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1973-05-10 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第24号
公式Web版
会議録情報
0
昭和四十八年五月十日(木曜日) 午前十時四十二分
開議
出席委員
委員長
佐々木義武
君
理事
仮谷 忠男君
理事
坂村
吉正
君
理事
藤本 孝雄君
理事
山崎平八郎
君
理事
渡辺美智雄
君
理事
柴田 健治君
理事
美濃
政市
君
理事
津川 武一君 笠岡 喬君 吉川 久衛君 熊谷
義雄
君 小山
長規
君 白浜 仁吉君 正
示啓次郎
君 菅波 茂君 丹羽 兵助君 西銘 順治君
三ツ林弥太郎
君 湊 徹郎君 安田 貴六君 井上 泉君
角屋堅次郎
君 島田 琢郎君 竹内 猛君 野坂 浩賢君 湯山 勇君 諫山 博君
中川利三郎
君
瀬野栄次郎
君 林
孝矩
君 稲富
稜人君
神田 大作君
出席国務大臣
農 林 大 臣 櫻内
義雄
君
出席政府委員
農林政務次官
中尾 栄一君
農林省農林経済
局長
内村 良英君
農林省構造改善
局長
小沼 勇君
農林省農蚕園芸
局長
伊藤 俊三君
農林省畜産局長
大河原太一郎
君
農林水産技術会
議事務局長
中澤 三郎君
食糧庁長官
中野
和仁
君
林野庁長官代理
平松甲子雄
君
水産庁次長
安福 数夫君
委員外
の
出席者
参 考 人 (
日本原子力船
開発事業団理事
長)
佐々木周一
君
農林水産委員会
調査室長
尾崎 毅君
—————————————
委員
の異動 五月十日 辞任
補欠選任
森下
元晴
君 鈴木 善幸君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
委員派遣承認申請
に関する件
参考人出頭要求
に関する件
農林水産業
の
振興
に関する件
——
——
◇—
——
——
佐々木義武
1
○佐々木
委員長
これより
会議
を開きます。
農林水産業
の
振興
に関する件について
調査
を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
美濃政市
君。
美濃政市
2
○
美濃委員
本日は、
酪農振興
の問題について
お尋ね
をいたしたいと思います。 まず第一に、本
年度
の
加工原料乳
の
保証乳価
を
決定
した際、
負債整理
とそれから
畜産振興事業団
からの
差益
四十億、これを出すという内容になっておりますが、
負債整理
はどういう
考え方
で、どういう方法で進めようとするのか。もうかなりの日数がたっておりますから、おおよそ計画が煮詰まる時期だと思うのですが、その概要について。 それから四十億円の
配分
と出し方、これをお伺いいたしたいと思います。
大河原太一郎
3
○
大河原
(太)
政府委員
お答え申し上げます。 お話しのとおり、四十八
年度
保証乳価決定
の際に、
酪農緊急対策
といたしまして、
北海道
の
負債整理
、
自作農資金
による借りかえ措置百五十億と
畜産振興事業団
の
輸入差益
を活用いたしまして四十億の
緊急対策事業
を行なうということで、ただいま
諸般
の
準備
を進めておるわけでございます。 まず、
負債整理
につきましては、御
案内
かと思いますが、
北海道
におきまして、
道庁
におきまして、四十七年の一月と四十八年の一月現在を押えまして、
酪農
悉皆
調査
並びに主要な
酪農地帯
におきます
抽出調査
を行なっております。本年一月の
調査
がまとまり次第、その
実態
を踏まえまして、その最も問題になります
融資
の
限度
だとか、その他
北海道
の
酪農家
の
負債額等
の
実態
に合いますような
金額
をきめたいということで
準備
を進めておりまして、
道庁等
の最終の
資料
が整い次第きめたいというふうに取り進めておるわけでございます。 第二点の
緊急対策事業
につきましては、最も
酪農
の現状に合うような
事業
を取り上げるという視点、及び四十二年、三年、
先生
十分御
案内
の
対策事業等
を行ないました。それらの
事業
に準じまして、またそれを
参考
にいたしまして、
メニュー
をきめて適切に進めたいということで、各
地域等
の、あるいは
農業団体等
の意見の聴取もほぼ終わりまして、
メニュー
を定めたいというふうに考えております。 なお、御
質問
の中に
配分等
の問題がございましたが、この点につきましては、
保証価格決定
の
経緯
を尊重してきめなければならないというふうに考えておりまして、早急に結論を得たいというのが現
段階
の
実情
でございます。
美濃政市
4
○
美濃委員
配分
について
保証価格
の
決定
の
経緯
を踏まえてというのですが、そこをそれ以上言えませんか。現時点でそれ以上何か具体的に言えれば、もう少し具体的にお聞きしたい。
大河原太一郎
5
○
大河原
(太)
政府委員
お答え申し上げます。
保証価格決定
の
経緯
と申しますのは、やはり
加工原料乳
の
数量等
を勘案することが重点であるというようなことに相なるかと思いますし、ただ、一面では
市乳化促進
の努力をしている
地域
というものもございますので、それに対する
配慮
も必要ではないかとか、それには
生乳生産
全体の
停滞
ということがわれわれ最も心配しておるところでございますので、そういうものに対する
配慮
も必要ではないかというような、
もろもろ
の諸元がございますが、これをどう組み合わせるかという点について、現在検討を続けておるわけでございます。実際の
配分
のものさしというようなものは、ただいま申し上げましたように、基本的な方針としては、
保証価格決定
の
経緯
を十二分に尊重してきめなければならないというように考えております。
美濃政市
6
○
美濃委員
いまの問題は
あと
から関連して出てまいりますから、この場合この程度にしておきます。 次に、特に
加工乳地帯
の
酪農
の
生産事情
はどうなっておるか、どのように把握しておるか、これをお伺いしたいと思います。
大河原太一郎
7
○
大河原
(太)
政府委員
お答え申し上げます。
先生
の御
質問
は万般の総括的な御
質問
でございまして、むしろ個々の御
質問
に即して具体的にお答え申し上げるのが筋かと思うわけでございますが、
生乳生産
全体の
乳牛
の
頭数
なりあるいは
生乳生産
というようなものは、御
案内
のとおり、四十六年には相当落ち込みまして、四十七年も
伸び
悩んでいる。若干四十六年よりも上回りましたが、なお
伸び
悩んでいるというのが総体的な
状況
でございます。ただ、
加工原料乳地帯
は、
生乳生産
の
条件
なりあるいは
意欲
なりという点について最も今後の
中心
になるような
地域
でございますし、現にそういう
役割り
をわが国の
酪農
にとって果たしてもらっているわけでございまして、したがって、その点は、たとえば
北海道
を例にとりまして
生乳生産量
をとりましても、
全国
が、四十七年の暦年では、対前年比二・四%の
伸び
であったが、
北海道
は
年間
を通じまして六・一%だ、あるいは内地ではそれが一・一%だというふうに、
加工原料乳地帯
としては困難な
条件
におきましても、その点においては従来のような高い
伸び率
は示しておりませんが、なお
伸び
を示しておるというのが概括的な
見方
でございます。
美濃政市
8
○
美濃委員
そこで、私は、
加工原料乳地域
特に
北海道
の
酪農
の
事情
が、
保証乳価
の
決定
と
現実
の
経営
がかなり合っていない、そのために
停滞
を通り越して、
酪農崩壊
のきざしが出てきておる。ややもすると
酪農
が崩壊するんじゃないか、こういう危惧を今回
調査
をして考えておるので、以下その点について
お尋ね
をいたしたいと思います。 まず第一に、特に
北海道地域
ですが、その中で
調査
した
地域
は釧路、根室です。
酪農家戸数
が大体六千戸、約四十万トンですね。
全国
産
乳量
の八%を出しておる。これが
北海道
における一番大きい集団した
酪農主要地域
であります。まあ
全国
的にもまた
北海道
内でも、
地域
が違えば多少
実情
の違いはあると思いますけれ
ども
、ここの例をまず申し上げたいと思います。 まず第一に
酪農振興
で考えなければならぬことは、先ほど
お尋ね
した
負債整理
ともまた重要な関連があるわけでありますが、大体
牛乳
の
生産量
一トンにつき
負債
が十万円に達しておる。これは
町村別
で違いますが、十万円少し切れているところもあります。
最高
が十三万円、
平均
して
負債
は十万円を若干こえておる、こういう
状況
であります。でございますから、通例、
農業
における
借り入れ金
による、
負債
と申し上げますが、
負債
の
限度
は大体
年間販売額
、
年間
の
収入金額
を
負債
がこえると、
負債
のために
経営収支
が非常に圧迫されるというのが原則です。ところが、ことしの
保証乳価
で送
集乳経費
を引きますと一トンは四万六千円ですかでありますから、まず第一点として、
経営収支
が
負債
のために非常に大きく圧迫されておる。
保証乳価
では
地代
、
資本利子
あるいは建物の
償却等
で見ておる
資本経費
は
キロ
約六円です。そうすると、これを
経営単位
に当てはめて、百トンの
牛乳
を
生産
する
農家
の
資本経費
による
負債——
これは
元利償還
であります、
資本利子
、
地代
、
償却
ですから、
元利償還
は六十万円でなければ
経営収支
が合わぬわけです。ところが、
平均負債
が一トン十万円であり、百トンの
生産農家
の
負債
はこれまた
平均
して一千万円をこえておる。まず一千万と申し上げておきます。一千万の
負債
ができると、これが
総合資金
であったとしても、
利子
が五分でありますから、
償還
に入ると、二十年
償還
ですから、
元金
五%払わなければなりませんから、
元利
で百万払わなければならぬ。百トンの
経営農家
の一千万の
負債
というものは、大体
農協
の
プロパー資金等
で四百万、
制度資金
で六百万が大体標準として
負債
になっておる。そうすると、
近代化資金
の
利子
は高いわけでありますから、
平均
して
借り入れ金
に対する
元利
一二%、
利子
の
支払い
と
元金
の
支払い
で一千万の一二%の
償還
を迫られておる百二十万。ここに
保証乳価
と、私が何戸か
農家
の
庭先
でも見ました
経営収支
の
実態
に六十万の差がある。これが第一点。 それから第二の点は、
保証乳価
は一頭
当たり搾乳量
五千
キロ
をたてまえとしておりますから、
統調
で
経費調査
をした
経費
に基づいて、たとえば
購入飼料
を、五千
キロ
をたてまえとしておりますから、百トン
生産
であれば二十頭分、
搾乳牛
二十頭分の
飼料
が計算されておる。しかし、
現実
は二十三頭ないし二十五頭。二十頭で百トンの
生産
をできる
農家
はまず百戸に二月くらいですね。大体二十三頭ないし二十五頭飼育しなければ百トンの
生産
ができないという
現実
です。そこに百トン
単位
の
経営
で大体十五万ないし二十万
購入飼料費
がかかっておる。これが第二の点であります。 それから第三の点は、粗
飼料
の
生産
です。それで
キロ当たり
にすると一円九十八銭ですか、約二円ですね。分類された
飼料生産
の
肥料費
、これが
実態
は四十万ないし五十万、
キロ当たり
にすると一円九十何銭でありましたね。百トン
単位
で約二十万の
経費
として見積もられているもなが、大体四十万ないし五十万の
肥料
を購入して、
牧草
に
肥料
をふっていわゆる粗
飼料
、
牧草
の確保が行なわれている、こういう
実態
です。そうすると、百トンの
牛乳
を
生産
して、いわゆる
保証乳価
で保障されておる
資本経費
で
元利償還
ができ、
経費
の
収支
でそういう差がなければ、
家族労賃
として計算されておるものは、
飼育労働
は
キロ当たり
大体十四円ですね。本
年度乳価
で十四円ちょっとでありますから、それと粗
飼料生産
の
家族労働
が百トンの
経営
であれば三十三万、百七十万ぐらいの
所得
、すなわち
生計費
が得られなければならぬのだが、その中へ大体百万、
経営収支
のいわゆる実際がそうである。これはもう五千戸全部
平均
して
——平均化
を申し上げているわけで、
経営
困難な
特定農家
だけを申し上げているわけではないのです。この主体の
平均
した
経営収支
は、百トンの
牛乳
を
生産
して、
平均
が七十万の
生計費
しか得られない、こういう
現況
になっております。 あるいは一面、
元金償還
については、
資産
に対する
負債
は払っていくわけで、
あと残存価格
の
資産
が残りますから、あるいはそれは
所得
の中で払うというあの分類になるかもしれません。ですから七十万というのは、私はあえて
所得
とは申し上げません。
所得
とは申し上げませんが、とにかく四千五百時間、五千時間近い
労働
をして、百トンの
牛乳
を
生産
し、
乳牛頭数
では
成牛
で二十三頭ないし二十五頭。それと
育成牛
を含めますと三十頭。
資産総額
から申し上げますならば、これを客観的に時価で評価いたしますと、大体
土地
が三十ヘクタールくらいありますから七百万ないし八百万、それから三十頭の
乳牛頭数
で約一千万。並行して
畜舎
と
機械
、農具が一千万かかります。合計約三千万の
資本
を投下して、そのうち一千万の
借り入れ
ば主として何かというと、
畜舎設備
と
機械
であります。
酪農
というものは、この
設備
は全部を積み上げて、大体の
農家
が
乳牛
と
土地
は積み上げてつくりあげてきているわけですね。ですから、この
設備
と
機械
は
借り入れ金
によらざるを得ない。それまで全部
自己資金
で蓄積してという
経営状態
には持っていけない。したがって、
過剰投資
でもなければ、
酪農経営
の
規模拡大
の避けられない
負債
なわけです。 〔
委員長退席
、
山崎
(平)
委員長代理着席
〕 それがそういう
現況
におちいって、さらに百トン
経営農家
を三つの
段階
で申し上げますと、大体八百万
限度
の
負債
の人は
償還利子
が少ないですから、百万ぐらい
生計費
、
所得
は得られておる。反対に一千万ランクでは七十万、一千二、三百万に達する人がいるわけです。これらの人は五十万ですね。 ある
農家
の
庭先
を訪問しましたら、
後継者
がもうやめようか、こう言っている。おとうさん、おかあさん、二十一歳になるむすこさんの三人が、
年間
に五千時間の
労働
をやって、一カ月
生計費
として持って帰れる金は五万円だというのであります。どうですか。五万円という
生計費
は、
生活
に使う金は、いま
ベースアップ
をした満十八歳の
高校卒
の
初任給
じゃないですか。今度
ベースアップ
をした
高校卒初任給
は年にしますと、年額六十万になるんじゃないですか。これはどういうことなんだろうということであります。これでは一家の
生計
はできません。そこへ追い込まれているわけですね。ですから、私は
酪農
が崩壊するのではないかと申し上げておる。四十歳をこえる
経営主
は、やめてもなかなか雇用の対象がありませんから、しがみつこうとするけれ
ども
、若い人はそうでない。ある
農協
へ訪問しましたら、ことしの
保証乳価
の
決定
を見て、一〇%では
経営
に自信もないし、
意欲
が持てないと、もう牛を売った
農家
がおるわけですね。四百五十戸の
組合員
中、四十何戸はこれでもう
酪農
を見切るという
状態
におちいっておるわけです。 これをどうするかということであります。ですから、まず第一に
負債整理
の
条件
でも、その中で
最高
は
組合
の
プロパー
が一千万。一千万借りておる
農家
というのは百トンじゃありません。思い切って二百トン
規模
の
経営
に
拡大
した
農家
がおるわけです。各
町村
に二戸か三戸おります。大体三十ヘクタールくらい
土地
を持って、飼育する
乳牛頭数
が二十五、六頭の
農家
が一挙に二百トン、
成牛
で五十頭、
育成牛
を含めると八十頭にすれば何とかやれるのでないかということでやっておるわけです。この
負債総額
は四千万に達しております。 この間、
飛び石連休
のとき
調査
しましたから、
写真
も全部とってきましたが、まだ
写真
が焼けていないのですけれ
ども
、四千万に
負債
が達すると、
元利償還
が五百万。それから
飼育経費
ですね。
購入飼料代
から
種つけ料
、あの
保証乳価
の中で分類されておる集計が五百万。二百トンの
乳代
が一千万、それに多少
生体販売
をいたしまして、
元利償還
と
必要経費
だけしかはけない。
生計費
は一銭もない。この四千万
負債
をして二百トンになった
農家
は、
土地取得資金
も借りなければならぬ。圃場をすぐ倍にしなければならぬのですから、やめる人の
土地
あるいは
草地開発
をして、新しく二十ヘクタールないし三十ヘクタールの
土地
を
取得
する。ただいま申し上げた
規模
の
畜舎
を建て、それに伴う
機械
を入れる。
負債総額
は四千万となる。この
農家
は現在のところ毎年百五十万ないし二百万
赤字
であります。
赤字
の中で
経営
が続いておる。 そうすると、前にも申し上げたことがありますが、片や
乳価
というものは国民の食
生活
、消費に与える影響もあるわけですから、この接点をどうとっておるか。たとえば
欧州諸国
に例をとれば、西ドイツの
畜産経営拡大資金
は
金利
一分である。これは私の
調査
の中では一番安かった。以下それに準じて、たとえば二分五厘
金融
をとるところは三十年、四分の
金融
をとっておるところは五十年こういう
金融
をとっておるわけです。 今回、私はこの
経営実態
に当てはめて
調査
した結果、
日本
の場合、一千万の
負債
を
元利
で六%支払うと
——
いわゆる百トンの
牛乳生産
をするというのは、
畜産経営
で大体
個体販売
を若干入れれば約五百数十万の売り上げでありますから、
個別経営
、一戸の
経営
としては
経営確立
ができておるわけですね。
労働
時間も四千五百時間以上になっておるわけですから、他
産業
以上働いておるわけです。他
産業
の
労働者
以上に三千万の
資本装備
をもって働いておる。それで
生活
ができぬということはあまりにもみじめだと思うのです。 そうすると、まず第一点に考えなければならぬことは、この
酪農
の建設あるいは
規模拡大
に伴う
負債
は、
保証乳価
で保証した
キロ
六円、百トンの
経営
であれば
年間
六十万で、
元利償還
ができなければならぬ。この一千万の
負債
は私は避けられぬと思うのです。この
借り入れ
なしに
酪農
の
規模
を
拡大
するとか
酪農地域
の安定などということはあり得ないと思います。一千万の
負債
というものは、
条件
的に派生する避けられない
借り入れ金
である。 〔
山崎
(平)
委員長代理退席
、
委員長着席
〕 そうすると、それは
元利
で六%
償還
にしなければならぬ。それをしないで、ただ
保証乳価
では
キロ
六円、百トン
経営
では六十万を保障して、
現実
に百二十万、倍の
金融条件
で過ごしておるということは私は許されぬと思うのですね。 ですから、今回の
負債整理
については、
最高
四千万円、二百トン
経営
になると
プロパー
が一千万になっております、これは。ですから、とりあえず六%
金融
の体系は、この国会中に、
法律改正
を伴いますから、めどづけをしてもらいたい。
法律
まで出せとは言いません。しかし、とりあえず
負債整理
をやると政策に打ち出したのでありますから、一千万であろうと、百トン
経営
では大体四百万です、これはとりあえず自
創資金
に
肩がわり
をする。これでも不十分であります。自
創資金
に
肩がわり
をしても一〇%
償還
になる、五年据え置き二十年
償還
という、一〇%の
償還
ですから、それを六%にするにはどういうふうにすればいいか。たとえば根本的に、一千万なら一千万というものを一本にして
肩がわり
をする
負債特別立法
をつくるか、もしくは
総合資金
の
約定
を二分にすれば
償還年限
二十五年、四分にすれば五十年、五分の
利子
を取るといえば百年にしなければならね、
現行保証乳価
でですよ。
現行保証乳価
で六%の
元利償還
に合わすといえば、五分の
利子
を取りますよといえば
元金償還
は百年、二分であれば二十五年、どちらをとるか。そういう
制度
に
総合資金
を改正して、旧債の乗りかえを認める。新しくこれから貸す金はこの
条件
で貸しますよ、
もと
のは
もと
の
約定
ですよということはあり得ないわけですから、こういう点についてどういうふうにお考えになるか、まずその
考え方
を
お尋ね
いたしたいと思います。これはどうにもならぬですから、このままにしておくということは許されぬことだと思います。
大河原太一郎
9
○
大河原
(太)
政府委員
酪農
の今後の方向としても、
実態
に即しました多
頭化
を進めていく、しかもその点、
所得
なりその他について十分なバランスのとれたものが確保できる
経営
の
確立
によってこれを進めていく、しかもそのためには適切な
金融
その他の財政援助なり、あるいは適切な
価格
の
決定
が必要であるという前提で、
酪農
の
中心
でございます
根釧地帯
における
酪農
の
現実
に即したいろいろなお話をただいま承ったわけでございますが、
先生
が約五千戸の
農家
から
もろもろ
の
指標
を取り上げられました具体的な御議論でございますが、これらについては役所としても
諸般
の統計というものも一応用意してございますので、
先生
のそれらの
指標
をいろいろまた後刻承りまして、十分突き合わせをした上で、この点についての計量的な判断はさせていただかなければならないというように考えております。 ただ、私
ども
の
農家経済調査等
の
調査
によりますと、
先生
おっしゃいますように、
農業
の
固定資本額
はやはり二十頭以上でございますと一千万をこえておりますが、
借り入れ金
につきましては、これは
家計部門
なりあるいは他
作物部門
、
酪農部門
それらを合わせまして、実数といたしまして、四十六年の
調査
でございますと六百六十万円というような
数字
が、
北海道
でございますが、出ておるわけでございまして、
先生
のただいま御
指摘
の具体的な
数字
との突き合わせ等についても、われわれ厳密に検討させていただきたいというように考えるわけでございます。 そういうふうにいたしまして、いろいろ検討しなければなりませんが、
先生
の御立論の一つといたしまして、
保証価格
のサイドで
地代
なり
資本利子
ですね、その適切な
見方
の問題と、一方では、
酪農
の多
頭化
の
現実
に即しました
融資制度
の
改善
という二点かと思います。 これは当然の話でございますが、一方では
借り入れ
に見合ったストックがふえており、それが効率的に稼働して
所得
があがれば、その点については
借り入れ金
の増大は必ずしもこれをそう否定的に見るべきものではないというように考えますがその点が
経営
の重圧になっておるというような問題で問題があるのだというような御
指摘
かと思うわけでございます。これにつきましては、私ど
もと
いたしましては、その
借り入れ
のよって来たる
原因
について、今回も緊急に百五十億の
負債整理
を行ないますので、その
過程
で、いかなる
理由
でこの
負債
がよって来たか、これは
制度資金
の不備であるのか、あるいはどういう
理由
であるかというような点も明らかにいたし、十分明らかにいたしまして、今後の
改善等
についても検討いたしたいと思うわけでございますし、また、
経営
の基幹となります
固定資本
の
取得
の際に、
保証価格
でも
先生
十分御
案内
のとおり、
借り入れ金
でまかなう
部分
と
自己資本
でまかなう
部分
を見ておりますがその
借り入れ比率等
についての
見方
が必ずしも適切であるのかどうかというような点についても問題があるというふうに思っております。これについては、四十八年については
牛乳乳製品
の
生産費
の
補完調査
というものも行なうことになっておりますので、これらを通じまして
借り入れ
の
実態
なりあるいは
資本利子
、
借り入れ利子
の
見方
なり、それが
現実
の
各種
の
融資制度
の
金利
との関係でどうなっているかというような点について明らかにしたいと思うわけでございます。 総括いたしますと、もう
負債整理
は緊急でございますので、百五十億の実行の
過程
で、
北海道
の
酪農農家
の
負債
の現状なり、よって来たる
原因
を明らかにして、それと
各種
の
金融
の対応の問題をいたしますとともに、
保証価格
の
決定
の基礎になります補完的な諸
調査
も並行いたしましてこれを行ないまして、重ねて今後
負債整理等
を行なうような問題、あるいは
経営規模
の
拡大
の
阻害要因
になってくるような
条件
というものを取り除いていきたいというふうに考えておるわけでございます。
美濃政市
10
○
美濃委員
私もこの
質問
が終わって、あなた
方事務当局
で必要があれば
資料
は提示します。どうしてもこれを解決せんならぬといういま私の意気でありまして、決していたずらに
事務当局側
の、いま言ったようなことに対する不十分さだけを追及して終わらそうなどという意図で言っておるわけじゃないわけです。提示を求められれば、この
質問
の終わった
あと
、私の集めてきた
資料
は全部提示いたしますから。 したがって、まずその
負債整理
の中で、これは
政務次官
にお聞きしたいのですが、
限度額
を引き上げても、四千万の
負債
になって、二百トン
経営
しておるもので、約一千万の約一割くらい
利子
がかかっておるその
組合
プロパー
資金が貸し付けられておるのですから、だから、通例、
限度
には
限度
があろうと思いますが、そういうものは一応この際
負債整理
をやる機会に特認で、その
元利
六%にはならぬけれ
ども
、しかし一割に近い
金利
というと、一千万あれば
利子
だけで百万になるわけですから、それではもうどうにもならぬわけですから、そういう点はひとつ特認で処理しよう、この方針をひとつきめてもらいたい。きょう即答できなければ、その方向ですみやかに検討してもらいたい。即答できれば即答してもらいたい、こう思います。
中尾栄一
11
○中尾
政府委員
美濃
先生
の先ほど来、からだをもっていろいろと御研究をなさりましたそういう成果も合わせまして、事務当局とも十分に詰めまして、
実態
に即した方向で検討したい、こう思っております。
美濃政市
12
○
美濃委員
第二の点ですが、第二の点もいま
局長
さんの
考え方
もお伺いしましたが、具体的な処理は来
年度
になるにしても、ひとつこの国会中にめどづけをしたい。一面
乳価
という問題もありますから、この
負債
条件
一つ取り上げても、
資本経費
を
キロ
六円引き上げれば、それでもいいわけです。この
部分
だけですよ。
あと
からまた物価高の問題や何か申し上げますけれ
ども
、それはそれとして、とにかく
資本経費
の
地代
、
資本利子
、建物
償却
、この
部分
で
キロ
六円明
年度
保証乳価
を引き上げれば、現行で返していける。そう
負債整理
や六%
金融
をやかましくいわぬでもいい。それは私が申し上げたのは、やはり先進
欧州諸国
を見ると御存じのように、EC地帯もほとんど
乳価
は支持
乳価
もしくは
保証乳価
の体系をとっておるわけですから、この
部分
についてはまず現行の
日本
の
地代
、
資本利子
の
平均
が
——
これは新築をするからそうなるわけです。私は統計部長から聞きましたけれ
ども
、統計が把握しておる抽出
農家
を対象として、
畜舎
やその他
平均
価格
で
償却
費が計算されている。
資本利子
の四分というのは、ちょっと具体的に詰めると問題があると思います。四分という
金利
はないわけです。その試算に対して四分の利回りで計算をしておるという標準、統計が公表しておる標準ケースで、
金利
の四分については問題がある。
利子
についてもこれから統計とも話したい。それは評価方法としてはもうちょっと適切な
経費
として計上すべきだろうと思いますけれ
ども
、やはり総体の
乳価
の中で保証するものは、たとえば
畜舎
であればいわゆる残存の
平均
の
価格
で
償却
と
金利
を見るというのがやはり正しいのではないか、正しいと言ってもいいのではないか。標準でなくて新設すると、
借り入れ金
で新しくつくるわけですから、少なくとも倍になるわけですね。新設
借り入れ金
が倍になるのだから、そうするとそれはやはり
酪農
先進諸国がとっておる
金融
制度
を適用して、
保証乳価
とその
設備
投資の
元利償還
とを合わすのが政治であろうと思う。そっちのほうが正しいのではないか。この
部分
で六円の
乳価
を上げて、
保証乳価
で現行
金融
制度
を
償還
さすというには、
キロ
六円になりますから、やはりかなり高い
乳価
です。それでもいいのですよ。
日本
の政府はひとつ勇気を持って、
金融
制度
は
改善
はできぬから、来年は
地代
、
資本利子
、建物
償却
費で六円引き上げる。そうすれば、払えますから、問題は解消されるわけです。ことしはいわゆるそこにあるわけです。七十四円という
乳価
、最低でも
キロ
十円上げてもらわなければ
酪農
はやれませんと、あのとおり
局長
のところにもずいぶん来たでしょう。決してかけ引きや何かで
乳価
決定
のときに
北海道
から六百人もの
酪農家
が大臣や
政務次官
や
局長
のところに陳情に来たのではないですよ。目の色変わっておったでしょうが。
農家
だから極端なすわり込みをしたり、やかましいことは言わぬけれ
ども
、目の色変わってことしは出てきたわけですね。いよいよことしはやれぬというのに、それにたった三円三銭しか上げなかった。その結果、一割くらいの
農家
は
経営
の自信を喪失しておるということですね。一〇%は早期にやめるという方針をきめてしまった、こういう
実態
が起きておるわけです。どうにもならぬ。これでは
経営
の自信を失ったという中で、これを早期にしてやらぬと、たとえば
負債整理
でとりあえず来年までの間に一千万やって、
保証乳価
で保障する
部分
と
金融
制度
で
改善
する
部分
で、まじめにやっておればどうにかこの
状態
を脱するからという示唆を早期に与えてやらぬと、多くの例ではないが、一戸か二戸は
——
これは一戸といえ
ども
四千万円の
負債
がある
農家
が八十頭の牛を
農協
に売ってしまった。もう
土地
と
畜舎
は、そんなでかいものは売れないわけです。借金は一ぱいくっついて、そして
金融
公庫の
総合資金
の抵当に取っても、売るといっても
畜舎
なんか売れぬですよ。
土地
、
畜舎
で残債はあり、八十頭の牛は一ぺんに売ってしまって、昔の夜逃げ同然になってしまって、どこかに出ておるというのも一戸か二戸出てきておるわけです。それも
写真
にとってきておる。こういうことが次々起きたら、これはこの
地域
の
農協
もどうにもならぬわけですね。一戸か二戸ですが、これも実際です。二百頭
農家
が二日か三日のうちに全部牛を売ってしまって、
土地
と
畜舎
は残してあるから、
あと
借金のじまいはよろしく頼む、こういう実例が起きておるわけです。 ですから、まず
負債整理
はわかりました。
政務次官
がよくその実例を踏まえて検討するというのですから、これはきょうは要請しておきますから、これは検討して、すみやかにその方向で結論を出してもらいたい。 それからもう一つ、明
年度
保証乳価
と
金融
制度
の
改善
を、ことしは予算の関係もあり、
法律
の関係もありますから、この国会中にそれを
決定
することは無理だと思いますから、明
年度
に対する方向を示唆してやらなければならぬと思います。この程度のことは最低やれるのだから、やるから、いまそう短気を起こして一ぺんに牛を売ったりなんかするな、こう言って押えなければいかぬです。示唆する方向だけはこの国会中に早期にひとつめどづけをしてもらいたい。大体
保証乳価
でいくならいく、これでもけっこうです。
日本
政府がきめるのだから、そんなことにならぬようにそれは
保証価格
で保障しよう。もう一つは
金融
制度
で、
金融
制度
の
部分
だけは
保証乳価
と
元利償還
条件
を合わせてやる。これを合わせれば六十万浮くわけですから、極端な、もうこれではやれぬという
状態
になりません。一番大きいわけです。このめどづけについて、ひとつ示唆する方向だけを今国会中にきめなければいかぬ、こう思うわけです。それに対する見解を承っておきたいと思います。
大河原太一郎
13
○
大河原
(太)
政府委員
お答え申し上げますが、われわれといたしましても、
保証価格
算定の各
経費
の項目、費目につきまして、多
頭化
の伸展という点について、その
経費
の
見方
とか、その他については一そう慎重な吟味をいたして、離農
経営
の多
頭化
に即するような
保証価格
算定を行なわなければならないというふうに考えるわけでございまして、そういう意味で、具体的な
経費
の項目に即しましてのお話については、われわれとしても明
年度
の
保証価格
の算定については一そう慎重に、各要素について検討いたしたい。
先生
は
借り入れ利子
その他の
見方
、
償却
費の
見方
という点についての具体的な御提案がございましたが、そういう
部分
を含めまして、当然われわれとしても、このような
酪農
の情勢でございますので、検討しなければならぬというふうに考えておるわけでございます。 それから、一方
融資制度
につきましては、先ほ
ども
申し上げましたように、まず累積の
負債
、これを片づける必要があるということで、今回緊急措置として自
創資金
による
肩がわり
百五十億の措置をとったわけでございますが、その場合におきまして、その
借り入れ金
のよって来たる
原因
というものについても十分検討いたさなければならないというように考えております。と申しますのは、たとえば
先生
のただいまの御質疑の中でも出ましたように、今日の
北海道
の
酪農
の多
頭化
のてことなっておりますのは
総合資金
制度
でございますが、これらも四十四年の発足当時、その
融資
限度
というものが必ずしも高くなかった。その後大幅に
改善
されて、
融資
限度
が引き上げられた。この際、なおその不足の
部分
について、
農家
が比較的高い
金利
の
プロパー
資金その他を借りるというような
実情
があったんじゃないかとか、これは一例でございますが、そういう
諸般
の
借り入れ金
の大きさだけでなくて、
金利
の重さというものについてのよって来たる
原因
等につきましても、今回具体的に
道庁
とわれわれのほうと、
先生
が先ほど早急にきめろとおっしゃいました
融資
限度
等を、自
創資金
の特別な
融資
限度
をきめる際における検討においてもあわせて行ないたいというふうに考えておりまして、これらは一つの例でございますけれ
ども
、今後の
経営
の発展と、現在の
制度
金融
との間の関係というものについては、保証額算定と同様慎重な検討をいたしたいというふうに考えております。
美濃政市
14
○
美濃委員
その話が出ましたから、これは
負債整理
は今
年度
進めていくわけですね。経済
局長
も見えておりますから、これは具体的に詰めるということになると、経済局、金貸しのほうになると思うのですが、いま畜産
局長
も言っておりましたが、私が申し上げておるように、大局は
負債整理
に入ったという
見方
ですね。それは
組合員
勘定というもの
——
年間
供給の
生産
資金は、御存じのように、
組合員
勘定というのを使っておりますから、その
組合員
勘定残を消極的につかむと、これはやはり
制度
金融
機関に対して
農協
はいわゆる受託窓口ですから、その導入した資金の管理義務を果たさなければならぬということで、たとえばさっき申し上げたように、
保証乳価
で六十万しか保障されてないのに、百二十万払う。この中で、
生活
費がなくなってしまうから、
プロパー
に変えてでも
約定
償還
を続けておるわけですね。それを消極的に
組合員
勘定だけめくってみたら、これは
生活
費に食い込んでおるではないか、こうも見えるわけです。しかし、私の言っておるのは、そういう矛盾がなくて、たとえば
保証乳価
で保障されておる百トンの
牛乳
を出せば、ことしの
保証乳価
でいえば百七十万の
生計費
が払われたとしたならばそうはならないのだ。
保証乳価
の収入が少なくて、支出が多い、その
原因
は
金融条件
に一方はある。一方は
経費
計算の食い違いがある。この中で約百十万の食い違いがあるわけです。ですから、
あと
から
資料
も全部お見せしますが、
農家
が持ってかえった
生活
に使える金は、百トンの
農家
で七十万しかない。とても七十万じゃ
生活
できない、これじゃどうもならぬ。あるいは娘を嫁にやるから何とかしてくれという話が出てくると、それは消費に使う金ではないか。
組合員
勘定の窓口を重箱のすみをようじでほじくるように消極的に把握すると、これは消費に使った金で、食い込み
負債
ではないか。しかし、なぜ食い込み
負債
ができたんだというと、
保証乳価
で保障しておる
家族労賃
部分
が
生活
費に使われてないということなんですから、そこらまで立ち入って、やはり
経営実態
を見て、これは
組合員
勘定の窓口をこそく的につかまえれば、
生活
費から出た固定化
負債
というようにも受けとれるけれ
ども
、どだいここらは
経営
の仕組みの中からこういう
条件
が出てきたのだから、それならやはり政府の
借り入れ金
のほうを延滞にして、
生活
費を百七十万出してやればいい。でないと政府の
借り入れ金
が延滞して払えないということがはっきりするわけですね。私はこの問題をめどづけしてくれなければ、先頭を切って、これは大型をやった
農家
にそういうばかなことをしないようにしなければならぬ。私自身の
組合
もことしからそうやろうと、私はまずよその
組合
でなくて、自分の
組合
でやらなければならぬと考えておる。 それはなぜかというと、どうしても農民を守らなければならぬですから、
保証乳価
で保障されていないのですから、だから、六十万だけは回収する、
保証乳価
で回収された、いわゆる毎月の
乳代
から
キロ
六円だけは回収して、
償還
をして、そうして元本
償還
に入る、これ以上は農民を苦しめて請求はできない。受託機関の責任にはならないのだ。
日本
の政治が悪いからこういう問題が起きるのだ。だから、
生活
費はやはり見る。
牛乳
生産農家
であれば、やはりこの
保証乳価
で保障されると明示されておる、飼育労賃と粗
飼料
労賃に該当する
部分
は
生活
費として
農家
に渡す。
乳代
から
元利償還
を求めるものは大体
キロ
六円、これを認めておる。そうすると、政府から借りておる資金は
元金
しか払えないから、
元金償還
に際する
利子
は払えない。これは今度は実力でやらなければならぬことになる。皆さん方、検討すると言うからそれを期待しますけれ
ども
、いよいよその方向が出なければ、ことしの
償還
からそれに入らざるを得ないだろうと私は考えております。そうして、
組合員
勘定の窓口をとっつかまえて、
生活
費に食い込んでおると、こんなことを言われたのでは、あまりにも農民はみじめです。はっきりさしてください。
酪農
農民の
生活
を守るためにそこをはっきりさせる。保証されておる
部分
だけは払います、それ以上は回収することができないという姿勢をとる、そうすれば今度ははっきりしますから。 何のために
総合資金
が払えぬのか、マル寒資金が払えぬのか、そこを実務の上ではっきりさそうと思うのですね。なまじっか
組合
が、公庫や農林中金に対する管理義務、善管義務を果たそうと思って、
プロパー
で立てかえて、そうして、
組合員
に証書貸付金で払えぬ
部分
を貸して、
償還
させておるところにも問題があると思うのだ。払えぬものは払えぬとしたほうが、皆さん方も来て見たら、はっきりすると思うのです。そこまで立ち入ってものを考えてもらいたいということです。何のために払えぬのかということをですね。 ただ
組合員
勘定の窓口だけを消極的にとっつかまえて、これは
生活
費から出た固定化
負債
ではないか、こういう判断は間違いだということをひとつ私はいま申し上げておきますから、これは
政務次官
、こういう問題で、もちろん統計で
負債
を把握する、
調査
することも必要だが、一ぺんこの
負債整理
やその他の
実情
調査
をいまやらなければならぬ。ひとつ畜産局と経済局合同で、やはり班長クラスで
実態
調査
をする必要がある。ひとつ
調査
をするようにさせてくれませんか。
調査
をすればこれはわかりますから。現地の説明も、私は行けませんけれ
ども
、現地の信連支所なりにわかるように説明させますから、何のために借金ができたのかということを。
中尾栄一
15
○中尾
政府委員
お答え申し上げたいと思います。
北海道
におきます
酪農
経営農家
の
負債
内容というものにつきましては、
実態
的に、
先生
、先ほど御
指摘
の点もございますけれ
ども
、十分それを勘案しながらも、まだ幾つか不明な点が残される場合もあろうかと思いますから、そういう点は
実態
調査
に関して、昭和四十七年一月及び昭和四十八年一月現在で、
北海道
が全
酪農農家
を対象としました悉皆
調査
及び地帯別に
抽出調査
を実施いたしまして、目下集計作業中で、近々まとめられる形ではなかろうかと考えております。したがいまして、農林省としましては、この集計結果を待ちまして、自作農維持資金による借りかえ措置を早急に講ずる必要がある
段階
にあると、このように認識をさしていただいておる次第でございます。
美濃政市
16
○
美濃委員
いま農林省みずからすぐ
調査
に行く意思はありませんか。
道庁
の悉皆
調査
を見てといことですか。
中尾栄一
17
○中尾
政府委員
十分事務当局とまた検討してみたいと考えております。
美濃政市
18
○
美濃委員
悉皆
調査
の話が出ましたから、この際、ちょっと一言触れておきますけれ
ども
、私があくまでも申し上げておるのは、あの終戦後大型化した根室と釧路の実例、これは六千戸で四十万トンと一番大きいです。ですから、
平均
でやらぬようにしてもらいたい。
平均
は低いです。たとえば
北海道
の
酪農
といっても、道南のように、いわゆる戦前から
酪農
の
規模
がある程度基礎が築かれてきておった、あるいは十勝における、私の地元ですけれ
ども
、混同地帯、こういうところの同じ百トンでも根釧よりは少ないです。それを
平均
すると、私、
平均
化の
資料
はちょっと持っておりませんが、いま
局長
の言う
北海道
酪農
の
平均
は六百万だ、あるいはそうかもしれない。概念的に言うと、
北海道
の
酪農家
の
平均
化は、根釧から見ると少し少なくて、
局長
の言う六百万
平均
くらいだろうというくらいに悉皆
調査
が出てくるかもしれません。それはしかし、六千戸から集団しているところですから、それはそれ、これはこれで
負債整理
あるいはそういう
条件
というものはやはり苦しい
条件
は同じです。ただ、古いところは
畜舎
が
償却
済みになっている。ずいぶん苦労して苦労して多少
負債
が少ないところもあるでしょう。
平均
化をされると少ないが、
平均
化で
限度額
をきめたり、あるいは特認をきめたりしないで、ほんとうに苦しい、一戸や二戸の実例ではないわけですからね。かなり集団した後発
地域
で装置大型
酪農
をやったところに大きな借金があるわけですから、そこらが救済できるように、たとえば特認
限度額
を引き上げたって、ない借金は
肩がわり
をやる必要はないのですからね。特別に自
創資金
が膨大に
限度額
を引き上げたから膨大な資
金額
が伴うというわけのものではないのですから、
実情
に合うようにやる、こういうふうにやってもらいたい、こう思います。 それから次の問題は、ことしの物価騰貴に基づく建設費の増大であります。それから、御存じのように、特に
北海道地域
は雪が降ります。かなり
頭数
が増加している、そういう
条件
農家
があるわけですね。そして古い物置や厩舎が三つくらいに分かれて、新築するということでしておりますがものすごく省力化されないわけです。冬季間ふぶきが降れば雪が入る。ふぶきの中で搾乳を行なっておる、こういう
条件
の中で、ことし
総合資金
を借りて総合
畜舎
を建てて、そして省力体系、家畜の管理体系をよくしようという計画を立てておった
農家
はたいへんなことなんです。 それは、ことしの
乳価
の中でも保障されておりませんし、
畜舎
でいまどういう現象が起きてきたかというと、木材投機で、木材は倍です、建築材は倍になっております。倍をちょっと越えております。去年セメン一袋四百円がことし千円する。昨年ですと、五十坪、六十坪というような大きな
畜舎
が一坪五万円で請負のできたものが、ことしは七万円ないし七万五千円ですね。五割建築費が増加しました。そうすると、先ほど申し上げましたように、前
年度
価格
でも
借り入れ金
で
収支
が合わないのに、ことし五割も建築費が増加したら、これまたどうにもならぬわけですね。それともう一つは、綿類が全部倍になっておる。さらしも前
年度
より倍、さらし程度は知れたものですけれ
ども
、作業衣、地下たび、綿と称するものは全部去年の倍です。こういう
条件
が投機の中から発生したと思うのです。インフレ経済
条件
でこんなに一挙に倍になるのじゃないが、投機が綿に加わっておりますから、とにかく投機が働いた物資は倍になったと考えていいわけですね。そういう
条件
の中からものすごく
生産費
が上がってまいります。 これはことしの統計を把握して出てくると思いますが、これは
牛乳
だけでございません、米から全部ですね。米からあらゆる農産物のただいま申し上げたような投機が働いた消費物資もしくは
生産
資材、一番低いもので五割、大体倍に近い
経費
の増大であるということですね。
農業
生産費
の増大であるということ、これはたいへんなことだと思うのです。これは統計で把握して出てくると思う。 先ほど申し上げたように、一つは
酪農
でいえばことしの
乳価
の値上がりを見て、一割近い
農家
が
経営
放棄をする心理になっちゃった。二つあるわけですね。一つは
負債
に苦しめられている
条件
、もう一つは急激に上がってきた
生産
経費
の増大、これじゃ、もう
生活
はできないということで、
生産
放棄が開始されておる。ここらに対して何か的確に、いまどうお考えになっておりますか。明
年度
の対策、すべての農産物
価格
対策、米価もあります、すべての農産物に対してそういう現象が起きてきたのだ。これは一体農林省としてこれをどうするか、それに対して政策対応はどうしていくのか、これをお伺いしておきたいと思います。
中尾栄一
19
○中尾
政府委員
これは非常に私
ども
も十分意を注がなければならない問題であると考えておりまして、まさに
先生
御
指摘
のとおり、五割になんなんとする物価騰貴、さらに
生産
性というものに対するまた
伸び
悩み、
先生
の御
指摘
のとおりの種々の問題を考えますると、たいへんな問題を踏まえていると思うのでございます。私
ども
はそういうものに十分意をこらしまして、ひとつ対策を練っていくべきである、こう考えておりまして、ひとつその点は存分に検討していきたい、こう考えております。
質問
そのものは非常に大きな課題でございまするから、
農業
に従事する、特にまた農政に従事する私
ども
の
意欲
的な意思だけを伝達さしていただきまして、私
ども
の答弁にかえさしていただきたい、こう思うわけでございます。
美濃政市
20
○
美濃委員
大体十二時が近づいておりますが、もう一つ、これは新しい政策を検討してもらいたいということなんですが、いま申し上げたこういう地帯の
酪農
は、御存じのように、草地
酪農
ですね。そうすると、さっき申し上げたように、
飼料生産
の
経費
と
実態
が合わないという、いわゆる
保証乳価
で見積もられておる
飼料
代の
現実
は、大体倍使っておる。倍使って、実際はいい草がとれるかというと、七年、八年という永年
牧草
に金肥をいまトラクターでふっております。ですから、量は金肥をやって確保しても、質的に非常に栄養の低い草になっております。 そこで、これも具体的な
組合
名その他は
あと
必要に応じて事務当局に申し上げますが、これは私はりっぱな構想だと思うのですが、ある
農協
で、これは真剣です、これではもうだめだ、まず第一番に
負債
の問題と、
あと
一つは、こんな金肥を使って、量的にはまあまあ確保しても、永年
牧草
ですから、草が退化してかなり栄養的に質的に低下している。これではどうにもならぬから、
土地
の要らないてん菜耕作をやってくれないかということに気づいた
農協
があるわけです。どうしてもやってみたい。それで再トン以上の大畜産
農家
になっておるから、
農家
が二月でてん菜をペーパーポットでつくるわけにはいかない。つまり、十勝とか道内の
経営
面積の少ないところで、ビート作りのできる
農家
をまず三戸くらい入れてくれないか。それで大体一二十ヘクタール持っておりますから、五年輪作で五ヘクタールでビートをつくる。それは、ビートをつくる
農家
がてん菜省力用
機械
一セットをもって、五年輪作で三戸共同で六十ヘクタールくらいビートをつくる。六十ヘクタールというのは、
酪農家
六戸とてん菜耕作
農家
三戸をセットにして、そして堆肥を入れて、てん菜をつくって深起こしをしなければ、とてもこの草ではだめだということを見出しておる
農協
が一つあるわけです。その省力
機械
のセットを入れる方式、これは国の補助がなければできないから、道なり国なりのそれに対する政策をひとつ
確立
する。現行
制度
の中で何ぼでも無限大に援助してくれとは言わぬが、てん菜省カセットを優先して配置するとか現行
制度
の中における政策の恩典をしてどうしてもそれを
確立
しなければ、とにかく四十万円、五十万円も永年
牧草
に無機質
肥料
をふったのではだめだ、この点も
経営
の大きな行き詰まりである。二十万円、三十万円という支出
農家
です。それでいい草がとれるならいいけれ
ども
、いい草にならないわけです。それに気づいて、それをいま強く打ち出した
農協
があるわけです。私は、これをまず全面的にやれないから、それならそれらの
農協
とタイアップして、私
ども
の地帯に、よし、それならといって、ビートづくりを専門にやろうという
農家
がおれば
——
それはおりますから、すすめれば出てくるんですね、
制度
さえきちっとやっておれば。この計画はこういう地帯、ここだけでなくて、たとえば道北地帯といって、宗谷管内とかこういう
北海道
の草地
酪農地帯
はみな同じ
条件
だと思うんです。ただ、海岸の地区にごく接近していきますと、潮風が吹いて、てん菜ですから、とれぬことはないけれ
ども
、二トンぐらいで、とても収益はあげられませんから、私
ども
がざっと見てやれるのは、五千戸の
農家
のうち三千戸はやれる、三千戸の
農家
はその
条件
にある、それをやらなければだめだと私は思うんです。当該
農家
は五ヘクタール
牧草
をてん菜にしても、てん菜の葉とそれからパルプを還元してやれば、それで永年
牧草
以上の
年間
の
飼料
も確保できるわけですね。長期的に草の質がよくなり、できるのですが、この政策もひとつ企画で検討して、そういうものをひっくるめて
政務次官
に
お尋ね
します。 やはりそういう問題は、企画の
調査
になります。これはかなり
意欲
を持ってやるという
農協
が出てきましたから、それを伸ばすべきだと思うんです。そこで顕著な実績ができると、全部やるようになります。まずモデルを一つつくってやりたいと思うんですね。顕著な実績ができるということは、やらなくてもはっきり言えると思うんです。そうすることによって、先ほど申し上げた
経営収支
が二十万円、三十万円くらい
改善
される、やらなければまだまだ悪い方向へ向かっていくということです。永年
牧草
に無機質
肥料
だけやって、非常に栄養の低い草を与えていきますと、まだまだ
経営収支
が悪いほうへ向いていく。ここでこういう
意欲
のある
農協
が出てきたから、その計画をひとつモデルをつくってやってみる、これをひとつ検討してもらいたい、いかがでしょうか。
大河原太一郎
21
○
大河原
(太)
政府委員
お答え申し上げます。
北海道
におきますビートと
酪農経営
との結びつきの問題というのは、かねがね従来の長い議論もございましたし、
現実
の試みもあったようでございますが、最近の多
頭化
酪農経営
における
飼料
基盤の整備というものを、草地一辺倒というような方向だけでなくて、ただいまお話し申し上げましたような現金支出
部分
の節約とか、その他の視点からも再検討する必要がある、具体的な事例も
意欲
も出ておる
部分
もあるというようなお話でございますので、
酪農経営
とビート作との結びつき、あるいはシステム化というような問題についてはわれわれのほうとしても、その
先生
御
指摘
のような具体的な事例について十分実例を聴取いたしまして、検討させていただきたいというように考えております。
美濃政市
22
○
美濃委員
最初のお話を最後にまたお聞きしておきたいと思いますが、この四十億はいつごろ
決定
しますか。
大河原太一郎
23
○
大河原
(太)
政府委員
今月中にはきめたいというように考えております。と申しますのは、一つには
先生
のかつての御質疑にもございましたが、この財源が
畜産振興事業団
の四十七
年度
の
差益
でございまして、この決算が五月には終わります。したがいまして、具体的な
金額
のめ
ども
つきますので、そういうものを合わせましてきめたいというふうに考えております。
佐々木義武
24
○佐々木
委員長
美濃政市
君、質疑をちょっとお控えください。
—————————————
佐々木義武
25
○佐々木
委員長
この際、御紹介を申し上げます。 ただいまユーゴスラビア連邦議
会議
長ミヤルコ・トドロヴィチ氏外議員団各位がお見えになりましたので、ここに諸君とともに心からなる歓迎の意を表します。 〔拍手〕
—————————————
佐々木義武
26
○佐々木
委員長
質疑を続けます。
美濃政市
君。
美濃政市
27
○
美濃委員
この際、農林大臣に
お尋ね
をいたしたいと思います。 わが国の食糧消費構造の動向から見れば、今後畜産
振興
を推進することが、国民食
生活
改善
の面からも
農業
経営
の
改善
の面からも必要であろうと思います。 畜産
振興
をはかるためには、基礎的
生産
資材である
飼料
の安定的供給を確保することが第一の要件であろうと思います。しかしながら、昨年夏以来国際的な
飼料
穀物の需給逼迫等を
理由
に、わが国の配合
飼料
価格
はトン当たり
平均
八千円、約二五%も値上がりを見て、
畜産経営
に甚大な影響を与えております。 この異常事態に対しては議員立法による
飼料
用過剰米、政府操作麦類の大幅値引き特別売却措置により、当面の
価格
抑制を行なっているところでありますが、この特別売却措置が終わった
あと
の国際的な
飼料
穀物の
価格
動向が懸念されるところであります。このような
状況
が続く限り、わが国
畜産経営
の安定をはかる上に、常に問題点が残っておることとなります。 今回の場合は、世界的な異常気象が
飼料
穀物需給逼迫の
原因
となっておるので、やむを得ない
事情
があると思いますが、やはりわが国の
飼料
原料の輸入構造にも問題があるのではないかと考えます。 主要原料であるトウモロコシについてみれば、アメリカ一国から総輸入量の二分の一以上を輸入しておる現状であり、最近、タイ国、アルゼンチン等からの輸入も増加しつつあるとはいうものの特定の国に輸入の大半を依存しておるというのは
飼料
原料の安定的供給という面から再検討すべきではないかと思います。マイロや麦類についても同様輸入先国に偏重があり、今後は、
飼料
原料の供給の安定をはかる上からも、また同時に、
農業
面における国際協調の促進という面からも、輸入先の多元化をはかっていくべきだろうと考えます。 このような
農業
面からの国際協調ということがひいては国際的な文化交流のきっかけをつくることにもなり、国際友好促進のきずなにもなるわけであります。 そこで、私は、一つのアイデアを農林大盛にただしたいと思います。 農林省は、今回の
飼料
穀物の需給逼迫と
飼料
価格
の高騰という経験にかんがみ、当然将来の対策を検討しておることと思いますが、この際、今後における
飼料
原料の安定的供給をはかるため、従来の慣習的な特定
生産
国からの輸入を再検討し、たとえば東欧諸国、特に本日当
委員
会にその代表が臨席されておられますユーゴスラビアの
飼料
原料の輸入を考えてみてはどうかと考えます。 ユーゴスラビアは、工業に対する
意欲
とともに
農業
振興
にも多大の熱意を払われており、また
畜産経営
も盛んな農民を愛する国であると聞いております。
飼料
穀物の
生産量
もかなり多く、輸出
意欲
もあるやに伺っておりますので、従来輸入実績はないかもしれませんが、このような国から将来安定的に
飼料
穀物の輸入を行なうようになれば、わが国の畜産
振興
のためにも、また両国間の友好関係もつちかわれていくということになると思います。けっこうなことだと思われますので、農林大臣の御所見をお伺いいたします。
櫻内義雄
28
○櫻内国務大臣 ただいま
美濃委員
より、適切な御所見を交えての御
質問
でございました。私もわが国の畜産
振興
に大いにつとめたい、こういうことでございまするが、お話しのように、
飼料
の問題についてはなかなか苦労が要るわけでございます。最も必要なトウモロコシ、コウリャン等の濃厚
飼料
の原料につきましては、これを海外に六三%も依存をしておる、こういうことでございまするし、しかも今回の
飼料
の値上がりの
原因
になりましたが、一部の国から多量に輸入をし過ぎておる。たとえばトウモロコシはアメリカより五〇%以上、コウリャンについてはアメリカやアルゼンチンで七〇%、残りはオーストラリア、こういうことでございまするから、海外の
価格
あるいは輸出動向が、これが直ちに
日本
の
飼料
に影響あり、また畜産物に影響がある、こういうことでございます。 ただいまもお話しのように、最近二五%もえさが上がりましたが、これはアルゼンチンやオーストラリアの大幅な減産の影響を受けた。さらにはアメリカは減産をしたわけではありませんが、ソ連の食糧
事情
が天候異変による影響でアメリカに対する大量の買い付けがあった、こういうことでそれが
日本
の
飼料
に対する大きな影響になってあらわれてきておる、こういうようなことでありまするから、私も、お話しのように、これからの
飼料
の安定的な供給をどういうふうにするかということについては十分検討しなければならないと思っております。 それがためには、多角的な各国からの輸入の必要がございましょう。しかもそれは安定的に供給されることを
配慮
しなければならないと思います。また、さらに進んでは、
日本
として相手国との間で十分な話し合いの上に、いわゆる開発輸入式なものも考えていく必要があるかと思うのであります。 ただいま東欧諸国からの、またきょうおいでをいただいておる特にユーゴスラビアからの
飼料
穀物の輸入についてのお話がございまして、私としても非常に
参考
になる御意見として承ったわけであります。なかなか遠距離のことでございまして運賃等のことを考えますると簡単なことではないとは思います。しかし、現に遠くアルゼンチンからも
飼料
穀物を輸入しておる現状からいたしますると、私としてはよく検討してみたいと思います。 ユーゴスラビアが畜産関係については非常な御努力をされておることを聞いておりまするので、こういう
飼料
穀物の輸入についての
配慮
をするとともに、さらには同国の畜産技術などにつきまして、
日本
が相協力をする、また御指導を受けるというようなことも考えられることでございまして、今回せっかく議員団の皆さまがおいでのおりからでございまするので、ただいまの御
質問
の趣旨に沿いまして、両国の経済提携の上に何らかわれわれも寄与してみたいと考えておるような次第でございます。 以上、お答えを申し上げます。
佐々木義武
29
○佐々木
委員長
美濃政市
君、質疑をちょっとお控えください。
—————————————
佐々木義武
30
○佐々木
委員長
ただいまミヤルコ・トドロヴィチ議長外議員団各位がお帰りになりますから、どうぞ拍手をもってお送りください。 〔拍手〕
—————————————
佐々木義武
31
○佐々木
委員長
美濃政市
君、質疑を続けてください。
美濃政市
32
○
美濃委員
以上で終わります。
佐々木義武
33
○佐々木
委員長
野坂浩賢君。
野坂浩賢
34
○野坂
委員
いま、それぞれ
質問
、答弁がございました。特に
酪農
問題について十分に対処をしていくという御答弁もございましたが、大臣がおられませんので、私はとりあえず
政務次官
にまず
お尋ね
をします。 その一番初めは、いま
酪農
でもお話がありましたように、異常な
経営
の
実態
だ、こういうのが現状であります。私が四月四日この
委員
会で農林大臣に、
農業
基本法に基づく自立
経営
の
農家
はどのような
農家
の姿なのか、こう
質問
をいたしましたら、耕種
農業
、いわゆる水稲作付面積は大体六ヘクタール、それからもう一つの例は、
酪農
の場合は大体四十頭で草地面積三十ヘクタール、要するに、これが自立
経営農家
の姿で、この方向に基づいて進めていきたい、こういうお話がございました。 私も
資料
をいろいろさがしてまいりましたが、なかなかございません。きょういただきましたが、水稲作付面積の
農家
戸数といいますのは、全
農家
が四百七十二万九千、これは四十五年であります。五ヘクタール以上のものが約一万二千五百です。そうしますと、大臣が示しております自立
経営農家
というのは四十五年ですでに〇・三%しかありません。それから
酪農
の場合には、
現実
に二十四万九千の
酪農
戸数に対して三十頭以上というのが二千三百、ちょうど一%しかありません。これを見て、
農業
基本法に定めてある自立
経営農家
ということを進めるということでありますが、だんだんなくなっておるというのが現状なんですから、どのようにしてこの基準にまで引き上げるつもりなのか、そして自立
経営農家
を育成していくつもりなのか。この
数字
とあなた方が答弁されておる
数字
とはあまりにも懸隔がありますし、大臣が言いますその方向に進めていくという施策があれば最初にこの際承っておきたいと思うのです。
小沼勇
35
○小沼
政府委員
自立
経営農家
につきましては、基本法にもうたわれておりますように、今後育成をしていくことで従来も進めてまいりましたが、御承知のとおり、一応自立
経営農家
の四十六
年度
の下限の
農業
所得
は百六十六万というのがベースになっております。このベースから計算をいたしますと、
生産
調整の奨励金を含めた場合でございますが、その全体のシェアは戸数で大体四・九%ということでございます。その意味では自立
経営農家
を育成する点については幾つか難点があり、なかなか進まないという面がございます。その点は御
指摘
のとおりでございますが、ただ、今後進めていく場合に考えられますのは、単なる自立
経営農家
だけではなしに、多くの兼業
農家
もございますので、それを含めまして、自立
農家
を
中心
にこの
生産
組織を育成していくということをあわせて進めていく必要があるのではないかというふうに考えております。御
指摘
のように、非常にきびしい情勢の中でございますが、やはり高能率、高
生産
性の
農業
を展開していく中核は自立
経営農家
でございますので、それを
中心
にやってまいりたいということでございます。 そこで、そのためにいかなる施策があるかということでございますが、その基本になりますのはやはり
土地
でございますので、御承知のとおり、その
土地
につきましては、
土地
改良長期計画を五月一日に閣議
決定
いたしましたが、その
土地
改良長期計画に基づきまして圃場整備あるいは畑地かんがい、草地造成等基盤の整備を計画的に推進していかなければならない、かように考えております。また、
農業
団地を形成し、構造
改善
事業
をはじめとする一連の
生産
構造施策を一そう拡充してまいらなければならない、かように考えておりますが、あわせて各個別の
農家
の
土地
の
取得
につきましては、農地等の
取得
資金あるいは農地保有合理化法人によりまして、
土地
を買い入れて
規模拡大
をしようとする
農家
に売る、あるいは貸すという措置もあわせて進めてまいりたい。現に、農地の一般の自然的な移動では、若干ずつ上層のほうに
土地
が移動はしておりますけれ
ども
、それほど顕著ではございません。そこで、
取得
資金、合理化法人等によりまして、積極的に
規模拡大
をしようとする
農家
に
土地
を与えていくという施策を強力に進める必要があろうかというふうに思っておりますが、ただいままで申しましたような施策をあわせて総合的に展開していくことが必要である、かように考えている次第でございます。
野坂浩賢
36
○野坂
委員
個人の自立
経営農家
は非常に困難になってきたので、新たな
段階
として
生産
組織を整備していきたい、その手始めとして新
土地
改良計画あるいは構造
改善
事業
、圃場整備、こういうことで進めていくということでありますが、それでは
土地
の
生産
性はあがらぬわけですね。言うなれば、
労働
生産
性が高まってくる、こういうことがまず言えると思います。
経営規模
の
拡大
をはかるということでございますが、いまの御答弁では相当移動しておるということでありますが、その移動しておる面積は、四十七
年度
どの程度あったのか、そして
価格
は下限幾ら、上限幾ら、
土地
の
生産
性なり
農業
所得
の
実情
から考えて、
規模拡大
をしても
土地
価格
というのはどの程度までが
農業
生産
に引き合う値段かということを教えていただきたい。
小沼勇
37
○小沼
政府委員
農地法によります農地の移動面積が、四十六年までの
資料
でございますが、四十六
年度
では十二万ヘクタールほど移動しております。 ただ、その中で一番問題になりますのは、農地を有償で所有権を移転しているという場合でございますが、これは、四十六年は六万九千二百二十五ヘクタールでありまして、四十五年が七万一千ヘクタール、四十四年が七万六千ヘクタールということでございます。大体三十八年以降ほとんど約七万ヘクタールずつ農地が有償で移動をしているということでございます。 その中で階層別に見てまいりますと、〇・七ヘクタール以上が大体譲り渡しよりも譲り受けの面積が多いという形でございます。その中でも大体一・五町から二町、二・五町、二・五町以上、その辺が面積としては多く差が出てきている。つまり、譲り受けのほうが譲り渡しのものよりも多くなっている、割合が大きいというふうに見られるわけでございます。
価格
については、ちょっと
資料
が手持ちので見当たりませんので、後にお渡しいたします。
野坂浩賢
38
○野坂
委員
あと
でけっこうです。 譲り受けをしたほうが多いわけですね。〇.七ヘクタール、七反歩ということですか。譲り渡したほうは零細農に転落をして、第一種兼業
農家
が第二種兼業
農家
になっていくというかっこうで、第二種の兼業
農家
が離農するという形ではなしに、第二種兼業
農家
は保有米だけを確保して他の
土地
は売っていくというかっこうで、むしろ零細農のほうが促進をされておるという傾向が強いのじゃないのですか。そういうふうに把握をしておりますが。
小沼勇
39
○小沼
政府委員
いま申し上げましたように、七反以下になりますと、つまり譲り渡しをしているほうが多くなるということでございますから、七反以下では
経営規模
が全体としては縮小しつつあるというふうに見てよろしいのじゃないかと思います。その層がいきなり離農という形ではなしに
土地
を持ちながら賃貸をするなりあるいは
生産
組織に参加をするなり、いろいろの形で第二種兼業
農家
として存在をしているのではないかというふうに推定されるわけでございまして、一たんそこでとまりながら、ものによっては全部売り払って離農するという者も出てくるかと思いますが、かなりは、やはりいまの
土地
の
資産
的価値から申しまして、
土地
は離さないで、賃貸なりあるいは請負耕作なり、いろいろの形をとりながらそこにとどまっているという形ではなかろうかというふうに推定いたします。
野坂浩賢
40
○野坂
委員
そうすると、大臣がお話しになった六ヘクタールというようなものについては、この傾向から見ますと非常に困難でありますから、いわゆる専業
農家
を中核とした兼業
農家
を、よくいわれる約二十人程度あるいは三十人程度の
規模
の
生産
組織をつくっていく、こういう方向でこれから進める、こういうふうに考えていいわけですか。
小沼勇
41
○小沼
政府委員
先ほ
ども
ちょっと申し上げましたが、
土地
を買い受けて
経営規模
を大きくしていくという道と、それから
土地
を借りてやっていくという両方あろうかと思います。
土地
を買ってというのは、まさに農地
取得
資金等を借りて、あるいは
総合資金
を借りて、それで
土地
を
取得
していくという道で、最も直線的な線であるわけです。しかし、それだけでとても進まないであろうということも想定されますので、それについては、農地の流動化を賃貸借の面でも考えられないことはないというふうに思うのでございますが、現在賃貸借で表面に出ております、農地の移動統計で出ております数は非常に少のうございます。事実はいろいろの形で動いているということを聞いておりますけれ
ども
、統計にあがってきておるのは非常に少ないという
状況
でございます。 しからば、いま御
指摘
のようなこの六ヘクタールという形にどうやって到達するのかということになります。 そこで、農地保有合理化法人等を通じてやるという道を今後大きく展開していきたいということも一つ考えておりますが、ただ、その個人個人が大きくなっていくという形のほかに、効率的に
生産
性をあげる、そういう
規模
の利益をあげていく
規模
の効果を出していくために、その
生産
の
単位
というものは必ずしも所有の
単位
とはイコールでなくてもよろしいというふうに考えられますのでそういう
規模
の利益をあげていく
生産
単位
を実現するために、
土地
をどういうふうに集めていくかということだろうと思うのです。 〔
委員長退席
、
山崎
(平)
委員長代理着席
〕 その意味では、共同
経営
あるいは集団的な
生産
組織という形にいまの兼業
農家
も参加をしていくということで、御
指摘
の六ヘクタールに対応するような効率の高い
生産
性をあげる形を実現していくのも一つの道であろう。それがすべてというわけではありませんけれ
ども
、そういうふうに見られるわけでございます。
野坂浩賢
42
○野坂
委員
買い受け、借り受けと、こういうことですが、買い入れの場合の引き合う農地の値段ということを聞いたんですが、あなたが見解があればどの程度なのか。百万円も出して一反買って
もと
ても
農業
を営むことはできぬ。六分五厘あるいは五分、そういう利息で借りたとしても、引き合うというかっこうになっていきません。だから幾らなのか。 それと、
借り入れ
をして耕作をする場合、いわゆる賃貸借ですね、賃貸はどの程度が適当だと思っていらっしゃるか。たとえば、私はずっと歩いてみますと、
農家
の人はこう言うんです。おもしろいことを言います。私は農地の面積が非常に少ないので
借り入れ
をしたい、こういうことをお願いをしたところが、よろしい、よろしいが、耕作料は幾らだと聞いたら、三万円だ。なぜ三万円か。休耕奨励金がほしいのだ、こういうふうに言っておる。これではとても引き合わぬ、だからやめたこういうことですね。だから、あなたがおっしゃっておるように、
借り入れ
で請負耕作ということがそう進むというような情勢には少なくともないのじゃないか、こういうふうに思いますが、どのようにお考えですか。ずっとみんなそう言ってますよ。
小沼勇
43
○小沼
政府委員
農地
価格
の面については、かなり
地域
によって差がございます。耕作目的の農地
価格
でございますと、
農業
会議
所が調べたものと、それから一般的な農地
価格
については不動産研究所が調べておるのと両方ございますが、
農業
会議
所の場合には、大体十アール当たりで畑で、中田で見ますと、百八万四千円というふうにかなり四十六年には高くなってきております。四十年が二十八万円でございますから、そういう意味じゃ、農地の
価格
はかなり高くなってきているというふうに思われます。いま手持ちの
資料
でどの辺が妥当な
価格
であるかということを持っておりませんが、一ぺんに全部買ってという形の場合と、それから切り売りといいますか、切り買いといいますか、
部分
的に足していくという場合では、かなりその
価格
についての計算のしかたが違ってまいるだろうと思います。試算ができますれば御報告をいたしたいと思いますけれ
ども
、
農業
経営
上効率があがって、そのために農地の
価格
の
償却
ができるというそういう
経営
採算ベースが当然あるはずでございますし、その線は年々やはり上がってきているとは思いますけれ
ども
、それにしても、
経営
が成り立たない形で
土地
を買うわけにはまいらぬということでございますので、そのラインを判断しながら農地
取得
資金等を
借り入れ
て大きくしようとしている
農家
が現在かなりあるわけで、その実績は農地
取得
資金のほうの公庫の
借り入れ金
でも出てきているわけでございます。 それからもう一つの賃貸借の賃借料の問題でございますが、これが実は非常に
地域
でまちまちになってきておりまして、
土地
は売りたくないが貸してもいい、ただ、荒れ地にしておくのは困るので管理してほしいというふうなものもございますし、経済的にその小作料によってある程度潤いを得たい、経済的にも収入を得たい、そういうものもございます。いろいろの形がございまして、一律にこの程度というふうにいま申し上げることはできないのでございますけれ
ども
、賃借料が非常に高いために
経営
が非常に苦しいというふうな形では困るわけでございまして、この点については農地法で標準の小作料を
地域
ごとにきめまして、その小作料に見習ってやりなさいという指導をしているわけでございます。その小作料については、その
地域
地域
によってずいぶん差がございます。表
日本
、太平洋ベルト地帯と裏
日本
とでは全く違うような
状態
でございますが、借り手の多いところと貸し手の多いところではその関係が逆になりますので、そういう点で一律には申し上げかねますが、やはり
経営
サイドとしては、
農業
経営
が十分成り立つ形でなければいけないし、そういう面でわれわれは小作料標準についても指導をしていきたいというふうに考えております。
野坂浩賢
44
○野坂
委員
話としては大体わかりますが、
現実
に即してものを見、ものを考える場合に、お話のように、
農業
経営
の採算ベースに乗っていかなければならぬ、これは何としても大原則だと思うのです。いまその原則からまいりますと、農林省の
土地
政策あるいは大手商社の買い占め、売り惜しみ、そういうものの影響から、最近は農地の
取得
というのは困難である、採算ベースから見れば、そういうことが言えると思います。 それから、貸し手と借り手、そういう面から見ますと、おっしゃるように、そういうところは各
地域
ごとにいろいろな特徴があろうと思います。それは認めます。しかし、あなた方は、六ヘクタールなりあるいは牛四十頭というものにするために指導していくということをおっしゃいますけれ
ども
、そういう指導体制が
確立
はしておらぬ。それから、これは自分のふところに大きな影響のあることでありますから、
農業
の推移なり
農業
の
経営
採算ベースということを見て、
農業
は単に口先だけの指導では動こうとはしませんから、そこに持っていくために具体的に誘導政策というようなものを考えなければならぬと思うのです。たとえば六ヘクタールにして、それが
中心
になってやるならば、まず六ヘクタールというところの基準まで、専業
農家
が
中心
になって、借地なりあるいは共同
経営
するということになれば、これだけのめんどうは見る、これだけの補助金は出す、こういうようなかっこうで進めなければ、私はそれは進まないと思います。どのように指導しておられるのか。そしてまた、基準まで持っていく
生産
組織なり共同
経営
にするそういう政策というものは、どのような指導でそこの基準まで行くのか。
現実
にここ十数年来
農業
基本法はいわば空文化しておるのですからね。それに乗っていく具体的政策なり誘導政策があれば教えてほしいし、そういうことは必要なくてそれができるということになれば、何年ごろにできるか、聞きたいと思うのです。
小沼勇
45
○小沼
政府委員
先ほ
ども
申し上げましたように、一つはやはり
規模拡大
をしていく、その背景には、全体として
生産
基盤の整備があって、
生産
性が高くなりながら、その中で団地を形成して、さらにその中で
生産
組織なり、そういうものを通じていく道があることを申し上げましたですが、片方の農地
取得
資金あるいは未墾地の
取得
資金、そういうもので個別の
規模拡大
をはかりながら、片方、いま申しました
生産
組織を通じて、
規模
の大きい
農業
生産
を展開していくということを申し上げたわけでございまして、基盤整備については、十カ年計画をもちまして大いに積極的にこれを進めていくということを考えておりますが、個別のものにつきましては、御承知のとおり、普及
事業
等を通じて指導していく、その裏打ちになるものは
取得
資金であり、また種々の補助
事業
で施設を補助する、あるいは圃場を整備する、そういうふうなことを通じてやっていくことが必要であるし、これにつきましては総合的に進めていくということで、私の担当しております構造
改善
局では、その構造面について担当しておるわけでございまして、今後もいま御
指摘
の線につきましては、
生産
性の高い、高能率の
農業
が中核になる
農業
の形態、
農業
の構造をつくり出していくということに努力をしてまいりたい、かように考えているわけでございます。
土地
価格
自体が
資産
的な価値が高くなり、非常な地価の上昇による
農業
経営
への圧迫があることは御承知のとおりでございます。
規模
を
拡大
する場合の非常な障害になることも事実でございます。その点を何とか乗り越えていくということで、現在も農用地開発
事業
等を進めておりますが、そういうものによりまして増反をしていくということも、一つの基盤整備と結びついた重要な方向だろうというふうに考えておるわけでございますが、いろいろの施策を総合的に展開することによって、御
指摘
の点について努力をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
野坂浩賢
46
○野坂
委員
局長
から、今後そういう一定の基準に達するまでの誘導政策は、本格的に努力をするということでありますから、理解をするといたしましょう。しかし、いまお話しになりました圃場整備
事業
なり、
土地
改良
事業
、こういうものではいわゆる
土地
の
生産
性は私は高まらぬと思っております。
労働
生産
性は高くなって、
農家
所得
は出かせぎ等によって
所得
はふえるかもしれないが、
農業
所得
それ自体はそうふえるとは思わない。また、これによって
生産
組織なりあるいは共同化というものが進むというふうにお考えですけれ
ども
、それは、たとえば私なら私が、私は四反半しか持っておりませんが、構造
改善
をやって、それに近所から耕うん機を借りてやっていく、田植え機でやっていく、それで、刈り取りのときだけは出ていく、こういうかっこうですから、そういう共同化というのは、あなたがおっしゃるように、完全に賃貸しなり賃借りなりというような姿にはなってこない。なってきませんから、具体的にこの基準まではどれだけの補助をする、あるいは構造
改善
局長
の場合はそういうことをぜひ進めてもらわなければなりません。そうしなければ、
規模
の
拡大
というようなことは非常に困難になりますし、いまはやりの
機械
化貧乏というのは、やはり
機械
化は、二・四%も投資額が四十六
年度
には減っておるのですからね。それは何を意味しておるかということなんです。具体的に減るということになれば、他から借りてやりますけれ
ども
、全体的にその効率を高めていくためには、
規模
を
拡大
する必要があろうと思います。その
生産
組織にするまでのいわゆる積極的な指導、ただ単に基盤整備をしたんだからそれができるというふうなことは錯覚ですね、間違いだと思うのです。その点について、これからの誘導政策というものを、そこの基準まで引き上げて、ほんとうの確固たる
生産
組織ができて、生々とした
農業
所得
が向上できる、こういう点をやはり進めてもらわなければならぬ、こう思います。 それから、次官でもけっこうですが、たとえば牛の場合四十頭、草地三十ヘクタールというのは、実際問題として
全国
で一%しかない、
北海道
にあるくらいのものです。内地はそうない。そこで、各部落を歩いてみました。
農家
のうちを一軒一軒歩きました。おっしゃった方向ができるかどうかと思って、この連休に百二十軒ぐらい歩いて、そういう方々が集まった。それは第一に
農業
に対する非常な危険性を感じていますね。
農業
に対して、
酪農
そのものに対して危険性がある。だから、いま五頭飼っておれば十頭にするということは比較的やりやすい、共同で四十頭ということは今日の体質からしてなかなかできぬと、こう言下に言いますね。だから、十頭つくるためには、自分の金がないから、いわゆる
総合資金
なり農林漁業
金融
公庫なりそういうものから借りたにしても、三年据え置き三分五厘としても、二十年
償還
としてもなかなか踏み切れない。だから、半額は、たとえばいまの歳の五頭ならば、十頭
単位
にしてもらえば自分たちは半額補助してもらえる、そして
あと
の分は農林漁業
金融
公庫で、こういうことであれば前向きになってわれわれは真剣に検討する。しかし、思い切った大
規模
というようなことを言っても、そう一気にはなかなか進みにくい。だから一定の基準を設定しながら、その方向に出してもらって、
酪農
なり養豚なり、基準設定をしながら目標に近い
農業
体系というものをつくってもらいたい、そのほうがはるかに
日本
農業
としては
——
こういう集約的な、
土地
が狭いわけですから、その方向をぜひやってもらいたい、こう言って、私の地元の山間僻地、あるいは農地の皆さん方はそのように
指摘
をされております。確かに私はそういう声だと思うのです。なかなか大胆なことはいまできにくいというのが
農業
を取り巻く現状であります。ことばだけできびしい情勢、きびしい情勢では、
農業
は抹殺をされてくるという危険性と可能性がある。そういう点についてはきめのこまかい補助政策、きめのこまかい誘導政策、こういうことが必要だと思いますが、それぞれお答えをいただきたいと思います。
小沼勇
47
○小沼
政府委員
各局別にそれぞれ作目を担当しておりますが、私
ども
のほうから申し上げますと全体として
生産
構造につきましては、御承知のとおり、一つは基盤整備
事業
、それから構造
改善
事業
と、さらに現在は
生産
組織を形成する母体になります
生産
団地を形成していく、物理的にそういう
生産
組織が局能率
農業
を展開することが可能になるような
生産
の団地を形成していくという、そういう
事業
をやっておりまして、そのまとめをやっております。個別の作目についてはそれぞれの局が担当しておりますが、そういう
生産
組織、それから団地形成
事業
、そういうものを通じて、いま御
指摘
のような方向に沿って、やはり国際的に競争できる
農業
の形態をつくり出していくということが必要であろうということで進めているわけでございます。
野坂浩賢
48
○野坂
委員
政務次官
に聞こうと思ったのですけれ
ども
、まあそれでいいでしょう。 それから次に、米の問題について、長官もおいででございますから、
お尋ね
をいたします。 一昨日の
農業
新聞を見ますと、四十八年産米は七月中旬に
価格
の
決定
をしたい、こういって農林大臣が新聞記者の皆さんに言明をしておられます。そこで、食管の問題についてまず基本的に
お尋ね
をいたしますが、私たちはいま、
日本
の国民は当初、
生産
者の場合は食糧管理法、食管
制度
というものを堅持しなければならない、そうしなければ、われわれの
生産費
・
所得
補償方式によるそういうものがくずれていくという心配を非常にしておりました。消費者のほうは相当数このものは取り払われていいじゃないかという声があったと思います。しかし、最近の商社の買い占め、こういう事態から見て、消費者はほとんど一〇〇%この食管
制度
というものは堅持しなければわれわれの
生活
を守っていくことが非常に困難になる、こういうふうに考えて、食管
制度
堅持をこのごろ強調しておられます。私はそういうことをちまたにはだで感じておるわけですが、長官はどのようにお考えになっておりますか。
中野和仁
49
○中野
政府委員
米は国民の主食でございますので、それの
生産
、それの消費ということが非常に安定をしておるということが必要であるわけでございます。したがいまして、私といたしましても、当然食管
制度
の
もと
で米の管理はやる必要があるというふうに考えております。
野坂浩賢
50
○野坂
委員
よくわかりました。 それで、たとえば
生産
者はできるだけ高く、消費者は
生活
に影響のないように安定をした方法、こういうものが食管法で定められています。 売るほうの側ですけれ
ども
、米屋さんの場合はできるだけもうけたい、こういうことですが、標準米というよりもいわゆる自主流通米のほうを食糧庁としてはPRをして、そちらのほうを売れとこういうふうに御指導になっておるのですか、それともできるだけ標準米でというような指導をしていらっしゃるのですか、どっちなんですか、米屋さんに。
中野和仁
51
○中野
政府委員
四十八米穀
年度
で申し上げますと、政府の管理米が五百四十万トンございます。それに対しまして自主流通米は約二百万トン程度でございまして、米の消費者への供給という観点からいいますと、政府管理米が
中心
でございます。しかし、現在のように、食
生活
が向上してまいりますと、やはり国民の相当
部分
が良質米を求めるというようなことでございますので、自主流通米
制度
を四十四
年度
からとっておりますが、われわれとしましては、両方を的確に運用いたしましてやっていきたいということでございまして、米屋のほうに自主流通米だけをやれということをどんどん指示しておるということではございません。
野坂浩賢
52
○野坂
委員
この間、私はこの休みの間に各県を歩いてみましたが、こういう通牒が米屋に流れておりますね。あなたの名前ではありません。これは卸売商じゃないかと思うのですが、こういうことが書いてあるのです。「今後業界はさらに大きく変わっていくことも当然予想できるのでありますが、」それからずっとありまして、「本
年度
の需給問題は政府米(標準
価格
米)に関する限り情勢がかなりむずかしくなり、政府米をできるだけ押えて(自主流通米)で補う方針がいよいよ強くなって参りました。つまり早く自主流通米に移行してもらいたいという政府の意向がはっきりと打ち出されてきたということであります。いろいろ問題ありましょうが、上位米(特選、特等、上白米等)の扱いを五〇%以上にし、来年の割当は自主流通米が主体になる、こういうふうに覚悟しなければなりません。」こういうものが流れております。だから、これがもし誤解であれば、
全国
的にそういう卸
組合
といいますか、そういうふうな皆さんに、あなた方の考えと違っておるならば、はっきりしてもらわなければ、こういう通牒でいなかのほうの米穀店は困っておるという面もあるのです。なかなか買わない、売れない、だから混米にするという姿がとられておりますが、これの文章を見てどのようにお考えになりますか。
中野和仁
53
○中野
政府委員
いまお読みになりましたのは私見ておりませんので、ちょっと何とも申し上げかねるわけでございますが、先ほ
ども
申し上げましたように、自主流通の促進と合わせまして、その主体は政府の米で配給をしていくということには変わりはないわけでございますが、ただ、いまお読みになりましたのを聞いておりまして感じますことは、昨年から比べてことしの場合、自主流通がたしか二十万トンぐらいふえているというふうに思います。その分の促進方のやり方としましてそういう文章をあるいは出したのかと思いますけれ
ども
、全体の大勢としましては、私がいま申し上げたようなことでございます。
野坂浩賢
54
○野坂
委員
考え方
はわかりますが、やはりあなた方の
考え方
というものを浸透させなければ行政としては意味がないじゃないですか。あなた方がそう思っておるとここで幾らおっしゃっても、それを取り扱っておる業者の皆さんはそういう方向で進もうというような申し合わせになれば、事あなた方の志と違うというようなものが出てくるという可能性と危険性は十分あろうと思うのです。そういうふうな面について対処する用意ありやなしや聞きたい。
中野和仁
55
○中野
政府委員
いま自主流通を五〇%以上というお話もあったわけでございますが、量的にそういうことになるわけではございません。いまお話しのありましたようなことは、私は
あと
でちょうだいをいたしまして、その中身を見た上で、それが行き過ぎであれば是正をいたしたいと思います。
野坂浩賢
56
○野坂
委員
価格
の
決定
なんですけれ
ども
、これは
農家
の皆さんと政府側と算出の基礎、とらえ方というものが違って、例年大きく論議をされるわけですが、先ほど
美濃委員
から
質問
がございました
酪農
の問題一つとってみましても、二十五円上げてもらわなければならぬという
生産農家
と、これで大幅値上げだとする三円三銭の櫻内大臣と非常に懸隔があります。これらを米価審議会へかけるわけですが、
生産
者の代表と米価を最終的に
決定
をする政府で、その
労働
賃金あるいは
労働
日数あるいは資材費、こういうものが基準になってくるわけですから、そういうものの意思の統一を事前にはかっておくということのほうがむしろいいではないかというふうな気がするわけですが、どうでしょう。
中野和仁
57
○中野
政府委員
農林省のほうで去年までとっております方式は、
生産費
・
所得
補償方式でございまして、
生産費
を
もと
にしております。それから、いま
お尋ね
の
農業
団体のほうは、基礎は違いますけれ
ども
、やはり
農業
団体でお調べの
生産費
を基礎にしておるわけでございます。したがいまして、労賃なり日数なり資材費というものは、その
調査
農家
が違いますから、若干のフレがありますが、それほどの違いは私はないのではないかと思います。非常に違いますのは、
農業
団体はことしはどうやられるかまだ存じませんが、昨年までは八〇%バルクラインということで、いわば能率が悪いといいましょうか、
生産費
を下から並べて八〇%のところまでの
農家
をとって、その水準できめられるものですから、非常に高くなるというようなことでの相違から、非常に開くということではないかと思います。
野坂浩賢
58
○野坂
委員
その八〇%のバルクラインのことも、ことしもそういう動きが最近ありますが、そういう点を事前にいろいろと打ち合わせをして意思の統一をされるというようなことはできぬものかどうかということが一つ。 それから、あなたには直接関係はありませんが、たとえば、いままでは暫定加算、加算金がずいぶんついておりますね。たとえば等級別あるいは歩どまりあるいは時期別。歩どまりなり等級別格差というものはやむを得なかったとしても、できるだけ基準米価外にあるものは、銘柄品の場合はあなた方の
考え方
ですから別として、つまみですね、政治加算的なものは廃止をする必要があるのじゃなかろうか、ないほうがいいじゃないか。ことしも乳の場合は、
負債整理
というようなかっこうで四十億出てきたわけですけれ
ども
、そういうようなものはできるだけ避けるほうがいいではないかと思うのですが、どうでしょう。
中野和仁
59
○中野
政府委員
生産費
の
見方
等について事前に打ち合わせをしたほうがいいのではないか。私もそういうことができればよろしいかと思います。ただ、米価の
決定
のやり方は、終戦後ずっといろいろな変遷を経てきておりますから、そのときどきでいろいろな話し合いをしていることもあるわけでございます。現在では
農業
団体の要求される算定方式といま農林省でとっております方式とが違っておりまして、それを事前に調整することはおそらくむずかしいのではないかと思います。したがいまして、米価審議会に政府の
考え方
それから試算を出しまして、その
あと
で政府が
農業
団体の要求等を頭に入れながらきめるという方式にならざるを得ないのではないかと思います。 それから、いろいろな加算は廃止すべきではないか。一般論で申し上げますれば、米価をすんなり基本米価一本できめることは、私は最も望ましいことだと思います。しかし、
先生
も御承知のように、毎年米価をめぐる情勢、いろいろな変化の中での引き上げ要求の中でどう最終的にきめていくかという場合に、最後の判断として間々こういうことがあるわけでございますが、気持ちとしましては、基本米価の中に入ったほうがよろしいと私も思うわけでございます。
野坂浩賢
60
○野坂
委員
いままで加算金ですね、等級別格差それから歩どまり格差というのがありますね。それから四十五年ですか、廃止された時期別格差というのもありましたね。それから四十二年までは早場米の奨励金というのがあったですね。早場米奨励金というのは、端境期の対策のためにとっておったのですけれ
ども
、四十三年からは比較的食糧が多くできるようになったので、その必要がなくなったということで、たしかああいうのがなくなったわけです。ただ、一ぺんになくなると困るからということで、暫定加算というようなかっこうで、たしか百七十円くらいまでありましたか。下は十円からあって、
全国
平均
が百十五円になったと思うのですが、そういうようなことは四十三年にはやめたといいながらも、そういうようなかっこうで、それを受けなかったところもありますね。いままでは受けておったけれ
ども
、受けなかったところがある。いままで受けなかったものも受けるようになった。こういう問題があります。こういうことは廃止をすれば廃止をしたというかっこうで、むしろそれが
地域
経済に影響があるならば、いままでどおりのものを集約をしてやっていくということが望ましいのではないかと思います。過去のことですけれ
ども
、そういう点についてはどのようにお考えでしょう。
中野和仁
61
○中野
政府委員
早場米奨励金、時期別格差、それからその
あと
の暫定加算、いま御
指摘
のような経過で現在はなくなっております。これは私が申し上げるまでもなく、米の不足の時代に、端境期対策といたしまして、早く出してもらう
農家
に対しましてそれぞれの時代に応じて相当の額を出してきたわけでございます。昭和四十二年以降は、御承知の米の基本的な過剰傾向という中でそこまで手を打たなくとも集荷ができるというようなことから、この額全体としましては基本米価の中に織り込んでしまって、結局、全
農家
にその分が行ったということになるわけでございまして、昨今の需給
事情
から見ましても、たとえば四十七年産米につきましては、昨年はすでに九月末までにはちょっといま
数字
は覚えておりませんけれ
ども
、おそらく百万トン程度は集まっておるような
状況
でございますので、これを今後復活するという必要は、昨今の需給
事情
の
もと
では私は必要ないというふうに考えます。
野坂浩賢
62
○野坂
委員
こういうことですね、四十三年からあったそういうようなものについては要らなくなった、情勢の変化が起きた、だから必要ない。しかし、基本米価の中に入っているのですね、これは。だから、基本米価に入れておるというのは間違いだった、こういうことになりますか。
中野和仁
63
○中野
政府委員
たとえば
北海道
の米も内地の米もみな同じ値段ということであれば、
全国
一本でいくわけでございますが、先ほ
ども
御
指摘
がありましたように、現在の個別
価格
につきましては、一等、二等等の等級の格差がございますし、それから軟質米、硬質米につきましては、歩どまりの差があります。こういうものはやはりそれぞれの米について私はこれはつけるべきだと思います。そして、それを含めました米価の中から払うべきであるということでございますので、先ほどの時期別格差につきましても、払う必要がある場合にはその中から払うということでございまして、その必要がなくなったために、それは全体に薄めてその基本米価の中に入ってしまったということでありますので、今後の問題としまして、また、非常に需給が逼迫しまして政策的にどうするかという場合に、基本米価の中で払うのかあるいは外ワクで払うのか、それはまたそのときに判断することだと思います。
野坂浩賢
64
○野坂
委員
そのときそのと毒の情勢に合わせて反応を示すのだ、こういうことのようですが、等級間の格差あるいは歩どまり加算というのは、軟質、硬質あるいは良質米、そういうことで十分理解はできるのですが、早かったおそかった、まあ、おそ出し奨励金、早出し奨励金というようなものも当時ありましたが、そういう点についてはやはり米価として織り込むなら、いままでと一緒なような方法で全部暫定加算も見るべきだし、やらぬということになれば、全部やらぬということでなければ筋が通らないし、それは基本米価外になってくるじゃないかと思う。それはまだいいとして、四十三年やめた時点からは、そういうことに理屈から言えばなるのじゃないか。
中野和仁
65
○中野
政府委員
先ほど私が申し上げましたように、理屈から言えば、早く出る、おそく出るということで、個別
価格
の差がついておるわけでございまして、全体の水準の中から払うということでいままでやってきておるわけでございます。もし今後もそういうことが必要だというようなことで、しかも相当程度続くということであれば、基本米価の中から分けて払うほうがいいと思います。これは全くの仮定の話でございますが、たとえば非常な凶作がまいりまして、少しでも早く
農家
に出してもらいたい、これは奨励せぬといかぬということがありますれば、あるいは外ワクで払うことがあるかもわかりませんけれ
ども
、現在の
状況
では、その必要がありませんので、かりにそういうことを申し上げたということでございます。
野坂浩賢
66
○野坂
委員
よくわからないですね。いままでは基本米価に全部早出しという奨励金で入れた、四十二年までは。それは基本米価の中に入っておった。そのとおりですね。それから四十三年からはやめた。いわゆる非常に背景が変わってきた、食糧需給の関係が変わってきた、だから廃止します、出しません、こういうことになったのですね。出さないことになったけれ
ども
、いままでのをすぐに取り払ってしまうということになると、それぞれ経済的な影響があるだろう。ですから、二
年間
は同じように、三年目は半分にして、それからやめた、こういう暫定加算といいますか、言うなれば、政治加算でしょう。基本米価には関係ないものだ、こういうふうに純理論的には言えるのではないか、こう言っているのです。私の言っていることは間違いですか。
中野和仁
67
○中野
政府委員
暫定加算の観念のしかたではないかと思います。私たちのほうで暫定加算も基本米価の中に入れておりましたのを一ぺんに廃止すると、いまお話のありましたいろいろな影響がありますので、この時期別格差を三
年間
かかって縮小するということでございまして、内容的には単価が下がってきた、あるいは時期別格差の単価を下げたと言ってもよろしいかと思いますが、名前を暫定加算という名前にしておったわけでございまして、過去からの続きでございますので、基本米価から払っても差しつかえないのではないかと思います。
野坂浩賢
68
○野坂
委員
時間がありませんからその論議はおきまして、また別にやるとして、言うなれば、いままでもらっておったのだから、一ぺんにやると影響があるということですね、おっしゃるように。そうすると、いままでは早出しでもらっておった、四十二年までずっとですね。四十三年から切られた。府県別に行政
単位
でやられた。だから、いままでもらえないものも逆にもらった、いままでもらっておった人がもらえなくなったという現象がありますね。それは既得権の侵害だし、もらえなかった人がもらうようになったのを文句を言っておるわけではないけれ
ども
、もらっておったのがもらえなくなったというのは、そういう点について、あなたの
配慮
とは、あなたの理屈とは違ってくるじゃないですか。
現実
にもらった者はむしろ影響があるから、そのもらったように暫定加算の中に繰り入れてやるというのが本来の姿じゃないですか。
中野和仁
69
○中野
政府委員
時期別格差の場合は、個々の
農家
につきましてその
農家
が早く出した場合にもらえる、こういうことでございます。暫定加算の場合は、その県の、先ほ
ども
申し上げましたように一度に経済的に打撃を受けてはいけないということで出した、あるいは御
指摘
のように、個々の
農家
で、おそく出した人といままでもらわなかったのにもらった場合がある、それは得であるという現象は、あるいはあったかと思います。
野坂浩賢
70
○野坂
委員
よくわかりませんがね。もらった人はもらわなくなった、もらわなかった人ももらうようになった、こういうことをあなたは言っておられるわけですが、先ほどの答弁は、そういうことを一ぺんにやると非常にその人たちは困る、だから暫定加算をつけたんだ、要らなくなったけれ
ども
。その人の個々の
所得
に影響があったということをおっしゃっておるわけですね、一つに。いいですか、長官、こっち向いてくださいよ。 それから、府県別にやって府県に影響があるとおっしゃいますけれ
ども
、これをみんな六十
キロ当たり
全国
平均
百十五円として、十円から百七十円ですか、それまでみんな個々の
農家
がもらっておるのですから、県や
町村
がもらっておるのじゃないのですから、だから、いままでもらった人は暫定加算としてもらうべきであって、もらわなかった人がもらうのを文句は言わぬとしても、もらった人がもらわなくなったということは、ちょっとあなたの言っておるいままでの趣旨と違ったかっこうになりますねと、だからそれについては間違いでしたねと。めんどくさいからこういう区割りをしたけれ
ども
、個々の
農家
に
現実
に来ておるのですからね。県が一括もらっておるのじゃないのですから、個々の
農家
の
所得
なんですから、そういう点についてはあなたの理論は首尾一貫しない、こう思いますが、それについては間違いじゃないですかと言っておる。
中野和仁
71
○中野
政府委員
時期別格差のときは、御
指摘
のように、個々の
農家
にきちっと払っております。それから暫定加算、まあ経過的な措置でありますから、そういうやり方ではなくて、三
年間
で縮小していく
段階
のやり方としましてそういう新しいやり方をやったわけでございます。ただ、大
部分
は、前にもらった
農家
がまた今度の場合ももらえたということでございまして、厳密に言えば、あるいはいま御
指摘
のように、もらえなかった
農家
がもらったというのとは少し違いがあるということは言えると思います。その暫定加算といいますか時期別格差の縮小の政策としては、一応これで妥当性があったんではないかと思います。
野坂浩賢
72
○野坂
委員
妥当性がありますかね。たとえば昭和四十二年までですよ、私は鳥取県の西伯郡というところにおるのです。そこは早場米地帯です。すぐそこの道一つ隔てたところは島根県、櫻内農林大臣の出身県です。そこは同じ早場米でもらっておった。その先は早場米のところはなかった。ところが、島根県はもらえた、鳥取県はもらえなくなった、こういう現象があるわけですね。それは暫定加算としてはおかしいじゃないか。いままでもらっておって、影響があるからしばらく暫定加算として、三
年間
で縮小する、その計算も過去三
年間
さかのぼってやったのですよ。そういうふうな点については、あなたのおっしゃりようというのは、妥当性があるというようなことはどこにも見られないと思うのですがね。実際問題として加算金をもらうのは、個人の
農家
がもらってきたのですから、県がほかの道路や農免道路のようにその金をつけたのと違うのですから。どうですか。
中野和仁
73
○中野
政府委員
個々の
農家
について時期別格差と暫定加算の違いについての御
指摘
、私、わからないわけではありませんが、暫定加算をとりました際には、その地帯全体として見ますと、ほんのわずかしか早場米を出していなかった。その県全体から見れば非常にごくわずかでありましたために、県一円で考える暫定加算としての対象にならなかった、こういうことを、さっきわかりにくかったと思いますが、申し上げたわけでございます。
野坂浩賢
74
○野坂
委員
農林省が示した一つの基準に達しなかった、行政が指導した基準に達しなかったということですね。しかし、
現実
に一人一人が出してもらったんだ。しかも一郡程度あるいは二郡程度その程度あるのです。しかし、それはひっぱった線がそれよりも下回っておったから、基準に達しなかったから、パーだ。しかし、
現実
にあなた方が考えておる農民に対するあたたかい温情としての暫定加算としては非常にうらはらな問題が出てきた、あなた方の
考え方
とは別なものが出てきた、こういうふうに言わざるを得ないと私は思うのです。
政務次官
、どう思われますか。
中尾栄一
75
○中尾
政府委員
まさにそういうハンディが出たということは、これはもう御
指摘
のとおりでございます。私
ども
の基本的な
考え方
は、もちろん
生産
者のためによかれかしという形における
考え方
に立って、これをものごとの立脚点に置いたということは間違いございませんが、そういうハンディが出たという点に対しましては、これは十分検討してみる必要があるという
考え方
をいたしております。
野坂浩賢
76
○野坂
委員
もう時間がありません。ありませんので、今後そのようなことのないようにする、前のものについては再度検討してみたいということでありますから、
政務次官
の言われた御答弁を信頼して終わります。 最後に、もし答弁の予定されておる方がいらっしゃいませんでしたらどなたでもけっこうですが、先ほど
美濃委員
からお話がありましたように、
飼料
が非常に議論されました、三月の
段階
で。古々米の放出、麦類の放出、それぞれ一応議員立法によって変えたわけですが、最近、あの配合
飼料
の中には魚粉、魚かす、そういうものを非常に必要としております。きのうの新聞を見ますと、ペルーその他ではそういうものがとれないということから、大豆が再び上がってくる、こういう可能性が非常に強いと思われるわけですが、それの対策と、現在、
飼料
はどれだけ原料が貯蔵してあるかということ。 もう一つは、新聞紙上に出ておりますように、需要供給との関係で大豆が放出をされ、また去年はおととしよりもよけい輸入をされておるにもかかわらず、とうふは下がらぬ、こう言って奥さん方が農林省にずいぶん陳情され、抗議をされておる。なぜ下がらぬのか、いまどのくらいでおとうふ屋さんは一俵当たり大豆をお買いになっておるのか、こういうことをまず聞いておきたいと思います。
伊藤俊三
77
○伊藤(俊)
政府委員
実はこの所管は食品流通局になるかと思いますが、私の手元の
資料
でお答えさせていただきます。 仲間相場でございますが、四月二十五日から五月四日現在の
数字
でございます。中国大豆未選のものでは五千五百二十円ということになっております。三月の末から四月の中旬までは四千円台であったものが最近若干値上がりしておると聞いております。
野坂浩賢
78
○野坂
委員
もう時間がありませんが、とうふならとうふの値下げは指導なりそういうものでやっていかなければならぬ。私
もと
うふ屋を歩いてみました。それで、あなたはいま一儀幾らで買っておりますか、こう聞きますと、私は七千円。なぜ下がらぬのですか、こう聞きますと、当初協同
組合
というものの割り当でがあった、それは一万三千冊だった、その大豆がまだ残っておる、だから下げられない。こういうのがほとんどの業者の声ですね。そういう点については、今後農林省も物価対策というものも考えて指導してもらわなければならぬと思います。 それから林政部長にわざわざおいでをいただいて、時間がないために
質問
ができません。まことに恐縮に思っております。木材の問題につきましても、きょうあるいはきのう、おとといの新聞は毎日商社の利益の
拡大
をにぎわしております。この商社、たとえばあなたのところに関係のある木材については、各商社ごとに輸入数量は十分把握していらっしゃいますか。
平松甲子雄
79
○平松
政府委員
木材の
価格
の高騰につきましては、四十七年の後半に過剰流動性の問題があろうかと思いますけれ
ども
、住宅建設に対する需要が非常に増大いたしまして、それに対応するだけの供給ができないということから、需要先導型の
価格
形成が行なわれたということで
価格
が上がったわけでございますが、外材につきましては、国内で供給されます外材の
価格
と国内で形成される
価格
との間に時期のズレがあるというようなこともございまして、いま申し上げた
理由
と重なりまして相当の利益を生んだということであろうと考えております。 私ど
もと
いたしましては、住宅建設の促進という観点から、木材
価格
の安定というのは非常に重要なことであるというように考えておりますので、輸入商社に対しましては、私
ども
のほうでコストを考えて、政府の政策に協力してほしいという意味におきまして、適正な
価格
形成について協力を要請しておるところでございますけれ
ども
、なかなか私
ども
の力が足りませんで、木材
価格
の高騰という事態を生じたということについては非常に遺憾に存じております。 木材の輸入数量でございますが、商社別の輸入数量は私
ども
のほうである程度把握いたしておりまして、大体主要十社で木材輸入量の六割程度というようなものを輸入いたしておるというような
状況
でございます。
野坂浩賢
80
○野坂
委員
またの機会に
質問
をいたします。 私たちもこういう主要外材商社別輸入数量という
資料
を木材の輸入協会からもらいました。そこで、お願いしておきたいのですが、月別の輸入数量と月別の販売数量、それと仕入れ単価と販売
価格
、そういうものを示す一覧表、これはこの間これしかもらってこなかったのですが、決算書も出ましたし、もらえると思いますので、そういう書面を提出いただきたい。その上で議論させていただきます。 以上で終わります。
平松甲子雄
81
○平松
政府委員
ただいま
先生
御要望の
資料
につきましては、事柄が商機に属する問題もございますので、私ど
もと
しては努力してまいりますが、
先生
御要望のとおりの
資料
になり得るかどうかという点については、もしそのような形ができない場合は御容赦を願いたいと思います。
野坂浩賢
82
○野坂
委員
最大努力を要求いたします。終わります。
山崎平八郎
83
○
山崎
(平)
委員長
代理 この際、暫時休憩いたします。 午後一時二十一分休憩
——
——
◇—
——
——
午後三時三十三分
開議
佐々木義武
84
○佐々木
委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 この際、
参考
人出席要求に関する件についておはかりいたします。 陸奥湾における原子力船母港の漁業に及ぼす影響問題について、本日、
日本原子力船
開発事業団理事
長
佐々木周一
君を
参考
人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木義武
85
○佐々木
委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
——
——
◇—
——
——
佐々木義武
86
○佐々木
委員長
この際、
委員派遣承認申請
の件についておはかりいたします。 去る五月三日、伊勢湾におけるタンカー日聖丸衝突事故による漁業被害
状況
調査
のため、本
委員
会から現地に
委員
を派遣いたしたいと存じますので、衆議院規則第五十五条により議長に
委員
派遣の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木義武
87
○佐々木
委員長
御異議なしと認め、さよう決しました。 なお、派遣地、派遣期日、派遣
委員
の選定等につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木義武
88
○佐々木
委員長
御異議なしと認め、さよう決しました。
——
——
◇—
——
——
佐々木義武
89
○佐々木
委員長
質疑を続行いたします。津川武一君。
津川武一
90
○津川
委員
原子力船の実現から運航によって、陸奥湾の漁業などに対する影響を
お尋ね
してみたいと思います。 私たちは、原子力を貴重なエネルギー源と考えております。それは、しかし、あくまで平和的利用、民主的運営、公開、国民承認の
もと
に進めるという原則を貫かなければならないと思っております。それは私たちの意見だけでなく、関係者や国民の意見でもあります。それなのに、わが国でただ一つの原子力船「むつ号」は、この原則を無視し、航行の実験を、関係者の意見を無視し、安全性を公開しないままに強行しようとしております。そこで、この原子力船の航行実験が行なわれようとしておる陸奥湾の
現況
と、そこでの漁業のことについてまず
お尋ね
します。 陸奥湾を栽培漁業の一大モデル漁場とする、これは私は適していると思うし、やるべきだと思うのでございますが、水産庁のこれに対する方針と実際の施策を教えていただきます。
安福数夫
91
○安福
政府委員
お答えいたします。 陸奥湾におきますホタテ漁業、というよりも、陸奥湾自身が、沿岸漁業の養殖、増殖、そういった面では非常に適した海域であるとわれわれ承知いたしておりますし、そういった面で将来ともに、沿岸漁業の
振興
、そういった拠点になり得る
地域
じゃないか、このように考えております。 したがいまして、私
ども
の一つの今後のスケジュールでございますけれ
ども
、海洋水産資源促進法という
法律
が、一昨年国会で成立いたしまして、現在施行されておりますけれ
ども
、それに基づきまして、陸奥湾のかなり広い分野を、港湾区域は当然除かれると思いますけれ
ども
、それを開発区域として指定してまいりたい、そういう手続なり検討を現在進めております。それと並行いたしまして、現在、青森県を
中心
といたしまして、陸奥湾の開発計画、これは漁業についての開発計画でございますけれ
ども
、これを、現在のところまだ最終的な
金額
はきまっておりませんけれ
ども
、一応五億がらみの費用を投じましてまあ大々的な開発計画の
調査
をやっている
段階
でございます。昨
年度
が一つの初
年度
でございまして、将来、五十年ぐらいまでそういった
調査
を進めてまいりたいこのように考えておるわけでございますけれ
ども
現状の陸奥湾の漁業の中で非常に目立って、私
ども
将来の期待を持っておりますのに、ホタテ貝の養殖がございます。ホタテ貝養殖というのは
——
養殖といいますか、ホタテ貝漁業は、非常に古くから陸奥湾、
北海道
、それから現在では岩手県まで下がりまして、かなり広範囲に沿岸漁業の中で主要な漁業の一つでございます。ことに、このホタテ貝漁業につきましては、陸奥湾では、三十四年に約二万トンの
生産
があがっております。これは大体十年、二十年ぐらいを周期にしまして非常に豊凶が常ない不安定な漁業であったわけでございます。その後、四十年ごろに種苗の採取方法が確定いたしまして、一つ固定化したと申しますか、本格的に採苗技術が
確立
した、そういう
段階
を迎えまして、四十三年以後さらに新しい増養殖の技術開発というものを進めましてそれを普及した結果、その後におきます陸奥湾のホタテ員の
生産量
というものは、年によって上下はございますけれ
ども
、漸次
拡大
の傾向でございます。四十五年には一万トン台をオーバーいたしました。四十六年は若干下がりましたけれ
ども
、四十七年は、まだ最終的な
数字
は出ておりませんけれ
ども
、二万トンをこえるような
数字
になっておるだろうと思います。そういったことを踏まえまして、青森県としましては、四十八年、今
年度
が第二次構造
改善
事業
の開始の年に当たっているわけでございまして、その中でもホタテ貝漁業を
中心
に大々的に沿岸の増養殖
事業
を進めよう、こういう計画にも相なっておりまして、おそらく現在の
生産量
の数倍ないし五、六倍くらいのホタテ貝の目標を立てた大々的な計画を立てております。そういたしますと、
生産
に対するいろいろな施策が必要になってまいりますし、急激に
生産
が
伸び
ますと、当然流通関係の
改善
を加えなければならない、こういうこともございまして、そういった施設の整備なり流通対策なり、そういったものを総合的に踏まえました対策を第二次構造
改善
事業
で練られているということでございます。水産庁といたしましても、それらについていろいろ指導かたがた、そういった面についてさらに水産庁としてのヒヤリングなり、そういったものを通じまして指導いたしておる次第でございます。
津川武一
92
○津川
委員
ただいまの報告、非常に感銘をもって聞いたわけですが、四十七
年度
の漁業自警によれば、瀬戸内海の栽培漁業センターをせっかくつくりましてたくさん放流したのだが、漁獲される魚の量は減ってきている。こういう
状態
に対しては、陸奥湾では原子力船の定係港化がきまった年が昭和四十二年、その年にいま話されたホタテが千七百八十トン、それで四十七年は二万トンをこすというふうにいわれて、私たちも二万六千トンという報告を聞いております。四十八年には四万トンになるんじゃないか、こういうように聞いておりますが、このために実際に農林省が陸奥湾の漁業
振興
のためにどのくらい投資しておりますか、これを聞かしていただきたいと思います。
安福数夫
93
○安福
政府委員
これまでの
数字
はいま持ち合わせておりませんけれ
ども
、当面の、先ほど申し上げました第二次構造
改善
事業
が
現実
問題として日程にのぼっております。これにつきましても、最終的な
数字
ではございませんけれ
ども
、四十八
年度
を初
年度
といたしまして、総
事業
費で十一億三千六百万円、これは三カ年で投下されるわけでございますが、それは補助
事業
でございます。そのうち国費が五億二千万、そういうふうに現在予測しておるわけでございます。そのほかに、
融資
事業
といたしまして、単独
融資
事業
が五億八千四百万、こういう
金額
が今後三
年間
にわたりまして第二次構造
改善
事業
として投下されるということに相なっております。
佐々木義武
94
○佐々木
委員長
ただいま
日本原子力船
開発事業団理事
長
佐々木周一
君が出席されました。 佐々木
参考
人にはお忙しいところ御出席いただきまして、ありがとう存じます。
参考
人の御意見は、
委員
からの質疑によってお述べ願います。
津川武一
95
○津川
委員
事業
団の佐々木
理事
長さん、ほんとうに御苦労さまでございます。 いま私は、原子力、これは
日本
の非常に大事なエネルギー源と考えておる。しかし、これをほんとうにやろうと思うならば、平和的に利用しなければならない、民主的に運営しなければならないそして公開、国民の承認の
もと
に行なわれるのが原則だ、こう考えておるのです。 最近、
日本
でただ一つの原子力船である「むつ号」が、この原則を無視して、航行の実験を、関係者の意見を無視して、安全性に問題があることを明らかにしないで強行されようとしておる、こう考えているわけであります。 そこで、この原子力船の実験が行なわれる陸奥湾の漁業
状況
をいま水産庁にただしておりましてここは非常にいま魚がふえておるということと、そのために三カ年計画で十一億円もお金を政府が投資しようとしている、こういう答弁を得たところでございます。 そこで、水産庁に
お尋ね
しますけれ
ども
、いま話されたように、
日本
の政府で考えた瀬戸内海の栽培センターが、放流はしたが魚が減っている。陸奥湾はそれほど投資しないのに魚がふえているこういういいところなのでございますが、ここの学問的な
調査
研究なんか水産庁はとって
参考
にしているのでございましょうか。ちょっと覚えておったら、そういうものを
参考
に取り上げていたら教えていただきたいと思うのです。
安福数夫
96
○安福
政府委員
現在私
ども
のほうで入手いたしておりますいろいろな報告書なり
調査
書の中では、北大に青森県が委託いたしました陸奥湾内におきます沿岸流等の
調査
報告書というのがございますそういったものを
参考
にしながら、われわれ自身もいろいろ出先の研究所がございますので、そういったところの知識をかりながら、陸奥湾についての評価をいたしておる次第でございます。
津川武一
97
○津川
委員
その北大の採取
調査
研究によりますと、ここにはホタテ、ナマコ、カレイ、ソイ、アイナメ、サバ、イワシ、カニ、ウニ、ヤリイカ、あげてみると、そのほかに海草などを入れると、百八十種以上の非常な漁業の資源があるというふうに、私たちもこの
調査
報告を聞かせてもらっているわけであります。 そして、この間、私、この陸奥湾の一つの漁港である横浜町の漁協に行きまして、漁民と座談会をやってみたのです。そうしましたら、最近ホタテがぐんぐんふえて、かつての千七百トン、五千トンから二万トンをこして四万トンになろうとしておりまして、陸奥湾の漁民が養殖ホタテを採取してこれを売る、このことで非常に忙しくなりまして、出かせぎ、これは四十年ぐらいは千五、六百人からあった出かせぎが、四十四年には五百人に滅って、いまは一人もないといってもいい、こういうことで、若いぴちぴちした青年たちがホタテの養殖をやっているので、私も非常に
日本
の先を明るく考えた。 そこで、このホタテをとっている間に、いままでカレイだとかヒラメだとかアブラメ、これ
もと
って売っておったのです。資源がないために密漁までして売っておった。ところが、ホタテがふえてぐんぐん仕事ができたために、カレイやヒラメがわんさ繁殖してきている。どんなものがいま陸奥湾の中にいるかといったら、カレイ、ヒラメ、アブラメ、ソイ、タイ、赤貝、ウニ、アワビ、ツブ、コンブ、ワカメなど、ここはまさに魚の宝庫になってしまった、こういう
状況
の話を聞かされてきたわけなんですが、この点で、ホタテだけでなく、育てれば育つことができる。漁業というものの政策が適当であれば、養殖センターでなくてもこのようにふえる、こういうふうに聞かされて、非常に楽しい思いをして帰ってきたのですが、陸奥湾というのはこんな
現況
でございますか。
安福数夫
98
○安福
政府委員
昨今、沿岸漁業につきましては公害によります沿岸漁業の荒廃ということがしばしばいわれるわけでございます。先ほど
先生
が御
指摘
になりました瀬戸内海の現状でございますけれ
ども
、確かに公害はかなり急ピッチで漁業を崩壊さしておる、こういう一つの
見方
があるわけでございますけれ
ども
、瀬戸内海自身でも、タイとかエビ、これは激減しているわけでございます。そのほかはむしろふえている
実情
にもあるわけなんです。瀬戸内海全体のたん白資源の量としましてはむしろかなりふえているという結果が出ているわけでございます。ただし、それには種の転換がございます。したがいまして、むしろ商品価値は下落する。それで沿岸漁業について大きな打撃を受ける、こういう現状にあるわけでございます。そういうことから考えますと、沿岸漁場というもの、むしろ海と言ったほうがいいかもしれませんけれ
ども
、海の
生産
力は、われわれは将来とも大いに期待していいんではないか。したがいましてこれ以上海を汚さないということによりまして、昔のような魚の宝庫になることを期待いたしております。ことに、現在の需給の関係で一番困っておりますのは、中高級魚といいますか、お惣菜用の魚が非常に少なくなっているということ、これがむしろ魚価を突き上げている大きな
原因
であるわけであります。そういった面で、海をきれいにするということは今後とも非常に必要だ。そういう意味におきまして、
日本
にもまだ汚されていない海がある、陸奥湾がその一つだろうというようにわれわれは考えております。ただ、いま
先生
が御
指摘
になりましたように、わんさとカレイがあるということを私は必ずしも承知いたしておりませんけれ
ども
、ホタテの例をとって申し上げますと、かなり急激な成長力があるということでございます。たとえば一平米で十枚ぐらいの小さい貝を直まきをするわけですね。それが一平米一ぱいに広がって、かなり成長が高いということであります。これはやはり海として非常に適しているということでございます。これが将来とも適正な直まきなり養殖をしていけば、海を汚さずに永遠にそこが漁業資源の場として、漁業の場として活用できるだろう、このようにわれわれは考えているわけであります。
津川武一
99
○津川
委員
そこで、水産庁がいま言った、海をよごさないということ、これは非常に大事なことで、東北大学の研究だと、内海で、外海との水の交流がないから、よごれたが最後だ、これはなかなかきれいにならない。そこで、陸奥湾というものの漁業を考えたとき、何としてもよごしてはならない。しかし、よごれたらなかなかきれいにならない海だ、こういうふうにいわれているんですが、この点も考えてよごさないように進めるつもりでありますか。
安福数夫
100
○安福
政府委員
水産サイドといいますか、漁民の立場としまして、水産庁の立場も当然そうでございますけれ
ども
、海がこれ以上汚されるということは、自然のそういう
生産
力を落とすということに相なるわけでございますが、水
産業
の中でやはり海を汚すという問題もあるわけでございます。先ほど申しましたように、過密な養殖をやりますと、当然またその排せつ物なんかが堆積いたしますので、そういった面でもやはりほどほどの適正な、栽培漁業にいたしましても、養殖漁業にいたしましても、そういった指導が必要だろう。水産内部もそういう姿勢を堅持しながら、外部からも当然そういう海はきれいな海として維持してもらいたい、こういうふうにわれわれは期待しているわけでございます。
津川武一
101
○津川
委員
ところで、この陸奥湾がようやくホタテ貝で生き返り、そのために出かせぎ者がいなくなり、さらにその他の魚がたくさんふえてきておる。県民あげて、漁民あげてこの陸奥湾を守り、陸奥湾で
生活
していくという合意ができているときに、この県民の気持ちに暗い影を投げ出してきたのが、いま問題になっておる原子力船開発
事業
団による「むつ号」の湾内実験なんです。これはたいへんいま皆さんの問題になってきたわけです。そこで、県漁連に結集した漁民のすべての人たち陸奥湾
地域
漁業
経営
対策協議会の人たち、県ほたて
振興
会の人たち、県漁場確保対策協議会の人たちなどいろいろ反対して、この原子力船の実験でよごされるのを何とか防がなければならない、こういうふうな要求が出てきたわけなんです。私もこの要求は非常に大事だと思うし、水産庁としても、よごすのを防ぐためにこの漁民の要求は支持すべきだと思うのですが、いかがでございます。
安福数夫
102
○安福
政府委員
水産庁といたしましては、漁場がよごされるということは、当然反対の立場であるわけであります。ただ、私自身、原子力商船がどういう構造で、どういうことに相なるかということは十分承知いたしておりませんけれ
ども
、現在、核燃料の平和的利用と申しますか、そういったものに対して
法律
でいろいろな規制がされているわけでございますから、そういった面で、安全の上にも安全な一つの装置をおそらくエンジンなんかにされているんだろうと思いますけれ
ども
、それが規則どおりと申しますか、
法律
どおりに十分守られるということが前提であれば、ある意味では汚されないんだろう、こういうことを感じるわけでございまして、そういうふうに聞いているわけでございますけれ
ども
、やはり漁民なり、そういった分野にいろいろな不安、そういったこともあるのを十分承知いたしております。そういった面を関係各省も、十分漁民が納得できるような説明なり対策なり、そういったものをわれわれとしては期待する次第でございます。
津川武一
103
○津川
委員
水産庁の次長、これから私、
事業
団の
理事
長と少しやりとりしますから、それを聞いていただいて、後刻また水産庁の意見を聞かせていただきます。 そこで、
事業
団の
理事
長、最初に、陸奥湾の大湊に原子力船の定係港を持ってくるときの約束、これはこうでありませんでしたか。すべての装備が終わり、原子力船が船のずうたいをつくって、そこに原子炉をぶち込んで実験をやってみて、もう何ともなくなった、原子力船がひとりで航行できる
状態
になって問題がなくなってから船を持ってくる、これが
事業
団であり県であったのですが、そのとおりでございますか。
佐々木周一
104
○佐々木
参考
人 私が承知しております限りでは、「むつ」は定係港で出力試験をする、こういうことに初めからきまっておったように承知しております。
津川武一
105
○津川
委員
それは
事業
団の
理事
長はどなたから聞いておりますか。
佐々木周一
106
○佐々木
参考
人 だれから聞いたというわけでございませんが、私はそういうように承知しておる次第でございます。
津川武一
107
○津川
委員
理事
長はいつから
理事
長になりましたか。
佐々木周一
108
○佐々木
参考
人 いまから五年前でございます。
津川武一
109
○津川
委員
そのときは、陸奥湾に定係港を持つことがきまってからでしたか、きまる前でしたか。
佐々木周一
110
○佐々木
参考
人 きまってからでございます。
津川武一
111
○津川
委員
理事
長が
理事
長になったのは昭和四十三年でありませんか。
佐々木周一
112
○佐々木
参考
人 はい。
津川武一
113
○津川
委員
青森県の陸奥湾に定係港を持ち来たしたとき、私は県
会議
員をしておりました。このことが県議会の中で非常に大きな問題になりまして、そのときの県議会における
事業
団の出した
資料
、これは、実験を終わってから、航行ができるような
状態
になってから持ってくる、こういうことでありませんでしたか。もしそれを存じないとすれば、すみやかに調べていただいて、私たちのところにそのときの交渉した経過を出していただきたい。どちらでございます。
佐々木周一
114
○佐々木
参考
人 そのことは先ほど申しましたように私は存じませんから、それじゃひとつ取り調べてみることにいたします。
津川武一
115
○津川
委員
いま原子力船の実験で
事業
団と陸奥湾内の漁業協同
組合
並びに漁業者の間にトラブルが起きておる、このことは御存じでありますか。
佐々木周一
116
○佐々木
参考
人 承知いたしております。
津川武一
117
○津川
委員
そういうトラブルを処理する
事業
団の
理事
長として、定係港をつくるときの最初の契約条項を知らないで処理してよろしいのでございますか。
佐々木周一
118
○佐々木
参考
人 定係港を持つということは、定係港というのは、すべてのそういうことができるのが定係港でございますので、私はさように承知をして
理事
長に就任したような次第でございます。
津川武一
119
○津川
委員
これは最初の契約を調べて、もう一度私はこの席にあなたに御出席をお願いしますから。 その次、原子力船が港に停泊中原子炉を動かさない、こういう約束を昭和四十二年の十月に
事業
団が青森県に文書として入れておりますが、このことは御存じでありますか。
佐々木周一
120
○佐々木
参考
人 そのことは承知しております。
津川武一
121
○津川
委員
とするならば、なぜ
事業
団が、かりに二〇%であろうが、陸奥湾の中で原子力の試験、実験をやるのでございますか。
佐々木周一
122
○佐々木
参考
人 そこのところが根本的に
考え方
が違っておるのでございますが、御承知のように、「むつ」は実験船として建造せられたものでございまして、特に安全性ということについては非常に厳重にやかましく国からも言われておりまするので、各国の人が見て驚くほど、二重三重の安全装置をしておりますので、私ど
もと
いたしましては、二〇%でも、五〇%までの出力上昇試験をいたしましてもきわめて安全であり、そして放射能は外へ出さない、かような確信を持っておりますので、湾内で二〇%までの出力上昇試験を許可していただきたい、承知していただきたい、かように漁業民の方にお願いをしたような次第でございます。
津川武一
123
○津川
委員
最初、
事業
団が青森県に文書を入れたのは、停泊中に原子炉を動かさない。もっとつけ加えますと……。 もう一つ聞いておきましょう。この原子力船に補助エンジンがありますか。
佐々木周一
124
○佐々木
参考
人 補助エンジンは持っております。
津川武一
125
○津川
委員
そのとき県に入れた原子力船のほうの約束は、原子力船エンジンを動かさない、しかし補助エンジンは持っていますから、補助エンジンで港内を航行する、こういうことを皆さん、県並びに漁業者に約束されておる。このことも覚えていますか。
佐々木周一
126
○佐々木
参考
人 そのことも承知しております。
津川武一
127
○津川
委員
それを約束を破ってでも港内で原子力船をエンジンの上昇実験させる、これはどういう意味でございます。国の
事業
をやる、そういう人が、初めに約束したことを
——
だから私は、民主的に国民の了解において原子力船の運用をやるべきだ。私たち国民が求めているものは、原子力エネルギーというものを扱うときには、民主的に国民の了解を得て、約束したことは約束したことできちんとやる、これがほんとうでありませんか。
佐々木周一
128
○佐々木
参考
人 青森県にお約束をいたしましたのは、岸壁では原子炉を停止いたします。しかし、湾内での航行には原子炉を使わない、かようなお約束はしておらないはずでございます。
津川武一
129
○津川
委員
理事
長、あなたがもし
政府委員
だったら私の口調がもう少し強くなるのだけれ
ども
、何しろ
参考
人なので私も少し遠慮して話をしていますがね。そういうことじゃないのです。補助エンジンで走る。いいですか、補助エンジンで走るということは、原子力エネルギーをそこでは使わないということなんです。この約束をなぜお破りになって、県のほうに、湾内で二〇%まで上げると、こういう態度に出てきたのか、その根拠を聞きたいのです。
佐々木周一
130
○佐々木
参考
人 湾内で補助エンジンで航行しますというのは、一番最初の定係港を承認していただく場合にお約束はしておりませんので、今度二〇%まで出力上昇試験を承認をしていただくということに対して、それでは補助エンジンを使って湾内を航行いたします、今度初めてそういうような提案をしたような次第でございます。
津川武一
131
○津川
委員
参考
人に対して、うそをついていると申すのは私も言いづらいのですが、いずれ、そういうことであると、証人として出ていただくように
委員長
にもお願いしなければなりませんが、四十二年の、この補助エンジンで走るようになっている、こういうことをあなたが
理事
長に就任されるとき存じませんでしたか、聞きませんでしたか。
佐々木周一
132
○佐々木
参考
人 私は全然存じませんでした。
津川武一
133
○津川
委員
そのときの
事情
はどなたに聞けばわかりますか。
佐々木周一
134
○佐々木
参考
人 私の先任者は石川一郎さんでございますが、もうなくなられましたですから、責任者はおらないわけでございます。
津川武一
135
○津川
委員
そこで安全性の問題ですが、いま
理事
長が言われた、普通、原子力船の母体をつくり原子炉を入れて航行していく、そのためには、とにかく一度原子力船のエンジンが動くか動かないか、故障があるかどうか、通常運航に耐え得るかどうか、そういうことをしてみなければならぬ、この実験、これがいま皆さんがおやりになるとおっしゃる実験、この安全というものが、どうしてこんなに水の動きが悪いところ、いま語されたように魚がたくさんいるところ
——
やってみて初めて安全だ、原子力船がどこへでも出入りできるやってみなければならないのが実験、この実験をなぜここでおやりになるのですか。なぜここでおやりにならなければならないのですか。このことをまず明らかにしてください。
佐々木周一
136
○佐々木
参考
人 先ほ
ども
申しましたように、本船は実験船でございますので、臨界、それから二〇%くらいまでの出力上昇試験は、平静なところで行なってそしていろいろなデータをとりたい、かように考えておるわけでございますが、五〇%以上になりますと、どうしても推進機を使わなくちゃなりませんので、その場合は湾内でなしに湾外に出て実験をやることに、初めからさように取りきめておるような次第でございます。
津川武一
137
○津川
委員
理事
長、実験ですよ。二〇%であろうが、五%であろうが、一〇〇%であろうが、未知の領域においてするわけです。その原子力船のためにあの定係港のまわりがどんなふうになっているか御存じですか。ということを聞いていると時間が長くなってしまいますので
——
あの付近に非居住
地域
があるでしょう。あの付近に低人口地帯があるでしょう。これはあぶないからですよ。問題があるかもしれないのです。すでに実験が終わって、どこへでも、ロンドンへでも横浜へでも航行してきた原子炉が入ってくる、それでさえも非居住
地域
を設けなければならない、それでさえも低人口
地域
を設けなければならぬで、原子力
事業
団が設けている。いいですか。これがわかってからでもこうですよ。まだ海のものか山のものかわからない実験最中に、非居住
地域
、低人口
地域
を設けなければならないこの陸奥湾の中で、なぜおやりにならなければならないかということを聞いているのです。 あなたたちは、知事にこういうふうに申し入れられたら、湾外でやることも考えられる、こう答弁したそうですが、湾外でやることも検討している、これはほんとうでございますか。
佐々木周一
138
○佐々木
参考
人 御承知のように、本船は、こういう出力上昇試験をすることにつきましては、国の安全審査を受けまして、現在の原子炉の
状態
はこういう
状態
である、こういう手続をもって出力上昇試験をいたします、そういうすべての
準備
、報告をいたしまして、国から、それではやってよろしい、こういう許可を受けておる次第でございます。 しかしながら、そういうことについて十分御理解のない漁民の方々が心配なさるのは十分考えられまするので、私
ども
は、漁民の方々に船へも来ていただき、また
事業
団の人間が漁業
組合
のほうに出向きまして、こういうことになっておるので御心配は要りませんということを今日まで再々にわたって十分説明申し上げたような次第でございます。
津川武一
139
○津川
委員
理事
長、私そんなことを聞いているのじゃないの。知事のほうに、湾内実験、湾外実験も両方検討してみます、こういうことを答弁したかどうかと聞いているのです。それだけ答えてください。
佐々木周一
140
○佐々木
参考
人 私
ども
は、どうしても、少なくとも二〇%までは、先ほど申しましたように、いろいろなデータを平静な海面でとりたいために、二〇%までは湾内で試験をさせていただきたい、こういうことをお願いしたのでございますが、今日までのところ、漁民の方々から十分の理解を得ておりませんので、青森県知事の要請によって、湾外で出力上昇試験をやるということについてただいま鋭意検討しておる次第でございます。
津川武一
141
○津川
委員
湾外でやることも検討している。つまり、正しい約束を守れば、湾外でやることを検討してみるのが、最初からやらなければならないことだったわけです。 そこで、湾外でやれば、湾内でおやりにならない、こうとってもよろしいのですか。
佐々木周一
142
○佐々木
参考
人 私
ども
は、先ほ
ども
申しましたように、できるだけ湾内で少なくとも二〇%までの出力上昇試験はやりたいのでございますが、どうしても御理解を得られない場合は、やむを得ず湾外でやらざるを得ない、こういうことで、ただいま鋭意研究しておるような次第でございます。
津川武一
143
○津川
委員
そこで、安全ですが、
理事
長は、漁民の理解を得られない、漁民が安全について存じないと言っておりますけれ
ども
、あそこの方たちは原子力の専門家を呼んで何回か研究しています。東海村などに行って見学しております。この事実は御存じでございますか。
佐々木周一
144
○佐々木
参考
人 はっきり存じませんけれ
ども
、そういうような話も聞いております。
津川武一
145
○津川
委員
そこで、安全試験、国で終わって認可を得たから、国際的に原子力の平和利用、それから民主的な運営、公開。そこで、おたくの「むつ号」の安全試験をやったときのデータ、記録、安全試験をやった人たちの
委員
会の議事録、これはお持ちでございますか。
佐々木周一
146
○佐々木
参考
人 外国船のそういうデータの
お尋ね
でございますか。
津川武一
147
○津川
委員
「むつ号」の……。
佐々木周一
148
○佐々木
参考
人 「むつ」はこれからやるので、いままで何もやっておりませんものですから……。
津川武一
149
○津川
委員
「むつ号」は船体つくったでしょう。原子炉つくったでしょう。原子炉を「むつ号」に入れたでしょう。その原子炉の安全試験、この原子炉を出すときこの安全というものがテストされているでしょう、設計のときの。その安全がどうかというときの設計の基準、それを原子力船の安全
委員
会で審査したでしょう。その審査のときに出したデータ、その審査のときに使ったデータ、そのときに出された各意見、議事録、これはお持ちでございますか。
佐々木周一
150
○佐々木
参考
人
事業
団にはすべてそういうデータを持っております。
津川武一
151
○津川
委員
これを
日本
の原子力の専門家が公開してほしい、そうすると漁場がどうであるかということを皆さんと一緒に問題解決できるのに、原子力開発
事業
団がこれを公開しない。私たちが県会におったときも、公開しないと言っているのです。いまだに公開してない。これは早急に公開すべき必要があると思うのですが、いかがでございます。
佐々木周一
152
○佐々木
参考
人 それではひとつ研究いたしまして、後刻お返事申し上げます。
津川武一
153
○津川
委員
理事
長としては、ここまで問題が来ましたので、公開すべきだと思うのですが、この点はいかがです。
佐々木周一
154
○佐々木
参考
人 私が承っておりますのは、原子力船「むつ」の原子炉ばかりでなしに、何事によらずこれを公開する、こういうことになっておりますから、おそらく、いまの
お尋ね
のデータも公開して差しつかえないんだと思いますが、なお念のために団へ帰りまして調べての上で御返事申し上げます。
津川武一
155
○津川
委員
先ほど
理事
長のことばからもちょっと出たのですが、アメリカでは公開しておられますね。
佐々木周一
156
○佐々木
参考
人 アメリカは、これは軍事の秘密で、全然公開しておらないように承っております。
津川武一
157
○津川
委員
そうですか。
佐々木周一
158
○佐々木
参考
人 それは安全審査のことではございませんでしょうか。
津川武一
159
○津川
委員
安全審査です。
佐々木周一
160
○佐々木
参考
人 安全審査のことでしょう。それは私よく存じませんが、私のいまお答えいたしましたのは、原子炉の試験の内容でございますね。そういうものは、
日本
は公開しておりますが、外国は公開しておりません。
津川武一
161
○津川
委員
安全審査、これは公開する必要があると思いますが、いかがでありますか。
佐々木周一
162
○佐々木
参考
人 どういう御
質問
でございますかいまのは。聞き漏らしましたが……。
津川武一
163
○津川
委員
これから「むつ号」で実験をおやりになるでしょう。そのとき、どういうふうにしてこれが安全であるか、これをお調べになるでしょう。
佐々木周一
164
○佐々木
参考
人 炉の安全ですか。
津川武一
165
○津川
委員
炉から今度は出てずっと運航していきますね。炉から今度漏れないか、廃棄物がどうなるか、こういうことは、これから問題になりますのは、これは安全であるかどうかということをまずお確かめにならなければなりませんね。それを公開なさいますかというのです。
佐々木周一
166
○佐々木
参考
人 むろん公開いたします。そして私のほうは県へ申し上げまして、モデリングについては県並びに漁民の代表の方が立ち会ってくださってけっこうです、こういうことを申し上げている次第でございます。
津川武一
167
○津川
委員
いま、これから外海でやらざるを得ないでしょうと言われた。そこで、外海でやるときに、ここで放射能が出てくるか、それから使った
あと
の原子炉の残渣をどうするかなどということに対して、公開で民主的に計画していかなければなりませんが、要求するならば、原子力の学者、いま問題を心配しておられる漁業者の代表、こういう者を一緒に、この公開実験、これからおやりになるのに立ち会わせる必要があると思うのですが、その御
準備
はございますか。
佐々木周一
168
○佐々木
参考
人 もし外海で出力上昇試験をするといたしますと、船内に乗る方は非常に限定せられますので、人数に制限があると思いますが、私のいまの考えでは、学者の方、漁民の代表の方、こういう方は、御希望があるならば、ぜひ立ち会っていただきたい、かように考えております。
津川武一
169
○津川
委員
どうも
理事
長ありがとうございました。いろいろ失礼なことを申し上げましたけれ
ども
、せっかくあすこまでホタテその他の魚が育って、出かせぎ者がなくなってしまったので、漁民の願いを聞いて外海でやっていただく、そうせざるを得ないだろうと腹をきめておいでになるからぜひそうしていただきたい。その際漁業者の代表も入れて、問題が
あと
に残らないように万全を期していただきたいということをお願いして、
参考
人として来ていただいたことにお礼申し上げて、あなたに対する
質問
を終わります。
佐々木義武
170
○佐々木
委員長
参考
人にはありがとうございました。
津川武一
171
○津川
委員
そこで水産庁、こういう
状態
にありますので、一回汚染されたというデマが飛ぶとホタテが売れなくなるのです。かつて青森県のリンゴがNHKのテレビで白いリンゴというので出ましたら、その後半月ぐらいリンゴが売れなくなった。そこで、いまこういう
状態
にあるので、問題のないような原子力船の実験をやらせるように、水産庁としても格別な指導、中に入っていただくよう、これは要求します。 そこで、ここまできたホタテ、これの自由化なんですが、田中総理が、ホタテは残存に入っているので、自由化せい、こういう命令を下しているらしいのですが、このホタテの自由化は、ここまできましたいま、私は、どうしても自由化を阻止して、守らなければならないと思うのですが、水産庁はいかように考えておりますか。
安福数夫
172
○安福
政府委員
ホタテ貝につきましては、
北海道
、青森、先ほど申し上げましたように岩手、こういったところで非常に盛んに養殖、増殖がされておるわけでございます。ある意味では、沿岸漁業におきます一つの非常に選択的
拡大
の対象になっているものだろう、こういうようにわれわれは承知しておるわけでございます。沿岸漁業一般についていろいろ
停滞
的だという主張があるわけでございますけれ
ども
、増養殖業が非常に興っておりますところでは、むしろ漁家
所得
は非常に急激に
伸び
ております。ことに東北地方の沿岸漁業タイプの浦々では、極端な場合は、ここ二、三年で二倍、三倍も漁家
所得
が非常に
伸び
ておる。そういう意味合いにおいて専業率が
伸び
ておる。そういう地帯におきますホタテ養殖業、ホタテの漁業は、非常に重大な、大きな漁業
経営
上の支柱になっておるというようにわれわれ承知しておるわけであります。 ただ、今後のそういうホタテの増養殖業についてのわれわれの一つの指導の方針といたしましては、もちろん流通
過程
を踏まえて、やはり
生産
性を上げるということであろうと思います。そういう意味合いにおいて、ある意味では国際的な競争力まで持ち得るそういう漁業に育てたい、こういうように念願しておるわけでございます。 そこで、自由化がどうかという御
質問
になるわけでありますけれ
ども
、われわれといたしましては、そういうふうに、
全国
的ではございませんけれ
ども
、ローカル的というと非常に狭いような感じがいたしますけれ
ども
、かなり広い範囲に、
北海道
から岩手を通じましてのかなりの沿岸漁業についての非常に
中心
的な漁業であります、そういう意味合いにおきまして、私
ども
が考えております沿岸漁業のそういう
経営
を破壊するようなことになってはたいへんでございますから、そういった点を十分踏まえまして、自由化には慎重に対処してまいる必要がある、このように考えておるわけでございます。
津川武一
173
○津川
委員
農林次官、いまの次長の話を聞いていると、何か心配になるね。当面何か自由化しないんだ、こういう答弁でなくて、自由化に対しては慎重に考える、こういうことなんです。 そこで、四月十三日の衆議院の本
会議
で
農業
白書が問題になったときに、田中総理は農産物の自由化を進めることを明らかにしておる。次の日の新聞には、自由化品目としてホタテ貝をあげておるわけです。こういう
状態
の中でせっかくここまできて、ホタテは育つのも育つけれ
ども
、育たないで小さな幼魚、卵のときに魚のえさになってしまう。それであの陸奥湾の魚をふやしている。これもこの間漁民からそういう宝ものだと聞かされている。自由化されると、ここで一ぺんに参ってしまうわけです。
北海道
の全領域から青森、岩手にわたって最近非常に嘱目されてきておる。これは守らなければならぬ。当面漁民が安心してホタテに取り組むとすれば、ここで自由化はしないぞという点を明らかにしないと、原子力船以上にまた不安が出てくると思うのです。農林省はいかがです。
安福数夫
174
○安福
政府委員
私の答弁が非常にあいまいだということで、自由化するんじゃないか、こういうことでございますけれ
ども
、自由化というものは私
ども
が決意するだけという問題じゃございません。そう言うとまた、自由化するんじゃないか、こういう反論になろうかと思いますけれ
ども
、私の申しました趣旨は、沿岸漁業が
——
いまのホタテ漁業に限定いたしますと、ホタテ漁業が壊滅するというような形で自由化をすべきじゃないし、自由化をしても耐え得るようなホタテの養殖業並びにホタテ漁業を育てたいということでございます。したがって、そういった悪影響があるという場合には、やはりその
段階
において自由化すべきじゃない、こういうことだろうと思います。未来永劫この自由化はやらないということは、これは大きな経済のうねりの中の問題でございますから仮定の問題として私がお答えするわけにはまいらない、こういうことになるわけでございますけれ
ども
、やはり沿岸漁業については大きな支柱になる漁業でございますから、それが悪影響を及ぼすということであれば、われわれとしてはそれについては慎重に対処するということはその
段階
ですべきじゃないだろうか、こういうふうに私は考えている、こういう趣旨でございます。
津川武一
175
○津川
委員
私たち
日本
人の体位を考えたときに、主食を考えたときに、たん白質がまだうんと足りない。たん白質的主食は二百万トンも足りない。これを畜産で維持するわけにいかない。白書にも書いてあるとおり、あのとおり大きな比重を占めている。この中で、卵の白身、熱い湯をかけると白くなるでしょう。サケ、マスのスジコ、熱いお湯をかけたり、あったかくすると白くなるでしょう。あれは、私が言うまでもなく、たん白質ですよ。ホタテのたん白質は良質なものなんだ。したがって、その意味においてかなりふやしていかなければならない。ふやしたほうが、国民の主食に適する。しかし、一水産庁がホタテを自由化しないと言っても、これはやれないことは私もわかります。そこで、とにかく水産庁としていま自由化するつもりはないというのであれば私も安心するし、もう一度、どちらでもよろしいですから、答えていただきたいのです。
安福数夫
176
○安福
政府委員
私が答弁する筋のあれであるかどうかわかりませんけれ
ども
、非常に大きな問題でございますし、非常にわが国の貿易に対する外圧もいろいろあるわけでございますから、これは仮定の問題でございますけれ
ども
、やはりわが国沿岸漁業の支柱になるようなホタテ漁業ですからそれがひ弱い
段階
で壊滅的な打撃を受ける、こういうような形の自由化というものは考えられないのじゃないかというふうに私は考えている次第でございます。
津川武一
177
○津川
委員
農林次官の意見を聞かしていただいて、それで終わります。
中尾栄一
178
○中尾
政府委員
総括的に少しく申し上げますともう自由化の問題に対しましては、いまの水産庁の答弁そのとおりだと思います。私
ども
の
考え方
といたしましても、たとえ内閣、執行部からどういう形の命令があろうとも、漁民が非常に悩んでいるという問題、あるいはそれによって究極的に非常な
生活
苦にそのまま直結していくという問題こういう問題に対しましては真剣にとらえていくというのが農林省のたてまえでございますから、それはもうどんな場合においてもチャレンジをすることにやぶさかでないということをあえて申し上げておきます。 それから、先ほどの問題点にちょっと付言いたしますると、
先生
が冒頭に申されました原子力の平和利用の問題、公開、民主的な問題等、こういうことにおいての推進力たらしめることは私は賛成である、そういう
考え方
に対しては非常に同慶の至りでございまして、私
ども
もそういう意味において考えていくということに基本線を持っているということも、これまた付言しておきたい、こう思う次第でございます。
津川武一
179
○津川
委員
ありがとうございました。
佐々木義武
180
○佐々木
委員長
瀬野栄次郎
君。
瀬野栄次郎
181
○瀬野
委員
オレンジ、果汁の自由化問題について、農林省当局に
質問
いたします。 日米通商協議が御承知のように事務レベルで五月七日からワシントンで開かれております。日米経済戦争がますますエスカレートしてまいりまして、今回の協議では、米国側が農産物など、特にオレンジ、果汁、牛肉について強力な自由化を迫ってくる、こういうふうにいわれて、関係農民はたいへん危惧をいたしておるところであります。来たる五月十六日には、東京の北の丸公園の
日本
武道館で、オレンジ、果汁自由化阻止
全国
生産
者大会が二万人を結集して日園連主催の
もと
に開かれるということで、早くもこの自由化に対して阻止運動が展開されておるところでございます。 今回の協議は、本年の夏に日米貿易経済合同
委員
会が開かれるということで、この五月七日からの日米通商協議はその前哨戦、こういわれておりましたが、一部報道されておりますように、六月末にこの日米貿易経済合同
委員
会が開かれるということで、繰り上がって早くなってきている、いまやまさに秒刻みの
段階
に入っているということで、いろいろと取りざたされているのも事実でございます。当局としてもいろいろこれに対処しておられる、こういうふうに思うのでございますが、今回の一連の日米通商協議に農林省から吉岡経済局国際部長が出席をしておるわけです。農林省としてはいかなる決意でこの
会議
に臨んでおられるのか。その辺からまず
政務次官
なり当局のほうに御答弁をいただきたい。
内村良英
182
○内村(良)
政府委員
お答え申し上げます。 五月七日にワシントンで日米の通商協議が行なわれたわけでございます。これには、ただいま
先生
からお話がございましたように、農林省といたしましては経済局の吉岡国際部長が参加しております。 〔
委員長退席
、
山崎
(平)
委員長代理着席
〕 それで、吉岡君は、まだ木材等の話が残っておりますために、ワシントンにおりまして帰ってきておりませんが、公電で会談の模様を報告しております。それによりますと、アメリカは、農産物につきましてはオレンジ、果汁について自由化を迫ってきたということの報告が参っておりますけれ
ども
、どういうことで迫ってきたのか、必ずしも詳細な背景はわかりませんけれ
ども
、アメリカが現在議会で審議している通商
改善
法の関係で、この際
日本
が農産物についてより前向きな態度を示してくれというようなことが背景にあるように考えられます。これに対しまして吉岡君は直接コミットをせず、るる
日本
の国内
事情
を説明して、それには応ぜられないというような態度で対応したというふうな報告を受けております。
瀬野栄次郎
183
○瀬野
委員
吉岡経済局国際部長は大体予定としてはいつ帰ることになりますか。
内村良英
184
○内村(良)
政府委員
帰国は来週になると思います。
瀬野栄次郎
185
○瀬野
委員
局長
、これは重大なことなんですね。われわれがかねがね、もう昨年来たびたび当
委員
会でも
質問
し、また予測しておることが、先ほ
ども
申しましたように秒刻みで迫ってきておるような感じがするのですが、この公電によって、オレンジ、果汁については自由化を強力に迫ってきたということが入っている。詳細については帰国しなければわからないということですが、おそらく当局としてはかなり具体的なことがわかっているのじゃないかと思うのですけれ
ども
、これはもう常識からいっても、オレンジ、果汁、牛肉の自由化ということについては相当強力なものを迫ってくるだろうことはわれわれも想像にかたくないわけでございます。今回のこの日米通商協議に吉岡部長が出席するにあたっては、聞くところによると、わが国の農産物の自由化というものは一切応じられない、これはかねがね農林大臣も言っていることでありますが、米国からの農産物の輸入は四十七
年度
だけでも前年対比五割アップしているということで、強力に臨むというふうに聞いておるのですけれ
ども
、この協議会に
資料
として農林省は四十七
年度
の米国からの農林水産物輸入実績というものをまとめて携行しているわけですが、それのおもな内容をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
内村良英
186
○内村(良)
政府委員
今般の、五月七日ワシントンで行なわれました日米の協議でございますが、これは、いわゆるネゴシエーションと申しますか、交渉というような形のものではなくて、七月の中旬に、まだ日はきまっておりませんけれ
ども
、予定されております閣僚レベルの日米経済合同
委員
会の
準備
として、現在の日米の貿易問題について意見を交換するというような性質の
会議
であったものでございますから、吉岡君に特に訓令を与えまして、この線で交渉せよというようなことはやっておりません。
会議
の性質もまあそういったような
会議
であったわけでございます。 そこで、ただいま
先生
から御
質問
のございました米国からの農林水産物の輸入額の統計の問題でございますが、四十六
年度
——
これは会計
年度
でございます
——
の輸入額は、アメリカからの
日本
向けが十七億八千四百五十四万ドルでございますそのうち、農産物は十二億七千八百五十三万ドル水産物が二千八百九十二万ドル、それから林産物が四億七千七百八万ドル、こういうことであったわけでございます。それが四十七会計
年度
は、全体の輸入が二十七億三千六百九十一万ドルということで、対前年比五三・四%の増になっております。その内訳を見ますと、農産物の輸入が十八億七千百三十一万ドルでございます。水産物はほぼ前年と横ばいでございまして、二千九百九十一万ドル、それから材木が非常にふえまして、これは値段が上がったという面も多少影響があるわけでございますが、八億三千五百六十七万ドルということになっております。 ついでに、アメリカからの総輸入額における農林水産物の輸入額の比率を申し上げますと、四十六
年度
が三五・八%であったものが、四十七
年度
は四三・四%になっております。この
数字
を吉岡君は携行いたしまして、わがほうはこのように農産物の輸入がふえている。このことが
日本
の農政の立場から見てはたしてどうかということは、いろいろ御議論のあるところでございますが、いずれにいたしましても、このように輸入がふえているということは向こうに
指摘
して、いろいろ応酬したのではないかというふうに想像しておりますけれ
ども
、その辺についてはまだ報告が入っておりません。
瀬野栄次郎
187
○瀬野
委員
ただいま四十七
年度
の米国からの農林水産物輸入
実態
等の携行した内容の概略が説明ございましたが、私も手元の調べたのと若干
数字
が違いますけれ
ども
、大体似通った
数字
でありますが、いずれにしても農産物が五三・四%と五割も
伸び
ている。こういう実にたくさんな量を買っているわけです。一国の輸出で五割アップというのは、これを見ましても
日本
が初めてというふうにいわれておりまして、米国の農産物の全輸出額が約百億ドルといわれておりますが、このうちわが国一国でも二十億ドル近いということで、たいへんな輸入をしているということになるわけです そこで、いま吉岡部長もワシントンでいろいろ交渉して、その結果は詳細は帰らなければわからないということでありますけれ
ども
、こういったことについて、
政務次官
、いろいろ公電も入ってきたということでありますが、かねがねあなたにもずいぶんいろいろこういった問題で
質問
もしてまいりましたし、これは
日本
の
農家
がたいへん心配している問題でありますけれ
ども
、いよいよ来るべきものがだんだん来つつあるというような感じもしてまいりますけれ
ども
、アメリカからこれだけたくさん買っている。何も、
日本
がこんなに農産物をかってに押しつけられて、さらにこういったオレンジ、果汁等、
日本
の果樹
農家
を壊滅的打撃に追い込むようなことをしいられる筋はないこれは断固かたい決意で農林省はこれに対処すべきである、さっそくこれに対する対策をとるべきだ、こういうふうに思うのですが、その辺、きょうは農林大臣がお見えでありませんけれ
ども
、
政務次官
、どういうふうにこれを踏まえて検討しておられますか、あなたの決意のほどを伺いたい。
中尾栄一
188
○中尾
政府委員
先ほ
ども
そのような御
質問
があったわけでございますが、決意を示せということでございますから、私の立場といたしましても個人的な見解を述べまして決意を示したい、こう思います。 私は、対米関係にせよ、対ソ関係にせよ、対中関係にせよ、国際的な問題というものは、十分その条理を説くことによって、初めて向こうの納得するものは納得するというたてまえをかたく信じておるわけでございまして、今回までの交渉の内容を概略承った感想を率直に述べますと、どうもいささかアメリカ関係のほうのわがほうに対する見解というのは相当きびしく鋭く、なおかつ、わがまま的な問題を幾つか見受ける感じがいたします。そういう点は私
ども
も存分
日本
の立場を明確に主張いたしまして、こういう経済貿易の問題において大国主義を振りかざすようなことはやめていただきたいということだけは厳に私
ども
は申し上げるつもりでございます。その点におきましては、これが煮詰まってきて閣僚
会議
レベルにおける
段階
に至るまでにも、場合によりましては私
ども
もその交渉の中に加わりまして徹底的にわがほうの立場だけは伝えて、譲るべきでないものは一歩たりとも譲らないという形をとるたてまえでございますし、またそうする心算でございますので、私の決意の一端をぜひともおくみ取りいただきたいと思う次第でございます。
瀬野栄次郎
189
○瀬野
委員
個人の見解を踏まえての
政務次官
の答弁でありましたが、これはただごとでない問題でありまして、皆さん方に私が申し上げるまでもなく、
日本
は敗戦によっていわゆる日米経済のきずなを結んで今日にきていることは御承知のとおりでありますが、アメリカという国はいわゆるデモクラシーの国であり、さらに、敗戦国だからといって特にこれをないがしろにするというのでなくて、国は小さくとも、その経済力、
生産
力というか、国民の持つ力というものは高く評価し、そしてフェアな気持ちで接するという国民性を持っていると私はかねがねアメリカを見ております。そういった面から、わが
日本
が、今回の農産物の自由化問題にあたってアメリカから強くしいられたからといって、何も、アメリカにかねがね日米貿易関係からいろいろとお世話になっているからまた、敗戦なんかのいわゆる弱みなんというものは毛頭あるべきものでなしに、平等の立場で強くこれに対しては対処して、堂々と、アメリカの農産物を十億ドル以上も入れている、また、
日本
の農産物はこれ以上自由化したならばたいへんな壊滅的な打撃を受けるということは、かねがね言ってもあるでしょうが、今回、農林省としてはかたい決意で迫っていただかないと、田中総理も、過般来何回となく私も
質問
をし、さらに本
会議
において
質問
したときにも、どうもはっきりした返事がもらえない、こういう感じもしておりますし、農林大臣自身も、私としてはと言って、個人的な見解の立場から、自由化はしない、こういうふうに言っておるわけでありまして、田中内閣としてこれを強く言っておるということではありません。先般来からこのオレンジ、果汁の自由化問題の決議も当
委員
会ですると言いながらも、ついに今日まで、若干の問題がひっかかって決議もせぬままに至っております。残念なことでありますけれ
ども
、どうかひとつ、そういうようなことからも、堂々たる態度でアメリカに
日本
の主張を述べて、平等、対等の立場でやっていただきたい、かように思うのです。その点さらにひとつかたい決意をお聞きしたいのであります。
中尾栄一
190
○中尾
政府委員
アメリカは、かねがね
日本
に対しまして、イコールパートナーシップということばを使っておるわけでございまして、イコールパートナーというのは、少なくともわが身が傷つくならば相手は倒れる、そういうイコール点に結ばれるという精神であるというたてまえから、私
ども
が対米交渉に際しましても卑屈になるという気持ちは全くございません。むしろ、二足す二は四であるという、条理を踏まえて説得するならば、必ず相手はわかる、いままでもそういうヒューマニティーを持った国であると私
ども
は信じておりますので、その点は、個人的な見解ということではなく、あくまでも、農林省のたてまえからいきましても、さらに鋭意努力をいたしまして、十分に瀬野
先生
のお気持ちにも沿うだけの努力だけは全うするつもりでございます。 また同時に、わが
日本
の国の
農業
に少しでもダメージになっていく形というものが見られるような農作物に対しましては、先ほ
ども
私は答弁申し上げましたように、田中総理の見解いかんによらず、私
ども
は断固としてこの問題点だけは廃棄していくような方向にチャレンジをしていくということを申し上げたつもりでございます。その点はひとつぜひともお含みをいただきまして、
あと
閣僚レベル
会議
に至るまで私
ども
もこの問題に集中的に努力することを私もお約束申し上げたいと思う次第でございます。
瀬野栄次郎
191
○瀬野
委員
局長
にお伺いしますが、先ほど、今年の夏の予定でありました日米貿易経済合同
委員
会、これが六月末ごろに開かれる、こういうふうにわれわれはいろいろ情報を受けておるのですけれ
ども
、七月中旬に行なわれるのは日米閣僚レベルの
会議
であって、この日米貿易経済合同
委員
会これは六月末というふうに皆さん方は大体予定しておられるのか、その点はどうですか。
内村良英
192
○内村(良)
政府委員
日米経済合同
委員
会というのは、閣僚レベルの
会議
でございます。そこで、当初の日米の話し合いでは、六月の二十日過ぎに今年は東京で行なうという話し合いが進んでいたわけでございますが、最近、アメリカ側の都合でその六月の二十日過ぎはちょっとまずいということで、七月の中旬まで延ばしてくれという申し入れがございまして、一応七月の中旬ということになっておりますけれ
ども
、具体的な日取りはまだきまっておりません。
瀬野栄次郎
193
○瀬野
委員
その点は了解しました。
あと
、こまかい点に若干触れてみたいと思いますが、主要農産物の輸入実績のただいまの答弁の中で、いろいろ農産物のことがあげられましたが、自由化しましたグレープフルーツが三千三百十万九千ドルで、前年対比三五四・四%と、三倍以上にふえております。これは比較的夏ミカンその他競合しないということで、相当自由化に対しては問題になっていたのですけれ
ども
、これはまず一応は落ちついた形になっておりますが、すでに自由化されていながら、三五四・四%と、ものすごい勢いでふえてきております。もちろんこれは四十七
年度
の実績でありますけれ
ども
、四十八
年度
もこの調子ならかなりふえてくるのではないかと思うが、これは当局はどういうふうな見通しを立てておられますか、その点もお伺いしたい。
伊藤俊三
194
○伊藤(俊)
政府委員
グレープフルーツの最近の輸入の
状況
について御説明申し上げます。 四十六年が一万一千三百五十トンでございますが、四十七年が非常にふえまして、一挙に九万一千四百三十三トンになっております。四十八年の一−三月期が二万一千六百九十三万トンであります。四十七年、前年の一−三月は一万五千百九十五トンでございますから、そう大幅にはふえておらないということでございます。 グレープフルーツの四十七年における急激な輸入増というのは、グレープフルーツの国内の需要ということも考えたことと思いますけれ
ども
、商社がこぞって輸入しようとしてかなり大量のものが入ってしまった、そのためにかなり値くずれをしたというようなことも事実となってあらわれておるわけでございます。
瀬野栄次郎
195
○瀬野
委員
グレープフルーツは一応自由化されているので、農林省としてもこれらの
実態
をつかんだり、またいろいろ輸入に対する規制というようなことはたいへんだと思うのですけれ
ども
、このようにふえてまいりますと、これまた将来問題になってくるというふうに思いますので、十分指導、対処をしていただきたい。かように思うわけです。 それと、今度は非自由化品目で米国が自由化を強く迫っているという果汁ですね。これについては、これまた同じ傾向が出ておりまして、果汁も二百三十六万七千ドルで、前年対比二〇六.〇%これも二倍以上にふえておる。いわゆる非自由化品目でありながら一
年間
で二倍になっているという実績が出ておるわけです。そこで、かりにこれは自由化にでも踏み切ったならば、これこそウナギ登りにたいへんな勢いで
日本
の市場を撹乱してくる、こういうふうにわれわれ思っているわけですけれ
ども
、これについてはどういうふうに踏まえておられますか、またどういうふうに見ておられますか。
伊藤俊三
196
○伊藤(俊)
政府委員
果汁につきましては、いままでの輸入でございますが、これは割り当て量ベースでまいりますと、オレンジが四十五年が濃縮で三百トンでございます。それから、四十六年はございませんで、四十七年が五百トンということになっておるわけでございます。これは割り当てベースでございます。 で、私ど
もと
いたしましては、ミカン、ことにミカンでございますが、温州ミカンの需給調整をいたします場合に、この
委員
会でも私たびたびお答え申し上げておりますように、果汁向けの原料用のミカンの
価格
安定というようなことを常に考えながら、ミカンの
価格
安定をはかっていきたいというような
考え方
でございますので、果汁につきましては、輸入の自由化ということはとても考えられるものではないというものの
考え方
をいたしておる次第であります。
瀬野栄次郎
197
○瀬野
委員
この非自由化品目である果汁がこういうように二倍にもなっている、こういうことでありますと、結局、非自由化品目であっても、輸入ワクを
拡大
していくということになるとたいへんな打撃を受けて、これまた問題であります。 さらに、アメリカのサンキスト社の問題に若干触れておきますが、サンキスト社が過般
日本
にも来て、中央会の宮脇会長とも会って、合弁会社の問題とかいろいろ出ております。また農林省としてはこのサンキスト社に対しては、同社が言う一〇〇%出資ということについては、これに対しては全然問題にならない、こういうふうに答弁しておるように聞いておりますけれ
ども
、執拗にサンキスト社がやってくる。これを許したならば、いずれは必ずラベルも、
資本
一〇〇%ということでまいりますから、あらゆるものに進出をしてきて、
日本
の果汁にたいへんな打撃を与えるということになります。中央会の宮脇会長のほうでは、合弁会社で五〇%、五〇%の割合でということで過般いろいろ話があったようにも聞いておりますし、当時、足立農相時代にも、そのことで、私、二回ほど
質問
してただしたこともございますが、現在、このサンキスト社に対する対策といいますか、対処方針としてはどういうふうに農林省としては臨んでおられるのか、その点もこの機会に明らかにしていただきたいと思うのです。
伊藤俊三
198
○伊藤(俊)
政府委員
サンキスト社が国内でどういうような活動をしようとするかというようなことにつきまして、国内で一〇〇%サンキスト社出資の会社をつくりまして、そしてその会社がどういう機能を営むか、具体的に必ずしも明らかではございませんが、輸入の果汁と国内の果汁とをまぜ合わせる、そのまぜ合わせば国内の工場にやらせるのだ、そしてそれをサンキストの子会社が買い求めて、サンキストのマークで販売をする、こういうことを考えているようであります。サンキストの詳しい計画はまだ出しておりませんので、私
ども
のほうもこれをどうこうということをいま申し上げる
段階
ではございませんので、御了承いただきたいと思います。
瀬野栄次郎
199
○瀬野
委員
政務次官
、このことは十分御存じだと思いますが、これまたえらい心配なんです。いま答弁がありましたけれ
ども
、このサンキスト社に対しては、農林省としては
——
これもおそらく何回となく交渉に来たりまた迫ってくると思われるのですが、どういうふうに対処していかれるのか、どういう考えでおられるのか、
日本
の果汁を守るためには絶対これは入れては相ならぬ、こういうように言っておられるのか、その点ひとつ
政務次官
のほうからも御答弁いただきたい。
中尾栄一
200
○中尾
政府委員
サンキスト社の言い分は、いままでいろいろ総合してみますると、たとえばサンキスト社のオレンジを
日本
のタンジェリンすなわちミカンとまぜて、そして加工してジュースをつくった場合の味というものは、いろいろの統計をとっても非常にうまいんだ、そこで、それを
日本
並びに各国にいわゆる販売ルートを持っていったらさらにプラスになるのではないかというような積極的な解決策と申しましょうか、そういうような方向で接近しているやに承っている点もございます。これは私は承っただけでございますが、そういう意味でいろいろ手をかえ品をかえ、サンキスト社が
日本
の国内に進出しようというもくろみだけは持っているのではないか。これを法的に阻止することはできませんけれ
ども
、まだそれを具体的に話し合うという
段階
でもありませんし、いまからそういうものも承りながら、頭にとどめておこうという程度のものであることを聞いておいていただきたいと思うのでございます。 先ほど来
先生
が言われておりました自由化の問題でありますが、あくまでも国際経済の舞台におきましては、自由化というのは一つの阻止でき得ない世界的な胎動であることだけは否定できません。その中におきまして特に大きなダメージを受けるオレンジ並びに果汁、こういうようなものにつきましては、実は一貫した方針で貫いておることを
先生
にもお答えの一片に資していただきたいと思う次第でございます。
瀬野栄次郎
201
○瀬野
委員
サンキスト社がまだはっきりした具体的なあれはないので、はっきりした考えの答弁がないようでありますが、すでにもう新聞等でも取りざたされ、数年前からこれの進出等についてはいろいろといわれております。もちろん私はブレンド用にオレンジの濃縮ジュースを若干輸入して、これをブレンドすることについては、これは従来からいろいろ団体も要求したことであるし、ある程度のことは考えられますけれ
ども
、私は、やはり
日本
の国民の嗜好というものを、今後変えていかなければならない、いわゆるジュースというものはミカンをしぼったなまジュースであるというふうに、国民の食
生活
を変えていく方向に大きく普及もし、努力もしていかなければならないこういうように思うわけです。また
日本
のミカンの中からブレンド用を考える。先般農林大臣等も言っておられましたように、熊本などでも、濃縮ジュースをつくった場合、熊本産のポンカンとブレンドしたらとても味がいい、これならたいこ判だ、この
委員
会でもそういう話がありましたが、
日本
の国民の食
生活
に、いわゆるジュースというのはこういったなまジュースなのだ、いま薬品なんかでつくっておるジュースはほんとうのジュースではないということで、ジュースの普及をはかっていかなければならない。この点、
政務次官
、どういうふうに考え、農林省はどういうふうに指導をされ、積極的に臨んでおられますか。農民もこういったことに強力な農林省の指導を待ちあぐねておるわけですが、お答えをいただきたい。
中尾栄一
202
○中尾
政府委員
先生
御存じのように、私は山梨県という果汁の県の中に育っておるわけでございます。特にブドウなどにおいてもそうでございますが、いまやブドウの
生産
だけではどうにもならない、ブドウ酒に切りかえておる
段階
でございます。それにいたしましてもやはり加工あるいは技術改革というものは非常に必要でございまして、ごたぶんに漏れずブドウ酒の改良というものも、外国にまで人を送って現地で研究さしておるという
段階
でございます。同様にミカン等あるいはオレンジにいたしましても、これは私の個人的な見解でございますが、ただ阻止するという問題だけでない一つの解決策というものも頭の中にとどめておかなければならない問題点ではなかろうかという感じ方はしております。そういう意味におきましては、むしろミックスジュースと申しましょうか、ブレンドされたいろいろなジュースにおいて、非常に甘味な、しかも子供にまでも愛されるような
——
どういうパーセンテージにおいてのミックスであるかは技術的にまつといたしましても、それが非常に大量に普及され、なおかつ消費されていくという見通しがあった場合には、これは相当ワクを広げてもなおかつ
日本
のオレンジそのものも片をつけられていく、消費されていくという問題点として加味されるということになりますと、これは先ほど私の言ったように、積極的解決策にもなり得ようかと思いまするので、そういう点はいまからの研究課題ではないかということで、決して頭から否定するというたてまえでなく、研究課題の一つにして十分検討してみたいという
考え方
で指導していきたいと思っております。
瀬野栄次郎
203
○瀬野
委員
局長
に次のことを
お尋ね
します。 いま
政務次官
から答弁があったが、かんきつ果汁の一人当たりの消費量というものを国際的にストレート換算して比較してみますと、昭和四十二
年度
でもEC諸国の中の西独では二・二
キロ
グラム、オランダでは三・四
キロ
グラム、西欧諸国では、オーストリアで〇・八、スイスが一・五、英国が二・二、デンマークが四・八、ノルウェーが二・〇、スエーデン三・〇、フィンランド〇・四、カナダ五・九、米国一二・一、
日本
はどうかというと四十二年で〇・二、四十六
年度
でようやく〇・七。こういうわけで、一人当たりの消費量というのはEC諸国、西欧諸国から見ても実に低いのですね。大体こういうことは間違いないが、こういったことを考えて、これは本気になって、こういう慢性化した温州ミカン等の過剰の中において
——
農林省は五月の花芽を見ないと
生産量
の推定はわからぬとかいろいろ言っておられますが、相当ことしも豊作が考えられる、こういうときに本気になって考えていかなければならぬと思うのですが、園芸
局長
は一線の
局長
としてどういうふうに対策をされ、どういうふうに考えてこれに臨んでおられるか。ひとつ具体的な方針を伺いたいと思います。
伊藤俊三
204
○伊藤(俊)
政府委員
かんきつの一人当たりの消費量の国際比較、ただいま
先生
からのお話がございましたような
数字
でございまして、
日本
はまだ欧米の水準から比べますと、かなり低いと申さなければなりません。やはり
日本
のミカンが欧米のオレンジと違うという性質がありまして、
日本
人は、どちらかというと、なまの果実で食う習慣があった。また食べやすいミカンであるということも事実だろうと私
ども
は思いますが、これからはジュースに加工してミカンを消費してもらうということが一番望ましいと思うわけでございます。 そういう意味で、私はジュースにミカンを振り向けるということを考えまして、ジュース工場の拡充ということにつとめておるわけでございます。従来までに七カ所ミカンのジュース工場ができておりますが、本
年度
は特に四カ所ふやそうということでございます。またチルドジュースの工場もつくろうというようなことで、予算を、先ごろの予算でお認めいただいたわけでございまして、鋭意その具体化に努力中であるわけでございます。 また、このジュースの消費の宣伝というようなことにも、これは
生産
者団体な
ども
かなり努力をしておられるようにも見受けておるわけでございますけれ
ども
、私
ども
もこのジュースの消費
拡大
というようなことに一そうの努力をいたしたいと思います。 果汁というようなことばは、商号といいますかそういう名前を使えるものも、こういうようなまぜ合わせのものじゃなくて、ほんとうに一〇〇%のものに限られてきておるようでございますし、また消費者も果汁というもののよさを逐次評価してきてくれているようでございますので、私
ども
はこの果汁の形でのミカンの消費ということにさらに一そう努力をいたしたいと思っておる次第でございます。
瀬野栄次郎
205
○瀬野
委員
果汁
生産
施設をつくっておるということは承知しておりますが、現在七カ所、本
年度
四カ所というのですが、これにしてもほんとうに少ないのです。四カ所くらいではどうしようもない。しかも
事業
内容というのが、助成対象はもちろん建物及び
機械
設備
そして原料処理能力が
年間
おおむね一万トン以上、こういうふうになっておる。リンゴの場合は五千トン以上、こういうふうになっておるのですけれ
ども
、これを五千トン以上、リンゴ並みにできないものか。そしてまた、四カ所というけれ
ども
、農林中金の金、またはあらゆる
農業
団体にしても相当の金がだぶついているということで、きのうまで農林中金法、
農業
協同
組合
法等審議してまいったわけですけれ
ども
、政府のほうももっと助成してこれに大きく近づけてもらいたいと思うのですが、実際に今
年度
果汁
生産
施設の
規模
は
全国
的にどのくらいあるのか。本
年度
は四カ所というふうにしぼったというのですが、どのくらいあったのか。しかもさっき言いましたように、原料処理能力なんかも、
年間
一万トン以上というけれ
ども
、もっと下げられないものか。その点の見解はどうですか。
伊藤俊三
206
○伊藤(俊)
政府委員
果汁の工場
規模
の小さいものをたくさんつくるのがいいのか、あるいは少し
規模
の大きいものをつくったほうがいいのか。これはいろいろ意見の分かれるところであろうかと思います。ただ、あまりにも小さい工場をつくりますと、かえって採算が悪いということになります。 〔
山崎
(平)
委員長代理退席
、
委員長着席
〕 採算が悪いということは、逆に言えば、
農家
から買います原料のミカンの値段があまりよくないというようなことにもなりかねませんので、やはりある程度の
規模
を持ちませんとぐあいが悪いのではないかという
考え方
を持っておるような次第でございます。 果汁工場につきましては、だんだんその果汁の消費が
伸び
てくる気配が見受けられます。先ほ
ども
申し上げましたように、評価されてきておるというようなことでございまして、
生産
者団体も果汁工場の建設には若干おっかなびっくりであった。つまりその販売というようなことを考えまして、若干おじけずいておったようなところもありまして、先ほど四カ所と申し上げましたが、当初は二カ所程度の申し出であったわけでありまして、それが予算編成の最中にさらにふえまして四カ所ということに相なってまいりまして、最後に大蔵省とも相談をいたしまして四カ所に増額査定をしてもらったようなわけでございます。国会で御承認を得たわけでございますが、さらに最近、私
ども
のところへ、それだけでなくて、もっとやりたいというような
地域
も出てきております。そういったこともいろいろ考えながらこれから対処していきたいと思っておる次第でございます。
瀬野栄次郎
207
○瀬野
委員
この予算等を見ますと、四十七
年度
が果汁
生産
施設なんかは五億一千九百三十九万五千円、四十八
年度
要求で三億二百四十六万四千円と、そのほかに果汁流通施設として一億三千九十二万八千円、こういうふうなことになっておるが、こういったものに対してもっと農林省は、
農家
は血の涙で叫んでおるわけですから、あたたかい予算を出して力を入れてあげる、しかも補助率が三分の一なんですけれ
ども
、もっと補助率を上げてやる、こういうことを前向きに考えてやるべきじゃないか、こういうような血の出るような叫びをしておるわけです。これだけの膨大な予算の中から三億、流通施設に一億、もっと力を入れてやるべきだと思うのです。 それと、希望は二カ所ということで、希望があれば幾らでもできるようなふうにも受け取りましたが、この果汁
生産
施設等は、希望があれば必ずふやして希望に沿ってやれるというふうに考えておられるのか。それとあわせて御答弁いただきたい。
伊藤俊三
208
○伊藤(俊)
政府委員
私ど
もと
してはできるだけ需要に応じたいと思っておるわけです。もちろんただ果汁工場をふやしたからといって、できました果汁がすべて売れるとも限りません。全体の需要の
伸び
に見合った工場の建設というものが必要ではないかという
考え方
を持っております。ただ、果汁につきましては、先ほど申し上げましたように、ミカンのこれからの増大する
生産
ということを考えましたときに、果汁工場を整備するということはどうしても必要であるという
考え方
を根本的に持っておるわけでございますので、大蔵省のほうにも絶えずいろいろなことで相談をいたしております。大蔵省のほうも果汁工場の建設にはかなり前向きで考えてきてくれておるわけでございまして、いろいろなこれから出てまいります要望というものを十分わきまえながら、果汁工場の配置というものをやってまいりたい、このように考えております。
瀬野栄次郎
209
○瀬野
委員
もちろん需要に見合った
生産
ということはわれわれも考えられますけれ
ども
、先ほ
ども
指摘
しましたように、アメリカから相当倍になるような量を入れている、しかも今後もこれがどんどんふえていくような傾向である。国内の一人当たりの消費量というものは四十二
年度
〇・二、四十六
年度
やっと〇・七ということで、先進諸国から見るとずっと落ちている。これはもっと力を入れなければならぬということでやっておることはわかっておるけれ
ども
、もっと強力なてこ入れ方をしなければ、
農家
を救うことはならぬじゃないか、こういうふうにわれわれは言うわけです。このことは何べん言っても切りがないのですけれ
ども
、時間の関係もございますので、
あと
若干
お尋ね
します。 果汁の割当量を見まして、オレンジジュースも昭和四十七
年度
は濃縮が五百トン、ストレートで二千五百トンも入っている。またジュース用を見ましても四百
キロ
リットルも入っておりまして、かなりの量が毎年入ってきております。また果汁輸入実績の推移を見ましても、果汁全体で四十七
年度
は、一月から十月までで三千七百七十五
キロ
リットル、
金額
が三百二万五千ドルも入っているということで、相当な量が入ってきておりますが四十八
年度
はこのオレンジまたは果汁、それからホテル用のオレンジ等ももちろんありますけれ
ども
、こういったものについても相当量これは入ってくるんじゃないか、こういうふうに思っています。いまからいろいろ検討されるのではないかと思うのですけれ
ども
、そういったことについてはどういうふうに四十八
年度
は見ておられるのか、御答弁をいただきたいと思うのです。
伊藤俊三
210
○伊藤(俊)
政府委員
四十八
年度
の果汁の輸入というようなことにつきましては、国内における需要の
状況
と
生産
というようなことも考えながら輸入ワクをきめていきたい、かように考えております。
瀬野栄次郎
211
○瀬野
委員
いよいよ日米経済
委員
会等が開かれるということで、
農家
もこのオレンジ、果汁の問題については異様なまでに関心を示しております。五月十六日に
全国
大会を開くのもそのあらわれでありますと同時に、巷間伝えられるところによると、今度の国会が閉会された直後あたりには、過般のグレープフルーツのように、オレンジ、果汁等の抜き打ち的な自由化をはかられるのではないか、または田中総理が訪米前後にこの問題がいよいよ頭を持ち上げてくるのではないかとか、いろいろ心配をされております。アメリカも実際にはこの国際
収支
の黒字減らしには五億ドルの効果しかない、こういうふうにいわれておりますし、
日本
に限って見れば、もうわずか一億ドルというようなことになると思うのですが、この問題で、先ほどから何べんも申しましたように、
日本
は相当量買っている。アメリカの百億ドルの中の、いわゆる一〇%、十億ドルも農産物を買っている。この上に二十四品目をかりに全部自由化しても、一億ドルくらいにしかならぬといわれております。そうしてみると、わずかなアメリカの黒字対策にしかならぬわけです。そういったことをアメリカが強くわれわれに迫ってくる、これに対しては、相当な力ではね返していかなければ、
日本
のいわゆる果樹
農家
はたいへんな壊滅的打撃を受けるということはもう明らかでありますので、必死になって
農家
はいまこのことについて戦いをやっていることも御承知のとおりであります。 そういったことで、今後この自由化問題については、いろいろ巷間伝えられておりますように、国会明け、あるいはまた田中総理訪米前後、あるいは七月ごろにはいわゆる自由化の攻勢で、いよいよ自由化に踏み切らざるを得ないような事態に追い込まれるのじゃないか、こういうふうにいわれておりますが、断固これに対しては、農林省は団結して、
農家
を守るために健闘してもらいたいきょうは大臣がおいでになりませんけれ
ども
、もちろん大臣にもこのことを強く訴えていただいて来たる十六日には大会も開かれるわけですから、田中総理にも強くこのことを意見を述べていただいて、
農家
のために対処していただきたい。 このことを、時間が参りましたので、最後に申し上げて、
政務次官
、どうかひとつ最後に決意を述べていただいて、
質問
を終わりたい、かように思います。
中尾栄一
212
○中尾
政府委員
もう再三再四にわたりまして、瀬野
先生
の御意思十分承りまして、私
ども
必ず大臣にも、さらに総理、総裁田中角榮
先生
にもお伝え申しまして、どうしてもそういう方向で行けるように努力をしてみたい、こう思っております。よろしくどうぞ。
佐々木義武
213
○佐々木
委員長
次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十四分散会