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1973-07-05 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月五日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 佐々木義武君    理事 仮谷 忠男君 理事 藤本 孝雄君    理事 山崎平八郎君 理事 渡辺美智雄君    理事 柴田 健治君 理事 美濃 政市君    理事 津川 武一君       金子 岩三君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    小山 長規君       佐々木秀世君    正示啓次郎君       菅波  茂君   三ツ林弥太郎君       湊  徹郎君    森下 元晴君       安田 貴六君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    湯山  勇君       中川利三郎君    山原健二郎君       瀬野栄次郎君    稲富 稜人君       神田 大作君  出席政府委員         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         文部省体育局長 澁谷 敬三君         農林政務次官  中尾 栄一君         農林大臣官房長 三善 信二君         農林省農林経済         局長      内村 良英君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         農林水産技術会         議事務局長   中澤 三郎君         食糧庁長官   中野 和仁君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁次長   安福 数夫君         自治大臣官房審         議官      近藤 隆之君  委員外出席者         科学技術庁原子         力局次長    大坂 保男君         環境庁企画調整         局公害保健課長 山本 宜正君         環境庁水質保全         局水質規制課長 太田 耕二君         大蔵省主計局主         計官      宮下 創平君         厚生省環境衛生         局環境整備課長 折田 貞雄君         厚生省環境衛生         局食品衛生課長 三浦 大助君         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 岡部 祥治君         水産庁研究開発         部漁場保全課長 前田  優君         通商産業省公害         保安局公害防止         指導課長    松村 克之君         中小企業庁計画         部金融課長   服部 典徳君         海上保安庁警備         救難部参事官  多田  稔君         海上保安庁警備         救難部海上公害         課長      阿部 雅昭君         自治省行政局行         政課長     砂子田 隆君         自治省行政局公         務員部公務員第         一課長     宮尾  盤君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 七月五日  辞任         補欠選任   諫山  博君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     諫山  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。
  3. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は去る六月二十一日の本委員会ゴルフ場問題についての質問をいたしました。それからいま二週間たっておりますが、この間に、この前質問した問題についていろいろ調査などを要求したその結果、その後どうなっているかという問題と、それから、本来森林法審議のときに当然これは取り上げるべき問題でありますけれども、かなり緊急を要することもありますので、国有林払い下げ及びそれの利用、その結果、こういうような問題等について質問をしたいと思います。  まず最初に、茨城県の筑波郡のつくばねカントリー、これが去る六月八日に水が出て、かなりの民家と水田に被害を与えたということについての調査報告等について、前回もありましたけれども、この問題は、今後もこの種類の問題が、あの地区だけではなくてほかの地区にもあるというふうに私は考えます。というのは、構造改善事業を進めて、そうして一定の成果があがる段階で、一方においては五千八百万も金をかけた農免道路をつくっておいて、そして構造改善事業をそこでやめて、ゴルフ場にかえていく。その農免道路というのは、まさにその地域農民利用にも確かになったかもしれないが、別の問題としては、ゴルフ場に大型のバスで人を運ぶためには非常に便利だ、こういうことになっている。  そこで、このゴルフ場建設にあたっては、県知事が、転用ですね、農業構造改善事業をやめてこれをゴルフ場にかえるということについて知事も同意をするということ、しかも推薦をしているということ、こういうことが明確になってきた。これははなはだけしからぬことだと思う。そのようなことについて農林省としてはその後どのようにあの問題について調査をされ、そして今後再びそういうことがないように指導するかどうかという点について、担当のほうの意見を聞きたいと思います。
  4. 小沼勇

    小沼政府委員 第一点の鉄砲水が出た問題でございますが、これにつきましては、県からの報告によりますと、六月の十一日に土地開発事業調整主管課でございます企画調整課はじめ関係各課現地調査を行ないまして、六月の十九日に知事からつくばね開発株式会社に対しまして、ゴルフ場建設工事にかかる防災措置が不十分であるから、調整池設置防災措置については全面的に再検討を加えてあらためて設計を行なって進めるようにという勧告をいたしております。会社のほうは知事勧告に従って、県の土浦の土本事務所等関係機関指導を受けて当初の設計を再検討中である、かように報告を聞いております。  それから、農免道路あるいは構造改善事業等がございますが、構造改善事業は全体でございませんで、その中の六ヘクタールの果樹園について転用を、知事地元発展のためにゴルフ場が適切であるという判断をして、その中での六ヘクタールの構造改善事業部分について転用が認められているわけでございます。しかし、農業投資をしたところにつきましてそれを転用するということは望ましくないことでございますので、今後こういう問題については十分農地法での転用の際に厳正に取り扱っていく必要がある、かように考えております。  それから、農免道路につきましては、このゴルフ場ができる以前に、この農免道路自体がその地域農業発展のために地域圃場整備等とあわせて行なわれているわけでございます。たまたまその後にこういうゴルフ場が近くにできたということでございますが、農免道路自体についてもいろいろと、受益そのものは農家が受益しているわけでございますが、それを利用する場合もあると思いますし、今後の地域の情勢についてそれぞれ具体的によくそういう点の指導に怠りないようにしていきたい、かように考えております。
  5. 竹内猛

    竹内(猛)委員 筑波の問題については、かなり県のほうも腰を入れたり、それから県議会でもこれは問題になっていることですから、国のほうとしても、こういうことがあの一カ所だけではなくて、各地にそういうようなことが起こらないように厳重に注意してほしいと思います。  続いて、今度は新しい問題として、また調査をして指導してもらいたい問題があります。これもゴルフ場ですが、福島県の原町、ここに大磯シーサイドゴルフ場というのがあります。これは東京に本社がありまして、渋谷にあるわけですが、ここでは農地転用許可をされない部分について、あるいはまた不在地主がいるのに、その許可もないままにゴルフ場建設に取りかかっている。そしてこれに対していま中止をさせているわけですけれども、このゴルフ場をつくるにあたって、福島県知事宮城県知事がこのゴルフ場推薦をする、こういう形になっていて、多くのケースとしてゴルフ場をつくる場合に、必ずそこに地元有力者が名を並べて、そしてこれに対して許可をするようにという圧力を陰に陽にかける、農民にもかけてくる、こういうケースが問題なんです。私は、大磯そのものが問題であるというよりは、知事とか市長とか、その地区有力者がそこに加わって圧力をかけているという場合に、知事市長ほんとうに承知したかどうかということはよくわかりません。わからないけれども利用されている面もある。これが非常によくない。だから、この問題についても十分調査をして、そしてこういう中途はんぱな、許可がされないのに工事をする、こういうことのないようにぜひ調査を進めてほしいと思いますけれども農林省としてはこの辺はどのように受け取られているか。
  6. 小沼勇

    小沼政府委員 福島県の原町大磯シーサイドゴルフ場ということで、相和という株式会社ゴルフ場建設中であるというふうに聞いております。まだ事前審査の申請も受けておりませんし、もちろん転用許可をしていない状況でございますが、県を通じてよく調査をいたしたい、かように考えております。  なお、知事が発起人に入っておるという話でございますが、県からの報告によりますと、福島県の知事あと辞退をしたそうでございます。いずれにしましても、ゴルフ場につきましては、今後、農地転用にかかわる問題につきましては、農地法に照らして厳正にその指導をしてまいりたい、かように考えております。
  7. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いまあげたのは一、二の例ですけれども、そういうことが各地にあって、ゴルフ場というものが、これはゴルフをやるということよりも、むしろ土地投機土地に対して投資をする、こういうような形に見られる状態ゴルフ場というものが至るところにできようとしている。そして、農地法許可がないのに手をつけたりしているところが多々あるので、こういう点についてはなおまだここに、場所は申し上げませんが、何カ所かあります。こういう点について農林省としても十分に調査をしてほしい。  それから、先般この委員会で申し上げましたが、同じく茨城県稲敷郡の河内村の村長、あるいは村をあげてゴルフ場建設をやることについて私は質問をいたしました。これは自治省のほうですけれども質問をした以上、やはり現地に行ってこれを指導する責任がありますから、その翌々日、私は現地に行って、村長村会議員、村の人人と、それから現地ですね、この場所を見てまいりましたが、この点について自治省のほうではどのようにこれを調査されて、いま受け取られておるか。
  8. 宮尾盤

    宮尾説明員 御質問がありました河内村の件でございますが、私どもその状況等につきまして、茨城県当局を通じまして、さっそく実情を調査をしたり、よく指導をするように要請をいたしたわけでございます。その後茨城県のほうから報告がございましたわけでございますが、その要点につきましては三つほどございます。  まず第一に、役場敷地内に事務所設置しておる件でございますが、これは会社に対しまして役場敷地内の一部を使用許可をいたしまして、ゴルフ場会社現場事務所をそこに建設いたしておったわけでございます。この問題につきましては、先月の二十六日にこれを撤去いたしまして、原状に回復をいたしましたという報告を受けております。  それから第二に、用地買収の問題でございますが、用地買収につきましては、今後村としては直接これにタッチをしていかない、こういうふうに方針をきめまして、実はきのうでございますが、河内村のゴルフ場設置協力委員会というものを民間ベース設置をいたしまして、これが買収協力をする、こういうことにいたしたということを報告を受けております。  なお、以前収入役会社から預っておりました協力費につきましても、この協力委員会にその金を移管するという措置をとったという報告を受けております。  それから第三点でございますが、広報紙の問題でございますが、村の広報紙河内」四月号によりまして、ゴルフ場紹介記事が載ったわけでございますが、会社の広告というような印象が非常に強い記事であるように見受けられまして、こういった点につきましては、村当局といたしましても非常に反省をいたしておりまして、今後厳に注意をしていきたい、こういうふうに申しております。  以上が、いままでの実態調査に基づく村の措置でございますが、なお今後自治省といたしましても県を通じて適正な措置を行なっていくように指導してまいりたいと考えております。
  9. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ただいま報告を聞いたわけですが、もう一つ、この報告の中に抜けている点はありませんか。特に会社と村との間で、たとえば雇用、これは村の議会がきめているわけですね。ゴルフ場会員制問題等も、会員制にするのかオープンにするのかということについても、これは問題だ。だから、村議会がきめている以上は、その活用のしかたについても、こうしろということ。それから雇用ですね、あそこの村はほんとうに山のない、農村だけの村です。それですから、出かせぎをしている人が多いわけですが、交通の便利が悪い。だから、地元の人を二百人なら二俳人を雇用したいということであれば、その雇用条件なり賃金なり、こういう問題について、きちんと約束をしろということを指導してきたわけですけれども、その点についての報告はありませんか。
  10. 宮尾盤

    宮尾説明員 ゴルフ場運営の問題でございますが、これは村と会社とで協定を結んでおりまして、建設をしたゴルフ場はできる限り大衆が利用できるような形で運営をしていきたいということを、村と会社との間で約束をいたしております。  それからゴルフ場従業員雇用問題等でございますが、地元から最優先的に雇用をする、そして近郊都市の平均以上の賃金を支払う、こういうような要求協定書の中にうたっておりますので、このような形で今後処理をされていくだろうというふうに考えております。
  11. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私どもは全国からゴルフ場を全部やめてしまえという意見じゃないので、やはりゴルフ場が適当な地域地元が全部協力をしてやれるということであるならば、圧力のない段階でやれるならば、それはやはりつくってやるべきだと思うし、河内村などは、現地へ行ってみると、ゴルフ場をつくっても水が出れば流れるようなところですから、つくるほうも容易じゃないと思うのですけれども、ああいうところは、許せばやむを得ない面があるのじゃないかと思うのですが、いずれにしても、無軌道に無原則に、投資目的ゴルフ場ができていくということについては、これは厳重に注意をしなければならないということを重ねて要求をします。河内村はそれについてかなりきびしい指導をしてきたわけですけれども、私ども責任がありますから、その点については厳重にやってまいりました。自治省としても、他の地区では同じようなことが多々あるわけですから、注意をしてほしいということを要請します。  ついで、北茨城市の馬飼牧場の問題であります。  この牧場は、昭和二十八年ごろにあの土地を約七十町歩近いところを九十万円近い価格で払い下げをしているわけですね。たしかこれは陸軍の軍馬の飼育地であった。だから、牧場としてはとても適当な土地であるはずだし、かりにそれがまずくなった場合にも、牧草地としては当然これは今後運営できる土地であるわけだけれども、それが、先般ここで質問したように、ある特定の人間の、どういうことですか、謀略か何かによって二億円でゴルフ会社に売ってしまうということをきめて、すでにそのときには内金をもらっていた、こういう問題が出てまいりました。  少なくとも保安林を解除して払い下げをしたものが、今度はゴルフ場に変わっていくということについては、断じてこれは許すことはできない。そこで世論が大きくなって、県議会でもこれは問題になっているわけですが、この種の問題について、これは畜産局だけじゃありません、構造改善局関係がありますが、どのようにいまの段階をとらえておられるか。まずいまの段階についてひとつ御説明を願いたいと思います。
  12. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先般馬飼牧野農協について先生から御指摘がございましたが、われわれといたしましては県の当局等と十分打ち合わせ中でございますが、県当局といたしましても、先生のただいまのお話にも出ましたが、先般県会等でも問題になりました際においても、県北畜産基地としての重要性にかんがみ、牧野として存続をするように極力指導いたしたいというような態度を明言しておるわけでございまして、われわれといたしましては、その土地の性格なり売り渡しなり、かつ草地造成等を行なった経緯にかんがみまして、そのような結果になることを期待しておりますし、そのように指導いたしたいというふうに考えております。
  13. 竹内猛

    竹内(猛)委員 特に茨城県の北茨城ですね、この地区福島県の阿武隈、八溝、この山系に連なるところの、国としても有数な畜産団地としてこれを進めていこうという方針があるわけなんです。そういうところへゴルフ場をつくりにいろいろな会社が出入りをしている。その一つとしていまの問題が出てきたわけですから、これについては断じて許してはならないと思う。このことは厳重にひとつ国のほうとしても、もともとの国有地がそういうふうになっていくということについては、これは厳重に監視をしてほしいということを重ねて要請をいたします。  今度は林野庁のほうへお尋ねをしたいのですが、本来ならば、森林法のときにこれは取り上げるべき問題でありますけれども、ちょっと森林法審議には間に合わないから、ちょっと早いけれども、特にこの点だけは確かめておきたいと思う。  国有林野払い下げについての原則ともいうべき基本的な方針についてどのような指示をされてきたか、まずこのことを聞きたい。
  14. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  国有林野払い下げにつきましては、考え方といたしまして実は林業基本法の第四条にございますけれども国有林管理経営につきましては、その第二項の中で、農業構造改善事業あるいは産業の振興あるいは住民の福祉向上、こういった目的に供される場合には積極的にこれを活用しなさいというのがあるわけでございます。それを受けまして、昭和四十六年に国有林野活用に関する法律が制定されまして、その中で、国有林野管理経営事業の適切な運営の確保ということに必要な考慮を払いながら、そして農業林業構造改善事業あるいは放牧、採草用あるいは公用公共用公益事業、こういったものに供する場合には積極的に活用しなさい、こういうことでございます。この活用の意味は、先生ただいま御指摘の売り払いの場合もございますしあるいは貸し付けの場合もございます。いろいろの場合があるわけでございます。基本的にはこういう考え方に基づいて運用してまいっているところでございます。
  15. 竹内猛

    竹内(猛)委員 二十三年四月一日現在で七百八十五万七千ヘクタールの国有林、これが昨年の四月一日現在で七百六十一万二千ヘクタール、二十四万五千ヘクタールというものがいろいろな形で処分をされている。これの行くえですね、どういう方向にこれはおもに使われたか、いまの原則に沿ってどのように使われたかということについて説明を願います。
  16. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、この数年の間に国有林払い下げをいたしたものもございますし、また逆に買い上げたものもございます。差し引きしまして若干減少しているものではございますけれども方針としましては、この払い下げをいたします場合には、自作農創設特別会計あるいは国有林野整備に関する臨時措置法あるいは町村合併に関する法律あるいは新市町村建設促進に関する法律あるいはまた保安林整備に関する臨時措置法、こういったようなことに基づきまして払い下げあるいは逆に買い入れをしているわけでございますが、この払い下げをいたします場合には、たとえば都市環境整備であるとかあるいは地域開発に関連しまして公園の緑地であるとかあるいは学校の施設であるとかあるいは社会福祉施設であるとか公営住宅とかあるいはダム、港湾の施設であるとか工業団地とか、そういったような公共的な施設へこれを払い下げる場合が非常に多いのでございます。最近は特に緑地関係について県なりあるいは市町村がそういう土地管理運営していきたいという場合には、小団地等におきましてはこれを払い下げ等いたしておるケースがあるわけでございます。  いずれにいたしましても、ただいま申し上げましたように、そういったような種目が主でございまして、公用公共用あるいは公益事業ということを重点に考えて措置しているところでございます。
  17. 竹内猛

    竹内(猛)委員 国有財産ですから、やはり払い下げなり利用というものは公共性のあるものに利用されなければならないということはいま説明のあったとおりですが、それはそのとおりに確実に実行されていると思いますか。
  18. 福田省一

    福田政府委員 御指摘の、確実に実行されているかどうかという点でございますが、非常に多くの場合があるわけでございまして、私どものほうでもこの点にはこまかに配慮しておるのでございます。たとえば自作農創設特別会計に所属がえしました分について、ちょっと古い統計ではございますけれども、四十三年一月ですから、まああまり参考にならないかもしれませんけれども、三十九万ヘクタール調査したものがございます。それによりますと、農業用に本来利用さるべきでありますけれども、これが行なわれているものは六一%、それから宅地造成その他の用途に利用されたものが九%、それから低位利用もしくは放置されているものが一二%、それから不成功に終わったもの、それから農地局所管のもの、つまり戻ったもの、これが一〇%、それから国有林野事業特別会計に返還したものが八%、こういうふうな状態になっているいきさつがございます。ですから、必ずしも先生指摘のような場合もないわけではないわけでございますけれども、私たちは、この点につきましては、先ほど申し上げました国有林活用法に基づきまして十年以内は買い戻しができるという条項がつけてございます。ですから、他に転用した場合には買い戻し権があるわけでございまして、そういった点で一つ防いでいるわけでございます。  また、なお、毎年一回実地の監査をいたしております。それによりまして相手方がほかの利用にそれを使っておるとか、そういう計画があるという場合にはこれをチェックするという方法もとっておるものでございます。できるだけこれが他の目的に使われぬように厳重に指導してまいりたい、かように考えております。
  19. 竹内猛

    竹内(猛)委員 非常に土地というものはいま重要なものになっている段階に、とうとい国有林というものが払い下げをされて、それが有効に使われないで、ある特定のものの思惑に使われているという傾向がないわけじゃない。このことはきょうはもう申し上げませんが、いずれこの点については明らかにして問題にしなければならない問題が出ると思うのですけれども、それはきょうは言いません。  そこでもう一つ原則的なことを確かめておきたいのですが、私どもは先般国有林活用に関する法律を討議するときの附帯決議に関しても、その五項目に「人口の都市集中化と余暇時間の増加傾向にかんがみ、国民の野外レクリエーションの場として必要なものおよび禁猟区その他野生動物および自然保護のために必要なものについては、活用対象地として選定することを避けるよう配慮すること。」こういうようなことがついていますね。それで各地に分散した国有林があって管理がかなりしにくい。国有林の経理上、そういうところを管理すると赤字が出て困る。だから何とかしたいというようなことが最近いわれている。そういうような赤字が出るようなところについては、これを払い下げるというような意思が現在でもありますか。
  20. 福田省一

    福田政府委員 国有林払い下げの場合につきましての原則的なことは、ただいま申し上げたとおりでございます。また、国有林経営につきましては、基本法の中でも企業性を考えながら経営しなさいという条項がございます。ですから、御指摘のように、近代化、合理化を考えていかなければならぬということは当然であると考えておりますので、赤字、黒字ということもございますけれども、そのことを消すことが主目的ではなくて、やはり御指摘のように、森林の経営につきましては、その経済的の面もございますが、特にその公益的な面を重要視してこれを管理経営していかなければならぬというふうに考えておるところでございます。したがいまして、原則としましては、そういったことを配慮しながら企業性を高めていくということを考えている次第でございます。  そこで、払い下げにつきましても、繰り返して申し上げますように、法律に基づく基本的な考え方に立っておるものでございまして、ただ、非常に飛び離れた小団地であるとかというようなものにつきましては、もしそれが特定市町村にあるとかあるいは特定の県にある、しかもその特定市町村あるいは特定の県におきまして、その公益的な面を十分に配慮しながら管理経営がしていけるという場合におきましては、それができるような制度を今後も考えてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  21. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、これもやはり原則的なことになって、場所は申し上げませんが、あるところで、いまの五項目に類するようなところで国有林払い下げの問題が起きています。その地区では、長い間自分たちが持っていたものが藩政のころにこれを取られてしまったから、その国有林はおれたちのものだという感情がある。そこで、これをいまレクリエーションの地区としてやりたいというような希望もあるようですが、私はさっきの馬飼牧場のように、所有権を国から、地方自治体にしろあるいは個人にしろおろしてしまえば、その使用収益というものは、十年間でもうけた場合には買い戻しがあるけれども、それ以上にあった場合には、これは道義的な取り扱いはするけれども法律的な規制はないでしょう。だから、国有地というものは、国が所有をして、利用権、使用権というものを自治体なり公共団体なりに持たせていく、そして国が管理していた場合にはかなり保安林などというものは金がかかったと思うのです。そういうようなものを、自治体なりあるいは利用者との間の契約によって協定をして、その管理費に上回るものを求めて、そうして国がこれを経営していくという、土地は国が持つ、利用権というものを地方自治体なり団体に与えていくということ、そういう方式はできないだろうか。そうすると、売ろうにも売れないわけだから、分割もできない。しかしながら、地元の人たちは利用ができるわけでしょう。活用ができるわけですから、こういったことは一体できないのかどうかということについて、もう一度長官のお答えをいただきたいと思います。
  22. 福田省一

    福田政府委員 国有林の日本国内における配置の状態を見ますと、主として北海道、それから東北地帯が多いわけでございます。中国地方、南のほうにいきますと、非常にその配置の状況が希薄になっております。これは国有林の、先生御承知のとおり、成立の歴史があるわけでございます。そこで、先ほど申し上げました活用法の中でも、国有林活用します場合のいろいろの形態があるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、売り払いあるいは貸し付け、いろいろございますが、その収入の使途についてやはり制限されておるわけでございます。これは先生御承知と思いますけれども、その使途は、国有林とあわせ経営する地帯、それを買い上げるときに使うのだ、あるいはまた林道その他の生産基盤の育成に使うのだという使途の限定がございます。したがいまして、この過密な国有林地帯におきまして、先ほど申し上げたような方針に基づいて、もしそれが地元管理されるというような見通しが十分である場合には、またそういう熱意がある場合には、それを市町村なりあるいは県に管理していただく。その収入がまた逆に、いま申し上げた西部地帯の国有林の過疎な地帯の主として保安林のような性格を持つ森林の買い上げに向けられる、そういうことで、国有林と民有林との配置が将来適正なものになっていくということが望ましいと考えているわけでございます。したがいまして、原則的には、先ほど申し上げましたように、公共あるいは公益的な目的にそれが使われる。しかもそれがずっと引き続いて可能であるということが確かに見通しができるような場合に限り、いま申し上げたような地元国有林野管理審議会の意見等を聞き、また県のような自治体の意見も尊重して慎重に対処してまいっておるところでございます。したがいまして、十年を過ぎたらどこがどうか見通しがつかなくてあぶないじゃないかとおっしゃいますけれども、私はやはり、そういった意味で国有林と民有林との非常に重要な問題でもございますし、市町村の最近の情勢を見ましても、市町村あるいは県自体が条例をつくりまして自然保護をやろうという熱意が非常に強うございまして、そういった市町村なり県なりにつきましては、今後はやはり十分管理していけるのではないか。そういう場合につきましては、国有林払い下げという問題ばかりでなくて、民有林等も市町村なりあるいは県が買い上げまして、それをそういったいろいろな公共的な目的活用していくということができるし、またそうすべきではなかろうかというような考え方を持っております。昨年の予算におきましても、県と地方自治体が民有林を買い上げてそういうふうな管理をしていくという場合に、国がそれに対して補助するという制度についての予算要求もしたのでございますけれども、昨年は実現できませんでしたが、ただいま申し上げたような方向で、来年度もやはりそういうことについて地方自治体が十分できるような助成をしてあげるという方向で努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  23. 竹内猛

    竹内(猛)委員 きょうは原則的な問題に触れて、こまかい、当面どういう問題があるかということはいずれ別な機会にしますけれども、やはりいまのような問題についてもう少し明確に、国有林というものは、最近は、木材をつくるということ、供給するという任務よりほかに、もっと保安林とか観光とか水源とか、ほかの別な任務のほうがむしろ強くなった感じがする。それで林業基本法あるいは林業の年次報告から見てもわかるように、いまから五十年たっても、日本の国内の民有林、国有林だけでは自給に完全に見合わない、外国に依存をしなければならないということが明確になっている。そういうときに、管理がどうもしにくいからそれは民間におろしてしまって管理から手を抜こうというようなことで、だんだんだんだん国有林払い下げをして、そうしていつの間にか使用目的が別な方向に使われていくということについては、どうしても納得がいかない。それだから、所有は国が持つことを原則とし、利用については自治体なり、場合によったら民間の団体が使う場合もあるかもしれませんが、なるべく公共性のあるものが国と契約をして利用していく、こういうようなことにすべきではないかと私は主張したいわけなんです。これは一つ意見です。  そういうことで、この国有林の問題についてはなお別な機会に申し上げたいと思いますが、もう一度林野庁長官から、いまの私の意見について何か感想があれば聞きたいと思うのです。それによって、また次の機会にもう少しこまかい質問をします。
  24. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のとおり、森林に対して、従来の経済的な要請よりは公益的な要請が強くなってまいってきておりますから、そういったような場所については、大小を問わず国有にすべきであるという御意見と承ります。  そこで、ただいま申し上げましたように、国有林にするか、公有林にすべきか、あるいは民有林にすべきか、これはいろいろむずかしい問題であると存じます。先ほどは私、大ざっぱに、国有林とすべき地帯についてはこういう場所でこういう考え方でやるということを申し上げたわけでございますけれども、細部を見てまいりますと、市町村所有として管理すべき場所、あるいは都道府県所有として管理すべきところ、そういう公有林はいかなるところであるべきかということにつきましては、いろいろ御意見を承ったわけでございますが、繰り返して申し上げますけれども、国有と公有と民有の区分ということはなかなかむずかしい問題でございます。御意見を尊重いたしまして、慎重に対処してまいりたい、かように考えております。
  25. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いずれまたその問題を中心として具体的な問題に触れていろいろ質疑をしていきますから、そのときに譲ります。  次いで、先ほども少し関連をしました飼料の問題等についてはまた別な機会に申し上げますが、いまの日本のゴルフ場計画されている面積は、この前の委員会で申し上げたけれども、大体十五万ヘクタールという数にのぼっている。東京都の全面積に値するくらいのものが現にゴルフ場になり、また、しようという申請が行なわれているというたいへん広範なものです。いま日本のえさが非常に窮迫をしているという段階に、国有林利用の問題、あるいは水田、畑、山林というえさに最も適するところが、えさに換算をしてみると相当な量のえさをつくれるところがどんどんゴルフ場に変わってしまっているということを考えると、どうしてもこの問題は、ただ単に合法だからいいというだけでは済まされないような感じがするのです。こういう点については、この前、各省庁いろいろあって、現在の法律段階においては規制がなかなかできないということであったので、政務次官のほうに善処を求めておいたのですが、これは農林省が一番規制をしやすい位置にあると思うのです。その後、このゴルフ場問題についての取り扱いはどういうふうな方向に進んでいるか、また進もうとしているのか、その辺ちょっとお答えを願いたいと思うのです。
  26. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先生から先ほど来御指摘を賜わっておりますように、このゴルフ場の問題というのは、基本的に考えてみますれば、ゴルフ場というのはあってもいいと思うのです。特に日本の国民のレクリエーションの場と申しましょうか、文化国家の中における健康管理その他を考えましても、ゴルフ場というものはあっても悪くはないものである。しかし、先ほど来先生が御指摘のように、それは必要以上にあってもいいものだろうか。たとえば全部合わせますと十五万ヘクタール、東京都がそのまま全部ゴルフ場になる。狭隘な、しかも限られた土地の中で、そうでなくとも土地が非常にとうといという中で、山林原野までもくずしてゴルフ場にしていってしかるべきものであるかという一つの疑念と、また、あと一つは、山林原野をゴルフ場という名目にしてそれを切りかえておりながら、物価騰貴の対象に考えてゴルフ場にはしないというような現象が各地で幾つか出てきておる昨今でございますから、必要以上にこういうものをつくられるということは、国家の法制上、また国家のたてまえ上許すべからざるものであるということを、私はこの間感想として率直に述べたのでございます。  その後私は、この問題にも少しく関心を持ちまして考えておるのでございますが、まずゴルフ場の乱開発の規制につきましては、一つには、やはり森林法を改正させて許可条件をきびしくしなくちゃいかぬという感じがするのでございます。さらに、第二点は、ある意味におきましては、目下、先生の所属しておりまする政党におきましても、私の所属しておりまする自由民主党なんかにおきましても、打ち合わせをされているやに承っておりますけれどもゴルフ事業法案を大至急成立させまして、そして、土地使用について契約のととのわない限り、または農地法森林法等の許可がおりない限り会員募集はさせないというくらいの立法措置をとることが先決じゃないかという感じがしておるのでございます。これは省の問題といいまするよりも、政党間においてもこの問題は話し合う必要があるのではないかという感じがいたしますので、議員立法でやっても何でやっても、こういう問題をとらえていく前向きの姿勢こそ要求されるのではないかと私個人は考えているということを付言申し上げておきたいと思うのでございます。
  27. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いまゴルフ事業法のお話が出ましたけれども、ぜひそういうものを早急につくって、善良なゴルファーの権利は守っていかなければならないが、土地騰貴をねらう悪質な投機事業家というものは一掃すべきだ、こういうふうに私は思います。そして、必要なところは農地にし、えさをつくっていくというような努力をしなくちゃならない。  そこでもう一つ、これは私が読み違えたのかもわかりませんが、新全総ですか、あれの閣議決定を見ますと、あの中からはゴルフ場というのは一つも出てこないのですね。東京都一帯くらいがゴルフ場になっているのに、あの中から、ピンポンとかそういうものは出てくるけれどもゴルフ場というものが出てこないのは一体どういうことなのか。私の読み違えなのか、あるいは抜けたのかわかりませんが、この辺は、きょうはそういう議論をする場所じゃないからあれですけれども、あの新全総の中にはゴルフ場というものは一つも出てこないのですよ。わざわざ避けているのかどうか。この点、わかる人いますかね。それをつくるときに参加された方いますか。——いなければそれでいいです。  いまの問題はぜひこれを早急に進めるようにお取り計らいを願いたいし、われわれもこれはぜひやりたい、こう思っております。建設委員会でも、私どもの仲間がゴルフ場の問題については同じような意見を主張してきておるわけです。  続いて畜産局長にお尋ねします。  この前の委員会で中国の食肉の輸入問題について質問いたしました。そのときに、ちょうどたまたま農林省審議官を中心にして中国のほうに相談に行かれるということであったわけです。最近二十四、五日ごろにお帰りになったと思うのです。国交が回復されて初めてだと思いますが、あの人たちが行ったのは技術者も行っているわけですが、その後何か変化があったかどうか。
  28. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先般も御質問がございましたが、お話のとおり、農林省といたしましては官房技術審議官を長といたしまして、農、林、水各部門にわたります専門技術者をチームといたしまして中国を訪問いたしまして、技術交流について、種々問題の点について意見の交換をしてきたわけでございます。その際、畜産技術なりあるいは特に食肉輸入問題と関連しました口蹄疫等の問題について、これは専門技術的な問題があらゆる輸入問題その他の前提であるというような視点から、十分話し合う姿勢で中国に参ったわけでございますが、今回の会談の結果は、一般的な農林水産技術の交流なり交換ということが主題でございました。したがいまして、特に中国側といたしましては、中国の農業諸事情について日本側の政府の技術関係者に理解を求めるということで、現地に対する視察等を中心のスケジュールが組まれたようでございまして、一般的な両者の意見交換を中心とする会談以外に、家畜衛生その他専門分野にわたる交流については、きわめて限られた時間しかなかったという報告を受けておるわけでございます。  その場合におきましても、われわれといたしましては、中国の口蹄疫についての正常化の専門技術的な判断をいたすために、なおわれわれが資料なり情報が不十分な諸点につきまして正式に説明いたしまして、今後それらの事実の解明についての協力要請したわけでございます。先方も機会を見て技術者の派遣、専門家の派遣その他について話し合おうというような回答にとどまりまして、特に家畜衛生上の問題について、一般的な会談以上に突っ込んだ話し合いはなかったのが事実でございます。われわれといたしましては、今後もこの点につきましてはあらゆる機会をとらえまして、政府ベースで早急な結論が出るように努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  29. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私はいままで長い間中国の食肉が輸入されない、それは日本がまだ口蹄疫の非汚染国である、日本、アメリカ、カナダ、ニュージーランドというのは非汚染国であるということを聞いてきた。だから、口蹄疫に汚染をされている国々から見ればおかしいじゃないかということになっているのだが、専門の学者によれば、口蹄疫はないのだということを盛んに書かれるし、宣伝をされるししておる。ほとんどそういうものはないじゃないか。ところが、中国から出てくる途中で、香港とかいろいろなところを経由する、そこに何かあるのだ、だから危険なんだ、こういう話も聞かされる。そして今度は専門家が行かれて話をされてきて、依然としてこの肉の問題が前進をしないということになると、それでは、いつごろどういうような形で、たとえば試験的に輸入してみるとか、何かこう若干の前進を見ないと、国交が回復しても、代表を出しても、依然として同じ程度ということではどうしても固過ぎるじゃないかという感じもする。どっちに問題があるのか、中国のほうに問題があるのか、日本のほうに問題があるのか、それともその中間に何か問題があるのか、どういうことなのか、そこら辺がどうもはっきりしないのですね。どうなんでしょうか、その辺は。
  30. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  この問題につきましては、それぞれの機会で申し上げておりますように、まさに口蹄疫についての正常化の認識についての専門技術的な判断でございます。たとえば患畜、病気になった牛が出ないから口蹄疫がない、ウイルス性疾患としての口蹄疫につきましてはそういう問題等一つございます。それからワクチン等の使用が行なわれているかどうかという問題、これはやはり生ワクを使用した場合におけるウイルス残存という問題、一、二ややこまかくて恐縮でございますが、それらの専門技術的な判断によって正常化の最終の判断をくだすべきであると考えておるわけでございまして、あらゆる機会をとらえて、その専門技術的な結論が早急に出るようにわれわれも努力をいたし、中国側もこれについて御協力を願うということ以外にはないわけでございます。いろいろな方面から、その口蹄疫の正常化の徹底とか有無等について議論がございますが、われわれとしては、繰り返して申し上げますように、専門技術的な視点から納得のいく結論を早急に出したいというのが基本的な考えでございます。
  31. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そうすると、大河原局長、まだその時期とかそういうのは、いつごろということはわかりませんか。
  32. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  われわれが口蹄疫の存在と申しますか、正常化の徹底を判断する専門的な項目を正式に政府ベースで中国側に説明したのは今回が初めてでございます。したがいまして、これについては何らか中国側としても日本側のその家畜衛生の立場からの疑問点はどこにあるかということについては了知してもらったというふうにわれわれは確信しておりまして、繰り返すようでございますが、今後あらゆる機会をとらえて、この点についての情報なりデータの交換ということによってその合理的な結論を得たいというふうに考えておるわけでございまして、いろいろこの面についての促進をいたせというような御意見もわれわれ十分わかるわけでございますけれども、前向きの姿勢で結論を得たいというのがわれわれの考えでございます。
  33. 竹内猛

    竹内(猛)委員 かなりしつこく聞くようですけれども、先般、日中議員連盟の会合があって、そして藤山会長が帰ってこられて、第二回目の議員連盟は、これは社会党の前の委員長勝間田さんが団長で、自民党、社会党、公明党、民社党がそれぞれ行くわけですね。そのときに当然この食肉の問題だけじゃなくして、その他いろいろな話が出るわけですけれども、そういうときにも同じような話をいつも繰り返していることではぐあいが悪いので、何かもう少し、この点とこの点は確かめてこうだというように話はしたいものだ、こう思うのですね。そういう意味で、これは八月の下旬になる、ぜひこういう機会だけじゃなしに、話し合いの場をつくりたいと思っております。時間がありませんから、私はもうこれで終わりにしますけれども、きょうは、実はゴルフ場の問題の前に、この委員会質問したことに対して若干の前進を見た点を確かめながら、整理するところは整理をして、それからまた、たださなければならぬところは大いにただしてもらうということで質問しました。  それで、これは中尾政務次官からも話があるように、ゴルフ場はつくってはならないということではなくて、つくるべきところはつくるけれども、何でもゴルフ場投資していくということを野方図に許すということはどうしても許せないから、これは、ぜひこれを押えるような方向で、農林省関係が中心だと思いますけれども、やっていただきたいということと、それから国有林の問題に関しては、この法案の問題との関連がありますから、そのときにもっとただす問題があるけれども、きょうは国有林払い下げ原則について基本的なことについて幾つか申し上げ、私の意見も申し上げました。ぜひその点に沿って、私は今後そういう方向で進めていただきたいと思います。  それから、中国の食肉の問題に関しては、最後に申し上げたとおりに、近く議員団が訪中をする段階においても、当然これは、去年の国交回復の共同声明の線に沿って幾つかの話し合いをするわけですけれども、この中の一つの重要な問題として、農村の関係では肉の問題、えさの問題、あるいは漁業の問題等が当然話されるわけですから、ぜひこれは農林省のほうとしても、いまの肉だけでなしに、その他の問題についても、中国と話し合う問題についての整理をして、各党が思い思いのかってなことを言わないように、それぞれがやはりまとまったことで話ができるように、そういうように整えておいていただきたいということを、特にこれはお願いします。政務次官のほうにこれはお願いして、私のほうは質問を終わりますけれども、最後にお答えをいただきたいと思います。
  34. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先生の前半に述べられましたゴルフ場の問題などの観点は、もう私も全く同感でございますから、省をあげましてこの問題はひとつ具体的に前進する措置を考えてみたいと考えております。  また中国の畜産問題等は、また先生方の御努力などとも相まちまして考えていく、前向きで善処していきたい、こう考えております。
  35. 竹内猛

    竹内(猛)委員 終わります。
  36. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 美濃政市君。
  37. 美濃政市

    ○美濃委員 私は、乳価のときに決定しました北海道の酪農家の負債整理が大体煮詰まったように聞きましたので、まず第一にこれを質問したいと思いますが、決定の内容その他をまず第一に聞かしていただきたいと思います。
  38. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  保証価格決定の際に負債整理問題の大綱がきまっておったわけでございますが、事柄の性質上、できるだけ早く結論を得たいということで努力してまいったわけでございますが、ほぼ結論が出ましたので、その内容について申し上げたいと思います。  今回のいわゆる固定化負債の整理については、前々から申し上げてございますように、自作農維持資金によって借りかえを行なうということでございまして、四十八年、四十九年二カ年にわたってこの整理を行なうということでございまして、融資額は百五十億円をめどとするということでございますが、二月当たりの貸し付け限度額については一般的には百五十万円、特認といたしまして四百万円ということにしておるわけでございます。  それからなお、本特別措置を実施するにあたりましては、北海道庁が酪農経営の特別診断指導事業を実施いたしまして、酪農経営農家の経営安定計画を樹立する、その着実な実施と表裏して資金の有効な成果をあげるようにしたいということでございます。  以上が、今回の措置の主要な内容でございます。
  39. 美濃政市

    ○美濃委員 第一点にお尋ねしたいことは、この限度額は、この前も申し上げたはずですが、今回決定された百五十万円、特認四百万というものは、ただいま御説明がありました酪農近代化計画によって新たに貸し付ける限度額。既貸し付け額は、自創資金の現在の借り入れ額はどうなりますか。たとえば平均が七十万あるとすれば、百五十万という限度額は二百二十万、こういうふうに限度額を設定しなければ実情に合わないと思うのですが、この点はどうなりますか。
  40. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 先生のほうが御案内かと思いますが、自作農資金につきましては、従来も貸し付け残高方式、通算方式を採用しておるわけでございます。これについては、理屈になりますが、これは経営再建のための資金である、したがって、経営全体の数字を見て、そこから償還していくというたてまえでございます。したがって、過去の負債等もすべてその経営負担として考慮に入れて、したがって、そこから合理的な経営安定の計画の実施によって償還していくというたてまえで通算方式をとっておるわけでございます。したがいまして、今回もそのような考え方でいわゆる通算方式をとっておるわけでございますが、これにつきましては、北海道庁の実態調査、悉皆なりあるいは抽出調査等から見まして、既借り入れの自作農資金及び一年以上の固定化負債等をすべて勘案に入れまして、平均的には百五十万円の今回の貸し付け額限度額でほぼその需要は満たされる。ただし、先生もしばしば御指摘がございました、相当多頭の飼育の農家の負債というものについては、これも相当程度の比重を占めるということから、四百万円という相当大幅な特認の制度をとったというのが実情でございます。
  41. 美濃政市

    ○美濃委員 この百五十万、四百万というのは、いわゆる自作農維持資金の貸し付けにあたっては既借り入れ金通算ですか。
  42. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 ただいまも申し上げましたとおり、先生のお話のとおり、通算でございます。
  43. 美濃政市

    ○美濃委員 大体概要の状態を押えておりますが、過去の冷災害等によって、日本の農政の中では牧草というものを経済作物としての位置づけをしていない、その関係から絶えず収穫災害が起きております。雨害によってこの被害額というものはかなり大きいわけです。今回畑作共済という共済の実験共済をつくりましたけれども、てん菜、バレイショ等から見た場合には、酪農家の経営収支に及ぼす——雨と申し上げたほうがよろしいと思うのですが、雨害による牧草被害というものはてん菜、バレイショの被害率をはるかにこえておるのです。ただし、農政の上では牧草を経済作物としての位置づけをしていません。そうでしょう。乾燥牧草は、酪農家の使うものは主として自給ですから、市場に対する販売という実績は出てこないわけです。しかし、畜産局においては今日でも、乾燥牧草一トンの評価額はどれだけという経済作物としての位置づけをしておりますというのはないのでしょう。現在もまだないのでしょう。牧草が悪いから、乳量をふやすために濃厚飼料等を多少多く食わせなければならぬ、あるいはビートパルプを購入しなければならぬ。かなりの被害対策をしておるにかかわらず、牧草というものは認定に入っておりませんから、無被害認定になっておりますから、通例自創資金の貸し付けは少ないわけです。通例の場合少ないですが、特に開拓者ですね、やはり何といっても経済構造の上でまだ開拓者は弱いですから、開拓者関係その他の、主としてここで開拓関係を処理するにあたって四百万という限度がちょっと問題になってくる。  そうすると、北海道で、一年以上延滞をしておる酪農家の固定化負債は百五十三億八千二百万円という悉皆調査をしたわけですね。これはあくまでも一年以上の延滞額で、この中には自作農維持資金の償還年限のある部分の通算部分は入っていないわけです。固定化負債と認定しておりません。これは道庁に電話をかけて調べたのですが、入っておりません。そうすると、百五十三億に対して百五十億の資金ワクというのですから、資金ワクはまあまあですけれども、百五十万は通算限度ですよということになれば、私はこれはかなり大幅に残ると思うのです。百五十三億八千二百万というものに対して百五十億の資金ワクですので、一億ぐらいの違いですから、百五十億あれば解消できるが、これは通算では百五十億の資金ワクのほうが残る。残って固定化負債は、帯に短したすきに長し、結局その部分だけ解消されない、こうなります。ですから、これはせっかくやる政策ですから、一人一人の限度額をつくるというわけにいかぬですが、その状態を勘案して、そして通算は——これは法律ですから通算していけないということは言えないのですから、限度額のほうで通算する。現在借り入れておる通算部分の限度額を引き上げて実施するということにしなければ、実情に合わぬと私は思うのです。残りますよ。百五十三億を、政策としては百五十億。農林省としてはこの悉皆調査を信用して、百五十億の資金ワクをつければおおむね解消するという意図なんでしょう。それともまあやってみて、できるだけ百五十億は残す、通算に対して限度額の百五十万、四百万を設定してできるだけ残すんだということなんですか。それとも悉皆調査を信用して、この百五十億の固定化負債を北海道の酪農経営の安定のために解消しようという意図なんですか。どっちなんですか。
  44. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  申すまでもなく、先生のおっしゃいました後段で、今回の百五十億の総体のワクとその融資限度によりましてほとんどのものは解消できるというふうな北海道の実態調査なり道庁の意見というものを十分聞いて、われわれとしては決定をしたつもりでございます。
  45. 美濃政市

    ○美濃委員 それじゃ、百五十三億、まあ百五十億がおおむね解消するというんであれば、限度ももう少し考慮していいんじゃないか。今回貸し付ける額は通例百五十万、特認四百万、これでよろしいと思います。ただ、過去に貸しておる部分ですね。これが通算になるんだから、その根っ子にある部分を今回の貸し付け額に上積みして、限度額を引き上げて設定しておかなきゃならぬ。限度額を引き上げても処理すべき金額は百五十三億円、これは道が悉皆調査をして調べておるわけですから、それ以上資金ワクは要らないわけです。それがこういう政策をやる場合、あたたかい思いやりのある政策になると私は思うのですね。  そうでしょう。悉皆調査をして再五十三億しかないのですから、三億やそこら切れてもけっこうですから、そういうものを加味して限度額を引き上げる。今度新たに貸す百五十万というものは、悉皆調査に基づいた現在の固定負債を緩和する限度額であって、そのほかに一戸平均三十万ある、四十万あるというのですから、私はその平均額でよろしいと思うのです。一戸一戸の限度額というものはつくれっこないと思うのです。せめて酪農家が借りておる自作農維持資金の平均額をこの限度額に上乗せしておく。それをしても百五十億以上要りっこないのですから、処置すべき金額は百五十三億なんですから十分やれるわけです。それをしておかなければ百五十億は残ると私は思うのです。政策の意図がはっきりしておる以上、百五十億が残ったら私は承知できませんよ。これは省令でできるわけですから、省令で思いやりのある限度額を設定しても、そのことによって資金ワクが多く出るとか——自創資金は低利で、利子補給も行なわれておるわけですけれども、そのことによって財政負担が増大するとか、自創資金ワクが多く要るというものじゃないのですから、残してはならぬと思うのです。ですから、そこを承知で、金は百五十億以上要りっこないわけですから、限度額を上げて処理してやって、そしてとにかく百五十億は全部使って、困っておる酪農家の一応の安定をはかってやる。それには限度額をもっと上げてやる。そういう限度額を設定しても、処理すべき金額は百五十三億ですから、限度額を上げたことによって資金ワクの増大を伴うという心配はないわけですから、財政上の負担にもならない。今回、政策で百五十億は負債を整理してやろうというのでありますから、ある程度三十万なり五十万なり平均借り入れ額を今回やろうとする限度額にプラスして限度額を省令で設定したとしても、そのことによって資金ワクは多く要らぬわけです。どうしてもそれをやってもらいたいと思うわけです。そうすることによって財政当局や何かに弊害は起きないわけですから、大蔵省だって説得できると思うのですね。資金ワクが多く伴うとかなんとかということにはなりっこないわけですから。また、百五十億は、今回北海道の酪農経営安定のために固定化負債を処理しようとするのであれば、その百五十億で円滑に道の悉皆調査の百五十三億が解消できる政策をやってもらえば、私もそれで満足できるわけです。どうですか。
  46. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、先生お話しのとおり、財政資金なり財政負担という問題から今回の面五十万円なり特認四百万円という限度は考えたわけではございませんし、この点については、私ども先生の御意見のとおりだと思います。  それから、負債の限度の問題でございますが、われわれとしては、北海道側の悉皆調査なり抽出調査を十分尊重いたしまして、道庁側の意見も聞きながら、特認四面万円で過半のものというか、ほとんどその点が解消できるというふうに判断をしたわけでございます。  あるいは、四百万円をこえるような、七百万円、八百万円を借り得る大規模な酪農農家の借金の問題が残るではないか、これは政策の当初の考えから十全ではないではないかというのが御指摘かと思うわけでございますが、われわれのほうといたしましては、道庁側とも打ち合わせまして、先ほども内容を申し上げましたが、特別診断事業を個々の農家に行なうわけでございます。それに基づきまして、それらの農家についての経営安定のための施策というものを具体的にどうするかという点について相談をいたしたいし、道もそのような考えであるというふうに承知しておるわけでございまして、究極的にこれらの経営が相変わらず固定化負債の重圧のままに再建ができないというような事態にならぬようには、われわれとしては当然考えておるわけでございます。
  47. 美濃政市

    ○美濃委員 いまのお話を聞いておって、四百万円の特認は安定計画を立てた必要に応じて大幅に適用する意向だ、そうですね。そうすると、四百万円を、固定化負債額に応じ、それに対する道の安定計画に基づいて大幅に適用ということになれば、あるいは解消できるかもしれないと思います。  ですから、ここで一応意見を出しておいて、この論争はこれでとどめますが、これは省令でやれるのです。北海道の酪農主要地帯、たとえば根室等では、開拓パイロット地帯の大規模な酪農家で、資金的に非常に無理をした戸数もかなりあるわけですから、これはやってみて、これで作業に入って、やはり特認限度をもう少し引き上げる必要があるか、あるいは既借り入れ金を乗っけてやらぬければどうしても残る。そのことによって百五十億が残るわけです。そういう問題がはっきりしたときに、これは省令ですからすぐ直せるわけですから、やってみて不合理が生じた場合には、そういう点の限度額について考慮する、こういうふうに考えられませんか。いまの時点はこれで一応やってみるということにして、そういうふうに考えられませんか。四百万以上のことをやれと私は言っているのじゃないのです。現在の借り入れ金の通算の中において限度額について考慮する、こういうふうに考えられませんか。  これは政策的な発言になりますから、局長が答弁しなければ政務次官にお聞きします。そのくらいのことを考えておいてもらわなければならぬ。政策的に、政治的に、やってみてそういう問題が解消できぬければ、限度額について再検討する。不都合が生じなければけっこうですが、政務次官ひとつ。
  48. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 引き続いての御質問でございますが、われわれといたしましては、四百万円の限度は、繰り返すようでございまして恐縮ですが、実態調査なり道庁の実態判断を基礎にいたしましてきめさせていただいたつもりでございます。  ただ、特別診断事業等を実施してまいります際に、そのただいまきめました限度で救済できないおそれがあるのじゃないかというような先生の御懸念と御意見かと思うわけでございますが、これは特別診断事業等を個々の農家について行ないまして、あとの実態を見まして適切な処理をいたすという方針でございます。先生は特に限度額等の特認限度等に中心を置かれておりますが、われわれとしては、諸種の適切な対策ということで、道庁と協議をしながら、この問題があとに残らぬような解決をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  49. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 ただいまの局長の答弁に尽きると思うのでありますが、この問題は、私も省に帰りまして、先生の御指摘等十分頭に入れまして、少しく検討してみたいという感じがします。
  50. 美濃政市

    ○美濃委員 あと残る問題は、この前私が調査して実態を申し上げておきました。少数でありますけれども、この四百万の通例限度はこれでよろしいのですが、戸数にすると、全道で百戸くらいと思うのですが、いわゆる牛乳の生産量二百トン目標の設備をして、借り入れ総額四千万くらいになる、その中にいわゆる固定化負債——ものすごく元利償還を必要としますから、負債が水ぶくれしておるわけですね。これらはやはり八百万から一千万のものが戸数にして、私の想定ですけれども、大体全道で百戸くらいあるのじゃないか。四百万の上へまた四百万、八百万貸しても、四百万貸すのと八百万貸すのとの差は四百万ですね。しかし、この農家は、政府資金も総合資金で一千六百万、八百万借りておりますからほっておけないと思うんだが、これはどういうふうにお考えになりますか。特々認ででもやれませんか。特認だけの通例限度四百万はけっこうです。これで普通の農家はやれると思うのです。まあ生産目標百トンくらいの、高額負債で苦しんでおる農家は、四百万あれば十分だと思います。やれると思います。あと、先ほど申し上げた既借り入れ金の通算の中でどうなるか。限度額としての設定はこれでいいと思います。ただ、百戸くらいあるだろうと想定されるもの。特別でかいものをつくって、とにかく放置しておけばそれは倒産してしまう。この乳価との関連はきょうは言いません、この間言ってありますから。この措置はどうなっておりますか。
  51. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 先ほど来のるる先生の御質問に対する答弁に尽きるわけでございますが、限度の特認のさらに特認の問題とかあるいは通算方式の問題というのは、先生がただいま現地に即しました推計をなさいましたあの大規模な農家の負債という問題かと思うわけでございます。これにつきましては、先生現地に即した農家戸数なりその負債額というものを御推計なさったわけでございますけれども、われわれといたしましては、これについては、繰り返すようでございますが、具体的な経営診断事業を通じて戸数をつかむという点でございます。それによって、これらの農家が限度頭打ちのために相変わらず固定化負債に悩むというような問題が引き続くというふうに判断されます場合においては、諸般の適切な対策、きわめて抽象的で何だというおしかりがあるかもしれませんが、それは制度資金の総合資金とかその他相当借りておりますので、それらの償還猶予とかその他による負債の軽減とか、その他各種の施策というもので適切に対応できるかどうかというような検討をいたしたいということでございまして、いまにわかにこれについての対応策の結論を申しかねるというのが実情でございます。
  52. 美濃政市

    ○美濃委員 確かにいまのようなこともやれると思いますね、たとえば元金の優先払いとか。これは私どもも、農林金融の中で、そういう大型化をいま北海道で、個人経営じゃないですが、共同化の酪農経営をやって、あまり高額負債でどうにも収支が合わない、元金の優先払いの措置をとっておる法人が一つあるわけですね。ですから、私もそれは一生懸命にやったわけですが、そういうこともあわせて、今度の調査の中で、まあ私も百戸というのは大ざっぱな推定でありますから、あるいはそれより多いかもしらぬし、あるいは少ないかもしらぬ。それはこの限度額で救済できないものは別途の手段でやる、こう解釈してよろしゅうございますか。
  53. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答えを申し上げます。  先刻来申し上げておりますように、経営診断事業等による実態が明らかになった場合に、これに対する適切な対策という点については、現地の道庁側と十分協議してその解決に当たりたいというのがわれわれの考えでございます。
  54. 美濃政市

    ○美濃委員 それでは一応負債整理に対する質問は終わります。  次に、読売新聞にけさ農林大臣の写真入りで「食用大豆、三年で自給」という、農林事務当局とも十分打ち合わせして、この案が農林省方針として発表されましたが、これは新聞の発表どおりであるかどうか、これについてお伺いをいたしたいと思います。
  55. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私どもこの読売の記事それ自体につきましては、どういうところから出たのか全く了解に苦しんでおるわけでございますが、私ども、大豆につきましてはかねてからずっと減産をしてきておる。で、この大豆を何とか自給度を向上させたいという考え方を持っております。これは昨年の秋にできました長期の見通しの試案でございますが、その中でも国産大豆の増産というようなことを考えておるわけでございまして、そういった線に従いまして、私どもとしましてはたまたま四十九年度の予算の編成期を迎えておるわけでございますが、そういった中で大豆問題についてもいろいろ検討していることは事実でございますけれども、新聞に載せられましたようなことにつきましては関知をいたしておらない次第でございます。
  56. 美濃政市

    ○美濃委員 ちょっと局長さん声が低いから聞き取りづらい面があった。この記事が、内部検討した結果ということで、見たでしょう、この新聞。農林大臣の写真入りで出ている。この信憑性を聞いておるわけです。このとおりきめたのかどうか。
  57. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 目下検討中でございまして、まだきめておりません。
  58. 美濃政市

    ○美濃委員 しかし、これは写真入りでこう出たんだから、この記事の内容と検討内容とはどうなんです。このようなことが決定でなくても、おおよその決定に近い審議がかわされて、記者がキャッチして出したのか。これはそう極秘極秘と言わないで、明年度の予算要求の時期ですから、ある程度大体これに近い、煮詰まりつつあるんだとか、あるいは全く事実無根だとか、そこを少し、新聞に出るたびに新聞の記事を否定するのじゃなくて、どういうことで新聞記者がキャッチされたのか、私のほうもよくわからぬ。そこをもうちょっとよく説明してください。
  59. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、どういうところからこういう記事が出たのか、私どもちょっとわからないわけでございます。新聞の記事に出ておるような内容のものを私ども検討しておるということではないわけでございます。  私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、大豆の生産を伸ばすためにどうしたらいいかというようなことについての検討と御承知をいただきたいと思います。
  60. 美濃政市

    ○美濃委員 いまどういうふうにしたらいいかという、内部で検討しておることを、煮詰まっていなければ問題点でよろしゅうございます。大体いま内部検討で言える範囲のことを、結論はいま言えないと思いますから、結論じゃなくて、問題点としてこれこれあって、この問題についてはどのような政策をとれば自給率が上がると検討に入っておるのか、それともただ観念的に検討しなければならぬということで何もやっていないのか、そこの内容をちょっとお聞かせ願いたい。
  61. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 大豆の増産をはかるということ、これは容易なことではないということは先生十分御承知のことと思います。  現在までに減ってまいりましたことにつきましていろいろ原因もあろうかと思うわけでございますが、そういった原因をよく分析をいたしまして、そうして一体どういうところの大豆の生産をふやしていくか、あるいは現在の畑作地帯を中心に、それも北海道を考えるのか、あるいは東北を考えるのか、あるいはそれ以外の地域を考えるのか、また水田があいておるわけでございますが、水田に大豆を入れていく場合にどういうようにやっていったらいいのか、これは従来からもいろいろやっておるわけでございますが、なかなか伸び悩んでいることは事実でございますから、そういったことをどういうようにやっていったら一番いいのかというようなことを含めて検討いたしておる次第でございます。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  62. 美濃政市

    ○美濃委員 それはいつごろまでに煮詰めますか、作業としては。
  63. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 四十九年度予算にかかわりますことにつきましては、四十九年度の予算編成時期までには詰め上げなければならないというふうに考えております。
  64. 美濃政市

    ○美濃委員 そうすると、こういうふうになって出る新聞の記事はどう判断すればいいのですか。これはこういう大新聞でありながら、全然取材がでたらめなのか、どこからか別途の政治的な意図を持って出ておるのか、どう判断したらいいのですか。全然これは事実無根だ、こういうのですか。
  65. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私どももどういう意図でどういう形で出たのか、私ども全くわからない次第でございます。
  66. 美濃政市

    ○美濃委員 それでは、新聞問題はその程度にして、知らぬというのだから、これ以上言ってもやむを得ないと思います。  この前も大豆問題で各委員から質問が行なわれておりますが、大切なことですから、繰り返しませんが、一体これから先、食用大豆の需給見通し、需要と供給に対して責任を持って——どういう時期と申し上げましょうかね、まず端境の時点、九月末ですね、九月末までの見通し、それから先の見通し、これをひとつ承っておきたいと思います。的確な見通しを聞いておきたいと思います。
  67. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私からお答えすることがちょっと困難なのでございます。と申しますことは、私ども生産の担当でございまして、需給関係のことは池田局長のほうにお聞きいただいたほうが正確だと思いますので、その辺御容赦いただければ幸いだと思うのでございます。
  68. 美濃政市

    ○美濃委員 大豆の需給の的確な見通し、これは池田局長でなければだめだというのでありますから、あとの質問者の関係もありますし、私の持ち時間もありますから、きょうのうちにほんとう農林省として責任のある的確な見通しを聞いておきたいと思うのです。的確な需給の見通しをきちっとしてもらわぬと、これはたいへんな問題である。私の質問時間は三十分まででありますから、ここ二、三分で池田局長が来られるのなら、呼んでくれませんか、十二時半で私はやめますから。  そこで、それはそういうふうにして保留いたしまして、畜産局長に先ほどの竹内委員質問の関連をちょっと聞いておきたいと思います。  中国との輸入の問題です。私もある程度中国へ行きまして、いろいろ聞いておりますが、どうしても私どもは——私個人ですが、ほかのことは知らぬが、今度政府代表が行ったというのですが、私どもが中国に行きましても、統計的な数字は一切ノーコメントでわからぬわけです。ただし、私どもはずっと中国を五十日も六十日も、農業関係は特に農村内部に入って見せてもらってきた。たとえばアズキの問題について申しますと、アズキは中国から三万トンも四万トンも入る、こういう情報が出るわけですね。私が中国に行って、統計的な数字は全然見せてくれませんからわからないわけです。ただ、話を聞いて受ける感じは、アズキ等の作物はやはり需要量に対する計画生産である。ですから、かなり作況が上回ったときに、まあ二万トン限度がいまのところ余剰でないか、日本向けに輸出はしておらぬだろう、こういうふうに私は想定をしておりますが、その推定は当たっておるわけですね。いままで北海道が凶作で、中国から大幅に入らなかった。一定量、大体二万トンから二万二千トンが入ったら、あとは広州見本市でなくなっちゃうわけですね。三万トンも四万トンも一年に中国からアズキが入ったことはないわけですね。  肉についても、実際今回政府間交渉で行って、どういう種類の肉がどれだけ中国の需給量を上回って輸出能力があるのかという話をはっきり聞いてきたかどうか。こういった点、ただ、中国から食肉輸入、食肉輸入と言っておって、計画生産の範囲であまり輸出量もないのに、口蹄疫だとか何とか言っておったら、ナンセンスになるのじゃないかという心配も私は持っているのです、輸出量がないのに。向こうでは、ないということは言わぬわけですね。そういうものがないとも言わぬし、的確に何ぼの量があるから買ってくれということもきぱっと言わぬ。政府が行ったから言ったかもしらぬけれども、私どもはそれはわからぬわけです。統計的な数字は一切教えてくれない。どういうものが何ぼ生産され、需給量が何ぼで、どのくらい余るのだということは、私どもが何ぼ聞いても絶対教えてくれません。  そうすると、あるいはああいう大きな国ですから余らないのかもしれない。輸出量がないのに輸入、輸入なんか言っておったら、向こうは腹の中で笑っておるかもしれぬ。ナンセンスの交渉が行なわれるかもしれぬから、そういう点はどうであったかということを聞いておきたい。
  69. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 最初にお答え申し上げておきますが、今回の農林省派遣の使節団は技術の交流が主体でございます。したがって、その点についての今後の両者の技術交流、もちろん促進を前提として、それをどうするかというのが主題でございます。もちろん農業生産なりあるいはさらにほぐしまして各部門の生産状況というものについて、われわれも知りたいところが多々あるわけでございまして、それらについてのある程度の話し合いをしたわけでございますが、使節団の報告によりますと、ただいま先生がおっしゃいましたように、農業総生産の伸び率とかそういう点については、多少の説明を受けた模様でございますが、部門別については統計数字その他を踏まえた話は了知できなかったというのが実情でございます。  そういう意味では、向こうの輸出能力とか、他の肉につきましても、そういうものを十分了知した上で問題を進めるべきではないかという点については同様でございますが、類似の民間使節団の交流とかそういうものを通しまして、われわれが承知している限りにおきましては、牛肉につきましては、現在ちょうど日本の三十年代の前半までの情勢で、これは役畜としての、動力としての存在が非常に大きいということで、その輸出可能性についての問題はあるというような点、豚肉については、現に口蹄疫が汚染しております西欧諸国については相当程度の中国の豚肉が出ておる。したがって、そういうものを踏まえて、われわれとしては問題解決の前提でございます衛生問題というふうに踏まえておるわけでございますが、先生の御指摘の数字その他については、部門別等については、これは肉だけではございませんで養蚕その他いろいろございますが、これについての数字は得られなかったというのが実情でございます。
  70. 美濃政市

    ○美濃委員 これは私の意見にとどめておきますが、技術交流もけっこうです。ですから、今後やはり政府間の話し合いの中でそういう交渉をするにあたって、向こうでも余れば、中国だって腐って投げるよりは売ったほうがいいわけです。そこらはやはり国交回復もできたわけで、向こうとまず話し合いに入ることも大切ですが、事情というものをよく把握して、物の交渉に入るようにしないと、実際、物があるのかどうなのか、輸出量があるのかどうなのか。統計上も向こうの意図がはっきりわからぬのに交渉していっても、あるいはタイミングが合わない。なかなか中国という国は単純に、そういうものはないとかあるとかいうことをきぱっと言わない性格だと私は思うのです。何かタイミングが合わない交渉が行なわれているようなことが、これは肉だけに限らず、今後起き得る可能性がありますから、そういう点を十分注意してもらいたい。またそういう点が把握できたものは、こういう機会を通じてわれわれにも知らしてもらいたいと思うのです。今回は、需給量等そういうものについてはあまり突っ込んだ話もできない、的確な把握はできなかった、こういうことですね。  あと、池田局長来ましたか。来られますか、来られませんか。——これはきょうの時間のうちであとでよろしゅうございますから、需給量だけ……。  一応終わります。
  71. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、中川利三郎君。  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  72. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 速記を始めてください。  出席の政府説明員に申し上げます。今後出席要求時間には必ず出席されるよう厳重に注意を申し上げます。  中川利三郎君。
  73. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 まず端的にお伺いするわけでありますが、青森県の陸奥湾でかねて問題になっておりました原子力船の「むつ」ですね。これが今度は予定を変更いたしまして、日本海の特に秋田沖、青森沖あるいは北海道沖を結ぶこの地点で新たな出力試験を行なう、こういうことが発表されまして、いま三県の漁業関係者並びに自治体ではこれを最大の問題にしているわけであります。そうしてもしそれを実行するならば、それを強力にやるならば陸奥湾の封鎖も辞さない、こういうことを漁民が決意しておるわけでありまして、この点についてまず端的に科学技術庁に申し上げ、質問をするわけであります。  そのような漁民の反対なりそういう強硬な決意表明がある状態の中でこれをあくまでも強行するのか、それともおやめになって別の海域でおやりになるようなことになっているのか、どっちなのか、ここではっきりしていただきたいと思うのであります。
  74. 大坂保男

    ○大坂説明員 ただいま中川先生の御指摘の原子力船「むつ」の臨界及び出力上昇試験についてでございますけれども、昨年の十月あるいは十一月ごろにこの試験を行なうべく検討しておりまして、そのためには、御指摘のように安全性の問題もさることながら、漁業関係者の理解と協力を得てやりたいということで、十数度にわたる説明会あるいは懇談会を持ってまいったわけでございます。  御承知のように、原子力船「むつ」につきましては、昭和四十二年にすでに安全審査も終わりまして安全であるという保証もございますし、私どもも全く安全であるというふうに考えているわけでございますけれども、これを漁業関係者の御理解をいただけなければいけないということで御説明にあがっているわけでございます。しかしながら、陸奥湾においてやりたいと申しますのは、静かなところで実験を行なわなければ所期の試験項目が完成できないというようなことで、陸奥湾内でやりたいということでお話し申してまいったわけでございますけれども、陸奥湾内はホタテの漁業が盛んなところであるので、そうはいかぬ、したがって湾外に出てやってくれという御要望もございましたので、やむなく湾外ということになりますると、やはりできるだけ波の静かなところがよかろうということで、関係の海上保安庁その他と御相談申し上げましたところ、できれば日本海のほうがよかろうということに相なったわけでございまして、その場合におきましても、漁業関係について支障があってはまずいということで、水産庁の担当者にもただしましたところ、原子力船事業団が予定いたしておりますA海域におきましては、すでにサケ・マスの漁業も北に上がって問題はなかろう、ただ、イカが若干残っている点もあるだろうけれども、その辺のところを留意すれば問題ないのじゃないかというような非公式なお話も伺いましたので、その地点を定め、その上で漁業関係者にお話し申し上げたわけでございます。先月の二十二日に青森県の漁業関係者の方にお集まりいただきまして、そこで御説明申し上げましたところ、若干その海域については、イカの漁業の関係で青森、北海道の漁船が、大和堆と申しますか、そこの主要漁場に至る航路のじゃまになったりするので、もうちょっと西のほうに寄ればいいんじゃないかというようなアドバイスもございましたので、それを変更いたしまして、二十七日に再び説明会を行なったところ、ただいま先生指摘のように、北海道あるいは秋田県方面の漁業関係者からいろいろの御注文が出まして、現在どういうふうにこれを進めたらいいのか検討している段階でございます。
  75. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 長々と経過の説明をお伺いしたわけでありますが、私がお聞きしたのは経過の説明ではなくて、いま漁民が現実に、強行すれば実力行使する、陸奥湾を封鎖して原子力船を表に出ないようにするのだ、こういう強い態度に出ているわけでありますから、これについていま考慮中なんということでなくて、大体それでも強行する御意思があるのか、それともやめるのか、どっちなんだということでお伺いしているのですから、端的にひとつ答えていただきたいと思うのです。
  76. 大坂保男

    ○大坂説明員 日本海で試験を行なうことにつきましては、青森県魚連及び秋田県知事などから、やめるようにという要望書も出ておりますので、私たちとしましては強行するというふうな考えはございません。できればさらにお話しを申し上げて御理解いただくとか、あるいは日本海に固執することなく、他の海域についても実験可能であるかどうかというようなことにつきましても、海上保安庁その他のところと御相談して検討している段階でございます。
  77. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 漁民の皆さんや関係自治体がこぞって反対しているわけですね。反対しておるという事実、しかも実力行使までやるぞという、こういう経過の事実があるわけですね。その中でなおかつ説得する余地があるのかどうか。そういうふうにあなた、まだ説得できると思っていますか。そういうふうに甘っちょろく思っていますか。だから、この際あなたのほうではっきり態度を表明していただかなければ——漁民がこれから反対してもなおかつおやりになるのかどうか、反対してもおやりになるつもりがあるのかどうか、反対すればやめるのかどうか、この点だけでいいからはっきり答えてください。
  78. 大坂保男

    ○大坂説明員 御指摘のような漁民関係者の強い反対がございますれば、これを強行することは考えておりません。ただ、原子力船「むつ」の試験を行なうためにどういうところで行なったらいいかということで苦慮いたしておりますので、現在の段階において強行することは考えておりませんけれども、将来の問題としてはいろいろ検討してまいりたいというように考えております。
  79. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると、現在の問題としては強行しないけれども、将来の問題として強行する余地を残しておる、こういうことですか。そこをはっきりしてください。とにかく、そんなあいまいなことでなしに。
  80. 大坂保男

    ○大坂説明員 いかなる場合におきましても強行ということはいたす考えはございません。
  81. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あしたは全国の漁民大会なんですよ。関係漁民も出てくるわけですよ。そのほかの魚の問題もありますけれども、せめて、あす、そうした関係漁民がたくさん出てくるわけですから、おたくのほうの方針がどうかということを聞かしてやったら、それに対する対応もできるし、いつも何か宙づりのようなあいまいな状態にしておくということが一番罪悪だと思うのですね。しかも先ほど安全性の問題を云々されましたが、あなたのほうで安全性を云々したって、この前、原子力発電炉は安全だからということで、衆議院科学技術振興対策特別委員会が五月九日にやりましたね。十人の専門家のうち半分は、問題があると言っておるでしょう。しかも政府の関係した専門家だけは、安全だと言っておるでしょう。こんなことでどうして安全だと言えますか。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  このことはさておいて、あす、そういう全国の漁民が来るわけですから、これに対してあなたがひとつ当局のはっきりした態度を示すということは道義的にも必要だと思うのですよ。このことについてもう一回はっきり答えてください。何かヘビのなま殺しでは困りますよ。
  82. 大坂保男

    ○大坂説明員 先ほども申し上げましたように、漁民関係者の反対を押し切って強行することは考えておりません。
  83. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 では、わかりました。  それでは次の問題へ移らしていただきますが、いま魚の汚染の問題が、特に水銀の汚染の問題がたいへんな政治社会問題になっているわけでありますが、これについて、政府は水銀等汚染対策推進会議をつくってそれぞれの施策を進めておる、こういうことをいわれておるわけですね。そこで、発生源の企業関係について申し上げますと、たとえばこの中には「有害物質関係工場に対する点検」という項目があるわけです。どういうことを書いてあるかというと、一つは「水銀関係工場については、六月中に点検を行ない、七月末までに調査結果をまとめる。」二つには「水銀、PCBその他の有害物質を扱っている企業から、各四半期ごとに定期的な有害物質の収支の報告をさせる。」こういうことをうたっているわけですね。  そこで私お伺いしたいのは、これは通産省でありますが、六月中に点検した水銀の使用工場というのは何社なのか。そのほかに、おたくでつかんだ、その点検した以外に目こぼし、そういうものはあるのかないのか、そういう点でまずお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  84. 松村克之

    ○松村説明員 いまお話のございました通産省の工場点検でございますが、これにつきましては、アセチレン法によりましてアセトアルデヒドを過去に製造しておりました七社八工場、及びアセチレン法により塩化ビニールモノマーを過去に製造していたあるいは現在製造中の十五社十九工場、及び水銀法電解ソーダの製造工場につきまして、担当官を現地に派遣いたしまして調査をいたしたわけでございますが、その結果は七月末までに取りまとめて発表したい、こういうように考えております。  また、これ以外に水銀を使った工場といいますか、目こぼしといったようなものがあるかという御質問でございますが、いま申し上げましたアセトアルデヒドの製造工場あるいは塩ビ工場及び電解ソーダ工場については、全数調査でございます。
  85. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 六月中に水銀製造工場を何社点検したかということを聞いたのです。何か煮え切らないようなはっきりしない返事で、わずか七社かそこら辺ですね。私、何かよくわからなかったのですが、水銀を現在使い、過去も使っているというのは、小さい町工場でも、メッキ工場なんかたくさんあるのですよ。つまり、皆さん方が全国的に水銀を規制するんだということをやっているのは、何かいま見ますとほんのわずかなもの、そんなもので全体的に把握していると言えるのですか。
  86. 松村克之

    ○松村説明員 水銀につきましては、現在申し上げました苛性ソーダ工場のほかに、機器、計器類、たとえば体温計でございますとかあるいは温度計といったようなもの、あるいは医薬品、また無機工業薬品、農薬等、若干あるわけでございます。
  87. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 だから、そういうものをあなた方のほうで掌握しているのかどうか、点検しているのかどうかということを聞いているのです。あわせてついでにお伺いしますが、そういうものの一覧表をひとつ出していただきたいと思いますが、どうですか。
  88. 松村克之

    ○松村説明員 いま申し上げましたアセトアルデヒド工場、塩ビ工場、水銀電解法ソーダ工場のほかに、機器、計量器類あるいは触媒類、無機薬品といったような工場があるわけでございますが、これについては、現在、工場リストといいますか、それを現在使用している工場について調査を行なっております。ただ、御承知のとおり、工場の中には非常に小さい小工場も含まれておりますので、現在それについて調査をいたしておるという段階でございます。
  89. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり、水銀を流している工場が、いま皆さんが把握している工場以外にたくさんあるわけですね。その実態を全部調査して、それをそれぞれ指導し、規制していく、こういうことでなければならないと思いますが、そうすると、いま皆さんが把握していらっしゃる工場、点検した工場、その一覧表をこの際お出しになる御意思があるかどうかということです。これをひとつ出していただきたいと思いますが、どうですか。
  90. 松村克之

    ○松村説明員 先ほど申し上げましたように、現在その件については調査中でございますが、調査がまとまり次第これについては公表するということで処理したいと思っております。
  91. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 対策推進会議の対策要項を見ますと、六月中に調査を完了するということになっているのですよ。七月中にはその調査結果をまとめるということになっているのですよ。それは国民にうそをついているのですか。これは対策推進会議の要項にはそう書いてあるのですよ。これから調査するのですか。そこ、何かはっきりしないので、ちゃんとしてください。
  92. 松村克之

    ○松村説明員 対策推進会議の議事要旨の中には、お話のように「水銀関係工場については、六月中に点検を行ない、七月末までに調査結果をまとめる。」こういうふうに書いてあるわけでございますが、これは、先ほど申し上げましたように、水銀関係として現在問題になっている苛性ソーダ関係、あるいは過去にこれを使用したアセトアルデヒド及び塩ビ工場について立ち入り調査を行なっているところでございます。また、先生の御指摘のように、それ以外の水銀を使用している工場についても、現在工場リストの作成及びそれらの工場についての調査ということを計画中でございまして、これも七月末までにこれを調査するということで行なっているところでございます。
  93. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 何かはっきりしないのですがね。そうすると、六月中に点検を行なったやつについてはすぐ公表できるはずですね。どこどこの会社だとかいうようなこと、これについてまずはっきりしていただきたい。これは七月末にならなければ発表できないというものではない。立ち入り調査した工場、点検した工場の名前だけでもいいから。  この点が一つと、「水銀、PCBその他の有害物質を扱っている企業から、各四半期ごとに定期的な有害物質の収支の報告をさせる。」ということも皆さんおっしゃっているわけですね。そうすると、この場合も同じことが言えると思うのです。該当企業は一体何社あるのか、何かそういうことが言えると思うのですが、特に私聞きたいことは、報告させるというけれども、強制的な拘束力があるのかどうか、あるいは報告しない場合一体どうなるのか、うその報告をした場合一体どうなるのか、そういう場合のチェックの方法なんかどういうふうにされるのか。ただ四半期ごとに報告させるといって、いかにも国民に耳ざわりのいいようなことを言いますけれども、その具体的な手段についてひとつお伺いいたします。
  94. 松村克之

    ○松村説明員 現在まで通産局でもって立ち入り調査をいたしましたアセトアルデヒド工場、塩化ビニールモノマーの工場、水銀電解法ソーダ工場につきましては、この名前は新聞等あるいは国会等の御質疑の際に申し上げてあるところでございます。ここで申し上げてもよろしゅうございますが、ちょっと時間がかかりますが……(中川(利)委員「あとでいい」と呼ぶ)よろしゅうございますか。これについては公表をいたしておるところでございます。また、いま四半期ごとの点検についてどういう形でやるのかというお話でございますが、これにつきましては、現在のところ行政指導ということで、それぞれの工場に対して四半期ごとの水銀収支についての報告を求める、こういう形でやっていきたいというふうに考えております。
  95. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 したがって、強制力なりそういうものはないわけですね。たとえばうその報告をしたならばどうなるかといっても、それっきりになってしまう。報告をしない場合どうなるのか。単なる行政指導、しかも相手は通産省と最も近いといわれる企業なんですね。そういう措置で、ただ四半期ごとに報告させるのだということで、正しい、国民が安心できるようなかっこうの公害対策というか、そういうものができるのかどうか、あわせてお伺いしたいと思います。
  96. 松村克之

    ○松村説明員 いま申し上げましたように、この件につきましては、行政指導ということで企業から報告を求める形になるわけでございますが、これについては、各企業がその報告を行なわなかった場合には、さらに報告を行なうように強力な行政指導をしていくということでやる予定でございます。
  97. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 では具体的に言いますが、強力な行政指導、普通の行政指導、いろいろな区分けがあるようにあなたは言われますけれども報告しなかった場合、うその報告をした場合、どうしてチェックしますか。いまの会社の姿勢から見て、単なる行政指導でそれができますか。
  98. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします  調査票を配りまして提出を求めるわけでございますが、これについて提出を拒んだ場合にはいろいろな方法があると思いますが、たとえば調査票の提出を拒否した工場名を公表するといったようなこともその一つの方法であろうかというふうに考えております。  いま企業から出されました報告自体がどのような正確なものであるかどうかという点については、これはやはり行政指導ベースの調査でございますので、それについて罰則であるとか、そういったものはないわけでございますけれども、やはり個々の工場を十分チェックいたしまして、それらについて十分正確に報告がなされているかどうかということをできる限りチェックしていくということで、これらの調査ができる限り正確なものであるようにという努力を続けるつもりでございます。
  99. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうした会社の誠意なり会社の出方に期待を寄せている調査、点検、そういうことである限り、こういう問題はなくならないと思うのです。そこに今日のいろいろな問題の原因があるのじゃないか。うそをついた場合のチェックの方法はどうなっているか。できる限りやるというようなことでどうしてほんとうに公害をなくすることができるのか。企業に対するばちっとした規制がない限り、いまの公害の根源をはっきりさせない限り、何ともできないということが、もう一般の常識になっているのに、まだ皆さんがそういうような態度でおるところに問題があると思うのです。これだけをやっておっても時間がかかるから、次に移ります。  同じ推進会議の要項によりますと、本年度までに水銀の排出規制についてクローズドシステム化をやる。五十年をめどに極力、隔膜法への転換をはかる、こういっているのです。  そこでお聞きするわけですけれども、これらの指導は通産省が個々の該当工場に対してやるのか、それとも間接的にソーダ工業会を通じてやるのか。水銀の場合はこれはどうなんですか。
  100. 松村克之

    ○松村説明員 転換等の指導につきましてはこれはいまお話しのように工業会を通じてやる方法もございますし、また個々の企業について指導する方法もあるわけでございますが、通産省といたしましては、本件については両者をともに用いまして強力な行政指導をやりたい、こういうふうに考えております。
  101. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 この前の本会議でわが党の中島議員が言ったとおり、町の魚屋さんが、たとえ一匹でも中毒の魚が出た、それでお客さんが中毒にあたった、こういうことになりますと、直ちに営業停止ですね。しかし、汚染の元凶である企業は依然水銀をたれ流しておる、こういう状況を許しておきながらあなた方あれこれ言っても、国民が納得すると思いますか。
  102. 松村克之

    ○松村説明員 現在問題になっております苛性ソーダ工業について申し上げますと、現在の水質汚濁防止法によりまして排水についての規制がなされているわけでございますが、これについては十分その規制を満足するような排水処理施設等の設置によりまして排水中に水銀を出さないという努力を続けているところでございます。
  103. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 魚屋が一匹でも中毒した魚を売れば営業停止になるわけです。片一方はたれ流しにしているじゃないか。これについて国民が納得すると思うかということを聞いているのです。どうなんですか。
  104. 松村克之

    ○松村説明員 いま申し上げましたように、これらの工場については、その排水につきましては、水質汚濁防止法によりまして水銀その他の有害物質あるいはCOD等についての規制がなされているわけでございます。その規制は現在十分に守られているというふうに私どもは考えているわけでございます。
  105. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなたの筆法によれば、それで十分満足すべき状態で、そういうものが出ていないということになれば、なぜクローズドシステムだとか、隔膜法だとか、そんなことを言うのですか。あなたの筆法によれば十分じゃないですか。あなたの言うことそのものが矛盾じゃないですか。
  106. 松村克之

    ○松村説明員 水質汚濁防止法によりまして排水の規制がなされておるわけでございますが、やはり原理的に言いまして排水を出さない、これを循環させまして、クローズドシステムと申しますか、循環させて排水を工場外に出さない、あるいはさらに一歩進めまして、水銀そのものを使わないというほうが原理的により安全であろうということから、これらの施策を推進していきたいと考えているわけでございます。
  107. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それではお聞きしますけれども、いま原理的に云々という話がありましたが、いまの科学の水準の中では〇・〇二PPM以下の測定はできない。つまり〇・〇アルファというやつが必ずあるわけですね。ただ、いまの機械のレベルの中ではそれが測定できないということなんですから、現実に水銀をたれ流しているという認識の中でものごとを処理しない限り、ほんとうに国民の命と暮らしは守られないと私どもは判断するわけです。そういう点で、まだ水銀をたれ流しているという認識の中でものを考えていらっしゃるのか、何にも流していないというあなた方の御見解なのか、これをお伺いします。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  108. 松村克之

    ○松村説明員 先生いま御指摘のように、水銀を実際に使っているという場合には、やはりその基準値以内であっても若干の水銀がその排水中に含まれるということもあるわけでございますし、やはり原理的に申しまして排水を外に出さない、あるいはさらに進んで、水銀を使わない方法への転換というほうがより望ましい方法であるというふうに考えているわけでございます。
  109. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなたのいまの御答弁では、若干の水銀が出ているということを、原理的であれ何であれ、認めていらっしゃるのですね。認めていらっしゃって、そうしてそのたれ流しを事実上いまのところ放置している、こういうことになると思うのです。そこで私が言いたいことは、国の責任で企業があらゆる手段を講じて直ちに有害物質の排出をとめて、もしそれができない場合には、排出しないように完全になるまでそれぞれのたれ流している会社の操業を中止する、それでなければ、つまり原理的にほんとうに国民の命と暮らしを守っていかれないというようないまの状態だと思いますが、この点について御見解はどうですか。
  110. 松村克之

    ○松村説明員 お話のように、水銀を若干でも出すというよりは、完全にゼロになるということが望ましいわけでございますが、やはりそのためにはクローズドシステムあるいは隔膜法への転換ということが最も望ましい方法であろうかと思います。また先生質問の、それまでの間操業を全面的に停止したらどうかという御質問の趣旨に承ったわけでありますが、やはり現在では各工場は水質汚濁防止法によって要求されている規制の基準を守っているわけでございますし、また一方、苛性ソーダ及び塩素というものは非常に重要な基礎物資でございまして、御承知のように、たとえば塩素でございますと、水道の滅菌でございますとかあるいはプールの殺菌、あるいは塩化ビニールの原料として用いられている面もあるわけでございます。また苛性ソーダにつきましても、工場排水の中和処理用でございますとか、あるいは化繊、アルミ製錬あるいはその他各種化学薬品の基礎原料でございますので、これを直ちにストップするということについては、やはりそれらの国民生活への影響というようなことを考えますと、これは一日も早くクローズドシステム化を進める、あるいは隔膜法への転換ということで対処する問題であろうかと、こういうふうに考えております。
  111. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなたは、水質汚濁防止法があるから、その規制値を守っているから何でもないんだ——しかし問題は、そういう水質汚濁防止法の中でたくさんの患者が出ている、日本の私たちのたくさんの仲間の人たちが苦しんでいらっしゃる、こういうことなんですね。しかも、一人の患者を出した魚屋さんならば営業停止になって、この場合はそうじゃないというわけですね。国民生活への影響云々という。なぜ一般の大衆がこれだけ苦しんでいることに対しては国民生活に影響ないのか。それこそ国民生活にたいへんな影響でしょう。私は永久に操業停止しろというのじゃなくて、その間に完全なものにするまでの間操業停止するということが、最も道理のあり、筋のあり、国民が納得することじゃないか。このことを申し上げているのですよ。どうですか。
  112. 松村克之

    ○松村説明員 現在第三水俣病あるいはそれに類似した病気ということで非常に大きな問題になっております原因として、工場から排出された水銀というものが御指摘のようにその原因と目されているわけでございますが、これらはいずれも水質汚濁防止法等による強力な規制が行なわれる以前に排出され蓄積されたそういうものが原因であろうかと、こういうふうに考えているわけであります。したがいまして、現在では、排水中に含まれている水銀については、法の規則を十分守る水準ということで操業いたしておるわけでございますので、直ちにこれをストップするということについて、政府としてと申しますか、通産省といたしまして、やはり現在の段階としてはむしろクローズドシステムあるいは隔膜法への転換をできる限り早めるという方法で対処していきたいというふうに考えております。
  113. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなたの筆法によりますと、いま出ている工場の排水は、水質汚濁防止法の中だから何にも出ていないんだという。いま問題になっているのはその前のたれ流しのやつだ、そういうふうに区別していらっしゃる。しかし、現実にあなたは水銀をたれ流していることを認めていらっしゃる。あなたの論理の中に、脈絡をたどれば矛盾していると思うのですね。それで、そうすると、あなたのいまの水質については水銀を絶対にたれ流していないと、そういう科学的な根拠をここで出さなければならない。水質汚濁防止法に該当しているからだいじょうぶだ、それ以上越えていないからだいじょうぶというだけでは、これでは国民には納得できないと思うのですね。そうでしょう。だから、水質汚濁防止法がいかに甘いものだか、一面から言えばいかにゆるいものだか、全体として前もうしろもないのだ、とにかく汚染され排水口から流れる、工場からそういうものが流れている、こういう理解の中で対策をとらないとだめだと思うのです。この点についてはどうですか。科学的なそういうあれはあってそう言うのか、なくて言うのか。
  114. 太田耕二

    ○太田説明員 水質汚濁防止法の点が論議になってまいりましたので、それを所管いたします私のほうからお答えさせていただきます。  現在、先生お話しの〇・〇二PPMの基準がきまりまして、その試験法がきまりましたのが昭和四十五年でございます。その当時は、いわゆる試験方法、それから見まして、それを採用する以外に方法がなかったわけでございます。確かに、〇・ ○二PPMでございますから、それ以下非常に微量のものは排出され得るわけでございます。そこで、こういった水銀の問題は非常に重大になりましたし、なおかつ分析方法の技術が昨今進歩してまいりました。これはいわゆる原子吸光法という新しい方法でございますが、その方法の採用につきまして現在中央公害対策審議会のほうに諮問中でございます。その答申を受けまして、その方法を採用すると同時に、実質的に非常にきびしい基準をかけよう、かように考えておる次第でございます。
  115. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いまお話がありましたように、つまり、水質汚濁防止法があっても実際疑わしい、そういう状態が続いているわけですね。ただ、機械の発展の度合いという、そういうものによってこれはだいじょうぶだと言うているだけにすぎないのだ、そういうことだと思うわけでありますが、そうであればあるほど、そのたれ流している会社、企業について、永久に操業停止をするというのじゃないのですから、一応クローズドシステム化するまでの間でもいいから、本年の末まででもはっきりとした措置をとって操業を中止させる、このことが一番抜本的な国民を安心させる道であると思います。ただ国民全体のためにとか、化学工業が発展しないと困るとか、そういうこととは本質的に関係ないと思うのですが、通産省、基本的な態度をもう一回説明していただきたいと思います。
  116. 松村克之

    ○松村説明員 いま申し上げましたように、水銀を排出しているということでございますが、環境庁からも御答弁がありましたように、現在の基準というものは昭和四十五年につくられまして、それ以前よりは非常にきびしくなっているわけでございますが、今回これをさらにきびしい基準にしていきたいということでございます。私どもといたしましても、これらの工業は国民生活に非常に重要な関連を持っている産業でございますので、これをこの際操業を停止するというよりは、むしろ現在の水質汚濁法の基準値をさらに下回るような、いま御検討になっておられるきびしい基準というものを先取りして、さらにきびしい排出規制と申しますか排水処理ということを行ないつつ、一日も早くクローズドシステムを進めていきたい、こういうふうに考えております。
  117. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 企業にはあくまでも甘く、国民にはあくまでも冷たい、こういうやり方だというふうに私思いましたけれども、そういう態度の中で、たとえばこの推進会議の要項の中にもありますが、隔膜法への転換というのは、「五十年九月を目途に極力、隔膜法への転換を図る。」こういう言い方をしているわけですね。「五十年九月を目途に極力、隔膜法への転換を図る。」というのはどういうことですか。極力転換をはかる、何ら強い規制というか、あれがないでしょう。もしも企業がそれに抵抗して、いやだと言えば、どうしますか。極力なんというのを書くことは、全く人をばかにしたことだと思いますが、どうなんですか、これは。
  118. 松村克之

    ○松村説明員 お話のように、隔膜法への転換ということについては、これを早急に行なうように指導をいたしておるところでございますけれども、これも先生御承知のように、水銀法から隔膜法にかえます場合には隔膜法の技術というものが必要でございますし、現在それらの技術をアメリカ等から導入する計画を各社で検討してもらっているところでございますけれども、やはりこれらの転換についてはどうしても物理的なある限界があるということでございます。ただ、私どもとしては、それらの限界はあるといたしましても、できる限りそれを早めて、目標期間までにはできる限りこれを達成するように企業を指導しているという段階でございます。
  119. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 できるだけ指導するといったって、「五十年九月を目途に極力、隔膜法への転換を図る。」何ら強い規制がないのですよ。企業がそれに対して抵抗した場合には、それをやらせるという保証も何もないのだが、まして、いまのあなたの御説明によりますと、技術がたいへんだからアメリカから学ぶのだといいますが、戦前、日本はおもに隔膜法でやっておったのでしょう。そういう状態の中で、いまさら、新しい隔膜法の中でもいろいろな技術の段階があるかもわかりませんが、それは言いわけにすぎないということですね。そういう態度だからこういうことになるのじゃないかということを強く指摘をしておきたいと思います。時間の関係もありますので、もうとにかく、何というか、歯切れの悪いというか、全くなっていないというか、そんな感じがしますので、いまの通産省の態度ではもう国民は救われない、こういうふうに私思いますので、このことを指摘しておきたいと思います。  次に、水産庁その他にお伺いするわけですが、漁民対策として、推進会議の要項によりますと、特に漁民に対するつなぎ融資の問題を書いてあるわけですね。「つなぎ融資として、農林漁業金融公庫の漁業経営資金をもつて措置するとともに、天災融資法に準じた措置を行なうこととして、農林中央金庫や信用漁業協同組合連合会の資金を利用し、低利なものとなるよう関係省庁で早急に詰める。」云々と書いてあるわけですね。何か見ただけではりっぱなことが書いてあるようですけれども、中身がさっぱりわからないわけですから、教えていただきたい。  一つは、つなぎ融資として政府が準備してある制度資金の金の総量ですね、幾らあるのか。一人頭にして何ぼになるのか。何ぼ予定しているのか。あるいは貸し付けの方法、手続はどういうところで、たぶん信漁連から漁協を通していくと思いますが、そういうルートは一体どうなっているのか。それから担保をとるのか。つなぎ資金だ、皆さんの恩恵だと言いながら、実際は担保をとるのだから、普通の一般貸し付けと同じようなやり方なのか、それとも担保とかそういうものは考えなくていいのか。それから、支払い不能の場合、漁民はいまは操業してないのですから、どこからも金は手に入らないのですから、当然支払いはできないわけです。そうすると、支払いができないということは、差し押えをするという結果になるのだと思うけれども、そういう事態に対しては一体どうするのですか。漁民対策だ、緊急対策だと言うけれども、何らこれらは対策になってないじゃないかと思うのです。そこら辺についてひとつ具体的にお知らせいただきたいと思います。
  120. 安福数夫

    ○安福政府委員 お答えいたします。  具体的にはどうなるかということでございますけれども、トータルの融資の額でございますけれども、これは実際の被害の実態、関係漁民の数を必ずしも全部押えておりませんので、トータルの額は幾らになるかというのは、将来の問題として御理解を願いたいと思います。  ただ個々の漁家に対しまして、どういう金額で、どういう条件で、あるいは将来に対してどうするかという問題でございますけれども、現在私ども考えておりますのは、さしあたりは公庫融資の経営安定資金がございます。これは現在十億しかございませんけれども、それを前提にいたしまして、一応二戸当たり五十万を現在のめどといたしまして、それを融資の一つのめどにいたしております。その十億では必ずしも十分ではないという問題がございますから、先ほど申しましたように、関係漁家はどのくらいになるかという問題とにらみ合わせまして、これは結果的には相当大幅に融資の対象になると思うのです。  それで、これに対しまして結局担保をどうするかという問題でございます。大体融資につきましては担保をとるというのが原則でございますから、そういうことになると思いますけれども、私どもといたしましては、こういう事態でございますから、できるだけ担保をとらずに融資してまいろう、こういう考えでおりますけれども、これは慎重に検討してまいりたい、このように思っております。  実際融資いたしましても、先ほど御指摘がございましたような事態で、返せない、こういう問題が出てこようかと思いますけれども、一応これはつなぎの融資でございます。したがいまして、原因者という問題を私どもいろいろ全力をあげまして追及してまいる、こういうことでございますから、結果的には原因者負担の原則はそこでも貫かれるということでございます。したがいまして、そういう融資いたしました金額については、原因者が判明いたしました段階におきましては、原因者に元利ともにこれを代位してもらう、こういうことに考えております。ただ融資の条件が五年でございます。したがいまして五年たってからの問題になる。こういうことでありますから、五年後におきまして依然として原因者が不明である、そういう場合がございます。その場合どうするのだという問題がからむわけでございますけれども、その際も、こういう事態でございますので、五年後にそういう事態が出た場合には、さらに慎重に検討してまいりたいと、私ども現在の段階では考えている次第でございます。
  121. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 たった十億の原資で、一人当たり五十万だ。いま有明海でも水俣湾のほうでも、まさに漁民の方々、暴動でも起こりかねない、それくらい切迫しているのですよ。自殺している人もいるのですよ。一揆が起こる、こういう不穏な状態、というよりも、たいへんな深刻な状態です。これに対して、十億で一人五十万円です、担保もとります、これだったら、何ら政府のあたたかい措置とは言えないと思うのですよ。  それで「天災融資法に準じた」云々なんというりっぱなことをいっていますが、これは天災でないでしょう。明らかに人災なんですね。しかもこの企業のたれ流しに対して政府はこれを黙認してきた、そういう点で政府も重大な責任があるわけです。  こういうことで、制度資金だけをちょっぴり、これをいかにも恩恵みたいに見せつける、こういうことについては、全く関係漁民にしてみれば人をばかにしているのじゃないか、こう思うような状態だと思うのです。  そこで私聞きたいことは、このつなぎ資金に対して金利八・五%、三%を漁民に負担させ、この利息を国と自治体で五・五%だ、こういうわけです。そうすると、国が自腹を切るのは——制度資金は国の自腹というわけではないのですから、制度資金というものがあるのですから、何ぼになるのですか、わずか五・五%の金利のうちの何%かを負担する。これは総額何ぼですか、今回の問題について国が自腹を切る分として出している分は。
  122. 安福数夫

    ○安福政府委員 先ほどの私の説明であるいは御理解が願えなかったのであらためて申し上げますけれども、私ども十億の原資をもってそれで十分だという御説明を申し上げたつもりはございません。これはおそらく十倍、二十倍、かなりの金額に結果的にはなるだろう。現在の段階ではその金額が押え切れないということでございますから、事態がはっきりすればそういう大きな金額になるだろうということを申し上げているわけでございます。  それから、いまの国の補助のあれでございますが、大体六五%を国が負担するというふうに考えております。
  123. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 その総額は幾らですか。
  124. 安福数夫

    ○安福政府委員 それはトータルの融資の額がきまりまして、それに基づいて計算した結果幾らになるかということでございますから、現段階におきましてはその数字は出てまいらぬ、こういうことでございます。
  125. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 漁民は、つなぎ融資もさることながら、もうたいへんだ、とにかく全面的に何とかしてくれ、助けてくれ、こう言っているのですよ。それに見合わないようなこういうこそくな手段、これが対策だということについて政府は非常に問題がある、こう思うのですが、政府は今回推進会議の中で、補償の関係については全く触れてないですね。いま、いずれ原因者がわかり次第そういう問題が出てくるだろうということで今回抜いたのかもしれませんけれども、国がこの際相手の企業に対して漁民と一緒になって早急に解決のためにかかっていく、一緒になって戦っていく、こういう状態一つも見られないです。たとえば東洋高圧の大牟田の場合を見ましても、漁民と会社が単独にやっているわけですね。力関係が全く違うわけですから、十五億円でさしあたってどうだというようなこと、一人当たりにしますとわずか五万円にしかならないというのですね。こういう状態を放置しているという国の責任は私は重大だと思うのです。  そういう点で、国は、そうした漁民のつなぎ融資もさることながら、漁民を援助しながら企業に対して早急に一体になってひとつそれを解決してやる、こういう姿勢がなければ問題の解決はほとんど進んでいかない、こう思うのですが、これに対してどういう御見解ですか。
  126. 安福数夫

    ○安福政府委員 いま御指摘になった問題は、原因者企業の究明との問題がからんでいると思いますけれども、原因者企業を究明する場合には、水産庁だけでこれが究明できるとは私ども考えておりません。したがいまして、対策会議その他で各省関係で十分これを協力体制をもって原因者企業について究明をしてまいる、こういう姿勢は政府としては堅持しているつもりでございます。
  127. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 原因者企業の究明をはっきりするのだ、そういう姿勢だとおっしゃるのです。いま三井東圧の例一つとっても、原因者企業に対して漁民が一生懸命がんばって戦っておられるのに、水産庁はこの中に入って何かやりましたか。漁民の立場を援助するように何かアドバイスなり、会社に警告するなり、もっと出せというような、そういう何かの対策をしてやったのですか。いま汚染源のわかっている企業に対して何もやってないでしょう。
  128. 安福数夫

    ○安福政府委員 これは地域地域の問題になってまいりますので、水産庁としましては、そういった問題についていろいろな疑問が現場現場で出てくると思います、そういう質問が参りました場合には、当然水産庁としては、それはそうすべきだ、こうすべきだという意見は述べていくつもりでございます。ただ、ローカルな問題——と言うとおしかりをちょうだいするかもしれませんけれども、現場は福岡県という地域でございますから、そういう県の行政とも十分タイアップしながら県の指導を水産庁としては心がけていくというのが、第一義的に水産庁の姿勢になろうかと思います。
  129. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり水産庁としては事実上何もやってないのだ。  そこで問題は、発生原因者を追及する追及すると言うけれども、なかなか発生原因者がわからない場合が多々あるし、政府のいまの姿勢から見れば、いつ発生企業の実体がわかるかということも心もとない。だから、漁民の皆さんは、この際政府がいっとき立てかえ補償してくれ、こういうことも言っているわけですね。立てかえ補償する、法律にはそういうことはないと言うかもわかりませんけれども、特別立法してもそういうことは真剣に考えるときが来ているのじゃないだろうか、こういうふうに思いますが、どうですか。
  130. 安福数夫

    ○安福政府委員 原因者を究明する、原因者負担の原則というものはあくまでたてまえでございますから、その立場でやはり原因者を究明してまいる、それに対しまして現在の時点において必ずしもはっきりしないという問題もございますから、それについてのいわゆるつなぎ融資という施策を政府としてはいたしているわけでございます。したがいまして、それに対する補償という、政府が代位して補償すると申しますか、そういうことを現段階においては考えておらない、こういうことでございます。
  131. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり、あれもだめだ、実際を突き詰めていきますとさっぱり誠意がないということだと思うのですが、時間の関係もありますから、関連企業対策として、魚屋さんの融資、すし屋さんの融資その他の関連業者の融資問題をこの対策要項の中に書いてあるわけですね。しかし、実態を見ますと、たとえば築地の市場の中を見ても、業者の皆さん方は、中卸を含め、小売り屋さんの人を含め、すし屋さんを含め、もうたいへんな状態で、漁民の苦しみと同じ苦しみを受けているわけですね。倒産、転廃を余儀なくされるという状態が来ているわけですね。それで、この前厚生省が何かとんでもない発表をして、あれにあがった魚の名前ですね、たとえばアジとかイカとか、こういうものはせりにもかけられないほど暴落して問題になった事件、そのことはともかくとして、その一方で高級マグロとかサケだとかマスなんというものはどんどん値が上がっている。しかもこの中で一部の大手企業が買い占めしているという問題もあるわけです。これは流通のメカニズムというか、その辺を水産庁はいまこそつかんでおかなければならないと思うのですが、どういうふうにつかんでいますか。
  132. 前田優

    ○前田説明員 お答えいたします。  流通の問題につきましては、先生指摘のように、生産地におきましては非常に値がたたかれ、消費地におきましてはその値段が下がってないというような傾向もございます。ただ、事件が発生いたします前後の五月の十四日から六月の二十三日までをとってみますと、大体中央のおもな卸売り市場におきます入荷数量、といいますのは、大体五月の十四日を起点にいたしますと……(中川(利)委員「簡単に」と呼ぶ)市場の入荷量という形ではつかんでおりますが、個々の業種については現在調査中でございます。
  133. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 大手の買い占めが一方ではやられている、こういう事実について、皆さんに期待するほうが無理かもしれませんけれども、実際そういう状況をいち早くつかんで国民生活を安定させなければいけない、こういうことを強く指摘しておきたいと思います。  それから、こうした魚屋さん、すし屋さんその他の皆さん方に対する融資の問題でありますが、中小企業庁で出した融資の対象者を見ますと、「水銀またはPCBの汚染により漁獲に著しい支障をきたしている水域に近接する地域において事業を行ない、かつ、当該水域から漁獲された魚介類を取扱うことを主たる業としていた中小企業のうち、売上が著しく減少した者とする。」こういうことを書いているのですね。そうなると、全く限られた、ほんとうにわずかの人しか対象にならない。このあれでいきますと、たとえば築地のそうした仲買い人さんや小売り屋さん、こういう方々や、東京あたりの一般の魚屋さん、それは該当になるのですか。この対象になるのですか、ならないのですか。
  134. 服部典徳

    ○服部説明員 ただいま先生が御指摘のとおり、水銀またはPCBの汚染による被害中小企業に対する緊急融資につきましては、「水銀またはPCBの汚染により漁獲に著しい支障をきたしている水域に近接する地域」ということで、具体的には、水銀汚染にかかわる調査対象区域九水域及びPCB汚染にかかわる漁獲自主規制区域八水域、これを中心といたしまして、現在、水産庁、それから県当局、私どもと三者の間で検討をいたしておるところでございます。  それから対象業種でございますが、対象業種は「当該水域から漁獲された魚介類を取扱うことを主たる業としていた中小企業」でございまして、当面、卸、仲買い、小売りを含めました鮮魚商、それから魚介類の加工業者、おすし屋さん、この三業種を当面対象として考えたいというふうに考えております。
  135. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 何だかんだ言いますけれども、時間がないので終わりますけれども、つまり、そういう地域的に限定され、売り上げ高の中でも限定され、あるいは量的にも限定され、こうしたあらゆる限定の中でその人たちだけに融資するのだ、こういうことですね。だから、東京の魚屋さんが実際それに該当するのかどうか、このことを聞いたのだから、該当するならする、該当しないならしない、これをはっきりしてください。そして、こういうやり方というのは一体どういうことなんだということを——私は秋田ですから、秋田のほうの話をしますと、何にもない、つまりきれいな水域なんだ、一般的に言って。そこで、皆さん方の発表した基準といいますか、あの混乱、あの騒ぎですね、もう漁獲は全部とめているのです。操業停止している。出荷停止している。もう漁民は海に出ることをやめているのです。北海道の漁民もそうなんですよ。みんなそうなんですよ。全国民的なたいへんな漁業被害が発生しているという状況があるわけですね。つまり、こういうことは政府の行政指導がまずかったから起こったわけですから、これは明らかに政府が原因から見れば発生者ですよ。そういう状態の中で皆さん方のこの魚屋さんたちに対するあれを見ますと、そういう東京や各県の普通の魚屋さんなんか何も関係してないことなんです。ところが実際はそれほどひどい。秋田や北海道でもみんな同じような状態でやられているということは、この際抜本的なそうした業者の皆さんに対する、こういうこそくな手段ではなくて、先ほど言ったような特別立法か何か設けてほんとうに全面的に解決してやる、考えてやる、こういうことでなければ国民は納得しないし、ほんとうに政府の施策という名に値するものにならない、こう思いますけれども、この点についてどうですか。
  136. 服部典徳

    ○服部説明員 先ほど申し上げましたのは、六月二十九日の閣議で御報告をいたしまして御了承を得た内容でございますが、その表現は、先ほど申しましたとおり、漁獲に著しい支障を来たしている水域に近接している区域ということがきめられているわけでございまして、その水域をどうきめるかという点につきまして、水産庁、県当局、それから私どもと三者で検討しておるところでございます。
  137. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 言ったことに対して答えてくださいよ、東京の魚屋が全部該当するかどうかということを。該当しないということを別のことばで言うたのでありますけれども、時間が来ているようでありますからもうこれで終わりますが、まだまだきょうはこれから詰めなければならない問題がたくさんあるのですけれども、総体的に言って、いまのような政府の後手後手対策の中では、まだ何ら誠意が感じられないという状態の中では、漁民の怒り、あるいは魚屋さんの怒り、こういうものはもっともっと激しくなるものだ、このことをきびしく警告して、抜本的な対策をとれということを、実はきょうわが党は、その魚を安心してとり、安心して業者が売り、消費者がそれを安心して食える、このための政策を発表していますので、これをひとつ熟読玩味して今後の参考にしていただきたい、このことを強く申し上げて、質問をとりあえず終わります。
  138. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 柴田健治君。
  139. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 まず、執行部の皆さんにお願いしておきたいのですが、私たちがこうして御質問を申し上げるというのは、何も皆さんを追及して苦しめてというような考え方で申し上げるつもりはないわけです。この日本の農林漁業全般にわたって、お互いにどうしたらいいかということを真剣に考えなければならぬ。どの政党も反省をしなければならないし、特に、いま政権を持っておられる自民党の皆さんも、それぞれの立場で真剣に考えてもらいたい。そうしてまた行政府のほうも、それにひとつお互いに英知を集約していくという、そういう姿勢で答えてもらいたいし、私たちも現状をよく分析しながら、将来はどうあるべきかというあるべき姿を描きながら私たちの考え方を率直に申し上げたい、こういう気持ちで申し上げるので、ひとつ遠慮せずに申し上げるが、また皆さん方も遠慮をせずにお答えを願いたい、こう思います。  まず、休耕地の問題で構造改善局のほうに伺いますが、昨日参議院のほうで総理大臣は、休耕地に対する転作奨励はやるが、しかし、これに対する将来再開発、再利用という立場から何も援助措置を考えておらないという答えを参議院の杉原議員にしておられるようですが、私たち、今後この休耕地の土地利用、要するに土地というものは何のためにあるのか、やはり土地が人間のしあわせに結びつくような、そういう付加価値を高めるような利用をさしていかなければならない、こう私たちは思うわけです。あの休耕地政策というものが、私たちの立場から申し上げると、あまり芳しくない、いい姿ではないという判断に立っておる。しかし、今日アメリカの大豆の輸出規制を契機として、日本の食料政策、要するに総合食料政策の立場からもう一ぺん日本の国の足元を見直さなければならないというときを迎えたと思う。国際的な諸情勢、気象条件その他の客観情勢を踏まえて考えた場合には、やはり日本の総合食料政策というものを抜本的に考え直すときが来た、こういう判断をいたしておるのです。  そういう判断の中から申し上げると、休耕地というものが、現在あるのは約三十万ヘクタール。三十万ヘクタールの土地がいま遊んでいる。ペンペン草がはえている。これをどうするか、これを生産に結びつけるような、たとえば飼料対策だとか果樹対策だとか、野菜対策だとか、そういうことにどう利用していくのかということを考えたときに、皆さん方はこの休耕地に対する認識があまりにも甘いんではないか。休耕地を再生産活動させる場合に、新しい開田ぐらいの経費がかかる。三年遊ばしたら土地がどんなことになるのか、そういうことについて皆さんはどういう考えを持っておるのか。簡単にすぐ利用ができるのだ、三年休ましても、荒らしておってもすぐ生産活動に役立つんだというような考え方があるとするならば、それは大きな誤りだと私は思う。もう一回、休耕地に対する考え方というか、どうしたらこれを利用できるかということについて、改善局長考え方があれば聞かしてもらいたい。
  140. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 生産調整の関係の仕事は私の担当でございますので、私から答えさせていただきたいと思います。  先生指摘のとおり、休耕地約三十万ヘクタール弱あるわけでございます。私どもといたしましては、休耕のまま置いておくということは、先生ただいま御指摘のように、日本の国民食料の供給というような面から考えましても、また農業経営という面から考えましても、適当なものだとは思いませんので、従来からも転作を奨励するというような方向で指導してまいったわけでございます。来年度以降におきましても、休耕奨励金というものがなくなりまして、転作一本でやっていくというような形に相なるわけでございますので、私どもといたしましては、この休耕地に、大豆でありますとかあるいは飼料作物でありますとか、蔬菜その他のものを導入して、そしてそれが国民食料の供給ということに役立つように努力をしなければならない、かように考えておるわけでございます。  なお、私ども現在掌握いたしております形では、休耕地で約二割ぐらいのものが、これは迫田といいますか、かなり条件の悪いようなところ、あるいは都市近郊というようなところで、耕地に復活することが容易でないというようなところもあるようでございますけれども、その他のものにつきましては復活が可能であるというように私ども報告を受けておる次第でございます。
  141. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 あなたの答弁を聞くと、すぐ再生産に結びつけるような、すぐ生産活動ができるような可能地があるという言い方をせられますが、そんな外面から見ただけでは、使えないわけです。あなた、休耕地を調査というか、もう少し現状を見たほうがいいと私は思う。もっと勉強してもらいたいと思うのです。  今日アメリカの大豆の輸出規制から見て、いままでの日本の食料政策がただ米だけにとらわれてきたところに大きな問題があるし、そしてまた、国際分業論という形の中で、いつでもどこでも安いところから買えばいいんだ、そういう考え方自体の誤りもあるのではなかろうか、私はこういう気がいたしますが、そういうことの論争はあと回しにして、今日日本ではたとえば大豆は三百四十万トンも外国から輸入しておる、コウリャンは四百万トン近くも輸入しておる、トウモロコシは六百万トン、麦類が五百三十万トンというような膨大な輸入をしておるのです。これを日本の国内で生産するとすればどれだけの面積が要るかということは、皆さんよく知っておる。ほんとうにいま輸入しておるものが全部とまって、総合食料という立場から申し上げると、日本の圏内で自給するとするならば一千万町歩要るといわれているのです。どんなことをしても日本はできやしない。だから、ただの一アールでも一ヘクタールでも日本の土地を遊ばしてはならない。それにもかかわらず、ただ米だけの現象にとらわれ過ぎて、三十万ヘクタールという休耕地にペンペン草をはやさしている。そこに農民の精神構造を変えさせた最大の原因がある。たんぼというものは米や麦、穀物をつくるものだといって、長い閲歴史的にあらゆる苦難に耐えて一つの使命感を持って農民が守ってきた。それを休耕せいというものだから、農民のほうは、土地を荒らすのはもったいない、こういうもったいないことをするなら、人が相場を高くつけて買ってもらえるなら売ってもいいじゃないかということで自分の土地を手離すような気持ちになった。土地の価値観を変えさせた、農民の精神構造を変えさせたこの休耕地政策というものは、抜本的に考え方を変えて取り組んでいかないと、農民は再びこの土地に大豆をつくるとか麦をつくるとか、その他野菜、果樹をつくるということに手をつけない。農民の精神状態をどう変えていくかということを基本的に考えない限りは、私はだめだと思う。そういうことを考えながら、一ヘクタールでも一アールでも土地を遊ばしてはならないという原則農林省が立たなければ、農民はついていかないと思うのですが、この点についてはどうですか、お答えを願いたいと思います。
  142. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 ただいま先生指摘のように、農地をいたずらに遊ばしておく、そこにペンペン草をはやしておくというようなことは、私どもは決していいことだと思っておりません。したがいまして、私どもも従来から転作ということを特に奨励をしておったわけでございますが、本年度におきましても、来年度以降の休耕奨励金の打ち切りというような事態を前にしまして、転作の奨励にさらに努力を続けるというようなことで、各般の施策を講じておるわけでございますけれども、さらに土地を遊ばせない、ペンペン草をはやさないという方向でしかるべき作物の導入ということに付そう努力をしてまいらなければならぬというように考えておる次第でございます。
  143. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 現状遊んでおる休耕地をそのまま再生産に役立たせていこうというのは、私も将来のことを考えた場合にはどうかと思います。だから、休耕地を今度再生産、たとえばいろいろな果樹であろうと、大豆、アズキであろうと、インゲンであろうと、つくらしていくためには、思い切って基盤整備をやらなければならぬ。基盤整備をこの際すべきだ。だから、いまのような機械を農民に買わせるだけの構造改善じゃなしに、小規模の構造改善事業をこの際思い切って明年度からやる。休耕地をフル回転で使うんだという考え方で小規模の構造改善事業の予算措置をすべきだ、こういう気がするのですけれども、これはどうですか。
  144. 小沼勇

    小沼政府委員 土地改良事業につきましては、御承知のとおり、今年度から第二次の土地改良長期計画の十年間のスタートをさせるわけでございまして、その初年度に当たりますが、いま御指摘の小規模の構造改善ということでございますけれども、第二次の構造改善事業のほかに、広い意味では構造改善に入りますが、基盤整備を含めまして、今後のいわゆる団地対策といいますか、そういうものも含めて幅広く展開していく必要があろうかというふうに考えております。御指摘の構造改善については十分留意して強力に進めていかなければならないというふうに考えておりますが、何と申しましても、土地を生産的に使うことが一番大事でございますし、そのための生産の基盤をきっちりしていくということが先決でございますので、その意味で幅広く展開していきたいというふうに考えております。
  145. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 局長、どうですか。いまの長期の構造改善事業土地改良事業を進めていくというその計画の中に、今度三十万ヘクタールの休耕地の再開発という立場で、ただ現状を開発するのでなしに、規模を拡大するという基盤整備事業を思い切ってやるんだ、その点を踏み切っていかないと、何にもしないでただ転作をしなさいというだけでは、もはや農民はついてこない。これから思い切って小規模の構造改善事業に踏み切っていくんだという、そういう考え方をいまから打ち出していかないと、そういう構想を出さないと、いまはもう米価闘争に入っているのでしょう。米価問題にもう取り組まなければならぬ、そういうときに来ているのですよ。それだから、一方では、そういう構想を描きながら新しい方向で土地の再利用を考えていくという、そういうことを出したらどうですか。もっと明確にお答えいただきたいと思う。
  146. 小沼勇

    小沼政府委員 休耕田の土地改良を現在もやっておりますが、昨年は約五万ヘクタール、休耕田の休んでいる間に土地改良事業をやるということで、いわゆる通年施行をいたしたわけでございますが、四十八年度におきましても、通年施行、夏季施行とも申しますが、休耕田の地土改良基盤整備をやはり強力に進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  147. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 では、いまの計画より採択基準を変えてでもやるという決意があるのですか。
  148. 小沼勇

    小沼政府委員 採択基準につきましては従来から年々改善をしてきておりますが、水田転換の場合などは、採択基準をかなり今年も緩和して条件を下げておりますが、十分現地の実態に即応しながら休耕田の基盤整備も進めてまいりたい、かように考えております。
  149. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 日本の農地利用度の低下というものは、これはもうあなたたちがどんなにお考えになっておるか知りませんが、私たちの目から見れば、長いわれわれの先祖がつくり出してくれた土地利用度をいままでもう食いつぶした、こういう気がするのですね。荒らし過ぎた。たとえば公害による農地環境の破壊というか、そういう条件が加わり、それから土壌についても無機質の肥料ばかり使わして、省力化といって機械と金肥ばかり、有機質の肥料はあまり使わしてないというような、どちらかといえば土地の収奪農法の歩みを続けてきた。それからいまの生産、たとえば米を見ても、四百九十三キロの生産を維持できるだろうということで米の生産調整をやっている。それから全国四百九十三キロの平均八俵を上回り、全国平均できると皆さん考えておる。しかし、これから年々生産は下がりますよ。いまのような土地の収奪農法を続ける限りは、生産は伸びませんよ。私たちの目から見れば生産は年々下がってくる。この辺で土地利用計画を変える、土壌をもっと豊かにしていく、そういう土地政策、農地の改良政策をつくり出していかなければ、これはたいへんなことになると思うのですが、農地の改良政策、土壌改良というものをどうするのか。ただ省力化、機械化して、金肥だけ費やして、有機質の肥料を一つもやらないというような農法で土地の生産性が高まると思っておるのかどうか。思っていないのなら、どういう方法で土地の生産性が高まるような土壌改良をやるのか、ひとつお考えを聞かしていただきたいと思う。
  150. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 農地につきまして、土壌の地力といいますか、土地の地力が低下をしておるではないかというような御指摘でございます。私どもも一部の地域においてそういう傾向が出ておりますことを憂慮しておる次第でございます。地力を向上するというためにはやはり有機質を入れていく、金肥、いわゆる化学肥料の入れ方も適正にしていかなければならない、こういうことであろうかと思います。土壌に有機質を投入していくという場合に、従来は堆厩肥を入れておったわけでございますが、最近労力不足から堆厩肥がなかなか入れにくくなっておるというようなこともあるわけでございますので、まずは、当面、水田なんかにおきまして、稲わら、これは焼き捨てておるような地域も一部あるわけでありますけれども、そういうようなことではなくて、稲わらを刻んで農地の中にすき込むようなことも指導いたしております。最近の機械、自脱型コンバインではそういうことが可能になってきておりますので、そういうすき込み方をやらなければいけないと思っております。  それからまた、堆厩肥それ自体を入れることでございますが、これは私、今後の問題としても、堆厩肥を共同でつくって共同で入れていくようなことも考えていかなければならぬじゃないかというようなことも検討をいたしておるような次第でございます。  さらに、畜産との結びつきでございます。これは一番重要なことであるわけでございます。酪農、養鶏等においてはかなり実際には行なわれておるわけでございますけれども、養豚との結びつきはなかなかむずかしい点もでございます。これにつきましては、畜産局のほうでも特にいろいろ従来からもやっておるわけでございますが、そういったいままでの努力をさらに積み重ねて、土壌の地力を増進するというような方向にぜひ持っていきたいと考えている次第でございます。
  151. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 そのときそのとき、局長は、農林省というものは、どうも農民の側からいえば、ようわからぬ。たとえば、いま、わらを焼いているとあなたは言われるけれども、焼けと言ったのはだれだ。農林省じゃないですか。残留農薬性が強い、わらに農薬が残留しておるから焼いてしまえ、そういうことを過去に言うて、なるべくわらを焼いてしまうようなことをやっておる。ぼくはそのときそのときの思いつきじゃ困ると思うのですよ。皆さんも、過去の農政の指導の中でどういう指導をしてきたかということを静かに反省してもらいたい。その反省の上に立って、将来の前進になるような政策を行政の中で考えてもらわなければいけない。地力が下がった。たとえば畜産。それならいま畜産の農家はふえているですか。一方ではえさがないということ。要するに、配合肥料というものがいまあまり芳しくないですよ。配合肥料をもう一ぺん皆さん方は研究してもらわなければいけないと私は思うのですね。いまのような配合肥料だけを重点的に使わせるような指導はこの辺でもう一ぺん考えてもらいたいという気がいたしますので、これは意見としてつけ加えておきます。  そういうことで、農地利用方法なり、いろいろ農地を収奪していくという土地の収奪というもの——われわれは将来生産性を高めていかなければならぬにもかかわらず、いままでの先祖が残した資産を食い荒らしていくような営農方式ということはよくないと思います。私はいまたまたま土地の問題を言うておりますから申し上げるのですが、近ごろ土地の、農地であろうと林地であろうと、乱売買、乱開発というようなことばを皆さんは使われる。われわれも使う。この乱売買、乱開発がなぜ起きたのかということをお互いに考えなければならぬ。仕掛け人がどこにあるのか、売った買うたという現行犯を犯した者が悪いかもしらぬけれども、そういう情勢をつくり出した仕掛け人があるということも考えなければならない。私は、いま乱開発、乱売買というようなことばを皆さんが使われる限りは、実態をつかんでおられると思うのです。実態をひとつお聞かせ願いたいのです。  まず林野庁にお尋ねしたいのですが、いま国有林、民有林、公有林を含めて二千五百万ヘクタール山林がある。その中でどの層が、民有林の部分が乱売買がひどいのか、公有林のほうが多いのか、国有林のほうが多いのか、この点の見解をひとつ数字的に出していただきたいのです。公有林については、県有林もあるでしょう、市町村有林もあるでしょう、財産区有林もあるでしょう。これらをひとつ、どの部分が一番の乱売買をしておるのか、乱開発をしておるのか、その点を林野庁長官からお願いいたします。
  152. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  二千五百万ヘクタールの森林のうち、国有林は約八百万ヘクタールでございます。それから民有林のうち、たとえば保安林であるとか、そういった規制をかけられておりますのは七百万ヘクタールでございます。したがいまして、それらを除きますと、約一千万ヘクタールというものが普通林でございまして、この大部分が私有林でございます。いま申し上げました国有林は大部分が奥地にございまして、それで、自然公園法であるとか、保安林とかというものの比率が非常に高くなっておりますし、公有林もそれについてそういった規制がございます。民有林につきましても、いま申し上げた民有林の一千七百万ヘクタールのうち一千万ヘクタールというのが問題なわけであります。これにつきましては今後どうしても乱開発の規制ということをいたさなければならぬと考えるのでございまして、ただいま森林法の中でそういった許可制度をしくとかいうことによってこれを規制してまいりたいと思っておるわけでございますが、ただいま御質問のありました、こまかに全部、私有林がこれぐらいであるということはございませんけれども一つのデータがございますので、ちょっと参考までに御披露してみたいと思います。  これはちょっと古いのでございますけれども、四十年から四十五年までの五カ年間に森林の私有林につきましての推移が、どれくらい森林が減ったかという調査がございます。総体で〇・三%でございます。(柴田(健)委員「四十五年はもういい」と呼ぶ)わずか〇・三%でございますけれども、最近は相当これが進んでいるだろうということは推定いたしております。  それから、サンプル調査をいたしました結果どういうところが多いかということを見ますと、宅地造成ゴルフ場、それから土石の採取でございます。つまり、土砂の流出とか、水がかれるとか、層がかれたということによって相当狂いもあるし、そういった地目に相当影響が出ておりますが、大部分は私有林であると判断しておるところでございます。
  153. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 林野庁昭和四十五年の数字を引けば基礎に置けないというところに、あなた方この乱売買だ、乱開発だと言う資格はない。われわれが言う資格はあっても、あなた方はない、正直に言って。現状はもうこれだけ国民の世論として起きているのに、肝心な林野庁が、四十八年度は確認をしていないけれども、せめて四十七年度くらいは確認をするというくらいの、そういう機敏な調査機構、調査方法がない限りは、どんなにしたって私は無理だと思う。それからもう少し敏速にやらなければならぬ。都道府県のほうが早いんだ、現場だからそれはしようがないでしょうけれども。われわれの確認しておるところは、市町村有林、財産区有林、この公有林が案外多いんですよ。この二、三年の売買を見ておると、私有林というよりか、そういう公有林、共有林というのが多いのです。これは、自治省見えていると思うのですが、実情は御承知のように、昭和二十八年に町村合併促進法案ができた時分に、全国一万三千有余の町村を約三千五百に町村合併をやらした。その町村合併の促進のときに、われわれも第一線で苦労しましたが、Aの町村は裸の王さまだ、Bの町村は山持ちの町村だ、裸と裕福の王さまが寄ったのではいけないので山を処分をするというのを、その時分には自治省はとめた。自治省は、山を、財産を処分して合併はいけません、やむを得ない場合は立木だけだ、土地を売っては相ならぬということで、財産の処分を行政指導の中でとめたわけです。われわれもそれを意に受けて、合併の時分には山を売らしてはならない、売ってはならぬということで積極的に説得をして回った経験がある。財産区をそのときにつくって、今日四千五百の全国の財産区があるはずです。この財産区が持っておる共有林、公有林というものをなぜ今日売らしたかということを考えるときに、何も法律をつくらなければそれをとめることができなかったというのはおかしいのであって、自治省は地方自治法の法律によって財産区を設定さして、区会議員の選出も公職選挙法の適用で、そういう厳然たる公的法人であります。この法人組織をつくらして財産を守らしたものを、今日売らしたということは、自治省はどんな指導をしてきたのか、指導しなかったのか、自治省にひとつ見解をお聞きしておきたいと思う。
  154. 砂子田隆

    ○砂子田説明員 財産区ができました経過につきましては、ただいま先生おっしゃられるとおりでございます。もともと財産区につきましては、地方自治法上、都道府県知事が監督をすることになっておりまして、その財産区自身がどういう目的で設立されてあるのか、それはそれぞれの財産区によってきまっているわけでありますが、そういうところにあります財産を処分をいたします場合には、当然に存立目的からはずれるような行為があるとか、あるいは価値が減少するとか、そういうときには知事の認可にかかわらしめているわけであります。もちろん、こういうものを処分します場合にも、地域住民の福祉を非常に重視をいたしておりまして、そういうことからはずれることがあるような場合には処分をしてはならぬのだということをわれわれは常々言ってきております。非常に残念ながら、現実にどのくらいの山林がこの財産区で売られているのかということにつきましては、現在私たちのところに調査をしておるものがありませんのでお答え申し上げられませんが、私たちは、少なくともこの財産区自身が議会の問題なりあるいは管理委員会なりということで処分の同意を得るということになっております関係上、十分住民の意思が反映された中で処分され、あるいは管理されているものだというふうに考えております。
  155. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 それでは自治省のほうは、ただ法的にはそれぞれの地方の任務があるのだから、任務の範囲内でやったんでしょう、われわれはそういう財産処分については特別に行政指導をした覚えはないという、そういう考えですか。
  156. 砂子田隆

    ○砂子田説明員 ただいま申し上げておりましたとおり、財産区自身というのはその存立目的がそれぞれあるわけですから、山林でもっての財産区ということであれば、その山林というのをいかに管理するかということが、財産区にとって非常に重要な問題でもあるわけであります。そういう意味で、私たちといたしましては、これは先ほどお話しのように、町村合併のときの財産区の設立以来、そういう存立目的というものをよく保存をすること、あるいはどうしても処分をしなければならぬということであれば、あとう限り市町村有に直すべきであるということをいろいろ指導してまいりまして、少なくとも私たちの現在の立場から申し上げますと、議会があり、あるいは管理委員会があるという中では、住民の意思に反するような処分のしかたはなかったであろうというふうに考えざるを得ませんし、また私たちのほうが、研修会であるとか町村会長会議というのがいろいろありますが、そういう席上におきましても、財産区の処分については十分注意するようにということを指導をいたしております。
  157. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 林野庁長官、お聞きのとおり、財産区のこの山林の処分というものを早急に調査していただきたいと思います。そして都道府県知事がみずから奨励をしているという言い方は行き過ぎかもしれませんが、都道府県知事が何らそれに指導も何も加えずに、無条件で盲目的にこの許可をおろしたということになっておるのですよ。それを今日都道府県知事のほうは、いろいろな土地の保全条例を盛んにつくってやっておりますけれども、もう手おくれですよ。いいところはもう売買されて取引を終わっておる。  たとえば岡山県を申し上げますと、岡山県は、ことしの五月一日現在十ヘクタール以上の個所が合計二百一件、面積にして二万五千百六十一ヘクタール。それで、都市部のほうが五十件、五千百四十七ヘクタール。郡部、過疎地域の農村地帯ですが、百五十一件で二万十四ヘクタール。用途別を見ますと、用途別というのは、買うときの買い主のほうの青写真であります。これはもう手をつけていないところがたくさんある。青写真でこの用途別の分類をしてみますと、ゴルフ場だけつくるというのは、五十五件、七千三百八十八ヘクタール、ゴルフ場つき別荘地というのが、十件、千六百十四ヘクタール、そして別荘用だけというのが、五十一件で千五百九十二ヘクタール、それから宅地、工場用地という名目で買っておるのが、二十六件、千四百七ヘクタール、総合レジャーセンターという、総合的ないろいろな施設を入れてつくるという名目のものが、五十五件、一万二千九百八十七ヘクタール。これは単と併用とを考えた場合に、ゴルフ場が八十九件できることになる。岡山県でさえ八十九件できる。この青写真ができて土地を買われておるわけですね。そして、先ほど御意見があったのですが、ゴルフ場を全面的にやめてしまえというのは、これは筋の通らぬ非常識なことなんです。要するにゴルフ場も、日本の人口一億の中でレジャー施設がどのくらい要るのだ、その中でゴルフ場はどのくらい要るのだ、別荘用地がどのくらい要るのだ、そういう土地利用区分というものをこれは早急に考えなければならない。それなくして土地の規制だけして何になるかということになる。だから、そういう利用計画をまず立てることが地方公共団体を含めて前提にならなければならぬ、そう思うのですよ。それをせずにおいて各県ばらばらにしておくというのは私はおかしいと思う。だから、問題は、誠意のある業者、ただ買い占めだとか乱売買、転売もうけというような、金もうけのための業者というものの選別を早くする必要がある。要するに善人と悪人のより分けを早くしないと、これはどうにもならない。善人と悪人の、これからの土地の売買でなしに、現在買われておる土地をどう早くこれを処理してやるか。善人の業者については早く工事を着工させるとかなんとかして、早急に、防災というものを一方では重視してやっていかなければいけないと私は思う。  問題は、悪いものは買い戻しということもあるでしょう。買い戻しをする場合にどうするのか。市町村に買い戻しをさせる、都道府県に買い戻しをさせるのか、元の地権者に買い戻しをさせるのか、国が買い上げるのか。ということになると、その場合の財政措置はどうするのか。ただ買い戻しをさせるとかどうさせるとかいう指導だけではこれは解決しない。伴うものは金であります。金をどうするかということを考えない限りは、これは処理できない。その点についてどうですか、政務次官。
  158. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先ほど来も、このゴルフ場の問題を同僚でございます竹内先生からも御質問賜わりまして、私も率直に私の見解を述べたわけでございますが、まず第一点、私は、基本的には、先ほど先生も御指摘のように、ゴルフ場というものがあって悪いということはない。当然、人間社会におけるレクリエーションの場、そういうものも、これは健康保持の意味においても存在価値のあるものである。しかし、それはあくまでも必要限度以上のものであってはならないということを私は明確に申し上げたつもりでございます。  そこで、先ほど先生がいろいろ御指摘を賜わりましたことをずっと聞いておりますると、私とは見解が全く一緒でございまして、一つ一つごもっともでございます。ただ、善玉悪玉と申しますか、カウボーイの映画じゃございませんけれども、善玉悪玉をいまの業者の中で分けるということ自体は、非常に私は時間が要るだろうと思うのです。しかし、これはやらなければならぬことだという感じが私もいたしております。たとえば現在の業者の中において、すでにもう土地を取得しておる、その中にも、かつていろいろとうわさをまいた——というよりも、現実的に裁判さたにもなった人、あるいはまたそれらの形でいろいろ迷惑をかけている人、あるいはその使用目的がまことに不明確な人、そういうものをはっきりと明確に分析して、それには規制措置をとらなければいけない。私は先ほども申し上げましたように、ともども先生の所属しております政党も一緒になりましてゴルフ場の規制措置法案みたいな形をつくろうという動きの中にも、そういう点は明確に出すべきではないかという感じがしております。  しかし、現在、しからば善玉とは何かといって考えた場合にも、これはやはりその事業体の主が、ゴルフ場でなくとも、過去においてやってこられた事業形態の実績、内容あるいはその過去における評価、こういうものを十分に踏まえてはっきりとさせるべきではないかという感じがいたしますので、そういう点も、先生の問題提起を契機にいたしまして、存分これは深く掘り下げてみる必要があるのではないだろうかという感じがしております。  そのような意味において、先ほど述べられました森林法の問題、ゴルフ場の規制問題、これは早急に私どもは対策を練ってやっていこうという考え方でございます。
  159. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 政務次官、肝心なこと、財政的なものをどうするか、地方交付公債を認めるようなそういう姿勢があるのかどうか。
  160. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 これは研究課題だと思いますので、いまここでその地方公債の問題ということまで付言するだけの勉強内容を私も持っておりませんから、ここではやはりそういう前向きの姿勢だけを示させていただきまして、その中においてそれも一環として含めていきたい、こう考えておる次第でございます。
  161. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 とにかく、よく買い戻しをさせるとかなんとか言われるのですけれども、財源的なことを考えずに一方的な表現だけでは解決しない。やっぱり都道府県に地方交付公債を認めて、ひとつ買い戻しをやれ、そしてほんとう土地利用というものは、人間のしあわせに結びつくような、付加価値の上がるような、そういう構想でないといけないのであって、この点は将来ぜひ考えてもらいたい。どうですか、もう一ぺんひとつ……。
  162. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先生のおことばのとおりでございます。これは国土の保全と同時に人間の心の問題でございますから、あくまでもこれは大事にしまして、先生の御意見はそんたくしたいと思っております。
  163. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 それで、あまり時間がありませんから、土地問題はその程度にして、あらためてまた申し上げることにしますが、一言だけ土地問題で最後に申し上げます。  いま岡山県の備中町で問題になっておる、御承知のように、丸紅が買うた一千町歩の山林と農地、これについて、地権者のほうはいまあわれなものですよ、坪百円ぐらいで売っちゃったんだから。反三万円ぐらいですから。それを何も手をつけない、何もしない、これこそ私は悪玉だと思うのですね。それで、この農地転用ゴルフ場だけさせてくれといって、あとは青写真も何も出さない。県も困っている。みんな困っている。  私は丸紅という名前を聞いただけで寒けがしてくる。こんな悪らつな商社はない。米はやみ買いはするわ、豚肉は隠して腐らすわ——神戸でこの間隠して腐らせたという。倉庫が足りないから倉庫をつくってくれ、もういいかげんにしてくれという気がするのですよ。土地は買い占めをしてもう何もしない。もはや丸紅は日本人じゃない、国籍不明だという気がする。だから、丸紅ということについてはもう私は義憤を感ずる。  丸紅が買っている一千ヘクタールの備中町の問題をどうするのか。
  164. 小沼勇

    小沼政府委員 本件につきましては、先生御承知のとおり、昨年の六月に、別荘分譲等を目的とします農地転用の申し出がございましたが、どうも転用計画が具体的ではないということで、再検討を指示しましたところ、昨年の十月に、今度は狭くいたしまして、ゴルコ場建設目的にする農地転用ということで申し出がございました。総面積百二ヘクタールにしぼり込みまして、そのうち農地は十三ヘクタールでございますけれども、それで、現在この扱い方について実は慎重に検討しておるところでございますが、どうもその地域の全体としての開発計画といいますか、農業と他の部分とをどうする、そういうふうな計画関係がまだ不明確であるというふうに思われます。また、関係農家に対する措置をどうするかという点等につきましてもいろいろ問題がございますので、いま県で検討しておりますが、これにつきましては、十分県を指導しながら、農地法の規定に照らしましてやはり厳正に判断していかなければならない、かように考えている次第でございます。
  165. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 この点については、きめのこまかいことをいずれまた私は申し上げたいと思うので、きょうはこの程度で、あなた方の良心にひとつ訴えておきたいと思います。  次に、たびたび問題になるのですが、飼料問題で、物が不足してくると、これはいつも同じですが、いろいろなインチキものが出てくる。これは何ものにもかかわらず出てくるわけですが、ただ、飼料がだんだん足らなくなるという見通し、たとえば大豆が入ってこない、そうすると価格の高騰ということで、畜産農民はたいへんな心配と不安を持ってくる、そこへつけ込んでいろいろな配合飼料というものが出てくるということを考えなければならない。  たとえば、例を申し上げると、先般神戸で、日商岩井産業が入れた小麦九千五百トンほどの中で、三百七十五トンが麦角菌におかされて腐敗をした。これを農林省の出先である植物防疫所で発見されて、そして厚生省の食品課のほうの関連もあって、海洋投棄ということで廃棄処分の命令を受けた。ところが、会社のほうの言い分は、海上保安庁のほうへ届け出て廃棄処分します、こういうのだが、実際は届けずに、投棄したのならいいが、投棄をせずに逆戻りして、船には積んで出たがまた逆上陸をして、今度は長野県のほうや宮城県の仙台のほうに上がってきた。長野市の北信産業へ三十トン、仙台市の松崎商事へ三十トンということで方々へ入る。これは麦角菌で腐った麦を、乾燥してまた配合飼料にして売ろうとする、そういうむちゃくちゃな——業者がこれらを見た時分に、今後えさが足らぬようになったらどんなインチキな飼料が出てくるやらわからないという心配があるものですから、私たちは、いまからこの予防措置をどうするのか、要するにそれを適切に処理して対応していくような機能をどうしてつくっていくのかということが非常に心配であるからお尋ね申し上げるのです。いま申し上げたような事実があるかどうか、お尋ねを申し上げたい。
  166. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 お答え申し上げます。  ことしの一月二十六日に大阪港に入港いたしましたパシフィックエラ号で、加藤商会の輸入にかかります小麦六千二百二十五トンを植物防疫所で検査をいたしました結果、害虫及び麦角菌の混入によりまして不合格となりまして、所定の消毒をするように命じました。害虫につきましては、港頭サイロ及び倉庫において消毒の終了を確認いたしております。これは一月の末から二月の中旬にかけてでございます。それから麦角菌の消毒につきましては、水ぬれしたものを除きまして植物防疫所指定の工場で消毒をするように命じまして、それを確認いたしております。しかし、この中で輸送中に水ぬれをいたしました三百七十四トンにつきましては、廃棄するように指示をいたしましたが、これに基づいて海洋投棄する旨の廃棄計画書の提出がございまして、三月十九日植物防疫官が当該小麦の船舶への船積み——機帆船でございますが、船舶への船積みを確認いたしております。また、三月二十七日になりまして、作業日報を添付した廃棄報告書の提出がございまして、私どもとしては廃棄をいたしたものと了解をいたしておったわけであります。  ところが、その後、ただいま先生指摘の大阪海上保安監部の調査によりまして、海洋投棄を実施いたしませんで姫路の倉庫に保管されているらしいというようなことでございましたので、私どものほうの植物防疫官が大阪海上保安監部の係官と同行いたしまして、六月二十日、二百五十トンの存在を確認いたしております。その他は飼料用として販売されておりまして、長野県、宮城県、兵庫県にあるものの保管場所を確認いたしまして、全部回収を命じて、現在回収中になっておる次第でございます。
  167. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 そんな家畜農民をだますようなやり方については、そういう輸入商社は直ちに営業停止させるべきだ。どうですか、食糧庁長官
  168. 中野和仁

    ○中野政府委員 事故の経過はいま農蚕園芸局長から申されたとおりでございますから、それは申し上げませんが、いま先生おっしゃいました輸入商社を直ちに取り消せというお話でございますが、現在大阪海上保安監部のほうで植防法違反の疑いで調べております。その結果を見ませんと、私たちの受けておる報告では、これをやりましたのは、日商岩井ではございませんで、加藤商会でございますが、これが事故品ということになりましたものですから、別の扱い業者に払い下げをしたわけです。その払い下げを受けた業者が海上投棄しないで外へ回したということでございます。その間の事情をもう少し調べてみませんと——加藤商会がそういうことを知っておってやったことになりますれば、これは相当な問題でございます。その間の事情をもう少し調べてみた結果を見て検討したいと思います。
  169. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 食堂が不注意で、かまぼこが腐っておる、ちくわが腐っておるというのでたとえば営業停止を食うのですよ。あなたたちは、丸紅のモチ米のやみ米にしても、なぜ勇気がないのですか。一罰百戒主義でいかないと、どんなことを起こすかわかりません。この辺でもっと節度のあるような考え方を持たないとたいへんなことになりますよ。調べてみなければ、どうしなければならぬと言うが、現実にそういうことが行なわれている。  それから日商なら日商の、加藤商会なら加藤商会の社会的責任はないのですか。どうですか、長官。
  170. 中野和仁

    ○中野政府委員 指定商社が輸入をしておりまして、これは原則として全部食糧庁の許可を受けて政府に売るということでございます。その中で、事故品については食糧庁に売り渡し免除をしております。その事故の処理の問題として今度の問題が起きておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、加藤商会がそういうことを知っておってやったのであれば、これは全くけしからぬ話でございます。事情を取り調べ中でございます。われわれの承知しておる範囲では、海上投棄をするということで払い下げをしたわけでございます。それをしないという事情、一体だれがそういうことにしたのかというところまで詰めた上で措置検討すべきだというふうに思っております。
  171. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 時間がないから、この問題についてはあとで調査報告なり具体的な報告を願いたいと思います。  そういうことで、えさが足らぬということになると、いろいろな悪知恵を働かす業者が出てくることを考えなければならぬ。悪いことではあるけれども、そういうことを考えながら予防措置なりそれに対応する機構を考えなければならぬと思うのですが、政務次官、その点について簡単に構想を……。
  172. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 もうおことばのとおり、私どもは、こういう悪徳業者と申しましょうか、そういう問題ではっきりとこの業者が悪いんだと判明したときには、それに対しては逡巡することなく徹底してきめつけていこうという態度でございます。  この際はっきり申し上げておきますが、ときにある政党がそういう点では商社に甘過ぎる云々ということをよくいわれるわけでございますが、私どもの所属しております政党にいたしましても、選挙区における五十人、百人の人たちの票は非常に貴重でございますけれども、また同時に、それによっての影響は大きいのですが、商社に対してそこまで私どもは弱いなんという立場は一つもないのでございます。徹底してやれという考え方を私どもは持っておりますので、その点は先生方と同様に、悪徳業者に対する徹底した取り調べ並びに追及だけは怠るものではないということだけは言明しておきたいと思うのでございます。
  173. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 次官、それはあなた、考え方を取り違えてもらっちゃ困るので、農林省として世の中には悪いやつがおることを考えなければならぬので、飼料が足らなくなってくると——一方では農民は御承知のように牛の奇病その他がいま発生している。近年でも二万八千頭から奇病が発生しているのですよ。そういう現状があるから特に細心の注意を払わなければなりません。牛の食べものですから、人間と同じです。それですから、食べものだけは、人間のものであろうと動物のものであろうと、これは細心の注意を払わなければならぬ。そういうことから、それに対応することをどうするか、取り調べてでなしに、対応して、たとえば植物防疫検査所をもっと拡充するか、飼料の検査機能をもっと強化していくか。たとえば先般富山県の全農の経済連がハイラックスという飼料を出した。下痢を起こした。いま農家のほうは敏感ですからね。この点については、えさの品質については細心の配慮をしてもらいたいということをお願いしておきたいと思います。その点を間違えないように。  それで、牛の奇病が出ている。ところが、この間岡山県にあったんですが、学校給食の副食物の肉にマトンをまぜたり奇病にかかった牛の肉を回して給食用に使ったということで問題になった。文部省見えておられるのですが、学校給食は子供の食べものですから、細心の注意を払ってもらわなければいかぬ。どういう仕入れをしてどういう検査をしているのか。そういう牛肉にマトンをまぜておっても牛肉だといったり、奇形牛を回して売るなんということはおよそ常識ではない。これはモラルの問題だけれども、悲しいかな、日本にはモラルがもうないといわれるような社会になっておる。この点について、文部省は学校給食の副食物の仕入れについてどう考えているか。  それからもう一つは学校給食のパンです。あのパンのおいしくないということは、私はこの間食うてみたが、年々うまくない。何であんなものをという気がするんですよ。だから文部省、子供のことを真剣に考えるなら、給食というものをもっと考えたらどうかという気がするんですが、どうですか。
  174. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 最初のほうの岡山県で起きた問題でございますが、岡山県の学校給食用の畜肉は、県の食肉センターから供給を受けておるわけでございます。その学校給食用に使いました中に病畜肉があったということでございますが、これは骨を折ったり、食べ過ぎてガス膨満等による牛だということでございまして、衛生上その他の点からは特に問題はないというふうに聞いておるわけでございます。いま先生指摘のように、この種の問題は、一般的には公衆衛生といいますか、そういう食品衛生の問題であるわけでございますが、学校給食におきましては、関係の保健所の指導援助を得まして、衛生上遺憾のないようにいたしておるところでございますが、特に学校給食の場合は一そう衛生上配慮する必要がございますので、昭和四十三年からでございますが、共同調理場に栄養指導センター、それから県の学校給食会に学校給食総合センターというのを設けるように指導いたしまして、それぞれが食品の検査機能を持つそういうものを置くように、補助金も出して指導いたしておるわけです。それから毎年食品検査の技術講習会を開いておりまして、そういうようなことでいろいろ配慮をいたし、指導をいたしておるところでございます。  それからパンがおいしくないということでございますが、一部にそういう話をときどき聞くわけでございます。ただ、学校給食用のパンは、無漂白、しかも砂糖とか脂肪分は必要以上にあまり使わないということになっておりますので、菓子パンなどと比べましては特殊の給食用のパンになっておりますが、まず給食用のパンの小麦粉につきましては、小麦粉の規格規定を設けまして、厳重な規格を設けております。それからパンの製造につきましても、原料、それから配合の比率、それから製造過程、方法等につきましても、通達でかなりきびしい基準を示しております。それから、都道府県の教育委員会、都道府県の学校給食会が協力いたしまして、食糧事務所の御協力を得まして、小麦粉の品質の検査、それから毎月原則として一回、パンの品質の検査をし、その批判会をするといいますか、それから随時パンの抜き取り調査をいたすことにいたしておるわけでございます。  そういうようなことをいろいろやっておるわけでございますが、結局、小麦粉の質の問題、それから製造過程におきます製パン技術の問題、必要な時間焼く必要があるわけでございますが、それを時に十分焼かないということがあるのではないかというような批判も一部に聞かれるわけでございます。学校給食用のパン屋さんはほとんどが中小企業でございまして、いまいろいろ人手不足のおりの中で非常に一生懸命にやっていただいておるわけでございますが、そういう批判もございますので、パンの品質のよしあし、それのできる技術のための講習会も開催いたしております。現在、日本学校給食会におきまして、農林省にも御協力をお願いいたしまして、現在のパンの品質、規格規定につきましてさらに検討をいたしておるようなわけでございます。  ただ、毎日毎日同じ食パンであれば子供が飽きる場合もございますので、学校によりましては、きょうは食パン、次はコッペパン、次はまるいパンというふうにして、いろいろくふうをいたしまして子供に喜ばれておるところもございます。  いろいろなことをやっておりますが、御指摘の趣旨も一部にときどき聞くことがございますので、そういうようなことで、今後も一そうおいしいパンにつきまして指導なり検討を進めていきたいと思っております。
  175. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 時間が参りましたけれども、厚生省、そういう、肉に奇形牛のやつが入ったり、マトンをまぜたりというようなことはおかしいと思うのですが、私はいまのと畜場法にどこか盲点があるような気がしてしかたがない。屠畜場でほんとうにそういうものを排除できるような検査機構というものが必要ではないかと思うのです。それから、食肉の市場へ出す場合の枝肉をつくるところの屠殺場で何か選別するようなことができないのか。屠殺場の改良というものも必要であろう、それから法律の改正も必要ではないか、こういう気がいたしますし、それから厚生省に対する農林省の連絡がどうも後手になっているのではないか、連絡が不十分ではないか。たとえば牛の奇病が発生した、ところが研究、研究しておる間に連絡がおくれる、おくれるから、厚生省のほうは、何であろうと屠殺場に入ってくるやつは商品として出していくということになっておるのではなかろうか、そういう時間的のズレというものが出てくるのではなかろうか、こう思うのですが、厚生省どうですか。
  176. 岡部祥治

    ○岡部説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、と畜場法によりましては、生体検査及び解体検査によりまして、その食用として適か不適かを判断するわけでございます。現在、家畜の疾病の状況が従前とかなり変わってまいりまして、解体検査の中でも精密な検査を要する場合がございます。したがいまして、各県にそれぞれ精密な検査ができるような検査体制というものを現在指導中でございます。  なお、先生指摘農林省との連絡につきましては、私どもといたしましては、事務ベースにおきまして、あとから承知するというようなことのないように十分連絡しておるつもりではございますが、さらに緊密な連絡をとりたいと思っております。
  177. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 連絡はとるといいながら、苦しい答弁のようですが、ほんとうはおくれておるということが、われわれは調査の結果よくわかる。この点については農林省のほうも十分連絡をとるように今後配慮してもらいたい、こう思います。  時間がございませんから、最後に一点お願いして見解を聞いておきたいのですが、長年にわたる森永砒素ミルク中毒事件。私たちは酪農民の立場から申し上げる。何も患者同盟とか企業とかいうのではなしに、農民の立場。今日ほど酪農家がいろいろな形で苦しんでおるときはございません。そのときに農民が内輪げんかをしてはならない。たとえば何々系列、森永系列というような酪農民の系列がある。新聞に森永砒素ミルク中毒事件の記事が出る、マスコミにのる場合、農民は非常に苦しんでいる。早く何とか解決してくれ、森永のミルクということばが新聞に出ると、乳をしぼっておるのに元気がなくなるというのが、正直のところ、農民の声です。なぜならば、私たちはいい品物をつくって原乳を出している、それを加工業者が不注意でああいうことをした、われわれの立場を無視してくれたというのが、農民の気持ちであります。  いま経過を申し上げません。皆さん方よく知っておるのですから、たとえば患者同盟がどうだとか、守る会がどうだとか。いま厚生省も告発されている。見ておると、すくんでしまっておるのではないか。告発を受けた厚生省もすくんでしまう。守る会のほうもすくんでいる。会社のほうもすくんでいるのではないか。ここに何か手を打って話し合いをしてやる、仲裁をしてやる、そういうことができないのか。農林省の立場から申し上げると、農林省は酪農民を守らなければならぬ立場にある。酪農民が末端でばらばらで、けんかになったり、不信感を持ったり不安を持ったりさせてはならない、そういう立場で農林省がこの際乗り出す。厚生省はいま告発を受けておるんだから被告になっておる。そういうことを考えるときに、ひとつ農林省は仲裁する意思がないのか。厚生省はどういう見通しを持っておるのか。早く解決してもらいたいというわれわれの立場からいうと、いまどういう考えがあるのか、お聞かせ願いたいと思うのです。
  178. 三浦大助

    ○三浦説明員 ただいま御指摘ございました森永の砒素ミルク中毒事件でございますが、昭和三十年に発生いたしましてすでに十八年経過しておるわけでございます。一時患者さん方の症状が消えたということで問題が解決したかに見えたのですけれども、四十四年に後遺症問題でまた社会問題として大きく取り上げられるようになったわけでございます。現在この問題につきましては大阪の地裁で訴訟中でございますが、私ども、不幸な人たちを救うという基本的立場に立って、いま、守る会のほうとも森永のほうとも、間に入っていろいろ話し合いを進めておるわけでございますが、今回国を相手どって訴訟が始まったわけでございますが、私ども、裁判は裁判といたしまして、ともかく一日も早く話し合いのもとに解決をしたいということでいま努力をしているわけでございます。
  179. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 農林省はどうですか。
  180. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 ただいま厚生省のほうからお話がございましたように、先生指摘のように、酪農民の立場からもすみやかなる妥当な解決ということについては農林省も同感でございますけれども、事柄がただいま厚生省からもお話のあったとおりの案件でございますので、それについては、積極的な立場の介入というようなことについては必ずしも適当ではないというふうに考えております。
  181. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 終わります。
  182. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 瀬野栄次郎君。
  183. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大豆輸出規制並びに飼料、牛の奇病等の畜産問題、全農についての質問を、農林省、大蔵省、厚生省当局質問いたします。  本件については、一昨日当委員会で、七月三日でございましたが、私、質問をいたしまして、従来からもしばしば当委員会質問してきたことでございますが、時間の関係上、若干問題が残りましたので留保しておりました関係から、そういったことを含めまして本日は質問申し上げたいと思います。  まず最初に、飼料問題を冒頭お伺いします。新しい乳牛用のえさとして最近富山県で売り出された石油化学合成飼料を食べた乳牛が相次いで死んでおる。事態を重く見た販売元、同県の経済農協連は、県畜産課の指示を受けてこの飼料を販売中止するとともに、六月二十七日、同県内に出ている飼料の回収を始めております。この飼料は、同経済連が県内百六十九戸の酪農家に販売したハイラックス、これには二種類ありまして、ハイラック14とハイラック18がございますが、14と18の二種類とも、トウモロコシ、大豆かす、ふすまなどと、三菱化成工業が一昨年秋開発した有機合成化学飼料ダイブをまぜ合わせた配合飼料となっております。全国農協連の指示で、同県新湊市庄西町のくみあい飼料会社が四月二十日から製造し、富山、石川両県にまたがって各経済農協連を通じて売り出しておるわけであります。これまでの配合飼料に比べて一トン当たり三千五百円−三千円も安いということで、たいへん魅力あるわけです。富山県では、酪農家六百十戸、五千頭のうち三割近い百六十九戸、千二百頭くらいがさっそく新飼料に切りかえている、こういうふうにわれわれは聞いております。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 新しい飼料を食べ始めて約二週間くらいたった五月十九日に乳牛が突然死亡し、次に二十一日にもまた死亡した。富山県の畜産課の解剖で、窒息と第一胃の破裂であるという結果が出ておるわけです。六月に入りまして相次いで十頭近く死亡し、さらに二百頭の乳牛が現在も下痢中であるという重大な問題でございますが、いずれもハイラックスを食べておりまして、中でもハイラック18というものをたくさん食べておる牛ほど症状が重い。そこで、約半数の八十戸がもとの飼料に戻したところが症状が回復した。こういうことで、富山県の畜産課は、ハイラックスに含まれるダイブが危険である飼料と断定できないまでも、使用を見合わせたほうがよいと判断、同県経済農協連も、この判断に従って販売を中止し回収に踏み切った、こういうことでございます。  これに関連していろいろとお伺いするわけですが、まず、このことについては、いま私が申し上げたようなことを農林省当局は承知しておられるか、そのように理解していいのか、また何かこれに変わったことでもあれば、御答弁をまず最初にいただきたい。
  184. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 富山県下におきます、商品名を申し上げるのは問題かと思いますが、ダイブ、尿素系の非たん白質飼料の配合飼料を使用することによりまして、富山県におきましては百五十頭程度の乳用牛が下痢、食欲減退等の症状を呈し、現在十二頭が斃死したということについては、われわれも県の家畜保健衛生機構等を通じて承知しておるところでございます。
  185. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この合成されたダイブ、これは三十二年から研究開発されたといわれておりまして、二億の開発費が使われておる、試験の結果おおむねよい、農林省はこういうふうに言っておられるが、間違いないか。
  186. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、従来も、尿素につきましては、尿素系飼料として配合飼料に使われておったわけでございますが、ただいま御指摘の製品等につきましては、尿素が反すう動物である胃の第一胃内におきましてアンモニアに溶解して転化される際、第一胃内における微生物がこれに作用いたしましてたん白が合成されるというような性格のものでございますが、従来の尿素でございますと、この中でアンモニアの分解が急速過ぎるという問題がございますので、先生お話しになりましたような、むずかしいことばで申しますと、イソブチルアルデヒドという石油合成物によって効果の発生を抑制するというような形で、尿素糸飼料と申しますか、非たん白系の飼料として一そう有効であるというふうに判断されたわけでございまして、お話の点につきましては、日本畜産学会及び日本農芸化学学会あるいは岩手大学その他諸般の大学において、十分なる家畜栄養なりあるいは安全性等についての試験のデータが出ましたので、一昨年から農林省としてはこれを飼料として認めたという経緯があるわけでございます。
  187. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 一応わかりましたけれども、開発費にはやはり二億円くらいの経費を使ったことはどうですか。
  188. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 先生のお話は、化学的な有機燐剤の使用というような御指摘でございますが、われわれは、当成分からそういうものを使っておるというようには承知しておりません。
  189. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 全農は、今年四月と思いますが、ダイブを検査して許可している、こういうふうに私は承知しておりますけれども農林省はどういうふうに理解しておられますか。
  190. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、従来の尿素系飼料よりもさらにその効果等について有効であるというようなことから、全農系も配合飼料にこれを配合するというようなことで、農林省が認めました基準に合致したただいまの非たん白糸の飼料を使い始めておるというふうに承知しております。
  191. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この問題について私は一応の報告を受けましたが、あとで質問する奇形牛、いわゆる奇病問題とも関連があるので、国民の動物性たん白質を供給する上からも重大な問題があるので、全農を責めたりあるいはまた当局を責める、こういうことでなくて、やはりアメリカが大豆の輸出禁止をしてきた、私が三日に質問した時点では農林省は適当なことを言っておられたけれども、五〇%も減らされたということで、後ほどこれはまた論議するわけですが、たいへんこれは問題でありまして、八月には底をつく、いよいよ九月には飼料の値上げをしなければならないというような状況下にあり、しかも飼料にだんだん抗生物質あるいはミネラルあるいは來雑物を入れなければならない。現にそういう動きがあっておりまして、そういうことになりますと、こういった配合飼料その他がたいへん問題になってくる。大豆が少なくなりますと、大豆かす等が少なく配合しなければならないということで薄くなってくる。そしてまた、飼料の問題でいろいろな奇形牛が出たりあるいは豚、鶏等にも影響を及ぼしたりして、たいへん問題になってくる。現に愛知県でも豚の奇病が出て騒いでおる、また宮崎県でも奇形牛が出たりしてたいへん問題になって、数カ月前から何回か当委員会でも質問してまいったところでありますが、こういったことが問題になってくるということを心配しております。  そこで、中尾政務次官にお聞きしますが、農林省としては、全農に対してはどういうふうな態度で監督指導というようなことをなさっているか、このことにかかわらず、農林省としては、農業団体の上層団体としての全農に対してはどういう態度で接しておられるか、その辺の対処方針をまずお聞きしたいと思います。
  192. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 飼料問題が、非常に不足してきまして、いろいろと国際的にも物議をかもしている問題でございますが、ごたぶんに漏れず日本の国内におきましても、先生指摘のとおり、飼料問題は日を追っていろいろの問題が起こってきておるわけでありまして、配合飼料の問題等もその一環かと思うのでございます。  全農との関係でどういうように農林省指導しておるか、こういう御質問かと思いますが、これは特に全農だけがこの問題を起こしているということではないと思いますし、これはもう他のメーカーその他におきましても、これは当然農林省は監督省でございますから、いろいろとその問題では指導鞭撻に当たっておるというわけでございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 何はともあれ、こういう飼料の問題で奇形的なものがいろいろと多種多様に生まれてくるということに対しましては、非常にセンシチブにこの問題を考えまして、私どももますます省内を督励して、この問題点では真剣にとらえていこう、こう考えておる次第でございます。
  193. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 富山県の飼料問題については、配合をこういうふうにしたというのは、全農からいろいろと連絡を受けてやっているというふうにもいわれておりますし、さらにこの問題が起きた関係から、全農としては秘密裏のうちに配合したことを手を回して中止させているということもいわれておる。現に三菱化成工業農材事業部の話によりますと、うちの大豆が原因かどうかいまのところ不明だ、全農から三菱は動くなと言われているし、詳しい話はわかりません、こういったことを発表しておりますが、全農はこのことについて、三菱化成について独自の調査をしないように、原因がわかるまで全農で対策を立てるのでまかしてほしい、こういうふうにも言っておる、こういうふうに私承知していますが、当局はその辺のことは御存じないのか、知っておられるか。
  194. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先ほども政務次官が申し上げましたとおり、三菱化成の新しい非たん白系の飼料につきましては、全農のみならず数社の配合メーカーが現在使っております。これについて特に問題が起きた事例というのはございません。富山県のある地域に限ってこの問題が起きたことにつきましては、その配合した飼料そのものが問題であるのか、あるいは当時急激に従来の飼料から切りかえたというような事情もあるわけでございまして、そういう点については国の衛生試験所の指導のもとに、たまたま富山県の畜産試験場で再現試験を実施しておるわけでございます。問題が起きたのは、ただいま先生指摘の、全農系の販売飼料でございますので、当然全農といたしましても独自の事故調査を行なっているというふうに考えるわけでございまして、三菱化成の販売先はそのほか商系メーカー等数社あるわけでございますが、起きたのは全農ルートを通ずる販売でございますので、全農としては独自の調査を進めておるというふうに承知しております。
  195. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これは全農のみならず、おそらく数社あると承知しております。しかし、現在問題が起きているところに焦点を合わせないと、ばく然としたことを言っても皆さん方の答弁がばく然としますので、これ以上お尋ねしても……。十分そういったことはわかっています。  そこで、全農系の販売であるから独自の調査をしておるという答弁がございましたが、それは当然だと思います。秘密裏のうちにやっているというようなことについては、これは私たちがいろいろ仄聞するところでありますので、現に三菱化成の会社側でそういうふうに言っております。  そこで、私はさらにお聞きしたいのですが、こういったことが数社やっている関係であちこちに起きてきますと、これは起きてからではたいへんな問題になる。やはり早いうちに芽をつまなければ、これは国民に対してたいへん影響を及ぼす。いま魚で第三水俣病、第四水俣病、第五というように、たいへん問題になっている。農林関係はたいへん問題であります。これは政府とか与党とか野党とかのみならず、国民の全体の問題としてわれわれは真剣に考えなければならぬ、こういうふうにして私たちも超党派で協議会をつくっていま対処しております。そこで、国民のために率直にお答えいただいて、いろいろと不安のないようにしていただきたいという意味でぼくは質問するわけですから、よろしくひとつ御答弁いただきたいと思うのです。  そこで、常識として考えても、御存じのように、配合飼料というのは全農は原料を供給する、経済連は委託加工する、マージンを全農からもらう、こういうことになっておりまして、もちろん経済連でやっている飼料会社は〇〇系飼料株式会社というようなことで独立さしておりますが、やはり経済連の息のかかった、いわばほんとうに密接な関係にある飼料会社になっております。そういったものも全国では五十ばかりあるわけでございますが、いずれにしても、そういった関係から利ざやをかせぐためいわゆる配合のしかたが最近はルーズになっている。これはまた昨年も一昨年も全購連問題で当委員会で数回にわたって追及したこともございますが、今回またぞろこういった問題が起きましたので、やはりルーズになっている、こういうことを指摘しなければなりません。しかも後ほど質問する大豆の問題とあわせて、飼料がだんだん、今度は輸入が少なくなりますと薄くなってくる。農家の需要に見合うためにいろいろとまたくめん、努力をしなければならぬということからいろいろな問題が起きてくる。現にハマチの奇形魚が出たりいろいろなことが飼料によって起きていることも事実でありまして、十分承知だと思いますが、そういった意味で全農に対してこういったことを十分指導もし、監督してもらいたいし、こういったところにも検査体制を十分執行していただいて、検討してもらわなければたいへんだと思うものですが、その点どうですか。
  196. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  確かに全農のみならず一般的に飼料需給が、原料の不足事態ということによりまして、飼料の品質の低下という問題があるわけでございますし、また一面、新資源の開発による新しい飼料につきましては、家畜に対して、また畜産物を通ずる人体への安全性というような問題については、きわめて慎重な検討の結果、これを認めていくべきだと思うわけでございますし、またそれらの新しい飼料の使用方法その他については、単なる販売だけではなくて、その飼養管理、給与方法というようなものについての技術指導と表裏して行なうべきであるというふうに考えるわけでございまして、この点についてはまことに御指摘のとおりでございますので、われわれとしては各種の飼料製造業者に対しては、全農ももちろん含めまして、一そう指導をいたしたいというふうに考えております。
  197. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 全国に経済連の〇〇県組合飼料株式会社というのは幾つありますか。
  198. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 突然の御質問でございまして、手元に詳細な資料はございませんが、約五十カ所程度というふうに承知しております。
  199. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 突然の質問と言うけれども、きのうちゃんと言うておるから、想定問答集もできてちゃんと準備してあると思うのですが、そんなことを言ってはますます私はおこりますよ、ほんとうに。  そこで、東京に肥飼料検査所があるが、これは抜き取り検査をしているが、ほとんど形ばかりであまり活動が活発でないといわれるが、どうですか。
  200. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、昨今のような飼料原料の需給状態から品質低下が心配されますので、この飼料の品質検査という点については一段と督励しておるわけでございますが、全国で国の肥飼料検査所が六カ所及び各県に肥飼料検査所があるわけでございまして、その飼料検査件数が四十七年度では七千件、うち国が二千五百件というふうにしておりまして、この点については、従前よりさらに一そう強化しろというようなお話でございますけれども、従来におきましても相当な努力を払っておるつもりでございます。
  201. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この飼料は成分表と保証票というのがついているわけだけれども、これがなかなか疑問点が多いということで、どうも農家も不安がっているわけですね。いま肥飼料検査所のことがありましたが、抜き取り検査で徹底してない、厳重にやるべきであるということはこれは当然であります。国民のためにも厳重な検査をすべきである、もっとこれに対してのチェックをしてもらいたい、かように思うわけです。このことで論議をしていたら時間がかかりますので、次に進みます。  そこで、成分表と保証票に疑問点が多いということで、どうも成分に不安がある、いわゆる飼料そのものが混合されておりますから。なお、配合飼料というものが原因で今度の富山県の場合はこういった奇病を誘発した、こういうふうにいろいろいわれておるし、われわれもまたそうではないかな、こういうふうに思うのですが、当局は過去の発言によりますと、ウイルスというようなことをよく言っておられますけれども、これについてはどういうふうに理解しておられますか。
  202. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 いわゆる牛の奇病、昨年夏以来九州をはじめといたしまして四国、九州、南関東等に多発いたしました牛の死流産につきましては、当委員会においてもしばしばその原因等についてお尋ねがございましたし、飼養管理なり環境なりあるいは人工受精をしておりますのでそれらの点、あるいは導入先とか、その他各般について検討しておるわけでございますが、端的に申し上げますと、粗飼料のみ給与した牛についての死流産なり奇形子牛が出ておるというようなこともございまして、われわれといたしましては、その飼料等の関連よりも、各種の疫学的特性から見ましてウイルス説というものが一番濃厚であるという点で、ただいま家畜衛生試験場等を中心として最終の結論を急いでおるわけでございます。
  203. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 今回の富山県の場合、こういった奇形ということは飼料と全然関係ない、こういうように農林省は考えておられますか。
  204. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  ウイルス等の原因であるというような早期の断定については注意せよというような当委員会のいろいろな御指摘等もあり、われわれといたしましては、えさなりあるいは飼養管理方法なり環境なりその他人工受精の方法等について詳細に発生件数について専門的な立場から検討したわけでございますが、ただいま申し上げましたように、直接粗飼料のみを給与して配合飼料等を給与しない牛についてもこの早死流産が発生しているという事態から見まして、われわれとしては飼料の関連は薄いものであるというふうに考えておるわけでございます。
  205. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 飼料の関連は薄いものである、こういうように言われるが、それでは農林省は、きのう書類もひとつ提示してもらいたいと通告しておきましたけれども、四月の下旬だと思うが、牛や豚の疫病が出ておるので飼料の添加剤は厳重にチェックせよという意味の通達を出しているというが、これはどうですか。
  206. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  本年一月からの飼料価格の高騰等に伴いまして品質の低下ということが非常に問題になり、飼料についての検査を一そう強化しろというような御意見もございまして、私ども責任を果たす意味からも当然であるというふうに考えておるわけでございます。そういう意味から、飼料の品質の検査について一そうつとめろという点については四月早々に通達を出しました。その場合、さらに畜産物を通ずる、えさ−畜産物−人体への影響というような問題もございますので、添加物一般とかあるいは新しい資源を開発した新飼料等については、家畜に対する栄養あるいは人体に対する影響という問題につきまして、いわゆる安全性の問題につきまして、相当な客観的な分析結果をもとにして行なうべきであるということでございまして、先生指摘のように、持に早死流産を契機としてこの措置をとったわけではないわけでございまして、後刻その畜産局長通達等の資料はお手元に届けたいというふうに考えております。
  207. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官、いまお聞きになっておって、こればかり詰めているわけにいきません、あと大事な問題があるので一応締めくくりとしてお聞きしますが、いまいろいろ答弁がありましたように、もちろんこの添加剤は問題であるということは農林省はわかっておるわけで、公開の席だからこの程度しか答弁できぬかもしれませんが、四月には明らかにこういった飼料の添加剤についてはチェックせよという通達を出しているわけです。そういう意味で心配なんです。今度の富山県の問題にしても、また愛知県でも宮崎県でも熊本県でもいろいろ起きています。何もハイラック18ばかり言うのではありませんけれども、今回特に富山県でハイラックスの飼料の問題が起きているから、いろいろこれを焦点にお話し申し上げたのですが、たいへんこれは問題があり心配なんですよ。それで、こういった問題が起きていますので、やはり全農関係また他の会社関係にしても傘下五十くらいのいわゆる○○県組合飼料株式会社というのがあるのですから、そういったところについても十分監視体制を強化し、そしてチェックするなり十分やらないと、国民はわからずに肉を食べる、そうすると、それからいろいろとからだに障害が起きるということになってきますとたいへんな問題になるし、またその前に牛の奇病が出て畜産農家はたいへん苦境に立たされます。こういったことはほんとうに国民の前に明らかにして徹底的にやらなければ、ただいろいろな関係からほおかぶりして隠しておるわけではないと思いますけれども、いずれは明らかになってくるわけです。私は警告を発しておきたい、こういう意味から申し上げるわけでございまして、十分対処してもらいたいと思うのですが、農林大臣にかわって中尾政務次官の見解を承りたい。
  208. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先生の先ほどから言われておりまする御意見を十分尊重いたしまして、的確にしかも早期にこの問題は取り組んでいきたい、こう考えております。
  209. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 的確に早期に取り組むということでございますので、ぜひそうしてもらいたいし、またこの問題は引き続きいずれかの機会に質問をさせていただくことにします。  そこで、もう一点これに関連して聞いておきますが、飼料がだんだん値上がりする、先日六月二十九日も全国の経済連会長会議が開かれ、会議後私のところに要請がございました。三日の日にも申し上げたのですが、現在の全農、元全購連時代の全購連丸が三隻ある。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 これは聞くところによると、一隻だけは動いておるが、もちろんこれは日本郵船と積み荷を保証するとかいろいろな関係でかかわり合いがあるわけですけれども、二隻は動いてない。せっかく船がありながら、飼料を運ぶのにコストが高くつく、むしろチャーターしたほうがいいというようなことで、これは全農民のいわゆる一番上部団体である全農においてこの全購連丸等の船が円滑に運営されないということになりますと、ますます今後の畜産農家に対する飼料問題その他がたいへんな問題になると思うのです。詳しいことについては時間の関係がありますのでいずれに譲るとしても、きょうはそのさわりだけをお聞きしておきますが、こういったことについては、先ほど中尾政務次官は全農に対する指導はかくあるべきだということをおっしゃいましたが、これを全然知らないということはないと思いますが、これに対してはどういうふうに掌握しておられるか、またどういう見解を持っておられるか、またどういう状態であるか、ひとつ当局からお答えいただきたい。
  210. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 ただいまお話しのとおり、全農系の飼料専用船の経済的稼働という問題につきましては、その負担が最終的に農民にかかるという意味で、最も慎重にして合理的でなければならないというふうに考えておりますが、現在の稼働状況等につきましては、まことに遺憾でございますけれども、十分データを承知しておりませんので、早急にその状況調査いたしまして、今後その点についての合理化について、われわれとしても指導してまいりたいというように考えております。
  211. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それでは、これは一昨年以来からいろいろ全農問題で取り上げてきた関係もございますので、ただいまの局長の答弁で、全購連丸の稼働状況その他について早急に調べて状況を知らせるということでございますが、この機会にあわせて、後ほどお願いするつもりでしたけれども、一緒にお願いしておきますけれども、全農関係の昨年から今年までの農協及び各県四連等の使い込み等による焦げつきなどについて、件数と金額等、一千万以上くらいのいわゆる問題になっている事件について、内容を資料として出していただきたいと思います。これは委員長に特に資料提出をお願いしたいと思います。どうでしょうか。
  212. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 承知しました。
  213. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 じゃ、以上の資料をお願いしておきまして、次に、予定しております奇形牛の大量発生の問題ですが、先ほどウイルスということでいろいろおっしゃいましたけれども、人体に影響を与えるような公害物質や農薬の検出調査、こういったものに対しては、家畜衛生試験場の紺野室長は、私の知る限りではやってない、こういうふうに言っているようですが、厚生省、きょう見えておられると思いますが、この点についてはどういうふうにやっておられるか。  それから厚生省にもう一つお聞きしたいことは、著しい奇形は廃棄するよう各県に指導しているが、法に定められた規定に基づく検査をして、奇形でも異常がなければ食肉用に流れる、こういったことを厚生省ではいっておられるようであります。こういった奇形牛等の問題または奇形牛から出たところの牛乳、こういった問題についてどういうふうにしておられるか、その点、厚生省からお答えをいただきたいと思います。
  214. 岡部祥治

    ○岡部説明員 現在いろいろいわれております奇形牛につきましては、先ほど来議論されておりますように、原因につきましてはただいま農林省でいろいろ調査中でございます。それで、と畜場法におきましては、先ほど来御指摘のございますように、現在の規定では生体検査及び解体検査におきまして、主として伝染性疾患等につきましての規定がございますが、なお、炎症あるいは腫瘍その他病変部についてはこれを廃棄することになっておりまして、これら奇形につきましても、奇形の部分は廃棄いたしまして、その他の部分が異常のないものにつきましては、現在の規定では食用として安全なものと判断いたしております。
  215. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 要するに、奇形牛であっても、状態によっては、市販されているということを厚生省は認めておられるわけですね。
  216. 岡部祥治

    ○岡部説明員 奇形牛と申しましても、奇形にいろいろ程度問題がございます。したがいまして、現在までの一般的な奇形というものにつきましては、あるいは奇形、萎縮その他正常でない部分がございます。これらにつきましては、当然のこととしまして部分的な廃棄をいたしております。
  217. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 厚生省は農林省に対して、牛の異常出産のピークが昨年の十月から十一月を過ぎた三カ月の段階である、そこで農林省がこのピーク時にこういったことをもっと早く知らせてくれればよかったのだけれどもおそかったのだ、こういうふうに厚生省当局は言っておられるけれども、そういったことで農林省とどういうふうな折衝をしておられるか、その点もこの機会に明らかにしてもらいたい。
  218. 岡部祥治

    ○岡部説明員 御指摘のように、農林省といたしましては、畜産業としての問題を重視しておるわけでございます。なお、私どもの観点と若干違う面もあろうかと思いますけれども、私どもといたしましても、あるいは農林省といたしましても、当然これらそれぞれの立場で考えなければならないことについては相互に連絡をいたしておるつもりでございます。
  219. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 相互に連絡するつもりということですが、つもりというのはまことに意味深長でございまして、日本語というのはあれですが、どうぞ。
  220. 岡部祥治

    ○岡部説明員 いままでもそういうふうにやってきたと思っておりますけれども、なお今後不十分な点がございますれば、私ども農林省との連絡もさらに十分にいたしたいということでございます。
  221. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林省はどうですか。この点については厚生省とよく連絡してやっていますか。これはピーク時に知らせなかったのでずいぶんおそい、全部後手後手になっておるということで国民の批判を受けておるのですが、どういうふうに国民の前に説明されますか。
  222. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 ただいま厚生省から御答弁申し上げましたように、本件についても最大限の努力をもって連絡につとめてまいった所存でございますけれども、今後これらの問題の重要性にかんがみまして、一そう連絡協調を密にいたしたいというふうに考えております。
  223. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これは農林省と厚生省にお伺いしますが、これもたびたびいろいろ論議したことでありますけれども、事実もうこういう奇形牛の肉が出たりあるいは牛乳が流れたりしている。われわれも知らぬで飲んでいるのだと思うのですけれども、やはりこういったことを聞きますと、今度の第三水俣病の魚ではないけれども、やはり国民は不安になってくる。また飼料がどんどん逼迫してくると、いろいろ考えられることは、いろいろな來雑物が入ってくるのじゃないかという心配がある。そうしないと、飼料が値上がりする。やはり農家の需要に間に合わない。全農のみならず各メーカー等もいろいろと考えてもらう。さっきも言いましたように、抗生物質やミネラルだとか、あるいはやれ來雑物が入ってくるとか、極端に言えば、おがくずに養分をしみ込ますというようなことにまでなりかねないというようなことを警告しておる人もあります。そういったことを考えましたときに、たいへん心配なんです。そういったことから、こういったものに対してチェックし検査する体制を厳にしていただかなければ、国民に不安を与える。当局は厚生省とよく連絡をとってやっていただきたい。これを強く要望します。  と同時に、これは獣医師なんかが言っておりますけれども、行政的には国も県も三月まではほとんど手を打ってなかったんだ、関係者はこう指摘しております。わずかに宮崎県がトップを切って、国よりも一カ月早い二月に、疑わしきは流通せずといって、いわゆる自主規制をしている。こういったことでございまして、次いで鹿児島、熊本でも右へならったわけですが、特に規制をしていない県もありまして、依然として奇形牛は食卓に並んでいる可能性があると関係者は指摘しております。こういった点については、十分ひとつ規制をし、チェックをし、監督をしてもらいたいと思いますが、当局からもこれに対する締めくくりのお考えを聞きたい。
  224. 岡部祥治

    ○岡部説明員 ただいままでの牛の奇形につきましては、畜産という立場から十分検討が行なわれておるわけでございます。なお、これの原因も農林当局で現在検討中でございます。これらの結果によりまして、私どもといたしましても十分な手を打つことを考えておりますが、さらに先生指摘のような飼料その他の問題につきましても、食品としての安全性ということから、農林省とも十分協議いたしまして、遺憾のないようにいたしたいと思っております。
  225. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 奇形牛の問題については以上で終わります。厚生省、以上でけっこうでございます。  最後に、大豆の問題について、一昨日の保留分について質問を申し上げます。  まず農林当局に、櫻内農林大臣は、私が質問した翌日の四日、アメリカ政府の大豆輸出規制で農林省事務当局と緊急対策を協議しておられるようでありますが、そのときのことについて、概況を御説明いただきたい。
  226. 池田正範

    ○池田政府委員 先般の委員会でお話し申し上げましたように、今回、アメリカが七、八月積みの大豆の二分の一をカットするという緊急手段に出てまいりましたので、七月以降、アメリカの新穀の大豆が出回ってまいります十一月以降に至るまでの間の需給を全からしめるためには、時期別にかなり詰めた需給の計画をつくりますと同時に、この一月に、いわゆる仮需要と申しますか、買い急ぎと申しますか、そういう形で、需給を離れて価格が暴騰したという苦い経験を今回は二度と繰り返さないために、応急緊急の措置を講ずる必要があるというふうに大臣が判断をされまして、私ども事務当局は大臣の御指示に従って現在検討を続けておるわけでございます。  御案内のように、現在の見通しといたしますと、九月末におきますところの在庫が二十一万トン程度に減少することが予測されますし、また十月末まで行きますと、旧穀のみの計算ではほぼ在庫が品がすれになるというふうな状態にもございます。したがいまして、従来と同じテンポで同じ時期に新穀を確保するといったようなマンネリズムの状態では、需給操作の上でかなり問題が出てこようかとも考えられます。したがって、この七月以降時期別の需給操作をかなり厳格にやっていこう。それからもう一つは、必要な大豆が横流れせずにうまく実需筋に流れるように措置しよう、新穀もできる限り繰り上げて入手できるように措置しよう。また、アメリカ側は七、八月の二分の一カットをいってきておりますけれども、既契約分のカットでございまして、これは明らかに私どもにとっては一方的な措置としてしか映りませんので、この際、すでにアメリカに派遣しております調査団を通じましてこちら側の需給事情を説明し、カットした分の中で幾ぶんなりとも、向こうの需給情勢をにらみながら復活してもらえるものは復活してもらうというふうなことで、少なくとも新穀端境期の国民への供給に不安なからしめよう、こういうことで現在緊急措置検討している次第でございます。
  227. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 三日に質問した時点とまたずいぶん様子が変わってきたわけです。言うまでもなく、アメリカの大豆輸出規制の細目が二日、日本時間でいえば三日でしたか、発表になりまして、輸出認証制度に切りかえ、これに基づいて大豆は契約で予定されていた量の二分の一カット、すなわち五〇%、大豆かすは四〇%に、それぞれ一律に減らされる。日本においでになっているアメリカ駐日大使は農林大臣と会われて、日本は昔からの古いお客さんだ、ソ連はいわば新しいお客さんだという意味から、日本に対しては迷惑をかけない、必ず既契約分は確保してあげる、こういうふうな話もあったし、またそういう答弁も本委員会で伺ったわけですけれども、そのとき私が指摘しましたように、全世界一律にカットする、こうなれば、日本だけが特別にというわけにいかない。だから、今回のアメリカの発表によっても、国別の配慮はしない、こういうふうにいわれておるわけです。私が指摘したとおりのことが結局発表になったわけです。政府は言を左右にしておられましたけれども、見通しがわかっていても、当委員会でそういったことについて率直に答弁をされないということは残念に思うわけです。  そこで、いまいろいろ答弁いただきましたけれども、在庫量の問題、これは政府は実にいいかげんだと思う。あまり国民に不安を与えるようなことではたいへんだということで、こういう公開の席で細部についての答弁をされないのは私も一応わかる気はするのですけれども、問題が起きてたいへんなことになってからでは困る。昨年の暮れから一月にかけてとうふ騒動が起きた。またぞろことしも、八月には在庫のほうもだんだん底をついてくる。九月には心配になってきた。また暮れから正月にかけて同じことを繰り返す。そうなったならば、ほんとうに国民の不信感はつのるばかりだと思うので、政府を督励し、早急に対策をとってもらいたい。とってもらえるだろうけれども、大いに拍車をかけてもらいたい。七月末には田中首相が訪米する予定になっているので、十分に認識をしてその対策をとってもらいたいという意味からも私、申し上げるわけですけれども、この在庫量についての政府のいいかげんさというのは——十月末換算で二十八万トン、こういう答弁が先日もあった。これは規制を打ち出す前の話でございまして、ただいまの答弁では九月末で二十一万トン、こういうふうに一カ月早くなったわけですけれども、今回の規制によって二分の一カットされる関係から、九月はぎりぎりの状態で、十月には一万トン不足になる、こういうふうにいわれておるのですが、農林省、端的に言ってどうですか。農林省もそういうふうに見込んでおられるのでしょう。
  228. 池田正範

    ○池田政府委員 先般、瀬野先生の御質問の際にも申し上げましたように、先ほど申し上げましたのは、九月末の二十一万トンの在庫でございます。十月末になりますと、計算上は一万トン不足ということで、在庫はいわばぎりぎりと、先ほど申し上げましたような形になるわけでございます。これはあくまでも現在の旧穀の現在の成約ベース、しかも米側が二分の一、七、八月積みをカットした場合を前提にしての話を申し上げておるわけでございます。しかしながら、これはいま申し上げましたように、現在のカットされっぱなし、これから何ら手を打たないということではございませんで、私どもとしては成果のあがることを期待して、この二分の一のカット、約三十万トンに近いものでございますが、これを少しでも復活するということに当面全力をあげますと同時に、新穀の確保を、これをひとつ重点的にあわせて取り上げていこう。御承知のように、九月からアメリカの新穀の年度に入るわけでございます。最近のアメリカ側の情報によりますと、面積において約二割、作柄も、ほぼ作付が終わりまして、そう悪い状況ではないという状況でございますので、このペースでいきますと、これは七月十日の予想を待たなければわかりませんけれども、前年度の十三億ブッシェルに対して十五億五千万ブッシェル程度のところまでいくだろうというような予測も行なわれております。したがいまして、これは四千二百万トンに当たりますので、前年度の三千五百万トンに対して七百万トン、日本の年間の輸入量の倍近いものが増産に入ってくるわけでございますが、これらが通常の成育条件で推移するということになりますと、これは私どもの努力いかんにもかかわってまいりますけれども、九月以降の新穀年度でなるべく早く、この在庫がなくなりません前に早急に新穀の手当てをやっていこう、こういうことで、先ほど瀬野先生にも申し上げました数字は、これはしかしながら私どもとしては、最悪の場合を条件として、そしてどんな場合があってもこれ以上悪くしないという条件のもとで一応はじいておりますので、その点で、ほぼいまの旧穀並みでいけば、十月末で在庫がその辺になります、こういうことを申し上げたわけでございます。
  229. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうでしょうが。そこで、いまので大体私も納得できるわけですが、そういう状態であるので、たいへん心配をしておるわけなんですね。それで、ほんとうに真剣にやっていただいていることもわかっていますが、もうこれは火急の問題であるのです。畜産の飼料にもたいへんな影響を与える。ペルーのアンチョビーもとれ高がなかなか少なくて問題になっている。こういうことになってくると、ますます安心する要素はないわけですから、これ以上これをどうということは言いませんけれどもほんとうに考えていただきたいと思うのです。  それで、いま答弁がありましたが、月々どこからどういうふうになってくるのか、価格のチェックをやらないと、おそらくこれは暴騰するということが考えられます。日清製粉の社長等が音頭をとって、価格を上げないように一生懸命努力しておりますね。しかし、その努力は当然のこととはいいながらも、解決の道はやはり輸入量を拡大する以外にない。これに尽きるわけです。だから、最大の努力をまたさらにさらにやっていただきたい、かようにお願いするわけです。  と同時に、こうなってきますと、またぞろ商社の買い占めその他が起きますと、早々ととうふ騒動が起きたりいろいろなことで庶民にまたたいへんに迷惑をかけるということになります。流通在庫の滞貨をなくする、すなわち買い占めをなくして、これを十分チェックしなければならぬと思いますが、どういうふうに対処されますか、また対処しておられますか、お伺いしたい。
  230. 池田正範

    ○池田政府委員 まさに先生の御指摘になられたとおりでございまして、私どもも、そのような形で大豆価格が思惑需要によって引き上げられますと、これはかりにこの前の一月のとうふのごとく、四万軒のとうふ屋が一俵ずつ買い増しをいたしましてもたちどころに四万俵がなくなる。つまり流通在庫というものが、私どもの適正計算の中で見込んでおるものから猛烈にふくれ上がりまして、そのことが結局は末端消費を圧迫し、価格を上げるということになるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、これは緊急対策の中でも現在考えておるわけでございますけれども、輸入商社及びおもなる製油メーカーそれから流通在庫を持つ可能性のある大型の問屋、それから、みそ、しょうゆ、あるいは納豆、とうふといった実需者団体、これらはすでにもう数日前から個別に私ども、あるいは団体によっては大臣みずから役所に呼びまして、そして需給協議会の仲間に入ってもらうことについて話し合いを進めておりますし、また同時に、新しくできます買い占め法によりまして、いままでと違った権能を持って今度は価格調査官が在庫の調査もできる体制がしけますので、したがって、それらの権能を裏づけにしながら、輸入量、それから輸入されましたものがどういう形で処理されていくかといった過程も、いままでよりははるかに綿密なといいますか、正確な調査ができてくる。そういうのを背景にいたしまして、先ほど申し上げました時期別に需給計画を立て、場合によっては実需者にこれをつなげていく。  ただ、問題は、この春、私どもとうふ騒動のときに実需者に直結したわけでございますけれども、これが案外どうも、なかなかそういう形での物の大量一括購入になれていない団体ということがございまして、必ずしも完全にはいかなかった例もございますので、今回は大型の流通問屋の機能というものをある程度活用しながら、ある意味ではこれは商品金融の肩がわりをなしますけれども、同時に、そのことが逆に中間段階で思惑を生んで価格が上がらないようにという意味で、これらも全部抱き込んで需給協議会の中で相談をさせる。  この一両日来の話によりますと、とうふも納豆もみそも、現段階では上げないでがんばるという態勢を業界自身がやっておりますし、また油も、現在のところは大体安定した状態にもございます。したがって、政府としては、官民協力して思惑需要をとにかく押えてかかるということに全力を傾注し、この協議会の機能を活用して乗り切っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  231. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 当然そうであるべきだと思います。そこで、私はもう一つ申し上げたいことは、生産対策すなわち価格対策がきめ手である。法律目的に沿って対策を立てることが急務である。これに尽きると私は思うのです、国内自給を増すためにも。御承知のように、大豆なたね交付金暫定措置法等を読みましても「生産事情その他の経済事情を参酌し」と、こういうふうに第二条の二項の一に書いてありまして、さらに第一条でも「その生産の確保と農家所得の安定とに資することを目的とする。」という、こういうふうに目的も明らかに明示されておる。したがって、先日も指摘しましたように、パリティ方式に問題がある。大蔵省にもいろいろこの間申し上げたんで、きょうまたいろいろデータによってお尋ねしたかったのですが、時間が迫ってきましたので、十分大蔵省も聞いておっていただいて、これに対して、先日質問しました内容等をあわせまして、農林省にひとつ財政的な応援をしっかりしていただきたい。また農林省も強腰で大蔵省当局に当たっていただきたい。そして大豆に対しては次回は必ずつくらせる、また、この生産を増すための基準価格を上げてあげる、こういうことはどうしてもやらなければならない、かように思うわけです。先日いろいろと質問しました際にも、政府答弁は肝心なところが抜けておりまして、価格がきめ手ではなく、基盤整備、品種改良等の一連の対策があって生産増大できる、こういうような答弁がございました。もちろんこれらもそうでありますけれども、一番ネックは価格であると思うのです。そこで、生産対策について十分配慮せにゃならぬ。そして昨四日には、農林省は、参議院の本会議でも田中首相が、稲作転換に大豆、小麦を奨励する意向を表明しておる。そして櫻内農林大臣は、食品用大豆の自給体制を固めるよう検討を指示しておる、愛知大蔵大臣に財政措置要請した。こういうようになっていますが、これを受けて、食品大豆の自給に踏み切る、こういったことが参議院の本会議でも明らかにされております。私が質問した翌日の本会議であります。  そこで、三年計画で転作奨励とあわせて大豆の生産意欲を高めるためにいわゆる自給を増していく、こういったことも言われておるようですが、農林省がかつて十年計画を立てました。これもいよいよ検討しなければならぬということも起きてきたのではないか、こういうふうに思うが、この辺に対して当局はどういうふうに検討を進め、考えておられるか、簡潔に御答弁いただきたい。
  232. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 国産の大豆の生産の振興につきましては、私どももかなり前から意を用いているところでございまして、昭和五十七年にはとうふでありますとか納豆、煮豆等のいわゆる食品用大豆のかなりの程度のものを国内で自給したいというような考え方を持っており、昨年の秋に、こういったことにつきましての生産目標の試案をつくったような次第でございます。  大豆の振興はなかなかむずかしい点もあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、従来から申し上げておりますように、生産対策、これは特に団地化するというようなことが非常に必要なんでございまして、そういうようなことでの生産対策、それから先生指摘になりましたような水田からの転作、米からの転作というようなことでの大豆の生産の増大というようなことにつきましていろいろ努力をしておるわけでございます。また御指摘の価格の問題につきましては、現在ございます大豆なたね交付金暫定措置法に基づきまして、パリティ指数、生産事情、その他の経済事情を参酌いたしまして基準価格を適正にきめてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  233. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 何回聞いても同じことを言われますけれども、現在のパリティ指数なんというのは三十一年から三十三年のを基準にしておりまして、もうてんでお話にならないのですよ。何回聞いても同じですけれども、来年度予算編成にあたって十分検討されておるだろうし、またせねばならぬわけですが、ここでは答弁がなかなかむずかしいということで、苦しい答弁かと思っておりますけれども、いずれにしても農林省は、この基盤整備、品種改良等一連の対策があって生産増大ができる、こういうふうに言われる。これはあたりまえなんです。  ところが、中尾政務次官、これはあなたに答えてもらいたいが、数年前から稲作転換、畑作振興の予算等の措置をしてやってきていながら、現実に減産しておるという事実もあるじゃないですか。そういったことを見ると、ばかの一つ覚えみたいにこればっかり言っておるわけにいかないのですよ。やはりパリティ方式を変えるか、生産費・所得補償方式に変えてやるかしなければどうにもならぬ。大蔵当局もこれに英断を下してもらわなければ、日本の大豆は全く安楽死してしまう。これは外国からの輸入が規制されてくる、来年は小麦も大豆もまた次々こういった規制が起きてくる。こういったことになってくると、いよいよ畜産農家も壊滅になってくるし、また、こういったことによって国民の食生活もたいへんな問題が起きてくる。これは重大な問題である。やはり国内の自給率を上げる。そのためには何としても生産対策、基準価格を上げてパリティ指数を検討して、そして生産意欲を増す、これ以外にないと思うのです。これに対して中尾政務次官、どうですか、御答弁いただきたい。
  234. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先生は、この間来、大豆の問題では、価格対策を抜本的に考えろという御指摘だと思います。  当然、農林当局が言うております基盤整備、品種改良、その他生産性を高める問題点、こういうことはやっていかなければならぬことは言うまでもございませんけれども、その価格対策にもやや問題があることだけは、これは指摘するに及ばないと思うのです。そういう意味におきまして、これはつい先日からずっと言い続けられておりまする先生のその御意思を十分尊重して、これは積極的に取り組んで研究していきたいという考え方に立っております。  大豆の輸入問題につきましては、これは昨日ちょうど、閣僚懇談会の前に、アメリカから有力議員が特に経済問題で数名来ておりまして、私も昨日ゆっくり懇談をする機会を持ちましたので、大豆のこのような輸入規制の問題につきましても徹底的に私はアメリカの非を訴えたつもりでございます。それに対しまして、これは私ども議会筋も実は驚いていることなんだという答弁とともに、相当反省をしておった模様でございます。その点も付加して御説明さしていただきました。
  235. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あと二点簡単に聞いて終わりにしますが、これは農林省なり大蔵省等からでけっこうですが、四十七年暮れから本年一月までに緊急対策費を出しておりますが、幾ら出しているか。これ、簡単にお答えいただきたい。——それでは、時間が来ておりますので急いでやりますが、この緊急対策費が、私の承知しておるのでは、あまりたくさんではないわけですね。また、この緊急対策費では、実際にはこれは微々たるもので、いわば捨て金ですね。そこで自給率を高めるためには、国内でどうしても恒久対策として、私は、緊急対策費を出すほどならば、パリティ方式を変えて、どうしても大豆に力を入れてもらいたい。農業団体では一万円をひとつ何らかの名目で加算してくれということをちゃんと要求しております。こういったことを申し上げたい。  最後に二点、私、提案と質問申し上げて、お答えをいただいて終わりにしますが、国内の生産対策をいま申し上げたようなことから強化するために、大豆生産振興法というようなものをつくって、基盤を確立して、基礎的なものを拡充すべきであると提案したいわけです。このことは数日前から、私、提案して、農相も検討すると言っておりますが、いまいろいろ論議してまいりましたけれども、何せ時間が詰まってまいりましたので詳しく説明できませんが、品種改良、生産促進などの要素を加えていけば農家も戻ってくる。これはペイしないからやらないわけですから、そういったことをひとつよく検討して、大豆生産振興を考える、こういったことをぜひやってもらいたい、こういうふうに提案をしたい。これに対して当局検討していただいたと思うが、御回答いただきたい。  それからもう一つは、先般中央会の宮脇会長がアメリカに行きまして、アメリカ側に対して穀物銀行というものをつくって今後やったらどうか、こういう世界の気候不順、それからまた世界のいろいろな穀物不足に対処してこれをやるべきであるということを提唱して、アメリカでもかなり注目を浴び、これは世界にも呼びかけたいというような意向を私、聞いておりますが、これに対する御見解、この二点を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  236. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先生が従来、これは名前は仮称でございましょうけれども、大豆生産振興法、先生がおつけになられた名前のようでございますが、大曲の生産振興をはかるために生産性の高い団地を育成する等によりまして、その生産の合理化と流通の近代化をはかるとともに、稲作から大豆への転作を推進するために、転換水田における土地条件の整備、また省力機械施設の導入、種子対策等によりまして、大豆への転作の促進とともに、国産大豆の販路確保、集荷、販売体制の整備等を推進することとしております。  さらに、大豆なたね交付金暫定措置法による大豆の基準価格につきましても、この法律の趣旨に沿いまして、大豆の需給事情も十分考慮して適正な価格決定につとめてきております。これらの施策の充実をはかることによりまして、御指摘の点については十分対処し得るものと考えております。  なお、宮脇会長の穀物銀行の件についてでございますが、まだ私どもの手元には、どういう概要で、どういうもとに、どういう水準の銀行で提唱されておるのか、具体的なことは何も聞いておりませんので、その点は私どもで緊急にその資料を取り寄せ、どういう世界的な反響であるか、十分これを検討いたしまして、またお答えできれば幸いと思います。
  237. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で質問を終わります。御協力ありがとうございました。
  238. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、山原健二郎君。
  239. 山原健二郎

    ○山原委員 時間もおそくなってまいりましたので、きわめて簡単に伺います。  私の質問は三つです。一つは汚染魚に関係する問題です。それからあとは産業廃棄物と屎尿の海上投棄について、この三つをお尋ねするわけです。  まず最初に伺いたいのは、去る六月二十二日の閣議の決定による二百五十億の緊急融資措置ですね。これは十九県に適用するということが出ているわけですが、十九県が今回汚染地域をかかえる該当県として指定をした形になっておるかどうか、これは初歩的な質問ですが、最初に伺っておきたいのです。
  240. 安福数夫

    ○安福政府委員 大体その程度になるのじゃないかと思います。最終的に十九県だという決定はまだいたしてないように承知しております。
  241. 山原健二郎

    ○山原委員 この十九県のワクはさらに拡大をする可能性を持っているわけですか。決定というわけじゃないのですね。
  242. 安福数夫

    ○安福政府委員 汚染の実態につきましては、今後も注意して全国的な規模で関係各省十分連絡をとりながら調査することになっておりますから、あるいはそれが縮小することもあろうと思いますし、さらに若干ふえる、こういうこともあろうかと思います。
  243. 山原健二郎

    ○山原委員 汚染水域を持っておる該当県でないところ、たとえば四国の高知県——四国の場合は愛媛、香川、徳島の名前が入っておりますけれども、高知県は入っておりません。それからその他の地域におきましても、関東、東北のほうにも、あるいは九州にも、宮崎は入ってないと思うのですが、そういうところにおきましても、たいへん異常な事態が起こっておるということは御理解しておりますか。
  244. 安福数夫

    ○安福政府委員 全般につきまして私ども常にトレースをいたしております。ただ、非常に極端なケースをあげられて、それを抽出して問題にされるということは間々あると思います。これがまたバックグラウンドとして大きな問題であるということもまた問題になり得ると思いますけれども、十分その地域の精密な調査をやりまして、そういった問題になるような地帯については、さらに今後とも厳重な調査を進めてまいりたい、このように思います。
  245. 山原健二郎

    ○山原委員 一つは汚染場の問題もあるわけですよ。たまたま調査されたところ、あるいは原因者が非常にはっきりしておって、有明海のような状態の場合もあると思うのです。しかし、調査をしてないところもあるわけですね。それから同時に、今度の汚染魚の問題が出ましてからその飛ばっちりといいますか、それによって影響されて魚価が下がるという状態は、これはたいへんな問題、これはもうほんとうにもろに直撃を受けているわけですね。高知県の実態を、もうすでに御承知かもしれませんけれども、申し上げてみますと、たとえばタチウオの例が出ておりますけれども、タチウオの場合は現在一円五十銭とか一円とかいう状態になっています。それからメジカの場合、昨年の六月期におきまして百七十五円がことしは四十二円、カツオ四百五十円が二百円、キハダ六百二十六円が二百九十一円、ハガツオ九百七十六円が三百十三円、シイラに至っては平均昨年度百二十七円が二十一円から十八円、こういうような状態になっています。これは地域によって多少の相違はありますけれども、たいへんな打撃を受けているわけですね。マグロ七百円が百四十円、シイラが二百円ないし二百五十円しておったものが二十円というような状態、こういう状態が起こりまして、毎日漁民はどこへ怒りをぶつけていいかわからない、交渉相手もわからないというような状態で、率直に言って、右往左往しているという状態が出ているわけです。ときには毎日それぞれの漁協が県へ押しかけるとかあるいは市町村役場へ魚を持っていって無料で配るとかいうような状態。そうしてその中でそれなりに県は県で対策を立てています。たいへん苦労してやっているわけですね。さらに漁業協同組合の場合もたいへんな苦労をしながら何とか対策を立てていこうということで苦労しているわけでございます。ところが、国のほうは、汚染地域ではないということのために、何らの援助の手が差し伸べられていないということなのです。これはほうっておくつもりなんですか。
  246. 安福数夫

    ○安福政府委員 御指摘の点につきまして、私どもの発表は一応特定、限定された地域についての限定の魚種でございます。そういう形で発表されましたが、この真意が必ずしも消費者あるいは流通段階にいろいろな形で十分理解されなかったという点があることは、ある意味では非常に遺憾に存ずるわけでありまして、ことごとにそういった問題についての十分な啓蒙なり、そういった理解を深める努力をわれわれとしてもやりたいと思っております。そういった努力を通じて、事態を正常な形にできるだけ早く戻すということがいま一番必要なことだろうと思います。そういう努力を、現在関係各省とも連絡しながら、全力をあげて対処している、こういうことであります。
  247. 山原健二郎

    ○山原委員 それは努力の成果があがるまでこんな状態でほうっておくということになるわけですか。これは高知県の例ですけれども、おそらく高知県だけではなくして、他のいわゆる十九県に入っていないところではそういうことになると思うのです。十九県に対する対策だってこれは不十分なことはもう十分おわかりだと思いますから、そのことは申しませんけれども、それからはずれておるところ、たとえば高知県では昨日の県議会で話が出ておりますが、県知事もたいへん困りまして、県でできることは漁家一戸当たりに対して十万円程度の融資をするのがせいぜいだ、それだけの力しかないということを言っております。さらにまた県知事県議会における答弁の中では、厚生省の汚染地域指定に入っていないので国の援助も困難だ、こういうことを言って頭をかかえておるというのが実情なんです。それで大体、私、現地の事情、あるいは本日もあすの大会を控えて漁業協同組合の幹部の方たちも見えておりますので、それを要約しますと、やはり私ども考え方も一致するわけでございますけれども、漁業協同組合が陳情書として持ってきておるこれに要約されておると思うのです。  簡単でございますから、一つずつちょっと読み上げてみますけれども、一番は読み上げません。これは公害発生源の根絶ですから、水銀、PCBを発生しておる工場をとめろ、その使用をやめろということを要求しているわけですし、また汚染海域における水産動植物の採捕、または販売を制限、禁止されたい、というのが第一です。  第二は、「間接被害である本県も直接被害海域と同様の被害を受けており、直接被害海域同様、国の責任において補償ならびに融資等救済措置を講ぜられたい。」、これが救済要請のまず第一だと思いますが、これはたいへん切実な背景を持っているわけです。もう説明をする時間的余裕がありませんけれども、この要請に対して何とかこたえる考えがないのかどうか、伺っておきたいのです。
  248. 安福数夫

    ○安福政府委員 ただいま御指摘の点は、ともかくそういう不安感というものを解消することが根本的な問題だろうと思います。それをできるだけ早く旧に復するということが現在最も必要なことだろう、先ほど申し上げたとおりでございまして、ただ、直接的また間接的にそういう被害が周辺地域に及んでいるということは事実でございます。  これにつきましての現在の政府の対策としましては、直接的な汚染地域ということに限定されておりますけれども、その周辺に波及するという場合には、現在の制度を前提といたしまして、あるいは近代化資金であるとかそういった形で当面対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  249. 山原健二郎

    ○山原委員 理解を深めるとは一体何をやられるということですか。結局ほっておくということでしょう。財政的な援助としてはほっておくということですかね。
  250. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先生の御指摘は、その陳情書によりますと二点あるかと思いますが、第一点の分も含めて御答弁いたしますと、これは先ほどもちょっと話し合いになったのでございますけれども、現実に汚染を流しておる会社に対しましては当然政府からも厳重に処置しなければならぬ、私どももこう思っております。  ただ、御承知のように、なぜ緊急にしないかということになりますと、まだ原因者が完全に不明である場合、これは原因者が負担をするというのが原則でございますから、そういう方向の中で詰めていかなければいけない。同時に、漁民もたいへんでありましょうけれども一つ会社に半年ないし一年の操業停止などしようものなら、下請業者とかそういうものがたくさんございますから、今度はそういう方々も食べていけなくなるという、この必然的な条件を加味するのもこれまた政治であろう、こう私どもは思っておりますので、十分に詰めて考えていくべきものであり、慎重に考えていくべきである。しかもなおPCBをほんとうに出している点、あるいは水銀を網羅しておる点は厳重に考慮すべきである。また場合によっては徹底した措置もとらなければ相ならぬ、こう考えておるわけでございます。  第二点の問題でございますが、つなぎ融資の措置と申しましょうか、非汚染地域の漁民も魚が売れなくなって被害を受けているから、どう対策をすべきかということにつながると思いますけれども、このつなぎ融資措置という今般被害を受けている方々に対する措置は、水銀またはPCBの汚染によりまして漁獲または漁獲物の販売が困難になったことによって収入が著しく減少し、生活に支障を来たしている漁民の方々に対して、原因者によって補償がされるまでの間のつなぎ資金として生活資金または経営資金を融通しようとするのがねらいでございまして、汚染海域の漁民などを対象としたものでございます。  非汚染海域の漁民につきましては、先ほど次長が申し上げましたように、現地の実情等を十分に検討いたしまして、慎重に対処してまいりたい。  なお、今回の措置の適用を受けない地域につきましては、設備資金につきましては漁業近代化資金の活用をはかるほか、既存の債務について融資条件の緩和等を関係金融機関に要請する等、所要の措置というものは早急に講じてまいりたい。このような対策の中でやっておることを申し上げたいと思うのでございます。水産庁次長もきのう中国から帰ってきたばかりでございまして、二十日ばかり日本を留守にさせましたので、この実情はあまりよく存じ上げていないと思います。
  251. 山原健二郎

    ○山原委員 二十日の間にずいぶん情勢が変わっておりますのでお答えしにくい面があったと思いますが、まあ二つの側面を持っているわけですね。汚染区域として発表されたところはこれまた困る問題が一面あるわけです。それから汚染区域として指定されなかったところは、一面喜びであると同時に、それが何ら国の援助の対象にならない。しかし、被害は同時に受けているわけですね。たとえば土佐でとれた魚というのは阪神に行くわけですが、阪神の情勢がこういう状態ですから、直撃で魚価が下がる。そういう相互関係もあるわけですね。そういう意味で、非常な打撃を受けていることは事実です。生活できないといってみんなが騒いでおるというこの現象というものは、これははっきり見ていただかなければたいへんなことになると私は思います。そういう意味で、特に調査もしていただかなければならぬと思いますし、また関係者の意見も十分聞いていただき、そしてそれに対する対応策というものはぜひ立てていただかなければならぬ、こう思います。  そしてまた、かりに汚染されていないと考えましても、魚ですから、回遊しているわけですね。たとえば瀬戸内海を回遊しながらずっと四国を回っておる魚、アジ、ボラ、タイ、サゴシ、スズキなどは動いているわけですよね。必ずしも汚染されていないということも言えない実情にもあるわけですね。だから、たとえば安全宣言をやるというような問題もあります。これは漁民の気持ちとしてはよくわかるわけですけれども、この間熊本県で安全宣言をしたものが、今度は京都で厚生省の基準よりもさらに強いPPMが出てくる。こうなってくると、安全宣言をしたために一面またたいへんショックが大きいという面もあるわけですね。  そういうさまざまな形態をとりながら今日の水銀、PCBの問題についてはもう漁民全体、また漁業関係者全体が困惑し、生活上の不安を訴えておるというこの実情に対して、やはり国が確固たる姿勢をとらなければならない時期だと私は思います。私どもいままで水銀、PCBの問題についてはずいぶん発言もしてまいりましたけれども、まさに今日の事態はそれらを集約した国の政策に対する一大警告だと私は思うんです。そういう意味で、国の態度をはっきりしていただきたいということで質問をいたしております。  それから三番目に出ておりますのが、「魚介類に対する消費者の不安感を直ちに解消するため特別の措置を講じ、非汚染海域の魚介類の流通の正常化を図られたい。」、四は、「既借入金の償還期限の延長と利子補給を講ぜられたい。」、五は、「産業廃棄物及びし尿の海洋投棄は絶対反対であり陸上処理施設の早期整備を行ない暫定期間の短縮を図られたい。」、六は、この公害関係法律の抜本的改正をやってもらいたい、こういうふうになるわけです。  それで、いまの二の問題はおきまして、たとえば四番目の「既借入金の償還期限の延長と利子補給を講ぜられたい。」、これも当然の要求だと思います。同時に、減免税の問題についても考えてもらいたいという要請を受けているわけですが、それらの問題について政府としては対策を講ずる考えがございますか。
  252. 安福数夫

    ○安福政府委員 ただいまの問題は、先ほど政務次官のほうから御説明になったことで尽きていると思いますけれども、不安の解消につきましては、先ほど来申し上げているように、実態をはっきりさせると同時に、発表のしかたなりについて、消費者に対する理解あるいは流通業者に対する理解、そういった協力体制も十分措置してまいるという形で、われわれ自身不安の解消につとめてまいるということが一番必要だろう。ことに汚染海域については魚が市場に流通しない、それに対する確たる措置をとってまいることが根本的な問題であろう、このように思います。  それから、融資の問題でございますけれども、先ほども政務次官から答弁がございましたように、政府としてはその事態事態に応じた新しい事態に対応する適切な措置は今後とも講じてまいる、こういうことでございます。  さらに、それに応じまして利子補給なりというような、そういった事態に対応しました措置を慎重に検討してまいるということでございます。既存の債務についても、われわれ自身もすでに金融機関に対しまして、そういった償還期限の延長であるとか、あるいは減免であるとか、そういった措置についても十分協力を願う、こういうことをいたしておるわけでございます。
  253. 山原健二郎

    ○山原委員 これは高知県の例をあげましたけれども、高知県だけでなくして、いわゆる漁業県におきましては関係するところでありますから、ぜひ考慮をしていただくように要請をしておきます。またいずれ明日をはじめとして関係者の要請もあることでしょうから、ぜひ検討をしていただきたいと思うのです。  それから、次は屎尿投棄の問題でございます。これは昨年の六月二十五日でございましたか、海洋汚染防止法が出まして、それに基づいて瀬戸内海に投棄しておりました屎尿、これは瀬戸内海周辺九府県ありますけれども、その屎尿が大体土佐沖に投棄されるというような状態になっているわけですが、これもずいぶん論議をいたしましたが、これは厚生省のほうになると思いますけれども、現在どういう状態なのですか。昨年の五月でありましたか、前に私が質問をいたしましたときには、大体十五海里以遠ということになっておるけれども、土佐沖などにおいては七十キロ以遠とかあるいは中央公害対策審議会の場合は五十キロ以遠というふうな答申もなされているわけで、その辺をどうするのかということをしばしば質問をしているわけですが、現在どういうふうに処理されておるか、伺っておきたいのです。
  254. 折田貞雄

    ○折田説明員 ただいまの先生の御質問にお答えいたします。  いま先生がおっしゃられましたように、昨年海洋汚染防止法の施行令の一部改正に伴いまして瀬戸内海の屎尿の投棄が本年の三月一ぱいでできなくなりました。したがいまして、それ以降につきましては、特に優良な漁場を避けて黒潮の外縁に捨てるという覚え書きが環境庁並びに厚生事務次官の両通牒できまりまして、高知沖につきましては昨年の九月の十六日以降まず広島県と高知県が覚え書きを交換いたしまして、四十七年の九月十六日以降五十年の八月三十一日までの間室戸沖七十五海里に捨てることにきまったわけでございます。先ほど申し上げましたように、実は四十八年の四月一日以降でございましたが、広島県のいろいろな事情がございまして、広島県の県内で捨てることができなくなりましたので、急遽去年の九月十六日以降高知沖に、広島県と高知県とで話し合いまして現益室戸岬沖七十五海里に捨てることに相なっております。それ以降各県、和歌山県と広島県あるいは和歌山と香川県、和歌山県と愛媛県等、いろいろ結んでおりますが、現在先ほど申し上げましたような黒潮の外縁部でかつ優良な漁場をおかさない地域を各県で検討し、そして特に高知県並びに和歌山県が中心になりましてお話し合いをした結果、いま申し上げましたような地点が選ばれまして、現在投棄が続行されておりますが、これにつきましても、いま申し上げましたように、各県間におきまして覚え書きの交換の中身にございますように、五十年の八月三十一日までそこに捨てていいという条件で覚え書きを交換し、かつそれらの捨てる県におきましてはできるだけすみやかに地上で処理するように、屎尿処理施設の充実をはかっていくということを約束しているのが現状でございます。
  255. 山原健二郎

    ○山原委員 昨年の六月以来瀬戸内海周辺の各県において屎尿処理施設がどれくらいできておりますか。それが一つです。  それからもう一つは、海上保安庁に伺いたいのですが、海上保安庁のほうは監視区域としては大体十五海里を限度としておると思うのですが、それ以遠のところにおいては監視体制というようなのは、産業廃棄物とも関係してまいりますけれども、どうなっているのですか、伺いたい。
  256. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 海上保安庁の関係をお答えいたします。  われわれ海洋汚染防止法に基づきまして海洋の汚染の状況を監視する任務が与えられております。いま先生十五海里以内とおっしゃいましたが、われわれは十五海里以内だけを監視するという考え方ではございません。昨年海洋汚染防止法が施行されまして、産業廃棄物の投棄海域といたしましては、A海域、B海域といったような二百海里の沖合いの海域も指定されております。したがいまして、われわれもそういう地点におきまして適法な排出が行なわれるということを確保する観点から、航空機や巡視船艇をもちまして監視をいたしておるわけでございますが、産業廃棄物船の排出の状況等につきましても、情報を収集し、必要に応じそういう海域にも監視の目を光らせるという考え方で現在監視に当たっておるところでございます。
  257. 折田貞雄

    ○折田説明員 施工を始めまして大体二年後にできるわけでございますが、兵庫、和歌山、岡山、広島、徳島、香川、愛媛を合わせまして四十八年にできます分が約二百キロでございます。それからそのあと四十九年にできるのが五百三十キロです。ことし、いままだきめておりませんけれども、それが一部は四十九年に、あるいはその残りの大きな施設につきましては五十年の中ごろにできると思いますが、それにつきましては、まだどこにつくるかということについてはきめておりませんのでわかりませんが、現在わかっておるものにつきましてはいま申し上げた量でございます。
  258. 山原健二郎

    ○山原委員 実際はきちんと六十海里、七十海里以遠に投棄されていないのです。漁民の話によりますと、土佐沖はいわゆる黒潮の分支流、黒潮の北限の地域に投棄されているわけです。だから、今度のシイラの場合でも、値下がりの一つの原因は、腹わたの中から汚物が出てくるというような問題も出てきて、こういう形で土佐沖の汚染を許しているわけですね。だから、においはするし、沖ノ島という島がありますけれども、そこの五キロのところでもう海が黄色くなっているというように、瀬戸内海沿岸の府県においてできる膨大な屎尿を土佐沖に捨てておる。これはたいへんな問題ですね。  これは絶対にやめてもらわなければいけないわけですけれども、実際は監視もできないわけですよ。夜にまぎれて流し込むということもありますし、また、それだけ遠いところへ持っていって投棄できる船も実際にはないと私は思うのです。また、それだけつくられてはいないと思うのですよ。だから、結局、土佐沖の汚染というのはそういう形で始まっている。これが一つの問題です。  それからもう一つの問題は、私の昨年の質問に対しまして、岡安水質保全局長の答弁があります。これによりますと、中央公害対策審議会の答申に基づいて、海上廃棄物については五十海里以遠にするということを政令をもってきめる。たとえば、こういうふうに岡安さんは私に答弁しているわけです。原則はやはり距岸五十海里以遠に、これを海洋投棄する場合には、投棄すべきであるというような趣旨の政令を現在検討いたしております、こういうふうに述べています。これはしばしば述べているのですね。政令はできているのですか。
  259. 岡安誠

    ○岡安政府委員 お答えいたします。  先生のおっしゃる海洋汚染防止法の政令は、すでに施行になっております。特に屎尿関係の規制につきましては、先生おっしゃるとおり、本則は、五十海里以遠の、C海域といっておりますけれども、そこに捨てなければならないということになっております。  ただし、現状といいますか、政令の施行時におきましては、非常に近いところに捨てておったわけでございます。それを急に五十海里以遠にするためには、船の建造その他がございますので、そこで、経過期間を置いてございます。  その経過期間の一つは、ことしの三月三十一日まではほぼ従前どおり認める。そこで、瀬戸内海も、ことしの三月三十一日までは投棄が認められていたわけでございます。しかし、四十八年の四月以降五十一年の三月三十一日までは、十五海里ということにいたしております。そういたしますと、瀬戸内海には捨てられないということになりますし、それ以外の海域は、五十一年三月三十一日までは十五海里でよろしいということに実はなっております。それを過ぎますと、本則の五十海里に戻るわけでございます。  しかし、この経過期間におきましても、先ほど厚生省がお答えいたしましたとおり、漁場に対する影響その他は避けなければならないということになっておりますので、高知沖の投棄につきましては、相談をし、七十五海里というような相当遠いところ、黒潮の南限のほうに捨てるというようなことに指導いたしておるというのが現状でございます。
  260. 山原健二郎

    ○山原委員 おそらくそういう指導はされておると思いますけれども、現実には、全く監視体制もありませんし、それから、昨日海上保安庁のほうへ私は電話したのですが、私のほうは十五海里ということが原則ですから、それ以上のことは責任持てませんよという話もあるような状態で、実質的には、またあの広い海ですから、これは監視もできないと思うのですけれども、そういう中で底が抜けて投棄がなされているというのが現実ではないかと思うのです。これは十分監視をしていただかないと困るのですね。瀬戸内海の汚染も、一つはこの屎尿投棄の汚染が、たとえば播磨灘のあのハマチの全滅の赤潮の問題、これは屎尿投棄が一番影響しておると現地の漁民は言っておるわけです。そういうものが太平洋へ向かってどんどんどんどん——一日に生産される屎尿というのが三千トン、年間十三万トン、そういうものをどんどん流されては、これはたまったものではありません。そういう状態に土佐湾一帯は置かれておるということをまず認識してもらいたいのです。  それから、産業廃棄物との関係がありますから、海上保安庁のほうへ最初にひとつ伺いたいのですが、昨年の三月十四日に土佐清水市足摺岬南において豊隆丸、四百七十八トンが産業廃棄物投棄中に、船長以下三名の方がなくなったという事件が起こりまして、これは実は猛毒無機シアンがその中に含まれておったということですね。これは環境庁のほうも認めておるし、海上保安庁に対する中間報告でも、ちゃんと議事録にあるわけですが、それがどういうふうに始末をされたのか、簡単に伺っておきたいのです。あの投棄された産業廃棄物の中には何が含まれていましたか。それから、その結果に基づいてどういう処置がとられたか。これを簡単に伺いたいのです。
  261. 阿部雅昭

    ○阿部説明員 お答えいたします。  豊隆丸事件につきましては、昨年、四十七年三月十四日に発生した事件でございます。発生の時点といたしましては、廃棄物の海洋投入に関する海洋汚染防止法の規制が行なわれる前の時点でございました。  われわれは、その要件につきましていろいろ捜査いたしました結果、日東化学工業の大竹工場長、それから同工場の製造課長、さらに豊隆丸の船長、これはなくなった方でございますが、三名につきましては業務上過失致死罪、それから豊隆丸の所有者につきましては、船員法八十一条で定めます船員の労働安全衛生規則に関する規定の違反があるということを認めまして、これを昨年の六月二十日高知の地検に書類送致しております。事件につきましてはそのような取り扱いをいたしております。  なお、この事件につきましては、タンクの内容物につきまして兵庫県警の科学警察の検査所というところへ分析をお願いしたわけでございますが、シアン、重金属その他の項目につき分析いたしましたところ、シアン等につきましては百九十四PPMとか、第三タンクは百七十一・八PPMといったような相当多量のシアンがあったということを確認いたしております。
  262. 山原健二郎

    ○山原委員 水銀の問題について産業廃棄物の関係で伺っておきたいのですが、毎日新聞によりますと、昭和三十年以降使用された水銀量が一万四千五百トン、そのうち一万トンは未回収であるという記事が出ておりました。おそらくこれは事実であろうと思うのです。この未回収の水銀はどこへいっているのですか。単なるたれ流しなのか、あるいはどこかで適切な処理をされておるのか。厚生省のほう、おわかりになりますか。
  263. 折田貞雄

    ○折田説明員 私どもでいま手元に資料は持っておりませんけれども、通産省の出しておる統計資料等から見ますと、ちょっといまはっきりした数字を覚えていませんが、たぶん触媒については想像以上に回収していますけれども、そのほか苛性ソーダ、農薬等については回収していない状態ではないかというふうに私は覚えています。詳しい数字についてはただいま手持ちを持っておりませんので、また統計をとったので、うちでまとめたものを、もし先生御必要でしたら、お届けいたします。
  264. 山原健二郎

    ○山原委員 先ほどのシアンの問題といい、無機シアンの場合は二百七十PPMで即死なんですね。そういう劇物、毒物というものが投棄をされておる。現実にそれがあったわけですから、これは漁民の不安というものはたいへんなものです。しかもすぐ近海でそれが行なわれておって、死者が三名出るという状態でしょう。それが広島から来ておるわけですね。日東化学の産業廃棄物です。最近、私の聞くところでは、水銀も何かコンクリートで囲ってこれを深海に投棄する。これも土佐沖に来ておるのではないだろうか。これは相当数の船がいま土佐沖に産業廃棄物の投棄をいたしております。これはますます今度の問題から激しくなるんではなかろうかと私は思うのです。ところが、コンクリート詰めの水銀にしましても産業廃棄物にしましても、これは危険なものをみなコンクリート詰めにするわけですよね。ところが、この深層海流の流れによって、これが破壊される可能性があるわけです。破壊されないという保証も全くありません。その辺の検査もどこでしておるかわからないというような状態ですね。そうすると、これは全く手放しのような状態で産業廃棄物がまだ未汚染海域としてあるところへ捨てられているのではないかという疑問が起こりますし、現実にそういう船も漁民は目撃をしているわけです。その辺は、厚生省のほうはどういうふうにつかんでおりますか。コンクリート詰めで水銀を海底に投棄するという事実はありませんか。
  265. 折田貞雄

    ○折田説明員 埋める基準につきましては、環境庁のほうから御説明があるかと思いますが、まだコンクリート詰めにして捨てたということはないと私は記憶しております。
  266. 山原健二郎

    ○山原委員 環境庁のほう、わかっておりますか。
  267. 岡安誠

    ○岡安政府委員 有害物質につきましては、安全な処理ということを原則にいたしております。特に水銀につきましては、これを焙焼するかまたはコンクリート詰めにするかということを条件にいたしまして、A海域といいましても、相当遠い百海里ないし二百海里の遠方の特定の海域を指定しておりまして、そこに投棄をさせております。そういう特定の海域を指定いたしましたのは、先生おっしゃるとおり、今後のモニタリングには便利といいますか、わかるようにということでございますので、私どもは今後やはり定期的に状態を調べまして、おっしゃるとおり、汚損流出のおそれがあるかどうか、これは十分監視をいたしたい、かように考えております。
  268. 山原健二郎

    ○山原委員 B海域千五百メートルということですし、C海域が六千メートル。六千メートルということになると、これはコンクリートが破損するということを、たしか中央公害対策審議会のほうは出していますね。これは、例の五十海里以遠の問題を出したときの資料の中に出ておるわけでございますが、こういう状態で水銀の処理も行なわれているわけですよ。しかし、その水銀を包むコンクリートについては、どこでだれが一体その監視をし検査をしておるのかわからないわけですね。いま厚生省のほうでは、投棄したという事実はないと言うけれども、投棄しなかったという事実もわからぬわけでしょう。だから、結局何もわからぬのです。だから、依然として未回収の水銀というのがありまして、そしてわからないままに海が汚染されるということ、むしろたれ流しをしておる場合は、これは押えやすいわけですよね、その場で排水口を押えたらいいわけですから。ところが、かえってこういう形で投棄をしていく場合に、しかも千五百メートル水深以上あるいは六千メートル以内の水深というようなことになってきますと、これはもうたいへんなことですね。相当の技術員が船に乗り込んで、そして科学的な投棄をしなければ、これはどこへ捨てておるかわかりません。また、海が荒れておるとき、夕方になればどこへ捨てているかわからない。これは現実にあるわけなんですよ。監視体制というのは全くないわけですからね。そういう不安もあるんです。  だから、私はそういう意味で、この土佐湾というものに対する今後の対策ですね、これはぜひ立てていただかなければならぬと思っているのですが、私の言っていることは間違いですか、お調べになっておるのですから、間違っていたら、ちょっと教えてください。
  269. 岡安誠

    ○岡安政府委員 私ども、どこに捨てるかわからないというお話でございますけれども法律上、制度上は、海洋汚染防止法によりまして、廃棄物の運送といいますか、その船舶につきましては、海上保安庁、運輸省ですかに登録もいたしますし、それから年間の投棄計画その他は徴取をいたしますので、どういうところにどういうものが捨てられるかということは、原則的にはわかることになっております。  ただ、問題は、じゃ、監視はどこでやっているかという問題、これは場所が非常に遠いということもございますし、海上保安庁に御努力を願っておりますけれども、必ずしも十分ではないということを私ども痛感いたしております。  そこで、私どもは、できるだけ早くやはり監視の体制の整備と同時に、A海域は大体わかっておりますから、そこにおきましてモニタリングをいたしまして、投棄されたものの状態はどういうものであるかということは厳重に調査し、もし問題があれば、今後の対策としてそれらを改善いたすつもりでございます。おっしゃるとおり、深層に捨てますと、コンクリートというものがこわれるおそれがあるということで、あまり深いところは指定しておりません。一定の深さのところということでA海域を指定してございます。
  270. 山原健二郎

    ○山原委員 もう時間をとりませんが、以上申し上げましたような状態なんです。政務次官にもお聞きいただきたいわけですけれども、瀬戸内海を守るということは、これは大事なことですね。だから、私ども瀬戸内海の汚染防止ということに対しては非常に関心を持っております。しかし、それが同時に、屎尿は土佐の沖へ持ってきて捨てるとか、あるいは産業廃棄物も捨てるとかということをされると、これはせっかく残ったきれいな海もだめになってしまうわけですね。しかも日本国民のいわゆる動物性たん白質の中で魚介類の占めるのは五二・四%と数字が出ておりますように、大半魚介類にたよってきた日本国民の食生活ということを考えますと、野方図な屎尿投棄とかあるいは産業廃棄物の投棄をされては困るのです。だから、これに対しては十分な監視体制をつくる、また、原則としては陸上で処理していくという立場をはっきりさせなければならぬわけですね。それには国としても、たとえば屎尿処理施設にしましても、国の補助というのは三分の一ですね、そうして単価も低い。結局金の問題で行き詰まる。それから用地の問題で行き詰まる。住民の反対がある。先ほど厚生省が何か瀬戸内海沿岸には屎尿処理施設がどんどんできるようなお話をされたけれども、私はあまり信用しません。一つ一つの屎尿処理施設がどれほど困難な中で建設をしなければならぬかということを私ども知っているから、あんまり信用できません。しかし、これは前にも私、要請しましたけれども、こういう海洋汚染というものを、ここまで問題になってきているわけですから、これを解決するためには、陸上処理施設に対してはこれはもっと補助金をふやしていくということですね、そういう緊急対策をとらなければ、これは水銀あるいはPCBの問題にしましても、ほんとうの解決にはならぬわけです。  そういう点で、これは最後に政務次官の御見解を伺っておきたいのですが、私の質問を聞きましてどういうふうにお考えになったかということと、もう一つは、こういう状態にある土佐の海、これはもちろん高知県だけではありませんけれども、そういういわゆる汚染地域外の漁民の困窮に対しても、いま一度、どういう救済をするかという決意のほどを最後に伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  271. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先ほど来先生並びに海上保安庁さらにまた厚生省、環境庁とやりとりをずっと拝聴しておりまして、非常に勉強と同時に参考になった次第でございます。十分先生の御意見をそんたくいたしまして、これは何も確かに瀬戸内海だけの問題じゃございません。まだ私どもが関知し得ないところにもいろいろとそういう問題が山積しておろうかと思いますけれども、われわれがたまさか関知でき得ないという場合もございましょうし、そういう点は十分私どもいまから一つ一つをたんねんに、現在やっている最中でございますけれども、調べ上げまして、先ほど言われましたような、ただ単に海に野放図に、同時にまた無計画的にほうり投げていくというようなものではないような形で、陸における処置を急げという御指摘でございましたが、そういう問題点等も含めまして、私どもは存分にこの問題に対処しようと思います。  同時にまた、先ほど来冒頭に先生が述べられました資金制度などを含めました漁業——現在の汚染並びに非汚染地域におきましても被害をこうむっておる各位に対しましても、先ほど来私が述べましたような方向で考えていきたい、このような所存でございます。
  272. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十二分散会