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1973-05-08 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月八日(火曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 佐々木義武君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂村 吉正君    理事 藤本 孝雄君 理事 山崎平八郎君    理事 渡辺美智雄君 理事 柴田 健治君    理事 美濃 政市君 理事 津川 武一君       金子 岩三君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    小山 長規君       正示啓次郎君    菅波  茂君       丹羽 兵助君    西銘 順治君       長谷川 峻君   三ツ林弥太郎君       湊  徹郎君    森下 元晴君       安田 貴六君    井上  泉君       角屋堅次郎君    島田 琢郎君       竹内  猛君    野坂 浩賢君       湯山  勇君    諫山  博君       中川利三郎君    瀬野栄次郎君       林  孝矩君    神田 大作君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         農林大臣官房長 三善 信二君         農林省農林経済         局長      内村 良英君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         食糧庁長官   中野 和仁君  委員外出席者         文部省大学学術         局技術教育課長 齋藤寛治郎君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 五月一日  過剰米及び政府操作飼料払下げ等に関する請  願(足立篤郎紹介)(第三四九八号)  同(諫山博紹介)(第三六七八号)  同外十九件(谷垣專一君紹介)(第三六七九  号)  配合飼料値上げ阻止等に関する請願外一件  (多田光雄紹介)(第三六七七号) 同月七日  過剰米及び政府操作飼料払下げ等に関する請  願外一件(角屋堅次郎紹介)(第三七四二  号)  同外十七件(谷垣專一君紹介)(第三八三〇  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月一日  林業振興に関する陳情書外一件  (第二六三  号)  同外四件  (第三四一号)  自給飼料確保対策に関する陳情書  (第二六四号)  圃場整備事業通年施行に伴う補償措置に関す  る陳情書  (第二六五号)  畜産政策転換等に関する陳情書  (第二六六号)  同(  第二九三号)  国有林野事業改善に関する陳情書  (第二八九号)  松くい虫防除対策に関する陳情書  (第二九〇号)  新得営林署統廃合計画中止に関する陳情書  (第  二九一号)  野菜の生産流通対策推進に関する陳情書  (第二九二号)  飼料価格安定措置に関する陳情書  (第二九四号)  木材価格引下げ等に関する陳情書  (第三一〇号)  加工原料乳保証価格に関する陳情書  (第三四二号)  滝上、北雄営林署の存続に関する陳情書  (第三  四三号)  カドミウム汚染米対策に関する陳情書  (第三四四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農林中央金庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第七五号)  農業協同組合法の一部を改正する法律案内閣  提出第七八号)      ――――◇―――――
  2. 佐々木義武

    佐々木委員長 これより会議を開きます。  農林中央金庫法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  3. 柴田健治

    柴田(健)委員 農業協同組合の一部改正、農林中金の一部改正審議に入る前にちょっと資料要求とお尋ねを関係者にしたいと思います。  御当局はもう御承知だろうと思いますが、私、先般も児島湾淡水湖におけるホテイアオイの問題についてちょっと御質問申し上げたのですが、あれに関して、この児島湾締め切り堤防という農業用施設は、御承知のように、二十二億三千万という巨費を投じてつくったわけです。国の負担は、そのうち九二・二七%、二十億五千六百九十万という国庫負担をしておるわけです。県負担が六千八十五万、三・〇六%、改良区の負担が一億四百五十万で四・六七%という負担区分ででき上がったのでありますが、これは御承知のように、行政財産として国有財産ということになっておるわけですが、これに関連をして土地改良区が、いままでの経過は省略いたしますが、とにかくいろんな名目でいろんな機関から金を取り上げているわけです。取り上げているというのは不穏当なことばかもしれませんが、とにかく金を徴収しておることは間違いない。この点について農林省確認をしてもらいたいし、これに関連をする資料をひとつつくって文書で回答願いたい。これをお願いしたいのです。  中身を申し上げます。中身は、岡山木材工業団地協同組合という団体があります。この組合から児島湾土地改良区が、たとえば名目水利権使用権協力料漁業補償というようないろんな名目をつけて昭和四十三年に二千六百万円、四十五年に千五百五十万円、二回にわたってこれだけの金を取っておるわけです。  次に、新岡山港の建設に伴って、これまたいろんな名目をつけて金を取っておるわけです。四十四年の三月といわれておりますが、五百万円、同年の十二月に二千二百七十万円。  それから、中国電力株式会社から、改良区の運営協力金、ケーブルの敷設工事協力金、また迷惑料その他いろんな名目をつけて四十五年十一月に五千五百万円、四十六年九月に二千万円。  それから、丸紅商事が高崎というところに団地造成をやった。この丸紅からいろんな調査費という名目で四十五年十月に一千万円。  それから、四十七年二月に岡山県の県の開発公社から、これも団地造成をしたということで、いろんな調査補償ということで一千万円。  それから、玉野市から水利権漁業補償その他の名目で四十四年三月に六千七百二十万円、四十五年三月に五千二百二十四万円。  それから、四十七年一月から二月にかけて、国鉄山陽新幹線ができた、この新幹線の汚水処理施設建設に伴ういろんな名目で三千万円。  以上の各機関から児島湾土地改良区という組合が金を取っておるわけであります。御承知のように、これは国有財産管理者農林大臣管理者が、こういう金を取る場合には、協議をして、相談を受けてこの金をそれぞれの機関からいろんな名目で取ったのかどうか、土地改良区が独断でこの金を取ったのか、どうも私たちはその点理解に苦しむ。土地改良区のほうは国有財産を一時期限を切って管理委託を受けた、要するに委託管理、人の財産を預かっておる側です。国民の財産を預かっておるものが、いろんな名目でこういう金が取れるのかどうか。私は常識論からいい、法理論からいって、そういう理由があって金が取れるものなら、財産権を持っておる管理者農林大臣が、農林省が一応取って、土地改良区のほうに配分をしていく、それを渡していくというのが筋ではなかろうかと思うので、この点について、この金額について、それぞれ事実かどうか、理由積算の根拠、この点を文書で回答願いたいのであります。これは早急に出してもらいたい。  農林大臣見解を聞きたいのですが、こういう国有財産受託管理者所有権管理者をのけてこういうことをやる、こういうことを許してもいいのか、大臣みずから協議受けてこういう金を取ったのか、この点の見解を聞いておきたいのであります。これはいずれまたいろんな問題として将来尾を引くし、われわれ許すことはできない。この土地改良区の理事長はこの間叙勲で勲三等をもらった人です。これはもう県民感情として断じて許すことができないという声がいま出ております。私は、いま申し上げた積算の根拠なり、またどういう理由で取ったのか、目的、理由というものをひとつ明確にお答えを願いたい、これをお願いしたいと思います。  それから、もう一つ資料として要求したいのは、この児島湾土地改良区の四十六年、四十七年、二カ年分の収支計算書、それから基本財産目録書、それから土地改良区の組合員から定款に基づいて——もう定款ははっきりしておるのですから、土地改良法の精神から生まれておる土地改良区の定款というものは行政指導で明確に指導しておられるのだから、この定款に基づいての通常経費事業経費組合員からの負担区分負担額徴収額、これをひとつ資料要求をいたしたい。  以上の点で見解を聞きながら資料要求を求めたいと思います。農林大臣お答えを願います。
  4. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 担当局長から詳細についてはそれぞれお答えをさせますが、ただいま御質問を聞いておりまして、負担金と申しましょうか、補償金と申しましょうか、そういうものを拠出したのはいずれも有力なる会社団体でございます。それが土地改良区との間で十分協議がなされ、おそらく相手方も納得の上でそれぞれの拠出をされたものではないか、このように承ったのであります。しかし、非常な大きな額のことでもございますから、これら経理面においていささかも不当なことがあってはならないのでございまして、第一次的な児島湾土地改良区に対する監督権は県にあると思いますので、県において十分それらの点についての監督をするし、さらにまた、国としては、御指摘のとおりに、私ども責任がございますから、もし問題があるということであれば、さらに監督をするということをいたさねばならぬと思いますが、何と申しましても相当な額である、あるいは相手方もしっかりした会社団体であるというようなことから、そこに不適当な処理があったものとはにわかに予想ができないのでございますが、ひとまずただいまの御質問に伴っての私の所見を申し上げまして、なお担当局長から詳しく申し上げさせます。
  5. 柴田健治

    柴田(健)委員 担当局長資料だけ出しておればいいのです。  大臣見解を聞きたいのは、農林大臣財産権管理者なんです。この間の水利権にしても、堤防施設権にしても、国有財産のはっきりしたあなたは管理者なんです。管理者としてこういうことを、あとから報告を受けるのではなしに、事前協議をしたかどうか。管理者が知らずにこういうことを見のがして、ただ、金を出した機関もそれは有力な団体であり、相当な金額だと言われるけれども、そういうことを私は申し上げておるのではないので、財産管理者として事前相談を受けたのかどうなのかということをお尋ね申し上げている。それから、人ざま財産を預かったものにこういうことを許してもいいのかどうかという問題なんです。そこだけ簡単に言うてもらえばいいのです。
  6. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私の在職前のことでございまして、いま局長から私に説明をいたそうとしたところでございまするから、ひとまず局長説明をお聞き取り願いたいと思います。
  7. 柴田健治

    柴田(健)委員 局長のほうはあとでよろしい。  それから次に、これに関連してもう一つ資料要求調査要求をしたいのですが、この土地改良区の中に、倉敷川、笹が瀬川という川の膨大な河川敷地がある。この河川敷地の中で、相当広範囲な面積がありますけれども、そのうちから六十六ヘクタール、これをどういう形で農地造成をしたのか、農地としてこの徴収をしたのか、ただ水利費として徴収したのか。その点よくわからないので、これも調査、報告願いたいのです。農民から十アール当たり五万円で三千三百万円の金を徴収しているのであります。  それから、この三千三百万円の点については、定款の中で受益面積区域変更をいつしたのか。こういうものが明らかにならないと、どういう形でこの三千三百万円の金を取ったのか。  また、この三千三百万円の使途内容であります。聞くところによれば、このうち二千四百万円は、児島湖堤防利用株式会社という会社に、資本金二千六百万円のうち二千四百万円を児島湾土地改良区が出資している。そして堤防利用株式会社から年に二百万円の配当金がある。この配当の二百万円のうち河川占用料として岡山県に納めておるのが約四十二万円ある。  こういうことが大体いま確認されておるのですが、この三千三百万円の使途はどうなのか、それから徴収した名目は何の名目か、農地としての認定の上に立って受益面積として取ったのか、ただ水利費として取ったのか、この点を明らかにしてもらいたい。  それからもう一つあります。あの締め切り堤防向こう側に、いま岡山県の県立自動車教習所ができております。この教習所の敷地は、もとをただせば児島湖貯水池土地であります。あれはもう農業用施設としての貯水池として確認をしておるわけですから、普通の公有水面の取り扱いとしては私たちは疑問を持っておるわけであります。初めの土地造成は、公有水面埋立法埋め立てをして土地造成をした。それは児童公園をつくるということで造成をしたわけです。これに補助を取っている。それを、今度は県の自動車学校の誘致をして県立自動車教習所をつくっておる。これは道路法に基づかない農業用施設としての堤防でありますから、なぜこんなところへ誘致するのを農林省は黙っておったのか。事前協議を受けて許可を出したのか。この埋め立て関連をして、これは水量影響するのです。こういう貯水池埋め立てするならば水量影響する。あの工事については、どれだけの水量がたまる、それに対して堤防の高さなり幅員なり、すべては水量に合わして建設をしておることは間違いない。この水量影響するようなこと、これは水利権影響があるわけです。こういうところを、国有財産として認定をされておるのにかかわらず、かってに土地改良区が公有水面埋立法という法律を乱用して——おまけ道路法でない堤防に一日五百人も通行量がふえたので、堤防が沈下するのはあたりまえです。こういうことを農林省事前に承諾をしておったのかどうか。農林大臣にこれの見解を聞いておきたい。
  8. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御質問、詳細承ったわけでございまするが、ただいま局長からは御質問内容について十分承知をしておらないということを私に申しております。したがいまして、ただいまの御質問の点につきましては、私どもにも責任のある問題でございまするから、さっそくに詳細取り調べてお答えを申し述べさせていただきたいと思います。
  9. 柴田健治

    柴田(健)委員 大臣、いままで申し上げた点について、文書でひとつ御回答をお願いしたいので、その点のお答えを願いたいと思います。
  10. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 調べが済み次第、文書をもって御回答申し上げます。
  11. 柴田健治

    柴田(健)委員 本論に入りたいと思います。  今度の農林金融関係農協法の一部改正ということで、特に私たちはこの農協法の一部改正については重大な関心を持っている。農業協同組合法が制定されて今日まで何回となく改正をされてまいりましたけれども、どうも前進をしておると言えば言えるし、どうも停滞をしておると言えば言えるし、農業協同組合がそれぞれの地域的諸条件その他の相違からいろいろ相違のあるところはこれは認められますけれども、まあ、私たち大都市付近に住んでないという立場から、都市型農協という面の中身内容ということについては十分承知をしておるとは私も自信がないわけですが、しかし、過疎地域、純農村地帯にある農業協同組合というものについていろいろといま問題があるわけであります。特に今度のこの金融関係改正について、農業協同組合から申し上げると、やはり事業内容信用事業共済事業購買事業販売事業加工利用、倉庫というそれぞれ事業運営をやっておる。都市型農協信用事業がもうほとんどを占めておるということが言えるわけですが、この純農村地域における農協は、やはりこうしたいろいろな事業運営して、その中から利益をかせぎ出していくということになっておるわけです。  こういう農協事業内容から見て、一番の問題になるのはやはり食糧政策土地の問題です。この土地食糧というものを切り離して農協運営というものはいま語るわけにはいかない。  それから、食糧政策の中ではやはり米です。米の問題をたな上げをしていま農協運営をとやかく言うわけにはまいらない。それから、米ということになると価格の問題だと思う。それはもう生産調整その他いろいろ政策的にいまやっておられますけれども、何としても価格の問題だと思います。それから、四十八年度の米価の問題ことしの米価のきめ方によっては、農民はもちろん農業団体の将来の運命をきめるというようにいわれておるわけであります。ことしの米価決定いかんによっては、これはもうたいへんなことになるということが言えるわけでありますので、農協法の法の論議をする場合に、前提条件としてはやはり米の問題を考えなければならぬ。  こういう立場からお尋ね申し上げたいのですが、四十八年の米価決定までに農林省はもはやスケジュールを組んでおられると思う。たとえばいつごろ米審に諮問するのか、いつごろ答申を受けるのか、こういう点のスケジュールというか、日程を聞かしてもらいたい、これが第一点であります。  それから第二点は、物価、賃金、公共料金その他大幅の値上がりに伴う今日の値上がりムードというものは農林大臣もよく御承知だろうと思います。こういう値上がりの中で過去三カ年米価の据え置き、そして昨年の値上げ幅を見ると、半ば政治加算的なものがある。私たちはそういう政治加算的なものはやめてもらいたい。農民立場からいっても、どうも筋が通らない、これは長年の声であります。こういう政治加算的なものはやめるというその中で、現在までとり続けてきた生産費所得補償方式のこの指数化方式というものをもうこの辺で考え方を変えて、新しい価格のきめ方をするのだという多少の手直しでいかれるのか、従前どおり方式決定をするのか、この二点についてまずお答えを願いたいと思います。
  12. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 米価は、お話しのように、これはもう農業経営の上には非常に大きな影響のある重大な問題でございます。かねがね申し上げておりますように、これはじっくり取り組んでやりたい、こういう気持ちがありまするので、現在相当な法案をかかえておるのでありまするから、農家に大きな影響を来たさない、時期としてはおそい時期、しかし、おそいからといって、それがたとえば予約などに影響のあるようなことであってはいけないのでございまするが、できるだけ落ちついてじっくり協議をいたしたい、こういうことでおそい時期ということを申し上げてまいっておるのでございます。したがって、現在、何月、いつごろ米価審議会諮問をするのだというような、そういう具体的なスケジュールはつくっておりません。ただ、私が、この委員会あるいは本会議を通じて、今回はおそい時期にやる、こういう大まかな私の考えだけを申し上げておるのでございまするが、ただいまの御質問には、御指摘のとおりに、きわめて重要なことでございまするし、関心のある問題でありまするから、諸般の悪い影響の起きないおそい時期に諮問をいたしたい、こういう考え方であります。  それから、従来の方式をとるのか、それとも何か新しい方式をとるのか、こういうことにつきましても、これは確たる方針を立てておるわけではございませんが、生産費所得補償方式にかわるべき何か適切な方式がいまここで考えられるか、これはなかなか困難ではないか。といって、生産費所得補償方式をそのままということもいろいろな要素に問題があるのではないか、こういうことでございまして、かわるべき方式はちょっと見当はつかないのじゃないか。こういうことで、従来どおり全く同じにやるかどうか、こういうことになりますると、その辺はいろいろな要素考えてまいりたい、このように存ずる次第でございます。
  13. 柴田健治

    柴田(健)委員 どうも大臣の言うことを聞いておると、正直に言って、わけがわからぬ。あなた、のどから先と腹の中が違うのではないかという気がするのですが、重要な問題であるということは認識されておる。それから、おそいというのはどういうことですか。農民はいま盛んに資本をかけておるところなんですよ。それから、ことしの米価というものがどうなるんだろうかというので——あなたはこの間の答弁では、農民にできるだけ不安を与えないように、希望と夢を与えるような農政を進めていきたい、こう答弁しておる。みんな聞いておる。だから、不安を与えないというのは、これはもうはっきりしておると思うのですよ。農林大臣みずからなるべくおそいと言うてみたり、重要な問題でありますからと、これではわからぬ。農林大臣として見識を持っておるのだから、おれはこういう考え方できめていきたいのだ、スケジュールとしては、日程としては五月中にはこういう方法をとりたい、六月にはこういう方法をとりたい、おそくとも私の考えは七月中にはきめたいとか、何かがなければ、どうもあなたの答弁を聞いておるとおかしいのですよ。そういう構想もなければ、考えもない。いまの段階は暗中模索だ。ただ重要な問題ということだけは認識しておりますと言うだけでは、農林大臣として不見識だし、全国の農民はあなたの答弁をどう受けとめるだろう。この点、もう少し反省の上に立って、真剣にお答えを願いたい。いま農民はことしの米づくり資本をかけておる、農協もそれに対していろいろ指導しておる、地方公共団体も指導しておる。ところが、農林大臣みずからがそんなあやふやな態度では——来年のことを言うなら、それはわかりますよ、あなたは来年まで大臣しておるかどうかわからぬから。あなたの大臣任期中にきまるのですよ、きめなければならぬのです。七月改造が延びるようですから、あなた七月にやめる気でそういうことを言っているのかどうか知りませんけれども、おそらく内閣を改造しないというのですから、あなたの大臣任期中にきめなければならない。その点を明確にしてもらいたい。いろいろな問題がありますから、それはこちらもよく理解できますが、しかし、あなたの構想としてもう少し具体的に考え方を言うてもらいたいと思います。もう一ぺんお答え願いたい。  それから、価格決定ですが、これを聞いてみると、どうもあやふやなことなんですね。従前のものを変えるとか、かわるべき一つのものがあるやらないやらわからぬような言い方、こういう点についても、あなたがもう少し、従前どおりのものをもってやりますとか、どこか少し変えなければならないとか、あなた、大臣になって相当期間がたっているわけですから、その点の考え方を明らかにすることは当然のことじゃないですか。もう一ぺんお答え願いたいと思います。
  14. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 大事な問題でございまするから、非常に慎重にお答えをしておりますが、しかし、同時に、私はそうあやふやに申しておるわけではないのです。先ほど申し上げましたように、おそい時期と言っても、予約申し込みとの関係があって、それには事を欠かさないようにいたしたい、おそいと言っても、そういう歯どめをちゃんとつけて申し上げておるのでございますので、大体の御想像ができることと思うのであります。ただ、私がここでいま何かあいまいに申し上げておるようでございまするが、実際上省内でことしの生産者米価をどういうふうに取り運ぼうかというような相談をしておらないものですから、だから、私の心組み、従来お答えをしておることを繰り返し、しかもそれだけでは不十分でございまするから、予約申し込みとの関係で心配はかけないというふうに、歯どめをつけてお答えしておるわけであります。  それから、この算定方式のほうについても、わりあいに私はっきり申したと思うのであります。生産費所得補償方式にかわるべき方式はなかなか見当たらない。しかし、いろいろな要素について考えなければならぬ点もあるので、いま直ちにそれじゃ生産費所得補償方式でやりますというのには不十分であると思います。その辺はよく検討しなければなりませんし、さらに算定要素についていろいろ考えさせられるということについては、四十七年産米価の算定要素の場合をひとつ思い起こしていただきますると、御納得がいくと思うのであります。たとえば算定要素の中で通勤手当支給相当額を試算では控除をいたしました。あるいは災害農家の基準の変更を、試算では二〇%を一〇%にしたというようなこともございますので、こういうような点も勘案しながら——いま申し上げることじゃないのですよ——こういう算定要素についての勘案をしながらやらなければならないのじゃないかと、大まかに考えているところを申し上げたわけでございます。
  15. 柴田健治

    柴田(健)委員 いまの段階で大臣に十分お答えを願いたいということもできないかもしれませんが、とにかく価格の問題については、大臣、どうですか、大幅に引き上げるというお考えはないですか。この前の大幅というのも、乳価の問題でぼくらは一ぱいだまされたような気がしているのですが、どうも大幅、大幅と、言うことはよく言われるのですけれども、どの辺が大幅か、よくわからない。  だけれども、いままでの実績からいうと、米価決定、要するに生産資材の問題については、地方税と同じように——前年度の所得に税金を課税してくるというのが地方税のあり方、米価のきめ方も、前年度の物価に合わしてきめる、今年度に合わしてきめない。こういうところに農民からいろいろな問題があるわけで、やはり今年度のいろいろな生産資材の値上がりは非常にひどいというか、いままでの過去の実績からいっても、これはたいへんなことだ。たとえば作業場をつくるにしても、木材にしてもセメントにしても、それはもう倍以上なんです。こういうところをある程度しんしゃくしないと、ことしは特に物価問題をしんしゃくしないと、農民のほうも了承しないだろうし、もはや生産意欲というかそういう精神的な面も、いままでだんだん破壊されておりますけれども、ことしの米価決定いかんによっては、生産意欲、勤労意欲が根底から破壊される、農民の精神構造が変わってしまう、こういう心配があるので、農林大臣としてはそういう点をよく踏まえてやってもらいたいという気持ちがするわけですが、そういう点の決意だけを聞かしていただきたいと思います。
  16. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私が御説明するまでもなく、十分御承知のことだと思うのでありますが、四十五、四十六、四十七年の三カ年間の平均のデータをまずとりまして、それからただいまいろいろ御意見がございましたが、それらの諸事情を勘案して諮問の案をつくる、こういう順序でございまして、いまここで、それではその内容がどうなるかということにつきましては、まだ三カ年間の平均のデータの資料も手元に参っておらない段階でございますので、従来どおりに一応固めるべきものは固めて、それから考慮をしてまいる、このようにお答えを申し上げておきます。
  17. 柴田健治

    柴田(健)委員 米価の問題、いずれまた論戦というか、たびたび論議しなければならぬときがくると思いますが、まず農協運営の中で米の代金というものが、畜産、蔬菜、果樹を含めて重要な資金源になっておりますから、米代金を無視して農協信用事業というものは考えられない。そういう立場からわれわれは米価問題に非常な関心を持っている。また組合の農家個々についてもこれがいえるわけですから、十分配慮願いたい、こう思います。  次は、土地の問題なんですが、今度の農協法の一部改正で、要するに、農地転用事業、それに関して住宅建設等いろいろできるように道を開くという。しかし、ほんとうに農協にそういうことをやらせるためには、土地そのものの対策がもっときめこまかいことを考えないと、やれるかどうかという心配があるわけです。今日、土地の買い占めといわれることが全国的に非常に大きな問題になっておるわけですが、この土地の買い占めについていま農林省が手を打たなければならない問題がたくさんあると思うのです。それを打ちながら、今度の農協法改正で、農業団体にこういう方法でひとつやったらどうかという指導をすべきではなかろうか。現状は何もせずにほったらかしにしておいて、農協法だけ一部改正をして、農地転用事業を一部拡大していろいろな事業をやりなさい、資金は貸してあげましょうということでは、いいものにはならないと私は思う。  ひとつ岡山県の例を申し上げます。いま岡山県で、この四年間の土地の売買を調べてみますと、十ヘクタール以下、二町歩、三町歩、五町歩というのは、正直に言って、ちょっと実態はつかめない。それはもうたいへんな数字になっておる。少し住宅を建てるようなところは、農協はほとんど手がつけられないというところが多い。  それから、十ヘクタール以上のところを調べてみても、岡山県に七十二件ある。その七十二件の合計面積が九千七百五ヘクタール、約一万ヘクタールがいま買われておるわけです。売り買いがもう完了しておる。その七十二件のうち五十五件を県外資本が買っておるわけです。商業資本が買っておる。買い方を見ると、七十二件のうち三十件が地権者と買う者が直接話し合いをして、売ってくれ、売りましょう、こういうことで商談が成立しておるわけです。それが約四二%くらいになっておるのです。それから、二十六件というのが地方のボス、要するに有力者、それから不動産屋があっせんをして売買をしておる。それから、残る十六件が農協や市町村役場、その他公共機関といわれるものがあっせんをして取引をしておる。これは岡山県の場合ですが、七十二件の売買の取引条件というか取引状態をいろいろ調べてみると、そういう形になっておる。  その土地の使用、どういう目的で買うたか。この使用の内容ですが、いまわかっているのは、ゴルフ場が十七件、それで面積が二千七百八十八ヘクタール。これがいまの九千七百ヘクタールの率からいうと二九%、約三〇%近くがゴルフ場である。それから住宅用地として買われておるのが十五件ある。二千七百八十五ヘクタールですが、これも二九%くらいの率になっておる。それから、いま買うだけは買ったが何に使うのかわけのわからぬというのがある。これが問題です。この使用不明というやつが、これが買いだめ、買い占めだとわれわれは言っているのです。これが十六件ある、二千三百八十八ヘクタール。これは岡山県のことをいうと、ほとんどが県外資本です。完全に買い占めだ。  この使用不明のものが、ほんとうに農協や、要するに農業団体地方公共団体の思い切った新しい農村の改造、または新しい農業を中心とする工場団地、または村落集約団地、こういうところ、または畜産公害の公害処理施設をつくるというような土地に使われてしかるべきではなかろうか。こういうところを今度の農協法改正農協に仕事をやらしてもいいじゃないか。いま買い占めをされておる、何に使われるかわからぬというような、この点についてもっと農林省が早く、どういう方法で使用不明な買い占めの土地処理するかという点を、もう少し指導性を強めていくということで県なり市町村を督励して、こういうところは農協がやりなさい、それがためには資金を出しましょう、もう一ぺん買い戻しをやりましょうというような、何か具体的な指導が出ない限り、岡山県の場合を考えると、農協法を一部改正して、こういうことをやれというが、しかしやれる土地があるのか。みなほとんどいろいろな形で買い占めをされておる。私が言った十ヘクタール以上のところですらこういう実態である。  こういう点で、土地問題を抜きにして今度の農協法というものは考えられないという気がする。要するに、金融と土地というものを切り離して考えるわけにいかない。この点について、農林大臣、どうですか。  具体的にほんとうに青写真をつくって、資金も年次計画で投資額もきまり、ちゃんとした信用ある会社で、そうして信用のできる契約を持ち、信用できる投資計画を持っておるというようなものは、私はやらしてもいいと思うけれども、しかし、何やらわけのわからぬというような完全なる土地の買い占めについては、いま買い戻しくらいはやるのだというくらいの気魄がないと、農民は、どうも農林省は言うだけで、農協法改正をしたけれども、本気でやることはないだろう、こういうことになると思うのですが、この点、大臣、どうですか。
  18. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 岡山県の土地買収の実態を例にお話しでございました。全国的に多かれ少なかれそういう傾向を持っておると思うのでございまするが、特に使用不明の点について、これが買い占めをされておるのではないか、また、それを有効に利用することを考える、そういうことがないように考えるということでございまするが、先般、農林省としては、全国の地方農政局に対しまして、元来農地を買い占めてこれを利用するというのにいたしましても、御承知のように、農地の場合は許可を得なければならない。しかし、その前に仮契約あるいは金銭の授受が行なわれて、実際上はそういうようなことになっておる。それではいけないということから、地方農政局を通じてあらかじめそのようなことのないようにしよう、それには登記所にしばしば担当者が行って、そういうような動きがあれば、すぐ把握してとめるというようなくふうもすべきであるというようなことで、いま手元に地方農政局に対しての指示の書類がございませんから、後ほど担当者から必要があれば詳しく御説明を申し上げさせますが、そのようなことを一方においてしておるわけでございます。  また、いまのような土地を、従来農地等処分事業というのを、御承知のように、農協で行なっておるのでございまするが、この事業範囲を拡大して、実態に沿うようなあるいは組合員の要望に沿った措置をするようにいたしたいと考えておりまするし、さらには、この農地等処分事業の円滑な実施と土地利用の効率化をはかるために、今度の法改正による住宅その他の施設の建設をもあわせて行なえ得るようにいたしておるようなわけで、御質問の御趣旨に沿うよう各種の施策を講じておる次第でございます。
  19. 柴田健治

    柴田(健)委員 農林大臣は明確に指導性を発揮してないからわれわれに答弁ができぬと思うのですが、これだけ国民世論というか、それぞれの政党も土地の買い占めについては関心を持ち、いろいろきびしい批判もあって、また善処の要望というものが出ておるわけです。それを踏まえて行政指導の力を出していくということが大事なんです。いま答弁を聞いてみると、使用不明な土地についてばどうするという考えがない。  私は、農林省責任ないのかというたら、あると思う。農地転用だって、保安林解除だって、だまされて認可を出しているのですよ。それは小面積は一応都道府県知事ということになっておるのですが、広い面積農林大臣の認可が要るわけです。結局、地方公共団体がかってにやったんだから農林省は知らぬというわけにはいかない。法治国家としては関連性がある。それから、農地転用や保安林を解除するときには、いろいろな解除条件がある、転用条件がある。それを認めてあとは何に使われるやらわからぬというような、指導もしなければ何にもしない。手をこまねいて見ておるだけだ。これでは私は責任を果たしたとは言えないと思う。  そういう使用不明な土地については、これは全国至るところにある。私がいま申し上げたのは岡山県だけの数字をあげて実例を申し上げたので、こういうところを早く——今度の予算を見ても、高福祉農村の建設だということで、今度は国土開発庁へ農林省が出かせぎに行くらしいのですが、その予算をもって出かせぎに行かれる農林省が、非常な関連を持っておる土地、使用不明の土地をあなた方責任ないような言い方をする。それなら、保安林解除や農地転用をどういう考え方に立ってそういう免許や許可をおろしたか、こういう点は反省をしてもらいたいと思うのです。直ちに買い戻す。登記も完了しておればなかなか民法上は返らないということがある。登記は、調べてみると、岡山県の場合はまだ四〇%未登記がある。未登記のところは買い戻しもできるわけですよ。話をすれば買い戻しができる。登記がつくとなかなか戻らないということもいえるけれども、そういう点の手の打ち方というものを考えたらどうかという気がするのですが、大臣、その点どうですか。
  20. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ちょっと御説明が十分でなかったかと思うのでありまするが、この農地の転用は、言うまでもなく、許可を要するわけですね。そうすると、使用不明の農地関係は、岡山では十六件ある。これはおそらく私の想像では、農地転用許可がまだ出ておらないものではないかと思うのであります。そうであるといたしますれば、これはただ単に、現在手つけを打つなりあるいは金銭の授受だけが行なわれておるという段階でございまするから、その分が転用許可申請をしてまいりましても、もしそれが妥当なものでなければ、これは当然許可が出ない。したがって、それは利用価値がなくなっていくということでございまするし、なお、先ほど申し上げましたように、地方農政局を通じてこのような買い占めとか農地の不当な壊廃のないよう指導をしておるのでございまするから、御指摘のような、これは契約を解除する方向に向けることも至難ではないと思うのであります。  それとともに、私、先ほど申し上げましたように、農協の持っておる農村での重要な役割りから考えまして、このようにかりに土地所有者のほうが何とかこれは処分したいのだというようなことなどございますれば、それに沿うように農協が活動ずるようにするのがよろしい、こういうことで農地等処分事業事業範囲の拡大についても先ほど御説明も申し上げまして、そういうような場合には、農協が間に立って、農民の要望に合理的にこたえる措置のとり得るようにしておるということを申し上げた次第でございます。
  21. 柴田健治

    柴田(健)委員 土地の問題はいろいろ問題があるわけです。先ほどの商社の問題も個々にわたってあるのですから、いずれ土地問題はあらためて大臣でもほかの人でも具体的に論戦しなければならぬ、こう思いますが、とにかく、つけ加えておきたいのは、農地転用や保安林を解除して、使用目的にいまだに手をつけない、何にもしない。買うときば県庁にもお百度を踏み、農林省にも出かける、市町村にも出かけてやるが、買うたら最後、一切顔も姿も見せないという商社もあるわけですよ。知らぬ顔をしている。土地を売った元の地権者は、いつ仕事をしてくれるのだろうか、いつ工事にかかってくれるのだろうか、どうしてくれるのだろうか、こういうのが至るところにある。こういう点については、ただ農地の転用だとか保安林を解除するときだけは書類審査をやった、あとはそれを守らないということになれば、これはもう一つの道徳の問題になってくる。けれども、そういう具体的なことについては、いずれあらためて申し上げます。  次は、日本の農業をどうするかということについて、よく地域格差だとか他産業との格差是正だということばが使われるのですが、私は農業の他産業との格差是正という考え方は少し誤りがあるという気がするのです。それから、日本の食糧をどうするかという独立国として総合食糧政策はどうあるべきかという、他産業との比較農政論というようなことでなしに、独立国として日本の食糧政策はどうあるべきか、農業政策はどうあるべきかということをもっと角度を変えて検討すべきではなかろうか、こういう気がするわけですが、農林大臣はその点はどうですか。簡単にお答え願いたい。
  22. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 しばしば農業の他産業との格差の是正というようなことがいわれております。それはそれなりの意味があり、努力をしなければならないことではございまするが、お話しのように、もっと大所から日本の食糧政策をどうするのか、これは当然また考えていかなければならない問題でございます。  したがって、いつもお答えを申しておりまするように、第一に、でき得る限り国内で生産をするように、しかしながら生産性に非常に劣るものがございますれば、開放経済下にある日本として外国食糧の輸入をも、全然これを除外して考慮していくのもどうか。それは一方において消費者のことも考えなければならないし、また現在ソ連や中国などが異常天候に災いされて食糧が減産をしておる。特にソ連の場合ばそのことによってアメリカから大量の食糧買い付けをしなければならないというような実情を見ておりますると、私はある程度、若干の輸入食糧を勘案しなければならぬということについては、全く日本国内での自給だけということで、もし日本の国内で天候異変があったということになりますれば、その影響また非常に大きいのでありまするから、それらのこともある程度は考慮に入れながら、もちろんそういうことのために備蓄政策などもございまするが、しかし、備蓄でまかなう期間にまた足らざるところを海外から入れる余地というものが、やはりまたそのルートというものがなければいけないのでありますから、そういうようなことも頭に置きながら、御指摘のとおり、日本の食糧政策を大所から見てどうするかということについては、常に配慮をしておく必要はあると思います。
  23. 柴田健治

    柴田(健)委員 農林大臣、そういう考え方であなたがもう少し元気よく張り切ってもらわないと、農林省へ入っている職員は、ここへ局長、課長も見えていますが、何のために農林省に入ったのか意識不明だということになるわけで、おれは農林省に入ったのはこういう気魄で入ったんだという、ふるい立たしてやらなければならない。これは大臣責任だと思うのです。おれは外務省に入ろうと思ったんだけれどもやめたんだ、農林省へ入ったのは日本の農業を前進させるために入ったんだ、そういう気魄をふるい起こさせてもらいたい。これは大臣責任だと思うので、そういう点をひとつ、大臣、省内でも十分やってもらいたい、こう思います。  それから、私は、そういう形で日本の農業というものは気象条件や地理的条件というものが非常に影響しておる。それから中華人民共和国はあいさつの中に食べもののことを言う。日本の場合はあいさつの中に天候を言う。この歴史的なことをみんな考えなければいかぬと思うのです。きょうはいい天気です、悪い天気ですと、あいさつの中に天候のことを言うというのは、何か農業国としてもう天候に支配されてきて、それから常に頭から気象条件というものが日本人には離れなかった。そういう中の日本の農業というものはどうあるべきかということを真剣に考えないと、気象条件を無視して、地理的条件を無視して農業政策というものは考えられない。その点を農林大臣は十分知っておられると思いますから、今後も大いに努力してもらいたい。  私たちの意見から申し上げると、やはり農業の就労人口をどうするかという雇用計画全体のことを考えなければいけない。それから日本の雇用政策というものをひとつ計画的に考える。その中で農業就労人口をどうするか、それから国民の栄養計画をどうするか、いろいろ関連的に積み上げていく、そういう構想が基本になければならぬと私は思う。そういう基本は農林省にはあまりない。ばらばらだ。そこに私たちが意見を申し上げなければならぬことになるわけですから、今後の日本の農業をどうするかという点については、基本的なものを積み上げてもらいたい。この点をひとつ強い要望をしておきたいと思うのであります。  それから、私、今日、出かせぎということばは、ほんとうはどうも気に食わない。大臣もこれは好いたことばじゃないと思うのです。この出かせぎということばをなくするためにはどうしたらいいのか。総理大臣答弁を聞くと、出かせぎも当然だという言い方をするのですが、出かせぎということばは好ましいことばじゃないと私は思うのですが、大臣、どうですか。出かせぎ、そういうことばをなくするためにはどうしたらいいのか。その出かせぎということばをあなたが正しいと思えば、それはわれわれはもう質問申し上げる理由はないわけですけれども、お互いに出かせぎということばはどうも割り切れない。このことばをなくするためにはどうしたらいいのか。その点ひとつ、大臣、どうですか。
  24. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 言うまでもなく、現に居住をしておるその地域、またそこで行なわれておる農業、そういうものが魅力があって大いに振興されておるならば、特に好きこのんでだれもが出かせぎに行こうというようなことでは絶対にないと思うのでございます。ですから、ことしは、ひとつ高能率、高福祉の農村建設につとめよう、農業を大いによくするとともに農村の環境をよくしようということも申し上げ、また、皆さん方が非常に最近では御批判を持っておられますけれども、われわれとしては適切な工場の農村への誘致はやはり必要なんじゃないか。そのことによって兼業農家としての所得の向上が望める、あるいはおっしゃるとおり、出かせぎなどに行かなくても済むということでございまして、申し上げればいろいろ申し上げなければなりませんけれども、概略してお答えするならば、いまのようなことではないかと思います。
  25. 柴田健治

    柴田(健)委員 大臣、農村に工業を導入という考え方がある。けれども、私は原則を忘れてはいけないと思うのです。水は低いほうに流れるが、人は賃金の高いほうに流れる。これは原則です。この原則をよく踏まえて、問題は、賃金問題が影響するのです。それから、たとえばいままで農村で学校を統合する、校舎があく。校舎に工場に来てもらう。そうしたら、賃金を安く押えられるわ、いろいろな道路、付帯工事は全部町村が持つ。もう至れり尽くせり。せいぜい税金も固定資産税でも何でも安くしてあげましょう、校舎の使用料も安くしてあげましょうということで、至れり尽くせりで、おまけに労働力を供給して、その賃金たるやまことに話にならぬ。いま農村で奥さん連中が働いておる賃金の平均を見ると、千円前後ですよ。あなたがゴルフをやられるかどうか知りませんが、ゴルフのたまが一個千四百円くらいするそうですが、ゴルフの上級品のたま一個にも及ばない賃金ですね。そういう、要するに水は低いほうへ流れるが、人は賃金の、所得の高いほうへ流れる、これは原則であります。この原則を踏まえて、それなら政府はみずから、農林省が先頭に立って全国一律の最低賃金制を思い切ってやる、そのくらいな姿勢が農林省から出てきてもいいと私は思うのですが、どうですそれは、大臣
  26. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御指摘の原則というものは、これはもう当然考えなければならないところだと思います。  それから、賃金の高いほうへどうしても流れる、これも一つの原理だと思います。私は、必ずしも高いからみなそっちのほうへ行くんではない、その生活環境などを考慮に入れて、ほどほどのところがあるんではないかとは思います。これはあると思うのです。ただ高いだけで行くというわけでもないとは思います。  またもう一つ、最低賃金のことについてお話しでございますが、現在、最低賃金の問題が、どちらかというと、私も少し等閑視されておるようなふうに見ておりますが、現実には最低賃金制というものはあり、現に私らの郷里でも、地域地域でこの賃金の問題が取り上げられる場合には、県などの調整で最低賃金というものは現に守られておるんではないか。それが現実に適しておるかどうかということは別途の問題でございますので、最低賃金の問題について検討の余地があればこれはしなければならないと思いますが、いずれにしても、いい工場が誘致され、そしてお話しの原則の上にのっとった農工一体の実があがるといたしますれば、出かせぎ問題の解消に大いに寄与すると思います。
  27. 柴田健治

    柴田(健)委員 いろいろ農林省はいままでしわ寄せを食った省だとわれわれは同情しているのですが、いままでのしわを伸ばすために、思っ切って大胆に、それから農林大臣、大胆にものごとに取り組んでいくという姿勢で——田中内閣は決断と実行だというけれども、どうもよくわからぬですけれども、大胆になってもらいたい。これは農林大臣に強く要望しておきます。  次に、やはり農業を守り育てるためには若い人を養成しなければならない。そこに後継者ということばが出てるのですが、後継者対策ということはいろいろな形で今日やってこられている。いろいろやられたが、しかし、まだ十分とは言えない。ただ、いま後継者には優先的に融資制度を設けて、いろいろと営農指導、技術指導その他研修ということで努力はせられておる。けれども、後継者の点については、男だけではいけない、女を含めて、男女含めて育成しなければ、どうも男だけは農村に残したが嫁さんが来てくれないということになる。この点を両々考えなければならない。  私は後継者対策でひとつ問題を提起したい。研究というか検討してもらいたいし、いいものはやってもらいたい。こういうことで四、五点申し上げたいと思うのです。  まず、後継者の育成については、農業高校の授業料を免除してもらいたい。これは国だけに全責任を持たせるわけにはいかないから、地方公共団体相談をして農業高校の授業料の免除、これが第一点。  その次は、住宅資金。いまの日本の住宅構造、まあ、いろいろ新しい住宅というか、今度農協法でそういうことも織り込んで考えておられるんだから、この後継者に対する住宅対策、それから資金については償還年限を三十年に延ばしてもらいたい。償還年限三十年、できるだけ低利でやってもらいたい。これが第二点です。  それから相続税。税法の関係もある、なかなかむずかしい問題ですけれども、相続税の免除という方向で農林省は取り組んでもらいたい。  それから結婚式の経費。これは県と町村で多少補助を出している町村も全国的に何ぼかあります。けれども、これも国なり県なり市町村、農協相談をしてやる。いま農協には、死んだ生きたということで、葬式の道具または結婚衣装というものを用意して、後継者には無料で貸し付けする農協もある。けれども、大体有償です。料金を取っておる。ということで、結婚衣装の程度のことまでやっておるけれども、結婚の全体のいろんな経費について、これはもう補助を出すべきだ、こういう気がするのですよ。もう少し社会的に、後継者になってもらう人に責任を負わせると言うたら語弊があるかもしれないけれども、とにかくみんなして育てる、本人も社会的責任を感じてもらう、こういうことでひとつ育成をしてもらいたい、こういう気がするわけです。  それからもう一つは、いま多少海外研修というものをやっておられますが、これを思い切って、農業後継者には二カ年なら二カ年、一カ年なら一カ年の研修に行ってもらう、たいした金はかからない、あとは向こうで何ぼかもらえるのですから、結局この行き帰りの旅費ぐらいは、これも国と県とがひとつ金を出し合って、思い切って海外研修を、いまささやかにやっておるのを思い切ってやってもらう。この点をひとつ後継者育成としてやってもらいたいと思うのですが、大臣、どうですか。
  28. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 ただいま先生からの御示唆につきましては、農林省だけの問題でもない点もあります。それぞれの省、いろいろな御意見もあろうかと思いますが、まず農業高校の問題につきましては、これは当然文部省所管でございますが、農業後継者が農業高校卒業生だけではないというような点も一つございます。また、農業高校の卒業生が全部農業後継者に必ずしもなっていないような事態も現にございます。それから、農業だけにこういうことをやれるかどうかというような問題、いろいろな問題ももちろん考えなければならないわけでございまして、そういったことも踏まえて、これは文部省ともよく相談をしてみたいと思っております。  それからなお、農業後継者につきまして各県の農業教育施設がございますが、いわゆる経営伝習農場といった施設がございますが、これは全国に五十四カ所ございまして、これは学校教育の終了者を対象に、農村のすぐれた後継者を育成確保するということが目的になっておりますが、ここでは原則として授業料が免除になっております。それから、農林省でやっております農業者大学校というのがございますが、これは地域農業の振興の中核となるべき農業後継者を育成するということでございまして、授業料は年額三万六千円ということで、あとは全部国と県が負担するというようなことになっております。  それから住宅資金の問題でございますが、住宅金融公庫から農村の住宅の改築、増築あるいは建設というようなものに住宅資金が、住宅金融公庫からの資金が貸し付けされておるだけでございませんで、農家住宅の改善につきまして、衛生的であるとか能率的な厨房あるいは手洗い、浴室等の改善、それから炊事、給水、屎尿浄化というふうな共同化を促進するために、特に農業改良資金の制度でもって無利子の農家生活改善資金というようなものの貸し付けを現在行なっておるような次第でございます。  それから税金の問題につきましては、これはなかなかむずかしい点もあろうかと思います。これは評価額の問題にもなろうかと思いますが、担当の経済局長のほうから御答弁いただくことにいたしまして、海外研修の問題につきましては、先生御指摘のように、農村で農業経営をやる者が幅広い視野を持つということが当然必要でございます。そういう意味で、従来から国際農友会がやっております農村青少年を対象とする海外実務研修、これは一カ年でございますが、これに対して助成もいたしております。また、昭和四十六年度から農業者大学校の卒業生の海外研修ということもやっております。それから四十八年度から新たに農村青少年を対象に先進諸国への視察研修として約一カ月、約十五人派遣することにいたしております。もちろんこれだけで十分だというわけではございませんけれども、私どもとしては努力をし、一そうこういったものの拡充をはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  29. 柴田健治

    柴田(健)委員 ささやかにやっておるのをあなたは十分だと思うから、私は申し上げるのだ。やっておる、住宅の改良資金で無利子で何ぼか金を貸している、知っているんだ。知っているのだけれども、思い切っていま現行制度を変えて、後継者対策として明確に位置づけをして方針を出したらどうか。三十年ぐらいの償還でやりなさい、こう言っておるのだから、研究してください。私は具体的に問題を出して言っておるのだから、ひとつ省内で大いに研究してもらいたいと思います。  それから、もう時間がまいりますからやめますが、いま単協のいろいろの信用事業の貸し付けの内容を見ておると、御承知のように、貸し付けはたくさんあるわけですが、手形貸し付けというものもある、証書貸し付け、購買貸し付け、それから転貸しの分で農林漁業資金、それから政府の制度資金、それから農業近代化資金、これは転貸しの分がある。その他員外貸し付けというのがある。いつも問題が起きるのは購買貸し付け、それから員外貸し付けで問題がいろいろ起きるわけです。全国農協五千七百ほどありますが、この中で不正事件が起きたり、いろいろ事件が起きるのは、この購買関係と員外貸し付けの面が案外高い。  その中で私たちが国なり県で、この信用事業の中で指導をひとつ強めてもらいたいというのは、やはり購買貸し付けの面です。たとえば私が肥料を買ってくる。肥料を買ってきて一カ月たつと、すぐ金利がつくわけです。今度はもう貸し付けになる。商取引が今度は信用取引になるということになるのですが、こういう農協をつくっていくと、農民がだんだん農協をきらってくる。やはり組合員農協というものは、物質的なつながりも大切でありますけれども、心のつながりというものが大きく支配するわけですから、組織防衛意識というか、一つの連帯感を高めるためにはやはり心の問題だと思うのですね。個々の組合員農協とのつながりを深めるためには、ひとつそういう点を指導したらどうかという気がするわけです。おまけに高い金利を取る。要するに、無担保方式になるわけです。購買事業がすぐ金の貸し付けになる。それが無担保になってくるから金利が高い。こういうことが平気で行なわれるということが、私は農協法の精神からいうて、どうもおかしいという気がするわけですが、この点についての見解を、これは担当局長から聞かしてもらいたい、こう思います。  それから、日本の場合はあまり手形を乱用し過ぎるという私の見解なんですが、いろいろ手形を乱用し過ぎて、これも失敗をする可能性もある。今度のこの法の改正で手形の問題があるわけですけれども、この点について十分今後行政指導をしてもらいたい、こういう気がする。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕  それから、転貸しの問題ですが、農林漁業金融公庫ができて、農業近代化資金、系統資金、制度資金等の転貸しについては、前々から末端では手数料の問題がいろいろある。手数料の問題はむずかしい問題だと思います。  それからもう一つは、事務の簡素化、これをもっと思い切って簡素化すべきではなかろうかという気がするのです。これはやはり信用の度合いの問題だと思うのです。人間を信頼するかどうかという信用の度合いの問題に関連してまいりますから、事務の簡素化というものはなかなかむずかしいとは思いますけれども、もっと簡素化をやっていかなければいかぬのではないか、こういう気がいたします。この点をお尋ねを申し上げたいのです。  それから次は、農協事業拡大がどんどん広がってくる。この事業拡大が広がってくると、固定資産はふえる。固定資産はふえるが出資金はふえない。いま出資金のほうは伸び悩みだろう、こういう数字が出ておる。それで、いま全国的に見て、たとえば固定資産が一千億あるとすれば、出資金五〇%の組合というのはいいほうだろう。それから一億の固定資産を持っておるところは五千万の出資というのがいいほうですが、こういう姿は望ましい姿ではない。一億の固定資産を持っておる組合なら七〇%、七千万は出資をさせるべきではなかろうか、こういう気がするわけです。この点の見解を明らかにしておきたい。それから、これが正しいと思えばそれでいいし、これは少しバランスがぐあいが悪いということになれば指導を強めてもらいたい、こういう気がいたします。  それから、出資金に対する配当なんですが、いま七分以内ということにされておる。農協の精神からいうと、七分以内に押えるのがあたりまえだ、こういう論理があると思いますけれども、しかし、還元の問題だと思うのですよ。利益配分の還元の方法がこれはおかしいという気がするのです。出資金の配当を七分以内に押えるというなら、還元の方法をもっと指導しなければならないのではないか。たとえば営農改善事業費をふやす、教育情報活動費をふやす、生活改善事業費をふやすという、農協法の精神である農民の経済的社会的地位の向上になるような、そういう還元をしない限り、出資金の配当を七分以内に押えるというのは筋が通らない。この点の見解を聞きたいと思うのであります。  それからもう一つは、土地や農業倉庫や、またいろいろな利用工場を、一時的にしろ担保に入れて金融操作をしておる農協が全国にいろいろある。そういう施設を担保に入れて金融操作をしなければならぬ農協は、これまた正しい運営をしておるかどうかということが問題です。この点についてひとつ見解を聞きたい。  以上の点についてまずお答え願いたいと思う。
  30. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 まず最初に、農協は売り掛け代金を貸し付け金に切りかえて金利を取っているという問題についての御質問があったわけでございます。この点は、私ども非常に苦慮しております非常にむずかしい問題でございます。と申しますのは、やはり農協農民の協同組合でございますから、組合員は肥料なり生産資材というものを農協に買いに行く。その場合に、すぐ現金払いじゃなくて、一定期間つけにしておくというほうが、組合員としては物が買いやすいという面があるわけでございます。ところがそれが一定期間以上に売り掛け金がたまりますと、特別な一部の農民の人たちがその利益を受けるというようなことになってくるわけでございます。そこで、われわれといたしましては、単協の購買代金につきましては、組合員に対する生活指導あるいは営農指導等を通じて現金決済が行なわれるように指導しているところでございます。ただし、その場合におきましても、現金決済がなかなかできないという組合員もおりますので、その人たちも、できれば一カ月、一定期間以内に金を払ってもらうようにするということにするのが正しい指導であるというふうに考えております。協同組合の原則自体が必ずしも絶対正しいわけではございませんけれども、われわれ承知しているところでは、協同組合というものはやはり原則として現金決済でやるようにすべきではないかというような原則もあるようでございまして、私どもといたしましては、そういうふうにすべきではないかというふうに考えております。  それから第二に、今度改正で手形割引を行なうことを認めるわけでございますけれども、これについては、非常にあぶないんじゃないかということの御指摘があったわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、手形割引はそういった危険な面もございますので、当面、手形割引の対象を組合員に限定するとともに、次に申し上げるような一定の基準を設けまして、その基準以上の組合に手形割引をさせるように指導いたしたいと考えております。  その基準でございますが、貯金規模が二十億以上あって、貸し出しの専従職員が二人以上いる。それから割引の依頼人は、ただいま申し上げましたように組合員に限る。それから対象の手形は融通手形等は対象としない。それから割引の限度額ば、一組合員当たり三千万円程度にしたいというふうに考えているわけでございます。  次に、事務の簡素化を大いにやるべきではないか、これはお説のとおりでございます。私どもといたしましても、事務の簡素化には大いにつとめてまいりまして、近代化資金等につきましてはかなり迅速に貸し出しができるというような体制になっております。その他の面につきましても、単協のあるいは連合会の事務の合理化というのは、もう絶対に必要でございまして、その点につきましては、今後も大いにその方面に努力するよう指導したいというふうに考えております。  それから次に、手数料、特に公庫、信連に対する受託手数料の問題でございますが、これもなかなかむずかしい問題でございます。しかしながら、われわれといたしましては、やはり極力適正な手数料が払われるということを考えると同時に、やはりこの事務の合理化と結びつけた線で今後の手数料の問題を考えなければならぬというふうに考えているわけでございます。  それから次に、農協の固定資産が増大しているが、出資金がそれに追いついていないじゃないか、アンバランスがあるのではないかという点でございます。この点も先生の御指摘のような現状になっております。と申しますのは、総合農協における固定資産は、共同利用施設等を中心といたしまして、年々増加を示しております。そこで、四十六年の事業年度におきましては、一組合当たり約一億二百万円というふうに、そういった施設がふえております。これに対しまして、自己資本の増加の関係はややおくれが見られまして、固定比率は四十三事業年度から落ち込んでおりまして、四十三事業年度五一・五、四十四年度四九・二、四十五年度四九・四、四十六年度五〇・五になっておりますけれども、いずれにいたしましても、固定比率がかなり低いということになっております。そこで、ただいま先生の御指摘のありましたように、それを少なくとも七割くらいに上げるべきではないかということは、まことにそのとおりでございまして、農業の系統団体のほうも、この固定比率の改善は急務と考えておりまして、四十五年度に策定いたしました総合三カ年計画によりましても、自己資本充実運動を推進しているところでございます。そこで、こういった運動を農林省といたしましても援助助長しながら、自己資本の充実につとめていかなければならぬというふうに考えているわけでございます。  それからその次に、配当の問題に関連いたしまして、農協はもっと営農改善あるいは教育情報、生活文化事業に力を入れなければならぬという御指摘がございましたが、これも先生御指摘のとおり、やはり農協というものは、配当することも重要でございますが、そういった面に力を入れていかなければならぬということも御指摘のとおりでございます。この点につきましても、系統機関は最近だいぶそういった意識が高まっておりまして、営農指導につきましては指導員の数もふえておりますし、それから生活関係の面、すなわち食生活の改善とかあるいは健康診断、冠婚葬祭、それから結婚式の問題、それからいろいろな図書活動、保育所、託児所等につきましてもかなり力を入れている面が出てまいりまして、やはりそういった面の農協活動の充実といったことは必要ではないかということで、系統も、これも総合三カ年計画でこういった面に重点を入れて推進しているという状況になっております。  それから最後に、農協農協の施設を担保にして金を借りているというケースがあるではないか、これは健全ではないのではないかというケースでございますが、私どもも、実態を必ずしもつまびらかにしておりませんが、そういったことはやはり好ましくないというふうに考えております。
  31. 柴田健治

    柴田(健)委員 農林省ひとつ、農協法改正して、この運営についてもっと実態を平素から調査する。全国五千七百の組合、いずれ合併してまた減るんだろうと思うのだけれども、とにかくこの運営中身、実態というものを平素から調査をし、それに検討を加え、悪いところはメスを入れて是正さしていくというような姿勢がないと、農林省自体、何か形式的に終わっているという感じがするわけですね。  それから、下から見る農林省農林省は上から見る農協、上から見ておる農協の形と農協の側から見る農林省の姿というものが合っていない、正直言って。それはどこで合わしていくかということをもっと農林省は知恵をしぼってやってもらいたい、こういうことを要望しておきます。  それから私は、この農協運営について、人的な問題ということが非常に影響しておると思うのですが、特に役員の問題です。この役員の中でも交代劇が非常に多い。それぞれの農協にボスがおって、勢力争いというか、要するに町議会とけんかをする。どうもいろいろ協力協調の精神がない。一人よがり、エゴが多いという、これは日本人独特の悪い風習がある。協力協調の精神を養うものはやはり人だと私は思う。その人材養成をどうするかということは、今日までいろいろ努力はされておると思うのです。けれども、まだまだ十分とは言えない。特に役員の交代劇のひどい農協ほど芳しき運営をしておるとは言えない。そのときにはどうするか。それから、そういうけんかを一時やめいというわけにもいきますまいけれども、その場合、やはり役員をおさめ、農協運営を完全に握って、内部的な指導を強めるというような責任を持つのは参事だと思う。この参事制をしいておるところは、何だかんだ言ってもうまくやっている率がいい。ところが、参事制のないところ、こういう農協はどうもうまくいってないというのか、そういうケースが多い。今後できる限りこの参事制をしくように指導したらどうかという気がするのが第一点。  もう一つは、監事の養成ですね。ところが、御承知のように、この農協の経理方式というものは、日本の場合には、産業簿記という時代から多少手心を加えていろいろ修正はされておるけれども、一般の商業簿記とは違った独得の経理方式。そのためにだれでもというわけにいかない。監事の養成というものをいままでいろいろな形でやっておられる。講習も研修もいろいろやっておるが、十分でない。もっと思い切って監事の養成というものを考えたらどうかという気がするわけです。この点の考え方。  それからもう一つは、中央会。中央会は、自主監査、自主的な指導性を強めるということで、農協独自の内部検査、内部監査という形でやっておるけれども、やはり中央会というものが相当権威を持ってもらわなければならぬ。中央会の人事構成はまだ十分とは言えない。これの体制づくりを農林省はどう指導するのか。  それからまた、地方公共団体は年に一回の行政検査という立場で指導しなければならぬのが、十分やってない。この点をどう補てんしていくのか、強化していくのか。この三点をひとつお答えを願  いたい、こう思います。
  32. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、農協運営ということを考えました場合に、人の問題が非常に重要であることは全く御指摘のとおりでございます。私どももたまには単協を訪問することがあるわけでございますが、非常にうまくいっている組合はそこにやはりりっぱな指導者がいるという形になっております。したがいまして、農協の組織として、私どもも理想としてはやはり役員の中にそういったりっぱな指導者が生まれてくるというのが一番望ましいと思っております。やはり農協農民の協同組合でございまして、自主的な組織でございますから、役員の中にそういった有能な指導者が育っていくということが望ましいとは思いますけれども、一方、役員の任期は三年以内というようなことでございまして、選挙があってかわるというようなこともあるわけでございます。したがいまして、そういったものを補う意味で参事制の確立ということも、御指摘のとおり、非常に大事なことだと思っております。  現在のところ、五千九百九十六農協、これは四十五年度の数字でございますが、その中で参事の数は四千三十三人となっております。したがいまして、一農協当たり〇・七人ということで、全部参事がおるわけではございません。しかしながら、最近の傾向を見ますと、四十三年を一〇〇といたしますと、四十四年は一〇三、四十五年は一〇五ということで、若干参事の数もふえておりますので、有能な役員の養成に力をいたすと同時に、さらにこういった参事制の拡充ということは非常に必要だというふうに考えております。御指摘のとおりでございます。  次に、監事の問題でございます。これも、私どもといたしましても非常に大事なことだと思っておりまして、ただいま先生からも御指摘がございましたけれども、国といたしましても、監事の講習会というものに助成金を出しまして、それに県も補助金を出す、さらに場合によっては中央会も参加して、それに出すというようなことで、監事の養成にはかなり力を尽くしております。しかしながら、これも必ずしもいまのところ十分だとは言えない面があることも御指摘のとおりでございます。  そこで、それを補う意味で、国の検査、これは自主的な内部監査以外に指導面もあるわけでございますが、国なり県の検査、特に単協につきましては県が担当しているわけでございますが、監査があり、同時に中央会がいろいろと自主的な監査を指導している。したがいまして、監事にそういった自主的な監査能力の向上をはかるために講習をやると同時に、県の検査あるいは中央会の検査のときに立ち会ってもらいまして、そういった面から監査能力の向上というものにも資したいというふうに考えているわけでございます。  それから、中央会の体制が弱いのじゃないかということでございますが、私ども、中央会もいろいろ努力して監査をやっていると思います。ただ、国あるいは県の検査も同様でございますが、まだ人員が必ずしも十分じゃないということで、十分なる監査ができてない面もございます。私どもといたしましては、毎年予算のときに監査陣営の増加ということにばかなり力を入れて努力しているわけでございますが、御指摘のとおり、まだ完全なものにはなっておりませんので、今後もそういった検査体制といいますか、指導体制の拡充というものには一そうの努力をしたいというふうに考えております。
  33. 柴田健治

    柴田(健)委員 いろいろ申し上げたいこともございますが、時間が参りましたから、いずれまた次の機会で申し上げたい。  特に私から御質問申し上げたい点について、土地問題と、今後農協が果たす役割りについていろいろと農林省考えなければならぬのは、農業政策の問題、食糧政策を含めてですが、全体を含めて、まだまだ論議をしたい、こう思っていますが、とにかく大臣、ひとつ大臣見解を最後に十分聞いておきたいのは、農協法改正をしてこれで事足りるのだということでは、これは失敗すると思うのですよ。今後、それこそ複雑多岐というか、多様性に対応する農協をつくるといういまの総合農協というものは、私たちはいま疑問を持ってきた。商社でも総合商社というのはろくなことはしないというようにいまわれわれは見ているわけですが、総合農協もいい面と悪い面がある。それから専門農協ということも、だんだんそういう面で、全国的に専門農協もできておるのですが、専門農協のほうが指導もしやすいし、またやるほうも一生懸命やろうという熱意がある。そういうことを考えたときに、専門農協もいい面がある、総合農協もいい面があるが、どちらもいまのところは一長一短がある。けれども、専門農協というものを検討してみて、専門農協のあるべき姿というか、そういうものも一つの研究課題として考えてもいいではなかろうか、こういう気がする。  それから、いま三段階制というものも、われわれいま末端の農協から見ればいろいろ矛盾を感じている。たとえば全農と末端農協との関係、中間の県段階の経済連、何かもう手数料だけはとられる。農協という名前を使わなければいけないので、手数料だけ払う。実際はもう別の方向で取引をやっている、こういう問題がいろいろあるようであります。この点の是正をどうするか。この是正をやらないと、三段階制という問題は、これはいろいろ論議が起きてくるという気がするので、今後農協運営については、農林大臣、ちいと力を入れて指導性を強める点は強めていく、予算をつける点は予算をつけていくという財政的な面、また行政指導的な面を含めて、ひとつこの農協運営については力を入れるか入れないか、入れるなら入れると簡単にお答えを願って、私の質問を終わりたいと思うのであります。
  34. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 簡単にお答えすれば、力を入れるということでございます。  農協は農業生産力の増進と農民の経済的、社会的地位の向上をはかるための農民の協同組織である。このことに、総合農協であろうが、あるいは専門農協であろうが、徹してもらわなければならない。同時に、私どもが財政面、行政面で指導よろしきを得る、その責任があるということを痛感しております。
  35. 柴田健治

    柴田(健)委員 以上、終わります。
  36. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、津川武一君。
  37. 津川武一

    ○津川委員 午前中は農民の預貯金をあまり望ましい方向に使ってない、そういうことを大臣に申し上げて、そういうことがないように要求する質問をしますが、その前に、私たち国会にいる者として、国会が調査する、そういうことに対してひとつ大臣に所信を承りたいのであります。  憲法の四十一条によると、「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」こういうふうに規定されております。とすれば、唯一の立法機関であるとすれば、法律をつくったり、可決したり、修正したり、いろんなことをするとすれば、何よりもその状態をつまびらかにしなければならないと思うのであります。この点が一つ。また、憲法の六十二条には「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。」こうなっております。この点も私は必要なのでございますが、この二つの点について大臣の所信をまず伺います。
  38. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまお尋ねの二点は、いずれも立法府に課せられておる重大な権能である、こう思います。お話しのように、唯一の立法機関としてりっぱな立法をするために各種のことについてつまびらかにしていくという必要性はこれは当然あると思いまするし、また国会の持っておる国政調査権、これが十分その権能を果たすという必要は、これはもう当然あると思います。原則的には御意見のとおりだと思います。
  39. 津川武一

    ○津川委員 そこで、農民の預貯金から、中金と公庫から各商社にどのくらい出ているのか、その使途などを私は連休前に農林省に頼んだわけであります、教えてくださいと。ところが、農林省当局は、個々の企業への融資は企業の秘密になるから出せない、こういう返事で、私はそれでも出すようにと要求していたのですが、いまだに届いていないのです。  そこで、いろいろなことがありますけれども、いま運輸委員会で国鉄の審査をやっておりますが、かなりの資料が要求されてかなりの資料が出ているのですが、まだ国鉄にレールや車両や機関車を納めた商社の個別的な数量や価格、アメリカ軍との関係は出てないのです。これが二つの問題。ところが、建設委員会はかなり業者別に資料は出しております。こういう点は委員会によって違っております。  そこで、この間の大豆のとき、私は大蔵省の関税局に商社別大豆等の輸入金額、数量に関する資料を求めました。そうしたら、大蔵省からの返事は、統計を作成しておりませんので返事できません、企業の秘密ではございません、関税局から全部各商社ごとに集めるとするとかなりの時間がかかりますが、いま私たちが要求しておる時期には間に合いませんが、しかしこれは企業の秘密だから出せないというわけではなく作業上出せない、こういうわけであります。  そこで、農林省に私たちその資料の要求をしたときに、大蔵省の出しておる有価証券報告書総覧は見ているのですが、この中に不備な点もありましたのでもう少しお尋ねしようと思ったら、企業の秘密としてがんとして立ちふさがれてしまいました。農林省について言えば、中央市場法の改正のときに、築地と神田の市場の卸の試算表、貸借対照表を要求したところ、企業の秘密として断わられました。しかたがないので、私たちは新聞社の情報でそれを知ることができて、問題を明らかにしたのであります。この間の木材の買い集めのときでございます。私は林野庁に、商社の名前を指摘して、その商社が輸入した材木の数量を教えてくれと頼んだわけです。あと大臣にお見せしますけれども、そのとき林野庁からいただいた報告書はこれでございます。A、B、C、D、Eという会社、そして昭和四十六年にA会社は三百二十万立米、B会社は三百万立米、C会社は二百四十万立米、Dは二百三十万立米、Eは二百二十万立米、合わせて千三百十万立米輸入している。このA、B、C、Dを明らかにしてくれるように頼んだのですが、ここでも企業の秘密としてどうしても教えてくれません。しかたないので、私はこのAはここだろう、Bはここだろう、Cはここだろうと言うと、まあそうでしょうというかっこうで逃げました。しかし、私たちがどうしても国会にいる者として仕事をしなければならないので、重ねて要求したら、かなりあとになって三井物産、日商岩井、安宅産業、丸紅、日綿実業、三菱商事、伊藤忠、住友商事、兼松江商、一連の二十数社の具体的な資料をくれたわけであります。つまり出せるのです。そこで、今度の農民の預貯金が商社でどのように使われているかということに対して出してくれなかったこと、私は非常に遺憾に思っておるわけであります。  そこで、大臣、私たちにこういう資料を出すべきだと思うのですが、これから要求するならば出す、当然だすだろうと思うのですが、大臣の所信を伺わしていただきます。
  40. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど原則的にはお答えを申し上げたわけであります。現実にいま各種の場合をおあげになってお尋ねでございますが、この企業の秘密という場合は、どの範囲で考えるかということは、それぞれの人の考えで差が出がちな問題ではないか。企業の秘密はここまでであるとか、ここまではいいんだとかいう判断が非常にむずかしい。そのためにただいまお尋ねのような御不満、あるいは考えようによってはそれは企業の秘密に入らぬではないかという場合もあるかと思うのであります。ただ、お話を承っておりまして、金融機関などの場合の企業の秘密は、多数の預金者をかかえておることでございますから、その預金者に思わぬ不測の影響を与えてはいけないというようなことから、相当金融機関の企業の秘密ということが慎重に扱われておって、客観的に判断すればその必要がないと思えることでも、相当神経質に扱われておる例はしばしば見られるところでございます。しかし、先ほど申し上げたように、国会に与えられておる権能ということから考えまして、原則的にはできる限り支障のないように資料の提供をされることが当然だと思います。
  41. 津川武一

    ○津川委員 大臣のもとで同じ仕事をしておる林野庁は、木材の輸入については詳しい資料をくれました。同じ仕事をしておる農林省の人が、農民の預貯金についてはついに私に教えてくれません。しかも大蔵省に頼んだら、こんな分厚い報告書をくれました。あとでこの内容について質問申し上げますけれども、そしてまた一般のところにこういうあれがある。このことを知っておって農林省自身が企業の秘密だからといって私たちに教えてくれない。同じ大臣のところで林野庁は教えてくれた。大蔵省は教えてくれた。今度の場合、私は知っておった資料は当然私たちのところに出すべきだと思うのですが、大臣、いかがです。
  42. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまお答えを申し上げたとおりでございまして、企業の秘密というものが、条文ででもはっきり示されておるということになりますと、判断がしやすいのでございますが、それぞれの担当者による一応の判断によって、そのために出せるべき資料が出せておらなかったとしますならば、それはまことに遺憾なことだと思います。
  43. 津川武一

    ○津川委員 じゃ、国務大臣としての櫻内さんにお尋ねします。  大蔵省は出した、林野庁は出した、農林省は出さない、こういう行政上のアンバランス、これはいいのか、これが一つ。具体的に、林野庁は出した。大蔵省は出した、今度の場合農林省は出さない。しかも出ている資料なんです。これを出さなくてよかったのかどうか。この二点、お答え願います。
  44. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまこの判断の場合に差が出る場合を申し上げ、そのために出せるべきものが出せなかったといたしますれば、その判断が誤っておったとするならば、それは遺憾なことで、私は遺憾だということを申し上げたわけであります。
  45. 津川武一

    ○津川委員 重ねてお尋ねしますが、今度出さなかったのは遺憾である、こう受け取っていいわけですか。
  46. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私は、どういう資料を要求されて、どういう内容のものか存じ上げませんが、いま林野庁と大蔵省との関係は、これはつながっておらないと思うのです。別の資料だと思うのです。ただし、大蔵省といまの農林省関係はつながっておるものと思いますが、私、具体的なことをはっきり掌握はしておりませんけれども、しかし、出せるべきものが出しておらなかったように受け取れますので、そうであるとすれば、それは遺憾である、こう申し上げておるわけです。
  47. 津川武一

    ○津川委員 あとでこれも実際にこの有価証券報告書の総覧に基づいて質問します。そのあとで、こういうものだったら出していいんじゃないかどうかということで、もう一回大臣の意見をお伺いすることとして、次に進んでいきます。  そこで、私たちは農業金融に対してかねてから申し上げているように、すべての農業者に差別がなく、大商社にも大農業者にも中小農業者にも差別なく、しかもその営業が、農業が成り立つように条件をよくして、長期低利の資金を支度すべきだ、これが一つ。第二番目には、そういった農業をやっておっても、災害だとか、この間みたいに何年も米価が上がらないとかいろいろな状態が出てきて、農民の借りた元利償還が困難になった場合は、この元利償還を援助するとか、利子をある特定の場合には免除するとか、いろいろなことをやるべきだと考えておるわけであります。この考え方から、中金と公庫の融資の先を見たときに、三井物産、三菱商事、伊藤忠、丸紅、日商岩井、住友商事など、大量の融資がされておるのに私はあ然としたわけでございます。これは項目できまっているのですが、最後に大臣の命令でこれはやるべきだという答弁あとで聞くといたしまして、小さな問題からまず入ります。  その一つは、三井物産に公庫から四十四年九月ごろに五億一千二百万が長期資金として融資されております。そこで公庫法の第一条によれば、農林漁業者にお金を貸すことが原則になっているわけですが、三井物産が公庫法の第一条に該当する人ですかどうかということ。もう一つ、公庫法の十八条の二号によりますと、造林業に必要なお金を出すといっております。三井物産は五億一千二百万円を造林業に使っております。ところが、この十八条の一番最初は、それも農業、林業、漁業または塩業を営む者とその団体で林業を営む人にはそのお金を貸してもよろしい、こういうことでございます。そこで、農林漁業金融公庫の業務方法書をとってみました。そうしたら、この中には造林に必要な資金を公庫から出してもよろしい、こう書くと同時に、貸し付けの相手方として森林組合、森林組合連合会、農業協同組合、林業を営む者、こうあるわけで、どう見ていっても三井物産に長期のお金が造林業として貸し出されておることに納得がいかないのですが、どういう根拠でこれが出たかを、大臣、わかっていたら明らかにしていただいて、わかっていなかったら、局長でよろしいが、局長答弁があってから大臣にこのことの評価を聞きます。
  48. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 御指摘のように、農林公庫から三井物産に造林資金ということで融資が行なわれております。この融資は三井物産を林業者として融資をしたわけでございます。
  49. 津川武一

    ○津川委員 農林大臣、三井物産が林業者というこの判定は、大臣がどういう根拠でしたか。
  50. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま担当局長から林業者とみなして賃したものである、こういうふうにお答えを申し上げたわけでございますが、いまここに定款がございませんが、おそらく私の判断では、ずっと定款が書かれておりまして、林業に該当ある事項あるいはその他の何々に関連する事項というふうになっておって、この金融機関が林業者としての判断のできるようになっておるものではないか、こういうふうに一応考えます。しかし、これはいま私が資料なくして判断しておることでございますので、この点はよく調べてまたお考えを申し上げたいと思います。一応お答えをいたす次第です。
  51. 津川武一

    ○津川委員 三井物産の定款、貸借対照表損益計算書、業務規程、このものを大臣は三井物産からとって私たちに提示していただいて、林業者であるかどうかという判定の基準をもう一回明らかにする、その質問を保留して、次に進みますが、これはとってくださいますか。
  52. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 おそらくいまのようなものは公開されておるものだと思いまするので、ただいまの御要求に応じて直ちに検討してみます。
  53. 津川武一

    ○津川委員 かりに二千億円の事業をしておる人が物資の購買五億円だけ造林をやっておれば、これで造林業者として認められるか、これは架空のものですが、大臣の判断の基準をひとつ伺わせていただきます。
  54. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 認められると思います。
  55. 津川武一

    ○津川委員 金庫法によれば、こういうところに出すお金は短期、これが原則、ただし、大臣が必要とあって認めれば長期でやることができる、こういうことですが、このように判断したと考えてよろしいですか。これは長期で出ているのです。
  56. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 造林資金でございますから、資金の性質上、長期になるわけでございます。
  57. 津川武一

    ○津川委員 長期と判定したとき、その根拠、これも調べて教えていただきたいと思います。  私は、三井というのは、このごろあれほどの買い占め、売り惜しみ、物価値上げの大商社なので、この点、金庫のお金が出ていれば、相当大きな問題があると考えるからです。  次に、今度は中金と大商社の関係についてです。これも大臣、われわれが手に入れた有価証券報告書と大蔵省が出してくれた資料からですが、四十四年九月期から四十七年九月期までの三年間に丸紅は長期の運転資金として百三十八億八千七百万円を中金から借入しております。そのうち、支払い保証のあるものが四十八億八千万円、支払い保証のないのが九十億円、また、短期として同じ期間に七百五十七億円を運転資金として借入しております。そのうち担保をつけたのが三百八十億五千万円です。無担保が大体同額の三百七十六億五千万円になっております。このお金で丸紅は木材を、大豆を、モチ米を買い占め、売り惜しみ、値上げして国民を苦しめたのでありますが、こういう形で農民の預貯金が出ることを大臣の命令できめておるのですか。このことに対する大臣考え方、今後はこういうものには農民の汗と血ででき上がった預貯金は使わしてはいけないと思うのですが、いかがでございます。
  58. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 大臣の御答弁の前に、事務的な点について御説明申し上げます。  農林中金の商社に対する融資は、農林水産業に関する事業を営む法人に対する貸し付けの一つとして行なわれておるわけでございます。すなわち、農林水産業の振興の見地から、必要とする農林水産業用生産資材、具体的には飼料、肥料、農薬等でございますが、及び農林水産物等の流通の事業を営む法人に対する融資として扱っておるものでございます。したがいまして、一般の金融機関のように、商社が必要とする資金をあらゆる分野にわたって貸し出すという性質のものではございません。  この資金は、あくまでも飼料とか肥料、食料品等、農林水産業関連品目の取り扱い金額の範囲内で通常の所要資金の一部を融資している実情にございます。すなわち、農林中金といたしましては、各四半期ごとにそういった融資先の各商社の資金繰りをとりまして、そこで今期はこういった農林関係の資材あるいは農産物の流通関係の運転資金としてどれぐらい要るかということを審査いたしまして、その範囲内でやっております。  したがいまして、私どもといたしましては、中金の貸し出しは、一般の金融機関のような貸し出しとは根本的に性質が違うのではないかと考えております。
  59. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 具体的な例をおあげで御質問になっておりまするので、そのときにどういうふうに処理をされたかはいま私ちょっとわかりかねるわけでございますが、ただいま内村局長から原則的に御説明を申し上げたのでございまして、その原則を逸脱しておるものであるというふうには判断をいたさないわけであります。
  60. 津川武一

    ○津川委員 出すか出さないか、どのくらい出すかは農林大臣がきめることができる項目なんです。そうしてこの金が、あなたが一番御承知のとおり、いま自民党の田中さんが総理である田中内閣の支持率を六一、二%から二六、七%へ落としてしまった、その大きな原因の買い占め、売り惜しみ、物価値上げ、この金にまさに使われた。飼料がそうだ、大豆がそうだ、木材がそうだ。とすれば、大臣は、自分では出したけれども、この状態、これでいいのか、なぜもっと監督しなかったのか、これからは出してはいけないと思うのか、この三つの点を答えていただきます。
  61. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど申し上げましたように、具体的にお尋ねになりましたが、そのときの事情等については十分つまびらかにいたさないわけであります。四十四年以降三年間のことを御指摘になっておると思うのであります。しかし、かりそめにも津川委員の言われるような疑惑がもしそこにあるとするようなことにつきましては、これは先ほども説明申し上げたように、四半期ごとに十分検討しての融資を行なっておるわけでございまするが、そういう疑惑を持たれるというようなことであってはいけないのでありまするから、融資対象資金の検討をさらに厳正に行なわしめ、社会的に疑惑を招くような資金需要には融資を差し控える等、農林中金の融資がいやしくも投機などに使われるというようなことのないようにつとめることは、私として当然な職務だと思っております。
  62. 津川武一

    ○津川委員 四十四年から四十七年の過去のことをさかのぼって話したから大臣はそうおっしゃる。  それでは、丸紅、三井物産、三菱商事、住友商事の四社、この四社に四十七年度の上、下の両半期、まるまる一年、物の買い占め、売り惜しみ、値上げが始まっておる四十七年度の後半期も含んで中金からの借入金は、この四社合わせて一千五百九億五千万円、こう出ております。このときはあなたは大臣でなかったかもわからぬけれども、四十四年の状態でない、四十七年の後半期の状態もこうです。この点をどのように考えるのか。私は、これからはこういう商社には農民の預貯金は、少なくともいまの問題がまだはっきりしない段階に、あなたも言われるとおり、どのくらい深い罪悪を犯しているか明らかでないが、告発されている、世論の話題になっておるこのときには中止すべきだと思いますが、いかがでございますか。これからも出しますか。四十七年に出ているこの状態をどう思いますか。
  63. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 四社を通じて四十七年一年間で千五百九億何がし、こういう御指摘でございます。これが御疑念を持たれておるような、また御指摘のいろいろな商品、土地等に投機的にあるいは買い占めのために使われたかどうかということについては、これはそうであったというふうににわかに判断のできにくい点があると思うのであります。しかし、私は、先ほど四十四年以降三年の問題で申し上げたように、かりにも社会的に疑惑を招くような資金需要には融資を差し控えるというのが当然であるということも申し上げ、また、融資対象資金の検討をさらに厳正に行なわしめるということをお答え申し上げておるわけでございまして、かりに調査の結果疑惑があるとすれば、それはまことに遺憾なことで、いま申し上げたようなそういうたてまえによって、今後の融資が厳正に行なわれるということは当然だと思います。
  64. 津川武一

    ○津川委員 そこで大臣、中金法の二十八条、二十九条ですが、二十八条では、「主務大臣必要アリト認ムルトキハ農林中央金庫二命ジテ業務及財産ノ状況ヲ報告セシムルコトヲ得」二十九条では「主務大臣必要アリト認ムルトキハ其ノ職員ヲシテ農林中央金庫ノ業務及財産ノ状況ヲ検査七シム川コトヲ得」とあります。それから農林漁業金融公庫法の第三十一条では「主務大臣は、必要があると認めるときは、公庫若しくは受託者に対して報告をさせ、又はその職員をして公庫若しくは受託者の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿書類その他必要な物件を検査させることができる。」こうあります。中金と公庫を通じてこの状態を調べさせてくれませんか。いかがでございます。
  65. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 法律農林省にそういう権能を与えておるわけでございまするから、必要に応じてできることでございまするが、先ほどからお答えをいたしておりますとおりに、御指摘の金融がはたしてそういう疑惑の対象になるものかどうかということについては、具体的な問題で私がいまここでこれは疑わしいという判断に立ち得るかどうかということは、これは申し上げるまでもなく、なかなかむずかしいことであります。私が十分な判断の資料なくそうだというようなことは申し上げにくい。したがって、そのようなことが前提でいまの法律に基づく調査等をするということについては、ただいま考えてはおりません。
  66. 津川武一

    ○津川委員 大臣、さっき私たちが話したとおり、あなたが言ったとおり、国の唯一の立法機関ですよ。私たちはこの項目を削除するかどうか、修正するかどうか、これはあなたの態度がきまらなければわからないんだよ。私からこれだけの疑惑が出された。それがあるのかないのかを調べられないはずはないと思うのですが、疑惑をそのまま残しておくわけですか。あるのかどうなのか。必要があるから調べたらいかがでございます。ここまできたら、当然法に基づいてあなたの任務を行使すべき時期でありませんか。いかがでございます。
  67. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 まず事実関係について御答弁申し上げます。  中金から大商社に関連産業融資が出ていることは事実でございます。その数字も、先ほど先生から御指摘のございました有価証券報告書の数字のとおりでございます。その点につきましては中金のほうと大体合っていると思います。したがいまして、そういうことは事実でございます。  ただ、これが投機に使われたかどうかということになりますと、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、各商社の関連産業に必要な運転資金のワクの中でやりなさいということを中金に指示しておりまして、中金は各四半期ごとに、各商社の肥料なり飼料なりその他農薬なり農業資材に必要な、商社の経済活動に必要な運転資金が幾らということを審査して出しているわけでございます。その審査につきましても私どもは中金を監督しておりまして、中金は遺憾なくそれをやっていると思います。ただ、それから先、商社に渡ったお金が投機になったかどうかということは、これは中金を監査いたしましてもなかなかわからない問題ではないかという感じがいたしますし、私どもといたしましては、中金は、他の金融機関のように、商社に対しましてどんな資金でも出すというような融資方針はしていないということを繰り返して申し上げたいと思います。
  68. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま局長が申し上げたとおりに、また先ほどから繰り返しお答えしておりますように、四半期ごとに調査をし検討しての融資が行なわれておるのでございまするから、いま、この一問一答の中からは、私としてそれが不正に使われたというような判断は出ない。したがって、それを前提にして法律上の権能を行使するという考えはいま持っておらないということを申し上げておきます。
  69. 津川武一

    ○津川委員 大臣、私は厚生年金からお金を一億八千万借りています。基金は、その出したお金が何に使われたかきちんと報告をとっております。調査もしています。中金は、自分が出した一千五百何億というお金が目的どおりに使われているかどうか調査するのはあまりにも当然であります。もしそれを持っていなかったとしたら中金の怠慢であります。したがって、出したお金の使い方の報告は必ずあるはずであります。これをとってわれわれに提示していただきたい。これはどうでございます。
  70. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 私ども承知しておりますところでは、遺憾ながら中金は使途についての完全なる、それをトレースするような資料を求めていないようでございます。したがって、今後必要あればそのように中金を指導したい、そういった資金の使途を十分トレースするように指導したいというように考えております。
  71. 津川武一

    ○津川委員 必要とあれば指導するということですが、いま私が提示した疑惑、この状態でそういうことをする必要がありませんか、どうでございます。
  72. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 十分中金の事情を聴取いたしまして、今後の問題として慎重に検討したいと思っております。
  73. 津川武一

    ○津川委員 そこで、委員長に対するお願いです。丸紅、三井物産、三菱商事、住友商事の四社について、四十七年度に中金から出した千五百九億五千万円の使途について、四社の代表を参考人として呼んでいただいて、真相を突きとめたいと思うわけであります。この取りはからいをお願いいたします。
  74. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 後刻理事会にはかって検討さしていただきます。
  75. 津川武一

    ○津川委員 さっき話したとおり、丸紅で百三十八億、これは長期。それから短期の七百五十七億円が運転資金として出ていますが、このうち三百七十六億五千万は無担保、三百八十億五千万は担保がある。半分が担保がない。農民は担保がなければ金を借りられないというのだよ。この大商社は担保なしで借りている。だから、大商社には非常に厚い優遇を与えている。のどから手が出るほどほしい農民には、担保がないからと断わっている事例がたくさんある。こういう形で農民の預貯金が扱われていいかどうか。今後農民に全部無担保で出してやるなら、私はそのことはいいと思いますが、いかがでございますか。大臣、どうです。
  76. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 ただいま丸紅に運転資金が無担保で出ているという話でございますが、それは中金の融資方針としてそのようなことをやったことと思うわけでございます。そこで、農民のほうがそれでは必要な資金をもらってないじゃないかということでございますが、私どもといたしましては、農業資金が必要な額だけ農家に行くように、いろいろ今度も制度の改正をお願いいたしまして、近代化資金の改正その他を行なっているわけでございまして、その面については十分努力をしているつもりでございます。
  77. 津川武一

    ○津川委員 大臣、いかがでございます。
  78. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま局長からお答えしたとおりでございまするが、金融機関として農林中金に相当余裕資金があったという実情に伴う貸し出しではなかったか、こう思うのであります。そして、それも四半期ごとに検討の上で所要の資金を出しておる、こういうことでございまするが、しかし、先ほど申し上げましたように、融資が厳正に行なわれるのが必要でございまして、運転資金で信用度が高いということから、支払い保証なしの場合が幾つかあったのであろう、こう思うのでございまするが、これは金融機関会社信用に対しての判断の上において行なわれたものと思いますが、私としてば一つ一つ事情というものが十分にわからずに即断をするわけにもまいりません。常識的な判断からこれらの融資が行なわれたんではないかというふうに見ておるわけでございまするが、しかし、そのことが農業の関係者に直接融資の上に大きな支障を与えたものであるというふうには見ないわけでございます。
  79. 津川武一

    ○津川委員 大臣、いいことを言ってくれました、常識的なことで判断をするとね。  そこで、中金法の十五条で、五条一項に掲げる団体は短期、五条一項に掲げる団体の発達をはかるために施設をする法人に対するのは短期、食糧営団その他農林水産業に関する事業を営む法人に対して主務大臣の認可を受けて出すのは、これも短期、丸紅に対してのものはこの十五条の五号ですね。これは短期なんですよ。運転資金なんですよ。運転資金はあなたが常識でと言っておる短期なんだね。この法に従って短期で出すべきなんだ。ところが、この第十五条ノ二によって、第五号の法人に対しては主務大臣の認可を受けて十カ年以内の長期にすることができる、それであなたの判断でやっているのです。どこの銀行でも運転資金は短期なのに、なぜこの丸紅、住友、三井、三菱にはこういう運転資金をあなたが特別に認可をしてあげて、農林省が特別に認可をしてあげているのか。農民は運転資金は短期で借りております。こういうことが行なわれている。この状態をいかに判断しますか。あなたは当然これはとめるべきだと思うのです。だから、私は農業金融において差別はいけない、大きいからとか小さいからとかで差別してはいけない、中小農民にも同じ条件で出せということを繰り返し繰り返し主張しておるのですが、この私の主張をどう解釈するか、あわせてお伺いしたいと思います。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 丸紅に対する中金の融資は全部短期資金でございます。それから、長期の運転資金が出ておりますのは、中金でなしに信連その他から出ておるわけでございます。
  81. 津川武一

    ○津川委員 その点は私の間違いでありました。丸紅に対する百三十八億八千七百万円は、県信連、県共済、農協などの農業団体のお金でございます。この最も農民に直接結びついている農協、県信連、県共済が農民に対して運転資金は短期、丸紅には長期で出している。この点は大臣、いかがお考えになりますか。大臣答弁を求めます。
  82. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 それぞれの金融機関の事情に応じて融資を行なっておると思うのでございまして、たいへんお答えしにくいのは、一つ一つがやはりいろいろ条件があって出ておる金だと思いますので、それがわからずに、概括的には非常にお答えしにくいのですね。それで、昨年の上期から下期にかけまして金融全般がゆるんでおったという事情は私も記憶しておるところでございますから、そのような金融情勢のもとに余裕資金を活用していこうということから、こういう融資が行なわれておるものではないかと、こう思いますが、個々の金融機関も、言うまでもなく、資金は遊ばせておくわけにいかない、それを運用してまた預金者のための利息も払わなければならないという実情等がございますから、なかなか私は一がいにここで判断がしにくいと思うのです。
  83. 津川武一

    ○津川委員 そこで、県信連、共済連、農協、これはあなたが指導できるところだ、報告もとれるところです。どのような形で丸紅にこんなものを出したか、どんな使途で出したか、そのときの条件を調べて私たちに報告していただく、その上でまたもう一回この問題をやろうと思うのです。お気持ち、どうですか。
  84. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 問題が提起されておるのでございますから、可能な範囲で調査をすることについてやぶさかではございません。
  85. 津川武一

    ○津川委員 私とあなたの農業金融に対する、農民の預貯金をどうするかという議論が少し空転したところもある。こういう議論をもっと具体的にしたがったばかりに、私は連休前に皆さんに資料を求めたわけですが、この点は重ね重ねこれから資料を出すように大臣に要求してもう一つの問題を提起します。  三井物産が中金の金で二十九億五千二百万円を設備資金などとして借入しております。この二十九億五千万円の設備資金などの「など」を調べましたら、社宅資金だったのです。こういう形で農民の預貯金が使われておるのですが、これは大臣、知らないと言いますでしょう。事実がそうなんです。これをどう考えます。知らなかったら、大臣、かりに社宅に使われておったとするならばという条件のもとでもいいです。直接大臣から答えてもらいます。
  86. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 三井物産が四十四年九月に県信連、県共済連、農協等から二十九億五千二百万円の設備資金を借りております。これは中金ではございません。
  87. 津川武一

    ○津川委員 中金でなくて、その他であったこと、私もこれはそのとおりと認めます。  そこで、大臣、こういう形で農民の預貯金が三井物産の社宅に使われていいか、いかがでございますか。
  88. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 繰り返して申し上げるようですが、その事実、どういう条件でその資金が出たかということをつまびらかにしないので、非常にお答えしにくいわけですね。先ほどから言うとおりに、金融情勢が非常にゆるんでおって、そしてこれを運用していかなければならない。一方に預貯金者に対する利息の支払い等があるのですから、だから、金融機関としてはいろいろそこに苦労があると思うのですね。たまたまことしになってから非常な問題になりましたけれども、当時、三井物産なら信用度も高い、これならば運用の上によろしいという判断にあるいは立ったかもしれない。別に私は金融機関を擁護して言うんじゃないですよ。ただ、お尋ねですから、そういうこともございまするから、いまここで私の見解を求められてもなかなか歯切れよく、それがいい、悪いということを申し上げにくい点がありますね。その点御了承いただきたいと思います。
  89. 津川武一

    ○津川委員 大臣農民の預貯金が余ってどこへもやりようないからと言う。  そこで、もう一つの問題をやろうと思っていたのですが、ちょうど一時間の時間が切れてしまいますので、お昼過ぎからまたもう一時間やりますが、大臣、心配しなくてもいいのですよ。預貯金はあなたがその気になって使えば幾らでも使い道はある。というのは、ことしの農業白書を見ていると、農業の生産性が落ちてきた。この生産額を上げるために使えば、金は幾らあってもいいのです。農産物の輸入がふえてきた。そうしてこの自給率を上げようと思えば、幾らでもこれは使うところがあるのですよ。こういう自給率を上げるために、農産物の価格が低迷してきている、この価格を安定、支持して農業を育てていくためには何ぼでも使える。農業人口が減っているのですよ。農業人口を守ろうと思えば、使い道は幾らでもある。農業専従者のない農家がうんとふえてきている。これでも育てればいい。耕作面積が減っている、農耕地が減っているのです。農民はのどから手が出るほど土地がほしいのです。これを保障してやれば幾らでも出ていく。農機具、機械の投資が減ってきているのです。白書を見ると、農家戸数が減ってきている。女子専従者だけの家がうんとふえてきている。農業所得が落ちてきている。それから農業の経費がふえていっている。こういう点、幾らでもやることはあるのです。こういうことにお金を使うならば、私たちはいけるのです。あなたたちが出している農業白書を見て、ふえたものは、兼業農家がふえたことと、農民の預貯金が余ってきたことは、これは心配しなくてもいいのですよ、農業を興すために。それをあなたたちはこんなところにぶち込んでいるから、こんな形になるのだ。  そこで、午後からこういう形に使うかということをもう少し私はお尋ねして、それから問題のわれわれの態度を表明したいと思います。  これで午前中の質問を終わります。
  90. 佐々木義武

    佐々木委員長 この際、本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二十七分休憩      ————◇—————    午後四時三分開議
  91. 佐々木義武

    佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。津川武一君。
  92. 津川武一

    ○津川委員 午前中、三井だとか三菱だとか丸紅農民の預貯金が出されていることを問題にしましたが、これからは今度の中金法の改正によってまたそういう心配が出てくるかと思いますので、その点、この間ちょっと触れましたけれども、もう少し明確にしておきたいと思います。  農林中央金庫がその貸し付けることのできる範囲を拡大することについてですが、金庫に集積した資金を、有効な活用をはかるためと称して、主務大臣の認可を受けて、経済社会の発展をはかる見地から農林中央金庫が貸し付けを行なうことが適切と認められる法人に対しても貸し付けが行なえるようにという改正案が出ておりますが、ここで問題になるのは第三セクターでございます。たとえば、最近日本経済新聞にも取り上げてありますが、自治省の調査で「地方自治体が出資している株式会社、公社、協会など広い意味での第三セクターとみられる法人は、四十七年十月現在、全国で千九百八十六団体にのぼっている。」こういうことでございます。この中には、志布志湾だとか、苫小牧だとか、秋田だとか、むつ小川原の巨大開発だとか、こういうものも入っております。これが一つのグループ。もう一つには、別荘づくり、ゴルフ場づくり、こういう観光、レジャー施設、こういうものがございますが、私はこういうものにはどちらも出すべきでないと思いますが、第三セクターということになりますと、これは出すのか。出してはいけないと思うのですが、大臣の所見を聞かせていただきます。
  93. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  第三セクターとは、一応、国、地方公共団体等公共部門と民間部門が共同出資して設立した株式会社考えられるわけでございますが、公共性と民間の効率性、機動性といった特性をあわせ持つものとして、ただいま先生から御指摘のございましたように、最近地域開発の推進主体として設立されているものが多いようでございます。これらの中には、大企業が出資して設立したものもございますが、農林中金の融資対象となる法人は、公共団体や非営利法人が主たる出資者ないし構成員となっているものと法定されておりますので、あくまでその主導権が公共的機関にあるものに限定されるわけでございます。しかも、主務大臣の認可によって公共的性格の強いものに限定する方針でございますから、いわゆる私企業がある程度思うようにできるといった第三セクターを対象とすることは全く考えておりません。
  94. 津川武一

    ○津川委員 それじゃ具体的に聞きますけれども、むつ小川原の巨大開発、これには県庁も入る、国も入る、商社が十七社も入ってくる、こういうものにこれは出しますか、農林大臣
  95. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先日もたしかお答えしたような気がいたしますが、今回の農協法改正によりまして、いわゆる第三セクターに融資する道が法的に開かれることとはなりますが、これが直ちに個々の農協等がそのような融資の法的能力を持つことになるものではないと思うのですね。農協等がそのような能力を得ることを希望する場合には、その定款について所要の変更を行なう手続を踏まなければならないと思うのであります。すなわち、個々の農協等がそこまで融資範囲を拡大するかどうかは、それぞれの農協等の自主的な選択にゆだねられているのでありますから、その際には組合員等の総意が十分反映されなければならない、こういうことであると思います。また、かりにそのような定款変更を行なった場合において、たとえばむつ小川原開発株式会社、お尋ねの会社のような場合、特定の社に融資するかどうかについては、行政庁が特段の介入をする筋合いのものではなく、農協等がその組合員等の意向を反映しつつ自主的方針で定めるべきものだ、こう思います。
  96. 津川武一

    ○津川委員 もう一つ、福井県の三方町の例でございます。これは町が中心になって三方海中公園センターを資本金一億円でつくるという小さな規模の第三セクターですが、ところが、この三方町だけで開発する計画を立てたが、財政的に苦しい、そこで中金のお金というもの、資本を入れて、融資を頼みにきたとき——これははっきりした一つのレジャー施設であります。しかし、公共のお金と資本が入ってくる、経営の目的で利潤追求ということになってくる、こういう場合に、この金を出すのかどうか、これも明らかにしていただきます。
  97. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 まず最初に、新しい法人の構成がどうなっておるかということを調べてみる必要があると思います。あくまで、中金の融資の場合には、先ほど申し上げましたように、非常に公共性の強いいわゆる第三セクターに限るわけでございますから、その辺を十分把握してみないと、それが融資の対象になるかどうかお答えしにくい。それから、かりに融資の対象になるという場合におきましても、その地域の関係農協の意向というものを十分尊重してやるべきであるというふうに考えているわけでございます。先ほど大臣の御答弁の、農林中金におきましても、同様に、関係の系統の農協その他の意向を十分聞いてやるということは、農協の場合と同じでございます。
  98. 津川武一

    ○津川委員 もう一つ、青森県の岩木山ろくにスポーツセンターをつくる計画があります。その区域の中で、農地法違反で土地がゴルフ場として売られております。そこで、このゴルフ場のカントリークラブの人たちを救済する意味において、町がここで少年スポーツセンターの一部として、公共事業として、公共的なものとして設立する計画も進めております。ここに私的企業も入ります。観光資本、地方自治体も入ります。こういう場合に、これを中金が融資の対象にするか、この点を答えていただきます。
  99. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 その点につきましても、救済の目的かどうか私どもつまびらかにしておりませんけれども、そのためにつくられた法人の資本の構成その他を見ないと、ちょっと何とも御答弁できかねる問題でございます。
  100. 津川武一

    ○津川委員 そこで農林大臣にもう一度お尋ねします。陸奥湾、小川原湖の巨大開発、大臣はいま、農協などの意見も伺ってと言う。ところが、この開発公社の中に県信連の会長が役員としている。したがって、この点は農協の意見が賛成だということになります。そこで私たちまだ中金の改正案に賛成か反対かの態度をきめられないでいる。そこで、私たちがいまここで問題にした幾つかの第三セクターの中で、あるものに融資するというなら、われわれは反対しなければならぬ。第三セクターというものは考えてないというならば、これは賛成できると思うのです。この点、大臣の態度を明らかにしていただきます。
  101. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま信連の会長が入っておる、これは地元の意見を聞くということでありますから、そこに信連の会長が入っておるおらないは関係がない、こういうふうに私どもは見ております。
  102. 津川武一

    ○津川委員 もう一つ、地元の陸奥湾、小川原湖巨大開発の中心になる六カ所、大臣御存じだと思うのですが、村長が反対、村議会の大部分が賛成、そこで、賛成する、促進する特別委員会が村議会の中につくられております。この特別委員長を、反対の人たちはリコールをやっております。賛成の人は村長をリコールをやっております。こういう村会が二つに割れておる、意見がこういう状態のもとにおいて、それが調整されたらどうかわからぬけれども、少なくともこういう状態で村が二つに割れておるときに、そこへ今度の方法で拡大された中金の融資をするかしないか。私はすべきでないと思うのですが、大臣、いかがでございます。
  103. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 そういうふうに意見が二つに割れておるといたしますと、単協の意思統一ができないのではないかと思うのです。ですから、これは融資ができかねる、こういうことになってくると思うのであります。
  104. 津川武一

    ○津川委員 それでこれから改正される融資面での問題は終わって、次は、午前中に話したように、お金をもっと使う道があるんじゃないか。余った余ったといって心配しないで、たくさんの問題があるわけであります。  そこで、農林省は、土地基盤整備のための十カ年計画十三兆円ですか、こういう計画を立てて、こういうことのために個人負担の分に融資する、こういうことであるならば、非常にいいと私は思うのですが、この十カ年計画十三兆、これにどのくらい公庫資金が必要になっているか、試算していれば明らかにしてほしいと思います。
  105. 小沼勇

    ○小沼政府委員 土地改良長期計画におきましては、今度十三兆円ということで十カ年でございますが、毎年度予算に基づきまして多種多様の事業を実施してまいります。直轄補助事業で大体十一兆二千億という事業費でございますが、その補助残は農家が負担をするわけでございますが、それを大体二割くらいというふうに見ております。例で申しますと、かんがい排水事業ですと、大体十アール当たり三万円で、年三千円くらいの償還の負担ということになるわけですが、それにつきましては、農林漁業金融公庫から補助残融資という形で行なわれるようになります。もう一つ、直轄補助事業でございません融資単独の事業等がございます。これは大体八千億円ということで見ておりますが、それは三分五厘資金の対象というふうに考えているわけでございます。
  106. 津川武一

    ○津川委員 この十三兆円長期計画、これに県営の部分、団体営の部分がどのくらいやらなければならないのか、これも教えていただきたい。
  107. 小沼勇

    ○小沼政府委員 大体十一兆二千億のうち約二兆円ほどが県営並びに団体営の部分に該当するのではないかというふうに考えております。
  108. 津川武一

    ○津川委員 そこで、国営の部分は農民の個人負担が少ない。県営、団体営になるとだんだん負担が多くなるわけです。そこで私たち共産党では、農民土地基盤整備をやったために借金がふえないその程度に国が援助してやるべきだ、農民がそのためにどうしても借金しなければならなくなったらは、農業の現状、実態からいって、かなり長期低利のものでなければならない、こう主張しているわけでありますが、この負担やいろいろな大きなことのためにたくさんのトラブルが起きているのです。そのためにお金が使えないで、そしてだぶついて、先ほどみたいに丸紅だとか三井に使わせなければならぬ、こういう状態になっております。  一つの例でいきますと、小田川ダム、このことで農林省はいま被告になっております。その被告になっておる事情というものも、土地基盤整備の農民負担が高いからであります。  青森県が四十一年に出したこういうふうな「小田川地区土地改良事業の話」、これを見ましたら、農民の個人負担が最高で六万四千四百円で済む、こういう形だったのであります。ところが、この事業がなかなかその点ではっきり進まないうちに、今度は昭和四十七年一月、小田川土地改良区が「部落懇談会説明事項」として出したものによると、個人負担が利息をひっくるめて十アール当たり十二万六千七十四円、こう上がっております。さらに、四十七年二月に同じく土地改良区が県営圃場事業地元負担金の試算として出したものによりますと、農民の自己負担が十四万四千六百三十四円、ここまで上がっております。この土地改良区の理事長が、中里という町の町議会で問われて説明しているところによりますと、十アール当たり完成までに二十五万円になるでしょう。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 こういう形で、せっかくの金庫の金も使えないでおる。こういうことが片づくと、私はたくさんお金ができると思うのです。  そこで農林大臣 今度の十三兆円の計画の中でも、最初はこのような形で少ない形で出発して、途中で多くなっていって、事業が思うようにいかないで、中金の金が使えなくなるという状態がくるのではないか、こういうふうに思うのですが、この十カ年計画におけるそういう単価の問題、材料の問題人件費の高によって、最初と終わり十年、その間にどのくらいの農民の個人負担の差が出てくるのか、試算してほしいと思うのです。
  109. 小沼勇

    ○小沼政府委員 お答え申し上げますが、ちょっと数字を間違えて申し上げましたので、訂正させていただきたいと思うのですが、十一兆直轄補助事業のうち、約二兆円が国営事業分ということで、約九兆円が県営並びに団体営ということでございます。  それから、今後の物価の値上がり等いろいろございますが、この小田川地区についていま御説明ございましたので申し上げますが、確かに物価等の値上がりによりましてかなり所得償還率も上がっております、事業費自体が上がってきておりますので。それにつきましては、大体当初は所得償還率で約二八・四%という見当をつけておりましたが、それが現在では三四・三%というふうに値上がりをしております。大体年々九・三%ぐらい上がってきているのではないかというふうに想像されます。  ただ、全体として国で、全国平均で見ておりますと、農家の支払い得る所得償還の可能の割合を償還率といっていますが、四〇%までは大体可能であるというふうに見ておりまして、その点では、この小田川地区についても、限界まできているということは言えないというふうに思うわけでございます。ただ、御指摘のようにかなり上がってきておりますし、その点ではわれわれも心配しておりまして、そのつど年々、毎年の予算要求の時点でも、予算執行時におきましても、土地改良区の理事会なり総代会でよく御説明をし、進めてきているという状況でございます。今後あまりに事業費が上がってくるということになりますと、やはり計画の変更の問題なりも生じてくるというふうに思いますが、できるだけ現地の実態に即応しながら、土地改良区の皆さんの意見を十分聞きながら進めていくということが必要ではないかというふうに思っております。
  110. 津川武一

    ○津川委員 そこで農林大臣、いま局長から聞かれたとおり、十三兆円の中で国営のほうが二兆円、あとの九兆円は県もしくは団体営、この補助率が国営の場合は高い。県営、団体営の場合は五割、あと地元負担が相当多くなる。そこでいまみたいな状況ができてくるわけ。したがって、国営の部分の補助率と県営、団体営の分の補助率を差別をつけないで同じにやらないといまみたいな状況になると思うのです。そこで、県営の場合、団体営の場合の補助率を早急に上げる必要があるかと思うのですが、この点いかがでございます。
  111. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 この種の補助事業というものは、各種の補助事業との総合的な均衡の上に考えられておると思うのです。私どももできるだけ負担緩和につとめて、予算編成時におきましては大蔵省との間でいろいろ折衝しておることは御承知であろうと思うのであります。そういう点から考えまして、いま県営のかんがい排水事業が、国五割の、県、受益者が相互に二割五分ずつというのを、これを国営並みの二割、二割に、そして国の負担割合を六割ということににわかにするということには、お考えはよくわかりますが、なかなか大蔵当局との折衝ではそう簡単にはまいらないということを率直に申し上げておきたいと思います。
  112. 津川武一

    ○津川委員 団体営になりますと、農民の自己負担五割なんですよ、農林大臣。そこまでいきますので、どうしても私は、この際農林省の、特に櫻内農林大臣の非常に大きな目玉である、仕事であるこの事業をやるために、農民負担を少なくして国の負担をもっと多くするということは絶対的に必要だと思うのですが、そういう方向で、いまにわかにどうということでもないのですが、大臣がそういう方向で進めるつもりが必要かと思うのですが、心がまえをひとつもう一度。
  113. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これからのことを申し上げるよりも、過去を振り返ってみますのに、逐次改善をしてまいったことは事実でございまして、私どもとしても、これらの事業が円滑に遂行のできるようにできる限り改善をし、効果のあがるように大蔵省とも予算編成時には折衝いたすという方針については、そのように申し上げてよろしいかと思いますが、しかし、安易に申し上げますと、すぐにでも大幅に受益者の負担割合が変わるというようなことで、何かこう迷わせるようなことであってもいけない。したがいまして、お答えとしては、常に非常に渋く申し上げておるわけでありますが、努力をするということについては、私も十分つとめてまいりたいと思います。
  114. 津川武一

    ○津川委員 そこで農林大臣、四十七年の二月のを試算すると、十アール当たり十二万六千七十四円かかるわけです。このうち八〇%借入金すると、五万四千七百六十五円。ところが、農民が十二万六千何ぼ払わなければならぬとすると、ここで六万近いものが利息なんです。そこでこの利息が六分五厘。これが高いためにたいへん農民の中に問題が出てきているわけです。これもやっぱり三分五厘までに下げる必要があるかと思う。この点が一つ。このお金の償還期間が十五年。これは二十五年ぐらいにしなければならないと思うのですが、こういう方向、この方針、いかがでございます。
  115. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 農林漁業金融公庫資金における土地改良資金の貸し付け条件は、今回、わずかでございますが改定措置が講ぜられております。経営事業補助残について、現行六分五厘が六分二厘。それから据え置き期間、これは現行五年以内を十年以内。それから融資率の引き上げ、これは従来八〇%以内を、受益者一人当たり二百万円までを撤廃、受益者一人当たり二百万円をこえる部分は八〇%以内、こういうことで、今後におきましても、この改定が十分ではございませんけれども、こういうふうに努力をして貸し付け条件の緩和はいたしたいと思います。
  116. 津川武一

    ○津川委員 まあことばでいえば少し緩和。だけれども農民のところへ実際行ってみたら笑われましたよ。そこで、非常にはっきり農民が求めているのは三分五厘、二十五年。この考え方大臣のところにありませんか。
  117. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまお答えしたとおりでございまして、お話のような大幅な改善ということがなかなか現実にはむずかしい。しかし、漸進的につとめてまいりたい、こう思います。
  118. 津川武一

    ○津川委員 そこで、六万四千円から十二万、十四万、二十五万まで上がっていった。農民の言うのは、これでもこれをまかなう分だけの生産者米価が上がるならば、ここのところが問題なんです。最近みたいに生産米価を据え置いて、生産調整をやって、都市農業みたいに土地の売り上げ金が入るわけでない、僻地の農民みたいに出かせぎが入るわけじゃない、ここのところに問題があるのです。こういう形を順調に進めていくとすれば、生産費が上がった分に見合って生産者米価をスライドしていく、上げていくという見通しがあるならば、農民はまだ土地基盤整備事業についていける。こういう点で生産者米価をこの経費高、局長がいま話したような状況に合わせる必要があると思うのですが、この点はどう考えております。
  119. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 けさほど生産者米価の問題についてはいろいろお尋ねがあって、お答えをしたわけでございまするが、現在のところ、どのような試算でいくかということについて結論を得ておらないのでございまして、具体的な問題の関連としてどう考えるかということにつきましては、そういう次第でありまするから、お答えのしにくいということを御了承いただきたいと思います。
  120. 津川武一

    ○津川委員 そこで大臣、五万、六万四千、十二万、十四万、二十五万、こういうふうに経費が上がっていったのに、局長——事業計画も変更しなければならないんじゃないか、こう考えているわけなんです。六万四千円のときは賛成しているんです。十四万から二十五万といったら賛成できなくなったんだ。ここでこの事業を一たん中止して、あらためて賛否を問うべき状態でありませんか。いかがです。
  121. 小沼勇

    ○小沼政府委員 私のほうの手元にございます四十七年の試算では、国営かん排の現在やっております事業での農家負担は、十アール当たり一万一千六百四十二円で、年償還額千百二十一円ということになっております。ただ、そのほかに県営の用排水事業とか、県営の圃場整備事業とか、そういうものが入ってまいりますので、それを入れますと大体十万円程度になってくるということでございます。いずれにしましても、全国に比べましてここが特別に高いということではございません。先ほど御説明申しましたように、四十七年の時点での所得償還率が三四・三%でございますので、今後の増収効果あるいは労力節約効果、いろいろの効果があがりますと、いまの計算で三四・三%でございますから、十分償還は可能である。ただ、先ほど来大臣答弁申し上げましたように、今後四十八年度におきましても融資条件の緩和あるいは採択条件の緩和とか、いろいろ考えているわけでございますけれども、そういうものを見合わせながら今以もその努力を続けていきたい。したがいまして、よほどその条件が変わればでございますけれども、普通、この状況でありますれば、いまのところは計画変更する必要なく進めることができるのではないかというふうに現在のところ判断しているわけでございます。
  122. 津川武一

    ○津川委員 もう一つの問題は、三分の二の賛成の問題です。こういうふうに毎年工事費が上がっていくので、たいへんめんどうな事態が起きてくる。そこで、土地改良事業は、法的には三分の二の賛成があればよろしい。ところが、前の大臣が、九〇%くらいの賛成がなければ認可もしないし補助も出さない、こういうことですが、これは櫻内農林大臣も同じ気持ちでございますか。
  123. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 前大臣がどういう御意図で言われたか、私判断がいまできかねるわけでございまするが、こういうものはやはり原則というものを踏まえていくのが当然だと思うのでございまして、いま特段の考えを持っておるということではございません。
  124. 津川武一

    ○津川委員 この点、局長はいかがです。
  125. 小沼勇

    ○小沼政府委員 地域によりましていろいろ差がございますけれども、御承知のとおり、土地改良事業は、土地改良法に基づきまして、申請にあたって関係の農家の同意をとっております。同意は、一般の場合三分の二でございまして、農用地の造成の場合は全員ということになっております。従来もその方式で進めてまいりまして、大体円滑にいっている場合が大部分でございます。ただ、小田川のように訴訟に入っているところもあるわけでございますが、御承知のとおり、これは事業計画を公告しまして、縦覧期間をおきまして異議の申し立てを受けるという形で進めております。その点では手続上問題ないわけでございますが、今後もやはりこういう事業は相当の負担が農家にもかかる。ただ、受益者でございますから、受益者が自分に利益がはね返ってくるということで負担をするのは当然でございますけれども、それにしましても、今後負担がかなり大きくなってくるというふうなことも考えますと、やはり地元の農家の方々と十分話し合いをして進めていくということが適当であろうというふうに思います。その点については、いまの土地改良法の手続規定に基づいて運用することによって十分可能であろうというふうに判断をして進めているわけでございます。
  126. 津川武一

    ○津川委員 局長、だいじょうぶですか、適法に行なわれたと言って。それで農林省が被告になっている。二十五回公判をやって、農林省は五回出ていない。最近の二回出ていない。こういうかっこうで、農林省は自分たち責任を法廷の中において明らかにすることができない状態になりつつあるので公判に出席しないでおる。これはどういう意味です。
  127. 小沼勇

    ○小沼政府委員 公判の具体的な状況については、私どもの本省段階では十分把握しておりませんですが、意見の相違の点は明らかでございますし、また、同意をした方々のことを考え事業は進められておりまして、その点については三分の二の同意ということで現に事業が進められているわけでございますから、訴訟は訴訟として十分争うことになろうかと思いますけれども事業そのものは、私ども今後も何とか早く仕上げていかなければならないということで、現に進めているわけでございます。訴訟の経過等の詳細については手元に資料がございませんですが、私ども国の立場で、この国営事業の同意か満足する——一〇〇%ではございませんけれども、三分の二以上はとれているということで主張しているわけでございまして、その点は御理解をいただきたいと思います。
  128. 津川武一

    ○津川委員 大臣、その小田川ダムの土地改良事業が行なわれているところの周辺として、ここは一市二町で四千人くらいの間にトラブルが起きております。それから、五所川原堰土地改良区のところでもまた問題が起きております。もう一つ、五所川原市南部土地改良区、ここでも問題が起きております。西津軽郡土地改良区でも問題が起きております。  問題の起きておる場所をあげると、中里、金木町、福山、長橋、高野、世良沢、中泊、藻川、鶴ケ岡、柴田などで、私この連休の間に行ったら、この地域の人たち九十人くらいから、たいへんなことになっているというので訪問を受けております。これでみんな問題を出しているわけです。その人たちの言い分を聞いたら、こうです。田のない人が、全然つくっていない人が受益者とされて、賛成者に回されておる。田をとっくに売ってしまった人たちが受益者として賛成者に回されておる。全然農民でない人が土地改良区の理事長をやっている。受益者であって、明らかに反対するだろうと思われている人が関係者から排除されている。子供が判こ持ってこいと言われてつかされた。そのまま賛成のほうになっている。基盤整備のときは、あとでもう一回判こを取り直すから判こ押せと言われて判こ押した。同意書を申請するときに、一切の書類を見せないで押させられている。もっとひどいのは、五所川原市の農林課が、国営事業負担金徴収しないんだから判こを押せ、こういう形のものが至るところに出ております。経費のことを全然説明しないで判こを押させておる。こういう状態が脈々と出て、私この連休はほとんどそのために費やしてしまったという状況であります。なぜこういうふうに問題が起きているか。農林大臣はどう考えておりますか。
  129. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 津川委員がそのように具体的にお当たりになったのでございまするから、そういう事情にあるものかと思いまするが、いま私どものほうでそれを確認しておるわけではないわけでございます。現に三分の二以上の支持のもとに事業が進行しておる、こういう過程の中にあるわけでありまして、いろいろな例をおあげになりましたが、これが計画された後にいろいろ事情の変わった人々がおるのか、そういうこともいまにわかに判断ができないわけでございまするが、われわれといたしましては、三分の二以上の人の同意のもとに、しかも事業が現に進行中であるというその認識の上に立っていろいろものの判断をしておるわけでございまするので、いま申し上げたような事情につきましてはなおよく検討させていただきたいと思います。
  130. 津川武一

    ○津川委員 もう一つ、五所川原堰土地改良理事長原清司という人が、五所川原市大字長橋の舘山伊八郎という人に、もう無理はさせないから、強行などということはやらないと言って約束しておいて、警官、市の農林課の職員、県の農林課の職員、報道陣、工事者、六十人を引き連れてきて、そこで一人の農民に対して強行しているわけです。一人の農民では六十人の威圧に耐えられない。こういう形でその土地に強制の工事を行なっております。先ほど私が話したのは、小田川土地改良区だけでなくて、五所川原堰土地改良区、五所川原市南部土地改良区、西津軽郡土地改良区、全般にわたっておるわけでございます。そこで県庁や農林省に聞くと、適法にやられたといっている。報告はそう出ている。ところが、農民の実態を見るとこういう状態です。したがって、私がいまあげた四つの土地改良区について農林大臣が直接出向いていって調べてみてくれると一番ありがたいんだけれども農林大臣も忙しいから行くまいと思いますが、県庁の報告やとった手続を、この点でたいへん苦労しておる農民の側から一度調べてみる必要があると思うのです。これは農林省やってみる必要があると思いますが、いかがでございますか。
  131. 小沼勇

    ○小沼政府委員 地方農政局、県とよく相談をいたしまして、できるだけ御趣旨に沿うように、調査については努力いたしたいと思います。なお、若干の時間がかかるかもしれませんが、御了承いただきたいと思います。
  132. 津川武一

    ○津川委員 それはぜひやってほしいし、農政局だけでなく、農林省から直接一緒にだれか参加して実態を見ていただきたい、こう思うわけであります。  その次は、もう少し農協の本質をお伺いしてみようかと思っていたのですが、時間がなくなってしまったので、農協短大のことをひとつお伺いしてみます。  私たち、今度の農協法改正の問題で、農協は本来農民に密着して農民の営農を中心としてやるべきだと思うわけであります。ところが、いままでどちらかというと単協の実習をやったり、単協に出て行ったり、いろいろなことをしている農協短大が閉鎖されて、今度は中央農業協同組合学園というものができ上がって、企業内教育をすることになっております。そのカリキュラムを見てみましても、その講師を見てみましても、前の短大に比べるとどうしても金融、労務、そういう点で、営農の面が薄れていく、そういう面があるわけであります。そこで農協全体がそういうふうなかっこうに農民のところから離れていくのではないか、その心配があるわけであります。  そこで、中央協同組合学園の教育内容なんですが、私は、短大のときに行なわれておったみたいな形の農業経営、農業経済、農村調査実習、単協実習、この単協実習では、学生が肥料をかついだり、またいろいろな伝票を切ったり、いろいろなことをしているわけですが、中央協同組合学園ではこれがなくなる心配があるわけです。この中央協同組合学園にいままで実際に単協として農民と接したそういう教育をさせる必要があると思うのですが、これはいかがでございますか、農林大臣
  133. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  中央学園の教育でございますが、基礎学科等を前の短大と比べますと、必ずしも農業技術の面の教育が劣っているということはないというふうに考えております。と申しますのは、短大の場合には、いわゆる基礎学科といたしまして農業経済学、農業史、農政学、農村調査というようなことをやっておりますのに対して、中央学園の場合、日本農業論、農業経営、農業技術、農業経済、それから農業法制、農村社会実地研修、農業組織というようなことをやっておりますので、これはちょっと比較して短大に劣るということはないのではないかというふうに考えているわけでございます。
  134. 津川武一

    ○津川委員 劣るというのはどういうことかわからぬけれども、いいですか、今度の中央学園のあれの中には、マーケッティング論、組合金融論研究コースが非常に多くなっています。短大の時代のときと、農村調査実習、単協実習、こういうことの時間がもう格段に違ってきておる。この点で私は、この学園一つ見ても農協が変質しつつあるのじゃないか、営農として農民と密着する部分がこの点で心配になってきたわけです。  そこで農林大臣、短大の指導は、この中央学園の指導方針とあわせて農協をこういう形で農民に密着させていく、もちろんそれはマーケットも必要だ、金融も必要だが、もっと大事な問題として営農の面というものを農協の中心課題に据えていく必要があると思うのですが、大臣の所信を伺わしていただきます。
  135. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 農協が時代の変遷に応じてある程度経営内容に変化があるということは、これは否定ができないと思うのであります。しかしながら、農業協同組合の持っておる本質的な使命というものが中心であることはもとよりでございまして、いま中央農業協同組合学園と短大の比較でお話がございましたが、本来の営農中心の講座が御指摘では減ったようにお尋ねを聞き取ったわけでございまするが、かりに減っておるということが、新たなる要望される事項というものが加わって何を減らすかという場合に、営農についての時間が多少従来多かったからそのほうをひとつさいたというようなことであればまた別でございますが、その辺の実際上のやりくりというものは私はわかりませんが、しかし営農中心の考え方というものを没却してはいけない、こういうふうに思います。
  136. 津川武一

    ○津川委員 そこでもう一つ。文部省来ていますか。——短大閉鎖の申請書が文部省に四月八日に出ておりますが、なぜ閉鎖するかという点の理由を、文部省に申請した理由を明らかにしていただきたい。
  137. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 その前にちょっと内村君から……。
  138. 津川武一

    ○津川委員 いいです。わかりました。時間がないので文部省に聞きます。時間を守りますから……。
  139. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 農協短大のことにつきましては、前回、津川先生から御質問もございましたので……(津川委員「前回は要らぬ、廃校申請をした理由」と呼ぶ)申請の具体的な問題といたしまして廃止の理由が記述されてあるわけでございますけれども、第一番に、学園紛争から関係農協からの批判を受けたということがあるわけでございますけれども、当時の社会情勢から農協の役職員の教育のために組織内の要請として農協教育整備対策委員会が全中直営の学園設立を答申したというような経緯があったという経過が、まず廃止の一つ理由でございまして、またこの答申を全国の農業協同組合が支持をしたということ、さらには校友会も支持をしたというような経過が、廃止の理由一つとして掲げてあるわけでございます。
  140. 津川武一

    ○津川委員 文部省。私のほうで読みましょう、学校廃止の理由としてあげているのを。  短期大学発足後数年して教授陣の対立は激しくなり、学校は紛争の場と化し、歴代の学長はこの紛争がもとで病に倒れ、その後も学長不在のために学校運営は事実上不可能となった。このため系統農協の期待が失われ、学園紛争のため学生の学力はおくれ、著しい批判が出てきた農協は四十二年、短期大学を廃止し、新たに中央学園を設立することをきめた。全中は短大の交付金を打ち切る。こういう理由の申請書が出ていますよ。  そこで、この理由が正しいか正しくないか。この教授陣の対立が起きたというのはうそなんです。廃止する理由でない。全中が廃止をきめて、その後教授陣に到達したから教授陣の意見が割れたのであって、これは逆なんです。その点が一つ。それから、学生たちが学力がおくれて、学校の学生がいなくなったというのはうそであって、これは学校を廃止することにして、それに反対する人たちを首切ったからなんです。そこで学生がいなくなって教育ができなくなった、こういう点でありますので、認可する前に、ぜひ問題の学生とその短大の先生方、職員に事情を聞いてから決定する必要があると思うのですが、この事情聴取することを要求して答弁を求めます。——それでは、こういう事情にありますので、申請されたる理由と、実際の職員、実際の学生たちの言い分、実情が食い違っておるので、認可する前にぜひその人たちに事情を聞いて調べて、その上で判断して、認可するか、不認可にするかをきめる必要がある。いかがでございます。
  141. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 従来も事情につきましては私ども伺っておるわけでございますが、審議会のほうに認可申請書が出ておる段階でございますので、審議会の御意向もあろうかと思いますけれども、十分にその占につきましてはお伺いをすることになろうかと思います。
  142. 津川武一

    ○津川委員 終わります。     —————————————
  143. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、本日審査中の両案につきまして、明九日、水曜日、農林中央金庫理事長片柳真吉君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は明九日、水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三分散会