○福田
政府委員 森林法及び
森林組合合併助成法の一部を改正する
法律案につきまして、提案理由を補足して御
説明申し上げます。
本法律を
提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
第一に、森林計画制度の
改善であります。
まず、全国森林計画につきましては、水源の涵養、土砂の流出または崩壊の防止等の森林の有する公益的機能と木材生産等の経済的機能とを総合的かつ高度に発揮し得るようにするためには流域的な観点から森林の整備をはかることが適切であることにかんがみ、流域ごとに計画事項を明らかにすることを旨としてこの計画を定めることといたしております。
また、全国森林計画の計画事項を追加いたしまして、この計画が森林政策の長期の指標であることにかんがみ、森林の整備の目標その他森林の整備に関する基本的な事項を明らかにすることとするとともに、急傾斜地が多いわが国の森林の現況から見て、土砂の流出または崩壊の防止、水源の涵養等の森林の有する公益的機能を一そう維持増進するためには、森林施業や森林の開発行為等に当たって地形、地質等の自然的条件と森林の樹根や表土の効用等とに十分配慮する必要がありますので、森林の土地の保全に関する事項を明らかにすることといたしております。
次に、地域森林計画につきましては、まず、この計画の
対象とする森林を、自然的、経済的、社会的諸条件及び土地利用の動向から見て森林として利用することが相当と認められる民有林とすることといたしました。
また、全国森林計画の場合と同様、地域森林計画の計画事項を追加いたしまして、森林が有している諸機能に着目して森林のタイプ分けを行ない、このタイプ分けをした森林についてさらにその整備の目標その他森林の整備に関する基本的な事項を明らかにするとともに、先に述べましたような全国森林計画において定める森林の土地の保全に関する事項の趣旨に従って、樹根及び表土の保全その他森林の土地の保全に関する事項を明らかにすることといたしております。
このほか、森林の有する自然環境の保全等の公益的機能と木材生産等の経済的機能とを総合的かつ高度に発揮し得るよう、全国森林計画及び地域森林計画は、自然環境の保全及び形成その他森林の有する公益的機能の維持増進に適切な考慮を払うべき旨を法律上明確にすることといたしております。
第二に、民有林における大
規模な開発行為についての都道府県知事の許可制の導入であります。
すなわち、地域森林計画の
対象となっている民有林において、周辺の地域に相当の影響を及ぼすおそれがあるような大
規模な開発行為をしようとするときは、国または地方公共
団体が行なう場合、非常災害に際し緊急の用に供する必要がある場合等一定の場合を除き、都道府県知事の許可を受けなければならないことといたしました。この場合、都道府県知事は、その開発行為が現にその森林の有している機能から見て、土砂の流出その他の災害の防止、地域住民の水の確保及び地域の環境の保全という三つの点で支障を及ぼすおそれがないかどうかを基準としてその許可の是非を判断することといたしております。
なお、都道府県知事は、必要があると認めるときは、許可を受けないで開発行為をした者等に対し、その開発行為の中止を命じ、または期間を定めて必要な行為をすべき旨の命令をすることができることといたしております。
第三に、伐採の届け出制度に関する規定を整備したことでありまして、都道府県知事は、森林所存者筆
提出した立木の伐採の届け出書に記載されている伐採面積、伐採方法または伐採齢に関する計画が地域森林計画に適合しない場合には、その者に対し、その伐採の計画を変更すべき旨を命ずることができることといたしております。また、伐採の届け出書を
提出した者の行なっている伐採が、その届け出書に記載されている伐採面積、伐採方法または伐採齢に関する計画に従っていない場合には、その者に対し、その伐採の計画に従って伐採すべき旨を命ずることができることといたしております。
第四に、森林施業計画制度の
改善を行なったことでありまして、森林施業の
合理化をはかるため、森林所有者が共同して施業することを相当とするものとして政令で定める基準に適合する森林について、森林所有者は、その有する森林の全部を計画の
対象としない場合であっても、これらの森林を
対象として共同で森林施業計画を作成し、都道府県知事にこれが適当であるかどうかにつき認定を求めることができることといたしました。
第五に、
森林組合制度の
改善強化であります。
その一は、
森林組合制度の目的規定を整備して、森林施業の
合理化と森林生産力の増進をはかることのほか、森林所有者の経済的社会的地位の向上をはかることも、
森林組合及び
森林組合連合会の直接的な目的とすることといたしました。
その二は、事業範囲の拡大であります。
まず、施設
森林組合につきましては、林産物以外の森林の産物及び環境緑化木についても販売等の事業を行なうことができるようにするとともに、森林の施業及び
経営を推進するために必要な林業
労働力の
組織的な確保に寄与するための事業、
経営規模の拡大その他林業構造
改善の推進に資するための
組合員に対する林地の供給の事業、森林の保健休養機能の増進のための事業、
組合員の
労働力を利用して行なう林産物等の加工に関する事業を行なうことができるようにいたしております。
また、
組合員に出資をさせる施設
森林組合につきましては、このほか、森林の保続培養及び森林生産力の増進を期するためにはみずから
経営することが相当と認められる森林であってその
組合の地区内にあるもの等の
経営を行なうことができるようにするとともに、
組合員の委託を受けて、林業以外の目的に供されることが相当と認められる林地の売り渡し等の事業を行なうことができるようにいたしております。
次に、生産
森林組合につきましては、新たに環境緑化木の生産や森林を利用した農業を行なうことができるようにし、
森林組合連合会につきましては、施設
森林組合に準じて必要な事業範囲の拡大を行なうことといたしております。
その三は、管理運営体制に関する規定の整備でありまして、まず、施設
森林組合につきましては、森林所有者と同一の世帯に属する者で委託を受けて森林の
経営を行なうものにも正
組合員資格を与える等
組合員資格の範囲の拡大を行なうとともに、総代会の権限の強化、参事及び会計主任に関する規定の新設、出資割り配当限度の引き上げ等を行なうことといたしております。また、生産
森林組合につきましては、その
組合員の
組合事業への従事に関する規制を緩和することといたしており、
森林組合連合会につきましては、施設
森林組合に準じて所要の規定の整備を行なうことといたしております。
その四は、
森林組合及び
森林組合連合会の事業を通じて森林の有する公益的機能の維持増進がはかられるようにするため、国及び都道府県が、
森林組合及び
森林組合連合会の健全な運営と発達について助言、
指導を行なう等必要な配慮をする旨の規定を新設することといたしております。
第六に、
森林組合合併助成法の一部改正でありまして、
森林組合制度の改正と相まって、
森林組合の事業運営基盤を強化するため、
合併しようとする
森林組合が共同して
合併計画及び
合併後の事業
経営計画を立て、その計画が適当であるかどうかにつき都道府県知事の認定を求めることができる期限を
昭和五十三年三月三十一日までに延長し、これに伴う税制上の
特別措置と相まって、
森林組合の広域
合併を促進することといたしております。
以上をもちまして
森林法及び
森林組合合併助成法の一部を改正する
法律案の提案理由の補足
説明を終ります。