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1973-07-10 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月十日(火曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 佐々木義武君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂村 吉正君    理事 山崎平八郎君 理事 渡辺美智雄君    理事 美濃 政市君 理事 津川 武一君       笠岡  喬君    金子 岩三君       吉川 久衛君    熊谷 義雄君       小山 長規君    佐々木秀世君       島田 安夫君    正示啓次郎君       菅波  茂君    西銘 順治君       長谷川 峻君   三ツ林弥太郎君       湊  徹郎君    安田 貴六君       井上  泉君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    竹内  猛君       湯山  勇君   米内山義一郎君       諫山  博君    中川利三郎君       瀬野栄次郎君    稲富 稜人君       神田 大作君  出席政府委員         農林政務次官  中尾 栄一君         農林大臣官房長 三善 信二君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         農林水産技術会         議事務局長   中澤 三郎君         食糧庁長官   中野 和仁君         林野庁長官   福田 省一君         自治大臣官房審         議官      近藤 隆之君  委員外出席者         農林大臣官房審         議官      有松  晃君         農林省農林経済         局国際部長   吉岡  裕君         通商産業省化学         工業局アルコー         ル事業部業務課         長       山中 正美君         労働省労働基準         局賃金福祉部賃         金課長     小林哉也雄君         労働省職業安定         局特別雇用対策         課長      永場 久治君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 七月九日  林業振興に関する決議の具体的実施に関する請  願外一件(井上泉紹介)(第八一四八号)  同(北山愛郎紹介)(第八一四九号)  同(久保三郎紹介)(第八一五〇号)  同外一件(中村茂紹介)(第八一五一号)  同(馬場昇紹介)(第八一五二号)  同外一件(原茂紹介)(第八一五三号)  同外四件(美濃政市紹介)(第八一五四号)  同(村山喜一紹介)(第八一五五号)  同(米内山義一郎紹介)(第八一五六号)  同(枝村要作紹介)(第八一九八号)  同(勝間田清一紹介)(第八一九九号)  同(北山愛郎紹介)(第八二〇〇号)  同(神門至馬夫君紹介)(第八二〇一号)  同外一件(下平正一紹介)(第八二〇二号)  同外五件(島田琢郎紹介)(第八二〇三号)  同外三件(島本虎三紹介)(第八二〇四号)  同(塚田庄平紹介)(第八二〇五号)  同外一件(中村茂紹介)(第八二〇六号)  同(芳賀貢紹介)(第八二〇七号)  同(馬場昇紹介)(第八二〇八号)  同(湯山勇紹介)(第八二〇九号)  同(山本弥之助紹介)(第八二一〇号)  同外一件(渡辺惣蔵紹介)(第八二一一号)  同外一件(岡田春夫紹介)(第八二四二号)  同外二件(角屋堅次郎紹介)(第八二四三号)  同(佐々木更三君紹介)(第八二四四号)  同(土井たか子紹介)(第八二四五号)  同(大原亨紹介)(第八二九三号)  同外二件(神門至馬夫君紹介)(第八二九四号)  同(竹村幸雄紹介)(第八二九五号)  同(村山喜一紹介)(第八二九六号)  同(神門至馬夫君紹介)(第八三四六号)  同外一件(佐藤敬治紹介)(第八三四七号)  同(福岡義登紹介)(第八三四八号)  同(美濃政市紹介)(第八三四九号)  造林政策確立に関する請願外三十八件(仮谷忠  男君紹介)(第八一九七号)  同外四件(竹内黎一君紹介)(第八二四六号)  同外十八件(丹羽兵助紹介)(第八二四七号)  同(床次徳二紹介)(第八二九七号)  同(中馬辰猪紹介)(第八二九八号)  同(宮崎茂一紹介)(第八二九九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米内山義一郎君。
  3. 米内山義一郎

    米内山委員 私は、これまで継続して質問してきましたむつ小川原開発地域農地法違反についての質問をさらに続けてみたいと思います。  大体、第五条の許可関係に対する農林省見解というものは明確になりました。というのは、事前審査内示段階土地を実際的に買収しているのじゃないかというのが私の主張なんです。ところが、農林省は、買収じゃない、金を全部支払っていない、引き渡しを受けていない、仮登記をしておっても本登記はしていない、だからこれは違法ではない、こういう見解を繰り返しておるのであります。しかし、これはたいへんな問題であります。  まず第一に、よその地域でこういうことが行なわれればどうかということです。実は、このことが新聞に出まして、土地関係の業界が非常に問題にし出したのです。ですから、私のところに、その件に関する速記録をぜひほしいという依頼状がたくさん来ております。というのは、農林省見解どおりにやるとすれば、農地売買するにちっとも農地法の制約を受けない、こういうふうなことが当然行なわれるわけでありまして、そうだとすれば、すでにこの農地法解釈において農林省農地法そのものを否定したことになるのじゃないかということを私は考えるのでありますが、こういうことをよそでやった場合にも同じかということを私は重ねて念のためにお尋ねしておきたいと思います。
  4. 小沼勇

    小沼政府委員 どこの場合でも同じでございます。
  5. 米内山義一郎

    米内山委員 わかりました。それはそれとして議論はしません。  ところが、農地引き渡しをしないからいいのだ、こうおっしゃいますけれども、この地域土地買い占めをやっているこの第三セクターが、すでに立ちのき料を支払った世帯件数というものは二十一戸にのぼっております。土地を売った代価は八〇%の支払いを受けておるし、さらに家屋の移転補償を受け取った農家が二十一戸に及んでおる。さらに、すでにその土地にいなくなった世帯数は、役場の調査では十二世帯開発公社調査では十世帯ということになっている。これでも農地が引き渡されていないとおっしゃれるのですか。その点をお尋ねします。
  6. 小沼勇

    小沼政府委員 従来もそうでございますけれども、大体全額代金を支払ったというふうな場合には確かに売買行為が行なわれたように考えられますが、いままで八割程度ですとまだ完全に売買が完結したというふうには見ておらないわけでございます。したがいまして、現に耕作することも可能でございます。引き渡しは完全に行なわれたということではないわけでございます、そういう解釈をしております。
  7. 米内山義一郎

    米内山委員 引き渡しをすれば違法になるということはどういう意味かと考えてみると、引き渡しをすることによって農地が荒廃するということの意味も含むと思うのですが、その点はいかがですか。
  8. 小沼勇

    小沼政府委員 農業を行なうことは、現に売買契約で八〇%代金をもらっていても、耕作は続け得る状態にあるわけでございます。完全に引き渡し段階では、それは耕作することはおそらくできないであろうというふうに考えられますが、代金を八〇%受け取ったからといって、それで所有権が移転したわけでもないわけでございますし、そういう意味では、現に耕作し得る状態にあるわけでございます。
  9. 米内山義一郎

    米内山委員 実はこれは五十ヘクタールとか三十ヘクタールというものではなくて、すでにそういう売買が行なわれた土地は、この地域だけで千五百ヘクタールに及んでいます。この人たちはもう意思としては農業をやめる意思で売ったのでしょう。実際問題としてこの人たち耕作を継続しようとは考えられない。そういう事態ができて何十ヘクタール、何百ヘクタールという農地が荒廃の状態になったときでも、農地法は適正にこの土地で行なわれているとお考えになりますか。
  10. 小沼勇

    小沼政府委員 所有権が移転しない以前の段階農地耕作するかしないかは本人の意思によりますけれども、耕作し得る状態にあるわけで、耕作する権利はあるわけでございますから、その点ではどういう状態であれ、それはやはり農地として利用し得る状況にあるというふうに判断するわけでございます。
  11. 米内山義一郎

    米内山委員 きわめて納得しがたい御答弁ですが、ここでこの問題の議論はやめます。なぜというと、純粋な法律論の問題になりますので、これはいずれ告発事件か何かで農林省見解の争いをするつもりであります。  そこで、この地域というものはほとんど大部分土地開拓地であり、国の助成によって農地に造成された土地であります。したがって、ここには相当というよりも、ばく大な国民税金が使われております。その成果土地買い占め独占企業利益になるのじゃないか。したがいまして、この地域にある主として農業関係、建設省の関係等は抜きにしまして、農林省が、以前は農地局、いまは構造改善局でありますが、その関係だけで、開墾助成あるいは土地改良事業その他の開拓事業等にいままで国民税金がここに使用された金額、件数というものはおおよそどのくらいあるものでしょうか。
  12. 小沼勇

    小沼政府委員 むつ小川原地域におきます農業関係投資といたしましては、土地改良事業のほか、施設、機械、家畜等導入事業も行なわれてきております。このうち工業地区、新市街地地区として線引きされました区域に直接関連すると考えられますところの投資額は、青森県がまとめた資料によりますと、十億円弱でございまして、これに対しまして国の補助金支出は約五億三千万円ということになっております。また公庫資金その他の制度資金融資残高は、同じく青森県の調査におきましてでございますが、本年五月末現在で約一億九千万円ということになっております。線引きされた地域内におきます事業投資の内訳といたしましては、工業用の地内では土地改良関係が一番多うございますが、そのほか開拓関係農産関係畜産関係、畑作、園芸関係等いろいろの種類にわたっております。また新市街地用地内でも畜産関係開拓関係等があるわけでございます。
  13. 米内山義一郎

    米内山委員 この地域開拓の歴史というものはきわめて若いのでありまして、まだ竣工検査も済まないような開墾地買い占め対象になっているわけでありまして、しかもほとんど大部分国有林野所属がえによって売り渡しをされた土地なんです。こういうものが国民税金開発され、農業成果がいまだ上がらないうちに大資本買い占めにあうということは、われわれは何としても納得いかない点があるわけです。こういうふうな国の財産所属がえされ、国民税金開拓された土地が、こういうふうなきわめて簡単なことで大企業の手で、しかもこの場合、五千ヘクタールという広大な地域資本の手に安々と落ちるということは、社会正義の上からも納得できない点があるわけです。  そこで、ここに投資された補助金国民税金適正化法によりましてもまだ耐用年限が済まない若いものがたくさんある。国の補助金適正化法に照らして、こういう利益一体国に返すべきものか、資本がそのままこの利益を受け取っていいものかどうか、この点の法律上あるいは実際行政上の問題としての御見解を承っておきたい。
  14. 小沼勇

    小沼政府委員 一般に土地改良事業その他の農業投資につきましては、国の補助が行なわれた地域におきましては、工業開発等に伴いまして補助対象農業以外の目的転用された場合には、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律——適化法などによりまして、その補助金を国に返還されるたてまえになっております。この適用の時点が四十四年度以降に着手したものについて適用しておりますので、それ以前については土地改良事業については転換を義務づけておりませんけれども、実際にはケース・バイ・ケースでございますけれども、自主的に返還をするという場合がかなりございます。むつ小川原地域におきます過去の農業投資につきまして、補助金返還措置等をどういうふうに講じていくかということは、いま御指摘のように、問題でございますけれども、農業投資種類、時期、転用態様等によりまして、やはり個別、具体的に検討することが必要でございます。そういうことでございますので、現在青森県におきまして、農業投資実態をさらに詳しく調査中でございまして、その結果を待って検討しなければならない、かように考えております。  なお、御承知のとおり、四十四年度以降適用になっております制度では、基盤整備事業は、完了後八年以内に転用する場合には、補助金返還を要する、そういう仕組みになっております。それから、草地開発事業ですと、これは三十七年度以降の着工地区については、完了後六年以内の転用の場合には返還をしなければならない、かように義務づけております。  なお、いろいろ施設等ございますが、これらにつきましては、補助金適化法によりまして、財産処分については承認を要することになっておりますので、その際に返還をする、あるいは処分の際に残存価値を適当に評価して措置する等の、個別に措置をすることになっているわけでございます。
  15. 米内山義一郎

    米内山委員 いまの御答弁の中で、四十四年に着工したもの以降は返還させるという、その四十四年に線引きするという何かの根拠がありますか。  それから、六年ないし八年の期限を経ないものは返還を必要とするというが、およそ返還されなければならない補助金の総額はどのくらいになるとお考えですか。見積っておりますか。
  16. 小沼勇

    小沼政府委員 従来の基盤整備等につきましては、四十四年まではそういう規定がはっきりとしておらなかったわけでございますが、それが四十四年から制度としてはっきりきめたということでございます。それで、それ以後、基盤整備ですと、新規着工地区完了後八年以内に転用する場合ということがきめられたわけでございます。
  17. 米内山義一郎

    米内山委員 そこで、この開発の現状から見まして、いま売買されている土地が本転用許可になる条件というのは、一体どういう条件が整えば許可になるのか。およそそういう条件が整う時期は何年あとだとお考えになっていますか。
  18. 小沼勇

    小沼政府委員 むつ小川原開発関係の全体の計画の中で、さらに地区別に具体的な計画が整いまして、それに基づいて転用申請が出てくるわけでございます。その具体的な計画では、たとえばその中の工事がどういう建物、施設があり、どういうふうにそれが位置づけされ、また周辺との関係がどうなるか、またたとえば水の使用がどうなるとか、あるいは周辺に対する影響、いろいろの面がございます。そういうことが具体的に判断されるような計画が出されて、それに基づいて転用審査をするわけでございます。その時期については、地域によっておそらくいろいろであろうと思いますが、おおよそその具体的な計画地域ごとに立てられるという段階に至って転用申請がなされるものだろうと考えております。
  19. 米内山義一郎

    米内山委員 この開発は、御承知のとおり、石油精製二百万バーレル、四日市の約五、六倍、こういう大規模のものであり、石油化学エチレンベースで年四百万、火力発電一千万キロワットという非常に巨大な工業を立地させよう、そのために五千五百ヘクタールの用地を取得しようということで出発しているわけであります。  私どもは、そんなばかでかい石油コンビナートなどはできようとも考えていない。またそれと別個な問題として、この開発は、周辺にある米軍に提供している射爆撃場の撤去のない限り不可能なんです。というのは、これは海に向かって非常に広い地域にわたる危険区域を設定されている。したがって、物を搬入するにも搬出するにも、港をつくることは、この一点だけでも不可能なんです。しかもこの関係は、国際条約に基づいて米軍に提供されている特殊な場所なんです。これの見通しがつかない限り、これは一切がゼロなわけです。  さらに、その問題が片づいたとしても、膨大な工業用水を必要とする。そうすると、その工業用水取水源小川原湖に求める以外に道がない。小川原湖というのは、貯水量は多いけれども、流入量のきわめて少ない湖であります。したがって、相当の水を貯水しなければならない、いわゆるダムアップによらなければならない。ある時期には平水よりも低下させなければ、これは工業用水源としては不可能な自然条件を持っている。これをやるとすると、周辺水田に影響する。沼の周辺の低い、標高一メートル前後の水田は二千ヘクタールもあるのです。これがことごとく自然排水が不可能になって干拓地のような状態になる。その他、住民生活環境にも同じような変化が起きますが、こういうふうな関係の完全な同意を得ない限り、この開発は一歩も前進しないという条件がある。  この工業開発が進む反面に、線引き内の売れる土地はどうあろうとも、残った地域農業環境が破壊されるということを無視して、許可する条件が生まれてくるものでありましょうか。私はそういうことはあり得ないと確信するのだが、農林省の御見解はいかがですか。
  20. 小沼勇

    小沼政府委員 確かにたいへん重要な問題でございますので、これにつきましては、先般むつ小川原総合開発会議を各省でもっておりますが、そこで取りきめましたことによりまして、上水、農業用水などの需給について、既存農業水利あるいは内水面の漁業等について総合調整を行なうということをいっております。また工業用水については回収利用率の向上をはかるということで、水の利用合理化をするということでございます。そういうことを約束をしておりますが、いずれにしましても、周辺農業につきましても水利問題については十分調整をはかり、また合理化をしていかなければならない、かように考えている次第でございます。
  21. 米内山義一郎

    米内山委員 まあその問題は、本申請をし、許可をする段階の問題でありますが、いま新たな問題が出てきた。この地域には、地域が広いだけに百ヘクタールあまりの防風林あるいは農道、水源涵養林等があるわけです。これは所属がえのときの書類やあるいは開拓計画を立てるときの書類から見ますと、明らかにそういう名目で所属がえになっている、計画が立っております。ところが、こういう水源涵養林から、道路から、防風林に至るまで、この第三セクター買い占めにかかっている。なぜ開拓計画を立てるときに防風林を残したかというと、自然環境、自然の条件から見て、防風林がなければ、夏は風のために、冬はふぶきのために生活することさえむずかしい条件があるから防風林を残した。道路もまた当然のことです。それから、水源涵養林の七十数ヘクタールというものは、ここは奥深い山地じゃないわけでして、少しばかりの沢地森林がこの下流水源涵養林の役目を果たしておるのです。これらを国が開拓に付帯した水源涵養林ないしは防風林として所属がえをしたものだ。ところが、その後、事務の怠慢かしらないが、この水源涵養林はただの山林のままだ、道路原野のままだ。地目は山林原野だから買ってもいいんだということで、この第三セクターはこれの買い占めを進めておる。そうすると、当然これだけでも下流の水の関係被害が生じることは明白なんです。一体森林法というものはどういう目的のために国会で制定されているのか。あなた方はこういうものを手放しどころか助成している、こういうものに助太刀しているのです。なれ合い、ぐるだと私は考えてもいいと思う。こういうものに対して農林省はどういう態度で農業保全のための政策を進めるのですか、この点をはっきりとお答え願いたい。
  22. 小沼勇

    小沼政府委員 お答え申し上げます。  農地法団体に売り渡した防風林とかあるいは水源涵養林道路などは、申すまでもなく、共同利用地として利用することが最も適当であるというふうに認めたものでございまして、そういう意味で、個人に売り渡すよりも、団体に売り渡すのが適当であるということで認めて売り渡してきたものでございますが、おそらく御指摘地域は、北部上北開拓農協地域の問題であろうというふうに思われるものですが、むつ小川原開発株式会社に売却することを総会で議決したというふうに伺っているのです。そうしますと、全部が離農をすれば問題はないわけですが、残留開拓者がある場合には、やはりその営農支障を来たすということが出てまいりますので、この点は確かに問題でございます。ただ、その実態はどういうふうになっているか、私どもまだ十分承知をしておりませんので、詳細に調査いたしまして、残留開拓者営農支障を来たさないように、県、開拓者等指導を十分してまいりたいというふうに考えております。
  23. 米内山義一郎

    米内山委員 この問題は実はたいへんな問題です。こういうことを野方図にやられると、土地は売らない、わしはここで営農するんだという人までが、そこで生きていくことさえむずかしくなる。人権上の問題まで起きてくることは当然なんです。これを強行されると、売りたくなくても売って出ざるを得ない状態が出てくる。反面から考えると、こういうゴリ押しのやり方で住民を追い出し、そうして土地買い占めというような非常に露骨な、侵略的な、かつて満州満州拓殖公社などがやったと同じような仕組みが現在現地で行なわれているのです。これをあなた方は、実態を見ないで、法律はこうだからというようなことでは、これは農業政策農地政策じゃないと私は思う。私はここで生まれてここに育っているから、実情はよく知っていますけれども、こういう深刻な世にもまれなる開発土地買い占めに、あなた方は、私から見れば、手をかしている、ぐるになっている、結託していると思われるようなことをやっているわけでして、これは重大な誤りだと思うし、今後あらゆる開発を進める場合に重大な政治課題であると私は思います。ですから、この問題については、農林省も口で言うならばそのとおり行なってもらいたい。私はそのことをいま要望しておきたいと思います。  そこで、この水源涵養林のようなものを工業開発側が買ったって、何の役に立つのだ。畑にもならないような沢地だから、水源涵養林として所属がえし、売り渡ししてしまったものです。一体工業開発にこんなの買う必要はあるのか。買ってもいいが——買ってもいいがじゃないが、それによって下流農業被害が起きることが明白なのに、こういうようなものにまで買い占めをかける意図というものは、一体あなた方は何だと思う。
  24. 小沼勇

    小沼政府委員 御指摘現地の事情が十分わかっていませんので、先ほどもお答え申しましたように、十分調査いたしまして、もし残留開拓者がおりまして、その営農支障を来たすというふうなことがあってはなりませんので、その点については県、開拓者、またこの相手の県の公社あるいは株式会社とも十分相談をさせまして、支障のないように指導をいたしたい、かように考えております。
  25. 米内山義一郎

    米内山委員 これは実はこの開発の持つ非常に凶暴、悪らつなメカニズムなんです。百ヘクタールの土地を買うことによって、そこで営農しようとする人とやめようとする人の間に違いが出る。やめて金だけ持っていこうとする人の気持ちを買うのだ。そうして残ろうとする人には攻撃を加える。さらに、水源涵養林買い占めることによって下流既存部落営農を困難にする。村におりたくてもおれない条件をつくろうとする悪意に出てきたと私どもは考えておる。これに対しては重ねて質問をしますが、その前に農林省が直接調査して、次の機会に御答弁を願いたい。私はそのことを要望しておきます。  さらに、これと同じようなことが行なわれておる。この六ケ所村の十キロほど北に東北電力と東京電力がそれぞれ一千万キロワット、合計二千万キロワットという巨大な原子力発電の基地をつくろう、こういうことで、青森県が代行して約一千ヘクタールの土地を九〇%まで買収完了しておる。その中にもこのむつ小川原と同じような国有地を所属がえした開拓地があった。これはどういう手続によって、いつ、どういう申請者でどういう申請書——申請書には計画書があるはずです。何をいつ着工して、どれだけのものがいつできるかというのがなければ、本転用が認められないはずなんだが、その申請の内容に、両社がそれぞれ一千万キロの原子力発電所をつくると書いてあったかどうかをお尋ねしたい。
  26. 小沼勇

    小沼政府委員 東京電力と東北電力でございますが、これは東通村におきます原子力発電所の建設の用地の問題と思いますが、事前審査の申し出が四十六年の二月二十六日にございまして、それからずっと審査をし、許可になりましたのは四十六年の十二月の二十四日ということになっております。その中に農地があるわけでございますが、いま御質問の計画といたしましては、私どもの聞いておりますのは、百万キロのものを三社で十基つくるということで、一千万キロワットというふうに承知しております。
  27. 米内山義一郎

    米内山委員 これは農林省の所管外のことかもしれないが、ああいう地点にかりに百万キロの原子炉を十基つくればどうなるかというくらいのことを、あなた方は許可するときに判断の材料にしませんでしたか。しかも表向きは二千万キロというふれ込みで買収に着手したんだ。住民から見ると、これは一種の詐欺行為なんだ。常識じゃないのです。百万キロの炉を十つくる、それでもひどい。それに対して計画が適正だ、妥当だという判断を下したとすれば、いかに農林省工業的な原子力の常識がない役所だとしても、これはたいへんなことだと思うのです。だから、あなた方の大企業土地買い占めと完全になれ合いの状態がいま始まったものではなく、ああいう時点から明瞭だったという裏づけだと思う。これは私ら住民から見ると、詐欺だ、だまして人の土地を買った詐欺行為に対して農林省が裏づけをしたと判断せざるを得ないが、この点についてどうお考えですか。
  28. 小沼勇

    小沼政府委員 ちょっと訂正さしていただきますが、百万キロを十基一社でつくることでございますので、二社では二千万キロワットということになるわけでございます。  それから原子力関係でございますので、当然科学技術庁、通産省で専門的な見地から検討をして長期の開発計画も立てて、その線に沿って進めていることと思いますが、そういう点については十分連絡をとって、立地についての調整をしたものというふうに解釈しております。
  29. 米内山義一郎

    米内山委員 念のために最後に一問だけ質問して、あとはまたあとに残すことにしますが、その申請書の中に、計画の着手の時期をいつと書き、完了の目標年次をいつと書いてあるかだけをお聞きしたい。
  30. 小沼勇

    小沼政府委員 調査工事は四十七年から五十年、安全審査準備工事が五十年から五十一年、本工事を五十二年から五十七年、運転開始を五十七年、これが一号機でございまして、二号機以降はそれに引き続いてやるように考えられます。
  31. 米内山義一郎

    米内山委員 終わります。
  32. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 竹内猛君。
  33. 竹内猛

    竹内(猛)委員 きょうは飼料の問題について質問をしたいと思います。  上半期のえさの問題について緊急的な対策として、本委員会でも特に古々米の緊急払い下げの特別立法など、あるいは手持ち飼料の払い下げというようなことやら、いろいろな手を打ってきたわけでありますけれども、最近の状況からいえば、アメリカの大豆も統制というものも起こり、それからペルーにも問題が起こっておるし、それから中国、ソ連の買い付けが強化され、各地でいろいろな異変が起こっております。そういう中で、再び飼料の中に問題が生じてきたというふうに私どもは理解をするし、もうすでに九州をはじめ各地区で畜産の大会があって、その中でえさの再度の値上げに対してはどうしても承知できない、こういう動きがあります。そういう中で畜産物に対する需要というのはますます多いし、それに対する濃厚飼料の比率というのは特に外国から八三%も輸入しておって、その中でアメリカに依存する部分が多く、まさにアメリカに従属するような状態で日本の畜産が今日やられてきた。海外依存、特にアメリカ従属の形でやられてきたというところに問題があると思うのです。  そこで、その中で第一の問題は、えさの不足の危険というものが非常に強くなっているし、それから畜産の公害というものが出てきている。それに続いて大企業のインテグレーションの問題が農民を支配している、この三つの矛盾というものをはらみながら今日畜産が進められているけれども、特に言いたいことは、農家が畜産をやる場合に、えさの価格というものとつくり出した畜産物の価格というものが均衡していない。要するに、えさの価格はえさの価格でこれまた海外の状況によってきまってくるし、つくったところの畜産物はこれまたそれとは無関係の形で、関係がないとは言わないけれども、きまるような状態にある。こういう矛盾を何とかして解決しなければならないということからいたしまして、最近の異常なるえさ及びこれを取り巻く状況について農林省としては再度緊急に対策を立てて、これに対して、対応しているとは思うけれども、どのように状況を把握しているのか、そして現在のこの状況というものは一時的な現象であって回復できるものなのか、それともかなり長期的な構造的なものであるのかというような、その点についての基本的な考え方について、どうしてもここでは問わなければならないように考えるわけですが、その辺いかがでしょうか。
  34. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 全般的な御質問のようでございますので、全般的にお答え申し上げたい、こう思うのでございます。  特に昨今の国際需給と国内需給についての見通しが甘いのではないか、あるいは食い違いそのものがあるのではないかという御指摘と同時に、それに対する全般的な見通しについて返答せよ、こういうことでございますが、まず、飼料の問題につきましては、米国におきましてのトウモロコシ、コウリャン等の一九七二年度、七三年度における需給は、七二年秋のトウモロコシやコウリャンの生産が豊作ではあったのでございますけれども、ソ連、中国等の飼料穀物の大量買い付けというものが急遽出てまいりましたために、かなりタイトである状況は上半期の見通しと同様であるとお答え申し上げられると思います。特に米国におきます輸出需要につきましては非常に堅調である旨を、米国農務省筋においても、これは特に言明しておるわけでございまして、先生も御承知おきかと存じます。  なお、今後の見通しと関連する一九七三年度における生産見通しは前年を八%上回る約一億五千万トン、六十億ブッシェルと発表されております。これは五月十五日付で発表されておりますが、七月十一日に予定されております米国農務省の最新の本年作付面積に関する発表に注目しておるところでございます。  また第二の問題点といたしまして、カナダの飼料穀物は大麦そのものが主体であるわけですが、カナダの大麦は、一九七二年産が他作物への転換による作付面積減がありましたが、輸出は比較的順調に行なわれていると言ってよいかと思います。  さらにまた第三の点といたしましても、昨年飼料穀物の国際需給に大きな影響を及ぼしましたところのソ連、中国等の買い付け、これは大量買い付けでございますが、本年は前年の二分の一程度、こう見る向きが多いのでございます。  また第四の問題点になろうかと思いますが、先生から御指摘の飼料需給につきましては、トウモロコシ、コウリャンは、すでに本年度の使用分はおおむね輸入契約を終了しておる。これは完了しておると言ってもよろしいと思いますが、輸送上障害がない限りにおきましては当面の需給には支障がないものと考えております。  また、なお御指摘の今後の需給という問題につきましては、米国の輸出規制の今後の推移、本年新穀の作況見通しなどを含めまして予測しがたい事項が多いと思いますので、なおしばらく事態の推移を見守る必要があるのではないかという態度に私どもは立っておるわけでございます。
  35. 竹内猛

    竹内(猛)委員 昨年十月に農林省が農畜産物の長期見通しを発表して、私も本委員会でかなり鋭くいろいろと追及をしたわけです。その後農政審議会にかけて討議をしておられるようですが、いずれにしても五十七年度を目標にした食料の需給見通しの中で、特に畜産物に関する見通し、これは二倍に高めていくというようなことでありますけれども、これに対する飼料の手当てというものが必ずしもそれに見合った形で——畜産はどんどんやれというけれども、えさの供給のほうは必ずしもこれに見合った形での手当てがされていないように思うのです。この五十七年度の展望と、そしてえさの需給、生産及びこれを一定の価格で畜産農家に供給するというその手当てについてはうまくいっているのかいってないのか、私はかなり猛っている、こういうように理解をするのですが、農林省のほうはどういうものでしょう。
  36. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、御指摘の「農産物需給の展望と生産目標の試案」、現在農政審議会において検討しております。畜産部門についての家畜頭羽数の増大と飼料の需要量の増大との関係について十分な検証をしてあるかどうかというお話でございますが、一々頭数の増等は申し上げませんが、乳用牛、肉用牛、豚、採卵鶏、ブロイラー等につきまして、それぞれの需要増大に応じた畜産物の供給、これに対応する頭羽数の増大を予想しておるわけでございますが、お話のとおり、全体の頭数は相当大規模なものでございます。このように増大が予想されます家畜飼養頭数に対応した五十七年度におきます飼料の需要量は、先般の試案においても明らかにしてございますように、TDN換算、可消化養分総量換算で三千五百七十四万トン程度になっておるわけでございます。これは大家畜を主といたします粗飼料の供給と濃厚飼料の供給と二つの部門に分かれることは先生も十分御案内のとおりでございますが、粗飼料につきましては、飼料作物の面積の拡大なりあるいは土地改良長期計画に基づきます草地改良面積の拡大ということによりまして良質粗飼料の供給を高めていくということで、増大する家畜の自給飼料に対する必要量を充足しておるという考えで、一応斉合性を持っておるというふうに考えております。その数字は大体TDN換算で一千万トンを若干こえるというような数字に相なっておるわけであります。  次に、問題はむしろ先生御指摘の濃厚飼料の供給でございますが、TDN換算で四十五年度の八五・六%増、数量といたしまして二千五百万トンをこえるわけでございます。この点につきましては、しばしば当委員会においても申し上げておりますように、濃厚飼料作物のトウモロコシ、マイロ、麦類等につきましては、内外生産性の格差とかあるいは労働力事情というようなことで、最近のトレンドを見ますとなかなか伸びがたいという点から、輸入依存率が高まるというような見通しのもとに一応の推計をしたわけでございます。  この際、先ほど先生御指摘ございましたように、世界的な飼料需給の今後の問題と海外依存との関係についてどう考えるかというような問題があるかと思いますが、先ほどお話がございました今回の、昨年からことしないし来年にかける国際的な穀物原料の需給が一時的なものかあるいは構造的要因によるものかという点については、気象学その他各般の問題を判断の上で断定を下すべき問題かと思いますが、試案の段階におきましては、一応主食及び飼料穀物につきましては、各種の国際機関等の見通しも相当供給余力があるという数字に基づきまして、国内の濃厚飼料の海外依存についても一応可能であるというふうな判断をとって、ただいま申し上げましたような濃厚飼料についての考え方を整理したわけでございます。  これについては昨今の情勢から種々御議論のあるところでございまして、たとえ構造的には長期で需給が可能であっても、短期の問題にしても諸般の撹乱要因が多々あるわけでございまして、この点、国内の濃厚飼料源の作付の供給確保の問題ということについては、別途本格的な検討をすべきであるというふうに考えておるわけでございます。
  37. 竹内猛

    竹内(猛)委員 農業基本法をつくるときに、私どもはあの農業基本法に賛成をしなかった。どうもあれでは将来問題を持つものだということで、これに対しては対案を立ててきたわけですけれども、今日、その農業基本法で実際実施している中で、選択的拡大としてこの畜産が進められてきた。そして畜産の農家は構造改善事業の中でかなり大規模な仕事をするようになってきている。それは金を借り、施設をつくりしてかなり大きな仕事になっているわけですが、これがえさの需給の関係からいって、いま必ずしも前向きになっていると思えない。かなり減っている。牛を飼う農家も養鶏も養豚も後退をしているという形だと思うのです。そういう中で農家の人たちは——まあ政府の場合、大臣は一年ぐらいたてばかわるし、指導する役所の責任者も三年ぐらいたてばかわってしまって、結局かわらないのは農民だけだ。施設をつくり借金をした農民は逃げるわけにはいかない。金は返さないわけにはいかない。こういうことで農政というものに対して非常に不信と危機感を持っている。これは事実だと思うのです。政府もすすめ、それから農家もやる気になっているこの畜産というものを安定的に発展させるためには、どうしてもいまのえさの問題についてほんとうにしっかりした手当てをしなければならないので、いま農林省が握っている資料なり見通しという形で、これから大きく値上げをしなくてもよろしい、こういうような確答はできますか。
  38. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  三月までの全農ベースで申し上げますと八千円程度の値上げでございまして、さらに四月に四千円の工場建て値の値上げがあるということで、各種の緊急措置をとりまして値上げを抑制して、七月末までその抑制の効果を発揮することができるわけでございますが、さらに御案内と思いますが、全農におきましても八月の値上げは見送るということに相なっております。  今後九月以降の問題でございますが、これにつきましては、先ほども政務次官から御答弁申し上げました新穀の来年度の新しい価格水準がどういう推移をするかということとか、あるいは今回の大豆かすその他の規制問題等が輸出価格等にどう響くかとか、量の確保はどうかとかいうような諸般の情勢を見まして判断を下すべきだと思うわけでございます。  われわれも事を単に見ているわけではないわけでございまして、実は全農その他関係のメーカーから、コストアップの要因についてそれぞれ原料手当てからその価格等について現在聴取中でございまして、これらのものについて早急に資料を整備し、判断をいたしたいというのが現段階の偽らざる事実でございます。
  39. 竹内猛

    竹内(猛)委員 えさの問題については、外国の契約、国内における生産、この二つが相まって供給されてくるわけですけれども、その場合に、かりにたとえばトン当たり一万二千円、三〇%の値上げをした場合には、いままでの計算からすると経営農家に与える影響は非常に大きい。それで三十五年ごろから四十五年までの平均の値上がりを計算してみた場合に、値上げの利益率というものは、酪農で〇・九%、養豚で六・六、養鶏が八・六というような赤字すれすれの状態になり、それでさらに養鶏では二二%、ブロイラーでは一九%、牛乳一三%、養豚のほうは一八、牛肉で一一というような上昇をしなければならない。平均して一六・五から一七%ぐらいの値上げをしなければならない。もしそういうことになったらこういうような状態になると思うのです。  そこで、現在畜産物の総生産というものは一兆一千三百五十億円ぐらいあるが、この場合に値上げの欠損というものを考えると一千八百七十二億ぐらいの欠損をする。その欠損を、いままでは農家が犠牲になって負担をしてきた、あるいはまた消費者が負担をする、もう一つは財政で負担をするという三つの方法があるけれども、いままでは主として生産農家が負担をしてきたわけです。これからは生産農家の犠牲によらない方法でカバーすることができるのかどうかということが第一点。  それから第二点の問題は、昨日中央酪農会議会議をやって、そうして市乳の価格に対して十五円の値上げの要求をすることを決定をして、すでに交渉に入っています。市乳が上がるということになるというと、先般きめた加工原料乳の価格も引き上げなければならないという形になってくる。先般三円三銭をきめるのにあれだけ時間をかけて、この委員会でもかなり議論をした経過がありますが、えさがもし値上げになった場合においての負担——値上げにならなければ一番いいわけですけれども、そういうようなことについてどのように考えて手当てをされるかという点を、くどいようだけれども、お伺いをしたいと思うのです。
  40. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 先生の御質疑は、農産物価格と飼料価格の関係、それから、農家負担への一方的なひずみ是正等については深甚の配慮を払うべきであるというお話かと思うわけでございますが、これにつきましては、御案内のとおり、この春のえさの最近十年間で最低の水準から八千円以上の値上げをしたということに伴う急激な衝撃につきましては、各種の緊急対策、最も徹底した過剰米の安売り等を含めまして、対策を行ないまして、その衝撃を緩和したわけでございます。農産物価格につきましても、この点については、その見方その他について種々御議論があることは承知しておりますが、保証価格なり、あるいは豚肉につきましては基準価格、安定上位価格の算定におきまして、値上がり分の畜産物価格への吸収という点について配慮したわけでございます。  なお、その点については、おくれておりました卵価につきましても、自主的な生産者団体、国がてこ入れしております卵価安定基金につきましても、先般これを十円くらいの水準を上げまして、卵価につきましても配慮いたしたわけでございます。  したがいまして、基本的には、えさと畜産物価格との関係についての考え方といたしましては、合理的に畜産物価格に吸収をしていくというような基本的な配慮で諸般の考え方をすべきかと思うわけでございますが、具体的に先生がおっしゃいました、たとえば中央酪農会議の飲用乳価格の十五円決定とかあるいは保証価格の改定とかという点につきましては、たとえば十五円の根拠は、これについては単にえさだけの要因ではなくて、あるいは副産物収入としての老廃牛なりあるいは子牛価格というようなものとか、全体の生産物の経営採算がどうなっているとか、これは保証価格についても同様でございますが、そういうものを十分見きわめまして考えなくちゃならないということでございます。  それから、実は申しわけないのでございますが、一万二千円というのがある方面でいろいろ言われておりますが、われわれとしてもそのような具体的な数字があるかどうかということを関係方面にいろいろ尋ねたわけでございますが、これは最も高いシカゴ相場を前提として配合飼料価格に算定した一つの計算であるというようにも承知しておりますので、われわれとしては、値上げ是認ムードをできるだけ押えて、現在慎重に対処してまいりたいというように考えております。
  41. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでは、もう一度念のためにあれするのですけれども、現在の農林省の立場からして、えさの値上げをしないでこの事態の下半期を乗り切れるという確信がある、こういうふうに理解してよろしいですか。
  42. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 先ほどの政務次官の御答弁にもございましたし、私もるる申し上げましたように、新穀その他米国等における供給力の問題から、この十月から来年の九月までの需給なり価格水準が見通せるというような問題なり、あるいは九月以降の具体的な問題といたしましては、四月以降各メーカーが手当てした、海外から入手した調達価格というようなもの、それがいかなる関係にあるかというようなものについて、十分内容を見ました上でその判断をしなければならないということでございまして、新穀等の需給なり価格関係の見通しは、先ほど政務次官もお話しのように十一月から一月ごとに行なわれます米国農務省等の発表とかそのほか各般のデータを見て判断しなければならないというように考えているわけでございます。
  43. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それではもう一つ、今度は食肉の問題に関して質問をします。  肉が国内の生産だけでは足りない。特に最近動物性のたん白というものが、魚の問題からいって、PCBなんということで、だんだんおかしくなって遠慮するようになってきた。そういう中で肉にあるいは畜産のほうに非常にウエートがかかってくるわけですが、そのときに一体日本の食肉というものはどういうような需給状態にあるのか。  先般、私は中国の肉の輸入の問題について質問したけれども、どうもまだ中身が整理されていないように思いますけれども、中国の問題はさておいて、その他の国々からの肉の輸入状況、日本の消費状況の中で、これが値段を著しく上げたり下げたりしないでうまくやっていけるかどうか、これもやはりえさとの関係でどうなっているかということについてお答えをいただきたいと思います。
  44. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お話しのとおり、食肉需要は、所得水準の上昇なり消費の多様化ということから、今後十年につきましてもあるいは当面の数年におきましても相当大きな伸び率を示す、それでこれに対する対応をどうするかというような問題からいろいろな御指摘かと思うわけでございますが、四十七年の数字から振り返りますと、食肉全体消費の約四割は豚肉でございまして、あと約三割強が鶏肉、それから二〇%弱、一七、八%が牛肉であるというような消費の形態をとっておりますが、それらの輸入状況と申しますか、需給の国内生産及び海外輸入の関係を見ますと、実績の出ました四十七年の数字では、牛肉につきましては八三・七%の自給率、豚肉につきましては九一・九%、それから鶏肉につきましては九五・六%というような関係になっています。そのほか馬肉とかマトン等ございますが、これは加工原料用のものというふうに御理解願いたいと思うわけでございます。これらの輸入先等につきましては一々申し上げませんが、基本的には、長期試案でも明らかにいたしましたように、最大限の国内生産でこの需要に対応していくという方針で各般の施策を進めるというのが基本的態度でございます。
  45. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでは、いまの答弁の中から、えさのいまの危険な状況というものを前提にして見た場合に、生産農家のほうの収入も、それから肉を中心とする消費者へのはね返りの心配もあまりない、こういうぐあいに理解をしてよろしいですか。
  46. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  やや当面の需給関係を申し上げますが、まず主要な肉類について申し上げます。  牛肉につきましては、先生御案内のとおり、消費者のサイドから見ればやや高い水準でございますが、昨年の秋まで安定的に推移してまいりましたが、需要の増大ということから昨年の秋から卸売り価格等が非常に上昇してまいったわけでございます。これに対しては、四十七年の下期における緊急輸入及び上期における前年上期の三倍程度に輸入牛肉の割り当て量を畜産振興事業団を通じてふやすというようなことから需要の増大に対応していくというわけでございますが、現在の価格水準としては、これは過去二年等の水準に比べますと相当に高い水準にあるということから、この点についてえさ高その他の問題についても、牛の肥育を行なっている繁殖農家もある程度吸収をしているというふうに判断しているわけでございます。  それから豚肉につきましても、御案内のとおり、安定上位価格を最近においては相当大幅に越えておるわけでございまして、これについては加工用の冷凍豚肉を入れましてハム、ソーセージ等に対する需要に充当し、一般消費者のなま肉の需要に対する悪影響を防止するというような関係でございまして、えさ高に伴う製品安と申しますか畜産物安は、この点については必ずしもそう大きな問題になっているというふうには考えないわけでございます。  なお、卵価等につきましても、卵価、ブロイラー等が価格関係ではえさとの関係で一番配慮しなければならない問題でございますが、前年水準を一割以上現在の水準では越えておりますので、過剰生産の抑制への十分な配慮をしながら、この点についてもえさ高との関係について対応できるように考えていかなければならないというふうに存じておる次第でございます。
  47. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこで、なおえさの問題で、当面の方針と、それからやや恒久的な問題について、私の意見を含めた一つの提案をしたい、質問をしたいと思うのです。  まず最初に、当面の問題としてやはり私どもは各地の農民の心配というものはかなり大きなものがある、こういうふうに思っています。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 ですから、下半期において、上半期にとったようなああいう政府の手持ち飼料等々をさらに出していくというようなこと、あるいは安定基金にも金をつぎ込んだし、利子補給もしたりして相当これにも手当てをしたわけだけれども、さらにこの安定基金などに対して補給をして拡充をするというような形で、念には念を入れるという形で値上がりを予防し、飼料の需給の安定をさらに確保するというようなこと、あるいはまた輸入飼料というようなものを備蓄するという形で、各農家なり団体がこれに対してサイロをつくったりあるいはそういうものを保管する施設をつくる場合に助成をする、指導する、こういうような考え方について、農林省としてはどのようなお答えをしていただけるか、どういう考え方を持っているか。
  48. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  第一点は、えさの値上がりが不可避の場合にそれに対する対策として、上半期にとったような過剰米なり政府操作麦類なりの放出と、あるいは価格安定基金に対する一そうのてこ入れというような問題についてどう考えるかというようなお話でございますが、私どもといたしましては、単に問題を回避し当面をしのぐという意味だけでなくて、むしろ今度の、先ほど先生の御質問にもお答え申し上げましたような、九月以降の実際の配合飼料が不可避の要因で上がらざるを得ないかどうか、あるいはその幅はどうかというようなものについて十分見きわめた上で適切な対策をとるべきであるというふうに考えております。  なお、付言さしていただきますと、過剰米につきましては、えさ用の放出は上期のあの安売り放出ですでに全量を出しておるということでございますし、また実は麦類につきましては、これは単体用が大部分でございまして、一時的な需給の緩和、需給には御心配をかけない向きでとった措置でございますけれども、値上げが問題になります配合飼料価格そのものの値上げに対する抑制要因としては、財政負担との関係だけを言うわけではございませんが、非常に効率が悪いというような問題も実はあるわけでございますが、いずれにいたしましても、全体のその上がることが不可避であるというような場合における値上げ幅その他の事情との関係等を十分見きわめて考えていかなければならぬというわけでございます。  それで、やや饒舌にわたって恐縮でございますが、そのえさの上昇が合理的に畜産物の価格に吸収のできる範囲かどうかというような点については、実はこれはアメリカの例を引いて恐縮でございますが、アメリカでも畜産農家が使っている飼料穀物が二倍以上に上がっている。イギリスにおいても同様であるというような各種の情報をわれわれは承知しております。したがいまして、国際規模の需給の結果、えさの価格が高水準になった場合において、財政その他でどの程度までこれを抑制すべきかという点については、いろいろ今回の幅の推移を見きわめた上で検討しなければいかぬというふうに考えております。  最後に、サイロ、備蓄問題でございますが、かりにこの最近の情勢が一時的な国際的な需給の撹乱であるにしても、構造上長期的には安定しているとしても、一時的の要因の撹乱は常にあり得るわけでございますし、また港湾ストとか海運ストとかいろいろな要因もございますので、備蓄につきましては、本委員会においても大臣からもしばしばお答え申し上げましたように、前向きに検討する、しかも具体的にその内容を検討するという場合に、先生御指摘の備蓄という、通常の在庫量以上保管する場合におきますサイロその他の能力が現在では非常に乏しいという点から、この備蓄用のサイロについては、最も有効なこれについての施設の拡大についてどう考えるかという点については、現在われわれといたしましても本格的に検討中でございます。
  49. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ぜひこの備蓄ということについて、当面はあとで提起する長期的な問題が処理できるまでの間というか、かりにできたとしても、どうしても輸入しなければならない事情にあるのだから、備蓄の施設というものについては格段の手当てをしてほしいということですね。これを要請します。  そこでもう一つ、これは園芸局長になると思うのですが、先般麦のことについて討議をしたときに、だんだん麦の作付が減ってきて、まさに麦はもう日本からなくなってしまうのではないかというくらいの心配をしてここで議論した。ところが、実際麦をつくってかなりうまくやっておるところが各地にある。試験場の報告などにも出てきておる。そこで、いま全国のゴルフ場の面積、計画面積、実施面積等々を合わせたくらいの面積しか麦をつくっておらない。十四万町歩くらいしか麦をつくっていない現状です。実にりょうりょうたるものだ。この麦を何とかしてひとつ復活して、そして作付奨励金などというものを要求しておるように出して、もっと麦を国内で生産をしていく。そのことは、米と麦との関係あるいは麦の取り入れの時期の関係、それはいろいろあります。あるけれども、それらも考慮して考える。と同時に、畜産の公害というものをどうしても土に返していく。そして土壌をよくしていくという意味においても、やはり麦というものは今後えさの立場からも大事なわけだから、麦に対する今後の方針というものについて、場当たりではなくて、やや長期的にこれを示してもらいたいということと、それから大豆の問題についても、これはうちの島田委員からあとから質問があるかもしれませんし、以前から非常に強調しておることでありまして、大豆はやはり人間の食料としてもあるいはまたその他としても大事だから、大豆の問題の今後の発展をどうするかというような点をぜひここで討議をしておかねばならない問題だと思います。  それで、これについての研究会なんか持たれておるわけだけれども、内部だけの研究じゃなくて、あるいは外部の関係者も加えた研究会を持って、そうして一緒に討議をしたことはお互い責任を持ってやる、そして農林省も民間も生産者も一緒になってやっていくのだという、こういう血の通った、魂の通った答申なり結論が出ていかなければいけないと思うのですね、いまの場合。だから、そのようなことについて農蚕園芸局のほうからお答えを求めたいと思います。
  50. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 ただいま先生の御指摘の点は、畑作全体にわたる問題、非常に重要な問題であると私は思っております。  まず麦の問題でございますが、麦の増産をはかりますためには、価格の問題もさることながら、栽培技術上のいろいろな阻害要因を解決するということ、それから作付規模の零細性を克服して、集団による生産性の高い麦をつくるということが必要でございまして、こういう意味で、従来から私ども栽培技術の改善あるいは合理的な輪作体系の確立あるいは高能率の機械施設の導入あるいは生産団地の育成というようなことにつとめておるわけでございますが、ことしからさらに、御案内のとおり、集団的生産組織の育成というようなことをやろうとしておるわけでございます。ただ、そうは申しましても、御指摘のように、麦の生産が逐年減ってきております。また米価審議会におきましても、麦の生産振興を行なうための、より強力な施策を講ずべきものであるというような御指摘もございまして、私ども、そういった点から、麦の生産振興を行なうためのより強力な施策につきまして、現在、省内に麦の緊急振興対策推進委員会というようなものを設けまして、検討をいたしておるような次第でございます。  また、大豆の問題につきましても、同じようなことでございまして、大豆の生産が伸び悩んでおる北海道の畑作におきましては、若干、大豆が上向きになってきてはおりますけれども、やはり最近のような大豆のいろいろな問題を起こしておるという中で、大豆の生産の振興をはかるにはどうやったらいいかというようなことを私ども考えておるわけでございますけれども、大豆の生産規模というものがあまりにも零細であるというようなことから、また零細であるために販売も思うにまかせないというようなことでもありますので、集団的な生産組織による、いわゆる団地化したような大豆の生産というようなものを進めてまいりたいと考えておりますけれども、やはりこれにつきましても、昨今のようないろいろな問題もございますので、私ども鋭意検討を進めておるようなわけでございまして、麦につきましても、大豆につきましても、あるいは畜産との結びつきも考えながら、その生産を伸ばしていく。昨年の秋にきめました「農産物需給の展望と生産目標の試案」というのがございますが、その目標に沿いまして、私ども生産の拡充をはかっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  51. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは何べんも質問しますけれども、なお今後も引き続いてこの問題はこの委員会で私は取り上げていきたいと思います。どうしても畜産を成長さしていくためには、国内における自給の飼料というものを拡大していく必要がある。そのために、いま答弁があったように、麦とか大豆とか、あるいはそれに類する飼料をつくっていく。特に九州の試験場あるいは栃木の試験場等においてはかなりいい成果があがっている。そのあがっている成果というものを行政なり立法に取り入れて、そうしてせっかくそういう研究者のしぼり出した知恵を活用する、こういうことがどうもあまりされておらないような気がする。これはぜひ今後取り入れてほしいということを要望しておきたい。  それから、その次に問題になるのは、米の休耕、減反ですね。これに対して、減反と休耕で一千億以上の金を出しているように思うのです。そういう中で、金を出して雑草をはやしているということをいままでやってきた。非常にむだなことをやってきたが、これからの問題として、米というものに対する一定の生産力というものがあるわけですけれども、それと関連をして、畜産をやっていく場合には、やはり自給飼料というものを強化する。そのために転作、そういうところにもえさを植えるような方向、たとえば五十七年の見通しでは、十アール当たり三千五百キロから十年後には四千八百キロ、こういうぐあいに出ていますけれども、現にそれぐらいのことをやっている優秀な農家があるのですね。われわれの知っておる中でもたくさんいる。四十頭から五十頭の酪農家の中で、自給飼料というものを七割以上持って、濃厚飼料を三割から二割五分ぐらいのところで十分にやっていっている農家というものがある。そういう農家というものを学んで、この際、ただ草をはやして金を出すという、そういうばかなことはやめると言っているけれども、これは実際わからないのだ。この辺のことについて、とにかくもっと土地というものを有効に活用するというようなことについての考え方を、局長のほうと政務次官のほう、両方からお聞きしたいと思うのです。
  52. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 まあ、狭隘な土地を持っておる日本の宿命でございますから、そういう中にあって土地利用する、活用する、これは非常に大事なことかと私どもは考えております。そういう意味におきまして、先生の御指摘のとおり、遊んでいる田地田畑というようなところが、かりにも現在あるとするならば、そういうところを大いに活用せよという先生の御指示は、そのまま率直に受けとめて、何とか活用して、りっぱな、他に負けない生産性を高めていくということに資していきたい。これはやぶさかではないとはっきり申し上げられると思います。そういう意味におきまして、先ほど先生の御指摘がありました、りっぱなモデルケースがたくさんあるとおっしゃっておりますので、そういうものを十分に参考にして、研究してみたい、こう思っております。  こまかい点はひとつ局長から。
  53. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  転作一般、特に休耕田に対する飼料作物の導入というお話でございますので、お答え申し上げますが、御案内のとおり、五年間の生産調整におきましても、約二十万ヘクタールの飼料作物の導入ということを四十六年度に出発いたしたわけでございます。この点につきましては、水田における地下水の問題なりあるいは機械的省力栽培のための休耕田の集団化とか、諸般の困難な問題がございますが、これについては、簡易な土地改良事業助成なりあるいは中型、大型機械の導入ということを特別対策事業で現在行なっておるわけでございますが、四十七年度では、約七万ヘクタール弱の飼料作物の導入が行なわれたというわけでございます。今後残された稲作転換の期間が約三年でございますので、これについては、相当困難も伴うと思うわけでございますが、最も重要な課題としてわれわれは進めたいというふうに考えております。  なお、日本の大家畜の粗飼料の給与率を高めると申しますか、逆に言うと、配合飼料率が年々高まるという問題につきましては、やはり大家畜に対する、乳用牛、肉用牛についての良質粗飼料の給与率を高めるということについては、御指摘のとおり、各種の施策を進めなければならないと考えておりまして、土地改良長期計画等におきましても、現在乳用牛、肉用牛の自給飼料給与率を相当高めるというふうな考え方で進んでおるわけでございまして、実行についてはなかなか困難も伴うわけでございますけれども、お話しの方向で施策を進めたいというように考えております。
  54. 竹内猛

    竹内(猛)委員 えさの問題と関連して、国有林の関係ですが、国有林はかなり広範な分野を持っておるわけですから、これについてすでに林野庁のほうでも牧野あるいは畜産等のつながり合いの研究を各地でやっておられるわけですけれども、それの成果と欠陥というようなことについて、林野庁のほうでは当然——これは森林法のときにも詳しく触れますから、抽象的でいいですから、この際えさと関連をしたところ、あるいは畜産と関連をしたところのその問題について、概略のお答えをいただきたいと思います。
  55. 福田省一

    ○福田政府委員 お答えいたします。  国有林の関係につきましては、従来から放牧共用林野、そういったような制度がございまして、地元の人たちの畜産の利用のためにこれは共用さしておるわけでございます。  それから、またその内容としましては、ほかに国有林の活用法ができました後、貸し付けあるいは売り払い、こういう制度もございまして、畜産振興のために国有林の活用をしていただいているところでございます。  なお、ただいま御指摘の国有林がみずから実験牧場という制度によりまして、国有林の中で、全国で約十カ所でございますけれども、昭和四十二年度から林業と畜産の両方が成立するかどうかという実験を実はしておるわけでございます。  簡単に申し上げますと、木を植えましたあとに草がはえてまいります。この草を刈る場合に、普通かまとかあるいは機械のブッシュクリーナーというのを用いておりますけれども、夏が非常に忙しいわけでございます。その間労働力が不足してまいりますと非常に困る場合が多いのでございまして、牛にこの草を食べてもらうということを四十二年から始めておるわけでございます。もう一つは、天然林の中にササがございますけれども、主としてブナ林でございますが、そういうところに牛を放牧しましてササを食べてもらいますと、そのあとにブナの小さい木がはえてくるということを実験しておるわけでございます。これはあとの場合は十和田湖あたりで昔からやっておる例もございます。そういうことで、全国で造林地なり天然林なりに牛を放しまして草を食べてもらって、あとでその出てくる林がよくなる、こういう一石二鳥でない二牛でございましょうか、そういう実験でございます。  ただいまの結果によりますと、造林地の中で牛に大体七割の仕事をしてもらいます。残りの三割、つまり牛がたとえば谷間とか急傾斜地にはなかなか入っていきません。そういうところは人手でやっておりますので、労力からいきますと、大体七割くらいの労力が省けておるという結果が出ております。場所によっていろいろ違いますので、こまかい統計はただいま整理中でございます。  なお、牛を放牧しますと、これは畜産局のほうからまずお答えすべき筋合いかもしれませんけれども、骨が非常にじょうぶになるということもある。粗食に耐えておりますので、実はあとで農家のほうに子供の牛を売るわけでございますが、最小限の家畜の体重は保持しておりますけれども、舎飼いにすると急に太り出して非常に成績がいいのだということも出ております。いろいろそういったようなことで畜産と林業との両立ということについて、十カ所でございますけれども、これ以上ふやす予定はございませんが、ただいま実験継続中でございます。
  56. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この点についてはまたあとで森林法のときに詳しくあれしたいと思います。  そこで、きょう通産省のほうから来てもらっていますが、通産省がアルコールをつくった廃液でラクノールという飼料をつくっている、研究している。これは各アルコール工場の中でかなり積極的にやられております。これは農林省のほうとしては必ずしもまだ正式に取り上げていないと思うのですけれども、通産省のほうから若干の紹介をしてもらって、今後飼料として、これは廃液というか廃物利用というか、そういうようなことでともに検討する必要があるように思うのですけれども、これに対してのお答えを願いたい。
  57. 山中正美

    ○山中説明員 お答えいたします。  先生も御承知のとおり、通産省でアルコールを製造しておりまして、全国に七つの工場があるわけですが、その原料といたしまして廃糖みつを使っております。廃糖みつの中には、甘蔗からしぼったものでございますから、有害物質は含まれてないわけでございますけれども、BODが非常に高いわけでございまして、私どもも公害対策の一環としましてその廃液処理に腐心しておるところでございますけれども、たまたま先生御案内の斉藤武先生といういわゆる飼料の先生がおられまして、その先生から、石灰わらとアルコール廃液をまぜて一つの粗飼料をつくれば乳牛等には非常に有効であるというお話を私どものほうに持ちかけられまして、私どもも廃液対策の一環として、また廃物の有効利用の一環としまして、先生といろいろ御連絡をとりながら研究しておるところでございますが、なお、飼料につきましては私ども非常にしろうとでございまして、その有効性等につきましてはなかなか判断のつきかねるところがございますが、私どもの委託研究の一部といたしまして、東大の畜産の亀蒿先生にもその有効性というのをあわせて研究してもらっておりますが、同時に農林省のほうにもいろいろ御指導を受けるようにお願いしておるところでございます。  以上でございます。
  58. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう時間がありませんから、あとで各地の開発輸入の問題、海外の開発輸入で農林省と外務省との間でだいぶ意見を戦わしているようですけれども、その開発輸入の問題で、どこの国に、だれがどれぐらいの金でやって、どれぐらいの量を期待するのかという問題は、時間がないからちょっと答弁ができないと思いますけれども、いずれあとで島田さんのほうから質問があるかもしれません。  そこで、きょうは最後ですが、この問題とちょっと質問が違うのですけれども、先般ゴルフ場で公害が出た、その同じ町、茨城県筑波郡筑波町、ここの役場の総務課長ですか、それが公審企業を誘致していろいろ住民を説得するような努力をする、こういうことをしているところがある。これははなはだけしからぬと思うのです。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 各自治体の中に工場を誘致する場所があって、そうしてそのようないろいろな企業を誘致する場合に、自治体の職員がそれぞれ案内をしたりいろいろなことをすることはあってもいいと思うのですけれども、どうも先般のゴルフ場の設置の問題を見ても、役場の中にゴルフ場の事務所をつくったり、村の広報の中にゴルフ場ができるという宣伝をしたりして、これは前に指摘をして全部取りやめて、きちんと整理しましたけれども、今度は違ったところでまた同じように公害——メッキ工場ですよ、メッキ工場を役場の総務課長が誘致をする、こういうけしからぬことをして、農民が、地元が反対をしている。特にそこは筑波米という有名な銘柄米の出るところですから、そういうものができるとたいへんなことになるということで、全農民が反対をしておる。そうして、もちろん農地法転用許可をしないという形で農業委員会は二回にわたって保留をしているのですけれども、このようなことに対して自治省のほうでは、やはり総括的に自治体のあり方、こういう企業の誘致に対する自治体のあり方ということについてもう少し慎重に指導と取り扱いをしてほしいということを私は思うのですけれども、自治省、どうでしょう。その辺の調査された結果の中身はどうですか。
  59. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 ただいま御質問の茨城県筑波町の問題でございますが、総鉄金属工業株式会社という、本社が土浦市にございまして、資本金三百万の特殊メッキ工場、これが筑波町に進出したいということで、四十八年五月二十日に町の農業委員会に対しまして農地転用申請を行なっております。申請面積は五百三十平方メートルでございます。  農業委員会では、先ほど先生から御指摘がございましたように、五月二十九日と六月二十七日の二回にわたりまして委員会を開催いたしましたが、地元に反対があるので実情調査を行なう必要があるといたしまして、土浦の本社に赴きまして実情を調べております。その際会社側からは、工場は建設するけれども、メッキ工場ではなくて、塗装とか焼きつけの工場とする旨の確約書を提出しておるようでございます。しかし、地元としましては、建設してしまってからメッキ工場に変更するおそれがあるのじゃないかということで、不安があるということで地元では反対しておるようでございます。  そこで、農業委員会は、現在保留しておりますけれども、一方、七月六日でございますか、反対者の代表の方から工場側と話し合いをしたいというような提案がございまして、町があっせんいたしまして、町と地元と工場の三者が会議を開くことにしたわけでございます。町の当局からは総務課長、公害担当官が出まして、地元からは約百名くらい集まったようでございます。工場側からは五人出ておったようでございますが、開催いたしますと同時に地元の側から、工場を話し合いに加えるべきではないというような意見がございまして、工場側が退出いたしまして、町と地元とで今後の町の工場誘致に対する姿勢であるとか公害についてどういう考えであるとか、そういったいろいろな議論がここでかわされて、この会議は終了しておるという状況でございます。  そこで、町の当局の考え方を聞いてみたわけでございますけれども、町の当局といたしましては、地域の発展のためにりっぱな工場が進出してくることは望ましい。ただ、しかし、この問題につきましては地元に非常に反対があるということと、何ぶん規模が非常に零細でございます。こういった小さなものについて地元の反対を押し切ってまで町としては別に誘致したいと思っておらないし、現実の問題といたしましても、この問題は農業委員会農地転用申請が出てまいりまして初めて町も気がついたような状況で、町が積極的にこの土地をあっせんしたとかそういうことは一切ない。したがいまして、地元の状況にかんがみまして、当分冷却期間をおいて静観したい。いまの段階では県に農地転用申請を上げる考えはないというようなことでございます。  したがいまして、この問題の実情はいま聞いたところはそうでございますが、何ぶん時間が短うございますので、先生御指摘のように、町の職員が動いたかどうかという点につきましては、どうも私のほうで判然としない点がございます。町の言い分を信用すれば、そういったことは絶対ないと言っております。ただ、この前からいろいろ議論になっておりますように、地域開発が全国的に進んでまいりますと、その地域振興をはかるという意味におきまして、町が用地買収等にも積極的に乗り出すというようなケースがないわけではございません。しかし、幾ら地域振興をはかるためといいましても、住民から疑惑の目をもって見られるというようなことになってはそれこそたいへんでございますので、自治省といたしましても、そういったことがないように、特に公務員がそういったデベロッパーの手先として働くということになりますれば、これは地方公務員法にも触れるような問題でございますので、慎重に指導してまいりたいと思っております。
  60. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう時間がきたので終わりますけれども、いま説明があったように、ほかの地区はどうかわかりませんけれども、その地区にはゴルフ場の設置、その前に伊奈製陶という製陶工場を誘致して、いま公害が出て問題になっている。同じように、また現に同じ地区のところで反対を食っている工場があるのに、今度はメッキ工場が来るというわけだから、当然これは問題があるにきまっている。そういうまず地元に相談をして棄却をすべきものを、町の発展と称して上からきめてきて押しつけてくる、こういう行き方、これは各地にある。いまあるのは一つ、二つの例です。それですから、茨城県だけじゃありません、ほかの地区にも同じようなことがないとは限らない。今後自治省として指導を十分よくしてほしいと思うのです。地域開発という名において役場の特殊な課長とか部長とか——鹿島開発で知事までがああいうことをしたから、それに見習って役場がやったっていいじゃないか、こういうふうにどうも思い込んでいるのかもしれませんが、これはまずいというふうに私は思います。  あれやこれやの質問をいたしましたが、当面はえさの問題についてどうしても心配ですから、このえさについてはほんとうに確保して、畜産農家が安心をするように、同時にまた消費者がそのことによって高い肉や牛乳や卵を買わされることのないように、負担をさせないようにひとつ十分に指導をしてほしいし、新聞などの発表も少しきちんとして、危機をあおらないようにしてほしいと思うのです。新聞というものはなかなか影響力が大きいものですから、ぜひほんとうのことをやって、あまり心配をかけないようにお願いをしたいということを加えて、私は終わります。
  61. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 関連して島田琢郎君。
  62. 島田琢郎

    島田(琢)委員 ただいま新聞発表の点について竹内委員から話が出ましたが、きょうの朝日の朝刊によれば、牛乳の生産が非常に低迷をしていて、この分でいくと秋には品切れになる心配があるということが農林省当局の発表として報道されております。私は関連で飼料の問題をまず質問する前に、酪農のこうした現況をどういうふうに分析し、とらえておられるか、あるいはまた対策としてどのようにお考えになっているのか、きわめて限られた時間でありますので、端的にお答えをいただきたいと思います。
  63. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  昨年、本年におきます乳牛の飼養頭数なりあるいは生乳生産については、それまでの傾向に比較いたしまして停滞的な要因が強いという点は御指摘のとおりでございます。毎年九月、十月におきましては供給乳量に対して需要量のアンバランスが出る傾向が強いわけでございますが、本年はその傾向が一段と強いのではないかという点で、われわれは需給調整その他について一段の配慮が必要であるという点は考えておるわけでございまして、それがただいま先生御指摘の新聞の記事になったのではないかというふうに思っておるわけでございます。  基本的な要因等につきましては、加工原料乳の保証価格その他につきましてしばしば御指摘を賜わり、御論議を賜わったように、多頭飼育の進展に伴う規模の拡大の過程と、他方における所得の単位に足りないような零細な飼養酪農家の離脱という関係におきまして、従来は規模拡大の力が全体の規模を拡大するという方向に働いてまいりましたのが、最近におきます規模拡大に伴う地価の問題なりあるいは労働力の問題、その他諸般の状況から悪条件が重なっておるという点が基本的要因であるというふうに考えておるわけでございます。
  64. 島田琢郎

    島田(琢)委員 農林省見解として示されているのは、一つは飼料の値上げである。これが昨年の暮れから比べまして二〇%高になっています。それからもう一つは、牛肉価格の高騰である。三つ目には低乳価だ。これが今日の酪農、牛乳生産の停滞をもたらした原因であるというふうに分析をしております。いまの局長答弁によりますと、零細酪農から大型酪農への移行に伴って、それがスムーズに吸収できなかったのが最も大きな原因である。確かにそれもあると思います。しかし、このことはすでに私はこの半年の間に繰り返し繰り返し指摘をしてまいりました。牛の頭数は必要以上に減っていくのじゃないか、こういう質問に対して、中尾政務次官から、一、二月の統計を出されて、現状を見る限り心配はない、こういうふうにお答えになっているわけでございます。しかし、これまた最近の統計数字によれば、牛の頭数はすでにピーク時に比べてたいへんな減り方になっているわけであります。具体的に申し上げますと、四十六年の百八十六万頭をピークにしてどんどん乳牛頭数が減っております。一時期には、確かに次官がおっしゃったように、上がっている時期もありますけれども、とにかく四十六年の百八十六万頭に比べて、現在は約九万頭減って百七十八万三千頭となっています。しかもここ最近で三万二千頭も乳牛が減った。私はあのときにこのことを心配して指摘をしたのでありますが、心配ないというふうに実はおっしゃっております。しかし、現実をとらえてみる限り、私の申し上げたとおりの傾向をいまたどりつつあるということが第一点に指摘できます。  それからもう一つは、これも私は三円三銭がきまった直後の四月三日のこの席で大臣並びに局長に対して、三円三銭のこの低乳価で日本の酪農の将来を完全に守り切れるか、こういう質問に対して、まさに高姿勢で胸を張って、かつてない乳価を出した、日本の酪農の将来は決して心配ありません、こういうふうに実は答弁されておるわけであります。これはもう議事録に明らかになっております。  ところが、その舌の根もかわかないうちに、四月、五月、六月のこの乳量の減り方というものは異常なものであります。戦後四回目の酪農の危機を迎えている。二回目は四十二年、これはたいへんな危機を迎えました。幸い四十三年、四十四年で再び乳量はもとに戻りましたが、四十四年後半からかけてこれはまたたいへんな減り方になりました。これが三回目の危機であります。今回は迎えて四回目、これは実に戦後酪農史上最低といわれる生産であります。前年比を割っている。こういう危機に対して、四月三日に胸を張って答えられた農林当局としての責任は、私はこれは鋭く追及しなければならない点だろうと思うのであります。  いまもまだそういう認識に立っておられるとすれば、これは日本の酪農はたいへんなことになる。いまの説明を聞く限りにおいては、依然としてこの酪農がいわゆる高度化、経営の上でも内容的にもいわゆる高度な方向に移行する過程における一現象にすぎないという認識しか持っていないようでありますけれども、私はそういう認識は、再び強く指摘をしておきますけれども、日本の酪農の将来に対して決してこれは安心できる考え方ではないという考え方をいま強く持っているわけであります。  そこで、時間がないので私のほうからしゃべりまくっておるわけでありますけれども、今回全農をはじめとして飼料に対する値上げ要求が出されております。仄聞するところによると、八千円ないし一万二千円のたいへんな値上げをしなければ、今日の飼料業者の経営は持っていけない、こういうことが要求されているやに聞いております。はたしてこういう要求が農林省に対して出ているのかどうか、それが一つ。  もう一つは、いつからどれぐらい、そうしてまた一万二千円も上げなければならないという原因はどこにあるのか、この点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  65. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、前段の酪農の問題については、われわれもその事態についてそう安易に考えているわけではございませんで、基本的な構造的な背景を申し上げたわけでございまして、特に牛肉の値の高さが屠殺の促進という点で乳牛の屠殺率を非常に高め、その結果の頭数減なり、乳量減という点が大きな要因であるというように考えておりまして、この点につきましては、酪農の視点から見ましても、資源の維持という点からある程度の輸入牛肉その他による牛肉価格の鎮静ということから、その肉対策の面からも酪農対策を考えるべきであるというふうに思っておるわけでございまして、最近この二カ月の屠殺率は漸次対前年比六割減とかいうような数字を示しまして、この傾向はなおさだかに見定めなければならないわけでありますが、これは先生御指摘の肉との関係その他について十分配慮して、資源の維持と拡大という点については明年度以降も積極的な施策を進めなければならないというふうに考えております。  それから、配合飼料メーカー、全農をはじめとして八千円ないし一万二千円の値上げ要求があるのが事実か、実態はどうかというお話でございますが、これは先ほど竹内先生の御質問にもありのままをお答え申し上げましたとおり、飼料の原料価格については、その国際価格が高いために値上げ要因を持っておりますが、一体どの程度の値上げ要因であるか、幅はどうであるかという点については、現在全農をはじめ各メーカー等から事情を聴取中でございまして、一万二千円ないし八千円というような数字についてある報道がございましたので、われわれも急遽確かめましたところ、最も高い最近のシカゴ相場、先物相場を前提として、それから配合飼料価格を換算した数字であるというようなことで、全農等の責任者もこれについては全く根拠がないということをはっきり言明しておりますし、現に全農におきましては八月の値上げは行なわないということと、それから九月以降、先ほど竹内先生の御質問にお答え申し上げましたように、新穀の出回り後の需給なり、あるいは価格水準等の推移を見まして判断すべき問題であるというふうに考えておるわけでございます。
  66. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私も新聞で見たわけであります。さっそく新聞が出たその日の夕方から私どもに選挙区からどんどん電話がかかってまいりました。また値上げか、この点についてはまだ十分確かめていないので、さらにこれは畜産局長以下幹部の皆さんと畜産局の部屋でお会いをしたときに確かめていることを、そのまま率直に地元には伝えたわけでありますが、新聞にこれだけでかく出ていて、値上げの問題についてそんな観測しかおまえさん持っていないのかということで、逆に私はしかられたわけであります。これは新聞報道は、そうすると、いいかげんなものだということになっているわけでありますが、これは私は新聞のいわゆる起こした余波というものは酪農地帯においてたいへんな事態を招いております。また値上げだ、たいへんだ、もうこれ以上値上げになったらとても酪農をやっているわけにいかない、こういう状態にいまなっている。これは私はオーバーで申し上げているのではありません。すでにこれ以上酪農を続けることがいいのか。どうも聞くところによると、海外の飼料事情は非常に悪いし、また値上げがどんどんされている。これはなるほど新聞に出たことを裏づけるような海外の情報が続々入ってまいります。せんだっては大豆があの状態になり、大豆かすまでそういうことになった。アンチョビーだって決して安心できる状態にならない。見渡す限り、飼料の分野に限っていっても、たいへんないわゆる国内外の状態になっております。これはもう酪農地帯が動揺するのはあたりまえであります。  そこで、私は先ほど竹内委員の質問の中で、これからの値上げの問題については一切のそういう値上げの要素はないというふうには局長も言っていないように印象として受けとめました。十分その背景にあるものを探知して、一体どれくらいが適当かということを十分検討してからその額について考えたい——これは値上げをほのめかしたものとして私は受けとめております。その幅についてはどれくらいになるかはわからないけれども、当然いまの状況からいったら値上げせざるを得ないだろう。  そこで、対策としてどんな対策をお考えになっているのか。値上げする情勢にはないという判断に立っておるのか。先ほどの答弁からいえば、きわめて値上げ要素ありというニュアンスでお答えになっているように私は受けとめております。だとすれば、この対策をどのように進めていこうとお考えになるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  67. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、九月以降の配合飼料価格について値上げ要因が絶無ではないということを申し上げただけでございまして、これについて値上げはやむを得ないというような政策判断を下すのはまだ早計であるというふうにわれわれは考えておりまして、ややもいたしますと、この問題が値上げを是認するような一般的な風潮になることをわれわれ実は極力押えておるわけでございます。  で、これに対する対策いかんというようなお話でございますが、これにつきましては、先ほどの竹内先生の御質問にもお答え申し上げましたように、程度とか、期間とか、そういう諸般の状況を見まして対策はとるべきであるというふうに考えておりまして、一月以降の急激な値上がりについては、緊急融資なり、価格安定基金に対する国の助成とか、その他諸般の対策を講じたわけでございますが、いずれにいたしましても、問題を単に糊塗するだけではなくて、それらの値上げの幅とか、期間とかというものが明らかになった段階で必要な対策をとるべきであるということを繰り返し申し上げるわけでございます。
  68. 島田琢郎

    島田(琢)委員 四月十七日のわが党の角屋委員の質問に対して大臣は——角屋委員はこういうふうに質問しております。今回の値上げ、しかし、必ずその後の問題の危険性を考えなければならない、そういう場合に対する考え方としては、大臣はどう対処されるお考えか、こういう質問に対して、大臣は「今回の措置を三カ月間に限定をいたしました以後の模様というものは、飼料に値上げ要因をもたらすとは現在判断をしておらないわけであります。」、完全に判断が狂っているわけであります。もうその要因はない、今回の措置をもって完全に飼料は安定する、こう言い切ったのでありますけれども、しかし、現実はそうなっていない。いま局長もほのめかしたとおり、海外における事情等考えると、値上げについては検討せざるを得ないというニュアンスであります。全くそういう要因はないという大臣答弁と同じ歯切れのいい答弁ではない。その要因はたくさんある。あげれば数限りないだけあるわけであります。  そこで、続けて角屋委員は、大臣答弁に対して納得をしていないから、重ねて質問をしているのであります。「いわゆる三カ月間の放出以降のえさに振り向けられる可能性のある分というのは、大体どのくらいのものを御検討でございましょうか。」という質問をいたしております。これは、大臣が値上げ要因はもうこれでなくなった、値上げ要因がなくなったから今後は値上げすることは考えていないし、またその必要はないという答弁をしたのに対して、心配だから重ねてこういう質問をしたのに対して、大臣から、先ほど局長からも答弁がありましたように、この措置をもって、年度内におきます飼料用に向ける古々米をはじめ、各飼料の手持ちについてはないというふうに御判断を願いたい——これは先ほど手持ちの飼料はないというふうにお答えになった。ところが、前段で角屋委員が指摘をしているように、その後の措置というのはえてして危険な状態を招きやすいものだ、これがいみじくもいまの状態であります。このように喝破された。それに対して、あまりにも政府当局は見方が、情勢の判断といいますか、分析が甘い。だから、今日全農の発表なり新聞発表は、かりに信憑性のないものだとしても、あれだけでかでかと八千円ないし一万二千円の値上げを考慮せざるを得ないという記事が出て、たちどころに全国の酪農、畜産農家は浮き足立ってしまう、こういう事態を招くわけでありますから、ああいう記事が出たら、直ちに農林省としては現状の分析をして、当面はそういう心配はないという注意を別に出すべきではなかったかという感じさえするのであります。  私は、幾ら答弁されても、飼料の値上がり要因は絶対にないと断じ得るような情勢にはない、早急にこの手持ち飼料が全部放出されてゼロになるという状態で、もしもかりに五千円にしても四千円にしても値上がりという状態が出たときに、飼料基金等の取りくずしだけでこの危機を乗り切れるというふうにお考えなのかどうか、この点だけをお聞きして、私は質疑時間が超過をしましたから、終わりにいたします。
  69. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来るる申し上げておりますように、全農を中心とする配合飼料メーカーは、八月までの値上げをストップしているわけでございます。その後の値上がり要因等については、現在全農その他諸般の関係のメーカーから原料の手当て状況なり、あるいは新穀に入りました場合の長期の原料価格の水準というようなものを見まして、その値上げの取り扱いがきまるわけでございまして、それらについての慎重な判断をした上で諸般の対策というようなことについての検討をすべきものというふうに考えておるわけでございまして、配合飼料価格安定基金の強化その他、そういう問題もその一環として考えられるべき問題でございますし、また値上げ幅等についても数字がいろいろ出ますと、これについての検証なりを行なうなど、慎重な取り扱い等も含めまして、われわれ現在諸般の検討を進めておるところでございます。
  70. 島田琢郎

    島田(琢)委員 これでやめますけれども、とにかく私どもはここででたらめな意見を申し上げているのでないのです。ほんとうにいまの酪農の状態考えたら、これは酪農ばかりではありませんけれども、たいへんな事態になっている。ここで議論したことは全部、いわゆる酪農家の人たちは耳をそばだてて聞いているわけであります。私どもは責任ある質問をしなければなりませんし、責任ある答弁をしていただかなくちゃなりません。ところが、四月の乳価の時期にあれだけの大議論をやりながら、そのあくる日からもうすでに酪農の危機が叫ばれている。この現状認識をやはり改めてもらうなり、きちっとしていただかないと、幾ら大臣ここで胸を張って、酪農はおれにまかせておけ、三円三銭で日本の酪農を守れる、こう言ったって、現実こういう状態になっているじゃないか。これをひとつお考えおきを願いたいのであります。  私はほんとうに酪農民を代表して血の叫びをここで出して訴えていきたいと思います。十分ひとつ、この酪農危機を突破できる農林省としての責任ある政治を進めていただくように、最後に強く期待を申し上げて、私の関連質問を終わります。
  71. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 この際、午後三時再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時五十六分休憩      ————◇—————     午後三時五分開議
  72. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中川利三郎君。
  73. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 最近、米をめぐる情勢の中で、たとえば減反の本年限りの打ち切りだとかあるいはお米の全量買い上げだとか、さらに備蓄やあるいは外国の輸出の問題なんか盛んに流されているのですね。あわせまして、ことしの米価にいたしましても、たとえば大幅米価の引き上げだとかあるいは消費者米価の据え置きなんということまでいわれているわけです。これらの発言がいろいろな政府関係者から出されている。こういう発言がほんとうに根拠があって出されているものなのか。それとも何かほかの目的のために出されているものなのか。やはりこの際はっきりしておく必要があると思うわけであります。  そこで、まず第一にお聞きしたいことは、先ごろ田中総理が青森で、減反は本年度で打ち切る、こういうことを発言しておるわけでありますが、これは事務当局というか農林省から聞きますと、そういう発言は実際はそうではなくて、本年度で休耕奨励金を打ち切るんだ、こういうことなんだという全く次元の違うようなすりかえが行なわれているわけですね。しかし、総理がああいう発言をしたということによって、一定の農民に対する影響がたいへん起きているわけでありますから、この際、間違わないように、はっきりしていただきたいということでありますが、私のお聞きしたい焦点は、減反、つまり生産調整は来年度も行なっていくのかどうか、来年からどうなるのか、この点についてはっきりした当局の正式の見解をお伝えいただきたいと思うのです。
  74. 有松晃

    ○有松説明員 お答えいたします。  田中総理は青森で減反というふうにおっしゃったというふうに聞いておりますが、私どもの受けとめ方といたしましては、これは休耕奨励金を来年度は打ち切るというふうに受けとめております。これは四十六年二月の閣議了解におきまして、休耕奨励補助金は四十八年度限りで打ち切り、生産調整は五十年度まで、転作奨励補助金の交付及び稲作転換対策等の実施により稲から需要の増大する他作物への転作を基本に進めていく、こういうことになっております。来年度以降も基本的にはこの方針で転作の奨励を中心に進めてまいる、こういう考え方でございます。
  75. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私、お聞きしたのは、来年度以降も転作を奨励すると、こういう御返事であります。来年度以降の生産調整はおやりになるのかどうか、これをはっきりしていただきたい、こういうことなんです。  それからもう一つの問題は、田中総理の言うた減反は本年打ち切りということは、そうではないのだということでありますが、これは四十六年度の閣議決定で、四十八年度で休耕奨励金は打ち切るのだと前々からきまっているのです。きまっていることならば、別に青森であんな劇的な演出効果をねらって発表しなくてもよさそうなものなんだな。あたりまえのことだ。それをああいうふうに言うたということは、言いかえたということは、何か選挙の人気取りというか、その結果農民を混乱させたということに問題があると思うのです。ここらについてどうですか。二つお聞きします。
  76. 有松晃

    ○有松説明員 お答えいたします。  総理は減反という表現をお使いになっておられますが、やはり私どもの受けとめ方といたしましては、生産調整につきまして四十六年度の閣議了解できまっておりますことを明確にそこでなさったというふうに受けとめております。  それから、来年度の生産調整の進め方でございますが、この来年度の具体的な進め方につきましては、現在まだ検討中の段階でございますが、本年の米の作柄とかあるいはことしの生産調整の実施状況、さらに当面の食糧需給の問題等を踏まえまして、転作対策の進め方、あるいは土地改良の通年施行の取り扱い、こういった問題も含めて検討し、成案を得てまいりたいということでございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  77. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 じゃ、次官にお伺いしますが、総理の青森発言については、そうじゃないということを事務当局が言ったところで、総理は減反を打ち切るということを言っているわけですから、それを総理の口からやはりはっきりと取り消してもらわないと、農民はやはり来年からは生産調整はないんだ、こういうふうに考えて、それなりの影響を持ってくるわけですね。そういう点で、やはり総理自身そういうことを取り消すということをひとつやっていただきたいということ。  もう一つは、生産調整を来年からやめるのかやめないのかと言ったら、これについてはいま検討中だというのだ。ところが、皆さんの方針からいけば五十年度までは生産調整をやるということになっているわけです。そうすると、いままたそういう方針が変わっているのかどうか、つまり、総理発言に見合うようなかっこうでまだ検討中なのか、何かそこらがはっきりしないようでありますから、そこをはっきりしていただきたいと思うのです。
  78. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 私はその場におりませんで、よくわからなかったのですが、私も総理の青森における発言という内容については多角度にいろいろと調べてみたり聞いてみたりしたのでございますが、どうも総理の重点的に言うたことばは、あくまでも転作ということに対して力点を置いて申し上げたのだ、減反ということで云々ということは、いろいろの意味でそうとったかもしらぬけれども、転作の方面に私は大いに力点を置いていくんだということに、まあ言うなれば、重点を置いたんで、その点がある意味ではそのように曲がって解釈された場合もあるだろうし、というような受け取り方に私はとめておるのでございまして、そこで、青森発言は現実に私自身もそこにおりませんでしたから、はっきりした答弁というものはできかねる状況にあるわけなんです。私もいろいろと全部情報を徴取してみると、やっぱり転作に力を入れたんだなと、いま共産党の先生からも御指摘がありましたけれども、私はそういう考え方で聞いておりますので、その点はひとつ先生にも御了解を願い上げたい、こう思うわけであります。
  79. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 次官もそういうあいまいな答弁なわけですが、総理としての立場のああいう発言が農民にいろんな影響を与えて、それなりにそれを信じている農民はたくさんいるわけですね。それがそうじゃなかったということの失望もまたたいへんなことだと思うのです。したがって、農林次官はこの際総理大臣に対して、一応青森発言の真意はどうであったかということを、やはり言い直すとかそういうことをはっきりさせるべきである。私はあなたの立場から言えば、そういうことをさせるのが適当だと思いますが、その点はどうですか。そういう御決意はありますか。
  80. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 私も田中総理にこの問題でいままで会ったことがありませんから、じかに会いまして、総理の真意は何だったのであるかということをひとつ問いただしてみましょう。そういう意味でひとつ聞いてみるという形にしていただいて、先生にまたお答えできればありがたい、こう思っておりますが、ちょっと現在の段階では、私自身もこの問題については全然情報が、先生方の御指摘にある問題点と私どものとっておる情報とはいささか違いますので、その点が私自身はそれ以上にお答え申し上げようがないという感じがいたします。
  81. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 したがって、私はこの際、農民のそういういたずらなる不安だとかそういうものを払い落とすためにも、一応次官から正式に問いただして、あらためてこの委員会の席上でお答えいただければたいへんありがたいと思います。いいですね。  それから、いま一つ答弁漏れがあるわけですが、来年からの生産調整をやるのかどうかということについては、全く何ら方針がない、まだ検討中ということなのか、来年はやるのかやらないのか、この点がはっきりしておりませんので、もう一回御答弁いただきたいと思います。
  82. 有松晃

    ○有松説明員 来年も生産調整自体は続ける、ただ休耕奨励金がなくなる、こういうことでございます。
  83. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 生産調整は依然として続くというふうに確認してよろしいのですね。——わかりました。その点が何かあいまいなものですから聞いたわけでありますが、そのほかに、政府からあるいは自民党有力筋からといいますか、いろいろな情報が出ているのです。たとえば、渡辺情報か何か知りませんけれども、来年からは全量買い上げをするとか、あるいはこれは何か派閥の関係もあるか知りませんが、備蓄や外国輸出の問題や何かもどんどん出ているのです。何かそういう点で、国民はやはり、政府は何を考えているのか基本的なあれがわからないわけです。皆さん方のお家の事情だと言ってしまえばそれまでですけれども、そういう点で、農民をいたずらに踊らさせるだけではなくて、正しいものをはっきり見通させるという意味からも、たとえば全量買い上げとかいまの備蓄、外国輸出、こういう問題についてはどれがほんとうの見解なのか、これらについては政府としてはどういう正式な見解を持っておるのか、お答えいただきたいと思います。
  84. 中野和仁

    ○中野政府委員 ただいま御指摘の三点でございますが、まず備蓄の問題につきましては、現在いろいろ御議論が出ておるわけでありますが、われわれといたしましては、従来需給操作上の必要、また特に豊凶に備えての備蓄という意味も含めまして、百万トンの古米を、米穀年度の終わりでありますから、十月までは持ち越したい。そのころには新米が大体二百五十万トン程度政府が買い入れをやっておりますから、それで余裕を持って米穀年度を越せるという考え方を持っておるわけでございますが、いま議論が出ております備蓄につきましては、たとえばそのほかに百万トンあるいは二百万トンを持っておる、こういうことでございます。こういうふうになりますと、その持っております米を毎年回転させていかなければなりません。そうなりますと、古米が新米と同じような味のもとにやれるかどうかということ、ほかの問題等もいろいろと出てまいりまして、いま直ちにそれを、百万トンを二百万トンに引き上げるあるいは三百万トンにするということになりますと、その辺の検討が進みませんとなかなか消費者の理解が得られない。逆に、そういうことになりますと、その米自体が過剰米になるということにもなりますので、備蓄の問題につきましては、いまそういう考え方でおるわけでございます。  それから輸出の問題につきましても、たびたび御議論があるわけでございますが、輸出につきましては、約三百万トン近くを本年度までに東南アジアを中心に輸出することになるわけでございますが、それは余りました過剰米についての緊急措置ということでやってまいりました。今後そういうことをやるということになりますと、幾つかの問題があると私は考えております。その一つは、本来東南アジアは、凶作でありませんと、タイにいたしましてもその他にいたしましても、かなり米の生産国でありまして、また輸出国でもあるわけでございます。日本がそういう米でもって、そういうタイ等の輸出市場を荒らすのは困るということの抗議等もおととしまでは来ておったような次第でございますし、また輸出米のために、ある年に増産をして、次の年は外国の事情が変わったからこれはもう増産をせぬでいいというので、また生産調整をやるということもいかがかという気がいたします。特に国際価格と比べてみまして、現在の政府の買い入れ価格を見ましても、十五万円を、それを国際価格で五万円程度で輸出するということになりますと、トン当たり十万円の負担をしなければならぬという財政上の問題もあるということで、制度としてこれから輸出米をつくっていくということには幾多の問題があるというふうに考えておるわけでございます。  それから、話が前後しまして恐縮でございますが、全量買い上げをするのかどうかという問題でございます。  先ほど農蚕園芸局のほうからお答えがございましたように、五カ年間生産調整をやる、来年からは休耕奨励金はなくなるけれども、生産調整は続けるということとうらはらになりまして、やはり予約限度制というものは、私は現在の潜在的な米の過剰傾向からしますと、必要ではないかというふうに思っておるわけでございます。
  85. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 無責任なというか、いま話を聞きますと、プラスアルファの要素を持ったいろいろな発言が政府や関係者の間から出されておる。そのために農民が踊らされ、国民が迷わされるというような傾向があるわけですが、それだけではありません。たとえば生産者米価について見ましても、政府の方針は一〇%の大幅値上げだ、こういうようなことがいま言いふらされているわけですね。このことを考えてみますと、いま現実に農民が、農協が四八・八%の大幅な値上げを要求しているわけですね。これについて何か政府が一〇%にきまったようなそういう言い方がずっと出されているということは事実だと思うのですね。私たちがこの農林水産委員会で、ことしの米価はどうなるんだ、何ぼで政府は諮問するのか、こういうことをお聞きしますと、それはひとえに米審待ちだ、まだ基礎データさえそろっていない、こういうことで、あなたのほうでは全く口をふさいで言わないのですよ。そこで、かってにああいうふうに一〇%がいかにも政府・自民党筋で正式にきまったような発言が往々になされているということははなはだ私は遺憾だと思います。そういうことについて食糧庁として、なぜそういうような発言がかってにどんどん出回っているのか、ここら辺について少し教えていただきたいと思うのです。
  86. 中野和仁

    ○中野政府委員 新聞は、先生御承知のように、これは毎年のことでございまして、米価シーズンが近づきますと、いろいろな情勢判断から、これくらいになるんじゃないかということでいろいろお書きになっておるようでございます。それを食糧庁なり農林省がそういうのを書くのはやめろと言うことは、おわかりいただけると思いますが、これはなかなかできないものでございますので、そういうふうに書いておるというのが新聞に出ておるということでございます。  われわれとしましては、先ほど御指摘のありましたように、ただいま生産費調査のデータをきちっとまとめておるところでございまして、正式には、政府の諮問案といたしましては関係省と相談をして米審の日に御諮問申し上げるということでございます。
  87. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 米価のシーズンになりますとそういう問題があちこちから出る、これは毎年の慣例だ、こうおっしゃる。ところが、ことしは四十何%というのが農協段階で要求している米価なんだな。それに対して一〇%ということが政府筋からだあっと流されますと、あたかもそれを何か定着させて、いかにもそのためのブレーキというか、てこにするような、そんな感じも受けるわけですね。何か政府が計画した一連の予定行動の中の一環として、その震源地は、わざとおたくのほうから出されている、そんな感じもするのです。  そのことは同時に消費者米価についても言えるわけですね。まだ米審でも何もきまってないのに、ことしは据え置きだというような言い方があるわけですね。据え置きだということは、米審でもきまらないものがなぜ——しかもおたくのほうの内閣の有力なる閣僚でさえもそういうことを言っているんだな。そういうことは逆に、据え置きをてこにしてことしの米価を下げるというような逆的な効果をねらったものとしか言えないのですね。やはりこういう発言は、あなたはそういう点で監督できないんだ。しかし、たいへんな影響と問題があるということを私は指摘したいわけですけれども、そういうことについては、おたく、どう考えますか。
  88. 中野和仁

    ○中野政府委員 生産者米価の一〇%云々の問題につきましては、先ほど申し上げた以上のことは私、申し上げることもないと思っておるわけでございます。ましてそんなものを役所から流すということは決してございません。これは新聞社がいろいろ推測されて適当にお書きになっているものとしか思えないわけでございます。  消費者米価の問題は、若干違っておりまして、先般物価閣僚協議会が開かれましたあと、農林大臣、大蔵大臣、企画庁長官、それから党の首脳部の方もおられたようでございます。そこで御協議がございまして、ことしは物価対策上政府の売り渡し価格は来年三月まで据え置くという方針をきめられたというふうに私たちは理解をしております。  その場合に米審にかけてないではないかということになるわけでございますが、従来、消費者米価は、改定をいたします際に米価審議会を開いてきめるということでございまして、据え置きの場合は特に米価審議会を、たとえば六月にそういうことをきめたから七月に開いて据え置きをきめるというような慣例にはなっておりませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  89. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 本来生産者米価であれ、消費者米価であれ、それをきめるのは、いま米審とおっしゃいますが、やはり国会がきめる、国会が権限をもってきめるということが一応基本だ、そういう意見が有力に出ておるわけですね。また原則的にそうでなければならないのだ、そういうふうにいろいろいわれているのですが、こういうことについてはあなたはお考えになったことがありますか。
  90. 中野和仁

    ○中野政府委員 米価につきましては、現行の食管法によりますと、これは農林大臣が決定するということになっております。その決定のしかたは食管法に書いてございます。その場合に各方面の意見を聞かなければなりませんので、米価審議会というのを農林省設置法で設けまして、それに対しまして米価のきめ方についての基本的の事項を御諮問して、それを尊重いたしまして、農林省としましては関係各省、それから当然与党と相談をいたしまして、最終決定を閣議でするということになっております。
  91. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 米価決定の時期になると、いつも自民党・政府ベースといいますか、何か野党というものはつんぼさじきといいますか、その外側に置かれて、何ぼだ、何ぼだというかっこうで農民を引きつけている。そこでにやっと笑っている人もいますけれども、自民党と政府とがきめるんだ、こういうことが慣例みたいにやられているわけですが、米価をきめるということは決して政府と自民党だけできめるものではなくて、そういう点でやはり野党の意見というか、そういうものを共同のテーブルの中で論議していく、こういうことでなければならないと思いますが、長い間そういうかっこうになっているんだ、そういうことについてまずどう思っているかということをお聞きするわけでありますが、時間の関係もありますので、次の問題にあわせて移っていきたいと思います。  そこで、生産調整の問題ですけれども、おたくでは来年度も生産調整すると先ほどもおっしゃいましたけれども、実際いま市町村、自治体ですね、あるいは県段階、農協段階では減産から増産へと、こういうふうにもう転換してきているんだな。政府の減反政策、生産調整政策と反対のかっこうで増産のほうへ移っていこうとする最近の大きい傾向があるわけです。末端ではそういう方向だというのに、政府が減反、生産調整だということは明らかに矛盾するものだ。大きいことを言うようでありますが、最近のFAOの警告やら世界的な天候の問題やら、そういうことをあわせ考えますと、もうこの段階で、いままでのようなああいう異常な生産調整のやり方ではなくて、そろそろここで大きく方向転換すべきときではないか。これはもう世界的にも、また長期的な考え方からしても、当然そういうことで位置づけられていかなければならない、こういうふうに考えていますけれども、こういうことについてどういうふうにお考えになっているんですか。
  92. 有松晃

    ○有松説明員 お答え申し上げます。  来年度以降の生産調整の進め方の問題にもなろうかと思いますが、確かに先生おっしゃいますように、最近いろいろの論調がございまして、FAOの事務局長見解とかあるいは異常気象に関する見解等いろいろございます。ただ、私どものいろいろ分析しておりますところでは、現在生産調整をやめますと、潜在的には米の生産能力、これはやはり供給のほうが需要を超過するというふうに私どもは見ております。したがいまして、そういう意味におきまして、いろいろな論議に耳は傾けなければなりませんけれども、やはり私どもとしては米の生産調整は続けていかなければならない、こういうふうに考えております。
  93. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 生産調整を続けるといっても、いま末端の自治体あるいは農業団体では増産に転換してきている。  なぜかということについて、私は秋田県の出身でありますけれども、たとえば秋田県の最近の新聞ですけれども、「減反、予想外の伸び」「県もとまどう達成率九五・〇七%」「四年目で定着?」「収穫量買い入れ限度割る恐れ」があると書いてあるのです。予想外の調整の達成率なんですね。ちょっと続みますと、「このままでは、収穫量が政府の買い入れ限度数量を下回る心配も出て来たとあわてている。田中首相の「生産調整打ち切り発言」など、全国的な増産ムードの折り、県内の農家は、これに“逆行”する姿勢を示したわけだが、農家にとっては命取りともいえる生産調整の“定着化”という皮肉な現象が、減反四年目にして現われたとも受け取られ、米産県の県の農政は、重大な局面に立たされている」、こういう言い方で、皆さんのやってきた減反政策の中で、いま政府の買い入れ限度数量さえことしは保証できない。こういう状態があらわれている。そういう政府の買い入れ限度数量も下回るということになれば、そのとき全国的に調整すればいいということで済まないと思うのです。あるいは生産調整が定着化してきたということは、単にそれだけではなくて、ここに青森県の新聞がありますけれども、「田も心も……荒廃進む農村」「青森、ネコの目農政にイヤ気」「雑木はびこり放題」「減反政策の実情を見る」というのがありますけれども、そういうかっこうで農地を破壊させていく、荒廃させていっている。こういういろいろな派生的な問題もあるわけでありますので、ただそういうあなたの御答弁のような一律的にまたやっていくんだということに対する抵抗として、いま下のほうから増産への働きかけがなされている。そうなりますと、政府の方針と下のほうの実際の農民や農業団体や自治体の方針とは全く食い違う。どこかでぶつからざるを得ないと思います。そういうことで、あなたのほうで、あくまでも、ただそういう一直線なやり方で済むのかどうか。あとでそういうことに対して責任持てるのかどうか。  そういう点で、これは審議官ではなくて経済局長構造改善局長あたりの問題かどうか私はわかりませんが、審議官、責任をもって答えていただけますか。
  94. 有松晃

    ○有松説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、確かに私どもの予想から申しましても、農村の末端ではかなり生産調整が進んでおるという面はあろうかというふうに感じております。ただ、来年度以降の問題といたしまして、私どもは、休耕奨励金がなくなることでもございますし、来年度以降は転作に重点を置いて進めてまいりたい、かように考えておる次第でございまして、そういった意味で、本年度におきましても、これは大臣もたびたび言明しておられますが、農家の自主的な意向は尊重して生産調整を進めておるわけでございまして、来年度以降はさらに転作を重点に進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  95. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いまのような答弁では何にも答弁にならないのです。そういうかっこうで農村の荒廃さえも定着していっているわけでありますから、政府の買い入れ限度数量を下回るという状況の中でそういうおそれが出てきた。平年作の予想の中でさえそういう状況が出てきているということですから、もし天候が、作況が悪かったとしたならば、たいへんな状態になると思います。通り一ぺんのそういう答弁の中で問題を処理するといっても、たいへん無責任なやり方だと思いますが、時間もないから次に進みます。  青森あたりは、参考までに申し上げておきますと、なぜそういうふうな状態になったかというと、基本的には、政府の減反政策そのもの、あるいは農業政策そのものの中でこういう荒廃をつくり出したということを、この新聞にはこう書いてあります。これは三沢市の例ですけれども、「この地域では、かつて国が奨励してきたビート(てんさい)栽培が、精糖会社の倒産で四十二年までに行詰り、そのかわりとして大規模な開田事業が国や県のテコ入れで行われた、といういきさつがある。しかし、この開田事業も、完成の直前に減反政策への切替えにぶつかって、何のためにやったのかわからなくなってしまった。地元では、二度にわたって国に裏切られたウラミを「往復ビンタを食った」と表現している。」、これはいまの農政に対するものすごい不信だと思うのです。こういう状況がいままた再びあらわれようとしている。  そこで、時間もないから急いで聞くわけですけれども、ここに四十八年六月十六日の日本経済新聞があるわけですが、「減反に抵抗して七年、広げた稲作」ということで、石川県の一篤農家の大きい記事がある。減反に抵抗して七年間、自分の農地を広げて、この人は天皇杯をもらった。天子さまから杯をもらった。減反に抵抗して七年間一生懸命やった。こういうことは明らかに矛盾じゃないですか。この方はりっぱな方ですね。天皇杯をもらったからいいかもわかりませんが、こういうこと自体おかしいと思いませんか。
  96. 有松晃

    ○有松説明員 私ども、農業生産につきましては、需要の増大する農作物を中心に農業生産を伸ばしていこう、こういう考え方でおりますし、農業に努力しておられる方につきましてはそれ相応に報われなければならぬというふうに考えておる次第でございます。いままでの行き方につきましていろいろ問題はあろうかと思いますけれども、今後の需要の動向等を見まして、生産調整を含めまして、今後の農業生産のあり方というものは考えていかなければならぬと考えておる次第でございます。
  97. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 何と、そういう答弁でやっつけられたのではかわいそうですよ。そういうおざなりの、あなたに何ら権限ないのかどうか知りませんけれども、そんな答弁ならば聞かなくてもいいのです。  それでも質問ですから質問しなければならないわけですが、いままでの行き方はともかくとして云々ということですが、じゃ、これからの行き方についてお伺いしましょう。  転作の問題で、たとえば転作を今度やれ、来年から転作奨励金だ。どういう転作をどういう地域に、どうするのか。あるいはそのために価格補償体系はどういうふうに整えているか。予算そのものの額はわからなくても、そういう骨格はできているのか。これをひとつ出していただきたい。
  98. 有松晃

    ○有松説明員 来年度以降転作を重点に、ことし以上に転作を伸ばしていかなければいかぬというふうに考えておりますが、先ほど申しましたように、全体の規模等についてはまだこれから作柄等を見て検討しなければいかぬわけでございます。  基本的な考え方といたしましては、昨年農林省で発表いたしました長期見通し、生産目標がございます。この線に沿いまして、需要の増大する作目を中心に転作の促進をはかってまいりたい。それにつきましては生産対策並びに価格対策の面におきましても、これから来年度予算の問題にもなりますが、私どももできるだけの努力をいたしまして転作の促進をはかってまいりたいというふうに考えております。
  99. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 転作、転作というけれども、秋田県や青森県等東北ですね、こういうところは、転作しろといっても転作できないのです。稲作の一貫体系の中でずっと来た、そういう歴史的、地理的、土壌の条件、いろいろな条件からいたしましても、積雪寒冷地帯という面からいっても、ほかのものに転作するということはまず大宗としてはできない、ほんのどっかでできるかもわかりませんけれども。そういうところも一律に転作指導というようなことをやられますと、大体東北は、皆さんの新全総によれば食糧基地だといっていますね。食糧基地そのものは米の主産地だという位置づけなわけです。そういうことからすると、いま米の主産地だと指定しておきながら、今度転作だということ、しかも東北も一律にやるということになりますと、明らかに政策的な矛盾でもあると思いますが、こういう点についてどういうふうに考えているのですか。
  100. 有松晃

    ○有松説明員 転作につきましては、もちろん先ほども申し上げました考え方とともに、先生おっしゃいましたように、確かに土壌の条件その他転作に適しないような土地もございます。作目の選び方にいたしましても、地域の実情というものは当然考えていかなければならない問題でございまして、そういった意味で、転作がどうしてもできないようなところまで無理して転作をするというような考え方ではございません。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 全体としてその地域に適した農産物をつくってまいる、こういう考え方を基本にいたしまして進めたいというふうに考えております。
  101. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 地域の実情というと、先ほど言ったように、秋田県、青森県、岩手県、東北の地域の実情からして米づくりが基本だということです。これが地域実態なんです。したがって、今度休耕奨励金がなくなったというと、農民の皆さんは、さあ休耕田を復活して稲づくりをやろうじゃないか、こういう意気込みのある人もだいぶ出てきているわけです。したがって、こういう場合それを認めるのかどうか、それを全量買い上げしてくれるのか、そこでつくった米を買い上げるのかどうか、これはおまえたちかってにやったんだからどうだということになるのか、こういう点はどうなんですか。
  102. 中野和仁

    ○中野政府委員 来年度の取り扱いにつきましては、先ほどから農蚕園芸局のほうからお話がございましたが、具体的には、米の来年の生産調整、何もしなければどういう供給量になるかということと、それから一方では需要がどれくらいになるか、その差額を転作を中心にやっていく、こういうことになるかと私は思います。そういう計画を立てた上で実質的に農家の転作を進めていただくということになるわけでございますから、初めから農家がどんどんつくったものを全部政府が買うというところまでいまきめるということはいかがかと思います。やはりそういう計画を立てた上で、できるだけその計画に沿うように、全体の需給、生産を持っていくべきだというふうに考えております。
  103. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 先ほどは地域の実情について転作を考える、つまり東北は米作圏だから、米作地帯でありますから、米作ということも十分考えられる、こういう理解でよろしいかどうか、はっきりしていただきたい。
  104. 有松晃

    ○有松説明員 先ほど申しましたように、地域の実情によりまして——地域と申しましても、同じ県の中でもまた地域地域がございますが、やはり米以外にどうしてもつくるものがないというようなところは米によらざるを得ないかと思いますが、やはり県の中で転作できるところは転作に持っていくという形で調整をしていただきたいというふうに私どもは考えております。
  105. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうしますと、秋田県なら秋田県の中で転作できる部分も確かにあるでしょう。しかし、大宗は米づくりが最も望ましいやり方だし、農民もそれを要求しているわけですから、そうなると、休耕田の復活という問題が出てくるわけです。一年休めばそれを直すのに三年かかるといっている。これは三年も四年も休んだのですから、相当の経費がかかると思うのです。こういうものに対して、そういうもとの水田にするための復活奨励金みたいなものを出していただければ、たいへんやりやすい状況が生まれてくるわけですが、こういうことについての準備というか、お考えは何かお持ち合わせでしょうか。
  106. 有松晃

    ○有松説明員 現在生産調整の奨励金といたしまして、休耕の場合に休耕の奨励金がおおむね反当たり三万円出ておりますが、この奨励金の中には、実は休耕田の管理に要する経費も含まれておるというふうに考えておりまして、休耕田につきましては多くは現状も良好な状態で管理がされておるというふうに考えております。中には若干その管理の状況が悪くてなかなか復旧しにくい休耕田もあることは否定できませんけれども、そういう休耕田は都市近郊とか山村に多いということでございまして、その理由としては、転用待ちあるいは労力不足に伴う耕作放棄というような事情も考えられるわけでございます。したがいまして、以上申しましたように、休耕奨励金の中に休耕田の管理費も含まれておるという考え方に立ちまして、来年度以降休耕奨励金が打ち切りになりまして一部水田に復元される場合におきましても、特にこれについての助成措置というものについては現在考えてはおりません。
  107. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私も時間がきたので簡単にしますが、あなたは休耕田の中にそういう管理費も含まれておるからそういう必要はないのだ、こうおっしゃいましたが、それは当局の見解だろうと思うのですが、政府の都合によって休ましたのですから、いまさら管理費も含まれておるからといって、実際直すためにはそれだけ金がかかる。しかも本来米がとれるのをとらないで農民は協力したわけですね。それに管理費が含まれておるという言い方は、まさにお役人的な言い方であって、農民を納得させるものにならないだろうと思うのです。せっかく政府に協力したのですから、そういう点であとでまた詰めますけれども、非常に遺憾ですね。  同時に、最後に私がお聞きしたいのは、いまの通年施行の問題ですね。通年施行で秋田県は五万ヘクタールくらいのやりかけたものあるいはこれからやるもの、すでにやったもの、いろいろあるわけですけれども、これは単純休耕ではないのですね。さりとて転作でもない。しかもこの通年施行をやるということは、東北みたいな積雪寒冷地帯ではそういうかっこうでやらないと、土地の基盤が、圃場整備ができない。しかも通年施行そのものが政府の土地改良十カ年計画ですか、ああいうものの中でやっておるわけですね。まさに国策に沿ったものなんだ。そういう点で、休耕奨励補助金がなくなるということになりますと、ことしはたいへんな事態がそれにつれて出てくるわけですから、これについて来年の予算のときに何とか考えましょう、そんなことを言っても、農民は納得しないし、そういうことでは納得どころじゃなくて、非常に混乱を起こすものだと思う。したがって、いま政府がどのように具体的に考えておるのか。ことしの二月段階でも梶木さんが参議院で質問したときに、来年の予算のとき考えるなんという、それでおしまいになっています。あれからもっと時日がたっていますので、通年施行に対するあらためた圃場奨励金といいますか、これについてはどう考えるのか、どのようにその後の検討が進んだのか、基本的なかまえ方はどうなのか、はっきりしていただいて、納得すればこれで質問をやめます。
  108. 小沼勇

    小沼政府委員 御承知のとおり、米の生産調整対策によりましていわゆる休耕奨励金が出たわけですが、それを契機にいたしまして圃場整備事業等を通年施行する。積寒地帯では特に夏季施行ということになるわけでございますが、それが促進されまして大体年約五万ヘクタール、全国でそのくらいが夏季施行されているという状況でございます。四十九年度以降休耕奨励金が打ち切られることになりますと、当然それに伴いましてその奨励金が出ないということになるわけでございますが、これにつきましては、非常に方々の皆さまから、ぜひ夏季施行が続けられるようにという御要望も多くいただいておりますので、そういう点も考慮しながら現在検討を続けている状況でございます。  と申しますのは、予算作業を大蔵に第一次に持ち込みますのが八月の末でございます。それまでにずっと詰めていきまして、さらに問題になる事項はその後第二次の検討をするというふうな段階があるわけでございまして、農林省の中でも、先ほど答弁がありましたように、生産調整をどういうふうに進めていくかという問題とも関連をいたします。そういう点を含めまして検討を慎重に進めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  109. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 最後の最後ですが、通年施行を担当しておる農民は期待を持っていいという状況の中で来年を待てばいいのか、全くわからないというのか、あなたの話の中にはいろいろ含みがあって、何か前向きに検討するというようなかっこうに見えるのですが、農民はある程度それに期待が持てるという状況の中で話を進めておるのかどうかです。この点だけ確認しておきたいと思います。
  110. 小沼勇

    小沼政府委員 夏季施行自体をやってみますと、非常にいい点もございます。工事期間をたっぷりとって冬の雪の降るときにやる必要はないというふうなこともございますし、また機械等を使う場合も分散して使える、いろいろのメリットもございます。しかし、その生産調整のことがなくても、もしそれであれば当然その夏季施行があってよかったはずだと思うのです。ただ、現に休耕奨励金を契機にしてこれだけの事業が進められている、そういう現実、また今後ぜひやってほしいという御要望もございますので、そういう点も十分考慮に入れまして来年度について考えていきたい、かように考えている次第でございます。
  111. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 きょうはまだまだ労働省にもいろいろ出かせぎの失業保険の問題なんかあったのですが、時間がないのでこれでやめます。労働省の方どうもすみませんでした。
  112. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、諫山博君。
  113. 諫山博

    ○諫山委員 生産者米価は食糧管理法弟三条二項で決定されることになると思います。これを見ると「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」と書かれています。だとすれば、生産費が高くなる、物価が高くなる、そうすると、当然それに従って政府の買い入れ価格は上昇すべしというのが食管法のたてまえだと思いますが、長官、いかがでしょう。
  114. 中野和仁

    ○中野政府委員 これは食管法の規定はいまお読みになりましたとおりでございまして、生産者米価のきめ方は、生産費それから物価その他の経済事情を参酌しまして再生産を確保することを旨として定めるということで、毎年政府といたしましては試算をつくりまして、これを米価審議会におはかりして、最終的には閣議できめるということでやっております。
  115. 諫山博

    ○諫山委員 三年間連続生産者米価が上がらなかったという期間があるわけですが、この間は生産費とか物価は高くならなかったんでしょうか。
  116. 中野和仁

    ○中野政府委員 その問は先生十分御承知のように、米が非常に生産過剰になってまいりまして、これをどう扱うかということでいろいろ論議があったときでございます。そういう中でございますから、当然御指摘のように、物価なりその他のものは上がっておりますけれども、そういう過剰基調の中での生産者米価のきめ方ということがあったものですから、その算定方式につきまして若干変更をいたしまして算定をした結果、据え置きということになっておるわけでございます。
  117. 諫山博

    ○諫山委員 食管法を正確に読む限り、米が多いとか少ないかだけによって生産者米価をきめてはいけないはずです。中心になるのはまず生産費、その次に物価、その次にその他の経済事情というのが出てくるわけです。さらにその価格というのは米穀の再生産を確保することを旨としなければならないということも書かれています。だとすると、生産費が急上昇する、物価が急上昇する、それにもかかわらず生産者米価が上がらないということは、どう考えても食管法違反じゃないですか。どうですか。
  118. 中野和仁

    ○中野政府委員 食管法の中で経済事情というのは、先ほどもお読みになりましたように、書いてあるわけでございまして、当時ちょうど一年分の配給量に相当するほどの過剰生産ということになっておったわけでございます。そういう中でやはり再生産の確保ということを忘れたわけではございませんで、そういう過剰の中でそぐうような再生産の確保のしかたということで米価を決定してきておるわけでございまして、生産費が上がったから、物価が上がったから必ず上げなければならぬということではないと私は思っております。
  119. 諫山博

    ○諫山委員 この問題はすでに農民組合を中心に裁判まで行なわれているくらいです。そこで、農林省としてはやはり法律を厳格に解釈しないとだめです。まじめに解釈する限り、生産費が上がる、物価が上がる、しかし生産者米価が上がらなくてもいいというような結論は出てくるはずはありません。  そこで、昭和四十四年、四十五年、四十六年度の政府の買い入れ価格というのは完全に同じ数字が出てきたんでしょうか。
  120. 中野和仁

    ○中野政府委員 四十四、四十五、四十六というのは水準としては同じでございます。ただ、四十六年におきまして総ワクで出しておりました良質米奨励金と米の品質改良奨励金というものを基本米価の中に入れましたので、形式的には四十六年は四十五年に比べて三%ばかり引き上げになっておるということでございます。(「おまけがついたのを切ったんだよ」と呼ぶ者あり)
  121. 諫山博

    ○諫山委員 おまけがついたというのは、原則は変わってないということです。  そこで、私がお聞きしたいのは、偶然同じ結果が出てきたのか、それとも同じ結果を出すように数字を合わせたのか、どちらなんでしょうか。
  122. 中野和仁

    ○中野政府委員 もちろん最初に御答弁申し上げましたように、非常な過剰基調の中でありますから、算定方式としてはいろいろ要素のとり方を変更しております。その結果大体同じような計算になったということでございます。
  123. 諫山博

    ○諫山委員 これは三年間偶然同じ数字が出るということはあり得ないことです。つまり、同じ結果を出すように数字遊びをしたということを証明していると思います。大体数字のとり方によって、こんなに物価が上がりこんなに生産費が上がるのに、同じ結論が出るはずはありません。つまり、一定の結論を政府が先につくり出した、そしてその結論に合わせるために数字選びをしたというふうにしか理解できません。農林省の中ではこれは数字合わせだということばが使われているはずです。どうでしょうか。これでも偶然と言われますか。
  124. 中野和仁

    ○中野政府委員 私、偶然と申し上げたのではございませんで、需給事情を勘案をいたしますと、生産者米価を引き上げてこれ以上米の生産を刺激することはいかがなりやということを前提に置きますと、やはり計算といたしましては、算定要素のとり方を変えて計算をしました結果、こういうことになったということでございます。
  125. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、先に生産者米価は上げないという結論を出して、それに合うように数字を選んだということになりますか。
  126. 中野和仁

    ○中野政府委員 私、当時直接責任者じゃございませんでしたけれども、たしかおととし、さきおととし、総理の施政方針演説で、予算措置としては据え置く方針であるという施政方針があったように、私、記憶しております。
  127. 諫山博

    ○諫山委員 農民を愚弄するにもほどがあると思います。食管法を正しく適用する限り、だれだって、生産費が高くなる、物価が高くなれば生産者米価が上がると期待するのは当然じゃないですか。食管法にはそう書いてあるわけです。ところが、たとえば昭和四十六年度産米について芳賀委員が具体的に質問しておられます。昭和四十二年方式で計算した場合と昭和四十六年方式で計算した場合には六十キロ当たり三千二百円の差が出る、全国的にはこれが四千億円の差になる、こういうことを農林省当局も認めておられたはずです。この点は現在でも認めておられますか。
  128. 中野和仁

    ○中野政府委員 四十二年方式で計算する結果がいまお話しのような数字になり、四十六年方式で計算すればそういうことになる。差額を総量で計算しますとそういう数字になるということ自体は、これは計算でございますから、それはおっしゃるとおりだと思います。
  129. 諫山博

    ○諫山委員 とにかく一定の計算方式をきめてそれで数字を引き出すのではなくて、まず数字を先にきめて、それに合わせるようにして計算方式をきめる、これはペテンじゃないですか。こういうことが許されるなら、食管法第三条二項というのは要らないわけです。食管法第三条二項がなぜ必要かというと、政府はかってにきめてはいけないんだ、こういう基準で価格をきめなければならないんだという意味で政府を規制する、ここに立法趣旨があるのでしょう。政府の一方的な、かってなやり方を禁止するという趣旨だと思うが、いかがですか。
  130. 中野和仁

    ○中野政府委員 算定方式としての所得補償方式が始まったのは昭和三十五年でございます。それからしばらくしまして、いまとは違いましてかなり米の不足時代がありまして、その間毎年のように引き上げの意味での算定方式をかなりいじってきておりまして、やはりその背景には需給の不足ということがあったかと思います。そういうようなことで、いまたまたま四十二年という御指摘がございましたけれども、三十五年から見ますと、算定方式の背景にはやはりそういう需給事情がいろいろありまして、要素のとり方が変わってきておるということでございまして、四十二年だけがこの生産所得方式の算定方式としてきまっておるということでは必ずしもないということでございます。
  131. 諫山博

    ○諫山委員 私は従来までの議事録を調べてみたのですが、四十二年方式で計算すればどうなる、四十三年方式で計算すればどうなる、いろいろ論議がされています。しかし、このこと自体、私が何回も繰り返しますように、食管法に従って厳格に生産者米価を算出しているんじゃなくて、さっき政治加算というやじが自民党席から飛びましたが、そういう観点からまず結論を出して数字合わせをしている。こういうやり方は食管法で禁止されているんだということを検討してもらいたいと思う。  そこで、生産者米価について諮問がなされるわけですが、この諮問のしかたにもいろいろ変更がきているように思います。たとえば昭和四十四年度の諮問は、「生産費および所得補償方式を基本とし、米穀の需給事情を考慮して決定することにつき、意見を求める。」これは「生産費および所得補償方式を基本とし」ということになっています。四十五年も大体そうです。ところが、四十六年になりますと、「米穀の需給の均衡を図るため米穀の生産調整が行なわれている本年の需給事情に即応して生産費および所得を考慮して決定する」云々という表現になっていますね。つまり生産費及び所得補償方式というのが昭和四十五年ごろまでは生産者米価を上げるための基本とされていたけれども、現在ではこれがさしみのつまにしかされていないというふうに受け取れます。こういう経過になっていることはお認めですか。
  132. 中野和仁

    ○中野政府委員 いまお読みになりましたように、諮問のしかたはそういうことになっております。それにつきまして若干説明させていただきますと……
  133. 諫山博

    ○諫山委員 それはあとで聞きます。  そうすると、昭和四十六年、四十七年というのは生産費及び所得補償方式を基本としたものではなくて、米穀の生産調整が行なわれているという事実を第一の前提にして生産者米価がきまったと聞いていいのですか。
  134. 中野和仁

    ○中野政府委員 これを第一に置いたといいましょうか、「米穀の需給の均衡を図るため米穀の生産調整が行なわれている本年の需給事情に即応して」というふうに書いてありますが、御承知のように、四十六年から五年間米の過剰基調を解消しながら、足らない他作物への転換を進めるという基本方針があるものですから、それに即応しながらも、やはり生産費及び所得補償方式をどうするかということをあわせて考えた上で決定するということについて意見を求めたということでございます。
  135. 諫山博

    ○諫山委員 昭和四十四年と四十五年ごろは一応食管法第三条二項というのが前面に出ていますが、四十九年、四十七年になると、食管法第三条二項というのはほんとうに後退してさしみのつまになっているということがはっきりわかるわけです。それにしても米価審議会の答申をこういうふうにして政府のほうで一定の方向に誘導するというやり方というのは、しばしばここでも論議されておるようですが、米価審議会の独自性を否定して政府の意向に沿うような答申を出してくれというふうに受け取れるのですが、なぜこういう前提をつけて諮問をしているのでしょうか。
  136. 中野和仁

    ○中野政府委員 米価を決定しますのは食管法では農林大臣でございまして、やはりそのときどきの事情というものを判断した上で農林大臣が、ことしの米価はこういう考え方できめたいがいかがなりやということを御諮問申し上げるわけでございます。ただし、委員会としての御議論はいろいろな角度からあるわけでありまして、別に一定の方向に誘導するということでもってこういうふうに書いておるというわけではないと私は思っております。
  137. 諫山博

    ○諫山委員 とにかく米審という機関があるわけですから、米審が独自の立場で米価の問題を検討する、そしてそれが農林大臣にも反映する、これが行政機関と審議会の本来の正しい姿だと思います。ところが、こういう観点から意見を出してくれというのでありますから、米審の独自性を認めずに、米審の答申に一定の方向づけをしようとしているということになるわけですが、今年度の諮問もこういう形でするつもりでしょうか。
  138. 中野和仁

    ○中野政府委員 本年度の諮問につきましては、まだ農林省といたしましても関係各省とも相談する段階に至っておりません。きょうの段階では、まだ何とも内容について申し上げる段階ではございません。
  139. 諫山博

    ○諫山委員 従来の諮問の内容を見ますと、いま米が余っているんだ、だから生産者米価をあまり高くしてもらっては困るという立場で諮問がなされています。これが食管法に違反することは私が指摘したとおりでありますが、それにしても米が余っているという事情が少なくともことしあたりから非常に変化してきたということは政府も認めざるを得ないのではないかと思います。ですから、さっきの中川委員のような質問が出てきたわけですが、この点、昨年度とことしは変化が生じていると見ているのか、同じことだと見ているのか、どちらでしょうか。
  140. 中野和仁

    ○中野政府委員 米の需給に関しましては、それほどの変化はないと私は考えております。確かに世界的に穀物状況が逼迫をしてまいりまして、いろいろな問題が世界的に起きておりますが、日本の米に関する限りは、昭和四十六年から単年度需給均衡、それも端境期に適正な在庫を持ちながらやるということで進んでおりまして、その点につきましてはむしろ四十七米穀年度のほうが、四十六年産米が非常に不足でございましたので、持ち越し量が少なかったわけでございます。本年は幸い去年が豊作でありまして、ことしの持ち越しは五十万トンというふうにふえてまいっております。日本の国内の米に関する限りは、需給がことしになって非常に逼迫したということはありません。
  141. 諫山博

    ○諫山委員 政府が長い間生産者米価を据え置きにしたこの間も、一般の労働賃金はどんどん上がるし、物価も上がるという状態だったことは否定できません。だとすると、米をつくっている農民の生活はそれだけ苦しくなった。もちろん農外所得の問題はあるかもしれませんが、米価だけで生活しようとする限り、米をつくる農民の経営というのは困難になったという事態が生じていることは算術的にも明らかですが、長官はこの点お認めでしょうか。
  142. 中野和仁

    ○中野政府委員 確かに御指摘のように、四十六年は不作も重なりまして、それから米価が御指摘のように上がっておりませんので、米の収入というのは減っておることはお話しのとおりだと思います。
  143. 諫山博

    ○諫山委員 生産者米価を政府が決定するという仕組みは昔からとられているわけですが、この政府が生産者米価を決定するという仕組みを逆用して、農家が米だけではなかなか生活できない状態をつくり出していく。そして農家があまり米をつくらないようにする、そういう状態に追い込んでいくというのは、まことに残酷な、卑劣なやり方だと思います。農家が自由な選択で米から離れていくというなら別ですが、政府が生産者米価をきめるというその仕組みを逆用して、農家を米の栽培から離れさしていくというのは、非常に悪らつな、残酷なやり方だと思いますが、この点、反省はないのですか。これは次官、いかがでしょうか。
  144. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先生、これはおことばでございますけれども、そのことばどおりに解釈いたしますれば残酷ということになりましょうけれども、これはもう日本の社会機構というものの基本的な問題だという感じが私はするのです。そういう意味においては、何ゆえ米がこのように余っていったか、そこにも基因するわけでございまして、これだけの文明社会、国家という中で、これだけ機械化文明が発達し、しかも日本の国は比類なき一等国になっていったわけでございますから、そこにおいて、昭和三十六年以降、米というものはあまり食べなくなったという食生活にも影響するわけでございまして、それが基本的には大きな影響として先ほど先生が御指摘なさったようなところまでくるわけでございまして、決して、何も政府そのものが米の値段を安く設定をするがゆえに米生産者が職業から離脱していくという残酷なやり方であるという御解釈は、いささかこれは早期に考えがちな先生のおことばと思えるのでございますが、いかがなものでございましょう。
  145. 諫山博

    ○諫山委員 これはいずれ別な機会にもう少し明らかにさしてもらいたいと思いますが、私は、衆議院農林水産委員会調査室のつくった生産者米価決定に関する資料というのをずっと見てみました。ところが、非常に奇妙な感じを受けたのは、この中に、たとえば「自民党適正米価推進議員懇談会第一回総会開く」あるいは「自民党総合農政調査会総括委員会で党米価案づくりを始める」「党三役による政府との最終折衝」ということばがずっと毎年出てきます。つまり、生産者米価を決定する場合に、自民党の中の何らかの機関というのが非常に大きな役割りを果たしているように思うのです。政府の機関だったら話がわかるのですが、自民党のさまざまな機関が生産者米価決定の中でいままでどういう役割りを果たしてきたのか、食糧庁長官から御説明ください。
  146. 中野和仁

    ○中野政府委員 政府の諮問案を決定しましたあと、これを米価審議会にかけて御議論いただいたあと、御答申を受けたあと、その答申をもとにいたしまして政府として米価を決定する際に、与党と相談をするということでございます。その場合に、党内に、いまお読みになりました、年によってあるいは委員会の名前が違っている場合がありますけれども、そこが中心になりまして、その政府の試算、それから答申の模様、それから党の御意見というものを総合されまして、党としての御判断があるわけでございます。最終的には、そういう意見も入れまして閣議で政府として案をきめるということでございます。
  147. 諫山博

    ○諫山委員 自民党の何らかの機関と政府が折衝するというのは、法律的な根拠のあることですか。
  148. 中野和仁

    ○中野政府委員 法律的にはもちろんございません。
  149. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、従来政府と自民党の中の機関とでどういうことが折衝され、どういうことがきめられていたのか、御説明ください。
  150. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほど申し上げましたとおりでございまして、政府の諮問案、その場合には多くの年には試算をつけております。その試算、それからそれをもとにされました米価審議会での御議論というものを食糧庁のほうで党の機関にお話を申し上げまして、そこでいろいろ御議論があるわけでございます。そういうことで、現在の——私が言うのは非常におかしいわけでございます。ここに政務次官もいらっしゃいますので、政務次官からあるいはお答えがあろうかと思いますが、政党政治でございますので、当然政府側としましては、党の御意見をいろいろ伺った上で、そうして党としても御意思を決定された上で、両方合わさったところで最終的に閣議できめる、こういうことでございます。
  151. 諫山博

    ○諫山委員 きょうの読売新聞に、「生産者米価七%台アップを諮問へ」という記事が出ています。ごらんになりましたか。この内容は、政府・与党の九日の発表として、米価審議会は来月二、三日に開く、首相、蔵相の訪米前、こういうことが出ていますが、これはそのとおりですか。
  152. 中野和仁

    ○中野政府委員 食糧庁としては何ら関知しておりません。
  153. 諫山博

    ○諫山委員 では次官に。
  154. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 私はきょうのその新聞は何ら関知しませんし、読んでもおりませんけれども、先ほどの答弁は私が当然すべきことかと思いますので、先生にも一応御記憶のほどを願い上げたいと思うのでございます。  先ほど来の先生の御質問は、ずっと中川先生以来聞いているのでございますが、基本的に私どもと考え方が違う。政党政治の本質というものは、私は、あくまでも与党というものが主軸をにないまして、国民にその責任を負託されておる。私たち自身が、私が政務次官に、農林大臣が大臣に与党から送られている原因もそこにあるわけでございまして、それだけに、いろいろと諸先生方に意見がございます。問題点は委員会等あるいは米審等で反映していただく、われわれはそれをわれわれの責任において執行していく、この与党の責任における政党政治のたてまえでございますから、その点をひとつ十分御賢察の上で御質疑賜わりたいと思うのでございます。
  155. 諫山博

    ○諫山委員 さっきの読売新聞をもっと読み続けますと、「政府諮問案は七%台の引き上げとし、米審の答申を得たあと政府・与党折衝を経て来月七、八日ごろ首相の帰国を待って実質一〇%以上の大幅引き上げを決定する方針」、これがきょうの読売新聞です。これでも出ていますように、政府としては何らかの案をつくる。そしてそれを自民党の中の機関と折衝する。この中で自民党の功績によって生産者米価が上がるという形が従来とられています。こういう結果になっていることは否定できないと思いますが、長官、どうですか。
  156. 中野和仁

    ○中野政府委員 年によりまして政府の試算をいたしました数字よりも最終決定が高いということはあるわけでございます。
  157. 諫山博

    ○諫山委員 それは自民党との折衝の中で高くなるというのが例年のならわしのようですが、そうですか。
  158. 中野和仁

    ○中野政府委員 その前に、米価審議会におきましても、これは米価審議会には基本的な事項しか諮問しておりません、額のことは申しておりませんが、やはりその年々の米をめぐります情勢によりまして、答申の内容が違っております。それを尊重いたしまして、政府としてもかかるわけでございますが、自民党のほうでも、その答申を尊重された上で、いろいろ具体的な額について御意見、御議論があるわけでございます。
  159. 諫山博

    ○諫山委員 私がなぜこの問題にこだわるかというと、私は、いつも生産者米価が与党の党利党略できめられているのじゃないかという疑いを持ったからです。たとえば「昭和四十七年産生産者米価決定に関する資料」を見ましても、七月三十九日に「党三役による政府との最終折衝」そしてその後に持ち回り閣議が開かれて、その日のうちに生産者米価がきめられています。従来の経過から見ても、なかなか農民団体が要求してもうんと言わない。米価審議会でもはっきりした結論を出さない。しかし、結局、自民党の機関の努力によって生産者米価が上がったという形が報道されるわけです。私はこれはきわめて……(「当然だ」と呼ぶ者あり)当然ではないと思います。きわめて不明瞭だと思います。生産者米価は米審の諮問を経てきめるということは書かれていますが、(「圧力団体が強い」と呼ぶ者あり)いま自民党席から圧力団体が強いと言われましたが、そういう意味では自民党の議員が最大の圧力団体となって生産者米価を政治的にきめている、私はこれはよくないことだと思います。生産者米価を高く上げるというのはわれわれは賛成です。しかし、それは米価審議会の諮問に基づいてやるのが当然であって、いかにも自民党の議員の努力によって生産者米価が上がった……(「そのとおりだ」と呼ぶ者あり)そのとおりだという声がまた自民党席からあがっているわけですが、長官はこういうきめ方は当然だと思っておりますか。
  160. 中野和仁

    ○中野政府委員 私は、先ほどから申し上げておりますように、米価というのは、やはり農家の問題、消費者の問題と考えると、非常に大きな政治の問題だと思います。そこで、重要なことにつきましては政府が意思決定すると同時に、党のほうにおかれましては、政務調査会、総務会の決定というのがございます。そこで、政府の考えと党の考えとが一致したところで最終的に決定になる。現在の方式はそういうことになっているということを申し上げる以外にはないと思います。
  161. 諫山博

    ○諫山委員 次官から政党政治というおことばも出てきたし、自民党席のやじも大体その立場からだと思います。私も政党政治は否定しません。しかし、農民の重大関心事である生産者米価を党利党略に使うというのはいかぬと思います。(「それが政治だよ」と呼ぶ者あり)これが政治だという声がまた自民党席から出てきましたが、こういうやじと私の反論はぜひ速記録に残していただきたいと思います。やじも聞き取れる限り残してください。そうすると、生産者米価がどういう忌まわしい経過できめられているかということがよく記録に残りますから。こういう状態を長官が是認するというのは、私はあまりにも卑屈であり過ぎるのではないかと思います。生産者米価を上げるんだったら、なぜ堂々と審議会で議論してそこで上げませんか。
  162. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先ほど来私が答弁しておるとおりでございますが、長官を何もかばうわけではございませんが、先ほど先生のおことばの中に、党利党略ということでやっていくことはまことにけしからぬというおことばがございましたが、これは党利党略ではございません。あくまでもいまの政権を担当する自由民主党の責任においてやるわけでございますから、党利党略でやっておるわけではないのであります。国民に負託されて政権を担当するその政党が、はっきりと自分の決断に基づいて国民に示す、これは当然政党政治のあるべき姿だと思っておるのであります。したがいまして、もし政党が、場合によって政権がかわった場合、これはその政権を担当する政党の責任においてやるべきことでありまして、決して党利党略でやるべきものではない。そういう観点において一致点をぜひとも先生との間に見たいと思うのであります。  同時にまた、先ほど来長官の問題点が出ておりますが、これはあくまでも、われわれ政党政治の中における大臣、政務次官、そのもとにおける長官であることも、私は長官に厳に言うておるつもりでございますから、どうぞひとつその点は先生も御理解のほどお願い申し上げたいと思います。
  163. 諫山博

    ○諫山委員 それから、読売新聞に戻りますが、これは七%台の引き上げということが日本全国に報道されているわけです。全く根拠のない数字ですか。
  164. 中野和仁

    ○中野政府委員 根拠ございません。
  165. 諫山博

    ○諫山委員 それから、消費者米価は、中川委員の話から出ましたが、来年三月末日までは上げない、こういうことがきめられたのですか。
  166. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほど中川先生のときに御答弁申し上げましたように、物価閣僚協議会のあと、関係大臣と党の首脳部とのお集まりのとき、総理からお話ございまして、そういうふうに決定をされたわけでございます。
  167. 諫山博

    ○諫山委員 来年の四月一日からどうなるんですか。
  168. 中野和仁

    ○中野政府委員 先般の御決定には、それ以後のことまで含めてはおりませんので、まだ未定でございます。
  169. 諫山博

    ○諫山委員 いま、ことしの生産者米価を大幅に引き上げてもらいたいということで、農民の大運動が起こっています。おそらく現在の運動というのは、日本の農民運動の歴史の中でも特記すべきできごとになるのじゃないかと思います。それは考えてみればあたりまえのことです。米というのは日本の農業の大黒柱、そしてこの米が、米だけつくっていたのではなかなか食っていけないというような状態に、政府の誤った政策のために追い込まれているというのが実情です。そういう中で、生産農民の声を政府が十分耳を傾けるというのは当然のことだと思います。  それから、ことしの米価運動のもう一つの特徴は、消費者団体が生産者米価引き上げに反対しなくなったということです。従来、生産者米価が引き上げられると消費者米価が引き上げられてくるのじゃなかろうかというような思惑があったようでありますが、ことしは消費者団体までが、生産者米価引き上げは当然だということを言い始めたというのは、従来なかった新しい問題ではないかと思います。  そういう点で、生産者米価の決定というのはこれからの問題でありますが、そういう深刻な状態、特にいまの物価値上がりというのは、これは日本の歴史の中で二番目だそうですね。一番激しかったのが終戦直後、そしていまが二番目、三番目が朝鮮戦争の時代。こういう激しい物価値上がりの中での生産者米価ですから、いままでのようなわけにはいかないということは当然農林省のほうでも考えていると思いますが、きょうは大臣がおられませんが、次官、いかがでしょうか。
  170. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 その点は十分私どもも意を尽くして検討していくつもりでございます。
  171. 諫山博

    ○諫山委員 終わります。
  172. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、瀬野栄次郎君。
  173. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 飼料問題並びに麦作振興の問題を若干と、さらに、去る七月三日以来質問をしておりましたチルドジュース工場の一元化問題、この三点にしぼって質問をいたします。  まず最初に、七月三日以来四回にわたっていろいろ質問してまいりましたが、その後詰めてない問題等もございましたので、若干補足的に質問をいたしたいと思います。  まず最初に、飼料問題で、アメリカのデント商務長官が、七月五日の発表によりますと、さきに輸出規制を発表した大豆及び同製品ほか、その他の飼料、動物油脂及び食用油など四十一品目が輸出規制の対象品目に加えられ、これら四十一品目が、六月十二日以前のものは成約どおり船積みできるが、六月十二日以後に成約したもの及び十月一日以降船積みの分は追って具体的な規制量が発表されるまで、一時輸出を全面的に停止する、こういうようなことをいっておりますが、この点については、今後の全農等におけるたいへんな飼料問題が心配されておるやさきであり、畜産農家がたいへんな打撃を受けるということで、すでにしばしば指摘してまいりましたし、たいへんな問題でございますが、今後の飼料の安定供給をはかるためにも、政府の考えをただし、さらに十分対処していただきたい、こういう意味でお尋ねするわけですが、この点、農林省はどういうふうに分析をして受けとめておられるか、最初にお伺いしたいのであります。
  174. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生御質問の、大豆以降七月五日に発表されました輸出規制の対象品目は四十一品目でございますが、これは動物性油脂その他各品目以外にえさについての品目がございますが、日本側にとりまして関係の深いものとしては、アルファルファミール、これはルーサンミールと申しまして、配合飼料のたん白質の原料でございます。これが対米三十万程度の輸入がある。あとはフェザーミールが若干、対米で年間二万トン程度の配合飼料原料があるわけでございます。これにつきましては、大体配合飼料の配合率が一、二%でございますので、国内のかす類、これは配合飼料中のたん白源でございますので、国内の糟糠類等の活用その他によって対応いたす。なお、これにつきましても大豆、大豆かす同様に一時停止でございますが、なお今後の規制内容等については、日本側がコンスタントな需要先であるという立場を考慮するようただいま米国に、事務当局も参っておりますので、それを通じて折衝を続けておるというのが現状でございます。
  175. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 事務当局はいつ向こうへ行って、もう交渉の経過等報告がございましたか。
  176. 吉岡裕

    ○吉岡説明員 お答え申し上げます。  七月の初めからワシントンに官房の澤邊審議官をヘッドにいたしまして、食糧、畜産、食品流通、国際部といったようなメンバーでワシントンにいま滞在をいたしておりまして、大豆その他えさ穀物、小麦等につきまして、日本側の必要とする需要量、それから米側の需給事情といったようなことにつきまして、アメリカの農務省当局といろいろ話し合いを続けておりまして、いまの予定では十三日に帰国をする予定になっております。
  177. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 十三日に帰国するということでございますので、またその時点でいろいろと内容等明らかになると思いますので、お伺いすることにいたしますが、大豆にしても飼料問題にしてもたいへんな、国民が重大関心を持っている問題でございますのでお尋ねするわけです。七月五日に米政府が発表しました中で、落花生なども入っておりますが、四十一品目の農産物輸出規制に対しまして、日本関係筋では、いろいろあちこちの意見等を聞きますと、トウモロコシとかマイロ、こういった飼料が規制の対象に加わる可能性がきわめて強くなっている、米国にならって今度は諸外国も農産物の輸出規制が相次いで起こるのではないか、こういったことが懸念されて、商社なんかの意見を聞いてもしきりとこんなことが耳に入るわけでございます。一般の飼料穀物を主体としておる関係者等は、トウモロコシとかマイロの飼料等に関して十日にアメリカ農務省が発表する主要農産物の収穫予想の結果を待った上で規制の対象に加えられる公算がある、こういったことも言っておるわけであります。農林省も、いまワシントンに官房からも出向いておるし、十分そういったことを踏まえた上で現地へ派遣をなさっておると思いますが、まことにこれは重大な問題でございまして、こういった飼料等が相次いで規制の対象になるということになりますと、畜産の振興に重大な影響を来たすのですが、その懸念はないのか、そういったことは全然心配ないと当局は見ておられるのか、その点、お伺いをしておきたいと思うのです。
  178. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 御質問の輸出規制の見込みをどう考えておるか、特にメーズ、マイロの輸出規制の見込み対策はどうか、こういう御内容かと思いますが、今回アメリカにおいて実施されました農産物の輸出規制措置につきましては、トウモロコシ、コウリャンに関する追加規制につきましては、いまだにその情報をはっきり的確には得ておらないのでございます。これは率直に申し上げます。ただ、配合飼料の主要原料であるトウモロコシ、コウリャンの輸出を規制する場合には、その程度にもよりますけれども、わが国飼料需給に影響を及ぼすことも予想されますので、事態に即応いたしまして、需給及び価格について混乱が生じないように万全の対策をいまのうちから講じておかなければならない。また、同時に講ずることといたしておるつもりでございます。  なお、六月末の在庫量は約百二十九万トンと見られ、通常の月末のランニングストック量をはるかに上回る在庫増となっておりまして、輸出規制に対する対策の推進に合わせまして、新穀出回り期までの需給には支障はないものと私どもは考えておる次第でございます。
  179. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 中尾政務次官のおっしゃるとおりであれば安心でありますけれども、六月で在庫が百二十九万トンということでございますが、六月はそうでありましょうけれども、全農はじめ各団体、畜産農家が心配しておるのは、すでに八月には底をついて九月には再び値上げをせざるを得ない、または値上げを大幅にやらない場合は、飼料そのものに結局成分の少ない抗生物質、ミネラルあるいは夾雑物を入れるというようなことで、現に、いろいろと私も数回指摘をしたところでありますが、そういうことが起きてくるとなりますと、どうしてもやはり全農と末端の飼料会社との間において手数料の問題、あるいは農家の需要を満たすためにどうしても生産をやらねばならないということになりますと、どこかに無理がいく。そうすれば、それが原因となって奇形牛等の生産が行なわれるということで、また人間に迷惑がかかってくるという、いろいろと心配がされるわけで、先日長時間にわたって指摘したところでございますが、大体八月末ないし九月にはまた値上げをせねばならない、かなり底をついてくる、こういうようなことで、全農側からも要請があっておるし、また一般にも心配されておりますが、その点の見通しはどうなんですか。
  180. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど政務次官がメーズ、マイロの米国における対外輸出規制措置との関連で日本側の手当ての状況を申し上げたところでございますが、対米のメーズ、マイロの手当ては相当進んでおりまして、先ほど六月の在庫量を含めまして、旧穀から新穀に切りかわる時期までの成約も済み、逐次到着しておる。したがって、先生御指摘の値上げ問題は、実は物の需給のアンバラではなくて、九月以降の配合飼料の原料に供するメーズ、マイロ等についてはすでに成約手当て済みでございますが、その手当て価格等が四月以降値上がりの要素があるために、九月以降の配合製品価格にこれがはね返るというような問題があるところでございます。これにつきましては、われわれとしても、全農あるいは商系メーカーから伝えられるような正式の値上げの動きは生じておりませんし、本日もいろいろ申し上げたのでございますが、あらゆる要素、配合飼料価格の価格構成の原料の手当て状況、その他、今後新穀、アメリカにおけるニュークロップの出回りの状況なりその価格水準等そういうものも長期に見通しまして、九月以降の配合飼料価格の値段が適正にきめられるべきものというふうに脅えておるわけでございまして、その点については、輸出規制その他の要因から安易な値上がりが行なわれないように、慎重に指導してまいりたいというふうに考えております。
  181. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 九月以降等の飼料値上がりについては、輸出規制等によって安易な値上がりはしないように十分対処していくとおっしゃいますけれども、値上がりは既定の事実じゃないかというように、私たちは関係者から、また新聞なんかをちらちら見るたびにこう思うわけです。  そうなりますと、飼料が上がれば結局消費者の牛肉、豚肉あるいは牛乳だとかバター、チーズあるいはあらゆるこういった関係の、国民になくてはならない日常食品が上がるということになるのは必至でありまして、たいへんな重大関心を持っているのですが、そのときになって、いま局長がいろいろおっしゃいましたけれども、あとでまた訂正をしなければならぬというようなことになってはこれは困るわけです。十分先々を見通して、そういったことに対処されるように私は警告を発しておくわけです。先のことだからずいぶんまた変化も起きてくるとは思いますけれども、いまおっしゃったようなことではとても安心はできない、こんな感じがしております。  そういった意味で、情報等についてもう一点お伺いしますけれども、商社とか関係者に言わせますと、今度の規制の問題あるいは大豆等のアメリカの作付あるいは将来の見通しとか、今回の日本で行なわれた商社の買い占め等、こういったことが起きたのは、もう昨年から、ずっと早くからこういったことはアメリカで予測されておった。政府のキャッチがおそかった。もうすでにことし買い占めで騒ぎましたけれども、そのときは昨年の情報でやっていたわけで、何か政府のやり方が後手後手じゃないか、こういう批判をよく受けるわけです。われわれもまたそういうように思っているのですけれども、話によれば、ずいぶん前からこんなことは予想されているというのですね。公開の席でそんなことはおっしゃらないけれども、十分そういうことは承知の上で対処しておられるならけっこうだけれども、ほんとうに商社のいうようなことがわからないまま、その場限り、行き当たりばったりというわけではないでしょうけれども、何かあとを追いかけている感じがしてなりません。こういった海外の情報その他については、海外の公館に農務員もおられるわけですから、いろいろと対処をしておられると思いますけれども、いつかも言いましたように、外務省の手先みたいな仕事ばかりで、なかなか農業関係また林業の関係にしても、人手不足で情報が入らないという実情でございますけれども、こういった点は十分対処して、こういった情報等も入れるようにしておられますか。その点さらにこの機会にひとつお伺いしておきたいと思います。
  182. 吉岡裕

    ○吉岡説明員 ただいま御質問の情報の点でございますが、昨年、先生も御承知のように、ソ連の大量穀物買い付けから世界的な穀物の需給タイトという状況が起こりまして、その後引き続いてことしに入って穀物全体の強含み、値上がりというものがあったわけでございます。このことはすでに昨年来アメリカ政府との数次の接触その他を通じまして、日本側にもその情報は十分伝えられておりまして、また一方各在外公館に出しております農林省からの出向者等からの情報によりましても、非常に需給事情がタイトであるということは十分農林省としても承知しておったわけでございます。したがいまして、そういう過程でなるべく先まで買い進むようにいろいろな面で手を打ってきておったわけでございます。  先ほど業界のほうが今日あるを予期しておったというようなお話もありましたが、一律既契約を五〇%もカットするという非常にドラスティックな方法に出るかどうかということは、たび重なるアメリカ側の言明も既契約は十分尊重するというようなこともありまして、これは業界も含めまして非常にアメリカ側のドラスティックな措置であるというふうに受けとめられておると存じます。  そこで、今後どのような事態が生ずるか。一つにはアメリカ側の新穀の生産見通し等と非常に深い関係があるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、アメリカ政府と非常に密接な情報の交換というものを現在行なっておりまして、また今後の世界各国の動向といったようなものも、農林省の独自のソース、あるいは外務在外公館等を通じまして極力豊富に集めていき、これを関係業界にも流していきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  183. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 麦作のことでちょっとお尋ねしておきます。先日も麦作について触れましたが、その後の問題として、七月の三日に国際小麦理事会、IWCといいますが、このIWCの報告書で、七三年の七月から七四年の六月、この一年間の世界の小麦の輸出能力というのが約五千六百万トンと推定されるのに対して、総輸出需要というものが約六千四百万トンと予想されまして、約八百万トンが需要に満たない、不足を生じている、こういう発表をしているわけです。  それで、世界の小麦の供給事情が引き続き窮迫するというふうにわれわれは見ておりますし、世界の異常天候、世界の穀物危機、こういったことから必ずしも楽観できないと思うのですが、七月の五日でしたか質問した際にも、当局は、ことしはアメリカの麦作も天候に恵まれて作付はいいのでそう心配はないということを言っておられますけれども、いろいろ関係者にその後ただしてみましても、政府の言うような見解とだいぶ違う。確かに作付がよければ小麦の心配はないということも言えますけれども、世界の異常天候から見ましたときに、これは二年三年は必ず続くともいわれますし、ことしの状況から決して楽観は許されない、こう思っていますが、こういった小麦の世界的な問題、また日本の小麦の輸入に対しても心配ないかどうか、その点当局のお考えをお聞きしておきたいのです。
  184. 中野和仁

    ○中野政府委員 ただいまお話しの、ことしから来年にかけましての世界の小麦の需給予測の問題でございますが、この間、国際小麦理事会のほうでそういう予測を発表したようでございます。それによりますと、輸出面から見ますと、最低の場合四千八百万トン、まん中ぐらいで五千八百七十万トン、多く輸出できる場合は六千八百十万トン、こういうふうに見ておるようでございます。一方輸入のほうから見ますと、最低が五千九百万トン、まん中で六千四百万トン、それから一番多い場合は六千九百万トンということで、この数字を見ます限りは、生産が非常に不作でありまして、それから輸入が最大要求があるということになった場合は、かなりのアンバランスになるかと思いますが、ただいまお話しにもありましたように、われわれのいま承知しておるところでは、かなりアメリカ、カナダ等が増反をやりまして、また豊作のようでございますし、豪州も去年のような干ばつではないようでございまして、かなりの増産が見通されております。特にあすでございますかアメリカの予測が発表になるようでございます。それを見た上でなお的確な判断をすべきだと思っております。  それに関連をしまして、日本の場合の小麦の輸入状況はどうか、こういうことでございますが、すでに先ほど御質問がありましたように、澤邊審議官を出しますと同時に、食糧庁からも輸入課長を派遣いたしまして、アメリカ政府に対しまして来年の端境期までの数量を要請しております。それと同時に、豪州、カナダ、それからアルゼンチンについても、一年分をまとめて日本と約束しないかという話も申し出をしております。すでに豪州からはその返事が参っております。アルゼンチンにつきましても、来年まで、アルゼンチンの量はたいしたことはございませんが、大体約束ができそうでございます。カナダにつきましては、アメリカよりも北の国でございまして、見通しがつきますのが八月、九月でございます。大体その段階で、去年と同じように、カナダとは一年分の約束をしておきたい、そういうことをやわまして、国内に対します小麦の供給というものには不安を与えないようにいたしたいと考えて、食糧庁でいま努力をしておるところでございます。
  185. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 食糧庁長官からいろいろ話がありましたが、ぜひそういうふうにしてもらいたい。いま答弁を聞いていますと、だいぶ手を打っておられるように思うのですが、それが予定どおり行くように私たちは祈りたい気持ちだし、ぜひそういう対策を立てて、不安がないようにしていただきたいと思います。  と同時に、私はこの麦作振興についてたびたびやっているわけですが、やはり国内の麦作の振興をはかるということにはどうしても力を入れていかなければならぬ。先日大豆の問題で数回いろいろ論議したところでございますけれども、一番の問題はやはり価格の問題なんですけれども、それはそれとして、先だって質問したあと、麦価をきめる米価審議会が開かれて、その答申の中で麦価の政府買い入れ価格とは別に、麦価米審では、「内外の穀物需給の最近の動向等にもかんがみ、麦類等穀物の国内生産の拡大に必要な具体的対策を検討し、本年秋の麦類の作付前に当面とるべき措置を明らかにされたい。」という一項目が掲げられております。政府に麦作振興を早急にやれといって迫っていることでもあり、われわれがしばしば指摘しておることでもございますが、これを受けとめて、政府はことしの麦作についてはどういうふうに考えておられるのか。予算時期にも入っているわけですが、その点お聞かせをいただきたい。
  186. 有松晃

    ○有松説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のように、米審から麦作振興につきまして答申をいただいておりまして、私どもいまこの麦作振興につきまして鋭意検討を続けておる次第でございますが、この麦生産の最近の減少の要因、これは価格問題もさることながら、やはりそのほかいろいろ生産面の要因もございます。たとえば麦作の規模が非常に零細であるということからくる低収益性という問題、あるいは最近の労働力の流出、あるいは兼業化、こういったことからくる生産の減少、あるいはそのほかに麦特有の事情といたしまして、水田の麦の場合には、表作との水田の作期の重複という問題がございます。もう一つ、麦が特にこうむっている問題といたしまして、長雨による被害をときどきこうむるというような、収量の不安定が起こる。  こういうようないろいろの問題がございますが、こういったすべての問題を踏まえまして、こういった問題を克服するためにいろいろな方策を講じたいということから、一つは栽培技術上の観点からの問題、あるいは零細な規模の克服、こういった事柄、集団による生産性の高い麦をつくる、こういった進め方、あるいは畑作の麦の場合には、合理的なローテーションの一環として輪作体系の確立、あるいは畑作におきましても高能率な機械を導入する、あるいは生産団地の育成をはかる、こういったようなことを含めまして、現在検討を進め、ぜひともことしの作付時期には間に合うようにということで、現在進めておる次第でございます。
  187. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これをやっていると、あと大事な問題も少し残っていますので、もう一点この際、申し上げておきます。  農林省答弁を求めるといまおっしゃるようなとおりで、そんなことはこの間も質問していろいろもうわかっておるわけです。それから農林一〇号でしたか、ちょっと急に思い出しませんが、アメリカのボーローダ博士がそれを原種として開発した、いわゆる倒伏に強い、しかも背が短くて収量も多いという麦なんかもあるわけですね。先般資料も提出していただいたのでありますが、その問題についてはきょうここでやると時間がかかるので、実はそういったことも含めて、農林省の姿勢をここで問いただしておきたいという意味から、私は次のことを申し上げるわけです。  麦奨励のため昨年ポスターをつくるようにした、聞くところによると、五百万、私は国の予算と思いましたけれども、これは民間団体の予算で、いろいろポスターをつくるということで計画をされたらしいのですが、結局はこれが麦作に間に合わず、農林省指導が足らなかったというか、麦作振興のためのポスターをつくる予定があったにもかかわらず、その金がどういうほうへ流れてしまったのか、結局うやむやのうちに、麦作が終わってずいぶんだってから、今度はパンフレットをつくって発行するということになって、これは国の予算ではないとはいいながらも、そういったことを積極的に、民間団体からもそういう要請があるのだから、進めるべきであるのに、そういった肝心なことが、ポスターができず、たまたまできたのがリーフレット、それも麦作が終わるころそれがやっと発行になって配られたということでは、さっぱりお話にならない。ことしもいろいろ計画をまたしておられると思うのですが、そういった一つの枝葉に立っての問題ですけれども、そういったことを見ても、農林省の麦に対するほんとうの姿勢というものがどうも積極性がないというか、やる気がないというか、感じてなりません。品種改良等も農事試験場でほとんどやっているのかいないのか、麦作の農事試験場なんかほとんど影をひそめておりまして、品種の維持にやっとつとめているという感じでなりません。やはり国内の自給を増していくという意味からも、こういったことも積極的に考えていかなければ、やはり一時にはできないと思う。そういった面で、ポスターのことだけを取り上げて言うわけではないが、そういう一つの例をとってみても、農林省の姿勢というものが、積極的にこれをやっていこうという考えがどうも足らぬのではないか。アメリカとか外国に安いからということで依存する、大蔵省あたりからアメリカから買ったらいいじゃないかと言われると、結局強い腰で臨めない、そして大蔵省の言うことに迎合していくということで、いつまでたってもこれが発展しない、また自給率を増していくことができない、残念でたまりません。その点だけひとつ当局の見解を承って、次の問題に入りたいと思いますので、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  188. 有松晃

    ○有松説明員 啓発活動の点についてお答え申し上げます。  ただいま先生おっしゃいましたようなポスターの事例、これは民間の事例をおっしゃったかと思いますが、実は農林省においても四十七年度に啓発活動の予算を計上いたしまして、ポスター、リーフレット、優良事例、これは麦作についてでございますが、麦作のあり方、たとえば先ほど申しましたような機械の導入とか、あるいはそのほかいろいろな栽培方法等についての印刷物をつくりまして、昨年の麦作に間に合うように配布をいたしております。それから本年においても、引き続いて現在ポスター、リーフレット、優良事例等を作成中でありまして、本年度の麦作には間に合うように準備は進めております。こういった啓発活動については、今後とも力を入れてやってまいりたいと考えております。
  189. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それがもう間に合わないし、全然役に立たないから、みんな末端で騒いでいるのです。ここで言えば通り一ぺんのことしか答えないけれども、役に立っていないので私は言うわけです。はっきりした事例があるのです。ことしももちろんやってあたりまえですが、もう少し積極的に、早目に効果が出るような対策をやってもらいたい。せっかくの予算ですから、民間にも指導を十分やってもらいたい。  なお、この問題については、御存じのように、奨励金の問題などいろいろありまして、これも一つの問題ですけれども、先般決算委員会でいろいろ追及したのでいまはこのことには触れません。次回にこれを譲って、またいろいろと政府の見解をただしたいと思います。  最後に、先般からいろいろ質問をしてまいったチルドジュース工場の問題ですが、要点だけ聞くので、はしょってお答えいただきたい。  チルドジュースの生産ではさきに全農が構想をまとめて、株式会社農協果汁方式を支持し、今月中を目途にチルドジュース工場の一本化を進めると、こういうふうに言われておるのでありますが、これは農林省が一億三千万円の補助金支出をし、来年五月を目途に生産を開始するという考え方から割り出したものといえるし、そのため来年二、三月ごろには工場を完成させるということに当然なるべきであり、さらに用地確保交渉とか具体的な工場建設計画など早急に結論が求められるということになるべきだと私は思うのですけれども、どういうふうにこのチルドジュース工場については全農としては考えておられるか。日園連の関係はあとで区別して聞きますので、全農関係としては、私がいま言ったような大体の経緯でいかなければ意味がないと思うのですけれども、全農関係考えていることはどういうふうに当局は受けとめておられるか、その点をまずお聞きしたい。
  190. 有松晃

    ○有松説明員 お答え申し上げます。  チルドジュースにつきましての全農系の考え方でございますが、私どもが聞いておりますのは、このつくりますところの新会社におきまして、これは全農が原果汁を購入して、新しい会社に委託加工をする、そしてその委託加工をしたものを全農が販売をする、こういうふうに聞いております。これは日園連の考え方とかなりその点は違いがあるわけでございますが、私どもとしては、早急にこの全農と日園連の間の意見調整がなされるようにということを強く望んでおる次第でございます。
  191. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 出資金の比率は。
  192. 有松晃

    ○有松説明員 出資金の比率につきましては、これも全農と日園連と少し意見が違いますが、規模につきまして、これは資本金五億円ということでございますが、全農の考え方は、そのうち五〇%を全農が出資をする、そしてその残りの五〇%を各県連が出資をするということでございますので、この点についても早急に意見の調整をするということで進めております。
  193. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 引き続き、日園連−日本園芸農業協同組合連合会におきましては、どういうふうに言うておるか。出資金についてもいまのようにお答えいただきたい。
  194. 有松晃

    ○有松説明員 日園連側の考え方は、このつくろうといたします新会社が原果汁を購入いたしまして、それをチルドに製造をして販売をする、こういうことでございまして、それから資本金は、規模は同じく五億円でございますが、この出資のしかたにつきましては、日園連の考え方は、各県連が事業分量に応じて出資をする、こういうような考え方を出しておる次第でございます。
  195. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 全農系統が今月三日の午後農協ビルで果汁生産県会議を開催して、原料輸入ワク及びチルドジュース生産についての協議をいたしたのでありますが、当日出席したのは、三重県、和歌山県、広島県、山口県、徳島県、佐賀県、長崎県、大分県、富崎県の九県、そしてその中身は、これは正確でありませんけれども、聞くところによると、賛成が四、すなわち、やったらいい、全農でやるべきだが四、反対が二、すなわち、日園連でやるべきであるが二、それから中間が二ないし三あったやに聞いておりますが、当局はどのように報告を受けておられるか知りませんが、私もその会議のことは行っていないので内容の詳しい正確なことは申されませんけれども、私が聞き及んでいるところによると、このようなことを聞いております。  そこで、現にこの日本園芸農業協同組合連合会、日園連関係及び全農関係で、すなわち農協柑橘果樹対策協議会というのができておりますが、この二つできまして、すでにもう発足をしてやっているわけですね。こういったことを考えたときに、どうこれをかみ合わせて一元化するか、いつまとまるか、まとめる自信があるか、その点、当局の見解を聞きたい。
  196. 有松晃

    ○有松説明員 全農系と日園連系の一本化につきましては、すでに六月五日に両者のトップ会談におきまして、方向については一本化ということで合意がなされておるというふうに承知をしております。現在、意見が食い違っておりますのは、先ほど申し上げましたように、会社の事業の内容並びに出資の比率について若干の意見の相違がございますけれども、その後、両者歩み寄りの気配もあるというふうに聞いております。私どもとしては、早急にこの意見の調整をするというふうな方向が望ましいというふうに考えておりまして、内々そういった関係者にもそういう要望をしておる次第でございます。
  197. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 中尾政務次官、いまお聞きになったように、これはずいぶんいろいろありまして、私たちは早く一元化して——中尾政務次官はアメリカへ行ってこられたのですが、やはり原料用のジュースの輸入の必要もあるわけです。現に若干輸入をしているわけですから、拡大とかまたは自由化ということは反対だけれども、ある程度の必要最小限のいわゆる輸入は認めておるわけですから、窓口を一元化してやるべきだという考えには変わりないのですけれども、これは実際問題としてまとまりっこがない。ずいぶん長く論議しておりますけれども、九月ごろには結論を出さないとたいへんだということも言われておるわけです。実際問題として、いま話し合いで歩み寄りの気配を見せておるとおっしゃるけれども、中身はそうじゃないと思うのですよ。とてもたいへんですよ。結局、果樹生産農家というのはたいへんな問題なんで、おそらくことしはミカンがまた相当できることは間違いない。そうしたときにこういうふうにごたごたしておったのでは申しわけない。早くまとめてやってもらいたいという気持ちは変わらないのですけれども、いままでの話ではなかなか中身がまとまらない。これに対して政務次官は、どういうふうにその見通しを立てておられますか。
  198. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 私は帰ってまいりましてからまだ農協系の各位とは会っていないのでありまして、(瀬野委員「けしからぬ」と呼ぶ)実は現実的に私自身がこの委員会に非常にとられて、なかなかそちらのほうに出向けないということから、私の代理をつかわせて、私の見解だけはその各位に全部述べておきました。そういう意味で、一元化というのは急ぐということで、私はたいへんこれはげきを飛ばしておるわけでございまして、そういう意味におきましては、日園連、全農側がその誠意にこたえる意味で、一元化は最終目的にして話し合いをやっておると私は確信しておるのであります。  そこで、先ほど先生から言われた、なかなかまとまりにくいぞという御指摘を賜わりましたので、私もこれは農林問題にいろいろと多角的に取り組んでおりますると、この問題だけというわけにいきませんでしたけれども、日米閣僚会議が目の前に近づいてきておりますので、私自身もこれは鋭意、この委員会のないときに、しかも私自身も忙殺されないときに、一回両者を呼びまして、中間的な報告を聞いて、また先生にも御報告を申し上げる機会は得たい、こう思っております。そういう意味におきましては、私自身もこれには少し情熱を持ってやってきたことでございますから、さらにひとつそれを継続させていただいて遂行していきますことをお約束申し上げたい、こう思っております。
  199. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官にけしからぬとは失礼な言い方だけれども、実際問題として、あなたはミカンに関しては情熱を傾けておるとおっしゃっておるし、またわれわれもそれを認めております。しかし、現にアメリカにも代表として行かれて、帰ってからずいぶんなるのに、こういった問題をしばしば当委員会でも指摘したにもかかわらず、両者を呼んでいろいろ検討しておられるということでは、これは大問題だと私は思う。いろいろうわさが出ておりますから、早くしないとまずいと思うのです。そういう意味でけしからぬ、こう言うのです。  そこで、先日もいろいろ質問した際に、伊藤局長は、一元化するとこう言っている。そうであってほしいし、われわれもまたそういうふうに期待するわけですが、現在の状態ではとても一元化はむずかしいし、また政務次官もいまいろいろ答弁なさいましたが、私はもう一つ政務次官に聞きたい。  こういう状況ということは、これは予算を組む昨年からわかっておる。わかっておるにかかわらず、こういう一億三千万の資金を出して、五億をめどにチルドジュース工場をつくる。農林省も、何から何までやらなければならぬ、また対応しなければならぬということはよくわかりますけれども、そういう両方の内容、事態というものを考えずにこうしたことを予算化したということに対して問題がある。もっと根回しをして、きちっとやって対策をすべきではなかったか。こういうふうになるということはわかっていたんじゃないか、だから農政不信が起きる、こういうふうに思いますが、その点に対しては政務次官、どういうふうに農民の前に釈明なさいますか。
  200. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 これは前に、ちょうどきょうの先生の第一番目の質問かと思いましたが、農林省、少し情報が足らないのではないかというふうなことがございました。確かに海外の情報を的確に把握するということは、これは私の前からの持論でございまして、それだけに外務省当局に対しまする農林省のこれまた影響ということもございましょうが、たとえばいまの対米関係のことを一つとらえましても、ワシントン筋に日本の農林省から送っております当局はわずかアタッシェだけでございます。農林省はワシントンではビッゲストバイヤーなんでありますから、一番の顧客でありますから、少なくとも農林省から二人ないし三人くらいを送って、一等書記官ではなくて、参事官クラスでも送っておくというかまえがいままでにできていなかったということがおかしい。私はそれより公使くらいが必要だ、むしろそのくらいの考え方に立っておるのであります。またそのくらいの立場でございませんと、アメリカもそういう点においては立場立場に応じて向こうはこたえますから、それだけに立場というものをきっかり与えた審議官クラスの人間を向こうに送らなくちゃいかぬというのが私の持論なのであります。  そういうことに基づきまして、先ほどちょっと先生のお考えの中に、商社のほうがいち早く知っておったということでありますが、これはやはりコロンブスの卵みたいなもので、何やらいま知っておるようなことを言っても、なかなか知っておらなかったという状況もあるのでございまして、これは一がいに言えないかと思います。  ただ、先ほどのチルドジュースの問題をめぐるブレンドジュースの問題、幾つか先生御指摘なさいました。これは私どもは、私が最終的に出ていく段階は、まとめるときの段階の叱正を浴びせる段階以外にないというかまえがございましたので、私はいままわりの者は出してもむしろ遠慮しておる。しかし、もうそろそろ私の出番かなという感じがしておるくらいのわけでございます。  そこで、いままでは局長、審議官全部そろって鋭意努力をして、全農と日園連の間に立ってやっておるわけでありまして、私自身ももうそろそろ来週ころからこの二人の言い分のどこが食い違っておるのか、どこに一体二人とも合一点を見出せないのかという点を、私自身もそこで判断をする材料を得て、そこで両者を呼びつけて話を申し上げる以外にないという心がまえでおるわけでございます。その点はいままで決してサボっておったんでも何でもないことだけは先生に御了解を願いたい。  それから、閣僚会議がありましてバッツ農務長官も参ります。バッツ農務長官にも、このことは自由化の問題をめぐりまして、ブレンドジュースという形を遂行していく段階の中におきまして、自由化ということは再びことあげするなということは私どもの主張ではっきり申し上げますし、また向こうでもその点は弾力性を持っております。しかし、その後、続いていく段階で、先生が先ほど九月という目標を与えていますが、その段階までには当然私どもはこれを一本化していくということに全力をあげて取り組んでいく。これは農業団体というのはときにわがままなところがありまして、ときどき自分自身の団体利益のためにかってほうだいのことを言う場合がある、これは否定し得ないと思う。そういう点は国家、民族、そういう大乗的な見解に立って農業団体というものは処すべきものは処せということだけは、私は大乗的な見解として与えておきたい、こう思っておるのであります。その点はひとつおまかせいただきたい、こう思うのであります。
  201. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官、いよいよ出番かなということで、両者を呼んでいろいろ検討する段階が来た。経過の話がありまして、またいろいろ当局の考え方もあろうかと思いますが、いまのままだと平行線でなかなか解決しない。いよいよ政務次官も腹をきめてこれに対処するということでありますので、私は期待をして待つわけでありますが、実はこのチルド工場、この問題が解決しない場合、いわゆる話し合いが進まない場合、これはどういうふうに考えておるか。話をつけます、こうおっしゃるのか。輸入ワクとの関係もございますので、たとえば毎年果汁の輸入をしておるけれども、ことしの輸入は例年どおりにして拡大をしないということであれば、来年に持ち越すということになる。今年まとまらなければ来年に持ち越して、来年あらためて建設するということもあるだろうし、何にしても一元化の方向でまとめるということで検討なさるのか。輸入ワクとの関係もありますので、ぜひ本年度中に努力してもらいたいと思うのですが、それを踏まえて、万一まとまらない場合はどういうふうに考えておられるのか。そういうことよりも、まとめるために努力するから心配ないとおっしゃるのか。私はたいへんな努力が要ると思いますよ、私は出番が来たと言いながらも。
  202. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先ほど私がおまかせいただきたいということは、まとめるために努力することのおまかせいただきたいということばでございまして、まとまらないという事態は全然考えておりません。そういう意味においては、必ずまとめていくという方向に私は鋭意努力しますし、またそのように持っていきますから、どうぞひとつ御協力いただきたい。
  203. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官、あと二、三点ですが、今年度の果汁はどのくらいの量を輸入する予定でいまもくろんでおられますか。
  204. 有松晃

    ○有松説明員 果汁の輸入のワクにつきましては、先年は五百トンでございますが、本年につきましてはまだきまっておりません。現在検討中でございます。
  205. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官、すぽっと言うかと思って聞いてみたのですが、いま検討中ということでありますが、早くきめていただくようにしてもらいたいのです。十分ひとつ検討してもらいたい。というのは、いわゆる果樹農家はミカンの過剰生産によって国内の果汁生産を何とか増していきたい。国内でもブレンド用のポンカンだとかあるいはネーブルだとかハッサクだとかいろいろございまして、外国品にも劣らないようなブレンド用も十分あるわけでございます。そういったことから、国内果汁生産を増して、輸入はなるべく減らしていこう、しかし、この工場ができればそういったことも大いに生産できるけれども、果汁の輸入が、工場ができないでこれがどんどん拡大されたりすると、またたいへん心配になります。かといって、窓口を一元化して入れる、こういうのだけれども、実際には一元化がなかなかいま困難な問題であって、すぐにいけそうもない。そういった場合に、ことしの輸入のワクというものは、昨年の五百トンをそのままことしも同じようにするのか、またうんとふやしていくということになると、またたいへんな問題も起きてくるということで、その点たいへんな問題なので、十分検討してもらいたい、こういうことです。  そこで、一億三千万円の補助金ですけれども、実際に全農の場合ですと、土地代金は全農は持っておりますが、日園連はなかなか金がなくて、土地代金を持っていない。農林省は一億三千万円という最低の建設費を出している。すなわち、約五億円かかる三分の一補助ということになっています。実際には、土地まで買っていろいろ付帯の施設をやりますと、十億くらいかかるのではないかといわれております。そうなりますと、日園連はかなり無理をするのではないか。と同時に、現在公害対策などでいろいろ問題が起きておる関係から、設備資金や建設資金がどうしてもまたかさんでくる。こういったことを見ると、五億円よりも相当上のせをした建設資金になるのではないか。そこで、一億三千万の補助ではずいぶん少ない、もっと増額していただきたい、増していただくことはできないだろうか、こういうような意見があるわけです。場所によってはどうも十億円くらいかかるのですけれども、それにしてもわずか過ぎるということですが、その点の見解はどういうように持っておられるのか。その点がはっきりすると、また問題解決にもいろいろ役立つというふうにも思えるのですけれども、すでに予算もきまっておりますので、今後の補正その他等で考える余地があるのかどうか、お漏らしいただきたいと思います。
  206. 有松晃

    ○有松説明員 チルド工場建設の予算でございますが、これは予算折衝の過程におきまして機械設備の経費等十分私ども煮詰めまして予算が決定された次第でございまして、これは現在の予算のルールにおきまして、土地代金はこの中に入っておりません。こういう関係で、若干負担が苦しいという面もあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、この経費をもって建設を進めていただきたいというふうに考えております。
  207. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ずいぶん煮詰めたわりには少ない。少なくなるように煮詰めたのだろうけれども、実際に土地代金が入っていないことはわかるけれども、土地代金その他も要るので相当金がかかるわけですから、この補助を増額するなり、もっと考えるべきじゃないか、果汁の生産のために、こういうものこそほんとうにやるべきじゃないかというのです。私がかねがね言うように、農業のビッグスリー、米と畜産、果樹なんですよ。畜産でもこういうふうにいま苦しい、また困っている。米は生産調整、またいろいろ米価の問題でいまたいへん農家も困っている。果樹は新規のいわゆる後継者にしても現在二万二千人くらいだといわれている。もう一万人を割るのは近年遠からず割るんじゃないか。これだけの国の基幹産業で膨大な産業でありながら、後継者が毎年全国でもう一万人を割ろうかという心配が起きるような産業があるかと、こう言いたいのです。そういった意味で、果樹を生産調整の対象として推進をはかってきたにもかかわらず、果樹についてこういったことでは因る。もっと農民のためにこういったものに金を使うべきだ、来年度はうんと使うべきだ。  そこで、私は申し上げたいが、将来計画としてこれはまず京浜に一カ所、次には近畿に、そしてまた中部の名古屋にも、そしてさらに東京にということで、何か四カ所くらいと農林省は予定しておられるようにも聞いておりますけれども、こうした将来計画については、将来どういうように考えておられるのか、その点、いま発表できるならば発表していただきたい。
  208. 有松晃

    ○有松説明員 予算要求いたしました過程におきまして先生のおっしゃいましたような試案もいろいろあったわけでございますが、まだこれは確定ということではございません。さらに私ども来年度予算も踏まえまして、今後どのようにつくっていったらいいかということはさらに固めてまいりたいというふうに考えております。
  209. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に、政務次官にぜひ要望なり、またお願いをしておきます。いまいろいろやってまいりましたけれども、時間も経過して恐縮でありますが、この問題はいろいろ根深いものがあります。日園連にしても過去の歴史というのがあります。また全農にしても全農のまた立場があります。この間からもう何回も言っておりますので省略しますけれども、全農も肥料または農薬がだんだん少なくなってきた。そして農協も原料不足でなかなかたいへんである。また農協果汁も始めたけれども、また活路を見出したいということで土地開発事業もやったけれども、これもなかなかきょうあすという問題でもない。また全農そのものがいろいろな事業をやっておられますけれども、相当赤字が出たり、運営が困難な状況が客観情勢においてなされてきているということを見ましたときに、全農自体もこの農協果汁を何とかやっていきたいという気持ちもわからぬではないが、日園連は日園連で、従来から日園連自体が長い歴史を持ってやってきた。また一つには、日園連の線、農協もいわゆる総合農協の中に一緒になればいいじゃないかという話もありますけれども、これは意味はわかるけれども、簡単にいかないという問題があります。そういったおのおのの一元化が一番いいのですけれども、それにはいろいろ両方の立場や構想その他もあります。また日園連に所属している県、全農に関係している県と、こうありまして、両方対立をしたのではたいへんだ。だから、各いろいろな関係者もなかなか国会で質問が出ないし、一方言えば一方からにらまれるということで、だれかが思い切ってこういったことを爼上に乗せて、結局果樹農家のために建設し、一元化してやっていかなければならぬということから、私はいつかも申し上げたように、私は勇気ある発言をして、提案をしておりますので、どうか果樹農家がみんな立っていくように、ビッグスリーの果樹が今後発展し、安定して経営ができますようにやっていただきたいという意味で、いい計画でもありますので、将来もどんどん計画してもらいたいと同時に、なお一元化に踏み切りを急いで、早くまとめたい。その行司役をひとつ中尾政務次官にやっていただきたい。農林省にやっていただきたい。  なお、現に全中なんかは行司役で、窓口の問題についても、全中は中立を標傍しておる立場でありながら、「みどり」という新聞の中には全中が全農に肩を持ったような記事を広告に出しておる。ああいったことから、いわゆる行司役である全中が全農に肩を持っておるということで、みんな不安がったりしている。全中は公平でなければいかぬのに、どうしてああいった態度をとるのだろうということで、ますます感情がむき出しに出てくるということで、農林省に入っていることとわれわれに入っているのは末端ではいろいろ食い違いがありますから、ある程度のことはここで申しましたが、どうかそういうところも踏まえて早急に、必ず善処するという政務次官の話でありますので、十分に対処してもらいたい。  最後に決意を伺って、質問を終わります。
  210. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先生のおことばを踏まえて議事録にとどめる意味で私は申し上げたいと思います。  自由化というのは世界のいささか大道でありまして、波でありますから、これは当然好むと好まざるとにかかわらず、日米間の貿易のインバランスを埋めていくという意味においてもこの旗はなかなかおろされないということは銘記しなければならないと思います。そういう意味におきまして、私は全農にしましても、日園連にしましても、また関係する諸団体にいたしましても、自由化はだめ、クォータはだめ、いわゆる割り当てはだめ、季節自由化はだめ、すべてがだめだということの中において、一つのソリューションである、少なくともブレンドジュースである。それもだめであるということになったら、自由化そのものにも大きな影響が出てくるよということは、両者首脳部は心得ておかなければならぬ。自分たちへ結局は火の粉がかぶってくるのだということも知らなければ相ならぬということ、大乗的な見解を両者に持ってもらうべく私は鋭意努力しなければならぬと思っております。  その点は、先ほど先生にも御協力願いたいというのは、そういう点を加味するわけでありまして、これは単に農協だけの問題ではございません。私どももそういう点では鋭意努力するつもりでございますから、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  211. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 今後の努力をお願いして、質問を終わります。
  212. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 次回は明十一日、水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十六分散会