運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-08-29 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年八月二十九日(水曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 佐々木義武君    理事 仮谷 忠男君 理事 藤本 孝雄君    理事 山崎平八郎君 理事 渡辺美智雄君    理事 美濃 政市君 理事 津川 武一君       吉川 久衛君    熊谷 義雄君       島田 安夫君    正示啓次郎君       菅波  茂君    西銘 順治君      三ツ林弥太郎君    湊  徹郎君       森下 元晴君    安田 貴六君       井上  泉君    島田 琢郎君       竹内  猛君    野坂 浩賢君       芳賀  貢君    湯山  勇君       中川利三郎君    瀬野栄次郎君       神田 大作君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         農林大臣官房長 三善 信二君         農林大臣官房審         議官      澤邊  守君         農林省農林経済         局長      内村 良英君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         農林水産技術会         議事務局長   中澤 三郎君         食糧庁長官   中野 和仁君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁長官   荒勝  巖君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局水資源課         長       北野  章君         環境庁水質保全         局水質規制課長 太田 耕二君         大蔵省主計局主         計官      宮下 創平君         大蔵省主税局税         制第二課長   福田 幸弘君         農林省農林経済         局統計情報部長 大山 一生君         通商産業省貿易         局農水課長  豊田  整君         通商産業省立地         公害局工業用水         課長      柴田 益男君         建設省河川局河         川計画課長   飯塚 敏夫君         建設省河川局治         水課長     栂野 康行君         建設省河川局開         発課長     宮内  章君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 八月二十九日  辞任         補欠選任   米山内義一郎君    芳賀  貢君 同日  辞任         補欠選任   芳賀  貢君     米内山義一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。美濃政市君。
  3. 美濃政市

    美濃委員 本日は主としてえさ値上がり問題と畜産問題についてお尋ねいたしたいと思いますが、私のほうから質問する前に、すでに九月においてはえさを一万円以上値上げしなければならぬという情勢。この情勢が九月一日からどうなるのか、農林省ではどう押えておるか。それから、それに伴う対策。それから前にも申し上げました、特にいろいろ条件は前の質問のときも申し上げてありますが、非常に酪農専業経営収支が落ち込んで、このままでは大幅に酪農生産が後退してしまう、特に牛乳生産が後退してしまう、片やこういう現象が出できております。これらの問題は前の質問のときも申し上げ、特に最近またえさ値上がり問題が出てきまして、これに対して当面どういう対策をしようとしておるか、それをまず先にお伺いをいたしたいと思います。
  4. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまお尋ねの点は、全農が九月以降トン当たり一万百十二円の値上げをしたいという方針を打ち出しておる、それに伴って一体政府としてはどういう考えを持つか、具体的に考えますと、そういうお尋ねではないか、こういうふうに受けとめるわけでございます。  この一万円からの値上げということでございますれば、酪農経営に非常に大きな影響のあることはもう言わずもがなでございますので、当面、この値上がりに対しまして、所要資金の一部を低利融資をいたすとか、あるいは現在全農及び商系でつくっております価格安定基金に対しての何らかの助成措置を講じまして、農家現実にこの値上がりというものが直接大きく影響が出ないようにくふうをいたしたい、こういうことで、現在、いまのような基本的な考え方に立ちまして、財政当局との間で折衝をしておるという次第でございます。  その中で大体の見当のついておりますのは、融資につきましては、所要額を確保いたしまして、貸し付け条件としては、据え置き期間六カ月を含む償還期限二年、金利年四分ぐらいなそういう融資措置をいたしたいということで折衝をいたしておるわけであります。  また、この価格安定基金に対する助成につきましては、何らかの助成を講ずるということにつきましては大体意見の一致を見ておるのでございますが、具体的にしからばどうするかという点につきましては、まだ最終段階に至っておらない、こういう次第でございます。  一応お答え申し上げます。
  5. 美濃政市

    美濃委員 この安定基金に対する措置はどういう条件で持ち込んでおるのか。もういまの段階ですから、九月一日値上がりというのを迎えておるわけですから、どういう条件で持ち込んで、その交渉はどういう段階にあるのか、もう少し具体的にお話を聞かしてもらいたいと思います。
  6. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私どもとしては、なるべく酪農家に対する負担現実に軽くなるようにということから、国の直接助成安定基金にすることを望んでおるわけでございますが、そうなりますと、ここで相当な資金の必要が出てくる。まあ、いずれにしても、その場合でもあとトン幾らというもので埋めていくわけでございますから、そこで、その考え方としては、そういう国の財政で直接見るという以外にも方法があるのじゃないかという意見も出ておりまして、そこで、農林当局といたしましては、農家に対しての実質的な効果は変わらないようにいたしたいということで、いませっかく交渉を続けておる。そのどういう方法を講じても大体同じ効果があがるようにいたしたいということだけ、はっきり申し上げられるのでございますけれども、具体的については私どももまだ、これならば至当であるとか、あるいはまた、率直に申し上げて、与党のほうでもそれならいいだろうというようなふうになってきておりません。しかし、酪農をされておる方には大体同じような検討の結果が出るようにつとめたい、こういうことでございます。
  7. 美濃政市

    美濃委員 どうもこの時点に立っても基金に対する態度が明確でないわけです。  そこで、お尋ねしますが、今回の値上がり分、これは家畜飼料全部です。酪農もたいへんですけれども養豚あたりもたいへんです。大体今回の値上がり分は卵一キロにつき四十三円ぐらいのはね返りになってきますから、これはなかなかたいへんなことなんです。この基金助成して、値上がりを完全に押えるといったら、一カ月何ぼ出さなければなりませんか。一カ月分でけっこうです。それを延べて計算すればいいですから、一カ月何ぼを出せば完全に値上がりを押えられるか、こういうことであります。
  8. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  大体配合飼料年間使用量は、先生案内のとおり、千八百万トン水準でございます。したがって、月によりまして九月以降は越冬用飼料その他で年間平均よりは使用量がふえますが、それを前提といたしますと、トン一万円といたしますと、完全に財政肩がわりをするという場合なり、あるいはその他の措置によって基金肩がわりをすると月百五十億というような金額に相なるわけでございます。
  9. 美濃政市

    美濃委員 予算の見通しについてお尋ねしたいと思います。  これは近く行なわれるでん粉等問題等からトウキビなどを主体にいろいろ国際的条件というものを調べておりますけれども、前の質問機会にも申し上げたように、たとえばアフリカから入ってくるコーンスターチ用白トウキビ、これは生産事情というものは、非常に文化生活などというのじゃなくて、かろうじて生産しておるという条件生産しておる価格でありますから、最近はそういうことがわかってきましたから、おそらく従来一トン五十七ドルから六十ドル程度で入ってきておったアフリカ白トウキビが、今後の見通しとしては百二十ドル、現在は百七十ドルぐらいしております。百二十ドルは下回らないだろう。生産地ほんとうに生存しておるだけの原始生活でつくったコストでは売りに応じてこない、こう見ております。百二十ドル以下にはならぬのではないか。一応そういう推定です。これは経済問題ですから、そういう想定に立っております。そうすると、いま大ざっぱに申し上げますと、昨年までの従来価格から見ると、いまの価格は三倍ということが言えるわけですね。三倍に近いはね上がり。アフリカから輸入しておるコーンス用の白ものトウキビというのは三倍をこえておる。黄色いトウキビは百三十ドルか百三十五ドルぐらいでしょうか。そのくらいに私の調査では押えておるわけであります。これでも二倍をこえておる。それも要求しただけの量がいまの時点では、端境期には思うように潤沢に調達できないような条件下にある。将来の展望に立ってももと値段には下がらないだろう、この見方はどういうふうに見ておりますか。
  10. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生のただいまのお話の点は、南アフリカコーンス用イエローものについての価格関係についてのお話でございます。実は私どもイエロー需給関係なりあるいは価格動向等については、あるいは先生指摘動向かと思うわけでございますが、申すまでもなく、私どもの問題にしております配合飼料原料としてのトウモロコシ、コーンアメリカが大宗でございます。これにつきましては、御案内のように、南ア等生産事情とは異にしておるわけでございまして、価格動向等先生南アイエロー等について御指摘のような数字には相なっておらないわけでございます。六十ドル前後だったのが昨年のいまごろだった。それが高いときには百二十ドル、三十ドルまでいきましたが、最近若干豊作予想で下がってきておるというようなことで、最近の週価格等は九十ドルないし百ドルというような状態に相なっておるわけでございます。需給等見通しについては、これは詳細申し上げればお時間をとりますので、恐縮でございますけれども、端的に申し上げますと、今年上期におけるアメリカの大幅な減反解除措置とか、昨年大不作であった南半球の作柄等が比較的よかったとか、その他の要因から相当程度本年下期におきましては需給が緩和すると見られておったわけでございますが、やはり引き続いて南アにおける供給力等の低迷その他もございましたが、世界の需要アメリカに集中いたしまして、依然として高い水準にあるわけでございます。いずれにいたしましても、アメリカコーンマイロ等の収穫が確定いたします九月の上旬等から下期の需給というものについて最終見通しが立つものというふうに考えておるわけでございます。
  11. 美濃政市

    美濃委員 まあ、見よう見方のものがあるし、申し上げたのはアフリカ対比から申し上げた。しかし、アメリカから入ってくるものといえどももと値段に、大体五十ドル価格には落ちつかぬだろう、それより高い水準で固定化するのではないか、それは百二十ドルなどとは考えておりませんけれども。そう考えますときに、その問題は推定の問題ですから、いまここで何ドルだ何ドルだ、こう言っても、とにかくもと値段には落ちつかない、それより上がったところで国際相場というものは固定化してくるだろう、こう見ております。何ぼ上がったところで固定するかは、ここで推定論はやめます。そんなことを言うとったってしようがないですから。  そこで、この融資措題といいますけれども、たとえば災害原因で、ある地域に農業の生産量が急激に被害減少した。それに対する補てん措置はやはり天災融資なり自創資金なり、融資措置をもって補てんして再生産をはかる、これは当然急激に起きた現象ですから、従来の補完措置が私は妥当であろうと思いますけれども、今回起きているようなものはどうなんですか。行政価格なら、たとえば保証乳価等価格修正、いわゆる加工原料乳補給金法十一条八項の規定によって、急激に経済事情が変化した場合には年度内に価格修正することができる法律になっておるわけです。これは価格修正に該当すると思うのです。融資措置というものはきわめて不適正であろう。たとえ四分でも利子のつく条件のものを貸してどうするのですか。来年度の保証乳価でこれを補償するというならことし改定して、そういうややこしい少額の金を、会計検査が伴うような条件事務整理をやらすような融資措置というのは私はおかしいと思うのです。恒常的にえさは上がってどこで落ちつくかはわからぬが、これはもと値段には下がらないだろうという見通しです。おそらく局長もそうだろうと思います。どの水準で落ちつくかは別として、もと値段までは下がらないという見通しを私は立てております。そうすると、酪農家収支経済の中でこれはいつの機会に払えるのですか。ことしの保証乳価などというものは、統調調査した前年度の生産費を基調として、こういう値上がり要因というものは流通飼料費には入っていないのですね。だから融資してやる。それはいつ解消するのですか。来年の保証乳価をきめるときには、大体三月時点外国飼料の状況というのはまたことしの高い値段調査したもので流通飼料計算して、とりあえずそれを補償するというのか、四分の利子で二年間の約定で借りた分の償還流通飼料の中に含めて流通飼料部分についての計算をするというのか。どうなんでしょうか。そうするのであれば、いま直したほうがいいんじゃないか。それはしませんというんだったら、こういう経済条件の変動を融資措置をもって補完して、当該農家の再生産に要する生活とか経営収支は一体どう持っていこうとするのか、そこを承りたい。
  12. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生の御質疑についてはいろいろの点があるかと思うわけでございますが、第一点の低利資金融資措置の問題は、かねがね申し上げておりますように、急激なさえ代の値上がりに対応して飼料代支出が一挙に増高する、その経営の一挙の激変の負担に対する繰り延べ的な考えでございます。したがいまして、配合飼料費そのものの増加した支出については、当然今後のそれぞれの畜産物についての生産費計算においては、配合飼料費増高分ということで算定すべきものと考えるわけでございます。  なお、保証価格等の問題に触れましたが、この点については後にいろいろ御質疑があるかと思いますが、それぞれの生産要素等動向を見て判断すべきものであるというふうに考えるわけでございます。
  13. 美濃政市

    美濃委員 特に加工原料乳生産価格については全くパリティ指数の中に、たとえば急激に上がった建築費の増大などというものは全然含まれておりません。先週末に地元へ帰ってみると、あの畜産事業団建て売り牧場というのはいまほとんどストップです。もう農家意欲はなくなった。建て売り牧場をつくって畜舎の改善なんかうっかりやれない。計画して申し込んだ者のほとんど大半が取り消しですね。あの畜産事業団関係融資なんかというのは不需要額になってしまいますよ。ものすごく三〇%も上がっちゃったわけです。去年三百万でできたものはことしやれば四百二十万ないし四百五十万かかる。急激な変化によってもうそういうものをつくる意欲を失っちゃった。ほとんど放棄です。もうやらぬということです。そういうものがことしの乳価の中に、たとえば建物費とかああいうふうに分離計算されておる中に何も入ってないのですね。パリティ要素としてそれが入っていない。あるいはいわゆる資本経費と、それから実際に専業酪農家が苦しんでおる具体的な償還保証との中には、この前も指摘したようにキロ当たり三円、四円という実際の経営上の食い違いがある。  こういうふうに保証乳価には単にえさだけでない問題がある。それを私は大ざっぱに計算して、えさ高要因を含めると、その総額はキロ当たり十二円食い違っておる。えさは一応今度の値上がり部分を通算して入れると、牛乳一キロにつき二円七十銭。それで計算すると十二円以上の食い違いが出てくるわけです。保証乳価というものの矛盾がある。酪農民ほんとう経済保証乳価との問に十二円の食い違いがある。そのうち、いまの私の計算は、やはり肉高要因で確かにことしの保証乳価計算からすると牛乳キロ当たり大体三円程度副産物収入でカバーされておるだろう。その要因を引いても、九円ないし十円は直ちに上げなければ酪農生産が停とんしてしまう。とんでもない苦しい中で生産が続けられておりますから、これは長く持続することができない。牛の頭数を減さぬで牛乳生産を維持しようと思えば、ここで乳価は、とりあえずそういう経済要因を全部計算してみると、肉が高いという要因を引いても九円ないし十円直ちに保証乳価改定する必要がある、こう思います。そういう点はこの前局長にはいろいろ申し上げておるわけですが、畜産局畜産局でいろいろ検討しておると思うのです。どうですか。
  14. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、最近における生産要素価格動向から見て、えさをはじめとした生産費調査から見て、三月決定いたしました保証価格について再検討をすべきではないかという御結論のもとに、それぞれの諸要素についての御指摘だと思うわけでございます。  御案内のとおり、保証価格については、これは先生に申し上げるまでもないのですが、四十八年の保証価格は四十七年度生産費もとにいたしまして、最近の時点における物価修正をして決定をさしていただいたわけでございますが、ただいまの建物増高費その他等につきましては、現実生産期間に入りまして牛乳生産に供用された段階における償却費は、当然今後の保証価格決定等について算定をされるべきものであるというふうに考えるわけでございます。  で、保証価格生産費をめぐる諸要因といたしましては、申すまでもなく、飼育管理労働費における評価がえの製造業賃金動向、あるいはただいまも御指摘ございました最近における飼料価格動向というようなコストを引き上げる諸要因もあるわけでございますが、他方では先生のただいまの御質疑の中にもございましたような後継牛を上回る老廃牛価格値上がり率というようなことからくる償却費の問題、あるいは副産物収入としての子牛価格の問題、あるいは農民努力を直ちに召し上げるのかというような御指摘があるかとも思いますけれども、一貫した飼育労働時間の短縮というような問題とか、諸要因があるわけでございます。それらの動向を十分見きわめた上で検討をすべきものではないかというわけでございまして、飼料現実には値上がりいたしますが、最大限度抑制対策に現在つとめておるところでございまして、保証価格という一つ行政価格、一定の算定方式によります価格でございますので、それらの諸要因動向を十分見守った上、慎重に検討していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  15. 美濃政市

    美濃委員 いま話を聞いておって、大体労賃評価改定せねばならぬ。これはみずから局長言われておるわけです。ただし、時間短縮というのはどこをさして言っておるのか。私が具体的に調査した資料畜産局に出してありますが、生乳百トン生産する、ここまでいけば、もう農民は完全な畜産経営技術者であり、飼育技術者である。体系としても一個の経営として確立されておるものです。これは四千時間ですね。保証乳価算定の基礎の飼育労働は三・九八時間ですから、労働時間の短縮ということを主張して、そうして農民だけにまだ十頭飼えば搾乳牛——まあ北海道では平均大体二十三頭で百トンくらいの生産量です。これにも問題があるわけです。保証乳価ノルマは五千キロですから、北海道が多頭飼育をすれば、二十頭置けば、どうしても一頭ないし二頭の乾乳牛はやむを得ないですから、そういうものを含めた頭数では、私の調査では、百トン生産する平均頭数は二十三頭です。脂肪スライドして百トン生産する頭数は二十三頭。保証乳価ノルマは五千キロですから、二十頭でしぼりなさいという乳価なんです。三頭分のえさ代が増加しておる、こういういろいろの問題があるわけです。時間的にいうなら、それはそれとして、もう十頭飼って百五十トンしぼれば何ぼの所得になるということは、私はもう許せぬと思います。とにかくいまの時間から寒地酪農年間六カ月分、八カ月分のえさを夏の間にサイレージなり乾燥にして貯蔵してやる工程というものは、大体今度の保証乳価の百キロ当たり四時間、ここらがもう限度に達してきておる。またデンマークやあるいは北欧の経営の実態も大体そこらである。それはニュージーランドやオーストラリアのように、きわめて恵まれた自然条件下において年間通年放牧して、積算温度関係からあまり貯蔵飼料が要らないというようなこの二国の条件だけは別でしょう、私に言わせたら。寒地酪農条件というものは、ソビエトのソフホーズ、コルホーズの経営を見ても、欧州諸国においては大体百キロ当たり四時間というここまで詰まった経営形態というものは大体そんなものである。それ以上圧縮するということは不可能である。それが労働時間が短縮されておるといういまの御意見は私は意外な感じをもって聞いておるわけです。短縮とは何をさして言っておるのか。六千時間も七千時間も働いて、まっ黒になって、からだがこわれようとどうしようともっと働いて生きていきなさい、こういう意味で労働時間の短縮を言っておるのか。何をさして労働時間の短縮を言うか。私には労働時間の短縮といういまの局長ことばは、他のことばはそう一応言っておることはそういう要素もあるが、労働時間の短縮だけは私はその表現は妥当な表現として認めるわけにはいかない、こう思います。  そこで、その計算はいつ完了しますか、これは急ぎますから。それとも全然やらないのか、頭の中で描いてぶん投げておくのか。それとも計算して理由ありとせば、大臣と相談して畜産審議会を開いて、改定の作業をやろうという前提でこれから鋭意検討するのか。どうですか、それは。
  16. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  飼料価格値上がりなり労賃上昇等生産要因上昇等動向の諸要素については、あとう限り最近時点のデータに基づきましてその動向を判断しなければならないというふうに思っておりますが、先ほども申し上げましたように、私どもが現在のやや大づかみの達観といたしましても、プラス要因マイナス要因等、総合的に見ますと、にわかにその改定を行なうべきかどうかという点については判断をいたしかねるわけでございまして、ただいまも申し上げましたように、飼料価格現実値上がりはございますが、これに対する対策等についても現在最大限の努力を払っておるところでございまして、その飼料価格の今後の落ちつきと申しますか、どの程度の高い水準で落ちつくかというようなものも一つ要素かと思うわけでございまして、制度としての保証価格改定については、あらゆる厳密な資料の整備も要しますので、そう短時日で結論も出るわけではないことは先生のほうが制度についてお詳しいので御案内かと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、あとう限りそれら諸要素というものについて的確な状況をつかみ、それについての総合的な検討をいたした上で、先生のおことばをかりれば、大臣等にも保証価格についての取り扱いをいかにすべきかという点について御報告申し上げて、御判断を得たいというふうに考えております。
  17. 美濃政市

    美濃委員 これはテーブルの上でながめられては困るのです。現実農家は、とにかく酪農停滞の傾向は私から申し上げるまでもないわけです。停滞傾向というのは経済理由から出てきておるわけです。繰り返しては申し上げませんが、えさ高要因だけではないわけです。たとえば私の言っておった急激な変動の値上がりというのは、建築の値上がりというもの、もちろんいまの時点で新築するものの値上がり、それを全部見ておりません。私は一キロ五十銭ぐらいの要素は、畜舎、建物費に追加しなければだめだ。というのはセメン一袋買っても五百円、六百円でしょう。木材が、去年生産費調査をした時点といまとでは、もう倍以上でしょう。たとえばたるき一本が去年は百五十円かそこらで買えたものが、いまたるき一本買っても四百円。そういう要因というものは、あれだけの施設をして、年間修理費をざっと計算してみても、キロ当たり直ちに五十銭、七十銭改定してやらなければどうにもならないのです。全部それが総合的に経費となって、そしてあの安い、今回米価をきめた一時間労働費と、ことしの春きめた酪農民が働く一時間当たり労働費は——土地から畜舎から全部総額で三千万の設備投資をして百トン生産をする体系になれば、もう経営的には一人前ですよ、その比較均衡が、今回きめた米価の一時間当たりと——酪農は三円八十銭ですから、一時間当たり七十円、八十円という労賃格差で、同じ農業をやっておって米価と乳価とは格差があるわけでしょう。そういうものを全部考えるとき、ただいま申し上げたようなあらゆる高額負債の、どうしても設備投資を借りなければならぬ、その元利償還は乳代より払うよりしようがないわけです。その総合的なしわ寄せはやはり全部その安い、たった一時間三円八十銭。粗飼料生産のほうはまだそれよりも安い単純労働計算した。その労賃経営費の不足分というものは食い込んでいっているわけですね。その結果、あなたの手元に出しておるように、北海道ほんとうの主要な酪農地域において、百トン牛乳生産し三千万の資産投資をしている酪農家が、一カ月乳代から五万円しか生活費を得られない。その現実をあなたのところに資料として出してあるはずですね。だれか見にやってくださいよ、乳製品課の人。私の資料が間違いなのかどうなのか。そんなことで大規模酪農というものがやれるのかどうか。テーブルの上で間違った判断でものを判断しておるよりも、一ぺん現実をだれか見にやってください。これは、大臣、やってくださいね。私の資料あとを、名前もついておるのですから、私の調査したあとを一ぺん歩いてみてください。私はうそは言っていないんだ。どうにもならぬから、こういうことを言っておるのですよ。どうでしょうか、そういう点をひとつやってもらいたい。きょうはここでこれ以上詰めても、いついっかという約束はできぬだろうけれども、早急に作業に入ってもらいたい。大臣、どうですか。私どもは、その作業の結果、上げなくてもいい結果が出れば、そのときまた論争します。作業だけはやってもらわなければ、法律にもあるんだし、作業をしてみてください。正しい作業をすれば、きちっと上がる要因は出てきます。上げなければ酪農が崩壊するという結果が出ます。これは大臣のひとつ決断をお願いします。そういう急激に変わった酪農経営事情を再検討する。その結果に基づいては、法律にあるんだから、年度内乳価改定をしなければならぬ。ここで、するという約束はちょっと困難だと思いますが、その結果、しなければならぬ事情であれば、しなければならぬという決断を大臣はしてもらわなければならぬと思います。
  18. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私から申し上げられますことは、まず第一は、当面の飼料対策をどうするのか。これは美濃委員の御質問でも御指摘のように、これが畜産農家酪農農家に対して大きな影響のある要素であるということは、これはお認め願えると思うのであります。したがって、まず飼料対策をやる。それからもう一つは、もう新聞でもいわれておるように、全般的な経済動向をどう持っていくのか。こういううことで、大幅の公定歩合の引き上げもする、また、財政を引き締めるということで、八%の節減もする、こういう措置をいま内閣はとりつつあるわけであります。そういたしますると、ただいまの美濃委員お話のような、建築費の例でいろいろお話もございましたそれらの実情も、この経済動向がどうなるかによってここに変化が出てくるということは、これは予想ができることだと思うのであります。そういたしますると、それこれを勘案しながら、しかも美濃委員が御指摘するような加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の中の不足払いの第十一条第八項に該当すべきそういう実情に置かれるのかどうか。私ども検討することにつきましては、これはもう当然常に配慮していかなければならない。しかし、その結果がどうなるかということにつきましては、いまこの時点では、大きな要素について明確さが欠けておるところでございまするから、美濃委員言われるとおり、われわれはいろいろと検討もし配慮もしてまいりまするが、いまここで、それじゃ具体的にどうと、こう申し上げる段階ではないんじゃないかと、こう思うのであります。
  19. 美濃政市

    美濃委員 時間がきましたので、では、その検討をしてください。その結果でまたいずれお尋ねをしますから、とにかく正式に検討する、こういうことにしてもらいたいと思います。  それから、これは答弁は要りませんが、第二の点は、この振興融資というものをしても、これはやはり公金で、利子補給が伴いますから、会計検査を伴う事務処理が伴う。たとえば春先一頭五千円だ、六千円だという融資をつくって、六カ月据え置きの二年償還などといっても、実際に十頭飼っておる農家であれば五万円ですね。最近の金の価値から見て、五万円の金にあのめんどうな、とにかくめんどうなんですよ。事務処理は、会計検査を伴うということで、ややこしい書類をつくらなければならぬわけです。ですから、消化された実績は、北海道に春先の分で十一億のワクがきて、たった三億です。それも、五十頭も六十頭も飼っておる人は、五千円でもかなりの金になるし、金利が安いですから借りるけれども、小規模頭数なら、該当するといったって、とにかく借りる者も、事務処理をやる住宅金融機関もどうもならぬという条件ですね。それから、この次やろうとしても、大体北海道にこの次は、きょう言っておったアウトラインでいくと、五十五億ぐらいくる。もうすでに予想調査した結果は十億ぐらいしか消化できぬだろう。とっても会計検査が伴う、そんな五方や六万の金を借りるのに、いろいろめんどうな計画書を書けとか、そんなものじゃないですよ。だから、そういう点も考慮するとともに、特にこの基金についても、もう六十億以上の赤字になり、その上——基金こそ思い切って国から繰り入れで返さぬ条件でなければならない。もうそれはあとえさがぐっと下がって、えさの値下がりでそういう借金を払っても、経営持続ができるという条件になりません。  それから、北農の基金というけれども、これは二百円の積み立てとかなんとかというけれども、全部配合飼料の売価にかけて積み立てるのですから、何も北農の金じゃなくて、その畜産農民が積み立てるわけですから、それは、値上がり要素がないところへ、さらに二百円売価にかける、三百円売価に基金をかけるなんかということは、養鶏家にしても、いまやれる条件ではないということです。  ですから、すみやかにこの検討は、二百十億なら二百十億、三百億でも、とにかくことしの自然増収も一兆円くらいか七千億ぐらい十分あるだろうというのでありますから、国民生活のためにも思い切ってこの際財政措置を講ずるべきだ。そうしなければ、融資措置というものと起きておる現象とは合わないのです。  以上申し上げまして、質問を終わります。
  20. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 島田琢郎君。
  21. 島田琢郎

    島田(琢)委員 大臣にまずお尋ねをいたします。  再び九月以降の飼料問題の危機を迎えて、大臣は、こうした事態に対処してまずどのような責任をお感じになっているか、それをお尋ねいたします。
  22. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 飼料対策につきましては、遺憾ながら、われわれの予想以上に国際的な需給関係というものが非常に悪く、濃厚飼料原料が大幅に値上がりをしてまいりまして、そのために九月以降、全農及び商系飼料値上げをせざるを得ない、こういうような事態を招いておるということはまことに遺憾に存じます。私どもが鋭意この飼料対策について皆さまの御協力のもとに特別立法をしながらも何とか本日まで参ったというこの事実はお認めいただけると思うのであります。したがって、ただいま申し上げるようなそういう要因に基づく今後の事態にどうするのか。これにつきましても、政府努力いたしまするが、また国会の御協力も得まして、何とか影響が多少でも少なく、しかも国際的な情勢あるいは国内情勢もすみやかに安定いたしまして、これからの展望が可能なような状況に持っていきたい、こういうことで、この際、責任はどうか、こう言われれば、いま申し上げるような諸施策につきまして誠意をもって対処していく、これが私のつとめであろうかと思います。
  23. 島田琢郎

    島田(琢)委員 なぜ私が責任を問うたかというと、これは責任の所在が明確でありませんと、これから対策を進めていく上に非常に手抜かりが出てくるから、私はあえて大臣の責任をお尋ねをしたわけであります。というのは、私どももこの春の飼料の問題につきましては最大限の協力と努力をいたしまして当面この危機を回避することができました。その際、四月十七日にこの特別立法を通すにあたって、わが党の角屋委員から大臣に対して、かなりしつこくこのあと対策について手抜かりがないようにという趣旨を含めて大臣の所信をお尋ねいたしております。当時の議事録を引用いたしますが、角屋委員からこういう質問がなされております。「かりに三カ月なら三カ月という立法で処理をする場合には、必ずその後の問題の危険性を考えなければならない。そういう場合に対する考え方としては、大臣はどう対処するお考えか。」こう質問したのに対して大臣からは「今回の措置を三カ月間に限定をいたしました以後の模様というものは、飼料値上げ要因をもたらすというふうな判断は現在いたしておりません。」非常に、将来の九月以降の見通しについては明るい。しかもこれは、私がその前に九月以降の飼料事情についてもお尋ねをいたしております。その際局長も、決して心配ございません、たとえば円の切り上げの問題にいたしましても、固定化して、やがてわが国に入ってくる飼料は安く手に入ることができるという見通しに立っているから、飼料問題についてはきわめて将来に対して明るい見通しを持っておりますという答弁が実はなされているわけです。ところが、私どもは、この答弁の翌日からすでに国際穀物事情、飼料事情の悪化というものが起こっているという事態を憂慮いたしておりまして、再三、一般質問等でもこの問題をとらえて、飼料問題に手抜かりがないような対策を急いでほしい、こういう要請を申し上げたことも御承知いただいているとおりだと思います。  そこで、このように明確に将来の判断を持っておられた大臣の判断が非常に大きく狂った。これは国際事勢がそういうふうに変わったからいたし方がないといえばそれっきりのものでありますけれども、しかし、一国の大臣はこの辺をきちっと見きわめていなければならない。今日のような今春以上のこの危機状態を招いたという責任は、私は、大臣、免れないと思うのです。この辺の責任が明らかになってまいりませんと、私はこれからの対策もまた場当たりの一時しのぎの対策に終わってしまうという危険性があるということを考えて、もう一度大臣の責任をお尋ねするわけであります。
  24. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私としては、これは客観的に多くの方々が私の行動を見ておるのでございまして、私がこういう事態を招かないように、たとえば現在わが国としては飼料として一番密接な関係にある対米措置についてはどういう行動をとっておるかということは歴然としておると思うのであります。私としてはあらゆる努力を講じながらも、しかし、国際需給の実情というものは、遺憾ながら私の意図とは反していった。これには国際的な、また投機的な要素もありましょう。あるいは日本自体の今後の飼料に対する万全の対策を講ずるということ、これがまた国際的に見れば、日本もああやって多少でも皆さん方が御指摘のような備蓄的なことも考えて買い急ぎもしておるというようなことが、これが価格の上昇にもなっておる。しかし、そこを責める場合に、それじゃ、買い付けせずにおればいいのか。しかし、現在ではないよりもやはりあるほうがいい、多少高くても品物は確保すべきである。そして、それによって上がったものは上がったように対処すべきだという論議もあるのでございまして、そしていま飼料が上がる、それじゃ、飼料が上がるという場合にはどうするのかということから、先ほどからお答えをしておるように、その飼料対策についてでき得る限りのことをしていこう。この負担が過大にならざるようにしていこうというそういう努力をいたしておるのでありまするから、したがって、この一環としてのことを一言で申し上げれば、私としてはあらゆる情勢の中において誠意をもって努力をし、そしてでき得る限り影響を少なくして、つとめておる、こういうことであります。  また、こういうことを申し上げるとたいへん恐縮でございますが、誤解のないようにお聞き取りをいただきたいのでありまするが、他産物と比較いたしまして、一体畜産物価格はどこで安定するのがいいかというようなことも問題になっていくわけであります。一般的に物価も上がる、給与も上がる、その場合に畜産農家酪農農家の給与のことを考え、また国が助成していく場合にもその限度がある。それらを総合して、そしてそこに結論が出るのでございまするから、ただいま私に対していろいろ御批判のあることは、これは私としても十分それを受けとめてまいります。しかし、責任をどうするかこうするかということになってくれば、私としては、いま申し上げるような誠意をもってあらゆる努力をしていくということが、これが一番肝要である、このように考えておる次第であります。
  25. 島田琢郎

    島田(琢)委員 大臣、私が批判をしているという受けとめ方をされては困るんですよ。私はあなたを批判しているんではありませんよ。ただ、一国の農林大臣ですから、酪農の実態あるいは畜産の実態というものを的確につかまえられて、その大事な対策を先へ先へと手を打っていただかないと困る、そういうことを申し上げているのであります。したがって、大臣はその責任についていまごちゃごちゃ何かおっしゃっておりますけれども、これは言いわけですよ、私に言わせれば。現実こういう状態になったという責任だけはあなたはお感じになりませんといけないんだ、このことを申し上げているわけです。しかし、これは幾度申し上げても言いわけのような説明にしかならぬようでありますから、先へ進みます。  大臣、おとといときのうと今晩と三日間、NHKがゴールデンタイムに放映をいたしております。その表題は「食糧危機と日本」というテーマであります。これをごらんになっていますか。
  26. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 昨晩も、私、拝見いたしました。
  27. 島田琢郎

    島田(琢)委員 この状態をどうお感じ取りになっておられますか。
  28. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 たいへん恐縮なことでございまするが、私は就任以来、大体こういう傾向の考え方の上に立って国会におきましてもお答えもいたし、また国内対策にも当たってまいった、少なくともそういう立場であったと思うのであります。和みずからが昨年下期以降の状況について、これはたいへんであるということで、同じ田中内閣ではあったけれども、足立農林大臣から私になってから、私としてもこれはどうかと思う程度に相当思い切って方向を次第に変えつつ来ておると思うのであります。だから、事実認識につきましては、別に放送がどうだこうだというよりも、むしろ私のほうがそのことをあらゆる機会に申し上げてまいったと思います。
  29. 島田琢郎

    島田(琢)委員 大臣、あなたはうそを言ってもらっては困るのです。さっき私は角屋委員質問の議事録を引用して、以後の模様というのは、重ねて申し上げますけれども飼料値上げ要因をもたらすとは、現在諸般の事情から判断をいたしておりません、こう言っているのですよ。ところが、いまのお話ですと、ゆうべのテレビ、私もそのように実は国際情勢を判断しておりました。だったら、ここで答弁されていることといま言っていることとは違うじゃありませんか。
  30. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは皆さん方にも冷静に受けとめていただかなければならないわけであります。あれだけの施策をお願いする場合、今後なおたいへんでございます、こういう施策ではいけないのです、そういうようなことで結論づけるわけにはいきません。そしてその当時の状況からいえば、変動相場制もとり、実質的なドルの切り下げが行なわれておるという状況からすれば、それが少しでも効果があらわれてくることを期待しておったということは、私だけではなく、大方の方々の一応の方向であったわけであります。それで、私も、この緊急対策によってあとの事態については何とかいきたい、こういうことをそこで申し上げておるわけでございまするが、先ほどの島田委員の御質問に応じて、その後の情勢は遺憾ながらそうはいかなかったということを率直に申し上げておるわけであります。
  31. 島田琢郎

    島田(琢)委員 三月二十四日の畜産振興審議会の答申をどう受けとめておりますか。特に第一点でこういっております。「昭和四十八年度飼料需給計画については、需給価格面における異常事態を考慮して、年度前半に重点を置いた運用が行なわれることにかんがみ、」このあとが大事なことですが、「年度後半において、需給動向を考慮しつつ、政府操作飼料の供給に支障をきたさないよう適切な措置をとるものとする。」これが第一項にいわれております。ところが、私は、先般中野長官に古々米の在庫の模様をお尋ねいたしました。また角屋委員も同じ日の質問の中で、古々米の今後の見通しについてはどうか、こういう質問をいたしておりますのに対して、大臣から、飼料用に向ける古々米はまずないという判断に立たざるを得ないだろう、こういうふうに答えているわけであります。そうすると、このような状態というものは、すでにそのときから生まれていたわけですね。しかもいま大臣は、今春とった措置はあのときの時点としては万全の措置であったという自負心を持っておる。私は、それはそれでよろしいと思います。しかし、その後における情勢というものが刻々悪化していったことは事実です。もう今日の事態においては、抜きさしならない状態にまで落ち込んだといって言い過ぎではないと思うのです。ここまで来る間に、政府はやはり責任をもってこうした事態に立ち至らないような措置というものをとっておらなければならなかったはずのものです。しかも先ほど美濃委員からの質問で、まだ答弁は具体的に煮詰まっておるものにはなっておらぬ。しかし、末端の酪農家はすでに一カ月も前から、この九月以降の飼料値上げという問題が新聞紙上をにぎわして以来、非常な不安と動揺におののいているのであります。こういう事態を見過ごしにして、私には責任がないというふうな言い方をされては、われわれ政治に携わる者として、それで一体いいのかという、これは大臣ばかり私は責めておりません。私も責任ある政治に携わる者の一人としてともにその責任を感じているから、いままでも一般質問の中でくどくどとこの問題を取り上げて言ってまいりました。局長も御承知のとおり、この席では言いませんけれども局長のところにまで行って、九月以降の飼料問題についてだいじょうぶか、非常に心配だ。私の得ている情報の限りにおいては、九月以降についてたいへんな事態が来るということが心配されるが、だいじょうぶか、ずいぶん念を押しております。  だから、いまの時期ですと、もうあと幾日もなく九月になります。政府のこれに対処する姿勢というものが明確に出されてしかるべきだ。ところが、先ほど出されている大臣の説明によりますと、まず融資政策を前面に押し出してきている。これは美濃委員からも強く指摘いたしましたが、一体この時点においてこうした事情に落ち込んだという責任はどこにあるのか。酪農民にあるのですか。畜産農民にその責任があるとお考えなんですか。融資政策はまさにその大半を農民に押しつけるという責任転嫁の考え方ではありませんか。私が、責任の所在を明確にしない限り、この対策を進めていく上に大きな支障と将来においての混乱が起こるという指摘を前段で申し上げたのは、その趣旨に基づくものだからであります。この辺どうですか、大臣
  32. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 まずはこの三月二十四日の畜産振興審議会の答申の点でございまするが、古々米は、言うまでもなく、緊急、応急対策として非常に価格を切り下げてこれを放出いたし、何らかの寄与にいたしたい、こういうことでございまするが、原則的な政府操作飼料といえば、政府が扱っております麦類のことであると思うのであります。  そこで、この点につきましては、この委員会でもお答え申し上げておりますように、政府の関与する飼料関係についての手配については、アメリカのああいう一部の規制の動きなどがございまして大豆の規制を受けたわけでございまするが、しかし、その他の点につきましては、物としての手配というものは一応いたしておるわけでございます。いま島田委員の問題にされておるのは、物でなくて価格の問題ですね。その価格の面についてどうするか。絶対的に飼料等が入ってこないのである、そういうところで問題を起こしておるというのではないと思うのです。価格の問題ですね。したがって、島田委員も言われておるように、その対策はどうなんだ、融資ではおかしいじゃないか、こういう御議論にもなる。また先ほどの美濃委員の言う安定基金に対するほうはどうしたのか、これらの点につきましては、われわれとしてもそれについての努力をいたしておりまして、間もなく結論に至るわけでございます。それで、酪農農家、畜産農家に対する影響をでき得る限り少なくするようにというあらゆる努力をしておるというのが現状でございまして、安定基金に対する施策にいたしましても、これは直接助成をするのか他の方法によるのか、そういう点の違いはあるけれども、実質的にはそう変わらない対策を講ずるつもりである、このようにお答えをしておるわけであります。
  33. 島田琢郎

    島田(琢)委員 責任追及だけで時間が終わってしまってはどうもうまくありませんから、次に進みますが、先ほど局長から、美濃委員質問に対して、月当たり百五十万トン、百五十億の負担増になる、こういう説明がありました。これは九月から三月までということになりますと七カ月間、金額にして一千五十億が必要であります。新聞で出されております数字、融資額五百八十億、そして二百十一億、さらにまた安定基金取りくずしの勘定などを入れて勘定をいたしますと、実際には一千五十億にならないですね。九百七十七億にしかなりませんが、残りの部分はどういうふうな計算、いわゆる勘定になるのですか。これは数字的なことですから、局長からお答え願います。
  34. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生の御質問の御趣旨についてはややはかりかねるところがあるわけでございますが、私がさきに申し上げましたのは、配合飼料月百五十万トントン当たり一万円の値上げを全部補てんいたすとすれば百五十億の資金を要する。先生はそれを七カ月間で千五十億というようなお話でございますが、この価格値上がり分自体は、先ほど大臣のお答えがございましたが、国際需給関係から来る国際原料価格の高騰、これは諸外国におきましてもすべていま同じようなはね返りを受けておるわけでございますので、そのような国際相場の変動全部を財政その他の負担でこれを切り離すかどうかというような問題についてはひとつ議論があるわけでございますし、また資材費等に対する実質補助ということがしかるべきかどうかというような問題もあるわけでございまして、あたうる限り手厚い助成は必要であるけれども負担の激変緩和の限度をどこで見るか、したがって、基金の補てん額をどう見るかというようなこととしてわれわれとしては対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  35. 島田琢郎

    島田(琢)委員 いまの議論はもう少し詰めなければいけませんけれども、時間の関係で打ち切らざるを得ません。  次に質問をいたしますが、私は最近選挙区に帰りました。私も酪農家であります関係から、酪農民の皆さん方との意見の交換をする場面がきわめて多いわけであります。そういう中で、先般四十億の例のつかみ金の問題がいまちょうど農協段階に下がって、酪農民の皆さん方に説明がなされているところであります。これは私がしばしば指摘をいたしましたけれども、こうしたやり方というのは末端の自治体の行政を遅滞させたり、あるいは農協の職員の仕事をふやしたりして一つも利益にならぬものである。こういう末端における迷惑というものも十分考慮に入れて今後、総合農政もけっこうだが、進めていかなくてはならないということを別な機会に言ったことがあります。まさにそういう状態にいま各農協ともおちいっております。担当の職員はもう日常業務は全くできない。この四十億の配分のために毎日振り回されてひどい目にあっている、こういう状態であります。  そこで、今後また五百八十億の融資制度をつくっていく。当然これは利子補給という問題がありますから、会計検査の対象になる。このメニューのいかんにかかわらず、非常に煩瑣なものになるということは予想されるわけであります。私どもは、借金政策になるこうした融資政策というものは反対であるという立場をいままでも貫いてまいりましたが、今回の問題はその責任が農民にあり、あるいはまたほかのたとえば全農だとか商社だとか、そういう飼料業者にも責任があるのかということになりますと、私はそこに責任の転嫁をするということは許されないといういわゆる経過を経ておると思うのです。今回のそういう考え方がなぜ前面に出てきたかということについては、私は非常に理解に若しむ一人です。これは自民党さんが原案をおつくりになって、政府と相談をされたようでありますけれども、この状態というものはすでに新聞でも報道がなされておりますから、当然現地においてはこれが話題になっております。非常に農民はこれに対して拒絶反応を強く示しております。いま前段で申し上げましたような問題も現地で起こっております中に、さらにまたこういう問題が出てくるということは、われわれの責任でないのにわれわれに金を貸して一時しのぎをしようとする政策態度だけは絶対に許せない、こういう問題についてはひとつ国会においても十分論議をして、こういう姿勢だけは改めてほしいという強い意見が出されております。それを裏書きするように、北海道段階において調査をいたしました結果が数字として上がっております。今回の措置に対してどういうふうに考えているかという皆さんの要望、いわゆる申し込みをまとめての要望意見が出されておりますけれども酪農の主産であります北海道の中においても、特に十勝、根室、釧路、北見、こういう地帯においては、これに対する期待というものは一〇%以下であります。こういう状態をひとつ考えてみても、いかにこの融資政策というものが農民にとって迷惑であるかという事実が明らかになるわけです。したがって、この際私は、こうした事態を招いたのはまさに政府の責任なんですから、それを農民に転嫁するなどというようなやり方というものは一切私はやるべきでない、こう思っています。これまた大臣お尋ねしますと、長々と弁解みたいなものが多くなっちゃって、さっぱり要領の得ない説明になってしまうものですから、私はこれはあえて質問大臣にはいたしませんが、局長一言、こういう考え方で今日の酪農の危機というものを避けることができるとお考えなのかどうか、簡単でけっこうですから、ひとつお答えいただきましょう。
  36. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、融資についてのきついおしかりでございますが、先ほどもるる申し上げましたように、春先以来の大幅な配合飼料価格値上がりに対して、一挙に配合飼料支出というものが増高する、これに対して負担の緩和をいたしまして、将来の長期にわたってその負担を吸収していくということで、融資制度をとったわけでございますが、先生北海道地域におきまして御批判が強い、事実そうかと思うわけでございますが、われわれが全国的に見た場合におきましては、相当な消化をしておるわけでございます。畜種によりまして、地域によりまして、その需要を異にするわけでございまして、われわれといたしまして地方公共団体その他の地域による意見を聞きましても、やはり一つ対策であるというような指摘を受けておるわけでございます。  なお、われわれといたしましては、原因は国際需要から来ておるところでございますが、その影響をできるだけ緩和していくということについて、最善の努力をしなくちゃならないということでございまして、価格関係についての先ほどの美濃先生の御指摘もございましたが、酪農等についてもそのような視点から最善の努力を続けていきたいというように考えております。
  37. 島田琢郎

    島田(琢)委員 これまた大臣と同じような答弁で、さっぱり事務当局の責任ある局長の答弁としては私はいただけないと思うんですね。これだけの状態がいま生まれているのですから、もっと明確なひとつ対策が示されなければならないはずのものであります。  そこで、国際価格、国際価格とおっしゃっているが、通産省、この国際価格、いわゆる飼料に限定いたしますが、飼料のおもな原料である大豆とか小麦とかトウモロコシ、コウリャン、これの現在のシカゴ相場は、きのうも出ておりましたから、これは私も承知しておりますけれども、この状態というものは一時的なものだという考えに立っておりますか、通産省。
  38. 豊田整

    ○豊田説明員 お答えいたします。  将来の見通しにつきましての御質問でございますけれども、全世界的に需給が非常にタイトになっておりまして、その見通しをいま直ちに推測することは困難でございますが、現在の段階におきましてまず先生が述べられました各物資、前年同期に比べまして二倍から三倍程度値上がりになっておりまして、ここ当分はこの水準で推移するものと考えておりますが、     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 これは先ほども申しましたように、生産国、主として主要輸出国の生産状況がまだ未定の段階でございますので、その見通しが明らかになった段階に至りませんと、将来の見通しを述べることは困難であります。
  39. 島田琢郎

    島田(琢)委員 これは私は春以来、先の見通しということをずいぶん質問しましたけれども、いつもその時点になってみないと先の見通しがつかない。私は二月に大豆の問題をやったときも、それを言われたのですよ。一体いつになったらこれは見通しつくのですか。もうこれぐらいはっきりした見通しがあるのじゃないですか。それじゃ、いまの御答弁によれば、まだ九月以降は事情が変わる、こういう判断要素もあるというふうな受け取り方に聞こえますけれども、そうですか。
  40. 豊田整

    ○豊田説明員 お答えいたします。  これらの先生述べられました飼料原料につきまして、主たる生産国はアメリカでございますが、アメリカの収穫予想が八月一日現在で発表されております。これらは前年対比相当の伸びが予想されておりますが、はなはだ遺憾なことでございますが、アメリカにおける大豆につきましては現在輸出規制がとられておりまして、その大豆の輸出規制の九月十六日以降の問題がいまだ未定でございますが、それの輸出規制の動きその他はっきりした段階になりますれば、将来の見通しを述べることは可能ではないかというふうに存じております。
  41. 島田琢郎

    島田(琢)委員 通産省に重ねてお尋ねしますが、日本のいまの輸入の現況は、私が申し上げるまでもなく、大半がアメリカですね。大豆についていえば、国内の三百七十万トン需要に対してアメリカから三百二十六万トンの輸入がなされている。小麦については五百二十万トン需要に対して二百三十万トンアメリカ。トウモロコシ、マイロ、コウリャンに至っては八百万トンのうち五百八十四万トン、このようにアメリカに大半を依存している。  そこで、一国間貿易をいまずいぶん反省をしているというふうな話があちこちから一ぱい出てまいります。通産当局も、大臣みずから今後の貿易のあり方について触れている。多国間貿易という問題もここに出てくるわけでありますが、アメリカ以外のところも、おそらくアメリカのシカゴ相場が大きな影響力を持ってそう値段は私は下がっていかぬだろうと思う。昨日のテレビによりますと、小麦の一ブッシェル・シカゴ相場では昨年の三倍になって四万円をこしている。大豆に至っては昨年の五倍になっている。こういういわゆる価格の高騰ぶりであります。九月十六日のいわゆる大豆規制の解ける段階を迎えないとどうも国際的な見通しはできない——それは的確に幾ら幾らで推移するという見通しはむずかしいでしょうけれどももとの五分の一の値段に下がるかどうかという判断ぐらいは通産省できないのですか。それができなかったら、何のために通産省は窓口になって貿易をやっているのですか。
  42. 豊田整

    ○豊田説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、ここ当分の間は高原相場で推移するのではないかというふうに存じている次第でございますが、先ほどの繰り返しになりますけれども、世界の主たる輸出国でございます生産国の需給関係がいまだはっきりしていない段階でございますので、将来の見通しを述べることは困難であるということでございまして、先ほど多国間貿易というようなお話が出ましたが、これはおそらく市場の多角化ということを御質問になったのじゃないかと思う次第でございまして、アメリカ一国のみにたよるというようなことから次第に市場の多角化をはかっていくというお説には賛成でございまして、将来ともこういう方向で対処していく所存でございます。
  43. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そこで、今後の見通しとしては、いま通産省もしぶしぶながら、価格はそう昔のような価格が下がる見通しはない、かなりの高値で推移するという状況判断に立たざるを得ないだろう、こういう意味のことが出されております。そういたしますと、当面の緊急対策でこの飼料問題は切り抜けられるかどうか。私どもは早くから、一時しのぎのこう薬を当てたようなそんなやり方で今日のこの問題は乗り切れない。これは私は先ほど角屋委員質問を引用いたして、大臣の所信を重ねて尋ねたわけでありますけれども、そのような情勢は今後長く続くという判断の上に立たざるを得ないでしょう。そう考えますと、今回の事態を根本的に改善するためには日本の穀物の生産状態というものを早急に復活させて、それを基礎に置いて、危機状態を回避できるいわゆる基本的な日本の農政の確立というものを急がなければならない大事な時期に来ていると思うのです。これはわが党ばかりではありません。自民党の皆さん方もそのような判断の上に立って今回緊急措置を出されたというふうに私どもは判断しております。出された内容についてはわれわれは非常に検討を要する問題がたくさんあると思いますけれども、その考え方の発想は与野党変わっていないと思うのであります。政府もまたその考え方に立って進めようとしているのだろうと私は善意に解釈をしております。しかしながら、出される問題が非常に抽象的で、具体的にということになると、融資政策が前面に押し出されてきて、いわゆる政府の責任というものがあいまいになってしまう。こういうやり方で今日の事態を解決していくということは絶対にできないと私は思うのです。ですから、私は、今回、先ほども美濃委員からの質問の中で出されておりましたけれども乳価にはどれくらいの影響が出る、あるいは卵価、肉価においてもどれくらいのはね返りが出てくるというのは、これはお互いそろばんをはじけばすぐ出る数字であります。明らかです。  これに対処するためには私はやはり一つはいわゆる基金の特別奨励措置を講ずる。たとえば農業団体から出されておるいわゆる七百億の問題であるとか、こういういわゆる具体的なものが農民やそのほかの者の負担にならない形で出されていきませんと、私はほんとう対策にならぬと思うのです。  そういうことができないとすれば、どうしても今回乳価、肉価なんかにはね返らざるを得ないでしょう。そうなってくれば、これも先ほどの意見にあったように、これの畜産物価格改定というものをやらざるを得ない。これはもう理屈上そこに行ってしまうのです。理屈ばかりじゃありません。結果としてそうならざるを得ない。しかも加工原料乳の補給金の暫定措置法の中でも第十一条の第八項には「物価その他の経済事情に著しい変動が生じ又は生ずるおそれがある」ときには、これに対していわゆる年度途中においても価格改定をするのだ、こういうふうに法律では許されているわけでありますから、全然そういう考え方に立っていないのかどうか、あくまでも農民負担にしようとされるのか、それを固執されるのですか。
  44. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど美濃委員に明白にお答えを申し上げましたように、経済情勢が非常に不安定要素が多い、現に政府が公定歩合の大幅引き上げとかあるいは財政の削減というようなことを講じて、われわれとしては経済情勢が一日も早く安定をしてもらいたい、こういうこと。それから、現に飼料対策を講じよう、その効果がどのようにあらわれてくるということは、いま御質問の不足払いを要する、改定を要する情勢にあるのではないかということについては、私どもとしてはそういう大事な要素、これが固まってこないと、にわかにその必要があるかないかということは言いかねるし、またそれらの点も十分配慮しながら検討することについては、これはわれわれとしても常に配慮していく必要があるんだ、こういうふうに先ほど申し上げたところでございまして、ただいまの御質問についても同じような考え方に立っておるわけであります。
  45. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私の時間が来てしまったので、これ以上の質問は避けますけれども、一言だけ大臣に申し上げて終わります。  あとから湯山委員から関連の質問がございます。私は、きょうのわずか四十分という限られた時間で日本の酪農、畜産の危機回避という議論をするのにはあまりにも足りない時間でありまして、十分意が尽くせませんでした。しかし、大臣、私はいままでも一般質問あるいは法律の審議の中でも、現状の置かれている日本の農業というものは、農政がいま大転換を迫られている大事な時期に来ている。だから、腹を据えてやっていただきたい。櫻内大臣ならやってくれるでしょうとまで私は期待をしている一人であります。大臣ほんとうはもう頭をまるめておわびせんければならぬほどの重大問題ですよ、正直言うと。だから、私はきわめて語気鋭く、あるいはお気にさわるような言い方もしたかもしれませんけれども、いま置かれているこの酪農をこれ以上崩壊させたらたいへんなことになる。私は四月三日の乳価の終わったときにも、大臣、これで日本の酪農はだいじょうぶですかと聞いたら、大臣は胸をたたいて、おれにまかせておきなさい、絶対だいじょうぶだ——絶対ということば使っているのですよ。きょうは会議録を持ってきていますけれども、絶対というのはカミソリのような話でありますから、一歩もあとに引けない話なんです。軽々しく絶対のことばを使われては私どもははなはだしく迷惑するし、農民は生きていかれません。この状態のいわゆる危機を避けるためにも、ひとつ自民党の皆さん方にも私はお願いをしますけれども農民の責任に帰するような、そんなやり方でこの一時しのぎをするような対策だけは絶対進めてもらいたくない。この際の思い切った措置の要求と要望を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  46. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 関連して湯山勇君。
  47. 湯山勇

    ○湯山委員 関連ですから、簡単に二点だけお尋ねいたしたいと思います。  緊急対策で、えさについての価格補てんあるいは融資、それから生産の奨励というようなことが考えられておりますが、その生産奨励に関係のあることでお尋ねしたい点が一点あります。  それは、まず生産をふやしていくということになれば、どうしても土地が必要です。そこで、じゃ、いま利用できる土地はどこかというので当たってみますと、一つは、冬期は作付をしていない土地、これは農林省のほうで、北海道、沖繩を除いて、たんぼで二百五十五万八千ヘクタール、畑で五十一万七千三百ヘクタール、合計三百万ヘクタール以上の土地が冬期不作付の土地だ、耕地だという資料がありました。しかし、実際それ以外にずいぶん利用しなければならない特に山林原野、こういうものにつきましては、粗飼料、特に育成飼育の段階では粗飼料で事足りるわけですから、それらの飼料というものが不十分ではないかと思います。そこで、山林原野でこの際えさ生産する、あるいは牧場としてでもいいと思いますけれども、そういうものについて、ただばく然と二百万ヘクタールだとかあるいは三百万ヘクタールだとか、人によって五百万ヘクタールというように言いますけれども、そうじゃなくて、いまの田畑については各県別の資料がありますから、そうすると、まあ、なたねならばどういうところ、このあたりからは麦ができるという計画が立つのですけれども、山林原野についてそのような資料がおありになるかどうか。おありにならなければ、そういうものはおつくりになるのかどうか、あるいは早急につくってお示し願いたい、こういう意味を含めて第一点の質問です。  第二点は、たいへん小さい質問ですけれどもえさ事情の逼迫に伴って、これは大臣局長も非常に御努力をしていただいて、従来えさ用の穀物については指定メーカーに対して無税で輸入を認めておった。しかし、それだけじゃなくて、今年度から新たに雑穀について一〇%の税金で輸入を認めるということになりました。そして五千トン余りのワクが認められたわけですけれども、このことはこういう事態になってみれば非常に意義があったと思います。しかし、問題は、そういうふうにして入ったものに対して非常に条件がきびしい。これは横流しを防止するという条件ではあるのでしょうけれども、それを輸入する資格を持っている者は、たとえば加熱圧ぺん機を持っていなければならない。私はいろいろ調べてみたのですけれども、この指定メーカーさえも持っていないのがあります。それから、買うとすれば、これは何千万かかるというようなので、それだと、せっかく認めましても、多くの人たちが自分たちの努力で輸入先を開拓して、そしてえさのトウモロコシを輸入しようとしても、なかなかこの条件に当てはまらないで輸入できない。いろいろな苦労をしている。せっかくこういう道が開かれたし、こういう事情にあるわけですから、横流しをしないという保証があれば、これはひとつ、こんなきびしい条件じゃなくて、しないということさえ保証されれば、もっと簡単に認めていくということにすることが私は緊急に必要ではないか。もうぼつぼつその準備もそれぞれやっておる段階ですから、早くひとつこの条件緩和をやってもらいたい。このことについてぜひ前向きな御答弁がいただきたいと思うのです。  以上、二点についてお答えいただきたいと思います。
  48. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  第一点は、既耕地なり裏作休閑地等の利用を最高度に果たすのみならず、草資源の活用、粗飼料供給力の増大という視点から、草地改良可能面積等について実態を把握しているかどうか、あるいはしておらないとすれば把握すべきではないかというような御質問かと思いますが、先生案内のように、第二次土地改良長期計画は今後十年間に四十万ヘクタールの新規の草地造成を進めたいというふうにしてわれわれ推し進めておるわけでございますが、その前提といたしまして、昭和四十四年に地域別の草地造成改良可能地面積というものの調査をいたしまして、それを前提として地域別の草地開発を進めておるわけでございます。  なお、時間の関係もございましてお許しがあれば、後刻資料等もお手元に届けたいというように考えております。  それから第二点の、単体トウモロコシの輸入の問題の御指摘かと思うわけでございますが、御案内のとおり、配合飼料用については、承認工場において配合飼料用に供せられた場合には戻し税になっておりますが、単体用については国内のでん粉質その他の関係で、ちょうどコーンスターチ用のトウモロコシとの関係がございまして、従来これについての取り扱いは慎重であったわけでございますが、やはり単体用の飼料として使われる場合においては一次税率として一〇%の、一次税率として従来の基本税率よりも引き下げた税率を認めて、その数量を上期からきめたわけでございますが、先生お話もございますように、これが横流れをいたしまして国内でん粉に対する悪影響というようなことについては、やはり最大限の配慮が要るわけでございます。ただ、その確保の対策についてやや実情に沿わないとかその他の点がございますれば、私自身まだつまびらかにしてはおりませんけれども、早急に内容を、目的が達せられる範囲でその措置を講ずべきであるというふうに考えております。
  49. 湯山勇

    ○湯山委員 終わります。
  50. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 この際、午後一時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後一時四十二分開議
  51. 藤本孝雄

    ○藤本委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中川利三郎君。
  52. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 最近のえさのばか高値といいますか、そういうことについて、実は昨日寝ないで考えた、といえば語弊がありますが、いろいろ考えてみたわけでありますが、たとえばこういう状況というものは、べこがえさを食っているのか、えさがべこを食っているのかはなはだわかりかねるわけですね。とうとうけさまで結論が出なかったわけでありますが、大臣はどうお考えでしょうか。べこがえさを食っているのか、えさがべこを食っているのか、私には結論が出なかったということでありますが、これに対する御見解を伺いたいと思います。
  53. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私は、そう言っては恐縮ですが、たいへん考え方が単純でございまして、今回の飼料問題では、玉と申しましょうか、物につきましては大体手配はできておるが、しかし、いかんせん価格の騰貴があって非常に困ったものである。そしてそれに伴うところの影響というものをどういうふうに解決をしていくのか。いわばそういうような、中川委員からごらんいただくとたいへん単純のようでございまするが、まずそういう筋道を追って考えていく以外にこういう大きな問題のときにはないのではないかというような心組みで対処をしておるわけであります。
  54. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 最近の情勢は、私が先ほど言ったような、ああいう表現をするような切迫した状況だと思うのですが、これに対して大臣は単純な考え方だ、つまり皆さん方は複雑な、高度な考え方をしていらして、その結果としてこんなえさの異常事態を生み出した。現実農民は単純にものを考えているのですよ。こういう状況はあり得べからざることなんだ。物が不足じゃないけれども値段が上がっている。その一々の道筋を明らかにすべきだとあなたはおっしゃいますけれども、総体としてつかんだ場合、まさにべこがえさを食っているのではなくて、えさがべこを食っているという現実があるということについて、そういうふうな複雑な高度なあなたのお話の中で、農民が納得できると思うのですか。これはべこだけではなくて鶏もそうですね。いま七五%はそういう飼料によって左右される。まさに飼料が畜産農家の死命を制する、こういう状況になっているわけでありまして、この中で、物はあるけれども値段が高いのだ、値段が高いから農民が間に合わないという悪循環からいいますと、やはり物があるからどうだということでなくして、えさが逆にべこを食ったり鶏を食ったり、こういうことが当てはまるのじゃないですか。
  55. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 別にそういう考え方をどうこう言っているのではないので、私はどういう考え方をしているのかというお尋ねでございまするから、私としては順を追うて、物は一応確保できておるが、しかし、非常に値が上がってそれが影響していくのだというような順序で考えておりますということを申し上げたことで、それはその飼料が、これが畜産に非常に大きな影響を与えておって、そこに問題があって、したがってべこかえさか、畜産か飼料か、それはいまは飼料のほうがむずかしい、飼料のほうが中心だ、こうおっしゃっておることについて私は別にとやかく申し上げておるわけではありません。
  56. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 畜産農家の中でもとりわけ配合飼料の依存度が高いのは養鶏農家だ、こういわれているわけでありますが、たとえば三千円ぐらいの補てん、基金取りくずしがありましたとしても、今度のばか値上がりでたいへんな影響を受けるのだ、こう言っていますが、ひとつ具体的に養鶏農家として今度の状況の中でどういう事態があらわれるのか、どういう実害が出てくるのか、再生産ができるのかどうか、こういう点の見通しについてひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  57. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、配合飼料価格の上昇というものは、畜種によりまして配合飼料依存率が異なりますのでそれぞれ違うわけでございますが、養鶏は配合飼料依存度は六割近い。したがって、その価格影響を受けることが大きいわけでございます。  先生が設例として三千円程度というようなことをおっしゃいましたが、基金の補てん、充実等については必ずしもまだ、早急な結論を得るべく努力しておる段階でございまして、実質の農家負担の軽減の程度については、今後施策の確立をまって行なわれるべきと思うわけでございますが、考え方といたしましては、あとうる限り実質的な養鶏農家負担の軽減につとめるとともに、現在及び今後の卵価水準あとうる得りえさ高、卵安というような関係にならないように配慮いたしまして、価格水準を良好な水準にするようつとめて、えさ高についても経営として吸収できるような対策も一方価格の問題として考ええさ直接の対策とその価格の安定の諸施策というようなものを関連しながら、相互に進めていくということであると思うわけでございます。
  58. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いまの問題についてですが、秋田県の経済連の畜産部の調査によりますと、成鶏一羽が一日に必要な飼料は約百グラム、三千羽養鶏農家では一カ月に約十二万円の生産費がふえる、こういう計算が出ているのです。そうなりますと、一キロ当たり生産費、流通費の卵の合計は二百三十三円六銭となりまして、現在の卸価格を約二十九円も上回ることになる。つまり、卵価が据え置かれれば農家は二十九円の赤字になる、こういうデータが出ておるわけでありますが、いまあなたの御答弁では、卵価に対しても十分な配慮をする、そうしてその部分を吸収できるようにするんだ、こういうお答えでありますが、卵価について十分な配慮をするというその中身についてひとつお聞きをしたいと思うのです。
  59. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、先生案内のとおり、卵価の現在の四十八年に入りましての水準は、前年度よりも一割程度高い水準で推移しております。最近の需給動向を下期について見ますと、ほぼこの堅調は続くというように、関係各方面からの意見等を徴しましてもそう見通されておるわけでありまして、そういう意味では、その価格につきまして、できるだけこのような水準を維持しながら、えさ高に対応するという点についての配慮が必要であるということを先ほど申し上げたわけでございますが、御案内のとおり、養鶏につきましては、一人当たりの消費量の伸びが他の畜産物ほどではないということでございまして、ややもすれば、多頭飼育等の急激な伸展等を背景といたしまして、過剰生産のおそれがあるわけでございまして、これについては、この二年来、自主的な生産調整、需要に見合った生産というようなことを極力農林省としても指導しておるわけでございまして、そういう意味で、畜産物は一時的、経過的には需給関係できまるわけでございますので、それらもにらみ合わせながら適切な措置をするという点と、それから、卵価の安定基金等、その他政府と民間の自主的な安定の制度もございますので、これらについても、十分その機能を発揮させることにまって、先生指摘の卵価のえさ高、卵安というような事態におちいらないような施策を進めていきたいということでございます。
  60. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 卵価自体がそのときの需給によって左右される、そういうことでありますから、政府として配慮するということはどういうことか。何かきめ手みたいな、卵価がこれで上がるんだというあれがないのです。ただ、一般的に一割ぐらい高値に推移しているから、あとそれに生産調整を加えればいいんだろう、そういうことでは、えさ高だけで、実際の補償にならないわけですね。  そこで、卵価を含めまして、大体三千円になるか四千円になるか、私は今度の安定基金の補てんがわかりませんけれども、いずれその程度であれば、これはもう鶏卵であれ、養豚であれ、酪農であれ、もう償うことができないではないか、それではいまの異常なえさ高に対してやっていけないではないか、そういうふうに考えますが、その点についてはどうですか。
  61. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、先ほども申し上げましたように、生産費と申しますか、生産費に占める配合飼料の割合と申しますか、配合飼料依存度は、畜種によってそれぞれ異なるわけでございます。したがって、えさ高の直接的な影響も異なるという点が第一点と、それから現在の畜産物価格水準がどの程度に推移しているかによりましても、えさ高に対する対応力に差が出てくるわけでございます。これにつきましては、先ほど卵のことを申し上げましたが、鶏に次いで依存率の高い養豚等につきましても、今日の価格水準は、御案内のとおり、卸売り市場の卸売り価格で五百三十円とか五百四十円とかいうような価格で推移しておりまして、非常な——非常なと申しますか、高い水準にある。したがって、その点はわれわれとしても、そのえさ高の心配する事態の中でも、ある程度価格を確保できておるというふうに考えるわけです。肉牛についても、御案内のとおり、牛肉価格の高騰等でその事態があるわけでございます。牛乳につきましては、本日午前中も保証価格改定問題として諸般の御質疑なり御意見を賜わったわけでございますが、プラス要因、マイナス要因というようなものを十分に見きわめて、政府行政価格等についてもその事態を見ていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  62. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いまあなたは何だかんだいろいろ中身の中での格差みたいなことで全体を合理化する、そういうふうな答弁に聞こえたのですが、いずれにしても、たとえば去年一年の青森県の例でいいますと、養鶏農家が全体で一万三千戸あるのですけれども、この中で三千戸が去年一年でつぶれているのですね。あるいは、この資料にありますように、酪農でも一貫して農家戸数は減少しておるし、乳牛頭数も生乳生産そのものも減っておる、こういう状況なわけでありまして、これについては、先日の八月二十一日に酪農危機突破の、何か非常時のための総決起大会が開かれましたが、もう農民自体は、これは政府の失政なんだ、無為無策の結果なんだ、そういうふうに激しいことばできめつけているわけですね。それで、そういうことが、たとえばどれとどれは需要がどうで、どれだけの配合飼料を使うかなんということですりかえられるものじゃないのです。全体として養豚であれ、養鶏であれ、酪農であれ、こういういまだかつて見ざるような危機状態に追いやっているということについて、先ほども島田さんから責任云々ということがありましたが、私は責任じゃなくて、ひとつ皆さんの反省について、これからそれを込めてどうするのかということについて一体どのような反省を持っていらっしゃるのか、聞きたいと思います。
  63. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、こういう事態につきましては、まことに遺憾でもあるし、また憂慮もいたしておるのでございまして、いま起きておるかかる状況に対しまして、あらゆる努力をして解決をしていかなければならない。ただ、その場合に、この見通しが間違っておったのではないかとか、責任はどうかと、こういうことでございまするが、私としては、飼料の確保につきましてはあらゆる努力をしておるのであるが、しかし、それが非常に価格の面で暴騰をしておる。それがいまの酪農農家や畜産農家に大きく響いておる、したがって、この点をよく見きわめてそれに対処していく必要があるんだ。従来皆さんの御協力によって緊急対策を講じてまいったわけでございまするが、九月以降につきましても、先ほどから御質問の中にもありますように、この際の施策をどうするかということをいま鋭意努力をしておる、こういう次第でございます。
  64. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いま大臣から御答弁ございましたけれども、せっかく鋭意努力している、あらゆる努力をして解決をしたいんだ、こういうことでありますが、農民がいま要求しておるのは、物が不足だと言っているんじゃなくて、価格なんです。中心的な課題は価格なんですから、この価格について、飼料も九月以降の値上げ政府の責任で絶対に阻止してくれ、こういうことを基本的な要求として掲げているのです。これについて政府としてはどういう段取りというか対策考えているのかということをお聞きしたいわけです。
  65. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 午前中からお答えもいたしましたし、また御質問の中にも出てまいったわけでございまするが、種々御批判はございましょうが、一つには、低利の融資所要資金、特に価格騰貴に応じての所要資金に対応してまいりたい。それから現在ある全農系、商系価格安定基金に対する何らかの助成をしたい。この助成方法について現在論議やあるいは折衝が繰り返されておるわけでございますが、私としては、どういう方法であっても、畜産農家酪農農家に対しまして実質的にそう変わりのない結論に持っていきたい、こういうことでただいまのところ折衝しておるわけであります。
  66. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 新聞の発表その他、自民党が案としていま出されている、世間に公表されているものを見ますと、融資については五百八十億円だ、あるいは安定基金に対する助成については二百十一億円だ。これは助成というかどうか知りませんけれども、これをいま折衝しておる、こういうことですか。
  67. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 新聞の報じておるところは、自由民主党の飼料委員会の作業と大体違わないと思います。しかしながら、それを受けての農林省といたしましては、その小委員会案のままで現在財政当局との間で折衝がされておるのかどうか、こういうことになりますると、まだ経過中でございまするので、違うともはっきり言えませんが、しかし、あの内容そのもので折衝しておるということとは違うのでありまして、先ほどから御説明を申し上げまするように、実体的には、どういう形になりましてもそう大きな隔りがない折衝をしておる、こういうことであります。
  68. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 何か回りくどい御答弁ですけれども、その自民党案に近いような近くないような、違うような同じような言い方でありますが、つまり農民が先ごろ全国的な大会を開いて気勢を上げたというのは、政府・自民党が出した融資五百八十億円だ、あるいは安定基金へ二百十一億出すんだ、こういうことではもう問題にならないんだ、いまのこの難局を切り抜けることはできないんだ、こういうことであの大会が開かれたというふうに私は聞いておるわけですね。  それで、あなたは先ほど来、どういう方法であっても実質的に変わりない、農民が変わりないような方向へ持っていきたいというようなことを言っていますが、どういう方法であっても農民が実質的に変わりない方法というのは、どういう方法なんですか。私よくわからないので、ひとつその点を御説明いただきたいと思います。
  69. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、配合飼料価格が大幅な値上がりをする。これに対する実質的な農家負担の軽減をいたすということで、一番目は先ほど大臣が申し上げましたように、春対策をとりました低利の融資によって、急激に増高するえさ代支出値上がり分について後年度に引き延ばしていくというような方策とともに、基金につきましては、春の値上がりのための補てんでその機能が発揮できないという事態にかんがみまして、基金に対して何らかの方法でこれを助成するということが議論になっておることを申し上げたわけでございます。要するに、それは補てんのための基金への資金というものが確実に提供され、それによりまして農家への補てん金がなされて、なされることによって実質えさ代負担が軽減されるという措置はいかなる方法があるかということについて現在政府部内で検討中でございまして、その場合については、先ほど出ました与党のえさ対策の方針というものも一つの大きな考え前提でございますので、これらを含めまして現在早急に結論を得るように進めておるということを大臣は申し上げたわけでございます。
  70. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 前回と変わりないような、どういう方法でやっても同じ結論になるようなということでありますが、前回は政府の操作飼料だとか古々米の放出という特異なあれがあったわけですね。今回は何にもないんだな。前回と変わりない方法ということ自体おかしいんじゃないですか。そういうことが一つ。  それから、あす、あさって、つまりもう九月一日になれば値上げするというんだな。それに対していま大蔵省と折衝中だ、こういうことでありますが、これは、大蔵省もここに来ていると思いますが、一体どういうふうな折衝を受けているのか。たとえば基金に対するものは助成として幾ら折衝を受けているのか、あるいは融資については率なんかをどういうかっこうで折衝を受けているのか、その点を区別してひとつ御答弁いただきたいと思います。
  71. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 第一点の第一次春対策につきましては、急激な値上がり防止のために過剰米なり政府操作飼料措置があったではないか、今回はそれがとられていないのは何ゆえであるか、不徹底ではないかというようなお話のようでございますけれども、御案内のとおり、春先におきましては、本年度最後の政府の用意しておりました過剰米が四十万トンあったわけでございます。これと政府の操作飼料が、通常分を含めて二十万トン、これを諸先生方の御努力によりまして緊急立法という形で、異例の二分の一安売りをしたというのが春先の対策で、その効果が約二千円あったということは、立法御審議の際にも申し上げたところでございます。これにつきましては、過剰米の処理というものが急激に進んで、えさ用のものについてはすでに終わったということでございますし、政府の麦類につきましては、これは当時におきましても申し上げましたように、価格効果が、財政負担等だけを惜しむわけではございませんけれども価格効果が数百円程度にしかすぎない。したがって、二千円の大部分は過剰米の効果マイロ等に置きかわる過剰米によって達成されたという経緯がございます。したがいまして、今回の値上がりに対する対応策につきましては、これらの方式は引き続いてとることはできない。で、先ほど申し上げました二つの方法対策によって畜産経営負担の軽減をはかりたいというのが私ども考えでございます。
  72. 宮下創平

    ○宮下説明員 お答えいたします。  先刻来農林大臣及び畜産局長からお答え申し上げておりますように、私どもといたしまして、原料高騰に対応する配合飼料価格の高騰に対する、言うならば激変緩和措置につきまして、いろいろ鋭意折衝を重ねておる段階でございますが、先ほども大臣から御答弁ありましたように、畜産経営の特別資金融資措置、これは低利融資農民負担を軽減しようという措置でございまして、春にもとられた措置と聞いておりますが、そういったものの拡充、それから配合飼料価格安定基金に特別な積み立て金を設けまして農民負担の軽減をはかるという措置につきましても、今回の措置の重点として党側からも強い要望がございますが、私どもといたしましては、何ぶん予算のたてまえからいたしますと、年度途中のことでもございます。私から申し上げるまでもございませんけれども、通常年度途中におきまして新たな制度を設けたり多額な財政資金を投入するというようなことにつきましては、財政のあり方としてわれわれ基本的には賛成いたしかねる面もございますけれども、今回の原料高騰等が異常なものであるだけに、基本的な考え方、方向としてはその方向に賛成しつつ鋭意検討中でございます。
  73. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 鋭意検討中だと大蔵省はおっしゃるわけだね。そこで、先ほど来農林省も、農民負担が何とか軽くなるように値上げ負担をもろにかぶらないようにがんばっているんだ。その金額がここへ出ておらないのですね、先ほど来何回聞いても。  そこで、何ぼの予算折衝をしているのか。この点をひとつはっきりしてもらわないと、国民は安心してどの程度の目安ならどれくらいになるかということがわからぬわけだ。政府努力はどの程度評価したらいいかということもわからぬわけですから、その点をあらためてひとつもう一回確認したいと思いますので、言うてください。
  74. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 ただいまの御質問に対しましては、われわれといたしましては、この国際的な原料需要に伴う国内の配合飼料高に対して、財政なり国としてどの程度それを負担すべきかという水準の問題なりあるいは今度の各種の価格安定対策その他を含めての畜産経営に対する吸収とか諸般の問題について配慮しながら、その助成水準を判断するというような必要がございまして、これにつきましては政府の部内でもろもろの検討をしておるところでございますが、これは通常の予算要求のごとく具体的に要求官庁からの要求がありそれに対する財政当局の査定というようなものではございませんで、それぞれ諸要因を持ち合って、それに基づいて種々な議論を重ねて妥当な結論を得るということにつとめておるというのが現状でございます。
  75. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いま畜産局長は諸般の情勢を判断しながらもろもろの云々なんというそういう話で、さっぱり要領を得ないわけですが、あす、あさって飼料値段が上がるんだな。そうすると、これはいつきまるのか、いま折衝しておる大蔵省との関係ですね。それからそういう金額が出てない、自民党からは何かそうした案が出ているけれども。そうすると、国民というのは政府が何ぼぐらいやってくれるかということについて最後まで不安にさらされるということになるわけですね。そういう点で、そういう見通しを含めて、いつどのようにきまるのか、そういう点をひとつお答えいただきたいと思います。
  76. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 繰り返してお答えを申し上げますように、先生指摘のように、九月からは配合飼料価格値上がりが既定の路線になっておりますので、あとうる限りすみやかに結論を得たいということでございまして、その結論もあとうる限り畜産農家経営負担軽減に資するという結論を得たいということで、せっかく努力中でございます。
  77. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あとう限りの努力なんでいって最後まで言わないわけですが、農民は二百十一億ぐらいの基金じゃ何ともならないと言っているんだ。あるいは融資についても、きょう来た畜産・飼料要請集会、全国農民総連盟、この御案内を見ましても、融資では困る、こう書いている。「一時しのぎの融資措置は結局負債の累積となり、畜産経営を圧迫するので絶対に行なわないこと。」こう言っているのです。農民の要求はこうなんですよ。あなた方は農民の要求以外のことをやろうとしているということは、農民サイドに立った畜産行政といえないじゃないですか。それでもおれはやってやるんだ、こうなれば押しつけというよりほかない。  そういう点で、この際、たとえば助成にいたしましても、私、一説に聞くところによれば、基金に対する助成といいながら、後ほど農民にまた積み立てさしていくようなやり方を考えているというような話ですね。こうなりますと、間接融資みたいになるんだね。もう一つは、いま北海道酪農民はやはり七百億から八百億の基金でもなければならないんだ、こう言っているんだな。そういうことから見ましても、何というか非常に微々たるものだ。いまの難局を切り抜けるわけにはとうていいかない、融資にしても農民が要求したものとははるかに遠いんだ、こういうことを言っているわけなんですから、この辺について政府は、自民党案というものが一般に発表されておりますけれども、それを大幅に上回って、農民の要求にある程度こたえるもの、こういうことでお考えになっているのかどうか、聞きたいと思います。
  78. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、第一点の融資の問題については、おことばを返すようでございますが、本年度の春先の対策につきましても、初めての施策でございますし、また商人系からえさを買っている農家の方々には市中金融機関から融資を受けていただくというような、なかなかやっかいな問題もございましたが、まだ最終の融資額は、実績は確定しておりませんが、融資ワクの六割以上の融資実績があるという中間報告を受けております。  これは畜種によりましていろいろ差があるようでございまして、われわれといたしましてはその実績をにらみ、また各えさ対策について腐心しております地方公共団体等の要望等も参考にいたしますと、やはりこれはこれだけで対策にはならないにしても、一つ対策であるというふうに考えるわけでございます。  それから配合飼料価格安定基金による財政援助とそれによる実質負担の軽減の問題でございますが、御案内のとおり、先生おっしゃっております七百億というような数字は、おそらく数量の見方によって若干変わります。値上がり分全部一万円をその財政負担肩がわりしろというようなお話かと思うわけでございますが、この点についてはいろいろな考えがあるところかと思うわけでございます。やはり一種のえさ代の補助を価格変動のたびに行なうのか、急激な負担の増大に伴う一部の緩和にとどめるのか、えさ価格水準というものが今後ある程度の高い水準である場合においては経営でも吸収し得るような諸般の条件を整えていくのかとか、いろいろ資材の高騰と経営の対応という問題についての対策検討さるべきものであると思うわけでございまして、それらの諸要素というものを勘案しながら早急に結論を得たいというふうに考えておるわけです。
  79. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いまのようなやり方では焼け石に水というか、また同じ事態が起こるだろうと思うのですね。そういう繰り返しの中では農民側が犠牲になることがますますふえていくだろう。しかもあなたはこの前の段階で百七十億ですか融資をして、それは六割ぐらいの利用者がいるんだ。しかし、そういう政府が特例で融資操作を講じた、それに六割しかいないということは、一体どういうことなのか、十割以上十二割も要求があればともかくとして。このことは、融資そのものが利息やその他の負担がかかりますから、農民ではとうてい融資じゃ返せない。そこまで追い詰められているということの一つのあらわれだと思うのです。そういうことを考えますならば、ただいま農民総連盟の方の、融資じゃわれわれの借金がふえるばかりなんだ、どうにもならないのだというこの血の出るような叫びについて、どうお受け取りになるのか、もう一回お答えいただきたいと思うのです。
  80. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、融資の問題につきましては初めての制度でございますし、商人系からえさを買われる農家の方々は、信用金庫とかあるいは市中銀行等から融資を受けるというようで、単に系統一本、農協一本ということになってまいりませんで、そういう仕組み、あらゆる借りやすいところから借りるというような仕組みをとったせいもございまして、初めての制度でなかなかスタートがおくれたというような経緯もありますし、また最も養鶏、養豚等配合飼料の依存率が高く、したがって値上げ影響を受ける畜産農家の方々等の中でも、たとえば畜産農家の養鶏農家でも、飼養農家は多いわけでございますが、いわゆる軒先養鶏のような零細な農家等におきましては、飼料の購入も少ない、したがって、その分については特に融資を利用しないというような事情とか、諸般の事情があったわけでございまして、私どもといたしましては、先生指摘のように必ずしも畜産農家がこれを好まないで、それを融資実績が達成されなかったというふうには考えておらないわけでございます。
  81. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 必ずしも畜産農家融資を歓迎しないと考えておらない……。実際上ここに、農民総連盟、これは共産党系でないですよ。一般の農家の、最も穏健派というかどうか知りませんが、一般の農民の方々がこういう発言をしているのです。これはもうみんなの共感を呼んでいるのですね。そして実質的には、たとえば最初にやったからふなれであったかもわからないけれども、現にいま六割しか使ってない。しかも、それをやれば借金がふえるばかりなんだと言っているのですね。もうわれわれは返せないのだということなんですね。そこまで追い詰められていることについて、あなたの御発言は何かまだ他人行儀のお客さんのような響きに私は聞こえるわけでありますが、そういう点で、たとえば融資にしても、利息を何分補てんするとか何か具体的なやり方を一歩発展させてやらない限り、前回のような政府操作飼料もないのですから、古々米もないのですから、でないと前回よりまだ悪いということになると思うのですが、この辺について、どうですか。
  82. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、当時、今回の融資措置等につきましては、春先の対策を仕組みとしては継承したわけでございますが、利率等につきましては、各種の小口金融の中で最も低い金利、天災融資法の激甚災に次ぐような低利融資の利率ということでとったわけでございまして、利率の問題については、最大限の努力をした結果、制度の仕組みができたというふうにわれわれとしては承知しておるわけでございます。今度の対策といたしましては、前回の対策は四十八年度予算がすでに審議に入った段階でございましたので、畜産振興事業団の助成勘定に対する蓄積を活用したという経緯がございまして、都道府県の十分な指導のもとに、都道府県の援助のもとに行なうというたてまえがとりにくかったわけでございますが、今回の場合におきましては、都道府県の融資助成というものに対して国が積極的に援助するというような仕組みをとりまして、それぞれの地方公共団体の中で、一体として、えさ高に対応する畜産農家に対する低利融資の供給に万全を期したいというふうに考えておるわけでございます。
  83. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 大体いま論議したことでわかったことは、いまのようなこそくなやり方、いまのような政府の思いやりのないと言うか——言い過ぎになるかもわかりませんが、ということでは、また再び同じ問題が繰り返されるだろう。そういう点で、政府指摘あるいは見通し、こういうものがいかにいままで当たらなかったと言うか、ずさんであったか、甘かったか、こういうことについて、あなた方はいままでの罪滅ぼしということも兼ねてやらなければならないと私は思うのです。  大体、大臣が、今回の事態に対して、たとえば前回、二月の二十二日段階の農水委員会で、今後の飼料見通しを聞かれたのに対して、あなたはこう言っている。「大体ことしの作付の見通しの立つ間、すなわち上半期というものが飼料需給の一番大きい山場だと思うのであります。」こう言っているのですね。これこそ完全な誤りでないですか。これはどうですか。
  84. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 当時お答えしたことはそのとおりだと思うのです。いまでも上半期の需給逼迫というものが非常にことしの畜産経営の上には大きな問題であった。現在の時点ではアメリカやカナダの作付あるいは作柄というものについては大体の見当はついてきておるわけであります。また本年の二月以降こういう問題になりましてから、濃厚飼料原料についてまたその他についても現物の掌握については努力してまいったが、しかしながら、遺憾ながら、各種の要因もと価格がわれわれの満足するようなものでない。そしてそれでいま現に影響を受けて、今回の飼料対策の一番の重点は何か、それは価格の問題これにいかに対応していくか、こういうことでございまするので、御了承願いたいと思います。
  85. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それならば、大河原さん、あなたの言ったことをひとつ参考に出しましょう。同じ二月二十二日あなたは飼料価格について、「ドルの切り下げと変動相場制移行によりまして原料価格がある程度ディスカウントされるのではないかという見込み」でありますと、つまりあなたは輸入差益は飼料の値下がりになるのだ、こう言っているのですね。実際そのとおりになりましたか。
  86. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、この点につきましては、御案内のとおり、一月から三月の国際原料相場の高騰によりまして、八千円近い工場建て値の値上がりがありました。さらに四月に四千円近い値上げが行なわれるということで、これに対して諸先生の御努力によりまして緊急立法で過剰米、政府操作飼料の払い下げ等を二千円行なったわけでございますが、残りの二千円については変動相場制移行に伴う国内原料調達価格の引き下げによって対応できたということでございまして、その点についてはやはり変動相場制の移行がそれ以上の配合飼料価格の高騰に対してプラス要因であったということは事実であるかと思うわけでございます。
  87. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 飼料そのものは国際商品なんです。国際相場の変動ということを織りこんでのあなたの見通しなり発言でなければならないはずだと思うのです。それを国際相場が変わったからおれは知らないのだということは、これはあなた、その職責を尽くせないことだと思うのです。飼料の商品の性質はそういうものだということを前提に置いてあなた方の見通しを立てなければならないでしょう。そこら辺、どうですか。
  88. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  この点については、当時におきます上半期が山場であるというような大臣のお答えもございましたが、そのとおりでございまして、当時におきましては七二年における米穀の史上第二の豊作にもかかわらず、他の輸出国の不況、あるいは従来国際的な原料調達立場に介入しなかった大口の需要があらわれたために一気に国際需給が緊追いたしまして、国際相場が、原料価格が上がり、申すまでもなく、いわば戦後最低の水準でございました四十七年一ぱいの配合飼料価格が四十八年には一挙に上がったわけでございます。上半期につきましては、このような国際需給の逼迫等で、最大の供給者でございますアメリカ等においても過去の過剰傾向のときにとった大幅ないわゆる減反政策を一挙に解除いたしまして、飼料穀物等についても大幅な供給を行なうというような点がございまして、七三年の下期における需給の緩和、したがって相場の鎮静化ということは当時においては予測されたわけでございますし、また南半球における、これは春作でございますが、その作柄も良好であるというような点、あるいはしばしばお話が出ますたん白質飼料でございますペルーの魚粉、アンチョビーの漁獲等も、ある程度前年の不漁から回復するのではないかというような諸般の見通しが、それぞれのソースから得られておったわけでございまして、したがって、後半期においては鎮静化するであろうということが当時のあらゆるデータからも推測されたわけでございます。この点については今日なおそのような米国の豊作等が伝えられておりますが、他の、たとえば南米の輸出国における輸出の低迷とか、あるいはペルーのアンチョビーの海流異変による不漁が依然として続いているとか、その他需給を逼迫させる要因がその当時の見通しと違って変わりまして、最大供給国のアメリカ需要がなお殺到しておるために、相場は高い水準が続いているというのが従来の経緯でございます。
  89. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 何かあなたのほうの御説明によりますと、あなた方は一生懸命がんばったけれども、不可抗力だとか、国際情勢がそうさせたのだということになりますと、全く行政なんて要らないということになるのですね、こういう状況に対して責任を負わない行政なんですから。たとえば三月二十七日の委員会で下浦説明員のことばを聞いても、「新しい事態といたしまして、円の変動相場制への移行という問題が出てまいっておるわけでございますので、その効果はフルに飼料価格に反映させる」なんということまで言っているのだな。つまり、上は大臣から畜産局長その他に至る農林省の指導部が全部こういう見通しを持っておったというところにいまのような状況が生まれてきたのだ。そういう反省の中から新しい施策をどう生み出すか、いままでのその中のいろいろな問題をまっとうに包んでいくような方針でなければ、ほんとう農民は救われないだろうと私は思うわけですね。  そこで、これからの見通しは一体どうなんだということですね。今度はいいのかどうか。いまの政府措置の中でどれだけ農民が救われるのか。私はもうほとんどそういうことは考えられないと思っているわけですけれども、そういう需給関係については、これはどうなんですか。
  90. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど午前中にもいろいろ関連の御質疑がございまして、需給見通しなり、あるいはそれらを踏んまえた価格見通し等についてはどうかというような御質疑に対して、貿易関係をあずかる所管省の関係者も、この点については最大の供給国である米国の作柄というものが大きな影響をいたすということを言っておるわけでございます。これについてはプラス要因とマイナス要因とをつぶさに検討してまいらなければならないわけでございますが、米国におきましては、一月ごとの収獲予想——来月の九日にはほぼ作柄が勝負がつきますトウモロコシ、マイロ等の作柄も、昨年を大幅に上回る五十六、むしろ五十七億ブッシェルに近いような作付予想が見られておるというようなことで、このプラス要因が供給面ではあるわけでございます。また、輸出規制までに立ち至った配合飼料原料の大豆かすをつくる大豆につきましては、これはトウモロコシ以上の豊作が伝えられておるというようなことで、需給関係プラス要因もあるわけでございますが、逆に安定的な市場としての米国に対する世界各国の需要というようなものが引き続いて続いておる。また昨年大口の買い入れをいたしましたソ連等におきましても、この新穀に対する相当の需要を持っておるというような、需要から来る価格引き上げ要因等もあるわけでございます。  いずれにいたしましても、高い水準で当面続くということ以外には申しかねるわけでございますが、物の手当て等の面につきましては、トウモロコシ、マイロ等配合飼料原料の成約等は相当進んでおりまして、全農をはじめとする日本のメーカー等の手当ても、来年春先までの手当てはすでに完了しており、物の面についての需給は心配ないというのが現段階の事情でございます。
  91. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は時間が来たのでこれでやめますけれども、あなたはいま、物の手当てはもうだいじょうぶなんだ、こうおっしゃっていますけれども、きのうテレビでアメリカの農務長官だか何か知りませんが、バッツとかなんとかというのが言うていましたね。どう言っていたかということを言いますと、ことしの飼料穀物の九割は世界の買い付けが済んでいる、あと一押しの買い付けがくれば再び輸出規制をしなくてはならないというのです。こういうことを織り込んであなたがそういうのんきな言い方をしているのか、その点はっきりしていただきたいと思うのです。  これで、時間でありますから、このあと乳価の問題その他用意してきたのですけれども、やめます。もうあす、あさってにも大幅な飼料値上がりがするというのに対して、まだ政府は国民にどれだけの安定基金をどういうかっこうでやるのか、あるいはどれだけの融資をどういう条件で出すのか、そういうことについて何ら知らしておらない。こういうことは返す返すも——いまの政府当局のこういう重大な事態に立ち至ったことに対して、ことばの上では責任を痛感し反省しているように見えますけれども、何ら誠意のないものだ、というふうにきめつけることは私はいささかあれですけれども、そういうふうに思うわけであります。したがって、このような重大な事態を招いたことに対してほんとうにそれを反省するならば、もっと大幅に、農民が納得できる、農民の要求する施策を積極的に講ずる、こういうことでやっていただきたいと思いますが、最後の御答弁をいただきたいと思います。
  92. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 飼料対策は、申し上げるまでもなく、値上げを目前に控えておるのであります。るから、緊急に、しかも農家の要望に少しでも沿うように最終的の結論を得たい、このように思っております。
  93. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 終わります。
  94. 藤本孝雄

    ○藤本委員長代理 瀬野栄次郎君。
  95. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 飼料乳価問題、消費者米価、生産調整、沖繩及び鹿児島南西諸島におけるサトウキビ生産価格対策、干ばつ対策及び輸入果汁割当、チルドジュース一本化構想等について、先日来質問通告をいたしました問題につき、農林大臣並びに関係当局にお尋ねします。  御承知のように、第七十一回特別国会は再延長となりまして、一カ月余にわたる空白が続いたために、八月上旬には米価審議会が行なわれましたが、それらを含めましてたくさんの問題が山積いたしております。  ときあたかも農林省においても、各省、概算要求の時期であり、これらに関連してわが党でも七月二十四日に、農林大臣に直接二十五項目についての当面の来年度予算に対する要望申し入れをいたしたところでございますが、それら全部に触れたくても限られた時間ではできませんので、本日は、当面緊急な問題を、特に来年度予算にも反映していただきたい問題もございますから、はしょって質問をさしていただきたい、かように思うのです。  それらの前置きをいたしまして、さっそくでございますが、飼料問題と乳価問題について、これは関連がございますものですからお尋ねをするわけですけれども、まず、午前中からいろいろ論議をしてきたところでありますが、とりあえず一月に三千二百円の値上がり、三月には四千八百円値上がり、すでに八千円が一月−三月で上がって、九月には御承知のごとく一万百十二円の値上げが予測される。そうなりますと、飼料値上がりは本年一年間で一万八千円という驚くべき、いまだかつてない値上げ、こういうことで、たいへん畜産農家をはじめ、酪農家はもちろんのこと、米の次に畜産、果樹という、この農業の三本柱であるビッグスリーの第二の食管ともいうべき畜産問題が重大な危機に達しているということは、もう十分御承知のとおりでございます。  そういったことで、当局も真剣に取り組んでおられることも十分承知でありますが、もうすでに値上げが目前に追っている、こういったことから、これらの対策に対しては緊急に、また国民全般に及ぼす大きな問題でもありますがゆえに、真剣に取り組んでいただくし、大蔵、財政当局にも強力に対策を立ててもらわなければならないし、また検討していただかなければならない、こういうふうに大蔵当局にも申し上げたいところでございます。  聞くところによると、長期低利の五百八十億の四分利子の問題とか、また農林省においては、さらに二百十一億のいわゆる基金繰り入れの問題について、政府保証をするところの債務保証的な考え方のいろいろな案があるやに聞いておりますけれども、私は、農林省として、今回の値上げ、または今年一月、三月の値上げ、こういったことで来年の三月までにどのくらいの金があれば値上げが抑制できるか、その辺の検討から、簡潔にひとつ質問の順序としてお聞きしてみたい、かように思います。
  96. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  配合飼料の月の生産量が百五十万トン程度でございますので、九月から三月までというものについて、トン当たり一万円といたしますと、一千億をこえるような金額が、これをかりに財政負担その他の諸措置によって補てんをいたすという場合には必要な金額ということに相なるわけでございます。
  97. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 四十七年の三月のおりにも低利融資を行なっておるわけです。二百二十億円だったと思いますが、結果としては、私の積算では百三億の融資で、実際には半分以下しか利用されていない。償還率もずいぶん低い、こういうふうにいわれております。先行き暗いときに借金政策が好ましくないことはもう当然です。また団体も絶対にこういったことは避けてほしいと、こう言っている。よしあしはともかく、適当でない。こういったことはわれわれが常に主張しておるのですが、こういったことを思いましたときに、いま一千億ぐらいの手当てが要る、こういうわけですが、私は、この一千億をいわゆる基金に全部政府が見てあげる。そして今回の値上げを十分に検討対策を立てる、こういうふうにしていただきたい、かように思う。そういった意味で、またこの一千億の内容については、いろいろ基金関係している人、基金関係ない方とあるわけでございますが、いずれにしても一説には五百四十億ないし五百八十億の金があれば何とか基金としても対策が立てられるのではないかということもいわれておりますので、その辺の積算は十分検討するとして、要するに満額この基金でかかえて、そして飼料の手当てをする、こういうふうにしていただきたいと思うのですが、農林大臣、どういうふうにお考えですか。
  98. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 午前中からいろいろこの点についてはお答えを申し上げてまいっておるわけであります。ただいまの瀬野委員の御意見は御意見として承らなければならないと思いまするが、せっかく現在一部は融資で、一部は安定基金でという方向で最後の詰めに入っておるわけでございまするし、また、融資面につきましては種々御批判もございまするが、また当局側からお答えを申し上げておりまするように、養鶏、養豚等の畜産農家におきましてはこれを歓迎しておる向きもあるのでございまして、これらの点も勘案しながら最終的の結論を得たい、このように思います。
  99. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長、そこで、さっきぼくが言いました去年三月の融資の二百二十億の実績、百三億ぐらいの貸し付けで成績が悪いという点についてはどうですか。ぼくが言ったとおりですか。
  100. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 先生がおっしゃいました特別低利融資のワクでございますが、二百二十五億というのは、当初基金の補てん等が全農二千五百円、商系がその半額の千二百五十円というような補てん、実質えさ代の値下げの補てん措置がとられる以前に、平均値上がり八千円を想定した数字でございまして、実質の飼料代の値下げ措置がとられましたあと融資ワクは約百七十億でございます。これを各県の要望に沿いまして配分したわけでございますが、その結果現在までの融資実績が百億をこえるということで、先ほども申し上げましたが、約六割の融資の実績に相なっておるということでございます。
  101. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣、いまお聞きのとおり、これは農民に責任を転嫁するような——あえて政府の責任、責任とばかり言ってもどうしようもないのですが、農民に責任を転嫁するような融資政策というのは、こういう暗いいわゆる畜産行政の中であまり好ましくない。これは当然のことです。そういった意味からもなるべく避けねばならぬが、大蔵当局との関係もいろいろあろうかと思うけれども農林省としてはしっかりがんばっていただいて、農民の要望また畜産農家を守るためにもここで乾坤一番戦わなければ、これはたいへんな問題になると私は思うのですよ。このあと質問する乳価にも関連してきますし、こちらを何とか押えて片づければ、加工乳あるいは生乳の乳価問題等も二十円、十五円の値上げ大幅要求がなされておりますが、これも落ちつくことになりますが、もしこちらが片づかないとなれば、これはどうしても加工乳、生乳の各値上げは必至になってくる。  いずれにしても、これはたいへんなときになっております。大蔵当局も十分承知だと思いますけれども、そういった意味で、この融資が抜本策じゃない。何とか避けねばならないと思うのですが、大臣もつらいところかもしれませんが、その辺はどうですか。大臣として大蔵当局に当たる決意をひとつ全国農民のためにここで披瀝していただきたい。
  102. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 このたび一応立案されておる融資については、御承知のように、利子補給をいたすわけでございます。そして一般情勢ではいわゆる高金利時代へ向かっておる際に、政策的に低利の融資を行なう。こういうことで、前回の実績が六〇%である、こういうことから融資よりはもっと適切な方策がないかというような御所見が非常に強いようでございまするが、いまの金融情勢の上から見まして多少情勢が変わっておるのではないか、こういうように考えるのでございまして、今回はこの融資措置と他の行政措置とをあわせ行ないながら、今後のさらに基本的な施策について明年度予算の上に反映をしていこう、こういう心組みでおるわけであります。
  103. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 主管大臣である櫻内農林大臣農民の味方として、われわれもまた農林省を叱咤激励しておきたいという気持ちもあるわけですが、大蔵当局はなかなか渋っておる状況のようでございますが、この実情は十分に訴えていただきたい。当委員会でも各野党の委員からも強烈に、この飼料値上げに対する手当てはまるがかえで満額を基金に入れて、そしてこれは全国民に影響を及ぼす問題でありますから、この際守ってやるべきだということで、強い要求をして折衝されるように特に強く要望しておきます。  そこで、この機会に若干関連して聞いておきますが、基金に入っている場合と入っていない場合、さっき配合飼料局長年間使用量が千八百万トン、こういうふうに言っておったようでありますが、私は年間二千万トン、こういうふうに大体推定しておるのですけれども基金の金を利用する人は、千五百万トン基金に加入している人、残り約五百万トン、四分の一ぐらいの方が加入してない、恩恵を受けていない、こういうことが問題でありますが、特に恩恵を受けていない方には中小経営酪農家、こういった方が多いわけでございます。こういったところに対しても十分配慮していただくことだと思うんだが、その点、局長、どういうふうにお考えですか、またどういうふうな内容になっていますか。
  104. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  現在の配合飼料は、全農系、商系あるいは専門農協系も工場を持ちまして、配合飼料を供給しておりますが、これらを合わせますと、千八百万トン強になっておりますが、そのうち基金の利用は、千五百万トン近くが基金の加入者と加入数量でございます。これについては、申すまでもございませんが、末端の畜産農家はそのいずれかの三系統からえさを買っておるわけでございまして、基金のたてまえをくどくどしく申し上げるのも恐縮でございますが、変動の際に一つのクッションとして、あらかじめトン当たり何がしということで掛け金を積んでおるわけでございます。そういう方で、あらかじめ備えた方に基金一つの恩恵が与えられるというのが制度の仕組みでございますが、基金に加入しておらない方々はどうかと申しますと、われわれもその詳細、実態についてはなお明らかにしておりませんけれども、非常に零細な小口の需要者が入っておらないということは確かでございますし、また一方では、相当企業的な畜産——養鶏とか養豚等に見られる企業的な経営者が基金を利用しておらないというような事態もあるわけでございます。以上がその実態でございますが、そのような方々については、基金を通ずる恩典は、もともと加入しておりませんので受けにくい。  それをしからばどうするかというような問題でございますが、この点については、先ほどいろいろな御批判等もございましたが、低利融資その他の措置によって急激な負担を緩和していただくというふうに考えておるわけでございます。
  105. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、さっきもちょっと申し上げたんだが、御存じのように、先日も酪農民乳価値上げ等に対する大会がありました。自民党はじめ各党行きまして力強い激励を送って、この調子ならばずいぶん政府もこれは考えているなというふうにも感じて帰ったのですが、御存じのように、いま酪農民は、四十八年度の加工向け原料保証価格を、不足払い法第十一条第八項に基づき、年度内にキロ二十円以上の引き上げ、再検討を行なうべきであるということと、もう一つは、乳業者は昭和四十八年度飲用向け原料乳価キロ当たり十五円以上引き上げること、こういったことで強い要望をしておるわけですね。もちろんこの不足払い法第十一条八項には、「農林大臣は、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、保証価格等改定することができる。」とある。こういうことは十分皆さん方もわかっておることでございますが、そういうことがあるわけで、これは当然の要求である。しかし、国民生活に及ぼす影響は甚大である。こういったことで、飼料とこの問題とがからんでおりますが、この乳価に対する考えは、農林大臣、どういうふうにお持ちであるか。また、飼料の問題との関連においてどういうふうにこれをなさる予定なのか。限られた時間でありますので、要点をずばりひとつお答えいただきたい。
  106. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 この不足払いの問題がいま農林省としては直接関係があると思うのであります。飲用乳の問題は御承知のとおり別途のことであると思いますので、そういうことでお答え申し上げますが、これは繰り返し申し上げましたように、私としては、いま現に日本の経済動向がどうなるのか、特にこういう物価騰貴の情勢、過熱的な情勢というものを何とか鎮静化しようというので、大幅な公定歩合いの引き上げやあるいは政府財政の八%の緊縮をしようという、こういうことで大きな要素というものがはっきりしてきておらない。それから今回飼料対策を行なおうというこの飼料対策がどういう結論になるかということもさだかでないわけでございます。そういう際に、ただいまの御質問に、それでは検討してみようとか、あるいは法に基づく著しい変化がはっきりしたとかいうことが言えない段階でございますので、私どもはその責任上、種々資料を集め、実情を検討して、そして絶えず事態の推移というものを見守っていくことについては、これは当然のことでございますが、いまここで不足払いについてどうということについては申し上げかねる、こういうことでございます。
  107. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農業のビッグスリーといえば米、畜産、果樹、しかも畜産は皆さんも第二食管というふうに言っておられるわけで、国民の生活にたいへん重大な問題であります。そこら辺を考ましたときに、ことしは米に対しては一兆五十七億円の手当てがなされる。内訳は別として。ところが、今回の飼料値上げ、しかも米に次ぐ畜産、第二食管、これに対しては、いろいろ試算のやり方もあるけれども、一千億あるいは五百八十億ぐらい基金に繰り入れれば何とか三月までしのげるのじゃないか、こういうふうにも思われるわけですが、そういった金を当然これは大蔵当局にも認めさせる。農林の中でも米に次ぐ畜産である、しかも生産額からいっても米、畜産はほとんど同程度生産額をあげておる、こういったことをとくと説明していただき、いかに重要なウエートを占めているか、こう言えば、米に十分な助成措置をして手当てをしているからどうというのじゃありません。米は当然のことであるが、それと同等の生産をあげ、しかも第二食管という国民に重要な影響を及ぼす畜産に対して、当然五百八十億ないし一千億ぐらいの金を基金に繰り入れて国民の食生活を守り、この危機に瀕した酪農民あるいは畜産農家を守ることは当然である。こういったことを当委員会でも強力に質疑を受けて大臣ほんとうに追い詰められた、こう言って大蔵省に強く要求して、皆さん方の綿密なデータによって強力に交渉していただいて、満額これを基金に入れて手当てをする、こういう決意で臨んでもらいたい、かように思うわけです。こういった意味で、この問題の締めくくりとして、大臣、ひとつ第二食管といわれる畜産に対するあなたの認識のほど、そしてこの畜産の危機に際して、ほんとうにこの飼料問題を救う。この飼料問題を解決すれば乳価または加工乳の手当てもいわゆる冷やすことができるわけですから、こういった重大な問題をかかえておるときに、あなたに対して緊褌一番の交渉また折衝を私は強く国民の名においてお願いするわけです。それらの決意を含めて、畜産に対する御認識のほどを、また評価を一言決意をお聞きしたい、かように思うわけです。
  108. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 当面の飼料対策についてはるる申し上げたところでございますが、ただいま瀬野委員の言われますとおりに、     〔藤本委員長代理退席、山崎(平)委員長代理着席〕 畜産の重要性、特に先般来の国際的な食糧需給の逼迫からいたしまして、これからの麦、大豆、飼料作物をどうするかということは、当委員会におきまして繰り返し皆さま方から御激励を受けておるのでありまして、これらの根本的な対策につきましては、昭和四十九年度の予算の編成にぜひ盛り込みたいといま鋭意努力をいたしておるのでございまするし、また相当量を輸入に仰いでおる現状からいたしまして、今後の輸入施策についてどう対処すべきか、こういうことで開発輸入あるいは多国間貿易などについてもいませっかく積極的な検討をしておる機会でございます。そういう際にただいまの瀬野委員のおことばがあった次第で、私どももさらにしっかりした姿勢をもって財政当局とも対応してまいりたいと思います。
  109. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 消費者米価問題で若干お尋ねしますが、結論は、銘柄米を標準価格米に入れていかねばならないということを大臣並びに当局にお尋ねするわけです。  御承知のように、物統令をはずすときに値上がりの防止として標準米というものを設けたことはもう御存じのとおりです。御承知のように、現在三十一府県で三十七品種が百六産地品種として銘柄米が指定されております。四十八年度は二十八産地品種がふえて、指定銘柄が一俵三百円の上乗せの分が現在五十五に対して十六ふえて七十一、また二百円上乗せの分が十二ふえて現在分二十三にプラスして三十五、合計百六。これだけで二十八も指定銘柄がふえている。こういう実情で、これは十分当局も御承知のとおりです。  そこで、最近の状況を見ますと、東京で買いますとササニシキが十キロ二千四百円、それから一番いい米といえば二千六百円で米屋さんが持ってきます。私はきのう念のために取り寄せて買ってみました。従来から二千三百、二千四百円は普通でしたけれども、一番いい米といえば二千六百円。こういったことから見ましたときに、当然、今回米価も一六・一%の上昇率を示したわけでありますが、標準価格米の質がだんだん低下しておるのも事実であり、食糧庁は五%ぐらいの低下、こう言っておるようでありますが、実際にはもっと低下をしておる。そうすると、実質的な消費者米価の値上げになる、また現になっているということは事実でございます。そこで、ますます二重米価を形骸化していく傾向にあるのであります。たいへんな問題である。それ即消費者が負担を課せられておるということであって、これまた問題でございます。  そういった意味で、やはり標準価格米を落とさないために、先ほど申し上げたように、銘柄の指定もことしだけでも二十八、全部で百六、こういったことでかなりふえる傾向にあるわけですから、この標準米に銘柄米を入れて質を上げていかなければならない。消費者に対しても、これはたいへん申しわけないことである、かように思う。こういったことで、時間が迫っておりますので、簡潔に結論だけ大臣並びに当局からお答えいただきたい。
  110. 中野和仁

    ○中野政府委員 ただいま御指摘がありましたように、標準価格米につきましては、その原料玄米としまして昨年の秋から非銘柄米の一−四等を標準価格米の原料にしております。四十七年産につきましては、自主流通米を含めました全体の出回り量の中の四五%、それが御指摘のように指定銘柄がふえたものですから、四十八年産についての見込みが四〇%ということになっておりますから、現実に末端で標準価格米として売られておるものは大体三六%程度でございますので、十分ただいまの非銘柄一−四等の政府の売却によりまして標準価格米の原料は確保されておるということでございますので、この際、銘柄米まで標準価格米の原料に入れてしまうということは、する必要はないのではないかというふうに思っております。
  111. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これを論議しておったらもう時間がかかってしまいますけれども、消費者の立場に立った場合に、いま標準米というものは、買う率も少ないが、また実際に相当質が落ちている。現に行ってもなかなか表示してない。こういう実情から見まして、米屋に行ったら、皆さん方もそうだと思うが、標準米をくれと言って買う人はまずいまのところあまりない。しかし、一般の方はかなり買っている方はありますので、一般のいわゆる労働者あるいはまた標準米を買っている人たちに対してもよく手当てをしなければ、実際問題としてこの標準米は質が落ちて消費者に相当負担をかけているというのは事実でありますので、これはまた実例を示していろいろ当局の考えをただすことにしたい。  これだけにかかっておるわけにいきませんので、もう一点、それじゃお伺いしておきますが、これは大臣にお答えいただきたいが、転作奨励金の優遇をはかるべきだということをお聞きしたいわけです。  時間の関係で詳しく申されませんけれども、御存じのように、米価が一六・一%上がった。端的にいうと、従来の奨励金、もちろん休耕奨励金はことしで終わりでありまして来年からないのですが、転作があと年間ある。大豆あるいは麦、飼料作物等、いろいろ転作するにしても、実際問題として転作奨励金を優遇しなければ、これは米一辺倒になってしまってなかなか転作をしなくなってくる。農林省のお考え等われわれ仄聞するところによると、現在百四十万トンの転作を考えておられるようである。ことしは転作奨励補助金は単価は従来どおりで見送る、こういうようなことも何か言っておられるやに聞いておりますが、実際問題として米価が一六・一%上がった時点において転作がどの程度進むかということも疑問であり、これらの対策もまた十分配慮しなければならぬわけですが、転作奨励金、特に自給度の向上を必要とする麦、大豆、飼料作物、これは畑作を含めて新たに生産振興奨励金というか、こういったものを交付するなり、何とか考えてやらなければこれはちょっと問題である、かように思っておるのですが、その点どういうふうに考え、来年の予算にこれを対処されようとしておられるか、その点簡潔にひとつお答えをいただきたい。
  112. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 転作奨励金は御承知の三万五千、四万円と二段階がございますが、これにつきましてはいろいろ検討してみましたが、現在われわれとして増額をするというような考えはございませんが、しかし、ただいま御質問の中にございましたように、特に転作そして定着をさせたい必要な作物、大豆、麦、飼料作物につきましては別途特別奨励金のようなものを考慮いたしたい、そういうことによって対応する考えでございます。
  113. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 沖繩及び鹿児島県の南西諸島におけるサトウキビの問題ですが、沖繩等においてはサトウキビ農家戸数が六万三百四十六戸、キビ作農家がそのうち五万二千戸ございます。八六%にもなっておる。普通畑作面積が三万九千三百二十一ヘクタール、キビ作面積が三万二千五百七十五ヘクタール、これまた八三%のシェアであります。収穫面積が二万三千三百六十二ヘクタール、五九%。サトウキビ生産量が百四十一万三千五百八十五トン、十アール当たりの粗収入が四万二千三百五十七円、一戸当たりの収穫面積四・五反、一戸当たり生産量二十七トン。こういうようなことで、農業生産額に占めるサトウキビ生産額の割合が、総生産額三百三十億三千二百十六万円、こういうような数字になっております。その中でサトウキビが百二十七億三千三百九十二万円、三八・六%、こういった数字はもう十分おわかりかもしれませんが、なぜこれを申し上げたかというと、去る八月二十三日、沖繩の屋良知事はじめ鹿児島県の金丸知事が参りました。われわれの農林委員会の理事会にも陳情に参りました。各党にも参りましたし、またさらに各党の農林部長等に懇切な、悲壮なまでにも陳情がございまして、地元代表県会議員等たくさん参りました。そういったことで、私たちも、これはもう御存じのように毎回質問してまいっておりますが、新年度予算編成時期にあたり、沖繩のサトウキビは日本の米に匹敵するものであります。沖繩で米といえば羽地の一角にわずか米をつくっているだけで、あとはもうほとんどキビ作農家であります。そういったことから、圃場整備あるいは農業の近代化、機械化ということも考えられますけれども、まずその前にサトウキビ価格を上げてやらなければ、いま海洋博にほとんど労働者が流れていく。台湾からも労務者を雇っておったのが、全部それが来なくなった。たまたま来ても海洋博のほうに行ってしまうということで、海洋博が主になりサトウキビが従になるということでたいへんな問題になっております。  こういったことから、ぜひサトウキビの最低生産価格決定にあたっては、いわゆる生産費及び所得補償方式、米に見合うこの補償方式によってやっていただきたい。そして、サトウキビの最低生産価格は、沖繩の知事はじめ農民が要求しております一トン当たり一万三千円以上にしてくれという強い叫びであります。これに対して十分ひとつ、戦後二十八年間ほんとうに異民族の支配下にあって苦労してきた沖繩に対してあたたかい手を伸べるべきである、かように思うのです。大臣からその決意を、簡潔でいいですから、どういうように対処されるか、ひとつあらためてお伺いいたしたい。
  114. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 最初にたてまえ論と申しましょうか、いま生産費所得補償方式をと言われるのでございまするが、御承知のように、現在砂糖の自給率が二〇%程度で、今後もサトウキビあるいはてん菜糖、これらのものの価格水準は、国際水準との調和がとれるように考えていく必要があると思うのであります。そういう見地からいたしますると、いまちょっとお触れになられましたが、省力化とかあるいは経営改善とかいろいろな諸施策を講ずることによりまして、またそういう合理化のメリットが当該生産者に還元される、こういうようなことからいたしますると、やはりパリティ指数に基づいての計算をすべきではないか。しかし、価格決定にあたりましては、沖繩の実情というものが十分反映されまして、沖繩の基幹農作物であるサトウキビ経営が維持され、また向上されるように考慮すべきことは当然である、こういうような考え方に現在立っておるわけでございます。
  115. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あと若干通告した問題がありますので、サトウキビに対してはもういろいろ従来から委員会でも問題にしてきたわけでありますが、今回特に鹿児島県また沖繩県からの強い要請もあり、ひとつ、新年度の予算のときにあたり、いろいろ大臣はおっしゃっておりますが、実情はいわゆる壊滅的な状況にございます。そういった意味から、沖繩の農業の唯一の米に匹敵するサトウキビ生産に対して十分ひとつ検討し、また調査も十分なさって対処していただきたい。これは沖繩の強い叫びであります。  そこで、実は干ばつの問題でありますが、干ばつがおそらくこのままでいくと一千億以上の被害になるのではないかということがいわれております。農林省は二十八日に全国的な干ばつの中間報告をまとめておるようでございますが、それによると、六百七十五億というふうに集計が出ておるようでありますけれども、二十九府県にわたって干ばつが進んでおり、おそらく最終的には被害一千億以上の史上最大の干ばつということで、当初はわれわれもわずかであるので数県に限って対策を立てておりましたけれども、これは相当重大な問題になる。  そこで、端的に聞くわけにいきませんけれども、おそらくこのままで推移すれば、野菜も今後ずいぶんと秋冬野菜が高値を呼ぶだろうし、また夏野菜も相当問題化してくるであろう。つい四、五日前に農林省の野菜課長等にも数回お会いしましたが、ことしの秋冬野菜はいまの分では絶対心配ないということで、もうほんとうに太鼓判を押すような決意に触れて安心しておった矢先でありますけれども、これはたいへんであると思う。これは激甚地として天災融資法あるいはまた自作農創設資金の問題とか、いろいろと対策も立てなければならないと思いますけれども、これらの問題についてどういうように現在掌握しておられるか、またどういう今後被害の見通しであるか、また対策はどういうふうに打たれるのか、米なんかの作柄等についてもどういうふうに見ておられるか、ひとつ要点だけ、時間もございませんので、お答えいただきたい。
  116. 大山一生

    ○大山説明員 ただいま御質問の干ばつにつきまして、私のほうから被害の現状と将来の見通し、こういう問題について御報告いたします。  先生がいまおっしゃられましたように、八月十日現在におきまして中間調査を実施したわけでございますが、その結果といたしましても、これまた先生が言われましたように、六百七十五億ということになっております。八月十日現在でこの調査をいたしました時点において干ばつが解消しておりません県は二十九県、そうしてすでに終息したと見られる県が十六県あったわけでございます。そういう段階におきましての中間集計というのが先ほど申し上げたような結果でございます。  なお、その後の問題につきましては、これは情報としてお聞き取りいただきたいと思いますけれども、現在時点で見てまいりますと、二十九府県という当時進行中であった県の中で、その後降雨がありまして終息ないし停止したと見られる県が十四県ございます。他の十五県につきましてはなお進行中ということでございますが、それらの県におきましても多かれ少なかれ降雨があるというようなことから、地域的に干害の進行が停止しているところもある、こういうふうな状態でございます。したがいまして、県をあげて干害がまだ進行中という県はいまのところないというようなのが現状でございます。  いずれにいたしましても、進行中のところがありますので、この金額よりはふえることとなりますけれども、いま言われました一千億に達するかどうかというような問題につきましては、今後の調査を待たねば何とも言えないということだろうと思っております。  なお、過去において非常に干ばつの激しかったのは四十二年でございますが、このときの七月から十一月にわたっての近畿以西で起こりました干ばつが被害六百八十二億でございますが、これは近畿以西の十九県でございます。今度のような大きな県においての金額として現在のところは六百七十五億であるということでございます。
  117. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、いまちょっと簡単に報告がありましたが、これはまた次の一般質問等で詰める考えですけれども、今回の干ばつの被害状況を見ますと、かなりこれは金額も上がってくる、府県もかなり多い県になる。一番被害の大きいのは野菜、次は水稲、その次は果樹と、こうなっておりますね。そういったことで、相当手厚い保護をしていかねばならぬじゃないか。また、この干ばつによっておそらく果樹なんかは樹勢に影響すると、あと三年ないし五年ぐらいは影響もするということも考えられますので、十分いろいろ対策を立てなければならぬと思います。当局、真剣に取り組んでおられると思いますけれども大臣もひとつ十分これには当局を叱咤激励して対策を立てるようにお願いしたいのですが、大臣のお考えをお聞きしておきます。
  118. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今回の干ばつが長期のひでりによる非常に甚大な影響があったということで非常に憂慮をいたしておるわけでございます。東北あるいは中、四国の被害の多い地方におきましては、各県においてそれぞれ緊急対策を講じておられるようでございまするが、ただいま統計情報部のほうから報告を申し上げましたように、一部につきましては干ばつの被害が把握されてはっきりいたしたのでありまするけれども、他の地区につきましては、きわめて不幸なことでございまするが、なお干ばつが進行中、こういうことでございまするので、今回の干ばつ全般を通じての明白な施策を申し上げることがいまできかねることは非常に残念に存じます。しかし、被害額がきわめて大きいということから、ただいま省内におきまして過去において国としてどういう対策をしたか、緊急対策については当該県がいたしておりまするし、また緊急な事態についてはそれぞれの農政局を通じてポンプとかあるいは必要な資材の手配とかそういうものは刻々いたしたわけでございまするが、最終的にはどういうふうに財政的に国が見るのか、こういうことになります。あるいは被害を受けられた農家に対してどう対応するかということになるのでございまするが、それらの点につきましては、被害の確定、少なくとも大体の見通しに立って、そして対策を明白にいたしたい。昭和四十二年の例もございますので、ただいまそういうものを勘案しながら万全の用意はいたしておるようなわけでございます。
  119. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 干ばつに対してひとつ万全の対策を立てていただきたい。そして野菜問題については、夏野菜もさることながら秋冬野菜は特に高騰が心配されますので、いまから十分な対策考えていただくようにお願いします。  最後に、ちょっと時間が経過いたしましたけれども、お断わり申し上げて一点だけお伺いして質問を終わることにしますが、実はオレンジ、果汁の自由化の問題であります。その中でも先日、果汁は昨年は五百トン輸入であったのがことしは一千トン輸入で倍になった。このまま推移していくと、将来はずいぶんふえていくことになる。当局にいわせると、これは国内における温州ミカン二万五千四百十二トンの四%にも当たらぬというが、五分の一濃縮であるから五倍に薄めると五千トンになる。こういうこともいえるわけで、かなりの量であります。この量もさることながら、この調子でどんどんやっていきますと、結局は自由化につながる。ワクの拡大ということになる。  また一説には、いわゆる日米交渉、田中首相がアメリカへ行きましたし、また日米会談の中でいろんな取引というか、いろんな交渉が持たれておることも事実でありますが、おそらくこれだけのワクをやらなければまたほかのものにもっと強力に影響してくるというふうなこともいわれるのでやむを得なかったという話もあるし、田中首相は五百トンを一千五百トン輸入するというようなことを言った、それを農林省がやっと一千トンに押えた、こういう経過も巷間いろいろ漏れ聞いておるところであります。  そこで、私は、きょうはこのチルドジュース工場の一本化の問題及び果汁の輸入の問題、これらを二時間ぐらい質問する予定で準備しておりましたけれども、たまたま昨日事態がころっと変わってきましたものですから、きょうは方向を変えて一、二点だけお伺いしておいて、この問題については次回に徹底的に内容をいろいろとお伺いしたい。  従来の五百トンの割り当て量を見ましても、四十六年度の割り当ての率で今日きております。今回の五百トンの割り当ての中にも三百五十トンといういわゆる全農関係、農業団体に対する割り当て量が入っている。あとはボトラーサイドとして百五十トンの割り当てとなっておる。足立構想による政策割り当てといわれ、また政策上制約がついているといわれる三百五十トン全農関係。こういうことで、いずれはサンキストが乗り込んできて、農協があれよと思ったときにはサンキストのレッテルを全部張ってしまうという、いわゆる日本を占領する第一歩ともいわれるようなことはどうしても納得できない。もやもやしたものを感じてならない。こういったことをいろいろ見ましたときに、これは重大問題である。そこで、私もこうした一連の割り当て量から、今後の問題またいろいろの問題を検討していろいろ質問の用意をしておるわけです。  また、窓口一本化によって——いわゆる日米懇談会において窓口は一本化する、こういうことから日本のほうも窓口一本、アメリカも窓口一本ということになっておるんだけれども、実際は、日本のほうはどうやら窓口一本になるようなかっこうになっておったのだけれども、これがきのう、会談でつぶれた。アメリカのほうは一本化になっていない。こういう状態の中で輸入を一千トンもする、こういう事態も私は問題であると思うし、これらもすっきりとしない。  そこで、そういったことを次回にいろいろ質問をすることにしまして、実は六月八日に行なわれた農協かんきつ果汁対策協議会正副会長会議では、農協組織として一本化で進むということがはっきりと打ち出された。私もこの問題についてはもう四回か五回にわたってこの委員会で質問をし、日園連と全農系が対立しておってはいけない、ほんとに総合農協と専門農協一緒になってこれを一元化すべきである、一本化することによって果汁の輸入もスムーズにいくんだ。こういったことで全農の問題についても、過去におけるいわゆる農協牛乳、肥料、畜産、農薬のいろいろなものの取り扱いが減った関係から赤字が出てたいへん困っている問題等、しばしばここで指摘をして今日まできております。全農としては何としてもチルドジュース工場をつくりたいところでありましょうが、しかし、専門農協として長年やってきた日園連系、これもぜひやりたいところであります。  そこで、一本化すれば窓口も一本になり、果汁も窓口として入ってくるし、また円満に解決ということで努力してきて、中尾政務次官にも再三追及し、いよいよ私の出番がきたから九月中には、そのうちには解決すべく乗り出してやると言われた矢先に、実は昨八月二十八日、冷蔵果汁工場発起人会で「チルドジュース工場一本化構想白紙還元、各々独自に生産をする」すなわち、全農と日園連が意見折り合わず別々にやる。そして冷凍貯蔵果汁生産のこの問題がまさに原点に返ってしまったということです。そうなれば、今回の一千トンの割り当ての中で農協に増ワクの五百トンの中の三百五十トンの割り当て、こういったことも大問題になってくるということで、また新たな問題が起きてきたので、質問は次回に延ばして、きょうはその問題の焦点と、それからそういったことを踏まえた上で、いわゆるチルド工場一本化構想が白紙になったということをどう受けとめておられるか。そしてまた、こういうことが事実として報道されてもおるし、私もきのうそういう報告を受けまして、これはまたたいへんな問題になってきたということで、割り当てはしたものの実際には果汁をやるわけにいかないということも起きてくるが、その辺の経過とその辺の見通し、また一本化の構想が白紙に返ったということについてどういうふうに受けとめておられるか、きょうはそれだけをお聞きして次回に質問を譲りたい、かように思っております。  当局からの答弁を求めて私の質問を終わります。
  120. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 一本化のことにしぼられてのお尋ねである、こういうことでございまして、この点につきましては、私ども全農あるいは日園連その他が一本化されることが好ましいということで行政指導に当たってまいったのであります。いま御指摘のように、白紙に戻ったということはきわめて遺憾に存じておるわけでございまするが、しかし、これにつきましては、農林省としてはなおあきらめずに、窓口一本化のためにさらに努力をいたす考えでおります。
  121. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これについては次回に質問することを留保して、本日は問題提起だけいたしておきます。御協力ありがとうございました。
  122. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、神田大作君。
  123. 神田大作

    ○神田委員 まず、いま緊急の問題であるところの飼料問題等につきましてお尋ねを申し上げます。  大臣に、非常に重要な段階にきておる今日の日本の畜産行政に対しまして、このような状態の中において、日本の畜産を守るためにこれから農林省としてはどう対処していくかということにつきまして、ひとつその所見をまず伺いたい、こう考えます。
  124. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御指摘を受けるまでもなく、本年当初来の飼料値上がりに伴う畜産経営に対する影響というものは、農林省あげて憂慮をいたしておるところでございます。  緊急対策等によって、八月一ぱいまで一応わたってきた、また、安定基金の利用による九月の一応の施策は緊急対策の一環としてあるわけでございますが、今回飼料メーカーの最大の大手の全農が一万円以上の大幅引き上げを発表しておる、こういうことから、現在農林省も、また各党におかれましても、これに対しての緊急対策をどうするかということで精力的に作業をしておることは、御承知のとおりでございます。  先ほど来申し上げるように、御批判はございましょうが、融資による場合と、それから安定基金に対する助成との組み合わせによりまして、何とか財政当局の納得を得て対策を講じたい、こういう考えに立っておるのが、ただいまの時点での農林省の姿勢でございます。
  125. 神田大作

    ○神田委員 次に畜産局長に、現在の日本の畜産、養鶏あるいは肉鶏、乳牛、肉豚、これらの畜産が一体収支のバランスが合っているのかどうか。たとえば酪農家にいたしましても、年々飼育頭数も減っておる、あるいは酪農家の戸数も年々減っておるわけですね。これらのことは、ほかの畜産関係にもいえると思うのです。こういうような状態が続けば、やがて日本の畜産というものは壊滅してしまう。それでは外国から肉や卵は買ってもいいんだ、おまえら引き合わなければやめてもいいというようなことになっていく。それでいいのかどうか。  この畜産を守るためには、やはり引き合わなければだれもやらぬ。このような相当の高度の技術を要する畜産農家が一度やめると、景気がよくなったから、何とか収入支出が合うからいま一回やろうといったって、一たんやめて他の職業につくとなかなか戻ってこないのです。  だから、いま一番大事なときなんだ。いまやめようかやめまいか、政府がかまわないんならやめちゃうということになると、日本の畜産はもう壊滅してしまう。この一番大事な時期に対しまして、思い切った施策をして、一応これをとどめておいて、しかる後根本的な対策を立てなくてはならぬと思うのです。  こういうことはもう皆さん専門家が十分考慮をされておるんでしょうが、何か畜産の危機ということに対しまして——われわれは第一線において養豚家や養鶏家あるいは酪農家と毎日接しておるのですから、いろいろの問題を切実に訴えられるわけです。しかし、われわれは、まあそう言うな、いま少しがまんしてがんばっていろ、金が足らなければ何とか農協から資金を貸す、あるいはえさ代等もそれだけたまっているんだから一応貸し付け金のほうに回そうとか言いながら、あるいはいろいろの面において慰留をして今日まできた。というのは、酪農家にしても、あるいは養豚家にしましても養鶏家にしましても、技術者なんです。これは一朝一夕にしてこれらの人ができるわけじゃない。そういう非常に大事な人であるから、われわれは大事な人をここで失ってはならぬ、日本の畜産振興のためにはこれは非常に大切に守らなければならぬという考えでもって、第一線において説得しながらとどめておる。しかし、今度の一万円余のえさ値上がりによって、これらの説得はもう功を奏さなくなった。幾ら皆さんがそんなこと言ったって、もうこれ以上犠牲を払ってはやっていけないという空気になってきている。そこに、われわれは非常な危機感をしみじみと味わっているわけです。これはたいへんだな、これは一刻も猶予ができないなという気になっている。  しかし、午前中からの皆さんのお話を聞いていると、何かちょっと危機感が足りないのじゃないか。これは数字の上でばかりそこを見ているからそういうことになるんだろうかと思うのですが、私は、皆さんが午前中またいままで答弁されたようなことでは日本の畜産は救われない段階に来ているということに対しまして、畜産局長としてどう考えられるか、その点をお尋ねします。
  126. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  畜産の現在の実態を踏んまえた御質問でございますが、先生指摘のとおり、各種の畜種によって差はございますが、最近に至るまでのわが国の畜産は、旺盛な需要にささえられまして、しかも零細な副業的な経営は他に転ずるにしても、専業的な経営の増加とそれに伴う飼育頭数の増加ということによって増大発展をしてきたわけでございますが、最近におきます各畜種をめぐる困難な諸条件から、その点については諸般の困難な問題をかかえてきておるわけでございます。  これについては、畜種別に一々事情を申し上げませんが、たとえば酪農でございますと、飼料源の拡大のための経営規模の拡大が、地価とか労力とかその他諸般の問題からその阻害要因が非常に出てきているとか、あるいは養鶏、養豚でございますと、公害問題等が今後の規模拡大に対して非常な阻害要因になっておるとかというように、それぞれ畜種によりまして困難な諸情勢をかかえておりますので、これについてそれぞれその実態を踏んまえた施策を短期及び長期にわたって行なわなければならないということは、実態を踏んまえた先生の御指摘のとおりでございまして、特にそのようなむずかしい事態の中におきまして、畜産経営にとって最も影響の深い配合飼料価格等の急激な上昇というものがその困難を一そう加重するということは御指摘のとおりだと思うわけでございまして、先ほど来大臣もお答え申し上げ、私も申し上げておりますように、この急激なショックの緩和のために可能な限りの施策を取り上げて、この困難な諸状況を乗り切りたいというふうに考えておる次第でございます。
  127. 神田大作

    ○神田委員 その根本的な問題は、たとえば養鶏家にしてみますと、先ほど御質問があったと思うのですが、キロ当たり七月までは百七十五円か六円でしたわね。それでいまほとんどが養鶏の場合は配合飼料配合飼料の非常な暴騰によって、キロ百七十五円や六円で一体引き合うのかどうか、これはとうてい引き合わないでしょう、採算がとれないでしょう。あるいは養豚にしましても、経営をよほどじょうずにやっている人で月一頭まあ千五百円から二千円というものですね、私らの計算で。そうすると、今度の飼料の一万円余からの値上がりによってこれは吹っ飛んでしまう。そうすると、これはほとんど赤字の経営に転落していくわけです。酪農の場合は、加工乳の場合はこれはとうてい赤字であろうと思う。こういうこまかい資料を私は畜産局長はお持ちであろうと思うから、最近の数カ月におけるこれら養鶏、酪農、肉豚等に対する生産費とこれら製品の売り上げ価格はどうなっているか、どういう現状であるかということをひとつ示していただきたいと思う。
  128. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 御案内のとおり、たとえば養鶏、卵価に例をとりますと、先生先ほどお話ございました百七十五円は、例年季節的変動の大きな鶏卵価格の、六、七、八が一番底値でございますので、その水準でございます。年間を通してしからばどの程度価格水準が確保できるかということがえさ代値上げに対する対応の一つ要素であるというふうに考えるわけでございますが、四ないし五カ月間の価格生産費関係というのはなかなかお答え申し上げにくいわけでございますが、最近の、本年に入りましての先生指摘の畜種別の畜産物価格についての動向を申し上げますと、鶏卵につきましては一月が対前年同月比三割増、それから二、三が二四%、一六%、それから六月が一割というような状態でございまして、年間の対前年同月比の価格水準としては一割以上を確保できることはほぼ間違いないという状態にあるかと思うわけでございます。  それから配合飼料依存度の高い豚等につきましても、大体先生の御案内のとおり、現在の、これは農家手取り価格ではございませんが、卸売り市場価格等を見ますと、五百三十円ないし五百五十円というような水準に相なっておりまして、豚価のあの安定帯価格の安定上位価格は四百六十五円でございまして、それを需要の増大にささえられて相当大幅に上回っておるというようなことでございまして、価格面におきましては幸いにしてこのようなえさ高その他の諸般の困難な情勢の中にある中におきましてもある程度水準が保てておる。むしろこの水準を今後年間を通してあとう限り良好な水準で確保することによりまして、労働報酬その他を確保していくというのが基本であるかと思うわけでございます。
  129. 神田大作

    ○神田委員 私もいままでの価格の点あるいは資料の上をこまかく分析しませんが、これはあなたの答弁等を参考にして今後これを調べてみたいと思いますが、まず手っとり早い話は、養鶏の場合は私は高い月あるいは安い月もあったろうと思いますが、概してこれは赤字経営に転落するのではなかろうか、今度の飼料値上げでもって完全に私はそういうことになると思うのです。一万円以上飼料値上げになるというと、これはなりますよ。しかもこれは大養鶏業者は何とか経営を維持することができるでしょう。しかし、農業をやっておる、少なくとも五千羽、一万羽以下の養鶏家等は非常な危機に立つことは当然です養豚においてもそうです。大経営農家においてはこれは何とかこたえるでしょうが、農家がやっておるところの養豚家あるいは酪農家におきましても、標準以下の酪農家はこれは赤字に転落する。こういう人たちがやめることになるとこれはたいへんなことになるんですよ。こういう零細畜産農家がやめると、大企業がやっておるところの養鶏、大企業的経営をしておるところの養豚あるいは酪農家が、今度はあべこべに製品高によってほろもうけをするおそれもないとは限らない。これは何も農家がやっておる畜産じゃない、これは業者がやっておる畜産なんだ。これはこの点をよく踏まえないと、日本の農業を守るための畜産行政というものはくずれていくのですから、そういう観点に立って、農林省におきましてもこれら農家が営んでおる畜産を守るための施策をとることをしなくちゃならぬ。  それにはもう自給飼料をつくれの、あるいは金を貸すからおまえらこれで何とかしろのといったって、これは間に合わないことであって、先ほどから質疑があるように、融資の面でこれをささえる時期は去った。目一ぱいそういう農家は金を借りている。もう自分の農地を担保にして金を借りておるわけですから、それ以上また金を貸してやるからおまえらやれといっても、そんなのやれない。だからして、先ほどの二百億からの金を特別低利融資をやるといったって、半分ぐらいしか借りないでしょう。これは、こういう安い金があるから借りろ借りろとずいぶん末端の農協あたりがすすめてやって、そういう状態だ。今度五百八十億だか幾らだかの金を貸すというが、これはだれが借りるのですか。そういうような五百八十億低利資金を貸すのだからおまえらこれで何とかしろと、たいへんかっこうはいいかもしれないけれども、そういう金を借りて畜産農業を営んでこれを何とか挽回しようという気はもうなくなったのです。それよりも、いま目先におけるえさ値上がりをどうしてカバーしてくれるのかというのが、これがもう切実なる要望なんです。いわば子供がもう川へのめり込んだ、生きるか死ぬかしているんだ。これを見て助けない親はいないんだから、これは自分がたとえおぼれ死んでも何でも手を差し伸べて、これを引き出して息をつかして、そしてから恒久対策というのをやるのですね。いまもう直接手を差し伸べて、このおぼれかかっておるところの畜産農家を引き上げなくちゃならぬ重大な時期なんだ。時期を逸すると死んでしまう。日に日に、時間の問題だ。これをたとえば飼料安定基金あとでやったってこれは間に合わない。いまやらなければ間に合わない。だから、そういうような危機感を政府はもっとじかに感じて、これはたいへんだな、これは緊急対策として日本の畜産業を守るためにはやらなくちゃならぬな、そういう気持ちにならなければ、これはたいへんなことだと思うのです。そういうことにつきまして、大臣はどう考えますか。
  130. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま神田委員より、農家自体の養鶏あるいは養豚経営について、これはへたをすれば企業経営の養鶏、養豚が残るだけで、農家はもうやらなくなるではないかというように御心配になって、種々御指摘をいただいたわけでありまするが、私としても、農村を語り農業を語るという上におきまして、農家が一体成り立っていくかどうかということは、最大の中心の課題でなければならないと思います。そういう点から、神田委員の御所見は、直接にめんどうを見る必要があるんだ、融資措置などではこれはもう対応できない、こういうお立場から言われるわけでございますが、今朝来しばしば申し上げまするように、いま一般の金融情勢というものは相当高金利になりつつある。そういう際に、相当な額、しかも低利の融資をやる、これには国の利子補給も伴ってやる。こういう場合に、本年の、先般行なった対策の上からいうと、融資は六〇%しか消化されておらない。こういうことから、もうそういう融資には関心がないのだというふうにお責めになるわけでございまするが、私は、いまの金融情勢からいたしまして、こういう低利の融資であれば、特に養鶏、養豚の場合でありますると、この実績からいたしましても、なおまだ十分活用していただけるという見解に立っておるのでございます。美濃委員からいろいろお話がございまして、酪農の場合はどうか、そしてその実績はどうか、こういうことになりますると、この点については、養鶏、養豚をやる場合よりは、金融についての関心が少ないということは実績が示しておるので、あえて私はいろいろ申し上げませんでしたけれども、しかし、一般金融情勢からすれば、特にこういうインフレ傾向のあるときの借り入れ金というもの、こういうものは、私は、借りて経営改善され得るならば、行く先々に、いま借りた金の価値というものが遺憾ながら下がっていく。いま借りたものが今後において非常に荷重になるというよりも、この金融情勢もとにおいてはむしろ軽くなるほうの要素がまだ強い。引き締め政策をやりましても強い。こういう際でございまするので、こういうものも大いに活用していただきたい。しかし、金融だけでいこうというのではなくて、その他の財政援助の面あるいは生産奨励の施策についてもこれは積極的にやろう、こういうことでありますので、御了承いただきたいと思います。
  131. 神田大作

    ○神田委員 私は、融資が全然役に立たないというわけではないが、それよりも大事なことは、さっき言ったように、こういう重大な危機に立った場合には、直接的な援助の手を差し伸べなければならぬ、そういうことについてひとつ力を入れてほしい。これに対して、大蔵省がおいででございますが、大蔵省はどういう認識に立っておられるか、ちょっとお尋ねいたします。
  132. 宮下創平

    ○宮下説明員 お答え申し上げます。  最近における原料高騰に基因いたしますところの配合飼料、この問題が議論されておるわけでございますが、畜産経営の安定あるいは畜産物価格の安定というような観点に立ちますと、この異常な事態に対する激変緩和措置として何らかの対策を講じなければならないという基本的な考え方につきましては、方向としてわれわれも異存はございません。しかしながら、財政当局の立場から申しますれば、申し上げるまでもなく、予算は単年度の予算編成でございまして、予算編成時に諸事情を織り込んで予算を編成するというのがたてまえでございまして、したがいまして、年度途中で新たな仕組みを設けたり、多額の財政資金を投入するというような施策につきましては、財政のあり方としては基本的には疑問を持っておるわけでございます。しかしながら、こういった現在の状況下におきまして、今年の春以来畜産経営特別資金の融通措置でございますとか、配合飼料価格安定基金の制度あるいは古米の売却等の措置が講じられたわけで、今回さらに引き続きいろいろな措置を講ずるようにということで党側からも要請がございます。したがいまして、こういったわれわれ財政当局の立場は立場といたしましても、この種の問題につきまして目下事務当局間において鋭意検討を重ねておる、こういう実情でございます。
  133. 神田大作

    ○神田委員 私もいま年度中途において緊急措置的な予算の支出は好ましくない、それはそのとおりだと思う。しかし、これは異常事態なんですね。さっき私が言ったとおり、おぼれ死のうとするのです。これを時間的に、それじゃ、予算編成の来年まで待つと死んでしまう、死んでもかまわないというならそれはいいですよ。畜産がつぶれてもかまわないというなら。しかし、いまが一番大事な時期なんです。いまこれを助ければこの次息を吹き返して日本の畜産振興というものが一つの方向に向かって進むのだが、いまそういう分かれ道に来ておる、非常に重大な危機に立っているのですから、私はこれを常識で考えられないと思うのですね。緊急措置としてひとつ十分考慮さるべきであろう。もし行政的にこれができなければ、政治的な判断でもってこれは農林大臣としてあるいは大蔵大臣として適切な処置を講ずべきである、こういう考えです。大臣、どう思いますか。
  134. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 財政当局の見解は見解でございます。そしていま御指摘のようなこういう緊急の事態ではないか、そのとおりでございます。したがって、緊急対策を講じよう、その場合に財政当局財政当局としての先ほどの所見もございまするが、しかし、それはそれとして、党としても、また大蔵大臣や私として何とかここで対策を講じなければならぬ、こういうことが一方において金融施策、一方において財政援助、こういうようなことで、そのかみ合わせの上で当面の対策を講じたい、こういう姿勢をとっておるのでございます。
  135. 神田大作

    ○神田委員 そういう畜産危機の認識を深めまして、ひとつ適切なる措置を講ぜられることを切に望みます。  時間の関係もありますので次に移りますが、麦作の問題につきましても、時間がありませんから私はこまかくここで申し上げることはできませんが、しかし、農林省の予定しておる計画を下回って麦作が年々減少している現状、これはやはり価格の問題が大きな問題。引き合わないものをつくれといったところで、なかなかつくれるものではない。あるいは現在のように賃金が高騰しておるときに、損しながら、重労働をしながら麦をつくるわけにはいかぬ、あるいは飼料作物をつくるわけにはいかぬ、こういう認識の上に立って、本年度生産奨励金というような形でもって——もう間もなく種まきをしなくちゃならぬ、播種をしなくちゃならぬ麦作に対しまして生産奨励金を出して、そしてこの世界的な食糧危機の様相をなしておる日本の食糧あるいは飼料を有利に展開させるために、こういう生産奨励金を出して、これを麦類の生産増強に役立たせる考えがあるかどうか、その点を端的にお尋ね申し上げます。
  136. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 神田委員のただいまのお考えに私は全く同感でございます。  そこで、裏作としての土地利用上または輪作体系上重要な作物として、特に明年度の作付については奨励をいたしたい。  なお、奨励の内容につきましては、ただいま大蔵当局との間で協議を進めておるところでございます。  私は一言つけ加えさせていただきたいのでありますが、表作、裏作という関係あるいは輪作との関係、地力の維持というようなことから考えてまいりまして、長い間の日本の伝統的なこういう表作、裏作というものは、これは自然の摂理の上に立っておる、この認識をやはり今後もとらなければならないし、行政指導の上からも特にそれを強調していかなければならぬということを心底から思う一人でございます。ただ稲作だけやっていればそれで採算上いいのだということでなく、長い将来を考えれば、いま申し上げたようなことをこれからの農業経営の稲作をされる方においてもとくとお考え願う。そうなってくると、そのことが  一面、過剰ぎみの稲作がそういう面からいい意味においてのある程度の調整にも役立つというようなことから、自然の摂理ということを特に強調したいと思うのであります。
  137. 神田大作

    ○神田委員 大臣がそういう考えでございますれば、いまの麦作が年々減少している現状にかんがみまして、十分なるひとつ御努力をお願いしたい、こういうふうに考えます。  ついででございますので、私はビール麦の問題についてちょっとお尋ねしますが、ビール麦がはなはだしく減産をいたしておりまして、今日麦芽の輸入あるいは外国からのビール麦の輸入が増大し、反対に内地のビール麦の生産が非常に減少しておる。この現状は大体九割程度が麦芽の輸入、一割程度が内地ビール麦の生産、これはたいへんなことだと思うのですね。  この前アメリカにおいて船舶のストライキがあって、積み荷ができなくなった場合、あるいはまた何か天候の不順によって外国のビール麦が減産したというような場合、年々増大するところのビール麦の需要にどう応ずるつもりでおるのか。麦芽が安いからといって外国からどんどん買って、内地ビール麦の増産に力を注がないでおったならば、これは重大な危機が来ないとも限らないが、この間の大豆のような問題が来るおそれがあると私は思うのですが、こういう点についてどう考えますか。
  138. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 ビール麦の問題につきましては、ただいま先生指摘のように、国内における自給率がたいへん減ってきておりまして、四十八年の見込みでは一八%程度の自給率に下がってきております。私どもといたしましては、ビール麦というのは生産面から見ますと麦類の中では一番熟期が早いわけでございまして、夏作との競合関係がわりあい少ないわけでございます。それから長雨被害からも回避できるというような有利な点がございます。それから価格の面から見ましても、契約栽培による加算金というようなものもございますし、また生産者団体の共同販売体制というものも比較的整備されておるというようなことから、私どもとしては、ビール麦の増産、それから自給率の引き上げということを特に考えて、麦類の中では一番有望な作物のように考えております。国内自給率も五十七年見通しでは大体五割程度に持っていきたいというような考え方を持っておりまして、そういう線で増産につとめたい、かように考えております。  麦の問題は、一般的にもいろいろ減少いたしておりまして、それに対する施策というものも強化をいたすつもりでございますが、ビール麦につきましても当然、先ほど大臣からもお話がございましたように、生産奨励措置を強力に四十九年度でとりたい、かように考えておる次第でございます。
  139. 神田大作

    ○神田委員 ビール麦に対しても生産奨励金を交付してこの増産をはかりたい。現実においては麦芽の輸入あるいはビール麦の外国からの輸入によって大部分まかなわれておるということは事実ですね。そうなりますと、私は価格の問題が重大な問題だと思うのです。引き合わないから農家はつくらない。ビール麦はほかの麦に比較して価格も幾らか高いわけです。しかし、四十七年度に三千六百六十億からのビールの酒税をあげておるわけですね。この税金はビール大びん一本について六十七円幾らということになっているが、これをほかの酒税に比べると割り高なんです。たとえばウイスキーあるいは清酒その他に比べれば、アルコールの成分からいうと非常に割り高なんです。いわば水に税金をかけておるようなものです。三千六百億円からの税金をあげておるこの税金の部分を下げて、これを生産者に回す方法——何も税金を回せというわけではない。こういうような水に税金をかけて、そしてばく大な収入を得ておるいまの酒税は不合理じゃないか。そしてビール麦をつくっておる生産者が赤字だ。ビール会社はまだもうかっているのだろうと思う、やっているのだから。  私はこのビール麦問題につきましては詳しく質問する時間がありませんが、これはあとで私はこれだけでもってやっていきたいと思うのですが、大蔵省からも来ておるようでありますから、端的に、このビールに対する酒税のかけ方は不合理ではないか。それから現在のように生産者が赤字でもってビール麦を出しておる現状において、これらに還元する考えはあるかどうか、その点をお尋ねします。
  140. 福田幸弘

    福田説明員 お答え申し上げます。  ただいま言われましたように、税金は一リットルが百六円でございますので、ふだん売られております大びんで見ますと、六十七円九銭ということで、小売りに対する負担率は四七・九ということで、ウイスキーの高いところでは、もっと高い四九・五とかいうのもございますし、それから清酒も特級のわりに高いところ、四五、まあ比較的高いという感じがあるかと存じますけれども、この生産構造とそれからその消費の態様ということによって税率がきまるわけでありまして、全体的には財政需要とそれに対する財源調達ということから各種の税率をわれわれ考えるわけであります。  生産構造のほうは、御承知のように、麒麟その他大手が寡占的な体制で生産をやっておるわけなんです。消費のほうは、これは一本百四十円でございますが、伸びがここ十年間で約二倍以上、ほかの酒に比べて異常な伸びが見られるわけであります。したがって、生産の形、それから需要の動きという点から見て、その担税力は十分にあるということで考えております。社会福祉関係財政需要は相当またふえてまいりますので、こういう酒に対する課税、これは今後とも重要な問題であろうかと思います。  それから、税収の中で、その部分を酒関係、その税に関連する原料関係者、これに戻すというような考えは、消費税というのが消費者にかけられる一般税でありまして、それを一般的な財源に充てるわけでありますから、それを目的税——目的税というのはむしろ別な意味で、道路財源等にございますが、これはむしろその取った税を別な目的に結びつけるということでその税金を取る。その税源との関連で戻すということはもともと税金をかけている以上考えられないということで御了承願いたいと思います。
  141. 神田大作

    ○神田委員 これは税のたてまえからいうと、そうでしょう。そうでしょうが、これは何らかの方法で、生産者が赤字で、製造工場は寡占の四社あたりで独占してやっている。そして麦芽のような安いものをどんどん入れていく。日本の農業、ビール麦生産にはさして力をかさない。高いのは買わない、安いのは外国からどんどん買ってくるということになって、やがてこれが一つの、何かの場合にはたいへんな状態になってくる。それらに対する国家的な対策というものは、早急にこれは考えなければならぬ、こういうふうに考えます。私はこれに対して質問する時間がありませんから、後刻これだけでもってまた質問の時間をとりたいと思いますが、要するに、ビール麦の増産奨励、麦類として一番奨励しやすいビール麦に対しまして、農林省としても特段の対策を立ててやっていくべきではないか。このままでいくというと、ビール麦というものは国内においてはもうほとんど生産されない。非常に残念なことである。日本のビール麦というのは、非常に風味がよくて、優秀なんです。そういう点を考えれば、私はこの点についてひとつ十分な配慮を願いたいと思いますので、大臣に一言御答弁を願います。
  142. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ビール麦についてたいへん御造詣のある御所見でございました。私としても、こういう日本の土壌に合っているからこそ風味もいいものではないかとかねて思っておることでございまして、ビール麦の生産が今後振興されるようにつとめてまいりたいと思います。
  143. 神田大作

    ○神田委員 最後に、ちょっと時間が過ぎましたが、干害、干ばつ対策についてひとつお尋ねしますが、これは資料として農林省で一体——先ほども質問がありましたろうが、全国的な干ばつですね、特に陸稲は種もなくなるようなところも各所に出ておる。そういうような野菜類、それから陸稲等の農産物被害はばく大であると思いますが、これらに対する資料を提出してもらいたいと同時に、今後の対策としてこれらの陸稲等についての種子の確保、干害にかかったところの陸稲の事後処理の対策、それとこの膨大な干ばつの被害によって農民が非常な損害をこうむっておりますが、税金、所得税に対する減免措置あるいはまた天災融資法の発動、こういうことについて大臣はどう考えられるか、お尋ね申し上げます。
  144. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 事務的な種の問題についてちょっとお答えを申し上げたいと思います。  採種圃場の採種圃産の優良種子の確保につきましては、病害虫や災害等の少ない地帯を指定種子生産圃場として指定いたしまして、濃密な栽培管理を従来からも行なっております。  今回の干ばつによりまして次期作用の優良種子が不足するような事態はいまのところまだ聞いておらないわけでございますが、なお、局地的に不足をするような問題が出てまいります場合には、早急に実情を把握しまして、県内もしくは県間の需給調整ということで対処してまいりたい、かように考えております。
  145. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 干ばつに対する諸施策につきましては、これから被害の実態が掌握できると思いまするので、その際に過去における対策の先例もございまするので、それらを勘案しながら万全の施策を講じたい、かように存じます。  なお、税金についてのお話でございましたが、その点はそれら施策を講じまするときに、私どものほうからも大蔵当局に意見として出したいと思います。  天災融資法につきましては、ただいままでの被害額からいたしまして対象になり得るものと私どもとしては考えておりまするが、これもいま進行中の干ばつ被害県が相当ございまして、最終的な結果を見て正式にきめたい、こう思います。
  146. 神田大作

    ○神田委員 これは天災融資法の場合はやはり時期があると思うのです。私は、いまのこの全国的な干ばつ、これを被害額から申しますと、これは天災融資法を当然発動しなくちゃならぬ、こう考えるのです。これをやらぬということは、これは法律にちゃんと明記されておることに対してやらないで、不利を来たすのは被害者でございますから、この点農林省はあたたかい気持ちを持って、できるだけ早く、これを即刻発動するようにしていただきたいということを申し上げたいと思いますが、御答弁願います。
  147. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの御意見は私としても十分尊重いたしまして、早期に適切な措置をいたしたい、かように思います。
  148. 神田大作

    ○神田委員 申しわけないが、いま一つですが、現在の日本の農業の中心的な役割りを果たしておるところの農業委員会の委員の手当とかあるいは事務局の手当等が非常に零細なんです。これはひとつ現在の農地の移動、基盤整備、困難な農業立地条件の変化に対応する農政の転換を行なっておる農業委員会の任務は非常に重大であるが、これらに対して思い切った助成措置をとって活動を促すべきであろう、こういうように考えます。従来こういうものに対する予算措置が非常に薄かったと思いますが、これらに対して大臣としてひとつ御努力願いたいと思いますが、御答弁願います。
  149. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  昭和四十八年度の農業委員会の予算につきましては、委員手当は対前年比約六千六百万円の増で六億七千万円、農業委員会の職員は対前年比四千五百万円増で三十六億六千万円の予算となっております。その他農業委員会の行なっております事業につきましても予算の増加をはかっておりますが、ただいま先生から御指摘がございましたように、農業委員会は非常に重要でございまして、手当が必ずしも十分でないということもございますので、昭和四十九年度につきましてはより増額する線で予算要求をしたいということで、現在いろいろ作業をしているところでございます。
  150. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま内村局長から申し上げたとおり、また神田委員の御意見に沿いまして、昭和四十九年度の予算要求に際しましては善処いたしたいと思います。
  151. 神田大作

    ○神田委員 私は、あとの問題ビール麦その他の問題はじめ干害、干ばつ問題等について、時間の関係質疑が不十分でございましたが、これは後刻に譲りまして、終わりたいと思います。
  152. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、竹内猛君。
  153. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 茨城県の霞ヶ浦はたいへん自然に恵まれておりましたけれども、いまやたいへん水面が汚濁をされて、そして魚が毎日のように死んでいるという、全くもう見るにたえられないような状態に変わっております。きょう私はここでこの霞ヶ浦の開発をめぐる諸問題についてお尋ねをしたいと思います。  もちろん霞ヶ浦は茨城県にありますから、茨城県としてはかなりいろいろと手を打ってきたわけでありますけれども、いまや一県の問題ではなくなってしまっております。そういう点で、国会においてぜひいろいろの点を尋ねて、そしてこれは大所高所からの対策を立てなければならないと思いますので、まず最初に、最近、茨城県の霞ヶ浦におけるところの魚が死んでおりますが、この死んだ魚が、どういう種類のものが、いつごろから、どういうような被害を受けているかという、その被害について、農林省のほうの調査の結果を求めたいと思います。
  154. 荒勝巖

    荒勝政府委員 お答えいたします。  ことしの夏場の初めごろから養殖のコイが斃死が始まりまして、七月の十七日に、具体的には高浜の奥部のほうで発生いたしまして、その後下流へ移行いたしまして、十九日には荒宿ですか、それから五町田でも斃死が発生いたしております。また北浦では七月二十二日に斃死が発生いたしましたが、二十九日から三十日にわたりましてさらに北浦の北浦村の三和地先においても斃死がありました。これらの被害の、コイでございますが、総トン数が、ただいま私たちの確認いたしますところでは約九百九十トン、被害金額にいたしますと約三億五千万円というふうに推定されておりますが、これは養殖でございまして、具体的に尾数なりトン数が明確でございますが、そのほか天然のワカサギとかあるいはハゼあるいはエビ等の被害もあるやに聞いておりますが、いま具体的にまだ被害の実態はつかんでないといういきさつでございます。
  155. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 大体いつごろからこの被害が多くなったかということについて、時期的な問題についてお尋ねしたいと思います。
  156. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいま申し上げましたように、具体的には養殖コイの斃死が霞ヶ浦において発生いたしましたのは、七月の十七日の高浜の奥部で最初に発生したということでございまして、それが下流に移って、十九日に荒宿で発生、その後七月の二十二日に大洋村、それから二十九日から三十日にわたりまして北浦村の三和地先というように多少移動しておる次第でございます。
  157. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その災害の原因について、それはどういうところから問題が起きておるのだということを次にお伺いしたいわけですが、われわれは調査をしました。それから弁護士も調査をしました。県会議員団も調査をし、ほとんど調査をした中で、あるいはまた、地元の町村会、漁業団体、漁民団体、これらの人々は、われわれも含めてそうですが、これは五月二十七日以降常陸川水門を閉鎖した。そうして水が流動しない。霞ヶ浦には五十一の川から約二百の工場の排水、廃液が流れる、あるいは三十万頭の豚がおりますけれども、それらの尿が流れてくる、あるいは家庭の雑排水が流れ込んできて、そうして水面を濁しておる。しかし、水は流れない。そこへもってきて、いままで六千万トンと類推されるほどのヘドロがたまっておる。そういう中から酸素が欠乏して死んでいく。だから、どうしても原因である水門をあけてほしい、こういう要求が強い。ところが、県のほうでは、水門は直接の事故の原因ではないのだ、異常の渇水があって、天候によって水が減って、そして水門をあけるといろいろな事故が起こるから、それはあけられない。ここに大きな対立がある。それで、地元の漁業組合の青年部の皆さんは、何べん交渉しても解決がつかないから、どうせもうだめになるなら、爆弾をしょって水門を爆破しようと、こういうような決意を持っておるわけです。そういうようなことでいろいろと悩んでおりますが、この原因というのは一体どこにあるか。これは、建設省も来ておいでですが、水門の管理は建設省がやっておりますから、建設省の意見を聞きたいと思います。
  158. 栂野康行

    ○栂野説明員 お答えいたします。  多くのコイが死んだ原因でございますけれども、その原因につきましては、茨城県の農林水産部の調査によりますと、先ほど先生がおっしゃいましたように、酸素不足による窒息と推察されております。この酸素不足のおもな原因としましては、全般的な霞ヶ浦の水質の問題悪化に伴う富栄養化、それから異常天候による高温、それから渇水による水位低下、それから水量の減少による、複合作用によるものというふうに、茨城県の農林水産部のほうでは申しております。
  159. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 こういうように意見が違うわけですけれども、常陸川逆水門の閉鎖というものとそれから魚の斃死という問題との関連についてはどう考えますか。
  160. 栂野康行

    ○栂野説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げました茨城県の農林水産部のいろいろな調査によりますと、常陸川の水門の閉鎖とコイの斃死とは関係がないというふうに聞いております。
  161. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そのことは地元ではそういうふうに言っているけれども、県のほうはそう言っておるが、門の管理は建設省にある。そして知事が委任をされておるというわけだ。実際この事故が起こったのは、先ほども確かめたように、五月二十七日に常陸川の逆水門を閉鎖して以降、七月に入ってからこの事故が起こっているわけだ。それ以前にはそういう事故がない。そういうふうに考えてみると、この水門が大きく関係をしているということは、大体常識的にだれも判断できるわけだ。そういうようなことについて、一体それを管理する建設省は何か責任を感じないかどうか、もう一度お尋ねします。
  162. 栂野康行

    ○栂野説明員 お答えいたします。  この問題につきましては、先ほど申し上げましたように、県の水産部の報告、それから県としましても、東北大学の先生方に来てもらって、その原因についていろいろ聞いておったわけでございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 そういうことを総合しますと、私たちとしましてはいわゆる水門操作ということをやっておりますけれども、水門閉鎖と魚の斃死ということは関係ないというふうに考えております。
  163. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この点についてはまたあとでさらに重ねて質問しますが、そうすると、現在、魚が大量に死んだということに対して、そうしていま漁民はいままでの借金と、それからこれからの生活の建設と、いろいろな日常の費用というものに対してたいへん苦労している。あるいはまたその魚を加工する水産加工業者というものがあります。これもかなりの数がある。そういう者がたいへん心配をしている。そうして県のほうにも要請をしておりますが、こういうような人々の補償に関してどういうふうに考えるか。これは農林省のほうから聞きたいと思います。
  164. 荒勝巖

    荒勝政府委員 今回の霞ヶ浦におきます養殖コイの被害につきまして、非常にたいへんな打撃を受けられまして、場所によりましては全滅というふうな個所もあるようでございます。したがいまして、茨城県といたしましては、これ以上の斃死の発生があってはますます漁民に悪影響があるということで、この立ち直りを奨励いたしたいというようなことで、緊急対策といたしまして、養殖コイの災害経営資金という形で融通するという方針を立てられまして、利子補給並びに酸素等を入れます曝気装置を補助するということで考えておられまして、現在の時点におきまして種苗の供給資金といたしまして約一億四千万円、それからえさの購入資金として七千万円、計二億一千万円の資金融通ということで、さらに利子補給を六分ということに県庁として考えられまして、末端金利を二分五厘という形で融資をいたしたいという考え方でおられるようでございます。さらに曝気装置、いわゆる空気にさらす装置につきましても、この設備の補助金を出すということで百三十三台の曝気装置を奨励する。補助額といたしまして約四千四百四十万円ということで、補助率三分の一で実行するというふうに聞いておる次第でございます。
  165. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この補償の問題を論議する場合には、どうしてもまた原因の問題にさかのぼらなければいけない。この魚が死んだということは漁民の側に責任があるのかないのか、この点はどうですか。漁民のほうに、何か湖の水を濁らしたとか、あるいは何か漁民の側からいろいろな問題があって事故があったのか。そうじゃなくて、渇水だったというのは天候の関係であるし、建設省がどう言おうと、あの水門が締まってからの問題であるから、水門との関係はないと言ったって、これは現実にある。科学的な資料を求められているけれども、科学的資料より何よりも、水門を締めたあとでこういう問題が起こっておる。しかもその水の問題は、鹿島の工業開発に対してどうしても毎日二十万トンの二百PPM以下の塩分を含んだ水を送らなければならない。水門をあければ海の水が入ってきて、これは塩分がふえてくるから鹿島工業用水には使えない、あるいはまた、その周辺の飲料水に関係があるというようなことを言っているけれども現実に漁民の側に責任がない。責任がないのに、事故が起これば、先ほどの畜産のえさの問題じゃないけれども融資をして借金をさせる。魚がどんどん死んでいって、魚がとれなくなったところに融資をして借金をさせたところで、返す見通しというのはないじゃないですか。あるいはまた、地元の町村に対して利子補給をさせておりますけれども利子補給をすると言うけれども、地元の町村に利子補給をしなければならないような理由もない。こういうようなものに対してはまさに補償をしなければならぬじゃないかというのがわれわれの考え方なのだけれども、これに対しては一体どうですか。これは建設省からも回答を求めたいし、農林省のほうからもう一度この問題に対する回答を求めたいと思う。
  166. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先ほど建設省からもお答えがございましたが、私たちといたしましても、茨城県と、この問題につきましてかねてからほんとうの原因というものがどういうことに理由があるのかということにつきまして、再三にわたりまして照会もいたしましたししておりますが、やはり基本的には酸素不足というものが誘発して、その結果窒息死を招いたというふうに考えておりますが、そういった中に、プランクトンの大量発生ということ、あるいはヘドロによる酸素不足量の増大による無酸素層が発生したというようなことで、さらに基本的には、最近霞ヶ浦がやはり水質が多少汚濁ぎみであるということが、今回の高温等に基づきましてプランクトンが異常発生したのではなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。
  167. 栂野康行

    ○栂野説明員 まず幣死の因果関係の前に、なぜ霞ヶ浦の常陸川の逆水門を締めなければならなかったかということをちょっとお答えしたいと思います。  まず霞ヶ浦におきましては農業用水二百六十一件、一秒間に約四十トンを取水しております。これはかんがい面積でいきますと約一万一千町歩をかんがいする量でございます。それから工業用水が二件、約十トン、それから上水道が八件、約一トンというのを現在取水されております。それで渇水時には常陸利根川の水位が本川よりか下がりまして、本川からの塩水の逆流が始まる場合には、茨城県を中心とします農業用水の関係機関、それから上工水並びに漁業関係者を含む関係機関の協議に基づきまして——この機関は常陸川水流調整対策協議会といっておりますが、これに基づく茨城県知事の要請によりまして水門を閉鎖しておるわけでございます。そうしまして、いわゆる霞ヶ浦に本川から塩水が入ってくるのを防ぐということにしております。そういうことで、現在常陸川の逆水門を操作しております。  先ほどの魚の斃死の問題でございますが、それは先ほど農林省のほうからお答えになったと全く同じでございまして、その基本はいわゆる酸素欠乏ということと考えております。
  168. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その酸素欠乏になったということが問題なのです。それは逆水門が締め切りで、五十一の川から流れてくるきたない水がそのまま湖の中に停滞をする。そしてそこにアオコがはえて、プランクトンがわいてその酸素を吸ってしまう。あるいは風のかげんでいろいろな形で動くこともあるかもしれないけれども、多くの場合はそのことが多い。水が流動しない。ますます水がきたなくなる。そのほかヘドロが推定六千万トンも下にたまっているということになれば、当然いまのような異常な状態であれば、それが起こるにきまっている。だから、何とかしてその逆水門をあけてほしい。少なくともいままで逆水門があいたり締まったりしたときにはそういう事故はなかった、こういう切実な要求というものがあるにもかかわらず、依然としてこれに対しては手を触れようとしない。それは関係ないのだと言っている。そして説明はどうしても説得力がない。それで今度は現地の漁民の人たちが、その水を自分のあるものに取り込んで、そこへ塩を入れると水がきれいになる。現実にそういう実験までして、この問題についてほんとうに真剣に考えているときに、依然としてそのようなことをやっておられるということについて、中央の建設省のほうまでもがそういうような考え方をしておるということは、もう一ぺん現地でひとつ検討してもらわなければいかぬ。それで、水戸の弁護団が調査をしたときに、内水面試験場の場長さんは、現在のところその原因については検討中である、こういうぐあいに回答されておるし、県知事のほうは逆水門の閉鎖と事故とは直接に関係ないということを断言されておるけれども、これは知事のように直接行政の面に当たる者としては、そういうふうに言わざるを得ない条件もあるだろう。あるだろうけれども、それでは納得をしないのです。だから、どうしてもこれを納得させるように指導なり研究なりをしてもらわなければならないので、この点は最後までひとつ要請をしたいと思う。その点はどうですか。検討する気持ちはありますか。
  169. 栂野康行

    ○栂野説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、霞ヶ浦の水門の締め切りは、いわゆる塩分が霞ヶ浦に入っていくことを防ぐために、いわゆる農業団体、それから上工水の団体、それから漁業関係者の代表という機関に基づく茨城県の知事の要請で実際やっているわけでございます。  それで、その魚の斃死の原因につきましては、いろいろ見解もあろうかと思います。それで県の水産部、これは漁業関係の専門家でございます。それといわゆる大学の先生方のいままでの意見、こういうふうな結果に基づきまして、県のほうとしましては水門閉鎖と関係ないということでございます。しかしながら、私らとしましては、いろいろその因果関係につきましては関係機関なんかとも今後協議していきたいと思っております。
  170. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これについては最後にまた要請をします。  そこで、先ほどの補償の問題ですが、霞ヶ浦の魚によって生きていく漁民と加工業者というものは不可分の関係で存在をしている。魚をとり、これを加工するというものは全く離れ得ないような状態であるわけでありますから、いまのようにコイが死に、それから白魚あるいはワカサギというのがとれなくなった段階、こういうような状態の中では加工業者も音をあげている。霞ヶ浦の水産の収入というものは、魚で三十二億、加工で十八億、こういうふうに計算されております。そういうものの中でいまたいへんな被害があるわけですから、この被害の補償というものについて、あるいは、先ほどからは融資関係があったわけだけれども、これについて水産加工業者というものはどういう取り扱いをされるのか、この点について水産庁のほうからお答えを願いたい。
  171. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先ほど申し上げましたように、ただいまの被害状況につきましては、養殖ゴイだけはある程度正確にわかっておりますが、ワカサギとかその他天然の魚類につきましては、いまだ具体的な被害の確認がされていないわけでございます。特にコイにつきましてはあまり加工とは関係ございませんが、問題はやはり霞ケ浦のワカサギが中心でございまして、ワカサギを中心とした一つの加工業あるいはハゼとかいうものが加工と大きく影響いたしますので、今後ワカサギなりハゼに対する影響の度合いの実態を十分に把握しました上で、加工業者にも重大な悪影響があるということになりますれば、融資を含む今後の救済対策等につきまして県とさらに検討さしていただきたい、こういうふうに考えております。
  172. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 一つの村の例をとって申し上げます。霞ヶ浦に突き出した村に出島村という村があります。この村は人口一万六千をちょっとこえた村でありますけれども、この村の収入を調べてみますと、畜産の収入が二十二億、水産で約十億、ことし米が値上がりをして、それが七億であります。畜産に関しては、えさの問題で午前中これほど深刻な議論をしなければならないほどに、えさ影響がいやというほど畜産農家にしみ渡っている。でありますから、これも非常に心配なことであります。同時に、いま魚がとれなくなったというこの段階では、また水産物におけるところの収入も著しく減っていくということは間違いがない。こういうように一つの村がたよっていた大きな柱がいずれも危機に瀕しているというこの段階で、これは農林大臣にお答えを願いますが、大臣、一体こういうような状態をどう考えたらいいのか。どうしたらこの事態の中でほんとうに村の青年や、あるいは村へ残って働こうとする人々にどのような期待が持たれるようなことができるのか、こういう点についてひとつ明確なお答えを願いたいと思います。
  173. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほどから一問一答を承っておりまして、なかなか私としては明確なお答えがしにくい点が多々ございます。たとえば原因がはっきりしておらない、それからこの被害につきましても、コイの斃死については明確であるけれども、その他の点については明確ではない、こういうことになりますると、責任の立場にある者として、すぐここでずばりとこういう施策をしたいというふうには申し上げかねるわけでございまするが、しかし、竹内委員の御指摘によりまして、霞ヶ浦においてたいへんな被害が起きておる、またそれに伴う加工業者の方々、それに関係する経営者、従業員の方々、みなお困りであるということはよくわかるところでございます。さらに、県においてもすでに諸施策を講じておるということでありまするので、われわれとしても直接その状況を十分把握しておる県当局との間で緊密な連絡をとりまして、国としてすべき施策が考えられますならば、それは逐次やってまいりたい、かように思います。
  174. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 原因が明確でないということについていまお話がありましたが、それならば、農林省なりあるいは建設省なり、これからいろいろ質問しますけれども、専門の者が現地へ行って、そしてその現地の代表者と一緒になって現地を調査して、ほんとうに納得できるような形でこれは始末をしていただきたいと思うのです。そうでないと対立が激化をして、ほんとうにいろいろな不安が生じかねない状況にあるわけですから、そういうふうにひとつお願いをしたいと思う。ここで原因が不明だということで言われては、これは非常に困る。やはりそれぞれが明確になっているんだから、その明確になっていることを持ち寄って、それで合意をしない限りにおいて前進はないですから、その点についてぜひ努力を願いたい。これはひとつ大臣、そういうふうにしてもらえませんか。
  175. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 きょうこの場で事態が明らかにされつつあるわけでございまして、私としていま、それでは水産庁において調査のために人を派遣する、あるいは何か対立しているものについてあっせんをするということをにわかに申し上げかねますが、しかし、事態が逐次明らかにされておりますので、いまの御要請も頭に置いて水産庁においてよく検討さしていただきたいと思います。
  176. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そういうような前向きの検討をひとつお願いをして、質問を次に進めますが、これからが実は大事なことになるのです。いままでは現状であります。  そこで、霞ヶ浦の総合開発ということと鹿島臨海工業開発の問題と、それから筑波学園、これに関連をするところの諸施設との関連において霞ヶ浦をどう考えるかということについて、私は特に建設省及び経済企画庁、通産省に尋ねたいと思うのです。  昭和三十五年に御承知のとおりに鹿島臨海地域の総合開発の構想がつくられました。三十六年の九月には鹿島臨海工業地帯の造成計画ができました。三十七年四月には鹿島臨海工業開発組合が設置をされました。そして四十二年二月に鹿島工業用水の工事の起工式が行なわれ、四十四年の二月には工業用水の給水が行なわれました。こういうような段階を経ている中で、一方においては筑波学園の建設があり、そして成田新空港の建設が進められ、それから霞ヶ浦のそれぞれの用水の利用の計画が立てられました。この仕事は、主として関連したのは水資源公団も入っております。水資源公団は四十三年四月に着工したということを報告しておりますが、茨城県の鹿島総合開発というのは四十八年、ことしの三月に案ができて、そして現在ダム立法といいますか、水源地特別立法によって霞ヶ浦の開発をやろう、そしてこれは参議院のほうで先議をして衆議院のほうに送られているようでありますけれども、それができ上がってくると、そのことと関連をしてこの霞ヶ浦総合開発の案というものがなくなって、これが成案という形になるのだ、こういう説明があります。  そこで、問題は、今日までこれだけの大きな仕事をするのに、経済企画庁あるいは通産省、建設省は水というものを一体どういうふうに考えてこられたのか、茨城県は水が一ぱいある。利根川もある、霞ヶ浦もある、場合によったら太平洋の水を使ったっていいというぐあいに考えられたのか、それとも水についてはあまり考慮されなかったのか。いまになってみると、この事業の出発と、それからあれがばらばらになっている。そしていまや霞ヶ浦の水を期待するものは非常に大きい、こういう状態になっていると思うのです。現実にいま鹿島の第一期工事においてすでに二十万トンの水が使われ、第二期工事では六十万トン、そして第三期工事が終わる段階では合計百三十三万トンという水が鹿島に送られなければならない。そのほかに農業用水として、あるいは筑波学園、東京、千葉、こういうところの飲料水あるいは周辺の飲料水としてその水の使用量というものは膨大なものであります。ところが、その水源地立法というものを見ると、水質の問題を問題にするよりも水の量を問題にする、こういうことになっているので、やはりこの辺のとらえ方に実は問題があったのじゃないか。だから、鹿島の工場はいま動いている、四割操業しておりますけれども、そこに水を送るためにはどうしても水門を締めなければならないのだ、こういう形になっているのじゃないか、こういうふうに私は考える。だから、その辺の水の問題について、それぞれの省庁から、どういうふうに会議がされて、どこに問題があってどう調整されたか、そのことについての報告を願いたいと思います。
  177. 北野章

    ○北野説明員 お答えいたします。  御承知のように、経済企画庁が所管いたします水資源開発につきましては、昭和三十六年に制定されました水資源開発促進法に基づきましてその運用をはかっております。この法律によりますと、内閣総理大臣は、御指摘の地域開発、つまり産業の開発または発展及び都市人口の増加に伴ない用水を必要とする地域について広域的な用水対策を緊急に実施する必要があると認めるときは、所定の手続を経まして水資源開発水系を指定する。これは促進法の第三条でございます。指定いたしまして、その当該水系にかかわる水資源開発基本計画を策定する。これは第四条でございます。そういうふうなことになっております。  現在まで全国で五つの水系が指定されまして、それぞれ基本計画に基づきまして事業が促進されております。霞ヶ浦に関係いたします利根川水系につきましては、このような趣旨に基づきましていち早く昭和三十七年の四月に水系指定がなされております。次いで同年基本計画が策定されまして、現在まで数次の変更を経まして現在に至っておるわけでございます。  御指摘の霞ヶ浦開発につきましては、昭和四十五年の七月、これは基本計画の変更をいたしておるわけでございますが、このときに水の需給が記載されております。これは霞ヶ浦周辺の農業及び工業の開発及び都市人口に対する上水道の供給の必要性から、基本計画に記載する場合は、関係各省庁と協議いたしまして、また関係都道府県知事の意見を聞きまして、また水資源開発審議会の意見を聞いて、所定の手続を経まして現在決定されておるものでございます。
  178. 宮内章

    ○宮内説明員 ただいま企画庁からお話がございましたように、水の問題というのは非常に広域的に、関東の場合では利根川全体の水の需給をながめて利根川全体の開発計画を立てていくというたてまえで進めているわけでございます。その中で最も基幹になりますのは、上流にダムをつくるということが非常に重要かと思いますが、あわせまして下流部の湖沼であるとかその他の合理化をはかって活用していくということも、ダムと並びまして水資源開発上非常に有効適切な処置であるということにおきまして、ただいまの霞ヶ浦の総合開発という計画が進められてきたわけでございます。  それで、先生先ほど触れられました水源地域対策特別措置法のことでございますが、これにつきましては、現在衆議院の建設委員会でこれから審議がされるという段階になっているわけでございますが、この特別措置法の趣旨は、ただいま申し上げましたように、従来ともすれば、東京あるいは千葉、埼玉等、下流の都市部の受益者のみの発展に資する形態で、ダムができる地域についての地域格差といいますか、発展の状況がどうしてもずれてくるというような問題があったわけでございまして、そういうことではダムの促進もできないということで、いわゆるダム等ができる水源地域を発展させつつ、しかも下流都市部の必要な水が必要な時期に取れるようにというような趣旨でございます。この場合、あえてダムだけ取り上げないで、湖沼開発施設についてもこの法案では取り上げてあるわけでございます。  それで、現在湖沼開発施設として具体的に考えられていますのはまさに霞ヶ浦でございまして、先ほど来いろいろお話がございましたように、霞ヶ浦の場合は現在最も問題になっておりますのは水質の悪化でございます。それで、この特別措置法の第一条に目的が書いてあるわけでございますが、目的にも明らかに「湖沼の水質を保全する」ということをうたい込みまして、霞ヶ浦等の湖沼の水源開発をはかっていくということを考えているわけでございます。  なお、この法律におきましては補助率のかさ上げ等の条項もございますが、その中で具体的に湖沼について考えていますのは、まさに目玉として公共下水道、流域下水道、要するに水質保全に関係する事業を最も重点的に考えているところでございます。
  179. 柴田益男

    ○柴田説明員 先ほど経済企画庁のほうから答弁がございましたように、霞ヶ浦の開発基本計画を策定する際に当省といたしましても協議を受けまして、県と共同で鹿島臨港地帯に出ておりますところの企業の将来の用水需要を試案にいたしまして、これを相当程度圧縮いたしまして現在の工業用水道の計画を策定した次第でございます。
  180. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もうだんだんと時間が詰まってきましたので、先のほうへいかないといけないと思います。  そこで、私は、国の霞ヶ浦に対する考え方の基本に何か誤りがあるのじゃないかという感じがする。どういうことかといいますと、水の量を確保しよう——いま建設省のほうからは質の問題の話が出ましたけれども、現在の霞ヶ浦の水というのは非常に悪化をしておる。この悪化の状態に関してはぜひ環境庁に一ぺん調査をしてもらいたいと思っている。そういう状態でありますから、量の確保ということでなくて、質のいいものを確保しながら量もためる、こういうことでなければまずい。ところが、この特別立法の考え方は、いまダムの話が出ましたけれども、群馬県の矢木沢であるとか群馬ダムであるとか、あるいはそういう利根のダムであるとかというのは、なるほどきれいな水がたまるわけです。そして下流に流れてくれば水はきれいだ。ところが、霞ヶ浦というのは琵琶湖に次いで全国で第二番目の大きな湖であることはだれでも知っている。そしてそこには五十一の大小の川があって、それが汚水を流し込んできて、たいへんな状態になっている。それをダムの法律でくくっていくという。茨城県は初めから、ダムの法律じゃなくて、琵琶湖と同じように特別立法をつくってほしいという要望をしたけれども、これはなかなか許されないということで、水資源の立法の中にくくられてしまった。現実にいま問題が出てみると、全然かみ合わないじゃないですか。ダムのほうはきれいな水が出る。しかも水量だってそれほど多くはない。霞ヶ浦の水は常時八億トン、流れ込んでくる水は十四億トン、六億トンの水がともかく動いているわけですから、そういうようなものを同じに考えるということの中に実は問題がある。したがって、ここでは環境庁にお願いをしたいわけですが、ぜひ現在の霞ヶ浦のあの水の状況、きれいな霞ヶ浦がどす黒く濁って全く見るにたえない状態になっているのを、ひとつ調査してほしいということです。  それから建設省のほうに向かっては、いま言ったような事情から、どうしてもこれは水資源立法というものではなくて、やはり考え方を変えて特別のものにしていかなきゃならない。いま法案が審議中だからと言うけれども、この国会においてそれが通るかどうかということについては、いずれ建設委員会で県選出の久保代議士がもう一度この問題については質問することになっているから、私はこれ以上は申し上げませんが、そういう問題が県の意見としてあることをここにお伝えをしておきます。  そこで、なお建設省にお願いをしたいことは、いま霞ヶ浦の中に入ってくる五十一の大小の川というものは一級河川であります。建設省が管理をし、知事が委託を受けておりますけれども、この川の水をどのようにきれいにするか、このことがまず早急に大事な問題なんです。これについて、ひとつ環境庁のほうが調査をしてほしいという要請、建設省に対しては、現在審議中だから、それはそうだとは言えないだろうけれども、そのあとのほうの大小の川をどういうふうにきれいにするか、この問題について。
  181. 太田耕二

    ○太田説明員 水質保全の問題は、国といたしまして水質汚濁防止法でもって実は監視、測定それから排水規制を行なっているわけでございます。  先生の、よく調査するようにというお話、まことにごもっともでございまして、私どもかねてから実は茨城県並びに建設省のほうと連絡をとりながら、水質の実態を調査しておるわけでございます。その結果によりましてもわかりますとおり、確かに、ことしは異常渇水という問題もございましたが、水質がよごれております。その対策等につきましても、各省と連絡をとりながら、先ほど建設省のほうからお話がございましたが、流域下水道の整備、それからまた水質汚濁防止法のたてまえからいきますと、設定されました環境基準が守られますように上乗せ基準の設定を県を通して指導をしております。今後とも一そうその調査を続け、その辺の対策の促進方を各省庁と連緒の上講じてまいりたいと思います。  それからなお、富栄養化の問題が非常に大きく浮かび上がってまいりまして、これがプランクトンの発生等に大きな影響があるわけでございますが、私どもは四十七年度から二カ年計画、ことし、現在進行中でございますが、燐、窒素の収支調査をやっております。先ほど申し上げました一般水質調査とそういった富栄養化の調査とをあわせまして、実態を明らかにしつつ、現在講じております対策より一そう強化並びにそれを発展さしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  182. 飯塚敏夫

    ○飯塚説明員 お答え申し上げます。  先ほど環境庁からも御説明がございましたが、霞ヶ浦には水質の環境基準が設定されておりまして、私どもといたしましては、この水質環境基準を達成するために最大の努力をささげたい、こう考えております。この水質の環境基準を達成するための施策といたしましては、まず排出の規制の強化、これをお願いするとともに、建設省におきましては、下水道整備の促進あるいは西浦等流入河川の底質の汚泥のしゅんせつあるいはこのほかの各種の汚濁対策を講ずるほか、先ほども話がございましたように、霞ヶ浦の富栄養化の問題につきましても、これらの原因となるものの規制措置等について今後お願いを申し上げたいと思っております。  具体的に下水道の問題につきましては、昭和四十七年度から流域別下水道総合整備計画というような計画立案のために調査を行ないまして、これに基づきまして四十八年度、今年度から霞ヶ浦湖北流域下水道及び霞ヶ浦常南流域下水道に着手するとともに、関連都市の公共下水道の整備をあわせて促進してまいりたい、こういうことで考えております。
  183. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いろいろ努力をしていることに対しては感謝はしますけれども、ひとつ水のよごれを、飲む水にするために、霞ヶ浦の水道事業でいま使っているこの費用について、ことしの予算の中で二千六百万円の薬代を準備したけれども、それは四月から八月までの間にその金を全部使ってしまった、そして、補正予算を組まなければ次の月には水をきれいにすることはできない。四十七年においては一トン水をきれいにするために二円七十三銭かかったものが、四十八年、ことしはトン五円九十九銭出さなければこの水をきれいにすることができない、飲み水にならないというほど水が濁っているということを、具体的に数字をあげて私は報告をして、一そうの皆さんの関心を高めてほしいと思います。  そこで、これはもう最後でありますからいろいろ要請でありますが、まず第一に、茨城県自体もこの問題についてはかなり努力をしておると私は見ております。県知事もかなり努力をしておりますけれども、県だけの努力ではこの問題は解決しないし、霞ヶ浦はもはや茨木県だけのものではなくて、東京、千葉の用水を供給し、国の建設事業、筑波学園であるとか、多くの事業に対して水を供給する役割りを持っているわけであるから、当然国がこのことについては手を伸べて、いろいろな形で陰に陽に霞ヶ浦の水をきれいにするということと水量を保つということと、その中で働いている漁民の生活を守るということをぜひやってほしい。  このためにまず要求することは逆水門を何としてでもあけるという問題についてぜひ再検討をしてもらいたい。それから、六千万トン推定されているヘドロをしゅんせつをしてきれいにするための努力考えてほしい。それから漁民の生活の問題で、天災といえば天災だ、あるいは人災といえば人災であるけれども、この災害に対する、先ほども指摘があったが、ほんとうは補償してもらいたいのだが、融資についても、負担のかからないような形でこれをやってほしい。こういうようなことと同時に、恒久的には何としても五十一の川の水をきれいにするということについて早急にやってほしいと思うわけです。そして同時に、水資源の立法ではなしに、これはやはり特別立法という形で大きく取り上げていかなければ今後に悔いを残すことになる、こういうふうに私は思いますので、こういう点を特に要請をしたいし、あるものについては回答を求めたいわけですが、すぐここで回答が求められないとするならば、先ほど大臣が言ったように、検討をしていただいて善処をするようにお願いをしたいわけですが、この辺について総括的に大臣からのお答えをいただきたいと思います。
  184. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 霞ヶ浦の重要性につきまして各角度からいろいろ御所見を交えての御質問をちょうだいいたしました。私の所管外のこともございますが、御要請に応じまして適切に検討いたしたいと思います。
  185. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 霞ヶ浦の問題はそれで私は質問を終わりますけれども、私は前の七月十日の本委員会で茨城県筑波町の役場の職員が公害企業、メッキ工場を誘致したということについて質問いたしました。そのことについて町の役場からいろいろ話があり、また公害企業といわれるところの企業の経営者のほうからも話がありました。そして七月二十七日に正式に文書によって公害企業ではないということで、心配のないものであるからというような確認書が出てまいりましたので、この際議事録を若干訂正をし、同時に、あの問題を通じてこれが前進したということをこの際記録に残して、私の質問を終わります。  霞ヶ浦の問題についてはくれぐれもいろいろ意見も言いましたけれども、当面漁民の死活の問題でありますから、早急に善処されることを重ねてお願いをして、私の質問を終わります。
  186. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 津川武一君。
  187. 津川武一

    ○津川委員 今度の炎熱、干ばつで農民がかなりの被害を受けております。この被害を救済するために、大臣どんなふうに考えておるか。また、この被害のために、これからの農民生活、営農の面にかなり支障を来たすと思いますが、これを遺憾なく進めていく点について、どう考えておるか。三つ目には、国民経済に及ぼす影響がかなり強いので、その国民の生活経済を立て直すために、どんなふうに考えておるか。この三つの点について、まず答えていただきます。
  188. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 このたびの干ばつは、非常に長期の間に集積された被害でございます。しかも、なお相当件数につきましては進行中であるというまことに憂慮すべき事態でございまして、先ほど御報告を申し上げたように、被害額も中間のことでございますので、したがいまして、対策につきましても、農林省関係については省内において過去における事例などを参考にしながら現在立案中のことでございますが、非常に規模の大きい干ばつである。そのことは関係罹災者が多いということをも意味し、またこれに伴うところの影響が各般にわたるということも示すわけでございます。すでに被害も明白になった県もございますので、逐次、また早急に対策を講じて、被害を受けられた罹災の方々や、また被害を受けた施設やあるいは被害のためにとられた緊急施策に対しまして、国として講ずべきことについて十分対策を講じたい、かように思います。  なお、営農の関係につきまして、せっかく作付をいたしましたが、これを無にし、今後の農作物をやる上におきまして支障を来たすような、たとえば種子の問題などがあると思います。また作付をいたしたくとも土地の状況が干ばつのためにこれが許されないということもございます。それぞれ施策を講じなければならないと思うのでございまするが、いずれにしても非常に大きな規模の災害でございまするので、被害が明白になりますとともに対策も十分講じたい。また現にとられつつある緊急、応急の施策につきましては、国としても十分考えまするし、もう一つつけ加えておきたいのは、この干ばつの進行中におきまして、農林省としてはそれぞれ地方農政局を通じまして、所要の機材の提供あるいは自衛隊などに対しての要請について、側面的な御協力を申し上げるということをいたしてまいりましたが、なお被害の進行中の県については、これらの措置も適切に講じてまいりたいと思います。
  189. 津川武一

    ○津川委員 あとでお伺いしますけれども、野菜が高くなったりして国民経済にもかなり影響が出てまいりましたが、この点の政策、対策を、先ほど三つ目のことが漏れたようですが。
  190. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 国民経済上の関係は最初のほうで概括的に申し上げたわけでありますが、特に野菜についての御懸念を言われたわけでございます。現在、干ばつに伴う直接的な、たとえば生産地からの出荷量がどの程度になっておるか、あるいは価格がどの程度高騰しておるか、こういう点につきましては、消費地、消費地で事情がだいぶ違います。しかし、一番大消費地である東京都の場合などを考えまするときに、若干の価格の高騰は見られておりまするけれども、東京都への入荷量、これにつきましてはそう大きく変化しておりません。おそらくこの東京都周辺近在の干ばつ状況というものとの関連であると思うのであります。中、四国あるいは東北方面の大きな干ばつ地帯を背景にする消費地におきましては、おのずから事情も違うかと思いまするが、いまのところ当該県から、そういう面からする非常に深刻な影響を受けておるという報告は受けておりません。ただ、地域によりまして水不足のためにそれが生活上非常な打撃を与え、あるいはその地域の民情を阻害しておるというようなこと、あるいは生活が近代化しておりまするがために、その近代的な施設が十分に使われない、それに対しての応急の措置など、いろいろな点からの国民経済に対する影響というもの、生活に対する影響というものは相当ございまするが、これらについてはそれぞれの当該県においての応急な対策によって一応対応しておるようなわけで、これらの点のいわゆる不時の支出的なものについては、今後全体的な対策の中で特別交付税、あるいは直接的な国の助成というようなものは逐次考えていかなければならないと思います。
  191. 津川武一

    ○津川委員 大臣の説明を聞いていると私、多少甘いのじゃないか。けさ築地の市場からの報告だと、福島産のキュウリの出荷が二割から三割減っております。例年一千円以下のキュウリの値段が千七百円から千八百円になっています。こういう点で大臣、そういう形でなく、直接乗り出していってみても消費者の国民経済を守らなければならない。こういうことで、千葉でも埼玉でも茨城でもそうですが、野菜が非常に不足しているので直ちに対策を打ち出さなければならないと思うのですが、あなたの答弁だと実にのんきです。けさの市場からの報告だとこんな情勢です。これをすみやかに進めていくために、価格が上がらないように安全に市場に野菜を出荷させるような対策、いかがで、ございますか。
  192. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 津川委員の言われるように、きめこまかく対策を講ずることの必要性もあると思うんです。  ただ、私は、ここで総括的に責任を持ってお答えをしておるので、無用の心配を起こすようなことがあってもいけない、そういう点から総括的にお答えを申し上げております。たとえば本月中旬の野菜類の総入荷量が神田市場でどれくらいかというと八千三百六十九トン、昨年の同じ時期においては八千六百六十四トン、若干の入荷量の減少を見ておる。いま御指摘のキュウリの点につきましては、これは八月中旬に千二百十五トン入りましたが昨年同じ時期に千六百四十八トンと、これは御指摘のとおりでございます。二十八日に百二十三トンということになりましたが、二十七日には逆に百九十トンというようになっておるようなわけで、おっしゃるように、一つ一つ種類を取り上げて克明に検討してまいります場合はお話しのような点もございますが、全体としての野菜の状況を先ほど私は申し上げたわけでございます。
  193. 津川武一

    ○津川委員 そこで大臣、いま私が指摘したような事項をすみやかに調べて対策を講じていただきたい。そうでないと議論がかみ合いません。そこで、市場側の意見報告として、九月中旬以降にかなり困難を来たすものとして、関東地帯のホウレンソウ、長野、茨城からの白菜、関東近郊からのキャベツ、長野県からのレタス、千葉県からの大根。具体的にそういう向こうの生産状況、東京市場への出荷状況が心配になっておるので、どうも大臣から聞くとのんびりしているので、ここのところを具体的に職員を使って調べて対策を出していただいて、すみやかに私に報告していただきたい。これでこの点は終わります。  その次に、委員長から許可を得てこれを出しますが、大臣、これは大臣の県の水稲なんです。根がこんな根なんです。実は入っているのもあるけれども、入ってない。入っていてもきわめて小さく固くて、これは等外米なのです。こういうのがかなり出てくる。これを買い上げてもらわないことには農民は助からないというのですが、この出てくる等外米の買い上げをこの際すべきだと思うのですが、これはいかがでございますか。
  194. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いまのお答えを申し上げます前に、野菜のことについては、先ほどいろいろ申し上げておるからちょっとお聞き取りにくかったと思いますが、私も心配しておるのは、干ばつのために、ちょうど種まきすべきそういう時期にうまくなかったような作物もございます。それらの点は全部農林省内において十分検討させておりますから、後ほど資料で御提示申し上げます。  それから、いまの稲作の実情、最終的にいまのような等外品が相当出てくると思います。こういうものにつきましては、従来水害の場合なんかでも、そのときの実情に応じての配慮はいたしておるのでございますが、これも最初に総括的に申し上げたように、被害の実態というものがまだ固まっておらない。いま私の県をお示しいただいたわけでありますが、島根県は三、四日前に若干の降雨がございましたが、引き続きなお干ばつの進行中であるというまことに遺憾な状況にあるわけでございまして、全体的な実情が固まってまいりますれば、ただいまの御意見は十分参考にいたしまして、どのように措置できるか検討いたしたいと思います。
  195. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、実情で合えば等外米は買い上げる、こういうことになりますか。たとえば十勝沖地震のときなんか、青森県の等外米は買い上げているのです。前例がありますので、前例に徴して買い上げるつもりであるならば、私はこれで質問を終わります。
  196. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま津川委員がおっしゃるように、そういう前例もございますから、それにならって措置をいたしてまいる考えでございます。
  197. 津川武一

    ○津川委員 これで経済関係の方、食糧庁関係の方、帰っていただいてけっこうです。  その次に、先ほど聞きました六百七十五億といういまの算定されている被害は、農業、林業、漁業、この三つを含めてのものでございますか。どなたでもいいです、答えていただきます。
  198. 大山一生

    ○大山説明員 お答えいたします。  先ほど報告いたしました被害は、農業に関するものでございます。
  199. 津川武一

    ○津川委員 そこで、大臣、林業の被害をやはりすみやかにつかまえなければ、これ、農林省としては報告ないのはどうかと、私、思うのです。大臣の島根県の平田市で、造林用の苗木千二百三十万本のうち、枯死したもの四百七十万本、枯死寸前のもの四百万本、合わせて八百七十万本があぶない。こういうものに対する被害を救済しなければならない。そうすると、もう一つの問題、これから植林するに苗木がない、こういう苗木の援助、確保。この苗木が今度は値上がりしていく、この分を林業者に補償してあげなければならない、こういうことなんです。  そこで、林業の被害をどう見ておるのか、見てなければ、いつごろまでにまとめてぼくらに提示するのか、いまあげたこういう項目をどうするのか、答えていただきます。
  200. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いま一応まとまっておる点については林野庁長官のほうからお答えをさせますが、逐次その報告が参っておるような状況でございまして、たとえば民有林の被害概況、八月二十八日現在の県報告の集積からいたしますと、幼齢造林地の被害面積は約四千ヘクタール、被害県は北海道、青森、宮城、島根、山口等。苗木の被害については東北、山陰地方において発生が見られるというようなふうに一応の報告でございますが、必要があれば林野庁長官から詳細申し上げさせます。
  201. 福田省一

    福田政府委員 いま大臣からお答えがございましたように、速急に取りまとめて、さっそく補助あるいは融資、あるいは保険制度もございますので、適用いたしたいと思っております。  御指摘の苗木に対する被害の場合の制度につきましては、現在のところ、御指摘ございましたように、ございませんので、この制度の保険の適用その他につきまして、苗木関係の被害に対しての制度は現在検討中でございます。従来は、いま申し上げました造林地に対する被害についてはいろいろございますけれども、あわせて検討いたしたい、こう思っております。
  202. 津川武一

    ○津川委員 林野庁は森林の被害、いつごろまでにわかります。  これね、四十二年のときには六百八十二億、いまのは六百七十五億。森林に対する被害、漁業に対する被害、これなんか早急にあわせてやらなければならぬところで、農業だけこういう報告をぼくら受けていて、林業をまとめてないという。これはあとで一番困るのは、苗木が不足して値上がりしてしまう、補助した分、補助全部苗木屋に取られてしまうという、こういうことがありますので、そういう施策ありましたら、ひとつ聞かしていただきます。
  203. 福田省一

    福田政府委員 たとえば青森県なんかにつきましては四百ヘクタールとか、いろいろ現在計数が入っております。速急に取りまとめたいということで、各県へ連絡中でございます。  なお、苗木の被害につきましては、供給者側としては、民間の苗木関係もございますし、場合によっては国有林の苗木を供給する場合もございますので、各県ごとに国有林と民有林の苗木の供給についてはそのつど連絡をとってまいっておるところでございます。現在、国有林のほうはわりあいにかん水設備がございますので、被害がさほどではございません。そういった点も考えまして、国有林と民有林とあわせて速急にそういう補給する方法考えたいと思っております。
  204. 津川武一

    ○津川委員 表面飾ったやりとりでなくて、島根県で千二百三十万本のうち四百七十万本死んじゃったんだよ。あと四百万本あぶないんだよ。こういうのを、しかも大臣の地元だよ、すみやかにあなたたち調べて、どうするのかということを出していただきたい。ぼくの連絡も悪いから質問がかみ合わなかったのかもしれぬけれども、そういう点を要求しておきます。  それから、漁業関係の被害はどうなっておりますか。
  205. 荒勝巖

    荒勝政府委員 水産関係につきましての干ばつによる被害ということでございますが、直接的に干ばつによる被害かどうかにつきましては、まだ議論が多少分かれるところでございますが、いずれにいたしましても、高温によりますプランクトンの異常発生によりますということを大きな原因といたしまして、先ほど問題になりました霞ヶ浦の養殖のコイが約九百九十トン、金額にいたしますと三億五千万円。さらに秋田県におきますやはり養殖コイというものが斃死いたしまして、これも約八十五トンということで、大きな被害といたしましてはこういった被害が報告されておる次第でございます。
  206. 津川武一

    ○津川委員 大臣、こんな状況なんです。これで干ばつ対策できるかといったら、林業がこのとおり、漁業がこのとおり。大臣の宍道湖、あそこは水がなくなっちゃって、塩辛くなっちゃったでしょう、水が。魚がそれで死んでいるでしょう。こういう調査が出ているかですよ。松島湾、カキがあんな状況になっているわけね。こういう点でいまの水産庁長官の答えは、霞ヶ浦がどうだとか、秋田のコイがどうだとか、こういうことで私はあ然としているわけですが、これだと、天災融資法の発動だって、これはどうするかという点、またおくれてしまう。こういう点でかなりのものが出ていると思うのです。そこで、大臣はこれらの被害をまとめてやってみなければわからぬと言うけれども、明らかに天災融資法になる。作業を進めるというのだが、農民は首を長くして待っているわけ。農業の災害、林業の災害、漁業の災害をまとめて天災融資法が発動できるのはいつごろになりますか、大体めどを明らかにしてください。
  207. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これも先ほど申し上げましたように、こういう干ばつの場合、しかも被害が進行中の場合、これは直接的に把握できるのは当該県である。したがって、当該県との間に緊密な連絡をとりまして、逐次その報告を徴する必要があると思います。ありまするが、しかし、当該県の実情というものは、それよりももっとなお同情すべき深刻な点があると思うのですね。相当な手が必要である。そういうときに中央からやいやい報告を求めるというようなことはなかなか言ってもむずかしい点がございます。  したがって、きょうも統計情報部のほうから農作物を中心に御報告を申し上げましたが、これもほんとうは、ことばは悪いですが、へっぴり腰で申し上げておるわけであります。進行中のものがある。しかし、現に被害が確定されるとおぼしき県のものを考えると大体この程度で、今回の干ばつは非常に深刻だということを申し上げておるわけでございます。したがって、そういうような状況からいたしまして、私どもの中央として直接に今度やるべきものは被害が確定してからというのが従来のたてまえでございます。しかし、緊急のものについてこれを怠るわけにはいかないのでありまするから、それらの点はそれぞれの農政局を通じて所要の措置を講じてきておるというわけでございまするが、すでに判明したところから見ましても、非常な深刻なものだということがもう明白になってきておりまするから、でき得るならば、ここも早急に天災融資法の発動であるとかその他の所要の措置を講じたい、このように考えておるようなわけであります。
  208. 津川武一

    ○津川委員 大臣も覚えておるとおり、天災融資法の第二条で、だれが被害を認定するかというと、市町村長ですよ。あなたのほうも平田の市長のほうから天災融資法を発動してくれと言ってきておりますよ。島根県からも、岩手県からも、宮城県からもきている。これは上から調べさせることができないのだといって、うそです、これは。もうおしりに火がついている、この態勢に応じなければならない。いま聞いてみたら、林業関係がこのとおり、漁業関係がこのとおりだ。おたくの内局から聞くと、二週間あればできるんだといっているけれども、ぼくはこれはあぶないと思うのだ。すみやかにこれは特認する必要があると思うのです。この点、ひとつとくと督励するようにあらためて要求しておきます。  これもあなたのほうの県なんですよ。意宇川というのですか、ここのところの地帯で水が足りなくなって、みんなポンプでくみ上げた。農民は一生懸命だ。このくみ上げたポンプというのが三百三十六台、買い入れ台数百三十一台。このための費用がたいへんな費用になっているわけ。こういうものに対するさかのぼっての援助が私は必要だと思う。  あなたは青森県の斑落病に対して、これからの薬剤散布に対して千九百万出したが、既設のものは出さないけれども、これはやはりやらなければならぬと思うのです。これはいかがでございます。
  209. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これも先ほど申し上げたように、それぞれ緊急の施策が講ぜられておる、こういうものにつきましては最終的にこの被害が明白になった場合には国として助成をすべきものはいたします。
  210. 津川武一

    ○津川委員 たくさんありますけれども、時間もないので、構造改善関係の方、これでけっこうでございます。  次にサトウキビの問題、先ほど瀬野委員に対して大臣の返事で、私、解せないというのか、困ったなと思ったのは、国際価格との関係もあっていま直ちに生産費所得補償方式へは移れない、こういう意味の答弁だったのですが、私は大臣農民にそういうふうな生産費も所得も補償もしないかっこうでサトウキビ生産させることは、農民の犠牲において国内の砂糖の需要を満たそうというたいへんなことなので、形式はどうあろうが、ぜひ生産費をまかなうように、そうして生活ができるように、このような価格をサトウキビに補償してやることが第一と思うのですが、この点、大臣、いかがでございます。
  211. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 サトウキビに対しましては、各般のデータに基づきまして最低生産価格決定するわけでございます。ただ、サトウキビの現状からいたし、また日本の砂糖の生産の状況からいたしまして、どういうふうにサトウキビやてん菜糖の施策をやっていくかということから考えていきますると、省力機械を導入するとかあるいは経営の合理化をするとか、サトウキビやてん菜糖に対するところの生産増強のための、あるいは経営合理化のための非常な広範囲の施策が必要な状況にいま置かれておるわけであります。そういうような状況にある場合に、米と同様の価格算定がいいかどうかということについて国際価格との関係もありということを申し上げたのでございまして、できるだけそういう水準を引き上げていく必要性は、これはだれもが認めると思うのです。そういうことを頭に置いてまいりまするときに、パリティ方式というものが一がいにいけないというわけではないし、またこの最低生産価格決定する場合にはそれぞれのデータを考えてやるのであって、不幸にして昨年の場合がいろいろ御批判を受ける、これは海洋博の問題もございまするが、非常に労銀が暴騰して、この価格決定時以降いろいろな事情においてその実情にそぐわないような状況ができた。しかし、価格決定時において特にそういう問題があったかというと、そういうことでなかったわけでございまして、いま起きておるような問題は、これから決定される最低生産価格の上に当然反映いたしますし、また労力不足等の問題等については、特に収獲期の省力機械の導入などについて、国としてのでき得る限りの施策も講じながら、沖繩の基幹産業であるサトウキビ生産振興に寄与いたしたい、こういうことを申しておるわけであります。
  212. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、昨年決定したあとにいろいろなものが起きた、事態が変わった、それを十分考慮してことしのサトウキビ生産価格をきめるということであればよろしいんですがね。十二億円で土地基盤整備する、これはいいことだ。それから七千万、八千万というふうなお金を突っ込んで機械化、いろいろなことをする、これも私ぜひもっと進めるべきだ。これが実るまでに生産意欲をなくしてしまったらたいへんなんです。屋良知事は皆さんのところにも行って、三千五百円という賃金だと聞いたが、いま聞いてみたら四千円だそうですよ。そうすると、一トン刈るのに二人かかるね、御承知のとおり。これで八千円。いまの値段が六千九百五十円。こういう点であるので、米はある程度まで押える生産者米価だった、サトウキビは上げなければならぬ。そういうことなので、この間の価格決定時のその後の変化を十分に考慮に入れてサトウキビ価格決定するというふうに私は受け取りたいのだが、こう受け取ってよろしゅうございますか。
  213. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 おそらくおっしゃるように、いろいろな計算要素というものが当然最低生産価格には反映すると申し上げてよいと思います。
  214. 津川武一

    ○津川委員 この間の生産米価の労働費でサトウキビの沖繩の人の試算をしたら一万三千百十八円になっているのです。このことも覚えておいていただいて、そこでもう一つの問題は、皆さんも陳情を受けたでしょうけれども、奄美大島で納入するサトウキビがあまり思わしくないので、製糖会社がだんだん滅びていく。これではたいへんサトウキビがつくられてもものにならないので、この点への中小企業製糖会社の援助をしなければならぬと思います。これはいかがでございますか。
  215. 池田正範

    ○池田政府委員 御指摘のように、非常に作付面積が減ったりいたしますと、全体としての工場の稼働率が下がってまいりまして、工場によっては非常に生産性の低い、維持のしにくい工場が出てくることはただいま御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、これらの工場に対しましては、従来沖繩については御承知のように臨時糖業振興費等の支出を通じて、農民から買い上げますところのサトウキビ価格によって経営採算が合わない砂糖工場の裏打ちをしてきたわけでございますけれども、なお来年度から、場合によりましては、そういった極端に経営不振におちいります工場等に対しましては、合理化ができますような金融上あるいは予算上の措置等についてもあわせて考える方途をいま検討中でございます。
  216. 津川武一

    ○津川委員 時間がないので、最後にリンゴの斑点落葉病について、先に項目だけあげて三つだけお伺いします。  一つは、リンゴの生産農民の一番大きな団体である県のりんご協会、これがことしの斑落病の主因はトップジンMの無防備、無計画的な散布にあると断定する、こういって役員総辞職しております。県の防除暦編成、その後の指導、県りんご試験場、国の園芸試験場が共同で参加しておるので、国にも県にも責任があると思うのですが、県は依然として責任を逃げているわけです。この点県と国の責任についていかに考えているかという、これが一つ。  第二番目には、こういうことであれば損害を補償すべきじゃないか、これが二つ目の問題。  三つ目の問題は、四一%以上やられたのに、これから国も出した千九百万の薬剤費の補助をするというが、小さな二十アール、三十アールで四一%の人の被害もこれはやらなければならぬ。三〇%の被害で三ヘクタールなんてやっている人はばく大な被害なんです。したがって、私は四一%以上、こういうことでなくて、被害の実態、実額に応じて援助すべきだと思う。この点が第三点。  第四点は、あの時点で皆さんが千九百万出したときには、該当面積が五千ヘクタール、その後の状況を調べてみたら千五百ヘクタールふえている。県が一億七千万出すのに五千万円さらに追加するという。そうすると、これだけの薬剤散布になってくると、国の千九百万も私はさらに考えていかなければならないのじゃないかと思うのですが、この点、一緒に並べてしまいましたが、どこからでもいいですから、お答えをいただきます。
  217. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 お答え申し上げます。  ことしの青森県に発生いたしましたリンゴの斑点落葉病でございますが、これはリンゴについて通常発生する病気でございまして、ことしは、全国的に見ますと、平年並みないしやや少ないわけでございますけれども、青森県だけ多く発生をしたようでございます。  この原因につきましては、現在青森県を中心としまして調査をいたしておるような次第でございます。  私どもこの斑落の問題につきまして、いずれにいたしましても、ただいま先生お話しのように、かなり被害がございましたので、薬剤費あるいは防除機等の導入につきまして三千数百万円の助成をいたしまして、緊急の防除に充てるというようなことの措置を講じたわけでございます。  県は県なりにさらにこれについていろいろまた助成も行なっておりまして、こういうことでトップジンあるいはリンゴの斑落病の災害というものはこれからも防除していきたいというように思っております。
  218. 津川武一

    ○津川委員 大臣、いま返事を聞いたでしょう。六月に起きた斑落の原因をこれから調査するのですか。県のりんご協会はかなり大規模なアンケート調査をやって断定までしているのです。この責任論が、原因論がはっきりしないために、まだ損害補償の問題が解決されないでいる。したがって、私はこの点はすみやかにやることを指摘する。  それと同時に、損害補償をすべきだ、これが二つ目。  三つ目には、四一%以下の損害のところへもやるべきだ。県が五千ヘクタールのものを千五百ヘクタールふやしているので、その分に対応して国はもっと出すべきだ、こう思うわけですが、この三点いかがです。  大臣、こんな情勢なんです。六月に起きたのをまだやっていない。だから、斑落病が起きてきたときに、県や試験場に持っていって、これは斑落病じゃないかと判定してもらっているのです。そのときにすぐきまっていれば被害が防げたのを、判定を下しているのは十何日後ですね。いまはしなくも、原因に対してあなたたちの局長からこんな答弁が出る。こういう状態をどうして克服していくか、まず大臣にこれはお伺いします。
  219. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 津川委員御承知のように、斑落病が起こりました直後に皆さんから私いろいろ御要請も聞きまして、そして私としてその時点でとるべき措置は、御催促もございまして、一応やってまいったつもりでございます。  ただいま御質問の中にもございますように、中央として非常に考えなければならない点は、県自体においても実際上その実情を一番掌握するべき立場にございますが、いま二、三御質問のそういう問題点について、私どもが明快に措置をする、そういう前提になるべき要素というものが十分できてきておりませんね。だから、この点は津川委員も御理解をいただきまして、いまおっしゃったことでぴんときますが、六月の問題でこれから検討調査だとは何事だと言われればそれはわかりますが、また私がいまお答えする点も御理解をいただきまして、もう少しこの問題については今後詰めてまいりたい。それに伴って対策考えたい、こう思います。
  220. 津川武一

    ○津川委員 それでは、私も大臣なり局長なりに、またこの間みたいに直接おじゃまして申し上げて対策を一緒に検討するとして、時間が超過しましたので、これで終わります。
  221. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 次回は明三十日、木曜日、午前十時理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時五十九分散会