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1973-05-31 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月三十一日(木曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 佐々木義武君    理事 坂村 吉正君 理事 藤本 孝雄君    理事 山崎平八郎君 理事 渡辺美智雄君    理事 柴田 健治君 理事 美濃 政市君       金子 岩三君    吉川 久衛君       小山 長規君    佐々木秀世君       正示啓次郎君    菅波  茂君       丹羽 兵助君    西銘 順治君       長谷川 峻君    湊  徹郎君       角屋堅次郎君    島田 琢郎君       竹内  猛君    野坂 浩賢君       馬場  昇君    湯山  勇君       諫山  博君    中川利三郎君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       小宮 武喜君  出席政府委員         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         農林政務次官  鈴木 省吾君         農林大臣官房長 三善 信二君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         農林水産技術会         議事務局長   中澤 三郎君         食糧庁長官   中野 和仁君  委員外出席者         建設省住宅局参         事官      白川 英留君         建設省住宅局建         築指導課長   救仁郷 斉君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 五月三十一日  辞任         補欠選任   神田 大作君     小宮 武喜君 同日  辞任         補欠選任   小宮 武喜君     神田 大作君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 これより会議を開きます。  この際、鈴木農林政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。鈴木農林政務次官
  3. 鈴木省吾

    鈴木(省)政府委員 ただいま中尾政務次官アメリカ出張中でございますので、私、参議院の政務次官鈴木省吾でございますが、かわって出席をいたしましたので、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)     —————————————
  4. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  5. 柴田健治

    柴田(健)委員 二つの点でお尋ね申し上げたいと思いますが、時間の関係で簡単に御質問申し上げますから、答弁者のほうもそのつもりで簡潔に要領よくお答え願いたいと思います。  まず、今日の畜産振興の中で、農家のほうも非常に困っておるのは、えさの問題とふん尿処理の問題。この廃棄物処理ということについては、農家のほうも非常に困っておるわけですが、これに対して農林省のほうは、いま各都道府県におけるあらゆる産業別公害苦情処理件数というものを数字的には把握されておると思いますし、また、この畜産公害といわれるいろいろな形で問題が発生をしておる、その発生件数はいまどの程度起きておるのか。まずその数字をお示し願いたいと思います。
  6. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  われわれの畜産経営基因いたします公害問題の調査は、二年おきに調査をしておりますが、最近の時点では四十七年七月の調査がございますが、全国で一万二百十二件という数字を得ております。これは四十五年度に比べまして二倍程度増加ということに相なっておりますが、これは先生も御案内のとおり、水質汚濁なり悪臭等基因するものでございまするが、問題発生件数は、豚がそのうちの約半数近くを占めておりまして、鶏が二五%、乳用牛が二〇%、肉用牛が一〇%弱ということになっております。また、地域等につきましては、これは都市近郊が当然最も多く、また大規模経営層発生が多いということに相なっております。
  7. 柴田健治

    柴田(健)委員 発生件数実態を把握されておるようでありますが、これに対する処理方法、要するに、行政指導というものはどういう方法で具体的にやっているのですか。
  8. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 要点だけお答えさしていただきますと、御案内のとおり、今後の畜産経営の存続、発展にとりましては、公害問題にいかに対応するかということが大きな問題であることは、ただいま先生もおっしゃったとおりでございますが、これにつきましては、まず全国府県に数ブロックに分けました畜産経営環境整備指導事業というもので、関係団体なり府県あるいは関係農家等含めました協議会を行ないまして、現に発生しております公害についてはいかに対処するか、あるいは発生未然防止というようなことで、点検を行なうという指導事業を四十七年度から始めまして、その結果に基づきまして、地域とか発生態様に応じまして、以下いろいろ御質疑があるかと思いますが、それぞれの事業を強化しておるというのが現状でございます。
  9. 柴田健治

    柴田(健)委員 まあ統計的に見ると、肉牛が百七十四万九千頭、乳牛が百八十一万九千頭、豚が六百九十八万五千頭、採卵鶏、ブロイラーを含めて一億六千四百万羽以上あるという。このほかにヤギ類もあるわけですが、これらの頭数から出てくる悪臭は別としても、ふん尿の量というものは、年間どの程度出てくるのか。量の実態、そしてこれはほんとう都市近郊だけでなしに、山間地においても非常に問題が起きておるわけですが、その点について、たとえば年次計画を立てる、どういう形でやっていくという計画があれば知らしてもらいたい、こう思うのです。
  10. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生お話しのとおり、畜産公害は、家畜頭数の伸びに応じまして、単に都市近郊だけでなく、僻地農山村等に逐次その件数発生しておる傾向にあることは事実でございます。大体われわれの計算では、六千四百万トンぐらいが家畜ふん尿の一年間の排せつ量というふうな計算も得られておりますが、われわれの調査では、そのうち大体九割近いものが土地還元ないし焼却——養鶏等においては焼却という形でいままで処理されてきておるわけでございますが、その後都市化なり市街化進展その他によりまして、土地還元というものが困難になっておる地域というようなものが逐次出ておりますので、全体の考え方といたしましては、地域経営態様に応じまして、それぞれ、都市近郊地帯でございますれば、市街化密集地帯のような地域についての団地の移転なり、あるいは施設処理する。さらに農村地帯においては、広域的な、耕種農家畜産農家とを結びつけて、液肥型の処理をするとか、さらに条件のやむを得ないものについては浄化処理というような形で処理をするとか、さらに進んでは、部落ぐるみ畜産環境整備、本年度から取り上げたわけでございますが、一元的な屎尿の収集及びその還元のための集水型装置設置共同貯蔵槽整備、畜舎の一都移転とか、その地域環境改善等を行なう施策というようなことを取り上げまして、それぞれ地域とその態様に応じて対処していこうというのが現段階の考え方でございます。
  11. 柴田健治

    柴田(健)委員 畜産振興について、何としても公害対策を忘れてはならないし、これはもう当面社会問題にも発展しているし、政治問題にもなり、それから特に今日やかましくなっておる環境保全の問題、水質汚濁防止、いろいろな形で畜産局のほうも、これには最重点的に取り組んでいかなければならぬ、これが原則になったと思う。  そういう立場で今年度の予算を見ると、どうもあまりにも感心できないという気がするわけです。畜産公害対策で二十六億五千七百九十四万円余り。その中で畜産団地の造成が十三億七千七百六十三万円。それからたとえば畜産経営環境保全に四千七百十一万円余、家畜死体処理施設、これは昔からあったわけですが、一億五千六百五十九万円、悪臭防止が九千六百六十七万円、畜産経営環境整備事業六億六千万円、検査機能が三千百二十八万円、高能率養豚施設設置事業八千九百五十八万円。これで何ができるか。  この予算で、たとえば悪臭防止対策推進事業九千六百万円。悪臭というのは養鶏が一番大きいですね。においが一番きついのが養鶏なんですよ。この養鶏は、いま昔と違って飼料関係からくる悪臭というものが非常にひどい。いま鶏ふんがやわらかい。やわらかいのはえさ関係だ。やわらかいから、においが非常にきつい。非常に悪い気象条件からくる悪臭が低下層に蔓延していくという傾向があるわけですが、悪臭対策で九千六百万程度ほんとうにやれるのだろうか、自信があるのですか。局長、どうですか。
  12. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  畜産関係についての公害対策予算面その他で最重点に行なうべきであるという点は、先生指摘のとおりでございます。四十八年度におきましては各種予算増加について重点的に努力いたしまして、先生のおっしゃった数字は項目のとり方でございますが、われわれとしては三十億程度予算を確保いたしまして、前年度から二倍近い予算を全体として確保するようにつとめたわけでございます。もちろんこの経費では必ずしも十分でなく、今後も諸問題の対応については一そうの努力を要するわけでございますが、ただいま例としておあげになりました悪臭防止事業その他の処理施設とか諸般の事業につきましては、公害問題の進展が非常に早いものでございますので、開発された技術を実験展示的に助成いたしまして、それによってそれぞれの農家対応を願うというふうに考えておるわけでございまして、その点でこの事業費自体については今後一そう充実の必要があるというふうに考えております。  さらに、先生が一歩踏み込んだ、ふん尿悪臭問題についての基本的なえさ性質とか肥培管理、くれる量とか飼料性質とか、あるいは発生したふん尿についての悪臭防止技術その他の問題については、試験研究等におきましていろいろな新しい課題として取り組むことを今年度から始めておるわけでございます。
  13. 柴田健治

    柴田(健)委員 局長なかなか熱心に答弁しておられるのですが、それが末端ほんとうに実効が出てこなければどうにもならぬわけです。私は、公害公害と、一般産業公害と同じような形で畜産公害も取り扱われると、農民だけがほんとうに苦しまなければならぬということになるわけで、これは政府全体のものの考え方の中から、農林省としても、畜産公害というものはほかの公害とは別だという考え方に立ってもらいたい。これがまず第一番です。これをしないと、農民はほかの公害と同じように取り扱われて、いろいろな批判の対象になってくる。やはり日本の畜産振興に対する生産意欲というか、そういうものがだんだん薄れてくる、こういうことになりますので、まずその点は交通整理をしてもらいたい、これが第一点です。  それから、個人個人農家処理施設というものは、技術資金力からいうと、なかなかむずかしいと思うのですね。それで広域処理方式を取り上げたらどうか。いま局長ちょっと言われましたけれども、ある程度、一ブロック単位ぐらいに、たとえば鶏ふん処理を広域的にやっていく、いろいろむずかしい問題があると思いますが、こういう構想の中で研究して、できれば実現でき得るように努力してもらいたい、こう思うのです。  それから、資金的な問題については、財政的な問題、融資というか、そういう問題も含めて両々相まってやってもらわなければいかぬ、そう思いますし、それから、飼料研究として、先ほど言われましたが、特にえさについて研究してもらいたいと思う。  私は各養鶏場を見て回るわけですが、見させてもらって感じますのは、昔と違うのは、えさ関係でやわらかいのが出るということ、やわらかいのが出ると処理に困る。それでかたいふんを出すようにしたらどうか。こういうことからいうと、えさに活性炭をまぜて食わしたどうかという気がする。人間も、昔は下痢をしたときには炭を飲む、炭を飲むと下痢がとまるといわれた。それで鶏のえさにもちょっと炭をまぜて食わしたらどうか。炭を食わせるとちょっとかたいふんが出る。そうすると、あと処理のしかたが非常に便利だ。袋へすぐ入れて遠距離に運ぶのも楽だし、そういうことでえさの面で研究開発をしていったらどうかという気がするので、こういう研究最大努力をしてもらいたい、こう思います。  それからもう一つは、たとえば畜産団地をつくろうと思う。ところが、不動産会社が中に点々と買い込んできて、ビラを配って、上のほうに畜産団地をつくると公害が起こるぞという宣伝をして、どうしてもじゃまをするということです。そういうじゃまをするようなところを何とかして畜産団地に育てていくように、農林省も県も側面から協力していくべきではなかろうか。それを、不動産屋の手先になってビラを配って、畜産公害が起きて、下々の者はきたない水を飲むようになるぞ、こういうような宣伝をして、畜産団地育成じゃまをしておる地域がある。具体的に言えばまた答弁が要りますから、言いませんけれども、そういうのがある。これは皆さん方知っておられると思うので、そういうことにならないように、畜産公害についてはこういう処置をするから心配するな、そういうぐらいな強い姿勢を県にも言わせる。それを指導するのが農林省畜産局だと思うので、最大努力をしてもらいたいと思います。  そういう点で、今後広域処理方式に取り組んでもらいたい。えさ研究については最善の努力をしてもらいたい。それから資金的な問題もあわせて努力する。それから畜産団地育成については、土地対策を含めて十分に配慮してもらう。これらの点について簡単に見解を聞いておきたいと思います。
  14. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  試験研究にわたる部分につきましては技術会議事務局長からお答え申し上げますが、まず畜産公害に対しては、一般企業公害のような問題認識ではなくて、むしろふん尿自体が肥料としてあるいは土壌改良剤として、他の企業工業排出物のごとき公害をもたらすものではないというような点と、さらに都市化の急速な進展に伴ってやむを得ず受けている面が多々あるという点並びに御案内のとおりの畜産経営負担力の問題というようなことを考えまして、一般企業の場合にいわれておりますような原因者負担と申しますか、PPPの原則の機械的な適用による国の援助の制約というようなものについてはわれわれとりがたいというような姿勢で、各種の国の助成等についても今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、広域的な畜産農家耕種農家との結びつき、その他広域的なふん尿処理考え方を大いに取り入れるべきではないかというようなお話でございますが、この点につきましては、先ほど簡単に申し上げましたが、広域厩肥利用事業ということが一部芽を出しまして、一種の組織化によりまして、耕種農家畜産農家とを結びつけて、そして適切な屎尿処理をはかるというような事業も始めておりますので、これらの成果を見守りながら一段と広域的な屎尿処理対策を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、畜産関係用地取得でございますが、この点につきましては、畜産団地の形成とか各種事業を進める場合においても、公害防止配慮というものについては相当事業内容にきっちり取り入れまして、周辺住民畜産公害の不安に基づく反対なりあるいは他部門への売り急ぎというようなものについては防止すべきであるというふうに考えておりますし、さらに、制度といたしましても、農業振興地域制度等の活用なりあるいは農地法草地共同利用権強制設定とかあるいは農地保有合理化法人に基づきます用地先行取得という、用地面なり事業面における公害防止への配慮というようなものによって、かりにも公害問題を基因として、畜産団地事業等推進等が足踏みをするということがないようにいたしたいという点については、御指摘点等を考慮いたしまして努力を続けたいというように考えております。  また、資金面につきましては、先生案内のとおり、近代化資金をはじめ公庫資金総合施設資金なりあるいは畜産経営拡大資金等々におきましても、この公害防止施設を最近におきましては十分対象に取り上げまして、公害防止施設畜産経営の一環であるというふうにして、融資を進めておるわけでございますが、特に四十八年度におきましては、農林漁業金融公庫におきまして、畜産環境保全資金を設けまして、従来の金利を大幅に引き下げ、また貸し付け限度も大幅に拡大いたしまして、環境保全関係についての融資円滑化を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、試験研究につきましては、技術会議事務局長から先生の御指摘の問題についての対処についてお答えを申し上げます。
  15. 柴田健治

    柴田(健)委員 畜産研究のほうはちょっとあとに回していただいて、あわせて、水質汚濁に関して畜産農家がとばっちりを受けておりますから、きょうは建設省厚生省環境庁に来ていただいておりますので、そのほうを先に質問を続けたいと思います。  農村へ参って、畜産農家のほうが、われわれの罪ではないのに、水がよごれるとか、どうもぐあいが悪い、こういうことでいろいろ調査研究をしてまいりますと、どうも、畜産農家だけのふん尿廃棄物というだけではなしに、人間さまのほうもある。いろいろ調べてまいりますと、個人単独浄化槽というか簡易浄化槽というか、そういうものから非常に悪い水が出ておる。これが畜産農家に結びつけられて、農村の川のよごれるのは全部畜産農家だ、こういわれる。そこをある程度けじめをつけないと、全部農民がどろをかぶるようになってしまう。この点について、ひとつ浄化槽の問題についてお尋ね申し上げたい。  建設省にまずお尋ねしたいのですが、建設省建築基準法建設大臣告示として構造基準を示しておる浄化槽、御承知のように、建設大臣告示第千七百二十六号ということで出している。これに対して建設省はどういう検定というかテストをしているのか、そうして現在何種類あるのか、まずそれをお答え願いたいと思います。
  16. 白川英留

    白川説明員 お答えいたします。  個人屎尿浄化槽構造につきましては、ただいま先生から御指摘がございましたように、建築基準法施行令第三十二条の規定によりまして、区域それから処理対象人員に応じまして相当きびしく性能基準が定められております。この性能基準に合致いたしますように建設大臣告示をもって浄化槽構造基準を定めておるわけでございます。これは相当きめこまかく具体的に定められておりまして、約二百種類ぐらいございます。これの評定につきましては、建築センターというのがございまして、そこで各業者評定を申請いたしまして評定を受けておるような次第でございます。したがいまして、この構造基準に合致いたしますと、構造基準が相当きびしゅうございますから、衛生上、環境上支障がない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  17. 柴田健治

    柴田(健)委員 いま二百種類ほどある、厳重にやっておるということですが、耐用年数はどのくらい見ておるのですか。
  18. 白川英留

    白川説明員 お答えいたします。  大体十年くらい耐用命数がございます。
  19. 柴田健治

    柴田(健)委員 一般家屋耐用年数は何年見ておるのですか。
  20. 白川英留

    白川説明員 大体木造が二十年でございます。
  21. 柴田健治

    柴田(健)委員 建設省住宅耐用年数は、われわれいずれまた機会をとらえて論争したいと思うのですが、それでこの五人槽、七人槽、十人槽という、人数に合わせて百人まで、それぞれの槽によって違うのですが、原価をどのくらい見ておるのですか。
  22. 白川英留

    白川説明員 お答えいたします。  正確な資料を持っておりませんが、おおむね十万円ぐらいだと記憶いたしております。
  23. 柴田健治

    柴田(健)委員 建設省基準性能検査も十分やっておられるというのですが、私は厚生省にまずお尋ねしたいと思います。  厚生省どうですか、この点について、十年間の耐用年数欠陥がないということを確認されて指導されておるかどうか。
  24. 浦田純一

    浦田政府委員 屎尿浄化槽維持管理につきましては、厚生省の系統で、末端では保健所の職員が当たっておるわけでございます。いままでの維持管理の経験から申しますと、十年の耐用年数という範囲内では、こちら側の維持管理基準を著しく逸脱するといったような事故例はあまり承知しておりません。  それから、建設省のほうで構造基準についてきめておられるわけでございますが、つれにつきましては、厚生省のほうからも参加していろいろと御相談にあずかっており、こちらのほうからも意見を申しておりますので、構造の点についても私どもは現在の維持管理の水準を保っていくためには必要な点は具備されているというふうに承知いたしております。
  25. 柴田健治

    柴田(健)委員 環境庁が見えていますが、環境庁規制対象というか指導対象は五百人以上の浄化槽というのを大体基準に置いておる。ところが、五百人以下のところに問題があるわけです。環境庁としては、今後水質汚濁防止法という法律を守って指導していくために、依然として五百人以上を基準にする、それから先は知らないんだ、あと厚生省がやるんだ、こういう姿勢をとられるのかどうか、環境庁、どうですか、その点については。
  26. 岡安誠

    岡安政府委員 御質問のとおり、現在水質汚濁防止法によりまして特定施設対象にいたしまして規制をいたしております。現在、特定施設といたしましては、五百人以上の能力のある浄化槽というのを規制対象にいたしております。将来の問題でございますけれども一般論といたしまして、かりに五百人未満の浄化槽が相当集中して存在をいたしまして、そのことによりまして異常に水質汚濁をするというような場合には、都道府県におきまして上乗せその他の条例によりまして規制ができるということになっておりますので、その点の指導をいたしたいと思っております。しかし、基本的には、やはり小規模の屎尿処理につきましては、まず下水道の整備、これを促進しなければならない。しかし、厚生省のお考えの屎尿処理計画におきましても、簡易浄化槽の占めるウエートというものもまだ相当大きいようでございますので、私ども今後とも簡易屎尿浄化槽につきましては、建築基準法によります建築基準を強化し、並びにその後の管理運営につきまして都道府県におかれて十分な規制お願いをいたしたいというふうに実は考えておる次第でございます。
  27. 柴田健治

    柴田(健)委員 私たちいま三者の御意見を聞かしていただいたのですが、建設省のほうは、十年の耐用年数だから十年間は責任を持って性能検査指導をして、構造基準をきめた。ところが、今日十年たっていないところはたくさんある。設置者が自分の家をつくって一年足らずでそういう不完全な処理が行なわれておる。現実にはそういう形が起きておる。厚生省のほうは、都道府県知事と協力し合って、末端では保健所が苦労しておる。保健所の苦労は厚生省は握っておられると思いますが、建設省のほうはそういう第一線の保健所が苦労しておることは知らぬと私は思う。知っておられるならもう少し、この二百種類性能検査、どこの製品が一番いいのか悪いのか、欠陥が出ておるかどうか確認をしておられると思うのだが、建設省、どうですか、確認しておられますか。個人の小規模の浄化槽がいつから製造できたのですか。どこのメーカーが一番早いのですか、建設者、ひとつ答弁してください。——  それはあと回しにして、とにかく保健所はどこの業者を集めて講習すればいいのか。たとえば岡山県なら岡山県にどういうメーカーが入っているのか。聞くところによると、岡山県は百五十種類入っている。私は一々調べて勉強する時間がないからできませんでしたが、とにかく建設省で出した構造基準を見せてもらう。それでどこが悪いのだ。設置者設置し、たとえばメーカーから特約店におりる、特約店はどうかというと、どうもメーカーを信ずるよりほかはありませんという。特約店は工事請負業者に売りつける。工事請負業者が、直接第一請負業者がやる場合はまだいいけれども、第二請負者になると、とにかくとっととっととつけさえすればいい、あとはどうなってもいい。そういうルートを経て設置者のほうは満足して、りっぱなものができた、こう言う、外見だけ見て。ところが、一週間、一月、一年たたぬ間にどうもおかしい、こう言う。どこが悪いのだろう。どこやらわかりません。たとえば外槽か、内管か、各種の仕切り板が悪いのか、アングルの調子が悪いのか、導入管が悪いのか、また放流管が悪いのか、排水管が悪いのか、それはしろうとはわからぬですよ。こういう点についてだれが責任を持つのか。建設省が責任を持たなければならぬはずだと私は思う。責任を持たなければならぬものが知らぬ顔をしておって、何にも知らない保健所が一生懸命やる。保健所は何もわからない、正直に言うて。そして環境庁のほうは知らないのだ、五百人以上だ。何もわからないから、畜産農民が悪い、こう言って、畜産公害と一緒くたにしておる。これだけ水質汚濁防止法という法律ができて水をきれいにしましょう、国民一人一人が立ち上がらなければならぬのに、こういう無責任体制で完全にできておると思うところに私は問題があると思う。保健所でどういう悩みを持ち、どういう苦労をしているか、厚生省、ひとつ説明してください。
  28. 浦田純一

    浦田政府委員 結局、末端保健所の職員が私どものほうから出しました指導通牒、もちろん法律にも根拠があるわけでありますが、によりまして維持管理の監督に回っているたてまえになっております。大体一年に一回は汚泥をとっていただいて掃除をする、それから三カ月に一回は点検をするというようなたてまえでやっております。もしも三カ月に一回の定期的検査でいま先生の御指摘のような異常が発見された場合には、改善命令をかけることができるわけでございます。それから、はなはだしき場合には使用の停止を命ずるということも可能なわけでございます。しかしながら、実際の問題といたしまして、なかなか保健所の職員に対するこれらの仕事というものは、先生の御指摘の点もございまして、十分に手が回っていると言い得ない状況でございます。私どもはそのためにやはり施工技術者の教育というものを建設省と共同でやっておるわけでございますが、日本建築センター及び日本浄化槽教育センター共催のもとに実施して、技術者の養成ということで施工技術者のほうからのこれらの知識、技術の向上、それからほかに屎尿浄化槽管理技術者、これを養成して民間からの協力、積極的な維持管理の推進ということをお願いしておるわけでございます。また都道府県関係の職員の教育につきましても、別途に教育センターでもってテキストを作成して配付するといったようなことで、いろいろと努力しているわけでございますが、先生指摘のように、屎尿浄化槽の本来持っている性能の限界ということもございまして、放流水の水質というものの維持管理につきまして、これはBODで九〇PPM以下ということになっておりますが、その維持管理について違反事例も必ずしも少なくないというところでございます。
  29. 柴田健治

    柴田(健)委員 厚生省のほうは苦しい答弁をしておられますが、あなた方が保健所には相当技術者がおるように思っておるのが大きな誤りです。おりはしないのですよ。それで、あなたは使用停止なんて簡単に言われるけれども人間は生きているのですよ。毎日上から入れたら下へ出るのは原則だよ。そんな簡単に使用を停止して、どこへ持っていくのかね。役人というものはなんてことを言うのだという気がするのですが、それはそれとして、厚生省はそういう重要な任務を持っておる。ところが、建設省はもっとしっかりしなきゃならぬ。建設省は将来これはほんとうにどうするのか。  私の提案として一つ申し上げますが、たとえばメーカーに証紙を張らせる。その証紙を、特約店、工事請負人を経由して、設置者じゃなくて、最終段階の工事をした者がその証紙に設置場所となにとを書いて、市町村役場か保健所へ届けるように一つの責任を持たしたらどうですか。そうすれば、どこのメーカーのものがどの家についているか、保健所がすぐわかるし、市町村役場も知っている。あなた方が一応責任を持って性能検査をして、十年間もたなかったらどうするのだ。十年間もたなかったら、建設省が全部国の経費で買い取るのか。そういう建設省は、十年もちますから十年間だいじょうぶですということで、アフターサービスも何もしない。業者はつけっぱなしだ。そしてどのメーカーのどこの工場の製品かわからない。メーカーの不明なものがある。こういうのを野放しにしている。それで、一つ一つの証紙を、そんな大きな証紙でなくていいのだから、ちょっと簡単に書いて保健所へ届け出るとか市町村役場へ報告するとか、最後の工事請負人が報告するとかいうことをやっておけば、保健所はちゃんとわかる。その証紙を張っておきさえすれば、どこの地区の何のたれべえがどこのメーカー浄化槽をつけたということがわかるわけですから、そうすれば、保健所業者を集めて講習もできる。おまえのところのをつけたのはどうも品質があまりよくない、人気が悪いじゃないか、こういうことで、保健所も外のメーカーを無差別に呼ばなくても、ちゃんとその業者を呼んで指導もできるしまた助言もできる、こういうことになるのじゃないですか。何らかの方法をとらなければ、このまま野放しにしておいて、あなたは何か性能検査でやっておりますというだけでは世の中は通りませんよ。だんだん水をきれいにする運動も発展してきているのですから、どうですか、建設省、それがとれますか。
  30. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 お答えいたします。  ただいまの末端の施工の実態につきましては、ただいま厚生省のほうからお答えいたしましたように、厚生省と一緒になりましてそういった施工技術者の指導をいたしております。  また、メーカーサイドにつきましては、現在二百社ちょっと上回るかと思いますが、それほど多くのメーカーがございます。そのメーカーの中でも数十社は現在、先ほど参事官からお答え申し上げましたが、建築センター評定を受けております。ただ、これは法律的に評定を義務づけられているわけではございませんので、最近では非常にたくさんの中小のメーカーの製品が出回っていることは御指摘のとおりでございます。全体の総量から申しますと、私どもはそういう名もないような中小メーカーの製品というのはおそらく全体の一割程度ではないかというように感じておりますが、会社の数としては非常にございます。  そういったものに対しまして、先生指摘のように、何か証紙を張らすとかなんとかいう形で指導してまいりたいということは、私どももかねがねから考えておりまして、現在通産省と話しまして、そういうメーカーのいわゆるJISをきめたいということで、JIS原案の検討を進めている段階でございます。したがって、本年度中にはそういったJISをきめて実施していくというような形が取り得るのではないかというふうに考えております。  また、先生指摘浄化槽設置した場合にどこのメーカーのものがついておるかわからぬではないか、保健所が承知してないではないかというようなことに関しましては、一応私どもが確認申請を受けます。そういたしますと、その確認申請を受けた段階で、どこにどういう浄化槽がつくということを保健所のほうに通知することになっております。そういう関係で相互に密接な連絡をとって、今後とも十分な指導をやってまいりたいというように考えております。
  31. 柴田健治

    柴田(健)委員 環境庁のほうも、五百人以上ということで逃げずに、ひとつ、都道府県にまた責任をみなかぶせずに指導してもらわなければいかぬと思うのですね。それから、この問題については建設省もまた厚生省環境庁も三者が十分協議していただいて、どう今後の処置をしていくか。末端で苦労している諸君に苦労のしがいのあるようにしてやらないといかぬ、しやすいようにしてやらなければいかぬ。そういう点では配慮してもらいたい、こう思います。  以上、時間がございませんから、いろいろ申し上げましたが、最後に、千葉にある畜産試験場の移転の問題でかねがね聞くのですが、筑波山ろくへ畜産試験場を移転する、こういう構想のようでありますが、現在ある千葉の試験場、あんなところじゃ十分試験ができないのだ、こういう理由になっておるようですが、筑波山ろくへ持っていく場合に、今度は百ヘクタール以上の敷地のようでありますが、千葉にあるあと地はどういうことをするのか。その点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  32. 中澤三郎

    ○中澤政府委員 お答え申し上げます。  筑波に、研究学園都市の建設の一環といたしまして、お話がございました千葉にある畜産試験場を移転する予定でございますが、そのあと地に関しましては、これは大蔵省に移管をされまして、大蔵省の国有財産中央審議会の議を経まして大蔵大臣があと地処分を決定する、こういうことになっておりますが、実際問題として、これまで私たちにもあのあと地の利用に関しまして県あるいは市などから陳情が来ておりますが、地元の意向といたしましては、公園その他の公共施設に使いたいという意向でございます。農林省といたしましては、いま申し上げましたような大蔵省所管になりますもので、格別の意見を持っておるところではないわけでございます。
  33. 柴田健治

    柴田(健)委員 いま千葉のは大体五十七町歩くらい面積があるのじゃないですか。今度百一町歩ということで、土地から建物から補助その他全部入れると百三十億くらいな建設費の見込みなんですが、いま五十七町歩あるところを大蔵省はどういう形で処分するのか知らないですけれども、相当の資金が入ってくる。その入ってくる資金全額筑波のほうへ投資して、なお足らないところは一般財源から充当していくというような考えがあるのかどうか。その点でわれわれは非常に心配をしておるわけですよ。  日本の畜産試験場というか、試験研究機関はあまりにもおくれているのですね。改築なり、もう中の整備、備品その他含めて試験機関がおくれておる。これを早く取り戻すためには、思い切った財政投資をしなければならぬ。その点、農林省のほうも年次計画を立ててやるべきではなかろうか、こういう気がするわけですよ。  私はいま競馬益金——いずれ競馬の問題であらためてこの次やろうと思うのですが、どうも競馬益金が第一納付金、第二納付金——いま二百二十億第二納付金が入っておるようですが、あれは大蔵省と話し合いをして畜産試験研究機関に充当するということで、この四、五年の間は第二納付金をもらったらどうかという気がするのですよ。そうすれば、年に二百億くらいを五年ももらえば一千億だから、それを基金にして試験研究機関に充当して使っていくというぐらいの基金制度をつくったらどうかという気がするのですが、これは答弁は要りません。ひとつ研究課題として提案しておきますから、この試験研究機関についてはいずれあらためて論争したいと思います。  きょうは以上で終わります。
  34. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 島田琢郎君。
  35. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 きょう私は大豆問題を中心にして質問をする予定で通告をいたしておきましたが、たまたまけさの読売新聞紙上で一面トップで米の問題が出てまいりました。したがって、この時間を若干さいて、ひとつこの新聞の記事を中心に質問をしたい、こう考えていたわけでありますが、いま話に聞きますと、肝心の中野長官が病院に行っていて十二時まで来れぬということであります。それではどうも私のほうも都合が悪いわけですけれども、当面、次官がお見えですから、次官も読売新聞の記事をごらんになっていると思いますが、この新聞記事は非常に重大な意味を持つわけです。ひとつ考え方をまず次官から聞きたいと思います。
  36. 鈴木省吾

    鈴木(省)政府委員 私もけさの読売新聞の記事を拝見いたしました。ほかのほうの新聞には載っておらないようでございますけれども、確かにあの記事そのものに重要な問題が報道されております。しかし、実際、昨日ですか、総理が食糧庁長官と主計局長をお呼びになっていろいろ勉強された、そういう記事のようでございますけれども、実は詳細の報告はまだ受けておりませんので、その内容は後刻食糧庁長官が参りましたならば、どうぞひとつお聞きを願いたいと思いますけれども、別に結論として出ておるわけではないのでありまして、ああいういろいろな問題があるかというようなお話であったと考えております。
  37. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 次官は新聞の記事も読んでいらっしゃらないようですね。よくおわかりになっていないようですから、次官をいま問いただしても、真意のほどが明確になってこないと思いますから、それでは長官がお見えになるまで、私の通告した大豆をやらしてもらいまして、長官がお見えになったら米に切りかえさせてもらうことを、委員長、ひとつ了承を得たいと思います。  それでは、大豆の問題について質問いたしますが、この大豆の問題が、正月以来大きな国内問題として、物価に非常に深刻な影響をもたらしながら、国内の、大豆ばかりではなくて、穀物のあり方、生産のあり方について問い直されている。こういう重要な問題が提起された。しかもまた、大豆が一つの口火になりまして、そのほかの食料なども投機の対象にされるなど、国内経済がめちゃめちゃになったという感じさえ一面するわけでありますが、この大豆の問題については、われわれはずいぶん早くから、国民食料の重要な位置を占める大豆については、国内においての自給率を向上せしめて、海外依存の大豆のあり方については反省すべきであるということを強く主張してまいりましたが、われわれが言ってまいりましたとおりの結果にいま推移をして、きわめて残念なことであります。しかもまた、こうした事態を迎えながら、大豆の国内生産振興に対しては、農林省自体に何らの具体的方策を持っていないという印象を強く持っております。私はぜひともこの機会に、この大事な、畑からとれる肉だといわれる植物たん白の王さまであります大豆を、この機会に完全に国内の自給体制を整えて、少なくとも物価や国民生活に重大な影響をもたらすようなことがないような施策は、農林省の責任において早急に確立しなければならない、こういうふうに主張している一人であります。  この機会に、こうした大豆の状況を背景にして、農林省自体どのように今後の生産あるいは国内の需給関係を正常にしていくお考えを持っておられるのか、まず第一点、その点をお聞きいたしたいと思います。
  38. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 大豆につきましては、私どもも国内における重要な畑作であるというようなことから、従来その生産の振興をはかってまいってきているわけでございますけれども、大豆の生産性というものが諸外国に比べても低いというようなことがございまして、また大豆の収益性というようなものもありまして、逐次減産してきたわけでございますけれども、やはり大豆については国内に根強い要需もあることでございますし、また、大豆の中におきましても、国内産の大豆というものは、輸入大豆に比べますとたん白含有量も高くて、わが国の伝統的な食品でありますとうふでありますとか油あげ、納豆というようなものに適しているというような点も考えまして、私どもといたしましては、昭和五十七年度の需給の展望と生産目標の試案というようなことにおきまして、食品用大豆の八割程度の自給というようなことを考えている次第でございます。そういうようなことの達成のために、いろいろな努力をしてまいりたい、かように考えております。
  39. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 いまにしてもまだ局長はそういうとろくさい大豆の生産振興しか考えていらっしゃらぬとしたら、これはたいへんなことになると私は思います。なるほど農林省がお出しになった試案の中では、現行三・八%しかない自給率を一二%まで上げる。これは現状を肯定するならば、たいへん思い切った生産振興であるというふうに数字の上では見られるわけでありますけれども、しかし、現実に、単に五十七年には自給率一二%になりますというだけで、何らそれに伴う誘導政策がない。このままでいったら、あなたがおっしゃるように、食用大豆の八割を自給できるなどという見通しは、どこからも出てこないというふうに判断しております。  したがって、当面やはり思い切って大豆の生産振興をやろうとすれば、幾つかの問題があると思うのです。その問題点をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  40. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 大豆につきましてはいろいろむずかしい問題もございます。畑作物の中での他の作物とのからみ合わせの問題、競合の関係、あるいはローテーションの問題、そういうようなこともございますし、また大豆につきましての集荷というようなこと、そういったことも考えなければならない。言ってみれば、共同出荷というような体制の整備。従来は大豆というのは、どちらかと言いますと、かなり畦畔なんかでつくられたことがあったわけでございますけれども、最近農業における機械化の進みあるいは農薬といったようなことから、そういった畦畔大豆というものがかなり減ってまいったことは事実でありますし、いずれにいたしましても、そういった大豆というものをまとめてつくるようなかっこうにこれからもしていかなきゃならぬ。言ってみれば、生産対策というようなことも講じながら大豆の増産をはかっていかなきゃならないというようなことで、私どもといたしましては、生産性の高い団地育成するというようなこと、そしてその生産の合理化と流通の近代化を同時にはかっていく。それから、同時にまた、稲作から大豆への転換というようなことをはかりますための土地条件整備、あるいは省力機械施設の導入でありますとか、あるいは種子対策というようなことで、転換対策というものを特に、従来からもやってきておるわけでございますが、四十八年度におきましては、特に転換対策というものの採択基準の緩和というようなことも含めまして、いろいろ大豆への転作を積極的に進めたいというようなことを考えておるような次第でございます。
  41. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 いま局長がおっしゃっていることは、やはり現状肯定の上に立っての大豆振興件であります。私はそういうことで五十七年度の目標達成はますます困難になると思います。畦畔大豆だとかあるいは水田のいわゆる稲作転換の大豆であるとかいうふうな、それは大豆の耕作の上からいえば主ではなくて従であります。そういうものに多くを依存して大豆の自給率を高めていくなどということは、これは私に言わせれば、まさに農業の邪道でありまして、ほんとうの意味では、後半に触れておりましたように、いわゆる大豆の生産団地、そういうものの育成が必要だ。しかし、それには——過去の歴史を見てもおわかりのように、大豆がなぜ三・八%の自給率に落ち込まなければならなかったかという問題点は私は明らかだと思うのです。その明らかな問題点に触れないで省力化を進める。しかし、畦畔大豆で省力化を進めるといったって、どこまで進められますか。あるいはまた稲作転換による水田の大豆でどこまで機械化や省力化が進められるとお考えなのか。私はこれは従であって、主になるものはやはり輪作形態の中にきちっと大豆が取り入れられていって、畑作全般で大豆の作付の位置が安定するというところに本命があると思うのです。それが主であろうと思うのです。その対策がおろそかになっているという点を私はきわめて不満に思うわけであります。  そういう点についてのお話を聞く前に、なぜそれでは大豆がこれほど大撤退をしたか。特に主産地帯において大豆がほとんど耕作されなくなったという事実はどこに原因があったのか。それをひとつお示しいただきたいと思うのです。
  42. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 内地と北海道と事情がいろいろ違うかとも思いますけれども、北海道の畑作地帯におきましては、他作物との競合関係あるいはローテーションの上での牧草の導入あるいはビートの導入、そういうようなこととのからみ合わせで大豆の面積が減ったということであります。  しかしながら、最近北海道の畑作地帯におきましても大豆についての生産の熱意が出てまいりまして、若干増加ぎみ、上向きぎみに転じてきているというように承知をいたしております。
  43. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 どうも伊藤局長はものの見方が甘いと思うのですよ。これは大豆ばかりでなくて、いままで農水の論議を通しまして、私は強くそういう感じがいたします。畑作振興の重大な窓口であり、日本の畑作の指針を示さなければならないあなたは大事な立場に立っていらっしゃる。その局長が、大豆の振興策についてその程度のお考えしかお持ちにならぬとすれば、とても大豆の振興や自給率の向上などということは望めないと思うのです。私はその問題点は明らかに、他作物に比して価格的にきわめて不利な状態にある。これがもう明らかな問題点だと思うのです。  そうでないというなら、私はほかの作物と比べてひとつ議論をしたいと思うのです。たとえば、たとえばでなくてきわめて大事なことでありますけれども、昭和四十六年度の十アール当たりの収入金額の比較をしてみますと、同じ交付金の対象になっておりますなたねで一万四千五百三十九円、米は六万一千三百三十五円なのです。六万ですよ。バレイショはどうか。バレイショも非常に不利な作物といわれておるわけですけれども、これが二万一千三百八円。赤いダイヤといわれる小豆は二万七千九百円。さらにそのほかのインゲンで一万五千七百十五円、ビートは三万四千百円であります。大豆は一体幾らか。一万一千円であります。これが大豆が今日大撤退をし、自給率が極度に落ち込んできている、まさに元凶だと私は思うのです。この点を調整しなくて、交付金制度で幾ら——五千八百円を実現したから大豆の生産振興はだいじょうぶだと昨年私ども生産者代表におっしゃった経過を私どもは承知しておりますが、一万一千円で他作物に比べてこれほど差がある大豆の生産振興なんかできっこないわけです。  おそらくこの一万一千円という考えの中には、畦畔大豆は、言ってみれば、あぜ草のかわりにとれたものだから、とれただけもうけもんだというお考え、あるいはまた、水田の転作による大豆は、転作奨励金の上積み部分であるから、これもまたとれただけもうけもん、こういう考え方しかない大豆のいわゆる生産振興政策であります。いま局長がおっしゃっているのも、まさにこれを裏づけているわけであります。まともな畑に大豆をつくっても一万一千円では、とてもこれは定着しないのです。ここがひとつはっきりしてきませんと、やれ機械化をするだの、省力化をするだの、水田の転作に期待をするだの言っても、大豆は五十七年度の一二%の自給率向上は絶対に見込めない、私はこう思うのです。お考えはどうですか。
  44. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 大豆につきまして、大豆と他作物との関係でございますけれども、労働時間等の問題にも差がございましょうと思います。大豆の生産費というようなことも私ども調べておりますけれども、過去におきます価格というものは生産費を大体償ってきておるというように私どもは考えておるような次第でございます。
  45. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 生産費が償っておれば、大豆はどんどんつくられてきます。農家といえども、やはり十分そろばんをはじいて採算に合わなければ、これは何ぼつくれと言ったって、つくれません。いかに国民食料の大事な部分であるからといって、経営上採算のとれない作物をつくるなんということができないということは、すでにもう構造政策以来政府の示された政策の中でさえ明らかになっているわけです。しかし、局長はそれを言い張るんであれば、私は別な点でひとつ反論をしていきたいと思うのですけれども、さて、いまの国際的に見た大豆の生産状況、四十六年以降でけっこうであります、四十八年は見込みでけっこうであります。この国際的に見た、世界の大豆の生産状況と、それから、流通市場に回される大豆の量はどのくらいになりますか。あわせて主要生産国をひとつお示しいただきたい、こう思います。
  46. 池田正範

    ○池田政府委員 御指摘の、世界の大豆の生産状況でございますが、これは最近におきましてはほぼ四千万トン台で推移をいたしております。  主要な生産国は、アメリカをはじめといたしまして、中国、ブラジルといったようなところが中心の国でございます。これらのうち、アメリカが世界の生産量の約七〇%を占めておる大生産国ということになっておりまして、生産量は年々増大をいたしております。中国とブラジルにつきましては、近年ブラジルの増産がかなり目ざましいものがございまして、中国が逆に停滞傾向が目立っているというのが、ざっとした見方でございます。  このような大豆の生産に対しまして、世界的な大豆の流通ということを見ますと、一九七〇年におきましてほぼ千二百六十万トン、生産量の約四分の一程度が流通に回るというふうなことでございますが、この流通量の九割はアメリカの輸出でまかなわれておるというのが実情でございます。  それから、四十八年のざっとした見通しでございますが、これは四十七年から四十八年にかけましてアメリカがかなり増産に転じまして、先ほど申し上げましたアメリカの三千四百万程度数字が、四十八年の見通しでは約二割程度ふやすというふうなことで、いわゆる作付制限を取っ払うというふうなことで増産に取りかかっておりますので、全体としては、アメリカが約二割増。それから中国は、これはどうも発表されませんのではっきりわかりませんけれども、最近の情報等によりますと、天候その他必ずしも順調でないというふうなことで、従来の六百万ベースを大きく上回る生産は望めないのではないかというふうに考えられます。またブラジルは、三百三十万ベースでございましたけれども、これも最近は非常に増産意欲を燃やしておりまして、情報によりますと、四百六十万程度の増産が達成できるのではないか。これはこれからの夏場の気候等にも左右されますので、確定したことは申し上げられませんが、ざっと申し上げますとそういうことでございます。
  47. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 確かに、池田局長おっしゃったように、アメリカは、増産に踏み切っておりますから、いまの二割程度の増産が見込まれるであろうという情報は、私どももキャッチをいたしております。しかし、そこで問題になるのは、一体日本はそのうちどのくらいアメリカから輸入をしているのか。そしてまた、最近、一九七二年の五月にきわめて顕著にあらわれたのでありますが、輸出価格が一六%も高くなった。これがすなわち、昨年以来日本の大豆のいわゆる影響が甚大になってあらわれた大きな原因であります。これにはいろいろな背景があるでしょう。たとえば雨の問題だとか、あるいはミシシッピー川がどうしたとか、あるいはガルフ・ストの影響を受けたとか、いろいろなことがあるようですけれども、一六%もアメリカの大豆が上がっている。そしてまた、増産にもかかわらず、アメリカ大豆の価格はウナギ登りに上っているというふうな実情にある。そういう点を見越して、国内においては大豆が投機の対象にされるという事態が起こっているわけであります。こういう点を考えますと、アメリカに数量的には依存をすることが可能であっても、価格の上では国内の大豆価格と大体似たり寄ったりの状態にまでなってきているという点を考えますときに、アメリカの大豆といえども、将来国内の食用大豆の部門に及ぼす影響というものはきわめて大きくなってくるであろうということが考えられる。数字的にひとつ、池田局長の手元でおわかりであれば、いまの輸入価格はどれくらいになっていて、国内産の大豆の出回り価格と数量はどれくらいになっているのか、この点をひとつ明らかにしてほしいと思います。
  48. 池田正範

    ○池田政府委員 お尋ねの第一点の輸入先別の数量でございますが、四十七年におきますわが国の大豆の輸入量は、御承知のように、三百三十九万トンという実績が出ておりますが、輸入先別に見ますと、アメリカが三百十二万トン、全体の九二%と、圧倒的なシェアを占めております。中国が二十五万四千トン、七%半、これは従来約三十万トンベースで中国から入っておりましたが、御承知のように、中国の不作等の影響があってダウンをいたしたわけでございます。  それからアメリカから入ってまいりますものの大部分は、これは油をしぼる製油用でございまして、一部とうふ等の食品用も含まれておりますが、中国からのものは大体みそ、納豆といった食品用に使われる分でございます。  今後の見通しといたしましては、アメリカは大体安定した供給先といたしまして、おそらく現在よりやや多く輸入が継続されるというふうに見込んでおるわけでございますが、中国は、中国自体が最近になって需要が非常にふえてまいりまして、供給力が不足しておるという実態のようでございます。そのようなことから、輸入の余力というものは必ずしも、将来に向かっては明るい見通しにはないというふうに私ども見通しておるわけでございます。  なお、昨年、ブラジルから約一万トンほど製油用の見本輸入をいたして、現在検討したわけでございますけれども、今後の輸出余力、輸入ソース先といたしましてはきわめて有望な地域というふうに見込まれまして、おそらくブラジルからの輸入というものはかなりふえるというふうに私ども考えております。  それから、値段でございますが、これは御承知のような国際的な相場商品というふうなことで・その指標は、申し上げるまでもなく、シカゴの定期相場、これが中心になっておるわけでございます。一九七二年の十月中旬には、一ブッシェル当たりで三ドル三十セントという相場が立っておったわけでございますが、それが二カ月後の十二月半ばには一ドル上がりまして四ドル三十六セント、さらに一九七三年、ことしの二月から三月にかけましては五ドルから六ドル水準に推移いたしまして、四月には若干下げましたけれども、五月に入りましてからは上昇を続けまして、最近では九ドル四十セントといったような、かなり高いところまで上昇いたしておるわけでございます。  この大豆の価格がこのように国際的に高騰してまいりましたのは、申し上げるまでもなく、国際需給というものが先行き窮屈になるといった見込みを背景としてそういう相場が立っておるというふうに私ども考えておるわけでございますが、その第一は、何と申しましても、大豆そのものよりも、大豆かすの需要、この供給構造が近年大きく変わったということが一つの要点でございます。御承知のように、ペルーの魚かすというものが、アンチョビーの非常な不漁、並びに試験操業をやりましたけれども、その結果が思わしくないということで、再び中止といったような背景から、大豆油かすに対する需要転換というものが非常に大きく国際価格に影響を与えておる、これが第一だと思います。  それから第二は、アメリカの農務省がこの四月下旬に発表いたしておりますけれども、四月一日現在で、アメリカの大豆の在庫は一般の予想数値をかなり下回っておりまして、このために、いまの水準でまいりますと毎月約一億一千ブッシェルずつ国外に大豆が流れ出していく、むろんその中には日本の一部も入っておるわけでありますけれども、流れ出していく。こういたしますと、アメリカが需給均衡として考えておりました水準より少なくとも一カ月に一千万ブッシェルくらいの出が多いというようなことから、八月から九月の転換期、端境期にかけてランニングストックがなくなるのではないかということを非常におそれているわけでございます。そういうようなアメリカの在庫水準が非常に低いということが、いわゆる新穀増産の刺激にもつながっておりますが、同時に現在の旧穀の価格を非常に引き上げておるという一つの有力な原因になっておると考えております。
  49. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 私が尋ねました点のもう一点が落ちておりますが、国内価格との比較という問題については後ほどひとつお答えを願いたいと思うのです。  いま局長からお話がありましたように、アメリカといえども、増産はされているものの在庫率は低下する、非常に窮屈になる。しかもアメリカ一国で世界の大豆の大半をまかなっているという状態、こういう状態というものは、わが国にとっては、特にアメリカとの食料の提携というような問題がいままで長い間そういう一つのしきたりみたいなもので続いてきた中で、今後において受ける影響というものをもろにかぶるのはやはり日本だ、こういうふうに見ざるを得ませんし、またその見方はまともだと思っておるのです。そういう点考えますと、私は、この大豆の生産振興というものはアメリカに一〇〇%依存するような体制というものは非常に危険である、こういうふうに考えております。  そこで、国内における大豆の生産の仕組みいかんによっては、外国から入ってくる大豆に決して劣らないだけの、いわゆる品質的にはもちろん優秀でありますし、価格の上でも決して国内でつくって食料の部分に重大な影響を及ぼすほどの高価格ではない方向は幾らでも見出せるはずであります。  しかしながら、今日国内における大豆の反当たり収量というものが極度に低い。かつてわれわれは三百キロ以上も反収をあげたことがありますのに、最近は平均で百二十キロくらいにしかなっておりません。百二十キロから百三十キロ、二俵そこそこであります。これでは現行五千八百円のいわゆる基準価格で大豆を生産しろといっても、さっき言ったように一万一千円の収入にしかならないとすれば大豆の生産振興はこの価格の上で大きな壁にぶち当たるわけであります。この点をひとつ是正しない限り、伊藤局長がおっしゃっているように、国内における大豆の生産振興というものは私は絶対にできない、こういう判断に立っているわけであります。  時間のすべてをこの大豆で費やそうと思っておりましたが、先ほど委員長にもお願いしましたように、緊急の米の問題で中野長官にお尋ねをしたいと考えておりますので、この点ひとつ意を尽くせない点やあるいはまた十分の考え方が引き出せないまま大豆の問題の質問を終わることをたいへん残念に思うのですけれども、いま農業団体中心になって、大豆を長い間つくってきた農民の側から、ぜひともひとつまともな輪作体系に組み入れられて、反当二万円以上の保障ができるような大豆の価格の引き上げを頼みたい、これは私は実際経営をやっている側からすれば、ローテーションに組み入れられた他作物との均衡あるいはまた大豆の輪作の中における重要な役割り、こういう点を考えますと、いまこそ私は思い切った価格措置を講じて、当面生産の振興をはかりながら、もう一つには、かつて三百キロ反収をあげることのできた大豆の品種改良に全力をあげて取り組む、三百キロが実現すれば私は七千円でも大豆は完全にローテーションの中に組み入れられて、農林省がお考えになっている一二%を一五%も二〇%も自給率を高めていくだけの力を発揮することができると思うのです。ところが、品種改良というのはそう簡単に、ことしやって来年成果のあがるものではありませんから、五年なり七年なりかかります。この間価格面において生産振興を刺激するという緊急措置が私は必要だと思うのです。これは長い議論をした中で申し上げようと思ったわけでありますが、先ほど申し上げたようなことでありますので、私のほうからこの考えをひとつ特に伊藤局長にお尋ねをしまして、当面ひとつ四十八年度から大豆の生産振興に真剣に取り組む施策の一つとして、少なくとも一俵一万円の大豆価格の実現をはかりながら、そして同時に、品種改良に真剣にひとつ取り組む姿勢をこれから明らかにしていただきたいと思うのでありますけれども、この大豆価格の問題につきましては、どういうお考えをお持ちになっているのかをこの機会にお聞かせをいただきたいと思います。
  50. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 大豆の生産を増強するためにいろいろな施策を講じなければならぬ。ただいま先生指摘のように、品種の問題というふうなこともございます。私どもは、先ほどもお答え申し上げましたように、種子対策というようなこと、これはじみではございますけれども、そういった努力は積み重ねていかなければならないと思います。また大豆の省力的な栽培というようなことにも努力をしなければならないと思います。またそういった生産対策と並行いたしまして、ただいま先生指摘のような大豆の価格対策問題というものも当然あるわけでございます。私どもといたしましては、四十八年産の大豆あるいはこれ以降の大豆の問題というようなものにつきましては、大豆の需給事情というようなものも先ほど来いろいろなお話がございまして、そういったことも私ども踏まえまして、大豆なたね交付金暫定措置法というようなものによる大豆の基準価格にいたしましても、この法律の趣旨に従いまして適正な価格決定につとめるというようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  51. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 具体的にお聞きしますが、価格対策にも交付金制度を生かして取り組みたい、こういう答弁でありますが、一体どれぐらいの価格を考えておりますか。というのは、農家はやはりとれたときに幾らになるかというその心配ももちろんありますけれども、まず作付をする段階で、営農設計の中でことしの大豆はこれぐらいだというそういう一つの見通しを持っておりませんと、本腰を入れた生産振興につながらないのです。ですから、私どもは、十一月の告示などということでは、できてしまったもので値段をつけられたんでは、これはもうでき上がってしまったものでありますから、極端に言えば、言い値で売らざるを得ない。とても倉庫に寝かせておくほど農家は余裕がありませんから、つくったものは言われた値段で出さざるを得ない。またそういう制度にもなっています。  そこで、私は、どうしても四十八年度以降の課題として早急に検討いただきたいのは、少なくとも営農設計の段階とまでは言いません。営農設計は大体一月であります。しかし、四月の耕作を始める前にことしの大豆はこれこれの価格だ、当面生産奨励金のような仕組みが私は必要だと思うのですが、奨励金はこれぐらい出すぞ、こういう一つのめどを明らかにしていただくことでないと、真剣になって大豆のいわゆる面積拡大、生産振興、こういうものに身が入ってこないという、これは理屈抜きにそういう実態にあります。そういうお考えも含めて、ひとつことしの大豆価格の見通しを明らかにしていただきたいと思います。
  52. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 先生案内のとおり、現在の大豆価格はいまの制度のもとで十月末に定めることに相なっておるわけでございまして、したがいまして、現在の事態でその価格が幾らになるかということを予測することは困難な点があるわけでございます。ただ、私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、できるだけ大豆の増産ということを考えていまして、そういった面でいろいろな努力を積み重ねていきたいというようにも考えているような次第でございます。  なお、いまの制度が十月末に定めることになっているというのは、一つには、やはりこの最近のような価格、物価というものが漸次上がっていくというような態勢のもとでは、パリティ計算をいたします場合には、十月における価格というものが、現在、作付前にきめる価格よりもより有利になるのではないかというようなことも私どもは考えておる次第でございます。
  53. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 大豆の議論はまた別な機会にひとつやりたいと思います。  そこで、中野長官がお見えでありますから、先ほど次官にもお尋ねいたしましたが、きょうの読売新聞の朝刊のトップに記事が出ております。長官もすでにこれはお読みになっていると思うのでありますが、これは非常に重大な記事であります。この記事の中身について、長官がこれに出席をしているようでありますから、この全貌をひとつ明らかにしてほしいと思います。
  54. 中野和仁

    ○中野政府委員 昨日十時過ぎ、総理から数日前に私に御連絡がございまして、当面の米をめぐるいろいろな問題がある、だからひとつ勉強したいから来いと、こういう御指示がございました。昨日、私と大蔵省の主計局長が参ったわけでございまして、一時間四十分ぐらいいろいろ御勉強されたわけでございます。  私、申し上げましたのは、もういろいろ新聞等にも出ておりますが、いずれ四十八年産米価をきめなければなりませんので、その米価をめぐる情勢と、それから四十八年産米について生産調整が、いままだ実績等も出てまいっておりませんが、それがどういうふうになっているかというようなこと、それから四十九年以降どういうふうになるんだというようなこと、それから食管制度につきましていろいろ研究会等もやっておりますので、その辺の様子、それから過剰米の処理の状況、この点について私からかなり長い時間かけて御説明申し上げまして、それをめぐりましていろいろ懇談があったわけでございますが、その間一度もこういうことを指示するからすぐこうしろということは何らございませんでしたので、私もけさ読売新聞を見てびっくりしたところでございまして、繰り返すようでございますが、勉強をされた、まあ常識的に申し上げれば、米価の時期も迫っているので、米談義をやったということでございます。
  55. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 しかし、記事にこれだけのものが出たのですね。三人でおやりになったわけですか、勉強会を。新聞記者は一切シャットアウト、そうですか。
  56. 中野和仁

    ○中野政府委員 普通総理が勉強されますのに、新聞記者を入れて勉強会というようなことは全然ございません。
  57. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 その席に新聞記者がいたのですか。
  58. 中野和仁

    ○中野政府委員 いま申し上げましたように、三人でやりましたから、おるわけはございません。
  59. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 それでは、この読売新聞の記事というのは、一体どこからこういうふうに出てきたものですか。そうすると、新聞の記事と中身は全く違うと、こういうことなんですか。
  60. 中野和仁

    ○中野政府委員 私、きのうのきようでございますからよく覚えておりますけれども、読売新聞に出ておりますように、買い入れ制限を撤廃しろだとか、そういうような指示は何らございませんでした。
  61. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 しかし、どうもわれわれは納得できないのですが、少なくとも新聞にこれだけのものが出るということは、何らかのルートがなければ、これは出ないわけです。私は総理の真意というものを否定するのではありませんよ。われわれは長い間、買い入れ制限の撤廃やら、あるいは余った米などは何も生産制限しないで、備蓄をしたり海外援助に回してもいいんではないか。まさにわれわれは総理の言うようなことをこの政策の中で強く主張してまいったわけであります。しかも農水の議論を通して再三再四にわたって農林大臣はこういう考え方を否定されて今日まで来ている。肝心の農林大臣は全く承知しないが、総理もこんなことを言った覚えはないけれども新聞にこう出た。そうすると、読売の新聞はでたらめだということですか。新聞記事の内容はでたらめだということですか、これは。
  62. 中野和仁

    ○中野政府委員 ここで新聞の批判はいたしませんけれども、そういう買い入れ制限を撤廃しろだとか、そういうような指示というものはございませんでした。
  63. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 総理大臣が指示をしたとはこれにもないですね。考え方を明らかにした。中野長官、こういう方向でやれと、こう言ったのではない。これは私どもも、新聞記事の中でそう出ておりますから、そのように理解します。ただ、三人でお話をされた内容は、これとほぼ間違いのない内容であったのですか。
  64. 中野和仁

    ○中野政府委員 私、最初に申し上げましたように、項目としましては、四十八年産米価の問題、四十八年産米の生産調整がどう進んでいるか、それから四十九年以降どうするんだ、それから食管制度のあり方についてはどういうふうになっているんだ、こういうのを議題にしてやったわけでございますから、話の内容でいろいろなことは総理も言われましたし、私たちもお答えを申し上げたわけでございます。
  65. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 そうすると、その話の中では、田中総理からこの新聞の記事にあるような考え方が勉強会の中で出てきたわけですね。
  66. 中野和仁

    ○中野政府委員 勉強会でやりました際にも、買い入れ制限をやめろということは出ておりません。
  67. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 そうすると、読売の記事は、あなたは新聞の批判はしないとおっしゃったけれども、ごらんのとおり「買い入れ制限撤廃」と、すごいでかい字でトップで出ているんですね。これは非常に大事な点であります。全国各地で読売はもうけさから全部読まれているわけであります。非常に大事な問題をいま投げかけたというふうにわれわれは考えております。それで、この新聞の記事がどこから出たかという追跡はいまわれわれは避けますけれども、しかし、少なくとも総理みずからこの考え方が腹の底にあったということは事実だというふうに受けとめるわけでありますけれども、このニュアンスとして、長官がお出になって勉強をやられたときに、総理の腹からは大体こういう買い入れ制限撤廃の問題は出なかったということでありますけれども、しかし、余り米の備蓄であるとか海外援助であるとかあるいはまた転作に力を入れていくとか、ことしのいわゆる米価の大幅な引き上げであるとかいうものは、言ってみれば、買い入れ制限が撤廃されなければこうした問題は出てこないわけですね。全量政府が買い入れをする、そして余ったものを備蓄をしたり海外援助に回したりする。それはいわゆる食管法の一つの骨でありますから、その中から初めて備蓄できたり海外援助ができたりするわけで、現在のように自主流通米のような野放しの状態にしておいたら、余り米も何もないわけです。ですから、最も骨になるのは、買い入れ制限撤廃という問題になると思うのです。ですから、この話が出てこなかったと言っても、話の行き着くところは、やはり転作といいますか、調整をやめて、つくったものを全量買い入れをするというそういう形でないと、後段の話につながっていかないのです。出てこなかったということがおかしい。どうですか、その点は。
  68. 中野和仁

    ○中野政府委員 どうも先生の御議論、議論としてはそういうつながり、いろいろ推測されるかもわかりませんけれども、私、繰り返して恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、当面の状況をいろいろ申し上げたわけでございまして、大体そういうことを総理が意向を表明されたというのが、これが勉強会ではなくて正規にそういうことが言われたとすれば、新聞に——きのうのことを申し上げますと、済んだあとすぐ農林省のクラブ、おそらく大蔵省の主計局長がクラブにどういうことであったかという話をされたと思います。私もいたしました。こういうことについて総理が意向を表明されたということであるとすれば、各紙に全部出ていなければおかしいと思うのですが、たまたま読売新聞にだけ出ておるようでありますけれども、そういうことはなかったわけでございます。
  69. 馬場昇

    ○馬場委員 関連。  どうもいまの話を聞いていますとはっきりしないので、新聞に書いてあることを具体的に聞きますけれども、ことしの生産者米価は上げると書いてあるんですね。これは言わなかったのですか、言うたのですか。
  70. 中野和仁

    ○中野政府委員 そういうことはおっしゃいませんでした。
  71. 馬場昇

    ○馬場委員 言わなかったわけですね。
  72. 中野和仁

    ○中野政府委員 私の記憶では、ことしの米価をめぐりましていろいろだんだん動きが出てきております、そういうことを申し上げたら、まだそういうことをきめるのは早いな、こういうことは言われました。しかし、上げるとか上げないとか、そういうことにはお触れになりませんでした。
  73. 馬場昇

    ○馬場委員 次に、来年から米を全量買い上げする、こういうことが新聞に書いてありますね。これも総理大臣は言いましたか、言いませんでしたか。
  74. 中野和仁

    ○中野政府委員 そういうふうにおっしゃったのではありませんで、私が御説明申し上げたのは、生産調整を五年間、これは総理もよく御承知の生産調整をやっております。初めの三年間は休耕奨励金もあるわけでございますが、来年からは休耕奨励金がなくなりまして、転作中心に生産調整をやっていくということを申し上げたわけでございます。そういうふうに総理が、来年から、いまおっしゃいましたようなことを言われたということはございません。
  75. 馬場昇

    ○馬場委員 全量買い上げをするということは総理大臣は言わなかったということですね。
  76. 中野和仁

    ○中野政府委員 私に対しまして、意向として全量買い上げるというような話はございませんでした。
  77. 馬場昇

    ○馬場委員 次に、休耕田をやめるというぐあいに新聞に書いてありますね。これも総理大臣は言わなかったですか。
  78. 中野和仁

    ○中野政府委員 すでに政府の方針といたしましても、来年からは休耕奨励金はやめるということになっておりますから、当然総理もそういうふうにおっしゃっておられますので、そういう発言をされたかどうかは記憶にありませんが、総理のお気持ちとしても、この狭い日本の国土の中で耕地を遊ばしておくのはよくない、休耕はやめるべきだという御意向はございました。
  79. 馬場昇

    ○馬場委員 そういたしますと、この読売新聞の記事は、いまのあなたの答弁によりますと、全然でたらめだということに結果的になりますね。この新聞の記事は国民が全部読んでいるわけですが、しかし、これは総理大臣が言わなかったことを書いてある、こういうぐあいにあなたは判断しておられるわけですね。
  80. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほどから申し上げておりますように、勉強会でございますから、言った、言わぬというよりも、勉強された中でいろいろのことはありました。しかし、こういうふうに大きく取り上げられるような趣旨で総理が意向を表明されたというようなことはございません。
  81. 馬場昇

    ○馬場委員 新聞記事によりますと、首相が表明という形になっております。ところが、いまのあなたの答弁によりますと、そういう表明はなかったということでございますから、これは結果的に言いますと、国民には、読売新聞が言わなかったことをうそを書いたんだ、こういうことになるわけですよ。あなたもそう思っておられますか。
  82. 中野和仁

    ○中野政府委員 そこまでお触れになりましても、読売新聞がお書きになったことでありまして、私は私なりの印象を申し上げておるわけでございますが、終始申し上げておりますのは、これは総理がお呼びになりまして、米価をめぐる勉強をされたわけでございます。そこでこういう意向を表明したというようなことはございません。
  83. 馬場昇

    ○馬場委員 国民はこの新聞を読んで、はっきり総理大臣がそう言ったという印象を受けている。あなたはここでそう言っていないと言っておられるわけですから、そういう意味で総理大臣を呼びましょう。総理大臣が言ったと書いてあるんだから。食糧庁長官は言わなかったと言うのですから、総理大臣を呼んで聞く以外にない。これは基本の問題ですから。われわれがこの委員会で農林大臣に話を聞いたことと全然違う。われわれはこういうことを言っておりましたけれども、農林大臣はみな否定している。本会議でも否定しておりまして、それと全然違うことが総理大臣のことばとして出ている。それはでたらめだと言われる。国民は何を信用していいかわからないし、われわれがここで審議する場合、農林大臣とやったって、総理大臣が上でこういうことをやられては困る、そういうことはないんだということをはっきり総理大臣から言ってもらわなければ、安心して審議できませんよ。総理大臣を呼んでください。
  84. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 私の質問を終わります。
  85. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 いまの総理大臣問題に関しましては、理事会でいろいろ御審議いただくことにいたしまして、質疑を進めます。竹内猛君。
  86. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いまの問題に関しては、これはこのままで済まない。こういうように新聞に出て、この疑惑を残したまま、いまのやりとりがこのまま出たら、たいへんなことになる。だから、早急に総理大臣並びに食糧庁長官、主計局長は、この問題について、読売新聞の記事を取り消すか、あるいはここで言ったようなことを実行するか、どっちか二つしかない。この問題については、きょうはまだ午後から会議があるのですから、この間に整理してください。そしてこの記事はうそだというならば、うそだという形で取り消しをしなければならない。それから、こういう方法でいくというなら、そのように実行してもらいたい。われわれはむしろここに出ていることについてはかなり賛成の部分がある。いままで言ってきたことで賛成の部分があるんだから、ぜひこれは取り消さないでやってもらいたいけれども、しかし、それが勉強会でのやりとりだということであるならば、これは新聞記事と内容が違うんだから、ひとつ自民党の理事と野党の理事との間で本会議が終わって始まるまでに整理して出してください。そういうことを理事会に要望します。そうでないと問題になりましょう。
  87. 中野和仁

    ○中野政府委員 先生のお話を伺っておりますと、私が先ほどるる申し上げました以上に報告のしようがないわけでございまして、繰り返しますけれども、勉強会でございますから、いろいろな御意見もあり、そういうこともあるわけでございます。これは何度も申し上げますけれども、各新聞はそれぞれ取材活動をやっておりますので、どういうふうにやったか私は存じませんけれども、真相はそういうことでございます。これ以上申し上げることはございません。
  88. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 長官には言わないけれども、今度は自民党の理事委員長に正式に申し上げます。  この問題については、少なくとも農業に関係を持っておる者が非常に関心を深めていることが特に読売新聞を通じて全国に出ているわけですから、これに対しては、読売新聞を通じて記事を取り消すか、それともこういう方向で実施するか、二つしかないのです。もしそれができないならば、総理大臣に委員会に出てもらって、真意を確かめる以外に方法はない。そういうことについて、ひとつ理事会のほうで相談をしてほしい。
  89. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 竹内君に申し上げますが、先ほどお話ししたように、理事会でこの問題に対する処理方法を協議することにいたしまして、審議を進めてください。
  90. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それでは質問を続けます。  前回に私は、農業者の教育の問題で質問をしてまいったわけですが……。   〔「委員長、休憩、休憩」と呼び、その他発言する者あり〕
  91. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕