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1973-06-07 第71回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月七日(木曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員   委員長 山中 吾郎君    理事 木部 佳昭君 理事 坂村 吉正君    理事 松浦 利尚君 理事 小林 政子君       上田 茂行君    大村 襄治君       近藤 鉄雄君    塩崎  潤君       羽生田 進君    三塚  博君       中村  茂君    石田幸四郎君       和田 耕作君  出席政府委員         経済企画政務次         官       橋口  隆君         経済企画庁調整         局長      新田 庚一君         経済企画庁国民         生活局長    小島 英敏君         自治省税務局長佐々木喜久治君  委員外出席者         経済企画庁長官         官房参事官   斎藤 誠三君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊豫田敏雄君         農林省農蚕園芸         局畑作振興課長 本宮 義一君         農林省食品流通         局食品油脂課長 籾山 重廣君         食糧庁総務部長 森  整治君         通商産業省鉱山         石炭局石油業務         課長      根岸 正男君         自治省財政局財         政課長     土屋 佳照君     ————————————— 六月四日  木材建設資材異常価格引下げに関する請  願(山田太郎紹介)(第五九三八号)  同外一件(渡部一郎紹介)(第五九三九号) 同月六日  物価抑制に関する請願(石母田達紹介)(第六  一一五号)  同(石母田達紹介)(第六一九二号)  木材建設資材異常価格引下げに関する請  願(柴田睦夫紹介)(第六一一六号)  同外三件(林孝矩紹介)(第六三六八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 山中吾郎

    山中委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
  3. 中村茂

    中村(茂)委員 小坂長官がいないのは残念ですけれども、四月十六日に開かれた本委員会で、私の質問に対して小坂長官は、物価問題について「四月、五月を決戦の時期だ、」こういうふうに答弁しているわけであります。決戦の結果、勝ったのか負けたのか、これをお伺いします。
  4. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 ただいまの御質問の中で、私ども長官が四月、五月は決戦の時期だ、こう言っております。そのときにこういうことも言っております。最後のところに「ぜひこの際に、そうした気分を大きく変えるような動きをしたいというふうに考えておるわけであります。」こういうことでございまして、私ども理解するところによれば、四月、五月に物価が落ちつくということを言っているのではなくて、四月、五月に政策手段を動員をして、そしてそういうような戦いを、物価戦争をするんだ、そういうことがここで意味されていると思うのでございます。  そういうことで、すでに御承知のように四月、五月にかけまして、まず四月初めに公定歩合引き上げをやる、そしてその次には預金準備率の再引き上げもやる、そしてこの五月の末にはさらにまた公定歩合引き上げる、預金準備率も今月の十六日にはさらに引き上げる、こういうようなことをやっております。また、四月の中旬には閣僚協議会におきまして「当面の物価安定対策について」という七項目の方針をきめまして、そしてそれに基づきまして、先般公共事業の時期的な調整をする、そしてまた前払いについても検討するというような、そういう一連の非常に大きな政策手段を発動しているわけでございまして、四月、五月が決戦の時期だと言っているのはそういう意味であろうと、われわれは解しておるわけでございます。今後その効果があらわれるのは、戦果があらわれるのはこれからであろう、こういうふうに理解をしておるわけでございます。
  5. 中村茂

    中村(茂)委員 決戦の時期だというのは、物価安定についてその見通しがつくかつかないか、こういうことだというふうに私は思うわけであります。政策手段幾つか出していま説明になったわけでありますけれども、そのほとんどは金融措置であります。それらの金融措置がそれぞれなされて、四月、五月を通じて、それでは将来の見通しとして、これらの措置によって、これらの政策手段によって物価安定の見通しが立っているかどうか、ここがきわめて重要だというふうに私は思うわけであります。五月二十五日に総理府発表の東京都区別の消費者物価指数が、前年度同月比にして一一・六%高騰しておりますし、これは二十年来の暴騰だ、こういうふうにいわれています。それから、卸売物価の四月に発表された数字を見ましても、前年比一一・四%で、これは十五カ月間暴騰を続けたことになるわけであります。そのことを考えてみた場合に、いま物価問題は最悪の状態に来ているのじゃないか。ですから、先ほど言われました金融措置中心にする政策手段だけでは、まだまだ物価安定の明るい見通しというものは出てきていないのではないか、こういうふうに考えるわけであります。なおそのほか、こまかい点について物価閣僚協議会でいろいろ話されておる、こういうこともいわれております。私は、いま申し上げましたように、四月、五月決戦だということで幾つかの政策手段を出したけれども、まだまだインフレ状態は明るい見通しが出てきていない、こういうふうな判断に立つわけであります。  最近日経連で発表した資料によりますと、ことしの春闘の総括を行なったその中で、わが国の経済悪性インフレに大幅な一歩を踏み込んだ、こういうふうに指摘をしております。そういうふうに指摘している背景については私は大いに論議のあるところでありますけれども、いずれにしても、悪性インフレに大幅な一歩を踏み込んだ、こういうふうに言っております。それから田中首相は、先日のNHKのテレビで、インフレになるとは思わないし、してはならない、こういうふうに言っているわけであります。また経済学者等は、現在のインフレ状態について非常に苦しい見通しを立てている学者が非常に多くあります。  そういう中で、物価問題を担当する経済企画庁として、現在の物価高騰をどのように見るのか、明らかにしていただきたいと思います。
  6. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 現在の物価上昇状態をどういうふうに見るか、これをインフレと見るかどうかということが御質問の一番の御要点だろうと思います。  このインフレにつきましては、もう釈迦に説法かと思いますけれども定義がいろいろに分かれておりまして、古典的な定義によれば、商品の取引量以上に通貨が膨張して、貨幣価値が下落して、そうして物価が上昇する、こういうような解釈であったようでございますが、最近では、そのほかにまた総需要の面から、たとえば財政支出消費、投資あるいは超過支出というような需要要因のいずれかが非常に増大をして、そのためにインフレが生じて物価が急騰していく、こういうような定義もあるようでございます。ほかにも日経連のような、コストインフレ的な、そういうような解釈もあろうかと思います。しかし、これは定説はございませんので、これに共通する特徴をつかまえてみれば、大半の物価が、一般的に長期間にわたって、加速度的に継続して上昇していく、こういうのが特徴ではないかと思います。  そういう意味で、現在のこの物価上昇を卸、消費を通じて当てはめてみますというと、ややインフレ的な様相を見せてはいるようでございますが、私どものほうでは、多少一般とその見解を異にしておりまして、景気は非常な過熱状態ではあるけれども悪性インフレ的であるとはまだ断定し切れない。また、ちょっとことばのあやでございますが、いわばインフレになるかならぬかボーダーライン的な状況にあるのではないか、そういうふうに理解をしておるわけでございます。したがって、これを悪性インフレ化させていくかどうかということは、今後あらゆる政策手段を発動して、もう少し成り行きを見守っていく必要があるのではないか、こう考えているのでございます。
  7. 中村茂

    中村(茂)委員 ややインフレ的な様相——私は、物価問題というのはインフレムード、こういうものが起きてきたときが一番危険だというふうに思うわけであります。なぜかといえば、私どもは戦後のきわめて悪質なインフレを経験しているわけでありますし、インフレということになれば、お金よりも物にかえろというムードインフレムードの中に起きてくる、その傾向というのが最近やはり根強くあって、需要の伸びというところにインフレムードの心理的な状態が反映してきているのではないか、こういうふうに思うわけであります。そのほかにも幾つかの要因はありますけれども、そこのところをどういうふうに断ち切るか、ここがいま一地重要な時期だ。  こういうふうに考えてみますと、私はこの前のときにも言ったわけでありますけれども政府物価値上げインフレに対する対策後手後手に回っている、こういうことをよくいわれます。私もそのとおりだというふうに思うわけであります。ここでは思い切った手段政策を打ち出して、これだけの心がまえと気力をもってやれば確かに物価は安定する、こういうふうに国民安心感をまず与えることが、インフレムードをとめる一番大きな要素になるのではないか。そういうことを考えてみた場合に、政府がいろいろ打ってくる手というものは金融措置がほとんど中心であって、国民大衆は、金融措置がどうだのこうだのといってむずかしい名前を並べてみても、それがどういうふうになってあらわれてくるかということはなかなかわからないし、また、金融措置によってそのことを行なっていくには時間がかかるわけであります。ですから、この前のときも申し上げたわけでありますけれども、一番投機対象になり、物価高騰の元凶とまでいわれる土地などについては思い切って凍結するとか、公共料金値上げは一切ストップするとか、そういう国民の目の前にぱっとくるものを思い切った政策で打ち出していく。そのことによって物価の安定への方向というものを与えて、国民安心感を与える。そのことによって、インフレムードに乗った、お金から物にかえる、こういう需給という問題についても正常に戻していく、こういうことになるのではないかというふうに思うわけであります。  そういう意味において、やはり物価を担当する経済企画庁においては、いま申し上げたような思い切った手段を考ていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
  8. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 いまお話がありましたように、物価上昇あるいはインフレというのは社会心理が非常に影響するところが大きいのは、われわれも全く同感でございます。  現在、庶民一般に、なるべく金を物にかえておいて、そしてそれで将来に備えようという動きがあるということも、否定はできないと考えております。それにつきましては、仰せのとおり、政府の施策が非常におくれたということも否定できないだろうと思います。われわれもそれを非常に痛感しておるのでございます。したがって、現在財政金融政策をはじめとして、あるいは緊急輸入であるとかあるいは投機の仰制、そういうあらゆる手段を発動してやっているわけでございますが、まだこれから打つべき手段幾つも残されていると思うのです。  その中でいま一番問題になっておりますのは、国鉄料金値上げ中心とする公共料金をどうして押えるかという課題でございまして、物価庁経済企画庁立場からすれば、一切の公共料金は押えていきたいというのが偽らざる心境でございますけれども、しかし、それ以上に国鉄再建というような非常に重大な政策要因をかかえておりますので、どうしてもそれを優先させようというのが政府考え方でございまして、われわれもそれに従わざるを得ない。そういうことで、国鉄運賃だけは真にやむを得ないからこれだけは上げて、あと公共料金はなるべくストップしていこうというような方針でいまいるのでございます。  しかし、やはり政府が断固とした決意を示して、将来インフレは必ず克服してみせる、インフレにならないようにする、こういうような強い決意を表明して、それにふさわしい政策手段を行使するということは、これからどうしても必要だろうと思います。ちょうど私ども長官も御承知のようにOECDに行っておりまして、世界的な課題としてインフレ対策についての話し合いを持ち帰ってくる予定でございますから、また長官からも、それにつきましては決意を表明する時期があろうかと思います
  9. 中村茂

    中村(茂)委員 いま国鉄の問題が出たわけですけれども、企画庁の立場からすればわかるけれども政府全体の立場からは、そういうところでちゅうちょしていた場合に、思い切った政策が出てこないと思うのですよ。これは政府全体の中でも、やろうと思えばできるわけでありますから、いま言われましたように、やはりいろいろな問題もあろうと思いますけれども、世の中がびっくりするような手段をこの際何といっても編み出していかなければ、物価上昇ムードインフレムードというものはとめることができない。その点について強く要求しておきたい、こういうふうに思います。  特に土地問題に若干触れてみたいというふうに思うわけでありますけれども大手商社土地取得を三月決算で見ていきますと、トーメンの場合には百二十億、それから三菱商事、伊藤忠の場合にそれぞれ百億、丸紅五十億、三井物産四十七億、住友商事三十二億、日商岩井六億五千万、こういうふうに、非常に土地取得が多くなっているわけでありますけれども、いま土地に対する投機、そして土地が値上がりしていく。公の地価の公示価格によっても、御存じのように三三・三%上昇しておる。そして、先ほど言いましたように、インフレムードの中でお金を物にかえるということで、お金が少しあるなら土地に手をつけよう、これは一般的な庶民をも含めた空気になってきておる。そういう中で、三月決算にも明らかなように、大手商社ども非常に多くの土地を買っている。そういうことを考えてみた場合に、土地こそ投機インフレの先兵になっておる。土地投機対象になるという国は、私は聞いたことがありません。それが一番、投機対象になってきておる。このことを考えてみた場合に、やはり土地問題というのは、これからの物価問題、あらゆる政策を含めて最重点にやらなければならないのではないか、こういうふうに考えるわけであります。  そこで、具体的な例で若干恐縮ですけれども土地に関する具体的な例を申し上げて質問にお答え願いたい、こういうふうに思うわけです。  総合商社から本委員会に提出された土地取得資料があります。私は、その資料に基づいて二、三追跡調査をしてみたわけでありますが、その資料の中に、伊藤忠商事取得した長野県の北佐久郡の望月町に千百五十九万三千平米、価格にして三億六千万円、それから同じ伊藤忠で、同じ地域でありますけれども、小県郡武石村というところに二千六百七十二万七千平米、これはお金にして八億九千八百万円。それから丸紅取得したので南軽井沢、三百六十三万七千平米、十一億五千三百二十七万円、これはみんな別荘団地の造成であります。  そこで、これだけの三つのところの追跡調査をしてみたわけでありますけれども、ここで問題になりますのは、伊藤忠の買った二つの場所について、県、町、村と開発協定締結した、こういうふうに備考に書いて、資料として提出しているわけであります。ところが、行って調べてみますと、自然保護協定締結してありますけれども開発協定はまだ締結してないわけであります。町村に聞いてみますと、いや、これから提出するように準備中であります、こういう報告をしております。  私は、自然保護協定締結している、しかし開発協定締結をしていない、それをどうして、開発協定を村、県と締結しているというふうにこの備考に書いて出したかということです。総合商社が、土地を多く買い占めた、しかし村、町にも十分協力してもらってその開発ということで、私どもはその目的に合わせて買っているのですというふうに、いかにも世論のきびしい批判を避ける、そういう意図であえてこういうことを載せてきているのではないか、こういうふうに疑わざるを得ません。しかも、いま申し上げた伊藤忠の二カ所の土地は、全部村、町の土地であります。それがどうしてこういうふうに——武石村の二千六百七十二万七千平米というのはちょっとした山、一山で武石の村の十分の一に当たります。十分の一の土地伊藤忠商事に売ってしまって、それでこの本委員会に出した資料には、これから締結しようとする開発協定を、締結済みだ、こういうふうに出しております。  したがって、そういう間違った資料を出した伊藤忠については、本委員会名前で厳重にひとつ注意をしておいていただきたい、こういうふうに私は思います。その点についてひとつ取り扱い方をお願いしたいというように思います。
  10. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 ただいまの問題は、遺憾ながら経済企画庁ではまだ承知いたしておりませんので、あと大蔵省自治省担当官からも説明させますが、提出した資料にもし偽りがあったとしますれば、これは非常に重大でございますから、それは取り調べまして、厳重に警告をするようにいたしたいと思います。
  11. 中村茂

    中村(茂)委員 これは、本委員会で請求して、本委員会を通じていただいた資料でありますから、ひとつ厳重な措置をきちっとしていただきたい、こういうふうに思います。小さなことでありますけれども、そういうことをきちっとやっておかなければ——委員会に来て、私ども質問にもいろいろなことを答えているわけでありますけれども、そのとき過ぎてしまえばそれでいいわい、こういうかっこうで、総合商社等の買い占め、売惜しみというものはまだあとを断ってはいないわけであります。特にこの土地問題というのは、先ほどから申し上げておりますように、きわめて重要な問題でありますから、ひとつ厳重な注意をお願いしたいと思います。
  12. 松浦利尚

    松浦(利)委員 関連質問。  いまの問題はたいへん重要でありますから、委員長に提出した資料でありますから、後刻理事会を開いて、本委員会としての態度を明確にしていただきたい。これが一つであります。  もう一つは、政府のほうでは直ちに、ただいまの発言が事実かどうか早急に調査をして、本委員会にその結果を報告するように求めます。
  13. 橋口隆

    橋口(隆)政府委員 ただいまの御要望に沿うように必ずいたします。
  14. 山中吾郎

    山中委員長 中村君の質疑の内容について、資料に誤りあれば委員長において善処いたします。
  15. 中村茂

    中村(茂)委員 そのようにひとつお願いします。  それと、いまの取得の例で二、三、また質問をしたいというふうに思います。     〔委員長退席松浦(利)委員長代理着席〕  特にこの武石村のやつですけれども、この村へ行って聞いてみますと、八億九千八百万円で伊藤忠に売り渡して、このお金の半分に当たる四億円でその土地まで道路を村でつくって、あとの余りの四億円について国債を買ってその利息を基金にしている、こういう説明を受けたわけであります。なおこまかく聞いてみますと、過疎の村で非常に財政が逼迫してきている。そういう逼迫している中で、その持っている山林原野を維持管理して、なおそこから生まれてくる立木について二十年または三十年たって売却する。管理と売却とを考えてみた場合に、もう売り払ってしまって、それで国債にでもしてその利息をかせいだほうがどうもメリットがあるようだ、こういうきわめて安易な、軽い考え方で、これだけの膨大な土地総合商社に売っているわけであります。  だから、この地方自治体あり方を考えてみた場合に、まず第一は、特に過疎の農村を多く含んだ、山林原野を多く含んだ町村については、財政的な逼迫から、先祖代々渡ってきた村の膨大な土地総合商社に売り払ってしまう、そうしてわずか八億で売って、その半分を道路に使って、あとの四億でその利息をかせごうとしていく、この自治体の姿勢であります。これは、この武石村ばかりではありません。この奥に和田村という村があるわけでありますけれども、ここもやはり、村の持っている村有林不動産会社に売り払って、それで財政的な措置を何とかしょうとしている。しかもこの和田村というのは、売ろうとしているところは水源涵養保安林でありまして、二十五年間もたったような太いカラマツが一ぱいおえている豊かな山でありますけれども、そこを売り払わなければ財政的に非常に逼迫してきている。  ですから、私はこの際、自治省質問をしたいわけでありますけれども、こういう過疎土地を売り払ってそのときの赤字を何とかしていこうという地方自治体あり方、これは何といっても、そういう過疎のところに対する財政的な措置というものがまだまだ不足しているということが一つでありますし、そこへ物価高騰という中で飛びついていったこういう地方自治体あり方、これについて、これからの対策を含めてひとつ明確にしていただきたい、こういうふうに思います。
  16. 土屋佳照

    土屋説明員 ただいまお話がございましたが、最近、別荘地とかあるいはレジャーランドとかゴルフ場とか、そういった開発がブームと申しますか、盛んに行なわれておりまして、市町村においても、地域開発一つ態様といたしまして、それを受け入れるために所有地譲渡等を行なうということがあることは承知しておるわけでございます。ただ、もちろん自然環境の保全とか土地の適正な利用ということが国民的な一つ課題にもなっておる今日でもございますから、地方自治団体観光開発等も、当然こういった要請に応じて推進されなければならないというふうに、いま考えておるわけでございます。  ただいま和田村とか武石村とか御指摘がございましたが、そういった地方団体の個々の事例につきましては、私、それが、財源不足を補うために売却等が行なわれたのかどうか、ほかの理由があるのか、詳しい点につきましては十分に承知をいたしていないわけでございますが、過疎地域市町村におきましては財政が貧弱であるということも事実でございます。そういったこと等もございましょうが、それだけではないとは思いますけれども一つ地域開発態様といたしまして、地域の発展に資するためにいろいろととられた措置であろうかと思っております。そういった推測もできるわけでございます。  そういうこともございまして、自治省としては、こういった過疎地域市町村に対しましては、従来から、できるだけその地域の実情に応じた振興計画が達成できますように、いろいろと財政措置の強化をはかってきておるところでございまして、たとえば本年度におきましても、あと交付税措置いたします辺地債とか、あるいは過疎債といったようなものをかなり増額をいたしておりまして、四十七年度四百五十億円でございましたものを、四十八年度は六百七十億円と、約五割近く伸ばすとか、そのほか交付税の算定にあたりましても、過疎地域の実態に即して基準財政需要額増額をはかる、そういった措置をいろいろと講ずることにはいたしております。  しかしながら、こういった生活関連社会資本の整備といったようなこと等で、地方財政も非常に増大の一途をたどっておるわけでございまして、いろいろな事業も重なりまして、必ずしも財源が今後十分であるとは考えておりません。特に過疎地域市町村等におきましては、いろいろと問題をかかえておるわけでございます。今後ともそういった意味では、地方財源の充実を一方では十分はかっていかなければならないと考えております。また関係県とも連絡をとりながら地域開発適正化——不用意な乱開発ということにつながっても困りますから、また財政運営についても安易に、いまおっしゃったような、土地を売り払って、それで何かの足しにするというような単純な考え方でないように、適切な財政運営が行なわれますように、関係県とも連絡をとって、私どもとしては十分指導いたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  17. 中村茂

    中村(茂)委員 いま財政的な面についてお答え願ったわけですけれども、姿勢の問題として、このような総合商社なり観光不動産会社の別荘そのほかの観光開発のお先棒をかつぐような地方自治体あり方、これはやはり非常に問題だと私は思うのです。総合商社にうまい汁を吸われて、結果的には過疎対策にもならなければ、その地域住民のプラスには何にもなっていない。これはまだ結んでありませんけれども、おそらく、村、町の土地伊藤忠なら伊藤忠に売ったわけでありますから、これからどういうふうに村、町との開発協定締結されていくか、私どもは厳重に監視したいと思いますけれども、そのお先棒をかつぐようなことは地方自治体としてすべきではない、こういうふうに私は明確に思うわけであります。その点についての姿勢の問題についてお答え願いたいと思います。
  18. 土屋佳照

    土屋説明員 いまおっしゃいましたような姿勢の問題でございますが、もちろん地方自治体といたしましては、そこの議会もございましょうし、全体として自治体自体での御意思のもとにいろいろ行動なさるわけでございましょうから、一々そこに立ち入ってまで申し上げるような気は私ども持っておりませんけれども、ただ安易にそういった財政運営あるいは財産の処分といったようなことをするということは、これは慎むべきことだと思っております。そういったことが行なわれる理由がどこにあるのか、それが財政的な問題であるなら、そういった面についても十分われわれとしては配慮しなければなりませんが、基本的な姿勢としては、そういった地方団体の意思を尊重しながらも、安易な運営がなされないように、そういうことは十分指導してまいりたいと考えております。
  19. 中村茂

    中村(茂)委員 それから、いま申し上げた具体的な問題に関連して、別荘団地にほとんどなるわけでありますけれども、別荘に対しての税金的な措置、これがいま非常にあいまいになっているわけであります。  固定資産税の例で申し上げますと、非常に膨大な別荘の敷地があります。しかし、宅地並み課税は、軽井沢について見ますと大体一〇%。軽井沢に田中総理の別荘があるわけでありますけれども、そこの別荘などは非常に地域が広いわけでありますから、宅地並み課税は七%です。しかし、確かに大きな木があり、いろいろありますけれども、みんな丁寧に手入れされて、囲いは全部してある。違うところはどうなっているかというと、山林、原野、こういう方法であります。  それから、今度開発されようとしているのは、先ほど申し上げましたように、ほとんど別荘でそれが開発されていくわけでありますけれども、今度改正された土地譲渡等がある場合の特別税率、いえば租税特別措置法の一部改正が行なわれて実施されていくことになるわけでありますけれども、この条項をそれぞれ見ていっても、いま申し上げたような別荘が譲渡税の対象になるのかならないのか、全然わからないわけであります。それが税的な措置においてもいろいろなあいまいな点があるので、別荘開発ということで、土地問題を含めて、大手商社なり不動産会社がそういうところにずっと入り込んでくる、こういう要素にもなってくるわけであります。  したがって、いま申し上げました別荘についての固定資産税、譲渡税等の関係についてお答え願いたい、こういうふうに思います。
  20. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 別荘地に対する固定資産税の課税方法でございますが、別荘地態様がいろいろ異なっておるわけでございまして、その別荘地にすでに別荘としての家屋が建っておるというような場合には、その家屋の敷地並びにその家屋の維持もしくは効用を果たすために必要な土地の部分というものは、宅地という評価になってまいると思います。それから、建物がまだできておらないという場合でありましても、道路なりあるいは電気、水道というような、いわば住むための要件がいろいろ整備されておるというような場合につきましては、そういう土地についても宅地としての評価を行なうということにいたしておるわけであります。     〔松浦(利)委員長代理退席、委員長着席〕 また、別荘ということになっておりましても、まだ道路も電気もできておらないというような場合におきましては、その現況によりまして、その地目を山林あるいは雑種地としての認定をし、それに応じた評価をすることになるだろうと思いますけれども、その場合の評価にあたりましても、付近の宅地なりあるいは農地なりあるいは山林なり等との評価の均衡を考えながら評価を行なうということにいたしておるわけでございます。  ただいま御指摘のような、たとえば大手の不動産業者等が別荘用地として購入をしたというその購入の段階におきましては、まだ固定資産税の上では、直ちに宅地としての扱いをするということは困難だろうと思いますが、その造成の過程におきまして宅地化が大体可能であるというような段階からは、次第に宅地としての評価に移行をするというようなことになるだろうと思います。  それからまた、最近の大口の、ただいま財政課長に対する御質問がありましたような、取得されました土地につきましては、まず第一次的には特別土地保有税の課税対象になってくるだろう。それから別荘地が造成された段階におきまして、それぞれの状況に応じた固定資産税の賦課がなされてくるであろうというふうに考えておるわけでございます。  なおまた、別荘地につきましては、本年、地方税法の改正によりまして住宅用地の課税標準の特例措置が設けられたわけでありますが、これにつきましては、別荘用地は住宅用地としての扱い方をしない方向でただいまその措置を検討をいたし、できるだけすみやかに必要な立法の措置をとってまいりたいというふうに考えております。
  21. 中村茂

    中村(茂)委員 私の調査では、大体長野県にある別荘、既存のものについては、固定資産税、二〇%宅地並み課税、そのほかは山林、原野の課税、こういうのが実情です。しかし、別荘をお持ちになる方は、固定資産税くらいなものについてはびくともしない人が別荘を、特にいままでの既存のものについては持っているわけでありますけれども、そこのところでどうしても私納得できないのは、普通の山と違いまして、厳重なへいがあり、囲いがきちっとされて、いえば大きな庭園、こういうかっこうの既存の別荘が非常に多いわけであります。あれだけの厳重なへいがしてあり、中がつまからつままで、木が多いとはいうものの、手入れがされている。それがほんの二〇%が宅地並み課税で、あと全部が山林、原野並みの課税だ。こういうかっこうというのは、いま言われましたように、家がきちっと建っている、電気もいっている、道がある、それだけでは、当てはめていく場合になかなかきちっといかない面があるわけでありまして、やはりその土地全体がどういう態様になっているか、ほんとうにだれも入れないようにきちっとしたへいがめぐらしてあって——これはどんな大きい土地であろうとも、宅地並み課税という方向で検討してもらう必要があるんじゃないか、私はこういうふうに思います。  それから、後段のほうで言われました、私ちょっと聞き落としたのかどうか、今度改正になった租税特別措置法の中における土地譲渡等がある場合の特別税率の中の特に別荘——これは都市計画法の開発許可を要しない地域、いえば、都市計画法の開発許可を要するところはそれによって該当していきますから、山林の——山の中でありますから、これは当然都市計画法には、開発も何も該当してこないところでありますけれども、そこの別荘のところについては、この法律の宅地の用途に関する事項で除外されるということになると課税対象になるわけですけれども、これはたぶん、建設省の政令か何かそういうもので定まることに施行規則のほうでなっていると思うのですけれども、そこら辺のところをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  22. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 お答えいたします。  今回新しく租税特別法で規定されました法人の土地譲渡益に対する重課制度につきましては、これのそもそもの立法趣旨は、御承知のとおり土地騰貴の抑制ということが一番大きな立法趣旨になっております。しかしながら、こういう税を課する場合には、そのために優良な宅地の供給が阻害されるというような問題がある。それでは困るということから、優良な宅地の造成が行なわれた場合には、そちらに対して一定の利潤率を条件にいたしました上で課税をしないということになっております。  ただいま御質問別荘地をどうするかという問題でございますけれども、やはりこの土地重課の課税を行なわないということは、宅地の供給の緊急性の問題でございまして、そういう意味で、別荘地の供給の緊急性を課税との関係でどういうふうに判断するかという問題でございまして、この点につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、建設大臣が定める基準に従って都道府県知事が認定することに、法令上、現在なっておりますので、建設大臣と今後十分協議をいたしましてきめたいと考えておりますけれども考え方といたしましては、純粋の別荘のみの場合であればやはり否定的に考えるべきではないか。ということは、課税を行なうべきではないと考えております。  ただ、問題は、最近における地方都市の非常な発展と、それから交通機関あるいは道路の整備等によりまして、いわゆる通勤圏が非常に拡大をしておりまして、こういう問題から、通常別荘地といわれる段階におきましても、中に人が常住する場合もございますし、あるいは地方都市に対する通勤可能圏にある場合もございますし、そういう問題等は、建設大臣の基準を定めます場合にもやはり十分検討して考えていかなければならない、そのように考えております。
  23. 中村茂

    中村(茂)委員 これは別荘などを含めての乱開発の関係と非常に密接な関係が起きてくる問題でありますので、いま言われましたような、別荘と名がつくけれども宅地と同じになっているという状態を除いては、私はやはりきちっとした政令によって対処していく、こういう姿勢が必要ではないか、こういうふうに思っているわけであります。建設省の所管の政令でありますけれども大蔵省においてもいま言われましたような趣旨で、きちっとした政令になるよう心から望みたいと思います。  それでは終わります。
  24. 山中吾郎

    山中委員長 次に、石田幸四郎君。
  25. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私は、灯油の問題について、これから若干の質疑を行ないたいと思います。  最近の問題になっておりますのは、公害問題に悩む鉄鋼あるいは電力業界等で、いわゆるエネルギー源の低硫黄化対策として、家庭用に使用されるべき灯油を大量に流用しているのではないか、こういうようなことが問題になっているわけであります。  御存じのとおり、灯油は特に冬季の一般家庭の暖房用に使用されている状況でございます。さらにまた、ことしの冬季、三月ごろには東北、北海道において一部品切れ状況になって、大きな社会的問題になった。そういうような状況もあったわけでありまして、灯油の供給が少なくなるということは、一般家庭にとってたいへんな脅威になるわけであります。あるいはまた、供給不足のために灯油が値上げになるなどということになりますと、現在のインフレに対しても、心理的にもあるいはまた実質的にもきわめて大きな影響を与えるであろう、こういうふうに考えられるわけであります。  そこで、まず基本的にお伺いをするわけでありますが、灯油の年間生産量と消費量との関係はどういうような状態にあるか、それからもう一つ、年間生産量の伸び率、消費量の伸び率、こういった関係を含めてお答えをお願いしたいと思います。
  26. 根岸正男

    ○根岸説明員 お答え申し上げます。  まず、灯油の需給につきまして御説明申し上げますと、四十七年度、これはまだ完全に統計が集計されておりませんので、実績はまだ出ておりませんけれども、一応実績見込みで申し上げますと、これは供給計画のベースとほとんど狂っておりません。いまの速報ベースでいきますと、全体で約八万キロぐらいの狂いでございますが、一応消費量としては一千八百万キロというふうに、四十七年度はなっております。このうち、農林水産用といたしまして百四十三万三千キロ、それから鉱工業用といたしまして三百三十万六千キロ、それから建設・運輸関係といたしましては七十三万一千キロ、それから、いわゆる一般民需というものが一千二百五十三万一千キロございまして、これに対しまして生産は一千七百六十七万三千キロという供給量でございます。これは、消費より供給のほうがちょっと少ないじゃないかというお考えもあるかと思いますが、四十六年度は暖冬でございまして、非常に在庫が多かったものですから、その在庫を消費に回すという形で、この体制が十分とれたわけでございます。  四十八年度といたしましては、需要としましては二千三十四万九千キロという数字を、いまわれわれは想定しているわけでございます。この数字は、対前年伸び率でいきますと一三%アップでございます。この内訳としましては、農林水産用が百四十九万七千キロ、鉱工業が四百九十二万三千キロ、建設・運輸関係が七十六万三千キロ、それから民生用が千三百十六万六千キロということで、これに対します生産・供給は二千六十八万九千キロというような需給を想定しているわけでございます。  ここで一つ申し上げておきたいのは、鉱工業用関係につきまして、四十七年度が三百三十万キロに対して四百九十万キロと、百六十万キロの増加、約五〇%近くの増加を見込んでおるということは、われわれとしましては、鉱工業関係で公害対策用として、やはり非常にローサルファであり、かつ、ばい煙規制が非常にきびしくなっておりますから、ばい煙が出ないというための燃料として灯油にだんだんかわってきておるという状況でございまして、ただいまのところ、そういう需要を転換需要とわれわれ俗称しておりますが、転換需要も相当ここで見込みまして、二千万キロの生産をいたしますれば、十分今期においては需給はまかなえるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  27. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 四十八年度の生産見込みの中に、いわゆる鉱工業用というのが百六十万キロですか、これだけの増加を見込んでおる、こういうようなお話でございますけれども、この算定の基礎になっておるデータをどういうところからあれしているのですか。
  28. 根岸正男

    ○根岸説明員 お答え申し上げます。  これは通産省内部におきまして、各原局、原課を通じまして、公害規制の非常にきびしい地域につきまして、それぞれ各事業所がどのような希望と燃料転換の傾向を持っているかということを調べまして、それを計上したわけでございます。それがすべてカバーしておるかどうかということについては、われわれとしましても今後十分検討してまいらなければならぬ問題だと思っております。  それから、御承知のとおり昨年の後半から、十月以降、特に都市地域におきます燃料規制その他、規制が一段ときびしくなったという状態で、灯油あるいは軽油等を燃料として消費するという傾向が新しく出てきたという状況でございますので、われわれとしては、いま申し上げたように今後の需給状況をこまかく調べまして、それで対応してまいりたいと思っておりますし、それからもう一つ、四十八年度百六十万キロでおさまるかどうかという問題につきましても、要するに、ただいま不需要期でございますから、この十月以降の下期、ほんとうに灯油の消費が大きくなるのは十一月以降でございますので、九月末在庫、十月末在庫、十一月末在庫と、その辺の在庫状況というものを十分注意いたしまして、実際われわれとしては供給計画で、九月末在庫で約三百七十万キロでしたか、ちょっとその数字は明確に覚えておりませんが、そういうような在庫を予定しておるわけでありますが、われわれとしては、約四百万近いところまで持っていくように各石油精製所において努力してもらうように、ただいま指導しておりますので、その在庫状況が確保できれば、ある程度われわれの想定より転換需要がふえましても、十分民需用には支障を来たさないで供給できる。特にこれからは——現在としては、いま申し上げたように下期、要するに寒いときに向かっての灯油の在庫の積み上げ、それに努力してもらっておりますが、仰せになります時期においては、やはり民需最優先という考え方で指導してまいりたいと思っております。
  29. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最近、そういった大手企業の、灯油を含んだ重油の買い付けが行なわれているわけでございますけれども、その中の消費傾向としてどういう状況になっているのか、こういった点の把握はできておりますか。
  30. 根岸正男

    ○根岸説明員 お答え申し上げます。  詳しい資料を持ってきておりませんので明確に申し上げられませんけれども、ただいま申し上げました百六十万キロリットルのうち、たしか百二十万だと私は記憶しておりますが、それが大体鉄鋼用でございます。
  31. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 まず本年度の灯油の供給見込みを、特に一般家庭用の供給見込みというものを明確にするためには、最近のそういった脱硫関係から出てきている重油の買い付け、こういうものは、いわゆる生産量そのものはわかっているわけでありますから、そこら辺を的確につかまないと、今後の需要供給のバランスがどうなるかというのが明確にわからないんじゃないか、こう思うわけです。いろいろ話を承っていると、石油会社が一般産業用に灯油を流用させる場合、いわゆる出荷前に重油と混合する、こういうふうにいわれておるわけでございまして、そうしてみると、そういう需要企業のそういうような重油の使用量を見ても、これは明確にわかりません。しかしながら、生産する石油会社のほうで灯油をこれだけ生産して、毎月こういうような一般産業用にどれだけ流用しているかというのが、各石油会社の状況を見れば月ごとに出てくるはずだと思いますが、この点はどうでしょう。
  32. 根岸正男

    ○根岸説明員 お答え申し上げます。  いまの石田先生の御質問は、非常にわれわれとしてはむずかしい御質問でございまして、C重油にブレンドして、いわゆるローサルファのC重油という形で供給されているものが、それが重油という消費統計でしか出てこないわけでございます。ただ、結果といたしましてはS分が下がってきておるという形で出てきておりまして、それで今度は灯油の生産につきましては、これも先生よく御承知のことだと思いますが、得率という問題がございまして、過去の得率推移等からの傾向からながめまして、いわゆる灯油という形の生産量が、原油処理量に対して得率が、むしろ現状は昔から比べますとだんだん高まっておるという状況で統計が出てまいりますと、これは灯油という形で流しておるといってきめつけるわけにはいかぬわけでございます。  問題は、その全部が灯油という形でブレンドされるというわけではないので、要するに中間留分といわれるものが、これはいわゆる粗灯油とかあるいは粗軽油というような形のものがそちらに入っていくということで、一般民需に消費されますいわゆる白灯油と称するものが、これは完全に——完全にといっても多少、〇・〇幾つというパーセンテージで残りますけれども、脱硫をきちんとしたものが、いわゆる灯油という製品の形で民需用に供されるわけでございますので、その辺の灯油用の脱硫設備の稼働状況とかそういうものをにらみ合わせてチェックしてまいりますれば、私は、民需用の灯油の確保というのは十分できるというふうに考えている次第でございます。
  33. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういうふうになってまいりますと、現在のこういう重油をたいている各企業の低硫化対策というものが問題になってくるわけでありますけれども、特に四十八年度以降のそういう環境基準が出て、相当きびしくなっている。政府のそういった環境基準のみならず、各県、各都市におきましても、その硫黄分の多い重油をたいて、そしていろいろな公害病患者が出るということについては、特に私なんか名古屋でございますので、最近は非常にやかましくいわれておるわけでございます。そうしてみると、当初政府が立てたところの、そういうような環境基準から出てきたところの一つの生産目標はあるわけでありますけれども、その環境基準が二倍にも三倍にも強く出てくる。いわゆる五十二年までだと思いますけれども、その間の新しい環境基準の目標が設定されているわけですけれども、ここ二、三年の状況を見ますと、五十二年までというような、そういうような県、市の地方自治体の状況ではなくて、ここ一、二年の間には環境基準を達成しようというような、強い姿勢が出てきているわけなんです。特に最近は革新首長等が出てきておりますので、そういう要求にこたえようという姿勢も非常に強いわけでありますから、そういうふうに考えてまいりますと、現在の環境基準に基づいた脱硫装置、そういうものが各企業においては間に合わない、そういうようなおそれも出てくるわけでありまして、そういうような設備が間に合わないということになりますと、ますます灯油を混合した重油を使いたいという方向に走る。そういうふうになってくることは当然だと思うのです。  一体、各企業の低硫化対策というのはいまどういうふうに進んでいるのか、政府が考えておるようなスピードで間に合うのかどうか、この点ちょっとお伺いしたいと思います。
  34. 根岸正男

    ○根岸説明員 お答え申し上げます。  公害対策ということで、NOX問題あるいは粉じん問題、いろいろございますが、やはり硫黄酸化物というのが最大の戦略目標だということで、すべての施策がこれから始まっているという状況でございまして、われわれも四十年代の初めのころから、低硫黄化ということで努力してまいっておるわけでございます。  それで、硫黄対策として考えますと、これはもう御承知のとおり、排出源においてカットする方法と、それから排出源に対してローサルファの燃料を供給する方法と、大きくいってこの二つになるわけでございます。  排出源でカットする方法というのが、これは排煙脱硫装置ということで非常にいい設備がだいぶ出てきまして、これはもう企業、石油精製ばかりじゃなしに、各産業が一生懸命取り込んでこれを増設しておるという状況でございますが、ただ、これに一つ問題がございますのは、排出量が非常に大きな場合はなかなか効率よく動かないという問題がございまして、やはりそういうところに対してはLS燃料で供給していかなければならないということになるわけでございます。  全体として排煙脱硫もやるし、燃料のLS化も進めるということによって環境基準の達成がいち早くできるという認識に立ちまして、われわれも低硫黄化を進めているわけでございますが、この低硫黄化の手段としては一体何があるかということになりますと、これはもう言うまでもなく原油の、要するにローサルファの原油、低硫黄原油を輸入するということが一番てっとり早い方法でございますが、四十七年までの実績で申し上げますと、そういう低硫黄原油というのは、ミナスとかエトセトラ、南方原油と称されておりますが、ああいうふうなものがそれに入るわけでございますが、たとえば四十七年度で二億三千万キロの原油の輸入のうち約二〇%、これを二〇%以上にふやしていく。消費がふえれば、二〇%以上というのは実数として非常に多くなってまいるわけでありますけれども、これは何としても努力してまいらなければならない問題であります。ただ、それだけではどうしてもできないということで、あと重油脱硫、これはできましたいわゆるC重油からS分を抜いてしまう装置を活用するという方式でございまして、これも非常に努力していただきまして、四十七年度末では約四百万バーレルのトッパーの設備に対しまして、七十五万五千というところまで来ておりますし、将来は、四十九年ないし五十年までには百万バーレルまで持っていってもらいたい。それで各社そういう計画でただいま進んでおる状況でございます。  ただ、いま申し上げました重油脱硫設備、これは御承知のとおり脱硫、S分のカットについて技術的な限度がございます。ですから、先ほど先生御指摘の、環境基準がきびしくなって——実はこの環境基準はきまりましたけれども、各地域別あるいは発生源別の排出規制という数値がまだそれに対してきまっておりませんが、おそらく環境基準から考えればこういう排出基準になるであろうということは想像できるわけでございますので、そういうものに合わせるための燃料をつくりますとなると、ただいまの重油脱硫設備だけでは問題が残るということで、われわれとしましては、昨今新聞等に出ておりますように、重質油分解あるいはガス化脱硫というような技術をどうしても取り入れて、いわゆるC重油という名前の製品をできるだけ少なくしてしまう。それで、そういう重質油を分解いたしまして、分解灯油ないし分解軽油にしてしまう。あるいはメタン、エタン、あるいはLPGという形のガスにしてしまって供給する。  そういう形にしますと、ちょっと話が長くなって申しわけありませんけれども、重油というのはそういう中間留分的な油分とそれからアスファルトの混合状態になっておるわけでございまして、硫黄分というのはそのアスファルト——道路に敷いておりますアスファルトとちょっと違うのですが、アスファルト分と申し上げますけれども、アスファルト分の中に分子的に結びついた形になっておりますので、非常にアスファルト分からは硫黄がとりにくいという状態にあるわけです。このアスファルトというのは高分子でございますから、その高分子を分解してしまいますと硫黄分が遊離してくる状態になりますので、硫黄分除去というのは非常に楽になるわけでございます。  そういうことで、これは非常にコストがかかる問題でございますけれども、そういうような設備を導入してまいりたい。やはり新聞などで御承知と思いますけれども、数社でそういう計画をもう発表して、つい最近の石油審議会におきましても、分解設備でございますので許可対象になっておりますから、許可をおろしているという状況になっております。  重質油分解ないしガス化脱硫というのはいろいろな技術がございますので、しかも、たとえば昨今発表されました東亜石油のフレキシ・コーカーという設備がございますが、三万バーレルないし四万バーレルで約二百億かかるというような設備でございますので、各社どういう方式をとるかということで非常に勉強しておる段階で、各社ともある程度根本がきまりつつありますので、早晩そういう方向に進めるんではないかというふうに考えておるわけでございます。  そのほかにもう一つの問題としては、LNG、すなわち液化天然ガス、これの導入問題でございます。これは資源的な問題がございますし、現地あるいは受け入れについても相当大きな設備投資が必要でございますけれども、御承知のとおり電力は、非常に努力をして導入をはかっておるわけでございます。  そのほかに軽質燃料の採用、これは先生からいまおしかりを受けているわけでございますけれども、灯油、軽油という形ではなしに、たとえばナフサ、これは重質化ガソリンでございますね、こういうものもS分が少ないものですから、ブレンド基材として使って重油のS分を下げるというようなことに採用してまいるべきではないか。われわれとしましては、これは公害対策でございますから、そういう軽質燃料の消費について、これはいけないと言うことはなかなかむずかしい。その中でも灯油などというものは一般民需が大宗でございますので、これの確保もしなければならぬわけでございまして、いわゆる中間留分の増産ということが今後の石油精製の重大な課題になってまいります。そういう意味でなおさら重質油分解の技術の導入を大いに進めなければならぬというふうに考えているわけであります。  非常に長くなってしまいましたのですが、以上申し上げたような対策を進めておるということでお答え申し上げます。
  35. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは新聞記事の内容になりますが、通産省は公害業種の排煙脱硫装置の設備状況について調べたことがある。その対象は九業種百四十二企業、こういうふうになっております。それで昨年十一月までに設置をされたものが百三十八基、こういう状況になっておりますけれども、そういうようないわゆる脱硫装置をつけなければならないという工場、設備の総数ですね。百四十二企業あるわけですね。だけれども、一企業の中に、たとえば電力会社ですといろいろな火力発電所を持っておるわけでありますから、そういう脱硫装置をつけなければならないと思われる工場の数というのはどのくらいあるのですか。わからないですか。
  36. 根岸正男

    ○根岸説明員 どうも申しわけありませんけれども、私、石油担当で、全業種についての数字等は……。
  37. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この辺のところが十分究明されないといけないわけでありますが、きょうはいろいろな事情があって、そこら辺のところまで入れないと思います。しかし、いずれにしても心配をいたしておりますのは、実際にそういう民生用の灯油を確保するといっても、これはいわゆる行政指導程度のもの、あるいは石油会社に対する勧告ができる程度のことであって、実際にそういう脱硫装置がつけられないときに各企業がどんどん灯油を使うというようなことも、これは実際問題としてなかなかチェックができないわけですから、そういう点を考えると、ことしの冬季における一般需要の灯油を確保することがはたしてできるかできないかということは、私たちは非常に不安に思うわけですけれども、その点についてもう一度……。
  38. 根岸正男

    ○根岸説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、これは非常に重大な問題でございます。そういうことで、先ほどもお答え申し上げたと思いますけれども、下期に入りますときの在庫状況、これが非常に重要な問題になりますので、われわれとしましては、供給計画で見込みました量以上に在庫を積むように実は増産を指示しておりまして、昨今の統計の速報等で見まして、ある程度その方向で生産状況は進んでおるというふうに私どもは了解しておりますが、なお今後も毎月の状況をよく調べまして、その確認をしながら在庫の積み増しという状況を調べてまいりたいというふうに思っております。
  39. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一点、灯油の問題でお願いをしたいわけでありますが、海外の原油がかなり値上がりをしております。そういうようなところから、こういう油関係が年々値上がりをしておるわけでございますけれども、灯油というのは、各家庭の主婦が購入をするケースが非常に多いわけでございます。そういった意味で、灯油が去年あたりも、上がった、上がったという声が主婦の間でもずいぶんありました。こういう状況について、本年度の灯油価格形成についてはどういう見通しを持っておられるのか、この点いかがでしょう。
  40. 根岸正男

    ○根岸説明員 お答え申し上げます。  価格問題につきましては、これはつい最近の新聞紙上等にも報道されておりますけれども、新ジュネーブ協定の締結ということで、原油の値上がりがはっきりきまったわけでございます。詳細については、各精製会社等にまだ、そういうOPEC諸国ないしはメジャーからの通告がございませんので、具体的にどういう値上がりになるかということはまだわかっておりませんが、やはり上がることは事実でございます。  われわれとしては、原油価格引き上げを理由としての灯油価格引き上げということは、これは一般民需品であるという性格からいって非常に好ましくないというように考えておりますし、今後も極力、そういう一般民需品の値上げを回避するように指導してまいりたいと考えております。
  41. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 斎藤参事官、お見えになっておりますか。——いまの問題に対して、これは家庭用の問題が多いわけでございますので、経企庁としても厳重にチェックして、この価格が、安定供給できるようにひとつ御努力願いたいと思いますが、これについての御意見を伺いたいと思います。
  42. 斎藤誠三

    ○斎藤説明員 企画庁としましても、従来とも、灯油の価格の安定については深い関心を持っておりまして、今回重油の原油の値上げ等についても、今後の推移を十分に見守りまして、ただいま通産省からお答えもありましたように、原油の値上げを理由とする灯油の値上げ等が秋以降起こらないように、十分監視してまいりたいと存じます。
  43. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、灯油の問題は以上にいたしまして、次に大豆の問題について若干お伺いをしたいと思います。  ことしのとうふの値上げは、異常な買占め、売惜しみ等に伴う物価高騰の中で、きわめて印象的な事件でありました。再びこういうことが起こらないような対策がきわめて大切であると思うのでございますが、四十八年度の大豆の需要供給の見通しについてはどういうふうになっているか、まずこの点から伺いたいと思います。  特に、新聞等の記事によりますれば、昨年の欧州、中国、ソ連にまたがる世界的に異常な気象現象のために、ソ連がアメリカから大量の大豆の買い付けを行なった、それからまた中国が——従来、中国は日本に大豆を供給していた国でありますけれども、この中国がアメリカから大豆を購入した、こういうようなところから、シカゴの定期市場の大豆相場が約二倍の九ドルぐらいまではね上がっておる、こういうような状況も報道されておるわけでございます。  こういうような点から考えて、四十八年度分の大豆の需要供給の見通しはどうなっておるのか、そこら辺からまず伺いたいと思います。
  44. 籾山重廣

    ○籾山説明員 食品流通局の食品油脂課長でございます。  四十八年度の大豆の需要でございますけれども、ただいまのところの私ども見通しといたしましては、製油用に二百七十万トンあまりを考えております。それからそのほかに、食品その他えさ等を含めまして八十万トン程度のものを考えておりまして、需要は合わせまして三百五十万トンちょっとになろうかと考えておる次第でございます。  また一方、大豆の供給を見ますと、国内産の大豆は御承知のように五万五千トン程度というふうに見込まれる次第でございますので、そのほかに期初在庫、期末在庫、持ち越しといったものを考慮いたしますと、輸入量が三百四十七、八万トンから三百五十万トン程度になろうかというふうな、およその見込みをつけているわけでございます。  先生御指摘のように、最近のシカゴの定期相場、非常に高い水準になってまいっております。三月の終わりから四月ごろには、一時若干落ちつきも見せておったわけでございますが、四月の後半から五月にかけて、だいぶ高い数字になっております。そのシカゴの相場からいきまして、必要量の確保ができるだろうかという御心配があろうかと思います。御承知のように、製油用それから食品用含めまして、わが国の場合は、アメリカの定期市場から相当先物の買い付けをやっておりますようでございまして、ただいまの私どものつかんでおります情報では、相当量の先物の手当てを終わっているというふうに考えておりますので、特別の事情の変化がない限りは、まず今年度の需給に不安はないというふうに考えている次第でございます。
  45. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大豆を供給してくれる国は主としてアメリカでありますが、アメリカの生産量が三千五百万トンから三千七、八百万トンある、こういわれておるわけですが、その中で、アメリカ自身が消費している量というものは、どのくらいですか。概数でけっこうです。
  46. 籾山重廣

    ○籾山説明員 アメリカの消費の正確な統計を持ち合わせてございませんで、たいへん恐縮なんでございますけれども、通常、昨年の九月で始まります大豆年度の、九月から三月までの実績を見てみますと、月間一億一千万ブッシェル、その程度の消費をしているようでございます。もちろん、その消費の中にはアメリカの内部の搾油だけではなくて、輸出向けの需要を含めた数量でございますけれども、例年より若干多目に需要があったように受け取られております。
  47. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 トン数換算はわかりませんか。
  48. 籾山重廣

    ○籾山説明員 一億一千万ブッシェルで三百二十万トン弱かと思います、概算いたしますと。
  49. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 四十七年度においては中共大豆は二十五万トンの購入量があったわけでございますが、新聞報道等によりますと、どうも中国大豆というのは先行き供給量がきわめて少なくなるというよりも、なくなってしまうのではないか、こういう不安がありますが、その点についてどうですか。
  50. 籾山重廣

    ○籾山説明員 中共の貿易につきましては、御承知のように、従来は、覚書貿易によります輸入の方法と友好商社によりますところの交易会を通じましたものと、二通りあるわけでございますけれども、先生御指摘のように、昨年の場合は二十五万トン余の成約を見て、このものが到着したわけでございますが、本年度におきましては、昨年の作柄が非常に悪かったというようなこともございまして、この春に中共との交渉でまとまっておりますのが、覚書貿易で十万トン、それから広州交易会による友好商社分がいまのところ二万五千トンくらいではないかという推計が入っておる次第でございます。  覚書貿易のほうにつきましては、昨年とれましたものが旧穀になりますのですけれども、七、八月積みで二万トンというふうに見ております。新穀は、十一月以降十二月、それから一月——三月というふうに分かれまして、残りの八万トンが入ってくる、こういうような計画になっております。その先につきましては、新穀が現実にとれる段階になりませんと明確なことは固まってまいらないというふうに、私ども理解しておる次第でございます。
  51. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 現在アメリカでは、三カ月あとの大豆の在庫調査を行なっているそうでございますが、国内需要等に対する供給量の見直しを行なうだろう、こういうふうに思われるわけでありますが、六月末発表の状況によっては若干の輸出規制が行なわれるかもしれない、そういうような話もありますが、こういうような中国産の大豆の購入減、あるいはソ連の大量買い付け、あるいはアメリカ相場の上昇あるいはまた在庫によるところの輸出規制というような問題から、やはり大豆の商品相場がかなりまた高騰してくるのじゃないか、こういうような心配があると私は思うのですが、この点についてはどうですか。
  52. 籾山重廣

    ○籾山説明員 お答え申し上げます。  御指摘のようにアメリカの場合は、ことしの四月一日に、アメリカの農務省が四月一日の在庫を発表いたしまして、それが当初見込んでおりましたものよりも三千万ブッシェル程度低下しておったという事実がございまして、そのことから、四月以降の新穀出回り期の期間の需要に引き当てられる数量がそれだけ少なくなるという見通しから、シカゴの相場も高くなりましたし、そのほかに例のペルーのアンチョビー、カタクチイワシの漁獲禁止という要素も加わりましてシカゴの相場も高騰しておるわけでございますけれども、そういったことから、アメリカの内部でも輸出の成約量の報告をとるというような動きが、情報として入ってきておる次第でございます。その結果いかんによって輸出規制があるのではないかというようなうわさが流れておるように、情報が入ってきております。  しかしながら、現在のアメリカの国内では、ああいう自由経済をたてまえとする国でございますので、輸出の規制をするという国内法規が整備されているものではないというふうに承っておりますし、そういった自由主義の経済を前提とした定期取引をやり、しかも売りつなぎをするというようなことが行なわれております現状からいたしますと、私ども、輸出規制が現実に行なわれるというような確定情報としての受け取り方をしておるわけではございません。  中国につきましては、先ほど申し上げましたとおり、新穀がどうなるかということの若干の心配がございます。  ただ、そういったような現状を踏まえましても、現物の手当てにつきましては、先ほど申し上げましたとおりかなり先物までの手当てがついているということと、それから国内相場も、先生御指摘のとおり、五月に入りましてから若干上向いてはまいっておりますのですけれども、シカゴ相場の動きのような極端な動きをしているわけではございませんで、じりじり若干締まりぎみではございますけれども、いまのところは、そういわゆる仮需要的なあるいは買い急ぎ的な動きというのは見られないと私どもは考えております。そういったことから、物量の確保ができておりまして、実需者なり流通段階それぞれが特別の不安を持たないでいく限りは、前回のような買い急ぎの傾向あるいはそれに基づきますところの暴騰というようなことはないのではないかというふうに、私ども見通しておる次第でございます。
  53. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いまのお話を聞いた範囲では、残念ながら大豆の価格安定というような方向には向いておらないように見えます。商品相場の動きもありましょうし、さらにまた、四十八年度分の手当ては済んでおるといいますけれども、そういった海外市場の状況等によって、それを扱う業者がやはり価格高騰をはかってくるのじゃないかというような危険性も非常に強く感じます。この点についてはひとつ厳に注意を払って、価格の上で安定して供給できるようにしてもらいたい、これを要望しておきます。  それから、大豆の国内生産の問題について若干お伺いをしたいわけでありますけれども、将来における世界的な食糧不足、食糧危機は必至である、こういうふうにいわれております。また、こういう農産物は非常に気象現象によって左右されるわけでありますので、大国の大量買い付け等の問題で価格がしばしば不安定になるわけでありますから、やはりそういった農産物については、ある程度の量は——全体の需要量の何十%というふうに押える、その数字はともかくとしましても、国内生産というものもかなり考えていかなければならない、私はそういう時代の流れであろう、こういうふうに思うわけであります。  聞くところによりますれば、五十七年度までに食品用の大豆は八〇%を国内生産でまかないたい、こういうことをいっておられるわけでありますが、八〇%ということになりますと、何トンを生産目標として掲げていらっしゃるのか、まずその点からお伺いしたいと思います。時間がありませんから、ひとつ簡潔にお願いします。
  54. 本宮義一

    ○本宮説明員 お答えいたします。  数量にいたしまして五十四万トンでございます。
  55. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その数字はさっきと違うのですがね。先ほど、食品用の需要見通しは八十万トンである、こういうふうにおっしゃっておりますが、そのうちの八〇%ということになりますと六十四万トンということになりますが、十万トンの食い違いはどういうわけですか。
  56. 本宮義一

    ○本宮説明員 ただいま申し上げました数字は、食品用のみそとかしょうゆを除きました、とうふとか納豆といった食品用の大豆の需要量の見通しが七十万トンでございます。それの八割程度の五十四万トンを国内で生産したいという計画でございます。
  57. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 わかりました。  それでは、その数字が明らかになったわけでございますけれども、十年後の目標というのはあまりにも気の長い話じゃないかと思うのですが、これはもう少し縮まらないですか。特に大豆の生産量拡大というのは、いわゆる稲作転換の戦略作目として農林省が積極的に生産の振興につとめている、こういうふうにいわれているわけでしょう。これは私の私見でありますから、五十七年度までしかどうしてもそういう計画が立たないのだと言われればそれまでのことですが、その中で一つ問題になってきたことは、五月三十日に田中総理が、世界的な食糧不足の中で日本だけが生産を押えるのは実情に合わない、こう言って、休耕田をやめる、こういうような発表をしたわけです。そうしますと、稲作転換の戦略種目としてこれを扱っているわけですから、この田中総理の発言によってこの計画は全面的に狂っちゃった、こう私は考えざるを得ないのです。この点はどうですか。
  58. 本宮義一

    ○本宮説明員 御指摘のとおり、現在の大豆の面積は十万ヘクタール程度でございますが、これを何とか稲作転換という事態に備えまして、水田に大豆の作付を進めてまいりたいという計画で進めておるわけでございまして、いま現在の計画では、五十二年——五十七年を先ほど申し上げたわけでございますけれども、五十二年見通しにおきまして、畑作において八万ヘクタール、これは若干現状の面積をふやした程度でございますけれども、稲作転換によりまして十六万ヘクタール程度の水田に大豆をつくってまいりたい、こういう考え方をいたしておりまして、いま非常に問題は、水田に大豆を植えることについての基盤の整備とかいろいろな問題がございますけれども、そういったような形で、こういう需要量の増大をする食品に対して国内の生産を高めてまいりたいという考え方を持つものでございます。
  59. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その十六万ヘクタールが今度、総理の発言でだめになっちゃうんじゃないですか、休耕田やめろというんですから。
  60. 本宮義一

    ○本宮説明員 私ども理解では、休耕田というのは全く稲作をやめて、早く言いますと休耕してしまうということは、これはせっかくの農地でございますので、そこに重要な農作物を転換させて入れていくという考え方に立ちまして、転換水田の中に十六万ヘクタール程度の大豆面積をぜひつくってもらいたいという考え方に立つものでございます。
  61. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 休耕だけのせいではないでしょうけれども、そういうような米の生産を積極的に拡大するということになりますと、やはり価格の問題がらいって、大豆と米では収入が比較にならぬでしょう。そういったところから、いま農林省が考えている計画がだめになっちゃうんじゃないかというふうに私は心配しているんですけれども、その点はどうですか。
  62. 本宮義一

    ○本宮説明員 御指摘のとおり非常にむずかしゅうございますけれども一つには、基準価格が大豆の場合、米に比べて非常に低いということで、なかなか稲作から大豆にかわらないんではないかという御趣旨は、全く私どもも、その点については苦慮しているわけでございます。大豆が、米に比べて非常に基準価格が低いということです。この基準価格の設定にいたしましても、一般の農業パリティの指数の伸び等を基礎にいたしまして決定されるということで、ことしの秋にまた四十八年産大豆の基準価格を決定いたしますけれども、その際にも、そういった面で価格のそういう伸びを十分はかってまいりたいということを、われわれ考えておるところでございます。
  63. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 では、最後にもう一点。  一体、米に見合うだけの基準価格ということになりますと、一俵どのくらいまで上げれば可能なんですか。そこら辺まで上げなければだめでしょう。仮定の話ですよ。いまの米作の値段から考えてみて、大豆の植えつけを奨励するためにはそこまで収入が近づいていかないと、農家は必然的にやりませんよ。一俵五千円でしょう。どこら辺まで上げれば大体農家は納得するのかという点を、仮定の話として伺っておるのです。
  64. 本宮義一

    ○本宮説明員 ただいまの御質問でございますが、米の反収と大豆の反収に非常に開きもございますし、現在米の価格が八千円以上しているわけでございましょうから、現在の基準価格においても相当格差があります。と申しますのは、相当大幅に価格を上げなければ、なかなか農家が稲作をやめて大豆をつくるというのはむずかしいということに相なろうと思います。ただ、大豆の場合は非常に労働時間が少ないといったような問題もございますし、それから北海道、大豆の主産地は主として北海道でございますけれども、これは一つの要望としては、北海道の方たちは一俵一万円程度の価格がほしいというような御要望が出ております。
  65. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういうような要望も当然出てくるであろうと思います。  いずれにしましても、こういう資源問題というのは、すでに世界的なケースで考えなければならないというふうになっておりますけれども、しかし、今日のたとえば牛肉の問題にいたしましても、豪州あたりから輸入してくるわけでありますが、その輸入量は、そう急速に増大が期待できない、こういう問題もあります。そういうふうに全体的な立場から、この大豆の問題においても、いまの休耕、それから米作の伸長というような問題も出てきておりますので、もう一ぺんこれを見直していただいて、少なくともとうふ用とかみそ、しょうゆ等の大豆については、国内産でも十分やっていけるような対策をひとつ根本的に考え直していただきたい、こういうふうに要望申し上げて、私の質問を終わります。
  66. 山中吾郎

    山中委員長 次に、小林政子君。
  67. 小林政子

    ○小林(政)委員 質問に入ります前に、昭和四十八年四月二十六日、私の本委員会における発言中、上毛高原駅からわずか一・五キロメートル以内の山林、原野、これが具体的に昭和四十三年から四十四年にかけて、群馬県利根郡のいわゆる月夜野町の字石倉地区という地域が相当買われている、との発言がありました。この石倉地区での土地が相当買われているという発言内容は変わりませんが、一・五キロメートルと言いましたのは一・五里の言い間違いでありますので、この機会に字句上の訂正をさせていただきます。  それでは質問に入りたいと思います。  最近の卸売物価消費物価は異常な高騰を続けておりますけれども、戦後の混乱期の一時期を除いて最高の上昇率を示しております。総理府統計局の消費者指数の発表を見てみましても、被服費、食料費など日常生活物資が非常に値上がりが激しいわけでございます。全国四月段階では、被服費が対前年同月比で一八・三%、食料費が一〇・五%と大幅な上昇をいたしているわけでございますけれども、このような状況の中で、国民の主食であります米の価格の値上がりが国民生活を圧迫していることも事実でございます。  四十七年の四月物統令が廃止されまして以降、消費者米価の値上がりの状況を見てみますと、銘柄米の平均価格で見ますと、物統令が廃止された四十七年四月の場合は六十キロ当たり一万三千百四十円、そして現在四十八年の五月一万四千四百円、この差は千二百六十円で、九・五八%の上昇ということになりますし、また、具体的にちょっと数字をあげてみますと、銘柄米のいわゆる指定産地の品種精米を例にとってみますと、四十七年の四月に十キロ当たり二千百九十円、五月には二千二百円、六月には二千二百十円、そして七月も二千二百十円、八月には二千二百二十円、九月に二千二百二十円、十月に二千三百五十円、十一月が二千三百八十円、そして四十八年に入りまして、二月で二千三百九十円、三月で二千四百円、四月と五月と同価格でございますけれども、このように一貫して米価が上がっている、こういうことが実態でございます。また、いまのはいわゆる指定産地の品種精米を例にとったわけでございますけれども、国内産の上米といわれておりますものの平均価格も、四十七年の物統令が廃止された四月に六十キロ当たりで一万二千百八十円だったものが、現在、五月段階では一万三千七百四十円、千五百六十円も上がっておりますし、一二・八%の上昇であります。また国内産の中米、この平均価格を見ましても、四十七年四月、六十キロ当たり一万一千四十円だったものが、四十八年五月には一万二千三百円、この差は千二百六十円の値上がり、一一・四一%の上昇ということになります。  このように、非常に米の価格が上昇をしているわけでございますけれども、私は、このような状況の中で、特に食管法が第四条の二項でもって規定をいたしております、消費者の家計の安定をはかる、そのための価格で米を供給する、いわゆる標準価格米、この充実をはかるということが、当面はきわめて重要ではないかというふうに考えますけれども、この点についてまずお伺いをいたしたいと思います。どのようにお考えでございましょうか。
  68. 森整治

    ○森説明員 先生の御指摘になりました数字について若干、単位——一万三千とおっしゃいました点、ちょっと私ども、どういう数字だか、たいへん恐縮でございますが……
  69. 小林政子

    ○小林(政)委員 六十キロ当たりです。
  70. 森整治

    ○森説明員 そうでございますか。そのいまの先生御指摘の数字につきまして、どの段階での数字ですか、ちょっと判明しがたい点がございますが、御質問の全体の御趣旨からいたしまして、私どもも、もちろん消費者の主食、消費者米価につきまして重大な関心を持っておることに変わりはございません。昨年物統令を廃止いたしましたけれども、従来の統制価格を引き継ぎまして標準価格米というものを常置いたしまして、それを中心にいろいろ、新規参入の措置だとかそういうことをはかって、いろいろ競争条件を整備することによりまして、末端の価格が値上がりしないようにずっと配慮してきておるわけでございまして、やはり政府が全国的に米を管理をいたしておる、直接買わないこともございますけれども、そういう中で、当然われわれとしては、微に入り細をうがって消費価格の安定につとめておるつもりでございます。
  71. 小林政子

    ○小林(政)委員 私がいま申し上げた数字は、食糧庁と総理府統計局からいただいた数字で述べておりますので、この点についてはあとでもってはっきり——何か、わからないというようなお話でございましたけれども消費者米価が非常に上がっていることは事実でございます。私がいまお聞きしたのは、こういった状況の中で、いわゆる標準価格米ですね、これの充実をはかっていくということが、諸物価がこのような急上昇を続けているおりでもあり、米価の上昇が行なわれているというときでもありますし、この充実をはかるということが当面非常に重要ではないか、こういうことをお聞きしたわけなんです。この点についてはどのようにお考えですか。
  72. 森整治

    ○森説明員 物価統制令を廃止いたしました私どもの考えの基本は、やはり米につきまして消費者が一つの規格的なもの、あるいは質はともかくとして同一の価格でのお米、そういうことよりも、質に応じた、いろいろな品物につきまして選好を経て買われていくんだという、そういう考え方が基本にあったわけでございます。したがいまして、やはりお米も質に応じて価格の差が出てしかるべきであろう。しかし、そうはいうものの、やはり従来政府の配給米としまして一定の価格で売られておりましたそういうお米を、全部廃止するわけにはいくまい、その中で、やはり基本的に従来の価格と同じお米を販売するということで、標準価格米というものを設置したわけでございます。したがいまして、そういうお米、従来の統制価格、若干価格の改定がございましたが、そういうもので国民が必要である、ほしいというものにつきましては、そういう希望のある限り、それを全部、全量満たすだけの供給体制をわれわれはとりまして、それを販売していくということで、従来引き続き指導をしてきておるわけでございます。今後もそういう考え方に変わりはございません。
  73. 小林政子

    ○小林(政)委員 標準価格米については、いまお話もございましたけれども、四十七年四月の物統令廃止に対して、国民の主食である米の消費価格高騰するという国民からの強い不安と、そしてまた反対もございまして、従来のいわゆる配給と同じ質で同じ値段の米を販売するということで消費者米価抑制の効果をねらう、こういうことでつくられたものでございますし、したがって、私どもは、この標準価格米が当初、政府売り渡し米の中の何割くらいを占めていたのか、そして現在はそれがどうなっているのか、何割くらいになるのか、この点と、それからいまお話もございましたけれども、最近は標準価格米について、消費者がほしいと希望してもなかなか手に入らない、そしてまた小売商やあるいは生活協同組合などが、売れるからこの米をほしいということをいっても、割り当て量が減っているのかどうか知りませんけれども、なかなか手に入らないというような事態が起こっておりますが、この主要な原因は何だというふうにお考えなんでしょうか。
  74. 森整治

    ○森説明員 標準価格米の原料といたしまして政府が売っているお米は、御承知のように非銘柄米でありまして、それは全国でも、延べでならしますと、政府が売るもの以外の自主流通米も含めまして大体四五%、政府が売るものにつきましては約六割、六〇%、卸に売却をしておるということになっております。ただ、消費者が逆に今度は小売りを通じて買っておる購入状況、これは総理府の家計調査なり、われわれが調査しております消費者動態調査というのもございますが、大体似たような数字になっておりまして、全体の購入量の約三六%が標準価格米ということになっておるわけでございます。したがいまして、その間の差の問題はございますけれども、標準価格米が相当程度販売をされ、消費をされておるというふうにわれわれは見ておるわけでございます。その中で、確かに地域的にはいろいろ差がございます。生産県に行きますと、たとえば東北地方は相当高い水準の消費量を示しております。大都市、東京あたりになりますと非常に低くなってくるというような問題がございますが、いずれにいたしましても、地域差は別にいたしまして、標準価格米というのが、確かに先生御指摘のとおりに、お米屋さんの一つ中心の販売の品物になっておるということは間違いございません。  ただ一部、標準価格米が消費者の手に入りにくいという指摘がございました。そういうことにかんがみまして、最近、三月でございますが、あらためて、標準価格米を必ず店頭を通じて販売をするようにということ、その販売価格を店頭に掲示をするということを、従来この指導をしておったわけでございますが、重ねて、都道府県知事を通じまして、また食糧事務所にそういう監視の体制をとるということで、業務監査もやっております。巡回指導もやっております。そういう結果、われわれの見ておる限りでは、大型集中精米でございますとか、それから小売りの店頭の小袋詰めでございますとか、あるいはばらで売っているものも若干あるようでございますが、いずれにいたしましても、標準価格米につきましては、必ず消費者の御希望に沿えるようにということで鋭意指導をしておるわけでございます。
  75. 小林政子

    ○小林(政)委員 そのような通達が三月段階で出されたということですけれども、現実に常時店頭に準備して置いておく、あるいはまた、消費者にいつでも希望があれば提供できるというような、そういう状況が行き渡っているというふうにほんとうにお考えですか。
  76. 森整治

    ○森説明員 基本として、私どもはそういうふうに考えております。  ただ、こういう問題はございます。たとえば、先ほど生産県と申しまして東北と申しましたけれども、東北はわりに非指定銘柄米が多い。そういう場合に、原料は非指定銘柄米でございますから、そういうところで非常に標準価格米の率が高い。それから逆に、ほとんど指定銘柄米の生産、要するにお米の品種が全部指定銘柄になっておるという地域がございます。たとえば北陸でございます。そういうところで、むしろ他県産のお米をそこへ持っていかないと、標準価格米といいますか、非常に妙な話でございますけれども、他県の非銘柄米、指定されていないお米をそこへ搬入いたしまして、標準価格米ということで千六百円程度のお米を売っておるというのが現状でございまして、逆にそういう県では、やはり自分のところでとれたお米がいいのだという感じのところもございます。これはお米屋さんがそういうということでなしに、やはり県民全体が自分のところのお米を食べたいということになるわけでございます。  そういう場合のことも考えまして、政府といたしましては、そういう産地の指定銘柄のお米で自県で消費するものについては、若干の値引きをして供給するということをやっております。ただ、そういうようなところで、非常に形式的には、千六百円程度の標準価格米でないお米が売られるというようなことから、標準価格米がないではないかというような御指摘なり何なりがあるかもしれませんけれども、実態はそういうことでございます。それでも、自県産以外の他県のお米でもいいからやはり千六百円程度の安い米がいいのだということであれば、そういう操作を政府のほうで政府運送をかけて配慮するというたてまえで運用しているわけでございます。
  77. 小林政子

    ○小林(政)委員 私ども、相当方々で話を聞きましたけれども、やはり標準価格米の場合は店頭へ行けばいつでも必要とする量、希望するだけ——いつでも表示もしてあるし、手にも入るというようなところまで実際にはいっていないというのが現状なんですね。私は、この問題はやはり政府政策として、一つには割り当て制度というようなものを具体的にとっているのではないか、国がむしろその割り当て制度というようなことで、政府の配給米と自主流通米を抱き合わせでもって割り当てていく、こういうような計画をおとりになっているのではないか、こういうふうに思いますけれども、いかがですか。
  78. 森整治

    ○森説明員 たてまえといたしまして、あくまでも希望によりまして販売をしていくわけでございますから、需要に応じて、政府のほうもそれに合う供給体制をとっていくというのが原則でございます。ただ、割り当てを何かするというようなふうのお話もございますが、やはり政府米と自主流通米の間の品質——最近の自主流通米の値段も、いろいろ高いものから非常に政府米に近いものもございます。そういうような関係で、自主流通米につきましても、ものによりましていろいろな問題がありますけれども、たてまえといたしましては、あくまでも従来の自主流通の売れ行きに応じて、——自主流通が売れておる、それに対しまして、政府米も従来の売れ行きを見ながら割り当てをしていくという考え方を貫いてやっているわけでございます。
  79. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、やはりこの標準価格米とは、できたときの、こういう制度をつくったときの考え方からいけば、ほんとうに安いお米を、しかも安定して供給できる、質もいままでの配給米から比べて落ちていない、価格も差がない、こういうお米を——比較的質もよいし、あるいはまた価格も生計費等と見合ったそういう米を確保するのだ、こういうことが主でつくられた制度でございますし、当然この問題は、非常に重要だというふうに思うのです。ところが、その米が、希望してもなかなか手に入らない。いつでもお店に行けば手に入らなければならないというたてまえはとっているけれども、実際にはなかなかそれが手に入れることができない。  ここの根本的な大きな理由は、一つには、私はむしろ、いまも申し上げましたけれども、いわゆる割り当て制度、こういった問題が大きな原因ではないだろうか。これは実際に四十八年の一月二十二日に食糧庁が食糧事務所長あてに出している通達ですね。この通達なんか見てみましても、自主流通米等は極力予定数量を達成するよう努力する。ともかくまず自主流通米、これを予定数量を達成をするように努力をする。そして、その自主流通米が予定数量を下回って、いわゆる総需要量に残が出た場合には、当初割り当ての政府配給米と自主流通米との割合に応じて、政府の配給米についてもワクを残す、こういったふうな通達を具体的に出されているわけですけれども、これでは、自主流通米の販売を小売店に対して政府が強制し、督促をしているというようなことになるのじゃないかと思うのです。この点について、いかがですか。
  80. 森整治

    ○森説明員 一番最初に申し上げましたように、標準価格米が販売されていないということは、もしそういうことがございますれば、われわれとしても重大な問題でございまして、そういう点のないように十分まず指導しておるわけでございます。もし具体的にそういう店がございますれば、あらかじめわれわれも、そういうものを売ってなかったり何かすれば、やはり登録更新等について、登録を行なわないということもあるよということを事前に通告をしておるわけでございます。むしろそういうことは、具体的に業務監査等を通じて指導してまいりたいというふうに思っておりますが、いま先生御指摘の、割り当てによってだいぶしぼっておるようなお話でございますが、県ごとに、われわれ政府と県との間で配給のいろいろ詰めをやります。その場合に、政府米と自主流通米に分けまして、各県の状況に応じて協議をしながらきめていくというやり方をやっておるわけでございます。  それからもう一つ、こういう席で非常に言いにくい話なんでございますけれども政府が卸に売り、卸が小売りにそのまま全部非銘柄米というものを売りまして、それが全部そのとおりに標準価格米として売られるとするならば、先ほどの、全国平均で三六%と四五%の差額の問題というのは出てこないはずでございます、もしそれが全部消化されれば。ただ、これは標準価格米がそこまで売れていないからということもありましょうし、逆に、言いにくい話でございますけれども、小売りがほかの米とまぜて、もう少しブレンドした米を売るという場合もあろうかと思います。これは、そういうような問題がございまして、われわれとして、ほんとうに必要な標準価格米について、必要なものについてはあくまでもそれを供給するということは、これはお約束をしてかまいませんし、当然なことなんでございますが、その辺の問題は、必ずしも政府が売ったとおりに、それが全部標準価格米になる必要はないわけでございますけれども、そういう若干の問題というのはないとはいえないと思います。ただ、われわれといたしましては、あくまでも消費者の希望する標準価格米の原料を、その県と協議をいたしまして、十分な量を供給をしておるというふうに考えておるわけでございます。具体的に何か個々の問題のケースがあれば、そういう具体的な問題として処理はいたしますけれども、従来のやり方から申しまして、そう大きな——相手は県の知事さんでございますから、そういうおかしな問題は出ておらないというふうに考えております。
  81. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、いま何か小売店に責任があるような——そういう場合には、政府が売っただけの米を標準価格米としてきちっと確保していないという意味の、何か小売店に責任を転嫁するというようなことであれば、これは重大な問題だと思うのです。私はむしろ、小売店が混米をしたりあるいはそういうことでもってこういう事態が起こっているというよりも、政府自身の姿勢で自主流通米というものに相当の熱意を注いでいる、こういったようなところから、行政指導なり何なりあらゆる点で、もっとこの点については、標準価格米というものを中心に据えていくというような姿勢にいま当面は変わっていかなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えておるわけなんです。  これはいろいろな例を私ども調べてみました。たとえば、これは山口県の場合の四十八年四月の配給米の割合の変更です。これは昨年の十月からことしの四月まで標準価格米が、山口県の全体の配給量の四四・九%だったのです。それがこの五月からその割合は三二・一%、そして逆に今度は指定銘柄米が、従来は三六・六%だったのが五九・四%、こういう形で変わってきているのですね。  これは何も地方だけじゃありません。東京の場合も、これは東京都のある問屋から小売店に出した案内書の中身を検討してみますと、いわゆる政府の管理米の売却計画という計画なんです。これを見ますと、ことし五月分について、内地米の政府売却数量が四万一千六百三十二玄米トンであり、そして四月は四万五千六百四十八トンであった。したがって、五月は四月に比べて四千十六トン、パーセントにすると九・六四%も少ないわけです。あるいはまた、ことしの六月分を調べてみますと、これはある地域の卸から小売り屋さんというつながりの中で出てきておる数字ですけれども、六月分は四万四百四十三玄米トンであった。ところが、それは五月より千百八十九トン少ない。パーセントに直しますと三%減量しておるわけですね。そうして指定銘柄米の割合が五月より三%ふえて、標準米のほうが三%減っている。  これはある地域の場合ですけれども、こういうような形で、やはり割り当ての数のやり方等については、政府なりあるいは食糧庁が上から計画をずっとおろしていって、そして自主流通米と政府米との抱き合わせの割り当て制度あるいはその割り当ての変更、こういったようなところからいろいろと問題が出てきているのではないだろうか、こういうふうに私は思うのですが、この点いかがでしょうか。
  82. 森整治

    ○森説明員 ちょっと手元にございます数字で、いま御指摘のような問題、若干減っているのがふえて——二月あたりまで減っておりますが、三月がまた戻っておるというようなことでございます。先ほど四月からというふうにも伺ったのですが、いずれにいたしましても県の知事さんと、政府が売ります政府米の指定銘柄、非指定銘柄、それから自主流通のほうは政府が売らないのですが、その自主流通がどのくらいということを毎月ごとに協議をして、売却をしておるわけです。その辺の県内の事情等はわれわれとしても十分承りまして措置をしておるつもりでございます。ですから、もう少し調べないとわかりませんけれども、特にわれわれのほうでその県だけ何かしたというようなことではないと思います。むしろ県との話し合いで何かあったのかもしれませんが、私、後日また別に調査をしたいと思っております。
  83. 小林政子

    ○小林(政)委員 私どもは、最初から言っているように、諸物価がこのように異常な高騰を続けている、そしてまた消費者米価も先ほど述べたようにずっと一貫して上がってきている、こういうときに、自主流通米ということよりもむしろ安定した供給という点で、一般の人たちはまずいから高い米を買うというのではなくして、ほんとうにおいしくしかも安定した供給、しかも家計に見合った標準価格米というものをもっと重視をしてほしいし、買いに行けばいつでも質のいいものが店頭にも表示してあるし、手に入る、そういうことをきちっとしてもらいたい、こういうことでいまの質問を行なったわけですけれども、私は、いままでの具体的な数字なんかをずっと調べてみまして、政府の行政指導や何かは、末端逆ざやといいますか、そういうものを是正し解消していくというような点で、むしろ自主流通米にウエートを置くような指導がいままでされてきたんじゃないだろうか、このように感じられてならないわけです。  私はこの点について、さらにいろいろ資料を調べてみたんですけれども、銘柄米の作付面積はそれじゃ一体ふえているのか減っているのかということで、いろいろと調べてみました。たとえば水稲ウルチ米、これは銘柄米じゃございませんけれども、水稲ウルチ米の全体の作付面積というのは、政府のいままでの減反政策というようなこともあって、年々減っていたんですね。具体的に数字をあげますと、四十四年の場合には二百八十二万五千四百八十二ヘクタール、四十五年には二百五十二万八千二百七十九ヘクタール、四十六年には二百三十四万七千三百二十ヘクタール、四十七年には二百三十二万五千七百六十八ヘクタールというぐあいに、水稲ウルチの作付面積というものが年々少なくなってきているのです。ところが、銘柄米の作付面積というのを見てみますと、今度は逆に年々ふえているんですね。そして銘柄米の面積が、結局全体の耕作作付面積の中でどのくらいの比率を占めているかということで調べてみますと、四十四年には、銘柄米の作付面積が二三・二%であったのです。ところが、四十五年には三三%にふえておりますし、四十六年には四三・四%にふえておりますし、四十七年には四六・二%にふえているんです。このように年々ふえてきている。  したがって、標準価格米の原料米というのは逆に耕地面積が——銘柄米は作付面積がふえておりますけれども、全体がふえているわけじゃありませんから、そういうことになれば標準価格米の原料米が減るということは、これまた当然のことじゃないか、このように考えられますけれども、これらの問題についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  84. 森整治

    ○森説明員 四十四年から、産地品種銘柄ということで政府が指定をしております。御指摘のとおり確かに産地品種銘柄の作付面積が、この資料によりますと四十七年では四六・二%になってきております。これはむしろ、われわれの考え方といたしましては量産、非常にたくさんとれる品種がございます。たとえば、名前を出して恐縮ですけれどもフジミノリという品種、これは耐冷品種、冷害に強いということで非常に珍重された品種であります。それが北陸あたりまで南下をいたしまして、一〇%ぐらいの作付面積の比率を示した時代がございます。あまりうまくないけれども、量がとれるということで非常に歓迎された時代がございます。そういうことから、むしろ量よりも質なんだということで、世の中がそういうふうに変わってきているものと思うし、また、そういうことで産地の品種銘柄といいますか、そういう優良な品種を指定いたしまして、そういうものを助長をしていくという政策をとってきているわけでございます。  したがいまして、全部が全部いいものができるということではございません。土地に応じた品種ということは当然考えなければいけませんけれども、これがまた相当多くなって、ほとんど指定銘柄になるということも、われわれは考えておりません。大体の目安としてはまあ半分程度のものでいいのではないかというふうに考えておりますけれども、昨年から、産地品種銘柄につきまして奨励金をつけました。そういう関係もございまして、おそらくことしも、その関係の品種は相当伸びておるものというふうに思います。ただ、全体といたしまして半分程度のものが——これも、産地品種銘柄といいましても、いいものから全部ランクがあるわけでございます。そういうものが地域に応じて定着をしていくということであれば、そのこと自身は、われわれはむしろ歓迎すべきことではなかろうかというふうに思います。ただ、そういうものを無理に植えつけまして、逆に冷害を起こしたり災害を起こしたりいたしまして営農上非常にまずい結果になるということは、これは避けなければいけないというふうに考えておるわけでございます。
  85. 小林政子

    ○小林(政)委員 産地指定の品種銘柄がいろいろあるとおっしゃいましたけれども、確かに種類はいろいろあると思うんです。しかし、こういうものは自主流通米として回っていくものであって、したがって価格もいろいろ何段階かに分かれておりますけれども、少なくとも標準価格米より高いことは事実なんです。ですから、こういうふうに作付面積がふえていきますと、全体の作付面積というのは広がっていくわけじゃないのですから、したがって原料米となるものなどに影響が出てくる。  こういう一連の、私がいま何点かあげたことをずうっと集約してみますと、やはり政府の行政指導の方向といいますかそういう方向が、標準米をだんだん少なくしていくといいますか、そして逆に自主流通米制度といいますか、そういうものの量をふやしていく、こういうことを行政指導の中で行なっているんじゃないか。耕地面積にしてもそういうことが言えるし、あるいはまた割り当ての内容等についてもそういうようなことが考えられますし、私はそういう点で、意識的に政府がそういう方向で——末端の逆ざやなどの解消という点も含めて、一体どのようにお考えになっているのか、ひとつ率直に聞かせてもらいたいと思います。
  86. 森整治

    ○森説明員 ちょっと、おことばを返すつもりはございませんけれども、私ども考え方というのは、むしろやはり消費者が、いろいろな品質に応じた——全部画一的な消費の形態というのは、この世の中に考えられない。お米もそうであって、やはり値段相応な評価があってしかるべきだろう。消費者のそういう選考に応じた生産をむしろ進めるべきだ。ですから、あまりうまくないといいますか、なかなか売れにくいお米につきましては若干値下げもいたしております。それから、非常に好まれる指定銘柄につきましては、実は一俵四百円の加算をして売っております。四百円がいいのかどうか、これは別にいたしまして、やはりその間の格差というものを通じまして、生産のほうもそれに応じた体制をとっていただく、要するに消費態様に応じた生産を進めていくという基本的な考え方を実は持っておるわけでございます。  一方、先生御指摘のように、標準価格米というものも相当消費されておりますし、また、それだけの原料は今後も供給できるとわれわれは思っております。  ですから、全体の中で、標準価格米だけでなしに、やはりいいものも普通のお米もいろいろあっていいわけでございます。それがそれなりの生産がされていく。たとえば例の新潟のコシヒカリというのは、むしろ、われわれがいろいろ伸ばそうと思ってももう伸びない。収量に限界がある、土地に限界がある、労働力の限界がある。むしろつくりにくい品種でございます。そういうような状態でございまして、非常に高く売れるからといいましても、もう限界にきておるような状態があるわけでございますから、それよりもそういう地域地域に応じた品種がつくられていくということで、全部コシヒカリになるわけでもないし、全部まずい米になるわけでもないし、やはり消費者の選考を通じまして試行錯誤的にそういう地帯の品種が定着していくというのが、基本的なわれわれの考え方でございますし、逆に申しますれば、標準価格米もあり、それよりも非常にうまいというお米もあり、中庸の段階の値段のお米もあるというようなことで、今後のお米のあり方というのをわれわれは考えておるわけでございます。
  87. 小林政子

    ○小林(政)委員 指定銘柄といいますか、いろいろな種類があるわけですけれども、これがいわゆる物統令廃止をされましたね。昨年の四月ごろは、政府米に銘柄米制度というのはなかったのですね。ですから、いま標準価格米よりも少し高い価格で売られているそういうお米というのも、標準価格米の中に一部含まれたりしていたわけですね。ですから、そういう点では、当初標準価格米というのはすごく評判よかったのですよ。ところが、九月からいわゆる銘柄米制度というのが新しくできて、その銘柄米はもう標準価格米には入れないということになったわけでしょう。それを境あたりにして、何かこのごろお米があまりおいしくない、標準価格米というのは何となく幾らか味がよくないというような声も、私ども、ずいぶん主婦から聞くわけです。  私は、やはり標準価格米になったこの米を、指定銘柄が標準価格米にかつては入ったわけですから、こういうようなことを考えて——もっとおいしいお米でうんと高いのを食べたいという人は、食べていいと思うのですよ。しかし、一般の人はいま何を考えているかというのです。やはり安定した食管制度のもとで——物統令をはずされたということに対して不満を持っている人も、ずいぶんいるのですよ。ほんとうに安定した米を安い価格で供給してもらいたいということが、いま大部分の家庭の主婦の要求でもあるわけです。こういうことを考えますと、ここいらのところで、非銘柄米だけが標準価格米の中に入っているというようなことは、何らか今後お考えを変えていくというようなお気持ちは持っていませんか。
  88. 森整治

    ○森説明員 産地指定銘柄というものは、四十四年以来、取引の関係としては存在しておったわけでございます。ただ、去年の十月でございますかに、政府が売りますお米のうちから指定銘柄に奨励金をつけると同時に、それは高く売るということにいたしたわけでございます。したがいまして、そのものは標準価格米の原料からはずされたということでございます。  ただ、先ほど申しましたように、現在出回り量の四五%、政府が売っておる六〇%の米は非銘柄米でございます。それがそんなに銘柄米が多くなるということは考えておらないということは、先ほど申し上げましたとおりでございまして、この程度の非銘柄米の中にも産地の指定——くどいようですけれども、産地指定銘柄として指定をいたしますには、それだけの量なりまとまりがあるということを要件にいたしておりまして、地場でなかなかいいお米も相当ございます。ただ、それがなかなか量産化してない、まとまって流通してないということもありまして、非銘柄米でも必ずしも悪いということでは決してございません。むしろ今回の措置といたしましては、銘柄米は高く売るけれども、非銘柄米の中でも、青森のものは二百円引き、北海道のものは六百円引きということで、それぞれの評価に応じました売却をするということをやっておるわけでございます。必ずしもいままでの、何か値段を高くして少し質をまずくしたということよりも、政府で売っておる六割程度の非銘柄米で、現在の消費者が購入をしているものを充当していくわけでございますから、その点につきましては、消費者が標準価格米を求められるに応じた政府なり卸の供給の原料米としての役割りは果たし得る、また今後もそういうことで続けてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  89. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、いまおっしゃったように、確かに非銘柄米であるからまずい、それから指定銘柄だからおいしい米なんだ、いわゆる高いからおいしくて、安いからまずいということには、実際、米はならないと思うのです。私は実際、米がしろうとで、精米しちゃったものなんかはなかなかわからないわけです。どこに基準があるんだ、何を目あてにしていいのか。これが銘柄米で、これがどうだとか、そういう表示は一応してあります。しかし、自主流通米と政府米の区別すら、実際問題としては、流通の過程の中でははっきりついてないですよ。何によって自主流通米と政府米は区別するんだろうか。中には、余り米でも自主流通米となって出回っているということも、これは専門家の人に聞いたのですけれども、あるのですね。あるいはまた産地の経済連が、これは自主流通米だと言えばそれで通る、そういうような傾向もあるというような話も聞きました。  実際に私ども消費者の場合には、精米を見てもよくわからないし、結局表示にたよるといいますか、それしかないわけですね。しかし表示だって、たとえばデパートなんかで袋に入って売っていますコシヒカリにしても、あるいは宮城のササニシキにしても売っていますけれども、実際それこそ、何か幾らかまざっているんじゃないかとか、混米なのかしらとか、全くどこに基準があってどうなっているか、表示だけがたよりである。そして、その表示も何かあまり信用できないというようなことで、少し高いお金を出せばおいしいのかしらということで、結局たいて食べてみないとわからないのですよ。食べてみておいしかったら、ああなるほどとか、どうなんだとかいうことになるのですね。そして価格がものすごく複雑で、何段階もあるわけですね。十段階から十五段階くらいある。ある米は十キロ当たり三千円もする。自主流通米ですよ。あるいは二千二百円くらいだ。この価格も、何が基準で実際にきまったのかもわからない。自由に取引できまるわけでしょう。どこがどう違うのかということもわからない。  こういうような中で、消費者としても、やはり自主流通米というようなことよりも——実際には標準価格米でもおいしいお米はたくさんあるのです。そしてまた、これからおいしくしていってもらわなければ困るのです。こういう点に政府はほんとうに力を入れていくべきだと思うのですね。  私は先ほどから主張しているわけですけれども、実際、米の価格というのは何を基準にしてどこできまるのか。政府米と自主流通米というのはどこで区切りがあってきまるのか。食管制度が実際にはなしくずし的にどんどんくずされていってしまっている。いままでやみ米の問題なんかもいろいろ問題になってきましたけれども、しかし考えてみれば、政府が一定限度額しか米を買わないのですから、あと買わなかった米は流通米だ、こういうことなんですからね。むしろ食管なしくずしで、政府自身がむしろこれを是認している、いまこういう状態じゃないかと思うのです。ほんとうの意味で食管制度をどういうふうになさるのか、はっきりしたお答えを聞かしていただきたいと思います。
  90. 森整治

    ○森説明員 食管制度は統制でございますから、その中にいろいろ質の要素を入れてきておるわけでございます。そういう点で若干摩擦が生じておることはいなめないと思います。  ただ、そうは申しましても、質の問題をどういうふうに解決していくかということにつきましては、われわれ従来考えておりますことは、やはり消費者の選好に応じた米の格差というものを統制の中に築いていけないかということでございます。その中で、いま御指摘のように、標準価格米を一つ基点に置いておるわけです。その他のお米につきまして、ただいま御指摘のように、確かに表示の問題というのは非常に重要な問題でございます。むしろ、すでにある県では、それを規格化しまして、県が指導しまして実施している県もございます。東京でもそういう試みをされておりまして、われわれも参画いたしていろいろ努力をしているわけであります。そういうことを通じまして、やはり安心して買えるお米という表示なり規格なり、そういう規格化ということが一つのポイントではなかろうかと思いますけれども、なかなか量がまとまらない。品種がいろいろ多い。消費県にいま、いろいろな生産県からのお米が入ってくる。時期の問題もある。そういういろいろなむずかしい問題は、これから解決していかなければならない問題だと思います。  ただ、だからといって、もとへ返ればいいというふうにわれわれは考えておりません。やはり前向きにそういう問題を、消費者が安心して買えるようなお米というものを、表示なり規格なりを通じて努力していくというはかなかろうと考えたわけでございます。
  91. 小林政子

    ○小林(政)委員 だいぶ時間もたっていますので、少しはしょりたいと思います。  それでは、消費者米価の今後の方向といいますか、昨年は十月に消費者米価を値上げしたわけです。しかし、現在のこのような、悪質なインフレにもう入ったのではないかというようなことがいわれているような状況のもとで、国民生活にとって欠かせない、しかも国民の主食であるこの米の問題に対して、いわゆる消費者米価をことしも引き上げていく、そういう方向で臨まれようとしておるのか。それとも、こういう時期でありますので、この問題に対してすでにいろいろと検討されていると思いますけれども、どのような態度で臨まれようとしておるのか、この際お伺いをしておきたいと思います。
  92. 森整治

    ○森説明員 非常に重要な御質問でございますが、現在、まあ俵当たりでいきますと、政府の売買逆ざやが約千百円ございます。八千九百円で買い七千八百円で売る、基本的にはそういう逆ざやがございます。私どもは、この逆ざやというものは、ものの本質上おかしいと思っております。ただ、かといいまして、生産者米価も、物価の問題、生産費の増高等を今後勘案していろいろ米価審議会で御論議をいただいてきめられてまいりますけれども、私ども基本的には、やはり逆ざやがございますと、特に場所は申しませんけれども、売った米が逆に政府に戻ってくるというような——これは疑いで、結局事実ははっきりしないのです。そういうようなことも起こりかねない問題があるわけです。やはり統制をして、管理をして、食糧事務所の組織を持っていろいろやっておりますけれども、そういうことも起こりかねない問題が生じてくるということは、やはりその逆ざやということが——お米といえども、基本的にものの価格でございますから、政府が管理いたしましても、ものの値段でございまして、売るのと買うのとそこに差がある。売るほうが安いということは、やはり管理そのものが非常にやりにくいという問題もございます。  ただ、かといいまして、やはり主食、米麦という国民生活にとって非常に重要な地位を占めて、割合は減ってまいりましたけれども、家計費の中でやはり重要な地位を占めておることは変わりはございません。ですから、いろいろな物価等の事情あるいは家計費の動向、そういうものも勘案して、いろいな観点から論議を尽くされた上で決定をされていくべきものというふうに思っております。
  93. 小林政子

    ○小林(政)委員 本来逆ざやがあることはおかしいことだ、こういうことですけれども、そもそも食管制度というのは、生産者に対しては、生産者価格で、米をつくっている生産者にも、補償していく、そういう価格でなければならない。また消費者に対しては、ほんとうに家計を圧迫しない、こういう消費者米価でなければならない。こういうたてまえで食管制度というものは成り立ってきたんです。そのお考え方を根本的に否定されるわけですか。私は、逆ざやが出るということは、これは食管制度のたてまえからいってむしろ当然のことじゃないかと思うのです。  それからもう一点は、今後の消費者米価の問題についてはいろいろ検討して云々というお話ですけれども、経企庁の方にお伺いしたいのですが、物価消費者米価という観点から考えて、消費者米価をこの事態の中でさらに上げることに対してどのようなお考えを持っていらっしゃるのか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  94. 斎藤誠三

    ○斎藤説明員 お答えいたします。  本年産米の生産者米価あるいはその後における消費者米価の問題につきましては、まだ食糧庁当局なりのそういった基本的な考え方の提示も受けておりませず、企画庁としましてもまだ未検討でございますので、軽々にお答え申し上げることは差し控えたいと思います。  ただ、一般論といたしましては、御承知のような相当の物価の上昇でございますので、われわれは、かりに消費者米価改定の問題が起こるとしましても、慎重に対処してまいりたいという基本的な考え方を持っております。
  95. 小林政子

    ○小林(政)委員 最後に。  このような激しい物価の上昇が続いております時点で消費者米価を——もちろんまだ具体的に審議会も開かれてはおりませんけれども、食糧庁なり経企庁のいわゆる政治姿勢として、こういう事態の中で消費価格値上げするというようなことは絶対にやめるべきであるということを強く要求いたしたいと思います。まだそのほか何点かございますけれども、やはり米というものは、何回も申すように、国民の非常に重要な主食でございます。それだけにこの米の問題については、いまやみ米その他いろいろな問題が食管制度の中で出てきていることも事実でございます。商社等に対しても私どもはこの問題追及もいたしてまいりましたけれども、事の本質は政府の政治姿勢といいますか、なしくずしに物統令をはずしてこのような事態を招いたというところにいろいろな問題がいま出てきているのであって、根本の責任は政府にあるのじゃないか、このように考えております。食管制度をしっかり堅持するということと、また物統令の適用からこれを除外したというこの措置についてこれを早急にもとに戻すべきではないかという点を強く要望いたしまして、質問を終わります。
  96. 山中吾郎

    山中委員長 次回は公報をもつてお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十三分散会