる物価問題を解決しようとして、与野党をこえて真剣にここで議論して方向づけられたものが、水をぶっかけられるということになれば、一体ここでわれわれは何を議論するのか、そうなるのは、われわれにとって当然だと思います。  そこで、最後にもう一ぺん締めくくりでお尋ねいたしますが、当初大臣が構想された税制については個人的なもので、まだ閣議で決定した方向ではないが、個人的な見解としてでも、これを物価問題の一つの要素として実現するために努力される御意思があるのかないのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  16. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私はいま、専門家の間に研究を依頼いたしておりますと同時に、私自身もその会合に出まして、いろいろ意見を聞いたり、私の考えを述べたりいたしておる最中でございます。決して言いっぱなしているわけではございません。ただ、政治でございますから、自分の考え方を何がなんでも通せる場合とそうでない場合とがございますので、彼比勘案いたしていかなければならぬとは思っております。しかし、決してその場での言いっぱなしということはございません。これはやはり専門的な見解も要るときには、専門家検討を依頼しております。
  17. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、その問題は一応結論が出るまで大臣答弁を了として、その問題については一応終わります。  実はこの前、電気関係について、政務次官を一応中心にして通産省公益事業局長等に御質問をいたしたわけでありますが、御承知のように、またまた大阪瓦斯ガス料金値上げ申請されておるわけであります。金額にいたしまして、現行の平均改定率が三〇・八九%と非常に高いわけであります。これを大阪物価指数に換算いたしますと、大体〇・四六%大阪における消費者物価を押し上げることになるわけであります。  確かに大阪瓦斯の収支を見てまいりますと、四十六年度に比べて四十七年度に収益が低下しておることは事実であります。しかも、従来一二%の配当であったものを一〇%の配当に、四十七年度の下期から落としておることも決算書でわかるわけでありますけれども、公益事業局長お尋ねをいたしますが、大阪瓦斯値上げをしなければならない根拠、そして大阪瓦斯収益が低下してきた原因、その点わかっておられれば、ひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  18. 井上保

    井上政府委員 最近のガス業界実態でございますが、これは人件費高騰であるとか、いろいろな経費の高騰がございます。これを合理化努力によっていろいろと切り抜けておったわけでございます。たとえば原料の転換であるとか、カロリーアップであるとかいうようなことをやってまいったわけでございます。  最近におきまして、一般的な事情といたしまして資本費が非常に高騰いたしております。ガス事業は、都市の発展に伴いまして非常に膨大な設備投資が必要であるというような事情がございますし、加えまして、最近非常に道路事情等が悪化いたしまして、たとえば交通量が多くなってくるとかそういうようなことで、環境が悪化いたしております。導管布設費が非常に高騰してきておるというような事情もございます。  次に、保安対策費の急増でございますが、昭和四十五年にガス事業法を改正いたしまして、その際保安の強化ということを強く打ち出しておるわけでございますけれども、最近、いろいろな状況導管布設環境が非常に悪くなっておりまして、そういう関係の費用が上がっておるという事情がございます。  次には、電気の場合も同じでございますけれども、OPECの攻勢その他によりまして燃料費が非常に上がっておりまして、コストアップの非常に大きな原因になっておるわけでございます。  そういうような事情が重なりまして、一般的にいいまして、コストアップ原因がだんだんと企業努力を上回ってくるという事態になっているかと思います。  そういうようなことで、今般大阪瓦斯から申請が出てきたのであろうと思っておりますが、通産省といたしましては、よく審査いたしまして適正なあれを検討していきたい、そういうふうに思っております。
  19. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この前、長官参議院関係でちょっとおいでいただけなかったわけでありますが、電気料金値上げの問題のときもそうですけれども、料金値上げ申請が出てきたら、もう前提として値上げを認める、ただ残っておるのは、申請した値上げ率を適正に下げる、幾らにするかということについて検討を加えるんだというのが、実は通産関係の御答弁なんです。公共料金については、もう初めから、申請しさえすれば認めるという前提があるのですね。これじゃ私は、非常に危機に来ておる物価問題の解決というものはできないと思うのですね。  いまも公益事業局長が言われたように、申請があったから適正なアップについて検討を加えるということで終わるわけです。だから、三〇・八九%が二〇%とか一五%とか、こういうところで押えて終わりなんですね。こういう態度は私は間違いだと思う。公共料金申請があったら、適正かどうかじゃなくて、きびしく押えるんだ、あるいは値上げについても一定期間認めないんだというような立場審査せぬと、初めから値上げするんだという形では、私は消費者は納得しないと思うのです。  いまのような公共料金申請のあり方について、あるいは通産当局態度について、物価担当大臣として、それは当然だ、妥当なものというように考えられますか。ある程度の値上げはやむを得ないんだという前提に立って審査をするのと、いや、もうできるだけ値上げはさせないんだということで臨むのとでは、相当審査が変わってくると思うのですが、その点どうでしょう。
  20. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 政府方針といたしまして、これは経企庁であろうと通産省であろうとみんな一致していることでございますが、公共料金値上げは抑制的に扱う、真にやむを得ざるもの以外はこれをきびしく抑制するという方針は、これは変わりございません。いま経済企画庁といたしましては、通産省のほうからいろいろ精査した結果をいってこられるのを待っておる段階でございまして、それが参りましたら、十分その方針に基づいて合い議をいたしたい、協議を相ともにいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  21. 松浦利尚

    松浦(利)委員 公益事業局長お尋ねしますが、配当が一二%ですね、四十六年度。そうして四十七年度の下期から、一〇%に配当を落としましたね。ところが——配当率はもっと落としていいと思うのです、一〇%も取らなくても。一割といえば優良株ですよ。ところが、この一〇%の維持について、何かお話によると、増資その他の関係がある場合には証券業界協議をする、そういったことで、一〇%は公益事業については維持しなければならぬという申し合わせが、法的な規制でも何でもない、証券業界意思として出されておるというふうに聞いておるのですが、その点は間違いありませんか。
  22. 井上保

    井上政府委員 現在、増資の際に、証券業界あるいはメーカー、銀行等が集まりまして、増資のための基準を一応つくっているようでございます。その基準は、一〇%の配当を継続しておるというのが増資をするための基準になっておるというふうに聞いております。
  23. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、だから、どんなに収入が低下をしても、一〇%というその最低の配当率は維持されるわけなんですよ。これは動かさないわけです。もうかるときには一〇%以上一二%の配当が行なわれる、収益が下がってくると二%落とすけれども、一〇%以下には落とさないということが、一応不文律になっておるのですね、増資その他の関係で。そうすると、一〇%配当だけ初め取ってしまって、そしてあとのほうは消費者のほうにかぶらしていく、こういうやり方公益事業関係から出てくるわけですよ。こういうのは、法律にも準拠しておらない、一つの業界独自の、証券業界銀行等やり方だと思うのですがね。  こういうのを改める必要があると思うのです。何も私は、一割配当というものを厳格に守っていく必要はない、こういう状況ですから。ゼロにせよというわけじゃない。その一〇%の配当幾らか下げるぐらいのことはしてしかるべきだと私は思うのです。そういったことは一つもせずに、そっちだけはちゃんと守っておいて、消費者のほうに、赤字がふえますから、収益が下がりましたから値上げをしてください。そういう立場でまた通産省も、料金引き上げ額検討するのです。  こういうことについて、大臣の御見解をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  24. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 いま通産省とされていろいろ審議をしておる段階でございますので、ただいまの御意見はよく承りましたが、そういうことも頭に十分入れまして、通産省から合い議をしてきた段階で私の意見を申したいと思います。
  25. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その合い議をしてきた段階で御意見を言われることですが、それじゃ一般論として、そういったことが事前に行なわれておる、配当はもう一〇%維持するんだということが、銀行証券業界、そういったところで話し合われて維持されるという方向が、もう慣行として行なわれておるということについては、大臣どう思われますか。
  26. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は、くどいようでございますが、とにかく合い議をする前に私の意見をいろいろ言うということは、どうもこの際差し控えたほうがよろしいと考えておりまして、その段階で、いまのお話もよく承っておきまして私の意見を申します。いずれまた意見を申し上げる機会もあると思いますから、ただいまはそういう、通産省が一生懸命やっておる段階でございますので、同じ政府の部内から、その見解に対して事前に制肘するようなことを申しますことは差し控えたいと考えております。
  27. 松浦利尚

    松浦(利)委員 公益事業局長はそこまでは考えないでしょう。それは認めるでしょう、一割は必ず。
  28. 井上保

    井上政府委員 公益企業原価計算方式でございますけれども、これは現在フェアリターン方式をとっております。したがいまして、そのフェアリターンの中で支払い利息なりあるいは配当なりを確保するという考え方に立っております。  それから、一割配当につきましては、これは決算の問題でございますけれども、決算につきましては、景気が非常によくて一般企業が多くの配当をするときにも、非常に配当を押えておりますし、それから設備投資関係で、どうしても順調な増資をいたしませんと、社債の発行限度が、これは法律でもきまっておりますが、押えられて設備投資ができないというような問題もございます。したがいまして、そもそも公益企業規制目的が、平均的な公正妥当な競争で実現されるような実態を監督によって実現したいというところに一つ目的があるわけですから、そういう感じでございまして、やはりその企業の長期的な設備投資というものを確保していくためには、平均的なものを確保したいということでございます。  したがいまして、一般企業配当なりそういうものとの関連は十分に考えまして、なおかつ、その当該企業がやはり株式会社でございまして、ゴーイングコンサーンでございまして、ちゃんと設備投資等ができるという立場に置く必要がある、そういうことも考えまして、かたがた、現在行なわれておりますような増資規制方式がございますので、そういうものとの関連考えまして、大体フェアリターンの中で一〇%確保するというたてまえになっております。一〇%の問題は決算の問題でございますけれども、そういうようなことで従来ともやっておりますし、今後ともそういうふうにしてやっていきたい、こういうふうに考えております。
  29. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ですから、いま大臣見解を発表されなかったけれども、通産省は、一割配当というものを現実に認めた上で料金アップをきめていくということですね。あなたのいま言われたのは、結論的にはそうでしょう。だから、そのことだけはっきり言ってくださいよ。そのことについても検討を加える意思があるのかないのか。
  30. 井上保

    井上政府委員 先ほど申し上げましたようにフェアリターンの中で配当なりあるいは支払い利息を確保するというたてまえになっております。一〇%の問題は、これは決算上の問題でありますけれども、現実としては、一〇%を切らない決算ができる段階料金改定をするのが実体的にマッチしている、こういうふうに考えるわけであります。
  31. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣、お聞きになったとおりなんです。ですから、政府部内で違った見解を言えないということですけれども、公共料金値上げという問題を一ぺん根本的に洗い直してもらいたいと思うのです。電気でもガスでも値上げする。値上げする根拠というのは、政府自体がもうすでにつくり上げておるのです。必要なものだけはちゃんと計数整理をして、その上にただ上乗せをしていくだけという形なんです。結局、消費者にしわ寄せをする。結局、初めから物価抑制ということにはならないということなんです。この前、電気事業法を洗い直すという通産大臣の談話が発表されましたけれども、こういう公益料金のきめ方、あり方、根拠その他を根本的に洗い直してもらいたいと思うのですが、それは通産省サイドでできないのです。  なぜ通産省サイドでできないかというと、また公益事業局長は、少し気分が悪いかも知らぬけれども、大体消費者のほうを向いておらぬのだから。経企庁は消費者がたよりにするところ。消費者のためにやっておるかどうかは別ですが、消費者がたよりにするところは経企庁しかない。通産省は大体、企業側に立ってものを考えるところです。そうなってみれば、やはり、いやだけれども長官のところに言わざるを得ない。この際、そういったものについて見直してもらいたいと思うのですが、一般論として大臣の御見解をお聞かせいただきたい。
  32. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 先般通産大臣電気事業法を洗い直すと言われたとおっしゃいますが、そういう意味で、通産省は何も業者だけじゃなく、少なくとも大臣は政党の代表者でありますから、やはり国民のほうを向いて——国民というのは、製造業者もあれば消費者もおるわけでございますので、それを全部見通して、その調和と統合の上に立ってものを判断されると思います。  くどいようでございますが、通産省にまず一義的に申請が出されるものは所管で十分に洗って、そして物価の観点で私のほうへ合い議が来るということでございますので、通産大臣とされても、いま一生懸命お考えになっておると私は思います。通産大臣お話し合いをする前に私がいろんな意見を言うことは、どうも適当でない、こういう意味で申し上げておるのでございますから、どうぞその点御了解を願いたいと思います。
  33. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう時間がありませんから、この問題についてはこれ以上詰めませんが、しかし、結果が出たときにはそういった問題も洗い直されて、消費者が理解できるような決定のあり方をしていただきたいと思うのです。  そこで、最後に大臣お尋ねをしておきたいのですが、新聞記者の皆さん方もおられますけれども、日経新聞が値上げをしましたときに、日経新聞にひとつ値上げをしないでくれ、各社ともひとつ右へならえしてやらないようにしてくれといって、大臣が陳情されたですね。結果は、日経がプライスリーダーになって全部値上げになりました。それに対して、どうも政府は手が出ないでしょう。何の手出しもできない。電気ガス料金についても、さっき言ったように必ず上がる。三〇・何%というのは認めないかもしれませんけれども、何%か上げざるを得ないということで通産省検討しているんだから、必ず上がる。極端に言うと、物価は軒並み上がります。上がらないものはない。全部上がっちゃう。  ほんとうに政府物価ということを真剣に考えておるのかどうか。五・五%という昭和四十八年度の消費者物価の目標数値というのは、これはまさに理想的な数値であって、五・五%に入らないということはもう常識なんです。国鉄運賃が上がる、健保が上がる。政府自身が、政府の手にゆだねられておる公共料金なんかを全部上げてしまうから、新聞社だって全部値上げするですよ。便乗値上げがどんどん出てきますね。自分のところが値上げしておるんだから、ほかに値上げするななんて言う資格はないですよ。そうなってくると、率直に申し上げて五・五%はもうとっくにこえて、場合によっては、昭和四十八年度の消費者物価指数は一〇%上昇するかもしれんということすら最近いわれていますね。現に計算してみても八%から九%は出るんですよ。大臣はいまでも、絶対に政策目標の五・五%に物価を押えることは可能である、いまのように雨後のタケノコのように料金値上げを認めておいて物価が上がって、なおかつ五・五%はだいじょうぶです、絶対に入れますということを、ここで約束できますか。依然として従来の態度を変えずにそういうことを発言できる自信があるのかないのか、そのことをこの際明らかにしてもらいたいと思うのです。
  34. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 幾つか問題ございましたが、最初に新聞の問題でございます。私は陳情をしたつもりはないんでございますが、日経新聞が値上げを発表されましたときに、もう少し理由を明確に知りたいし、まあ新聞というのはプライスじゃなくて、オピニオンリーダーが率先して、しかも一片の社告で突然に上げられるということははなはだ困ったことなんで、ぜひ考え直していただきたい、値上げを撤回していただきたいということを、大臣の談話として出したわけでございます。そのあと物価安定政策会議でもってまた、この問題を中心に、新聞社の方に来ていただきましていろいろお話をしたわけでございますが、その後読売新聞がまた値上げをする。同じ理由でその後毎日新聞、サンケイ新聞、それから朝日新聞と、それこそ雨後のタケノコのように値上げが発表され、実施されんとしつつあるわけですね。  これはどうもまことに困ったことでございますけれども、値上げを認めておいて、といって私のほうは認めてないんでございますが、値上げをされてしまえばほかに手段がないというのが現実でございます。物価安定政策会議でも非常に強く撤回を要求しておられるのですね。しかし、どうも有効なる手段がない。無冠の帝王といわれるくらい強力な民主社会のリーダーでございますから、なかなか有効な手段がない。そこで、これはやはり一政府とか政党とかじゃなくて、みんながそういうふうに思っているということによってとめられると思うんで、私はその意味で、世論政治というのは問題によっては非常に大きな力を発揮できると思うんです。そういうことで、私は決して認めているわけじゃございませんから、この点誤解ないようにお願いしたいと思います。  それから、物価はみんなどんどん上がるという話で、これも実ははなはだ頭が痛いのでございまして、外国の物価も上がってくる。そこで、実はデフレ要因として働くと思っておった円の実質的な切り上げ、これが一五・七%ぐらい上がったと思えば、今度は逆に物価のほうが、ものによって一六%も上がってしまうという状況でございまして、デフレ要因として働かない。まことに困ったことでございます。  私はこのごろ、日本もものの使い方というものを考えてもらえないか、まあ二宮尊徳精神なんてことを言っているのはそういう意味でございますが、所得がふえてみな同じ態度で使って、そして供給が一定ならば、ものが上がるにきまっております。今度のボーナスも五兆円になろうとしています。例のドルを買いささえて過剰流動性ができたときと似たり寄ったりの、五兆円というたいへんなお金が出てくるわけでございます。それを全部購買力として投入されたら、これはもうどうにもならぬということです。そこで、預貯金利子の引き上げであるとか、公債を持ってもらうとか、いろいろなことを考えてやっておるわけでございますが、どうも五・五の消費者物価の見通しはどうか、こう聞かれますけれども、いまのところは、その見通しもさることながら、もっと大事なことは、この物価値上がりの火の手をどうして消すか、こういうことだと存じまして、そういう点で財政、金融、その他輸入あるいは特恵関税の適用品目の拡大あるいは消費者運動、そういうものを全部有効にあんばいいたしまして、何とかこれを切り抜けたい、こう考えておる次第でございます。
  35. 松浦利尚

    松浦(利)委員 やはり政府自身物価に対するき然たる態度を示さないと、幾ら政府が談話を発表したって、物価は上がるだけだと思うのです。やはり政府自身が、国鉄運賃がかりに法案が通過をしたとしても——参議院の経過いかんではどうなるかわかりませんが、一応国鉄なら国鉄は一年間見送る、政府の手にある認可料金についても一年間見送る、だからひとつ新聞社の皆さんもかんべんしてくださいよ、ひとつ値上げも、事情があるだろうけれども待ってくれぬか。政府が、自分が打つ手を持っている許認可料金についてそういう姿勢を示して、新聞社に要請して初めて新聞の経営陣というものもとめることができるかもしれない、あるいはとめないかもしれぬけれども。政府のき然たる姿勢が出てこない限り、私は物価というものはとまらぬと思うのですよ、やはり上げたいほうは。政府の打つ手は何だ、こうなるのです。私はそういった意味で、政府自身も、総需要抑制政策をやっておられますけれども、もっとそういった物価に対する決意ですね、それが不足しておると思うのですよ。もうしょうがないということじゃないでしょうけれども……。  私は、この前もこの委員会で申し上げましたけれども、そういった意味で、政府の許認可料金に対する政府の姿勢、この点をもっと明確にしてもらいたいと思う。一体許認可料金を全部値上げするのかどうか。極力抑制しますという御答弁だろうと思うのですけれども、現に上がってきておる、電気料金やらガス料金が。  それと、やはり五・五%というのは、一応国会で発表された政策目標数値なんですよ。そのことを議論するよりも、いまは、いかにしてこういった状態になった物価を押えるかということが先だ、こう言われますけれども、それも確かにそのとおりだと思う。しかし、そういった政策目標に対して修正せぬでいいのかということは、私はこれは重大な問題だと思う。いつまでも五・五という政策目標を国民に示しておいて、とうとう結果は一〇%でした、それでは私は済まされないと思う。修正すべきところは早く修正して、それに入れるように国民全体に協力を要請する、政府も打つ手を打つという姿勢が、私は政策目標だと思う。  この二つについて、もう一ぺん大臣の御答弁をいただきたい。
  36. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 政府の手にあるといいますか、許認可権というものを握っておるものについて十分考えろということは、よく理解できまするが、いまの物価が上がっておるのは、そういうことと別に上がっておる。国鉄料金はまだ上がってないが、いまの物価が上がっておるわけですね。これはひとつぜひ分けて考えていただきたいと思います。いまの物価が上がっておるのは、極力ひとつ、先ほど申し上げたような適切な政策を強力に実行いたしまして、何とかこの火の手を消したいと思っております。  それから、実は経済見通しは、まことに心苦しいことでございまして、非常に私も心を痛めておりますが、この見通しは大体、昨年の七−九月期までのデータできめておるわけでございまして、その後非常に動意が強くなって、この一−三月期あたりでは瞬間風速で、名目で申しますと一四%という民間設備投資の予定が、実は四五%、四四・八%ですか、そのくらいまで上がってきておる。非常に全体の動意が著しいので、単に物価だけでなくて、そういう情勢にどう対処したらいいかということを、いまおっしゃっていただいたように、もっと国民にアピールする方法考えまして善処したいと思っておりますが、ただ、おことばのように一〇%になるかもしれぬ——私はならぬと思いますが、そうなるかもしれぬから、それに基づいてこうきめたんだということになれば、これはかえって物価騰貴の火つけ役になるというおそれもございますので、そういう点も考えなければならぬというふうに思っております。しかし、おことばの点は私は身にしみておる、実につらいということだけ申し上げておきます。
  37. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そのつらいという気持ちはわかりますが、しかし、もっとつらいのは消費者国民だと思うのですね。ですから、そういった意味で、もう私の時間が参りましたから、許認可料金でいま上がっておる物価をさらに押し上げるようなことは、やはり政府のき然たる態度でその部分は押えることができるわけだから、そういった意味政府がどういう努力をされるのか注目したいと思いますが、いずれにしても、いま国民の中には、物価問題に対してきわめて危険な状態が生まれてきておる。もう物価についてものを言うことすら憤りを感ずる、そういう状態が生まれつつあるということを、ひとつ物価担当大臣として肝に銘じていただきたいと思うのです。
  38. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 肝に銘じますけれども、ただ、この点はひとつお考えを願いたいと思いますのは、いま、いままでの成長主体の経済から福祉経済に移行しつつあるわけです。福祉経済に移行するということは、政府の公共投資等がふえて、そうして国民の所得をふやしていくということになりますれば、公共投資の行く先は、どちらかというと大企業よりは中小企業に行くわけですね。そういたしますと中小企業というものは、大企業に比べてわりあいに人の雇用が多いわけです。そういうことはやはり求人倍率等にも影響してくる。そうすると、やはり全体に給与もよくなっておりますから、これはよく、私が言うんじゃございませんが、物価が高い、一割上がったと言うけれども、給料は二割上がっておるじゃないか、そうすると、経済の法則として、商品は同じなら、給料が二割ふえておれば物価が一割ぐらい上がるよと言う人もあるわけです。私はこれ、必ずしも正しいとは思いませんけれども……。そこで、そういうこともあるぐらいでございますので、全体の消費というものを国民全体が考えないと、政府の手に握っているものだけで全体をどうしろとおっしゃられましても、これはなかなかむずかしいことであるという点だけは、ひとつ申し上げさせていただきたいと思います。
  39. 松浦利尚

    松浦(利)委員 どうも時間がありませんか  ら……。  私が言っているのは、政府がそういうき然たる態度を示せ、そのことによってリーダーシップをとることができると申し上げておるので、そのことはひとつ理解してもらわなければ困ると思うのです。  いずれにしても国民は、この物価に対しては非常に憤りを持っておるし、この物価対策特別委員会に対しても批判があると思うのです。ここでいろいろ個別物価なり基本的に議論するけれども、物価は安定せぬじゃないか、一体何をしているんだという批判というものが、われわれ物価対策特別委員会に対しても寄せられていることは事実だと思う。そういう点で、これはもっと真剣に、ほんとうにできる政策はどんどんとやはり実行していくという姿勢を、われわれも堅持をしますし、ひとつ長官のほうもそういった方向を堅持していただいて、やはり一体となって物価を押えるという努力をしないとたいへんなことになるということだけ、意見として申し上げまして、これからの政府の姿勢を見守っていきたいと思います。  以上で私の質問は終わります。
  40. 山中吾郎

    山中委員長 次に、荒木宏君。
  41. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 私は、いまこの物価高の時期に公共料金値上げがたいへん大きな影響があるということは、あらためて申し上げるまでもないと思いますが、きょうは時間が限られておりますので、ただいまも論議になりました大阪瓦斯値上げ申請理由について、政府のお考えをただしたい、こう思います。  まず、端的に通産省のほうに伺いますが、大阪瓦斯の製品売り上げ高、中でも主力製品であるガスの売り上げ高、これはここ数期をとってみますと、私のほうの有価証券報告書の調査でも、また通産省からいただいた調査でも、売り上げ高が伸びている、数字の上でこれがふえている、こういうふうになっておりますが、そのことが値上げ申請理由書の中に指摘されておるかどうか、このことをまず伺いたいと思います。
  42. 井上保

    井上政府委員 販売数量がふえること自身値上げの直接の理由ではございませんで、販売数量がふえるたびに必要な諸般のグルンド、設備投資とかあるいはいろいろな経費であるとか、そういうものが値上げの理由である、こういうふうに考えております。
  43. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 質問をよくお聞き取りいただきたいのでありますが、私は販売数量とは申しておらぬのです。販売金額と申したのです。売販額ですね、売り上げ高。  御案内のように、昭和三十二年に出されました局長通達では、原価計算の中で第九項目で、事業報酬額の算定について、売り上げ金額はその必要項目の一つになっていますね。そこで、売り上げ原価の必要項目であると通達が出されている売り上げ高について、この申請書の中に触れておるかどうか。数量じゃなくて金額ですね、売り上げ金額、それを書いておるかどうかを伺っております。
  44. 井上保

    井上政府委員 売り上げ金額が、数量が増加しまして、原価はきまっておりますので、原価といいますか、単価はきまっておりますので、金額はふえております。御承知のとおり、申請書にもふえた数字があがってきております。
  45. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 私は、申請書をいただいて何べんも見直しましたが、この申請書の中には売り上げ金額がふえた記載がありませんが、具体的に何ページのどこにあるかということを示してください。
  46. 井上保

    井上政府委員 付属資料がございます。その収支見積もり書が、三年間のやつがございますけれども、その中で売り上げ数量が出てまいりまして、金額がふえているという数字がございます。
  47. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 それでは伺いますが、私が聞いたのは、申請をした時点で、四十五年が境だ、こう言っていますね、大阪瓦斯は。そこからいままでふえているということを言っているかどうか、これを聞いているわけです。これから先がどうかということを聞いているのじゃないのですよ。いまの時点で原価計算をするとどうにもいかぬという理由のようだから、それじゃその必要項目の一つである売り上げ高は、一体この申請理由の中でどう言っているんだ、幾ら見てもないじゃないか、こう言っているのです。
  48. 井上保

    井上政府委員 変更を必要とする理由というのがございまして、これは量がふえている……
  49. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 量じゃありません、金額ですよ、私が言うのは。
  50. 井上保

    井上政府委員 最初に申し上げましたように、金額がふえたこと自身が、原価——それは収入の増ですから、経理は収入と支出の関係がございます。収入がふえること自身が、それ自身が直接値上げの要素ではないということをさっき申し上げたわけですけれども、収入がふえることが値上げの要素ではないわけですね。単位当たりの単価はきまっておりますから、販売数量がふえれば当然収入がふえますし、収入がふえれば、問題は支出がふえるかふえぬかということにからんでまいりまして、増分収入と増分コストの問題が値上げの問題だと思います。その収入の数字がふえたこと自身が改定の理由ということではないと思います。
  51. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 それは局長、少しおかしいですよ。法律の定めるところでは適正原価と適正利潤、ガス事業法十七条ではっきりそうきまっていますよ。適正利潤を算定する売り上げ高を離れてて、どうして利潤が算定できますか。常識で考えたって、売り上げげがふえればふえるで、入ってくるのがふえるんだから、それでもって利潤の有無だとか、算定ができるのじゃありませんか。  この部分は、私が聞いておることに端的に答えていただきたいのです。売り上げ金額が、この法律の定めた適正原価や適正利潤に関係があるかないかは、これは一応議論にわたりますよ。私が聞いているのは、ここに指摘しておるかどうかという事実を聞いておるのですよ。だから、書いてないならないと言ったらどうですか、ほかのはぐらかしたような答えをするのではなくて。私は、あるかないか、これを聞いているのですから。
  52. 井上保

    井上政府委員 この中には直接その金額に触れておりませんが、算定基準では、フェアリターン考え方は売り上げ金額ではございませんので、それは一定の資産に対するリターンを考えフェアリターン考えております。売り上げ高との関係は、フェアベースとの関係は一応ないと考えております。
  53. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 売り上げ金額には触れてないということをお認めになった。そこで私は、その売り上げ金額が原価の算定にどうしてもなくちゃならぬのだ。通産省自身昭和三十二年の二月五日、公益事業局長名で通達を出されて、そこの通達の八ページのところに、過去二年の年平均売り上げ高を分母とし、原価計算期間中の売り上げ高を分子とするということで、売り上げ高が原価の計算に必要だということをはっきりと認めておられる。にもかかわらず、今度指摘がない。これを一つ申し上げておきたいのです。  続いて、時間の関係がありますから次の質問を重ねて、関連してお尋ねをいたしますが、この申請書によりますと、四十五年まではかなり調子がよかった。ところが四十五年を過ぎて原材料費が急騰した、こういうふうに書いてありますね。  しかし、有価証券報告書を見ますと、大阪瓦斯の出したのでは、四十五年の下期これは百四十九期でありますが、四十五年の下期から四十七年の上期百五十二期に至るまで、原料費も材料費もいずれも下っているのです、有価証券報告書の示すところによれば。  もう数字は申し上げませんけれども、そのことは、まず考えたのは、いま私が指摘した期に、大阪瓦斯の有価証券報告書ではずっと下がっている、原料費も材料費も。にもかかわららず、四十五年ごろから急騰したと書いておるのは、みずから出した報告書と今度の申請書とは違うじゃないか。この点について通産省はどう見ているか、これをまず伺いたい。
  54. 井上保

    井上政府委員 大阪瓦斯申請理由とその実態とのチェックは現在まだ済んでおりませんが、どういうふうに実態面とそごしておるか、あるいはしていないかということにつきましては、今後十分に審査いたしたいと思います。まだ十分審査いたしておりません。
  55. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 済んでないとおっしゃればそれまででありますけれども、有価証券報告書は、もういまから何年も前に大蔵省に出ておるのですよ。政府のほうに出されて、もちろん通産省のほうもごらんになっているはずです。今度の申請書は六月二十三日に出ましたけれども、内容はまことに簡単なものです。理由なんて何ページもありはしません。その中で、四十五年から原材料費が急騰した、こう言っているのです、確たる根拠も示さずに。しかも会社側の発行した政府に対する報告書では、明らかに下がっておる。どうですか。この点について資料を十分調べて、検討の結果をこの委員会に報告していただけますか。
  56. 井上保

    井上政府委員 その点は至急に検討いたしまして、御報告いたします。
  57. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 ここで大臣にひとつお尋ねをしておきたいのでありますが、先ほど来、私は二つのことを通産省にお聞きをいたしました。  まず第一は、売り上げ高が伸びている、このことであります。これはまあ担当の政府委員も認められた。それから会社が言っている原材料は、急騰しているのではない、実は下がっておる。このことはこれから調べるとおっしゃっているけれども、ここに政府の発行した報告書がありますから、数字をごらんになればすぐわかる。こういったことも経済企画庁長官としては十分協議の上で慎重に検討なされて、その結果を、はっきり問題があるのですから、ここで御報告いただけるかどうか、その点ひとつ伺っておきたい。
  58. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 従来のこのやり方ではそういうことをやっておりませんで、通産省として検討の結果をここへ報告するということはあるようでございますが、私も前例に従いたいと思います。
  59. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 いまこれだけ物価の問題が国民的な課題になっておって、もういま物価の問題をほんとうに真剣に考えない者は政治家ではない、こう言われているときに、公共料金値上げが出されているのですよ。そして、あなた、当の会社の言っていることと正規に出した報告書とが、明らかに理由が食い違っている。どうですか、大臣。この点については物価担当の大臣として責任をもって検討するということは、これはおっしゃれないですか。
  60. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 当然、私のほうとしても検討いたします。
  61. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 なれば、検討された結果を国権の最高機関、国民の代表の論議をしている国会に報告されるのは当然じゃありませんか。事は最も重大な問題場所は最高の機関、しかも大きな疑惑がある。御報告なさるのは、担当の所管の大臣として当然の義務じゃないですか。
  62. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 通産省検討を依頼してございますし、通産省として検討されるわけでございます。私のほうも検討いたします。両者が合い議をいたしまして、その結果、両方意見が合わない、そこで最高機関の国会に御審議をわずらわしたいうことであれば、これは別々に報告する意義があると思います。しかし、これが同一になりました場合に、従来同一になっているわけですから、その場合には通産省が代表して御報告されるというのが従来からの例でございますので、私も今回も、中曽根大臣と十分話し合いまして、結論一つになるというふうに考えておるということで御答弁しているわけでございます。
  63. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 わかりました。それじゃ政府の側として責任をもって御報告いただく、こういうふうに理解をいたしたいと思います。  そこで、今度の値上げの理由の次の柱であります設備投資ですね、この設備投資についてお尋ねしておきたいのでありますが、値上げ理由の中では、とにかく保安の上から設備をかえなきゃならない、需要者がふえたからどんどん設備をふやしていかなければならない、公害防止のためにもうんとお金が要るのだ、こういったことをしごく簡単なことばで述べていられるのであります。ところが、大阪瓦斯の過去数年の設備投資の計画と実績というものは、まことに矛盾が多い。有価証券報告書で示された限りでは、私が少し数えただけでも二十に近い計画をしておきながら、どうなったかわかりません。初めの計画とあとの計画との数字が違う。初めにやる計画ではもっとあとから着工をすべきものが、あとの計画ではもっと先になっているわけであります。そういう矛盾が随所に出ているのであります。  そこで通産省に伺いたいのですが、四十六年の上期、ここでは河内供給所高圧球型ガスホルダー、これについては前期で、百四十九期でありますが、このときには六億二千百万で、これが工事の予定額でありました。ところが、この四十六年上期になりますと、これが四億八千万に工費が削減をされている。同じ二十万立米、一基でですね、半年たって一億四千百万の減額になっておるのです。しかも当期の支払いが一億五千三百万円で、累積支払い額は、つまりこれより前に支払いがありますからね、一億八千六百万になりますけれども……。  この河内供給所の件については、この期でずっと切れて、あとの有価証券報告書は幾ら調べても出てこない。全然別の計画に変わってしまって、一体これはどうなったのかさっぱりわかりません。この点については、通産省のほうではどういうふうにごらんになっているのでしょうか。
  64. 井上保

    井上政府委員 私、その事実を知りませんので、調査いたしまして資料をお届けしたいと思います。
  65. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 では、次の質問を申し上げますが、同じ期の和歌山供給所、これは前期で二億三千八百万円の総工費予定でありましたが、今期になりまして一躍約六倍にふえておる。十四億七百万円の工費になっておる。増額しておるわけですね。前の河内は減っている。今度の和歌山はふえている。ところが、これが前期の計画では四十六年五月開始だ、こういうことになっておったが、今期になりますともう四十五年九月から始めているのだ、こうなっておる。ところが、四十五年九月といいますのは、これは御承知のように、四十五年下期のときにもうすでに有価証券報告書の中に入っておるわけでありますから、もしこの四十六年上期の報告のように四十五年九月から始まっておるとすれば、当然に前期のところに入っていなければならないのに、あとの期の有価証券報告書ではこれが四十五年九月になっておって、前の期の計画では四十六年五月になっておる。しかも、この次期報告書になりますと、もう和歌山だけではなくて、岩崎と狭山と姫路と四つ一緒になりまして、しかもその総工費が十五億三千二百万円、つまり和歌山一所と比べてわずか一億円しか違わない。ところが、この和歌山は五万立米であり、狭山と姫路と岩崎はそれぞれ十万立米です。  一体、これをごらんになってどういうふうにお思いになるか。申し上げている意味はおわかりでしょう。どうごらんになっておるか、ひとつお答えいただきたい。
  66. 井上保

    井上政府委員 その点につきましても、先ほどのお話と同様に、その内容をよく知りませんので、よく調査いたしましてから御報告いたしたいと思いますけれども、数字がちょっと合わない、こういう感じがいたします。
  67. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 これは、ちょっと合わないどころじゃありませんよ。数字が上下、誤差がある。それはあり得ることかもしれません。論理が合わぬのです。  泉北ニュータウンの冷暖房設備というのがあります。これは前期が十三億円になっておりましたが、今期は七億九千万円に減額をしております。しかも、前期計画では四十五年の十月から五十六年の十月までの予定だった、こういうふうになっておりますのが、今期になりますと、着工時期は同じなんですが、完成の時期が四十七年一月というふうに、約九年間短縮されておる。しかも、これが四十六年の下期の有価証券報告書になりますと、もう消えてなくなっておる。一体どうごらんになりますか。  しかも、これがもう一つ先の期になりますと、四十七年の上期になりますと七億九千万円。それから次の千里ニュータウンの冷房というのがあるのですが、この泉北と千里を両方合わせて——千里が二億二百万円、泉北が七億九千万円、両方合わせますと、算術計算でいえば九億九千二百万円になる。ところが、それを合算した総工費が三億一千九百万円だ。しかもその期の実績、四十七年上期の実績が八千三百万。ところが四十六年の上期、つまりそれより一年前の実績が五億二千百万円です、累積実績。これはどうごらんになりますか。  何でしたら、ここに私、持ってきておりますから、これをいまごらんいただいて、主要な個所はすぐわかりますからそれでひとつ、お尋ねをしておる間にお答えいただいてもけっこうでございます。いまの点はいかがでしょう。
  68. 井上保

    井上政府委員 資料をそろえましてよく検討いたしまして、まだいろいろ検討中でございますし、それと一緒に検討をいたしてみたいと思います。おっしゃるとおり、数字がよくつながらないような様子でございますので、ぜひ十分検討いたしたいと思います。
  69. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 今度は四十六年の下期の点を申し上げますが、導管ですね。これは本支管それから供給管、さらに内管も含めておるようでありますが、この導管全部について前期では総工費百三十九億三千三百万円、これでひとつしっかりやりましょう、こういう計画を出したところが、・前期の実績は五十八億四千五百万円。だから本来なら、残った八十億八千八百万円というのは、これは計画が一年計画とはっきり書いてありますから、当然次の期で実施をしなければならないはずなんですが、ところが次の期の実績はゼロであります。四十六年下期は導管実績はゼロです。ガスメーター、これも同じで前期では十八億八千四百万円、この計画でありまして、前期実績が十億三千四百万円。だから本来なら八億五千万円残ってやらなければならないはずのところが、これがまた同じくゼロです。工事期間はちゃんと一年というふうに報告書には明記しておるのですよ。供給所それからガバナー、埋管設備、これも同じく前期総工費で十七億八千二百万円のところが三億九千二百万円です。前期実績で本来なら十三億九千万円残るべきところ、これも同じくゼロです。これは局長、いかがですか。
  70. 井上保

    井上政府委員 たびたび恐縮でございますが、実態をよく把握いたしておりませんので、そういう先生のいままでおっしゃいました点につきましては、資料をそろえまして十分に検討いたしまして、先生のところへ御報告にあがりたいと思います。
  71. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 四十六年下期、同じく指摘をしておきますが、高圧ガスホルダー、これが先ほど言いました岩崎それから狭山、姫路、和歌山、この四カ所ですね。ところが、これは前期の和歌山とは少し違っておりまして、さっきも言いましたが、前期の和歌山十四億七百万円が——これは一カ所ですよ、和歌山だけで十四億七百万円。これが今度は四カ所になって十五億三千二百万円。だから、ふえたのはわずかに一億二千五百万円。しかも、当期実績はわずかの五千二百万円です。それから、京都の配送センターというのがあります。これが総工費が一億三千八百万円で、これは四十七年の上期に完成予定でありますけれども、実績が三千三百万円だけで、そして次の期に繰り越されたのかと思ってあとの期を全部調べましたが、これがありません。その後はこれは消えておるのであります。  それから、続いて今度は公害防止でありますけれども、これは四十六年からおしなべて言いますけれども、四十六年の上期に総工費十九億七千九百万円で、この実績が一億三千九百万円です。二十億近くやりますぞ、こう言いながら、実際に出したのは一億三千万円です。四十六年の下期、二十八億一千万円という予定で、実績が三億三千七百万円。四十七年の上期になりますと、今度は総工費の額が逆に減ってくるのです。前期で二十八億一千万円でありましたのが、二十五億五千七百万円に減って、この期の実績が一億八千四百万円。  だから、今度の申請理由を見て、公害防止をやります、これでうんと金が要るのであります、調子のいいことを言いながら、大阪瓦斯のやっておるのは、計算ばかりずっと予定に入れて、実際にやっているのはその五%もないじゃありませんか。これは局長いかがですか。
  72. 井上保

    井上政府委員 その公害防止の点につきましても、前のと同じように、よく調査をいたしたいと思います。
  73. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 ここで大臣お尋ねをいたしますが、いまお聞きのとおりであります。これは、そのことの指摘の真否は一応おきましょう。私は、全部報告書を調べてみたのでありますから、数字は自信を持っておりますけれども、これから検討していただければよろしい。しかし、その検討の結果を、企画庁とか通産省とかそれは言いません、政府として責任をもってこの委員会に報告していただきたい。いかがですか。
  74. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ただいま通産省のほうから、検討してということでございまして、検討の結果については、ただいまの御指摘の点と照合いたしまして御報告いたすようにいたします。
  75. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 通産省に続いて伺いますが、一般管理費が少しふえてきているようであります。しかし、その一般管理費の中で特にふえているのが雑費であります。この雑費のふえた理由、その内容についてひとつ御説明いただきたい。
  76. 井上保

    井上政府委員 これにつきましてもいま検討中でございますので、こまかい数字につきましては後ほど御報告いたしたいと思います。
  77. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 それから供給販売費、これはかなりふえておるようでありますけれども、しかし、その中で一番ふえておる寄与率の高いのは修繕費であります。これがほとんど三分の一から四分の一になっておる。しかるに、この有価証券報告書の改築計画なるものを見ますと、四十五年の上、下にあっただけで、そのほかには改築計画は全く出ておらぬのですよ。  そこで局長に、この供給販売費でうんとふえている、しかもその中の大きな部分を占めている修繕費ですね、これは一体どういう計画でどの個所の何を修繕したのだということをひとつ御説明いただきたい。計画に何も出ておらぬものがばーっとふえているのです。これは一体どういうことですか。
  78. 井上保

    井上政府委員 修繕費の支出の内容はこまかく資料があると思いますけれども、ただいま持っておりませんので、これも後ほど御報告いたします。
  79. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 供給販売費の中の需要開発費、これは広告宣伝費に類するものだと思いますが、それと、雑費の内容もあわせてひとつ御報告をいただきたい。  ということを申し上げておいて、大蔵省がお見えのようでありますから大蔵省に伺いますが、特定引き当て金とそれから特別償却、これがかなりふえております。ところで、これは昨日の連合審査でもお尋ねをしましたけれども、租税特別措置法上の措置、それは別として、企業会計原則上、特別償却や特定引き当て金を認むべき根拠がどこにあるかというのです。これをひとつ御説明いただきたい。はっきり申し上げておきますが、証券局長通達は行政通達だから、それの根拠を聞いておるのですよ。企業会計理論上、一体どういう根拠で認めるのか。
  80. 白鳥正人

    ○白鳥説明員 特別償却あるいは特定引き当て金について、企業会計原則上これを損費と認める根拠、こういうお尋ねでございますが、企業会計原則におきましては、特定引き当て金とか特別償却とか、こういうものは費用性がない、これは利益留保性の引き当て金であるという考え方でございます。しかしながら、税法で損金算入を認められております項目について限定をするということは、これは社会通念上適当でない。こういうことで企業会計の立場とは異なりますけれども、監査証明省令の取り扱い通達においてあえて限定しないことができる、こういう扱いにしているわけでございます。
  81. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 そういう社会通念というのは一体だれがきめたのですか。会計学界の専門家に聞いてごらんなさい。あるいは実際に企業会計を処理しておる人にずっと全部聞いてごらんなさい。あの昭和三十二年に出された証券局長通達が基本的に根拠があるなんていっておる専門家は、ほとんどおりやしませんぜ。あなたはいま社会通念なんておっしゃったけれども、行政通達上の根拠を社会通念に求めなければならぬようなことでは一体どうなんですか。全くてまえがってに解釈をして、そしてこういう大企業が特定引き当て金だとか特別償却だとかいって、利益をどんどん費用のごとく内部留保して、そしてそのしわ寄せを消費者料金値上げに持っていく。まさにこの証券局長の通達そのものが、大企業の内部留保を守っていくということをはっきり示しているじゃありませんか。そういう通達、一片の通達で、あなた自身も費用性がないというふうにおっしゃったことを、手のひらを返したようにくるくる変えるということができるなら、これはもう法律も何もあったものじゃないでしょう。  通産省お尋ねをいたしますが、いま大蔵省の担当説明官は、費用性がないということをおっしゃった。社会通念のことも言われましたけれども、費用性がないということをおっしゃった。そこで、今度の値上げ申請をいろいろ審査なさる上で、特別償却とそれから特定引き当て金、これはもう数字は申し上げませんけれども、ずっとふえてきている、このことについて、そんなに内部留保が厚いものなら料金値上げをしなくてもいいじゃないかというふうな点も含めて御検討なさるかどうか、それをひとつ伺っておきます。
  82. 井上保

    井上政府委員 料金値上げの算定の際には、特別引き当て金、そういうものは料金の算定の中には入れない、こういうことにいまの算定基準ができております。それに従って見るということになると思います。
  83. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 ごまかさないで、はっきりおっしゃってください。この中に入れないということは、内部留保が厚いのだから、内にごっそりかかえているのだから、料金値上げの必要がないという方向に判断をされるのかどうかです。内部留保が厚かろうが薄かろうがそれは関係ないということで言われたとすれば別です。幾らでもかかえなさい、ともかくそれによって出てきた結果が赤字だとか、あるいは原価がどんどんはね上がって高くなったとかいうところに組み入れられるのだったら、全く大企業擁護じゃないですか。私が言っているのはその点なんです。
  84. 井上保

    井上政府委員 いまの原価算定の基準でございますけれども、これはそういう特別償却であるとかあるいはそういう特別の引き当て金は原価算定の中には入れないというようになっておりますので、将来三年間の原価を見てそれに必要な収入を確保するというかっこうになっておりますけれども、それはそういうものは一応所要の経費であるというふうには見ないというたてまえになっておりますので、そういうたてまえで原価を見る、こういうことになると思っております。
  85. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 しかし、これは局長、もう少しお考えいただかなければいかぬですな。法律のきめているのは適正原価と適正利潤ですよ。あなた、いま原価のことおっしゃったけれども、適正利潤はどうですか。内部留保をうんと厚くしておれば、もうそれ以上にもうけなくてもいいじゃないか、中にそれだけ取り込んでいるじゃないか。こういうことが言えるのじゃありませんか。ですから、一つは適正原価の算定方法について、さっき言いました局長通達はありますよ。しかし、法のたてまえから見て、ほんとにそんなにべらぼうにもうけちゃいけませんよ。そういう点から言うならば、内部留保をうんと厚くしておれば料金値上げの必要がないということになるじゃありませんか。私が申し上げているのはそういう点です。原価じゃありませんよ。内部留保をうんと厚くしておれば、それだけ利潤は圧縮されます。これは適正利潤に足らないからもう少しあげてやろうじゃないか、そういうことはいかぬじゃないか、こう言っておるのです。
  86. 井上保

    井上政府委員 原価計算の場合の適正利潤は、フェアベース、フェアリターン方式でいっておりますので、一定の資産に対して適正な利潤という考え方でございまして、これは特別償却とか特別引き当て金とか、そういうものを対象に考えておるわけではございません。  それから料金改定の問題につきましては、これは決算の問題でございまして、決算が一定の基準から見まして非常に不利になるというような場合には改定をするというようなことでございまして、その辺につきましては、今後申請書を中心にしまして慎重に検討する、こういうことになっております。
  87. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 関連して指摘しておきますが、四十七年上期で利益剰余金が二百七億あります。いまの内部留保、それから利益剰余金の金額、こういったことと関連して、いま大阪瓦斯の持っておる有価証券、株式、これは筆頭株主である三和銀行の千二百三十二万株をはじめとして、全部で五千三百三十四万一千百八十九株、これの帳簿価格が五十億五千五百万円であります。六月の二十、七日、ちょうど昨日現在で、相場の立っておる六銘柄についてこれを時価で換算をいたしますと百十億七千四百万円。この帳簿価格が十八億四千六百万円。ちょうど大阪瓦斯の持っておる株式は、相場の立っておるのだけピックアップしてみますと、大阪瓦斯の計上している帳簿価格の時価は六倍です。その割合で五十億五千五百万円を見ますと、実に三百二億三千万円ありまして、その差額は二百五十二億七千五百万円、俗に言う含み資産というやつですね。土地もありましょうし、そのほかにもいろいろな含みがあると思いますけれども、こういったことについて計算上内部留保はうんとしている。そうして事実上記帳しておる有価証券は二百五十億からの含み価値がある。土地は処分できないかもしれませんが、株は右から左に売れますよ。しかも、売っていけないという制約は何もないのです。  そういった株式の含み資産について経理内容の点検、適正原価、適正利潤という上から、この料金値上げの認可の審査にあたって検討なさるかどうか。これは事務当局じゃなく、大臣にひとつお尋ねしたいと思います。
  88. 井上保

    井上政府委員 株の売買の問題でございますが、これにつきましては原価計算上入れるべきであるかどうか、全般的な検討の一環として、そういう点も検討してみたいと思います。銀行やなんかの株やなんかにつきましては、いろいろ経営の円滑な運営上必要があって持っておるというようなものもあるのではないかというような感じもいたしますけれども、他のファクターと一緒に、そういう問題につきましても検討いたしたいと思います。
  89. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 大臣、政治的な判断をおっしゃってください。
  90. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 通産省からいろいろ検討した結果をこちらに報告をさせるようにします。
  91. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 いろいろお尋ねしてまいったのでありますけれども、出された資料を検討いたしますと、大阪瓦斯値上げなるものは、ここに数ページきわめて簡単に書いておる、原材料費が上がったとか、あるいはこれから設備投資をやりますとか、経費がかさむとかいっておりますけれども、その内訳なるものがはっきりしない。むしろ設備投資なんかは、いま出た限りではでたらめきわまるものなんです。原材料は逆に下がっているじゃないか。こういうことでありますから、この時期に、この問題ひとつ所管大臣としては十分慎重に御検討をいただきたい。先ほど、見通しの点についても、パーセントで遺憾の意を表明されたばかりでありますし、まさにそれを実行される意味でも、ひとつ十分納得のいく御検討をぜひ期待をいたしたいと思います。  この値上げが家計圧迫になるという点、すでに数字の指摘もありましたし、また公共料金が、次から次へと政府の主導で値上げを続けておるときであります。ことに配当が、一割二分配当をずっと継続してきて、この直前の期も一割配当であります。前に、昨年の八月に値上げになりました東京瓦斯が、その値上げの後、営業利益で二・四倍、四十九億五千万円から百十七億三千万円、経常利益で四・六倍、七億八千万円から三十五億七千万円、税引き利益で実に五・二倍、七億八千万円から四十億二千万円にふえておる。あの値上げ申請がありましたときにわが党の渡辺議員が参議院で、あのときは企画庁長官は木村さんでありましたが、この点でどんどんお尋ねをしました。ところが、もうどうにも赤字でいかぬ、これはひとつ慎重に検討して十分配慮はするけれども、しかし東京ガスの言っておるところは、それはそれとしてやはりくむべきところがあるという趣旨の御答弁があった。ところが、一年たってみれば、何のことはない、うんともうけておるのです。  そういう点から、きょうはもうずいぶんとたくさん、御報告をいただく約束をいただきましたけれども、ひとつ最後に大臣お尋ねをいたしたいのですが、その報告をここでしっかりとしていただくまでは値上げの認可はしない、この約束をひとつきちんとしていただけるかどうか、これを伺いたい。
  92. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 通産省として十分検討いたしましたならば、私のほうも検討しておきますが、合い議があるということになっております。その結果において値上げの問題が決定されるわけでございますけれども、さような点でいろいろ検討はしておりますから、その検討の結果は御報告することになると思います。
  93. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 もう一言だけ。繰り返してお尋ねいたしますけれども、認可をしてしまってから報告をいただいたのでは、これはもう鳥が立ったあとでありますから、仏つくって魂入れずということになりますから、このいろいろ出ておる疑惑をこの最高機関である国会の委員会の場ではっきりと解明をして、それから政府としては責任をもって事に臨んでいただきたい、このことをお尋ねをしているわけであります。
  94. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 先ほど検討をお約束した資料は、当然ここへ出します。それで、そのときは値上げがきまっていない段階であるというふうに御了解願いたいと思います。
  95. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 質問を終わります。
  96. 山中吾郎

    山中委員長 次に、石田幸四郎君。
  97. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最初に、魚介類の水銀暫定基準についての発表の件について若干お伺いをいたしておきたいと思います。  この魚介類の水銀汚染の濃度基準が発表になりまして、二日後に、魚の安全な食べ方という指導方針はけしからぬというので、魚商の協同組合の代表が来たときに、いわゆる現在市場に流通している魚は安心して食べてよい、こういうような安全宣言みたいなものを出した。いわゆるアジならば週に四十六匹ぐらいはよろしいであろうというようなことを、大幅に変えたわけでありますが、まず、このように、二十四日発表されたものと異なった週間摂取量を発表したことについての事実関係について伺っておきます。  まず、二十四日のその発表は、どのような科学的な根拠に基づいて発表されたものか。私が伺っているところによりますと、この基準の資料をつくったことにつきまして、単に週間の摂取許容量の安全基準というような意味で出したんだけれども、こんなに大きく取り上げられるとは思わなかった、こういうようなことを言うておるし、また、これがいわゆる学者、専門家検討、確認を得ていないように私は伺っておるわけでございますが、この間の事情を、これは水産庁ですが、伺っておきたいと思います。まとめてお伺いしますから、簡単に答えてください。  それから二番目といたしまして、いま魚に関する非常なパニックの状況が非常にあらわれております。実例をあげますと、ある店におきましては、マグロのさしみがいままで百さら以上売れたけれども、この二、三日間では二ないし三さらですか、そういう程度しか売れない。ある小売業者は、もう魚の仕入れは十分の一に減らしておる、それでもなおかつ売れ残る、こういう状況でございますので、魚屋さんの今後の営業問題が非常に問題になるわけであります。政府は、衆議院の本会議等において、これに対してつなぎ融資をする、こういうふうに発表になっておるわけですが、どの程度のどんな内容の融資を考えているのか、関係者にお答えをいただきたい。まずこれだけ伺っておきます。
  98. 岡部祥治

    ○岡部説明員 厚生省に関しますことは、暫定基準の発表に伴いまして、若干新聞等の取り上げ方等によりまして誤解がございましたので、その点につきましての御質問でございますので、その点にお答えいたします。  去る六月の二十四日に専門家会議におきまして、週間暫定許容量、メチル水銀を一週間にこれだけ摂取しても発症しないという量が〇・一七ミリグラムときまったわけでございます。  これに伴いまして、濃度と摂食量との関係でございますので、必ずしも濃度規制というものは必要でないという学者の意見もございますが、魚介類を一定の濃度以下のものに押えまして国民の安全性を確保するということから、魚介類のいわゆる規制値といたしまして、総水銀で〇・四、メチル水銀で〇・三という基準を設定したわけでございまして、それでこの何PPM、あるいは何ミリグラムといっても、非常にわかりにくいから、かねてこれらの基準を作成した場合には、わかりやすいように発表してほしい、あるいはわかりやすいような解説書を書いてほしいというような御要望がございまして、これに基づきまして、一応週間メチル水銀の許容量〇・一七ミリグラムというものを、最高の値でございます〇・三PPMという魚介類がすべてそうだと仮定したならば、アジが、このくらいのアジで十二匹くらいになりますという御説明の手引き書の案をつくっておったわけでございます。したがいまして、このアジを十二匹といいますのは、すべてがこの濃度であった場合にまだ十二匹も食べられますというようなつもりで私ども原案を書いたわけでございますが、そういうとられ方をしたわけでございます。  なお、さらにこれが実態に合わせますとどうなるかということで、再度試算をし直しますと、四十五年から四十七年までのいわゆる環境調査におきます生物の調査結果といたしまして、魚介類の測定結果が環境庁から出ております。これらの個々の数値をとらえまして平均いたしますと、メチル水銀で〇・〇八PPMということになるわけでございます。したがいまして、これら水域からとれたものの平均で〇・〇八PPM、したがって平均的に〇・〇八PPMといたしますと、その摂食量は大体アジで四十六匹程度になるのだという話をしたものがその翌々日の記事となったわけでございまして、決して基準値を変えたということはございませんで、例示のしかたによりまして記事が変わってきたということでございます。
  99. 平井清士

    ○平井説明員 お答え申し上げます。  おっしゃいましたように、一般に魚全体というものについて心配であるというような誤解もございまして、そういう不安が一般にもあるわけでございます。これにつきましては、極力その不安解消にいろいろ手を打ってまいりましたし、今後も努力いたしたいと思います。  なお、お話しございましたいわゆる鮮魚商の方々を中心にした問題でございますけれども、御承知のように現実に、水銀、PCBによります水質の汚染ということから漁業に支障を来たしている場所が具体的にあるわけでございます。その鮮魚商の方の中でも特にそういう地域に近接した方は、従来からその場所で魚を商ってこられた、それにほとんど依存してこられたという方々が一番困られるわけでございます。それで、その場合には仕入れ先を変えるというようなことも、従来やらなかったところからも買うということを具体的にしなければならぬ場合も十分考えられるわけでございますので、そういう人たちの経営の維持安定と申しますか、そのための措置は何とかしなければならぬということは、おっしゃるとおりでございます。  それで、私たちといたしましては、片や、漁業に対します措置というのが、緊急措置でございますけれども天災融資法に準ずる措置ということで、金利三分、限度五十万、五年以内という条件で行なわれますので、それとの関連も十分踏んまえた、考慮した上での措置をとることが必要であるということから、これは具体的に申し上げますと国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫ということに相なるわけでございますので、それらの関係省との間で検討を急いで進めておるわけでございます。そういう状態でございます。
  100. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは長官にお伺いしたほうがいいのか政務次官にお伺いしたほうがいいのか、よくわかりませんけれども、いまの融資の問題でございますけれども、お話聞いてのとおり、これは水銀、PCB等の汚染地域、その地域に隣接したそういった漁業に携わっている方々の融資が対象に考えられているようでございます。しかし、いま私が若干、個別に電話をかけて当たっておる様子を申し上げましたけれども、これはいわゆる魚の小売り屋さんですね、これを中心とした方々が、将来の自分の職業に対する非常な不安感を覚えておるわけでございますし、非常にまた売り上げが減少しておるわけですから、これまた、やはり融資ワクを考えなければならぬ。いま聞いてみますと、金利三%、ここまではけっこうでございますけれども、限度額五十万、五十万ではこれはどうにもならぬわけですが、ここら辺は、一体政府としてはどうお考えになりますか。五十万ぐらいの限度額では、これは救済措置にも何にもならぬでしょう。いかがですか。
  101. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 お尋ねの、関連業種といたしまして魚の小売り屋さんでございますが、これに対する融資は限度額五十万円と申しますのは、いま中小企業庁が窓口となりまして大蔵と折衝いたしておりますその内容の一部でございまして、限度額五十万円までは、いわゆる天災融資といいますか、その金利三%を適用していただく。そして二百万円までの限度にしておりまして、あとの残の百五十万円相当額、このものにつきましては五%という交渉を現在しております。  周辺地域におきますところの鮮魚商の数は十分に把握しておりませんが、しかし、おおよそ算定いたしました数と限度額と見まして、百五十億円程度の緊急融資が必要ではないか。つきましては、この百五十億円を、中小企業金融公庫二十五億、商工中金二十五億、国民金融公庫百億というふうな内訳において融資の実施をしていきたい、こういう計画でございます。
  102. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一点お伺いしますが、魚屋さん関係は零細企業、中小企業に属すると思うのでございますけれども、これの被害状況通産省ではお調べになるつもりはございますか。
  103. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 実は先生のお尋ね、ことばを返すようでございますが、鮮魚商の中小企業としての把握は中小企業庁でやっておりますが、これの直接的な行政所管と申しますのは実は農林省関係だと私は聞いておるのでありまして、したがいまして、これはもちろん政府としては一体となってやらなければなりません。そこで、中小企業庁といたしまして、実は地方通産局と府県と共同いたしまして、現在実態調査を実施しておるところでございます。
  104. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その実態調査はいつごろめどがつく予定ですか。
  105. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 いまのところ、いつまでということを申し上げにくいのは非常に残念でございますが、とにかく緊急融資をいま交渉しておる最中でもあるしするからして、至急にこの実態を把握しろと督励しております。
  106. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、この問題だけやっているわけにまいりませんので、私は電力関係の問題について、若干政務次官を中心にお伺いをしたいと思います。  まず、公益事業局長にお伺いをするわけでございますが、この前私がいただきました長期株式投資、これの金額が、貸借対照表の金額とは相当違うのです。それから関係会社の長期投資、これも、こちら側でいただいた資料と貸借対照表の数字とはかなり食い違いがあるのですけれども、これはどういうわけですか。  それじゃ、ちょっと一例を申し上げましょう。関西電力の場合は、貸借対照表は九月三十日、それから長期株式投資が四十八年の三月三十一日ではございますけれども、これを見ますと、四十七年九月三十日のほうがはるかに多い。二百七十三億八千万。四十八年三月のほうが百八十四億二千百五十万。こういうべらぼうに食い違う資料を出されたのでは、検討のしょうがない。関係会社の長期投資については日にちは同じです。同じですけれども、こちらでは、貸借対照表のほうには約八十億六千万円あがっておりますけれども、出された資料のほうは半分の四十億円程度しかあがっておりません。これはどういうわけですか。
  107. 井上保

    井上政府委員 いま直ちに理由ははっきりいたしませんけれども、集計の方法なり対象の、たとえば関係会社という場合には二〇%以上の投資のものを関係会社と呼ぶとか、いろいろ定義をつけて電気の会計ではとっておりますので、その間の集計が合っていないのじゃないかと思うのですが、それは一回よく並べてチェックしてみまして、どういうことになっているか、私もよく……(「それはおかしいな」と呼ぶ者あり)ですから、内容をよく当たってみます。
  108. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは貸借対照表を中心としたものでなければならぬわけですから、もう一ぺん出し直してください。  この長期投資の問題についてお伺いをするわけでございますが、関西電力の状況をずっと見てみますと、これは政務次官にお伺いするわけですが、銀行に対する長期投資、これが約二十七億、それから全銀行で見ますと百二十六億、それから証券会社に対する投資が三億六千七百三十三万、全体で見ますと六十八億六千四百八十四万。さらにマスコミ関係に対する融資が非常に多いのですね。関西電力の場合は一億六千百九十五万、九電力全体でございますと約七億八千万、こういうような融資が行なわれております。これが放送関係、新聞社関係、それから観光開発並びに土地会社、こういうものを含めますと関西電力で約十一億、こういうようなこと。それから鉄道融資が約三億、こういうような状態でございます。そのほかに特に顕著な例をあげますと、先ほど問題になりました大阪瓦斯、同じ公益企業であるのに対して、これに約三億九千万くらい投資しておる。さらに他の九電力の状況考えてみますと、いわゆるステーションビルであるとかホテルであるとか、あるいは中には劇場にまで投資しておる。  こういう投資の方針というものは、一体通産省としてどういうような基準で、どういうような指導方針に基づいてやっておられるのか。また、いまあげました銀行投資を行なっているのは、一体目的は何なのか。証券会社に対する投資の目的は何なのか。あるいはマスコミにかなりの金が出ておるわけでございますけれども、これはいわゆるマスコミ対策なるものなのか、さっぱりわからぬ。こういう点についてひとつ明細に御答弁願いたいと思います。
  109. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 明細になるかどうかちょっと疑問でございますが、要するに一言で申しまして、会社が経営してまいりますのに、いろいろな団体あるいは地域との関係を円滑にしていくという趣旨によって投資をしておるのだと思うのであります。  そこで、まず銀行等関係でございますが、やはりこれは融資の関係が一番大きい要件になっておると思います。有利な安定した長期融資を受けようと、それがために銀行との関係、特に銀行に対する発言権も持ちたいというのが当然であろうと思ったりいたします。また証券会社の関係は、やはり上場いたしておりまして、株式が動いております。そういう場合に思惑的な、あるいはまた株の売買等について不測な事態が起こらないように、やはり証券会社との関係というものは絶えず緊密に持っておかなければいけないという配慮が働いておるように思います。  また、一番石田先生の気にしておられる、そのホテルとか土地というようなところに投資しておるのはどういうことだ、こういうことが一番関心が深いと思うのでありまして、もちろんわれわれも、この問題は非常に関心を持っております。そこで、そういうホテル事業あるいは地域開発のための不動産会社との関係というのは、すべて会社自体のいわばやむを得ず持たされてくる、おつき合い的なものも中にはあろうと思いますけれども、総じて言えますことは、電気事業、特に供給関係等をいたしておりますときにやはりお客さんとの関係、電力会社にとりましては顧客関係になる場合が多いのでございますが、そういうおつき合いというようなものがやむにやまれず持たされてきているように思うのでございます。  しかし、絶えずこういう投資につきましては、報告書を徴収してきびしく検討しておることでございますが、そういうようなものも出てきておるということでございます。
  110. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、マスコミ関係に対する投資は何の目的ですか。
  111. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 先生も御承知のように、電力関係で単にプロパガンダ、広告として出しておるものと、それから通知的な、お知らせをしなければならぬというような報道的な通知、こういうようなものを電力会社は持っております。したがいまして、やはり絶えず報道的な通知、通告というようなものを有利に扱ってもらいたいという配慮、そういうようなものがやっぱり若干あるのではないか。私はその辺の趣旨はわかりませんけれども、おそらくマスコミ関係にある程度おつき合いをして、そういった関係も扱ってもらいたいという期待感を持っておったのではないかと、このように思います。
  112. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは先ほどの証券会社投資ですけれども、これは圧倒的に野村証券が多いんです、約六割。野村証券がほとんど扱っておるわけでございますけれども、いまいったような話でございますれば、やはり分散的にやるのが一番公平なやり方でございますし、ここら辺のところは、もう一度ひとつ通産省としても検討をされるべきではないかと思うわけです。これは意見として申し上げておきます。  それから、私が非常に疑問に思いますのは、電力会社というものは公益性のある会社ですね。したがって、そういった投資の余力があるならば、当然、自分のところの公益事業に投資をしっかりするべきだと思うのですよ。にもかかわらず、鉄道に対する投資をしてみたり、あるいは関西電力の場合は四億近いものを大阪瓦斯へ投資しておるわけですよ。これは、おつき合いよりは、そういう性格的な問題からものごとを考えていかなければならないんじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  113. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 関西電力が大阪瓦斯等に投資しておるといいますのは、やはり工事もさようでございますし、電力とガスというものは同じく公益的な事業として、業務分野におきまして、あるいはまた実際電気とガスを供給しておりますその地域、そういうものにおきましてお互いに協調関係をとらなければいかぬ、そういうことがお互いに株を通じての発言権を結び合っていくということになっていたのではないか、このように思うのです。しかし、これが額が大きくなっていくということでありますならば問題になろうかと思いますけれども、現在御指摘になっておる程度の投資でございました場合に、私たちといたしましては、これはお互いに業務提携を緊密にするための投資であろうという判断に立って見ておるようなことでございます。
  114. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 マスコミ問題は、これはこういう電力会社は、私もテレビ、新聞等を見ておりますけれども、かなり大型のスポンサーの一人だと思うのです。そういうようなことでかなり有利にはなっているんでしょうけれども、こういうような投資というものはどうしても不明朗な陰を生むと思うのですね。こういった問題を、各社ごとにすればそうたいした金額じゃないわけですから、やはり通産省としてお考えになるべきじゃないでしょうかね。もう時間もありませんから、この問題はまたあらためてやります。  それで、きょう実は主題としたがったのは、今日の状態は電力不足ですね、そういう状況から発電所のいろいろな開発、いろいろな形式の開発というものが今後大きく取り上げられなければならないと思うわけです。これから設備投資をしなければならぬのは、いわゆる需要の拡大というところからきているわけでございますから、一括してお伺いをいたしますけれども、こういう今後の需要拡大のやり方というのは、かなり多様化してくると思われるわけです。たとえば、日本の場合は火山国でありますから、そういった意味で、地熱利用の発電をすれば一千万キロぐらいの発電は可能である、こういうようなこともいわれております。それから太陽熱利用の問題も、これは将来の大きな問題になるわけであります。それから水力発電にいたしましても、揚水発電が計画されております。さらにまた産業廃棄物利用の火力発電、こういうものも、小さな規模ではありますけれども、ぽつぽつ行なわれておるわけです。この間、私、通産大臣のところへ電力料金の据え置きの問題で申し入れに行ったわけでございますけれども、産業廃棄物利用の火力発電についてはアメリカがかなり積極的にやっておる、わが国においても来年度の計画の中にこれを強く組み込みたい、こういうようなこともおっしゃっておるようでございます。  そういうようなことから、今後こういった、いわゆる火力発電が燃料の関係あるいはまた発電所設置の地域問題、そういうところに大きな障害がありますので、多様化した発電能力を持たねばならぬ、こういうふうに思うわけでございまして、こういういろいろな問題について、通産省として今後どういうような方向で進まれていくのか、それぞれの計画の概要あるいは研究の概要、こういうようなものがわかりましたならば、これは御答弁だけでは十分にまいりませんので、ひとつ御答弁をいただくと同時に、その後の通産省の計画として、あるいは関係省庁の研究等も含めて、今後の多様化される発電能力の開発という意味で御報告をいただき、答弁をいただきたい、こういうように思うのです。
  115. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 石田先生のおっしゃるように、私は全くそのとおりだと思いまして、したがって、大臣が先生にお返事申し上げた中にもあったと思いますが、発電が単一の重油にたよっているという時代は一刻も早く脱却していって、多様化の発電燃料というものを求めなければならぬと思います。  そこで、これは高度な技術開発と相伴っていく問題でございます。したがって、地熱発電であるとかあるいは揚水発電というような、現に実施しておりますこういう発電事業につきましては、目下通産省といたしましても実は非常に強力にてこ入れをいたしておるところであります。したがっで、この具体的な現状なり、これからの方針につきましては、原局を担当しております者から詳しく報告もいたさせることになろうと思いますが、一言で申しまして、これから開発されていくであろう太陽エネルギーあるいはまた核融合の問題こういうようなものが技術的に解明されていって工業化されなければならぬのでございまして、したがって、ただ単に通産省だけの力ではなくして、日本の、あるいは世界の持っております技術の粋を集めて今後とも研究を進めていきたい。したがって、来年度予算の編成の際には——本年度もさようでございましたが、こういう関係に大幅な予算の増額を獲得し、進めていきたい、このように思っております。詳しい実情につきましては原局のほうから説明させますので、よろしくお願いいたします。
  116. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間がありませんから、あとで資料をお出しいただくことにして、できるだけ簡潔にお願いします。
  117. 井上保

    井上政府委員 では、簡単にいろいろな種類の発電所の現状と今後の見通しを申し上げますが、揚水発電所につきましては、これは負荷即応性が高いということで、一定の割合で確保する必要があるので、大体一五ないし二〇%くらいが必要であるといわれておりますが、現在は十九発電所で三百四十万キロワットでありまして、工事中のものが十発電所、七百五十万キロワットでございます。  それから、現在持っております計画といたしましては、電気事業者としては四十八年度から五十六年度までの九カ年間で二十三カ地点、千五百九十六万キロワットの開発をしたい、こういうふうに考えております。  それから産業廃棄物発電の関係でございますが、これはまだ非常に微々たるもので一ございます。現在ありますのは、主として製紙工場のパルプ廃液を利用するものでございまして、昭和四十三年度から四十七年度の間に設置されたものが約九十四万キロワット、現在計画中または工事中のものが約十万キロワットでございます。  それから、いわゆる都市からの廃棄物によるものでございますが、これにつきましては、現在五発電所で一万一千キロワット、計画中または工事中のものが十一発電所で二万五千キロワットでございます。  それから地熱の関係でございますが、これはいろいろ説もございますけれども、わが国の開発可能量は約二千万キロワットといわれております。現在ある程度実用化しております稼働中のものは二万キロワットくらいでございますが、計画中のものは二万五千あるいは五万キロワットのものがございます。  今後は大いにやっていきたいということで、実は通産省といたしまして八千八百万円ぐらいとっておりまして、地熱発電につきまして有望地点の調査をいたしたい、こういうことでやっております。  それから、先ほどお話のありました太陽熱であるとかいろいろな方式がございますが、いずれも研究段階でございまして、工業技術院などを中心に基礎的な研究をやっておるという段階でございます。
  118. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最後に経企庁長官にお伺いします。  このエネルギー問題は、大きな問題にこれから発展するわけでございます。特に日本の場合は原子力問題これがいわゆる原子力に対するアレルギーもございますので、原子力発電というのもなかなかスムーズに進まない。そういう意味におきまして、今後急速に、へたをすると需要不足が考えられる、こういう状況にございます。したがって、これは来年度におきまして、経済政策の一つとして当然エネルギー問題が明確にされなければならない、こういうふうに思うのでございますが、いかがでございますか。
  119. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 まことに仰せのとおりでございます。この発電所の計画にいたしましても、私のほうで企画しております計画と実際の着手が、昨年度は大体三割くらいしか着手できなかったわけでございます。今度発電所の周辺整備法も御審議いただいておりまして、これがどうなりましょうか、現状において変更がなければ大体一割くらいになるのではないかということを懸念する人もございまして、今後のエネルギー問題は非常に重要であると考えておりますので、重要性を十分国民にわかっていただいて、そうしてその認識のもとにこのエネルギー問題を、先ほどから御指摘のありましたようなことも含めて十分に検討してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  120. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 以上で終わります。      ————◇—————
  121. 山中吾郎

    山中委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  物価問題等に関する件について、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 山中吾郎

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出席の日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 山中吾郎

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十九分散会