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1973-04-05 第71回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月五日(木曜日)    午前十時二十一分開議  出席委員    委員長 山中 吾郎君    理事 木部 佳昭君 理事 小坂徳三郎君    理事 坂村 吉正君 理事 井岡 大治君    理事 松浦 利尚君 理事 小林 政子君       石井  一君    稲村 利幸君       粕谷  茂君    近藤 鉄雄君       高橋 千寿君    三塚  博君       山崎  拓君    金子 みつ君       中村  茂君    渡辺 三郎君       三谷 秀治君    有島 重武君       石田幸四郎君    和田 耕作君  出席政府委員         公正取引委員会        事務局経済部長 三代川敏三郎君         経済企画政務次         官       橋口  隆君  委員外出席者         経済企画庁長官         官房参事官   斎藤 誠三君         林野庁林政部林         産課長     吉田 雅文君         参  考  人         (日本木材輸入         協会会長)   郡司  章君         参  考  人         (日本合板工業         組合連合会専務         理事)     楠  正二君         参  考  人         (東京木材市場         株式会社社長) 松本善治郎君         参  考  人         (全国建設労働         組合連合書記         長)      唐沢 平治君     ――――――――――――― 委員の異動 四月五日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     稲村 利幸君   神崎 敏雄君     三谷 秀治君 同日  辞任         補欠選任   稲村 利幸君     大村 襄治君   三谷 秀治君     神崎 敏雄君     ――――――――――――― 四月五日  生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊  急措置に関する法律案内閣提出第八六号)  生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する規  制措置等に関する法律案松浦利尚君外三名提  出、衆法第一三号) 三月三十日  公共料金値上げ反対に関する請願(有島重武  君紹介)(第一八八八号)  同(梅田勝紹介)(第二〇三四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月三十日  物価抑制に関する陳情書  (第一八一号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(木材価格問題等)      ――――◇―――――
  2. 山中吾郎

    山中委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  本日は、特に、木材価格に関する問題等について、日本木材輸入協会会長郡司章君、日本合板工業組合連合会専務理事楠正二君、東京木材市場株式会社社長松本善治郎君、全国建設労働組合連合書記長唐沢平治君に、参考人として御出席をいただいております。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、お忙しいところ委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  本問題については、当委員会においても、現地調査を行なうなど真剣に調査を進めてまいっておりますが、最近の木材価格の動向が国民生活に与える影響は非常に強いと思います。つきましては、参考人各位のそれぞれの立場から忌憚のない御意見を承り、もって、本問題調査参考にいたしたいと存ずる次第でございます。  なお、議事の進め方といたしましては、最初に、郡司章君、楠正二君、松本善治郎君、唐沢平治君の順序で、各お一人十分ないし十五分程度要約をして御意見を承り、その後、委員からの質疑にお答えを願いたいと存じます。  それでは最初に、日本木材輸入協会会長郡司章君にお願いいたします。
  3. 郡司章

    郡司参考人 ただいま御紹介のありました日本木材輸入協会会長郡司でございます。  昨年の秋以来、木材価格暴騰いたしました。その原因につきましては、世上いろいろな意見があります。私ども輸入協会の会員のうちの意見はいろいろ分かれております。したがいまして、いま御質問の件につきまして、私個人としての見解を述べさせていただきます。  御承知のとおり、木材需要の大宗と申しますのは建築用材でございます。それが昨年四十七年は、前年に比べて二十数%増加いたしました。年初から建築需要は上がってまいりました。しかし、木材業界は、四十六年から約一年以上も非常な低迷を続けております。したがいまして、昨年の七、八月ごろまではほとんど木材価格は、上がったといってもいわゆる微騰にすぎなかったのであります。それが十月、十一月あたりに至り爆発的に暴騰したのでありまして、その原因についてはいろいろありますが、私自身としましては、何と申しましても住宅需要が急増したということ。それから、その背景となりますような金融が非常に超緩和になりまして、住宅ローンは、一昨年に比べて約九〇%増額いたし、二兆円以上の大きな額になりました。これが建築需要を大きく刺激することになったと思います。  それから、当時の情勢としましては、土地あるいは株式の暴騰、そういうところからいわゆるインフレムードがみなぎっておりました。やはり、早いときに建築したのがよろしいというような気分が横溢しておったかと思います。私の会社におきましても、建て売りその他住宅をやっておりますけれども、皆さんも御承知のとおり、七、八月までは、マンションもずいぶんあいておりました。建て売り住宅も売れ残りがたくさんありました。それが十月ごろになりましてばたばたと売れてしまったという、そういうようなムードによる住宅需要というものも起こったように考えております。  それから、木材に対する供給のほうの状態でございますが、当時、木材はだんだん世界的に不足する物資だ、そういうようにいわれておりました。各国とも木材資源の温存、あるいはまた、これの輸出についても規制を強めようという傾向があらわれておりました。日本におきましても、林野庁国有林の減伐を発表いたしました。アメリカにおいては、国内建築需要が非常に盛んであります。丸太輸出規制ということが叫ばれております。それからまた、季節的に木材生産は、冬季は大体針葉樹の生産国においては行なわれません。また南洋材のごとき南方諸国におきましても、冬場はいわゆる雨季になりまして、生産が低下するのが常習であります。  そういうことから考えまして、木材供給も逼迫するんではないかというような一部業界の人の考えからして、いままであまり手持ちを持ってなかったが、多少手持ちをしなくちゃならぬというような、いわゆる仮需要に類したものも加わって、先ほど申し上げました実際の実需と、それからそういう仮需要が一緒になって、十一月あたりのああいう価格暴騰を来たしたのであります。  従来、木材価格につきましては、原木高製品安という、大体原木が高くなりまして、それがしわ寄せと申しますか、コストプッシュしまして製品価格が、上がるというのが通例であります。ところが、昨年の例におきましては、流通末端におきます製材その他の加工品暴騰したのであります。原木丸太価格というものは、あとからそれについて徐々に上がっていったといろのが傾向でございます。  こういうことを考えてみますと、やはり、私どももその情報に暗かったのでありますが、製材品とそういう製品流通機構が案外底が浅かった。私ども輸入業界からいたしますと、十月末の在庫は、全国で大体二カ月ございました。われわれ輸入業界としましては、正常在庫は大体二カ月とされております。その点におきまして外材丸太、主として外材丸太の形式で九五%入っておりますが、丸太在庫を見ましてから、どうしてそんなに暴騰するのか、われわれ自体が非常にけげんな感に打たれたような次第でございます。まことに製品高から丸太がだんだんそれに追随して今日に至った、こういう傾向であります。  したがいまして、これを一体どういうふうにして対策ということになるんですか、それはいずれあとに問題があるかと思いますが、たまたま、それにふえんして申し上げたいのは、こういう批判を受けたことがあります。輸入業界では丸太輸入を控えたんじゃないか、いわゆる林野庁その他の行政指導によって、外材業界輸入数量を減らしたんじゃないかというようなことが、マスコミ記事に出たことがあります。しかし、輸入業界としましては、私ども毎月、入荷消化あるいは在庫状況を調べております。それを全国業界に流しております。そういうところに持ってきて、決して消化に見合わないような、そういう輸入を差し控、えるという事態はなかったと思います。その証拠と申しますか、結果的には、昨年の輸入量は一昨年に比べて約二%増加しております。  そういうふうな需給関係からいたしまして、われわれは決して輸入数量をしぼるというようなこともなかったのでありますが、もっともそのとき、昨年の七、八月から国内におきましては、国会林業関係先生方から、外材インパクト外材があまり多く入ってきて国内生産品を圧迫しておる、外材輸入を適当に規制せよ、必要によってはこれに課徴金を徴せよ、そういう御意見が出ました。それを体して林野庁は、われわれに対しても輸入の自粛ということを要請されました。しかし、われわれは、需要とミートするような輸入をするのが本来のたてまえであります。しかも、私ども輸入協会任意団体でございまして、決して強制力を持つものでもありません。しかし、そういう意を体してわれわれは、需要の推移を考えながら輸入するように、業界指導してまいった次第であります。しかし、われわれは、課徴金を取って輸入を押えるということに対してはあくまでも反対であるということを申し上げまして、昨年の十一月に国会の諸先生方に対して、輸入業界としましては、日本木材需給の観点からしまして、今日外材輸入を減らすというようなことは当を得ないということで、あくまでも課徴金を取ることも不当である、国内林業の振興は別途の方法をもって国会先生方考えていただきたい、そういう趣旨の陳情書を提出した次第でございます。  右のような次第でございまして、輸入業界としては、需給面においてそんなに不足を来たすようなことはなかった、こう確信しておる次第であります。  何ぶんわれわれ、末端のそういう需要の急増ということについての情報網にうとかったことがあのような暴騰を来たしたので、決してこのことは業界としてプラスとは言えないのでありまして、あまりに暴騰すればまた反落がありまして、中には、暴騰のためにずいぶん木材から他の代替材需要が移りまして、結果的に見て木材業界マイナスを来たすことでありますけれども、私どもはそういうことを念頭に置いて業界指導したのでありまするけれども、なかなかああいうときに、製品が高ければこのくらい売れるのじゃないだろうかというのも、ある意味においては人情上、しかも過去七年間というものは非常に低迷してきただけに、それに乗じた値動きというものが行なわれたことは事実でありまして、そういう点においてはわれわれも遺憾に存じております。  大体、暴騰原因というものについての私の考えは、以上のとおりであります。
  4. 山中吾郎

  5. 楠正二

    楠参考人 わが国の合板生産は、その九四%が、商社輸入するラワン原木からつくられますラワン合板でございます。そして生産者の八割は中小企業でございまして、典型的な中小企業を主体とする生産業でございます。しかし、生産量そのものは御想像以上に膨大な量でございまして、かりに一カ月の生産量を並べてみますと、赤道を四・六周するということに相なります。一日の生産量をかりに積み上げてみますと、およそ一万六千メートル、すなわち富士山の四・二倍の高さになるわけでございます。すなわち、他の建材に比べて少なくとも一けた多い生産が行なわれて、驚くばかりの量が現に毎日、きわめて広い需要分野にわたって多数の消費者に御利用いただいている次第でございます。したがいまして、生産の形態は、受注生産をする場合はきわめて少ないのでありまして、大部分見込み生産になっております。  なお、合板業界一つの特徴といたしまして、非常に在庫が少ないという従来の経緯がございます。この点は、たいへん需要者に甘えた、流通業界に甘えた姿でございまして、メーカーとしてもはなはだ申しわけない点もあるわけでございますが、何せこれだけの膨大な生産量でございますので、数日分の在庫と申しましても、なかなか物理的にこれを収納するということも困難な事情もございます。この点を特に申し上げておきたいと思います。  それから、販売事情につきまして御説明申し上げます。  かつては、メーカーは大部分を直接問屋に売っておったのでございますが、過去十年ぐらいの間におきまして、ほとんど商社に売るという形に変わってまいりまして、現在、おそらく七〇%以上のものが直接商社に売られておると思います。なぜこういう形になったかということにつきましては、いわゆる問屋機能が相対的に低下をいたしまして、これだけの大量な商品を売りさばくにはどうしても商社販売力に依存せざるを得ないというようなこともあったと思いますし、メーカー生産いたします商品自体も、コンクリート型ワク合板のごとく、荷口のきわめて大きいものがあらわれてきたというようなことも、これに拍車をかけておったかと存じます。  次に、ここ数年の市況経緯について振り返ってみたいと思いますが、最近におきまして高騰期昭和四十五年前半でございまして、このときには約半年の間に、メーカー出荷価格で申しまして六割程度暴騰をいたしましたが、四十五年夏以降暴落に移りまして、以後約二年間にわたりまして、すなわち昨年の六月ごろまで低迷期が続いたのでございます。  この四十五年の暴騰原因は、やはり景気の過熱、建築着工量激増等によるものでございまして、また暴落原因については三つの点を指摘したいと思います。  その一つは、四十五年九月以降急激に建築着工減少をいたしまして、これが約一年半にわたりまして各月前年同月比を下回るような状況が続いたのでございます。  それから第二に申し上げたいのは、四十五年前半需給逼迫に対応いたしまして生産設備の増設をいたしましたが、それが裏目に出まして、生産過剰をもたらしたということでございます。  それから最後に、暴落決定打となりましたのは、韓国、台湾からのダンピングが行なわれたということでございます。現在と違いまして、当時はちょうど米国の合板需要がきわめて低調な時期でございまして、この両国においては販路を失って操業を短縮中であったというふうなこともございまして、今回と全くその点は違った事情になっておったわけでございます。  したがいまして、この約二年間にわたりまして合板価格は、メーカー出荷価格で、一枚薄物で百六十円ないし百七十円というような価格でございます。この値段昭和二十年代にも、市場価格としてこういう値段があったこともございます。大体昭和三十年代の適正価格でございまして、もちろん、四十五年当時としましては不採算価格でございました。その間、メーカーは赤字の累積が続きまして、特に一年間にわたりまして、不況カルテルの御認可を得て強制操短をやったのでございますが、ついに採算点に到達することができずに体力が尽き果てまして、操短を打ち切った事情もあったわけでございます。こういう事態を経過いたしましたので、メーカー生産力増強体制というものは、この二年間きわめて低調でございました。経営も極力切り詰めて不況に対応してまいったのでございます。  このような経過のあとにおいて、今回の暴騰需要の爆発を迎えたのでございます。われわれ連合会といたしましては、傘下のメーカーに対しまして、昨年九月にすでに増産の指示をいたしたのでございますが、長年の不況が強く響いており、なお市況は十月が頂上であろうというような説まで横行いたしておりまして、秋の時代には、需要の前途になお不安が残っておったのでございます。ところが、十月以降、建築着工量が前年同月比三割ないし四割増加するというような需要増加に加えまして、製材品暴騰いたしました余波を受けまして、その代替需要が予期せぬ形でこれに加わりまして、十一月以降は全く爆発的な注文が殺到するという事態に相なったわけでございます。したがいまして、当連合会は、さらに重ねて、操業時間の延長、労務者の雇用増加等の努力によりますフル生産を指令いたしまして、十一、十二月には前年同月比約一五%の増産を行ないました。また、一−三月においても、同様なぺースあるいはそれ以上の増産体制を強化しておる次第でございます。  一方、昨年九月以降微増を続けておりました輸入も、十二月以降においては、国内生産の一割から一割五分にも達する月間新記録の輸入がそれぞれございまして、三月にはさらにそれ以上の増加が期待されておったわけでございます。  したがいまして、一−三月を通じますと、増産輸入増によりまして、供給は前年に比べて、おそらく三〇%の増加があったものと考えております。したがいまして、現時点におきましては、需要者ないしはそれに近い向きの手当て買い等も一巡しつつございまして、ようやく需給が均衡、あるいは供給需要をやや上回る段階に来ておるものと判断いたしております。  それからなお、四十八年度の需要に対する対策といたしましては、合理化投資をするほか、生産ラインを増強いたしまして、約三〇ラインを一年間に計画いたしておりますので、増産体制はなおさらに強化をされまして、今後需要者品不足で御迷惑をかけるということは絶対ないものと信じておる次第でございます。  ここで振り返ってみますと、古くからの合板暴騰経緯、あるいは今回の暴騰のいきさつを見ますと、合板価格形成要因需要主導型であって、はなはだ残念ではございますが、生産者には主体的な支配力がないということを痛感しておる次第でございます。  生産者としても、在庫機能充実等を目ざしまして、組合共同倉庫を各地に設立する等の価格安定策を別途にまた考慮いたしておりますけれども、この際、かってではございますが、一点だけお願いを申し上げたいと思います。  それは、今後需要の爆発的な発生を避け、季節的にも年度的にも集中されることがないように、政府御当局の行政的な御配慮と御指導をいただきたいということでございます。特に住宅に関しましては、国民の最も関心の高い重点施策分野でございますので、当然計画性のある、安定した確実なペースでの実現を期待申し上げたいと存じておりますので、その点よろしくお願いを申し上げる次第でございます。
  6. 山中吾郎

  7. 松本善治郎

    松本参考人 松本でございます。私は東京で、製品の市売り市場というものを経営しておるものでございます。製品市況を通じまして、昨年の状況をまず述べてみたいと思います。  昨年は、御承知のとおり、前半はいわゆる一般経済情勢の不振がございまして、それが相当続いておりました。去年の四月ごろの景気見通しによりますると、国内景気底入れ観から回復に向かうとしても非常に緩慢であるというような見通しがなされておったわけでございます。四月が暫定予算でありまして、そうして公共事業ズレがここに生じたということでございます。  最初需要面から見ますると、こういうように、まず公共事業暫定予算でずれたということが例年と違ったところではなかったかと思います。一般建築着工というものが若干上向きましても、こうした公共事業関係需要マイナス要因というものはわりあいに大きなことではなかったかと思うわけでございます。  それから需要面では、これは実感でございますけれども地方需要が非常に旺盛であったということでございます。これは現在も続いておりますが、特に地方中小都市を中心といたしました各種産業政策が浸透したと申しますか、そういうことに伴いまして、地方需要というものが従来と違ったパターンで進行しておるように私どもには見受けられます。着工届けの実行というものも、むしろ去年は大都市よりも地方のほうに多かったのではないか、またことしもそういうようなパターンをとるのではないかということが考えられるわけでございます。  それから、公共事業ズレ等もございましたし、従来は、私ども卸売り製品市況の面から見ますると十月ごろが一つのピークでございまして、それから鎮静化に向かって越年するというのが例でございましたが、昨年は十一月になっても実需がやまない。非常に大きな需要がそこに出てまいりました。これはどうも需要が秋に集中したというような感がございます。  その点を今度は裏返して供給面から見てみますと、四十七年の前半ごろは、地方製品価格大都市製品価格が同じであるために、地方製材業の方から、こういうような状況では大都市に出せないということで、私どもはおしかりを受けたことが再三ございました。したがいまして、大都市のほうでは実需というものがわりあいに薄くて、地方に強かったということが見られるのではないかと思います。特に大都市周辺は、御承知市街化調整区域その他のいろいろな法律が施行されまして、そういう面でもやや需要が緩和されたというような面もあったのではないかと思います。それが秋になりまして、秋需としてまとまってきた。公共事業関係もその点にわりあいに集中してきたのではないかと思いますが、そういうことで上がったということがまず考えられるわけでございます。ただ、十月までは、実は私どもとしましてはやむを得ないところがあったのではないかと思います。ということは、この二、三年来、木材業界は非常に不況に悩んでおりまして、製材業等もまことに立ち行かないような状態が多く見られました。非常に苦しんだ期間が長かったわけでございます。そこで、何かきっかけをつかみたいという気持ちは非常にあったと思います。そこに一つ実需が出てきた。  それからまた供給面におきましては、供給不安ムードというものもかなりあったように思われます。ということは、アメリカカナダ港湾ストによる入荷減というようなものがございました。すでに東京では米ツガの四インチ角、製品でございますが、カナダびきの四インチ角は、去年の三月に一カ月を割るというような状況になっておりました。それから、アメリカ住宅需要が非常に旺盛だということで、それに伴います高値の予想がございました。それから、国有林の三割減伐方針というものが発表されまして、供給が非常に少なくなるのではないかというムードが非常に醸成されていたわけでございます。ソ連材は、去年の前半はわりあいに過剰ぎみにあったわけでございますが、これが、裏日本等の天気がわりあいよかったために非常に建築が進みまして、六月ごろには適正在庫になった。さらに入荷減少というようなこととともに品薄感が強まってきたというのが、前半までの現象であったように思われます。  それで、私ども木材業界といたしますれば、十月までの上昇は、それまでの一般物価上昇機運に乗れなかったわれわれの業界といたしましては、実はまことにありがたいことであったわけでございます。実は、あの辺までに価格が上がらないと、製材業界等も倒産が非常に多くなるであろうというような見通しもされておりましたし、現に製品卸売業界におきましても、値段が非常に悪く、また需要がないので、非常に困難を感じていたようなわけでございました。また、山の方、地方の方に聞きますと、このようなことではもう造林意欲を失う、ある地方におきましては苗木自体が余ってしまいまして、苗木を植えるような意欲がないんだというようなことを、私どもは昨年の前半ではしばしば聞きました。そこで、幾らか高くなったということで、国内林業については、造林意欲も出てまいりますし、あるいはこれからの森林経営についても自信を持った方が、十月までの値段では、あったのではないかと思います。  十一月の値段でございますが、私どもからいたしますれば、十一月の急騰は、これは一種の気違い相場でございまして、非常に異常な事態であったと思います。この状態は長くは続かないということは、私ども業界としては考えておりましたわけでございまして、急激に需要が高まったものですから、そこで供給不安感もあるし、実際の供給不足もあったということで非常に暴騰いたしました。これは経済の情勢から考えてみますと、やはり不安感というものが根強く、いわゆる仮需というものを刺激したというようなことも考えられないことではありません。  しかし、これは見方でございまして、仮需と申しましても、私ども業界中小企業業界でございまして、非常に数が多いわけでございます。大体、木材業界製品業界でございますが、これは工務店等需要者から見積もりの依頼を受けまして、見積もりをしてから納品をするというような順序になるわけでございまして、すでに在庫を持っていてそれを売るというようなことよりも、それから買いの手当てをするというようなことが非常に多いわけでございます。したがいまして、在庫というものが大体薄い業界でございます。  そこで、十一月に非常に需要が出て上がってきたということは、どうもこんな上がってしまっては、いままで見積もりをしていたものが納材できない、そこでどうしてもある程度手当て買いをしなければならないというようなことで、あわてて買ったというような面もございます。これは仮需と見るか手当て買いと見るか、いろいろ見解の相違はあるかと思いますが、私どもといたしましては、そういう中小企業の多い業界でございますので、どうしても間に合わすためにある程度の手当て買いをしなければならなかった、それが全体とすれば相当大きな量になるということも考えられるわけでございます。  一例といたしまして、関東地方には約五千軒の業者があるというふうにいわれております。東京都だけでも大体三千軒でございますが、全部で五千軒。その業者がたとえば手当て買いで百石——立米で言わなければいけませんが、まあ百石買うとすれば、これは自動車二台分くらいになりますが、すでに五十万石というものが動くわけでございまして、そういう面でも、手当て買いだけでも相当な数量が動く。従来はやはり在庫を少なくして回転していかなければいけない業界でございますので、その点でもストック機能がなかったということはいえると思います。これも高騰の大きな原因ではなかったかと思います。  十二月以降、これは特にことしに越年いたしましてから、この相場は非常に下がっております。ものによりまするけれども、たとえば一つのぬきの例を卸売市場でとってみますと、去年、おととしくらいでは、ぬきが立米三万円までなかなかいかないということで非常に苦しんでおりました。それが非常な高騰になりました十一月になりますと、一躍立米七万円というような値段が出たこともございます。しかし、七万円といっても、これは全部が全部七万円になったわけではございませんで、一部のとっぴ値としてそのくらいの値段が出たこともございました。それが鎮静化いたしまして現在は四万円台、四万二千円ぐらい、あるいはまた、それより下値のものも出てまいります。  これは御承知のように、木材というものは非常に多品種、多用途でございまして、いろいろな種類がございますし、また品等等も、いいもの、悪いもの、いろいろございまして、どの値段が適正かということはなかなかわからないのでございますけれども、とにかく相当な下落をしたことは事実でございます。現在は、木材価格が去年高騰いたしまして、それのための需要手控えというものが非常に行なわれましたものですから、ここでむしろ需要がないので、もう少し、あまり急落されると困るというようなムードが強まっているわけでございます。  ただ、私どもとして心配しますのは、こういうような状態が、また急騰し急落し、それからまた急騰するというような状態が続くようになるとたいへん困る、私ども業界としてもたいへん困るわけでございまして、そういうことのないような安定的な価格対策というものをとる、これは政府行政指導力というようなものにたよらざるを得ませんけれども、そういうような面で何らかの形でお願いしたいという希望は強いわけでございます。その一つには、やはりストック機能を何らかの形で持ちたいということでございますが、こういうような中小企業の中ではなかなか持ち得ない。これをひとつ何らかの形で持つ必要があるのではないかというようなことが、業界でいろいろと論議されているわけでございます。  簡単でございますが、一応、最初の陳述を終わります。
  8. 山中吾郎

  9. 唐沢平治

    唐沢参考人 御紹介いただきました全建総連の書記長唐沢でございます。  意見発表の前に委員長お願いがございますが、私ども木材・建設資材の異常価格の引き下げに関する請願、さらに、都内小売店木材価格の推移について、文書を一定の部数持っておりますので、委員先生方にごらんをいただくように御配慮を願えればありがたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  10. 山中吾郎

    山中委員長 よろしゅうございます。
  11. 唐沢平治

    唐沢参考人 いま、庶民の生活にたいへんな不安と苦しみを与え、国民にかってない政治不信を抱かしているものは、大商社の生活必需品に対する不当な投機、買占め、これによる異常な物価高騰であります。そして、これらの事態を放置してきた政府の無策であります。  このはしりとなったものはまさに木材価格暴騰だと考えております。  言うまでもなく木材は、日本住宅建設にとって欠くことのできない必要な資材であります。御承知のように住宅建設は年間約百九十万戸で、そのうち実に八割、八〇%が木造住宅でございます。この木材が昨年の夏以来二倍、三倍と異常な高騰を続け、さらに合板、セメントなどの建設資材が相次いで暴騰をし、品不足を生ずるという状態が出てまいりました。  この影響としわ寄せをもろに受けたのは当然一般国民であり、消費者でございます。長い間マイホ−ムへの夢をかけていた国民の期待はむざんにも打ち破られましたし、建築に携わっております大工、左官の仕事面に対する影響も深刻なものがございました。民間住宅はもちろんのこと、公営住宅、公団住宅に至るまで、工事中止、工事の繰り延べ、入札不調などが全国的に続出したのであります。  こうした事態の中で建設労働者、職人は職を失ったり、棟梁は資材の手当てができずに違約金を請求され、あるいは契約額を大幅にこえる工事額を負担するなど、その影響、損失は甚大なものがございました。事実、大工をやめて他の職に転ずる、あるいは棟梁が蒸発をしたり夜逃げをしたり、そのために残された子供たちが自殺をしたり、大工の奥さんが発狂をしたり、あるいは大工のうちに置いておきました材料がひんぴんと盗難にあったり、こういう幾多の事例が発生をしてまいっております。また、念願のマイホームが完成をしない、そのために奥さんが自殺をした大阪の例など、涙なくしては語れない事例が全国的に発生をしているわけであります。  そうした事態を踏まえて、私はあらためて、こうした悲しい犠牲者を一体どうしてくれるのか、大手商社政府に対して強くその責任を追及するものであります。  もちろん、こうした動きを、私たちが手をこまねいてほうっていたわけではございません。昨年来何回も経済企画庁、林野庁、建設省へ、この異常な事態について緊急対策を強く迫ってまいりました。しかし、ここでは問題は一向解決しませんでした。むしろ、事態を追及していけばいくほど、行政庁の無策ぶりが暴露され、さらに、木材を買い占め、その価格をあやつり、暴騰させ、大もうけをしている張本人は、三井なり三菱なり丸紅なり伊藤忠なり日商岩井なり、こうした大商社であることがわかってまいりました。  御承知のように、木材需要の約六〇%は外材に依存をしております。その輸入材の九〇%を押えているのが大手商社であります。私たちは、おくればせながらこの事実をつかんで、政府に、商社への指導規制を要望したのであります。しかし、政府筋からの答えは、自由経済だからしかたがない、手のつけようがない、お手あげだ、こういった無責任きわまるものの回答でありました。  ここで、私たちは実は腹をきめたのであります。いつまでも政府の無策と大手商社の反社会的横暴を許しておくわけにはいかぬ。このままでは自分たちの仕事と暮らしを守っていくことができない。背に腹はかえられない。ひとつ木材暴騰の元凶である大手商社へ直接抗議を行なおう、これが三月二十二日の私どもの総決起大会になったわけでございます。  そして、大手六社へ怒りを込めて抗議団を送りました。ところが、商社の回答は全く人を食ったものでありまして、六社とも口をそろえて、投機、買占め、売惜しみの事実はないと強調したのであります。  しかし、そんなばかげた話はないのであります。  大体木材は、投機行為のしやすい商品であります。反面、実態のつかみにくいものでもあります。その理由は、産地での立木買い、輸入材なら現地ストックからで、単に国内在庫量などを調査しても、買占め、売惜しみの実態をつかむことは困難だという面がございます。また、日本の港湾における貯木施設は十分ではありませんで、相当の備蓄ができるかというと、そういう状態にはございません。この面からも商社は平気で売惜しみ、買占めを否定できる状態にあるわけであります。  さらに価格操作には、商社市場に流す材料の一〇%から一五%をやめて、供給不足だという情報を流すだけで直ちに価格上昇をはかることができるのではないかと思うのであります。  商社は、商社活動が常に投機的な体質を持っており、どのように、買占め、売惜しみをしていないと否定をいたしましても、国民の疑惑は晴れません。  商社は、価格上昇理由の一つとして国際価格の問題をあげておりますが、丸太の国際市場のほぼ半分を日本商社が握っています。そこで正常の取引を越えて買いだめ行為をすれば、国際的に市場価格上昇するのは当然であります。日銀の調査によりましても、輸入原本市況は昨年十月までは低価格であったにもかかわらず、輸入製品は十一月から暴騰しているのは、現地の買い付け、船出、入港、通関手続、原木取引、製材製材品市場流通などの期間を考えると、十一月以降の暴騰は、明らかに国内市況を見た上での人為的な暴騰だと判断せざるを得ないのであります。  以上、若干、投機暴騰の要因に触れましたが、何といっても不可解なのは、大商社の態度であり、政府の無策であります。私ども消費者国民の前では、投機や買占めや売惜しみはしていない、こう断言をしております。しかし、二月二十六日に自民党の橋本幹事長に十大商社が呼ばれたときには、自粛してくださいと要請されて、反省すると、こう言っております。さらに一昨日は通産省に呼ばれて、投機の疑いが濃い、こういう注意を受ければ、自粛をする、こう言っているのであります。  新聞報道でありますから、まさか大新聞がうそを報道しているとは思いませんが、もしこれが事実だとすれば、私どもはたいへん憤慨にたえないのであります。ほんとうに投機はやっていない、売惜しみはやっていない、こういうことであれば、自民党の幹事長の前であれ、通産省の局長の前であれ、堂々と、商社は投機はやっていない、あるいは買占めはやっていない、こう言明すればいいわけであります。しかし、それはやらない。権力の前には頭を下げ、消費者の前では開き直る。何とも私どもはがまんのならない状態だ、このように考えているところであります。  とりわけ三井物産の橋本会長は、池田新社長就任の際、これも新聞報道でございますが、三井の歴史と伝統とは常に国民の利益とともに歩む、このように記者会見で発表しております。はたしてそうなのか。私どものいままでの運動や取り組みの中での感じは、断じてノーであります。  さすがに、商社内で働く労働者はこうした動きに反省を示し、先般の新聞でも、商社マンが内部告発をする、もうけ主義を排せ、このように全商社の労働組合は決議をしている、こういうところまで事態は発展をしているわけであります。  さらに、御承知のように一昨日、通産省の調査が発表されました。この調査はきわめて遠慮深い調査であり、商社の自主申告によるものだといわれております。その遠慮深い、しかも自主申告によります通産省の発表によりましても、木材のもうけにつきましては、四十七年一月から六月にかけての売却益は五十七億有余、これが四十七年の七月から本年一月にかけましては何と二・四倍の百四十九億、こういう膨大な売却益を、通産省の遠慮深い調査によっても発表されているわけであります。  なお、新聞ではこの五十七億と百四十九億程度しか発表されておりませんが、私、あるところから耳にしましたところから申し上げますと、販売量及びその金額との比較を見ますと、さらに驚くべき事実が出てくるわけでございます。たとえばこの六大商社の取引量、その中で、四十七年の一月から六月までの販売量は一千百三万一千立米、こういうことでございます。それで五十七億の売却益であります。ところが、昨年七月からことしの一月にかけましての半年間の販売量は、七百三十五万二千立米でありました。実に、前半期に比較をいたしますと四百万程度の差がございます。一千百万から七百三十五万、こういう減少量でありながら、もうけは逆に、前期が五十七億で後期が百四十九億だ、こういう事実をどう見たらいいのか。こういうところに、私どもは非常な疑惑、疑惑以上の憤りを感ずるわけでございます。  さらに、第二次問屋などからの情報を耳にいたしますと、商社の利益は通常三%だ、しかし昨年の十一月ころからは五〇%から六〇%の利益を得ていたであろう。そして、第一次問屋の利益は通常六ないし一〇%だったが、昨年十一月は二〇ないし三〇%の利益を得ていたのではないか。このように第二次問屋筋は私どもに教えているのでございます。  こうした事実を見たときに、私どもは、商社のどこに正義感があるのか、商社のどこに道義感があるのか、商社のどこに社会的責任があるのか、深い疑惑と憤りを感ぜざるを得ないのであります。  しかも本日、私はここに朝日新聞を持ってきているのでありますが、丸紅飯田は米の買占め数千トンで検察庁の告発を受けた、このようにいっております。ところが、この丸紅飯田自身が、三月二十二日に私どもが交渉いたしました際、その要求に対する回答として、ここに文書がございますが、三月三十日付で中島代表取締役名で、買占め、売惜しみの事実は全くない、このように、私どもの組織に対して文書で回答しているのであります。米と木材の違いはありましょうけれども、米で数千トンの買占めを行ない、木材で全く買占め、売り惜しみがないという、これは全くこっけいな話でございます。  以上申し上げた幾多の事例につきましては、ぜひ当委員会でも徹底的に御調査を願い、国民の疑惑をすみやかに晴らしていただきたいと、特に要請を申し上げたいと思います。  さて、お手元の資料で、最近の小売店の木材価格の推移についてごらんをいただいております。確かに下がりぎみであります。しかし、この下がりぎみだとはいいましても、これが昨年の七月、八月の時点に戻るという保証は全くないのであります。常にこの価格が不安定なのであります。いつどうなるかわからないのであります。これでは重要な住宅建設、それに責任を持って携わることができません。政府でも第二期住宅五カ年計画というものを策定しております。これは住宅審議会の議を経て、さらに閣議決定まで行なっております重要な第二期住宅五カ年計画でございます。しかし、今日このような状態で、先般すでに金丸建設大臣は、計画どおりにいかない、この第二期住宅五カ年計画は再検討せざるを得ない、このように言明をしているわけでございます。  時間がないので、最終的に私どもの要望に移りたいと思いますが、お手元にお配りをしてございます請願内容についてでございます。  何といっても私どもは、このような大商社の投機的な買占め、売惜しみを規制するために、調査権及び価格決定権を持つ委員会国会に設置して、違反に対してきびしい措置を含めた法制化を行なってほしい、このことを第一に要請をしたいのでございます。  伝えられるような投機取締法については、単に勧告、単に公表程度のものだと聞いておりますが、この程度で一体、大商社の社会的責任を実行させ、あるいは投機的買占めを取り締まることができるかどうか、深い疑問を抱かざるを得ません。  第二に、会計法を改正し、国有林を時価より安く放出する措置を講じてほしいということでございます。  先ほど私は、何回か政府の無策ぶりについて触れましたが、具体的な内容については触れませんでした。しかし、具体的な内容に触れることができないほど、政府内部で今回のこのような投機について何らの具体的な手を打たなかった、という証明でもございます。確かに経済企画庁あるいは建設省、林野庁、いろいろ話し合ったという事実はございましょう。しかし、具体的にどういう手が打たれたのかといえば、ほとんどと言っていいほど何らの手を打たれていないのであります。こういう状態の中で重要な、衣食住のうち住という重要な問題について木材価格が高騰した、このときに、たとえば国有林を早急に放出をするというような措置がとれないのかどうか、そこが政治であり、行政ではないかと思うのであります。すでに、この点については、三月二十八日の建設委員会で金丸建設大臣は、食管制方式というものを検討すべきだ、このように松浦委員の質問に対して答弁をしております。金丸建設大臣の答弁内容については、新聞の報道の範囲でございますので、具体的な内容については十分知ることができませんが、しかし、いま私どもが第二点として要請をしております会計法の改正、そして国有林なり民有林なり、全般的な総合的な計画を立てながら、一朝有事の際に放出のできるような体制をつくるという方向に金丸発言がつながりがあるのであれば、私どもはこれを大いに歓迎をしたいし、当委員会でも、もっともっと専門的な立場からこれらの問題についての御論議なり、具体的な施策についての追及をお願いをしたいと思うわけでございます。  第三に、複雑な流通経路を改善し、消費者の保護の立場から公的な流通経路を設置してほしいということでございます。  流通経路は確かに複雑でございます。全く不可解な何段階かの流通経路で、あちらで上がり、こちらで上がり、こういう流通経路が現存してございます。これでは消費者は救われません。しかも、よく調べてみましたら、木材については公的な流通経路は何らないのであります。ところが、野菜、牛、馬等についてはすでに公営市場があるわけでありまして、衣食住の、野菜や牛や馬の問題について公的な流通経路を持つことは当然でありますが、木材の問題は、この野菜や牛、馬にまさるとも劣らないほどの重要さを国民生活の上で持っているわけでありますから、やはり公的な流通経路を設置するということがきわめて緊急性を持っているのではないかと思うわけであります。  最後に、今回の木材問題で痛感いたしましたことは、木材需要の六割を外材に依存するこの事実について、非常な疑惑と多くの問題点を感じました。そのことを一言で申し上げれば、私どもにとって、木材は海からとるものではない、木材は山からとれるものだ、なぜ日本の山からとれないのか、そこをなぜほうっておいたのか、このことについて大きな問題を感ずるわけでございます。  たいへん時間が超過をいたしましたが、以上るる申し上げた点などについて十分御批判をいただきながら、一日も早く木材及び建設資材の価格が安定をし、りっぱな住宅が早く安くできますように一そうの御努力を心から要請をいたしまして、公述を終わりたいと思います。
  12. 山中吾郎

    山中委員長 各参考人からの意見御開陳、ありがとうございました。     —————————————
  13. 山中吾郎

    山中委員長 これより質疑に入ります。  各党より質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  時間の関係上、おのおの二十分程度にしていただいて、予定の質疑者が終了いたしましたあとは、申し出により御自由に質疑を許すことにいたし、関連質問も許すことにいたしたいと思います。  参考人の方々には、速記の関係上、自己の氏名を告げて御答弁を願いたいと思います。  それでは、まず三塚君。
  14. 三塚博

    ○三塚委員 きょうは参考人の皆さん、非常にありがとうございました。  本日の木材高騰問題をからめました物価高の問題について、若干、皆さんから忌憚のない御意見をお聞きしたいと思います。そして、その御意見に基づいて、ただいまも意見の開陳がございましたが、国会としてそれなりの対策を立てる資料にさしていただくならばと、こう考えるわけでございますから、ひとつざっくばらんな御開陳を賜わりたいと思います。  木材が昨年の暮れから、まさに急騰いたしました。木材市場から出されておる資料によりましても、平均でありますが、昨年の四月三万二千九百九十五円のものが二月で六万七百七十六円、まさに二倍に高騰をいたしたわけでございます。もちろん、木材業界のここ数年の傾向は、他の物価の上昇とは逆に低迷を続けてまいりました。それだけに、今日の急騰が非常な危惧の感を持たれることもやむを得ない事情だと思います。まさに、ある日突然暴騰いたしまして、あれよあれよという間に大衆の建築資材が遠いところに飛んでいってしまったという感じが強いわけでございます。  そこで、輸入協会の会長さんである郡司さんにちょっとお伺いを申し上げますが、会長さんから御提出をいただいておる「昭和四十七年南洋材・米材輸入数量」によりますと、この協会の構成メンバーに、今日たいへんと問題になっておる大手の六つの商社、そしてそれぞれの関係商社日本輸入を担当されておるほとんどの会社がここに包含をされておるわけでございますが、先ほどの会長さんの陳述にもございましたように、この輸入は対前年度比一一%増である、こういう御開陳がございました。この三カ年の平均を見てみましても、そういう数字が端的にあらわれておるわけでございますけれども、そういたしますと、需要というものと供給体制が非常にスムーズに今日まできておるわけでございますから、このような高騰をもたらすということは非常に理解しにくいのであります。  そういう意味でひとつお答えをいただきたいのは、輸入協会加盟の会社が市場に売り渡される材木の値段というものが、どういう流れになっておりまするか。これだけ輸入が、対前年度比一一%増であり、順調な輸入がなされておりますならば、わずかのパーセンテージの外国市場丸太材の値上がりが原因だということであれば、そのパーセンテージが原材にプラスされて流れていくというのが常識でありますけれども、数字はまさに逆でございまして、現地の買い付け価格をはるかに上回るものが今日出ておるということなどが、とても理解のできない問題であるものですから、その辺をもう一度御開陳をいただきたいと思うわけです。
  15. 郡司章

    郡司参考人 木材価格の上がりましたその原因のことにつきまして冒頭に述べましたが、そのとき言ったとおり、従来のパターンのように、丸太値段から上がっていって、そして製品が上がったというのではなくて、今度は末端製品価格暴騰いたしまして、それに追随したのでありまして、私ども輸入業界としても、非常に意外に思っております。しかし、この末端価格をベースにして次の高値仕入れをすると、全体が高くなる。そういうことのないように私どもは常に輸入業界指導してきたのでありまするが、しかし、それとともに世界的にも上がりまして、一例をあげてみますると、アメリカにおきましても六割、七割、はなはだしいのは倍以上にも上がっております。ソ連材は、昨年からもうすでに、来年のものは相当大幅に上げるといっておりました。現に、ことしの経過を見ますると、昨年に比べて五割上がっております。それからニュージーランドも、けさもちょっと新聞を見ておりましたら、四割上がっております。南洋材も、昨年の一月当時に比べまして、丸太価格というものは約倍になっております。一時にそうなったのじゃありませんけれども、漸を追うて、現在そういうふうな暴騰をしてきたのでありまして、輸入業界が特に丸太値段から押し上げていって製品を高くならしめたということはなかったと私は信じております。  それから、パーセンテージの問題ですが、なるほど、私ども輸入協会には百五社入っております。大手十社の昨年の取り扱いにおける占有率は大体六八%、十五社で八〇%、二十社で八四%になっております。昨年輸入した商社、これはアウトサイダーその他を入れますと、大体百四十五社が木材を入れております。われわれの会員は百五社でございますけれども、そのほかに約四十社ほどアウトサイダーの人が入れておる、そういう事態でございまして、いろいろ世間で、大手商社のほかの商品に関連して買占め、売惜しみがあったんではないかというようなことでしたが、私も先日のNHKテレビでもって見ましたが、羊毛、綿糸、毛糸その他木材も出ました。木材について買だめ、売惜しみの疑いがあるということはなかったと思います。私どもも、末端のそういう、また微に入ったことを立入検査をしたわけじゃありませんが、必ずしもノーとはいえないと思いますけれども、私は、少なくとも木材商品について——こういう次から次と入ってくる。決していま絶対買えないというものじゃありません。したがって買いだめをするとか売惜しみをするというようなことは、私の長い経験からしても、あり得ないと思います。  以上でございます。
  16. 三塚博

    ○三塚委員 海外市場における非常な丸太の高騰が国内市場を押し上げたのであって、決して輸入業者の価格操作によってそのことがなされたのではない、こういう御開陳のようでございます。  しからば、原料安の製品高だ、こういうお話のようでございますが、その製品高になった原因はどういうところにあると考えるか、その点が一つです。  もう一つ、貯木場を物特委員会で視察もさしていただきました。輸入をされてから検査をして製材まで、あるいは販売するため陸揚げする期間というのが大体六十日ぐらいあるだろう、こういうようなことを現地の方からお話を聞かしていただいたわけでございますが、その六十日というものを考えますと、急騰をしてまいりましたのが大体十一月、平均して倍近く急騰してきたわけでございます。そういうことでありますと、先ほど来お話がございました、現地における価格の高騰ということも言われたのでありますが、その辺の高くなるという理由が、すでにこれだけの情報網の発達した今日でありますから、輸入協会としても当然わかっておったのではないだろうか。ですから、そういう現地高ということで丸太材の価格が上がるということの予想、さらにその価格の予想というものが引き続き数カ月続くものであるか、あるいは一年の見通しでありますならば長く続くのであるかという、そういうような検討が当然なされたのであろうと思うのでありますが、そういう情報の提供、価格の動向の資料というものが木材買い入れに、輸入協会から流されておったのかどうかという点が一つのお尋ねです。  と申しますことは、東京木材市場も視察をさしていただいたのでありますが、市場担当者のお話を聞きますと、どうして上がったのかわからない、こういうことなんですね。いや、わからなくて上がるということはないだろう、こういうことでお話をしましたところ、いわゆる木材が、原材が非常に不足だということがあります。それで外材輸入が非常に少なくて、外材の提供がこれから非常に窮屈になります、こういうことなどが、どことなく情報として入ってきておるんです。会員とすると、そういう情報はあまり人さまに教える情報でないので、自分自身がそれを持っておりまして、それでいまのうちに、なくならないうちに材料を買ってストックしておいたほうが、自分の経営がよりうまくいくし、注文を受けておった建築もスムーズにいくのであります。こういうようなことで、お互いがそういう気持ちで、少なくなるからいまのうちに買ったほうがいいだろうということで買ったのであります。  そうしますと、いろいろ話を聞いて気づいたのでありますが、そういう情報がどこからとなく流れて、それが市場の空気を支配した。ですから、いまのうちに買わないと高くなるぞということで、多少せりを高くやっても買ったということだと思うのです。そうしますと、そういう中央市場というものは、全然そういう情報というものが入ってこない状況にあるというふうに私どもは思わざるを得ない。  そこでお聞きしたわけですが、それは同時に、東京市場松本参考人にもお伺いしたのでありますが、そういう需給状況の資料というものは、そういう輸入協会から、あるいは経済企画庁なり関係のそういうところから絶えず入手をしておるものではないのかどうかという点も、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  17. 郡司章

    郡司参考人 先ほどの、貯木場における在庫が、入荷してから需要に、流通部門に入るまで六十日かかるんじゃないかというお話があったんですが、そんなにはかからないと思います。入ってきてから植検とかあるいは検量ということがございますけれども、大体一カ月ちょっとじゃないかと思いますが、六十日はかかっていないと思います。したがって、商社手持ちというものは未通関のもの、未植検のもの、そういうもので、大体一カ月ぐらいが最高の手持ちじゃないか、それから以後のものは問屋さん、需要家の手に渡っておると思います。  それから、情報の問題でございますが、これは一般の日刊紙にはそれほど詳しく出ませんけれども業界には数種類の業界新聞がございます。それには毎日のようにそういう情報が出ております。おそらく末端の工務店に至るまで、いまはそういう海外の情報その他も十分わかっておると思います。  先ほど、海外産地が上がるんじゃないかというか、たとえば米材については丸太輸出規制がある。現にパクウッド上院議員からそういう法案が出されておりますが、これの帰趨はいまだにわかりません。しかし、それは今度は皆さんの推量です。ほんとうにアメリカ政府がパクウッドの法案をのんで米材の輸出を大幅に削減するであろうか、あるいはやはりアメリカの対外収支ということを考えて、それを押し切って従来どおり丸太輸出を認めるか、これはわれわれとしても想像つかない。政府としても、どういうふうにしてそれの対策をとるか。すでに外務省からわれわれ業界に対しては何らかのアドバルーンを上げて、それを緩和させるような方向に持っていくべきじゃないかと思われますが、私どもは、いまなまじ、輸入を自粛しますとか何かということで、アメリカ側に対してアドバルーンを上げることがいいのか悪いのか。国内的にこういうふうに暴騰しておるときに、すでに一部の新聞においては、アメリカの米材が入らないために木材価格がまた暴騰かというような記事も出ておる次第であります。したがって、私どもは、その態度についても慎重に、ただいま林野庁その他とも連絡して、どういうふうな情報によってどういうふうな態度をとるか、いま考えております。  あるいはまたフィリピンが、三年後には南洋材丸太を全面的に禁止すると言ったり、それからニュージーランドは、自分のほうは計画どおりで急に増産はしないと言う。ソ連は、港の状況あるいは輸送の状況からして、そう増産はできない、こういうことを言っております。  それに、先ほど私、冒頭に申しましたとおり、大体冬場になりまするというと山が終わり、あるいは雨季に入って出材が減ってくる。そういうような傾向でございまして、そこから見ても供給に多少不足を来たすので、その用意は従来木材業者が心得てやっておるわけです。そういう点で、私ども丸太在庫というものに非常に関心を持って調べ、それを全国的に流しておるのでございます。そういう在貨があるにもかかわらず上がったじゃないか、それは私どもも不審に思っておる次第でございます。現在はむしろ丸太が高くなっている、丸太高の製品安というパターンに変わりつつあると思います。  以上です。
  18. 山中吾郎

  19. 松浦利尚

    松浦(利)委員 参考人の皆さん方、まことにありがとうございました。  まず最初郡司さんに質問させていただきたいと思うのでありますが、実は通産省が調査いたしました資料を、私はいま手元に持っておるわけであります。これは唐沢参考人からもお話があったのですが、これは六大大手商社について通産省が調べた具体的な数字であります。この数字を見ますと、四十七年の上半期、それから四十七年の下半期からことしの一月まで、これは仕入れ量、そうして仕入れ金額まで明確に書いてあるわけであります。  これはおそらくあなたもお手元にあるか、あるいはお聞きになった数字だと思うから、それは省略をさせていただきますが、ただその中で、販売量が四十七年の上半期においては一千百三万一千立米、それから四十七年の七月以降今年一月までが七百三十五万二千立米なんです。ところが、これの売り上げ金額が、上半期が一千四百四十九億六千九百万、下半期が一千二百二十四億三千三百万、売買益が、上半期が五十七億一千二百万に対して、下半期は百四十九億一千五百万とたいへん売買益が大きいわけです。売買した量が少なくて売買益が大きいということは、これは明らかに高く売りつけたという結果になる、こう思うのですが、これは数字ですから、その点について、そのように参考人もごらんになりますか。
  20. 郡司章

    郡司参考人 私も新聞で見ましたが、そういう取り扱い数量、金額までは新聞に出ていなかったものですから、ただ利益についてのデータを新聞で見ました。しかも、あとでその取り扱い金額に対するパーセンテージを聞きまして——下半期は約一割ぐらいになっておりますか。取り扱いに対するその利益、荒利益が何%になっておりますか。
  21. 松浦利尚

    松浦(利)委員 五十七億一千二百万円ですからね、総金額が一千四百四十九億六千九百万円に対する五十七億一千二百万円ですから……
  22. 郡司章

    郡司参考人 そのあとのほうです。下半期のほうです。
  23. 松浦利尚

    松浦(利)委員 下半期は約一割……
  24. 郡司章

    郡司参考人 いまおっしゃったのは千二百四十億でしたか。
  25. 松浦利尚

    松浦(利)委員 千二百二十四億。それに対して百四十九億一千五百万。
  26. 郡司章

    郡司参考人 一〇何%とかになっておりますかね。
  27. 松浦利尚

    松浦(利)委員 一〇何%ですね。
  28. 郡司章

    郡司参考人 そういう意味におきまして、確かにそれは、高い値段で売ったからそれだけの利益もあったと思うのです。これについて何か新聞に出たとおり、これは要するに荒利益であって、人件費その他すべて、いろいろなチャージも引いていないのだ。実際のネットはそこに至っていないというような言いわけをしているのも新聞で見ました。  しかし、先ほどからお話があったとおり、商社のマージンというものは、大体私らの経験としましても、まあ三%から多くても五%くらいでありまして、これは確かに利潤率としては、マージン率としては高いと思います。しかし、考えてみまするというと、おそらく非常にもうかった商品のうちの一つであるソ連材考えてみますると、ソ連材につきましては年間契約をしているわけですね。したがいまして、その年に幸いにして市況が好転すれば、対ソ連の価格は一定をしておるにかかわらず、売り値のほうにおいて非常に幅がふえる。しかし、ソ連材につきましても、これは私がよく知っておりますけれども、KS産業として、例の小松製作所の河合社長のおるときに契約したのが、五カ年間の長期契約をしたものがあります。ことしで終わるのでありますけれども、その当時、一番最高の値段でもって商社はそれをきめたんであります。約六百七十万立方メートルと思いますが、その価格が最高でありましたために、始まった年から商社は大きな赤字をしょいました。三カ年間は赤字です。ようやく昨年あたりから市況がよくなって、ソ連材についてプラスになった。それはおそらくことしあたりも、そういう意味で余恵を受けると思います。  これはもう価格が一定しております。たまたまそういう余恵を受けたと私は見るのでありまして、必ずしも全部が全部、その商品を大きな幅でもって売ったということもない。先ほども言ったとおり、一昨年は赤字だった。その前の半期は、昭和四十五年か六年あたりは、商社木材について大きく赤字を出しております。あの当時わずか十何億出たと言っておりますけれども、実態はそんなもんじゃないと思います。そういうふうに、やはり在貨のフラクチュエーションによって商社の利潤の幅においてもあったと思います。  確かにこの最近における幅の大きいことは、私は認めます。そういう点で、私はよく業者に対して、やはり商社というものは大きいなりに社会的に責任を感じて、妥当なマージンでやるべきだ。——それに対して、こういうことがありました。若いある商社の社員が、適正なマージンとは、会長、幾らであるか。私はこれに対して、皆さん、商社木材にも長い経験を持っておるのだ。いま始まった商売じゃない。したがって、どの商品についてはどのくらいのマージンがあるかということはおのずからわかっておるはずだ。したがって、あなたの胸に手を当てて考えて、それで適正な判断をしてください。私から何%が適正だということは言い得ない。まあこういうことを申したことがありました。  まあ、注意はいたしますけれども、なかなか私の威令行なわれずか、いまのような事態になった、こう思います。
  29. 松浦利尚

    松浦(利)委員 過去に原木が安かったということは、私も調査でよくわかっております。ただ、その赤字を、この際海外市況が上がったということを理由にして国内材を引き上げる要因にしたということだけは、こういった不当——不当じゃありませんけれども、不当ということばが適当であるかどうかは別にして、従来にない異常なマージンをこの中に求めたということが製品を引き上げた一つ原因だということは、これは私は否定できないと思うのですね。あなたもいま認められたとおりです。だから、その点はひとつ商社の皆さん方が自粛をしてもらわないと、そのことが投機だとかなんとかということを私はここで言おうとは思いませんけれども、少なくとも、輸入の大半を占める商社がこういった行為をすれば、末端価格が異常に暴騰するという原因をつくり出すわけでありますから、そういった意味では、ひとつ商社のモラルというか、そういったものについて、ぜひ会長さんのほうで喚起をしていただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  それからもう一つは、実はこれはこの前、現地調査をしたときに、資料として輸入協会のほうからいただいたわけですけれども、その価格が異常に上昇したときは、必ず滞船の期間が長いわけです。たとえば東京の港に、船が木材を持って入ってまいります。そうすると、価格上昇したときと対比してこの滞船日数を比較いたしますと、おたくの資料をいただきますと、滞船日数の期間が長くなるわけです。そのことは逆に言うと、どこかでやはり、水中倉庫なりあるいはそれぞれの商社の海中倉庫に相当な原木が滞留しておるということを、この滞船というのは一つの裏づけとして見ることができるのではないかと思うのです。  これはおたくからいただいた資料です。これを見ますと、大体七、八月ごろから暴騰したのですが、その前の六月には、東京の港で約六日滞船しておりますね。木材を積んできてもおろせない。また十一月、十二月に暴騰したわけでありますが、その前の九月、十月等を見ますと、滞船期間がやはり六日から六・五日と長い。ですから、一定の木材がこう流れてきておるものが、滞船するということはどこかでとまるということですね。しかも大蔵省の通関統計、外材輸入の推移といったものを見ますと、各月大体平均して材が入ってきておるのです。アメリカ材にしても、極端にたくさん入ってきたから滞船が多くなったという裏づけにはならない。  こういった点について、どこに原因があるか、何か人為的にあったのではないかという気がしてならぬのですが、郡司さん、その点はどうですか。
  30. 郡司章

    郡司参考人 東京都における港湾の貯木施設につきましては、従来は川筋あたり、危険なところに一ぱいになったのでありますが、最近非常にやかましくなりまして、正規の貯木場、あるいは仮貯木場というごく限られたる河川筋を許されて貯木しております。したがって、貯木能力というものは大体六十万ないし六十五万立方メーターくらいでございます。東京には大体全国の約一割、年間四百万立方メーターくらいも入っていると思います。常時六十万、六十五万のストックがあるわけですが、そういうふうにストックがありますると、あとの船が入ってきましても荷おろしができない。そういう点の滞船です。特に植検とか、何日もかかるようなものが来ますと、その仕分けあるいは検量その他のために時間がかかって、次の船の荷おろしができない。そういうことでありまして、三日、四日ならまだ短いほうです。ときには二週間ぐらいも滞船せざるを得ないような事態が起こったこともかつてあったのです。これは港によりますけれども、貯木場はいまどこの港湾も狭められておりまして、われわれはずいぶん運輸省に港湾の拡充をお願いしておるのですけれども、何といっても限られた面積でございますので、やむを得ず商社は陸上の揚げ場に揚げるというような措置をとっておる次第でありまして、二、三日の滞船というのはまず普通じゃないかと思います。私ども毎月滞船状況等を見ておりますけれども、特に南洋材はひんぱんに入っておりまして、滞船が必ず起こっておるくらいに入っております。これは別に、それによって流通のほうの材の流れがとまるということはなくて、むしろそれだけのストックがあるためにあとが入らないという事態かと思います。
  31. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この点はちょっと参考人と食い違いますが、大蔵省の通関統計で見ると、毎日常時同じ数量入ってきておるのです。調べてみますと、極端に入ってきたという月はないのです。ところが、滞船日数に限っては、材の値段が上がっていったときに限って船の滞船日数が長くなっておるのです。通常二日とか三日というのが、六日とか七日とかですね。その点についてはわれわれのほうで調査しておりますが、いまここでは時間がありませんので、問題点として、郡司参考人のほうでもそれをひとつ調べていただきたいと思うのです。  あと、ほかの参考人の方にちょっとお尋ねします。  合板ですが、先ほどの御説明によりますと、従来は問屋のほうにおろしておったのが、最近はほとんど商社のほうに納品する。だから、原木商社から仰いで、商社合板を入れるということになりますと、完全に垂直的統合といいますか、要するにAという商社合板会社が系列化されたということがいえると思うのです。  そうすると、原木供給した商社合板をやる。その合板価格が上がったということについては、先ほども木材が上がったから合板需要が伸びたということがございましたが、そのことはよくわかります。畳の敷き板とか、従来合板を使わなかったようなところに合板需要が伸びたということはわかりますけれども、ただ、そうなってきた場合に、従来問屋さんから末端の、たとえば大工さんとか小売店を通じて実需要者にいっておったルートが完全にこわれまして、商社というルートを通じて出ていくということになりますと、逆に言うと、たとえば大手の住宅建設会社、こういったところに集中的に合板がいきまして、一一尺二戸の家を建てる小さな実需要家、大工さん等を通じてもらおうとするところには流れがとまってしまっておるんじゃないか。だから、逆に言うと、大手のほうには安く合板が出るが、片っ方のほうは高く出しても合板がなかなか手に入らない。そういった流通の変革というのが、この価格の高騰ということを背景にして生まれてきたんじゃないか。この点について、ぜひ楠さんの御意見を承りたいと思います。  それから、松本さんにお尋ねしたいのですが、実は私たちも調査をしてみまして、木材市場価格が四割あそこで落ちておりますね。ところが、その四割が完全に、実需要家にいったときには反映しないのです。先ほど全建総連の方からも資料をいただきましたが、確かに少しは下がっていますけれども市場で下がった価格ほど末端小売価格では下がっておらないのです。かりにいま市場で四割下がりますと、その価格の反映というのは、末端のほうは一割も来ないのですね。それは一体どこに原因があるのか。そういった点が、せっかく市場で下がっても、現実に製品が高くて手に入らないという実情をつくり出しておるのではないだろうかという気がするのです。そういった問題について、松本参考人のほうで御意見がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。  それから、唐沢参考人にちょっとお尋ねしておきたいのですが、いま末端の大工さんたちが家を建てようと思えば、すぐ材が手に入るという状況になったのかどうか、この点についてひとつお聞かせいただきたいと思います。
  32. 楠正二

    楠参考人 松浦先生の御質問にお答え申し上げます。  二つの点が御質問の要旨と承りましたが、第一点は商社との関係でございます。  これにつきましては、確かに工場の中には、一商社ときわめて関係の深い工場も少数ございます。しかし、ほとんどの工場は数商社と関係を持っておりまして、確かに原木製品両方の関係ではございますが、商社間の競争等もございますし、一つ商社に完全に系列化されておるというような姿は、先生のお考えになっていらっしゃるほど弊害的なものとして出ておるというふうには私は考えておりません。なお、商社に売るということになっておることは、先ほど御説明申し上げたとおりでございます。  第二の御質問の、小さな需要の流れ、ルートが撹乱されておるんじゃないかという点につながることでございますが、現物はむしろ、商社あるいは問屋、小売りというような一つの従来の流通ルートがそのまま残っておるという形でございまして、問屋なり小売りへ直送されるというような形になっております。商社が中へ入ってまいりましたけれども、先ほど申しましたように、非常に広い分野需要をかかえておる業界でございますので、大きな商社の配給機構と申しますか、販売力商社は強いわけでございますが、実際の配給サービス等は、商社ではとても行き届かないわけでございます。そういう小さな需要が、実は需要の非常に大きなウエートを占めておるのでございまして、そういうものに対応するためには、商社も従来の機構を使わざるを得ない。したがって、従来の機構に基づいて現物は流れるわけでございます。そういう意味で、御心配はないんじゃないかというふうに私は考えております。  なお、説明不十分な点があれば、ひとつ御質問を続けていただきまして、さらにお答えしたいと思います。
  33. 松本善治郎

    松本参考人 申し上げます。  小売り屋さんと大工さんの関係は、在来工法によりますと非常に密接でございまして、小売り屋さんが下小屋等を提供いたしまして、大工さんがそこで刻んで建前の材料を仕上げるというようなことがしばしば行なわれております。したがいまして、非常に価格暴騰したときも、小売り屋さんが非常に密接な関係を持っておる大工さんにはそう高くは売っていないと思います。  今度は非常に下がったときにどうも下がらないじゃないかというお話でございますけれども、これも御承知のとおり、木材製品は非常に多品種多用途で、等級も非常にいろいろございまして、ものによってはそう高く売れないものもございます。現に、私どものきのうの市場の相場でございますが、杉の大ぬきが、立米四万六千円のものから四万円台のものまでございまして、ものによって非常に価格差が多いものでございますから、どういうような点から統計をおとりになったか知りませんけれども、小売り屋さんはかなり密接でございますので、その点はよく大工さんとも連絡して、認識した上での適正な価格で売っているのではないかと私は思います。  それから従来、非常に高い価格で仕入れたものも確かにございます。それで、あるいは小売り屋さんの心情とすれば、そういう高いものはなるべく高く売りたいという心情もあって、まだまだ急激には下げてないということもあろうかと思います。これはやがては下がると思いますし、また、そういう御指摘をどんどん小売り屋さんにお出しになれば、卸売価格は下がっているのですから、小売価格も当然下がると思います。  それからもう一点、小売り屋さんといたしますれば、これは実は小売価格というのは一定ではございません。大工さんとか納め先の工務店によりまして、高い値段で納めるところ、安い値段で納めるところ、いろいろございます。建築というものはいろいろな形がございまして、現場の遠いところ、あるいはまた近いところ、それから施工の方法、それから非常に品質を重要視される方、いろいろございまして、価格が非常にばらばらでございますので、その点もやはりなかなか把握しにくいところがあるのではないかというふうに私は考えております。
  34. 唐沢平治

    唐沢参考人 まず、合板の問題で御質問ございましたが、私にも一言発言をさせていただきたいのですが、申し上げたいことは、大手商社というのは単に外材だけではなくて、日本国内至るところに黒い手を伸ばして、あらゆる方法で系列化を進めている。こういう事実をもっと、この問題を掘り下げるにあたって、想像以上のものがあるということを私ども申し上げたいし、できればこの辺のところをもう少し、当委員会でも御調査を願いたい。  かつて、この外材などにつきましては、外材輸入専門商社などがあったわけでありますが、いまはそれが完全に排除されて、大手に完全に握られている。国内の流通ルートも大手がずっと握って、自分の系列下の幾多のダミーないしは系列会社、あるいは建材の販売ルートをどんどん系列的に進めている。こういう事実をもう少し掘り下げてみないといかぬのじゃないかという気がするのでございます。残念ながらその調査能力もないものでありますから、ぜひこの辺のところは、国の内外を問わず洗い直しをしていただいて、いかに大手が、既存の専門業者なりあるいは既存の零細建材業者なりをどんどん倒産させながら、自分の財力にまかせて黒い手を伸ばしているかという事実をつかんでいただきたいものだと思います。  第二の問題として、大工さんに適切な値段で出ているんじゃないかというお話でありますが、それは多少——多少というよりは、かなりきれいなことばではないかと思います。  実際、いわゆる一見客にはなかなか物が入らない。かりにつき合いがありましても、とてももとの値段で手に入るというような状態ではございません。かなり無理をして手に入れる、そういうことがやっとです。しかもそれもできない場合に、じゃどうするかといえば、横道にそれますけれども、結局お客さんに対して、ヒノキでやってくれというものを松に材料を落とすとか、柱の寸法を落とすとか、そういうようなことをして、その見積もり価格に合わせる。それでもできないときにはもうお手あげだ。そして両方が泣かざるを得ない。両方が蒸発するか夜逃げをするかというようなことにならざるを得ない。こういう深刻な事態というのは依然として続いているわけであります。  ですから、単に数字上で、お配りした数字で多少値下がりだ、だからこれが次の暴落へということでは決してないということを御認識願いたいのと、それから冒頭に申し述べました、大手が国際的だけではなくて国内の面でもたいへんな系列化をおさめているということとあわせて申し上げたいのは、いまもっぱらわれわれの仲間の中で伝えられておりますのは、要するに、その過剰流動資金七兆何ぼというようなものを中心にいたしまして、国内の山にも大手が手をつけてくるのではないか。たとえば北海道の広葉樹あるいは木曾のヒノキあるいは秋田の杉、さらには青森のヒバ、こういうのがいまねらわれている。これが大手にどんどんやられるぞ、こういう声が非常に強いのであります。ですから、こういうものまでやられるという状態がいま伝えられているやさきでございますので、私どもはもちろんでありますけれども、やはり国会の場でも早急にこれらの問題についての調査なり規制なりというものを進めていただきたいと考えているところでございます。
  35. 山中吾郎

    山中委員長 次に、三谷君。
  36. 三谷秀治

    三谷委員 郡司さんがソ連材にたいへん詳しいようですから、北洋材に限って私はお尋ねしたいと思いますが、北洋材の商社輸入価格は幾らになっておりますか、お伺いしたいと思います。
  37. 郡司章

    郡司参考人 冒頭に申し上げなかったかもしれませんが、私ども日本木材輸入協会は、南洋材部会と米材部会のこの両樹種でございます。     〔委員長退席、井岡委員長代理着席〕 北洋材はまた別に日本北洋材輸入協会というのがございまして、今度私ども、何とか年内のあれとしまして、この北洋材あるいはニュージーランド、四大外材全部を輸入協会一本に統合したい、かように存じておりまして、四月からそういう部会をわれわれのほうにもつくって吸収していきたい、こういうように思ってやっておるわけです。したがいまして、私ども輸入についてはほかの団体でございますので……。  ただ、先ほど申し上げましたように、私はKSの契約時分に携わったことがありましたから申し上げたのでありまするが、詳しいその値段はわかりませんが、昨年の値段に比べてことしは、当初に三〇%、約十ドルでしたか——一九七二年、昨年の値段ですが、とれまた径級、材種によって違いますが、最もポピュラーでありますエゾ、トド、それが約二十七ドル七十セントぐらいだったと聞いております。KS産業のものは二十九ドル五十六セント、これより二ドル五十セントほど高いのでありますが、ことしは、それが当初の契約で大体三〇%、十ドル上がり、それからまた次に六ドル上がっておる。昨年に比べてことしは十六ドル、一九七三年の材は約五〇%近い十六ドルの値上がりをした、かように聞いております。     〔井岡委員長代理退席、委員長着席〕
  38. 三谷秀治

    三谷委員 北洋材というのは、ほほ三十ドルというのが昨年までの単価でありましたが、おっしゃいますように十二月に十ドルアップ、三月一日から五ドルアップというのが、私が調べました状況なんです。ですから、これが立米当たり一万円、ことし二月以降になりましてから一万三千円ないし四千円というのが輸入原価になっておりますが、いまの末端価格はどれくらいになっておりますか。
  39. 郡司章

    郡司参考人 私は、自分たちの協会外の問題でございますものですから、詳しい値段は、むしろ松本さんかどなたかのほうが実値を御承知かと思いますが、二万一千か、そのくらいしているんじゃないかと思います。
  40. 三谷秀治

    三谷委員 松本さん、それじゃお知らせいただけますか。
  41. 松本善治郎

    松本参考人 北洋材のエゾの板でございますが、三メートル八十の一・三の一・五のもので四万三千円、平割りで、三メートル八十の三・三センチ、四センチで四万五千円というのが、十一月の暴騰時の価格でございます。それが現在は大体三万円台になっていると思います。これはしかし、ものによって非常に差異がございますけれども。それは大体一等材でございますが、数字上、こうなりますと、これは非常にいい値段でございますが、数量的には非常に少なくなっていると思います。
  42. 三谷秀治

    三谷委員 三月の時点の単価調べ、おたくの会社の資料によりますと、エゾ板は四万三千円という数字が出ております。東京木材問屋協組ですか、ここの調べによりましても、大体四万円から四万三千円ということになっております。そうしますと、今日の時点でいきますと、一万四千円のものが四万三千円程度になっておりますけれども、この流通過程における価格形成の変動の状態などはおわかりになっておりますでしょうか。
  43. 松本善治郎

    松本参考人 変動の状況でございますか。
  44. 三谷秀治

    三谷委員 はい。たとえば、商社から問屋に渡りまして、製材業者に渡りまして、第二問屋に渡る、この過程における価格の変化です。
  45. 松本善治郎

    松本参考人 その点は、私ども製品を取り扱っておりますので、原木状態はよくわからないのでございますが、いろいろ資料によりますと、原木段階では、商社さんのマージンが特に多かったように聞いております。
  46. 三谷秀治

    三谷委員 この北洋材は、おもに北陸三県で大部分輸入しておりますけれども商社のマージンというのは非常に膨大な増加をしております。たとえば七二年の六月ごろまでは、立米当たりの大手商社の利益は七百二十円でありました。これが本年の二月になりますと、立米当たりの利益が六千百二十円になっております。三月になりますと、立米当たりの利益が七千二百円、昨年の六月と比較しましてちょうど十倍のマージンを商社が取っておるという資料が出ておりますが、これにつきましては、参考人の方々ではあるいはお答えいただくことがむずかしいかと思いますが、経企庁のほうでは、この実態についてお調べになっておりますかどうか、お尋ねいたします。
  47. 斎藤誠三

    ○斎藤説明員 たいへん申しわけございませんが、実態について調べておりません。
  48. 三谷秀治

    三谷委員 調べていないわけですか。これを調べることによって、いまの木材価格の問題などが適切な対策考え得るわけです。全然手をつけていないわけですか。
  49. 斎藤誠三

    ○斎藤説明員 われわれのほうでは、あまり手足もございませんので直接に調査いたしておりませんで、主として林野庁関係の資料によりましていろいろ検討している程度でございます。
  50. 三谷秀治

    三谷委員 林野庁、来ているのですか。
  51. 吉田雅文

    ○吉田説明員 ソ連材輸入価格につきましては、通関統計によりますと、径級、長級等の込みの平均の割り出し価格でいきますと、一立方メートル当たり、昨年六月は九千六百三十円、十二月には九千五百六十円と、あまり大差はございませんでしたが、ことしの一月には一万一千四百四十円、約二割以上の値上がりになっております。  これに対しまして、製材工場におけるいわゆる国内価格、これは農林省の調べによりますと、径級二十センチから二十八センチメートル、長級三・八メートルのもので、同じく一立方メートル当たり、昨年六月は一万四千円、十二月は二万一千円、今年一月は二万三千四百円となっております。特に十一月以降の値上がりが非常に目立っておるわけでございますが、輸入価格国内価格は、前に述べましたとおり同一内容のものでないということと、輸入価格には、工場着までの港湾荷役料、その他植検手数料、こういうものが入っておりますので、直接に比較することは妥当かどうか、ちょっと疑問がございますけれども傾向的に見ますと、輸入価格よりも国内価格のほうの値上がりが高くなっているということはいえると思います。
  52. 三谷秀治

    三谷委員 それはどこで高くなっているのですか。いま商社の港湾荷役費なんということをおっしゃいましたけれども、この輸入商社の荷役というのは一次問屋でやっておるのであって、輸入商社というのは帳面を通すだけなんです。ですから、荷役費というのは一次問屋の仕入れ原価の中に含まれてくるということになる。  それで、いまの資料でいきますと、たとえば七二年の六月ごろまでは、輸入原価、一立米当たり約一万円、これに対して七百二十円、つまり石当たりにしますと二百円の利益を取っておったのです。長くそういう状態だった。ですから、これは販売価格が大体一万七百二十円、これが大手商社が出す販売価格であったのです。これに荷役費が立米当たり大体千円。そこで問屋の仕入れ原価が一万二千九百円程度。これに問屋がまた立米当たり七百二十円の利益を取って、問屋製材業者に渡すのが一万三千六百円程度ですね。製材工場がそれで仕入れまして、製材費が立米当たり一万二千六百円程度、ですから販売価格が二万五千二百円程度になっておった、昨年六月。ことしになってきますと、商社の利益が非常に大きくふえまして、これが価格の構成に一番大きな影響を持っている。たとえばことしの二月で見ますと、輸入価格、これは長期契約ですから、実際に二月に輸入価格が上がったか上がらないかは別問題ですよ。しかし十二月に十ドル上げましたから、上げた計算をしまして大体一万三千円、これが輸入価格。これに対して六千百二十円の利益を取っている。そうですから商社の販売価格、大体二万円ですね。これに荷役費、これが少し上がりまして千四百四十円ぐらいかかる。そうしてこれが問屋に渡りまして、問屋の利益が二千百円程度。ですから、製材工場に入りますのが二万三千円程度。これに製材費用が一万八千円。そこで大体四万円程度が製材工場の販売価格。この末端価格を見ますと、これと比べまして幾らかふえておりますけれども、三月時点で見ますと、たとえば製材工場を出ますのが四万一千四百円ですけれども、四万三千円になっている。  そうしますと、一番もうけているのは商社なんです。ですから、立米当たり七百二十円の利益をとりましても、これは石当たりにしますと二百円の利益なんですね。そうしますと、一万石積みの本船一ぱい入ってきますと二百万円の利益になっておる。これが大手商社の利益なんです。ところが、七三年二月になってきますと、一万石積みの船一ぱいで千七百万円の利益をあげている。だから、昨年六月と比べますと千五百万円不当な利益をあげているんだというのが、この問屋や業者の言い分だ、製材業者の言い分なんです。三月以降になりますと、これは石当たり二千円の利益になっておりますから、一万石積みの船で二千万円の利益になっておる。そうしますと、昨年六月と比べまして、船一ぱいにつきまして千八百万円の不当利得をとっている。これが物価の値上げ、木材の上がった原因なんだということを、製材業者なんかは言っているのですよ。それから、これは一次問屋も言っていますよ。この点についてはどうお考えですか。
  53. 吉田雅文

    ○吉田説明員 ただいま私が申し上げました価格の比較は、輸入商社日本に持ってきた場合のいわゆる船乗り渡しの価格製材工場に売るときの価格を農林省のほうで比較したわけでございます。つまり、商社が一次問屋に幾らで売るかまた幾らで売っているかという価格につきましては、私どものほうで調査権もございませんし、なかなか商社に行っても教えてくれません。したがいまして、私どものほうでは、輸入商社がいわゆる通関する際の価格というものを押えまして、それと製材工場に入った場合の製材工場の買った価格、この価格との比較を見たわけでございます。そこで、それには商社のCIF価格に、いま先生おっしゃいました荷役費約千四百円程度がかかり増しするというようなことを見込みましても、かなりのそこには利益が、これは問屋も含めての利益になりますのですが、相当利益が入っておるというふうにみなされるわけでございます。
  54. 山中吾郎

    山中委員長 三谷君、もう時間ですよ。
  55. 三谷秀治

    三谷委員 もう時間だそうですからたいへん中途はんぱになりますけれども、いま申し上げましたように、大手商社が不当な利得を得ているということ、これは非常にはっきりしている。これについてどういう対策をお持ちになっているのですか。一次原木問屋の利益というのは、七二年六月ころまでは立米当たり七百二十円でしたよ。ことしの二月の段階で、二千百六十円程度になっている。三月では千八十円、下がってきているのです。末端価格の変動に伴って、一次原木問屋の利益は低下しています。ところが、商社のほうは一向におかまいなしだ、どんどん上がってきている。だから、一応末端価格鎮静化といわれますけれども、そのしわ寄せはおもに製材工場にやってきておる。だから、製材工場におきましては赤字の状態が続いてきている。ですから倒産が出てきた。そうして、その製材工場の倒産状態を見まして、原木問屋のほうではマージン率を切り下げやっている。ところが、大手商社は依然として利益率を上げつつあるのですね。この状態に対して、あなた方は一体どういう処置をおとりになっているのですか。たとえば独禁法で取り締まるとか——これは大手商社、主たるものは六社でありますけれども、これが価格の協定をやっていることは明らかなんです。同じ価格で卸しているわけなんです。そうしますと、当然これは独禁法の対象になるわけです。こういう問題につきましては一体どうしているんだ。何一つ手を打っていないというわけですか。
  56. 吉田雅文

    ○吉田説明員 商社に対してどういう手を打っているかということでございますが、今回の木材価格上昇につきましては、先ほどからいろいろと説明がなされておりますとおり、住宅需要というものが非常に急激に増加したということによっておるわけでございますけれども、こういうような需要増加に対しまして供給をふやすように、林野庁といたしましても、国有林材の早期繰り上げ販売を行なうというようなことを、営林局長会議を開催しまして局長に指示するとともに、国内材の出荷の促進につきましても、関連団体及び都道府県知事を通じて要請いたしたわけでございます。外材につきましても、商社に対しまして、昨年十一月以降の出荷の促進につきまして再三にわたって要請を行なってきたわけでございますが、最近におきましても、特にドルの切り下げ等もございまして、そういう面で当然利益が出てくるはずだから、こういう面についてひとつ十分価格に反映するようにしてほしいということを林野庁長官から、主要大手十社の代表者を林野庁に呼びまして、そういう面での強い要請を行なっておるわけでございます。
  57. 山中吾郎

    山中委員長 石田君。
  58. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私は、本日おいでになった各参考人の方に対する幾つかの御質問をお願いしたいと思います。  まず最初郡司参考人にお伺いをするわけでございますが、私が調査をいたしたところによりますと、各港湾におきましては、木材を貯蔵するところがいわゆる水面倉庫、このようにいわれておりますが、東京、大阪、名古屋等の主要港におきましても、この水面倉庫の蓄積量というのは非常に限定をされておるわけであります。したがって、税関等におきましては、あるいはまた港湾管理者等におきましては、この水面倉庫に見合うようなそういう量しか輸入できない、こういうような見方をいたしておるわけであります。一体、協会として、あるいはまた輸入業者といたしまして、どういう角度で輸入量をきめているのか こういった点をまずお伺いしたいわけであります。  それから、当然これは国内における需要数を見込んでのそれぞれの商社の思惑買いだと思うのでございますけれども、こういった水面倉庫の限定された量に関係なく各商社では買い付けを行なっているのか、あるいはその各業者が水面倉庫の量というものをあらかじめ予約できるような制度になっておるのか、この点についてもお伺いをしたいわけであります。  それから、こういう角度から見てみますと、いわゆる材木の買い付けについても、それを日本輸入する場合、水面倉庫に一定の限定量しかないということになりますれば、各買い付け現地、いわゆる外国の買い付け段階でここに各商社が貯蔵する可能性があるのかないのか、この辺の問題をお伺いしたいわけであります。  さらに、港湾局の調査によりますと、東京港におきましても、あるいは顕著な例をあげますと名古屋港の例でありますが、本年の一月ないし二月、三月は非常に少なくて、そして七月から後半にかけて、非常に滞留数量というものが増大をしているわけであります。簡単に申し上げますと、四十七年一月においては五十四万七千立米なのが、十一月には六十六万六千立米、十二月には六十八万七千立米というようなことになっております。こういうような傾向を見ますと、その滞貨量の増大というものがやはり二割程度ずつ、ずっと年間少しずつ上がってきて、現在では二割以上になっておりますけれども、こういう滞貨量というのはやはり売惜しみに通ずるのではなかろうかという疑点がどうしてもぬぐい去れないわけでありますが、これに対しての御見解を承りたいと思います。  それから次に、唐沢参考人にお伺いをしたいわけでございますが、先ほど、流通経路が非常に複雑になっておる、こういうようなお話がございました。この問題に対してもう少し詳しくお知らせをいただきたいということと、唐沢参考人の目から見てどこら辺に特に問題があるのか、こういった点をお願いしたいのであります。  それから、松本参考人にお伺いをしたいのでございますが、木材が高騰したときに流通量の変化があるわけでございますが、この間のいろいろな調査によりますと、いわゆる銀行の住宅ローンの融資事情というものが、昭和四十七年の一月現在を一〇〇といたしますれば年末には二二四と、三四%の大幅な増加を見ているわけであります。この推移の経過を見ていきますれば、当然流通量は増大をしなければならないわけであります。しかし、価格の高騰があるために、流通量がその反作用によって押えられておる。これは経験上で伺うわけでございますが、もし価格にさほどの変動がなければ、このような推移で流通量も増大したとお考えになっていらっしゃるかどうか、この辺の問題をお伺いするわけであります。  それからもう一つ、先ほどのお話と関連をいたしますので伺いますが、輸入された木材は、税関におきますいろいろな手続を経る関係上約一カ月滞留期間があるわけでありまして、その後これは、問屋から製材過程を経て市場に提供されるわけでありますが、大体どれくらいの日数を経過して市場に提供されますのか、お伺いをするわけであります。  それから、郡司さんと、さらに楠参考人にお伺いをいたしますが、木材に関する資源問題でございますけれども国内生産量というのも、増大をする見込みがなかなか立たない。外国などにおきましては原木輸出規制、そういうようなものもあります。さらにまた、東南アジア等における後進諸国におきましても、いわゆる合板等の進出もかなり目立って、それらの買い付けもかなり盛んになるような傾向がございます。いずれにしても、この資源問題というのは、日本だけではなくて、世界各国全体の問題に発展をしようとしている経過の中におきまして、どうしても日本人の嗜好といいますか、そういったものから木材を主体とした建築物、そういうものが要望されております。はたして今後十年、十五年のうちにおきまして、この資源問題に対して、業界のほうではどのようなお考えを持って今日やっていらっしゃるのか、その点等をお伺いをするわけであります。
  59. 郡司章

    郡司参考人 ただいま御質問のありました各主要港における水面が限定されておるのではないか、まことにこれはごもっともで、公有水面の貯木場というものは制限をされております。そこで、制限しているのに見合ったように輸入するにはどういうことをしておられるかというお尋ねでございました。  これは私ども、そういう意味におきまして毎月の消化、それから在庫というものに非常な関心を持って、これを各地の港運荷役を扱っている者から資料をとりまして、業界としてこれをやっておる。したがいまして、これはまた最初に申し上げましたとおり、たとえば御参考までに私の手元にある資料から見ますと、昨年の十二月末における外材——私のほうで外材と申しますのは南洋材、米材、北洋材、ニュージーランド材、この四大外材でございますが、これの主として丸太でございますが、四十六年の十二月末における在庫は約二カ月分でございました。それが同じような経緯をとっておりまして、四十七年の一月は二・一カ月、二月が一・九カ月、三月が二・一カ月、四月が二・一、五月が二・二、六月が二、七月も二、八月が二・一、九月が二、十月が二、十一月が一・九、十二月が一・八、二月のあれが一・九になっております。  大体こういうふうなことで、私が冒頭に申し上げましたとおり、私ども、二カ月ぐらいが正常の在庫、こういうところを基礎に置きまして、輸入があまりだぶついたりショートすることのないようにやってきたわけでございます。しかし、これは私ども商社に割り当てをしているわけでなし、したがって、正確にそういうふうに実行はできないのであります。たまには非常にだぶついたりすることもありますが、結果から見ますと、ただいま申し上げましたとおりの状態になっております。  それから、貯木場について何か予約みたいにできるかというお話ですが、これは公有水面でございますので、先着順でもって利用しております。  そういうわけで、先ほどもおっしゃったとおり滞船しておるじゃないか、こういうことも——滞船料は商社の負担であります。非常にマイナスでありますので、そういう点から商社は自分の費用で、水面でなくておか揚げの場所、埠頭をつくっておるものもあります。したがって、そういうところに本船を横づけして荷役をしておる。水面を使わない。そういう商社もあります。それから、われわれも公共のそういう埠頭を要望しております。今回、東京都におきましても港湾に、外材輸入する、特に製品ですね、丸太も一緒に入りますが、埠頭会社ができまして、今後、そういう水面のあれでなく、埠頭も利用しておか揚げをする、そういう要請をしまして、これは実行になることになりました。  それから、入荷した材木が、植検あるいは通関のための検量その他にどれくらいの日数がかかるか。おか揚げの場合と水中は違いますけれども、水中の場合は、植検が大体十日ないし十五日かかる。それから今度それを仕分けをし、いかだを組んだりしまするために、大体二十日から三十日間かかる。ですから、やはり三十日から三十五日ぐらいのものがかからないと、入ってきた荷物が、自由に動かして製材工場に入るというわけにいかない。その間一カ月ちょっとぐらいが商社手持ちになる公算が多いと思います。
  60. 唐沢平治

    唐沢参考人 流通機構の問題についてのお尋ねがございましたが、先ほどもちょっと触れましたけれども市場流通機構、こういうものに対して大商社がずっと手を伸ばしながら、そこが強化され、大商社がずっと系列化を進めながら、流通機構も押えながら価格決定のイニシアを握る、こういう点がずっと強まっていることをまず申し上げておきたいと思います。  具体的には、商社から丸太問屋に行く。この丸太問屋にも第一、第二の問屋がある。そして製材工場へ行く。それから製品問屋へ行く。それから小売店へ行く、こういう経路になっているのでありますが、この問屋にも、第一次、第二次というものがそれぞれの段階である。したがって、もう幾つにももうける場所が出てくるわけでありますから、結局最終的なしわ寄せは消費者のほうへ、あるいは末端の大工さんなりあるいはうちを建てる施主のほうにしわ寄せが出てくる、こういうところでありまして、この重層的な流通機構というものをもっと狭めて、除けるものは極力除いて、極端なことを言えば、先ほど要望申し上げましたような、公的な流通経路というものをもっと制度的に確立をしていただく必要があるのじゃないだろうか、こんなふうに考えておるところでございます。  参考人としてのルール違反かもしれませんが、なかなかこういう機会がございませんので、いまの御質問にお答えをいたしましたこの機会に、私のほうからもそういうことが許されるのであれば、そういう実態を十分御理解をいただきながら、なおかつ野菜、牛、馬等については公営市場があるのに、なぜ木材にはそういうものがないのか、そういう点で公的な流通経路を確立するという点について当委員会としてどうお考えなのか、できるのであればお聞かせをいただきたいし、松本参考人等のお考えもお聞かせをいただければありがたい、このように思います。
  61. 松本善治郎

    松本参考人 第一のお尋ねの点でございますが、価格が安定ならば流通量は十分であるかということでございますか。
  62. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 流通量が増大をしなければならないとぼくらは思っておるわけですけれども……。
  63. 松本善治郎

    松本参考人 安定すれば流通量は増大しなければならないということでございますか。それは輸入木材でございますか。
  64. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そうです。住宅ローンの金融状況は、四十七年度の当初から比べますと、年末に三四%の増大をしておるわけです。こういうような状況を見ますと、もし価格がそう変化がない場合には、やはり相当量の木材の流通量が市場においてなければならない、こう考えておるわけでございます。これに反比例して、いわゆる価格の高騰がございますから流通量はある程度押えられると思いますけれども、そういう社会事情がございますから、もし価格にそう変動がなければ、相当な流通量が市場において増大をしたのではなかろうかという点を、いままでの経験上から一つの仮定の問題としてお伺いをいたしておるわけです。
  65. 松本善治郎

    松本参考人 価格というのは需要供給の結果にできるものでございますので、需要が非常に高まって、それに対して供給が追っつかなければ、どうしても価格というものは上がります。ただ、価格を一定にしてしまって流通量がどうかというような御質問の趣旨かと思いますけれども、安定的な価格になれば、当然輸入量というものはある程度の量は確保されていると見なければなりません。需要供給がバランスがとれたという意味で供給は相当あるのではないか、なければならないのではないかと思います。  それから第二の点の、輸入木材が大体一カ月の滞留期間を経て製材工場へ入る、製材工場からどのくらいの期間で市場なりそれから消費者に渡るかということでございますが、輸入木材につきましても、たとえば米材の専門工場というものが広島、田辺、清水等にございます。こういうところでは、やはり在庫として二カ月以上の在庫を持っておるはずでございますので、二カ月ぐらいの滞留期間を経て市場に出てくるというケースが一番多いのではないかと思います。それからラワン材につきましても、大都市に入りまして、大阪とか東京とか名古屋に入りまして製品化して出てくるわけでございます。これにつきましても大体二カ月ぐらいが安定的な在庫であるというふうに見ておりますので、やはり二カ月ぐらい経てから出てくるというのが本来の形ではないかと思っております。  それから、いま唐沢さんから御意見がございまして、何か公益的な意味の市場が必要ではないかというお話でございますが、実は市売り市場につきましては、全国木材市場連盟で数年前に、市売り市場の公的な使命ということから、これを市場法というようなものでひとつ規制もし、われわれもそれに沿った行動をとろうじゃないかということで研究をいたしました。林野庁にも、その点につきまして林政審議会の委員の方にもお願いして、いろいろ検討を重ねたことはございます。しかし、そのときは時期尚早でそのまま見送られましたが、現在またそういうような趣旨で、一ぺん公的な機関として市売り市場があったほうがよいのではないかということについて業界の内部で反省いたしまして、いろいろと検討を重ねている段階でございます。
  66. 楠正二

    楠参考人 まず、資源問題の将来の考え方についてお答えを申し上げます。  われわれメーカーといたしましては、少なくともラワン資源の保有国には今後とも積極的に協力をしていくという姿勢でなければいけない、これのみが将来の資源問題の解決の方策であろう、とう考えておるわけでございます。したがいまして、われわれのできることといたしましては、資源を保有しております発展途上国の工業化等につきましてもできる限りの協力はしてまいりたい。そういうことによってわれわれもメリットを得るし、また日本国民経済にもプラスになるような道があるのではなかろうか、こう考えております。  しかし、現状におきまして、たとえばカリマンタンとかというような典型的な生産地を考えてみましても、現在の現地の社会資本の状態あるいは労働力の質の問題あるいはまた、合板には接着剤その他いろいろ関連産業のある程度の発展段階が伴う必要があるのですが、何らこういう下地がないというようなことを考えますと、いますぐ工場をつくって、国際競争力を十分発揮できるような工場が設立し得るかどうかという問題については、相当な疑問を持っております。  これらの点もいろいろあわせまして、いずれにしても資源開発につきましては、きわめてリスクの高い、しかも外交的な問題を含んだことでございますので、政府御当局におかれましても、ぜひ積極的にこういう面での御配慮をいただきたい。特に商社におかれましては、秩序ある現地でのそれぞれの原木保有国との協力体制をつくっていただきたい。この点をお願い申し上げる次第でございます。  それからもう一点は、木造建築の将来のあり方というようなことについての御質問でなかったかと思いますが、この点につきましては、私といたしましては、木造建築はやはりあくまで日本には必要であるし、需要は将来とも十分あるものと考えております。ただ、いままでと同様に木材を何となく使うということでは、将来これは相ならぬものと考えます。すなわち、むだをなくしまして、木材の最も長所とするところを発揮した、適材適所に使っていくというようなことが必要であろうかと思います。  合板につきましてもいろいろ長所はございますが、大きな点二点だけあげさしていただきますと、一つは非常に幅の広い板がとれるということでございまして、もう一つは非常に軽いわりに強度を持っているという性能がございます。この広い、きれいな板がとれるということは、すでに日本においては古くから利用されておった用途でございますが、しかし強度の問題については、必ずしもいままで合板の性能をフルに利用していただいてなかったという点は非常に残念に考えておるのでございまして、これらの利用方法等をさらに考えまして、合板生産も、ただ何となくつくるのじゃなくて、量とかいう問題以前の問題としまして、質、性能の向上をする、いろいろ技術開発をしてまいる。そういうことによりまして、建築工法も当然近代化されなければならぬと私考えておりますが、その中に、合板も単なる資材という形じゃなくて、工法と一体化された形の部材としての協力をしていくということによって、われわれの社会的使命も果たし得るのじゃなかろうかと考えております。また、そういうわれわれの考え自体が木造建築の将来を大いに明るくするものじゃなかろうか、また国民の皆さんにも喜んでいただけるものじゃなかろうか、こう考えておる次第でございます。
  67. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 お答え漏れがございます。郡司さんに先ほどお伺いしたわけですが、水面倉庫の関連におきまして、各商社が外国の現地で買い付けをいたしますけれども、その現地におきましても、木材の量を滞留させるようなことがいままでにございましたかという点と、それから、先ほど申し上げました港湾局の調査によりますと、東京港においても、一月と十二月の状況を見ますと約二〇%以上滞留しておる。非常に滞留が増大しておるわけですね。名古屋港においては、三〇%以上木材が滞留増となっておるわけですが、これをどうごらんになりますかという点を御質問申し上げたわけであります。
  68. 郡司章

    郡司参考人 商社は海外において買い付け材を貯蔵しておるかということに対してお答え申し上げます。  御承知のとおり、特に米材につきましては、米材輸送の専用船というものが大体八十ぱいないし九十ぱい動いておるわけでございますが、これらのものがピストン輸送する関係から、どうしても産地にある程度の材を貯蔵しておく。それから、普通のときはどんどん山から出てきますので、大体一カ月半かそのくらいのものしか商社は持っていないのですが、冬場になりますと山がストップするために、その間のために三カ月ぐらいのものは持っておる。そういう点で、天候が非常に変わったということのために出材がおくれて、非常に品薄になってあわてるということもありますけれども、大体そういうものは貯蔵によってやっております。  それから南洋材につきましては、産地にあまり保存する場もなし、力もありません。大体これも、山に置きますと虫がつきます。貯木場に持ってきても、そうりっぱな貯木場は南方にはありませんので、これは常に小型船を回してひんぱんにとっておる、こういう状態。したがって、一番滞船が多いのも南洋材が多いかと思います。  私がさっきからストックを申しましたが、ストックの正常であるということは、要するに入荷消化が大体見合っている形である。全体としまして、外材消化というものは非常にふえております。たとえば、昨年の一月は合計で三百五万立方メートル、それが六月は三百五十万、それからまた、非常に上がりました九月ごろになりますと三百九十万、十月も三百八十六万、十一月三百八十九万、十二月は四百万、こういうふうに毎月の消化はふえております。したがって、これだけ入荷も多く、南洋材等につきましては滞船化が起こっておるという状態でございます。
  69. 山中吾郎

    山中委員長 和田君。
  70. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 和田耕作です。参考人の皆さま方、御苦労さまでございます。  先ほど来の質疑を拝聴いたしておりまして、今回の木材価格暴騰という問題についての全体的な絵のようなものが私の頭に浮かんでくるのですけれども、これが間違いかどうかを、ひとつ参考人の皆さま方からお答え賜わりたいと思います。  今回の木材暴騰は、私は何といっても大商社輸入日本木材の六〇%というものを持っておる、大きな力を持っておるわけでございまして、この方々が思惑というか投機というか——あるいは商社の方々は正当な商行為というふうにおっしゃるかもわかりませんけれども、そのような結果、十一月、十二月の木材の高騰が起こってきたのではないか。  と同時に、相当前から進んでおります大商社国内の中小メーカーへの統制力が強まってきた。ベニヤの方もおっしゃったように、いままで問屋を相手にしておったのが商社に変わってきたというお話がありましたけれども、このような問題を通じて大商社の系列という現象が強まってきた。これは単に木材だけではないのでございまして、たとえば株式市場におきましても業者間が、特に大商社の方々が、上期に比べて下期の株の保有というのは非常に多くなっておる。これは関連の株式を商社が持つというふうな形が多いということは、大蔵省なんかもいっておるわけですけれども、このような形で、大商社一つの影響力というものが木材市場においても非常に大きく強くなってきた。このような形が出てきている。  しかし、現在ではどうなっておるかというと、木材市場では相当大幅に下げているにもかかわらず末端価格は下がっていない。下がっていないというのは言い過ぎですけれども、あまり影響していないという問題を考えてみると、木材市場価格形成の役割りといいますか、こういうものが相対的に下がってきておるのじゃないか。今後も、木材市場である価格ができても、これが実際の価格への影響という面になると次第に離れていくのじゃないか、こういうふうな感じがしてならないのでございまして、現在、市場では安くて、末端では高い。またいま高値がずっと続いておるという状況等を考えてみると、先ほど唐沢参考人がおっしゃったような市場の構造的な問題を考えてみる必要があるのではないか。  こういうように、つまり全体の構図が私自身には出てくるのでございますけれども、これらの点について各参考人の御意見をお伺いしたいと思います。  特に第一点の、何といっても大商社の思惑買いということが中心になったのじゃないかという理由としては、やはり田中角榮さんの日本列島改造論というものがある。今後のいろいろな建築が相当長期にわたって大きく伸びてくるという背景のもとがありますから。  もう一つの問題は、松本さんがおっしゃいましたように、十一月段階の値段の気違い相場というものは、末端の工務店の方々がたとえば一人が百石買えばというふうなお話で、東京では三千軒もあるので相当大きくなるという話がありましたけれども郡司さんの話では、末端価格が上がったから、木材価格がそれにつれて上がってきたのだという話と、ちょっと矛盾してくるわけですね。そうではなくて、初めのところは、全体から見て商社の大きな思惑が一番の中心であったけれども、それにつれて、今度は末端の工務店の人たちがこれはたいへんだということで買占めが始まった。買占めというよりも思惑、これは手当て買いということばを使ったのですけれども、手当て買いが始まった。つまりこれが気違い相場を出してきたということになるわけですけれども、やはり、最初木材価格暴騰の一番大きな原因商社の思惑買いというふうにみなさざるを得ないと思う。  そういうことでございまして、今度の木材価格暴騰の問題は、非常に大きな示唆を私どもにも与えるわけでございますけれども、このような問題についてひとつ、私がいろいろ述べましたけれども、各参考人の御所感、御意見をお伺いしたいと思います。
  71. 郡司章

    郡司参考人 最初に大手商社の非常な力が寡占的に動いておるのじゃないかというような御指摘でありましたけれども、私も自分の経験から見ますと、大体、大手商社の位置というものは、貿易再開後約二十何年たっておりますけれども、ほとんど変わってないと思います。従来ともこういう順位で商社は扱ってきております。いま急にこれが大きくなってやった。過去において、それでは大手商社は——最近は、いまおっしゃったように、株の保有その他の系列化が一そう激しくなったからそうおっしゃられるのかもしれませんけれども、過去においても、大手がやはり六十何%というものを持ってきた。したがって、私は大手商社が買占めとか買いだめをしているというようなことは思わないのです。  それから、いまの価格について、末端のあれから上がったということは、これはもう日銀のこういう表を見てごらんのとおりだと思うのです。たとえば十月で見まして、国産材丸太が、四十五年をベースにした一〇〇に対して一〇四、四%ぐらい上がったのですが、その次、輸入丸太が約九六%、まだそれに達しておりませんでした。ようやく十一月、十二月だんだん上がっていったのです。しかし、その前に製品価格のほうが、六、七、八月ごろからやはり製材は上がってきておる、丸太よりも先行して上がってきておるというのは、日銀の指数でもはっきりしているのじゃないか。従来ならば丸太高の製品高丸太のコストプッシュによって製品価格が上がるというのが従来のパターンであったが、今回は、末端の小売りのほうの価格あるいは一連の価格暴騰した。われわれも意外に思っている。しかし、それと見合って高値買い付けをしないように、われわれは極力会員を戒めたのでありますけれども、やはり世界的に木材不足、それからまたインフレムードに乗って世界的に上がってきた。そういうのが両々相まってきて、最近では丸太のほうが先行して非常に高値で、今度は商社はおそらく損する、いまの情勢ではそういう事態になるかと思います。したがって、私は、買いだめとか売惜しみをしているんじゃなくて、あくまでも市場需給関係によるものと思っております。
  72. 楠正二

    楠参考人 まず、商社との関係でございますが、先ほど申しましたように、原木製品と両方関係を持っておりますが、原木について考えましても、合板工業は中小企業の典型的な業種でございますが、原木の消費量は相当量になるわけでございます。そういう意味で、まあ一つ考えは、みずから現地へ行って買い付けてくる、あるいはみずから開発をしたらどうかというようなことも、案としてはあるわけでございます。しかし、まあ森林というものは、同じ木が一つの山にびっしりはえておるわけでございませんので、発展途上国のラワン資源を開発する場合でも、その山を切りまして実際合板に使われる木というものは、実はそのほんの何割かにすぎないというような状況でございまして、非常に効率の悪い、リスクの高い、長期にわたる事業になりまして、とてもわれわれでそういうことはみずからできないわけでございます。どうしてもこれは商社お願いをして持ってきていただいた木の中から選択をして買うという以外には道はなかろう、こういうふうに考えております。で、商社についていろいろ御批判もありますが、しかし、まあ私どもとしましては、合板工業がこれまで発展してきた裏にはやはり商社の大きな御努力によるものがあったということを、私は率直に申し上げたいと思います。  それから、製品についての問題でございますが、先ほど、問屋との縁が薄れておるように私の話を御理解いただいたようでございますが、必ずしもそうではございませんので、先ほども申しましたように、従来の流通経路は、商社が介入しても生きておるわけでございます。ただ、もう少し詳しく申しますと、ここ十年ばかりの間、不況期に問屋がかなり倒産をしたというようなこともあったわけでございまして、そういう場合に、中小企業であります合板メーカーとしましては身の安全をはかるという必要もあるわけでございまして、みずからお願いして商社に買っていただくというようなことも出てまいったわけでございまして、そういうふうにみずから進んで商社に買っていただくという形をとっておるということも申し上げたいと思います。  それからさらに、これは先ほどの松浦先生の御質問のおりにもお答えすべきであったかと思いますが、小さな需要に対する配慮の問題でございますが、われわれの合板業界としましては、こういう需要が非常に大事なお得意さんでございまして、先ほど大口需要が台頭してまいっておるということも申しましたけれども、あくまでやはり大部分がこの小口の需要者でございます。これを重視しなければいかぬという姿勢は、われわれ堅持しております。このたびの暴騰につきましても、最もお困りになっておるだろうと思われます家具メーカーの方等につきましては、特に緊急措置といたしまして、一部の地区で直接の納入をさしていただいたというようなことも配慮いたしておるわけでございまして、そういう意味で、何も商社の支配下ですべて牛耳られておるということではないのでありまして、われわれとしても自主的な判断に基づく適当な措置も十分講じておるということを、ここではっきりお答え申し上げたいと存ずるわけでございます。
  73. 松本善治郎

    松本参考人 ただいま和田先生の御指摘の第一点の商社の買占めの問題でございますが、しかし、これは実態を把握することはなかなか困難であろうかと思います。確かに商社と一次問屋というものは一体となって行動しているわけでございまして、この間に商社から一次問屋へは完全に売買の形がとられている。あるいはいろいろその間に分かれているんだということはございましても、実態とすれば、商社が一握りの人間であれだけの大きな量がさばけるわけはございません。それには何軒かの一次問屋というものをかかえていかなければやっていかれません。そういう方とは非常に密接な関係を持ってやっているはずでございまして、その間にいろいろ価格の点その他の点では、商社自身の流通支配力というものはかなり増大していると私は思います。  一例をあげますと、私が知っている某問屋さんは、最近のドル・ショックの少し前に、米ツガを立米四万一千円で売った。ところが商社から、そういう値段で売っては困る、今後高くなるんじゃないか、そういう値段で売っては今後回さないぞと言われたので、たいへん憤慨して部長にかけ合って、いや、そういうことじゃないんだという了解を得たということでございます。  やはり、ストックという問題よりも、商社が流通支配力を逐次増しつつある、それが独占化あるいは寡占化につながることを私は非常におそれております。  さらに今度は、入口のほうが商社で出口のほうが民間大デベロッパーにつながるというような、大きな流通経路も漸次できてくるのではないか。先ほど申しましたとおり、製材工場等もその流通の系列化に置いているというような傾向がだんだん強くなってくる。内地材につきましても、これは先ほど御指摘のとおり、商社が直接というよりも、ダミーを通じていろいろなことをやっている。この現在の状況は当然であります。もうけるというのは、自由経済下当然でございますが、しかし、商社が社会的責任を感じたにしてはあまりもうけ過ぎているのではないか、今度の点では非常にもうけ過ぎているのではないか。その点はきびしく追及していかなければならないのではないかと思います。われわれも、それは確かに木材暴騰のある程度の恩恵を受けました。しかしながら、われわれ問屋やあるいは小売り屋さんが恩恵を受けているよりも、商社のほうがより多くの恩恵を受けたということは、これは事実でございまして、この点についてはやはり相当厳重にチェックしていただきたいと思います。  それから、木材市場価格形成の役割りが下がっているのではないか、商社のそういう流通支配力が非常に増してくるとそういうことになるのではないかという御指摘でございます。  確かに現在、外材が大体年間の木材需給量一億立米のうちの半分以上を占めているということになりますと、外材価格の問題こそ大きな問題でございまして、これがやはり国内価格に大きな影響力を持つことは当然であります。先ほど御指摘のあったとおり、いわゆる情報機関というふうなものにつきましても非常に脆弱でございまして、先ほど郡司さんがおっしゃった輸入協会から情報は流していらっしゃいますが、私ども業界とすれば、これは商社情報といいまして、かなり商社のかってな情報が流れているという面も非常に多くあるわけでございまして、それによって私どもは非常に多くの損害を受けたことがございます。これは将来高くなる、高くなればいま買っておかなければしようがないというようなことをさんざんいわれまして、そして買ったのですが、結果として損をしたということが、いままで何回かございます。今度の場合も、どうも商社供給不安ムードというものが、大きく私ども製品業界につきましても支配しました。それがやはり価格の高騰に大きな役割りを示したように思います。  先ほど来申しましたとおり、われわれは中小企業で、小さな脆弱なものが多く寄り集まっているものでございますから、どうしてもある一定量を持っていなければ商売になりませんので、仕入れのほうが、仕入れ価格に大きな影響力を持っている商社の行動というものがかなり大きく響いてくるんではないかというふうに考えるわけであります。こういう傾向は今後とも醸成されるというようなおそれが十分にあるわけでございまして、やはり石油に次ぐ第二位の輸入木材でございますので、それにつきましても、林野庁等におきましては何ら独自の情報機能というものを持っていないということも、たいへん残念なことでございます。これも、今後はぜひともそういう調査機関その他で十分な万全な策を講じて、そういう公正妥当な機関からの情報木材業界に流してもらいたい、それによってわれわれも行動の規範を得たいということが切なる念願でございます。  以上でございます。
  74. 唐沢平治

    唐沢参考人 最初の御質問ですが、私は全く同感で、投機活動の最たるものが今回の木材暴騰ではないか、このように思います。また、世論もそのように思っているわけでありますし、そのことは間違いないと思います。  なお、念のために、郡司さんのほうからお答えがありましたが、ややそれと異なる意味で申し上げたいのですが、先ほども私、触れましたが、当初は輸入専門商社の活動範囲というものはかなり多かったんでありますが、年々輸入専門商社の活動範囲というものを狭めまして、大手商社輸入専門商社にかわって外材などについてはどんどん進出をしている、その度合いがこの二、三年来急速に変わってきているわけであります。たとえば昭和四十三年には、ソ連材を中心に申し上げると、輸入専門商社が四十七社、それが二年たちました四十五年には三十六社、実に十一社はもう排除されてしまうわけなんです。専門輸入商社というものは年々年々減らされて、排除されて、そして大手がずっと乗り出してくる、そういう体制ができかかったところで、しかも金融資本は十分保護して、二十兆も何ぼもある金で、それそれと、だぶついている金で保護するわけですから、それ買え、それ買えということで大手が思う存分投機活動をやっている、このように私ども考えております。  なお、アメリカに行ったことはありませんけれども、聞くところによれば、アメリカなどには、三井なら三井そのものはなくても、三井の資本で向こうで何か会社をつくって、それが現地で山を買う、山は買ったまま置いておく、時期を見て持ってくる、こういうようなこともかなり巧妙にやっているという話も聞きますから、それはもう私どもの想像を絶する巧妙さと物量で買占めをやっているのではないか、こんなふうに考えているところでございます。  第二の問題は、流通機構そのものについての御質問があったんでありますが、やはり対外的ばかりではなくて対内的にも、国内の面でも大手が流通機構全体を押えて、そして大手のサインで物価が左右される、こういう機構にだんだんなりつつあるんじゃないか、こういうことを私は痛感をしているわけでありまして、この点は、先ほども要請を申し上げたように、当委員会などでも一度洗い直して、その辺のところをずっと再検討といいますか、調査お願いしたいと思っておるところでございます。  第三に、直接御質問に関係ないかもしれませんが、私は、そういう投機活動を放置しておいた政府の責任というものは非常に大きいのではないか。たとえば外材の問題について、林野庁と大手商社が中央外材需給検討会というようなものをつくっておりますが、こういう中央外材需給検討会というようなものが一体いままで何をやってきたのか、少なくともこのような状態を見てどういう手を打ってきたのか、全く私どもは理解に苦しむわけでございます。  さらに、こういう状態になりましてから緊急に、林野庁では木材価格安定対策研究会なるものを設けましたけれども、いかにも、これもまた、国民の批判の目をそらすような研究会のようでありまして、一体これがどういう研究をし、どういう答申や建議をしてくるのか、私どもわかりませんけれども、とにかく、いまもって何の結論も出ていないというところを見ますと、一番大事な時期に何も手を打たずに、何かものがおさまってきてからぼそぼそものを言う程度で終わったんでは、全く林野庁として何をやってきたのか、これは国民にたいへんその責任が追及されていいのではないか、こんなふうにも思いまして、いろいろと大手商社、そしてそれをささえている金融資本、そしてそういうものを規制しなければならない立場にある行政庁の責任、あわせて、いま大きく国民の批判を浴びている状態にあるのではないか、その辺のところももっともっと掘り下げていただきたいものだ、また、追及していただきたいものだというふうに思います。  結論として、和田先生のおっしゃった当初の問題提起につきましては、私どもは全くそのとおりだと考えているところでございます。
  75. 山中吾郎

    山中委員長 これにて予定質疑者の質疑は終了いたしました。  なお、二十分程度をめどとして、申し出があれば質疑を許します。松浦君。
  76. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまお話を聞きましてたいへん参考になったわけですが、ただ一つここで、商社の方への質問を中心にしまして、政府のほうにちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。  実は私の手元に、この前現地調査を各委員でいたしまして、資料要求したものが来たわけです。大蔵省の通関統計、それから大蔵省の通関による輸入総額、これを具体的に調べてみますと、四十七年の月別米材で、四月期に百三十四万立方メートル入ってきております。金額にいたしまして二百六億九千七百万円。さらに通関統計、米材、十二月輸入総量が百十一万立米メートル、金額にして百八十五億二百万円であります。これを単位当たりに直してパーセンテージを見ますと、昨年の米材輸入価格が通関統計で、十二月では荒で約一二%程度上昇しております。四月期よりも単位当たりにして米材が一二%程度の上昇ということに、通関統計の数字から出てくるのです。ところが、これを東京木材市場価格で米材を中心に調べてみますと、昨年の四月から十二月にかけて、何と二・五倍近くも価格が上がっておるわけですね。輸入価格が一二%上がると、末端市場価格で二・五倍もぱっと上がるという状態が、この通関統計自体で見てもわかるのです。  ですから、この際ぜひ林野庁のほうにお聞きしておきたいのは、こういった価格の高騰という問題は、昨年の十月から出てきてたいへん騒がれているのです。具体的に大蔵省の通関統計というものを調査して、そしてこういったものを参考にしたことがあったのかなかったのか、その点をお尋ねしておきたいことが一点。  それから、先ほど松本参考人からお話になりましたように、大手商社輸入材の七割を占めてしまっておる。しかも市場価格に対しても相当な影響力を持つようなインティグレーション、垂直的な統合というようなものまで完了しつつある。だとすると、これは明らかに独禁法という問題にかかってくると思うのです。  そこで、公正取引委員会の方が来ておられるならお聞きしたいのですが、独禁法四十条による一般調査権の発動というものを現在やっておられるのかどうか。やっておられるとすれば、木材に関して四十条の結果というのはいつ出るのか、その点をひとつ、これからの資料として必要ですから、この際お答えをいただいておきたい、こういうふうに思います。
  77. 吉田雅文

    ○吉田説明員 ただいま先生の御指摘の、通関価格市場価格との差が非常に大きいというような御指摘でございますが、ただいまの通関価格での価格と申しますと、米材につきましても樹種別それから規格別、非常に多くの種類が全部込みになった価格であると思います。その価格とそれから特定の樹種との比較ということになるわけでございますが、そういうことになりますと、樹種とそれから規格が合いませんと比較もなかなかむずかしいというようなことで、実は、私どものほうでそういうような比較をすればおよそのことはわかるわけでございますけれども、樹種、品等それから規格によりましてかなり差があるということで、そういうこともなかなかむずかしい面があるというふうに考えております。
  78. 三代川敏三郎

    ○三代川政府委員 公正取引委員会といたしましても、三月の上旬から、まず最初に通産省から資料をいただきまして一般的な説明、引き続き関連する団体、たとえば日本合板工業組合連合会でありますとか日本木材輸入協会でありますとか、あるいは日本外材総合需給協議会でありますとか、そういった団体から事情を伺いまして、それからまた引き続き商社四つほどから事情を伺いまして、そういったような知識をもとにいたしまして、三月の下旬に至りまして、大手の輸入業者十三社に対しまして報告提出を依頼いたしました。その提出期限が三月末ということで、現在まだ五社ほどしか出てきておりませんので、それにつきましてはさらに督促をいたしております。
  79. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私ばかりで申しわけないのですが、郡司参考人にもお願いしておきたいのですがね。独禁法による四十条の調査権を発動いたしまして、三月三十一日までに回答してくださいといま出しておるにかかわらず、五社しか回答がないというんですよ。そういうことになりますと、極端に言うと、現在の独禁法による四十条の調査権すら商社が応じないということになれば、思い切ってきびしい法律をつくらなければこういった問題に対しては商社は全然応じないという態度を、はからずも、いま部長が明確にしたと思うのです。公取という機能が、三月三十一日という限定をして四十条の調査権を出したにかかわらず、商社はそっぽを向いておって、五社しか出さない。あとは知らぬ顔しておるというのですから、そうなってくれば、やはり法的規制をきびしくして、商社からもっとはっきりしたものが出る、あるいはもっとはっきり調査しなければならぬというようなことが、裏返しとして出てくると思うのですよ。なぜ、そういった四十条による調査権にすら回答しないのか、その点をひとつ郡司参考人にお聞きしたい。  それからもう一つ政府はこうあるという日報を見ればいいんですよ。調べようと思えば調べられるんです。日報を一つ一つ見れば。それをあなたたち、していないだけでしょう。あなたの答弁は、調査しようという気持ちが初めからなかったのじゃないか。だから調べなかったということじゃないですか。言いわけされたけれども、私はそう思いますね。
  80. 郡司章

    郡司参考人 私、会長でありますけれども日本木材輸入協会に対してそういう資料の提出要求があったことは、私は事務局から聞いていないのですが、公取の方にお伺いしたいのですけれども、それは、日本木材輸入協会にそういう文書でもってお出しになったのですか、あるいは個々の商社にお出しになったのか、ちょっと伺いたいと思います。
  81. 三代川敏三郎

    ○三代川政府委員 個々の商社十三社に対して出しております。
  82. 郡司章

    郡司参考人 そうすると、いまの答えは、輸入協会に直接御照会があったのではありません。
  83. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃちょっとお願いをしておきますが、あなたのところに加盟しておる業者、大手十三社に出した。その商社は全部あなたのところに入っておるわけです。現に入っておるわけでしょう。そのうち五社しか回答がなかった、こういうふうに、私の言っていることは訂正しますけれども、現実になかったことは事実ですから、あなたの会員の中から。
  84. 郡司章

    郡司参考人 私のほうに照会のあったことは私存じませんものですから、注意させます。
  85. 山中吾郎

    山中委員長 小林政子君。
  86. 小林政子

    ○小林(政)委員 参考人の方にお伺いをしたいと思いますけれども、特に最初郡司参考人にお伺いしたいと思います。  今度の木材価格の急騰の問題については、先ほどの御説明の中でも、いわゆる住宅事情というもので非常に需要が高まってきた、ここに価格が高騰してきた一つの大きな原因があるのだという意味のお話がございましたけれども、その反面また、今度は品不足ということではなくて、輸入量は対前年比でも伸びている、そして大体平均二カ月は在庫量としてもこれを確保してあった、こういう意味の御説明がございましたけれども、こういった中で価格が非常に急騰したということは、これはどう考えても、私どもいまいろいろお話を伺っておりましたけれども、一体根本原因がどこにあるのかという点ですね。この点については、いままでの各参考人の皆さま方のお話の中でも、結局は、輸入量の大半を押えているのが商社である、膨大な資金を握っているのも商社である、したがって価格操作ができる大きい力を持っているものはおのずからもうはっきりしているではないかというふうに、私どもはお話を承っていたわけですけれども、この点について郡司参考人が、ここのところにほんとうに根本的な原因があるというふうにお認めになられるのでしょうか、お考えをお持ちなのでしょうか。  そしてまた、その問題について、私は、商社のこの利潤といいますか、もうけているものをもっとこれを減らしていくといいますか、価格を下げていくというようなことが当面の措置としては当然必要じゃないかというふうに思いますけれども、この点についても見解をお伺いいたしたいと思います。その点については、これは郡司参考人だけではなくて、簡単でも、各参考人の皆さま方にも一言ずつお答えをいただきたいと思います。  それからもう一点は、海外市場価格がたいへん上昇を続けていることが一つの理由になっているということでございましたけれども、私どもいろいろお話を聞くと、海外市場価格をつり上げているのも、実は日本商社が相当買いあさりをやっておるということがいろいろなところでいわれております。この問題について皆さまのほうでは具体的にどのように受けとめていらっしゃるのか、その点についてもひとつお聞かせをいただきたいと思います。  それから合板の問題につきまして、先ほど楠参考人でございましたか、お話がございましたけれども、私どもお聞きしたのでは、大工さんや棟梁がほとんどこれがなかなか手に入らないというような現状を聞いておりますけれども、この需要関係について、具体的には製造が間に合わないというのか、それとも商社のほうに渡る率とかその他どのようなところから、こういう実際に必要としている棟梁やその他の人たちの手にこれが入っていかないのか。やはりこれも非常に価格が高騰しておりますけれども、これらの点についても、ひとつ納得のできるお話を伺わせていただきたいと思います。
  87. 郡司章

    郡司参考人 外材の六十何%を大手商社が扱っております。したがって、そういう大手商社の寡占的な力が作用して暴騰を来たしているのではないかというような御質問かと思いますが、先ほど申しましたとおり、私ども、昨年の秋以来の木材暴騰というものは、そういうコストから上がっているとかあるいは商社の操作によって上がったというのではなくて、末端需要から上がってきたということは、これはぜひともお認め願いたいと思います。それについて裏にそういう別な操作があったかどうかということになりますならば、私もそこまで調べてありません。幸い公取のほうにおいて職権をもってお調べになるのでありまして、ほかの商品と同じように、そういう職権をもって調べて、その結果によってやらないと、私のところには——私は、そういう木材について買占め、売惜しみということはなかったものと思っております。  それから、海外において日本商社が買いあさりをしたその程度の問題、確かに一部においてそういう非難、アメリカあたりの新聞にもそういうことが載っておりました。われわれは、常に商社をそういうことについて戒めておるわけですが、しかし、やはりある数量を持ってくるためには、そういう日本需要に応じたものを持ってきようと思うと、そういうことです。商社間にそういうふうな横の連絡というか、あるいは打ち合わせがあるならば、そういうばかなこともないと思いますが、残念ながらやはり自由競争によって、商社の競争というのは非常に激しいのです。私は、個々の商社ばかりでなく、あらゆる会合において、社会的な責務というものを商社は認識してやっていただきたい、やはり需給のアンバランスがすべての原因であるから、そういう意味においての指導はしたのですけれども、私どもは先ほど申し上げたとおり任意団体でありまして、各商社に割り当てもできません。昔のように通産省において外貨の割り当てを行なったわけでもありませんし、自由に輸入商社は——輸入したものは昨年は百四十五社もありました。大手もありますけれども、大中小たくさんあります。そういうわけで、私どものただ精神的な訓辞だけでは行なわれないことについては、私の力の足りないことを認識しておる次第でございます。ですから、具体的なことにつきましては、やはり公取その他のお調べを待った上で事実を認識していただくほかはないと思います。
  88. 楠正二

    楠参考人 まず、輸入原木の上がったことについてでございますが、私どもの関係いたしておりますのはラワン原木でございます。これについて私なりに申し上げたいと思いますが、上がっております原因が四つあったんじゃないか、私はこう思っております。  一つは、合板不況期等の時期において、生産地では、その需要が非常に伸びるものとして期待しておったのに、日本の買い付けが減りましたので非常にだぶつきまして、むしろ生産地で買いたたかれておったという時期が確かにあったと思います。そこの回復と申しますか、償いというのが一つあったと思います。  それから、先ほど来郡司さんがおっしゃっておられます国際的な需給のバランスが非常にタイトになっている。カリマンタンあたりへもフランスあたりからも買いに来ておるというような状況等、そういう事情一つあったと思います。  それから三番目には、確かに合板は、原木が上がったから上がったとは申しませんけれども合板が先ほども申しましたように需要主導型の形で、われわれの力も及ばなかったのですが、自粛を内部に求めたにもかかわらず、大勢に流されてここまで上がったわけでございますが、そういう国内製品価格が上がったという形で商社がこれに応じて原木を上げてこられたということは、私はっきりいえると思うんです。  それと第四点は、やはりそういう国際競争が非常に激しい中で大量の買い付けをしなければならぬということになると、ほんとうの話、商社ごとにも相当の競争をなすったろうと思います。そういう点で上がった分もあろう。  大体、ラワン原木については四つの要因が原木を押し上げたものだ、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから、大工さんの末端需要に対しまして合板が行き渡ってなくて非常に御迷惑をかけておるということについていかがかという御質問でございます。確かに昨年十二月あるいは一月ぐらいには、そういう時期が相当あったかと思います。少なくとも現在においては、大体末端の手当て買いも行なわれつつある、あるいはまた、一巡しておおむね済んだんじゃないか、当面必要なものだけは御入手いただいたんじゃなかろうかという段階に私来ていると思っておりますので、現状においては、御質問のような点は事実ないんじゃないかというふうに私ども考えておるのでございます。したがいまして、価格も、来月以降はむしろ下落の方向へ向かうんじゃなかろうか、こういうように、かなり自信を持って私ども考えております。  間違っておれば、再度詳しく御説明をいただきたいと思います。
  89. 松本善治郎

    松本参考人 昨年の秋に需要が集中いたしまして、需給のアンバランスからまず製品価格が上がったということは事実だと思います。しかし、それに対応して、あれだけあった原木製品化してどんどん出すというような点につきましては、少しテンポがおくれたと思います。といろことは、やはり、これから上がるだろうという思惑がからみまして、それではもう少したってから出したほうがいいだろうという、要するに製品を出す時期をおくらせるというような機運もありましたし、そういうことが商社が関連したかどうか、その点はわかりませんけれども、そういうことで、むしろ需要があったときに供給がそれに対応していかなかった。そこで、どうしてもそこの需給ギャップの大きくなったということはあり得ると思います。国産材につきましても、それまで、先ほど申しましたとおり非常に不況にあえいでおりましたので、幾らかでも高く売れればという気持ちがあったものですから、急激な上昇に対しては、それじゃもう少したったらもっと高く売れるだろうというような思惑も働いたと思います。そういう意味で、実はこれは仮需が起こったというよりも、供給側についてそういうような製品出荷のためらいも生じたということも事実ではないかと思います。それが価格を押し上げたということだろうと思います。  したがいまして、気違い相場と十一月申しましたが、それが起きて、一時的でございますが、需要がぱっと減ったというときになりますとむしろ製品出荷がふえて、そして現在ではむしろ供給のほうが多いぎみになっておるというふうな状況になったわけでございます。したがいまして、確かに需要が急激に集中してそこで製品価格が上がったということも事実でございますが、その後におきましては、やはり供給側の事情というものもかなりそこに生じてきたということではないかと思っております。その辺のところをうまくバランスをとるような措置がとれれば、もう少し価格が安定するというふうに考える次第でございます。
  90. 唐沢平治

    唐沢参考人 第一の点ですが、もう言うまでもなく、とにかくこの投機の張本人、そして木材高騰の元凶、たいへん、こういう場で適切な表現かどうか知りませんが、とにかくその張本人はもう大手商社にある、私どもはそういうふうに見ております。単に見ているだけではなくて、先ほども申し上げましたように、通産省が発表いたしましたあの遠慮深い調査でも、四十七年度の前半と後半とを比較いたしますと、販売量においても金額においても売却利益におきましても、とにかく明々白々、数字でもってもうあらわれておるわけであります。四十七年の前半に販売量が一千百万立米、そして金額にして一千四百四十九億、そして売却利益が五十七億。しかし後半になりますと、販売量が七百三十五万立米程度に減っていながら金額は一千二百二十四億、そして売却益が百四十九億。こういう事実を見ただけでも、まぎれもなく張本人は大手商社だ、このように思います。また、間違いないと思います。  さらに、今日ほど大手商社あるいは大企業への信頼感が国民から薄れている時期はない。その辺のところを全く企業自身が感じていないところに問題がある。一片の正義も、一片の道義感も、一片の社会的責任感もないというところを、私どもは鋭く追及したい。やはりそのことを私ども自身、消費者自身がもっともっと声を大きくして叫んでいき、音をたてていかないと、とても一度や二度どなったり押しかけたぐらいのことで直るものじゃないという気が自分自身はするわけでありますが、しかし、そういう直接的な行動に加えまして、もっともっと制度的にこれらを規制する方法というものを考えていただきたい。そういう意味で、最初に申し上げましたように、投機取締法というようなものがこれから議論をされるようでありますけれども、いわゆる勧告程度、そして公表程度、それで罰金がせいぜい二十万程度、そういうようなもので一体この規制ができるのかどうか。国民はそういうものについて、全然そんなことでできるはずはないというふうに思っていると思います。ですから、もっと強力に、こういう大手商社の反社会的なやり方について、もっと法律的にも制度的にも徹底的に追及して、国民が納得できるような、国民の疑惑を一日も早く晴らすような、そういうものをやはり政治の場でも早急に打ち立てていただきたいものだ、このように考えておるところでございます。  なお、現地でどうかということでございますが、これはある確実な資料によりますと、専門家も現に、産地での商社の激しい買い付け競争が輸入価格上昇につながる面があるということを、はっきり言っているわけであります。ですから、現地では、私ども行ったことはありませんが、アメリカにしてもカナダにしても、かなり商社が集まって激しい買い付け競争が行なわれて、それで全体としてこの価格を上げているということは間違いない事実ではないか、このように思うわけであります。ですから、そういう面から見ましても、大手商社が、単に需要の関係で値段が上がったとか何だとかという言いのがれは、おかしいわけでありますし、売惜しみ、買いだめはしてない、そのこと自身もきわめておかしい、こういうことになるわけであります。  第三の、どうすれば品物が渡るか、こういう点についてでありますが、これはむしろ逆に私ども、特に私たちの団体としてはそれがなくて困っているわけでありますから、行政面でもあらゆる方法で、とにかく早く解決してもらわないことには——私どもは一日も早く、自分たちの技術を提供していい家を早く建てたい、そして国民の皆さんたちの住宅建設の大きな仕事の一端をになっていきたい、そう思っているにもかかわらず、材料がない、したがっていい仕事ができない、材料を落とす。こういうことは気持ちの上でやり切れない。そういうものを早く解決してほしいという気持ちで一ぱいなんです。そこを早く政治の場で取り上げてもらわないことには、私どもの仲間たちもいい仕事ができなくなります。いい仕事ができないばかりか、国民の間で、大工が悪い、左官が悪い、これではとても私どもは泣き切れない。むしろ悪い者はほかに一ぱいいるのに、直接仕事ができない、仕事がおくれる、それで大工が悪い、左官が来ない、そういうことでやられるのはかなわない。そういうところを早く解決してもらわないことには私どもは救われない、こう思っているわけであります。  そして私はやはり、幾つかいろいろと申し上げましたけれども、正式に請願として申し上げております、この大商社への規制の問題、あるいは国有林の放出の問題、あるいは公的な流通経路の問題、こういうものを早急に具体化していただく。それから企業自身がほんとうに社会的責任を痛感をして、ほんとうにいま国民が何で困っているのか、また国民の恨みというものはどんなに深いものかということを、企業自身がほんとうにえりを正して考え直し、反省をして、具体的に国民の苦しみにこたえないととんでもないことになるのではないか、このように考えているわけでございます。
  91. 山中吾郎

  92. 稲村利幸

    稲村(利)委員 先ほどから参考人意見をもっともだと思い、聞いております。政府委員のそれぞれの答弁を聞いておりまして感じますことは、私、自民党の商工部会員に属しておよそこの一月間、物価の高騰、投機の問題、売惜しみ、買占めの問題について協議をしておるものでございますが、一番私が感じますことは、私、自民党の立場で感じますことは、政府行政指導が特に怠慢である、そして非常に受け身の形で、行政優先といわれながら、参考人政府意見の疎通がとてもとれていないということを特に感じます。そして、政府のいまの一番の政策は住宅政策にあるわけですが、その住宅政策に一番関係のある木材、建設資材が一番上がっている。そして、きょうの参考人の中の唐沢さんの意見を聞いていて、大工さんの家族の自殺やその他、私も一番感じているところであります。イデオロギーを抜きにして——こういう会議自体も全くどろなわ的で、ほんとうに見るにしのびないところでございますが、私は特に政府委員の率直な、積極的な、受け身でない、こういう参考人との連絡、行政指導、ほんとうに誇りをもって公取の方なんかには手を入れてもらいたいし、商業倫理、そういうものをこの際党派を抜きにして確立していきたい、こう思いますので、特に政府委員のだれか代表の方の意見を求めたいと思います。
  93. 斎藤誠三

    ○斎藤説明員 本日は、われわれ役所のベースではなかなか得がたいいろいろな御意見参考人の方からお受けいたしまして、経済企画庁も農林省ともいろいろ連絡をしてやっておりますが、そういった水準を越えた貴重な御意見をお聞かせいただく機会を得ましたことを、たいへんうれしく思います。  企画庁といたしましても、農林省と今後十分連携をとりまして、いろいろな御意見、本日出ましたいろいろ複雑な要因があるようでございますので、さらに詰めまして、政府としてと申しますか、役所としての見解を取りまとめ、今後適切な措置を講じたいと思います。  なお、買占め、売惜しみ等につきましては、すでに緊急措置法も国会に提案いたしておりますので、われわれとしてはできる限り早期に成立させていただきまして、いわゆる商社問題等につきまして適切な手が打てるととを念願いたす次第でございます。
  94. 三代川敏三郎

    ○三代川政府委員 公正取引委員会といたしましては、買占めが独占禁止法に違反するような行為に基づくものでありますならば、きびしく取り締まっていきたいと考えております。
  95. 山中吾郎

    山中委員長 これにて質疑は終了いたしました。  本日は、参考人各位には、お忙しいところ長時間にわたり御出席をいただきまして、また貴重な御意見をお述べくださいまして、まことにありがとうございました。ここに委員会を代表して厚く御礼申し上げます。  次回は公報をもってお知らせすることにし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十八分散会