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1973-09-18 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第54号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年九月十八日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 佐々木義武君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂村 吉正君    理事 藤本 孝雄君 理事 山崎平八郎君    理事 渡辺美智雄君 理事 柴田 健治君    理事 美濃 政市君 理事 津川 武一君       笠岡  喬君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    小山 長規君       佐々木秀世君    島田 安夫君       正示啓次郎君    長谷川 峻君      三ツ林弥太郎君    森下 元晴君       安田 貴六君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    湯山  勇君       諫山  博君    中川利三郎君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       稲富 稜人君    神田 大作君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         農林政務次官  中尾 栄一君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         農林水産技術会         議事務局長   中澤 三郎君         林野庁長官   福田 省一君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      宮下 創平君         参  考  人         (全国農業協同         組合連合会常務         理事)     井田 豊秋君         参  考  人         (全国酪農業協         同組合連合会副         会長)     根岸  孝君         参  考  人         (全国養鶏経営         者会議名誉会         長)      彦坂 茂一君         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会常務         理事)     松村 正治君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(飼料価格及び畜  産経営問題等)  飼料緊急対策並び畜産物価格に関する件      ————◇—————
  2. 佐々木義武

    佐々木委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  本日は、飼料価格及び畜産経営問題等について、まず参考人から意見を聴取することといたします。  本日御出席参考人は、全国農業協同組合連合会常務理事井田豊秋君、全国酪農業協同組合連合会会長根岸孝君、全国養鶏経営者会議名誉会長彦坂茂一君、全国農業協同組合中央会常務理事松村正治君、以上四名の方々でございます。  参考人各位に申し上げます。  参考人各位には、御多用中にもかかわらず、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとう存じます。  飼料価格及び畜産経営問題等につきまして、参考人各位のそれぞれの立場から忌揮のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。  なお、議事の都合上、まず御意見をお一人十五分程度お述べいただき、その後委員からの質疑がありますので、これにお答えいただくことにいたしたいと存じます。  御意見の開陳は、井田参考人根岸参考人彦坂参考人松村参考人の順序でお願いいたします。  それでは、井田参考人お願いいたします。
  3. 井田豊秋

    井田参考人 全農井田でございます。  私から今回の飼料値上げと今後の見通し並びに御要請についてのことを中心に申し上げたいと思います。  春の場合は、政府、国会の先生方の非常な御努力によりまして臨時特例法に基づく、また、たまたま為替の変動制等がございまして、四月以降の値上げを押えることができたわけでございますけれども、この特例法は七月の二十二日で切れまして、この間におきましても輸入原料は上がっておったわけでございますけれども特例法による特別払い下げが終わりました七月後半及び八月につきましては、かなりコストアップがまいってきたわけでございます。その間に、御承知のように、国際価格も暴騰しておりまして、特にアメリカドル防衛といいますか、インフレ対策によりまして、六月二十七日に大豆及び大豆かす等輸出禁止あるいは規制というものが行なわれまして、価格もとより量的な心配も出てまいりました。  全農といたしましては、もっぱら量の確保ということに重点を進め、七、八月の原料値上げ分全農のリスクにおいてこれを吸収する、したがってこの間は値上げをしないということでまいったわけでございますが、その間慎重に世界の現状情勢を見きわめて進んでまいりましたが、どうしても楽観的な条件が出てまいりませんので、全農としての責任といいますか、負担の限界を越えるものであると思いまして、当時の試算によりますと一万円以上上げなければならぬということから、政府に対しまして、緊急に値上げ抑制策を講じてほしいということを続けてまいったわけでございます。  特に重点としましては、春のような政府手持ちの物資でもって押えてくれれば一番けっこうなので、それを一つ取り上げ、さらに、なおできない場合には、飼料安定基金というのがございますが、これが財政的にも赤字というようなことで、さらに借り入ればできないというような状況でございますので、これに対する強化お願いし、その他アメリカ規制等の緩和につきまして、政府間の交渉を持ってもらいたいというようなことを中心にいたしましてお願いしてまいったわけでございますが、ときたまたま米価審議会の途中でもありまして、なかなか具体的な方策が出ないということでございました。  そしていよいよ九月に近くなりますと、原料価格は、シカゴ相場でいいますと、ストップ高というのが毎日続くというような状態でございました。政府具体策を早くお願いしたいのだけれども、九月までにできないとすれば、全農としては値上げをせざるを得ないという判断に立ちまして、全国畜種平均で御承知のような一万百十二円の値上げをいたしたわけでございます。  これにあたりましては、当然輸入原料国内原料価格を積み上げましての数字もとにいたしまして、農林省等にも御説明申し上げ、その上げざるを得ない実情とその時期、方法等についても御相談をしながらまいったわけでございます。  一方、政府におかれましても、いろいろ飼料緊急対策案というものを練っておられたようでございまして、その後九月の上旬に至りまして、安定基金を通ずる強化策というようなものが閣議としてまとまったということも聞いております。それからつなぎ資金利子補給ということも伺っております。こういうようなことでございますけれども、いまだに具体的な方策といいますか、特に安定基金への強化方策が具体的にきまっていないという点についてわれわれは非常に不安を持っておりますので、ぜひとも早くこれを取りきめていただきたいと思っております。  なお、いま申し上げましたのは十二月末まででございますが、今後一月以降の情勢につきましても一向に原料の騰勢が衰えていない。私のほうでもすでに原料確保の見地から一−三月のものにつきましても逐次契約を進めておりまして、主たる原料であるトウモロコシマイロ等につきましてはそれぞれ三〇%、五〇%というようなものの契約を進めておりますけれども、これらの契約した価格を見ましても、一向に下がっておりません。  ただ、長いといいますか、多少ロングで見ました場合には、アメリカ増産がほぼ確定をしてきております。それからタイ国かなり豊作である。それからアルゼンチンのトウモロコシマイロ、それからオーストラリアのマイロ等かなり豊作が期待できる。一方、昨年大量買い付けをいたしましたソ連はかつてないまた豊作のようでございますので、昨年のような大量輸入というものは起きてこないのではないか。ただ、一方におきまして、インドの干ばつとか、それからパキスタンの大洪水による食糧飢饉というようなものが新たに起こってまいっておりますが、これは去年のソ連等大量買い付けに比べれば規模は少ないというようなことで、量的にはかなり需給が是正されてくるのではないかという期待を持っております。  さらに、前回非常に心配いたしましたたん白源である大豆につきましては、アメリカ豊作の中でも最も豊作でありまして、前年度比二四、五%の増産になっておるということでありますから、たん白源についての心配かなり薄れてまいる。加えまして、十月以降、もし伝えられますようなペルーのアンチョビーの漁獲が開始されますならば、これまた一つの朗報ではないかと思っております。  そういうような数字の上の需給ではかなり明るい見通しを持っておりますけれども、現実の価格はなかなかそのようにまいっておりません。と申しますのは、相変わらず各輸入国需要は旺盛でございまして、先般、アメリカ農務省から発表されましたアメリカ輸出契約を見ましても、すでに昨年一年分以上のものを来年の九月までの契約として進められておる、大量な輸出契約がなされておるというようなこと。これらは原因がわれわれもよくわからないのでございますが、一つにはやはり食糧あるいは飼料穀物に対する先行き不安、あるいはインフレヘッジというようなこともありましょうし、一つには、昨年とにかく全部払い出しましたので、在庫の面から見ますとアメリカ等も非常に少ない、したがいまして、多少よけいできてもあわてて売らぬでもいいというような気持ちはあると思いますが、一面、輸入国におきましても、備蓄といいますか、そういう在庫が少ないというようなことから、相変わらずの需要旺盛というようなことになっておろうかと思います。  そういうようなことで、量的の心配かなり薄れておりますが、価格の面ではあまりもとに返るというようなことは、どうも期待できそうもない。むしろ高位安定というような方向で推移していくのではないかと思っております。  以上がえさ及び値上げに至りました経過並びに今後の見通しでございますが、いずれにいたしましても、このえさ問題につきましては抜本的にひとつ飼料政策を立てる必要があると思いますし、われわれもできる範囲内でこれは一緒にやってまいらなければいかぬ。したがいまして、国内のできるだけの積極的な自給飼料施策それから輸入飼料備蓄というものの実現措置を早急に立てる必要があるのではないか。また、先ほど申し上げました十二月までの緊急対策具体化も一日も早くはっきりさせまして、不安を解消していただきたい、これはお願いでございます。  それから、畜産物価格につきましては、いろいろの見方があろうかと思いますが、ただいま政府で持っておられるようなえさ価格抑制措置では、当然これは畜産農家へのコストアップを避けることはできません。そういうようなことで、それぞれの品目につきましてかなり相違はございますけれども、苦しい状況になりますので、この際はぜひひとつ適正なる畜産物価格実現ということで、畜産経営危機を避けていかなければならないと思っております。  特に採卵鶏につきましてはきわめて影響が大きいと思いますし、それから加工原料乳等につきましても同様かと存じます。豚につきましても、たいへん現時点ではいいようでございますが、かなり輸入豚肉在庫されておりまして、これが不需要期になります来年春ごろには、弱含みというような見方も出ておりますので、そういう面から見ましても、豚の価格についても安心はできない。肉牛につきましては、需給面から見ましてもかなりの不足でございまして、これも国内牛だけではどうにも需要は満たせないというようなことから、これはかなり堅調に推移すると思いますが、それにつきましても輸入の牛肉については、やはり国内畜産農家に不安を起こさせないような措置でひとつやっていかなければならぬと思っております。これらにつきましては至急にひとつ畜産振興審議会を開きまして、それぞれの政策価格、あるいは卵等政策価格ではございませんが、それについても適正なる価格実現のための措置を強くひとつお進めをいただきたい。  そのために畜産振興審議会早期開催をわれわれ連名で委員長あてに申し上げておりますけれども、この実現方につきましても、ぜひ早くお開きをいただくように、この際あらためてお願いしておくわけでございます。  以上、きわめて概略でございますが、私の意見を終わります。
  4. 佐々木義武

    佐々木委員長 次に、根岸参考人お願いいたします。
  5. 根岸孝

    根岸参考人 ただいま御紹介をいただきました全酪連の副会長をいたしております根岸でございます。  私ども全酪連は、えさ工場を持って、えさ会員団体を通じまして農家に供給する仕事をやっております関係もございますし、また御案内のとおり、生産者団体でございますので、値上げの、どちらかというと、被害者であるその生産者団体としての面を持っておりますので、両面をかかえております関係もございまして、今日までのえさ値上げ関係につきましては、極力値上げ最小限度に食いとめたいということの努力を払ってまいりましたが、えさ配合飼料につきましては、原料費が八〇%以上を占めるというような性格になっております関係で、原料が外国を主体にして御案内のような値動きをしてまいりますと、どうしてもこれは努力や精神問題だけでは食いとめができないで値上げをしてしまうというような結果になりまして、それで、ことしに入りまして、昨年度から比較しますと三回値上げをいたしております。一月に約三千円程度、それも四十七年度の末の価格乳牛配合が三万二千円程度でありまして、それを約三千円程度値上げをいたしておりますから、一割近くの値上げをいたしているわけであります。それで間に合わなくて、三月にさらに四千八百円からの値上げをいたしております。そして四月にはまたさらに再値上げというような方向でございましたが、これだけは政府施策緊急対策を出していただきまして、御案内のとおりの古々米の放出その他によりまする特例法の適用によりまして、まあ八月まで値上げを阻止されてまいりましたが、どうしても九月以降値上げをしなくちゃならないというので、またさらに一万円の値上げ決定した次第でございます。  それらを総合してみますと、ことしの一月から九月までの間に一万八千円からの値上がりをする。もと価格が三万二千円程度のものを一万八千円の値上げをするということは、五〇%をこえております。五六%の値上げをするというような方向でございまして、これは農家にとりましては非常に大きな負担でございます。そういうようなことでございますので、これを何とか食いとめてもらう、あるいはわれわれの努力によって食いとめたいというような考え方で今日までそれらの対策をしているというのが現状でございます。  そこで、これは乳牛配合だけにとりましていま申し上げておりますが、乳牛配合値上がりがいまのような状態を、乳価で今度はとらえてみますと、どのくらいの影響になるか。一万八千円というのは、最近におきます乳牛の質がよくなっておりまして、搾乳の泌乳量が多くなっております。五千キロ平均ぐらいをしぼっておりますから、一日十五キロからの牛乳をしぼっておるわけであります。そういうことになりますと、酪農は草でもいいんじゃないかということでありますけれども、草で飼える部分は半分ないし四分の三までがぎりぎりでありまして、あとの残りはどうしても濃厚飼料を使わなければならないということで、反響がくるわけでございます。  その反響中身でありますが、一日に一頭当たり五キロか六キロぐらいは、普通に十五キロの牛乳をしぼるのには、どうしても粗飼料を相当使いましても使います。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席関東地方から関西地方酪農家は八キロも十キロも使っております。そういうようなことでございますと、ただいまの一月からの値上がりを全部総合いたしますと、キロ当たりにしまして六円から十円ぐらいの乳価の値下げになったのと同じ結果、生産費がそれだけ上がるという結果になります。  そこに加えまして、私ども酪農には、生産条件としてはいろんな悪条件がここのところ加わってきております。その悪条件中身は何かと申しますと、まず週休二日制というのが一般にだんだん伸びてまいるに従いまして、三百六十五日どうしても手が抜けないという、その酪農というものの労働の質の面からかなり制約を受けるというか、きらわれております。  それから、最近におきます御案内のような労賃急上昇、年率二〇%近く労賃が上がっております中で、酪農の、いわゆる乳価というものの、あとで申し述べたいと思いますが、値上げ関係というのは、そう労賃やあるいは物価にスライドするというわけにいかないというような状況になっております関係もございまして、非常にそれらが悪条件になっております。  ただ、一つだけ。一般的には肉の相場が上がったので酪農はいいじゃないか、まさにそういう問題も一つございます。子牛価格が、前には五、六千円であったものが、雄の子牛生まれ落ちで、現在の段階では五万円、六万円というような相場をしております。しかし、これは全部雄が生まれるわけではございませんで、半分しか雄は生まれません。また、それでもっていまの値上がりが全部吸収できるほどのものでもございません。むしろ、その肉が値上がりしたことの被害のほうが大きいわけであります。廃用になる牛はなるほど三十万、四十万の価格でございますけれども、今度は、最近肉が値上がりしておりますから、少しぐあいが悪くても全部廃用にしてしまうという傾向が強うございます。そして今度新しく更新しようといたしますと、あるいは規模拡大のための導入をしようとすると、四十万円、五十万円というのがいま搾乳する一頭の価格になっております。したがいまして、その値上がりしておりますもので売ったものと買うものとの差額がここへ生じてくるというような状況であると同時に、今度はそれが金利なり償却の負担増という形になってあらわれてまいりますので、肉価の高騰は酪農にとっては資源の食いつぶしと同時に、非常に負担が重なってくるというような状況になってきております。  それに加えてのえさ値上げでありますから、問題は深刻でございまして、現在の段階では酪農家がばたばたやめていく。昨年度一年だけでも、戸数にしまして三万戸、一二、三%の酪農家がやめていくというような状況であります。それから頭数にしましても四万二千頭昨年減るというような状況でございまして、酪農全体といたしましては、非常に生産は多頭化を進めておりながら、生産が停滞ないし減退するというような傾向をここ数年たどっておるわけであります。特に最近はその傾向がひどくなりつつあるのが現状でございます。  そういう状況でございますが、一方、牛乳消費につきましては最近非常に順調に伸びてきております。需給関係は相当バランスがくずれてきておりますが、ほかの畜産物と変わりまして、牛乳につきましてはその市場がない。特に生産者のつくります原乳については、市場需給が逼迫しようが何しようが、値段がその日に変わるという方向にありません。価格形成のルールが、末端の小売り価格値上げでもしない限りにおいては、生産者のところまで回ってこない。それは消費者の合意と、中間にありますミルクプラント、つまり乳業者側との話し合いが一切ついたときでないと値上げができない。     〔山崎(平)委員長代理退席委員長着席〕 したがいまして、一年に何回もするとか、あるいはそれが需給にスライドするというような方向ではなくて、緩慢な動きしかない。御案内のように、政府が半分はきめております加工原料乳価格は、米と同じ原理によって決定さるべきはずになっておりますし、そういうものでありますけれども、それすらもことしの三月の決定のときには、三円三銭しか上がっていない。六・七%であります。去年は一円しか上がっていない。この物価労賃急上昇の時代に、その程度値上がり農家が満足していられるという状態にはならないわけでありまして、これがつまり、現在までのえさ値上げに対しましても、畜産物価格で完全に吸収しきれないという、酪農一大欠陥でございます。ほかのものであれば、需給が変わりまして価格で吸収できるという場合もありますけれども酪農の場合には、政府が考えてくれるとか、あるいはメーカー消費者団体消費者が納得がいくという状態がない限りにおいては、簡単には値段が直せない、こういう状況にございますので、酪農全体が危機のような考え方を持っておるわけでございます。  そういうことでございますので、このえさ関係につきましてやむを得ず値上がりしたものの、これにつきましての政府政策というのをひとつぜひ強力に推進をしていただきたいというのがお願いでございます。  一つは、聞くところによりますと、価格安定基金を通じまして十月から来年の三月まで平均三千円程度基金を通じての価格補てんをしてくださるというようなニュースが流れております。この問題につきましては、非常に時宜を得た有効な対策であると思われるわけでございますので、これをぜひ実現お願いしたいわけでありますとともに、この出し方の問題でありますが、いま聞くところによると、全額補助でやるかあるいは政府保証によるところの融資でやるかということがきまっていないように聞いております。この全額補助であるか保証融資であるかということにつきましては、非常に重大な影響を持ちますことは、現在の第二・四半期の政府政策に基づきます基金借り入れというのは、これは団体のサイドで借り入れをいたしまして現在九月までの手当てをしておりますが、全然金がないのに借りて払っておるわけであります。これが昭和五十年の三月まで、基金の機能を喪失しながら払っていくというような仕事を現在やっております。それまでは、集めた金は全部五十年の三月まで返済に充てる。さらに今度のその三千円のやつが加わってまいりますと、これが七年も八年もなすのにかかるということになるわけであります。したがって、その間には生産者団体もあるいはその工場も、畜産の現在のような変遷が激しい時期には、そのままの形で借り入れしたものが残っているというような、ことばで考えられない事態もございますので、この点につきましては、ぜひ全額融資という方法をもってその基金に対する処置を講じていただきたいというのがお願い中心でございます。  さらに、先ほど来申し上げました乳価値上げの問題でありますが、この乳価値上げにつきましては、ぜひ一日も早く畜産振興審議会開催を願いまして、そして今年度三円三銭のきまったほかに、ことしは異例な措置として政治加算というものが一銭もございませんでした。この政治加算をこれからひとつ考えていただきたい。政治加算原理は米であります。米も政治加算その他を加えまして一六・一%に決定したようでございます。さらにまた大蔵省でやっております葉たばこの関係につきましても、それ以上の、いわゆる年度途中であっても二回の改正をいたしまして、一七%近い決定をされたということでございます。私ども加工原料乳につきましても、年度の途中で変更するということは、加工原料乳暫定措置法の十一条に規定されておりまして、重大な経済変動のあるときには変えることができるということになっておりますから、これを年度途中ではございましても、このようなえさ値上がり事情でございますので、ひとつぜひ加工原料乳価格の改定をお願いいたしたい次第でございます。  市乳値上げにつきましては、現在生産者団体乳業メーカーの間に交渉中でございますが、これにつきましては、現在このえさ値上がりの事情の埋め合わせといたしましてキロ十五円の値上げを要請しております。これは二百cc一本については三円程度になりますが、これをぜひ実現してほしいということを要求しているような状況にありますので、先生方の特段の御配慮をいただきまして、これらの実現ができますようにお願いを申し上げまして、たいへん簡単ではございますが、発表にかえさしていただきます。
  6. 佐々木義武

    佐々木委員長 次に、彦坂参考人お願いいたします。
  7. 彦坂茂一

    彦坂参考人 ただいま御紹介にあずかりました全国養鶏経営会議彦坂でございます。  私は、畜産のうち、養鶏いちずに五十年を通してきておる。したがいまして、今度のえさ値上げ、これは私の知る範囲では、こんな大きな危機はない、かように考えます。私たちの一番困ったのは、戦争中にえさがなくなって転業しなければならぬ事態に追い込まれましたが、あれは別としますと、これが一番の大きな危機であります。  そこで、私どもとしますと、営々として養鶏にいそしんでおるが、このままでは養鶏家は全部が没落してしまう、崩壊するのではなかろうかというわけで、せんだって十日の日に養鶏危機突破全国大会を開催したようなわけであります。  皆さん御承知のように、このえさそのものの値上がりで一番被害を受けておるのは、畜種によっていろいろ違いますが、養鶏が一番大きいわけであります。何となれば、生産費の六七%、えさ代がかかる。ところが、今度のえさ値上がりによりまして七六%にはね上がってしまいます。私どもは、ここ二十年の間卵価が上がっていない、諸物価が年間五、六%上がる中で、卵価そのものはずっと水平、単年においては違いがありますが、平均しますと卵価そのものは上がっていない。俗にいう、物価の中あるいは食品の中で一番の優等生だとかなんとかいっておりますが、優等生といわれておったところで、これでは食っていけないということになります。過去におきましては、これは戦前、戦後を通じてですが、とうふ一丁、牛乳一本、ふろ賃、卵一個、これは同じ相場であったわけです。ところが、どうでしょう。いままでの消費者価格は十四、五円である。ほかの物価はどれだけ上がっておるか。それから見ましても、われわれの努力がどこにあったか、どれくらいわれわれが食生活に寄与してきたかということが言えるではなかろうか、かように考えます。むろんこれについては、日本の養鶏が世界の水準までも来た。国際価格においても日本の鶏卵は、百三十国ぐらいのたくさんの世界の国の中でいつも五、六番目ぐらいにおる、それまでの努力をしてきた。それで、私どもはこの中でほんとうに努力したそのものは、私たちは生きんがためにやったんだということになりますが、これについてはいろいろの方面の御助力もあったが、しかし、現在の国の畜産行政、最近はだいぶ変わってきましたが、過去においては大家畜重点主義の畜産行政であった。したがって、養鶏というものは、見限られたというわけではありませんが、どうかというと、自然にしておいたって何とかやっていけるのだということになっておりまして、置き去りを食っておったようなわけであります。最近になると幾ぶんか国においても予算の上でお認め願っておりますが、しかし、過去においては養鶏に関しましてはどうかといいますと、日本の養鶏の発展史上、国とか県が特筆すべき大きな力を尽くしたということはわれわれ養鶏業者は思っておりません。われわれが努力して今日の養鶏を築き上げたということがはっきり言えると思います。  そこで、こういうような値上がりの場合に、どのくらいわれわれが苦しくなるかということを申し上げますと、先ほども全酪連のほうからお話がありましたが、過去三回の間に、一トンについて二万一千円から二万二千円。これは養鶏の場合、養鶏飼料は原穀をよけい使う関係がありまして、ほかの畜種よりも大きな値上がりをしておる、これはやむを得ないことでありますが、いろいろ私ども全国調査をしましたところ、二万一千円、新聞なんかによると今度の値上げが一万円だというようなことも出ますが、実際においては今度は一万二千円の値上がりだ。末端の農家価格になりますと、結局は二万一千円から二万二千円になります。そこで、上がった率、値上げの幅はどのくらいか、六〇%になります。  いまパンフレットを渡しておりますが、私はこれに基づいてやっております。あとは大会のときの参考資料でございますが、この一枚のものをもとにして御説明いたしております。  そこで、この値上がりにしますというと、飼料が一トン千円の値上がりするごとに、私どもの計算は一キロにつき三円六十銭値上がりしなければなりません。これは算定がいろいろありまして、全農さんあたりは三円だといいますが、それは成鶏の食べておる、卵を生んでおる鶏の一年間のえさで割り出してありますが、それはえさが上がるに従ってひなもよけい高いえさを食うことになります。したがいまして、成鶏の食うえさと育すう鶏の使用のえさで五十キロ、そうしますと十四キロ一年に卵を生みます。これは私どもが、私は神奈川県ですが、神奈川県のコンサルタントで毎年三十五、六軒の畜産農家、養鶏農家をいろいろ調べたデータによると、一羽で十四キロしか生んでおりません。それで割りますと三円六十銭である。したがいまして、千円で三円六十銭上がるのだから、二万一千円の値上がりと仮定するときには、結局は七十五円六十銭の値上がりになる。これは大きなことになります。  それから、えさですね、えさそのものを何キロ食うのがほんとうであるとかあるいは食下量がどうだとか、あるいは飼料の要求量がどうかといいますが、現在のえさは非常に悪くなっております。私も畜産審議会の一員として、えさ値上がりのとき、非常にメーカーが苦しいときには実際においてえさは悪くなっておるのだ。しかし、原料価格は上がっておるのだから、ある程度多目に見なければならぬと思っておりましたが、どのくらいえさの食下量がふえておるか。大体五グラムか六グラム一日によけい食っております。それでありますから、これからの値上がりが妥当と見ましても、今度は元へ返してもらわなければいかぬ。飼料の効率を上げてもらわなければいかぬ。これが上がらぬとしたなら、一キロについて大きな差が出てくるのではなかろうか、かように思います。  それから、鶏卵の生産費になりますと、飼料費が七十五円六十銭上がるのだ。それから流通経費が非常に上がっております、養鶏の場合は。皆さんもうお使いになっておる。パッケージ、十個入るパッケージ、あれが三円でございました。いまあれが十五円、これが十五円でもない。それから段ボールの箱が六十五円のものが百三十円になっても、これはありません。それから運賃が上がっておるというわけで、流通経費が八円上がる。それから人件費、諸資材。人件費は一五%ぐらい上がりまして、こういうものが五円と見る。そうしますと、今度のえさ値上がり、諸物価、諸経費の値上がりを見ますと、八十八円六十銭になります。  そこで、どのくらいになったらわれわれはいいか、安定した価格はどこにあるかといいますと、大体におきまして卵価の安定は市場価格、これで二百七十円くらいじゃないと引き合いません。これ以上じゃないと企業の利益がありません。二百七十円なら食べていくのに精一ぱいというところになります。  しかし、これからのひながまた高いえさを食います。ひなを育てる。でありますから、そこにも書いてありますように、四十九年三月以降は育成費が上昇しなければならない。こういうものが上がってくるということになります。それでわれわれ養鶏家の生産者レベルというものは二百七十円とかあるいは七十五円で市場で売っておるのがそのまま入ってきません。これにはいろいろな流通経費があります。したがいまして、手取り二百五十円か二百五十五円、ここらが妥当な数字ではなかろうかと思います。これも先行きこういうような高いえさを使っておりますと、来年に入ると原価計算が上がってきますが、いまの場合ならそのくらいでいける。それ以上でなければいかぬということが言えるのではなかろうかと思います。この辺が私どもの非常に苦しいところであります。  そこで、時間がありませんからかいつまんで申し上げますと、今後の問題点と、私どもお願いしなければならぬという問題は、飼料関係で申し上げまするならば、原穀ですね、御承知のように、アメリカ輸出禁止があったために引き上がった、あるいはソ連、中共が食糧が足らぬで買い付けたから上がった。むろん買い手が多くなれば値段の上がることは火を見るより明らかでございます。そこで、これらのものの輸入に関しましては、私どもに言わせれば、競争もいいが、国で特別の機関を設けて一括して買ってもらいたい、そうすることによって価格は安定する。これは実はだれが悪いかということはちょっと言いかねますが、私、横浜の近くであります。横浜の港に一月余りも十万トン以上の飼料が陸揚げができなくてだるま船等に積んであった。これは一月以上ありました、ああいうのはやはり買い付けを一本に買っていないから、ああいうような結果になる。それでアメリカあたりの市場を刺激して値段が上がるのではなかろうか。それでありますから、それは今後考えてもらいたい。それと同時に、飼料需給安定法によるところの調整保管の量をふやす。これに対しまして政府は経費を負担してもらいたい。それから配合飼料価格安定基金に対しましては、これに対する考慮の強化と助成をお願いいたしたい、かように考えます。  それから、生産の調整、これが一番大事なことでありますが、現在の生産調整は国の生産調整、これは自主的にやっております。各都道府県の会議を招集して、実情を話して、本年はこれくらいの需給だと需給量を示して計画を立てておりますが、これは実際においては何ら下まで浸透しておりません。県の段階ではそのくらいいっておるが、しかし養鶏家のところまでいくとこれはできていない。したがって、これからはそういうことのないように、私は登録制にしてもらいたい。そしてその登録制の中で国においては抜本的の国の法的措置を講じて調整をしてもらう。そういう国はいろいろあります。オーストラリアとかあるいはアメリカにおいても、州によってそういうような方法を取り入れておりますが、そういうことによってほんとうの需給計画を立ててもらう。養鶏というのはほかの畜種と違いまして、大体三年を周期として一循環しております。景気のいい年があると今度は悪い年がある、あるいはとんとんの年がある。そんなことを繰り返すたびごとに養鶏農家畜産農家は非常な痛手をこうむっておりますから、今後そういうことのないようにしてもらいたい、かように考えます。  それからもう一つは、せんだっては国の御好意によって緊急的な畜産資金を融資していただいた。この辺はありがたいと思いますが、二年では償還できません。そんな傷が浅いわけではない。今度の養鶏農家の痛手は二年で償還するなんてとうていできないから、あれは長期にしてもらいたい。これは少なくとも五、六年の長期でないと償還はできないと思います。  それからもう一つには、卵価安定です。むろん現在の卵価形成というのは、市場におけるところの荷物の操作によってやっておりますが、これはそうでなしに、集中的に市場へ出ると卵価は下がりますから、市場へ出たものをカットする、そのカットしたものは液卵にする。そのための三億円の拠出、これは生産者によって拠出していく。これは液卵化することが必要ではないかと思いますが、その中にパンフレットがあります。液卵に対する三億円の拠出、液卵に変えるということもありますが、そういうことにしてもらいたい、かように考えます。  それからもう一つは、先ほども申しましたように、包装資材が上がっております。べらぼうな上がり方です。こういうものに対しては政府は何らかの手を打って包装資材の引き下げをはかると同時に、流通の面で、消費の面で、学校給食等も今後考慮していただきたい、かように考えます。  時間がありませんからこの程度にさせていただきます。私の意見はこれで終わりとします。
  8. 佐々木義武

    佐々木委員長 次に、松村参考人お願いいたします。
  9. 松村正治

    松村参考人 全中の松村でございます。だいぶ前の参考人のほうからの問題がございましたので、ダブる点もあると思いますが、御了承願いたいと思います。  まず、きょう呼ばれた飼料価格及び畜産経営問題についての諮問でございますが、えさについては先ほど井田参考人から申しましたように、一万円ちょっと農協系統では上げたわけでございます。この上げざるを得ない原因については井田参考人から申し上げました。  なお、十月から三月までトン三千円の政府からの補てんがあるということが閣議了承されましたが、われわれの了解では、これは補正予算を組んで特別積み立て金に繰り入れるというふうに了解したいと思います。そういうことでないと、またもう一ぺん運動を起こしてやらなければならぬということでございます。  それから、われわれとしては、春の場合には与野党一致して、とにかく七十億程度のものを全部見てもらった。そして、新穀になるならばこれが下がるであろうというような予想のもとに、緊急対策としてお願いしたわけでございます。さらに、アメリカ生産調整あるいはカナダの生産調整がある程度解除されたということ等について、そういうような期待も持ったわけでございますが、先ほど井田常務のほうから申し上げましたように、なるほど確かに豊作にはなりましたが、需要が非常に上回って、いわゆる高原相場というものが続きそうであるということでございましたし、春の緊急対策のときに、もうこれ以上長期にえさ値段が続くようであれば、やはり他の商品と同様に、畜産物で吸収するより方法はないであろうというような覚悟はいたしておったわけでございます。しかしながら、急激に農畜産物はそのコストを価格のほうに反映できぬというタイムラグがございます。また消費者のほうとしてもたいへんだと思います。しかし、乳価とかあるいは卵については、本来安いのです。われわれは安いと思っています。先進国に比べて卵等は非常に安いし、なお需要も先進国ではトップクラスで、赤子を加えた一人当たり消費量が三百を優にこえているというような状態でございます。そういうことでございますので、われわれとしてはその間第二次的な消費者のことも考え、価格に反映する時間的な問題も考え、何とかこれもできれば全部補てんしていただきたかったわけでございますが、十月から三月までの三千円ということで、あとは、そのときの関係者としては、価格に反映するのだというふうにわれわれとしては考えているわけでございます。  なお、こういうことにもかんがみまして、どうしてもわれわれとして考えなければならぬのは、飼料の問題については、やはり国内における自給体制、麦類、大豆あるいはなたねも入れてもいいと思います、それから飼料作物、こういうものの国内の自給度をあげるということが非常に必要ではないかということを痛感いたしたわけで、こういう要請もやってまいりました。  そのためには、農業というのは施策を施してすぐ効果のあがるものではございません。したがいまして、さしあたり特別奨励的な措置あるいはいまの基盤整備も、たんぼなんかもっと地下水を下げて、そして有機質を入れて濃厚飼料でもつくれるような基盤条件をつくっておくことが必要だと思います。それから、米に集中しておりますいまの技術者、これはもともと大豆の技術者もおりますし、いろいろな技術者がいたわけでございますが、戦後のああいう状況の中で、とにかくにも米をやらなければ農事試験場の場長にもなれないというような、過去のいろいろないきさつがございまして、大豆の技術者その他、全部米に分散しておりますので、そういうものをやはり拠点試験場に集中して、りっぱな一つの独立した研究室をつくり、そこに予算をつけてやってやることから始めないと、もう相当これは安楽死作物として長年の経過を経ております。農林省としてもようやくそういう問題に、昨年のえさの問題あるいはアメリカのああいう特別措置等の問題を受けて、そういう気になったように見受けられ、本年の予算の中にもそういうことが見受けられるわけでございますが、われわれとしては、農林省が本気でそういうふうな措置を講すれば、系統農協としては万難を排して協力していく姿勢をもって国内の自給度を高めていきたい、そういうふうにえさの問題は考えております。  と同時に、飼料勘定というのが食管会計の中にもございます。私は畜産振興審議会飼料部会の中で、このワクをふやすようにということを要請してまいっておりますが、なかなか実現いたしません。しかし、このワクの数量をふやす、いわゆる備蓄というものも緊急の措置としては講ずる必要があるのじゃないかというように考えております。  それから、えさの問題は、それぞれの参考人から詳しく述べられましたので、一応おくといたしまして、畜産経営の問題でございますが、一万何千円、二万円という計算もございますが、さしあたり畜産振興審議会を開いてもらうということがわれわれの一致した要望でございますし、われわれ生産者側の委員としては会長に対してその申し入れをいたしましたし、また農林省のほうにもその写しをやっておりますけれども、なかなか腰が上がらぬというのが現状でございます。農林省としていろいろそういうような事情があるならあるなりに、やはり正々堂々と畜産振興審議会の場でそれは明らかにしていくことが政府の態度として必要じゃないかと思います。  畜産経営についてのはね返りについて、三千円というものを一応引きまして、大ざっぱにして七千円ということにいたしますと、鶏卵が一キロ当たり二十一円、ブロイラーが十七円五十銭、豚肉が二十四円五十銭、牛肉は二十八円、牛乳キロ当たり一円七十五銭、えさだけの七千円のはね返り分としてございます。しかしながら、御存じのとおり、三月時点からいろいろな物価の諸要素が相当上がっております。そういうものを入れますと、加工乳としては少なくとも六円くらいは最低限度上げなければならぬのじゃないか。豚肉については安定基準価格を大体六十円くらい上げなければならぬのじゃないか。それから鶏卵については、液卵公社の買い上げ価格は、これは発表されておりませんけれども、実際は百七十円前後で先般買い上げたような事情があるようでございますが、それをずばりキロ当たり四十円ぐらい上げて、ワクを二万トン程度持ってもらう。そういうふうに液卵公社のてこ入れをすることによって市場から卵をカットする。そのことによって市場価格を維持するというようなことが必要じゃないかと考えております。  そのほか肉牛の問題については、御存じのとおり、非常に子牛が高うございますし、その子牛を買うということはやはりたいへんなことでございます。いまこれは県に補償基準基金がございますが、それに対して政府は助成しているわけでございます。現行の補償の基準が乳雄で五万円、和牛で十万円ですが、こういう安いものでとうてい問題にならないわけでありますから、これを数倍に上げる。乳牛については、先ほどもございましたが、肉の価格が高いということはもろ刃の剣でございまして、やはり一方について肉資源としてどんどんこれをつぶしていく可能性が非常にございますし、またそういう傾向もあらわれておりますので、そういうような配慮をすべきであると思います。なお、副産物とかあるいは老廃牛、たとえば子牛等が高く売れるから生産費からそれを差し引けば、むしろ上げぬでもいいじゃないか。要するに、肉に売ることによって酪農を維持するというようなことは、本来本則ではございません。特に卵は、一ころ二百九十円くらいまでいきましたけれども、きょうあたりは二百六十円くらいになっております。しかし、生乳が、とにかくこの前は三円三銭という値上げでございますし、しかもこれは北海道の全農総連の資料でございますが、四十一年から四十八年まで、四十一年を一〇〇として三割くらいしか上がっていないわけです。卵はもっと低いわけです。これはやはり規模拡大、そういうことによって農家は対応したわけでございますけれども、これも限度があるわけです。そういう限度に来ておりますので、特に加工乳、卵等について非常に問題が多うございますので、こういう問題については畜産振興審議会等で十分論議してこれを上げる。加工乳を上げることによって市乳もまた上がってくるという理論ではないだろうかというふうに考えております。  以上、簡単でございますが、私の公述を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  10. 佐々木義武

    佐々木委員長 以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。
  11. 佐々木義武

    佐々木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  12. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 参考人の皆さんにはお忙しい中をおいでいただきまして、いろいろな角度から貴重な御意見を聞かしていただきまして、ありがとうございました。  時間が制約されておりますから、簡単に一、二の参考人の方にお考えを聞かしていただきたい、こう思います。  先ほどそれぞれ四人の参考人の方から畜産問題全般にわたっての悩みなり、また問題点を指摘されたわけであります。私、その中で感じましたことは、四人の方々が申されたのは、畜産振興審議会を早急に開いてくれ、こういう御意見が強く出ている。こういう事態はきのうきょう起きた問題ではなく、ことしの一月、三月、九月という三回にわたる大幅な飼料値上げ、それに関して畜産農家、要するに、生産農家の苦しい、また、それが消費者価格なり他の物価影響してくるという関連性を持っている重要な問題であることは御承知だと思いますが、なぜ畜産振興審議会が開けないのか、どういう理由だろうか、こういう疑問を持ったのであります。この点について根岸参考人から一言聞かしていただきたい、こう思います。
  13. 根岸孝

    根岸参考人 お答えになるかどうかわかりませんが、このことにつきましては、御案内のように、四月一日付で、農林大臣が審議会の意見を聞いて加工原料乳等価格決定することになっております。これはつい四月にやったばかりである。そうして、それを年度の途中でいま一回改定するような要求等についてはいろいろ問題があって、まあ来年の四月まで待てないものかどうかというようなことで、かなりの抵抗があるのではないかというふうに理解をいたしましたが、その辺のことは私どもの感じでございまして、実際には審議会を開いてほしいということは要請をいたしております。
  14. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 松村参考人にお尋ねしたいのですが、いろいろと御指摘された中で、私たちはいまの現行制度、畜産関係にはたくさん法律がございますが、特に価格なり飼料その他についての法律は、たとえば飼料需給安定法があり、飼料の品質改善に関する法律がある、酪農振興法がある、畜産物価格安定等に関する法律がある、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法、養鶏振興法というように数多くの法律があるわけです。この法律が十分生産農家のプラスになるように、法律の第一の目的の項には明文化されておるわけですが、実際これらの法律が正しく運用されておるかどうか、ひとつ見解を聞きたいのです。
  15. 松村正治

    松村参考人 酪振法等でございますけれども、先ほど参考人のほうからもお話がございましたように、畜産振興審議会一つ取り上げましても、緊急の事態のときには振興審議会を開くということになっておるわけですが、それが開かれない。もうトン一万円とにかくえさが上がるということは、これは先ほどもどなたか申されましたが、非常な事態であると思うのです。そういうことを一つ見ても、なかなか完全に実行されているというふうには断定し得ないのじゃないかというふうに考えております。
  16. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 彦坂参考人にお尋ねしたいのですが、先ほどいろいろな新しい構想を述べられました。その中で生産調整ということで、半ば計画生産ということに発展してくると思いますが、この生産調整は農民みずからの積極的な構想か、上層部の幹部だけの構想かというちょっと疑問を持った点であります。そして登録制をしろという問題なんですが、これははたして成功するという自信を持っての御意見でしょうか。
  17. 彦坂茂一

    彦坂参考人 お答えします。  需給調整をもうやらざるを得ない事態にあるのではなかろうかと思います。これは酪農とか養豚と違いまして、養鶏、特に採卵鶏については、現在三百八卵国民一人当たり食べておるわけです。この上にどうしても鶏卵が大きく必要であるかないかということは私は疑問だと思います。現在の食糧事情、特に世界の原穀が不足しておる中で、もうそうそうふやす必要はないと私は思っております。したがいまして、この面についてはわれわれとしてもどういう方法生産調整をやるかということについていろいろ頭を悩ましたわけなんですが、自由経済の中で、これをおまえは何ぼしか飼っちゃいかぬということはなかなかむずかしいわけです。しかし、ここまで追い詰められてくると、やらざるを得ないところまできておりまして、上層部といわず、下のほうでも、何とかして現在の登録羽数によって、そうしてその羽数を維持する。現在一億二千万羽おりますが、一億二千万羽おれば十分に国民の要望にこたえる生産量が上がるのだから、その鶏を人口がふえるくらいはふやしてもいいが、そうふやさない範囲でやるとしたならば、登録して、そうして中にやめる人があれば、その人の権利を移譲して鶏を飼うということが必要ではないかということまで進んできております。だいぶもともとよりももっと進んできました。  これは言うと、こういうような浮動性の多い養鶏の実態、ほかと違いまして養鶏は買い手市場であります。それで鶏卵の価格というものは形成されてしまう。荷物がよけいあればべらぼうに下がっちゃう。それから少なければ上がるということになりますが、価格そのものが幾らがいいか。私どもが要望する価格が、今度の値上がりによって吸収されるやいなやということは疑問があるわけなんです。  でありますから、安定するには、そういうような方向に持っていけば、周期的の上がり下がり、景気の上がり下がりはないというのは、これは消費者もよし、養鶏家もいいということになるのじゃなかろうか。価格が安定してくる。これは政府の力——やる自信があるかと言われればちょっと困ることは、これは法的措置を講じてもらわなければ、われわれだけが幾ら言っても、やっぱり法の力で国がやっていただかなければ何ともできませんから、これは先生方のお力によらなければいかぬと思います。  以上であります。
  18. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 いろいろ新しい問題点を聞かしていただいたのですが、先ほど根岸さんの発言の中で、私たちぐっとこたえたところがございます。それはなぜかというと、肉の価格が上がったんだから素牛を売ったらいいじゃないか、そうすれば大いにもうかるじゃないか、こういう考え方があるという、肉の価格酪農事業との関係が少し混同しておるという意見が出された。一方では、いままで米価の問題その他農民のいろいろな農産物の価格についていうと、農民は土地が値よく売れるじゃないかという論法と同じだという気がするわけです。肉の価格が上がったんだから、酪農家も楽なんだろう、こういうことは、土地が値よく売れるからいいじゃないかというのと同じだと思うのですが、これは根本的に誤りがあるという気がするわけです。こういうことばが皆さん方の耳に入っていく、酪農家の皆さんにそういう考え方が伝わっていくということは、どこかそういうものを流しておる張本人、仕掛け人というものがあるわけだと思うのですが、その仕掛け人はどこから出ておるのか、この点、確認しておられれば、たとえば農林省の畜産局が言ったんだということになれば、私たちは断じて許すことができない、こういう気がするわけであります。そういうことは断じてとめなければならぬことばであると思います。  そういうことから、その他万般にわたって輸入政策、たとえば今度はアメリカは大豊年だ、また安心しろ、こういうことで、一時押えのハリやおきゅうをするようなやり方だということは、どうも私たちの考え方からいうとおかしいという気がいたしますが、それを一言だけお答え願って、あと私は島田君に譲りたいと思いますので、根岸さん、すみませんが、お答え願いたいと思います。
  19. 根岸孝

    根岸参考人 お答えいたします。  まさにおっしゃるように、私どもは、土地が値がよくなるのと全く同じような感覚でとらえられたら、いわゆる酪農を論ずるんじゃなくて、酪農をやめる人に都合のいいような話でございまして、それをだれがどこで言っているかというと、これは生産者内部にもそういう意見を言う者もございます。あるいは当局の中にもそういう考えの方もあるようでございますし、総じて全体の空気として、そういうような、酪農では牛がよく売れるからいいじゃないかという安易なところでそう言われているのだと思いまして申し上げたわけでございますので、どこのだれがというふうに特定するわけにはまいりませんが、そういう空気でございます。
  20. 島田琢郎

    島田(琢)委員 関連して御質問申し上げますが、特に全農井田常務さんにお尋ねいたします。  先ほどもお話の中にありましたが、来年度以降の見通しについて触れていらっしゃる中で、必ずしも楽観が許されない、こういう結論であったようにお聞きをいたしました。特に本日の日本農業新聞の一面見出しで非常に大きく報道されておりますが、「エサは下がらない?」これは先ほど井田参考人がおっしゃった点でありますけれども、われわれ非常にいま期待をしておりますのは、アメリカが大豊作である、それからソビエトも小麦の増産が大体軌道に乗った。国際的に見れば、そういうプラス要因というものがあるというふうに一般的には受け取られておるわけでありますが、そういう中にあって、いわゆることしのような現物あっての大暴騰、あるいは現物なしの大暴騰という中で、さらに来年度以降の見通しの中で、さらに品物が不足をしていく、世界の穀物市場が一そう窮迫するというようなことが現時点で報道されておりますが、これは非常にショッキングでありまして、そうすると、今回の第二次飼料対策が済んでも、来年度以降においてまたぞろこの問題が出てくる。そればかりか、さらに非常に深刻さを帯びてくるというふうになりますと、全農としては来年度以降の対策についてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、この点が第一点お聞きいたしたい点であります。  それからもう一つは、春の値上げ、さらにまた今回一万百十二円の値上げ等につきまして、われわれは末端農家のいろいろな御意見をいただいております中で、特に一万円の値上げの根拠というものが十分農家の間に理解されていない。いわゆる農家としては単協を通じ経済連を通じ、そして全農に集約されている組合員でありますし、また今日のこうした事態に対して最も理解を求めていかなければならないのは農民であります、使っている生産者でありますが、こういう方々の意見というものが、全農の今回の値上げに対して必ずしも釈然と理解をしていないという点が私は非常に重大だと思うのです。これは組織上の問題もありますけれども、なぜこの値上げが行なわれたかというその背景をもう少し明らかにしながら理解を求めていく、そういう全農のあり方というものが必要ではなかったか、こう考えますが、御意見を求めたいと思います。  それから三つ目には、この春以来飼料にかかわる事件が非常に起こっております。その一つは、静岡県における豚の奇病であります。それからもう一つは、富山県における乳牛の事故であります。こういう一連の事故は全農取り扱いの飼料の中において起こっておるというような判断が一面なされておりますが、この原因がいまだに明らかにされておらないのに、こうした飼料が安易に使われているということは、私どもとしてみれば、非常に危険であるというふうに判断をしているわけでありますが、これらの問題について積極的に究明をされるというのは行政の責任であると同時に、こうした飼料を直接つくって売られた全農の責任も私は非常に大きいと思うのでありますが、この辺の処理あるいはまた経過等について、簡単でけっこうでありますが、ぜひお聞きをしておきたい。以上三点についてお尋ねを申し上げます。
  21. 井田豊秋

    井田参考人 第一点の、将来といいますか、来年以降の問題につきまして、先ほど一般的な見方から、そう価格というものは下がりそうもないというような判断を申し上げたわけでありますけれどもここのところは、最近の半年といいますか、春以来の世界の穀物及び価格の動きを私たち見ておりますと、過去にないような、経験したことがないような事態を含んでおりまして、まことに目まぐるしいというか、一日の間の変動あるいは一月の間の変動、そういうものがきわめて大きいものですから、来年どのような価格になるか的確に私どももつかめないのでございますけれども、ただ、先ほど申しましたような、大供給国であるアメリカあるいは豪州、アルゼンチンというようなところの作柄がいいということと、去年問題を起こしました、大量買い付けを行ないましたソ連等がいいということから、量的に需給が逼迫をするというようなことはあり得ないのじゃないかという観点に立っております。  ただ、御承知のように、価格はシカゴで国際的な価格が立つものですから、ここにはかなり思惑といいますか、投機も働きましょう。そういうようなことで、実需といわゆる需給を反映した価格、それにどの程度の思惑といいますか、投機が働いているのか、そこの区分がなかなかつかない。投機の部分は、おそらく需給かなりゆるやかになればさめる。しかし、全体の需給は、過去のようにアメリカが大量の在庫を持っておるというようなことのない時代でございますから、その面での需給を反映した価格はどの点であるかというところの判断が私はつきかねておるわけでございます。ただ、国際的なインフレ傾向からいって、もとのような価格まで、この一年で一万八千円上がったわけでございますが、それがもとに返るというようなことはちょっと考えられない。どの程度投機、思惑部分が冷えるかという程度だと思っております。  それから、値上げにつきまして組織会員に十分に連絡あるいはPRというものが行なわれていないではないかということでございますが、価格の積み上げにつきましては、これは組織、特に関係県連の部課長を通じまして何回も討議しておりますし、また、単協までには全農通信という機関紙がございます。これによりまして、三回も詳細国際情勢なり、値上げをせざるを得ない情勢は通じておるわけでございますが、そういった形式的なものでなく、もう少し末端会員まで通ずるような方策というものは、今後われわれとしても研究して、努力していかなければならぬと思っております。  それから、第三番目のいろいろ事故の問題が指摘されましたが、静岡の豚の問題につきましては、これは名古屋の蒲郡にある愛知くみあい飼料という会社でつくっておるものが出ております。これにつきまして、御指摘のような、豚が奇形になるというようなことがいわれまして、私のほうも調査をいたし、それから農林省にもお願いをして調査していただいておりますけれどもえさばかりの原因ではないというように私は聞いておりますし、ビールスが原因ではないかというようなことも聞いております。  なお、このようなことのないようにやっておりますが、富山の乳牛につきましては、新しいダイブという商品名でございますけれども、尿素をイソブチルアルデヒドで皮膜しました緩効性のたん白飼料として新しく三菱化成がやりましたものを私のほうも試験をいたし、一月以降、全国五カ所で実験をいたしまして、別に問題はないものでございますから、四月二十日から富山、石川で御要望に沿って製品を出したわけでございますが、これを用いたところで斃死あるいは病気を起こしたというものがあるというようなことで、至急調査をいたして、現在も調査を続けておりますけれども、新しい飼料だけに、いろいろ使い方等でまずい点があったのではないかと思いまして、われわれもその使用上の指導というものに欠けておった、あるいは不十分であったのではないかと反省しておりまして、すぐこれは製造販売を中止いたしております。そういうようなことで、今後とも品質の問題につきましては十分注意いたしますが、なお、品質ばかりでなく、そういった使用上の指導につきましても十分やって、事故の起きないような方策を講じたいと思っております。
  22. 島田琢郎

    島田(琢)委員 時間が参りましたので、質問はこれで終わらなければなりませんけれども、私は、先ほど常務さんが末端に対するPRはいろいろな形でおやりになった、こういうことでありますが、少なくとも協同組織である全農も経済連も、単協も、これは農家と運命共同体でありますから、そういう意味で、なぜ今回の値上がりが一万円の値上がりをしなければならなかったかという背景については、いろいろなマスコミの報道がありますから、これはばく然とは皆さん承知をいたしております。しかし、この根拠はどうなんだというふうな点になりますと、私はまだまだ説明が不十分であったと思います。値上がりに対する要素というものが幾つかあるわけでありますし、また、それに対するガラス張りの経営の内容というものを知りたいというのも、率直ないわゆる末端農民の意見でありますから、こういう点をひとつ積極的に吸い上げていただくような全農組織であってほしい、こういう願いを込めて実は申し上げているわけであります。  それから事故の起こりました飼料の問題については、私は別な機会に行政の責任を追及する形でやりたい、こう思っておりますけれども、当面はこれを販売された全農の立場での責任をどのようにお感じになっているかという点を私はお聞きしたかったのでありますが、使い方の問題等も意見がございました。しかし、これは農家の実際に使っている立場からいえば、使い方についての十分の認識がなかったといえばそれまででありますけれども、しかし、非常に研究しながらやらなければならないというほどわずらわしい飼料であっては、私は普及とか今後の効果の上で問題を残すと思います。したがって、ただいまは製造を中止しているというお話でありますが、一部伝え聞くところによりますと、九州全域にわたってこのダイブ飼料が使われているという話も仄聞いたしておりますので、これらの実情は私もまだ調査をもう少し進めまして、こうした危険な状態というものが再び起こってこないように、少なくとも十五頭という大きな被害を富山県下に起こしたこの飼料でありますから、ひとつ全農の立場で十分御研究されて、危険を最小限に食いとめるということの万全の対策をぜひおとりいただきたい、こういう希望を申し述べまして、たいへんおいでいただきました四人の参考人の皆さん方から貴重な御意見をいただきましたことに感謝を申し上げて、私の関連質問を終わります。どうもありがとうございました。
  23. 佐々木義武

    佐々木委員長 津川武一君。
  24. 津川武一

    ○津川委員 参考人の皆さんにはほんとうにきょうは御苦労さまでございます。  そこでまず、彦坂さんにお伺いいたします。  皆さんが一生懸命養鶏をやられてこられて、そして規模を拡大し、一生懸命私たち日本人の主食たん白質源確保のためにがんばり抜いたことを、私たち非常に多としている次第でございますが、いまお話を伺いますと、もう拡大の余地もなくなった生産過剰ぎみになった、生産調整しなければならない。こうなってきますと、思い出すのは、私たち、皆さんの努力が養鶏農家のところに返らずに、二十年価格安定という点でそっくり吸収されてしまって犠牲にされた、こういうふうにまで考えているわけでございます。  そこで、生産調整されるに対してインテグレーション、大規模の養鶏、資本主義的な養鶏をどうされればいいのか、どうしたほうがいいのかという御意見をお伺いしたいわけです。私たち持っている本でいうと、伊藤忠、三菱商事などがかなり養鶏に乗り出して、伊藤忠では常時三百五十万羽を持っている、これを五百万羽、六百万羽などに広げていくなどということをいわれているようでございます。そして生産調整されるにしても、皆さんが自主的に生産調整しても、このインテグレーションの資本がどんどん進めていくならば、これはどうにもならないのではないか。特に伊藤忠などは安定基金のほうに加入しないで、アウトサイダーみたいなかっこうでどしどしやっていく。こういうものをどうなさればよろしいのか。彦坂さんは横浜だそうですが、この間、私も横浜の波止場を見たのです。そうしたら、伊藤忠の所有物がはしけの中にたくさん税関を通過しないで、植防も通過しないでためられておったのを見て、どうしてもここで価格えさの問題でも生産調整でも、こういう大きな資本を何とかしなければならないんじゃないか。私たち共産党は、日本人の主食であるものを日本の農民につくっていただく、農業的な養鶏をやりたいというふうに考えているときに、ここの点を、こういう大資本のインテグレーションをどう処置したらいいか、御意見ありましたら、ひとつ伺わしていただきたいと思います。
  25. 彦坂茂一

    彦坂参考人 お答えいたします。  大資本の商社系の進出、これはわれわれとしても非常に苦しい立場に置かれております。何となれば、私も集団養鶏を初めやったのですが、初め大資本で出てきたのは大洋、日魯でございました。あれは失敗したのですけれども、現在のそういうような大きい資本の系統の養鶏、これの経営実態というのは決してよくありません。はっきり申しますと、養鶏経済そのものではおそらくマイナスになっておると思います、そんななまやさしいものじゃございませんから。ところが、最後の利益を得るのは土地の値上がりです。したがいまして、それらの商社が、養鶏経済の利害関係よりも、土地の値上がりというものを前提にしているということについて、われわれも非常に不満を感じております。これらの商社がインテグレーションの中でやっておるものは、ふ卵あるいはえさ業者かあるいは流通販売、これらと結びついておりますが、私たちとすると、これはどうするこうするということはできませんが、やはり現在ふえておるのは東北地方と九州、新潟でございますが、もともと養鶏の先進地といわれたところはずっと減っております。最近進出しているのはそういうようなところで、地価の安いところへ行ってやっておるというところに、生産に関しての何らかの一つのかせをかける必要があると私は思います。したがって、それらのものを登録制のワクの中に入れておけばいいのじゃないか、かように考えるものでございまして、長い間われわれの築き上げた養鶏というものが、現在は相当高度な養鶏経営ができるようになっております。機械を使ってあるいは資本を使えば。そういうものが横からするすると来て持っていかれるというのが現状でありまして、決して快しとは思っておりませんが、自由経済の中で法的にこれはどうするということはできませんが、われわれも生きるあるいはそれらのものを含めて生きる上においては、無謀に鶏をふやすということは、私は賛成しない、かように考えておるわけでございます。
  26. 津川武一

    ○津川委員 こういうふうで皆さん生産調整をやられる、それから価格安定のために自主資金として三億円拠出するという皆さんのこれを見せていただいて、私も非常に苦労されておることを見ているのですが、この二ページの中に「実際の需要供給を反映している卵価なら、生産者生産を調整するより仕方がないが、事実は一部の流通業者の思惑による需要供給で決められている。」こう書いているわけです。  それからもう一つは、えさの投機の問題で、彦坂さんが、だれが投機しているかということはここでは言えないというお話があったわけですが、この一部の流通業者、ここではなかなか言えないと思っているのですというお話でしたが、私は具体的にいってみて、伊藤忠などというのはそう思っているわけですが、この点、彦坂さんお答えが無理ならばお答えいただきませんけれども、もう一回教えていただければありがたいと思っております。
  27. 彦坂茂一

    彦坂参考人 お答えします。  その辺の個々のメーカー、業者をあげるということは、私たちとしてもちょっと困りますから、御容赦願いたいと思います。
  28. 津川武一

    ○津川委員 その次に、借金が二年償還ではとうていだめだ、これを長期にという皆さんの主張、私たち身にしみるほどわかるわけで、このために私たちもがんばってみたいと思っておりますが、そこで、どのくらい借金をしょわれているのか、養鶏家の皆さんは。もうこの上借金だとだめだという皆さんの声を私もかなり聞かされているのですが、ここいらあたりの微妙なところ、今度政府でお金を貸すときに借りられるのかどうか、こういう点をもう少し伺わしていただければありがたいと思いますが、お願いします。
  29. 彦坂茂一

    彦坂参考人 養鶏経営のほんとうの正しい投下資本というのは、少なくとも自己資本が半分であって、借り入れ金が半分、これが望ましいことになっております。しかし、現在の施設は非常に高度なものになっております。したがいまして、昔一羽千円ぐらいの施設でできたものが、いま二千円とか二千円以上かかっておる。でありますから、現在やっている畜産団地の借り入れ金は七割、ひどいのは八割ぐらいの借り入れをしております、投下資本に対して。したがいまして、その上に今度は畜産資金をこの間緊急的にお借りしたのですが、あれはすぐ返せといっても、なかなか返すわけにはいかぬと思います。  私ども、最初から二年でやるということに非常に疑義があったわけです。しかし、ああいうことに決定されたのですが、この次に出るのも含めてこれは長期にやってもらいたい。私は二年据え置きの四年償還ぐらいにしていただきたい。無利子とそこに書いてありますが、そういうことはできないと思います。それまでやれればけっこうですが、ちょっとそこは無理かもしれませんが、なるべく低利な資金をお貸し願えればこれはけっこうだ、かように考えます。  でありますから、苦しいのは、せんだって緊急的な融資に対して、借り入れも御承知のように養鶏が一番よけい借りております。養鶏はいま一番苦しんでおります。何となれば、養鶏の経営は飼料の値上がったわりあいに卵価そのものに吸収ということが、非常にむずかしさがそこにあるわけであります。
  30. 津川武一

    ○津川委員 えさ値上げしていくものは、私はたとえば伊藤忠などの大商社だと思って、ここに伊藤忠さんを参考人として呼んでいただくようお願いしたら、一部の党によって断わられてきょうできなくなったわけです。非常にその点私は残念に思っておりますが、これは後刻また適当な機会を見つけてやってみたいと思っております。  そこで、全農井田さんにお伺いします。先ほど話も出ましたけれども、皆さんの今度の一万百十二円という値上げの根拠を、もしお示し願えるならば示していただきたいと思うのです。  皆さんからの資料によりますと、あの古々米を払い下げたときのトウモロコシ原料単価が二万四千円、今度の場合トウモロコシ原料単価を八千六百円と、製品原価のところがかなり値上がりして、千九百円古々米の点でやっておって、その他の調整を見ながらも、なお今度のトウモロコシ原料値上がり単価を八千六百円と見た、この根拠を少しお示し願いたいと思うのです。
  31. 井田豊秋

    井田参考人 これは先生おっしゃられましたように、古々米がなくなりました分が大体——特例法によるものですが、古々米、大麦、ふすま、小麦がなくなりまして、これが新たなものに置きかわる、いわゆる高い輸入原料に置きかわる分が千九百円ぐらいございます。それ以外に輸入原料が絶対的に価格として上がっているものが八千二百円ばかりございます。その中のトウモロコシが八千六百円ぐらい、これは四月の時点で実は値上げをしようと思いまして算出した基礎価格が当時ございまして、それが当時特例法による特例価格の払い下げで引き下がる、それから為替の変動制に移行したメリットを合わせまして四千円ばかり上げないで済んだということでございます。そのときに算出しておる基礎価格と、今度現在の時点での価格との差でございます。
  32. 津川武一

    ○津川委員 先ほど数字を読み違えて失礼しました。皆さんの資料によりますと、古々米を払い下げたときに製品価格に及ぼすトウモロコシの上がり分は千二百円、今度の場合は二千七百五十円、二倍からもっと上がっている。ところが、実際に私も税関に行って調べてみたのですが、トウモロコシがCIF価格で上がっていくと、三月のときには二万円、二万五百五十六円、七月に二万四千二百六十九円、あまり上がっていないのに、皆さんのところで二倍半にも近く上げていくのは——私は、全農が春のころ果たした役割は非常に高く評価しているのです。業者、商社が上げるのを、全農が四割というシェアを握っておったためにあれを押えた。この役割りは私よく認めますけれども、今度は何か全農が上げているんじゃないか、この心配かなり持つわけです。全農もしくは経済連の飼料会社、単協の倉庫にかなり入っている。もっと具体的に言うと、長野県の松本平の農協に行ったら、専務が、うちのほうに経済連と全農えさを、まだ使わない、これからのものをためておく、全農が投機しているんじゃないか、こういうことを聞かされて、私もびっくりし、皆さんの資料を見てまたびっくりしたわけです。三月のときには、もう一回繰り返しますけれどもトウモロコシ値上がり分が占める比重が千二百円、今度はトウモロコシ値上げ分が占める比率が二千七百五十円、そして八千何ぼと前の千九百円、えさ分のときの古々米がなくなったからその分千九百円、今度の値上がり八千何ぼで一万百十二円にさせておる。この千二百円を二千七百五十円にトウモロコシ分をなぜ値上げしたのか。実際に輸入価格はそれほど上がっていない。ここのところに——今度は主導権を全農が握ったんじゃないか、もう少し全農にここをあきらめてがまんしてもらわなければならないんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、私のこの指摘が間違っていればおわびをするし、いかがでございますか。
  33. 井田豊秋

    井田参考人 先生のお持ちになっておる数字はちょっと、私、わからないのでございますが、全農といたしましては、決してさようなことは神かけてやっておらないわけでございまして、全般が上がろうとするものを押えていくということで、できるだけの、限度一ぱいやったつもりでございます。現に先般の六月に私どもの一カ年の決算をやりましたが、初めてえさでは赤字決算をするというような状況でございますし、その以後の七月、八月につきましても、先ほど申しましたように、原料価格の上がっている分をみずからのリスクで、上げないで進んできておる、これもかなり負担になっております。  ちょっと、私、感ずるのでありますが、先生のおっしゃいました通関価格、いわゆる税関を通っておる価格だけで見ますと、非常に私は問題があろうかと思うのであります。特に通関の実績というのはあとになって出てまいりますから、二月、特に三月あたり、いわゆる変動制でもって、円にしては一五、六%下がっております。ところが二月まで、あるいは一月まではずっと旧レートでやっておりますから、同じレートでいきますと、それは一五、六%アップになっていっているはずなんでございます。その下がったところだけをとりまして前と比較しますと、非常に奇妙なものになってしまう。私のほうは変動制があるということを知らぬで三月の値上げをしております。その分は三月価格でお返ししておる。いわゆる為替メリットとしてお返ししております。それから、四月以降は、その為替メリット分を価格引き下げといいますか、抑制に使っておるということでありますから、通関価格そのものをとりますと、非常にそこの変動したときの前のレートとあとのレートの切れ目が問題だと思います。それは通関の実績ですから、二カ月後に出てまいりますので、そこのところ、私はちょっと疑問ではないかと思う程度で、あとにつきましては、全農が先に立って悪いことをするようなことの絶対ないことをここでお誓い申し上げておきます。
  34. 津川武一

    ○津川委員 参考人ですから、私、議論を吹っかけるつもりは何にもありませんけれども、これは政府にも聞いてみなければならぬことで、もう一回言いますと、これは皆さんの試算です。一万百十二円上げたときの試算。前の古々米分のものは千九百円、これを加えるのはいいです。これはわかります。そこで今度の値上げ分として八千二百十一円加えました。このときの八千二百十一円にトウモロコシ分が二千七百五十円、三月のあの時点では千二百円、したがってこれはかなりの大幅な値上げだ。  そこで、今度はえさの実際の輸入価格を見てみても、シカゴ価格でもガルフ価格でもCIF価格でも、これほど上がっていない。しかも末端の単協の中には全農えさが、いま使うものでなく、これから今後何カ月か後に売るものがたまっておる。  こうなると、どうしても全農というものがここでもう一回飼料も公開するし、赤裸々に出して畜産の安定につとめるべきだ、こういうふうに思うわけでございますが、これまた後ほど具体的に直接お伺いしてもよろしいし、これだけ指摘しておいて、私、質問を終わります。  きょうは参考人の皆さんには御苦労さまでした。
  35. 佐々木義武

  36. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 飼料価格及び畜産経営問題等について、緊急事態が起きておる本日、井田根岸彦坂松村参考人には貴重な御意見をいただきまして、たいへん有意義な参考になったことを、冒頭お礼を申し上げます。  午後、本委員会でもこういった問題について政府にその考えをただし、皆さんの要求を実現するために質問を続行することにいたしておりますが、この際ぜひ承っておきたいことが若干ございますものですから、若干の質問を申し上げます。  まず最初に、全農井田参考人にお伺いいたしますが、御承知のように、九月七日閣議に報告されましたところの飼料緊急対策については、二つの問題が提起されております。その中で畜産経営特別資金融通措置、これについては、御承知のように、昭和四十八年九月以降四十九年三月までの間に畜産農家が購入する配合飼料費の一部につき低利資金、金利年四分、実際にはこれは八分か八分五厘だと思うのですけれども利子補給を出す関係から末端金利は四分、こういうふうにいわれておりますが、の融資措置を講ずる、資金総額は四百十億円、償還期限が二年、据え置き期間六カ月、国が三分の二、県が三分の一、こういうのでありますが、私、いろいろ各地の意見等を聞いて今日までまいりまして、その結果は、団体としてはこういった金融措置はありがたいには違いないけれども、もう借金がかさんでおる上に飼料値上げ等によって、いずれはこれは返さなければならない、またこれを返すには七、八年はかかる、こういったことから、好まない、借金がふえるだけだということで、ずいぶん批判がありますけれども、この点についてはどう考えておられるか、またどういうふうに全農では考えを持っておられるか、簡潔にひとつお示しいただければ幸いであります。
  37. 井田豊秋

    井田参考人 系統の中の意見で、先生のおっしゃったように、もうこういうような借金政策はよしてくれ、その分だけでも直接助成のほうに回してくれという意見かなりあったことは事実でございます。しかしながら、一方におきましては、春の段階にも、あれは二百億近くのワクで半分使っております。いわば半分だけは賛成者もあるといいますか、使う人もあるわけでございまして、利率四分ならこれは魅力があるという方もおります。そのようなことで、これを一がいに不必要というようなことはわれわれも考えておりません。四分で借りられるということはけっこうではないかと思っております。ただ、大動物につきましてはちょっと償還期限が短過ぎる、そう思っております。
  38. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 井田参考人にさらにお伺いしますけれども、この配合飼料価格安定基金の拡充措置について、先ほどの陳述の中で、ぜひこの強化方策を早く取りきめていただきたい、こういう御発言がございました。御承知のように、年間の配合飼料の販売数量というものは千八百万トンといわれますが、これを十二で割ると月間百五十万トンということになります。一万百十二円の値上がりを見ますと月に約百五十億円、九月から三月までの七カ月だと、百五十億円かける七で千五十億円、十月から三月までとしますと、六カ月ですから約九百億円、こういうことになります。  私は、基金も赤字で、しかも借り入れのめども立たない状況下にある今日、これを全部政府は見るべきである、こういった強力なことを言っておるのですけれども、御承知のように、農業総産出額等は四兆三千二百九十五億円で、米が一兆五千百六十二億円、畜産が一兆千三百五十億円、こういうふうになっております。第二食管といわれた畜産。米と畜産と比較した場合においても約六分の一くらいの国の補助になっているということがいわれるわけでありますが、こういったことを見ましたときに、もっと畜産には政府は力を入れるべきである、こう言って私はしきりに訴えておるわけであります。  今回はこの配合飼料価格安定基金の拡充措置の中で、いわゆる基金が銀行から借り入れて国が債務保証をするということと、もう一つは、国が直接助成方式によって二百十一億円を助成しろというようなことが別途検討ということで提起されておりますけれども、私はもう当然三月の値上がり分一千五十億円ないしは九百億円、こういったことについてはまるがかえで国が見るべきである、こういうふうに強力に機会あるごとに国に訴えておりますが、全農としてはこれはどういうふうに考えておられるのか。もっと強気で言うべきじゃないか、かように思っております。また、当然直接助成方式でやるべきである、かように思っているわけです。その点、全農としての決意をひとつお聞きしたい。
  39. 井田豊秋

    井田参考人 われわれといたしましても、一万円余の値上げ畜産経営に非常に大きな悪影響といいますか、重圧を及ぼすということから、ぜひこれは何らかの方法でひとつ抑制してもらいたい、特に安定基金を使うというのであれば、これを通してけっこうであるから、全額ひとつ見てもらいたいということをずっと申してまいりました。しかし、先ほどの情勢にも話がありましたように、世界じゅうが高位安定というふうにいっているのならば、一時の問題としてこれをやっても解決できない、限界があるであろうというようなことで、農協といいますか、全国連としましては、もしできない分は、当然それは畜産価格でやってくれという前提で進めてまいっております。  それから助成につきましては、借金といいますか、基金融資というようなかっこうでは困ります。これはあくまで直接助成でやっていただきたいということを強くお願いいたしておりますので、その点はっきりしていただきたいと思っております。
  40. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 根岸参考人にお伺いしますが、先ほど全中の松村参考人からも陳述がありました中で、加工原料乳は少なくとも、飼料労賃値上がりを見ました場合、六円は上げてほしい。御承知のように、この問題が一番大きな当面の問題じゃないかと私は思っております。すなわち、加工原料乳の一キロ当たり保証価格というのが四十七年が四十五円四十八銭、四十八年は四十八円五十一銭とまことに微々たる値上げでありまして、頭打ちになっております。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕 これを私たちも最低六円ないし七円は上げるべきだということはかねがねから考えておるわけですけれども団体側としては、加工原料乳の場合は二十円、生乳の場合は十五円というような大幅値上げの要請等が過般から出ておりますけれども、これらとのかね合いで、根岸参考人は、全酪連としてはどういうふうにその辺は考えておられるか、全中のおっしゃるようなことと同じ考えであるか、その点ひとつ明快にお示しいただきたい。     〔山崎(平)委員長代理退席委員長着席
  41. 根岸孝

    根岸参考人 お答えいたします。  加工原料乳値上げにつきましては、大幅な値上げを要求というか、お願いをしているわけでありますが、御案内のように、四十一年から加工原料乳と飲用乳とを分けて取引するような結果になりまして、当時市乳加工原料乳は六円程度しか開いていなかったわけであります。片方は政府できめる、片方は民間で自主的にきめていくという方向でやっております中に、ことしの春までの結果では十九円加工原料乳のほうが安くなっております。飲用乳との差額が生じております。したがって、それらの埋め合わせをしていただくということになりますと、市乳値上げをいま十五円、実際にはえさ値上げ分を含めて十九円五十銭という要求もいたしておりますが、かりに十五円といたしましても、十五円のほかに格差を是正する分を含めますと二十円以上の開きがあるということで、われわれ団体としては二十円以上の要求をしているのが現状でございます。したがいまして、そのほかにえさの急速な最近におきますものを加えまして、先ほど十五円と申し上げましたが、さらにまたその四円五十銭ばかり、本日指定団体会議が開かれておりますが、そこで再値上げを要求するというような空気になっております。そんなことでございますので、十五円と十九円五十銭との隔たりがございますが、加工原料乳につきましては二十円以上という格差の是正も含めてやっていただくことを政府お願いしたい、こういうのが今回の実態でございます。
  42. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次は全国養鶏経営者会議名誉会長の彦坂参考人にお伺いします。  先ほど全中の松村参考人からも陳述がございました液卵の問題ですが、輸入を阻止したりまた国内価格の維持をはかるためにも液卵公社の問題があるわけです。御承知のように、現在九億円の出資で公社が運営されておりますけれども、まず全中の松村参考人からは今後ワクを二万トンに広げてこれをてこ入れしていきたい、また買い入れ価格についても、当然これは卵価の基準価格との関係がございますが、現在百七十一円ないし百七十二円でございますけれども松村参考人はこれをキログラム当たり四十円上げる、そして買い入れしていただきたいという陳述がございまして、市場価格の維持をはかりたい、大要こういったことでございましたが、彦坂参考人のほうでは、これについてはこのように受けとめておられるのか、これと同じ考えであるか、その点ひとつお考えをお示しいただきたい。
  43. 彦坂茂一

    彦坂参考人 液卵公社につきましては、一時施設をしても操業していなかったのですが、最近ようやく操業するようになりましたが、いまおっしゃるように、二万トンもやればそれは相場が相当動くのじゃないか。というのは、現在の卵価形成は市場におけるところの入荷の量によって卵価が形成されています。その日に売り切れないと非常に暴落する。したがって、荷物が非常にたくさん入る、入荷が多いということは卵価が下がることになります。そういう場合は市場からカットするということが必要である、かように考えるものでございまして、まことにけっこうだと思いますが、それについてはいろいろの予算がつかなくてはできないというわけで、実は先ほどのパンフレットの中に入れてあります三億円拠出運動、それは液卵に結びついております。われわれが成鶏飼料一トンについて五十円拠出している。三億円近くなったその金によって市場からカットして、それを液卵公社に回してやるということによって価格維持をやろうというのがねらいでございます。それについては養鶏農家の承諾を得なければなりませんから、養鶏農家の承諾は、関東一円はもう了承を終わっております。  それから、卵価安定基金の百七十三円ですか、これにプラス四十円ということは二百十三円になりますか、この価格が必ずしも妥当であるやいなやということはわかりませんが、養鶏の場合は手取りが二百五、六十円でなければならぬ、市場価格が、私が出しましたように二百七十円以上でなければ今後はやっていけないということになりますから、二百十三円がよいか悪いかということは私どもちょっとわかりませんが、なるべくならそういうような方向づけでいくということは、養鶏農家の経営を何らかでも助けていけるのではなかろうか、かように考えます。
  44. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 液卵公社の問題はたいへん重要な問題でありますが、御存じのように、現在出資が九億円だけれども畜産振興事業団が四億円、都道府県が二億円、全農二億円、全鶏連が五千万円、キューピーマヨネーズが五千万円、計九億円。今回農林省の来年度予算要求等を見ますと、このワクを二千二百トンにいたしまして約二億円の予算が組まれております。そうなりますと、当然いまのような、全中の松村参考人あるいは彦坂参考人のおっしゃるようなことで推移していけば、またそうしていかねばならぬと思いますけれども、二万トンといいますと、かなり大きな量になるわけです。これに伴って出資も当然考えていかねばならぬということになろうかと思いますけれども、これに対する全農の出資はどういうふうに考えておられるか、また全鶏連のほうでもどういうふうに考えておられるか、応分の出資をしてやっていく、こういう考えであるか、その点、お考えをお聞きしておきます。
  45. 井田豊秋

    井田参考人 いまの液卵公社のあり方につきましては、私のほうは根本的に考え方に異論がございまして、いまの出資金から生ずる果実の範囲内で調整をしていくというのなら、これはもう限界がある。そうでなくて、先ほど松村常務から言いましたあれも、二万トンばかりやるということはかなりの差損が出てまいります。それは単に資本の果実といいますか、利息だけで補っていけるものではないので、そういう機能で存続するのなら、われわれとしては単なる増資には応じられない。この際抜本的に、時期的に生ずる余剰卵をつぶして、そのつぶす差損はひとつ政府で見てくれということをわれわれは申し上げておるので、単なる増資といいますか、資本の果実だけでやっていく程度でわれわれおさまらぬという考えでございますから、そういう線での増資では私どもはちょっとむずかしいのではないかと思っております。
  46. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 彦坂参考人にもう一度お伺いしますが、先ほどの陳述の中で三億円拠出運動の資料等が配られました。先般の養鶏危機全国突破大会でもいろいろお話がありましたが、この中で大規模な新増設養鶏の一時停止運動ということがございます。もちろんこの三億円拠出運動については今年三月にいろいろ決議をあちこちでされているわけでありますが、どういうことをお考えであるか、その点をお伺いしたいわけです。もちろん現在、ちょうど卵が年間百八十万トン、需要と供給がほとんどバランスがとれている。日本人が一人一年に約三百個食べるということで、ほとんどバランスがとれている状況下から見まして、先ほど陳述の中にありました生産調整の問題にからんで、登録制をぜひ行なっていきたいというお話がございましたが、まことに当然なことだと思っております。同時に、いま申しました一時停止運動、こういったことについてはどういうふうにお考えであるか、この点、お伺いします。
  47. 彦坂茂一

    彦坂参考人 お答えいたします。  商社資本の三十万トン、五十万トンというような大型養鶏に至っても、これは全国の養鶏業者が拠出するというようになれば、むろんそのワクの中へ入れていかなければならぬと私は思う。またそれが、養鶏をやっていれば入るべきものだ、こういうふうに考えます。  それから、それを液卵化して、先ほどもちょっとお話があったように、二万トンというような——先ほどちょっと、私、お答えを忘れましたが、二万トンというのは、輸入している液卵が二万五千トンぐらいですから、二万トンという量はまことにけっこうだと思います。
  48. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で終わります。
  49. 佐々木義武

    佐々木委員長 神田大作君。
  50. 神田大作

    ○神田委員 どうも各参考人には忙しいところ御苦労さんでございます。  井田参考人にお尋ねしますが、今後の飼料の手当ては、一体全農としてはどのような手当てをしておるのか、ひとつお伺いしたいと思います。
  51. 井田豊秋

    井田参考人 私のほうは別に思惑というようなことをする団体でございませんので、単協から積み上げられました県連を経てきます予約というものをもとに置きまして、たとえ値段が高かろうとも一定必要量というものは買い付けてまいっております。したがいまして、先ほどちょっと申し上げましたように、すでに一月、二月、三月のものまで買い付けを進めております。価格としては若干いまより高いというような実績になっております。そのようなことで、今後もそういう国際価格の動向を見ながら効率的な買い付けはしなければいけないと思いますけれども、系統としましては、どうしても必要なものは高くても買っていかなければしようがない。むしろ量の安全確保というものを重点に進めてまいりたいと思っております。
  52. 神田大作

    ○神田委員 それに関連しまして、飼料が非常に値上がりをした。政府はこの飼料値上がり畜産物価格で吸収しようとしていますが、一体そういうことが可能であるかどうか。しかし、そういうような価格でもって吸収するというようなことが正しい解決の方法であるかどうか、私は非常に重大な問題であると思うのです。そうなれば、これは消費者にも大きく影響を及ぼすことでありますので、われわれとしてはあくまでも飼料値上げによる畜産物価格の上昇というようなことはできる限り避けなければならぬ。そういう意味合いにおいて、一体畜産物価格飼料値上げの分が吸収できるかどうか。こういう問題について井田参考人松村参考人並びに彦坂参考人根岸参考人に、一言でけっこうでございますから、御見解を伺いたいと思います。
  53. 井田豊秋

    井田参考人 おことばを返すような言い方かもしれませんが、できるかどうかじゃなくて、われわれとしてはえさの面で押えてくれた以外の部面はどうしても実現していかなければいかぬ。それにはぜひ畜産振興審議会を開きまして、それぞれの法律に基づく安定価格なり基準価格を引き上げてもらう。また、そういうもののない卵につきましては、先ほど来申し上げております余剰卵の市場隔離というような方法でもひとつやって、適正価格実現してまいらなければならぬ。ただ、消費者サイドからの面もわれわれも考えなければいけませんけれども生産者側としては特にそうせざるを得ないと思っております。
  54. 松村正治

    松村参考人 物価が上がらなければ、もうほんとうに神田先生のおっしゃるとおりでございますけれども、御存じのような状況でございます。それに、生乳、加工乳、特に卵、こういうようなものはほかの物価に比べて私は決して高いとは思いません。ほんとうは上げたくないのです。物価のほうがしずまってくれればそれが一番いいわけですけれども、どうしてもそういう状況はないというために、やはりここでえさ価格を吸収し得るような価格実現を、先ほど井田常務の言ったような方法で、われわれとしてはぜひ実現していきたいというふうに考えます。
  55. 彦坂茂一

    彦坂参考人 私ども養鶏家の立場に至りますと、今度のえさ値上がりについては、ぜひとも卵価そのものに吸収さしてもらわなければ困ると思います。物価が上がること自体は私も好んでおりません。また、われわれも卵価が必要以上に上がることは望んでおりません。われわれが過去に行なってきたことを見てもわかると思います。それでありますから、これはほかの物価と比較して、あるいは食料品と比較して、鶏卵そのものがいままで十四、五円のものが、われわれ今度吸収してもらうと、消費者価格は二十二円から二十三円くらいになると思います。ほかのとうふとか牛乳とかあるいはふろ賃というようなものと同じような価格であった卵でありますから、これを吸収しなかったら、われわれは再生産できなくなる、どの方法を考えてもぜひとも吸収さしていただきたい、かように考えております。
  56. 根岸孝

    根岸参考人 私は酪農の立場からは、先ほども申し上げましたように、乳価というものが半分は政府決定されるものでございますから、この際、乳価政府値上げをしてくれるか、いわゆる畜産物価格で吸収するというなら乳価を上げてもらうか、あるいはそのえさのほうを政府の手によって値上げを押えてもらうか、そのいずれかどちかをとっていただくということで、先刻、閣議で決定されたのは三千円のようでございますから、あとの部分部分につきましては乳価価格を手直ししていただきたいというのがお願いになっておりますし、そういう考え方お願いをいたしております。  それから、市乳牛乳の部分につきましては、現在の段階で、これはある程度消費者負担によってその部分をやってもらう以外に方法はなかろう、それでないと再生産ができません、こういうことでございます。
  57. 神田大作

    ○神田委員 どうしてもえさ価格が上がってくると、畜産物価格でもってこれを補わなければならぬと四参考人が言われました。これはやむを得ざることだろうと思う。そのためには畜産審議会を早く開いて支持価格を改定をなさなければならぬ、まず第一にそれが大事なことだろうと思う。たばこの場合においても、たばこの審議会を開きまして、たばこ価格の改定をやりまして、七・一%の値上げをして一九%にしたわけであります。これは現在の物価高において当然のことなんです。ところが、畜産審議会だけはやれないという理由はどこにもないのです。えさが一年に三回も値上げされ、そうして畜産農家が、特に末端農家の鶏卵の養鶏家においてはいまもう破滅に瀕しておる。酪農家はだんだんと減りつつある、飼養頭数も減っていく、肉豚農家はほんとうにとんとんでどうにもならぬと悲鳴をあげておる。こういう実態をつかんで、畜産審議会を開催してこれらの根本的な問題を審議して、支持価格の改定をなすのは当然である。これを政府が怠っておるということは、重大な政府の政治責任であると思うのです。そういう意味合いにおいて、私は、皆さんがこの問題について強くこの開催を要求すると同時に、われわれとしてもこれを速急に開催をして根本的な問題を審議すべきであると強く政府に要求したいと思いますが、松村参考人としてはこれらの問題等につきまして、政府に対しましていかなる要求を重ねておるか、お尋ね申し上げたいと思います。
  58. 松村正治

    松村参考人 われわれのほうは明日畜産物価格中心にした農協代表者の大会を開くことになっております。  どうして開かないのか、予算時期で農林省が大蔵省に非常に弱い立場にございますので、背後に大蔵省があるのではないかというような感じもしますけれども、私はやはりそういうようなわれわれの運動その他を通じてぜひ開いてもらいたい。われわれ自身の委員としての立場での要請はすでに申し出てございますし、それに本農水委員会、こういうところでも積極的に取り上げていただいて、政府に御要請いただくことを切に御希望申し上げる次第でございます。
  59. 神田大作

    ○神田委員 次に私は根岸参考人にお尋ねしますが、根岸参考人も言われたとおり、酪農家が年々減少しておる、しかも飼養頭数が減っておる、これは重大な問題だ。一方において消費量は漸増しておる、消費量がふえておるのに飼養頭数が減っておる。一体そこのギャップをどこで補っていくかというと、結局一口に言えば、加工乳といいますか、適当に乳をまぜて、あるいは砂糖やその他の加工品を入れてつくる加工乳によって補っておるというようなこういう現状は、私は国民栄養からしましても非常に重大なことだと思う。日本の酪農を守るためには、いま非常に重大な危機に立っておりますが、これについては、価格問題はもちろんでありますけれども、それと同時に、流通機構において大きな欠陥もあるのではなかろうかと私は思う。日本は三大乳業メーカーによって流通機構が牛耳られておるようでありますが、この流通機構の問題について根岸参考人はどのように考えておられるか、お尋ね申し上げたいと思います。
  60. 根岸孝

    根岸参考人 私は牛乳の流通につきましては、生乳を中心とした市乳の供給というのが第一になされて、どうしても足りない部分について還元乳のみによる方式、特に国産によるところの還元乳が優先されて、乳製品が還元されて市乳として供給されるという補完的処置を必要とすると思いますけれども、少なくとも外国からバターや脱粉がどんどん輸入されて、そのほうの量ばかりがふえて日本の国内酪農家がどんどんやめていくという方式だけは押えていかなければならない、これが政治の必要なところであると思いますし、またわれわれ生産者団体としても、そういう点は十分配慮していただきたいと考えております。
  61. 神田大作

    ○神田委員 最後に私は彦坂参考人にお尋ねをしますが、あなたのところから出ている資料には、飼料輸入について国の機関を設置し、正確な需給に基づき投機を防ぎ、供給の安定を確保すべきである、こういわれております。これは非常にもっともなことだと思いますが、いまの段階でどういうような機関を設置してこれをやっていってもらいたいと思うか、その点について一言お尋ね申し上げます。
  62. 彦坂茂一

    彦坂参考人 飼料の一元輸入ということはむずかしいかもしれませんが、これはどうしてもやらなければならぬと思います。競争するのもいいが、最近のように、アメリカ市場の動きによって価格がきまってくる。やはり買い付けを一気にみんなして、商社が寄ってたかってやるから、一ぺんに上がるということになると思います。これは一つの国とかあるいは業者の特別の機関を設置して、輸入のそういうような機関をつくって、そこで一元輸入して、それを各メーカーに配付していくということが、とりもなおさず価格の安定ができるじゃないか、私はかように考えます。われわれ消費者段階になると、何とかしてやってもらわなければいかないじゃないか。これはこのままにしておいたら、お互いの競争メーカーが必要以上に買い付けをやってしまうからこういうように上がってくる、私はかように考えております。どうしてもそれはやっていただきたいと思います。  それでは、いますぐに私がどのような機関をどういうぐあいにつくるかというような構想は持っておりませんが、これは国あるいは業者と話し合いの上でひとつつくっていただけたらけっこうだと私は思います。
  63. 神田大作

    ○神田委員 御苦労さまでございました。
  64. 佐々木義武

    佐々木委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)  この際、午後三時再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時五十二分休憩      ————◇—————     午後三時十六分開議
  65. 佐々木義武

    佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  政府当局に対し質疑を続行いたします。美濃政市君。
  66. 美濃政市

    ○美濃委員 本日は、畜産問題について政府の御意見をお聞きしたいと思うわけでありますが、これはもう前から継続して行なってきておる問題であります。  第一の問題として、最近の飼料高に対して、いろいろ新聞等にも閣議で決定したとかいうようなニュアンスで報道されておりますが、飼料対策についてどこまでが正式に決定したのか、どういうことを決定しておるのか、この際、これを明らかにお聞かせ願いたいと思います。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席
  67. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  今回の九月の値上げに伴います政府措置といたしましては、畜産経営資金特別融通措置につきまして、春と同様、四分、六カ月据え置き、二年の融資、総額四百十億を想定しておりますが、この融資決定畜産物配合飼料価格安定基金による補てんを十月から三月まで平均三千円行なう。これに要する所要資金が二百二十六億、そのうちメーカー団体等の積み立てを除きます二百十一億については政府措置する。その措置の内容については、その必要についてはなお引き続いて検討するという内容でございます。
  68. 美濃政市

    ○美濃委員 ちょっと聞き取りづらかったのですが、その基金に対する二百二十五億ですね、それをもう一回。
  69. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  基金平均半年間三千円の補てんに要する財源は二百二十六億でございます。そのうち農家負担は伴わず、メーカー、農業団体のこの期間における積み立て金が十五億円、したがいまして、残りの補てんに要する財源の二百十一億円について所要の措置を講ずるということでございまして、その所要の措置については、引き続き検討の上、早急に結論を出すということでございます。
  70. 美濃政市

    ○美濃委員 その所要の措置ですね、これは財政負担で出すのか、融資で出すのか、そこをもうちょっとはっきりしてもらいたい。
  71. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 二百十一億の補てん財源の措置については、政府が責任を持って見る。その場合に、これを春と同様融資によりまして行なう。ただし、膨大な金額でございますので、政府がこれに対する債務の保証なり全額に近い利子補給をいたすというような形で、資金の補てん財源のめんどうを見るかあるいは直接の財政援助方式等によるかにつきましては、なお検討をいたすということでございます。
  72. 美濃政市

    ○美濃委員 これは前々から私どもは申し上げておるわけですが、こういうえさ高によって起きてくる経営コストの上昇、これを特に四百十億円の融資措置をもってするという点について、これは全部、たとえば養鶏とか養豚等もありますから、融資措置をもってすることが全然だめだということは私はここで申し上げません。特に加工原料乳関係保証価格関係はとにかく政策的に基準取引価格をきめる。このとおりすべての資材あるいは飼料——えさだけであれはまだよろしい。よろしいというわけじゃないですが、えさだけじゃなくて、資材からいわゆる生活消費物資すべてがこのように急騰してくると、これはやはり価格改定を要する。行政価格のあるものあるいは保証価格価格改定を要するということを強く申し上げ、また本日の午前中の四人の参考人も全員がこの際価格改定でなければ困る、こう言っておるわけですね。とにかく特に畜産経営農家は設備に多額の投資を要するものでありますから、負債整理をしなければならぬほどすでに負債は設備投資負債が主体となって高額負債が発生しておる。その上こういう条件のコスト上がり分を四分五厘利子補給してやるから融資でそのコストのアンバラを補完するといっても、それは償還するめどが立ちませんね。これはどういうお考えですか。何回言ってもこれが融資措置だというのは、どういうふうに考えているのか。この委員会でも再三にわたってこの論議はすでにかわされているわけですね。どうしてこういう措置しかできないのか。それをお尋ねしたいと思います。
  73. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  当委員会におきましても重ねて申し上げておりますように、春と秋の二度にわたる配合飼料価格の大幅な値上げでございます。これに対する配合飼料支出の一挙の増加分について、その値上がり相当額を低利の融資で補完いたしまして、ある期間にわたってその経費を吸収できるようなショック緩和の措置として低利融資措置をとったわけでございます。  価格等の問題につきましては、いろいろ御意見を賜わっておりますけれども、それぞれの政策価格の要素をなします内容の推移等を見まして検討をすべきものであるということで、われわれといたしましては、単に融資をすることによって一切の価格問題を考えないというわけではなくて、いずれにいたしましても大きなショックを緩和いたすというためにこの措置をとっているわけでございまして、申すまでもなく、一方ではこの補てん水準についていろいろ御意見もございましょうが、半年間トン三千円の補てんをいたしまして、価格自体についても実質の値下げを農家段階においてはいたすという措置をとっておるわけでございます。
  74. 美濃政市

    ○美濃委員 前々週だったと思いますが、たとえばことしの農産物の行政価格において、麦価の決定、米価の決定等、やはりこういう急激な資材なりただいま申し上げた生産コストの上昇というものは、あとからきめるものにはかなりパリティとして反映しておりますし、乳価をきめたときは三月ですから、あまり反映していない、パリティ指数が上がってないということで、そういう差額も出てきておるわけですが、そういう問題も含めて検討することを要請したわけですが、その検討はどういうふうになっておりますか。
  75. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、価格の検討は、三月の価格決定自体が、相当の期間をもちまして生産費決定の最も最近時点のものをとりまして、それを所定の算定方式に導入いたしましてきめていることは、この制度にお詳しい先生御案内のとおりでございます。これは最も最近時点におきます物価、賃金の動向なり、その他保証価格決定の基礎になります生産費の動向について現在諸資料を集めておるということでございます。
  76. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、いまのお話は、九月に急激上昇したから、とりあえず、融資措置は微々たるものでありますが、一応融資措置をもって安心させて、価格問題は引き続き検討するというふうに理解してよろしゅうございますか。支払い得る条件をつくってやらなければならぬですから、一応融資措置をもって補完しておいて、それが支払い得る条件あとから追い打ちしてつくるのだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  77. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、保証価格の検討につきましては、ただいま申し上げました慎重な用意が必要であるわけでございまして、諸要素の動向を見ておるわけでございます。その場合に、保証価格を引き上げる要因とまた逆にこれを引き下げる諸要素があるわけでございまして、したがって、これらの諸要素を十分に検討いたしませんと即断しかねるという事情があることは、前回におきましても大臣からもお答え申したとおりでございまして、われわれといたしましては、配合飼料価格値上げ保証価格を引き上げる要因等はもちろん大きな要素でございますが、その他の諸要因についてもこれを最近の時点に基づいて検討いたした上、結論を出したいというのがそのままの姿でございます。
  78. 美濃政市

    ○美濃委員 大臣にお尋ねしますが、いまお聞きのような局長の答弁なんですが、私は非常に認識に欠けておると思うのです。これはきょうは時間が制約されておりますから繰り返し申し上げませんけれども畜産経営農家の置かれている現実というものは、いま局長の言ったような引き上げる要素もあるけれども引き下げる要素もある、もちろんそういうこともあるでしょう。そういうこともあるが、それを差し引きしても早急に引き上げをしなければならぬ経済状態に落ち込んでおる。特に加工原料乳保証乳価というものは、御存じのように、政策決定をして乳業に対する基準取引価格がきちんと示されておる、そういう中で。ですから、ものの価格の動きや何かが実取引で反映してこないというところに特徴があるわけですね。そういう関係もありまして、すみやかに検討して、これは価格改定を要する必要があると私は主張しておるわけです。その主張点は当局へは前にも申し上げておるわけですから、資料も出してあるわけですから、それがいつ来ても、わかってそういうことを言っておるのか、何ぼ話してもわからないのかどうなのかということなのです。  それから大臣にお尋ねの第二点は、そういう関係にありますから、基金に対する融資措置ではこれはだめだと思うのですね。二百十一億は財政から繰り入れすべきである、償還というものを要しない措置をとって値上がりを防止する、こういうのでなければ、これもまた融資をして、それ、払えといったって、どこから払うんですか。二百十一億という金をだれが払うのか、どうやって払わそうとするのか。利子補給程度なんかというんじゃだめだと思う。これだけ上がったのだから、緊急臨時措置としては、財政から繰り入れをして支払いを要しない資金でなければだめだと思う。この二点、大臣はどうお考えになりますか。
  79. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 第一点につきましては、畜産局長からお答えを申し上げておりますように、私どもの手元にある資料、データ、これをわれわれとしては、現時点においてはと、こう申し上げてお答えをしておるんですが、率直に申し上げると、美濃委員はきのうきょうの時点を念頭に置かれていろいろ御質問をされておるかもしれぬと思うのですね。そうすると、そこのところで一つの行き違いがどうしても出ると思うのです。私どもの現時点に持っておる資料からいたしますると、局長がお答えをいたしたように、飼料価格値上がりによって保証価格の引き上げを必要とする要素というものがありますけれども、先般来お答え申し上げておるように、いまの子牛価格が幾らかということから酪農農家子牛の評価というものをする、あるいは乳廃牛の価格が上がっておる、それが反映してくるというようなことが織り込まれてくると、そうすると保証価格をいま改定をする必要があるかないかというと、私どものいま持っておる資料の上からは、遺憾ながら改定の必要性というものが出てこないんであります。したがって、局長としては、その後いろいろお示しされた資料等についていろいろ検討はしておる、しかし、いまここで答えろと言われれば、それは保証価格の改定を要しない計算の資料しか私どもの手元にない、こういうことをお答え申し上げておると思うのであります。  それから今回の飼料緊急対策については、これは安定基金への助成ということについてははっきりきまりましたが、それが融資なのか財政措置をするのかというところは、これは問題が残ったわけであります。残りましたが、少なくとも私どもの考えとしては、ただいま美濃委員の御質問のようなそういう線で、どうしても財政措置でいってもらいたいということで交渉はいたしておるのでありまするが、それで日がたって具体的措置がおくれればそれもまたいかがかということで、明年三月までの十月以降平均三千円の助成はするということ、これはきめておくほうがいい。あと融資あるいは財政措置、これらの点については、これもなるべく早く決着をつけたいと思いまするが、現実にこの安定基金へ補てんを要する時期というものは本年いっぱいはいい、こういうことでありましたので、やむなく、それでは問題を残して、農家に対する措置をまず先にしよう、こういうことにしたわけでありますが、御趣旨の点は私としても十分念頭に置いて今後の交渉をいたしたい、かように考えます。
  80. 美濃政市

    ○美濃委員 この加工原料乳の、特に酪農関係についてさらに実情をどの程度大臣が把握されておるかお尋ねいたします。  今日一番大きな問題は、いささかえさが高いだけであれば、いわゆる肉高によってある程度えさ高部分は収支は解消されておるのではないかという点は、それなりに、そんなことはないという考えには立ちません、えさ高だけを取り上げていうのであれば。しかし、今日わが国において牛乳を一トン生産する設備は、これは土地から個体から畜舎、そういうものを含めて、一トンだけしか生産しないわけじゃないが、一トンにつき三十万の設備投資を要しておる。これは遠慮して内輪に計算してですよ。あるいは四十万と言ってもいいわけですね、牛乳一トン生産する設備というものは。そこで、加工原料乳地帯で百トンの牛乳生産するということになれば、その農家の設備は三千万円です。牛乳百トンを生産しておる農家が三千万円以下の設備で生産ができておったら、私、お目にかかります。それに対して地代資本にして何ぼ保証しておるのです。たった六円でしょう。キロ六円というのは百トンにして六十万円だ、二%だということです。これが最大の原因なんです。一番大きい原因です。えさ高以上の問題です。えさ高は今回上がってキロ二円七十銭と私は計算しています。九月に上がって、二円七十銭牛乳キロ当たりコストのはね返りである。しかし、九月前は八千五百円くらいしか上がっておりませんから、その前はそんなにはね返っていない。今回上がった分で一キロ生産コスト二円七十銭にはね返ってきておる。だけれども、片や同じ保証乳価体系の中で指定乳製品指標価格を算出するメーカーの製造経費の中では、大体一割基準の資本経費を見込んで指定乳製品指標価格というものができているわけでしょう。たった二%ですね。二%の資本経費でどうして経営の維持ができるのですか。  ですから、酪農家の大宗というものは、それでも農民は勤勉でありますから、土地取得と個体、特に乳牛についてはほとんど苦労して苦労して育成してつくり上げておるわけです。ところが、酪農というものはどうしても機械と畜舎が要りますから、この分は主たる借り入れ金になって、三千万の総資産のうち、大体百トン生産規模農家の負債は一千万円ないし一千二百万円、この元利償還が一年間に百二十万請求されるのです。どうしてそんな経営がやれるのですか。片や家族労働、草つくり労働では、粗飼料生産労働と管理労働合わせて百トンの牛乳生産した保証乳価中身は百七十万を保証しておる。その中へ元利償還が六十万、七十万食い込んで、どうして経営できるのですか。そこへえさが一キロ二円、牛乳一キロにすると二円七十銭もえさ高、コスト高がまた入ってくるのですよ。生まれた子牛が高いのではないかというので、副産物収入で私どもが計算すると、三円ですよ。牛乳生産一キロにつき三円ぐらいは副産物収入が増大しておる、ことしの春決定した乳価から見て。片や資本を、たとえば国債利回りで一割見なくても——農民の持っておる資本です。いわゆる財政投融資の国債利回り五分で見ても百五十万、キロ十五円保証しなければならぬだろう。それにたった六円、総資産に対して二%利回りしか保証していない。ものすごくここで苦しんでおるわけです、この負債の重圧で。  その上またえさ高で借金する。金貸してやるからあとから払えというような、全くこんな政策というのは私はあり得ないと思うのですね。どこをさして——検討してみたら、肉が高くて多少収入が増大しておる要素もある、検討した結果は上げてやらなくたって経営維持ができるのだというものの考え方は私はあり得ないと思うのですね。現実に百トンの牛乳生産する農家の総資産は三千万、これが狂ったら私はお目にかかります。それに対して資本利子で一キロ当たり四円何がしですね。地代で二円ちょっとですか。そのぐらいの保証体系でどうして三千万の資本経費の維持ができるんでしょうかね。償却もかかる。借り入れ金がなくたって、償却はかかるのですよ。いまの乳価であれば、借り入れ金がなくても、施設や機械がある人は償却費を食い込んで生活しております。資産を食いつぶして生活しておる。負債のある農家は全然償還する余裕がないということです。ですから、しかたなしに農協系統あたりではそれをいわゆる立てかえて払っていきますから、系統負債になる。  今回、加工原料乳は、北海道地帯は四百万円の限度で自創資金に振りかえるというけれども、この乳価であれば、三、四年たったらまた四百万ぐらい自創資金に振りかえなければならぬ。いよいよそれだったら政府の金は債権消却だな。棒引きにする以外に方法はないというような悲惨な状態に追い込んでしまって、そして検討してみたら価格を改定する要素はありませんなんという、うそぶいた態度をとることは私は了解できません。何ぼ言ったってそれは了解することができない。まことに残酷な冷酷無残な表現である。一体経営の実態を知って言っておるのか知らぬで言っておるのか、どうなのかと聞きたいわけです。これは大臣の意見を聞きたい。     〔山崎(平)委員長代理退席委員長着席
  81. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 数字にわたりますので、先にお答えさせていただきます。  搾乳牛と申しますか、酪農経営の規模によりまして、固定資本も異なるわけでございまして、この点についてはあるいは北海道の現地の相当規模酪農農家の固定資本なり借り入れ金というものを、現にある農家を想定しての御指摘かと思うわけでございますが、私どもといたしましては、生産費調査なりあるいは農家経済調査平均的な数字もとにいたしまして判断しておるという点について一つの差があるのではないかと思うわけであります。  特に先生御指摘の資本利子の問題は、外部負債との関係で支払い地代の問題かと思うわけでございます。この寡少につきましては、しばしば御指摘を賜わっておるわけでございますが、毎々申し上げておりますように、従来これにつきましては、牛乳生産費の補完調査で外部資金と自己資金の比率をつかみましてそれぞれの金利を見ておるわけでございますが、最近における北海道等加工原料乳地帯の負債の状態、見るべき資本利子の実態等については再検討いたせというようなお話もございますので、四十八年度におきましては、この牛乳生産費補完調査を行なう年でございますので、この調査を行ないました上で、資本利子等につきまして適切に反映されるよう措置いたしたいというのが、われわれ行政事務の立場としてただいま進めておるところでございます。
  82. 美濃政市

    ○美濃委員 大臣はどうですか。何かお考えありませんか。こんなことでいいのですか。
  83. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま局長から資本利子について検討すべき時期が来ていることをお答え申しておるわけでございますが、私は実はたいへん恐縮なことをお答えしますが、この春の畜産審議会においてほんとうに専門的な立場で御検討願って、そしてその改定価格については御異論の向きもありました。しかし、少なくともいま美濃委員のおっしゃるような各種の要素についての検討は行なわれて、そして最終的の改定の幅についてどうするかということであったと思うのです。  いまここで、資本利子のとり方がなってないじゃないかということで、具体的に百トンの牛乳生産する場合の生産施設をお考えの上で御指摘になっておるわけです。そのことは、私は言っておられることについて一つもおかしいとは思いません。確かに何分に回すということから考えてみて、もし御指摘のとおりの場合であるとすると、それは資本利子の考え方というものが妥当でないように受けとめられます。しかしながら、そういうことがこの権威ある畜産審議会で要素をとる場合に、いま局長の言われたようなわれわれのとり方にもし妥当性がないとするならば、それは当然いままででも指摘されておるべきものだと思うのです。その点は、だから御質問について全く私はおかしなことを言っているとか、われわれとは見解が違うとかいうようなことでなしに、むしろおっしゃるほうのことはそのままお聞きをしておったわけであります。しかし、局長がお答えしておるように、資本利子のとり方について問題があるとすれば、ちょうどそれの見直しのときが来ておると、こういうことでございますから、よりよくすることについて私として異論ありません。
  84. 美濃政市

    ○美濃委員 時間の関係がございますから、長い話ができないので、ここでこの問題は一応切ります。ですから、その見直しを早くやってください。  それからもう一言申し上げておきますが、いまちょっとした経産牛は、市乳地帯あたりで育成の伴わないところで購入するということになると、四十万、五十万ですからね。ですから、百トンの体系だから三千万だというふうに私は思いません。一トンという生産体系もございますね。五千キロですから、一頭飼いだったら五トンという生産体系がある。私は五トンでも、一トンあたり三十万円、百五十万くらいかかっておると思う。ただ、一頭くらいですと、昔からの古い物置きとかなんとかを利用して畜舎に金をかけてない場合がある。そのかわり、今度は労働時間のほうが一頭飼いになると四百時間以上かかっておる。しかし、それをプールしておるでしょう。そこらをプールすると、資本装備、設備というものは概して、多少の差はあるけれども生産量が五トンであろうと十トンであろうと、一トン当たり三十万はかかっておるんだ。これははっきり申し上げておきます。多少設備の内容で違いますけれども大差はありません。それと酪農主要地帯になれば、もう百トン、五十トン以上の生産農家になれば、一トン当たり三十万以下で総資産がまかなわれておるものがあったらお目にかかります。ここで断言しておきます。そういう観点に立って見直すという気持ちがあるようでありますから、どうか早期に見直してください。来年度なんかと言わぬで、早期に見直しをしてください。  次に、単純に質問しますが、融資についても私は全面的に否定していないわけです。融資措置も確かに畜産経営全体から見れば、このえさに対する補完融資措置というものもむげに退けてしまうものではない、こう思います。卵もあれば豚肉もあるわけですから。  ただし、この事務処理がどうもならないですね。私、ここに書類を持ってきておりますが、大体、たとえば乳牛一頭当たり、北海道地域であれば、北海道から示される基準というものは、えさを購入したつど、その経過の伝票を添えて昭和五十五年まで融資事務として完全な事務処理保管をせい、こういうことです。ところが、北海道あたりの多頭飼育になれば、北海道は酪農が多いのでありますから、畜産といったらまず一番酪農が大きいのでありますけれども、バラでえさを買っておるわけです。そして畜舎のそばにはタンクを据えてバラで購入しております。一トンの大きな袋をトラックで積んできてあけていくわけですね。一頭一頭のそれを分類した保管事務をやって、経理を完結して、五十五年までなんかと言われたら、とても事務的にやれる内容でないことを言ってくるわけです。それもせめて一カ月——この前の春きめた融資、四月一日から七月何日までという、一頭当たり二千七百円、これも補助金であれば、公金で二千七百円一カ月に飼育補助をもらうのだから、それはかなりの事務を伴ってもやむを得ないと思うけれども、四分五厘の融資でしょう。転貸の完結事務をもって足りると私は思います、そんなものつけなくたって。とても末端の事務処理がやれない内容で持ってくる。  もう一つは、事業団の四十億でも六千円、今度何か二年分、来年多少出す分を上げて八千円と言っておるという話です。八千円のうちことし六千円出して来年二千円だ。これは登録事務をやって、三年間、その牛を出した、その事務を扱った農協は番兵をしなさい、理由なく売った牛は六千円取り返しなさい、四〇%以上牛の頭数が減ったら全額取り返しなさい。何でこんなことをやらなければならぬのか。乳価の上置き措置としてきめた事業団差益を出すにあたって、もっとやはり、たとえば十月末で出すのであれば十月末の頭数を確認して、それにプラス六千円出したという保管事務が行なわれればいいのではないでしょうか。とにかく末端の事務処理はどうもならぬような条件を付す。これは政治が悪いのか。いわゆる皆さん方中央官庁の幹部の方々のエゴなのか。これはどうなんですかな。中央の官庁の、いわゆる世俗にいえば官僚ということばもありますが、中央のおえら方、上級官吏のエゴなのか。政治政策的にそういうふうに、どうしても国民をがんじがらめにせんければ、もう国民は全部盗人みたいなもので、これを扱う農協や農民というものは一応信用できないから、がんじがらめにせんければ、たった四分五厘の融資の金も貸すことができないのか。これは一体どうなんでしょうかね。この問題は、時間が制約されておりますから、答弁と、それから財政当局に来てもらっておりますから、財政当局もそれをどう考えておるか。大蔵省がやかましくて、大蔵省のほうから、農林省はこのぐらいの事務処理はやれといってねじをまいておるのかどうなのか。この問題のいきさつははっきりしてもらいたいと思います。
  85. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 簡単にお答え申し上げますが、御指摘の点につきましては、利子補給なりあるいは経産牛の管理奨励金、これらはいずれも畜産振興事業団からの助成でございまして、実は補助金適正化に関する法律の適用を受ける。したがいまして、事業目的を達成する必要最小限度の手続というものについてわれわれも配慮したつもりでございますが、この点については、いろいろお話を承りますと、各段階でややそれに加重したような要件も要請するというような点もございますので、これらの点についてはわれわれとしてもなお実情を調べたいというように考えますし、なお、これらの取り扱いについては、財政資金の適切な使用の確保というものの必要最小限度に今後も限るべきであるというふうな態度で処理していきたいというふうに考えております。
  86. 宮下創平

    ○宮下説明員 お答えいたします。  ただいま畜産局長から御答弁のありましたように、畜産振興事業団からの助成金につきましては、補助金適化法の適用がございます。したがいまして、畜産振興事業団が一応国から補助金が出ると同様なこととして取り扱われておりますものでございますので、その補助金の適正な執行が確保できるという最小限度の手続はぜひとも必要なわけでございます。御指摘の点、いろいろ手続的に煩瑣なという御指摘でございますが、これが実際その補助金の、たとえばこの融資の場合でございましても、利子補給しておるわけでございますが、その補助目的が阻害されない範囲内のものであれば、極力簡素化して御指摘のような農民の方に迷惑をかけない方法をとるべきだと考えております。
  87. 美濃政市

    ○美濃委員 最後に大臣からちょっとお願いしたい。この問題についてもうちょっと政治的にやりやすくしてもらわなければ困ると思う。大臣の考え方を聞きたい。事務的な問題ですみませんけれども、末端はどうもならぬです。
  88. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 いわゆる末端行政のあり方についての御批判だと思います。ただいまお答え申し上げたように、根拠法がございまするが、その適用が過度になり、そしてそのために借りる方々に御迷惑をかけるような煩瑣なことになるということは、これらの法律は立法府の皆さま方の手によってつくられていくものでありまして、おそらく立法者の意思は、御指摘のように、非常に煩瑣なものであり、また実施が非常にむずかしいような実情というものを考えてはおらないと思うのであります。ただいまそれの執行に当たる行政担当者のほうからは、法に基づく最小限度のことをお願いしておるのだ、こういうことでございまするから、その趣旨の徹底のできるようにいたしてまいりたい、かように考えます。
  89. 美濃政市

    ○美濃委員 いまの問題は事務的な問題でありますから、きょうは時間がないからこの程度にして、あとからまたいずれそういう問題で、できるだけやりやすいように、最大限もうちょっと緩和してもらわなければならぬ、あとからまたいろいろ別の機会でお話ししたいと思いますから、よろしくお願いします。  以上をもって終わります。
  90. 佐々木義武

    佐々木委員長 湯山勇君。
  91. 湯山勇

    ○湯山委員 私は飼料の自給につきましてお尋ねしたいのですけれども、その前提として、一体今日こういうふうに飼料の問題を畜産農家の全く生命にかかわるというところまで追い込んだ責任というものは一体どこにあるかということを、お互いの問題として考えてみなければならないというように思います。一月に値上げがあった、三月に値上げがあった、それから大体当時のわれわれの認識としては、四、五、六、この三カ月は古々米の放出によって何とか切り抜けていく、しかし、それからあとのことは一向考えられていなかった。それも若干おくれて三カ月ということで切り抜けてまいりましたが、さて、八月どうするか。八月は値上げしないで何とか押えていく。そのしわ寄せがどこへ行ったかということは別といたしまして、そういう事情にある間にもう今日あることは予想されたわけですから当然何らかの対策が立てられなければならなかったのではないか。一カ月、二カ月、そういうこま切れできて、いままた大体来年の三月までのことにつきましては、特にいま美濃委員からも御質問がありましたが、いろいろ考えておられる。それはそれとして、さて、そのあとどうするかということになると、また来年四月になってあれこれいわなければならない。これでは私はいけない、そうあってはならないというように思いますので、端的に来年四月からあとのことをお考えになっておられるかどうか、ここからまず伺いたいと思うわけです。
  92. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 来年の四月からどういう対策を考えるのか、これを端的に答えるようにということでございますが、今回の三月末までの一応の飼料緊急対策は、私としては、その間に国際的な飼料作物の収穫も明白になり、価格もどういう形にしても安定をするものではないか。しからば、そういう次元に立ってその後のことを考えるほうが至当ではないか。しかしながら、当面予算の編成期にあたっておりまするので、濃厚飼料が特に国際的な関係がございまするが、しかし、非常に苦い経験をなめておるおりからでございまするので、国内においての施策、少しでも自給をするという方途は考えなければならないということで、麦、大豆飼料作物についての明年度のとるべき施策につきましては、すでに予算折衝の中で明らかにしながら、これは言うまでもなく、四月以降実施ができることでありますから、それといままだ不安定要素のございます国際的な関係見通しと、これらを合わせてはっきりいたしますれば、なるべく早い時期に四月以降の対策というものを考えたい、こういういま私の一応の見方でございます。
  93. 湯山勇

    ○湯山委員 来年度以降の飼料見通しについて大臣は少し楽観しておられるのじゃないかというような受け取り方をしたわけです。と申しますのは、きのうでしたか、各新聞も報じておりましたが、FAOの年次報告、これを見ましても、七三年、七四年は飼料穀物在庫は戦後最低になっておる。したがって、当分この情勢は緩和されない、やはり飼料穀物中心として値上がりは続くという観測をしております。当然凶作、豊作というようなことがあったにしても、この大きい動きというものは、これは地震がいつあるかわからないというのでいろいろ騒いでおりますけれども、それらよりももっと切実な問題として考えなければならない問題であるというように思います。  そこで、さっそく、来年度のことをお話がございましたので、その点についてお尋ねをいたしたいと思いますが、もしこれが来年度と申しまして、四月からこういうふうにするというようなことをやっても効果ありません。このことを申し上げたいと思うわけです。と申しますのは、良質の粗飼料、これは冬作と夏作とではどっちが効果が大きいかよく御存じのとおりだと思いますが、政府のほうの試験場で調査された資料がございます。牧草の生産力に関する試験成績で、農林水産技術会議事務局から出ておりますが、粗飼料は、冬作の場合はヘクタール当たりTDNにして十トンあるいは十一トン、十トン以上です。しかし、夏作はその半分、五トンあるいは四トン程度しかできません。だから、これ、冬作をやらなかったら、来年の施策というものは再来年になってしまうということです。このことをひとつ頭に入れておいていただくこと。  それから第二は、麦あるいは大豆大豆あとでもけっこうでしょう。しかし、麦はいまやらなかったら、また一年おくれます。麦は春まき性の麦というのもありますけれども、これはやはり秋まかなければならない。しかも麦をまく面積はずいぶんたくさんあるはずであって、あとでも申し上げますけれども、いま冬作を放棄しておるところで麦のつくれる面積はどれぐらいと踏んでおられますか。
  94. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 お答えを申し上げます。  私ども数字で申し上げますと、関東以西のいわゆる乾田面積というものが大体百三十万八千ヘクタール程度ございます。まあいろいろの作物が入っておるわけでございますけれども、したがいまして導入が可能であるということであります。ちなみに現在までに水田における裏作率というのは、いま一〇%程度でございます。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席
  95. 湯山勇

    ○湯山委員 局長、いま関東以西とおっしゃいましたが、新潟で麦をつくった事例がありますが、御存じですか。
  96. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 事例はあると思いますが、私どもとしましては、これからの麦の主産というものは、水田の裏ということでありますれば、関東以西が一番中心になるであろうというように考えております。
  97. 湯山勇

    ○湯山委員 北海道、沖繩の資料はありませんけれども、三百万ヘクタール以上が冬作を放棄しております。その中には高い土地で寒さのためにできないのもありますけれども、二百万ヘクタールくらいは麦ができるはずです。ところが、いま局長の言われたように、かりに百三十万ヘクタールとしても、それにしてもこの秋の麦をまかなければ麦はできないということは、もうよくおわかりのとおりです。そうなってくると、さっき麦とか大豆とか、飼料について考慮しておるということですけれども、これはいまきめて、いまやらなければ、もう稲刈りは始まっておるところもあるわけですから、暦年の来年になってからではもうおそいです。それまでに、いまのようなことについて御決定になって、あるいは大臣の責任においてそれをおやりになって、そしてこの飼料需給事情の緩和をするという御決意がおありになるかどうか。それがなければ、いま麦をどうする、それから大豆をどうする、飼料についてはどうするとおっしゃいましたけれども、年内におやりにならなければ、夏の飼料というものはほとんど効果がありませんし、夏はそれほど休んでおる土地もありません、ほとんど米をつくりますから。ですから、どうしても年内にやらなければならない。その御決意、どうするかということですね。これは非常に大胆なというか、聞きにくいことですけれども、事情が事情ですから、あえてお尋ねいたします。
  98. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 たいへんごもっともな御質問でございます。湯山委員は御承知であろうと思いますが、麦価決定の際に、今後の麦作の奨励をしなければならないということが明白に打ち出されております。それから、今回の飼料緊急対策の際におきましても、麦、大豆飼料作物の緊急対策を講じようということを明らかにしておるのであります。したがって、八月末の予算要求の際に、農林省として明らかにしております施策は、私としては、それはそのままいまのような経緯にかんがみまして明年度実施されるべきものである、また私としてもそうする責任を持っておる、こういう見地で、きょうは麦、飼料作物生産振興都道府県農林部長会議を招集しておりまして、そして概算要求の際に打ち出しております施策関係府県に徹底をしておる、こういうようなことで、ただいまたいへん御心配をちょうだいしたわけでございまするが、私ども関係者みな、相当な決意をもって臨んでおる次第でございます。
  99. 湯山勇

    ○湯山委員 大臣の御決意はわかりましたし、あの日ごろ慎重な大臣があそこまでおっしゃるのですから、責任をもってとまでおっしゃるのですから、私も大臣のいまの御答弁を信頼して、そういう大臣のお気持ちがわかれば、事務当局におかれてはひとつ遅滞なく、早くそういうことができるように、ぜひ善処を願いたいと思います。  時間もございませんから、続いてお尋ねいたしたいことは、政府のほうで出しておられる五十七年の「農産物需給の展望と生産目標の試案」、これの評価についてはいろいろありますが、大臣は権威のある人がたくさん集まってこしらえたものだから、それなりに尊重しておるというような御答弁を再三しておられますが、これの目標ですね、えさのところを見ますと、粗飼料においても一〇〇%自給はできていない、濃厚飼料においては二〇%程度しか五十七年度で自給できないということになっています。一体そういうことでいいんでしょうか。今日の国際情勢飼料情勢、そういうものを見通していって、こんなことで一体いいかどうか、これはどのようにお考えでしょうか。
  100. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 御方針その他については大臣から御答弁があると思いますが、考え方を申し上げますと、粗飼料につきましては、御案内のように、先般の土地改良長期計画等に基づいて、今後四十万ヘクタールの草地の造成をして、良質粗飼料の給与率を六割、低質粗飼料を含めて粗飼料の給与率は七割ということで、この割合は相当高いものと判断しております。と申しますのは、先生に申すまでもないことでございますが、大家畜におきましても、乳牛あるいは肉牛等におきましても、その時期とか肥育とかあるいは経産の際の増し飼い等については濃厚飼料を使うというようなことから、全体として七割の粗飼料供給率は、これは相当高いものだというふうに判断しておりまして、この達成が一つの大きな課題であるというふうに考えております。また濃厚飼料につきましては、御案内のように、国際的な穀物原料需給状況等もございまして、この点についての再検討は、大臣等からもしばしば当委員会において、農政審議会に検討の際、これについてはもう一度考え直して、今日的な事態にマッチするような検討を事務に命じたいというふうにおっしゃっておりまして、私どもその御指示を受けて、農政審議会等の場における検討を進めたいというふうに考えておるわけでございます。
  101. 湯山勇

    ○湯山委員 九月になりまして、大臣官房企画室から「農業と農村の役割 健全な地域社会としての農村の整備」、未定稿ですけれども、こういう資料が出ておるのを御存じでしょうか。これの評価は、どういうふうにしておられるか。これは畜産局長畜産部門についてお尋ねしますから、お伺いしたいと思います。
  102. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 農業におきまして、畜産物は、今後の食料の安定供給という点の基幹部門をなしておるという点を主題にして、その役割りを見ていくべきだというふうに承知しております。
  103. 湯山勇

    ○湯山委員 非常にこれは複雑な問題ですから、その一つ一つの要素についてお尋ねするのはかえって誤解を招くおそれもあるかと思いますけれども、きょうは、何かあと予定があるから早く終わってほしいということですから、私は土地の問題だけについてお尋ねいたしたいと思います。  自給できる、できないというのは、一にかかってその土地が得られるかどうかにあると思います。そこで、一体日本の総面積でどれだけの土地が草地として使えるか。そういうことについて正確なというか、しっかりした資料がおありになるかどうか。御参考までに申し上げますと、世界の耕作可能地の推計値というものがローマクラブというところから出ております。それからアメリカでは、大統領科学諮問委員会で試算をしております。それからコーリン・クラークという人は、標準農地に換算して試算をしております。マリーンという人は、現在使用されている方法による拡張、これはいま農林省がやっておるような方法に近いと思います。それによって試算しています。それから逆算して耕地化し得ない面積からの推計というのも出ております。この狭い日本で、構造改善の中心課題が農地の拡大、耕作面積の拡大ということでずいぶん苦労されましたが、いろいろな形で、一体どれだけ耕作可能面積があるか、得られるかということはやっておかなければならないことであったと思います。いろいろな形の試算がおありになるかどうか。その結果はどうなっているか、あればひとつお示し願いたい。
  104. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  これは農地局が中心になりまして、昭和四十四年に土地改良総合計画補足調査、これは土地改良長期計画の改定に資するために要した数字が最も最近の数字でございます。これによりますと、農地については六十万ヘクタール、草地については九十四万ヘクタールという数字が、地域別に把握しておる数字でございます。
  105. 湯山勇

    ○湯山委員 その数字は私も持っております。しかし、これは非常に容易にできるところを選んでいます。しかも、そうやってやっておきながら、実績はあがっていないというのも事実だと思うのです。こういうのじゃなくて、もっと詳しい調査も必要でしょうけれども、たとえば幾つもの方式を申し上げましたが、こういう方式でどう、端的にいえば、全日本の総面積が三千六百万ヘクタールですか、その中で山とかそれから原野、湖沼、そういうものを引けば、大体千百五十万ヘクタール余る。その中で市街地が六十四万ヘクタール、それだけのけると、あと千百万ヘクタールというものが、農村地域ということになる、こういうことはこれにも書いてあります。こうやっていけば、さっき申し上げましたように、耕地化し得ない面積、そちらからの推計も出ると思うのですが、こういう計算でどれぐらいの農地が確保できるということは、なさったこと、ございませんでしょうか。
  106. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 先ほど申し上げました調査は、現在の経営とかあるいはその他の諸要件、妥当投資額とか、そういうものを前提といたしました数字、開発可能面積であるというふうにわれわれ承知しております。したがいまして、投資額のいかんを問わずとか、その他物理的に可能な面積等については、農林省としては調査数字を持っておらないわけでございます。
  107. 湯山勇

    ○湯山委員 世界の食糧事情の将来につきましては、いま楽観的な観測をしておる人というのはほとんどないといっても、言い過ぎではないと思います。そういうときに、この狭い日本で、もちろん自然破壊の問題もありますししますけれども、そういうことをしないで、これだけの農地が得られる、費用の問題は別にして考えればこれだけが農地になる、これだけは草地が得られる、そうすると、これだけは自給できるというようなことをやはりやっておかなければ、幾ら五十七年のこんなになさっても、それからはほんとうのものは出てこないというように思います。これはひとつぜひそういうことを——いろいろな形があるようです。私もよくわかりませんけれども、いまのような計算のしかたというものは、ただ各農政局でお調べになったり、いろいろしたものを集計するというだけじゃなくて、いろいろ学問的にやる方法が、この広い地球ですらやる方法があるんですから、やる方法があると思いますので、ひとつあらゆる形式のそういう資料をぜひつくっていただきたいと思いますが、これは大臣、いかがなものでしょうか。
  108. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 たいへん大事な御提案をされておるわけでございますが、私どもは、お取り上げになりました五十七年を目標とする試算の中で田畑五百二十万ヘクタール、草地六十万ヘクタールというものを申し上げております。それには当然造成、壊廃というものが伴っておるわけでございますが、それはそれといたしまして、今後の食料事情を考え、国際的な需給の逼迫その他の諸要素を考えますときに、ただいま御提案になりましたような耕地の可能性のあるものがどれくらい日本としてはあるのか、そういうものを基礎的に調査をし把握をしておく必要性はあると思いますので、よく検討さしていただきたいと思います。
  109. 湯山勇

    ○湯山委員 面積についてはずいぶんいろいろお聞きしたいことがあるのですけれども、もう時間がありませんから——。  先ほど畜産局長が粗飼料は大体七割程度の自給ということをおっしゃいましたが、これは単位面積当たりどれくらいを見ておられますか。
  110. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 ラウンドで申しわけございませんが、五トンと承知しております。
  111. 湯山勇

    ○湯山委員 粗飼料で五トンというのは、それは少な過ぎると思うのです。夏作ならばそうですけれども、これだけ米をつくる日本で、夏場、粗飼料をつくるということは、原野のようなところで、野草地なら別です、しかし粗飼料をつくるとなれば、それは五トンでは低過ぎます。七トンなり八トンなり見られると思います。農林省の研究では十トン以上がずいぶんあります。ですから、夏冬合わしていけば、私は十五トンくらい見ていい。局長の見ておられる三倍は見てもいいし、またそれくらいなことは、本気でやれば、意欲を持ってやればできると思います。問題は、それはいまのえさ問題じゃないけれども政府がどれだけ本腰を入れるか、それから農民の皆さんがどれだけ熱意を持って取り組んでくれるかということにあると思います。十五トンは無理にしても、十トンは夏冬通せば見ていいんじゃないでしょうか。どうでしょうか。
  112. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  確かに試験研究機関の圃場の成績によりますと、先生御指摘のような数字が出ておりますし、また優良な飼料作物の育種等によりましてその平均反収は非常に高まっていくという点で、今後の検討の課題である、それを現実の場に導入していくということであると思います。
  113. 湯山勇

    ○湯山委員 それからもう一つ濃厚飼料についてです。これもいろいろ話を言っておれば長くなりますから、結論だけ申し上げますが、とにかく麦作についての研究が足りないと思います。米についてはずいぶんいろいろな品種ができておりますけれども輸入したらいいというので、そのことの研究も、いまの牧草の研究と同じようにおくれておると思います。これらもほんとうに力を入れてやっていけば、濃厚飼料で五〇%近い自給は可能ではないかというような感じをいま持っておるのですけれども、それはまた別な機会にひとつ御批判いただきたいと思います。  それはそうとして、とにかくこれはもっともっと研究の余地があると思います。いままでそういうことが抜けていた。これは牛についてもそういうことがあるのです。肥育牛についてはやはりどうえさを食わしても太らないのがあります。そういう品種の問題、そういうことの研究がうんとできなければ、せっかくやってもそれはむだになるということも非常に多いので、畜産部門が日本では他の国に比べて後進性が強くておくれているということはやむを得ないとしても、ここまできて、これにありますような食料を日本人がとっていく、それに近づいていくためには、私は、いままでのような体制じゃなくて、もっとほんとうに力を入れてやらなければならない、それらについて具体的にお尋ねしたいし、また政府の資料と突き合わせていきたいものがたくさんありますけれども、非常にこまかい数字が多くなりますから、これらについては局長なりあるいは担当の課長さんといつかまた機会を見てそのようにさしてもらうということにして、きょうお願いしたいことは、そういう研究というようなものをもっとほんとうに力を入れて——これは役所の皆さんですから、それぞれ栄進していかれる、ポストがかわっていかれるということはありましょうけれども、そうじゃなくて、だれがあとを継いでもずっとやっていけるという体制をとっておかなければたいへんだと思います。これは大臣にもそういうことはお願いしなければならぬ問題だと思います。  それと、いまの何といっても基礎は土地です。いまとにかく三百万ヘクタール以上の土地を、冬、荒らしておいて、それでえさを買いあさって、約束ができたからとか、あるいは開発輸入にしたって決して安定供給じゃありません。やはりみずからの手でみずからのえさをつくっていくという体制を強化する以外に道はないわけですから、財政面からも、そして行政面からも、研究の面からもぜひひとつそういうことをやっていただくことを、たいへん抽象的になってしまいまして恐縮ですけれどもお願いして、坂村さんが早くやめるようにということを言ってきておりますから、そういうふうにします。
  114. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 次に、津川武一君。
  115. 津川武一

    ○津川委員 私たちは日本人の主食、わけてもたん白質源をわれわれに供給してくれた養鶏農家努力はたいへんだったろうと思う次第でございます。きょうはえさが上がったために、特別に集中的に被害を受ける養鶏農家、鶏卵を中心畜産のことを質問してみたいと思います。  そこで、卵の値段が二十年間ほとんど固定して物価の優等生だったわけですが、どうしてこういうことであったかといいますと、養鶏農家が経営を拡大する、近代化するために一生懸命がんばって今日の状態ができたわけですが、いまやほとんど自給に達し、生産過剰になり始めてたいへんな事態になってまいりました。四十年に三百二十四万戸あった養鶏家が四十七年には百六万戸に激減してくるし、九月一日からえさがあれだけ上がったら、青森県で千三百戸がやめて、十万羽がここで養鶏を閉鎖しております。岩手県でも十万羽、静岡県で三万羽などといろいろなことが聞こえてきます。こういう形の中で規模拡大しましたので、一万羽以上の農家生産されておる卵は絶対量の約半分、しかし、一万羽以上経営しておる農家の戸数は約五%、こうなって小さな人たちは音をたててがらがらとつぶれていっている。ここへ値上がりなので、私は養鶏という日本の畜産が非常に危機に瀕していると思います。  そこで、大きな家畜にはかなり力を注いだが、この小さな家畜である鶏、日本の養鶏をこの生産過剰から、生産調整しなければならぬ状態から、どうして育てて守っていくのか、農林省、農林大臣の方針を聞かしていただきます。
  116. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、養鶏につきましては、この十年間やはり規模拡大が進みまして、専門経営の単位として経営が成立する、したがって、副業的な従来の庭先養鶏的な少羽数の農家の方々が離脱していくという傾向をたどりまして、全体としての羽数も伸び、また経営規模も拡大してきたというのが現状でございます。そういう意味では、卵価におけるコストの低下というような点で、先生お話しのような安定的な価格水準でまいったというのが実情でございます。  そういう状況でございますが、鶏卵につきましては、国民一人当たり消費量が三百個という点で、アメリカやイスラエルに次ぎまして非常に高い消費水準になっている。したがって、一人当たり消費の伸びについては、他の畜産物に比べますとある程度鈍化してきておるというような事態でございまして、全体としての養鶏に対する考え方としては、過剰生産を自主的に調整していくということによって需給の均衡を保っていくというのを一つの行政の手段としてきたわけでございますし、他方、季節的に、また需給の一時的、短期的な不均衡に対しましては、総合農協系なり、あるいは専門農協系の卵価安定基金等に対して、これを国が助成いたしまして、これについての価格の安定をはかるという手段をとっておりますし、さらに最近におきましては、異常な低落に際しましては、市場から液卵の形で隔離いたしまして、価格の、需給の安定をはかるというような液卵公社等の助成を行なうというような関係で、価格面に対する配慮をしておるわけでございますし、さらに一方では、家畜衛生等の面で、多数羽飼育に伴って最も衛生問題の大きなこの養鶏面については、自営防疫の各種の助成というような点で、その面からのてこ入れをいたすというようなことで今日に至っておるわけでございます。
  117. 津川武一

    ○津川委員 櫻内農林大臣、いま局長からるる伺いましたけれども、いまえさがこれだけ値上がりして、もう鶏をやっても妙味がないために、規模拡大の意欲が失われてしまっているわけです。したがって、生産調整しなければならないとすれば、そういう面で養鶏が後退の道をたどると思うわけですが、この点、農林大臣はどうして養鶏を育てるつもりか、大臣の方針をひとつ聞かしていただきます。
  118. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 いま御質問では、秋田の実情あるいは静岡、岩手等の実情で、養鶏農家が非常に減り、飼養羽数も減っておるという御指摘をちょうだいしたわけです。私は最近の卵価の非常な高騰の状況を見て、飼料値上がりに伴って先行きの不安感を持たれて、おっしゃるように、養鶏を放棄するという現象も起きたであろうと思うのです。しかし、また、いまの卵価の実情、液卵公社でとる措置、いろいろ考えていきます場合に、こういうことを申してはたいへん相済まないような気がいたしますが、畜産の場合と違って、養鶏の場合にはそういう反応が非常に敏感であるのではないか。したがって、いまの市況などから考えていきまして、かりに採算が合う、こういうことになれば、また復活と申しましょうか、増産体制に入るのもそう時間的に期間を要するものではない、私としてはこういうふうに見るのであります。しかし、そういう不安定要素を持ったような行き方が起きる状況というものは、好ましくないことは言うまでもありません。     〔山崎(平)委員長代理退席委員長着席〕 したがって、今後の養鶏農家のことを考えます場合は、その辺に細心の注意を払って、毎度申し上げて恐縮でございますが、昨年十月の指標に伴う五十七年の生産量約二百三十万トンを目標にしておる、この目標に遺漏のないようにつとめてまいりたいと考える次第です。
  119. 津川武一

    ○津川委員 そこで、農林大臣、今度はえさが上がるために、このような形で養鶏農家がやめておる。ところが、やめておるのに対して、養鶏農家の側から、地方自治体の側から、自主的な形で生産調整をやっておる。こういう点で、一方で生産調整をやっておるかたわらで、インテグレーション、たとえば伊藤忠と三菱商事——伊藤忠は全国百カ所の系列団地を持って、常時三百五十万羽の成鶏を手に入れております。これを五百万羽、五百五十万羽というふうにふやしていくことも考えておる。三菱商事のファームでいきますと、これも常時四十八万羽持っておる。こういう形のインテグレーションが進んでおる。このインテグレーションで飼料も自分が輸入してくるのだから、えさ値段が一般の農家よりも一一%も安い。ひなも三%安く仕入れていく。安定基金にもこの商社たちは加入しない。こういう形の人たちは、いままでインテグレーションと一般の養鶏農家の競争がややこうであったのが、今度のことしの春からのえさ値上がりで、インテグレーションのほうがはるかにはるかに優位になってきている、こういう形で養鶏農家がつぶれていく。私たちは、日本の私たちの主食のたん白質源の一つであるものは農民的農業によってささえたいと思っているのが、このインテグレーションによってつぶれていく。この過程を、生産調整の過程の中で、ここらあたりで私は手を加えるべきじゃないかと思うのですが、農林大臣、いかがでございます。
  120. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 これは飼養農家だけを取り上げて考えてまいりますると、御指摘のような問題があると思うのですけれども、ただ、その飼養農家自体も、いまのインテグレーションのワクの中で大いに生産を営んでおる面があることを御否定にはならないと思うのです。そうすると、その場合のそういう系列といいましょうか、インテグレーションのワクの中におる飼養農家のあり方、これが一体適当であるのか、飼養農家自体のためになっておるのかというところの判断、見きわめというものが重要になってくるのではないか。したがって、いまの御質問をそのまま受けますると、いまは飼料も非常に高騰しておる、その飼料を商社が握っておる。そういうために商社は力が強いのである、ために飼養農家は不必要な圧迫を受けておるのである。また同時に、御質問から察しまするに、そういうようなやり方をしておるから、反面において純粋な飼養農家もやめていく傾向があるのだ、そういう御指摘だと思うのです。  そういう見方をされておる中で、しからば、改善の余地があるのかないのかといえば、十分その飼養農家考え方いかんによって農家のためにもなるし、インテグレーションのうまみもまた活用される面があるのではないか。ただ、ただいまの御質問からすれば、御指摘のような傾向をたどっていくとするならば、それはやはり考えなければならない。飼養農家も商社も、できるなら力の上で均衡されておらなければいけないのではないか、かように見ております。
  121. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、農林大臣は、何かことば巧みに逃げたけれども、農民の養鶏家をこういうインテグレーションの大規模なものに裸にさらして、つぶれていくならつぶれていくままにまかせようというのですか。そういうインテグレーションとも対抗できるように農民の要求を育てるつもりなのですか。この点、簡単に答えていただきます。
  122. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 簡単にということでございますが、後段のような考えで臨んでいくべきだと思うのです。
  123. 津川武一

    ○津川委員 そこで、伊藤忠——この間九月十日の日に、私、横浜の波止揚に行ってみました。伊藤忠のはしけがありまして、六月にはしけに入れられたえさが、九月十日現在で通関もしてない、税関も過ぎてない、植防の検査も受けてない。それで、私たちはあそこにいる沖仲仕とよく相談してみた、聞いてみた。二千五百隻の中で約五百隻はこういうふうにえさを入れておる。二十五万トン、これが一万円以上の値上がりを待っておるわけです。そうすると、ここで十六、七億という勘定をわれわれはしたわけであります。私は、税関と植防に私が直接見たこのはしけを調べてもらった。そうしたら、これは伊藤忠のもので、伊藤忠から伊藤忠の同族会社の昭和産業に移っておりますが、依然として伊藤忠の資本下にある。これを何らかの形で早く農林行政の中でつかまえて、指導して、五百隻と思われるはしけの分を流通過程に回すことによって、えさ値段が下がる。こういう形で伊藤忠などはえさの値を上げて、農民の養鶏を圧迫して、自分たちのインテグレーションの差をもっと広げていく、こういう形をとっているわけです。農林大臣、いま急にこれをあなたに言ってもしようがないでしょうが、この状態、私が言った五百隻と思われるものを調べて、つかまえて、これを流通過程に乗せて、えさ値段を下げる必要があると思います。これは横浜だけでなく、神戸その他の港にもありますが、いま私が横浜のことで指摘しましたので、これに対する農林大臣の所信を聞かしてもらいます。
  124. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 多少お調べの実情と違うように承っておりますので、まず私どものほうの承知しておる点を畜産局長から御説明申し上げさせます。
  125. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  御案内のとおり、本年春から各種の貨物、特に飼料穀物なり食料が各輸入港に急増しておりまして、このためのはしけ滞船等がふえておることは事実でございます。数字等につきましては日によって違いますが、私どもも、横浜港におきましては二十日以上の滞船が二百八十隻であるというふうな報告を運輸省から聴取しております。これにつきましては、御案内のとおり、春先のアメリカの積み出しのいろいろな困難な問題とか、あるいは先高のための手当ての早急化というようなことから、穀物飼料原料をとりましてもその輸入量が急増しました。したがって、そのためにたとえば六月末をとりますと、本来の在庫量、例年〇・八カ月ないし一カ月分の国内在庫量が一・六カ月分までふえております。したがって、従来の状況でございますと、これらはすべて港湾サイロ、倉庫等に引き続いてはしけ等から陸揚げされて回されるという関係がございましたが、急増したために、はしけ滞船がふえた。特に事情は、今年は大豆かすのペレット等がふえまして、これがトウモロコシマイロと比べて、従来の倉庫への引き取りのルートがついておらないというものが多々あったようでございまして、それがはしけ滞船の原因になったということでございます。  私ども承知しておりますのは、飼料原料メーカーの発注に基づきまして商社が入れておりまして、横浜港の本船舷側渡しになっております。したがって、輸入した段階メーカーのものとして手当てされておる。ただし、この陸揚げとか倉庫へのあれまで商社が代行しておる。所有権は本船舷側で移るという関係にあるようでございます。その関係でございまして、価格自体が上がりますのは、国際価格の高騰なりフレートの高騰できまっておるわけでございまして、物理的な流通量の増加によりまして、価格がこの分上がったというふうには私ども承知しておらないわけでございます。  ただ、せっかく輸入した輸入飼料原料が、物流施設のネックのために、潤沢に製品へのルートをとらないという点についてはいろいろ問題がございますので、内陸倉庫への配送その他、この点については指導いたしたいというふうに考えております。
  126. 津川武一

    ○津川委員 大臣、このはしけは税関を通過してないのです。これは植物防疫所を通過してないのです。したがって、局長が何と言っても握りようがない。したがって、あそこにあるから、未通関であるから、未検査である、私はこの目で確かめてきた。したがって、農林大臣、農林行政としてこれを調べて、流通過程の中にのぼせなければならない、このことを私は聞いておるわけです。  というのは、今度全農えさ値段を九月一日に上げたでしょう。幾ら上げたかというと一万百十二円、全農から試算の表をとったならば、あのことしの春、古々米を出したとき、トウモロコシ価格に占める割合として一トン千二百円見ておる。今度一万百十二円上げたときにトウモロコシが二千七百五十円、千二百円のものが二千七百五十円、二倍以上に上がっておるのです。横浜の波止場に物がある。もっと言うと、全農、経済連のえさ全国の単協の倉庫に余っておる。横浜の波止場に余っておる。そして全農は一万百十二円上げておる。その中に占めるトウモロコシ値段が千二百円から二千七百五十円に上がっておる。この事実を農林大臣、農林行政でまず横浜なり神戸の波止場を見て調べてみる、これを流通過程にのぼせる、こういう必要があるので、これをまず聞くわけです。  一方、この間、長野県の松本平の農協に行ってみた。これは一万くらいのところです。この間、私は全国養鶏経営会議会長のやっている青森県の常盤養鶏組合に行ってみた。そうすると、松本平の農協の倉庫にはえさが入っておる。横浜の波止場にある。そして全農は一万百十二円上げておる。その主力であるトウモロコシ千二百円のものを二千七百五十円に上げておる、こういうところに相当問題があるので、重ねてお伺いします。横浜の、私が指摘した、五百隻あると思われるはしけなどというものを調べて、これを流通過程にやる、いまはえさがあるのだから、これは下げるによろしい、こういう経済のルールをとりませんか、これが一つ。そしてこういう過程の中で全農の九月一日からの値上げ、一万百十二円というものをどう受け取って考えておるのか、これをこのまま黙って見ておるのか。私は下げなければならない、下げられる、このように思うのですが、いかがでございますか。この二点。
  127. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 はしけのことについては畜産局長より二百八十隻、こういうことを農林省としては承知しておる旨を申し上げたわけです。ただ、津川委員からは、はしけは税関を通っておる前、あるいは植物防疫の検査の前で、その掌握しておる数は違うのじゃないか、こういう御指摘でございますから、その点は私どもとして調べてみたいと思います。  それから一万百十二円の値上げ中身について、値上げ前と比較してトウモロコシが大幅に上がっておる、こういう点をお示しでございます。私、いま手元に資料がございませんが、そのとおり受けとめて、値上げ中身として全農がそういうふうに明らかにしておるとするならば、私はそのとおりのものだと思うのです。ということは、たとえば国際市況を見ておりましても、最近におけるトウモロコシ値上げ、これはそのとった時点でだいぶ違いますが、非常に概括的に申し上げても、昨年の七月当時に比較して八月はまず三倍くらいに上がっておると思いまするから、そこで、値上げ前のトウモロコシ平均価格がいつごろの輸入のものであるか、その辺ははっきりいたしませんが、九月以降の値上げに際して二千七百五十円と計算をしておることについては、これはまた計算の根拠があると思いまするので、この点は、トウモロコシをこういう評価をしているのは不当であるという御指摘でありますれば、私どもとしてもよく全農のほうへ問い合わせてみたい、このように思います。
  128. 津川武一

    ○津川委員 大臣、トウモロコシ価格、三月の値段をきめているのは大体一月に入っているものだと思うのですが、シカゴ相場で一月六十ドル、七月八十六ドル、五〇%上がってない。それからCIFでいうと、一月が二万一千円、七月が二万四千円、こういう点でものは上がっている。上がっている価格は三〇%から五〇%。今度全農がやったからほかの商社もやる。ここでトウモロコシが千二百円から二千七百五十円、こういう形になっている。したがって、ここで検討できないとすれば、あとでゆっくりぼくも入って検討するから、この点は私はどうしても検討してもらわなければならぬ重大な問題だと思うわけです。  その次にもう一つの問題は、先ほど局長が卵価のことを話した。そこで、これだけ上がってくると、たくさんの物価が上がったので、全国の養鶏経営者会議の試算によれば、一キロ二百七十円にならなければならぬ、全農でも二百五十円にならなければならぬ、政府統計でも二百三十六円にならなければならないといっている。局長は、安定基金で、この液卵の基金でやると言っているが、液卵のところでやっているのは百七十三円だ。これで価格が維持できるものか。私たちは日本人のこういう大事なものであるので、それをつくる農民が生産と生活ができるように、生産費それから所得、これを補ってあげるような形で国がやはり援助しなければならぬ。消費者に対しては生活が苦しくないように、こういう点で消費者をも援助しなければならぬ、こういうふうに考えておる。しかし、それを無条件に主張しているわけじゃないんだ。このためには経費を下げなければならないと思っているわけです。経費が上がれば上がらなければならぬが、いま話したとおり、鶏の主なる経費の六五%、七〇%——今度上がると、養鶏組合の人はえさの比重というのは七十何%になると言うのだ、そういう形になるので、私はここを言っているわけです。こういう点で、液卵へ持っていって、百七十三円というもので養鶏者の養鶏農業というものを維持できるなどという局長の答弁は笑われますよ。  そこで、価格保証してあげなければならぬ、消費者も保護しなければならぬ。この立場から卵の価格に対する農林省の方針を大臣から聞かしていただいて、時間がこうなったので、これで、私、やめますけれども、まず大臣から。
  129. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、配合飼料価格値上げにつきましては、お説のとおり、依存度の高い養鶏は最も影響を受けるわけでございます。これについては、これに吸収できるような価格水準で推移することが最も望ましいというわけでございます。その場合に、単なる支持とか、そういうものではなくて、現実の今日の価格がどう推移するか、あるいは今後のこの半年の見通しがどういうふうに推移するかということが問題かと思うわけでございます。  この点は、幸いにいたしまして、卵価の動向といたしましては、七月、八月は前年と同水準に落ちましたが、それ以前の六月まで及び最近の動向、さらに需要が強くなります本年の下半期におきましては、卵価水準はある程度配合飼料価格を吸収できる水準にあるというふうにわれわれは判断しております。  ただし、お話しの卵価安定基金なりの基準価格なり、あるいは液卵公社の買い出動価格につきましては、これは最低の場合でございまして、今後の配合飼料価格影響なり、卵価の動向を見て、必要があらば検討していくということでございまして、お話しのとおり、百七十三円であれば、それで養鶏農家の経営が安定いたすというふうに申し上げておるわけでは決してないわけでございます。
  130. 津川武一

    ○津川委員 そこで、農林大臣、いま話したようなことで、私は皆さん、大臣、局長、係官とこの点をもう一回詰めてみますが、どうしてもやはりえさは——ほんとうに松本に行ってびっくりしたのです。単協の倉庫にうんと入っている。横浜に行ってびっくりしたのです。うんとある。そうしてこんなに値段が上がっている。これはどうしても農林大臣、あなたの責任でまず解決してもらわなければならないと思うのです。これは私ももう少し詰めますが、あなたももっと詰めて、もっとこの点、あすでもあさってでもまた論議してみます。  きょう予定された時間が来ましたので、一応ここで終わりますけれども、これはお願いします。
  131. 佐々木義武

  132. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 飼料価格及び畜産経営問題等について農林大臣に質問をいたします。  本日、午前中に全農、全中、全酪連また全国養鶏経営会議等からおのおの参考人が参りまして、十分いろいろ意見を開陳していただき、私たちもまた御意見を承ったわけでありますが、明日は全国畜産大会が行なわれるということで、差し迫って緊急な問題が全国的に注目されておるところでございます。  そこで、私、先日二時間余にわたって質問通告をしておりましたけれども、きょうはいろいろ決議その他の問題があるので、時間が制約がございますから、特にお尋ねしたい点にしぼって、いまから農林大臣はじめ当局にお伺いしたい、かように思います。  まず最初に、去る九月七日、飼料緊急対策について大臣は二項目について閣議に対して報告をした、こういうことになっておりますが、これは報告したあと閣僚からもさして意見が出ていないようでありますので、閣議了承と承っておるわけですが、その点について、農林大臣、いかがでございましょうか。
  133. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 重要な事項でございまするので、農林当局と財政当局との話し合い、また言うまでもない与党である自由民主党の方針というものが、これが確定をいたしました。その中には二百十一億についていろいろ御議論が従来行なわれておりますが、そういう要素は残しておりまするが、一応方針が明確になりましたので、私より閣議に報告をいたした。こういうことで、これは閣議決定というような事項ではございません。重要なる問題でございますので、閣議に報告をいたし、異論がないということが了承せられた、こういうふうに御解釈願ってよいと思います。
  134. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 閣議了承ということで一応了解いたします。  そこで、この緊急飼料対策の中で、まず一番目の畜産経営特別資金融通措置、これについては私たちもいろいろと見解を持っておるわけですが、各県のいろんな代表者の意見を聞きましても、これ以上借金がふえるのは困る、団体はこういったことは好まないということで、いろいろ私たちに注文をつけられておるわけです。午前中の全農井田参考人にもいろいろお伺いいたしましたが、全くそのとおりであるけれども、事実、若干は融資を受ける方もあるので、一応こういったことについては歓迎をしている、こういうような意味の答弁がございました。     〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕 もちろんそれはそうだと思いますけれども、全般的にはこういった融資というものはやはり借金であります。そういったことから考えましたときに好ましくないと思う。  そこで、かりにこの金融措置をするにしても償還期間が二年、据え置きが六カ月、利子が大体八分ないし八分五厘といわれておりますけれども利子補給をする関係で四分といわれますが、期間をもっと長く、利子を安く、そして据え置き期間ももう少し長く、こういったことであれば、団体としてもまだ幾らか喜ぶという気持ちにもなれるわけですが、これに対しては農林大臣、もっとあたたかい、条件を緩和する方向で検討してもらいたいと思うのですが、その点、大臣は、この緊急した畜産農家に対してどういうふうに思っておられるか、またどういうような決意でこれを畜産農家に与えようというふうに考えておられるか、その点さらにお聞きしたいと思うのです。
  135. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 御質問のおっしゃっておられることについて、私は、畜産農家のことを考えまする場合に、わからないでもございません。しかし、私のほうからお願いをしたいのは、あまり、四分の据え置き、六カ月、償還二年は好まれておらない、そういう面もあるかと思いまするが、二年間この条件融資をするということは、少し先々の見通しに立っていただくと、御承知のように、金利が非常に上昇しておる時期でございます。そしてその他の汚染の資金問題などからも考えまして、相当需要といいますか、活用する向きがふえていくように見通しを持っておるのであります。これよりももっと条件をよくせよという、そのことは別にわからないではございませんけれども、しかし、この条件は現下の情勢と少し先を見た場合に相当活用されるものではないか、こういうふうに見通しておったり期待もしておるのでございまして、特にきょうも御質問があって、北海道の酪農の方々には、従来の負債が相当あるものですから、それにさらに負債を加えていくというのはどうかというような御意見でございましたが、私としては、まずこれは適切な融資制度ではないか、かように見ております。
  136. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の関係もありますから、ひとつ簡潔に御答弁いただきたいと思うのです。  いまの大臣の答弁でございますけれども、相当活用されるとおっしゃるけれども、実際はそうでなくて、従来の分も半分以下でありますし、おそらく今回の分も三分の一か半分以下におさまるのではないかと思っております。いずれにしても、これは相当問題があるわけでございますので、よほど条件を緩和するなりしなければ問題だと思うのです。  こればかりかかっておれませんが、そこで、午前中、全酪連根岸参考人だと思いましたけれども、こういった資金はむしろメーカー融資して、農家に売り渡す価格を操作してもらう、こういったことも一つ方法ではないかということが参考人から言われましたけれども、私もなるほどなと実は思ったのですが、価格を下げるためにメーカー融資する、そして農家手取りの飼料価格を安くする、こういった意見が開陳されましたが、そういったことは農林省当局は検討してこられたか、そんなことは可能であるかどうか、それに対する考えはどうか、ひとつお話しいただきたいと思う。
  137. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。     〔山崎(平)委員長代理退席委員長着席〕  一つの御意見かと思うわけでございますが、配合飼料の製品価格は、その八割以上までが原料価格でございます。したがって、この原料価格の国際相場からくるところの調達価格値上げの原因になるわけでございまして、低利融資といたしましても、その金利の部分、製品価格に非常にわずかな部分を占めます金利部分の軽減というだけでございまして、この点については、直接農家融資することが経営の衝撃に対する緩和というふうにわれわれ考えておるわけでございます。
  138. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この飼料緊急対策の第二項の配合飼料価格安定基金の拡充措置の問題ですが、これは御承知のように、基金が金融機関から借りて、国が債務を保証するというような案がいろいろいわれております。さらに直接助成方式によって二百十一億円を助成するということ、これらの二つのことがいろいろ論議されておるわけですけれども、私は、こういったことはけしからぬと実は思って、従来から、これはまるまる政府が助成せよ、こういうふうに言っておるわけです。  端的に申しますと、いつも申しますように、農政の三つの柱といえば、米、畜産、果樹です。畜産は第二食管です。しかも全国の総産出額をずっと見ましても、米は全国的にも相当あたたかい助成が行なわれまして、米は大体一兆五千億のいわゆる農業総産出額ですが、畜産の場合は一兆一千億ぐらいであります。大体米の六分の一ぐらいの補助、援助ということになっておりまして、私は、畜産にもっとあたたかい国の助成をすべきである、かように思っています。今回、配合飼料販売数量等を見ましても、年間千八百万トンを必要としておりますが、これを十二カ月で割りますと、月に百五十万トン。一万百十二円の値上がり、かりに一万円としましても、月に百五十億円であります。九月から来年三月まで手当てをしますと、七カ月で約千五十億円。十月から来年三月まで六カ月手当てしましても、月百五十億円でありますから九百億円、こういうことになる。こういったことから見ましても、政府はむしろ九月にさかのぼって全部千五十億円の手当てをしていただきたい、私はこういうふうに叫んでおるのであります。実際、米から見ましても、第二食管であるこの畜産に対しての思いやり、あたたかい対策がなっておらぬ。それで大蔵省に対して、いま予算時期であるので、農林省が及び腰になるのかなんか知らぬが、大蔵省にもうんと認識してもらいたいし、強い姿勢でこれらの直接助成方式をとっていただく。二百十一億円では足りないじゃないか、むしろ私は、十月からになっても九百億円は見ていただきたい、これぐらいの考えでおります。もちろんこれには基金に入っている者と入っていない者といろいろありますので、一がいに言えぬ面もありますが、そういう姿勢で大蔵省も対処してもらいたいし、また農林省も当たってもらいたい、かように実は思っております。  そういった意味から、この第二の配合飼料価格安定基金の拡充措置、これに対しては農林省は、当然この二百十一億については直接助成方式をとるべきである、そして強力に大蔵省に臨んでもらいたい、かように思う。また、大蔵省もきょうは呼んでおりますが、こういったことについていろいろ午前中からこの論議を聞かれて、畜産がたいへんなときになっておるし、国民のいわゆる動物性たん白質を提供している重大な第二食管であるこの畜産に対して十分な認識をされておると思うが、この畜産の重大な危機に当たって、十分ひとつ大蔵省としてもさいふのひもをゆるめて、農林省の要求にこたえていただきたい、かように思うわけです。農林大臣並びに大蔵当局からの見解をお聞きしたいのです。
  139. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 繰り返し申し上げておりますように、実際に必要となる時期は本年末でございますので、それまでに御趣旨を体しまして財政当局とはよく話を詰める考えでございます。
  140. 宮下創平

    ○宮下説明員 お答え申し上げます。  たびたび御論議がございますように、畜産は農業の基幹部門としてその重要性というものは十分認められるわけでございますけれども、今回の配合飼料価格安定基金基金の造成のしかたにつきましては、先ほど来農林当局、農林大臣から御答弁のございますように、直接助成方式をとるかあるいは国の債務保証によるところの融資方式をとるかということは、一応ペンディングにいたしております。私どもといたしましては、農民に対しましては必ず十二月まではトン四千円、それから一月から三月まではトン二千円、平均三千円の助成が行なわれるという点につきましては同意して、これはもう間違いのないことでございまして、あとはその配合飼料を扱いますところの全農ないし商社系のメーカーに対する基金の造成をどうするかという問題になるわけでございます。したがいまして、この点は、先ほど来御議論がありましたように、一月以降支払えばよろしいということで、問題は一応先に延ばしたかっこうになっておりますが、一応いろいろ御議論のあるところでございますので、それらを踏まえて十分検討したいと思っております。
  141. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大蔵省、せっかくこのためにきょう来ていただいたわけですが、畜産がたいへんなときになっていることは十分おわかりだと思いますけれども、先ほどから話がありましたように、酪農農家もまた畜産農家にしても、一千万、二千万、大きい人では三千万というような借り入れをして、いまたいへんな苦境に立たされております。御承知のように、最近は肉の価格がしばらく上位に進んでまいりました関係から、乳価が安いというようなこともあって、乳牛を一頭三十五万円で売って、そしてこれを肉に売却するというようなことで、一年間には相当数の酪農民が離脱をしていっております。戸数にしても、また酪農民にしても相当数減っていることは御存じのとおりです。こういったことを踏まえて、国民のいわゆる健康を守るために、また食料供給のためにがんばっているこういった酪農民あるいは畜産農家に対して、大蔵省としてもひとつ十分な助成をしてもらう、こういったことでわれわれは切に要望するわけですけれども、その点十分わかっていただいたと思うが、大蔵省としても、来年度予算編成時期にあたり、こういった農業はもちろんですが、畜産農民に対する実情については十分ひとつ大臣にも反映していただくように、特に格段の努力お願いしたいと思う。その点についてさらにひとつあなたの畜産に対する認識、考え方というか、その点をお聞きしたい、かように思います。
  142. 宮下創平

    ○宮下説明員 お答え申し上げます。  ただいま明年度の予算につきましてはヒヤリング中でございますけれども、これから年末にかけまして査定をいたしまして、また農林省とも御相談を申し上げて、政府案をきめるという段取りになってまいるわけでございますが、ただいまの先生の御指摘も十分踏まえまして、検討をさせていただきたいと思っております。
  143. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大蔵省としても対処していただくということですから、農林省もひとつ農民の声を十分反映して、思い切った要求をして農民の期待にこたえてもらうように、さらに農林省当局にもお願いしておきます。  次に、時間の関係もあるので、畜産振興審議会については、午前中も参考人ともいろいろ論議したところでありますが、早急にひとつ開いてもらいたいわけです。先ほどから農林大臣の答弁を聞いてみますと、価格の改定をする要素がないとか、すぐに畜産審議会を開くようなことをおっしゃっておられませんけれども加工原料乳の一キログラム当たり保証価格を見ましても、四十七年は四十五円四十八銭、四十八年で四十八円五十一銭です。もうわずかな値上がり、こういったことではとうていお話になりません。まさにこれでは農家をつぶす、いわゆる農家が壊滅におちいる数字であります。こういったことから、午前中の参考人に対する質問等いろいろいたしましたが、最低六円ないし七円ぐらいは上げてもらわないとどうにもならぬ。もちろん大幅な値上げを要求しておるけれども、どんなことがあっても六円ないし七円は上げていただきたいというのが最低血の出るような叫びであります。そういったことからも、大臣はまさかこれでいいとは思っておられぬと思いますが、もしこれでいいというならば、現地の事情を知らぬということになります。これに対して大臣はどういうふうに考えておられるか。畜産振興審議会を早急に開いてもらいたいが、なぜ開けないか、それらの理由と、また開くべく必ず検討されるのか、その点、大臣からさらにお聞きしたいと思うのです。
  144. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 現時点で私どもの持っております計算要素からいたしますと、しばしばお答えを申し上げておりますように、上げる要素も下げる要素もございまして、この時点では畜産審議会に諮問をするという前提条件が整っておらないわけであります。しかし、御質問の点からいたしますと、現在の実情が一体どうか、それが反映しておるかどうか、こういうことになりますると、最近時のデータというものが反映しての係数を持っておるわけではございませんから、先ほども畜産局長から申し上げましたように、各種の要素をそろえてよく検討いたしたい、こういうことを申し上げておるわけであります。
  145. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 畜産振興審議会については、公開の席では大臣はその程度しか答弁できないかもしれませんが、この委員会あとで、本日は、加工原料乳保証価格並びに豚肉の基準価格等について検討を加え、必要に応じ畜産振興審議会等の意見を聞き、所要の措置を講ずることという決議をする予定で、すでに本日参議院で決議をされております。したがって、こういったことでわが衆議院のほうでも当委員会で本日決議をすることになっておりますので、われわれもまたさらに委員会あと政府に要望してまいりますが、どうかひとつ早急に、いまこそ審議会を開いて検討するというふうに大臣のほうも督励をしていただき、またそのような対処方針で臨んでもらいたい、かように思います。  次に、液卵公社についてお尋ねしておきますが、御存じのように、農林省は、ことし二千二百トンの買い入れで二億円の予算を組んでいろいろ対処されるように予算要求してあります。大蔵省のほうで査定が通ればこのとおりになるわけでございますが、現在は買い入れ価格が百七十一円から百七十二円ということで、すでに一千トンの液卵の買い入れ、特にことしは五、六、七が卵価が安かったために、その当時買い入れをして、いわゆる市場価格の安定をはかるということで維持をはかっていただいておるわけでありますが、この液卵公社については重大な関心を持っております。ぜひひとつこれは推進をしていただきたい。きょう午前中の参考人にお伺いしましたときには、買い入れ価格等は四十円上げて二百十二円ぐらいにしていただきたい、また、買い入れ数量も二万トンぐらいをひとつしていただきたい、こういうふうなことでございました。当然政府は二億円の予算を組んでおりますので、出資等も、比例して畜産振興事業団、都道府県、全農、全鶏連、キューピーマヨネーズ等が出資をしておりますが、こういった出資等も考えられるかと思うのですが、その点のお考え、構想等について簡潔にひとつお答えをいただきたい。
  146. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  卵価安定基金によります基準価格によって下値ざさえをいたしておりますが、さらに、需給が不均衡になりまして、卵価の下落の際に、御案内のとおり、液卵公社が出動するというわけでございまして、基準価格を横に見ながら買い出動いたしまして、本年も一千トンの買い入れをしたわけでございます。今後、その機能をさらに強化するため、先生御指摘のような出資に対する助成と申しますか、振興事業団を通ずる助成について、財政当局とただいま話し合い中でございます。その点におきましては、価格その他の問題については本年から明年にかけての卵価の動向なりえさ価格の動向を見きわめた上で、卵価安定基金の基準価格との関係で適切にきめるのがしかるべきだというふうに考えておるわけでございます。
  147. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この件についてもう少し聞きたいのですけれども、時間の範囲内で終わりたいので、農林大臣にお伺いしますが、八月一日現在で、米国の一九七三年産主要穀物生産予想が発表されております。これについて農林省はどういうふうに受けとめておられますか。この米国の発表の概略を簡潔に御報告ください。
  148. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  アメリカ農務省におきましては、その作付以来一定の期間を置きまして、主要穀物についての作柄の予想を発表しておりますが、先生お話しの八月一日とさらに今月十一日に九月一日現在が公表されましたので、その関係についてお話しを申し上げますと、本年一番最近時点、ほぼ収穫が固まってまいりました九月一日時点の収穫量といたしましては、メイズは五十七億六千八百万ブッシェルで、前年比よりも、前回が八月一日現在が五十六億六千万ブッシェルでございますので、一億ブッシェル以上の増収、これは史上最高といわれました昨年に比べましても約四%近い増収ということになっております。それからマイロにつきましては、同じく前回の発表よりもふえまして、前年比に二割近い増収、大豆は二割五分近い増収というようなことになりまして、時間の関係等もございますので、場合によりましては詳細な資料をお手元に差し出さしていただきたいというふうに考えております。
  149. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 米国の主要穀物生産予想の主要な資料は後ほど手元にいただくことにしまして、そこで、私もこれを検討して見ますと、トウモロコシの場合は九月十一日に発表になりました九月一日の数字、また八月一日現在の数字等から見まして、トウモロコシで前年比一〇三・九%、マイロが一一八・六%、大豆が一二四・六%、全小麦で一一一・八%、大麦が一〇一・四%、平均一〇九・一%とこういうふうに予想数字が出ております。けさの日本農業新聞の一面記事によれば、「エサはさがらない?」米国は豊作でも需給は逼迫している、収穫を上回るところの契約量で、当面の緩和だけが云々というようなことが一応出ております。こういったことから思い合わせまして、当委員会でも三月以来私たちしばしばこのことで質問してまいったのですが、一月は三千二百円、三月が四千八百円、そして今回が一万円で、一年間のうちに約一万八千円値上がりした。春には古古米四十万トンの払い下げなど特例措置をした際にも、世界の天候異変等食糧危機ということを見通して、当委員会で私も四回か五回にわたって、大臣また当局にもこういったことを追及し、質問したわけですが、そのつど大臣はじめ農林省は、九月に米農務省の予想収穫量が発表になったならば見通しがつくというのが、必ずそのつどの答弁でございました。そういったことで、いま概略発表がありましたように、今年の予想収穫量について米農務省の発表が出たわけです。当然今後の飼料価格また飼料輸入見通しも立ったはずであります。若干まだ時間がありますから、その見通しを、要点だけでけっこうですから、発表いただきたい。
  150. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 アメリカの収穫量は豊作である、これは一つ事実であると思います。しかしながら、この一大供給国に対して需要が殺到しておるということも事実でございまして、それがために価格は非常に堅調である。一部には値下がりのものもございまするが、概括していえば堅調であると見るのが正しいかと思います。それらを前提にして今後のことを考えまするに、日本に対する供給上の不安はございませんが、価格の面につきましては、なおよく今後の見通しをつけていかなければならない。堅調で推移するだろうということを前提にして、いろいろ考えていかなければならないというのが、ただいまの時点における私の観察でございます。
  151. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あと簡潔なことですから一、二問。  そこで、トウモロコシシカゴ相場を見ますと、七月が八十六ドル、八月が九十七・六三ドルになっておりますが、だんだん下がる傾向にわれわれは相場を見ておるのですけれども、このシカゴ相場、九月はどのくらいに農林省は見ておられますか。数字がわかっておりましたら、発表してください。
  152. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、お話しのとおり、シカゴ相場の最低価格等も、八月の中ごろがピークでございまして、その後の作柄の豊作予想でやや弱含みに反落反騰等を繰り返しておりますが、やや弱含みに推移しているのが現状でございまして、その点、一体九月は幾らと見るかというような御質問でございますが、この点については、やや弱含みで推移していくという以外に価格としては申し上げにくいわけでございます。
  153. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の関係で、局長、最後に、私、聞くけれども、そういうことで詳しくこれのデータを言うわけにいきませんが、大ざっぱに申し上げたようなことで、米国の一九七三年度の主要穀物の予想収穫量の発表が八月一日と九月一日、二回出た。農林省はこれによって対策を立てておるわけだ。シカゴ相場の推移も、八月が少し高かったが、九月からだんだん下がりぎみの関係にある。こういうところを見ますと、けさの日本農業新聞のトップ記事に出ておりますけれども、農林省としては当然見込みもすでに立っていろいろ計画されておると思うが、局長は今後飼料はまだずっと上がっていくと思われるか、下がっていくと見通しておられるか、将来飼料はどういうふうに推移すると見ておられるか、はっきりとひとつ答弁いただきたい。
  154. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど大臣が申し上げましたとおりでございまして、最大輸出国のアメリカにおいては豊作で供給余力はさらに加わりますが、これに対する各国の需要も集中いたしますので、その他の要因をいろいろ考えましても、堅調に推移するというのがわれわれの現時点の判断でございます。
  155. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 通告いたしました残余の質問は、時間の制約の関係で十分できませんでしたが、次回に質問することにして、本日はこれで終わります。
  156. 佐々木義武

    佐々木委員長 神田大作君。
  157. 神田大作

    ○神田委員 私は、農林大臣並びに局長にお尋ねします。  畜産の経営が、飼料の今日の三回による値上げによって非常な危機に立っておる、こういう現実の状態に対しまして、これら畜産農家の経営の危機を打開するためには、どのような方策をとるべきであるかということを、局長並びに大臣に率直にお尋ね申し上げます。
  158. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来種々御質疑がございましたように、まず配合飼料の大幅値上がりに対しましては、融資なり価格安定基金に対する補てんというような措置を講じまして、急激な衝撃の緩和をして当面をしのぐということでございます。なお、今後におきましては、畜産物価格等についても慎重な配慮を払いまして、原料高製品安というような事態による経営の圧迫が加わらないような配慮をいたしながら、できる限りこのような悪影響を乗り切っていくということに全力をあげるべきものであるというように考えております。
  159. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 局長の答えたとおりでございますが、飼料緊急対策また同時に飼料関係作物に対する緊急対策を講ずるべく、先ほどもお答えを申し上げたとおりでございまして、これらを総合してやってまいりますならば、畜産農家に対しての一応の対策になってまいる、こういうことであります。
  160. 神田大作

    ○神田委員 あなたのおざなりな答弁で、現在日本の畜産農家がこの危機を脱することができると考えていることそれ自体が大きな誤まりであります。私は飼料のこのような異常の値上がりに対しまして、これに対する大幅な助成によって飼料値上がりを押えるか、これができなければ、畜産生産物の価格の上昇によって畜産飼料高を解消するか、この二つ以外にないと思っている。ところが、この点について、飼料値上がりに対しましては融資であるとか、そういうことを考える。なるほどそういう安い金を貸すことはけっこうでしょう。しかし、それでは万全ではない。もう金は借りられるだけ借りておる。特に養鶏農家なんかはどうにもならぬ。これ以上借金をしてどうなりますか。どうしてやっていけますか。畜産局長は養鶏家の一人一人を調べてください。幾ら借金をしてどういう経営をやってきたか、これはもうわれわれは現場におりますから、よくわかっておる。今日までどんどんと養鶏農家はつぶれていく。家も屋敷も捨てて夜逃げ同様にしていく養鶏農家は数を数え切れないほどあったわけだ。この現実を踏まえないで、この危機は、ただ金を貸すから何とかなるだろうとか、あるいは少しばかりの安定基金を繰り入れるから何とかなるだろう、そういうなまやさしいものではないということを現実によく調査をして、認識を新たにしてこの対策を立てなければならぬと思うのですね。  そのためには、まず私は、どうしてもえさ高を押えることができないとするならば、畜産価格の安定をはかって、畜産価格を適正な価格にしなければならぬ。そのためには、われわれは畜産振興審議会を開いて、いわゆる基準価格の改定をしろということを申しておるわけであります。先ほどの瀬野君の質問に対して、大臣はこの審議会を開くような意思がないようでありますが、この点について大臣はどう考えます。
  161. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 畜産審議会を開くか開かないか、それには前提条件が整う必要がございますので、そこで、現在の諸要素からいたしますと、それが整っておらない。しかしながら、皆さま方がこの一番直近時をもっていろいろお考えの上で私どもに開け、こういうことを言われておるわけでありますから、われわれとしても最近のデータをそろえて検討をする、こういうことを申しておるのでございます。
  162. 神田大作

    ○神田委員 それでは、重ねてお尋ねしますが、畜産審議会を開催する用意があるわけですか。これは速急にやらなければ時間がどんどんたってしまう。ですから、開きますといって来年開いたって何にもならぬ。これはことし、この国会開会中あるいは少なくとも十月中にこれを開催するということでなければ、二月も三月もたってから開いたって何にもならぬことですから。大臣どう考えます。
  163. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 そこはたいへんお答えしにくいのです。いまその要素が整っておらないのですから、現時点では開く要素がない。しかしながら、皆さん方がいろいろ御指摘のことも私はわからないわけではありませんから、最近におけるいろいろな要素をすみやかに検討いたしたい、その結果によりたい、こういうことでございます。
  164. 神田大作

    ○神田委員 変な答弁を大臣はしますね。これは納得いかないですね。現在の要素がないというのですか。畜産物価格安定に関する法律がある。よく聞いてくださいよ。その第四条に「農林大臣は、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、安定価格を改定することができる。」その場合には畜産振興審議会の議を経るということになっている。現在の物価高、飼料高が、著しい変動を生じたと思わないのですか、この点どうですか。
  165. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 この四条をそのままとりまして、そして農林省としては統計情報部を中心として資料を整えるのでありますから、その資料からいたしましては、現在私として開く前提条件が整っておらない。しかし、最近の直近時までを考えると、そういうことを頭に置いていろいろ御質問されておると思うので、それについては諸要素を整えて検討をいたしたい、こういうことを申したのであります。
  166. 神田大作

    ○神田委員 諸要素をそろえて検討するというような、そういう事態じゃないでしょう。大体先月から比較して卸売り物価が幾ら上がっていますか。物価のこのような高騰の中において、畜産価格決定されたのはもう四月でしょう。これから比較しますと、この卸売り物価の暴騰というものは著しいものですよ。今日これを開かないという理由はどこにもないわけです。  それでは、たばこの場合を言いましょう。たばこの審議会を開いて——たばこは前に七・一%にきめたわけです。それを一九・一%に上げたわけですよ。専売公社の葉たばこの価格の問題は、これは一年に一回しかいままで開いたためしがない。しかし、ことしに限ってこれは二回開かざるを得なかった。それは物価の暴騰、賃金の暴騰、それによって生産者価格が、とても前にきめた価格では引き合いようがないというので、これは二度審議会を開催し、そうして改定をしたわけです。  これを経済の著しい変動と言わずして何ですか。大蔵省はそういうような措置をとるが、農林省はそのような措置はとれないというのですか。この畜産の大危機に際して、農林大臣はこのりっぱな法律を適用することができないというのですか。それで農林大臣がつとまりますか。この点をお尋ねします。
  167. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 たいへんおしかりを受けておりますが、私として諸要素が整っておらなければ、どうやって財政当局に要求するのですか。だから、直近時のそういう諸要素をそろえて検討をして考えますということを申し上げておるのが、どこが間違っておるのですか。
  168. 神田大作

    ○神田委員 諸要素がそろっておらないというが、今日のこの物価の高騰は、これは諸要素がそろっておりますよ。畜産物価格のあなたがきめた価格は、まことに低いものだ。今日においては、これはもう畜産農家がやっていけないということがはっきりわかるでしょう。またいろいろ畜産物価格の実態が上がっているじゃありませんか。基準価格が低いじゃありませんか。大体卵が百六十三円、いま二百八十円になっているでしょう。これが諸要素がそろわないという、そういう逃げ口上をするというばかな話がありますか。こういう現実の問題がはっきりしている問題について、諸要素が整わない——整わないわけないでしょう。現実において安定基準価格、鶏卵においては百六十三円が今日二百八十円になっている。こういうような価格差において、これは物価が暴騰していることは明らかですよ。これは肉につきましても、あるいはあらゆる諸物価につきましても言えるのですよ。そういうことを言わないで、これはもう即刻振興審議会を開いて、そうして安定基準価格の改定をするという、そういう決意を私は述べてもらいたいと思うのですが、再三ひとつ御答弁を願います。
  169. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 きょうは各委員の皆さん方からいろいろ御指摘されていることは、私は十分わかっておるのです。しかしながら、たとえていえば、これはきょうのお答えに使うにはいささか古いとは承知しておりまするけれども、しかしながら、ここに書いてあるとおりを申し上げますよ。乳牛配合飼料値上がり率は約二一%、加工原料乳地域の五人以上規模製造業労賃の上昇率は約一七%、しかしながら、乳子牛価格上昇率は、雄約四倍、雌約一・七倍、乳廃牛価格上昇率は約四〇%、後継牛価格上昇率約三三%というようなことから、あるいはその他のデータも出ておりまして、これらをそろえていきますると、いま私が責任をもって、そのお示しの法律に基づく審議会を要請をして諮問する、そういう前提要素がないから、したがって、皆さんのおっしゃっておることもよくわかるので、すみやかに諸要素をそろえて検討をいたしたい、こういうふうに全く私の立場から言えば、私はこれ以上のお答えがしにくいというわけなんであります。
  170. 神田大作

    ○神田委員 大臣のいま言った統計はいつの統計だかそれはわからぬ。わからぬが、それから見ても、三三%も上がっておるというのを言いましたな。三三%も上がっているというのはたいへんなことですよ。三分の一上がっているのですよ。こういうことはもう物価一つの暴騰と変動、大きな著しい経済の変動と言わずして何と言いますか。日本の今日の経済は、もう年度当初から比較すれば、これは十月になりましてあらゆるものが暴騰を続け、経済は大きな変動を来たす。この大きな経済的な変動に際しまして、私は、基準安定価格を、一年前にやったものをそのままでもっていいということはない。だから、法律の第四条に、経済の著しい変動の場合は、この畜産振興審議会を開いて価格の改定をしてもよいと、ちゃんと法律にうたってある。その法律にうたってあることを、いち早く——うたってなくとも、これはもう改定しなければならぬことなんだから、こういう場合にはこうしなさいよと法律できめてあることなんですから、大臣は、そういう点は、この畜産農家の今日の危機を救うためには価格でもって吸収するほかはない、えさ高を押えることができなければ、価格でもって吸収するほかはない。だから、価格を改定してこれらの危機に立つ畜産農家を救済するほかこれは方法がないのです。そうでなければ、日本の畜産はつぶれてしまう。あなたたちが長い間畜産奨励をやっても、へにもならぬ。一ぺんやめた者は、もう再び畜産はやらぬ。しかも今日畜産をやっておる人たちは非常に篤農家、しかも高度な技術を持っておる、最後の最後までこのとりでを守っている、日本の農業にとっては非常に大事な人たちだ。この大事な人たちを見捨ててはならない。私は国の大きなこの施策によってこれを安定させ、これを安心して畜産経営に専心せしめる方策をとってやらなければならぬ。そのためには、まず第一にやらなければならぬことは、価格の改定によって価格を適正にしてやる以外に方法はないのです。どうか、そういう意味合いにおいて、すみやかに畜産振興審議会を開いて、この安定基準価格の改定に踏み切られることを望むと同時に、審議委員各位の意見の開陳によって、日本の畜産はどうあるべきかということの基本的な方向を打ち出してもらいたいと私は考えるのであります。この点について最後に大臣にいま一度御答弁願います。
  171. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 たいへん御熱意を持っての御所見をまじえて御質問をちょうだいしておるわけでございまするが、私どもはいまの最近時における実態を十分把握をいたしまして、検討の上、御趣旨をよく踏まえて考えてまいりたいと思います。
  172. 神田大作

    ○神田委員 最後に、大蔵省からおいででございますから——いないか。委員長、いないですか。おりますね。私は大蔵省飼料のこの暴騰に際しまして、飼料安定基金に繰り入れ助成をすることを強く要請したにもかかわらず、これを渋っておるようでありますけれども、今日のこの日本の畜産を守るためには飼料価格を安定させるか、畜産価格を適正な価格にするか、それ以外に、二つの方法しかない。私は畜産価格を上げるということはあまり好ましくはないけれども、しかし、今日引き合わなければ、これは上げるほかはない。それを押えるためには、この飼料の安定基準価格に対しまして助成をするほかはない。これを渋っていることについて大蔵省は認識を深め、この畜産対策を強力にひとつ遂行してもらいたいと思いますが、これに対しての見解をお尋ねします。  ——大蔵省はいないのか。大蔵省はぼくが呼んでおいたんだよ。それが帰るというのはどういうわけだ。——いなければ質問を保留しましょう。ぼくが呼んでいた主計官がいないという話はないがな。時間の関係もありますから、私はきょうの質問をこの程度にして、あと保留いたしまして、私の質問を終わります。     —————————————
  173. 佐々木義武

    佐々木委員長 この際、飼料緊急対策並び畜産物価格に関する件について決議をいたしたいと存じます。  本件に関しては、本日の委員会において、午前中は最近の飼料価格及び畜産経営等の深刻な状況にかんがみ、緊急に関係団体の代表者から参考意見を聴取し、また午後には政府当局に対し当面の危機打開並びに畜産経営安定の方策について真剣に政府の見解をただすなど、本問題を取り上げてまいったのでありますが、先ほど来各党の理事間におきまして協議を願っておりましたが、その協議が整い、案文がまとまりました。  便宜委員長から案文を朗読いたし、その趣旨の説明にかえたいと存じます。    飼料緊急対策並び畜産物価格に関する件(案)   最近の飼料、資材、諸物価の急騰は畜産物生産のコストを高め、経営に悪影響を及ぼし、わが国農政の支柱である畜産を重大な危機に追い込んでいる。かかる深刻な事態を早急に打開するため、政府は速やかに左記事項に所要の措置を講じ、畜産経営安定に万遺憾なきを期すべきである。          記  一 九月以降の飼料値上げについては、安定基金等に助成措置を行なうこと。  二 加工原料乳保証価格並びに豚肉の基準価格等について検討を加え、必要に応じ畜産振興審議会等の意見をきき、所要の措置を講ずること。  三 政府の操作飼料の操作規模の拡大等適切な方途を講ずるとともに、この際、備蓄確保についても配慮すること。   右決議する。 以上でございます。  ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  174. 佐々木義武

    佐々木委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。  この際、本決議に対し、政府より所信を求めます。櫻内農林大臣。
  175. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいまの本委員会の御決議につきましては、その御趣旨を体して慎重に検討いたし、善処いたします。
  176. 佐々木義武

    佐々木委員長 ただいまの決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 佐々木義武

    佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。次回は明十九日、水曜日、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時五分散会