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1973-03-29 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月二十九日(木曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 佐々木義武君    理事 坂村 吉正君 理事 藤本 孝雄君    理事 山崎平八郎君 理事 渡辺美智雄君    理事 柴田 健治君 理事 美濃 政市君    理事 津川 武一君       安倍晋太郎君    笠岡  喬君       金子 岩三君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    小山 長規君       佐々木秀世君    正示啓次郎君       菅波  茂君    西銘 順治君      三ツ林弥太郎君    湊  徹郎君       森下 元晴君    安田 貴六君       井上  泉君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    芳賀  貢君       馬場  昇君    湯山  勇君      米内山義一郎君    青柳 盛雄君       多田 光雄君    中川利三郎君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       稲富 稜人君    小沢 貞孝君       神田 大作君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         農林政務次官  中尾 栄一君         農林省農林経済         局長      内村 良英君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁長官   荒勝  巖君  委員外出席者         文部省大学学術         局技術教育課長 齋藤寛治郎君         農林大臣官房審         議官      下浦 静平君         農林大臣官房参         事官      川村 浩一君         農林省構造改善         局次長     杉田 栄司君         通商産業省化学         工業局窯業建材         課長      原野 律郎君         参  考  人         (畜産振興事業         団理事長)   岡田 寛夫君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 三月二十九日  辞任         補欠選任   角屋堅次郎君     芳賀  貢君   多田 光雄君     青柳 盛雄君   稲富 稜人君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   芳賀  貢君     角屋堅次郎君   青柳 盛雄君     諫山  博君   小沢 貞孝君     稲富 稜人君 同日  辞任         補欠選任   諫山  博君     多田 光雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件(林業問題、加工  原料乳生産者保証価格の問題及び飼料問題  等)      ————◇—————
  2. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  林業問題等について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。湯山勇君。
  3. 湯山勇

    湯山委員 私は、いまマスコミ等でいろいろ問題になっております白ろう病につきまして先般現地調査をいたしました。私だけではなくて、当委員会では同僚の井上委員あるいは島田委員あるいは米内山委員等もそれぞれの地域白ろう病調査をいたしたわけでございます。この白ろう病調査に参りまして現地作業状態あるいは白ろう病にかかって認定されておる人たち、こういう人たち状態あるいは直接の話等を聞きまして、いまの林野庁人事管理といいますか、人事行政というものはまだまだ改めていかなければならないという感を強くいたしました。そこで、それらの問題を中心にして幾つかの点についてお尋ねを申し上げたいと思います。  まずお尋ねいたしたいことは、白ろう病という病気チェーンソー等振動機械を使う、そのことによって起こるということは世界のそれぞれの学界あるいは国において認められておるところでございますが、日本における白ろう病出現状態というものは、特にチェーンソーを使っておる山林労働者の場合多いほうだと思いますが、その状態について、長官、いかがでしょうか。
  4. 福田省一

    福田政府委員 ただいま御指摘のございました白ろう病、これは現在日本の国の中におきましては、国有林民有林を分けて見ますと、国有林のほうが非常に多くなっております。現在、四十七年度に訴えてまいりました者が二百三十二名、これを白ろう病として認定した者が三十六名となっております。これは四十七年の十二月末現在でございますけれども、全体としましては、認定者が一千二百六十九名、それから訴え者が四千百三十九名、こういう数にのぼっておるわけでございます。ところが、民有林のほうはまだ非常に少ないという状態でございまして、ただいま御質問のございました、世界各国一体どの程度になっているかということにつきましては、ただいまのところ手元資料がございませんが、数だけを見ますと、国有林民有林に比べて多いというような形になっております。
  5. 湯山勇

    湯山委員 民有林の場合は、認定者の数は非常に少ないのですけれども実態ははるかに多いということが私ども調査では明らかになりました。たとえば、私が参加した高知県では、宿毛病院の五島というお医者さんが主として民有林関係のそういう人たち診断に当たっておりますが、実際には非常に多いということを申しておられました。現在のところ、民有林のほうは、長官のお手元にある資料あるいは正式に認定された者の数は非常に少ないですけれどもチェーンソー使用状態というものはむしろ民有林のほうが国有林の十倍あるいはそれ以上という状態から見まして、厳密に正確に調査をしていったならば、あるいは国有林を上回っておるのじゃないかというようにいわれておりますし、私ども実態を見まして、確かにそうだなという感じを受けましたが、その辺を、これは推測ですけれども長官どのようにお考えでしょうか。
  6. 福田省一

    福田政府委員 先生指摘のように、おそらく民有林のほうが、正式に訴え者を県に聞きましたりあるいは認定するためのお医者さんの診断を頼んだりしたら、出てくるのじゃなかろうかと実は私も思うわけでございます。ただ、そういたしますと、民有林の場合は、仕事にあぶれるとか、あるいはチェーンソー以外の仕事にいくと賃金の取得が少ないというようなことを懸念いたしまして、そういうことを積極的に申し出てこないという実態もあるいはあるのじゃなかろうかという気もいたします。そういう点はやはりよく指導していかなければならないと思っております。
  7. 湯山勇

    湯山委員 長官の御答弁のとおりだと私も思います。  そこで、問題なのは、私どもが接した範囲において、白ろう病にかかっている人、特にもう休業している人たちは、白ろう病がなおるということについての確信を全然持っておりません。長官は、白ろう病というのは完全になおる病気だとお考えになっておりますか、なおらないというふうにお考えになっておられますか。あるいは白ろう病と認定されて休業するというようになった人で、全快した例があるかどうか。これらの点についてはどのように御把握になっておられるか、お考えになっておられるか、承りたいと思います。
  8. 福田省一

    福田政府委員 実は、ただいま申し上げました認定者の一千数百名という数は減ってまいっておりません。その理由は、この白ろう病がなおったのかなおらないのかという診断基準が実はまだできてないのでございます。やはり白ろう病にかかる原因であるとか何かというものをよく検討をいたしまして、その原因がわかるということになりますれば、白ろう病にかからないような仕事のしかたをすればいいわけでございますので、その原因をまず追及することが大事であるというふうに思っております。  それから、原因がわかりましたならば、それぞれ白ろう病に向かない体質もございましょうし、あるいは白ろう病にかからないような作業のしかたであるとか、作業の時間であるとかいうのをきめればいいわけでございます。まず、そういったものを確立いたしまして、そういう予防対策をつくることが先決ではなかろうかと思うわけでございます。  現にかかっております白ろう病人たちは、できるだけチェーンソー以外の仕事に回っていただくとかいうような方法によりまして、もっと悪くならないように、なおるようにしていきたいと思いますが、先ほど申し上げました診断基準をつくることを人事院等とも連絡をいたしまして、速急にいたしたいということで、いろいろ研究をお医者さんにお願いしているところでございます。
  9. 湯山勇

    湯山委員 いま長官がお答えになりましたように、この白ろう病というのはなおるという見込みが立っておりませんし、また病気自体の解明も十分になされておりません。私は現地——非常に不便なところで、ちょうど三月の十日ごろでしたけれども、雪が降りまして、非常に寒いときでしたし、非常に不便な場所でした。もしこれが都会でこういう症状があって、あるいは光化学スモッグ等のように、都会でこういう病気が発生しておったとしたならば、これはもう社会問題になって、とうていほうっておける問題じゃない。いまのように、もう白ろう病というものが問題になってから十年も経過しております。それまでたってまだいまおっしゃったような状態であるというように放置されているというのは、ほんとうにこれは重大な問題だ。ということは、逆にいえば、この問題がこういうふうに放置されているという意味は、これらの人が働いておるところが非常にそういう点で恵まれていない地域だということと一体になっておると思います。  そこで、この白ろう病をいまのような状態のまま放置するということは、これはまさに人道上の問題であるし、それから民有林関係は、いま長官の御答弁のように、実数は国有林よりもはるかに多いにかかわらず、あらわれておるものは十分の一そこそこしかあらわれていない、こういう片手落ち、これらも、私は単に林業行政の問題とかいうような問題じゃなくて、もっと大きい人道上の問題だというように思います。  そこで、やや飛躍するようですけれども国有林関係ではこういうことが非常に問題になって、それでもまだ認定等がかなり積極的に行なわれている。民有林の場合は生活がかかっているためにそれがおくれているというようなことであれば、私は民有林労働者国有林のこういった仕事を請け負わせるというようなことを安易に考えちゃいかぬ。それをもし、民有林労働者ではあまり問題になっていないから、その仕事民有林労働者に請け負わすというようなことをすれば、これはまさに人道上の問題だというように思います。この理屈は簡単な理屈ですししますが、非常に基本的な問題ですから、政務次官、いま私が申し上げましたことを——なおる見込みがいままだ立っていない、そういうときに、間々財政的な観点やそのほかの観点から、国有林のそういう仕事を請負に出して一般の者にやらしたらいいじゃないかという意見があることは事実です。そういうことをやることは、経済的な観点は別として、人道上の問題だというように思いますので、それはなすべきじゃないと思いますが、そういう点、政務次官の御所見を伺いたいと思います。
  10. 中尾栄一

    中尾政府委員 白ろう病の問題のやりとりを聞いておりまして、まさに先生の御指摘のとおり、国有林従事者であれ、また民有林従事者であれ、同じ人間並びに日本民族同士がこれをやっているわけでございますから、ただ民有林白ろう病にかかっておる方々の被害の申し出が非常に寡少であるという、御指摘のとおりであるということになりますと、これは、したがって民有林にすべて労働力を委託するというようなことは人道上の問題であるという御指摘はよく理屈としてわかるのでございます。そういう意味におきましては、国有林民有林もともども、十分その労働力の問題は検討して対処していかなければならない問題であるということを率直に感じます。
  11. 湯山勇

    湯山委員 政務次官の非常に御明快な御答弁で、ぜひそういう基本を踏まえておやりいただきたいと思います。  それから、同じく白ろう病にかかっている人たちを通じて、あるいは国有林で働いておる人の状態を見まして、国有林雇用関係というものが非常に前近代的であるということを私は感じておりました。そしてまたその問題を十年も前に取り上げたこともございました。しかし、それがほとんど改善されていないという事実を今度また新たに見まして、これは非常に遺憾なことだというように思いました。  と申しますのは、具体的に申し上げますと、国有林で働いておる人、しかもその人たちはほとんど国有林の専属の形、もっといえば、国有林を経営していくための基幹要員として働いておる人、それらの人の約半分は定員外という臨時雇用形態をとっております。これははなはだ不合理なことであって、ただその日だけ臨時に来て働く、そういうことの雇用関係ならば別ですけれども、そうじゃなくて、むしろ国有林野一体になって林野仕事に従事しておる人の雇用関係が、しかも半分以上が定員外という非常に不安定な状況に置かれている。これはどうしてもすみやかに改善してもらわなければならないというように思います。  実は、かつて同じような形態が他の官庁にもございました。それは建設省でございまして、建設省定員内、定員外というような区別がありまして、事業とともにずっとやっておる人であって、国有林と同じような身分的な差別がございました。そこで、これは不当じゃないかということで取り上げまして——当時は建設大臣がいまの静岡県知事竹山祐太郎さんでした。そこで取り上げまして、なるほどそうだというので、それらの任用関係を改めようということになって調査をして、ある一定基準を設けまして、その基準に合うものは全部職員に切りかえました。切りかえることによって、現在受け取っておる給料と切りかえた給料とに差ができますから、そこで差については、人事院の規則で、一号は所属長の裁量でできるが、二号俸以上になると人事院許可が要るというので、それらについてもほとんど機械的に人事院許可を得て任用がえをしたことがございます。  そういう経験も踏まえて、以前にこの農林委員会でその問題を申し上げて、しかも林野庁の場合は、大臣権限じゃなくて、それらの任用長官権限でできることになっております。そこで、長官に要望しまして、できるだけそうしましょうというお約束があって、その後も赤城農林大臣その他歴代大臣、それから歴代長官、いろいろこのことについてお約束もあったり努力をしていこうという御言明もございましたが、いまなお定員外定員内と匹敵するぐらいあるというような状態、その定員外も数年の雇用関係もあるし、それから十カ月ですとか八カ月、そういったようにとにかく非常に不安定な雇用状態にあるということを見まして、これは今日国家公務員であって、こんなに身分上不安定な状態に置かれている者が他の役所にあるだろうかということにもあらためて疑問を持ちました。こんなにたくさんの人が定員外という状態に置かれている、そういう役所がほかにありましょうか。どうでしょうか、長官
  12. 福田省一

    福田政府委員 定員内外のほかに役所の事例というものを私はまだ正確には承知しておりませんですけれども林野庁仕事というのは、ただいま先生指摘のように、ほかの官庁仕事と違いまして、たとえば郵便の仕事であるとか、その他国鉄の仕事であるとか、電電の仕事であるとか、大体は林野と違って年間固定して仕事量もございますし、そういったようなことが可能であろうかと思うわけでございますけれども定員内外の区分の前に林野特質としまして、先生もちろん御承知かと思いますけれども、非常な違いは、季節労働であるということがまず一つあると思います。一年間ずっと雇用されておる定員外職員、これは御指摘のように、日々雇用される職員でございます。ところが、半年とか十カ月とかというふうないわゆる定期作業員の数が相当多いということは、やはり夏場の仕事が多くて冬に仕事が少ないということが、国有林に限らず、林業特質だと思うわけでございます。この辺の季節的な仕事に従事する職員を何とか年間固定し、それから賃金その他の水準も一般職員並みに上げていきたいと思うわけでございますけれども昭和三十六年の閣議決定の結果、定員内の職員については一応ピリオドを打ったわけでございます。  私たちも、定員外職員につきましても、特に常用の作業員につきましては、年間働くのは十年も二十年近くもずっときていて、それでも定員外だというのはふに落ちない、何とかしたいと思うわけでございます。機械作業員につきましては、数を限りまして定員内に繰り入れたわけでございますけれども、依然として定期職員もあるわけでございます。この定期、常用両方含めまして、やはり何とか定員内職員と同じような処遇をしていくということを、私たちは重大な問題と実は考えておるわけでございます。そのために、たとえば伐採仕事は年間できる、しかし造林は夏しかできないという場合には、造林から伐採に回ったり、伐採から造林に回ったり、そういう仕事の組み合わせをまずやる必要がある。それからもう一つは、ある一定事業所にいたが、隣の離れた事業所へ行くと仕事があるという場合、移動してそちらの仕事をするという形にしまして、できるだけ年間雇用できるような形に安定していくということに努力をしてきたわけであります。しかし、いま申し上げましたように、なかなか限度にきているわけでございまして、その次はどうしたらいいかという問題が出てくるわけでございます。場合によっては、林業以外の仕事と結びつけて考えるとかいうふうなことも考えなければならぬかなと思うわけでございますが、いずれにしても、私は、そういったことでほかの官庁ともいろいろ折衝しながら努力してまいりたいと思っております。  基本的に私は、定員外職員については、最近いろいろ機械化その他によりまして、安全作業というか労働強度を軽減することを考えております。これは先ほどのチェーンソーほんとうは使わぬで、伐採する機械もあるわけでございますから、そういったような機械を使えば白ろう病の心配もございませんし、そういう機械化をやる。機械作業特殊技能でございますが、そうすると、そういう特殊技能を持った人は定員内職員よりも給料が高くたって、あるいはそういったような条件がよくたって当然ではなかろうか。  と申しますのは、最近山の林業労働力というものは非常に減少してきております。これはやはり林業の将来を考えますと、そういった特にグリーンカラーを固定していきますためには、雇用の安定なり労働環境条件をよくするとか、あるいは社会保障をよくするとか、いろいろなことを考えていかなければなりません。そうならば定員内職員よりも処遇をよくしてやればいいじゃないかというふうに思うわけでございます。それには林野庁限りではできません。各方面ともいろいろ折衝しなければなりません。  それから、現在ある職員を野放しというわけにまいりませんので、国民皆さんの御納得のいくような、仕事量に合った一つ雇用関係をきめまして、その中でそういった定員外職員処遇改善をはかっていくということ、国民皆さん全体のコンセンサスを得られるようなことを考えてまいりたいといろいろ考えているわけでございます。
  13. 湯山勇

    湯山委員 せっかくですけれども長官、私が申し上げたいのは、定員内の人と同じような仕事をしていて、こちらは定員外というような面がずいぶんありますね。これは労務管理の上からいっても許されないことだし、五%というようなワクというものはそんなに私は厳重なものでもないと思いますし、またそれについては了解の道もあると思います。ただ、そういう五%のワクだとか、他の役所関係だとかいうものにこだわって、一番あなたの大事な職員を、あなたのもとで働いておる人を、そういう矛盾した不安定な状態に置くということは、これは許されないことではないかというように思います。これはいかがでしょうか。
  14. 福田省一

    福田政府委員 ただいま五%とおっしゃいましたのは、定員の問題でおっしゃっておられることかと思います。そうしますと、定員内職員定員外職員と同じような仕事をしておるというのは、主として運転手関係にございます。これは組合との間の交渉によりまして、二千数百名を定員内職員に入れるということで、数カ年努力をして入れてまいりました。まだところが若干残っている者がございますので、これらについてもひとつ検討してまいりたいと実は思っておるわけでございますが、その問題があろうと思います。  それと定員内の職員全体につきまして、大ざっぱに申し上げて約四万人おりますが、その中でいわゆるいま申し上げましたような機械その他を扱います技能職職員は一万人足らずでございます。ここに基本的な問題があるわけでございまして、いわゆるホワイトカラーの事務職はどうも官庁業務としては仕事量が多過ぎるので、そこを合理化していかなければならぬというようないろいろな御指摘を受けております。  その辺との関連で、定員内の職員の内容を見ますと、そういう事務的な仕事をしておる者と、それから定員外と同じように技能的な仕事をしている者とあるわけでございますから、その辺の振り合わせ考えてこの問題については検討してまいりたい、こう思っております。
  15. 湯山勇

    湯山委員 この問題に関しては、長官は、法律では長官権限でできることですから、もう少しはっきり御答弁を願わないと——大臣権限にあることであれば、いまのような御答弁でもやむを得ないと思いますけれども長官権限でできるのですから、いまおっしゃった機械関係の残りが三百名ぐらいあるのですか、これはやります、それから一万名ばかりの運転関係ですが、これは三百名ばかりあるのじゃないかと思うのです、これは直ちにやります、それからあとの一万名についてはこうします、これは長官ですから、そこぐらいまでは言わないといかぬのではないかと思います。いかがでしょう。
  16. 福田省一

    福田政府委員 この問題につきましては、御承知のように、一つ組織の問題と関連するわけでございますから、定員内職員につきましてはそれぞれその組織に張りついておるわけでございます。それの合理化の問題が一つあるわけでございます。御指摘のように、一つ権限ということになりますと、確かにおっしゃるとおりであると思います。したがいまして、現在組織問題についての検討をいたしております。その関連と、それからそういう技能職職員がおりますが、はたしてどれくらいの仕事量に対してどれくらいのそういった設備が必要であり、どれくらいそういった技能職が必要であるかとの関連もございますから、組織の問題とそういう仕事量の問題との関連でただいま検討しておるところでございまして、御指摘の線に沿って努力してまいりたい、こう思っております。
  17. 湯山勇

    湯山委員 林野庁でこれだけ働いておる人で、しかも半数の者が定員外だというのは全く異例だと思います。建設省だって当時そういうことを言って、業務関係はどうだというような意見もありました。しかし、そういう区別をすべきじゃないのです。建設省のことを申し上げて恐縮ですけれども、あそこは事務次官も、そういう観点から技能職事務官とが交互に次官になっておるのじゃないですか。そういうことを御存じですか。ちょっとそれを答弁してください。
  18. 福田省一

    福田政府委員 承知いたしております。
  19. 湯山勇

    湯山委員 そういうことが一方では認められて、林野ではそれが認められていないというようなことは不合理じゃないでしょうか。これは常識的なことですから、政務次官、いかがですか。
  20. 中尾栄一

    中尾政府委員 事務関係においてどっちが大事、どっちが大事でないということは当たらないと思いますので、十分これも検討いたしまして、私も対処したい、こう思っております。
  21. 湯山勇

    湯山委員 政務次官はどちらが大事でどちらが大事でないということはない、平等にしなければならないという観点から御努力なさるという御答弁と思いますので、それは当然なことだと思います。したがって、いまの常用、これは当然定員内に入れるべきだ、そういうことをぜひすみやかに実現していただきたいと思います。  それから、そういうことと同時に、いま長官の御答弁の中に、定員内の職員についても合理化というようなことを検討しなければならないというような意味の御答弁がちょっとあったと思います。これはほんとうにそういうふうにお考えになっておられるのですか。
  22. 福田省一

    福田政府委員 端的に申し上げまして、営林局の仕事というものは人員が過剰でないかというような御指摘をだいぶ前から受けておるわけでございます。これがはたして過剰であるかどうかということにつきましては、もちろん相当問題があると思います。私は森林の経営につきましては、特に国有林の問題だけ取り上げましても、どちらかというと役所の中で仕事をやっているよりは現地へ行っていろいろ仕事の指導をし、また実際に自分でそういった植栽なりその他の仕事をするということは大事であると思いますので、事務の仕事はできるだけ簡素化しまして現地に出て仕事をするほうを充実していく必要があると思うわけでございます。もちろんその場合におきましても、現地のほうの仕事は、先ほど申し上げましたように、できるだけ労働の強度を少なくして、しかも安全な仕事をするために林道を通したりあるいは機械を使ったり、そういうことも考えていかなければならぬと思いますけれども、私はむしろそういった事務はできるだけ簡素化して、現地仕事もいま申し上げたような方法で合理化をはかり、組織を充実していく必要がある、そういった中で一つ組織化を考えていかなければならぬと思うわけであります。現在ありますところの営林局なり営林署の組織というものは大正年間にできた組織でございまして、その内容は非常に複雑になっております。事務量が非常に多い。はたして必要な事務量であるかどうかということで十分検討していかなければならぬと思っておりますが、実はそういった御指摘を受けておるわけであります。
  23. 湯山勇

    湯山委員 長官はいまの人員で事務関係が多いとお考えなんですか。これは重大な問題です。
  24. 福田省一

    福田政府委員 私一人の判断では非常に間違うと思いまして、いろいろ林政審議会その他の機関の御検討をいただいたわけでございます。その結果、内容についてはもう少し合理化をはかる必要があるというふうな結論をいただいておりまして、それを尊重して私たちは現在そういった組織の問題あるいは事務の合理化の問題につきまして検討している段階でございます。
  25. 湯山勇

    湯山委員 林野庁長官局長じゃないのですから、そういう答弁ではいかぬと思います。林野庁長官は、余っておるなら余っておる、審議会がたとえどう言ったってこれだけ必要ですというしっかりした信念がなければ、これだけ人事の大きい権限を持つ長官としては困ります。もう一ぺんひとつ御答弁いただきたいと思います。というのは、今度の計画ですか見通しですか、十年間のを見ますと、何か直営の事業を減らすような計画にもなっている。これでは事業を減らしていけば余りますし、財政審議会の答申ですから、これは本庁を含めて検討せいというようなことを書いてありますね。それなら長官長官自身のことから検討してかからなければならぬ、そんなものじゃないです。これだけ日本林野を預かっておる長官がそんなものでふらふらされたのじゃこれはたいへんなんです。だから、長官としてはむしろこれだけの機構を持ってこれだけやっていくのには、もっとやらなければならぬ事業がたくさんあるのじゃないですか。  ついでにですが、長官は「自然の心」という佐藤達夫さんの本をお読みになったでしょうか。
  26. 福田省一

    福田政府委員 ただいま初めて拝見いたしました。
  27. 湯山勇

    湯山委員 これは人事院総裁です。これは御存じですよね。林野行政一体何しておるのだろうとこれには響いてあります。ちょっと御参考までに読んでみますと、一つは、自然をしっかり守ってもらいたいということについては、「とりあえず一定の区域をかぎって自然をそのままに残すということならば、別段、経費もかかることではないし、ことに国有林、公有林の場合は、管理機関の決意ひとつで実現しうることだと思う。」というようなことも書いてありますし、それから「一般国有林についても、植物の採取は営林署の許可が必要なはずである。ところが、近年その皆伐が世間の問題になっている。一時は強力な除草剤による下草のせん滅作戦なども伝えられた。こういう現実のもとで、“下草”採取についての制限・禁止はいったいどういう意味になるのか、深刻なむじゅんを感ぜざるをえない。」これは人事院総裁ですよ。林野庁長官じゃありません。そういう人事院総裁さえこれだけ理解を持っていまの林野行政に疑問を持っています。こういうことをほんとうにやっていけば、林野庁職員というのはいまの倍あったって足りないのじゃないですか。そうして小さなこんなことを監視員がやっておる、一方では大きな自然破壊が行なわれておる。下草やそういう小さい問題はせっかく監視しておるけれども、大きい破壊をだれが監視するか。やはり林野庁長官が先頭に立っておやりにならなければならない。それにはまだまだ人があっていいのじゃないですか。そういう点から、長官は、だれかから合理化と言われたから検討せなければいかぬなんて、そんな弱腰じゃ私は日本林野国有林というのは非常に心細くなりますが、ひとつしっかりと決意をお述べいただきたいと思います。
  28. 福田省一

    福田政府委員 私のお答えしましたことについてたいへんおしかりを受けて恐縮でございますけれども、実は私、先ほど申し上げましたのは、端的に申し上げますというと、役所にすわっているよりは現場へ行って仕事をやってくれ、こういう意味でございます。私は現場の仕事が非常に余っているんだとは全然考えておりません。というのは、それはおっしゃるように、やろうとすれば幾らでもあります。たとえば一つの例をとりましても、最近レジャー産業ということによって、道路ができますと、どんどん人も入ってまいります。そういった人たちが入ってまいりまして、自然を大事にしてくれればいいんですけれども、口では自然を大事にと言いながら、山へ入ってきては高山植物をとったりいろいろなことがあるわけですから、そういった人たちに注意をしてあげたり、いろいろ指導してあげるという仕事も幾らでもあるわけでございます。そういったものは従来は担当区の職員がやっておったわけでございますが、とても担当区の人だけではできないという問題がございます。それに補助者をつけていろいろな見張りをするとかというふうな仕事は、やはり山を守るためには絶対に必要な仕事でございます。ただ、それが日本の森林は国土の大体七割ぐらいもございますし、国有林はその中で三分の一の面積の数百万町歩を占めていますから、そこに何人おったらいいのかということをきめることはなかなか困難な仕事でございますから、それは十分私も検討してまいりたい、こう思っております。
  29. 湯山勇

    湯山委員 ですから、職員を減らすというようなことをお考えになるのじゃなくて、いまのように、これに何人要るかということをお考えになれば、それは日本全国の国有林を守っていく、林野を守っていくとすれば、まだ何万人もふやさなきゃいかぬのじゃないですか。それを押えるほうの役目の人事院総裁がこれだけの理解を示しておるのですから、自信を持ってひとつやっていただきたいと思う。むしろ荒廃していく日本の山を守っていくということのためには、もっと職員をふやす。常用の人を定員化するだけじゃなくて、新たな雇用、荒い人をどんどん入れていく。  最近新規雇用が非常に少なくなって、私どもの四国でも国有林につとめるという試験を受ける人が少なくなるし、採用も非常に少なくなっています。残念なことだと思う。しかも、いまのように雇用状態が不安定なものですから、実際に涙ぐましい努力事業場でしておるのです。それはたとえて申しますと、小田深山という事業場が高知県境にございます。ここはもう国有林につとめておる人でできておる部落です。ところが、いまのように季節雇用で、はずれる期間がある。それから、いまの年とって国有林から離れていくという人たちが、やはりここを離れたくないというので、今度は企業組合をつくって、奥さんたちもそこへつとめる、定年になってやめた人もつとめる。そういう雇用の切れる期間はそこへつとめて、なおかつそこで一つの村落を形成している。これだけ協力しておるのです。  ですから、こういうことを考えますと、むしろこういう人たちの犠牲の上に国有林というのは成り立っていると言っても決して言い過ぎじゃありません。木が守られていくというのは、やはり働いておる人が守られなければ木が守られていかないということはもう申し上げるまでもないことで、林野庁長官が以前に参議院で御答弁になっていること、私は非常にいい、貴重な御意見だし、わが意を得たりと思って敬服しておるのですが、それは全林野人たちの要求は「山をよくするという意味におきましては、組合も私たちも同じ目標であると考えております。」「雇用の安定なり、あるいは処遇の向上なりということも十分念頭に置き、安心して生活ができるような状態にして、それで初めていい山ができるということになる」、これは参議院の農水での長官の御答弁です。私はこれは非常にりっぱな御答弁だし、さすがは長官だと思って敬服しておるのですけれども、しかし、これはひとつ、ぜひ勇気を持ってそのとおりやっていただく。現に、ことし民有林関係雇用を安定させていく、通年雇用にしていくための予算が組まれております。それにしても、国有林はいまのような状態に置いておいて民有林の指導ができますか。民有林のほうに、お前たちはひとつ通年雇用をするようにぜいということを一方で指導する、国有林はどうですかと言われたら、国有林は四分の一ぐらいはそれができていないのだ、これで指導ができるでしょうか。いかがでしょうか。
  30. 福田省一

    福田政府委員 確かに先生指摘なさいましたように、民有林労働対策としましては、いまのところ重点は三つでございまして、通年化の問題と流動化の問題と環境改善の問題でございます。私は実はそれだけで十分だと思っているわけでございませんで、それを数年前からやってはおりますけれども、やはり依然としてこの山村地帯からの林業労働力の減少は目立っているわけでございます。それはなぜかということは、先生指摘のとおり、やはりその環境の問題にあると思います。やはり山を守っていくためには、いまおっしゃいましたように、山をつくる人の環境を考えてやらなければ山はよくならないことは当然であると私は思っておるわけでございまして、ですから、そういった民有林対策はもちろん国有林の労働対策と同じように、やはりこれは平等に考えていかなければならぬと思うわけでございます。その点について断層があるということは非常にいけないと思いますので、将来の労働対策としましては、民有林国有林含めまして山村地帯にそういった安定した労働環境をつくる、そこで安んじて生活ができるような労働条件なりをつくってあげたい、こう思って検討しているわけでございます。(湯山委員国有林がお手本を示さぬといかぬじゃないか」と呼ぶ)確かに御指摘のとおりであると思います。そういう意味で私はできる限りの努力をしていきたい、こう思っているわけでございまして、ただ、やはり批判もいろいろございます。いい批判に対してはやはりこたえていくし、それはいろいろ批判もございますので、特に国有林はそういった意味では注目され、林業問題はさらに最近はいろいろな意味でも注目されておりますから、国有林はそういった意味で、林業問題について一つの手本になるという形をぜひつくり上げていきたい、こう思っております。
  31. 湯山勇

    湯山委員 私は長官はどういう内容でおっしゃったのかわかりませんが、いろいろな批判を受けているという中で、国有林には不祥事がずいぶんございました。このことについてはきょうは触れるつもりはありませんが、批判という中に、国有林の経営、つまり経済ベースにおける批判、これはあることは事実です。財政制度審議会等もそういうことについて触れております。ことに国有林の新たな使命、環境保全とかそういうことに名をかりて、一般会計から持ち込むというようなことはよくないということもありますが、これはとんでもない間違いです、長官よく御存じのように。間違った批判はけ飛ばさぬといかぬ。この点で長官がき然として、この問題はそういう経済ベースじゃないんだということと、まず人を尊重するということから始めなければ自然が守れないという態度を堅持される点については、櫻内農林大臣をぜひ見習っていただきたいと私は思う。  それはどういうことかといいますと、農林大臣は農産物の自由化、特にジュース、オレンジの自由化問題について、この委員会におきまして、私はあくまでもこの自由化には反対をしますということをはっきり言明されました。その背景は、たとえば田中総理大臣が閣議等で——日本の経済の方向としては自由化が大原則だから、その自由化を否定するわけではない。けれども、農林大臣として、農民が困る、生産者が困るいまの自由化については私はあくまでも反対をする。しかもしまいには、そのことについてもし自由化されたら責任をとるかという質問に対しては、それは責任をとります。これは進退の問題という意味かどうか別ですよ。とにかく責任をとりますということを当委員会で言明されました。御存じでしょうか、長官は。
  32. 福田省一

    福田政府委員 承知いたしております。
  33. 湯山勇

    湯山委員 そういう大臣のもとですから、いま国有林を守っていくためには人が大事なんだ。ことにいま国有林の人というものは少なくなってきておる。この職員、常用の人や定期の人、つまり定員内の人定員外の人一体になってそれぞれ事業場を持って、そこでいまのように白ろう病になっても、ほうっておかれる。医療機関も不自由なところでがまんして一生懸命やっておるこれらの人に報いずして、一体どうして国有林が守っていけるか。そしてまた、こういう人たちの身分、生活の安定をまず国有林ではからなくて、どうして民有林の指導ができますかということから、長官がき然とした態度でこういうことを実行されれば、櫻内農林大臣はいまのような大臣ですから、長官の意図を了としてむしろ協力してくれるはずです。幸いそういうときですから、私はそのことについてはひとつ勇気を持って、自信を持ってやっていただきたいと思います。  それから政務次官もいまのようなことをよく御存じですから、ぜひひとつ国有林で働いておる人の身分、つまり定員外の人を定員内に入れる。それから季節の人についてもできるだけ常用化をはかっていく。そして安心して働ける条件をつくる。それをもとにして民有林も指導する、こういう体制をつくることにぜひひとつ政務次官の大きい力をおかりしたいと思うのですが、御所見を伺いたいと思います。
  34. 中尾栄一

    中尾政府委員 湯山先生の御言論まさにそのとおりだと思っております。特に櫻内大臣の自由化に対する所信表明、私もそのもとにおつかえ申し上げておりまする政務次官といたしまして、ともども行動いたすことをここで明白にさしていただきたいと思うのでございます。そういう大臣のもとにやっておりまするわれわれはいやが上にも使命は大きいわけでございまして、それだけに、私ども先生の御意思を十分尊重いたしまして、考えていきたいと思っております。
  35. 湯山勇

    湯山委員 そこで、具体的な問題について長官に一、二お伺いしておきたいのですが、白ろう病と同じように腰痛の問題がありますね。これは白ろう病の数よりももっと多いのじゃないかということさえいわれておりますし、チェーンソーだけでなくて、機械を使う人にも非常に多い。この腰痛がまだ職業病として認定されてないと思います。これについてはどうお考えなんでしょうか。
  36. 福田省一

    福田政府委員 先生指摘のように、白ろう病林業における職業病として認定されておるわけでございますけれども、腰痛の原因、対策等はまだはっきりしていないわけでございます。  かつて私、トラクターの運転手の中で非常に腰痛の現象を訴えた人がありまして、その原因を大学の機械先生に相談いたしましたところが、やはり座席の問題ではなかろうかということがあったことがあります。非常に腰が痛いし、その原因で頭が痛くなっておかしくなったということを訴えておった者があります。  それはトラクターの例でありますが、それから集材機にいたしましても、朝から晩まですわって運転しておるということになりますと、すわっておってもそういったことがあります。それから機械作業なんかにおきまして、しゃがんで機械を使うという場合も相当あるわけであります。とにかく、腰痛の現象は昔からあったのかどうか、機械ができてから出るようになったのか、その辺の原因さえまだ不十分なわけでございますので、これはやはり相当ばく然としておるわけでありますけれども、ありそうなふうに私は思うわけであります。これについての原因なりその対策というものも、問題が大きくなってからでなくて、早期に立てていかなければならぬというふうに思っておるわけであります。調査その他から始めてまいりたい、かように思っております。
  37. 湯山勇

    湯山委員 これはいまの長官だけの責任ではなくて、林野というのが今日まであまりにも人を粗末にし過ぎてきたということを私は強く感じます。自分のことを申し上げて恐縮なんですが、以前に暗渠排水を土地改良で私やらしたことがあります。どろたんぼに入って、スコップで上げる。当時ですから、自分で手ぶりですが、重い土を上げるものですから、二日、三日で非常に腰の痛みを訴えまして、これはいかぬと思って、その当時、県庁に学校の体育主事というのがおりましたが、その人に頼んで、こうこうだ、自分もやってみて確かに痛い、何とかならぬか。矯正体操したらどうかというので、二分ばかりの体操をつくってもらって、それをやったところが、ほとんどそういうことを訴えるのがなくなりました。  それは一つの例なんですけれども、共通してそういうものが出てくるのは何か原因があるのですから、医学的に原因を追及することも一つですけれども、できるだけそういうことにならないように、いろいろな知恵があると思います。そこで、緑の体操というようなものでもつくって、そういう人に午前一回、昼一回、午後一回、終わったときにやるとか、そういうこまかい配慮をやってみたらどうなんでしょうか。そういう配慮があれ、ば、かかった人に対する配慮ももっと出てくるし、白ろう病に対するいろいろな問題ももっと積極的に出てくるのじゃないかと思うのです。  そこで、それはそれとして、白ろう病で休業になっている人の休業補償給付がまた非常に少ないのです。それは八〇%というのが確保はされておりますけれども、実はその認定当時のまま据え置きなんですね。物価は上がる、ベースは上がる、だからそれだけでは生活はできないというようになっていますが、これは当然その基本給がスライドしていけば、そういう人たちの給付もスライドするのが当然だと私は思いますが、これはひとつスライドするようにやっていただけませんでしょうか。これは現地人たちほんとうに涙ながらに訴えておりまして、五年前に認定された人は五年前の賃金のままで、それの八割です。それではとてもやっていけないのはよくわかるので、子供の進学まであきらめるという状態ですが、これは改善の方法はございませんか。
  38. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  休業補償につきましては、民有林の場合におきましては、たしか御指摘のように百分の六十と二十足して百分の八十だと思います。国有林の場合は百分の六十、プラスしまして現在九五%になっているはずでございますが、あとで調査いたしまして——ただ、御意向はわかりましたので、これはできるだけ努力してまいりたいと思っております。
  39. 井上泉

    井上(泉)委員 関連。その白ろう病で休業する場合の休業補償が、認定時にさかのぼってやるのは何を根拠にそういうことをするのですか。やはり働いた者が休むときには、休む時点で、これが普通の場合における補償の対象になる。それなのに、林野庁だけがどうして認定時にさかのぼって休業補償の基準をきめるのか、その点一つ
  40. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  しろうとの判断ではなかなかこれは困難な問題でございますので、私は専門家の医者に頼んで認定していただくのが当然だと思うのです。その点ではございませんですか。——それに基づきまして休業補償を出しているわけでございますけれども、ちょっと正確に申し上げますと、先ほど少しあいまいな点がございましたが、休業補償金と休業援護金制度と二つが重なって百分の八十になるわけでございます。国有林の場合におきましては、格づけ賃金の差額とその基準賃金の九五%の差額のいずれか高いほう、こういうふうにしております。それを補償するということにしてございますので、四十五年一月一日では八五%で実施しましたけれども、四十七年四月一日から九五%に改正しておりますが、これにつきましてはもっと前向きに考えたいと思っております。
  41. 井上泉

    井上(泉)委員 これは前向きにひとつ考えてもらいたい。非常に無理ですよ。たとえば四十八年の三月三十一日から休む場合に、これはどうも就労ができないからといって休業する場合に、そのときの補償の基準というものが、白ろう病の認定を四十五年に受けておったら、四十五年の賃金基準を置いておるから、これは非常に無理ですから、よくその辺を検討していただいて、前向きにひとつ対処していただきたいと思います。
  42. 湯山勇

    湯山委員 いまの点、要点を言えば、とにかくスライドさしていくということができれば解決しますから、これは当然だと思いますので、ぜひひとつやっていただきたいと思います。  では、時間がまいりましたので、重ねてお願い申し上げたいと思いますが、とにかく直営、直用ということで、ほんとうにこの人たちが山を守ってきたわけですから、身分をいまのように安定さすこと、これを第一にしていただくこと、それから国有林の役目というのは、うんと大きい役目がこれにあるわけですから、長官のきょうの御答弁は非常に誠意のある御答弁でしたし、政務次官も非常に誠意のある御答弁をいただきましたので、問題はそれをすみやかに実現していただくこと、それ以外にないと思います。ひとつぜひすみやかに、今度森林法がかかる前くらいまでに、長官権限でできることはぜひひとつ実施していただくということを強くお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
  43. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 森下元晴君。
  44. 森下元晴

    ○森下委員 私は木材需給の問題について二、三林野庁長官に質問いたしまして、最後に、ちょうど政務次官もおいでになっておるので、考え方の御開陳をお願いしたいと思っております。  国家の安全、存立のためにはいろいろ要因がございますけれども、その中で資源の確保、これが非常に大きな要件、要因であろうかと私は思っております。特に衣食住に関係のございます資源というものは、できるだけ自給ができるような体制に持っていかなくてはいけない。幸い食料の中でお米は大体一〇〇%確保できておりますけれども、この住と衣のほうの担当であります木材資源、これが外材に半分以上を依存しなければいけない、これはゆゆしき問題でございます。過去におきましては、木材資源、森林資源というものは、わが国の資源の中でもほとんど一〇〇%自給できるような体制にあったものが、昭和三十六年ごろから外材のウエートがふえまして、最近では五〇%以上外材に依存しなければいけない、こういう憂慮すべき事態でございます。  そこで、私はまず初めにお尋ねいたしたいのは、国内材の供給の見通しがどうなっておるか。現在は外材がかなりウエートを占めておりますけれども、近い将来において国内材でかなりの部分をまかなえるかどうか。またそうでない場合はどういう処置をとらんとしておるか。こういう問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
  45. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  国内材と外材を含めて日本の木材の需給の将来の見通しはどうかという点につきましては、去る昭和四十一年に閣議決定を見ました需給の見通しがあるわけでございますけれども、その見通しが、その後経済の伸びが当初の見込みよりも相当大きくなったという原因もございますし、また先生承知のように、最近は国内の森林の保護という問題で非常にやかましく批判されるようになりまして、自然保護の観点から森林の経営のしかたを変え、また変える必要があるというふうになってまいりましたので、そういう二つの原因から、去る二月、この需給の見通しについての改定をいたしまして閣議決定を見たものでございます。  それによりますと、国内の需要の見通しは非常に大きく変わってまいりまして、昭和九十六年を最後とする五十年の見通しを実はつくったのでございますが、これが、先般の四十一年の見通しに比べますと、自給率が非常に落ちてまいっております。そこで、この自給の足らぬ部分は外材でまかなうというふうにしたのでございますが、前回の計画におきましては、需要と自給の差額は外材というふうに単純に割り切ったのでございますけれども、今度の見通しにおきましては、御承知かと思いますけれども、外材というのは、足りないから売ってくれというふうに申しましても、そう簡単には出してくれない実情でございます。特に最近アメリカにおきましては、アメリカ自体が木材の需要が相当逼迫してまいりまして、供給がなかなかそれに追いつかない。また日本と同じように自然保護に対する批判が非常にきびしくなってまいりまして、アメリカのロッキー山脈から西側のほうから主として米材が入っておるわけでございますが、この辺の丸太の輸出を規制しろというふうな法案が先般アメリカにおいても提案されているような状態でございます。したがいまして、外材がどこの国からどれくらい入ってくるかというふうなことをこちらから正確に調査し、見通し、また相手国に折衝していかなければならないという困難な問題が生じているわけでございます。  簡単に申し上げまして、前計画では自給率九〇%にしようというふうな見通しもございましたけれども、最近ではそれが六〇%台に落とさざるを得ない、こういう状況でございます。
  46. 森下元晴

    ○森下委員 ただいまの御説明では、五十年しないと九〇%の自給率にならない、これはたいへんな事態でございます。最近の木材価格の暴騰も、外材に五割以上たよったための経済的な一つの波乱の内容でございまして、衣食住に関係のある資源というものは少なくとも八〇%以上の自給率を持たないと、需給調整はもちろん、価格調整もでき得ない。最近酪農関係でやはり深刻な値上げの問題が起こっておりますけれども、これもやはり飼料がほとんど輸入にたよっておる。いわば外国の資源によって日本の価格が非常に乱されておる。こういうことを見ましても、住につながる、また衣につながる木材資源というものを、これはただ林業とかなんとかいうような小さな視野から見た問題でなしに、一国の安全保障の問題として取り扱っていかなければいけない、このように思っております。  最近の林野行政を見ましても、たとえば通産省が開発輸入と称しまして、東南アジア等の国に植林をするような案が出てまいりましたし、また環境庁が林野行政の一部を所管に入れる、何か一貫性がないような感じがしております。それで、建設省関係でも、たとえば住宅問題で、最近国民大衆は早く自分の持ち家がほしい、また建設省自身もその意欲は十分でございますけれども、その供給の立場である林野庁との相談というものがあまり行なわれておらない。どんどん需要ばかり求められましても、限りある供給源でございまして、この点やはり生産を担当しております林野庁と消費を担当しております建設省の協議、またコントロール、調整が行なわれなければいけない。この点について新聞等伝えるところによりますと、林野庁は住宅建設計画に対して木材の供給側からいろいろ要請を行なうというようなお話も聞いたわけでございますけれども、この点ひとつ供給側の林野庁の御意見をお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  47. 福田省一

    福田政府委員 先生指摘のように、木材の需給関係が将来を考えますと非常に問題でございます。また昨年の木材価格の騰貴ということば近年にない現象でございまして、その点について林野庁の対策がいろいろと批判されたいきさつがございます。現在もやはりそういった問題についていろいろ批判を受けておるわけではございますけれども、私は、昨年の木材価格の高騰につきましては、木材の急速な需要増、つまり住宅ローンの緩和によりまして木材の需要が急速に出てきたということがありまして、それに対して木材の供給が端的に追いついていけなかったというところに一番大きな原因があると思っておるのでございます。  と申しますのは、昨年の夏まで約二カ年間にわたりまして木材価格というのは非常に低迷しておった。したがいまして、それぞれの段階において在庫がほとんどなかったということでございまして、これが急にそういった需要が出たことに対して木材の供給というものが間に合わなかったわけでございます。  去年の末からたびたび建設関係皆さんから、あるいは消費者の皆さんから林野庁に対して、一体どうしてくれるのだ、木材価格をもっと下げよといろいろな陳情を受けておるわけでございます。いままでは山林関係の方、あるいはそれに携わる加工あるいは流通市場その他、いわゆる林業の生産サイドからの陳情を受けておったのでございますけれども、そういう需要者側からのいろいろ御批判を受けまして痛切に感じたのでございますが、しかし、大豆とかあるいはその他の農作物は数カ月で、あるいは二十日大根などは二十日でできるのでありましょうけれども、家を設計して木をほしいと言ったからといって、それから種をまいて育てれば五十年や六十年かかるのだから、あまりかってにやってもらっても困りますよということさえ実は私は申し上げておるのであります。現にある木を持ってくるにいたしましても、やはり二、三カ月はかかるわけでございます。そういうことを考えまして、やはり私は需要の側と供給の側とが密接な連絡をとっていくことが絶対必要であるというふうに先生指摘の点については考えるわけでございます。  そこで、先般来、特に建設省のほうと連絡をとりまして、住宅用木材需給合理化連絡協議会、ちょっと長い名前ではございますけれども建設省の住宅関係のそういったことを担当される方々と林野庁のそういった生産関係を担当するものとの間で連絡を密にしまして、こういったようなことを微細にひとつ相談しながら需要の計画と供給の計画を密着させていきたいというふうに考えておるところでございます。
  48. 森下元晴

    ○森下委員 木材価格が昨年の夏以来上がりました。特に昨年の年末は暴騰して、ただいまも多少落ちつきはしたもののかなり上がっておるというふうに一般に認識されておりますけれども林業生産地においては、われわれが調査したところ、さほど立木価格は上がっておらないように聞いております。たとえば生産地の市場等で昨年の夏に立米二万円ぐらい、それが十月から十一月にかけまして四万円ぐらいに上がった。それが年を越したとたんに最近では二万四、五千円、まあ昨年の夏に比べて二割ぐらいの騰貴率になっておる。しかし、その間に、暴騰したものですから、自動車の運搬賃とかまた労務者に対する支払い、こういうものが多少上がりまして、立木価格といういわゆる手取りについてはほとんど上がらなかったと同じような結果になっておると私は思うのです。にもかかわらず、物価値上がりの親玉は林業であるというような非常な誤解を受けておるような感じがいたしております。もちろんこの木材は貯蔵できないし、切った瞬間から腐るわけでございまして、大量の貯蔵はできないわけでございますけれども、最近のこの投機面の動きを見ておりますと、いわゆる心理的に価格をつり上げる一つの何か操作が行なわれておるのじゃなかろうか。そういうことと、従来の生産から消費という縦の流通機構が、最近の商品取引の流通を見ましても、横の取引が行なわれる。そういうところに心理的な作用をして商品の暴騰を惹起しておる、こういう感じがするのです。そういうことで、決して立木価格は上がっておらない。依然としてこの林業問題は、将来の国内材の蓄積のためにも手厚い国の保護政策を加えなければいけない、私はこういう結論的なことを申し上げるわけでございますけれども、この林業というものは決して木材生産だけではなしに、公益的機能から、思想的にも非常に重要な産業である。山河治まりて国はじまるということばがございますように、治山治水は政治の根底であるということの認識もいただきたいと思うのです。  そこで、政務次官に最後に御発言願いたいのは、われわれ人類は常に自然とは何であるか、また人間と自然との関係、これが常に論議され続けております。そういう関連からすれば、人間と自然との接点は森林であって、またそういう作用をするのが林業である、私はこのように承知をしております。ただ五重の塔を保存するとか、また古墳を保存するような無機的な保存ではなしに、林業というものは一つの有機体として、いわゆる切らなければいけない、しかも永久に切らなければいけない。そのためには永久に植え続けて、永久にまたこの手入れをしなければならない。そういうような、常に活力を生みながら、森林機能全般が生きていけるようにするのが私は林業であると思うのです。空気、水の生産はもちろん、木材の生産という経済的な大きな仕事を持っておりますし、また同時に五十年後、百年後のために木を植えていくという思想的なもの、そのために国を守るのだという愛国心、愛郷心まで通ずる林業思想というものは非常に大切でございます。そういう観点から、今後とも、先ほど申し上げましたように、林業をただ農林省の一部であるという観点からではなしに、政治の根底から林業というものを見直してもらいたい。このことにつきまして最後に政務次官に所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  49. 中尾栄一

    中尾政府委員 先生の高邁なる哲学と申しましょうか、人生観と申しましょうか、ほんとうに私も感じ入った次第でございます。まさに森林哲学ということばが当てはまると思うのでございますが、まさに人類のある限りあくまでも自然と一体になって考えていくべきである、治山治水は思想であるというおことばでございまして、全く同感でございます。自分のことにわたりまして恐縮でございますけれども、私の生まれましたふるさと甲州山梨県は、名将武田信玄公で有名でございましたが、信玄公のやはり偉大であった一番大きな要因は治山治水の要を得ておった、こういわれておったわけでございます。   〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕 まさに先生のおっしゃるとおりでございます。  と同時に、先生のおことばの中にございました不心得の商社がいたずらに投機の対象にして材木を買い占める。この点、私は絶対許すまじきことであるということを昨日も強調いたしましたけれども、本日をもってもさらに先生のおことばの裏書きをするように私は強調したいのでございます。まことに心得のない者の所作でございまして、こういうものに対しましては私どもは厳重にこの問題を摘発し処分する態度が必要であるという感じ方に立っておるわけでございます。  そのような意味において、先ほど長官の言いましたように、一日にしてならざる森林行政でありますだけに、十分にその種を植え何十年、何百年かたって育成していくその行政は、まさに国土の保全である、文字どおり環境の整備である、同時にこれは憂国心に通ずる道であるという思想のもとに、私ども先生の御心境そのまま反映さしていきたいと思う次第でございます。ありがとうございました。
  50. 森下元晴

    ○森下委員 終わります。
  51. 藤本孝雄

    ○藤本委員長代理 次に、小沢貞孝君。
  52. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いまの質疑応答を聞いておりまして、まさに林業哲学的のお話を聞いたわけですが、つい一、二年前の木材のたいへんな低迷、製材業者がつぶれてしまう、それからまた暴騰、こういう最近の情勢もさることながら、私は、森林政策全体について農林省、林野庁が世に問われておる時期ではなかろうか、こういうように考えるわけです。  戦後を振り返ってみれば、あるときは木炭がないから増産しろ、復興資材がないからやれ、その次に、水害がたくさんあったから今度は治山治水だぞ、こういうような変遷を経てまいりました。経済の成長期には、材生産中心でもって増産増産という体制の中で最近を迎えてきたわけであります。いま日本経済が直面しておる一番大きな問題は、経済動物みたいに働いてきた中から、もっと人間尊重の社会に転換をしなければならないという社会的な条件にあろうと思います。   〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕 そういう中にあって森林政策はいかにあるべきかという基本問題が問われておる、こういうように国内経済的には考えるわけです。  もう一つは、いまも質疑がありましたけれども日本の材というものがだんだん外国に依存していいだろうかという国際情勢もまたこの日本の森林政策についていろいろの問題を投げかけておる、こういうように考えるわけです。  そういうような情勢の中にあって、基本的に、いわゆる森林政策全体の中で民有林というものがたいへん零細な経営である、それからまた最近の情勢によれば、林業のにない手たる労働者が前は四十万、五十万いたのが、だんだん減ってしまって二十万を割って十九万ぐらいになってしまった、こういう劣悪な状態にいるわけであります。ところが、先ほど申し上げたように、国民全体の森林政策に対する要望というものは、そういう民有林の経営を含めて、森林政策全体に対して経済的な機能、材を出そうという経済的な機能もさることながら、社会的な公益的な機能というものをもっともっと尊重しなければならないのじゃなかろうか、こういうような問われ方を実は日本の森林政策全体についていわれておるのではなかろうか、こう考えるわけです。こういう基本問題について農林省、林野庁はどういうように考えておるかということをまず第一にお尋ねしたいと思います。
  53. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、最近森林に対するいろいろな批判と申しますか要望と申しますか、いろいろな注意が向けられておるわけでございます。従来は森林というのは木材を生産する場としか考えてなかった。空気とか水とかそういったものはただであるというくらいの観念であったと思うのです。最近、特にここ一、二年でございますけれども、森林そのものに対する要望、お話のございましたように、きれいな空気とか、あるいは水とか、あるいは風景とか、そういったものを中心としたレクリエーションの中心の場としての森林、換言すれば、いわゆる公益的な機能を重視するという傾向が非常に強まってきているわけでございます。そこで、林野庁におきましては、森林の経営に関する基本計画というものを立て直す必要があるというふうに判断いたしまして、森林の将来というものをどのようなものにするかという森林資源の基本計画についての五十年間の見通しというものをつくったのでございます。あわせまして木材の将来の需給はどうなるかという見通しも、五十年間の見通しというものをつくりまして閣議決定を見たのでございますが、それに基づきまして国有林民有林を一緒にしました森林の経営の方針というものを確立しまして、これにつきましてさらに十五カ年計画を五年ごとにつくるということもいたしておりますし、それからまた国有林におきましては毎年そういった計画の見直しをするというぐあいに、きめのこまかい一つのそういう基本計画に基づきました施業計画というものを実施してまいる考えでございます。
  54. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは大臣がこの法律改正のときにはお見えになると思いますから、基本的に聞いてみたいと思います。  私は国有林がいま赤字でどうのこうのというような小さい問題ではなくして、民有林がたいへん粗放な状態で、零細経営でというようなこの事態を踏まえて、民有林を含めて総合的な日本の林政というものはいま大転換期にきておる、こういう立場でものを考えなければならない、私はこういうように考えます。これはまた農林大臣が法改正のときにお見えになると思いますから尋ねたいと思いますが、そういう立場からこれから見なければならないのではないか、こういうように考えるわけです。  そこで、そういうことを踏まえて林業基本法の三条の二、あるいは四あたりで林業構造改善事業を進めてきたはずであります。これは十年間にわたって進めてきたと思いますが、そういう実績、こういうものは一体どういう成果があがっているか。こういうことはきょう時間がないから、御答弁はまた文書でいただくことでお願いしておきますが、過去の林業構造改善事業というものは一体どういう成果があがっているかということについては具体的な数字で、自画自賛でもけっこうです、はたしてそれだけのことができてきたかどうか、こういうことを、実績をひとつ文書で示していただきたいと思います。私はたいした効果があがっていないのじゃないかと思います。さらにそういう成果の上に立って今後どういうように進めていこうかという展望も、これは文書でいいと思います。文書で御答弁いただくように、時間の節約上私はそうさせていただきたい、こう思います。委員長、お願いいたします。  それから、最近木材がうんと上がる、こういう事態に対処して、林業基本法の第三条の四に林産物の需給及び価格安定、流通及びその合理化、こういうようなことについて林野庁、農林省は責任をもってやらなければならないようなことがうたわれておるわけであります。ところが、事、志と違ってまるでそれとは逆の方向に行っているわけであります。一体具体的に何をどういうようにやってきたか、こういうことも私はお尋ねしたいわけですが、あとで実は積極的な提案をしたいと思います。——いまここでやってしまおうか。こういうことをやってはどうでしょうか。  農林省では野菜とか繭糸価格とか乳価とかあるいは食肉、いまも盛んに審議会でやっておるわけです。好ましい安定価格、それから上限価格といいますか、上位安定価格、下位安定価格、こういうものをつくってみんなやっているわけです。材木についてもこれからの需給の動向を見通す、それから国内の材の産出の動向を見通す、外材の状態はどうかということを見通すならば、好ましい基準価格、こういうものが年々想定できるのではなかろうか、私はこう思います。ことしの動向はどうであろうか、そういうことが想定できると思うのです。それで高くなったときはまた外材をたくさん輸入してくるか、国内生産を急に上げるか、そういうような方法以外にないと思いますが、ものすごく下がったようなとき、たとえばかりに下位安定価格をさらに下回るようなときには、外国から輸入してくるものに対して、そういうときにだけ発動するような、輸入課徴金ということばがいいかどうか知りませんけれども、そういうようなものを取って、そういうものを価格安定あるいは民間の林業振興のために補助金を出すというような知恵を働かしたならば、林業基本法第三条の四にいうようなことが具体的にできるのではないか、こういうように考えるわけです。そうしなければ、いままではまるで何の能もなく何もしなかった、こういうこととまるっきり変わりないのじゃなかろうか、こう思います。急場の提言ですから、率直に簡単でいいですから、御答弁を願いたい。
  55. 中尾栄一

    中尾政府委員 小沢先生の御指摘のとおりでございまして、これはやはり林業の性格でございましょうけれども、いろいろ多岐にわたった複雑な問題がございます。外材のこと等も計算に入れながら考えていかなければ相ならぬということは御指摘のとおりでございますので、十分にこれはそのような総合農政というような総合林政を打ち立てまして考えていかなければ相ならぬことだ、こう考えております。
  56. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いまの価格の安定の問題はひとつあとで考えて簡単に答弁願います。
  57. 中尾栄一

    中尾政府委員 価格の安定につきましても、下位価格というものを下回った場合、それを補っていく対策並びにまた上がっていけばすぐに外材をというような考え方、こういうものを画一的に、やはりある意味における超長期的ではない長期的展望単位で少しくとらえて考えていくべきではないかという感じがいたしますので、それもあわせて検討させていただきたい、こう思っております。
  58. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 その価格安定の問題については、ひとつまた大臣と十分相談されて、法改正のときに私はお尋ねしたいと思いますので、御答弁いただきたいと思います。  それから、民有林を含めての総合林政の上からたいへん必要なことは、やはり林業のにない手である労働者の動向はどうであるか、こういうことについてもひとつ資料で出していただきたいと思います。林業就業者数の推移、年齢階層別、男女別、過去十年くらいの推移をひとつ文書で出していただくようにお願いいたしたいと思います。そういう基本的な分析の上に立たなければ、これから民有林をどういうようにやっていこうかという方針が立たないと思いますから、これはひとつ文書でそういう資料を提出していただくように委員長からもお願いいたしたいと思います。  それから、昨年の十二月二十二日に林政審議会において内閣総理大臣に答申が出されたわけであります。その概要、特徴あるところを三、四点だけあげていただいて、その中においては国土の保全とか水資源の涵養、国民保養の場の提供というような公益的な機能を拡充するというような方向がうたわれておるはずだと思います。これは本年度の予算においてそういう方向で一般財源からどういうウエートをもって予算を獲得したか、こういうことについて、これも、いまここで御答弁いただいておると時間がかかるので、文書でひとつ提出をしていただきたい、こう思います。公益的機能、こういうものについては一般財源から出すことが好ましい、こういう方向だと思いますが、ことしは具体的な予算編成の中でどういうようにそれだけの予算を獲得したか、こういうことは文書でお願いをして、林政審議会の大まかな柱を三つ四つひとつ御答弁をいただきたいと思うわけです。
  59. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  林政審議会の答申をいただきましてから、四十八年度の予算、その後の国有林の経営改善につきましてはただいま検討していただいておりますし、予算につきましてはまた審議を願っておるところでございますが、その大きな柱と申しますのは、まず第一は、やはり公益的な機能を重視した国有林経営をしなければならぬということが一番大きい問題でございます。それに従って伐採の方法なりあるいは造林の方法なり、そういったものを考えていかなければならぬということでございます。  それから第二は、公益的な機能を重視するからには、そういった公益的な機能に必要な財源の負担について十分検討しなければならないということでございます。従来はすべて独立採算制度のもとにおきまして、木材の販売収入によってまかなっておった。たとえて申しますならば、治山事業、そういったようなものにつきましては、一般会計からの繰り入れ、そういったようなことは具体的な例でございますけれども、公益事業についての財源の負担のあり方について十分検討しなさいということが大きな問題でございます。  その他いろいろございますけれども、私の判断では、そういう従来の国有林の経営は木材の生産を重点として考えておったけれども、もっとそれ以外の公益的な機能を重視しなさい、それに必要な財源の負担を考えなさい、こういうことでございます。  それから、そのほかに、国有林の経営の内容につきましては、いろいろと組織の問題なりあるいは事業量に伴う人員の問題なり、そういったようなことにつきましても合理化をはかっていきなさいというふうな内容のものもございます。  要するに、そういったことを総合的に見て、国有林に対するいろいろな批判にこたえたような経営のあり方を至急確立しなさいというふうになっております。その際に、国有林のことだけでなくて、民有林の行政との関連を十分考えていく必要があるということもつけ加わっております。
  60. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 公益的機能とか財源の問題で、治山事業等はやはり一般財源から負担をするというような方向、こういうようなことはいま長官から明らかにされたわけですが、一般会計から負担をしてもらわなければならないようなことで、伝えられるところによると、林野庁は大蔵省に、そういう一般財源から公益的機能に対処するために森林保全管理事業を要求したが削られた、こういうように聞いております。あるいはまた基幹林道の一定割合を一般会計から負担する、こういうようなことも、公益的機能からいえば、当然一般会計から負担してもらうという方向が正しいと思うが、それも削られてしまった。それからまた財投からの借り入れ利子、こういうものも高い利子じゃ林業経営にとってはとうてい負担にたえないから、利子補給をしてほしい、こういうような要求もまた削られてしまったと聞いているわけです。だから、公益的機能を果たすために一般財源から当然予算を獲得すべきようなものについては、次々と削られておるにもかかわらず、一番最後に長官が言った、その中の国有林組織の問題等については、これだけはやらなければいけないということみたいに、実は大々的に新聞に発表になっておるわけであります。  昨年の九月二十三日、二、三割の人員整理ということを見出しにして、局の統廃合だとか署の統廃合だとか事業所をどうするとか、そういうような国有林の中で機構を縮小してそっと縮こまっていけ、こういうみたいなことだけは大々的に発表になっているわけです。農林省もそうだし林野庁もそうなんだけれども、社会的な要請にこたえて公益的な機能を果たすためには、さっき言ったように、森林保全管理事業だとか基幹林道の一般財源の負担だとか利子補給だとか、こういうことこそがこれから必要であるにもかかわらず、まるで機構を縮小したり、まあ縮小というか、再生産みたいな方向だけのものが新聞に出ているわけです。新聞に伝えられるこういうことを一体どういうふうにやっていきますか。本気でこれをやっていくつもりなのかどうか、その辺をお尋ねしたいわけです。
  61. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、当初私たちが要求しておりましたとおりには予算はついておりません。しかし、それで私たちは十分であるとはもちろん考えていないわけでございまして、向こうが当初——向こうと申しますのは、大蔵省との間でそういった査定になったいきさつもございます。こまかいことはここでは省略いたしますけれども、私ども考え方としましては、先ほど申し上げた公益的な機能に伴う治山事業のほかに、一般会計にお願いしたい問題は、森林の管理、そういった保全の仕事は今後いよいよ必要になってまいります。  たとえば入り込みする入り込み者と申しますか、レクリエーションのために山に来られる人が非常に多くなってきておる。それに対するいろいろな指導であるとか、あるいは注意であるとかをやる管理が必要でございますし、人が多くなってまいりますと山火事の出る危険もございます。また最近は特に入山者が非常にふえておるということで、森林の管理保全をしていく必要があるわけでございます。従来それにつきましては全然なかったわけではないので、やはり担当区というものが二千くらいございまして、それぞれ山を分担して管理しておりましたけれども、ますます手が回らぬという実態がございます。そういう森林管理保全の仕事。  それからまた、造林につきましては、従来独立採算制のもとで木材販売代金に基づいて造林をしておったのでありますけれども、今度は借り入れ制度にいたしまして、ただし、これは財投から借りますと六分二厘の利子がつくわけでございます。これに対しては利子補給をお願いするという考え方に立ったのであります。というのは、一般民有林造林におきましても、段階はいろいろございまして、普通三分五厘とか四分とかいろいろ利子がつきますけれども、安く借りられます。それくらいのあれであるから、六分二厘との差額をひとつ補給してもらいたいという要求を出したわけでありますが、それも一応待て。  あるいは先ほど話しました林道につきましてもそういうことがあったのですが、基幹林道につきましては補助がほしい。要するに、くれくれというものはみんな出すといっても、ちゃんともらってやるからには、どうしても足りないのだというその経営の内容をもう少し詰めていかなければだめじゃないか、それにはいろいろと法律改正の必要な点もございますしというようなことで、ほかにも民有林関係の予算につきまして、国有林ばかりでなくて、いろいろ検討したということでずいぶん出しましたけれども、保留された問題がございます。ですから、それにつきましては、すべて四十九年度の予算要求におきましても、私たちは納得をしていただくような一つの対案を持って折衝してまいりたい、かように思っておるわけでございます。これでもってもうあきらめたものではございませんで、なお継続して相手が納得できるような一つの体系を持って折衝してまいりたい、かように思っております。
  62. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 一般財源で取るべきものを取ることが十分果たし得ずして、機構の縮小だとか人員整理だとか、そういうようなことで赤字財政を切り抜けていこうという安易な方向が新聞に出ておったのじゃなかろうか、こういうふうに私は考えるわけです。だから、ことしそれをどういうように具体的にやろうとしているのか、そういうことが一つ。それからもう一つは、もうそこに働いている者の意思に反して、配転だとかそういうことはこんりんざい行なわないだろうと思うけれども、そのことについてのお考え、その二つだけ最後にお尋ねしておきます。
  63. 福田省一

    福田政府委員 合理化に関する各方面からの答申なり御意見をいろいろいただいたわけでございますけれども、私は国有林の再建につきまして一番重要な問題は、やはりその職場で働いている職員の問題をいかにしていくかということにあると思っております。先ほどからいろいろと御質疑の中で御意見もいただいたのでありますけれども、山をよくするということは人でございますから、それに従事する作業員職員、これは国有林民有林を問わずでございますが、そういった人が安心して仕事ができるような状況をつくっていかなければ、やはり山はよくならないということは十分わかっております。そういう意味で、私はこの問題の処理が一番重要な問題だと思っておりますので、ただ単に機構を縮小し、ただ単に人を減らせば、それで赤字がなくなって仕事ができるのだと単純には考えておりません。その問題につきましては、国民全般の皆さん方のコンセンサスが得られるような方向で納得のいくような一つの案というものをつくりまして、職員関係の労働条件もよくし、そして民有林関係におきましても、山において安心して働けるように条件をよくするという方向の中でこの問題を解決していかなければならぬ、かように思っております。  ですから、基本的には、ただ赤字をなくするということが国有林の目的じゃないのであって、赤字、黒字の議論の前に、私はそういった基本的な問題があるというように考えておりますので、その点につきましては、またいろいろと御批判をいただきながら、労働条件その他につきましては、組合との間にいろいろ話をしながら納得のいく線を出しながら解決していきたい。非常にむずかしい問題でございますけれども、全力を尽くしてやってまいりたい、かように思っております。
  64. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは、時間ですから質問を終わりたいと思いますが、いま林政、森林政策全体に国民から課せられた使命というものは、やはり民有林を含めて、粗放な経営から、にない手も何もなくなってしまうような状態から、民有林を含めてのやはり公益的機能というものを十分果たしていってもらいたい、こういう積極的な要望が林政全体にかけられていると私は思うのです。そういうもっと積極的な立場からこの問題について対処していただくようにお願いをしておいて、きょうの質問は終わりたいと思います。      ————◇—————
  65. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  農林水産業振興に関する件、すなわち飼料問題等について、今日、畜産振興事業団理事長岡田豊夫君を参考人として出席を求め、その意見を聴取したいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  67. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 参考人には御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  なお、参考人の御意見委員からの質疑によってお述べ願います。  質疑を続行いたします。野坂浩賢君。
  68. 野坂浩賢

    ○野坂委員 ここ数日来、乳価の問題あるいは飼料の価格の問題、豚価の問題等をめぐって、農業と他の産業との所得の格差、これを解消し、是正をするために議論が発展をしております。そこで、私は農林大臣にお尋ねをしたいと思っておりましたが、大臣が御出席でございませんので、まず壁頭、政務次官に、農政に取り組む態度、こういう点を明らかにして各論に入っていきたい、このように考えております。  次官も御案内のとおりに、政府がいままでとってまいりました高度経済成長政策、それによって産業間の格差が拡大をしてきたということは、だれも承知をしておるところであります。具体的に言って、農業と他の産業との所得の格差がますます拡大をしてくるという状態の中で、前の総理もいまの総理も、この格差、ひずみを解消することがいま政治の命題であり、大きな課題であるということは、ここ数年来言い続けられてきたところであります。しかし、今日多くの農民の皆さんは農政に対して非常な不信を持っておる。それは、農民不在の農政だということばがいわゆる当局の皆さんの耳にも入ってくるほど、所得間の格差は拡大をしておるのであります。  私はこの際次官にお尋ねをしたいのは、大臣やあなたをはじめ農林省が農民のための農政をやるという決意、いわゆる農民の希望、要望を受け入れて、その要求を実現をするための農政を進めていくという決意、意思があるかどうか、まず基本的なこの点をお伺いをして各論に入っていきたい、こう思います。
  69. 中尾栄一

    中尾政府委員 ただいまの先生の御質問は、農林省をあずかっております私ども行政の責任者がどのように農業行政をはかっていこうという心算なのかという御質問と承るわけでありますが、私どもは、現在の農政、これをつらつら考えてみまするに、まさに一般的な概念としていわれておりますような、がけっぶちに立たされた農業というそのことばそのままが、いまの農業従事者の率直、偽らざる心境であろうし、また同時に、自然現象を相手に戦い続けております農林行政の中でも、私どもがひしひしと、その大きなハンディといいましょうか、格差と申しましょうか、他の産業に比べまして大きな偏差が生じてくる現今の状況を全く憂慮しておるものの一員でございます。そういう意味におきまして、昔から日本の国は瑞穂の国であるといわれると同時に、農業は国の基本であるという態度が、一貫した私どもの姿勢でありますことをも付言させていただきまして、このまさに日の当たらないといわれております農政に少しでもあたたかい日を、そして少しでも格差の是正につとめていくべく邁進していかなければ、われわれの行政の任はつとまらないという考え方に立って行政を行なっていきたい心境でございます。
  70. 野坂浩賢

    ○野坂委員 決意は聞いたのですが、それに伴う実行の度合い、これがこれからの問題であります。次官も御案内だと思うのですが、この間も論議をされましたけれども、農業基本法の一条には、農業の従事者と他の産業の従事者との所得の格差をなくす、こういうことであります。あなたのほうから出されております資料を見ますと、昭和三十五年に農業の所得は農家所得のうち五五%を占め、四十二年にはずっと下がって四九・五%になっております。今日ではすでに三〇%しか農家の所得のうち農業所得は占めていない、これが現状であります。いま決意をお聞きをいたしましたけれども、内容としては農業所得は異常に低下を示しておるというのが今日の現況であります。  もう一点は、製造業と農業との所得の開きでありますが、あなたの決意とはうらはらに、昭和三十五年から四十六年までの統計が示されておりますが、年々減っております。四十二年をピークとして漸次下降を示しておりますが、この原因一体何なのか、なぜ下がったのか、農林当局はどのように農業所得に努力をしたか、努力をした結果このような数字しか出ないのか、一体なぜなのか、お伺いしたい。
  71. 中尾栄一

    中尾政府委員 まず農家所得の向上という問題、農業所得の向上があまりにもなさ過ぎるではないか、まさに御指摘のとおりでございますけれども、その問題につきまして少しく御答弁をさしていただきたいと思います。  まず価格制度の問題、農業所得の向上を求めている、農業生産意欲が減退をしていくという傾向に関する先生の御質問に対しましては、農業をめぐるきびしい情勢のもとにおきまして農業の健全な発展と農業所得の確保をはかるためには、農業の体質改善を基本といたしまして生産、価格、流通などの各般の施策を総合的に講ずることが重要であるということが、私どもの基本精神になっておるわけでございます。価格政策そのものにつきましては、農産物の価格の安定をはかることが、農業構造の改善、さらに農業生産の安定のみならず、消費者家計の安定にとっても肝要でございますところから、これを強力に推進していきたいと思っておるのでございます。従来から、米麦をはじめといたしまして、畜産物、青果物や畑作物などの大部分の農産物を対象として価格政策を実施してきたわけでございますが、まことに先生の御指摘のとおり、必ずしも満足のいくものではございませんで、むしろそれが要因となりましていろいろと農民の不定愁訴、不満その他をかもし出しておることは、御指摘のとおりかと思うのでございます。しかし、農林当局は、これに対しましては、あくまでも野菜、果実、畜産物等需要の拡大する部門を中心にいたしまして価格政策をさらに拡充いたしまして、適正な価格をもってこれを形成していくように、また補てんしていくように努力をしていくことを決意として述べたい次第でございます。
  72. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いろいろお話を伺ったのですが、私は実績について——あなたは、農民のための農政をやり、農民の要望を受け入れてそれを農政の上に反映をする、こういう御答弁をいただいたのですね。私は、いまあなたから示された——農林省が四十八年一月に示された指標について、具体的に示しておるわけですね。このとおりなんです。製造業との格差は拡大をしていきます。しかも農家の所得は、水準は上がったといたしましても、農業の所得が農家所得に占める割合というものが三十五年五五%から今日三〇%、四十七年度は三〇%をはるかに割ってくる、こういう所得の格差が拡大をしておるという実情から判断をして、一体なぜそうなったのかということをあなたに聞いておるのです。あなたはいま、今後は価格政策をやるというふうなお話がありました。いつごろまでに農業と他の産業との所得の格差は——なくなるような政策をこれからとっていかれると思いますが、いつごろなくなりますか。簡単に答えてください、私はあと三十分しかないのですから。
  73. 中尾栄一

    中尾政府委員 価格対策の問題は、これはあくまでも農産物の需給の長期的な展望にも立ちまして、あくまで需要の動向に即して、第二次農業構造改善事業を促進しながら、先ほども先生の御指摘のとおりこの格差を埋めていくべく努力を申し上げたいと思う次第でございます。
  74. 野坂浩賢

    ○野坂委員 だんだん時間がなくなってきますから、あなたにきちんと聞きます。  農業と他の産業との所得の格差を解消するのは、農林省が農民の要望を受け入れて農政にそれを反映をする、そうしてそれが具体的な実効としてあがってくる、それの年次は大体いつごろとお考えになっておりますか。他の産業との所得の格差解消はいつごろになるとお考えですか。
  75. 中尾栄一

    中尾政府委員 事務当局に答弁させたいと思います。
  76. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いつごろという一言でいいのです。
  77. 川村浩一

    ○川村説明員 ただいまの御質問は、生産性なり所得の格差を是正するのは何年くらいかという御趣旨だと思いますけれども、農業基本法に従いまして、政府といたしましては、農業の生産性あるいは農家の生活水準の向上を目ざして最善の努力をしてまいったわけでございますが、国民経済の高度成長、特に非農業部門の非常に高い成長のもとで、生産性なり所得の格差が四十三年ごろまでは年々改善されておりましたが、その後また格差が拡大してきているという現実があることは否定できないと思われます。それで、今後土地改良長期計画による農業生産基盤の計画的な整備あるいは集団的生産組織の育成によって生産性の商い生産単位の形成等の生産構造面の努力を重ねまして、生産性あるいは所得あるいは生活水準の格差の是正にできる限りの努力を絶えず積み重ねていくということを申し上げたいと思います。
  78. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いまそれぞれ努力をする、いままでも努力をしてきましたということなんですね。努力をしました結果、いま私が説明をした実績のとおりなんです。  そこで、この間も質問がありましたが、「農産物需給の展望と生産目標の試案」というものが出てきましたね。こういうことで、たとえば五十七年というのは一つの到達目標、このときには製造業といわゆる他の産業との所得の格差は解消する、こういうふうに考えていいのか、あるいは五十二年なのか、その点を、大臣にかわって農林政務次官は、いつごろをめどにして他の産業との格差をなくする、こういうことを言ってもらいたいのですが、いまも参事官がお話しになりましたように、四十二年に農業の比較生産性は製造業に対比して三九%ですよ。いままた三〇%に下がっておるのです。年々下がっておるのですよ。四十三年は三五・七、四十四年は三三、四十五年は三〇・九、四十六年は三〇、四十七年は二〇%台に下がってきます。こういう比較生産性の場合に、あなたのようにそういう政策をしたら、いつごろ農業基本法を守っていくという体制になるかということを私は具体的にお尋ねしておるのです。あなたに聞かなければ、参事官ではなかなかわからぬと思うのです。
  79. 中尾栄一

    中尾政府委員 はっきり申し上げられますことは、大体四十五年から五十七年という十二年間に二・五倍に実質生産性を高めていこうという考え方に私どもは基本方針として立っておるわけでございます。  先ほどの格差の是正の問題でございますが、この問題点は、その方向に努力をしていくという形で私どもは先ほど来答弁しておるつもりでございます。
  80. 野坂浩賢

    ○野坂委員 格差解消というのは、二・五倍の生産で五十七年だというような、何かそういう話のようですけれども、相手の製造業、他の産業というのも伸びるわけですから、十分御検討いただいて、あらためて答弁をいただきたいと思います。時間がありませんから、大臣から答弁をいただければ幸いだと思います。  いま政務次官から、これから格差解消に向かっては第二次構造改善事業等を進めていく、こういうお話であります。さらにもう一つは、価格支持政策というものをとっていく。この二本立てでこれから格差解消に向かって努力をするというお話がありました。  そこで、初めに御答弁のありました基盤整備事業についてお尋ねをしたいのですが、四十八年から基盤整備事業、いわゆる土地改良事業について十年間十三兆円という予算で進める。前期五兆二千億ですか、こういう姿が確かに今度の計画として出ておるようであります。そういうことになってまいりますと、この土地改良というものは農道整備なりかんがい排水等もございますが、土地改良事業の中で、特に圃場整備についてはどの程度年次別に御計画になっておるのか、そして五十七年には大体総農地面積のどれだけ圃場整備が終わるか、こういうことをとりあえず聞きたい。
  81. 杉田栄司

    ○杉田説明員 御説明申し上げます。  圃場整備事業につきましては、新しく立てます新長期十カ年計画の中で、水田について百十万町歩、畑について十四万町歩というふうに予定いたしております。この数字は、ほぼ機械化営農が可能な水田につきまして、その八割に相当する分を十年間にやりたいというふうに思っておるわけでございます。  それから前期五カ年にどういう年次計画でやるかという点でございますが、これは現在農政審議会等にその内容をはかっておる段階でございまして、まだ年次別のこまかい数字はきまっておりませんが、大体百十万町歩もしやるといたしますと、年間平均十一万町歩になります。現在の実績が、四十八年度でいきますと約八万町歩近間になると患われます。したがいまして、八万から、ピークにはあるいは十五万町歩というような年次計画で進めていくということになろうかと思います。
  82. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そうしますと、ことしは何町歩やるのですか。やはり十万町歩ですか。
  83. 杉田栄司

    ○杉田説明員 約八万町歩やる予定でございます。
  84. 野坂浩賢

    ○野坂委員 この予算で八万町歩を実施するということでありますが、今日の私たちを取り巻いておる情勢をながめてまいりますと、建築の資材が非常に高騰を続けております。とめどもない姿といっても過言でないと思いますが、この予算が参議院で通り、流されるということになりますと、これで八万町歩できる可能性と、さらに一方危険性も非常にあろうと思います。特に私どもが圃場整備をやる場合に、部落でそれぞれこれをやるかどうかを検討いたします。その際に、当初、地元負担は大体七万程度だ、そういうふうな話をしながら、いざ着工ということになってまいりますと、そういう値上がり部分で地元負担というものは高くなってくる。今日のいろいろと魅力のない農家の場合に、圃場整備は全体の問題でありますから やるとしたしましても非常に困難の度合いを深めてきますが、建築その他の資材の値上がりからこの八万町歩がさらに減少することはないのか。もしそのようなことがあるならば、どのような措置をして対処するのか、伺っておきたいと思います。
  85. 杉田栄司

    ○杉田説明員 御説明申し上げます。  年度当初八万町歩の計画を立てましたのは、もちろん、前年度の予算要求時点から積み上げてまいりまして今日に来ておりますから、非常に物価の高騰等がございます際には、実質的面積は減ってくることになると思います。予算が成立しました段階で、いわゆる実質単価に組みかえるわけでございますので、その段階で、これは各府県あるいは各市町村のそれぞれの情勢によりまして、こまかくその地域に合った実質単価に組みかえます。その際に労賃なりあるいは資材なりが上がっておりますと、その分だけ面積は減ることになります。ただ、圃場整備事業等は単年度で終わるという仕事は非常に少のうございまして、やはり少なくとも三年ないし五年かかるわけでございますので、そういう三年ないし五年の間にそのおくれを取り戻すように、次年度以降で考えていくということになります。いまお話がございましたように、地元に説明いたします段階では、おそらくこの土地改良事業の計画決定の段階でございますから、相当前の年次に説明いたします。その際の地元負担金がたとえば七万円であるというふうに説明いたしましても、その後の物価増によりまして八万円になるということはあり得るわけでございます。これはいずれまた計画変更等の手続をもちまして、実際にかかる事業費なり、あるいはかかった事業費なりにつきまして同意を求めるというふうなことで進めてまいりたいと思っております。
  86. 野坂浩賢

    ○野坂委員 あなたのほうの計画どおりになかなか、農民は非常にふところぐあいが悪いわけでありますから、そうついでいけない。したがって、いまも政務次官がお話しになりましたように、今度の農政の中心は高福祉農村ということが書いてありますね。高能率の農業を進めていく。言うなれば生産性を高めていく。生産性を高めていくために土地改良をやり圃場整備をやっていく、こういう一貫した流れになってくると思うのです。この圃場整備なり土地改良は、第二次構造改善事業そのものは、いわゆる国が五割、そして交付税で見るとしても、県が二割あるいは町村が一割、そして圃場整備事業は、団体営なり県営、そういうものがあって、五〇しか出さない、こういう補助金制度になっておるわけですね。それに間違いないですか。
  87. 杉田栄司

    ○杉田説明員 御説明申し上げます。  圃場整備事業の補助率は、県営、団体営とも国の負担は四五%でございます。あとの五五%につきまして、県でその残りの半分、すなわち二七・五、それから地元が、受益者が二七・五、県営の場合にはそのようなのが一般的でございます。それから団体営につきましては、残りを受益者が全部持っておるというのが普通でございます。
  88. 野坂浩賢

    ○野坂委員 これはまた政務次官にお尋ねをしなければならぬと思うのですが、圃場整備事業で国が四五ですね、県が二七・五、受益者が二七・五、こういうことになってきますね。  生産性を高めていく、しかもあなたはいま一番壁頭に、これからの農業は、都市と違って、新たな立場で、食糧自給との関係なり、また緑なり水というものを保全する意味においても、農業というものを見直していかなければならない時代に入ったと考えるという意味の御発言がございました。考えてみますと、私もそのとおりだと思いますが、そうしてそういう空気なり水を送ってくる農地をさらに保全をしていくという立場と、農業と他の産業との所得の格差を解消していくという立場をとっていくためには、農業の、いわゆる受益者の農民の負担を軽減をしていくということが何よりも必要であろう、私はこう思います。そう思いますか、政務次官。まずそれを聞いておきます。
  89. 中尾栄一

    中尾政府委員 もう先生の御指摘のとおりでございますが、ただ、国の財源はあくまでも限られておるわけでございまして、政府そのものが予算を持っておるといいましても、これもすべて国民の税金でございますから、したがいまして、その負担率というものも、今日までは、いろいろの形で国が全部を負って差し上げたい点も、負うことのでき得ないという悩みを持っておるわけでございます。
  90. 野坂浩賢

    ○野坂委員 今度田中総理が、日本列島改造論というのを出して、昭和六十年までに公共投資の投資というものは約二百七十兆円もぶち込む、こういうことであります。農業は、土地改良は十三兆円ですね。あなたのほうは、限度で相当出しておるというふうにお考えになっておるかもしれませんけれども、農村なりそういうものに対する財界の展望でも、十三兆円というようなものは安い、二十六兆円くらいはつぎ込むのが当然だ、こういうふうにいっておるのですよ、外の人たちでも、あなた方を支持しておる財界でも。それが十三兆円で得々としておる。しかも財源がない。国の全体の規模は、二四・六%ですよ。農林省の場合は、この構成比率は一〇・八ですよ。そうすれば、昭和二十八年は構成率一六%、全予算に農林予算が占める比率はそうだったのでしょう。それが一〇・八ですよ。あなたが、最高責任者、いわゆるナンバーツーでありながら、そういうような姿勢であっては、これからの農政の格差解消というのはできませんね。もっと姿勢を正して、もっときびしく農政というものを見なければなりませんし、もっと農民というものの姿を見て、今日のいわゆる土地改良、圃場整備、生産性を高める高福祉農村というものをつくっていくということを考えるならば、四五%というような補助率をとって、あとは受益者負担で、比較生産性が三〇%しかないものを、利息も取っていくというような姿になれば、立つ瀬はないじゃないですか、農村は。どういうふうにお考えです、その点は。
  91. 中尾栄一

    中尾政府委員 私どもも予算のときには、もうこの土地改良の事業費にいたしましても、向こう十カ年十三兆円だけではなくて、もっとさらに倍旧をしてこれをアップしなければいかぬのではないかということを何らかの形であらゆる場面に反映したのでございますけれども、特に先ほど御指摘のとおり、日本列島改造という一つの大前提とテーゼに立って国政をやっていくという田中内閣でありますだけに、これは推進すべきであるということの強調をし続けたのでありますけれども、やはり各省ともども日本列島改造という分野におきましても、建設省建設省で自分の観点としてやっていくべき要素がある、文部当局におきましてもその方向で学園都市をつくっていくということから、いろいろと予算が分散されたことは間違いございません。  そういう意味におきまして、御質問のこの土地改良の問題にいたしましても、生産性の高い農業を育成し、健全な農村の建設をはかる上で、圃場整備、農道整備等の農業基盤の整備を進めることが肝要であるという点は、もちろん御指摘のとおり、言うまでもないわけでございます。この農業基盤整備事業というようなものも、申すまでもなく、土地改良法に基づいて、原則として受益農家の申請と同窓を得てこそ進められるものでございまして、したがって、事業費の負担につきましても、受益者負担を基本とするものであるわけでございまして、事業の性格、規模などに応じまして、かねてから、国庫などによる補助あるいは負担、あるいは制度資金の融通措置が講じられておったわけでございます。昭和四十八年度におきましても、採択基準の緩和、農林漁業金融公庫による土地改良資金の融資条件改善を行ないまして、農家負担の軽減をますますはかりながら事業の促進を期することになっておるわけでございまして、一朝事にして、先生申し上げられました二十七兆円という額にはまだ遠い存在ではございますけれども、逐次それにしていけるようなゴールの目標を定めまして、考えて段階を進めていきたいというのが私ども考え方でございます。
  92. 野坂浩賢

    ○野坂委員 事実と認識が非常に相違がありますね。言うなれば、構造改善事業、土地改良、圃場整備事業というものの受益者負担というのは年々ふえているのです。たとえば制度金融から借りたにいたしましても、それは必ず返さなければならない。そうして、あなた方の政府の政策の貧困によって諸物価は高騰しております。したがって、受益者の負担というものは年々増大しておるのです。軽減はしておるのじゃないのです。第一点は、そういう認識をしてもらわなければなりません。  さらに、今日の四五%というような補助率で国の農政を受益者に負担をさせて、そして生産性を向上させるといっても、農業と他の産業との所得の格差是正は、今日までの経験、実績に照らし合わせてみて、できない相談であるということは、あなたが一番よく知っておるのじゃないですか。できないのじゃないですか。それだけ金をかけてやって、どうしていまの農民が立ち上がることができますか。だから、農民不在の農政が進められておるといってあなた方を批判するのです。あなたは、きのう、自民党農政じゃなしに、全体の政治家の責任だと農政をおっしゃったから、われわれは本気でやはりやっていかなければならない、イデオロギーを超越して、いまの四五%という補助率は——言うなれば、国民の声は、基盤整備事業は全額国費で実施せよ、これが国民の声です。農民の声です。そして他の産業との所得の格差を是正して、一日も早くそういう格差解消に向かう、それが私は農政の基本的態度、方向だと思うのです。そのような方向で進める御意思があるかないか、聞きたい。
  93. 中尾栄一

    中尾政府委員 先ほど野坂先生に冒頭お答え申し上げましたように、私どもはその方向で最大限の努力をはかったつもりでございますし、また、はかっていくつもりでございます。それぞれの国の方針としての事情のたてまえから、われわれの非力のためにいろいろと差しさわりのある点をもたらしましたことは、結果として申しわけないことだと思っておりますが、われわれも先生の御指摘のとおり、鋭意邁進していくつもりであります。
  94. 野坂浩賢

    ○野坂委員 もう一点、政務次官は、価格の安定をはかっていくことだ、こういうお話がありました。その中で、あとで緊急の質問もあろうと思いますが、どなたでもけっこうですけれども、きのうわが党の議員が大臣に対して、加工原料の乳価、保証価格基準価格について質問をいたしましたところが、大幅に値上げをするように提案をしたい、こう農林大臣はお話しになりました。いま袋からあけてみると、三円三銭ですね。これが大幅というふうに、政務次官、率直に——いままでは四十五円四十八銭を七十四円十七銭、約二十八円ですか、アップを要求しておったということは、よく御存じのとおりです。三円三銭を政府が諮問をしたというのは、大幅というふうにお考えですか、常識で。
  95. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答え申し上げます。  私ども、一昨日でございましたか、統計情報部のほうから出ました生産費調査をもとにいたしまして、いわゆる加工原料乳地帯、一道四県でございますが、そこの生産費の原数値をもとにいたしまして、さらに物価修正等を行ないまして出ました数値が三円三銭のアップということでございます。したがいまして、私どもといたしましてはできるだけの努力をいたしたつもりでございます。
  96. 野坂浩賢

    ○野坂委員 たとえば昨日問題になりました労働賃金ですね。飼育労働費は千四百九十八円。この原則は、一道四県の製造業の賃金と対比しておる、こういうふうに響いてあります。私たちはこの内容がよくわかりません。だから、具体的にそういう資料を提示していただくと同時に、この百キロ当たりの労働時間、飼育時間というのが三・九三とありますが、われわれが資料にもらっておりますのは四・八三時間、こういうふうに承知をしております。そういう関係からして、あなたの計算でいけば、二十五日稼働して三万七千円程度にしかなりません。高等学校を卒業すれば四万二千円というのは、いま常識であります。そういう賃金というのは私たちは聞いたことがありません。だから、これらに対する考え方と詳細な資料を要求しておきます。  私はあと五分しかございません。したがって、先ほど委員長からお話をいただきました畜産振興事業団の岡田理事長がおいででございますから、この際簡単にお尋ねをしておきます。  今日、飼料は異常なほどの高騰を続けてまいっております。したがって、畜産振興事業団の畜産振興にかかわる寄与率というものもこれからより以上に大きくして、生産者、消費者ともに価格の安定をはかっていかなければならぬと思います。  そこでお尋ねをしたいのは、この第三十八条でありますか、業務を行なうにあたって国内産の牛乳に対する補助残、使って残っておる金、あるいは乳製品を外国から輸入をする、その益金というものがあろうと思いますが、今日までその益金は幾らになっておるのかということが一点と、いままでその差益金というものはどのような方法で御処理になり、何にお使いになっておるのか、お聞きをしておきたいと思います。
  97. 岡田寛夫

    ○岡田参考人 参考人としてお呼びをいただきました畜産振興事業団の理事長の岡田でございます。よろしくお願いいたします。  ただいまの御質問にお答えをいたしたいと思うのでございますが、すでに先生も御承知のように、畜産振興事業団はいろいろな仕事をいたしておるわけでございます。そういうことでいろいろな勘定をつくりましてそれぞれ経理をいたしておるわけでございますが、それぞれの勘定におきまして余剰が出ました場合には、法律の定めるところに従いまして、一部のものを除きまして助成勘定に繰り入れまして、助成勘定から、これを畜産の振興でありますとか、畜産物の流通の合理化でありますとか、そういったものに使用いたしておるわけでございます。  畜産振興事業団ができましてから現在までに助成をいたしましたものについて申し上げますと、三十七年度から四十七年度までに補助をいたしましたものは、五十七億九千百四十六万六千円ということに相なるわけでございます。  一方また、補助のほかに、重要なる団体に対しましては出資をいたしておるわけでございますが、その出資をいたしたものが現在までのところ六十八団体でございまして、三十八億五百八十一万円ということに相なっておるわけでございます。
  98. 野坂浩賢

    ○野坂委員 積み立てたものは今日どれだけありますか。
  99. 岡田寛夫

    ○岡田参考人 お答えいたします。  四十七年度で使いました残りといたしまして四十八年度に繰り越されるというふうに考えられますものが、補助金では二十一億四千万円、出資金では十二億九百万円程度が——これはまだ決算をいたしておりませんので確定的な数字ではございませんけれども、大体その程度が繰り越されるというふうに思うのでございますが、なお、四十七年度の牛肉の買い入れ、売り渡しをいたしました結果として生じます差益から十億程度、それからバターを輸入いたしまして売却いたしました益から大体三十億程度が来年度に繰り越されることになろうかというふうに思うわけでございます。
  100. 野坂浩賢

    ○野坂委員 畜産振興事業団から出されております五億七千万は、このうちの十二億の分に入るのですか。
  101. 岡田寛夫

    ○岡田参考人 五億七千万は今度の飼料緊急対策に出すものでございますが、これは四十七年度の当初にありました助成勘定の資金の中から出しまして、残りが四十八年度に繰り越されるものがただいま申し上げた数字でございます。
  102. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いま明らかになりましたように、助成勘定が二十一億、バターその他が約四十億、約六十億円程度あるということがはっきりしました。これの今日の飼料対策の中で、乳業者の皆さん、あるいは養豚家の皆さん、養鶏家の皆さんが異常なほど苦しんでおられるわけでありますから、この際緊急対策として五億七千万のほかにこれだけ出ておるわけでありますから、それぞれのいわゆる家畜農家にたとえば乳業を保護するために直接助成金として出す用意はないか。理事長がお答えになれなければ、農林大臣と相談をされるということになっておりますから、それについてお伺いをしたいと思います。
  103. 岡田寛夫

    ○岡田参考人 先生も御承知のように、今度の飼料緊急対策でございますけれども、さしあたって四十七年度分といたしまして五億七千百万円という予算になっておりますが、別に畜産経営特別資金の融通措置といたしまして補助をいたすものが、後年度昭和五十年度まで続いておるわけであります。そういうものに対する準備もあるわけでございますので、全部を使用するということは非常にむずかしいというふうに思っております。
  104. 野坂浩賢

    ○野坂委員 幾ら出されますか。
  105. 岡田寛夫

    ○岡田参考人 予算的に考えておりますものは、十七億二千四百万円ということでございます。
  106. 野坂浩賢

    ○野坂委員 十七億ですか。いますべての農家の皆さんは非常に緊急事態です。そういう事態でありますから、四十億のうち十七億というのではなしに、助成金なり団体に対する出資の繰り越しも相当あるわけでありますから、その点はまずだいじょうぶです。したがって、もっと農林大臣と御相談になって出される用意は——これだけあるわけでありますから、これからの問題でありますけれども、もっと出すように前向きに御検討いただきたいと思うわけです。
  107. 岡田寛夫

    ○岡田参考人 四十七年度はもう数日で終わるわけでございますので、四十八年度におきまして、これは単に飼料だけでなくて、いろいろな面で、たとえば大規模の草地の造成、改良だとか、そういったものに対する出資等もいろいろと考えていかなければならぬわけであります。当事業団は、単に緊急飼料対策だけの問題でなくて、先ほど申し上げましたように、いろいろな面に助成、出資をいたしております。そういう点を十分考えまして来年度の予算をきめたいと考えておるわけでございますが、先生のお話しの点につきましても十分検討さしていただきたいと考えております。
  108. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間が参って恐縮でありますが、一点だけ希望すると同時に、ごく簡単にお伺いをしたいと思います。  いま木材の話もありましたが、大豆の問題であります。大豆は年末非常に高騰を続けてまいりましたが、四十七年度は四十六年度よりも多く輸入大豆があります。四十六年度が三百二十一万二千トン、四十七年度は三百三十九万六千トン、こういうことであります。したがって、日本国民あるいは農民の皆さんがお使いになる大豆にはことを欠かなかったはずでありますけれども、異常な値上がりをいたしました。異常な値上がりになった内容は、先ほどもお話があったように、商社の問題、あるいはどこにこういう値上がりの原因があったかということは、農林省ではすでにお調べになったと思います。そしてどこの商社が幾ら大豆を輸入をしておったか、こういうこともお調べになったと思います。どこで価格の操作が行なわれておったかということが一点と、そのために大豆をこれからつくらなければならぬというようにこの展望の本には書いてあります。非常に権威のない長期展望でありますけれども、いまの九万六千ヘクタールから昭和五十七年度には二十四万ヘクタールにする。しかも今日の大豆の供給量というのはわずかに四%だけれども、一二%までにする、こういうふうに書いてあります。  そこで、大豆というものをそのように伸ばすためには、先ほど言いましたように、喜んでつくる体制というものをまずつくらなければならぬと思うのです。喜んで大豆をつくる、あるいは麦をつくる。大豆を一つだけ取り上げておきますが、喜んでつくるためには、いま政務次官がおっしゃったように、価格安定をしなければならぬ。この大豆の基準価格というのは、昭和四十七年度五千八百円ですね。農協の皆さんが要求しておるのは七千八百円。四十八年は七千円程度と思いますが、どの程度をお考えになっておるのか、どのような諮問をしようとしておるのか、これが一点。  さらに、一俵当たり一万円程度農民の皆さんは必要だ、一万円なければ生産ができない、こう言っております。したがって、麦とか大豆とか、そういう飼料穀物のこれからの自給度を高めていくための政策として、飼料対策の特別奨励金をそういうところにつけて、安定帯というもの、また喜んで生産意欲を向上させて、所得も向上できる方策というものをとっていかなければならぬと思います。したがって、一例として大豆をあげましたが、その点についてはどのようにお考えか。  これで質問できませんから、きわめて簡単に、明快に答えていただきたい。
  109. 中尾栄一

    中尾政府委員 先生の御趣旨は全面的に十分これを検討いたしまして、さらにそれを取り入れていきたい、こう考えております。現在稲作から大豆への転作なども推進して、転換水田における土地条件の整備等もやっておるさなかでございますし、省力機械施設の導入、種子対策等により、大豆の転作の促進ということを、国内大豆の問題点も含めて、はかっていきたい所存でございます。  また詳細にわたっては、担当から先生に文書によってお答えをさせていただきたいと思っております。
  110. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 関連して、竹内猛君。
  111. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、前回二月二十七日の一般質問に関連をして、若干の資料委員長に要求しておきます。あのときに質問の中で資料を求めたのはかなりあるのですが、それを項目別に正式に要求します。  第一は、戦後の干拓の総面積と、それに費やした諸費用を現在の貨幣価値に換算をして出してもらいたい。  第二、農業補助金、助成金の内容、その団体、それから農家にどういうふうに渡っているかという経路、これについての資料を求めます。  三番目は、農林省の外郭団体、その責任者の氏名、就任月日、給与。  四番目、ゴルフ場の面積とその位置、どこにあるかということ。  五番目、世界の食糧の事情と日本の食糧の状況、特に食糧在庫の状態について詳しく。  それから六番目、これは開拓の法案と関連をしますが、開拓した総面積とその現状、農家戸数、農家の所得、現在問題になっていること、こういう点について資料を要求します。  以上です。
  112. 中尾栄一

    中尾政府委員 ただいまの資料は取りそろえるように努力いたします。
  113. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 参考人には非常に貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。  柴田健治君。
  114. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 時間が非常に切迫してまいりましたから簡単に御質問申し上げて、また、答弁者側のほうも明快に、ひとつ長く言わないように、要領よく答弁願いたいと思います。  通産省からお見えになっておると思いますが、通産省の方はいずれ建設委員会にも出られるようですから、通産省の方からひとつ御質問を申し上げてまいりたいと思います。  御承知のように、いま中国地方は全国の中でもセメント不足でたいへんな迷惑をこうむっておるわけであります。地方公共団体はいまてんやわんやをやっておるというのが実態であります。県はもちろん、市町村に至るまで、もういまやセメントさがし、セメント戦争ということばが出ておるわけですが、そういうことを私たちが現実に見た場合に、通産省はいままで何をしておったのか。年間民需、公共含めて通産省においては需給の見通し、需要と供給のバランスをはかるというそういう役割りをする省が、今日セメント不足をして国民にたいへんな迷惑をかけておるということをどうとらえておるのか、需要と供給の見通しがあったのかなかったのか、そういう無計画で今日まで進めてきたのか、この点をひとつ通産省のほうから御答弁願いたいと思います。
  115. 原野律郎

    ○原野説明員 御指摘のとおり、最近のセメントの需要は非常に急激に増大をいたしておりまして、たとえば昨年の十−十二月期を前年同月と比較いたしますと、約一八%の需要の増大となっております。これは、過去十年間のセメントの需要の平均の伸び率が約一〇%であったということと比べますと、かなり高い増大率であるということが言えるかと思いますが、これが本年に入りまして、例年ならばこの一月、二月と申しますのはセメントの不需要期なのでございますが、一月が同じく前年同月に比べまして約二二%の増加、二月が約二五%の増加というふうに、逆に需要の増大傾向を強めるような形になっております。それで、私ども通産省におきましては、従来から、こうした傾向に対しまして、セメント業界に対する生産出荷の増大並びに輸出の内需への転換、さらに災害復旧、治山治水等の公共事業に対するセメントの優先出荷、あるいはセメント各社間の製品の融通による供給の効率化というような対策を要請し、セメント業界もまた毎月フル稼働という状態で生産出荷の増大につとめておるわけでございます。  さらに、私どもにおきましては、地域の実情に応じましたセメントの需給調整をはかる必要があるということから、中央におきますセメントの需給協議会、並びに各地方通産局を中心にいたしました地域需給協議会という組織を確立いたしまして、この組織によりまして、具体的な各地域におきます公共事業その他のセメントの需要と、セメントメーカーの出先の営業所、出張所との結びつきをはかっていくということを実施いたしております。特に官公需につきましては、農林省、建設省、運輸省、それに私ども通産省の四省によります委員会を設けまして、官公需要の発注計画の事前連絡をお願いしたい、また、官公需の発注をできるだけ年間に平準化をしていただきたい、さらにはまた、災害復旧、治山治水といいますような重要かつ緊急を要するような公共事業につきましては、できるだけセメントメーカーとの直接契約を実施していただきたいというような点につきまして現在協議を行なっておるところでございます。  なお、中国地方につきましては、私どもも、全国の中で特に需給の逼迫度が高い、また一番先に需給の逼迫があらわれてきた地域というふうに、非常にその動向を注目しておりまして、たとえばことしの一月は前年同月期に比べまして三五%の増、二月は三九%、三月は五六%の増という形でセメントの大量供給をはかっておるところでございます。
  116. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 どうも通産省はなかなかうまい答弁をせられるのですが、私たち数字を見ておると、去年の十二月の生産トン数が六百八十八万四千トン、在庫が二百三万一千トン、これが十二月末の締めくくりであります。ところが、本年一月になると五百二十八万三千トンの生産になっている。そうすると、百六十万トンの減産をやった。在庫のほうを見ると、二百三万トンから一月は二百五十六万トンでありますから、五十三万トンの在庫をふやした。そうすると、生産調整で減額の数字が百六十万トンで、在庫品を五十三万トンふやすと、二百十三万トンというセメントが押えられたということになるわけです。二百十三万トン押えたならば、先ほど御答弁になられたように、一月の伸び率、二月の伸び率、三月の伸び率を見て、通産省はこれだけの伸び率が確認されておるのなら、メーカーに一日も早く、そういう生産調整はしてはならないぞ、協力してくれ、在庫をうんと早く放出しろ、こういう指導があってしかるべきだと私は思う。それを、これだけ、いまだかつてない、昨年の一月を起点として数字を言われて私たちをごまかそうとするのは、筋が通らぬ。去年一年間でどれだけ社会情勢が変化し、地方公共団体や国を含めて公共事業なり災害の伸び率というものはもうわかっているのですから、一年後における伸び率というものを確認しておられるのだから、そういう点について、私は、どうも通産省の考え方はもう時代おくれだ、ものの考え方がずれておる、こう言わざるを得ないのであります。  そればとにかくとして、手をどう打つか。先ほどいろいろ言われましたが、緊急を要するのであります。もう年度末は三月三十一日、地方公共団体の出納閉鎖は五月三十一日、これを考えたときには、もはや県なり市町村の皆さんは、繰り越しができる面と繰り越しができない面、また災害関係が特に心配をしておるわけであります。いずれ災害関係については農林省にあとから御質問申し上げますが、通産省が建設委員会に出られるのだからまずお答え願いたいのですが、先般、去る二十二日に、出先の通産局なり、また建設省なり、関係者を呼んで協議された。その協議された内容を簡単に御説明願いたいのと、それをいつごろまでに実行されるのか、守っていくのかという見通し、それを簡単に御答弁願いたいと思います。
  117. 原野律郎

    ○原野説明員 去る三月の二十二日にセメントの中央需給協議会を開いたわけでございますが、その席上におきましては、当面の対策といたしまして、すでに行なっておるセメント業界に対する災害復旧、治山治水等公共工事への優先出荷、並びに輸出の内需への転換、輸入の促進という三点を徹底すること、並びに災害復旧、治山治水等緊急を要する官公需以外の繰り延べの可能性の検討、また、やや長期的な今後の対策といたしましては、官公需発注計画の事前連絡及び発注の平準化、二番目といたしまして、災害復旧、治山治水等緊急を要する公共工事のメーカーとの直接契約の実施、三番目は、セメントの生産及び流通に関する設備の増強、四番目は、昭和四十八年度及び第一・四半期需給見通しの作成、以上の対策が決定されたわけでございます。  なお、つけ加えて若干御説明させていただきますと、本年一月の稼働率が七一・七%、生産も六百万トンを割るという状態になったということの御指摘でございますが、セメント業界は、昨年の七月以来八〇%以上の高稼働率を続けて、生産出荷の増大につとめておるわけでございまして、特に十二月におきましては九四%稼働というような、ほとんどフル稼働の状態でもって生産を続けてまいったわけでございます。そのため、一月の時点におきまして、残念ながら、定期補修に入らざるを得ない工場が多々出てまいりました。もちろん、その定期補修をするにあたりましては、互いに極力生産を落とさないという方向で定期補修を行なったわけでございますが、そのために一月時点の稼働率が落ち、生産高も落ちたという結果になっておりますが、二月以降再び十二月と同じ状態のフル操業を続けておることをつけ加えさせていただきます。
  118. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 いま考え方、協議会の協議をした中身を御説明願ったのですが、輸入ということばが入っております。輸入されるのは韓国だろうと思いますが、輸入の数字をどの程度見通しを立てたのか。日本の場合は、毎年、昨年四十七年度でも百三十六万トンというのが輸出されておるわけです。一月になっても、これだけ生産を下げられても、六万八千トンというセメントが輸出されておるわけです。外国には依然として輸出さしておる。ところが、日本が足らぬようになったら輸入をするのだという。まさにいままでの取引の仁義からいって、日本の国内が足らぬようになったから輸出を押えるというわけにはまいりますまいけれども、どうも通産省のものの考え方がおかしい。業者に対しての指導というものは、こういう考え方、一方では六万八千トンも七万トンも輸出をしながら、生産を押える、在庫をふやす、そして、緊急のものは輸入します、国民をばかにしているのじゃないかという気がする。国民のほうがそういうことを聞いた場合に、通産省はちょっとピンぼけをしておるのじゃないか、こういう批判が私は出ると思う。私もそう思う。  九州なら九州、関東、近畿ブロックは、工場のいい地域であります。全国二十二社で六十五の工場がある、その中では、九州ブロック、関東ブロック、近畿ブロックに工場が多い。特に中、四国はない。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 ところが、昨年の六月、七月の大水害を受けた島根、岡山、広島は、いまや災害関係で非常に弱っておる。災害復旧についてはもうお先まっ暗だ、こういう話であります。  それから、通産省の出先である広島の通産局にどんな任務を持たしておるのか、この緊急を乗り越えていくようなどういう行政指導をやらしておるのか、広島通産局に対してどういう指示を出しておるのか、私はそれを聞きたいのです。われわれは広島通産局に行こうと思っておるのです。どうですか。
  119. 原野律郎

    ○原野説明員 最初の輸出の件でございますが、私どもは当初四十七年度の輸出数量は約二百万トンというふうに見通しを立てておりました。しかし、こういう内需の非常な旺盛によりまして需給逼迫を来たした時点におきまして、セメントの輸出の新規契約は一切打ち切らしております。現在輸出が続いておりますのは、先生指摘のとおり、既契約分でどうしてもやむを得ないもの、並びに外地に資本進出しておるものに対する供給のみでございます。  それから広島通産局に対します私どもの指示でございますが、中国地方にもセメント工場は七工場あるわけでございまして、この七工場からの出荷分は優先的に地元へ落とすようにということの指示をいたしております。広島通産局におきましては、管下の各県から、官公需を中心といたしました公共需要が地域別にどの程度あるか、それに対するセメントの必要量は幾らぐらいあるのかということを、各県の出張所等、地域別に調べ上げなさい、そうしてそのうちでも災害復旧、治山治水等の緊急を要する工事につきましては、そうしたセメントメーカーの出先の出張所あるいは営業所等との結びつきをやって最優先でセメントの供給をはかるようにという指示をいたしております。
  120. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 災害関係や治山治水、公共事業優先、いま現地で数字の確認を急いでおる、二月の末からセメント不足についていろいろと努力をしておられると思うのですが、岡山県の場合の一例を申し上げると、セメントが何ぼか入ってくる、ところが価格の問題ですね。通産省のほうが出先を動員をして、たとえば公共事業や災害や治山治水のほうに優先的に回しなさい、こう言っても、取り扱っているのはほとんど民間の業者です。ところが、価格の問題で、公共事業の請負単価、設計の単価を見ると、建設省でも農林省でも、大体トン六千六百円前後の単価を見ておる。それはばらの場合。それから袋の場合は、四十キロの袋で二百九十三円の単価を見ておるというのが大体標準単価です。ところが、今日やみ取引で——やみということばを言うていいかどうかわかりませんけれども、とにかく取引の現状を見ると、大体トン二万五、六千円から三万円で取引されておる。二百九十三円の四十キロの袋入り一袋が千二百円から千三百円で取引されておる。ところが公共事業の単価はきまっておる。セメントは金さえ出せばある。けれども買えない。民需のほうはどんどん単価更正をやりますから、値は幾らでも買う。一俵千円なら千円でよろしい、千五百円、よろしい、買いましょう。あなたたちがどんなに苦労してセメントをそういう不足地帯に供給をしても、民需のほうヘトンネルで抜けてしまう、こういう結果になっている傾向もあるわけです。それをどう食いとめるか、民需へ行くのを一時どうしんぼうしてもらうかという手の打ち方が大事だと思う。その点は通産省、どうですか。
  121. 原野律郎

    ○原野説明員 御指摘のとおりのおそれが非常に大きいわけでございまして、また現実にはセメントの需給の逼迫しておる地域におきまして非常な価格混乱が起きておるということも、私ども情報として聞いております。そこで、私どもは、先ほど申し上げましたように、各県の事務所等の出張所とセメントメーカーの出先の営業所または支所というものとを直接結びつけるという方向でもって各地方通産局に指導をしておるわけでございまして、セメントメーカーの特約店等におきましては、そういう不当な値段でもって出荷をしておることはないわけでございます。ただ、出荷されたセメントが、先生指摘のように、単価の高い民需へ流れるというおそれがございますので、この点につきましては、私ども、各地方通産局並びに県に対しまして、優先納入されたセメントの公共工事向け使用の確保ということにつきまして十分監視をしてもらいたいということを指示してお願いしております。
  122. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 いずれ私も広島通産局へ行って、あなたが御答弁になったとおり行なわれておるかどうか、確認をしたいと思います。いずれあらためてまた——この問題はおそらくそう簡単に解決しない問題だ。メーカーのほうと、またセメントのいろんな業界、そうしてまた地方地方の総代理店なり代理店のものの考え方が狂うておると私は思うのですよ。もっと国民的な立場に立って——どうも近ごろの企業、メーカーというものは、国籍不明のような考え方があるようです。日本国民がどう困ろうと、どう苦しもうと、人さまの痛いかゆいはひとつも感じないというような考え方については、通産省のほうも十分反省をして、がんばってもらいたいと思います。  次に農林省にお尋ねをしたいのですが、時間がありませんが、いま御承知のように、通産省からセメントの不足についての見解が出された。ところが、岡山県の、農林省の関係の過去の災害復旧に関して、建設省関係もございますけれども、当面、井ぜきだとか水路だとか、農地復旧その他数多くあるわけです。それから林野関係にもあります。その種目別を言う時間はございませんけれども、いま契約をしておる工事がとまっておる。中には、土地改良で工事契約しておる——県営でも市町村営でもない、土地改良法によって組織をつくり、土地改良事業組合で特定の業者と契約を結んでおる、組合員から負担金を取っておる、もうこれ以上負担金を取るわけにはいかない、契約は結んだ、業者のほうはできない、資材が入らない、そういう建設資材が入らないためにどんどん値上がりもしてくるというよう実態が起きてくる。そういう点について農林省はどういう認識を持ち、これに対してはどういう行政指導をし、財政的にはどういう処置をとろうとするのか、簡単にお答え願いたいと思います。
  123. 中尾栄一

    中尾政府委員 詳細の点はまた事務局のほうから答えさせますが、先生の御指摘の点、セメント不足が災害復旧並びに土地改良その他の工事の進捗を阻害しておる、これはどう思うか、またどのようにいままでのセメントの問題点を受けとめておるか、こういう御指摘だと思うのですが、先ほどの通産省とのやりとりを見ておりまして、全く先生のおっしゃる点、私ども農林当局、資材関係などの不足に相まつわるセメント不足というものはいい迷惑をしておりますだけに、もう少し何とかならないものであろうかという点で、私も通産省にも強く申し入れておるようなわけでございます。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 その点、さらに先生の御指摘なさったような点も、農林当局といたしましても、通産当局にも十分詰めていきたいという考え方に立っております。  建設用の資材、特にセメントは、最近一部の地方において確かに不足をしておるわけでございまして、農林省としましては、関係省各位と討議をいたしましてその確保に努力しておるところでございまして、特に災害復旧事業に対しましては優先的に出荷するよう、セメント業者に対しまして指導し、徹底をはかっておるつもりでございます。また地方農政局に対しましても、関係機関と十分連絡を密にいたしまして、その対策を立てるように指導方針を立てておる次第でございます。
  124. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 繰り越しについては農林省のほうは、建設省と違っていち早く単価更正をやるという方針を出された。非常に敬意を表しておるのですが、しかし、まだ手落ちの点が、地方公共団体のほうに煮詰めていない点があると思うのです。これを言う時間がありませんから省略させていただきますけれども、万々遺漏ないようにしてもらいたいということと、いま次官が言われた、地方農政局と連絡をとるというが、農政局だけではどうにもならないので、農政局と通産省の出先の機関と、それから県と三者で、この追跡調査を含めて、民需に回らないように、災害とか治山治水、公共事業優先ということでひとつ万全の対策をとってもらいたい。これが第一点です。できるか、できないか。  それからもう一つは、建設省との話をして、聞くところによれば、新幹線なり——国鉄ですよ。鉄道公団の仕事なり、縦貫道についてはセメントは優先的にメーカーが直送しておる。この部門は何不自由なく工事をしておる。ところが、住民のあすからの自然を守る、またあすからの生活の基盤にしなければならぬ土地が破壊されておる、その復旧が貫き去りにされるということは、住民感情として、国民感情として許せない、こういう気がしておるわけです。この点について、中央においては通産省、建設省——農林省はどちらかといえば被害者なんだから——建設省も被害者だと思いますが、とにかく被害者の立場から、加害者に対してどうきびしく善処方を求めていくかということをひとつはっきりと手を打ってもらいたい。  この二点をひとつお答え願って、私の質問を終わりたいと思います。
  125. 中尾栄一

    中尾政府委員 第一問の点でございますが、あくまでも先生の言われた趣旨は私どもも同じ趣旨でございますから、これは鋭意努力いたしまして善処していく方向でございます。  第二点の、国鉄その他そういう施設においては非常に潤滑にいっておるにもかかわらず、一般災害復旧その他に対してはまことに不足する面が目をおおうものがあるじゃないかという点の御指摘でございますが、これは私ども確かに御指摘のとおり被害者でございまして、建設省もそうだと思いますが、この点は、あくまでも行政の任にありまする私どもの立場といたしまして、中曽根通産大臣にもきびしく強く申し入れるつもりでございます。
  126. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 瀬野栄次郎君。
  127. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昭和四十四年に閣議決定された新全国総合開発計画において広域農業総合開発計画が指定されておるのは、御承知のとおりです。北海道の根室、熊本県、大分県にまたがる阿蘇・久住・飯田高原、岩手県の北上、福島県の阿武隈等でございますが、このことについては、一昨年、また昨年においても、予算委員会等で私これが推進について当局の見解をただしてきたところでございますけれども、この大規模畜産基地建設事業ともいうべき広域農業総合開発についていろいろお尋ねをしたい、かように思うわけでございます。  そこで、まず最初に、肉資源の枯渇しておる現在、その増産が叫ばれておるときでございますが、この計画が現在どういうふうに進められておるか、まずその点を冒頭、現時点で政府の見解をひとつお尋ねを申し上げたいと思います。
  128. 杉田栄司

    ○杉田説明員 肉資源、特にこれは草地にかかわるものでございまして、肉牛の増産のために、土地改良長期計画の中でも特に草地四十万町歩を新たに造成するということにいたしております。なお、それに伴ういろいろな施策が畜産局を中心に進められることになっております。
  129. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 こういう大規模畜産基地建設事業といいますか、広域農業総合開発等で肉牛の経営をやるということも、当然これはけっこうなことでありますが、こういった計画を推進していかなければ、今後日本のいわゆる肉資源の問題等はたいへんな問題になってくる、こういうふうに思うわけです。  そこで、広域地方をこのように指定しておりますけれども一体今後具体的にはどういうふうにこれを進めていかれるのか。すでに事業を始めてきたところもありますし、今後の見通し等について、現在畜産がかなりきびしい状況下に置かれておりますので、冒頭、今後の進め方について具体的にひとつ御説明いただきたいと思います。
  130. 杉田栄司

    ○杉田説明員 特に肉牛の経営につきましては、先生も御承知と思いますけれども、非常に経営がむずかしい。特に粗放な経営に現在もなっておるわけでございます。特に飼料が低廉かつ大量に得られなければ経営が安定しないわけでございますので、そこでいまお話しの広域農業開発というようなことで、現在粗放な利用に置かれておりますところの北海道とか、あるいは九州の阿蘇・久住・飯田あるいは北上・北岩手というようなところで大規模な農業開発計画を立てておるところでございます。一部北海道等は本年度から実施に移していくわけでございますが、いわゆる基本的な考え方といたしましては、やはり相当に大規模な経営に持っていかなければいけない。従来、たとえば少数の家畜を個別に飼っておる、それで適当な時期にそれを売る、また子から育てるというようなことで、個別経営になっておったきらいがございます。しかし、コストの面からいきましても、やはり大規模な経営をやらなければ間に合わないということで、いま申し上げますような広域農業開発の計画では、協業もしくはそれに近い形で、施設もうんと近代化いたしまして、そのコストを引き下げるということで計画を立てたい、こう思っております。
  131. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の制約もありますから、本会議が二時からということでございますので、簡潔にお伺いしてまいりますが、この指定地域の中で、阿蘇・久住・飯田、すなわち、大分、熊本県にまたがっている四十万ヘクタールに及ぶといわれるこの計画についての今後の見通しはどういうふうになっておりますか。
  132. 中尾栄一

    中尾政府委員 御質問は、阿蘇・久住・飯田地域における見通しと了解したのでございますが、阿蘇・久住・飯田地域は、昭和四十四年五月に閣議決定されました新全国総合開発計画、すなわち新全総の大規模開発プロジェクトの構想に従いまして、阿蘇・久住・飯田地域において、広大な低位利用地の開発によりまする大規模な畜産基地を建設することを基本方針として、昭和四十四年度から調査を実施しておるわけでございます。現在、開発構想の骨子については、地元市町村に対しまして説明を行なうと同時に、意見を聞いておるところでございまして、四十八年度におきましても引き続いて地元関係者の意見を参酌して計画内容の検討を行ないまして、地域全体の開発基本計画をまとめるための調査を行なうこととしております。
  133. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、もう数年間この事業に対する調査研究をしておるということでありますけれども、この計画は肉牛を中心とした事業であるということには間違いないわけでありますけれども、肉牛経営でうまくいくのかどうか。もちろん、こういった畜産、酪農の緊迫した情勢が起こってきたわけでありますが、計画当初と現在ではかなり時点も違ってまいっておりますし、また、阿蘇・久住・飯田高原ではすでに養蚕がかなり取り入れられてきている事実もあります。そういったことを見ましたときに、こういった営農計画は今後は改めていかねばならぬじゃないか、また検討も必要とするのじゃないか。もちろん、主体は肉牛を中心とした事業であることには間違いないと思いますけれども、その辺はどういうふうにお考えであるか、この機会に明らかにしていただきたいと思います。
  134. 杉田栄司

    ○杉田説明員 御説明申し上げます。  阿蘇・久住・飯田につきましては、いま先生おっしゃいましたように、肉牛を中心として計画を立てるということにほぼ方針としては、地元の意向も聞きまして、なっております。ただ、この地帯は古くから、御承知のように、耕種の作物を各種つくっておりますが、そういうものとの複合でいわゆる畜産経営がなされておる。現在は原野の利用というような形でございますから、飼育頭数もきわめて零細、平均二…八頭くらいというふうに伺っておりますが、非常に零細でございまして、農家所得の中に占める割合もあまり大きくないという段階でございます。しかし、もともと広大な、豊富な原野に恵まれておりますので、その利用方法を改善いたしまして、多頭化、大規模な——先ほど申し上げましたような肉牛経営を加えることによりまして農家経営も格段によくなるというふうに思いますし、そのように計画も進めていきたいというふうに思っております。営農計画、特に牛に関しましては、大規模な高度利用牧場というようなものを、これはいわゆる放牧組合が現在ありますが、そういうところを中心にして持っていくと同時に、あるいは繁殖、肥育の一貫経営の牧場、あるいはまた公共の繁殖牧場、大規模な肥育の牧場とか、そういうものを組み合わせまして全体的として畜産経営が格段に飛躍する。なお、その間に道路その他の基幹施設も整備することによりまして省力化もはかっていきたいというふうに計画を立てる予定になっております。
  135. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、ぜひこの計画は推進してもらいたいと、地元も多年にわたって要望が強いわけでありますが、この開発にあたって一つのネックになっているのは、総体の約八割近いものが、入り会い権の問題でいろいろと問題が重なっておるわけです。この入り会い権の問題は、いろいろ解決の方法もあるわけですが、地上権を数十年にわたって借りるとか、または地上権設定にあたって地元の了解を得ていろいろやる方法もあるわけですけれども、どういうふうに考えておられるか。これが解決しないとなかなか進まないというふうにも思うのですが、当局はその点についてはどういうように対処しておられるか、お答えいただきたいと思います。
  136. 杉田栄司

    ○杉田説明員 この地域につきましては、もともと入り会い権の解決がなかなかできないということで今日まで実はおくれておる大きな原因にもなっておるのは、お説のとおりでございます。そこで、入り会い地の問題を解決いたしますために、現在、いわゆる合理化法人を県、公社等でつくりまして、そこで貸借をするという形で入り会い権の問題を解決していきたいということで、県と相談いたしているところであります。
  137. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官、この計画は政務次官も十分御存じだと思いますが、この事業を推進するについては、いまの入り会い権の問題がたいへんネックになっておりますので、そういった地域は、阿蘇・久住・飯田高原のみならず、根室にしても、阿武隈にしても、北上にしても当然ですが、ほかの開発する場合も同じことが言えるわけです。こういったことについてはひとつ格段の配慮をしていただきたい、かように思うと同時に、実はこの事業を推進するについて、こういった事業の性格から、高率の補助をするための予算措置をしなければならぬ、こういうふうに思うわけです。そうしないと、面積も膨大であるし、なかなか地元負担もたいへんなのでございますので、地元の要請等もしばしば出ておると思いますが、こういったことについてはどういうふうに考えておられるか、この機会にお答えをいただきたいと思うのです。
  138. 中尾栄一

    中尾政府委員 入り会い権の問題というのは、これはたいへんむずかしい問題でございまして、先般最高裁で、秋田県ですか、青森県ですか、どこかの問題で、入り会い権の問題では、入り会いの慣行も入り会い権として認めるというような判断が下されたそうでございまして、いろいろとこの問題は各地の地域社会に応じて複雑な煩瑣な問題をかもし出しておるようでございます。この地域においても、ごたぶんに漏れず、問題点があるわけでございますが、その点は、先ほど当局担当官が申し入れましたような方向で、十分地元の声も反映しながら、当然、後々地元の協力を得なければできないことでございますから、その点も十分声を反映しながら考えていくということに進めていこうかと思うのでございます。  さらにまた、第二点の問題につきましては、国といたしましてもこの問題は十分に生々発展させていかなければならない。特に畜産振興の一番基本条件として考えていかなければならないのをここにモデルケースとしても考えていくわけでございましょうから、当然、この点につきましても、先生のアドバイスなどを十分賜わりながらこの問題点は善処していきたいと考えておる次第でございます。
  139. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに、この肉牛の経営の所得率というのは、米とか果樹に比べて低いわけでございまして、これに見合った金融制度を考えていただかなければならない。このことも政務次官からひとつ御答弁いただきたいと思うのです。  さらに、これに関連して、実はおととい、昨日と、乳価問題並びに豚肉価格の問題等でいろいろ論議をしてきたところでありますが、先ほどからも若干触れられておりますように、本日三円三銭という諮問で、実は先ほど、十一時から全国酪農連盟の大会がありまして、私も出席し、いろいろと決意を述べてきたわけでありますけれども、このことについては、また午後、本会議後あらためて各党協議の上で、政府の考えを、また諮問案の修正をぜひお願いしたい、こういうふうに実は思っておるわけでございますので、この問題に触れる時間がございませんが、このようないわゆる酪農民の危機というか、たいへん重大なときに直面しておりまして、今後、ぜひこういった広域農業の推進をはかっていただきたいと同時に、こういった面を十分配慮していただかなければ、こういった事業がなかなかスムーズにいかない、こういうようにも考えられるわけで、たいへん地元では不安になっておりまして、過般来から、ぜひこういった問題について政府の考え、また推進方をはかっていただきたいという要請が強いわけでございまして、あえて本日は質問を申し上げたわけでございますが、先ほどから申しますように、肉牛経営というものは所得率が米、果樹と比べて低い。何といっても金融制度を、米に見合ったといいますか、十分配慮していただかなければならない、こういったことも考えるわけでございますので、そういった見通しについてもひとつ政務次官から若干御説明いただきたい、かように思います。
  140. 中尾栄一

    中尾政府委員 その事業を推進するにあたりまして、当然、先生指摘のとおり、金融問題は問題になろうかと思いますが、金融制度につきましては詳細はまた事務当局に譲るといたしまして、昭和四十八年度において、総合施設資金については、融資率の引き上げ、さらに農業近代化資金につきましては、貸し付け限度額の引き上げ及び末端金利の利子引き下げ等、整備充実をはかっておるわけでございます。  さらにまた、第二点の問題点でございます乳価の問題等は、現在審議会が続行中でございますが、考えてみますると、三円何ぼという先ほど先生のおっしゃられた点は、先ほども指摘賜わったところでございますが、これも含めまして審議の続行中であることをも重ねてここでお知らせいたしたいと思うのでございます。  ただ、いままでの大幅かどうかということになりますと、これは確かに疑問点はいろいろございましょうけれども、コンパラティブと申しますか、比較対照的に考えますると、いままで年々歳々上がったとはいえ、何十銭とか一円未満であったというケースが多いわけでございまして、昨今の物価現象その他を考えましても必ずしも高くはございませんが、それから比べますると幅を持って上げたということになりましょうけれども、ざらに続行中でございまするから、この発言は少しく控えたいと思うわけでございます。
  141. 下浦静平

    ○下浦説明員 ただいま金融につきましては政務次官からお答えがあったところでございますが、瀬野先生指摘のとおり、確かに肉用牛の経営につきましては一日当たりの労働報酬というものが非常に低うございます。繁殖牛で申しますと二百五十六円、肥育牛では千九百七十九円ということになっております。したがいまして、どうも金融で手当てをするということにつきましての問題が実はいろいろあろうかと存じておりまして、やはりまず補助の制度を拡充をしていくべきではないかというぐあいに存じておるわけでございます。したがいまして、先ほども構造改善局の次長のほうからもお答えございましたが、繁殖から肥育に至ります一貫生産体制の確立のための生産団地の育成、これは四十七年度から始めまして、四十八年度は大幅に拡充をいたす予定になっておりますが、そういうことを中心にいたしまして肥育センター等の整備その他万般の手当てをしてまいるべきではないかというぐあいに考えております。この種の補助事業を組み合わせ、さらに足らざるところを金融で補うという方向ではないかと考えております。
  142. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この阿蘇・久住・飯田高原は熊本、大分にまたがっておりますが、大分県は県の約三分の一の面積がこれに該当するわけです。大分県としては必死の決意でこれが推進に当たっておりますし、また、第二の北海道といわれる阿蘇・久住の筒原地帯をかかえて、いま酪農もまた畜産農家も真剣にこれを期待しておりますこの矢先に、今回の乳価のような、また豚価のようなことで、ずいぶん打撃を受けておるわけですけれども、こういったことがありますと、また地元の不安、協力というものがたいへん問題になってくる。恒久的な動物性たん白質の供給から見ますと、ますます畜産資源が枯渇してきておるという段階を見ましたときに、ぜひ強力な推進をはからなければならぬ。同時に、いま申しましたような乳価、豚価の決定のようなことではたいへんであります。この問題はまた後ほど論議することでありますけれども、三円三銭というような価格で推移したのでは、おそらく農家も相当悲嘆にくれていく。今後酪農がたいへんな苦境に立たされるということは、火を見るよりも明らかであります。昨年は三十一銭から一円で、かなり、三倍近く上がった。ことしは三円三銭の値上げであるから、三十一銭から見れば十倍くらいの上がりというふうに説明する人もありますけれども、物価、飼料、または労賃の値上げ等、諸般の状況がずいぶん昨年とことしとは極端に違うわけであります。こういったことを考えて、さらにひとつ政務次官も農林大臣によく相談していただいて、いよいよきょうは酪農部会、そして三十一日までにはいろいろ政府も検討されて決定をし、四月一日には告示、こういうことになるわけでございますので、政務次官も農家のことはよく承知なんですが、そういったことを十分踏まえてあなたからもひとつぜひお願いをしてもらいたい。農民の期待に沿うようにこの価格については最後までがんばっていただいて、財政当局とも相談していただいて、農家の希望する価格にぜひひとつ実現方をはかっていただきたいと思うのですが、この機会にもう一点だけ政務次官の決意を伺っておきたいと思います。
  143. 中尾栄一

    中尾政府委員 昨日も大臣がその所信の中におきまして相当強く御意思を披瀝しましたことは、一貫して私どもの基本方針でございまして、もちろん、精神的な面におきましても、私情をまじえて申し上げて恐縮でございますが、気持ちの上では心ははやるという、まことに俗っぽい言い方でございますけれども、まさに皆さん方農家の乳用牛を持っておられる方々の悩みを悩みとするのは当然でございますし、私どももその気持ちは何人にも負けないくらい、今度は値上げをして差し上げたいという気持ちで言い続けておるのでございますけれども、審議会が現在続行中でございますだけに、軽々なる発言は避けたいと思いますが、その意思は十分大臣にも反映し、また申し伝えまして、瀬野先生の御意思の方向に一歩でも近づくように十分に反映させてみたいと思う次第でございます。
  144. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官の御決意を伺いましたが、ぜひひとつ最後まで努力していただいてそのようにしていただきたいと思います。  時間の制約があるので、通告をしておりましたもう一つの問題に対して質問を申し上げます。  熊本県玉名郡南関町大字久重字陣平、当局もよく承知のとおりでありますが、ここに九〇・五二ヘクタールの地すべり防止区域指定基準第一項第六号によって指定を必要とする事件が起きておるわけであります。昨年私も、七月と、それから十月の二回にわたって現地をつまびらかに調査をしてまいりましたが、ちょうど昨年は熊本県の天草で史上最大といわれるたいへんな水害がまたありまして、百二十三名のとうとい方がなくなられて、土砂の崩壊によって河川、港湾、道路が埋没した災害がありましたが、それと同じような状況下にございます。山の傾斜面の岩盤の上に表土がいわゆる斜めに乗っかっておりまして、高い上部が亀裂を生じて、集中豪雨があれば、一瞬にして県道を越え、大牟田−山鹿線という県道がありますが、それの対岸まで今度は押しつぶされていくという危険性をはらんだものであります。ちょうどこの場所は、昭和四十六年に地域内において、幅〇・五メートル、延長五十メートルくらいにわたりまして地割れが生じて、その後雨が降るたびにだんだん小規模の地割れが発生し、また崩土が起きまして、四十六年から次第に大きくなってきつつありまして、昨年の七月の豪雨のときにいよいよそれが大きく亀裂が生じてきたという状況です。この山は標高二百二十七・七メートルの山でございまして、山麓の二面七メートル、百九十メートル、百七十メートルの地点が地すべりを起こし、直下に家屋、水田、農業用公共施設、こういったものがあるわけです。ミカン園もかなりありまして、亀裂、隆起、陥没等が著しく発生して、今後大規模な地すべりの兆候が認められるということで、地元農政局においても対策を講じておりますが、これがもし崩壊しますとたいへんな問題になるわけで、現在地元では地すべり防止区域として指定を申請しておりますが、どういうふうな状況になっておりますか。時間もございませんので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  145. 杉田栄司

    ○杉田説明員 御質問の陣平でございますが、これは現在地すべり防止区域の指定につきまして手続中でございまして、現在までの状況では、もうすでに三省協議等本協議も終わりまして、三月三十日の官報号外で告示をする予定になっております。  なお、これは昨年の梅雨前線豪雨によりまして、いま御説明ございましたような非常に危険な状態になっておりますが、これはいわゆる農業用施設災害復旧事業といたしまして、必要な捷水路、排水路、くい打ち工というような復旧工事をやっておりまして、これは十一月二十五日に着工したものでございますが、本年度内に完了する予定になっております。
  146. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 どうしてこういうものが起きたか、原因は当局ではつかんでおられますか。
  147. 杉田栄司

    ○杉田説明員 これはいわゆる一般的な地すべり地形のところでございまして、全国的に見受けられるわけでございます。したがいまして、地すべりの指定をいたしまして、それに対する応急並びに恒久的な施設を早急に施行したいというふうに思っております。
  148. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 天草のような災害が起きたのではこれはなりませんけれども、現実に現地へ行きますと、山から見ますと、相当なひどい地震のあとみたいに亀裂が生じております。その距離も何百メートルという個所と、またそれが折り重なっておりますので、約一キロ余りにわたって亀裂があるわけでございまして、もしこれが集中豪雨等によってたいへんな災害になりましたならば大惨事を起こすという懸念があるわけです。よほど真剣な対策をしなければ食いとめられないのじゃないかと思うのです。今後の対策はどうするのか。それから、この災害後、ことしまた梅雨期をやがて迎えるわけですけれども、人家の移転だとか、いろいろ人命を保護するためには心配も起きてくると思うのですけれども、その点はどういうふうに考えておられるか、それまでには十分心配ないような対策を講じていくように考えておられるのか、その点もひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  149. 杉田栄司

    ○杉田説明員 現在県のほうでいわゆる実施計画を立てまして、すでに農林省にもその概要が上がってきております。それに基づきまして早急に実施をするつもりではございますが、特に人家等危険な状態にあるというふうに判断されます場合には、それに応じてあるいは移転とか必要な措置を勧告し、あるいはとっていきたいというふうに思います。
  150. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に政務次官に、時間が参りましたので締めくくりの意味でお尋ねいたしますけれども、いま答弁がありましたように、去年は熊本県では天草のこの災害がありまして、第二の天草の災害といわれるようなことで地元ではたいへんおののいておるわけです。いま短い時間の中に若干のことをやりとりしましたが、一地域の問題ではありますけれどもこれはたいへんな問題で、農政局も必死に真剣に取り組んでいただいております。ことしも災害がないとも言えませんし、あってはいけませんけれども、十分ひとつ——大災害の危険性がありまして地元でもたいへん心配しておるし、県のほうでも対策を一生懸命立てておる時期でありますが、ぜひひとつ政務次官からも大臣にもまたお話しいただいて、特段の配慮と対策を講じていただきますように特にお願いしたいのです。大臣にかわって政務次官からひとつ御見解を承りたいのです。
  151. 中尾栄一

    中尾政府委員 特段の努力をするつもりでございます。
  152. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で私は質問を終わりますが、実は時間が制約がありますので十分できませんけれども、熊本県天草郡の羊角湾総合開拓パイロットの事業について通告しておきましたが、次回に譲りまして、本日は、約束の時間が参りましたから、以上で質問を終わります。
  153. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 この際暫時休憩いたします。    午後二時一分休憩      ————◇—————    午後五時五十五分開議
  154. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。津川武一君。
  155. 津川武一

    ○津川委員 酪農民の腹からの要求である大幅の加工乳の価格要求に対しまして、三円三銭という農民を侮辱し、酪農農業を壊滅させる方向の諮問をしたことに対して、私たちは心からの怒りを表明しつつ、大臣にそのことについてさらに各党で質問することになりましたので、その間の時間を農協短大のことについてお伺いいたします。  そこで、一体農協の短大廃校の正式の理由は何であったかを明らかにしていただきます。
  156. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  先生御案内のように、農協短大は昭和三十年に学校法人として創設されたものでございます。その後時間が経過するにつれまして、農協の側で、農協の経営問題を考えて、期待するような人間像がどうも育たぬというような批判が起こりまして、四十二年の十一月に第十一回全国農協大会で、農協自身で中央協同組合学園というものをつくろう——短大は二年制でございますけれども、三年制の中央協同組合学園の設立を決議いたしまして、四十四年九月から全国農協中央会の直営で中央協同組合学園が発足したわけでございます。したがいまして、私どもの聞いておるところでは、短大の場合に、農協側の期待しておるような農協人が育たぬというようなことが理由になっておるというふうに聞いております。
  157. 津川武一

    ○津川委員 農協が期待しておる人間像とは何でありますか。
  158. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 私どもが農協から聞いておるところでは、農協の経営に非常に詳しい人を教授にしたいと思っても、短期大学の場合には教授の任命等にいろいろな条件がございまして、たとえば全然学歴がなくて、農協の事務に非常に精通し、農協精神というものをよく理解している人がいても、その人が教授になれぬというようなことがあって、教授の選考その他についても問題があったというふうに聞いております。
  159. 津川武一

    ○津川委員 いま局長答弁だと、期待する人間像を持った学生が育たなかった、こういうことでありませんか、農協で問題にしたのは。
  160. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 教授の選任その他につきましても、必ずしも農協が考えておるような人がなれないというような事情があったということも聞いております。
  161. 津川武一

    ○津川委員 期待する人間像の教育ができなかった、人が出なかった。そういう教授のほうでなく、卒業して農協の第一線に参加する、そういう人の人間像が問題になったのではありませんかと聞いておるのです。
  162. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 私どもが農協中央会から聞いたところでは、先生の御指摘のような面があったようにも聞いております。
  163. 津川武一

    ○津川委員 そこで、農林省が考えておる農協の職員で、期待しておる人間像というのはありますか。
  164. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 われわれといたしましては、農協の運営に参画し、農協の運営を適切公平にやるような職員が一番望ましい人間像と思っております。
  165. 津川武一

    ○津川委員 実際に短大を卒業して、単協、県連、中央会に来る段階で働いておった人に対して、この点を政府として、どんな人間像であったか、どんな人が働いておるか、確かめてみたことがありますか。
  166. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  人間像を確かめるというのは非常にむずかしい問題でございます。形式的に農協の職員の年齢が幾歳であるとか、あるいはどういうような学歴であるか、どういうような経験年数を持っておるかというようなことは調べておりますけれども、人間像ということになりますと非常にむずかしい問題で、そこまで私ども調査をいたしておりません。
  167. 津川武一

    ○津川委員 農協中央会の人たちの言っている人間像というのは、労働組合をつくって中央会に団体交渉をする、こういう人を期待する人間像と考えていないようですが、農林省としてはこういう人は差しつかえないと思いますか、困りますか。
  168. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 労働組合をつくって団体交渉をするということは、これは憲法でも認められております勤労者の権利でございますから、そのこと自体について農林省としてとやかく批判すべき問題ではないと思います。
  169. 津川武一

    ○津川委員 それはそれでよろしい。  そこで、日本農業のあり方、農協のあり方、こういうことに対して積極的な意見を申し述べる職員は農協職員として困る、政府はこのように考えているのでございますか。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  170. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 農協の経営について、やはり最終的に責任を持って経営に当たるのは農協の理事者でございます。したがいまして、職員人たちが農協の経営問題、運営問題等につきまして積極的に意見を述べるのは当然だと思いますけれども、最終的な経営の責任は理事者に属している。そこで、理事者の考え方とあまり違うような意見を述べる人は、組合の経営の中では問題があるのではないかというふうに考えられます。
  171. 津川武一

    ○津川委員 理事者のあり方にあまり違う意見、こういうことですが、理事者があまりにも常軌を逸したような行動をしたときに、かなり違った意見を述べて差しつかえありませんか。
  172. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 ただいまも申し上げましたとおり、職員理事者に対して意見を述べるということは、組合の適切、健全な運営上必要だと思います。しかし、組合の運営その他についての最終決定は理事者が行なうということは農協法のたてまえ上そうなっておるわけでございます。
  173. 津川武一

    ○津川委員 私も農協の職員にときどき会ってみますけれども、最終的な決定権は理事会にあることを百も承知で、その点はよく一生懸命やっている、こういうことなんですが、問題は農協を民主化する、日本農業を民主化するという職員があの大学の中から出ていることに農協中央会の指導部が困った。そこで、廃校にするということが決定的な問題だ、私たちはこう認識しておりますが、この認識はだいぶやりましたので、論議を進めます。  そこで、四十二年のいま局長が言われた農協大会で中央協同組合学園設立の決議はしております。私も承知しております。しかし、短大のことについて一言半言も触れていない。これを続けるともよろしいともやめるとも触れてなくて、その大会で農協中央協同組合学園設立の決議をしたから廃止だ、こう農林省はとっているわけですか。
  174. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 農協内部のことでございますから、そのときの意思決定につきまして、私も必ずしもつまびらかではございませんけれども、その決議以後、昭和四十六年までは中央会があの短大に交付金を出しております。したがって、中央学園の発足したときに、短大をやめるというふうな意思決定があったかどうかにつきましては私はつまびらかにしておりません。しかし、交付金が出ておるということから見ますと、そのときには廃校するという意思決定はなかったのではないかと類推されるわけでございます。
  175. 津川武一

    ○津川委員 そこで、四十二年のこの農協大会で短大を廃止する意思決定をしたのかどうか、どこでどのような形で農協中央会が短大を廃止することをきめたのか、これをひとつ明らかにしていただきたいのです。
  176. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 四十六年四月一日に農協短大の学則改正が行なわれまして、四十八年四月以降の学生の在籍を認めないという学則改正をしております。ここでやめるということがはっきり出たのではないかと類推されます。
  177. 津川武一

    ○津川委員 農協中央会というものを私のほうも覚えている。農林省はこういう重大なものをどこできめるべきだと思いますか。農協中央会の大会ではありませんか。
  178. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 短大は学校教育法に基づきます機関でございますから、短大を廃校にするかどうかという問題は、制度としては短大自身が決定すべき問題ではないか、そのように考えられるわけでございます。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  179. 津川武一

    ○津川委員 いいですか、局長、だいじょうぶですか。農協中央会が短大の開設者ですよ。したがって、農協中央会が大会できめる、総会できめるべきじゃありませんか。どうですか、これは。
  180. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 農協の直営の教育機関というような場合には、その機関を廃止するかどうかということは農協大会できめる必要があるかもしれません。しかし、農協短大は学校教育法に基づく法人でございますから、やはり農協の大会よりもその学校自体が存続をきめるということになると思います。
  181. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、確認しますが、農協中央会は短大を廃止するということをきめていないわけでございますね。この点いかがです。
  182. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 私が聞いているところでは、先ほど申し上げました農協大会におきまして中央学園をつくり、それを直営するということをきめたということであります。
  183. 津川武一

    ○津川委員 そこで農協短大を廃止するということはきめませんでしたね。もう一回確認します。
  184. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 そのときの大会の意思決定にはなかったというふうに聞いております。
  185. 津川武一

    ○津川委員 そのとおりなんですが、もう一度農林省も確認しておいてください。  その次に、昭和四十六年三月の短大理事会の評議員会で四十八年三月をめどに廃校の方向に処理するということをきめておるわけですが、そのとおりでございますか。
  186. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、四十八年四月以降の学生の在籍を認めないということを四十六年四月一日で学則改正を行なっておりますから、三月の評議員会でそのような決定があったのではないかと思います。
  187. 津川武一

    ○津川委員 四十六年三月の短大の理事会の評議員会で四十八年三月をめどに廃校の方向に処理するということをきめたことは御存じですか。
  188. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 そのこと自体は直接聞いておりませんけれども、ただいま申し上げましたように、四十六年四月一日付でそのような学則改正が行なわれておるわけでございます。したがいまして、四十六年三月の理事会の評議員会でそのような決定があったことは類推することはできるわけでございます。
  189. 津川武一

    ○津川委員 この点は繰り返しますけれども、四十六年の三月の短大理事会、評議員会の決定は、その報告を受けたとか直接の確認はしてないわけですか。
  190. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 やや形式的なことを申し上げますけれども、農協短大は学校教育法に基づく法人でございまして、文部省の所管になるわけでございます。したがいまして、農林省といたしましては農協短大について直接検査する権限もございませんし、報告徴取も求める権限はないわけでございます。したがいまして、私どもは学則改正をやったということを承知しておりまして、そのときの三月の理事会の議事録なり評議員会の議事録は私どもは見ておりません。
  191. 津川武一

    ○津川委員 四十六年三月のこの問題の理事会で廃校の方向で処理するというこういう決定を見て、そして学籍を削るという方向に処理するということと、直ちに学生を切るという方向に行ったことをよく確認して、指導というものを、あとでもう一回お伺いしますけれども、確立していただきたいと思うのです。  その次に、この短大廃止に賛成した単協が幾つあって、反対した単協が幾つあったか、御存じでありますか。農協単協の意思はどこにあったか。
  192. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 私どもは賛否両論あったということは聞いております。しかし、数については聞いておりませんので、その点については照会して御報告申し上げたいと思います。
  193. 津川武一

    ○津川委員 賛否両論あった。賛成が多かったか反対が多かったか確認しないで指導してきた、経過を見ておった、こういう形にとられそうですが、この点はどうです。
  194. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 繰り返して申し上げますけれども、農林省は学校法人である短大について直接の監督権はございませんから、ただいまいろいろお話ししているようなことも全部農協の関係者から聞いてお話しをしているわけであります。私どももそのときに賛否両論あったということは聞いておりますけれども、廃校賛成が何%で、反対が何%であったというところまではこまかな数字は持っておりません。
  195. 津川武一

    ○津川委員 内村局長、それではここであなたに質問しても意味ありません。これはどういうことです。実態を少しもつかんでいないようですが、ここのところが存続するためならば単協でお金を出してまでもという人たちがたくさんあるという事実を指摘して、もう少し調べてみるように要求して質問を進めます。  そこで、四十六年三月の短大の理事会、評議員会で、四十八年三月をもって廃校とするという方針をきめた、そして学籍をなくするときめた、そこまではよろしいのだけれども、この短大で働く職員の身分をどうするか、このことについて何らか決定しておりますか。
  196. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 農協短大は近々廃止する方針は先生の御指摘のとおりでございますが、教職員の身分保障などにつきましては現在大学当局がいろいろ努力しておりまして、教職員の身分保障についてもいろいろ職員代表との間で話し合いをしているというふうに聞いております。
  197. 津川武一

    ○津川委員 職員はどこへ行けばいいか、三十一日廃校ですよ、局長。次官、三十一日廃校ですよ。職員はどこへ行くかわからない。きまってない。職員をどうするという方針を出していない。これはどういう意味です。これで農林省、黙っておりますか。これは次官でもいい、局長でもいい、どう思うか。
  198. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 大学当局は現在まで教授、職員の方々について転職の希望等はいろいろ聞いている。そこで、具体的なことについては、私どもの聞いておりますところでは、本日短大当局と職員代表がいろいろ話し合っているということのようでございます。  そこで、この問題の処理は、基本的には短大当局が解決すべき問題でございまして、農林省といたしまして、現在のところ、この問題について具体的な指示をするとかあるいは指導するということは考えておりません。
  199. 津川武一

    ○津川委員 農林省はこの短大ができてから今日までどのくらい援助いたしましたか。
  200. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 昭和二十九年度から三十四年度にかけまして約千二百三十七万円をいろいろの施設等の補助に支出しております。
  201. 津川武一

    ○津川委員 それだけの国民の税金を支出した。したがって、この運営、経営、職員のあり方に対して農林省は責任ありませんか。
  202. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 当時、農林省といたしましてはこの短大を育てるという意味から補助したわけでございます。しかしながら、こういった教育機関の経営の問題というのは、やはり私どもとしては系統の自主的な意思にまかせるべきである、これについて行政府がいろいろ介入すべき問題でない、農協というのは、申し上げるまでもなく、自主的な組織でございますから、こういった組織内の次の世代の養成というようなものは、やはり系統の内部の問題として処理すべき問題であって、行政庁としていろいろ干渉すべきではないというふうに考えております。
  203. 津川武一

    ○津川委員 三十一日解散。きょう二十九日。あすとあさってと二日。そうしていま労使のことだから団体交渉をやる、これは当然である。この解散二日前に身分というもの、どこへ転勤するかわからない。こういう状態で、いまごろ話し合いをしているという状態を農林省はよろしいと見ておりますか。
  204. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 私どももこれが健全な事態であるとは必ずしも思っておりません。しかし、事そこに至るまではやはり相互の間にいろいろな関係があって今日まで片づかなかったということではないかというふうに考えております。
  205. 津川武一

    ○津川委員 あなたは昨年の五月十六日、この委員会場でこう答えています。職員先生方で残っておられる方々がございますので、これらの方々の身の振り方につきましては遺憾ないようにするように、私どもといたしましても、農協に注意を喚起すべきではないかと考えております、これ、どうされました。
  206. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 そこで御答弁いたしましたように、農協の関係者が参りましたときには、私どもはそのようなことは農協の関係者にはそれとなく漏らしております。しかし、これはあくまで当事者間の問題でありまして、行政の介入というものはやるべきでないということで、なるべくこういった問題が円満に解決するように側面的に、指導ではございませんので、示唆みたいなことをしたことはございますけれども、やはりこれは当事者間の問題として片づけるべき問題だと思います。
  207. 津川武一

    ○津川委員 内村さん、あなたは農林省とすれば最高幹部の一人。国民はあなたに期待もするし、あなたにまた熱望することも多いし、あなたは農林省を代表する最高幹部の一人なんです。その方が、遺憾ないようにするように私どもといたしまして農協に注意を喚起すべきでないかと考えております、こう答えて、いまは内部の問題だから干渉すべきでない——これでは幹部としてはたいへん残念に思うわけです。  そこで、農協に注意をどのように具体的に喚起したか、具体的に喚起してなかったならば、いまからでもおそくない、すべきだと思うのだが、この点重ねて答えていただきます。
  208. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 先ほども申し上げましたように、これは農協法の何条に基づく指示とか、あるいは文書をもって指示するというふうな性質の問題ではないと思います。したがいまして、農協の関係者が来ましたときに、なるべく円満に解決するように努力してくださいということを申し上げております。しかしながら、文書等をもって行政府として指示したというようなことはございません。また本件はそのような指示をすべき性質の問題ではないと私は思っております。  しかしながら、私自身としては、こういった農協の内部の問題が円満に解決されることは私も非常に希望しておりますので、そのようなことは申しました。しかし、行政府として正式にいろいろな意見を述べるべき問題ではないということは、ここで質疑がございましたときに私はそういうことは申し上げていると思いますけれども、その基本的な態度は変わっておりません。
  209. 津川武一

    ○津川委員 行政庁の一大幹部が円満に解決すべきものだ、遺憾ないようになるべきものだと考えているとしゃべっただけで、何にもしなかったらこれはどういうことになりますか。それで国民が納得しますか、最高の幹部として。これだったら、何もあなたたちに高い月給を出しておく必要がありませんよ。えらい職責に置く必要もありません。ここのところをひとつ頼みます。
  210. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 繰り返して申し上げますけれども、やはりこのことは系統の自主的意思を尊重して解決すべき問題であるということは、先般の質疑の際にも申し上げております。したがいまして、役所として正式にいろいろな意思表示をすべき問題ではないというふうに私も考えるわけでございます。しかしながら、こういった問題が系統の内部でいつまでもくすぶっているということは好ましくないことは事実でございます。したがいまして、私どもは、そのように解決するように努力してほしいということが言えるのが私どもの限界でございます。それだけの努力は私としてはしたつもりでございますけれども、やはり最終的には当事者の間で決定すべき問題であるということは厳たる事実である、私はいまでもそう信じております。
  211. 津川武一

    ○津川委員 そこで、この大学はかなり専門的な知識、農業経営のあり方、農協のあり方、そういう点でかなり大事な大学であったし、かなりな役割りを果たしてきたし、いま農協で働いておる活動的な方たちや中堅幹部はここの学校の卒業生です。そこで、この教授、先生を招聘するときどんな態度をとったか御存じですか。
  212. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 教授の選考の具体的な基準等については私ども承知しておりません。
  213. 津川武一

    ○津川委員 どうも知らない人に質問するのは、私も困りましたな。こんなに知らないんですか。この学校が昭和三十年にできたときのことを思い出して——あなたがそのときおったかどうか、これもわかりませんけれども、非常に大きな希望と脚光を浴び、ここを卒業する人たちに農協を背負っていただくという非常に大きなキャッチフレーズで、はなやかにスタートした学校です。したがって、教授も非常に専門的に選考したわけです。たとえば教授の一人、美土路達雄さん、これは農業基本問題調査会専門調査員、市場審議委員、農業経済学会理事であった方でございます。この人を三顧の礼で迎えて、教育のこと、学校の抱負のこと、待遇のこと、こういうことなどをして迎えたのです。同じく佐藤治雄先生、これはいまでも果樹振興審議会委員であることは皆さん御存じでしょう、中小企業近代化促進法調査委員であることも。こういう大事な方、平川輝夫先生、これも佐藤治雄先生と同じお仕事をされております。この点を農林省も評価したから、この専門的な人をここにやったわけです。この方たちに農協短大の理事会はどこへ行けと言ってないんですよ。これだけの学識経験を持っている人を招聘するに三顧の礼を踏んで、あさって閉校になるときにこの方たちの行き先、この広大な日本の国にとって宝の学識を持った人をこのままにしておく、これはこれでいいですか。
  214. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 廃校にあたりまして教職員の転職、転業等に大学当局としては当然適切な考慮を払わなければならぬと思っております。したがいまして、きょう短大当局と職員代表とでいろいろ話し合いが行なわれているようでございますけれども、私どもはこの問題が円満に解決することを期待しているわけでございます。
  215. 津川武一

    ○津川委員 文部省、来ていますか。——学校教育法に基づいて学校を閉鎖するときに、この先生の処置をどうしたならば閉鎖できますか。閉鎖するときのこういう先生に対する条件というのは何でございますか。
  216. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 学校を廃止いたしますどきには、学校廃止について私大審議会のほうへ諮問をするということになっているわけですが、学校廃止ないしは法人の解散の場合にも、いままでの学生の処置、教職員処遇ということを十分注意をして適切な処置であるということの確認が必要になっているわけでございます。
  217. 津川武一

    ○津川委員 この短大の廃止について私立大学審議会が諮問を受けておりますか。
  218. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 まだ廃止の認可の申請が出ておりません。
  219. 津川武一

    ○津川委員 したがって、文部大臣はまだ認可していませんね。
  220. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 まだ出ておりませんので、やっておりません。
  221. 津川武一

    ○津川委員 こういう状態において先ほど話した宝の三人の先生が行き場所がない、こういう状態を、私学を指導監督する立場として政府はどのように考えておりますか。
  222. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 大学の行なうことでございますので、大学は教官の仕事についても十分考慮を払っておられると思います。私どもはそういうようなことを聞いた上で検討をするということになるわけでございます。
  223. 津川武一

    ○津川委員 この三人の先生をはじめとした職員のことについてはもう一回お伺いするとして、そこで、この学校の在学生——まだ廃校になっていないので、きょうまだ学校があるわけです。どのくらいの在学生があるか、農林省と文部省で答えていただきます。
  224. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 現在在学生は三十九名でございます。
  225. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 学生は三十九名でございます。
  226. 津川武一

    ○津川委員 大学局にお尋ねしますが、学生を入学させるということは、その学生に学校設立で示しておる必要な科目なり技術なり職能教育をし、学校が約束しておる一つの資格、これを与えて卒業させるのが教育ではありませんか、どうでございます。
  227. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 もちろん、一般的に申しますれば、そういうことだと思います。
  228. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、いま残っておる三十八人の学生がこのような状態が得られますか、文部省、あさって廃校します。
  229. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 今日に至るまでの間、学生と教官は、いま先生が申されましたような観点で十分に話し合いをしながら本日に至ったと聞いております。
  230. 津川武一

    ○津川委員 話し合いかどうかわかりませんけれども、学校教育法で、教育して卒業させて、必要な資格を取らせる、これがほんとうではありませんか。現在、学校があるわけです。卒業できないでいるわけです。この状態一体何です。
  231. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 学校の設置、廃止その他は大学の自治によってきめることでございまして、それまでの何をどのように教育するか、そういうことにつきましては、少なくともいままで十分意を尽くしてきたと思います。
  232. 津川武一

    ○津川委員 きたと思いますというが、具体的に確かめておりますか。
  233. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 学則改正の話がございましたときに、私どもも十分その趣旨が徹底すること、そうしてまた、そういう教育の機会が十分に確保できること、そういう点を十分慎重に配慮すべきであるということを学校のほうには指示をする、——指示をすると申しますか、御注意を申し上げてまいったわけでございまするので、学校としても、私どもの意のあるところを十分御理解なすって、今日までその趣旨の徹底、そういった教育を受ける機会の設定ということについては十分な配慮をしてまいったというふうに聞いております。
  234. 津川武一

    ○津川委員 いま三十八人の学生が卒業できないで残っておるわけです。この人たち昭和四十六年三月の理事会、評議員会で、廃校の方向で処理する、昭和四十八年四月に学生をなくする、こういう決定を見ていますが、入学したのは、その学則を改正する前に入学しているのです。卒業をさして、短大卒業生という称号を与えて、農協で就職できるようにする。そういう改正前の学則で入学している者を、学校を廃止することによって卒業させない、この状態はよろしいのでございますか。
  235. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 学則を改正するということは、大学の自治によってきめられるわけでございますけれども、そのきめる時点で、入学させた者は十分その目的に沿うような教育をして出すということの責任がございますので、十分なる期間を置いて廃止をするということをきめ、そうしてかつその間に、先ほど申しましたように、十分に授業を受けられる機会を設定するとかして学校の廃止というものをきめるわけでございます。そしてこの学則の改正がきまったわけでございますので、その点は学校としてやるべきことは十分やっての上だというふうに判断しております。
  236. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、学生が入学するときの学則、その条件をどうしても満たしてあげなけなければならぬ。学則が改正になっても、改正前の学則で、民事契約で入学しておる人には、そのような教育をしなければならない、こう文部省は考えておりますか。これは非常に大事なことなので、わからなかったら、相談して答えていただきます。
  237. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 文部省といたしましては、もちろん設置、廃止ということでございますけれども、すべて教育的な事柄でございますので、十分教育的な配慮が尽くされておるということでございますれば、そのことで十分ではないか、こういうふうに思います。
  238. 津川武一

    ○津川委員 この三十八人の在学生の中で、卒論だけ書けばすぐ卒業できる人が三人いるのです。これに対して卒論書けと言ってない。おまえら学校廃止に反対するからだめだ、こんなことを言って卒業さしていない。これは卒業さしてあげるべきでありませんか。文部省、どうでございます。
  239. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 そのような事実も私どもは聞いておりませんし、もしそういうような事実があっても、十分教育的な配慮のもとに行なわれたものだというふうに思います。
  240. 津川武一

    ○津川委員 昭和四十六年三月の学則改正、この改正前に入学した三十八人が納得なり所期の目的を達しない限り、その前に廃校の申請があったら文部省はこれを認可しますか。
  241. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 まだ申請が出ておりませんので、どのような内容の記載になっておるかわかりませんので、お答えするわけにまいらぬと思います。
  242. 津川武一

    ○津川委員 先ほどの質疑のやりとりで、農林省と文部省のやりとりが明らかになっておるような状態で、具体的にこの農協中央会の短大が廃止を申請したら認可しますか。基準に合っていますか。この点、答えていただきます。仮定ではございません。現実の問題で、いまの状態でどう判断します。三十一日廃校するから、廃校届を諮問しなければならない。いかがでございます。
  243. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 先ほど来申し上げておりますように、設置、廃止というのは私立大学審議会に諮問して行なうわけでございますけれども、廃止の理由とか廃止に伴う学生の措置その他につきましても十分審査をして、差しつかえないと認められたときには認可をするということになろうかと思います。
  244. 津川武一

    ○津川委員 現在の状態では認可できますか。
  245. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 出てまいりませんとお答えすることはできないと思います。
  246. 津川武一

    ○津川委員 何回も繰り返したこの状態で認可できますか。申請しないからというのじゃなくて、いまの認識、どうです。
  247. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 やはり何度も申し上げておりますように、私大審議会の権限として、私大審議会のほうで十分教育的な配慮ということを前提にした結果を見ながら設置、廃止を決定するものと思います。
  248. 津川武一

    ○津川委員 慎重に答えてくださいね、事が大事だから。このままの状態であさって廃校になる、認可を申請する、これが現実の過程。これは認可できますかどうか。
  249. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 まだ申請が出ておりませんので申し上げることはまいりませんけれども、三月三十一日に学生が学則上いなくなるという時点で廃止、認可の申請が出てくると思います。
  250. 津川武一

    ○津川委員 それなら、学則改正する前の学生に対する学校の責任、これを指導監督している文部省の指導方針、責任、これはどうでございます。
  251. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 先ほど来申し上げておりますように、入れた学生については十分教育をして卒業をさせるという義務が学校としてはあろうかと思います。そのために廃止という重大な決意をするにあたりましては、先ほど申し上げましたように、そのことの趣旨の徹底ないしは廃止に至るまでの教育的な配慮、つまり教育を受ける機会あるいは試験を受ける機会、そういうものに最大限便宜を払うというような教育的配慮というものが当然必要になってくるわけでございます。またその措置も十分なされて今日に至っておるというふうに聞いております。
  252. 津川武一

    ○津川委員 いまの答弁の、十分学生に試験を受けて、教育を施して廃校するならよろしい。この確認は私もあなたとともにする。そういう状態がつくられておるかどうかということなんですが、廃校の認可申請もしない状態において、三十八人の学生が卒業できない状態にある。卒業したいという意思表示が学生にある。教育を受けたいという意思表示がある。卒業するための卒論を書くからこれを審査してくれという要求がある。この状態を文部省としてなぜ放置しておくのか、これが一つ。直ちに指導監督して、教育を続けて卒業させるようにするのが文部省でありませんか。これはいかがです。
  253. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 今日の事態に至るまでの間、相当の時間もあり、先ほど来申し上げておりますように、十分趣旨の徹底もし、そしてまた教育を、テストを受けるような機会の設定、そういうことも十分なしてきたというふうに聞いているわけでございます。
  254. 津川武一

    ○津川委員 聞いているといって、どんなことに聞いているかわからぬけれども先生がいるんですよ。教材があるんですよ。学校があるんですよ。生徒がいるんです。先生は教えたい、生徒も受けたい、これが学校教育の基本方針。この状態がとまっておる。このことを知っていますか、文部省。
  255. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 私どもは先ほどから申しておりますように、十分そういう機会をつくり、そして教育を受けたいという者については十分措置をするようにということを毎々申し上げておるわけでございまして、そういう過程を経て本日に至っているというふうに思っております。
  256. 津川武一

    ○津川委員 文部省齋藤技術教育課長、責任ある一つの地位だね。こういう学校の教育がストップされている状態を知っているのかと私は聞いているのです。これは答えていただきます。
  257. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 私どもは大学のほうに毎々言っておりますような状態で、一名の受験者があっても、そこへ受験の場所を設定するなりというような方法をとりながら、十分やるようにということを申し上げてもおり、また学校でもそのような努力をしておるというふうに聞いているわけでございます。
  258. 津川武一

    ○津川委員 いま学校に申し上げた内容をどのような形で、口頭であるならば、いつ、だれが、だれのところへ行って、文書であるならば、文書で出したことをここで明確にしていただきます。
  259. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 文書で出したことはございませんが、そのようなことについては毎々十分遺漏のないようにということは申し上げてまいったわけでございます。
  260. 津川武一

    ○津川委員 文部省のだれが、いつ、短大の学校のだれにどのように申し上げたか、これはわかっておりますか。
  261. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 一々いつ、どこで、どういうことをということを申し上げるわけにはまいりません。事実そういう記録もございませんが、主として事務局長を通じてそのようなことを申し上げてまいったわけであります。
  262. 津川武一

    ○津川委員 これは後刻文部省に帰って相談して、私に文書として報告できますか、指示できますか。
  263. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 いままで口頭指導してまいりましたので、いつどのような形でということを記録として申し上げることはむずかしいと思います。
  264. 津川武一

    ○津川委員 少なくとも四十六年四月以降でございますか。
  265. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 さようでございます。
  266. 津川武一

    ○津川委員 文部省の文部大臣ですか、どこの局ですか、どこの課ですか。
  267. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 主として教育の内容を担当してございます私のところに参るのが多うございます。
  268. 津川武一

    ○津川委員 相手は短大の理事会の事務局長でございますか、文部省。
  269. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 局長だけということではございませんが、主として局長に御連絡を申し上げている例が多いと思います。
  270. 津川武一

    ○津川委員 齋藤技術教育課長は何かこの点で短大に申したことはありますか。
  271. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 私からも先ほど来申し上げておりますような教育的な配慮ということについては申し上げております。
  272. 津川武一

    ○津川委員 文部省と農林省に聞きますが、昭和四十六年の四月に学校を廃止するということをきめ、その前に入学しておる人たちは学校が続くものと思って入学しておる。この学校廃止という学則を適用する、こういう不利益を与えたので、この不利益を回復して、その時点に遡及して必要な措置を講ずべきだと思うのですが、いかがでございます。
  273. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 十分な教育的配慮のもとに行なわれました学則の変更の適用は全学生に及びますので、及ぶと思います。
  274. 津川武一

    ○津川委員 この学校で通信教育が受けられるのです。学校が続いている限り通信教育で卒業ができる。そこで、学校が廃止になるとたいへんなことになる。この通信教育を受けている学生に対して、六十一国会、昭和四十四年七月十日、当時の池田農政局長は、通信教育生が存在しておる限りは廃止はできないと言明しておりますが、農林省はいまでもこの見解をとっておりますか。
  275. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 四十六年四月の学則改正の点でございますが、この点は文部省の所管に属する事項でございますので、農林省から意見を申し上げるものはあるいはどうかと思いますけれども、私どもの聞いているところでは、農協短大は昭和四十四年四月以降新規入学生の募集を行なっていない、そのため同短大の最終の入学生である四十三年度の入学生の修業に通常必要な期間との見合いで四十八年三月という在籍限度にしたのだというふうに聞いております。そこで、二年間でございますけれど、すでにもう学生が入っていないわけでございますから、通信教育の学生も入っていないのだろうと思います。したがいまして、在籍限度を設けたのは必ずしも不当な扱いではないのではないかというふうに考えられますが、これは最終的には文部省のほうの所管で、文部省の御意見で決定すべきことだと思います。
  276. 津川武一

    ○津川委員 昭和四十七年十二月十四日に、学籍をはぐという不当行為に対して学生が提訴しておりまして、その提訴に対する判決が出ております。学生側が勝訴しております。通信教育学生がそういうかっこうで除籍されましたが、判決文は「短大の除籍処分は、理事会の大学解散方針を早期に実現しようとあせるあまり、学生に対し教育的配慮を全く払うことなく……教育機関としての本分から逸脱した違法の処分である。」したがって処分を取り消せ、これが判決の内容でございます。これに従うべきでありませんか。これが一つ。  農協短大側はこれに対して控訴しております。つまり正しい判決をそのまま受けとめないで控訴して、そして学校を事実上廃止して、帰るに母校なき状態をつくり、働くに働く場所をなくして学生、職員に圧力をかけております。  もう一つの問題は、短大廃止に反対しなければ即時職員仕事、地位、賃金、こういうものを保障してあげると言っております。こういう農協のやり方を文部省はいいと思うかどうか。これは文部省と農林省の意見を表明していただきます。
  277. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 学生の除籍問題につきましては、理事会の決定によりまして控訴をするということを聞いているわけでございます。
  278. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 私どもといたしましては、繰り返して申し上げますけれども、これはやはり系統内部の問題として系統が良識をもって処置すべき事項だというふうに考えております。
  279. 津川武一

    ○津川委員 現実にはこの三月三十一日をもって学生がおれなくなる。現実には三月三十一日をもって職員がおれなくなる。事実上の廃校だ。この廃校という状態を文部省はこのまま容認するのかどうか。
  280. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 廃止認可の申請が出てまいりましたときに、たとえば学生あるいは教職員ということにつきましても、十分教育的な配慮が行なわれておったかどうかの確認を経て、私立大学審議会のほうでは認可が行なわれるものと思います。
  281. 津川武一

    ○津川委員 この状態はいいと思いますか、農林省。
  282. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 系統が良識をもって解決することを希望しております。
  283. 津川武一

    ○津川委員 この状態がいいと思いますか、文部省。
  284. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 良識をもって措置する問題だと思っております。
  285. 津川武一

    ○津川委員 齋藤課長、いいと思っておるかどうか聞いておるんだよ。さあ、もう一回答えてください。
  286. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 良識をもって当たるように努力していただきたいものだと思っております。
  287. 津川武一

    ○津川委員 いいかどうかということを聞いておるんだ。この状態は教育上好ましい——よいのかよくないのか、もう一回答えてもらいます。
  288. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 短大当局が十分いままで考えてきたことでもございますし、また十分短大側が責任を持って当たることだと思っております。
  289. 津川武一

    ○津川委員 委員長からも注意してほしいと思います。いいのか悪いのか聞いておる。端的に答えてください、齋藤技術教育課長
  290. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 必ずしも好ましいとは思いませんけれども、いままでの過程においても十分努力をされたことと思います。
  291. 津川武一

    ○津川委員 好ましくない状態に対して、文部省はどんな指導をします。文部省、答えてください。  大臣が来ましたので、約束どおり質問を終わりますが、そこで、学校廃校の基準だけをまず文部省から聞きます。
  292. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 設置の基準はございますが、廃止の基準というものは明確ではございませんが、その決定を下すに際しましては、十分教育的配慮が行なわれておったか、事後措置が十分行なわれておったかということが中心になって論議されるものと思います。
  293. 津川武一

    ○津川委員 廃止するときに、約束した学生が卒業したい、教育を受けたいといっている状態を、受けさせないで廃止していいのですか。
  294. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 いまここに至るまでの間、大学は教育的良識をもって十分教育的配慮を行ないつつ本日に至ったというふうに思います。
  295. 津川武一

    ○津川委員 学校の教育、学校がある、先生がいる、教育を受けたい生徒がいる、この状態を教育しないで廃校していいかどうか、もう一回答えてください。
  296. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 ただいまのような点は十分私立大の審議会のほうで審議の対象になると思います。
  297. 津川武一

    ○津川委員 課長も返事したのですが、この学校に対して文部省がどんな指導したか、事務局を通じて早く状態改善せいと指導したと言っているから、その状態を後刻詳しい文書で、わかっている分だけ私に報告をする、それでよろしければこれで質問を終わります。いかがです。
  298. 齋藤寛治郎

    ○齋藤説明員 後刻提出したいと思います。
  299. 津川武一

    ○津川委員 終わります。     —————————————
  300. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 この際、政府より、加工原料乳の保証価格について諮問の内容について説明を求めます。下浦審議官
  301. 下浦静平

    ○下浦説明員 本日、畜産振興審議会酪農部会に諮問いたしました保証乳価等の試算につきまして御報告を申し上げます。  まず、保証価格でございますが、先般発表されました統計情報部の生乳生産費調査によりまして、主要加工原料乳地域におきまする推定生乳生産費をもとといたしまして、これを昨年十一月から本年一月までの物賃によります物価指数で換算いたしました。  なお、家族飼養管理費のうちの労賃につきましては、同地域におきまする五人以上の製造業の労賃に置きかえをいたして計算をいたしました。  なお、主要加工原料乳地域でございますが、最近の加工原料乳の状況にかんがみまして、一道四県ということで計算をいたした次第でございます。  その結果、推定生乳生産費四千六百四十二円、推定集送乳経費二百九円、合計いたしまして保証価格四十八円五十一銭ということでございまして、前年に比べまして三円三銭のアップということでございます。  次に、安定指標価格でございますが、安定指標価格は、業務用バター及び全脂加糖練乳につきましては、時価が現行安定指標価格を上回っておりますので、安定指標価格を引き上げることといたしましたが、新安定指標価格につきましては、四十四年二月から本年一月までの実績価格の平均を卸売り物価指数の伸び率で修正したものでありますが、いずれも時価を下回っておりまして、物価政策上問題はないものと考えておる次第でございます。  脱脂粉乳及び脱脂加糖練乳につきましては、前者が強含み、後者は弱含みでございますけれども、いずれも安定指標価格の近傍にございますので、安定指標価格を据え置くことといたしております。  三番目に、基準取引価格でございます。基準取引価格は、バター、脱脂粉乳、全脂加糖練乳、脱脂加糖練乳及び全粉乳のおのおのにつきまして、製造業の支払い可能乳代を計算いたし、乳製品ごとの生乳換算量のウエートにおきまして加重平均いたしたものでございます。  支払い可能乳代は、安定指標価格等から卸売り業者のマージン、製造業者利潤、製造販売費用を控除した残余でございます。卸売り業者マージンは日銀の主要企業経営分析から採用した卸売り業の売り上げ高総利益率をとり、製造業者利潤は製造業一般並みの総資本純利益率を乳業者があげるために必要な売り上げ高利益率をそれぞれ用いまして、製造販売費用につきましては乳業者からの報告を精査いたしまして採用をいたした次第でございます。  その結果、基準取引価格につきましては四十円四十九銭ということに相なりまして二円七十一銭のアップと相なっております。  最後に、限度数量でございますが、推定生乳生産量から推定飲用向け生乳処理量、推定自家消費向け生乳量、これらを差し引きました結果、百五十万一千トンということに相なった次第でございます。  以上でございます。     —————————————
  302. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  303. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま政府から説明のありました四十八年度の加工原料乳の保証価格についての政府諮問案の内容について農林大臣にお尋ねいたします。  第一の点は、現行の加工原料乳生産者補給金法は昭和四十年にわれわれ国会において審議をいたしまして成立をした法律でありますが、法律の目的とするところは、国内で生産された生乳については、政策的な努力を通じてできるだけ飲用向けの市乳化促進をするということが目的の主要な柱にもなっておるわけでありますが、このことが七年間たった今日、具体的に進行しておらないというところに問題があるわけです。  たとえば全国で最大の主要生産地である北海道においては、四十七年におきましては総数量で百三十四万トンをこえる生乳が生産されておるわけでありますが、これを飲用と加工の用途別に区分いたしますと、飲用向けが全体の一〇%、加工原料向けが九〇%ということになっておるわけであります。これを七年前の四十一年の当時に比較いたしますと、法律の実施の時期においても飲用一〇%、加工九〇%という状態であります。この七年間に飲用向け乳価と加工用の乳価の間においてキロ当たり二十二円をこえる格差が生じておるわけであります。そういたしますと、結局、政府のこの法律の運用というものは、全国的に最大の主産地であるところの北海道の生乳というものを最も劣悪な条件の低乳価で封鎖しておるということも言えるわけであります。その他東北におきましても、たとえば青森県、岩手県、山形、福島等におきましては、いまだに加工原料乳が総体の半ばをこえておるわけでありますから、現在は一道四県が法律にいうところの加工原料乳が総生産の半ばをこえる主要生産道県ということになるわけであります。ですから、この点について農林大臣として明確な所信を示してもらいたいと思います。
  304. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 飲用向けにいたしました場合、現在、価格的に有利である、こういうことから、北海道の場合を考えまして、その割合が一〇と九〇になっておるということできびしい御批判をちょうだいしたわけでございますが、飲用向けの乳価は、私の承知しておる範囲では、それなりの地域事情を反映してきめられてきたと思うのであります。この法律の上においてでき得る限り飲用向けに向けろということで、それにもとるではないかという点は、その法律の上からは私も理解ができますが、必ずしも加工乳が多いからということで、それは酪農農家にとっていけないという結論には——これはもう先生も十分御承知いただけることではないかと思うのです。  そこで問題になるのが、その価格のきめ方と格差、こういうことでございますが、過去何年かの価格決定の状況というものを顧みまして、そこにはそのつど御批判もちょうだいしてまいったと思うのでありますが、現在こういう差ができたという現実にあるわけでございまして、今回の場合も、農林当局としては、加工原料乳についてでき得る限りの価格を上昇させたいということで作業をいたしまして、過去の実績からいたしますならば、またそれと比較していただきますならば、われわれの努力のあとは一応御理解がいただけるのではないか、こう思う次第でございます。
  305. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、同じ生産者が生産した生乳が用途別に飲用向け、加工向けに分かれると、その格差がキロ当たり二十二円をこえる。年間脂肪率を三・二%に換算すると、統計調査部の資料によっても、搾乳牛一頭当たり年間平均五千キロということになると、これがキロ二十二円格差があるということは、搾乳牛一頭当たり一年間十一万円という、用途別によって所得の上に大きな格差が出るということになるわけであります。この格差を行政的な努力で是正するというのが農林大臣並びに農林省の任務でなければならぬのを、毎年のように格差の拡大をはかっているという間違った行政をやっておるわけです。  そこで、ことしの一月十五日から、飲用向け牛乳についてはキロ当たり七円五十銭価格が引き上げになっておる。これは法律に基づいて政府が決定したわけではありませんが、指導価格という形でこの飲用向け価格の形成に農林省が介入していることは事実なんです。同じ四十八年において、二カ月ないし三カ月の間において、一方はもういち早く四十七年度の中で七円五十銭値上がりをしておる。政府の責任で四月一日から来年の三月一ぱい実行するところの保証乳価というものはわずか三円三銭の引き上げという不当な試算をされたということに対しては、これは絶対に了承できないわけです。昨日、一昨日の当委員会における同僚委員の諸君の質疑を通じましても、あるいはそれについての農林大臣のやや前向きと思われる答弁を見ても、こういうキロ当たり三円三銭という不当な価格積み上げが行なわれるということは、これはだれも考えておらないわけであります。国会に来てだけうまいことを言って、審議会はこれは御用審議会ですから、大臣が任命した者だけで審議を形成しておる。以前のように国会議員の代表が入っていないから何でもやれるという考えで、そういう不当な諮問をされたということに対しては、断じて当委員会としては、おそらく与党の皆さんも承服されないところだと思うわけであります。  そこで、飲用、加工向け国内生産乳価の価格是正というものに対して一体どうするか、この点をこの際大臣の責任において明確にしておいてもらいたいと思うわけです。
  306. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 私は、この委員会で何か軽率にいろいろお答えをしておるということは、そういうことはないのであります。私としては、誠心誠意申し上げておるのでございます。それは、そうおっしゃいますけれども、しかし、私どもの立場からいえば、この諮問案をつくるについて、もう私から申し上げるまでもなく、四十四年から四十七年までにわずか二円九十六銭しか上がっておらないじゃないかという御批判もちょうだいしたわけであります。また過去においては政府原案のうち一番上がったのが四十二年の二円七十六銭と記憶しておるのでございますが、それらのことをみな頭に置きまして、そして私はここでうそを言っておりません。財政当局との間で事務当局にいろいろ詰めさして、その詰めた結果、その諮問の案をつくるのである。諮問の案というものは、そういうことでできるが、最後までがんばりたいということで、昨晩三円三銭ということで諮問をしようということに相なったのでございまして、これはおしかりを受けることはよくわかります。わかりますけれども、しかし、いま私の申し上げるようなここ数年間の情勢とかあるいは過去における一番上げたときにはどうだとか、そういうことを全部織り込んでまいりましたときに、私がそれはやむを得ないであろうと言った三円三銭ということが、いまこの段階で非常におしかりを受けるのでありますけれども、私としても誠心誠意つとめたということをこの機会に申し上げておきたいと思います。
  307. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、次にお尋ねしますが、こういうような不当な保証価格あるいは先ほど下浦審議官が言われた基準取引価格、これは実際取引の衝に当たる指定生産者団体としても、こういう不当な価格の取引を進めることはできないと思うわけです。これは法律にも明らかなとおり、全国都道府県単位に、農協の連合会が指定生産者団体としての法律上の位置づけを受けて、そして末端は単協それから連合会と、いずれも農業協同組合の組合員である生産者の委託を受けて、都道府県ごとに一元集荷を行なって、指定生産者団体が毎年乳業メーカーに対する配乳計画を立てて、用途別にこれを乳業メーカーに供給するというシステムになっておるわけであります。その場合、基準取引価格は、四十七年度の場合にはキロ当たり三十七円七十八銭であります。現在の飲用向け乳価は六十八円平均でありますからして、同じ乳業メーカーが指定生産者団体から買い取る場合の生乳価格が、用途別によってキロ当たり三十円の差異が生ずる、こういう取引をいままでふしぎにも思わぬで行なってきた農業協同組合である連合会、指定生産者団体が、一体法律をどう考えて運用したかということもわれわれはしばしば指摘をするところであります。  だから、こういう不当な基準取引価格を乳業メーカーの利益擁護のために政府が設定した場合、生産者並びに指定生産者団体は、このような不当な低乳価の取引はできないということで、そうして取引間の話し合いにおいて、政府がきめた基準取引価格をこえる取引が行なわれることも当然これはあり得るわけであります。この補給金法ではそれを禁止していないわけです。しかし、残念ながら、そういうことが実態的には行なわれておらない。だから、あくまでも政府が基準取引価格、保証価格を低乳価で押えてこれからも強行するということになれば、この需要供給の関係で、実勢を踏まえた加工原料乳の取引を行なうということを自衛上どうしてもやらなければならぬということになるわけです。その場合、農林省としては、そうした基準取引価格をこえる取引というものに対してどのような指導を加えるか、十分にそれを指導助長してやらせるか、その点はいかがですか。
  308. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 一応事務当局から説明さしたいと思います。
  309. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答え申し上げます。  芳賀先生のお話、よくわかるのでございますが、指定生産者団体でございます農業協同組合連合会、これが加工原料乳を扱っておりますことは御承知のとおりでございます。しかしながら、その反面といたしまして、自由取引の飲用乳の原料乳も取り扱っておるというのが実態でございまして、この両者の間におきましては、かなり質的に違った価格体系というものがあるわけでございます。したがいまして、飲用乳のほうにおきましては、主として市乳地帯において多く取引が行なわれる関係もございますので、おのずから労賃なりあるいは輸送費等の問題もございますから、ある程度の価格の開きというのはやむを得ないのではないかと存じております。  それから、後段の安定指標価格をこえた取引ということでございますが、今回の試算にあたりましては、かなりその辺の計算を厳密に行なったつもりでおります。なお、それが守られますような指導は、私どもといたしましても十分いたしてまいりたいと存じております。
  310. 芳賀貢

    芳賀委員 それは答弁になっていないじゃないですか。いいですか、乳業メーカー擁護のため、四十七年はキロ当たり七円七十銭の補給金が出されておる。これは保証乳価の四十五円四十八銭から七円七十銭安い価格で乳業メーカーに原料を供給する、そういう政府は運用をしておるわけです。生産者に対して十分に所得を守るという形で運用されていないわけですよ。だから、百十億に及ぶところの補給金というものは何にも生産者のためには寄与しておらないわけだ。少数の乳業メーカーの利益のためにそれが出されておるわけだからして、そういう不当な取引はできないということで、当然相手側を説得して、政府がきめた基準取引価格をこえる取引が相互間で行なわれた場合において、それを妥当なこととして農林省は十分指導性を発揮すると思うがどうかということを農林大臣に聞いておるわけです。
  311. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 私は、芳賀委員のお尋ねについて、事実上基準取引価格をこえる取引が現実に起こり得るのかどうかということについて、にわかに判断ができないために先ほどお答えを控えたわけでございますが、現実に芳賀委員としてはそういうことが当然この価格では起こり得るという御前提に立たれるようでございますが、私としてはそのような事態は——あるいはそれは起こり得るかもしれませんが、私としてはにわかにそういうふうに想像をすることができないのであります。
  312. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣、そういう答弁はないですよ。現に一月十五日から飲用向けの牛乳は生産者団体と乳業メーカーの間の合意によって七円五十銭引き上げになって、キロ平均六十八円で取引が行なわれておるわけです。この場合も農林省は、それは高過ぎるとか、そういうものは認めないと言ったことは何もないでしょう。むしろ介入してその線に押えたというのが実態であります。だから、今後現実に基準取引価格をこえた価格で加工原料乳が指定生産者団体と相手の乳業メーカーの上において取引が行なわれた場合、それに対して農林省はどう対処するかということを聞いておるわけです。
  313. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 いや、それで私、お答えしておるので、私としてはそういうことを想像ができない。それはいま担当官にも念のため聞いてみましたが、あるいは裏乳価というものがあるかもしれませんとこう言うけれども、しかし、責任ある私として、いま、そういうものはおっしゃるとおりでございましてどうのと、そういうふうにはお答えができない。そういう立場も御了承いただきたいと思うのです。
  314. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたは不勉強だから、農林大臣でありながらわからないのですよ。私ども昭和四十年の当時、四月、五月の二カ月間にわたってこの加工原料乳補給金を実際に審議して法律にしたわけですから、われわれがつくった法律だから、失礼ながらあなたよりは私のほうが法律の目的とか内容、運用についてはよくわかっておるわけです。そのころはまだ下浦審議官だって子供のころでしょう。そうなんだよ。いまは参議院の桧垣徳太郎君が畜産局長で、大臣赤城農林大臣。この法律の中には赤城精神というものは残っておるのですよ。農林省の事務当局は、保証価格をきめる場合においては、主要な原料乳の生産地域における農業日雇い労賃の賃金をもって乳業生産者の自家労働を評価するというようなまことに不当な説明をしましたので、われわれは当時二カ月間委員会において論議を進めて、ついに赤城農林大臣は、米価と同じように他産業労働者の賃金に見合う農業自家労働の評価がえを行ないますということを記録にとどめて、ようやく法律が通ったという経過があるわけだ。だから、私の聞いておるのは、これは簡単なんですよ。裏乳価でも何でもないんですよ。指定生産者団体と相手の乳業メーカーの上において話し合いが成立して、そうして政府がきめた基準取引価格をこえる取引が行なわれた場合、農林省としては一体これにどう対処しますかということを、子供でもわかるように私は質問しておるのですよ。このくらいのことが時の農林大臣に理解できない、わからぬというのはまことに遺憾千万ですよ。何だ、一体。だめじゃないか。
  315. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 いや、御質問のことはよくわかるのです。しかしながら、私は、それはあなたの仮定を立ててのお話でございまして、私としてはそういう場合があり得るかどうかということを想像し得ないから、そこでお答えができないということを言っておるのです。
  316. 下浦静平

    ○下浦説明員 先ほど大臣がお答えなさいましたとおり、場合によりましては、あるいは場所によりまして裏乳価という形のものが支払われるというようなことがあろうかと存じますが、その点はやむを得ないものと存じております。
  317. 芳賀貢

    芳賀委員 委員長、もう一回明確に答弁さしてくださいよ。特に、裏乳価なんというのはおかしいじゃありませんか。何が裏乳価なんですか。両者間で合意が成り立って、そうしてこの値段で取引しますというその取引というのは、裏乳価も何もないじゃないですか。これは大事な点ですよ。ごまかせない点ですから、明確にしてください。
  318. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 私は御指摘のように、よく事情を知っているかどうかというと、先生よりは知らないということを正直に申し上げるわけでございますが、たとえばそういうようなことが現にある、それだからどうということなのか、それともそういうことがあったらばということなのか——あったらばという御質問でございまするから、私の立場からはそういうことは考えられないので、私はお答えできません、こう言っておる。
  319. 芳賀貢

    芳賀委員 いいですか、これは大事な点ですよ。あったらばじゃないですよ。こういう不当な基準取引価格というのは、今回は二円七十一銭上がったというようなことを言っていますが、これでもまだ非常に低いわけでしょう。それだけ上げたところで四十円四十九銭にしかならぬわけですからね。これで満足して指定団体が生乳を供給する場合はいいですよ。これでもう十分だとかいう場合はいいが、これは不当である、こういう不当な価格で生産者団体としては乳業メーカーに対して加工原料を供給することはできないということで、協議をした結果、会社のほうで、それでは政府の基準取引価格よりキロ当たり五円増しで取引しましょう、そういう取引契約が成立した場合には、これは当然正しい取引ということになるじゃないですか。想像できないなんてばかなことはないじゃないですか。これより安く取引することは想像できないが、キロ当たり三円でも五円でも高く取引できるということは、想像できないというようなばかなものじゃないですよ。どうなんだ。これは審議官、そういうことが当然起きるわけだから、そういう取引が生じた場合に、農林省としてはどうする。あなたがわからなければ畜産局長を呼んできなさい。
  320. 下浦静平

    ○下浦説明員 先ほどお答えいたしましたとおり、場所によりあるいは時期によりまして、そういうこともあるいは起こり得ることがあろうかと存じておりますが、別段私どもといたしましては差しつかえないのではないかと存じております。
  321. 芳賀貢

    芳賀委員 いいですか、農林大臣、いまあなたの部下の下浦審議官から、そういう基準価格をこえた取引というものが地域等においてあり得るということは考えられる、そういう場合にはそれを是認するという、そういう、少し不明確な点もありますけれども、しぶしぶの答弁ですけれども、これを認めるということを言われたわけです。あなたもそれを確認しておいてもらわなければいかぬです。私はそばにいたけれども知らぬかったということになると、これは大ごとになりますから、どうですか。
  322. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 担当官がそういうお答えをしたのでありまするから、そのような事情も想像をした上でのお答えだと思うのであります。私はいまそうやって問い詰められれば、私は担当官のお答えをしたとおりに思いますけれども、しかし、本来言えば、正直に言えば、私の立場からはこの段階に少しでも混乱を来たすようなそういう答弁をすべきではない、こういうことを自分自身に言い聞かせておるわけでございまして、しかし、先生から私に問い詰めて、担当官も言ったじゃないか、こう言えば、それはせっかくの担当官の答えでありまするから、私としてもそのことを理解しなければならないと思います。
  323. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、いままで四年間にわたって、補給金法の第十一条第一項第二号によるところの基準取引価格というものは、これは安定指標価格との関係において指定乳製品が四年間据え置きになっているのですよ。そこにいままで加工原料乳の安い原因があったわけです。しかもその十一条一項二号の基準取引価格の算定のやり方は、まず指定乳製品の安定指標価格というのを農林大臣がきめて、その指定乳製品を製造するにかかった製造経費、人件費あるいは会社の管理費、交際費、広告代までも全部会社がこれだけかかりましたと報告したのをうのみにして、指定乳製品の価格から先にそれを引き去ってしまって、残りのわずかな分だけが乳製品の原料代に見合う価格ということにしてきたわけです。だから、原料から積み上げて乳製品の価格をきめるというのではなくて、実勢が反映しない安い乳製品の価格を四年間据え置きにして、会社が言うとおりの一切の経費を引き去った残りというものが原料相当分の基準取引価格ということになってきたわけなんです。これはもうわれわれとしてもあるいは生産者としても、毎年毎年この保証乳価の審議の場合にはこの点を指摘したわけです。物価が上昇する中においてどうして四年間も乳製品だけを据え置きにしなければならぬか。そうして逆算方式で基準取引価格を低くきめて会社に低乳価の原料を提供しなければならぬかということを常に指摘してきたわけですが、ことしはいままでと違った価格で、ある程度乳製品の指標価格を上げたようですが、まだまだ現在の乳製品の実勢価格にはほど遠いものがあるわけです。  だから、この点をいまの物価動向に見合ったような、しかも四月一日から向こう一年間の乳製品の価格動向、諸物価の価格動向というものをとらえた場合においては、相当大幅に指定乳製品の指標価格というものを上位に引き上げるような形をとらなければ、ほんとう基準取引価格あるいは保証価格というのは生まれてこないわけです。こういうことは農林省が一番よくわかっておって、いままでやらなかったわけだから、今度の諮問の内容では、これはまだまだ不十分ですよ。だから、この点をもう一回再検討して、会社用の逆算方式を改めて、原料から積み上げた乳製品の指標価格をつくるということでなければならぬと思いますが、その点については農林大臣、どう考えておりますか。
  324. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 安定指標価格のきめ方、これはあくまでも厳正にまたいろいろな政治的な意味合いを含めずにやるべきである、こう思います。本来言えば、指定乳製品をはじめ全粉乳、加糖粉乳、その他こういうものが、消費者対策から言えば、安く見積もられることがよろしいかとも思うのでありますが、これが大事な乳価に関係をするのでございますから、これはあくまでも私は冷静に、厳正にやるべきである。そういう見地からまいりますると、御指摘のように、過去四年間据え置きということについての御批判は私も十分理解ができます。今回の場合、私どもとしては、この製造販売経費の控除分について、私にはちょっと御批判的なおことばに聞こえたわけでございまするが、これは十分チェックして算定したつもりでございます。
  325. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 ちょっと芳賀君に申し上げますが、だいぶ申し合わせの時間が経過しておりますので、何ぶんよろしくお願い申し上げます。
  326. 芳賀貢

    芳賀委員 わかりました。それじゃ、問題点だけを——こっちは簡明にやっているのに、大臣及び政府委員答弁が長過ぎて、それが時間に食い込んでおるのですよ。委員長、いいですか。いまの点は今回の安定指標価格の掌握についてもまだまだ低過ぎるということを指摘しております。  その次は、これは保証価格決定上重大な要素になるわけでありますが、毎年生乳生産に要した自家労働の労働生産性を全部コスト引き下げの要素に使っておるという点であります。昨年、昭和四十七年度の農林省の生乳生産費を見ても、搾乳牛一頭一年間の飼養労働時間が平均でこれは二百五十一時間ということになっておるのです。そうしてこれは四十六年度の飼養労働時間から比べると実に二十三時間年間一頭当たりの労働時間というものが短縮したということになっておるわけです。だから、酪農家が労働の生産性をあげて努力しているということは、これはもう心から敬意を表するわけでありますが、その毎年毎年の労働生産性の向上分というものを、いわゆる向上メリットというものを全部生産者に還元しないで、価格引き下げの材料に使っているというところに、いつまでたっても保証乳価が据え置きになるという大きな原因があるのです。これは生産者が投下した労働時間を分子にして、そうして農林省が酪農家のけつをたたいて多頭化をどんどん進めて、十頭より十二頭、十五頭よりも二十頭ということで分母をだんだん大きくすれば、一頭当たりの労働時間というものは、これは短縮されることは間違いないのですよ。こういうような算術を使って毎年毎年八%ないし一〇%労働費というものを不当に圧縮して、そうして正しい労働の生産性というものが何にも保証乳価に反映していないというところに問題があるわけです。この点に対する謙虚な答弁をひとつお願いしたいと思います。  それからもう一つは、この飼料代のとり方でありますが、なるほど流通飼料、購入飼料については実績方式でこれは反映させておるようでありますが、一番大事な、日本で畜産に一番足らない、年間千三百万トンも輸入しておるこの購入飼料に対して、自給飼料が足りぬわけだから、政策的に自給飼料の大増産を進めなければならぬにもかかわらず、自給飼料の分については、自給飼料の生産に要した労働費というものは、相変わらず農業日雇い労賃で低く評価しておるというのがまたことしの諮問案の内容であります。こういう逆な方法、古々米を五十万トンいままでの半値で売る法律をつくるというようなこの時点において、自給飼料の生産を阻害するような労働費のとり方というのは再検討の必要があると思うわけであります。  それから次に第三点としては、予算上から見た場合、政府の負担する補給金というものはむしろ昨年よりも金額で減少しておるという点であります。いいですか、先ほど審議官の説明した四十八年度の限度数量というものは去年よりも九万三千トン少なくなっておるわけです。百五十万一千トンというのは去年よりも九万三千トン限度数量が少なくなっておるわけです。九万三千トンの限度数量が去年と同じように七円七十銭の補給金でいった場合には、ここから七億円の政府負担が減少するということになるわけであります。一方、今度はキロ当たり三十二銭の補給金の引き上げを行なうわけでありますが、これを政府予定の百五十万トンに乗じた場合には、これは四億八千万、これが補給金の引き上げの分の増額ということになるわけです。そうすると、減った七億円からふえた四億八千万円を引くと、二億二千万円昨年よりも補給金の政府負担額は減っているわけだ。わざわざ政府の負担を減らしてまで保証価格を下げなければならぬという理由は何もないじゃないですか。こういうような点は、あるいは審議会の答申が出たあとで政府が決定するまでの間、与党自民党といろいろ折衝して、与党自民党に幾ばくかの花を持たせなければならぬということで、これは取っておきの財源であるかもしれませんけれども、こういうインチキはやめてもらいたいと思うわけです。どうして昨年度よりも政府の負担額を減らしたかという点について大臣から明らかにしてもらいたいと思うわけでございます。  まだいろいろ指摘する問題はありますけれども、総体的に言って、これは私ども社会党といたしましては、あるいは当委員会の各党の委員皆さんにおいても、今回、政府が審議会に諮問された、四十七年度乳価に対して三円三銭引き上げの諮問内容というものはまことに不当であるということを最後に指摘して、むしろこの際、政府は重大な反省の上に立って、みずから作成したインチキな諮問案を根本的に再検討をして、新たなる角度で日本の畜産、酪農の発展と酪農民の生活の安定のために前向きに取り組むという政治姿勢を明らかにしてもらいたいと思うわけです。  以上、重要な点だけを列挙したわけでありますが、それに対して農林大臣から一々明快な答弁をしてもらいたいと思います。
  327. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 非常に専門的な点が多いのでございまするが、私として一応お答えをいたして、補足をさせることにいたします。  この労働生産性の向上の問題でございます。多頭化を促進していく上に、労働時間が四十六年に対して二十三時間も今回の計算では低くなっておる、こういう御指摘でございましたが、現在こういう制度をとっておりまするのは、基本的には酪農経営の改善、高能率と申しましょうか、多頭化が進むことを期待してのことでございまして、そういう点からただいま御指摘のような御批判の面が出てきておると思います。  それから、自給飼料の増産をすべき時期に、その労働費のとり方について再検討をせよ、納得がいかないという御指摘でございまするが、今回の試算には御批判のとおりのことに相なっております。これは、先ほどこの立法当時のことにお触れになりまして、飼育管理家族労働費のとり方を非常な審議時間をかけて現行のようにきめたという御指摘で、私の感じとしては、おそらくこれは他に非常に関係のあることでやむなくやっておることだと思うのでございまするが、よく検討させていただきたいと思います。  それから、限度数量の関係で七億円政府の負担が軽くなっておる、今度の場合の補給金とのにらみ合いで見てもなお二億何千万か補給金は少なくなっておる、こういうことでございまするが、私、おそらく専門の先生の御計算でございまするからこのとおりだと思うのでございまするが、ただ、この計算からだけけしからぬと言われましても、現実に今回三円三銭の試案を出したのでございまして、全体の仕組みの上から私として判断をしてみたいと思います。
  328. 下浦静平

    ○下浦説明員 限度数量につきまして補足をさせていただきたいと存じます。  四十七年度の見込みでございますが、これは大体百四十万トンから百四十五万トン程度のところにおさまるのではないかという見込みでございます。したがいまして、百五十万一千トンぐらいという計上がございますれば、おおむねカバーできるのではないかと思います。
  329. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 多田光雄君。
  330. 多田光雄

    多田委員 大臣に伺いたいと思いますが、昨日、大臣は同僚の島田委員からこの審議会に出す資料の問題について質問を受けました。そのとき大臣は、資料をできるだけ早く出す方向で検討する、こういう回答をされたのです。ところが、昨夜おそくやったその会議の結果にもかかわらず、私のところにこの審議会に出された資料が回ってきたのは七時ちょっと前であります。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 私はほとんどこの中身を分析することもできないのです。これは昨晩の大臣のことばとは違い、はっきりとここに審議会の審議決定を国会に優先させるという、いわば国会軽視の姿勢のあらわれである。これを配付するのは確かに事務官たちでしょう。一体これに対してどういうお考えを持っておられるか、伺いたいと思います。
  331. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 私、昨日この諮問の計算ができればお届けするようにお答えをしたことは、確かにそのように申し上げたと思います。できるだけそういたします、こう申し上げたのでございますが、お届けするのがおくれたということを、いま実は御質問中に私に報告がございまして、私にかわって答弁をするということでございますが、これは全く申しわけないことで、私からこのようなことのないように以後十分気をつけるよう皆を督励をいたします。おわびをいたします。
  332. 多田光雄

    多田委員 大臣がわびたからそれで済むという内容のものでは本来はないと思うのです。ということは、昨晩、島田委員が言ったように、実際こういう大事な問題、しかも農民が大挙して、北海道、九州から来ておられる。一刻も早くその結論をほしい、それを望んでおられる。私ども議員としても単に地域代表で言っているのではないのです。あとで申し上げますけれども日本の農業、食料、日本の農民、これがいま重大な危機にさらされている、その立場から国会で慎重に審議する必要がある。そういう立場から島田委員も発言されていると思う。そういう意味では、今後この問題について二度とこういうことの起きないように、私は大臣からもはっきりと事務当局その他に伝えていただきたい、こう思います。  時間がありませんのですぐ質疑に入りますが、さらに大臣は、昨晩、私どもに対して、大幅ということばは使っておられなかったけれども、私の立場としても御期待に沿うように価格を上げたい、こういう回答をされておりました。そのときの大幅というのは、同僚議員の発言は、一円とか八十銭、これの三倍なんというものではなかったはずなんです。多くの議員の発言しているのは、今日の酪農民の生活の実態、はらみ牛まで売っている、まだたった一回しか子供を産んでいない雌牛を売っている、しかも生産が下がっている、こういう状況の中で、農民の生活と営農を守るにふさわしい値上げをしてもらいたい、これが要求だったはずです。ところが、きょう私、昼に聞いてびっくりしたのですが、三円三銭です。大臣、確かに一キロ当たりですが、一体三円三銭でいまごろあめ玉一つ買えると思いますか。  そこで、私は伺いたい。大臣はそのとき誠意をもって大蔵当局とこれから話し合うということを言っておりましたけれども、大蔵当局はどういう態度をとられたのか。それからいま一つは、この決定は財政上の理由できめたのか、それともこれで北海道や九州の原料乳を出している農民の営農が確実に成り立っていくという確信の上で出されたのですか、一体どっちなんですか。その二つ。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  333. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 この三円三銭の財政当局との折衝を最終的に諮問案に盛り込むことをやむを得ないと申し上げたそのことについては、先ほど触れて申し上げたわけであります。四十四年から四十七年までの上げ幅が合計して二円九十六銭である。四十二年の諮問案で一番上がったときでも二円七十六銭である。そういうような点から財政当局との折衝の上で、最終的に三円三銭の案にするというときに、私としては四年間の合計あるいは過去のものよりも上回っておることで、これ以上私ががんばれと言って見ても、なかなか従来の経緯からするならば、諮問としてはやむを得ないということで、私はやむなくそのことを了承したということを申し上げたのであります。このことの当否は別といたしまして、経緯だけを明らかに申し上げておきます。
  334. 多田光雄

    多田委員 伺いたいのですが、大臣はこれで農民がやっていけるという確信がおありなんですか。
  335. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 もうぼつぼつ審議会の答申があるのではないかと待っておるわけでございます。これに基づいて審議会がどういう答申をしてくるであろうか。そしてそれに伴ってなお私としていろいろ努力をしなければならない点がございます。そのことを私としては心待ちにしておるわけであります。いろいろ審議会のあり方についての御批判も先ほど御質問の中に出ておったようでございまするが、私としては審議会のその答申をよく検討いたしまして、なお、これによって私の努力がもう終わったものでない、まだ残っておる、こういう認識に立っておるのでございまして、お尋ねの、これをもって酪農農民の現状に対してどうだということにつきましては、私としては、一応経過中のことでございますので、なお努力をして、何とか酪農農民の皆さんのお役に少しでも立とうということで、御了承いただきたいと思います。
  336. 多田光雄

    多田委員 昨日も大臣はたいへんいわば希望を持たせるような発言をされておりました。いまもそうです。まだ余裕があるというような御発言です。(櫻内国務大臣努力です」と呼ぶ)  それでは伺いたいのですが、大蔵省と折衝されるときには、当然事務当局も含めて農林省側では試案があったはずであります。ただ話し合って、このくらいがいいだろうというので適当なところに線を引いたのではないと思います。どれくらいのものがあればいいというふうにお考えになって大蔵当局といろいろ折衝されたのか、これをひとつ伺いたいと思います。
  337. 下浦静平

    ○下浦説明員 これはいろいろな計算がございますけれども、私ども最初に大蔵当局と話し合いを始めたという数字は、五円台の数字でございます。
  338. 多田光雄

    多田委員 五円台の数字であったということですか。とにかく確認しておきたいのです。五円台の数字であったということですね。  そこで、私の手元に、きのうもちょっとお見せしたのですが、ここに「日刊酪農乳業速報」というのがあるのです。これはかなり広範な酪農民の方々が読んでいる、酪農民の生活の実態、営農の実態を知らせているパンフレットです。北海道の天北の酪農地帯で牛が伸び、酪農家がどんどんふえてきた。そのことについてこういっています。「このように天北の酪農は四十年に振興のスタートが切られて以来、四十二年の不足払い制度によって生じた価格支持、草地造成、基盤整備の政策導入によってまずは順調に規模拡大の方向に直進してきたといえる。」ここでは不足払い制度の成果というものを一応うたっております。私はそういう精神も一応あったろうと思う。ところが、その中で、いまどうなってきたのか。昨日も私はここで申し上げましたけれども、天北では一戸当たり六百万の負債であります。つまり不足払い制度というものが今日——当初にも問題があったけれども、先ほど芳賀委員も述べておりましたけれども、これは乳業資本家を優遇する、過保護にする、そのために生産農民を犠牲にする、その客観的な事実を生み出すだけになっておる。時間がありませんので、私はここでもう数字を述べる余裕はございません。北海道から六百人からの農民の方々が忙しい中に出てきておるというこの事実が、農民の方々がいかにいま苦しんでいるか、このことを物語っておるのです。  たとえば、大臣、昨日下浦審議官は、生産が減ったことで一、二頭の乳牛を持っておるような零細なものがつぶれるというようなことを言っておりましたが、そこだけではないのです。これは二月二十七日の北海道新聞によりますと、佐野宏哉農林省牛乳乳製品課長、この方が北海道に行って、釧路管内の標茶町のSという大型の農場を見学しておるのです。そして、ここに膨大な負債のできておることを見て、私はいま正確なことばではありませんが、なるほど負債ができるのか、こういうことばで結んでおる。小さい酪農家だけではないのです。大型の酪農家までが、いま膨大な何千万という負債をかかえ込んできておる。  ところが、一方乳業資本はどうですか。これも、もう数字をあげる余裕はないけれども、たとえば今回の消費者価格の値上げ、この前後の取り分を見てもはっきりしておるのです。たとえば乳業会社と農民とそれから小売り。値上げ前は乳業会社は一七・六%、農民は四三・七%、小売りが三八・七%。ところが、値上げ後どうなっておるか。減っておるのは農民だけなのです。四三・二%と〇・五%下がっておる。乳業会社と小売りは伸びておる。こうまでして何で酪農民を苦しめるのですか。私は伺いたいのですが、大臣、あなたは一体、いまのこの飼料の値上がり、騰貴です、これを押える、下げるという確信はありますか。
  339. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 前にもお答えを申し上げたと思いまするが、北海道酪農経営の皆さん方が負債で非常に苦しんでおられるという問題につきましては、これは北海道庁の実態調査の報告を待って前向きに対策をいたしたいということを申しておるわけでございます。  それから、飼料の問題につきましては、これは本委員会においても御決議をちょうだいしておりまして、従来も古々米、政府操作飼料の放出について相当配慮してまいったつもりでございまするが、今後の値上げを何とか防ぐ意味におきまして、必ず値上げをさせないようにするために、ここ一週間の見当で努力をいたし効果をあげたい、こう思っております。
  340. 多田光雄

    多田委員 私の発言は、若干時間をオーバーしましたので、これで終わりたいと思うのですが、大臣、私が先ほど食糧の危機と言ったのは、大豆、飼料、小麦、これら主要な食品が、いま外国依存です。しかも、いまアメリカからは乳製品を含めて自由化の要求が非常に強くなってきておる。私は、いまの自民党の政府がいつまでこれにたえられるか、そう思っております。しかも、食糧以外のエネルギー一つ見てもそうでしょう。根幹になる、日本経済の動力になる産業のエネルギーまでが外国系の石油によってその大宗を占められておるのです。一体これで日本民族の産業、日本民族の食糧、これをほんとうに守っていくことになるでしょうか。そういう意味からいっても、ほんとう日本の食糧の自活あるいは自給、これなくして民族の誇りもなければ自主性も生まれてこないのです。その意味では、ようやくいま発展してきた酪農を守っていく。これは単にいま北海道の農民、九州の農民というだけではないのです。これでが一点。  それから、農民を殺して絶対に農業の発展はありません。工業生産第一主義で、農民が土地を奪われ、かわいい牛まで売り払っておる。これが現状です。そういう意味では、この一点の中にも、いままでの自民党の政治の行なってきた、日本の大事な食糧を外国にたよっていくというこういうやり方を改める意味でも、どうぞひとつこの酪農民の要求に耳を傾けて、大幅な引き上げを、まだ余裕があるとすればやっていただきたい。このことを、私は単に質問というのではなくして、来ておる農民の皆さんと一緒に告発の意味でも訴えて、私の質問を終わりたいと思います。
  341. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 瀬野栄次郎君。
  342. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 三月二十六日に乳価・豚肉価格要求全国農協代表者大会が久保講堂で行なわれ、さらに本日全国酪農代表者大会が日消ホールで行なわれました。私もその大会に党代表として出席をして激励の辞を贈ってまいりました。各党からも出席をされていろいろと激励がありました。先日も大臣に申し上げましたように、今回の酪農民また畜産農家のこの悲壮な決意は、かつて見ない姿でございます。まさに酪農の岐路に立っておるという感じを受けておりますし、われわれは大会または各団体からの要請が強いからこういう委員会を数回開いて大臣にお願いをし、また要求しておるのではなくて、真に農業を愛し、また農業とともにわれわれは生活してまいりました一員として、われわれもまた少ない分野としてほんとうに危機に直面しておるがゆえに、重ねて大臣に所信を承りたい、こういう気持ちでございます。  そこで、私も一昨日、昨日と五回にわたってこのことについて質問をし、きょうもまた政務次官に午後強い要請を、またお願いをしておきました。きょうは参議院の予算委員会大臣もおそくなられて、いまからまた酪農部会のいろいろな諮問に出席をされていろいろ御苦労も多いと思うのでありますが、重大なときになっております。三十一日までに決定をして四月一日には告示をするということの段階でございますので、この重大な大事な時期をもうしばらくわれわれの質問を聞いていただき、そして農民にほんとうにあたたかい政治の思いやりを持った施策をしていただきたい。このことを申し上げる次第です。  そこで、限られた時間の範囲で若干お尋ねをいたしますが、昨日も大臣は、大幅な値上げをするとはっきりと言われて、財政当局と誠意を持って交渉するとしばしば答えていました。昨日大臣も参議院の予算委員会が終わってから財政当局といろいろと協議されたと思うが、何時ごろ協議をされて、そうして、今回諮問を出されております三円三銭の、不当な値上げでありますが、この値上げに対して財政当局は幾らに言ったのか。そうしてどういうような交渉をされて三円三銭に財政当局と話が煮詰まったのか。もっとも大臣が財政当局と相談される前にこのいきさつもできておったんじゃないかと思うので、やぼな質問のようにも思いますけれども、その辺も農家の人たちが納得できないので、そういった点も明らかにして、農家の納得のいくような説明を願いたい。そのことをまずお答え願いたいのです。
  343. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 先ほどから二回お答えを申し上げておりますが、瀬野委員の熱心な御質問で重ねて申し上げまするが、いわばこういうものの最後というものは、押し合いへし合いのことで、なかなか進展を見ないことは御想像していただけると思うのであります。私としては、先ほど申したとおりに、四十四年から四十七年の合計の上げ幅が二円九十六銭である。そして四十二年は二円七十六銭である。それで、ここでもう一つ正直に申し上げますが、この二円七十六銭のあとの四十三年、四十四年におきましては過剰ぎみになって困ったというようなことも私が指摘をされたりいたしまして、そして最終的に三円三銭ではどうかというときに、諮問の試算としてはやむを得ないであろうということを申したということを言っておるのでございまして、この数字の範囲からいたしますならば、四年間の合計で二円九十六銭だ、四十二年の一番上がったときが二円七十六銭、それらのところを勘案して考えていくと、最終的に諮問案は三円三銭、まあそこまでいけばやむを得なかろうということを私が決断したということを先ほどから申し上げておるような次第でございます。
  344. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、いま酪農家または畜産農家がたいへんな危機になっていることは、農家の一番責任者である農林大臣は十分承知しておると思うのです。  そこで、時間の関係もありますのではしょって聞きますが、先ほどからずっと聞いておりますと、大臣は、私として努力しなければならない点がある——やがてもう諮問に対する答申が出るわけですね。そこで大臣としても急いでまた農林省分室へ行こうといって考えておられるだろうと思うのですけれども、私として努力しなければならない点がある、よく検討して、まだ努力が残っている、期待にこたえる、こういうふうにおっしゃっていますが、これは政治加算を意味するものと私は解するのですが、その点をはっきり答弁していただきたい。
  345. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 審議会について、そのあり方などにいろいろ御批判があるのでございまするが、まず第一の私としてやるべきことは、どのような答申が出てくるか、私が答申を尊重すべき立場にあることは御了承をしていただけると思うのであります。その諮問に審議会はどういう受け方をしてくるのか。これはこの際私の発言としてはちょっと軽率ではございまするが、しかし、せっかく御熱心にお尋ねでありまするので、私としてはその答申に対して実は期待をしておるわけであります。それで、この答申を尊重しつつ、なお私としての努力をしてみたい点が残っておるということを申し上げておるわけでございまして、(「政治加算じゃないか」と呼ぶ者あり)政治加算とかいうようなことについての表現は、私は一つもしておりません。その努力の結果が、いま不規則発言でいろいろ言われましたが、そういうような御批判があればあるとして、それは別でございます。私はあくまでも努力をするということを申しておるわけであります。
  346. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いずれにしても、大臣としてもいよいよ本日は諮問に対する答申が出るということで、先ほどからいろいろ答弁を聞いていましても、この場では明瞭には言わないけれども、含みある話がありましたが、政府はこの試算内容に再検討を加えて酪農民の期待にこたえる価格決定を行なうべきである、こういうようにわれわれは思うのでありますけれども、その点については大臣はどういうようにお考えですか、もう一度お伺いしたいのであります。
  347. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 いまこの段階で申し上げられることは、あくまでもその答申がどういうことになるか、私が答申を尊重すべき立場にあるごとは御理解をしていただけると思うのでございまして、その答申にどのような表現がされるのか、そしてまたその後に私としては努力をすると考えておるわけでございまするが、少なくとも、答申にいろいろ書かれておることが努力をする足がかりになってもらえばいいがなということを期待いたしておるような次第でございます。
  348. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 約束の時間が参りましたが、大臣から含みのある発言がございました。私はこの諮問については当然これに検討を加えてやるべきだ、こういうように訴えているのであります。やがて答申が出てくる時間も迫りつつありますが、大臣としても——いずれにしても、農家また畜産農家も酪農民もたいへんな苦境になっておる。異常なまでに今回はいわゆる酪農の危機ともいわれる段階に至っております。こういったことは十分わかっておられると思いますが、昨日私が素朴な質問をしましたときにも、農協または農民が要求しているところのいわゆる乳価、豚肉の価格または酪農民が要求している価格等についても、大臣は実際には政府委員に尋ねてようやく答弁ができたようなことで、ほんとうにそういった血の出るような試算を踏まえて検討していただきたい。私もそういうことを見ましていささかがっかりしたのですが、どうかひとつ、従来の諮問と違いまして、今回はたいへんな時期になっているということを知っていただいて、農業のいわゆる三本の柱、ビッグスリーといわれる米、畜産、果樹、その中の大きな一つの柱が崩壊せんとしている時期であります。十分に配慮していただいて、ひとつ農家の納得のいく、また酪農民、畜産農民の納得のいく価格決定を英断をもってやられるように心からお願いして、また要求をしまして、私の質問を終わります。
  349. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 小沢貞孝君。
  350. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 たいへんおそくなりましたので、簡単に質問いたしたいと思います。  もうそろそろ答申が出る時期じゃなかろうかと大臣は先ほど発言をいたしました。私の発言中に答申が出たかどうか、事務当局にちょっと電話で聞かしていただきたいと思います。
  351. 下浦静平

    ○下浦説明員 七時ちょっと前ごろから起草委員会に入っておるようでございまして、まだ終わっておりません。まだ審議中でございます。
  352. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 畜産局の「保証価格等算定要領」の一番先の保証価格の前座に書いてあるところで、これは一道四県になっているわけです。北海道、青森、岩手、山形、福島、これは昨年は一道六県ではなかったでしょうか。どういうぐあいでこれは変更になったんですか。
  353. 下浦静平

    ○下浦説明員 御指摘のとおり、昨年度は告示をいたしました段階では一道六県でございます。ただいまおあげになりました県のほかに、鳥取県並びに長野県が加わっておったわけでございます。  ただ、最後に申し上げました二県につきましては、最近五カ年間の市乳化率を計算いたしますと、それぞれ五三%を上回っておるということでございまして、いわゆる加工原料乳地帯という地帯は、生乳生産の相当部分が加工原料乳に向けられるということでございまして、相当部分というのは二分の一をこえるものということですから、これはいわゆる市乳地帯という解釈でございまして、今回は計算上はずしたわけでございます。
  354. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 わずかばかりの変動で市乳地帯として入れて加工原料乳地帯としてはずして、ということは、最初から諮問する価格を安くしようという政治的な意図ではないでしょうか。これは事務当局でいいです。
  355. 下浦静平

    ○下浦説明員 これは実は昨年も一道四県ということで御議論をいただいた経過がございまして、昨年がたしか五一%ぐらいであったかと存じますが、告示の段階では一道六県に相なったという経過がございます。本年は、またそれをかなり上回った数値になっておりますので、計算から除外をいたした、こういうことでございます。
  356. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 昨年も諮問の段階は一道四県、長野県と鳥取県を抜かしておきました、告示のときには長野県と鳥取県を入れました、こういうことなんです。ことしもどうでしょうか。酪農民のためにまたこれからできるだけやりましょうと先ほど御答弁があったようです。これを入れていただくとどういうように変動がありましょうか。これは先に事務当局、それから大臣にお尋ねしたいわけです。
  357. 下浦静平

    ○下浦説明員 一道六県の計算をいたした場合どうなるかという御質問でございますが、本年は一道六県の計算はいたしておりません。
  358. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 こういう押し問答をしていてもだんだんおそくなっていきますので、私は最後に、先ほど来四人の委員の方から質問があったときに、大臣はこういうように明確にお答えをしているわけであります。答申を尊重すべき立場だが、私は答申に対して期待をしておる、尊重しながら努力する余地がある、こういうたいへん含みのあることばを使っているわけです。その前の委員には、そろそろ審議会の答申があるものと心待ちにしておる、そのあと努力をすると、大臣は、まだ努力の余地が残っている、酪農民の期待にこたえたい、こういうように言っているわけです。これを政治加算と言おうと何と言おうと、大臣ほんとうに一生懸命に酪農民の期待にこたえようという心情のあらわれではないか、こういうように私たちは理解をするわけです。大臣、いいでしょうか。
  359. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 同じようなことを反復して申し上げて恐縮でございますが、答申を尊重する立場にございまして、答申の内容に期待をかけておるわけであります。そして、この答申をもとにいたしまして、なお三十一日までの若干の時間的関係がございまするから、私として幸い努力のできる面があればベストを尽くしたいということを申し上げているわけであります。
  360. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 暫時休憩いたします。    午後八時三十四分休憩      ————◇—————    午後九時二十九分開議
  361. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、農林大臣に申し上げます。  本日の各党委員の質問の趣旨を十分尊重して、最善の努力をするよう望みます。
  362. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま委員長の申された趣旨を尊重して、最善の努力をいたします。(拍手)
  363. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後九時三十分散会