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1973-06-21 第71回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十一日(木曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 山中 吾郎君    理事 稲村 利幸君 理事 木部 佳昭君    理事 小坂徳三郎君 理事 坂村 吉正君    理事 井岡 大治君 理事 松浦 利尚君    理事 小林 政子君       石井  一君    加藤 六月君       三塚  博君    中村  茂君       野間 友一君    石田幸四郎君       和田 耕作君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会        事務局経済部長 三代川敏三郎君         経済企画政務次         官       橋口  隆君         通商産業政務次         官       塩川正十郎君         通商産業省公益         事業局長    井上  保君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省住宅局長 沢田 光英君        自治省税務局長 佐々木喜久治君  委員外出席者         経済企画庁長官         官房参事官   斎藤 誠三君         大蔵省証券局企         業財務課長   白鳥 正人君         国税庁間税部長 守屋九二夫君         国税庁調査査察         部長      磯辺 律男君     ————————————— 委員の異動 六月二十一日  辞任         補欠選任   粕谷  茂君     加藤 六月君   塩崎  潤君     石井  一君 同日  辞任         補欠選任   石井  一君     塩崎  潤君   加藤 六月君     粕谷  茂君     ————————————— 六月十八日  公共料金値上げ反対に関する請願木下元二  君紹介)(第七三一三号)  同(斉藤正男紹介)(第七三一四号)  同(山崎始男紹介)(第七三一五号)  同(横路孝弘紹介)(第七三一六号)  同(小林進紹介)(第七三八四号)  同(芳賀貢紹介)(第七三八五号)  同(田口一男紹介)(第七三八六号)  大手商社の反社会的行為取締りのための法律制  定に関する請願阪上安太郎紹介)(第七三一  七号)  物価抑制に関する請願神門至馬夫君紹介)(第  七三一八号)  木材、建設資材異常価格の引下げに関する請  願外二件(板川正吾紹介)(第七三八一号)  同(高田富之紹介)(第七三八二号)  同(八木一男紹介)(第七三八三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 山中吾郎

    山中委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  3. 加藤六月

    加藤(六)委員 私は、先般来いろいろ物価問題について当委員会が熱心に質疑して、いろいろな点を解明していただいておるのに深く敬意を表するものでございます。  そこで、先般来、いろいろな問題で議論していただき、あるいは国民立場に立って究明していただいておる点があるわけでございますが、先般来いろいろなうわさでビール問題が、われわれの耳に入ってきておるわけでございます。そこで、このビール問題を私自身いろいろ研究し、勉強し、また資料収集等もやらしていただいてきたわけでございます。本日は、このビールについての問題を、ひとつ政府に対しはっきりした姿勢考え方を承り、またわれわれの意見を申しておきたい、こういう立場で発言の機会を得たことを、深く感謝いたすものでございます。  まず、国税庁のほうにお聞きいたしますが、昨年のビールの売れ行きの伸び率が何%かというのと、昨年全体のビール消費量はどのくらいになるか。キロリットルとかなんとかで言わずに、ビール本数でわかったら教えてもらいたい、こう思います。
  4. 守屋九二夫

    守屋説明員 お答えいたします。  四十七年、暦年でございますが、私のほうで把握しておりますビールの、いわゆる課税になりました課税移出数量と申しますか、その数量は三百四十一万キロリットル、伸び率でいたしますと、四十六年に比べて一一・九%伸びております。本数で、大ビン換算五十四億本ということになっております。
  5. 加藤六月

    加藤(六)委員 大ビンで五十四億本の本数といいますと、よく飲む人とよく飲まない人によって違いますけれども、単純に国民に割り当てると、国民一人が一年に五十四本飲んでおるということになるわけですね。  そこで、いま伸び率は一一・九%で五十四億本、三百四十一万キロリットルという御説明を聞きました。今日、わが国ビールメーカーといいますか、ビール会社は四社あると思いますが、この昨年のシェアはどういう程度になっておるのでしょう。会社別シェア会社別伸び率、これをお教え願いたいと思います。
  6. 守屋九二夫

    守屋説明員 四社ございます。キリンビールが二百五万キロリットル、シェアで六〇・一%、伸び率で一四・三%、サッポロビール七十二万八千キロリットル、シェアが二一・三%、伸び率が八一%、アサヒビールが四十八万キロリットル、シェアが一四・一%、伸び率が五・九%、サントリービールが十五万二千キロリットルで、シェアは四・五%、伸び率が一九・八%、こういうふうになっております。
  7. 加藤六月

    加藤(六)委員 先ほどの、売れた三百四十一万キロリットルの中に、輸入ビールというのは入っておるのですか、入ってないのですか。
  8. 守屋九二夫

    守屋説明員 入っておりません。
  9. 加藤六月

    加藤(六)委員 念のために輸入ビールの総量と、四社と並べた場合の国内消費シェア、あったら教えていただきたいと思います。
  10. 守屋九二夫

    守屋説明員 輸入ビールは四千六百五十四キロリットルでございます。
  11. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで国税庁にお伺いしますが、いま輸入ビールはささやかでまだ話にならない。ビールとしての特性で輸入問題がいろいろあると思いますが、いまわが国の五十四億本、国民一人当たりに直すと一年間五十四本飲むといわれるほど国民の、どういいますか、食生活にあるいは生活になくてはならないビールになってきたわけでございますが、わが国ビールメーカーは四社である。このビールメーカーに対する国税庁指導とか監督、まず第一点に承りたいのは、いろいろ言われております——たとえば、われわれは逓信委員会その他で、テレビ会社経営姿勢問題についていろいろ言っております。兼業をどの程度やっていいのか悪いのかという問題で、いろいろな立場から、兼業内容とか兼業に伴う行為そのものについてずいぶん追及いたしておりますが、ビール四社に対してそういった国税庁指導監督の骨子、兼業あるいは経営姿勢、そういうものに対してはどういう方法を持っておられるかということを承りたいと思います。
  12. 守屋九二夫

    守屋説明員 御存じのとおり、酒税確保のためにビールの製造も免許制でございます。それから、ビールを含めまして酒の販売につきましても、現在免許制度になっておるわけでございます。免許制度を意義あらしめるだめに、国税庁としては酒税確保立場から業者の監督指導に万遺憾なきを実は期しておるわけでございます。  経営姿勢等におきましても、もちろん多額の酒税を負担していただいている関係もございまして、疑惑を招かないような、国民納得を得られるような経営をやってもらいたい。  兼業等につきましても、あまり行き過ぎたといいますか、ビール生産との関連におきまして、これに悪影響を及ぼすようなそういう行き方に対しては、われわれとしては監督官庁立場から絶えず接触を保ってやっている、そういうことでございます。
  13. 加藤六月

    加藤(六)委員 部長、絶えず接触を保っていって、どういう指導をしておるのですか、そこをはっきり教えてください。
  14. 守屋九二夫

    守屋説明員 ビール消費生産、そういうことに関係しまして、ビール会社状況監督官庁として把握しておく、これはもう当然のことでございますので、役所としては、必要なときには会社側を呼び出しまして助言なり指示を与えるということでございます。
  15. 加藤六月

    加藤(六)委員 このビール四社に対して、いままで立ち入り検査あるいはそれに近いような行政的な方法を講じたことは、ここ二、三年のうちにありますか、ありませんか。
  16. 守屋九二夫

    守屋説明員 各社とも毎年というわけにはまいりませんが、何といいましてもビール会社は税額も非常に多うございますので、数年に一回ということで立ち入り検査をやっております。
  17. 加藤六月

    加藤(六)委員 数年に一回というのは、二、三年に一回ですか。五、六年に一回ですか。三、四年に一回ですか。
  18. 守屋九二夫

    守屋説明員 二、三年に一回でございます。
  19. 加藤六月

    加藤(六)委員 二、三年に一回、立ち入り検査ではないけれども、それに近いような状態でよく調査しておるというのなら、それでは少し具体的に伺っていきたい、こう思うわけですが、その前にもう一つ伺っておきたいと思うのは、大体このビール値上げする場合の諸手続というのはどういうようになっておるかということを、ひとつ順序を追ってまず説明を承っておきたい、こう思います。
  20. 守屋九二夫

    守屋説明員 ビールは、これは清酒も同じでございますが、三十九年の六月から実は自由価格になっておりまして、値上げする前に役所の了解を求めるとか、役所に申請を出すとか、それから値上げ後に届け出を出すというようなことは、ビールについては現在ないことになっております。はっきり言いまして、これは自由価格であるということでございます。
  21. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうすると、先ほど部長説明で、貴重な酒税を確保するという意味での四社に対する国税庁姿勢というもの、それから私が、接触を保つというのはどういうことですかと言うて繰り返して御殿問申し上げ、あるいは企業内に対する監査指導立ち入り検査に類するようなことをやっておるのかやってないのかということを承りましたが、三十九年六月以来ビールというものは自由価格だ、したがって、値上げ前も値上げ後も国税庁とは正式の事務手続は要しない、こういうところに結論がいくわけでありますが、それでは具体的に承りますけれどもサッポロビールというビール会社がある。サッポロビールが昨年来、値上げ運動値上げ準備あるいは値上げに対する折衝を国税庁にたびたびいたしておったということを私は聞いておるのですが、こういう場合は、国税庁としたらどういう姿勢で臨んできたわけですか。サッポロビールだけに限ってまず説明してください。
  22. 守屋九二夫

    守屋説明員 サッポロビールからもそういう要請といいますか話があったことは事実でございますが、先ほど申しましたようにたてまえは自由価格でございますが、監督官庁としての立場から、あるいは現在政府全体の物価政策等立場から、値上げというものに対して国税庁考え方をたびたび伝えたことは事実でございます。
  23. 加藤六月

    加藤(六)委員 経企庁政務次官がお見えになっておりますが、経企庁のほうは、ビール値上げといいますか、こういう問題については、大蔵省あるいは国税庁との協議事項に入っておるのですか、入ってないのですか。
  24. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 正式には入っておりません。しかし、事実上、行政上打ち合わせをいたしまして、これを抑制するような方針でございます。
  25. 加藤六月

    加藤(六)委員 サッポロビール問題で雑誌にも出、それから巷間いろいろ二つの点がいわれておるわけですね。一つは、ビール値上げが行なわれなかったからこのビール社長責任をとってやめた、もう一つは、ビール値上げ国税庁に許可してもらうためにことさらに三%の減配を行なっている、そして社長を追い出すという芝居が行なわれた、この二つは、まるきり反対のような立場に立っていろいろ世上に流布されております。ところが、いま大蔵省国税庁経企庁の話を聞きますと、どこで政府当局というものとビール会社というものの指導監督という問題が交差しておるのかという点で、若干いままでの御説明、答弁では納得のいかないものができてくるわけでございますが、私がいま申し上げました、ビール値上げができなかったから社長責任をとってやめたということと、逆にビール値上げをさすためにことさらに減配を行なったという立場があるわけです、うわさされておるわけであります。この二つ問題について、ビール値上げは絶対させないという私の基本姿勢から、ちょっとサッポロビール具体的内容について触れてみたい、こう思うわけであります。  私の手元に、先ほど一番最初に申し上げましたように、いろいろ資料を取りそろえました。有価証券報告書その他いろいろ会社内容のものをそろえ、またいろいろ私自身調査もいたしてやってきたわけでございます。その内容については、国税庁調査査察部長おいでになったようですから、それでは、そちらのほう並びに証券局のほうを中心にまず質問していきたい、こう思うわけでございます。  まず、証券局企業財務課長おいでになっているようでございますが、証券局は、有価証券報告書というものを期末に出させておりますね。このものの内容についてはあらためて触れる必要はないと思います。私自身も、この報告書をつくって提出するのにずいぶん苦労をして、つじつまを合わそうと思って努力をしたり、それからまた、くだらないことまで中に書かされるので、ちゃんともう印刷しておいてそれはやるということをやってきたわけでありますけれども、そもそもこの有価証券報告書を提出さす精神的な理由というのは何なんですか。法理的な理由ではないですよ、精神的な理由……。
  26. 白鳥正人

    白鳥説明員 お答え申し上げます。  有価証券報告書につきましては、証券取引法の第一条に「国民経済の適切な運営及び投資者保護に資するため」という精神がございます。この精神を受けまして、投資者保護に資するために、上場会社あるいは一度増資などをして届出書を提出した会社につきまして、毎期決算後三カ月以内に報告書を提出させる、この報告書の中身を見て投資者が誤った判断をしないように投資者保護に資する、こういう目的届出書報告書を出させておるわけでございます。
  27. 加藤六月

    加藤(六)委員 この有価証券報告書とそれから法人確定申告書との関係というのが、よく世上いわれます。私はこの両方を調査してみました。いろいろな開きが出てくるわけです。先ほど申し上げましたサッポロビールは、いままで一三%の配当を行なっておった、それが一〇%に三%切り下げた。これは先ほど、ビール値上げをさすためだという風評あるいは逆に社長をやめさすためだという風評があるということを申し上げたですね。  そこで第一点、具体的に、一二%が一〇%になったが、もしその三%の配当を継続したら金額はいくらになるのか、そして、ほんとう配当できなくて、業績不振で、ビール値上げが行なわれないんで三%下げたのかどうかということを中心にやってみたわけであります。いま申し上げたような前提に立ってやってみまして、まず三%、一三%から一〇%の配当にした。そうすると第四十七期の問題について、一体三%という配当金額は幾らになるかというので計算してみますと、配当金で一億五千百二十万円、利益準備金で千五百十二万円、合わせて一億六千六百三十二万円、これだけありますといままでどおりの配当ができるんだという、はっきりした一つ数字上の問題を先に出しまして、そこから、先ほど申し上げました、ビール値上げをするためにことさら故意減配したんではないか、あるいは社内の勢力争い社長を追い出すためにしたんではないか、こういった問題を追及していったわけでございます。  時間がございませんので、その内容について詳しく申し上げていくわけにいきません。またほかの機会にそういった問題をやっていきたい、こう思うのでございますが、私がこの問題に触れたのは、一体財源措置ほんとうに不可能であったかどうかということですね。財源ほんとうに、いま申し上げました一億六千万円の金があったのかなかったのかという問題、そうしてこの一億六千万円が不可能になった背景は、故意決算操作したのか、あるいは不作為による故意が存在したかという問題ですね。この問題を究明しないといかないということで、故意による決算操作かあるいは不作為による故意が存在したんではないかということでやった。そういうところから、有価証券報告書法人税確定申告その他のいろいろの問題を調べていったわけであります。しかし、まあこんな確定申告書有価証券報告書二つだけで、そういう故意があった、粉飾があったということはなかなか言いにくい。はっきり言うと、大資本である銀行関係とかあるいは帳簿、証憑書類、これを徹底的に洗い、あるいはお得意さんとのいろいろな貸し付け金問題から売り掛け金問題から、あるいはたなおろしのしかたから、いろんな問題を詳しく全部の書類を見てやっていかないとなかなか言えない。私がこの席で、故意かあるいは不作為による故意かという問題を簡単に結論づけていくというのはおかしいと思います。おかしいと思いますけれども、少なくとも私の手元にある資料その他によって、きょうはあまり時間がありませんから少し究明しておきたい、こう思うのであります。  きょうは資料を持ってきておいでですか。あまり不意だったので持っておいでにならないなら、私の資料をごらんに入れてもいいのですが……。  それではまず、有価証券報告書によりますところの公表企業利益というのは十一億七千五百三十三万五千円、この中に出てきております。ところが、この法人税確定申告の所得は十七億六千三百十三万六千円、こうなっています。単純に見ますと、まずここで五億八千七百万円ぐらいのインチキ操作があるのではないかと思うわけですが、私はそういう考え方をしなかったわけです。この十七億六千三百十三万円というものと十一億七千五百三十三万円というものの間には、税法上強制的に差し引かれる問題や、あるいはいろいろな損金算入あるいは不算入問題等が出てくるわけでありますから、当然かつ妥当と認められるものと、それからそれ以外のものと分けて究明していくのが正しいのではないか、こういう立場でいったわけでございますが、その前に証券局国税庁にもはっきり確認しておきたい問題があるわけでございます。  企業会計原則といいますか一般原則といわれておるものというのは、大体七項目ある。これは、私たちがいろいろ相談を受けたり、あるいは私ども自身決算書その他をつくる場合でもいつもいわれておることですが、ちょっとこれを確認しておかないと次の質問に入っていけないわけなんで言いますが、まず第一は、財政状態及び経営成績に関し真実報告であること。二、すべての取引につき正規簿記原則に従って正確であること。三、資本剰余金利益剰余金とを混同してはならないこと。四、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業状況に関する判断を誤らせないようにすること。五、その処理原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。六、企業財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。七、株主総会提出のため、あるいは信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼し得る会計記録によって作成されたものであること。  こういうことが、法のたてまえからいっても、また規則からいっても、実際に大資本会社のいろいろなそういうものを作成する場合の原則である。これは一般原則と普通いわれておると思うのですが、この原則に従って有価証券報告書あるいはまた法人税確定申告書というものを会社は出し、またその原則に従って大蔵省は見ておるのかどうかということを伺ってから具体的な問題に入りたい、こう思うわけです。
  28. 白鳥正人

    白鳥説明員 企業会計原則の七原則につきましては、ただいま先生のおっしゃったとおり、真実性原則正規簿記原則資本剰余金との原則明瞭制原則継続制原則保守主義原則及び単一性原則、こういう七つの大原則が基本的にございます。私ども有価証券報告書を審査するにあたりましては、まず第一次的には——公認会計士財務諸表につきまして監査をいたします。この監査報告書を添付するわけでございます。したがいまして、私ども有価証券報告書に対する政策と申しますか、そのたてまえとしましては、第一次的には、まず公認会計士監査適正監査が行なわれ、適正であるという報告が出ているかどうかということを見るわけでございます。公認会計士会社のつくりました財務諸表を、ただいま申し上げましたような企業会計原則にのっとって監査するわけでございまして、その内容に、たとえば真実性原則に反するとか継続性原則に反するとか、そういった企業会計原則に反している会計処理がなされている場合には、それについて限定意見を付するとか、その限定が非常に大きく影響を及ぼす場合には全体について不適正意見をつける、こういうような報告をするわけでございます。これに基づきまして、私ども、もし不適正意見がついている場合にはさらにこれを審査いたしまして、必要があれば有価証券報告書を訂正させるというような是正措置を講じますし、さらに、悪質な場合には告発等によりまして刑事処分に付する、こういうような措置をとっているわけでございます。
  29. 加藤六月

    加藤(六)委員 その四十七期の有価証券報告書には公認会計士二人が判をついて、ぴっしゃりした意見をつけて出しておるようでございますけれども、この出し方、判のつき方は、非常に穏当な意見、いつもと同じような、四十六期、四十五期とも同じような意見を出しておる。それから、一番最初ビールシェア国税庁のほうに承ったのですが、この営業の現況、概況という報告書、これを見ると、国税庁報告した伸び率数字というものとこの営業状況という内容に若干違いがある。そこら辺は小さい各論の問題になってくるので、あまり詳しく追及しませんが、私は、この有価証券報告書とこの確定申告書内容、それからほかの朝日麦酒その他の報告書その他を比較検討してみたら、その中でどうもはっきりしない問題、いま申し上げました一般原則の七原則を悪用しておるんじゃないかというような問題が二、三見られるわけです。それは、三%の減配をやってビール値上げをするために、社長を追い出すために、ことさらにしておると思われる点があります。  時間がだいぶ迫ってきましたので、詳しいことは言いませんが、企業財務課長間税部長それから調査査察部長に特別に、私きょう宿題というか、問題点を提起いたしておきますから、いずれはっきり、これについての問題を出していきたい。  これは国税局のほうで確定申告の場合に益金とみなしたりあるいは損金とみなしたり、あるいは株主総会で言うたやつが、確定申告国税局に出す場合には損金益金になったり、いろいろなことが行なわれる。これは企業でいろいろその間ある問題でございますから、詳しくこの席で論ずる何はないですが、まず退職給与引き当て金問題です。  この退職給与引き当て金問題で、先ほど申し上げました継続性原則とかあるいはそれ以外のいろいろの問題等でやってみると、これはまためちゃくちゃに違うわけです。朝日麦酒内容と違いがある。しかも資本金と同じぐらいな積み立て金益金一般の中でいたしておりますが、特に今期退職金引き当て金繰り入れ額七億二千八百二十二万六千円。税務許容額は一億六千二百五十七万円だ。自己否認額は五億六千五百六十五万四千円だ。もちろん、この退職金というのは会社社員そのものに負う潜在的債務で、私たちは、この退職金引き当て金あるいは価格差変動準備金とか貸し倒れ準備金というようなものを法人税にやるときの経過や、大蔵委員会での審査の問題や論争の問題等も詳しく読んでみました。読んで、そういう精神でやってみたわけでございますが、この会社は、ことしそんな膨大な退職引き当て金をやって、それなら去年一年で何ぼ退職金を払っておるのか、百二十一万円です。去年一年で百二十一万円の退職金を実際に払っておきながら、ことしまた繰り入れ額が七億二千八百二十二万だという、この問題ですね。この問題は、先ほど申し上げました企業の一般会計原則その他からいってみるとたいへん問題がある。もちろん、その間の議論をこの席でいたしますと非常に時間がかかります。私は、退職引き当て金というものは十二分に社内で確保し、留保しておることが、従業員、社員に与える精神的な安定感というものは非常に強いということを知った上で申し上げておるわけです。具体的にこの数字を、両方の数字と過去の数字とをやってみた場合に、はっきりと申しましげまして、故意の操作が行なわれておるという点が一つ出てくると思う。この席で詳しく申し上げませんが、その問題一つ、まず申し上げておきたいと思う。  それからその次は、同じくこの両方の書類を見て感ずることは、売り掛け金の償却という問題でございます。この売り掛金償却という問題が七千万円、はっきり出てきます。この七千万円とい4のは、国税局調査の結果否認されたというのでなくして、経理責任者があとから、どういいますか、総会が済んだあと出して、おたくへの報告書には、確定申告書には出てきておるわけですね。これはあとから結論を出しますが、いままでこの会社はこういう制度をとっていなかった。四十七期目に初めてこういうことをやって、ことさらに益金を隠そうとした節がある。この内容を、おたくのほうでもはっきり調べておいてもらいたいと思う。これは、ビール値上げのためにこういうことをしたのか、社長を追い出すためにこういうことをしたのか、そこら辺ははっきりわかりませんけれども、こういうことが現にあると思います。  そのほか、貸し倒れ引き当て金、こういう問題についても私は若干、内容について疑義を持っております。その疑義は、サッポロビールのような一流の会社が、一流の経営マンをそろえておきながら、株主総会の前とあとにおける操作のしかたという問題、こういう問題について疑義があります。  それから、先ほどちょっと触れました価格変動準備金についても、四億五百万円計上していますね。ところが、限度額は三億九千百二十二万一千円だ。そうすると、これにも過大引き当て額は千三百七十七万円ぐらいになるのではないか、こういう問題が出てくるわけでございますけれども、いま申し上げました、退職引き当て金問題から始まって一、二、三、四の問題について、当局は詳しく調査しておいていただきたいと思います。  私は機会を改めて、この問題が正しい操作であったかなかったかという問題について、詳しく議論していきたいと思うのです。といいますのは、先ほど申し上げましたように、あと一億六千万円あれば三%配当はできるのだ、いままでどおり引き続き一三%の配当継続はできるということにかかわらず、なぜ三%下げたか、これはビール値上げを強行する前提に立ってやったのではないか、あるいは世上伝えられておるいろいろなクーデターが社内において行なわれた、それに一部銀行資本がくっついて、いろいろ黒い霧のもとになるような行動をしたということ、こういった問題を明らかに究明していくためには、いま私が申し上げました四つの問題をはっきりしなくてはならぬわけでございます。  こういう問題は、はっきり当局から、悪かったということはなかなか言えぬだろうと思います。若干の瑕疵があったかなかったかというくらいのところにはなるかもわからぬと思いますけれども、私は、一番最初に申し上げました、年間、国民一人当たりビール五十四本飲んでおる、ましてやサッポロビールシェアは二十何%であって、そういう中で、こういう操作を行なってビール値上げを行ない、あるいは一連のクーデターを行なうというようなこと、国民の食生活の一部分になっておるビール、そのビール会社においてこういう点が行なわれたということに非常な不信と不満の念を持っておるわけでございます。  そこで、間税部長に承っておきますが、一、二、三四の問題は、きょう皆さま方のお手元に十分なる資料はないと思います。しかし、私がいま質問しあるいは資料の一部を披露いたしましたこういった観点から考えて、もちろん、私は、たとえば麒麟麦酒のシェアとその資産内容経営方針という問題と、サッポロ、朝日あるいはサントリーという問題と、はたして同一に論じていいのか悪いのかという疑問を持っております。これは、ある場合には、まじめな企業判断をすればサッポロや朝日は売り食いしておるのじゃないかという気持ちも、大ざっぱに申し上げますと、持つような気はいたします。いま私が申し上げたような、具体的にまだほかにもたくさんありますような問題等から考えて……。  ところが、国税庁ビール値上げに対する決定権はない。まあ自由価格でございますということは言われましたけれども、いろいろな折衝は行なわれておる。こういうことになってきますと、私が簡単にこの席で答弁を引き出すのはどうかと思いますが、指導監督官庁として、こういう状態が行なわれておってビール値上げが行なわれていいと思いますか、してはならないと思いますか。ビール値上げをさしてもやむを得ぬと思いますか。そこら辺の、許可ではないのですけれども指導としてどう持っていくかということをまずはっきり承っておきたいと思います。
  30. 守屋九二夫

    守屋説明員 ただいま先生御指摘のとおり、ビール消費は非常に伸びてまいりまして、酒の中では一番消費量が多い状況でございます。こういう酒類の値上げということになりますと、物価問題といたしましても非常に大きな問題になります。消費生活に与える影響も非常に大きゅうございますので、国税庁としましては、いろいろ企業によって差異はございますが、各企業ともできるだけ自己の努力で合理化を進める、経費を節約する等の努力をすべきではないかということで、従来から一貫して指導してきておりまして、今後ともそういう姿勢でまいりたいと思っております。
  31. 加藤六月

    加藤(六)委員 あなたのところはこういう席では、指導していくということしか言えないと思いますが、私は端的に言いまして、ほかの会社内容も調べ、いま一部申し上げましたサッポロビール内容等からいっても、一年間ぐらいは完全にストップしたい、あるいはあなたの立場なら、ストップさせたいと思いますというぐらいのことは、はっきり言えませんか。
  32. 守屋九二夫

    守屋説明員 ビール値上げは、前の値上げが四十五年の秋ございました。その前が四十三年でございます。その前が四十一年でございます。そういう従来のいきさつからではございませんと思いますが、昨年の秋ぐらいから、最初に申し上げましたように、運賃の問題とか人件費の問題、あるいはからびん対策、それから流通マージンの増大要求というようなものが販売業者からも非常に強く出ておりまして、そういうものを見て何とか値上げをしたいという話が出ておりましたが、国税庁としては今日までこれを、ただいま申しましたような理由で押えてきておるということでございます。
  33. 加藤六月

    加藤(六)委員 経企庁政務次官、いま守屋間税部長はああいう答弁でございます。経企庁では国民待望の物価局が、この七月一日からいよいよ発足するのです。先ほど経企庁は、このビール値上げに対してどういう方法、どういう接触を持っておるかというお話はいただいておるのですが、私は、国民待望の物価局がこの七月一日いよいよ発足するという立場からも、先ほど申し上げました、一年間ぐらいは、いろいろな事情があろうとも、思い切ってビール値上げは抑制するのだ、合理化させ、いろいろな問題で努力させてやっていくのだ。しかも、いま一社だけのサッポロビール内容についても、故意かあるいは不作為による故意か知りません、簡単に粉飾決算とは言い切れないかもしれませんけれども、それをにおわすような内容——一つずつ究明していきますと、有価証券報告書法人税確定申告書の間の開き、その開きの中の法律上あるいは規則上当然差し引かれるもの、その中における不当な引き当てをし過ぎているかいないかということを究明していっただけでも相当の問題があると思う。これらは、努力し、もう少し大っぴらにやっていきますとはっきりしてくるのではないかと思いますが、そういったもろもろの立場を勘案して、経企庁としては関係当局に、ビール値上げをしないということを強く要請していく決意がありますかどうですか。
  34. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 ビールは、いまや国民にとりましても必需品であります。しかも年々消費量は増大して、酒類の中では一番消費高が大きいと思います。そういった意味で、もし値上げをするということになれば、国民生活に与える影響は非常に大きいと思います。そういう意味でも、この物価上昇期、特に年内は、ぜひともひとつ、そういう要求がありましても、私は大蔵省とも相談いたしまして、これを上げない、絶対に抑制する、そういう方向で進んでいきたいと考えております。
  35. 加藤六月

    加藤(六)委員 もう時間が参りましたので、もう一点経企庁政務次官にお伺いしますが、聞くところによりますと、このビールと同じようにまた、新聞値上げがいろいろいわれておるようであります。先般経企庁長官が、ある新聞社に対して、値上げは好ましくないということを発表して、相当の勇気が要ったと思うのですが、その行為に対しては、私は非常に賛意を表しておきます。しかし、また近々、あるいは今明日中に新聞の値上げというものが行なわれんとしておる。これも非常に大きな問題になってくると思うのですが、こういった一連の便乗値上げやあるいはムード値上げ、いろいろな理由をつけておりますけれども値上げ問題、特にビールとこの新聞というものは、国民に与える心理的な影響というものは非常に強いわけです。私、こういうビール中心値上げ反対の論旨を展開した中で、新聞という問題を出すのはおかしいと思いますけれども、新聞の値上げに対する経企庁考え方というものも、この席をかりて、ついでに承っておきたいと思いますが、どうでしょう。
  36. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 すでに御承知と思いますが、けさ読売新聞が社告におきまして、現在九百円のものを千百円まで値上げをするという発表をいたしました。これにつきまして、先ほど、経済企画庁長官の名前で談話を発表いたしまして、そして厳に値上げを抑制していただくように、そういうような趣旨の談話を発表しておるのでございます。さきに、日本経済新聞が、九百五十円を千二百円にアップするという発表をいたしました。そして六月一日から実施されたわけでございますが、その際におきましても、経済企画庁としては物価政策上の立場からも、特にこの物価抑制の環境づくりに一番の指導的な役割りを果たさなければならない新聞社は、ひとつ率先してこの際物価抑制に協力していただくように、こういう趣旨のお願いもしたわけでございます。そして、できるならば便乗値上げをほかの大衆紙もしないように、そういうことをその際もお願いをしたのでございますけれども、遺憾ながら、すでにけさそういう発表がなされました。それで、経済企画庁としても、特に読売新聞社にお願いをするとともに、ほかの各紙が追随をしないように、こういう趣旨の談話を発表しておる次第でありまして、できますならば、この物価が急騰しつつあって、いまや国民経済が非常に重大な危機に直面しているときでございますから、われわれとしてもこれから新聞社ともよく話し合いをしまして、そしてこれを抑制をしていただくようにお願いをする所存でございます。
  37. 加藤六月

    加藤(六)委員 私は、きょうの本旨は、ビール党を代表してビール値上げ絶対反対ということで中心にやり、それにからまる具体的例としてサッポロビール内容を持ち出したわけです。まだまだ、この会社一つを徹底的に堀り下げていってみますと、値上げせずにでもやっていける。それを、値上げするためのクーデターを行なったり、減配を行なったりして、国民の目をごまかしてやらんとする節々があちこちに見えてくる。まことに遺憾であるという立場を強く出し、そしてわれわれの、国民を代表する国民の声によってでもビール値上げはさしてはならないということを申した次第でございます。そして最後に、けさ新聞を見てショックを受けました新聞料金値上げ問題に触れたわけでございますけれども、こういった諸物価高騰のおりから、国民生活を脅かし、国民の生活を危機に追い込んでおるいろいろな物価値上がり問題に対しては、われわれは真剣に前向きに取っ組んで、国民生活を安定させ、国民精神的不安も経済的不安も与えないように当委員会とともにがんばるということを、精神を披瀝させてもらいまして、私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございます。
  38. 山中吾郎

    山中委員長 次に、松浦利尚君。
  39. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、まず最初に、電力料金の値上げについて通産省に質問をさせていただきます。  実は、昭和四十七年度の電力白書が出されておるわけでありますが、この電力白書を予算委員会の通産分科会で質問いたしましたときには、まだ各関係電力会社から料金値上げが出されておらない、出されておらなければ、この電力白書は一部分撤回したらどうかという質問をいたしましたが、通産大臣は、いや撤回する意思はない、こういうことで推移をしてきたわけです。ところが、この四十七年度の電力白書が指摘をしたとおり、四国電力、関西電力、そうしてこれから続々と電力会社値上げを申請してくるわけであります。  昭和四十六年度の電力白書と昭和四十七年度の電力白書の違いを調べ、また聞いてみましたところが、一つだけ違うところがある。この四十七年度の電力白書は実は消費者の電力料金の値上げ一部負担について示唆しておるところが、四十六年と四十七年でたいへん違うところであります。この一部を読んでみますと、この中で通産省は、電力料金の値上げについてこういうふうに触れておるわけであります。「総論」の中で「経理圧迫と経営努力」というところがあります。その中で  「電気事業に課せられた使命の達成のために不可欠の要因であり、経理上の理由で、公害防除、安定供給等のための努力を怠ることは許されないところであって、これらの努力の結果、その費用負担につきある程度利用者に転嫁されるごとも、状況によ てはやむを得ない場合の生ずることが考えられる。」こういうふうに示唆をしておるわけであります。  しかも、この白書を見てまいりますと、実は「総論」の中で「経理の動向」という欄があります。電力白書の8−3図、この中では、生計費に占める一世帯当たりの電気使用料が、いかに年々パーセンテージが減ってきておるかというグラフを出しておるのです。電気料金をある程度値上げをしても、各家庭の電気料金に対する負担のパーセンテージはだんだん下がってきておると、こういうふうにグラフでかいてあります。ところが、これを総理府の統計局で調べてきたんです。そうすると、四十一年度をピークとして、一・九、一・八、四十三年一・七、四十四年一・六と下がってきておることは事実です。ところが、このグラフでいきますと、四十五年も下がっておるわけです。一五に下がってきておる。ところが四十五年は、明らかに四十四年と一緒であります。負担は横ばい、一・六、一・六であります。しかも、四十六年度になると一・八に急上昇しておるわけであります。四十六年度に急上昇しておる部分は、全然この白書は触れておらない。しかも、いかに四十一年をピークとして下がってきておるかということだけしか触れておらない。ところが四十四年から四十五年は、このグラフは、間違っておるわけであります。横ばいをしておるわけです。  こういう電力白書が、今日プライスリーダー的な役割りを果たしておる関西電力あるいは四国電力の値上げを示唆するものになっておるのですよ。その点について、公益事業局長から明確に御答弁いただきたい。
  40. 井上保

    ○井上政府委員 電力白書の「総論」の終わりのほうの文章でございますが、先生御承知のとおり、この章は、非常にいろいろな要因から電力会社の経理が圧迫されておる、したがって一そう努力しろ、そういうことでございます。  それで公益企業育成の中心的な課題といたしましては、電気料金の問題あるいは安全性の確保の問題あるいはサービス水準の維持の問題、こういう問題が公益企業中心的な問題でございまして、通産省が、適正な料金というものを維持していくということを今後命題として考えておることは、御承知のとおりでございます。ここで書いてございますのは、そういう実態的な判断からそういうものが上がってくる、したがって非常に圧迫が強いということを表現するためにこういう表現になっておりまして、さらにそのあとでは、そういうことであるならさらに一そう経営者は電力料金の安定に努力しろということを書いているわけでございます。経営の実態がいろいろな原価要素の高騰によりまして非常につらくなっていくであろう、これは毎期毎期、公益企業育成の一環といたしまして経理の内容をずっと見ておりますと、そういう状況をつまびらかにいたしておるわけでございますけれども、さらに一そうの努力を要求したいということで、こういうようなことに相なったわけでございます。  それから、その次のグラフの問題でございますが、これは先生御指摘のとおりでございますけれども、四十六年がありませんのは、ちょうどこの本が出ましたあとで四十六年の数字が、東京都の家計調査年報の数字が出ております。御承知のとおり、四十六年度につきましては一・七七、四十五年が一・六二であったわけですが、四十五年までは東京都のあれは下がってきておりますけれども、四十六年からは上がっておるということでございまして、家計調査年報の発行の日よりもそれが先に出ておりました関係でデータがなかった、こういうことでございます。
  41. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 四十四年から四十五年のグラフが下がっておるのですが、四十四年から四十五年は横ばいでしょう、一・六、一・六で。一・五に下がっていますか。
  42. 井上保

    ○井上政府委員 四十五年は一・六二でございまして、四十四年は一・六三でございます。
  43. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これを見てごらんなさい。あなたが持っておる8−3図を見てください。一・六三が一・六二になったらほとんど横ばいじゃないですか。ところが、このグラフはあたかも一・九から一・八に落ちたときのように落としているじゃないですか。これは当然横ばいにすべきですよ。政府が発行している白書でしょう。なぜそんなことまでずる必要がありますか。白書というものは正確に出されるべきじゃないですか。いかに家計費が下がっておるかということだけあなた方は頭にあるのでしょう。あなた方の感覚では、消費者の家計における電灯料の負担がいかに年々下がってきておるかということだけがグラフに出てくればいいという感覚でしょう、正確ということよりも。だから、いま言った、たったそれだけの差が、あたかもがたっと落ちたようにこのグラフで出ているのですよ。こういう書き方は非常に問題がありますね。  電力白書は、もっとこれからの白書というのは、来年も出されるとすれば、こういった間違った、しかも何か電力料金の値上げを示唆するような白書というものはやめてもらいたいと思うのです。来年度からの白書の考え方について、事業局長からもう一ぺんお聞かせいただきたいと思います。
  44. 井上保

    ○井上政府委員 先生の御指摘の点につきましては、今後十分に注意いたしたいと思います。
  45. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それで、関西電力の「料金改定について」という六月二十日付の申請書、手元にその写しがあります。この改定の理由を見てごらんなさい。書いてあることは、この電力白書に書いてあることと同じじゃありませんか。違っておるところがあれば指摘してください。
  46. 井上保

    ○井上政府委員 電力白書に書いてあります理由は、実態的なものを分析いたしまして、その実態に従って書いてございますので、あるいはその関西電力が書きましたことも、結果として同じような文章になっておるのではないか、こういうふうに考えます。
  47. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 結果的にじゃなくて、あなた方がこういう書き方をすれば電力料金の値上げをしてやるという示唆をするものだから、それに合わせてこれは書いてあるんですよ。  大臣がおらぬのが非常に残念ですけれども、政務次官、あなたの個人の見解でいいですから、ぜひお聞かせいただきたいと思うのです。この電力白書と全く同じ内容を持っているものを出されてきた。しかも、こっちは、こういう状態だから値上げをある程度利用者が負担せざるを得ない、こういっておる。それに便乗して、そのとおりのことを書いてきた。これに対して政府のほうが、電力料金の値上げを待ってくれと言えますか。あなた個人の考え方として、電気料金の値上げ、ちょっと待ったということが言える立場にあると思いますか。それについて次官のお考えをお聞かせいただきたいと思うのです。
  48. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 私は経企庁の政務次官でございますから、通産省の政務次官からお答えするのが本筋かと思いますが、私は、もしそういう、いま御指摘のようなことがあるとすれば、これは非常に遺憾にたえないことであると思います。経企庁といたしましては、物価抑制立場から十分それについては対処してまいりたい、こう考えております。
  49. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この問題について、公益事業局長では答弁ができないと思うのです。物価の立場で政務次官から御答弁がありましたから、この白書と関西電力の申請のあり方について、通産省としてはこういう状態の中で、その上げ幅なりあるいは料金をストップしてくれということがここで明言できるかどうか、その点はひとつ早急に通産大臣と打ち合わせていただいて、ここで確答していただきたいと思うのです。できるかできないか。委員長、その点についてお取り計らいいただきたいと思うのです。どうでしょう。
  50. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 それでは通産大臣と十分打ち合わせいたしまして、御返事を申し上げます。
  51. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 その問題は、通産大臣と打ち合わせた上、御返事があるまで、保留させていただきます。  そこで、申請の内容について若干触れさせていただきたいと思うのですが、実はこの電力白書の「電力需給」という中で「電力需要構造の動向」というところがあります。その動向の中で、電燈需要、産業用電力あるいは業務用電力、こういったものが書かれた最後に、「このように需要の態様は近年大きな変化をみせており、今後こうした需要の態様の変化を、料金その他の供給条件および供給体制に適切に反映」させることが望ましいのだということをここでいっておられるのです。  この白書にいっておるように、現実にいまある原価主義ですね、総合原価主義、こういった電力料金のあり方について、通産省では電力料金の改定について現実にいま検討を加えておられると思うのですが、その点についてお答えいただきたい。
  52. 井上保

    ○井上政府委員 ここに書いてございますのは、電気料金をきめるときの前提になるいろいろな条件がありますが、その中に負荷の態様がいろいろと変わってきておる、あるいはピークの出方であるとか、そういう点がいろいろ変わってきた、そういうものを今後適切に反映させていく必要がある、これは電気料金制度の問題ではなくして、実態がそういうふうに変わってきた場合には、その実態に合わせた原価主義でものごとを考えるべきである、こういうことでありまして、これはここに書くまでもなく、当然、そういう実態になればそういう料金にきまってくる性質のものでございます。したがいまして、原価主義の中でこういうことが行なわれる、こういうことでございます。
  53. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、中身についてちょっと御説明をいただきたいと思うのですが、確かに関西電力とそれから四国電力では、従来の従量の家庭用電力それから通常の電力、これとでは、電力のほうに非常にウエートをかけて値上げをしておるように出されております、この内容を見ますと。そこで、明確にお答えをいただきたいのですが、一キロワットアワー当たり、関西電力で、従量で一体幾ら値上げになるのか、大口電力で幾ら値上げになるのか、四国の値上げ幅が従量で幾らになるのか、大口電力で幾らになるのか、そして値上げ幅をそれだけ上げて何円何十銭になるのか、お答えいただきたいと思うのです。
  54. 井上保

    ○井上政府委員 申請書の内容でございますが、まず関西電力のほうから申しますと、総括原価から見ましたアップ率は、全体で二八・一三%、こういうことでございます。そのうち、電灯の合計では一五・七九%でございます。それから電力では三五・一五%でございます。  四国電力につきましては、全体が二一・五四%でございまして、電灯が一二・五七%、電力が二六・九六%、こういうことでございます。  それから、具体的な料金でございますが、これは非常にこまかくございますので、代表的なところだけをちょっと申し上げますと、従量電灯は、従量電灯の甲でいきますと最低料金が、これは最初の十五キロワットアワーまででございますが二百円でございまして、電力量料金が十二円四十銭、従来は最低料金が、これは十四キロワットアワーまでが最低料金制の中に入りますが、それが百八十五円七十五銭でございます。電力量料金は、従来十一円三十四銭が十二円四十銭に上がった、こういうことでございます。これは電灯料金の中の一般家庭に大体多く充当されます従量電灯の料金でございます。  それから、業務用電力で申しますと……(松浦(利)委員「大口電力でいい」と呼ぶ)大口電力で申し上げますと、一番高いところの大口電力のうちの——これはキロワットでいろいろ違っておるわけでございます。一応三千ボルト以上、一万ボルト未満のところで申しますと、一キロワットが、従来のものは三百九十円でございますが、今回はちょっと数字が、料金制度が変わってまいりますので、直接の比較はいたしにくいわけでございますけれども、三万ボルトまたは三万ボルト供給の場合には、一キロワットアワーで六百十五円が基本料金でございます。今度は基本料金で、従来の大口需要電力の料金ということでございますが、電力量料金といたしましては、今回は二万ボルトないし三万ボルト供給の場合は、一段料金が一キロワットアワーにつき三円八十五銭、二段料金が七円二十銭というようなことでございます。
  55. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これは局長でなくていいですから、もっと平均的に私のほうから質問いたします。  関西電力が一キロワットアワー当たり、従量で現行十円九十六銭三厘ですか、だから切り捨てて十円九十六銭、これを改定して十二円五十一銭にしますと、一円五十五銭の各人負担増ということになりますね。それから大口電力量の場合は三円七十六銭ですか、これが五円十八銭になりますね。そうすると値上げ幅は一円四十二銭。四国の場合は、従量では十二円〇三銭のものが十三円四十七銭になる。一円四十四銭の上げ幅。大口電力量は三円七十七銭が四円八十五銭、上げ幅が一円八銭。  確かにパーセンテージでは、産業用の大口電力料金のパーセンテージが上がっておることは事実です。高いことは事実です。ところが、いままであまりにもこういった電力関係、特に大口電力料金が安かったために、パーセンテージを上げてもなお安いのです。ずっとコストが安い。極端に言うと、電力の赤字をここで消費者が全部かぶってやるということなんです。これが電力関係、電力会社が言う、あるいは電気事業法の十九条ですか、これでいうところの原価主義、そういったものに基づいた料金算出のあり方がそういうことになっておるということで済ましておるわけですね。  ところが、実際いま必要になってきておるのは、大口産業の需要家が必要になってきていると、電力白書がいっておるのです。これからだんだん自家発電というものが、低硫黄その他の関係で、公害関係で、減ってくる。ますます産業電力というものの需要が増加をしてくる。だからその設備に要する火力発電所の投資資金が相当要る、そういうふうに白書は言及をしている。だとすれば、これからの電気料金値上げの分について、企業側が、大口のたくさん使う連中が払うのだという料金体系に改めていくというのが、私は当然の筋だと思う。消費者がかぶるというのは、私は間違いだと思う。そういう点について、電気事業法第十九条のあり方を根本的に変えるという御意思があるのかないのか。その点をひとつ局長からお聞かせいただきたいと思います。
  56. 井上保

    ○井上政府委員 電気事業法第十九条の公平の原則問題でございますが、これにつきまして料金算定をいかようにするかということにつきましては、これはやや以前でございますが、学識経験者あるいは消費者あるいは生産者、そういう方々にお集まりいただきまして、非常に長期間の検討を経まして、審議会、小委員会等の回数が四十数回だったと思いますが、そういうような検討を経まして皆さんの御意見のコンセンサスを得ましたものが、現在の料金算定基準ということでできております。これをさらにその後、必要に応じまして電気事業審議会等で再検討いただきまして、このままの基準で大綱はいいというような御承認を得て、その基準を現在適用いたしておるわけでございます。  その基準の内容は、先ほど先生が御指摘になりましたように、そのときにかかりますコストをそれぞれの料金で回収するというような考え方の原価主義に基づいて、計算されるわけでございます。したがいまして、電灯、電力の間におきましては、輸送経費その他諸般の経費をこまかく技術的に計算いたしますと、理論的にそういう数字になるということでございます。そういう計算をしております。
  57. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 局長に素朴に国民の疑問をお聞かせしたいと思うのです。いま申し上げましたように、かりに、この関西電力、四国電力の値上げ幅がそのまま認められたということになりますと、同じ電気を使っておって、関西の場合は、家庭の人たちは一キロワットアワー十二円五十一銭払うわけですよ。大口産業の電力はわずかに五円十八銭ですよ。四国の場合でも、十三円四十七銭家庭が払わなければいかぬのに、大企業、大口需要者は四円八十五銭で済むのですよ。そういうことで国民納得すると思いますか、あなたの答弁で。少なくともこういう赤字経営というものについて、赤字だからという、それが全部消費者がかぶるのだという料金算定のあり方、確かに原価主義という形でいけばそういうことになるでしょう。しかし、そのこと自体が問題が出てきて、こういう数字になってくるわけだから、その点に対して国民のほうで、問題がある、けしからぬ、どうにかせいという要望が出てきておるのだから、当然電気事業法十九条についても検討を加える。通産省自体が諮問しなければ、審議会のほうでもなかなか明確な結論は出てこないでしょう。通産省のほうがそういう姿勢になって、初めて料金のそういう根拠の改定というものが可能なんですよ。国民の声には耳をかしませんか。国民からこういう要望が出されているにもかかわらず、なおかっ十九条については改めようとあなたは考えませんか。もう一ぺんお聞かせ願いたいと思います。
  58. 井上保

    ○井上政府委員 十九条の問題でございますが、これはやや補足いたしますと、発電所から出てまいります電気の、いま輸送コストと申しましたが、非常に大きく使うところは非常に高いボルトで、その間に入る変電所等もほとんどない、あるいは一カ所というようなことで、輸送コストがほとんどかからない。あるいは送電ロスが少ないとかあるいは距離が短いとか、いろいろな点がございます。それから、電灯の場合には、送電線から第一次変電所、第二次変電所、第三次変電所、その問いろいろと送電線を送りまして、さらに配電線を経て送る、その間ロスがだんだんふえるというような問題がございまして、そういう技術的な計数を一応全部計算いたしますと、いまきまっておりますような料金になっておるわけでございまして、電気事業法の十九条の問題は、われわれは、いまの計算で一応公平の原則に沿っておる、こういうふうに考えておりますので、十九条をいま訂正する意思はございません。
  59. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 だから通産省は企業べったりだというんですよ。企業のほうはもうかっているんでしょう。現実に史上空前の決算ですね。一般の家庭はどうです。消費者は、どんどんどんどん物価値上げで苦しんでいるでしょう。     〔委員長退席、井岡委員長代理着席〕 そういう意味でも、なおかつあなたは理論的な料金算定だ、こういうことで十九条に触れようとしない。  だとするなら、私は物価担当の政務次官にお尋ねをします。こういった料金のあり方について国民は非常に矛盾を感じておる、こういう問題について物価担当の政務次官として、どうかやって改めたい、国民の要望に沿いたいということについて検討する余地はありませんか。
  60. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 現在までの料金のあり方につきましては、いま御指摘のように、一番大事な消費者に非常に辛くて、そして産業用には甘いというのがいままでの実情であったかと思います。ところが、現在のように物価が急上昇いたしまして、消費者が非常に苦しんでいる、そしていまもお話がありましたように産業界は経理は潤っているという、こういう事態を迎えまして、これにつきましては再検討をする時期に来ているのではないか、そういうふうに考えております。経企庁といたしましては、もし通産省からも協議がありました場合には、経企庁独自の立場から、消費者の保護の観点からひとつ十分な意見を申し述べて、料金の算定にひとつ努力をしたい、こう考えております。
  61. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それから、公益事業局長にもう一つお尋ねをしておきますが、いま電気ガス税、これが免税されておる品目が幾らありますか。
  62. 井上保

    ○井上政府委員 非課税品目数は百二十九品目で、減税品目数が九品目、こういうことでございます。
  63. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま報告がありましたように、産業用電力は、安い上に非課税が百三十品目あるんですね。しかも減税が九品目ぐらいある。しかも鉄とか化学とかアルミとか、非常に成長指向型産業が全部免税対象になっておる。一般の家庭の主婦、ということばは悪いですが、家計を預かっておるのはみな主婦ですから、主婦の皆さん方は、高い電気料金を払わされた上に、ちゃんと電気料金を納めたときに、電気ガス消費税というのを納めなければいかぬ。電気ガス税というものが、七%が十月以降六%になることは知っております。こういった消費者の立場から見て、産業に免税されておるものが、消費者は高く払って、しかも税金も納めなければならぬというのは、私は税制において矛盾だと思う。  きょうは自治省その他来ておられませんから、政務次官にお尋ねいたしますけれども、この際、家庭消費に伴う電気ガス税は撤廃したらどうかと思う。大体九百四、五十億だと聞いているのですが、これは撤廃してしまっていいと思うのです。その点について、物価担当の政務次官としてお答えをいただきたいと思います。
  64. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 御指摘のように撤廃をするのが最も望ましいことであるとは考えておりますが、これにつきましては、財政当局とも十分打ち合わせをする必要があるかと思います。つきましては、まず免税点の引き上げ、それからいまの免税品目をもっとふやす、そういうような点に特に努力したいと考えております。でありますならば、いまのお話しの方向で財政当局とも打ち合わせをいたしてみるつもりでございます。
  65. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ちょっと政務次官、免税品目をふやす必要はないと思うのです。もうかっておるのですから、しかも安い電力を使っているのですから、そういうところにわざわざまた免税してやる必要はない。そういうものは整理していくべきだ、逆に家庭消費について免税をしていくべきだ、私はそう思うのです。いま政務次官はちょっと勘違いされたんじゃないかと思いますから、もう一ぺん御答弁をいただきたい。
  66. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 御趣旨の方向に沿って努力をいたします。
  67. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 電気料金の値上げ問題をどうするのかというのは、この電力白書のからみで、通産大臣との打ち合わせの結果が出てこないとここで議論できませんので、その御報告を受けた上でその問題は議論させていただきたいということで、電気料金の値上げそのものについては一応保留をさせていただきたいと思いますから、そのように委員長のほうに御配慮いただきたいと思います。あとで質問させていただきます。  それでは、その問題は保留いたしまして、建設省関係についてお尋ねをいたします。  これは、時間がありませんから簡潔にお答えをいただきたいと思うのですが、実は私の手元に申告が参ったわけであります。その皆さん方は、いま本委員会で傍聴しておられるはずであります。内容は、埼玉県浦和市につくった東カン浦和団地の問題であります。この東カン浦和団地の問題については、再三にわたって地元住民から建設省のほうに要請が出されておるはずであります。もう時間がありませんから、その内容について、文書がどうだなどとということはお聞きいたしません。  そこで、まずひとつお尋ねしたいのですが、ここに建築の確認通知書が来ておるわけです。この設計によりますと、この住宅の土台については割栗石というんですか、それを敷き詰めるということになっておるわけであります。ところが、たまたま事故があったので、傾きかけたので、住民の方が調べてみたところが、そういった土台が、ただ一本のセメントがすぽんと打ち込んであるだけという状態が明るみに出たのです。これは明らかに欠陥住宅だということで、実は住民の皆さん方が憤慨をされておったわけでありますけれども調査をされてみてそういう事実が発見できましたか。
  68. 沢田光英

    ○沢田政府委員 確認申請の図面には、先生おっしゃいましたのは土台というか、基礎の話だと思いますが、基礎のコンクリートが書いてあって、その図面があるということでございますが、建築基準法は、基準法の条項に合っているかどうかということで確認書を出しております。基準法は非常にこまかい点までいっておりませんので、したがいまして、割栗を入れなければいかぬ、あるいはそのほかのフーティングがなければいかぬというようなことは、こまかく規定してございません。通常のいわゆる布基礎のようなものを回し、耐力があればよろしい、かようなかっこうでございますので、こまかいところまでの確認ということではなしに、建築基準法には合っておるということでございます。あとはそれが図面どおりできているかできていないか、こういうふうな問題は契約上の問題だというふうに解しております。  それからついでに申し上げますと、通常そういうふうなものが確認が出されまして、着工いたしますと、完成をいたしましたときに、これを一応基準法のほうでは検査をするというかっこうになっております。ただし、住宅につきましては非常に件数が多いものでございますから、ほとんど住宅に関しては手が回っていないというのが実情でございます。特殊建築物その他のほうに追われておりまして。したがいまして、検査をしてないときには、行かないときには、一週間後には自然に使ってよろしいというかっこうになっております。  ただ、私ども調べました範囲では、こちらのほうの団地の中で検査をしてほしいという要望がありまして、一軒か二軒だったように聞いておりますが、それにつきましては検査をしておる。それが当該の住宅であるかどうかということはわかりませんけれども、そういう状況である。したがいまして、基準法上の手続上は違法な点はありませんが、実質上、契約上、あるいは実際にそのものが社会の常識上妥当なものであったかどうかという点については問題があり、したがいまして入居者からそういう問題が出てきておるというふうに私は解しております。
  69. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 現実に、住民の皆さん方の御意見によると、家が傾いておるというのですね。それが土台に原因をしておるということはもう事実です。同時に、たんぽを造成しておりますために水抜きが非常に不完備だ、そういう状態で傾いてきておる、地盤の沈下が起こってきておるということですね。  ところが、一般の国民というのはそういったことはわからないわけですよ。入ってみて初めてわかる。いま言われたように、建築基準法上は問題ないということになってしまえば、そういう欠陥の団地に入った国民というのは泣かなければいかぬですね。入った人間が悪いということで終わってしまったのでは、私は問題は解決しないと思う。いま沢田局長が言われたように、こういった欠陥団地については基準法上の問題とかなんとかではなくて、やはりこういった工事を行なった建築業者に対してきびしく行政指導をやる、やり直しを命ずる。そういうことが必要だと思うのです。  そこで、私は専門家ではありませんから、ここに一級建築士の田島良平さんという人が皆さん方に、建物を診断した結果を報告しておる。その報告の中を見ますと、こういった基礎補強工事というものはできないと書いてあるのです。そして、補強の方法はいろいろあるけれども、失敗をした場合は非常に危険がある。逆に建物がいたむ。ですから、欠陥建物は建築完了後はやらないほうがむしろいいのだ、こう書いてあるのですね。手抜き工事で入らされて、しかも補強工事もできないということになって、本人が泣き寝入りしなければならぬというようなことについても、私はたいへんな問題だと思うのです。  この際、計画局長、住宅局長から、これは一つの例でありますが、この浦和団地について、それでは現在の行政能力をもってどのように解決するために努力をするのか、その点をひとつそれぞれお聞かせいただきたい。
  70. 沢田光英

    ○沢田政府委員 実は、昭和四十五年に建築基準法の非常に大きな改正をやりました。これは松浦先生御存じだと思いますが、これの大きな柱は、いわゆる違反建築の取り締まりを完全にやっていこう、こういう体制に強化したわけであります。それの背景には、当時から要するに建て売り業者、しかも質の悪い建て売り業者が団地をつくりまして、そこでさっと売ってさっと逃げていく。それが建蔽率その他施工についても非常に違反がある。そういうものをどうするのだ、そういうことから始まったわけでございます。  したがいまして、私どもは、改正後はそういうものを重点にやってきております。ただ、行政能力からいって多少は抜けてくるものもございますけれども、制度といたしますと、パトロールをつくりましてそういう団地を回って歩き、違反建築があれば立て札を立てる。お入りになってしまえばこれはなかなかたいへんな問題でございますから、そういう立て札を立てて、お買いにならないようにする。立て札を立てられたほうはそこで工事中止をせざるを得ない。そういうふうなかっこうでございまして、基準法上はさような手でございますが、さらにそれを今度は私どものほうは、これは計画局の担当でございますが、いわゆる宅地建物取引業法その他のほうに通知をいたしまして、これは不誠実な業者だ、したがって処分をしろ、こういうふうな通知を地方庁でもし、本省のほうでもする、かようなかっこうになっております。この例はおそらくそういうところにかかる話かとも思いますけれども、そういう手から抜け出ていた話ではないかというふうに思います。  私どもも、今後におきましてもそういうものはどんどん取り締まりを拡大していきます。基準法のほうでも拡大をしてまいります。ただし、業法のほうは計画局長からお答えいたしますが、そういう面で、業者がそれをどういうふうに契約を履行して、いい住宅を供給するかという面での監督ということになりますので、私どものほうはそのバトンタッチを十分うまく、本省でも地方でもやっていきたいと思います。
  71. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 宅地建物の取引につきまして、消費保護立場、公正な取引を確保するという意味から、宅建業法でいろいろな規定を設けております。消費者は元来そういう知識がない者が多いわけでございますから、たとえば契約内容適正化するためにも、必要な限度におきまして法律で規定して、こういうものは記載しなさい、こういう契約内容はこういうものを限度にしなさいということをいろいろ書いてあることは、御承知のとおりであります。それから建築基準法におきましても、いま住宅局長から話がございましたように、最低の基準というものを定めてそれを確認をする、また検査をするということになっておるわけでございまして、そういう意味におきまして、法令上のいろいろな点についてまずどうかという問題が起こってくるわけでございますけれども、そういうことの前に、実は業者と消費者、購入者との間でまず起こるのが紛争です。いわゆる売買についての、取引についての紛争です。そういう紛争の相談というものを、大臣免許業者につきましては建設省、府県免許業者につきましては各府県、相当数実は受け付けておるわけでございます。  先生御指摘のこの問題につきましても、消費者連盟のほうを通じまして話がございましたのが五月七日でございます。詳しくは申し上げませんが、御指摘の基礎工事部分の安全性につきましても、第三者の判定を求めることがいいのではないかということで、当事者を含めまして現地調査をいたしましたわけでございますが、その際も、その申し立てられました方の、消費者の推薦する建築事務所に調査を実は依頼して、関係者みんな立ち合いのもとに検査をしたわけでございまして、その結果につきましては、これも詳しく申し上げませんが、たとえばそういう基礎工事の部分につきましても、フーティングの欠損に対して現在のところまだ悪影響は見られませんというような、いろいろな報告書があるわけでございまして、そういう報告書をその御本人だとかまた消費者連盟のほうにも、私どもも直ちに連絡し、説明いたしておるわけでございますが、今後もそういう点につきまして、私どもも十分に相談に応ずるつもりでおります。  本来そういう、さっき申し上げました法令上のいろいろな点でないものにつきまして、いわゆる民事の面につきましていろいろ紛争が多うございますが、そういう面につきましても、積極的に私どもそういう御相談に乗り、消費者の保護という点について十分つとめてまいりたいと思います。そういうような紛争処理の結果、業者の責任に帰すべき行為がございました場合におきましては、これは先生のおっしゃるように、業者の責任をもってこれを処理するよう、今後も強力に指導してまいるつもりでございます。
  72. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま計画局長が言われたことは私の手元にもその結果についての写しが来ております。しかし、これは、「将来の考察をするには種々の調査資料(土質調査、微動調査等)により予測することになると思われる。」ということで、決定的なものじゃないですね。これからこういった調査をしてみなければわからぬということを言っておられる。ところが、このことを業者はたてにとって、いや、建設省のほうが了解したんだから、これはもう消費者が何と言おうとこれでいいのだ、おれのほうでやったことは間違いないんだと、逆に開き直っている。トラブルを解決するどころか、逆に業者のほうが強くなっておる、建設省の皆さんの調査で。いい部分だけを取り上げて、こういう業者の人たち消費者に対して押しつけてきている。現に、小笠原さんという人以外にまた一軒、地盤沈下して傾いたところが出てきている。  だから、私は、さっきから住宅局長を含めておっしゃっているのは、法の整備とか、これからのことはよくわかる。しかし、現にこの団地の住民の人たちがこれほど困っておる。これを解決するために、行政的に何らかの方法で救済をするという考えはないのか。業者に対してもっときびしく、これは欠陥だから直ちに修復せよ、売ったら売りっぱなしでいいんだという考えではなしに、そういった面のアフターケアについて、もっときびしく行政指導するという気持ちはないのか。  それからもう一つは、私の手元に写真が来ておるわけでありますが、これは団地の屎尿処理場の浄化槽です。ところが、この浄化槽が現実にもうはや亀裂が生じておる、そして地盤沈下が起こっておる。浄化能力が不足をして、悪臭がみぞに流れておる。しかも業者のほうは一方的に、この管理は自治会でやれということで、自治会のほうに強引に移管をしてしまっておる。修理をするにしても何にしても、住民の人たちはお金がないわけです。もう契約を済ましてしまって、住民の自治会に屎尿処理の管理は移管をしてしまったから、おれのほうに関係はない、こういうことでは、私はやはり問題は解決しないと思う。かりに移管をしても、欠陥の浄化槽を移管したのなら、それは当然業者が責任を持って解決に当たるべきだというふうに私は思うのです。  その二つ問題について、ひとつ局長のほうからお答えいただきたいと思います。
  73. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほど、時間の関係であまり詳しくは申し上げなかったのですけれども、本件につきまして検査をいたした場合におきましては、両当事者ももちろん、その現場で調査に立ち会ったわけでございます。それからまた、その結果を通知をいたしました際におきまして、その代表の方は、ほかの建築事務所にも依頼して再調査をしてまた持ってきますというような話であったようでございます。したがいまして、そういうようないろいろな点につきまして、私ども十分にその内容を見まして、今後も強力に指導してまいりたい次第でございます。  一般論といたしまして、欠陥住宅なり欠陥宅地というものがあります場合、さっき一番最初に申し上げましたように、その中身が著しく不当なものであるという場合におきましては、これは宅建業法による行政処分の道もあるわけでございます。ところが、実際には民事的な紛争相談が非常に多うございます。そういうことで、その内容によるわけでございますが、今後とも強力に指導してまいりたいというふうに考えております。  第二点につきましては、私どもも、第三者調査ということではございませんが、いろいろ調査をしてみますと、浄化槽にひびが入っておるというようなことはまだないということを聞いておる次第でございますけれども、これは三月二十八日に自治会に移管をしておられるようでございます。なおいろいろ調査をいたしまして、さっき申し上げたような考えのもとに指導してまいりたいと考えます。
  74. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 では計画局長に、私の手元に来ている写真をお見せします。ここにひびが入っておりますね。ひびが入っておるし、地盤沈下を起こして浮き上がっておる、こういう状態です。  それで、この東カン浦和団地の問題につきましては、埼玉県で工事をやっておるうちでも大手の建設業者らしいのです。だとすると、こういう業者に対して——現にいま、二百四十人近くの方があそこの団地に住んでおられる。欠陥の団地を摘出して、この団地についてはこうだからこうしてもらいたいという要望書を、建設省のほうに出させたいと思うのです。その問題について建設省のほうで、具体的に業者なら業者を呼んで、そういう欠陥部分について修復させる行政指導をされる。こういう欠陥団地をそういうことをしない場合には、営業停止にしてもかまわぬと思うのです、消費者が泣くわけですから。営業停止するくらいの立場で行政指導しないと、できてしまって、売り渡しが済んで入ってしまったら、あとは知らぬ顔の半兵衛という業者が多いわけです。さっきから言っておるように、それを売り手と買い手で民事訴訟で争いなさいというのでは、金のない消費者は泣き寝入りするだけでありますから、そういう面について計画局長なり住宅局長から、もう一ぺん、こういったものについては、ほんとう消費者の立場に立って、建設省としてきびしくやはり行政指導していく、そういう姿勢をもって臨んでもらいたい。これは一つの例であります。そういうことをやれば、業者だってだんだんそういうことをやらなくなってくるのですよ、きびしい態度に出れば。こういうことをおろそかにしておる限りは、またぞろ、こういう欠陥団地をつくる業者が出てくるわけであります。その点、もう一ぺん住宅局長と高橋局長から御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
  75. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 この点についても、先ほど申し上げましたように、実態調査その他の結果業者の責めに帰すべき工事につきましては、業者の責任でこれを直させるという方針で臨みたいと思います。申し上げましたように、一般論といたしましては、私ども、非常に不当な工事、不正な工事につきましては行政処分をもって臨んだ業者もあるわけでございます。
  76. 沢田光英

    ○沢田政府委員 私どものほうは、建築行政も受け持っておりますけれども、住宅行政も受け持っております。欠陥住宅のようなものが世の中に供給されるということは最もいけないことだと思います。したがいまして、その行政処分のルートは計画局で行なうにしても、私どもはそういうこことが厳にないように進めてまいりたいと思いますし、さらに、住宅行政の末端のところで、そういうものを需要者サイドでよく見て連絡する、こういうふうなことで、需要者サイドに立った行政をしていきたいと思います。
  77. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私の保留した質問を除いて、終わります。
  78. 井岡大治

    ○井岡委員長代理 小林政子君。
  79. 小林政子

    小林(政)委員 私は、まず最初ビール値上げ問題についてお伺いをいたしたいと思います。  ビール値上げにつきましては、すでに新聞などでも、麒麟麦酒、朝日あるいはサッポロなどの各企業社長が、最需要期を過ぎたころに大体四十五年と同程度値上げをしたい、というようなことが報道をされているわけでございますけれども、まず最初に、麒麟麦酒の年間税引き後の利益は、値上げを実施した四十五年当時約七十四億円でございました。四十七年の二月からことしの一月決算における年間の税引き後の利益は百十一億三千四百万円。値上げを実施した四十五年当初に比較いたしますと三十六億九千五百万円、約四九・七%、これは五〇%という増加率でございますから、ぼう大な利益になるわけでございます。  一体、このように利益をあげている企業、もうかっている企業に対して、先ほど来いろいろお話がございましたけれども国税庁値上げという問題についてどう見ているのか。先ほど来一年くらい云々というお話もございましたけれども、利益の増加が額の上でも率の上でも五〇%近いというような、こういうもうけをあげている企業に対して、値上げ云々というような動きが出ているときに、国税庁の厳たる態度が必要であろうと思いますけれども、具体的にはどのようにこの問題をとらえていらっしゃるのか。そしてまた、物価問題を直接担当されております企画庁の国民生活局長についても、この問題についてお答えをいただきたいと思います。     〔井岡委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 守屋九二夫

    守屋説明員 ただいま先生からお話ありましたように、麒麟麦酒は四十五年の値上げを含む一年間の利益に対しまして五割近い、税引き後の利益があがっているわけでございますが、この主たる原因は、何と申しましてもこの間におけるキリンビールの販売量の伸びが非常に大きかったということだと思います。そういうことに関連いたしまして、麒麟麦酒自体の合理化ということも他社より急速に進んできているということも考えられるわけでございまして、国税庁としましては、ビールは全体で四社しかございませんが、その中で、先生御指摘のように麒麟麦酒が群を抜いて成績はよろしいわけでございまして、麒麟麦酒自体、他社もそうでございますが、値上げということに対しては従来からも、慎重にこれを行なうようにという申し入れをしておりますし、今後もそういう姿勢で続けてまいりたい、そう考えております。
  81. 斎藤誠三

    ○斎藤説明員 ビール値上げ問題につきましては、先ほど政務次官からお答え申し上げましたとおり、国民生活への影響が非常に大きいものでございますので、従来も、四十五年の秋にも物価安定政策会議の特別部会等におきまして、ビール値上げに関する強硬な、いろいろな審議、意見等も表明しております。そういった経過もございますし、今後ビール値上げの動きが出てまいりますれば、大蔵省とも十分協力いたしまして、厳重に監視なり是正するような努力をいたしたいと存じます。
  82. 小林政子

    小林(政)委員 四十年の値上げ当時から、ビール伸び率というものは比較的大きな伸び率を示して、いわゆる販売数量の上で大きな伸び率を示してきたわけですけれども、しかし、その間、今日まですでに四回からの値上げが行なわれるというようなことになりますと、これはほんとうに厳たる姿勢で、このビール問題については取り扱いをしていく必要があるのではないか。過去の実績等から考えますと、ビールの需要あるいは販売量が相当伸びていたその当時ですらいろいろ理由をつけて、そして一番近いときでは四十五年に値上げをされておる、あるいは四十三年に値上げをしているという形で、この問題については、私はやはり厳たる態度で臨んでいくことが必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。  そこで、キリンビール問題で少しお伺いしたいわけですけれども、キリンビールの販売数量、いわゆる蔵出し数量といいますか、これは四十五年、四十六年、四十七年と、どのような推移をたどってきているのか、この点、数字だけお知らせをいただきたいと思います。
  83. 守屋九二夫

    守屋説明員 キリンビール課税移出数量、蔵出し数量でございますが、四十五年は百六十四万六千キロリットル、四十四年に対しまして一三・二%の伸びでございます。四十六年は百七十九万七千キロリットルでございます。前年に対して九・二%の伸びでございます。四十七年は二百五万四千キロリットル、前年に対比しまして一四・三%の伸び、こういうことになっております。
  84. 小林政子

    小林(政)委員 四十五年の値上げ当時と比べても、四十七年の数字をいまお聞きいたしましても、販売数量も非常に大きく伸びているわけです。こういう中で、先ほどお話を伺いますとキリンが六〇%のシェアを占めているということでございますけれども、他の産業を例にとっても、一つ企業が市場の六割を占めるというような、こういうシェアを占めている企業というものがあるでしょうか。この点についてはどなたにお伺いをしたらよろしいのか、お答えをいただきたいと思います。
  85. 三代川敏三郎

    ○三代川政府委員 お答え申し上げます。  六〇%からのシェアを占めている業界はあまり他に見受けられないと思いますが、ピアノあたりになりますと、日本楽器がかなり大きなシェアを占めているかと思います。家庭用の調味料でございますが、これもかなり大きなシェアを占めているように思います。ちょっといま思い当たりますのはそういうところでございます。
  86. 小林政子

    小林(政)委員 一社で市場の六〇%を占めるというような企業というのは、私もおそらく、幾つかあるか知りませんけれども、ほとんどないのではないだろうか、このように大きい比率ということが言えるのではないかというふうに思います。  そこで、公取委員長にお伺いをいたしたいと思いますけれどもビールは、自由価格といっても、四社で市場を独占をしているわけでございますし、また過去四回の値上げ状況等を見ましても、大体同時期に一斉に、この蔵出し価格について同額の値上げが実施されているというのが現状でございます。したがって、実質的にはこれはもう管理価格となっておりますし、私は、ビール業界の市場独占というものに対して、あるいはその管理価格というものについて、その値上げ問題あるいは今後のあり方というようなことについては、公取でもっていろいろと調査をされたことがあるというふうに伺っておりますし、これらの立場に立って見解を委員長からお伺いをいたしたいと思います。
  87. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 管理価格は、私のほうでは比較的厳格に解釈しておりますが、確かにいまおっしゃられたビールは管理価格に属するものと思います。  ただ、キリンが六〇%を占めるに至りました過程は、いわばその企業努力といいますか、同じようなビールを売るにあたって、その販売の方法なり宣伝の方法なり、そういうもうに多少差があったと思われるのですけれども、とにかく、最初はそんなに格差がなかったのです。ほとんど同じようなシェアでスタートしたはずでございます。あとから新規参入いたしましたサントリーを除きますれば、他の三社はそんな大きな格差がなかった。それが今日これだけ大きな格差がつけられた。そのことが実は私、非常にやっかいだと思うのです。  キリンの場合でいえば、いまいろいろ数字もあげられましたけれども、非常にシェアも高いことからわかるように、売り上げもふえてきておる確実にふえている。それがコストの上昇を押えている。ですから、売り上げがふえた分に応じて利益も増大したというふうに見られるわけでございますが、他の、サントリーを除きまして二社は、シェアがダウンしておるわけです。その分だけ、いわば自分たちシェアとしては相当に下がってきておる。下がってきておりますとどうなるかといいますと、いまのようないろいろな人件費や物件費の上昇に対応して、本来ならば、売り上げが順調に伸びればそれはあまり値上がりによらなくても吸収できるのですけれども、コストがむしろ上がるという結果になる。キリンの場合にはコストはあんまり上がらないと私思います。上がらないといいますか、多少上がるのでしょうけれども、しかし、これは売り上げの大きな伸びによってカバーされる。他の二社の場合はそれが裏目に出てくる。こういうことがございますから、ビールの場合には、私はたいへんむずかしい問題である。  というのは、いまキリンのお話だけですが、これは国税庁のほうからむしろ述べてもらったほうがいいかと思いますが、おそらくサッポロやアサヒの場合には、ビールだけを見て計算をすれば、決算配当も十分できないようなことになりかねない状態じゃないかと私は思います。そうしますと、キリンに焦点を当てて考えると、この値上げは押えるべきだ、こうなります。しかし他の二社は、これを押えておけば、いずれは——いろいろいままでも決算で、これは私どもが客観的に調べたことでありますから正確を欠いておる点があるかもしれませんが、必ずしも順調に業績はいっていない。したがって、資産処分などをやりながら決算をしなければならぬという時期がかなり続いているのではないか。そういうことでありますと、こういう二社がさらに地盤沈下をしていくということは、独禁法を守る私ども立場からいうと好ましいことじゃない。むしろそちらに何らかのてこ入れをしたいぐらいなんですけれども、しかし、なかなかそれは、これまた自由競争という点から申しますとおかしなことになりまして、優良企業のほうは押える、劣弱なほうはいろいろ措置するという考え方についてどうしたものであろうか、たいへんむずかしい問題だというふうに思います。  いままでもいろいろ検討されてきましたし、私どもも、この管理価格という問題についてむずかしいのは、企業間格差が著しく拡大した場合にどう対応するかということは、よほど慎重に考えていかなければならない。いろいろな方法が考えられますが、ただ単に値上げそのものを押えるということだけではなかなか解決がつかない問題じゃないか。しかし、望むらくは、地盤沈下をしているほうも、それだけの企業努力をいたしまして失地回復をして、コストがやたらに上がってこないように努力してもらいたい。できるだけ努力していただいて、そうして値上げするにいたしましても、できるだけ値上げの幅を控え目にするというふうにしていただかなければならない。優良企業のほうは、これは実は楽なんでございますからそちらはいいのですけれども、そうでないほうが十分な企業努力をして、そうして競争が適正に行なわれるようになることが望ましい。まあ私どもとしては、これは望ましいということであって、そうしろといいましても、直接監督しておる国税庁等によほどしりをたたいてもらわなければ、私どもとしてはいま、そういう企業間格差の拡大に対してはちょっと打つ手がないのが実態でございます。
  88. 小林政子

    小林(政)委員 ただいまの答弁で企業格差の問題、非常にいろいろと矛盾があるという点についてはむずかしい問題だということでございますけれども、こういう御答弁というのは、四十五年の値上げがあったときにも、この矛盾については大体いまと同じようなお話を、速記録などによっても伺っておるわけですけれども、この問題について、それじゃ一体今回、これは仮定の問題ですけれども値上げが行なわれるという事態が起こったときに、いまのビール四社の場合の中で、一つだけが飛び離れて、非常にシェアも高いし、あるいはまた利益もあげているというような状態があるわけですけれども、こういう矛盾はますます拡大していくということは、これはやはり何ら政府として打つべき手がないということで受け取ってよろしいのでしょうか。
  89. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 確かに仰せのとおり、前から管理価格の問題、特にこのビールのような企業間格差の大きい部門をどうするかということは、研究されていながら、それに対する打つ手を可能にする法的な措置も何もない、これはありていに申し上げればそうなるわけでございます。  数年来、この間新聞にも一部は出ておりましたが、個人的な意味での私的諮問機関ではありますが、脇村先生が会長をしておられる独占禁止懇話会におきまして、こういう問題を最終的に解決するきめ手となるのは旧第八条の復活を考える以外に有効な手はないのではないか、こういうふうなことで皆さんの御意見が一致したように私どもは見ておりまして、そういう点を頭に置いて——そういう廃止された第八条を復活するということは簡単にはまいらないことであるということは十分承知しております。各方面のコンセンサスが得られない限り、そう簡単に実現するものじゃない。しかしながら、せっかくそういう懇話会——独禁懇と言っておりますが、そこでのこういう一つの方向を出していただければ、それに向かって、私どもも真剣にこの問題と取り組んで十分検討し、また各方面の合意を得るように努力しなければならぬであろう、そうは考えております。しかし、いまさしあたり、いまの法規の上で、独占度の高い、これは合併によらないで自然に成長した結果、競争の結果、優良企業であるというふうなことからでしょう、とにかく大きなシェアを占めるに至った、そういうものをいま直ちにどうこうするということはできないし、値段の点については、ビールについては国税庁の力がかなりあるわけですから、そういう点でできるだけ上げ幅その他について、時期等についても、できるだけ消費者の迷惑にならぬように努力していただきたい、こうお願いするほかないわけであります。
  90. 小林政子

    小林(政)委員 何か上げ幅のお話が出ておりまして、私はビール値上げをすべきではないのではないか、こういう立場で質問をいたしておるわけでございます。  国税庁にお伺いをいたしますけれども国税庁が行政指導をしている中で、いわゆる具体的にビールの原価というものは幾らであるのか、あるいはまたその中に含まれる労賃は幾らか、あるいはまた適正マージンとはどのくらいだというふうにお考えになっているのか、あるいは原材料などは幾らくらいなのか、こういった問題調査をされたことはございますか。
  91. 守屋九二夫

    守屋説明員 ただいま御指摘の原価構成等の問題につきましては、ビール価格自体が自由価格になります前、統制、マル公時代には国税庁調査しておりましたが、自由価格になりましてからは具体的な調査というものはやっておりませんので、最近のそういう状況というものは調査してみないとわからないということでございます。
  92. 小林政子

    小林(政)委員 現在ビールの一本当たりの小売価格は百四十円でございますけれども、この小売価格の中で現在税金は幾らですか。そしてまた、メーカーの利益というのはどのくらいになっていますか。あるいはそのびん代だとか、輸送賃といいますか、あるいはその他の人件費、原材料というものは、この百四十円の中で具体的にどうなっているのか、この点をお伺いしたいと思います。
  93. 守屋九二夫

    守屋説明員 ビール大びんの一本当たりの販売価格の構成につきましては、ただいま先生お話しのように小売価格は百四十円でございますが、小売業者の手取りが十八円二十銭でございます。これは一三%になります。それから税金が一本当たり六十七円九銭でございます。これが四七・九%。残りがメーカーの税抜きの価格ということになる。これが五十四円七十一銭でございます。このうちで製造者、メーカーの手取りと、それから卸売業者に対しまして手数料なり運賃の補助をいたしますが、それが分かれるわけでございますが、大体製造者の手取りが四十六円二十一銭、卸売業者のほうの手取りが八円五十銭、そういうことに相なろうかと思います。
  94. 小林政子

    小林(政)委員 私は、やはり行政官庁である国税庁が、具体的に公定価格のときには調べていたけれども、現在は自由価格であるから実際には調べていない、こういうことをおっしゃっているわけですけれども、いまビール値上げが具体的にはまだなっていないにしても、新聞などでとかくいろいろといわれている中で、その行政指導をされている大蔵省が、この問題についてほんとうに事実調査というものもしていない、よく実態をつかんでいないというようなことであれば、現在この価格というものが妥当なのかどうなのか、こういったような点についても、実際には何を基準にして判断されるのか、こういう点も私はさだかではないんじゃないか。やはりしっかりとした独自のデータを持たれて判断をしていくということは、当然なんじゃないだろうか。立ち入り調査も行なっているというお話が先ほどございましたけれども、三年に一回、それは行政指導の面で立ち入り等も行なっているということですけれども、私はそういう立場で、やはり国税庁がきちっとした調査に基づいて、一体原価というものはいまどうなっているのか、あるいは適正マージンというものはどうあるべきなのか、あるいはまた、その中に占める原材料の比率というものはどうなければならないかとか、あるいはいままでの経過の中からどうあるべきかという点を、やはりきちんとした独自の判断基準を持たれる必要があるのじゃないだろうか、こう思いますけれども、この点についていかがですか。
  95. 守屋九二夫

    守屋説明員 先生お説のとおり、こういう非常に物価問題等につきまして監督官庁としての責任が重大な時期になってもまいりましたので、国税庁としてもそういう考え方を取り入れて、前向きにこれから検討してまいりたいと思います。
  96. 小林政子

    小林(政)委員 現在の小売りのマージン、いま十八円二十銭とおっしゃいましたけれども、これは実際に小売りの実態から見ても、あるいは現状から見て適正なマージンだというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  97. 守屋九二夫

    守屋説明員 ほかの酒類に比べますと若干金額的には少ないような気もいたしますが、ビールは酒の中では一番量も出ておりますし、回転率も非常に速いということで、それから小売り屋さんは、ビールだけ売っているのじゃなくて、ほかの酒も売っているというようなことで、その辺はっきりした、小売業者の手取りが多いか少ないかという判断はしかねるわけでございますが、ほかの酒等に比較した場合には回転率も速いというようなことで、若干マージンとしては割合が低うございますが、ほぼ適正状態になっているのではないかというふうに考えております。
  98. 小林政子

    小林(政)委員 製造業、メーカーの場合は先ほども申し述べたとおり、決算などにおいても配当もふえておりますし、あるいはまた相当利益もあげているわけですね。おそらくキリンの場合は配当は一五%、そのほかのところも一〇%というような状況で、キリンに比べればサッポロにしろ、その他のビール会社にしろ、シェアその他においても格段の差がありますけれども、しかし一〇%の配当を行なうというようなことを考えますときに、これは値上げをするというような理由はないのではないだろうか。むしろ、いま言われていました小売りマージンなどが非常に低い、またメーカー側もむしろ、マージンその他を上げるために値上げをするのだ、こういうようなことを、実は新聞などで見ると、値上げ理由にされているようです。私自身も、確かに十八円二十銭という、これはやはり現在低過ぎると思うのです。だからといって、それじゃそれを引き上げるために小売価格を引き上げていくということになれば、これは大きな問題だというふうに私は考えます。蔵出し価格が御承知のとおり百十五円八十銭、これが即卸の仕入れ価格ということになっておりますし、また小売りの仕入れ価格が百二十円八十銭ということは、具体的には非常に卸、小売りのマージンというものが少ないわけですね。したがっていまこの段階で、自由物資であり、自由価格なんだということで、流通のこの段階で、しかもいま言ったように蔵出し価格後のこの範囲内で価格の競争をさせるといっても、これはもうとてもできるものではないと私は思うのです。  問題は、それならばどこでもって値上げをさせずに、あるいは流通段階の問題も解決をしていくのかという点について、大蔵省、何かお考えになったことがございますか。
  99. 守屋九二夫

    守屋説明員 昨年秋から出ておりますこのビール値上げの原因といたしましては、一つは、メーカー側の人件費とか運賃とかそういうもののコストアップを吸収し切れなくなったという問題と、もう一方としては、卸、小売りを通じて、流通マージンがやはり流通段階の人件費等の値上げをカバーできないという、実は二つ理由が出ておるわけでございます。  この前の四十五年の値上げのときの状況を見ましても、あのときは十円値上げになったわけでございますが、やはり同じような理由だったと思います。そのときの配分状況は、小売業者には四円いっております。それから卸のほうに運賃補助等含めまして二円八十五銭、メーカーは、十円値上げしても手取りは三円十五銭であったというような状況がございます。  こういう人件費等の非常にアップしている時期でございますし、われわれとしては、先生いま御指摘のような、零細な業者等が適正な流通マージンが取れないようなことになっては、酒税の確保上からも問題でございますので、その点は十分注意してまいりたい、そういうふうに考えております。
  100. 小林政子

    小林(政)委員 私は、この際この問題を解決していくためには、どうしても蔵出し価格の引き下げを行なっていくことが必要じゃないか、このように考えております。確かに麒麟麦酒に比べて朝日あるいはサッポロなどが比率が低いということはございますけれども、それにしても、先ほど申し上げたとおり、たとえば四十七年の税引きの利益で朝日を見てみました場合に、十六億三千万円の利益をあげておりますし、配当も一〇%、あるいはまたサッポロビールについても、四十七年度、これは上期、下期ということでなくて、 年間の利益ですけれども、これも十六億一千万円の利益をあげておりますし、配当も一〇%の配当が行なわれております。さらに、ビール生産量としては全体的には伸びておりますし、あるいはまた設備投資というようなものを見てみましても、麒麟麦酒の場合には、四十六年から四十七年のこの設備投資の伸び率というものが二〇%、サッポロビールの場合には四・八%、朝日麦酒の場合には二八・九%と、設備投資が非常にどんどん拡大し行なわれているわけです。  こういう点を考えますと、値上げを行なう理由、こういうものは何ら考えられないし、認められないというふうに思います。この点についてはいかがお考えでしょうか。
  101. 守屋九二夫

    守屋説明員 いま三社を比較した御検討の御披露がございましたが、麒麟麦酒は別にいたしまして、朝日麦酒サッポロビールにつきましては、先ほども公取委員長からも若干お触れになりましたように、特に最近の決算を見ますと、ビール以外の、たとえば清涼飲料のような部門の業績に対する寄与が非常に大きくなっているということが、一つ言えるかと思います。あるいはそれ以外に、やはり企業として株主等に対して報いるために配当の一割というようなことをやっているのだと思いますが、そのために、それだけでは間に合わなくて不動産の売却をやっているというような事実も実はあるわけでございまして、そういう決算面に出た利益だけで判断するのもどうかという感じも、実はしているわけでございます。
  102. 小林政子

    小林(政)委員 どうも納得ができないわけです。決算面で相当利益をあげている。そして総体的にビールのいわゆる販売量、生産量というものも伸びている。あるいは設備投資も行なわれている。相当の規模で行なわれているし、あるいはまた配当金も一五%あるいは一〇%行なわれている。こういったような現状の中で、何がその値上げ理由になるのか。私は、むしろ値上げ理由にはならないではないか、値上げ理由はどこにもないではないか。そして企業がいま言っている、いわゆる小売りのマージンといったようなものや人件費を上げなければならないということは、これはやはり値上げのための一つの口実にしていることであって、私はこの問題については、具体的にマージンそのものは引き上げていかなければならないけれども、だからといって、ビールの価格を値上げをしないでもこれは解決のつく問題だ、それには蔵出し価格を引き下げるべきではないだろうか、こういうことをいま質問の中で言ったわけですけれども、その点について非常に何か煮え切らない。はっきりとした、絶対値上げはしないのだ、そしてこの問題についてはこう解決していきたいという、行政官庁として率直なお答えをいただきたいというように思います。
  103. 守屋九二夫

    守屋説明員 蔵出し価格を引き下げて小売り等に対するマージンをふやしたらどうかという御提案でございますが、昨年来メーカー側の話を聞いておりましても、なかなかそこまで、蔵出し価格を引き下げて、いまの百四十円の価格の中で小売りなり卸のほうにマージンを回すということは、これはなかなかむずかしい状況ではないかというふうに、国税庁としては判断しているわけでございます。  ただ、ビール自体の値上げにつきましては、従来から、ビール消費も非常に伸びてきておりますし、国民生活に与える影響も、値上げをしますと大きゅうございますので、その辺は企業努力でできるだけ吸収して値上げをしないようにということを、すでにもう再三にわたって指導してきているところでございまして、今後もそういう態度でやっていきたいというふうに考えております。
  104. 小林政子

    小林(政)委員 何か、値上げはできるだけ避けたいとか、したくない、あるいは上げ幅を少なく云々ということを、もういままでも何回も私ども聞いてまいりましたし、そういうことが単にその場しのぎのような印象なんで、ほんとうに誠意を持ってこれは絶対に抑えていくんだという姿勢、もっと積極的な姿勢で臨んでもらいたい。何かその場さえ、できるだけ値上げはしたくないというようなことで通ってしまえば、それでよいんだというような印象を非常に強く受けたわけです。この問題については、後ほどもう一回、はっきりとした決意をお聞かせ願いたいというふうに思います。  ところで、国税庁酒税の確保ということで、いろいろとそういう面の仕事もしているわけですけれども、私は消費者物価の安定、こういう立場からビール課税額、この問題については四十七年度で三千六百五十二億円、これは他のお酒やウイスキーなどの酒税額全体の実に五一・三%に及ぶ。非常にビールの税額というものは多額のものになっているわけですね。しかもビールの大びん一本、いわゆる百四十円の小売価格の中で六十七円十銭を占めているわけです。これはパーセントに直すと四七・九%、非常に高い比率を占めているというふうにいわなければならないと思います。他の清酒あるいはまたウイスキーなどの酒税と比べても、ビールの税金というものは相当高い比率を占めております。たとえば清酒の一級は、八百九十円のものでその占める税率は三五・三%。ウイスキーも、同じく一級で千円程度のものであれば、これもその価格の中に占める割合は三四%、こうなっておりますけれどもビールの場合は四七・九%、清酒に比べてもウイスキーに比べても非常に高いものになっているわけですね。  先ほど来のお話もありますとおり、いまやビールは広範なん国民の飲みものになってきている。そのビールが、価格の半分が税金である。百四十円の約半分近くが税金である。これは私は、物価値上げとの関係などで、大衆課税といいますか、国民生活に非常に大きな負担になっているんじゃないだろうか。こういう点を考えますと、諸物価急騰の中で、物価安定のためにこの際ビールの税金を下げるというようなことについて、お考えになりませんか。
  105. 守屋九二夫

    守屋説明員 直接税制をどうするかという問題は私の所管ではございませんが、前々から、ビールの税金が非常に高いということは、われわれも十分承知しております。これは一つには、この税ができたころのビール消費というものが、どちらかといいますと、いまのような一般国民が飲むという酒ではなくて、若干奢侈的なものであったということに原因があろうかと思いますが、その後ビールにつきましても若干の減税等も行なわれたようでございますが、ただいま先生が御指摘のように、酒の中でも、ウイスキーなんかに比べても非常に税の負担が高いものであると言えるわけであります。  ただ、ビールの税金を減税するということになりますと、勢い、ほかの間接税なりあるいは直接税のほうに税のはね返りというようなものも、全体の財政需要を考えますときには出てこようかと思いますし、その辺につきましてはこれからの大きな検討課題ではあろうかと思いますが、現在ビール消費がまだ順調に伸びているというようなことで、いままであまり手がつけられないで今日まで来たんではないかと考えておる次第でございます。
  106. 小林政子

    小林(政)委員 他の税金にはね返えるからなどというようなことは、やはりちょっと次元の違う立場で考えるべきじゃないか。少なくともいま百四十円の小売価格の約半分が、それこそ税金ということであわのように消えていってしまっておる。私は、もっとビール消費者に安く飲ませていく、そして物価安定に大きく役立たせていくということは政策的に非常に必要じゃないか、こういうことを申し上げたわけでありまして、この問題についてはぜひ実現をしていただきたい、このように私は、強くこの点を主張いたしたいと思います。  時間がなくなりましたので、次に私は、四国電力と関西電力の値上げ問題についてお伺いをいたしたいと思います。  確かに今回のこの値上げ申請を見てみますと、値上げ幅については四国電力もまた関西電力も、一般家庭向けに対して、大口向けといいますか産業用の電力が約二倍強になっております。何か数字の上では大企業に非常にきびしい値上げというような印象を受けるわけでございますけれども、この中身を検討してみますと、やはりこれはいままでと同じような旧態依然たるもので、大企業奉仕のための値上げ案ということを言わざるを得ないわけでございます。  特に値上げ幅、先ほど来お話も出ていましたけれども、この点を電灯と電力の比較でもって見てみましても、四国電力の場合には、電灯の場合には現行の十一円七十七銭が値上げ後には十二円二十五銭、値上げ幅は一二・五七%。また大口の電力のところだけ抜き出してこれを調べてみますと、現行が三円七十七銭、それが値上げ後は四円八十五銭になる。そして二八・六七%、いわゆる家庭用の二・三倍、こういうことになるわけでございますが、現行料金の家庭用の電灯あるいはまた大口用の電力を比べても、家庭用電灯というものは三・一二倍になるわけですね。これは私、非常に問題だと思います。大口は家庭用の三一・二二%ですから約三分の一、値上げ後で調べてみましても、家庭用は大口の二・七五倍、大口は家庭用の三六%、約三分の一なんです。  これは四国電力の場合でございますけれども、関西電力の場合も、電灯と大口電力とというところを抜いて調べてみますと、電灯の場合には現行が十円六十一銭、値上げ後が十二円二十九銭、値上げ幅は一五・七九%。大口電力の場合には現行で三円七十五銭のものが値上げ後は五円十八銭、値上げ幅は三八・四七%、これは家庭用の二・四倍になるわけでございます。現行料金でもって家庭用は大口の二・八三倍になりますし、大口は家庭用の三五・三%、約三分の一でございます。値上げ後を調べてみましても、家庭用は大口向けの二・三七倍、そして大口向けは家庭用の四二・一%、約四割、こういう数字が出てまいるわけでございます。  私は、このことは、先ほど来松浦先生も指摘をされておりましたけれども、実際にこの電力料金というものが、形の上ではいかにも大企業の電力料金の値上げ幅が大きくなっていて、一般の電灯用というものは低く押えているというようなことが、数字の上では出てまいりますけれども、中身を検討してまいりますと、いま申し上げたようなこういう逆の状況、従来と同じような、大企業中心値上げ案だというふうに言わざるを得ないと思います。  特に、原価主義といっておりますけれども、この大企業向けの低料金は、電力の生産原価、これとの関係では一体どういうことになるのでしょうか。電力の生産原価というものは、一キロワット時大体どのくらいかかって、そしてそれは大企業向けの低料金との関係はどういうことになるのでしょうか。また家庭向けの電灯料金は、いわゆる生産原価よりもどの程度それを上回るのか、この点についてまずお伺いいたしたいと思います。
  107. 井上保

    ○井上政府委員 電気料金の内訳の問題でございまして、今回の値上げ幅が非常に電灯のほうが低く出ているではないか、しかし実際のネットの金額でいえば電灯のほうがやはり高いではないかということでございますが、これは先ほど来御説明いたしましたようにコスト主義でございまして、電気事業法の十九条というのがございまして、これでは原価主義でしかも公平の原則でやれということになっておりまして、それに基づきまして、関係の学識経験者やあるいは生産者あるいは消費者の方々からなります委員会をつくりまして、そこで長い間かけまして検討いたしました結果の算定基準というものがありまして、これは原価主義、公平の原則を受けまして、どういうふうにその原価主義を配分するのが一番公平であるか、一番原価的に正しいかということでその方式をきめたルールがございまして、そのルールに従いまして原価を配分しているわけでございます。  したがいまして、電気の発電コストと申しましても、電気は発電コストだけではなくて、それからさらに変電したり、送電をしたり、あるいは配電をしたりする諸般の経費があります。そういう経費を全部ひっくるめまして電気のコストというふうに考えておりまして、そういうコストを考えます場合に、たとえば非常に発電所から近い大口電力のようなものは、近いと申しますのは大きなボルトで大量に送れるというものは、その間の経費が非常に少ない、送電のロスも非常に少ないということで、料金が低くきまってくるわけでございます。これは故意に低くしておるわけではございませんで、こういうふうに、実際のいろいろむずかしいあれがございますけれども、いろいろなロスであるとかあるいは技術的な問題であるとか不等率とか、そういうものをいろいろな電気的な特性に従いまして理論的な計算をいたしますと、どうしても電力のほうは低くなるということでございます。  それから電灯のほうで申しますと、数次の変電所を通ったりあるいは送電線を何回も通ったり、配電線も入ってくる。あるいは需要家費といっておりますけれども、検針、集金も電灯のほうが電力よりも高くかかるというようないろいろな計算の方法がございまして、われわれのほうは電灯を高くするとか低くするということではございませんで、そういうふうな一つの方式に従いまして理論的な計算をしておるわけでございます。  今回は、電灯のほうがアップ率がわりあいに低くて電力のほうが高くなっておると申しますのは、その経費の上がった場所が発電所の根っこのところで非常に上がる経費が多くなっているわけでございます。たとえば燃料費が非常に上がってまいりますと、燃料費というものの上がりますところの部分は、これはもとのほうで上がるものですから、配電コストとかあるいは数次にわたる変電所のコストとかいうところではなくて、もとで上がるわけでございます。それから、たとえば公害対策費でございますが、公害のコストのごときも、やはりローサルファの燃料を使う、あるいは排煙脱硫装置をつくるとかいうようなことで、発電所のもとのところでかかるものですから、そういうものは、一定の方式に従って計算をいたしますと、アップ率といたしましては、やはり発電所に近い大きなほうへ行きます電力のほうへアップ率が高くなって、電灯のほうは低くなるということでございます。高くしているとか低くしているということではなくて、そういうきめられた計算方式に従いまして計算をいたしますとそういうふうになるというようなことでございまして、これはいまのところ電気事業法の十九条に従いまして、公平、原価主義の原則ということで計算をしておるわけでございます。
  108. 小林政子

    小林(政)委員 私、いよいよ時間がなくなりましたので、ひとつ何点かの資料要求だけさせていただきたいと思います。  一つは、いま私が質問いたしました電力の生産原価といいますか、コストといういまお話でございましたけれども、それは、いわゆる電灯用の料金といわゆる生産原価との関係はどうなっているか、あるいはまた、大企業向けに使われている大口用の電力の額とはそれがどうなっているかという点を具体的に明らかにした資料をいただきたいと思いますし、また、家庭向けと大企業向けのそれぞれの現行での収益、あるいは値上げ後の収益というものはどの程度のどういうものになるのか、この収支の計算の内容といいますか、これもひとつ明らかにしていただきたいというふうに思います。  それから、値上げ理由について四国電力もあるいはまた関西電力もいろいろと述べているわけでございますけれども、この中で、石油価格の急騰というような問題をずっと理由で述べられまして、そして今後良質の燃料による燃焼というものをはかっていかなければならない、いわゆる公害対策というものもやっていかなければならないということもいわれておりますけれども、従来の具体的な燃料消費量に比べて、この費用というものがどの程度割合の上で上がっていくのか、また、具体的には排煙脱硫の装置だとか、あるいは原油そのものの質も低硫黄のものをどのように今後燃料として確保していくのか、そういったものが具体的に今回の値上げの中でどのように計画を立てられているのか、こういう問題についても、公害対策としてもお伺いをいたしておきたいと思います。あるいはまた、値上げ理由の中で、設備投資がたいへんかさむ、したがってその減価償却が見込めないのだということもいわれているようでございますけれども、一体これらの問題等についての、具体的な電力需要量というようなものが今後設備投資との関係でどうなっているのか、こういう点をひとつ資料として出していただいて、質問はその後にまた行ないたいというふうに思います。
  109. 山中吾郎

    山中委員長 次に、石田幸四郎君。
  110. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私は、公益事業局に対します資料要求の問題から入りたいと思いますが、先ほどいただきました要求資料の中で、九電力の関連事業の明細、投資しているもの全部というふうに申し手元にいただきました中を見てみますと、この前私は、たしか四十二年だと思いましたが、電力問題をやりましたけれども、そのときの東京電力の投資内容を見てみますと、若干これと違っておるのですね。たとえばホテルなんかの投資もやっているはずなんでございますけれども、これに落ちております。もう一ぺん明細を検討した上でお願いしたいと思います。  それから、現在九電力をめぐる環境整備その他に関する係争中の問題について、どういう状況があるかということについて資料請求をしたのでございますが、これも、たとえば関西電力が逆に原告となって係争中のもの、こういうようなものはこれには出ておりません。おそらくこんな数ではないと思うのです。わずかに東京電力で六ですか関西電力では四つしか出ておりませんけれども、こんな数ではないと思うのですよ。この点もう一ぺん御検討の上、この係争中の問題並びに水力、火力、原子力に分けて、これらのいろいろな紛争の件数並びに状況説明等も、もう少し明確に出してもらいたいと思うのです。もしこれが、通産省のほうの要求に従って各電力が出したんだとすれば、やはりその間におきます具体的な事実を隠蔽しているのじゃないかというような気もいたしますし、これではならないと思うのです。この点ひとつよろしくお願いいたします。特に、今回値上げ申請をしております関西電力については、詳細にわたってこの資料を御提出願いたいと思います。  それからさらに資料要求でございますが、九電力並びに電源開発を含めての決算書並びに資産内容の明細を示すもの。それから九電力の原価算出方式についてこれを説明すべきもの、特に特定の火力発電所に対するその原価計算、それを説明すべき資料をお願いしたいと思います。それから、同じく九電力の減価償却の明細並びに特定の一カ所、火力発電所の減価償却の明細、これはたしか、それぞれの減価償却をやっているわけでしょう。それから、過去十年間の電力需要の業種別シェアの分類表、これは電力白書にはたしか載っていませんね、これをお願いします。それから、過去十年間の低硫化設備投資の状況並びにその成果。それから、今後十年ないし五年とかいろいろな計画が各社によって違うと思いますが、将来計画に対する、この低硫化設備投資の計画、この問題について資料要求をまずいたしておきます。  最初に、電気ガス税についてお伺いをいたします。  まず最初に、経企庁橋口政務次官にお伺い存するわけでございますが、この電気ガス税につきましてはしばしば問題になっているわけでございます。たしか四十二年ごろだと思いますが、佐藤前総理が、各個人、各家庭に必要欠くべからざる電気に対して税を課せられているけれども、これはまさに悪税という以外にない、こういう発言を委員会でしていらっしゃるわけなんです。おそらく御存じであろうかと思うのでございますけれども、こういった政府の最高責任者が悪税というような表現をしている税、総理大臣がそう言うわけでございますから、当然電気ガス税その後の推移について何らかの影響を与えていなければならないと思うのでございますけれども、佐藤総理が発言をなされてから、おそらく六年間経過しているでしょう。一体どういうような影響を与えてきたのか、この点についてまずお伺いをしてみたいと思います。
  111. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 電気ガス税の撤廃の問題につきましてはただいま御指摘のとおりでございますが、非常に大きな財政上の収益になっておりまして、なかなかいままで、それを全面的にということは実現しなかった次第でございます。ただ、そのかわりに免税点の引き上げ、それから免税率の引き下げ、そういう問題については非常に努力をしてまいりました。ことしは六月一日から、御承知のようにすでに免税点を引き上げることになっております。また免税率も、十月の一日からは引き下げる、そういうことで七%を六%にする、そういうような努力をしておるのでございまして、この電気ガス税は非常に問題の点も多いようでございますので、これからも大蔵省、通産省ともよく相談をいたしまして、できるだけ軽減するような方向に持っていきたい、こう考えております。
  112. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 先ほどの松浦委員の御発言に対しましてもいまのような答弁があったわけでございますが、この問題は、議論をされて、一国の総理が電気ガス税は悪税だというふうにきめつけて、それからもう数年を経過しているわけでございます。いまも、大蔵当局との打ち合わせにおいてやるのだというお話でございますけれども、こういうような悪税についてはもう少し明快な処置をとられるべきじゃないかと私は思うのです。毎年毎年同じような答弁でそのまま進んでいったのでは、永久にこの電気ガス税というものはなくならない、こう私は思います。これは質問自体がかなりむずかしい、その処置について答弁がむずかしいと思いますけれども、この点については、経企庁としてもひとつ態度を明らかにしていく必要があるのじゃないですか。かりに来年度の予算編成について、経企庁としてはこの問題について申し入れをするというような動きが必要じゃないか、こう思うのですけれども、どうですか。
  113. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 この問題につきましては、長官や事務当局とも十分相談をいたしまして、そうしてその方針をきめてまいりたいと思います。
  114. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 自治省の佐々木税務局長にお伺いをいたしますが、いま私の話を聞いていらっしゃったと思うのですが、自治省としてはこの問題をどう考えていらっしゃいますか。ただ免税点の引き上げというような措置では、この電気ガス税の持っている特質、悪い特質がございますけれども、こういったものは解消されない。そうかといって、自治省としてはかわるべき財源がなければだめでございましょうし、これは一体、将来どういう方向で自治省としては考えていらっしゃるのか、お伺いします。
  115. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 電気ガス税は、ただいま御指摘のように、生活必需品に対する課税である、こういう観点から、税金としては非常に悪い税金ではないかというお話があるわけであります。確かに、生活必需品に対する課税であるという観点からながめます場合には、そういう議論も十分考えられるわけでありますけれども、本来、電気ガス税といいますものは、電気やガスの消費を通じまして、その消費者の所得との関連において消費の量が変わってきておる、そうしたいわば支出の面、消費の面から担税力を捕捉しようという趣旨でとられておる税制でございます。そういう意味におきまして、現在の国民生活の中では、やはり電気やガスの消費というものが家計支出の大小、要するに所得の大小に応じた相関関係が見られるというようなことが、いろいろ統計的にも明確になっておるわけでございます。そういう意味におきまして、私どもとしましては、電気ガス税を廃止するということにつきましてはまだ考えておらないという現状にあるわけであります。  そしてまた、特にこの税はいわば普遍性、安定性というような、地方税にとって非常に望ましい性格を備えている税でございますので、現在の市町村財政の現状からいいましても、これを廃止するということは非常に困難であるというふうに考えております。
  116. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私は、そういう財源面からこれを論じているのではございません。一般家庭で消費する電気というのは、文化的な価値は再生産するかもしれませんけれども、商業的価値は再生産しない、そうでしょう。それからまた、各企業消費する電力というのは商品コストに算入をされるので、商品価値を再生産をしていくわけです。いわば金もうけのための消費。いわゆる一般社会生活をやるのと金もうけをやるのとは、これは本質的に意味が違うわけですから、当然生きていくのに不可欠の、空気のような、水のような電気に対して課税をするというのはおかしいという議論から、総理大臣すらも悪税だと言っているわけでありますから、自治省としては、これにかわるべき財源というものを振りかえて大蔵省に当然要求すべきじゃないですか。まあいいでしょう、これに対する議論は、あなたとしてはお答えにくいことでございますから、やめにいたします。  しかし、この電気ガス税というのは、いま私が申し上げておったのですけれども、もう数年前に佐藤総理が悪税だと言っておるのですよ。そういう意味で、むしろ私から見れば、いままでいろいろな、いわゆる輸出振興の対象として、あるいは生産増強政策の対象として、約百三十品目に対して免税しておるわけですが、そういうものに課税をして、そうして一般家庭のそういうような電気税というものはやめるべきだと思うのですよ。通産省、この点どうですか。
  117. 井上保

    ○井上政府委員 通産省といたしましては、毎年、電気ガス税につきましては、全廃ということを政府部内ではいろいろ要望いたしておりますけれども、その結果一%削減あるいは免税点の引き上げということで徐々に実現しておる、こういうようなかっこうでございます。
  118. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、政務次官にさらにお伺いしますが、いわゆる輸出振興のためにこの電気税の免税をするということについてでございますけれども、最近通産省においても、これはどうも輸出が伸びを規制するために税をかけようというようなことをいっておるわけでしょう。あるいは産業増強政策といっても、このまま経済成長率が一〇%をこしていくような状況では、これは資源問題で大きな危険な状態をもたらすであろうというような見通しもされている最中でしょう。そういうような方向であれば、当然この電気税などというものは免税を取り消すべきだ、こう私は思うのですけれども、この点どうですか。
  119. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 いろいろと先生のお尋ねでございますが、これは輸出振興ということだけであった場合にはやっぱり検討すべきだと思いますけれども、輸出商品の中で実は大部分が民生の重要な物資であるということ等も考えなければならぬしいたしますので、一がいに、これは輸出物資だからということで免税を取り消すということ、これは、なかなか私、検討を要する問題ではないかと思うたりいたします。  しかし、電気ガス税に対しますところのいろいろな要望が、過去数年間いわれてまいりました。私もずっと地方行政委員会理事をやっておりまして、実は電気ガス税を守るほう専門にやってまいりました。それはなぜかと申しましたら、やっぱりそれにかわるべき財源がなかった。一方、地方自治体のほうが非常に財政窮迫しておるから、何とかしてこの電気ガス税の財源というものを確保してほしい。そこらに非常に私自身矛盾を感じておりました。  けれども、時代は変わってきておりますしいたしますので、財源問題等いろいろな面からひっくるめて、こういう点につきまして強力に検討していきたい、このように思います。
  120. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一つお伺いしますが、これはやはり輸出振興のためばかりではない、そういう商品生産というものがいわゆる民生のため役立つのだ、こういうふうにおっしゃいますけれども、別にことばじりをとらえて申し上げるわけではないのですが、今日の商品生産というものは民生用であるかいなかということについて、これは裁ち割りはできませんよ。いま要するに、電気ガス税の撤廃については財源がないからということでしょう。むしろ、先ほどから議論しているように、家庭で使う電気というものは、いわゆる今日電気がなければ生活ができませんよ。やはり廉価で水道を提供してもらっているようなものです。これはそういう同じ特質があるわけでございますから、むしろこういうような免税というものはやめて、それだけの税を産業用には考える、むしろそういう方向にこれは転換をすべきだというふうに私は申し上げておるわけでございまして、実際問題として御答弁は無理かもしれませんけれども、そういう方向に進むべきではないか。  これは、いろいろなところからそういう議論が出ておるわけです。ちょっと申し上げますと、これは読売新聞の一つの主張のようでございますけれども、いわゆるエネルギーの多消費というものはいまや美徳ではない、公害や何かの意味を含めて二重三重の意味でもう罪悪ではないか、こういうようなことをいっておるわけです。ですから当然——これは経済成長の伸び率を高めようというようなこともあるでしょうし、あるいは資源問題を将来の私たちの子孫のことまで考えて伸ばしていこうというようなこともあるでしょうけれども、そういった意味におきまして、公害問題をまき散らすような企業に対しては多額の電気料を取るべきだというような意見をいうておるわけです。  そういうようなことから考えてみても、いわゆる税体系というものをもう一ぺんこれは考え直さなければならぬ。総体的に見直さなければならぬでしょうけれども、その最たるものはこの電気ガス税なんですね。そういう方向でぜひとも、いま井上局長がおっしゃったけれども、もっと強力にこれは大蔵省のほうに要求をしていただきたい、こう思うのですけれども、いかがでしょう。
  121. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 考え方につきましては全く私も同感でございまして、やはりこの税金がいわゆる地方自治体との関連において重要視されておりますだけに、だからといって時代がそれをだんだんと許さなくなってくるという時代に入りつつある、私はこのように思います。したがって、消費関係を本位に考えてこれからの検討を進めていくべきだと私は思います。
  122. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この議論ばかりしているわけにいきませんから、この程度でこれはやめます。  最近の新聞の中にいろいろ、今度の電力料金をめぐる通産省の態度としていわれていることは、いわゆる原価主義から政策料金主義に変更するんだ——そのまま読んでみますと、たとえば六月二十日付の朝日新聞において「原価主義から政策料金主義に変えて大口需要者の料金を高くすることを日本の通産省は検討している」こう発表されている。それから同じく読売新聞には、「通産省は十九日、四国電力の電力料金大幅値上げ申請をきっかけに、家庭用料金が高くなっている現在の電力料金体系を見直すことを決め、家庭用を割り安に、産業用を割り高にする料金体系を」云々と、こういうふうに、あたかももう通産省がそういう態度をきめておる、こういうようなことを報道されておるわけです。もしこの報道記事が間違いだとすると、これは一般にたいへんな誤認識を与えていくわけでございますから、これは新聞としても相当な責任であります。しかし、一社だけではなくてこういうふうに書かれている以上は、これはやはり通産省サイドからそういう話が、記者会見のときにおそらくあったのでしょうと私は思うのです。  これはどういう態度で臨まれるのか、報道されたことは事実なのか、こういう点について明快に御答弁をお願いしたいと思います。
  123. 井上保

    ○井上政府委員 現在の料金の値上げ申請にからみまして、現在の原価主義の制度を変えて政策料金を導入するということを発表したことはございません。それで、実際の態度といたしましても、現在の法律のもとではこれは実行不可能であると考えておりますので、電気事業法十九条の示すような方向に従って原価主義で査定せざるを得ない、こういうように考えております。ただ、先ほどから御質問ございましたように、現在の実態から申し上げますと、そういうことでいっても、なおかつ現在の実情では、家庭用の電灯等のほうが値上げ率が非常に少なくなっている、実際上、大口電力の値幅が大きくなっている、そういう実態であるということは間違いございませんが、待にそういうことをするという考えではございません。
  124. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そうすると、この記事を否定されたわけですね。これは政務次官、だいじょうぶですか。
  125. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 いや、否定しておるわけではございませんで、あまりいままでの、原価中心主義ということだけでもいかない。だからして、ある程度は料金を算定する中において、いろいろなファクターがございましょうが、そのファクターの分類をできるだけ、政策的に考慮し得るものはやっていきたい、こういう意味でございまして、すぱっといままでの原価中心主義を政策中心主義に変えるなんて、こういう意味で言っているものではございませんで、その辺のニュアンスは十分くみ取っていただきたいと思うのです。
  126. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そのニュアンスがわからないから御質問しているのであって、これは非常に問題なわけです。原価主義を変えるということになりますと、いまも局長おっしゃったように、いわゆる法律体系そのもの、法律を変えなければならぬのですよ、政策料金に変更するという場合はですよ。一体、じゃ、いま政務次官が、多少は原価主義だけではいかぬからというようなお話でございますけれども、そうなりますれば、これは電気事業法の改正をしなければならぬ、この点はどうですか。この御用意はあるのですか。
  127. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 やはり中心は、先ほども申しましたように原価主義でございますが、その中で考慮し得られるものはできるだけ幅広く解釈していきたい。そういうことが、とり方によっては、原価主義から政策主義に変わっておるような印象を与えはのではないかと思うのでございまして、われわれはあくまでも法律に忠実であるということが主体でございますので、中心は変わっておらないということでございます。
  128. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは局長にお伺いいたしますけれども、いま政務次官、多少変更できるものはいろいろと考えていきたいとおっしゃっております。そこら辺にはどういう問題がありますか。
  129. 井上保

    ○井上政府委員 それは原価主義ということばの解釈なり定義の問題かと思いますけれども、原価主義の範囲であって、なおかつ法律に違反しない範囲において、やはり広い意味では原価主義の範囲であるけれども、しかし、なおかつ若干——たとえばといいますか、原価主義をこわすわけじゃないわけですが、配慮することができるというものはあると思います。これは例を申しますと、たとえば、一応原価は全部きまりますけれども、それに対する頭打ちの措置であるとか、そういうものは従来も原価主義の範囲の中でやっておるわけでありまして、そういう意味で、これは原価主義の原則からはずれるものじゃないけれども、しかし原価主義、非常にシビアにいいますと、その頭打ちというのは原価主義ではないかもしれない、しかし計算は原価主義の計算であって、一定期間これは頭打ちするというような措置は、原価主義の範囲ということで従来やっておりますので、法律に違反しない範囲での考慮ということは、そう  いう意味ではないかと思います。
  130. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 電力料金の算定は、設備規模に応じて発生する発電所の建設費、それから公害防止対策費、修繕費といったそういう固定費、それから燃料など使用電力量に応じて発生する可変費、こういうものを各種需要家別グループに割り振って個別原価を出していくわけですね。しかし、今度の場合を見ますと、固定費、可変費、というものを各種需要家別に割り振って、しかも、これら関西電力等の発言を見ますと、火力の使用電力の八〇%を産業は占めておる、だから、その産業用の負担が、産業用の値上げが大幅になるのは当然なんだ、しかもそれはいわゆる原価主義をこえていないということを盛んに力説しているわけでありますけれども、私にはなかなかそうは思えない。そういう意味で、固定費、可変費をどういうふうに各種需要家別に割り振るのか、この問題について局長にお伺いしたいのです。
  131. 井上保

    ○井上政府委員 関西電力の説明の文句でございますが、これにつきましてはまだ詳細に検討いたしておりませんので、詳細に検討いたしましたあとで御報告いたしたいと思いますけれども、原価の割り振りの方法は、固定費につきましては、たとえば需要種別に一年間のうちで最高のキロワットの出るときがありますね、そのときの需要種別あ最高のキロワットの出ますそのキロワットの比率とそれから電力量の比率、そういうものを二対一でとりまして、それに従って固定費が配分される。固定費の配分につきましては、いろいろな方法が各国で行なわれております。その方法につきまして全部検討いたしました結果、最も平均的で明確なものということで、従来とも、この固定費の配分方法をとっております。  それから可変費につきまして、は主として電力の消費量中心に同じようにするということになるわけでございます。  それから固定費、可変費の定義については、それぞれの原価ファクターごとに非常にこまかく種類別をいたしております。これは幾らが固定費、幾らが可変費ということで非常にこまかく計算をいたしておりまして、それぞれの固定費、可変費別にまとめて、それをそれぞれ需要種別に割り振っていくというような計算をいたしておるのでございます。
  132. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、どこかの例をとりまして、ひとつ固定費、可変費をどういうふうに各需要家に割り振るのか。特定発電所を例にひとつ資料を出していただきたい。  それから、これは橋口政務次官にお伺いいたしますが、この原価主義ということを、私は非常に疑問に思うのです。と申しますのは、たとえば電力会社関係で送電線を使って、一方が足らないときに一方から送電をする場合がありますね。これは電力を買うわけです。そういうこともあるでしょうし、あるいは、確かに各家庭まで配電をすることはたいへんな経費がかかると思いますけれども、しかし、その発電所から特定の産業に送る、並びにその地域に送っている場合もありますし、そういう意味からいきまして、国鉄はいわゆる総合原価主義というのをとっておるわけです。電気事業だけは原価主義になっておる。  そういうようなことをいろいろ考えてみますと、電気事業それ自体も個別主義というものを——主義というのは会計学上には何の定義もないのです。たとえば総合原価計算というのはありますけれども、総合原価主義という会計学上の定義はない。原価計算という定義はあるけれども、原価主義という定義はない。主義というのはいわゆる政策上の意味でございまして、ですから、そこに、いま塩川政務次官がおっしゃったような、原価計算を主体とした、それに政策的な要素を加味できるというのが原価主義のうまみなわけなんです。ですから、電気事業についても原価計算のあり方、原価主義というものをある程度定義しませんと、しょっちゅう変更されてしまう。時代がちょっと変わりますと、社会情勢がちょっと変化しますと、幾らでも手直しできるわけでしょう。まして今度の電力料金の値上げを見ますと、今度の値上げをすれば三年ぐらいは持つだろうというわけですね。だから四年後、五年後にはまた値上げしなければ、ならぬだろうというのは、今回の値上げの電力会社の役員の言い分なわけです。ですから、やはり原価主義というものを明確にする必要があるのではないかと思いますが、これは総合原価主義との関連についてはまた別に私議論したいと思いますけれども、その点についてどうでしょうか。三年ごとに原価主義というものが、いろいろな政策的要素によってどんどん変わっていったのでは意味がないというのです。この点は経済担当の経企庁の次官としてどうお考えになりますか。
  133. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 今回の電気料金の値上げにつきましては、いま通産省が審査をし始めているところでございますが、電気事業法の第十九条では明らかに原価主義をきめておりますから、これをどういうふうに運用していくかという、それについては先ほど塩川政務次官からも話がありましたように、多少のニュアンスがあるのではないかと思います。あるいはそのファクターごとに政策的な考慮を加える、こういうようなことも考えられると思いますが、私どものほうでも、先ほど松浦先生にもお話し申し上げましたように、消費者というものが非常に大事な時期でございますから、その点においては十分そういう考慮も加えてまいりたい、こう考えております。  経済企画庁のいまの立場といたしましては、公共料金の抑制は、真にやむを得ないもの以外はこれを厳に押えていく、こういう基本方針でおりまして、通産省のほうから協議がありました段階において、これをそのまま認めるのか、もっと強力に査定をするか、さらにまた突っ込んでいえば、いまはその時期でないから、その実施時期をさらに延ばすとか、あるいは今回はそれを認めないとかいうような、いろいろな立場が考えられますので、私どものほうでも慎重にこれから検討を加えてまいりたい、こう考えております。
  134. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この原価主義の問題については、本来大蔵省と議論すべき問題でございましょうから、これ以上いたしません。  通産省のほうにお伺いをいたしますが、今度の産業用の値上げ幅がなぜ大きくなるかということについて、記者会見のときにこのように言ったと報道されておるわけです。「両者の現行料金が算定された昭和二十九年時点では、水主火従で水力発電が主力の電源構成だった。現在では火力発電が主の火主水従。水力発電では主として固定費を負担すればよかったが、火力では可変費の燃料費が水力の三倍もかかることから、使用電力の八〇%を占める産業用の負担が重くなるのは当然で、産業用の値上げ幅が大きくなる」というふうに説明をしたというのですね。  これは問題ですよ、公益事業局長さん。これならば、一般家庭と産業用を比べましたら、もうこの当時から、あるいはここから数年すれば、完全に産業用の需要のほうが大きくなっているわけでしょう、全体を考えてみますと。小口電力、大口電力、業務用の電灯、そういったものを全部考えたときには、そのシェアははるかに一般家庭よりも大きいわけです。こういうようなことが申請の理由なら認められない。どうお思いですか。
  135. 井上保

    ○井上政府委員 正式の新聞記者発表は私がいたしておりませんが、そういうことは全然申しておりませんので、何かの間違いではないかと思います。
  136. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 あなたが、おっしゃったんじゃないんです。電力会社です。
  137. 井上保

    ○井上政府委員 新聞記者発表ではそういうことは言っておりませんが、電力会社がそういうことを言っているかどうか、私はまだはっきり知りませんが、今回の料金値上げの趣旨は、これはいろいろな原価の高騰要因があって、二十九年当時の原価は、原価ファクターとしてアップ要因、ダウン要因いろいろありまして、その間の相殺がありまして、相当長い間電気料金を維持してきたわけでございますが、四十四年ころを節といたしまして、いろいろな経費が非常に上がってまいりまして、主として燃料費であるとか公害対策費であるとか人件費であるとか減価償却費であるとか支払い利息等、そういうものが非常にふえてまいったということでございまして、そのために現在の料金ではカバーできなくなったということでございます。  それで、火力とか水力とか申しますが、発電した電気は色をつけて配給しているわけではございませんので、発電いたしますと、それは一本になって総括原価の中に全部入るというかっこうになりまして、その総括原価をそれぞれ配分するというかっこうになってまいります。その値上がりの原因が主として火力のほうにあったということは事実であると思いますけれども、それは二十九年と比べてあったという意味ではなくて、二十九年時代からいろいろな下がる要素もあったわけでありますが、それは相殺してきまして四十四年ぐらいは相当下がってきておったわけでありますが、その後非常に上がってきた、こういうことでございまして、四十四年以降に上がってきました大きな理由は火力関係中心にあったと思います。ただ、発電した電気につきましては、それはひもつきになっておるわけではございませんで、全部一本にして配電させておりますので、全体のコストを全体の需要家から、それぞれのコストに従って回収するという制度になっております。
  138. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 だから、私が申し上げる結論は、こういう言い分は間違いであると思うのです。これでいきますと、原価主義というものは非常にあぶなくなってくる。原価主義からいけば、使用電力の八〇%を占める産業用の負担というものが、設備投資その他を考えていけば当然こうなりますけれども、いままでだってそういうような傾向にあったわけですから、これだけが値上げ理由にはならなくなる。私の言うのはこういう意味です。その点どうですか。この記事はそういうように説明してあるから、その説明についての評価を伺っておるわけです。
  139. 井上保

    ○井上政府委員 ちょっと、記事の内容をよく検討いたしませんと、私わからないのですけれども、原価の高騰する要因といたしましては、先ほど申し上げましたようないろいろな要因がある。しかし、その要因といたしましては、最近における火力関係のコストアップというものが大きな要因であるということは言えると思います。
  140. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 まあいいでしょう。  物価に与える影響、これについてお伺いをしたいわけでございますが、小坂長官の言によりますれば、四国電力が値上げになった場合、四国地方の消費者物価は〇・五一%押し上げられる、こういうことを発表いたしております。関西電力にいたしましても、〇・五二%程度その地方においては押し上げられるであろう、こういうふうにいわれておるわけでございますが、さきに運輸委員会で国鉄の運賃値上げが審議されまして、その場合〇・三四%の影響があるというふうにいわれております。この電力を加えますと、この両地方においては〇・九四%から〇・九五%、一%に近い消費者物価指数の上昇があるのではないか、こういうふうに考えられるわけです。さらに、いま審議がございましたビール値上げであるとか、あるいは引き続いてガスの申請もあるわけでございますから、そうしてみますと、関西地方等におきましてはおそるべき物価上昇ということにつながると思います。このままの形で認めた場合に消費者物価指数は一〇%をこえるだろう、こういうふうに世間では推測をされていますけれども、このまま次から次へと公共料金あるいは認可料金というものが認められた場合にはどの程度の物価上昇になるのか、どういうふうにそれを見ていらっしゃるのか、経企庁としてはどういうお考えでしょう。
  141. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 ただいま御指摘のとおりでございますが、四国でどういうふうに上がるかと申しますと、もう十分御承知と思いますけれども、ウエートは電気、電灯代で大体二三七になっております。したがって、電灯だけの値上がりを考えますと大体〇・三%、こう推定をしております。しかし、電力はさらに産業向けのものが非常に大きく上がるわけでありますから、全体としては、ただいま御指摘のように〇・五一%ぐらいになると想定しております。関西におきましてはウエートが一九一になっておりまして、電灯だけの場合は〇・二%、全体としては〇・五%の値上がりになるだろう、こう見ております。  そうしますと、この両地方におきましては非常に大きな値上がりになるわけでございまして、全国的にこれを見ました場合には、これは全国指数で換算をいたしますので、全体への影響は四国の場合で〇・〇〇八から〇・〇一四、また関西の場合は〇・〇五八から〇・一〇三、こういうような推定をいたしております。したがって、特に四国、関西の場合は、きょうも卸売物価を発表いたしておりますが、六月上旬が一三・二%にも上がっておりますから、さらにそれが消費者物価へはね返ってくれば非常に大きな影響を持つことは当然でございまして、われわれとしてもそれを非常に懸念いたしております。  そういう点で、今後この電力料金の値上げ等につきましても通産省とも十分相談をし、また、これは当然物価対策の閣僚協議会にもはかることでございますから、そこでも十分審議を尽くしてもらいたい、こう考えておる次第でございます。
  142. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いま私が申し上げたことは、いますぐ計算せよといってもむずかしい話でございますから、後ほどでけっこうでございますから、関西地方において、もし関西電力の値上げ申請がそのまま認められたとして、さらに大阪瓦斯ですか、この値上げ申請、さらにまたビール値上げが行なわれた場合、どの程度の物価上昇率が考えられるのか、仮定の問題で恐縮でございますけれども、一ぺん御算出の上資料をいただきたいと思います。  それから、先ほど経企庁を代表しておっしゃったことは、物価高騰にいろいろな影響があるので、実施時期をおくらせるとかあるいは一般家庭への影響を少なくしたい、そういうような申し入れをしたいとおっしゃいましたが、 具体的にどういうことを通産省に申し入れをなさるつもりなのか、あるいは現在検討中であるかもしれませんけれども、時期の問題であるとかあるいは一般家庭への影響を小さくするというのは、どの程度のことを考えていらっしゃるのか、こういう具体性のある御答弁をお聞かせ願えたらお願いしたいと思うのです。
  143. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 この問題は、ただいま通産省に申請が出されたばかりでありまして、残念ながら、具体的にどういう点を協議するかということは、部門でもまだ決定をいたしておりません。また、公共料金政策全体につきましても、物価の非常時でございますから、これをどういうふうに持っていくかという点につきましても、いま経済企画庁としましては非常に苦慮しておるところでございます。そういう全体的な見通し、そして今回の電気あるいはガスに対する対策もこれからきめてまいりたい、こう考えております。
  144. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは塩川政務次官にお伺いをいたしますが、この申請をした電力会社は、八月半ばをめどとして実施をしたいという希望をいたしておるわけでございます。これは一体、いつごろまでに結論を出したいとお考えになっていらっしゃるのか。たとえば私鉄運賃の値上げについては、運輸大臣は本年度末までには結論を出す、こういうようなことを現におっしゃっておられます。これは四十七年七月の申請でありますから、一年半ぐらい経過した後に結論を出すとおっしゃっておるわけでございますが、電力会社のほうでは早い時期にということを非常に望んでおるわけです。われわれとしてはできるだけ時期はおそいほうがいいにきまっておりますけれども、この辺はどうお考えでございますか。
  145. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 両電力会社とも八月の十五日実施を希望いたしておりますが、なかなかそう簡単にはいかないと思います。つきましては、申請書をできるだけ詳細に——しかもこの電力料金というのはいろいろな物価問題影響をいたしますので、関係各省とのいろいろな打ち合わせも必要になってこようと思いますので、八月十五日実施という電力会社の希望には沿いかねる、このように思います。いずれにいたしましても慎重に検討いたしていきたい、このように思っております。
  146. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 慎重にということについてここで論議してもしようがありませんので、ほんとうに慎重にいろいろな角度から御検討いただきたいこう要望申し上げておく次第でございます。  今回の関西電力、四国電力の値上げ申請をいろいろ見まして検討してみますと、確かに十九年間現行料金で持続をしてこられたという、そういう努力はあると思うのでございますけれども、それだけで認めるわけにはいかない。やはり電力料金値上げ理由をしさいに検討する必要があると思うのですが、一つは設備投資、いわゆる経済成長に伴う各産業の新規投資、そういうようなものからくる設備投資、それから二番目に考えられるのはいわゆる産油国の値上げによる燃料費の高騰、それから三番目には公害防除、環境調和対策費の増大というものがあげられます。それから四番目に人件費の増大というものがあげられます。五番目に物価高騰のおりから修繕費、営業費用の増大という、大体この五つが主たる眼目であろうと思うのでございますが、そうしてみますと、これは経企庁、通産省両政務次官御一緒に御検討願いたいのでございますけれども、これらの原因というのはほとんど、企業の努力で解決できるような問題ではないわけです。これらの四項目ないし五項目の主たる原因を研究してみますと、結局それは日本経済全体の本質的な問題に迫っていくのでありまして、小手先の操作では、長期にわたって安定供給を続けてきたエネルギー源というものは、なかなか今後も安定して続けることはできない。これらの問題一つ一つ考えてみますと、やはり政策の長期見通しというものがなければならないし、やはりそういう電力事情の悪化してきた背景に対して政府のさまざまな政策が立てられなければ、このような不安定な料金体制あるいは供給体制ということの改善はできない、こう私は思っているわけでございます。  そういうわけで、私はまず、このいろいろな原因というものについて経済企画庁にお伺いをしたいのでございますけれども、毎年一〇%をこすような経済成長率をこのままこのカーブをとり続けていく、いわゆる生産拡大主義をとり続けていけば、いけばというよりそういうふうにしてきたからいわゆる電力供給不足が今日もたらされたんではないか、こういうふうに思いますけれども、この点はどのように御認識になっておりますか。橋口政務次官にお伺いしたい。
  147. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 最近十年間、特に一番近い五年間におきましては一一%程度の経済成長を遂げてきております。そのためにいろいろのひずみが出てきておる。公害あるいは過密過疎というようないろんな問題が出てきているわけでございまして、それらにつきましては政府としても非常に反省をしておるところでございまして、われわれのほうで策定をいたしました経済社会五カ年計画におきましては、この基本計画では今後の五年間の経済スピードというのは大体九%少し上ぐらいのほうが一番いいのではないか、こういうことで策定をいたしたのでございます。現在の見通しでは、ことしは一一・七%の予定でございますけれども、いまの調子でまいりますとあるいはまたそれを少し上回るのではないかという懸念もございまして、通産省をはじめ各省とも相談しまして、設備投資についてはできるだけこれを押えていこう、こういうような考え方でおるのでございます。そして全体としてはどうしてもやはり九%ぐらいにとどめないと、いまのエネルギーというものはなかなか供給が困難になる、そういうふうに考えている次第でございます。
  148. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それから、資源問題について通産省の塩川政務次官にお伺いしたいと思うのでございますが、いまおっしゃったような一一%をこすような経済成長率で、これがいわゆる石油需要の不均衡な拡大をもたらしてしまった、そしてそれが外国のつけ入るところとなって、いわゆる原油の値上げというような形になったのではないか、私はこう見ておるのでございますけれども、これに対する御認識はどうでございますか。
  149. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 資源の節約は、やはり世界的な大きい政治課題になってまいりました。そこで、先ほど石田先生のお話しになった企業の合理化、これをやはり徹底的に追求すべきだとおっしゃる点、私もまことに同感でございます。一方、企業の合理化にもやはり限界が出てきておりますし、これとあわせて考えていかなければならぬと思いますのは、やはり消費者の行政面、この面においてもわれわれは多少手薄であったように思うのであります。したがって、これから無限に続くであろうところの欲望というものを、欲望の充足を無限に追求さして、無限に満足さしていくんだという態度で資源問題を考えていきました場合には、当然そこに行き当ってくると思うのであります。そうすれば、その欲望充足ということ、これをやはり消費行政の中において適当に考え直していかなければならぬのではないか。特に電力問題なんか考えました場合に、私はそれを非常に痛感するような点が多々ございます。つきましては、今後われわれ通産省の側といたしましては、消費関係における指導と申しますかそういうふうなものもあわせて十分に検討していきたい、それがやはり大きい目で見ましたら資源政策に通ずるように思えるわけであります。
  150. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間があまりありませんが、あと、二、三お願いしたいと思います。  この消費行政の問題について、この間物価の委員会で小坂長官に私もこの意見を申し上げたわけでございます。いわゆる消費者対策といいますか、大量消費の時代から質的転換ということを申し上げたのでございますけれども、来年の経済政策の中にこれをうたうか、こういうふうにお伺いしましたところが、いずれにしても消費のあり方について政府の見解を示さざるを得ないというような意味のことをおっしゃったわけでございますが、通産省としても、来年の政策の中に何らかのそういう形を織り込むお考えでおられるわけでございますか。
  151. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 考えていきたいと思っております。
  152. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一点お伺いします。  これは局長にお伺いしますが、いわゆる公害問題が発生しましてから四日市ぜんそくの例もありますようで、これはかなり長い間問題になっているわけでございます。ところが、最近の状況を見ますと、ようやく最近、電力会社がこういう低硫化設備に力を入れてきたというような状況のようでございます。  そういう状況がありながら、反面、この間も灯油の問題で私ここで質問したのでございますが、何といっても設備を充実するよりは原料を低硫化さしたほうが廉価にあがるというような事情があってなかなか進まない、こういう状況であるわけです。そういうように公害対策というものが明確でなかったために、かえってここ数年急激な投資をしなければならなくなってしまったのではないかと私は認識をいたしておるわけでございます。この点どうでしょう。
  153. 井上保

    ○井上政府委員 先生の御指摘のとおりで、電力会社の公害対策は、ごく最近までは必ずしも十分な対策ではなかったということが一般的に言えると思います。最近、特に四日市判決後におきましてはいろいろと非常に努力してまいりまして、従来からも努力はいたしておったのですけれども、その努力のしかたはここ一、二年非常に上がってきた、こういうふうに考えております。たとえば排煙脱硫の問題につきましても、従来電力会社は非常にティミッドであったという批判を各方面から受けておったわけでございますが、これは技術的に不明確な点もあったわけでございまして、必ずしも電力会社だけの責任じゃないと思いますけれども、そういうような点もございましたが、最近その技術的な問題がはっきりしてきたというようなことがございまして、今後火力発電所にはほとんど全部つけるというようなところまで踏み切ってまいりまして、大幅に努力してまいっておると思います。  それから燃料の問題でございますが、燃料につきましては、現在一・〇何%程度のサルファ分はなっておりますけれども、五十一年ぐらいには大体〇・五以下にしたいというようなことでいろいろ燃料の手当てをいたしております。  それから、たきます種類につきましては、たとえばナフサにつきましては、前年度は三十二万トンぐらいしかたかなかったのでございますが、今年度は二百四十万トンぐらいはたきたい。あるいはなまだきの問題にいたしましても千八百万トンぐらいを二千三百万トン以上にしたい、しかも七〇%ぐらいは一%以下のものを確保したい。あるいはLNGをたくとか、非常に多方面にわたっております。  それから排煙脱硫の問題でございますが、これは非常にローサルファのものになりますと必ずしも効果が十分にあがらぬという点がございまして、二%以上のようなものをローサルファのものにするには非常に効果があがりますけれども、さらにそれを〇・二%、〇・三%ぐらいのものを要求されるようなところにおきましては、排煙脱硫よりは燃料の良質のものを確保する必要があるということで、良質のものの確保に努力をいたしたいというような事情でございます。  そういうようなことでございまして、火力に占める公害関係の投資も、ことしあたりは二五%をこえておると思いますが、来年ぐらいになりますと三〇%をこえるというようなことで、大幅に無公害発電所ということで一生懸命に努力をさせている、こういうような状況でございます。
  154. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最後に一問、これは通産政務事官にお伺いをしたいのでございますけれども、関西電力、四国電力、両方とも同じでございますが、料金値上げの算定を四十八年から五十年の計算でいまやっております。このときの平均設備投資額というのは、現在の料金で計算をしまして、実に年間販売収入の九〇%を投入しなければならぬといわれておるわけですね。関西電力の場合、四十年には七百六十八億、四十五年で千五百億、四十七年で三千億を必要としているわけでございます。こういうような状況は、やはり大口需要が圧倒的に増大をするからという理由であろうと私は思うわけです。  電力白書によりますと、電灯のほうは四十六年度五百八十億から五十二年度で見込みが九百八十億、大口電力の場合は四十六年度千四百六十一億から自家発電を除いて二千九百五十四億、このくらいになるだろうといわれておるわけです。ですから、電灯の場合は四百億の増加でございますが、大口電力は千五百億の増加見込み、電灯のほうよりも三・七五倍も多くなっていく見込みでございます。また、産業用の需要全体を見ますと、五十二年度で四千百四十五億、四十六年度の実績が千五百三十一億でございますから、それを引いてみますと二千六百十四億キロワット時でございますが、それだけふえるわけであります。ですから、一般家庭で使う電灯が四百億の増加見込みに対して、産業用全体で見ますと、実に二千六百十四億、全体の増加見込み分の八六%は産業用だという数字が出てくるわけでございます。  そういうわけで、家庭用の電気料金というのは引き上げられるべきではなくて、むしろ最低でもこれだけ持続してもらわなければならぬ。今後引き上げるとすれば、五十二年度までに二千六百十四億キロワット時ふえるわけでありますから、八六%は産業用なわけですから、むしろ産業用の調整をしてもらいたい、こういうふうに思うわけでございます。それだけ私の意見として申し上げるわけですが、どうでしょう。
  155. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 石田先生の御希望は、私たちも同じような希望を持っております。  そこでちょっと、いまの御質問の中にございましたことで、私たち手元にあります資料と若干考え方が違う点もあろうと思いますので、念のため申し上げますと、関西電力等におきましては、最近はむしろ民生用の伸びのほうが——伸びの傾向でございます。絶対量からいえば産業用が多いのでございますが、伸びの率の傾向、それで申しましたらむしろ民生用のほうが伸びてきておる。これは生活に豊かさを追ってきておるのだと思うのであります。具体的に申しますと、三十七年から四十七年、この間で検討いたしましたら、電灯のほうが三・一倍で電力のほうが二・八倍となっておるのであります。これは伸び率からいいますと、そうなっております。四国電力においては民生用と産業用と同じような伸び率を持っております。そこで、今後の電力需要の伸び率でございますが、若干の程度の差はあろうが、こういう傾向で伸び率は伸びていくと思います。けれども、絶対量として必要な投資額は、それは産業用に大きいのでございます。  したがって、今回料金改正が、向こうの申請書そのまま表だけ拝見いたしましたらそういう率になっておるように思うのでございまして、私たちも、できるだけ家庭の電灯の値上がりが少ないように極力つとめていかなければならぬ、このように思うておりまして、お気持ちは、全く私らも同様であるということを申し上げられると思います。
  156. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これで終わりますが、私も計算してみました。伸び率で計算をいたしますとそういう議論になるのですけれども、それはだめなんです。産業用の伸び率に従って設備投資の量というのは急激にふえていることは、今度の四国電力の資料でも明確になっているわけですよ。この点の配慮はひとつ十分にしてもらいたい。これだけ申し上げまして、私の質問を終わります。
  157. 山中吾郎

    山中委員長 先ほどの松浦利尚君の質疑に関し、塩川政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。塩川政務次官。
  158. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 今回の電力料金値上げ問題に関しまして、電力白書の中の文言が一部電力会社に流用されておるのではないかという御質問があったようでございます。しかし、私たちのほうで電力会社を誘導したりしたことは絶対にございませんで、その点はひとつ御理解いただきたいと思います。また電力会社も、あえて電力白書を利用しているという気持ちではなかったと思うのでございまして、その内容と同一的な内容が盛り込まれておったということは、これは偶然かそういうようなものだというふうにひとつ御理解していただきたいと思うのであります。  それからなお、電力料金の値上げを通産省の側からむしろ誘導しておるのではないかという意味の御質問があったようでございますが、私たちは、そういう意味で指導は絶対いたしておりません。今回値上げを申請いたしましたについては、やはりそれなりの社会的な経済的な情勢の変化というものが起こってきております。いずれにいたしましても、両社ともに長年にわたります料金の据え置きをしてまいりましたことの中に、どうしても料金問題でなければ解決できない経営上の問題点も多々出てまいりました。これが会社をして自主的に料金申請をせしめたことでございます。ついては、申請書が出ました以上、私たちも十分この社会的な経済的な情勢の変化というものも認識して、電力会社の申請書を十分に検討して精査をしていきたい、このように思うております。したがって、通産省の側から値上げ申請をある程度示唆して、それに応じて電力会社が申請を出してきたということは絶対にございませんので、その点はひとつ御理解していただきたいと思うのであります。出てまいりました申請書につきましては、十分に精査して対処いたしたいと思うております。
  159. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 偶然の一致にしてはあまりにうまくでき過ぎておると思うのです。昭和四十七年度の電力白書の中に一部利用者の負担ということが出ておって、予算委員会の分科会で中曽根通産大臣と、事業局長もおられましたが、やり合ったのです。それは削除すべきだということを私は提言したのです。ところが、事業局長も通産大臣も、いま現に申請が出てきておらぬ、架空のことだからこれは削除する必要はありませんということで削除なさらなかった。ところが、案の定出てきたわけですね。電力白書がそういうことをすでに示唆しておるわけなんですよ。ある程度利用者が負担しなければやむを得ないのだということを書いてある。しかも関西電力の申請してきた内容は、電力白書に書いてあることと同じことが書いてある。偶然の一致にしてはあまりでき過ぎておる。  それで、先ほど事業局長は、そういったことは改めますという答弁がありましたから、そのとは私はいいと思う。訂正されたのだからそれ以上追及はいたしませんが、ただ、この問題は、そういう電力白書を出した通産省ですから、電力会社が料金の値上げを申請してきたら、値上げを認めざるを得ないでしょう。認めないという行為に出ることができますかどうですかということを、通産大臣に聞いてみたのです。そういう電力白書がすでに出されておるのだから、その幅を押えるとか抑制するということはありますけれども、出てきた電力料金の値上げについては認めざるを得ないじゃないか。電気料金のアップはある程度認めざるを得ないのだという前提に立っておるじゃないですか。こういう白書が出ておる以上は、通産省は、そういう立場で電気料金値上げについては対処せざるを得ないのじゃないか。いや、関係ありません、値上げも押えることが可能なんです、値上げをさせません、そういうことがやれるのかどうか、こういう電力白書が出ておる段階で。そのことを明確にお答えいただきたいと申し上げたのです。この電力白書を出したあとで、電気料金の値上げについてストップさせることができますか。
  160. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 値上げを認めろという申請書が出てまいりました。それに伴って、やはり値上げをしなければならぬところの社会的な条件というものは相当深刻にあると私は思っております。
  161. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 あの電力白書は、そういう値上げをしなければならない深刻な状態にあるということを分析しておるのです。おたくでおつくりになった白書は、そういうことをすでにもう分析しておると思うのです。その分析に従って出されてきたのです。だから、あなたのほうは料金値上げを認めざるを得ないでしょう、率直に言うと。いま言われたように、認めざるを得ないという立場なんですよ。はっきり言うと、そのことが私は企業サイドに立った見方だ、こう言うのです。そうでしょう、認めざるを得ないでしょう。
  162. 塩川正十郎

    ○塩川政府委員 お答え申しますが、企業サイドに立ってということではございませんで、確かに先生も御承知のように、社会的にも経済的にもいろいろな条件が変わってきておることは事実だと思いまして、その条件は私は正確に認識していきたい、このように思うのです。そして、一刻も早く電力の安定供給ということをはからしていきたいという気持ちが強うございます。
  163. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 経済企画庁の政務次官、あなたと立場が違うわけですね、政務次官同士ですけれども。あなたは消費者の立場ですよね。そうすると、実質的に値上げが申請されてきた。これから審議して幾らが妥当かという計算をなさるでしょう。しかし前提として、ある程度の値上げはやむを得ないということを言っておられるのですよ。ある程度の値上げはやむを得ないという前提に立って精査するわけですね、妥当かどうかということを。そうすると消費者のほうは、いや、電気料金の値上げはストップしてくれ、物価はこれだけ上がってきておるじゃないか、これだけ上がってきておるのに、公共料金である電気料金が値上げすればほかの物価にはね返ってくる、重大な影響がある、だからひとつ値上げをストップしてくれというのが国民の要望だと思う。ところが、担当官庁である通産省がすでに、社会的背景としてある程度やむを得ないのだという前提でそれを受け取っておるわけですよ。そうなってきますと、これは経済企画庁として、そういった姿勢で料金の値上げを通産省が受け取るということについては問題があるというのがほんとうだと思いますね。やはり協議をするからには、申請を一年延期させるとかストップさせるということまでも条件の中に入って、初めて私は公共料金に対する閣僚協の協議であり、通産と経企の協議ということになると思う。ところが初めから、ある程度値上げを認めておるわけですからね。こういうことをされたのでは、一体いまの田中内閣は物価問題に対して真剣に取り組む姿勢があるのかどうか、私は非常に疑問に思いますね。かりにそういう社会的背景があったとしても、それは申請されたあとで議論をされるというならば話はわかる。初めからそういうことを認めておいて、申請が出てきておる。そして、ある程度の値上げを認めざるを得ない立場にあるわけですから、私はこういうあり方は、田中内閣の姿勢として非常に問題があると思いますね。  この際、塩川通産政務次官は立場上、担当政務次官としていまはっきり言われたわけですけれども、今度は経企の政務次官として、かりに通産がそうであったとしても、たいへん重大な影響を与えますからね——先ほど石田委員からもお話がありましたように、消費者物価が五・五%以内なんかに入りっこないのですよ。おそらくことしの九月には八%、九%、年末には一〇%ぐらいいくかもしれないですね。そういう状態の中で、経済企画庁としては、いま言った通産の姿勢を認めた立場で話し合いをされようとするのか、それともそれは認めずに、あくまでも消費者の立場に立って話されようとするのか、その点ひとつ明確にお答えいただきたいと思います。
  164. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 物価がちょうど急上昇している最中でございまして、公共料金値上げについては、私どもの長官もたびたび申し上げておりますように、真にやむを得ないものに限って認める、こういう基本方針を堅持しておるのでございます。また、閣僚協議会における話し合いにいたしましても、同様なことをうたっておるのでございます。  それで、通産省が申請を受けて、それについて産業政策上から考慮を加えるということは、これは通産省の立場としてはある程度やむを得ない、こう私は考えておりますが、私どもの経済企画庁では、ただいまお話しのように消費者の立場に立ち、あるいはまた物価政策全体、もっと大きくいえば国民経済全体の立場から判断をする必要があると考えております。したがって、現在の段階では私どもはまだ白紙の状態でございまして、通産省から協議が参りましたならば、両省よく話し合いをいたしましてその妥結点を見出したい。そして、これはまた、経企庁と通産省との話し合いだけできまる問題ではございませんで、各省とも相談をして、政府全体の問題としてこれを決定することが必要であろうと思います。それには、非常に大きな高度の政治的判断も必要であろうかと思いますので、私どものほうでは現在は白紙の状態で、通産省からの協議を待ってそういう方向に進んでまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  165. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 もう時間がありませんからいろいろなことは申し上げませんけれども、私は、国民は非常に苦しんでおると思うのです。許認可料金を政府がどんどん上げてしまって、国鉄料金も上がる、電気料金も上がる。全部政府の手にある料金を上げてしまって、きょう読売新聞のことで小坂長官が談話を発表したそうですけれども、そういった便乗的ではなくて、値上げしなければならぬ理由はちゃんと告示してある、そういうものについては、ひとつ値上げせぬようにしてくれといって行政指導をやる。自分の手元にあるやつはどんどん値上げしてしまう。これでは便乗値上げを押えることもできないし、何にも物価問題に手を打つことはできませんよ。少なくとも申請があって一年間ぐらいは値上げは延期する。八月十五日の希望だけれども、これは来年に延ばしてしまうのだ。国鉄運賃も、かりに法案が通っても、国鉄運賃の値上げは一年間延期するのだ。そういう思い切った方法をとらない限り、物価問題というのは解決しないというふうに私は思います。  この際、通産省は非常に苦しい立場でしょうけれども、先ほど企業側にはべったりじゃないのだという政務次官のお話しもありましたので、一ぺんぐらいは電気料金について消費者サイドに立って、消費者の希望をいれてぜひ対処していただきたい。政務次官は言うならばホープですから——笑いごとじゃない。おだてるわけけじゃない。ほんとうなんだ。あなた方が政務次官会議で、いろんな物価問題についてがんがん言っておられることは、新聞でよく見ます。しかし、そういう政務次官の言ったことが少なくとも実行されるように、ぜひ通産省も消費者のサイドに立って、一ぺんぐらいやってみたらどうですか。そうすると、なるほど通産省は消費者の立場も考えてくれるということになりますよ。いまはどうも、井上局長さん、さっきから盛んに言っておられるけれども、われわれが見ておると企業者サイドに立っておるような気がしてならないのですね。  このことを要望として申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  166. 山中吾郎

    山中委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十一分散会