○島田(琢)
委員 そういう抽象的な一般情勢の変化ではなくて、かなり激しい農業情勢の変化があった、そういうものが、達成率を半分ぐらいにしか見ることができなかった大きな原因になっているというふうに私は
考えております。特に米作と畑作の格差というものは依然解消されていない、そういうふうに実は見ているわけであります。
そのおもなる原因は、構造上に大きな進展を見ることができなかったということ。なるほど、経営拡大はある一定規模にはなったと思います。しかし、それが直ちにすべて円滑にいく、いわゆる経営の改善になっていたかというと、私は非常に疑問があります。特に最近におきます農畜産物の
価格の低迷というものは、農業者にとって、この指定地域における畑作農家の自信喪失という形になってあらわれている、それが経営に対して非常に大きなネックとなっているという事実を否定することができないと私は思うわけであります。したがって、
大臣はよく構造政策の成功をうたっておりますけれども、こうした構造の改善とあわせて、農家が大きな借金をするわけでありますし、その借金がスムーズに払い得るような農家経済の確立というものが同時になされなければ、これから先も大きな借金をして経営の改善をやろうなどという意欲はわいてこないという
実情にあると私は思います。それがまた冷災害という非常に宿命的な天候の支配を受けましてそこに追い打ちをかけていくという実態が、この地域においては特に顕著であります。だから、これらに対応するような、ほんとうに農民の経営の内部に、あるいは農民のはだに触れるような制度というものがいま非常に期待されているということは、乳価を通し、あるいはビート
価格の決定にあたっても、私はこの席で力説をしたつもりであります。今回、私はこのマル寒資金が決定的に必要でないという
前提に立って申し上げているのではありません。この資金に対する期待は非常に大きいということだけは私は認めております。かく申す私も、このマル寒資金を使って経営の改善をはかっている一人であります。しかし、それではほかの資金と比べて特別これがこの地域のハンディを埋めていく上に有利な資金になっているかということを
考えてみますときに、必ずしもそうなっていない、私はその点をまず
指摘したいのであります。
したがって、先ほど四十八
年度以降における具体的な
考え方として、酪農において、あるいは畑作において、それぞれ百万円の
ワク拡大をばかり、あるいはまた融資率においての一割アップを示しておられますけれども、今日の
状態の中で大きな金がつぎ込まれるという大
前提は、このことをもってほんとうに農業を生きがいとしてやれるという機運を農村内部に、特にこの指定地域におる農家の皆さんにまず感じてもらうというふうな政策でなければならぬと私は思うのであります。したがって、その大事な一翼をにないます金融政策というものはおろそかにできないという認識は
大臣もお持ちですし、私もそのことを強調してまいりました立場から、特にこのマル寒資金の運用というものはやりようによってはさらに一そう大きな
効果をあげるという期待を一面持っているだけに、この際思い切った内容の改善をやっていただきたいというふうに
考えているわけでありますので、ひとつそれらに対して私の若干の
提案を申し上げてまいりたいと思うわけであります。
その第一点は、先ほど
お話にありました限度額の引き上げもそうでありますけれども、どうしてもこの際、金利は、構造改善資金あるいはまた農地取得資金並みの三分五厘くらいにしていただかなければ、ほんとうの意味でこのマル寒資金が生きてこない、こういうふうに
考えております。それはどういう点でそう申し上げるかというと、この制度のねらいというのは、あくまでも一定規模、いわゆる一定水準農家に達するまでの、いわゆる中庸以下の農家を救い上げるという
趣旨を
一つ持っている。こうした農家の実態は、経済的にも非常にきびしい条件の中で営農を続けております。さらにまた、経営の内容につきましても、経営拡大必ずしもこれから明るい展望を持っておりません。そういう中において、やはり一年の収支というものが完全に償い得るような経営になってまいりませんと、この金を借りてまで拡大をしていくというような
見通しを持つことはなかなかできないわけであります。したがって、当面私どもは、自分の農場の収支計算をする中でも一番大きな圧力になりますのは、こうした投下された資金の返済がスムーズにいかないという悩みが
一つあります。ですから、金融面、特に金利面における相当の優遇
措置というものがなければ、こうした特殊地帯において営農を続けていく者にとってはたいへんなことなんであります。ですから、この機会に、そうした三分五厘資金制度並みの金利体系をしいていただくような
考え方をぜひひとつ持ってもらいたい、こう
考えているわけでありますが、
大臣のお
考えをお示し願いたいと思います。