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1973-05-31 第71回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月三十一日(木曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員   委員長 山中 吾郎君    理事 稲村 利幸君 理事 木部 佳昭君    理事 坂村 吉正君 理事 松浦 利尚君    理事 小林 政子君       上田 茂行君    近藤 鉄雄君       塩崎  潤君    高橋 千寿君       羽生田 進君    三塚  博君       山崎  拓君    中村  茂君       野間 友一君    有島 重武君       石田幸四郎君    和田 耕作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局経済部長三代川敏三郎君         公正取引委員会         事務局取引部長 熊田淳一郎君         経済企画政務次         官       橋口  隆君         経済企画庁調整         局長      新田 庚一君         経済企画庁国民         生活局長    小島 英敏君         通商産業政務次         官       矢野  登君         通商産業省企業         局長      山下 英明君         通商産業省公益         事業局長    井上  保君  委員外出席者         農林省食品流通         局野菜計画課長 戸田 博愛君         通商産業省通商         局次長     片山 石郎君     ――――――――――――― 五月十日  公共料金値上げ反対に関する請願浦井洋君  紹介)(第三九九四号)  同(木下元二紹介)(第三九九五号)  同(木下元二紹介)(第四〇九八号)  木材建設資材異常価格引下げに関する請  願外一件(稲富稜人君紹介)(第四〇九五号)  同(神田大作紹介)(第四〇九六号)  同(和田耕作紹介)(第四〇九七号)  同(阿部未喜男君紹介)(第四二六四号)  同(石母田達紹介)(第四二六五号)  同外一件(小濱新次郎紹介)(第四二六六号)  同外二件(坂井弘一紹介)(第四二六七号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第四二六八号) 同月十六日  木材建設資材異常価格引下げに関する請  願(河村勝紹介)(第四二七八号)  同(諫山博紹介)(第四三三〇号)  同(石母田達紹介)(第四三三一号)  同(井岡大治紹介)(第四四五八号)  同外一件(板川正吾紹介)(第四四五九号)  同(稲葉誠一紹介)(第四四六〇号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第四四六一号)  同(岡本富夫紹介)(第四四六二号)  同(金子みつ紹介)(第四四六三号)  同(清水徳松紹介)(第四四六四号)  同(竹内猛紹介)(第四四六五号)  同(広瀬秀吉紹介)(第四四六六号)  同(武藤山治紹介)(第四四六七号)  同(湯山勇紹介)(第四四六八号)  同(渡辺三郎紹介)(第四四六九号) 同月十七日  木材建設資材異常価格引下げに関する請  願(岩垂寿喜男紹介)(第四五八四号)  同(大柴滋夫紹介)(第四七一八号)  同(河上民雄紹介)(第四七一九号)  同(小林進紹介)(第四七二〇号)  同(佐々木更三君紹介)(第四七二一号)  同(下平正一紹介)(第四七二二号)  同(田中武夫紹介)(第四七二三号)  同(竹村幸雄紹介)(第四七二四号)  同(楯兼次郎君紹介)(第四七二五号)  同(横山利秋紹介)(第四七二六号) 同月二十一日  木材建設資材異常価格引下げに関する請  願(木下元二紹介)(第四九七一号)  同(平田藤吉紹介)(第四九七二号) 同月二十四日  公共料金値上げ反対に関する請願野間友一  君紹介)(第五〇一一号)  同(浦井洋紹介)(第五一四七号)  同(木下元二紹介)(第五一四八号)  物価抑制等に関する請願石母田達紹介)(第  五〇一二号)  同(中路雅弘紹介)(第五〇一三号)  同(増本一彦紹介)(第五〇一四号)  同(石母田達紹介)(第五二九一号)  物価抑制に関する請願田中美智子紹介)(第  五二九〇号) 同月二十五日  物価抑制に関する請願有島重武君紹介)(第五  四二八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月二十八日  生活関連物資投機買占め規制に関する陳情書  外十一件  (第四五一号)  建築資材異常価格抑制に関する陳情書外二件  (第四五二号)  物価安定に関する陳情書外十件  (第四五三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 山中吾郎

    山中委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  3. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、与えられた時間がわずかですから、要点だけ質問させていただきます。  第一点は、長官お尋ねをするのですが、先般、物価問題等関連をして閣僚協議会が開かれましたが、その席上、過剰流動性吸収するということを目的にして、公団住宅払い下げということが公になったわけであります。物価担当大臣として、公団住宅払い下げることそのもの物価対策になると、ほんとうにまじめに考えておられるのかどうか、中心である長官の御意見をまず承っておきたいと思うのです。
  4. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 先般の物価対策閣僚協議会におきまして、ほとんど終わりごろだったと思いますが、どうもいまの一般の不満は、物価が高いことにも確かに大きな原因がある、しかしながら、こう地価が上がり、物価が上がったのでは、マイホームをつくることによしなしという気分が非常に強いので、やはり住宅政策というものを大いにやらなければならぬじゃないかという意見が、一部の閣僚から出たわけであります。それにこたえまして、かねて一部からいわれておる、公団住宅払い下げあるいは公営住宅払い下げも含めてという意見も、自民党内にずっとあるわけでございますが、そういう問題について検討指示された、総理のその指示というのは、検討しろという指示であったと私は了解しております。建設大臣はその指示を受けた、そのような状況でございましたので、何か過剰流動性吸収のためにという、そういう大上段の話ではなかった、そういうふうに思っております。ただ、公団公営住宅払い下げは、国民の居住の安定をはかることを主眼とする措置であるわけでございますけれども、同時に、消費に向かっている資金吸収されることによって、その面での物価抑制策にも効果を持つということは、これは考えられると思います。
  5. 松浦利尚

    松浦(利)委員 主たる目的住宅政策として発表されたのであって、物価対策ではない、私はそう思います、いまの発言を聞いておりますと。ただ、消極的な意味で、消費に回る資金吸収されるという程度のものであって、大上段に振りかぶった、過剰流動性吸収とか物価対策だという発表そのものは、長官としても、やはりおかしいと思われますでしょう。
  6. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 そういう発表をされたかどうかは私はつまびらかにしないのでありますが、私の考えはいま申したようなことでございまして、それは何がしかのものは住宅を買うことによって吸収される、これはもう現実の問題としてあることだと思います。
  7. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、これは長官にもぜひお願いをするというよりも、国民怒りとして申し上げておきたいのですが、何かそういった住宅払い下げるという政策が、突然降ってわいたように、物価対策だとかあるいは過剰流動性吸収だというような形で発表されてくる。片一方では、住宅政策というものが国会で議論されておる。こういった点は、国民をしてほんとうに混乱させるというよりも怒りを持たすだろうと私は思うのです。私はそういった意味では、物価対策閣僚協議会そのものをここでいろいろ批判するつもりはありませんけれども、こういった、まじめに言っておられるのでしょうけれども受け取りようによってはちょっと、何というんですか、ふまじめということばは適当でありませんけれども、何か誤解を招くような、そういったことがあたかもほんとう物価を真剣に議論しておるんだという形の中から生まれてくるのは、私は国民にたいへんな失望感を与えておると思うのです。  しかも、この際、消費者行政立場から住宅問題を見てみますと、それでなくても住宅がなくて非常に困っておる。抽せんで割り当てた者は、そのときに選択されて抽せんで入ってですよ、しかも抽せんで入った人がさらに優遇をされるというような措置は、私は国民にとってたいへん重大な差別的な住宅政策だというふうに思いますね。あるいは、五年、十年間は転売を禁止するというけれども都心部に近い住宅アパート等投機的なものが殺到する。逆に言うと、投機資金個人住宅を買うという名目で殺到する、流れていくということも考えられると思うのですね。転売を禁止しても、やはり五年、十年先に投機に走るという危険性が多分にあるというふうに思いますね。  そういったことから考えますと、住宅が完全に充足されておらない段階で、住宅を特定な個人払い下げるというような政策は、私は国がとるべき政策ではないというふうに思いますね。しかも公団払い下げというような、特別な理由がない限りこれは払い下げることはできないシステムになっていますね。そういった点を考えずに、何か選挙目当て人気回復というようなことで、そういったものが政府の公式な物価対策閣僚協議会というものから発表されてくるというようなことについては、私は非常に問題があると思います。  そういった点について、大臣、ひとつ住宅政策というものをもっと根本的に考えて、こういった政策について私は改めてもらいたい。そして、もっとほかの物価問題について閣僚協議会で真剣な議論をしていただきたいというふうに、希望として申し上げたいと思うのですが、大臣の御所見を承っておきたいと思うのです。
  8. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 この公団住宅払い下げという問題は、ずいぶん前から問題がございまして、自民党の側では、これは非常にいいことだし、非常に推進したいという希望が前から強いわけでございます。ところが、建設省側で、都市の再開発で問題になるような中心部等においてそれを無計画にやることは問題がある、こういう立場にあったことは御承知と存ずるわけでございます。  その問題についてやはりいろいろと検討していくということでもございましょうけれども、しかし、持ち家を促進するということ自体は、これは国民希望と合致するところでございますし、また、先ほども申し上げたように、あわせて物価対策上の効果も期待する面もあるわけでございますので、これはそうした国民の要望とは一致するというふうにはいえると思うのでございます。ただ、お話しのように、持ち家と並んで低家賃の賃貸住宅が不足していることも事実でございますから、その供給をふやすような一そうの努力が必要であると考えておるわけでございます。  物価対策閣僚協といたしましては、物価の問題について、非常に重大な段階でございますから、今後とも精力的な検討を続けてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  9. 松浦利尚

    松浦(利)委員 本委員会住宅政策についての所管委員会でありませんから、建設委員会等で、この問題についてはさらに十分な論議が深まると思いますが、やはり消費者立場国民立場、そうしてほんとう物価という立場から、経済企画庁長官の一そうの努力と活躍をひとつ要望しておきたいと思うのです。もともと反対だったのでしょうけれども、やむを得なくそうなったと思うんですね。経済企画庁長官はもともと反対だったと思うのです。  それでは本論に入らしていただきたいと思うのですけれども、実は商社決算が手元に届いたわけでありますが、御承知のように総合商社問題は本委員会でも再三にわたって議論され、買占め法案がいま参議院に送られているところでありますが、われわれが指摘したとおり、この商社決算を見てまいりますと、物価高騰の中でたいへんなもうけ方をやっておるわけであります。  いまさらここでいろいろな数字をあげる必要はないわけでありますが、この決算書を見ますと、三菱商事が六十四億、あるいは三井物産が五十億、丸紅が四十億、伊藤忠が五十八億といったように、税引き後の利益というものが、九月期に比べてもたいへん大幅にふくれ上がっておるわけであります。しかも、主要商社の三月期の利益を、どういうサイドから利益をあげているかというのを見てまいりますと、株式売却益が、三菱商事は六億八千万、あるいは丸紅は二十一億、伊藤忠は十八億。それから木材部門利益については、三菱商事が三十億、三井物産が五十五億、丸紅が五十四億、伊藤忠が三十四億。あるいは商品土地増加額を見ますと、三菱商事が百億、三井物産四十七億、あるいは丸紅五十億、伊藤忠百億というふうに、たいへんな状態になっておるわけであります。  そこで、これは通産省山下企業局長お尋ねをするのでありますが、こうした商社物価高騰の中であげた利潤というのはまともな利潤だ、妥当な利潤だというふうに、あなたは一体お考えになるかどうか、その点をひとつお答えいただきたいと思うのです。
  10. 山下英明

    山下(英)政府委員 御指摘のとおりでありまして、私どもが昨今の調査の対象にあげております六大商社決算結果を見ますと、いまあげられました数字と同じものでございますけれども税引き前の利益で、前期から比べて五六%という著増をしておる。売り上げ高は一八%増加しているのに比べまして、利益率が非常に上がっております。もちろん売り上げ高利益率を見れば、前期〇・四%のものが〇・五%に上がったという程度でありますが、前期に比べてまた上がっておる。  私どもは、九月決算が出ましたころから、この商社活動利益著増に注目してきたわけでございます。現在、商社経営分析として、商社活動全般がどういう経営状態が妥当であるかという点につきましてはなお検討を続けておりますので、いま結論を申し上げられませんが、現在著増しておるという事実と、その原因がいま御指摘のようなものにある、この点につきましては、私ども直接当該商社反省を促し、警告をしておる状態でございます。それが売惜しみあるいは買いだめ不当取引あるいは投機的なもの、こういうものである以上は改めてもらわねばならない、こう思っております。現に御審議いただいている法律もそういう趣旨から提案されていると思いますし、かたがた、その法律の通過以前に、商社側では行動基準というものを自主的につくりまして、現在各社とも、その行動基準社内に徹底、浸透させて、今後の具体的な方策を各社別検討しておる段階でありまして、私どもはまだ中間報告しか受けておりませんが、私ども判断では、各社とも、みずから真剣にこの問題に取り組み、反省をしておるところだと思います。
  11. 松浦利尚

    松浦(利)委員 内部的なことはわかりませんが、私たちが知る限りにおいては、この商社行動基準をつくるときにすら内部的に相当な論争があった、商社相互間にたいへんな意見の違いがあったという話を聞いておるのです。  いま商社そのものが内部的に反省を加えておるんだ、こういうお話ですけれども、実質的にはそういった形というのは全くあらわれてきておらないのですね。現に総合商社行動基準などを見ましても、これは商社のただ単なる倫理規定であって、ほんとう行動そのものを自粛するのか、そういった問題については何ら触れておらない。ただ倫理的なものが羅列されているだけなんです。しかも総合商社というのは、これからますます土地とかあるいは株ですね、こういったものに──やめたとは言わない。やはり土地もやるし株もやるということを、この商社行動基準が出たあとも、発表した商社が現にあるわけですね。  それで、ここで局長お尋ねしておくのですが、きのうですか、おとついですか、商社の代表を呼んでいろいろと懇談会をしておられる。現実に、そういった行政指導あるいは自主的な総合商社行動基準というものだけで商社行動規制できるというふうにほんとう考えておられますか。私はそれは規制できないと思うのですけれども通産省規制できるとお考えになっておられるかどうか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  12. 山下英明

    山下(英)政府委員 法律的に権限のないことは御承知のとおりでございますが、私ども行政指導範囲内でやっていきたい、こう思っておるわけでございますが、現在の感じを率直に申し上げますと、容易な仕事ではないと思います。ただいま先生が言われたように、商社自体の中でもいろいろな考え方がありますし、行動基準をつくる過程でも、その議論が相当長期にわたって戦わされました。ただ、私が思いますのに、なるほど、いままでは商社が、経営合理性なり利潤動機なり通常の自由主義的な考えで、採算の合うところには仕事を伸ばしてよろしいという考えで徹底してきたわけでございますので、そういう体質のところに現在の社会的責任とか国民福祉とか、そういう考え方が新しく入って、今度の行動基準ができたものと思います。したがって抽象的ではありますが、私の判断は、行動基準そのものは、商社体質に新しい要素を入れて、一歩前進しておると思います。  今後それがどう具体化していくか。私どもが会社の責任者責任のある立場の方々から聞いておる範囲では、相当に前進する。投機的な土地株式の扱いなどについても各社でどういう社内規制をしていくか、いま真剣に討議しておるようでございますし、公害問題、住民との対話等についても議論しておりますことですし、何といっても膨大組織で各部にわたっておる商社活動でございますから、私どもは、時間をかけても下部に浸透させて、十分討議を尽くしてもらいたい、こう思っております。
  13. 松浦利尚

    松浦(利)委員 局長、われわれが去年の八月ごろからずっと、本委員会でも各種委員会でも指摘してきたとおりに、国民犠牲になる、そして物価高騰に悩む、そういう中でこれだけの利益商社というのは握ったわけですね。そしていろいろと世の批判を受けたから、総合商社行動基準というものを自分たちでつくって、われわれから見ればたいへん抽象的な内容ですけれども発表した。  私たち考えてみると、資源をほとんど九〇%近く外国に依存をしておる。しかも最近では、一次産品国内生産自給率がずっと低下をしておるために、一次産品すらどんどん外国から輸入する。農畜産物を輸入する。いま完全に商社日本流通ののど元を握っておるといっても私は過言ではないと思うのですよ。ちょっとパイプを締めれば必ずまた物価は騰貴するし、国民にたいへん大きな影響を与えるという、そういうものを総合商社というものは現実にもうすでに持っておるわけですね。しかも、従来のように水ぎわから水ぎわまででなくて、現に国内流通まで支配してしまっておるのですから、そうなってきますと、これからの商社活動というのは国民生活にもろに影響を与えてくると私は思うのです。国民生活犠牲にしてこれだけの収益を得るという姿が、ただ単なるこういう総合商社行動基準とか通産省の要請だけで直るとは、私はどうしても考えられない。ここで何らかの法的な措置をせざるを得ないんじゃないかと思うのですよ。  そこで、通産省のほうではおそらくそういうことは全然考えておられないと思うのですが、経済企画庁長官に──これからの将来こういうことが二度と起こらないという意味でも、ただ単に総合商社行動基準という自発的な行動基準ではなくて、何か国民サイドに立った、国民立場に立った法規制というものが私は必要だと思う。だから、そういった意味では、くどいようですが、商社法という法律によって、国民サイドに立って商社活動というものに規制を加える。そういったことを考えておかないと、また、国民犠牲にして、もうけるのは商社だけという形が出てくると私は思うのです。そういう点をあらためて考えられる意思があるのかないのか。  それから第二点の問題は、こんなに異常にもうけ過ぎた商社に対して、私は質問した人から直接聞いたわけでありませんが、参議院の物特の委員会におきまして、累進課税というものを法人税の中にも持ち込んだらどうだろうか、こういったことを長官が答弁しておられる。ところが、それが、大蔵省あたりの抵抗があったんでしょう、うやむやになって、今度は、大阪の財界との懇談会では、新しい税制考える、こういった発言が新聞に出ておるわけでありますが、私は、こういった不当に利益を得たものに対して重課をするということについて賛成です。  そこで、第一点の、商社法という法律をつくる気持ちが将来にわたってないのかどうか、それから、そういった長官発言をした税制という問題その点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  14. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 そのお答えを申し上げる前に一言申し上げておきますが、先ほどの総理指示住宅問題、その総理指示があったというのは、検討段階指示があったわけでございますが、その後における決定について私が不満を持っておるということはございませんから、その点はひとつ明らかにしておきたいと思います、政府は一体でございますので。  それから次の、商社法の問題でございますが、やはり資本主義というものは、個人の自由な活動、またイニシアチブというものを重視しておるわけでございます。少しきざな話ですが、経済学者のシュンペーターなども資本主義というのは、非常によく行き過ぎて、個人の力の強いものが非常にもうけるというときに危機が来るということを言っておるわけでございます。それからケインズも、何かビジネスマンがプロフィティアー、非常な暴利獲得主義者になったときに資本主義は崩壊するということを言っておるのでありまして、やはりその利欲というものには限界がある。やはり企業というものも商社というものも社会的な活動をする団体でございますので、その社会的な活動というものはやはり社会公共福祉に貢献するという制限があるというふうに私は思っておるのでございます。そういう意味で、商社活動基準商社自体考えるということは、当然のことだと思います。  ただ、それを法律として商社法というものをつくって規制するのがいいかどうか、これはまだ検討問題でございまして、私は、にわかにこれには賛成しがたい立場にある。ということは、商社は非常にいろいろな形態がございまして、たとえば銀行に対して銀行法があるがごとき、そういう一定の活動でないものですから、これはまた、あまりそういうものをつくって縛ってしまうということは、国全体から見ると得策でない面があると思います。日本のような資源の少ない国が、外国から資源を持ってきて、これに付加価値をつけて輸出するというそのことが経済の営みの中心である国において、そういう活動自体を非常に縛ってしまうことは、やはり将来を達観して問題があると思うのでございます。  しかしながら、山下局長も言っておられましたけれども、非常に情報収集力があり非常な金融力がある、その力にまかせて、しかも消費者利益をかまわないで異常な利得をするというようなものについては、何らかの規制をするほうがいいと私は思いますし、その意味で、先般本院を通過させていただき、参議院でたまっておりますけれども、一日も早く通していただくことを希望しておりますけれども、例の売惜しみ買いだめ行為に対する規制法律、そういうものはその趣旨でできていると思うのでございまして、それはそれで、ぜひお願いしたいと思います。  ただ、それと倫理規定だけでいいかというと、私は、もう一つそこに何かあったほうがいいのじゃないか、これは個人的に思っておりますわけで、その気持ちで先般の参議院での、法人の利得に累進課税を置くという考え方になっておるわけでございます。それについて税制調査会長あるいは大蔵省あるいは自由民主党の税制調査会等ともいろいろ話をしてみておるのでありますが、なかなか技術的にむずかしい面がございます。  それから、技術革新をしたり、あるいはもう非常に経営の能率を上げて、その意味利益をあげていくこと自体はいいことであるわけでございます。それとこれとみんな一緒くたにして、不当な投機等による利益と一緒にして、ただ利益が多かったから累進するという考え方になると、これはもう角をためて牛を殺すことになります。これはよほど慎重に考えなければならぬと思うわけでございます。  何かいい方法はないかということで、私は、いわゆる付加価値を生まない、黙って見ておって、上がりそうだから、安いときに買い占めておいて高いときにこれを売った、そういう利益ですね、こういうものにはやはり課税したらどうか、税で悪ければ課徴金でもいい、そういうことも考えられないかということで、実はいま専門家に依頼していろいろ検討を願っております。まあ重要な問題でございますから若干の検討期間は要ると思いますが、いずれまたお目にかけて、御意見を賜わりたいと思っておるわけであります。いまその過程にございます。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 こういった不当利得、と言えば語弊があるかもしれませんが、しかし国民犠牲にしてもうけたという、こういったものについては、やはり長官の構想である新税をもって課すという方針をぜひかためていただきたいということだけ、要望として申し上げたいと思うのです。  そこで、ちょっと言い落としましたが、局長に……。商社のほうは、部門別に利潤率についてまで議論をしておるのですか。この商社行動基準から発展して、たとえば木材部門利潤はこれだけだ、あるいは繊維部門はこれだけだ、こういった利潤ですね。部門別にその利潤についても実質的に商社間では議論をするように、通産省のほうは要望しておるのですか。あるいは商社が自発的に議論しておりますか。その点だけひとつお聞かせ願いたいと思います。
  16. 山下英明

    山下(英)政府委員 私どものほうから特に、適正利潤なり利潤率について商社の共通概念をつくってほしいとは言っておりません。  ただ、行動基準各社別検討の中で、ある社からは、うちの社では適正な利潤についても検討してもらっておりますという中間報告が来ております。これはもちろん、私がさらに想像を加えて申し上げれば、適正利潤率が何%というようなものではないと思います。木材の場合の値ぎめのあり方、あるいはリベートですとか、いろいろな取引条件が品目別に違うわけですから、いま先生御自身おっしゃったように、品目別に過去の一年なり何なりを反省して、たとえばでございますが、木材の場合にこういう値ぎめをしたことはよくなかったのではないかという種類の反省の結果が出てくるものと期待しております。
  17. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、その商社のほうから、いま局長が言われた反省した内容が報告になったときに、本院にその資料を御提示いただきたいということを要望申し上げておきたいと思うのです。  そこで、もう時間がなくなりましたが、公取の委員長お尋ねをしておきたいのですが、公取の委員長が現在、独禁法の立場から総合商社調査を進めておられます。この調査結果というのはいつごろを目安にしておられるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいというふうに思います。
  18. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 私としては、これはできるだけ早いほうが望ましい。しかし、代表的なもの、上位六社を対象に調査したいと思ってすでにもう入っておりますが、いかんせん、その取り扱う品目の多いこと、勘定し切れないくらい品目が多岐にわたっております。こういうこともありまして、それを全部一々あたるかどうか、そこまで必要でないのではないか、必要でないものは省いていくということもやらざるを得ませんし、とりあえず第一段階として、総合商社のおもなる骨格を浮き彫りにするということを目標に調査をやるという方向でやっております。まあしかし、それでもはっきり申し上げられないて、とにかく数カ月は──数カ月ということばの中には短いほうから少し長いほう、ございますが、一年なんという気の長いことは申しません。数カ月の期間を考えて、できるだけ早い機会に一応の骨格を描いて、それに対して対処する方法もあわせて検討していく、こう考えております。
  19. 松浦利尚

    松浦(利)委員 公取のほうでも、委員長が新聞その他で発表しておられるからこれ以上いろいろ申し上げませんけれども、ぜひ早急に、なるべく早く浮き彫りにしていただいて、その中から寡占状態になってきた場合、あるいはカルテル行為が行なわれる様相というものもあるいはあるかもしれないわけでありますから、そういった意味では、商社がいま検討を加えておる段階で、できるだけ結論が明るみに出るように、そのことがはね返って行政の中にあらわれるように、あるいは商社自身の行動基準の中に組み込まれるように、公取のほうの作業をぜひ進めていただきたいということを要望として申し上げておきたいと思うのです。  それで、もう時間がたちましたので、最後に、これは全然商社活動とは別ですが、やはり物価問題の一つの大きな問題として、再販問題がいろいろ議論をされておるわけです。特に公取委員長は御就任のときに、一両年でこの再販については決着をつける、こう言っておられるわけでありますが、この再販について公取委員長のお気持ちは、この際も全廃をしたらどうかという御判断なのか、それとも現在ある八十二品目を洗い直して、そして整理するものは整理してしまうというお考えなのか。同時に、この再販という問題が、リベートその他が非常に国民の前にわかりにくいですから、そういったリベートその他については公表する義務を課するというようなことまでお考えになっておるのかどうか。  そういったものについて、再販に対する公取委員長の見解をお尋ねしておいて、これに対する質問は後刻にして、きょうの私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  20. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 再販問題につきましては、いまおっしゃいましたように、就任のときに確かに、一、二年のうちには決着をつけたいと申しました。  なお、昨年以来、私はこの問題については発言しておりませんので、先般一部の新聞に新しいあれが出たように書かれましたけれども、これは私は何ら関知いたしません。新聞記者と話をしたこともありませんし、また、部下のその接触の態度を聞きましたが、これについても、そういう新しいニュアンスを持つような話は全くない。  その点は事実に反するわけでございますが、昨年の終わりごろから私は、新聞記者の定例会見におきましても、いつごろまでにめどをつけるかということに対しましては、来年中、つまり暦年を言っているわけでございますが、四十八年中には何らかの決着を、めどをつけたい。それは理想的なものであるとは限りませんけれども、一応のものであろう。いまおっしゃいましたリベートその他の公表というような点は、一種の弊害規制的な行為でございますが、私は、その弊害規制的な行為で何とかごまかすといっては変だけれども、この問題の解決をおくらすという考えはない。そうでなくて、今日の段階で振り返ってみまして、再販制度の意義を考え、なぜ再販制度というのはあるのかも考え、かつ諸般の実情を調査した上で、今日の段階において存続することが不適当であるものはこれを取り消す方向で考えますということは言っております。  これは第五回消費者保護会議においてもそのように記述されておりまして、その点はいまも変わっておりませんが、ただいま鋭意作業中であります。したがいまして、約束どおり、少なくとも年内には何らかの決着をつけるという覚悟でございます。
  21. 松浦利尚

    松浦(利)委員 質問を終わります。
  22. 山中吾郎

    山中委員長 次に、野間友一君。
  23. 野間友一

    野間委員 私は、公共料金の値上げ、特に電気、ガス、これにつきまして若干の質問をしたいと思うのです。  国鉄運賃の値上げ、それから私鉄の場合も昨年のたしか六月ごろに運賃値上げの申請が出ておると私は理解しておりますが、そのほか電力、ガス、航空運賃、航空運賃の場合には一五%、こういう新聞報道が相次いでおりますね。一連の公共料金が軒並みにずっと上がっておったりあるいは上げようとしておる。新聞などでもよく出ておりますけれども、下がるのは田中内閣の人気だけだ、これは確かにそのとおりなんで、長官も非常に心を痛めておられるのじゃないかというふうに、内々心配しておるのです。  総理府統計局の消費者物価指数、これは五月二十五日の発表、それから日銀の五月二十二日発表の卸売物価指数、いずれも急上昇を示しておりますね。これらについて一体長官はどうお考えになっておるのか、まず御所見を承りたいと思います。
  24. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 最近の物価事情、ことに急騰する卸売物価消費者物価の状況については、お話にあったとおり、心を痛めておるところでございます。何とかこの物価問題を平静に戻すといいますか、いまちょっと、すべてが物価値上げに走っておる、そういう非常に憂慮すべき状況になっておりまして、物価の安定こそはまさに国民生活の一番大切な課題でございますので、政府としてあげてこれに取り組みたいというふうに、先般の物価閣僚懇談会でも決定をしておる次第でございます。
  25. 野間友一

    野間委員 特にことしの一月に入ってからこの指数の上昇、これはまさに天文学的な数字だと言いますと非常にオーバーですが、非常に急激に上昇していますね。たとえば卸売物価指数対前年度比で一月が七・六、二月が九・二、三月が一一、四月が一一・四、五月になりますと、上旬が一二、中旬が一二・一、こういう統計、これは日銀の統計ですが、出ております。それから消費者物価指数も、四十五年度を一〇〇として一月が一一四・五、四月になりますと一二〇・七、こういう結果が出ておりますね。  こういうような、すべての物価が値上がりをしておる中で、政府は国鉄運賃の値上げをいま現に強行しようとしておる。さらに、先ほど申し上げたような電気、ガスあるいは航空運賃、こういうものについての値上げ申請が出されようとしておるわけです。こういう一連の公共料金、これらの値上げ、しかも新聞等で私ども拝見しますと、値上げ幅が非常に大幅なんですね。こういうものが一斉に値上げされたら一体どうなるのか。それだけじゃなくて、それから派生してくる物価の上昇がまたひどいと思うのですが、一体物価そのものがどうなるのか、長官は見通しについてどう考えておられるのか、お聞かせ願いたい。
  26. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 実は四月の初旬、中旬に、わずかでありますが、卸売物価が下がったわけです。これは十二カ月ぶりぐらいであったといわれておるのでありますが、これは一応投機に対する批判が非常にきびしくなって、投機的な需要が後退したというところが一番大きな原因だと思うのでございますが、その後またじりじりと状況が変わってきておるわけであります。  いま御指摘のように、前年の同月と比較いたしますと、この騰勢というのはなかなか大きいわけです。というのは、卸売物価の場合、昨年の四、五、六、七と、これは前年同期に比べて下がっておるのですね、〇・六%とか〇・三%とか。ですから、それに比べると非常に大幅に計算上なるわけです。ですから、この六月、七月以降、八月ごろになりますと、前年同期比というものの非常に大きな上昇というのは、計算上は変わってきますから、心理的にもその点は変わってくるというふうに思います。  また一方、私ども努力しまして、ただいま国民の間にある、インフレなんだ、十何%も前年に比して上がっているんだからいまのうちに買わなければ損だ、というような気分を消さなければいけない、こう思っておりますが、それが成功いたしますれば、大体夏以降というものは、いまの情勢は変わってくると思います。ですから、日銀のほうでも、公定歩合の引き上げや金利利率の引き上げをまたやったりしているわけですし、政府のほうとしても、一応公共投資等についての支出を若干時期的な調整等もやっておるわけでございまして、これはまただんだん変わってくると思うのでありますが、ただ、日本だけの状況ではなくて、海外はみんなインフレでございまして、その意味で、円の上がったことによるデフレ効果というものはそっちのほうにとられてしまうということがあります。  私は先般も、四月決戦だなどといって気負っておったのでありますが、これはなかなか微力で、どうもそういうふうになりません。どうもたいへん申しわけないのでありますが、何とかひとつ夏以降は、こういう状況に水をかけねばいかぬ。いま六月でございますから、六、七月と最大限の努力をしていきたい、こう思っておるわけでございます。  それから消費者物価の点は、これは野菜なんでございますね。これが非常に運の悪いといいますか、十日ごろに統計とるわけでございまして、たとえばキャベツが一番上がった、一個二百五十円だなんといっているときにその数字が出てきたわけですね。その意味でたいへんに高くなるというとはございます。そういう言いわけめいたことをあまり言ってもしようがありませんから、とにかく野菜等の需給について、もっとやりようがあると思います。だんだん出回りもしてくるわけでございまして、ことしの暖冬の影響等は野菜にはずいぶん出てきております。こういうことが消えていけば、情勢がこれまた変わってくるというふうに思います。  一番大切なことは、情報化社会でございますので、物価は上がりますよ、こういう前提を置くことが一番困る。物価が上がるんだから賃金をよけいにしろ、ボーナスもよけいにしろ、それでまた上がるんだから買うということになると、結局自分で自分の首を締めてしまうということになるという気持ちを国民の皆さんみんな持っていただくということが一番大切なことだ、と私は思っておるわけでございます。
  27. 野間友一

    野間委員 ささやかな家庭用のキャベツですか、それだけに物価指数上昇を矮小化することはできないでしょう。これは現に指数としてずっと統計をとられておるわけですから、確かに非常に深刻な問題ですね。今後ともなかなか、これが上昇がとまるということは、いまの手だての中では私はできないのではないかというふうに考えます。  特に、先ほど申し上げたように、政府が主導して公共料金の値上げをされておる、これが物価上昇の根本だと思うのです。ですから、ほんとう物価の抑制をする、こういうふうに真剣に考えるなら公共料金の値上げを一切ストップする、こういうような態度が正しいというふうに思います。その点どうですか。
  28. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 公共料金といえども経済社会活動の中における価格体系の一部を構成するものでございまして、人件費等のコストの上昇の中にあって長期にわたって料金を固定化することは、サービスの質的・量的水準の低下を招き、かえって国民福祉を阻害することにもなりかねないわけでございます。したがって、長期的には公共料金がある程度上昇していくことはやむを得ない面があると考えられるわけでございます。  現にそういう問題も、私どものところに来ておりませんから現実の問題になっていないわけでございますけれども、関西電力等においては二十年近く料金を据え置いて、その間に諸物価、労働賃金その他が非常に上がっておるわけでございます。しかし、いまお話しのように、公共料金というのは政府が直接規制することができる唯一の料金でありますから、物価政策の一環として公共料金政策を運営していく必要があることはもちろんでございまして、このためには関係業種についての構造改善を進め、公共料金自体の安定化をはかることに加えて、一般物価の状況に応じて値上げの時期を調整するなどの機動的な措置をとっていくことが必要であると考えます。  いまのお話で、公共料金が上がったから物価が上がるのではないのでございます。そういうことと関係なく物価は上がっておるのです。いまのお話は、それに火に油を注ぐようなことになるのではないか、こういう御趣旨と承っておるのでありますが、この点は、まだ私どものほうへそうした申請が出ておりませんから、いま何とも申し上げられないわけでありますが、十分そういうような影響を勘案して考えなければならぬことであるというふうに思います。
  29. 野間友一

    野間委員 消費者物価の上昇について、政府の見通しは五・五%、こういうことを長官は常々言われておりますが、これは一体可能かどうかということです。たとえば国鉄の運賃とか、万が一こういうものが通りますと、これだけで消費者物価を〇・三%前後押し上げる、こういうふうに言われておりますが、これがさらに他の物価上昇に波及する、こういうことから、これだけ考えても政府の見通しはこえてしまうのではないか、こういうふうに思いますが、この点いかがですか。
  30. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 なかなかいまの状況は、政府見通しを達成することは困難であるという状況だと思います。何とかそれに持っていくように努力をしたい、こういうことを繰り返し申し上げておるわけでございます。非常に困難でございます。
  31. 野間友一

    野間委員 困難より、むしろ不可能だと私は思っております。  そこで、電力あるいはガスについて質問するわけですが、関西電力それから四国電力、それから大阪瓦斯、こういうところが、新聞等の報道によりますと六月中に値上げを申請するやもしれない、こういうような動きもあることは御承知のとおりだと思います。これは通産省のある幹部の方と話したときに、おそらく六月中に値上げがあるだろう、こういう話も聞いておるわけですが、これについては、大阪を中心にだいぶ前から値上げ反対の運動が、特に家庭の主婦を中心に盛んに起こっておるわけですが、どうですか、通産省にお聞きするわけですが、これは通産省内部はすでに御承知のとおりなんで、これについてどの程度の値上げをどういう理由でやろうとしておるのか、どういうふうに理解しておられるのか、この点についてひとつ答弁願いたいと思います。
  32. 矢野登

    ○矢野政府委員 ただいまの御質問の関西方面の電力会社の値上げ問題、通産省に対して正式に値上げの申請が出ておりません。新聞等によりますと近々に出すことになっておりますが、現在ではまだ受理しておりません。したがいまして、政府といたしましては、でき得る限り経営の合理化等によって料金原価の上昇要因の吸収をはかりまして──これは電気及びガスもあわせて考えなければいけない問題でございます。こういう方面にでき得る限り努力するように指導いたしまして、料金の見直しがやむを得ない場合におきましても、極力その幅を狭く抑制するように努力したい、こういうふうに考えております。  現在のところでは、先刻申し上げましたように、まだ申請も出てきておりませんので、どの程度のことを考えておるかもはっきりいたしません。この程度のお答えを申し上げておきます。
  33. 野間友一

    野間委員 確かに、正式な手続はまだなされていないということは間違いないわけですが、しかしながら、特に大阪瓦斯の場合には、これは三月二日付日経新聞、約三〇%。それから関西電力あるいは四国電力も大体同様ですが、特に関西電力の場合には、五月二十四日の同じく日本経済新聞、これもやはり三〇%、これは関西電力の吉村社長が値上げる意向を漏らしておる。これも新聞にすでに出ておるわけですね。通産省の中でも、これに対してどう対処するかということについては内々準備されておる。これは私も内々聞いたのですが、何%ぐらい上げればほかにどれだけ波及するかということについても、すでに内々にはいろいろ検討されておる。また、正式にその値上げの申請をする以前に、これはやはり会社が通産省に対して意向を打診する、内々にはそういう作業が進められているというのが事実なんで、だから、申請されていない段階では何ともというようなことでは、これはまさに官僚答弁で、私は困ると思うのです。  そこで経企庁、具体的に、もう時間の問題としてみな理解しておるわけですが、もしこういうような値上げ申請が出された場合に、経企庁としてはどういう態度をとるのか、あるいはどう考えておられるのか、この点についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  34. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 御指摘の電力、ガス料金の改定につきましては、現在申請が行なわれていないわけでございまして、したがって当庁としては何ら関知しておりませんけれども、もし将来申請が行なわれた場合には、所管省から協議を受けた段階で、経営収支状況等を十分念査して、物価に与える影響等も配慮しながら、改定の要否を含めて慎重に扱っていくことにいたしたいと考えます。
  35. 野間友一

    野間委員 長官、珍しく棒読みをされましたけれども、大阪瓦斯の場合、これは西山社長。ガスの場合には一般消費者が需要者の大体九〇%を占めておる、こういうように統計上なっておりますが、三〇%の値上げになりますと、ふろつきで四人家族の標準世帯で月千円近い支出の増加、こういうことまでいわれておる。これは電力も同じことが言えるのですがね。先ほど長官も言われましたけれども公共料金だけは政府として押えることができるわけですね。これを押えて、そして物価の抑制の手だてをしなければ、あれこれ理屈を立ててこれを認める方向でやるということはとんでもない話、とんでもないことになるのじゃないかというふうに私は思うわけです。  そこで通産省に聞くわけですが、値上げの申請があった場合に、どのような調査をして査定されるのか、あるいは査定する基準は一体何なのか、  こういうことについてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  36. 井上保

    ○井上政府委員 お答え申し上げます。  料金値上げの申請は、いままだ全然出てまいっておりませんわけでございますけれども、もし料金の値上げの申請があった場合にはどういう査定をするのかというお話でございます。  これにつきましては、実は昭和三十三、四年ごろだったと思いますけれども、料金制度調査会──これは電気もガスもほとんど同じでございますので、電気を例にとって申し上げたいと思いますが、料金制度調査会というのをつくりまして、学者、消費者、協会その他関係のエキスパート、たしか二十五、六人だったと思いますけれども、集まりまして、料金制度あるいは原価の算定につきましての調査会をつくりまして、そこで一年ほど、四十数回ぐらい会議をやっておると思います。どうも記憶はちょっとはっきりしませんが、そのぐらい会議をやっておると思います。一年ぐらい研究をいたしまして、その後答申を得まして、そこで通産省では二年ぐらいかかりまして、これを省令、告示に直してやっております。  それが新電気事業法に変わりました際に、省令、告示ということがなくなりまして、一応内規ということにいたしましたが、昭和四十年それからごく最近、この二回にわたりまして、電気事業審議会のエキスパートの先生方に、料金算定制度がその後の情勢の変化にマッチしているかどうか諮問いたしまして、その結果ごく小部分の改正がありましたが、大綱におきまして従来の方式が妥当であるということになっておりまして、こういう算定基準を持っております。その算定基準に従いまして算定をする。また、もし申請が出てまいりましたならば、その算定基準に従って算定をする、こういうことであります。
  37. 野間友一

    野間委員 その算定基準は一体どういうふうになっておるのかということが一つと、それからガス、電気の値上げの申請が出た場合に、通産省の方針は一体どういうことになるのか、これをさらにお伺いしたい。
  38. 井上保

    ○井上政府委員 算定基準でございますが、これにつきましては将来三年間の経費を、フェアリターンも考えまして、あるいは減価償却、営業費その他を入れまして、その前提となる需給計画あるいはその他の諸般の建設計画等を織り込みまして、それに見合う経費を算定いたしまして、その経費をまかなうに足るような収入を確保する、こういう前提で、収支が相償うというかっこうで原価をきめていく、こういうことになっております。  通産省といたしましては、もし申請が出てまいりました場合の態度は、先ほど政務次官からお答えをしたとおりであります。
  39. 野間友一

    野間委員 そうしますと、いわゆる原価主義というのですか、出た場合にはそういうところから判断してきめるということですね。  そうすると、いまの時点ではどうなんですか。値上げがやむを得ないというふうに考えておるのか、あるいは何とも答えられない、値上げは認めないというふうに考えているのか、そのあたり、ちょっと答えてほしい。
  40. 井上保

    ○井上政府委員 通産省といたしましては、公益企業規制の一環といたしまして、各会社の経理内容につきましては終始注視してまいっておりますけれども、先ほど御答弁申し上げましたとおり、将来計画につきましてのいろいろな想定がございますので、実際にどういうことになりますかは、現実に値上げ申請か出てまいりましたならば、そのところで内容をよく審査したい、こういうことでございます。
  41. 野間友一

    野間委員 そうすると、いまの時点でお聞きしたいのは、出た場合には値上げを認める方向で検討するのか、あるいは公共料金を抑制しなければならぬというたてまえからこれは認めないという方向で検討するのか、そのあたり、もう少し具体的に答えてほしいと思います。
  42. 井上保

    ○井上政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、算定基準という一応の算定方式がございますので、それに照らしまして、出てまいりましたら、出てまいりました原価ファクターを詳細に洗いまして、その結果どういうことになるかというのはその勉強したあとのことである、こういうふうに考えております。(野間委員「いま白紙ですか」と呼ぶ)現在のところは、経理内容は傾向としてだんだん悪くなっていることは知っておりますけれども、将来三年間につきましては見通しがはっきりいたしませんので、その数字を見たところで考えたい。したがいまして、申請が出てまいりました場合に、算定基準に照らしましてどういうことになるかというその結果は、現在まだ白紙でございます。
  43. 野間友一

    野間委員 通産大臣に一つお尋ねしたいと思っておったのですが、きょう通産大臣が見えていないのですが、五月二十六日付の公益事業新聞というのがあるわけです。この公益事業新聞の中で、通産大臣日本瓦斯協会の二十一回定期総会、このときにお祝いのことばを述べております。これによりますと、このあいさつの中でこういうことが書いてある。「また、他方、昨今は、資本費原料費の高騰などガス事業をとりまく諸情勢にはきびしいものがありますが、業界各位におかれましては、経営の合理化等を通じ、これら諸問題の解決に積極的に取り組まれるよう希望いたします。当省といたしましても、ガス事業に係るこれらの課題の解決のため、でき得る限りの支援をいたす所存であります。」こういうようなことを言われておるわけですが、これは通産大臣が自分でつくられたのか、あるいはあなたがつくったのか、よくわかりませんが、資本費とか原料費の高騰、ガス事業を取り巻く諸情勢には非常にきびしいものがある、こういうことを前提に、合理化等を通じて積極的に取り組め、こういうようなことからしますと、合理化等を通じて、原料費、資本費は上がっておるけれども値上げというものをするなというようにもとれるわけですが、しかし、あとになりまして、当省としても、ガス事業に係るこれらの課題の解決のため、でき得る限りの支援をいたす所存であると、何か値上げをすれば認めてやるというふうにもとれる。  ですから、いま白紙の状態であるということを聞いたわけですが、この大臣のあいさつを見ますと、これは値上げを認める方向であいさつしたのか、あるいは合理化等を通じて値上げをするなというような方向で述べたのかわかりませんので、これは大臣がおれば正確に聞きたいと思うのですが、この点どうですか。
  44. 井上保

    ○井上政府委員 先ほど申し上げましたように、経理内容等につきましては、常々公益企業規制の一環としてよく見ておりますので、傾向として、先ほどの大臣がお話しになったようなことが実態であるという認識は、われわれあるわけでございますけれども、ただ、それを企業努力によって吸収するということ、また税制あるいは融資、各般の手段によりましてこれを支援しておるというのが現在の実態でございまして、そういうものを極力今後とも支援していくというふうな意味ではないかというふうに考えます。
  45. 野間友一

    野間委員 関連して長官にお伺いするわけですが、先ほどから問題にしております関西電力あるいは四国電力、それから大阪瓦斯、これらが値上げの申請をするという動きについては御存じかどうか、まずお伺いしたい。
  46. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 先ほどからお答え申し上げておりますように、この値上げの申請は企画庁には来ないのでございます。通産省に来ると思います。通産省からこういう話、まだ聞いておりません。その点については何ら関知をしておりません。
  47. 野間友一

    野間委員 関知をしていないと言われましたけれども、五月二十二日付の朝日新聞によりますと、関経連総会に出席されて、二十一日に記者会見されて、電力あるいはガス料金の値上げ問題について述べておられますね。朝日新聞の報ずるところによりますと、「電力、ガス料金ばできるだけ抑制したいが、企業に余り無理をさせるとサービスに影響する。二十年近くも料金値上げをせず、賃金などコストの増加を生産性向上で吸収してきた関西電力は良心的といえる。」えらい何か持ち上げて、これは新聞のコメントも「企業側に好意的な発言をした。」こういうコメントというか記者の判断も述べた記事が出ておるわけですね。  さらに日経、同じく二十二日付、記者会見の話の内容について、「関西電力、四国電力両社の値上げ問題に触れて、「両社とも二十年近く料金を据え置いており、場合によっては値上げもやむを得ない」との意向を示した。」こういう記事が実際あるわけですね。  いま白紙だとか自分のところは関係ない、これは通産省に値上げの申請かある、こういうふうに言われましたけれども長官、それならなぜ先ばしって、こういうふうに五月二十一日の時点で述べられたのか。これは新聞記事が間違っておるのか。あなた自身発言されたというふうに書いてあるので、この点についてさらに答弁を求めたいと思います。
  48. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 新聞記事に対する批評はいたしません。しかし、その中に私の言わなかったことも書いてある。これは確かにそういう点はあります。
  49. 野間友一

    野間委員 それじゃ、どの点が問題にされるのか、ちょっとお聞きしたいのです。このいま申し上げた、「電力、ガス料金はできるだけ抑制したいが、企業に余り無理をさせるとサービスに影響する。二十年近くも料金値上げをせず、賃金などコストの増加を生産性向上で吸収してきた関西電力は良心的といえる。」こういうことが言われておるというように書かれておりますが、これは長官は、言われたことないのですか。
  50. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 そういうようなことを言いました。
  51. 野間友一

    野間委員 いま公共料金の値上げをどうして押えるか、抑制するかと非常に重大な時期に、しかも、いま長官の話にもあったけれども、これは通産省の所管事項ですね、物価全般については経企庁ですがね、だから、申請もない段階でなぜこういうような発言をされるのか。これはだれが考えても、こういう発言をされるということは、これは暗に、値上げを申請すれば認めてやろうというふうにしか思えないと私は思うのです。二十年近くも値上げしない。生産性向上でコストの増加を押えてきた、非常に良心的だという発言は、申請があれば認めてやろう、こういうふうにしか、いま長官発言は理解できないと思うのです。ですから、公共料金の値上げをストップさせる、物価の御大である長官がこういう発言をされるということば、非常に遺憾だと思うのです。どうですか。
  52. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 しばしばお答えしているように、私は、公共料金というものは厳に抑制したい、しかし、あんまり抑制してもサービスの低下につながるということは、繰り返し言っているわけでございますね。いろいろな機会に、これは公式の場で言っておるわけでございます。新聞記事がそのまま一字一句正しいとは私は申しておりませんが、大体、給料も上がり、諸物価も上がり、二十年間同じ料金でやってきたのがどうですかと聞かれれば、なかなか良心的にやったんじゃないか、こう言うのは常識だと私は思っておるのでございまして、それは何も値上げの了承を示唆したとか、そんなことでは全然ないのでございます。  どうですか、野間さん──質問しちゃいけないいからやめますが、諸物価上がっているんだから──これは二十年間非常に上がっているのですよ。その間料金を変えなかったというのは、私は良心的と言って、ちっとも恥しいことを言ったことないと思うのでございますがね。だからといって、すぐに上げるとかなんとかいうことじゃなくて、やはり経営というものはできるだけ合理化して生産性を上げてやっていくのが経営者のつとめであるというふうに私は思っておるものでございますから、そういうことを言ったにすぎないわけでございます。ただ、一字一句、それに書いてあるとおり、言ったわけではございませんよ。
  53. 野間友一

    野間委員 しかし、いまのこの時期になって、いろいろなものが上がって、政府の見通しも狂っておる、こういう非常に深刻な事態を迎えた今日、こういうことを値上げ申請がある前に、白紙だというふうに先ほど言われましたけれども、こういうことを物価抑制の元締めである長官発言されることは、これは軽率であり、不用意じゃないか、私はこういうふうに思わざるを得ぬのです。日経のごときは、場合によっては値上げもやむを得ないとの意向を示した、こういう記事すら書いてあるわけですね。これは長官、こういう新聞は全部読まれておると思うのですが、このことが訂正されたという記事は、私はまだ見ておりません。このまま認められておるのじゃないか。だから、こういうようなことでは困ると私は思うのです。特に、これを受けてかどうか──長官が記者会見をされたのが二十一日なんですね。ところが、その後二十四日に関電の吉村社長が記者会見をして、できるだけ早い機会に値上げを申請したい。いいですか、二十一日に記者会見されて、三日後に、「値上げ申請早急に」と、これは五月二十五日付の日経にも書いてあるわけです。これは大手町の経団連会館で記者会見して、電力料金値上げ問題に触れて、できるだけ早い機会に値上げを申請したい、こういうふうに書いている。しかも、これは記者の主張というか判断が入っておるのですが、小坂経企庁長官は今週初め大阪で値上げを認める方向を示唆した、こういうことが書いてあるわけですね。  二十一日に記者会見して、いま申し上げたようなことを言っておられる。そして二十四日にさっそく関電の社長が、早い機会に値上げを申請したいということまで言っておる。長官、こういう一連の経過からしたら、長官が誘い水をかけたのかどうかは別にして、こればやはりそういう記者会見の中で、申請も出ていない段階でそういうことを言われたことは──そういうことというのは内容が問題なんですが、私はやはり問題だと思うのです。二十年近くも据え置きをしておる、コストの上昇を合理化で押えておる、これは良、心的だ──いや、だれだって、一国の政府長官が言うわけですから──。世論の関係も考えて、出ていない段階であれば、白紙であれば白紙だというふうに答えるのが、正しいあなたの対処のしかただと思うのです。ここでもいま白紙だということを言いましたね。これは通産省の所管だということ、自分のところは出ていない、白紙だということを言われた。しかし、ここでは出ていなくても、以前に言われておるわけです。こういう態度について、私は不見識だと思うのです。どうですか。
  54. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 記者会見でそういう話を聞かれましたときに、まず、私は白紙であるとはっきり言ったのです。ところが、これは記事にならない。それから、そんな記事の中に私の言わないことも書いてある。それはどういうことかというと──これは、それじゃ訂正を出せとかなんとかいうことになるといけませんからやめますけれども、確かに言わないことが書いてある。ただ、私も長い間国会におりまして、新聞とはしょっちゅうおつき合いを願っておる。もう二十七、八年もこうやっておつき合い願っておって、私の言わないことをずいぶん書いていただいておる。しかし、そのたびに一々、違っておるとかなんとか訂正を求めるなんということをやりますと、これはやはり共産党と自民党の違いで、自民党はそういうことをせぬ党風になっておりまして、これはやらぬのであります。(野間委員「何を言うのですか」と呼ぶ)いや、そうですよ。私どもはそういうことをしないのです。だから、そういうことは、いいことも書いていただくし、悪いことも書いていただくし、その中に耐えていくのが政界に身を置く者の考えだというのが私の考えで、あなたにそうしろと一つも言っているのじゃない。私は、あなたの質問に答えて私の気持ちを申し上げている。私どもはそういうことでやってきているのです。でありますから、いまあなたは、白紙だと言わなかったと言うが、白紙だと言っているのです。ただ、こういうことについてどうですかと言うから、それは二十年も、その間にはずいぶん物価も上がってきている、一つの料金でこらえてきたということは、なかなか経営者としてりっぱなことだと思う、そういうことは申し上げましたけれども……。  ですから、それはそれで、私の公式の態度は、国会のこの場所で速記をとって申し上げるのが私の公式な態度である、かように御了承願いたいと思います。
  55. 野間友一

    野間委員 公式、非公式と言われますけれども、新聞に出ますと、なるほど国は認める方針でおるのかというふうにとられるわけですよ。ですから、長官の真意はともかくとして、そういうふうに世間に受け取られて、政府ですらも認める方向だというふうに、国民をしてそういう認識に立たすような発言は、長官としてこれは慎むべきだ、こういうように思うのです。まだ、いま申請されていない段階ですから、質問についてはこの程度で留保しますけれども。  最後にお聞きしたいのですが、長官ほんとうに、公共料金のいろいろな上昇について頭を痛めておられると思うのです。いまガスと電力について質問したわけですが、このほかにもたくさんあるわけです。この値上げについて、これは原料費が高くなったとか、あるいは資本費がかさんだとか、だから値上げを認めるんだということになりますと、これはイタチごっこだと思うのです。政府は直接公共料金については押える権限を持っているのですから……。ところが、それが原価主義か何か──とにかく赤字だという場合には、その原料費をどう押えていくかというふうに考えていかなければ、どんどん物価は上がる、公共料金もそれは上げなければしようがないということになりますと、これは物価問題の根本に対して——物価が永久に安定するような、そういうことはあり得ないと思うのです。  最後に、公共料金の値上げについて、特にいまガスとか電気、これを軸にして、経企庁長官どういうふうに考えておられるのかお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  56. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 公共料金中国鉄の問題については、目下国会に提案して御審議をいただいております。他の問題については白紙であります。
  57. 野間友一

    野間委員 終わります。
  58. 山中吾郎

    山中委員長 次に、石田幸四郎君。
  59. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 去る五月二十九日に公定歩合が〇・五%引き上げられたのであります。また預金準備率の第三次の引き上げも発表があったわけでございますが、このように公定歩合の引き上げが第一次、第二次にわたって行なわれ、預金準備率の引き上げが三次にわたって行なわれているわけですが、その他いわゆる金融政策としましては、商社向け貸し出しの抑制措置あるいは土地関連融資の抑制等窓口規制が行なわれておりますけれども、最近のマネーサプライの関連指標の数字等を見ますと、四十六年から四十七年にかけて非常な増勢を示しております。四十八年に至ってもさらにまた増加をいたしておるわけでありますが、こういう過剰流動性というのは物価高騰の主たる因であるということで、今国会でしばしば問題になってきたわけでございますが、今回の金融措置効果──三次まで行なわれたわけでごさいますけれども、今回の第三次の金融措置によって二カ月後にはそろそろ効果が出てくるのじゃないか、こういう議論もありますし、また、半年ぐらいはかかるであろう、こういうような説を言う人もおるわけでございますけれども、経企庁長官といたしましては、この三次の金融政策の結果、いつごろどういうような形で効果があらわれてくると想定をしていらっしゃるのか、その概要についてまず伺っておきたいと思います。
  60. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 公定歩合の引き上げと預金準備率の引き上げ、両方やってまいったわけでございますが、金融からする影響というのはわりあいに緩慢に出てくるのじゃないかと思います。やはり銀行の貸し出し態度が一番大きなものでございまして、直接に一番きくのは窓口規制であると思いますけれども、その窓口規制をやる一つの理由づけといいますか、そういうものに対して公定歩合の引き上げということは非常に強くきくと思います。現実に公定歩合が引き上がったことによっての金融の締まり度合いというのは、人によっていろいろ評価がございますけれども、いま先生御指摘のとおりいろいろある。いろいろありますけれども、やはり第一回の引き上げの効果がそろそろ出てきたというようなことで、今回の引き上げの現実効果というのは、これはまた相乗的な効果もございますから、やはり早くて八月ごろではないかというふうに思います。  ただ、いいことは、今度はジャーナリズムも一斉に、相当な金融引き締めが行なわれておるという感触を持って書いたわけでございます。これが心理的に相当な効果があるというようにも思います。むしろスタグフレーションのおそれもあるというようなことを書いたところもございます。いままでは、引き上げても、何をいまごろやるかというようなことで、実は問題にしないような節があったというようなのが、今度は違う。この点では私は非常に効果的であったというふうに考えております。
  61. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私も、今回の第三次の金融政策というものは非常に大きな効果を示すであろうというふうに期待をしておる一人でございますが、いまも経企庁長官指摘になりましたように、金融政策だけでは現在の複合インフレといわれる状況をなかなか押え切れないことは自明の理でございますが、経企庁といたしましても、現在の複合インフレの要因として七項目指摘をいたしておるわけでございます。  私が読み上げるまでもありませんが、一つにはドルの流入によって生じた企業の余剰資金、二つ目には急速な景気の過熱による需要の増大、三番目には消費構造の片寄りによって生じた特定物資の極端な品不足、それから四番目には原料や人件費の高騰による価格転嫁、五番目には海外のインフレの影響、六番目には地価の変動、七番目には投機や値上げ心理の蔓延、こういうようなものをあげておられるわけでありますが、やはり金融政策に対応して、これらの要因を押える政策というものが当然行なわれなければならないと思うのでございますが、今後さらに、いろいろな政策がありますけれども、どういった点に力を入れてこれらの複合インフレを押えていこうとなさるのか、お伺いしたいと思います。
  62. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 御指摘のように、いろいろ原因が複合的なものであるだけに対策も複合的なものであるべきでございますし、御承知のようにまずポリシーミックス、これは常道でございますが、政府の財政投資の時期的な調整をやったり、あるいはまた輸入の拡大、あるいは特恵関税のシーリングワクの引き上げ等いろいろやっておりますが、私どもは、この際一番大きなものは、国民の協力をいかにして得るかということだと思います。銀行の貸し出し金利が八%になった、こういいましても、物価が一割上がるのだと思えば、またみんな買うわけでございます。これはやはり、物価はここで天井だというふうな努力政府も真剣にやり、国民もそうだと思うような環境ができるかどうかということが勝負じゃないかというふうに、私は実は思っております。その勝負をつけるための手だてとしていろいろいたすことがたくさんあるわけでございまして、何といっても投機の抑制とか、あるいは投機をやっても結局国家が吸い取ってしまうのだというような気持ちを持たせるということで、私は法人税の累進とか課徴金とかいうことを言っているわけでございます。課徴金のほうはものになりそうな傾向もございますので、ぜひそういう何か一つぴりっとした政策を持たないといかぬのじゃないか。オーソドックスなことは当然やらなければなりませんけれども国民のインフレマインドを挫折させるという心理的な作戦が要るのではないかと思います。  もう一つ、消費者に対する情報提供。これも先般からやっておるわけでございますが、情報の提供をしつつ私感じておりますことは、やはり消費者運動そのものが強化されて、消費者の自覚がそのたびに強化されてくるというような感じも持っておるわけでございまして、この点は大切なことではないかというふうに考えております。
  63. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この総合インフレを押えるいろいろな対策は当然あると思うのでございますけれども、私も、いま経企庁長官指摘されたような、いわゆる国民全体に対する心理的な影響というものがかなり大きな要素を占めるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。しかし、単なる精神論だけをぶっただけでは、これは当然だめなんでございまして、そういう立場に立って、たとえばいまの財政の支払いの繰り延べをやるというような問題に対して、むしろ景気抑制のために公共事業等の一部打ち切りぐらいははっきりと打ち出したほうがいいのじゃないか、こういうような議論もあります。さらにまた、いわゆる租税特別措置法のそういうような問題についても、これを打ち切れば六千億ぐらいの財源が出てくるのだからというような議論もございます。そういうような、いま一つ二つの例をあげたにすぎませんけれども、そういう一連の問題をやろうということになりますと、やはりいままでの慣例上からいきまして、特定のそういった既得権を持っているような人たちのそういう既得権まで踏み込むような強力な手が打たれなければならないのではないか、こういうように私は考えるわけです。これはここで三、四十分で論議する問題ではございませんけれども、もう少し系統立てたそういうような政策というものを必要とするのじゃないだろうか、こう私は思うわけなんです。  ところが、いまもしばしば問題になりましたように、商社に対するもうけ過ぎ、これの金を税金によって吸い上げようというようなことを小坂長官発表していらっしゃるわけでございますが、こういうような問題を通して確かに心理的な影響はあるとは思いますが、こういったことを思い切ってやらなければならない。一面、そういうようなことを発表しながらも、実を申しますといろいろな関連の、いま問題になりました電気料金であるとかあるいはガスの値上げであるとか、あるいはまた三月末にきめられたいわゆる豚肉の政府の支持価格の問題、こういうふうにどんどん、政府のほうは物価抑制策発表しながら、同時にこういうような認可料金、承認事項にかかわるようなそういう諸物資の価格についてはその値上げを認めておる、こういうような状況が見られるわけなんですね。いま問題になりました電力料金にいたしましても、二十年間確かに関西電力としては上げなかったかもしれませんけれども、前回、たしか五年ぐらい前に東京電力の木川田会長は、向こう十年間電力料金は上げる必要はない、こういうようなことも公言をしておられるわけです。そういう立場から考えれば、私たちも関西電力の値上げについては反対である、こういう立場に立つわけですが、しかし、これは政府の見解と違うわけでございますから、政府立場を認めて、そういうような認可料金にかかわるようなことをどんどん一方においては値上げを認めざるを得ないという態度でいく、一方においてはいろいろな物価政策をとる、その間の矛盾した相関関係については、何ら政府のほうとしても方針もなければ国民一般に対する御説明もない。そういったところから、一般国民としては、そういう物価対策といろいろな諸物資の値上げの認可についての大きな矛盾を感じていると私は思うのでございますけれども、この間における一つの方程式といいますか、そういうような公式といいますか、あるいは政府考え方というものを、もう少し明確に国民の前に明示される必要があるのではないか。政府立場考えてみてもその必要はあるのではないかというふうに考えるのでございますが、いかがでしょうか。
  64. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 実は経済企画庁という役所は物価について責任を持つ役所でございますけれども、しかし、物価というものはいろいろな経済行為の結果出てくるわけでございますが、経済行為そのものには何ら実は権限がないので、そういう点で、なかなかいままでむずかしい点がございました。御指摘のような、一つの公式もないじゃないかということをおっしゃられても当然だと思うわけでございます。そこで今度、物価局をつくるということになりまして、物価に対する総合調整権をいただこうということで、いま参議院のほうへ送っているわけでございますが、これができますと、やはりもっと、物価白書というようなものの形で物価に対する一つの明確な考え方を出すことができる、かように考えているわけであります。
  65. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 わが国の消費生活というものは、その大半を外国の物資輸入に期待をしている現状でございますけれども、この輸入政策の弾力的活用というのは、毎年毎年、政府政策の一つとして大きくクローズアップされているわけでございますが、その中でも特に代表的なものは総合商社といわれておるわけであります。その総合商社に対する対策というものは非常に大事である。いま松浦委員の御発言にもありましたように、商社法等の問題が話題になっております。今回の、長官が関西経済連合会ですか、ここに御出席になって発言をされたこの内容というものは、非常に大きな心理的な影響を与えていると私は思います。これはある新聞でございますけれども、それを論評していわく、「小坂経企庁長官の“大法人退治熱”はすさまじい。物価をつりあげる真犯人(?)・大法人をやっつけよう──とばかり、最近機会あるごとにユニークな発言・提言を繰返し、庶民の味方?よろしく大奮闘を演じている。」こういうふうに評価をされておるわけでございます。  やはりそういう立場に立ってひとつものをお考えいただきたいと思うのでございますが、特に今回の決算等を見ますと、膨大な収益をあげておられます。これについて私はお伺いしたいのでございますけれども、新税を設けてそのいままでのもうけ過ぎを吸い上げたい、このように発言をしておられますが、具体的にはどう考えておられるのか。特に四十七年度のもうけ過ぎについては、大蔵省としては、これはもう手も出せないんだ、やれば四十九年度ぐらいからであろう、新しい法律をつくってあるいは税制を改正して、四十九年度からのもうけはこれは規制することはできるかもしれませんけれども、過去のやつはできない、こういうようなことをいっておりますが、この新税を設けて吸い上げると御発言されたその真意はどこにあるのか、具体的にはどうお考えになっているのか、この点についてお伺いいたします。
  66. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 目下の状況は一億総買い取りというような状況で、買えば必ずもうかる、そういうことで物価が上がっていくわけでありまして、結局よく考えてみると、みな消費者でございますから、自分で自分の消費する物価をつり上げて、自分の所得を減らしておるということにもなるわけだと思うわけでございます。  そこで、いろいろな道徳論もございますけれども、やはり道徳論が規制及ばないところもたくさんございますわけで、それにはやはり制度として、不当なもうけをしたら国家に没収されてしまうんだということにしないと、なかなかこの一つの勢いというものがとまらないのじゃないかというふうに憂えております。その意味で、このもうけ過ぎは国家に収納するという法がとれぬものかということで、いろいろ専門家の意見も聞いて、異常利益を課徴金によって取るという方向はとれないものかというふうに、いま専門家の間で考えをまとめてもらっておるわけなんであります。  これが幸いにしてまとまって、そういうことがよろしいということで国会で認めていただければたいへんありがたいのでございますけれども、しかし、それにはなかなか時日の経過というものがあるわけで、一方、もうけ過ぎというものはどんどん進んでいくわけで、それが物価をつり上げているのが現実でございます。いまやっておっても、結局さかのぼって取られますよということにすれば、そういう勢いをとめることができるというふうに思います。税という形にしますと、どうしても大蔵としてはそれはできないということのようでございますので、まあもうけ過ぎは悪いことなんでございますから、悪いことだということがきまれば、これは過去にさかのぼってそれを追徴するということもできるわけです。そういう思想を盛ることができないかということが私の気持ちなんでございます。  やはり物価の騰勢をとめるということにはそこまでいきませんと、今度かりにそういう法律が出ますというと、法律ができるまでの間にうんともうけろということで、ますます勢いが進むことも考えられますので、そういうことを考慮して言っているわけでございます。
  67. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いろいろ専門家の意見等も聴取していらっしゃるようでございますが、この新聞の解説記事を見ますと、長官の私設の諮問機関を設けてやりたい、こういうようなことをおっしゃったかにうかがわれますが、その真意はともかくといたしまして、この大手商社のそういうような規制というものは、私は大きな影響を与えるであろうと思います。そういった意味におきまして、そういう私設諮問機関ではなくて公的な機関を設けて、この問題を検討する用意はないのかどうか、この点についてお伺いいたします。
  68. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私はこだわらないわけでございますが、公的と申しますか、相当そういうことに対しての識見を持ち、手腕を持っている人がだんだん集まってくれるようでございますので、それに期待をいたしております。
  69. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 特に大手商社等の問題あるいは大手企業の中の問題で、最近でも話題になりましたけれども、いわゆる交際費の問題が、日本鋼管と、いわゆる新聞でいうところの熊沢天皇との問題で、これは非常に大きな社会的な事件になったわけであります。産業界全体では年間一兆円といわれております。  この前私は、各社の代表がおいでになったときに、やはりこの交際費の問題をあげたのでございますけれども、たとえば丸紅におきまして、四十六年十月から一年間を見ますと十二億七千六百万円、伊藤忠で十六億、三井物産で二十億八千八百万、日商岩井で約十四億、住友商事で十一億七千五百万、三菱商事で二十億四千万、この代表六社をあげただけでも、実に交際費だけでも九十余億を使っておるわけでございます。  こういうような問題を見ますと、このようなむだな経費を大企業はばんばん使える、そういったところから、いわゆる大企業経営者というものはコストの低減の努力を怠っているのではないか、こういうふうにすら私たち考えられるわけであります。先ほども長官のお話に出ましたように、経営者というものは、合理化を進めてコストの低減をはかるべきである、そういうような御発言がございましたけれども、こういうような交際費の実態というものは、まさにその長官のお考えからいけば逆行しておるわけであります。これは大蔵省の問題かもしれませんけれども、宣伝費等の問題も考え合わせますと、実に膨大なむだな経費がやすやすと認められておる。  さらにまた申し上げれば、いろいろちまたに聞くうわさでございますが、いわゆる一流会社の部長あるいは課長クラスになりますと、年間に一千万円とか二千万円も交際費を使うというようなことも、ちまたではうわさされておるわけであります。こういったことは、やはり今日のいわゆる物価騰勢という時代にあって非常な心理的な悪影響を及ぼしておる、こういうようなことも考えられる。  まさにこういうものは、もうけ過ぎからきておる現況でございます。今回の決算報告を見ただけではなくて、こういうところにも明らかにもうけ過ぎが出ているわけでございますから、こういうものは、やはり物価対策の上から、厳重に大蔵省に進言をして規制をすべきじゃないか、損金勘定に大幅に繰り入れるべきじゃない、このように思うのでありますが、この点についての御意見長官から承りたいと思います。
  70. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 交際費課税につきましては、従来から数次の税制改正を行なっておりますわけでございます。現下の経済状況から見て、さらに検討をするということは適当であろうというふうに考えておるわけでございますが、具体的に政府税制調査会において専門的な見地から十分検討をされまして、適当な措置を講じていくというふうに考えておる次第でございます。
  71. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 輸入問題について公取のほうにお伺いをしたいのでございますが、輸入物資を大幅にふやして、そうして物価の安定に寄与したいというような方針がとられているわけでございますけれども、そういう立場から、いわゆる並行輸入が最近認められておるわけであります。その前の問題といたしまして、そういった諸物資に対する総代理店制度というものが、いま幅広く行なわれているわけであります。この総代理店制度については、一々公取に報告をしなければならない、こういうような義務規定があるはずでございますが、物資別にこの総代理店一覧を御提出をいただけるかどうか、この点について委員長にお伺いをします。
  72. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 別に、公開することをはばかるわけじゃございませんが、私どもで総代理店制度について、特にこの二、三年届け出を完全にするようにということで、ほぼ把握されているのではないかと思うのですが、かなりの数字にのぼっております。品目別に大まかなワクでありますといいのですけれども、たとえば一つの品目がどういうものを含むか、銘柄は同じものでもいろいろなものがあります。ですからその点、いま私突然お尋ねを受けましたので、事務当局とよく相談した上で、差しつかえないものでできるものでしたら御提出したいと思います。
  73. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは通産省とも話を詰めてみましたけれども、輸入総代理店はいろいろな物資についても、各省からの割り当てのワクをもらっているわけです。そういうワクの数量であるとか現在どのくらいの割りで輸入をしているとかいうような問題になると、これは公表すると非常に大きな影響を与えるというようなことをおっしゃっておりますので、私はそこまで要求しているわけではないのです。物資別についてどこの代理店がタッチをしているかというような問題をお願いいたしておるわけでございまして、委員長のおっしゃるとおりでけっこうでございます、どうか十分御検討の上で御返事を承りたいと思います。  それから通産省にお伺いいたしますが、従来、こういった諸物資の輸入についてはいわゆる既得権というものがあって、これが価格操作をしやすいというような問題点がありました。それを打開するためにいわゆる並行輸入が認められてきたわけでありますが、どういう物資についてどのような効果が出てきたのかということについて、通産省に承りたいと思います。
  74. 片山石郎

    ○片山説明員 並行輸入は、昨年の十月から行なうことが認められることになりました。従来、並行輸入が認められておらなかったために、代理店以外で輸入をするということが事実上ほとんどなかったわけでございますが、たとえば数量から見ますと、紅茶などにつきましては並行輸入の比率が非常に多くなっておりまして、六一、二%ぐらいになっております。コーヒーにつきましては一〇〇%、それから眼鏡とかサングラスにつきましては二二%というふうに、その後非常に並行輸入がふえております。それ以外の時計その他若干の数字がございますが、相当ふえております。  なお、これによりまして価格がどの程度下がったかというのは、時期がまだ短いということもございますし、また、この間関税が若干下がったとか、あるいは通貨がフロートになったというようなことがございますので、必ずしもはっきりしませんが、ただ数字の上だけで見られる点を若干御指摘申し上げますと、たとえばウイスキーというようなものにつきましては、ジョニ赤などを例にとりますと千円ぐらいは小売り価格が下がっている。それから時計などにつきましても、五%ないし一〇%の値下がりはしておる。それから紅茶等につきましても、三割方くらい値段が下がっておる。これはいろいろな要素がコンバインされて分りますので、必ずしも並行輸入だけというふうには申し上げられませんけれども、そういうふうに輸入品の小売り価格が下がっておるということがいえるわけであります。
  75. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いま御報告いただいたその明細について、各品目別でけっこうでございますから、発表できる程度で、こちらに資料としていただけますか。
  76. 片山石郎

    ○片山説明員 まとめまして御報告申し上げます。
  77. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 公取に伺いますが、この並行輸入に対しまして、最近これを妨げるような働きが若干あるようでございます。これは現在新聞に発表された程度だけのものか、さらにまた現在調査中のもの──別に名前はあげなくてもけっこうですが、そういう問題があるのかどうか。また、この並行輸入阻害に対する取り締まりの場合、いかなる法文に基づいてやっているのかという点。  それからさらに、今後この問題はやはり厳重に監視していきませんと、いま発表がありましたように、かなりの輸入物資の値下げの要因にもなっているわけでございますから、厳重な対策が必要であろうと思います。将来の見通しを含めて、いま申し上げたことについてお伺いをしたいと思います。
  78. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 すでに新聞に発表したもの以外に並行輸入阻害の疑いあるものあるかないかというお尋ねに対しましては、私はいまは、あるともないとも申し上げられない、こう言っておいたほうがいいと思います。ないと言ってしまうにはちょっと問題がありますし、あると言いますと何かということになりますので……。  そこで、いずれにしても私どもは、並行輸入阻害ということについては、できるだけの方法でこれを取り締まっていきたい、規制したいと思っておりまして、すでに新聞にも一部──一部ではなくて、これは新聞に申し上げたのですが、どなたでもよろしい、これは主としてデパートその他並行輸入を行なっている傾きがあるところが中心になりますが、そういうところからの申告を歓迎する、どんどん申告してください、いささかでも並行輸入阻害的なことを受けた場合には公取に申し出てもらいたいということを言っております。なお、公取自身としても、今後もこの問題については、そういうことが慣行としてほとんど行なわれなくなるまで継続的に取り締まりをしたい。  その根拠法律は、定義としての独禁法の第二条七項六号に該当するものが多いと思います。これは、自分と競争関係にある者の正当な普通の取引を不当に妨害するということでございます。これについてはさらに指定がありまして、一般指定の第十一号に該当する、それと同じようなことでございます。要するに競争者の取引を不当に妨害する、簡単に申し上げればそういう趣旨でございます。そのほかにも、該当する不公正な取引の形態があり得ると思いますが、いままでのところでは、大体いま申し上げた条項に該当するものが多い。不公正な取引そのものについては、「不公正な取引方法を用いてはならない。」というように、第十九条で禁止しております。この禁止規定が根拠になると思います。
  79. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この点についてもう一点伺いますが、この間、ゴルフ用具の問題が新聞で話題になりました。結局、注意を勧告して終わったのではないかと私どものほうも承知しておるのでございますが、このように、やってしまったところで注意をしましたというようなことでは、独禁法の精神というものから、これではまだ不十分じゃないかというふうに私は考えるのでございますけれども、こういった問題についてあらわれたそういった一つの事象に対する厳重な処分というものはできないものですか。
  80. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 私は、その点が公正取引委員会というものの性格に関連あると思うのですが、常に一つの事件について有罪か無罪かというふうな観点で、有罪ならばこういうふうな手を下すというのは司法裁判所のあり方ですけれども、あるいは執行猶予をつけるとかいって、それぞれ軽重をつける。しかし、私どものほうは経済利便について排除命令が出せるわけです。審決という手段をとってやる。審決をしてぴしっとやるということは、それはそれなりにけっこうなんですが、相当綿密な証拠を用意し、それで、はっきり申し上げて時間がかかるのです。  こういう並行輸入阻害行為というものはやめさせるということ、大事なことはやめさせることである。同時に、今度の事件は二件とも新聞のほうで取り上げてくれまして、社会的な制裁としては、他の事件よりもむしろきびしく受けている結果になっているわけです。そういうこともあろうかと思うので、とにかく早くやめさせて、そういうことをすればこういうふうに発表、公表もします、またそれで足りなくなれば、私どもはもっときびしい方法をとって、審決をもってやりますということに方向をいつでも変えられる。しかし、今度の場合は初めてのケースであるし、また引き続いて二件出たわけですが、これはこの程度の厳重な注意で──向こうは上申書まて出してきておるわけです。やめます、絶対にこのようなことをいたしませんという書類も、そういう妨害行為をやらないということを個条書きにして出してきております。そういうことで、まずこれで十分ではなかろうかということであります。  ですから、さばき方としては、必ずしもいつも一番厳重な方法によるという形ではなくて、事実それらを規制することができればいいのではないかというふうに、使い分けをしておるわけでございまして、その辺の事情については公取の判断におまかせ願いたいと思います。
  81. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 別の問題に移りますが、最近、キャベツの高騰が主婦の間に非常に話題になっておるわけであります。消費者物価指数にも大きな影響を与えたというくらいに話題を呼んでいるわけであります。  私どもの住んでいる地域の関係からしましても、いつでもキャベツの生産というのは、毎年毎年異常な現象があらわれているわけです。つくり過ぎ、それから、つくり過ぎから来る来年の作付の手控えというような状況で、逆に高騰してくるというような状況になっておるわけでございますが、何といっても、野菜関係の価格を安くさせるためには、生産対策が必要であろうと思うわけであります。私ども立場からいたしますれば、まず、大都会のそういった消費量というものが大体の目安はつくわけでございますから、それに見合った計画生産というものは必要であろうと思います。  しかしながら、現在の政府の行き方ではなかなかそういうふうな方法はとれないと思うのでありますけれども、現在、四十一年度から野菜価格安定制度というものが実施されておる。この基金として百億程度の金が用意されて、いわゆる価格が下がり過ぎたときにはこれに対する、十一品目ですか、補てんをするというような制度が現在実施されておるわけでございますけれども、一体これはどの程度効果があがっているのか。いわゆるこれは野菜が下落したときの補償金でございますので、それが翌年の作付の意欲を増進させるというような、そういう方向での効果があるのでございますけれども、一体農林省のほうでは、これが価格高騰について何らかの影響を与えていると考えておられるのかどうか。この点について、状況とその効果についてお伺いをしたいと思います。
  82. 戸田博愛

    ○戸田説明員 お答えいたします。  野菜価格は、四十六年、四十七年と、二年間非常に安値で推移いたしたわけでございます。基本的には、非常に野菜生産にとって天候がよかったということがあったのでございましょうか、先ほど先生の御指摘がございますように、一年安いと次の年は作付を手控えて高騰するということが、過去においてしばしば例があったわけでございます。そういう意味で、四十六年の特にキャベツ等は非常に安くなりました。そういうことで、先ほど御指摘のありました価格補てん制度で、四十六年度全体で七億一千万ばかりの補てん金を支払っております。  そういうことでございまして、実は四十七年の作付面積が、最終的な数字はまだ完全にはつかんでおりませんけれども、主要な産地における野菜の作付面積は減らなかったということがはっきり申し上げられるわけであります。したがいまして、四十七年度の作付面積で通常の生育でございますと、四十七年度の野菜価格は正常に形成されるのではないかと思っておりましたけれども、御承知のように、四十七年度の暖冬というようなことで非常に生育が進みまして、四十七年度に野菜の価格が低落をいたしました。同じように、四十七年度全体でも十二億一千万ばかりの価格補てん金を支払っております。  こういうことを通じまして、農家の生産意欲を失っていただかないように、次の年にもまた生産をしていただくようにということで、生産、作付の確保ということをはかってきておるわけでございます。
  83. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この十一品目についての、そういった安くなったときの価格保証、そういうような問題が農家のほうにあまりよく周知徹底されてないんじゃないか、こういうような考えを私は持っておるのでございますけれども、ここら辺のPRは十分に行なわれておりますか。
  84. 戸田博愛

    ○戸田説明員 野菜の場合、指定野菜と指定産地でやっておりまして、指定産地を指定をして、その指定産地において共同出荷をされるものについて価格補てんをしていくというたてまえをとっております。  実は、非常に多くの野菜の主要な供給地でございますし、価格補てんにおいても一番たくさん補てんの予約数量を持っておりますし、昨年一番たくさん価格補てんをいたしましたのは、実は愛知県の豊橋、渥美地方でございます。したがいまして、野菜の主産地でないところでは、そのPRが行き届かない点も多少あるかとも思いますけれども、そういう主産地では、非常に関心を持ってこの制度に取り組んでおられる。しかもこの制度は、国と生産県の地方公共団体と生産者団体とが、お互いに金を出し合って資金をつくっていくという制度でございますので、PR不足という点が全くないとは申しませんけれども、野菜生産農家は非常に関心を持ってこの制度に取り組んでおるという状況でございます。
  85. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一点だけ伺っておきますが、いまこれは十一地域において行なわれておるわけでございますね。この地域をさらに拡大をするつもりはありませんか、品目と地域の拡大。
  86. 戸田博愛

    ○戸田説明員 現在、国民生活に非常に関係の深い野菜十一品目につきまして、しかも指定消費地域ということで、大都市を中心にして十一の地域でやっております。御承知のように京阪神、京浜、中京というような大都市は、ほぼ全部入っております。さらに私たち、将来四十万から五十万ぐらいの人口を持つ都市にまで広げていきたいということで、実は今年度も鹿児島、新潟等追加をいたしたわけでございます。今後、各現地の体制が整い次第、四十万ないし五十万の都市までは広げていくということで対処していきたいというふうに思っております。
  87. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いまの問題について、四十六年度、四十七年度の、制度を活用して支払った金額等について、あとで御報告をいただきたいと思います。  最後に経企庁にお伺いいたしますが、いま物品が販売をされる場合に、一山幾らとか、あるいは魚等においては一匹幾らというようなやり方、あるいは一つの袋に入れて一袋幾らというような、そういうような売り方が行なわれておるわけであります。それに対して、それぞれの単位別の価格を表示したやり方を併用したほうがいいんではないか、こういう声が非常に高くなってきておると思うのでございます。主婦が毎日買いものをする場合に、品物の値段が変わらないけれども内容の量が減っておる、こういうような形で実質的に値上げが行なわれておるのではないかというような声が非常に出ております。したがって、いろいろな商品について、百グラム当たり幾らというような単価を並行的に表示しないと、実際にこれが高いものか安いものかわからないというような、単純な方でございますと、一袋幾らという、そういう値段が安いから買ってしまうというようなケースが非常にあるようでございます。これについて今後どのように指導をしていかれる方針なのか、若干伺っておきたいと思います。
  88. 小島英敏

    ○小島政府委員 おっしゃいます点は、いわゆるユニットプライシングといっておりますけれども、確かに一山売りのケースというものは、量目がはっきりしないという点で非常に消費者に不便でございますし、それからもう一つは、びん売りなどのものでも、消費者は、大型のものは大体単位当たり安くなっているというふうに思い込んでおります。また本来そうあるべきなんですけれども、しかし、ものによっては、どうも大型容量の容器で買った場合に、単位当たりに計算してみるとちっとも安くなっていない、逆に高くなっているというような例もございますので、最近、消費者団体の中でも単位価格表示制度というもの、いわゆるユニットプライシング・システムというものを大いに消費者行政の一環としてやってもらいたいという希望も強くなってまいりまして、本年度の予算といたしましてそういうことで要求をいたしました結果、経済企画庁に約百六十万円、それから農林省、通産省に各二百万円ほどの予算がつきまして、これは三省間で緊密な連絡をとりまして──経済企画庁は、主として単位価格表示制度のあり方というものを中心委員会制度を設けてあり方を検討する、それから農林省、通産省は、各所管物資につきまして実験店を定めまして、実験店への委託、あるいは調査をするというような現場の面を受け持ってもらいまして、三省間で緊密な連絡をとって、今年度中に、まず第一段階は実験段階でございますけれども、早急に成果を確認いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  89. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 終わります。
  90. 山中吾郎

    山中委員長 次に、和田耕作君。
  91. 和田耕作

    和田(耕)委員 企画庁長官にお伺いいたしますけれども、最近の日本の状況、特に物価の上昇というのは異常な雰囲気を持ってきたという判断をするのですけれども長官、いままで政府は、いまの日本経済はインフレというところまではいかない、その門口だというお話だったのですけれども、いまでもそのような御見解を持っておられますか。
  92. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 まあインフレの定義にもよりますが、やはり卸売物価消費者物価、ともに上がっておりますし、本年に入りましてからやや継続的な上昇でございまして、まあこれはインフレ的であるということに考えていいのじゃないかと思っております。ただ、それがあると言っているのじゃなくて、それを何とかして回避しなければならぬということの意味においてさように思っているわけでございます。
  93. 和田耕作

    和田(耕)委員 まあ、それでは、まさに持続的な物価の上昇というものが今後も見通される段階においては容易ならぬインフレの状況を示してきている、それに対して政府は相当思い切った施策をしなければならない、このような判断だと理解してよろしゅうございますか。
  94. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 さようでございます。
  95. 和田耕作

    和田(耕)委員 この段階で、私、数日間、各経済調査機関の見通しを聞いて回ったのですけれども、どの機関も、今年度の年間の予想として、五・五%で消費者指数を維持できるという見通しを持っているものはどこにもないという状況だと私は思うのです。年間の推計として、低いところで大体一〇%、あるいは一二、三%までいくのではないか、そういう推計を大部分の経済調査機関は持っているようですけれども、この問題についてどのような御見解を持っておられますか。
  96. 小島英敏

    ○小島政府委員 おっしゃるように、政府が五・五%の見通しを立てました当時に比べますと、非常に客観情勢が悪くなっておりまして、現在のところではなかなか、やはり五・五%を維持することはきわめてむずかしいというふうにいわざるを得ないと思います。  ただ、私どもは、前年同月比で今後毎月の数字を見ていきます場合には、確かにこの一一とか一二とか、あるいは昨年の実は五、六、七あたりが野菜価格が非常に安定したこともございまして、総合指数も非常に横ばい的になっておりますので、これからやはり一、二カ月の間は、前年同月比ではかりますとどうしても少しずつ高まっていく、前月に対する騰貴率は弱まりましても、前年同月に対する騰貴率というのはどうも少し高まらざるを得ないというふうに思います。ただ、昨年の八月からかなり消費者物価が上がっておりますし、特にこの十二月、一月ごろからたいへんな勢いで上がり始めておりますので、本年度も先になればなるほど、前年同月比はむしろ下がってまいるというふうに思います。ですから、実勢をはかりますのは、むしろ今後は、前年同月比よりも前月比の季節調整をするということが非常に重要だと思いますので、現在の段階では、季節調整済みの前月比指数というものは日本ではまだ発表されておりませんので、企画庁で現在勉強をしている最中でございます。なるべく早くそういうものを公表できるような形にいたしたいと思っております。  そういう意味からいたしますと、ある月が前年同月に対して一二とか二三になるとかいうことはあると思いますけれども、年度を平均いたしましてそういう水準になるというようなことは、実は全然考えていないわけでございまして、そうなってはたいへんでございますから、これはどうしてももう一〇をかなり下回る数字にしなければいけないというふうに考えております。この辺がどの辺に固まるかということは、現段階ではまだいかんとも、作業がなかなか──数字といたしましてはそういう数字ば出しておりませんけれども考え方といたしましてはそんなことを考えておるわけでございます。
  97. 和田耕作

    和田(耕)委員 政府が五・五%という率を何とか堅持したいという御努力を重ねてきたにもかかわらず、五・五というのはもうまさに非常に困難、というよりも不可能な数字だというふうに私は思うのですけれども、まあ企画庁のほうもそのような見通しをお持ちになっておられると──答えられなくても、おられるのじゃないかという感じがするのです。この五・五%という水準をこして、私は一〇%ぐらいまでいくんじゃないかという感じを持つのですけれども、一〇%まではならないという確信がありますか、もう一ぺんお伺いしますけれども
  98. 小島英敏

    ○小島政府委員 一〇%などにならないように、全力をあげて努力いたすつもりでございます。
  99. 和田耕作

    和田(耕)委員 少なくとも五・五%というのはもうまさに困難だということになると、これは長官、たいへんなことになると思うのです。これはうっかりすると、それだけでも政変ものの要素が強い。というのは、たとえば預金の金利とかそういう関連のものが全部、いままでの経済の基準になったものが維持できないというような状態にもなりかねないと私は思うのですね。  そこで、こまかくいろいろなことをお聞きしたいのですが、日本銀行券が二八%以上も増発されておるということは、一方、経済成長率、これもいろいろな見方がありますけれども、一七、八%だというのが大体現在の見通しのようですけれども経済成長の規模が一七、八%ということを認めるとして、日銀券が二八%以上も増発されるというのは、どういう原因からでしょうか。
  100. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 やはり経済活動が非常に旺盛であるということ、これと同様な、日銀券の発行残高と同じような意味で見られます百貨店の売り上げ高があるわけでございます。これも四月が三〇%までいっておる。五月に少し衰えてきているようですが、そういうことはいま申し上げたようなあらわれであると思いますが、一つ非常に心配なことは、設備投資が、これまた瞬間風速でいいますと四十数%と、たいへんな勢いで伸びておるわけでございます。私もこの点非常に気にいたしまして、いやがられるようなことを言って、何とかこの設備投資を押えたいと思っておるわけでございます。
  101. 和田耕作

    和田(耕)委員 政府は、企画庁長官も大蔵大臣も、かなりドラスチックに見えるような政策をやる意思があるのだという、アドバルーンみたいなものをあげているのですが、ほんとうの腹は、かなり悪性化しているインフレ状況に対して、これがほんとうにもっと進んでいけば、かなり激しい金融政策あるいは財政政策をとっていかざるを得ないのじゃないかというふうにお考えになっておりますか。あるいはまた、そういうふうにアドバルーンをあげながら自粛を求めてやっていけると思っておられますか。そのお気持ちをひとつ聞かせていただきたい。
  102. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は、やはり非常に心理的なものが大きいというふうに思っておるのでございまして、いまの、一億すべてが買いに走るというような状況がとめられれば、そう心配したものじゃないのじゃないかと思いますが、何せ、先にいって上がるんだということになりますと、みんな買う。先ほどちょっと申し上げたのですが、公定歩合を上げまして、その結果銀行の貸し出し金利がかりに九%になったとしても、物価が一割上がるということになると、やはり借りても買ったほうがいいということになるわけでございますので、その点の全般の意識が勝負のけじめのように思っ  ておるわけでございます。
  103. 和田耕作

    和田(耕)委員 消費が非常に強いという事実があるようですけれども、この六月のボーナスの支払いは大体三兆円近くになるのじゃないかという予想があるのですけれども、企画庁としてもそういう予想を持っておりますか。
  104. 新田庚一

    ○新田政府委員 精密の計算をしておりませんけれども、大体三兆から四兆ぐらいじゃないかと推定がございます。
  105. 和田耕作

    和田(耕)委員 こうなってまいりますと、国内の生産のキャパシティーは相当にあるとしても、相当の部分が輸出のほうに回っていくと、輸入はふえたとしても、その面からでもなかなか物価高の方向というものはチェックできないというように思うのですけれども、その見通しはどうでしょう。
  106. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 過去の消費者物価の趨勢を見ますと、四十四年度が六・四、四十五年度が七・三、相当上がっておるわけです。四十六年度になりまして五・七で下がってきておりますが、その意味におきまして、こういう程度まで——まあ政府の見通しは五・五でございますから、これは非常にむずかしいにしても努力いたしますが、先ほど国民生活局長が申し上げましたように、八月以降になりますと、前年との対比というのはかなり変わってくる。ことに年が変わりますと、四十八年になってから、一、二、三、四とぐっと上がってきておるので、その点でかなり全般の増勢は中和されるのではないかというふうには考えておりますが、いずれにいたしましてもたいへんなことで、いまの日本の貿易じりは、御承知のように非常な勢いで赤字が出ておりまして、これは二様に考えられるのです。いわゆる国際協調の面からいうと、貿易じりが、黒が減っていくということは現今にしては好ましいことでございまして、さてそれじゃ、その勢いでずっと減っていっていいのかどうか。ちょうどある研究所で、昭和五十二年に百十億ドルぐらいの外貨手持ちになるだろうといって発表しておるのがございましたが、いまのような様子でいけば、もっとずっと早くその数に減ってしまうんじゃないか。五十二年ならもっと減ってしまうんじゃないか。そのとき一体どういうふうに考えたらいいのだろうかという問題があるくらい、全体の貿易じりの不足が目立ってきておるわけであります。現状では、それをどうすればいいか、ちょっと考えられませんですけれども、一応そういう傾向は出ておるということを御報告申し上げておきます。
  107. 和田耕作

    和田(耕)委員 それと関連しまして、去年度の消費者物価のアップは大体五%前後ということですけれども、その状態のもとで、たしか経済企画庁が発表された二五%以上上がったものが六十三品目ございましたね。しかもこれはかなり生活関連の深い食料であり、衣料でありというものだったと思うのです。つまり、ここのところが、五%とか六%とかいっても、国民の感じ、実感というのは主としてこういうところから出てくるのじゃないかと思うのですが、あの資料をこの春発表されてから──私はこういうものは、今後ももっとふやして発表したほうがいいんじゃないかと思うのです。この五%前後のときに、国民関連の深い重要な品物が、二五%以上のものが六十三品目もあるということになりますと、かりに平均一〇%物価指数が上がったとすると、そういうものはその倍以上のものになる可能性があるわけです。  一ころ物価の問題というのは、私どもがよく街頭その他で物価値上がりの問題を話をするのですが、話していても、なに言っているんだ、そんなことを言ったって、なかなか物価なんか下がるものじゃないのだということで、そのときは賃金も上がって所得も上がっているわけだから、国民も、物価はたいへんだと口では言いながら、実際は、まだそう強い関心があまり見られなかったというのが実情だったと思うのです。このごろは違いますね。このごろは目の色を変えておられる人が非常に多いというのは、やはり五%とか一〇%以上になるという状態のもとで、私ども生活関連の物資が異常な値上がりをしておるということと関連があると思うのです。  その指数と実感との問題を、これはいままで何回も論議された問題ですけれども、もう一ぺん政府として見直してみる必要があると思うのです。この重要な、国民と関係の深い品物について御発表になるとかいうような努力が必要だと私は思うのですけれども、いかがでしょう。
  108. 小島英敏

    ○小島政府委員 企画庁といたしましては、先生おっしゃいましたあれは、初めて発表しましたのが二月ころじゃなかったかと思いますけれども、その後毎月、CPI発表と同時に、私のほうもデータがございまして、個々の品目について毎月、前月に対して五%以上上がったもの、それから前年同月に対して二〇%以上上がったもの、それから前月に対して下がったもの、前年同月に対して下がったものということでリストアップいたしまして発表いたしております。新聞は、紙数の関係もございまして、初めはかなり大きく取り上げましたけれども、その後はあまり紙面には出ませんので、これは、いまやっております各種の消費者団体との懇談会とかその他のルートを通じて、毎月お流ししているわけでございます。  そういうデータで見ますと、今度の五月の東京の総合指数でも一二%も上がっておるわけでございますけれども、いま先生のおっしゃったようなことで品目別に見ますと、前年同月に対して二〇%以上上がりましたものが約八十品目くらいございます。その反面、下がりましたものがやはり六十品目近くあるわけでございますけれども、この下がっておりますものを見ますと、衣料なんかの中でも、意外に夏もののせびろが下がっていたり、あるいはニットスーツが下がっていたり、男子の合繊のシャツが下がっていたり、そういうものも幾つかございますけれども、やはり繊維品あたりは当然、上がっているもののほうがはるかに多い。それから、下がっているものは、継続的に毎月ずっと下がっておりますものは耐久消費財が非常に多いわけでございまして、この辺がやはり庶民の感覚と統計がかなり狂ってくる一つの大きな原因であると思います。耐久消費財というようなものは、やはり何年に一ぺんかしか買わない、そのかわりそのときの金額は非常に大きいわけでございますけれども、毎日買うようなものに比べますと、やはり実感として感ずるところがどうしても間接的になりますから、そういう意味で、どうも一般庶民の感覚としては、野菜あるいは繊維品というようなところが非常に大きく感じられるというところでございまして、どうも統計上きまったウエートで計算いたしますものとやや相違が出てくるのはやむを得ないんじゃないかというふうに思います。
  109. 和田耕作

    和田(耕)委員 長官、この三月期の各企業利潤というのは驚くべき利潤状態を示しておるのですけれども、せんだって、これは少し何かの方法で召し上げるような構想を長官は打ち出しておられたと思うのですけれども、何か具体的なお考えがありますか。
  110. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 個人に累進税率があるごとく、企業にもそういうことが考えられないかという発想を持ったわけですけれども、どうも企業というのは非常に千差万態でございまして、しかも技術的に、そういう規模も違い、業態も違うものにいろいろなこまかい税率の差を設けるということは、非常に困難であるということが一つございます。  それからもう一つは、私は、企業に全部高率の税をかけるということは、企業はもうからぬものもございますわけで、どうかと思うので、もうかるものから取る方法はないかということをいろいろ考えてみたのですが、結局、どうもこれは税にはなじまないんじゃないかというのが専門家の意見でございまして、むしろ課徴金的な考え方はどうかということにいまなってきているわけでございます。やはり企業が非常に努力をして、技術革新を取り入れて高能率の経営を行なって、そして利潤を生んでいくということは、資本主義経済の原動力でございますから、これをためてしまうわけにはいかぬ。そこで、寝ていてもうかるというと語弊がありますけれども、要するに投機をしたり、買いだめ、売惜しみをしたり、あるいは自分の資力にまかせて土地の先買いをしておいて何年か、もうけを予想してそのとおりになって、いわば付加価値を生まないキャピタルゲインというものが意外に多いので、これが過剰流動性の根源になっているから、それから少し課徴金でも何でもいいから吸い上げる方法がないかというのが一つ。  それからもう一つは、国会でどうせ審議していただいておきめいただくわけでございますが、なかなか時間がかかるわけで、そういう法案が出たとたんに、それじゃこれはやられるからもっと買えということになるわけでありますから、むしろ四十七年から八年にかけて問題があるわけですから、四十七年の場合はどうですか、とにかくことし、問題になっているこの時点にさかのぼってそういうものを取るということにしてはどうか。そういうことが現実にできるということになれば、これはみんな買い控えてくるだろうと思うのです。それが一億総買いの歯どめになるのではないかというふうなことを考えておりますわけでございます。  しかし私はしろうとでございますので、そういうことを技術的に専門家に少し検討していただこうということで、いま寄り寄り始めておりますので、そのうちに、そう遠くない将来に、何かの構想を具体的にお目にかけることができるのじゃないかというふうに期待しておるわけでございます。
  111. 和田耕作

    和田(耕)委員 長官のその発想は、私はいい発想だと思うのですけれども、これはやはり、ある一定の利潤の率というものが前提になるわけですね。企業のあたりまえの、常識的な利潤はどの程度かということが前提にならないと、よけいもうけているぞというような話も出てこないわけで、これは非常に重要なことだと私は思うのです。つまり、自由放任、自由な経済活動というものが非常にメリットを持っているわけですけれども、しかし、それではなかなかやってはいけなくなった。社会的な不公正な感覚が非常に高まってきているというようなことですから、ある一定の利潤というものが自然前提になってきて、これは国民的な  一つの感じだと思うのです。そういうことがないと、いまの長官の発想も具体化されてこないというわけですけれども、これはひとつせっかくごくふうをいただいて、この考え方を導入してくる。つまり、所得政策というものがありますけれども、これは日本じゃなかなかなじまない。いろいろなむずかしいことがあるということですが、私は、日本でこの問題をやる場合には、やはり利潤あるいは配当の制限というところから入っていったほうがいいと思うのです。そうでないと、それをそのままにするというよりは、自由な経済活動を、もうけられる者は何ぼもうけてもいいということを前提にして入っていきますと、やはり賃金の抑制ということにウエートがかかっていくということになると思うので、これに対しては相当抵抗があるということですから、まっ先に利潤の、ある一定の幅というものを前提にした、それを基盤にした所得政策というものを考えていったらどうだろうかという感じがするんですが、長官、その問題、当然、経済安定法とかいろいろな考えが大蔵省にもあるようですけれども、そういう考え方をもうだんだんとやらざるを得なくなってきた、これは非常にむずかしい論議を起こす問題ですけれども、やらざるを得なくなってきたという判断を、政府経済関係の閣僚の中にはだんだん出てきたというふうに判断をしていいんですか。
  112. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 先ほど申し上げたように、いわゆる正常なと申しますか、技術革新をしたり、いろんな能率的な経営をしたりして利潤を積んでいく、そのことを統制するということは私は考えてないのであります。ただ、投機的な、付加価値を生まないような行為によって得た利益、そのことはやはり国家、社会に還元さして、他の適正な、もっと適当な、いま必要とされる部門に使ってはどうかというように私は思っておるわけですが、お話しのように、確かにある程度利潤というものが、いわゆる付加価値を生まない行為にしても、そこにあると思うわけでございます。むしろ、それから損をして、将来において損をする場合も考えられるわけでございますので、それにはある程度の準備金を設けて認めるという思想があってもいいと思います。  繰り返して申し上げるのでございますが、利潤統制という考え方ではなくて、いわゆる不当な経済行為によってもうけた利潤は、これはいけませんということにしますと、これは物価安定ともつながっていくというふうに考えているわけでございます。
  113. 和田耕作

    和田(耕)委員 これは、いずれにしても自由経済というものが非常な大きな壁に突き当たってきておるということだと思うのですけれども、今度いろいろな財政あるいは金融政策をやっておられるようですけれども考え方として、やはり自由な経済をそのままにして、その上で若干の調整を加えるという考え方から一歩も二歩も進んでいかなければならないという感じが私はしてならないのです。  もう一つは、これは物価政策として、自由な競争条件を整備していくということが、いままでの政府、歴代の政府の基盤のようなものだったと思うのですけれども、この政策も、私は変えていかなければならないんじゃないかという感じがするんですけれども、いかがでしょうかね。自由な経済的な条件を整備するということが、メリットは少しはあるにしても、ここまで進んできたインフレの段階ではたしてそういう政策が適当かどうかという問題の再検討が必要だと私は思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  114. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 今日の状況は、やはりほんとうの自由な競争が行なわれていない。そのために、いわば寡占からくる価格の高騰、これもまだ相当にあるのだと思うのでございます。それから、ほんとうに自由な競争が行なわれるようにしてやる。たとえば非常に力がある、資金力なり情報力があるというものが市場を独占するような、そういうことはやはり排除してみる必要がある。そこで、その自由な競争というものは、国家権力によって自由な競争をむしろ奨励するような、そういう形にいくのがいいというふうに私は考えておるわけでございます。  ただ、自由な競争の「自由」でございますけれども、これはやはり競争するもの自体が、たとえば企業が、自分が力があるからと思って何をやってもいいんだということではなくて、公共福祉というものによってその自由が制限されるという、そういう点に立たなきゃなりませんし、それはもう道徳律によって規制されれば一番いいのですけれども、それがわからないような人に対しては、やはり制度としてこれを規制するような制度が要る、こういうことではないかというふうに思っております。
  115. 和田耕作

    和田(耕)委員 いまの問題は、政府のこの段階での経済政策を実行する姿勢として御検討願わなきゃならない問題だと思うのですけれども、自由な競争の結果、独占が生まれる、寡占が生まれてくる。この生まれてきた寡占あるいは独占に対しては、言うべくしてなかなか効果的な制限が行なわれないというのが実情だと思うのですね。特に今度の買占め問題を中心にして、予想以上に縦の独占形態というものが生まれてきているという感じがしてならない。  最近、私は洗たく屋さんから陳情を受けたのですけれども、洗たく屋さんの、あの零細企業が五方もおるという中へ大手の商社がずっと入り込んできているということで、洗たく屋さんが音をあげて、何とかしてもらいたいというあれがあるのです。これは意外にそういうふうな形が入ってきているのですけれども、しかし、これはある意味では合理化というメリットがあるわけです。合理化というメリットがあるけれども、しかし、それを野放しにすれば、何万という洗たく屋さんが生活が非常に困難になっていくという問題があるわけです。しかも、大企業が入ってきてサービスそのものがよくなっておるかといえば、よくなってはいない。かえって粗雑になっておる。あるいは、洗たく物によってはいろいろ洗たくのしかたを変えなきゃいけないものを、十ぱ一からげでもってやって、さまざまの不平不満国民から起こっておるというふうなことですね。  そういうことですから、この自由な価格のメカニズムというものは、もうこういう段階になると、私はこれは全部否定してしまえというわけじゃないのですけれども、これだけではほとんど対策にならない。むしろいままででも政府にいい、経済政策の失敗みたいなものをカバーするような議論にしかなっていないというふうに私ば思うのです。これは自由でないから、自由な価格メカニズムが働いてないから物価が上がるのだとかいっているけれども、実際は、その結果独占が生まれておる、寡占が生まれておるということであって、それに対しては効果のある手がほとんど打たれていないという実情だと私は思うのですけれども、この点、局長さん、いかがでしょう。
  116. 小島英敏

    ○小島政府委員 非常に重要な問題を御提起いただいたと思います。この間から、商社活動分野ということについても一部に、やはり商社は波打ちぎわ、つまり貿易活動だけをやるべきであるという議論もあるわけでございますけれども、やはり商社国内流通に関する活動が、物によってはかなり国内流通の革新に役立っている面もございます。それから、ブロイラーなどというものもよく例に出ますけれども、非常にまずくなったことは事実ですけれども、やはり各商社がかなり系列化を進めて競争的に合理化した結果、いわゆる食品生産というものが工場化されたような感じになってきて、そのために、ほかの食品に比べるとかなり値上がりが防止されているということもございますので、商社に限らず、そういう大量生産方式あるいは大量処理方式のシステムというものが国内流通に入ってくるということを、いかぬことであるというふうには、どうも物価対策の観点からも一がいにいえないと思います。  そこで、やはり問題は、私どもは、私見でございますけれども、その品目の市場が相当広い場合には、商社が入ってきて合理化を進める場合に、一社でなくて相当たくさんのものが入ってきて競争が行なわれる場合には、これはやはり物価対策の観点から申しますと、むしろプラス面のほうが大きいのではないかと思うのですけれども、警戒しなければいけないのは、あまり市場が広くない商品の場合にそういう行為が行なわれますと、これは全く独占的になってしまって、その商品に関する価格に対してまさに支配的な、悪い意味の管理価格的なものが蔓延するおそれがあるわけでございまして、これはやはり何としても排除しなければいけないと思うわけでございます。  ですから、そういう意味で、どこで線を引くかというのは非常にむずかしいわけでございますけれども、やはりどうも、商品に応じてケース・バイ・ケースに判断せざるを得ないのではないかというふうに思うわけでございます。
  117. 和田耕作

    和田(耕)委員 もう時間もないようですが、きょうはいろいろな問題の政府考え方をお聞きしたわけですけれども長官、いよいよいまの状態は非常に憂うべきインフレの段階に入ったと私は思うわけでございまして、五・五%をできるだけ守るなんということは非常にそらぞらしいことであって、これはもうそういうことをおっしゃらないで、とにかく極力この物価効果のある手を打っていく。  私は繰り返し言っているのですけれども、国鉄の運賃の問題は一年お延ばしになったらどうですか。これをやりますと、いまの運賃の問題は今度連合審査でももっと詳しくお聞きしたいと思っておるのですけれども、第一、私鉄の運賃の値上げを押える理由は全くなくなる。また、一般の価格に対する政府の姿勢そのものを疑われるということですから、いろいろな金融政策をやるよりも、これをとにかくこういう時期だから、苦しいけれども一年くらい延ばすという政府の決断を示すという心理的な意味は、私は非常に大きいと思うのだけれども、それは長官自身として御検討願える余地はないのですか。これはこういう天下の大問題になっているときですけれども、それは実際に私は一番いい──小選挙区制なんという、あんなのを無理して出すよりも、この問題について田中内閣が決断をして、一年延ばすから国民もひとつ協力してもらいたいというような姿勢はとれないものかどうか、重ねて長官の気持ちを聞きたいと思います。
  118. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 先般もお話がございました国鉄運賃の問題は、自由民主党といたしましては政府提案することを承認して出しておるわけでございますね。ですから、この段階でこれを引っ込めていくなんということはとうてい言えないと思うのでございます。  ただ、物価の観点から、そのお考えについては、私はいろいろなお考えがあると思いますが、中には、一五%上げても、今度の春闘で一四・七ですか上がっていく、上がったものだけやって、従来の赤字対策には関係ないんじゃないか、一体こういうことをほったらかしておいて、上げないようなことは言えぬぞという非常に強い意見がございまして、この問題は、どうも物価対策だけからも考えられない問題でございますので、まあお話はよく承っておきます。
  119. 小島英敏

    ○小島政府委員 先ほどの答弁でちょっと申し忘れたことがございますので……。  最近行なわれております商社流通あるいは食品等に対する系列化の動きというものを、私は決してすべてよろしいと言っているわけでは毛頭ございませんで、商品によってかなり排除すべきものもあると思いますし、非常に市場の広い商品におきましても、ほんとうに系列化する場合に、中小業者との契約といいますか、取引内容が適正なものであるかどうかということは、これはかなり警戒を要するところで、非常に過酷な条件をしいているというようなケースも間々見受けられますので、やはり取引の適正化ということは、国としても十分指導していかなければならないというふうに思います。
  120. 和田耕作

    和田(耕)委員 終わります。
  121. 山中吾郎

    山中委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十二分散会