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1973-11-09 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第57号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十八年十一月九日(金曜日) 午前十時四十二分
開議
出席委員
委員長
佐々木義武
君
理事
仮谷 忠男君
理事
坂村
吉正
君
理事
藤本 孝雄君
理事
山崎平八郎
君
理事
渡辺美智雄
君
理事
柴田 健治君
理事
美濃
政市
君
理事
津川 武一君
江藤
隆美
君 笠岡 喬君
金子
岩三
君
吉川
久衛
君 熊谷
義雄
君
國場
幸昌
君
佐々木秀世
君
島田
安夫君 菅波 茂君 丹羽 兵助君 西銘 順治君
三ツ林弥太郎
君 森下
元晴
君 安田 貴六君
保岡
興治
君
井上
泉君
上原
康助
君
角屋堅次郎
君
島田
琢郎君
竹内
猛君 野坂 浩賢君 馬場 昇君 湯山 勇君
米内山義一郎
君
瀬長亀次郎
君
中川利三郎
君
瀬野栄次郎
君 林
孝矩
君
安里積千代
君
神田
大作
君
出席国務大臣
農 林 大 臣
櫻内
義雄
君
委員外
の
出席者
経済企画庁長官
官房参事官
有松 晃君
環境庁自然保護
局鳥獣保護課長
仁賀 定三君
環境庁水質保全
局土壌農薬課長
遠藤 茂君
沖繩開発庁総務
局企画課長
亀谷 礼次君
外務省欧亜局長
大和田 渉君
大蔵省主計局主
計官 宮下 創平君
農林政務次官
中尾
栄一君
農林大臣官房長
三善 信二君
農林省農林経済
局長
内村 良英君
農林省構造改善
局長
大山 一生君
農林省農蚕園芸
局長
岡安 誠君
農林省畜産局長
大河原太一郎
君
農林省食品流通
局長
池田 正範君
食糧庁総務部長
杉山
克己君
林野庁長官
福田 省一君
水産庁長官
荒勝
巖君
建設省道路局高
速
国道課長
山根 孟君
自治大臣官房参
事官
栗田 幸雄君
農林水産委員会
調査室長
尾崎 毅君 ――
―――――――――――
委員
の異動 十一月五日
辞任
補欠選任
稲富
稜人君
安里積千代
君 同月九日
辞任
補欠選任
金子
岩三
君
江藤
隆美
君
白浜
仁吉
君
國場
幸昌
君
長谷川
峻君
保岡
興治
君
井上
泉君
上原
康助
君
中川利三郎
君
瀬長亀次郎
君 同日
辞任
補欠選任
江藤
隆美
君
金子
岩三
君
國場
幸昌
君
白浜
仁吉
君
保岡
興治
君
長谷川
峻君
上原
康助
君
井上
泉君
瀬長亀次郎
君
中川利三郎
君 ――
―――――――――――
九月二十七日 一、
森林法
及び
森林組合合併助成法
の一部を改 正する
法律案
(
内閣提出
第一一九号) 二、国が行なう
民有林野
の分
収造林
に関する特 別
措置法案
(
芳賀貢
君外十名
提出
、
衆法
第一 七号) 三、
農林水産業
の
振興
に関する件 四、
農林水産物
に関する件 五、
農林水産業団体
に関する件 六、
農林水産金融
に関する件 七、
農林漁業災害補償制度
に関する件 の閉会中審査を本
委員会
に付託された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
農林水産業
の
振興
に関する件(
米穀
の
政府
売り
渡し価格
及び麦の
標準売り渡し価格改定
に関す る問題並びに
砂糖きび価格問題等
)
派遣委員
からの
報告聴取
――――◇―――――
佐々木義武
1
○
佐々木委員長
これより
会議
を開きます。
農林水産業
の
振興
に関する件について
調査
を進めます。 先般、
農林水産業
に関する
実情調査
のため
沖繩地方
に
委員
を派遣したのでありますが、この際、
派遣委員
より
報告
を聴取いたします。
吉川久衛
君。
吉川久衛
2
○
吉川委員
沖繩県
における
農林水産業
の
実情調査
のため、
佐々木義武委員長
、
美濃政市
君、
竹内猛
君、
中川利三郎
君、
瀬野栄次郎
君、
神田大作
君と私を加えた七
委員
よりなる
調査団
を編成し、去る十月二十一日から二十五日までの五日間にわたり現地の
実情
を
調査
してまいりましたので、その概要について御
報告
を申し上げます。 まず、
調査
の
日程
について申し上げます。 第一日は、空路、
沖繩本島
に入りまして、
沖繩開発庁沖繩総合事務局
において、
局長
、
農林水産部長
から
沖繩県
の
農林水産業全般
にわたる現況を聴取し、
沖繩農林水産業
の
振興
について
意見
の交換を行ない、引き続いて
南部地区
の
農業地帯
、
糸満漁港等
の
調査
を行ないました。 第二日は、
沖繩県庁
を訪れ、
沖繩県
の
農林水産業
が当面している諸問題について、知事、
県農林水産部長
から
概況説明
を聴取し、続いて、
沖繩県
の
農林水産団体
の
代表者
との懇談の場に臨み、数多くの
陳情
を承った後、空路、
石垣島
に飛び、
大川地区
で
肥育牧場
を、また
川平地区
で
県水産試験場等
を視察いたしました。 第三日は、はんな岳に登り、
国営土地改良事業予定地
を一望し、
熱帯農業研究センター
を訪ねた後、
西表島
に渡り
国有林野
の
管理運営
の
状況
をつぶさに
調査
し、
石垣島
に帰島いたしました。 第四日は、
石垣島
より
空路本島
に帰島し、
本部半島
の
海洋博予定地
、今帰仁村の
土地改良地区
、
経済連
の
パイン工場
を視察いたしました。
最終日
の第五日は、
経済連
の
市場
、
食肉センター
、
県農業試験場
の視察を行ない、
かなり
の
強行日程
でありましたが全
日程
を
予定
どおり
消化し、
沖繩
の美しい自然ときれいな海を
あと
にした次第であります。 すでに御承知のとおり、
沖繩
は、
わが国最南端
に位置し、大小七十余の島嶼からなる県でありまして、地理的、地形的にも不利な上、
台風
の常
襲地帯
という過酷な
気象条件
にさらされ、しかも、昨年五月の
本土復帰
まで二十七年間の長い年月、
本土
との隔絶があり、政治、
経済
、
社会等
各分野において
本土
との間に著しい
格差
が生じております。
復帰
後、
沖繩県
ではおくれた
社会資本
の
充実
をはかるため、数多くの
公共事業
が行なわれ、また、今日では
復帰記念
の
国家事業
としての
海洋博
が
予定
されていることから、
海洋博
及びこれに関連する
事業
が急速に進められておりますが、このようなことから、
物価
、賃金、地価の
高騰
が見られ、また
農業労働力
が吸収され、
農業経営
の
粗放化
、
サトウキビ
の
収穫放棄等
が見られるなど、
農林水産業
にも多大の
影響
を与えております。
沖繩県
の
農業
を概括いたしますと、
農家戸数
六万戸、
耕地面積
四万八千ヘクタール、
農業就業人口
九万三千人で約三百三十億円の
農業生産額
をあげ、
県経済
の全体の中で
農業就業人口比
は二四%、純
生産額比
六%とその比重は小さいが、県内で消費される野菜八〇%、卵一〇〇%、肉類七〇%等を
供給
し大きな
役割り
を果たしております。
農業生産
の特徴は、
亜熱帯性気候
に適した、
サトウキビ
と
パイナップル
を
主要作物
とする単一的な
農業
と豊富な
草資源
を利用した
畜産
が営まれております。
サトウキビ
、
パイナップル
は
干ばつ
や
台風
に比較的強く、しかも
沖繩産粗糖
や
パイナップルかん詰め
に対しては
特恵措置
もあって、従来から
安定作物
とされてきたのでありますが、
サトウキビ
については、
作付面積
で六三%を占めているものの、近年、
作付地
の壊廃、
労働力
の流出と
質的低下
による
長期株出し
など
生産
の
粗放化
が進行し、さらに
土地基盤
の未
整備
、
収穫機械
の
開発普及
がおくれていて、
生産
は停滞しているといわれております。 しかし、
サトウキビ
は、
沖繩
の全島で栽培され、
本土
の米作にも匹敵する
沖繩農業
の
基幹作物
でありまして、その
生産振興
をはかることはもとより必要でありますが、当面の問題として、
昭和
四十八年産の
サトウキビ最低生産者価格
については従来の
パリティ方式
による
算定方法
を、米の場合と同様、
生産費
及び
所得補償方式
による
算定方法
に改め、
現行価格トン当たり
六千九百五十円を一万三千円以上とするよう、県、市町村、
農業団体等
からの強い
要請
を受けました。われわれは、その
価格決定
のいかんによっては
沖繩農業
全体に及ぼすものきわめて大であるとの認識に立ち、
生産費調査
の分析を行なった上で適正な
価格
を見出し、その
引き上げ
に努力することを約束してまいったのであります。
パイナップル
の
生産
については、主として
本島北部
、八重山で栽培され、
優良品種
の
普及
、
開花促進剤
の
適正使用等
につとめているとのことでありますが、
古株園
の増大や
薬剤処理
による樹勢の衰退、
台風等
によって近年は
減少傾向
にあるといわれております。
パイナップル
は、
国際商品
として対抗できるだけの
品質改良
が当面の大きな問題でありまして、
農業試験場等
における
試験研究
の
充実
が大いに期待されるのであります。また、
韓国人
の
導入等
、
パイン工場
に働く女工さんの確保についての
要望
がありました。
畜産物
の
生産
につきましては、旺盛な需要にささえられ順調に
拡大
し、中でも
肉用牛
、豚、鶏は、
飼養規模
の
拡大
を伴いながら、全体として
飼養頭数
は増勢を示しており、将来大いに有望視されております。しかし、
草地
の
改良造成等
粗
飼料生産
の
基盤整備
、
家畜
の
改良増殖等
の立ちおくれが見られ、また、
干ばつ対策
など問題も少なくないとされております。 このようなことから、
導入牛
の
購入補助単価
の
引き上げ
、
草地開発事業
に対する
国庫補助率
の
引き上げ
、あるいは
牧野ダニ
の
駆除等
について、国は特別の
配慮
をしてほしいと
要望
されました。 また、
昭和
四十六年の大
干ばつ
により
農作物等
が被害を受け、
家畜
が大量に死亡したとの
報告
を受けたのでありますが、このようなことを繰り返さないため、
ため池等
の
貯水施設
の
整備
につとめ、水の
有効利用
をはかっていくことが
沖繩農業
の
振興
のため、特に必要であると考えた次第であります。
林業
につきましては、戦災と戦後の乱伐により山は荒廃しているといわれ、
林業生産
の立場からは今後の
森林生産力
の高揚にまつほかはありません。われわれ一行は、
西表島
で
国有林野
の
管理運営状況
を
調査
したのでありますが、そこでは、島全体が
国有林
という状態でありましたが、
国立公園
の
指定
を受けている
関係
もあって、
現状保存
の
管理
がなされ、
積極的施業
の展開は見られず、
派遣委員
の中から、ここには林政がないのではないかとする
意見
が出たほどであります。 また、
同島
にはイリオモテヤマネコが生息し、また
仲間川等
の流域を中心にヒルギの
原生林
が繁茂し、すばらしい
自然景観
ではありましたが、
地元住民
から、現在、
環境庁
の意向などもあって、工事が中断されている
西表縦貫道路
の建設について
陳情
を受け、
観光開発
の
必要性
を訴えられました。
自然保護
の
重要性
は十分認識しながらも、
わが国最南端
の離島で
過疎化
の一段と進んでいるところでもあり、ある程度の
開発
を行なうことが
同島
で生活する人々にとって必要ではないかと感じた次第であります。 また、
同島
では、戦前強制的に入植させられた
開拓農民
から、当初の
計画どおり無償
で
国有林
の払い下げを行なってほしいとの強い
要請
と、
行政当局
に対する強い不満がわれわれ
調査団
に開陳されました。 しかし、この問題は
沖繩県
の置かれた
行政
の複雑さや
歴史的経過
もあり、
熊本営林局
に対し、よく
調査
し
要望
に沿う線で解決するよう指示してまいった次第であります。
漁業
につきましては、われわれはすばらしい
糸満漁港
を見、さらにその将来
計画
の
説明
を受けたのでありますが、
一般
的には
漁港
の
修改築等
、
漁業生産基盤
の
整備
及び
流通施設
の
整備
が立ちおくれておりまして、
沖繩
の恵まれた
立地条件
を生かすためにも、その
整備
を重点的に推進する必要を痛感してまいりました。また、
海洋博あと地
の
有効利用
の
方法
として海洋
開発
センター的なものとして残すよう
要望
されてまいりました。 以上のようなことから、
農林土木事業
、
漁港整備事業
その他の
公共事業
の
施行
について予算の増額をはかるほか、
基盤整備
の
補助率
の
引き上げ
、
採択基準
の緩和、
流通施設
の
整備等
について
沖繩
の
実情
をしんしゃくして特別の
配慮
をしてほしいとの強い
要請
を受けてまいりました。 以上、簡単でありますが、御
報告
申し上げます。
佐々木義武
3
○
佐々木委員長
以上で
報告
は終了いたしました。
派遣香貝各位
にはたいへん御苦労さまでございました。 ――――◇―――――
佐々木義武
4
○
佐々木委員長
この際、
米穀
の
政府売り渡し価格
及び麦の
標準売り渡し価格
の
改定
に関する
諮問
について、
政府
から
説明
を聴取いたします。
中尾農林政務次官
。
中尾栄一
5
○
中尾説明員
すでに御案内のとおり、七日から米審が始まっておるわけでございます。本日その答申の
予定
になっておるわけでございますが、その
諮問
に関しまして少しく
総務部長
をして
説明
を申し上げたいと思う次第でございます。
杉山克己
6
○
杉山説明員
総務部長
でございます。 まず
諮問
でございますが、お手元にお配りいたしました資料の一番上でございます。
諮問
の本文を朗読させていただきます。 最近における
食糧管理
の
運営
の
実情
、
家計
の
向上等
にかんがみ、
米穀
の
政府売渡価格
及び麦の
標準売渡価格
を
改定
する必要があると考えられる。これについて
米価審議会
の
意見
を求める。
昭和
四十八年十一月七日
農林大臣
櫻内義雄
次に、
諮問
についての
説明
でございます。これも朗読させていただきます。
米穀
の
政府売り渡し価格
は、
食糧管理法
第四条第二項の
規定
により、
家計費
及び
物価
その他の
経済事情
を
参酌
し、
消費者
の
家計
を安定させることを旨として定めるべきこととなっております。 現在、
米穀
の
政府買い入れ価格
と
政府売り渡し価格
とは大幅な
逆ざや関係
にあり、特に
昭和
四十八年
生産者米価
の
決定
後におきましては、
政府買い入れ価格
と
政府売り渡し価格
との
売買
逆ざや
はかってない大幅なものとなっており、これにより
標準価格米
をとってみた場合、昨年の
政府売り渡し価格
の
改定
に伴いほぼ解消された
末端逆ざや
もまた大幅に
拡大
しております。このような大幅な
逆ざや
は、本来の物の
コスト
を反映しないひずみのある
価格関係
であり、
米穀
の
自主流通
の発展の阻害、
不正規制流通
の
誘発等米穀管理
の健全な
運営
に重大な支障を生ずるおそれがあり、また、
米穀管理
だけでも優に六千億円に達する
財政負担
を要することにより、
財政面
からも大きな問題を生ずることとなりますので、でき得る限りその
是正
につとめるべきものと考えられます。 一方、最近の
消費者家計
は
かなり
の
伸び
を示しておりまして、
家計
の
負担力
も
相当
に
向上
しているものと見られるのであります。
米穀
の
政府売り渡し価格
につきましては、
政府
は当面の
物価対策
上の
措置
として本
年度
中はその
水準
を据え置くことといたしたわけでありますが、このような
実情
にかんがみますれば、少なくとも
明年度
からはこれを
引き上げ
ることが必要と考えられます。また、
政府管理米
の適切な売却を進めるとともに、
米穀
の
自主流通
の
拡大
と
良質米
の
供給促進
に資するため、昨年の
政府売り渡し価格改定
の際に導入いたしました
価格調整措置
につきましては、実態に即して若干の手直しを加えつつ、これを踏襲することが適当と考えられます。なお、
社会保障的配慮
を必要とする一部の
消費者
に対しましては、この
引き上げ
の
影響
が事実上回避できるよう
政府
として別途
措置
を講ずることとし、検討を進めているところであります。 以上のような
考え方
に立って、
米穀
の
政府売り渡し価格
を
改定
してはどうかということであります。 麦の
標準売り渡し価格
について。 麦の
標準売り渡し価格
は、
食糧管理法
第四条ノ三第三項の
規定
により、
家計費
及び
米価
その他の
経済事情
を
参酌
し、
消費者
の
家計
を安定させることを旨として定めるべきこととなっております。 従来は、
麦類
の
供給
の大宗をなすに至っている
輸入麦
の
国際価格
が
長期
にわたって低
水準
で推移してきたことを背景に、
家計費
の年々の
伸び
及びたび重なる米の
政府売り渡し価格
の
引き上げ
にもかかわらず、麦の
標準売り渡し価格
は
長期
にわたり基本的には据え置かれまたは引き下げられてきているのが
実情
であります。 しかしながら、昨年夏以来の
国際穀物需給
の逼迫に伴い、最近の麦の
国際価格
は、昨年夏ごろまでの
水準
と
対比
すれば三倍以上という著しい
高騰
を示しており、
主要国
における新穀の
生産状況
がおおむね明らかとなった最近においても、今後なお
相当
の高
水準
で推移するものと見込まれております。これに伴い、麦の
輸入価格
も著しく上昇して、
売買
の
価格関係
は逆転し、
輸入麦
の
価格
に、
トン当たり
三万円に近い大幅な
逆ざや
を生じている
状況
にあります。このような
価格関係
を放置することは、一千億円にも達する
財政負担
を要することになり、
財政面
からの問題を生ずるのみでなく、
輸入農産物
についての
価格政策
のあり方として、大きな問題でありますので、極力その
是正
をはかる必要があると考えられます。 一方、
長期
にわたり麦の
標準売り渡し価格
を据え置きまたは引き下げてきた間に、
消費者家計
は大幅な
伸び
を示しているのでありまして、この間における
家計
の
負担力
の
向上
は、顕著なものがあると考えられます。 麦の
標準売り渡し価格
につきましては、本年六月、
国際市場
の動向を見きわめた上であらためて対処いたすこととして、その
決定
を見送ったのでありますが、上記のような
実情
にかんがみまして、麦の
標準売り渡し価格
を
改定
してはどうかということであります。 なお、麦の
標準売り渡し価格
の
決定
について
規定
している
食糧管理法施行令
についてでありますが、
供給
の大部分を
輸入麦
に依存している
状況
でありますので、
輸入麦
の
政府コスト価格
を
参酌事項
として明確化するとともに、
家計麦価
の
算式
について、
消費者家計
と
麦価
との
関係
をやや中期的に見るよう改め、さらに対
米価比
の
参酌
のしかたについての
規定
を修正する等
実情
に即した改正を別に御
説明
申し上げますように行なうこととしております。 次に、
米穀
の
政府売り渡し価格
の
改定内容
について御
説明
いたします。 第一に
引き上げ幅
でございます。一ないし四等の
玄米
について
平均
一三・八%の
引き上げ
を行なう。
水稲ウルチ
一~四等
平均
の
包装込み玄米
六十キログラム
当たり
の
現行価格
は七千八百六円でございます。これを一三・八%、金額にいたしまして一千七十七円
引き上げ
る。これによりまして
改定
後の
価格
は八千八百八十三円となります。 二番目に
価格調整等
でございます。その(1)といたしまして、
銘柄
間の
価格調整
は、本年の
銘柄指定
の
区分
に即し、
指定銘柄米
にかかる
加算額
を
玄米
六十キログラム
当たり
五百円、
特例銘柄米
にかかる
加算額
を同じく三百円に
改定
する以外は、従来
どおり
とする。その
現行
と
改定
後の
対比
が下に表となってお示ししてございます。ごらんいただきますように、
指定銘柄
、それから
特例銘柄
、これは
現行
では一本で、
一般
の米の
価格
に
プラス
四百円ということになっております。それに対しまして
改定
後は、
銘柄
を二つに
区分
いたしまして、
指定銘柄
と
特例銘柄
に分ける。そして、
指定銘柄
の分については五百円、
特例銘柄
の分については三百円の
加算
とするということにいたしております。それから、
一般
非
銘柄
は
標準
でありますから
プラス
、マイナスなし。それから
減額I
、
減額I
といいますのは、黒石を除く青森あるいは九州の
西南暖地
の十一月一日以降に売却されるそれらの米でございます。
そのもの
につきましては、二百円の
減額措置
、これを従来
どおり改定
後も二百円とする。それから
減額II
、これは北海道の米でございます。これにつきましては、
減額
六百円を
改定
後も同じく六百円にするということでございます。 (2)といたしまして
等級間格差
、これは従来
どおり
とすることにいたしております。 次に、三としまして
標準価格米
でございます。従来
どおり銘柄米
を除く一ないし四等米をもって
標準価格米原料
に充てることとし、その
小売り指導価格
は、
精米
十キログラム
当たり現行対比
二百二十円
引き上げ
を限度として
都道府県別
に定める。
一般
的、
平均
的には二百二十円
引き上げ
る。ただし、地域によっていろいろ
事情
もありますので、個別に若干の差を設けるという
考え方
で、これからその内訳を
決定
するということにいたしております。現在の
標準価格米
の
指導価格
は大都市、東京、
大阪等
にありましては、
精米
十キログラム
当たり
一千六百円ということになっております。これが二百二十円
引き上げ
られるわけでございます。 それから四番目は
徳用上米
及び
徳用米
でございます。
徳用上米
の
小売り指導価格
は
精米
十キログラム
当たり
一千五百円とする。
現行
が一千三百円でありますから、二百円の
引き上げ
となります。これは、
一般
の
標準価格米
が二百二十円
引き上げ
られるというのに比べますと、若干
上げ幅
は小さいということになります。 それからこれに対応しまして、五等
玄米
の
政府売り渡し価格
は、
小売り価格
をそういうふうに一千五百円とすることによって、
中間流通経費等
を算定しまして、逆算して
政府売り渡し価格
が計算されるわけでございますが、その
政府売り渡し価格
は、
平均包装込み
、
玄米
六十
クログラム当たり
六千七百五十九円にするということにいたしております。
現行
は、カッコの中にありますように五千八百四十九円であります。 それから二番目に
徳用米
の
小売り指導価格
でありますが、これは
精米
十キログラム
当たり
一千百三十五円とするということにいたしております。
現行
一千二十五円でありますので、
上げ幅
百十円ということになります。これは、
標準価格米
におきます
上げ幅
二百二十円の二分の一という
考え方
でこの
上げ幅
にいたすことにしたわけでございます。
指定銘柄
とか
特例銘柄
についてどういうものかということが佃で書いてございます。 参考といたしまして、いま申し上げましたようなことで
等級別
に、それから
指定銘柄
とか
特例銘柄
、
一般
非
銘柄
あるいは
減額I
、IIというように、米の
区分
によりまして、それぞれの個別の
基準価格
をお示しいたしますと表のようなことになるわけでございます。 それから
平均引き上げ幅
についての
説明
でございます。一三・八%という
引き上げ幅
についてどういう
考え方
に基づいているかということでございます。 これは、
政府売り渡し価格
の場合は、
政府買い入れ価格
の場合のように
生産費
、
所得補償方式
といったようなきっちりした
算式
によって算定されるというわけではございませんので、判断の
基準
となるような幾つかの
考え方
を求めまして、それらを総合的に勘案して一三・八%の
上げ幅
とするということにいたしたわけでございます。 そこで、まず現在の
米価
の
逆ざや
とこれを解消するのに必要な
引き上げ幅
はどうなるかということをアでもってお示ししているわけでございますが、いわゆる
コスト逆ざや
、これを解消する場合、
水稲ウルチ
一~四等
平均包装込み玄米
六十キログラム
当たり
でございますが、これを現在
政府
は一万三百一円ということで買い入れております。買いました米につきましては、当然
政府
が
管理
する
経費
がかかります。直接的な
経費
だけではなくて
人件費
だとかそのほかの
固定経費
もかけまして千四百四十六円という
単価
になります。
買い入れ価格
に
管理経費
を足しますと一万一千七百四十七円ということになります。これがいわゆる
コスト価格
でございます。全く
コスト価格そのもの
を売り値にしよう、
コスト逆ざや
をなくそうということになりますと、一万一千七百四十七円という
売り渡し価格
にする必要があるわけでございますが、そういうことになりますと、
現行
の
政府売り渡し価格
が七千八百六円でございますから、この差額三千九百四十一円、約四千円近い
引き上げ
を必要とするということになります。かりにその三分の二を
政府
が負担して三分の一だけを解消するとした場合は、千三百十四円の
引き上げ
が必要であるということになります。それは、金額ではそういうことでございますが、率ではどれだけになるかということが一番下のところに書いてございまして、
コスト逆ざや
全額を解消するためには五〇・五%の
引き上げ
が必要である、現在これだけの
コスト逆ざや
を
政府
が負担しているのだということになっているわけでございます。それから、三分の二は
政府
が負担するとした場合でも二八・八%の
引き上げ
が必要であるということになります。 (「簡単に」と呼ぶ者あり)――簡単にというお話でございますので、
あと
できるだけ簡単に省略して御
説明
させていただきます。 右側のほうは、
政府
管理経費
のうち直接的
経費
だけを
売り渡し価格
の
引き上げ
に反映させる、いわば固定的な制度を維持する上に必要な
管理経費
は、これは
政府
において負担するというふうにして計算した場合どうなるかということを示しております。一番下にありますように、全額を解消するとした場合は四一・四%、三分の二を
政府
負担とするとした場合は一三・八%ということになります。同じようにして、いわゆる
売買
逆ざや
を解消する場合はどうなるか、総額を解消する場合は三二・〇%、半分を解消するとした場合は一六・〇%、さらに、いわゆる
末端逆ざや
を解消する場合はどうなるかということでございますが、これは一九・五%の
引き上げ
が必要であるということになります。 それから次の六ページへ参りまして、
末端逆ざや
でもことしの
生産者米価
の
改定
、それ以前に残っておりましたところの
逆ざや
は全部と、それからことしの
生産者米価
の
改定
に伴いましてふくらみました
逆ざや
部分、この三分の二に
相当
する額を解消するとした場合、こういう計算をいたしますと二二・八%の
引き上げ
が必要であるということになります。いま申し上げましたようないろいろな
逆ざや
の全部解消、あるいは一部解消というような
考え方
に基づきまして、総合的に判断して一~四等
平均
を一三・八%
引き上げ
るということで
諮問
の算定の内容といたしたわけでございます。 次は
家計
の
伸び
と
引き上げ幅
との
関係
でございます。
家計
の
伸び
の範囲内で、つまり
家計
の安定をはかることを旨として定めるということになっておりますので、
伸び
の範囲内でということでその検証をいたしております。 ここでちょっと御
説明
申し上げておきたいのですが、
家計費
に基づく
精米
価格
上昇の上限につきましては、従来前年との
対比
におきまして、
家計
がどの程度
伸び
ておったかということを見ておったのでありますが、若干期間を、こういう変動する時期でありますので、ブロードにとりまして、五年間
平均
で比較するという
考え方
をとっております。これにつきましての内容の
説明
は省略いたします。 いずれにいたしましても、こういう
考え方
でとりました
家計
の
伸び
の範囲内の上げ率にとどまっているということでございます。 次に麦の
標準売り渡し価格
とその算定の
説明
でございます。大麦、裸麦、小麦、外国産大麦、外国産小麦、このように分けまして、それぞれお配りしました資料のような
価格
で
現行
に比べて
改定
するということにいたしております。数値等はそこにございますので、一々読み上げることはいたしません。 それから
標準売り渡し価格
の算定の
説明
でございます。
平均引き上げ幅
と
標準売り渡し価格
との
関係
でございます。実際に
政府
が売りますところの個別の大麦あるいは外国産大麦、裸麦、小麦、外国産小麦につきましてそれぞれの種類、等級、これがございますので、その種類、等級あるいは
銘柄
、具体的に対照いたしまして金額を算定しますと二ページの表のような
価格
になるということでございます。これも表で数値等が示されておりますので、
説明
はその程度にいたしまして、次に三ページへ参りまして、
輸入麦
の
コスト価格
と
平均引き上げ幅
との
関係
でございます。これは三五%の
引き上げ
で
諮問
をいたしましたその
考え方
のもとでございますが、これは今後の
国際価格
がどう推移するかと見ることにまず第一はかかってございます。そこで最近三カ月間の
平均
の
国際価格
を見てみます場合、一ブッシェル
当たり
五ドル十一セントという高値にあります。かりにこの
価格
で今後ずっと推移するとした場合には、
政府
は
逆ざや
として二万七千百六十八円を負担する。これを解消するためには七八・七%の
引き上げ
が必要である。その半分を解消するとしても三九・三%の
引き上げ
が必要であるということを示しております。 今後の
国際価格
がどのように推移するかはいろいろな
考え方
がありまして、いまの見方は一番高いほうの
考え方
かと思います。最近半年かやや
長期
にその
平均
をとりますと、結論だけ申し上げますと五〇・九%上げなければいけない。それから最近二カ月と前年同期、つまり上がり始めのころ、上がりかけのころの比較的安定した時期、そのころの
価格
の半値ぐらいに戻るだろうという計算で、具体的にはブッシェル
当たり
三ドル八十七セント程度ということで計算いたしますと、
逆ざや
を解消するためには四二・四%の
引き上げ
が必要である。 それから最近の単月、十月の相場と上がる前、四十七年の六ないし八月ということでございますが、その中間ぐらいに
価格
が戻るだろうというふうに考えますと、三三・九%程度の
引き上げ
が必要である、こういう計算になります。これらの
逆ざや
解消、今後の
国際価格
がどう見られるかによって差があるわけでございますが、いろいろな見方を比較いたしまして全体としての判断、三五%程度、二分の一はなおかつ
政府
が負担することも覚悟して、二分の一程度の三五%を
引き上げ
て、これを実需者を通じまして
消費者
に負担していただくということにいたしたわけでございます。大、裸麦につきましては同じような計算をいたしますと、実はもっと大きく、小麦以上に
引き上げ
なければいけないという計算になりますが、この際小麦と同じ
考え方
にして小麦と同じ
引き上げ
率をとる、こういうことにいたしております。 それから次に、
家計麦価
と
標準売り渡し価格
との
関係
でございます。これも
算式
が示してございますし、先ほど
諮問
の
説明
のところで御
説明
申し上げましたが、
家計麦価
の算定のしかた、そのほか一部政令改正を行なうことにいたしておりますが、いずれにいたしましても、その
考え方
に基づいて算定いたしました
家計費
の
伸び
の範囲内で
引き上げ
率はおさまっているということになっております。 それから次に若干飛びまして九ページへ参りまして、4とあります
米価
と
標準売り渡し価格
との
関係
でございます。従来麦の
売り渡し価格
につきましては、
米価
との
関係
、いわゆる対
米価比
を考えなくてはいけない、しかもその
考え方
としては、
算式
で示すような形でこれを
参酌
しろと数値も示されておったのでございます。しかし、今回、今日の
実情
にかんがみまして、対
米価比
については、一義的に数式でこれを固定するということは改めたわけでございます。 大体以上が
諮問
の内容についての御
説明
及び算定についての
説明
でございます。
あと
付属資料が、いろいろ
家計
に及ぼす
影響
でありますとかそのほかお配りしてございますが、大体以上でございますので、資料を後ほどごらんいただくことにいたしまして、私の
説明
はこれで終わらしていただきます。
佐々木義武
7
○
佐々木委員長
以上で
説明
は終わりました。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
國場
幸昌
君。
國場幸昌
8
○
國場
委員
まず最初に、本日本
委員会
において発言の機会を与えていただきました
委員長
をはじめ
理事
の先生方、並びに
委員
の先生方に厚くお礼申し上げます。 時間が二十分しかございませんので、さっそく質問に入りたいと思います。 御承知のとおり、
沖繩
及び奄美列島の基幹農作物として
サトウキビ
の地位はきわめて高く、その盛衰いかんにより
県経済
に及ぼす
影響
ははなはだ甚大なるものがございます。しかしながら、最近における
物価
、賃金等急激な異常
高騰
と、他産業への転出の増大、加えて前期、前々期と打ち続く大
干ばつ
、暴風雨等により六万農家に一大打撃を与え、
物価
、賃金
高騰
に見合わぬ
サトウキビ
価格
の低迷は、
サトウキビ
原料の収穫放棄、農地売り払い、離農者の続出等に拍車をかける結果となり、
サトウキビ
生産
の大幅な減少を来たし、製糖企業の操業度の低下を余儀なくされ、まことに憂慮すべき
状況
にあります。 このような
サトウキビ
減産の要因は以上の理由にとどまらず、農地の
基盤整備
、かんがい設備、土地改良及び土地の構造改善
事業
、品種改良、機械化、合理化等の意欲を喪失させ、南西諸島の唯一の
基幹作物
である
サトウキビ
作農家に及ぼす
影響
は大きく、今期キビ
価格
の
決定
いかんによっては、
サトウキビ
収穫も放棄せざるやむを得ない事態になることもあり得るという深刻な
状況
下にあります。
政府
は、国内甘味資源確保のため、南西諸島のキビ作について、どのような政策をなさんとするものであるか、
政府
の御見解を賜わりたいと思います。
中尾栄一
9
○
中尾説明員
國場
先生の御質問は、特に
沖繩
における
サトウキビ
を
振興
していくに際して、
政府
の具体的方策と申しましょうか、そのような御質問にとってよろしゅうございますか。
國場幸昌
10
○
國場
委員
そうでございます。
中尾栄一
11
○
中尾説明員
サトウキビ
はもうすでに御指摘のとおり、
亜熱帯性気候
の
沖繩
に適し、
沖繩農業
の
基幹作物
として重要な地位を占めているために、
本土復帰
後直ちに
沖繩県
を甘味資源特別
措置
法に基づく
生産振興
地域に
指定
して、原採苗圃の設置並びに栽培省力化のための栽培
管理
用機械の導入並びに収穫用機械の
開発
等、
生産振興
対策の推進につとめてきておるわけでございます。 さらに、最近の
沖繩県
における
農業労働力
の流出並びに賃金の
高騰
等のきびしい
状況
に対応するためには、栽培省力化パイロット
事業
による収穫機導入を推進する等、収穫作業の省力化に、これまた積極的に取り組んできたところでございまして、また来
年度
予算におきましても、
収穫機械
の大幅な緊急導入を要求中でございます。今後ともに
生産
組織の育成、
土地基盤
の
整備
、種苗対策等、総合的な
生産振興
対策を御
意見
等賜わりましてさらに強力に推進していく所存でございます。
國場幸昌
12
○
國場
委員
甘味資源確保に対する特別
措置
法にはこういうことがうたわれております。「この法律は、適地における甘味資源作物の
生産
の
振興
及び当該
生産
に係る甘味資源作物又は国内産のでん粉をおもな原料として使用する砂糖類の製造
事業
の健全な発展を図るために必要な
措置
を講ずることにより、
農業経営
の改善と農家所得の安定、砂糖類の自給度の
向上
及び甘味資源に係る国際競争力に資することを目的とする。」こううたっております。しかしながらここに「
農業経営
の改善と農家所得の安定、」こういうようなことでありますが、御承知のとおり、わが国は工業によって大発展を来たし、いまでは自由
経済
陣営ブロックの中では第二位というだけのいわゆる
経済
大国になっております。しかしながら一次、二次、三次産業のこの所得を見ました場合に、これが偏在がある。その分配に対して偏在があるということは、
農業
がいまのような低迷をしておるということに対しまして、私は、
あと
三十年もすると、世界人口はいまの約倍、七十億になるということも聞いております。 そこで、私ども、いまのような、なるほど南西諸島の国内甘味資源として甘蔗糖というのは値段においてはずいぶん高いといえども、ことにこの
サトウキビ
というのは、三百年に至るところの歴史を持つ唯一の甘味資源として今日まで国民に伝わってきたわけでございます。これをいかなる風雪にも耐え、わが南西諸島においてはこれを守り通してきた。いまさきも申し上げましたとおり、かようなる貴重なる甘味資源である甘蔗糖が、いま壊滅の
状況
に至らんとする、毎年毎年の
生産
を見ましても低下してきております。 かようなことに対しまして、御案内のとおり、いまネコの手も借りんというような忙しさの中でも、農民は
沖繩
から一千名、奄美大島から一千二百名ということで、大挙して
陳情
に参っておるのも御案内のとおりでございまして、この
価格
をはたしてどれだけ
政府
としては保証できるかということは、直ちにそれをこうだということは、はっきりそこで答弁しがたいということはよく存じつつも、その姿勢に対して、
政府
としてはどういうようなお考えがあるか。いまの農民を救うためには、
政府
としても抜本的な
考え方
を持ってやらなくてはいかないじゃないか、こう思うわけでございます。どうぞひとつその点に対して
政府
の見解を賜わりたいと思います。
中尾栄一
13
○
中尾説明員
先生の御指摘まことによくわかるわけでございまして、世界の人口がますます年々歳々ふえていくという中におっての
沖繩
の南方性、特に特性を生かした
サトウキビ
、この問題をどうとらえ、並びにどのような態度でこの
価格政策
に臨むのか、こういう御指摘かと思いましたが、これは先生も御指摘のとおり、まだ値段の点あるいは
価格
の点といいますものは、私ども目下検討中でございますので、何とも具体的な示唆はここで差し控えたいと思うのでございますけれども、
サトウキビ
の最低
生産
者の
価格
は、砂糖の
価格
安定等に関する法律に基づきまして、
農業
パリティ
価格
を
基準
として、
サトウキビ
の
生産費
、
物価
その他の
経済事情
を十分
参酌
いたしまして、
サトウキビ
の再
生産
の確保をはかることに重点を置いていこう、そう考えておるわけでございます。今月二十日までにきめることにもちろんなっておるわけでございますが、現在はその作業を御承知のとおり目下行なっておるわけでございます。ただ、
サトウキビ
の
沖繩
及び鹿児島県の南西諸島の
農業
に占める基幹的
役割り
、並びに前年の
価格決定
以来の
経済
的諸
事情
の推移等は十分に考慮をしつつ、私どもは適正なそれに基づいた
価格
を
決定
してまいりたいという
考え方
に立っておる次第でございます。
國場幸昌
14
○
國場
委員
いまさっき政務次官は、パリティ指数、こういうようなお考えのもとで今後
決定
していきたいというようなことでございますが、そのパリティ指数による値上げ
そのもの
では、とてもいまの南西諸島の甘蔗糖を育成することはできない。これは私国会に出てきまして、過去三カ年有余にわたって、何とかこれに対してはお米と同様なる取り扱いをもって、
沖繩
及び奄美群島の農民を安心して農務につかせるようにと、こういうことをこいねがってきたわけでございます。 そこで、同じ農民といえども農産物に対して、お米でありますと、もうすでに
昭和
三十五年ですか、それを
基準
にして見ました場合に、約五〇%の
生産
者
価格
の値上がりがきておるわけでございます。ところが甘蔗糖に対しましては、年間よく上がって二%とかあるいはまた一%とかこういうようなことで、一
トン当たり
百円台、四、五百円をこしたことはございません。国民に対するいわゆる憲法の趣旨から申しましても、やはり同じ
農業
をするのであれば、
沖繩
で
本土
に比較すべき、米に
相当
するものは砂糖である、こういうようなことはよく御案内のとおりでございまして、法律において、パリティ指数をもってということでありますと、とてもとても要求には達しないわけでございます。でありますので、申し上げますように、何とかいまのピンチを切り抜けるべく特別
措置
を講じていただきたい、こういうようなことでございます。 それに対しまして、いまさっきパリティ指数をもってと、こういうことを聞いたのでありますが、それでは
沖繩
及び奄美群島の農民の意思にはほど遠いものがあるということを考えるわけでございます。 いままで
沖繩
においては、特別臨時奨励金というような形で、キビ代の補てん並びに離島工場とかこの経営に対しての補てん金として与えておったわけでございます。そのようなことにも今度は思い切ったところの
措置
をしていただきたい、こういうようなことも考えるわけでございますが、それに対しまして政務次官、農林省としましていかようなお考えがあるか、通常のやり方においてはとてもとてもこれは農民を救うことはできない、こういうようなきびしさがあるわけでございます。いかがでございますか。
池田正範
15
○池田
説明
員 ただいま
國場
先生から御指摘がございました甘味資源法の第一条に、この法律が、非常に国際競争力を企業につけるところまで含めた、
生産
段階からの広範な目的を持った法律であると書いてあること、いまお読み上げいただいたとおりでございますが、そういう形で
価格
の安定をしようとはかっておるところに、いまの砂糖の
価格
安定制度の非常に特異な形が一つあるわけでございます。 したがいまして、御指摘のように、確かに従来、ここ数年来、二%ないし三%というきわめてわずかな値上げでございましたけれども、これはどちらかと申しますと、いわば工場に出す原料用の農作物の
価格
として、卸売り
物価
指数その他が非常に落ちついていた、そのことの反映からパリティが上がらなかった、同時に
生産費
も上がらなかったというふうな形から、結果としてあまり上がらなかったということでございます。ただ、前
年度
の四十七年産につきましては、毎々申し上げていることでございますが、ちょうどこのパリティ
価格
を
決定
いたしました時期以降の
価格
騰貴というのが非常に大きかった。特に
沖繩
におきましては、労賃のアップというのが非常に大きい勢いで上がってまいりまして、そのことが収穫時期における労働を非常に困難にしたということは確かに指摘できるだろうと思うわけでございます。そういう意味でパリティ指数というのは万能ではございませんで、
生産
性が
サトウキビ
のように上がるときには、確かに
生産
性の上がった分は全部農家のふところに入るといういい面もありますけれども、そうでない、いまのような形の場合には、当然これは修正する必要がある。そういう意味から、実はこの糖安法のほうでは、先ほど政務次官から申し上げましたように、パリティを
基準
とはするけれども、
経済事情
その他を
参酌
してきめるのだということが書いてあるわけでございます。そういう意味におきまして、前年の
サトウキビ
の
価格
がきまりまして以来の諸
事情
、
経済事情
、そういうものを十分勘案してきめると先ほど政務次官から申し上げましたけれども、そこいらを含めて御答弁を申し上げたというふうに御解釈をいただきたいと存じます。
國場幸昌
16
○
國場
委員
ちなみに、この農作物の
価格
設定に対しての年次的な推移、ここにちょっと表がありますので、農林省としてもそれはよく御存じではありましょうが、三十九年から四十七年まで、たとえば
サトウキビ
は、三十九年を一〇〇にした場合、四十年が一〇一・七%、四十一年が一〇四・二%、四十二年が一〇六・四%、四十三年は一〇八・九%、四十四年が一一一・五%、四十五年が一一四・三%、四十六年が一一七・四%、こういうようなことで、これは私は、幾らパリティ指数にしてもこういう数字が出るということはおかしいじゃないか、こういうことを考えるわけでございます。それからよくてん菜糖と対照しますので、てん菜糖から見ましたら、同じく三十九年の一〇〇%をもって基礎とした場合に、四十二年まではたいした差はございません。ところが四十三年からははるかにこれが開いてきております。一〇八%に対して一一二・六%、それから四十四年の一一一%に対して、これはあまり開きがありませんが、最近に至ってずいぶん開いてきております。四十五年に至りますと一一四%に対して一二〇%、一一七%に対して一二四%、昨年は一二七・九%でございます。それから同じような農作物にしましても、米は五〇%上がってきております。それは言うまでもなく、米というのは食管法に従ってやっているからということでございましょうが、そうすると、米が食管法に従って五〇%も上がるような計算基礎ができてくるのであれば、直ちに米のような方式にかえてしかるべきだ、こういうようなことを考えておるわけでございますが、これをいま申し上げましたとおり、食管法に従うところの――
沖繩
においては
本土
の米にかわるべき主幹作物としては
サトウキビ
しかないのでございますので、その食管法に従うと同等なる扱い、あるいは法律が必要であれば法律も立法するというような気がまえがありますかどうか、その点に対してお伺いをいたします。
池田正範
17
○池田
説明
員 パリティの指数のやり方は、それぞれの農作物によりまして植物学的にそれぞれとれる時期も違ってくるわけでございます。したがいまして、パリティのいろいろの係数をはじき出しますまでのやり方
そのもの
は、基本的には、実はたとえばてん菜あるいは
サトウキビ
等につきましてはそう差はないわけでございますが、御承知のように
サトウキビ
につきましては、前年の三月から十一月までの
平均
パリティに対して、当該年の三月からその収穫と申しますか、
価格
を
決定
する直前までの九月までのパリティをとる、てん菜の場合には逆に四月-十月の前年のパリティ指数に対して、ちょうど四月にこれを
決定
いたしておりますので、この直前である二月をとるということでございますので、
一般
的なパリティの上昇率が前向きに上がっておりますときには、
物価
が前向きに上がっておりますときには、むしろてん菜よりも
サトウキビ
のほうがパリティ指数としては若干高く出る可能性があるわけでございます。しかしながらそうは申しましても、現実にそうやって計算をいたしました結果というものが、二ないし三%であったという現実は当然あるわけでございます。 そこで問題は、一体米のようになぜできないかという問題になってまいるわけでございますが、御承知のように、これは本質的な差といたしましては、米はいわば
国際商品
ではない、日本の国でとれる一種の特殊の商品であることと、それから国民全部に対して、ほとんどの農家がほとんどつくっておるということと、ほとんどの
生産
者がほとんど消費しておるという、いわば完全
生産
完全消費というものが前提になった唯一の農産物であるということが言えようかと思います。 これに比べますと、確かに
沖繩
なり鹿児島の南西諸島におきます
サトウキビ
は、その地域における農産物の
生産
のウエートといたしましては、御指摘のとおり、米に比肩すべきものであるということは疑いをいれませんけれども、しかし、日本
経済
全般から考えました場合には、あくまでもこれは地域作物である。それから自給率
そのもの
につきましても、これは全体として約二割前後のものであるというふうなことで、全体としての作物の持つウエート、品質というものは、現地にとりましては非常に大事であることは論を待ちませんけれども、国民
経済
全般から見れば、やはり同じものではないというふうに言ってもいいのではないかと思います。しかしそうは申しましても、私どもかねてから申し上げておりますように、砂糖の自給率というものは、現在の二〇%前後からどうしても二六、七%程度までは自給率を上げたいということで、
長期
の目標につきましても現在作業中でございます。 したがって、そういうふうな立場からいたしますれば、多少国際糖価
水準
との乖離はあっても、ひとつこの際この地域における
サトウキビ
の
生産
を増強するという一点にしぼって、そして
価格政策
についても、いままでの御指摘のいろいろな問題点を十分勘案してきめるべきである。その意味では、今後の農林省としての
価格政策
の中で
かなり
配慮
すべき転機点と申しますか、そういうものを含んだ時期にきておるのだということは言ってよろしいかと思います。 そういう意味で先ほどからいろいろと申し上げておるわけでございますけれども、何と申しましても、なおてん菜なり
サトウキビ
というものは
生産
性をもっと上げなければいけない作物でございます。したがって、
生産
性が上がっていくという過程において、そのメリットを農民がとっていけるのだといういまの仕組みは、やはりある程度置いておいたほうがよろしい。しかしいまのようなパリティが不利である条件のもとでいろいろと問題点が起こるという点については、勘案事項でこれを政策的にカバーしていくというのが、むしろ長い目で見た場合の政策のやり方としては穏当ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
國場幸昌
18
○
國場
委員
質問をしたいことはたくさんありますが、時間の制限でございますので、機会を得ましてまたやることにいたします。ありがとうございました。
佐々木義武
19
○
佐々木委員長
西銘順治君。
西銘順治
20
○西銘
委員
糖業問題に集中いたしまして質問をしたいと思います。
沖繩
に
サトウキビ
が入ってまいりましてから約三百五十年経過いたしておるのであります。
サトウキビ
は奄美群島、
沖繩
における基幹作目でございまして、
農業
粗収入における比率あるいはキビ作農家の全農家に占める比率から考えましても、いずれも四〇%、八六%という高い比率を占めているわけであります。したがって、
本土
における米作と同様、南西諸島にとりましてはかけがえのない唯一の作目であるわけであります。 しかも、
サトウキビ
は単に
経済
価値を生むだけではなくして小森林でございまして、水源涵養林としての機能も果たしておるのであります。また、時と場所によりましては防潮林となり防風林となって、環境保全の機能も十二分に果たしているわけであります。したがいまして、南西諸島にとりましてはキビ作は米同様の基幹作目でございまして、これにかわる作目を考えてみろといっても、これはとうてい考えられるものではありません。少なくとも明治百年の風雪に耐えた唯一の作目であります。そういう観点に立って、
サトウキビ
にかわる作目が考えられるのかどうか、まずその一点をお聞きしたいのであります。
岡安誠
21
○岡安
説明
員 お答えいたしますが、
沖繩
の
気象条件
その他土地条件あわせて考えますと、
サトウキビ
にかわるような作物を大幅に導入するということはなかなか困難ではなかろうかというふうに考えております。現在、
耕地面積
の六〇%をこえるような
サトウキビ
というものは今後とも
生産
性を
向上
いたしまして、
沖繩
におきます
農業
の基幹作目といたしまして育てていく必要があるというふうに考えております。
西銘順治
22
○西銘
委員
現地からの
要望
といたしまして、従来のパリティ
価格
では
生産費
を償えない、そこでどうしても
生産費
所得方式でもって算定してもらいたい。したがって、それによりますと、
トン当たり
一万三千円の原料
価格
が現地側の
要望
として出ておるのであります。 御案内のとおり、
平均
いたしまして反収約七トン、少ないときでことしが約六トンと少しでございますが、この反収に加えて
沖繩
の農家、奄美の農家は
本土
とは違いまして経営規模が非常に小さい。五反百姓のことを貧乏百姓といっておりますが、
沖繩
の農家の経営規模は大体四反五畝であります。これで計算していきますと、農家の手取りはわずかに十アール
当たり
四万二千三百五十七円にしかならないのであります。いま
物価
、賃金、地価等の急激な
高騰
によりまして、従来支持された
価格
、告示
価格
ではどうしてもやっていけない、こういうことであります。 しかも、いまキビ一トンをキビの本数に換算いたしますと約千四百本から千五百本になるわけでございますが、このキビを刈るのに男が一日よく働いても〇・五トン、多くて〇・六トン、一トンのキビを刈るのに二人の人間がどうしても要るわけでございます。ところが
沖繩
におきましては、最近男一人一日雇うにいたしましても三千円から三千五百円、女の場合でも二千円から二千五百円出さなければならないということになりますと、せっかくパリティ
価格
でもってキビ代をちょうだいいたしましても、ほとんど
人件費
に食われてしまって取るものがない、こういう計算になるわけでございます。 したがって、私は、いわゆる支持
価格
制度というものができた当時の情勢等判断いたしまして、もうここらあたりでターニングポイントに来ているのじゃないか、支持
価格
制度をここであらためて検討し直す時期ではないか。もちろんキビだけでなく、パリティで計算されているほかの作目もありまするけれども、
経済
情勢、
物価
の情勢を取り入れて
決定
するということにはなっておりまするけれども、どうも
実情
にそぐわない。これについて政務次官の御見解をお聞きしたいのであります。
中尾栄一
23
○
中尾説明員
先ほど来の
國場
先生並びに西銘先生の御指摘はまことに同感の至りでございますけれども、
サトウキビ
の最低
生産
者
価格
というのが砂糖の
価格
安定等に関する法律に基づいた、何しろ法律に基づいた
農業
パリティ指数に基づき算出される
価格
を
基準
としておるわけでございまして、
生産費
や
物価
その他の
経済事情
を
参酌
して、
サトウキビ
の再
生産
を確保することを旨として定めることになっておるわけでございます。その点は御承知おきかと思うのでございますが、
サトウキビ
のように今後さらに
生産
性の
向上
が必要であって、なおかつ期待される作物につきましては、
生産
性
向上
のための施策と相まちまして、その合理化のメリットを当該
生産
者に還元する
現行
の
パリティ方式
にかえて、最低
生産
者
価格
に、
米価
並みの
生産費
・
所得補償方式
に改めるということは、必ずしも適切ではないと考えておるわけでございます。したがいまして、このための糖価安定法の改正というものは、先ほどもその問題点の御指摘もございましたが、私どもは考えてはおらないわけでございます。 ただ、
昭和
四十八年産の
サトウキビ
の最低
生産
者
価格
について、
沖繩県
及び鹿児島県の南西諸島においての
価格
の御要求も、これまた私どもは十分承知しておるわけでございます。いずれにしましても、
サトウキビ
がこれらの地域における基幹的作物であるとともに、甘味資源としても重要であるということを十分考えまして、その
買い入れ価格
の
決定
にあたりましては、現在のいささかたいへんな
物価
騰貴並びにその他の
経済事情
を十分
参酌
いたしまして、その再
生産
が確保されるように十分に
配慮
してまいることをお約束申し上げたいと思う次第でございます。
西銘順治
24
○西銘
委員
生産費
・
所得補償方式
、これはもちろん法律事項でございまして、法律を改正しなければなりません。すぐ間に合うものではないのであります。したがって、私がお聞きしたいことは、これはパリティ
価格
でもこの段階においてはやむを得ないと思いますが、こういった南西諸島の
実情
を勘案されて、
物価
、地価、賃金の
高騰
が非常に著しい、そこへもってまいりまして、国の主催で
沖繩
で
海洋博
覧会が開催されることになっておりまして、これが要因となってさらに
物価
、賃金の
高騰
を促進しているような現状でございます。したがいまして、少なくとも
海洋博
までのキビ作という場合を考えてみますと、農家労働報酬を計算してみましても、どうしても三千円以下ではやっていけない。いま申し上げましたとおり、二人がかりでやっと一日で一トンを刈り出すような現状でございまして、その点何らかの
配慮
というものが
加算
されなければならないと思うのでありますが、これについての所見をお伺いしたいのであります。
池田正範
25
○池田
説明
員
サトウキビ
の
価格
は今月の二十日までにきめなければいけないということでございますので、目下は作業をしている最中でございまして、御趣旨は非常によくわかりますけれども、いまの段階でそれをどうこうというふうな数字の形になって御
説明
を申し上げることができないのを残念に思います。 しかし、確かにいまの
海洋博
等を含めて、小さな島の中で急激に起こった労働需要環境というもののもとで、非常に困難になっているという
実情
は認めないわけにはいかないと思います。ただ問題は、砂糖といわず、農産物
価格
を政策的に
行政
価格
をきめます際に、それらの臨時的な
事情
というものを勘案しながらも、なお
価格
の政策の基礎に、一つの連続性というものを政策上は持たさざるを得ないという問題もあろうかと思います。そういう意味で、どの辺までを
価格
の問題としてとらえ、どこまでをそれ以外の補完的な対策としてとらえるかという行き方もあろうかと思いますので、あわせまして、総合的な効果をねらうということから、種々の対応策も検討しなければならないというふうに考えておる次第でございます。
西銘順治
26
○西銘
委員
キビを救済する
方法
としては、どうしても
価格政策
の面だけでこれを救済するというわけにはいかないのであります。特に
沖繩
の場合におきましては、離島各地、人の住んでいる島が四十八もあります。しかも、この離島は原料が増産できないので、どうしても分みつする工場が建たない。分みつ糖がつくれない。したがって能率が悪い、
生産
性が悪い含みつ糖しかつくれないということで、離島の
格差
が出ているわけであります。したがって、これを単に
価格
の面だけで検討していったのでは十分救済できない。そこに社会政策的な
配慮
というものが当然加味されてこなければ、南西諸島の離島住民は救済できない。これは政治の、農政の問題であります。米みたいになるほど全日本的な作目ではありません。しかしながら、南西諸島の住民にとっては
サトウキビ
しかつくれない。これをどう救済するか。農政の問題としても、私は大きな問題だろうと思うのであります。 それだけではありません。私たちが今後
物価対策
を考える場合に、どうしてもそこには物資資源の自給体制の確立というものがその基礎に据えられなければならないと思うのであります。農産物の場合におきましても、その意味で自給率のある程度の
向上
をはかっていって、そこでもって農民を救済する、わが国の食糧体制を万全の自給体制の中に持ち込んでいくということが大事ではなかろうかと思うのであります。なるほど三百万トンの砂糖消費量に対しまして、北海道のてん菜糖を入れましてわずかに六十万トン、一九%足らずであります。甘味資源自給
計画
の中でもっとこれを二〇%、三〇%に
引き上げ
ていく目標がなければならない、そういう努力が農産物全般について言えるのではないか、かように考えておるのでございますが、一体砂糖の自給度というものをどの程度に押えようとされておるのかお聞きしたいのであります。
岡安誠
27
○岡安
説明
員 砂糖の自給率でございますけれども、
昭和
三十年当初におきましては一〇%程度でありました。それがその後の
生産
の増強施策によりまして、最近大体二〇%台というところまできているわけでございます。私どもは今後てん菜並びに
サトウキビ
の
生産
の増強をはかることによりまして、五十七年の目標といたしましては、大体二六ないし二八%程度まで自給率を上げたいということで、諸般の施策を今後とも集中的にいたすということを考えておるわけでございます。
西銘順治
28
○西銘
委員
最後に、糖業の
振興
の上では、どうしても製糖工場の能率が上がるように、ある程度資金的な対策を考えなければならないと思うのであります。六千何百円で買えという支持
価格
をした。ところが最近は、南西諸島各工場とも、奄美十三工場約七千トン、
沖繩
十五工場約二万トン、このどの工場も赤字をかかえてまいっているんです。資材が上がる、賃金が上がる、輸送費が上がる。工場
コスト
がだんだん高くなってきているわけであります。奄美群島を累計してみても、約十六億円の赤字をかかえておる。
沖繩
の場合は、分みつ糖が約十六億円、また離島の含みつ工場を入れますと三億円、約十九億円の赤字をかかえて戦後今日に至っているわけであります。したがって、支持
価格
はけっこうでございますが、工場
コスト
の
向上
に対してある程度の補給をしてやらなければ、対策をしてやらなければ、これは農民、工場ともにつぶれてしまうのであります。
農業
の場合にはいろいろ考えられますが、特にキビの場合は農工一体であります。工場がなければキビがつくれない、こういう
関係
にありますので、もっと資金的な対策を確立いたしまして、その面からの補強と申しますか、これが目下の急務だと思うのであります。現在借り入れている短期あるいは
長期
の資金を、
長期
低利の資金に肩がわりさしていくというような対策も、同時に考えられなければならない重要な施策ではなかろうかと思うのであります。特に離島工場、
沖繩
の宮古、石垣、本島を除きまして、離島各地にある工場は赤字をかかえて困っている。
沖繩
関係
で運転資金だけを考えてみましても、今期で約十八億の運転資金がなければキビ代が払えない。十二月から操業が始まりますが、操業ができない。こういうことになるわけでございまして、その資金手当てをたとえば
沖繩
の
振興
開発
資金から出すとか、あるいは農林中金の資金を出すとか、もし保証の取りつけが必要であれば県が保証するとか、何とかそこに指導体制というものが確立されなければならないと思うのでありますが、それについての政務次官の御見解をただしたいのであります。
池田正範
29
○池田
説明
員 ただいま御指摘いただきましたように、
沖繩
、奄美合わせまして約三十億程度の赤字をかかえておるのは事実でございます。したがいまして、問題としては、それらの企業に対して
長期
資金、短期資金をどのような形で補てんしていくかということは、当面の運転の上で非常に大きな問題になっておるわけでございます。
長期
資金につきましては、ただいま御指摘のような
沖繩
開発
公庫の資金といったようなものを含めたり、あるいは奄美におきましては奄美の
振興
資金というふうなものをベースにして、
長期
低利の資金
供給
をしていくということは大事であろうと思いますが、実はこれも先生御案内のように、ただいま一番大きな問題は、御指摘になりました約十八億に及ぶ運転資金をどうするかということが、一番大きな差し迫った問題であるというふうに私どもも認識をいたしております。 その意味で、私ども先般来地元からもいろいろと
陳情
を受けておりまして、実は農林中金あるいは
沖繩県
との間で現在連絡をとりつつ、まあできますればこの資金ワクというものを――これは現実には最近銀行の資金
供給
源が
かなり
枯渇してきておりますので、それらを緩和するための
措置
の一環として、系統資金といったようなもののワクを
拡大
して、そして
沖繩
に流し込む。しかしながら、御承知のように相手方に非常に大きな負債が出てまいりますと、この返還能力というものに
かなり
の確実性がありませんと、金かあることと、金が借りられることとは別の場合か多いわけでございます。そこで、政策的な介入も当然必要になってくるだろうというふうなことで、何よりもまず国と県が間に入って、それらの系統資金が地元の琉球銀行なりあるいは
沖繩
銀行なり、従来からめんどうを手がけてきたそれらの銀行の知識というものを十分活用して、その系統資金の
拡大
されたワクが十分相手方に届き得るような
措置
を講じたいということで、現在実はせっかく努力中でございます。
西銘順治
30
○西銘
委員
次に、機械化、省力化の問題でございますが、御案内のとおり、最近
農業
関係
の就労者がたいへん不足いたしまして、
沖繩
ではアメリカ統治の時代から、台湾からパイン女工、キビ刈りの農夫を入れておったのであります。これも国交断絶によりまして現在実現しておりません。そのかわり韓国からパイン女工が最近入っておりますが、そういった意味で機械化、省力化の点について、これはどうしても
基盤整備
と並行いたしましてやっていかなければならない問題でございます。 特に
沖繩
の場合には、早急にキビ収穫機の導入
計画
を実施しなければならない。これが
サトウキビ
の問題を解決する重要なポイントになっているわけであります。刈り取り機にいたしまして四百八十三台、脱葉機にいたしまして千九十台、搬出機にいたしまして五百六十三台、積み込み機にいたしまして二百八台、サービスカー二十四台、計二千三百六十八台の機械が導入されないと間に合わない、こういう
実情
でございます。この資金総額が約十七億八千万円になっておりますが、これに対しまして現地側から八〇%助成してもらいたい、約十四億三千万円の助成をしていただきたい、こういうたっての
要望
があるのであります。これに対する次官の御見解をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
岡安誠
31
○岡安
説明
員 御指摘のとおり、
サトウキビ
作につきましては非常に多くの労働時間を要するわけでございまして、中でも収穫作業がその過半を占めるということで、従来から収穫作業につきましての機械化というものを進めてきたわけでございます。大体小型収穫機につきましては実用化の段階に立ち至りましたので、特に四十七
年度
からは、
サトウキビ
栽培省力化パイロット
事業
というものを中心といたしまして機械の導入をいたしてきております。 ただ、やはりおっしゃるとおり、緊急にさらに導入台数をふやすということも必要であろうというふうに考えまして、私どもは四十九
年度
以降、臨時緊急に
相当
多くの機械を導入いたすべく現在検討いたしております。しかし、将来やはり小型化よりも中型化といいますか、中型機械を基幹としました作業体系に持っていきたいというふうに考えておりまして、中型機械の
開発
につきましても、現在
農業
機械化研究所におきましても研究いたしておりまして、近く実用化の段階に達し得るであろうというふうに考えておりまして、それが明らかになりますれば、
沖繩
も中型機械を中心といたしました機械化体系として
整備
をいたすというふうに考えております。
佐々木義武
32
○
佐々木委員長
上原
康助
君。
上原康助
33
○
上原
委員
先ほど来
沖繩
の糖業問題、特にキビ
価格
の問題について同僚議員のほうから御質問があるわけですが、私も限られた時間でございますので、キビ
価格
の問題を中心に、今後の
沖繩
の
農業
あるいは
沖繩
の農政の位置づけというものを
政府
がどう考えておられるのか、あらためてお尋ねをしたいと思います。 まず冒頭申し上げたいことは、キビ作農家の問題について、
価格
の問題について、与野党の議員を問わず深刻に受けとめているというこの事態を
政府
は理解をしていただきたい。
沖繩
の
農業
、当面するキビ
価格
の問題はもう単に政党政派の問題でない、イデオロギーの立場で考えられる問題でなくして、まさに
沖繩
の農民の死活の問題であるということ、そういう
実情
にあるがゆえに、これまで
政府
に対して農民代表あるいは農協代表県知事、県会、そして選出された国
会議
員、県民あげて当面するキビ
価格
の問題について、今後もキビ作が持続できるような打開策というものを何としても講じていかなければいかない、そういう立場でいま真剣に取っ組んできているということを申し上げておきたいと思うのです。 そこで、御議論を伺っておりまして感ずることは、まず
政府
として、いわゆるわが国の甘味資源政策というものに対する基本姿勢というものがどうも私はしっかりと腰を据えていないという感を受けるわけです。最近食糧の国際危機の問題等が出てきております。先ほど
諮問
の
説明
がありました麦の問題、あるいは最近の大豆の問題など含めて、もう従来
政府
が言ってきた分業論では国民の食糧
そのもの
が確保できない、そう言っても過言ではないと思うのですね。そういう面からいたしますと、やはり甘味資源の確保、いわゆる国民に安心して砂糖というものを
供給
できる、そういう体制というものをこのあたりでもう一度考えてしかるべきじゃないかと思うのです。そういうことで、今後のてん菜糖や
沖繩
の砂糖、奄美も含めてのキビ作の問題について、国としてどういう基本姿勢で臨んでいかれようとしているのか、その根本的な問題が明らかにならないと、ただ
価格
の問題なり当面している問題だけを議論してもいかない面も私はあると思うのです。したがって、今後の甘味資源確保ということを、先ほども政務次官なり
局長
のほうから御答弁もあったのですが、あらためてその基本方針についてお尋ねをしておきたいと思います。
中尾栄一
34
○
中尾説明員
上原
先生に御答弁申し上げます。 基本姿勢を示せ、特に甘味資源作物に対する基本姿勢を示せ、こういう御質問かと思うのでございますが、わが国における甘味資源作物でございますてん菜及び
サトウキビ
は、北海道、鹿児島県並びに南西諸島及び
沖繩県
におきまして、地域
農業
の
振興
上重要な地位にございますので、従来から甘味資源特別
措置
法に基づいてその
生産
の
振興
を推進するとともに、これらの地域において
生産
されたてん菜または
サトウキビ
を原料とする国内産糖の糖価安定
事業
団による
売買
を通じて、これらの保護育成をはかってきたところでございます。今後とも優良種苗の
供給
、機械化を中心とする栽培の省力化等につとめることなどによりまして、
生産
性の
向上
と農家経営の改善をはかり、さらに甘味資源の
生産
拡大
を積極的に進めてまいりたい所存でございます。
上原康助
35
○
上原
委員
おことばを返すつもりじゃないのですが、あまり機械的で形式的な答弁では理解できないわけです。 そこで、では具体的にお尋ねしたいのです。先ほどもお答えがあったのですが、いわゆる砂糖類の自給率の問題、
昭和
四十年以降どうなっているのかお尋ねしたいと思うのです。特に四十七年あるいは四十八
年度
においては、一体自給率というもの、自給度というものはどういう
状況
になっているのか。
政府
はこれまで
長期
生産
目標などを立てて、
昭和
五十七年ですか、まあ長い話ですが、二七、八%ないし三〇%まで高めていくということも、私も何回かお尋ねしてみましたが、そういう御答弁もなさっております。しかし、現実にはどんどん自給率というのは落ちてきているということ。一方国民の消費量というのは年々上昇してきております。さらに現在の国民の消費量の点は、文化生活がますます
向上
していくにつれて、消費量というのは欧米先進諸国並みに遠からずなっていくと思うのですね。そういう面を考えると、いま政務次官が御答弁なさるように、甘味資源地域に
指定
をして、奄美や
沖繩
、南西諸島あるいは北海道のてん菜等を入れて十分確保していく方針だということですが、実際に言っておられることと政策の遂行面においては、逆な現象が出てきているということは、数字の上においても明らかなんですね。 そういう点をもう一度きちんと整理をして、政策的な方向づけをやって、ほんとに
基幹作物
であり、甘味資源の確保というものが国民生活の上から必要であるとするならば、当然その目標に沿った政策の遂行、予算的裏づけというものがあってしかるべきだと思うのです。 私は、それがないところに今日の
価格
の問題が出てきているし、自給率を一方においては高めたいと言いながらも、どんどん
生産
は減っていく、そういう現象、矛盾というものが出てきていると思うのです。それに対してはどういうお考えを持っていらっしゃるのですか。
岡安誠
36
○岡安
説明
員 自給率でございますけれども、お話しのとおり三十年、砂糖
年度
で申し上げますと
昭和
三十年の砂糖
年度
におきましては、国内
生産
が大体十三万トンということで、需要量に
対比
いたしまして当時は一一・一%、一〇%台というような自給率であったわけです。 その後国内
生産
は
相当
ふえまして、三十五年には二十五万トン、四十年には五十六万トンというように順調に
生産
量は
伸び
てまいりましたけれども、一方御指摘のとおり、需要量のほうも
相当
大幅に
拡大
をいたしまして、国内
生産
量が
伸び
たわりには自給率は上がっておりませんけれども、
昭和
三十五年には一七%、それから四十年には二九%というところにきたわけでございます。その後も国内
生産
量はふえておりまして、
昭和
四十五年にいきましては六十四万トン台というところまで
伸び
ましたけれども、一方需要量のほうも
伸び
たということもありまして、四十五年の自給率は約二二%ということになっております。 ただ、四十六、七年は下がっているではないかという御指摘でございますけれども、これは先生御承知かと思いますけれども、主といたしまして、
沖繩県
が非常な
干ばつ
にあったということもありまして、国内
生産
量が四十六年は五十四万トン、四十七年は推定でございますけれども大体六十一万トン程度でございまして、四十五年よりも下がっております。これは異常気象ということであろうというふうに私どもは考えておりまして、今後ともやはり国内産糖量の増加というものは期待もできるし、またそのような方向でもって努力をいたしたいというふうに考えております。したがって四十七年の自給率は、需要量を三百万トンといたしますと、二〇%ということになりますけれども、先ほど申し上げますとおり、五十七
年度
におきましては大体二六ないし二八%程度の自給率は達成いたしたい、かように考えているわけでございます。
上原康助
37
○
上原
委員
確かに一昨年の大
干ばつ
のあったせいもありまして、
生産
量の減少というのはそういう
影響
もあったかと思うのです。しかしこれは後ほど議論をしていきたいわけですが、いわゆる今
年度
、四十八
年度
の
生産
量も当初目標とは大幅に落ち込みがあるということもおそらく知っていらっしゃると思うのですね。五、六十万トンの減になるわけでしょう。そういう現象だから、
価格
の問題がこれだけ社会的政治的問題になってきているわけですよ。私が指摘したいことは、
昭和
五十七
年度
までには、何とか二七、八%に持っていくということを、何回かこの点は、予算の分科会でも、私への内閣
委員会
での答弁でも、そういう御答弁をなさっております、
会議
録を見るまでもなく。しかし、現実にはそれは机上のプランにしかすぎないということ、空論にしかすぎなくなりつつあるということは、起きている現象
そのもの
を考えていただければわかると思うのですね。したがって、じゃ五十七
年度
には二七、八%に持っていくという
計画
であるならば、当然年次目標というものもあっていいのじゃないですか、
生産
の
計画
目標というものも。そういう面は立てないで、ただ、いまから十年先の話をここでやってみても、現在の農政のあり方では、農民がどんどん切り捨てられていくことにしかならないわけですね。具体的な年次
計画
というのはあるのですか、このキビあるいはてん菜糖の
生産
目標について。
岡安誠
38
○岡安
説明
員 現状におきましては、まだ具体的な
年度
ごとの
計画
というものは設定しておりません。ただ私どもは、特に
沖繩
の
サトウキビ
の問題について申し上げますれば、基本的な条件、これはやはり解決しなければならないというふうに考えております。土地条件もそうでございましょうし、最近の労働
事情
もそうでございます。こういうところを中心にいたしまして、土地条件の
整備
、それから省力化のための大幅な機械の導入というものを考えておりますので、私どもは五十七年目標というものは、
相当
努力を要するとは思いますけれども、到達不可能な目標であるというふうには考えていないわけでございます。
上原康助
39
○
上原
委員
これは政務次官にぜひ聞いていただきたいんですが、いま五十七
年度
には大体二七、八%に自給率を高める、そこまで持っていくんだというばく然とした
計画
はあるわけですね。しかし、
年度
別の
計画
はお持ちでない。私は、そこに根本的な、砂糖、いわゆる甘味に対する
政府
の姿勢が浮き彫りにされていると思うのですね。十年
計画
を持つなら、当然五カ年ないし年次
計画
というものがないと、そこに到達できないというのは、これは政策のイロハでしょう。したがって、二言目には省力化の問題、
基盤整備
の問題、あるいは機械化、いろいろおっしゃいます。確かに私はそれは否定はしません。その努力はやらなければいけないということは、だれも否定はしておりません。だが、つくっても引き合わない農作物をつくる農民というのは、いなくなるのはあたりまえなんですよ。なぜ今日の日本の
農業
問題がこれだけいろいろ議論されるかといいますと、いわゆるもう
農業生産
物というのは、単に
経済
ぺースで考えてはいけないということですよ。もし
農業
がほんとうにもうかるならば、大資本が
農業経営
をやりますよ。やらないでしょう。そういうこともあわせてこの甘味資源の問題年次
計画
というものを立てていかなければ、いつまでたってもこういう議論にしかならないと思うのです。もしそのことを根本的に現段階で手入れをしていかないならば、必ず食糧危機の問題、いま石油の問題だって、これを配給制にしようということになっている。戦時中日本が一番困ったのは砂糖がなかったからですよ。
沖繩
で生き延びたかつての日本軍は、キビをかじってようやく生きていた。それだけ砂糖というのは、国民の生活にとっていざという場合には欠かせないものです。そういう最悪の事態というものも私たちは政治の場において議論し、
生産
確保の問題と、
価格政策
の問題、支持
価格
の問題というのは私はやるべきだと思うのです。その根本的な方針というものが正しく位置づけられていないがゆえに、つくったはつくったが、次は自由化になる。あるいは買いたたかれる、立ち枯れさせるという現象が起きているわけですから、それについて、あらためて農林省として根本的なメス入れをやるお考えがあるのかどうか、その点をお尋ねをしておきたいと思うのです。
中尾栄一
40
○
中尾説明員
先生御指摘のとおり、確かに
農業
というのは歴史的にいろいろ問題点を含んでおると思います。特に最近に始まったことではない。従来から、これは何も
サトウキビ
によらず、米の問題であれ、また昨今においては小麦の問題にさえ、日本の自給率という問題はたいへんな問題になっています。そこで、先ほどの御指摘にもございました、いまや
農業
もターニングポイントにきているのではないか。これは何も
サトウキビ
によらず、先生の御指摘のとおり、全部
農業
がターニングポイントであることも間違いない、御指摘のとおりだと思います。それだけに、私どもも十分この問題点は腹をきめて、いろいろと示唆を行ないながら考えていこうという気持ちは十分持っておるつもりでございますが、何せ限られた農林省というワク内と予算の中におけるすべての
行政
でございますだけに、そこに問題があるわけでございまして、先生の御指摘は十分に踏まえておきたいと思っておるわけであります。
上原康助
41
○
上原
委員
もう少し議論を続けていきたいのですが、大蔵省、時間の都合があるようですから、一点確かめておきたいのですが、今度の、四十八年産といいますかのキビ
価格
の
決定
については、最後に大蔵省にお尋ねしたかったのですが、時間の都合があるというので、一言お聞きをしておきたいのです。要するに、一万三千円というのは九〇%近い大幅値上げだからとてもという役人の考えもわれわれの耳にもちらちら入るのですね。やれ省力化せぬで株出しだけやっておって何が
価格
かと、そういう役人も実際いるわけです。まあそれはそれとしてさておいても、やはり
価格
の問題にしましても、先ほどから議論されている
基盤整備
の問題、省力化の問題にしても、
沖繩
の場合は、
あと
で数字をあげてもいいわけですが、
本土
の農地改革あるいは
基盤整備
とほとんど比較にならないわけですね、鹿児島と比較しても。二十七年の
格差
というものを取っ払っては、これはどうにも議論できないわけですよ。そういう意味で、私は、
沖繩
の
基盤整備
の問題についてはまず全額国庫補助でやるということ、あるいは
価格
の問題にしましても、この際思い切って財政
措置
を、農林省あるいは大蔵省、
開発
庁を含めてやるという前向きの姿勢でないと、とてもいまの県民の、農民の要求にはこたえ切れない、また
沖繩
の
振興
開発
にはつながらない、そういう点があると思いますので、次
年度
の予算
措置
については大蔵省としても十分考えるという姿勢があるかどうか、その一点、確かめておきたいと思うのです。
宮下創平
42
○宮下
説明
員 お答え申し上げます。 ただいま御議論のありますように、農産物
価格
の問題農産物の
振興
の問題につきましては、
価格政策
だけではいけないということはもうしばしば議論されていることでございまして、われわれも当然そのように考えておりますが、四十八年産の
サトウキビ
の
価格
につきましても、十一月の二十日までにきめるということに相なっておりまして、目下農林省のほうで作業をしておりまして、いま私どもの手元にはまだまいっておりませんが、
価格
問題は、糖安法の
規定
によりまして、パリティ
価格
を
基準
として
物価
その他の諸
事情
を勘案ずる、しかもその上に、再
生産
を確保するということがうたわれているわけでございまして、われわれといたしましても、その法律の趣旨によりまして、また農林省の検討の結果を踏まえまして十分検討してまいりたい、このように考えております。
上原康助
43
○
上原
委員
まあいまの段階では、十分検討するという御答弁しかできないかもしれませんが、予算
措置
においても単に――これは
あと
で申し上げますが、パリティなんというのはいいかげんなもので、数字はいじくればどんなにもなる。十分そういった前向きの考えで対応していくというお考えである、立場にあるという理解のしかたでいいですね。
宮下創平
44
○宮下
説明
員 いろいろ議論されておりますところの諸点を踏まえまして十分検討してまいりたいと思っております。
上原康助
45
○
上原
委員
そこで、私も時間があまりありませんので、先ほども
価格決定
の
方法
についてパリティ指数の点があったわけですが、お尋ねしたいのは、ここで数字なりいろいろ理屈をこね回したって、現に、従来
政府
がきめてきた六千九百五十円という
サトウキビ
の
価格
ではどうにもならないということだけは事実なんですね。しかもこの六千九百五十円というのはブリックス一九度以上のことであって、それ以下は五千九百何ほかでしょう。みんなが全部六千九百五十円ではなかったのです。そういう意味で、先ほども、では
政府
は法改正の意思があるかというお尋ねに対しては、現在そういうお考えを持っていないという答弁でしたが、いまの糖価安定法二十一条の
規定
からしましても、かりにやろうと思えばできないこともないと私は思うのです。 その議論は少し先に延ばすといたしまして、従来の
パリティ方式
でほんとうに
生産費
に見合う
価格
になってきたのかどうか。また、昨年の六千九百五十円に対しても、私たちは再告示をやれという要求もいたしました。何度か大臣にもお会いをして、
沖繩
の最近における
物価
の
高騰
、労賃の値上がり、その他の
経済事情
を
参酌
して云々ということであるならば当然再告示も必要じゃないかということもやりましたが、その点は次
年度
において十分考慮をするということで、現在に至って事態はますます深刻化をしてきているわけですね。
政府
が
パリティ方式
に固執をするということであるならば、ではほんとうにパリティで、農民が
サトウキビ
をつくって再
生産
を確保し、さらに所得を補い、生活が維持できるような
価格
になっているのかどうか、そこがポイントだと私は思うのです。どういうお考えですか。
池田正範
46
○池田
説明
員 パリティ
価格
が、いま御指摘のように十分再
生産
を確保し、農家がそれによって
生産
を継続していけるだけの
水準
にあるかどうかという問題点は、いまの段階では、確かに御指摘がございましたように、パリティの持つ一つの宿命的な弱点が出ている時期であるということは率直に言わざるを得ないと思います。
物価
が上昇過程にありますときには、当然パリティの分子にあたる部分の期限の限度を越えて
物価
がその後上昇いたしますと、その分については配意できない面がございます。しかし逆に、いまのパリティ
価格
は、必ずしも永久に
物価
が上昇し続けることを前提として、そういう
状況
下に法律をつくるということではございませんので、むしろ通常の安定した
物価
形態のもとでございますから、ある場合には
物価
は上昇し、下落をするということで、パリティ
価格
については
生産
者側にとっても
プラス
の面もあるしマイナスのこともあり得るということが当然出てくることは論理的帰結だろうと思います。 しかしながら、ただいま御指摘のような、ただいまの具体的な事態のもとでどうなんだということがむしろ問題点でございます。そういう意味からいたしますと、むしろ
政府
といたしましては、こういうオーソドックスな法律の制度としての問題点をその時期時期でいじくるということはいかがなものだろうか。むしろ法律はそういうことを予想して、再
生産
を確保するように
事情
を
参酌
してきめろということが書いてあるわけでございますから、もしかりに先生が御指摘のようにその
価格
で食えないとすれば、それはむしろその
参酌
のしかたに問題があるということに考えをいたすべきである。私どもといたしましては、先ほどから諸先生方の御答弁に申し上げておるように、その
参酌
については、こういう異常事態、特に
沖繩
では
物価
や労賃が異常に上昇しておるという
実情
もございますので、そこいらも含めて、この法律の趣旨に沿って十分
参酌
をしていこう、再
生産
が確保できるような
価格
をきめることに全力を傾けましょう、こういうことを現在考えて、せっかく作業中でございます。
上原康助
47
○
上原
委員
私は、いま御答弁のあった点も理解しないわけではありません。しかしこの
価格
の問題がこう年々議論されてくることは、もとが低いのですよ。私は、そんな数字は専門でもない、わかりませんが、前
年度
のものを基礎にするわけでしょう。今度も六千九百五十円しか基礎になりませんよ。その前は六千七百五十円。しかももう一つのパリティの大きな欠陥は、分母が九カ月ですか、であるにかかわらず、分子は七カ月でしょう。そこにも大きな欠陥があるわけですよね。分子は今年の三月から九月までの指数をとる。分母は前
年度
の三月から十一月までとるわけでしょう。そうなりますと、そこにもう一つの矛盾が出てきているわけです。あなたがおっしゃるように、永久に
物価
が上がらないかもしれません。いまの日本の
状況
では、永久に
物価
が下がると思う人は、国民だれ一人いませんよ。そういう面からやはり私たちは、こういう
パリティ方式
では現在の社会情勢、
経済
情勢、そして農民が一定の作物を栽培する、再
生産
する
コスト
に見合わないから
生産費
・
所得補償方式
に変えるということを強く要求しているわけです。私は少なくともそういう方向に変えていかない限り、キビ
価格
の問題のみならず日本の多くの農作物というものは、農民がだんだん見捨てていく。その点を含めて、すぐ今
年度
、次のきめる
価格
からできないにしても、少なくとも次
年度
、近い将来においてそういう方向に持っていくということは検討する段階に来ていると思のです。その点については、政務次官、御見解いかがですか。
中尾栄一
48
○
中尾説明員
先ほど
局長
に答弁させましたが、確かにパリティ指数その他にもそういう問題点が往々にして見られる。とするならば、これはもうやはり将来にわたっては、この
物価
騰貴というものが未来永却のものでもないし、また半恒久的なものでもあるわけはない。あるいは下落する可能性もあるという安定指数に立ってパリティ指数があるとするという方向づけの中で、パリティという法律に基づいた、糖価安定法に基づいたものを
基準
にしているわけでございますけれども、先生の御指摘もありますので、あくまでもこの点は検討を十分したいと考えております。
上原康助
49
○
上原
委員
ぜひひとつ御検討をいただきたいと思います。 そこで、ちょっとこまかな数字の点になって恐縮ですが、昨年の
沖繩
における
生産費
は八千一百四十五円、これは何か農林省に聞いてみると、琉球
政府
当時の資料を使っているので根拠はないというような話もあったようですが、そういうことは言えないと思うのです。総合事務局が出している資料においてもそういう数字が出ているわけですから。さらに御承知のように鹿児島は七千三百四十六円でしたか、そういう数字になっております。皆さんが再三再四再
生産
に見合う
価格
ということであるならば、少なくとも
生産費
を割るという農作物がいま日本にはほとんどないと思うのですよ、キビ以外は。これは何も所得でもない、利潤でもない、
生産費
なんですよ。ぎりぎり八千一百四十五円はかかったのです。しかしおきめになった
価格
というのは六千九百五十円。したがって、パリティも本来ならば、基礎数値というなら、少なくとも八千一百四十五円にならなければいけないはずなんです。ここに私は大きな欠陥がある。もともと低いものだから、どうしたってパリティの指数だけはじいておったのでは一万三千円にはとうていならない。そこに数字のごまかしがあり、皆さんのほうからいえば妥当だと言っているのだが、われわれから見れば、ほんとうにインチキだと言うのだ。この八千一百四十五円の
生産費
というのは、
政府
はどう見ておられるのか。先ほど、いろいろの対応策があるのだ、種々の対応策があるのだというようなことも言っておりましたが、ではパリティ指数ではじいたらこれだけなんだが、種々の対応策があるというならば、こういった
生産費
と六千九百五十円の
格差
の問題あるいは時間がありませんからもうまとめて言いますが、皆さんはパリティだけいままでずっと何年間削ってきたのだ、そうでしょう。パリティ指数をずっと削ってきている、はじいた数字さえも。そういう矛盾というものはこの際洗いざらい出して、
是正
をする意思があるのかどうか、ぜひその点については明確な答弁を賜わりたいと思います。
池田正範
50
○池田
説明
員
サトウキビ
の
価格
のよって立つ
基準
は御指摘のとおりパリティでございますが、先ほどから申し上げておりますように、パリティで出てくる機械的数字が唯一のものではないわけでございまして、現実にはその他の
経済事情
、
生産費
といったようなものを総合的に勘案してきめるというのが法律の趣旨でございます。その意味からいたしまして、パリティ
そのもの
としてきまらないということがあっても、それはそれでその時点における一つの判断であったというふうに私どもは考えるわけでございます。 ただ問題は、いま御指摘の四十六年産の
サトウキビ
について八千百四十五円という
沖繩
統計庁の数字から析出をいたしました
生産費
がございます。これは御承知のように、当時の
沖繩
統計庁が一ドル三百六十円という当時の移行前の一律的な換算相場で算出をいたしたものでございまして、正式にはその当時においては――私ども実は御承知のように、その翌
年度
の
サトウキビ
の
生産
者
価格
をはじき出す場合には前の年の
生産
者
価格
の実績をベースにして、そしてこれをパリティアップして出すというやり方をとらざるを得なかったわけでございます。そういたしますと、当時の推定
生産費
として私どもが考えておりましたのは、
沖繩
の統計庁で出しました数字を、投下期別に、こまかくウエート別にその時期におけるドルと円との換算率で全部計算をし直しまして析出をいたしましたものと、それから四十六年産の、当時は日本では鹿児島だけが
沖繩
に匹敵する
サトウキビ
をつくっておったわけでございますので、鹿児島における
サトウキビ
の
生産
者
価格
というものを推計の基礎にいたしましてパリティアップいたしたものと、実はそれぞれ計算をいたしまして、それがほぼ七千円前後になったわけでございます。したがって、当時の算出をいたしました条件のもとでは、六千九百五十円というふうなものにさらにいわゆる積み込み費というものを
平均
いたしまして二百五十円ないし三百六十円積み上げましたこの数字というものは、決して当時私どもが推定をいたしておりました
生産費
に比べて大きい差のあるものではないという観点に実は立っておったことは事実でございます。それが、先ほど来申し上げておりますように、その後の
物価
の上昇というのが非常に大きく出まして、しかも収穫労働というものが現実に六割を占めております。その収穫労働が翌年の一、二月、三月というところにまいりますので、その時点における
物価
の上昇率というものが当然カバーできなくなってきた。そのことが実は農林統計情報部から出ております四十六年産の
生産費
実績七千三百二十六円から見て
かなり
下回る結果になって、そこに大きい政治問題になって今日先生方からいろいろ御指摘をいただくところにきたということは、私どももよく認識をいたしているわけでございます。 しかしながら、それらのことは実はどういうやり方をとりましても、その年にいまつくった
価格
を直ちに統計処理するということは不可能でございまして、何らかの形の約束でこれはやはり換算をして使っていかざるを得ないわけでございます。その意味からいたしますれば、前車の轍を踏まずと申しますか、やはり今回の
事情
というものを十分頭の中に入れて、このパリティその他の
経済
上の
参酌
面を含めまして総合的に
参酌
をいたします場で、私どもとしては最善の努力を尽くすべきであるというふうに考えているわけでございます。
上原康助
51
○
上原
委員
いまのはちょっと含みのある御答弁ですが、やりとりはあんまりしませんが、そうしますと、いま私が申し上げた、たしか鹿児島は七千三百四十六円ですか、
沖繩
は八千百四十五円。これは何も琉球
政府
のあれでないですよ。あなたは三百六十円なんて持ち出すが、皆さんが出している統計資料ですよ、
沖繩
総合事務局が。そうしますと、この八千百四十五円のあれも、
事情
の変化ということで十分
参酌
するということですね。それはぜひもう一度確認しておきたいと思うのです。 それと私が申し上げたいのは、パリティ、パリティと盛んにおっしゃっているのですが、私の手元にある資料でも四十一年の
農林大臣
告示
価格
が五千九百九十円。これは加重方式をとらない点も疑問なんですが、実に二百四十円切り捨てなんです。六千二百三十円のパリティの算出に対して二百四十円の切り捨て。四十二年は百二十三円の切り捨て、四十三年は百七十円の切り捨て、四十四年だけ実に五円だけ。四十五年が百五十五円の切り捨て、四十六年も二百十四円の切り捨て。四十七年、昨年も六千九百五十円なんだが、パリティではじいたのは六千九百八十四円。実に過去七カ年に九百四十一円の切り捨てになっているわけですね。ですから、これだけ切り捨てられたわけだから、パリティだけでとってみても、六千九百五十円に九百四十一円アップしなければいかぬのですよ。そうすると、数字の結果というものは
かなり
変わってくる。 さらにこれは皆さんがいまとっておられる法定方式、政令附録第二に基づいた数字なんですが、もう一つ疑問なのは、法定方式の修正累年パリティ、いわゆる加重方式。この加重方式でこの例を出してみますと、実に四千六百四十二円の切り捨てですよ。一万三千円の要求
価格
は、この四千六百四十二円を切り捨てないならば、実際一万三千円に余るのです、この加重方式をとれば。だからこの数字は六七%の農民切り捨てですよ。数字というのはいじくることによって幾らでもできるということが、私はこの数字を見ただけでも実証できると思うのです。 皆さんがおっしゃる過去のそういった弊害なり欠陥ということも十分
参酌
してということであるならば、ここで公式に出された数字の上から見ても、いかに低く
価格
が押えられてきたかということは明々白々の事実。政務次官、そうであるならば、こういうことも含めてパリティの指数に反映をさしていくということにならなければ、私はほんとうにおっしゃるように、十分
参酌
をして
沖繩
の
基幹作物
だから維持
振興
していくということにはならないと思うのですね。その点も、いま幾つかの例をあげましたが、そういう面も含めて今度
価格
を
決定
する上においては数字の洗い直しなり再検討をやる御意思があるのかどうか、あらためてお伺いをしておきたいと思います。
池田正範
52
○池田
説明
員 まず最初に、八千百四十五円の
沖繩
統計庁の数字、これはその
沖繩
統計庁の数字をベースにいたしまして三百六十円という一律換算で計算した結果を統計情報部から発表したということでございまして、これがいわゆる農林省の
生産費調査
と連続するものであるという扱いはしていないはずでございます。そういう意味で、実は七千三百二十六円という統計情報部の鹿児島、奄美群島の
生産費
というものと、このいわゆる一律計算をいたしました八千百四十五円とはおのずから統計の位置づけとしては違う位置づけのものであるというふうに理解をせざるを得ないと思います。私どもといたしましては、実は近々に出ますところの
生産費調査
の実績というものが大切でございますので、この出ます実績を踏まえまして、ぜひ来
年度
以降の問題点を、やはり
長期
としてはきちんと考えていかざるを得ないだろう。ただ、当面きめる問題点といたしましては、こういうふうに
沖繩
における
調査
というものは参考資料としては十分考慮の中に入れなければいけない。ただ一律三百六十円という換算率で一体いいかどうかはもう少し検討する必要があるというふうに考えておる次第でございます。 それからパリティの端数切り捨てが累積して非常に大きな農民の損失になっておるということは、これはパリティ
そのもの
をとるということからいたしますと、御指摘のとおり計算はできようかと思います。そのことが累積いたしまして、農民サイドから見て
かなり
不利になっておるではないかという感じをお持ちいただくのも、これはある面で無理からぬ面があろうかと存じます。 しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、これは八リティを
基準
とするものであって、パリティ
価格
できめるというものではない。むしろそれらの
価格
の裏には、たとえば農作物全体の
生産
性のアップというふうなこともあって、非常にわずかな単位の、たとえば五十アールとかあるいは四十五アールとかいった零細な規模ではあるけれども、やはり長い間かかって
かなり
の労働時間の節約、
生産
性のアップというふうなことも中で行なわれてきている面もございます。したがって、将来の再
生産
を確保するのに十分であったかどうかの御批判はいただくといたしましても、私どもといたしましては、パリティ
そのもの
が直ちにすぐ
決定
価格
につながるものではないという立場から、切り捨てという
考え方
には立ち得ない。しかし、全体としての
価格
の
水準
が十分でなかったことが今日の
生産
の不振を招いた原因ではないかという御指摘に対しては、十分検討いたしたいと思っております。
上原康助
53
○
上原
委員
時間が参りましたので、ちょっと労働費の問題について触れることができませんでしたが、結びとして……。 いま私は幾つかの矛盾点を指摘いたしました。それはお役所の立場からはどうとも反論なりあるいは理屈もつくでしょう。しかし、やはり今日の
価格
問題というのは、もとが低く押えられてきたがゆえに十分実勢に合っていないというのは、これも理論、理屈の問題じゃなくして実態ですよ。おまけに国の施策という立場での
海洋博
の問題がある。そういうことであるならば、先ほど来言っておりますように、ほんとうに再
生産費
を確保できる
価格
になるというのには、これはパリティの
基準
に
プラス
でなければいかないと思うのですね。むしろいままでは切り捨てられているかっこうなんです。その点を強く指摘しておきたいと思うのです。 そこで政務次官、結びとしてお尋ねしておきたいことは、これまで
農林大臣
も政治
加算
ということを
要請
団に対してたびたび口にしてこられました。これもパリティだけではとうていいかないわけですね。 いま一つ、
沖繩
の最近の
物価
高騰
なり
労働力
のアップの問題等を考えました場合に、前
年度
六千九百五十円以降、特に労働費は七七%を占めているわけでしょう。収穫期において六〇%。
生産費
の全体の七七%は労働費なんだ。そういう面からすると、現在の実勢レートに見合うように持っていくには、どうしてもこの糖価安定法の二十一条の三項ということについても検討すべきだと思う。皆さんが法律改正をやらないということであるならば、告示してから、実際に実勢レートに見合っていない、その他の
物価
の変動があった場合には三項においては再告示もできるということがうたわれているわけですから、当面の
価格
の問題ということと、将来においてそういう重要な変更があった場合には再告示もするということでなければいかないと思いますね。これが一つ。 いま一つは、再三政治
加算
ということが繰り返されておりますように、やはり大豆の問題だって麦だって奨励金というのをやっているわけでしょう、栽培奨励金というものを。食糧需給を確保するにはそういう政策的な
配慮
、予算
措置
をやらなければいかないわけですから、少なくとも一万三千円に基本
価格
をきめていく、それ
プラス
いま言った再告示の問題同時に農民に勤労意欲を持たして、
農業
を放棄させるのでなくして、農民を殺すのでなくして、やはり
農業
に意欲を持たす立場での栽培奨励金というものも基本
価格
に
プラス
をする、そういう
価格
の
決定
ということも私は政治的な
配慮
でやらなければいかないと思うのです。その点についてはぜひ明確に、すぐやりますというお答えはないかもしれませんが、少なくともそういう問題も含めて今回の
価格
というものは最終的に結論を出すということでなければいかないと思います。その点ぜひお答えをいただきたいと思います。
中尾栄一
54
○
中尾説明員
目下のところ御案内のように米審が開かれておりまして、この
サトウキビ
の問題も大体二十日までということになっておりますので、十分先生のその基本的なお考えも承りましたので、そんたくしながら検討していきたい、こう考えておる次第でございます。
上原康助
55
○
上原
委員
もう時間が来ましたが、最後に申し上げた点ですね、あくまで基本
価格
を一万三千円の要求に持っていくということ、同時に
沖繩
の現在の
経済
状況
を
参酌
するということ、いま一つは、やっぱり農民がつくらなければもうこれは
振興
もくそも、甘味資源の確保もあったものじゃないですよ、
基幹作物
でもなくなるわけですから。そういう総合的なものをぜひ御
配慮
をいただいて、特にもう農政には詳しい次官のことですから、私はぜひひとつそういう面で
復帰
後のいまの危機というものを農政の立場からもお考えになっていただきたい。これは何も私が野党だから申し上げるわけじゃないのです。ほんとうに県民あげての強い要求であるということは先ほどの西銘さん、
國場
さんのお話を聞いてもおわかりのとおり、これからもいろいろまた御議論もあると思います。その点ぜひひとつ農林省全体としてという立場はもとよりですが、
政府
全体の立場でこの問題については県民が納得する結論をこの際出していただく、その後に省力化の問題や
基盤整備
の問題いろいろ
政府
の立場でも文句も言ってください、われわれもまた努力します。そうでなければいかないと思いますので、特にその点を補足をしておきたいと思います。
佐々木義武
56
○
佐々木委員長
美濃政市
君。
美濃政市
57
○
美濃
委員
サトウキビ
の問題で若干質問いたします。
あと
私は大臣が見えたときに十五分質問しますから今回は十五分でありますので、要領よく質問しますから要領よく答弁を願いたい。 私は朝からの質疑を聞いておって、
局長
も次官も奥さんが病気しても医者につけるという感覚のない男でないか、こう私は判断して聞いておりました。これは、パリティや
参酌
し、などというものでありません。この
沖繩
の今回の
サトウキビ
の問題は、糖安法の上限
価格
を伸ばしたり縮めたりした範囲でものをはかるべきでないのです。なぜかというと、
派遣委員
報告
書にも書いたでしょう。二十七年間異国の施政権下にあったということはやはり日本全体の責任ですよ。私は、同じ砂糖ですから北海道のビートとちょっとここで関連して申し上げます。 戦争が終わったときに、北海道のビートは十アール
当たり
二・二トンです。今日四・五トンになっております。労働時間でいうならば八十時間かかっておりました。今日、機械化されまして五十時間を割りました。
相当
の速度で品種改良も行なわれております。
基盤整備
も行なわれております。米について、労働時間でいうならば、戦争が終わったときには百八十時間、ことしの
米価
試算では十アール
当たり
の労働時間は百時間を割ったんじゃないですか、九十何時間です。
沖繩
は戦争の終わったそのままなんです。だから二百九時間かかる。私はここで二百九時間に対してどうあろうと、行ってみたら
石垣島
では
復帰
前は二十万トンの
サトウキビ
がつくられておったものが、
復帰
後一年半たって行ってみたら四万トンだった。
サトウキビ
をつくっておった畑の七五%は荒廃してしまっております。何のための日本
復帰
であったのか。 ですから、ちょっと
局長
、私の言うことを計算方式ですからメモしておいてください。どうあろうと、二百九時間の労働時間に対して五人から三十人規模は一時間
当たり
四百十円、これを今回
決定
してください。そうすると十アール
当たり
家族労賃が八万三千六百二十円となります。それに統調で計算されている
生産費
二万四千二百二十八円を
プラス
いたしますと、十万七千八百四十八円が十アール
当たり
の
生産
経費
です。これを、ちょっときついけれども、七・五トンで割りまして、一万四千三百五十円です。これを
決定
する能力がなければ、前段に申し上げた子供さんや奥さんが病気しても医者にかけないという誠意のない人間だ、誠意のない政治になると私は申し上げておきます。ものさしではかったってそんなことは出ませんからパリティやそういうものさしではかるべきじゃないです。パリティの
トン当たり
百円がどうだ、二百円がどうだという問題じゃないです。それで計算して百四十億でないですか。分みつ糖をこのキビ
価格
で買い入れて、市価見合いで売り戻す差損は百四十億程度でしょう。私はここで、今回の
調査
で――きょうは時間がないですから、いずれ沖特なりこの
委員会
で申し上げますけれども、
沖繩
に対しては、
価格
の上置き、これから進める土地
基盤整備
も、
本土
以上におくれておるのでありますから、やはり特別
補助率
を適用しなければなりません。たとえば
本土
であれば六割の
補助率
のものを
沖繩
は九割くらいの
補助率
、このぐらいで十年間進めなければならぬと私は思います。
農業
だけでその計算を私は一応概算四百億と思っております。来
年度
予算からこれはやらなければならぬことだ。土地改良するにしても、
本土
の
補助率
の上積み部分だけですよ。 それから
サトウキビ
をいま特別にきめて、そしてその
あと
どうなるかということを申し上げます。これは北海道のビートと同じように、機械化をして
基盤整備
を進めていって労働時間は百時間にしなければなりません、十年間で。反収も十トンにしなければなりません。いいですね。労働時間を百時間にして反収を十トンにすればキビの
価格
は七千五百円で私が申し上げた一時間
当たり
労賃四百十円、一日
当たり
労賃三千二百八十円が保証されます。 私はここであえて申し上げておきますが。
サトウキビ
とてん菜との含糖率からいけば一
トン当たり
千円の差がつくことは当然であります。しかし、私は今回一万四千三百五十円というものをここで提案いたします。一万三千円は内輪です。まだ遠慮しておるのですよ。一万四千三百五十円で
決定
する能力がなければ農林省と私は言えないと思う。とにかくいま戦争で弱って帰ってきたというところなんですから、自分のきょうだいや子供が戦争で弱って帰ってきたら医者にもかけんならぬでしょう。そら帰ってきた、あすから一人前の能力で、このノルマで働けというばかな話がどこにあるのですか。政治というものはそういうものじゃないと思うのです。弱っておる国民は弱っておるようにしなければならぬじゃないですか。この
価格
が
決定
したからといって、私は、二・二トンでビートを計算すると一万六千円になりますが、
沖繩
の
サトウキビ
が一万四千三百五十円できまったから来
年度
のビートを一万六千円にきめろなどと、口が腐ってもそんなことは言いませんよ。こういうインフレですから、パリティだけは強く言いますけれども、北海道のビートは
サトウキビ
と比較して一万六千円にきめなければ承知しないなんということは、腐っても言いませんから。私は、自分の家族やきょうだいが病気をしたり、あるいは今回のように戦争で疲れて帰ってきたら、おお、よく帰ってきた、ゆっくり休んでひとつからだをじょうぶにして、また働こうではないかと言うその能力がある男だと自負しております。ぜひそれをやってください。どうですか。パリティなんかだめです。聞きたくもありませんパリティがどうするとか、何を言っておるのですか。そんなものじゃないということですよ。パリティだとかそんなものさしではかってどうだこうだということは、疲れ果てて帰ってきた国民に対してそういうことが言える義理がわれわれはどこにあるのですか。そういうことは聞きたくありません。パリティなんというものはきょう限りやめてください。私の申し上げたことを計算してきめてください。どうですか。
池田正範
58
○池田
説明
員 非常にきびしい口調でおしかりをいただいたわけでございますが、そのお気持ちの底にある気持ちは私どもも共通でございます。しかしながら問題は、いまのやり方自体の問題パリティの方式自体の批判ということから出発されておりますが、私どもは、パリティの持つ欠陥は、先ほどから申し上げておるように、その場その場の客観条件のもとでは、当然弱点が出ざるを得ない、それをカバーして総合的にしていくことが
行政
価格
であるし、それにさらにいろいろな
配慮
が加われば政治問題にもなるだろうというふうに先ほどから申し上げておるわけで、別にパリティをとりでにして無理やりに
サトウキビ
の
価格
を安く押えようなどという気持ちで申し上げておるわけでは決してございません。その底にある心情は、やはり
沖繩
の
復帰
した
サトウキビ
生産
が安定した形で今後上昇できるようにという一点にしぼって、私どもも努力をしておるつもりでございます。なおいろいろと努力の足らざる面、その他さらに広範な政治的
配慮
その他の問題を含めますれば、これは私の答弁の範囲ではございませんので、御容赦をいただきたいと存じます。
中尾栄一
59
○
中尾説明員
美濃
先生のおことばはもちろんきびしゅうございますが、その御心情は、私はむしろおやさしい気持ちだという気持ちで考えております。これは全く私どもも同じ気持ちでございまして、
沖繩
復帰
に対する努力は与野党を問わずみんな一緒にやったわけでございまして、同時に、
復帰
した以上は、日本の
本土
並みということばがありましたように、その方向づけをわれわれが鋭意努力するのはごくあたりまえのことである、こう考えております。 私は法律的な問題はよく存じ上げませんけれども、問題は、法律に基づいた形のパリティ指数という形で先ほど申し上げておったわけでありますが、私もこんな数学的なことをとやかく言う気持ちは全くございません。当然執行部といたしましても、この問題を考えていくときには、先生のその御温情ある姿をそのまま反映したいところでございますけれども、御案内のとおり、やはり日本の限られた予算形態の中におけるそれぞれの問題における分配の問題でございますから、それだけに十分私ども勘案して、御心情の一端は私どももともども協力し合って盛り上げをつくっていきたい、このような気持ちでございますから、ぜひとも御賢察のほど願い上げたいと思います。
美濃政市
60
○
美濃
委員
私はこれで終わります。
あと
十五分、大臣にも同じことを言おうと思っておりますが、どうかひとつ病人は医者にかけるだけの能力を持った政治を――政務次官もこれを
決定
する立場にあるわけです。病人は医者にかけるだけの能力を持ってください。それをお願いして一応終わります。
佐々木義武
61
○
佐々木委員長
瀬長亀次郎
君。
瀬長亀次郎
62
○瀬長
委員
最初に事実
関係
を確認しておきたいと思います。 糖価安定
事業
団の収入と支出、収入は主としてどこからの収入であり、支出はどこへ出したものであるか、これを事務当局にお願いします。
池田正範
63
○池田
説明
員 糖価安定
事業
団の機能は、現在の糖安法を実行してまいります際の一つのかなめになる機能でございまして、御案内のように、約八割のものが外糖、それから二割のものが国産ということになるわけでございますが、その外国から入ってまいります砂糖というものは、これは原糖で入ってくるわけでございますが、値段が相対的に安いわけでございます。最近はだいぶん上がってまいりまして、
トン当たり
で五万四千円見当になってまいりましたけれども、
平均
いたしますと、従来は大体四万五千円から五万円未満というところで長い間入ってきているわけでございます。ところが、これでそのまま国内に入れてまいりますというと国内の
サトウキビ
やビートの
生産
が打撃を受けることから、それらの安く入ってまいります砂糖を一定の
価格
安定帯のもとで、その砂糖から一定の資金を吸い上げまして、そして国内でできてまいります高い砂糖といわばミックスして、そして同じような競争
関係
に直して払い戻すというふうにしておるわけでございますが、その際にこの安い
価格
、つまり安定帯を下回って入ってきた部分については、これを安定資金として、収入としてその
事業
団の中に積み立てるというのが一つございます。これは国際糖価が高くなりまして逆に上限
価格
を越えた場合には払い戻すという形で、
長期
にはバランスをするということになるわけでございます。 それからもう一つは、国内糖は要するに非常に高いわけですから、高く買って安く売らなければいけません。その安く売るのと高く買うのとの差額は、これは一つの計算の基礎でございますが、合理化目標
価格
というものを毎年きめておりますが、その合理化目標
価格
より上回ったものは国費で、交付金で
事業
団に交付をいたします。したがって、これは
事業
団の収入になるわけでございます。下回った部分につきましては、あらかじめ先ほどの安い外糖から積み立てました部分の一部を調整金勘定として積み立てて、これを交付金に充てる。こういう形で、いわば資金ソースとしては、輸入いたします砂糖と国内の
生産
というものとをうまく国内の
市場
の中でまぜ合わせて、競争できる
価格
でやるようにする。そのための資金操作があって、収入源としては、その輸入糖からの差益金とそれから
一般
の予算からの交付金と、その二つの種類が収入のおもなるものでございます。
瀬長亀次郎
64
○瀬長
委員
四十年から四十八年九月までに糖価安定
事業
団の収益が百五十二億五千七百万円になっておりますが、そのとおりですか。約百五十三億――時間がございませんので、
調査
の上
あと
で御返事ください。 それから、砂糖にかかっている税金ですが、四十五年と四十六年の関税が合計して約二百億、さらに砂糖消費税二カ年間で九十三億、約三百億円税金が砂糖
関係
で取られている。これは一キログラム
当たり
消費税が十六円計算、さらに関税は四十一円余り。いま砂糖の中に約四二、三%の税金、すなわち半分は税金をなめているということになる。これはお認めになりますか。
池田正範
65
○池田
説明
員 税金のほうから申し上げますと、確かに御指摘のように、現在一キロ
当たり
消費税十六円、関税四十一円五十銭ということでございまして、全体としての現在私どもが理論値として考えております約百四十円近い精製糖価の
水準
からいたしますと、そのうちで約五十七円五十銭というものが税金である、これは確かにそのとおりでございますが、しかしながらこれらは、この中で特にこの四十一円五十銭の関税につきましては、これは国際糖価が非常に高くなってまいりますというと、当然先ほど申し上げました、積み立てていた糖価
事業
団の資金がなくなってまいります。 〔
委員長
退席、山崎(平)
委員長
代理着席〕 そうしますと、枯渇をいたしました際の対応策といたしましては、いわゆる弾力関税制度というのが持ち込まれておりまして、この財源に関税を引き下げることによって対応するということで、必要以上に国際糖価が暴騰いたしました際のいわゆる上ざさえをするという仕組みが中に入っておりまして、したがってそれが発動されるまでにこれをはずしますと、逆に国内糖価に対しては猛烈な補助金を出すか、あるいは国内産糖が圧迫されるか、どちらかに追い込まれますので、それらを含めて
長期
的な安定帯の中の一つのささえにこの関税制度が組み込まれておるわけでございます。
瀬長亀次郎
66
○瀬長
委員
私がこの二つを確認してもらったのは、いまの
サトウキビ
の
価格
を
引き上げ
ると
消費者
に転嫁されるんだといった理論を組み立てているようでありますが、この二つからこのからくりをはっきりすれば、
消費者
に転嫁されないという事実が明らかになるから確認してもらったわけであります。 さらにもう一つは、いまの国内産糖と輸入量の
関係
、農林省から出した統計によりますと、三十九年、これが一番甘味資源として
生産
が上がったときであり、そのときの自給率は二六%。現在四十六年が一八%、こう落ち込んでおります。
沖繩
並びに鹿児島県の場合も、三十九年が一番最高値です。
沖繩
の場合、粗糖二十七万トン、鹿児島が八万トン。四十七年になると
沖繩
は実に十二万トン減って十五万トンになっている。鹿児島も七万八千トンになっている。こうしただんだん自給率が減っている。ところで皆さんのいまおっしゃった甘味資源を確保するということは、二六%ぐらいがせいぜい目標にされている。ところで、三十九年すでに二六%に達していたのが現在一八%に落ち込んでいる。この事実は、現在まで自民党、田中内閣を含めて佐藤内閣時代から引き続き、
農業
と農民生活破壊の政策が行なわれているということを意味します。 この点は大臣が来られたときに、
農業
政策の基本問題は一体どこにあるのかお聞きしますが、端的に申し上げまして、事務当局は、
あと
十日ぐらいすると告示を出さなくちゃいかぬということになっておりますが、鹿児島及び
沖繩県
のキビ作農家がいま、絶対これ以下には下げられぬ、一万三千円要求しておる。これは一体妥当と思うのか、妥当として
パリティ方式
などで計算しようとしているのか、これは妥当でないということでしておるのか、これが一点。 もう一つは、現在の
パリティ方式
でいって幾らぐらいまでは値上げできるのか。六千九百五十円から千円ぐらい上げて、せいぜい八千円ぐらいという見当であるのか、そのほかは政治的
配慮
という見当で進めているのか、この二点を明らかにしてほしいと思います。
池田正範
67
○池田
説明
員 甘蔗糖の年次別の経過については、ただいま御指摘のございましたとおりでございます。私どももさように承知をいたしております。したがいまして、全体としての国産糖の構成割合が、甘蔗糖がだんだんに減り逆にビート糖がふえるという形で、全体としての自給率というものが非常に停滞しておるというのも、御指摘のとおりでございます。 そこで、そういう自給率が甘蔗糖について停滞ないし下がってきていることが、これが現在までのいわゆるパリティ
価格
の低さからもたらされたものではないかということから一万三千円の御評価を私どもに迫られているのだろうと思います。端的にいって、事務当局として現在作業段階でございますので、現在出ております一万三千円に対する判断というものは差し控えさせていただきたいと存じますが、しかしながら、こういうふうに客観的に甘蔗糖自体の
生産
というものが停滞ないし
減少傾向
にある中で、全体としての自給率を上げていこうという政策目標を同時に打ち出しておるわけでございますので、したがってパリティ
基準
とは申しますけれども、総合的にいろいろな対応策を練っていく必要があると考えておるわけでございます。 それからパリティ自身で現在計算をいたしますと、これはいわゆる法律上のやり方をそのまま機械的に当てはめますと、対前年で一五・四一%上がりまして、これをもとの値にかけますと八千二十一円というのが機械的には算出されるわけでございますが、しかしこれが出たからといって、これが即来
年度
の事務的な積み上げの基礎にそのまま使われるわけではございません。
瀬長亀次郎
68
○瀬長
委員
あと
は大臣に質問します。
山崎平八郎
69
○山崎(平)
委員長
代理 次に、
瀬野栄次郎
君。 〔山崎(平)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
瀬野栄次郎
70
○瀬野
委員
消費者
米価
問題並びに
沖繩
及び鹿児島南西諸島の
サトウキビ
問題、この二点にしぼって
櫻内
農林大臣
に質問いたします。 まず、今回の
消費者
米価
問題から質問をいたしますけれども、やがて米審から大臣も帰ってくるように聞いておりますので、その間政務次官にお伺いいたします。 御承知のように十一月七日から米審が開始されまして、いよいよきょうは答申が出るという段階でありますが、今回の
米価
諮問
にあたっては、
消費者
並びに
消費者
団体等の国民の強烈な反対にもかかわらず、米においては一三・八%、麦においては三五%の
諮問
がなされております。新聞紙上その他等を見ましても、すでに自民党内においてもこれらの問題をとらえて、
引き上げ
の幅が大き過ぎるということで、
諮問
後
相当
これを検討するというようなことがしばしば報じられ述べられておりますけれども、こういった
諮問
をなされた背景、またこういうふうなインフレ、
物価
の値上がりのときにこのような大幅値上げの
諮問
をしたという、まことに時期的にも心理的にもこれは国民に及ぼす
影響
は大きいし、公共料金にもたいへんな
影響
を及ぼす、また
物価
値上がりにも
相当
な
影響
を及ぼすことはもう言うまでもありません。
農林大臣
にもきびしく後ほど追及いたしますが、政務次官、この
諮問
案に対してどういう検討をなさって今回の
諮問
をなさったか、この公開の場で正式にひとつ国民の前にその見解を承りたいのであります。
中尾栄一
71
○
中尾説明員
大臣も間もなくお見えになることと思いますが、これは今回の
生産者米価
のときに、その当時の雰囲気といたしましても当然のことではございますけれども、
消費者
米価
というものはいささ
かなり
とも上げなければならないということは、一つのムードとして当然そのときに勘案されておったと思うのであります。この
委員会
とてもそのような方向で語られておったことも記憶するのでございますが、この背景に至りましては、食糧庁の
総務部長
も来ておりますから、少しくそちらのほうから逐次答弁をさせたいと思っております。
杉山克己
72
○
杉山説明員
ただいま政務次官からお話を申し上げましたように、
生産者米価
の
引き上げ
を行なったことによりまして、
政府
の
米価
の
売買
逆ざや
あるいは
コスト逆ざや
というものは大幅にふえたわけでございます。一々の数字を
説明
することはいかがかと思いますが、現在
末端逆ざや
だけで見ましても、
売り渡し価格
の一九・五%ということに相なっております。先回の
生産者米価
引き上げ
によります分だけをその中から計算いたしますと、一七・三%という比率に
相当
するものになっておるわけでございます。こういったことによりまして食管の赤字が大幅にふえるということにもなっておりまして、
逆ざや
そのもの
は
食糧管理
の立場から見ましても、
価格
の正常なあり方、
価格
体系の上から食管
運営
の上で問題があるということだけでなく、
財政負担
の上からも、農林省としては非常に大きな問題となっているわけでございます。このような
逆ざや
をいつまでも放置するということは許されないと考えて、今回
改定
に踏み切ったわけでございます。
瀬野栄次郎
73
○瀬野
委員
今回の
改定
がこのインフレの
状況
下において
物価
に
相当
大きくはね返る、またわれわれ国民の生活に重大な
影響
を及ぼすことはもう当然でありますが、米審会場にもたくさんの
消費者
団体、また主婦連をはじめ各団体の方が連日悲壮な叫びで訴え叫んでおります。大臣もしばしばその声を聞いていろいろ見解を述べておられますけれども、実際問題として大臣はあまりこの
消費者
米価
の値上げは国民に
影響
しないかのように言っておりますけれども、その点農林省はどういうふうな見解をとっておられるのか。今回の値上げによって
影響
はない、こういうふうに見ておられるのか、その点当局の見解をまずお聞きしておきます。
杉山克己
74
○
杉山説明員
米価
、今回は
麦価
も一緒に
改定
することといたしておるわけでございますが、その米
麦価
引き上げ
の
物価
、
家計
に対する
影響
の見方といたしまして、まず
昭和
四十七年九月から四十八年八月までの期間における一世帯
平均
一カ月
当たり
の
家計
支出、この状態を一つベースにいたしまして
影響
がどの程度であるかということを私どもで試算したところによりますと、米麦合計で、支出額の増加は全世帯一カ月
当たり
四百七十七円、比率にいたしまして消費支出総額の〇・五%程度になるということに見込まれております。また勤労者世帯にこれをとってみますと、一カ月
当たり
四百六十円の金額、比率にいたしまして消費支出総額に対し〇・四%程度であると考えられております。 それから
物価
指数の上でどの程度
影響
があるかということでございますが、総理府統計局の
消費者
物価
指数、これは全国のものでございますが、それにおける
精米
と麦製品のウエート、それから米と麦の
政府売り渡し価格改定
の
消費者
物価
指数に及ぼす
影響
を計算してみますと、
精米
の
価格
上昇の
影響
は〇・六%、それから麦製品の
価格
上昇の
影響
が〇・一%、これら合計いたしまして〇・七%程度の上昇になるというふうに考えております。 なおそのほか、外食そのほか関連品目の
価格
にも
影響
が及ぶわけでございますが、これらについても計算してみますと、〇・一%程度であるというふうに見込まれております。
瀬野栄次郎
75
○瀬野
委員
農林大臣
には七日から米審で三日間の審議にいろいろと多忙なことでございますけれども、国民がたいへんに心配している現在の
消費者
米価
の問題でございます。さっそくですけれども、大臣にお伺いをいたします。 いま政務次官をはじめ当局に若干の質問をしてまいりましたが、今回の
消費者
米価
はインフレ進行の中でまさに国民の生活に重大
影響
を及ぼすということは大臣も十分承知のところであります。そこで大臣は、今回の
諮問
にあたりましてこの
諮問
案を十分検討してお出しになったと思うのですけれども、まず大臣にお伺いしますが、
諮問
案の
説明
の中で、まず二枚目のところをあけていただきますと、「
米穀
の
政府売渡価格
について」というところの下のほうに、「一方、最近の
消費者家計
は
かなり
の
伸び
を示しておりまして、
家計
の
負担力
も
相当
に
向上
しているものとみられるのであります。」云々と、こうあります。もう一つの次のページの麦のほうですね、「麦の
標準売渡価格
について」の、最初から数えますと三枚目になりますが、下から三行目に「一方、
長期
にわたり麦の
標準売渡価格
を据え置き又は引き下げてきた間に、
消費者家計
は大幅な
伸び
を示しているのでありまして、この間における
家計
の
負担力
の
向上
は、顕著なものがあると考えられます。」と書いてある。 私はきょう
諮問
案をいただいて、先ほど当局の
説明
があり、これをずっと読んでみておりましたが、この二つを見ましたときに、これはことばのあやなのか、それとも同じ文句はおかしいとおっしゃるのかしらぬが、
米穀
の場合と麦の場合の同じ
諮問
の中の同じような意味を述べておられる中に、米のほうでは、最近の
消費者家計
は
かなり
の
伸び
を示し、麦のほうでは、
消費者家計
は大幅な
伸び
を示し、そうして次は、米のほうは、
家計
の
負担力
も
相当
に
向上
し、麦のほうでは、
家計
の
負担力
の
向上
は顕著なものがある、こういうふうになっておるわけですね。あえて
諮問
案で米と麦の場合にこういうふうにことばづかいが違う。
かなり
の意味が違うわけですが、これはどういうことでこういうふうに
諮問
されたのか、
諮問
をされた当局の、いわゆる
農林大臣
でありますので、どうか大臣からひとつこの意味をお示しいただきたい、かように思います。
櫻内義雄
76
○
櫻内
国務大臣 御指摘の点は、表現が同じ
諮問
でたいへん違っておるということでいろいろ御疑問が出るかと思いまするが、私の考えでは、麦は二十年間ずっと上げておりません。それでその二十年の経緯を踏まえての表現である。だから、その二十年間には
家計
も非常に増大したということからそういう表現を用いたのであります。それから米のほうは毎年
諮問
を申し上げておるわけでありまするから、ここ一年の
家計
の推移から考えた表現を用いた、こういうことで、御質問をちょうだいすれば、同じ
諮問
でそういう表現が違っておるのに御疑問が出るのも無理からぬ点だと思いますが、
諮問
をいたしました私どもとしては、ただいま申し上げたようなことからでございます。
瀬野栄次郎
77
○瀬野
委員
それは理屈をつければ何とでも言えますけれども、同じ
消費者家計
で麦の場合と米の場合と――国民は麦も米も食べているわけです。それがこういうふうに表現が違う。それは麦の場合は
かなり
長い間据え置いてきたとかいろいろな問題もあろうと思いますけれども、こういうこと自体に、とにかくわれわれはこの
諮問
に対しても納得いかぬわけですよ。大臣、
消費者家計
というのは、麦の場合も米の場合も同じなんでしょう、違うのですか、その点どうですか。
櫻内義雄
78
○
櫻内
国務大臣 ただいま申し上げたとおり、いまの時点で差があるわけはございません。ですから、御質問を受けて、そういう御疑問がお起きになったということもわかりました。しかし米と麦と、この
諮問
に際して、片方は二十年ぶりのことである、そして過去を振り返ってみていまのような表現になった、こういうわけでございます。
瀬野栄次郎
79
○瀬野
委員
歯切れの悪い答弁で、これをいろいろ言ってもどうしようもありませんけれども、いずれにしても私はこの
諮問
案を撤回してもらいたい、こういう考えから言うわけです。 こういったことも納得いかないが、時間の制約もあるので、端的に聞きますが、米審の中でいろいろ大臣のごあいさつまたは
説明
等をわれわれ米審会場で聞いておりますと、今回の
消費者
米価
の
引き上げ
については、インフレの中であるけれども、いわゆる
家計
に及ぼす
影響
は少ない。ないとはおっしゃっていないようですが、
影響
は少ない、こういうふうに言っておられる。それは事実か、どうして少ないか、その点はっきりしていただきたい。
櫻内義雄
80
○
櫻内
国務大臣 総理府の
家計
調査
をもとにして考えまするに、全世帯一カ月
当たり
でどれぐらい
影響
があるのか、米、麦合計で〇・五%、一カ月
当たり
四百七十七円という数字が出るわけであります。また
消費者
価格
に対する
影響
というのを見ましても、米麦で計〇・六八の
影響
がある、こういう見地から申し上げておるわけであります。
瀬野栄次郎
81
○瀬野
委員
家計
にはあまり
影響
ないとおっしゃるけれども、これは精神的なもの、またこれがあらゆる意味で公共料金、すべてのものに
影響
することはもう明らかであります。米審の会場においても、各中立
委員
はじめ反対をしている
委員
は口ごとにこれを言って、いわゆる据え置くべきである、またこのインフレ下においてはますますインフレを助長する、中立
委員
のごときは、この値上げは今回は時期が悪い、心理的にも、またインフレ下だけに時期が悪い、したがってこれは延ばすべきであるとか、いろんな
意見
が取りざたされています。いよいよきょう答申が出ると思うのですけれども、大臣がそういう考えであったのでは国民はたいへんな迷惑であります。
米価
諮問
にあたっては、与党自民党の中でもこれに対して
相当
議論を呼び、すでに次官
会議
等においては大幅
引き上げ
に対して反対の声があがり、もっと下げるべきだということで、すでにいろいろと取りざたされておるとおりである。また、今回の
諮問
が、事実、
政府
決定
にあたっては
かなり
の下回った
決定
になるということは、新聞紙その他でも想像できます。われわれは、もちろんこれは撤回すべきである、こういうふうに訴えておりますが、そういったことを大臣も耳にしながら、しかもこの
諮問
を出された。その点について、
政府
与党内においてもいろいろな声がある、そういったことはどういうふうに大臣は承知しておられるか、その点、この席で見解を承りたい。
櫻内義雄
82
○
櫻内
国務大臣 私としては、一方において
生産
を増加していかなければならない、また一方におきまして、国民に対する安定
供給
をしていかなければならない、こういう見地で食管会計の推移を見まするに、今回据え置いてまいりまするならば、米麦合わせて七千二百億円の
一般
会計よりの繰り入れをしなければならない。現に、御承知のように、農林予算の中で食管会計の予算が三五・二%にもすでに達しておるのであります。そういうことから考えまして、今回農林予算の最も効率的な使い方、
生産
も考え、安定
供給
も考える、こういうことからいたしますると、
消費者
の方々にも何とか御協力をわずらわさなければならない。 特に、われわれが何がいま一番大事な品物であるか、これはもう言うまでもなく、われわれの生命に
関係
ある生活上の一番大事な品物でございます。その品物について、本年当初来、国際需給
関係
もあって、いろいろ不安感が国民の中にあった。だから、その備蓄もしなければならない、
生産
もしなければならない、またその努力をしなければならない、そして、何とかそういう方向で
生産
の維持、獲得についてはつとめてきた。そうであるとすれば、これらの
生産
者の努力についても考えながらいくとするならば、最も必要な品物が、ある程度値の上がるということも御了解ができるのではないか。 こういうことで、本来ならば
末端逆ざや
のあるということは、いろいろ問題があるので、これを解消したい、これはもう昨年以来、私、申してきたところであります。しかし、昨年二・二%残りまして、今回の二二・八%の
諮問
からいたしますと、一九・五%の
逆ざや
が出るのでありまするが、諸般の情勢から三分の二程度の解消で、この辺でひとつ御了解ができないものであるかということで
諮問
をいたしたということでございます。
瀬野栄次郎
83
○瀬野
委員
あと
二、三点、大事なことをお聞きしたいので、簡潔にお答えいただきたいのですが、大臣は
諮問
の米審の中で、来
年度
も
消費者
米価
を上げるということを答えておられますが、その真意を、また真相をここでお答えいただきたい。
櫻内義雄
84
○
櫻内
国務大臣 それはそういうふうにとられるようなお答えをしたことは事実でございます。それは
末端逆ざや
を私が解消したい、こう言っているので、それでは残っているものを解消するのか、こういうことで、それについては
明年度
、
生産者米価
がいまの情勢からある程度の手直しが行なわれる、それをも合わせてまいりましてもまだ
末端逆ざや
が
相当
残っていく。そうであれば、これを順次解消するようにつとめるということについては、私としては、そういう考えに立っておるということを申し上げたわけでございます。
瀬野栄次郎
85
○瀬野
委員
政府
はしばしば、食管法については食管堅持ということを言っておられる。われわれもまた食管は堅持すべきである。これは
消費者
あるいは
生産
者にとっても当然のことである。ところが、すでに
自主流通
米によって、どんどん米はこの食管がなしくずしになっていく。 さらに、現在、大臣が今回の米審においても話しておられるように、二重
米価
制というものを否定されていろいろと議論を呼んでおりますが、
逆ざや
というものは二重
米価
制においては当然あるのがあたりまえであります。もちろん国民の主食であるからこれは当然必要なことであります。にもかかわらず二重
米価
制を否定されておる。となりますと、いよいよ食管は根底からくずされていくということになるわけでございます。その点について、どういう見解であるか、簡潔にひとつ承りたい。
櫻内義雄
86
○
櫻内
国務大臣 私はこの
委員会
を通じてしばしばはっきり申し上げておるわけであります。現在の
政府管理米
、
自主流通
米、そしてこれが一定の
計画
の中で予約制度をとりながら行なわれておる、この現在の食管の行き方についてこれをくずすという考えはない、このいまのやり方になかなか妙味があるので、これをしっかり守ってまいりますということを申し上げておるわけであります。 また、現実に二つの
価格
があればそれは二重
米価
という表現ができるでありましょうが、いわゆる二重
米価
でなく、
生産
者
価格
は
生産
者
価格
として、
消費者
価格
は
消費者
価格
として形成されている。そうしてその間に、私もはっきり申し上げておることは、倉敷料であるとか金利であるとか流通
経費
について、主食について国が負担することは当然である、こういうふうに申し上げておるような次第であります。
瀬野栄次郎
87
○瀬野
委員
もう一点きわめて重要なことを大臣にお聞きしておきます。以下残余の問題は、また機会を求めて質問することにいたします。 御承知のように、米審会場には、
消費者
団体または主婦、あらゆる団体の方が必死の叫びを掲げて、大臣をはじめ各米審
委員
に訴えております。
物価
高にあえぐ庶民の気持ちをさかなでするように今回米麦の大幅値上げというものをなさった
政府
に対して、国民の怒りがいま沸騰しておるわけです。そして異口同音に国民が叫んでおることは、
標準価格米
を食べようということを、新聞であるいはまたちまたで叫んでおります。こういった運動が大きくいま盛り上がってきておりますが、
標準
米については
政府
は需要のあるだけ用意する、こういうふうに常々答弁をしておられます。また約束もしておられます。ところが米屋がいつでも店頭に用意しておかなければならないとなっておりますところのこの
標準価格米
が、全国の米屋で三%という店が店頭に依然として
標準
米がない。また、
標準
米はまずいですよと米屋さんが言うために、庶民はやはりおいしい米を買うということで、自然なしくずしになり、この
自主流通
米を食べているという傾向があることは御承知だと思う。またそのとおりであります。 そこで、このように
自主流通
米を買わざるを得ない、売りつけられるという
状況
でありますけれども、ここには一つの大きな問題がある。それはマージンが
標準
米の場合は七%しかないのに、
自主流通
米というものは二割もあるわけです。したがって米屋も、
標準
米を少なく、宿主流通米に片寄って売るということは当然です。こういったことが当然食管法をなしくずし、しかも二重
価格
制を否定するようなことになってきますと、ますますくずれていくことは明瞭でございます。
消費者
の負担をなくすためにも、また
自主流通
米の暴騰を防ぐためにも、こういった意味から
標準
米のマージンの
改定
をはかるべきである、私はかように思うわけです。米屋のマージンをふやしてやらなければならぬ。そうしなければ
標準
米はふえないんです。庶民は、こう高くなってくるインフレ下では、米が上がればあらゆる
物価
が上がってくる、こうなりますと、
標準
米を食べようと思う。そこで、
標準
米のマージンは七%だけれども、
自主流通
米は二割。
標準
米のマージンを上げてやれば米屋も喜んで売る、庶民もこれに飛びつく。そして
標準
米を食べる量が多くなれば、当然
銘柄
米もこれに導入して入れなければ米が足らなくなるから入れる、質も上がる。こういうことになる。こういったことが真の国民に対する農政であり、また
農林大臣
として国民のためにこたえなければならぬ施策である、政策である、かように思う。こういった面について大臣はどのようにお考えであるか。
銘柄
米を
標準
米に入れるということも当然なされていかなければならない。これらをあわせてひとつ最後に御見解を承りたい。
櫻内義雄
88
○
櫻内
国務大臣
標準
米が四十九年の
計画
でまいりますると全体の四二%、三百十万トンの用意をいたすわけであります。過去の実績からいたしますると、これが現実に三五%程度の流通ではないか。四十八
年度
におきましては、四五%用意をいたしました。全体のワクが少し小さいので、量としては同じ三百十万トンであります。そういうことで、
標準
米についてはこれはもう極力確保するし、また必ず店頭に用意しなければならぬということを義務づけております。もしそれが履行されていなければ、具体的に店の名前を、私どもなり、食糧事務所なり、区役所なりに御通知願えれば、それはさっそくに
調査
をいたすことにやぶさかではございません。 ただいまマージンのことのお話でございます。今度千六百円ということでございますると、二百二十円
加算
しての千八百二十円で流通する、こういうふうに見込んでおりまするが、
平均
して現在上米、中米、並米等で
平均
のマージンが一七・四でございまするから、確かに
標準
米についてのマージンがあるいは低い、そのために流通を阻害しておるという点があるかとも思いまするが、一方において
自主流通
米もあることでございまするので、
標準
米についてはできるだけ
消費者
に安価に渡るようにという
配慮
の上からマージンのことも考えられておるわけでございまするが、ただいまの御
意見
よく検討さしていただきたいと思います。
瀬野栄次郎
89
○瀬野
委員
以上の点を指摘し、約束の時間がまいりましたので、私は今回の
諮問
案の撤回を要求し、一応質問を打ち切ることにいたします。残余は次回に譲ります。
佐々木義武
90
○
佐々木委員長
美濃政市
君。
美濃政市
91
○
美濃
委員
大臣に、今回
決定
されようとする
サトウキビ
の
価格
について若干お尋ねいたします。先ほど、同様の趣旨の質問を十五分したわけですが、大臣がお見えになったので、大臣から政策的な見解を承りたいと思います。 まず第一に、今回
農林水産委員会
で国政
調査
をしましたけれども、何といっても
沖繩
は二十七年間異国の施政権下にあったわけであります。
復帰
前に私四回、五回行っておりますけれども、
復帰
後今回行ってみましたが、やはり何といっても
農業
面は、
かなり
施政権下における
行政
では放置されておりました。今日の
本土
の状態から見た場合には、たとえば
基盤整備
においても、あるいは省力体系においても、あらゆる面で大きな
格差
が出ておる。 一例を同じ砂糖でありますから北海道のてん菜と比較して申し上げますと、終戦当時のてん菜の十アール
当たり
の収量は二・二トンだった。今日それが
基盤整備
なりあるいは品種改良なりが行なわれて、四・五トンになった。
平均
収量は倍になっておる。労働時間においても、戦争が終わった直後においては十アール
当たり
八十時間の労働時間が、今日では五十時間を割っておる。この労働時間をちょっと米について申し上げますれば、米は御存じのようにあの戦争が終わった
あと
、しばらくは十アール
当たり
百八十時間。去年の
米価
試算では百時間を割って九十何時間。こういう状態から見ますと、
沖繩
の現況というものは依然として十アール
当たり
二百九時間かかっておる。収穫作業だけでも半トンしかできない。これを機械作業にすればずっと
向上
します。 そういうふうに考えますと、今回
決定
する
サトウキビ
価格
は、勘案事項の
生産費
を、大臣の政治
配慮
で一〇〇%勘案してもいいわけです。ただ若干の勘案で、パリティ主体できめたのでは、これはもう
沖繩
の
サトウキビ
荒廃に帰す。たとえば
石垣島
を見ましたが、
石垣島
においては
復帰
前は二十万トンの
サトウキビ
が
生産
されておった。ことしの
生産
予想は四万トンである。七十数%の減。
復帰
前に行ったときは全島
サトウキビ
であったものが、ものすごく荒廃してしまっている。雑草が生えてですね。これでは何のために
本土
への
復帰
であったのか、私は今回行ってみて疑問を持たざるを得ないわけです。 そこで、今回の
サトウキビ
の
価格決定
は、私の計算は、
沖繩
では島民の生活を守る重要農産物でありますから、どうあろうと五人規模以上最低三十人規模の労賃を適用して、これは大体ことしのベースアップで四百十円と私は承知しておりますが、そうすると家族労賃だけで十アール
当たり
八万三千六百二十円、それに
生産
物材投下が二万四千二百二十八円、十アール
当たり
生産費
が一応十万七千八百四十八円は現実にかかっているわけであります。この
生産費
を一〇〇%勘案して
決定
する要がある。収量は、ちょっと実勢よりは無理なのでありますけれども、七・五トンで計算して一万四千三百五十円、これを今回
決定
する必要がある。その
考え方
については、
生産費
を一〇〇%勘案する。
農業
においてはとにかく戦争終結の状態
そのもの
なのでありますから、これを人間にたとえれば、やはり疲れ果てて帰ってきた自分のむすこなりきょうだいなりには、よう帰ってきた、疲れておるだろうというあたたかい手を差し伸べないと島が荒廃してしまうと、今回の
調査
した状態で私は思うのです。 そこで、それから先の問題をどうするかということを一言ふえんしておきますけれども、私はやはりこの時点においての農林政策としては、これは他の面は別といたしまして
農業
面だけです、これから急速に
基盤整備
を進めなければならぬが、島民の置かれておる
経済
状態は
負担力
が少ない。ですから、現在
本土
で行なわれておる
公共事業
においても国の
補助率
を高めなければならぬ。あるいは今回、私の計算では
サトウキビ
を一万四千三百五十円にきめると、大体それで
事業
団に買い入れをさして、市価見合いで売り房すと百四十億くらいの差が出るのじゃないか。そういうふうにいたしまして、次に
パイナップル
その他の問題も出てきますが、とにかく
基盤整備
その他のいわゆる特別
補助率
部分それから
価格
対策の特別
措置
部分で一年間に四百億、これを十年間で四千億円くらいいわゆる回復
経費
として日本
政府
は見る必要がある。そういう観点に立って今回の
サトウキビ
の
価格
を
決定
しなければ、単にパリティに何%か勘案したというようなものを
トン当たり
百円や二百円あるいは思い切って五百円だとかいういささかの勘案事項では、どう計算してみたってそれは一万四千三百五十円とはならないわけであります。まず
サトウキビ
をつくる島民の生活を、所得を確保してやって、その上そういうことを進めていく。十年間の目標は、私は
サトウキビ
は作業時間を百時間にしなければならない。そして収量も品種改良その他を進めて十トン収量にはしなければならぬ。百時間に労働時間を圧縮して、十トンの収量にすると、現在の
経済
ベースで一
トン当たり
一万四千三百五十円、一時間
当たり
四百十円で、一日
当たり
にすると三千二百八十円の所得を保証して、七千五百円で
サトウキビ
の
生産
ができるということになります。労働時間が半分になり、収量は十トンにできると思います。それは一年や二年ではできない、そういう政策を
沖繩
にとる必要があると私は思う。どうしてもとらなければならぬ。それがやれないというのであれば、先ほど政務次官にも申し上げたのですが、戦争にくたびれて帰ってきた自分の子供やきょうだいのめんどうを見る能力のない人間ということになるのではないか、私はそう思います。ですから、これはさっきメモしてもらいましたから、ことしの
サトウキビ
の計算はこの方式で計算をしてもらいたい。いかがでしょうか。そういう政策をとにかく十年間とる必要がある。
農業
だけで特別政策に大体四千億。この問題はきょう時間がございませんから、十五分ですから、いずれ機会を見て総合的な問題で四千億は何が必要かという問題を提示したいと思っております。十年間で四千億、一年間に四百億、これはやはり二十七年間異国の施政権下に置かれ、今回帰ってきたわけでありますから、よう帰ってきたという回復のための
経費
であって、言うならそれは日本
政府
が
沖繩
島民にそれをする義務があると私は思います。それなくして
沖繩
の
復帰
の意味はありません。何のために
復帰
したかという疑問を島民の方々は持つと思うのです。 私はもう一言つけ加えておきますが、たとえばそういう中で
本土
に出かせぎに来ておる、
沖繩
島には家族が残っておる、おばあさん、奥さんが残っておる。これらの条件を見て、あの島へ残って主人が不在でさびしい家庭というものは、ほんとうに
復帰
してよかったのか悪かったのかと疑問を持っておると思うのです。これは大きな疑問だと思うのです。片や私はあそこまで来たものをとめませんし、とやかくここで言いませんが、
海洋博
のあれを見ましたけれども、一面
海洋博
というものは島荒らしに通じておる面がある。ああいうものでほんとうの島民の――あそこまていっておるのですから、いま直ちにやめろとは言わないが、
海洋博
というものがはたして真に農民、島民の所得や
経済
の足しになるものかどうか。若干の、特定の足しにはなるかもしれぬけれども、特に
農業
なんかの足しには何にもならない、ああいう金をかけても。そして一面島荒らしの面がある。ああいうものにかける金があれば、ほんとうに日本の食糧の需給なり砂糖の需給をささえる、島が荒れない方向へ大幅に
政府
は力を入れて財源を投入して、ほんとうに
復帰
してよかったという
沖繩
島をつくらなければならぬ義務が私どもにはあると思うのです。その
価格
は、もう一回申し上げますが、一万四千三百五十円と私は計算をいたします。一万三千円はほんとうに
沖繩
島民は気がねして遠慮した
価格
だ、大臣の所信を承りたいと思います。
櫻内義雄
92
○
櫻内
国務大臣 最近における
沖繩
の
実情
を御
調査
の上、切々とおっしゃったことにつきましては、私も傾聴をいたしました。また先般来多数の皆さま方が上京せられまして、直接いろいろな点からお話を承っておるわけでございます。また
美濃
委員
の私の不在中の御質問の要旨も手元にちょうだいをいたしております。したがって、私としては
美濃
委員
の御趣旨は十分理解をしたつもりでおります。 もういまさら
パリティ方式
のことを申し上げるのもいかがかと思いますが、ただこのパリティ
価格
を
基準
とした場合におきましても、御承知の、その他の
経済事情
を
参酌
し、
サトウキビ
の再
生産
をはかることを旨とする、こういうことになっておりますので、現に作業されておる数字が出ておりますが、この二十日までにきめなければならない問題でございますので、最終的には私が財政当局の責任者である大蔵大臣との間で腹蔵のないお話し合いをして
価格
の
決定
をいたしたい、このように考えます。 なお、あわせて
沖繩
のキビ
生産
の増強のための具体的な御
意見
も承りましたが、現に計上しておる栽培省力化パイロット
事業
や土壌改良用機械導入
事業
費やあるいは
収穫機械
導入についていろいろと現地に即応する対策というものが考えられると思うのでございまして、従来の施策でこれを拡充していく、あるいは足らざるものについて
明年度
予算の要求に際し取り上げていく、さらには
補助率
の
関係
とか金融の
関係
とか、各般の施策を講じまして、
美濃
委員
の御指摘のような、
復帰
をいたしましたが全く期待とは離れた冷ややかな施策の中に置かれるということは、私ももとよりとらざるところでございまして、
沖繩
担当大臣の総務長官、またキビ産業につきましては奄美大島の
関係
もございまして、自治大臣等
関係
閣僚もおられますので、よく協議をいたし、善処をいたしたいと思います。
佐々木義武
93
○
佐々木委員長
瀬長亀次郎
君。
瀬長亀次郎
94
○瀬長
委員
沖繩
と鹿児島両県のキビ作農民が、
トン当たり
一万三千円要求貫徹の請願隊を組んで東京にやってきた。これはキビ作農民運動で歴史的な事件です。ここまで
農業
が破壊され、農民生活が追い込まれた。これではいかぬということで、自費でもって両県で約八千万円、費用を自分で負担してやってきております。これは全国的な農民運動、各闘争の高まりが、いよいよ北から南から巻き上がっておる証拠なんです。 なぜそうなったのか。一例を申し上げますと、すでに今期の
サトウキビ
が一万八千トン立ち枯れをしておる。
サトウキビ
一万八千トンといっても実感が来ないかもしれませんが、これを砂糖に直しますと、実に一千八百トンの砂糖の山が農林省の前庭に積まれて、つばを吐きかけられ、そして踏みにじられてなくなったことを意味する。だからこそ農民が立ち上がったわけなんです。これは従来の自民党
政府
、とりわけ田中内閣の対米従属、農産物の貿易の自由化政策、さらに大企業、大資本奉仕の高度
経済
成長政策、この政策が不可分に結びついて、
農業
とりわけ
沖繩
と鹿児島の
サトウキビ
農業
を破壊し、農民生活をここまで追い込んできて、もう人間らしい暮らしは保障できないぎりぎりのところまでやってきておる。これに対して
農林大臣
はどう責任を感じ、さらにどのようにこれからいこうとするのか。いま大臣が来られる前に、自給率の低下の問題さらに関税や消費税の問題砂糖安定
事業
団の問題などを確かめました。だから結論として、いままでの政策が破綻して、そして矛盾がいよいよ激化したというように私は理解しております。大臣はこれに対する責任をどう果たさんとするのか、その方針を明らかにしてほしいと思います。
櫻内義雄
95
○
櫻内
国務大臣 ただいま
美濃
委員
の御質問に私の決意のほどを申し上げた次第でございます。まことに遺憾なことで、昨年キビ
価格
設定当時から大きく情勢の変化があった。そのためにただいま御指摘のような一部立ち枯れのような悲惨な
状況
を出したということは、
沖繩
の
経済事情
の急変ということもさることながら、瀬長
委員
がいま御質問のとおりに、私としても大きな責任を感じております。 これにつきましては、いま皆さま方もそのために熱心にこうやっていろいろ御討議願っておるのだと拝察いたしますが、この二十日にはキビ
価格
を
決定
しなければならない。また、その後引き続き
明年度
の予算を編成しなければならない。こういう重要な時期に至っておりまするので、そういう際に一つ一つ、
沖繩
の農民の皆さま方の御期待に少しでもこたえるように私が努力すること、それが過去の経緯からしてまことに申しわけない点を何とか取り返えす意味においても、これから私としては精一ぱい努力をいたすということを申し上げます。
瀬長亀次郎
96
○瀬長
委員
次は、現在の糖安法二十一条によって
パリティ方式
で計算すると、事務当局の話では約千円余り
加算
できるという。すると八千円程度になる。両県の農民の要求はぎりぎり一万三千円以上となっておる。その差額五千円。この五千円をどういうふうな処理で一万三千円という要求額にまで高めようとするのか。これは具体的な問題です。今度国会が開かれる場合に補正予算などで組むのかどうか、具体的に示してほしい。そのときに糖審にかけるのかどうか、こういった問題まで含めて具体的に御答弁願います。
櫻内義雄
97
○
櫻内
国務大臣 ただいま御質問のパリティによる
算式
での計算では、お話しのとおりに一一五・四一アップの八千二十一円、こういうことに相なります。 先ほども
美濃
委員
にお答えを申し上げましたように、この方式で計算いたすとこういう結果でありまするが、その他の
経済事情
を
参酌
し、再
生産
を確保するを旨とする、こういうことでございまするので、この計算は計算として、いま申し上げたようなところを勘案しながら、どこまで御期待に沿えるか、こういうことになります。瀬長
委員
は、この機会に、一万三千円と丸めて八千円、その差額をどうするか、こういうふうに短兵急にお尋ねでございます。しかし、私が一切を握っておって、絶対権があって、ここでずばりとお答えができるか、その点については十分瀬長
委員
も御承知であられると思うのであります。したがって私としては、こういう大事な
価格決定
の際にあらゆる努力をして、御期待に沿うべくつとめたい、こういうことをお答えしておるわけであります。
瀬長亀次郎
98
○瀬長
委員
農林大臣
だけできめられない、それはわかります。ところで、いま
農林大臣
としてはどういうお考えであるのか、これを聞いているわけです。 もう一つは、米審はきょう終わるかどうかわかりませんが、糖審はいつ開くのですか。さらにその糖審の結果によっては、
パリティ方式
でいって八千円ぐらいだが、何とか一万円ぐらいにはできるのかどうか。そういったお考えであるのか、あるいは農民の要求
どおり
一万三千円にすれば、
あと
五千円はどういう政治的な
配慮
をもってやろうとするのか。これは
農林大臣
の
意見
として私聞いているわけです。
櫻内義雄
99
○
櫻内
国務大臣 お尋ねの審議会は甘味資源審議会のことにお触れであったと思います。これはいま当面開く考えは持っておりません。 それから
農林大臣
はどう考えるのか、こういう御質問でございますが、先ほど来申し上げるように、私としては最善の努力をはかりたい。これはかりに
農林大臣
はここまで計算ができるのだというようなそういう
算式
でもあるとか、あるいは
農林大臣
はこうこうこういう条件でというようなことになって、何か具体的な数字が出るようになっておれば、私としてこういうお答えを申し上げておるのはまことに恐縮なのでございますが、いろいろと
事情
を勘案してということになっておりますので、そこの辺非常に弾力もあり、かたがた私一人の考えでいけない、財政当局との協議の上で
決定
をしなければならない、そういう立場にございますので、まことに御質問に沿わない抽象的なことを申し上げて恐縮でございますが、お許しをいただきたいと思います。
瀬長亀次郎
100
○瀬長
委員
御
説明
ようわかりましたと言いたいのですが、事実わからないのです。いまの大臣のお答えは一万三千円ぎりぎり、これ以下ではいかぬという農民の要求に沿うように努力したいというふうに考えてよろしゅうございますか。
櫻内義雄
101
○
櫻内
国務大臣 そういう
考え方
に立って努力をいたしたい、こういうことを申し上げております。
瀬長亀次郎
102
○瀬長
委員
最後に、現在の
パリティ方式
は変えなければならぬ、
生産費
及び
所得補償方式
に変えぬといかぬ、変えなければならぬというのはやはりキビ作農民の統一された要求です。統一されたというのは、鹿児島県のキビ作農民も
沖繩県
のキビ作農民もこの点では一致して統一しております。これは
米価
の場合に、三十四年まで
パリティ方式
であったが、
米価
闘争、これが主力となって三十五年から現在の
生産費
及び
所得補償方式
に変えられたという農民運動の歴史が明らかにしております。したがって、現在通常国会ももう間近になっておる。その通常国会に現在の糖安法を変えて、
パリティ方式
を
生産費
と所得を補償する方式に変えていく方針があるのかどうか、この点をはっきりさしていただきたいと思います。
櫻内義雄
103
○
櫻内
国務大臣 この問題については私もたびたびお答えを申し上げておるのであります。くどくどしく申し上げませんが、
サトウキビ
のように今後なお
生産
性の
向上
が必要であって、かつ期待される作物については、
生産
性
向上
のための諸施策と相まって、その合理化のメリットを当該
生産
者に還元する、こういうことで
パリティ方式
がとられておるのでございますので、
生産費
・
所得補償方式
についての強い御
要望
のあることも存じておりますが、私としては現在の
サトウキビ
生産
の
実情
からいたしまして、この
算式
をにわかに変更する考えは持っておらないのであります。しかし、今後におきましても皆さま方の御
要望
についてはよく検討してまいりたいと思います。
瀬長亀次郎
104
○瀬長
委員
時間が参りましたので以上の質問で終わりますが、資料の要求をいたしたいと思います。 これは現在までの大臣の御答弁でもわかりますように、この一万三千円の要求を実現するということは、これは国会内外の力をより以上に結集して激しい戦いを展開しないと、壁は実に厚いということが明らかになっております。したがって私、資料として糖価安定
事業
団の経営内容、これを詳細にわたって示してください。
委員会
に
提出
をお願いします。それから砂糖にかかる関税、一消費税、四十年以降の輸入量も含めて関税、砂糖消費税、これの実績。次に、いままで何べんも要求したが、これが出していない。それは工場
経費
であります。いわゆる糖業資本、
生産費
の
調査
、どんなに要求してもこれは出してくれない。農民がキビをつくる場合にどのぐらいの費用がかかるかといったことはよくわかるが、もちろん算定する場合には誤差がありますが、この資本の経営内容、いわゆる工場
経費
これはいかに求めても出してくれない。その三つの資料を
委員会
に
提出
をお願いします。これはぜひ約束してください。
池田正範
105
○池田
説明
員 ただいま正式に資料要求をなさいました諸点の中で、
事業
団の経営内容等につきましては、これは資料もございますので、
提出
をいたしたいと思います。また関税、消費税の実績、それから四十年以降の輸入量等につきましても、整理いたしまして
提出
をいたしたいと存じます。それから糖業メーカーの経営内容につきましては、これは個々の経営の中身でございますので、企業にいたしましてはこれは個々に秘密事項に属します。したがって、これを私のほうの一存で出すということはちょっと現在の段階では御答弁申し上げかねる次第でございます。
瀬長亀次郎
106
○瀬長
委員
これは出してもらわないと、ほんとうのキビ作農家を保護する具体的な政策が出ないから、私はこれをいま国会で要求しているわけなんです。これは、ぜひ出してもらいたいことを
要望
して、質問を終わります。
佐々木義武
107
○
佐々木委員長
安里積千代
君。
安里積千代
108
○安里
委員
午前中からの各
委員
からの御質問に対しまする主として事務当局のいろいろ御答弁がございました。承っておりますと能吏の答弁ではありましても、
政府
の農政に関する立場からの御答弁にはほど遠いようなものがあったと思っております。 大臣の御在席の時間が限られておりますので、二、三の点について、基本的な問題についてお考えをお聞きしたいと思っております。 その前に、二月六日の予算総括質問で、私は、数年後には世界全体に食糧危機が来るといわれている、食糧を外国から輸入するものが多い日本にとって、食糧危機に対する警告と申しますか、国民に対する責任として、長い展望に立って対策を講じなければならないということを指摘をいたしておりました。これに対するいろいろな考えも承りたいと思うのでございますけれども、いま問題になっておりまする砂糖の問題、その原料でありまする
サトウキビ
の問題でございますが、砂糖
そのもの
は食糧とは違うものでありますけれども、これまた現在の国民生活に欠くことのできない問題であり、もしこれが欠乏するようになれば、
相当
な、食糧と同じような混乱も来たし、国民生活の安定を期することができない、こう考えております。しかも、それは現在外国に大きく依存をしておることは食糧と同じような
状況
であります。 そこで、こういう事態に対しまして、甘味資源の確保、いかなる
事情
があっても、国内においてある程度のものを自給するという、これは国の方針として大事な点だ、こう思うわけであります。
サトウキビ
の
生産
者の立場というものをほんとうに考えておられるならば、こういう点から出発して、この問題も考えなければならぬ、こう思うわけでございますが、この糖業の
振興
に対しまする
政府
の基本的なお考えを承りたいと思います。
櫻内義雄
109
○
櫻内
国務大臣 安里
委員
のいまの御質問は、非常に私も現在の砂糖の国際情勢からいたしましても大事なことである、こう思います。先般も、国際砂糖
会議
が不調に終っておりまするし、日本は御承知のように、世界一の砂糖輸入国である、こういう立場からいたしまするならば、砂糖の自給度をできるだけ高めていくということは国民的
要請
であろうと思います。そういうことで、
政府
としては、従来、鹿児島県南西諸島、
沖繩県
を
サトウキビ
の
生産振興
地域に
指定
いたしまして、毎
年度
県知事の立てる
振興
計画
により、
生産振興
につとめてまいったわけであります。また、糖価安定
事業
団による国内産糖の
売買
等を通じ、てん菜及び
サトウキビ
の保護、育成をはかってまいりました。その結果が、
昭和
三十年代の一〇%の自給率が現在二〇%程度に上昇をしてまいったのでございまして、さらにお尋ねの基本的な方針といたしましては、
昭和
五十七年――昨年から考えまして十年後には二七・八%の自給度には持っていきたい、こういうことで、せっかく努力をしておるわけでございまするが、事
沖繩県
の
関係
につきましては、遺憾ながら、本日種々きびしい御批判を受け、御質問をちょうだいしておるようなことでございまして、この自給度を高めていくという上から考えまして、今後の
沖繩県
のキビ産業について一そうの努力をしなければならないということは、
政府
としての方針でございます。
安里積千代
110
○安里
委員
砂糖の需要というのが、国際的な相場にいろいろ
影響
される、しかも国際的にも需要量というものは
相当
増大してきまするし、
生産
地域というものは限られたものである、しかも、ある場合には、政治的には不安定な様相を呈する地域も多いわけであります。現に、もう国際的な協定を結ぶことができないというような
状況
に追い込まれておる、したがって、輸入糖の
価格
も上がったというようなふうに承知いたしております。平常でさえもそうでございまするので、国際的相場である
関係
があればあるほど、
生産
地の
状況
によりまして、非常なしわ寄せというものが来ることは、もう目に見えておるわけであります。したがって、国内需要というものを確保しておる、国内
生産
を確保しておるという基本的な考えというものは、これは不動のものとして持たなければならぬし、私は、
農業
基本法あるいは甘味資源特別
措置
法、こういったものを通じて見ましても、この点は、精神があらわれておるじゃないかと思っております。自給度云々の問題も、
あと
で事務当局にも承りたいと思うのでございまするけれども、しかし、そのためには、自給度を高めるなら、
生産
者がそのために
生産
意欲を燃やし
生産
するだけの処置を
政府
としてとらなければならないはずであります。
サトウキビ
買い上げの問題この問題はまさにここに私は大きく
関係
すると思うのです。甘味資源の特別
措置
法などを見ましても、農家所得の確保、再
生産
の確保、これはもう目標として
規定
されておるのです。問題は、それに応ずるこの法律の精神を実際の上に生かすところの施策というものが行なわれてないじゃないか。その一つの例として、いまの
サトウキビ
をまことに安い
価格
でもって買い取っておったという、このことが現実の問題として、農家がこれをもう放棄する、そういうことになっております。再
生産
を確保し、自給力を高めるということが基本的な方針でありまするならば、それに応ずるだけの買い上げ
価格
を設定しなければならない。これを単に
パリティ方式
がこうだからといったような単純な
考え方
や、あるいはまた
物価
云々というものを
参酌
するとは言いながらも、それに対する十分なる
配慮
がない、あるいは農林当局がそう考えておっても、財政上の
関係
で大蔵当局、
政府
全体としてはやらないのだ、こういうようなことでありましたならば、私は、この基本的な線を破壊してくるということになると思います。 そこで、今回の
決定
に対しましては、そういう再
生産
を確保する、農民の所得を確保する、この法律上でも政策的にもきめられたこの線を基本として、この
価格
を
決定
される考えがあるかどうか、これをお聞きしたいと思う。
櫻内義雄
111
○
櫻内
国務大臣
価格
問題につきましては、すでに先ほどからお答えを申し上げ、私の決意のほどもここで披瀝をいたしたわけでございます。安里
委員
の御指摘のように、現在砂糖がほぼ八〇%ぐらいを海外に仰いでおる
状況
からいたしまして、私がただ単にここで自給率の
向上
を口にしておるだけでは事が足りないのでありまして、特にキビ産業では
沖繩県
が三七、八%をになっておると思うのでございます。したがって、
沖繩県
のキビ産業の動向というものは、また砂糖全般の自給率に大きな
影響
を与えることは申すまでもございません。ただ、従来われわれとして努力をしてまいったのでありまするが、昨年の収穫期以降本年にかけての
沖繩
の
経済事情
の急変というものが大きく響いて、立ち枯れのような
状況
も出た。こういうことで、まことにこれは遺憾に思っておるのでございまして、今回の
価格決定
に際し、また予算の獲得につきましては、そのような事態を繰り返さないように努力をしてまいりたい、かように考えております。
安里積千代
112
○安里
委員
昨年の
価格
の告示六千九百五十円を決しましたのは、ちょうど大臣が御就任になる前日だったか、あるいは少なくともその前だったと思っております。したがって、昨年の
価格決定
については大臣は直接関与はしておらなかったと記憶をいたしております。しかしその直後におきまして、いまおっしゃるように、年末、事実上収穫しまする時期に
物価
の重大な変動があった、非常にそぐわないところの
状況
になったということも、いまおっしゃったとおりであります。 そこで、大臣就任後間もなく、この前の予算総会におきましても、そういう
事情
を勘案をして、法律にありまするように、告示後であっても
経済
的な
事情
の変更、
物価
の云々、そういったことの場合においてはあらためてこれは
改定
して告示してもよろしいという法律がある。だからこれを活用して、告示当時において予想しなかった、あるいは事務的に見通しができなかった、その事態ができておるとすれば、あのときでも六千九百五十円という告示というものを値上げできたはずであります。その点、大臣就任後であったのでありまするが、これをわれわれが要求したのでありまするけれども、結局何らの
配慮
もなしていただけませんでした。その結果が、先ほどお話のありましたとおり、せっかくキビはつくったけれども、もう収穫もできない、放棄するというような非常な事態というものが起こってきております。自分でつくったものを収穫もしないでおるというほど農民にとって悲しい、せつないことはないはずであります。これは前回の告示は直接大臣の責任ではないかもしれませんが、とにかく一つの
政府
の方針、しかもそれは就任後におきましても
改定
をする機会があった、そのためにこのようになったものであります。私は、それは大臣も覚えていらっしゃると思うのでございまするけれども、去年きめられたところのこの額も、もうすでに去年の事態において不適当な額であったということをお認めになりますかどうか。
櫻内義雄
113
○
櫻内
国務大臣
沖繩
の
実情
からいたしまして、
沖繩県
の
経済
的な急変があったということを私認めておるのでございまして、この
価格
が、この時点から考えまするならば当を得ておらなかったと思います。ただ、いまの安里
委員
の御質問で、私が非常に処理に困ったことを申し上げておきたいのであります。 それは、キビ産業については、言うまでもなく鹿児島、南西諸島を含めてのことでございます。それで非常な激変がある場合という場合に、全体を見ておらなければならないというところにむずかしさがございまして、しかも収穫終了後における事態ということから、きわめて遺憾なことでありまするが、直接
価格
をいじるということについては私として踏み切れなかった、こういうことでございます。
安里積千代
114
○安里
委員
いま特に
沖繩
のことを取り上げておっしゃったのでありますけれども、今度のキビ代値上げの要求は、奄美大島を含めて最低一万三千円以上だという強い要求です。この点においては何ら変わりございません。 そこで問題は、従来、過去のこの告示された額、これを
基準
にして、これにパーセンテージをかけていく、こういうことでとられております。そこで、あの
価格
というものが不当であった、決して妥当でなかったということを考えられますならば、今回の算定について、計算方式というものを現在のとおりやるといたしましても、もちろん
基準
としてございまするけれども、この
基準
をとる場合におきましても、前回の不当に安かったところの金額をもとにしてかけ出していくというようなことでありますならば、これは
是正
は絶対にできない問題だ、こう考えております。しかもこれは累積されてきた問題でございます。今回の算定にあたっては、法を改正することがまだ間に合わない、
パリティ方式
を採用するにいたしましても、その点も考慮に入れて
決定
をされるつもりであるかどうか、それまでお伺いいたしたい。
櫻内義雄
115
○
櫻内
国務大臣 御指摘の点は非常に重要な点だと思います。私はそういうようなことも念頭に置きながら、その他の
経済事情
を
参酌
して、再
生産
確保をできるように
措置
するということをそのまま受けながら考えてまいりたいと思います。
安里積千代
116
○安里
委員
大臣はお帰りのようでございますので、事務当局に二、三お伺いしたいと思います。 先ほどの
上原
委員
の質問に対するお答えだったかどうかと思っておりますが、米の場合といろいろ違う、それが一応、米は全国的なあるいは国際的な商品ではない、砂糖は国際的な問題がある、こういう趣旨のおことばもありました。 〔
委員長
退席、山崎(平)
委員長
代理着席〕 そこでお聞きしたいのは、国際相場というものは、砂糖に関してどのようにして定まるものであるか。いま一つには、その
輸入価格
が、
事業
団に買い取られるところの
価格
というものが
サトウキビ
生産
者の買い上げ
価格
にも
影響
してくるものであるかどうか。もう一つには、キビ
価格
を上げることによって
物価
の上昇に直接
影響
してくるものであるかどうか。さらに、
影響
があるとするならば、これを避ける道があり得るはずである。この点についてお答えを願いたいと思う。
池田正範
117
○池田
説明
員
国際価格
を
輸入価格
に直します際の手続的なことは、大体上期、下期別に二週間ごとの
平均
の相場をとりまして、その
平均
値で
事業
団が精算をしてその
輸入価格
をきめて輸入し、その輸入した
価格
からさらに一定の割合で売り戻し
価格
をきめて売り戻すという形で、その売り戻しの
水準
は、先ほどほかの先生にも申し上げましたように、上下安定帯というものがあって、いまのように国際
水準
が高いときには上限
価格
で売り戻すという形をとっておるわけでございます。したがいまして、国際
水準
が変わってまいりますというと、当然
事業
団に対する売り渡しの
価格
が変わってまいりますから、したがって、売り戻し
価格
を安定帯として固定しておきますというと、その間の
逆ざや
というものの幅は大きくなったり小さくなったり、常に
市場
価格
によって変わってくる。
逆ざや
が大きくなりますと、それだけ
事業
団の負担する額が多くなります。そこで、従来非常に砂糖の安い時代にためておりました安定資金を取りくずしまして、その差額の補てんに使うというのがいまの仕組みでございます。それがなくなってまいりますというと、いわゆる関税というものを弾力的に運用することによって、これによっていわゆる安定帯を守っていくというのがいまの
水準
であるわけでございます。したがいまして、これからもおわかりいただけますように、要するに国際
水準
というものが非常に変動する、その変動するのが、安く変動する場合、高くなる場合と両方あるわけでございますが、安い場合には、今度は国内産糖に悪い
影響
を与えないようにこれを防ぐ、高くなりましたときには、やはり国際糖価がじかに国民生活に
影響
を与えないように、安定帯の中に入れるという意味で、現在の糖安法というものは、内と外と両方から、国内の
生産
、国民の消費生活両方を守るという仕組みから現在の安定制度をつくっておるわけでございまして、したがって、理論的に申しますというと、外国の市況が高くなっても安くなりましても、国内には直接的な
影響
を与えさせないというのがいまの仕組みでございます。ただ、その場合の、何と申しますか、国家的な
財政負担
というような形が刻々変わってくる、こういうことになるわけでございます。
安里積千代
118
○安里
委員
先ほど大臣も甘味資源の自給力というものを
向上
せしめる方向の御答弁がございました。それは、
サトウキビ
にいたしましても、てん菜糖にいたしましても、
農業
基本法あるいはこれに関連しまする甘味資源特別
措置
法によりまして、重要な農産物として
政府
が見ておられるはずであります。 そこで、自給度を高めるためには、その需要の度合いあるいは
生産
の
長期
見通し、これをはっきりしておかなければならない。先ほどの御答弁で年次
計画
もないということでございましたが、お聞きいたしたいのは、
農業
基本法並びに甘味資源特別
措置
法によりまして、特に甘味資源特別
措置
法には、
政府
は砂糖類を大事な甘味資源の作物として、
農業
基本法に基づきますところの需要及び
生産
の
長期
見通しを立てて、これを公表しなければならないということがございます。これは
復帰
後間もなくのことでございますけれども、この甘味資源特別
措置
法の第三条に基づきまする需要及び
生産
の
長期
見通し、これをどのように策定をされて、どのように公表されたか、その内容の概要について承りたいと思うのです。
岡安誠
119
○岡安
説明
員 いま御質問の甘味資源特別
措置
法三条の
規定
によりますと、
政府
は、
農業
基本法第八条第一項の重要な農産物として、これらにつきまして、
農業
基本法第八条第一項の
規定
によって需要及び
生産
の
長期
見通しを立て、云々と、こういうふうになっておるわけでございます。 そこで、
政府
といたしましては、昨年の十月に、試案ではございますけれども、農産物需給の展望と
生産
目標の試案というものを出しまして、砂糖について申し上げますと、五十七
年度
の国内
生産
の目標を一応百五万八千トンというふうに目標を立てたわけでございます。これに見合います需要量は、多少幅がございますが、三百八十二万トンから四百十一万七千トンというような需要量の見通しを立てたわけでございます。これは一人
当たり
の消費量を三十一・八キログラムないし三十四・二キログラムというような計算によってはじいたわけでございますが、その結果、自給率は五十七
年度
におきましては二六ないし二八%ということになるわけで、私どもはこれに向かいまして努力をいたすというふうにいたしておるわけでございます。 先般御質問がありまして、毎
年度
の
計画
はないのかということの御質問でございますので、毎
年度
の
計画
というものは設定いたしておりませんけれども、道府県におきましては毎年毎年の
計画
は一応立てまして、それで
事業
を実施いたしております。要すれば、私どもも中間目標というものもつくりたいとは思っておりますが、何せ
サトウキビ
対策というものは基礎的な条件というようなものの
整備
も必要でございますので、それらの
整備
の見通しとあわせまして、私ども今後中間目標の設定等につきましては検討いたしたい、かように考えております。
安里積千代
120
○安里
委員
甘味資源特別
措置
法の第三条によりますと、これは重要な農産物として需要及び
生産
の
長期
見通しを立てて、これを公表しなければならないということがございましたが、いまの御答弁も、ただ一つの試案として需要量の見通し、将来どの程度の需要見通しがあり、それからこれの
生産
の見通しということでございますけれども、需要の見通しはわかりますけれども、
生産
の見通しということも、簡単なただ数字だけを書いておるだけです。しかもこれはただの試案ということになっております。そうしますと、まだこれは
政府
といたしましては試案の程度であって、一応そういう目標を試みに出したというだけでございまして、このためには甘味資源の審議会もあるはずなんですが、そういったものの審議を経たものでなくして、ただ事務当局段階だけにおける試案という程度のものですか。
岡安誠
121
○岡安
説明
員 試案を発表した段階では、農林省がいろいろ検討いたしまして公表をいたしたわけでございますが、現在もその検討といいますか、その実現性その他の再検討をいたしておりますが、その段階におきましては、現在農政審議会のほうに御相談をいたしまして、その御
意見
も承りながら、早急にこれを確定をいたすというような作業をいたしておる段階でございます。
安里積千代
122
○安里
委員
私はあまり触れたくなかったのですけれども、この問題は、はたして
政府
当局が、法律において、基本法でも、それから甘味資源特別
措置
法においても、てん菜糖あるいは
サトウキビ
の
生産
というものが、これは重要なものであるので、だからこの
生産
に関する需要の
状況
、それから
長期
見通しというようなものをつくって、しかもこれは単に事務段階において机の上でつくるばかりでなくして、これを公表しなければならないと、法律というものがきめられておるのです。法の上では非常に重要なものとしてあれしておるにかかわらず、これは試案の程度で、まだ検討中だということになりますと、この再
生産
云々という問題も死文にしかなってこないと思うのです。そしてまたこれを買い上げるところの
価格
を設定する上におきましても、こういうことではほんとうに真剣に、この法が命じておるような糖業に対する認識、
重要性
、国内
生産
を確保する、農民の所得を確保する、こういったことは法文の上ではありましても、実際のやり方につきましては、いいかげんと言ってはぐあいが悪うございまするけれども、どうもほんとうの意味における熱意が足りないのじゃないか、やる気がないのじゃないかということが考えられるわけですが、どうしていままで、この法が命じまするところの需給あるいは
長期
見通し、こういったものの策定がなされ、そしてこれが公表されないのですか。
岡安誠
123
○岡安
説明
員 事務当局が策定いたしました試案というと、非常に軽々しく聞こえるかもしれませんけれども、これはやはり私どもが専門家等の
意見
も聞きまして十分練った結果、少なくとも事務当局におきましては自信のある数字と思っております。ただやはりこれらを確定いたしますにあたりましては、農政審議会その他の御
意見
も伺うということが必要であるわけでございますので、現在その手続を踏んでいるということでございまして、私どもはこの案は決していいかげんに大ざっぱにつくったというつもりはございません。私どもは、従来ともこれらの目標に向かいまして各
年度
の予算その他も策定いたしてまいりましたし、今後ともこの目標に向かいまして十分な予算
措置
をするように努力いたしたい、かように考えております。
安里積千代
124
○安里
委員
いまおっしゃる農政審議会というのは、法に定められておりまするところの甘味資源審議会とは別のものですか。
岡安誠
125
○岡安
説明
員 別のものでございます。
安里積千代
126
○安里
委員
そうすると、農政審議会にかけて、これは甘味資源審議会にもかけるわけですか。かけなければならないのじゃないですか。そうして策定すべきものじゃございませんか。
池田正範
127
○池田
説明
員 甘味資源審議会におきましても重要事項でございますから、したがって所定の手続を経まして、農政審議会で
かなり
議論が進みました過程で、大体年に一ぺんずつ、これは
サトウキビ
だけではございませんで、全体を含めての審議会を開いておりまして、
生産
、流通、
価格
全般にわたる御
意見
をいただいておりますが、例年ですと大体四月前後でございます。したがって本年の四月におきましても、
政府
は、
提出
をいたしておりますこの
長期
需給見通しの素案につきまして御検討いただいたわけでございますけれども、なお農政審議会の
決定
を待って
決定
をするという現在の手続中のことでございますので、その間にさらに私どもとしては、甘味資源
振興
審議会のほうに対しましても来
年度
適当な時期にその御
意見
を伺う機会かあろうかと考えております。
安里積千代
128
○安里
委員
時間がございませんので、私これ以上追及したくございませんけれども、たいへんどうも割り切れないのですよ。法律の上においてはこれを命じて、しかもこれを策定して公表しなければならぬ、しかもそれは単に事務当局段階のものではなくして、甘味資源の審議会にも当然はからなければならぬでしょう。そういったものがまだなされていない。まだ試案、まだ農政審議会にかけておる段階だ、こうなりますと、
政府
は糖業問題に対して、甘味資源問題に対して真剣に取っ組んでおるとは考えられないわけなんです。したがってキビ代
決定
につきましても、単に
政府
の事務当局段階で数字をいじくるというだけの姿に私は終わってしまうのではないか。官僚的な、ただ事務段階における
考え方
で
決定
をされていく、そこに社会の
実情
にも合わない、農民の
実情
にも合わない、ただ数字的にはじき出せばいい、そういうような、事務的にはいいかもしれませんけれども、
実情
に合わないところの結果が生まれておるのじゃないかと私は思うのです。
パリティ方式
についてもいろいろお話があったのでございますけれども、これは物の値段あるいは役務費そういったものも内容の問題として算出されてくる
農業
。パリティだと思います。 そこで一言だけお聞きしたいのは、物の
価格
なりあるいは労賃なり、こういったものを
基準
にしていろいろ
生産費
を割り出していきまする場合に、その役務費とかその物の代金、
物価
というものは、日本全体の指数、日本全体の
物価
を
基準
として見られるのであるか、それとも現地における
実情
というものを主体にして
基準
にされるのであるか、この点をお聞きしたいと思うのです。
池田正範
129
○池田
説明
員 パリティに算出されます際に用いられます
物価
の
水準
というものは、当然日本全体の
水準
が
基準
になるわけでございます。
安里積千代
130
○安里
委員
そこで、おそらく事務段階においての
措置
はそういう統計の資料に基づいてであることは一応うなづけるでしょう。しかし、この糖業の法によりまして
沖繩
全地域というものを
振興
地域に
指定
をされております。奄美大島もそのとおりでございましょう。そうすると普通の全国的なもののあれならいいのですけれども、これは地域的に
振興
地域に
指定
されました特殊な地域なんです。としまするならば、労賃の問題であれ、
物価
の問題であれ、その
指定
された地域を主体にして算出しなければ、そこにまたすぐ
実情
に合わない問題が生まれてくるのじゃないか。
物価
ならもちろん国家全体の
物価
でございましょうけれども、少なくとも
振興
地域として法によって
指定
されましたならば、そこから
生産
されるものを幾らで買い上げるかという問題を出した場合には、その地域を主体にして考えなければ、正しい数字は出てこないのじゃないか、こう思うのですが、それでもやはりそれは地域的の問題で、全国的な問題をいつも頭に置くのだ、こういうふうに考えられるのでしょうか。そのことは、なぜ特にそういうことを申し上げるかといいますならば、
復帰
後における
沖繩
のいまのドルの換算の問題もありまするけれども、
海洋博
その他いろいろな
事情
、日本
本土
に見られないところのものがみんなしわ寄せがきて、そこが異常な
状況
を来たしております。だから正式な計算の基礎にあるいは用いることができないにいたしましても、その
実情
というものが考慮されない限り、正しい算出はできませんし、また現実にこれによっては農民はとっても食えない。つくったってばからしい。つくらない。一たんつくらなくなりました場合には、これをまた回復するということはなかなかむずかしい問題であります。一度失った
生産
意欲というものを回復するということはむずかしい問題であります。そういうことが考えられますので、
パリティ方式
において考える場合におきましても、
物価
の点においては特にこうした
指定
された地域の
実情
というものがやはり主体になっていかなければいかぬじゃないか、こう思うわけですが、いかがでしょうか。
池田正範
131
○池田
説明
員 非常に厳密な再
生産
を追求いたしますと、個別経営ごとに買う資材の金は全部変わってくるとか、あるいは個々に雇用する労働賃金もみな変わるというところまでいくわけでございますけれども、現在
政府
が
行政
価格
として介入し得る限界というものは、いわゆる農産物でございますので、特別な干害があるとか、
台風
にあうとかいったような大きな災害を度外視いたしまして、
平均
的な
生産
条件のもとで日本の国内
市場
が現出しておる一物一価――これは一価でない場合が経過的にありますけれれども、それはだんだんにならされていくという
経済
原則がございますから、その一価に支配される形で農産物の購買力というものを農産物の販売と均衡させるという形でパリティを実現させようというのがねらいであるわけでございます。したがいまして、そう申しましても、たとえば地場労賃のごとき労賃については、非常に異なる労賃が出てくる場合もございますけれども、それらにつきましては、まさに実地においてでき上がっておる労賃
単価
というものをとるというふうな形は一部ございますけれども、
一般
的な
物価
の
水準
というものは国内市況の一本
価格
にたよらざるを得ない、こういうことでございます。
安里積千代
132
○安里
委員
ほかの問題もありますし、ことにキビ作に
関係
しまする
畜産
の問題その他の問題もございまするけれども、これは関連質問といたしまして
神田
委員
にお願いをしまして、ただ一つだけ私は確かめておきたいのであります。 先ほど大臣にもお問いしたのでありまするけれども、今度の計算の場合におきまして、まず、
パリティ方式
でやるにいたしましても、その
基準
になるところの基礎になるもとをあくまでも昨年こう公表されたからといったことに固執されないこと、そして政治的
配慮
ということがよくいわれますけれども、その政治的
配慮
ということは、むしろ政治的
配慮
というよりは
農業
基本法、甘味資源特別
措置
法、糖価安定法、この法の中にありまするところの精神、農民所得の確保、再
生産
の確保、これが基本でありますので、この点を実際の面において数字の面においてもあらわすのだ、こういう
配慮
を特に要求いたしまして、私の質問は終わって、
あと
は
神田
さんにお願いします。
山崎平八郎
133
○山崎(平)
委員長
代理 関連して、
神田大作
君。
神田大作
134
○
神田
委員
時間がありませんから、関連いたしまして簡単に御質問申し上げますが、いまの
政府
の答弁をずっと聞いておりますと、私は過般
沖繩
の
調査団
の一行に加わって
沖繩
現地を見てまいりました。これは私たちの想像以上に農地は荒廃しておる。いままで内地における
農業
というものをわれわれは考えておりましたが、
沖繩
へ参りましたところが、いままで全然
基盤整備
をやってない。機械を入れようとしても機械も入らぬ。また水もない。自然のまま、神武以来改善してないといっても差しつかえない。こういうところで
農業
を
振興
しようというのに、一体
政府
は何をやっておったのか。これはもっとも占領下であってやむを得なかった点もあろうと思います。しかし、それだけ、これは
沖繩
だけに対する思い切った特別な対策を立てない限り、
沖繩
の
農業
あるいは
沖繩
の
畜産
というものはつぶれ去ってしまう、私は率直にこう考えました。 それで、さしあたってのキビの問題ですが、いまキビを六千五百円ぐらいで買い上げている、一万三千円にしなければどうにもならぬと大
陳情
団が来ました。これはもっともな話ですね。キビを刈るのに一日幾らかかりますか。とにかくキロ
当たり
二千円も三千円もの手間をかけ、六千円ぐらいで売ったって、これはどうにもならぬですよ。しかも、
海洋博
とかその他のいわゆるビルラッシュ、観光ラッシュでもって土地はどんどん買い占められている。
労働力
が足らぬ。賃金はどんどん上がっていく。それでもって原始的なキビ産業のような、手でものをやるようなことをやっていけといったって、だれもやらぬ。これはもう立ってキビが枯れていくじゃないですか。砂糖の資源を
沖繩
、鹿児島でわずかのところでもって確保している日本の農政、非常に大事な糖業を維持する
農業
がこのままこういうように放置されているということに対して私は憤慨せざるを得ない。だから、パリティ指数とか
生産費
所得補償によるところの
価格
などといっても、これはどうにもならぬ。思い切った
生産
奨励施策を特別にとって、暫定的に
基盤整備
かなる間、農民が何とかそれでもキビを守ろうかという気持ちを起こさせない限りどうにもならぬじゃないですか。今日
政府
の皆さんが、場
当たり
的な、考えますとか、何とかしますというようなことを言っていると、
沖繩
のキビ作は全滅しますぞ。そうなってからどうするのですか。私は、そういう点において大臣にきびしく追及したいと思いましたが、大臣おりませんから、政務次官として、この現実をよく見きわめて、特別な対策をとる
政府
自体の決意をしていただきたい、私はこういうように考えますので、御答弁願います。
中尾栄一
135
○
中尾説明員
神田
先生の情熱を持った御叱正はよくわかるわけでございます。考えてみますと、先ほども私答弁したのでありますが、
沖繩
問題というのは長い間の日本の懸案でございましたし、与野党が血みどろになった声をあげることによって
沖繩
は返還されたわけでございます。つい先般までは
沖繩
は、日本の領土でありながら日本の領土として目されてもおらなかったし、同時にまたそういう
行政
指導が他面なされておったわけであります。それだけに、そこに大きなインバランスもあれば、まことにわれわれにとってはこれが日本の国だったのかと思い直さなければならないような問題点が先生御指摘のとおり多々あったかと思うのであります。それだけに、私どもはほんとうにこれに腐心をして、
相当
これに力を注いでいくということも、これまた先生の御指摘のとおりでございます。 私どもは、そういう観点の中で、
沖繩
が
復帰
した後、あらゆる面における
基盤整備
あるいは作物の
振興
政策、その他
サトウキビ
等の問題においても、われわれはなすべきことは一刻も早くやっていかなければならぬという気持ちはあるのでございますが、かてて加えて、先ほど言うたようなサイドの問題点、たとえば
海洋博
におけるビルラッシュであるとかなんとかいう問題も、これまた
農業
作物
振興
とかそういう問題とは別にして、これは日本の国としての
行政
指導の中で考えていかなければ相ならぬ。そういうものがすべて関連して
沖繩
の
経済
というものをいろいろな意味で逼迫させ圧迫もしておるわけでありますから、政治の要諦でありまするインバランスをなくしていく、こういう観点に立って私どもはやはり歩一歩と歩んでいかなければいけない。そういう観点の中で
サトウキビ
の問題もとらえていくことにやぶさかではないという気持ちもここで私の気持ちとしても申し上げておきたいと思うわけでございます。
神田大作
136
○
神田
委員
政務次官もそう認識されておれば、それに基づいてひとつ特別な対策を立ててもらいたい。強く
要望
いたします。 と同時に、私は、
沖繩
で今日
振興
させなければならぬことは
畜産
だと思う。
畜産
の適地でもある。年じゅう亜熱帯地帯でもって青草がはえておる。そこへ牛あるいはその他の
畜産
を
振興
させる素地ができておる。それに対する基本的な態度を固めて、それに対する施策をしていくことが非常に大事なことじゃないか、こういうように考えます。 同時に、
畜産
問題について申しますが、過般、われわれは、飼料のあのような値上げに対して、このままでは
畜産
農家、特に酪農における加工乳を主とするような
生産
者あるいは養鶏業者、これはどうにもならないところにまで落ち込んできていますね。非常にいま大事になってきている。ここへてこ入れしなければならぬが、加工乳に対する補給金は依然として変わらぬ、あるいはまた鶏卵
価格
は低落を続けておる、これらに対して
政府
は何を考えておるか、あれだけ
委員会
で各
委員
から強く要求された
畜産
審議会も開かずにそのまま今日まできておることに対してどのような考えを持っておるか、これに対して御答弁願います。
大河原太一郎
137
○大河原
説明
員 お答え申し上げます。 保証
価格
につきましては、本年三月
決定
後、賃金その他の上昇なりあるいは二度にわたります飼料の値上げというようなことから、この
改定
について検討すべきであるという点についての御論議を当
委員会
においてもしばしば賜わったところでございます。これにつきましては、当時大臣からも御答弁申し上げましたように、最も最近時点における各種の算定要素を勘案いたしまして検討してみたいということを申し上げたわけでございますが、御案内のとおり、配合飼料
価格
その他の値上がりという一方の
コスト
を上昇させる要因とともに、他方では、現在の算定方式によりますと、副産物収入等の上昇がその
コスト
を引き下げるようになっておるというような
事情
もございまして、われわれが最近時点におきまして算定いたしました数字は、必ずしも三月の
価格
をこえるような
価格
は出なかったわけでございます。したがってわれわれといたしましては、
年度
内の
改定
ということについては、種々なる御論議を賜わったわけでございますけれども、困難であるという現在判断に立っております。ただ、この問題につきましても、審議会あるいは
畜産
振興
審議会酪農部会あるいは懇談会等に相はかって検討してみろという御決議等も賜わりましたので、懇談会を十月中旬に開きまして、この間の
事情
を
報告
したわけでございますが、諸般の情勢から
改定
をしたらよかろうというような御議論もある一方、やはり算定方式自体について十分検討してそれに基づく
改定
をやるべきであるというような御議論もございまして、われわれといたしましては、むしろこれらの御論議を参考にいたしまして、算定方式自体についての問題点を改善するというような方向で現在作業を進めておるところでございます。 なお、卵価につきましては、恐縮でございますが、毎年十二月までに次の年の卵価をきめます。現在、今日のえさの上昇その他の要因を見きわめながら
改定
作業を進めておるというのが現状でございます。
神田大作
138
○
神田
委員
私、時間がありませんから、
あと
で時間をたっぷりとってやりましょう。どうも
畜産
局長
の話は、私の質問をそらすようなことを言っておりますが、大体においていま鶏卵の安定
価格
、
基準価格
キロ
当たり
百七十三円で経営できますか。そういう計算をしましたか。それから加工乳の
価格
、いま現在のような加工乳の補給金でもってやっていけますか。それはいま二万一千円も飼料が上がっているときに、その
価格
でやっていけるわけがないでしょう。
局長
がこれでもって引き合うというようなことをにおわせるようなことに対しては断じて私は許せない。どうですか、それは。
大河原太一郎
139
○大河原
説明
員 お答え申し上げます。 御案内のとおり、卵価安定期におきます
基準価格
は、本年、従来百六十三円でございましたものを、
年度
内に三月の値上げを見越しまして六月に十円上げて百七十三円でございます。これについて、やっていけるかどうかという点については、いかなる経営なりいかなる
生産費
をとるかということについでは、いろいろ御議論がございましょうが、われわれといたしましては、四十七
年度
の年間を通ずる卵価の
生産費
等を見ますと、この点については、今後その
水準
の
改定
は必要でございますけれども、えさの値上がりと
生産費
その他の
コスト
アップを見て合理的な
水準
でこれをきめたいというふうに考えております。なお、保証
価格
等についてのおしかりでございますけれども、これについては一定の算定方式がございまして、最近のえさ
価格
等その他の諸要素を入れて計算した結果でございます。その意味におきましては、現在の算定方式を前提とする限り、その制度の趣旨を達しておるというふうに考えております。
神田大作
140
○
神田
委員
だめですよ、そんな百七十三円で安定
価格
だなんて。飼料が二万一千円上がったのですよ。そうすると、卵はキロ
当たり
にすると六十五円上がっているわけですよ。それをわずか十円上げて、百六十三円から百七十三円にしてどうして引き合いますか。われわれだって、まさかばかではないのだし、現地におって養鶏家といろいろ話をし、現実に養鶏をやっているのですからね。そういうことで答弁をごまかしたってどうにもならぬことなんで、私は、いま時間がありませんから、あなたと議論する意思もありません。しかし、早くこの安定基金の
価格
の
改定
と加工乳の補給金の
改定
をやらなければ、養鶏家もつぶれるし酪農家もつぶれていくのですよ。これは議論じゃない。あなたの数字がどうとかということでなく、実際に現地においてやめていくのです。これをどうしますか。この問題をもっと真剣に考えてください。政務次官、それに対するあなたの答弁を聞きます。
中尾栄一
141
○
中尾説明員
十分検討いたします。
山崎平八郎
142
○山崎(平)
委員長
代理 次に、
保岡
興治
君。
保岡興治
143
○
保岡
委員
各
委員
の先生方から
サトウキビ
政策についていろいろな角度から質問もあったわけでありますけれども、主として
沖繩
を中心としたところの質問が多いようでしたので、奄美大島の立場から若干御質問をさせていただきたいと思います。 御承知のとおり、奄美大島は
沖繩
のすぐ北にありまして、琉球弧と称する一連のつながった島でありまして、地理的、歴史的あるいは気象的条件が
沖繩
と全く同一であります。しかも人口のウエートからいっても、
沖繩
の六分の一の十五万八千人程度の人口をかかえておりまして
相当
のウエートがあると思うのでありますけれども、従来とかく
沖繩
に目が集中して向けられておりまして、奄美大島の存在がとかく忘れられがちであるということであります。ところが奄美大島のほうは、この分みつ糖、甘蔗糖の
生産
量も
沖繩
の約半分強の
生産
をしておる。人口が六分の一で半分以上の
生産
をしておるというのでございますから、人口比からいえば三倍の
生産
をやっておる。
農業
人口も全体の三三%で、その約八割が
サトウキビ
の
生産
に従事しております。そういった意味では、むしろ
沖繩
より奄美大島のほうが
サトウキビ
の
実情
というものは切実なものがあるわけであります。 ところが、先刻来
委員
の先生方がいろいろ質問もなさっておられましたとおり、奄美大島の黒糖が分みつ糖制度になって、製糖工場によって粗糖がつくられるようになりましてから、これが軌道に乗ったのが三十六年くらいでございまして、四十年から糖価安定法が
施行
されておるわけでありますけれども、この十二年間で
価格
が三四%しか上がっていない。端的に比較して、賃金が当時の三百五十円から三千円くらいに引き上がっておるということなどからも簡単にわかるように、非常に逼迫した
状況
になってしまっておる。出かせぎ現象が顕著である。そして、奥さんが大島つむぎというたった一つの二次産業に従事することによって細々と現金収入をかせいで生活をささえておる。そういった意味で、奄美大島の
サトウキビ
の窮状というものは切実なものがあるのです。もしこれが一たんつぶれてしまうと、工場のほうも非常に赤字をかかえてたいへんだという
状況
でございますので、工場がつぶれることによって一挙に
サトウキビ
生産
農家も
サトウキビ
はつくれなくなる。そうすると、これだけのウエートを占めている
農業
でありますから、一挙に社会問題に発展するというような切実さがあるわけであります。こういった
状況
に加えて、とかく
沖繩
のほうは
海洋博
覧会の賃金
高騰
ということが非常に喧伝されておりますけれども、奄美大島でも事実この
影響
を受けて、
相当
労務者やいろいろな職人が引き抜かれて向こうのほうに連れて行かれる。
沖繩
の場合、一時的な現象で苦しいけれども、将来はそこに一つの実績が残って、いろいろな産業基盤の
整備
になるわけですけれども、奄美大島の場合は、そういう
影響
を受けるだけで、全く
あと
に何も残らない、後遺症だけが残るという現象が出てくるわけでありまして、そういった意味で非常にたいへんであるということが言えるのでありますけれども、その辺の
事情
について
政府
のほうでは十分認識をしていただいて、
沖繩
と同じように奄美大島のことも十分ウエートを置いて考えておられるか、その点についてまず伺いたいと思うわけであります。
池田正範
144
○池田
説明
員 ただいま御指摘のように、奄美大島の場合には、ちょうど
沖繩
の本島を除く島嶼部に近い
生産
形態、そういう非常に恵まれない
生産
形態の中で
かなり
の
生産
量を従来からあげてこられたという実態があるわけでございます。しかしながら、非常にこの
経済事情
の変動その他からこうむる
影響
力というのは、今後とも
かなり
きびしいものがあるというふうに私どもも考えておりますので、先ほど来、大臣、政務次官等からも申し上げましたように、今回の
サトウキビ
の
価格
の問題、これは
サトウキビ
の
価格
だけでなくて、今後の
生産
対策を含めまして総合的に、いま御指摘のような点を十分頭の中に置いて対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
保岡興治
145
○
保岡
委員
ちまたに聞くところによると、
農業
パリティで試算すると八千円ちょっとにしかならない、こういうことであります。ところが奄美大島並びに
沖繩
の農家の方々が、従来こういった窮状に置かれている
状況
から希望というものを見出して、さらに
生産
に意欲を燃やすというためには、
相当
これをアップしなければならないだろうという
状況
があるわけなんです。 そこで、従来いろいろな農作物の
価格
がきまっておりますけれども、大体それが六%前後で落ちついておる。奄美大島、
沖繩
が要求しておるところの
価格
要求は九〇%以上のアップを要求しておるということで、ほかの
価格
と比べると法外な要求をしているように一見見えるわけなんです。しかしながら、実際のところ、先ほどから申し上げたような窮状を打破するためには
相当
思い切った
価格
を上げなければならない。こういった他の作物と比べて違った
状況
にある、それらの
価格
がきまってきた
状況
と異なる政治性、政治的な
加算
、そういった必要がこの
サトウキビ
にはたいへんあると思うのですが、その点についてなお決意を伺っておきたいと思うわけであります。
池田正範
146
○池田
説明
員 ただいまお話がございましたようなパリティ
価格
のいわば事務的な算術をいたしますと、ただいまお話が出ましたような数字でございます。しかし、最近におきますところの
経済事情
、特に去年のこの
サトウキビ
価格
をきめましてから
あと
のいろいろな
経済事情
の変化というふうなものを十分やはり頭に入れてきめなければいけないというふうに大臣からも御答弁申し上げましたとおり、それらの点も含めて、かつ、この鹿児島の南西諸島の中に占める基幹的な
サトウキビ
の
役割り
というものを十分にやはり頭の中に置いてきめていく、そこには実務的な算術だけでなくて、そこに法律もきめております再
生産
に必要な考慮条件というものが当然働いてくる余地も出てこようかと思います。どういう形で働くか、その他の政治的答弁については、事務当局でございますので御遠慮申し上げますけれども、当然そういうふうな形で処理されることになろうかと思います。
保岡興治
147
○
保岡
委員
パリティ方式
の算定の基盤として、大体労働賃金の占めるウエートが五%ぐらいのように伺っておるのですけれども、
サトウキビ
の場合はそれが六〇%以上の非常に高いウエートを示す、しかもこの十数年来の諸
物価
の一番
高騰
しておるのは賃金である、こういう
状況
からいって、従来のパリティで試算する
方法
が
サトウキビ
の
生産費
補償あるいは農家の満足のいく算定にならなかったのは、そういった数字からある程度はっきりしているのじゃないかという感じがするわけなんです。 そこで、こういう
農業
パリティ方式
そのもの
については農林省令で定めることになっているわけですけれども、法改正以前に農林省としてこの省令の改正について検討する御意向がないかどうか、伺っておきたいと思います。
池田正範
148
○池田
説明
員 パリティの出し方につきましては、御指摘のようにいろいろなやり方が理論としては考えられると思います。しかしながら、現実にはその
決定
時期において把握できるデータをベースにせざるを得ないという制約はあることはもう御承知のとおりでございます。そういう意味で、いろいろといまきまっておりますものを手直しするという
考え方
についての検討の努力は私どもも怠るつもりはございません。しかしながら、現実に直した場合に、どういう形に手直しされることが最も妥当かということになりますと、これは軽々になかなか判断しにくい問題がいろいろございます。その立場立場で、直すことによって有利な場合も出てまいりましょうし、不利な場合も出てくるというふうな、いろいろの点もございます。したがいまして、私どもとしては、先ほど政務次官からお答えを申し上げましたように、それらを含めて検討はするつもりでおりますけれども、何はさておきましても、当面の問題の処理が大事でございますので、これに対応する対応のしかたとしては、現在のパリティの計算方式というものを
基準
に置きながらも、十分対応できる余地があるのだと、いうふうに考えておるわけでございます。
保岡興治
149
○
保岡
委員
よく奄美大島、
沖繩
の
サトウキビ
とてん菜糖とが比較されまして、てん菜糖からできる砂糖は非常に割り安にできるのに、奄美大島、
沖繩
のほうは割り高にできるということで、てん菜糖が言うなれば優等生であれば、甘蔗糖のほうは劣等生だということで、財政当局も従来これにお金をかけることに非常に熱意がなかったというような感じがするわけですけれども、てん菜糖のほうは非常に
基盤整備
が進んでおって省力化がはかられておる。ところが奄美大島などは、非常に山あり谷ありで、
基盤整備
がなかなか多額の金がかかるというようなことで十分なされてなかったうらみがあるというふうに見られるわけです。 〔山崎(平)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 大体、
農業
基盤整備
の予算額をいろいろ比較しますと、全国
平均
でこの二十年で一五・二一倍、離島
関係
が言下四九倍であるのに、奄美大鳥の場合七・二四倍にしかなっていない。一人
当たり
の額に換算しますと、離島の場合五千六百円、全国
平均
が三千三百円、奄美大島の場合千九百円しかないというようなことで、特にこういった省力化が強く叫ばれて、常に
価格
の上がらない一つの原因として省力化が進んでないことが指摘されながら、
政府
のほうで奄美大島に対するこういった
基盤整備
に対する予算
措置
が非常に少ないということが言えるのじゃないかと思うわけです。そういった意味で、ことしは十三億数千万の概算要求が農林省から出ているようでありますけれども、この要求には全力をあげて努力をしていただきたいと思うわけでありますが、その点についての
政府
の見解を伺いたいと思います。
大山一生
150
○大山
説明
員 奄美の
基盤整備
につきましては、従前から
本土
に比べて立ちおくれているという事実もございますので、農道を中心にいたしまして積極的に
基盤整備
を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。従前から奄振法に基づきまして復興あるいは
振興
計画
をつくってまいったわけでございますが、四十九年でそれが時限法として切れる。切れてまた十カ年延長される
予定
のように聞いておりますが、それに伴います新たな
事業
計画
におきまして大幅に
農業
基盤の
整備
を、従前からやっておりました
補助率
なり
採択基準
の緩和にあわせて、さらにそれを強化するようなことも含めまして
基盤整備
に尽くしてまいりたい、こういうふうに考えております。
保岡興治
151
○
保岡
委員
省力化のためにもう一つ大きな問題は機械化であると思います。ところが、従来機械化に対する努力がこれまた非常に少ないような気がするわけでありますが、従来この研究
開発
が私企業に単にまかされておった
関係
やら、本格的に取り組む姿勢がどうも足りなかったことから、おもちゃのようなものばかり毎年できてまいりまして、農家はそれを無理して買っては使えなくてお蔵の中に入れてしまうということで、これだけ重要な意味を持つ
サトウキビ
農業
の一番大きな大切な問題が国の予算
措置
として非常におくれているということが言えるのではないかと思いますが、刈り取り機、脱葉機、積み込み機、搬出機、こういった一貫作業はすべて機械でできるようにすれば労働賃金の
高騰
、その他そういった問題で
価格
がいつも問題になるということもないわけでありますが、この
価格
を上げるのに、千円上げると二十億かかる。奄美大島だけでも六、七億かかるわけですが、私が試算したところによると、大体全機種機械化するのに五、六億円で足りるようなことを会社の人たちと話したこともあるわけなんですが、こういった意味でこの省力化のための機械化、機械の研究
開発
には国としても
相当
な力を入れるべきだ、そのように思うのですが、その点についての
政府
の見解を伺いたいと思います。
岡安誠
152
○岡安
説明
員 御指摘のとおり、省力化を進めるためには機械化ということでございます。いま御指摘のおもちゃのような機械というお話でございましたけれども、私どもとして、やはりわが国の地形の条件に適合したような機械ということで、小型につきましては大体実用化の段階ができましたので、すでに四十七
年度
からいろいろパイロットその他でもって入れているわけでございます。将来はこれは中型といいますか、中型の機械を導入しなければ能率も
相当
あがらないということで、四十七年から
農業
機械化研究所に委託をいたしまして研究をいたしております。来
年度
は大体これも目鼻がつくというふうに考えておりますので、奄美につきましては来
年度
から中型を含めました一貫作業体系の機械を入れるというようなことを
計画
いたしております。それによりまして私どもは
相当
程度省力化の実があげられるというふうに考えている次第でございます。
保岡興治
153
○
保岡
委員
サトウキビ
については、製糖会社がつぶれてしまえば一挙に農家も
サトウキビ
はつくれないという
関係
では全く一体なんですが、先ほど来議論に出てくるとおり、
沖繩
、鹿児島で三十億程度の赤字をかかえて、すでに一昨年は瀬戸内町というところの拓南製糖という会社がつぶれてしまって、三百六十年続いてきた製糖業が終えんを逐げてしまう。また笠利の富国製糖あるいは種子島の新光製糖などはまさにつぶれんとしておる
状況
なんです。そういうことで、どうしてこういうふうに赤字がふえてくるかという原因をいろいろ考えてみますと、やはり製造
コスト
をそのまま買い上げ
価格
で見ていないようなところがあるのではないかというふうに思うのですが、従来製造
コスト
の中で
人件費
は一二・一%くらい毎年見ておるようでありますが、これとて賃金上昇の割合に比べると低い。
あと
製造資材費、原料運搬費、借入金の利息、こういったものの上昇分を買い上げ
価格
に従来見てこなかったというふうに伺っておるのですが、その点についてそのとおりであるか、まず伺いたいと思います。
池田正範
154
○池田
説明
員 四十七年期の甘蔗糖企業の損益
状況
を見ますと、トータルでは約三十億程度の欠損、これが
沖繩
、奄美を通じての
状況
でございます。その中で鹿児島は約半分、十五億弱というところでございます。それに対しまして当期の損益は、その約一割強、三十三億四、五千万円というのが当期の損失でございます。 その計算からいたしますと、むしろ鹿児島、南西諸島の特定のいま御指摘になったような企業については、確かに赤字が出て、ついに操業を断念せざるを得ない面もございましたけれども、トータルの企業の収益といたしましては、四十七年期は大体とんとんであったというふうに私どもは考えておるわけでございます。しかしながら、何しろほとんどが島でございまして、集荷範囲というものが限られておる。したがって、合理化しようにもなかなかしにくい面もたくさんございます。そういう意味で国内
一般
の企業のような合理化がなかなかしにくい面はございますけれども、しいて申しますと、どうも昨年の
経費
の見込みの食い違いの中には歩どまりの食い違いが一番大きく最終的には響いていたのではないかという感じがいたします。それから
あと
人件費
あるいは補助材料費それから原料運搬費、金利といったようなものをそれぞれ
平均
的な
標準
経費
として見込んでおるわけでございます。これは
生産
者の
価格
をきめる場合とちょっと違いまして、企業の場合には企業
コスト
の実績をそのまま全部見るという形はとっておりません。これをやりますと、企業のいわゆる努力目標というものは全部なくなってしまうわけであります。そこで、やはりここで見得るものは
標準
的
経費
である。したがって、
標準
的な
経費
をまかない得ないところが赤字が出てくるということは、今後ともこれはある程度はやむを得ない。やはり努力をある程度していただくという形をとらざるを得ないと思いますけれども、ただその見込みのしかたの中で、たとえば
人件費
の見方が会社側が要求をしておる見込み方と十分に見合っていたかどうかとか、あるいは副材料費はどうかとか、個々の項目に当たってみますと、まだまだ会社側から見れば不満な点もあるかと思いますが、一応私どもといたしましては、この
標準
経費
というものを十分それらの不満を踏まえて頭の中に入れて計算をしてもらいたいと考えております。
保岡興治
155
○
保岡
委員
そのおっしゃる点はよくわかりましたけれども、何といっても
実情
が、
人件費
が一二・一%の上昇、その他の
物価
の上昇を見ていないということであれば、非常に会社が
実情
に沿わない
コスト
の負担を要求されることになるだろうと思うので、その点十分今後
配慮
を願いたいと思います。 それと、時間が来ておりますが、もう一点だけ伺わしていただきますが、現在工場があちこち閉鎖になりまして、がらんとしてあいておる、遊んでおる工場があるわけなんです。こういうものは、会社がただ使わないでかかえておるというのは、経営の面から非常に悪条件になっておるだろうということが容易に推認できるわけですけれども、これに対して何らかの合理化の特別な融資のような制度が認められないものかどうか、その点について最後に伺っておきたいと思います。
池田正範
156
○池田
説明
員 御指摘の遊休施設につきましては、これが逆に企業採算の上に非常に重荷になっておる面もございます。したがいまして、できますれば、これらの遊休施設というものを一定の
価格
で地元で何らかの形で組織化された団体で買い上げるなり何なりをして、その買い上げる力をつけるための財政的な援助をするというようなことができるかどうか、いま真剣に前向きに検討中でございます。
保岡興治
157
○
保岡
委員
終わります。
佐々木義武
158
○
佐々木委員長
野坂浩賢君。
野坂浩賢
159
○野坂
委員
沖繩
あるいは奄美大島等のキビの問題をめぐりまして朝来から討論があったわけでありますが、私は
農林大臣
に、今日のわが国の情勢を踏まえて、
経済
閣僚として、あるいは
農林大臣
としての見解を聞きたい、こういうふうに考えておりましたが、御存じのとおりの
米価審議会
のほうに行かれたというお話でありますから、
中尾
政務次官に――政務次官の中でも大胆にものを言うし、政策としても強く押し出すという方でありますから、あなたに具体的に聞いておきたいと思います。 まず最初に、あなたがよく政治というものは国民のためのものだとおっしゃっておるように常々お聞きをしております。したがって、国民が期待する、国民が願望する問題を解決をするという
考え方
で施策、政策をお進めになりますか、まず聞きたい。
中尾栄一
160
○
中尾説明員
そのつもりでおります。
野坂浩賢
161
○野坂
委員
大胆にそういう政策を実施するということでありますから、おいおいに聞いてまいりますが、今日の
物価
の情勢、これは
政府
が当初考えておりました
物価
上昇率五・五%と比べて修正をしなければならないという状態に今日ある、こういうふうに考えておりますが、そのとおりですか。
中尾栄一
162
○
中尾説明員
パーセンテージからいきますと、そういう形になろうかと思います。
野坂浩賢
163
○野坂
委員
当初の
予定
を大きく上回ってきた、それは即国民生活に大きな
影響
を与えておる、こういうことになろうと思います。そうすると、たとえば農林省、
政府
がやれることで
物価
抑制策をやる、こういうことを盛んに田中総理以下言っておりますが、具体的に抑制策が効果をあげた事例、そしてその施策を具体的に進めたものがあれば伺いたい。
中尾栄一
164
○
中尾説明員
私の記憶する限り、見
当たり
ません。
野坂浩賢
165
○野坂
委員
非常に明快に御答弁をいただいております。したがって、いまのお話をそのままとってまいりますと、今日の
物価
高は異常であるし、抑止政策というものはとられていない、しかも一つも成功していない、こういうふうに理解するわけであります。今日国鉄運賃その他私鉄あるいは電力料金、紙、特に灯油、石油、そういうものについては異常なほどの値上がりを見せております。これを押えていかなければならぬ。いま
物価
の値上がりをどうして押えていくか、こういうことが国民の願望でありますし、また政務次官からお答えいただきましたように、この願望を具体的に政策の上に反映をしていく、これがあなた方の使命であります。昔は、大臣とかあるいは政務次官、こういう方々を見ますと、大体偉い人だという通念がありましたが、このごろでは
物価
値上げの元凶であるというふうにうしろ指をさされるような社会情勢に変わってきたことは御案内のとおりであります。そういう中でいま
米価審議会
が行なわれて、農林省としては米一三・八%、麦三五%を上げるという
諮問
をした。この事実は、あなたが先ほど御答弁になった国民の願望を具体的に実施する、抑止策を農林省の手でできるもの、
政府
としてできるものはやるべきであるという決意と非常に矛盾をするではないかと思いますが、あなたはどうお考えですか。
中尾栄一
166
○
中尾説明員
米の問題を少し離れまして、実は昨日政務次官
会議
を私どもで持ちました際にも、私の口からも現在の
物価
高の問題については付言申し上げたのであります。この
物価
問題というのは、いろいろな形で、ある者は公共投資をもっと抑制することであるとか、その他種々論点をあげられる方がおります。しかし基本的に
物価
の問題というのは、このようないささ
かなり
ともエスカレートしている現象の中で単にどのような施策を打とうともなかなかむずかしい場合がある。歯車が回っているような場合に水をさしても、それが水ではなく石油をさしているとさえ考えられるような場合がよくあるわけでございます。それだけに、このような非常にレジャーブームになれ切り、なおかつ消費ムードが定着している昨今、二十八年前のあの非常時体制、すなわち終戦直後の
状況
を思い出して即応しろといってもなかなか無理な場合がございます。それだけにむしろ私どもは、政治家も民間も一体になってこの非常事態を乗り切るんだという意味合いからも、これほどの悪性的な上昇というものは非常事態宣言でも発布して考えていくべきではないかとさえ話し合ったことをも、ひとつここで
報告
は申し上げておきたいと思うのでございます。 そこで、現今の米の問題でございますけれども、たとえで言うならば、ちょうど今回の
生産者米価
がきまる中に、たまさか
生産者米価
と
消費者
米価
とが相バランスを持ちながらきめたという
状況
下にはございませんで、あくまでも
生産者米価
という一律の叫びの中に
米価
決定
が見られたことはすでに御承知のとおりでございます。その背景といいますのは、御承知のように
生産者米価
が据え置きで長引いておった今日、上げざるを得ない
物価
水準
であるというところのたてまえから、
相当
根強い声が盛り上がりまして
生産者米価
にはね上がったわけでございまして、そのときのいきさつからいきますと、これほど
生産者米価
はいままで据え置いておったのだから上げるのも無理からぬことである、同様に、
生産者米価
が値上げになった限り
消費者
米価
も上げざるを得まいという一つのムードがあったことも否定できないかと思うのでございます。そういう背景等の中で今回の米審が行なわれておるということをも、ひとつ御認識のほどを願い上げたいと思うわけでございます。
野坂浩賢
167
○野坂
委員
消費ムードが定着をしたとか、こういう悪性的な
物価
高、それはやっぱり国民の責任ではなしに政治家の責任だ。これが安定をする成長の姿であれば、国民は買いだめもしないだろうし、
消費者
物価
高ムードというものは出てこない。基本はやっぱりわれわれだ。いま与党の皆さんは責任政治とかいろいろ言われておりますけれども、われわれは、いまイデオロギーを超越して、どこかでせきとめて、国民の精神的な問題も物質的な問題も安定をする体制をつくることが必要なんだ。しかもその抑止政策というものは一つも効果をあげていない、これがあなたの答弁でもあったわけです。 そこで、この米の問題は、当然、
生産
者としては引き合わないということになれば、いまの
農業
を見直す時代に入って、食糧の自給率を高める、また他の
物価
から比べて当然上げていかなければ生活ができ得ない、こういう
状況
にありますから、
生産者米価
は当然上げなければならぬ、これが再
生産
に見合う
食糧管理法
の精神だと思うのです。そうして
消費者
の
家計
及び
物価
その他
経済事情
を十分
参酌
をしなければならぬというふうに書いてあります。だからその
家計
にも響く。〇・六、あるいは麦が〇・一、その他関連商品が〇・一、こういうことになってまいりますと、〇・八%程度は
家計
に響いてくるというこういう
状況
でありますから、当然
食糧管理法
の精神からして
米価
は二重
価格
にすべきだということが定説でありますし、法の精神から当然だと思いますが、そのとおりでありますか。
杉山克己
168
○
杉山説明員
食管法の
規定
では、
生産者米価
につきましては米の再
生産
の確保をはかることを旨として定める、それから
消費者
米価
につきましては
家計
の安定をはかることを旨として定める、こうそれぞれ
規定
がございます。
生産者米価
につきましては、確かに
生産費
所得補償方式
ということで積み上げて、
算式
に基づいて
米価
を算定してまいったわけでございます。また
消費者
米価
につきましては、それなりに
家計
米価
といいますか、
家計
の
伸び
の範囲内でもって従来それぞれ定めてまいったわけでございます。その結果、それぞれ今日の
生産者米価
なりあるいは
消費者
米価
、現在では
政府売り渡し価格
をきめて、それから
消費者
米価
が自然に中間の
経費
を経て形成されるということになっておりますが、
米価
がそれぞれ定まってきておるわけでございます。そのことが確かに、
生産者米価
が高くて
政府売り渡し価格
が低いということから
逆ざや
になっておって二つの
価格
がある、その現象を二重
米価
と呼ぶならば、それはそう呼ぶこともできるかと思います。しかし、それはいま申し上げましたように、それぞれ別の、それぞれの
考え方
に基づいて定めてきた結果生じている現象でありまして、食管法が当然に二重
米価
というものを予想して、前提としてそういうものを是認しているというわけではございません。もとより米も、商品とは申しませんが、物でございます。それなりに
生産費
もかかって、
コスト
が考えられて
政府
の
買い入れ価格
というものがきめられるわけでございます。そういうそれ自体の値打ちを持っているものをどれだけに評価してどれだけに売っていくかということは、
政府
が国民に食糧を安定的に
供給
していく場合に、やはり
家計
の安定をはかると同時にその
コスト
の面を考えながら
売り渡し価格
をきめていかざるを得ないということになるわけでございます。もとよりこれだけ大きな
食糧管理
制度というものを維持していくためには、それに必要な基本的な
経費
というものは
政府
が負担すべきでありましょう。固定的な
経費
あるいは直接米の買い入れなり流通なりに必要な
経費
というのは、これは
政府
が負担してしかるべきかとも思います。しかしながら、
売買
価格
に
逆ざや
があるとか、特に末端
価格
に
逆ざや
があるということは、これは
食糧管理
を安定的に維持していくという
考え方
のもとではまことによろしくない、ゆがんだ姿ではないかと私どもは思っております。そういうようなことから、現在
逆ざや
が大き過ぎる、少なくとも私どもといたしましては、
末端逆ざや
は解消いたしたいということで
米価
の
引き上げ
をお願いしたわけでございます。 ただ、現在米審で審議願っておりますところの
引き上げ幅
も、御存じのとおり現在の
売り渡し価格
に対して一三・八%ということでございまして、
末端逆ざや
の全部を解消するというところまで至っておりません。なお
政府
は、
コスト
はもちろん
売買
逆ざや
も、さらには
末端逆ざや
の三分の一程度はなお負担して残っている、これがなお大きな食管の赤字となって
財政負担
となって残されるという
状況
にあるわけでございます。
野坂浩賢
169
○野坂
委員
今度
消費者
米価
を上げたというのは、
逆ざや
と
一般
会計からの繰り入れを余儀なくされるというところにその背景がある、こうあなたはお話しになりました。
逆ざや
を解消するためには一九・五%というのが当初計算をされた。しかし、食管法四条に基づいて、
家計
に
影響
がある、
物価
にも
影響
がある、こういうことで一三・八%にしたということですからね。だから
米価
というのは、
政府
の
買い入れ価格
と
売り渡し価格
というものはこの食管法に従って実施をされておる、端的に言うと、世の中で言う二重
米価
、こういうことになるのじゃないですか。政務次官どうです。あなたらしく端的に答えてください。
中尾栄一
170
○
中尾説明員
本来これがたてまえではないことは先ほど答弁したとおりでございますが、結果的には先生の御指摘も当たろうかと思います。
野坂浩賢
171
○野坂
委員
私が四月の十三日に本
会議
場で
農林大臣
にお尋ねをしましたときにも、食管法というものは堅持をする、こう言って大みえを切りました。しかし、今日その
逆ざや
が出て、この
諮問
にもありますように不正規な流通が行なわれる、こういうことを非常に、異常なほど心配をしていらっしゃる、また供出をするのじゃないかと。それは
管理
体制が薄弱であるという、ことを露呈をしておるわけですね。
管理
体制がなっていない、こういうことだと思うのです。その
管理
体制を、あなた方自身が物統令の廃止あるいは
自主流通
米のやり方、こういうことからなしくずし的にこの
管理
体制を破壊されて、そして
逆ざや
が起きてくる、だから
管理
ができない、こういう不正規な流通体系になることをおそれるというようなことが書いてありますが、そういう
管理
体制の強化をいまこそすべきだと思いますが、どう思われますか。
杉山克己
172
○
杉山説明員
末端逆ざや
が存在することが特に今日のように大きいとき、不正規流通、
生産
者が
政府
に一たん米を売って、さらにどこかの流通過程でもって米を入手してこれを
政府
に売り渡すというようなことが行なわれ得るということは確かにあり得る話でございます。しかし私ども、それが
一般
的に大々的に行なわれるとは思っておりません。
管理
体制というお話もありましたが、今日の買い入れの仕組みは、それぞれ県別、市町村別、さらには個人別に予約限度数量というものを設けて、限度数量のワク内で買い入れまたは
自主流通
の流通を認めるということになっております。そういう仕組みでもありますし、それからいま御指摘がありましたように、そういうことについては厳に取り締まるべきであるということで、役所の体制も十分それの手当てをしているつもりでございます。今日までもそういう事例は全くなかったとは申しませんが、まあまあレアケースといいますか、ごくまれな現象であったと思っております。ただ私どもは、そういう
価格
が、不正逆流が起こるからこれはけしからぬということを言っているだけではなくて、およそ
価格
というものは物自体の値打ちに従ってきめられるべきではないか、いまのような
政府
が買っている
価格
は一万三百一円でありますが、それを約四千円も
逆ざや
を出して
財政負担
をして、これは
売り渡し価格
に比べれば大体半分、五〇%にもなりますが、それほどの負担をして物の値打ちを不当にゆがめた低い
価格
で売ることはいかがかということも含めて申し上げているわけでございまして、しかも、そのことが実際に起こるという話ではございませんが、制度的にそういうことを許容し得る
価格
であるということが問題である、それはやはり直すべきである、こう申し上げたわけでございます。
財政負担
を一切しないという
考え方
ではないのでございます。
野坂浩賢
173
○野坂
委員
それでは、
諮問
についての
説明
の、「不正規流通の
誘発等米穀管理
の健全な
運営
に重大な支障が生ずるおそれがあり、」という、これらのことはとったらどうですか。国民を非常に不信感を持って見るということになりますね。 それから、いま
自主流通
米が出て、きのう米審で、十キロ
当たり
の米を、これが四千円だ、こういう現物が示されました。日本
経済
新聞等をごらんになりましても、米の相場がすでに載っておる。こういうことになると何のための食管なのか、こういうことを疑わざるを得ないということになって、なしくずし的にこういうのがなくなって、また
物価
上昇、
政府
無策――いま政務次官が申し述べられましたが、
物価
が上昇する要因もこういうところに出てくるのではないか。これは政策的な問題ですが、そういう点についてはどうお考えですか。
杉山克己
174
○
杉山説明員
先ほども申し上げましたように、食管法の基本精神といいますか、たてまえといいますか、国民食糧の確保をはかりまして、これを安定的に
供給
する、そのために各般の施策を行なうということをやっているわけでございまして、その一環として再
生産
を補償するような
価格
で
政府
は米を買い入れ、
家計
の安定をはかることを旨としたような
価格
で売り渡すということをいたしておるわけでございます。まあ実際の流通過程で、個々にはいろいろ問題もあろうかと思います。ただいまの御指摘になりました十キロ四千円の米でございますか、その話、私も一昨日
消費者
の団体の方から伺いました。これは茨城県の事例だったわけでございますが、さっそく現地の事務所をして
調査
させました。
調査
させましたところ、八キロ入りの特別容器に入っているお米を、これを三千二百円で売っておったという事実がございます。確かに中身だけで計算いたしますと、十キロに換算すれば四千円とい ことになります。 〔
委員長
退席、山崎(平)
委員長
代理着席〕 ただ、これは容器が特殊な容器でございまして、熊本県産のイグサの俵、その中に
プラス
チック製の米びつがわりになるような容器を包み込んでおって、その中に米を八キロ入れておった。これは大体
特例銘柄米
的な、茨城県産で比較的いい米を入れておったというような事態でございます。容器の
価格
が幾らか、米の
価格
が幾らかというような問題がございますが、大体半々程度になるのかというくらいに思われるわけでございます。
価格
自体は、あるいは高いのかもしれませんし、あるいは安いかもしれない、それは容器の
関係
でよくわかりませんが、しかし、いずれにいたしましても、主食である米をそういう容器と抱き合わせて売るというようなことは、これは好ましくありませんし、ましてそれが贈答用を主眼として売られておったというような話もありますので、これはさっそく取りやめるように私のほうでは指導いたしたわけでございます。 以上のようなことでございます。
野坂浩賢
175
○野坂
委員
いま事務当局からいろいろお話を承ったのですが、きょうの質問の中にも、
農林大臣
は、この
逆ざや
を解消するために去年から実はこの
消費者
米価
の値上げを考えていた、こういう答弁があったのです。それは米審の際に来
年度
も
消費者
米価
を
引き上げ
るという意味の発言をしたということからの発端であります。政務次官も御存じのとおりに、今度の
生産者米価
を上げる際にこの
会議
で議論をいたしました。その際に
消費者
米価
は上げない、こう明言をされた。私たちは、
米穀
年度
というものは、その年にとれた米は来年の十月ごろまでは上げない、こういうことが常識だと思っておるのです。常に
農林大臣
は私は正直者だと言っておりますが、結果的に国民はそう思っておったのです、その
生産者米価
決定
のときには。それを四月一日から上げるというような、そういう
諮問
をされたことは、当時の議論とは非常に問題が出ておる、こういうふうに思っておるのです。これはどのようにお考えですか、先ほど議論があったのですから。
中尾栄一
176
○
中尾説明員
生産者米価
がその
決定
を見る前後の模様だと思いますが、
消費者
米価
というのはやはりいずれ上げなければなるまいという声があったことは、これはもう否定できないと思うのです。そういう背景の中で大臣がそういう言辞を吐露したということは、それはあくまでも現時点上げるということを即座には考えておらないという意味でお言いになったのではないかという解釈に私は立っておりました。私は、これは何も言いわけを言うわけではありませんが、そういう流れの中に御発言があったのではないかという解釈以外には、あの正直者の大臣がうそを言うわけはあるまいという
考え方
に立つわけでございます。
野坂浩賢
177
○野坂
委員
いま、国民のためにこの
米価
の議論がされておる。これは国民が上げるほうを望んでいなくて、上げないほうを望んでおるのです、率直に。それはよくわかると思います。
生産者米価
がきまったからいずれ
消費者
米価
を上げなければならぬだろうという世論があったというふうにお話しですが、どこにそういうことがありましたか。聞いておりません。あなた方自身が上げようと考えた。
農林大臣
も去年からその
逆ざや
を解消しようと思って上げようと考えておったというようなお話でありますが、国民の中から
消費者
米価
を上げるべきだという世論が大きくあるというようなことを新聞その他で私は見たこともありませんし、テレビで見たこともありません。そういう世論がありましたか。上げろというそういう運動がどこでありました。
中尾栄一
178
○
中尾説明員
私、ですからそういう声が単刀直入に記事面に載ったとか、そういう表現で言うたわけではございませんで、一つの流れのムードとしてそういうことを言うたことも聞いたことはあるということでございます。たとえば米審の中で言うたということの確定的な要素はございませんけれども、あくまでもそういう会合にお集まりの方々も、こういう
生産者米価
を
引き上げ
ていくという
関係
の中では
消費者
米価
も上げざるを得なくなっていくなという言い方を聞いたことも私はあったわけでございまして、必ずしもそれを具体的に一つのマスコミに載ったとか、そういう表現で言うたわけではございません。ただムードとしてそういうことを感じておったということは事実でございます。
野坂浩賢
179
○野坂
委員
私はね、政務次官、いま国民が一番望んでおりますのは、
物価
高で困っておる、だから物を下げるような政策をとってくれ、これは国民の声じゃないですかね。
消費者
米価
でも、
物価
は上がっていく、そういうムードでやむを得ぬだろうというような、為政者の最高の責任者の立場にあるあなた方が、ムードによって
物価
を上げて国民のためになるというふうにお考えであれば、直ちにやめるべきですね。その責任からおりるべきだ、私はそう思いますよ。
消費者
というのは、国民というのは、
物価
をどうして下げるか、どうやってもらいたいか、こういうことを願っておるのに、いまそういうムードなんだからやむを得ないというような、為政者の最高責任者の立場の方々が軽々にそういうことを発言されるということは、政治不信をより以上招く、私はそういう結果になると思うのです。政治家として恥ずかしいと思うのです。そういう点についてはどうやってせきとめるのだ、どのような施策を打つべきか、こういうことを考えるのがあなた方の役目じゃないですか。どうです。これからもそういうムードでやられるのですか。
中尾栄一
180
○
中尾説明員
いま御質問がありましたから、その当時の模様を言うておるわけでございまして、決してその、何といいますか、
消費者
米価
というものを急遽ここでもって思いつきで上げていったという形のものではなく、あくまでも
逆ざや
をなくしていこう、そういう形がどうしても農林当局といえども
政府
といえどもあったわけでございますから、そこにこの問題点が惹起していったのだというように御解釈願えればありがたい、こういう意味で申し上げたわけでございます。
野坂浩賢
181
○野坂
委員
だから、せきとめるということをお考えですか。
中尾栄一
182
○
中尾説明員
当然、この問題は、どんな形をもっても
物価
高というものはせきとめていかなければならない、これは私が冒頭に先生の御質問に対してお答えさせていただいた気持ちでございます。
野坂浩賢
183
○野坂
委員
逆ざや
をなくして、
家計
にも響かないし、
生産
者もよくなるし、そういうことで一つの
米価
というものが
生産
者も
消費者
も同じようになって
逆ざや
がないということであれば、これは小学校の一年生でも考えることですね。保育園の三歳の童子でも考えることです。だれでもできることだ。借り方と、貸し方、右と左と合わせるということはばかでもできますよ。そこに政治があるんじゃないですか。そういう
生産
者のことも、そして
消費者
のことも考えて、日本の国を安定的に成長させる、そのために政治がある、私はそう思っておるのです。そういうことだと考えるならば、
逆ざや
を解消することが何よりも政治命題だ、農林省の課題である、こういう
考え方
は私は間違いであると思いますが、どうでしょう。
中尾栄一
184
○
中尾説明員
政治というものは、もちろん先生の先ほど御指摘のとおり、安定ということと、なおかつインバランスをなくす、不公平さをなくす、ここに主眼点を置いておかなければならないのはもう申すまでもないことだと思います。同様に、このような偏差がついていくということの姿勢を埋めていく、ギャップを埋めていく、
逆ざや
をこれまた埋め合わせしていく、これもやはり為政者として責任をとらなければならない、感じていかなければならぬこともあることも事実でございます。そういう観点の中で先ほどから
逆ざや
の問題が問題になっておったかと思うのでございまして、私どもは当然
生産
者に対しても上げていくという方向づけの中に大いにアップしていくことに努力を惜しまないと同時に、
消費者
にとっても一番苦痛である
消費者
米価
のアップというものに対して極力押えていく、これまた私どもの責任である、これは先生の御指摘のとおりかと解釈しております。
野坂浩賢
185
○野坂
委員
まだ私はすっきりしませんが、為政者としては国民生活の安定をはかるためにそれぞれ努力をしなければならぬ、
逆ざや
といいますか、そういうものがあってもやむを得ない、こういうふうに私は思っております。したがって、今度の
消費者
米価
の値上げは、年率五・五%という
物価
上昇率がいまは一三%にもなって、政治が不信になっておるわけですから、どうしてもあなた方の権限で、
政府
の権限でできるこの問題はやはり見送るべきだ。しかも
米穀
年度
という、
一般
的に自民党の代議士も含めて、
生産者米価
のときに
消費者
米価
は上げませんというのは、少なくとも来年の十月までは絶対に上げないというのが通念ですよ。それを当時はそういうふうに正直者の
農林大臣
はそういうことの
考え方
ではなかったんだというのは、人にわかるようにものを言ってもらわなければ、自分だけその場は調子がよく逃げられるけれども、帰ってから別のことを考えておるというようなことでは、これは政治ができませんから、これは考え直してもらわなければならぬ、こう思いますね。それがまず一点。 それからもう一つ、ことしは天候等に恵まれて、私たちのほうには若干
干ばつ
も出ましたけれども、米は
相当
収穫ができるようだ。しかし北海道等では刈り取ってみると粒は小さい、したがって十分でないというお話もございましたが、この七月でしたか、田中総理がここにもお見えになって、
生産
の制限といいますか、そういうことをやった、減反政策をやった、大体減反政策は
予定
どおり
いった、その政策の中で、農民の努力によってできた米は、これは全部買い入れをする、こういうような示唆がございました。そう国民、農民は理解をしておりました。理解をしておりましたし、この米審で
農林大臣
は備蓄米というものをやりたいという発言をされております。したがって備蓄米等についてはやられる、今度の
生産
から見て、収穫から
決定
的なものはまだ出ておりませんが、備蓄制度を踏み切る、こういうふうに考えていいんでしょうか。
杉山克己
186
○
杉山説明員
本年産の米の収穫見込みは、私どもが見込んでおりましたより、結果の数量だけ申し上げますというと、大体約四十万トン程度はよけいにできるのではないかというふうに見込まれております。同じ日本の国内で流通される米であります以上、最終的には余ったものはどこかに在庫としてこれは蓄積されるわけでございます。その在庫がどこに残るかといえば、これは余りものを買うとか買わないとかいう議論がいまございますが、かりに買うにしてもあるいは買わないにしても、これはいずれ
政府
の在庫になって増加するということは間違いございません。いまの仕組みのもとでは、農家が売れば
政府
の売る分はそれだけ減って
政府
の在庫がふえるということにもなりますから、買わなくても買ってもこれは
政府
の在庫がふえます。その在庫がふえるのを何と観念するか。これは恒久的に過剰になるというようなことがかりにありますれば、何らかの形で処分せざるを得ない事態が生じてまいります。しかしこういういわゆる過剰米、これはいわば
予定
しないものが結果としてたまたま生じたということに基づくものでありまして、これを処分する場合に、従来のようにあるいは輸出でありますとか、あるいはえさでありますとか、いろいろな形が考えられることになります。しかし、当然にそのことを
予定
して
政府
が余分の米をつくっていただき、それを集めて備蓄する、そういう
考え方
は私どもにはございません。
農林大臣
もそこまでの意味を込めて言ったのではないと思いますが、食糧庁としてはそこまでの備蓄の意味では考えておらないわけでございます。
野坂浩賢
187
○野坂
委員
事務当局からのお話は、備蓄制度をやるという
考え方
はない、こういうことですか。それからいま質問のようになったのですが、減反政策をやり、それに農民は応じた。そして一生懸命働いてできるだけ収穫を多くして、みずからの生活を楽にし、あるいは国民にあるいは海外の皆さんに安定的に
供給
をしたい、こういう意味で努力をした結晶が出た。それは田中総理さえ言っておるわけですから、そういうものについては
政府
が全量買い入れをするということをそこで言ったのですよ。だからそういう点については
政府
がやはり責任を持つべきだ、こういうふうに思うわけです。そのためには、四十万トンや五十万トンのことでありますから、備蓄をして、海外的な問題等についても十分備えていく、こういうことが私は必要だと思いますが、政策的に政務次官はどう思われますか。
中尾栄一
188
○
中尾説明員
基本的にはその点に対して私も同感でございます。むしろ米がなくなっていく悩みよりは余る悩みのほうがよほどよろしい、そういう観点で考えますと、いまからフィリッピンであるとかあるいはまたタイ国、ビルマ、インドネシア、各ところから米の要求が昨年来続いております。そういう意味で、米外交というとおかしな表現でございますけれども、ときに足らざるものをむしろそういう点で補っていくという形は、少なくとも中進国から先進国に向かっておる日本としては当然の義務にもなろうかと考えておりますので、政策としては私は賛成でございます。
野坂浩賢
189
○野坂
委員
非常によくわかるように答弁いただきましたが、そうすると、
政府
が責任をもって買い入れる。足らざるよりも余ったほうがむしろ政策的には当然だということでありますから、
政府
が責任をもって買い上げるということになれば、これは
米価
の
格差
がつかないということになるわけです。したがって、いま政務次官から御答弁いただきましたし、時間がもう来たようでありますから、私は特に強くお願いをしておきますが、備蓄制度は
政府
の責任においてやるということでありますから、
米価
は同じ値段で買い入れるのが
政府
の責任として当然だと私は考えております。したがって、そのような方向で処置をしていただきたい、こういうことを強く訴えておきます。 それから、
あと
五分間程度お願いをしたいと思いますが、この間政務次官にも電話等でお願いをしたところでありますが、大蔵省が、金利調整の
関係
で、資金運用部の金を、普通の融資については〇・三、特定のものについては〇・二五の利率を
引き上げ
る、これは
農業生産
にも大きな
影響
がありますし、その他全部に上げるというような
考え方
を吐露しておったわけでありますが、農林省としては、
農業
の
生産
性の低いこういう現状を十分認識してもらって、ぜひこの点についてはがんばり抜く、大蔵省を説得するというようなお話を承っておりました。きょう閣議があったようでありますが、これについて、当面二十年も二十五年も償還をする土地改良資金の貸し付け金、農林
漁業
金融公庫から出される利息については、大蔵省の要求をけって、従来
どおり
、こういうふうになるというふうに私たちは要求し、承知をしておりますが、それらの点についてはどのように努力され、結果的にどのようになってきたか、こういうことが一点と、もう一つは、四十八年から米のいわゆる休耕奨励金というものが廃止されるわけでありますが、
農業
を見直す時代に入ってきて、具体的に農政の転換をはかっていくということが何回も議論をされました。したがって、この農政の転換のときにあたって、構造改善
局長
はおかわりになりましたが、休耕奨励金が廃止になって、この通年
施行
といいますか、圃場
整備
、土地改良をやる場合に、この休耕奨励金と同じように、土地の
生産
性を高めるためにも、これからの圃場
整備
は急ぐというかっこうになってきますし、十兆五千億も十年
計画
で組んでおるわけですから、何らかこれにかわるべき奨励金というものをつけるという話を承っておりました。四十九
年度
の予算にあたって、これらについては、従来
どおり
、名前は変わってくるかもしれませんが、農民が一生懸命に夏期
施行
で土地改良、圃場
整備
をやる、そういう姿になるような政策を当然とっていただける、とるべきだ、こういうふうに考えておりますが、それらに対する見通しと
考え方
を承っておきたいと思います。
内村良英
190
○内村
説明
員 農林
漁業
金融公庫資金の貸し付け金利について御答弁申し上げます。 御承知のとおり、本年の十月十五日から郵便貯金の金利が上がりまして、これに伴いまして、郵便貯金の資金運用部への預託金利も〇・二五、十一月一日から
引き上げ
られたわけでございます。その結果、資金運用部資金から各種
政府
関係
機関へ、これには農林
漁業
金融公庫も入っているわけでございますが、貸し付ける資金の金利も、これに見合って十一月一日から上げられたわけでございます。そこで、そのように原資が上がりましたために、大蔵省としては、各種
政府
関係
機関の末端借り受け者に対する金利もそれぞれ一律に〇・二五
引き上げ
てほしいという強い
要望
があったわけでございまして、これについていろいろ
政府
の中での折衝があったわけでございます。 そこで、先ほど先生からもお話しがございましたように、農林省といたしましては、農林
漁業
金融公庫資金については、他の金利と連動するものは非常に少ない。これはまあ若干ございますが、ほとんど政策金利として定められているものであり、しかも、土地改良のごときものは非常に長い。それを金利情勢に合わせて一々動かすというのは非常におかしいし、農民は、土地改良の負担というようなものはまあ税金みたいなふうに思っているのだ、それを金融動向で動かすのはおかしいじゃないかということで、いろいろ折衝のあった結果、本日閣議で大蔵大臣から御
報告
があったわけでございますが、土地改良等の
基盤整備
その他構造改善等の資金につきましては、金利を据え置くということになったわけでございます。
岡安誠
191
○岡安
説明
員 土地改良の通年
施行
に対します
措置
についての御質問でございますが、農蚕園芸局の所管でございますので、私からお答えを申し上げます。 四十九年、来
年度
からは、私どもの
考え方
といたしましては、休耕奨励金は、これは打ち切りたいというふうに実は考えております。 土地改良
事業
をやる、通年
施行
する場合にどうかということでございますけれども、やはり、土地改良
事業
というものは、今後高能率な
農業
を進める場合には非常にその基盤になるわけでもございますし、また、多用途に耕地が使えるというようなことから、転作も促進されるのではあるまいかという
考え方
もございまして、来
年度
におきましても、土地改良
事業
通年
施行
をする場合には、休耕奨励金ではございませんけれども、奨励補助金の交付というものを考えたいということで、私ども、今後大蔵省とも折衝するつもりでございます。
野坂浩賢
192
○野坂
委員
終わります。
山崎平八郎
193
○山崎(平)
委員長
代理 次に、
竹内猛
君。
竹内猛
194
○
竹内
(猛)
委員
先般
沖繩
に
調査
に行ってまいりまして、本来
沖繩
の問題で十数項目にわたって質問をしたいというふうに考えておりましたが、多くの地元出身の皆さんからいろいろ質問があったので、かいつまんで、
沖繩
の問題については二点、それから
あと
は食管の問題と、それから高速道路のつくり方の問題について質問をしたいと思いますが、いずれにしても、時間があまりありませんから、できるだけ簡潔にお答えを願いたいと思います。 まず、最初に、
沖繩
の
西表島
の問題について質問をしたいと思います。
西表島
は、
沖繩
においても第二番目の面積を持っている広い島であります。そうして、これは
国有林
が
かなり
の分野を占めておりますが、そこに現在二千五百人の人が住んでおる。そうして、それは、
環境庁
の
指定
によって、いま、
国立公園
になり、現在まで進められている
開発
がそこでストップをされておりますが、東と西を通ずる道が断たれておる。海岸も断たれておる。でありますから、東に行く者は石垣市に行って、それからまた船に乗りかえて西に行かなければならないし、西のほうは逆に行かなければならない、それから市の中に町の役場がある、こういう特殊な状態に置かれておりますけれども、そこを今度
国立公園
なり自然公園にするためには、ヤマネコというものがあらわれているが、これはたいへんとうといものであって、これは守らなければならない、あるいはマングローブの林があって、これも非常に珍しいものであるから守らなければならない、こういう形を
環境庁
としては主張されておるわけでありますけれども、これを守ることは私は反対ではありません。自然を守ることはけっこうでありますが、それを守るとするならば、この二千五百人の人間を一体どうするか。その二千五百人の人々は、現在まだ国から国有地を借りておりますが、その国有地といえども、現実には
かなり
の面積がありますが、その貸借
関係
というものが必ずしも明確になっておらない。そういう
関係
があって、この国有地の利用の
関係
を明らかにするということと、その二千五百人の人々に
本土
並みの生活をどのように保障するのかという点について、これを
環境庁
から伺いたい。
国有林
のほうについては、
国有林
をいまどのように利用することを考えておられるかを林野庁から伺いたい。それから、
沖繩
開発
庁については、この二千五百人の人々がいまどういう状態にあって、どうしたら一人前な生活ができるようになるのかということについての方針があるならば、それを出してもらいたい。
福田省一
195
○福田
説明
員
国有林
の問題についての御質問に私からお答え申し上げたいと思います。 〔山崎(平)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
西表島
の
国有林
は、面積にしまして二万五千ヘクタールございまして、また、ここには、
本土
にはないような珍しい亜熱帯性の自然植生が、比較的人為の加わらない状態で、大規模に保存されておるものでございます。また、そこには、ただいま先生のおっしゃいました、天然記念物のイリオモテヤマネコといったような動物も生息しておるわけでございます。このため、学術的な見地からも、
自然保護
の見地からも、適切な
管理
を行なう必要があるというふうに考えております。 他方、また、
西表島
は、林木の生育に非常に恵まれた環境にございます。雨量、気温等から見ましても、非常に適切な場所でございます。
林業
のほかに見るべき産業もないこの地域におきましては、住民の生活安定にとっては、森林の伐採なり、あるいは造林の
事業
ということは、非常に必要な
役割り
を果たしておるというふうに考えておるものでございます。したがいまして、この島の
国有林
の経営にあたっては、
開発
と
自然保護
の両者の
要請
を調和させた施業を行なうことが必要であるということは、先生御指摘のとおりであるというふうに私ども考えておるわけでございます。 このような観点からしまして、この
国有林
は、
自然保護
をはかるべき地域で、面積にしまして九千三百ヘクタールでございますが、これは
国立公園
になっております。こういう地帯と、森林の伐採、造林を行なうべき
開発
地域、面積にしまして九千八百ヘクタールございますが、それとに地帯の
区分
をいたしておるわけであります。前者は
国立公園
に
指定
されておるものでございますが、また、この
開発
をはかるべき地域につきましても、たとえば保護樹帯の設置等を行なって、そして
計画
的な施業につとめておるところでございます。これによって、住民の生活安定に必要な
開発
と、それから貴重な動植物の保存との調整は適正にはかることができるというふうに考えておりまして、地域の施業
計画
を組み直して、この両者の
計画
的な調整を具体的にきめてまいる考えでございます。
亀谷礼次
196
○亀谷
説明
員
開発
庁でございますが、
西表島
の
開発
につきましては、いま先生から御指摘がございましたように、二千五百名にのぼる住民がずっと生活をしておられるわけであります。
一般
的に、
沖繩
の
振興
開発
にあたりましては、御案内のように、環境の保全というものを優先させながら、そういった基本的な
考え方
のもとに、特に
西表島
につきましては、
計画
の中でも必要な部分につきまして、
国立公園
としての貴重な自然資源を保全するとともに、国民の海洋性保養基地、それから学術研究の場として広く活用するということを
開発
計画
の中にうたっておるところでございます。
西表島
の
国立公園
の問題につきましては、したがいまして、今後、
環境庁
からも協議がございました場合には、以上のような基本的な方針を踏まえますとともに、先生も御案内のように、先般閣議
決定
がございました自然環境保全基本方針に従いまして、地域住民の生業の安定、福祉の
向上
についても十分
配慮
するよう話を詰めてまいりたいと思っております。 具体的な御指摘の一つとしまして、道路の問題が出たわけでございますが、実は、私ども
開発
庁としまして、
復帰
前から、
西表島
の住民生活上この道路が非常に重大な問題でございますので、縦貫道路につきましても建設をやっておったのでございますが、現在中断されております。しかしながら、道路の
整備
の
重要性
にかんがみまして、西表の島の生活、産業基盤の確立をはかる上で、先ほど先生から御指摘もあったかと思いますが、当面、われわれ
開発
庁の一括
事業
といたしまして、一周道路の完成を急いでおります。でございますので、この一周道路の完成を当面急ぐことにいたしまして、これが完成しました際には、縦貫道路等の建設の問題につきましても、なお自然環境の保全を優先させる見地から、そういう原則のもとに、地域の住民の
要請
等も十分勘案した上で、
環境庁
等とも慎重にこの問題に取り組みたい、こういうふうに考えておるわけであります。
仁賀定三
197
○仁賀
説明
員
西表島
は、先生の御指摘のように、亜熱帯の照葉樹林におおわれておりまして、イリオモテヤマネコ、あるいはマングローブその他珍しい動植物かおります。わが国では人手のあまり入っていない、非常に珍しい自然が残っておるということでございまして、私どもといたしましては、できるだけその保護に万全を期してまいりたいと考えております。反面、ここには約二千五百人の住民が生活しておられます。そこで、これらの住民の方々の生活の
向上
ということは、当然考えていかねばならない問題だと思っております。つきましては、現地の
調査
を進めますとともに、地元の住民の方々の御
意見
も十分にお聞きし、また、
関係
官庁の御協力をいただきまして、保護と利用との調整をはかってまいりたいと考えております。 御指摘に出ました道路の問題につきましては、横断道路と海岸の道路と、二本過去に建設が進んだわけでございますが、現在は中止になっております。横断道路につきましては、土砂の流出等がございまして、下流に土砂が堆積し、あるいは川水を汚染する、そのため一部のマングローブ林が枯損をするというふうな現況もございまして、私どもといたしましては、
自然保護
上再検討を要するかと考えておる次第でございます。なお、海岸道路につきましては、東西を結ぶ部落間の道の
必要性
ということは十分わかりますので、
関係
機関の協力を得まして、その道路の開設の促進を希望しておるところでございます。
竹内猛
198
○
竹内
(猛)
委員
いまお答えをいただきましたように、自然を守るということについて反対をするものではありませんので、それは守らなければならないが、まず、何よりも、長い間島の中で生活をしてきたあの人々の生活をやはり大事にするという立場をとってほしいし、ともかく、あそこはまだまだたいへん手を入れなければならぬところであるから、特にそのことは
要望
しておきます。 続いて金融の問題でありますけれども、
沖繩
の
農業
の金融に関しては、いろいろ
調査
をしてみると、いろいろな形で、大体五千五百七十億が融資をされております。その中で、銀行が三千四百億、農林中央金庫が二百六十億という形で、圧倒的に市中銀行
関係
が多い。これは
復帰
間もないことだからやむを得ないと思いますけれども、こういう金融の形というものがこうなっておるということは、いろいろな
事情
からやむを得ないとしても、今後は、この金融というものを制度金融に切りかえていくために、農家と農協、そうしてその地方の金融機関との結合ができるように、今後
調査
をされ、農家の負担をなるべく小さくしていくような方向に努力されたい、こういうことを
要望
しておきたいと思います。この点は簡単でいいですから……。
内村良英
199
○内村
説明
員
沖繩
の
農業
金融につきましては、今後、農林中金に集まる金が極力地元に落ちると申しますか、地元で利用されるように、系統の貸し出しをふやすと同時に、さらに、インターバンクの金融を
拡大
するようにしたいというふうに考えております。
竹内猛
200
○
竹内
(猛)
委員
今度は建設省
関係
にお尋ねをします。 これは、あるいは
一般
問題ではないかもしれないが、しかし、もしこれが
一般
問題であるとすれば許しがたい問題だと思うので、
一般
問題でないように私は願いながら質問をします。 茨城県のあるところを通る常磐高速道路の
計画
があります。そして、これは、現在売られている地図には、ここを通るのだということで、すでに点線で示されている。ところが、その地域の人々が、いろいろな話を聞くと、その図面とは違ったところを通るのだというようにうわさが出てきている。だから、地元の人々は、それに対して仲間をつくって、いままで家ができ、団地ができ、学校があり、農協があり、そういうところを通ってもらっては困る、図の原案のとおりにしてほしいということで、道路公団あるいは
関係
各機関に行くと、知らぬ存ぜぬといって、全然これは答えてくれない。ところが、これは十月十六日の全国版の毎日新聞でありますが、こういう記事が大きく出ております。知らぬ間にゴルフ場ができているということで、それには死んだ人まで署名をしておるし、反対した人までも署名がついておるのですね。三十九年になくなった人が四十八年の申請に判を押しておるという。あるいは反対した人の判が押されておるという。それは、ゴルフ場というものが、次にできるインターチェンジ、だれも知らないというインターチェンジがすでに予測をされていて、そこから五キロであるとか、何キロであるとかという形で宣伝されている。こういうかっこうになっているものだから、地元の人たちは非常に心配をして、これに対してまた請願をしてまいりました。私は、この間、十一月の六日の日に集会をして、いろいろ話を聞くと、今度はそこに道路公団が、飛行機が写真をとる標識を立てて、十二月三十一日までは手を触れるなといって、地権者に対して断わりなしにそれを立てた、こういうことになっている。新聞社はちゃんとそういうことについては予測をし、特定の人たちは、大体次のインターチェンジがきまるであろうということはわかっている。だから、前のインターチェンジと次のところを直線的に結ぶところが大体道路になるであろうということはだれだってわかることなんです。こういう問題があるのに、一体、なぜ、その地権者の人たちに相談をし、理解を得、そして、それに納得を得てやらないのか。そして、結局は、そうしたことを秘密にきめてしまって、
あと
は、反対をすればもう土地収用法で収用していくのだ、動かすことはできないのだというようなことは、徳川時代だってそんなことはやらない。この民主主義の時代にそういう形で権利が侵されていくということについては、これは許せない。これは
農業
の
関係
だからここでも申し上げるが、これは政務次官にも答弁を求めたいけれども、まず、建設省のこのやり方はいいか悪いか、こういうことをいままでもどこかでやっているかいないか、やっているとしたら、これは許せないことだと思う。この点について、ひとつ明確な答えをいただきたい。もし答えができなければ、大いに
調査
をして、こういうようなところについては、そのやり方はよくないということを明確にしてもらいたい。
山根孟
201
○山根
説明
員 ただいま御指摘の常磐自動車道でございますが、東京サイドの三郷から石岡間五十五キロメートルにつきましては、四十五年六月に
整備
計画
が
決定
されておりまして、昨年六月末に路線発表をいたしまして、現在、中心ぐいを設置して、地元の方々にいろいろ工事の
説明
を実施しておるところでございます。 石岡から日立の間、六十八キロメートルでございますが、先生御指摘の区間はこの区間であろうと考えておるのでございますが、四十七年六月、昨年、
整備
計画
が
決定
をされまして、現在、日本道路公団で、いろいろな観点から、どこに具体的な路線を設定するのがよろしいかということで、いろいろな総合的な
調査
をいたしておるのが
実情
であります。したがいまして、この石岡から北の区間につきましては、まだ路線が定まっておらないというのが現状であります。 ただ、この路線
調査
をいたします場合には、まず航空測量が必要でありまして、先生のお話しの航空標識につきましても、この現実の地形、地物、集落の
状況
、その他そういったことを把握するため、あるいは
計画
を設定するための
調査
の一環として実は行なわれたものでございます。 そこで、先ほどゴルフ場云々といったお話しがありましたが、いま申し上げましたように、まだ、いろいろな観点から検討をしている段階におきます過程でございますので、路線がきまっておりませんので、一体インターチェンジからどの程度の距離かということは
一般
にはわからないのでありますが、先ほど先生が御指摘のように、石岡から水戸間と申しますと、大まかな想像がつくわけでございますので、おそらく、そういったことから、想像で何キロといったようなことが出たのではなかろうかと思うのですが、これは推測でございます。
一般
に、路線を具体的に設定いたします場合には、いろいろな公共施設、特に、圃場
整備
の問題でありますとか、文化財でありますとか、自然公園とか、その他、都市周辺になりますと都市
計画
、土地利用あるいは学校、病院といったような、いろいろなそういったことの関連を生じてまいりますので、非常に広範な
調査
をいたしまして、いろいろな観点から、高速道路の安全、防災といったことも含めまして最終的な結論を出すわけであります。その場合に、やはり
関係
の市町村の方々と十分御相談を申し上げまして、その結果を含めまして路線を設定をする、こういう
考え方
で現在まで進めてまいっておる次第であります。ただ、個々の住民の方々に直接お話しをするということになりますと、関連する市町村におきましても、やはり、それぞれ市町村の利害が相反するということもございます。同じ市町村の中でも、いろいろな利害が相反するといったこともございますので、われわれといたしましては、
理事
者の方々といろいろな角度から十分御相談申し上げて、将来
計画
その他と適合するような形で路線を設定いたしまして、それで地元におろす、こういう
考え方
でおります。 それから、具体的な路線が設定されました
あと
は、たとえば横断構造物でありますとか、水路の切りかえとか、環境の問題でございますとか、いろいろございますので、そういった点は、住民の方々あるいは地権者の方々と十分お打ち合わせをして
措置
をしてまいる、こういう段取りで考えておりますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
竹内猛
202
○
竹内
(猛)
委員
時間がないからあまり追及はしませんが、まだきまっていない、十分に話をするということでありますが、現在のところは、約三百六十名がすでに明確に意思を表示をしているわけですし、しかも、学校もあるし、農協もあるし、住宅のあるところですから、そういうところを避けていくように考慮を払ってもらいたいことをあらかじめ申し上げておきます。そうでないと、これはたいへんなことになります。そういうことをあらかじめ申し上げて、この質問について、なおその後に発展をすれば、また別な機会にやることにします。それではその点は終わります。 そこで、次には、時間がないけれども、食糧の問題でありますが、野坂
委員
のほうから食管法の問題についていろいろ話が出ましたけれども、現在の
政府
のやり方は、食管法の根幹について、どうも理解がおかしいのじゃないかという感じがするのですね。食管法というものは別なもので、それの技術的なやりとりだけが中心である。食管法というのは、一体基本的な精神は何かということについて、一ぺんこれを確認したいですね。その点について明確に答えてください。食管法とは一体何だということをずばっと言ってください。
杉山克己
203
○
杉山説明員
かつて、食管制度の根幹とは何かということがいろいろ議論になったことがございます。その当時の
政府
の見解といたしましては、食管制度の根幹とは、その
一般
的定義としては、「国民食糧ノ確保及国民
経済
ノ安定」という大目的――これはまあ食管法第一条に掲げてあるわけでございますが、それに沿うため必要な
政府
の
食糧管理
のあり方をいうものと考えるということでお答えしております。 なお、米
管理
の場合の根幹とは何かということでありますならば、それは、国民の基本的な食糧である米の必要量を確保して、国民
経済
の安定をはかるため、
政府
が米の需給及び
価格
を調整し、米の配給について必要な規制を行なうことであると従来申し上げてまいっております。この
考え方
は、いまでも変わりません。
竹内猛
204
○
竹内
(猛)
委員
よくわからないですね。米はつくっておいて、全量買い上げをしていくということが一つの趣旨であるし、もう一つは、第三条、四条に関する
関係
で、
生産者米価
と
消費者
米価
の間にかりに赤字が出た場合には、それは財政が支出をするということが基本的な根幹でしょう。どうですか、政務次官、そうじゃないですか。
杉山克己
205
○
杉山説明員
確かに、議論された段階でいろいろの御
意見
がございまして、全量無制限買い上げが根幹ではないかとか、本来の二重
米価
が根幹ではないかということもいろいろ言われたのでございますが、私どもとしては、そのようには考えておらないのでございます。先ほども根幹というところで申し上げましたが、食管法第一条の目的に、重ねて恐縮でございますが、「本法ハ国民食糧ノ確保及国民
経済
ノ安定ヲ図ル為食糧ヲ
管理
シ其ノ需給及
価格
ノ調整並二配給ノ統制ヲ行フコトヲ目的トス」とありまして、「国民食糧ノ確保」ということをいっております。この「確保」というのは、何のための確保かといえば、国民に安定的に食糧を
供給
するということで、そのことは、裏返しに言えば、
供給
するために必要な数量を確保するということであろうかと思います。したがいまして、当然に、この
規定
から、必要数量をこえて無制限に買い入れるということにはならないと思います。ただ、長い間にわたって、米の
供給
というものは、需要に対し不足しておったということから、むしろ、ある時期は、非常に強権的な、公権力を行使して米を集めたという実績はございます。しかし、そのことが当然に制度的、法律的に無制限買い入れを目的とした、意味したというものではないということでございます。 それから、これは二重
価格
が根幹ではないかということでございますが、現在、確かに、
売り渡し価格
と
政府
買い上げ
価格
との間には
逆ざや関係
が生じております。しかし、これは、食管法の
規定
に基づきまして、
政府買い入れ価格
は米麦の――これはまあ麦も一緒てございますが、再
生産
の確保を旨として、それからまた、
政府売り渡し価格
は
消費者
の
家計
の安定を旨として、それぞれ定めることとなっております。それぞれ定められてまいりました過去の結果が、今日のそれぞれの
価格
となって、大幅な
逆ざや
となっておりますが、これはまさに結果としてそうなったのでございまして、初めから
逆ざや
を
予定
した二重
価格
制という制度があるわけではございません。ただ、いまの実態を、これを名づけて何と言うか、いろいろの呼び方があろうかと思いますが、そういう
価格
自体が二重
価格
ではないかというような表現をされるならば、それはそういうことばの使い方もあろうかとは存じます。 それから、そういう
逆ざや関係
、言われる二重
米価
、二重
価格
というものが許されるべきかどうかというような議論になりますというと、やはり、米は物でございます。
経済
物として、それなりの価値を持つ。それの物の値段につきましては、やはり、それなりの本来的な価値がある以上、
買い入れ価格
と売し
渡し価格
との間にあまり大きな
逆ざや
があるということは不自然でもあると思っております。そのことが実際に起こるか起こらないかという御議論はございますが、不正逆流をも制度的には認めるというような
価格
体系にもなりますし、また、これは制度論というよりは財政論になりますが、
財政負担
の観点から、
食糧管理
の健全な
運営
を妨げるというようなこともありまして、私どもは、あまり大幅な
逆ざや
は妥当でないというふうに考えております。
竹内猛
206
○
竹内
(猛)
委員
もう時間がなくなってしまったのですけれども、
あと
五分だけ伺いたい。 この食管の問題をやると、一日ぐらい議論しなくちゃほんとうは議論が尽きないわけですけれども、もう一点だけ私は明確に答えをもらいたいのは、いまの三条、四条の形で、いまのところ二重
価格
が出ていますが、これは
生産
者にとっての部分と、それから
消費者
の部分とあって、われわれは、これは一つの社会政策的なものであり、社会保障の肩がわりだというような解釈をしている。
物価
の上昇する中でそういうふうに解釈をしているわけであって、このごろ、中野長官は、食糧庁の赤字が出て、どうも農林省の廊下を風を切って歩けない、小さな顔をしなければ歩けないというようなことを言っておるようで、食糧庁は何か赤字ばかり出していて、ほかを圧迫しているのだというようなことを言われるけれども、これはそういう形ではなくて、
そのもの
の
考え方
というのは、やはりそういうふうに考えていいのじゃないか。それから、財政法か、あるいは法律のどこかに、食糧庁の赤字は、これまでは出してもいいけれども、これ以上出したらいかぬのだという法律が一体ありますか。私は、寡聞にしてそういう法律は知らないのだが、あるとしたら教えてもらいたい。どこまでならいいけれども、どこまでならいかぬのだ、だから、したがって、たとえば一八、九%と言ってみたが、今度は一〇%くらい上げる、あるいは五〇%上げるというのを三十何%でいいのじゃないかという、そういうようなことは、すべて何か一つの
基準
があってそういうことを言っていると思うのですが、それは何が
基準
なのか。
杉山克己
207
○
杉山説明員
後段のほうからお答えいたしますが、財政法とか会計法に、食管繰り入れの額はこれこれをもって限度とするというような、そういう
規定
は全くございません。まさに、予算の問題でございます。 それから、そういう食管の赤字は、社会保障的な費用として処理したほうがいいじゃないかというような御質問のように承りましたが、確かに、
消費者
の
家計
の安定をはかることを旨として定めた
価格
で
政府
が配給を行なうことにしておりまして、さらに、
生産
者に対しては、米の再
生産
を確保することを旨とした
価格
で買い入れを行なっているわけでございます。そのことが農家の安定にも資する、
消費者
と農家の双方の安定に資するという意味では、食管制度に、実際に社会政策的な
役割り
、側面がないとは言えません。しかし、制度本来の性格からは、その社会福祉的な機能にはおのずから限度があると考えられます。 それから、何度も繰り返して申し上げることでございますが、物を扱って
売買
する
価格
というものがある以上、その
価格
は、物の値段としての筋があるわけでございまして、
価格
に社会政策的な特別の意味を持たせることは、正常な体係をゆがめるようなことになって、適当ではないというふうに考えております。
竹内猛
208
○
竹内
(猛)
委員
農林省は、いままで、
食糧管理
制度というものが非常にじゃま者のようになってきて、何とかしてこれをくずそう、くずそうとして努力をされてきた。守るための努力よりも、これをいろいろな形でくずすために骨を折ってきたような感じが私はする。そうして、いまになって、国際的に食糧がまた不足してくると、今度は減反をやめ、休耕をやめ、いろいろな形で米をつくる形について奨励をしてくるという、こういう行き方をしている。米をつくる農家というものは、あれだけ長い間、米の
品質改良
や、土地改良や、いろいろなものについて一緒に研究をして努力してきて、そして、年じゅう中央のそれによっていじくられている。ほんとうに落ちつきがない。米にいままで費やしてきた研究費なりいろいろな費用というものは、ばく大なものになる。その米をまたここでくずしてしまっていくということについては、非常に許せないことだと思うし、特に、今度の場合、減反をし、休耕をして、休耕をやめてまたもとへ返そうという。そうすると、今度は、その返す金は、農家自体が負担をするのか、あるいは借金をするのか、国が持つのか。当然これは国の政策としてやったことなんだから、おまえら休耕の奨励金もらったんだから、それでやれと言う。それはいかぬ。こういうもりについては当然国が持つべきものである。また、限度米というものについては、これは限度米だから、その米は特別の
価格
で買う。一体何を
基準
にしてそういう
価格
がきまるのか。やはり、米は、さっきも野坂
委員
も言ったように、当然これは備蓄をし、将来食糧の不安のないようにしていくのが食糧庁の姿勢じゃないかというふうに考えるわけですけれども、これについては一体どういうように考えられ、どういうようにとらえられておるのか、伺いたい。
杉山克己
209
○
杉山説明員
農林省としては、食管制度をなしくずしにこわしていこうというような考えは全く持っておりません。ただ、時代の進展に応じて、一番端的には米の需給の変化ということでございましょうか、そういった新しい情勢を踏まえながら、その事態に即した運用をはかっていくということを考え、それを実施してまいったわけでございます。 それから、いまのお尋ねの中で、余り米とはおっしゃいませんでしたが、限度数量をこえる米、こういつたものが出た場合に、これを通常の
買い入れ価格
よりも低い
価格
で買い入れること、それは食管法のどこから出てくるのかというお尋ねでありますが、食管法自体は、先ほど私が御
説明
申し上げましたように、第一条の目的に従って、国民食糧の必要量を確保するために、第三条でもって
米穀
の買い上げの
規定
を置いております。「
米穀
ノ
生産
者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ
生産
シタル
米穀
ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ
政府
二売渡スベシ」となっております。この命令でもって定めるときに、どれだけの範囲のものを定めるかといえば、それは、まさに必要量でございます。その必要量のものについて、これを
政府
に売り渡すべきだということで、
政府
が命令をかける以上は、その
価格
は、まさにこの三条
価格
ということで、
生産費
・
所得補償方式
によってきめられてまいるわけでございます。ただ、必要量をこえる米ということになりますと、これは、食管法のこの
規定
からではなくて、全体的、
一般
的な運用の中でもって、いわば任意の相対で、
食糧管理
の一環として買い入れるという形になるわけでございます。直接三条
価格
ではないということで、
価格
は相対のものとなるということでございます。法律的な性格はそういうことでございます。
竹内猛
210
○
竹内
(猛)
委員
委員長
、もう時間がたいへん過ぎたので、私はこれは了解をしないが、了解をしないまま、
あと
で、いずれ別な機会において徹底的に議論をするということを申し添えて、終わります。
佐々木義武
211
○
佐々木委員長
次は、津川武一君。
津川武一
212
○津川
委員
まず、
経済
企画庁ですが、けさ、私は、企画庁長官を要求しました。ところが自民党を通じて、長官はどうしても出られない
事情
があるから、そのかわり要求する
局長
をよこすということであったのですが、その
局長
もこない。こういうことなので
経済
企画庁の来ている人に、なぜこういうことになったのか、最初にその
説明
を願います。
有松晃
213
○有松
説明
員 お答え申し上げます。
経済
企画庁といたしましては、当初、農林省のほうから示されました原案は
かなり
高い
引き上げ
の率であったわけでございますけれども、
物価
に及ぼす
影響
等を考えまして……。
津川武一
214
○津川
委員
なぜ長官が来れなかったか。また、長官が来れないから要求する
局長
をよこすと言っていながら、その
局長
がなぜ来れないのか。いまのそういう返事ではだめだから、
経済企画庁長官
から正式な答弁を後刻私のところに持ってきてください。あなたはよろしいです。
有松晃
215
○有松
説明
員 はい、わかりました。
津川武一
216
○津川
委員
標準価格米
として、農林省は、今度の米審にも、資料として、
銘柄
米を除く一ないし四等米をもって充てるとして、
現行価格
千六百円を二百二十円上げて、千八百二十円にしようとしていますが、いま、実際にはどんな
標準
米が売られていると思っておりますか。市販の
標準価格米
の内容について
説明
していただきたいのです。
杉山克己
217
○
杉山説明員
標準価格米
は、物統令の適用廃止との関連で、いわば、その身返りの
措置
として設けられたものでございます。これが恒久的なものであるかどうかというような議論はいろいろございますが、現実にこれが定着してきつつあるという
事情
はございます。 そこで、その
標準価格米
としてどんなものが売られているかということでございますが、ただいま御指摘がありましたように、一等から四等までの非
銘柄
を
標準価格米
の原料として、
政府
はこれを売っているわけでございます。この米を原料として搗精された
精米
が、
標準価格米
として店頭で売られているという実態にあると認識いたしております。
津川武一
218
○津川
委員
それは、書いてあるから、私も覚えております。質問は、実際に
標準価格米
として国民に届けられている米の内容、これを御存じでございますか、ということです。
杉山克己
219
○
杉山説明員
一-四等の非
銘柄
の原料米で搗精された
精米
ということで、先生のおっしゃる意味は、それ以上の何か特別な内容ということでございましょうか。私はそういうふうに理解したのでございますが……。
津川武一
220
○津川
委員
いいです。そういう食糧庁の認識、これはとんでもないことだと私は思うのです。実際に配給されているものを見ますと、これが山種
米穀
株式会社
米穀
部から小売り商に出しておる売り渡し書ですが、内地米の数量として、四十八年産
銘柄
二〇%、四十七年産
銘柄
一五%これで合せて三五%、これが
自主流通
米として売られていくやつです。非
銘柄
米二七%、これは四十八年産、四十七年産の非
銘柄
米二八%、減Iの青森、これが四十七、八年で一一%、北海道米は、四十七年産で一一%、こうなっております。つまり、いま食糧庁が言った
標準価格米
として売られるべきものが六五%、
自主流通
米として売られるべきものが三五%、このほかに、いまあげた米の大体一〇%に当たる特用上米が配給されている。 これを実際に小売商はどんな形で配給しているかといいますと、先般来私は調べてみましたが、非常に良心的な小売商ですが、この方は、六五%非
銘柄
米を渡されて、一〇%近い
標準
特用上米を回されて、四〇%
標準価格米
を売っております。そうすると、六五%渡されて、四〇%売っているから、二五%は
標準価格米
でないものとして出ております。内地米ないし
自主流通
米、ここのところに問題がある。 そこで、実際の
標準価格米
ですが、一〇%渡されておる
徳用上米
の若干が
標準価格米
に入って、北海道のII減の一一%が入って、青森のI減の一一%が入って、そして今度は四十七年産の非
銘柄
米の一六%が入って、四十八年産の非
銘柄
が若干入っている。これが実際の
標準価格米
。そのために、
標準価格米
を買っておる人が、千六百円払って、
価格
に値しない米をどれほど食わされているかわからない。この
実情
を覚えているかどうか、重ねてお伺いします。
杉山克己
221
○
杉山説明員
いま先生のおっしゃられた比率は、全部はちょっとメモができなかったので、正確に一つ一つは記憶できなかったわけでございますけれども、全体の数量として、
標準価格米
として――山種とおっしゃいましたか、そこから売られている数量の割合が六五%、
銘柄
米が、あるいは
自主流通
米というものが三五%というお話しでございましたが、そのお店のある時期にそういうようなパーセントの米が売られておったのか。せっかくの御
調査
でありますから、そうだと思いますが、全国的に売られている割合で私ども見ますと……。
津川武一
222
○津川
委員
いや、いいです。書類を差し上げます。だから、実際にと言ったでしょう。実際にいまどんな米を食べさせられているかということで……。
杉山克己
223
○
杉山説明員
はい。一つ申し上げたいのでございますが、先生の資料は後ほどちょうだいして、さらに勉強さしていただきますが、ただ、いまのお話しの中で、私、一-四等の非
銘柄
米と申し上げたわけですが、その非
銘柄
米の中には
減額I
の青森の米も、これは黒石を除きますけれども、それから
減額II
の北海道の米も含まれるわけでございます。ただ、正常でないのは
徳用上米
、その原料米が、これは五等の米でございますが、
標準価格米
として売られているということがあれば、これはまさにいわゆる格上げでございまして、これは正規のものではないというふうに考えます。
津川武一
224
○津川
委員
農林次官、この米審に出した資料、「
米穀
の
政府売渡価格
の
改定内容
」というのをちょっと見てください。次官に渡してください。――持っていますか、次官。その二ページ、上から二行目の「
標準価格米
」の、「従来
どおり銘柄米
を除く一-四等米をもって
標準価格米原料
にあてることとし、」というのが米審に対するおたくの
説明
です。いまの
総務部長
の
説明
は、うそをついているわけですか。青森の減II、I、北海道の減IIも「
標準価格米原料
にあてる」という、これは次官、どうなんですか。皆さんがきょうわれわれに配ったのは、これはうそですか。
中尾栄一
225
○
中尾説明員
総務部長
の答えた方向のとおりかと、私どもは解釈しております。
津川武一
226
○津川
委員
これは、いまは論争しません。後刻正確に文書をもってこの
委員会
に出していただきたい。それも、米審がきまる前に出してもらいたい。 こういううそをついたものは、これは、実際に
標準価格米
がこれだと、減青森のIが、減北海道のIIが入らないことになる。そういう点が一つ。 次の質問ですが、こういう形で
標準価格米
から回されたものが、内地米もしくは
自主流通
米の
銘柄
米として、二千二百円、二千四百円、二千六百円、二千七百円のほうに入って、高い米を買わされておる人たちも、その値段に合わない悪い米を持たされておる。これが現状ですが、こういう事実を食糧庁は御存じでございますか。
杉山克己
227
○
杉山説明員
その前に、
諮問
の
改定内容
の二ページで、
標準価格米
のこの定義で、
減額I
あるいは
減額II
の米が含まれていないじゃないかという御指摘でございましたが、北海道米にいたしましても、青森米にいたしましても、それぞれ等級はあるわけでございます。それは一-四等米であって
銘柄
米でなければ、これはやはり、ここにいう「
銘柄
米を除く一-四等米」に含まれるわけでございますので、
売り渡し価格
において、
減額I
あるいは
減額II
の
価格
で売ってはおりますが、
標準価格米
であることには違いないわけでございます。書面をもってということでございますが、もし、いまの
説明
でおわかりいただけるのでしたら、それでお許し願いたいと存じます。 それから、実質に合わない、よくない米を
消費者
は食べさせられているのではないかという御指摘でございますが、私、率直に、数多い米屋さんの中には、そういう格上げをやって不当な利得を得ているものがないとは言えないと思います。そういったものを防止するために、巡回指導とか監察などをいろいろ行なっているわけでございますが、それでも、数多くの中には何がしか出てくると思うわけでございます。全体の傾向でもって私どもが大局的に見ておるところでは、四十八
米穀
年度
に、
政府
米のうち非
銘柄
米が……。
津川武一
228
○津川
委員
実際にこういう事実があるのを知っているかと聞いているのです。正直に答えてください。知っていれば知っているでよろしい。知らなければ知らないでよろしい。
杉山克己
229
○
杉山説明員
個別的事例を具体的にということではございませんが、
一般
的にそういうことがあったという話、それから、また、あり得るということは承知いたしております。
津川武一
230
○津川
委員
そこで、実際の小売り店で、
標準価格米
がありますと看板はかけておりますけれども、いま行ったときは、ない。したがって、その人は、実際に月間を通じて何も
標準価格米
を売っていないわけです。そういう形で断わっている。いまは切れていますと、ね。 それから、五%ぐらいしか
標準価格米
を売っていない店が実際にあったわけですが、これは御存じでございますか。
杉山克己
231
○
杉山説明員
私どもが
調査
したところでは、全国の小売り店の
調査
で、九七%は
標準価格米
を何らかの形で置いておった、三%ははっきり置いてなかった店があったという
調査
結果が出ております。 それから、その店の売却量の中で五%程度しか
標準価格米
を売ってなかったという店は、担当者に聞きましたが、いまのところ、ここでは個別に承知いたしておりませんけれども、置いてなかった店もあったということからすれば、あり得たことと存じます。
津川武一
232
○津川
委員
そこで、〇%もしくは五%という
標準価格米
のうちにも、いま山種のこの書類にあるように、非
銘柄
米が配給されているわけです。その配給されておる米がどこへ流れていると思っておりますか。これは調べたことがありますか。三%あったというが、どこへ流れていますか。
杉山克己
233
○
杉山説明員
それは、個別に調べても、全体の傾向から推定しても、ほぼ似たようなことになるのかと思いますが、私どもの売却量と、それから別途の
消費者
の
家計
のほうから
調査
したところの、それぞれの
消費者
が
標準価格米
としてどれだけのものを購入しているかという
調査
、それとのギャップを見れば、一応のところがつかめるというふうに思っております。その実績を見ますと、私どもの売却量は、全体の流通量の中で四五%に
相当
するものを非
銘柄
米として売却しているわけでございます。これは全国
平均
でございます。それに対しまして、個別にそういう
家計
を調べました
平均
は、おおむね三五・六%ということになっておりまして、一〇%程度がいわゆる格上げになっているというのではないかと推定されるわけでございます。 ちょっと申し落としましたが、実は、私どもは、
標準価格米
が完全に行き渡るようにするためには、必要な数量ぎりぎりでは
標準価格米
を円滑に
供給
し得ない。ですから、そこに若干のアローアンスといいますか、実際に確保するために必要な余分というものはある程度要るのではないかというふうに考えております。
津川武一
234
○津川
委員
そこで、
標準価格米
からのがれた米はどこに行っているかというと、加工場に行っています。大衆食堂に行っています。大会社の寮に行っています。 〔
委員長
退席、山崎(平)
委員長
代理着席〕 しかも、それには
徳用米
も入っている。こういう形で、一番米を食う、働く国民のところにはまずい米が届いておる。それに対して、あなたたちの対策は、不足だといかぬから四五%もあるのに、三五%しか実際に行ってない、だから、余っているのはいいのだ、それでもっとやろうというのだ、
標準価格米
をもっと潤沢にしておけばだいじょうぶだ、こういうことなんだな。 そこで、実際にこの原因は三つあるのです。一つは、昨年の四月、米を物統令の対象からはずしたために、二つ目には、昨年の十月、
消費者
米価
を七・五%上げたために、三つ目には、
標準価格米
を売ったのではもうからないような消費機構、流通機構にあるために、つまりもっと端的に言うと、小売り商人のマージンがたったの七・六%であること、こういうところに
決定
的な問題があるわけです。そういう点で非常に大きな問題があるのです。この問題を食糧庁はどう見ているかというのです。
昭和
四十八年二月七日にあなたたちから出た「四八食糧第二二五号」には何と書いてあるか。食糧庁長官が、「昨年四月
消費者
米価
の
物価
統制令適用除外に関連して、小売販売業者の大巾な新規参入が行われ、その後の
消費者
米価
の安定と
消費者
の利便に資する効果はあった」とうたつているのですよ。だから、問題の解決は認識なんだな。 そこで、内地米なり
自主流通
米が、昨年の四月米が物統令の対象からはずれて、昨年の十月一日から
消費者
米価
が七・五%上がったために、どのくらいに上がっておりますか。お答えください。時間が迫っていますから、私から話しますよ。千九百円の
自主流通
米が二千二百円、二千四百円、二千六百円、二千七百円、いま二千八百円のものもあります。昨日は、米審の中に四千円の米が出されております。こういうことなんです。 そこで、問題は、どうすればよろしいかということになりますが、ひとつ、小売り商のマージンのことを問題にしてみましょう。小売り商の人が、ほんとうにまじめな人が、安くておいしい米を安定的に国民に届けたい、どうか、私に、
標準価格米
だけ扱って生活ができるようにさしてくださいという願いをしているのです。そこで、どのくらいやればいけるだろう、また、能力はどうかというと、十俵だ。十俵やると、買ってくる原料が七万七千五百七十四円。これをいまの法規
どおり
売ると八万四千八百円、残り七千二百二十六円。この中で、税務署が一四%だけ純所得と見る。そうなってくると一日千二百円。とてもとても食べられない。だから、勢い、
標準
甲、徳用甲を
自主流通
米にまぜて四〇%、
あと
、そういう形で内地米なり
自主流通
米を売らなければならなくなる。内地米をやると一四%、
自主流通
米をやると、よければ二〇%、これで食わざるを得ない。このまじめな小売り商の人たちを、ほんとうに国民に密着して流通機構に携わさせていくとすれば、いまのマージンがだめなんです。このことを御存じでございますか。いまのマージンでやっていけないことを。
杉山克己
235
○
杉山説明員
たいへん専門的に詳しいことを御分析でおそれ入るのでございますが、確かに、物統令の適用廃止後、
政府
の
買い入れ価格
を上げたというようなこと、さらには、引き続いて昨年
政府
の
売り渡し価格
も上げたということ、さらには、
標準価格米
だけを売っているのではもうけが少ないということ、そのとおりであろうと思います。そういったことは私どもも認識しておりまして、今回、
売り渡し価格
を
改定
し、
標準価格米
の
指導価格
もそれに伴って
改定
するという機会に、それらの制度的な対策面もあわせ、それから、小売りのマージンの問題もあわせて、個別具体的に――個別といいますのは、マージンというのは、むしろ地域別の問題でもありますので、解決してまいりたいと思っております。 なお、いまのマージンでもって営業が成り立っていくだろうかというお尋ねでございますが、率直に申し上げまして、それだけではなかなかむずかしいにしても、総合的に全体的な米屋の経営として考えればということが一つ、私は、条件として入ると思います。現在、
標準価格米
の小売り販売マージンは、
精米
十キログラム
当たり
百二十三円としております。これは、御指摘のとおり、
標準価格米
の
価格
千五百九十円に対しては七・七%でございます。
平均
的規模のもの、それから想定される必要最小限の
経費
、これを織り込んで算定しているのでございますが、ほかの商品とは違いまして、販路とか販売数量、それから
価格
も安定しているというようなこともありますし、それから、もうすでに御指摘の内容それ自体でございますが、
自主流通
米といったものの取り扱い等もあわせてやっておるわけでございますので、
一般
的にはきついながらも、おおむね採算がとれているのではないかと考えられます。しかし、地域によっては、
標準価格米
向けの原料米だけしか売らない地域もあるが、これは売らないというよりは、あるいは売れないと言ったほうが正しいのかもしれません。あるいは、
経費
これは、そういう原料米の構成なり、
経費
なり、あるいは
消費者
の対応なり、そういった
事情
に著しい差もあるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、
標準価格米
のマージンだけで、すべての小売り店が企業として採算がとれていると考えるのには若干の無理があろうかと、率直に認めざるを得ません。
津川武一
236
○津川
委員
そこで、食糧庁も、あの
標準価格米
を扱うときの小売り商のマージンを上げなければならぬが、上げるつもりなんですか。そこのところを端的に答えていただければよろしい。
杉山克己
237
○
杉山説明員
いま申し上げましたような
事情
がだんだん累積してまいっておりますし、ことに、最近、
物価
、賃金の上昇が激しく、米の販売業者も強くこの
影響
を受けております。それらの
実情
にかんがみまして、地域ごとの実態を考慮して、これを
是正
するよう検討しているところでございます。
津川武一
238
○津川
委員
上がると解釈してよろしゅうございますか。
杉山克己
239
○
杉山説明員
よろしゅうございます。
津川武一
240
○津川
委員
そこで、もう一回お尋ねするが、山種
米穀
商、これで一カ月
自主流通
米が三五%なんです。非
銘柄
、それは減I、IIも入れて六五%なんです。これをこのまままっとうに売ろうとすれば、六五%が
標準価格米
なんです。この、受けた人に正直に売らせていただきたいということになってくると、このくらいやれるようなマージンの値上げをしなければいかぬと思うのですが、これは考えますか。
杉山克己
241
○
杉山説明員
日本全体、それから地域全体を考えますというと、一
米穀
商、卸売り商人が売っております割合が、そのまま、
政府
が全部に売る比率とは必ずしも適合しない。それから、いまの御指摘は東京の卸売りの話でございますが、東京全体としても、
一般
的には、それほど非
銘柄
米の割合は多くないはずでございます。しかし、いずれにしましても、
相当
に非
銘柄
米がある。それに相応して、そのまま正当な経営が成り立つようにマージンを見てはどうか、そういうことはできないかというお尋ねでありますが、実は、マージン
そのもの
は、
政府売り渡し価格
なり、
指導価格
なり、さらにはいろいろ
財政面
の問題もあります。さらに、地域の
事情
というものは個別に違っております。そういった問題を全体として一つのワクの中で見てまいらなければならないという
事情
がありますので、端的にいまのことをそのまま――これはどの程度かという話になると思うのですが、一〇〇%実現し得るかどうかということについては、もう少し検討させていただきたいと思います。
津川武一
242
○津川
委員
農林次官、ほんとうにあなたたちが企図したとおりやると、
標準価格米
もおいしくなる。ところが、マージンがこの状態だから、
消費者
のほうからはまずいといって文句がくる。そこで、
自主流通
米に移る。そこで、今度は、新規加入者が入ってきて、新規加入者が、お客さんがほしいから、そこでまた一時サービスする。またもとへ戻す。それでますますまずい米で、ますます米が高くなるということになっていく。この体制をしくならば、
かなり
消費者
米価
は下がります。 そこで、食糧庁として、農林省として、こういう
標準価格米
を売る人たちの営業が成り立つようにしてやると、値段に相応して、ほんとうにいい米が出ていく。したがって、全体が下がるが、次官、この点はいかがでございますか。やってみませんか。やるべきが当然なんだけれども、いかがでございますか。
中尾栄一
243
○
中尾説明員
先生の御商売はお医さんと聞いておりましたけれども、お米屋さん以上にお詳しいので、ほんとうに驚きました。ある意味においては非常に勉強になりましたし、喜んで勉強させていただきたいと思っております。
津川武一
244
○津川
委員
次官、私は、ほめていただいても、何にもうれしくないのです。次官が、私が言ったみたいにきちんとやらせると言うならば、私は非常にうれしいのだが、いかがでございますか。
中尾栄一
245
○
中尾説明員
さっそく事務当局に検討させるつもりでございます。
津川武一
246
○津川
委員
そうすると、六五%の非
銘柄
米であるという実態に即する検討をするのか。いかがでございますか。
中尾栄一
247
○
中尾説明員
まだ非常に短時間の討議でございますから、まだ、実態的なものにそれほど私どもも触れているわけではございませんので、十分これは検討いたしまして、先生からも、さらにまた、この
委員会
以外にも御鞭撻、御指導を賜わりまして、そして、これは事務当局にさっそく検討の段階に入らせたいと思っております。
津川武一
248
○津川
委員
私は、鞭撻も何も要りませんが、きのう、六日、
櫻内
農林大臣
とこの話をしていたのですが、私の見たところ、ほんとうにこの人たちはまじめなんだ。この人たちは、四〇%だからこれは罰せられない、五%の人はみなさんからしかられるというわけだ。大臣が、食糧庁が、この人たちをしからない絶対の条件があるならば、私と一緒に
調査
することができる。
調査
する。ただし、
調査
に行ったときには、この四〇%を売っている人はいいですが、〇%、五%の人は、これはみなさんにやられるんだ。名前を出せっていうんだ。さっきも言っているんだから……。そこで、そういう絶対的にしないという条件があるならば、私は二時間だけこの人たちと一緒に仕事をしたいが、食糧庁は、私と一緒にこういう条件で
調査
する気概があるかどうか、これをひとつ答えていただきたい。
杉山克己
249
○
杉山説明員
先生のお気持ちは非常によくわかります。ただ、先生と一緒にすぐ直接に行って
調査
をするかどうかということになりますと、そういうことは特定の人だけとというわけにもなかなかまいらない
事情
もありますので、その店なり地域なりを具体的に御指摘いただければ、私どもの
調査
の行き届かないところもあろうかと思いますので、その点については、さっそく私どもの手で
調査
いたします。 それからなお一つ言わせていただきたいのでございますが、先生が、先ほどから、非
銘柄
米をいろいろ実質以上に高く売っているから米がまずくなる、まずくなるということをおっしゃられたわけでございますが、非
銘柄
米といえども、いま、米全体の
水準
としてはたいへんよくなっております。ですから、全体の上では、米の味はむしろよくなっているということをひとつ御認識いただきたいと思います。
津川武一
250
○津川
委員
私のところは、問題の青森一のレイメイ、これが非常においしいのですが、この点は後刻別な場でやります。 そこで、政務次官、問題の解釈は、上げないことと、もう一回物統令の対象に米を返すことと、三つ目には、この小売り商の生活を、マージンを十分保証すること、この三つなんです。そこで、いま国民が一番困っている問題は、
物価
が高いことで、あなたが何回も答えているように、国政上の一番大きな問題は、
物価
を下げることです。とすれば、あなたが先ほどからるる言っているように、いま、田中内閣に、
櫻内
農林大臣
に、小坂
経済企画庁長官
に、御自分の手で、
物価
を安定させて、国民を喜ばせることのできる能力を具体的に持っている。ここにちゃんとそれを握っているのである。
消費者
米価
を押えるということ、これは、あなたたちがその気になればできる。現に、今度の一三・八%で、三千何ぼ上がるわけですが、三分の二国が持って、二千何ぼ国が持って、一俵で千何ぼというものを
消費者
に負担させる。この千何ぼというのを切ればいいのですよ。三分の二、二千何ぼで出したんだ。これがあなたたちの手でいま実際にできる一つです。米を物統令の対象に戻すことだって、あなたたちがやろうと思えばできることです。いま、小売り商のマージンを上げるということは言ってくれた。これはできることだから、できる。したがって、今度の
消費者
米価
は、いままだ
諮問
してもめているそうですが、すみやかに次官が行って、これを撤回してきて、上げさせないことと、四月から、あの物統令の対象からはずした米をもう一回物統令の対象に返すことですね。この二つを次官に答えていただいて、私は、だいぶ時間が超過しましたから質問を終わりますが、次官、いかがですか。
中尾栄一
251
○
中尾説明員
先生の、非常に参考になる話を存分に聞かしていただきまして、ほんとうにありがとうございました。 物統令の問題は、これはまた別にいたしまして、とにもかくにも、先生から御教授賜わりました問題点を、さっそく事務局に存分に検討させまして、そして、また、お知恵もお力もおかりいたしまして、この問題にさっそく取り組んでみたいと考えております。
津川武一
252
○津川
委員
次官、私は、参考に申し述べているんじゃないのです。国民の命と暮らしを守るため、に国政としてあなたたちに要求しているのです。それを参考として受け取るのじゃなくして、国民の要求として受け取って検討するということ、このことの気がまえをもう一回答えていただいて、終わります。
中尾栄一
253
○
中尾説明員
先ほどから決意のほどを申し述べておるわけでございます。同じでございます。
津川武一
254
○津川
委員
終わります。
山崎平八郎
255
○山崎(平)
委員長
代理 次に、
中川利三郎
君。
中川利三郎
256
○中川(利)
委員
けさの読売新聞でありますが見ますと、昨日の「食管制度を守る連絡
会議
」との団体交渉で、食糧庁長官が、「四十八年産米が大豊作となったことから「余り米が発生すれば、
生産者米価
に二段
米価
を導入するのは当然と考えている」と語った。」と書いてあるが、その、「当然と考えている」という感覚が、はたして
政府
の公式な
考え方
なのかどうか、この際次官からお伺いしておきたいと思います。余り米の二段
米価
が当然だというふうに言っているわけですね。
杉山克己
257
○
杉山説明員
先ほども御質問にお答えしたのでございますが、現在定めている
政府
の
買い入れ価格
は、食管法第三条第一項に基づく
買い入れ価格
でございます。(中川(利)
委員
「そんなことを聞いているのじゃないよ。当然だという
考え方
がどうだということを言っているのです」と呼ぶ)ですから、三条に基づく
価格
は義務買い入れでございまして、まさに、三条の
規定
に従って、
生産費
所得補償方式
というような
考え方
に基づいて算定してきめております。 それから、余り米については、買うか買わないかという議論は別でありますが、先生の御議論は、かりに買うとした場合、その
価格
はどうか、それから、それは通常の三条買い入れより安く買うということが当然かどうかというお話でございますが、これは、いまの段階で、私ども、買うときめているわけでもございませんのに
価格
のことを云々するのはおかしいのだと思いますが、ただ、お尋ねでございますから申し上げますならば、三条の
価格
とは別なものであるということでございます。かりに買うとした場合でも、それは、その三条の
価格
とは別のものであります。
中川利三郎
258
○中川(利)
委員
三条の
価格
と別のものだというのは、
政府
のきめ方であって、農民の責任によらないものなんですね。農民は、一生懸命に汗を流して米をつくったのですよ。農民は、余り米も差別なしに買ってくれということを言っているのです。だから、これは
政府
の都合によるものだということなら理解できますけれども、農民やら
生産
者の責任でないものを、あなた方の都合によってそうするということなんでしょう。それを、二段
米価
は当然なんだという言い方、感覚を押しつけるということは一体どうか、こういうことを聞いているのです。
杉山克己
259
○
杉山説明員
余り米、正しくは予約限度超過米と言うべきでございましょうか、それにつきましては、この取り扱いについて、元の
農林大臣
倉石さんと宮脇全中会長との間の話し合いができておりまして、これは極力
生産
者において販売をし、販売して、なおかつ、
生産
者の責任でなく売れ残ったものについては、その時点で相談するということを言っておるわけでございます。これが具体的にはどういうことになるかということにつきましては、いまの段階では、私ども、余り米の数量が、全体として最終的にどれだけになるかという見定めもまだついておりません。それから、必ずしもそれほど多くないのではないかというような観測もなされております。さらに、昨年も余り米がございましたが、二十四万トンほど、それ自体
自主流通
と同じルートで売られて、
政府
買い入れにはならないで済んだという実績もございます。そこで、できるだけ売っていただくということにして、
農業団体等
ともいまいろいろお話し合いをしておるところでございます。まさに、売れ残って、それをどうするかというときに
価格
の問題は議論になるかと思いますが、ただ、そのことがけしからぬとかなんとかと御批判は受けるのでございましょうが、私ども、やはり、
生産
調整をやって、それから必要限度数量というものを設けた趣旨からすれば、それを根底からくずすようなことにもなりかねないということで、
価格
の点については十分慎重に扱いたいと考えております。
中川利三郎
260
○中川(利)
委員
だから、
生産
者が汗水たらしてつくった米を、いまそういうふうに差別した値段で買い入れるということになりますと、農民は売らないから、どこに行くかというと、やみ米になるのだ。そして、そういうものがだぶつくということになると、丸紅の買い占めをまた再び奨励するようなことになる。あれはモチ米ですが、今度は、ウルチのこういう米まで手を伸ばしかねないような
状況
を
政府
がつくってやるということだと思うのです。こういうやり方について、私はこれを論議するのが本意でないので、これは厳重に指摘しておきたいと思います。 それから、単純休耕の腹元補償の問題について、これでも申し上げたいのは、来年から奨励金がなくなるといって、その理由は、いままでの休耕奨励金に対して、
管理
費は含んでおるものと理解するから要らないのだ、やめるのだと、こういう言い方なわけですね。ところが、現実を見てものを言えば、いま、米産県の青森であれ、秋田であれ、これはもう復元しなければならないということから、それぞれ所要の助成なんかしてきているわけですね。ところが、また、御承知のように、全国都道府県の議会の議長会でも、十月十一日に
政府
に
要望
決議を出している。つまり、農民がみずからたんぼを復旧するといったってなかなかできないのだということで、こういう現実から出発すれば、
政府
のそのような
管理
費がこの前やった中に含まれておったなんということは通用しないと思うのです。これはへ理屈だと思うのです。そういう点で、単純休耕だから、もう来年からやめだということではなくて、この農地を復元させるために
政府
が何らかの誘導施策を講ずべきであると私は考えますが、これに対する考えがないかどうか、お伺いします。
岡安誠
261
○岡安
説明
員 休耕田の復旧につきまして、国が何か助成する考えがないかという御質問でございますけれども、先ほど来御論議がありましたように、米につきましては、潜在的な過剰
生産
のおそれというものはまだあるわけでございます。
政府
は、来
年度
も、休耕奨励金は出しませんけれども、転作は大いに奨励をいたしたいというふうに考えているわけでございますので、休耕田はなるべくならば転作のほうに持っていっていただく。そのためにはいろいろ
政府
として助成
措置
は考えますが、休耕が、米をつくるために戻るというための助成はなかなか困難だというように考えております。
中川利三郎
262
○中川(利)
委員
つまり、
政府
の
考え方
は、いままで国会で答弁してきたようにことしまで出された休耕奨励金の中には
管理
費が含まれておるから、来年から奨励金が出なくても、当然自分の力でたんぼを起こせるんだという理解で
説明
してきたわけですが、ほんとうの腹は、いまおっしゃったように、これ以上米をつくってもらっては困るんだということが本音だということと理解してよろしいんですね。
岡安誠
263
○岡安
説明
員
説明
といたしましては、やはり、先生がおっしゃったとおり、休耕奨励金の中には
管理
費に
相当
する部分も含まれておると私どもは考えております。ただ、今後の問題といたしまして、米が過剰ぎみであるということの基調はやはり変わっておらないものですから、転作を奨励する時期に、米に
復帰
する水田にそのための助成をすることは困難だということを申し上げたわけでございます。
中川利三郎
264
○中川(利)
委員
これから質問の本題に入るわけでありますが、米が、たとえば鉱山から流出したカドミウムだとか、あるいは鉛だとか、銅だとか、そういうものに汚染される、そういう新しい公害の被害がどんどん起こっているわけでありますね。いま、秋田県の中でも、
政府
が買い上げるところの、〇・四PPMから一PPMの間のカドミウム米が九千俵凍結されて倉庫の中に入っているんです。この中には、
昭和
四十四
年度
産の米も入っていて、もうすでに四冬を越しておりまして、もう袋がほころびて虫がはっているという
状況
の中に、そのままで倉庫の中に眠っている。こういうことでありますが、全国では、こういうカドミウム米なんというものは、
政府
保管米として何俵ぐらい倉庫の中に眠っているんですか。
杉山克己
265
○
杉山説明員
カドミウム米は四十四年以前からございますが、年産の
区分
はちょっと繁雑でございますから省略いたしまして、一PPM以上のものが全国で一千八百トン、〇・四PPMから一・〇PPMまでのもの、一・〇PPM未満のものが二万六千九百トン、合わせて二万八千七百トンございます。 なお、そのほかに、それ自身は確実に一・〇PPM以上とか、あるいは〇・四PPM以上ということではありませんが、安全度を見て売却を留保したもの、それから、消費地に持ち込んだ分で売却をやはり留保したもの、これが総計で一万四千四百トンございます。
中川利三郎
266
○中川(利)
委員
これは一体どうするのですか。毎年毎年倉庫で保管料をかけておるわけでございますが、農協も迷惑だと言っている。あるいは、国の税金がただそういうつまらない状態の中にかかっている。こういうことでありますが、特に、準汚染米といいますか、この点について、あなたのほうで
措置
しなければならないと思うのですね。この方針なんかはっきりしているかどうか、お伺いします。
杉山克己
267
○
杉山説明員
汚染米の中でも、一・〇PPM以上のものにつきましては、従来から、染色のり、接着のり等の原料として、売却先をはっきり限定して売ってまいりました。そして、食料等への横流れ防止
措置
を講じておったわけでございます。 それから、一・〇PPM未満のものにつきましても、現在までのところ、売却
措置
はいたしておりませんけれども、民間学識経験者のお集まりを願って、処理に関する検討会を設けて検討を進めておるところでございます。これは私どもの立場から言いますと、食品衛生法上は、一・〇PPM未満のものは食用に供して差しつかえないというふうに理解はいたしておりますが、いろいろな経緯がありまして、〇・四PPM以上の米につきましても、
消費者
がお好みにならないものを売られたら因るというお話もありますものですから、全体が不足でもない今日、
供給
量は十分確保されているものでございますから、留保しているわけでございます。
中川利三郎
268
○中川(利)
委員
いまあなたが発表した準汚染米と汚染米ですね。これは、いかにも汚染米を買っているような言い方ですが、一PPM以下から〇・四の間に買って、その
あと
に、汚染米のほうに、一PPM以上に進行したものだというのが、汚染米としていまあなたが言ったことだと思うのです。あなたのほうで、食品衛生法によって汚染米を買っていないんだからね。したがって、汚染米というのは、別に
あと
で質問しますけれども、それだけでも何万トンというものがあります。私はトンというのはよくわからないのですが、たとえば一俵一万円に換算すれば、これは何万俵くらいあるのか、ちょっとお知らせしていただきたいのですよ。金も、何億円くらいなのか。
杉山克己
269
○
杉山説明員
いまお尋ねになりましたのは、何俵かというお尋ねでございますか。金額でございますか。
中川利三郎
270
○中川(利)
委員
何俵でも、どっちでもいいが、はっきりするから、何俵ということでいいです。
杉山克己
271
○
杉山説明員
二万八千トンのほうの数字でかりに申し上げますと、これは、
トン当たり
現在十六万円くらいの
コスト
でございます。これはまあ……。
中川利三郎
272
○中川(利)
委員
俵で言わないと、われわれちょっとわからない。理解できないから……。
杉山克己
273
○
杉山説明員
すみませんが、ちょっと換算して、すぐ申し上げます。
中川利三郎
274
○中川(利)
委員
それは
あと
でいいです。 もともと、食品衛生法によりまして、汚染米、つまり一PPM以上の米は
政府
は買わないわけです。したがって、もう一回繰り返しになりますが、
政府
がいま現に保管している一PPM以上の汚染米といわれるやつは、これは、〇・四から一の間のものが、保管中にそこへ進行していったというふうに私は理解しているんですが、それを聞いているのではないのです。純然たる汚染米、これは皆さんが買わないが、たとえば、いま、秋田では、米代川流域の小坂鉱山だとか、西仙北町だとかいうようなところで――これは雄物川の流域でありますけれども、たいへんなカドミ公害が出まして、仙北郡の西仙北町というところでは、二つの部落から一PPM以上の米が、つまり、
政府
が買わない米が二千俵以上も出ているんですね。ところが、きょう私のところへ届いた地元の新聞によりますと、能代鷹巣、田代など、洪水で重金属が堆積して、ここでも、また新たに、そういう
政府
でさえも買ってくれない米、つまり、米でない米がまだ千俵くらい出るということが書いてあるわけです。そうすると、これなんか、
政府
が買わないと、一体だれがどう処分してくれるんですか。処置してくれるんですか。ここをひとつお伺いします。
杉山克己
275
○
杉山説明員
だれがどうしてということになりますと、
政府
が買わない場合は、汚染源にかかっていく問題になると思います。これは民事的な問題で、それなりに、所管している別な役所からの御見解もいろいろあろうかと思います。ただ、
政府
としては、一・〇PPM以上のものは米として適当でない、これを食用に供するわけにいかないということならば、それは買わないということはやはりはっきりしているわけでございます。
中川利三郎
276
○中川(利)
委員
一PPM以上のものは
政府
は買わないということがはっきりしているわけですが、そうすると、農民になぜそういう米をつくらしたんですか。たとえば、西仙北町の杉沢、柳沢という二カ所の部落では、三年も前からカドミが出るために、いろいろな指導を受けて、出ないような段取りをしてきたんだ。しかも、そういうカドミが出るということが明らかになっている中で、県の指導もあり、国の指導もあって、いろいろと皆さんがやってきたんだ。しかし、ことしはこれだけになるよということをだれも言わない。つくれとも言わないし、つくるなとも言わない。だれも注意する人がいないのです。そうして、いまここで出てきたから、それは会社なり何なりと民事でやれと言ったって、それでは
政府
は要らないということになるのではないですか。この点はどうでしょうか。
杉山克己
277
○
杉山説明員
これは、それぞれほかの
関係
のところで、所管するところでお答え願ったほうが適当でございましょうが、私どもの
関係
するところでは、正規の米なら買うということだけでありまして、そういう正規でない汚染米をつくらしたことはどうかとか、汚染米をつくることについて、十分事前に防止の手を打たなかったではないかと言われれば、私ども、食糧庁としては、何ともそこはお答えのしようがないわけでございます。
中川利三郎
278
○中川(利)
委員
いまの話は重大な問題ですね。政務次官、これは大臣がおれば大臣に聞くわけですが、農民が汗水をたらしてつくった米が、米でないものができたというのですね。しかも、そのことは、事前に、三年も前から、ここはカドミが出るからということで、十分注意しながら、水
管理
やら、その他一生懸命やった。その結果、農民の泣き寝入りになるというようなことが最後的に出てくるということは、これはどういうことですか。それで済むのですか。
岡安誠
279
○岡安
説明
員 汚染米の
生産
防止ということのために、現在、制度といたしましても、
環境庁
の所管しております土壌汚染防止法によりまして地域
指定
をする……。
中川利三郎
280
○中川(利)
委員
そんなことを聞いているのじゃない。この米を何とするのか。
岡安誠
281
○岡安
説明
員 いや、ちょっと待ってください。
計画
できる対策
事業
を実施するという手段があるわけでございます。ところが、その
指定
がなされるまでの間におきましては、農民が米をつくるというときに、県等と相談をしまして、なるべく汚染米が出ないような営農
方法
を選択する。その指導を実はいたしておりまして、土壌改良資材その他を投入いたしたわけでございますが、今回は、たまたま天候のかげんもあったかと思いますが、汚染米が出たということでございまして、これは一日も早く地域
指定
をいたしまして、対策
事業
を早く実施するということが望ましいと実は考えておるわけでございます。
中川利三郎
282
○中川(利)
委員
現実に、昨年よりことしのほうが――去年は準汚染米かものすごく出ておるのですね。ことしは、準汚染米が、ここに資料がありますが、時間がありませんから
説明
しませんが、一千六百俵以上出ておるのです。今度、汚染米が、一PPM以上の米でない米が二千俵以上一つの地域から出ておる。しかも、これに対して、加害者というのは、先ほど原因者負担云々というようなことを農林省が言いましたけれども、ここには原因者がおるにはおるのです。しかし、これはもうとっくにかまどを消したというか、倒産して、休廃止鉱山になっておるのですね。そういう場合は、一体、だれがその責任を持って、どうしたらいいのか。ここをはっきりしてもらわなければ困る。国の責任なり何なり、どこにその責任があるのか。ここに農林次官がいらっしゃいますから、これを何としたらいいのか、私も困ってしまって、頭に来ているわけですが、教えていただきたいと思います。
岡安誠
283
○岡安
説明
員 おっしゃるとおり、公害の対策としましては、PPPということがございます。しかし、御説のとおり、休止は別ですけれども、廃止鉱山とか、資力のない
事業
体等に対しましては、実際問題として、損害賠償が取れないという事態がございます。そこで、そういうような事態に対処いたしましては、何らかの
措置
が必要であろうということで、先般、健康被害につきましては、それに関する制度ができたわけでございますが、財産被害につきましては、現在、
関係
省庁相寄りまして、至急対策、制度を樹立いたすべく検討中というのが
実情
でございます。
中川利三郎
284
○中川(利)
委員
いま相談中だと言うけれども、そうすると、これはどうしてくれるのですか。さしあたって、その、あなた方が検討したやつが法制化するなり、立法化するまでには、一年も二年もかかるでしょう。現実にこういう問題が起きて、農民が結果的に泣き寝入りしなければならなくなるのじゃないですか。そこの部落の、両方の部落の、ほとんど全域が侵されているわけですね。ここに資料がありますけれども、両方の部落合わせて五十二戸の農家数がございますが、一PPM以上出た農家数が四十三戸です。それから、六十一ヘクタールの両部落で、面積がありますが、このうち、一PPM以上出たのは二十八・五九ヘクタールです。予想
生産
量は二千二俵です。これは、もうその部落が全滅するということでしょう。いま話を聞けば、国も責任を持たないし、だれも責任を持つ人がいない。法制化されてもいないし、原因者もわからない。そのうち相談してということで、これが済みますか。もう一回はっきり返事をしてください。
岡安誠
285
○岡安
説明
員 この西仙北町の具体的な事態につきましては、早急に解決を要する問題でございますが、ほかにもそれに類する事項がございまして、公害による財産被害に対処する
方法
は、簡単に国その他が補てんをするという
考え方
もございますけれども、しかし、公害対策といたしまして、そういうことが将来とも妥当であるかどうかということは非常に問題があるわけです。そこで、やはり、何らかの制度を別途樹立いたしまして、それによって
措置
をいたしませんと、公害の責任その他があいまいになるということはございます。そこで、なるべく早くこれらの対策を樹立いたしたいということで検討を進めておるというのが
実情
でございます。
中川利三郎
286
○中川(利)
委員
あなたは一言で財産被害とおっしゃるけれども、明らかにこれは農民の米なんだな。担当は
環境庁
のほうかもわかりませんが、こういうことについては、農林省も等閑視しておるわけにはいかないと思うのですが、農林次官の御
意見
を伺いたいと思います。
中尾栄一
287
○
中尾説明員
公害問題というのは、とらえ方が、ある意味において非常にむずかしい場合があるわけで、これは、やはり、被害者にとって、あるいは国民にとって、そういうことを言うことがすべからく一番安易な道であり、ある意味において、免罪符になりがちなものは、
政府
の責任であり、国の責任であるということに通ずる表現が一番よくなされるわけでございますが、ときに、これがだれの責任であるかということを明確にした場合には、そこの明確な責任体系の中でこれをリペントする。そして、これに対して補っていく、いわゆるコンペンセートするということが大事なことだと思うのです。しかし、この場合、いま先生からお言いつけでございますから、私もこの問題点を深く存じ上げておりませんでしたので、本省に早速命じまして、すぐにこれを研究してみたいと思います。その上に立って、しかるべき御返事も差し上げられるのではないかという感じがいたします。
中川利三郎
288
○中川(利)
委員
いま、万やむを得ないので、県がこれを買い上げるというようなことを言うているわけです。しかし、県だってそう財政があるわけではありませんし、しかも、こういうものは次から次へ出てくる。先ほど
説明
したように、また、きのうの新聞でも見るように、新しいものが発生しているわけですね。買い上げない汚染米
そのもの
がこれだけ出ているということですから、準汚染米というのはどれだけ出ておるかわからない。しかも、この原因が全部鉱山公害だ。そうしますと、いままでの鉱山に対する通産省の監督なり、指導なりというものか――原因は全部そこの企業の責任でありますけれども、この場合は、鉱害が出そうになればみんな逃げていってしまうとか、鉱山をもう全部閉鎖してしまうとか、休廃止になっちゃうんだな。そういう事後に対する
措置
なんかも必要だと思いますが、通産省のこういう点に対する監督、指導の甘さなり、そういうことが今日の原因を来たしたものじゃないか。このことをいま痛切に、骨身にしみて感じられる。こういうことだと思うのですが、いまそこを論議する時間的余裕がありませんから、次の問題に入っていきます。 先ほどお話しのように、農用地土壌汚染防止法という法律がありまして、これによって、具体的な防止対策を、県の申請があればやっていく、こういうことであるわけですが、この農用地土壌汚染防止法のたてまえからいきますと、たとえば、土地改良のために金がかかり過ぎるから、どうかすると、あれは、珪カルだとか溶燐を入れて、抑止剤でごまかすというような行き方もあるわけですけれども、根本的には、表土をはぎ取って、あるいは新しい客土を入れて、大がかりな土地改良をしなければならないし、また、水源も転換しなければならないという問題に、現実の問題として、当然いまぶつかっているのですね。そういう場合、地方自治体の指導なんかは、
政府
がめんどうを見ないものだから、自分のほうで大きく金がかかるものだから、なるべく金がかからないようにということで、たとえばほかの転作を奨励していくとか、宅地化を進めるとか、そういうことをやられる危険性があるわけですね。したがって、この法のたてまえから申しますと、私は、あくまでも復元が前提だと思います。もとの耕地に戻すということが最前提にならなければならないと思うが、
環境庁
の
考え方
はどうですか。
遠藤茂
289
○遠藤
説明
員 お答え申し上げます。 先生がいま御指摘のとおり、土壌汚染防止法に基づきまして地域の
指定
をして、それに基づいての対策
計画
は、その主体は客土というような
方法
によることが最善であろうというふうに考えております。
中川利三郎
290
○中川(利)
委員
土壌の復元ですね。ところが、往々にして、これから実際に工事にかかるとなれば、先ほど言ったように、ほかのものに転用させていくとか、あるいは縦貫道にするとか、いろいろほかの地区の例なんかあるわけですね。そういう場合は、農民の納得を得ない限り、耕地のほかに転用するというようなことはすべきでないと思いますけれども、この点も御見解を伺っておきたいと思います。
遠藤茂
291
○遠藤
説明
員 農用地土壌汚染防止法の精神からいきますと、やはり、土壌を前の状態に戻す、しかも、その上で農民が安定した
生産
を続けるということが本来の目的でございますので、転用その他は、やむを得ないというような場合に限って行なうべきではないかというふうに考えております。
中川利三郎
292
○中川(利)
委員
はい、わかりました。 時間が来たようでありますので、まとめてちょっと申し上げますと、これをやる場合に、非常に
経費
がかかる。しかも、それをやるのに地元負担もかかる。県は耐えきれないから市町村にこれを押しつけるというかっこうになるわけですね。ところが、たとえば秋田県の小坂町なんかは、鉛害によるところのカドミウム汚染であり、しかも、明治以来の蓄積された結果としてあらわれておるわけですから、土の層の下のほうであればあるほどそういう蓄積がひどいという
状況
が実際にあるわけです。したがって、単に土地改良をやるといったところで、五センチや十センチの表土をはがしたところで、十分な効果を期することはできない。まして、珪カルだとか溶燐の抑止剤を投入したって、全く効果が出ないということがはっきりしたわけですね。ところが、一メートルも掘ればどうにかほんとうのたんぼになるのじゃないか、こういう
状況
なんですが、一メートルも掘るような土地改良をやるとしますと、反当にいたしまして二百万円もかかってしまう。こういうことは当然出てくるわけです。しかし、あくまでもこれはやらなければならないという決意の中での法の趣旨なのか、また、そういう農林省の
考え方
なのか、その点もひとつ明らかにしておきたいと思うのです。 もう一つは、汚染防止法で
指定
になった、さあこれから
事業
をやるんだという場合、実際にそこにたいへんなものが発見されてからいろいろ
調査
をして、市町村長の
意見
を聞いたり、審議会の
意見
を聞いたり、そうして、まとめて
政府
に承認申請をして、それから
政府
がまた調べて、いよいよ
事業
実施だなんということになりますと、二年も三年もかかるのですね。そうすると、毎年同じ被害が出ているという
状況
が出るわけですね。そういうことで、そういう期間的なものが、そう長くかかるなんということがいいのかどうかという問題があるわけですね。これはたいへんなことですよ。せっかく法ができたって、これだったら、地域を小さくして、
一般
の土地改良でやってしまえなんということを県当局あたりが考えないとも限らないわけですね。これは何しろ財政がないものだからね。それから、そういうふうになって、ここでいよいよ
事業
執行になりますと、当然、当該農民が仕事をやめなければならないという問題があります。そうなりますと、その休業中の補償の問題なんかはどうしてくれるのか。あるいはつくったらいいのか、つくらないのがいいのかとかというような、錯綜した問題がたくさんあるわけでありますが、これに対しては、明白な答えをしてくれる人が、現在のところ、だれもいないのです。そこで、ここで、いま、
関係
当局からそれぞれお伺いしたいわけであります。 この問題は、
相当
深刻な重大問題として、秋田県でいま起こっておるわけでありますが、時間が来たので、また後日あらためて詳細に詰めることにして、私は、いまのお答えをとりあえず聞かしていただきたいと思います。
岡安誠
293
○岡安
説明
員 先ほどもお答えしたかと思いますけれども、やはり、農民の意思に従いまして防止対策を講ずるわけでございます。ただ、かりに、農民が従来のような耕作を続けたいといった場合に、
事業
を実施いたしましても、なお汚染米が発生するということでは何にもならないわけで、私ども、慎重に、その地域地域におきます環境等を検討いたしまして、どういう
事業
を行なえば完全に防止できるかというような試験田というようなものを置きまして、その結果を見て対策
事業
を策定をいたすというような手続を踏んでおりますので、若干時間がかかるということはやむを得ないというふうに実は考えております。その間におきましてもし汚染原因者があれば、当然その間の財産的損失はカバーをしてもらうということになるわけでございます。それからまた、その期間どうしても耕作をやめるわけにいかないという場合には、いろいろ土壌改良資材の投入その他営農改善方策を講じまして、極力汚染米が発生しないような
措置
を講じながら、注意深く耕作を続けさせるということもあるわけでございまして、私どもといたしましては、なるべく早く完全な対策
事業
を実施されるように促進はいたしたい、かように考えております。
中川利三郎
294
○中川(利)
委員
これで終わるわけですが、一言だけ――自治省来ていますか。 いまのところ、先ほどちょっと言いましたように、法を実施しても、地元負担が、たとえば国が五五で、残りの四五は地方で持てなんということになっているのですね。これはあくまでも県が持ったり、ましてや市町村が持つ次第のものではないと思うのです。このことは、一つには企業にも負担させるということになりますが、企業の負担を非常に甘くしているということがあると同時に、やはり国の持ち分を非常にふやすべきだと思うのです。そういう点で公害費用負担のかさ上げ法というおたくのほうでつくった法律がありますが、これを抜本的に改めてもっと大幅にすべきではないか。とりあえず一つだけ追加して、これで終わらしていただきますが、この点お答えいただきたいと思います。
栗田幸雄
295
○栗田
説明
員 お答えいたします。 現在の公害の防止に関する
事業
に係る国の財政上の特別
措置
に関する法律では、三分の二ないし二分の一といったような補助金のかさ上げの
措置
が講じられているわけでございまして、現在のところ
一般
の補助よりも高くなっておりまして三分の二ということでございますので、この程度ならば一応適切なかさ上げの
措置
ではないか、このように考えております。
中川利三郎
296
○中川(利)
委員
終わります。
山崎平八郎
297
○山崎(平)
委員長
代理 次に林
孝矩
君。
林孝矩
298
○林(孝)
委員
きょうの質問は私で最後でありますが、午前、午後の議論を通して同僚議員が指摘した点、私が指摘する点、非常に共通点があります。したがって、ほとんど問題が出尽くしているような
考え方
に私も立つわけでありますけれども、あえて質問しなければならないほど事は重大である、そういう認識に立っているわけであります。 先ほど政務次官が答弁されている中に、非常事態宣言をすべきであるというほどの気持ちで取り組んでおるという話がございました。その非常という概念、これを現在の
経済
情勢の中で具体的にどういうふうにとらえておられるのか、確認しておきたいと思うのです。
中尾栄一
299
○
中尾説明員
物価
の上昇というのにはいろいろの要因がありましょう。しかしその要因と同時に、私どもが基本的に持っておらなければならぬのは、これは
政府
だけがどんなに力んでも、あるいは勇み足になっても、
物価対策
には全部解決でき得るめどにはならない。一つのソリューションにはなっても全般のソリューションにはなり得ないという形から、どうしても
政府
並びに与野党問わず同感でございましょうけれども、同時に、国民の総意にまつということが一番基本線になくてはならない。その国民の絶対値の協力というものは、これはやはり単なる唯物的な
考え方
においてなされるものではない。唯心的な、むしろ基本的な素朴な、人間としてのあり方、あるいは人間として、この社会生活の中に営む、その基本的な哲学というものを本質的に再検討すべきときがきたのではないか。そういう意味において、ただ私どもはかけ声だけで、いまここに石油が三〇%足らない、三〇%減になるであろう、中東問題にからめてたいへんな問題になり得るであろうというようなことを国民に警鐘乱打しても、それは何にも取り柄にならない。そこに買い占めあるいは売り惜しみというものが出てくるわけでありますから、もう少し原点に返ったモラリティーというものを基本的に考慮する必要があるのではなかろうか。二十八年前の終戦直後の概念を思い出せといっても、これはかけ声だけに終わってしまうから、お互いにやはり事は大事であり、ここまできたぞという非常的な態度というものをやはり
政府
みずからがとっていく必要があろうという発想から、非常事態宣言ということばも出たのであろうと私は思うのでございます。
林孝矩
300
○林(孝)
委員
ことばを言いかえれば、それほど現在は未曽有のインフレ状態を呈している、そういうことだと思うわけであります。だからこそそうした原点というものが
要望
される。そのインフレ状態を呈している中で、今回
消費者
米価
、そして
麦価
の値上げという問題が起こってきているわけであります。で、先ほど同僚議員からこの問題については三つの点に関して指摘がありました。私も全く同じ立場に立つものでありますけれども、なぜこのような時期にあえてインフレを高進するような大幅な値上げというものを行なわなければならないか、こういう点に関して、きょうの議論は、
消費者
米価
値上げ、また
麦価
の大幅な値上げに対しては反対という
意見
が、次官も共通して感じられた点だと思うのです。そして具体的には、小売り店のマージンが現在の状態で、はたしてやっていけるかどうか、そうした点についてもやっていけない。これについては、先ほど上げるという方向の答弁がございました。さらに、物統令を再び適用するという提案があったわけであります。これも共通のわれわれの意識にあるわけなのです。そういうふうにすべての
委員
の口から出ることは同じ問題の指摘であって、そしてそれは何かといいますと、国民の、世論を代表した声である、そのように思うわけであります。そうしますと、先ほど御答弁がありましたように、非常な事態であって、そしてそういう非常ということは、
経済
面でとらえれば悪性インフレといわれるようなそういう
状況
にきておる。そういう中であえてそれをやらなければならないということは、私は自語相違をしておるのではないかと思うわけです。 〔山崎(平)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 それから、もう一つ、いまや、与野党問わず、国民の総意ということで取り組まなければならない。これは、結果論としてはそうだと思うのです。しかし、こういう社会をつくり出してきた、
経済
構造をつくり出してきた原因はどこにあるかというと、これは、やはり、田中内閣にある。その
行政
責任というものは重大であると私は思うのです。そういう立場に立ってみた場合においても、今回の
消費者
米価
の大幅値上げというもの、
麦価
の値上げという問題に対しては、ほんとうにそういうふうに同じ認識に立つならば、政務次官としても答えはわれわれと同じではないか、そのように思うわけでありますが、いかがでしょうか。
中尾栄一
301
○
中尾説明員
ここでるる私も答弁の中で、何ゆえに値上げをしなければならないかという論点はいままで数多く述べさせていただいたような感じがするのでございますが、趣旨は全く先生と同感でございます。そういう意味におきまして、このような非常時の中において、何ゆえに
消費者
米価
を値上げしていくのか、これも全く先生の御指摘のとおりでございますから、私どもも、この問題点には、鋭意神経を注ぎまして考えておるということだけは申し上げておきたいと思うのでございます。あくまでも、先ほど申し上げました
逆ざや
の問題その他の問題、これも解決していくことも、これまたわれわれ為政者、特に
行政
を担当する者の責任の一端にはなるわけでございますから、そういう問題も踏まえまして、先ほど来討議が続いておったものと解釈するわけでございますが、先生の御趣旨は十分に理解しておるつもりでございます。
林孝矩
302
○林(孝)
委員
共通の土俵の上で話ができるということでありますから、次の段階は、じゃどのようにしてそうした国民の
要望
にこたえていくかという具体的な行動になると思うのです。いま米審が行なわれておって、非常に難航して、結論がまだ出ていないという
状況
だそうでありますけれども、ここで最終的に今回の米審の結論が出、そして
政府
として最終的な結論を出すまでに、ぜひともわれわれとしてやらなければならないことは、今日、この
委員会
で議論されたことをむだにしないということだと思うのです。そして、そのためにも国民的立場に立って、今回の大幅値上げというものに対して、国民の生活を安定させるために戦わなければならない、そのように考えるわけであります。政務次官は、そういう具体的な行動を今後どのようにとられようとしておるのか、お伺いしたいと思います。
中尾栄一
303
○
中尾説明員
端的に申しまして、先ほど申し上げたように、
生産者米価
は上がる、さらに
消費者
米価
は据え置くという形で、あるいはまた延期をするという、先生の御指摘のような方向でいきますと、どうしても
逆ざや
の問題が出てまいるのであります。かというて、
逆ざや
をそのまま放置するということは、当面の
物価
指数に対する
影響
という意味では効果があることは事実でありましょうし、また、あるように見えるわけでございますが、その反面、また食管会計の巨額な赤字を累積させることも、これまた事実でありますし、同時にまた、財政の、何といいますか、あまりにも行き過ぎた、過度な
状況
をもたらすことも事実でございましょうし、
長期
的視点からは、インフレにつながっていくということも、これまた考えられないわけではない要因にもなり得ようという
考え方
もあるわけでございまして、その点、十分勘案いたしまして、
財政負担
によって
政府
の管掌物資の
価格
を据え置くことには、
物価対策
としても本来限界があるというわけでありますから、その点、私どもも、今回の場合の異常なる
物価
値上げ、
物価
騰貴という背景の中では、この問題はあくまでも慎重の上に慎重にという形で考えていくつもり でございます。 同時にまた、先ほど先生が御指摘になりましたように、きょうここで約一日をかけまして討論を重ねたわけでございますが、その甲論乙駁の話し合いの中に、与党、野党の先生を問わず言われておりますることは、ほとんど一つの基本線が貫かれておるという感じがいたします。これはもう御指摘のとおりでございますから、これも出席しておりまする大臣にもさっそくお伝えしたり、さらに、私どものいままでの
考え方
の中にもこの
考え方
を注入いたしまして、そしてこの問題に処していきたいと考える次第でございます。
林孝矩
304
○林(孝)
委員
逆ざや
の問題がいま出ました。きょうこうして議論していることが、来年同じ議論が行なわれないために、私たちははっきりしておかなければならないと思うわけです。
政府
の買い上げ
価格
、それから
売り渡し価格
の、この二重構造というものがある限りにおいて、
逆ざや
というものはなくならないと思うわけです。きょうの議論の中で、
逆ざや
の解消ということが大臣の答弁からも盛んに出ておりましたが、はたして解消できるものかどうか、この点が一つ疑問になります。また、現在の
逆ざや
という問題に対する解消という
考え方
、そういう
考え方
のままでいいのかどうかという問題が二つあります。 こういう二つの点について、もう一歩突っ込んで考えますと、同じことをまた繰り返して、
生産者米価
値上げという
経済
情勢が生まれてくると値上げしなければならない。そうすると
消費者
米価
もまた値上げ、ことし
生産者米価
の値上げのときに議論した問題、またこうして
消費者
米価
値上げのときに議論した問題これをまた来年繰り返す。私はここで指摘しておきますけれども、現在の
政府
の
行政
力、それから日本の
経済
の構造に対するたとえばインフレ対策というものを考えても、ここ一年や二年でこうした
経済
情勢というものが解消されていくか、方向転換されるかということは、私は、非常に望みがないと思う。
長期
経済
展望というものがどれだけ日本の国の
経済
情勢というものを変更させていくかということは、そういう展望の中からも見当たらない。 〔
委員長
退席、山崎(平)
委員長
代理着席〕 ここのところで将来起こるべき問題というものをよほど考えて対処していかなければならないということを考えた場合、同じことを繰り返すという可能性が十分あるわけです。したがって、この
逆ざや
に対する
考え方
は、現在のままでいいのかどうかという疑問がそこから生まれてくるわけです。そうしたら、今回の大幅値上げの理由に、
逆ざや
解消、食管赤字を解消するためにという、これもことしだけ言われている問題ではなくて、去年だって同じことが言われておりましたし、その前の年だって言われているわけですよ。これを一体どういうふうにしていこうとされておるのか、その基本的なものの
考え方
、
政府
の
考え方
というものをはっきりとしておいていただきたいと思うのです。 〔山崎(平)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
中尾栄一
305
○
中尾説明員
米につきましては、
農業
基盤の
整備
、
農業
構造の改善等を通じまして、その
生産
性の
向上
と
生産費
の低下をはかることが基本的に重要でございます。その成果は急には、まさしく御指摘のとおり期待はできません。これだけ
経済
が成長して、
物価
、賃金が年々急速に上昇していく中で、
米価
だけを据え置いて、農民にだけ安い所得に甘んじて米をつくれというのは、どだい無理でございますし、このような
状況
のもとでは、食糧
生産
の安定をはかるには、
一般
物価
、賃金の上昇を適正に反映した
生産者米価
をきめることは必要なことである、こう考えております。また
生産者米価
が上がれば、米といえども物の
価格
としても、筋を著しくゆがめることはできないので、その
コスト
の上昇をある程度
消費者
価格
に反映させるということがやむを得ないという
考え方
の中に立った
逆ざや
であるというように私どもは考えておるわけでございます。したがいまして、先生の御指摘の観点は、
逆ざや
を別の形で考える
方法
はないのか。これはおそらく先ほど来繰り返されました討論を聞いておりますると、社会保障というような観点で考えたらどうかとか、そういう御
意見
かと思いますが、これは一つの
考え方
、理論として、私どもは非常に傾聴に値するものであると考えておるわけでございます。
林孝矩
306
○林(孝)
委員
それでは、先ほど具体的な問題として出ておりましたが、現在のマージンではやっていけないということがありましたですね。それを上げる。この一つのことをまず例にあげてお伺いしたいんですが、これはどういう見通しがある話ですか。どういう裏づけのある話ですか。そして、
日程
にのぼっていて、具体的に実現していくのはどういう時期になるのか。 また、もう一つは、物統令の適用という問題があります。先ほど検討するという話がございました。これはどういう
日程
で検討されていくのか、裏づけがある話なのかどうか。これも再び同じことを議論するということを何とか避けていくために、改善していくために確認しておきたいと思うわけであります。
杉山克己
307
○
杉山説明員
マージンの話でございますが、これは、最終的に今回の
米価
の
引き上げ
がどのような姿になるか。これは
平均
でもって一三・八%ということでございますが、
等級間格差
の問題もありますし、
価格調整
という問題もありますし、さらにはこれを地域別に開いて個別にきめていくというようなことで、
平均
の上げ率はきまりましても、これを地域別にこまかく具体的にきめていくということになりますと、非常にむずかしい作業が
あと
に控えております。 それからもう一つは、消費地におきますところの
標準価格米
の
指導価格
を、
政府
の
売り渡し価格
との
関係
でどの
水準
できめて指導をしていくかという、もう一つの問題があるわけでございます。この両者を
関係
させて検討していく。この中にマージンというものが実現されていくわけでございます。 私どもは、先ほど申し上げましたように、やはり
一般
の
物価
、賃金が上昇している中でございますから、マージンのある程度の
引き上げ
はやむを得ないと考えております。その中に当然織り込むわけでございます。その場合問題になりますのは、かつて物統令のありましたころは、全国一律の統制
価格
で最終末端を売らせるようにしておったというようなことから、非常に簡単な計算でございましたが、いまは地域別の、まさに先ほど津川先生御指摘になりましたような原料米の構成の
事情
でありますとか、
経費
のかかり方のぐあいでありますとか、それから、その地域だけでなくて、いろいろよそから米を運んでこなければならないというような地域もあるわけです。そういう地域のどういう米をどういう形で持ってくるかというような、非常に個別、具体的なことを見なければならないわけでございます。これは
相当
膨大な作業になりますので、私ども、
米価審議会
の答申を得て、できるだけ早目に
米価
の
決定
をいたしたいわけでございますが、その
決定
も若干の時間をかけてきめていくということに考えております。できるだけ早くということでございますが、何といいましても
相当
の作業量でございますし、それから、実際に
米価
の
引き上げ
を実施するのは四月からのことでございます。できるだけ早くということで、ちょっと具体的にいつということは申し上げられませんが、ただ、手順はそういうことで進めたい、かように考えております。 それから
物価
統制令の適用廃止を復活する考えはないかというお尋ねでございますが、
物価
統制令の適用を廃止するに至ったいきさつは、これはまさに米が豊富になって、需給
関係
が緩和した、
一般
に生活
水準
も
向上
した、そういう中で
消費者
の嗜好も高度化してきた、そして、また、それに応ずるように米自身がいいものがつくられて、これは
生産
者の段階でもそうでございますが、販売店の段階でもいい
銘柄
のものをよりすぐって、これを十分丁寧に搗精するというようなことで、いわば
コスト
をかけて売るというような
経済
の流れが必然的に出てまいったわけでございます。そういう実態に即しまして、いろいろな品質差がある米を無理やり画一的な
価格
でもって押えつけることには問題がある、そういうことで、物統令の適用廃止ということに踏み切ったわけでございます。私、この基本的な
事情
は、現在といえども変わっておらないと思います。やはり、
自主流通
米あるいは
政府
の売る米の中でも、
銘柄
米といったようないい米、これはどうしても、
標準価格米
よりも、物自体として高く評価されざるを得ません。それを
銘柄
別にずっと
価格
を統制
価格
できめるということは、これは実際問題として全く不可能だと思います。
価格
差というのは、やはりそれなりに
市場
において形成されるものだというふうに考えておるわけでございます。では、その
価格
について、全く野放しでいいか、統制物資であるのに自由
市場
と全く同じような
考え方
でいいかとなりますと、それはそういうことであってはいけないと私は思います。 そこで、物統令の適用廃止を復活するというようなそういう極端な形ではありませんが、やはり、
標準価格米
を中心といたしましていろいろな
価格
指導を行なう、
標準価格米
の常置義務を課しておるわけでございますから、そういったものの励行を監督指導するというようなこと、各般の
措置
を講じて、
価格
安定のための方策を考えてまいりたい、かように思っております。
林孝矩
308
○林(孝)
委員
いま御答弁のありました
価格
指導あるいは監督の件でありますけれども、本日の
委員
全でも具体的な現実の問題として指摘された点は、まさしくこれらの
価格
指導、監督というものが不行き届きであるという前提に立って指摘されたと私は認識したわけであります。したがいまして、今日まで行なわれてきたような
価格
指導あるいは監督で、はたしてよかったのかどうかということについては、大きな疑問を私は抱いたわけです。では、今後、農林省として、あるいは食糧庁として、こうした
価格
指導あるいは監督というものをほんとうに効果あらしめるために行なうという具体的な案をお持ちなのかどうか、お伺いしておきたいと思うのです。
杉山克己
309
○
杉山説明員
価格
指導の問題は率直に申し上げまして、東京とか大阪とか――まだ大阪はよろしゅうございますが、大都市、特に東京が問題になろうかと私は思います。そういった地域に、重点的に、各自治体の――これは農林省だけの力では個々の末端まで十分浸透させるということは必ずしも十分ではございませんので、自治体の協力といいますか、力も得まして、十分具体的な指導をやってまいりたい 思っております。いろいろな形が考えられますが、やはり、
標準価格米
を必ず置いているかどうかを監視する。そして、先ほど津川先生のお話にもありましたが、具体的な店がわかれば、その公表、これは
相当
思い切ったことでありますから、いままでそのことは行なうことができるぐらいの
考え方
ではあったのでありますが、実際に公表も辞さないくらいの態度で臨む。それから、地方地方にそれぞれの
米穀
流通適正化協議会というものもございます。これは地方自治体、食糧事務所、
関係
官庁、さらには
消費者
代表、それから業者というような者が集まって相談をする場でございます。そういった場も有効に使ってお互いに情報を十分持ち寄って、
価格
形成に遺憾なきを期したい。さらには、東京あたりでは、
米穀
店の経営の合理化という観点から大型
精米
――大型
精米
ということになりますと、集中袋詰めというようなことも可能になりますし、
経費
の節減にも役立つ、不正の防止にもなる いうことで、これを本格的に推し進めることにしてはどうかというようなことも考えております。そのほか、これから私どもの
政府
の
売り渡し価格
も上げまして、
米価
も上がることでありますから、そういう点で
消費者
の皆さまにいろいろと御迷惑をかけるといいますか、非難をこうむることのないよう十分
措置
を講じたいと思っております。
林孝矩
310
○林(孝)
委員
最後に重ねて指摘をし、また、答弁をいただきたいわけでありますが、今回の
麦価
の大幅値上げにしても、いま一番心配されていることは、先ほど政務次官もおっしゃったように
物価
問題です。すでに、学校給食への
影響
はどうなんだろうとか、総理府から発表されておる
家計
の中での消費支出の中で何%を占めるだけだからというような単純な問題ではなしに、多方面にわたって複雑多様化した形で
影響
を及ぼし、
消費者
物価
をさらに値上げ、
高騰
させていくということになることは火を見るよりも明らかなわけです。したがいまして、こうした
麦価
の大幅値上げの問題も、また
消費者
米価
の大幅値上げの問題も、この
物価
の
高騰
している現在において、国民が非常に関心を持ち、また、何とかいまの時期を乗り切るために必死になって抵抗しているというこの現実を見ても、今晩、そしてあす、
政府
が最終的に
決定
するまでに、農林省の幹部として、政務次官もまたそうした国民的立場に立って、ほんとうに最大の努力をして、国民のそうした
要望
にこたえるような行動をとっていただきたい。そのことを重ねて
要望
して、それに対する答弁をいただき、私の質問を終わりたいと思います。
中尾栄一
311
○
中尾説明員
確かに、
米価
並びに
麦価
の値上げというものが、いまの
物価
上昇にさらにアクセルを踏むようになっていくという御指摘は、私ども全般に非常に憂慮しているわけでございまして、ともかく、その値上げが非常にスライスなものであっても、これが個々の一人一人にとりますると非常にわずかな値段のアップということであっても、米とか土地とか麦とかというのは、やはり
物価
の基本
水準
になるというたてまえからも、
相当
関連して便乗値上げというものが行なわれる可能性があるわけでございます。そういうものを含めまして、その便乗値上げの防止にも全力を尽くして考えていくということをかたくお約束申し上げておきたいと思うわけであります。
林孝矩
312
○林(孝)
委員
終わります。
佐々木義武
313
○
佐々木委員長
本日は、これにて散会いたします。 午後六時五十一分散会