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福田政府委員 許可基準の運用の問題でございますが、こまかな
基準をつくって都道府県を
指導してまいりたいと申し上げたその内容について、やや具体的に申し上げたいと思います。
一つは、
開発行為によりまして土砂の崩壊等の
災害の発生のおそれがあるかどうかということは、主として次のような
観点から
判断できると思います。
一つは、その
森林が
土地に関する
災害を
防止する上で果たしている
役割りの重要性ということでございます。
つまり、現在ある
森林がどういう状態であるかということでございますが、
一つは、過去の
災害の実績、過去においてそういう
災害を受けたかどうか、受けたとしても、それがどういうふうに回復されているかどうか。もう
一つは、地形とか地質などの自然的
条件から見た
危険度、つまり、傾斜が何度くらいであるとか、それから地質が崩壊しやすい地質であるとか、あるいは崩壊しにくい巨岩がそこにあるか、それから谷の密度が多いか少ないかというようなことが、
森林の
役割りを
判断する
一つの
基準になると思います。
それから第二点は、
開発行為の施行方法から見た危険の度合いでございます。どういう
開発行為をしているかということによってそれを
判断しなければならないと思いますが、その
一つは、土砂の切り取り方法、つまり、えぐり掘りというような場合、これは危険があることは当然でございますし、それから勾配が安定しているかどうかということも
一つの
判断の
基準でございます。それから捨て土が適切になされているかどうか、そんなことは考慮なしに掘り出されているかどうかということでございます。いまのは切り取りであります。盛り土の場合には、たとえば土を層状に固める工法をやっているかどうか、それから締め固めの度合いはどうか、それからすべりどめのそういう工法を採用しているかどうかというふうなことが、
開発行為の側から見たあれでございます。ですから、
森林の態様と
開発行為の態様の両方からこれを
判断していこうというのが、この
災害防止についての
基準の
考え方でございます。
次は
開発行為によって一定
地域の水の
確保に著しい
支障を及ぼすおそれがあるかどうか。それは次のようなことが
考えられると思います。
その
一つは、その
森林が
地域の
住民に必要な水を
確保する上で果たしている
役割りの重要性はどうか。その
一つは、ダム、ため池あるいはわき水などへの集水状況がどうなっているのか。それから
地下水が
確保されているその機能はどうであるか、これもやはり
森林の
一つの態様でございますから。
次は、
開発行為の内容から見た
支障の度合いということがまた
一つの
判断の
基準になると思います。
一つは、現在の地形が変更した場合に、集水経路が混乱して
地下水位の低下を来たさないかどうか。これは
判断をすればわかるわけでございます。それから、必要に応じて集排水路、
貯水池を整備すること。それから
開発行為に伴う取水、排水によって水質汚濁等を来たさないかどうか。
これらが
開発行為の態様から見た
一つの
判断の
基準でございます。この場合も、
森林の態様と
開発行為の態様と両方からこれを
判断していく。
第三点は、むずかしい問題でございますが、
開発行為によりまして、周辺
地域の
環境を著しく悪化させるおそれがあるかどうかということの
判断のしかたでございます。
その
一つは、
森林の周辺
地域の
環境を
保全する上で果たしている
役割りの重要性はどういうものかと申しますと、
一つは生活
環境の
保全でございます。たとえば、じんあいあるいは騒音があるかどうかとか、そういう生活
環境の
保全に影響があるかどうかということ。第二は保健休養の問題です。そういうものに対して
森林が果たしている
役割りはどうか、その
程度はどうか。それから自然
環境の
保全。先ほどは生活
環境を申しましたが、自然
環境の
保全、たとえば、その中に住んでおる動物、植物一切を含めて、その
環境の
保全の度合いがどのようになっておるかということ。
それから次は、
開発行為の内容から見た悪化の度合いというものがどういう影響を与えるか。それにはやはり一定の割合の
森林を
確保する必要があると思うわけであります。従来は、測量して
森林を伐採する場合には、山を矩形に切っております。これは私の
一つの参考
意見でございまして、きめているわけではございませんが、山の形というのは尾根が曲線でございますし、沢筋も曲線でございます。遠くから見ますと、それを四角に切った場合に非常に目立つ。ある
程度そこの作業が低下しても、風致とか、そういう点をもしかりに尊重する必要があるならば、その尾根線とか沢線に沿った
一つの曲線の伐開の線が必要であろうということが
一つございます。これは形の問題でございます。それから、それが風致を
保全しなければならない
森林であるならば、春夏秋冬いろいろな色とりどりの色が必要であるということで、春には新緑、秋には紅葉するような木もまぜることが必要だろうと思う。そういったことも
一つの
判断基準とするならば、いま申し上げた形とか色ということも、これはむずかしい問題ではございますけれども、そういうことも
一つ考えてまいらなければならない。
それから
ゴルフ場なんかかりにつくった場合に、やたらにそのコースの中の木を切っちゃって、
あとから植えて造成している場合が多いわけでございますが、これも逆なので、できるだけ当初からその地帯に、たとえば四割
程度は
森林を残すんだとか、あるいはコースとコースの間には二十メートルぐらいの林帯を残すとかいうふうなことも
考えてそれを
指導するということも、こういったような問題の内容になってくるかと思います。これは
一つの例として申し上げておきます。