○中江
説明員 ただいま御
指摘の日中
漁業協定の
交渉がおくれていることについての御
質問でございますけれども、
外務省といたしましては、日中共同声明に掲げられております実務協定の締結の
交渉をすみやかに開始するという精神にのっとりまして、あらゆる実務協定の締結
交渉を早く始めて、長い間正常化されなかった日中間を正常な形にするという
努力をしておるわけでございまして、九月に日中共同声明が署名されましてから、いろいろ手持ちの資料その他で調べましても、なかなか中国側の事情もわかりませんし、また中国側も
日本の事情について不明の点があるだろうということが推測されましたので、昨年十一月に、御承知のように、
日本政府事務当局訪中団というものを組織しまして北京に行ったわけでございます。そのときには
漁業関係ではただいま北京に行っております
水産庁の安福次長も参加したわけです。向こうでいろいろな分科会に分かれまして、私も
水産関係の分科会に
外務省から出ておりましたので、つぶさに様子を見たのでございますけれども、ただいま農林
大臣からもお話がございましたように、両方とも非常に相手の事情にうといということが痛切に感じられたわけです。これは中国側の
水産当局の方も
日本側のいろいろの事情を聞かれて
質問をされて、そして
日本側で、たとえば先ほどからお話の出ておりました
資源保存のためにとっている措置とか
漁民保護のためにとっている措置だとか、そういうことは非常に参考になるといって喜んで聴取されたわけです。また
日本側でも中国側の東海黄海における操業の実情だとか、あるいは中国の
水産業の淡水魚と塩水魚の
ウエートの問題だとか、いろいろつぶさに当局者から聞くことができたわけです。
そこで、そのときにわがほうからはむしろ積極的に、日中間の民間
漁業協定が六月二十二日で切れるので、これは早く手当てをしなければいけない、たとえば
日本政府としては、国会批准
条約になるのかあるいは行政取りきめになるかによっていろいろ手続が違いますけれども、できることならば四月くらいには
交渉に入ることができればいいがという希望を表明したわけであります。これに対しまして、中国側は、中国としても協定を早く締結することが利益になるという考えを持っているけれども、といって、それじゃいつからやろうということは言わなかったわけです。訪中団の最後の全体
会議のときに、もう一度リマインドいたしまして、
日本側からはできれば四月の下旬くらいには少なくとも始めないと、六月二十二日以後の日中間の
漁業問題を政府レベルで軌道に乗せるのはむずかしいじゃないか、この点はどうだということを重ねて申し上げたのですけれども、中国側は
検討してみましょう、そしてその
あとの打ち合わせば外交チャネルを通じてやりましょう、こういうことになったわけでございます。ことしになりまして双方で大使館が開かれまして、日中
漁業協定問題を含めまして、あらゆる問題について、在外公館を通じての通常の外交ルートにおける接触が何度か行なわれておりましたけれども、現在までのところ、昨年の暮れ、わがほうから申し上げました四月中には協定を始めようじゃないかという非公式の提案といいますか、考え方に対する具体的な回答がないままに過ぎてきたわけです。
日本といたしましては、そのままほっておくというわけにいかないので、実際にそれじゃいつから始めるにしろ、まだまだ始める前
段階としての実情
調査というか、そういう
研究の面で足りない面があるので、資料をほしい、あるいはこういう情報をくれないかというようなことは、外交チャネルでおりに触れてお願いしておりましたけれども、なかなか手っとり早くいかない。この手っとり早くいかないという点につきましては、先ほど農林
大臣もおっしゃっておりましたけれども、中国側にも事情があるようでございまして、私も二度ほど北京に参りましたけれども、中国政府は、国連において代表権が認められてから非常に多くの国と急に国交が樹立された、それで、いろいろの国といろいろな協定を結んでいろいろの取りきめを結ぶというので非常に追われている実情にあることもどうも事実のようでございまして、決して遷延するとか故意におくらせるとか、そういうことではなくて、両方とも小異は残して大同につくということでやろうという気がまえ、
原則については全く
意見の相違はないのですけれども、実務的には、
日本が期待するほど、あるいは中国が期待するほどとんとんといかない面がございまして、これを打開するために、先ほど来お話しになっております
水産庁の次長が北京に専門家と一緒に行きまして、今度はもう少し
水産問題について集中的に
意見の交換をしようということで、もし予想どおりですとい本日から始まっているかと思いますけれども、その結果を見まして、
漁業資源の有効利用の面から最もいい取りきめを結ぼう、こういうことを考えておるわけでございます。