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1973-05-09 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月九日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 佐々木義武君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂村 吉正君    理事 藤本 孝雄君 理事 山崎平八郎君    理事 渡辺美智雄君 理事 柴田 健治君    理事 美濃 政市君 理事 津川 武一君       大竹 太郎君    笠岡  喬君       金子 岩三君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    小山 長規君       正示啓次郎君    白浜 仁吉君       菅波  茂君    中川 一郎君       中村 弘海君    丹羽 兵助君       西銘 順治君    長谷川 峻君      三ツ林弥太郎君    湊  徹郎君       森下 元晴君    山村治郎君       井上  泉君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    湯山  勇君       諫山  博君    中川利三郎君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       稲富 稜人君    神田 大作君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         農林政務次官  中尾 栄一君         農林省農林経済         局長      内村 良英君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         食糧庁長官   中野 和仁君  委員外出席者         国税庁調査査察         部調査課長   松本 久男君         参  考  人         (農林中央金庫         理事長)    片柳 真吉君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 五月九日  辞任         補欠選任   安倍晋太郎君     中川 一郎君   小山 長規君     中村 弘海君   佐々木秀世君     山村治郎君   安田 貴六君     大竹 太郎君 同日  辞任         補欠選任   大竹 太郎君     安田 貴六君   中川 一郎君     安倍晋太郎君   中村 弘海君     小山 長規君   山村治郎君     佐々木秀世君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  農林中央金庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第七五号)  農業協同組合法の一部を改正する法律案内閣  提出第七八号)      ————◇—————
  2. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 これより会議を開きます。  農林中央金庫法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。
  3. 井上泉

    井上(泉)委員 この二つ法案は、一体農林大臣農政を推進する上においての発意に基づいてこの法案が出されたものか、あるいは農協からの要請あるいは中金からの要請に基づいて農林官僚が成文化したものか、どっちですか。
  4. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 農林中金法改正は、ごらんになればおわかりのように、存立期限がまいるということで、また最近の諸情勢を勘案して改正をしたい、こういうことでございますので、特段に私が発意をしておるわけではございません。また、農協法改正にいたしましても、論議の対象になっております農地レンタル方式については、従来、農地処分方式を導入しておるのを拡充しよう、こういうことでございまして、この二案につきまして私の農政上の理想を特にここに具現をしたいというような、そういう大所高所からの事柄ではなく、従来農協やあるいは農林中金の行なってきておる業務の実態に伴いまして、最近の諸情勢を勘案しての所要の改正をいたすということで、私に対しそういう協議がございましたので、適切であるという判断に立ったわけでございます。
  5. 井上泉

    井上(泉)委員 農林大臣協同組合法改正目的なんかもだいぶ違いますよ。大体この法律案改正の一番の目的は、金融機関いわゆる金融機能を充実する、貸し出し範囲拡大する、つまり金のことだけですよ。肝心の農業ということよりも、金融関係に主眼を置いた協同組合法改正案であるということ、これを認識しておっていただかないと困るわけで、いまあなたが言われたこととこの法案改正内容とは全く違うということ、そのことをもう一ぺん説明を受けたいと思います。
  6. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ことばが不十分であったかと思いますが、私どもは今回お願いしておるのを農業関係金融四法、こういっておるので、御指摘のような趣旨を踏まえておるということは当然でございます。
  7. 井上泉

    井上(泉)委員 農政を推進をしていく上において、農協との関係をどういうふうに農林大臣は位置づけておるのか、その点を。
  8. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは農協組織されておる本来の目的があるわけでございまして、この協同組織を通じまして社会的、経済的な農業者の地位の向上をはかるあるいは農業の振興に資する、こういうことであると思います。
  9. 井上泉

    井上(泉)委員 農林大臣は、農協に構成されておる農民とそれから農協に構成されてない農民との比率はどのくらいであるのか、承知をしておるのですか。
  10. 内村良英

    内村(良)政府委員 数字的なことでございますから私から申し上げますが、現在、農業者はほとんど組合員になっております。
  11. 井上泉

    井上(泉)委員 それは大臣、常識ですからね。別に数字的なことでもない。現在、日本農民農協に構成されてない農民というのは、いま経済局長が答弁してきわめてまれと言われたとおり、実際農協に全部農民組織されておるということは認識をしておってもらわぬと困るわけですが、認識を新たにせられたのかどうか、農林大臣のお気持ちを伺いたい。
  12. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私は御質問趣旨が、農協組合員もおる、あるいは准組合員のものもある、そういうようなことを総合的に、一体農民がどのくらいの割合かというふうにとったので、ただいま局長の言われた、農民農協に大体一〇〇%参加しておるということについては、認識をいたしております。
  13. 井上泉

    井上(泉)委員 ちょっと私の質問が悪かったのでしょうか、そういうふうに言われると。少なくとも日本農民はもう大半、いやすべての者が一〇〇%農協組織をされておる、構成をされておる。そうすると、日本農政を進めていくにあたって、農協意思というか、農協のあり方というものが、これは農政を推進していく上においてきわめて重要なにない手である。私は最大のにない手であると言っても差しつかえないと思うわけですが、その農協指導やり方指導のいかんというものが、農協を単に金融関係に走らすということになるわけですが、一体その農協指導というものをどういうふうにやっていこうとなされておるのか、その点について農林大臣見解を承っておきたいと思います。
  14. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御質問の点は、この委員会でもしばしば問題になったところでございます。最近における農協等事業内容信用事業のほうにウエートがかかっておるのではないかというようなことから、本来の目的に沿っておらない、あるいははずれるのではないかという御批判なども承ったのでございまするが、しかし、先ほど申し上げましたように、農協にはこれが組織された本来の目的がありまして、その本来の目的中心となる営農指導あるいは販売事業等による活動というものが、これが当然主であるという認識に立つ指導をすべきだと思います。
  15. 井上泉

    井上(泉)委員 そういう立場に立つ限りにおいては、私は今度のこの農協法の一部を改正する法律案が第一にしても、第二、第三と、こうすべてが金融機能拡充、貸し付けの範囲拡大あるいは宅地事業共済——共済についてはまた質問いたすわけですけれども、こういうふうに農協本来の、いわゆる農業生産性を高めるために農協運営を、農協指導をしていくという形とは離れた方向にある。それで、そういう点から、まあ、これについて賛成反対かは、また質疑が終わった段階においてきめるわけでありますけれども、少なくとも農業協同組合法改正という、いわゆる日本農民が一〇〇%組織化されておる組合法改正にあたっては、そういう点の配慮というものがなされなくてはならないと思うけれども、それが全然なされずに、全然と言ったら語弊があるかもしれませんが、それはいわばことわざにあるとおり、西風が吹けばおけ屋が喜ぶという式に、これに関連をしておるかもしれぬ。  そこで、農林大臣は、米の作付制限を今日までやってきたことが、よかったと考えておるのか、ああまで米の作付制限をやらなくてもよかったんではないかと、多少なりとも批判的なお考えをお持ちであるのかどうか、その点を、まあ今日の世界的な食糧事情中心にして考えた場合に、そして日本食糧事情というものを考えた場合に、このことについて何ら反省する面はないのかどうか、その点の見解を承っておきたいと思います。
  16. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 生産過剰である、調整をしなければならないという事態に直面した昭和四十六年当初、御承知生産調整閣議決定をいたしたわけでありますが、そのときはそのときの当然情勢をとらえての判断であったと思います。  それで、実施をして三年目、そして昨年の後半における国際的な食糧の需給の逼迫というようなことを加えての新しい情勢というものからいたしますると、そこにいろいろ検討しなければならない問題が起きておることも当然考えなければならないと思うのであります。しかし、それだからといって、過剰基調というものがなくなったか、こういうことについては、まだそこまではっきりした判断を下すにはいかがか。まだまだ潜在的にはそういうものを持っておるのではないか。したがいまして、四十八年におきましては生産調整を引き続き行ない、また特に転作の定着化ということに留意しながら諸施策をお願いしておるというような事態でございます。ただ、当初画一的な制限を行ないましたことが、私どもが一方において適地適作指導しておるというような面からいたしますると、そこにあるギャップも見られまするので、その点については、本年度生産調整に際しましては十分勘案しながらやっていこうということで、これが生産調整についてある程度の考え方が変わっておるんじゃないかと、こう御判断であれば、またそれもそうだと申し上げてよろしいと思います。
  17. 井上泉

    井上(泉)委員 その米の作付制限政府・自民党が方針を出した。それにこたえて、本来なら、農民を一〇〇%組織しておる農協がこれに対して強い反対をせねばならないのに、これに形だけの反対意思表示をして、実際はこれに積極的に協力の姿勢をとって、それがために自分は出かせぎに行かなければならなくなった。一方、農協は、その持っておる資金で、農協全国組織はどんどん大きくなってくる。こういう中でいまや農協のいわゆる上部というものは、まさに農民を忘れた農協運営やり方にある、こう言わざるを得ないわけですが、そこが今度のやはり法案改正につながっておる、こう私には考えられるが、これについての農林大臣見解を承りたいと思います。
  18. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまおことばにもございましたように、生産調整の当初に、農民の皆さんに農協を通じてのたいへんな御協力をわずらわしたということについては、われわれ非常に感謝をしておるところでございます。それにはそれなりのやはり当時の米の異常な過剰な状況のもとに、このままではどうにもならない、現にまのあたりに米を山ほど積んで倉庫はあふれておるというようなことで、そこに農村農村としての認識があったものと思うのであります。ですから、一がいにその当時とられた施策が不当なものというわけにもいかないし、私どもとしては当を得たものであったと思うのであります。  そして、いま後段の御質問は、そういうような影響のもとにそれが出かせぎ問題を起こす、あるいは農協金融中心としたこの業務内容になってきたんじゃないかという御趣旨のことを言われておるのでございまするが、私はそこまで即断をしていくのはどうか。たとえば出かせぎの問題にいたしますれば、御承知のこの高度成長経済による過密過疎問題それから太平洋ベルト地帯工業地帯の問題、そこに労働力を必要とするというような誘引力もあったと思うのであります。それから、今回の農協法改正について、確かに御指摘のように、組合金融機能拡充ということが大きな柱になってはおりまするけれども、御承知宅地等供給事業事業範囲拡大であるとか、共済規程変更手続簡素化であるとか、農協連合会権利義務包括承継とかいうように、一部改正の中に五つの主要項目を盛り込んでおるのでございまして、一般的な金融緩和情勢を背景にしたところの余剰資金の活用の上からこういう金融機能拡充を考える。そのことが農村の地域の発展の上にも寄与する、あるいは組合員金融の上に便宜を来たす、こういうことでお願いをしておるので、先生の御指摘のように、米の生産調整から始まって今度の組合金融中心だ、あるいは出かせぎの問題を起こした、こういうふうにはにわかに即断ができないわけであります。
  19. 井上泉

    井上(泉)委員 金融の面を中心改正するということで、きのうのこの委員会で共産党の津川さんから、商社へ千五百億円も農林中金の金が融資をされておる、こういうことが指摘をされておるわけです。これについては、私、きのう当委員会にいなかったのでその辺の論議を十分承知していないわけですけれども、これは明らかに事実ではないかと思うわけです。そういう農林中金資金商社買い占め資金に流れておるということについては、農林大臣としても、そういうこともあり得るという理解のしかたをしておるのかどうか、その点を聞いておきたいと思います。
  20. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 その点は、きのうの一問一答で、私どもは御指摘のような判断にいま立っていないということを申し上げたのであります。その商社への資金の流れにつきましては、昭和四十四年ごろからのことを最初にお取り上げでございました。続いて、私の答えに伴って、それでは四十七年はどうか、そして、商社四社の総額が幾らという根拠で御質問がございましたが、これにつきましても、昨年一カ年間を通じての総額の御指摘でございました。なるほど下半期におきまして今回非常に問題になったような事態が見られるようになったのではございまするが、それぞれ一つ一つ事情のもとに金融が行なわれておる。それをまとめて、これだけの額になっておる、したがってこれが買い占め、投機に流れておるという見方については私としては賛成をいたさなかったのであります。
  21. 井上泉

    井上(泉)委員 賛成はしなかったにしても、そのことがあったということは認める。それからその一つ一つについてはそれぞれ理由があった——これは盗人にも三分の理ありということわざがあるとおり、それは理由なしに金を貸しておったらたいへんなことですから、理由はあったと思います。しかし、そういう貸し出しがあったということは農林大臣もお認めになっておられると思いますので、その内容につきましてはまた適当な機会に審議を進めていきたいと思います。  そこで、農協上部団体の中で、たとえば全農の問題について、ちょうど国税庁からもおいでになっておりますのでお伺いをしたいと思います。  四十七年四月二十六日の当農林委員会で公明党の瀬野委員から質問があったわけですが、佐藤造機について国税庁監査をした。その監査をした結果についてはまだ明らかにされてないわけですが、このことについて、国税庁からおいでになっておる松本調査課長から、全農調査はどういうふうになっておるのか、説明を承りたいと思います。
  22. 松本久男

    松本説明員 ただいま御指摘がございましたのは、昨年四月の本農林水産委員会での質疑に関連するお話かと思いますが、その点につきましては、当時はまだ全購連と全販連が別々の法人でございましたので、その当時お答えいたしましたのは、いまの全農の前身でございます全購連調査に関連してお答えしたわけでございますが、これは四十六年十二月から四十七年二月にかけて調査をいたしまして、適正に課税処理を終わっている、こういうお答えを申し上げたわけでございます。  いま佐藤造機調査ということで御質問がございましたのですが、佐藤造機と全購連との関係は、具体的な取引金額その他は調査内容になるので申し上げかねますけれども佐藤造機のほうは、昭和四十六年四月二十一日から会社更生法が適用されているというふうに新聞その他で伺っております。そういうことで四十六年四月ごろから会社更生法適用ということになっておるので、その更生法適用以後は調査には入っておりませんけれども、これは四十六年の初めごろに佐藤造機調査として調査をいたしまして、適正な課税処理を終わっているところでございます。
  23. 井上泉

    井上(泉)委員 その結果はどうなったのですか。
  24. 松本久男

    松本説明員 いま申し上げましたように、佐藤造機につきましては四十六年の初めに、それから全購連につきましては四十六年十二月から四十七年二月にかけて調査をしたわけでございますが、その処理につきましては適正な課税処理をしておるわけでございます。その具体的な内容につきましては、調査内容になりますので、守秘義務関係から申し上げかねる次第でございます。
  25. 井上泉

    井上(泉)委員 その調査内容はこまかく説明を受けなくても、一体税金を幾らかけてあるか、そのことを伺いたい。
  26. 松本久男

    松本説明員 全購連申告所得を申し上げますと、これは一年一回の決算でございまして、事業年度は八月一日から七月三十一日というふうな決算期になっておるわけでございますが、四十三年七月決算で申しますと、申告所得が十億四千三百万、これは公示になっておりますので、そういうことになっております。以下、四十四年七月期は十九億五千六百万、四十五年七月期は十五億四千二百万、四十六年七月期は四億四千一百万、こういうことになっております。それから最後の期は、これは四十七年の三月三十日で全購連と全販連が御承知のように合併になっておりますので、最後決算期は四十六年八月一日から四十七年三月三十日ということに相なるわけでございますが、その申告所得が一億八千八百万という数字になっておるわけでございます。こういう申告をもとに調査をいたしまして、先ほど申しましたように、適正な課税処理を終わっているわけでございます。課税処理を終わっておりますのはそのうちの四十六年七月期まででございまして、四十七年三月の、最後に申しました一億八千八百万の申告期は、合併後の全農連とあわせまして、現在、昨年の秋から調査に入っておる次第でございます。
  27. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、これはまだ調査が終わってない、こういうわけですか。
  28. 松本久男

    松本説明員 調査が終わっておりますのは四十六年七月期までで、適正に処理を終わっておるわけでございます。これが昨年四月の農林水産委員会で私がお答え申しました事業年度であります。それから、御承知のように、四十七年三月三十日に全購連と全販連合併をいたしまして、合併最初事業年度と申しますのは四十七年三月三十一日から四十七年六月末までになっております。したがいまして、四十七年三月で終わります全購連最終決算期と、それから四十七年三月三十一日から始まりまして四十七年六月末に終わりました決算期と、その二つを、全販連合併前の四十六年三月期及び四十七年三月期とあわせまして、昨年の十一月から調査に入りまして、現在調査をいたしておるところでございます。
  29. 井上泉

    井上(泉)委員 それで、調査の終わったところで、その調査した結果がこの申告とどうなっておるのですか、その金額は、税額は。
  30. 松本久男

    松本説明員 申告所得公示になっておりますので、ただいま申し上げましたとおりでございますが、調査金額その他につきましては、調査内容になりますので、守秘義務関係から申し上げかねるわけでございます。
  31. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、申告はわかっておるが、その調査した結果、税金の結果は言えない、こういうわけですか。
  32. 松本久男

    松本説明員 申告所得公示になっておりますが、税額その他は公示になっておりませんので、守秘義務関係から申し上げかねると申しておるわけでございます。
  33. 井上泉

    井上(泉)委員 その場合、これが言えないといっても、普通一千万円以上の所得があった者はこれこれというようなことで、よく新聞税務署が発表するじゃないですか。それで、全購連に対してこれだけの税金をかけた、こういうことがなぜ発表できないのですか。個人ができて会社ができないですか。そんな理屈はないですよ。
  34. 松本久男

    松本説明員 ただいま御指摘をいただきました個人の発表になっております数字は、これは税額ではございませんで、やはり申告所得額でございます。これは税法に規定がございまして、個人申告所得年間一千万円以上のものは税務署公示することになっておりますので、それを新聞に発表しておるわけでございます。法人につきましては、現在の税法では、半期決算法人法人所得二千万円以上、それから一年決算法人年間四千万円以上の法人所得につきましては公示することになっておりまして、先ほどお答え申し上げました数字はいずれもその限度をこえておりまして公示になっておりますので、先ほど御説明したわけでございます。  個人の場合、法人の場合いずれも、先ほど御指摘のありました個人の一千万円以上と申しますのも、税額一千万円以上ではございませんで、申告所得一千万円以上でございまして、これは公示になっておるので私ども申し上げておるわけでございます。
  35. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、申告所得がこれだけあると来ておる。それなら調査の結果の所得額は、税金はわからないでも、所得額が公表できないというわけはないでしょう。申告所得は何億である、ところが、調査したところが、これは七億であるというような場合に、それが公表できないですか。それはどういう場合に公表できるのですか。
  36. 松本久男

    松本説明員 ただいま御指摘のありました調査所得のほうにつきましては公示することになっておらないのでございますが、このいわば調査上の所得といいますのは、私どもはいろいろ調査をいたしまして知り得た内容ということになりますので、やはり職務上知り得た秘密を漏らしてはならないという守秘義務が私どもに課せられておりますので、その点十分な御説明ができないのは申しわけないと思いますけれども、そういうことで何ぶんにも守秘義務というものがございますので、調査所得というのは、本件に限ったわけではございませんが、申し上げかねるわけでございます。
  37. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、あなたたちはこれはもう調査秘密だから、だからこれは知らせられない、こうなると、何か密室の中でどのように仕組まれてやられても、これをただす場所というものがないではないですか。一体どこでそれを明らかにすることができるのか、それを教えてもらいたい。
  38. 松本久男

    松本説明員 調査しました所得更正決定というふうな形で当該納税者には通知がまいりますので、納税者がその点に不服がございますれば再調査を請求する……。
  39. 井上泉

    井上(泉)委員 納税者ではないですよ。ぼくたちがどうしたら国会の中でそういうことを知ることができるか。そのことを教えてもらいたい。
  40. 松本久男

    松本説明員 やはり調査内容というものは、そういう意味でいろいろ御審議の上でお知りになりたいというふうな御指摘でございまして、それはそういう面もあるかと思いますけれども、反面、調査上知りました秘密というものを、取引内容その他を、これをあちらで申し上げますということになりますと……(井上(泉)委員「あちこちではない、ここですよ」と呼ぶ)これを申し上げるということになりますと、その内容というものがやはり伝わりまして、そのために納税者のいろいろな事業上の問題とか、場合によってはその人権の問題とか、そのことにもつながるようなことになりまして、いわば納税者との間の信頼関係がいろいろ失われてくるということになるわけでございまして、そういう面から、ほかの納税者も安んじてわれわれの調査を受けていただくことができないということになりかねないので、いわば税務の仕事の面に、いろいろ円滑に運びます面では支障が出てくるということから、こういう守秘義務というものが課せられていると考えますので、そういう意味で申し上げられない、こういうふうに申し上げているわけであります。
  41. 井上泉

    井上(泉)委員 その申し上げられないのを、それを説明を受けるのにはどうしたらいいのか。それには立法措置が要るのか、あるいは委員会の決議が要るのか、あるいは国税庁の長官の許可が要るのか、そういうことを教えてもらいたい。少なくともいま四大商社、いろいろ商社が大もうけをして世論の批判を受けておるわけですが、それと同じように、全農なんかも二兆円以上の取り扱いをしている。飼料なんか四〇%も扱っておるわけです。マンモス商社、こう言っても差しつかえない。まさに農民に対しては独占商社の役割りを果たしているようなわけですから、これに対する調査というものがやはり明らかにされないと、逆に納税者の不信を買うようなことになりはしないかと思う。どうやったらそれを明らかにできるか。せっかく国税庁であなたたちも国民の期待に沿うて税金調査をやっておられるのだから、そのやったことを、これは申告したのは十億だったけれども国税庁調査したら五十億だった、百億だった、これだけがっぽり国民のために税金を取り上げたぞという、こういう誇りある税務の調査の結果というものを示してもらいたいと私は思うのです。どういう場合にどういう方法をとれば、それを示すことができるか。どういう方法をとってもないのか。くどくどは要らぬですから、そのことをひとつ教えてもらいたい。
  42. 松本久男

    松本説明員 いろいろ御議論をなさいます場合に、そういうものも含めてやりたいというふうな御指摘でございますけれども、私ども仕事をする者といたしましては、守秘義務というものを課されておりますので、これを申し上げるわけにはいかないのでございます。
  43. 井上泉

    井上(泉)委員 それをどうやったら言ってもらえるかです。言ってもらう道はないのですか、方途はないのですか。あなたたち秘密だから言えないと言ったら、それで天下まかり通るのですか。抜け道はないのですか。
  44. 松本久男

    松本説明員 それは私ども守秘義務というふうに法律的に課せられておるものでございますから、従来からそういうふうに法律の条文に従って申し上げておるわけでございまして、どういうふうにすべきかということをまだ研究は十分いたしておりませんが、税法にありますので、そういうふうに考ええおるわけでございます。
  45. 井上泉

    井上(泉)委員 課税が非常に不適だ。たとえば株で何百億ももうけた。それならその人らの税金は一体どうなっておるだろう。商社が木材で六十億もうけた。それならその税はどうなったろう。あるいは土地で何百億もうけた。その税金はどうなったろう。こういうふうに国民は思うでしょう。思うことがそれが明らかにされないということは、まさに国民に対して、そういう納税の義務を国民が履行するにあたっての障害になりはせぬですか。少なくともあなたたちが密室の中で、あれはごっそり税金をかけた、あれは許してやった、今度は大蔵のだれそれが選挙に出るから、だから税金のほうで手かげんしてどっさり政治献金をもらうんだ、というようなことがちまたでいわれるような要素というものがいわゆる課税の不明朗さにありはせぬですか。特にあえて全農商社と言いますが、全農商社だとかあるいはその他の商社に対する課税というものが——これはあなたに幾ら言ってもらちがあかぬかもしれませんけれども、らちがあかなければあかぬと言ってください。もう打ち切りますから。
  46. 松本久男

    松本説明員 御指摘をいただきましたような点、確かに重要な面は含んでいると思いますけれども、先ほどから申し上げますように、守秘義務という税法上のいわば義務がございまして、そういう点も含めまして、私はこれはやはり漏らすことの弊害のほうが大きいということで立法されたというふうにその趣旨を理解しておりますので、そういう点では、はなはだ申しわけないと思いますけれども守秘義務が課せられているということで御了承いただきたいと思います。私どもとしましては、そういう面でしっかり調査をして、課税所得を的確に把握するということは十分に努力をいたしまして、今後とも税務執行の円滑な遂行につとめてまいりたいと思うわけでございます。
  47. 井上泉

    井上(泉)委員 その課税の状態について明らかにしてもらいたいと思うわけですけれども、これに時間をかけておっても始まらぬわけですから、次の機会に譲りたいと思います。  そこで、食糧庁の長官にお伺いしたいのですが、最近食糧庁は非常に人気が出て、食管制度も生きてきた、だから食管法ここにありということで、食糧庁、非常に国民に対して顔がよくなってきておるわけですが、それについて新聞で報道するところによると、日本の古米を各国が集中的に買いにきておる、こういうふうな話を聞くわけです。ところが、評論家では、少なくとも日本は半年くらいの米の備蓄をすべきではないか、こういうことがいわれるわけですが、一体こういうふうな現象に対してどういうお気持ちを持っておるのか、御意見を承りたいと思います。
  48. 中野和仁

    ○中野政府委員 ただいまの御指摘でございますが、確かに本年になりましても東南アジアの諸国からいろいろ日本の過剰米の輸出要請が参っております。ただ、この過剰米の処理と申しますのは、やはり昭和四十二、三年ごろから非常に生産過剰になりまして、一時七百万トン、ちょうど一年分の配給量までたまった。これを適正に処理するということで輸出用あるいはえさ用その他の原材料用に安く売ってしまったわけでございます。しかし、そういうことをどんどん続けることがいいかということになりますと、実はいろいろ問題がございまして、一つには、現在の政府の買い入れ価格にコストを足しますと大体十七万円くらいになります。輸出の場合にはトン当たり現在で大体五万円、それからえさ用の場合には御承知のように二万一千六百円でございましたのを、この間の議員立法によりまして一万八百円で売り渡すというふうなことにもなっておりまして、価格の面から見ましても、輸出をするということになりますと、相当な、十数万円の財政負担が要るということが一つ問題ではあろうかと思います。食糧庁といたしましては、しかし国民の主食の米でございますから、かなり余裕を持った需給操作をしなければならないわけでございます。  そこで、われわれといたしましては、すでに四十五年から生産調整に入っておりますが、単年度需給均衡といいましても、やはり端境期には相当量の持ち越しが必要だ。そこで、現在、食糧庁といたしましては、それは百万トンを理想としております心たまたま四十六年産が不作でございましたので、昨年の秋はその前の年の米が三十万トン、ことしは大体五十万トンになります。今度の生産調整をやりましても、その在庫調整をふやすということから、七十五万トンにしたいということでやっておるわけでございます。ただ、いまお話の中にありました三百万トンと申しましょうか、半年分持っておるということになりますと、今度は消費者の面から考えてみましても、あくる年になりまして桜が咲きましてもまだ古米を配給しておるということになりますと、いろいろ批判がございます。そこで、われわれといたしましては、現在の食管制度でやります以上は、大体百万トン程度の持ち越しがよろしいのではないかというふうに考えて、対処をしておるわけでございます。
  49. 井上泉

    井上(泉)委員 いろいろと各関係の局の質問をして、あとでまた大臣質問をしようと思っておりましたが、何か大臣は退席をする、こういうことでありますので、協力をして大臣質問をしたいと思いますから、協力して答弁してもらわなければいかぬです。  そこで、土地改良というのは、今年の農林漁業の重点施策の中にもいろいろのっておるわけですが、いまの土地改良に対する補助の基準が、国営、県営あるいは団体営、こういうようなもので見た場合に、むしろ農業生産性を高め、そして農産物をいわゆる多角的に栽培をする、あるいは飼料作物あるいは豆科類、こういうようなものをやる場合には、私はやはり小規模な五町とか十町とか、一つの部落単位の土地改良というものが必要だと思うのですが、そういう点についてはあまりにも農林省は冷淡であるわけですが、ここらあたりもひとつ農林大臣としてどうお考えになっておるのか。
  50. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの御質問は、私としても同感な点が非常にございます。その地域の実情に即しての土地改良をやれ、こういうふうに受けとめてよろしいかと思うのでありまして、そのためには、現在の採択基準につきまして所要の措置を講ずるほうがよろしいものはそのようにいたしたい、このように考えております。
  51. 井上泉

    井上(泉)委員 あなた農林大臣になられて、それでミカン対策とかいろんなことを、当面の政策の追われる中でも、食糧の不足ということが、日本だけでなしに、世界的にもいわれ、農業というものが見直された時期にあるわけですが、ここら辺でやっぱり、櫻内農林大臣はこういう政策を打ち出したというだけの、大臣就任のあのときのおことばをもう一ぺん思い出して、ぴしっとした、たとえば地域に即した土地改良に対して農林省は積極的な助成をやる、あるいは食料の自給率は何%にするためにこういうふうな農業政策を進めていくというようなこと、それから農協がいわゆる農協本来の目的に沿うた仕事が行なわれるような、そういう行政指導というものを立てていく、こういうようなことがひとつ打ち出されないものだろうか、こういうふうに私は常々思っておるわけでありますが、きょうはこの米の問題からあるいは農林中金の問題その他を質問したあとで、そういう点の農林大臣としての見解を聞いて、質問の詰めにしたいと思っておりたのですけれども、あと先になって質問が妙に抽象的になって恐縮ですけれども、ひとつ農林大臣として、このことはやったというだけのものは打ち出してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  52. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私が就任以来第一に尊重いたし、構想の基礎にいたしておるのは、昨年十月に発表された「農産物需給の展望と生産目標の試案」ですね。これは私が、就任して説明を聞きますと、農業団体の皆さん方も参画されて、そして主たる農産物に対する完全自給ないし八割自給を目標にするということで、これは一つ参考にしょう。しかし、その当時から、きょうも御質問の中にございましたように、国際的な天候異変、またそれによる食糧の需給の大きな変化、これは日本農政においても十分考慮をしていかなければならないということから、この試案の中では飼料の面についてはもう少し自給率を上げる必要があるんではないか、こういう見解を述べながら、なおそれではどういうふうに具体的にするのかということにつきましては、昭和四十九年の予算の編成に際しましては、先般来皆さま方からも御指摘のある備蓄の構想なども入れて、具体的な構想を打ち出してまいりたい、こういうふうに考えております。  それからもう一つは、予算の編成時に、これからの農村により一そう能率のよい農業をやってもらいたい、また同時に、公害問題などもございまするから、環境整備、総合的な整備をいたしまして、これは簡単に言えば、高能率、高福祉の農村の建設をいたしたい。あわせて、土地改良のような重要な事項につきましては新たなる長期計画をお願いをするというようなことで、順次この農政に対する考え方を打ち出してまいったわけでありますが、もう一つここで強調しておきたいのは、高度成長経済に対する批判、またその批判に対しての私どもの反省、そういう点から見ますると、これからの日本の産業の中で見直されていいのは、先ほどから御指摘もちょうだいしましたように、農業とか林業とか漁業とか固有の日本の産業、努力をすれば無限に生産のできる産業、こういうものがいま日本にとって非常に重要である、ひとつそういう見地で力を入れていこうというふうに申し上げておるような次第でございます。
  53. 井上泉

    井上(泉)委員 それで最後農林大臣にお尋ねをするわけでありますが、もうどうですか、食管法というものが非常にりっぱな法律であるということが、もう丸紅の買い占め等の中で明らかにされてきたわけでしょう。それだから、この食管法を、何と言うか、ゆがめた適用になっております自主流通米、この制度をもう四十八年産米からやめたらどうかということ、それが一点、これは政治家としての決断の要る問題だと思いますので、そのことと、それから、最近は文部大臣も小学校を週休二日にするとかいうようなことで、各省それぞれ言っておるわけでありますけれども農民は、いわゆる公務員とか銀行とかその他の勤労者の週休二日制が論議をされる中で、農民に対する心理的な影響といいますか、お百姓さんは週に二日なんてとても休めぬわけですが、こういうようなものに対して、農林大臣は週休二日の世論に対して、農村に対してはどういうふうなお気持ちを持ってこの週休二日制を説明されるか。  この二点をひとつ御答弁を願って、私の大臣に対する質問を終わります。
  54. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 自主流通米の現状は、これは米が非常に過剰であるということを背景にいたしまして、この制度が十分守られないで、そこに未検査米の問題が起きるとか、あるいは自由米の問題が起きるとかしたのではないか。本来の自主流通米のねらいとしては、消費者の嗜好に合うような、いわゆる量よりも質の米をつくろう、またそういう努力をした農家に対しては少しでも所得が増大をするようにしよう、こういうねらいを持っておって、このねらいについては別段皆さまからも御批判を得ておるものではない。ただ、自主流通米が一定のルートが守らるべきものがはずれて混乱を起こした、こういうことでございますが、これは現在の食管法のたてまえを守ることによりまして秩序が建て直されておるということから、私としてこの自主流通米制度をやめる考えを持っておらないわけでございます。  それから、農業における勤務の状態というものが一般的な工場、会社の勤務の場合と違うということは申すまでもないのでございますから、しいて農業関係者に週休二日制をやれ、こう言っても、これは現実性を伴わないと思うのであります。したがいまして、ただいま御質問の御趣旨にも沿いまして、農家にとって適切な休暇をとるように——これは季節的な関係がございましょう。また、いまの農業に従事されておられる方が農夫症の問題などを起こし、過労にもおちいっておるということであれば、そういうことがなく、もっと合理的な能率的な農業が営まれるように指導していくべきでございまして、それらの構想というものを先ほど御説明申し上げた高能率、高福祉の農村建設という中にでき得る限り取り込んで、これからの農政をやってまいりたいと思う次第でございます。
  55. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、あとそれぞれの関係局長等に質問をしますので、関係のあることについてはその局長の答弁に基づいて次の機会にまた農林大臣質問をしたいと思いますので、農林大臣は出かけていただいてけっこうです。  そこで、食糧庁長官にお尋ねするわけですが、諸外国から日本の古米の引き合いが殺到しておる、こういう話ですが、前に確かに韓国とパキスタンとに二十万トンか三十万トンか、米を貸し付けたことがあるわけです。それは私、記憶が確かでないのですが、たしかパキスタンに三十万トン、韓国へ二十万トンだったと思うのですが、その数字には間違いないのかどうか。
  56. 中野和仁

    ○中野政府委員 韓国に対する貸し付けは、昭和四十三年会計年度三万五千トン、四十四会計年度三十二万六千トン、四十五会計年度二十七万二千トン、合計六十三万三千トン、それからパキスタンに対しましては、四十四年度八万四千トン、四十五年度二万九千トン、合計十一万三千トン、以上でございます。
  57. 井上泉

    井上(泉)委員 この場合の貸し付けの条件ですが、パキスタンはバングラデシュとパキスタンと二つに分かれたでしょう。これの貸し付けはどうなったのですか。
  58. 中野和仁

    ○中野政府委員 御指摘のように、その後バングラデシュができたわけですけれども日本との契約は西パキスタンとやっておりますから、債務関係は西パキスタンとの関係ということになります。
  59. 井上泉

    井上(泉)委員 その場合、韓国に六十三万トンも出ておるということ、非常に意外ですけれども、これは十年据え置いて十年の均等償還とか現物償還という契約ですか、両方とも。
  60. 中野和仁

    ○中野政府委員 いまお話しの貸し付けの場合は、これは現物で貸し付けたものですから、現物で償還をしていただくというたてまえになっております。金利その他、これは延べ払いのやり方で、最近は全部それでやっておりますけれども、貸し付けと延べ払いとは違う取り扱いになっておるわけでございます。
  61. 井上泉

    井上(泉)委員 現物を貸し付けて、そして、それを十年は支払う要はない、それから十年間の均等償還を現物でする、そういうことになっているように承知をしておるのです。だから、金利を取るとかいろいろないのですよ、現物を十年先に均等で払ってもらうというのだから。
  62. 中野和仁

    ○中野政府委員 貸し付けの場合は、先ほど申し上げましたように、現物で返していただくわけでございますが、若干の貸付料をいただくということになっておるというふうに記憶しておるわけでございます。
  63. 井上泉

    井上(泉)委員 若干の何ですか、聞こえなかったけれども、そうじゃなかった、六十万トンという数量が出ておることは意外ですけれど七、貸し付けをして十年間は払ってもらう要はないが、十年後には、つまり十一年目からは二十万トンなら二十万トンの米を毎年二万トンずつ現物で払ってもらう、こういうことになっておるということを聞いておりますけれども、その当時の取りきめの契約か何かあるでしょう、約款か何かあるでしょう、パキスタンと両方、どういうふうな条件になっているのか。
  64. 中野和仁

    ○中野政府委員 いま申し上げましたように、現物の場合は現物で返していただく、それから現物でない場合、これは十年据え置きで、据え置き期間中は二分の金利をいただく、それからあと二十年間最高三分の金利をいただいて返していただく、こういうことになっておるわけであります。
  65. 井上泉

    井上(泉)委員 それじゃ、どういうふうになっているのですか。韓国とかあるいはパキスタンに貸した米は、現物で貸しておるのか、あるいは二分の金利をもらうようになっておるのか、それはどうなっておるのですか。
  66. 中野和仁

    ○中野政府委員 最初に私、申し上げましたように、両方やりましたわけで、最初は貸し付けでやっておったわけでありますが、四十六年度から計画的に処理をするということで、食管の特別会計法を一部改正をいたしまして、そして延べ払い輸出ができるということにいたしましたあとは、先ほど私があとで申し上げました延べ払い輸出にして、据え置き期間中金利を二分、そのあとは三分ということで運用をしておるということでございます。
  67. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、そのことで論議しておると時間をとりますから、それはひとつ資料で、パキスタンに何年に何万トン、それはどういう条件、それから韓国に対しては何年に何万トン、それはどういう条件と、諸外国へ米を貸し付けておるなにを資料として出していただきたいと思います。委員長、それをお取り計らい願いたいと思います。
  68. 中野和仁

    ○中野政府委員 御指摘の点、すぐに調製いたしまして、差し上げたいと思います。
  69. 井上泉

    井上(泉)委員 大体食糧庁は、四十六年には食管法の改正をして、そうやって延べ払いの輸出を認めて米を出した、それは国会の承認を得ておると思うわけですが、それは一体食管法の第何条を改正したのですか、そんなものは載っていないがね。
  70. 中野和仁

    ○中野政府委員 輸出することの根拠は、食管法の第六条にございます。それから条件その他は、外国政府等に対する米穀の売渡しに関する暫定措置法、これが昭和四十五年五月二十八日に法律第百六号でできております。これによって、先ほど私が申し上げました延べ払いのやり方等がこの法律できめられておるわけでございます。
  71. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、この資料に基づいてまた米の管理の状態についての質問をいたしたいと思います。  昭和四十七年度において自主流通米というものが商社を通じて農協以外にどれだけ扱われたのか、その数量をお示し願いたいと思います。
  72. 中野和仁

    ○中野政府委員 自主流通のうちで商社が介入しておると申しましょうか、そういうものといたしましては、これは酒米とモチ米でございます。自主流通米のわれわれのいま把握しております酒米の出回りは三十八万四千トン、いま私が持っている資料は商社八社の合計でございますが、約十二万ドンでございますから、三割程度になります。それからモチ米につきましては、自主流通の見込みが十三万トン、うち八社の代行が一万たしか四、五千トンあったかと思いますので、一割五分ぐらいに当たるというふうに見ておるわけでございます。  ただ、御指摘のように、農協を通じないものについてというお話でございましたが、これはそういうことでございませんで、自主流通米の場合は大部分は農協で、一部商人系の集荷商人がおりますけれども、大部分は農家が農協に委託をし、最終的には全農あるいは全集連に委託をいたしまして、そこが実需者であります酒屋さんあるいはせんべい屋さん等に売るわけでございます。そのせんべい屋さんなり酒屋さんなりの代行ということで商社が入ってきておる、こういうことでございます。
  73. 井上泉

    井上(泉)委員 自主流通米の集荷販売の状況というものはもっと追及をしたいと思うわけですけれども、時間的なものがありますので後日にしたいと思うわけです。  ことしの米価について、農林大臣はきのうの記者会見か何かで、七月にはきめたい、こういうことを話されておったわけですが、当然生産者米価を七月にきめる、こういうことについて食糧庁としてはどういう算定の基礎というか、ことしのいろんな諸物価の値上がりの中で生産者米価というものはかなり大幅な引き上げをせざるを得ないと思うわけです。その辺についてのことしの米価の見通し、そして政府買い上げ米と自主流通米として出るものとの量をどの程度に押えておるのか、その点ひとつ説明を受けたいと思います。
  74. 中野和仁

    ○中野政府委員 昨日、当委員会農林大臣に対しまして米価に対しての御質問がありまして大臣がお答えになりましたわけでございますが、ただいま四十七年産につきましての統計情報部の生産費調査をやっておるのを取りまとめておるところでございます。もし生産費・所得補償方式をとるということでありますれば、過去三年間の生産費をとりまして、物価修正なり都市近郊労賃への評価がえというようなことを行なってやるわけでございます。まだそういうデータがこれから集まってくるというところでございますので、いませっかくの御指摘でございますが、一体どうなるかということは私の口からなかなか申し上げる段階ではないわけでございます。  それから二番目の、ことしの自主流通米でございますが、政府の買い入れ量は五百八十万トン、それから自主流通米は昨年より二十万トンふやしまして二百三十五万トンということで予算は組んでおるわけでございます。
  75. 井上泉

    井上(泉)委員 その五百八十万トンと二百三十五万トンの自主流通米とする場合、昭和四十七年産米の実勢から考えて、まだかなり余裕があると私どもには考えられるわけですけれども、どうですか。
  76. 中野和仁

    ○中野政府委員 いまの御質問の余裕という意味が私のみ込めませんので、もうちょっと教えていただければと思います。
  77. 井上泉

    井上(泉)委員 余裕というか、生産が多いという意味です。自主流通米へ回る分がもっと多くはないかということです。
  78. 中野和仁

    ○中野政府委員 四十八年度におきましての生産量の見方、これは平年収量で見ておりますので、千三百八十万トン、こういうふうに見ております。一方この需要は千百五十万トンということになりますので、余剰数量は二百三十万トンということになってまいります。しかし、先ほどのお尋ねのときに私、申し上げましたように、食糧庁といたしましては端境期の在庫調整をふやしておきたいということで、二百三十万トンから二十五万トン差し引きいたしまして二百五万トンの生産調整をいたします。そうなりますと、ちょうどバランスがとれます。その場合に、われわれ見ております需要量といたしましては、農家の消費が三百六十万トン、それから自主流通米が二百三十五万トン、政府米は五百五十五万トンと、いま申し上げました二十五万トンを足して政府買い入れ五百八十万トンということを申し上げたわけでございますが、その場合に農家の消費三百六十万トン、この中の一部が、従来の傾向でありますれば、いわゆるやみ米といいましょうか、自由米として若干出回るというふうに見ておるわけでございます。
  79. 井上泉

    井上(泉)委員 百万トン米の備蓄ということになると、いまのような米の状態であれば、なかなか備蓄にはほど遠い。凶作があったならば不足をする、こういうことになるわけですが、そういうことについての御懸念は持ってない数字だと思うわけです。そういうことだと、ことしの世界的な食糧事情から見て、非常に不安ではないでしょうか。もっと政府が買い上げ数量をふやして備蓄量をふやすということを思い切ってやらないと、古々米もほとんどなくなった現在は、国民の食糧を守るためにもおぼつかないのじゃないですか。そういう点については自信がおありですか。
  80. 中野和仁

    ○中野政府委員 四十八米穀年度について申し上げますと、四十八米穀年度でございますから、去年の十一月からことしの十月まで、これにつきましては、自主流通も政府の買い入れも若干計画を下回っておりますけれども、一方需要も若干減っておるというような関係から、ことしの端境期には四十七年産米を五十万トン持ち越していけるわけでございます。と同時に、十月末となりますと、毎年のことでございますが、大体九月から十月までの政府買い入れ量が二百五十万トンを例年こえております。そういうような状況でございますので、ことしはもちろんだいじょうぶ。  来年はどうかといいますと、先ほどいろいろ数字で申し上げましたように、平年作でありますれば、食糧庁の端境期の在庫量七十五万トンに持っていくということでございます。  いま御指摘のように、万一かなりの凶作があった場合ということでございますが、戦後ずっと見てみましても、作況指数が八〇台になったことは戦争直後の昭和二十八年ぐらいに一度あったきりでございまして、最近はずっと安定しております。たまたまかなり凶作でありました四十六年産、これを見ましても、作況指数九三でございます。この場合でありますと、単年度需給としては足らないということになるわけでございますが、いま申し上げました七十五万トンがあり、かつ少々凶作になりましても、やはり端境期十月末にはその年の米二百万トン程度の買い入れがございますので、需給としては安心していただけるというふうにわれわれは見ております。
  81. 井上泉

    井上(泉)委員 さきに農林大臣質問をしたときに、土地改良の一つの補助基準というか、基準をそれぞれの土地の状況に見合ってやるようにという質問をしたことに対して、農林大臣もそういう方向で検討したい、そうすべきであると思う、こういう答弁をなされたのでありますが、局長のほうではこの問題についてはどうお考えになっておられるのか。
  82. 小沼勇

    ○小沼政府委員 先ほど大臣が答弁を申し上げましたとおりでございますが、四十八年度も採択基準の緩和をかなりはかっておりまして、約七項目ほどそれぞれ採択基準についての緩和あるいは新設等をして進めているわけでございます。また、離島、山村等条件の悪いところの土地改良等もございますので、そういうこともあわせまして、今後もこの採択基準が現地の実態に合うように進めていく必要があろうかというふうに考えております。
  83. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、米の作付制限をして休耕田にした田が、土地改良をした区域の中に相当多いわけですが、そういうところにおける土地代、いわゆる借り入れ金の支払いとかあるいは利子とかいうようなものを、そういう作付制限をした農地に対して同じような取り扱いをされておるわけですが、これはやはり生産を伴うてない農地に対して同じような利子をかけ、同じような支払いの方法を求めるということは酷じゃないかと思うのですが、これについての措置は何かなされるおつもりあるのかどうか。
  84. 小沼勇

    ○小沼政府委員 生産調整をしております場合に、休耕する場合と転作する場合がございますが、休耕田につきましては特別の措置はございませんが、休耕奨励金の中で借り入れの債務については一般的に返済が可能であろうというふうに考えております。ただ、実際に、個別の場合に、借り入れ金の償還等について支障を来たすというふうな場合もあるかもしれません。そういう場合にはやはりケース・バイ・ケースでございますが、償還条件の緩和等についてはひとつ個別に関係機関で相談をしてやってまいるということにいたしたいというふうに思っております。  なお、転作の場合に、永年転作をやるようなものにつきましては、御承知のとおり、負担金を一時に決済するということが必要な場合には、自作農維持資金の特例の融資を認めておりまして、その措置で対応してまいりたい、かように考えております。
  85. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、もとの組合へ戻るわけですが、全農がマンモス商社としての全たる姿である。それで全農の幹部なんかは、これはもうほんとうにりっぱなところで住まいをして、会館をつくっておるわけですけれども、肝心の組合員は出かせぎばかりで、ほんとうにさびれ果てる農村、こういうふうに形容されるような状態の中で、農協はやってない仕事というものはほとんどないと言っていいほど多くやっておるわけです。その中でも全国の共済農業協同組合というものの共済事業というものは非常に金の集まりが大きいわけですが、これの資金というものが、先ほど調査すると、何か八千三百億ほどいわゆる貸し付けになっておる、こういうふうに聞くわけですが、これの貸し付けのおもなるものは、一体どんなものにこの金が貸し出されておるのか、御説明を願いたいと思います。
  86. 内村良英

    内村(良)政府委員 貸し付け先のこまかい数字につきましては、ただいま資料を調べておりますが、大体製造業それから不動産業、商業等に貸し付けておるわけでございます。
  87. 井上泉

    井上(泉)委員 製造業、不動産業——製造業というのもこれは怪しいものですが、約一兆七千億という膨大な金を集めて持っておる共済連の資金の流れ先というものは、これは今日のいまいうような土地の買い占めだとか、あるいは一部の、これは農業とは全然無縁ではなかろうけれども、まあ常識的には無縁と思われる業種に多額の金が流れておるわけです。それをことさらに今度また農協法の中で金融の措置を講じなければならぬというような法の改正の必要があるのかどうか。そのことをひとつ答弁願いたいと思います。
  88. 内村良英

    内村(良)政府委員 農協資金が主として最近の動向では土地代金等から集まってきて、それが農外に融資されている。そういう状況で、今般のような農協法及び農林中金法の改正の必要があるのかという御質問ではないかと思います。  そこで、先生御指摘のように、確かに最近単協の預金が非常に増加しております。それが信連、中金と上がりまして系統外に運用がふえていることもまた事実でございます。  しかしながら、最近の農村の状況あるいは農業の状況を見ますと、たとえば農業協同組合について見ますと、組合員の需要というものは非常に多様化しているわけでございます。したがいまして、農協がそういった組合員の需要の多様化に対応していくということはやはり農協法目的、すなわち農業生産力の増強及び組合員の福祉の向上というようなことに組合活動の目的があるわけでございますから、そういった面の資金需要というものにはやはりこたえていかなければならぬという面があるわけでございます。一方、最近の経済の動向から見まして、福祉国家の建設ということで、農村地帯におきましても環境整備の強化あるいは生活環境の改善というようなことがいわれておりますので、そういった面にもやはりいろいろな資金需要があるということでございます。この点につきましては、農林省におきまして農政審議会の金融部会というものがございまして、そこでいろいろ農業金融についての検討が行なわれたわけでございますが、その際にもやはりそういった最近の農村事情の変化に基づく資金需要の多様化というものに組合系統金融も対応すべきではないかというような意見も出たわけでございまして、そういったことを受けて今般の改正が行なわれているわけでございます。  それからさらに、中金法の問題でございますが、中金はやはり組合金融の中枢的な金融機関として、従来の基本的な性格を変更することがなしに最近のいろいろな金融事情あるいは農業事情の変化というものに対応していくという形で、今般の改正が行なわれているわけでございまして、農林中金の基本的性格というものには何らの変更を加えていないわけでございます。  以上が今般の改正の背景といった事情でございます。
  89. 井上泉

    井上(泉)委員 たとえば共済連だけでも一兆七千億というたくさんの資金があるわけで、他の農協関係資金を累計しますとこれはもう膨大な資金になると思うのです。  それで、ある週刊誌を見ておりますと、宮脇会長が今度は農協が信託銀行のようなものをやりたい、こういうことを盛んに言っておるように書かれておるのですが、これはそういう金銭の信託を認めるような、いわゆる信託銀行のようなものもやはり農協としては考えておるのであろうかどうか、それについて農林省はどう考えておるのか、その点の説明を承りたい。
  90. 内村良英

    内村(良)政府委員 宮脇さんがどういう機会に農協が信託銀行を経営するということを言われたのか、私ども承知しておりません。  さらに、農協が信託銀行をやるということは全く私どもとして考えていないところでございまして、そういったことが農協側から要請があっても、農林省としてはそれはとても承認できないということではないかと思います。  ただ、宮脇さんの構想自体についてどういうことであるか全然承知しておりませんので、正確な批判と申しますか、意見ということはここで申し上げられませんけれども、私どもはそういう話は全然宮脇さんからも聞いておりません。
  91. 井上泉

    井上(泉)委員 たとえば農協資金の行き先というものは、私はこれを農林省のほうで明確につかんでもらいたいと思うし、その一例として共済連の一兆七千億という膨大な資金貸し出し先というようなものをひとつ資料としてお示し願いたいと思うわけです。  四十六年度の共済の種類の中でも、たとえば自動車の自賠責の保険事業でも約四百六十六億という取り扱い収入であって、それで二百九十六億というたくさんな金が支払い準備金という形で蓄積されておるわけです。それで自賠責のこの金だけでも、これは四十六年度に二百九十六億ですから、これを累年で見ますと、もう相当な支払い準備金が蓄積されておると思うのですが、これは一例として、どれだけこれがたまっておるのかどうか、その点おわかりになっておれば、御説明願いたいと思います。
  92. 内村良英

    内村(良)政府委員 まず最初に、共済連におきます主要業種別の買し付け状況でございますが、四十七年三月末の数字で申し上げますと、建設業が三百九億でございます。それから商業が九百七十七億、それから不動産業が三百七十四億、それから製造業その他が五千四百七十四億、合計七千百三十五億、こういう数字になっております。これは四十七年三月末の数字でございます。  それから、自賠責によって集まっているお金でございますが、四十六年度の全国共済農業協同組合連合会の共済事業の種類別収支によりますと、自賠責の収入の累積は四百六十六億ということになっております。
  93. 井上泉

    井上(泉)委員 たとえば四百六十六億になって、それでその二百九十六億。これに対する経費、その他の費用で八十六億一千二百万、つまり四百億の金の自賠責の保険業務をやるのに八十六億も金が費用として要るのだろうかどうか。私はそういう点から考えても、何かしら農協のやっておるのは、これは農協に限らぬわけですけれども、共済事業という名のもとにおいて自賠責がたいへんなもうけ方をしておるのじゃないか。これは対象は農民であり組合員である以上は、こういうふうなことでもうけをかせぎ出してやるようなことではなしに、むしろ農協の扱う自賠責については、これの取り扱いの金額、いわゆる保険料金を低額にするとか、何かそういうふうな指導はなされないものだろうかどうか、そういうことをひとつ御説明願いたいと思います。
  94. 内村良英

    内村(良)政府委員 農協農民組合員のために共済事業をやっておるわけでございますが、私どもといたしましても、民間の保険会社と並んで仕事をする以上、やはり民間の保険会社よりも掛け金が安くて十分なサービスが組合員のためにできるということが必要ではないかと思います。  そこで、極力掛け金を安くするように指導しております。私ども承知しておるところにおきましては、生命保険といいますか、生命共済だおきましても損害共済におきましても、掛け金は一般の民間の生命保険の掛け金よりも低いという数字になっております。これは共済の種類が非常にたくさんございますので、一々数字は申し上げませんが、もし御必要があれば、資料として提出したいと思います。  それから次に、もうけているじゃないかということでございますが、全共連は、昭和四十六年度の共済事業のうち、収入が二千百二十一億円でございまして、支出が二千百十億円でございます。このうちの収入のおもなものは、受け入れの共済掛け金それから共済契約の準備金の戻し入れ、財産運用益であります。支出のおもなものは支払いの共済金、共済契約準備金の繰り入れ、支払いの割り戻し金、再保険料、それからいわゆる事業の管理費等となっておるわけでございます。  この収支残額すなわちこの期の利益十一億円でございますが、この処分の内訳は、法定準備金が二億円、特別積み立て金が三億円、出資配当金が八千七百万円、利用分量配当が五億円になっておるわけでございまして、共済事業でそういった利益が出た場合には、極力組合員に戻すということでやるように指導しておるわけでございます。
  95. 井上泉

    井上(泉)委員 時間が参りましたので、もう一つ、二つ質問して終わりたいと思います。  今度、中金では外国為替の取り扱いをやる、こういうことになり、それから農協法改正では内国為替の取り扱いをやる、こういうことにもなっておるわけですが、これはまた農協のほうでも将来外国為替の取り扱いをするというようなことに持っていくつもりじゃないのか。つまり農協が本来の農協趣旨から離れて金融事業とかあるいはブローカー的な、商社的な仕事にはしっていくための一つの布石ではないか、こういうふうに考えられるわけですが、これについての局長の御見解を承っておきたいと思います。
  96. 内村良英

    内村(良)政府委員 最近の全農等の仕事が非常に海外の面に、特に飼料の輸入とかそういった面から広がっていくとか、そういうことで中金に外国為替を扱わしてほしいということはかねて要望があったわけでございます。したがいまして、今回の改正農林中金に外国為替を扱わせることにいたすわけでございますが、これを信連、単協に広げるということは全然考えておりません。
  97. 井上泉

    井上(泉)委員 以上で私の質問を終わるわけでありますけれども、この農業金融の使い方についてはまだ疑点がたくさん残っているわけですが、しかし、時間が参りましたので終わりたいと思います。  そこで最後に、政務次官に、今度の改正案は、要するに、農協本来の目的、つまり農業生産性を高め、農民の生活の向上に資するという農協本来の目的からこれはやや離れた——これは一〇〇%離れたとは言わないけれども、離れた、つまり金融中心、宅地開発、そういうふうなものに重点を置いて改正を行なわれる。その改正がよいか悪いかはこれからあとの審議の過程で結論を出すわけでありますけれども、もっと農協本来の仕事に徹するような政治的な指導というか、そういうものが打ち出されなくてはならない時期ではないか、私はこういうように思うのですが、政務次官の御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  98. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先生の御趣旨は先ほど来、また同時に、従来お持ちになっておりまする見解はよく私も承知しておりますので、十分その見解を取り入れまして反映していきたいと考えております。同時にまた、農協の性格がいささか逸脱的ではないかという御指摘でございますが、そういう問題点に対しましても、るる討論が行なわれましたとおりでございます。十分先生方の御意見も反映をしていきたいと考えておる次第でございます。      ————◇—————
  99. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 この際、連合審査会開会の申し入れに関する件についておはかりいたします。  すなわち、運輸委員会においてただいま審査中の国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について連合審査会開会の申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会の日時等は、運輸委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせすることといたします。  この際、午後零時四十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ————◇—————    午後一時六分開議
  101. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。美濃政市君。
  102. 美濃政市

    ○美濃委員 農林中央金庫法の一部改正農協法改正について若干お尋ねをいたしたいと思います。  農林中金の総会の持ち方ですが、法律には出資者総会という字句が使われておりますが、現実には、全国機関でありますから、ほとんど役員改選でも予算決算の承認でも総代会になっておるわけですね。これは法律にはきちっと出資者総会と、こうなっておるのだが、この関係はどういうふうに運用していくのか、お尋ねいたします。
  103. 内村良英

    内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  そういった法人組織上、出資者総会をやることが望ましいわけでございますけれども、いろいろな都合で総代会でやるということも差しつかえないというふうに考えております。
  104. 美濃政市

    ○美濃委員 これは法律事項からいうと、どうなりますか。たとえば出資者総会もしくは総代会と書いておけば、法律は明確になるのだが、法律事項として、法律では出資者総会とうたい、運用は総代会でもいいんでないか、この関係はどうなりますか。
  105. 内村良英

    内村(良)政府委員 中金法の七条で産業組合法を準用しております。そこで、この準用規定の中に産業組合法の三十八条ノ二があるわけでございますが、「組合ハ命令ノ定ムル所ニ依リ定款ヲ以テ総会ニ代ハルヘキ総代会ヲ設クルコトヲ得」ということになっております。したがいまして、中金は出資者総会にかえて総代会でいろいろな重要事項をきめるということができるわけでございます。
  106. 美濃政市

    ○美濃委員 これは純然たる法律理論になりますが、そういう法律の使い方はどうですか。農林中央金庫法という法律がある。産業組合法のそういうところへ持っていかなくたって、農林中央金庫法の中でうたったらどうですか。どうなんですか、そういう法律の使い方というものは。
  107. 内村良英

    内村(良)政府委員 総代会につきましては産業組合法を準用しているわけでございますから、法律事項になっているわけでございます。
  108. 美濃政市

    ○美濃委員 それは説明でわかるのだけれども農林中央金庫法という法律があるにかかわらず、その法律の中でそういうことをうたわない。実情から見れば、全国機関ですから、総代会で運営されることは一面やむを得ないと思うのです、出資者総会が望ましいけれども。答弁のとおりでいいと思う。それからそれでこの金庫法にうたったらどうですか。産業組合法にそれがあるからそれを準用するという法律の使い方そのものがおかしいのでないかと聞いておるのです。
  109. 内村良英

    内村(良)政府委員 農林中金法で産業組合法を準用してと書いておるわけでございますから、農林中金法にそのことを法定しているのと同様のことになっておるわけでございます。
  110. 美濃政市

    ○美濃委員 どうも法律をそういうふうに運用していくということは問題があると思いますけれども、この際時間の関係もありますから、こればかりやっておっては中身の質問ができませんから、今後ひとつ検討してみてください。どうせまたこの法律も改正する時期があるでしょうから、そういう法律の使い方がよろしいかどうかと私は疑義を持つのです。  次に、副理事長及び理事は、出資者総会の同意を得て理事長が任命するというのは、これは具体的にはどういうふうに運用しますか。その同意を得る手段ですね。たとえば例を申し上げますと、全く理事長権限で選任、任命する——この任命という字句もこれはちょっと、もうすでに民間団体ですから、官ではないはずだから、この農林中金理事なんかというのは。それで任命という前に具体的に理事長権限できめてしまって、これで同意をしてくれといって総代会に出すのか、それとも、あらかじめ総代会の中に各県代表なり、理事長の諮問委員といいますか、選考委員的な理事長の諮問委員を置いて、あの総代会の構成で、あれだけの人間で全員で相談するというのはこれはもう不可能なわけですから、総会当日なりあるいは総会の前日なり、前もって理事長はいわゆる選考委員的な各県代表等の諮問委員会等をもって相談をしながら、副理事長以下の役員をきめて、総代会にその同意を求めるという方法をとるのか、全く理事長専断で選任して総会に報告、同意を求めるのか、これはどういう方法をとろうとしておるのですか。
  111. 内村良英

    内村(良)政府委員 副理事長理事につきましては理事長が任命するわけでございますが、やはり農林中金の執行という面におきまして、理事長を補佐するものとして副理事長理事の役割りは非常に大きいわけでございます。ということは、中金の所属会にとりましても、だれが副理事長になりだれが理事になるかということは、これは重大関心事でございますし、また中金の健全なる運営にも非常に重要な関係を持ってくるわけでございます。したがいまして、この副理事長理事理事長任命に際しまして、理事長が一方的に見て、それをいきなり出資者総会なり総代会にかけるということは、これは非常に現実的ではございませんので、実際問題といたしましては、理事長がその候補者を決定するにあたりまして、現在定款の二十三条の二に管理委員会というのがございます。これにはおも立った所属会の中から代表的な方が管理委員になっておるわけでございますが、そういった管理委員会の意見を十分聞きまして、さらにその管理委員の方々が必要な関係者の意見を聞くというようなことで、所属団体の総意を十分に反映できるというような形で、実際は理事長が候補者名簿を提示するということになり、それによって出資者総会の同意を得るということの手続になるというふうに考えております。
  112. 美濃政市

    ○美濃委員 大体いまの局長答弁をもう一回念を押しておきますが、そういう管理委員会なら管理委員会でけっこうです。そういうところで出資者を代表できる者と協議しながら選任するんだ。よろしゅうございますね、そのとおり受けとめて間違いありませんね。  それでは次に、いろいろいろ話が出ておりますが、関連産業融資のうち総合商社に対する融資でありますが、これは私は、農林中金から総合商社の融資は、特に関連産業とも言えません、総合商社でありますから。ですから、この融資は資金運用上からいけば物価騰貴をあおって、ことしの決算あたりも新聞にあのとおりにぎやかに出るような商社でありますから、信用力とか資金運用の安全性からいけば、それは単に農林中金というものが一般金融機関あるいは資金運用の安全性だけに走るというのであれば、それはそういう行為をしたほうが資金運用の効率化、安全性からいけばよろしいのかもしれませんけれども、しかし、三月末現在で約八百億をこえる三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅、日綿実業、安宅産業、東綿という、この商社、これはやはり商品の投機と最も関係の深い総合商社でありますが、これに八百億円、九月末現在では大体一千二百億円ないし三百億円の資金が流れておる。先ほどの質疑を聞いておりますと、大臣は、それはそれなりの目的に向って金が流れておるので、買い占め資金源だとは考えられぬ、こういう答弁をしておりますけれども、これは金に色はついてないわけですね。  たとえば私ども農協で、農林漁業長期資金あるいは総合資金組合員が行なおうとする構造改善に受け入れる、それはその目的にきちっと使います、政府資金でありますから。会計検査が来ても、目的の事業をしてこれにきちっと使っておりますから、文句を言われるような使い方はしておりません。しかし、その金が入れば——なければ農協の自己資金で貸し付けをしなければならぬ、政府資金が入れば農協の自己資金貸し付けは要らなくなりますから、資金の弾力運用であるわけですね。ですから、金は色分けはつかぬのですから、貸した金が直接回ったか回らぬから別として、こういう金を回すと、商品投機や大きな買い占め資金の総合的な弾力的な力になるということがはっきり言えると思うんです。それがなってないという解釈なら、私はこれから、そうなってないということをどうしても聞かなければならぬ。これはなります。  ですから、私は、繰り返し申し上げますように、私どもが総合資金やマル寒資金という政府資金を借りた場合、それはもうきちっと事務経理もする、直接そんなことはありません、こうなる。しかし、全体の、農協という総合事業団体の中へその金が入らぬければ、自分で調達しなければならぬ部分へ政府資金が入るわけです。その農協の総合的な資金の弾力性には大きな役割りを果たすわけです。これは総合資金の背景の弾力性になるわけですね。そこを見なければ、直接流れたか流れぬかという問題だけじゃないと思うのです。そういう貸し方は、直接の金を貸した原因は、まさか商品投機をあおるために、買い占めする資金としては流れてないと思うのですね。しかし、総合の資金力の背景の役割りを果たすことには間違いないわけなんです。どうでしょうか。これは大臣にお伺いします。
  113. 内村良英

    内村(良)政府委員 その前にまず事務的なことをちょっと御答弁申し上げます。  まず中金が商社に貸している、どういうところで貸しているのかということでございますが、これは昨日も御答弁申し上げましたけれども、関連産業法人範囲内で貸しておるわけでございます。  そこで、その場合に、関連産業法人というのには大体五つぐらいの基準がございまして、第一が、農林水産業を営む法人。これは農業生産法人、漁業生産法人が入っております。  第二に、農林水産業の振興の見地から特に重要な事業を営む法人。これは農林水産業用の生産資材の製造をやっておるもの、たとえば肥料、農薬、飼料等のメーカーでございます。それから農林水産物を原材料とする物品の製造加工、これは肉の製品、卵の製品、乳製品といったものが入っております。それから食料品及び木材の流通を扱うということで、青果市場、水産市場、木材市場等があります。  第三の基準の中に、農林水産物の振興をはかるために必要な事業を営む法人ということで、農林水産用生産資材の製造、流通という一つの基準がございます。それから、農林水産物の流通、農林水産物を原材料とする物品の製造、加工、流通を行なうもの、それから農林水産業にかかる役務の提供を行なうもの、農林水産業用生産資材、農林水産物を原材料とする物品の製造、加工に必要な資材の生産、流通。  第四のカテゴリーといたしまして、農林漁業者の生活の改善、向上に資するために必要な物資の製造、加工、流通の業務を営むものであって所属団体との間に恒常的な取引関係がある法人。  第五に、農林水産政策または農林漁業者の組織する団体に特に関連のある事業を営む法人ということで、これは有線放送とかそういうものが入っておるわけであります。  それで、商社は第二、第三の基準に該当するものといたしまして、これは昭和四十年ぐらいから非常に飼料の輸入がふえてきた、あるいはその他の農産物の生産資材の輸入がふえてきたということがございまして、全農等が商社とも取引するというようなこともあって、必要な運転資金を見るということで、こういった融資が始まったわけでございます。  そこで、その場合の融資のやり方でございますけれども、中金は他の金融機関のようにどんな資金でも商社に貸せるという性質のものではございません。あくまでもそういった関連事業について貸すわけでございますから、そういった関連事業の資金繰りを、毎四半期ごとに中金が関係商社から資金繰り表をとりまして、それを十分に審査して、そういった関連産業法人としての事業に必要な資金ということの範囲内で貸しているわけでございます。したがいまして、よけいな資金を、たとえば他の金融機関のように、商社の必要な資金は何でも貸すということではございませんので、私どもは中金のそういった貸し付けはかなり厳格に行なわれているというふうに感じております。  ただ、先生からただいま御指摘がございましたように、金に色はついてないじゃないかという問題はもちろんあるかとも思いますけれども、よけいな資金を中金が商社に供給しているということはないものと確信しております。
  114. 美濃政市

    ○美濃委員 大臣見解をお聞きしたい。
  115. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 中金の扱いの根拠につきましては、ただいま御説明があったわけでございます。私としては、御承知のように、農林中金に相当な余裕資金もあり、これを有効に活用していくという上から見ましても、適切な運用をしておるものと思います。  ただ、本年になりましてから商社の行為にきびしい批判があって、お話のような金に仕分けができないということから、そこに疑問を持つ向きもある。しかし、ただいま内村局長が御説明申し上げたように、少なくとも他の金融の場合とは違う、四半期ごとに審査をしておる、そして適正を期しておる、こういうことでございますから、私から見まするに、非常な不当な使い方をしておるものだというふうに即断はできないと思います。
  116. 美濃政市

    ○美濃委員 これは、局長の答弁も大臣の答弁も私は甘いと思います。去年まではそういう答弁でよかったと思います。この商品投機が加わって、現在、国民生活にどういう悪影響を及ぼしておるのか、しさいに検討しておりますか。この段階で私はそういう甘い考え方で商品投機をあおる商社を見てはならないと思います。まず金の面では、金に色分けはございませんから、流した金は総合商社でありますから、繰り返しますが、背景の資金力となって買い占めの力をつけるわけであります。  それからもう一つは、その前に物の上でこういう行為が起きるようになり、今日流通の考え方が変わりまして、卸屋から一部小売りまで、去年のいまごろですと、物はできるだけ安く売ろう、そして買う人に喜んでもらおうという流通の意織があったけれども、この商品投機が加わって、現在ではもはや物を安く売ろうなどという意織はございません。もうけなければ損だ、すきを見て何ぼでもマージンをふやして、とにかくもうけない者はばかなんだという意識で流通が動き出したということです。  その結果どうなっておるかというと、具体的な面を申し上げますと、私どもの北海道の一例を農業地域の生産材について申し上げますならば、木材は二倍以上です。畜舎を建てるときにたるきとかぬきとか板とかいうのが要りますけれども、ひとつ、たるきについて申し上げますと、たるき一本が、これは尺で申し上げますが、十二尺のたるきが、去年のいまごろは二百円、現時点で四百五十円、これには投機が加わっておるわけです。木材不足から需給関係だけでなったものではありません。セメントが三百八十円から四百円だったわけです。いま千円です。この間もある農家に聞きましたら、冬の寒さで畜舎の主要部分がしばれて割れて、水漏れがしたりなんかして、家畜の管理上非常に支障を来たすので、何ぼと言われてもしかたがない、緊急手配をして、セメント二袋ほどで早急に直さなければということで、あっちこっちやったら、セメント一袋三千円取られた。そういうことを起こさせているものはこの商品投機の環境でしょう。  金融の面は、農林省は少なくて、これは農林中金で、金融全体は大蔵省が実際の制度をとっておる。金融の上からも、特に大臣に勇気を持ってもらいたいものは、えさの輸入から農業用のトラクター等の輸入もこれらの商社から全部とるべきです。まだ多少官僚化しておるとかなんとかいっても、農業団体は、農協というものは、農民のために投機までやってはいないはずです。体系が大きくなればいろいろな農協にも批判はありますけれども、まさか農業協同組合という看板を掲げたものが、こういう国民を苦しめる、農民を苦しめる投機にははしっていないはずです。だとするならば、せめて投機をやらない農業団体に、農業の機械からもっともっとえさの輸入量を、無税のものや関税割り当てもずいぶんあるわけでありますから、商社からとるべきだと思うのです。金は流さない。関税割り当てなるもののあれは、こういう行為をする以上は一ぺんとってしまう。そうせんければ、これはどうなるのですか。  北海道の酪農あたりはたいへんですね。ことし総合資金を借りて、牛の頭数がふえて、総合畜舎をつくらなければならない。古い畜舎やなんかでは三カ所にも乳牛が入っておる。ふぶきになれば雪が入ってきて、乳牛というのは寒さに弱いですから、牛の管理上も人間の管理上も、あるいは牛乳の生産量にも響くものですから、ことしは総合資金を借りて総合畜舎を建て、労働力も強化し、牛の管理もよくしようと考えておったのが、去年であれば一坪五万円でつくれた畜舎がことし七万五千円ですよ。ここでは余談になりますけれども、それに見合う明年度の乳価を保証せぬ限り、牛乳生産も何も崩壊してしまうのです。それはほとんど全部そうなってきた最大の原因は、商品投機をあふりつけて、卸から小売りに至るまで、もうけんければだめなんだ、薄いマージンでサービスなどということは時代おくれなんだ、この風潮をかき立てたということじゃないですか。その元凶を退治しなければ、これは直らぬです。ただ買いだめして持っておる倉庫を調査して公表するなどという、あんな手段だけでこれが直ると思ったら大きな間違いだと思うのです。  ですから、いま私に言わせるならば、大臣の答弁も局長の答弁も、去年までの現象をつかまえてものを申しておる姿というのは、まことにあわれだと思うのです。これでは国民が救われない、こう思うのです。どうですか。
  117. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御質問の御趣旨は私もよく理解をするものであります。ただ、昨年九月現在で大手商社の融資は千二百億だというようなことからお話が始まっております。そうすると、その当時の時点でどういうふうにして金が出ていったかという事実をお答え申し上げるということは、これは御了承を願えると思うのです。しかし、私も申し上げましたように、本年初頭から非常に問題になっておるその点は否定はしておらないのでありまして、これはいわゆる過剰流動性というものが非常に問題で、これは引き締めていかなければならないということから、準備率の引き上げ、公定歩合の引き上げというようなものが行なわれて、そしていわゆる引き締めを現にやりつつある。  それから、きょうはまだお答えはしておりませんが、農林中金の融資にいたしましても、かりそめにも御指摘のような疑惑があれば、それはまことに遺憾なことで、そういうことのないように厳正にしなければならぬ、こういうことも申し上げておるのでございます。  また、商社調査して公表するだけではと言われましたけれども、しかし、それはそれなりの効果もあり、御心配いただいておる買い占め問題につきましては、農林省としても、やり得ることについては、たとえば食管法による調査、告発などもいたしてきておるわけでございます。  そういう経緯は経緯としてひとつ御了承いただきまして、私も美濃委員の言われるとおり、このような状況というものが引き続き公然と大手を振って濶歩するというふうな事態は、これはもう厳に取り締まらなければならないのでございまして、その点についてはまことに微力ではございまするが、御承知のような、米にしても、大豆にしても、アズキにしても、生糸にしても、農林省所管の物資についてそれぞれ適切な手を打ちつつ、また非常に影響の大きい飼料問題については、皆さんの御協力のもとに値上がりを来たさないような緊急の対策もする、こういうふうなわけでございます。  私はそういうようなことから、一応批判のあった忌まわしい商行為というものが、現在鎮静化することも期待しておるし、またその徴候はあらわれつつあると思うのでございまして、この機会にもう一つしっかり手綱をとって、かかる事態というものをすみやかに改善をしなければならぬということは、御指摘のように、私も非常に心配をしておるということを申し上げたいと思います。
  118. 美濃政市

    ○美濃委員 大臣の立場は微力であっても、大臣という行政権力があるわけですから、微力であっても、私どもはやはり農林物資やその他に対するこの状態を直す最大限の努力をしてもらわなければならぬと思うのです。また、努力をすれば、いまお話のような大臣の努力の効果がなかったとも考えておりません。それなりに私どもは見ております。しかし、簡単にとまらぬものですね。  ゴムに投機が及んできましたね。いまタイヤがないといって市場からタイヤが消えていくのです。今度出てくるときは倍になるのじゃないですか。倍か五割高以上ですね。一たん消えた商品は、次に出てくるときは、なくて消えるんじゃないですから、倍にもなる。綿糸の買い占めがそうだったでしょう。いま全国の農民のところに行って、さらし一反買っても去年の倍です。内地のほうの状況はわかりませんが、私ども北海道の地域では、作業衣もさらしも、春さき運動会があるから、子供のパンツ一つ買っても、ランニングシャツ一枚買っても、綿である以上、去年の倍です。どうですか。タイヤに及んでいる。ゴムに及んで来た。最近タイヤがないといって、市場からタイヤがだいぶ姿を消していっております。これは投機が入っておるのです。投機が入らなければ、この時期にタイヤがないなどということはあり得ないわけですね。おそらくことしの寒くなるころになれば、ゴム長も倍になるんじゃないですか。一たん消して、出てくるときには倍になるんじゃないかと私は思うのですね。とまっていないのですよ。  ですから、もう少し、やはり微力であっても、どうですか、もっと商社をあれするために、とりあえず一品目でもいいですから、関税割り当てになっておるわけですから、無税の割り当てのえさだとか、あるいは、いまの大臣の権限ですぐ規制できないものはやむを得ないとしても、とりあえず規制できる関税割り当て制度になっておるような農産物の輸入やあるいは農機具類の輸入、こういうものを商社からとったらどうかという意見を出しておるわけです。取り扱い上、マンモスになれば人間も多ければ給料もかかるから、取り扱い手数料では、率直に申し上げて商社がやっても全農がやっても正当なマージンにはそうかわりがなくても、いやしくも農協という看板を掲げている以上投機の意思はないですから、農業協同組合連合会に投機の意思はないわけですから、役員にも職員にもございませんから、それにやらす。せめて投機の心理のないものにもっとそういうことをやらして、投機心理のあるものをもう少し金融の面からも事業の面からも抑制していかなければならぬのではないか。買い占めて積んでおるものを、監査員を回して見つけて公表するというのも、これは私は意味がないと言っておるのじゃないのですよ。それだけの手段じゃとてもとまらぬ。現実にやったんだから、もう少し投機行為を抑制する現実的な政策を商社に向かってとるべきだ、こう思うのです。どうですか。検討する余地があるかどうか。いまここでやりますという即答はできないけれども、私の言っておることは無理なのか、そういうことを考えなければならぬのか。やはり大臣のお立場になれば、いま直ちにこういう重要な問題を、よしわかりました、すぐやるという答弁も困難かと思いますが、そういうことをやらなければ直らぬ時代になってきたと思うのです。金融の面と物の流れの面でとめてしまう。私どもは、機械の輸入もえさの輸入も、投機の心理の働いておるものにはもうまかせられない。それを取り上げるのだから、金融をまずとめて、物の流れも、政治的に取り上げられるものは取り上げてしまう、やらさない、そこまでいかなければいかぬと思うのですが、どうでしょうか。
  119. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 投機など、あるいは買い占めなどをするおそれのない適切な団体への輸入割り当てをふやしてやる、私はこれも一つの考え方で、十分検討の余地があると思います。また、考えたいと思います。  ただ、非常に私どものむずかしい立場は、いま現に物が隠れて、ない。そのないときに、さらにこれこれの商社には扱わせない。そうすると、いわゆる一つのルートを遮断をするということが、姿勢を正す上にはいいけれども、それが一体どのような経済的な影響を起こすかということを考えますると、なかなかこれは微妙なものがあると思うのですね。ですから、そこのところの切りかえとか姿勢を正すということについては実にむずかしさがあって、現にモチ米に始まった問題を処理するにあたって最も頭を痛めたところであるわけです。しかし、私どもから言っては恐縮でございますが、大体このほうの姿勢も正され、価格の面においても安定する徴候を見せておるということでございまするから、努力次第であるとは思うのでありまするけれども、御指摘のように、相当な範囲の販売量を扱っておる商社、その商社の中でAはいけない、Bはよろしいというわけにはいかない。そうすると、A、B、C、D、E、全部もういけないということにした場合には、一体どういう影響があるのか。こういう場合だから、一時大きな影響が出てもそれをも忍んでやれ、それも時と場合には考えなければならぬ場合がございましょうが、私としては、いまこれだけきびしい批判の中で、しかも一方において全体的な金融引き締め政策も行ない、過剰流動性を何とか防ごうという措置もとられつつあるときでございまするから、まずここのところはそう短兵急でなくとも、もう少し様子を見つつ、なお締めるべきものは締めていったらどうか。  ただ、きょう承っておって、ゴムがない、また綿糸も出回らない。その影響がある。また私自身の承知しておるところでは、場所によって軽油など非常に不足して農作業に困難を来たしておる。いろいろなものを押えた結果が、またよそのほうへ過剰流動性がずっと追っかけておるというようなことの徴候であるとすると、これはまた非常に問題だと思うのでございまして、いま申し上げた物資は農林省所管ではないけれども、しかし、これは閣僚の一人としてなお油断はできぬということで、さらに一そうの努力をしなければならないということは当然だと思います。また、先ほど来の御意見は今後の施策の上によく検討させていただきたいと思います。
  120. 美濃政市

    ○美濃委員 次に進みますが、ひとつ十分な検討してもらいたいと思います。やはり私としては一ぺんに排除は困難が起きるから無理だと思う。逐次この段階で起こってきたこの物欲刺激、これはいろいろな原因があると思いますけれども、とにかく物欲刺激、正常の欲望を越したもうけ、いわゆる暴利ですね、暴利にはしるという悪習慣、それを、先ほども申し上げましたが、国内流通の上でもこれを締め出すもう一つ方途を強化する必要があると思います。そこで、そういう商社の融資を切って、その金は、資金運用はせんならぬから、その金をかわって消費生活協同組合に回す。  農林物資はそういう商社の手をくぐって、そういうモチ米の問題もありますけれども、そういう商社に関連融資をして集荷をせしめる、そして卸だ、小売りだと消費者に行くまで五段階、六段階、また集荷をするまでに三段階もの手数料をくぐっておる。いわゆる日本の流通はきわめて段階の多い、流通コストの高い流通体系であるということは、もう国民ひとしくいわれておる。それはなかなか直らない。その上投機心理が加わったわけです。ですから、ここでそういう物の流れを現実の上で変えていく。それには投機心理なるもので物を集めるようなものに、いやしくも農協系統で集めた金を一銭も貸してはまかりならぬ。そういう貸す金があるんであれば、消費生活協同組合に対して貸し、生産と消費を直結する方向へ流れを変えぬ限り、現実の上でそういう行為をやらなければものは改まってこないと思うのです。もうこれだけ物欲刺激、欲望にこり固まったこの流通の体系がここまで来てしまうと、簡単な行政指導や簡単な方法では直らぬではないか。物の流れの上で商品投機の意思はないですから、生活協同組合が傘下のものに流通をするときに、少しでも高く売ってやれ、そこまでは言っていないですから、投機意識のない流通体系に可能な限り変えていく。そのことによって現実の上で投機の抑制ができるんではないか。また、できなければ一生懸命に努力して、投機的な心理をもってうごめく流通を将来締め出してしまわなければならぬのじゃないか、こんなことになるんであれば。大臣、これはこの状態で放置すれば、ほんとうに悪質なものになって、あるいは社会悪の原因となり、社会混乱が起きないと言えませんよ。寒空になってゴムぐつもない。ほんとうにないんなら、戦時中のように、何かの原因で、需給関係でないんなら国民はあきらめますよ。倉庫に一ぱい入っておって、表面はないんだ。もうどうにもならぬ。長ぐつが破れてどうにもならぬから、北海道のあるところでは、冬期間のえさを集めるのに必要だから、何ぼでもいいから一足見つけてくれぬか、何ほかと言ったら、いままでは七百円くらいだったが、三千円だ、セメントと同じようにそうなるのですね。それほど困るというんだったら一足くらい見つけようか、まあ何とか高くてもいいから頼む、もう背に腹はかえられないからやむを得ぬ、それなら三千円だぞ、こうなる。こういう行為を見過ごすわけにはいかぬです。末端までそうなってしまったんですから、今日もはや商品投機は総合大商社だけでなくなる。その発端を起こしたのは、元凶はこれらであるということですね。ですから、そういう意識のないほうへ流通を少し変えていかなければならぬ。百八十度すぐそれに全部転換してしまうというのではないのですよ。体制を固めて抑制をしていかなければならぬ。抑制の効果はある。もちろん投機抑制の行政指導なり、あるいはいま監査員を置くということになっているが、そういうものも必要であろうが、それだけではだめだ。現実の物の流れで投機心理のない流通系制を助長しなければならぬ。それにはやはり農林中央金庫の金を消費生活協同組合に構成会員に準じた流し方ができるようにして、現実に特に農林物資については生産と消費とを直結してしまうという方向へ漸次流れを変えていく。投機心理をあおっている者にはそんなに貸さぬで、その金があるんなら、全国にそういう新しい流れの体制をつくり、そこへ融資をしていけばいいんじゃないですか。そのことによって投機抑制できる、現実に物の流れの上で投機の抑制手段を講じていかなければならぬ、こう思うわけです。いかがですか。
  121. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、資材の買い付けの関係では、投機のおそれのない適切な団体への割り当てを活用していく、これは検討をさしていただこうということを申し上げたわけでございます。いまの生活協同組合関係からいえば、これは物品の販売のほうについて同じような考え方に立て、こういうことだと思うのでありまして、それは現在でも系統資金が生協のほうへも融資もできるようになっておりますので、いまのようなお考えのもとにできるだけ活用する、これには異論はございません。  要するに、御意見としては、現に投機あるいは買い占め、売し惜しみ、そういうような商道徳に反するような行為をしておる巨大商社について厳正な注意をし、またそのようなところへはでき得る限り資金の流れぬようにという御意見だと思います。それについてもわれわれのやり得ることでそういうおそれを防ぐことができれば、それは非常にけっこうなことでありまするから、農林中金の貸し付けについていささかでも疑惑があるようなそういう運用はしない、厳正にやりたいということを申し上げておるわけであります。  一言多いようでございまするが、ただ、それをやる上におきまして、ここでぴしっともう大手商社全部締め出す、こうなると、もうそのときにはそれなりの問題が起きるので、それに対する対応策も考え、それが手が打たれておればもっときびしくやれると思うのでありますが、何ぶんにも長い歴史、長い間の経験に基づく長いルートのついておることでございまするから、これを投機のおそれのない適切な団体だからそこへすぐ切りかえるといっても、そこは商行為のお互いの間で、おまえのほうか、そうかといってすぐ切りかえるようなふうには、これは常識的に考えられませんから、そういうような点も十分考えながら、しかし、現に起きておるこの投機的な行為、いまだ残っておる過剰流動性について、あらゆる方途を講じてこの機会に姿勢を正すということが絶対必要だと思います。
  122. 美濃政市

    ○美濃委員 この問題で、いま大臣のお話を聞いておって、なるほど大臣のお考えもわからぬわけじゃないですけれども、しかし、やはり相当勇気を持たぬと、たとえば私どもがいま提起しておることは、その長い習慣なり実績が凶器に変わったわけですね。反社会的な凶器となっておるわけです。国民生活を苦しめる凶器なんですね。その凶器をもぎ取るときには、あるいはこちらはけがするかもしれません。凶器をもぎ取るときには多少の混乱もあるだろうし、けがするかもしれません。それから、もぎ取る時期も、確かに大臣の言うようにありましょうけれども、とにかく可能な限り、多少の混乱はあっても、こういうことが改まらぬ限り、逐次もぎ取っていく。もぎ取る過程で多少の混乱やあるいは、反社会的な狂人的な考え方に変わってしまっておるわけですから、狂人が持っておる刃物をもぎ取ろうとすれば、こちらがけがをするかもしれません。しかし、そこまでの勇気が要る段階になってきたと思うのです。もぎ取る時期やもぎ取り方や、それにはやはり一挙にもぎ取ってしまうことがいいのか、いろいろ物の流れとの関係、現物との関係もありますから、多少のいろいろ時期的な問題はあろうけれども、原則としてはやはりそこまで行かぬければ、日本の経済、流通、物価はこういう投機的行為というものがとまらない、こう思うわけです。これは御答弁要りませんから、もう少し前向きになって、大臣もそれはひとつ検討しよう、やらなきゃならぬ、こう言っておるのですから、その時期なり方法なりにもうちょっと積極的な——多少の混乱と多少のことはやむを得ない。やはり物の流れを変えるためには、一時的な混乱はつきまとう。その混乱が、とまってしまうような混乱ではいけませんが、多少の混乱はあってもあえてやらざるを得ないと私は思いますから、その点十分ひとつ検討の中で勇気を持っていただきたいと思います。  次に、農協法関係について若干お尋ねしたいと思います。  農協といっても、時代の変遷で都市化地域のまん中に農協というものが埋没してしまって、調べてみたら、定款の正組合員要件に該当するものはほとんどもう何人かになってしまって、結局は全部宅地になって、膨大な土地を売った金が、昔、組合員ですから、やはり農協に預金される。農協といっても、その預金管理が主たる業務で、販売物もなければ生産指導も要らない。定款でいう正組合員要件の者はもう何人しかいない。こういう農協も、特殊な例ですけれども、あるのです。大都市の中にある農協は、もう農協の周辺は全部宅地化してしまった。昔は畑だった。昔は練馬大根なんていうのもあったのですが、あの辺はどうですか。練馬農協というのもあるでしょう。あの辺に行ってみると、そういう状況になってしまっている。農協といっても生産指導も要らない。農業の生産資材の供給も要らない。スーパーをやれば消費物資は要りますね。やるならばスーパーと資金管理、それ以外の組合のためにやる事業というものは変化してしまっている。こういう事態も出てくる。  それからまた、資金運用といいますけれども、今日、専業地帯の農村は、米の生産調整と物価の上昇に見合わない農産物価格というようなことで、専業農家の組合員のおる地帯はいずれも資金余裕はありませんね。オーバーローンですね。専業農家自体がオーバーローン。組合員が全部オーバーローンになれば、その組合自体もオーバーローンですね。集めておる金よりも借り入れ金が大きいということです。もちろん専業地帯ですから、構造改善もやれば、規模拡大もやりますから、そういういわゆる構造改善投資等が加わり、政府資金、近代化資金、そういうものが重なって入ってきて、もう資金運用どころか、やはり借り入れオーバーローンである。これが実態ではないでしょうか。そういう状態の中で、農業協同組合というものは、農業なのですが、現実に農業というものがなくなったところに農協だけが実在しておるという面があります。私はこれを極端に非難しておるわけじゃないですよ。またお互い農協人としてそれらの地域の人がやる、農業生産物はなくなっても、預金だけでも預けて農協をおやりになっておるのですから、それがいいとか悪いとか非難をしておるわけじゃないのです。  そういうふうに歴史の中で変わってきたということですね。たとえば宅地転用するにあたっても、組合員要件というのはだんだんなくなっていくわけですね。今回の法改正の宅地造成だとか、こういうことが農協事業として行なわれるようになり、半面、従来の組合員要件というものはなくなった。調べてみると、もう正組合員要件に該当する者は何人しかいない。だけれども、それじゃあまりさびしくなるから、定款上の組合員要件は欠けておっても正組合員として扱う、こういうことになっておるわけですね。そういう農協と、ほんとうに国の食料、国民食料の生産をする専業農家をかかえて、それに対していわゆる農業の生産指導、集荷、生産資材の供給という形態の農協、これを同一にして法律を改正したりするので非常に無理ができてきたんじゃないかと私は思うのです。  そこで、農業協同組合の定義をどうするのか。従来の農業協同組合の定義といえば、やはり専業地帯での農業生産指導、できた農産物の集荷、販売、こういうことが定義となっておる。今度の農業協同組合法改正を見て、宅地を造成するのは農業でないと思うのです。住宅を建築するのは農業じゃないと思います。これが農業という定義になりますか。それはどうですか。農協というものの定義はこれからどうするのか。そういう農協の実在を無視するわけにはいかぬ。おかしいではないか、やめてしまえというわけにいかぬ。今度の農協法改正の中の宅地造成は、こういうものがさらにやれるように大きく期待しておる。しかし、それは農業ではないのだ。宅地造成をして家を建てるのは農業とは言えないでしょう。言えますか。これからの定義はどうするのだということです。どうお考えになりますか。
  123. 内村良英

    内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、宅地造成が農業でないことは事実でございます。そのとおりだと思います。ただ、農業協同組合は御承知のとおり第一条に、「農民協同組織の発達を促進し、以て農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上を図り、併せて国民経済の発展を期することを目的とする。」ということになっております。したがいまして、最近のように、農地がどんどんスプロール化していく、しかも無計画にやられる。それを農協が計画的に宅地造成をやりながら優良農地を守っていくというのは、これは農協法一条の法律の目的範囲内の行為ではないかというふうに解釈されるわけでございます。
  124. 美濃政市

    ○美濃委員 もう一つ聞いておきますが、そうすると、たとえば一ヘクタールの農地があって、そのうち十アール宅地造成するとしますと、あとに残る部分がありますから、まあ内地の面積からいけば、蔬菜地帯であれば、いわゆる定款要件に合う農業ですね。そうしたものが全部になったらどうなるのです。その者は農民じゃないじゃないか。農民の経済的な向上といっても、たとえば大都会の中へ、もうずっと都市計画に入っちゃって、その人の全面積が、公共投資が終わった、道路もついた、下水道もできた、当該農民の応じた全面積に、市街化宅地としての公共投資が終わってしまえば、その人そのものは農民ではないのじゃないですか。農民の経済的な向上といっても、その人が農民ではないわけです。市街化地域の農地に宅地としての公共投資が終わって、宅地割りができてしまって、下水道も入った、道路も整備された、ガスも入った、電気も入ったということになれば、その段階でその人そのものがもう農民ではないのじゃないですか。農民の経済的向上といっても、そういう意図を持って宅地造成に応じて、ブルドーザーが入った段階ではその人は農民でなぐなってしまうわけですね、定義としては。全面積がそうなった場合、その人は農業者ではないわけです。農民の経済的向上を農協がやるというのは、どこまでが限界なのかということが問題です。どこまでが農民なのか、どこまでが農協の行なう組合員のための社会的、経済的地位の向上なのか、どこまでの限界を農民というのか、どこから農民でなくなってくるのか。全部農民だというんならば、勤労者の方々の中にもあるいは農林省の方々にも農家の子弟は多いのじゃないですか。そこまで農協が及んで農民と解釈していいんですか。どこかで切れるのでしょう。元農民であっても、どこかで農民でなくなる限度があるわけですね。それを、元農民であった者はどこまでも農民としていくのであれば、元農民もしくは農民の子弟であれば、農林省のお役所につとめても、農民として扱わなければならなくなる。どこかで切れるのです。その接点が出てくるわけです。農協法でいう農民の限界というものが出てくるわけです。そこらの農民の定義というものをこれからどういうふうにしていくのか。これは現実の問題ですから、非難をしているわけではないのです。それを一がいに非難してみたって、社会的要求でそういう要素が起きてくるわけですから、非難するんではなくて、そういうものの定義をどうつけていくのか、それが一つです。  それからもう一つは、そういう中で一面、先ほども私が申し上げたように、不動産業者や何かと違って、農協組合員の委託事業等でやっていくについては、それだけの理由があるというふうに私は思います。それが悪いこととは思いません。さっき言ったこととまた違うことになりますから、農協にそういうことをやらせれば投機意欲になって悪いというふうに感じてものを言っているわけではない。やはり農協というものは普通投機にはしったりする面が少ないですから、農協がやることは不動産業者よりは社会的な貢献がよろしいのではないかと私は思います。この法律の改正でそういう面の効果はあろうと思います。効果なしとは考えていないが、しかし、だからといって、農協がそういう立地条件下にあるからといって、その中で特に極端に投機にはしるようになると、もう農協にやらす意味がなくなります。極端にもうけ主義本位の投機へ突っ走るようになってくると、不動産業者がやるのも農協がやるのも同じということになる。そこにはやはり事業経験や何かの未熟性から危険性が伴って、この国会でつくった預金保証法で、全国農協で手にひび切らして働いておる専業地帯からも保険料を積み立てて、その金で預金保証をしなければならないような事態が起きないとは言えませんから、そこらのところの指導なり体制なりは、こういう法律をつくる以上、もう農民から離れようとする接点にある組合員の経済的な立場と、その事業を通じて不動産業者よりもやはり社会的な貢献度というものを持たなければ意味がないと思うので、それらに対する農林省の指導なり考え方はどうか、これをお尋ねいたします。
  125. 内村良英

    内村(良)政府委員 まず、最初に御質問のございました農民とは何ぞやという問題でございます。これは私ども農協を監督しております立場の者としても、実は最近非常に悩んでおる問題でございます。御指摘のように、先生が御指摘になったような組合が現にございます。たとえば東京都に大森農協というのがございます。これは大田区の農協でございますが、今日、大田区にはどう考えても農業があるようには思えません。しかし、農協はございまして、りっぱな事務所が四つあるというようなことになっております。そこで、私はちょっと疑問を持ちまして調べたわけでございます。と申しますのは、農協法上、組合員が十五人未満になりますと、解散しなければいかぬわけでございますから、そこで調べましたところ、やはり組合員が三百人くらいいるわけでございます。それはどういう人かと申しますと、昔はりっぱな農民であった、しかし、現在やはり九十日くらいは花だとかそういうものに従事しておるということで、三百人くらいのそういった人たちが残っておりまして、農協としての要件は備えておるわけでございます。しかしながら、事業は信用事業に偏しておりまして、市街地の信用組合とあまり変わらぬというような形になっております。  そこで、私どもといたしましては、そういった都市農協の問題について、先般からも御答弁申し上げておりますけれども、今年度から農協の制度問題の検討会をやろうと思っておりますので、その検討会の一つの大きな課題にして検討したいというふうに考えております。ただ、都市農協の問題というものは、やはり農協組織自体が大きな問題でございますので、いろいろな角度からやはり慎重に検討しなければならぬ問題であるというふうに考えております。  それから、今度住宅等供給事業を農協がやることになって、それが投機にはしって不動産業者みたいになるのじゃないかということでございますが、私どもといたしましても、そういうことがあっては絶対いかぬというふうに考えております。申し上げるまでもなく、農協法農協が営利にはしることは禁ぜられております。したがいまして、宅地等供給事業につきましても、事業規程その他の認可あるいはその後の検査というような問題を通じまして、そういったことが起こらないように十分指導したいというように考えております。
  126. 美濃政市

    ○美濃委員 以上で終わります。
  127. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 瀬野栄次郎君。
  128. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 農業協同組合法の一部を改正する法律案並びに農林中央金庫法の一部を改正する法律案について、農林大臣にお伺いいたします。  この両法案については、私は去る四月十八日に当委員会で二時間余にわたって質疑をいたしたところでございますが、その中で特に問題となった点について総括的に質問をいたしたいと思うのであります。以下の御質問は将来必ず問題点となると考えられますので、ひとつ明快にお答えをいただきたいということを、最初にお願いをするわけでございます。  農業協同組合法の一部を改正する法律案のほうでございますが、この中の第十条の九の一として「地方公共団体又は地方公共団体が主たる構成員若しくは出資者となっているか若しくはその基本財産の額の過半を拠出している営利を目的としない法人に対する資金の貸付けで改令で定めるもの」、こういうように規定してありますが、この中の「営利を目的としない法人に対する資金の貸付けで政令で定めるもの」、この中にはどういうものを予定しておられるか、具体的にお答えをいただきたい。
  129. 内村良英

    内村(良)政府委員 改正後の法第十条第九項第一号は、地方公共団体と地方公共団体が主たる構成員等となっている非営利法人に対する資金の貸し付けを規定しているわけでございますが、これらはいずれも公共性の高い法人に対する資金の貸し付けでございますので、改令では、貸し付け金の資金種類等は特に限定せずに、償還期限のみを限定することを考えております。  この償還期限につきましては、この貸し付けが、組合員のためにする事業の遂行を妨げない限度において容認されるものであり、その限りでは余裕金に類する性格を有することから、あまり長期にわたることは本来業務との関連において問題を生ずるおそれがありますので、当面十年以内に定めたいというふうに考えております。  次に第二号の、政令で定める資金の貸し付けはどういう資金であるかということでございますが、これにつきましては、土地または施設の取得もしくは造成に必要な償還期限が十年以内の資金でございまして、次のような資金に限定したいというふうに考えております。  一つは、農村地域工業導入促進法の実施計画または産炭地域振興臨時措置法の産炭地域振興実施計画に適合する事業を営むものが計画区域内において工場等の施設の新造成を行なうために必要な資金の貸し付けということを考えております。さらに、低開発地域工業開発促進法の低開発地域工業開発区域内の工業の開発に寄与すると認められる製造の事業を営むものが当該地区内において工場等の施設の新増設を行なうために必要な資金の貸し付け等、非常に公共性なり政策性の強いものに限りたいというふうに考えております。
  130. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 ただいまの二号の中で償還期限十年を考えておるということでございますが、そうすると、極端に言えば、どんな企業でも貸される、こういうふうに理解していいですか。
  131. 内村良英

    内村(良)政府委員 非常に公共性の強いものに限りたい。営利法人でございましても地方公共団体の出資があるか、あるいは地域開発立法に基づく計画達成のために必要なものに限りたいというふうに考えております。
  132. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 十条九の二号の「農村地域における産業基盤又は生活環境の整備のために必要な資金で改令で定めるものの貸付け」ということがあるのですが、いま答弁がございました工業導入法によるものとか産炭地とか低開発地域云々といろいろ言われましたが、この「政令で定めるものの貸付け」、これはいま言われたようなものを具体的にはうたう、こういうふうに理解していいのか、それ以外にもまだあるのか、その点を明らかにしておいてもらいたいと思います。
  133. 内村良英

    内村(良)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたような農村地域工業導入法に基づいて進出する工場とか、そういったような公共性または政策性の非常に高いものにしたい。さらに地方公共団体が構成員もしくは出資者となっているかまたはその基本財産の額の一部を拠出しておる法人であって主務大臣の指定するものが農村地域内において産業基盤、生活環境の整備に関する事業を行なうためにそういった事業をやっておるものにも貸すということで、繰り返して申し上げておりますけれども、非常に公共性の強いものに限りたいというふうに考えております。
  134. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 公共性の強いということですが、これはまたいろいろ解釈のしかたもあると思うのですが、公共性が強いということは、どういうものを公共性が強いというふうに検討されておるのですか。
  135. 内村良英

    内村(良)政府委員 公共性が強いということ自体の解釈が非常に問題じゃないかという点でございますけれども、私どもといたしましても、やはりその事業が公共性を持つものあるいは政策性を持つものというふうに考えております。先ほども申し上げましたけれども、営利法人であっても地方公共団体の出資があるものあるいは地域立法に基づいて計画の達成のために政策的にやっておるというようなものには融資すべきであるというふうに考えております。
  136. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 公共性が強いというその判断をするのは、具体的には、実際の貸し付けをする場合にどこが、だれがこれを判断することになりますか。
  137. 内村良英

    内村(良)政府委員 公共性、政策性の強いものをつかまえまして、それを政令で規定していきたいという考え方をしておるわけでございます。
  138. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 次は、十条の五でございますが、この中の一項に「組合員の委託を受けて行なう所有に係る転用相当農地等の売渡し若しくは貸付け又は区画形質の変更の事業」、こういう条文があるわけですけれども、これは宅地のみならず工業用地にも転用して貸すということになるわけでありますが、この貸し付けをする場合に、政府は、開発計画をつくらせて地方公共団体と協議をしてというふうにいろいろ説明をしておられるようでありますが、その辺はどういうふうな順序でやるのか、もう一度説明を願いたいと思うのです。
  139. 内村良英

    内村(良)政府委員 地方公共団体と協議して作成した計画に従って貸したいというふうに考えております。
  140. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 そこで、具体的に、宅地等供給事業を別法人でやる場合には、農協等のいわゆる意見が、すなわち農民の声が反映しないということも将来考えられると同時に、かって気ままに運営されるということにもなりかねない、かようにも思うのですが、そういうことに対してはどういうふうに検討されたのですか。
  141. 内村良英

    内村(良)政府委員 別法人でやるというのは、いわゆる農協の協同会社のことの御質問かと思いますけれども、私どもといたしましては、農協がそういう協同会社をつくりまして、農協法の全然ワク外で不動産業者としてそういうことをやるのは好ましくないと考えております。  しかしながら、協同会社の問題につきましては、指導上非常に問題がございます。と申しますのは、農協につきましては、私ども農協法上の監督、指導権を持っておるわけでございますが、農協が出資する協同会社ということになってまいりますと、直接の監督権がございません。したがいまして、私どもといたしましては、協同会社をつくるときには事前に届け出をしなさいというようなことで指導はしております。したがいまして、そういう指導を通じてそのような好ましくない協同会社の設立というものは極力抑制するようにしたいというふうに考えております。
  142. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 協同会社に対しては政府は極力抑制をしたい、こういうことでありますけれども、そんなことではとてもこれは抑制できないと思うのですね。いわゆる農民の金を農民に還元するというのがやはり原則でありまして、もちろん時代の流れということはわれわれも十分わかるわけですけれども、極力抑制をするというようなことで事足りるかどうか。おそらくこういったことが、別法人をつくってどんどん宅地供給事業が進められるということになりますと、これは将来たいへんな問題になるんじゃないか、この辺、もうちょっときちっとした規制をすべきじゃないか、不安がある、かように思うのです。その点農林大臣はどうですか。
  143. 内村良英

    内村(良)政府委員 農協がそういった協同会社をつくるという場合には、やはり出資するという形態になると思いますけれども、そういった無秩序な開発というものをやるような協同会社に出資する場合には、やはり組合員のほうから相当そういったものを抑制すべきであるというような声が出てくるということは十分考えられるわけでございます。したがいまして、農協がそういうものに出資するという場合につきましては、内部的な牽制も相当あるのではないかというふうに考えられますし、また行政庁といたしましても、そういう出資は好ましくないという指導はしなければならないというふうに考えております。
  144. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 農協内部の牽制もある、またそういった出資については抑制していかなければならぬということをおっしゃいましたが、はたしてそういったことで抑制ができるかどうか、まことにこの点が心もとないのであります。  次に、農林中央金庫法の問題で、第十四条の三の二の二、「経済社会ノ発展ヲ図ル見地ヨリ貸付ヲ為スコトガ適切ト認メラルル法人ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ」、こういうふうに条文がございますが、まことに抽象的で理解に苦しむのですけれども、具体的には「貸付ヲ為スコトガ適切ト認メラルル法人ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ」とはどんなものを予定しておられるか、この点もひとつ明確にしてもらいたいと思います。
  145. 内村良英

    内村(良)政府委員 まず最初に、この命令はどのようなときにどのように定めるのかという点について申し上げますと、この命令は、農林中金資金の異常な増大と、一般金融情勢から見て、通常の資金運用が困難と認められる場合、すなわち中金の立場から見ますと、一種の緊急避難的な場合、あるいは農林中金資金について政策遂行上特に必要があるとして政策的な要請がある場合など、そのときの情勢に応じまして、緊急に農林中金が対応する必要がある場合に定めることを考えておりまして、命令は対象法人についてその性格等を包括的に命令で定め、個別具体的な法人については、主務大臣の指定または認可によることにしたいというふうに考えております。いずれにいたしましても、こういった資金の性質から見まして、この中金の貸し出しの場合も公共性の強いものに限っていきたいというふうに考えております。
  146. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 そうしますと、営利を優先する一般企業、こういったものはもちろん含まれる、しかし公共性の強いもの、こういうふうに理解していいことになりますか。
  147. 内村良英

    内村(良)政府委員 本件の融資につきましては、個別に一件一件行政庁において認可するわけでございますから、ただいま申し上げましたように、公共性の強いものを前提にするということでございます。基本的にはそういったものでございますが、それでは営利法人は全然排除するのかということでございますが、営利法人でも、たとえば政策目的に従ってある行為を行なう者については考える必要があるのではないか。その場合におきましても、具体的には認可をしていきたいというふうに考えております。
  148. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 営利を優先とする者についても政策目的に沿った者は考えられる、また必要なものと思えば認可をしていきたい、こういうことですね。その辺の判断その他がたいへんむずかしい問題になりますね。これは農林漁業金融公庫などでもいろいろ問題があるところでありますが、この辺の運用は厳に指導していかないと、将来いろいろな問題を起こしてくることになるんじゃないか、こういうふうに懸念されるわけです。  それから、時間の制約があるのでもう一、二点お尋ねしますが、第十三条の九で「所属団体又ハ所属団体が主タル構成員若ハ出資者タル法人ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノノ為ニ其ノ出資若ハ株式ノ払込金ノ受入又ハ其ノ配当金ノ支払ノ取扱ヲ為スコト」とございますが、これは当然営利を目的とする企業並びに第三セクター、こういったものも入る、こういうふうに解釈するわけでございますか。
  149. 内村良英

    内村(良)政府委員 出資の払い込み金等の取り扱いは、増資等を行なう団体のおもなる預金取引先が行なうのが適当でございまして、今回の法改正にあたりましては、所属団体及び協同組合等の預金の受け入れ先である農林中金に増資等の払い込み金の受け入れ等の取り扱いを認め、当該所属団体等の増資手続に便益を与えたいというふうに考えておりまして、主として所属団体、協同組合、協同会社等を考えておるわけでございます。
  150. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 第十三条の十ですが、この点も明らかにしておきたいのですが、「主務大臣ノ認可ヲ受ヶ国、公共団体其ノ他営利ヲ目的トセザル法人又ハ銀行其ノ他ノ金融機関業務ノ一部ヲ代理スルコト  農林中央金庫ハ前項第十号ノ規定ニ依リ国、公共団体其ノ他営利ヲ目的トセザル法人又ハ銀行其ノ他ノ金融機関業務ヲ代理シテ所属団体以外ノ者ニ貸付ヲ為シタルトキハ」、こうあるわけですが、この前半は一応わかるのですが、これも問題になるので明らかにしておきたいのですが、最後の「所属団体以外ノ者ニ貸付ヲ為シタルトキハ」、こうありますね。この点についてはどういうものを所属団体以外の者、こういうふうに予定しておられるのか、それを明確にしていただきたいのです。
  151. 内村良英

    内村(良)政府委員 この典型的な例は農林漁業金融公庫が所属団体以外の人に貸したというような場合でございます。
  152. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 最後に一点農林大臣にお伺いします。この中金法はすでに先般私も二時間にわたって質問いたしてまいりましたが、三年前からいろいろ中金でも準備をされ、少なくとも一年前から政府においても検討をされてきたわけですけれども、この法案をつくるときは金融緩和時代でございます。その後、御承知のように、列島改造等によってインフレの傾向が起きまして、インフレ抑制ということから金融引き締めの時代に現在入っている。こういったことを考えましたときに、ずいぶん前から予定してつくったこの法案が、今後こういったきびしい金融引き締め時代に入っていくわけですけれども、これに対してどのように検討し、対処すべく指導していかれるのか、どういうように当局はお考えであるのか。世の移り変わりが激しいわけでございましたが、その点をどういうふうに考えておられるのか、大臣から明らかにしていただきたい。
  153. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御指摘のようなそういう背景のもとに作業が行なわれておった、そのことも否定はいたしません。しかし、農林中金が現に所属団体への貸し付けの状況であるとか、あるいは手元の余裕金の状況であるとかいうものを勘案してまいりますれば、農林漁業金融機能の強化という点から、各種の施策をいろいろと講ずるというようなことが内容の中に入っておったといたしましても、それが情勢の変化において直ちに問題になる、こういうことではないのではないか。現在の情勢からいいますならば、どちらかと言えば、金融の引き締めの時代に入ってきておる。また過剰流動性の問題があるじゃないか、こういうことになってきますならば、それはそれなりに農林中央金庫運営の上に反映せしめることでいいのであって、今回の改正それ自体というものについて、特にこの際検討し直す必要があるかないかということになりますると、それは私としては今回の改正内容でよろしいのではないか、運用の上でそのときそのときの情勢は反映させていけばいいのではないか、このように見ておるわけであります。
  154. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 最後にもう一点農林大臣にお伺いいたしますが、中金の金利でございますけれども、中金ではいわゆる預金と貸し付けというものはうらはらになるわけですね。現在中金には相当な資金量があるし、金融機関の中でも第六位にランクされているということは周知の事実であります。今回の法案で、こういう金融引き締めの時代であるけれども、この趣旨説明にもあるように、また法案の中にも盛られておりますように、貸し付けを拡大していく方向でいろいろ検討されておるわけでございますが、この金融引き締めの時代になって金利の問題等が相当問題になってくると思うのですけれども、いたずらにこれを変更すると、他の金融機関といろいろあつれきが起こるということも考えられる。預金金利は最近かなり上げておりますが、貸し付け金利というものがまた問題になってくると私は思うのです。こういったことについて、いわゆる預金金利は上げたけれども、うらはらである貸し付け金利は据え置く、こういう方向で指導されていくのか。かりにそうであれば、やはり膨大な資金量があるといっても、中金のいろいろな内部の資金操作にも問題が起きてくるわけでございますので、外部の運用益等で補うとかいろいろなこともあろうかと思うのですが、その辺はどういうように踏まえて今後指導されるのか、また農業の発展のためにこの金融を円滑にやっていく上に考えておられるのか、その辺ひとつ最後に御見解を承りたい。
  155. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 元来、農林中金が農林漁業関係のためのものであるということを頭に置いて考えますときに、いま一般的な金融情勢が引き締めになっておるから、直ちに貸し出し条件をそれに伴って厳正にすべきか、こういうことにつきましては、現在のところ私としては考えておりません。一般的情勢と非常な懸隔を見るというような場合はまた別でございますが、農林漁業の発展のために、また農村のために寄与するようにということから考えますならば、いまにわかに金利その他の貸し出し条件をいじるということは、この段階では考えておりません。
  156. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 この農協法農林中金法については、私がただいま指摘しましたようなことが、冒頭に申しましたように、かなり将来に問題を残すということがありまして、今後の農業発展のために一歩前進であるし、これが運営を間違わないようにしていけば十分農家にもこたえられるということもわかるわけですけれども、将来にこういった問題を残すという懸念がありまして、中金法も五十年の期限が十月三十一日に参りますし、存続することにやぶさかではございませんけれども、こういった諸問題等もございまして、今後さらに検討することにいたしまして、以上で質問を終わりといたします。
  157. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 稲富稜人君
  158. 稲富稜人

    ○稲富委員 先般来数日にわたりまして同僚各位から両法案に対する質問も十分尽くされておりますので、私は要点をかいつまみまして若干お尋ねいたしたいと思うのでありますが、法案に対する質問に入る前に、農林大臣に特に私は申し上げたいと思うのでございます。  先日、新聞を読んでおりますと、近いうちに農林省の局長の異動があるということが報ぜられまして、もうすでに部署まで、だれは勇退するのだ、だれはどこにいくのだということを新聞記事に報道されておったのでございます。事実はどうか知りません。ただ、ここに私、申し上げたいことは、今日まだ国会開会中であるし、しかも法案等の審議最中に、その関係局長あたりが異動するとかいうことになりますと、これは質問する者も答弁する者も身が入らないだろうと私は思うのであります。こういうことは以後慎まなければいけない問題であると思います。そういうことをやっておれば、あるいは国会軽視のそしりも免れることはできないと思いますので、そういうことをお考えになっておるかどうか、その点を最初大臣にお聞きしておきたい、かように考えております。
  159. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 新聞などでいろいろ取りざたされておることは、私もときに目に触れることがございますが、全くこれは意外な感じをしておるわけであります。ただいま稲富委員がおっしゃったとおりに、私個人からいっても、いまこの国会審議の大事なときの最も手足になってやっていただいておる諸君の異動など、もうこれは考える余地がないわけであります。しかし、どこからともなくいろいろと取りざたされるということについては、実はどういうことであろうかというふうに思っておるようなわけで、いまお話しのとおりに、人事を異動するというようなことは、私としては全然考えておりません。
  160. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいまの問題了承いたしまして、そのとおりであるべきである、かように考えております。  農協法の問題について若干お尋ねしたいと思いますが、これは先般来しばしば同僚各位から質問いたした問題でございますが、農協法の制定当時と今日の農業事情というものは、相当に変化いたしております。特に、都市近郊農協と純農村農協との間には、性格、事業が非常に変わっておるのでございますが、この点の変わり方に対して、農林省はどのくらいの変わりがあるということを御認識なさっているか、冒頭ひとつ承りたいと思うのでございます。
  161. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいま先生からどの程度の認識を持っているかという御質問でございますが、先ほどの美濃先生の御質問に御答弁いたしましたように、非常に農村及び農業を取り巻く条件が変わっておりまして、その中で、たとえば先ほど申しました大田区農協というようなものが出ておるというようなこと、あるいは系統の資金の集まりにつきましても、かなり最近土地代金がふえているというようないろんな移り変わりについては私どもなりに十分承知しているつもりでございます。
  162. 稲富稜人

    ○稲富委員 先刻局長から御説明があったのでございますが、農協法が第一条において、「農民協同組織の発達を促進し、以て農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上を図り、併せて国民経済の発展を期することを目的とする」ということをはっきり記してあります。この農業協同組合法による農民とは、第三条に、「みずから農業を営み、又は農業に従事する個人をいう」ということに定義もされております。ところが、最近におきまする都会地近郊の農協といいますと、ややもしますると、第一条の後半の「併せて国民経済の発展を期することを目的とする」という、無理に解釈するならば、この中で遭遇するという、こういうような状態ではなかろうかと思うのでございます。この点を私たちはまず見きわめておきませんと、これは純農村農協のあり方というものに対して非常に困難な状態をこれはかもし出してくると思うのでございます。少なくとも農協というものは農業の発展を期し、農村の振興をはかることがその目的でなければいけないにもかかわらず、場合によりますると、土地の販売、あっせんもする。土地の販売、あっせんをするということは農業を捨てるということだ。農業を捨てることにあっせん、協力をする。そうしてその売り上げ高は農協に積んでもらう。農民農協に預金をするということは、これは農業協同組合法で許されているかもしれないけれども、その土地をあっせんするということは、明らかにこれは農業を捨てることなんですから、これは農業協同組合の精神からいって、適しているかどうかということを言わなければいけないと思うのでございますが、その点はいかがでございますか。
  163. 内村良英

    内村(良)政府委員 農協法目的にございますように、農業協同組合というものは農業者の職能組合でございます。したがいまして、ただいま先生から御指摘がございましたように、農協法第一条では、農業生産力の増進というものをまず第一に持ってまいりまして、その次に農民の経済的社会的地位の向上というものをうたっているわけでございます。  そこで、農協農地等の処分事業を行なうことは、これは第一条の目的違反ではないかという御質問ではないかと思いますけれども、やはり農協がそういった農民の職能組合としてやっていく場合におきましては、組合員である農民のいろいろな需要と申しますか、必要に応じて組合がそれにこたえていくという面が必要なことも事実でございます。そこで、最近の社会情勢の進展に伴いまして、農家がもう農業を続けるわけにはいかないので一部土地を売るという場合に、不動産業者とか——農民の人たちはいままでそういった経験はあまりございませんから、たとえば非常な不良な不動産業者にひっかかるというようなことがあってはいけないので、そういうものにかわって農協組合員のためにそういった事業をやるということは、農協法違反ということではないのではないか、農協法の一条の目的範囲の事業としてそういうものがやれるというふうに私どもは解釈しているわけでございます。しかも、その中において無計画にいろいろな開発事業が行なわれるといった場合に、農協が中に入りまして地方公共団体等とも相談しながら優良農地は確保して、一方、そういった社会経済の変転に伴う各種の需要にこたえていくということも、一条の目的範囲の仕事として農協にやらせることh、組合員の社会的経済的な向上ということに資するのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  164. 稲富稜人

    ○稲富委員 その解釈は非常にけっこうな解釈なんで、都合のいいように解釈していらっしゃるので、私はそれを悪いというのではございません。現在の農協法ができまして、農村事情というものがそういうことまでやらなければならないような状態になっているとするならば、そういうような特殊な事情のある農協も、純農村農協も、農協法という一つの法律のワクでこれを規定するということに非常に無理があるんじゃなかろうか、そういう点から、将来農協法というものを十分考えなくちゃいけないものじゃないかどいうことを私たちはよく思うわけなんですが、この点に対しては何かお考えになっておりますか。
  165. 内村良英

    内村(良)政府委員 確かに先生御指摘のとおりに、地域によりまして非常に情勢が変わっております。非常に都市化しておりまして、組合員である農民がもう十五人を割ってしまいそうなところも現にないわけではございません。ところが、一方、純農村として農業生産力を今日も依然としてになっているというような地域の農協もございます。したがいまして、非常に状況が変わっておりますので、そういった地域によって違う農協というものを一本の農業協同組合法で規制していくということに非常に問題があるのではないかという点は、確かに御指摘のような面があることは事実だと思います。  そこで、私どもといたしましては、繰り返して申し上げておりますけれども、本年度予算をとりまして農業協同組合の制度の検討会を開こうと思っております。それに関係者及び学識経験者に集まっていただきまして、そういった最近の情勢の変化に伴う農協のあり方というものを十分検討してもらいたい。これは農協系統組織の重大問題でございますから、そう簡単に答えがでるというような性質の問題ではない問題もたくさんございます。しかし、そういったものにひとつ取り組んでやってみたいと考えております。その場合に、こういった組織法の問題でございますから、役所がこう考えるとかあるいは学者の意見がこうだとかいうことではなしに、やはり系統組織の中の人たちがこういうふうに変えていかなければならないというふうな、皆が納得するというような形でなければ問題の処理がつかぬというような問題でございますので、関係者が集まってそういった問題に取り組んでみたいと考えております。
  166. 稲富稜人

    ○稲富委員 私がこの点を特に指摘して申し上げますゆえんのものは、事情は非常に変わってまいっております。それがために今回の農協法改正金融問題に主眼を置かれている。私はこういうような、すなわち農協の本質から離れた解釈論によってやらなくちゃできないようなことに農協が伸びてまいりますると、ややともしますると、農協というものが農民から遊離をしないか、ここを私たちは一番おそれるわけなんです。少なくとも農協というものは農民のものでなければならない。しかし、ややもしますると、やはりそういう事業というものに非常に熱心になってきたために、農協というものが農協経営者になってはいけないと私は思うのです。ややともしますると、農協農協経営者、それがために肝心の農民が犠牲になる。こうなりますと、農民農協が遊離する、こういうようなことになるおそれがあることをわれわれは一番警戒するわけなんで、この点から、やはり一方には時代の変遷によりまして金融問題をとらえようとするならば、一方においては純農村農協をどういうふうにして育てていくか、これもあわせて私たちは考えていかなくちゃならない問題ではなかろうか、こういうことを痛切に感ずるので、私はこの点を特に強く主張しておるわけなんで、こういうことに対して政府としてはどういうお考えを持って臨まれようとしておるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  167. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 もう御指摘のとおりであると思います。これからの農協のあり方が本来の目的に反するような傾向が助長されていくことは、これはもう当然戒めなければならないところでございます。ただ、今回の改正金融機能拡充ということが柱になっておりまするので、その点について御懸念がおありのようでございまするが、これは言うまでもない、農業及び農業者をめぐる現在の経済社会情勢の変化に応じて組合員のために処していこうという、そういうことからお願いしておるわけでございます。  ただ、この改正というものが、それが御指摘のような本来の趣旨に反する方向を助長するというようなことでありまするならば、それは厳に戒めなければならないのでありまして、協同組合組織の持つ経済的に社会的に貢献する面、農業の発展に寄与する面、すなわち従来の営農指導であるとかあるいは販売事業などが重視されなければならない、これはもう当然考えていくべきであると思います。
  168. 稲富稜人

    ○稲富委員 それで、いま大臣もお述べになったのでありますが、最近の農協の状態というものは、総合農政という形において農協が事業を運営されておる。ややもしますと、これがさっき言ったように、農協経営をしなければいけない。何しろ人が非常に多い。町村によりますと、町村役場よりも農協のほうが人員が多いというところがあります。そうすると、この給料も見なくちゃいけない。こういうところからも、農協経営ということに非常に農協の幹部は頭を悩まさなくちゃいけないようなことになってくると私は思うのです。こういう点に対してのもっと農民と密着するような指導というものが、特に農民に対する技術指導——かつて専門農協の時代にはそうでもなかったが、どうも総合農協になりますと、専門農協から離れた形になって、農民と密着する面が非常に少なくなってくるという傾向もありますが、こういうことに対してやはり農協が本来の農民の生産に直結するような指導、こういうことが特に必要じゃないか、かように考えるわけでございます。この点がどうも欠けておるような気がいたしますが、この点は政府としては現在の状態をどういうような状態に考えていらっしゃいますか。
  169. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 行政当局といたしまして、農協指導については、ただいまお話しのようなことが最も大切な点であるということは、私も痛感をいたしておるところでございます。いわゆるマンモス農協となって、そしてそれがために経営面が非常に拡大されるという場合がございましょう。これは合併等でだんだんそういう傾向もございまするが、かりに必要あってそのような形態になったとしても、その農協の本来の目的が失なわれるような傾向を助長するということであってはいけないのでありまして、その点については十分注意をし、指導をしていかなければならないと思います。
  170. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は今回の金融対策に対して、これがために農協がお留守になるとは言いません。これはこれとして、これと同時に農協指導、こういうものに対してもっと積極的にやるべきではないかということを、特にこの際私は申し上げたいと思う。  それでこの際、私は農林大臣に特に希望したいと思いますことは、今日、農村におきまして一番大きな悩みというものは、農民が何をつくっていいか、どうしていいかわからない。これがいいんだといってやりますと、それが生産過剰になる。いわゆるミカンみたいなものです。最近お茶の問題が起こっている。こういう点から考えまして、やはり日本農業に対するもっと計画的な生産というものが必要じゃないか、私はかように考える。ところが、今日、政府といたしましては、自由主義経済をやっておるので、計画生産というようなことはわれわれはできないのだというお考えであるとするならば、これはやはり農協が自主的に計画生産をやっていくのだ、こういうようなことをひとつ指導なさることも、農協が仕事を将来やっていく上において一つのテーマとして非常にいいものではないか。   〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕 それで、農協が農産物に対する生産計画をやる。もちろん農協が生産計画をやる以上は、これに対しては、生産計画によってなされた農産物に対しては価格の最低保障をするとか、そういうものも含めての一つの計画を立てる。そうすると、農民も安心して農業経営に取り組むことができる。こういうことをやるとするならば、やはり農協にそういうことを自主的にやらせるという指導をする。もしも農協がそういうことによって損失でもこうむった場合は、場合によっては政府が補てんしてもしようがないじゃないか。これぐらいの考えで取り組んでいかなければ、私は日本農業というものが安心して経営のできるような農業の確立はできない、こう考えるわけでございますが、これに対しては、大臣、どうお考えになっているか、承りたいと思うのでございます。
  171. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 農協が地域の農民のために寄与する、こういう点から考えていきますれば、一番実情について承知をしておるその地域の農業協同組合であると思うのであります。したがって、その農協が自主的にその地域の問題について真剣に取っ組み、営農指導をするということは、最も大切な地域の農協の活動の中心でなければならないと思います。でありまするから、ただいまの稲富委員のおっしゃることにつきましては、私もそのようにしむけていかなければならないし、それには何といっても、農協中心になる指導者のよい者を確保していかなければならない。そういうことで、営農指導員につきましては、今回の御承認をいただいた予算の中でも相当拡充をするようにいたしておるようなわけでございまするが、何といっても、よい指導者を得て、そして自主的な、お話しのような、地域に即した計画的な農業経営が進められるように向けていくことは、行政当局としての当然の責務だと思います。
  172. 稲富稜人

    ○稲富委員 ここで申し上げたいことは、もちろんいま大臣から御説明がありましたように、仕事の主体は単協でございましょうが、やはり国としての一つの生産計画たとえば米である場合は、米は本年度にどれほど生産するのだという生産計画がなければいけない。すべての農産物というものが、国としての生産計画がなければ生産過剰におちいるので、国が生産計画を立てると同時に、それを受けて農協自体がその生産計画に沿って単協を通じておのおの適地適作の生産計画を立てる、こういうような形をとらなければ、一つの単協だけではやっぱり生産過剰になる、こういうことを防ぐということはできないと思いますので、そういうような国としての総合的な生産計画が必要じゃないか。こういうものに取り組んでいかなければ、私は日本農業というものの将来は、不安の中に農業経営がやられるのじゃないかと思うのでございます。  それで、やはり国としての総合的な生産計画を立てる。その国としての総合的な生産計画によって、今度は農協が各単協におろす。単協は単協としてその土地の適地適作を生産する、こういうような一体となった指導、行政的な指導ですか、そういうとこがある程度必要じゃないかと思うのでございますが、それほど大胆なことをやろうというお考えは政府にないのでございますか、承りたいと思います。
  173. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 実はいつもここで申し上げる、昨年十月の「農産物需給の展望と生産目標の試案」でございますね。これは一見十年先のずいぶん大まかな計画のようにとれまするけれども、私はこれはどういう基礎によってつくられたかということを関係者に尋ねてみますると、これはそれぞれの各団体の方々の意見を中心にして、最後にエキスのようになっているのがここだ、その土台があるんだということから、こういうちゃんとしたものがあるとするならば、これをひとつ前提にして、目標にしてやっていこうということで、現在、私もそうでございますが、農林省全体としてもそういうような行政につとめておるわけでございます。  ただいまも米についての御意見がございましたが、米については、御承知のように生産目標を各県に割り当てている。そして各県の責任者を東京へ寄せて、ことしの方針なら方針をよく説明をして持って帰ってもらう。そしてその上に、本年でありますと、さらに——いま適地適作というお話でございましたが、もともとが画一的に行なわれたものであるから、ことしはたしか、非常にラフなことを申し上げて恐縮ですが、三分の二くらいは地域事情というものを反映させるように生産目標を立てたと思うのです。しかしながら、それがまたその地域の実情に多少でもそぐわない点があってはいけない。だから、生産目標を与え、同時にまた生産調整の目標も立てておるが、これについては地域の事情を十分反映して、なお中央でその調整をしようというようなことで臨んでおるわけです。  これは米の場合でございまするが、幸いにして、いま御指摘のような問題点については、ある程度の土台も持っておることでございまするので、お話しのような御趣旨に沿いまして、そのことが全国の農民の皆さんに多少でも不安がなく、ある程度の見通しを持って農業にいそしめるようにつとめたいと考えておる次第であります。
  174. 稲富稜人

    ○稲富委員 私、いま米の例を引いたのでございますが、米は従来非常に一般的なものになっておりますが、その他の農産物についてはやはり風土との関係、土壌の関係等で非常に適するところと適し得ないところとがあるわけです。  たとえばお茶を一つ見ますと、お茶というのは風土の関係、気候の関係で自然の影響を非常に受ける。ところが、お茶がいいと思うと、どこでもお茶をつくる。それがためにお茶の生産が過剰になるんじゃないかという問題が起こってきているというのが一例でございます。  そういうふうに、やはり土壊、風土等を十分検討した上での適地適作による計画生産、こういうものを考えていかなくちゃできないじゃないか。お茶がいいんだというと、だれでもどこでもお茶をつくる。お茶が適しないところでもお茶をつくる。ところが、葉っぱができても、うまいお茶とうまくないお茶とあります。それでもお茶をつくる。そうすると、特色を持ったお茶がすたれていく、圧迫をされるということになるんで、お茶は風土に非常に影響を受けるものですから私はいま例を引いたのですが、すべての農産物についてそういうような特色のある農産物を生かすのだ、こういうような計画的な生産をやらなければいかぬじゃないか。日本農業は、いままでのような一山幾ら式の農業じゃなくて、きめこまかな農業というものに取り組んでいくんだ、そしてそういう点からの指導督励をするんだ、こういうことが日本農業を生かす上において非常に必要じゃないか。そういう必要なことをやらせるならどこにやらせるかといえば、やはり唯一の農業団体である農協等を通じてそういう指導をするというたてまえをとることが一番いいんだ。  そういう点から私はその点を話しているのでございまして、農林省もすべての農産物にそういうふうにして取り組んでいく、それが日本農業を確立することに必要なことじゃないか、こう思いますので、この点について特にまた大臣の気持ちを聞いておきたいと思うのでございます。
  175. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今後の農政上たいへん大事な点を御指摘になっておられると思います。  いまお茶の話、先ほどはちょっとミカンのお話が出ました。私、それほど農業の知識に明るいとは自分自身思っておりませんが、お茶やミカンはことし植えたから来年すぐ生産になるという性質のものではない、言うまでもないと思うのであります。そうでありますると、お茶なミカンが過剰になったということについては、自然の風土になじむ、なじまぬという問題よりも、むしろ二年、三年後の情勢がどうなるかということが、これからお茶をやってみたい、ミカンをやってみたいという人たちに十分明らかでない現在、いまは何もかもおもしろみがないから、いいならばやってみようというようなことが全国的に総合されると、たいへんな過剰問題につながっていくというおそれがあるわけでございます。   〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、昨年お願いをして、機構改革をして十二月から発足をいたした新機構のもとで、統計情報事務所というようなものを、これは名前を変えただけでなく、やはりこれからの時代に沿うようにこの統計情報事務所を活用しようということであったと思うのであります。こういうところの活動が十分行なわれてまいりますると、相当農家のために寄与するんではないか。先般も農業観測というものを農林省で発表いたしたのでありまするが、こういうようなものが農家のために、農民のためになるように活用されるような、そういう傾向が今後うんと助長される必要があると思いまするし、またこの農業観測を発表するほうにおきましても、これは農家、農民にとって非常に大事なものであるという責任を感じながら作業をやってもらうということになっていきますると、これが農協指導者などに役立っていくんではないか。ただいまのお話のようなことがこれからの農政の上に非常に大事である、私もそういう点について力を入れてまいることを申し上げてお答えとしたいと思います。
  176. 稲富稜人

    ○稲富委員 いま大臣から御答弁になりましたが、一例にこういうことがあるんです。これはやはり国として非常に力が足りないと思いますが、たとえば私の地方にタケノコの産地があります。ところが、ミカンがいいということになると、タケノコ山を全部開きましてミカンをつくり出した。私はわざわざそこへ行きまして、もうミカンはやめなさい、ミカンはいまに生産過剰になるんだから、タケノコがいいですよ、現にタケノコの産地は、住宅が進出してきて、タケノコ生産はだんだん少なくなっていくんだから、タケノコ山はタケノコ山として育てたらどうかと言うけれども、いや、ミカンがいいそうだと言って、ミカンばかりやっている。何年かたつうちに、ミカンは生産過剰になる。タケノコのほうが非常に生産が上がっている。こういうような実態がある。これを今度ミカンをタケノコにしようと思っても、すぐできぬわけです。こういう点が非常に指導力が足りないじゃないか。やはり国として国全体を見渡した上においての計画的な指導をやらないと、農民は目先ばかり見ておりますから、ミカンがいいんだということになると、そればかりやっているというような状態になってくるんですから、こういう点をもっと強力なる指導をするということが必要で、やはり国が率先し、農林省が率先し、農協等を通じて全体的な見通しの上に立った計画をしなければ、局部局部ではわからないと私は思う。こういうことに対して、もっと農協というものを強く使うと言うと語弊があるかもしれませんが、指導するんだ、こういうことで日本農業を打ち立てていくんだ、農協のあり方に対しても今後もっと積極的に国は指導すべきだ、こういう考えを持つためにこれを申すわけなんです。この点を十分考えて農協というものを充実した農協に育てていってもらいたい。農協は単に、さっきも言ったように、農協経営者であってはいけないのだ、農民の生産を指導していくものにする、こういう充実した農協に農林省が仕立てることが、今日この農協法改正によって、金融面に非常に主力を置くと同時に、一方ではそういう点を怠ってはいけないではないかということを特に私は強く申し上げたいと思って、そのことを言っておるわけですから、どうかその点に対する十分な考え方をしていただきたいと思います。
  177. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 現在の農業協同組合の中で経営第一主義、そういう傾向の農協も非常に多いわけでございまして、そうでない地域農民のために、国との関連におきまして大所高所から見通しを立て、営農指導をしていくということが大事である、これはもうおっしゃるとおりだと思うのでありますね。そういう点の意欲が欠けて、農協の経営第一主義ということでは、これは地域の農民の皆さんにこたえるゆえんではないのでありまするから、いま申し上げたような傾向がもし今後助長されるとするならば、農協の本来の趣旨にも反することでありまするし、そういう点について農林省自体の指導というものについて十分考えなければならぬということは、これはもう当然のことでございます。そのような方向で、これからの農協指導に当たってまいりたいと思います。
  178. 稲富稜人

    ○稲富委員 大臣にこの機会に特に申し上げたいと思いますことは、農協を経営する上において一番安易なのは、金融なんですよ。これは指導をせぬでも、借りにきた人に金を貸して利ざやを取れば一番安易だから、金融に主体を置くということに一番危険性があるというのはそこなんです。特に私は今回農協金融というものを拡大されるので、手形取引等の問題が起こってまいりますから、特にこの点で注意したいと思います。  従来、農協金融で一番問題になっているのは、使い込みの問題があるのですよ。いわゆる職員の使い込みの問題とかいろいろな問題が方々で起こります。これは安易な関係でありますためにこういうことが起こる。あるいは農村でありますために、情実関係がある、こういうことにわざわいされまして、この使い込み等の不祥事が起こると思いますから、この際私は、農協というものが金融拡大して手形取引等もするということになれば、この点に対する特別な指導というもの、特別な知識人がその衝に当たる、こういう配慮を当然なさるべきであると考えるのでありますが、この点に対しては政府としてはどういうような御認識をなさっているか、承りたいと思うのであります。
  179. 内村良英

    内村(良)政府委員 手形割引が非常にあぶないということはそのとおりでございます。したがいまして、手形割引につきまして、私どもといたしましても、これをあらゆる農協に認めるというのはまだ時期尚早じゃないかというふうに考えております。一方、手形割引の必要性は、組合員の経済活動が広まるにつれまして最近非常に要望が出ておりますので、そこで、現実には一定の指導基準に合致した環境においてやらせたい。  その指導基準はどういうことかと申しますと、まず貯金の規模が二十億以上ある、さらに貸し出しの専従職員が二人以上いる、それから割引の依頼は組合員に限る、さらに融通手形等のあぶない手形は扱わない。この融通手形等の見分け方等は、十分そういった手形割引に従事する職員を事前に教育をいたしまして、そういった点に間違いがないようにやらせる。さらに、割引の限度額につきましては、一組合員当たり三千万円にするというようなことで、手形割引は確かに非常にあぶない仕事でございますので、十分職員等も訓練をし、一定の指導基準に合致する単協にやらせたいというふうに考えております。
  180. 稲富稜人

    ○稲富委員 この点は特にひとつ注意して指導してもらいたいということを私、重ねて申し上げておきます。  さらに、将来農協の事業としてやるべきものとして、全農を通じてでも御承知のとおり、本年度非常に飼料が高くなって、飼料の海外輸入に依存しておったというところにも問題があると私は思う。ところが、何と申しましても、飼料作物というものは日本ではなかなかできないとするならば、海外で飼料生産を全農あたりにやらせる、これに対してひとつ金を貸すんだ、こういうことで大々的な飼料作物を海外に生産するんだ、そしてこれは安く日本に持ってきて、日本の飼料を安くして日本の畜産に貢献する、こういうような手を踏まれないのであるか、こういうことをひとつ計画なさったらどうであろうかと思うのでございますが、いかがでございますか。
  181. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 具体的な例につきましては、担当の局長から必要があればお答えをさせますが、御趣旨の線に沿っての考え方といたしましては、私どもとしては、いわゆる開発輸入、今後インドネシアあるいはブラジル、従来の相当関係の深い各国におきまして所要の濃厚飼料の原料であるトウモロコシ、コウリャンなどにつきまして、これをいま申し上げたような海外において栽培をし、これを輸入してくるということは、現下の飼料の需給事情からいたしまして、また日本国内においてつくるについての生産性の格差から考えまして、当然やらなければならない施策ではないか、こう思います。  ただ、この委員会でもしばしば問題になりましたように、あまりにも海外依存の度が過ぎてはならないということで、その点につきましては、国内でできるものについて、粗飼料などはできるだけ自給をしていこう、あるいはこれからもっと裏作がよくできるようにしようとか、大豆などの増産につとめるとかいうようなことも考えながら、開発輸入やあるいは輸入先の多角化というようなことを考えて、これからの飼料に今回のような問題が起きないようにつとめたいと、鋭意努力しておる次第でございます。
  182. 稲富稜人

    ○稲富委員 いま私がこのことを希望しますのは、もちろん私たちは海外の農業依存ということは反対でございますので、ただ、日本でできない飼料、当然外国から入れなくちゃできない飼料、こういう飼料の原料を日本でつくらせて安く持ってくる、そうして日本のえさというものを安くして、安いえさによって日本の畜産の振興をはかることができるという特定のものをもってこれをやれば、何でもかんでもつくって日本農業を圧迫するというような、こういうような農業であってはいけないと私は思う。そういう点に限定して、ひとつ何かそういう方策を考える必要はないか。そしてどこまでもこれは安く日本に飼料を持ってこれるというこういう条件がなければ、海外から何でも持ってきていいんだという、そういう意味ではありませんので、そういう意味で何か考えはないかということをお尋ねしておるわけでございます。
  183. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの御意見につきましては、私も全く同感でございまして、そのような趣旨のもとに、先ほどもちょっと答弁が行き過ぎておったかと思いますが、申し上げた次第でございます。
  184. 稲富稜人

    ○稲富委員 次に、畜産の話をしましたので、ついでにこの機会に畜産に関係して申し上げておきたいと思います。  今日、畜産振興上一番大きな問題は、屎尿処理の問題が一番大きな問題です。屎尿処理には相当な金がかかりますから、生産者に屎尿処理対策をやれといいましても、なかなか金の問題で困りますので、これに対しましてはやっぱり屎尿処理に対する低利の融資をする、こういうことをひとつお考えになったらどうか、こういうこともこの機会にひとつ聞いておきたいと思うのでございます。
  185. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  御案内のとおり、都市化とかあるいは市街化の急速な進展なり、あるいは畜産では御指摘のように多頭飼育が進んでおりまして、屎尿問題の処理が今後の畜産の継続発展にとっては非常に大きな課題で、これの対応をいかにするかということが最大の問題の一つだというふうに承知しております。  これについては、一方ではやはり土地への還元というような方式、これを進めなくてはいかぬということと、もう一つ、その条件の整わないところでは、やはり施設の処理、浄化処理とか乾燥とかあるいは焼却とかというような効率的な施設を開発いたしまして、それらによる処理を効率的に進めるというふうに考えておるわけでございまして、この点については技術の展示的な助成事業というものを、すでに各種の浄化処理なりあるいは液肥による還元とか、また乾燥、焼却等の実験事業等によって行なっておるわけでございます。  さらに進んで移転型の畜産団地造成事業というようなものを公共事業として、先生御案内のように、四十五年から行なっておりますが、本年度はさらにそういう移転型でなくて、その地域が畜産として存続発展する、しかも公害問題に対応しなくちゃいかぬという地域については、草地の造成とかあるいは屎尿の一元的な処理とか、その他畜舎の付近への移転とかあるいは遮断林の設置とかいうようなものを、県営の公共事業として今回新規に取り上げたわけでございまして、予算といたしましても、四十七年度は約十六億でございますが、四十八年度は三十億くらいの公害関係予算を計上いたしまして対応するというわけでございます。  一方、融資においても、個々の農家の方が融資を受けて対応するという点については配慮する必要がございますので、これにつきましては、従来も総合施設資金とかあるいは農業構造改善資金とか近代化資金、それぞれに公害防止施設は対象にしておりますけれども、さらに農林漁業金融公庫資金の畜産環境保全資金を今度新設いたしまして、金利も、主務大臣指定施設資金は、一般に六分五厘でございますが、これについては据え置き期間中は四分五厘、それからそのあとは五分というようにして、大幅に条件を改善するなり、融資限度についても、事こまかに申し上げませんが、大幅に五割以上の融資限度を拡充いたしまして、これに積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。
  186. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは法案には関係なかったんですけれども、せっかく畜産局長が見えておりますので、この問題についてさらに私この機会に申し上げたいと思いますことは、さっき言いましたように、屎尿処理の施設の問題、非常に大きな問題で、なかなか生産者は困っております。それで、いま畜産局長が言われたようないろんなこれに対する融資その他の問題を考えていらっしゃると思うのでございますが、さらに私、ここで考えていいのは、御承知のとおり、競馬益金があります。競馬益金は畜産振興に使っていいんだから、この一年分の競馬益金を屎尿対策に突っ込んだならば、屎尿処理対策というものは私は相当に思い切ったことができると思うのでございますが、そういう思い切ったことをひとつおやりになったらどうでございますか。
  187. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、競馬の益金は、競馬法に基づきましてその四分の三以上を畜産振興費に使うというように規定されておりまして、現に中央競馬会の益金の納付額の四分の三以上を畜産振興事業に充当させております。したがって、制度の目的を達しておるわけでございますが、これにつきましては制度の法律改正その他の問題もございますし、現に重点でございます公害対策関係については、財政当局等も積極的にその予算の拡充についてはこれを認める方向で進んでおりますので、公害対策について財政とか経費の制約からその事業の進展が障害にあっているというふうにはわれわれ現在判断しておらないわけでございまして、必要な事業について適切な施策を打ち立てまして、積極的に予算の充実につとめることによって当面対応していきたいというように考えております。
  188. 稲富稜人

    ○稲富委員 畜産局長から中央競馬会の益金の話があったのですが、地方競馬会にも益金があるのですから、これは地方競馬会の全競連で直ちに畜産振興費に使われるんだから、これをお使いになったらどうなんですか。
  189. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 中央競馬のみに即しまして、答弁が舌足らずでございましたが、地方競馬の益金につきましても、御案内のとおり、競馬振興に現在充当しております。その額は四十億ないし五十億でございますが、これは末端の需要に即しまして、適切な事業についてはわれわれ全面的にこたえていくという方針でございまして、現に、ここではこまかい計数を持っておりませんが、公害関係の施設、バキュームカーだとかあるいは公害防止施設については、積極的にそれぞれ地元の関係の方々の御要請にはこたえておるつもりでございますが、緊急の課題でございます公害対策方面にその経費の配分について配慮していくということについては御指摘のとおりでございますので、今後も進めてまいりたいというように考えております。
  190. 稲富稜人

    ○稲富委員 この問題は、地方競馬益金というものを積極的にお出しになって、この公害対策としても重点的にこれを使う、そうして畜産振興に資するんだということでひとつ取り組んでいただきたいということを、畜産局長に特にこの機会にお願いをしておきたいと思うのでございます。  次に、農林中金法についてお尋ねしたいと思います。これは先日来湯山さんから質問しておったのでございますが、この農林中央金庫法の第二条に「主務大臣」というのがあります。この主務大臣は、農林大臣と大蔵大臣が主務大臣だということになっておるのであります。監督の場合はこれは主務大臣が二人おってもいいと思いますが、非常に認可事項が多いという場合に、主務大臣が二人おって二人とも協議しなくちゃならないという問題が起こってくると思うのでございますが、どういうわけで主務大臣を二人置かれたのであるか。これは監督はいいですよ。しかしながら、やっぱり認可事項がある。こういうときに非常に不便じゃないかと思うのですが、なぜこれを二人置いておかなければいけないのであるか。この点の理由を、これは先刻湯山さんが聞いておりましたですが、この点をひとつ特に私、大臣にお聞きしたいと思うのです。
  191. 内村良英

    内村(良)政府委員 御承知のとおり、農林中央金庫は農林漁業に関する協同組合の中央機関でありまして、所属団体に対する金融の円滑化をはかると同時に、系統組織と一般金融市場との接点としての役割りを果たしているわけでございます。したがいまして、中金のいろいろな仕事というものは、もちろん所属団体に対する金融の円滑化というのが最大のねらいでございますが、同時に一般金融市場との接点という点にも立っておりますので、農林省及び大蔵省の共管になっているわけでございます。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 したがいまして、現実の運営でございますが、農林中金のそうした性格に基づきまして、総合的見地から農林省と大蔵省は緊密な連絡をとりましてその指導監督を行なっておるわけでございます。そういった関係になっておりますので、両者の監督の内容を単純に割り切ることはなかなかできないという性質の問題でございます。  したがいまして、現在こういった政策に関する認可事項につきましても、両者協議してやっておりますので、現在のところ農林大臣の専管とするということは考えていないわけでございます。
  192. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは農林関係が主体であって、一般金融というものは付随したものになるのじゃないですか。その場合、農林大臣だけでできないという理由はどこにあるのですか。しかも、私、先刻言ったことを重ねて申し上げますが、業務を監督する場合は二人でもけっこうですよ。しかし、認可事項になった場合、大臣が二人、そんなに農林大臣、一個の大臣の力がないものですか。大臣が二人相談しなければ、これは認可できないようなものでございますか。どうして主務大臣農林大臣なり大蔵大臣とするということに規定できないのか。それほど農林大臣というものは信頼がないのか、認可権限が薄いのか、この点どういう関係なんですか。どうも私たちはふに落ちないので、重ねてお聞きいたします。
  193. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど内村局長からお答えをいたしたのでありまするが、私、質問を承っておりまして、指導監督は両大臣でもいいが、農林漁業政策に関してはどうかという御疑念をお持ちであるわけで、私も聞いておると、なるほどそういうことかな、こう思うのでありますが、しかし、局長の御説明のとおりに、農林中金は農林漁業に対する協同組合の中央機関である。だから、所属団体に対する金融の円滑化をはかるという意味、それと同時に、一般金融市場の金融というものとのちょうど、先ほど接点と言いましたが、接点に立っておるということで、そこで農林省だけ、大蔵省だけといかない。認可事項についても両省でいこう、こういうことであったのだと思うのでございまして、御質問の御趣旨は、私のように、農林大臣として農林行政に専念をしていくという立場からいえば、理解ができるところがございまするけれども、どうして農林大臣の単独権限でないのかということについては、いま申し上げるような一般金融市場と系統組織との接点にあるから、両省、両大臣で共管である、こういうことでございます。
  194. 稲富稜人

    ○稲富委員 わざわざこういう複雑多岐にわたるようなことをなぜ考えたか、どうもその点が私はわからないのでありますが、それはそれとして、次にお尋ねしたいのは、これは先刻から問題になっておりましたが、今日、農林中金の貸し付けの問題で、大臣も先刻から商社貸し付け等の問題をいろいろ御説明になっておったのでございますが、御承知のとおり、この商社貸し付けというものは、どういう方面に現在貸し付けをしてあるか、承りたいと思いますけれども、ちょっとここには資料はないでしょうね。
  195. 内村良英

    内村(良)政府委員 ちょっと御質問趣旨がはっきりしないのでございますが、商社貸し付けがどういう方面という意味は、商社に中金が貸し付けているのは、商社のどういうような活動に対して貸し付けているかという御質問でございましょうか。
  196. 稲富稜人

    ○稲富委員 実は十五条の第五号によって、食糧営団その他農林水産業に関する業務を営む法人に対し主務大臣の認可を受け短期貸し付けをすることができるということになっております。この条文によって、農林大臣の認可を受けて貸し付けられておるのが相当にあると私は思っている。これがどういう方面に貸し付けてあるかということをお聞きしたい、こういうわけなんです。
  197. 内村良英

    内村(良)政府委員 それは関連産業貸し付けというものでございまして、先ほども説明申し上げましたけれども、たとえば農業生産に必要な資材を製造しているものとか、あるいはそれの流通を担当しているもの、あるいは農業法人だとか、それから施設等につきましては、たとえば有線放送をやっている協会だとか、そういうようなものに、関連産業ということで融資をしているわけでございます。
  198. 稲富稜人

    ○稲富委員 先刻から話が出ておりました大商社に対し千二百億の金が貸し付けてあるということ、これはどういう解釈によって貸し付けられたのでありますか。
  199. 内村良英

    内村(良)政府委員 それは商社が、先生よく御承知のように、えさを輸入してまいります、あるいは肥料の原料を輸入してまいります。そういうものを全農に売っているということで、全農商社との間には、そういった農業の生産資材というものの供給の面で非常に関係があるわけでございます。そこで、商社のそういった面の活動は農林漁業の生産資材の供給と密接な関係があるということで、さらに、各商社別に、そういった活動の関連度がその会社業務の中で一割以上の比率を占めているというものは、かなりそういった面で農林水産業の生産資材の供給に貢献しているという解釈で、関連産業ということで中金は貸し付けを行なっているわけでございます。
  200. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、そういう場合に、農林中金が貸し付ける場合は、法の第十五条第五号の規定により、主務大臣の認可を受けて短期貸し付けをなすことができるというので、期限も切ってあります。農林大臣はそういうものに対して実際認可をなさっていると思うのでございます。これは大蔵大臣も、二人とも認可なさらなければできないわけでございますが、そういう認可を受けてやっていることは間違いないだろうと思うのでございますが、認可した以上は、それに対する監督もあるはずなんですが、認可のしっぱなしなんですか。この点はどうなんですか。
  201. 内村良英

    内村(良)政府委員 関連産業の融資につきましては、まず関連産業先というものを認可しているわけでございます。といって、そういった関連産業に対して野方図に貸すというわけにはもちろんまいりませんから、半期ごとにそれぞれ資金のワクをきめまして、その資金ワクについて包括的な認可をしている。その範囲内で中央金庫は融資を行なっているわけでございます。そこで、役所といたしましては、その包括認可の範囲内で融資が行なわれているかどうかということにつきましては、厳格なる監督を行なっているわけでございます。
  202. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、政府として認可した以上、これに対する監督というものは、どの範囲の監督なんでございますか。その金がどう使われておるか、ここまでは監督が及びますかどうか。
  203. 内村良英

    内村(良)政府委員 融資いたしました金がどう使われているかというのは、非常にむずかしい問題でございます。そこで、現在のところ、農林省は、大蔵と共管でございますが、中金に対する監督は、そういった資金ワクを包括的に認可する、半期ごとに認可いたしまして、その資金ワクが厳格に守られているかどうか、それから貸し付け先につきましても厳格に規制をしておりますので、その範囲内のものであるかという点につきましては、厳格に監督しております。  ただ、先ほども御答弁申し上げましたけれども商社の肥料なり飼料の購入資金ということで商社に運転資金を貸す、その金がそういった活動に使用されているかどうかという点を追及してやるというところまではやっておりません。
  204. 稲富稜人

    ○稲富委員 これはひとつ大臣、主務大臣でございますから、やっぱり認可をする上において非常に責任があると私は思うのですよ。  この問題に対しては、私はもう十年ばかり前でございますが、委員会で聞いたことがあります。それは、こういう問題がありました。ある水産会社がブロイラーを計画しまして、農民に、その水産会社は飼料をつくっておりますから、私のほうでひよこは貸します、えさも貸します、八十五日には全部それを買い上げます、こういう約束でその水産会社がブロイラーを奨励いたしました。いよいよ八十五日目にはそのブロイラーをもちろん買い上げました。ところが、そのブロイラーの値段というものがえさ代とひよこ代にも足らないのですよ、欠損になった。それを全部約手にしてしまった。何年間もその約手をとりまして、最後には約手に対する訴訟を起こしたことがある。私は、その場合に、その水産会社というものは農林中金から金を借りているので、少なくとも農林中金が水産業に関係あるものに貸すとするならば、その資金によって農民をまた搾取するような金には使うべきじゃない。本来から言うならば、農林中金の金というものは、農村の生産事業、農村の振興事業に使わなければならない金ですよ。農村の振興に逆行するような行為に使うということはけしからぬじゃないか。これに対する監督を十分すべきじゃないかということを言ったことがあるのであります。少なくとも、この農林水産に関する事業を営む法人に対して主務大臣が認可するわけですから、認可した以上はやはり責任がありますから、これが使途に対しましても、何とか農民を欺かないような、農民農村振興をじゃまするようなことをやるような会社法人、そういうものには貸し付けないというような、何かそこに歯どめというものが私は必要じゃないかと思うのでございますが、これはいかがでございますか。
  205. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ごもっとものようでございまして、そういうふうにいたしたいというこの気持ちは正直言って起きるのでございまするが、実は貸してしまった金が、これは常識的に判断いたしますと、農林中金だけの金であれば、それがどういうふうに動いていくかがわかりますが、相当巨額な金を運用しておる、たまたま一部に農林中金の金もある。出すときには農家にとっての必要な資材のためということで出ておる。確かにそれも買い付けておる。こういうことになってまいりまするので、そこで内村局長が申し上げたように、なかなか追跡調査はむずかしい。しかし、今回のようないろいろ問題が起きますれば、包括的にも批判されるべき営業をしておったという指摘を現に受けつつあるのでございますから、したがって、昨日来あるいはその前からも申し上げておるように、農林中金やあるいは農協の系統資金についての金融については、これはかりそめにも疑惑のあるようなことのないように厳正にしてまいりたいということを申し上げておるわけでございまするが、現在半期ごとに包括的な資金ワク、それから貸し付け先、こういうものは掌握ができるのでございまするから、そういう現に掌握しておる面から、ただいまの追跡調査、金に色がついておらないという困難性はあるが、現に監督しておる面からもよく私どもが現下の御批判を念頭に置いて監督をしていける面があるのではないか、こういうふうに思いますので、御趣旨に沿って、せっかくの農家や漁家の皆さんの貴重な金というものが、それらの人々の首を絞めるような事態になることはできる得る限り避けないと思います。
  206. 稲富稜人

    ○稲富委員 私はこの法律で特に、いま申しましたように、貸し付ける場合に主務大臣の認可を受けなくてはいけない、こういうことを規定したということは、やはりその点の責任を考えて決定したことだと思うのです。それで、今度認可する以上はやはり大臣に責任があると言わなければならない。その点から私は先刻言っている。主務大臣が二人おるので、どうも責任がどちらかわからぬようになってくるから、この大臣の責任問題というのが、農林大臣と大蔵大臣とどっちだということになってきますので、何も二人だから責任を負わないとか、なおざりにするとかいうような大臣ではないとは思いますけれども、やはり二人責任者と一人責任者とは非常に違いますので、私が先刻から主務大臣が二人だということは認可事項に非常に影響するじゃないかということをお尋ねしたのはそこにあるのですが、やはり認可をした以上は、これに対する監督指導の責任もあらなければいかないじゃないか、私はかように考えます。  特に監督の場合に、第六章の監督において、主務大臣は必要と認めるときは中央金庫に命じて業務、財産の状況を報告せしめることもできるわけなのだから、認可したばかりでほっといて——どうも先刻から私は大臣に気に入らぬことばかり言いますが、大商社に対する中金の貸し付け等の問題がありましても、貸したあとはしようがないとおっしゃるが、貸すときにすでに認可の責任があるのですから、人ごとじゃないわけなのです。この点はやはり真剣にもうこの際考えなくちゃいけない問題ではないか。それがために大臣に対する認可の権限を与えているのですから、認可した以上は監督指導の責任というものは怠ることはできないと私は思うのですが、この点をひとつ特に私はこの機会に主務大臣の、本来からの主務大臣が二人あるならば、二人の決意を承りたいと思うのですけれども農林大臣一人いらっしゃいますが、その点の決意のほどを私は重ねて承っておかなければいけない、かように考えます。   〔山崎(幸)委員長代理退席、委員長着席〕
  207. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 現に国民大衆の中からきびしい批判のある商社の投機行為あるいはいわゆる買い占め、売り惜しみの行為でございます。そういう情勢を頭に買きましたときに、融資が厳正の上にも厳正に行なわれなければならないということは言うをまたないと思います。監督者が二人で、両方で監督の責任を避ける、こういうことであれば、これはたいへんな問題でございまするが、先ほど申し上げた系統組織と一般金融の接点にあって、そうして大蔵大臣農林大臣両方から監督をする、こういうことでございまするから、この辺をうまく運用していきますならば、もっと厳正に事が行なわれるということも考えられますから、事は私どもの心がまえであると思います。それと同時に、やはりその衝に当たっておる農林中央金庫理事者の諸君の商社に対しての接触のしかた、融資をする場合に十分その所与の目的にそれが使われるかどうかということに、厳正な細心な注意が払われるべきが必要じゃないか、こう思うのでございまするが、監督の点に対しての、もっと私どもの姿勢を正さなければならぬということにつきましては、十分今後注意をしてまいりたいと思います。
  208. 稲富稜人

    ○稲富委員 こういうような十五条による農林水産業に関する貸し付けというのは、余裕金のあった場合は、これは何といいましても余裕金がありますと困るから早く貸したい、当事者のほうでは、ダブついておるから、いい借り手が出たから早く貸したい、金利を取らなければならぬ、こういうことにならぬとも限りません。しかし、これに対してはやはり監督官庁は、主務大臣は、農林中央金庫の金というのは何といっても農村振興に貸すことが第一義である、このたてまえだけは常に持っていて、そしてそのほかに余裕金ができた場合は、少なくともその金というのはやはり農村振興に何か寄与するという、こういう考えで認可すべきである、かように考えます。これに対してひとつ、それが基本的な考えでなければいけないと思いますが、いかがですか。
  209. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいま先生御指摘のとおりでございまして、そういった面での貸し付けは、本来業務に支障のない範囲内においてやる、それから関連産業といいましても、無制限にどこにも貸せるというわけじゃございませんで、やはり農林水産漁業の振興と結びついたところに貸していくということでやっているわけでございます。  それから、運転資金、余裕金の運用の場合には、やはり法律上にもはっきり短期の資金と書いてございますが、運転資金の貸し付けが多いわけでございます。設備資金の場合でございますと、たとえば設備の建設の度合いに応じまして金を貸していく。そこで設備がどれくらいできておるかということをみんな見ていくわけでございます。そういうことで、融資先の資金の使用状況がずっと追及できるわけでございますけれども、短期の運転資金、たとえば三カ月の運転資金ということでございますと、しかもそれが協調融資というか、ほかの金融機関と一諸になって貸しているという場合にはなかなか追及がむずかしいという技術的な面もございますけれども、御指摘の意を体しまして、私どもといたしましては、今後中金の監督を厳格にやっていきたいというふうに考えております。
  210. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、第十五条第五号の短期貸し付けというのは三カ月でありますか、何カ月で区切ってありますか、短期というのは。
  211. 内村良英

    内村(良)政府委員 短期は一年以下でございますが、普通商業的な運転資金というような場合には、三カ月くらいが多いわけでございます。
  212. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、それを期限が来てもまた重ねて貸すということもあっているわけでしょう。一応そういう期限を切っておるけれども、その短期の期限というのは厳重に守られておりますか。また継続されておりますか。
  213. 内村良英

    内村(良)政府委員 通常の金融といたしまして、また必要な運転資金を貸すということは当然あり得るわけでございます。
  214. 稲富稜人

    ○稲富委員 この問題につきましては、せっかく短期と切ってあるなら、よほどその点は考えて、そのまま延ばすんじゃなくて、そのつどやはり監督をする、こういうことを怠らないようにすることが必要じゃないかと思いますので、この点今後十分ひとつ注意していただきたいと思います。  さらに、この機会に大臣にお尋ねしたいと思いますが、農林中金並びに農業協同組合金融の問題が今日こういうふうに改正案としてあらわれておるのでありますが、この機会に農林漁業金融公庫法もまたこの情勢に応じて当然改正をすべき問題がたくさんあると思うのでございますが、これに対しては何か考えがありますか。
  215. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 将来の問題といたしまして検討を要する点があることは、私どももそのように感じておりまするが、現在それでは漁業金融公庫法の改正を準備しておるか、こう申しますと、それはまだそのようにはいたしておりません。
  216. 稲富稜人

    ○稲富委員 もう時間がありませんから最後になりますが、この機会にひとつお尋ねしたいと思いますことは、今日、農村におきまして、これは農業近代化資金関係にも影響する問題でありますが、農村金融として一つお尋ねしたいと思いますのは、農業を減反いたします、転作いたします、その転作地に対して、あるいは養鯉あるいは養鰻、あるいは植木、こういうのがあるのでございますが、こういうものに対しても、植木のほうはあとにしまして、養鯉、養鰻というものは、これは漁業の部類に属するのではないかといって、漁業近代化資金じゃないかといわれます。あるいはこれは農民がやるから農業近代化資金ではないかといわれておるのですが、この点は両方で借りておるのがあるのですが、この点はやはり農業の一部とみなすのだということをはっきりここで定義づけて、そして農業近代化資金で融資するのだということの定義をひとつやってもらう必要があるのじゃないか、かように考えます。これは農村振興地域の指定の問題とも影響いたしますので、この点をこの機会にひとつ的確なる定義をきめていただきたいと思うわけでございます。
  217. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御指摘のように、養鰻あるいは養鯉、これは内水面養殖事業ということになりまするから、一般には漁業近代化資金ないし農林漁業金融公庫資金の活用によるべきだと思います。しかし、お話のような稲作転換ということから考えまするならば、それにつきましては昭和四十六年度から農業近代化資金の融資対象に加えることにいたしたのでございまするが、これは当面の農政の緊急課題としての特別暫定的な措置であるということに御承知をいただきたいと思うのであります。
  218. 稲富稜人

    ○稲富委員 暫定的な処置ということになると、将来はどうなりますか。将来は、暫定というのはどの期間続いていきますか。
  219. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 一応お答えができますのは、昭和四十六年度から五カ年間生産調整ということになっておりまするから、この生産調整が終われば、したがっていまの稲作転換の趣旨には沿わないということで、自然に消滅いたすものと解釈いたします。
  220. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうなると、五年したら、いまの養鯉、養鰻をやっているのはどうすればいいのですか。やり直さなければいけないということになると、その処理はどうなるのでございますか。やっている者は非常に不安を生ずることになる。五年間はいま言う稲作転換だから農業近代化資金でやっている、暫定だから五年したらその期間が切れるんだということになりますと、その先はどうすればいいことになりますか。これは事務的に教えていただきたいと思います。
  221. 内村良英

    内村(良)政府委員 農業近代資金で融資を受けているという場合には、その融資を受けた額を融資年限に応じまして返済していくということになるわけでございます。  そこで、ただいま大臣から御答弁ございましたけれども、稲作転換の五年の期間が過ぎた、そこでまた新しく金が必要になったという場合に、今度は農業近代化資金で借りられるかどうかということになりますと、いまのところでは扱いが生産調整と結びついておりますから、農業近代化資金では扱えない。そこで、漁協のほうに行っていただきたいということになるわけでございます。融資の条件その他は、農業近代化資金と漁業近代化資金とあまり違いません。  ただ、一つ問題は、漁協のないというところが出てくるわけでございます。それにつきましては、現在そういう人たちは農林金融公庫の資金を受けることになっております。これは融資の条件はちょっと違いますが、ほぼ同じような水準になっておりますので、将来生産調整が終わった段階におきましてこの資金制度をどうするかという、養鰻あるいはコイを飼う場合の資金制度をどうするかということは、もう一度行政庁といたしましても見直していかなければならない問題だと思います。思いますが、現在のところはそういったことで支障なく動いておるというふうに考えておりますので、御了解願いたいと思うわけでございます。
  222. 稲富稜人

    ○稲富委員 そういう場合、検討してもらわなければいけませんのは、そうすると、漁業関係では、農民が漁業をするという、養鰻とか養鯉をやるのは漁民じゃないというのですよ。どこまでも漁民だと言うのです。漁民じゃないんだから漁業近代化資金はだめだ、こうくるのですから、その点をはっきりと解釈をしておいてもらいませんと、宙に迷ってしまうということになりますよ。この点ま特に今後の課題としてお考えおきいただきたい。  それから植木の問題でございますが、御承知のとおり、農林漁業金融公庫法の問題は私いま申し上げたのでありますが、農林漁業金融公庫の貸し付け対象にしましても、苗木はあるけれども、植木というのは貸し付け対象になっておりません。これはなぜかというと、農林漁業金融公庫ができた時分は、植木というものは今日ほど大きな生産品目ではなかったということなんです。植木というのは単なる庭つくりのやる仕事だった。ところが、今日は、緑化運動、道路の緑化ということで、公害問題とからんで植木が非常に大きな役割りを占めている。ところが、貸し付け対象でないという問題があるわけであります。おのずからこういう問題は、さっき申しました転作のための植木という問題もからんでくるわけでございますから、これをいま話しました養鯉、養鰻と同一に考えて、農業の一部としてやるんだ、それで農業近代化資金も貸せるのだ、こういうようなことになることが妥当ではないか、かように考えますので、この点ひとつこの機会に承りたいと思うのです。
  223. 内村良英

    内村(良)政府委員 植木の生産につきましては、ただいま先生から御指摘がございましたように、最近非常に需要が伸びておりますし、これも農業の一環としてやっておる面が非常に多いわけでございます。そこで、昭和四十五年度から農業近代化資金によりまして、花木の植栽育成資金を融資対象に新たに加えて実施しております。  そこで、問題は公庫資金でございますが、公庫資金につきましては、植木ではなくて、街路樹等のいわゆる緑化樹でございますが、それの生産につきましては、最近生活環境の整備等の面で需要が急速に増大しておりますので、農林公庫に樹苗養成資金を設けておりまして、緑化樹向けの貸し付けの増大を見込みまして、四十七年からはこの資金のワクの拡大をしているということで、一般の植木につきましては近代化資金、それから街路樹等につきましては公庫資金で対応している、こういう形になっております。
  224. 稲富稜人

    ○稲富委員 もう時間が来ましたのでこれで終わります。  ただ最後に一つ、農村金融に対しましては、以前私は農林大臣にも希望を申し上げたことがあったんでございますけれども農村の経済の伸びの状態から見れば、できるだけ安い金利で農村金融というものがやられますように、さらにまた気やすく金融面に対する処置がとられますように、こういうことを将来も特段の配慮をしていただきたいということを特にお願いを申し上げまして、私の質問を終わることといたします。
  225. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 ただいま農林中央金庫理事長片柳真吉君に参考人として御出席をいただいております。  参考人にはお忙しいところ御出席いただきましてありがとう存じます。参考人の御意見は、委員からの質疑によってお述べ願います。  質疑を続行いたします。角屋堅次郎君。
  226. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ただいま議題になっております農林中央金庫法の一部改正並びに農業協同組合法の一部改正に関しまして、農林大臣質疑をいたしたいと思います。  まず冒頭に、過般、この両法案等を含めましてきょうお見えになっております中金の片柳理事長をはじめ参考人の招致がすでに行なわれておったわけでございますが、委員長並びに理事の特別の取り計らいによって、本日再び片柳理事長の御出席の了承を得たことにつきまして、お礼を申し上げておきたいと思います。  この両法案につきましては、当初ここに御出席の与党の湊委員の示唆に富んだ質問を口火にいたしまして、それぞれ野党ほとんど全員の質問が今日まで展開されてまいりました。いわばこの両法案については、問題点はほぼ説き尽くされておるというふうに率直に思うのでございます。したがいまして、問題点については同じ問題意識でありますから重複することになりますけれども、取りまとめとして重点的な項目のみお尋ねをして、大至り答弁が明確適切であれば、持ち時間はございますけれども、その範囲内で終わりたい、こういうふうに思っておりますので、答弁についてはそういう気持ちで明確かつ適切な御答弁を承りたいということを要望申し上げておきたいと思います。  冒頭にお伺いしたいのでありますが、これは先ほどの稲富先輩の質問をはじめ、本委員会質疑の中でも展開されてまいりました問題でございますけれども、まず第一の問題として、いま改正の俎上にのぼっております農林中央金庫法の一部改正、これは系統金融になるわけでございますが、さらに先ほども問題の指摘がありました農林漁業金融公庫、あるいは過般通りました農業近代化資金、こういうものを含めました制度金融、こういうものが現実に動いているわけでありますけれども、農林漁業金融公庫等の財政資金の貸し付け問題、あるいは農業近代化資金等の系統資金に利子補給を加えた貸し付けなどのいわゆる制度金融二つの問題と、系統のプロパーの金融との間の位置づけという点が、ややもすれば混線状態がないわけではございません。したがって、公庫法の今後の検討も含めて、基本的にどういう考え方、あるいは資金についてはどういう任務分担でいこうとしているのかという点について、まず農林大臣の基本的な考え方を承りたいと思います。
  227. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 系統のプロパーの金融は、これはもう言うまでもなく、農林漁業者が組織する協同組合組織の事業活動そのものである。でありますから、何よりもまず農林漁業者等の資金需要に円滑に対応できるようにつとめることが当然の社会的責務であると考えるのであります。ところで、農林漁業経営の零細性、低収益性等その産業としての特殊性から見て、農林漁業の維持発展をはかるためには、特に長期低利の資金が供給される必要がある、こういうニードが起きてくるわけでありますから、そこに制度金融の必要性が出てくる、かように見ておるわけであります。
  228. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 任務分担の問題について、昨今のいろんな諸情勢から見て、制度金融関係あるいは系統金融関係も含めて、その任務分担についてはどういうふうに検討改善をしていくかという点について、担当局長のほうからさらに具体的に御説明を賜わりたいというふうに思います。
  229. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいま大臣から基本的な考え方につきましての御答弁があったわけでございますので、若干補足して御説明申し上げますと、昨今の諸情勢にかんがみまして、それでは今後の農業金融問題を考えていくときにどういう点に留意していくべきであるかという点でございます。  まず第一に、総合農政推進のための融資体制の確立をはかる必要がある。それから次に、農業金融、これは農業及び農村情勢が非常に変わってまいりましたので、そういった新しい事態の対応につとめる必要がある。それから第三は、農業金融の能率化及び円滑化をはかる必要がある、これとの関連で金融制度の簡素合理化につとめる必要があるというふうに考えているわけでございます。  こういった基本的な考え方に立ちまして、それでは金融制度をどう展開していくかということでございますが、御案内のように、公庫資金と近代化資金が制度金融としてあるわけでございますが、公庫資金は、財政資金を原資といたしまして、長期低利な資金であって、一般の金融機関が融資することは困難であるけれども、政策的に必要なものというものを融通するのが公庫資金目的でございます。したがいまして、こういったことになりますと、その資金分野も、基盤整備や経営構造改善等がおもなものとなっていくわけでございます。現実に公庫資金の貸し付け先の七割以上はこういった面に現在すでに融資されているわけでございます。  これに対しまして、申し上げるまでもなく、農業近代化資金のほうは、系統機関等が農業者等の資本装備の高度化及び経営の近代化のために中長期の施設資金等を融通する場合に、国と県が利子補給を行なうものでございまして、制度的には漸次一般農業者が必要とする大部分の資金分野をこれに吸収するようにつとめてきておりまして、こういった資本の装備の高度化及び経営の近代化というような面は、今後もこの近代化資金で対応していくようにしていかなければならぬというふうなことで、両制度資金の分野をそういったふうに考えているわけでございます。
  230. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 資料等で農協系統三段階の資金の流れというふうなものを見てまいりますと、農家等からの農協への貯金、これは大体八兆円をこえるという段階に来ておるわけでありますが、そして逆に農協から組合員への貸し付けということになると、四十七年九月末現在の数字からいけば三兆六千八十二億円、こういう状態で、あとは農協から員外貸し付けあるいは有価証券その他という形になりますし、農協からさらに信農連への預金というのは四兆円あって、これが農協に対する会員貸し付けとして一兆四千億円台のものが貸し付けられる、あるいは信農連としてはその他のものが員外貸し付けになっていく。さらに農林中金の場合は、信農連からの預金が二兆二千四百億円台のものが入って、所属団体へは約五千億近くのものが貸し付けられる、あるいは関連産業貸し付けはじめその他のものに行く。もちろんこれに共済連、信漁連、農林債券等のものがそれぞれのセクションに入ってまいりますけれども、こういうことで、委員のひとしくいままで強調してまいりますことは、系統の金はやはりできるだけ系統のそれぞれの会員、組合員のところで最大限有効に使っていくということを、系統金融としては本来的に考えていかなければならぬということが当然いわれるわけでありますが、結局この中金法の改正にいたしましても、それと関連する農協法改正にいたしましても、現実に資金が相当にゆとりがある。これはやはり関連産業その他新しい改正の部面も含めて他に活用を考えていきたい、こういう改正が出てきておるわけでありますけれども、本来的にはやはり農林あるいは農協、こういった形の中で最大限系統金融が使われるための方策を具体的にどう考えていくのか。  そこで、基本的に問題になるのは、私どもの党の同僚議員からもいろいろ議論が展開されましたように、投資をしても、将来展望として、返していく自信があるというふうな農林漁業の体制をつくらなければ、系統に相当に金が集まっても、系統プロパーで使うということになかなかなりにくいという現実面があるわけでございまして、もちろん農協、信農連あるいは農林中金の系統に対する資金の融通についての内部改善等の問題も含まれますけれども、本来はそういう問題が基本であろうと思う。いわゆる系統の金は系統プロパーでという意味における基本的な考え方についてお伺いしておきたいと思います。
  231. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま御指摘資金の流れでいきますと、系統内運用比率が五七%程度、こういうことでございまして、本来農業者のために活用すべき資金が系統内への消化が非常に低いということはきわめて残念に思うことであります。  ただ、この場合に、ただいまお示しのように、員外貸し付け等を御指摘になられました。あるいは農林中金の場合の関連産業貸し付けなども相当な額になっておるのでございますが、こういう員外貸し付け、関連産業貸し付けが、預金者のためにあるいは農村のために全然寄与しておらない、こういうことではないと思います。時に地域開発の上に役立つとか、あるいは本日るる御説明申し上げておるように、農村の必要な資材の買い付けの上の融資とかいろいろな面で活用されておるわけでございますが、しかし、いずれにしても、できる限りその関連をされていく系統内運用の比率が高まるということは好ましいことでございまして、そのことを考えますならば、そういう資金需要の起きるような農業の体制というものが必要である、いわゆる農林漁業の振興がはかられておらなければ資金もまた必要ではないではないか、こう言われれば、それもまたごもっともなことでございまして、私どもとしては、基本的な農業の振興、林業の振興、こういうことにつとめ、そして資金が系統内で運用されるように指導してまいり  たいと思います。
  232. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今度の農林中央金庫法の一部改正で、中金が直接農業者に対する直貸しの道が開けるあるいはまた十四条ノ三に関連をいたしまして、地域開発の貸し付けあるいはその他の特別貸し付けというふうな三つの業務が新しく開かれることに相なったわけでございますが、これは私ども党で中金法の一部改正の問題点を論議した中でも真剣に議論した問題でございますけれども、問題はそういう地域開発の貸し付けなりあるいはその他の特別貸し付けということについての是非の問題ももちろんありますけれども、同時に、いかにして適正に、しかも厳正にこれが運営されていくかというふうな問題がより実際問題としては重要になってくる。農林中金でも、共和製糖はじめ、かつて私どもの記憶に新たな問題がなかったわけではないのでありまして、先ほど来稲富委員からも質問のようなあるいはまた美濃委員からもきのう問題指摘のありましたような、いわゆる商社等に対する貸し付け等をめぐるいろいろな問題も現実に起こっておるわけでありますので、こういった直貸しあるいは地域開発の貸し付けその他の特別貸し付けというものに対するこれからの農林大臣としての指導監督の基本方針は何かということについて、明確にしていただきたいと思うわけであります。
  233. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの御質問の、これからの新たなる業務、これを遂行する上についての基本的な姿勢ということでありますが、第一には、所属団体に対する本来的な業務に支障を来たさない範囲である、これも当然だと思うのであります。それから、農林漁業及びそれをめぐる環境諸条件の変化等に対応するとともに、農林中金に集積された資金の有用な活用をはかるものである。しかも、新たにそういう観点から行なわれる業務であるので、そういう新しい方途を考えるのでありますから、慎重と申しましょうか厳正と申しましょうか、そういう必要性はあると思います。また、系統各段階との緊密な連携のもとに行なわれる必要があると思います。このような観点に立っての業務について、認可等によりこれらの業務目的が達成されるよう十分指導してまいりたいと思います。  この直貸については、単協、信連の貸し付けの補完をするんだ、そういう役割りを持っておる。しかし、個々の大口需要者に適確に対応していく、こういう二点は非常に大事ではないかと思います。  また、地域開発のほうにつきましては、公共的性格を持つ事業に限定をする。地元単協との意思疎通に遺憾なきを期する。また地元農林漁業地域の発展に寄与し得るものであるという点を指導のポイントといたしたいと思います。  なお、その他特別貸し付けでございますが、農林中金資金事情に照らして真に必要かつ最小限度のものにとどめることにいたしたいと思います。  以上でございます。
  234. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 直貸しの問題については、いままでの委員会の議論の中で、中央、地方を通じての融資協議会等を設けて連携のもとにやるというふうな御方針等についても出ておるわけでありますが、いずれにしても、いわゆる先ほどのような地域開発への貸し付け問題あるいは十四条ノ三の二項にありますその他の特別貸し付けというふうな新たな問題については、当然農林中金としてもこれらのものを取り扱っていく場合の組織体制というものについては万全を期していかなければならぬということになろうと思うのであります。  現在のところ、農林中金は本所の機構なんかを見ますというと、総合企画本部とかあるいは資金本部とか組合金融本部とか審査本部とか融資本部とかいうふうに、いろいろ組織が本所機構としてもあるわけですけれども、こういった新しい業務を適正かつ厳正にやるためには、専門家も必要になるだろうと思いますが、同時に、体制の整備については遺憾のないようにしないというと、逆にこういう新規業務を与えたことによって系統金融のかなえの軽重を問われることに相なってはならない、こう思うわけでございますが、大臣として、農林中金の新規業務を受け入れるための組織体制というものについては、どういう指導方針でいこうとするのかということについてお答え願いたいと思います。
  235. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今回の新たなる業務を遂行する上におきまして、農林中金が系統組織意思を十分反映し得るよう系統各段階との連絡協調体制、下部段階での業務代理等の体制整備をはかるとともに、御指摘農林中金内部組織についても、これら新しい業務については、それが十分定着するまで本所において決定することにいたしたい。長期的にあるいは総合的な観点から行なうため、特にその貸し付けの審査、管理についての組織拡充強化をはかるよう指導してまいりたいと思います。当然のことでございますが、農林中金においても、今回の法改正後においてこれら業務に十分対応できるよう、組織の充実強化をするよう検討をしていきたいと思います。
  236. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この際、本日参考人として御出席願いました中金の片柳理事長のほうから、いまの問題に対して、法律改正が通った以降において、新規業務のいわゆる受け入れ体制というものも含めて、機構その他についてはどういう構想で万全を期されようとするのか、その辺のところをお答え願いたいと思います。
  237. 片柳真吉

    ○片柳参考人 法律の改正案が通りますれば、当然それに即応いたしまして、私どもの体制整備なり特に貸し付けの審査能力を整備してやってまいりたいということでございます。  御指摘のように、かつて共和製糖問題でも苦い経験がございますので、現在でも融資本部と審査本部両方面でダブルチェックのシステムをいまでも講じておるような次第でございますが、体制の整備なり審査能力の整備は金融機関としては基本的な問題でございますので、御指摘のような次第に沿いまして現在総合企画本部についてこの間プロジェクトチームを設定いたしまして、内部の機構の整備やらその他の問題について鋭意検討中でございます。新しい業務でございまするから慎重に処すべきことは当然でございますが、しかし、反面、せっかくの改正趣旨が生かされぬでも困るわけでございますので、改正趣旨にのっとりまして前向きには対処していきたいと思いますが、その間きわめて慎重に善処してまいりたいと思います。  御指摘のような直貸しのほうは本来の業務ということになろうと思いますが、地域開発なりいわゆる特別貸し付けは本来の業務に支障のない限度においてやるということを踏まえまして、またいま農林大臣からの御答弁もございましたが、当分の間は各県ごとに支部長の認可もいただいた上で慎重に取り進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  さらに人事の配置なり、特に為替業務等の関係もございまするが、私どもの研修施設が相当整備されておりますので、そのような研修施設も活用いたしまして、新規貸し付けの態様なりあるいは為替等の業務の習熟には今後最善の努力なりをしてまいりたいということでございまして、要しまするに、せっかく新しい道を開いたのでございますから、あまりせっかちでなく慎重に、しかし、改正の所期の効果を逐次あげてまいりたいということでやってまいりたいと考えております。
  238. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この農林中金法の第十二条のところに「農林中央金庫審議委員十人以内ヲ置ク」としてその目的等が書いてあるわけでありますけれども、こういった新規業務等の問題については、この十二条で設置されております審議委員会というところでも基本的な問題については論議をされ、そして方針を打ち出されるというふうにも考えるわけですけれども、いずれにしても、従来からの中金の運営並びにこういった新規業務を含めての新しい中金の体制という場合には、その組織運営については実に明確な、きちっとした体制整備が必要だろうと思うけれども、この審議委員会運営の問題とからんで、これらの体制整備について重ねて農林大臣からお答えを願いたい、こういうふうに思います。
  239. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今回新たにいろいろ業務を行なうのでありまするから、特に系統各組織との連携が必要であるばかりでなく、農林漁業についての総合的な観点、一般経済との関連についての視点が必要であると思います。したがって、系統団体の代表者や農林漁業に造詣の深い学識経験者よりなる審議委員会において従来から業務運営の重要事項については審議を行なってきたところでございますが、今後一そうこれらの業務運営の考え方についても慎重な審議を受け、その意見を業務執行上に反映させて、法改正趣旨が遺憾なく達成されるように指導をしてまいりたいと思います。
  240. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 さらに、この新規業務の問題に関連をいたしまして、認可のしかたの問題でありますけれども、通常中央の行政官庁の場合であれば、各地方自治体その他から予算要求が出てきて、そしてヒヤリングをやり、そして審査をして、年度当初でおおむね全部をきめてしまうというやり方をやるわけですけれども、今度の新規業務の認可のしかたとしては、こういった年度初めの一本認可方式というものに重点を置くのか、あるいは今日の状態から見ると、年度の上半期ぐらいまでの間に来るようなものは、ダイナミックにそういうものの審査を的確にやって、そしてその年度資金運用の範囲内で認可をして回転をさせていくか、といったような認可の方式の問題について、ひとつこれからの運営の考え方を大臣からお答えを願いたいと思います。
  241. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 結論から申し上げますと、個々に一件ごとの認可を随時そのつど行ないたいと考えております。当然なことながら、対象法人、対象事業の適格性、対象地域等の限定、地元系統農協の意向のしんしゃく等、種々の条件を十分考慮して貸し付ける必要があると思います。
  242. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま認可の場合の運営として大臣からお話しのように、対象法人、対象事業の適格性あるいは対象地域等の限定、地元系統農協の意向のしんしゃく、そういうふうないろいろな条件を十分考慮して認可を与えていくというふうにお述べになりましたが、そこで、本日までの段階で問題になってまいります、最近の土地の買い占め、売り惜しみで非常な批判を受けておる商社等に対する貸し付け問題というふうな点は、事業の適格性ということもさることながら、対象法人そのものが世上の指弾を受けるというふうな場合は、企業の倫理性から見て、その姿勢が改まらない限りは融資はやらぬぞというくらいのきびしい姿勢も、やはりあわせ考えられなきゃならぬのじゃないかというふうにも率直に思うわけでございまして、いわゆる認可にあたっての新規事業の貸し付けについては、いま申しましたようなことも含めた姿勢でいかれるのかどうか、その辺のところについてお答え願いたいと思います。
  243. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 この基本的な方針あるいは考え方を申し述べておるのでございまして、いま企業の倫理性から、一体いろいろ批判を受けておる商社に対する貸し付けをどうするかと、こういうお尋ねでございますが、今回の場合の、たとえば地域開発といっても、これは非常に公共的性格の強い資金貸し付けでございまして、こういう点については問題になってこないと思うのでございます。また、先ほど申し上げました、その他特別な貸し付けというものにつきましても、具体的な事例に対処しなければわかりませんが、一体商社がその場合の対象になり得るものかどうかということについて、いまここで私として、具体的な事例であり、あるいは商社全般に影響がある問題でございまして、一つの商社には貸さない、他の商社には貸すというようなこともできかねるわけでございますので、いま私としてのはっきりしたお答えができかねますが、事務当局におきましてもし基準等が考えられておりますならば、かわってお答えをさせます。
  244. 内村良英

    内村(良)政府委員 商社に対する貸し付けにつきましては、今回の地域開発貸し付け、あるいはその他の特別貸し付けのときに商社が登場してくるということはまずあり得ないというふうに考えます。そこで、商社貸し付けは従来どおり関連産業貸し付けでやるわけでございますが、先ほどから御答弁申し上げておりますように、役所としては遺憾ないように中金を指導してやっていきたいというふうに考えております。
  245. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 直接仕事の関係にあります中金の理事長のほうで、新規業務、関連産業での委員会質問は、関連産業での問題点の指摘があったわけですが、いわゆる対象法人とか、あるいは対象の仕事の適格性とかいう問題に対する基本的な方針としては、どういうふうに考えていかれるのか、これをひとつ明らかにしていただきたい。
  246. 片柳真吉

    ○片柳参考人 地域開発貸し付けなり特別貸し付けの対象は、いま内村局長の御答弁のように、まず商社は対象にならないと考えております。地域開発につきましても、前回の御質問にもお答えしたのでございますが、あくまで公共性の強い仕事であるということ、それから地元農民なり農協の完全な了解があること、それからやはり農村なり農協サイドで地域開発がされるという、そういう三つの点に重点を置きまして、しかも政府の一々の認可をとりまして対応してまいりたいというふうに考えております。もちろん先ほどの審議委員会等については、一々個別の案件は付議いたしませんけれども、いま申し上げましたようなことをさらに具体化いたしまして、根本的な融資の態度につきましては審議委員会で十分御審議をいただいて、過誤なきを期してまいりたいというふうに考えております。
  247. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 農林中央金庫法の第六章の「監督及補助」のところで、先ほど稲富委員質問にも関連してちょっと一、二項御指摘がございましたが、二十八条では「主務大臣必要アリト認ムルトキハ農林中央金庫ニ命ジテ業務及財産ノ状況ヲ報告セシムルコトヲ得」と、二十九条では「主務大臣必要アリト認ムルトキハ其ノ職員ヲシテ農林中央金庫業務及財産ノ状況ヲ検査セシムルコトヲ得」と、三十一条では「主務大臣農林中央金庫業務運営又ハ財産ノ管理ノ適正ヲ期スル為必要アリト認ムルトキハ農林中央金庫ニ対シ業務ノ方法ノ制限其ノ他監督上必要ナル命令ヲ為ススコトヲ得」と三十二条では「農林中央金庫が法令、定款又ハ主務大臣ノ命令ニ違反シタルトキハ主務大臣業務ノ停止又ハ理事長、副理事長理事若ハ監事ノ改任ヲ命ズルコトヲ得」と、やはり相当、業務、財産の状況の検査、あるいは業務の方法の制限、場合によっては業務の停止というふうなことが主務大臣の監督としていわれておるわけであります。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 したがって、具体的に関連産業の問題にしろ、あるいはこれからの新規業務の問題にしろ、やはり姿勢としては、この条項に基づいて、問題があればき然たる姿勢で臨んでいくというのが、この主務大臣としての農林大臣の姿勢でなければならぬと思うのですが、その点はいかがですか。
  248. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 各条章は第六章「監督及補助」の中に含まれておる事項をお示しであったと思います。私は大蔵大臣とともに農林中金に対する監督の責務にあるということを当然考えなければならないことでございまして、必要がありますならば三十一条、三十二条、それらの条章を発動する場合もあるかと思いまするが、現在、理事長をはじめとして、有能なる理事諸君によって運営をされておりまするので、いままでのところ、特にこの第六章の各条章を発動いたしたということは、私になりましてからは特にそういうことがないわけでございますが、ないだけにその責任を十分痛感をいたしまして、これからの農林中央金庫に対しての監督あるいはその他のことにつきまして留意をいたしてまいりたいと思います。
  249. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 大臣は肝心なところにくると必ずしも歯切れがよくない。これは条文に基づいてやはり必要がある場合にはき然としてやるべきである。これは系統金融の性格というものを踏まえた、それを指導監督していく大臣の姿勢であろう。何も必要ない場合にこの条項を発動せよというのじゃなしに、やはりそういうき然たる姿勢で臨んでいかなければならぬ。従来も問題がなかったわけではないし、これからもそういう姿勢でなければ問題を生ずる危険性が十分あるというふうに思いますので、これはやはり監督指導にあたってはき然たる姿勢で、法に基づいて運用をしてもらいたいということを強く望んでおきたい、と思います。  農業協同組合法の一部改正については、ずいぶん本委員会でもいろいろ議論されてまいりましたが、そのうちの数点のみについて問題をしぼってお尋ねをいたしたいと思います。  第一点は、第十条の五項の問題、いわゆる宅地等供給事業の問題であります。顧みますと、四十五年の農協法の一部改正のときに私ども社会党は、この十条の五項の、いわゆる農協がこの問題の取り扱いとして農地等処分事業がやれるようになるという条項を含めて、総代会問題あるいはまた一人一票制の問題等々で反対をした経緯がございます。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 これは農協の基本的な性格から見て、農協自身が農地等処分事業をやっていく、あるいはさらに改正で補強されまして宅地等供給事業をやっていくということには、率直に言って問題がないわけではございません。筋論から見て、農協自身がそういうものをやるべきでないという強い意見ももちろんございますし、また反面、昨年来の日本列島改造論にからんで土地の買い占めあるいは乱開発というふうな状況が出てまいっております現状から見て、民間デベロッパーや不動産業者の恣意にまかすわけにはいかない。これはもちろん国並びに地方自治体の土地政策というものが基本にならなければならぬわけでありますけれども、恣意にまかせるわけにはいかないというふうな状況等も出てまいっておりまして、また同時に、農地等処分事業が四十五年改正ですべり出しました以降の都市周辺その他の関係組合あるいは組合員というものの意見や、そういった地域の立地条件というふうなものの中には、むしろ農地レンタル方式というのが関係者の中でも要望の意見として出てきておるという現実も、やはり私どもとしては無視することはできないだろうというふうに考えておるわけでございますが、しかし、こういった宅地等供給事業というものを農協自身が仕事としてやる以上は、農協本来の性格から見て、やはりきちっとした姿勢でいくことが当然必要である、こう思いますし、そういう点について政府はこれからいかなる指導方針で対処されようとするのか、この点は非常に重要でありますので、明確にひとつお答えを願っておきたいと思います。
  250. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御質問のような御懸念がいろいろあると思いますので、農協宅地等供給事業を実施するにあたりましては、あらかじめ宅地等供給事業実施規程を設けさせまして、その実施規程を通じて指導監督に遺憾のないようにしたい。そういうものをひとつ農協につくらすということを頭に置いていただきたいと思うのであります。農協本来の性格からいたしまして、今回の宅地等供給事業におのずから制約があるのは当然であろうと思います。たとえば公共的土地利用等の適切な調整を通ずる農地保全への配慮、あるいは組合員の需要にこたえるための事業であるから、組合員からの委託により実施する方式が原則であるということなどが貫かれる必要がある、かように存ずる次第でございます。
  251. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この点で当然優良農地をあくまでも確保していくということが農協としては鉄則であります。同時に、こういった宅地等供給事業を必要とするような条件の地域というものが今日存在しておることも事実でありますが、そういう場合には、やはり組合員の需要を基本にして、組合員からの委託に基づいて実施をする、これが当然原則になる。そういうものを織り込んだ実施規程に当然していかなければならぬ、これが貫かれるということが当然運用の基本原則だと思うわけでありますけれども、その点はそのように明確に理解してよろしゅうございますか。重ねて、重要な点でありますので、お伺いをしておきます。
  252. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 それは御指摘のとおりでございます。
  253. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 最近の系統の資金というのは相当上昇傾向にございまして、その中の相当部分は、土地の売買による資金というのが系統の中に預金として入ってくるという状況にございますが、私、農業協同組合の貯金高のベストテンを資料として出してくれということで、資料をもらったわけですが、一番トップは横浜南農協の四百三十六億五千七百万円、これがトップでございまして、横浜北の三百九十六億一千八百万円、以下堺市、姫路市、福山市、川崎市中央、福岡市、相模原市、岐阜市、神戸市西。ベストテンの最下位にあります神戸市西の場合に二百二十八億三千八百万円ということで、これは組合員数の関係、地域の広さの関係がありますから、この貯金高だけで必ずしもいきませんゆれども、とにかく単協として最高は四百三十六億五千七百万円からの貯金高を持っておるというところにきておることは現実であります。  そこで、こういった状況から見て、宅地等供給事業関係については、都市計画区域の中の市街化区域あるいは市街化調整区域、農業プロパーからすれば重要な農業振興地域あるいはその他の地域というふうな関連の中で、これから宅地等供給事業が事業としてやられていくだろうというふうな地域については、どういうふうに農林省としては予測しておられるか。われわれからいえば、農業振興地域等については、農業生産のシェア確保の意味からいっても、また優良農地確保の意味からいっても、ここは非常に重要である。しかし、都市近郊、その他農村地域工業導入法に伴う関連の仕事というふうなものも当然起こってくるだろうと思いますが、これらの問題の今後の方向についてはどういうふうに判断をしておられるか、これは事務的な点でございますから、大臣でなくてもけっこうですけれども大臣からでもお答えいただきたいと思います。
  254. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 宅地等の供給事業は、その実施地域が主として市街地周辺の区域が対象となる、これは申し上げるまでもないと思います。その他の地域でありましても、農業振興地域内の農用地区域など農業の振興をはかる上において必要とみなされる地域以外の地域で、大規模な住宅団地あるいは工業団地の造成、または農村地域工業導入法に基づく工場の導入等が行なわれるものについては、例外的に本事業の対象となる場合があり得ると考えている次第でございます。
  255. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次の問題は、技術的な関係の問題になるわけですけれども、いよいよ実施するとなると、重要な問題でありますが、農協が宅地等の供給事業を実施するについて、設計、建築等の有資格者を確保するとかいろいろなことで、総会で定款をきめて承認を得るとか、いろいろなことももちろん民主的に行なわなければなりませんが、こういう体制整備問題の運営については農林省としての指導はどういうふうにやっていくのか、こういう点についても明確にひとつお答え願っておきたいと思います。
  256. 内村良英

    内村(良)政府委員 農協宅地等供給事業を行ないます場合に、宅地の造成、住宅等の施設の建設、その取引及び管理等の業務内容とするものでございますから、専門家がいる必要があるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、そういった業務を担当する建築士等を組合に配置することが必要であるというふうに考えております。  しかしながら、全部の組合、これから組合はこういった事業をやるためには定款を変更し、さらに業務規程をつくって行政庁の承認を得るわけでございますが、全部の組合にそういった建築士を配置することが不可能な場合もあると思いますし、また農協自体がそういった事業を直接はやらない、外にこれを委託するという場合もございますので、経済連あるいは全農等にそういった建築士等を養成いたしまして、単協で建築士の確保が困難なところには、そういったところから援助をしたいというふうに考えております。現に、これは昭和四十七年十月一日の数字でございますが、いわゆる宅地建物取引免許を取っておる農協が単協で六百八十七組合ございます。そこで宅地建物取引主任者、これは試験があって、その試験を受けて資格を取るわけでございますが、すでに二千人近くの人間が育っているということでございます。  そういった意味で、農協は十分対応できるだけの能力を持っておるものということで、私どもといたしましては、今後取り扱い規程の認可等につきましても、こういった点を十分考えながら指導をしたいというふうに考えております。
  257. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私どもは、宅地等のこういう供給事業を農協が積極的にやるというのは、必ずしも歓迎をする気持ちにはなり得ないのでございますが、しかし、こういうものがやられる以上は、優良農地を確保しながら適正に行なわれていくということが必要だろうと思う。  ただ、農民の住宅等の確保とかいったような問題では、内村さんは外地が多かったわけでありますけれども、アメリカでは農民住宅局というのが農林省の中にある。もちろんアメリカの場合も住宅都市開発省というのが別にございますけれども、農林省の中に農民住宅局というのが設置をされておるという他国の例等もあるわけですが、やはりこういう事業が行き過ぎのないように適正に行なわれるためには、農林省自身の中にこういうものに対する監督指導、その他に誤りのない体制についても、必要最小限のものはやはりきちっとしておく必要があるのではないか。こういった面はこれからどういうふうに対処していかれるか、お答えを願いたい。
  258. 内村良英

    内村(良)政府委員 非常に重要な問題の御指摘があったわけでございます。そこで、私どもといたしましては、農協を監督しているわけでございますので、農協の監督という面を通じてこの事業の指導に遺憾ないようにやっていきたいと思います。  そこで、農林省の中にこういった宅地開発を行なう課なりあるいは係を設けるかどうかという点につきましては、これはアメリカの場合にはそのようになっておるかと思いますけれども、わが国の場合には、またいろいろ行政機構内部の問題もございますので、慎重に検討を要する問題かと思いますが、いずれにいたしましても、農協の行ないます宅地等供給事業につきましては、農協の監督面を通じて遺憾ないようにしなければならないというふうに考えております。
  259. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次は、これはもう本委員会の中で、都市農協のあり方を含め、農協組織問題というのは、大型合併に伴う組織三段階、事業二段階制の声があったり、あるいは前々からもちろん話題としては出ておりましたけれども、一郡一農協という例はございますが、一県一農協というような問題が従来からも論議されておるような経過もあったりしまして、いわゆる農協組織運営の今後のあり方という問題がやはり基本的に検討されなければならない。私ども党としてもそういうことをやってまいらなければならぬ時代に来ておると思いますけれども、たまたま農林省としても、その必要を認めて、検討会を設けて検討するというふうに準備されておられるわけですが、この場合にどういうポイントを検討されていこうとするのか、これらの点についてひとつ簡潔にお答えを願いたいと思います。
  260. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 正直に申し上げまして、お話しのような根本的な検討の必要性ということについてはこれを痛感しておりまして、検討会の発足をはかろうとしておるわけでございまするが、実を言うと、検討項目というようなものにつきましては、まだ省内でも話がまとまっておりません。大体の方向を申し上げますならば、都市化の進展に伴う農協の変質と今後のあり方、それから農協合併の進行に伴う系統組織のあり方、金融効率化政策進展下における系統金融の刷新、合理化対策などを一応考えてみたい。まだ、はっきりこれこれの項目で検討会をしようということではございません。
  261. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 大臣から、この検討会の検討項目については、問題意識ははっきり持っておられると思いますし、大体こういうことを検討しなければならぬだろうという点についても、これは考えておられると思いますけれども、やはり最近は時代の時流に流されまして、農協自身の姿勢を私どもが見ておりましても、これは問題があるんじゃないかという考えがいたしますし、それから同時に、農政全般についてもさように思いますし、やはり原点に返って農協本来の組織運営はどうあるべきかという点については、農林省も担当省としてひとつ真剣に取り組んで、方針を出してもらいたいというふうに強く要請をいたしておきたいと思います。  こういった農協組織運営のこれからのあり方というものに対する真剣な検討をやっていくということになれば、農林省は、農協ばかりでありませんで、漁協もある、あるいは山間部にいけば森林組合もある、こういうことで、やはり農協、漁協、森林組合という農林漁業のそれぞれ基本組織になっておるもののあり方と将来展望というものについてもあわせ検討していくことが必要であろう、こういうふうに思います。  その場合に、これは森林法一部改正の中で、森林法に包含されております森林組合及び森林組合連合会というふうなところで本来は議論するのが本筋かもしれませんけれども、やはりこういった農協、漁協、森林組合という対比ということもございますので、かねてから、この森林組合につきましても、森林法から引き離して単独立法として制定をすべきである。これは過般の森林法の一部改正のときに私から特に注文をつけて、委員会の合意を得て、森林組合の単独立法の制定について積極的に検討することというのが数年前に附帯決議で付された経緯がございます。また、関係業界からは、林業協同組合法の単独立法制定という強い要請が数年来高まってきておるわけであります。  同時に、信用部門についていうならば、信用組合については、農協、漁協と対比をいたしまして、やはり信用部門は制約を受けておるわけでありますが、こういった信用部門の拡大問題ということについても前向きに取り組まなければならぬだろうというふうに考えておるわけであります。  これら諸点について農林大臣としてどういうお考えであるか、承っておきたいと思います。
  262. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 林業協同組合制度の制定等を森林法から分離することにつきましては、森林組合を他の協同組合と同様に経済団体として純化しなければならないという法律制度的な問題がございますが、最近における林業を背景として公益的機能と経済的機能とをあわせ有する森林組合の役割りに対する期待が一そう高まっている中で、森林法から切り離して公益的役割を希薄化することは適当ではないんじゃないかという気がするのでございまして、たいへん恐縮でございますが、さらに慎重な検討をさせていただきたいと思います。  また、信用事業につきましては、その性質上、組合員保護等の観点から、事業の安定的な運営がとりわけ重要でございますが、森林組合については財務及び経営の基盤の面でまだ必ずしも十分とはいえない実情にあると考えさせられますので、当面は今国会に森林法の改正の提案をしておる制度改正等の実現をはかりまして、これらの面の整備充実を進める中で検討をさせていただきたい、こういうことであります。
  263. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 おおむね時間も近づいてまいりましたので、最後に一点希望を申し上げて、この際質問を終わらせていただきたいと思います。  いまの農業協同組合のこれからの組織運営についての検討というのは、農業協同組合にとどまらず、大臣から森林組合についての御答弁もございましたが、農林省でございますからして、漁業協同組合、森林組合等についても現状と今後の発展方向をどう考えるかという点についてはやはり真剣に検討を進めてもらいたいと思います。  同時に、その際に、これは注文として申し上げておきたいのでありますが、そういうことが現実的に適当であるかどうかということは十分検討しなければならぬと思いますけれども、私は数年前の議論のときにも若干個人的な議論として申し上げたのでありますが、山間部にいく場合に、森林組合農業協同組合とを地域組合として一緒にした混合組合方式を考えてはどうか。これは上部団体との関係その他から見て、そういうことが有効であり、また適切であるということになるのには、いろいろ関係団体の自主的組織でありますから、天下り的にそういう方向でやるべきことではないかもしれませんけれども、しかし、そういうこと等についてもやはり真剣に検討する必要があるだろう。そして関係団体の検討あるいは理解と協力も得て、そういう条件のところについては自主的にそういう道を開くということも含めた農協、漁協、森林組合のこれからのあり方についての総合的な検討をひとつ注文として希望しておきたい、こういうふうに思います。  あと最後に結びをすべきところでありますが、皆さま勢ぞろいでお待ちでありますので、私の質問はこの程度で終わらせていただきます。
  264. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 参考人には本日御出席いただきましてありがとうございました。  この際、暫時休憩いたします。    午後五時十八分休憩      ————◇—————    午後六時二分開議
  265. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  これにて農林中央金庫法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案の両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  266. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 ただいま議題となっております両案中、まず農林中央金庫法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。諫山博君。
  267. 諫山博

    ○諫山委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、農林中央金庫法の一部を改正する法律案に対し、反対の態度を表明し、以下その理由を申し述べたいと思います。最初に私は、農林中金が系統金融の中央機関として今日まで果たしてきた一定の役割りを否定するものではありません。したがって、農林中金の存続には賛成です。しかし、農林中金は、農林漁業を取り巻く今日のきびしい情勢の中でこそ、農漁民に一そう密着した本来の姿に立ち返り、その任務を果たすべきであります。その立場に立てばこそ、私は改正案反対するものであることを、まず明らかにしておきたいと思います。  反対の第一の理由は、農林中央金庫が、農漁民組織のための金融機関であるという本来の性格を忘れ、一般金融機関化する方向で今日の困難を回避しようとする姿勢についてであります。  為替業務の一般化等は、確かに一定の現実的な要求によるものでありましょう。しかし、中央金庫の代理業務を単協にまで行なわせるとしていることとあわせ考えるなら、信用事業に傾斜し、営農指導面が手抜きになりつつある現在の単協の傾向に、一そう拍車をかけることになるのは避けられません。また、ますます専門化してくる信用業務にこたえられないという理由で、単協の合併、大型化が強要されてくることも確かであります。特に重大なのは、改正案が余裕金の運用という規定をはずしていることです。所属団体への貸し付けを本来の業務とし、それ以外はあくまでも余裕金の運用であるというのが、農林中金の性格から見ても当然です。これが農林中央金庫法の本来の精神でもあります。改正案は、この規定を取り除き、若干の制限はつけつつも本来業務に準ずる扱いとし、一般金融機関資金運用と大差をなくしようとするものですから、重大な誤りであります。このような改悪を認めるわけにはいきません。  反対の第二の理由は、資金運用の拡大のために、貸し付け対象を無制限に近くしようとしていることと、長期資金の貸し付けを一般化したことであります。  今日の中金資金のだぶつきは、農業の健全な発展によるものではありません。農業の危機を一そう深刻にさせている大企業、大商社等の買い占めによる土地代金であり、出かせぎなど農外収入の増加がもたらした預金の増加であり、農業白書も明らかにしているような、農業の後退からくる農業投資の減退によるものであります。この資金のだぶつきを恒常的なもの、不変のものとみなし、長期大口の貸し付け先を拡大することは、ゆがめられた現実を是認するものであるし、農漁民の資金需要を大きく制約することになるのであります。現行法の余裕金の範囲内で、しかも原則として短期資金という制約があることでも、三井物産、三菱商事、丸紅飯田等の大企業、大商社が関連産業という名目で多額の融資を受けています。これはわが党の津川委員がきのうきびしく追及したとおりであります。これらの商社農地や農産物を野方図に買い占め、価格をつり上げて社会的非難を浴び、農業破壊に一役買っている事実を見ても、所属団体以外への貸し付けをもっと厳格に制約するのは当然であります。  ところが、改正案は、このような傾向を改めようとするのでなく、逆に農林中金の貸し付け対象を拡大し、国土破壊の元区として国民の批判を浴びている日本列島改造計画に基づく農村の地域開発や大規模工業開発、高速道路、新幹線などの交通通信ネットワークの建設資金にさえ融資の道を開こうというねらいを持っています。これらの貸し付け対象が、わが国農業の発展に寄与するどころか、農業を破壊し、農民農業から追い出す役割りを果すものであることを考えれば、改正案の誤りは明らかであります。  わが党は何よりも農業生産の後退、農業への投資意欲をそこなっている今日の反動的、反農民的な自民党農政の転換を要求いたします。米作減反の押しつけをやめ、無制限な農産物の輸入自由化を押え国内自給率を高め、生産者米価の引き上げをはじめとするおもな農産物の価格保障制度の確立、農用資材の独占価格の引き下げ、税金の減免などを行なって、日本農業を自主的、総合的に発展させなければなりません。こうして農民資金需要を引き出すことこそが、抜本的解決の道であることをあらためて強く主張するものであります。  さらに、中小農民への貸し付け差別をやめ、手続を簡素にし、貸し付け金利を引き下げ、担保条件を緩和するなど、組合員が系統資金をもっと容易に活用できる道を開くことがきわめて重要であります。  以上の立場から、私は改正案反対することを明らかにして、討論を終わります。
  268. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 瀬野栄次郎君。
  269. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 私は、公明党を代表し、農林中央金庫法の一部を改正する法律案に対し、次の理由により反対の態度を表明するものであります。  今回の改正案の大きな柱の一つである農林中央金庫の存立期間に関する規定の整備ということで、現在の農林中央金庫が、農林中央金庫法に基づいて設立され、さらにその存立期間も、本法の第三条で、設立許可の日より五十年と定められており、その期間が昭和四十八年十月三十日をもって満了することから、この第三条を削除することにより農林中央金庫の存続をはからんとするものであります。  現在、農林中央金庫に関する問題は、当然農協系統全般にかかる問題とも密接に関連を有し、今後ともなお解決すべき多くの問題をかかえていることは事実でありますが、しかし、農林中央金庫が今日の時点で果たすべき役割りを考えるとき、その存続をはかろうとすることにわが党もやぶさかではありません。  しかし、なお、今回の改正案を検討するときに、特に第十四条ノ三第二号の二等に顕著に示された内容からすれば、農業振興、農民の生活向上とはほとんど関係ないばかりか、むしろ農村の破壊を招きかねない営利を目的とする一般企業等にまで農林中央金庫から貸し付けられるようその範囲拡大される結果となることが懸念されるのであります。  わが党は、系統資金なるものは、本来農業振興のため極力農業者並びに農業団体等、またはさらに拡大するにしても、少なくとも農業振興のために密接に関係のある産業等に限定すべきであるという強い主張を持っています。たとえ農林中央金庫は多額の余裕金を保有していようと、安易に一般の営利企業に貸し付けるなど道を開くことよりも、この際、農林漁業金融公庫等との融資に関する交通整理を行なうとともに、国からより大幅な利子補給措置がはかられ、系統資金の貸し付けがより低利で長期なものとなり、組合員等への融資が円滑に流れていくよう抜本的な改正をすべきであったと思うのであります。  よって、わが党は本法の一部改正には反対の意を表明するものであります。  以上をもって反対討論を終わります。
  270. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  農林中央金庫法の一部を改正する法律案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  271. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決されました。     —————————————
  272. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 この際、本案に対し美濃政市君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。美濃政市君。
  273. 美濃政市

    ○美濃委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表して、ただいま議決されました農林中央金庫法の一部を改正する法律案に対しまして、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  まず案文を朗読いたします。     農林中央金庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   農林中央金庫は、今後も農林水産業者の組織する協同組合等の中央金融機関としての基本的性格を維持しつつ、わが国農林水産業とこれをとりまく諸情勢の変化に対応して、所属団体及び農林水産業の発展のための金融業務中心に適正に義務を行なう責務を帯びている。今回五十年の時限を解消し一部改正されたが、なお十分とはいえず近い将来農林金融に適するよう抜本的改正を行なう必要があると思考される。よつて、政府は、本法施行に当たつては、同金庫の金融機能が十分に発揮されるようその自主性を尊重しながら左記事項について適切な措置を講ずるべきである。      記  一 農林水産業者に対する直接貸付については、所属団体の機能を補完する見地から、系統組織の行なう経営指導と関連しつつ相互の連絡調整に十分配慮して行なわせること。  二 地域開発資金の貸付に当たつては、当該地域の農林漁業者の意向を十分尊重し、特に農山漁村の振興発展に寄与するものに限定して行なわせるとともに特認法人に対する貸付についてはその対象法人の選定を特に慎重にすること。  三 消費生活協同組合に対する貸付については、その融資条件等について所属団体に準じたものとするよう努めること。  四 副理事長および理事の任命に当たつては、系統組織の意向が適確に反映されるよう運用面で十分配慮すること。  五 自己資本の充実、資金コストの引下げ、事務の能率化等経営体質の改善強化と金融の効率化につきなお一層の努力を行なうこと。  六 農林中央金庫業務に対する従来の指導監督のための諸手続については業務の実態に即し、その簡素化をはかるとともに関連産業、特に総合商社への融資については投機等の行為が行なわれないように努めること。    なお、新たな業務については適正な実施を確保するため適切な指導を行なうこと。    右決議する。  これらにつきましては、委員会審議を通じまして十分審議されているところでありますから、この際、説明を省略させていただきます。  何とぞ各位の御賛同をお願いいたしまして、提案の趣旨説明を終わります。
  274. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議に対して別に発言もありませんので、直ちに採決いたします。  美濃政市君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  275. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。櫻内農林大臣
  276. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重し、今後検討の上、善処してまいりたいと存じます。     —————————————
  277. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 次に、農業協同組合法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。中川利三郎君。
  278. 中川利三郎

    中川(利)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、農業協同組合法の一部を改正する法律案に対し、次の理由をあげて反対の態度を表明するものであります。  その第一は、組合が員外利用制限のワク外で行なうことができる資金の貸し付けを大幅に広げようとしている点であります。  近年に見られるような員外貸し付けの急激な増加は、現行法のワクの中でさえすでに農民の営農資金への貸し付けを圧迫していることを明白に示しているのでありますが、このたびの改正案は、さらに一そう員外利用のワクを広げることによって、この傾向にますます拍車をかけるものとなることは明らかであります。  また、このたびの改正案によって、産業基盤または生活環境の整備を目的とする資金で、直接農業と関連を持たない法人にも貸し付けられるとしたことは、いま田中内閣が推し進めている列島改造の資金農業金融の面からも吸い上げようとする意図を明らかにしたものであります。このことは都市近郊はもちろんのこと、純農村地帯にも、産業基盤整備を口実として、公害企業や農村地域の安上がりの労働力を求めて進出してくる企業の基盤を資金面で準備してやることになり、それを農民協同組織である農協自身が行なうという結果に道を開くものにならざるを得ず、賛成できないものであります。わが党は、農協農業破壊の列島改造の資金調達に手を貸す員外利用のワクの拡大をやめ、日本農業の豊かな発展と農民の生活向上のために、系統資金の貸し付けの際の金利を引き下げ、手続を簡素化して貸し付けのワクを広げ、農民がもっと気軽に資金を利用できる民主的制度にこそ改善すべきであると考えるものであります。  反対の第二の理由は、農協に手形の割り引き、債務保証、内国為替取引、有価証券の払い込み金の受け入れ、農林中金、信農連等の業務代理等々を行なわせることによって、農協の経営主義的傾向をますます強めようとする点であります。  これまでも事あるごとに強められてきた信用、購買事業偏重を一そう深めることによって、農民の切実な要求である生産営農指導事業がますます軽視されていくことは明らかであります。さらに、農協金融機関の委託を受けて債権の取り立てを行ない得るとする点、信農連の為替業務については員外利用制限の適用を除外する措置をとるなど、農協農民の利益を保護するのではなく、逆に農民に対立する傾向をつくり出すものであります。  反対の第三は、宅地などの供給事業の範囲拡大するという点であります。  都市地域における勤労者の宅地問題はきわめて深刻なものとなっていることは事実であります。しかし、問題は、改正案の思想である農民から農地を取り上げることによっては解決せず、今日世論の非難の的になっている大資本の買い占めた土地を安く、緊急に放出させることにあることはあまりにも明らかであります。しかも、農民が土地を手放した場合のほかに、農協農民から土地を借り入れてまで宅地を供給できるとした点は、農協農民のためのものではなく、営利的側面を一そう強めることにつながるものであります。農協農地の宅地化、工業用地化を進める、いわば不動産業偏重となることは、それ自体農協の存立基盤である農業を縮小させ、組合員の脱農業を促進するものであり、根本的に矛盾するものであります。  以上述べましたように、今回の改正案農協法の第一条、「この法律は、農民協同組織の発達を促進し、以て農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上を図り、併せて国民経済の発展を期することを目的とする。」ことにも明白に違反し、農協を列島改造のための資金調達、土地取り上げの先兵に仕立て上げようとするものであり、わが党はこの法案に対し賛成できないものであることを表明して、反対の討論にかえるのであります。
  279. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 林孝矩君。
  280. 林孝矩

    ○林(孝)委員 農業協同組合法の一部を改正する法律案に対し、公明党を代表して反対の討論を行ないます。  最近のわが国農業をめぐるきびしい諸情勢の中で、農業協同組合の果たすべき役割りがきわめて重大なるものとなっている現状は周知の事実であります。しかし、今後の農業協同組合組織管理、事業運営については本来の使命を決して妨げるものであってはならないと同時に、今日に至った原因として、政府農政の貧困にその主因があると考えるものであります。  よって、本委員会付託の農協法改正案に対し、公明党は次の点に重大な問題点のあることを宣明するものであります。  反対の第一の理由は、資金の貸し付け範囲拡大についてであります。  改正案中の第十条第九項第二号等に明らかにされた内容は、組合員の利益に直接関係のない営利を目的とする一般の企業等にまでその融資のワクを拡大するものであるが、これは系統資金の本来の趣旨に反するものであるという点であります。  第二の理由は、宅地等供給事業範囲拡大についてであります。  今回の改正案の第十条第五項の第一号、第二号、第三号によれば、農協農地を処分するその一環としてレンタル制の導入をはかろうとするなど、その事業の範囲拡大が明らかにされています。これは明らかにその発想が本年の一月に提起された政府の土地対策要綱に基づくものであり、農協を田中総理の提唱する日本列島改造論の一環に組み入れるものと断ぜざるを得ません。また、民間デベロッパー等の無秩序な開発に対して、農協が整然たる宅地等への農地転用事業を行なうという説明について考えても、現下の農地の乱開発の実情を見るときに、やはり農業振興の使命をになうという農協本来の趣旨からいって、純粋に農業を守る立場から、現行法以上に農協みずからが農地転用事業を拡大するということは問題であると考えます。  以上、重大なる問題点を指摘し、農業協同組合法の一部を改正する法律案に対する反対の討論といたします。
  281. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。農業協同組合法の一部を改正する法律案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  282. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決されました。     —————————————
  283. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 この際、本案に対し、柴田健治君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。柴田健治君。
  284. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表して、ただいま議決されました農業協同組合法の一部を改正する法律案に対しまして附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    農業協同組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   最近のわが国農業をめぐる厳しい諸情勢のなかで、農業協同組合の果たすべき役割が極めて大なるものとなつている現状にかんがみ、今後の農業協同組合組織管理、事業運営等については、その本来の使命をふまえつつ、より一層の改善整備を図ることが緊要である。   よつて、政府は、本法の施行にあたり、とくに左記事項について適切な措置を講ずべきである。      記  一 農業協同組合の手形の割引、内国為替取引等の金融機能拡充については、その安全なる運営確保のため、業務執行体制の整備等につき所要の措置を講ずること。  二 地域開発関係資金の貸付範囲拡大に伴い、これが組合員に対する融資の円滑化を妨げることのないよう十分指導すること。  三 農業協同組合宅地等供給事業については、農協本来の目的にかんがみ、優良農地の確保を旨としつつ組合員の委託によることを原則としていやしくも投機的行為にはしることのないよう十分配意すること。  四 生鮮食料品等の農産物の流通合理化に資するため、農協系統組織と消費生活協同組合との連携等により生産地と消費地との直結体制を強化するよう指導するとともに、消費生活協同組合が必要とする資金につき農協系統資金の活用を図ること。  五 農業協同組合の事業運営については、農業生産指導及び販売等の事業部門の拡充強化を図るとともに、いわゆる都市農協のあり方を含めた農協全般の組織運営等について所要の検討を行なうこと。  六 農業協同組合の経営近代化を促進するため、職員給与及び労働条件の改善等につき適切な指導を行なうこと。  七 農業協同組合の適正な事業運営と責任体制を確保するため、とくに行政庁による検査体制の強化拡充を図り、検査結果については速やかに行政指導を行なうこと。    右決議する。  これらにつきましては、委員会審議を通じまして十分審議されているところでありますから、この際、説明を省略さしていただきます。  何とぞ各位の御賛同をお願いいたしまして、提案の趣旨説明を終わります。
  285. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議に対して別に発言もありませんので、直ちに採決いたします。  柴田健治君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  286. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。櫻内農林大臣
  287. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を尊重し、今後検討の上、善処してまいりたいと存じます。     —————————————
  288. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 なお、ただいま議決いたしました両案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  289. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  290. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 次回は明十日、木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十三分散会