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1973-05-10 第71回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月十日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 山中 吾郎君    理事 稲村 利幸君 理事 木部 佳昭君    理事 小坂徳三郎君 理事 坂村 吉正君    理事 井岡 大治君 理事 松浦 利尚君    理事 小林 政子君       上田 茂行君    近藤 鉄雄君       塩崎  潤君    三塚  博君       中村  茂君    渡辺 三郎君       野間 友一君    有島 重武君       石田幸四郎君    和田 耕作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画政務次         官       橋口  隆君         経済企画庁長官         官房参事官   北川 博正君         経済企画庁調整         局長      新田 庚一君         経済企画庁国民         生活局長    小島 英敏君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         食糧庁次長   森  重弘君         通商産業省企業         局次長     橋本 利一君         自治大臣官房審         議官      近藤 隆之君  委員外出席者         農林大臣官房審         議官      小山 義夫君         通商産業大臣官         房審議官    牧野 隆守君         通商産業省鉱山         石炭局石油業務         課長      根岸 正男君     ――――――――――――― 五月一日  公共料金値上げ反対に関する請願荒木宏君  紹介)(第三四四〇号)  同(神崎敏雄紹介)(第三四四一号)  同(東中光雄紹介)(第三四四二号)  同(正森成二君紹介)(第三四四三号)  同(三浦久紹介)(第三四四四号)  同(三谷秀治紹介)(第三四四五号)  同(村上弘紹介)(第三四四六号)  同(寺前巖紹介)(第三五一〇号)  同(平田藤吉紹介)(第三五八七号)  木材建設資材異常価格引下げに関する請  願(新井彬之君紹介)(第三五八四号)  同(広沢直樹紹介)(第三五八五号)  同(松尾信人紹介)(第三五八六号)  同(田邊誠紹介)(第三六九八号) 同月七日  公共料金値上げ反対に関する請願浦井洋君  紹介)(第三八五一号)  木材建設資材異常価格引下げに関する請  願(神崎敏雄紹介)(第三九二六号)  同外三件(中川利三郎紹介)(第三九二七号)  同外三件(中路雅弘紹介)(第三九二八号)  同外二件(東中光雄紹介)(第三九二九号)  同(増本一彦紹介)(第三九三〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月一日  物価安定に関する陳情書外二件  (第三〇八号)  生活必需物資等価格安定に関する陳情書  (第三〇九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 山中吾郎

    山中委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします。  目下運輸委員会において審査中の内閣提出国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について、運輸委員会連合審査会開会申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山中吾郎

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会日時等につきましては、運輸委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。      ————◇—————
  4. 山中吾郎

    山中委員長 物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  5. 松浦利尚

    松浦(利)委員 長官おいでになるまで、食糧庁のほうに米の問題について御質問をいたしたいと存じます。  まず第一点は、御承知のように昨年四月物統令をはずす段階で、本委員会でも、物統令から適用除外する問題については再三にわたって議論をしたところであります。ところが、当時の食糧庁長官、いまの事務次官でありますが、物統令適用を廃止する理由として、実は米がだぶついておるんだ、米がだぶついているこの段階では、食糧庁として、物統令をはずしても何ら支障はない。同時に、物統令適用を廃止しても米の値上がりということについては心配ない。値上がりするような状態では、政府手持ち米を放出することによって鎮静させることが可能だ、こういうことで物統令からはずして、これでちょうど一年経過をしてきたわけであります。  その間たくさんの問題が出てきております。状況は変わってきておると思います。政府手持ち米もだんだんと底をついてきておる。ことしかりに新米穀年度、四十八年度産米が兇作等に見舞われた場合には、米そのものについても外国から供給を仰がなければならぬという状況が出てくるんではないかということまで心配されておるわけです。  そこで、きょうは、長官おいでにならずして次長おいでいただいているわけでありますが、そういった状況を踏まえてみて、物統令適用除外をした状況と今日は変わっておる。物統令適用除外をした条件と今日の条件は変わってきておるんだ、その点はお認めになりますか。それとも、物統令適用を廃止したときの状態と、米の需給関係はひとつも変わっておらぬと今日も食糧庁理解しておられるのか、その点についてひとつ明確にお答え願いたいと思うのです。
  6. 森重弘

    森政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘の、昨年の四月に物統令適用を廃止した時点と今日における米の需給との関係に変調があるかどうかという点でありますけれども、米の需給関係全体につきましては過剰基調にあるということに私どもは考えております。もちろん生産調整をやっておる現状でございますから、過剰米がどんどんたまっていくという、数年前に七百万トンの過剰米をかかえておったという条件とは若干異なっておりますけれども、いわゆる物統令適用を廃止しました経過の中に、先生も御承知のように、食生活に対する消費者の動向が変わってまいりました。非常に良質米に対する要望が強まっておる状況政府が画一的な価格体系の中で、これを販売し、あるいは消費者にこれを押しつけるという形では、そこに無理も生じてまいります。米の品質に応じた価格体系がだんだんできるようにということも考えましてとった措置でございます、需給関係は、どちらかといいますと、数年前のものとは現実の問題としては若干変わってきておりますが、基調としては過剰ということは変わっていません。  御指摘の、四十八年産米が凶作に見舞われたらどうかという御質問でございますけれども、本年の十月、私どもが四十七年産米として持ち越す米が、大体五十万トンをこえるだろうと考えております。これは一種の古米になるわけでございますけれども、これをたとえば月々あるいは十一月から半分ぐらいずつ売却いたしましても、二、三月ごろまでかかるわけでございます。あるいは五十万トン以上になるかと思いますけれども、それほど減少があろうとは考えていない、こういうふうに考えております。
  7. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この前はずした理由の、国民嗜好がだんだん変わってきておるんだということですけれども現実的にはそのことよりも、あのときの議論を通じて問題になったのは、米が過剰だ、余り過ぎたのだということが実はその中心だったわけです。ところが、その当時と状況はいま変化してきておるということだけは、前段でお認めになりましたね。ただ、国民のおいしい米を食べたいという嗜好の問題は現在でも現存しておるんだというふうに、いまの答弁からお聞きするのですけれども……。
  8. 森重弘

    森政府委員 昨年の四月の物統令適用の廃止のときにも、亀長前長官の話がございましたけれども、単に過剰基調ということだけで物統令撤廃ということにはならなかったということを言っておりまして、やはりそれには、政府売却消費者まで浸透する場合、価格の画一的な問題を解消する、いわゆる消費者選好に応じて、いろいろな値段に対応して、現在でいいますと、私は千六百円の米でよろしい、私は千八百円の米でよろしい、私は二千円の米でよろしい、あるいは二千二百円の米でよろしいという、消費者選好に応ずるということをお話しした、こういうふうに理解いたしております。
  9. 松浦利尚

    松浦(利)委員 当時の会議録を見ると、そういうことではない。本委員会議論しておるのです。私も議論しておるのです。私が実質的に半日ぐらい、このことで議論をしておるのです。ですから、いま言われた後段の、国民がおいしい米を求めるという嗜好があったことも事実です。しかし、その前段には、米が非常に過剰になってきておるからということが前提になって、そういうことが理屈づけられておるわけですね。  そこで、もう一つ議論を進めますけれども現実的に生産調整がずっと行なわれてきた。国際的に食糧が逼迫してくるという状況が盛んにいわれておる。米の問題をめぐって本委員会でもいろいろ議論されて、今後米の備蓄も当然考えなければならぬということを、農林大臣予算委員会でも言っておられる。だとすると、この物統令適用除外条件は、今日では国民嗜好多様性ということだけが残っておるということになるのではないかと私は思います。そういうふうに、あなた、思われませんか。あの撤廃をしたときにいろいろと条件をつけたけれども、今日の米の状況の中では、国民嗜好が多様になっておるということだけが、物統令適用を除外した理由として残っておるというふうに私は理解するのですが、あなたはそういうふうに理解されませんか。
  10. 森重弘

    森政府委員 いわゆる食生活の向上に伴いまして、量より質という問題が今日ここまで来た段階におきまして、いまここで、それは逼迫したんだから、何でも同じようなものを同じ値段で食べるというわけには、やはり食べもののことでございまして、これは人それぞれの嗜好の問題もございますけれども、これほど多様化したものをもう一ぺん戻すということは現実的ではない、こういうふうに考えております。
  11. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、そういう先々まで質問しておりません。物統令適用を除外したたくさんの条件の中で、今日、米の関係物統令適用を除外した理由としては、その多様化したということ一つだけが残っておるのではないかと言っておるのです。米が過剰だとかそういうことじゃなくて、結果的にそのことだけが一つ残っておるということです。
  12. 森重弘

    森政府委員 過剰という理解でございますけれども基調としては、先ほど申し上げましたように、生産調整をするという状況でございまして、やはり過剰な状態である。これは単年度需給ということで視点を合わしてやっておりますけれども、あるいは数年前の条件とは多少ニュアンスが違うかと思います。
  13. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この問題は、専門委員会農林水産委員会ですから、あちらのほうでまた議論させてもらいますけれども、問題は、物価の問題として米が過剰かどうかということ、国民嗜好が多様化しておるということ、こういった問題については、ここでこの前相当議論しておりますので、その条件から今日一年たってきた段階では、もう変わってきたんじゃないか。物統令適用を廃止したときのバックグラウンドと今日では、もう相当情勢が変わってきておるんだということを、私は前段として担当官としてのあなたに申し上げておきたいと思います。私たちはそう思う。あなたは、調整なんかしておるからたいしたことないと言うけれども、実際に農林水産委員会議論していけばそういうことにならない。現に農林大臣予算委員会でそのことも認めておるわけですから、そういった問題については後刻議論させていただきたいと思います。  そこで、国民嗜好が多様化しておるという問題をめぐって、きょうはその点にしぼって質問していきたいのですが、昭和四十六年度の政府米五百五十五万トン、自主流通米が二百三十五万トン、これが政府監督下にある米ですね。その数字については間違いありませんか。
  14. 森重弘

    森政府委員 御指摘のとおりでございます。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その政府米の五百五十五万トンについて、一トンについて四万三千円の補助金が出されておりますね。その点については間違いありませんか。
  16. 森重弘

    森政府委員 補助金という形はちょっと理解できないのですけれども、あるいは私ども買い入れ価格売り渡し価格とにおける逆ざや、これはトン当たり一万九千円ぐらいあります。管理費というものも大体一万数千円ございます。それから事務人件費は三万三千円程度のものはございますが、四万三千円というのは、補助金という形になるのかどうか……。
  17. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは食糧庁から支出されておる三千億円の食糧費支出トン当たりに換算すると四万三千円ということになるのです。あなたは補助金でないと言われたけれども消費者立場からいうと補助金だ。なぜ私が補助金と言ったか、わけはいまから説明します。  そこで、あなたにさらにお尋ねするのですが、五百五十五万トンの内訳は、銘柄米、非銘柄米、徳上原料に分けて、もう数字を時間がありませんから申し上げますが、銘柄米二四%、非銘柄米四五%、徳上原料八%、この数字については間違いありませんか。
  18. 森重弘

    森政府委員 御指摘のとおりであります。
  19. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これが、この五百五十五万トンについて十キロ当たり千三百円の支持価格、この全部についてですね、十キロ当たり平均千三百円の支持価格ということに数字的になりませんか、売り渡し価格が。
  20. 森重弘

    森政府委員 十キロ千三百円でございますか、標準価格米というのがございますけれども、これは千六百円でございますね。
  21. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いや、政府売り渡し価格は……。
  22. 森重弘

    森政府委員 政府売り渡し価格ですか。消費者が取得する価格というのは、標準的な価格としましては千六百円、これは十キロですけれども
  23. 松浦利尚

    松浦(利)委員 政府売り渡し価格のことなんですよ。それじゃ政府売り渡し価格は、十キロ当たり幾らですか。
  24. 森重弘

    森政府委員 トン当たりほぼ一万三千円……。
  25. 松浦利尚

    松浦(利)委員 あなた、何を聞いているのだ。政府売り渡し価格でしょう。これが標準米になるわけだ、千三百円の払い下げたのが。  そこで、あなたにお尋ねをするのですが、これが店頭支持価格として、いま言われたように十キロ千五百九十六円、大体千六百円、こういう形で売られておるわけですね。そのうち逆ざやがあるでしょう、逆ざやが。さっき言ったように、トン当たり四万三千円の政府支出があるから、補助金があるから、補助金ということばが悪ければ、食管会計から支出されるトン当たり四万三千円があるのだから、そうなってくると、この十キロ千五百九十六円の支持価格の中には十キロ当たり四百三十円の政府支出分が含まれておると理解をするのは、これは当然じゃないですか。その点はどうですかね。当然じゃないと思いますか。
  26. 森重弘

    森政府委員 当然といえば、商品の売買の中で考えられることでは、あるいは間違いないのかもしれませんけれども政府が管理している米につきまして、これは当然ということばが妥当かどうかは、私も明確にわかりません。
  27. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、これからが実はちょっと問題なんです。それは、あなたのところが昨年の十一月、全国の食糧事務所長会議を招集をして、政府標準価格米単独で売れない場合は自主流通米にまぜて販売としてよろしいという口頭通達を出されましたでしょう。そういう事実がありますか。
  28. 森重弘

    森政府委員 記憶はさだかでございませんけれども事務所長に、口頭通達ということばかどうか別としまして、物価統制令がはずれた今日におきまして、いわゆる米の販売形態混米というものを基調とすることを……。
  29. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ちょっと待って。発言をはしょって恐縮ですが、私が聞いておるのは、十一月食糧事務所長会議を開いて、私が言ったことを通達しなかったか。したかしなかったかでけっこうです。
  30. 森重弘

    森政府委員 通達という形で説明したかどうかは、記憶がさだかでございません。
  31. 松浦利尚

    松浦(利)委員 実は私は、くどいようにこの問題を、あなたのところの責任者連絡をして聞き合わせたのです。こんな大切なことを口頭でやるということが大体おかしい、少なくともこういうのは食糧庁庁議にはかるなり何なりして、そしてその合い議なり何なりした上でやられるはずだ、念を押していろいろこう聞いたけれども、それは実際には担当官の人です。名前を言ってもいい。担当官の人が私に言ったところでは、いや、実は食糧事務所長会議で、食糧庁長官が全部に対して口頭で、単独で売れない場合は自主流通米をまぜて販売してよろしいという通達を出したのです、さらに、それじゃそれは食糧庁としての通達という形をとるのかと、こう聞いたら、いや、文書じゃありませんから、ただ口頭で指示したという程度のものです、そういうふうに回答があったわけです。  そういう事実について、次長、お知りになりませんか。
  32. 森重弘

    森政府委員 所長からの質問長官が答えたという形で、そういうふうに売れないといいますか——場所によっていろいろと標準価格米の取り扱い、売却の量は、いろいろ各都市によって違います。なるべく私ども売却操作の中でそれに合わすように売っておりますけれども、それでもしそういうことがあれば、物統令をはずした今日においてはそういうことも可能である、そういうことは否定しないという形で答えた、ということは記憶あります。
  33. 松浦利尚

    松浦(利)委員 次長、それで、そういう重要な問題を口頭で、質問があったからどうだからというやりとりの段階じゃなくて、その会議会議録があるだろう、その会議録もないと、こう言うのです。その会議録ありますか。
  34. 森重弘

    森政府委員 ございません。
  35. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その会議録がなくて、現実に、単独で売れない場合には自主流通米にまぜて販売してもよろしいという指示が、実際には小売り末端までも行き届いてしまっておるのですよ、いま。なぜそういうことがあるのかと、うしろからずっとたぐっていってみたら、十一月の食糧事務所長会議というものがあったわけですよ。だから、現実にいま小売店がいろいろ操作をして売っておることについては、すでに食糧庁が昨年の十一月に認めておるわけなんです。そうでしょう。——いや、あなた、首振ったけれども、その点については間違いないです。首振るだけではだめだから……。
  36. 森重弘

    森政府委員 そのとおりです。
  37. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、小売店人たちに私は聞いたんです。何と言ったか。確かに店頭には標準価格米を置いておかないとおこられます、しかし私たちはやはり正直ですからね、標準価格米で売るよりも自主流通米のほうが高い、ですから最初から自主流通米標準価格米混米にして、そして実質的にキロ当たり二百二十円程度で私たちは売っておるのです。だから、十キロ当たりとすると二千二百円になるわけですよ。そうすると、店頭では確かに標準価格米があるけれども、あなた、嗜好がどうだこうだ、さっき言いましたね、そのことは全部小売店まで行き渡っている。だから、標準米よりもこのお米のほうがおいしいのですと言って小売店で売る。そうすると、その小売店で買わされた米というのは、実はその自主流通米標準価格米とを混米にして売っておるのだから、ほんとうの意味の自主流通米でない。銘柄米とかそういったものを中心として出した米ではなくて、もっと具体的に言うと、標準価格米にちょいと自主流通米をまぜて、そうして二百円程度で売る。これを内地自主流通米といま言う。普通の自主流通米というのは二百四十円くらいで売られておる。ところが、いま標準価格米自主流通米をまぜて売るやつは、内地ということばを使って内地自主流通米ということで、二百二十円で現実にどんどんと売られておるわけなんです。  なぜこういうことで乱れてきておるのか。あの物統令をはずしたときには、政府が保証している売り渡し価格で十キロ当たり千三百円で売ります、標準価格米は千五百九十六円です、それを必ず買わせますと、こうやっておったんだけれども、昨年の十一月に口頭で、何とも知れぬ、わからないうちに、あなた方自身もわからない、首をかしげておるような状態で、小売店末端まで、標準価格米自主流通米混米にして売ることを暗に認める方針を出してしまったんです。それが今日、価格米が乱れておる最大原因をつくり出しておるのですけれども、あなたはその点について責任を感じませんか。  そういった食糧庁自体のとった態度によって、今日、末端価格がだんだん上がってきておるんだ、実際に。確かに安い標準価格米はあるけれども、買わされておるのは内地自主流通米なんです。混米にしたやつなんです。それは昨年の十一月の、だれが言ったか知らぬが、そういったやり方末端まで影響しておるところに最大原因がある。つまり物統令をはずしたときにあなた方が言ったことと行政措置で行なおうとしておることとは全然違う。消費者立場に立ったやり方じゃないでしょう。その点、どうですか。あなた、首をかしげておるけれども……。
  38. 森重弘

    森政府委員 こういうことだろうと思うのですよ。千六百円という私どもが指導している価格、これを標準価格米といっておりますけれども、先ほども指摘がございましたが、これが原料玄米として売られておる量、あるいは実際に販売されておる量——若干差はあります。しかしながら、基調として、標準価格米が売られておる量はそんなに変わっておるわけではありません。十一月から今日まで、標準価格米のパーセンテージ三六%というのはずっと続いてきておりまして、二千二百円という価格も出ましたけれども自主流通の九千五百円から九千七百円ベースで指定法人販売業者との間に成り立ってできた米が二千二百円くらいになりますから、千六百円と二千二百円の間に千八百円、千九百円、二千円という米が出てきておるわけであります。全くいきなり千六百円から二千二百円の米にすりかわったというようなことにはなっていない、こういうふうに理解しております。
  39. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そういう理解のしかただからちょっとまずいのですよ。私は、千六百円からその段階があることは知っていますよ。ただ問題は、自主流通米標準価格米をまぜて、内地自主流通米として二千二百円で売っているんだ。それはもう間違いない、米屋さんが言うんだから。あなた、標準価格米がどんどん売れておると言うけれども、それは売れておるでしょう、まぜて売るんだから。標準価格米の量は減るわけだ。混米にして売るから数量は減っていくわけですよ。単独で売ろうが、混米で売ろうが、標準価格米数量は減っていくのです。そういう誤解をさせたのは、十一月に、口頭か何か知らぬけれども、そういうわけのわからぬような形で、単独で売れないときには自主流通米にまぜてよろしいということをあなた方が認めたわけなんだ。そのことは、小売店に、あなた方おかしいじゃないかと言って聞いてみたら、いや、おかしいことはありませんよ、これはこういうふうにちゃんと上のほうから連絡が来ておるのですから、何もおかしくないじゃないですか、こう言って、逆に向こうは開き直る条件があるわけですよ。おかしいと思って調べてみたら、現実に十一月に、あなた方はそういうことをやっておるんだ。だから、幾ら政府標準価格米を売りなさい、売りなさいといってみても、おいしいお米はこっちのほうですよといって、実際は標準価格米であるべきものが自主流通米混米されて出ていくのです。消費者にとってみれば、ほんとうならそれは困るのですよ。標準価格米といったら標準価格米で売ってもらわなければ困る。それを内地自主流通米みたいな形で混米されては困るんだ。そういう状態をつくり出したその十一月の、所長会議か何か知らぬけれども、そのときの通達そのものは、あなた、いまでも正しいと思っているの。
  40. 森重弘

    森政府委員 何べんも申し上げるようですけれども物価統制令適用が廃止になった段階から、私どものいわゆる指導価格として標準価格米がございますけれども混米は原則として認めざるを得ないのです。そこで、つくられた中米、やはり私ども調査しておりますけれども、千八百円の米も全国的にたくさんあるわけです。それが悪いという認識、理解は私ども是認できないのです。千六百円の米がだんだん減ってなくなったというんだったらわかるのですけれども。その基調は変わっておりません、こういうことでございます。
  41. 松浦利尚

    松浦(利)委員 物統令をはずした当時の背景としては、うまいかまずいかということだけが残っているのですよ。いま小売店はそのことに集中しているのです。だから、標準価格米自主流通米混米にして、こっちのほうがおいしいですよといって出されているのですよ。逆に言うと、高い米を消費者は買わされておる。買おうと思えば標準価格米はあるんですよ、それを買えばいいとあなたは言いたいでしょう。ところが、米屋さんに聞いたら、いや、こっちの米をお買いになったほうが得ですよ、こっちの米はおいしいんだ、これはまずいんだと言う。もっと具体的に言うと、こっちの米はおいしいから、こっちの米をお買いなさいといって米屋さんが指導するんだ。  さっきから言うように、物統令をはずしたらお米の値段が上がるじゃないかという議論をしたときに、いや、米の値段は上がりません、政府が指導して標準価格米というものをつくりますと、あなた方は言った。ところが、標準価格米は、いま言ったように、小売店の皆さん方によって自動的に値上げされておるわけです、逆に言うと。消費者のはうは、専門家の売る人が、こっちのほうがおいしいから、これを買いなさいといえば、それをみんな買いますよ。そうでしょう。それで、おかしいと思って調べてみたら、実はあなたのところの十一月の通達で、混米にしてよろしいということがいわれておる。単独で売れないときには自主流通米——自主流通米というのは政府の五百五十万トン外の米ですからね。これは生産者と消費者が直接自由に売買しておるわけです。その自主流通米に、安いはずの標準価格米混米されて高く売られているわけですよ。そういうやり方を、あなた方はもうすでに認めたわけだ。だから、さっきからくどいようにあなたに聞いておるんだけれども、昨年の十一月のそういった通達が、今日の食糧の流通を完全にくずしてしまったんですよ。あなた方はいまでも、去年の十一月のそういったやり方は正しいと思っておられるの。
  42. 森重弘

    森政府委員 先生のお話を聞いておりますと、標準価格米の購入量がだんだん減っていくような感じがいたすのですけれども、私どもの調査によりますと、昨年の十一月が三六・四、十二月に若干減りまして三三・五、一月には三六・二になって、二月には三六・九になっておる。まだ三月は調べておりませんけれども先生のおっしゃるように、標準価格米が一般の自主流通米あるいはその他の混米に対して純粋に格上げされる——格上げということばも、物統令がはずれた今日においては奇異な感がいたしますが、千六百円の米と二千円、二千二百円の米を混米して千八百円の中米みたいなものを消費者が好むというならば、そういう消費者に対しては千八百円の米でもよろしい、こういうふうな考え方でございます。三六%の標準価格米銘柄米に対応する量がだんだん減っていくというんだったら問題もありましょうけれども、現在のところ、全体の基調はそう変わっておらないという認識でございます。
  43. 松浦利尚

    松浦(利)委員 どうもあなたの認識と私の認識は——だから食糧庁長官に来てもらいたかったんだ。きょうは決算委員会のほうに行ったそうだが、あなた一生懸命防戦しておるけれども、実際に食糧庁が把握しておるその標準価格米というのは数量でしょう。幾ら売られたという数量で把握しておるんでしょう。だから、報告するときには、小売店標準価格米をまぜるわけだから、数量でこれだけ売れたと報告しているのですよ。小売店に行って聞いてごらんなさい、小売店の御主人がそう言うんだから。なぜそういうことをやらすようになったかというと、単独で売れないときには自主流通米とまぜてよろしい、それで販売しなさいということを言ったからです。だから、さっきから言うように、末端で流通が混乱してしまっておるのですよ。——おかしいおかしいと言ったって、現にそうじゃないですか。  整理する意味でもう一ぺんあなたに聞くけれども、昨年の十一月、標準価格米単独で売れない場合は自主流通米にまぜてよろしい、こういったことを言われたんでしょう。そのことはいまでも正しいと思っているの。
  44. 森重弘

    森政府委員 十一月の時点にさかのぼるよりも、むしろ物統令がはずれた四月の時点から、そういうものは価格が多様化するであろうということは想定をいたしておりました。私どものほうの担当官にお聞きになったという先生のお話でもございますし、ある所長からの質問でそういう長官のお答えがあったかもしれませんけれども、それは四月の時点から、物統令適用除外のときからそういうことは考えられる——念のためにそういう答え方をしたのかもしれませんが、そういうことは考えられると思います。
  45. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、次長、もっと具体的に大きなことを——実際はあり得ないことだけれども、こういうこともその通達でいいわけだ。小売店では、標準価格米は全部自主流通米にまぜて売ってもいいわけだね。そういうことになるよ、これは。
  46. 森重弘

    森政府委員 現在の小売りの条件からいいますと、そういうことはとうてい想像もできないことですし、競争激甚なこういうおりから、物統令をはずすときにもそういうような環境の整備というものはやったわけでございまして、おのずから消費者は選択の権利がある。店も、昔と違いまして、結びつきでやっておるわけではありません。そういう小売店の選択もあるわけであります。当然、優勝劣敗のそういうことが行なわれると思います。
  47. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そういうことはあり得ないと言うけれども、だから私は初めから、そういうことはあり得ないことだけれども、実際に、この通達でいけば、そういうことをしても、それは違法でないんだよ。標準価格米なんて置いたって意味ないじゃないの。標準価格米自主流通米とまぜていいということなら、私の店先には標準価格米はありません、そう言ってもいいわけだ。標準価格米を全部自主流通米にまぜて売っていいわけだから。だから、そのことはあり得ないけれども、これを拡大解釈していくとそういうことも可能じゃないかと私は聞いておるのです。これは、そういうことが認められるようなことでしょう。それを私は聞いておる。現実にそのことが行なわれるかどうかは別。しかし、あなた方は、やろうと思えばできる穴をあけたわけだ。そのことを私はあなたに聞いたのだ。そうでしょう。結果的にはそういうことも可能じゃないですか。そういうことをやられたって、いや、それは通達に違反しておる、けしからぬといえないでしょう。だからあなた方が、店頭標準価格米がありますから消費者標準価格米を買ってくださいということ自体も矛盾なんだよ、はっきり言うと。いまの米の行政からすればそういうことになるのですよ、結果的に。
  48. 森重弘

    森政府委員 消費者の需要に充足した後のいわゆる銘柄米といいますか標準価格米相当の原料米は、原則としてまぜてもよろしいということは言っておりますけれども、全部が全部——常置販売ということをこれは申しておりますから、当然そういうことは、極端な例と先生もおっしゃいますけれども、起こり得ないわけでございます。これは私ども積極的に、そういう材料として売ったものはそのような指導を、指導価格でございますから、指導としてやってまいりたい。要するに問題は、それがはたしてそういうふうになるかどうかの表示の問題ともかかわり合いがありますけれども、その辺も今後の問題として検討していきたいと思います。
  49. 松浦利尚

    松浦(利)委員 大臣は途中からですから、ちょっと国民生活局長にお尋ねをしておきます。米は非常に大切な問題ですからね。  それで、ちょっと経済企画庁の見解を承っておきたいのですが、昨年の四月一日から物統令適用を廃止した。そして国民嗜好によって自由に売買してよろしい、しかし、米の問題については非常に重要であるから、標準価格米というものを設定して店頭で売らせるようにいたします、これが実は四月一日、物統令適用を廃止した以降の米の指導体系であったわけです。ところが、それがいつの間にか、昨年の十一月、食糧庁会議において、標準価格米が売れない場合には自主流通米とまぜて売ってもよろしいという、これは口頭なのか質疑の過程なのか何かわからないが、食糧庁の統一見解として小売店のほうに指導がなされた。  そうなりますと、お米屋さんは全部高くで売りたいわけだ。米のマージンというのは小さいから、高くで売りたい。その売りたいという気持ちがこれに飛びついて、極端に言うと、標準価格米自主流通米にまぜて、そして内地自主流通米という変な名前をつけてどんどんと売っておるわけですね。しかも、そっちのほうがおいしいからこれを買いなさいといって、消費者の選択だというけれども店頭で、いや、こっちのほうがいいですよ、こういうふうにいわれて、実際には標準価格米中心として、自主流通米というかっこうでませて売られておるわけですね。それを買わされておる。  こういう通達があると、極端なことを言うと、米がだんだん不足する条件が生まれてくるし、政府標準価格米というものは自主流通米にまぜられて高くで売られていくという条件をここでつくり出しているわけです。  しかも、御承知のように、トン当たり四万三千円という政府の、国民の税金が出されておるわけですよ。四万三千円というのは価格差補給で、逆ざやで少しでも消費者に安くで売ろうとして、国会で議論されて支出されるのがトン当たりについて四万三千円という金なんです。ところが、そのトン当たり四万三千円という、消費者から見れば補助金的なものが出されておるそのお米が、逆に自主流通米という形に混米されて高くで売られているということになれば、消費者は一体今日の食糧行政の中でどういう恩典があるのか。逆に高い米を食わされて、売るほうは四万三千円の補助金をもらえるという、消費者にとってはたいへんきびしい米の行政というのが行なわれてきたということになるのです。そのことは現に認められておる。  そこで、こういった急激に米の需給関係が変わってきた中で、昨年の十一月、こういうことを食糧庁内部で話し合って下部におろされておるということについて、私は、重大な問題ですから再検討すべきだと思う。その点について、経済企画庁の国民生活局長としてどのように考えておられるのか、お伺いしたい。
  50. 小島英敏

    ○小島政府委員 やはり一番大事なことは、標準価格米一千六百円というものが必ず常置されていて、消費者が望む限り必ずそれがあるということが保証されているということだと思います。現在の状況は、それは保証されているというふうに私ども理解しておるわけでございまして、そうすれば、要するに必要最小限、自主流通米に比べますと質はやや悪いかもしれませんけれども、安いお米が確保されているというわけでございまして、その場合に、その米屋において、供給量のほうが需要より多くて、標準価格米として売るべきものがどうも売れ残ってしまうという場合に、これを自主流通米とまぜて、それを二千二百円とか二千四百円で売ったらけしからぬと思いますけれども、千八百円とか千九百円とか、要するにまぜぐあいに応じて適正な価格で売られる限りにおいて、私どもはやむを得ないのではないかというふうに考えているわけでございます。
  51. 松浦利尚

    松浦(利)委員 経済企画庁長官、米というのは、物統令をはずしたときに、消費者大衆もたくさん国会に押しかけてきて、たいへん議論のあった重要な問題なんです。初めはよかったのですよ。物統令適用を廃止した直後はずっとうまく行政がいっておったのです。ところが、嗜好の選択だということでうまい米、まずい米というものが出だしてから、だんだんと表面に出てきてから、実は混米ということが極端に行なわれるようになってきたのです。そして十一月のそういった食糧庁会議の結果というものが出されておる。  一体、その十一月の食糧庁のとった態度は、物価を預かる経済企画庁の長官として、いいことだ、そんなのは当然やっていいのだ——そんな売れない米なら高くで売れということなんです、結果的に。そういう行政のあり方は正しいと思われるのですか。私は正しくないと思うのです。この前の物統令適用を廃止したときのこの院の議論と私はたいへんそごをしていると思うのですが、国民生活局長はいま裏づけられて、食糧庁のとった態度は正しいのだということを私の前で言われた。それでは物価を担当する大臣として、米の行政は今日こういう状態でもなお正しい——いや、十一月の食糧庁の、売れぬときには自主流通米とまぜろということが、結果的に、売れようが売れまいが高く売らすということです。初めから標準価格米自主流通米にまぜるというかっこうで売られてしまっておるという、そういうことが正しいと思われますか。結局、消費者が安い米を買うときにはまずいということなんですよ、裏づけてみれば。うまい米を買うならこっちを買え、こうなるのですよ。そういうことが、消費者立場に立って正しいと思われますか。責任ある大臣の立場で、正しいと思うか、正しくないと思うかだけでけっこうです、それだけひとつお答えください。
  52. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 昨年の四月に物統令をはずすときの背景というものは、米が生産過剰ではないかという問題があったわけです。したがって、その問題に対応するには、やはり消費者の選択の余地をもう少し取り入れたらどうかということでありまして、そうなると、やはりうまい米を生産者もよけいつくるようになるであろう。したがって、そこに米の生産が調整されるのではないだろうかということが、当時の物統令適用廃止の根拠になっておったと思うのです。  そこで、初めはよかったというお話でございますが、そういう立場から消費者嗜好に応じて米が選択されるということが物統令適用廃止の背景になっておるわけでありますから、それはそれで、物価関係の問題からしてとかくのことを言うべきではないと思います。しかし、そこに標準価格米と称して、消費者に安い価格でお米が必ず手に入るということにしていくことが大前提でございまして、その意味で、これは袋に詰めたら千六百円ということをちゃんと明示して店頭に必ず置かなければならぬ、すなわち、お米屋さんに行ったら消費者はいつでもその米が手に入る、こういうことにしておかなければならないと思っておりまして、これは厳格に励行させておるわけであります。もしそれに違背した米屋があるならば、その間にいろんなからくりをもって妙なことをしている者があるならば、米屋の登録というものは一年に一回更新するわけでございますから、もう更新しないという立場でいけばいいと思うのであります。  それで、通達云々のことは、これは他省のことでございまして、どういう環境でどういう話をされたか、私はあまりよくわかりませんので、ここで一概に、卒然として批評することはかんべんしていただきたいと思います。
  53. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この問題は非常に重要な問題ですから、長官のほうでもう一ぺんお調べいただきたいと思うのですが、十一月に食糧事務所長会議を開いて、標準価格米自主流通米をまぜて売ってよろしいということを食糧庁長官が言われたのです。その前段にどういうことがついておるか、私はわかりませんよ。しかし、末端にいったときにはそういう状態になっておるのです。ですから、標準価格米自主流通米をまぜて売ることは、去年の十一月から下におろされて、常識になっているのです。そのために標準価格米数量的統計的には売られているけれども、実際に出ていくときには、全部混米として売られておるのですよ。その点については、いま唐突に出したからわからないということですから、ぜひ食糧庁と十分調べていただいて、経済企画庁としての態度を、これはどうなのか、悪いか、悪ければ改めるか、その点はひとつ御検討いただきたいということを要望として申し上げておきたいと思います。——あなたはいいです。  それで、時間がありませんから……。
  54. 森重弘

    森政府委員 だんだん少なくなるというのはそうではなくて、現に消費者販売業者から買った数量は変わっていないということなんです。先生のおっしゃりようによると、私ども調べた段階で去年といまと比べて、消費者の買った標準価格米数量が減るわけでしょう。そういうふうにはなっていないし、私どももこれは一生懸命指導いたしておりますし、変な名前の内地自主流通米、これは当然違反でございます。もしそういう米屋がありましたら、私どものところへお知らせ願えれば厳重に注意をいたします。
  55. 松浦利尚

    松浦(利)委員 われわれ国会議員が一つ一つ米屋を調べていって、あなたのところはこうでございます、ああでございますということは、忙しくてできないのですよ。そういうことは食糧庁がやらなければいかぬのだよ。いいかげんなことを言ったら困るよ。いま長官に話したように、十一月のあなた方の話し合いの内容が誤解されて小売店にいっておるなら、是正しなければいかぬでしょう。だから、その点は食糧庁長官経済企画庁長官農林大臣——政治的なことですから、農林大臣長官とで具体的に調べていただいて、正しければ正しいでほっておけばいいんだ。しかし必ず上がるんだから、われわれの言うようになるんだから、是正することがあれば、ある程度是正するようにしていただきたい。米屋の不当表示なら不当表示であなた方がチェックすればいいんだから、そういう点をひとつお願いいたしておきたいと思うのです。だから、あなた、言わないほうがいいんだよ。  それで最後に、締めくくりとして長官質問をさせていただきます。  実はこの前、商品投機の法案が本委員会にかかったときに、田中総理に来ていただきまして私が質問をいたしましたが、昭和四十八年度の物価の五・五%の目標値ですね、これが大体四%から四・五%ぐらいがげたになるんじゃないかというふうに私は申し上げましたが、総理府統計局の数字を見ましても、もう五%だということになりました。と同時に、いま国鉄運賃が衆議院をどうかというきわどいところにきておるわけですが、かりに政府原案どおり通ったとしますと〇・三四のウエートを占める。ということになってきますと、残っておるのは〇・一六というたいへん微妙な数字になってくるわけですね。そうすると、こういった大幅なげたの問題をめぐって、四十八年度にほんとうに五・五%でやれるかどうか。私は、もう〇・一六%というワクに入れることは、まさに至難のわざだと思うのですがね。それでもなおかつ五・五%だいじょうぶだということを、長官、ここで断言できますか。その点をまずお聞かせいただきたいと思うのです。
  56. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 総理府統計局の数字はまさにおっしゃるとおりで、げたが五%へきておる、これはもうそのとおりでございます。そこでまことに苦慮しておるわけでございますが、年度の当初でございますし、一年を通じての平均値でございますので、われわれとしては何とか目標値に押えよう、こう努力しているわけでございます。そのために、いやがられながら引き締めの話ばかりやっておるわけであります。これもそういうふうになかなか手ぎわよくいきませんで、ようやく公定歩合を〇・七五引き上げてから全体の基調がやや締まったかに見えますが、最近の基調が締まったのは、その前にやった二回にわたる預金準備率の引き上げとか、そういうものが効果があったというふうにいわれておるわけでございますけれども、実は全体の活動にどうも機動性が乏しいような気がしておるので、これは私の微力のいたすところであると、まことに残念に思っておるわけでございます。  そこで、もう一つの問題は国際的なインフレという問題でございまして、本来ならば、円の平価が上がったということによってかなりデフレ的な効果の出ることが期待できるわけでございますが、これが向こうも相当の勢いで上がっておるという問題でございます。  しかも最近の春闘で、私どもの考えておったよりもまだ上がって、一七%ぐらいというようなことをいっておるわけであります。そこで非常な購買力であって、デパートの売り上げなどは、前年に対して三割近く上がっておるという状態でございます。一方、非常な好景気でございまして、雇用の状況は、有効求人倍率だけ見ましても一・六四でございます。二月に一・六七であったのが三%下がったのはどういうわけかというと、求人しても人が来ないということで求人のほうがあきらめてしまった、それで下がったといわれるような非常な好景気でございます。これが非常な購買力となって物価を押し上げるということは、もうそのとおりでございます。  ただ、一つの救いといいますか問題は、国際収支の黒字幅が非常な勢いで減っておることでございます。エバリーがこの間、どうも日米関係の赤字も峠へ来たというようなことを言っておるようでありますけれども、まさに貿易の黒字からくる過剰流動性というものは非常な勢いで減っているということがいえるのでありまして、いままでのような状態は今後は相当変わってくるだろう。少なくとも卸売物価のほうは相当影響が出てきている。  問題は小売物価でございます。小売物価を押し上げている一番の問題は何かといいますと、やはり生鮮食料品ですね、野菜とかそういうものでございます。私どもは、ストが始まるというので非常に努力しまして——経済企画庁というのはまだ力の弱い役所でございまして、ようやく二億円という物価調整費を今度の予算につけてもらって、そのうち七千万円をさきましてジャガイモとかタマネギが東京、大阪に運ばれるようにいろいろ手配いたしたのでございますが、そういうことにもかかわらず生鮮食料品が非常に値上がりしておる。  私は、地方自治体の間で何かこの問題の調整ができぬものかというふうに考えているわけです。物価の美濃部さんが、埼玉なりあるいは近隣の千葉なりそういうところ、あるいは東北の生産地と直結をやっておる県がございますわけですから、そういうところにいろいろと話をしていただいて、地方自治体自身が連絡をとって、東京でたとえばハクサイがどのくらい需要されるといえば、そのハクサイをどこどこで供給しようというふうに話し合いをしてもらえぬものかと思っております。もしその間に赤字が出れば、それはまた、こういう際でございますから、非常時という観点から、政府として予備金的な支出を考えてみることができるじゃないか。  何としてもこの状況はほっておけないというふうに心痛をいたしておりますが、冒頭に申し上げましたように、はなはだ微力でございまして、企画庁というところは、こうなりますよということを言うだけで、それではどうしなさいという意見が実はないんですね。そういうことでございますので、はなはだ実は心痛をしておるということをもってお答えにかえたいと思います。
  57. 松浦利尚

    松浦(利)委員 心痛をしておるということは、経済企画庁ではなかなか五・五%に入れるのはむずかしいということだと思うのですけれども、そこで長官にお尋ねをしておきたいのですが、実は電力会社が、三月までの決算から見てどうも値上げしなければ維持できない。特に関西電力あるいは四国電力、おそらく関西電力がプライスリーダー的な役割りを果たすのじゃないかと思うのですが、電力料金のウエートが大体二〇だそうでございますから、五%かりに電力料金が上がったとすると、〇・一%の消費者物価の引き上げということになるのです。そうしますと、あと残されているのは、五・五%のうち政策余裕としては〇・ ○六しかないわけですね。今度の電力料金の値上げをどうするかというのは、私はたいへん重要な問題だと思うのですね。  そこで、この電力料金値上げがかりに申請されてきたときに、長官はどうされるのか。国鉄運賃の値上げと同じように——国鉄運賃値上げをいまやめれば、消費者物価に〇・三四という政策余裕を、政策目標に対して与えることになるのですが、しかし、それはもうかかっておるからどうしても通すんだということになれば、今度は関西電力その他の電力料金の値上げを押えるということによって〇・一%の政策余裕というのは残るわけです。電力会社の申請があった場合に、経済企画庁としては、そういう非常にきびしい条件ですが、どういうふうにされるのか、どういう意見を持たれるのか、その点をひとつお答えいただいて、私の質問を終わります。
  58. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 電力会社中、いま御指摘の関西電力が、長い間値上げをしないでがんばっておるということは事実でございまして、そういう意味で何らかの値上げの要求があるのではないかということが一般にいわれているわけです。しかし、この要求は、現実にはまだ出ておりません。その出た段階でどうするかということでございますが、まあ私どもは、そういうことはなるたけ控えてもらいたいということを、しばしば申し上げておるように、真にやむを得ざるもの以外は極力公共料金の値上げを抑制するということを言っておるわけでございまして、やはり電力料金はどう扱うかということは、今後その出てきたときの問題にいたしまして、十分にそういう方針に沿うて審議、審査いたしたいと考えておる次第でございます。
  59. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そのほか私鉄の二七%値上げその他たくさんありまして、もうその数字を羅列するだけで五・五%から飛び出すということがわかるのでございますけれども、そういった問題は、きょうはもう時間がありませんから……。  たいへん時間が超過して申しわけありませんでしたが、一応私の質問はこれで終わります。
  60. 山中吾郎

    山中委員長 次に、野間友一君。
  61. 野間友一

    ○野間委員 土地の問題について若干の質問をしたいと思うわけですが、最初に、私は四月二十一日の委員会で、通産省の公表資料のもとになっている各社別の提出資料、これを本委員会に出すようにという要請をしたわけですが、出てきたのはガリで切ったものですね。これは通産省でまとめられたものが出ておりますけれども、原本をぜひ出していただきたい、このようにまず要求をしたいと思います。
  62. 牧野隆守

    ○牧野説明員 通産省が当委員会の御要求に応じまして、六大商社から提出を受けた資料を、たとえば単位を統一するとか、あるいは数量につきまして単位を付するようなテクニカルな修正を施しまして、ガリ版にいたしまして提出いたしましたものでございます。提出の御要求がございまして、御了解いただけると思いますが、非常に部数が多数でございましたし、原本をリコピーすることは時間的に事実上不可能でございましたので、まとめまして、ガリ版刷りにして提出いたした次第でございます。実質的に原本と全く同一のものでございまして、リコピーにしたものを再提出いたしましても、実質的に内容に変わりはございません。
  63. 野間友一

    ○野間委員 そう言われますけれども、前々回でしたか、私のほうで、通産省の資料とそれから六大商社が出したもの、これとの矛盾、食い違いを本委員会においても追及したわけで、私のほうとしては、このような通産省か整理されたものでなくて、具体的に商社が出したもの、こういうものをお出し願わなければ、はたしてこの数字の信用ができるかどうかという点についての担保がないと思うのです。いまリコピーの話がありましたけれども、リコピーをとるかどうかはともかくとして、一応商社が出したものを、原本をそのまま出す。とりわけ中曽根大臣も、原本を出せという要求に対しては、それを出します、こういう約束をされたわけです。ところが、いまになってもまだ出ていない。私のほうは、重ねて原本を出して、このガリ刷りのものの信用性を担保してほしい、こういうことを重ねて要求したいと思います。
  64. 牧野隆守

    ○牧野説明員 先生の御要望につきましては、上司と相談させていただき、協議させていただきまして、後ほど御返事させていただきます。
  65. 野間友一

    ○野間委員 これはだいぶ時間がたっておるわけですよ。あなたが私の部屋に見えたときにも原本の提出を重ねてお願いし、また、あなたの話の中にも、リコピーしたものを出す、こういうことを言われたわけです。どうしてそのような約束を守れないのか。国会は軽視されておるのか。大臣が約束しながら、いまになってもまだ、上司と相談して、協議して、こういうことでは困ると思うのです。早急にそれを出してほしい。これは、本委員会で土地に関する討議をする際にぜひとも必要でありますから、早急に出すことをひとつ約束してほしいと思います。
  66. 牧野隆守

    ○牧野説明員 いま先生から御指摘のございました数字の食い違いにつきましては、まず第一に……(野間委員「いや、そういうことを聞いておりません。出すか出さぬかです。」と呼ぶ)先ほど御返事させていただきましたように、後ほど上司と相談いたしまして御返事させていただきます。
  67. 野間友一

    ○野間委員 それでは質問を進めますが、四月二日付で建設省が地価の公示価格を発表しておりますけれども、これによると、一年間の地価上昇が全国平均で三〇・九%、大暴騰ですね。しかも、ことしの上昇率の特徴は、地価公示制度が始まって以来の高率である。建設省ではコメントをして、この理由については、金融緩和による資金のだぶつき、これが土地買収に回った、あるいは日本列島改造論が特に地方開発を呼び起こして都心部以外の地域の地価をアップさせた、こういうコメントをされておるようですけれども、私どもで調査した範囲においても、この地価の高騰の原因が、いわゆる商社などの大手会社の買占め、しかもこれが日本列島改造論に便乗して買い占めたというところに大きな原因があることは明らかだと思うのです。  そこで自治省に聞きたいわけですけれども、このような大幅な上昇によって、これは国も当然でありますが、地方公共団体の住宅とか学校等々の公共用地の取得を一そう困難にしておる、こういうふうに考えるわけですけれども、このような現状について自治省は一体どう考えておるのか。きょうは建設省を呼んでおりませんので、自治省の方にひとつお答えを願いたいと思います。
  68. 近藤隆之

    近藤(隆)政府委員 先ほど御指摘にありましたように、土地の値段が全国的に非常に上がっておりまして、地方団体が何を行ないますにも、まず土地を確保するということが一つの大きな課題になっておる関係上、この値上がりの状況には非常に憂慮しておるところでございます。
  69. 野間友一

    ○野間委員 先日の新聞によりますと、田中内閣の支持率が、六十数%から急激に落ち込んで二〇%台になっておる。特に不支持の理由については、土地あるいは物価、これらの政策に対する国民の不満、怒り、こういうものについて大きくクローズアップされているわけですが、また別の新聞では、土地が買えない、ささやかではあっても自分の家すら持てない、こういう現状の中でせめて自動車でもということでマイカーが非常にふえておる、いま乗用車のメーカーは需要に追っつかない、こういうことなども新聞に報道されておりまして、このように土地問題はいま非常に深刻だ。これはだれしも異論をはさむ者がないと思うわけです。  私どもが調べたところによりましても、わずか千数百の会社が、日本の農地を除いた平地の約一割を保有しておるという事実もいわれておりますけれども、この土地問題の抜本的な解決のかぎというのは、このような大会社がダブついた資金によって土地を買い占める、そして地価の高騰を呼ぶ、こういうことの中で、この大会社の保有しておる土地を適正地価、おそらく取得した価格管理費用あるいは多少の金利というものが加算されると思いますけれども、こういうもので国や地方自治体が収用する、買収するということがなければ土地問題の解決はないというふうに私は考えておるわけです。  そこでお聞きするわけですが、参議院の物特の中でも、これは市街化調整区域に関してだったと思いますが、不動産業界の江戸さん、この方の、適正地価で開放してもいいという発言もございましたし、また、本委員会が提出要求した六大商社の資料の中で、伊藤忠の場合には、公共的な見地から国や地方自治体から要求された場合は開放してもいい、こういうふうなことも文書で出しておるわけですが、こういう伊藤忠とかあるいは江戸さんのことばを踏まえて、ほんとうに土地問題を解決するために、買占めをしておる会社、とりわけ商社、こういうところに、適正地価でこれを開放せよという要請をする必要があると思うのです。きのうでしたかおとといでしたか、建設大臣もそのような趣旨の発言をされておりますけれども、自治省として、これらの点についてどう考えているのか、お答え願いたいと思います。
  70. 近藤隆之

    近藤(隆)政府委員 今国会に提案いたしております公有地拡大推進法におきましても、従来、地方団体の土地の先買いの協議権が都市計画の市街化区域に限られておりましたのを、調整区域まで拡大して行なえるようにしたいということを考えております。それには、地方団体が公有地を確保するために当然相当の財源が要るわけでございますけれども、本年も、公共用地先行取得債をはじめ各種の地方債のワクを前年度より相当拡大しておりますし、もし必要があるならば、ワクにこだわらないで縁故債等も活用して起債を承認していくということを大蔵省とも話し合っておりますので、財源的には心配ないと私は思います。いま御指摘のように、いろいろな商社等の土地を放出していただくというようなことができますならば、そしてそれが地方団体の政策にとって適当な土地でございますならば、地方団体が買うことにはやぶさかではない、そういうように指導してまいりたいと思います。
  71. 野間友一

    ○野間委員 そういう前向きの答弁ですが、特に私が指摘したいのは、江戸さんとかあるいは伊藤忠そのものがそういうことを言っておるわけですね。ですから、単にこれだけでなしに、買占めの事実は明らかですから、そういうところに積極的に自治省が要請をして、これは地方自治体等と協議するなりいろんなむずかしいものはあろうと思いますけれども、そういう中で積極的に、この買い占められて遊んでおる土地の効用をはかっていただきたい。特に、いま買占めによって非常に地価が高騰しておる。開放する地価については、取得価格に何ぼかのプラスアルファをつけるという程度で開放させるように、自治省が積極的に働きかけてほしいということを重ねて要求するわけですが、どうですか。
  72. 近藤隆之

    近藤(隆)政府委員 建設省、経済企画庁、関係各省もございますので、相談の上善処いたしたいと思います。
  73. 野間友一

    ○野間委員 では、質問を続けます。  伊藤忠の関係について、商品用土地の購入関係について取得時期あるいは取得場所等々について、詳細な資料が出ております。また、土地だけでなしに、通産省がいろんなヒヤリングをして報告書をまとめられております。が、私が疑問に思うのは、このような商社が任意に報告した資料、特に当委員会に提出した資料、こういうものは一体信用できるのかどうか、通産省ではどう考えておるのか、お答え願いたいと思います。
  74. 牧野隆守

    ○牧野説明員 物価上昇などの状況におきまして、通産省といたしましては、現実に商社がどういう実情にあるのか、そっくりそのまま真実を伝えてほしいということで、私ども、法律に基づいて調査する権限はございませんので、従前から当省の行政対象でございますからそういう観点から当省といたしましては、一切公開しない、企業の機密は全責任をもって守ります、したがって真実を述べてほしい、こういうように強く要請いたしまして、具体的に各社からヒヤリングを行なった次第でございます。  国会に提出されました資料等の関係におきまして、一部そごが出てまいりましたけれども、私どもといたしましては、真実であるというように信用いたしております。
  75. 野間友一

    ○野間委員 土地あるいはモチ米をはじめ商品の異常な高騰、買占めあるいは投機ということで世論のきびしい糾弾を受けて、そして参考人として呼び、また資料の提出を要求して、出してきた。ところが、たとえば伊藤忠の土地の問題について当委員会に出した明細、これらがはたして信用できるかどうかという観点から、私は若干の調査を行なったわけです。これは政府関係機関すべて、よく聞いておいていただきたいと思いますが、この出した資料の中にはかなり大口のものが欠落しておる、抜けておるという事実をここで指摘したいと思うのです。この期になってもまだ商社はうそをつく、正直に報告しないということに対して、私はあ然としたのです。  具体的に言及してみますと、四十七年下期、これは当委員会に出した伊藤忠の資料ですが、面積が八百九十七万七千六百平米、金額は百十一億六千万円、こういうような数字が資料の中であがっております。そこで、その明細について、各所在地とか取得金額等がありましたので私のほうで調べたわけですが、いま申し上げたように、若干調べただけで、漏れたのがずいぶんある。たとえば、私たちが調査した結果判明した分について申し上げますと、面積にして百四万五千六百八十八平米、金額にいたしますと二十七億二千百万円、このような膨大なものが明細表から落ちておるわけです。これは故意に落としておると思うのです。これを商社、伊藤忠が提出した資料との関係で対比してみますと、面積にして約一六%、金額にいたしますと約二四・四%、これに該当するものが全くその明細に書かれていない、こういう事実が明らかになったわけです。  そこで伊藤忠に、この明細を出した基準は一体何なのかということを聞いたわけですけれども、これについては、たしか二千平米ですか、それ以上は全部あげた、こういう回答をもらっておるわけです。  いま牧野さんは、通産省が委員会に出した資料は信用できる、こういう答弁があったわけですが、実際には、あなたの願望と相反して、全く国会を無視し、軽視するようなこのような報告しかあげていない、こういう実態を踏まえてあなたは一体どう考えるのか、答弁を願いたいと思います。
  76. 牧野隆守

    ○牧野説明員 商社が当委員会に提出いたしました数字の中で、一商社につきまして土地の数字が非常に食い違っておったわけでございますが、私のほうで至急その原因等を調査いたしましたところ、実は各商社ごとに、たとえばこれを商品土地として見るかどうか、あるいは有形固定資産としての事業用資産として見るかどうか、こういう点が、各社の各部において必ずしも統一されていないということからの一つの食い違いがございましたし、それからもう一つは、報告の対象でございますか、手付を打った段階で報告するのか、それとも完全に支払いが完了した時点において報告するのか、あるいは一部分割払いをいたしておりますので、その分割状況に応じてその金額あるいは面積を報告するのか、技術的に各社相当混乱がございまして、そういう点からの誤差がはっきりしたわけでございます。  したがいまして、ただいま御質問の、信用するかしないかということでございますが、一応私どもの今回の調査のたてまえは、立入検査あるいは帳簿をチェックするというような権限が全然なくて、いわゆるヒヤリングをしただけでございます。そういう調査の対象の基準と申しますか、そういう点が不十分でございまして、数字が食い違ってきたわけでございます。私どもといたしましては、彼らからのヒヤリングの資料しかございませんので、一応まじめに報告してくれた、こちらが要請したわけでございますので、現段階においては、一応その数字を私どもといたしましては信用するというしか方法はございません。
  77. 野間友一

    ○野間委員 だから困るのですよ。具体的な土地の明細について、いま一般的なお話がありましたけれども、伊藤忠の関係で調べてみますと、たとえば和歌山県の白浜町、私の出身県ですが、これは坪でいいますと五万八百九十坪、取得金額十億円、石川県の松任市、これは七万坪で九億八千万、島根県の大田市、八万九千三百四十坪で九千万、広島の三和町十万八百三十坪、五千六百万、金を払っております。同じ広島の引野町五千百十五坪、一億五千五百万、新潟県の長岡、これは六百五十五坪、しかし金額にいたしますと四億四千万。ちょっと六カ所調べただけで、合計しますと二十七億二千百万、面積にして三十一万六千八百七十五坪、こういうのが出てきたわけです。  だから、六カ所調べただけで、いま申し上げたように非常に大口のものが、おもなものとして提出を要求した資料の中から抜けておる。これは全国またにかけて調査するわけにまいりませんが、調べたらまだまだ出てくると思うのです。こういうことから考えて、商社が出したものを信用することはとんでもない話だと思うのです。  特にこの中でひどいと思うのもずいぶんあるわけですが、順次聞いていきますと、まず農林省に対してお聞きしたいのは、地方自治体が、商社のゴルフ場あるいは総合レジャー施設、こういう目的の建設用地を取得するために、いわゆる商社の利益のための開発事業に積極的に関与する。責任をもって地主から農地を買収する。そして商社にこれを売り渡す。一生懸命手先になって走っておる。こういう事態をどうお考えになるのか。特に農地の転用手続について、地方公共団体が責任をもってこれを行なう、こういうことまで商社に約束させられている。また、この約束を守るために狂奔しておる。さらには保安林、これまで買い占めて、この解除方を地方自治体に責任を負わす、こういう事例もあるわけですが、こういう事態に対して——農地がゴルフ場等々に全部つぶされている。しかも地方が積極的に音頭をとって、商社の先兵として、番頭として働いておる。こういうような実態をどう考えるのか、まずお答え願いたいと思います。
  78. 小山義夫

    ○小山説明員 最近、先生がいろいろ御指摘のございますような状況の中で、農地を含めて、山林原野が多いわけですけれども、いろいろ買い占められておるような実態が進んでおりますことは、私どもも、農業政策上まことに困ったことだということで、いろいろな対策をおくればせながらとっておるわけでございます。  ただ、地方自治体が、農地の買占めなりあるいは転用の許可のいろいろな便宜をはかるというふうなことがもしありますとしますと、御承知のように、農地法の農地の転用許可については、許可の権限は知事でございますけれども、知事が許可をするにあたって農業委員会の意見を聞くというふうな手続をとっております。これはできるだけ地元の農業との調整をはかるという意味で、そういう手続をとっておるわけです。そういう仕組みの中に置かれております農業委員会、これは市町村の中にある機関でございます。  そういう市町村がゴルフ場その他の買占めのいろいろあっせんなり便宜をはかるということは、まことに困った事案でございますが、ただ、そういう実態がどの程度ございますかについては、私ども従来から、土地の買占めが、いろいろ優良農地が侵食され、あるいは構造改善なり生産性の向上という面で阻害される面が多いわけでございますので、県はもちろん、町村段階の農業委員会に対しても、厳正な処置をかねがねきびしく言っておりますことから、そういうひどい事案はそうはないんじゃないかというふうに考えておりますので、もし万一事例がございましたら、厳重に措置を指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  79. 野間友一

    ○野間委員 同じ問題について、自治省のほうのお考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  80. 近藤隆之

    近藤(隆)政府委員 いま先生指摘のような事実があるとすれば、まことに遺憾に存じます。ただ、市町村長あるいは市町村の議会の方々が、その町をどのように将来持っていこうかということで、町の計画の一環といたしまして開発していく、その場合に第三セクター等を利用する、あるいは民間業者等を利用する、そういうことはあり得ることだと思いますけれども、それが町の将来の方向に即した開発ではなくて、商社の利益というようなことになるとすれば、非常に問題だと思います。具体的な事例で遺憾なものがございまするならば、自治省といたしましても厳重に注意しなければならないだろうと思います。
  81. 野間友一

    ○野間委員 それでは、具体的に事例を報告したいと思いますが、これは、先ほどあげました広島県の事例です。神石郡三和町、これは国道百八十二号線沿いで福山から約三十キロ、非常に景勝の地であります。ここに伊藤忠商事がCIビレッジ三和開発計画、こういうタイトルでやっておるわけです。計画では約二百五十町歩、七十五万坪、これはゴルフ場あるいは野球場、こういうものを中心としたレジャー施設のようでありますけれども、これに関する町と伊藤忠との契約書、私は、これを見ましてこれがはたして地方自治体の責任者がつくったものであるかどうか、あ然としたんです。  たとえば、契約書にはこんなことまで書いてある。「町ハコノ開発事業用地ヲ責任ヲ以ッテ地主ヨリ買収シ、コレラ一括シテ伊藤忠ニ売渡スト共ニ、伊藤忠ノ開発事業が円滑ニ行ワレルヨウ町ハ全面的ニ協力スルモノトスル。」ということですね。さらに同じところにあるのは、「伊藤忠ハソノ地域内ニオケル開発ニ寄与スルト共ニ、自ラノ利益確保ノ為ニ開発事業ヲ行ウモノデアル。」こういうでたらめなことまで書いてあるんですね。自分のところの金もうけをする、利益を得るために開発するんだ。町は責任をもって地主から土地を買収せい。そして伊藤忠の開発事業が円滑に行なわれるよう全面的に協力します。こういうでたらめな契約書があるんですね。  しかもこの内容、たくさんあるわけですが、先ほど申し上げたように、農地の転用の問題についても、町がこれについて積極的に手続に協力するというようなことまで書かれておるわけです。しかも、この土地を見ますと、田とか畑、それから墓地まであるわけです。それから民間公衆道路、保安林、山林原野はもちろんですが、こういうことです。  とにかく一定の地域ぐるみを買い占める。しかも町は、この契約書から見ると、伊藤忠の社員のようなかっこうで走り回っている。こういうことを伊藤忠がやっているわけです。しかも、これは報告書には出ていない。いういう不正直なことを伊藤忠がやっているわけです。  おそらく、先ほど答弁にもありましたけれども、いまの逼迫した地方自治体の財政の中で、しかもいまの過疎のいろいろな深刻な問題、これは政治の矛盾から出てきているわけですが、その中で、せめて町として地域住民、農民に対してできることは、町民が自分の土地を売る、田畑を売る、これに対しては積極的に協力する、せめてこのくらいのことしかできないというような、ほんとうに悲しい深刻な状況があると思うのです。しかし、それにしてもあまりにもひどすぎる。伊藤忠の利益のためにやるのだ、それに町は協力する、こういうばかげた契約をして、そしてゴルフ場などをつくっておる。  具体的なこういう実態を踏まえた上で、農林省あるいは自治省はどう考えるのか、さらに答弁を求めたいと思います。
  82. 小山義夫

    ○小山説明員 いま御指摘の事案は、私、初めて聞きましたので、詳細よく調査した上で処理を考えたいと思いますが、不便な農村の場合に、間々、地域の開発で町の財政を立て直したい、あるいは住民の福祉をはかりたいというふうな考え方で計画が立案される場合が確かにございます。本件については、それがどういう実態のものであるか、単なる買占めのものであるかというふうなこともからみますし、それから御指摘のような保安林まで含められているような内容だとすれば、そう簡単に転用許可ができるものではないというふうにも思われますので、十分内容を調べた上で厳正に措置をしたいと思います。
  83. 近藤隆之

    近藤(隆)政府委員 大規模な地域開発に関連いたしまして、地方自治体がその業者と宅地開発要綱、あるいは土地開発要綱みたいなものをつくりまして、個別に協約を結ぶという例があるわけでございますが、これはむしろ乱開発の防止という意味で行なわれている例が多いようでございます。いま御指摘の点につきましては、ちょっとそれとニュアンスが違うようで、お話のとおりであると遺憾の点がないでもないような気がいたしますが、その事例につきましては実は私も初耳でございますが、県あるいは市町村当局に実態を聞いてみたいと思っております。
  84. 野間友一

    ○野間委員 これはいま申し上げたように、福山からわずか三十キロ、国道百八十二号線沿いの非常にいいところです。ここに契約書もちゃんとあるわけです。ほんとうの話、たいへんなことだと思うのです。いま保安林の話も出ましたけれども、保安林あるいは農地、保安林については解除、農地については転用、これについて、伊藤忠はまるで町長をダミーのようにして、町長を先頭に立ててこういうような手続をする、こういうばかげたことは、私は許すべきじゃないと思うのです。だから早急に自治省あるいは農林省は現地に調査に行って、実態を調査した上で本委員会にそれを報告してほしい、こういうことを要求したいと思いますが、答えていただきたいと思います。
  85. 小山義夫

    ○小山説明員 ぜひ詳細、実態を調査した上で御報告を申し上げます。
  86. 近藤隆之

    近藤(隆)政府委員 農政問題にからんでおるようでございますので、農林省と相談して調査いた、します。
  87. 野間友一

    ○野間委員 時間の関係で、あまり具体的な事例を出すわけにはまいりませんが、このような農地つぶし、これは単にいまあげたところだけではないわけですね。石川県のこれもCIタウン笠間、これは松任市にあるわけですけれども、もうすでに七万坪買い占めた。計画では十二万坪、この中にも農地がずいぶんあるわけです。三百十一筆の農地があるわけですね。これはいま農地ですから、仮登記の状態にあるようですけれども、三百十一筆の農地をまたここでも買い占めて、そして、これによると、CIタウン笠間というのですから、これは宅造だと思うのですね。全く農地がこのようにして、しゃにむに商社の金もうけのためにつぶされている。地方自治体は財政上の問題とかいろいろな問題があって、みずからが積極的に計画を立ててなかなかやり切れる状態じゃない。したがって、このようなすさまじい勢いでのアニマルぶりについて、これに協力するか、あるいはこれを黙認するというような実態がいま真実の姿じゃないかと思うのです。しかも、いまの松任市の場合には、これは農振地域に当たるわけです。すでに昨年の十一月には転用申請まで出して、十二月に内示を得ているということまで、私のほうでは調査をしておるわけです。しかも、こういうことの中で、周辺土地の地価が非常に暴騰しておるということまで報告されておりますが、さらには島根の大田市、これは三瓶山の一角のようですが、ここでも同じように農地が入っておるわけですね。私は若干の調査をしてあ然としたのですね。この大田市の場合にもやはりゴルフ場が含まれている。全く傍若無人といっても差しつかえないと思うのです。  これは、単に一商社の若干の調査でもこういう結果になっておるわけですね。おそらく、これを全国的に本格的に調べれば、たいへんなことになると思うのです。ある農地が全部つぶされている。これは改造論にも書いてあるけれども、こういう事態は私は放置できない。こういう具体的な一、二の例から考えて、これを大々的に調査をしてこれに対する是正をぜひしなければならぬと思うのですが、重ねて自治省あるいは農林省にこれをお聞きして、こういうような問題について、経済企画庁長官、この土地の買占め、暴騰、しかも商社がこういうアニマルぶりを発揮しておる、こういう実態をどうお考えになるか、お聞かせ願いたいと思います。
  88. 小山義夫

    ○小山説明員 商社が土地を買いますときに、農地の転用がそう簡単にできないことも知っておる関係もあって、仮登記をしたり、いろいろなことで潜行的に進んでいる事例が多いようでございます。ところが、明るみに出てからではなかなかそれがそう簡単に元に戻しにくいというふうなこともございまして、先月の二十日付で大臣の依命通達を出しまして、情報を何としても早くキャッチして早いうちに手当てをするといいますか、措置をするということが実際問題の解決に一番大事だというふうなことで、各地方農政局にその旨を指示しておる。いままでは、転用許可の申請を待って、それは許可ができるとかできないとかいう判断で厳正に処理をしていく、こういうことをやってきたわけであります。それだけではとても事態の解決がむずかしいというふうなことでいまやっております。これからも、十分そういう方向で措置を厳正にしてまいる。同時に、未然に事態の発生を防止するという方向でまいりたいと思います。
  89. 近藤隆之

    近藤(隆)政府委員 業者の乱開発によりまして自分たちの土地が荒らされるという方向でなくて、自分たちの町をどのようにつくっていくか、その町の基本計画というものがそれぞれにあるわけでございますので、その計画に沿うようにその開発をチェックしていくという方向で市町村は行政を行なっていくべきじゃないか、それが地方自治の本旨じゃないかということで絶えず指導しておるところでもあり、毎年出します行財政の運営通達におきましても、そのことを明記しておるところでございます。自治省としては、今後ともそういう方向で指導してまいりたいと思っております。
  90. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 いま農林省、自治省からそれぞれ意見の開陳がございまして、その方向でいいと思いますが、問題はその情報を早くキャッチすることであると思いまして、自治省からは都道府県、農林省ならば地方農政局、それぞれ問題を早くとらえて、これはどうせ仮登記でございましょうから、そういう状況をとらえて早く中央へ持ってくるように、そして中央としても、そういうみだりな開発が行なわれるということは望ましいことではございませんので、地方住民の福祉に沿う方向の開発ということに十分意を用うべきであると考えておる次第でございます。  一方、商社の問題でございますが、これはあくまで国際的な流通業務を行なうのがいわゆる商社の任務でございますが、それが最近逸脱をしているというふうに思わざるを得ない。商社自身においても、行動の規範というものを考え直すように、通産大臣も言ったようでございますし、私もその方向でいろいろ言っておるわけでございますが、これを至急に出していく。  それから一方、機構的には、公取委員長とも話しておるわけでございますが、やはりグループ化、系列化というものが非常に進みまして、寡占的な巨大な力をもって経済に一つの方向づけをする、ことにいまの地方の都市について好ましからざる方向の開発をするということになりますと、非常な問題でございますので、そういう方面の独禁法の適用からする指導もしなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
  91. 野間友一

    ○野間委員 特に農地に関して、あるいは保安林に関して、これは深刻な問題だと思いますが、情報をいち早くキャッチするということも大事ですけれども、ここで私は具体的なケースをあげてお話し申し上げ、それに対する規制をお願いしたいのは、事前にそういう規制をすると同時に、現在進行中のものは、それではこれは放置するのかということになるわけですね、こういう深刻な事態はいまどう対処したらいいのか、この点についてひとつ見解を聞かしていただきたいと思うのです。
  92. 小山義夫

    ○小山説明員 個別の事案をよく調べまして、もし農地の転用の許可を受けない段階ですでに契約が履行され、土地の引き渡しが行なわれ、しかもブルドーザーが入っている、開発が行なわれているというふうな段階にまでもし進んでおります場合には、農地法の規定で、工事の中止命令を出すとか、あるいは事態によっては原状の回復を命令する。これはいろいろな手だてが法律上ございますので、どれをどういうふうに適用していくことがいいかは個々の事案によって違いますので、もし開発がそこまで進んでおりますれば、そういう措置も考えたいと思います。
  93. 牧野隆守

    ○牧野説明員 前回調査に関連いたしまして、通産省といたしましては、商社に対しまして総合商社の行動基準の策定を要請し、かつ、これに基づきまして今後どういうようなビヘービアが行なわれるかという点につきましての行政指導といたしまして、関係商社の社長を中心といたします商社懇談会を設置いたしまして、抽象的にはもちろんのこと、具体的な問題につきましても、現在非難されておりますような事態がなくなるような具体的な行政指導をいたしていきたい、こういうように考えております。
  94. 野間友一

    ○野間委員 非常に抽象的な答弁で、私は不満です。  もう一つ、農林省に……。  大田市の場合ですけれども、この買占めの土地の中には放牧場があるそうです。これは四十五年度に、団体営の草地開発事業で国から補助金までもらっておる。混牧林地の指定まで受けておる。こういうふうに調査の結果報告は上がっておるわけですね。しかもこの中では、地主の中で、売るのはいやだ、こういう人たちがおりまして、売りたいという人と、売るのはいやだ、町の中で非常に混乱しておるとまでいわれておるわけですね。しかも、いま申し上げたように、国から補助金までもらってやっておるところがこのように造成されてしまう、これまた、たいへん遺憾なことだと思う。これらについてぜひ早期に調査をして、大田市の場合も報告書を本委員会に上げていただきたいということを重ねてお願いしたいと思うのです。これは実際いまどの程度進捗しておるかどうか、これはつまびらかではないわけですけれども、一商社が、先ほどの契約書でも指摘しましたように、自分の利益を確保するためにという契約書までずうずうしくもつくって、こういう乱開発をやっておる、こういう事態は私は黙視することはできない。特に伊藤忠の社長を参考人として呼ばれたときに出した資料、この中にも、先ほど申し上げたように、必要であればこれを開放しますということまで言っておる。したがって、このような土地について十分調査して、しかるべく住宅とか公共用地に利用できるものは、積極的にこれを適正な価格で買収して活用するという方向でこれからひとつやっていただきたいと思うのです。  冒頭にも申し上げたように、こういうものをきびしく規制して開放するということがなければ土地問題解決のかぎはない。土地は上がる一方ですね。これらについて関係各省の善処をきびしく要求して、私の質問を終わりたいと思います。
  95. 山中吾郎

    山中委員長 次に、有島重武君。
  96. 有島重武

    ○有島委員 私、去る四月二十一日の土曜日に当物価特別委員会で、買占め売措しみ法案審査に関連いたしまして、商品取引所法に言及したわけでございます。不公正な取引所のやり方につきまして、具体例をあげまして質疑を行ないましたところ、中曽根通産大臣とそれから櫻内農林大臣から、今後厳格な取り締まりをするというような答弁がございました。私は、被害者には全額を弁償しなさい、そういった提言をそのときにしたわけです。ところが、その後依然として、さらに悪質な取引所の、ほとんど恐喝にも似たような行為があった情報もございましたので、四月二十六日木曜日、やはり当委員会でもって総理に対して質疑を行ないまして、善処をする、そうしたまたお答えをいただいたわけであります。  きょうはさらに、ほんとうに実施をしてもらいたいということを含めまして、四月二十一日に要求しておきました資料がきょう配付されておりますので、最初に、これについて説明をしていただきたい。
  97. 池田正範

    ○池田政府委員 農林省の食品流通局と通産省の企業局で合同で、取引所が扱いました紛議処理状況につきまして、昨年の一月から十二月までに発生をいたしました分につきましての紛議件数を調べたわけでございますが、申し出事由別の紛議件数は合計百六十六件でございます。内訳は、いま御指摘のような過当勧誘が七十二件、それから無断売買が四十三件、一任売買が八件、連絡等の不備に基づくものが二十九件、その他十四件というふうになっております。  なお、これらの紛議に対する処理状況でございますが、これは四月二十五日現在で処理済みとなっておりますのが百二十四件、調停中のものが三件、取り下げ二十二件、その他が十七件、計百六十六件。  それから、解決いたしました中身といたしましては、全額返還になりましたものが十五件、二分の一以上の返還が三十五件、三分の一以上の返還が二十四件、三分の一未満の返還が四十八件、ゼロが二件、合計百二十四件。  以上でございます。     〔委員長退席、松浦(利)委員長代理着席〕
  98. 有島重武

    ○有島委員 申し出でありますけれども、この申し出に至る前に泣き寝入りをした分というのが非常に多いのですね。ここには百六十六件ということになっておりますけれども、これは実は氷山の一角であるということをまず、小坂大臣御認識いただきたいと思うのです。それが第一番ですね。  それから過当勧誘、無断売買、一任売買、これだけでもって百二十三件出ております。これはもう全くの不法なんですね。それから連絡等の不備というのがありますけれども、その連絡はし合うものですから、大体しなかったほうも悪い、されなかったほうも悪いというようなことになりがちでありますけれども、あとでもその具体例少し言いますけれども、これも実際には不法行為であります。  そうして、処理状況の中で、処理済みが百二十四件ということになっております。その中に全額返還が十五件あったということはたいへんいいことなのですけれども、その中でわずか一二、三%にしかなっておらない。それで全額返還をしろというふうに向こうに言ったわけですけれども、これは全額返還をさせられなかった、そういうような指導がし切れなかった、それは一体どういうわけなのでしょうか。
  99. 池田正範

    ○池田政府委員 御案内のように、多くの場合に、外務員が事務所の外において顧客との間に取引の勧誘が始まるという実態のほうが多いわけであります。     〔松浦(利)委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、多くの場合において私どもが一番難渋をいたしますのは、その際における確証を明確にすることがむずかしい場合が多うございます。したがって、責めに帰すべき理由というものが顧客側になくて、明らかに過当勧誘であるということが明確になりますれば、これは法令に基づいてその外務員の登録の取り消し、あるいは場合によりましては、その外務員を使って取引員が明らかに指示をしてそういう行為が行なわれておるという確証があれば、取引員の許可自体を取り消す、あるいは営業の停止をするといった処分がまた、準備されておるわけでございます。したがって、そういう方法は十分とり得るわけでございますが、多くの場合に、なかなか外部における両者の話し合いが確証が得られないということが、あとになって紛議の調停を行なう場合の一つの難点になっておるわけでございます。  したがって、私どもといたしまして、片一方がいわばくろうとである、片一方はその知識が十分でない、顧客側はしろうとであるというふうなことから、十分にその両者の間の話し合いの中身があとに証拠として残りますように、これは全国の商品取引所の連合会を通じまして、共通のリーフレット等をつくりまして、それぞれ契約を結びます際には、御承知のように必ず取引員の事務所で行なわなければならないということになっておりますので、その事務所に備えつけさせるというようなことで、いやしくも無知のままで取引の相手方に引きずり込まれるといったようなことのないような事前指導というものをやっておるつもりでございますけれども、それらがいま御指摘のようなことで、たまたま、それぞれそういうリーフレット等を読んでからという形にならずに、目前の利益につられて踏み込むといったような事例もあるというふうに私ども承知している次第でございます。
  100. 有島重武

    ○有島委員 ただいまのお話ですと、外務員とそれから消費者との間の、外で行なわれた話が多くて証拠がない、だから非常に確証をつかむのに骨が折れる。それで、事務所でもって取引をするのだということ、あるいは趣旨に合わせてこまかいことを消費者のほうにわからせるようにパンフレットなどをつくったというお話がございましたですね。それは何を通じてやらしているかというと、取引所を通じてやらしているわけですね。その取引所がいま問題になっている。それを通じていまやらしているわけですね。それが一つ。  もう一つは、外務員と消費者だというふうにおっしゃるけれども、それを今度は調停するところが取引所なんですね。それで、それを執行しているところと、裁判とまではいかないけれども、それを調停する場所と、それからまたPRするところ、それが全部一つの取引所に集約されているということは、これはみんなが善意であるならばそれでもいいかもしれませんけれども、そうでないというのに、そういった制度がいままでそのままになっているということは、根本的な欠陥じゃないかと私は思います。ですから、官庁からも直接にどんどん監督してもらいたいということを言い出したわけです。  それで、この間、時間に追われて詳しいことをみんな省略しておりましたけれども、こんなようなことになっているのですね。これはSさんという方です。豊商事というのがあるのですね。これは去年の話であります。  豊商事支店長殿は十八日午後三時ごろ見えまして、「過日スタジオ一〇二で商品相場の件放送になったのは知ってますが、あなたもNHKに手紙を出したのですか。何もそんなに大騒ぎしなくても、営業部長でだめなら、その上に私がいるのに。不服があれば会社と話し合いをしてくださればよかったのに。」と申されました。しかし、去る一月九日営業部長斉藤、課長橋本、セールス遠藤三氏が話し合いに見えましたおりには、「弁護士を依頼しても何をしてもどうにもならないから」とだめを押して帰ったのでした。その後私は云々とございますが、中略します。  Sさんという方は相当なお年寄りでございまして、老後の生活がこれでめちゃめちゃにされているんだ。それで、何も大騒ぎしなくてもいいのにという言い分で非常に傷ついていらっしゃるようでありました。  それから、去年の十一月二十七日ごろに私はやめたいと申しました。ところが外交員の方は、もう暮れも近いしお金も要るでしょうし、遠いから冬は車もだめだから——これは北海道の話です。もう二週間だけつき合ってほしい、こういうことになった。それで必ず二、三百万円はもうけさせますからと、それでまた横浜生糸を買わした。それで十二月になりまして、十二月の五日にこちらが電話しているのですね。そうすると、こちらの用件を聞く前に、これから毛糸が下がるからチャンスで、一週間でいいからということを、向こうからすぐ言ってきた。それで、この返事をあいまいにしていたらば、そのとおりになってしまって、結局それは百万円の損になったということでした。  それで、あんまりこまかくやるのもあれですから飛びますけれども、無断売買をされてしまって、その手数料が九百七十万にもなっている。保証金が何もなくなるまでほっておかれたということで、以前からやめたいと言っていたのにわざとこういうふうにされたんじゃないかと思っている。それで、一週間という期限だったのだけれども、一週間たってすぐに電話をしたところ、すぐに会いたいと言ったのだけれども、結局来なかったということですね。夕方になってから来たので、もう次の日になってしまって全部損になってしまった、パアになってしまった。  そういうようなことが重なっている場合が多いのです。この方は、結局半額でもって示談というか、その支払いでもって、全然ないよりかよかったということになったようです。  ところが、これまた別な話でございますけれども、業者の方が夜に来て、これ以上幾ら泣いても騒いでも出ないと言って念書に判をつかせた。そして、百三十三万円という損金なのに七万九千円置いていったそうです。それで、これは家で相談して、そんなのはおかしいというので、内容証明でもって、この間の念書は取り消しにして、七万九千円は内金として取っておきたい、そういうように通告したらば、今度は五月八日です。つい最近のことですよ。業者が来て、「国会で通産大臣が被害を回復すると答弁したなんてうそだ。これ以上騒ぐとあなたを裁判にかける。」これはこの間名前を出しましたけれども、第一商品株式会社というところですね。それで、そういうふうに言っておいて、結局いろいろやりとりがあった上でもって、「あなたの意思が変わりないことを確かめることができましたから、社に帰ってその旨報告します。」と言って帰った。  解決したという話の中にはこういうことが入っているわけです。二分の一以上というのは一番最初の話です。これなんかもとにかく解決内容の中ですね。  そうかと思うと、見舞い金を二十万円渡すと言ってきたというのがありますね。これは三番目の話です。これも第一商品のほうの話です。それで、見舞い金二十万円で、いやならばあとは裁判ですよ。裁判になったらばあなたのほうはもうゼロですよ。それで、このあと週刊誌や何かに第一商品の第の一字でも載ったならばただではおかないぞというようなことを言うわけですね。これ以上騒ぐと何とかかんとか、そういったことが続きます。それで、そのあげく念書に判を押させている。  それから、もう一つ別な話でございますが、これも、高血圧で外出できないような状態の方のところにこう言っている、出頭しろという電話がかかってきている。それで、行かれないので向こうが来たということになっているのですけれども、これも四十万の見舞い金ということでもって、これを拒否するとゼロになる、こういったわけです。それで念書に判を押させた。これは新日本商品株式会社というところだそうです。神奈川県ですね。  それから茨城県で起こっている問題、これは富士商品株式会社というのですけれども、「あなたはれつきとした社会的地位の人だから、一半の責任はあなたのほうにもある。だから業者にはあなたの希望は伝えるけれども、もう一度両者で話してもらうしかない。」これは商品取引所の係の人がそう言ったそうです。  それから、農林省のほうに訴えましたところ、農林省からは文書でもって「取引所へ行って紛議の申立てをやるように」という話であった。  それから、こういった事例があるのです。これは五月一日の事例でございますけれども、取引所の課長が損金の約三分の一程度戻されるという解決案を示して、「発注については合意に達したと解釈する」第二番目は、「売りから入るという取引の方法も了解していたはずである」、三番目に、「勧誘に関し利益保証のある取引であると説明したという断定的証拠はない」、それから四番目、「取引の中途でもうやめたいと意思表示したにもかかわらず、ここで入金しなければ、ますます損が大きくなると追証を要求した点はもう少し親切な説明があってしかるべきであった」四番目だけがちょっと譲って言っているわけです。あとはのしかかって言っているわけです。  きょういただきました、四月二十五日現在となっておりますけれども、「処理状況」の中にはこういうような問題がたくさん入っているのだということ、これはよく御認識いただきたいわけだし、あるいはよくよく御存じなんであろう、いま有島さんが言っているのは、被害者のほうの話ばかり一方的に聞いているからそんなことを言っているのだろうと言われるかもしれませんけれども、まだまだいろいろな事例があるのですよ。  それで、この委員会消費者保護の立場委員会ですから、私は、消費者保護の立場からもう一ぺん商品取引について考えなければいけないと思うわけでありまして、これは大臣も御存じだろうと思いますけれども昭和四十六年十一月二十五日に商品取引所審議会というところから「商品取引所の制度と運用に関する意見」というのが出ております。その中に「商品取引のあるべき方向について」という項目で、「現行の商品取引が、現在の経済社会のなかで十分な存在理由をもっているかどうかが問われる時期にきている」そこまでいっているわけですよ。それで、ほんとうに根本的に考え直さなければならない問題であると思いますけれども、経企庁長官としての御所見をひとつ述べていただきたい。
  101. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 商品取引所というものの有効な半面と、それがまた一般の善良なる、商品取引に知識を持たない市民に及ぼす影響等もあって、いろいろな検討を要請されていることは御承知のとおりだと思います。この問題、今度の物価との関連の問題でも取り上げられているわけでございますが、なお私どもとしてはよく検討してみたいと思います。  先ほどいろいろな事例をおあげになりました中で、私も詐欺ではないかと思う点も感ぜられるのでありますけれども、そういう問題については警察のほうでいろいろ配慮はしておるわけでございます。最近にも何かそんな事例があったようで、いまちょっと手元に資料を持ちませんけれども、ただ、詐欺であるということで調べますと、帳簿上の操作等はかなり専門的な知識を要するものでございますので、なかなか最後まで詰めてはいけないという問題もありまして、これが御指摘のような点になっているかと思うのでございます。  いずれにいたしましても、商品取引所というものの持つメリットもあるわけでございますが、デメリットの面もよく研究いたしまして、そういう弊害のないような形をどうしたらつくることができるかという点を、さらに検討したいと思います。
  102. 有島重武

    ○有島委員 商品取引所の持つメリット、デメリットということですけれども、メリットはどうなっているのでしょうか。現在そのメリットがほんとうに生かされているかどうか、その点はどうお考えになりますか。
  103. 池田正範

    ○池田政府委員 御承知のように、商品取引所のメリットといたしましては、短時日に多数の需要と供給をある特定の商品について集中して、そしてその需要なり供給なりの中に、あらゆる情報がその中に盛り込まれた形で需給均衡の価格が実現する、しかも、それは現時点における現物価格だけでなくて、先物についての情勢についても全部情報の中に盛り込まれる、理屈をいいますとそういう形になるわけであります。したがって、そこで初めてヘッジの機能というものも生まれてまいりますし、また価格の形成が公正に行なわれる、あるいは行なわれる価格形成は平準化された価格形成機能を営むといったのが、いわゆる商品取引所のメリットであるというふうに私どもは解釈をいたしておるわけであります。  しかし、いま御指摘のように、最近の情報を見ますと、ある時点で明らかに生産者その他に全く関係しない投機資金というものが急激に流入してくるといったような形が出てまいりますと、いま並べましたメリットなるものが十分発揮されないということは当然出てまいります。また逆に、そういう公正な相場の上に立って価格形成機能が行なわれるはずなのに、過熱されたそういった一部の買いあおりといったようなことのために、逆に世間の現物相場が引きずり上げられるといった場合も、最近はだいぶ鎮静はしてまいりましたけれども、ついせんだってはそういう事例も一、二あったわけであります。  したがって、商品取引所の機能というものは、これはそのときの取り巻く客観状勢によって、そのメリットが十分生かされる場合もありますし、生かされにくい場合もある。逆にそれがある意味でデメリットの機能を果たす場合もある。それは商品取引所の機能そのもので出てくるということよりも、より多くは、それを取り巻く客観的な需給の実勢なりあるいはインフレの気がまえであるか、あるいはデフレの気がまえであるかという経済情勢全般の影響を受けてそういう機能というものが出てくるという場合が多いので、私どもといたしましては、むしろそういった需給、経済事情の急変といったような場合には、取引所の機能が正常に運転することを期待できないのでありますから、たとえば取引に規制を加える。これは先生承知のように、いろいろと法律上もできるようになっております。したがって、そういう規制を加えることによって、過熱状態に入るといったような形を極力避けるように今日まで指導してまいっておるわけでございます。  しかし、そういう正常なる取引所の機能というものがかりに果たされているといたしましても、先ほど来御指摘になりました、外務員がそういった需要を広範に外から持ってくる。これは取引所の関係者だけの需給機能という狭い範囲であるよりも、やはり相当の外部資金というものが中に入ってきて公正なる相場をつくり上げるといったような形のほうが、需給の均衡を得る上にはよりベターであるということは理論的に言えるのですけれども、それを確保することを強引にやるあまりに、不当な勧誘という形がそこで引き起こされてくる。そのことは厳密に言いますと、いまの商品取引所の機能が果たされているかどうかということと別に、かりに機能が正常に動いておってもそういう状態が出てくるということでございますので、私どもとしては、先般来の商品取引所の機能というものが正常な機能を果たされないというふうに感じた際には、たとえば生糸とか毛糸とかの一時立ち会いを停止するといったような非常手段も含めまして、たとえば臨時に証拠金をふやしていくとか、いろいろな方策をとる、建て玉制限をするというようなことでやってまいりましたが、同時に、先ほど言いました外務員の問題につきましては、先ほどお話にありました新しい取引所法の改正を契機といたしまして、種々の立法的な措置は、かなりの分野にわたって消費者保護の規定が入ってきておりますが、問題は、先ほど申しましたその規定が十分に生かされていないという批判があるわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、消費者団体等を通じてこれらの被害者の話が上がってまいりました際には、先ほど申し上げましたようなこれらの案件が処理済みであるかどうかということのいかんにかかわらず、具体的にその中身について、消費者がいやしくも正当な理由があるのに泣き寝入りするといったような形に追い込まれているかどうかにつきましても、現在も引き続き個別案件といたしまして調査をいたしまして、もし、いやしくもそういうような形で行なわれており、それが詐欺に当たるというようなことになれば、これはむしろ警察案件として、そちらのほうで処理をしてもらうという形にすべきであろうと思いますし、また、それまでに至らなくても、法律違反というふうなことが明らかに出てまいりますれば、これは取引所法に照らしまして、先ほど申し上げましたような登録の取り消しあるいは許可の取り消しというような厳重処分を含めて、今後積極的に対処していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  104. 橋本利一

    ○橋本政府委員 先ほど先生が御指摘になりました商品取引所制度の根本的見直しについてでございますが、通産、農林両省におきましては、一昨年暮れに出ました商品取引所審議会の意見を尊重いたしまして、昨年の七月以来、産業構造審議会の中に定期市場問題小委員会を設置いたしまして、新しい時代に即応した取引所制度そのものについて検討を始めておるわけでございます。  検討項目といたしましては、先ほど来お話になっております過当勧誘防止策あるいは苦情紛議の処理あるいは登録外務員等々のあり方につきまして、包括的に根本的に制度のあり方を検討審議願っておる次第でございますけれども政府といたしましては、答申を得次第その方向に沿って対処いたしたいと考えております。
  105. 有島重武

    ○有島委員 この前も申しましたけれども公正取引委員会は、この種のもの、これは不公正な取引なんですけれども、これにタッチするわけにはいかないのですか。いま警察というお話ばかり出ているのですね。どうなんでしょう。
  106. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 商品取引の不当な勧誘ということでございまして、一般的に申し上げますと、景表法上の不当表示の問題がある場合も考えられると思います。ただ、本件の場合は、商品取引所法というちゃんとした法律がございますので、その法律で規制を加えるのが適当ではないかというように考えております。
  107. 有島重武

    ○有島委員 その商品取引所法に関して、これは公正取引委員会としてはタッチできないということですか。  それで企画庁長官に……。  いまのお話総合いたしまして、メリット、デメリットあるけれども、デメリットの中にも二重のデメリットがあるということでございますね。それで、その外部条件によってかえって過熱の働きをしてしまうというようなことが起こり得るような仕組みというもの、これはどうにかしなければならぬ。  もう一つは外務員制度ですね。この勧誘に対して、これはもうすべて厳禁にする、そうすべきだと思うのですね。いま取引は取引所の中でもってやるということになっておりますけれども、実際にはそうならないのだから、このところはそうすべきであろうと私は思います。それからペナルティ、罰則が、行政処分だけではなしに、刑事罰の対象になるところまであれしなければならない。  それからもう一つは、いま最後に申しました、公正取引委員会がこの法律にタッチすることができないというような状態、これも考え直す必要があると私は思います。  こういったことを含めまして、この法律の改正を必ず行なうということを約束していただきたい。長官、いかがですか。
  108. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 先ほどから、農林、通産当局からいろいろ御説明がありましたわけですけれども、このデメリットの面では、いまお話しのように二つの面があるわけで、一つは、最近われわれいやというほど体験した、取引所において一種の過当投機が行なわれて、物価の買いあおりの先駆をつくっていくというようなこと、これは何としても悪い面でございまして、これをとめるために、取引所の停止が行なわれたりあるいは建て玉の制限が行なわれたりしたことは御承知のとおりでございますが、その中に、実需に関係のないものが取引に無条件に参加し得るようなことが行なわれておることがいいのかどうか、これはどうしても取引所法は考え直していかなければならぬというふうに思っておるわけでございます。  それからもう一つの面の、外務員というか、外交というのですか、そういうものがいろいろ行動する根拠は、外部の資金を入れることがさらに取引所の機能をよくするというような面で考えられているわけでございますけれども、どうもこれは、いまのお話のようにいろいろ弊害がある。そこで二月二十八日には、ここにおられる農林省の池田食品流通局長と通産省の山下企業局長の連名で通達が出ておりますが、さらに四月二十六日に、全国商品取引所連合会の西田嘉兵衛氏が各理事長あてに出した指示事項がございますが、この中に経済力のないお客さんを勧誘しては困るという点がございまして、職を有しない家庭婦人等、経済力等から見て商品取引所参加に適しない者に訪問勧誘を行なうこと、また商品取引参加の意思がほとんどない者に無差別あるいは執拗な勧誘を行なうこと、これを禁止したいということを通達を出しておるのでございまして、まあこういうものの実施される状況を見て判断したいと考えております。  それから、警察の介入の問題でございますが、これは有島委員の御質問一つの契機になっておると思いますが、ごく最近に、北九州等での取引所関係の問題で、警察が手入れをしている状況もあるようでございます。  最後に、公正取引委員会との関係でございまするが、これはやっぱり取引所法というのがございますので、これは取引所法の示すとところに従って、この制度をよりよく運営していくという面で考えてよろしいのではないか、公正取引委員会の活動をまたずとも規制できる問題ではないか、かように思っている次第でございます。
  109. 有島重武

    ○有島委員 法改正をなさいませ、こう言ったのです、いまのお話踏んまえて。  それからもう一つ通達は出した、通達は出しているんだけれども、その様子を見ましてとおっしゃいましたね。四月二十六日に通達をお出しになった。私のあげたのは、五月の話をどんどん出しているわけですよ。そうした、業者を通しての通達というのじゃだめだ。  それからもう一つは、いまも業者が、国会でもって通産大臣、農林大臣が厳格な取り扱いをやるなんということはうそだと言って歩いているわけです。それですから、その一つのPRのルート、これははっきりしなければならないと思うのです。  それからもう一つは、調停するルートですね。いま橋本企業局次長と池田食品流通局長よりお答えがありまして、まあ一応これは済んだ、調停済みだといわれるものであっても個別的にまた調べるとおっしゃいましたけれども、これはその調停組織が、そのままもういまは否定されているわけだ、ここで。そういうことを含めまして、法改正ということを一ぺんお考えになるということを約束していただきたい。
  110. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 産業構造審議会、御承知の産構審というのがございまして、そこでいま検討いたしておりますので、その答申が出ましたらその時点で考えますことにお約束をいたしたいと思います。その答申を待って改正を考えるということをお約束いたします。  それからもう一つ、四月末日の時点での通達にもかかわらずそういう事態が起きているではないかという御指摘でございまして、この点はひとつ通産省に御依頼いたしまして、こういう通達が出ておるけれども国会で非常に御熱心なこういう御心配があるということを言いまして、厳重にこの通達が守られるようにされたいということを言ってもらったらいかがか、かように考えております。
  111. 有島重武

    ○有島委員 終わります。
  112. 山中吾郎

    山中委員長 石田君。
  113. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 関連して、公取にきていただいておりますので、本日発表になりました商社巨大化にメスを入れるという公取の見解について、若干お伺いいたします。  まず石油関係の問題でございますが、ガソリンスタンドが全国でいま四万店、これは大手石油資本メーカー十三社の中で、ほとんど全部系列化をされているわけであります。このような系列化は、十三メーカーが特別の協議をしなくても、現在石油は外国に依存をしているわけでございますから、輸入価格の高騰が見られますと、こういうものを利用してメーカーもあるいはガソリンスタンドも価格のつり上げをしている、こういうことも考えられるわけであります。  まず通産省にお伺いしますけれども、現在強気の特定石油メーカーあるいは幾つかのスタンドが値上げをした場合に、他の石油メーカーやガソリンスタンド等も二、三カ月のうちに一斎に値上げが行なわれているというのがいままでの現状であります。これは系列化から起こってくる問題だと私は思うのですが、通産省はそれを認めますか。イエスかノーかだけ御返事をいただきたい。
  114. 根岸正男

    ○根岸説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生指摘がありましたように、これは安定供給と品質の保証ということから、できるだけ元売りの製品を販売するようにという行政指導はしております。そういうことから……。
  115. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いや、元じゃなくて、系列化によって価格が決定されてくるわけだから、結果的にそうなるかならぬか、まずその問題について……。
  116. 根岸正男

    ○根岸説明員 そういうことでございますから、御承知のとおり元売りは海外から原油を入れまして、それから製品をつくっているわけでございますから、OPECの攻勢その他から海外の原油が値上がりしますれば、その元売りの系統のガソリンについては当然値上げをしないわけにいかぬわけで、そのほかに、これはまあ先生も御承知のとおり光化学スモッグ対策とかそういうことで、鉛を抜いていかなければならぬ、オクタン価の維持もしなければならぬ、こういうようなことから、非常に複雑な工程による石油、ガソリン製品をつくるという段階に入っておりますので、そういう設備関係のコストの値上がりというようなことで、その一つの元売りについてはそういうOPECの値上げ、あるいはそういう段階ごとにやはり値上げをせざるを得ないので、その系列におきましては、一般販売先端において、それに比例した値上がりがあるものと思います。
  117. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 公取にお伺いします。  いろいろな原因がございましょうけれども、いずれにしても系列化から起こってくることも認め得る、こういうことを通産省はおっしゃいました。  本日の各紙の報道によりますれば、総合商社の巨大化、系列化は、独禁法から見て放置できないところまできている、違反になる事実があるかどうかを調査する、こういうふうにいっていらっしゃいますけれども、このガソリン等の値段の形成については、私は系列化からくる問題も一つの大きな要素である、こう思いますけれども、これは独禁法に抵触するおそれがあるかどうか、これも同様に私は調査すべきだと思いますが、この点に対する見解をお伺いいたします。
  118. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 けさの新聞に出ております、総合商社に対してこれからその実態を調べる、つまり株を持ったり役員を派遣したり、あるいは融資関係、それからそういう手段を通じて系列化を行なっている、それが場合によったら独禁法に違反する面もあるのではないかということで、これから調査をやるわけでございますが、石油のスタンドの問題につきまして、そのいわゆる専属販売店、ガソリンスタンドは大体専属になっておるわけでございますが、ガソリンの価格引き上げが、それだけが原因であるというふうにはちょっと考えられません。これも一つ原因になっているとは思いますが、主としてガソリンの値上げはカルテルによって、つまり横の協定によりまして値段をつり上げるという場合が非常に多うございます。ガソリンスタンドの価格協定についてはたびたび事件として調べまして、勧告等で協定を破棄させておりますが、そういう面が非常に強うございますので、必ずしも系列化だけでそういう価格がつり上がっているというふうには考えられないわけでございます。しかし、それも全然ないということはいえませんので、今後のいわゆるガソリン価格の値上げにつきましては、その点もあわせて調査をしていきたい、こういうふうに考えます。
  119. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 きょうの朝日新聞の三面記事によりますれば、このガソリンの安売りについて通産省は待ったをかけているわけです。それは、先ほど申し上げたように、ガソリンスタンドが約四万店ある。それに対して約二百軒くらいの店が安売りをしたい、こういうことになって、待ったをかけているわけです。通産省は、それぞれの言い分はあるでしょうけれども、しかし、そういう価格形成それ自体がこういう安売り業者を逆に圧迫しておるというような点について、私はこれは独禁法の疑いがあると思いますが、この点に対する見解はいかがですか。
  120. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 ガソリンスタンドが安売りをする。それはどの程度の安売りになりますか、これは実態をまだ見ておりませんのでわかりませんけれども、たとえば仕入れ価格等を切って売るといえば、これは独禁法のいわゆるダンピング、不当廉売に該当するおそれがある。ただ、ほかの店よりも多少安く、しかし仕入れ価格を切ってないという場合には、必ずしも独禁法に触れるということはいえないと思います。
  121. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間がありませんからその議論はしませんが、通産省に最後に伺っておきますけれども、安売りをさせないというようなことを発表なすっているようにお見受けします。この記事の内容を見ますと、「元売りを記入しないような不備な書類では開店を認めるわけにいかない」こういうようことを根岸さんは発表していらっしゃる。それから「根本的には無印業者は業界の安定を乱す。業界物を売るといっても品質が保証されないし、供給が不安定で消費者に迷惑をかけるおそれがある」こういう理由で小売り業者を認めない、こういうようなことをおっしゃっているわけでありますが、これが事実だとすれば、その一々、きわめて不穏当な見解ではないかと思うわけであります。  たとえば、品質が保証されないと言っておりますけれども、それでは各スタンド、メーカーを一々検査して、末端の品質を管理しているのかどうか。いままでにもこういうような問題が一、二起きております。やはりメーカーから出てくるわけでありますから、末端販売業者の品質がどうこうという問題ではなかろう。それからまた、そういう品質問題で業者が問題になるとすれば、それはやはり最末端業者のモラルの問題であって、私は、モラルの問題まで通産省が調査をして販売店を許可しているわけではなかろうと思うのであります。あるいは、供給が不安定で、消費者に迷惑をかけるおそれがあると言いますが、今回、東北方面におきましては、灯油がたいへん不足して消費者に迷惑をかけておるわけでしょう。  そういうようなことを考えますとき、何となく大手メーカーだけを守って、そういうような安売りをしようという業者については圧力をかけようというような感じが、どうしてもニュアンスから出てくるわけですね。新聞記事だけじゃなくて、そういうようなニュアンスが出てくる。やはり消費者は安いものを望んでいらっしゃるわけですから、通産省としても、安売り業者というのをむしろ育成する方向へ考えていくべきじゃないかと思います。これが最後の質問です。
  122. 根岸正男

    ○根岸説明員 お答え申し上げます。  いま、朝日新聞の記事によりまして、先生から不穏当な発言じゃないかという御指摘がございまして、私の意図するところがそのまま書かれていないところについて、不徳のいたすところと思っております。  これは安定供給と品質の保証ということで、われわれとしてはできるだけ行政指導として、元売りをはっきりさせたほうがよろしいということでやっておることは事実でございます。  たまたま先生から、灯油の東北地方における問題が提起されましたが、これは御承知のとおり、順法ストの問題とかあるいは春闘その他のあれによりまして、配送が非常に手落ちになったということは事実でございまして、そのときにどうしてそういう問題が起きたかといいますと、要するに業転物を扱っていた方々が、そういう事態になると業転物がなくなる。元売りからストレートに来ているところ以外は非常に供給力が落ちてしまうということが、現実の事態であったと思います。  われわれとしては、次の問題として、ガソリンスタンドに対して、元売りに属していなければ絶対にいけないということは、これは言えないと思います。ということは、先ほど申し上げましたように、法律的な規制としましては、これは石油業法の十三条に基づきまして、省令の十四条で、元売り名及び主たる仕入れ先というふうに書いてあるわけです。それを記入しなければならぬ。われわれとしてはここで、できるだけ元売りということをはっきりしてほしいということを、これは行政指導の問題でございますが、しかし、これは届け出でございますから、主たる仕入れ先ということで記載してこられた場合、これは受理せざるを得ないのだというふうに考えております。  私は、そういうことも申し上げたわけでございますけれども、行政指導の面が非常に強く報道されたということについては、先生方に御心配をかけたということで、申しわけないと思っております。
  123. 山中吾郎

    山中委員長 次に、和田耕作君。
  124. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 企画庁長官にお伺いしたいのですが、今年の春闘もいよいよ大きく峠を越しておるわけですが、いかにも大幅な賃上げという感じを持つのですけれども、その相場をつくったのは、大体大きなストライキを背景にして、私鉄の一万四千七百円ですか、あの賃金の決定が軸になって、一万三千円から一万六千円ぐらいのところで今度の春闘が終わりつつあるというふうに思うのですけれども、今度の春闘の賃上げというのは二〇%近いものになりはしないかという感じがするのですが、長官、この問題はもう一応見当をつけられておりますか。
  125. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 御承知のように、私鉄の一万四千七百円が出ましたときには、率直に言って意外の感を持ったわけでございます。というのは、私鉄というのは、これは運賃改定を要求しておるのでありまして、その理由は経営の不如意ということであったわけでございます。しかし、こういう状況のもとにおいて、あるいは何らかおつき合い的なことも必要かと思っておったわけでございますが、あれは一九%でございまして、お話のように、これはたいへんな大幅値上げといわざるを得ないと思うのでございます。しかし、その後にどういう状況が出てきますか、これは私どもは、希望的観測も若干あるわけでございますが、大体一七%平均になるのではなかろうかというふうに見ておるわけでございます。
  126. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 確かに一八%ないし一九%という賃上げになると思うのですけれども、この問題の見方といいますか、今後の果たす意味といいますか、こういう問題をそろそろ真剣に考えてみる必要、あるいはそういう段階に来ていると思うのですけれども、まず第一に、このいかにも大幅な賃上げというものは、どういう原因でこういうふうな賃上げが行なわれたのか。背景は何か。小坂長官も、自民党さんも、政府のほうも、人件費のアップ、つまり賃上げというものがインフレを起こしておる大きな原因だというふうな御所感をあちらこちらで述べておられるのですけれども、今回の春闘の大幅賃上げというものも、これは労働者のほうは生活防衛のために、物価がどんどん上がる、インフレムードの中の春闘だ、したがってこれくらいのものはとらなければしようがないのだ、こう言っているわけですけれども、そこあたりの問題を政府物価関係責任者として、長官はどのようなお考えを持っておられるのか。
  127. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 まさにこの物価の異常な騰貴の中にありまして、生活防衛をしなければならぬという気持ちは十分理解するところでございます。しかし、考えねばならぬことは、この賃上げが即需要増になって、購買力になってあらわれてくるということになりますと、やはりこれが物価を押し上げる原因になるわけでございますので、この点はなかなか今後の大きな問題であるというふうに思うわけでございます。  ただ和田委員も御専門家でいらっしゃいますからよく御承知のように、生産性に見合う賃金ということはわれわれ言っておるわけで、賃金の二けた上昇を生産性が上回っておるというところに、いままでこれを是認してくる根拠がありましたわけで、今後生産性が非常に落ちて、このままの物価値上がりが続いていくということになると、やはりコスト・プッシュ・インフレの様相が出てくるのではないかというふうに心配をいたしておるわけでございます。問題はかかって生産性にある。  もう一つは、低生産性部門というのが特に流通部門に多いわけでございますが、これはやはりおつき合い的に、流通部門といえども相当の賃上げをせざるを得ないというふうになると思うのでございまして、私は、こういう点からインフレ要因が非常に強く出てくることを何とか避けることに努力しなければならぬというふうに考えておる次第でございます。  日本の物価というものはいままで消費者物価は上がっておるが卸売物価は上がらないという形でいったものが、今度は卸売物価が上がり消費者物価が上がるという形に、いまのところ二カ月ぐらいなっておるわけです。これが一つの形になるかどうかというのは将来を見なければわからないわけでございますが、やはり先ほど申し上げた、生産性と賃金の関係が大きな企業でもって破れていくということになりますと、この形が相当に続くのみならず、日本の成長経済というものを大きく変えていくことになるのではないかというふうにも考える次第でございます。
  128. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この一九%という賃上げは、これは企業によって違いますけれども、全体から見れば、明らかに日本の生産性の向上率を上回っておるというように私も思うのですけれども、しかし、ここで問題なのは、インフレ下の春闘だということですね。生産性に見合う賃金というのは普通の状態においていわれる議論であって、背景が非常に猛烈なインフレムードの中の賃上げということになりますと、つまり生産性に見合う賃金という議論では、これはそのワクに入ってこない。はみ出しているわけですね。つまり、インフレがあるから、生活を守らなければならぬから大幅賃上げが必要だという一つの考え方の構造ですね。そこへ生産性を越しておるからいけないんだという議論は、今回の場合は当てはまらない。ワクを越しておるということになるわけであって、したがって、今度は大きなインフレ、そのさ中の賃上げということでこのような大きな春闘のベースアップが行なわれるということになるわけですから、やはり一番の原因はインフレあるいはインフレムード、長官もおっしゃる過剰流動性、それに対する政府の対策が非常におくれたというような問題があるわけであって、こういうふうな場合に生産性の問題を持ってくると、なかなか納得のしにくい問題が起こってくるということになりはしないかと思うのですね。したがって、この大きな春闘というのは、労働者が力にものをいわしてめちゃくちゃに取ったというよりも、やはりその前に政府としては、インフレムードというものをつくり出した原因について反省をするということが先決になる、このように思うのですけれども、そこらあたりの考え方を、長官、いかがお考えになりますか。
  129. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 現状がインフレというべきであるかどうかということは別といたしまして、いわゆるインフレムードがあることはそのとおりでございますし、それが政府責任でないというふうには私はいえぬと思うのでございます。でございますから、こういう物価高の中にあっての生活防衛という気持ちについては、私も十分理解しなければならぬと思うのです。  ただ、そのままで一体済むのかどうか。問題は、インフレを押えなければならぬということにあると思うのでございますので、このままの一種の、感情的というとちょっと言い過ぎますが、とにかく生活防衛のために賃金がよけいにならなければならぬ、それはわかりますが、しかし、それをやってまた購買力をふやして物価を上げて、またそれを防衛するために賃上げということになって、こういうスパイラルができていく関係を考えますと、何かどこかでそれを断ち切る努力をしなければならぬ。政府はもちろん、過剰流動性の吸収等について十分なことを今後も努力をしていかなければならぬと思うのでございますが、私は、今度の異常な状況というものに対して一つ、こういうことを考えておるのです。  これはむしろ個人的な見解というようにお聞き取りをいただくと、たいへんありがたいのでございますけれども、結局モラリティから来ているのじゃないか。やはり国民のモラルが非常に異常になっていることがこのインフレムードを呼び、インフレと称せられる状態を生んでいるのではないか。これにメスを入れていかないと、いわゆる単純な経済理論だけで押え込もうとしてもモラルの問題がある。たとえば商社のモラルというものが、今日のようなこういう、あっちもこっちもという、次から次に出てくる膨大なもうけをやっておる。やってよろしいというふうに、あの教養もあり、経済界の指導者などといわれておる人たちが、ああいうことをやっていいと思っていたのかどうかということになると、実は私は、これは個人の見解ですが、非常に意外に思うのですよ。そういうのが、上がそうであれば下もこれにならうように、何か力があれば何をやってもいいんだという資本主義の悪い面が出てきておる。これを直さぬといかぬ。それから、消費についても、豊かな消費をすることはいいことであるに違いございませんけれども、もう少し待てば安くなるとわかっておるものもかまわず買ってしまう、そして高いのはけしからぬけしからぬと言っていることが一体ないのかどうかというようにも思うのでございまして、何か個人の利益と国全体の利益とを調和さしていくということを、そうした道徳をみんなが考えないと、これはえらいことになるのじゃないかという気がいたしておりますわけでございます。  お答えになるかどうかわかりませんが、感想を述べさしていただくとさようなことであります。
  130. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いま私が問題にしている点は、日本賃金研究センターの金子美雄君がきょうのサンケイ新聞でしたかに、記者との対談の形で述べておる点なのですけれども、金子君は強く、この賃上げがインフレを助長するのだと、つまりこの賃上げにインフレの原因があるのだという点を強く否定しているわけですね。彼も、御案内のとおり、日本の賃金問題についてのほんとうの権威者といわれるような男です。一部の人の利益、一部の人の顔を見てものを言うような男でないと私は思うのですけれども、金子君は、つまり今度の大幅賃上げというものが物価を押し上げていく原動力ではなくて、やはりインフレが起こってきて、インフレに対する生活防衛としての賃上げが行なわれたというふうに理解する必要があるのだということを強調しているわけですけれども、この問題は、ひとつ政府としても謙虚に反省をしてみる必要があると私は思うのです。  いま長官のおっしゃった、資本主義の悪い面が出てきておるというお話ですけれども、この間、私、NHKの討論会でも申し上げたのですけれども、こういう時期ですから、政府としての姿勢というものが非常に大事ですね。また、そういう面から見ると、現在審議しておる国鉄の運賃というのは、私はこれは非常にまずい結果になる。こういう時期に国鉄運賃法案を出さざるを得ない政府立場というのは理解できないのではないのですが、非常に悪いというか、政府の説得力を非常になくする法案になりはしないか、現になっておるんじゃないか。国鉄運賃引き上げの理由については、昨年来私もずいぶんいろいろと議論をしたのですけれども、よく理解ができる。できるけれども、こういう時期に、つまりインフレムードというものが大幅賃上げを起こしてくる、インフレムードというものがいまの買占めなんということも起こしてくるということですから、政府としては国鉄運賃の引き上げという問題——これは二四%前後になる。多いものだと三〇%をこしていくというものですから、これは一年、目をつぶって、一年延期するというような措置を含めて政府は決断をする時期じゃないか。これは一年絶対延ばせないということは、これは私は言えないと思うのです。去年でもそう言っておられた。去年は通らなくて、一年済んで、いろいろなことが起こったでしょうけれども、とにかくがまんできる状態経過してきているというわけですから、こういう非常に大きなインフレのどろ沼の中に入ろうか入るまいかということだし、また、国民もあるいは大商社にしてもいろいろ間違った気持ちがあちらこちら出てきておると長官もおっしゃるわけですから、政府みずから、このあたりで、国鉄運賃の問題を少なくとも一年見送るという姿勢を示せないものかどうか、これは長官の個人的な見解でけっこうですから、ひとつお述べをいただきたいと思うのです。
  131. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 最初に、金子美雄君の御議論を私まだ拝見しておりませんけれども、金子君自身については、私も一緒に勉強したこともございますが、非常に人格を高く買っておるわけで、その御所論についても、何かとまた検討させていただきたいと存じます。  後段の国鉄の問題は、実は私の個人的な気持ちは、私はたまたま昨年自民党の政務調査会長をやっておりまして、国鉄を何とかせねばならぬということを言い出して、十カ年の再建計画をつくって、その一環としての値上げをきめた男でございますので、実は、昨年あれが通らなかったことはまことにどうも困ったことだと思っているわけなんでございまして、あのとき一カ月の延長、二カ月の延長をしてもらったら、あるいは今日の苦しみから解放されたんじゃないかとすら思っているわけでございます。和田委員のお気持ちについては、さらによく検討さしていただきたいと思います。ただ、一年延ばしたらというのは、これは個人的な意見でございますが、ここであの案を認める、ただし実施を一年延ばせということであるのか、あるいはただ漫然と一年延ばせということであるのと、だいぶまた考えも変わってくるわけでございますが、政府側が質問をしてはいけないことになっているので御質問は申し上げないわけでございます。
  132. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私の申し上げるのは、忍びがたきを忍んで政府の姿勢を正す、国民に対してあるいは企業に対して範を示すという意味で、あの法案自体を一年延ばすという決意をなさる。選挙法の問題で、どうやらおやめになる決意をなさるように理解するのですけれども、あんなものは出すのが間違いであって、こういうものこそ出せば、国民に対して影響が非常に大きい。政府もいよいよインフレに対して取り組んでおるのだなという気持ちを示す意味で、非常にいい機会だと思うわけです。あえて申し上げたわけでございます。法案を通して実施を一年延ばすという意味ではございません。法案自体を一年延ばしたらどうですか。出さなければならぬ理由はよくわかります。わかりますけれども、先ほどから申し上げているとおりの理由で延ばしたらどうですかということを、強くひとつ要望したいと思うのです。  それで、いまの賃上げの問題の理由というものは、大体長官も御同感いただけると思うのですけれども、金子君がここで述べておる主張のとおりだと私は思うのです。とおりだとしましても、やはり二〇%近い賃上げということになると、これはまた、物価を押し上げていく要素には確かになります。また、それに便乗値上げ等の問題も起こってまいります。これが上がるとまた上がってきてまた賃金が上がるというスパイラルの問題が、すでに直面をしておるということですけれども、ここで私はやはり所得政策という問題を——これは労働者側も政府のほうも、言うことはタブーになっておるという感じですけれども、タブーであるかどうかはともかくとして、やはり所得政策の問題を考えなければならない段階に来た、私はそう判断するのですけれども長官、いかがですか。
  133. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 所得政策というのは、そのことばのとおりインカムズポリシーでございますから、あらゆる所得についての政策でなければいかぬと思うのでございます。ところが、わが国では、所得政策といいますと賃金ストップあるいは抑制と、こういうふうにとられておるのでございまして、その意味でタブーというふうにいわれるわけだと思うのでございます。  ところが、やはり全体の国の構成というものはおのずからきまっておりまして、大体いま福祉国家の方向に向かうということでその構成を変えようとしておりますが、従来の日本の経済のストラクチャーというものは、大体一次産業でどのくらいの所得があって、二次でどのくらい、三次産業はどのくらいという構成がきまっておるので、全体がふえれば、その構成に従って構成が動く。たとえば、第三次産業が著しく伸びたらこれは不健全な姿だとか、そんなようなことはばく然とはいわれておるわけです。  そこで今度は、もしそういうことを考えるとする場合には、これは全体の所得について、もちろん株式の配当であるとかあるいはサービスの料金であるとか全部含めての問題であるべきであるのでありますが、その前にはやはり意識の変化といいますか、ちょっとそれは言い過ぎかもしれませんが、理解のしかたの変更といいますか、インカムズポリシーとは何ぞやということをもう少しみんなが理解した上でないと、政府は所得政策を考えていますなんということを言えば、もうあすから、総評は絶対反対、こう出るにきまっているのでございます。そういう点をもっとみなでまず解き直してみる必要があるのじゃないか。  それからもう一つ、先ほど申しましたモラリティの問題で、あるいは私は全体に利己主義的傾向——会社の経営者は自分の会社のことだけ考えていればいいような、あるいは労働者あるいは勤労者諸君は一種の団体利己主義を持って、たとえば国鉄で運転士さんだけを特別の部屋に乗っけて、一般の客が困っておっても運転士さんだけが楽に乗ってこれればいいとか、そんなような一種の利己主義が、これを直さないと日本は重大な危機に直面するのではないかという感じを持つわけでございます。
  134. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私は、この前の物価委員会のときに中曽根大臣に対しまして、鉄鋼をはじめ重要産業に対して単独事業法をつくって、そして不当なもうけ、不当というか、大きなもうけがあれば、これは単に配当に回すとかということではなくて、もっと適正な、公正、公的な立場から規制するような単独事業法を鉄鋼等においてつくったらどうかということを申し上げたのに対して、中曽根大臣は、それは非常に困難な面があるけれども、検討してみましょうというようなお返事がございました。私は所得政策を検討する段階に来たと申し上げておるのは、いま長官もおっしゃるとおり、所得政策というものの意味がいろいろととられておるというふうな段階においてこれをそのまま主張するということは、これは非常に誤解を起こしてくると思いますけれどもことばの正しい意味においてインカムズポリシーということを検討してみることが必要だと思うのです。各重要産業において単独事業法をつくるということも、その一つの前提になるわけです。つまり、この所得政策というのは、自由放任のたてまえの経済の運営ではとてもじゃないが実行できない。これをやろうとするから軒並みに失敗する形になる。労働者の強い抵抗を受けるようになってくるということだと思うのです。しかし、そういう諸外国の例からいっても、必ずしもというよりも大部分は、成功か失敗かといえば失敗の類になるようなことをやっておるにもかかわらず、どこの先進国も失敗してもなおかつ、失敗してもなおかつというような形でこの問題に取りかからざるを得ないという段階に来ているわけです。アメリカしかり、イギリスしかり、ドイツしかり、あるいはフランスしかり、スウェーデンしかりということですね。  こういうことでございまして、これは非常にむずかしいから、あるいは誤解されるからこの問題を避けて通るというようなものではない。つまり自由放任の資本主義体制から福祉国家の体制に入っていく場合に、どうしても通らなければならない関門の一つの代表的なものが、この所得政策をめぐる諸問題としてあらわれてきておる。この問題をめぐって、経営者側は自分たちの主張を利用する、労働者側は自分たちの主張を利用するというところに非常に困難な問題を起こしている背景があるわけですけれども、しかし、それは避けて通るわけにいかない。ということは、つまり物価と利潤と生産性の問題が悪循環になってくるというこの客観的な事実は否定しようもないわけですから。  そういう状態のもとで、国民がそれぞれの立場で十分、不平はあっても一応話し合いをして妥協してやっていこうというのが所得政策の一つ中心点だと思うのですから、これを正しく実行していくということになれば、当然資本主義の諸原理が大きく修正されていかなければならない。こういうかまえがなければこの問題はうまく適用できないという問題になるわけです。  長官は、所得政策をめぐってそういうふうな御認識をお持ちになられるかどうか、お尋ねいたします。
  135. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 おことばにもありましたように、アメリカあるいはイギリスでやっておりまする所得政策は、まあニクソンの場合なんかですと、八月十五日に始めて、第一段階で成功して、第二段階、しかも第三段階になると非常に物価が高騰してきた。率直に言って、非常に短期な場合は成功するが、なかなか永続しないという、非常な試練に直面しているといわざるを得ないと思います。日本の場合、所得政策そのものに対する誤解があるところへこれをいきなりぶつけて成功するかというと、さらにむずかしい問題があると私は思うのでございます。  そこで、実は私は、一月ごろから経済企画庁の中でいろいろ研究してもらっている問題の中に、経済安定基本法というような考え方ができないかということを言いまして、皆に研究してもらっておるのでございますが、その内容は、いま和田委員が仰せられましたような社会の生産と分配と消費というものを一つの新しい哲学によって連関づけるということが内容になるわけだと思うのでございます。  それから、やはり非常に世界的に機動性が増しておりますので、租税法定主義は当然でございますけれども、問題に限って、関税の上げ下げの権限等も、あとで国会ではかればいいことにして、総理大臣に与えられないかということも言っておるのでございますが、最近になりまして、大蔵省のほうから何か福祉関税の研究を関税率審議会にはかるというようなことを言っているということを新聞記事で見ますわけですが、実は、あれが必要なのはいま必要だと私は思っておるのでございます。そういうふうにテンポがずれることなしに、どうも機動的にやらぬといかぬと思っております。  私は、和田委員のお考え、よくわかるのでございまして、何と申しますか、所得政策を欧米でやっているからこっちでもやるというようなことでなくて、もう少し大きな国民の経済生活安定ということを目ざした新しい法律、新しい哲学を持った法律をつくることができないかというふうに思っている次第でございます。
  136. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これはたとえばイギリスの例を見ますと、労働党政府がこの問題を最初に大規模に取り上げた、これに対してイギリスのTUCという労働組合の本部がまともに反対したという大きな歴史的な経験があるわけです。したがって、労働党政府というものが、労働者の立場をよく考える立場にある政府であっても、いまの賃金と物価と生産性の問題の調整を目ざして措置をすることに対しては、労働組合の運動で抵抗するという面があって、この問題はなかなかむずかしい面があるのです。ありますけれども、しかし、それを労働党政府が、たいへん大きな痛手を受けたけれども、なおかつ次から次へとこの問題について提案をし、労働組合に対して説得をするという努力を重ねておる。アメリカもそうですね。アメリカのニクソン政権というものの性格は、これはいろいろ議論はあるでしょうけれども、政党に対する性格はここで議論はやめにして、いままでの日本の場合から考えてみても、賃金を二〇%上げる。これではいろいろな便乗の値上げも出てくる。物価もどんどん上がってくる。上がってくればまた賃金を上げざるを得ないという事態に直面しておるという段階があるわけですね。そしてまた各企業も、長官もおっしゃったとおり、どうしてあんな非常識な買占めとかああいうことをやるだろうというふうなことをおっしゃるけれども、しかし、当然のこととして、企業はもうけなければならぬから、おれたちがやるのがどうして悪いのだという気持ちでやっておる。これじゃ国民全体が困ってしまうということにきているわけですから、この問題は、やはりいつやるかということを考える前に、これをやるためにどのような準備が必要であるか、事前の措置が必要であるかということがもっと真剣に考えられていい問題だというように私は思うのです。  今回の賃金の引き上げの場合でも、確かにこれによって商品の価格に転嫁していく、あるいは便乗の値上げをしていくという問題が起こると思います。この問題についても金子君はかなり正確に指摘しているのですけれども、これは寡占の問題だ。つまりそう上げなくても済むものを、賃金が上がったからといって商品の値段に転嫁していく、この切りかえをしやすくするシステムは寡占の問題だというように金子君も言っているわけですね。確かにそうだと思いますよ。寡占体制というものが、今回の過剰流動性を契機にして、せんだっての商社の問題でいろいろ議論したように、大きく前進をしてきている。これは単に横の寡占問題だけでなくて、系列等を通じて縦の寡占が形成をされてきているということがありますから、とりあえずこの寡占体制に対してきき目のある対策をする必要がある。  きょうの新聞に載っておる公取委員長の言明、これは私どものいままで質問してきたことに対するお答えかとも思うのですけれども、非常にりっぱな御判断だと思うのです。これは、公取としては内部でいろいろ検討した結果が委員長の発言になっておられますか。あるいは委員長が、新聞記者か何かのところで、そういうことをしなければいかぬなという軽い気持ちであったのか、その点をひとつ……。
  137. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 けさの新聞内容はきのうの記者会見の内容でございますが、これは内部におきましても、委員長を交えまして十分に検討した結果の発表でございます。
  138. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これは私、非常に重要な決定だと思うのです。いまの寡占の問題を有効な対策をしないで所得政策なんということを言ったって、あるいは賃金の引き上げというものを商品に転嫁するななんということを言ったって、これは言うだけのことで、何もできやしない。てこのようなかっこうで一番悪い働きになるのが野放しにされた寡占の問題なんですから、公取としては、この問題についてなかなか手をつけられにくい法律のたてまえだと思うのですけれども、これを一歩出て、きょうの新聞に載っておるようなことについて本気になって御調査になり、そしてしかるべき適当な対策を打っていただきたい。  長官、このようなことの累積が、所得政策に対するいろんな利害の違う人たち議論を納得させる方法なんですね。それをやらないでおって、自由経済をそのままにして、もうけるものはもうけろということをそのままにして所得政策なんということを言うと、必ず賃金の抑制ということになってしまう。それだから抵抗が出てくるということであると思うのですね。そういうことを含めて、むずかしい問題を避けないで、特に長官はいろんな問題についての公正なお考えを持っておられますから、勇気をもってひとつこういう問題を処理するためにがんばっていただきたいと思います。  これをもちまして御質問を終わります。
  139. 山中吾郎

    山中委員長 この際、委員長から政府に対して資料の提出を御要望いたしたいと思います。  過日、本委員会に大手商社の代表者に参考人として出席を願って、商品投機問題等について議論をいたしたのでありますが、本日の新聞にも掲載されております大手商社の決算に関する資料は、当委員会における今後の審議に必要でありますので、政府に対して、提出を要望いたします。
  140. 小島英敏

    ○小島政府委員 そのように取り計らいます。
  141. 山中吾郎

    山中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十二分散会