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1973-04-17 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月十七日(火曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 佐々木義武君    理事 仮谷 忠男君 理事 藤本 孝雄君    理事 渡辺美智雄君 理事 柴田 健治君    理事 美濃 政市君 理事 津川 武一君       安倍晋太郎君    笠岡  喬君       梶山 静六君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    佐々木秀世君       正示啓次郎君    西銘 順治君       長谷川 峻君    浜田 幸一君      三ツ林弥太郎君    三塚  博君       宮崎 茂一君    湊  徹郎君       森下 元晴君    安田 貴六君       井上  泉君    角屋堅次郎君       兒玉 末男君    島田 琢郎君       竹内  猛君    馬場  昇君       湯山  勇君   米内山義一郎君       諫山  博君    中川利三郎君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       神田 大作君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         農林政務次官  中尾 栄一君         農林省農林経済         局長      内村 良英君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         農林水産技術会         議事務局長   中澤 三郎君  委員外出席者         食糧庁総務部長 森  整治君         農林漁業金融公         庫総裁     武田 誠三君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   小山 長規君     三塚  博君   菅波  茂君     浜田 幸一君   丹羽 兵助君     宮崎 茂一君   三ツ林弥太郎君    梶山 静六君   野坂 浩賢君     兒玉 末男君 同日  辞任         補欠選任   梶山 静六君    三ツ林弥太郎君   浜田 幸一君     菅波  茂君   三塚  博君     小山 長規君   宮崎 茂一君     丹羽 兵助君   兒玉 末男君     野坂 浩賢君     ————————————— 四月十六日  過剰米及び政府操作飼料払下げ等に関する請  願(池田禎治紹介)(第二七五〇号)  同外一件(田口一男紹介)(第二七五一号)  同外五件(玉置一徳紹介)(第二七五二号)  同(吉川久衛紹介)(第二七七七号)  同外四件(田村元紹介)(第二七七八号)  同外一件(瀬野栄次郎紹介)(第二八二二  号)  同外三件(玉置一徳紹介)(第二八二三号)  同(中澤茂一紹介)(第二八二四号)  同外七件(久野忠治紹介)(第二八七六号)  同外十件(福永一臣紹介)(第二八七七号)  昭和四十八生糸年度繭糸安定帯価格引上げ等  に関する請願外一件(小沢貞孝紹介)(第二  七五三号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二七五四号)  同(吉川久衛紹介)(第二七五五号)  林業振興に関する請願赤城宗徳紹介)(第  二九二三号)  畜産振興飼料対策に関する請願赤城宗徳君  紹介)(第二九二四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法  及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の  一部を改正する法律案内閣提出第三八号)(  参議院送付)  飼料用米穀等売渡価格等臨時特例に関する  法律案起草の件  農林水産業振興に関する件(飼料問題)      ————◇—————
  2. 佐々木秀世

    佐々木委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  飼料問題について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。
  3. 角屋堅次郎

    角屋委員 きょうは大臣出席でございますが、前々から当委員会においても非常に真剣な論議の行なわれてまいりましたえさの問題に関連をいたしまして、理事会等でも、緊急の手を打たなければならぬ、古々米払い下げ安価供給の問題あるいは政府操作飼料安価供給の問題、そういう手を打つことによって、四月以降に当初予定をされておりました本年に入ってから三回目の大幅値上げはどうしても押えなければならぬということで、寄り寄り協議されてまいりました。きょうの質問あとでもそういう協議になろうかと思うのでありますけれども、この機会に、その問題に関連をして、数点大臣にお伺いをしておきたいと思います。  申し上げるまでもなく、古々米あるいは政府操作飼料について立法措置構ずるというのは財政法九条の関連がございますし、同時にまた、直接的な問題としては食糧管理法四条関係の問題、あるいはまた政府操作飼料関連でいえば飼料需給安定法関連、それぞれの問題について所要の改正を行なわなければならぬということに相なるわけでございます。  社会党といたしましても、四月以降のえさ値上げはどうしても押えなければならぬということで、特に古々米の問題について、法改正をするとすればこういう改正が必要であろうという素案についてはすでに早く決定をいたしまして、与野党の話し合いの舞台にも持ち込んだ経緯がございます。そこで、四月以降のえさ大幅値上げを押えるということについては、大臣も本委員会を通じてぜひ緊急の手を打ちたいという方針を明らかにされまして、そして全農等の四月以降の予定された値上げについても、緊急の手を打つから値上げはしないでほしい、こういう関連に相なっておろうかと思います。  そこで、まず農林大臣のほうから、法案提案構想与野党でいろいろ話し合う中で、特に与党とは政府与党関係お話をされ、検討されてきたと思いますが、そういう点について簡潔に、どういう経過になっておるか、まず御答弁を願いたいと思います。
  4. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 飼料緊急対策といたしましては、とりあえず上半期に集中的に古々米放出する、こういうことで、その数量を五十万トンといたし、現に十万トンをすでに放出しておるような次第でございまして、このあと四十万トンほど出す、また政府操作飼料麦類につきましても二十万トン出そう、こういうことで推進してまいったのでありまするが、ただいま御質問の御指摘のように、四月以降三回目の価格引き上げ全農中心としていわれておりましたので、政府としては、それは影響が大きいということで、自由民主党のほうとも相談をいたし、また全農に呼びかけまして、値上げを見合わしてもらう、それには何らかの措置を講じなければならない、こういうことで、大体の見当といたしまして古々米及び政府操作飼料関係を、現在の売り渡し価格の二分の一程度であれば何とか値上げをせずにいってもらえるのではないか、こういうことで、本日に至っておるわけでございます。またその検討全農のほうも了承されまして、本日まで値上げをせずにおる次第でございますので、これらの話を基礎にいたしまして何らかの措置を講じなければならないというのが現在の段階だと思います。
  5. 角屋堅次郎

    角屋委員 畜産局長のほうにちょっと事務的な関係でお伺いしたいのでありますが、いまのところ、いろいろ検討をした結果に基づいて四−六月に古々米あるいは政府操作飼料の緊急、集中的な放出というものが、数量的には大体どれくらいのものが予定をされておるか、お伺いしたい。
  6. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  過剰米は、ただいま大臣が申し上げましたとおり四十万トンでございます。それから麦類につきましても、ラウンドで大臣が申し上げましたが、二十万一千トンでございまして、その数量は大麦が十万六千トン、配合用小麦が六万トン、専増産ふすま用小麦が三万五千トンということに相なっております。
  7. 角屋堅次郎

    角屋委員 そこで、いずれ法案が、本委員会理事会で合意されますれば、提案をされるわけでありますけれども、私ども、古々米払い下げの問題の立法的措置について検討しました際にも、今日のえさ需給状況から見ますと、単に古々米政府操作飼料の四−六月について安価供給の手を打っても、七月以降についてどうなるかという点については率直に言って危険性が強いと思うのであります。したがって、法案をつくる場合においても、かつて昭和二十七年のときに麦の安価供給をやりまして、これは食管法附則処理をした経緯があると承知をしております。そのときには政令の定める期日までというふうな立法的手法を使いまして、政令で定める金額でこれを放出する、こういう食管法附則昭和二十七年に麦の安価供給をしたことがございます。で、政府としては四−六月についての立法的措置ということを中心にお考えではないかというふうに判断をしておるわけでありますが、私どもとしては、そこにやはりゆとりを持ちまして、政令の定める期日というふうな形にして、当面四−六月を考えるけれども、やはり飼料需給状況価格の安定の経過状況というものを判断して、必要があれば七月以降についても手を打つという、そういう政治的配慮が必要ではないか、こういうふうなことも考えておるわけでございますが、それらの点について、今日までの検討としてはどういう検討をなされてきたか、その点についてもお伺いをしておきたいと思います。
  8. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 先生の御質問なり御意見の点について、前提になります六月以降の見通し等につきましてなお不可知な要素が多々ございますけれども、一応申し上げてみたいと思います。  メーズ、マイロ等におきましては、御案内のとおり、米国における作付制限の解除というような措置がございまして、作付が大幅にふえるというような予想もございまして、国際相場は漸次低落しているというのが実情でございます。  ただ、七−九月については、メーカー等手当てを見ますと、相場が安い価格手当てが終わっていない、だいぶ下がってきているけれども、終わっていないというような実情でございまして、この上の値上げ要因はいまのところ見られないけれども、大幅に下がるというような見通しをただいま直ちに持つことはできないという点でございます。  それから、今回の配合飼料価格の値上がりの大きな要因になりましたのは、先生案内のとおり、魚粉ないし大豆かすでございます。魚粉については、四月九日から御案内のようにペルーアンチョビーの解禁がありました。これについてはやや情報が区々でございまして、平年度の約七割ないし八割というような情報も入っておりますが、魚体が小さいとかいろいろな模様でございまして、なお今後この点の国際的な魚粉需給については見きわめる必要があるというふうに考えております。  次に、一−三月の値上げがございましたが、四月の値上げをせざるを得ないような大きな要因となったのは大豆かすでございます。これにつきましては、米国需給その他から見ますと、次第に下降するのではないかという点が大方の見方でございます。また国内におきましても、御案内のとおり、製油メーカー食用油と結合して大豆かす生産を行なうわけでございますが、食用油の市況が相当よくなってきているというような事情から、大豆かすへの割り掛けと申しますか.これが減少するということが期待されるのではないかという要因もあるわけでございます。  それ以外に、御案内のように、変動相場制影響に伴うメリット、これが先物予約等中心にして、必ずしも変動相場制で二百六十五円なり二百六十円に移行した場合にも、輸入の原料について全面的に効果が四−六月にはきいてこなかったわけでございますが、七月以降はその効果が相当きいてくるだろうというような状態でございまして、なおそれらの要因がからまっておりますので、ここで直ちに断定的にその水準がどうなるかということについては申し上げることは差し控えたいと思いますが、これ以上四月から上がる要因というのは、現在のところわれわれとしては見られないのではなかというのが、きわめてざっぱくでございまして恐縮でございますが、需給関係から見た見通しでございます。
  9. 角屋堅次郎

    角屋委員 ことしはいろいろな関係で新年度予算が伸びた経過になりまして、できれば、やはり四月の早々にも緊急立法をやらなければならないというのが与野党気持ちであったと思うのでありますが、与党のほうでは、昭和四十八年度予算が成立するまでは待ってほしいというふうなやはり補正要因との関連の御意見もございまして、予算の終わった時点ですみやかに手を打とうということに相なった経過がございますが、ここで立法措置を講ずる場合に、四月一日に遡及して問題をどう判断をするのか。法律施行が若干ずれるわけでありますけれども、その辺についての検討はどういうふうに政府としてはしてこられたのか、御答弁を願いたいと思います。
  10. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  立法検討いただき、国会を通過さしていただいた場合の政府措置といたしましては、やはり施行日から、四−六以降から三カ月なら三カ月という間にその数量と安売りということで対処するのがしかるべきかというふうに判断しております。施行日から三月間というふうに考えております。
  11. 角屋堅次郎

    角屋委員 そこで、大臣に重ねてさっきの四−六月問題と七月以降の問題でお尋ねしたいのでありますが、私は、ことしのえさ需給状況全体から見ますれば、いま畜産局長の御答弁のように、法律的な手として施行日から三カ月なら三カ月という見当のようでありますけれども、その後にやはりえさ値上げを押えるために必要な手を打たなければならぬというゆとりがないと、かりに三カ月なら三カ月という立法処理をする場合には、必ずその後の問題の危険性考えなければならない。そういう場合に対する考え方としては、大臣はどう対処されるお考えでございましょうか。
  12. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど局長のほうから御説明を申し上げさせましたように、アメリカの作付状況ペルー魚粉原料になるアンチョビーの魚獲の状況等いろいろな要因考えまして、今回の措置を三カ月間に限定をいたしました以後の模様というものは、飼料値上げ要因をもたらすとは現在判断をしておらないわけであります。  今回の措置はあくまでも三カ月間の緊急やむを得ざる措置としてお願いをする、あるいは法案をお考えいただくことが適当ではないか、こういう判断に立っておるわけであります。これは古々米とはいいながら、実際破格の価格放出をする、あるいは操作飼料についても同様でございまするので、そういうことを考えまするときに、全般的な国民の理解を得る上におきまして真に緊急やむを得ざる措置である、こういう基本的な考えの上に立っておるということを申し上げておきたいと思います。
  13. 角屋堅次郎

    角屋委員 それで、四月から六月にかけて古々米四十万トンを放出する。あと古々米関係については、自後のえさ対策として、さらにその後に放出するゆとり数量的にはどの程度あると見当をつけておられますか。古々米関係はたしか百十九万トン程度かと思うのでありますけれども、その辺のところは、いわゆる三カ月の放出以降のえさに振り向けられる可能性のある分というのは、大体どのぐらいのものを御検討でございましょうか。
  14. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま御指摘の四十八年度における古々米としては百十九万トン、その中で飼料用に該当するものは六十四万一千トンでございまするが、十四万トンほどは場合によっては食糧に回さなければならないという前提に立っておりまするので、純粋の飼料用としては五十万トンということに相なりまして、すでに十万トン使っておりまするので、今回の措置をとったあと、この年度中におきましては、飼料用に向ける古々米はまずないと御判断願ってよいと思います。
  15. 角屋堅次郎

    角屋委員 ことしのようなこういうえさの非常に困難な条件を考えてみますと、えさ関係については、飼料自給対策というものを積極的に進めて、えさ海外依存主義から脱却をしなきゃならぬというのが、畜産農家のみならず農政考えるわれわれの一致した共感ではないかというふうに思うのです。農業団体関係におきましても、やはりえさ自給については休耕田の活用等も含めて積極的に考えていかなきゃならぬという機運にあるかと判断をいたしております。同時にその場合には、この際誘い水として増産奨励金等の積極的な手も打ってもらいたいというふうな強い要請等もあるわけですが、来年以降というのではなしに、ことしのこういう深刻な事態からして、本年度の積極的なえさ自給対策について、当初考えておったよりも新たな構想も含めて具体的にどういう手を打とうとするのか。その辺のところについても御答弁を願っておきたいと思います。
  16. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 かねてお願いをいたし、また申し上げておるところでございまするが、とりあえずは、米の生産調整に伴います休耕転作の場合にでき得る限り転作を奨励してまいりたい、そしてその転作については特に飼料について配慮をしてまいりたい、こういうことで臨んでおるわけでございます。また草地についての公共事業費百五十億円などもお願いをしておるわけでございまするが、いまお話しのとおりに、でき得る限り国内における飼料自給度を高めるということは、今回の経験にかんがみるまでもなく、当然必要なことでございまして、私も就任以来これからの生産需給の展望、生産指標をどうするかというときに、昨年の十月のその「試案」に対し、できればこれにもう一つ飼料自給度がもっと上がるように進めることが自分としての希望だということを申し上げてまいったわけで、ただいまの御質問の御趣旨を体して、飼料自給率を高めるように努力をいたしたいと思います。
  17. 角屋堅次郎

    角屋委員 申し合わせの時間の関係もありますので、私は一応この程度にいたしたいと思いますけれども、立法の問題としては、放出数量あるいは価格問題あるいはそういう手を打った以降におけるえさ値上げを食いとめるための自後措置というふうな問題については、畜産農家関係団体要請に十分こたえるようなきめこまかい手を考えてもらいたいということと、さらに、先ほども触れましたように、この際えさ海外依存主義から脱却をして、積極的な飼料自給対策を本年度から次々手を打って進めていくという点について——農林省としても最近いろいろな問題で評判を落としておりまして、われわれ、昔、籍を置いておった関係者の一人としてはまことに残念な最近の事態だと思うのであります。これはえさの問題だけに限りませんけれども、本委員会で議論されておる各般の問題も含めて、農林省としては名誉挽回気持ちをもって、当面の農政転換のための手を積極的に打ってもらいたいということを強く希望を申し上げておきまして、私の質問を終わります。
  18. 佐々木秀世

  19. 中川利三郎

    中川(利)委員 いま角屋さんからいろいろ話がありましたので重複を避けて申し上げますが、一つは、この前私が問題に出しました古々米放出について、そのワク外米台つき米についてはどのように御検討になったか、つまり台つき米をこの際別ワクとして払い下げる御用意があるかどうか、お伺いいたします。
  20. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 たいへん恐縮でございますが、私も政府委員のほうも、古々米とそれから何米でございますか……。
  21. 中川利三郎

    中川(利)委員 台つき米と称しまして、いま農協のどこの倉庫にもありますが、一番下になっている、つまり床についている米です。これはどういう役にも立たないで、どの農協も非常に困っている。こういうものは別のワクとして払い下げていただくということになればたいへんありがたいということです。
  22. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 では、政府委員のほうから答えさせます。
  23. 森整治

    森説明員 倉庫の中にそういうものがあることは事実でございます。それは一応政府の所有のお米の中にございますので、それにつきましては、そのつど——もちろん御趣旨のようなことで使えますれば、そういうことで放出をするということも考えてまいりたいと思います。
  24. 中川利三郎

    中川(利)委員 いま台つき米と言いましたら、大臣も知らなかった。いまの御答弁の方も必ずしもよく承知しておらないように見受けますが、このことについてはこの前私は質問しているわけです。その際も皆さんは検討する、こういうお約束があるわけでありますから、いまごろになって、そういう状態があれば考えたいなんということはどうかしていると思うのですが、もう一回御答弁お願いします。
  25. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 たぶん私はそのとき不在だったと思うのであります。まことに恐縮でございますが、初めて台つき米お話を承りました。食糧庁のほうで当時聞いておる者が当然あるべきことでございますから、さっそく先生のそういう御意見についてどういうふうに調査したかよく調べて、私からあらためてお答えいたします。
  26. 中川利三郎

    中川(利)委員 私は、今回の緊急放出につきまして、末端実需者へ安く渡せるということが大事だと思うわけでありますが、せっかく放出いたしましても、行き先はメーカーなわけですね。メーカーはほかの原料と配合して、濃厚飼料配合飼料をつくるわけです。製品となりますと、一応は政府規制外となるわけです。このようなたいへんな税金を支出して放出するわけでありますから、価格面においてどのように実需者に安くそれが渡るという道筋についての政府の具体的な方途、こういうものがどういうふうに考えられているか、お伺いしたいと思うのです。
  27. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  当然政府の大きな財政負担を伴う緊急措置でございまして、畜産農家負担軽減という趣旨でございますので、多量の数量が非常な低い価格放出された場合におきまして、その製品としての配合飼料末端所期効果をあげて渡るということが、先生指摘のとおりのことだと思います。  これにつきましては、当然売り渡しを受けた者あるいは団体がまとめて受けて、全農をはじめ個々のメーカーに渡るわけでございますが、その場合においては、それぞれのメーカーにその払い下げを受けました原料に基づく配合飼料配合率なりその他というものを当然報告させる、売り渡しを受けた数量に基づいて製造される配合飼料製品数量も当然報告させる、あるいはその蔵出し数量も報告させる、しかも工場建て値等を公表するということで、これは単に中央段階だけではなくて、配合飼料先生案内のとおり銘柄が多々ございますが、その原料売り渡しを受けて製造したメーカーのそれぞれの銘柄についての工場建て値というものを公表するとともに、都道府県その他を通じて末端実需者にもこれを周知させるというような、国の指導とそのような措置によりまして、適切な所期効果をあげるようにつとめたいというのがあれでございますし、当然また法令等に、それを担保いたします政府の責任が果たし得るような報告徴収権とか検査権限等も与えられるものというふうに思っておるわけでございます。
  28. 中川利三郎

    中川(利)委員 商社系メーカーは七十社ぐらいあるといわれていますね。そうすると、この各社でそれぞれのいまのわずかの配分量の中からばらばらと配られていく。それが実需者に渡る際の価格の安定あるいは飼料価格全体の安定にどれだけ役に立つかということになると、非常に心もとない状態だと思うのですね。そういう意味からして、たとえば全農がいまの価格安定に果たした役割りなんかを評価すれば、あっちにもこっちにもということでなしに、全農一本にこれを出してやるという考えはないのかどうか、ひとつお伺いします。
  29. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  確かに配合飼料メーカーは、中小のものを合わせますと七十社程度になりますが、全農が全体のシェアの四割を持っておりますし、そのほかメーカー系も上位の八社で全体の四割ぐらい、おおむね八割でございまして、したがって、この全農をはじめとするメーカー原料売り渡し、この原料に基づいて生産いたしました配合飼料の製造量、価格蔵出し数量というようなものを押えますれば、先生御懸念のような事態はないというふうにわれわれは判断いたしておりまして、おおむねそれぞれメーカーが競争関係にございますので、全農を含めた上位の九企業の価格によってすべて据え置きが引きずられるというふうにわれわれは判断いたしております。
  30. 中川利三郎

    中川(利)委員 そうしますと、飼料メーカーでは、先ほど言いましたように、配合して売るわけですね。その配合した段階では一般の配合飼料として売られると思うのです。そこで、この中にはたして政府緊急放出分が含んでいるのかどうかという判断をする基準がないわけです。いまだと成分表示ですからね。ですからこれに対しては当然原料配合率を明らかにしてやるという配慮がなければならないと思うのですけれども、あとはそれ以外に区分がつかないじゃないですか。そこら辺についてどういうふうに考えているか、お伺いします。
  31. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  メーカーによっては畜種別にそれぞれ配合飼料がございますけれども、おおむねこの払い下げ期間におきます各メーカー配合飼料はすべて、先生案内のとおり、麦は政府の専管物資でございますので、政府放出物資以外では配合原料が入手できない、それからマイロ等にかわります古々米を材料といたしまして製造するわけでございまして、全く同じ銘柄のもので政府放出を受けないものが生産されるというようなことは、この期間はまずないのじゃないかというふうに考えておりまして、そのメーカーの建て値なり売り渡し価格が、三月水準よりも本措置を講じた後に値上げが行なわれるかどうかという点を確認いたしますれば、その効果は達成されるのではないかというふうに考えております。
  32. 中川利三郎

    中川(利)委員 この前も言いましたけれども、いま配合率の問題が最大のネックになっておる。いま成分表示だけでよろしいということがこの前からも問題になっておりますが、原料配合率を明らかにするということを何かことさらにかたくなに拒否している、こういうふうにも見えるわけであります。農民が安心して自分の買う飼料を選択できるためにも、原料配合率をあわせて表示するということをやらないと、特に今回の場合はそういう政府放出分があるわけでありますから、やはりそういう点を明らかにする必要があると思いますが、こういうことについて重ねてお伺いします。
  33. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます  ことさらに原料表示を避けるというようなことでわれわれも従来指導を行なっておるわけではございませんが、主原料以外にも配合飼料は二十種類以上の副原料等がございまして、それらの副原料は、そのときどきの市況によりましてメーカー原料手当てを変えて、配合率が変わるというような点もいろいろございまして、ある期間画一的に、コンスタントに原料を表示することは必ずしも実際的ではないというようなこともございまして、成分表示という点を今日とっているわけでございます。
  34. 中川利三郎

    中川(利)委員 必ずしも実際的じゃないと言うけれども、必ずしも実際的じゃないということは、あなたのほうで成分表示しかやっていないから、成分表示の中で物を買うということで方向づけられているからであって、ほんとうに農民が選択してどの飼料が自分の牛にはいいか、豚にはいいかということになりますと、原料のそうした配合率が明らかになったほうがより望ましいということは当然だと思うのです。そういう点についてひとつお答えをいただきたいと思うわけですが、時間の関係もありますから次に移りますが、あとで一緒に答えていただきたいと思います。  安定基金のことですが、いま商系にも新しく安定基金ができる、こういうことを言っておりますが、全農の安定基金と商系の安定基金に対して皆さん方同じような金額の出資をなさっていらっしゃる。しかし、この評価について、当然別にしなければならないのじゃないかというふうに考えますが、全農と商系についての皆さん方の考え方と評価をひとつお伺いいたしたいと思うのです。
  35. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 御案内のとおり、全農系なり商系について、いずれの系統から配合飼料を購入するかということは、農家の自主的な判断にまかせられているわけでございます。こういうことを公式的に申し上げてまことに恐縮でございますが、メーカーによって配合飼料銘柄がある特殊性を持っておって、農家もこれを積極的に選択するようなことで、現状では六割がメーカー、四割が全農ということでございます。したがいまして、農家のサイドから、その実質的な値下げ効果を及ぼす安定基金に対する助成という場合には、その助成の程度は区別すべきではないというふうに考えておるわけでございます。
  36. 中川利三郎

    中川(利)委員 同じ安定基金といいましても、全農の場合は飼料を買うそのものの中に安定基金の会費といいますか、そういうものが含まれているわけですね。ところが、商系の場合の性格を見ますと、差額補てんなんですね。今後値段が上がるであろうという状況を見越していまの安定基金がつくられている。したがって、メーカーとしては全くふところが痛まないということがいえると私は思うのです。同じ安定基金といっても全農とは性格が全く違うのだということですね。もう一つは、出資者の資格を見ますと、全農の場合は、飼料を買えばそのまま資格がある、会員になるわけです。そういう点では平等に恩恵を受けることになるけれども、商系の場合には出資が一口十万円なんですね。鶏は五千羽以上、豚は五百頭以上、牛は百頭以上、つまり大規模経営の連中でないと入れない、こういう問題が明らかになっているのですね。そういう商社というもの、つまり資本主義社会の中の商系と、全農というものの性格からくる差異が明らかにあると思うので、そういう面ではどっちも一億五千万出資したから公平ということにはならないと思うのだが、こういう点についてもう一回御返事をいただきたいと思います。
  37. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、ただいま先生がおっしゃいました構成、掛け金の取り方とか等については、われわれの承知している限りそのような特に大きな差はない、たてまえとしての差はないというふうに判断しておりますし、また、メーカー系の場合には比較的専門的な大規模な養鶏家とか養豚家というようなものが飼料を購入しておる。したがって、基金加入の場合にもある程度大きなものが結果的に入るということになるかと思いますけれども、われわれも商系の基金を認可する際におきましてその点については十分配慮したつもりでございますが、先生御懸念の向きがございますれば、せっかくの農家のための制度でございますので、なお検討いたしたいというように考えております。
  38. 中川利三郎

    中川(利)委員 最後ですが、質問ではありませんが、今回の異常な飼料価格の高騰、これを山火事にたとえれば大火事になっているわけです。これを消すためには普通の消防ポンプでは間に合わない。そういう点で、単に価格騰貴を防ぐというだけではなくて、もっと安くしていくという前向きの積極的な姿勢が政府として望まれるし、そういう面では、先ほど社会党の角屋さんが言ったように、基本的には需給の問題がありましょうけれども、たとえばいま五十万トンだ、しかし全体として百五万トンというものはあるわけですね。そういう点では、そこから何ぼか分けてやる、そういうふうな配慮を強く望みたいと思います。  質問の時間が来ましたから、これでやめます。
  39. 佐々木秀世

  40. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 飼料や米穀等の売り渡し価格についての時限立法が間もなく提出されるということで、かねがねから畜産農家をはじめ各団体等も強い要求をしておったわけでありますが、この立法の前に農林大臣に若干の質問をしておきたいというように思うわけです。  もちろん今回の立法措置は四月−六月の時限立法ということになっておりますが、先ほどから説明がございましたように、今回昭和四十五年以前の産米すなわち古々米に対する四十万トンの払い下げ政府操作飼料として麦等二十万一千トンの払い下げということでございますが、当初農業団体やわれわれが古々米五十万トン、政府操作飼料二十五万トンを払い下げてほしいということで強く要求してまいりましたけれども、この辺の差は政府ではどういうふうに検討されてきめられたのか、その辺のところから御説明いただきたいと思うのです。
  41. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、先生案内のように、三月当初時点で緊急対策を立てました際は、まず物の量の面からの需給緩和ということで、三月−六月にかけて古々米を五十万トン、それから政府操作麦類を二十六万トンということでございまして、三月中から売り払った残り四月から六月分について四十万トンを予定しておりましたので、ただいま大臣も申し上げましたように、四十万トンを予定するというふうに申し上げたわけでございます。
  42. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣にお尋ねしますけれども、今回の払い下げは正規の価格の二分の一以下で政府側から売り渡すということで検討を進めておられるわけでありますが、また、われわれも飼料の値上がり等を見ましたときに、最近二分の一、または二分の一よりもずっと安い値段でというふうに期待をしておるわけでありますけれども、政府側としても二分の一以下ということを言われておりますが、以下ということは、現在の価格から半値よりもずっと安い三分の一くらいの価格でこれを払い下げることがあり得るというふうに解していいのか、その点の関係はどういうふうに考えておられるか。すなわち財政措置も七十億円の財政措置をするということでございますので、そういう点からいろいろ見ましたときに、およそ見当がつくのでありますけれども、その辺についてどういうお考えであるか、お答えをいただきたいと思います。
  43. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 緊急措置をとりましたときのモデル計算がございます。そのモデル計算の場合を基準にいたしまして、現行価格の二万一千六百五十円に対して二分の一とする考えに立っておるわけでございます。二分の一以内ではなく、はっきり二分の一とお願いするのが適当ではないか。それによって値上げをせずに十分カバーできるというように計算がモデル計算で出たわけでございます。
  44. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、そうしますと、モデル計算ではっきり二万一千六百五十円の二分の一、こういうことのようでありますが、それでは、以下でなくて二分の一と、こういうようにはっきりなるわけでございますね。そういうふうに理解していいですか。
  45. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 古々米にいたしましても政府払い下げ飼料にいたしましても、はっきり二分の一といたす考えでございます。
  46. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政令等でいろいろ最終的にはきめられることだと思うのですけれども、飼料の値上がりは流動的であり、二分の一ときめておいたのでは、飼料の値上がりにいろいろ影響があるという場合に、以下でやらなければならない場合も起きてくると私は思うのですが、その点は十分政府としても配慮して対策をとっていただきたい、かように思うわけです。そこで、今回の処置によって——飼料は、輸入原料の値上がり等で、一月ないし三月には値上がりは若干減ったわけですけれども、四月にもトン当たり四千二百円の値上がりが予定されております。全農のほうでは値上がりをこれで防止できるように何か話があったというふうに聞いておりますが、こういったことで値上がりの防止は六月までは十分できる、こういうふうに自信を持っておられるか、その点大臣から伺いたいのです。
  47. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 全農は、私どもの考え、また皆さま方のいろいろな御意向を体して、値上げをストップしておるわけでございます。そして、今回の措置によって全農の四千二百円の値上げはやめてもらうことができると確信しておる次第でございます。
  48. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣が決算委員会出席だそうでございますので、もう一問だけ大臣にぜひ聞いておきたいことをお聞きして、あとは当局にお聞きすることにしますが、大臣にぜひお聞きしたいことは、今回の処置で三月ないし六月の値上がり防止は、いまも答弁があったように、一応できる。そして、いろいろ対策ができるとしても、実は七月以降の今度の飼料値上がりその他についてはまたたいへんじゃないかと思うのですが、その辺の見通し等については、もうすぐにやってくるわけですが、大臣は七月以降の問題についてはどのようにお考えになるか、その点についての御見解を承りたい。
  49. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど局長需給事情を一応御説明申し上げまして、また私は、それに対してさらに裏づけとして、現在、それらの事情を検討の結果が、とりあえずこの四月−六月の緊急措置をやるということで、その後の事態につきましては、現在値上げをする必要性を、いまのいろいろなデータからは、考えておらないことを申し上げた次第でございます。
  50. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 では、農林大臣、けっこうです。  畜産局長、今度の古々米払い下げ配合飼料に対する混合歩合はどういうようにお考えでありますか。
  51. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 各メーカーの四十万トンの放出によりまして代替する予定計画を、われわれ値上げ抑制のために、現在逐一とっておりますが、それによりますと、古々米配合率が五%から約九%程度に上がりまして、その後、輸入価格が非常に上がっておりますマイロに置きかわるという関係に相なっておるわけでございます。
  52. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 配合飼料なんかにはせいぜい古々米は一〇%から多くても一一ないし一二%くらいだろうということもいわれております。四月から六月までの間にこの四十万トン全部使うわけではないと思うのですが、もちろんこれは七月以降にもずっと使うということにもなろうというふうに理解するわけですけれども、これをまぜた場合に、三カ月間にそんなに大量に使うということは、たいへんな古々米の材料が多くなりますので、飼料がだんごみたいになるわけですから問題だと思うのです。そういう関係でずっとこれは七月以降にも使っていくということになろうと思いますが、その混合歩合は七月以降、今度の払い下げの問題については、何%、どのくらいの量でどのくらいの期間混合していくというふうに想定されておられるのか、その点を説明願いたいというわけです。
  53. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、先生案内のように、過剰米飼料用として相当予定されてございました昨年、一昨年におきましても、年間百万トン以上の古米がマイロに代替して配合飼料用になったわけでございまして、四十万トンは第一・四半期の配合飼料製造用として十分使い切るというふうにわれわれ予定して今回の措置もとったわけであります。
  54. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 だから、配合飼料に古米は普通一般の考え方として何%くらいまぜるのですか。まさか配合飼料に半分まぜるわけではないと思うのですが、どうして質問の言うことがわからぬのかね。
  55. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生御懸念の向きもございまして、配合飼料原料につきましては、配合率には一つの限界がそれぞれの原料についてございますが、先ほど私、約九%と申し上げましたが、全体の配合飼料の第一・四半期の製造量というものからの配合割合を見ますと、四十万トンは約九・六%ということになりまして、それぞれ関係者からの話を総合いたしましても、この程度であればその限界ではないというふうに承知しております。
  56. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その点はまたいずれ時間をとって論議するにしまして、もう一、二点簡単に聞きますが、先ほどペルーアンチョビーの話がありましたが、これがまた重大な影響を及ぼすわけですけれども、ペルーアンチョビーは、ことしは海流の関係または海の結氷等の関係で、三月一日解禁が四月になるということで、最近は魚群の密度が薄いということが問題になっていますけれども、それに加えてヨーロッパですでに八十万トンの契約をしておる。いわゆる先買いの契約もしておるということで、とれてもはたしてこれが日本にくるかどうか問題だということを、私は現地のほうからいろいろ聞いておるのですけれども、その点の見通しはどうなんですか。
  57. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど角屋先生の御質問にもお答えいたしたわけでございますが、今回の配合飼料価格値上げの大きな要因となりました魚粉につきましては、先生のただいまのお話のように、三月の解禁が、試験操業の結果やや魚体が小さいというようなことがございまして、四月七日に解禁をされたわけでございます。   〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕 その漁獲量につきましては、二、三の方面からわれわれが徴しておるところで、若干数字等が違いますのであれでございますが、平年の七割から八割というような数字も得ておりまして、魚体が小さいということも報告を受けておりますが、今後どの程度の漁獲量が確保できるかという点については、しばらく推移を見守る必要があるというのが大かたの専門家の判断でございますし、また先生指摘のヨーロッパ筋の八十万トンの手当てという点については、私どもが初めて聴取する数字でございますけれども、昨年のにわかな原料価格の暴騰という例がございましたので、全農を含めて飼料メーカー関係筋におきましては、その手当て等については早期に確実にということで現在努力中でございますが、御指摘もございますので、その点については最善の努力を尽くしたいというふうに考えております。
  58. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 飼料が値上がりしますと、御存じのように、豚肉、牛肉あるいは鶏卵というように、次々に消費者にたいへんな迷惑をかけるような値上がりが起きてくるわけで、重大な関心が持たれておるところであります。  御存じのように、農林省として現在外国の公館には農務官もおりますが、商社のほうの情報は早くて、農林省のほうの情報はおそい。いつも後手後手で、そうしたいろいろな結氷の関係、あるいは解禁の関係、漁獲高の関係、あるいは作付関係、作柄の関係、こういったものの情報がおそいために、いつも商品投機の因になっているというような重大な原因がありますので、十分今後の推移を見て、こういった農務官を督励し、調査を進められて、先手先手でやっていかないと、七月以降のまた飼料値上げということでたいへんな問題になっていくのではないかというふうに思いますので、十分その点は対処していただきたい、かように思います。  最後に、今回の古米あるいは古々米政府操作飼料の麦等の放出について、米穀等の売り渡しを受けた者等が適正にこれを処置するということについてはどういうふうにされておるか。それと、これには十分な検査体制がないと、先日も秋田県等ではいわゆる配給米をまた逆戻りさして、しかもまたこれを売ったというような問題があったり、いろいろ世間に迷惑をかけてたいへんなことになりかねない。その点は十分監督指導をしてもらいたいと思うのですが、その点の配慮についてどう考えておられるか、最後に御答弁いただきたい、かように思います。
  59. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、大きな財政負担を伴いまして、安価に政府放出する、そういうような法的措置をとっていただく場合には、当然それを担保する検査とか報告とか、それぞれわれわれ行政の立場のものが責任を果たし得るような裏づけも与えていただけるというふうに判断しておるわけでございますが、先ほども御質問にお答え申し上げましたとおり、売り渡しを受けた者が、その売り渡しを受けた政府原材料について、いかなる配合率配合飼料生産し、いかなる数量生産し、いかなる蔵出しをし、いかなる価格工場建て値を立てているかというようなことについては、われわれが逐一報告を得ることはもちろんでございますし、必要に応じては工場等に立ち入り検査をいたしてその実態を確かめる、またその建て値等を公表することによりまして、現実の効果があらわれているかどうかを確認いたしていきたいというような万般の措置を講じまして、先生御懸念の向きについては、万々ないようにつとめたいというふうに思っております。   〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕
  60. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で終わります。
  61. 佐々木秀世

    佐々木委員長 神田大作君。
  62. 神田大作

    ○神田委員 今回の古々米払い下げの問題につきましては、このような異常な飼料の不足あるいは畜産物の値上げ、これらに対して緊急に対策をとるべきであるということを、われわれはもうすでに何カ月か前から政府当局に関係者とともに強く要望したにもかかわらず、今日までこれを行なわない。私が国会の予算委員会におきましても、農林大臣にきびしくこの点を申し上げ、すみやかにこれを実行すべきである、そうしなければ日本の畜産行政は危機に瀕するということを言ったにもかかわらず、今日まで遅延させた理由あるいはそれに対して農林当局としてはいかなる責任をとるのか、これをまずお尋ね申し上げます。
  63. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先生の御指摘のとおり、この問題はいささか不手ぎわな点も当局としても十分に反省しておる点でございまして、申しわけなく思っておる次第でございます。  飼料が値上がりしたということは、飼料問題のみならず、昨年来ありとあらゆる問題にこれが波及しておったわけでございまして、しかも私どもの目算し得なかった、先ほどの瀬野先生のおことばの中にもございましたような国際事情の需給関係等もこれまたからみ合って、私どもの予期せざる問題も起こってきたわけでございまして、そういう点も十分にいまからも反省をし、前向きに考慮して解決していかなければならぬ問題だ、含めまして責任を感じておる次第でございます。
  64. 神田大作

    ○神田委員 こういうような緊急な問題について、ともすれば政府の政策はいつでも手おくれ、そのためにまた混乱を起こすというようなことを繰り返しておる。これはもう、えさが足らぬとか、あるいは畜産行政を振興するための対策としては、一年も二年も前に、世界の食糧事情等から見まして、これはわかっておるわけです。それにもかかわらず、これらに対する対策を怠っておるというような官僚的な仕事、これは今後許せないと思うのです。こういう問題につきましては、もっと真剣に、実際養豚、養鶏あるいは酪農等をやっておるこれら畜産者の意思は十分わかっておるはずでありますから、その点についてもっとすみやかなる対策を講ずべきである、こう考える。  それと同時に、どのような方法でこの古々米払い下げあるいはまたその他大麦、小麦等の払い下げを行なうのか、その点をお尋ね申し上げます。
  65. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生案内のとおり、従来も古々米なりあるいは政府操作飼料については、実需者団体全農系なりあるいは商系メーカーの協同体でございます組合あるいは酪農団体というようなそれぞれの団体を通じましてメーカー払い下げておるわけでございまして、今回もそのルートについては同様の措置をとりたいというふうに考えております。
  66. 神田大作

    ○神田委員 いままでにおいても、この古々米払い下げ飼料用として払い下げたにもかかわらずこれが食糧として混入されて、悪徳業者といっては語弊があるかもしれませんが、そういう業者もあるわけです。そういう業者が飯米として売り渡すというような実例もあったわけです。これらに対して厳重な監督と、そのような不正が行なわれないような措置をとるべきであると思いますが、これに対してはどのように考えられますか。
  67. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生案内のとおり、古々米等につきましては、精麦工場等におきまして圧ぺん、挽砕等の措置を講じた上で配合飼料メーカーに渡るというたてまえに従来もなっておりまして、その点については今回は非常に財政負担を伴った低価格放出するわけでございますので、御懸念の横流れ防止については一段と、先ほどもるる申し上げましたとおりの方法によりまして確保したいというふうに考えております。
  68. 神田大作

    ○神田委員 時間がありませんから最後にお尋ねしますが、飼料に対する抜本的対策を立てるということを再三農林大臣もまた政府当局も申しておる。抜本的対策をやるというのは、休耕地に対して大麦、小麦をつくらせるとかあるいはトウモロコシを増産させるとか、休耕地を遊ばせないで、そういうような作物をたくさんとらせるというようなことを繰り返して言っておるようでありますが、実際は年々大麦にしても小麦にしてもトウモロコシにしても、国内生産は非常に激減しているのです。この現実をどうして打開していくのか、これに対して具体的な対策を私は示してもらいたい。ただつくれ、つくれといったところで、引き合わないのでありますからつくるわけがない。それに対して奨励金の場合においてこれに引き合うような価格助成をするなり、あるいは飼料作物をつくった者に対しては租税対策等においても考慮するなり、具体的な対策を示してやる。ただ前進します、前進しますでは、この日本の畜産飼料問題は解決できない。こういう抜本的対策につきまして、どのような考えを持たれるか、お尋ねします。
  69. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、濃厚飼料の穀物につきまして、この自給をはかるということについては、早急に進めなければならない一面、各種の困難な問題があることもいままで申し上げたとおりでございますが、稲作転換等と関連いたしまして、五年間二十万ヘクタールの飼料作物を導入するということで現在進めておるわけでございまして、四十八年度は十二万ヘクタールまで伸ばしたいということで、この施策を達成したということが第一点でございます。  それから第二点は、この点については施策にもかかわらず面積が減っておるというような点もございますが、表を休耕した場合に、裏、前の秋の作付に麦をまいた場合には、その休耕は転作相当分になるように五千円の転換奨励金を出しておるというのが現状でございます。  現在の施策としてはそのような施策を一面進めておるのでございますが、御案内のとおり、濃厚飼料につきましては、労働力事情等内外の生産性の格差が非常に大きいというような点で、集団的な機械化による作付体系を早急に確立しない限り、先生ただいま御指摘の事情があると思いまして、飼料穀物の実験事業というような点で、現在全国十数カ所に機械化体系による大型の作付体系の確立という点で実験事業を行なっておりますが、これらの成果を見ました上で、裏作麦等を中心として濃厚飼料源を国内でどう確保するかという点について施策を進めなければならないというふうに思っております。
  70. 神田大作

    ○神田委員 世界的な飼料の不足、食糧の不足が伝えられております。これに対してもう私は備蓄対策も考えなければならぬ。幸い古々米があったからある程度の救いにはなったけれども、今後この飼料に対しまして、備蓄のことにつきましてもっと真剣な考慮を払うと同時に、いまお答えになりましたような、そういうただおざなり的な対策ではこれは切り抜けられないと思うのです。私はもっと緻密な、具体的な対策を資料として今度委員会に提出してもらいたい。今後の飼料対策をどうするかという農林省自体の資料を具体的に示してもらいたいと思います。  と同時に、私は最後に委員長に一言申し上げますが、こういう委員会の運営で時間で制限されることはやむを得ません。しかし、大臣がいる場合には、きょうはやむを得ないと私は承認しましたけれども、各党に大臣質問をさせて、民社党だけは大臣質問をさせないというような、こういう運営ははなはだもってけしからぬ話であります。きょうはやむを得ないと思いますから、きょうは一刻も早くこれを上げたいからがまんしたのですが、これから運営の責任者として委員長はその点を十分に配慮してもらいたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  71. 佐々木秀世

    佐々木委員長 この際、飼料用米穀等売渡価格等臨時特例に関する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先日来理事会におきまして御協議願っていたのでありますが、先刻の理事会におきまして協議がととのい、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を作成した次第でございます。
  72. 佐々木秀世

    佐々木委員長 その内容につきまして便宜委員長から御説明申し上げます。  第一に、政府は、過剰米処理計画に基づいて売り渡す配合飼料用の米穀について、数量と時期を限定して、農林大臣の定める特別低廉な価格で、売り渡すことといたしております。  第二に、政府は、飼料需給安定法により売り渡す配合飼料用の大麦及び小麦等について、数量と時期を限定して、随意契約により、かつ農林大臣の定める特別低廉な価格で売り渡すことといたしております。  第三に、本法に基づいて米穀等の売り渡しを受けた者等は、当該米穀等または当該米穀等を原料として製造した配合飼料を適正な価格で譲り渡し、または販売するようにしなければならないこととするとともに、農林大臣は、これらの者から当該米穀等の譲渡数量及び譲渡価格、当該米穀等を原料として製造した配合飼料の販売数量及び販売価格等に関し報告させ、または職員に立ち入り検査等をさせることができることとしたほか、必要な罰則規定を設けることといたしております。  以上が、本案の提案趣旨とおもな内容であります。  なお、詳細は内容につきましては、お手元の案文により御承知願いたいと存じます。  本起草案について別に御発言もないようでありますので、この際、本案について、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があればお述べ願いたいと存じます。櫻内農林大臣
  73. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 飼料用米穀等売渡価格等臨時特例に関する法律案については、その実施に伴い多額の財政負担を伴う等の点で問題はありますが、現下の飼料事情にかんがみ、やむを得ないものと考えます。     —————————————
  74. 佐々木秀世

    佐々木委員長 おはかりいたします。  お手元に配付いたしております飼料用米穀等売渡価格等臨時特例に関する法律案の草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案といたしたいと存じます。これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  75. 佐々木秀世

    佐々木委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決定いたしました。  なお、ただいま決定いたしました本案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 佐々木秀世

    佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本会議散会後再開することといたし、暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩      ————◇—————    午後三時五十四分開議
  77. 佐々木秀世

    佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。櫻内農林大臣
  78. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法は、北海道における寒冷がはなはだしい特定の畑作地域を寒冷地畑作振興地域として指定し、また、南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法は、南九州における夏期における降雨量がきわめて多く、かつ、特殊な火山噴出物でおおわれている特定の畑作地域を南九州畑作振興地域として指定して、それぞれ、これらの地域内の農業者で営農改善計画を立て、これに基づいてその営農の改善をはかろうとする者に対し、農林漁業金融公庫が必要な資金を貸し付けることにより、当該農業者の経営の安定をはかることを目的とするものであります。北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法につきましては、昭和三十四年に法律が制定されて以来三回にわたる改正を経て、南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法につきましては、昭和四十三年に制定されて、それぞれ今日に至っております。  これら二法に基づき農業者が資金の貸し付けを受けようとするときは、所要の資格認定を受けることとされておりますが、その申請の期限は、現行の規定によれば、両法ともに昭和四十八年三月三十一日となっているのであります。  しかしながら、最近における貸し付け資格の認定状況を見ますと、一般的農業情勢の変化のほか、たび重なる災害等により、認定農家戸数は予定の五〇%程度にとどまっております。一方、北海道及び南九州における畑作農業経営の不安定性あるいは低収益性は、いまなお営農の改善を必要としており、今後とも、この資金の借り受けを希望する農家が多数残っているのであります。  したがいまして、これらの制度と並んで実施されてまいりました土地基盤整備事業の一そうの推進等関連諸施策の充実と相まって、これらの制度による営農改善資金の貸し付け資格の認定申請期限をさらに五カ年間延長して昭和五十三年三月三十一日とし、もって、北海道寒冷地畑作地帯及び南九州畑作地帯の農業の振興をはかってまいることとした次第であります。   以上がこの法律案提案の理由及び内容であります。   何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  79. 佐々木秀世

    佐々木委員長 以上で本案の趣旨説明は終わり  ました。   質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
  80. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 まず第一点としてお尋ねをいたしますが、すでにこのマル寒法につきましては、あるいはマル南法につきましても、参議院において先議が行なわれ、附帯決議がつけられております。この附帯決議に基づきます大臣のこれからこの両法案に取り組む考え方の具体的なものをひとつお示しいただきたいと思います。
  81. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま衆議院のほうで御審議をお願いするちょうど中間にあたりますので、参議院の御決議はちょうだいしておりますが、そういうことでございますので、本案成立後にこの決議の趣旨を尊重して種々検討いたしたい。正直に申し上げまして、現在参議院の決議に基づいての将来における協議はまだいたしておりません。しかしながら、この決議に盛られております事項は、一般的な事項も相当あるのでございますので、私といたしましては、せっかくの参議院の決議でございますので、いま御審議願っておるこの案の成立いかんにかかわらず、この決議については尊重してまいりたいと思っております。
  82. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 今回の私の質問は、マル寒法に重点を置いての質問にいたしますし、わが党の見玉委員がマル南法の関係を分担するということで、これからの質問を進めてまいりたいと考えております。いま大臣からお話がありましたが、これからの検討の中で、ぜひひとつこの法案が事実上実のあるものとして今後さらに一そう運用が円滑にいくようにしていただきたい、そういう趣旨を含めて、若干これから質問をいたしてまいりたい、こう考えております。  そこで、マル寒法は、すでに御案内のごとく、昭和三十三年に制定されて以来三度の改正を経て、さらに今回、時限に基づきまして五カ年間の延長を提案されているわけであります。そこで、先ほど提案理由の中にございましたように、いままでの、特に過去五カ年間におきます実績等を踏まえて考えましたときに、その認定が予想よりも非常に低かった。こういう実績の上に立って、この機会に十分反省が必要だと考えております。したがって、これからさらに五カ年間延長して進めていくこのマル寒法についての具体的な改正点などを御明示いただきたい、こういう趣旨質問をしたわけであります。したがって、再度この法案の中におきますおもな改正点について具体的にお示しをいただいた中で質問をしてまいりたいと考えておりますので、もう一度大臣の御答弁お願いいたします。
  83. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今回お願いを申し上げておりますのは、いわば五年間の延長法でございまするから、法案そのものの中では実体的な変化はないわけでございます。しかしながら、現在成立を見ました予算関連をいたしまして融資条件などの改定はいたすべく考えておるわけでございまして、その点は局長のほうから御説明申し上げます。
  84. 小沼勇

    ○小沼政府委員 まず、マル寒法の資金の貸し付けを行ないます場合の融資条件の改善措置でございますが、四十八年度から次のように改定いたしたいと考えております。  一つは、貸し付け限度額の引き上げでございまして、現在、北海道の酪農地帯の経営では五百万円でございますが、それを六百万円、その他の経営につきましては、三百万円を四百万円というふうに考えております。また、融資率につきましては、現行一律八〇%でございますが、これを改正いたしまして、特認で九〇%、一般は八〇%、そういうふうに改善をしてまいりたいというふうに考えております。
  85. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 北海道のマル寒指定地域におきます気候的な、あるいは気温の上から見ましても、過去五カ年間に限らず、この法律が発足して以来ほとんど変化のない状態の中で推移をいたしております。特に重要な算定基礎になります積算温度につきましても、この指定地域の中心になります地帯における温度というものも、二千五百前後においてほとんど変わりがないという、こういうきびしい条件というのが、この五カ年間においても、あるいは十年間を平均いたしましても、変わっていないというような実態にあります。  さらにまた、この法律が五カ年間の延長をやりました四十三年度から四十七年の間に、二回もたいへんなきびしい冷害が襲ってきた。こういうふうな点を考えてまいりますときに、このマル寒法の果たす役割りというものは非常に大きいし、また、かなり長期にわたって変わる要素がないというふうに私どもは判断をいたしております。これは一つの気候的あるいは地理的な条件の中に置かれているこの地域の特殊性、あるいはもっと極言をすれば、宿命的に持っている一つの地域の特殊性だというふうに考えておかねばならぬと思うだけであります。したがって私は、この時限法という取り扱いについては、これからさらに五年間延長しましても、必ずしもいまの法律の目的を完全に達成するような情勢下にはないという判断一つ持っております。したがって、私の言いたいことは、これは時限法ではなくて、この地域におけるそういう特殊性、あるいは特殊な経営を余儀なくされているという実態の上から、これをかなり恒久的に考えていく法律として定着せしめるべきではないかという議論をいままでもやってまいったわけであります。こういう点について農林当局としてはどのようにこの点を理解しておられるか、まずその点をお聞きいたします。
  86. 小沼勇

    ○小沼政府委員 このマル寒資金の制度は、いま御指摘のように、非常に気象条件、土壌条件に恵まれない、そういう不利な条件下にございます北海道の寒冷地の畑作地帯につきまして、その畑作営農の改善をはかるために特別に実施をしたものでございまして、御案内のように、たいへんな冷害がございましたのを契機にこの特別措置が発足いたしたわけでございます。  現在、御指摘のように、非常に劣悪な自然条件にあるわけでございますが、ただ、いろいろと経済的な条件等も変わってまいりますので、営農方式を安定していくという場合にも、それぞれの時期に相当のくふうを必要とするということも考えられます。そういうことでございまして、農業の実態の変化に対応させながら、総合的な判断によりまして畑作の振興をはかっていくという考え方に立っておりまして、現在は今回の制度の延長によりましてこれに対応をしてまいりたいというふうに考えております。今後の農業情勢の変化等に応じまして、その時点においてさらに延長等を検討することもあり得ると思いますが、現在はとりあえず五年間の延長ということでそれぞれの情勢に対応しながら進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  87. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 先ほど大臣から理由説明の中で、この延長をするにあたって、過去におきます実績等を踏まえた中で、認定戸数は予定の五〇%程度にとどまったという理由の中に、一般的農業情勢の変化ということを言っております。これは具体的にどういうことを言っておるのか、どのような分析をされているのか、それをまずお聞きしたいと思います。
  88. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 この五年間の農業情勢の変化を考えてみますると、最も顕著なのは米の生産調整であったと思います。また、気象的な特殊事情からいたしますと、お話がございました冷害などの影響を受けております。さらには、畑作物、畜産物についての価格制度、こういうようなものを総合して考えてみまして、この五年間にいろいろと農業情勢の変化があった、このように御指摘申し上げておるようなわけであります。
  89. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 そういう抽象的な一般情勢の変化ではなくて、かなり激しい農業情勢の変化があった、そういうものが、達成率を半分ぐらいにしか見ることができなかった大きな原因になっているというふうに私は考えております。特に米作と畑作の格差というものは依然解消されていない、そういうふうに実は見ているわけであります。  そのおもなる原因は、構造上に大きな進展を見ることができなかったということ。なるほど、経営拡大はある一定規模にはなったと思います。しかし、それが直ちにすべて円滑にいく、いわゆる経営の改善になっていたかというと、私は非常に疑問があります。特に最近におきます農畜産物の価格の低迷というものは、農業者にとって、この指定地域における畑作農家の自信喪失という形になってあらわれている、それが経営に対して非常に大きなネックとなっているという事実を否定することができないと私は思うわけであります。したがって、大臣はよく構造政策の成功をうたっておりますけれども、こうした構造の改善とあわせて、農家が大きな借金をするわけでありますし、その借金がスムーズに払い得るような農家経済の確立というものが同時になされなければ、これから先も大きな借金をして経営の改善をやろうなどという意欲はわいてこないという実情にあると私は思います。それがまた冷災害という非常に宿命的な天候の支配を受けましてそこに追い打ちをかけていくという実態が、この地域においては特に顕著であります。だから、これらに対応するような、ほんとうに農民の経営の内部に、あるいは農民のはだに触れるような制度というものがいま非常に期待されているということは、乳価を通し、あるいはビート価格の決定にあたっても、私はこの席で力説をしたつもりであります。今回、私はこのマル寒資金が決定的に必要でないという前提に立って申し上げているのではありません。この資金に対する期待は非常に大きいということだけは私は認めております。かく申す私も、このマル寒資金を使って経営の改善をはかっている一人であります。しかし、それではほかの資金と比べて特別これがこの地域のハンディを埋めていく上に有利な資金になっているかということを考えてみますときに、必ずしもそうなっていない、私はその点をまず指摘したいのであります。  したがって、先ほど四十八年度以降における具体的な考え方として、酪農において、あるいは畑作において、それぞれ百万円のワク拡大をばかり、あるいはまた融資率においての一割アップを示しておられますけれども、今日の状態の中で大きな金がつぎ込まれるという大前提は、このことをもってほんとうに農業を生きがいとしてやれるという機運を農村内部に、特にこの指定地域におる農家の皆さんにまず感じてもらうというふうな政策でなければならぬと私は思うのであります。したがって、その大事な一翼をにないます金融政策というものはおろそかにできないという認識は大臣もお持ちですし、私もそのことを強調してまいりました立場から、特にこのマル寒資金の運用というものはやりようによってはさらに一そう大きな効果をあげるという期待を一面持っているだけに、この際思い切った内容の改善をやっていただきたいというふうに考えているわけでありますので、ひとつそれらに対して私の若干の提案を申し上げてまいりたいと思うわけであります。  その第一点は、先ほどお話にありました限度額の引き上げもそうでありますけれども、どうしてもこの際、金利は、構造改善資金あるいはまた農地取得資金並みの三分五厘くらいにしていただかなければ、ほんとうの意味でこのマル寒資金が生きてこない、こういうふうに考えております。それはどういう点でそう申し上げるかというと、この制度のねらいというのは、あくまでも一定規模、いわゆる一定水準農家に達するまでの、いわゆる中庸以下の農家を救い上げるという趣旨一つ持っている。こうした農家の実態は、経済的にも非常にきびしい条件の中で営農を続けております。さらにまた、経営の内容につきましても、経営拡大必ずしもこれから明るい展望を持っておりません。そういう中において、やはり一年の収支というものが完全に償い得るような経営になってまいりませんと、この金を借りてまで拡大をしていくというような見通しを持つことはなかなかできないわけであります。したがって、当面私どもは、自分の農場の収支計算をする中でも一番大きな圧力になりますのは、こうした投下された資金の返済がスムーズにいかないという悩みが一つあります。ですから、金融面、特に金利面における相当の優遇措置というものがなければ、こうした特殊地帯において営農を続けていく者にとってはたいへんなことなんであります。ですから、この機会に、そうした三分五厘資金制度並みの金利体系をしいていただくような考え方をぜひひとつ持ってもらいたい、こう考えているわけでありますが、大臣のお考えをお示し願いたいと思います。
  90. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 詳細は局長に補足をさせますが、御承知のように、マル寒資金は、土地改良については年四分五厘償還期間二十五年以内、こういうことでございまして、ただいまの御意見とは金利の上におきましてそぐわない点がございますが、マル寒資金には別途、農地、未墾地取得資金の三分五厘をあわせて借りれるくふうなどがしてございます。また、非補助土地改良事業助成のための利子の軽減措置、すなわち、一分下げ、三分五厘の対象ともいたしておるわけでございまして、大体御意見の御趣旨には沿っていけるのではないか、こういうふうに思います。
  91. 小沼勇

    ○小沼政府委員 若干補足させていただきますが、マル寒資金も同様でございますが、この資金単独ではなしに、農地の取得資金、未墾地の取得資金あるいは自作農維持資金、農業近代化資金、あるいは、いま出ました非補助の土地改良資金等、そういうものもあわせて活用できる形になっておりますので、そういうものをあわせて活用しながらこの南北資金を適切に使っていくということで指導をしてまいりたい、かように考えております。
  92. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 そういう内容については私もわかっております。したがって、全部一律に直ちに三分五厘、私はもっと極端に言えば、こうした地域の金融体系、特に金利というものは特別な措置が必要だというふうに考えております。金利二分ぐらいの制度がなければ、ほんとうの意味の寒冷地帯における畑作の保護にはならないというふうに考えている一人でありますが、そこまで主張するにしましても現行の中ではなかなか困難だということもわかっております。しかし、三分五厘程度に引き下げるということは決して無理ではないというふうに私は判断をしております。  そこで次の質問でありますけれども、さて、一定水準を七十万円以下というふうに実は判断しているわけでありますが、この七十万円というのはかなり前から一定水準の農家の所得のレベルに置いているようでありますけれども、これはもういまの時代に七十万円では、とてもじゃないが生活できるような状態ではありません。いわんや、三百万、五百万というマル寒資金を導入しましたら、当然これは据え置き期間中といえどもいま言ったような金利を払っていかなければなりません。これは金利なんか払えるような状態でないわけであります。したがって、七十万円以下を一定水準と据え置くということは、私はきわめて不合理だと思います。これを改定するお考えはありませんか。  さらにまた、ついででありますから申し上げますが、農業所得目標は、いままでは百十万から百三十万ということであります。これもまた、夫婦二人子供一人ぐらいで、わずか三人ぐらいの家族構成であっても、生活するということがいまの状態の中ではできないということは、すでにおわかりのとおりでございます。したがって、農業所得目標というものは、私は極端に低過ぎると思います。これを改定するお考えはありませんか。  さらに、いまいろいろ金利の問題等についても変えるお考えがないということを言っておりますけれども、それじゃ、こうしたものをそのままに据え置いて五年間延長してこれから計画達成ができるかどうか、そういう自信がおありかどうかもお聞かせを願いたいと思います。
  93. 小沼勇

    ○小沼政府委員 御指摘の点でございますが、対象農家の水準でございまして、所得水準等につきまして、北海道について申しますならば、四十三年のときにおいておおむね七十万円程度以下というふうに申しておりましたが、今後、この法案が通過いたしますれば、この次から、四十八年からは改定をいたしまして、七十万を百十万以下というふうに引き上げたいというふうに考えております。  それから営農改善の所得目標につきましても、従来百三十万ということでございますが、これをおおむね百八十万から二百十万というふうに引き上げてまいりたいと、現在のところ考えておりまして、これによりまして、大体中層のちょっと下ぐらいのところでございますが、それが改善されて上層に移行することが可能であろうというふうに推定をして進めてまいりたいと思っている次第でございます。
  94. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 いま所得目標二百十万という表示がございました。そこで、二百十万という所得を得るために今後この地域の農家の規模をどのように装備し直していくかということが、一つの大きな課題になると思います。いまかりに十頭の牛を持っている農家が、この二百万円に到達するためにこれから装備を進めていかなければならない数字をはじき出してみますと、いまの十頭では、現行乳価の中ではこの半分を満たすにしかすぎません。一頭当たり二十五万ぐらいの粗収入でございます。所得率三五%というように押えて考えますと、百万そこそこでございます。したがって、二百十万の目標に到達するためには、さらに搾乳牛十頭を購入しなければなりません。この十頭を収容する畜舎も、大体八・五平米くらいの床面積必要でありますから、こういう牛舎の施設を、かりに平米当たり三万円の牛舎をつくるとしましても、これまた二百五十万程度の新たな牛舎施設を持たなければなりません。これは釈迦に説法でありますけれども、それにつれていわゆる付帯施設あるいは必要な農機具、こういうものが備わっていかなければなりません。そう考えますと、二百十万に到達するために必要な資金というのは、新たに一千四、五百万の金を必要とするというふうに私は計算をいたしております。それであるならば、酪農において五百万をたったの百万円上積みしただけでは、この二百十万の所得目標を達成するということはきわめて困難ということになります。ここまで申し上げれば、あとは総合施設資金があるのだから、そっちのほうをうまく組み合わせて使ってという答弁になって返ってくるだろうということを私は予測しておりますけれども、しかし、せっかくマル寒のそういう一つの目標を持って進めていくというわけでありますから、それならば、マル寒資金を借りないで最初から総合資金を借りたほうがいいということになります。そういう点は、この地域における特にマル寒資金を使って一定水準に達しようと努力をしている農家にとっては、進んでいく場合においても一つの目標が定まらないことになります。したがって、このマル寒資金が重厚に措置されていくということに第一の目的を置いて進むことこそ、この制度のほんとうの趣旨だろうと考えますときに、思い切ってそうした目標に近づき、あるいは近づけせしめ得る政策措置、金融措置というものは、この機会に改善を行なっておくということが絶対必要な条件だというふうに私は考えておるわけであります。こうした考えはおありになりますか。
  95. 小沼勇

    ○小沼政府委員 非常に経営の専門的な御説明でございましたが、私どものほうで試算をしておりますのもほぼそのくらいでございまして、現況の農業所得百六万が酪農の場合二百七万の目標に達するためには現在の乳牛で十頭程度のが二十四頭くらいになる必要がある。そのために、農地としては二十ヘクタールが二十三ヘクタール程度になる必要がある。さらに、土地改良あるいは建物施設の整備、農機具、乳牛の導入等、いろいろの資金がございまして、それを経費として見ますと大体一千百万程度という試算がございます。それに対して補助も、それぞれの畜産その他補助がございますので、補助金等を見ていきますと、融資の面ではマル寒資金で六百万ということでございますから、若干この融資の予想八百九十万程度に足りないわけでございますが、先ほど申しました取得等の資金については取得資金等がございますので、そういうものでカバーをしていくという形になりますと、ほぼこれで経費の調達は可能ではなかろうかというふうな試算が一応ございます。しかし、いずれにしましても、今後この中層以下の農家を上層農家に、自立できる経営農家に仕立てていく、育てていくというためにはいろいろの施策があろうかと思います。マル寒資金におきましても十分これに対応させるべく、そのときの事情を勘案しながら改善を今後もはかってまいりたい、かように考えております。
  96. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 そこで、農林漁業金融公庫の総裁に一つお尋いするわけであります。  きょうは説明員という立場でおいでをいただきましたので、公庫の総裁は説明員として直接答弁をしてもいいという立場に立つそうでありますから、あなたはこうした農家の金融の窓口に立たれて、いまの特にこのマル寒の指定地域で農業をしている農家の実態についてもある程度おわかりをいただいてこれらの金融の衝に当っていられるのだろう、こういうふうに実は思っておりますが、総裁の立場で、このマル寒制度はどうあらねばならぬかという、一つの信念に近いお考えをお持ちだろうと私思います。これは農林省意見とか思惑とかを離れて、真にこの地域の農家が自立し、ほんとうにりっぱな農家に育っていくことのできる金融措置というのは、このマル寒資金以外を含めてどういう形にあることが望ましいとお考えなのか、ひとつ貴重な御意見として私もこの機会にお聞かせをいただいておきたい、こう思っておりますから、どうぞひとつ御意見お願いしたいと思います。
  97. 武田誠三

    ○武田説明員 お答をいたします。  たいへんに大所高所の意見を述べろというようなお話で、なかなかそのような任にあるものではございませんけれども、この法律のできました過去の経緯、あるいは現在のマル寒資金の融資の対象になっております地域の、非常にきびしい条件あるいは土壌条件からいたしますと、これら地域の中庸あるいは中庸以下の農家がほんとうに立ち上がって上層の健全な農家になっていくということのためには、そのときそのときに応じましたいろいろな金融的な援助の措置、あるいは補助的な、補助金その他によります援助の措置が必要だろうというふうに考えております。  ただ、金融という立場からだけ申し上げますと、私どもが制度資金としていろいろな方面に御融通を申し上げております条件について、それぞれの間にまあある一つのバランスが必要であるというふうにも考えております。で、現在の農業あるいは漁業、林業に対します制度金融の金利全体について、現在の農業のきびしい条件というものからまいりますれば、私としてはできるだけ低い金利体系というものを実現したいというように思っておりますけれども、これは資金コストの関係なり、あるいは一般金利との関係ももちろんございまして、なかなか思うように実現をいたしておりません。  それで、現在の制度金融の一般金利体系の中から申しますれば、このマル寒資金あるいはマル南資金につきましては、ほぼいまの現状ではまあやむを得ないと申しますか、この程度で一応はがまんをせざるを得ないのかなというような気がいたしております。しかし、今後事情の推移等によりまして、私どもとしてはできるだけ金利水準あるいは融資条件の改善につとめてまいりたいというように考えておるわけでございます。
  98. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 銀行の頭取が教科書を読んでいるような話で、ほんとうはもう少し期待をいたしました。  私としては、やっぱり農村金融、農業金融のあり方について抜本的な改善が必要だという立場でいままで私も農業金融の問題を勉強してまいりました。そこでどうしても、やはり一番大事な農業金融の窓口の一つである農林漁業金融公庫は思い切った金融制度の改革のために、ひとつ逆に農林省や大蔵省に対してものを言ってほしい、そういうふうな気持ち一つあったわけであります。  そこで、総裁にさらにお尋ねをいたしますが、この次官通達によりますと、営農改善資金の貸し付けにあたって、詳細については公庫が定めるところによる、こういうふうになっております。これは一体どういうものを定めようとされているのか。特に据え置き期間八年という一つの限度があります。これは近代化資金等によりますと十年というふうに、さらに二年間長いわけであります。しかも、八年といいますけれども、実態は、八年まで限度一ぱいの据え置き期間をもって貸し付けしているという例は少ないんじゃないかと思います。私なんかも五年であります。これは私どものほうから希望しまして、据え置きは八年にしてほしいと言っても、なかなかそうはまいらぬという仕組みに末端ではなっているようであります。八年以内とあるから、これは一年だって五年だって文句を言う筋合いはないわけですけれども、この判断基準というのはどこにあるのですか、この二つについて重ねてお尋ねをいたします。
  99. 武田誠三

    ○武田説明員 私どもの公庫でいろいろな資金の条件その他をきめますについては、監督官庁の認可を御承知のように必要といたしております。そういう関係で、すべてにわたりまして行政当局との相談の上で各種条件をきめておる次第でございます。  それから、ただいまの据え置き期間の問題でございますが、御承知のように、この畑作営農改善資金につきましては、行政庁におきまして営農計画その他審査をされました上で、それに基づいて私どもとしては資金の手当てをしておるということでございます。  据え置き期間につきまして、いま八年以内という規定であるにもかかわらず、非常に短く実際は運用されておるのではないかというような御趣旨の御質問であったと思いますが、私どもが承知しております限りでは、北海道の場合に、今日までの各種の貸し付け件数のうち八年間の据え置き期間になっておりますのが、酪農で申しますと、全体の貸し付け件数約六百五十件ほどのうち、百七十件が八年ということになっております。それから、もう一つモードとして大きなところになっておりますのが、お話のございました五年もの、五年の据え置き期間になっておりますものが百五十件、それから六年あるいは七年というのがそれぞれ五十件前後、そのようなかっこうになっておるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、借り入れを希望しておられます方の御意向と、それから県におきます事業計画の認定、それらによって指示のありましたところに従って、私どものほうで特別な査定を加えるということはできるだけいたさないという方向で処理をしておるつもりでございます。
  100. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 そこで、この資金貸し付けの実績を見ますと、貸し付け決定の内容で見ますと、主務大臣指定施設というのが圧倒的に多い。あと、土地改良あるいは乳牛や肉牛の購入資金、こういうものについては、件数も金額も非常に少ないですね。これは出先の実態としてはなぜこういうふうになるのですか。この辺は、これは総裁にお聞きするのではありません、局長に尋ねますが、この実績表を私、見ているわけでありますが、これから五カ年間にやろうとする、一〇〇%の消化ということを目標に置いた場合、この辺は一つの大きなネックになるのではないか、あるいは改善すべき点になるのではないかという気がいたしますが、実態はなぜこうなっているのかを御説明願いたいと思います。
  101. 小沼勇

    ○小沼政府委員 貸し付けのうちにたとえば土地改良事業向けの部分が非常に少ないということが実績として出てまいっております。御指摘のとおりでございます。これにつきましては、考えられますのは、やはり土地改良は、北海道では、個人でやる場合もございますけれども、団体営なり道営事業なり国営事業というふうな、共同でその地域全体にわたってやる事業、そういうことによって効果をあげるという場合が土地改良では非常に多うございます。そういうことで、個人が単独でやる部分は少ないということのために、むしろ施設関係に重点が向いているというふうに私ども承知しております。今後も、取得資金あるいは土地改良関係の資金については別のものがございますし、そういうものの組み合わせで考えていって、このマル寒資金そのものではやはり施設資金が中心になって運営をされるのではないかというふうに考えているのでございます。
  102. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 やはり主務大臣指定の施設にウエートが高くなるという見通しを持っておられるようでありますが、それならなお金利が高過ぎると私は思います。三分五厘ぐらいの構造改善並みの資金がやはり必要です。これは私が実際やってみて、いまのような高い金利で施設をしていくということは、とてもじゃないが、たいへんであります。金利の手直しについても、何とかひとつ前向きに御検討お願いいたしたいと思います。  そこで大臣、この法律でありますけれども、法の第八条の後段のほうでありますが、「国が所有する家畜の貸付その他の助成措置を講ずる」という項目があります。家畜の貸し付けという制度がいま残っているのですか。
  103. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘の条文の国有貸付その他の助成についてでございますけれども、四十二年度までいわゆる子返し制度の国有貸付事業がございましたが、以後は県有貸付事業ないし農協有貸付事業ということで乳牛導入事業は切りかえまして、今日に至っておるわけでございます。
  104. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 それではこの法律は事実上死文化しているということでありますね。必要がなくなっている。私は必要がなくなった実態に合わせて法律を改正しろということで申し上げるのではなくて、せっかくある法律だから、もう一度、最近のような牛がいわゆる資源枯渇の状態にあるときにこそ、国がいわゆる乳牛資源の確保に乗り出してその地域に貸し付けをするという、せっかくのこの法律を生かすというお考えはありませんか。
  105. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  国有貸付事業を四十二年以降県有ないし農協有貸付事業に切りかえました事情については、先生も御案内と思いますが、一つは、同一の財政負担で大きく事業量を伸ばすという現地の関係者の強い御要望があったことと、それから国の物品でございますから、物品管理法その他非常に末端の農家の方々にとっては繁雑な管理を要求されるというような点がございました点が一つの面でございます。それからもう一つは、農家の営農改善計画等に即して、農家の実情その他に詳しい農協なり県が指導をしながら導入するという点についても、積極的な意味があるというふうに判断いたしまして、四十二年以降は県有なりあるいは農協有の貸付事業に切りかえたわけでございます。  なお、先生指摘の法文の死文化の問題につきましては、助成の例示というふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  106. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 例示をするためにこれは残しておくので、死文化ではないという主張でありますけれども、せっかくのこの法律が、いま局長説明されたような四十三年、四年の状態のときには、なるほど、国が貸付制度をしがなくてもいいぐらい牛は融通はききました。しかし、いまはずいぶん肉のほうに落とされていっています。落とされるというよりも、回っているのです。農家自身も、いまの肉高という状態の中、乳価安というこの比較の中では、さらに一そう大事な基礎牛が失なわれていくという状態というものがさらに深化するというふうに見ております。こういうときに、歯どめの役としてせっかくのこの法律を生かすという前向きの姿勢で取り組んでいただくようにお願いをいたしたいと思います。  そこで、時間が参りましたから、最後に営農指導体制の問題についてお尋ねをいたします。  この法律の中にも、あるいはまた、次官通達の中にもこまかに出されておりますけれども、マル寒の借り受けをした農家の営農実績をあげていく上には、一つには、経営計画の段階における指導、さらにはまた、実際面における指導、そしてまた、経営のコンサルタント、こういう一連の指導体制が強化されるということは、この法律にうたうまでもなく、大事なことであります。私は、こうしたコンサルタント事業まで含めて、マル寒の指定地域内における指導体制というものが、法律でうたうほどきちっとなっているかどうかには、一面の疑問を持っております。これはさらに一そうの強化をはかり、目標が達成できるように、自立農家になり得るような指導強化というものがさらに必要だというふうに考えますが、現行の指導体制でよいとしているのか。さらにまた、改善をしようとされるお考えがあるとすれば、具体的にどういうことをやろうとお考えか、お示しをいただきたいと思います。
  107. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 お答え申し上げます。  このマル案、マル南の資金制度の効率的な運用をはかりますためには、ただいま先生指摘のように、末端の経営の指導を充実することが必要だということは、まことにそのとおりであろうと私は考えておるわけでございます。私どもといたしましては、従来から、市町村でございますとか農協等との連携を保ちながら、経営診断でございますとか、あるいは営農改善計画の作成でございますとか、あるいは融資後の計画の実行というようなことにつきまして、農業改良普及所をして指導、助言を行なわせておるというようなことでございますが、今後も、私どもといたしましてはこういった農業改良普及事業を通ずる濃密な指導ということに特に留意をしていくべきであるというように考えております。また、私どもは、すでに農業改良普及所に対しまして、それぞれの地区の作目ごとによって少しずつ違いますから、地域の作目構成に応じまして、専門技術員とか、あるいは市町村の職員とか農協の技術者、そういった方々が集まった指導班というものを編成いたしまして、それを各普及所に派遣をいたしまして、それぞれの普及所で起こっておりますいろいろな問題点というものを吟味する、そしてそれに助言を与えるというようなかっこうで、末端の普及活動がより円滑に、より適正に行なわれるように努力をしていく、そういう考え方でおる次第でございます。
  108. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 指導体制の強化の問題については私も若干の提案がありますけれども、きょうは時間がありません。したがって、マル寒だけの問題でありませんので、こうした技術指導という面に対します議論は、後ほどまた別な機会にいたしたいと思います。  そこで、私の持ち時間がやってきたわけでありますけれども、大臣、最後に私は、畑作地帯における、特に寒冷地のきびしい気象条件、土地条件をかかえ込んでいるこの地域の農業の振興というものは、日本の農業にとって非常に大事な地域であると同時に、また、食糧生産の基地としての重要な任務をこの地域は負っております。私はいままでもいろいろな議論を通じて大臣お話しをしてきたわけでありますけれども、いま一つどうしても私が釈然としないのは、こうした畑作地帯における農業、いわゆる畑作農業の位置づけということが農政上明確になっていないという印象をさらに一そう濃くしております。最後に、一言でけっこうでありますが、これら農政上の位置づけに対する基本姿勢というものを大臣から承って、私の質問を終わりたいと思います。
  109. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 北海道における畑作農業の重要性は、私もよく認識しておるところでございます。従来、畑作農業経営に対する生産基盤の整備、構造改善事業、いろいろと施策をやっておりまするが、さらにマル寒資金のようなものを考えておりますゆえんのものは、これはやはり北海道の畑作を重視しておる一つのあらわれでございまして、きょういろいろなお話が出ましてまだ不十分な点の御指摘がございましたが、北海道の畑作農業の振興をするということにつきましては、私どもその方針には変わりがないのでございまして、今後も、御意見を十分参酌をいたしまして、でき得る努力をしてまいりたいと思います。
  110. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 終わります。
  111. 佐々木秀世

  112. 兒玉末男

    兒玉委員 五年前マル南法の制定にあたりましてこの審議に参加した一人としまして、今回再度認定期間の延長が提案をされているわけでありますけれども、まず第一点にお伺いしたいことは、このマル南法の制定、非常に期待を持っている南九州の畑作農民に対しまして、資料によりますと、昭和四十三年から四十七年までの五カ年の間におきまして、北海道のほうが一万二千五百戸に対して約五二%、先ほど島田さんのにもあったかと思うのですが、南九州の場合、二万四千の対象農家のうちに、実績としては一万一千三百二十六の、四七%というきわめて低率でございますが、もちろんこれにはいろんな情勢が説明の中に書いてあるわけでございますけれども、このように進捗の状況というのがおくれている原因は一体那辺にあるのか、さらにまた、今回のいわゆる再延長によりまして、この予定されているところの計画の実行について、それと同時に、今後の運営上なり展望について農林省としてはどのような見解をお持ちであるか、お伺いしたいと存じます。
  113. 小沼勇

    ○小沼政府委員 南北資金のうちの南のほうでございますが、実績は、ただいま御指摘のように、南九州では五カ年間二万四千戸と見込んでおりましたが、約一万一千三百戸でございまして、四七%の達成率ということでございます。  経営類型別に見ますと、肉用牛と養蚕、野菜、葉たばことの複合型が大体五三%、肉用牛が三〇%、ミカン、酪農等それぞれ六一%、五七%というふうになっておりますが、御指摘の、実績が見込みを下回ったということでございますが、当初におきまして、地元の要望にできるだけ沿えるように、ゆとりを持って戸数を見込んでいたということもございます。また、実態的な事情といたしましては、南のほうでは、台風等の災害発生、あるいは生産調整による情勢の変化、あるいは畑作物、農畜産物の価格の問題等、いろいろあったと思います。ただ、今後やはりこのマル南資金を十分活用して進めていくという考え方に基づきまして、南九州の自然的、経済的条件に合った畑作農家の経営を安定さしていくということを心がけてまいりたいと思っている次第でございまして、今後も、この五カ年延長によりまして、自然条件の劣悪なこの地域の営農を何とか改善し、安定化さしていくという努力をしてまいりたいというふうに考えております。   〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕  そういう意味合いにおきまして、この五年間に、残っております農家が期間内に目標を達成できるようにひとつ格段の努力を払ってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  114. 兒玉末男

    兒玉委員 一応気持ちとしてはいま御答弁のとおりかと存じますが、やはり客観的に、また具体的に見ます場合に、今後の農政の中におきまして、やはり低生産性であり、また自然環境の劣悪な北海道なり、特に南九州におきまして、農民のいわゆる今後の農政の位置づけに対する不安というものがあるわけでございますから、農民がせっかくのすぐれた制度をいかに活用できるかということは、この対象は確かに個々の経営改善が中心でございますけれども、特に南九州の場合は、今後の生鮮食料の供給基地としての任務というのが、新しい社会経済基本計画の中でも明確にされているわけでございます。同時に、今後の全体の農業経営の安定をはかるために、いわゆる近代的な営農基準の設定なり、あるいは農地の拡張資金の融通あるいは用地等の開発促進、同時にまた、肝心な農産物の価格安定という、このような点がきわめて重要ではなかろうかと存じますが、私は、今後のいわゆる南九州を中心とする食料基地における総合的な施策というものを講じなければ、この効果を期待し、あるいは、いま御答弁のありましたような、今後延長される五カ年の間におきまして所期の計画達成はきわめて困難ではなかろうかというふうに懸念をいたすわけでございますが、この点についての御見解を承りたいと存じます。
  115. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 南九州の自然的、経済的条件に適合した畑作農家の経営の安定をはかる必要がある、その地域の事情を十分念頭に置いてやるべきだと思います。そこで、直接的には、このマル南資金を利用いたしまして肉用牛、酪農、野菜を中心に畑作農家の営農の改善をはかる必要があると思いますが、同時に、北海道の場合にもちょっと触れたわけでございまするが、他の資金制度の活用あるいは土地基盤整備の推進、農業団地対策との関連づけ、また、マル寒の場合で指導体制に触れられましたが、指導体制の整備、こういうような施策を総合いたしまして南九州の畑作の振興につとめたい、かように思います。
  116. 兒玉末男

    兒玉委員 これは持にマル南のほうの基盤であります農地改良なり、特に農地保全事業というものがきわめて重要な位置づけになっておるわけでございますが、現在までの実施の状況、それから今後の事業実施の見通しはどうなっているか、この際お伺いしたのであります。
  117. 小沼勇

    ○小沼政府委員 お答え申し上げます。  特殊農地保全整備事業ということで、シラス地帯の悪い土地条件を改良するということで、シラスと、若干その他の特殊土壌も含めまして、四十三年度から事業を始めておりますが、四十七年度までに五カ年間に二十八地区を採択いたしまして、四十三億五千六百万の事業で、国費は二十三億六千九百万でございますが、そういう事業を実施している次第でございます。四十七年度からは特殊土じょう地帯災害防除及び振興臨時措置法に基づきまして、対策事業に特殊農地保全整備事業というのを加えまして、五十一年度までの五カ年間に大体百七十五億円の事業、国費は大体九十一億円程度でございますが、その事業を積極的に実施したいということで考えておるわけでございまして、やはり御指摘のように、基盤整備が非常に重要な地域でございますので、今後積極的にひとつ改善を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  118. 兒玉末男

    兒玉委員 やはりこれに関連する問題で、南九州におきましては、県営事業のいわゆる採択基準というものをもう少し引き下げてもらいたい、同時にまた、新しく事業経費の拡大なり、あるいは団体営のシラス対策事業について新設をしていただきたい、こういうふうな要望がおそらく当局にも出されていようかと存じますが、この点についてはどういうふうに対処されるお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  119. 小沼勇

    ○小沼政府委員 特殊農地保全整備事業の圃場整備、畑地かんがい、農地開発等あわせて行なう事業につきましては、四十八年度からその採択基準をおおむね五十ヘクタール以上というふうに引き下げをいたしたいと考えております。従来はおおむね百ヘクタール以上でございましたが、これを五十ヘクタール以上というふうにいたしたいと思っております。なお、新しく大体十ヘクタール以上のものを団体営ということで実施をいたしたいということで、これにつきまして、四十八年度から事業項目を新設して進めるということで考えておりまして、大体事業費で二億四千五百万ほどのものを考えております。地区で十地区程度を始めたという、その二点でございます。
  120. 兒玉末男

    兒玉委員 時間の制約がございますので、多少中を省略して、次に、本制度のいわゆる営農改善事業というものと、現在特に南九州地区においても要請をされておりますのは、特に高能率の生産団地の造成並びに広域な営農団地の育成、こういうことが、今後、特に労働力の少ない、過疎現象の拡大する南九州におきましては中心となっていこうかと存じます。その際、いわゆる各種の振興計画があるわけでございますが、特に高能率の生産団地等におけるこのような事業推進においては、対象農家における資金的な負担能力ということが私は今後非常に大きな問題になってくるのではないか、こういう負担能力の点についてはどういうふうな御配慮をなされようとしておるのか、お伺いいたしたいと存じます。
  121. 小沼勇

    ○小沼政府委員 御指摘のマル南資金農家等、これは今後やはり中核の農家となって、いずれ上層農家に育っていくという農家でございますが、そういう農家は、やはり生産組織あるいは農業団地の今後のにない手になるというふうに考えるわけでございます。御承知のとおり、農業団地対策を現在実施中ございまして、その場合、それぞれの作目の特性に留意しながら、その生産、流通加工の体制を団地的に整備するということを現在進めているわけでございます。その中心となるのは、御指摘のように、機械、施設あるいは基盤の整備というものによって生産団地の高能率なものを育成していくということになるわけでございますが、その場合に、このマル南の資金を受ける農家が積極的にこういう団地に参加していくということが必要であろうというふうに考えておりまして、先ほど来申しましたマル南の資金、そのほかの助成措置あるいは資金措置を加えながら、濃密に指導をしていくということが必要であろうというふうに考えている次第でございます。
  122. 兒玉末男

    兒玉委員 次に、これからの五カ年計画の中におきまして、南九州の場合は約一万二千戸ですね。金額で百五十六億程度予定をされているようでございますが、過去五年間の実績並びにこれからの五年間の展望というものを見た場合に、マル寒の場合を含めて、この計画を達成するのには相当積極的な努力と指導をしなければなかなか困難ではないかと思うのですが、その辺の見通しについてはどういうふうなお考えか、お伺いしたいと思います。
  123. 小沼勇

    ○小沼政府委員 マル南の資金につきましてもマル寒と同様でございますが、今後御指摘の戸数が融資を受け大きな農家に育っていくためには、いろいろな助成措置が必要でございます。マル南だけということではございませんで、補助事業あるいは融資事業を総合的に地域として組み合わせて展開していく必要があろうかというふうに思っておりますが、その中でやはりこのマル南資金もきわめて重要な役割りを果たすであろうというふうに期待をしているわけでございます。しかし、この農家が営農を改善していくというためには、それ相当の営農の指導体制が必要でございまして、先ほどマル寒の際に農蚕園芸局長がお答え申し上げましたように、普及指導の体制を強化していかなければならないというふうに思っておりまして、この五年間の延長が決定されますならば、このマル南資金の運営にあたりまして、普及指導についても十分配慮していくように指導してまいりたいと、かように考えております。
  124. 兒玉末男

    兒玉委員 この計画によりますと、特に融資対象農家の所得の目標の設定でございますけれども、マル寒で百十万から百三十万、マル南の場合が七十万から九十万程度に目標が設定されておるわけでございますが、これは昭和四十六年の農業白書による自立農家の二戸平均の所得でもすでに百五十万ということが記録をされ、さらに、本年度の農業白書を見ましても、この金額は約四〇%程度上回った平均所得になっているようでございます。そういう点から考えますならば、やはりもう少し実情に即応した額を設定する必要があるんじゃないか、多少目標額が低いのではないかというふうに考えることが一点。  それから、いただきました一つの資料の中で、過去における資金導入の実績における目標と実際の達成額、こういう表もいただいておるわけでございますが、これはもちろん調査対象が対象全戸の平均でなくして一部抽出の実績でございますけれども、これらを含めて今後対象の所得目標の設定をもう少し検討すべきではないかと思うわけですが、この二点について見解を承りたいと思います。
  125. 小沼勇

    ○小沼政府委員 南九州におきまして対象農家の所得水準の設定でございますが、これにつきましては、従来はおおむね四十万程度ということで基準を考えておりましたのですが、今度いろいろ試算をしてみますと、一・五ヘクタールがちょうどその基準の分かれ目になるようでございますので、その所得を見ますと六十六万六千円ということでございますので、大体七十万を基準にしてそれ以下の農家を対象にするというふうにいたしたいということで、四十万から七十万に引き上げたい、かように考えております。  それからもう一点は、営農改善の所得目標でございますけれども、これにつきましては、南九州では将来はおおむね九十万程度でございましたが、これを百二十万から百五十万程度というふうに引き上げたいというふうに考えております。
  126. 兒玉末男

    兒玉委員 ただいまの点ですけれども、これからマル南資金のいわゆる認定をする際、特に希望者の経営規模というのが当初の一・五ヘクタール程度以上の層でも、かなりな希望者があるわけですね。そういう点から考えますと、やはり経営規模の今後の層の拡大ということを含めて検討していかなければ、いわゆる中農の付近における農家の場合と、それ以上の場合と、かなり運用面においてもアンバランスが生じるんではなかろうか、その辺の運用の面についてどういうふうなお考えをお持ちなのか。  それから引き続き、この営農方式の場合におきまして、特に本年はミカンが指導作目になっておるわけでございますけれども、非常に暴落をしまして、さらにミカンの品種を変えるとか、価格政策、それから今後のミカン政策についても非常な不安を持っているわけでございますが、この点は、特にこのマル南資金を利用している農家が多いという現状から推しましても、今後の酪農経営を含めて、今後の対策についてこの際あわせてお伺いしたいと思います。
  127. 小沼勇

    ○小沼政府委員 最初のほうの御質問にお答え申し上げますが、実績によりますと、一ヘクタールから一・五ヘクタールの階層がマル南資金を利用している割合が三一・三%ということでございまして、それ以下は一五・九%でございますから、大体半分くらいはそこで使っているということになります。しかし、それだけではございませんで、やはり一・五ヘクタール以上の階層でも使ってい融合資金制度がございますし、そういう点ではかなり大きな農家はそちらでやれると思うのでございますが、ちょうどその谷間になるといいますか、一・五ヘクタール以上の、若干上回っている経営規模の農家については、マル南資金について、本来の筋でございますとなかなか活用できにくい面がございますが、実際には、この実績で出ておりますように、一・五ヘクタールから二ヘクタール、あるいは二ヘクタール以上についても、その地域の実態に応じて貸し出しをしているというのが実情でございまして、今後も、それぞれ地域によっていろいろの営農形態もあろうと思いますし、そういうものを勘案しながらこの資金を活用してまいりたい、かように考えております。
  128. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 ミカン問題についてお答え申し上げます。  四十七年産のミカンにつきましては、この委員会でもしばしば御指摘を受けまして、いろいろ問題があったわけでございますが、これは前年を三割も上回るような大増産であったというようなことで価格が低落をいたしたわけでございますが、これは毎回申し上げましたように、表年であったということ、たいへん好天候に恵まれたというようなことも大きな理由であったようにも思っております。私どもといたしましては、長期的に見れば、需要というのは五%程度毎年伸びるであろうというような考え方を持っておりまして、こういうような見通しのもとに計画的な生産をやっていったらいいだろうという考え方をいたしております。先ごろ私どもの関係局長の連名で都道府県に通達を出しまして、ミカンの植栽につきまして国が助成をしあるいは国が融資のめんどうを見るというようなものにつきましては、計画の中でやっていただくというようにお願いをいたしております。   〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕 県でもその趣旨に従っていま御指摘いただいておるはずでございますが、そういったことで、とにかく植栽がいたずらに計画を上回るというようなことのないようにいたしたいと思っておるわけでございます。  また一方、価格安定の問題につきましては、私どもは、本年度予算におきましても、ミカンのジュースにすることによります価格安定対策というようなことをさらに充実をはかろうといたしておる次第でございます。そのためのミカンのジュース工場の設置というようなこともかなり大幅に考えておりますし、また新しいチルドジュースの工場も建てたいというふうに考えておりまして、そういった消費拡大を通じての価格の安定というようなことに努力をいたしたい、かように考えております。
  129. 兒玉末男

    兒玉委員 この点、特に宮崎県の場合等におきましては農民が非常な不安を持っておりますので、貯蔵施設を含めて、積極的な指導と取り組みを特に要望しまして、次に移りたいと存じます。  これは先ほど同僚の島田議員からも要望がありましたが、特に金利、それから融資率、それに償還期限の延長、こういうふうな融資条件の改善について今後さらに私は前向きの姿勢で取り組んでいただきたいと思うのですが、これについての見解。  並びに、南九州の場合は非常に災害が多いということは、御当局が指摘したとおりでありまするが、災害等により計画の達成が不可能になる、あるいは計画変更というふうな時点におけるいわゆる規模拡大を含めた場合の再貸し付けについて、特に融資条件の問題として、この二点についてどういうふうな見解と御処置を考えておるのか、お伺いをしたいと存じます。
  130. 小沼勇

    ○小沼政府委員 今後の融資条件でございますが、先ほど北海道の場合に申し上げましたように、融資の限度額あるいは融資率につきましての改善をはかっておりますが、今後さらに地域の実情に即応するような改善には努力を払ってまいりたい、かように考えております。  なお、御指摘の災害等によりまして再貸し付けという場合も起こり得るかと思いますので、それにつきましては、一回限りというこだわりはせずに、それぞれの実態に合わせて弾力的にこの制度の活用をはかってまいりたい、かように考えております。
  131. 兒玉末男

    兒玉委員 あと三点まとめてお伺いしますので、これが最後でございますので、大臣からもひとつ御答弁いただきたいと存じます。  一つは、対象目標の拡大という点でございますが、御承知のとおり、農業近代化資金の対象とされておりますところの、特に南九州の主要な畜産関係、乳牛、肉用牛育成資金あるいは肥育牛や素牛の導入資金、また、今後の主要作目として県等が積極的に取り組んでおります茶樹、果樹、桑樹育成資金、さらに花卉の植栽育成資金等も対象目標にしていただきたい、こういう要望が強いわけでございますが、これらについての見解。  さらに、今後のいわゆる営農指導体制ということがきわめて大事なことでありますし、農家の経営管理あるいは改良普及対策、あるいは、このような営農に対するところのそういう機構等の設置ということを通して、このせっかくのマル南法のシステムが十二分に達成せられるように、特に私はこのような措置の拡大、改善がきわめて必要かと存じますが、これらの措置についての御見解を承りたいと存じます。
  132. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 詳しくは局長のほうから申し上げさせますが、いま肥育牛の導入資金とか、あるいは茶、果樹の育成資金等を対象目標に、こういうことでございますが、間違っておったら訂正をいたしますが、この南北資金のほかに総合資金、近代化資金、それぞれ活用ができるのでございますので、マル南資金につきましては、貸し付け条件等が従来明示をされておる範囲でよろしいのではないか、また、その他の資金につきましては、農地、未墾地取得資金、南北資金、土地改良事業助成要綱による実施軽減措置なども考えられるのでございますので、御指摘の点につきましてはこれらを総合して十分所要の資金がまかなえるのではないか、こういうふうに思っておりますが、直接の御質問であります対象目標に加えるという点につきましては、局長のほうから申し述べさせます。
  133. 小沼勇

    ○小沼政府委員 肥育牛の購入とか育成資金というふうなものも含めて拡大する考えはないかという御指摘でございますが、もともとこのマル南資金におきましては、長期の投資を必要とするものということで二十五年という長期資金を用意したわけでございまして、そういう点では、長期資金の対象としてふさわしいというものを入れるということでございまして、現在のやり方で大体いけるのじゃないか。つまり、短期のものに、運転資金等に近いものにつきましては、近代化資金にたとえば果樹の植栽、育成資金等も入っておりますし、そういう点で近代化資金で処理をしていただきたい。やはりこの資金では長期のものを考えていくということで、営農の改善、安定をはかっていくことを目ざしておるものでございますので、そういう進め方をやってまいりたい、こう考えているわけでございます。  それから第二点の、改良普及指導等でございますが、これにつきましては宮崎県等非常に熱心にやっておりますけれども、やはりこの営農改善ということになりますと総合的な指導が必要でございますが、普及事業を通じましてこのマル南資金貸し付け農家につきましても十分今後の中核農家になるべく育成されるわけでございますから、指導に万全を期してまいりたい、かように考えております。
  134. 兒玉末男

    兒玉委員 時間が参りましたので、最後にこれを要望として、構造改善局のほうに——直接法律に関係ないわけでありますけれども、この前予算委員会等でも問題にしております宮崎県の高岡町の、いわゆる農業振興地域が不当な形でゴルフ場に転用されるという問題が起きております。これは答弁は要りませんので、その後の経過について後日ぜひ報告をしていただきたいということを要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。
  135. 佐々木秀世

    佐々木委員長 諫山博君。
  136. 諫山博

    ○諫山委員 私は福岡県の出身ですから、南九州の農家が非常に貧しいということを知っておりました。ただ、この機会にいろいろ資料を調べてみまして、あらためて鹿児島県、宮崎県の農民のきびしい実情を知りまして憤りを覚えているものであります。  たとえば「南九州畑作農業の現状と課題」という資料を見ますと、南九州の家計費が全国に比べてどういう割合かという数字が出ております。昭和四十年度は、全国が六十五万五千円、南九州では四十五万九千円、南九州は全国に比べてわずかに七〇%、昭和四十五年を見ますと、全国が百二十二万円、南九州が七十九万円、そして南九州の占める割合は、全国に比べて六五%まで下がった。なぜこういうふうに家計費が少ないかというと、被服費、住居費、保健、教育、文化費、雑費が全国より少なくしか使われていないという数字が出ております。南九州が全国の中で特別物価が安いわけではありません。同じような高物価で悩みながら、家計費はきわめて少ない。そして、その反面でもあると思いますが、南九州の農家所得を見ますと、全国的な平均に比べて昭和四十年度は六七%、四十五年度は五八%、南九州の家計費の減少も農家所得の減少もますます深刻化するばかりであります。  こういう状態があるのに、いわゆるマル南の融資制度が十分に利用されていないというのは、私には非常に奇妙に受け取れます。こんなに苦しい生活をしているのに、貧しい農家がなぜこの制度を一〇〇%利用しなかったのかという点で一つの疑問を感じております。この疑問を解決しない限り、この制度というのはまた十分役割りを発揮しないんじゃなかろうかと思います。  そこで、この制度が一番最初につくられたとき、こういう少ない利用状態に終わるということを農林省としては予想していたのか、それとも予想に反してこういう結果が出てきたのか、−お伺いしたいと思います。
  137. 小沼勇

    ○小沼政府委員 お答え申し上げます。  四十三年に始まりましてから五年間の融資の対象戸数、計画ではございませんで見込みということで、二万四千戸を見込んでおりましたけれども、実績は一万一千三百戸ということでございまして、四七%の達成率ということでございます。  御承知のとおり、この制度は、ちょうど経営規模での中間点にありますところを基準にいたしまして、それより少し下のところでこれから大きくなっていくというものに資金を融資をして育て上げようという制度でございますが、その面では、いろいろ事情がその間にあったと思いますが、災害あるいは農産物価格等の問題、あるいは米の生産調整と、いろいろその経済的あるいは自然的条件が重なりまして、必ずしも十分にはいかなかったというふうに理解されるわけでございますが、今後この延長をしていただきますれば、この残されております農家につきまして営農の改善がはかれるように努力をいたしたいと考えている次第でございます。
  138. 諫山博

    ○諫山委員 日本の農家が全体として苦しくなっている、とりわけ零細な経営が困難になっているというのは、全国的な問題です。特にそれが南九州に顕著にあらわれてきたということだろうと思います。そして日本の零細農がますます窮迫してきた一番大きな原因は、現在まで自民党政府が進めてきた農業政策にあると思います。そしてこの傾向というのはさらにこれからも強められようとしていることが明らかです。  たとえば、田中総理の「日本列島改造論」を見ますと、農業人口の大幅な減少は避けられないということばが出てきます。また、高能率、高収益の農業をつくるということばも出てきます。資本家的な農業をすすめるということばも出てきます。「日本列島改造論」にあらわれているこういう思想というのは、零細農家はもう農業をやめなさい、これは高能率農業ではないから、農業しないほうがいいという思想だと思います。そうすると、このマル南融資制度の対象になっている零細農家はむしろ切り捨てていくというのが、いま進められている田中内閣の基本的な農業政策ではないかと思います。この点、農林大臣はどのように理解されておるのか、お聞きしたいと思います。
  139. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 田中総理の列島改造の考えと、ただいま御指摘になっておる御見解とは、考え方の立場が違うように私は受け取れます。と申しますのは、欧米諸国の農業経営の進んでいる国の状況から考えまして、一体全産業の中で農業はどの分野にあるか、人口のうちでどの程度が農業経営に携わっておるのかというようなことをずっと検討してまいりますれば、日本の産業の中における農業は、これはまだ農業の負っておる分野というものがもう一つ合理的に効率的にできるのではないかということが、いろいろなデータから判断ができると思うのであります。それは必ずしも、御指摘になったように零細農業を切り捨ててそして資本農業を育成するのだということではなくして、全体の産業の仕組みの中で農業が担当する分野はまだまだ改善の余地がある、こういうことから、列島改造の中で示されておるような、あるいは農業団体のそれぞれ見識のある方も参画をされまして昨年十月につくられた「農産物需給の展望と生産目標」、これらをごらんになりますれば、いずれも農家の戸数あるいは農業に従事する人口数はある程度減少する方向を示しておる。この辺を御理解をいただきまして御検討賜わりたいと思います。
  140. 諫山博

    ○諫山委員 「日本列島改造論」の中には、さらに、少数精鋭による経営の大規模化ということばが出てきます。農業人口を減らそうということは、「日本列島改造論」の大黒柱の一つだと思います。さっきの農林大臣説明を聞くと、必ずしも農業人口を減らそうとしているのではないのだというふうにも受け取れるのですが、農林大臣の農業政策というのは、「日本列島改造論」のこのことばと違うというふうに聞いていいんでしょうか。
  141. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまお答えを申し上げましたように、いま日本列島改造を例におとりでいろいろ御議論をされておるのでございますが、他面、農業経営のほんとうに専門的見識のある各団体の皆さん方に御参加を願ってできた「農産物需給の展望と生産目標の試案」、そのほうから見ましても、これからの農業のあり方につきましては、農業労働力は、工場の地方分散等、リタイアの増加等もあって、年率五%程度で減少をしていく。四十五年度に八百十一万人の方々は、十年後には四百三十万人程度になる。こういうほんとうの専門家の方々の見解も一方においてある。こういうことで、したがって、私が申し上げましたのは、欧米の農業経営の進んでおる諸国をも対比いたしまして、また、それに日本の特殊の、置かれておるいろんな条件というものを加味してみても、農業というもののあり方が、もっと能率のよい、また環境の整備されたものになっていくのが好ましい、こういうことであって、ただ単に、人口が減り、戸数が減るということからのみ、あるいは、もちろんいろいろお考えでございましょうが、その現象からのみ、農業経営はもう零細なものは必要がなくて資本農業に移るんだというのではなく、農業経営というものが、他産業と同様に、もう一つ能率のよい拡大したそれぞれの農家になり、それからそこを担当しておる農民の方々が、収入も増加をするし、能率的にもやり得る方向へ持っていくのが、長期的に見た場合の農業としてのこれからの行き方ではないかということを申し上げておるわけであります。
  142. 諫山博

    ○諫山委員 自民党政府の農業政策が、小さな農家を切り捨てて資本主義的な大きな農家を育成することにあることは、否定できないと思います。そしてこのことは、政府が発表したいろいろな農業統計の数字を見ても明らかです。私は、この基本的な立場が改まらない限り、この制度というのはやはり農家にはあまり魅力あるものになってこないのではなかろうかと思っております。その意味では、この制度をほんとうに農家に有効に活用していただくためには、もっと小さな農家を大事にする農政を進めろということが第一だと考えております。  さらにもう一つ、この制度がなぜ貧しい農家に魅力のあるものになってないのかということをいろいろ考えたのでありますが、その一つは、農林省の通達の中で、貸し付け要件に、県の指導方針に従うということを入れていることではないかと思います。つまり、一定の畑作物だったら自由に金が借りられるというのではなく、自民党の進めている農業政策、県が進めている指導方針に沿うものでないと貸さないというのがこの融資制度の仕組みのようです。ところが、実際は政府や県の進めている指導方針が農家に魅力のあるものになっていない、ここに問題があります。  たとえばミカンの問題があります。南九州では果樹全体の中の七三%をミカンが占めております。ところが、このミカンについてことし深刻な事態が生じた。生産農民が非常に大きな打撃を受けた。しかし、それに対して十分な手当てがされなかったということは明らかであります。鹿児島でミカンの問題がどんなに深刻になっているのか、私は具体的な事例を紹介したいと思います。  ことして四月五日、鹿児島市の県体育館に、県農協果樹部会連合会主催の、ミカン農民の決起集会が行なわれました。共産党の機関紙である「赤旗」によりますと、三千五百人の農家が集まったそうです。そこでは、オレンジ、果汁の輸入自由化絶対反対、価格安定制度を確立しようというような要求で意見がかわされたそうです。この集会には、地方自治体がバス代を払ってやり、弁当代を負担するというような形で、自治体あげての大集会になったわけです。この集会で、自民党が進めてきたミカン政策に対する非常に深刻な批判が提起されたということが報道されております。  こういう事態が解決しない限り、たとえば果樹についてこの制度が適用されるにしても、農民はこわがって金を借りないだろうと思います。ただでもらうのなら別でありますが、将来返済しなければならないような借金、そうすると、ほんとうに収益が保証されるような農業でないと、農家がこわくて借りられないのは当然ではないかと思います。こういう問題について農林省側としてはどう理解されているのか、お聞きしたいと思います。
  143. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 お答え申し上げます。  南九州で生産されます果樹は、主として温州ミカンでありますとかポンカン等であります。このうち、温州ミカンにつきましては、ただいま御指摘がございましたように、四十七年産のミカンはかなりの豊作でございまして、価格がかなり著しく低落をいたしまして生産者がたいへんお困りになったということも事実でございます。これに対しまして、この前もこの委員会でもいろいろ御説明を申し上げましたが、政府としてもでき得る限りの努力をいたしたわけでございますけれども、要は、こういうような事態を再び起こさないというようなためには、まずは果樹の生産といいますか、その生産のもとになります植栽というものをやはり計画的にやることが第一であるというような考え方に立ちまして、過般、先ほども御説明申し上げましたけれども、果樹の植栽について計画的にやっていただきたい、ことに国の補助あるいは国の融資のあっせんというようなことで植栽いたしますミカンにつきましては、国の基本方針に基づきまして各県がつくっておる計画というものがございますから、そういう範囲内にとどめていただくように各県にもお願いをいたしておるような次第でございます。各県においても末端に対しまして十分指導がなされておるというように私どもは聞いておる次第でございます。  そういうような植栽をある程度計画的にやっていくというようなことのほかに、やはりいまも先生お話がございましたように、価格の安定のための措置というものを講ずる必要があるわけでございまして、ミカンにつきましては、これも過般御説明申し上げましたように、なまでやることについてはなかなかむずかしい点もございますので、ジュースにする段階での価格の安定措置、ことにジュースというものは非常に需要がふえてまいりました。そういうふえる需要のジュースというものをバッファーにしまして価格の安定をはかっていくということ、それから、同時にまた、あるいは出荷調整のために必要な共同予措の措置であるとか、そういったものに助成していく、あるいは果汁工場を設置していくというようなこと、まあいろいろなことを考えましてミカンの価格の安定措置を講じていきたい、かように考えておる次第でございます。
  144. 諫山博

    ○諫山委員 ミカンの問題が出ますと、いつも、それは植え過ぎたからだというような答弁が返ってきます。私はこの答弁は無責任だと思っております。かつては、ミカンがいいから植えろ植えろと奨励した。ところが、いまになって、ミカンを植え過ぎた、あまり植えないようにというような言い方をするのは、今度のミカン問題の責任を政府がとろうとする立場ではなくて、かってに農民が植え過ぎたからこういう事態が起こったんだというようなことで、責任を農家に転嫁する立場だと思います。しかし、南九州の温州ミカンの特色は、未成園が非常に多いということです。これからどんどん新しく実がなってきます。こういう状態の中で、植え過ぎたから困るんだと言ってみたところで、問題の解決にはなりません。いま大切なのは、消費を拡大する、同時にまた、加工用のミカンだけではなくて、すべてのミカンに、農民が要求しているような価格保障制度を確立する、生産費を十分償うような価格制度を確立する、これが必要だと思います。  さらに、農民が深刻におそれているのは、オレンジ類の自由化であります。この間の本会議でも、田中総理は、自由化を絶対しないとは言いませんでした。この心配がある限り、こわくてやはりミカンには手が出ないというような状態は解決しません。こういう問題を解決することが、この融資制度を活用する一つの土台になると思います。同時にまた、制度上もさらに検討すべきことがあるのではないかと思っております。さらに、県の指導方針に従うものだけ融資の対象に選ぶというようなことでは十分でありません。さらに、自己負担を特別の場合には一〇%まで縮めるという案が出たようでありますが、私は、農家の負担を全くゼロにして、すべて必要な金額を全額融資するというようなことはできないのかということも考えております。  いずれにしましても、こういう制度がつくられているのに、これが農家から活用されていないというのは、やはりそれなりの原因、それなりの欠陥があるわけです。政府側の提案説明では、たとえば災害が起こったとか、あるいは農業事情に変動があったというようなことも書かれておるようですが、もっと日本全体の農業政策を転換するというような問題を同時に解決しなければ、根本的な処理にならないのではなかろうかと私は考えております。もっとも、この制度全体に私が反対しているわけではありません。しかし、これをほんとうに有効なものにするためには、政府は活用されていないという現実をもっと反省すべきではなかろうかと考えているわけです。農林大臣の御見解を聞きたいと思います。
  145. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 諫山さんもこの制度に反対をしているのではないというお立場を明らかにしておりますので、実は達成率は、先ほど局長より御説明申し上げましたように、南九州の場合四七%ということになりますが、しかし、四七%といえば、見込みからいえば、二軒のうち一軒は御活用願っておる、こういうことでございますから、しかもこれからさらに五年延長してお使い願おう、こういうことでありますので、私はそれなりの効果はあげてまいっておるものと思うのです。  特にミカンについて御批判がございましたが、ミカンの場合を見ますと、当初見込み一千八百十戸に対しまして、一千百十戸が実績として示されておりまして、達成率は六一%、こういうことになっておるわけでございます。でありますから、御批判は御批判として承りましたが、このマル南資金をこれからも有効に活用していただきまして、少しでも南九州の畑作農業の上に寄与をいたしたい、このように見ております。
  146. 諫山博

    ○諫山委員 終わります。
  147. 佐々木秀世

    佐々木委員長 津川武一君。
  148. 津川武一

    ○津川委員 私たちは、北海道農民のために農民の使う資金、こういう立場から見ると、このマル寒制度は賛成できるし、それだけにこの融資条件をもっとよくしなければならない、それから大規模な集団農業にはかなりいい条件で融資されておるので、中小農民にも差別ないように長期低利の資金を供給されるように、そしてまた、経営が困難な状態になったときに農民に対して特別な措置を講じてみたい、こういう立場から、この資金を皆さんとともにさらにさらに農民の中に持ち込みたいと念じておるわけです。しかし、昨年、一昨年北海道を回ってみまして、農民と実際の経営のことを話し合ってみましたら、マル寒資金を借りておりながら行き詰まり、借金に倒れ、ついに農地を売って借金を払っておる、こういう状態も間々見受けられたわけです。  そこで、この資金をたくさん北海道の中に持ち込みたいとすれば、もう少し皆さんとともに検討しなければならぬ問題が出てくると思います。  その第一の問題は、やはり無制限な外国農産物の輸入を押えて、北海道の畑作を守るということです。そこで、この資金を使う、そしてまた、稲作から転換する作物の一つ考えられておる大豆ですが、昭和三十五年の七万ヘクタールから、いま一万ヘクタールになっています。また、私たち北海道をめぐって歩くと、かつて道内にあった繊維工業を育てておったあの亜麻、これが貿易の自由化でベルギーからの輸入で一ぺんにだめになってしまった、こういうことを思うわけであります。  そこで、このマル寒資金を使うもう一つの作物に、大豆と並んでてん菜がございます。いまてん菜は五万から六万ヘクタール植えられておる。この製糖事業に手を出しておる大資本は、三井、三菱、伊藤忠、ことしの三月からは今度は丸紅と日商岩井が製糖業に手を出してきたわけです。そこで買い占め、投機、貿易の自由化などで盛んに問題を起こした五つの商社がそろってしまったので、てん菜を中心とした砂糖の自給率、これが下げられるのじゃないか、砂糖の貿易の自由化が始まるのじゃないか、もう一度かつての大豆みたいな、かつての亜麻みたいなことが繰り返されるのじゃないかと思う。そこで、農林大臣、てん菜を育てて砂糖の自給率をもっと高めていく必要があると思うのですが、ひとつ所信を聞かしていただきます。
  149. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 何か甘味資源に対して御心配のようなお話でございましたが、てん菜糖といい、サトウキビといい、甘味資源につきましては十分これを振興し、また自給率を高めるように方策をとっておるのでございまして、私は、ただいまの御懸念は当たらない、このようにお聞きしたわけでございますが、われわれとしては、大原則は、国内生産し得るものについてはこれはできるだけその方向で育成すべきであると思うのであります。  しかし、その私がいつも一言つけ加えますのは、消費者の立場から考えますならば、全く何もかも国内自給でいいんだ、こういうことで、その結果が相当生産費の高いものを供給するということになってもいけませんから、その辺のところが、やはり開放経済下に立っておる日本として、一応は頭に置きながら、しかし大事な食料の関係でございますから、自給率は高いほうがいい、こういうことで、指標によりますれば、米とか野菜とか、くだものとか、肉とか鶏卵とかいうようなものについては、おおむね完全自給ないし八割の自給に持っていこう、そしてその他の面におきましても、このてん菜やサトウキビのように、北海道、沖繩の重要な畑作農業の基幹作目ということになりますれば、これは育成をしていく、そのためには価格制度も適用しておる、こういうような次第でございます。
  150. 津川武一

    ○津川委員 大臣、皆さんの政府の側、農林省の側から流れてくるのは、供給の過半を輸入にたよる品目として、豆類だとか砂糖があるから心配になるの。そこで、大臣が、砂糖の自由化はないと言明するならば、私は喜んで議論をおさめます。この点をもう一度答えていただきたい。
  151. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは日本の農業の全体の経緯から見て、輸入と国内産と比率がどうなるかというときに、主として輸入に依存するが、一定量は自給、こう申し上げておるので、しかも私がいま申したとおりに、てん菜、サトウキビは、北海道、沖繩等地域農業の重要作目であるので、現状より高い自給率を目標とする、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  152. 津川武一

    ○津川委員 そこで、砂糖と並んで供給の過半を輸入にたよるものとして大豆があるわけですね。この間から何回も大豆のことで議論したけれども、大豆の自由化——これは北海道か七万ヘクタール三十五年にあったのが、いま一万ヘクタールなんですよ。この自給率を高める意味において北海道の大豆をもっとふやす、こうわれわれは受け取っておったのですが、再三の大臣の御答弁でそのとおりに解釈してよろしゅうございますか。
  153. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御指摘のように、三十五年以来ずっとその経緯を見ますると、現在大豆の耕作面積は非常に減っておるということはもう実績が示しておるので、そのとおりでございます。  私がこの席上をかりてこの大豆問題について明らかにしておりますのは、先般のとうふの暴騰などの機会に、食品用の大豆は、ああいうことにもかんがみて、みそ、しょうゆ、とうふ、こういうものについてはでき得る限り国内自給をしたいものである、そしてそのための施策をとっていこう。現在米の生産調整をしておるけれども、その場合休耕、転作があるけれども、四十八年度は特に転作に力を入れて、その転作の場合でも大豆のようなものは大いに奨励をしたい、あるいは大豆の生産団地をつくるようなことも申し上げておるわけでございまして、私も、北海道における重要な畑作物である大豆が、いま申し上げたような方向で今後次第に増産をされてまいることを期待もいたしまするし、また政策の上でそういう方針をとっていきたい、こう思っております。
  154. 津川武一

    ○津川委員 大臣、大豆をそういう点で育てていく、これはぜひやらなければならないし、われわれもその点では農民とともにやることはやぶさかではない。そこで、北海道を実際歩いてみて、あなたたち大豆をつくるかつくらないかの具体的な問題になってくると、価格なんです。昨年も六十キロで五千八百円、せめてこれが七千五百円であったならば大豆はつくれるというのです。大臣の大豆をふやすという抱負はよろしいが、マル寒で資金をつくることもよろしいが、五千八百円ではつくれない。ここでつくれる基礎をつくるために、やはり価格を上げる必要がある。マル寒を返さないで利用できるように上げる必要がある、こういうことが必要になってまいります。不足払い制度もありますよ。豆基金もありますよ。いまうしろから入手しているのはそのことだろうと思う。しかし、これではだめだということですね。これではものの役に立っていないということです。そこで、この大豆の生産者の価格がせめて十アール当たり米並みに上がるようなかっこうになると、私はこの資金を待つまでもなく大豆が伸びると思うのです。この点はいかがです。
  155. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 大豆のただいまお話に出ました価格の五千八百円は、これがつくられた当時の国際価格を頭に要いて見ますると、この価格の出されたときに、これはそれほど低いものである、あるいは、この価格では生産意欲が出ないのだ、私はこういうふうには見ておらないのであります。その後における大豆価格の暴騰からいたしてまいりますと、そういうものと比較すればいろいろ御批判が出たかと思いまするが、しかし、大豆の価格も現在鎮静化しつつあるわけでございまするので、本年の大豆価格決定のときには、諸情勢が適正に反映されるべきものだ、こういうふうに思います。  ただ、御質問の御趣旨は、思い切ってこれを大幅に上げて、そしてひとつ生産意欲をかき立てたらどうかというように受け取れましたが、豆類は大豆だけでもございません。やはりあまり不均衡なやり方というものは、行政上当を得るかどうかというようなことも懸念されますが、次の大豆価格をきめます場合には、適正に諸情勢を反映さしていきたいと思います。
  156. 津川武一

    ○津川委員 大豆の価格をきめるときにまたいろいろな論議をしてみたいと思いますので、そこで、昭和四十七年度、大豆の生産費はどのぐらいであったか、これを調べて、きょうでなくてよろしいですから、この次の論議のために私のところに提出しておいてほしいのです。  いま大臣の話を聞いてふしぎに思うのが一つ出てきたの。それは、第三期北海道総合開発計画、これは昭和四十五年七月十日閣議決定事項です。この中で、持っているかわかりませんけれども、八ページに、それぞれの地域に、たとえば釧路だとか、北見だとか、根室地方だとか、十勝だとか網走に、適地適産農産物をあげております。日本一のいい大豆の適産地十勝の中で、大豆を育てると書いてないんだな。だから、これをつくったときは、大豆なんか、さっき話したように、必要分量の過半数を輸入にたよるということがあるから、最近とうふのことが問題に出てきて農林大臣もこういう議論になったけれども、これはやはり改正する必要があると思うんだけれども、どうですか。
  157. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 作成当時と諸事情が違っておる点もあると思います。ですから、改定してみたらどうか、こういう御意見でございますが、それはよく検討さしていただきたいと思います。
  158. 津川武一

    ○津川委員 どんな検討をなさるかわかりませんけれども、この第三期北海道総合開発計画のときに計算したときには、稲作の反別、四十五年度で二十六万八千ヘクタール、この中でこれを五十五年までに二十四万一千ヘクタールにするといっている。さっき農林大臣が話した、皆さんの試算の根拠になった農林省の農業作物の地域指標の試算の中では、十八万六千ヘクタールなんです。これでは二十四万一千ヘクタール、皆さんの試算の中では十八万六千ヘクタール。肉牛、この計画の中では三十万五千頭、皆さんの試算では十三万一千頭。これは検討して改正するんじゃなくて、この三つの事実を考えてみて、これはどうです。どっちが矛盾で、どっちにたよればいいのか。だから、日本の農民は米の生産調整があって、いままでつくれつくれといって、今度つぶして、今度またやれという。どこへ行くかわからないところに日本の農業の悲劇がある。こんなに数字がたくさん出ていて、どこへ農民がついていけばいいか。だから三期計画をやっていくのか。ここいらのはっきりした、大豆をどうする、米作をどうする、肉牛をどうするという、二つの指針を出していて農民を引っぱっていけるというのです。この点どうです。
  159. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ちょっと私、御質問の御趣旨がよくわかりかねたのでありますが、この北海道総合開発計画の示しておる指標と、農林省の出しておる地域指標との間の矛盾を言われておるわけですか。
  160. 津川武一

    ○津川委員 そうです。  それから、これには大豆は書いてない。大臣は大豆をやるという……。
  161. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは先ほど私お答えを申し上げましたように、四十五年七月当時と諸事情の変化等があれば、これはよく検討させてもらいたいということでお答えは尽きておると思うのです。まあ先生のほうからも御指摘のように、大豆は年々減産をしてくる、そこへ今度のような問題が起きた、そこで櫻内もそこから考えが変わったんだろう、こういうことでしょうが、それは私も認めるところです。しかし、間違いあってはいけませんから私が申し上げておきたいのは、昨年の十月の指標の上から出ておるものは、最近の情勢は念頭に置かない。昨年の十月の指標ということになれば、一番近いところを見ても六、七月ごろまでのいろんな諸情勢を踏まえてつくられたものと思うのです。しかし、その中におきましても、食品用についてはできるだけ国内でつくれ、こういうことがいわれております。ですから、当時すでに専門的な見識のある皆さま方によっても、大豆が減産しつつある、これはいけない、食品用はもっとつくれという方針は出ておったと思いますが、同時に、今回のような問題でさらにその意欲を強めた、こういうことでございます。他の点については、同様に、検討すべきものは、それは当然検討したほうがいいと思います。
  162. 津川武一

    ○津川委員 きょう大臣はここで提案理由を説明したとき、事情が変わったと言うんだよ。ぼくら聞いているんだな。これも事情が変わっているんだ。ところが、この間、三月にぼくは北海道の八尾という町に行ってきた。そうしたら、農家はみんなこれでやっているんですよ、三期計画で。皆さんのほうは十月に指針を出しているんですよ。だからぼくはくどいほど言うけれども、ここのところはやはり迷わせないで、農民と農民の団体とよく相談して一本指導方針を出さなければならぬ。皆さん方は十月のことを言っているんですよ。私は四十五年七月十日のことなんですよ。どうです。
  163. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 お答えを繰り返すようでございますが、御指摘のようなことがあれば、また現実にそういう問題が起きておれば、すでに約三年も経過するのでございまするから、長期計画でもあるいは経済見通しでも、しばしば年度中にでも改変をする場合もございまするから、検討することにやぶさかでないことを申し上げておるわけであります。
  164. 津川武一

    ○津川委員 そこで、たくさんお尋ねしようと思いましたが、時間がこのとおり、大臣が懇切丁寧に説明してくださるのでこうなってしまったのですが、北海道の畑作を守るためのこういう資金で——農民はこういうのです。てん菜はいい作物だ、だが、輪作で五年に一回しかつくれない。そのあとに大豆を植えても、大豆は安くてだめだというのです。ですから、てん菜が五年輪作のために、てん菜ぐらいの反収になる作物がもう六つか七つあるならば、おいらここでうちも売らずに、出かせぎもしないで、畑作でやっていけるのに、というのですね。このためにマル寒を使うわけです。そこで、この畑作体系はございますか。ないとすれば、これをどうつくつていきますか。方針を聞かしてもらいます。
  165. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のように、北海道の畑作地帯におきましててん菜がたいへんいい所得になるということは、そのとおりでございます。てん菜は連作がききません。輪作をいたさなければならないわけでありますが、その間にいろいろな豆類も入ってまいります。またバレイショも入ってくるようなわけでございます。そういったことで全体の所得が形成されるということでございます。私どもは、ことにバレイショなんかにつきましては、ことしはバレイショの芽を放射線で殺すというようなこともやろうといたしております。そういうことになりますと、生食用としてかなりバレイショが向いてくるというようなことも可能になろうかと思っておるわけでございます。また豆類につきましては、さらにその合理化というようなことにつとめたいと思っております。
  166. 津川武一

    ○津川委員 そこで、大臣、これはてん菜くらいの収入になるものをほんとうにつくってもらうように、ここで農林省の試験研究所も全力をあげてそのためにやって畑作を守っていくことを要求して、次の質問に移ります。  一問だけ。土地の問題。私たちは、大資本の土地の買いあさり、買い占めをやめさせて、山林原野の農用適地を開放して農民に農地を拡大するというのですが、北海道に行ってみてびっくりしたのです。島一まわり買われておった。あちこち買われておって、私の調査を報告したものを読みますと、「三菱地所や丸紅飯田などの大不動産業者や総合商社、あるいは藤田観光などの観光資本が、農地といわず原野、山林といわず、あたりかまわずに、さまざまな手口で土地を買いあさっています。長万部町では、農業委員会や登記官吏までまきこんで離農希望者の農地を買いあさりました。黒松内町では、農協がもっていた山をそっくりトヨタ自動車が買いとりました。倶知安町では、千五百ヘクタールもの土地が買いしめられ、豊浦町では、国や道が補助金をだして造成した町営牧場が不動産業者の手にわたって」おるという、こういう現状なんです。これに対して、三期計画や皆さんの計画では、農地を拡大するといっても、拡大することば必要なんだが、これを押えない限りは拡大も何もできるものじゃない。この状態をどう見ておりますか。これに対する対策を聞かしていただきます。
  167. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 そのような買い占めについてはすみやかに規制をしていかなければならないと思います。そういうことで農地法による転用についての規制を当然きびしくしなければなりません。それから、森林法の改正によりまして山林の乱開発について規制を講じようということで、新たな改正法をお願いをしておるわけでございますが、私どもが一番懸念をしておりますのは、そういう法律上の規制措置がございましても、どんどん仮契約とかいうようなことが行なわれて、金銭に災いされて、ついそれに応ずるというようなことで、いよいよ転用の許可願いが出たというようなときには、もう抜き差しならぬような状況に持っていってしまうというような例は、従来間々あるところでございます。北海道の場合、ただいま幾つかの例をおあげになりました。私どもも、それがもし不当な行為によるものである、規制されるべきものがされない状況にあるということであっては、これはたいへんな問題だと思うのでございますので、先般来、早く情報をとる、情報の収集につとめる、内地のほうで申し上げれば地方農政局を鞭撻しておるわけでございますが、北海道であれば北海道開発庁を通じてそういうような措置を講じまして、早期に情報の収集につとめ、不適当なものは不適当であるということの行政上の指導をいたしたい、こういうふうに考えておるようなわけであります。四十七年六月一日から四十七年八月三十一日までの北海道農業会議調査によりますと、二百九の市町村の中で、買い占め報告の市町村数が百十二、一万一千九百四十ヘクタールの面積と、わずか三カ月の間でこういうような実情にございますので、一そう、ただいま申し上げましたような方針のもとに、買い占め等が行なわれないように、投機の行なわれないようにいたしてまいりたいと思います。
  168. 津川武一

    ○津川委員 これで終わりますが、大臣、いま私が読み上げたところ、議事録から拾ってもよろしいし、また、だれかおたくの局長でもよこしてくだされば、私そこのところを指摘してあげますので、そこがどうなっているか調査して、私たちに報告してほしい。大臣が、いま読み上げたところをもっと具体的に、どの個所でだれがどういうふうに買ったかということを調べて、私たちにも報告を出してほしい。これをしてくださるならば、私これで終わります。答弁を求めます。
  169. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 行政当局としては、当然実態を把握しておく必要がございますので、その点で努力をいたしたいと思います。
  170. 佐々木秀世

  171. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案について、農林大臣並びに当局にお尋ねします。  両法案は、鹿児島県並びに宮崎県、北海道がその対象となっていることば御承知のとおりでありますが、まず最初にお尋ねしたいのは、実績についてお伺いしたいのでありますけれども、私の調査によりますと、マル寒のほうでは三十四年から三十九年までが二五%、三十九年から四十一年が一七%、四十一年より四十二年が一〇四%、この場合は災害等があったあとで、復旧等によってパーセントが上がっているわけであります。四十三年から四十七年が五二%。マル南のほうでは四十三年が四七%、こちらはまだ始まって日が浅いために、四十三年の実績しか出ておりません。農林大臣はさっき、四十三年の四七%については、二軒に一軒くらいはできておると言うけれども、これはまだほんとうに一年のデータでありまして、実際はもっと下がっているわけです。こういった実績を踏まえて、実績が半分以下で、ずいぶん成績があがっていないのです。これは大臣はどういうふうに見ておられるか。いろいろ答弁もあったようでありますが、ひとつ率直にお答えいただきたい。
  172. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは私からも先ほどお答えを申し上げましたが、一つには北海道における冷害による影響、南九州におきましては再三再四にわたる台風の被害の発生ということに伴う影響、それから米の生産調整等がその間に行なわれておるということ、そういうことによる農業情勢の変化というものを頭に置かなければならないと思うのであります。それから、畑作物や畜産物の価格というものがいろいろ影響をもたらしておるということも否定ができないのでございます。そういうことで、最近のこの五年間、北海道が達成率五二%、南九州が四七%ということで、まことに不本意な点がございますが、しかし、私は率直に申し上げたのでありますが、当初見込みの戸数に対しては、大体二軒に一軒は利用していただいておるということで、さらにこれから五年延長で残余の皆さんにも大いに利用してもらうということからいたしますれば、今回の五年の延長ということはたいへん意義のあることである、このように見ております。
  173. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣から答弁をいただきましたが、大臣は成績が比較的あがっている四十三年の例だけしか言わないが、その前がたいへんなんです。また今後もたいへん落ち込む要素がたくさんあるわけです。それはいまからるるあかしてまいりますけれども、十分認識していただかないと、いまおっしゃった理由のほかにたくさん理由があるわけです。私も、この法案については、いわゆる五年間延長ということで賛成をして、融雪期に遭遇する北海道農家の皆さん方が、何とか早く自立経営農家に立ち上がっていただくように期待しております。そういう考え方がありますけれども、中を見てみますと、かなり問題が一ぱいあるわけです。  総裁もきょうは見えておるので、後ほど逐次聞いてまいりますが、次にお伺いしたいのですが、それでは、一般農家と比較をして、この両法による融資を受けた方たちにはどのような効果があがっているか、どういうふうに農林大臣は見ておられますか、率直にお答えください。
  174. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは御指摘を受けるまでもなく、マル寒のほうでは、中庸程度以下の畑作経営農業者ということで、平年における農業所得が百十万以下、それからマル南のほうでは七十万以下、そういう農家のためにそれぞれ長期の資金を他の場合よりも利率が低く貸し付けをいたしたのでございますので、農家の皆さん方の経営意欲がございますれば、これらの資金が一応活用されて経営がよくなってきておるということは当然だと思うのであります。  ただ、いまのお尋ねが、一軒一軒の農家に当たって一体どうなっておるのか、こういうことになってまいりますれば、中にはこの資金というものが十分効果をあらわさなかったという農家もなきにしもあらずだとは想像にかたくないのでありますが、こういうものがない場合と、ある場合ということを考えていけば、逆であって、いまの中庸程度以下の畑作経営農業者がそれぞれ有効に御活用願っておるもの、こう思うのであります。
  175. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、このマル寒、マル南の制度は、これは自立経営農家を育成するためのものだ、こういうふうに見ているわけですが、それに間違いありませんか。
  176. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これはマル寒、マル南資金ともに、総合資金や近代化資金、こういうものをそれぞれ御活用願って、そして自立経営へ進んでいく、それには間違いはございません。
  177. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 小沼構造改善局長、私、これをずっと調べてみますと、昭和四十一年三月十日の衆議院の農林水産委員会の附帯決議等を見ると、「政府は自立農家育成の線に沿い、おおむね左記各項に留意して、本法制定の趣旨達成を期すべきである。」云々と、こういうふうにはっきり自立農家育成ということが書いてあるのですけれども、何か二、三年前からこれが安定経営農家ということばに——さっきから再三出てくるのだか、安定経営農家というふうにすりかえられているような感じがするんだが、その点ひとつ、最初のときといつごろから変わったのか、それをはっきり聞いておきたい。いまでも自立農家育成のためなのであれば私は了とするけれども、もともとこの資金は、先ほど言われたように、七十万以下、北海道の人は百十万以下とか、いわゆる零細な人を自立経営農家に立ち上がらせるためにこの資金を融通して、この資金で立ち上がったならば、自立経営農家としては今度は総合資金を借りてやっていく、こういういわゆる趣旨のものであるはずなんですが、それが何かこう、後ほど出てきますけれども、資金の貸し付けが実際は目的外に貸されているということがはっきりしておりますので、最近どうも農林省考えが安定経営農家というふうに、はっきりと自立経営農家育成のためにというふうに言わないように感じるのだが、その点を明快にひとつしていただきたい。
  178. 小沼勇

    ○小沼政府委員 先ほど大臣が御答弁申し上げました点に若干関連して申し上げますが、たとえば北海道での営農の改善実績等を見ますと、農用地の拡大、あるいは家畜頭数等それぞれふえておるわけでございますが、そういう中でどこをねらっているかということでございます。これについては、もちろん、経営が安定しなければ自立経営としてもなかなかいいものになりませんので、私ども、経営を発展育成しながら、その中で自立経営を目ざしていくという基本線は変わりございません。その形で経営を安定していくということがねらいでございます。
  179. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それでは、それは後ほどまた問題にするとして、そこで、三十六年五月十八日、当委員会で畑地農業振興のための基本制度の確立に関する決議を行なっておるわけですが、いまもって農林省は畑作の基本計画を出していないのですけれども、附帯決議があるなしにかかわらず、畑作の基本計画を出すべきでありますが、これはどういうように考えておられるのか、これについてもこの機会に伺っておきたい。
  180. 小沼勇

    ○小沼政府委員 三十六年に基本法を制定いたしましてから、生産の選択的拡大、生産性の向上一農業構造の改善、流通の合理化等、総合的に施策を講じてまいるようにいたしているわけでございますが、さらに四十五年には、閣議了解を経まして、農業生産の再編成をはかりながら農政の総合的な展開をいたすということをきめているわけでございます。その中で畑作につきましては、具体的な施策といたしまして、土地基盤の整備、構造改善事業等を推進しているほか、果樹農業の特別措置法、あるいは野菜生産出荷安定制度、あるいは甘味資源等、それぞれの制度によりましてこの畑作についての振興をはかっているということでございます。
  181. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 満足できる答弁じゃないのですけれども、時間の関係もあるので、はしょって次々お伺いいたしますが、本制度と営農基盤整備事業等についての関係でございますが、マル南の場合に、昭和四十二年十月に九州農政局が調査したところの南九州畑作振興対策資料によれば、要土地改良面積が、水田が五万二千八百ヘクタール、畑が九万五千五百三十六ヘクタール、合計十四万八千三百三十六ヘクタールとなっております。これはまず間違いないか、局長
  182. 小沼勇

    ○小沼政府委員 間違いございません。
  183. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、この十四万八千三百三十六  ヘクタールのうち、県営特殊農地保全整備事業を見てみますと、新規採択面積が四十三年は八百ヘクタール、四十四年が千百九ヘクタール、四十五年が二千七十六ヘクタール、四十六年が千八百十二ヘクタール、四十七年が二千三百十一ヘクタール、四十八年が二千百四十五ヘクタール、合計六年間で一万二百五十三ヘクタールになっております。これは県営のみで、国営、団体営等を入れるとまだ若干はふえるとはいっても、十四万八千三百三十六ヘクタールの中で、六年間でやっと一万、全く天文学的数字で、これではもうさっぱり進んでいかないということになるのだが、これに対しては、局長、どういうように考えておられますか。   〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕
  184. 小沼勇

    ○小沼政府委員 御指摘の要土地改良面積約十四万ヘクタールというものと、それから六年間の県営の特殊農地保全整備事業というものの比較でございますけれども、特殊農地保全整備事業に該当いたします防災要土地改良事業といたしましては、全体が三万三千五百四十七ヘクタールでございまして、その中の一万二百五十三ヘクタールということでございますから、これは、先生の御指摘のものは、私のほうの数字では一万五千九百五十六ヘクタールになっておりますが、大体同じくらいのところでございますが、いずれにしましても、防災関係での要整備事業量三万三千五百四十七ヘクタールに対する実績は四七・六%という状況でございまして、その意味ではかなりの実績をあげているというふうに御理解いただきたいわけでございます。
  185. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま答弁がございましたが、いずれにしても、この新規採択面積から見ますと、もうわずかないわば数字にしかなっておらぬわけですね。大臣もよく御存じだと思いますけれども、よく認識して今後の処置をしてもらいたいために、あえて申し上げているのです。  そこで、局長にお聞きしますが、県が認定する場合にはいろいろ認定基準があるわけだが、基盤整備をするようなところを優先することになるわけでありますから、基盤整備がおくれると、今後十年間いろいろ計画を立てて行なっていっても、  いまのようなテンポでは、もうこの資金があっても知れたものなんですね。すなわち、基盤整備が先行しないと、申請しても認定されない、こういう法案になっているわけです。なぜかなれば、農道も畑かんもないというところにこの資金を申請しても、貸してくれない。また、農家がちょっと経営が不安であれば貸さないということもあるわけですね。そういうことについては間違いないか。どうですか、その点は。
  186. 小沼勇

    ○小沼政府委員 特殊農地保全整備事業は、いわゆるマル南の地域はかなり自然条件が悪うございますので、その地域を中心にやっているわけでございますが、もちろん、農地保全、圃場整備、畑地かんがい、農地開発等総合的に実施することが必要でございますので、新しく、単なる県営の事業のみならず、今年度から団体営の事業まで含めてやっていこうということでございます。マル南資金は施設関係が多く実績としては出ておりますが、土地改良事業としてそれとうらはらにあるいは先行して実施していくということが必要でございますので、これにつきましては今後とも大いに進めてまいらなければならない、かように考えております。
  187. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、いまお聞きになっておったと思いますが、だんだん問題点が明らかになってきたわけですけれども、ここらに問題があるわけですね。せっかく資金を出しても、さっき言ったように、五〇%以下、二十何%とかいう年もあるわけですが、その成果があがらない。非常に問題があります。県の認定基準ももちろんあります。あとでまたやりますが、こういうように、借りようと思っても、基盤整備が先行しないと借りられないという資金なんですね。そこで、いま局長からも、なるほど、うらはらに実施していく、今後よく検討していくということを言われましたから、これ以上詰めても局長が気の毒ですから、ほんとうにこういう面を考えていただきたい。  そこで大臣に聞きたいのですが、資金貸し付けよりも基盤整備を先行していなければならぬという問題が一つあるわけです。そうでないと価値効果があがらぬわけです。その点が一緒にうまくいってないので問題があるのですが、これに対しては、大臣、いま聞いておったと思うが、あなたの決意をもって今後しっかり農林省当局を指導してこの資金が有効に使われるようにしてもらいたい。
  188. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御指摘のことは、ただいま承りまして、当然のことと思いまするし、また局長からもお答えを申し上げておるとおり、これはもう並行的にやっていかなければならないと思います。
  189. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで次は、両地域における採択基準の問題ですが、採択基準の中で、マル南の場合、県営のシラス対策の採択基準が、受益面積が四十ヘクタール以上、特殊土壌保全事業が、いわゆるシラス、アカホヤ、ボラ、コラというやつですね、これが四十ヘクタール以上、圃場整備が百ヘクタール以上、畑かんが百ヘクタール以上、農地造成が六十ヘクタール以上、こういうふうになっております。先ほど局長からちょっとこれに触れて、何か一カ所ぐらいふやすようなことを聞いたが、聞き落としましたので、もう一回はっきり答えていただきたい。同時に、団体営のシラス対策事業が抜けておりましたけれども、これも今後いろいろ検討されるようにも聞いておりますが、これらを含めて採択基準の引き下げ、並びに団体営のシラス対策事業をぜひひとつ取り下げていただきたいとお願いをしたいのですが、これに対する答弁お願いしたいのです。
  190. 小沼勇

    ○小沼政府委員 特殊農地保全整備事業に、農地保全、圃場整備、畑かん、農地開発等がございますが、その中で、今回改定をいたしたいと思っておりますのは、圃場整備は、いまおおむね百ヘクタール以上というまとまりを考えておりましたのを、半分の五十ヘクタール以上というふうにいたしたい。畑かんについても同様でございます。農地開発は、おおむね六十ヘクタール以上というのを、おおむね五十ヘクタール以上というふうに基準を下げたいというふうに考えております。  それから、新しく団体営シラス対策事業を新設するわけでございますが、その採択基準はおおむね十ヘクタール以上ということでございまして、補助率が本工事五五%、関連工事四五%ということでございまして、四十八年度は、地区数で十地区、総事業費二億四千五百万ということで考えております。
  191. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その点は了解しました。  次に、融資対象農家について、中庸以下の農家とする従来の取り扱いを継続していくかどうかという問題ですが、さっきから若干論議がなされましたけれども、この構造改善事業課から出されております「関係法令通達集」によりますと、二一ページに「次の条件を満すものとする。(1)営農のための労力が家族労働を主体としており、雇用労力に依存する度合の少いこと。(2)平年における農業所得が現在の中庸程度の畑作経営農業者の水準(農業所得でおおむね七十万円程度)以下であること。(3)経営耕地面積ならびに乳牛の飼養頭数、農業用施設および農機具の所有状況がその農家の属する寒冷地畑作振興地域におけるおおむね中庸の規模以下のものであること。」2に「次に掲げる農業者は、措置法の対象としない。(1)自力または一般現行制度により営農改善の目的を達することができる者(2)稲作または果樹、高級そ菜等特殊部門に経営の中心をおく者(3)農業以外の所得が農家総所得の過半を占めている者。ただし、将来営農改善計画を樹立して営農の改善を図ろうとする者は、この限りではない。」こういう通達があるのですが、あえて皆さんにわかっていただくために読みましたが、この通達によっていろいろ見てみますと、現在は、御存じのように、農家統計、農業白書を見ましても、いま農家は兼業農家がだんだんふえていく、兼業農家に移行しているような段階でございまして、こういう条件でございますとなかなか借りられない。ここにまた一つ問題がある、こういうように思うわけです。いわゆるちゃんちゃん農業というようなことで、なかなかこれによってしぼられますとできませんが、これをもっと弾力的に解釈するのか、どういうように扱うか、今後これを改善するか、この点について、局長、ひとつ答弁願いたい。
  192. 小沼勇

    ○小沼政府委員 この南の資金について申し上げますと、たとえば借り入れ農家の経営規模の状況で実績を見ますと〇・五から一ヘクタールというのが一五・九%を借りております。それから一ヘクタールから一・五ヘクタールが三一・三%、さらにその上の農家も借りているという状況でございまして、作目によっても多少差がございますけれども、今後の進め方といたしまして、単純に、一・五ヘクタール以上はだめであるとか、あるいは零細なものはだめということではなくて、中心はやはり中庸の農家以下のところでございますが、それを大きな農家に育てていくというのが基本でございますけれども、相当地域の実情に応じて弾力的に運営をしていく必要があろうというふうに考えております。
  193. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま局長から若干答弁がございましたが、私がここで重大なことを指摘したいのは、実際は、この中庸以下の農家に貸すべきマル寒、マル南法案でありますにもかかわらず、零細農家には貸し付けがあまり行なわれていない。むしろ、貸し付けが行なわれているのは、大きい農家に貸されている傾向が強い。また、貸し付けが、危険な農家には行なわれていないということが、次のような統計で明らかになるわけです。  一つの例を申し上げますと、マル南の場合の宮崎県では、県の抽出調査によると、これは政府も資料は必ずお持ちであると思いますが、四十三年から四十五年の三カ年間のデータによりますと、本法の対象とする農家は、一ヘクタール以下が一七・八%で、まことにわずかです。一ヘクタールから一・五ヘクタールが三三・五%、これが一番多い。一・五から二・〇ヘクタールまでが二八・二%、二から二・五が一二・三%、二・五ヘクタール以上が八・二%というわけで、いわゆる法の精神である一ヘクタール以下——いまも局長が、中心は中庸以下の農家で、大きな農家に育てていくんだ、そのための資金であるということを言われた。当然そうであるべきですが、この一例を見ても、こういうふうに一ヘクタール以下はわずか一七・八%で、しかも二・五ヘクタール以上が八・二%もあるという貸し付けで、一ヘクタール以上を合計しますと八二・二%が中庸規模以上の農家に融資されているという結果が出ております。この目的からいえばまことにけしからぬ。農家にしてみれば、借りた方は大いに助かっているということも事実でありますけれども、こういったところでこの法の運用がずいぶん目的のほかのほうに流れているというふうにもいえるわけです。それで、これには想定の問題があるわけですけれども、それはそれなりにいろいろ検討しなければならぬと思うのですが、それについては局長はどういう見解を持っておられるか、答弁を願いたい。   〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕
  194. 小沼勇

    ○小沼政府委員 先ほど申し上げましたが、一・五ヘクタールよりも上の農家——一・五ヘクタール未満の農家で約五〇%の農家がございます。一・五ヘクタール以上の農家が半分ぐらいでございますけれども、経営の面積だけではなかなかわからない面がございます。基準としてはやはり農業所得を中心判断しておるという意味では、若干のズレがあろうかと思います。しかし、さきにも申し上げましたように、非常に大きな農家でありますと総合資金制度の活用によることが多いわけでありますが、平均規模以下あるいはそれよりちょっと上のところもかなりこの資金に依存するという場合がございますので、それぞれの地域の実態を見ながらこの運用に当たっているという実情でございます。
  195. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 武田農林漁業金融公庫総裁に、いつまでも引きとめておくのも気の毒ですので、ここでお尋ねしますけれども、いまいろいろ論議しましたが、自分は県が認定して上がってきたものを貸しておけばいいんだというわけではないと思います。説明員としてあなたも立場があるわけですから、こういったことは十分承知しておられるだろうと思うのですが、知っていないなら知ってない、知っておれば知っておるで、こういう実態は十分分析してわかっておられるかどうか、その点、総裁にお伺いしたい。
  196. 武田誠三

    ○武田説明員 公庫の資金の貸し付けの場合に、それぞれによって行政庁の介入の度合いが非常に違っております。特にマル寒資金あるいはマル南資金につきましては、法律等でも御承知のように、行政庁におきまして、当該農家の現在の財政状況といいますか経営状況、それに伴います資金の必要状況、その他非常にこまかく検討された上で御認定をいただいております。したがいまして、私どもとしては、これを重複審査するということは、実際の業務の運営上非常にロスも大きゅうございますし、できるだけ簡素化して早く貸し付けをいたしたいという観点から、内容の審査につきましては、ほかの案件よりも簡略化をいたしております。実態としてどういうような内容になっておるかということにつきましては、適格認定の書類も参っておりますから、いま先生からお話がございましたように、反別的にいえば大きな面積のものまでカバーをしておるというようなことは承知をいたしております。
  197. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 総裁、なるほど、この資金については重複審査するようなことをせずに簡素化をして貸している、けっこうです。ほかの資金もそういうようにしてもらいたいのだが、他の案件よりも簡素化しておるということで、その点は私もけっこうだと思うのですけれども、それではもう一点お伺いしておきますが、せっかくのこの資金の貸し付けが、こういうようにコンスタントにいっていない、むらがあるというようなことで、その原因はどういうところにあるか、総裁としてはどういうように感じてこれを受けとめておられるか、その点ひとつお聞きしておきます。
  198. 武田誠三

    ○武田説明員 先ほど農林大臣並びに構造改善局長からお答えがございましたように私どもも感じております。  なお、私どもとしては、この資金につきまして、実際に農家のほうへの宣伝なり浸透ということを側面的に極力努力いたしておるつもりでございます。
  199. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 総裁についてはけっこうです。  農林大臣、いま論議を聞かれまして、との資金はいろいろ検討しておると切りがないのですけれども、この貸し付けの状況を見ましても、中庸以上、いわゆる一ヘクタール以上の方に八二・二%も貸しているという実情です。そういうことを見ましたときに、中庸以上の方を排除するのがいいのか、または二兼農家に貸したほうがいいのか、これはもう一回よく検討しなければならないことだと思う。また、物価上昇のときでもあり、実態に応じて弾力的にこれを運用するということについても、さらに検討せねばならぬ段階ではないかというふうにも思います。その点について、大臣、いま率直に聞かれて、金融公庫総裁からもいろいろ答弁がありましたが、大臣の見解をここらでお聞きしておきたいと思うのです。
  200. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 やはりマル寒、マル南ともに、お示し申し上げておる所得、マル寒の場合には百十万円程度以下の畑作経営農家、マル南については七十万円程度以下の畑作経営農業者、こういうことで、御質問の御趣旨は、経営規模というか、むしろ耕地面積を中心に御指摘のようでございましたが、私どもとしてはやはり所得を中心考えて、これを引き上げていくようにこの資金を活用していきたい、この辺に重点があるということを申し上げておきたいと思います。
  201. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、だいぶ歯切れの悪い答弁だけれども、ちょっと局長、いま大臣答弁を聞いておって、困ったことを言ったと思いませんか。さっき、たしか、マル南の場合は七十万円を近々百十万円に、マル寒の場合は百三十万ですが、百八十万から二百十万円に近々考えたい、こういうように思っておるというように私は受けとめておるのですが、いずれにしても、その辺の回答と、農業所得は、一応自立経営農家を目標にしておりますから、これは従来の経過から見ますと、百五十万から百六十万というのが現在では目標になっておりますね。そこで、当然農業所得は上げなければなりませんが、いま大臣がおっしゃったのと局長答弁とは若干違うように思うが、その点、訂正の要はないか。
  202. 小沼勇

    ○小沼政府委員 先ほど大臣が申し上げましたのは、南九州で七十万が一つの中間点でございまして、そこを中庸にしてそれ以下の農家を対象にするということを申し上げたわけでございまして、営農改善の所得目標といたしましては、今度百二十万から百五十万程度ということを目標にしてまいりたいということでございます。北海道につきましては、目標を百八十万から二百十万というふうに考えております。
  203. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、次に、このマル寒の北海道の場合は四類型、南九州のいわゆるマル南の場合は十五類型が基準になるように聞いておりますが、局長、これは間違いありませんか。
  204. 小沼勇

    ○小沼政府委員 北海道は四類型でございまして、南九州は非常に多うございまして、いま御指摘のとおりでございます。
  205. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうしますと、営農方式例に縛られるということに一応はなるわけでしょう。その点どうですか。
  206. 小沼勇

    ○小沼政府委員 営農の類型を策定いたしまして、指導する場合にそれを基準にして指導するわけでございます。また、資金を貸し出す場合にも、それを基準にして判定をするということをやっているわけでございます。
  207. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、この辺をよく聞いておいてください。  時間の関係で急いでいきます。  そこで、昭和四十八年度以降の営農類型別認定計画等のことをいろいろ調査してみますと、ミカンは、四十八年以降としまして、戸数が千六百五十二戸、融資二十二億九百万円、酪農は戸数が九百九十二戸融資が二十九億三千二百万円、肉用牛が戸数三千二十一戸融資が五十二億三千百万円、以下ずっとありますけれども、おもなものだけちょっと拾いましたが、こういったことに間違いありませんか。
  208. 小沼勇

    ○小沼政府委員 ただいまの数字は、おそらく県が希望として作業をした資料であろうと思います。
  209. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 こういった大事な資料が当委員会に提示されておらぬのですから、なかなか審議ができないのですけれども、こちらで苦労して調べてみたわけです。大臣、この点は間違いありませんので、あとでよく見ていただいて、違っていてもそれはわずかです。  そこでお伺いしたいことは、とっくに南九州においてはミカンが主生産型になっておるわけですから、この営農類型別の認定基準とかいろいろな計画によりますと。そこで、方式例の中の主になっているこのミカンでありますが、御承知のように、現在豊作型で、過剰問題が起きている。たいへんいま心配な問題で、数日前の農業白書等で農林大臣にミカンの自由化問題をいろいろやったわけですが、だんだんあやしいかっこうになっておるわけで、たいへん心配をしておるわけなんです。こういった傾向にあるときに、このいわゆるマル南法案で、特にこういったミカンに相当のウエートを置いていくということになると、農家も不安であるし、実際に資金がいわゆる今後の時勢の推移にマッチしない。こういう資金の計画になっておるというところに大きな問題がある。そうすれば、またぞろこの貸し付け金はぐっと減ってくる、また借ろうと思っても借りられない、こういうことがすでに出発の当初から起きてくるじゃないかという心配をしております。この点、大臣並びに当局の答弁お願いしたいのです。
  210. 小沼勇

    ○小沼政府委員 ミカン作については、先ほども答弁がございましたのですが、私ども経営の現況と目標を比べてみますと、ミカンについては現況が一・三ヘクタールでございますが、それを二・三ヘクタールに持っていきたいということで考えております。今後十分ミカン作として成り立つような経営ということで、このマル南資金についてもその活用をはかってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  211. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、指名しないと答弁しないので、ここでお聞きしますが、さきに局長からも、ミカンについては生産のもとである植栽を計画的にやってもらうとかいうことで、いろいろ苦しい答弁をしておりましたけれども、何も政府を追及するとかなんとかいうことでなくて、この辺にたいへんな問題がございますので、なかなか大臣ともこうして話す機会がないから、ひとつこの点をはっきりしておくわけですが、こういうところにたいへんな問題があるわけですね。なかなか実際と資金とがマッチしてない。そして計画は計画で立てられているということで、問題がある。この点は十分ひとつ検討していただいて、十分な対策を立て、指導してもらいたいと思うのですが、大臣、どうですか。見解を承りたい。
  212. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま御説明申し上げておる資料は、当然今回のこの豊作による大きな異常というものは織り込んではおらないと思うのであります。それでこのミカン農業のあり方についての見解は、それぞれ局長から申し上げておって、植栽が計画どおりいかなかったこともまた原因の一つに申し上げているわけでありまするが、これからミカン経営をどうしていくかという場合に、現に起こったところのこういう異常な場合を織り込んでよく考えろ、こういう御趣旨でありますれば、それは私どもとして当然やるべきことだと思います。
  213. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、この一町以下の人がどうして土地を手に入れるかということが、大臣、また問題になるわけですが、御承知のように、土地が値上がりをしてきている。今回のこの一町以下の農家は零細でありまして、自立経営農家になるためには相当努力が要るわけです。安定経営農家育成のための農地の取得が必要であるわけでございまして、経営方式例においても農地取得が認定されておりますけれども、その実績はきわめて困難であり、また数字もわずかであります。農地流動が停滞しているという状況にある。そういったことは皆さんもよく御存じだと思います。そうしたことで、一町以下の人が土地を手に入れるということはなかなかむずかしい。したがって、また金も借りられないということも起きてきているわけですが、その点は局長はどういうふうに考えておられますか。
  214. 小沼勇

    ○小沼政府委員 御承知のとおり、このマル南資金のほかに農地等取得資金あるいは未懇地取得資金等の活用等を当然はからなければならぬと思いますが、さらに農地保有合理化法人等を通じて農地が取得できるようにするという措置も講じてまいりたい、かように考えております。
  215. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、いま答弁があったように、その点が問題点で、この資金がなかなか実績があがらないという一つの理由になっておるわけですが、時間の関係で詳しく申し上げませんが、その辺も一つの大きな問題であるということを知って、よく指導していただきたいと思う。  次に、今度は酪農経営については、これも先ほど申し上げましたように、相当計画に乗っておるのですけれども、将来これは問題となるわけです。マル南の場合、四十四年の三月、農林水産技術会議が発表したところの「地域農業の動向予測と農業経営の対応に関する研究」という中に、南九州は酪農はだめだというような意味の見解が述べてある。暖地なので技術的にこの酪農経営は困難性が伴う、また農家の再生産を圧迫するものであるという、こういうようにも述べてあります。これはもう当局は十分承知だと思うのですが、こういったことから見ましたときに、この酪農についても、南九州においてこの畑作地帯はたいへん問題である。今回制度を五年延ばすようにしていただくことはけっこうでありますが、事実酪農問題については、農政局も指摘しておるように、たいへん問題があるわけですね。この点はどういうふうに検討しておられるか、御答弁いただきたい。
  216. 小沼勇

    ○小沼政府委員 南九州の酪農の今後につきましては、他の地域に比較いたしまして飼料基盤が非常に豊富である、また霧島山ろくを中心にいたします飼料生産基盤の開発あるいは酪農の団地化あるいは市乳化の促進というふうなことによりまして、生産性の高い酪農経営を育成することが十分考えられるというふうに思っております。
  217. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 一応の答弁はいただきましたけれども、事実農政局でもこういうふうにいっておりますし、たいへん困難な問題が予想される段階であります。そういったことを十分踏まえた当局の今後の融資とまた十分なる指導をお願いしたい、かように思うのです。  そこで、この営農方式は四十三年に定められたものでありまして、諸情勢の激変する現在でございますので、その内容についても十分再検討して新たに設定をする、そしてまた、毎年、物価上昇のこういうときでもありますので、今後改定をしていくというふうなことも考えるべきではないかというふうに思っているのですが、この点についてもこの機会にあわせて見解を承っておきたい。
  218. 小沼勇

    ○小沼政府委員 今後の情勢に対応させながら営農類型につきましては検討をしてまいりたいと思っております。
  219. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その点はぜひそういうふうにしていただきたいと思います。  次に、二、三はしょって聞いておきたいと思います。  今回の改正で特認の問題が出ております。御承知のように、酪農、肉用牛、茶、桑、果樹等が、資金を多く要する関係もあり、効果の発生に時間がかかるというようなことから特認とされておるようですが、その他のものについても、こんなけちな考えでなくて、全部認めていただきたいという意見が強いわけですが、その点については将来どういうふうに考えておられますか。
  220. 小沼勇

    ○小沼政府委員 ほかの資金とのバランス等もございますが、全体の融資のいろいろの体系がございますので、そういうものを見合いながらいまのような形にしているわけでございまして、今後事態の進展に伴ってさらに改善のくふうの余地はあると思っております。
  221. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 では最後に、時間の関係もありますので一つだけお聞きして終わりにしたいと思います。  今回のマル案、マル南の制度の融資は、単に個々の経営改善というものでありまして、畑作農業の振興の一環をなす対策にすぎないといっても過言ではありません。そこで、この抜本対策として、食糧供給基地として育成するとともに、農業経営の安定をはかるため、近代的な営農基準の設定をする、また、農地の拡張をはかる、資金の融通、農業基盤の整備と農用地開発の促進をはかる、農産物価格制度の確立、試験研究の強化等総合的な施策を講ずるようにしたらどうかという意見があるわけですけれども、これらの問題について一体とした制度をつくる、こういったことについて北海道、宮崎鹿児島からも強い要望がなされております。また、これらを集中してやると同時に、土地改良の今後十年の見通しというもの、これはしれた面積でございますので、こういったものを一括して今後十分検討して、地域の要望にこたえるというようなことについてぜひひとつ将来とも考えていただきたいということでございますが、当局はどのようにお考えであるか、その点を最後に伺いたいと思います。
  222. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 各種の畑作農業振興の施策をあわせ行なっていくことは当然でございまするが、特にこの際強調して申し上げておきたいのは、四十八年度から新たにこれら主要畑作地域における農業の振興をはかるために高能率畑作経営確立対策事業等を実施いたしまして、畑作と畜産との結合による合理的な長期輪作体系の確立、堆厩肥の還元による地力の維持向上など、畑作経営の安定と生産性の向上を推進する考えでございます。
  223. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 約束の時間が参りましたので、以上で質問を終わります。
  224. 佐々木秀世

    佐々木委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後七時十六分休憩      ————◇—————    午後七時二十三分開議
  225. 佐々木秀世

    佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  226. 佐々木秀世

    佐々木委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  227. 佐々木秀世

    佐々木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決されました。     —————————————
  228. 佐々木秀世

    佐々木委員長 この際、本案に対し、美濃政市君外四名から自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。美濃政市君。
  229. 美濃政市

    ○美濃委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党を代表して、ただいま議決されました北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議案に基づきその趣旨を御説明申し上げます。  案文を朗読いたしまして説明にかえます。    北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法及び南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議   北海道及び南九州の畑作農業が劣悪な自然条件等の下において国民食糧の供給部門として果たしている役割の重要性にかんがみ、政府は、本法の施行にあたり、左記各項の実現に十分留意すべきである。          記  一 畑作物生産確保の基本計画を早期に樹立し、これが振興の基盤である土地改良、土壌改良、農地保全等の各種事業の実施にあたつては、地域の実情に即応した採択基準の引下げ等に努め積極的に促進すること。  二 融資対象農家の農業所得及び到達すべき農業所得の目標については、営農改善計画の方式例を再検討実情に見合うよう設定し運営すること。  三 本法に基づく貸付利率、限度額、償還期間等の条件については、今後さらに改善するよう努めるとともに、指導体制の強化等について適切な措置を講ずること。  四 果樹、肉牛、乳牛等の導入にあたつては、将来の需給見通しに基づいて計画的に行なわれるよう措置すること。  五 この地域の農産物の流通の合理化等を図るため、カー・フェリー、コンテナ輸送等に対応した集出荷の円滑な実施及び加工施設の整備に関し、一層の助成援助を行なうこと。   右決議する。 以上でございます。
  230. 佐々木秀世

    佐々木委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議に対して別に発言もありませんので、直ちに採決いたします。  美濃政市君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  231. 佐々木秀世

    佐々木委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。櫻内農林大臣
  232. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、今後とも北海道及び南九州の畑作振興に努力いたしたいと存じます。     —————————————
  233. 佐々木秀世

    佐々木委員長 なお、ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  234. 佐々木秀世

    佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  235. 佐々木秀世

    佐々木委員長 次回は明十八日、水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十八分散会