○米内山
委員 農林省のこの許可基準あるいは第二節の一般的基準というものの中に、離農措置ということについて非常に具体的に明確にされておる点がある。「転用により経営の縮小、離農を余儀なくされる耕作者に対して「駐留軍の用に供する土地等の損失補償等要綱」又は「電源開発に伴う水没その他による損失補償要綱」等の基準をしんしゃくし妥当な措置がとられるとともに、できるだけ
関係者において就労の
機会を与えるよう措置するものである」、書いたものはきわめて具体的で親切です。少なくともこの
程度のことはなければならぬ。しかも、こういうことは
事前に示されないことには意味がないのです。何年先になるか、計画ができて本申請のときこれを要求するなんということは、これはおかしいのです。あなた方、無
責任なんです。全く農民、現場と遊離した
行政なんです。
近ごろのお役人が官僚化したとよくこういわれるが、官僚じゃない。何かの言いなりになっておる道具なんです。昔あった宦官というのはこんな性格だろうと思う。人間のために公務員としてやるから、生きがいもあるし働きがいもあると思うのです。無難に事を過ごそうというのでは、これは死んだお役人なんです。こういう具体的な問題を中心にして、ぼくはあなた方の猛反省を促したいのです。そうしないと、あなた方は栄えるかもしれないが、
日本の農業は滅びるのですよ。農業が滅びて次に国が滅びるのだよ。ここで
農林省に主体制を要求したいのはこれなんだ。
戦後食糧不足のときは
農林省は花形だった。これは国民の期待に沿うておったからです。金も少ない、物が不足なときでも、
農林省というのは、われわれ村に住んでおるのから見れば、一番ありがたい役所だったよ。ところが、このごろ最も軽べつされる役所になったのは、住民、国民が悪いのではなくて、あなた方の
責任なんです。特に基本法農政とか総合農政とか言うたびに、農林
行政というものは主体性を失ってきて、何かに巻き込まれておる。要すれば、いま
日本を占領しようとしておる怪獣、開発アニマル、エコノミックアニマルに
日本の農林
行政がのみ込まれておるというのが、いまこのむつ小川原にあらわれた諸君の
姿勢なんです。私は怒りを持っておるから、少し荒い口調を使うけれども、実際、私は、人生をかけて
建設をしてきたこの
地域に、諸君のお粗末な
行政でわれわれの血と汗で守ってきた土地を渡すわけにいかないから言うので、政治的
立場の問題じゃない。こういうことを改めない限り、土地は買われても開発は絶対できない。
なぜというと、われわれに対して保障があるのです。憲法です。開発というものはまずまっ先に農民から土地を取る、漁民から土地を取ることから始まるのです。ところが、われわれはなぜあの村に住んでおるかというと、そこに土地があって農業をやっているから、そこにいる。
漁業権があって漁師をやっているから、そこにいる。これを奪うということは職業を奪うことになる、居住を変えるということにもなるのです。憲法で保障した権利を侵害することにもなるし、さらに規模が大きいと自治権の侵害にもなるのですよ。六ケ所の村から五千ヘクタール——六ケ所という村は確かに三十二キロもある長い大きい村だが、五千ヘクタールも村の中心部に穴をあけられて、そこにいる原住民は退いてそこへ白人みたいなのが来る。これでどうしていままでのような自治というものが存続できるかどうかという問題もある。しかも、こういうことは住民に相談なしに、同意なしに上からかぶされてくるということは、自治権の侵害でもある。そういうことを
農林省、自治省、いろいろなものが十一省庁もかかって手分けして、それぞれ
責任を持たないかっこうで、国に言えば県知事だと言う、県知事に言えば開発会社、開発会社に行けば国、こういうのをナショナルプロジェクトというのかね。
責任を一本にしてやればこそ納得もいくものです。無
責任状態です。
そうしておまけに、正体不明の第三セクターとか称するものがやっているのでしょう。第三セクターというものはどういうものだか私もいま
研究中だが、いろいろな資料が出てきた。むつ小川原で特に言いたいのは何かというと、一番先にこの
地域に目をつけて土地を買いに来たのは三井不動産ですよ。一〇〇%三井不動産出資の内外不動産というのは、いまから約五年前に、新全総が閣議
決定になるもっと前に来て、千ヘクタール以上の土地を買い占めしておるのだ。その中では開拓住民が十アールを四万三千円で売ってしまったのもある。なぜ売ったか、借金で苦しいからですよ。その土地がいま開発公社によれば六十万なんです。だから、この
地域だけで三井不動産の取る純益というものは少なくとも五十億は下らない。明白なんです。これを住民がみんな知っているのです。しかも、これがこのむつ小川原開発というのに社長みずからか取締役——ついこの間までは何とかという人間を常務に入れて、これがいわゆる偽装した、国の金も地方の金も出ているから公益的な
企業だとかなんとかという第三セクターのむつ小川原における実態なんです。あなた方はそれを支援して、それのつごうをはかって住民に犠牲をしいるような
農林省じゃ、もう問題にならぬと私は思うのだ。
きょうはこの
程度にして、きょうの
答弁の速記録を見てからまたいろいろお伺いする時期もあると思いますから、きょうはこれで終わります。
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