○島田(琢)
委員 私は、いかに
農協が金を持っていても、あるいは系統に金がだぶついていても、要は、そこに構成される組合員である農家がこの金を有効に活用できる、あるいはまたそれを経営の中に有効に生かすことができる、そういう
農業金融の
制度でなければいけない。農家がつぶれてしまっても
農協は残る、こういうふうなことではいかぬわけであります。私は全国的にそういう
傾向にあるということを申し上げるつもりはありませんが、一部の地域においてはそういう事実があるいはそういう状態というものが深刻になっているということが言えます。
たとえば、例をあげますと、北海道の例でありますけれども、空知の添牛内という
農協の例でありますけれども、二百戸の小さい
農協でありますが、そのうちこの春に七十七戸が集団離農した。この
原因は、こんな小さい
農協でこの七十七戸がかかえた借金が一億以上になった。単年度であります。何年かかかっての借金ならいいわけでありますけれども、単年度で一億をこした。そのために農家自身が先の
見通しも持てない、そういうようなことから集団離農するという状態になったわけであります。三分の一以上の農家が、組合員が離農するということになりますと、もうこの
農協は成り立ちません。いまこの存立が危ぶまれているというのが実態であります。さらにまた南富良野
農協では、構造改善事業によってパイロット事業をやりましたが、ここも一億の赤字を出した。
こういう例は、私がここで申し上げたのはほんの一例でありまして、こういう
農協の実態というものが非常にたくさん出てきているということが言えます。特に米の減反政策以来
農協の経営というものは非常に苦しくなっているということが言えます。ある極言する人の意見によれば、五十年度の半ばにおいて北海道の全
農協は赤字になるだろうということを言われております。これは容易ならない状態にあるわけであります。そういう状態にありながら、全国的にいえば、金は、
農協の系統を含めるとやがて十兆円の預金があるだろうと言われている。まさにこれは金持ちの中の貧困、そういう状態にあるとさえ言えるわけであります。私は、構造改善事業でパイロット事業に注ぎ込んだ金がどれくらいあって、そしてそれがどのようになってこんな結果になったかということを
追及する、そういうつもりで申し上げているのではありません。せっかくの
制度を生かし切れなかったという単協
理事者の責任にも相当のウエートがあると思います。しかし、
農協を構成する組合員である農家が七十七戸も将来に希望を失って大挙集団離農しなければならなくなった、こういう状態というものは、私はゆゆしい
事態だと思います。このような状態というものはこれから先も決して出てこないとは言えない。そればかりか、さっき申し上げたように、北海道における
農協の経営というものは非常に苦しくなって、もう赤字をかかえている
農協というものはずいぶんたくさん出てきているし、五十年度の半ばにおいては全
農協は赤字になるだろうという警告が、いま内部でなされているところであります。
こう
考えてまいりますと、私は、こうした面を含めて、頭でっかちになってしまうということもいかぬし、また肝心の組合員が希望を失うようなことであっては、せっかくいい金融
制度だ、あるいはまたこの金融
制度をしくことによって
農業の近代化、世界の
農業に対応できるような
日本の
農村社会をつくり上げていくことができるんだ、こう言っても、何となしにうつろに、白々しく聞こえてならぬわけです。
そこで、くどくど申し上げてきたわけでありますけれども、時間の
関係で前に進みます。
〔山崎(平)
委員長代理退席、
委員長着席〕
そうした
日本農業の実態というものは、いま私が申し上げたことは決して誇張で申し上げているわけではありません。私も単協の経営者の一人であります。非常に苦しい状態の中で
農協経営を続けております。
物価の高騰あるいはそのほかのいろいろな
要因はありますけれども、いわゆる単協の管理費というのは、かつて四、五年前には、七年ぐらいたつと大体倍になるといわれたのが、いま大体三年半ぐらいで倍になります。五千万円の管理費を持っておれば、今後三年半、
昭和五十年、五十一年ごろにはこの管理費は一億になるのです。そういう状態の中にいまあるわけであります。したがって、単に
農協の機能を信用部門だけふくらましても、今日の
農協の実態を救うことはできないという
判断を私は持っております。何といっても、これを構成する組合員がほんとうに将来に向かって安心して経営ができるという状態がひとつつくられてきて、そこからいわゆる生活や経営のとりでである
農協というものが大きくなり、また力をつけていく、そういう
一つの積み上げでなければ、
農協の信用部門がふくれ上がって、そこから金を貸したり、あるいは土地を買い込んだり、宅地をつくったり、そういうことが幾ら仕事の上でできても、今日それに対応できるような
農協の機能にないということが一面で言えるわけであります。
特に
先ほど内村
局長と瀬野
委員とのやりとりの中で、このレンタル方式を中心とした論議がありました中でも、私はつくづく感じていたわけであります。たとえば基準というのが
一つありました。この基準というのは、
先ほどの説明によりますと、一定規模、すなわち二十億以上の取り扱いを持っていて、しかも信用部門における専門職員は二人以上を配置しなければならない、こういうことを言っておりますけれども、私は、今日の
農協の規模からいいますと、この
前提としては、どうしても
農協の大型化ということを
考えていかなければならないと思うのです。その点については
先ほどの論議の中では触れていないわけでありますけれども、かつて
農協の合併促進、これは法律をつくってやったわけでありますけれども、実態としては、全国的に見てどういうふうになっているのですか、これをひとつ
局長からお聞きしたいと思います。