○根岸
説明員 お答え申し上げます。
公害
対策ということで、NOX問題あるいは粉じん問題、いろいろございますが、やはり硫黄酸化物というのが最大の戦略目標だということで、すべての施策がこれから始まっているという状況でございまして、われわれも四十年代の初めのころから、低硫黄化ということで努力してまいっておるわけでございます。
それで、硫黄
対策として考えますと、これはもう御
承知のとおり、排出源においてカットする方法と、それから排出源に対してローサルファの燃料を供給する方法と、大きくいってこの二つになるわけでございます。
排出源でカットする方法というのが、これは排煙脱硫装置ということで非常にいい設備がだいぶ出てきまして、これはもう企業、石油精製ばかりじゃなしに、各産業が一生懸命取り込んでこれを増設しておるという状況でございますが、ただ、これに
一つ問題がございますのは、排出量が非常に大きな場合はなかなか効率よく動かないという問題がございまして、やはりそういうところに対してはLS燃料で供給していかなければならないということになるわけでございます。
全体として排煙脱硫もやるし、燃料のLS化も進めるということによって環境基準の達成がいち早くできるという認識に立ちまして、われわれも低硫黄化を進めているわけでございますが、この低硫黄化の
手段としては一体何があるかということになりますと、これはもう言うまでもなく原油の、要するにローサルファの原油、低硫黄原油を輸入するということが一番てっとり早い方法でございますが、四十七年までの実績で申し上げますと、そういう低硫黄原油というのは、ミナスとかエトセトラ、南方原油と称されておりますが、ああいうふうなものがそれに入るわけでございますが、たとえば四十七年度で二億三千万キロの原油の輸入のうち約二〇%、これを二〇%以上にふやしていく。
消費がふえれば、二〇%以上というのは実数として非常に多くなってまいるわけでありますけれ
ども、これは何としても努力してまいらなければならない問題であります。ただ、それだけではどうしてもできないということで、
あと重油脱硫、これはできましたいわゆるC重油からS分を抜いてしまう装置を活用するという方式でございまして、これも非常に努力していただきまして、四十七年度末では約四百万バーレルのトッパーの設備に対しまして、七十五万五千というところまで来ておりますし、将来は、四十九年ないし五十年までには百万バーレルまで持っていってもらいたい。それで各社そういう計画でただいま進んでおる状況でございます。
ただ、いま申し上げました重油脱硫設備、これは御
承知のとおり脱硫、S分のカットについて技術的な限度がございます。ですから、先ほど先生御
指摘の、環境基準がきびしくなって
——実はこの環境基準はきまりましたけれ
ども、各
地域別あるいは発生源別の排出規制という数値がまだそれに対してきまっておりませんが、おそらく環境基準から考えればこういう排出基準になるであろうということは想像できるわけでございますので、そういうものに合わせるための燃料をつくりますとなると、ただいまの重油脱硫設備だけでは問題が残るということで、われわれとしましては、昨今新聞等に出ておりますように、重質油分解あるいはガス化脱硫というような技術をどうしても取り入れて、いわゆるC重油という
名前の製品をできるだけ少なくしてしまう。それで、そういう重質油を分解いたしまして、分解灯油ないし分解軽油にしてしまう。あるいはメタン、エタン、あるいはLPGという形のガスにしてしまって供給する。
そういう形にしますと、ちょっと話が長くなって申しわけありませんけれ
ども、重油というのはそういう中間留分的な油分とそれからアスファルトの混合
状態になっておるわけでございまして、硫黄分というのはそのアスファルト
——道路に敷いておりますアスファルトとちょっと違うのですが、アスファルト分と申し上げますけれ
ども、アスファルト分の中に分子的に結びついた形になっておりますので、非常にアスファルト分からは硫黄がとりにくいという
状態にあるわけです。このアスファルトというのは高分子でございますから、その高分子を分解してしまいますと硫黄分が遊離してくる
状態になりますので、硫黄分除去というのは非常に楽になるわけでございます。
そういうことで、これは非常にコストがかかる問題でございますけれ
ども、そういうような設備を導入してまいりたい。やはり新聞などで御
承知と思いますけれ
ども、数社でそういう計画をもう発表して、つい最近の石油審議会におきましても、分解設備でございますので許可
対象になっておりますから、許可をおろしているという状況になっております。
重質油分解ないしガス化脱硫というのはいろいろな技術がございますので、しかも、たとえば昨今発表されました東亜石油のフレキシ・コーカーという設備がございますが、三万バーレルないし四万バーレルで約二百億かかるというような設備でございますので、各社どういう方式をとるかということで非常に勉強しておる段階で、各社ともある程度根本がきまりつつありますので、早晩そういう方向に進めるんではないかというふうに考えておるわけでございます。
そのほかにもう
一つの問題としては、LNG、すなわち液化天然ガス、これの導入問題でございます。これは資源的な問題がございますし、現地あるいは受け入れについても相当大きな設備投資が必要でございますけれ
ども、御
承知のとおり電力は、非常に努力をして導入をはかっておるわけでございます。
そのほかに軽質燃料の採用、これは先生からいまおしかりを受けているわけでございますけれ
ども、灯油、軽油という形ではなしに、たとえばナフサ、これは重質化ガソリンでございますね、こういうものもS分が少ないものですから、ブレンド基材として使って重油のS分を下げるというようなことに採用してまいるべきではないか。われわれとしましては、これは公害
対策でございますから、そういう軽質燃料の
消費について、これはいけないと言うことはなかなかむずかしい。その中でも灯油などというものは
一般民需が大宗でございますので、これの確保もしなければならぬわけでございまして、いわゆる中間留分の増産ということが今後の石油精製の重大な
課題になってまいります。そういう
意味でなおさら重質油分解の技術の導入を大いに進めなければならぬというふうに考えているわけであります。
非常に長くなってしまいましたのですが、以上申し上げたような
対策を進めておるということでお答え申し上げます。