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1973-04-04 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月四日(水曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 佐々木義武君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂村 吉正君    理事 藤本 孝雄君 理事 山崎平八郎君    理事 渡辺美智雄君 理事 柴田 健治君    理事 美濃 政市君 理事 津川 武一君       安部晋太郎君    笠岡  喬君       金子 岩三君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    小山 長規君       佐々木秀世君    菅波  茂君       丹羽 兵助君    西銘 順治君      三ツ林弥太郎君    湊  徹郎君       森下 元晴君    安田 貴六君       角屋堅次郎君    島田 琢郎君       竹内  猛君    野坂 浩賢君       馬場  昇君    湯山  勇君      米内山義一郎君    諫山  博君       中川利三郎君    瀬野栄次郎君       林  孝矩君    稲富 稜人君       神田 大作君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         農林政務次官  中尾 栄一君         農林大臣官房長 三善 信二君         農林省農林経済         局長      内村 良英君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         食糧庁長官   中野 和仁君  委員外出席者         農林大臣官房審         議官      小山 義夫君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 四月三日  畑作物共済及び園芸施設共済に関する臨時措置  法案内閣提出第一一六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法  の一部を改正する法律案内閣提出第三四号)  農水産業協同組合貯金保険法案内閣提出第三  五号)  農林中央金庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第七五号)      ————◇—————
  2. 佐々木義武

    佐々木委員長 これより会議を開きます。  農水産業協同組合貯金保険法案及び農林中央金庫法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、順次趣旨説明を聴取いたします。櫻内農林大臣
  3. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 農水産業協同組合貯金保険法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  御承知のとおり、すでに銀行信用金庫等金融機関につきましては、預金者保護の観点から預金保険法が制定され、昭和四十六年四月一日からその施行を見たのでありますが、信用事業を行なう農協漁協等につきましては、信用事業以外の事業も兼営することができる等事業内容において他の金融機関と異なる面があることから、この法律対象とされなかったのであります。  しかしながら、今日、農協漁協等貯金量全国預貯金量の約一割に及んでおり、しかも、個人の零細貯金がその大部分を占める実情を考慮すれば、農協漁協等についても、万一の場合に備えて貯金者保護に遺憾なきを期し得るよう制度整備をはかることが当然必要であると考えられますので、今般、預金保険法に準じてこの法律案提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、貯金保険制度運営する主体としての農水産業協同組合貯金保険機構設立等について定めております。  すなわち、機構設立については、農業または水産業及び金融に関して専門的な知識経験を有する者七人以上が発起人となり、主務大臣認可を受けて、機構設立することができることといたしました。  この機構に対しては、政府及び農林中央金庫その他の政府以外の者が、それぞれ出資を行なうことを予定しておりますが、このうち政府出資につきましては、四十八年度予算に七千五百万円を計上しております。  また、機構組織につきましては、役員を最小限にとどめる等できるだけ簡素にするとともに、機構運営に関する重要事項議決機関として運営委員会を設けることとしております。  第二に、貯金保険保険関係について定めております。  まず、この制度対象となるのは、信用事業を行なう農協漁協及び水産加工業協同組合としております。  次に、貯金保険保険関係は、貯金者のために、機構とこれらの組合との間に当然成立するものとし、この保険関係に基づき、これらの組合貯金等払い戻し停止し、解散し、あるいは破産宣告を受けた場合に、機構が、貯金者等に対し、その請求に基づいて、一定の金額を限度として保険金を支払うこととしております。  また、保険料の額は、毎年三月末日における農協漁協等貯金等の額を基礎とし、これに機構運営委員会議決を経、主務大臣認可を受けて定める保険料率を乗じた額とすることとしております。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  次に、農林中央金庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農林中央金庫は、大正十二年に産業組合中央金庫として設立されまして以来、幾多の変遷を経つつ、今日まで五十年にわたり、農林水産業者組織する協同組合等中央金融機関として重要な役割りを果たしてきたのであります。  農林中央金庫業務運営は、当初は政府出資及び債券政府引き受け等助成のもとに、組合系統内部資金を導入することが中心となっておりましたが、所属団体事業活動の充実に伴い、次第に所属団体から預金が集中するようになり、その運用のため、所属団体への貸し付けのほか、まず有価証券取得が認められ、次いで昭和十年代の要請により、所属団体の発達をはかるための施設法人農林水産業に関連する事業法人貸し付けを行なうことができることとなりました。これらの資金運用の方途は、特に昭和三十年代に入り、所属団体預金の量が増大するにつれて、金庫業務の重要な内容をなすに至ったのであります。  また、出資につきましては、当初資本金の半分を政府出資しておりましたが、昭和三十五年度以後は、民間資金のみを資本金とする金融機関となり、役員任命につきましても、昭和三十六年の法改正により従来の政府任命制を改め、理事長及び監事につきましては出資者総会における選任に、副理事長及び理事につきましては理事長任命によることといたしたのであります。  その後、農協系統中心とする信用事業の伸長に伴い、年々農林中央金庫に集積される資金は増大し、昭和四十七年九月末には農林中央金庫預金残高は約二兆六千七百億円に達するに至りました。他方近年における一般金融情勢は著しく変化しており、系統金融としてもこれに対応するための体質の改善強化をはかる必要に迫られており、また、農林漁業及びこれを取り巻く環境変化にも対応いたしまして、系統資金活用につきまして従来のあり方を強化し、かかる変化に対応することが要請されているのであります。  農林中央金庫は、その存立期間設立許可の日から五十年と法定されており、その期日が本年十月川に到来することとなっているのでありますが、現下の系統金融をめぐるきびしい情勢に対応し、系統金融円滑化をはかるためには、系統金融全国中央機関であります農林中央金庫が果たすべき役割りはますます重要度を増しつつありますので、その存立期間に関する制限をはずすこととするとともに、その業務権能拡充強化をはかる目地から、本法律案提出いたした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  改正点の第一は、その存立期間制限に関する規定を削除して、農林中央金庫の存続をはかることであります。  第二は、今後の系統金融全体のあり方及び農林中央金庫業務権能拡充強化とも関連して、農林中央金庫とその所属団体との一そう緊密な連携を確保するため、理事長補助機関たる副理事長及び理事任命するにあたり、出資者総会同意を得ることとすることであります。  第三は、農林中央金庫業務権能拡充強化をはかることであります。  その一は、所属団体経済活動多様化農林中央金庫取引範囲拡大に対処して、内国為替業務一般的に行なえるようにするとともに、新たに外国為替業務を行なうことができるようにすることであります。  その二は、農林中央金庫がその資金貸し付けることのできる範囲拡大することであります。まず、新たに、農林水産業を営む者に対して貸し付けが行なえるようにすることであります。これは、系統金融実情から見て、規模が大きく生産性の高い経営を育成するためには、系統組織全体としてこれらの経営が必要とする資金を円滑に供給する必要があるので農林中央金庫においても単位組合または県段階連合会の機能を補完して貸し付けが行なえる道を開くものであります。次に、主務大臣認可を受けて、農山漁村において産業基盤または生活環境整備事業を行なう地方公共団体、その他の法人に対し貸し付けができるようにすることであります。これは、系統資金公共的性格の強い地域開発のための資金活用できるようにすべしとの要請にこたえようとするものであります。さらに、農林中央金庫に集積した資金の有効な活用をはかるため、主務大臣認可を受けて経済社会発展をはかる見地から農林中央金庫貸し付けを行なうことが適切と認められる法人に対しても貸し付けが行なえるようにすることといたしております。  その三は、農林中央金庫業務の円滑な遂行をはかるため、業務実施にあたり必要とされる預金受け入れ業務保護預かり業務、その他の付随業務につきまして、所要整備を行なうことといたしております。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  4. 佐々木義武

    佐々木委員長 以上で両案の趣旨説明は終わりました。  次に、両案について補足説明を聴取いたします。内村農林経済局長
  5. 内村良英

    内村(良)政府委員 農林水産業協同組合貯金保険法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  この法律案提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  第一に、農水産業協同組合貯金保険機構についてでありますが、この関係では、まず、機構資本金政府及び農林中央金庫その他の政府以外の者が出資することといたしており、政府出資につきましては、四十八年度予算におきまして七千五百万円を計上しております。政府出資いたしますのは、この制度貯金者保護及び信用秩序の維持というきわめて公共性の強い目的を有するものであり、この目的達成のために設立される農水産業協同組合貯金保険機構出資することは、政府の姿勢として望ましいと考えられるからであります。また、政府以外の出資団体といたしましては、農林中央金庫日本銀行及び信連等系統金融機関を予定しており、これらの者から政府出資と同額の出資を募ることにより、機構資本金を総額で三億円とすることを予定いたしております。  次に、機構設立につきましては、農業または水産業及び金融に関して専門的な知識経験を有する者七人以上が発起人となり、定款を作成して、主務大臣認可を受け、設立の登記をすることにより成立することといたしております。  この機構組織につきましては、できるだけ簡素にするとともに、系統金融機関自主性を尊重する趣旨から、役員は、理事長理事及び監事のいずれも一人ずつと少数にとどめ、別に農協漁協等系統団体代表者七人以上並びに理事長及び理事をもって構成する運営委員会を設け、これに定款の変更、予算決算等機構運営に関する重要事項を決定する権限を与えることとしております。  また、機構は、保険金支払いについて必要があるときは、主務大臣認可を受けて政令で定める額の範囲内で農林中央金庫または日本銀行から資金借り入れをすることができることとしておりますが、これは、事故率について経験的な資料に乏しいこともあり、一時的な資金不足が生ずるおそれもあることを配慮したものであります。  なお、この借り入れ金限度額につきましては、政令で百億円と定める予定であります。  このほか機構余裕金運用方法等につき所要規定を設けております。  第二に、貯金保険保険関係についてであります。  まず、この保険制度による保険関係は、農協漁協及び水産加工業協同組合貯金等受け入れ事業を行ない、これにかかわる債務を負うことにより当然に成立することとしております。  次に、この保険関係に基づく保険事故は、組合貯金等払い戻し停止解散議決破産宣告解散命令等としており、これらの事故があったときは、機構が各貯金者等にその請求に基づいて当然に保険金支払いをすることを原則としております。ただ、これらの事故のうち、貯金等払い戻し停止につきましては、当該組合系統団体の支援または自主的な努力により立ち直ることも予想されるため、例外として、一定期間内に機構がその運営委員会議決を経て、支払いを行なう旨を決定することを条件として保険金支払いを行なうこととしております。  また、これらの保険事故の発生に伴い機構から貯金者等に支払われる保険金の額は、各貯金者等ごとにその貯金及び定期積み金の元本の額を合算した額としておりますが、この制度一般大衆貯金者保護という目的にかんがみ、一定限度額を設定することとしており、この限度額につきましては、政令預金保険制度と同様百万円と定めることを予定しております。  さらに、保険料の額は、農協漁協等が、毎年、その年の三月末日貯金等残高機構運営委員会議決を経、主務大臣認可を受けて定める保険料率を乗じて計算した額とし、この保険料組合が毎年六月末までに機構に納付することといたしております。  その他、この制度の適正な運営を確保するため、罰則その他所要規定を設けております。  以上であります。  次に、農林中央金庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  まず、第一に総則の規定整備についてであります。  その一は、農林中央金庫業務の代理を行なわせることができる機関として農業協同組合漁業協同組合等を追加することであります。これは、主として今回農林中央金庫から農林水産業を営む者に対し直接貸し付けの道を開くこととしたことに関連して、その貸し付けに関する業務の一部を単位組合に代理させることが必要かつ適切であると考えたことによるものであります。  その二は、資本金に関する規定整備であります。農林中央金庫資本金は、当初三千万円で発足しましたが、現在は百億円となっておりますので法の規定を現状に合わせるとともに、すでに過去のものとなっている規定を削除することとしております。  その三は、出資資格者に関する規定について、産業組合等すでに法制上存在しない法人について整理することであります。  第二に、補欠役員任期規定であります。副理事長及び理事任命につきましては、提案理由において申し述べましたように、出資者総会同意を要することとしましたが、この同意を得る手続の関係から見まして極力役員任期をそろえることが望ましいと考えられますので、新たに補欠役員任期前任者残任期間とすることとしたのであります。  第三に、法第十三条の業務規定改正についてであります。  その一は、為替業務拡充についてであります。農林中央金庫は、現在所属団体のためにのみ内国為替業務を営むことができるのでありますが、所属団体及びその構成員経済活動範囲拡大等に伴い、為替取引を他の金融機関とも提携し、今後一そう活用する必要に迫られております。しかるに、現在のように、相手方法律上限定されていますと、今後為替取引業務合理化をはかる上で障害となると思われますので、今回この限定を削ることとしたのであります。また、近年、所属団体やいわゆる協同会社が飼料の輸入等農水産物の輸出入に積極的に取り組んでおりますが、これに必要な外国為替業務についても農林中央金庫において行なえることとしたのであります。  その二は、預金受け入れ範囲拡大であります。現在、農林中央金庫預金受け入れのできる相手方として、貸し付け相手方為替取引相手方法律規定されていないのでありますが、現実金融業務におきまして、これら取引相手方取引上必要な資金を一時的に預かることは必要かつ不可欠でありますので、法律上これができる旨を明定し、あわせて農林債券応募者等からも預金受け入れができることとしたのであります。  その他、金融機関一般に行なっております保護預かり業務につきましても取引上必要とされる範囲拡充し、また、所属団体やいわゆる協同会社のために出資または株式の払い込み金受け入れが行なえることとする等、業務権能拡充をはかることとしております。  第四は、新たに第十四条ノ三として、貸し付けに関する規定を設けたことであります。農林中央金庫は、これまで、第十三条及び第十四条の規定による所属団体に対する貸し付けのほか、第十五条及び第十五条ノ二の規定により、業務上の余裕金運用として出資資格団体施設法人関連産業法人及び金融機関貸し付けを行なってまいりましたが、今回さらに農林水産業を営む者への直接貸し付け農山漁村産業基盤または生活環境整備事業を行なう地方公共団体等への貸し付け等貸し付け範囲拡大をはかることといたしております。なお、これらの貸し付けは、従来の第十五条及び第十五条ノ二に規定されている貸し付けとあわせて業務として明確に規定することとしたものでありますが、この規定による業務が、第十三条及び第十四条の規定による本来の業務遂行を妨げてならないことは当然であります。  第十四ノ三の規定におきましては、第一号では出資資格団体及び農林水産業を営む者で命令で定めるものに対し、貸し付け等ができることとしております。同条第二号では主務大臣認可を受けて貸し付け等ができる対象として、施設法人及び関連産業法人のほか、農山漁村産業基盤または生活環境整備事業を行なう地方公共団体その他の法人及び経済会社発展をはかる見地から農林中央金庫貸し付けを行なうことが適切と認められる法人であって命令で定めるものを規定しております。同条第三号は、金融機関に対する貸し付けでありまして従来から行なっているものであります。同条第四号は、新たに、農林債券所有者当該債券を担保とする短期貸し付けができることとしたものでありますが、これは、他の債券発行金融機関がすでに行なっているものであります。  第五に、付随業務が行なえる旨を規定したことであります。農林中央金庫は、これまでは付随業務に関する規定がなかったため、業務に付随して当然必要となる業務につきましても法的根拠がなく著しく制約されておりました。他の金融機関の場合、おおむねそれぞれの根拠法におきまして付随業務を行なえる旨の規定がございますので、これらとの均衡からも、付随業務を営める旨を明定することとしたのであります。  その他、関係法律改正等所要規定整備を行なうことといたしております。  以上をもちまして農林中央金庫法の一部を改正する法律案提案理由補足説明を終わります。
  6. 佐々木義武

    佐々木委員長 以上で両案の補足説明は終わりました。     —————————————
  7. 佐々木義武

    佐々木委員長 ただいま議題となっております両案の外、農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案議題とし、三案を一括して質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。湊徹郎君。
  8. 湊徹郎

    湊委員 農業金融の問題に関しまして、こまかい質問に入ります前に、基本的な考え方について大臣からお伺いをしたいと思います。大臣、所用がおありのようでありますから、濃縮をしてポイントをお聞きしたいと思いますので、的確な御答弁をお願いいたします。  第一番目には、農業金融全体について、私は実際の農業金融を進める上で五つの原則があると心得ております。ただいまからそれを申し上げますので、それに対する大臣の所見をお尋ねしたいのであります。  第一番目には、農民の金は農民に還元する、あるいは農業の金は農業へ、農村の金は農村へと言いかえてもけっこうなんでありますが、そういう流れを確実にしていくことが農業金融政策上最大の課題であろうと思います。と申しますのは、実際問題として流れ、いわゆる農業金融の還流が今日完全に行なわれていないからであります。たとえて申しますならば、農協預金はまさに郵便貯金に匹敵する約十兆円という巨額の貯金を預かりながら、約四割が余裕金というふうな形で所属団体ないし系統外運用されておるという現実があります。また、一般的な金融緩和の傾向を反映して、一般金融機関においてはかなり合理化効率化が進んでおるわけでありますが、最近農協金利体系、これがまさに市中金融機関と逆転をしておるという現象が著しい。簡単に言えばコスト高になっておる。したがって、基準金利も上がらざるを得ない、したがって、それがなかなか農家にうまく還元されていかない、こういう事情があるからであります。ただいま申し上げたのが第一番目の点であります。  第二番目に申し上げたいのは、最近の諸情勢を踏まえて、農政全体の大きな方向が変わっております。当然金融も、政策手段の一つといたしまして、財政とともに農業政策遂行目的を果たさなくてはなりません。その場合に、はたして今日の農政そのもの目的に沿うような金融が行なわれておるか、こういうことを考えてみますと、必ずしもそういっていない面がたくさんあるように思います。一例を近代化資金にとりますならば、ほとんど単協の窓口にまかせてという形になっております結果、現実には現在でも二百万円が貸し付け限度になっておるわけでありますが、実際は、たとえばバインダーが流行すればバインダーに、あるいは田植え機が流行すれば田植え機にという、かなり少額の、しかも右へならえ式の融資がほとんどでございまして、そこに政策性といいますか、今日のたとえば大規模経営を育成するという大きな眼目に照らして、実際の近代化資金がそういう政策目的にはたしてかなっているかどうか、非常に疑問なきを得ないわけであります。また、農業とは直接関係ありませんが、林地取得資金なんというのも、取得後三ヘクタールに至るまでは三分五厘の低利の金を貸すということに、これは公庫資金でありますが、なっております、取得後三ヘクタールというのは、農業でさえも、普通もし稲作専業でやらんとするならば、他産業に匹敵するような所得をあげるためには四ないし五ヘクタール程度が必要であるといわれておる昨今、林地において三ヘクタールなんということではたして林政の目的にかなうような金融と言えるかどうか、はなはだ疑問なきを得ない。したがって、農政の大きな方向に沿うた金融改善をしていく、そういう必要があるわけであります。  三番目には、いま農業金融と一口に申します中にもいろいろなものがあります。大きく申しますと三つでございましょう。一つは政府財投を背景にいたしますところの農林漁業金融公庫資金、もう一つは系統資金を原資にして利子補給によって運用いたしております近代化資金、もう一つはプロパーの系統資金、そのほかに最近府県において約二百種類にのぼる県単近代化資金的な制度金融が実は行なわれております。また共済積み立て金を原資にし、あるいは農業者年金を原資にする融資もだんだんとその量を増してまいっております。そのほか系統内部で一種の制度金融的なものを設けておる例もたくさんございます。これはいずれも最近の農業情勢変化に対応するわけでございますが、それらの諸金融ないしは一種の広い意味の制度金融の中で、はたして完全な分野調整が行なわれておるかどうかということになると、かなり競合している面や何かもたくさんあるわけであります。そこら辺の農業金融内部における分野調整、これをどう考えるかということが大きな金融の課題であると考えております。  それから四番目には、昨今の内外の情勢は急激な変化をいたしております。先ほど農林中央金庫法提案理由の中でもお話がございましたように、いまや国際的な農業の観点から、ないし国際農業とのかね合いから、かなり横の広がりを増していかなければならない面もあります。また、従来流通、加工、消費の段階については、どちらかというと消極的でございました。これなんかも実際に農家の所得を確保するという見地からするならば、相当ウエートを置いてしかるべき分野であり、特に流通、消費段階の立ちおくれが農家所得の減少につながっておるということは、これは現実の姿であります。また、ひとり農業の生産の面のみならず、農村におけ、る生活環境全分野にわたって、まさに農業金融というよりは農村金融といっていいような分野にこれから大いに系統も努力を願わなければならない時点であると考えております。そういう新しい情勢変化にどう対応していくかということが、第四番目に金融にとって大事な問題であろうと思っております。  五番目には、そういう金融が円滑に行なわれ、そしてまた合理的に効率的に行なわれるために、現在の組織の問題に関連をしたり、農協の行なっているほかの事業分野との関係も出てまいりますけれども、そういう円滑な、そして効率的な金融にしていくために幾多の問題があります。たとえば預金の一厘高の問題もございましょう。それから直接経費が一般金融機関よりも高くついておるという現実もございます。その結果として、先ほど申し上げたように、コスト全体が高くなる。それに三段階制という農協組織の流れを通じて中金段階まで来ると、もう資金コストが七分を上回る。そこへいって、銀行や何かが七分を割るような金利で貸すような現象が出てくると、自然資金は農林中金に滞留してそれが有効に生きていかない、こういうような点もございます。以上のことが第五番目。  以上五つの原則が今回の改正を貫く基本的な考え方でなければならないと私は思いますし、農林当局もそういうお考えのもとに各種の金融に関連する諸法案改正に踏み切ったものと理解をいたしておりますが、それに対する農林大臣の率直な所見をお伺いしたいと思います。
  9. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御意見を交えての御質問でございまして、御所見の点ではたいへん参考になるところがございました。  私は現在の農業をより生産性の高い、能率のよい農業に育ててまいりまして、そして国民の必要な食料を安定的に供給をしていく、同時にまた農村自体の福祉向上を考えていかなければならない、こういう大きな原則にあるわけであります。その原則に基づいての補助金による助成、それからいま問題になっておる金融政策をどのように持っていくか、この金融による面、これは非常に大きな面があると思うのでございます。  従来制度資金あるいは系統資金、それぞれ一応の効果をあげてまいったと思うのでございまするが、ただいま五つの点をおあげになってのお話でございます。今回の三案、本来いうと、私どもはもう一案御提案申し上げて一緒にお考えを願うほうがよかったと思うのでありますが、現在は三案御提案を申し上げておるわけでございまするが、これらの三案の帰するところは、ただいま湊委員の御指摘になりました、第一に農民の汗の結晶の預金である。その預金が、これが十分に農民のほうに還流しておるかどうか、そこに一つの疑問を投げかけておられるわけでございまするが、また同時に、いままでの行き方だけでなく、もう少し範囲を広く考えることによって、農民の汗の結晶が農民のほうに、また農村のために寄与する、こういうことがいいのではないかということで、先ほど概略十兆の預金の四割程度しか還流されていないのではないかという御指摘でございましたが、私はこの点は今回の法改正に伴う少し範囲を大きくした視野の中で、お話しのように、農民に、農村に還流するようつとめたい、このように考えるような次第でございます。  それから第二番目の御指摘でございますが、単協だけで要望にこたえていくということにはなかなか限度があるのではないか。そういうことで、もっと系統資金全体として考えて、単協ではできないがしかし上部金融機関である農林中金のほうで補完をする、こういうことで所要資金をも。と潤沢にお世話をする方法を講じてはいかがか、かように思うわけでございます。  それから、分野調整のお話が出ました。また、今後の金融の見通しとしての共済金やあるいは農業者年金の活用についてもお触れになったのでございますが、これは御趣旨に沿いまして、やはりあまり競合するということは好ましくないことでありますので、分野調整については今後とも検討してまいり、御意見のようにしむけていきたい、かように存ずるわけでございます。  今回の法改正の中で、これから制度資金にしても系統資金にいたしましても相当横の幅が広がってくるのではないかということでございます。すなわち、今回業務内容等につきまして拡充をしたゆえんも、御意見に沿っておることでございます。  また、農協資金コストが高いのではないか。市中銀行の場合などを考えまして、相当合理化も進んでおるというような点から考えますならば、そういう点も十分考えられますので、それぞれの機関経営合理化をいたすということとともに、できるならば合併をも促進をいたしまして、資金コストを下げて、せっかく農民の期待に沿う金融である以上は、系統資金もでき得る限り低利の融資の行ない得るように、あるいは条件のいい資金を提供し得るように考えていく必要があると思うのであります。  せっかくいろいろ御意見をちょうだいいたしまして、以上私の一応の考えの一端を申し上げ、お答えといたします。
  10. 湊徹郎

    湊委員 以上の前提に立って、ただいまから個別の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、第一番目には、財政と金融の果たす役割りの分担、いわゆる機能分担といいますか、それについてであります。  普通農政の場合は、一般的に一律補助政策という形がとられております。ほとんどの仕事について何%という率でもって補助率をきめて、残り分については補助残融資という形でカバーするというふうな形が一般であります。しかし、考えようによっては、たとえば公益的色彩のきわめて強い土地改良、そういうものについては、当然補助政策が中核をなして金融がそのあとを追う、こういう形が常識だと思います。しかしながら、経営がだんだん拡大されてまいりますと、一般的な施設資金ないし経営資金等に関しましては、これはむしろどちらかというと、金融がその主役を演じてしかるべき分野ではなかろうかというふうに考えておるわけであります。  その場合に、たとえば西ドイツの例等を見ますと、西ドイツ連邦政府予算の約三分の一が金融経費に充てられております。これは直接貸しもありますし、利子補給に回されるものもございます。ところが、日本の場合は、総予算の中で金融経費の占めるウエートというのは、たぶん三%前後じゃなかろうかと思います。  そういう点で、もう少し金融機能を政策的にも強化していく必要があるし、それから、農家自体の自発的な発意によって営農計画が進められるということを前提に考えますならば、農家自身の経営プランが先行してそれに対して系統融資でもってまかなうべきものはまかなう、それでもって、採算の上でなかなか容易でないという面については、補給金利のついたあるいは財投を原資にする制度金融でカバーをする、それでなおかつ帳じりの合わない部分あるいは奨励措置を講ずる必要のある部分については、補助金によってこれをカバーしていく。そういうふうな、私のことばをもってすれば、金主財従、いままでは財主金従で、財政が常に主戦投手をつとめて、金融があとをついて回るという形であったのでありますが、ものによっては、さっき申すような個別経営内容等については、むしろ逆に金融を主にして、財政をあとにするといいますか、そういう形もあっていいんではないか。ところが、今日の農林予算の中にはほとんどそういう発想がないということは、農家自身のこれからの行き方のためにも、また農林省自身が、政府自身がいままで基本農政ということで農業基本法以来示してまいりました自立農家の育成、協業の助長という大眼目から考えても、ちょっと金融に対して、大事だ大事だとは言いながら、現実にどういうふうにするかということについての配慮をいささか欠いておるのではないかというふうな気がいたしますが、そこら辺についてのお考えはどうですか。
  11. 内村良英

    内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま湊先生から非常に重要な問題について御指摘があったわけでございます。申し上げるまでもなく、財政支出、すなわち、現実的には補助金が多いわけでありますが、それと金融に対するいろいろな補助というようなものが今日農政の大きな柱、もちろんそれ以外に価格政策が大きな柱としてあるわけでございますが、生産面、経営面から見れば、そういった補助金と金融が大きな柱になっているわけでございます。  そこで、現在までの考え方といたしましては、いわゆる農業の生産の基盤整備あるいは構造改善というようなものは個別農家の手に負えないものでございますから、こういったものにつきましては、やはり土地改良その他補助金を中心としてやる、その場合に補助残融資ということで、融資についてさらに補助をするというようなことで、基盤整備の面につきましては補助金及び制度金融、特に公庫資金というものを中心として考えるというたてまえになっております。  それから、中期の資金になりますと、これは近代化資金でカバーされているわけでございまして、短期の運転資金その他農家の必要とする住宅その他の直接生産とは関係のない面の長期資金というものは、系統資金によってまかなわれているという体系になっているわけでございます。  その場合に、ただいま湊先生からの御指摘では、西ドイツ等に比べれば、日本の場合金融面についての補助が非常に少ないじゃないかというお話でございます。その点につきましてはそのとおりだと思います。ただ、私どもから申し上げますと、その場合に考えなければならないことは、日本の農業あるいはドイツの農業、それぞれの農業のおい立ちなり社会環境その他全部違うわけでございますから、そうした面もよく考えながら今後政策の展開をはかっていく必要があるのじゃないか。  ただ、その場合におきまして、先生御指摘のとおり、これから個別経営の育成あるいは集団的生産組織の育成というようなことを考えた場合に、金融が主ではないかという御意見でございますが、私どもといたしましても、そういった点につきましては今後慎重に検討しなければならぬ問題がたくさんある。筋といたしましてはやはりそういった方向でいくべきではないかというふうに考えているわけでございます。
  12. 湊徹郎

    湊委員 昨年農政審議会が約一年余の日数を費やして検討した結果、系統金融いかにあるべきかというふうな問題について答申を出したわけであります。  そのポイントは四つあって、一つは、いわゆる大規模経営、これについてどういうふうに対応するか。二番目には、農外要因が最近ふえて、特に農協貯金等を見ても六割が土地売り代金であるとか兼業収入であるとかいうことで、本来の農業所得を原資とする貯金が半分以下に下がってしまっておる、こういう農外要因の拡大に対してどう対応するか。三番目には、さっきも申し上げましたけれども、一般経済界の変化に伴って当然系統金融経営体制というものを見直さなければいけない。それに対してどういうふうにこたえていくか。四番目には、系統金融組織そのものにおける機能の変化、これにどう対応していくか。  こういう四つの問題点を中心に答申が行なわれておるわけでありますが、今度の提案された改正法及びこれからまだ未提案ではありますが、関連して農協法の改正等において、ただいまの答申がどの程度生かされ、今後取り残されておる問題はどういう問題があるのか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  13. 内村良英

    内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  まず第一に、農政審議会の報告の中で指摘のございました農政の推進上、大規模経営や協業等の集団的生産組織の育成について系統金融はいかに対応するかという問題でございます。  この問題につきましては、御指摘のとおり、大規模経営資金需要の大口化あるいは多様化に伴いまして、農業系統金融において十分な資金供給が行なわれるよう今回の改正におきまして近代化資金貸し付け限度の引き上げ、信用補完制度拡充農林中央金庫による農業者等への直接貸し付け等の措置を講じているわけでございます。  第二に、近年農協系統信用事業の伸長によりまして、農協系統全体として系統内部の資金需要を満たしてもなお相当の資金があるではないか。この資金の有効適切な活用の方途を開くのにはどうしたらいいかという点でございますが、この点につきましては、中金、系統含めまして、農業者の生産及び生活の場である農村地域の産業基盤または生活環境整備等にこれらの資金活用することにしているわけでございます。これは中金法の改正、今後審議されます、提案になります農協法の中にも法律上そういった規定改正があるわけでございます。  等三に、農林中央金庫も含め農協系統組織が、その構成員経済活動拡大及び多様化に対応しつつ十全な信用事業を営むため、信用秩序の維持と金融業務機能の拡充をはかるという点が問題になっているわけでございますが、それらの点につきましても預金保険制度というものを信用秩序の維持ということで今般提案したわけでございますし、金融業務の機能の拡充につきましても中金法及び農協法の改正の中でそういった点に十分なる措置をとっておるわけでございます。  最後の第四点の問題といたしまして、そういったことで系統金融組織における機能の変化とそれへの対応ということで、大体現在やり得る範囲のことはやったわけでございますが、先ほど湊先生の最初の御質問にございましたように、系統組織あり方、すなわちこのように農家経済自体が変わってくる、あるいは農家金融をめぐる諸条件が変わってきた中において、いまの組織あり方自体がこのままでいいかという問題がございます。私どももこれは今後の農政農業あるいは農民生活に非常に重大な影響を及ぼす問題でございますし、系統組織自体にとって重要な問題であることは申し上げるまでもないわけでございます。  したがいまして、こういった点につきましては、今回何ら触れておりませんけれども、農林省といたしましては四十八年度に農協組織問題あるいは農協の持っているいろいろな問題を検討する検討会を設けることにしておりまして、そこで予算措置等も講じております。そういった問題はそういった場で相当の時間をかけて検討すべき問題だというふうに考えておるわけでございます。
  14. 湊徹郎

    湊委員 ただいま、今後に残された大きな問題として、現在の情勢変化に対応していくために系統農協組織そのものについて考え直す点が非常に多いというふうなお話でありましたが、農協自体はもちろんこれは自主的、民主的な団体でありますから、行政指導なり立法等によって直に指導するというよりも、むしろ系統内部からのいろいろな議論を吸い上げながらやっていかれるようにお願いをしたいと思うのでありますが、ただ、問題として、この数年前は非常に一般金融が締まりぎみであった。あの当時、資金が足りない、したがって、外部のほうからは系統のほうに実は資金需要が殺到したという時期があって、コール市場やなんかも満ぱい。そこで大型単協はもちろんのこと、信連等もほとんど金をそっちのほうに回してしまって、コール市場は全く何といいますか、戦国時代のような状態を呈した時期がございました。その当時は頂点にある中金の金庫がからっぽで、農林債券の発行等によってかろうじてまかないをつけるということ。ところが、昨今は事態が全く逆転をして、みんな下から上へと預金が上がってきて、中金自体おそらく三兆円くらい余裕金をかかえ込んで、実際の使い道に困り果てておる、ことばは不適当かもしれませんが、現実に困り果てておるというふうな状況ではなかろうかと思います。  そういうことになってまいりますと、早晩単協の場合も、米の生産調整が進んでいきますと、だんだんと保管料、手数料、これが減ってまいります。また金融のうまみが失われてくれば、金利収入が減ります。金融と販売によってささえられてきているというのがいまの農協の姿でありますから、現在のような姿であれば、当然はしごをとられたようなかっこうになるおそれなしとしないわけであります。  そこで、いろいろ風穴をあけるといいますか、直貸し制度を設けたり、あるいは守備範囲を横に広げてみたり、いろいろなくふうを今回、簡単に言えば、しているように思いますが、しかし、こういう情勢というものがいつまでも続くものというふうにお考えでしょうか。それともいま申しましたような窮余の策というふうなことが先立って今度の改正が行なわれたのでしょうか。そこら辺どうなんですか。
  15. 内村良英

    内村(良)政府委員 まず最初に、金融情勢が非常に変わってきたという御指摘があったわけでございます。そこで、金融情勢の変転と申しますか、動きと申しますか、これはかなり他のいろいろな経済的な要因もございますので、今後相当変わるという可能性があるのではないか。すなわち、現在までのところは金融が非常にゆるんでいるわけでございますが、最近また預金金利の引き上げ等が問題になっているというようなことから、金融が少し締まってくるのではないかというようなことで、金融情勢自体については相当な動きがございます。  そこで、今般の改正がそういったことを背景にして改正が行なわれたのではないかという御質問だと思いますが、私どもは単に金融情勢の変転だけによって今般の改正措置をとったわけではございません。御承知のとおり、農業の基盤というものが非常に変わってきているわけでございます。御承知のとおり、いま兼業収入が非常にふえている、あるいは土地代金がふえているということは現実でございます。したがいまして、そういった現実を踏んまえた中で、そういった金がだんだん系統に集まってくる、それを活用するためにどうしたらいいかということになりますと、それは単に農業だけではなしに、農村環境整備あるいは産業基盤整備というようなことにも使うべきではないか。これは現在、日本の各分野におきまして、そういった社会資本の拡充というような点に非常に力が入れられておりますので、農協自体がそういった面にいろいろ力を入れていくということは必ずしも悪いことではない。もちろん農協農民の職能組合でございますから、そこにはおのずから限度があるわけでございますが、最近のいろいろな農家及び農業経済の動向が変わってきているということを考えれば、当然そういった面に農業金融自体の機能も拡充しているのじゃないか。さらに今後、大型の農家の育成あるいは集団的生産組織の育成というようなことを考えた場合には、先ほど申し上げましたけれども、いろいろ貸し付け限度の引き上げあるいは中金等から直貸する。農業生産力の拡充にはもちろん大きく力を入れなければならぬわけでございますが、単に最近の金融の動向からこのような改正が行なわれたというものではございません。
  16. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 関連して質問をいたしますが、いま中金等の員外貸し付け等拡大しよう、農協等の員外貸し付けもやろうということでございますが、いま非常に商品投機とか土地買い占めということが騒ぎになっております。私は最近聞いたことなんですが、ある都市農協が、自分の、準組合員か何か知りませんけれども、管内の業者に金を貸して、何億という金で、その金を持ってきて栃木県とか福島県とか土地の買い占めをやっておる、こういうような話があるわけであります。  実際問題として、都市農協は、農業施策に金を使えといったってなかなか使う場所はないし、中金のほうでもってその気になるとしても、中金のほうはともかく金がだぶついているから、なるべく農協自体が使ってくれということのいまの状況であります。預金は扱わなければならぬ、金はだぶついている、何かしなければならぬということで、それが業者に渡って、業者が農協の金で農民の首を締めるようなことが行なわれておるという話であります。こういう実態について、一体農林省はどういうふうに考えておるか。このままでいいと思っているか、それとも何とか都市農協等が生きる道を考えてやらなければこれはやまないのでありますが、どういうふうにお考えになっておるか、承りたいのであります。
  17. 内村良英

    内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございましたように、農協が準組合員あるいは信連の場合は孫会員と申しまして、会員の組合員でございますが、それに相当大口の貸し付けをしているということは、私どものやっております信連等の監査でも事態を把握しております。そのこと自体は必ずしも違法行為であるということが法律上いえるかどうかは問題がございますが、いずれにいたしましても、あまり好ましいことではないわけでございます。そこで、そういった事態を見つけました場合には、私どもといたしましては、検査でそれを指摘し、改善措置をとるように命じでおります。  そこで、ただいま先生から具体的にお話のございましたケースについては、私ども、最近の土地投機というものでどれくらいの金が動いておるかということを現段階では必ずしも正確に把握しておりませんけれども、いずれにいたしましても、土地買い占めあるいは買いあさり等の投機的な土地取得農協系統金融が関与するということは問題だと思いますので、二月二十三日付けで、土地取得関連融資の抑制についてという通達を出しまして、そういった融資については届け出制をとるということをやっております。  私どものいろいろ資金繰り等を見ているところでは、農林中金に関する限りは、あまり土地取得的な面に融資が出ているということはないのではないか。信連は御承知のとおり四十六もございまして、一ぺんに監査もなかなかできないものでございますから、私どもといたしましては、遺憾のないようにして指導したいというふうに考えているわけでございます。
  18. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 農林省は、土地買い占めについては通達を出して、そういうところには金はあまり貸すなということをやっておるというのであります。そのとおりだと思いますが、信連、特に農林中金は直接農林省が監督をしておるわけでありますが、農林中金は債券を買うことができることになっておる。ところが、直接金を貸してくれないので、ある人が大手の一流会社のところへ行って、担保を入れて、そこの持っておるいろいろな債券を借りてきて、中金に買い戻し条件づきで売って、その金で土地買い占めをやっておるわけです。これは帳簿づらからはわからないですな。帳簿ではとにかく債券を中金が買っているのですから、中金は金を貸している。しかも買い戻し条件づきだから、ある期間がたってそれをまた買い取ればいい。実際は融資になる。こういうようなことが私の耳に入っておるんだが、そういうことは実際ないかどうか。農林省は片りんもそういうことは考えられない、こう思うかどうか。あるいは、そういうことがあるとすれば、結論は、結局、いろいろ中金に都市農協からたくさんの金が流れ込んでおる。特に横浜の何とか農協とかどこ農協とか、練馬あたりとか、五百億とか六百億とかという膨大な預金を持っておって、農業関係で使えと言ったって使い切れないんだ、これは実際に。何らかの措置をしてやらなければ、もうそういうことは苦しまぎれにやらざるを得ない。やらざるを得ないように農林省はしておくんだから、苦しまぎれにやらなくてもいいように、何か方法を考えなければならぬと思うが、そういう実態を少しも知らないか。それとも、苦しまぎれにやっているとすれば何かほかに方法がないか。何か知恵を考えているかどうか、ひとつこの際承りたいと思います。
  19. 内村良英

    内村(良)政府委員 農林中央金庫余裕金運用につきましては、法令上相当な規制があり、私どもも一々の融資につきまして、ものによっては個別認可をしておるということもございますので、私は、ただいま渡辺先生の御指摘があったようなことは、中金についてはないのではないかというように思っております。  それから、都市農協の問題でございます。これは農協農民の職能組合でありながら、実際はほとんどその辺の人たちの組合員が農業をやめてしまって、土地代金等がどんどん入ってくるというようなことで相当な預金を持ち、農業投資がほとんどないという組合が相当数ございます。この都市農協あり方というものは、今後農協系統組織あり方として非常に大きな問題で、私どもといたしましても、いまのままで組織上放置をしておいていいというふうには考えておりません。したがいまして、先ほど申し上げましたけれども、この都市農協の問題につきましても、今後農協組織検討会で十分検討して、何らかの道を見つけていかなければならぬ深刻な問題だというふうに考えております。
  20. 渡辺美智雄

    ○渡辺(美)委員 これで終わりますが、買い戻し条件づきの債券は一切買っていないかどうか。それからもう一つは、農林省、もう少してきぱき答弁できるように、次のチャンスまでお待ちをいたしますから、勉強をしておいてください。終わり。
  21. 湊徹郎

    湊委員 制度金融には、大分けにして、先ほど申しましたように、公庫資金それから近代化資金があるわけでありますが、今般、近代化資金については、基準金利の引き下げに見合う貸し出し金利の引き下げをやり、あるいは貸し付け限度額の改善を行なったわけであり、同時に公庫資金等についても、融資条件のさまざまの改善のあとについては大いにこれを多といたしますが、この両資金の問題に実際上、さっき言いましたように、重複した貸し出しがかなり実はあるわけであります。漁船資金なんというものはその最たるものでありますが、それと同時に、さっき申しましたように、府県段階で、多い県では十三から十四ぐらいの単独の近代化資金類似の制度金融をやっておるところもあって、農家のほうからすれば、一体どの金をどういうふうに借りたらいいのか、この金はどういう性格の金であるのか、判断に迷っておる点があるわけであります。その辺、この金利に対する考え方が一つ。二つには、両方の重複といいますか、それをどういうふうに立て分けをつけていくかということが二つ。三つ目には、さっき申しますように、借りる農家の側から考えて、もう少し懇切丁寧にそこら辺は整理してあげる必要があるんじゃないかと思いますが、それについての考え方が三つ。以上簡潔に御答弁をお願いします。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  22. 内村良英

    内村(良)政府委員 農林公庫資金は、申し上げるまでもなく、長期、低利な資金でございまして、一般金融機関が融資するのに困難ではあるけれども、まあ政策的に非常に必要だというものを融資するのが農林公庫資金目的でございまして、融資分野も、先ほども申し上げましたけれども、基盤整備とかあるいは経営構造改善等が主になるわけでございます。一方農業近代化資金は、中期の資金をカバーいたしまして、農業者等の資本装備の高度化及び近代化のための資金を供給するわけでございます。ただ、現実問題として、ただいま湊先生から御指摘がございましたが、若干ものによっては公庫資金近代化資金あるいは県の資金がダブル面が全然ないわけではございません。したがいまして、こういった面につきましては、逐次今後の金融制度整備という過程を通じて、ある程度調整していかなければならぬような面もございますけれども、現在それによってそれほど大きく困るというようなところまでは事態はなっていないというふうに考えております。  なお、借りるほうから見て、いまの農業金融制度は非常に複雑でわかりにくい、これをもっと簡素化、合理化をやるべきであるという御指摘でございますが、このことは私どもも、現実に農家の方あるいは農協の方々から常に指摘されている問題でございます。もちろん農協の専門家になりますと、その辺のところはよくわかっておりまして、まあ自分としてはこの資金がいいということで農民にそれを推薦してやっているのだということを言う人もおりますけれども、いずれにいたしましても、非常にわかりにくい面もあるということでございますので、今後これの簡素化、合理化につきましては、私どもとしても一生懸命努力しなければならぬというふうに考えておりますけれども、いずれにいたしましても、こういった資金が一々できました成り立ち、おい立ちがございますので、その辺のところを十分考えながら整理していかなければならないのじゃないかというふうに考えております。
  23. 湊徹郎

    湊委員 それから、さっきのお話のように、土地改良資金その他公的な政策的な色彩の強いものはこれは公庫資金である、また個別の経営資金近代化資金である。大まかな守備簡囲というものはそれでよくわかるのでありますが、たとえて申しますと総合施設資金、これは現在農林金融公庫の目玉商品であります。非常に資金需要も多いし、また農家からも喜ばれておる制度、これなんかは本来ならば系統金融でまかなってしかるべきものであると思うのですが、現在の系統にはそれを——あれは貸し付け限度たしか二千四百万円だと思いますが、そういう大口の資金需要に対する体制がない。しかし、今度の中金法の改正によって直貸し制度等が設けられれば、当然そういう個別経営にかかわる資金などは、これは公庫でやらないで系統のほうにおはちを回してしかるべきではないか、こう思いますが、そういうお気持ちはありますか。
  24. 内村良英

    内村(良)政府委員 総合資金が現在公庫資金の中に入っているわけでございますが、これは資金の性質から見て系統金融でまかなうべきじゃないか、金利等の関係から見ても近代化資金の中に入れたらどうかという御質問でございますけれども、現在のところそれは考えておりません。  と申しますのは、湊先生よく御存じのとおり、単協貸し付けに対する考え方、これが私どもといたしましては組合金融をやっていく場合の非常に大きな問題だと思っているわけでございます。と申しますのは、やはり協同組合でございますから、みんなから預金を集めて、それを貸し付け運用して利益を出して、組合員にそれを利益配当していくというのが協同組合でございます。そこで、ある農家が、非常に若い人がやっておる。ここの農家に非常にたくさんの投資をすれば必ずすばらしい経営になるということがわかっておりましても、みんなから集めた金を一農家に、総合資金の特認は二千四百万円でございますけれども、それを出すというようなことはなかなかできないというような問題もございまして、現在のところではやはり公庫資金の中の総合資金としてやったほうがいいんじゃないか。  ただ、将来の問題といたしましては、そういった農協の融資態度と申しますか、新貸し付けについての考え方というものを逐次変えていくと申しますか、それにはもちろん制度的な、あるいは改良普及員その他を増員いたしまして経営の計画を見るとか、いろいろなきめのこまかい措置は必要だと思いますが、そういった点についても逐次変えていかないとなかなか問題が解決しないんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  25. 湊徹郎

    湊委員 将来の問題として、系統内部に体制が逐次整ってきて、単協自体の現在の平等貸しというふうなものの考え方ではとても大口需要には対応できないけれども、しかし、信連ないし中金がだんだんと直貸し等をうまく運用して、かなり大口の資金需要にこたえ得る体制ができれば、将来は移してもいい、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  26. 内村良英

    内村(良)政府委員 今後の大きな検討課題だというふうに考えております。
  27. 湊徹郎

    湊委員 次に、保証の問題でありますが、これはいろいろな農業資金について非常に担保の徴求がきびしいというふうな声を農家からもお聞きをするし、また保証や何かの手続等についてもいろいろな問題があるわけでありますが、今回提案されておりますこの農業信用保証保険制度、これも単協段階の実態を見てみますと、実は単協が一括して扱っておるために、金利の一部という受けとめ方をされておるところが大半であります。特に、保証してあげたから金が出たんだというような感じじゃなくて、一緒に保証料まで含めて金利として、ちょうど健康保険税と税金を一緒にしたような受けとめ方でおる農家の人が非常に多いわけであります。  そこで第一番目には、この担保の徴求について、これは本来系統金融というのは、対人信用が原則であると私は思います。対人信用の原則ということで、村の中で大体顔を見れば、こいつはもうだいじょうぶだというようなのはある程度実はわかるわけでありますから、その担保の制度とあわせて保証制度、それについてひとつ農林省の考え方をお聞きしたいと思います。
  28. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいま単協貸し付けの場合の担保の徴求についての問題が出たわけでございますけれども、確かに単協が融資をいたします場合に、相当強く担保の徴求をしている面があるようでございます。私どもの調べでは、物的担保をとっているのは大体一割ちょっとで、あとは保証人を八割くらいは必ずとっておるということをやっております。これは金融でございますから、完全に無担保、無保証というわけにはいかない面もあるわけでございますけれども、近代化資金、今度の改正一般資金につきましても保証制度保険制度拡充されるわけでございますから、私どもといたしましては、そういった制度がある以上、あまり担保の徴求をきびしくやらぬで融資をするように指導したいというふうに考えております。
  29. 湊徹郎

    湊委員 次に、近代化資金でありますが、さっき大臣に一番最初お尋ねしたとき申し上げましたように、貸し出しの平均残高は五十万足らず、たしか四十八万ぐらいになっておったんじゃないかと思います。ということは、右へならえ融資平等貸しということが単協の窓口で行なわれる。それについて、政策性といいますか、それがほとんど加味されていないというのが現在の近代化資金運用の実態であろうと思います。  これは意見の分かれるところなんでありますが、系統原資を使うんだから、一切がっさいこれは単協まかせでいいんだという意見をお持ちの方もいらっしゃいます。また、利子補給をつけてある種の政策性を加味しているんだから、いまのような単協まかせといいますか、単協理事さんの判断だけで金が動くというシステムよりは、当然もう少し政策性を加味して、資本装備を高度化したり経営を近代化するというのが近代化資金目的なんでありますから、ほんとうにその目的に沿うような貸し出しの方法を考えるべきであるという意見があります。私は後者の意見であります。ただし、これは系統の資金でありますから、直に行政官庁が介入してどうのこうのということはよろしくないと思います。したがって、系統内部でそこら辺の筋道を立てるように、それぞれこの系統の組織のほうでリードさせるような基準か何かをやはり考える必要がある、こう思いますが、どうお考えですか。
  30. 内村良英

    内村(良)政府委員 御承知のとおり、近代化資金は、系統資金につきまして、県が利子補給を行なうものにさらに国が補助するということになっております。したがいまして、従来からも、貸し付けにつきましては必ずしもすべてのところが農協まかせというわけではなくて、県もやはり利子補給をしておるわけでございますから、県もかなりささり込んでおるところもございます。  しかし、現実運用を見ますと、農協まかせのところが多いのじゃないかという点は、あるいは御指摘のとおりかとも思いますので、私どもといたしましては、やはり行政が直接介入するというような形じゃなくて、利子補給を通じて、一方その農家の経営計画等にある程度普及員等をタッチさせながら触れていくという形で、政策金融としての態様というのは整えていかなければならないのじゃないか。ただ、行政庁があまり深く介入して、これでやらなければ貸しちゃいかぬとかどうだとかいうところまでやるのは、やはり系統資金でございますから、考えものではないかというふうに考えております。
  31. 湊徹郎

    湊委員 いまの問題に関連して、実は農業改良普及員制度がもうすでに二十年余を経過しておるわけでありますが、実際問題としては改良資金だけを事実上扱っておる。総合資金等についても、事前審査はある程度やっておるようでありますが、この機会に改良普及員制度というのを改めて、一種の経営コンサルタントみたいな考え方で、あらゆる制度資金を含めて経営のプランニングを助言するというような形にしてはどうか。たとえば、後継者資金は借りた、けれども、総合資金のほうにちっともつながりがない、改良資金は改良資金、それから総合資金は総合資金というのがいまの実態であります。せっかく国の関与するお金なんでありますから、そこら辺は体系的に——後継者は将来規模拡大するためには当然総合資金を借りる資格者のはずなんでありまして、その対象がまるきりつながりなしに動いているというのはおかしいし、いわんや近代化資金はそれをさらにカバーするわけなのでありますから、そういう資金全体を改良普及員制度の中でうまくこなしながら、いま申す政策性というものをそういう形を通じて入れていく、そういう発想はできないものか、その辺ひとつ。
  32. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、改良資金につきましては、これは普及事業と非常に結びついているわけでございますから、普及員がかなり深くタッチいたしまして、普及員のオーケーがないものは融資しないというような形になっている県もございます。そこで、今後普及員をそういった農業経営の面にどの程度タッチさせていくかという問題でございますが、これについてはやはり普及制度あり方自体と非常に密接に関連してくるわけでございます。したがいまして、金融面だけからものごとを考えるのも若干問題があると思いますので、今後の普及員制度自体の問題、普及制度自体の問題と関連しながらこの問題も考えなければならないのじゃないか。ただ、その場合に、近代化資金等の場合には、融資の主導権を普及員が握ってしまうということまで持っていくのは問題があるのじゃないかというふうに考えております。
  33. 湊徹郎

    湊委員 いまの問題は別の機会にまたこまかくお聞きをしたいと思います。  時間の関係上、農林中央金庫法についてお尋ねしたいと思いますが、今度の金庫法の改正について、これは単純に大臣の認定で延長する道もあったのですが、先ほど来話のあったような情勢に対応して、この際かなり抜本的に改正しよう、こういうことなのであります。そこで、中央金庫の基本的な性格なのですが、これは特殊法人、こういうことをいわれておりますが、改正内容からすると、かなり一般金融機関にずっと寄ってきたような感じが率直な話いたします。一方、系統内部では、全信連的な系統の全国組織として発展させたらいいじゃないか、こういう意見も実はかねがねございます。  そこで、系統金融機関の頂点に立つ、いわば全信連的な性格のものにしていくのがいいのか、あるいは一般金融機関にずっと寄っては来た、寄っては来たが、今度の改正は明らかに特殊法人、こういうことなのですが、その間に性格の変化というものはあったと考えたほうがいいのか、なかったのか、そこら辺をひとつお尋ねしたい。
  34. 内村良英

    内村(良)政府委員 申し上げるまでもなく、農林中金は、農林漁業の協同組合を通じて農林漁業者の社会的、経済的地位の向上をはかり、あわせて国民経済の発展を期するという協同組合法制を前提にしてできているわけでございます。したがいまして、中金の会員は農林水産業関係の協同組合が会員になって、それの中央の金融機関として、協同組合の連合体とは異なる広い金融業務を行なっているわけであります。これが従来からの農林中金の特殊法人としての性格であったわけでございますが、今度の改正、ややいろいろ広くはなっておりますけれども、私どもといたしましては、この中金の基本的な性格を変えるものではないというふうに考えております。
  35. 湊徹郎

    湊委員 そこで、先ほどから何回か申し上げましたように、農林中央金庫は非常に多額の余裕金をかかえておる。余裕金運用ということになれば、余り金を横にただ文字どおり運用するわけであるが、今度の改正では、それを正式の業務の中に実は入れておる、こういうことになると、歯どめなしには、余裕金運用という名のもとに、かなり広い範囲に金が出るのじゃなかろうかと御懸念なさる向きも実はあるわけであります。  そこで、実際にこの業務に踏み込むことによって、その中身が、従来の運用のやり方が変わるのか変わらないのか。チェックをするなら、どういうチェックのしかたを——現在とっておるそのままのやり方を踏襲するのか、あるいはもう少しチェックをきびしくするのか、その辺の内容をひとつ御説明願いたいと思います。
  36. 内村良英

    内村(良)政府委員 現在、農林中金の余裕金運用として一番大きなものは、関連産業に対する貸し付けでございます。この関連産業貸し付けにつきましても、今度新しい条文を設けたわけでございますけれども、私どもといたしましては、従来と同じような態度で中金の関連産業貸し付けについては監督をしていきたいというふうに考えております。その他、今般の改正によりましていわゆる環境整備と申しますか、地域開発に対する貸し付け、あるいは社会経済の発展のために必要な融資を行なうことができるという道を開いておりますけれども、これらにつきましては、法律規定にございますように、厳格に認可等の行政措置を通じて運用に誤りのないようにやりたいということを考えておりまして、貸し付け先を広げたから一般金融機関と同じようにどこへでも何ら規制なしに貸せるというような性質のものではございません。
  37. 湊徹郎

    湊委員 それから、農林債券の発行についてでありますが、現在のように金が余っている時代においては、ことさら六千億円もの農林債券を発行してそして資金調達をしなくてもいいのじゃないか、もう一ぺん農林債券の発行について検討したらどうだというふうな御意見もございますけれども、しかし、長期的に見ますと、たとえば自主流通米等がどんどんふえてくれば、これは当然それをまかなわなければいかぬ、また、将来の長期固定投資がいろいろな農村環境整備その他のことでふえてまいりますと、それはもう現在の貯金原資よりも、やはり債券原資によって長期の貸し付けに対応するようにしたほうがいいにきまっておるというふうに、長い目で考えますと農林債券については必要であると思います。そういう点から今回は改正に触れなかったのだろうと推測をいたしますが、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  38. 内村良英

    内村(良)政府委員 御説のとおりでございます。
  39. 湊徹郎

    湊委員 それからもう一つは、系統金融余裕金が非常にふえておるという中身を考えてみますと、たとえば食管制度というものがあって、一年間一兆二千億から一兆五千億ぐらいの金で食管が運転されている。これは本来は系統金融でまかなってしかるべき金融分野であるし、あるいは酒とかたばこのような専売製品なんかについても、これは農産物が原料なんでありますから、これも系統金融対象になってしかるべきものである。そういうふうなものが抜けているから、それでこういうふうな余り方をしているのだという一面もあると御認識になっていらっしゃいますか。どうでしょうか。
  40. 内村良英

    内村(良)政府委員 現在、農産物の流通の大宗を占めております米について食管制度がある。したがいまして、金融面について運転資金その他の心配がない、もちろん自主流通米につきましては運転資金を系統で見ているわけでございますけれども、そういった面が先生御指摘のようにあることは事実だと思います。しかし、これは今後の農政の大問題でございますので——金融だけの面から見れば、確かにそういうような面があることは事実でございます。
  41. 湊徹郎

    湊委員 それから、中金に関連して、例の関連産業融資と並んで今度新しく外部経済との調整機能を持たそうというふうな改正がございます。これは十兆円というばく大な金を持っておれば、当然一般の外部の経済界との接点を調整する必要があることはよくわかります。わかりますけれども、これには相当きついたがをかけ、歯どめをかけなければ、これも乱に流れるおそれがなしとしないというふうな感じがいたしますが、そこら辺、具体的にはどういうふうな歯どめのかけ方を御用意なさっていらっしゃいますか。
  42. 内村良英

    内村(良)政府委員 今後、中金が、会員に対する原資の供給以外に、中金として、系統金融自体が対外経済に接触するという面に立って、より広い面に融資をしていかなければならぬという社会的な要請も出てくるだろうということを考えて、ただいま御提案申し上げているような改正をやったわけでございますが、社会経済の発展のための融資につきましては、法律にございますように、融資先をはっきり定めまして、さらに個別の融資案件についても認可にかけたいというふうに考えているわけでございます。
  43. 湊徹郎

    湊委員 今度の中金法の改正の中で、出資資格者の中に政府を残しております。これは昔政府出資して発足したのでありますが、途中から政府のほうは一切、中金には口を出すけれども金は出さぬ、というとちょっと口が悪うございますが、それに近い態度をとってきた。ところが、今度の改正でも、政府というのが農林中金の出資資格者として残されている。ということは、将来口だけでない、金も出す用意があるのですよ、という意味なんでしょうか。それとも現在の時点で政府が入っておくことによって、何か具体的なメリットが予定されておるのでしょうか。その辺、ひとつお伺いします。
  44. 内村良英

    内村(良)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、農林中金は、農林漁業の協同組合を主たる構成員とする協同組合組織の活動を円滑ならしめるための金融的な便宜を与える中央の機関でございます。したがいまして、これは特殊法人になっているわけでございますが、政府がその出資者となっているのは、政府としてこのような特殊法人の存立を担保するという意味で政府出資者として残る。昔は、先生御指摘のとおり、発足の当初におきましては政府が半分くらい出資したわけでございますが、現在その必要は実際上はございません。したがって、現在のところは政府がそういった特殊法人としての中金の存立を、政府出資者の中に入っているということで担保するという意味でございますが、将来政府出資する可能性が全然ないのかどうかという点につきましては、これは今後の事態の推移によってあるいはそういうこともあり得るかもしれないということでございます。
  45. 湊徹郎

    湊委員 今回の改正の際に、立案の過程で生活協同組合あるいは農協系統出資をしているいわゆる協同会社、こういうものを当然準会員という形で加えてもいいのではないかという議論があったことを承知しておりますが、最終的には生協及び協同会社を準会員という形にしなかった理由と事情をお伺いしたいと思います。
  46. 内村良英

    内村(良)政府委員 先生御承知のとおり、産業組合中央金庫の時代は信用組合や消費組合産業組合法に基づく団体でございまして、これらは金庫の構成員であったわけでございます。ところが、昭和十八年の団体再編成の際、都市の消費組合のように、産業組合法に基づくものとして残ったものは排除しませんでしたけれども、消費生活協同組合法に基づく団体となった消費組合は中金に加入が認められていないわけでございます。それは、先ほどからも申し上げておりますけれども、農林中金が農林漁業者を直接または間接の構成員とする協同組合的な団体を出資者とする金融機関になったという性格の変更があったからでございまして、その意味では産業組合中央金庫時代とは農林中央金庫の性格が変わっているわけであります。したがって、消費組合構成員とすることになると、中金の基本的な性格に触れる問題にもなってくるわけでございまして、今回、先ほども申し上げましたとおり、中金の基本的な性格は変えないという線で法律改正をやっておりますので、それは適当ではないのではないかということで除いたわけでございます。  それからさらに、準組合員にしたらどうかという問題でございますけれども、準組合員というのは、これは協同組合法制上世界に例のないやり方でございまして、わが国の農協漁協の場合にそういった準組合制度があるわけでございます。したがいまして、そういう準組合制度を農林中金のような特殊法人の場合に取り入れることは、法制上どうかというような問題もございまして、その点も見送りにしたわけでございます。
  47. 湊徹郎

    湊委員 最後に、役員の問題についてひとつお尋ねをしたいと思いますが、今回、出資者総会同意を得て理事長が副理事長及び理事任命する。従来はその同意条項がなかったわけであります。これについては、公選論から始まっていろいろな議論が、過去においても、現在もあるわけでありますが、理事長のほうは出資者総会において選任をする、それから一方のほうは、同意を得て任命をする。この選任と任命の使い分けをやったのは、どういう法律上の根拠に基づくものなんですか。
  48. 内村良英

    内村(良)政府委員 選任と任命法律的な用語の解釈という問題につきましては、選任というのは選挙で選ぶ、任命というのは任命権者が任命するというのが、大体通常の解釈でございます。ただ、地方自治法であったかと思いますけれども、たしか出納長か副知事かは知事が選任するという規定がございます。したがいまして、その用語の使い方自身も、必ずしも明確に割り切れているわけではございませんけれども、一応従来中金法では、副理事長及び理事理事長任命するということになっておりますので、今後同意を得てやる場合におきましても、やはり副理事長理事の性格は、同意を得たとしても、理事長の補佐機関であるという性格は変わりませんので、任命のほうがいいのではないかというふうに考えまして、任命ということばを使っているわけでございます。
  49. 湊徹郎

    湊委員 ただいまのお答えでありますが、私も実は十数年前に副知事に選任されたことがございまして、まさに、いま申すとおり、法律用語としては厳密にきちんと立て分けはつくまいと思います。ただ、感じとしては、選任のほうが何となく民主的な感じがするわけであります。  そこで、問題は、中金も同じ系統のピラミッドの頂点に立つ系統組織の一部でございますから、当然これにつながる構成所属団体、各系統農協等の御意見も、今回の改正にあたっては十分内部的に詰めたものと思っておりますが、これで大体系統内部のほうもおおむね、まあまあよかろうあるいはしかたがなかろうというふうなことなんでございましょうか。そこら辺の内部の話し合いの経過を、簡単にひとつお聞きをしておきたいと思います。
  50. 内村良英

    内村(良)政府委員 中金法の改正の問題につきましては、今年秋に五十年の終期が来るというところから、系統あるいは中金の関係者の間では二、三年前から、今後中金というものをどういうふうにするかということで真剣な議論がなされてきたわけでございます。それに基づきまして、関係のほうから政府に対しましても、こういった改正をしてくれという要望がございまして、私どもは中金及び系統の関係者としばしばこれについて話し合いを行なったわけでございます。したがいまして、私どもの判断では、大体皆さま方も満足しておられるのではないか。ただ、しさいな点につきましてはいろいろ意見の違う点もございますし、これで完全にいいということではないと思いますけれども、特に今度の改正は、もうわれわれの考えているのとは全く違うのだというような性質のものではないというふうに考えている次第でございます。
  51. 湊徹郎

    湊委員 以上で終ります。
  52. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      ————◇—————    午後一時四十三分開議
  53. 佐々木義武

    佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野坂浩賢君。
  54. 野坂浩賢

    ○野坂委員 まず農林大臣にお尋ねをしたいと思うのですが、先ほどもお話がありましたように、農民の金は農民へ、そういう原則を踏まえてこれからの農業金融は進めていく、そういう質問に対して農林大臣は、高能率の農業をやる、生産性を高めて高福祉の農村を建設していく、こういうふうに胸を張ってお答えになったところでありますが、今日農村への金融還流はわずかに四割というのがいまの答弁でも明らかにされたところであります。なぜこのように還流をしないのか、その点をまず初めにお尋ねをしておきたい、こう思います。
  55. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これはいろいろの角度から考えられると思います。たとえば単協の貸し出し規模が小さ過ぎるのではないか、あるいは先ほどから問題になっておったように、コストが高過ぎる、すなわち金利についての、もう少し低率のものであればということも考えられますが、私がいろいろ申し上げましたように、補助政策による面、あるいは金融面によってみずからの意欲でやる面、またそういう意欲が起きるように配慮をする必要がある。いろいろこう総合して見て、農民の手にあるいは農村発展の上に寄与をするように、せっかくの汗の結晶が戻っていかない、こういうことはいなめない事実であろうと思うわけであります。  したがって、今回の金融関係法案におきましては、それらの点を勘案しての改正をお願いをする。たとえば単協の貸し出しについてのある程度の制限はやむを得ない、これは一部の者だけに貸すわけにはいかないということがあれば、上部金融機関がその辺を見るというようなくふうをこらしたらばどうかということで、今度の改正をお願いしておるような次第でございます。
  56. 野坂浩賢

    ○野坂委員 還流しないのはいわゆる金利が高い、またこれからの生産意欲を向上するように配慮しなきゃならぬ、こういう二つの御答弁がございましたが、今日近代化資金助成法が改正案として出されていますが、四十二年、大体その総ワク一千億に対して九百八十億だったと理解しておりますが、その程度の貸し出しが行なわれ、農民側からいいますと借り入れが行なわれておりますが、四十三年以降三千億の総ワクに対して大体千四百億、その程度の貸し出し、借り入れが行なわれておる、こういうのが実情であります。なぜそのように予算のワクにも到達しないか、近代化資金自身にコスト高という問題を踏まえておる、こういうふうに理解してよろしいんですか。
  57. 内村良英

    内村(良)政府委員 近代化資金貸し付け状況につきましての数字の点につきましては、ただいま先生の御指摘があったとおりでございます。  そこで、なぜ近代化資金がそのようにワクが満たされないかという点につきましては、私どもの見ているところでは、いわゆる農機具等の施設投資が一巡した段階であるということと、それから貸し付け限度がやはり二百万というのがございますので、もっと大型の利用者が十分できないというような点があるのではないか。それからさらに第三点といたしましては、午前中申し上げましたけれども、単協の平等主義と申しますか、あまり特定な大口な人にはなかなか金が貸しにくいという単協の体質という、その辺の問題がからんでいるのではないかと見ているわけでございます。
  58. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そういしますと、貸し付けのワクの拡大によってこれからの農業者は大きく借り入れが行なわれる、こういうふうにお考えですか。
  59. 内村良英

    内村(良)政府委員 貸し付け限度を引き上げます以上、そのようになるように指導したいというふうに考えております。
  60. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いまお話がございましたが、農業者の農業に対する資本の投資率というのは最近年々減少しております。特に農業白書にも示されておりますように、農機具の減少率は前年度に対して一一・四%、こういうふうに理解しております。また建物もそのような投資は減少しております。一体なぜ——一巡をしたといいながら、コンバインあるいは自動車、そういうものは著しい向上を示しておる、こういう一面を見せておりますが、このような姿というのは、農協なりあるいは関係機関の慫慂等によってやられるコンバインその他がございますが、総体的に資本装備率といいますか、固定資本に対する投資は著しく減退を来たしました。これは農業者、農民の生産意欲の減退、こういうことがいわれるではなかろうかというふうに思われますが、どのようにお考えですか。
  61. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 こういう問題は一つの理由だけでどうこうと申し上げにくいことである、こう思うのです。いまの生産意欲が後退をしておらないかということにつきましては、一方において米の生産調整をやっておった事実もございまするから、それが要素の中にある部分ないということは言い切れないと思います。しかし、それだけで判断をするというわけにはいかない、かように見ております。
  62. 野坂浩賢

    ○野坂委員 意欲は減退をしていない——しかし、国民総生産に占める農業の生産の地位というのは、新聞でもごらんのとおりに、わずかに三・七%であります。しかも、四十二年を一応のピークといいますか、三十五年からずっと上がって四十二年まで上がりましたが、あなたがお話しになったように、米の生産調整をやり出したころから非常に農業所得というものも減少をしております。こういうのはなぜそのようになったのか。農業政策は高能率で生産性を高めるとあなたが決意を表明されておるにもかかわらず、実績としては異常に下降の線をたどっておりますが、なぜなんです。どこに問題があるのか、どこに欠陥があるのか、お尋ねをしたいと思います。
  63. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 四十二年をピークにしておる、これは数字がそのように示しておると思います。四十二年から四十三、四十四、四十五、四十六とこの経緯があるわけでございまするが、私が申し上げた能率のよい、福祉のよい農村農業ということは、これからの私の農政に対する姿勢を聞かれておるのについて申し上げておるわけでございます。過去はもうすでにいろいろと実績が出ておるのでございまするから、その実績に基づいての検討と御批判を賜わって、一体これからどうするかということにお答えをしておるということを御了承いただきたいと思います。
  64. 野坂浩賢

    ○野坂委員 過去の農林大臣はできが悪かったけれども、櫻内農林大臣就任からは意欲的に飛躍的に農政発展するであろう、こういうことですね。——それはそれでいいです。  そこで、あなたがこれからそのように伸ばしていくということでありますけれども、今日の農業というのは、曲がりかどにきておるのではなしに、崩壊の寸前だと農民の皆さんは言っていらっしゃいます。しかし、あなたがお話しになったように、そのように意欲的になるかどうかは、あなたの姿勢を含めて、この間豚価なり乳価なりそういうものの上げ幅を考えたときに、内心じくじたるものを感じておるのは私一人ではないと思うのです。  そこで、この金融面でありますが、今度、いま経済局長さんがお話しになりましたように、貸し付け限度ワクを拡大した。拡大をしたから農家の皆さんがたくさん借りにくるであろう、また、そういうふうに指導する、こういうことであります。  そこで、櫻内農林大臣は私の隣の県でありまして、農業県の島根県。したがって、皆さんに聞いてみました。貸し付け限度ワクが拡大をされたときは歓迎。また、利息が減少されておることについても歓迎。しかし、今日の農民農政に対して非常な不信を持っております。だから、そのことはありがたいが、一体何をやったら借金が残らないように農業が振興して所得が増大をするか、金を貸すのなら、何を指導してくれるか、何をやったらもうかるか、引き合う農業はできるか、そのことを聞いてほしい。私にではなしに、私はまだ一年生ですから、責任ある農林大臣に聞いてほしいという、そういう声であります。だから、この貸し付け限度ワクが拡大をされたのですが、何をやったら農業は非常に発展をし、農家所得はふえるか、聞きたい。
  65. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 農業経営は、これは文字どおりの経営でございまして、経営者の創意くふうというものは相当大きな影響があることは当然であると思うのであります。  そこで、いまお尋ねでございますが、一体何をやればいいかということを、この日本全国の非常に気象条件も違うあるいは立地条件も違うところに、ずばりと言うこと自体はなかなかむずかしいということは、野坂委員もお認めいただけると思うのであります。したがって、これは地域ごとに作目の複合等によるさまざまな経営形態が行なわれるということは、これは申し上げても御了解のできるところだと思うのであります。  現在、農林省としては、この問いにちょっとはずれるかもしれませんが、たとえば自立経営の標準的指標というものをつくっておりますが、寒冷地の場合は一体どういう作目類型がよろしいか。そうすると、これは稲単作で水田六ヘクタール、中型機械化作業体系でやったらどうか。準寒冷地帯では、稲単作、水田四ヘクタール、小型機械化作業体系でどうか。それから今度、土地条件に制約の少ない地域で酪農をやる。この場合は経産牛で四十頭、草地三十ヘクタール、大型機械化作業体系が好ましい。土地条件に制約の大きい地域で酪農をやる。経産牛で三十頭、畑四・二ヘクタール、中型機械化作業体系でどうかというような、一応標準的指標というものはつくっておりますが、しかし、これからの農業をどうやってやればいいのかということについては、前段で申し上げたところで御理解をいただきたいと思います。
  66. 野坂浩賢

    ○野坂委員 地域ごとに経営形態を考えて経営をさせるということでありますが、一つの標準指標として、水田六ヘクタールあるいは乳牛の場合は四十頭ないし三十頭、こういうお話をいただきました。しかし、今日六ヘクタール以上を持っておる農家というのは非常に微々たるものであります。こういうことにならなければ農業だけで食っていけない、だから第二種兼業農家というものが前に出て、第二種兼業農家のほうが二ヘクタールを持っておる人たちよりも所得が大きい、こういう現状であります。大臣がお話しになりました六へタタールにしなければ農業だけで食えない、こういうことです。そういうことになれば、今日の日本の他の農業というのはどのような施策をとっていくのか、どうしたらいいのか、それも聞きたい。
  67. 三善信二

    ○三善政府委員 ただいま大臣からお話がありましたように、農林省で自立経営の標準的指標、これは大体五十二年ごろにはこの程度にしたいということで作業をし、つくったわけでございます。  先生おっしゃるとおり、現実にはなかなか水田にしても経営規模拡大というのはできていない。たとえて申しますと、二ヘクタール以上というのは、三十五年以降ずっと伸びてはきております、特に三ヘクタール以上の規模は伸びてはきておりますが、全体のウエートは非常に少ないというのが現実でございます。しかもこの経営規模拡大するといいます場合に、たとえば水田の場合、農地の保有の問題は、なかなか所有権の移転による経営規模拡大というのは、コンスタントに一応所有権の移転というのは行なわれておりますけれども、それも非常に微々たるもので、全体として所有権の移転による規模拡大というのはなかなか進まない。そうなると、やはり賃貸借権で規模拡大をするとか、あるいは作業委託をして、作業形態と経営規模を組み合わせたような形で実質的な規模拡大をやっていく、そういうことを今後やっていく必要があろうと思っているわけでございます。  で、御承知のように、農林省でつくりました生産目標、十年後の五十七年の農業はどうなっていくであろうかということを一応考えました。それによりますと、やはり就業人口は減っていく。そういう中で農業経営というのを、特に土地に経営の基礎を置いているようなそういう農業経営というものの規模拡大をはかるためにどうしたらいいかということをこの中でも一生懸命考えているわけですが、やはり今後の方向としては、集団的生産組織と申しますか、私どもそういうことばで申しておりますが、そういう専業農家の方を中核にして、ほかの兼業農家の方が土地を貸すとかあるいは作業を委託するとか、そういうかっこうで、大型機械等を入れて一つの集団的な経営規模、実質的な経営規模拡大をはかって生産性を上げていく、そういう方向で今後指導してまいりたいというふうに考えております。  先生おっしゃるように、現実には多少は前進しておりますけれども、前進のしかたが、規模拡大といってもなかなかむずかしいというのが全く現状でございます。それを今後どういうふうにやっていくかということが今後の施策の一つの重点であろうかと思っております。
  68. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そういうときにこそ金融面が役立ってくると思うのですが、その前に、いまお話があったのですが、今日、自立経営といいますか、たとえば、あげられた耕種農業六ヘクタール、そういうことは、土地の流動性の推移から見て、今日の土地の値段、こういうことから見て、そのような所有権移転はほとんどむずかしい、こういうことはいま明確にされたところであります。できない。したがって、集団的な農業、専業農家を核にして、いわゆる兼業農家を二十人、三十人という——四十八年度予算にありますが、そういう高能率で推進をしていくというようなお話があったのですが、この専業農家と兼業農家の皆さんは一体どのような姿で貸借契約を結び、小作料その他を支払うように指導しておるのですか。その専業農家が立ち行っていく、また兼業農家が納得する、そういうことは金を出せば、予算をつければそれでいいというようなことにはならぬような状況ではないかと、私は地域を歩いてみて判断をするのですが、どのように指導されるか、具体的に数字をあげて御説明をいただきたい。
  69. 小沼勇

    ○小沼政府委員 集団的な生産組織によりまして高能率農業の展開をはかろうというような線が出されております。従来も生産法人等によりましてそういう形態を進めてきているわけでございますが、農地のサイドから申しますと、農地の所有権の移転は、これは個別のものございますけれども、大きく規模拡大にという点ではまだなかなか進まないというのは御指摘のとおりでございます。そこで、賃貸借ではどうかという点については、一つは農地法上の問題があるわけでございます。集団的に土地を利用するために、兼業農家が土地を専業農家のほうに貸してやるという線がございますが、これについては、現在それのための特別な措置というものはございませんで、現在たとえば集団的な土地利用のための賃貸借ということについては制度として検討をしているという段階でございます。  もう一つの行き方としましては、経済的にバックアップするといいますか、誘導するという意味で、御承知の農地の保有合理化法人というものをほぼ各県に、いわゆる農地公社でございますが、そういうものを設立いたしまして、そこが兼業農家その他の持っております土地を購入したりあるいは借り入れたりいたしまして、それを専業農家なり農業をほんとうにやろうという農家の規模拡大に役立たせるために売ったりあるいは貸し付けをする、そういう事業を現在進めているわけでございまして、いま申しました二つの線が今後農地政策でも重要な仕事になろうかというふうに考えているわけでございます。
  70. 野坂浩賢

    ○野坂委員 一つは公社、公団による耕種農業、もう一つは賃貸借による専業農家中心の団地方式、こういうことでありますが、その中で、言うならば、専業農家を中心にして兼業農家も含めて基準反別以上になるように指導し、また共同化あるいはまた皆さんがおっしゃっている協業化、こういうことを進めると同時に、その基準に到達すれば奨励金なりあるいは補助金なりそういう姿を出して、きわめて誘導的にそのように進めるお考えがあるかどうか、伺いたい。
  71. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 農家経営が御指摘のようなふうに発展していった場合に、これはもうその場合は相当な収入もあげるような実態になっていく、これは当然考えられますね。ですから、そこへさらに、そこまでいったからごほうびに奨励金を出そう、これは考えなくてもいいのではないか、こういうふうにいまの御質問に応じて私は感じた次第でございます。
  72. 野坂浩賢

    ○野坂委員 ちょっと質問のしかたが悪かったと思うのですが、私が言っておりますのは、なかなか六ヘクタールなり七ヘクタール、十ヘクタールということになりません。それは所有権という問題と、昔のことをいろいろ考えて、貸しておけばどうなるかというような、そういう考え方が底流として流れております。だから、なかなか一つの基準反別指標とされておる六ヘクタールなり七ヘクタールなりということにはなりにくいというのが現況でありますから、あなた方が指標として標準値を示されてその方向に誘導するとすれば、何らかの対策を立てなければ、そのような方向には断じてならない。いまなっておるから、六ヘクタールならそれでいいというのじゃなしに、これからそのような方向で進めるとおっしゃるならば、そのような協業化、共同化をするというならば、何らかの施策を個人個人にあるいは全体に立てなければ、そのような方向というものは出てこない。これは自明の理です。それについてのあなたの考え方を聞いておるわけです。
  73. 小沼勇

    ○小沼政府委員 御承知のとおり、生産組織中心にいたしまして現在とられております施策の中で一つの大事な柱がございます。それは、御承知と思いますが、農業団地育成対策ということで、高能率の生産団地を育成していく。あるいは流通も含めまして広域の営農団地を形成していくというような事業をやっております。また、関連する農業団地の農業基盤の整備ということをやっているわけでございまして、高能率の生産組織が形成し、育つための条件の整備について現在施策をやっているわけでございまして、作目ごとに、かなり各局にまたがっておりますけれども、稲作の団地あるいは養豚の団地、ミカンの団地といろいろございます。  そういう団地の場合、実は先ほど申しましたことの補足になりますけれども、全く農地制度上の所有権なり賃借権を完全に動かさない段階で、動かす以前の段階で共同してやるという場合もございます。これは作業に参加する、あるいは作業を委託するというふうな形で兼業農家と専業農家が結ぶ場合、これが実はかなり多いだろうと思うのでございますけれども、中には所有権まで移して、あるいは賃借権を設定してという場合もございますが、どちらかといいますと、それ以前の段階で話し合いをして、作業の請負等をやるという形がかなり多いように見受けられます。  いずれにしましても、そういうことで土地をまとめて使うということで規模拡大農業を実現していくということが生産組織の眼目でございますが、今後もそういう線で、——個別個別では六ヘクタールとかなかなか十分いかない面がございますので、そういう点はいま申しましたようなやり方で進めていくことにつきまして、団地育成を政策として打ち出して推進してまいっている次第でございます。
  74. 野坂浩賢

    ○野坂委員 引き続いて条件の整備なり高能率の基盤整備事業について質問をしたいのですが、畜産局長が二時半ごろにどうしても出なければならぬ、こういうお話でございましたので、若干そちらのほうに転移をいたしますので、御了承いただきたいと思うのです。  いまもお話がありましたように、農林大臣は大体牛は四十頭じゃ、こういうお話がありました。きのうの答弁で酪農というのはこれから伸びていく、こういって農林大臣は御説明になりました。自信ありげなお話でありましたが、現実に乳牛を飼っておる酪農経営をしておる諸君たちはそうは感じていません。三円三銭の値上げではますます乳牛は減って、肉にかわっていくという傾向と情勢というものをわれわれは否定できない、こう思うのであります。  それに、飼料の高騰は、天候異変その他があったにもせよ、異常な状況でございます。この飼料の対策として過日、二月の終わりごろだったと思いますが、この委員会であなたが古々米の五十万トンの放出、そして麦類の二十五万トンの放出、こういうことをきめた。きのうは農林大臣は買い占め売り措しみに対する本会議の答弁で、このような飼料対策として放出物資はできる限り安く放出をする、こういう言明をされたことをよく覚えております。そういたしますと、食管法なりでいろいろ規制がございますが、農林大臣がお考えになっておりますできる限り安く放出をしたい、する、こういう言明をされた裏づけはどのような金額を想定されておるのか、また自民党の飼料部会におきましても、御案内のとおりに安く出すということであります。食管法四条二項の規定にかかわらず出そうという動きは、全体的に非常に盛り上がっておる。これを受けてあなたも御答弁になったと思いますが、あなたの大幅とか、あなたの決意だとか努力をするというのは三円三銭で試験済みなので、あなたの決意をこの際聞いておかなければどうも心配でしようがありませんから、お聞きをしたい。
  75. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは現に全農が飼料の価格については中心的な役割りを果たすと思うのでありますが、その全農において四月の値上げを見合わすという方針をきめておる。この事実から逆にお考えをいただきたいと思うのであります。おそらく諸般の情勢から、私があえてここで努力するとか、できる限りとか、いま御指摘のようなそういうことを申し上げなくとも、おおよそ全農のほうにおいても見当をつけて方針を立てられておる。こういうことで、間もなく、なるほどという結論に達したい、かように存じておりますので、この辺の情勢で御判断をちょうだいしたいと思います。
  76. 野坂浩賢

    ○野坂委員 農林大臣ともおなりになりますと、腹芸なりあるいはまかせておけという、そういうことでありますけれども、どうも私どもは、農民農政を不信に思っておるように、そういう点については何か心配があります。  そこで、与野党ともに飼料の払い下げ物資については安くせよというのは、向こう側にいらっしゃる皆さんも御了解のところだと思うのです。そうなると思うのです。その点については、古々米の放出は一万円以下というふうに判断をしていいと思うのですが、そのように理解していいか、それが一つと、五十万トンと二十五万トンということでありましたが、議事録を読んでみますと、三月から放出をするということでしたけれども、まだ放出をされていないのか。また古々米は四十万トンになって、麦類は二十五万トンが二十万トンになったようでありますが、これはどういう経過なのか、どこに能力の問題があるのか、お聞きしたい。
  77. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  前段の政府放出価格につきましては、古々米等につきましては、ただいま大臣が申し上げましたように、全農等主要メーカーの四月値上げが国際原料価格の高騰から一定の水準が予想される、この値上げを見送るに必要な価格ということでございまして、先生御案内のように、為替変動制の移行に伴いますメリットも製品価格に反映しなければならないわけでございますし、その他メーカーの合理的、自主的な努力も期待いたしたい。その上で、値上げを四月に全く行なわない水準では放出価格はいかなる金額であるべきかということを現在検討中でございます。したがいまして、具体的な数字は早急に結論を得たいということで、ただいま努力をしておるわけでございます。  それから、後段の放出数量の問題でございますが、政府が二月に政府操作飼料並びに過剰米について需給緩和、価格安定のためにきめましたのは、三月から六月ときめたわけでございますが、先生まさに御指摘のとおり、安値の問題、価格を引き下げて売る問題は四月から六月でございまして、その数量は大体十万トン近いものが三月に放出されます。したがって、残りが四十万トン強ということに相なりますし、政府操作飼料についても三月分の放出を除きました数字が先生御指摘の十万トンという数字になっておりまして、一応政府の全体の計画とは斉合性を保っておるわけでございます。
  78. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは、四月から六月まで、そして三月からは全体で五十万トンと二十五万トンには間違いないですね。  いま価格の点については、変動相場できわめてメリット等はございますけれども、九月ごろまでは固定相場に復帰しないというのが見通しでもあります。したがって、この四月の変動相場から見て、二百六十円内外ということのメリットからしても、二千百円程度は値上がりするのではなかろうかという判断がされておるわけですが、そういう点については十分配慮をして、この放出については農民が期待する——あなたの期待は、絶対信頼しておったのですが、どうも最近は、ここ二、三日前から心境の変化を来たしておりますので、その点についてはまさに農民の期待する金額、また私が先ほど申し上げましたようなそういう意味でなければ、農業に対する生産意欲といいますか、酪農に対する生産意欲というものは減退をして、文字どおり乳牛は日本の国から姿を消すような方向をたどる。そうしたならば農林大臣の意向と相反するということになりますが、事、飼料の問題については、農民が積極的に意欲的に酪農、養豚経営をやっていく、こういう姿の価格と判断してよろしいか。
  79. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お話しのとおり、四月以降の値上げを行なわないという水準の価格として、現在検討中でございます。
  80. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それではもとに返りまして、先ほどあちらの方に御答弁をいただいたわけでありますが、その中で、高能率の農業を進めるために条件の整備をする、具体的には規模の問題、特に生産組織に重点を置くけれども、特に必要なのは基盤の整備である、こういうお話がございました。  この基盤整備事業は、重点施策として四十八年度の予算にもあげられておりますし、この間農林大臣がおいでになりませんでしたので、私は政務次官にいろいろとお尋ねをしました。これはやはり重点的にやっていくということで、この基盤整備にはたしか三千六百億の予算が計上されておると思いますし、農林漁業金融公庫から約千二百億を融資して約八万ヘクタールを進めるということであろうと思うのです。この間私が質問をしたのは、この基盤整備をやらなければ生産性は上がらないし、高能率農業になっていかない、毎年十万ヘクタールずつ進めていきたい、全期十カ年で十三兆円だけれども、中身としては前半期五兆二千億でしたか、その程度進めるということでありました。しかし、物価の高騰で、八万ヘクタールというのはなかなかむずかしかろうと思うのですよ。御答弁では、これは三年ないし五年でやることだから、その次の年でそれだけを補っていくということですけれども、田中内閣の姿勢から見ますと、インフレの傾向というのはさらに強まってくる。強まってくると、この五兆二千億を前半期でやるとしても、考えておった規模というものは非常に縮小されてくるという傾向が強まってくるだろうと思うのです。さらに後期に至って、十三兆円でたしか百十万ヘクタールでしたか、それだけやるとしても、その何割かにとどまっていくという傾向を示すのではなかろうかと思います。そういう点については、この一年間よけいやるということでありますが、五兆二千億というものは変えられるというふうに想定をし、金額でその面積というものを押えていくのか、面積を中心にして補正をやっていくのか、これが一つ。  もう一つは、農林漁業金融公庫という政府資金は、確かに安くて農民は借りることができます。しかし、今日の生産性というのは、製造業と比べて農業の場合はわずかに三〇%であります。そういうことになってきますと、それを政策的に進めるのには、圃場整備は四五対県、地元二七・五ずつということでは、負担があまりにも大きいではなかろうかと私は思います。島根県にお帰りになった農林大臣は、素朴にそのような農民の声をお聞きになっておると思うのです。基盤整備は、国土という面、あるいは都市と農村という現状から、農村なり農業というものがいかに空気の問題なり水の問題なりに貢献をしておるかという点についても十分おわかりだと思いますが、そういう点からして、生きるための農業、そのための基盤整備、そして意欲を減退させないでさらに伸ばしていくための方策としては、基盤整備事業に対する補助金というものは、もっと本気で大幅に引き上げていかなければならないと私は思います。第二次構造改善事業にも入ったわけですが、そういうことも踏まえて、たとえば農免道路、この程度のことまでしていかなければ、私はほんとうの意味の農政の転換なり基盤整備事業あるいは農業の所得をふやすということは困難になるではなかろうかと思いますが、その辺の御見解を大臣にお尋ねしたい。
  81. 小沼勇

    ○小沼政府委員 いま御指摘の土地改良長期計画におきましても、十三兆円、十カ年ということでいろいろの種類の基盤整備を進めてまいることになっております。前半で五兆二千億という一応の金額で予定をしておりますが、四十八年度もその線に沿いまして事業を進めるように考えております。  御指摘の基盤整備事業につきましては、農免道路あるいは広域農道のように、かなり高額の補助を適用しておりまして、さらに県あるいは地元の負担ということになりますが、県が負担を大幅に持つというような場合もございます。国営のかん排事業あるいは県営の圃場整備事業、いろいろな種類によって違いますが、本来、御承知のとおり、その受益がその個人にあるいは団体に帰属するということでありますれば、受益者が当然負担する部分があるわけでございまして、その面ではやはり全額国、あるいは補助率をほとんど全部国が持つというわけにはまいらないかと思いますが、しかし、できるだけそういう高率の補助を適用していくという努力は今後も続けなければならないというふうに考えておりまして、それとうらはらになります補助残の融資という面でも、今回もくふうをいたしておりますし、もう一つは、採択基準におきまして、若干の事業につきましては採択の基準を引き下げるというような運用をはかりたいということでいる次第でございます。御指摘の点につきましては、今後もいろいろとくふうをこらすべき点があろうかと思います。
  82. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま具体的な数字の面からは構造改善局長よりお答えをさせたわけでございますが、この新しい土地改良長期計画、これはこの四十八年度からお願いをするということで、御指摘のとおり、総額十三兆円、前期五年五兆二千億円とお示し申し上げておるわけでございます。でありますから、いまいろいろな情勢というものを推測されてのこの数字が変わるのではないかというような御指摘でございましたが、本年度からの新計画のことでございまして、私はこの計画が大きく変わる要素が現在あるかといえば、それはない。まあ、長い将来にわたってのいろいろ予想を立てた場合にどうかということになってまいりますと、私の立場では、いま現にこの新土地改良十年計画をお願いしておる、こういう段階でございまして、いろいろと予想をしてのお答えを申し上げるということは軽率に失するかと思うのでございます。  それから、この補助率関係のお話については、ただいま局長からお答えを申し上げたとおりに、ただ国庫補助だけでその補助事業のやりっぱなしということではないのでございまして、その他の融資などについても勘案しながらいくことでございます。これが非常に農業の実態とそぐわない、こういうような場合には、これは検討の要があろうかと存じますが、何ぶんにもただ一つの補助事業ということではなく、各般の事業をやっておるのでございますから、その辺を勘案して、私どもとしては御意見も参考にしてまいりたいと思います。
  83. 野坂浩賢

    ○野坂委員 ただ、私が基盤整備事業の土地改良なり構造改善の問題に触れましたのは、あなたが高能率の農業を推進する、そのためには基盤整備が何よりも必要なんだ、こうお話しになったのです。そのことは、私は、農民も国民も十分に承知をしておると思います。そのためにいまの補助率だけでは——農林漁業金融公庫で補助残については八割程度は見てあるじゃないか、こういうふうにおっしゃいますけれども、そのことが今日の農業振興という面と負債という面と非常に出ておる。しかも農業生産性が比較的低いために、農村から都市へ流出をしていって、今日後継者というものは非常に困っております。ない。だから、六十歳以上、六十五歳以上というのが全部の農業就業人口の二九%の比率を占めておるんじゃないですか、四十六年度では。こういう状況でありますから、そのためにも魅力ある農業にし、あなたが中心的な課題にされておる基盤整備事業というものは全額国費でやるというような姿勢が望ましい。この間農林政務次官は、あなたと一体で農林省を引っぱり、そして農民の立場に立って、農民の要望を受け入れる政策を具体的に実施をする、こうお話しになったのですよ。それがいろいろ勘案をしてということでありますけれども、今日の農業の現状を踏まえて農民の立場に立った農林大臣ということであれば、その辺はまさに決断と実行というふうな姿になるじゃありませんか。だから、その点については十分配慮をしてやってもらわなければならぬ。これが一点。  それから、いまの計画は変更しない。私が聞いておるのは、将来の経済の趨勢から考えてみて、面積というものを中心に考えて、もし金が足りなければ補正をされますか。金が中心になって面積を減小させるのか。こういうことはここ二、三年、特にことしなんかはすぐ実績があらわれてくることなんです。だから、それによって農民の負担が十万円であるというふうに宣伝されておっても、現実に二十五万円にも十アール当たりなってくるということになれば、これはたいへんなんです。だから、そういう面についても補助率の引き上げということを配慮しなければならないことでございますし、もう一つは、その面積が中心なのか金が中心なのかということで非常に問題になってくる。予算だから金が中心だとおっしゃいますけれども、基盤整備事業を進めていかなければならぬという、そういう大義名分からして農林大臣がどのように配慮するかということになろうかと思うのです。どうです。
  84. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 基盤整備事業に対して大幅な助成をすべし、こういう御意見は私は諸施策を勘案しながら検討申し上げたいということをお答えしておるわけであります。  それから、この経済事情のいろいろの変化に伴って現にお示ししておる土地改良長期計画がどうなるかということにつきましては、これは二月十六日に閣議了解を得ておりますが、その場合に、この計画の実施にあたっては今後の農業事情、経済事情、財政事情等を勘案しつつ弾力的な推進をはかるものとするということに閣議の了解をも得ておる次第でございまして、この計画を立てましたときの実態というものが、やはりこれが一番中心である。したがって、諸事情が変わってきますならば、その計画の実態にそごのないようにするようつとめるのが私どもの立場ではないか、こう思います。
  85. 野坂浩賢

    ○野坂委員 諸施策をいろいろ勘案をしてということでございますが、そういう基盤整備事業は表看板のようにどの項にも出ておりますね、生産性向上、高能率ということが。そういう点ではこれから前向きに御検討をいただいて善処していただかなければならぬ、このように思うわけでございます。そうしなければ、私どものところの農村地帯は基盤整備事業をやります、それは農協なり町なりが非常に積極的に推進をしてくる。しかし、県等はそれに対する補助金というものをできるだけ引き上げなければならぬ、そのことが重点だ。こういう関係で地方自治体はそれに向かって努力をしておるわけでありますから、農林大臣としても国の政策として、農業政策の振興のために、それらについての御配慮をいただきたいと思うのですが、重ねてお願いをしたいと思います。
  86. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 地方自治体にできるだけ負担がかからずに事業遂行のできるように、そういう配慮も必要かと存じまするが、先ほど閣議了解の事項を申し上げたとおりに、諸事情勘案の上、事業遂行に支障のないようにつとめたいと思います。
  87. 野坂浩賢

    ○野坂委員 これについてはさらにまた議論をしたいと思っておりますが、先ほども冒頭に申し上げましたように、今日非常なインフレの時期に入って、農業が異常に苦しいというのが実態でありますし、農業の生産資材が最近非常に急騰いたしております。たとえば一昨昨日でありますか、新聞を見ますと、肥料は一〇%、あるいは農薬も二〇%程度上がるんじゃないか。そして燃料も、変動相場制とはいいながら、一〇%程度上がるというふうな新聞情報であります。農機具、段ボールに至るまでメジロ押しに農業の資材は上がっておる。しかも乳価というようなものを考えてみましても、子供でもほしくない三円三銭、しかも乳業資本は八円程度も国が金を出す。こういう一連の姿でありますから、農民農業に対する魅力というものをいろいろ考えておるだろうと思うのです。しかし、やめられないわけでありますから、進めていかなければならぬ。  そのためにあなたは今度近代化資金のワクの拡大をやられた。二百万が一千万、法人は一千万が五千万、こういうことになっておるわけでありますが、この中で一号から八号ですか、この資金を見てみますと、それぞれ五分から七分、そういうふうになっておりますが、建物にいたしましても償還期限が十二年あるいは据え置き三年、農機具はまた少なくなる、こういういろいろな動きがあります。それは農家の生産資材そのものを見てお考えになった数字だと思いますが、すべて農業の一貫経営、総合経営の場合は相関関係を持つと私は思うのです。だから、非常に借りにくいし、こちらの近代化資金はこういうふうに、農協のほうはこういうふうにというふうに、いろいろなかっこうでやられる場合に、農民の皆さんが迷ってどのようにしたらいいかというようなことになろうと思うのですが、一応いまお話があったように、なぜ四割しか農民に還流をしないのか、農民の金がなぜ農民に返ってこないのか。それはコストが高いんだ、こう農林大臣は指摘されました。コストが高い、もっと低利率でやらなければ借りないんだ、こういって壁頭私にお答えになっております。これは法律の第二条の三項ですか、これには七分五厘以内というふうに書いてありますけれども、以内なんですから、できるだけ少なく、またてきるだけ統一をして——それぞれ種類によって違うといいますけれども、全般の農業経営、農家経営ということから考えて、〇・五%ではなしにもつと低利率、あなたからいえば大胆に大幅に下げたとおっしゃるかもしれないけれども、私たちはまだこの程度ではなかなか還流が困難になるんじゃないかと思う。限度額は上がったけれども、たとえば年四分でも二十年ということになれば、ちょうど倍返さなければなりませんね。一千万借りるとすれば二千万になってくるわけです。そういうことから考えてまいりますと、この利息というものはもっと下げていく。またいままでの農林水産委員会の過去五回の審議の中でそのことはできるだけ下げろ、こういう要望もあったわけでありますが、これについて〇・五下げられました根拠、それをお伺いしたい、こう思います。
  88. 内村良英

    内村(良)政府委員 最初に近代化資金基準金利あるいは償還期限、据え置き期間等についていろいろ違いがあるのじゃないかというお話でございます。近代化資金金融でございますから、一例をあげますと、償還期限はやはりそのものの耐用年数のうちということになるわけでございます。というのは金融上の制限があって、ものによって償還期限が違う、こういうことになっております。  それから次に、今般金利を〇・五%下げたわけでございますが、その下げた根拠いかんという御質問でございます。これは従来は基準金利が九分で、三分利子補給、県と国と半分ずつということで、六分という金利にしていたわけでございますが、基準金利が八分五厘に下がりましたので、五分五厘に下げた、こういうことでございます。
  89. 野坂浩賢

    ○野坂委員 基準金利が下がったのでちょっと下げたんだ、こういうことでありましたが、これをもっと下げることはできないのか。もっと下げる必要があるのではなかろうか。  それから、償還期限は二十年以内、こういうふうにうたってありますから、限度額一ぱい現行法規でできる限りの努力という意味で、これは政令で定めて、こういうふうになっておるわけですが、限度一ぱい引き上げて、たとえば耐用年数その他もそれはあるといたしましても、全体の農家経営という実態から見て、一つの方向に利息、金利というものも合わせていけば、農家も皆さんも非常にわかりにくいし、めんどうくさい、というとまことに失礼でありますが、そういう方向で努力をしたほうがむしろ農民のためになるのではなかろうか、こういうふうに素朴に考えるわけでありますが、償還期限の延長は今回は手つかずである、こういうことについてどうでしょう。
  90. 内村良英

    内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  まず償還期限の問題でございますが、この点につきましては、申し上げましたとおり、貸し付け対象施設の耐用年数並びに他の制度金融とのバランス等を考慮してきめているわけでございます。実際の貸し付けにあたりましては、借り入れ農業者の償還能力等を考慮しまして、個別の案件ごとに償還期限をきめているわけでございまして、農家の償還能力その他を農家ともよく相談いたしてきめておるということになっております。   〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕  それから、いろいろな資金がいっぱいあってどうもわかりにくいということは、先生御指摘のとおりでございます。こういった面につきましては、将来の問題としていろいろ整理をしていかなければならぬというふうに私ども考えておりますけれども、自立経営の人がほんとうに自立経営をやりたいという場合に、こういうふうなばらばらでは困るというような要望もございましたので、先生御承知のとおり、昭和四十三年度から公庫資金の中に総合資金というものをつくっております。これは御承知のとおり、融資対象となる事業施設等、かなり農家の選択においてやらせるということで、総合資金制度というものをつくっておりまして、今後自立経営の育成といったようなことを考えた場合には、この総合資金制度活用されるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  91. 野坂浩賢

    ○野坂委員 これは農民の皆さんとも話し合ってこの償還期限というものはきめた、こういうふうにお話しになったのですね。そうですか。
  92. 内村良英

    内村(良)政府委員 償還期限は、先生御承知のとおり、個別に各施設によっていろいろ違っているわけでございます。そこで、実際に貸し付けをいたします場合に、農家の人と一体どれくらいで返すかねというような話になりまして、限度は、たとえば建物の場合十二年だけれども、自分は十年で返したいというような場合には十年ということで、現在きまっております償還期限はまさにその限度でございまして、その範囲内で実情に合わせていろいろ運用が行なわれているのが現状でございます。
  93. 野坂浩賢

    ○野坂委員 お話がありましたように、たとえば一号資金の場合には、個人が十二年で据え置きが三年、こういうことになってくるわけですね。十二年を自分は十年で返すという場合は、それで私はけっこうだと思うのです。ただ、建物の償還の場合、農協は十五年というのは規模が違う、こういうことだろうと思うのですが、できるだけ償還期限というものは長くしてやる。  農業というものは非常に生産性が低いのです。今日、歩いてみまして、製造業と農業の比較生産性をやった場合にはわずかに三〇%ですね。どのような計算になるかわかりませんが、単純な頭で理解して三〇%の生産性しかないのだから、利息というものについても、さらに三分の一ということにならないにしても、検討しなければ、ほかと合わないじゃないか。また、相当生産性がないということは、工場その他製造業のように、すぐに利益還元が出てこない。非常に長い期間やはりかかってくる。そういう意味で、償還というものは異常なほど長くしなければならぬのじゃなかろうか。今日、日本のそういう償還期限と諸外国と比べてみて、農業あり方等から考えてみた場合に、日本の場合は非常に早い、こう思うのですね。少ない、短い、こう思います。そういう点で、諸外国と比べでどのようにお考えなのか。そして、現行法規一ぱいでやるということであればできるだけその方向で努力をすべきではなかろうか、こういうふうに思うのですが、どうでしょう。
  94. 内村良英

    内村(良)政府委員 まず最初の御質問の外国との比較でございますが、私、外国の金融制度について必ずしも完全なる知識を持っておるものではございません。しかしながら、いろいろ金融を担当している関係上、諸外国の制度等も調査の出版物等を読んでおりますけれども、どうもこの金融問題で外国との比較をする場合に問題なのは、午前中も申し上げましたけれども、日本農業と外国農業との置かれている状況あるいは経営規模その他が根本的に違うわけでございます。そういうものを考えますと、これはやや私の主観になる面もございますけれども、いまの日本の農業金融制度というものはやはり日本の農業の場合には非常に合っているんじゃないか。たとえば外国の場合には、農業ごとの売り渡しというものがどんどん行なわれているわけでございます。したがいまして、金利の安い、償還期間の長い金融というのは、農場を一括して売買するというような場合に、ドイツ、フランス等で、特にドイツ等では若干これは一種の財政資金を貸しておるようなものもあるようでございますけれども、そういうものがございます。ところが、日本の場合には、農家といいますか、農場ごとの売買というものはほとんど考えられませんし、現在のところあまりないわけでございます。そういった現状を考えますと、日本のこのやや複雑な金融制度というものは、やはり日本農業の現状に一番合ったものではないかというふうに考えられるわけでございます。  それから、償還期限の問題でございますけれども、繰り返して申し上げますけれども、耐用年数が過ぎちゃってもう物がないというところになお借金の返済が残っているというのは、やはり金融あり方として問題があるのではないか。そこで、現実は、貸し付けをします場合に、農家の方々と一々話をしまして償還期限をきめているわけでございますが、われわれといたしましては、法律上はっきり限度があるわけでございますから、農家の方々が非常に償還が困難であるという場合には、この限度額まで利用するように指導したいというふうに考えております。
  95. 野坂浩賢

    ○野坂委員 次に、農林中金の点についてお尋ねをしたいのですが、それは大正十二年ですか、産業組合中央金庫というかっこうで発足をしています。五十年の期限が参りましたので、そのことが一番中心でございますが、今度の法律改正として出てきている、こう見ております。この法律改正に従って出てまいりました農林中金法の改正について、農政審議会等でいろいろと議論をされたと思うのですが、この提出に至った経緯ですね。さらにあらためてその存続の問題あるいは範囲拡大の問題、会員の拡大の問題貸し付け対象拡大の問題、さらに役員の問題等、改正の点についてはいろいろでございますが、それらの経緯を、どのような経緯を経て出てきたのか、審議会ではどのような議論をされてきたか、こういうことをお尋ねしたい。
  96. 内村良英

    内村(良)政府委員 農林中金は、御承知のとおり、本年十月三十日にその存立期限が満了することになっているわけでございまして、その後の農林中金のあり方を含め、農協系統金融機関の今後のあり方について、昭和四十六年の三月以来農政審議会において審議が行なわれたわけでございます。これはもちろん中金だけではございません。その結果、四十七年の一月に農林大臣に報告がなされております。その中では、中金問題につきましては特に具体的にあまり触れておりません。それから一方、農業系統団体におきましても、四十四年の十月に系統全体で構成される金庫法研究会を設けまして、さらに四十六年には農林漁協各系統において全国農協中央会総合審議会、森林組合による中金法検討特別委員会及び漁協系統近代化対策研究会を設けて、関係団体においてもいろいろ検討を重ねたわけでございます。その結果、昨年の二月には農林漁業の協同組合全国連会長等によって構成されます農林中央金庫法改正推進協議会が結成されまして、同協議会が昨年の八月、系統団体の意見の集約として農林中金法の改正に関する要請が行なわれたわけでございます。  その後、政府はこういった要請を検討し、さらに四十八年一月には金融制度調査会の改正の考え方についても報告を行ないまして、系統機関の意見を十分調和しながら今般の中金法の改正案を提出した次第でございます。
  97. 野坂浩賢

    ○野坂委員 四十六年の十月の二十七日に農政審議会の小委員会で、先ほど湊議員からお話があった生協の問題についても議論されたと思うのですが、今日、農林大臣農政を推進する上で生産者の立場、それともう一つは物価について非常に関心をお持ちです。できるだけ物価も押えていかなければならぬし、生産者の所得もふやしていかなければならぬ、こういうお立場をおとりのようですが、御案内のように、生協というのはほとんど大半農産物を売買し、販売をしております。約六割強だと思いますが、そういう品目でありますから、農産物を取り扱うもの、そしてできるだけ消費者に安く与える、そういう流通機構の面からも非常に重要だと思うのであります。  それについては、会員というのは生産者団体でなければならない、こういうふうにただいまの答弁でございましたが、言うなれば、大正十二年につくった産業組合中央金庫のときには、購買組合というのは、生協というのはその会員であった、こういう事実がございます。そういう沿革と今日の状況からして、生産者団体でなければならない、あるいはそれができなければ、農林中央金庫定款の中で準会員制度というものはでき得ないのか。今日貸し条け対象を漸次ふやすという状況でありますから、百億の資本金、そういうものを踏まえてさらに強化をして、そういう体制をはかったほうがむしろいいのではなかろうか。近代化資金にいたしましても、あるいは農林中金の貸し付け対象にしても、県なり市町村なりの公社、公団によって範囲拡大をされつつあるわけでありますから、さらに一歩進めて、その中に繰り入れるという方法も一方法ではなかろうか、そのことが全体的に及ぼす影響というものは、むしろ国民的立場から見れば、好影響ではなかろうかと思うのですが、その点についてのお考えを聞きたいと思います。
  98. 内村良英

    内村(良)政府委員 生協が農産物の流通の近代化、合理化に大きな役割りを果たすであろうということは、先生の御指摘のとおりだと思います。われわれといたしましても、農産物の流通の合理化というものは、農家所得の増加をはかり、消費者価格の安定という意味からも必要だと思います。ただ、その問題と、生協が農林中金の会員になれるかという問題とイコールとして考える必要があるかどうかということでございますが、先生も御指摘のとおり、生協は、戦前は産業組合として農林中金の出資資格団体であったわけでございます。ところが、消費生活協同組合法が昭和二十三年にできまして、その後昭和二十八年には労働金庫法ができて、生協の金融機関として労働金庫というものができておるわけでございます。そこで、中金はあくまで農林水産業関係の協同組合の中枢の金融機関でございますから、法律上、やはり生活協同組合が入ってくるということになりますと、現在の中金の性格自体をより広いものにするということになる問題が出てくるわけでございます。そこで、今般の改正は、中金の性格を変えないという範囲改正でございますので、そうしたことを前提にすると、やはり生協を農林中金の資格団体とすることにはかなり問題があるのではないか。  それから、準会員の点でございますけれども、先ほども湊先生の御質問にお答えいたしましたけれども、準会員あるいは準組合員というのは、世界の協同組合の法制にもないわが国独特の制度でございまして、農協漁協にこれがございます。しかし、中金のような特殊法人の場合に、準会員というものを設けるということになりますと、一体その準会員の権利、義務はどうするかというようないろいろな問題が出てまいりますので、やはり準会員制度をとるということは法律上も問題があるのではないか、それがひいては中金の性格論にも及んでくるのではないかということで、準会員として生協を取り入れるということも見送ったわけでございます。  しかしながら、実際面におきまして、生活協同組合は農産物の流通を扱っておりますから、農林中金も、従来関連産業融資として生協に融資をしております。一例をあげますと、札幌市の市民生協に対しまして、昨年の十二月でございますか、一億七千万円の融資をしております。その場合に金利が問題なわけでございます。融資をしてくれても金利が高いということでは意味がないじゃないかということになりますが、私どもといたしましては、生活協同組合につきましては、実際の融資の扱いの面ではなるべく会員に準じて扱うようにということを中金に申しておりますので、生協と中金の関係というのは、法律論として考えますと、ただいま申し上げましたような問題もございますし、現実問題としては関連産業融資としてやっていけばいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  99. 野坂浩賢

    ○野坂委員 関連産業で、第二項ですか、そういうところの施策があるわけでありますが、日本の場合に、準会員として農協に積極的に協力をさせる、こういうことが考えられると思うのですが、準会員というのは性格が非常に変わってくる、いわゆる生産組織でなければならないというようなことが非常に法律的にじゃまをするわけですか。どうしてもできないということになっておるわけですか。
  100. 内村良英

    内村(良)政府委員 農協の場合に準組合制度がございますのは、やはり農協はいろいろな購買、販売の施設をつくります、その場合に、その地域に住んでおる人たちが、特に購買面等につきましてはいろいろ利用することがあるだろう。これは員外利用という点もあるわけでございますけれども、地域の人たちの便宜を考えれば、やはり員外利用とは別に員内のワク内でこれを使用させたらどうかというような考え方もございまして、準組合制度というものがつくられたわけでございます。ところが、中金の場合にはそういった地域住民の云々というような問題はございませんし、はたして準組合制度というものが中金のような特殊法人の法制上なじむかというような問題がございまして、私どもといたしましては、これは法律上なかなかむずかしいという立場から今回は見送ったわけでございます。
  101. 野坂浩賢

    ○野坂委員 農林省あるいは生協なり農林中金なりでもいろいろ議論されておると思いますが、定款的にはそういう点については問題はないと思いますが、農林省のほうで、気持ちはわかるけれども、法制上問題がある、だから関連産業でいわゆる中身としてはそういうふうに取り扱ってもいいけれども、表面的にはむずかしい、こういう意味ですか。
  102. 内村良英

    内村(良)政府委員 中金が定款を変更して準会員制度を設けるという定款変更の認可申請が出てまいりました場合に、私どもといたしましては、特殊法人としての中金の性格上それはちょっと賛成できないという立場をとることになると思います。
  103. 野坂浩賢

    ○野坂委員 これは先ほどもお話がありましたように、生産者の組合のまあ系統の関係でありますが、確かに貸し付け範囲拡大なりそういうふうな姿というものが非常に出てまいっておりますから、そういうことから考えてくると、これは大蔵省と農林省との共管なんですが、やはり大蔵省もそういう見解であることは間違いないですか。
  104. 内村良英

    内村(良)政府委員 この点につきましては、大蔵省ともいろいろ議論をいたしましたけれども、大体同じような考え方でございます。
  105. 野坂浩賢

    ○野坂委員 先ほどお話がありましたが、農林中金の余裕金というものは相当になってきた、これは事実でありますが、この中で貸し付け先の比率、それらをお話しをいただきたい、こう思います。
  106. 内村良英

    内村(良)政府委員 余裕金運用の比率でございますが、全体で見ますと、所属団体貸し出しが四十七年九月末で一三%でございます。余裕金が八〇・八%、関連産業貸し付けが二八・五%、それからコールを含む金融機関貸し付けが一四・二%、預け金が一二・一%、有価証券が二三・七%、現金が二・三%、それから農林公庫受託貸し付けが三・四%、その他、これは雑勘定、食糧代金その他でございますが、二・八%、こういうことになっております。   〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕
  107. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いまの余裕金が八〇・八%ですね。これはコールに回しておるわけですか。
  108. 内村良英

    内村(良)政府委員 余裕金が八〇・八%でございまして、そのうち関連産業が二八・五%でございます。それからコールを含みますいわゆる金融機関貸し付けが一四・二%、それから、預け金が一二・一%、有価証券が二三・七%、現金が二・三%、この合計が八〇・八、こういうことになるわけでございます。したがいまして、一番大きいのは関連産業貸し付け、その次が有価証券、これは国債、社債等でございまして、株はほとんどございませんけれども、そういうものでございます。
  109. 野坂浩賢

    ○野坂委員 四十六年度の業務の報告書を見ますと、貸し出し金、手形貸し付け、証書、当座割引、短期貸し付け、コール、こういうぐあいになっておって、いわゆる当年度末の残高ではなしに、コールというのは市場に回すわけでありますから、ざっと約十兆円程度あるように思うわけです。当年度貸し付けという中に、そのコールは具体的にどの程度の金利で大体どこで回しておるのか、知っておられたら教えていただきたい。
  110. 内村良英

    内村(良)政府委員 コールは余裕金ができましたときにコール市場に出すわけでございます。そこで、金利は非常に動いております。非常に高かったときは八%くらいの金利のこともございましたし、最近では四・数%に下がりまして、ごく最近では五%をちょっと上回ったというようなことで、コール市場の金利は非常に動くわけでございます。そこで、中金に集まってきました金が、余裕金ができる。その場合に、コスト等から見まして非常に有利に運用できるというような場合には、当然コールへの運用がふえるわけでございます。ところが、昨今のような金融情勢ではコールに出せばむしろ赤字になってしまうということで、コールにはあまり出しておりません。そういうようなことで、金融情勢によってコール貸し付けというのは非常に動くわけでございます。
  111. 野坂浩賢

    ○野坂委員 お話がありましたように、確かにこれからは、金融がだぶついておりますから、どこもが出すというかっこうでコールというのは少なくなってくると思いますが、さらに経済情勢変化によって限度額、これは一般的ですが、近代化資金等の限度額、こういうものが非常にワクが拡大をされて農家の皆さんが出てくる。いわゆる借り入れに動き始めるように指導する、こういうことでしたが、それに従って農林中金も近代化資金も含めて貸し出し先を県なり公社、そういうものには金を貸せる、こういうことになっておりますね。それが今日では農業者があまり借りないからそういう方向をとってきたのか。そうではなしに、いわゆる土地改良等の法人組織ができて具体的に農業振興のためにやり出したからといういろいろな意味があろうと思いますが、どっちを考えておられるのか、伺っておきたいと思います。
  112. 内村良英

    内村(良)政府委員 農林中金がただいままで余裕金運用としてやっておりましたいろいろな貸し付けというものを今度新しく法律上認めると同時に、さらに地域開発あるいは社会経済発展のために必要な資金等を貸し出せるようにしたわけでございます。  これの原因は何かということでございますが、御承知のとおり、産業組合中央金庫が大正十二年にできましたときには、今日の姿はだれも考えていなかったと思うのでございますけれども、その後、戦後ずっと中金の資金が関連産業貸し付けをやってきたということで、もう関連産業貸し付けというのは一つの根をおろした貸し付けになっております。そういうものをこの際はっきり法律上裏づけをしていくということと、それから最近のいろいろな地域社会の動向の結果、やはり系統の金融ももう少し地域開発なり環境整備に広げていくべきじゃないかという社会的な要請がございます。そういった要請も踏んまえて今般の改正案をつくっておるわけでございまして、融資先がないからということでそういったところに広げるという立場ではございません。  それから、今後の農業金融の融資がどうなっていくかということでございますが、先ほど先生から御指摘がございましたけれども、固定資本に対する投資力が非常に減退しているということが農業白書等でもはっきり指摘されております。この点につきましては、今後の農業生産の動向と非常に関係があるわけでございますが、いずれにいたしましても、そういった面の金融がとまるということであって、その上にそういうことをやるのは非常におかしいということでございますので、私どもといたしましては、そういった関連産業その他の貸し付けにつきましては、あくまで農業に対する本来貸し付け、会員貸し付け業務を妨げないようにやらなければならない。これが法律にもはっきり書いてございますし、あくまで本来業務を妨げない範囲内でやるべきであるというように考えております。
  113. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そうすると、農業者が借りようとする場合については、資金の不足は来たさない、こういうふうに考えていいわけですか。その場合に、県なりそういう公社は担保能力と信用力というものがあって安易に借りやすいわけですね。農業者の場合はむしろ非常にきびしい状況にある、こういう状況でありますから、担保力なり信用力等を比べた場合に、やはり一般の市中銀行等はそちらのほうに流れる可能性が強いわけですが、これはそういう系統ですから、そういう点については十分に、できる限り懇切丁寧に貸せる、こういうことになってくる、そういう圧力というものは全然ない、こういうふうに考えていいかどうか。
  114. 内村良英

    内村(良)政府委員 農業者が融資を受けようとした場合に全然問題なく借りられるのかという点でございますけれども、まず第一に、近代化資金と申しましても、公庫資金と申しましても、これはやはり金融なわけでございます。そこで、償還能力その他が問題になって、その点から非常に無理な融資の申し込みであるというような場合には、農業者の場合であっても断わられることがあるかと思います。  そこで、私どもといたしましては、なるべく農家の方々が必要な融資は必要なだけ受けられるようにするために、今般、県の基金協会がいろいろ保証しております。ところで、その保証があるために非常に借りやすいということになっているわけでございますが、現実には、午前中も申し上げましたように、まだ保証人をだいぶとっているようなところがございます。そこで、そういうような保証制度、さらにその保証の危険負担が中央の保険にかけられているわけでございますから、そういった制度につきましては、今般提案を申し上げておりますとおり、いままでは基金協会の保証している部分で、近代化資金の部分と、それから先ほど申し上げました総合資金、運転資金の部分だけが保険にかかっていたわけでございますが、今度は一般貸し付け農業生産にかかわり合いのあるようなものはまた保険に付するということで、基金協会の保証能力が拡充されるわけでございます。そういうことで、極力農家が借りやすいような体制はいろいろと整備しているわけでございますが、どんな場合でも農家が申し込めば貸すのかという話になりますと、そこには金融としての一定限度があるわけでございます。たとえば極端な例として申しますと、農業は二反歩しかやっていない、その人が二千万円農業で貸してくれと言っても、これは非常におかしなことで、極端な例で恐縮でございますけれども、いずれにいたしましても金融でございますから、その辺はおのずから金融としての節度があるとは思いますけれども、私どもといたしましては、農家の方々が必要な農業資金は困らないような手当ては絶対していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  115. 野坂浩賢

    ○野坂委員 極端な例をあげて御説明をいただいたわけですが、農業者として非常識なことはしない、しかし、その範囲ではじゃまにならないように、圧力がかからないようにそういう措置をするということだと思います。  いまお話がありましたように、各県にあります基金協会なんですが、この基金協会はそれぞれの県の農林部長なりそういう方々が専務なり会長なりになって業務を進められておると思いますが、ここのほうの担保はむしろきびしいというようなことがありはしないか、こういうふうに思われる点が多々あると思います。これは最悪の場合は代位弁済というようなことがありますが、今度は保険になってきたわけでありますから、今日、各基金協会の中で、返済が困難であって代位弁済をしたというのは大体どういう動きになっておるか、お尋ねをしたいと思います。
  116. 内村良英

    内村(良)政府委員 代位弁済の状況でございますが、ちょっといま県ごとの数字を資料としてここに持ちあわせておりませんので、もしも御必要でしたら、後刻県ごとの数字は提出させていただきたいと思います。  全国ベースで申し上げますと、代位弁済をした件数は四十六年度が三千四百八十七件でございます。その金額は四億八百万円、これが近代化資金でございます。それから一般資金につきましても、御承知のとおり、基金協会は保証しているわけでございますが、その関係の代位弁済が四十六年度五百八十六件、金額にして一億六千五百万円、合計で件数が四千七十三件、額にして五億七千三百万円というふうになっております。
  117. 野坂浩賢

    ○野坂委員 代位弁済を断おる、こういう場合もあろうかと思います。あわせてそういうことがわかっておりましたら、同じように資料をお願いしたいと思います。  確かに、保険ということになりますと、非常に安心度、安定度が高いわけでありますけれども、保険料、保証料といいますか、これについては金利に上乗せをするわけでありますから、相当の力がついて、今回〇・二五%になっておるにいたしましても、貸せる場合にはできるだけ安定度の高い基金協会へ、基金協会へかけなくても、それだけで十分貸せる能力、借りる能力があるとしても、できるだけ基金協会へということになりますが、基金協会の〇・二五%、二厘五毛というものの保証だった場合には、一般の市中銀行貸し付け金利をそれだけ減らせる、こういうことになっておりますが、この場合はどのようになっておりますか。
  118. 内村良英

    内村(良)政府委員 〇・二五%を加算することになるわけでございます。
  119. 野坂浩賢

    ○野坂委員 他の商工関係の保証協会等がやっておる場合は、保証した金利、保証料というものが借りる利息についてくる、上乗せするということになると、さらに負担がふえますために、その保証料というものをつけた場合は信用度が増したという意味で、貸し出し金利というものをそれだけ引いていく、こういうことでないと、借り入れ人については非常に迷惑だというので、そういう措置が各県等ではとられております。したがって、この場合も、基金協会にやって保険料をつけた場合は、それだけ金利は下げるというふうな方向なり施策というものはすべきではなかろうか、商工者の場合と同じように農業者の場合もそのような措置ができないのか、こういうことをお尋ねしておきます。
  120. 内村良英

    内村(良)政府委員 農業信用保証保険に付する場合の保険料の扱いでございますけれども、私どものほうといたしましては、現在のところ、むしろ保険料を下げるということを考えるべきではないかということで問題を考えております。  そこで、保険料でございますが、これも一般の保険事業と同様に収支相等の原則をずっときめてきたわけでございますけれども、とにかく発足いたしました場合には必ずしも十分な資料がなかった、それから農業資金貸し付け期間は長期であるということでございますので、そういった点を勘案して、制度ができてからら約六年たっておりますから、この際いろいろ見直してみたいということで、現在保険料を下げるという方向で問題に対処したいということで検討しております。
  121. 野坂浩賢

    ○野坂委員 もちろん私も保険料を下げていただきたい。しかし、保険料がぎりぎりで運営をやっておるということになれば、貸し出しの状況、借り入れの状況、保証の状況等を見て、多ければそれだけの積み立て金ができるわけでありますから、〇・二五%から〇・一五、こういうふうなことが望ましいと思います。しかし、実質的には借り入れ人がより金利にプラスをすることのないような措置を、実質的には影響がないということを、借り受け人の立場に立って考えてもらわなければならぬのじゃなかろうか、こういうふうに思うわけですか、その点が一つと、それから、あなたがおっしゃっておる保険料の引き下げや保証料の引き下げというものは、十分その方向でわれわれはよく理解するわけでありますから、実質いま出発をして、そのような農業者、借り受け人のほうに影響のないような方向で考えてほしい、こう思うわけです。
  122. 内村良英

    内村(良)政府委員 保険料が下がりますれば、そのままストレートに保証料に反映するかどうかわかりませんけれども、保証料のほうも下げたいということで、とにかくとりあえずそういったことで対処したいというふうに考えております。
  123. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いままでにそれぞれお尋ねをしたわけでありますが、今日なお農業は異常な状態と言わなければならぬと思います。非常に困難な状況でありますが、金融が特に農業の近代化あるいは生産性を引き上げる、経営の安定、こういう面に来たす点は非常に大きいと思います。したがって、今後とも十分配慮されていただくと同時に、農政の上に反映していただいて、農業者の皆さんがよりよい生産意欲的なものを持っていく、そういう姿に、ぜひ指導していただきたい、こういうふうに思います。  あと十分程度ございますけれども、これはいまの農業構造改善事業の問題等もございますので、これだけは委員長にお願いをして、残していただいて、さらに検討して、あらためて質問させていただきたい、こういうふうお願いいたします。終わります。
  124. 佐々木義武

    佐々木委員長 竹内猛君。
  125. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農林中金法の改正及びこれに関連する金融法案改正に関連をして、幾つかの問題を質問したいと思います。  まず第一に、農林金融は、農業の血液とも言うべき重要な役割りを果たしております。そういう農林金融が及ぼすその主体であるところの農業がいま非常に危機に瀕しておるということは、もう前々からの委員からも指摘されたところでありますが、この農業の問題について、私は先般以来質問を続けておりますけれども、ここでもう一度明確に日本の農業の今後の方向、位置づけ、こういうものについて、先般官房長のほうからお話があったように、日本農業の需給の見通しの問題について、その後あの案件をどういうぐあいに取り扱われ、今後どのようにしようとしているのかということについて、まず承りたいと思うのです。
  126. 三善信二

    ○三善政府委員 農産物の生産目標の取り扱いの問題で、先回も竹内先生から御質問を受けましたが、実は、四月二日に農政審議会が開かれまして、そのとき土地改良の長期十カ年計画を審議会におはかりしたわけでございます。  そのときに、この農産物の長期需給見通しにつきましても、土地改良十カ年計画の一つの基礎の資料ともな。ておりますし、農政審議会のほうに御説明を申し上げました。農政審議会の御意向としては、これはこれとして尊重していくけれども、最近の世界の食糧の需給情勢、そういうことをもう少し真剣に検討すべきではないかという御意見が一つございました。そういうことも踏まえて、今後農業基本法に基づく農産物の需給の見通しというのをひとつ検討し、議論していこうということに結論としてなりました。  したがいまして、農産物の需給見通しにつきまして部会を今後設けて、まず政府の食料需給の長期的な見通し等を検討しながら審議をしていこう、その際に、私どもが、農林省がつくりました農産物の生産目標、大体これを中心に検討をされていくような御様子だと思っております。いずれにしましても、農政審議会でこういう需給の見通しをやります場合に、いままで大体一年くらいかかっておりますし、相当長期間をかけてやっていこうというお話でもありますので、私ども農林省としては、つくりました農産物の生産目標、これをその間農林政策の一つの基本的な考え方として進めていきたい、こういうふうに考えております。
  127. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そうすると、前回のあれは農政審議会の議に付して、そうしてそれは大体一年くらいかかる、こういうように理解していいわけですか。
  128. 三善信二

    ○三善政府委員 農政審議会で、これから作成をしたい、また検討したい、と言っておられますのは、農業基本法に基づく農産物の長期需給の見通しということでございますし、先ほど申し上げましたのは、それを都会をつくって今後検討をしていこうということでございます。  その際に、私どもが、農林省がつくりました生産目標の試案、これはまだ審議会の先生方が今後どういうふうな審議をしていかれるか、その点はっきり確定はしておりません。ただ、部会をつくってやっていこうということだけ、一応四月二日の農政審議会できまっておりますので、おそらく私が申し上げておりますのは、その際この農業生産目標の試案、これがやはり中心になっていくであろうということを先ほど申し上げているわけで、私どもはこの生産目標の試案を、長期需給見通しが一年くらいかかるとすれば、その間は当然これを土台にして、政策の指標にしていきたいというふうにお答えをしているわけです。
  129. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農林金融を適用するところの農業というものが、ほんとうに金を借りて、それによって経営をして、運転をして、金が完全に償還できるかどうかということは、いま非常に問題になっている。そういうときに、日本の農業が非常に危機な状態になっており、しかも国際的に食糧がいま不足をしており、国内においてもいろいろな思惑や何かで買い占めがあって、非常に問題が混乱をしているときに、こういうような段階において、農業政策というものについていままで農業基本法という形でやってきたけれども、この農業基本法の目的にした幾つかの施策というものはほとんどそのとおりになっておらないというのが、この前からの実態だと思うのです。そして政府のほうでも総合農政という形で今日やってこられ、最近では高能率、高生産の農業というような形で、ことばが先行して踊っているという状態になっている。  そこで、先般も問題にしたわけですけれども、これは特に大臣にもこの間質問をしたのですが、この段階でいままでの農業の諸法律というものをもう一度再点検をして、農政審議会というような場所じゃなしに、もっと広い場所で、与野党の議員並びに生産農民、学識経験者、団体の代表というようなものが集まって、もっと広く大きく日本の農業というものをここで再検討するというような委員会そのものをもって、ほんとうにこの内外の情勢に対応できるような、農民に向かって責任を持つような、そういう委員会をつくる意思はないかどうか、この点をひとつぜひ私は確かめたいと思うのです。
  130. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 たしか竹内委員には前にもこのような御意見を言われたと思います。私はこうやって国会におきましても十分御論議をちょうだいしておりまするし、また、先ほどのお話にも出ておりましたように、農政審議会もございます。こういう場における論議というものが、これがわれわれの農政上の十分参考になって、そして諸施策の遂行に万遺漏なきを期しておるわけでございまして、たいへんけっこうな御意見のようでございますが、どちらかというと屋上屋をつくるきらいもなきにしもあらずでございます。いまおっしゃったようなことにつきましては、たとえばここでいつも問題に取り上げられます昨年十月の農産物需給の展望、生産目標の試案というような場合、これは団体の方々にも参加をしていただいて十分論議をした結果一つの案がまとまった、こういうような事態でございますので、私としては、こういう国会や農政審議会やそういうところの御意見を十分尊重し、そしてしかも国権の最高機関たるこの立法府の委員会というものが中心で動いていくことによって十分成果があがるものである。要は、行政の衝に当たっている私どもが、皆さん方の御意見に十分耳を傾けているか、それぞれの御意見をまたよく検討しこなしておるかというようなことにあるかと存じますが、私としては誠意を持ってその面で努力をしてまいりたいと思います。
  131. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは委員長のほうに私ひとつお願いをしたいのですが、立法府でありますから、大臣の答弁はいまのような答弁しかできないと思う。委員長としてこれをひとつ善処するように、今後いずれかの機会に取り計らっていただきたい。
  132. 佐々木義武

    佐々木委員長 理事会等にはかりまして、今後処置をきめたいと思います。
  133. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、農業金融に関して、この金利、貸し出しの条件あるいは償還の期間等々の諸般の条件というものはどういうものをもって基準とされるか。幾つかの形の金融があると思います。あると思いますけれども、その一番の基礎になるのは何か。この点について。
  134. 内村良英

    内村(良)政府委員 制度金融の代表的なものといたしましては、いわゆる公庫の貸し付けそれから近代化資金、それ以外に県がいろいろ県単でやっておる金融制度があるわけでございます。それの金利なり償還期間というのはどうやってきまるのかという問題でございますが、金融でございますから、いずれにしても原資があるわけでございます。  まず近代化資金の場合を例にとりますと、系統資金が原資になりまして、それに県と国とが利子補給をして、末端の金利が、現在までは農家の場合六分、それが今度五分五厘になるわけでございますけれども、そういうようなかっこうになっているわけでございます。それから公庫資金の場合には運用資金が原資になりまして、それ以外に、公庫はもうできてからだいぶ歴史がございますので、どんどん償還されてくる金が原資になるということで、いずれにいたしましても、その元はかかっている金が原資になっているわけでございます。  そこで、金利が安ければ安いほどいいということは、それは確かに考えようによってはそうでございますけれども、いずれにいたしましても政策金融の場合、そうした原資を考えまして金利体系をつくっていくということでございます。したがいまして、近代化資金の場合もコストを割るような五分五厘ということになりますと、だいぶその辺近くなってきているわけでございますが、コストを割るような金利はなかなかできがたい。しかし、政策の必要性が非常に強いたとえば団地についてはこれを五分にするというような、政策の必要度合いというものに応じてきめるわけでございます。それから公庫資金の場合も、大体基盤整備等はなかなか農家の負担ではできないというようなものについては、これは金利等でも相当見るというようなことで、あるいは公害問題で畜産とかそういった公害施設については大いに奨励しなければならぬというような場合に、政策的にそれをある程度下げるというようなことで、いずれにいたしましても金利の話でございますから、その辺の均衡というのは非常に大事なわけでございます。そこで、われわれといたしましては、そういった原資上のコストそれから政策の必要性、さらにその政策の必要性についての社会的要請といったようなことを考えて金利体系をつくっているわけでございます。そこで、その間の金利のバランスということが非常にこれは大事でございまして、その点についても十分考慮して金利体系をつくっております。  それから償還期間につきましては、先ほども申し上げましたけれども、金融でございますから、その融資対象物の耐用年数というようなものがおのずからやはり限度になるというようなこともあるわけでございます。
  135. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いまよくわかりましたけれども、私は、農業金融というのは農家が金を借りて経営をして、償還ができなければこれは意味がない。そこで、問題は、現在の日本の農業の実態、非常に零細な農業、その零細な農業経営をやる場合、たとえば先ほども野坂委員の質問のときに幾つかのこれこれとありましたけれども、農業経営、たとえば水田であれば全国の平均の土地所有からして反収が出て、現在の米の価格あるいは畜産物の価格、こういう価格があのような形で決定をされて、そしてそのことと金利というものとは関係があるかどうか。つながっているのかいないのか。どうもいまの話では、原資のほうとの関連で、農業経営の中からの関連は見ないように思うのだけれども、そのように理解していいですか。経営との関連は、要するに農畜産物の価格と金利、償還関係というもの、これはあまり考えられていない。たとえば原資ということになると、確かに系統金融から農民の金が単協に上がって、それから信連、それから中央金庫へ上がってくるわけです。それはよくわかりますけれども、それを使って生産をした農畜産物の価格と農家の労賃なり肥料なりえさなりというものを差し引いた利益、残った利益との関係における金利というものは考えられていないかどうか、そういうことを言っている。
  136. 内村良英

    内村(良)政府委員 米につきましては、御承知のとおり、生産費補償方式できまっております。つまり生産費の場合には中に利子という形で支払い利子が入っているわけでございます。  それから制度金融自体についてそういった個別経営の収益との関係がどうかということでございますが、米について見てもわかりますように、そういった金利といいますか利子はコストの中に入っているという関係になっているわけでございます。  それから御参考まででございますが、社会勘定によりまして農業投資に必要な資金の調達状況を見ますと、大体過去数年全体の一五%程度が制度資金によって占められているわけでございます。この関係は今後もあまり変わらないのではないかというふうに考えられるわけでございまして、制度金融金利体系と個別経営のそういった収益性というのに直接関連があるかという点については、私どもはむしろそういったものは織り込まれて、金利が織り込まれていろいろな価格体系その他ができ上がるというふうに考えております。
  137. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま農村へ行ってみると、金を借りて多頭飼育、多頭羽の養鶏をやってそして非常に償還に困っている農家がたくさんある。政府のほうでは規模拡大をやればやっていけるんだ、こういう奨励をしている。ところが、実際金を借りて経営をやる場合に、現在のように諸物価は高い、えさは高い、労賃は高い、そして自分の売るものは価格は要求どおりにきめてもらえない。たとえば先般の乳価がそうですね。保証乳価の価格にしても、七十四円十七銭というものを要求して、それが五十円にもならないという、こういう状況の中では、農家とすれば、農家の経営というものが無視されたんではないか、だから、農家の収支のバランスというものはどうしてもそこに合ってこないということ、だから、むしろ金を借りて経営をやるよりも、金を借りなくて出かせぎに行ったほうが当面の生活はよろしいという農家がたくさんでき始めた。そうすると、いま政府が指導している多くの金を出して、多頭羽あるいは多数、大規模経営について、こういうものがなかなかうまくいっていないということとの関連は、われわれはそうてうふうな実態に触れているんですがどうですか、農林省のほうでは。
  138. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 実情からいたしますと、そういう感じが出てくると思いまするが、普通常識的にはインフレ時の借り入れ金というものは、これが返済期には非常に価値が下がってきますから、だから、借り得であるというような一般的な通念もあるわけでございます。いよいよ返すというときには、非常に価値が低くなっていくということになりますね。ですから、現に農業経営の中における実感というものは、まさに竹内委員の言われたようなことが非常に多いかと思いまするが、一般的にはそうでない。そういう点から、一体それでは借りるよりも、苦労していろいろ経営するより、一つの例として出かせぎがいいじゃないか。これはこれとして別途検討の価値のある問題だと思うのですね。その出かせぎに行って現金収入を得る、苦労してかりに裏作をやる、それよりはその機会に出かせぎのほうが非常にいいんだ、これが農業問題の上からいうと、われわれとしては非常に遺憾な点でございまして、それも頭に置きながら一体これからの農業経営をどういうふうに進めていくのか。出かせぎが有利で農業は放棄する、こういう事態は現にわれわれとしては戒めていかなければならぬし、そういう事態が起こらないように、各種の施策を行なわなければならないと思います。
  139. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 大臣があまり時間がないようですから、これはほんとうはあす質問をしようと思ったんですが、あすも出られないようですから、若干質問をしておきます。  本年の生産者米価について、先般大臣は値上げをするというような発言をされたけれども、これは一体いつごろ、どういう形で米価を値上げする方針で臨まれるか、その米価の問題について。
  140. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 現在、この価格を諮問する米価審議会をいつ開くかということにつきましても、まだ農林省内で意見の取りまとめをいたしておりません。  ただ、私は記者会見の際に、記者の方々の質問に応じまして、農林省として十四、五の法案を用意しておるので、この状況からすれば、予算が終わってこれを御審議願うというだけで手一ぱいなことである、であるから、例年の米価決定の模様からすると、おそい時期に諮問せざるを得ない、こういうことが質問に応じて答えた第一点であります。  その次に、一体生産者米価をどうするのか、こういうような話がありましたときに、これは言うまでもなく、生産費・所得補償方式でいくのでありまするから、それぞれのデータを入れてまいりますれば、従来の価格とはだいぶ違ったものが出てくるには違いないと思うのであります。しかしながら、生産者米価の決定の原則の中には、いろいろ経済事情も勘案するということもございまするので、いまにわかにこの試算も全然出ない段階でどうこう言うべきことでございませんので、私は記者の諸君には、全く白紙のことであるが、しかし、いろいろなデータを入れていくとそういう価格を上げる要素もあるじゃないか、こういうことを言い、しかし、これは念のために言うが、全く何らの作業をしてないこの段階で白紙である、こういうふうに答えておるのでございます。  新聞記事を見ますると、私が繰り返しそういうことを言ったということも出ておるが、どうも見出しのほうに、ちょっと興味的に見出しがついておりまして、私はその後の記者会見で、記事としては中身はいいんだけれども、見出しはちょっとおかしかったねというようなことを言ったことを記憶しております。  そういうことで、私がこの公式の席上での御質問に明確にお答えすることが、いまの国会の模様からいたしますると、米価審議会はなかなか早期に開いて諮問する状況ではないんじゃないか。それから、ことしの米価についてどういう諮問をするのかといえば、全く白紙である、こういうふうにお答え申し上げます。
  141. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは要望ですが、米価のほうはひとつ見出しのほうでやってください。  それから、食糧がいま非常に混乱している。毎日の新聞によく食糧の買いだめ、特にもち米の問題やいろいろありますけれども、各地区において一般の商人が米の買いあさりをしておる状況がある。そういうときに、せっかく食管に相当な予算を出しておきながら、末端ではそれがうまく守られておらないという実情がある。  そこで、一つ大臣に率直にお伺いするのですが、大臣は現在自分で食べている米は、一体どういう種類の米を食べているか、それを聞かしてください。
  142. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私、実はこれだけのやかましいときでございますから、うちの米はどうか、あした伝票を持ってまいってもよろしゅうございますが、私は標準価格米の配給を受けております。ただ、実は正直に言うと、どうもちょっとうま過ぎるな、これはどうも米屋さんがサービスしてやせぬかなどと冗談に言っておるのでございまするが、正直に言って、伝票をお持ちしてもよろしいと思いますが、標準価格米を購入いたしております。
  143. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 食管の問題についてはあした質問したいのですが、もう一つ大臣に聞きますけれども、食管が四十四年以来幾つかの足をもがれて、事実上食管が空洞化されている。そこにいまの問題が起こっているわけでありますから、この段階において、いま政府の中でも農業政策というものを真剣に考えようという意見が出てきたことは非常に貴重なことだと思うし、それから、そういう中で、特に一億の国民の食べる食糧に対して不安、動揺を与えるようなことがあってはならないと思う。そういう意味合いからして、食管制度をかたく守っていくということについて率直に意見を聞きたいと思う。
  144. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 食管制度が、非常に食糧の不足するときに発足をいたしまして、そして食糧が需給緩和されたに伴いまして、いわゆる過剰米を生じた、そういう経緯をたどってまいりました。その間に食管制度改正についての研究会なども持たれて、私もその作業の中を見ますと、運営面に取り上げるべきいい構想もいろいろ見受けられるのでありますが、ちょうど私の就任と時期を一にいたしまして、国際的な食糧需給の逼迫というようなこともございまして、食管制度についていろいろ申して、そのことで意図に反したような悪影響があってはならないということで、私としては就任以来、研究は研究である、いま食管制度改正するということについては考えておらないということを申し上げておるわけでございまして、現在その考えは一つも変わっておりません。
  145. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 重要な段階ですから、食管の根幹などと言わないで、ぜひ食管をがっちり守って、そしてやみ米やそういうものを退治してもらいたいし、一億の国民が安心して食生活ができるようにしてほしいことを重ねて要望しておきたいと思います。  そこで、次の問題に移りますが、農林中金の民主化という問題が長い間いわれてまいりました。その民主化ということはどういうことかということでありますけれども、一つは、中金の金が一般の個人にはいままでなかなか借りられなかったという点もある。入りにくいところであったということもある。それから、中金の主たる役員は農林省が任命をしてきたといういきさつもある。こういうような点もありますけれども、問題はやはり役員構成の中にまだまだ民主的でない部分があったように思うのですが、これをいまどのように改正しようとしておるか、これについて、ほんとうならば、今日までの中金理事長の名簿なりあるいは役員のそれぞれの名簿なりを出してもらって検討したいわけですけれども、そこまでやらなくても、農民金融として今後発展していくわけですから、やはりこの際この法改正を機会に、ひとつ農民に開かれた金融機関として発展するために、どういうような方向に進めていくのかということについて承りたい。
  146. 内村良英

    内村(良)政府委員 先生御指摘のとおり、農林中金、当初は役員主務大臣任命であったわけでございます。それが昭和三十六年の改正で、理事長監事出資者総会でこれを選任するということになりまして、副理事長理事という執行機関は、理事長の補佐機関という形で、理事長がこれを任命するということになっていたわけでございます。これはやはり一つの特殊法人でございますので、そういった法制をとっていたわけでございますが、最近いわゆる民主化ということでございますか、会員の間で非常に役員改選につきましてのより選挙制に近いほうへ持っていきたいという要望もございます。そういった要望と特殊法人としての立場というものを考えまして、今般の改正では、理事長が副理事長理事任命する場合には、出資者総会同意を得てこれを任命するというふうに改正をしているわけでございます。
  147. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今度の改正でかなり前向きの方向にいっているわけですから、さらにこれを前進させてもらいたい、こういうふうに思います。  そこで、先ほど来ちょっと大臣に質問したものですから、この点は中断をいたしましたが、農林省のほうに向かって幾つかの質問をしたいと思うのです。  何といっても日本の農業が前進をし、農民が勇気と自信を持って営農に励まない限りにおいては、せっかく開かれた金融というものもこれは実際は農民に魅力のないものになってしまう。そういう点で、今後も農林省としての日本の食料の自給の方向について、これも幾つかの議論はしたわけだけれども、大筋としてどういうような作目に対してどのような手当てをして、そしてそれをどういう方向で確保するか、こういう点についての米、小麦、畜産物、果樹、蔬菜、それにえさ、これについて説明を求めたいと思います。
  148. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 生産目標などの取り扱いをどうするかという御質問かと思いますが、少しくお答え申し上げたいと思います。  昨年農林省が生産目標を作成したのは、農政の基本方針といたしまして、食料自給についての具体的な考え方を打ち出す必要性が高まってきたからでございます。また、土地改良長期計画及び新長期経済計画の策定のための基礎といたしましても長期展望に基づきます生産目標を明らかにする必要がありまして、農林省におきましてはこれを農林行政の指標、指針として取りまとめたものであります。必ずしもこれは閣議決定を行なわなくてもその目的は十分達成できるという方向づけで農林省が考え上げたわけでございます。  しかしながら、先生御案内のとおり、昨年の世界的な異常気象というものがたいへんな問題になりまして、小麦であれ、大豆であれあるいはさらに米の問題にしましても、世界的な異常現象というような画期的なできごとで、いささかなりともいままでの気候が予想でき得なかったというところに大きな農業生産の不振を招いたという原因が生まれたということは御案内のとおりでございます。そういう意味で、農産物の世界的な需給が逼迫してきているというような新しい情勢変化がまさに生じてきておりますので、このような動向を踏まえまして、農産物の長期需給見通しを作成することにつきまして、去る四月二日農政審議会に対して検討をお願いしたという段階に至ったわけでございます。  これを受けまして、同審議会では農産物の需給見通し部会、これは川野重任東大名誉教授を主査といたしまして、見通し部会を設置し検討を開始することになっておるわけでございますが、この作業は生産目標の試案を基礎に検討が行なわれるものと考えておる次第でございます。  農政審議会での検討は、おそらく一年間近くを要するのではないかと私どもは見通しを立てておるのでございますが、当分の間、生産目標の試案によりまして各般の施策を推進してまいりたいと考えておる所存でございます。
  149. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その生産目標ですけれども、すでにえさにおいても米においても、いわゆる一番重要なものが、大豆もそうですが、もう混乱をしている。そういう状態の中でこの試案というものは基礎がくずれたようにわれわれは思っている。だから、これを説明しても実感がない。  そこで、一年もかかってそういう議論をするということも、これは非常に問題だ。農家はあすから金を借りるわけでしょう。だから、結局問題は、農民に対しては、こういう方向で国は農政をやっていくんだ、米はこれだけつくるんだ、麦はこうするんだ、このためには土地改良についてはこれだけの補助をする、これだけは地元で持ってもらいたい、農道あるいは機械についても、これはやはり国も補助するが町村でもひとつ協力してもらいたい、あるいはまた金融については、このような方向金融の処置をした、こういうぐあいに一つ一つ明確にしていくわけですけれども、問題は、金を借りたときには、金を借りた者は支払わなければならない責任があるわけだ。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 ところが、国のほうでは政策が常に動揺してつかみどころがない。これでは末端の農家の人々はやりようがないのですよ、実際は。  だから、その間、一体どういう責任をとるのか。たとえば米価を決定する、畜産物の価格を決定する、その場合においても、農家のほうから要求してきたものは常に値切られて、しかもその上に政治加算が加わって、政治的な価格が常に上積みをされてごまかされてしまっている、こういうような段階で、一体農業というものに対してほんとうに打ち込んで、金を借りてまでやろうという気持ちが起こるかどうかということについては、現に起こっておらないんだから、どうしてこれを起こすかという点について、どうです、政務次官。
  150. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 これは先生御専門でございますから、ほんとうに御指摘のとおりでございまして、農業の問題におきましても、私どもが常日ごろ申し上げておりますように、自然現象を相手にする農業であるだけに、的確に北海道から九州に至るまでの農業地図を作成して、そしてどの県がどういう作物をつくっていくことが適地適作であるのか、あるいはその適地適作を生かすことによって農林省当局もどのようにそれを応援し、主産地形成たらしめていけるのかということは、私どもは常日ごろそういう問題を踏まえながら、全国的なバランスを保つ農業というものをきめこまかく考えていこうと思っておるのでございます。  しかし、御指摘のとおり、それがいろいろの現象で思う計画どおりにいっておらないのは現実でございますけれども、農業金融をどう改善するのか、こう端的に御質問をされますと、これはもうまことに通り一ぺんの答弁のようにお聞こえになるかもしれませんが、農業の体質をあくまでも強化いたしまして、農業の近代化をはかるためには基盤整備、価格政策等の各種の助成政策というものが必要であることはもちろん、農業金融面においても農業者等のために必要な資金が円滑に供給される必要がある、このように私どもは基本的な考え方に立つわけでございます。  そのために農業金融におきましても、大宗を占める農協系統金融につきましては、元来農業者のためにあるという原点に立ちまして、まず系統資金の十分な活用を可能ならしめるような諸制度、諸措置の改善をはかることにいたしまして、本年度においては農業近代化資金貸し付け金利の引き下げをやったり、貸し付け限度額の引き上げなどをはじめとする改善措置をとることにいたしまして、比較的に多角度に借り受けやすい方向に農家を持っていって差し上げたい、このように考えておるわけでございます。  また、農林公庫の資金につきましては、もうすでに御案内のとおりでございますが、農協系統金融では対応できないところを補充しようという考え方の中で、土地改良資金の融資限度額の引き上げをしたり、また構造改善推進資金限度額の引き上げ等、改善措置をはかりまして、これまた農家にできる限りこれに親しみ、なおかつ十分取引をいただくという形でこの制度を推進していこう、こう考えたわけでございます。  何せ、非常に問題をかかえておりまする農業であり、いささかなりともがけっぶちに立っておる農業というだけに、先生の御指摘のとおり、じゃ、金をだぶつかせてどうなるんだ、どのようにして借りられる方向に持っていくんだ、こういう御指摘はごもっともでございますけれども、その方向づけの中に私どもは鋭意努力をしておることを御報告申し上げたいと思う次第でございます。
  151. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 西ドイツのように、たとえば五カ年なら五カ年の先の計画を農家自体が立てて、その計画に向かって援助なり融資なりあるいはそれを前向きに進めていく、そのためにはやはり国の基本的な食料需給計画というものが立っていなくちゃならない。だから、現在の農業農政というものを見ると、先のない、その場当たりの農政だから、金を借りるにも借りようがない。貸すほうだって、これは不安でかなわないと思う。だから、どうしても、集まった金が農業という営農に、経営の面に回らないで、主として別な方向に回らざるを得ない状況になってしまうのではないかと思う。こういう点についてもう一度、農家自体が、どういうような規模の、どういう経営の農家を主体にしてこれからこの日本の農政というものをやっていこうとするのか、今度の中金法の改正によって、今度は直接に農家に貸し出しができるようになっているんだから、それらとの関連で一体どういう農家あるいはどういうような養豚あるいは酪農、養鶏をやっていったならば、現在の金利でも十分にやっていけるような形のものができるのか。これは先ほど野坂委員が質問をしたのとやや関連するから、重複することについては答弁はいいけれども、どういうぐあいにしていったらほんとうに農業がやっていけるのかという点について、これはどうですか。
  152. 内村良英

    内村(良)政府委員 先ほど大臣から自立経営農家の育成問題について御答弁がございましたけれども、やはり今後の農業の問題といたしましては、やや抽象的でございますが、他産業と均衡のとれた農家を育成していかなければならぬ。その場合には、先ほどお話がございましたように、経営規模が稲作については四−六ヘクタール程度、酪農については三十頭、四十頭程度の飼育農家だというお話がございました。これにつきましては大臣からも御答弁がございましたように、自立経営の育成と、あわせて集団的生産組織の育成をはかって、実質的に非常に生産性の高い農業をつくっていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  153. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま御答弁があったのですけれども、やはり私の考えでは、農家それ自体をふるい立たせるようなそういう農業政策ができないものか。五百万戸の農家があるんだけれども、その中の全部の農家が一緒になって農業に一生懸命やるといっても、これは無理です、いまの段階では。その農家のどの部分がふるい立てるようになるのか、これをやはり考えなければならぬだろうと思う、この段階では。ですから、全部の人々の顔を見て、あれにもいい、これにもいいということはいまは無理だと思う。だとすれば、どういうような農家を中心にこれを育成し、それを援助し、そこに依拠して日本農業のあるべき姿というものをここに見出すかということについて、これは真剣にひとつ考えてもらわなければならない。特に北海道のように、酪農であり、畑作であり、非常に農業中心にやってこられたところ、あるいは東北、北陸地帯、こういうところでは、やはり農業についてのこれからの未来像というものに対して非常に求めているだろう。いまはそれがない。あるいはまた都市近郊においてはどういう形のものがいいのか。要するに、都市近郊においては面積とかあるいはそういうものが中心じゃなくて、資本とかあるいは市場に近いとか、営農技術だとか、そういったものが一つの中心になっていくだろう。だから、面積だけが中心でもない。といって面積がなければならないし、一方においては資本がかなり密度高くあって、そこに経営のできるようなところがあってもいいというような形で、何か上から与えるのじゃなくて、農民自主性が引き出されるような農政というものが一体できないのか、そのことをやはり私は政治に求めたいのですよ。これはどうですか。私の言っていること、わかりますか。
  154. 内村良英

    内村(良)政府委員 私どもの所管しております金融制度の中に、先ほどもお話が出ましたけれども、公庫資金の中に総合資金というものがあるわけでございます。これは一農家当たり八百万、特認の場合には二千四百万まで貸すというような大きな金融をやることになっておりますけれども、それの貸し付け対象になる農家というのは一体どういうものを考えているのかということを若干お話ししてみたいと思います。  まず第一にアとして、当該経営の実質的担当者が比較的若年であって、自立経営となる意欲と能力とを有し、かつ、これに必要な技術を習得している者でなければならないということでございます。次にイとして、当該経営経営規模拡大に対応し得る家族労働力——法人経営にあっては、構成員及びその家族の労働力でございますが、家族労働力を確保し得ると見込まれるものでなければならない。なお、自立経営を目指す農業経営改善のための総合的な計画を立てる必要があると思いますけれども、そういった計画を立てる場合には、いろいろと都道府県知事の定めている諸指標に合致したものでなければならぬというようなことが貸し付けの要件に出ておりますけれども、私は一番大事なのはこのアとイじゃないか、すなわち農業に熱意を有する比較的若い人がいて、それが自立経営となる意欲が強くかつ必要な技術を持っている、同時にそれを助ける家族労働力、あるいは中高年層の場合には後継者がいるというような農家を、大いにこれから資金的その他におきましても融資対象といたしましてやっていくということ、総合資金はそういう考え方をしているわけでございます。これは一つの例でございますから……。
  155. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この議論は、またあとでそのことについてやりたいと思います。  そこで、どうしても私は、農本主義ではないけれども、このような国際情勢の中で、一億の国民の食料を新鮮にしてしかも良質なものを確実に供給するためには、日本の農業の果たす役割りというものは非常に大きいと思う。だから、その農民に対して、いま言うように、意欲のある青年が農村に残って、ほんとうに農業の中で生きていこうというような者を育成しなければならない、援助しなければならない、このことが農政に携わるわれわれの責任であり義務だと思うから、ぜひこのことについてはこれからも続けて討議をしたいし、先ほども委員長に要求したように、この委員会を通じてそれをするための会議を別につくって、そして大いにこのことを討議して早く明らかにしていく必要がある、こういうふうに考える。  そこで、もう一つ重要な問題で、もし政務次官でわからなければ、これでもう終わりになりますけれども、貿易の自由化の問題で、また最近田中総理は、いよいよ貿易の自由化も避けがたいだろう、今度はいよいよオレンジをやる、こういうことを新聞に書いておった。これはどうですか。自由化という問題について明確に自由化に反対をするということが言えますか。
  156. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 世界のいまの経済の動向からいきますると、自由化の傾向があるということはいなめない事実だと思うのであります。しかし、日本の農産物自体が自由化をすることによって受ける被害というものの実態を考えますると、これは賛成するわけにはまいらないというのが原則でございます。大臣もそのような答弁をしておるようでございますが、あくまでもその方向に私どもは考えております。
  157. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そうすると、貿易の自由化は反対だということで理解していいかな。
  158. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 自由化というものの見方は、農作物の自由化というものに限って考えまして、私は現時点の中では農作物の自由化は対外的にも何の大きなメリットも与えないし、また日本の国内でもそれを受け入れる用意として十分なものがないという観点を申し述べたいと思います。
  159. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農林委員会ですからね。私は、農業の立場から自由化の問題を言っておるわけだから、いまも残った残存品目があるわけでしょう、あれに対して明確に答弁してほしいのです。
  160. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 これはあくまでも、私どもは、これに対応でき得る能力ができるまでは自由化というものはやるべきでない、またやってはならないということを主張し、また実行していくつもりであります。
  161. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 四十五年の国会で農村地域工業導入促進法というものが成立をした。あの法律に対しては、社会党としてはかなり注文をつけて、疑義を持っていた。現在それは一体予定どおりに進んでいるのかいないのか、まず報告を求めたい。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  162. 小山義夫

    小山説明員 農村地域の工業導入の制度は、四十六年の六月に制定をされまして、したがいまして、それから今日まで約一年半の運用の実績でございますが、県が立てます基本計画は現在四十二の道府県において策定されております。それからこれを受けて実施計画を県または市町村がつくるわけでございますが、その地区数は四十六年度で百四十一地区、四十七年度で二百十二地区でございます。それから、これらの計画に従いまして各企業が導入をされるわけでございますが、農村地域の工業導入促進センターの調査によりますと、四十六年度に実施計画が策定されました百四十一地区の中で、企業が導入をすでにされ、あるいは具体的に企業がきまって近く導入されることが確実であるという企業の数は百八十五でございます。これは四十八年の三月十日現在の数字でございます。そういう制定以来一年半の運用実績になっております。
  163. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その誘致した企業の種類、そこでの賃金、雇用条件、そういうものはわかりますか。
  164. 小山義夫

    小山説明員 導入をされた企業の種類でございますが、いま申し上げました工業導入促進センターの調査でございますが、かなりいろいろな種類の企業に分かれておりますけれども、比率の多いものから言いますと、金属製品の関係の企業が一四%、それから輸送用の機械器具関係が同じく一四%、それからその他一般の機械器具が一二%というふうなことで、大体そういう機械器具関係が業種としては一番多うございます。そのほかそれに次ぎますものは食料品製造業が五・四%、それから繊維工業関係が六・五%、類似のその他の繊維関係もそれに次いでおります。大体比率の高い業種から言いますとそういうことになっております。  それから、雇用条件につきましては、これは非常に千差万別でございますので、ちょっと調査が行き届いておりません。  それから、賃金につきましても調査がまだ十分できておりません。
  165. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 たいへん不十分ですね、それは。一番の問題は、農村に工業を導入するというのは、都会に出かせぎに行かなくても、自分の近くに職場があって、そこに都会に行ったよりより有利な収入があるから、だから農村に工業を導入するというのが大きなねらいだったわけでしょう。だから、それに見合うものがなかったらまずいですね。ですから、これはいずれ別なときに議論しますから、資料を準備しておいてください。  それから、現在国が補助金を出して土地改良をやっている。その土地改良をやっているまだ第一次の仮換地の段階で、その国の金を出したところに芝生を植えている農家がありますね。こういうことは農林省は認めていますか。
  166. 小山義夫

    小山説明員 仮換地のところで農業をやる場合に、芝生の耕作、販売というのは、農業の一つの種類としてこれは否定することはできません。そういう意味では認めておりますが、問題は、それがほんとうに営業といいますか、農業経営としての実質を備えているかどうかというところが問題になる場合が間々ございます。これはケース・バイ・ケースで判断をいたしませんとなかなか認定がむずかしいわけですけれども、芝生はこのころ需要が非常に多うございますので、芝生をつくって売るという農業経営がりっぱに成立している例はもう非常に多うございますので、それ自体としては認めております。
  167. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 芝生を農産物だという規定はいつからきまったわけですか。芝生は農産物ですか。要するに、国の金を四五%導入しているのですよ。そこで仮換地の段階で芝生を植えてこれをゴルフ場に売っているわけだ。芝生は農産物ですか。そのことはいつからきまったのですか。
  168. 小山義夫

    小山説明員 芝生はゴルフ場にもあれされますし、個人の住宅でこのごろ非常に需要もふえておりますし、それ自体として農業経営として十分成り立つ種類のものであることは否定できません。  ただ、それが単なる名目と申しますか、耕作放棄に近いような実態のものがまぎれ込んでおる場合にはいろいろ問題がございますけれども、その辺は区別をしなければならないと思いますが、芝生を栽培して売るということ自体は、農業経営として十分認められるものであると思います。
  169. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは土地改良なんかしないところなら、何をしようとそんなことはかまわないのですよ。国の金ですよ。国の金を使って土地改良をして、まだ換地が終わらないその段階で芝生を植えるというのはどういうことです。まずいじゃないですか。
  170. 小山義夫

    小山説明員 お答えをいたします。  個別のケースについて判断をいたしませんと、本来どういう経営を従来はやっており、今後どういう経営をやる計画になっており、いまどういう事情でその芝生を植えておるかということも、いろいろからんで判断をさせていただきたいと思います。
  171. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは金融問題と関連があって非常に重要なことだから、若干の時間がありますけれども、それは次の段階にして、きょうはこの辺で終わります。今度は証拠を持ってきますから、このことについてはひとつ十分に、芝生が農産物であるという規定はいつしたかということも含めて、ひとつしっかりした御答弁を願いたい。  あとのことはまた別な時間にやりますから、きょうはこれで終わります。
  172. 佐々木義武

    佐々木委員長 次回は明五日、木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十六分散会