○
小坂国務大臣 そのお答えを申し上げる前に一言申し上げておきますが、先ほどの
総理指示の
住宅問題、その
総理の
指示があったというのは、
検討段階で
指示があったわけでございますが、その後における決定について私が
不満を持っておるということはございませんから、その点はひとつ明らかにしておきたいと思います、
政府は一体でございますので。
それから次の、
商社法の問題でございますが、やはり
資本主義というものは、
個人の自由な
活動、またイニシアチブというものを重視しておるわけでございます。少しきざな話ですが、
経済学者のシュンペーターな
ども、
資本主義というのは、非常によく行き過ぎて、
個人の力の強いものが非常にもうけるというときに危機が来るということを言っておるわけでございます。それからケインズも、何かビジネスマンがプロフィティアー、非常な
暴利獲得主義者になったときに
資本主義は崩壊するということを言っておるのでありまして、やはりその利欲というものには限界がある。やはり
企業というものも
商社というものも
社会的な
活動をする団体でございますので、その
社会的な
活動というものはやはり
社会、
公共の
福祉に貢献するという制限があるというふうに私は思っておるのでございます。そういう
意味で、
商社の
活動基準は
商社自体が
考えるということは、当然のことだと思います。
ただ、それを
法律として
商社法というものをつくって
規制するのがいいかどうか、これはまだ
検討問題でございまして、私は、にわかにこれには賛成しがたい
立場にある。ということは、
商社は非常にいろいろな形態がございまして、たとえば
銀行に対して
銀行法があるがごとき、そういう一定の
活動でないものですから、これはまた、あまりそういうものをつくって縛ってしまうということは、国全体から見ると得策でない面があると思います。
日本のような
資源の少ない国が、
外国から
資源を持ってきて、これに
付加価値をつけて輸出するというそのことが
経済の営みの
中心である国において、そういう
活動自体を非常に縛ってしまうことは、やはり将来を達観して問題があると思うのでございます。
しかしながら、
山下局長も言っておられましたけれ
ども、非常に
情報収集力があり非常な
金融力がある、その力にまかせて、しかも
消費者の
利益をかまわないで異常な利得をするというようなものについては、何らかの
規制をするほうがいいと私は思いますし、その
意味で、先般本院を通過させていただき、
参議院でたまっておりますけれ
ども、一日も早く通していただくことを
希望しておりますけれ
ども、例の
売惜しみ買いだめ行為に対する
規制の
法律、そういうものはその
趣旨でできていると思うのでございまして、それはそれで、ぜひお願いしたいと思います。
ただ、それと
倫理規定だけでいいかというと、私は、もう一つそこに何かあったほうがいいのじゃないか、これは
個人的に思っておりますわけで、その気持ちで先般の
参議院での、法人の利得に
累進課税を置くという
考え方になっておるわけでございます。それについて
税制調査会長あるいは大蔵省あるいは自由民主党の
税制調査会等ともいろいろ話をしてみておるのでありますが、なかなか技術的にむずかしい面がございます。
それから、技術革新をしたり、あるいはもう非常に
経営の能率を上げて、その
意味で
利益をあげていくこと
自体はいいことであるわけでございます。それとこれとみんな一緒くたにして、不当な
投機等による
利益と一緒にして、ただ
利益が多かったから累進するという
考え方になると、これはもう角をためて牛を殺すことになります。これはよほど慎重に
考えなければならぬと思うわけでございます。
何かいい方法はないかということで、私は、いわゆる
付加価値を生まない、黙って見ておって、上がりそうだから、安いときに買い占めておいて高いときにこれを売った、そういう
利益ですね、こういうものにはやはり課税したらどうか、税で悪ければ課徴金でもいい、そういうことも
考えられないかということで、実はいま専門家に依頼していろいろ
検討を願っております。まあ重要な問題でございますから若干の
検討期間は要ると思いますが、いずれまたお目にかけて、御
意見を賜わりたいと思っておるわけであります。いまその過程にございます。