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1973-03-23 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月二十三日(金曜日)     午後零時三十七分開議  出席委員    委員長 佐々木義武君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂村 吉正君    理事 藤本 孝雄君 理事 山崎平八郎君    理事 渡辺美智雄君 理事 柴田 健治君       安倍晋太郎君    笠岡  喬君       吉川 久衛君    熊谷 義雄君       小山 長規君    佐々木秀世君       正示啓次郎君    菅波  茂君       丹羽 兵助君    西銘 順治君       長谷川 峻君    湊  徹郎君       森下 元晴君    井上  泉君       角屋堅次郎君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    湯山  勇君      米内山義一郎君    諫山  博君       中川利三郎君    瀬野栄次郎君       神田 大作君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         外務省条約局長 高島 益郎君         農林政務次官  中尾 栄一君         水産庁長官   荒勝  巖君         水産庁次長   安福 数夫君  委員外出席者         運輸大臣官房参         事官      佐藤 久衛君         海上保安庁警備         救難監     貞廣  豊君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 三月二十日  農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正す  る法律案内閣提出第九六号) 同月十六日  農林年金制度改善に関する請願外二件(枝村要  作君紹介)(第一一九七号)  同(加藤清政紹介)(第一一九八号)  同外一件(金子みつ紹介)(第一一九九号)  同(神門至馬夫君紹介)(第一二〇〇号)  同(竹村幸雄紹介)(第一二〇一号)  同(成田知巳紹介)(第一二〇二号)  同(古川喜一紹介)(第一二〇三号)  同(山田芳治紹介)(第一二〇四号)  同(米内山義一郎紹介)(第一二〇五号)  同(下平正一紹介)(第一二三七号)  同(玉置一徳紹介)(第一二三八号)  同(北山愛郎紹介)(第一三八四号)  同(山本政弘紹介)(第一三八五号)  みかん暴落に伴う対策強化に関する請願外四  件(阿部喜元紹介)(第一二三九号)  同外三件(今井勇紹介)(第一二四〇号)  同(湯山勇紹介)(第一三〇五号)  旧自作農創設特別措置法による買収農地の返還  に関する請願山口敏夫紹介)(第一三八六  号) 同月二十二日  農林年金制度改善に関する請願八木昇君紹  介)  (第一四二七号)  同外二件(角屋堅次郎紹介)(第一五二七  号)  同(上原康助紹介)(第一五四二号)  同(久保三郎紹介)(第一五四三号)  同(角屋堅次郎紹介)(第一六一三号)  みかん暴落に伴う対策強化に関する請願外一  件(藤田高敏紹介)(第一四二八号)  同(吉田法晴紹介)(第一四二九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整  備計画変更について承認を求めるの件(内閣  提出承認第一号)      ————◇—————
  2. 佐々木義武

    佐々木委員長 これより会議を開きます。  漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。櫻内農林大臣
  3. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 漁港整備計画変更について承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び主要な内容について御説明申し上げます。  わが国水産業が、動物性たん白質食料供給部門として国民生活において重要な役割りを果たしていることにかんがみ、その積極的な振興をはかることが必要であります。このためには、まず水産業基盤である漁港について、漁業動向に即応して、全国にわたり計画的に整備拡充することが漁業政策上重要な課題となっております。この趣旨から政府は、漁港法に基づきまして、漁港整備計画を定め、国会承認を受けて漁港施設整備をはかってまいったのであります。  現行の漁港整備計画は、昭和四十四年第六十一回国会において承認を受けたものでありまして、当時の漁業情勢基礎とし、これに将来の漁業動向を勘案して定められたものでありますが、最近における漁業情勢その他経済事情の著しい変化に伴い、このたびこの計画実情に即するよう全面的に変更することとし、国会承認を求めることとした次第であります。  次に、本件の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  今回の漁港整備計画は、漁業漁港施設の現状とを基礎とし、将来における漁業生産確保漁船勢力増強流通機構改善漁港安全性確保地域社会基盤強化観点に立ち、遠洋漁業根拠地として重要な漁港沖合い漁業根拠地として重要な漁港沿岸及び増養殖漁業振興上重要な漁港並びに漁場開発または漁船の避難上特に必要な漁港について、それぞれその整備をはかることとしております。  整備漁港選定にあたりましては、指定漁港のうち漁業振興上重要であり、かつ、漁港施設不足度の高いもの及び経済効果の多いもので緊急整備の必要があるものを採択することとし、昭和四十八年度以降五年間に、四百二十港の漁港についてそれぞれの漁港に適応した外郭施設係留施設水域施設輸送施設及び漁港施設用地等整備することとしております。  なお、以上申し上げました漁港整備計画につきましては、漁港法に基づき、漁港審議会意見を徴し、妥当であるとの趣旨の答申を得ております。  以上が、本件を提案する理由及びその主要な内容であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御承認くださいますようお願い申し上げます。
  4. 佐々木義武

    佐々木委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 佐々木義武

    佐々木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。熊谷義雄君。
  6. 熊谷義雄

    熊谷委員 最近の国民食料動向を考えてみますと、国民所得が漸次増大してまいったという関連もございまして、食料高度化多様化が非常に進んでいる。そうした関連に立って、でん粉食料からたん白食料へと大きく動いていく、こうしたことが考えられるわけでございます。しかもたん白食料といいましても、動物性たん白食料、それは直ちに畜産食料を考えられるわけでございますけれども、畜産業の性格あるいは諸事情からしまして、畜産食料に多くを期待するということはなかなかに容易ではない。そのようなことからいいまして、やはり日本といたしましては、四面環海地域情勢、さらには長い間水産物食料に依存してまいったという民族的な情勢、そうしたことからしまして、水産物たん白に依存するということはいまもなおその重要性は変わっておらない、かように考えるわけでございます。  こうしたような観点に立って水産物需給を考えますときに、やはり何と言いましてもその重大な役割りを果たすべき立場にあるものは沿岸漁業であると思うわけでございますが、その沿岸漁業に対しての国の立場からする施策、そうしてこれに対する今後の見通し等について、まず、大臣はお見えになりませんから、政務次官に一応お伺いいたしたい、かように存じます。
  7. 中尾栄一

    中尾政府委員 近年わが国沿岸漁業を取り巻く環境は、臨海地帯工業化都市化船舶交通のふくそうに伴う公害の増加、若年労働力不足等きわめてきびしいものがありますけれども、政府といたしましては、従来から沿岸漁業振興につきましては、生産性向上によって沿岸漁業従事者所得生活水準を他産業従事者と均衡させるとともに、国民需要にこたえまして魚介類の安定的な供給確保に資することを基本として諸施策を講じてきたところでございます。今後とも、まず第一番目の問題といたしましては、先生ただいま御指摘のとおり、漁港などの漁業生産基盤整備、さらにまた第二番目の問題点といたしましては、栽培漁業の積極的な展開、さらにまた漁業公害対策強化を第三点として取り上げまして、また四番目の問題といたしましては、沿岸漁業構造改善事業の推進をはかりまして、さらに五点としましては、それに関係いたします農林漁業金融公庫資金漁業近代化資金拡充などに政府としてはさらに一そうの努力をはかっていくつもりでございます。
  8. 熊谷義雄

    熊谷委員 沿岸漁業重要性とともに、さらに重要なものに考えられておりますものに、一連の海外漁業関係があるわけでございます。最近のこの面に対しての国際情勢わが国にとりましてなかなかきびしいものがある。かつては三海里説あるいは十二海里説、こうしたようなことが論議されたわけでございますけれども、最近におきましてはすでに二百海里説というような提唱が行なわれまして、いろいろな権利の主張をやっている。あるいは大陸だな関係主張につきましても非常に強い展開が見られる。こうしたような国際情勢にあると思うわけでございます。  このことに関しましては、いままで国連海洋法会議がしばしば催されてまいりまして、世界各国意見展開されてまいったわけでございます。本年の末あるいは明年の初めに予定されております国連海洋法会議におきましては、あるいはその結論が出るというようなことにも伝えられるわけでございますが、このことにつきましては、漁業の将来を決するきわめて重大な要素を含んでおるわけでございまして、これに対しての国際的な情勢及びわが国としてのこれに対する対策についてひとつお伺いしたい、かように存じます。
  9. 安福数夫

    安福政府委員 お答えいたします。  御承知のとおり、第三次の海洋法会議が今年の末か来年にかけまして開会される予定で現在準備が進んでいる段階でございます。今回の海洋法会議におきましては、領海に関する問題、公海制度あるいは海峡の問題、それから漁業問題、さらに資源の問題、海洋に関しますあらゆる分野の討議がその対象になっているわけでございまして、そういった面で非常に大きな影響わが国漁業中心といたしましたあらゆる分野に与えてくるんじゃないか、こういうような非常に大規模な会議でございます。  その中で漁業問題につきましては、これまですでに四回の準備会議、現在まだそれの第四回目が進んでいるわけでございますけれども、この四次にわたります準備会議の経過をずっとたどってまいりますと、ラテンアメリカ、あるいはアジア、アフリカ、こういった発展途上国主張立場が非常に強うございまして、御承知のとおり、二百海里説を唱える国がだんだん多くなってまいる。そのほか古典的な三海里説の立場をとるところもございますけれども、だんだんと小勢力になっている。こういう実情にあるわけでございまして、この海洋法会議結論出方いかんによりましては、わが国漁業については非常に大きな、致命的な影響が考えられるわけでございます。われわれといたしましては、これに対しまして従来から公海自由の原則、いわゆる三海里説に立っての努力を今日まで続けてまいったわけでございますけれども、世界の大勢が相当流動的でございます。  そういう動きに対しまして、われわれの立場としましては、従来のわれわれの立場を堅持しつつ、沿岸国利益というものもある程度優先権を認めるのが世界の常識であろう、こういう考えに立っております。しかし、われわれの漁業の権益、そういった実績を尊重するという立場をやはり国際法会議の場で主張してまいりまして、そういったわれわれの考え方を、発展途上国その他の先進国を含めまして主張を浸透さす、こういう努力を日夜続けているわけでございまして、そういった面に立って今後ともさらに努力を進めたい。  なお、先ほど申しましたように、漁業だけの問題ではございませんで、あるいは海底資源なりあるいは海運なり、いろいろな海のあらゆる利害関係が錯綜してまいります。そういった面で、水産庁だけではなくて、関連いたします各省庁があるわけでございますので、そういったところとも十分連絡を密にしながら、わが国漁業利益確保のために慎重な対処をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  10. 熊谷義雄

    熊谷委員 最近、漁業近代化が進められまして、その結果、当然のこととして各種部門においての漁船大型化が急速に進んでまいった、こういう顕著な事実が全国的に展開されておるわけでございます。ところが、その基盤としての漁港整備につきましては、残念ながらこれに即応しなかった。こうしたようなことから、漁業界はもちろんのこと、漁業に深い関心を寄せる向きでは、一体水産庁は何をやっているんだ、あるいは政府漁業対策としての漁港に対してこれを等閑視しているのではないか、こうしたような強い突き上げが続いたわけでございます。そうしたようなことのあげくにきめられたのが今度の第五次の漁港整備計画である、かように考えるのでございます。  何と言っても漁業を左右するものはその基盤である漁港ということにつながるわけでございまして、その面におきましては、将来ともに漁業振興発展のためにも漁港施設整備拡充し、そうして急がなければならない、かように考えるわけでございますが、今次の計画を策定するについての政府としての今後の動向のとらえ方、そうしてまた、どのように今後の日本水産業というものを持っていこうとするのか、そのことについての展望について明らかにしていただきたい、かように思います。
  11. 安福数夫

    安福政府委員 お答えいたします。  今次の漁港整備計画につきまして、その基礎になりました水産業の今後の動向についての御質問でございますけれども、その動向を考える場合に、現在わが国水産業というのはどういう立場になっているかということ、そこの反省から始まろうかと思います。  近年のわが国水産業につきましては、御承知のとおり、労働力逼迫、それから漁業資源に対します、先ほど海洋法会議中心としました世界動向からしましても、国際規制が徐々にさらに強く規制されつつある、こういう問題がございます。それから、国内の問題に目を転じますと、沿岸漁業につきまして、工業化の伸展とともに反比例いたしまして、非常に沿岸漁場の荒廃が進んでいると申しますか、公害に関する被害が増大いたしてまいっております。さらにそういった国際規制の問題じゃなくて、発展途上国漁業も、あるいは先進国がさらに国際的な漁場にも出てまいるという意味で、国際漁場が非常にふくそうしてまいっております。そういった面で、わが国海外漁業につきましてもいろいろな規制なりあるいは制約がますます強くなってまいっていることは御承知のとおりでございます。そのほか、国内産業高度化に伴いまして漁業労働力が非常に逼迫してまいっておる。これは各産業とも共通の問題でございますけれども、漁業につきまして、あるいは農業と同じように一次産業からの労働力供給という問題もからみまして、労働力確保というものもだんだん逼迫をしてまいっておる、こういう事情にあるわけでございます。  そういった非常にむずかしい環境の中で、非常に制約された条件の中で漁業生産がどうかと申しますと、四十六年度には九百九十一万トンという史上最高でございまして、非常にむずかしい条件の中で生産性向上あるいは漁業近代化、そういったことを通じましてわが国漁業がいろいろな意味におきまして飛躍的に伸びているということもまた事実でございます。  今後のわが国漁業を考えます場合に、こういった条件を踏まえまして、今後どういう施策を持っていくか、と同時に、今後の消費生産を通じましてどういった姿勢でいくべきであるか、こういう問題になってくるかと思うわけでございまして、今後のわが国漁業をめぐる問題は内外とも環境がますますきびしくなるだろう、こういうことが予測されます。先ほど申しましたような諸条件がさらにきびしい条件下に置かれるのではないだろうか、このように考えておりますけれども、一方、国民所得はますます増大してまいりますので、水産物に対する非常に大きな需要があるだろう、ますます伸びていくだろう、こういうふうに考えております。質的にも量的にもますます伸びるだろう、このように考えるわけでございます。  それから一方、沖合い遠洋についての新しい資源開発漁場開発、そういった問題、もちろん国際的な協調を前提といたしましての努力が重ねられる必要があるわけでございますけれども、水産行政の中でも、新漁場開発ということで新しい資源を求めた調査も進めているわけでございます。そういう面で新しい資源あるいは漁場開発、さらに国内的には、栽培漁業をますます強く進めることによりまして沿岸資源をさらに増大さしてまいる、こういう面で増養殖漁業をさらに進めたい、こういった生産面政策を強力に進める必要があるだろう、こういう問題でございます。  それから先ほど来の、経営が非常にむずかしい問題になる、あるいは労働力の問題が逼迫してまいる、こういった問題は、さらに他の産業工業の新しい技術、そういったものを水産業の中に取り込むということで漁業生産の体質の改善漁業構造近代化、そういったものを強力に進めてまいる、こういった三点から基本的に今後の漁業発展努力してまいりたい、こういうことでございます。  なお、今次の整備計画目標年次でございます。五十二年度、われわれ自身一応試算した数字をどういうふうに考えているかということを最後に申し上げますと、需要量は五十二年次におきまして千三百五十六万トン、このぐらいの数字が現在のわが国生活水準の伸び、そういったものを配慮した場合に必要となってくるのではないだろうか。これに対しまして、四十六年度で九百九十一万トンでございますけれども、今後先ほど申し上げましたような努力を積み重ねることによりまして、一応国内確保できます生産量というものは千百二十四万トン。二百四十万トンぐらいギャップがございますけれども、これは開発輸入であるとかあるいは貿易によります輸入、そういった面で埋めてまいる必要があるのではないだろうか、こういうふうに需要量供給量を見ているわけであります。  それから、漁船勢力でございますけれども、今後ますます漁船大型化し、あるいは近代化してまいる、こういうことで、漁船勢力トン数におきましても隻数におきましても、そういう質的、量的な拡大を見るだろうということでありまして、勢力として三十一万六千隻ぐらいの隻数になるのではないだろうか。トン数にいたしまして二百七十七万七千トン、こういった漁船勢力になるのではないだろうか、こういうふうに見通しを持っているわけであります。
  12. 熊谷義雄

    熊谷委員 先ほども申し上げましたように、国民食料需要動向国民所得が増大するにつれて高度化多様化方向をたどっていく、この背景のもとに水産食料に対しましても同じようなことが言えると思うわけでございまして、いいもの、あるいはもっと先を見通し食料的なものというような需要動向展開されるであろう、かように考えるわけでございます。そうしたような観点に立って、今次の漁港整備計画はいかなる方針のもとに策定されたものであるか、その点についても一応明らかにしておいてもらいたい、かように存じます。
  13. 安福数夫

    安福政府委員 お答えいたします。  第五次の漁港整備計画におきましては、先ほど指摘がございましたように、水産物の慢性的な需給アンバランスが出てまいるだろう、ことに中高級魚においてそのアンバランスがさらに開くのじゃないだろうか、こういった予測を持っているわけでございまして、そういった面で遠洋漁業なり沖合い漁業沿岸漁業、それを含めまして生産拡大ということを主眼とする必要があるだろう。ことに物価の問題、あるいは生鮮食料品が非常に高騰化してまいっております。これは基本的に生産供給アンバランス、こういうところに問題があろうと思いますので、やはり基本的にはそういった物価政策の面からも生産増強拡充ということが非常に重要になってくるだろう、こういうことでございます。そういった面で、生産拡充してまいります場合には生産基盤の根拠になります漁港というものが何よりも一番主眼になってくるだろう、このようにわれわれは考えておりまして、今次の第五次漁港整備計画におきましてもそういった観点からその充実をはかっているわけでございます。  第一点の主眼といたしましては、流通体系強化のために近代的かつ機能的な漁港整備をはかる必要がある。漁港は、御承知のとおり、単に船が出入りし、魚を揚げるという問題だけじゃございませんで、その漁港は、御承知のとおり、そういった揚がりました魚を分荷いたしまして、各消費地市場あるいはさらに卸売り市場、そういった方向へ分荷する機能を持っています。さらに、漁港にはいわゆる加工業がかなり充実しているわけでございまして、そういった面で流通体系拠点でもあるわけでございます。そういった面での漁港整備が必要になってくる、こういうことでございます。  それから、漁港だけの機能をつかまえましても、漁業生産の円滑な遂行のためには、どういたしましても安全かつ快適な漁港整備ということが非常に必要になってくるということでございまして、やはり漁業をするための漁船が出たり入ったりする場合に安全性確保する、そういった観点も非常に大事な観点に相なってくるかと思います。  それから、漁港漁村というものはやはり一体的なものでございます。さらにそこに加工団地ができる。そういった面では漁民、漁村に住まいます住民の生活拠点でもあるわけでございまして、そういった面で漁港をさらに充実し、そういった機能的な面の充実をはかることによりまして漁村自体が住みよい、明るい国土の適正な発展をはかるために、そういった漁村を建設してまいる。そういった面で地域社会生活基盤になります漁港整備してまいる。  以上の四つの点を重点的な課題として今次の第五次漁港整備計画には盛り込んでいるわけでございます。この課題の達成の見地から、必要な漁港選定いたしまして整備を行なうことになるわけでございますけれども、四十八年度以降五ケ年間に総事業費承知のとおり七千五百億円をもって事業を実施する、こういうことに相なっているわけでございます。  なお、この重点課題選定理由といたしましては、今後におきますわが国漁業労働労働事情がさらに逼迫化してまいる、こういう事情もございます。あるいは国際的な食糧事情の趨勢に対応しまして、ますます増大する水産物需要の質的な高度化、そういった問題にこたえていくべき必要性もございます。  それから、最近の非常に大きな傾向といたしまして、特定漁港への大量な水揚げ、集中的な水揚げ、そういった傾向が非常に顕著になってまいります。そういった面で、そういった漁港にいろいろな輸送機関が集中してまいる。ことに最近自動車輸送の増大が非常に顕著な傾向として出てまいっております。  それから、現在流通機構の中で鮮魚と冷凍ものとのシェアの問題、そういった場合に冷凍魚が非常に普及してまいると申しますか、冷凍魚によります流通の姿が非常に大きなウエートを占めてまいっております。そういった面で低温流通機構の普及といった問題を加味してまいる、そういった面での機能を持った漁港根拠地というものの整備も必要になってくるだろう。それは同時に流通機構近代化にもつながる問題であろう、このようにわれわれは考えておるわけでございまして、そういった面でのいろいろな問題をやはり漁港整備の場合には考慮してまいる必要があるだろう。  こういった努力をいたしますことによりまして、国土の均衡ある発展と申しますか、漁村地帯におきましてはいろいろ過疎の問題といった問題も出てまいっておりますけれども、そういった過疎の問題もそういうことによりましてさらに解決すると申しますか、過疎現象が起きない、やはり快適な漁村ができる、こういう面にも考慮を加える必要があるだろう、このように考えているわけでございます。そういった面を通じまして、都市あるいは農村、そういうものを通じた豊かな地域社会の建設ということは、明るい漁村の建設、こういったことを第五次漁港計画の実施によりましてわれわれ自身こいねがっているわけでございまして、漁港整備計画を通じましてこういった健全な姿を漁村に打ち出していく、かようにわれわれ自身念じて事業努力したい、このように考えております。
  14. 熊谷義雄

    熊谷委員 あまり見るべき対策を持たない水産政策の中で、栽培漁業あるいは浅海増養殖、これだけは今後可能性も考えられるし、将来に対しての展望についても期待を寄せられる、かように考えるわけでございますが、その関連に立って考える場合、一種漁港、二種漁港、辺陬の地域にあるそうした漁港の果たす役割りは決して少なくない、そうしたことが考えられるわけでありますが、今度の漁港計画を見ますと、一種、二種についての採択の割合がきわめて低いことが注目されるわけであります。全国的に見た場合に、地方においては漁港が指定されたままに、長い間放置されたままになっている漁港が少なくない。これらに対して一体今後どのように対処していくのか、それについての根本的な考え方をこの際伺っておきたいと思います。
  15. 安福数夫

    安福政府委員 お答えいたします。  今次整備計画におきまして、整備漁港は総数は四百二十港でございます。そのうち、第一種、第二種の漁港は四百二十港のうち二百六十四港が予定されているわけでございまして、これは全体の港数の割合といたしまして約六三%を占めているわけでございます。この第一種第二種漁港というものは、御承知のとおり、第三種と比較いたしまして規模の小さいローカル的な漁港であるわけでございます。それが全国的ないわゆる水揚げ量あるいはそれを利用いたします漁船勢力でどういうウエートを占めているかということを申し上げますと、水揚げ量におきましては三五%でございます。それから利用漁船数の勢力からいきますと五三%ということでございます。したがいまして、採択数といたしましては六三%とっているわけでございますから、単に数字的なウエートだけでものを申すことは非常に失礼でございますけれども、一応一、二種の採択割合数もほぼいいところにきているのではないだろうか、このように考えているわけでございます。  さらに、整備計画の採択の二百六十四港のほかに、単に整備だけでなくて改修事業がございます。あるいは局部改良、こういった事業もあわせて進めていくわけでございます。そういった第一種、第二種漁港は、いわゆる三億円規模以上のものを整備計画の対象にわれわれ一つの基準として持っているわけでございますけれども、一種、二種のほうは、先ほど申しましたように、ある程度規模が小さいと申しますか、そういった面で修築事業なり局部改良、そういった事業に相当大きく依存してまいる、そういった面で、そういった第一種、第二種漁港を持ちます地帯の漁業に支障が来たさないような努力を全体のワクの中でわれわれ進めてまいりたい、このように考えておりまして、そういった面をひっくるめまして、第一種、第二種漁港につきましての先ほど指摘ございました採択割合が少ない、あるいは重点がほかのほうに行っておるのじゃないだろうか、こういった問題は、実質的な問題としましてわれわれは事業を実施する段階で解消してまいりたい、こういう努力をしたい、このように考えておる次第でございます。
  16. 熊谷義雄

    熊谷委員 最近の漁船漁業動向を見た場合、周年操業を目ざしてということが前提になって、その行動範囲は漁船大型化とともに年々拡大されていっている。したがって、漁港の公共性という点を見た場合に、従来よりも最近における度合いはさらに拡大され、重要視されている、かように考えるわけでありますが、その公共性に比較して国の助成の度合いが低い、いわゆる補助率が低いということを強く指摘したいわけであります。負担力の弱い町村においては、その負担に耐えかねて一部を漁業者に転嫁するというようなことさえもやっている例が少なくない、このようなことであるわけでございまして、補助率をもっと引き上げるべきだという声は強いばかりでなく、妥当性がある、かように考えるわけでございます。特に第三種漁港につきましては、この部門だけがひとり長い間据え置かれている、こういうようなことでございまして、過去におきまして、当委員会においても補助率引き上げの附帯決議をやったという経緯もあるわけでございまして、この際、第三種漁港に対しての補助率アップ、また全体についての補助率の引き上げ、これを考えるべきだと思うわけでありますが、これに対しての考え方を伺いたいと思います。
  17. 安福数夫

    安福政府委員 お答えいたします。  第三種漁港の国の負担割合の引き上げにつきましては、従来から私どもの事務的な段階におきましても種々検討をしているわけでございまして、それぞれの段階で努力はしておるわけでございますけれども、残念ながら現時点におきましてまだ実現を見ていない、こういう状況でございます。  ただ、公共事業の一つでございまして、他の公共事業との比較という問題が常につきまとう問題でございます。これを突破するのは、全般的に補助率が上がるということであれば、国の負担が平等に出るわけでございましてけっこうでございますけれども、やはりそれを一般的に上げるということにもなりませんで、その間のバランスの問題が常に問題にされるところでございます。そういった面で、漁業としての特殊性という問題をわれわれかねがね主張しているわけでございますけれども、そういった横並びの問題、そういった問題との関連もあって、現在まで実現を見ていないということでございます。さらに、補助率の問題にからみまして、現在の段階では今年度実現を見なかったわけでございますけれども、現在与えられた条件の中で事業運営の効率的な推進の面、そういった面からも種々検討する相互比較の問題も出てくるだろう、このように考えております。  さしあたりましては、与えられた条件のもとでその事業を推進、促進すると同時に、さらにそういった横並びの問題なり、漁業の特殊性なり、そういった問題についてはさらに精力的にわれわれは検討を進めてまいりたい、このように考えているわけでございます。
  18. 熊谷義雄

    熊谷委員 最後に、政務次官にお伺いをいたして質問を終わりたいと思います。  今次の整備計画については一応これを了承するにやぶさかではない、かように考えるわけでありますが、ただ、要は、この計画がはたして完全に実施され、実現されるどうか、こういうことに対して政府としてどのように腹をきめておられるのか、この点についてはっきりした考え方を伺っておきたいと思うわけであります。  特にこの計画は、先ほどのお話にもありましたが、総額七千五百億円だ、こう言われるわけでありますけれども、その中には不確定要素ともいえるような調整費の五百億あるいは地方単独事業等の二百億というものが含まれておるわけでございまして、七千五百億をまるまる完全に実施をしていくということは実もって容易ではない、かように考えるわけでございます。  そこで、私が特にこの完全実施について御指摘を申し上げたいのは、過去におきまして漁港整備計画は一度といえども完全実施されたことはない、みんな事業を余している。端的に言えば、予算獲得ができない。したがって、事業の消化ができなかった。こういう過去の実例からいいまして、今度もまたそのおそれなしとしない、こういう点を強く指摘したいわけであります。したがって、私は政務次官に、きまり文句の、今後の経済、財政事情を考えて、また漁業動向等を見ながら弾力的に対処していくつもりだなどというなまやさしい、そんな考え方ではこの問題はなかなかに解決されない、こうしたことを強く考えるわけでございます。これに対して安心できるはっきりした態度の表明をひとつ要求をいたして私の質問を終わりたいと思います。
  19. 中尾栄一

    中尾政府委員 過去の整備計画は一度も完全に実施されておらないけれども、今次の整備計画は完全に実施する意思があるのかどうかという御質問と了解するのでございますけれども、過去の漁業整備計画は、いずれもその当初立案した内容を完全に実施する以前に改定されてきたわけでございます。これらは計画策定の基礎となった漁業情勢等の計画条件がその後著しく変化し、それらの情勢変化に対応するため計画途中において変更したものでございまして、今次の整備計画昭和五十二年度を目標年次とする五カ年計画であることは言うに及びません。計画立案の前提となりまする水産業見通しなどにつきましては、十年先についても一応の見通しを十分行ないまして、慎重な検討を行なっているつもりでございます。したがいまして、この計画変更を必要とする事態が早急に生ずることはないと現在考えておりますので、できる限り事業の促進に相つとめまして、先ほど先生の御指摘のとおり、ただ単にまだ努力をするというような表現だけでなく、あくまでもこの計画の達成に鋭意努力を払っていくということをお約束を申し上げたいと思う次第でございます。
  20. 佐々木義武

    佐々木委員長 午後二時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十九分休憩      ————◇—————    午後二時三十九分開議
  21. 佐々木義武

    佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。柴田健治君。
  22. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 今回、国会承認として出された漁港整備五カ年計画、これに関連をして、関係当局にいろいろお尋ねを申し上げたいと思うのですが、まず私たちは、基盤整備やその他漁業振興に関していろいろな施策を進めていかなければならぬことは当然でございますし、また、われわれも全力をあげてそういう方向努力をしておるわけでありますが、しかし、私たちが内外ともに今日の情勢を十分知って、そういう把握の上に立って施策を進めていかなければならぬと思うのであります。まず私たちは、国際的に日本漁業が将来どうなるのか、こういうことをいま端的に思い浮かべて考える。ところが、今日の国際情勢というものは、日本漁業にとっては非常にきびしくなっておる、こういう判断に立っておるわけであります。  そういう立場からそれぞれの機関にお尋ね申し上げるのですが、時間の制約もございますから、私は今日、漁港整備五カ年計画関連をしてまず外務省にお尋ねしたいのですが、第一次、第二次と、国連において海洋法会議が行なわれてまいりました。今度第三次の海洋法の会議が行なわれようとしておるわけであります。この中で私たちが関心を持っておる点は、領海の問題であります。そしてまた海洋汚染の対策について、日本政府はどういう姿勢でこの国際会議に臨もうとしておるのか、この点を外務省の方にお聞きしておきたい。その点を簡潔にお願いしたいと思います。
  23. 高島益郎

    ○高島政府委員 先生御指摘のとおり、ことしの十一月にニューヨークで第三次海洋法会議の幕が切られまして、来年四月、五月に実質的な会議が開かれます。この会議は、従来一九五八年に第一次海洋法会議、それから二年後の一九六〇年の第二次海洋法会議に比べますと、非常に広範な議題をかかえております。現に、準備段階においてすでに二十五の議題を整理いたしまして、この各議題につきまして、それぞれの条約案というものを検討中でございます。  そのうちで特に先生からただいま指摘のございました領海の幅員の問題、これはかつての第一次、第二次海洋法会議でついに合意に達し得なかった問題でございますが、この問題につきまして、今回これが正式に取り上げられて、何らかの決着を得られるだろうと見られております。  それから、海洋汚染の問題も、これに比較できますほどに非常に重要な議題の一つでございまして、この海洋汚染をどのように国際的に規制するかという問題がございます。  わがほうといたしましては、まず第一番に、領海の幅員の問題につきましては、現在日本政府といたしましては、主として西洋の諸国及びアメリカ等の国がとっております三海里の制度でございますけれども、現在大多数の国が、特に開発途上国が大部分でございますけれども、大部分の国がとっております十二海里という幅員にもし合意が求められるならば、この線でひとつ国際的合意を達成できるようにまとめていこうという気持ちで、準備段階のいろいろな会議に対処しております。  ただ、問題は、単に領海の幅員を十二海里にするかどうかということではなくて——私どもの観測では、十二海里という幅員には大体国際的な合意が得られるだろう。ただ問題は、この十二海里以遠の海域につきましてどのような制度をつくるか、この問題との関連が非常に強うございます。大部分の開発途上国の意見を見てまいりますと、十二海里以遠の水域、特にいま強い主張が出されておりますものは二百海里に及びまして、この二百海里に及びます生物及び非生物資源、したがいまして、漁業資源も当然含むわけでございますけれども、この資源について、沿岸国が専属的な管轄権を持つべきである、こういう主張が非常に強うございます。したがいまして、この領海の外の水域における沿岸国の権限、これをどうきめるかによりまして、領海の問題もおのずからきまってくる。つまり、単に領海十二海里では済まないという場合もことによったらあり得るかと思いますけれども、ただいまのところ、日本政府努力目標は、領海は幅員を十二海里にして、その以遠の水域につきましては沿岸国に何らかの権利は認めるにしても、専属的な資源に関する管轄権を認めるというところまではちょっと踏み切れないというところで、各国との間のいろいろな交渉その他の努力をしております。  それから海洋の汚染の防止につきましては、ただいま私が申しましたこの二百海里のいわゆる経済水域という各国の主張との関連がございまして、この経済水域につきましては、同時に海洋汚染の防止についても、沿岸国が専属的な管轄権を持つべきであるという主張がございます。これも私どもといたしましては、海洋の広範な部分にわたりましてとにかく汚染を防止する必要があるという点については全く同意見でございますけれども、ただ、沿岸国にすべての汚染防止の権限を認めるべきかどうかという点につきまして、いろいろ各国の主張が対立しておりますので、この点の考えをまとめた上で何らかの国際的な合意が達成できるように、目的は海洋汚染の防止ということでありますので、この防止を最も有効に達成し得るような方法を考えておるところでございます。
  24. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 ただいまお聞きのとおり外務省の見解を出されたのですが、政務次官、外務省が今年十一月にそういう国際会議に臨まれる考え方を述べられた、それに対して農林省としては今日まで外務省とどういう話し合いをせられたのか、そしてこれに対処する基本姿勢というものがあれば、お答え願いたいと思います。
  25. 中尾栄一

    中尾政府委員 先生にお答え申し上げます。  ただいまのの外務省側の答弁のとおり、私ども農林省といたしましても、ずっとこの問題に対しましては打ち合わせを続行中でございますが、御質問の内容が、第一次、第二次の国連海洋法会議が開かれ、さらに第三次の国連海洋法会議が開かれようとしておる、この広範な問題点についての取り扱い並びに海洋汚染、領海、漁業問題等の問題も兼ね備えての御質問と承っておりますので、農林省側の見解をもこれに付随して申し述べてみたいと思う次第でございます。  明年に予定されておりまする第三次国連海洋法会議におきましては、領海公海制度漁業問題のみならず、深海海底の国際管理、海洋汚染等の、海洋法のあらゆる問題が討議されることになっておりますことは、すでに外務省当局も言うたとおりでございます。  漁業問題につきましては、これまで四次にわたって開催されました準備会議を通じまして、ラテンアメリカ、アジア、アフリカの発展途上国の大多数は、二百海里に及ぶ領海あるいは排他的水域の設定を主張しております。数の上では、これらの主張会議のおそらく大勢を占めるであろうと思われますし、またそのとおりに至っておるわけでございます。これに対しましてわが国といたしましては、沿岸国沿岸漁業保護のために、一定の優先権を認める用意をしておるわけでございまして、沿岸国による一方的管轄権の主張は認められないという立場に立っているが、わが国をめぐる情勢は必ずしも楽観を許さないものがある、きわめてきびしいものがある、こう言い得るかと思います。海洋法会議結論わが国漁業に及ぼす影響はきわめて大きいものがございますので、わが国としましては、従来のわが国主張の考え方を基礎といたしまして、その各国への浸透にこれつとめるとともに、領海及び海洋汚染問題につきましては、これが海運、海底資源等、広範な問題と関連する問題でございますので、先ほどの外務省やその他関係当局等と十分協議をしつつ、長期的なわが国漁業利益確保をはかるように慎重に対処し、つとめていきたい所存であります。  以上、お答えさせていただきます。
  26. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 基本的なお考えを出していただきたいのですが、いずれこまかいことについては次の機会に十分また論戦をしてみたい、こう思います。  そういうことで、国際関係の変化、情勢の変化等で日本漁業そのものがだんだんと追い詰められてくるという心配もこれあり、同時にまた、私たち漁港整備五カ年計画審議するにあたりまして、漁民の皆さんのいろいろの御意見を聞くと、まず何としても、漁港も大事だけれども、当面は海洋の汚染防止に全力投球してくれ、これがいま漁民の切なる願いであるし、声である。水産庁もよく知っておられると思うますけれども、いま単協の漁協の組合の幹部の皆さん、また県段階、中央段階においても、会議の中身というものは海をどうきれいにするか、こういう問題にエネルギーを消耗させられており、その他の漁業振興に関して前向きの姿勢がとれない、こういう悩みがいまそれぞれの漁業団体の幹部の声なんですよ。一年の間に何回となく、たとえばBHCの問題がある、いや流出油の問題がどうだとか、その他ヘドロの問題がどうであるとかいうことで、公害対策というか、この汚染防止に毎日追われておる、こういう実態の中では、新しい観点に立って国際状勢に対応するような、浅海、沿岸含めて日本漁業振興発展という方向努力しようにもできない、こういうのが今日の団体役員の声なんです、幹部の皆さんの声なんです。そういう実態を水産庁はどういうふうに認識しておられるのか。こういう中で漁港整備だとか、いや、養殖漁業をどうするとかいったって、いま公害問題で漁民を含めて毎日追いまくられておるという実態の中で、それをどう解消してやるのかということを考えてやらない限りは下のほうは右往左往しておるのではないか、こういう悩みがあるのですが、そういう情勢分析をどうされておるのか、見解を聞いておきたい。
  27. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいま御指摘になりました点につきましては、国際的には非常に漁場が狭められてまいりまして、これに全力をあげて日本漁業確保ということに努力してまいりたい、こう思っております。  また反面、内にありましては、ただいま御指摘のように、いろいろな公害問題で沿岸漁業中心といたしまして非常な悪影響を受けておりまして、私たちといたしましては、これらの対策が、国内におきます沿岸漁業対策としては非常に重要な一つであると考えておる次第でございます。一  特に先生のいらっしゃいます瀬戸内につきましては、油公害のみならず、赤潮あるいはそのほかの水質の汚濁によりまして、水産資源が非常な悪影響を受けまして、今後これが発展確保するということを、非常に重要な問題として私たち認識している次第でございます。したがいまして、従来この環境汚染につきましては、水産庁といたしましても手の打ちようがなかったといいますか、これについては非常に心配しておったという段階でありますが、そういう段階ではどうにもならないということで、今回、別途、農林省設置法の一部改正でも、沿岸におきます漁場確保ということを中心といたしました漁場保全課という課を一つ新設いたしまして、こういった公害問題に全力をあげて取り組んでいきたい。といいましても、なかなか実際問題、課をつくったからといって直ちに解決できるものとは思いませんが、いまのまま放置すれば内水面の沿岸の水産は非常にあぶなくなるということで、今後これらについて努力をさらに一そう続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  28. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 次官にお尋ねしたいのですが、いまそれぞれの政党が、瀬戸内海の環境保全に関して立法措置をしたいということで、自民党さんも、社会党もみな含めて、いろいろその立法措置の作業を進めておるわけでございます。農林省としてこの瀬戸内海の環境汚染防止の立法措置について、もろ手をあげて賛成をされる意思があるかどうか、この点について御見解を聞いておきたいと思います。
  29. 中尾栄一

    中尾政府委員 私は、選出の県が山梨県でございまして、湖しかございませんで、海に恵まれない県に育っておりまして、小さいときには、湖が海かと思ったような経験もございました。長ずるに従いまして、海の規模の大きさ並びにまた海というものの与える影響、そういうものをひしひしと昨今感ずる次第でございまして、私も瀬戸内の問題というのはひとしお関心を持ってながめさせていただいておりまして、まさに先生の御指摘のとおり、自由民主党におきましても、この問題はあくまでも前向きに、他の政党の諸先生方と協力し合って解決点を見出していこうという方向で考えておりますことを、御報告させていただきたいと思う次第でございます。
  30. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 農林省としては、そういう立法措置については歓迎をしておる、こういう御発言のようでありますが、私、それぞれの政党が現状を憂慮して——現在環境庁著きたし、またそれぞれの省が長い歴史を持っておるが、特に水産行政をつかさどる農林省は、もっと積極的にその問題をやるべきではなかったか、こういう気持ちがするわけです。だから、賛成はせられるけれども、依然として前向きの姿ではまだないではないか、こういう気持ちも私たち持っておる。  そこで、私は、当面農林省がいまの瀬戸内海の汚染防止、環境保全に全力投球をするのだという姿勢がまずあってほしい。そういう中で、今日この公害問題で、陸上における工場の廃棄物、また排水の処理、または家庭用の用排水の処理という、陸上には陸上の処置をそれぞれの立場でやってもらうが、何としても海をきれいにするのは水産庁、農林省が先頭に立たなければならぬと私は思うのですよ。そして関係各省に呼びかけて、法の不備があるとするならば、その不備を積極的に直してもらう、そういう姿勢がほしいと私は思うのですが、今後そういう姿勢で取り組む御意思があるかないか、次官に簡単にお答え願いたい。
  31. 中尾栄一

    中尾政府委員 先生の御指摘のとおり、その重大性を十分考えまして、積極的に取り組んで、なおかつ各省とも相協力し合ってやっていきたいと思っております。
  32. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 それでは具体的にお尋ねしたいのですが、いま瀬戸内海には区分けをすれば五トン未満、または百五十トン、または三百トン、千トンという船舶が、相当たくさん航行しているわけですが、この船舶に対して海上保安庁のほうもいろいろの形で、公害課を設けて取り締まりをしておられる、また監視の目をきびしくしておるということは言えるわけでありますが、しかし私たちの目から見ると、現在の海上保安庁の体制は十分な監視体制ではない、警備体制ではないし、また十分な公害対策になっておるかどうか疑問である。ところが、保安庁のほうは、公式の場ですから十分やっていますと言われるかもしれませんが、いまの機構なり体制で十分とは私たちは思っていない。今後この体制を強化してもらわなければならない、こう思っているのが第一点です。この点についての保安庁のお答えをいただきたい。  同時にまた私は、海上保安庁も運輸省の関係でありますが、運輸省の関係でやはり船に相当の義務づけをやっていくべきじゃないか。いまいろいろの規制はしておられます。規制はしておられますけれども、十分な規制ではない。一つの例を申し上げると、海にいろいろな廃棄物を投棄してはならないということになっておる。けれども、いまの船舶構造、鋼船にしろ木船にしろ、この構造の規制をもう一ぺん点検をするという法の改正もすべきではなかろうか、こういう気がいたしますし、また、ただタンクだけをクリーニングするという考え方でなしに、船体そのもの、全体をクリーニングするという考え方も持たなければならない。そのために、いまのこの法律では十分義務づけることができない。海上運送法なり港則法なり、そういう関係法を改正をして、船舶の所有者ないしは管理者またはその船の責任者というものについて、もっと船をきれいにする、きれいにして運航させていく、そういう法のきびしさを加える必要があろうか、こう思いますが、海上保安庁なり運輸省の関係、お答えを願いたいと思います。
  33. 貞廣豊

    ○貞廣説明員 海上保安庁からお答えいたします。  ただいま先生は、海上保安庁の監視体制は十分か、こういうお尋ねと思います。御案内のように、海洋汚染防止法が制定されまして、従来海上保安庁が任務としておりました人命、財産の保護、それから一般の取り締まり、そういったことに加えて、海洋汚染の必要なる監視という任務が新たに加えられたのであります。そのために海上保安庁では現在までのところ、この監視体制の強化についてここ二、三年努力してきたところであります。  具体的に申し上げますると、まず第一点、組織はどうか。いまお話ございましたけれども、海上保安庁に、本庁に海上公害課を設けた。それから地方の第三、第四、第五、第六、第七の各管区本部に海上公害監視センターを新設した。また本庁の水路部に、これは海洋汚染防止法の四十六条に基づくものでありますが、海洋汚染の科学的調査を行なうために調査室を設けた。それから、従来ありました海上保安試験研究センター、これに公害担当の化学分析課を設けた。このようにして組織の整備をはかりつつあります。  次に、これに必要なる要員についてはどうか。要員につきましてはいま申し上げました組織に対する充員、並びにいま申し上げました管区本部以外の管区本部、あるいはまた海洋汚染の多発する東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海、こういった海湾に面する重要海上保安部・署に対して公害担当要員を充員いたしまして、なお、来年度においてさらに十六名充員する計画になっております。  それから、海は広い、監視せよといっても、なかなかたいへんであります。おそらくいつ、どこで、だれが、どのようにするか。陸上ならばまあその辺にだれかがいるでしょうけれども、海上は目につく人も少ない。こういったところで監視するのはたいへんでございます。何と申しましても海の上ですから、船が要る。そういったことですから、機動力の非常に大きな航空機が要る。基本的には船艇、航空機の増強が必要でございまして、海上保安庁の現状は、言われるように、いま船は三百五隻持っておりますけれども、そのうちの三分の一近くは老朽船でございます。これらの老朽船を急速に監視に適合するような性能のいい船にかえる、それから隻数をふやす、増強するという方向努力してまいりまして、来年度におきましても、これら船艇三十四隻を建造する計画になっております。航空機につきましては——海上監視には航空機以外にはないといわれるほど大切なものでありますが、現在航空機は合わせて二十八機持っておりますが、従来、公害監視の任務を与えられて以来四機増強いたしましたけれども、来年度において八機新しく性能の強化をはかっていく計画をいたしております。  次に、監視用の機器等はどうか。実際に監視ができるのか。海上で取り締まりを強化しますと、夜間にこっそり油をたれ流すという傾向が出ます、人間のことですから……。で、夜間においてもこのたれ流しを監視、発見できるような赤外線による夜間監視装置をくふういたしまして、これを一台整備しましたが、来年度においてもさらに一台これを増強いたしまして、瀬戸内海方面に配置する計画を持っております。それから公害監視用の機動艇、これも整備してきましたが、来年度さらに三隻増強する計画にしております。そのほか測定分析用の機器等を大幅に増強してまいりましたけれども、来年度におきましても取り締まり用の測定器、それから鑑定のための精密な分析機器、こういうものを増強する計画を持っております。  それから、最後に職員に対する能力の付与と申しますか、教育訓練はどうなるのか。教育訓練につきましては、海上保安庁は教育機関を二つ持っております。呉の海上保安大学校と舞鶴の海上保安学校でございますが、この学校の教科目に公害の科目を取り入れまして、なお、現場の担当官の専門的な知識を強化するために、自来、研修につとめております。来年においてもやはりこの研修を続行いたすこととしております。  最後に申し上げますが、海上のこういった汚染の監視ということはなかなかむずかしい。以上のような措置でもって全力をあげて努力いたしておりますけれども、きわめてむずかしい。要は、関係者が海はよごさないのだという良識を持つように、その良識を喚起するように今後とも努力を続けるとともに、船艇、航空機、特に航空機の増強、それからこれら与えられた資材の有効な活用をさらに勉強する、職員の能力のさらに増強をはかる、こういった監視用の機器の開発等にも努力し、少なくも海上の汚染による被害の出ないように、さらに進んで海上環境の回復を目ざすという気持ちで努力いたしてまいりたい、このように考えております。
  34. 佐藤久衛

    ○佐藤説明員 運輸省といたしましては、昨年の六月から海洋汚染防止法の全面施行に伴いまして、先ほど海上保安庁のほうからも御答弁申し上げましたように、関係機関と協力いたしまして、その強力な実施をはかっているわけでございますが、多少ふえんして説明させていただきますと、海洋汚染防止法の四条におきまして、いわゆる油のまじった水というものを絶対投棄してはならない、こういうたてまえになっております。したがいまして、それに対応いたしますために、船の中に油水分離装置というふうなものを備えつけまして、そして油を流さないようにする、あるいはまた、ビルジ等につきましても、それをためておくとか、そういう法律上のたてまえになっております。さらに、油以外の物資の投棄等につきましても、油の場合と同じように、特に一定の許された条件のもとで以外は決して投棄してはならない、こういうたてまえになっているわけでございます。これは現行法のたてまえでございますが、さらに先ほど先生御質問ございました、国際的ないろいろな取りきめがございます。それとの関係におきまして、さらにこのような海洋におきますところの油、あるいはまた有害物資の投棄につきましては、協力いたしましてこれの投棄、排出等につきまして制限をしよう、こういう機運になっておるわけでございますので、私どもは、一方におきまして国内的にいろいろな施策を進めてまいりますと同時に、国際的な連携を保ちながら日本周辺の海をきれいにしてまいりたい、かように念願いたしておる次第でございます。
  35. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 運輸省にお尋ねしたいのですが、いろいろ手は打っておるけれども、私は国際的に見て日本海洋汚染防止対策が非常におくれていると思うのですよ、正直に言って。おくれているというか、一生懸命やっておるが、よごすほうが多いのか、その辺イタチごっこになっておると思うのですが、やはりこの辺できびしく規制をすべきだ。もっときびしい規制をしないといけない。そのためには、船舶の構造の問題を掘り下げてもう一ぺん再検討する。同時にまた、船舶の検査というものをもっと綿密にやる。いまのような基準でなしに、もっと考えてしかるべきではなかろうか、こういう気がいたします。  それからもう一つは、やはり港則法の第五章二十四条ですね、これをひとつ改正をして、どうしてもきれいな船ということで、水路の保全という任務を持っておるわけですから、こういう法律を変えて、ひとつ船は、陸の自動車でも洗うんですから、船は常にきれいにあるべきだという原則に立って、洗うという、そういうクリーニングの義務を負わせる、船内、船外を含めて、船体全体は年に何回はきれいにさせるんだぐらいな義務づけを考えるべきだと思うのですが、運輸省はこの点についてはどうですか。
  36. 佐藤久衛

    ○佐藤説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、私どもといたしましては、海洋汚染防止法の運用を中心といたしまして海をきれいにしてまいりたいというふうに存じておりますが、現在の海洋汚染防止法のもととなりました一九六九年の油濁防止条約というふうなものは、実は海洋汚染防止法よりも多少ゆるやかな点がございます。と申しますのは、具体的に申し上げますと、タンカー等につきましては例外があるわけでございますけれども、海洋汚染防止法におきましては、その点は、むしろタンカーは例外なく規制の対象にしておるというふうな面では、国際条約の面より進んでいる面があるのではないかというふうに感じております。  それから先生御指摘の、船舶をきれいにいたすべきではないかということでございます。これは……(柴田(健)委員「港則法を変えるかどうかということを聞いておる」と呼ぶ)それは海上保安庁のほうから説明いたしますが、海をよごします汚染源といたしましては、油その他の有害物資の投棄、ごみ等の投棄等があるわけでございます。先ほども申し上げましたように、油につきましては非常にきびしい規制をいたしておるわけでございますし、さらに有害物質等の規制につきましても、これは環境庁あるいは厚生省その他の関係機関と協力いたしまして、非常にきびしい規制をいたしておりまして、瀬戸内海等につきましては、これが全面的に投棄禁止というふうなことをいたしておるような次第でございます。
  37. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 どうもあなたは、きびしくやっておる、きびしくやっておると言っておるけれども、瀬戸内海に行ってごらんなさい。一つもきれいになっていないがな。いずれまたこの問題につきましてはあらためて論戦することにいたしまして、今度の漁港整備五カ年計画説明を聞くと、漁港整備の今年度の予算では一三八%だということで、まあ大幅に伸びたと、こう言う。今後の五カ年で平年度に直したら何%の伸びを見て七千五百億という計画を組んで、そのうち実質は六千八百億ですが、今度の地方公共団体の地方財政計画はどれほど——国のこの三三%の伸び率と同じように見てこういう計画を立てておられるのか、この点長官、ひとつ簡単に。
  38. 荒勝巖

    荒勝政府委員 今回、第五次漁港五カ年計画をつくるに際しまして、一応全体の計画を七千五百億円と、こういうふうに置いたわけでございますが、これは農林省、水産庁だけできめたものではございませんで、当然財務当局とはもう十分打ち合わせの上、また自治省等ともこれは連絡の上、政府としてきめたものでございまして、全体計画の推進にあたりましては十分財務的な裏づけを今後とも期待いたしまして決定した、こういうふうに御理解願いたいと思います。  また、この漁港の場合は、補助金というかっこうでなっておりますが、当然このあとの裏負担につきましては、都道府県もしくは市町村のおおむね起債の対象になるということが前提になっておりまして、これらにつきましては、自治省のほうにおかれましても十分検討済みでおられるというふうに聞いておる次第でございます。
  39. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 今度四百二十港の整備をされるんですが、この四百二十港で、先ほども自民党の熊谷先生から御質問があってお答えになっておられたが、その補助率の関係、たとえば第一種、第二種、第三種、特三と第四、その第一種、第二種の分が、補助率が百分の五十ということになれば、この市町村なり県の財政計画影響してくるわけです。いまはもう三月で、今年度の都道府県の予算規模が大体確認されたわけです。県のほうの予算の伸びを見ますと、どうも今度国が、漁港が三八%伸びたと言われますけれども、国の三八%に近いというのは、島根県が三七%になった。これは災害関係が多いので、飛躍的に予算規模が伸びた、こういう数字が確認されておるわけです。たとえばことし一〇%台が、三重が一七%伸び、大阪が一七・四%伸び、和歌山が一九%、福岡一八・四%、沖繩が一〇・六%、一〇%台が案外多い。たとえば、千葉県一八・二%、東京が一九%、新潟が二八・五%、国の伸び率と地方都道府県の伸び率を調べてみると、これはつり合いがとれてないんですよ。こういう地方公共団体の財政の伸び率と国の伸び率とがアンバランスという形の中で、今後三三%の伸び率をもって五カ年計画を立てた、こういうのだが、今後県が三三%伸びる、そういう見通しで行かれるというのはあまりにも甘いんではないかという気がする。その甘かった分には、地方公共団体に対して起債の措置をする、こういうことであなたは逃げられるようですが、起債だって漁港だけが起債なわけじゃないのですよ。地方公共団体はいろいろな起債があるわけですよ。下水道もある、学校もある、いろいろな起債があるわけですよ。起債総額の大蔵の認定というのは、漁港なら漁港だけを見るというわけにはいかぬ。トータルを考えて、その都道府県なり市町村の固有財源と見合って、いままでの借り入れ金、起債の総額を見て、償還の率を考えて起債のワクをきめるわけですよ。そういうことを水産庁は十分勘案をして、三三%今後毎年地方公共団体が伸びる、国の財政も伸びる、こういう判断で五カ年計画を立てたとするならば、これは計画が狂ってくるという心配があるんですが、どうですその点は。
  40. 荒勝巖

    荒勝政府委員 まず第一点でございますが、四十八年度の地方の、県の予算につきましては、ただいまこういうふうに国で予算の御検討をいただいている最中でございますし、またこの漁港整備計画の五カ年計画につきましても、また都道府県に対しまして事前の多少の打ち合わせはいたしておりますが、予算の配分をどうするというようなことはいたしておりませんで、四月に入りましたら、あらためて都道府県に対しまして、県別あるいは市町村別の漁港整備事業につきまして助成の内示をいたす予定をしております。したがいまして、四十八年度の予算につきましては、さらに六月ごろの都道府県の補正予算の段階におきましてまた修正が行なわれるのではなかろうか、こういうふうに私たちは考えておる次第でございます。  また、全体の七千五百億円の漁港整備計画につきましては、これは従来水産庁の予算といたしまして、年率三〇%前後の伸び率で見ておりまして、今回の漁港の五カ年計画の改定を機会に三四、五%というふうに多少伸び率が高まったのでありますが、われわれといたしまして、この伸び率がそんなに今後とも苦しいものとは思っておりませんで、国の財政の伸び等を勘案しながら、漁港の伸びは十分に確保するように努力してまいりたい、こういうふうに考えております。したがいまして、国の補助金といたしましては、七千五百億円に対応するものは十分確保できるのではなかろうか、こういうふうに思っておりますが、都道府県の地方財政につきましても、当初御説明申し上げましたように、財務当局は財務当局なりにこういった公共事業、助成事業の裏づけといたしましては、財政計画ということで起債のワクを毎年設定いたしておりまして、裏づけは十分に行なわれておるのではなかろうか。また中央の国の財政の伸びに対応いたしまして、都道府県も起債を受けながら今後とも財政事情は伸びるのではなかろうかという前提に立って、こういった各省間の折衝の上、七千五百億円の数字が決定したと御理解願いたいと思います。
  41. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 長官のお答えを聞いてみると、自信があるようなないような言い方なんです。実態は、漁民から漁港の改築費の負担をとっているところもあるわけです。それはなぜかというと、地方公共団体の負担区分があまりにも多い。それから国のほうは、いまのような第一種、第二種それぞれの種目別に補助率に差をつけるところに問題があるので、補助率を引き上げるべきだ。大きく引き上げていくならば、そういう個々にわたっての矛盾というものは出てこないわけです。こういう、十年一日のごとくではないけれども、一つも前進しない。三年に一回くらい補助率を上げていくという姿勢がなければならぬと思うのです。今度は五カ年計画を立てたのであるけれども、いままで漁港をなおすというと地元負担をしなさいというが、海のほうは一つもきれいにしてくれないというような矛盾を感じているわけです。この際思い切って補助率を上げる、計画どおりに完全にやるのだ、そいうう姿勢があってほしいと思うのですが、この点について、次官、どうですか。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  42. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいま御指摘の、漁港について事業計画ばかり拡大して地元に対して一つも手厚さがないという御指摘でございますが、この補助率の引き上げにつきましては、従来からも機会を見て努力をいたしておりまして、先般は特定第三種につきましては、非常に漁港大型化した中で地方の負担もなかなかたえ得ないということで、六〇%に引き上げたいきさつがあるわけでございます。今後われわれといたしましては、この漁港五カ年計画は一応の事業費の全体計画でございまして、国費の事業量まで規定はいたしておりませんので、これらにつきましては国の財政の許す範囲内で、今後この補助率の問題についてはさらに検討を深めてまいりたいというふうに事務当局としては考えている次第でございます。
  43. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 次官、どうですか。
  44. 中尾栄一

    中尾政府委員 いま長官が述べられたとおりでございまして、私どもは思い切って補助率を上げて差し上げたいというやまやまなる念願はあるのでございますが、いかんせん国の限られた財源の中でやっておりますだけに、ひとつそういう点を勘案しながら私どもも善処していきたい、このように前向きの姿勢で考えていきたいと思っております。
  45. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 次官も長官も、まことにあまり自信がないような答弁ですが、いやしくも国会承認を求める案件ですから、これは自信を持って今後やってもらわなければならぬと思います。私が心配するのは、五カ年計画は立てるが中途で計画変更先ほど熊谷議員が発言されておりましたが、いままでの第一次、第二次の計画は、最終年度を迎えず、三年目か四年目を迎えると中途で計画変更をして次の計画へ逃げようとするわけです。今後は逃げるということではなく、五カ年立てた計画は五カ年で完全に消化してしまうんだ、こういう姿勢でなければならぬと思います。そういうことで取り組んでもらいたいと思います。  次に、北海道、沖繩、これはいろいろ別の法律で、補助率が多少変わっておるようでありますが、特に沖繩は日本に返って間がないし、財政規模から見ても非常に貧弱であるし、同時にまた漁港整備がおくれておる。今日国際情勢その他を勘案すると、沖繩に漁港の新設を考えるべきではなかろうか。ところが、聞くところによれば、多少考えておる、こういう御意見もあるようですが、どの程度の規模で何カ所新設をするのか、場所はどこかおわかりであれば沖繩についてお答え願いたいと思うのです。
  46. 荒勝巖

    荒勝政府委員 沖繩におきます漁業基地である漁港整備をどうするかということにつきましては、今回の改定計画に基づきまして漁港整備いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。現在漁港法に指定されております沖繩におきます漁港は、大小あわせて六十港ほどございますが、このうち十港を、第五次漁港整備計画の対象として修築事業に採択いたしたいというふうに考えております。この十港のほか、改修事業として約十二港をまた予定いたしておる次第でございます。沖繩におきます基幹的な漁業基地といたしまして重点的に整備するものといたしましては、糸満、石垣、名護、泊等の漁港を考えておるというふうに御理解願いたいと思います。
  47. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 沖繩は特殊事情ということで、政治的にも配慮しなければならぬのですが、そういう整備計画以外に残された漁港もまだあるわけです。この点については別の予算で十二港やられる、こう言われるのですが、しかし、もっと思い切って沖繩のいままでおくれておる漁港整備を重点的に考えるということが必要だと私は思うのですが、この点について、次官、どうですか。
  48. 中尾栄一

    中尾政府委員 先生御指摘のとおり、沖繩はつい先般歴史的流れの中で日本に復帰をした土地でございますだけに、その地域に対しましては、十分なる考慮と愛情を持ちまして勘案していきたいと存じております。
  49. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 今度の七千五百億の内訳は、調整が五百億、地方の単独事業が二百億、計七百億を見ておられる。差し引いて六千八百億ということですが、この調整の五百億の内訳はどうなっておりますか。
  50. 荒勝巖

    荒勝政府委員 この調整費といいますのは、予算で申し上げますとあるいは予備費というふうに御理解願いたいと思います。したがいまして、いまの段階におきましてはまだスタート段階でございますので、この五百億についての内訳につきましては、ただいまのところ検討をしてない、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  51. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 予備費だろうと思ったのですが、しかし、この四月一日から、これから協議に入る、協議に入って協議設計をやる、そうしてほんとうの着工まで相当期間がかかる。そのほか原材料費、資材費というものがいまのような上昇率を見た場合に、今年度のこの計画というものは変更せずにいけるのかどうか。ただ、この調整費というものは、そういう予備費的なものがある。そういうものを含めて設計単価というものは、七千五百億のうち六千八百億は四百二十港を五カ年でやるんだが、今度資材が、たとえばセメントでもものすごく上がっておる。そういう点を考えたときにはどういう見通しなんですか。簡単にお答え願いたい。
  52. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先ほど申し上げましたように、七千五百億円のうちの調整費につきましては、予備費的な要因、と申しますのは、初年度あたりではこの調整費にはおよそ手をつける気はありませんで、三年目、四年目というところで経済事情その他特別の理由がありました場合に、本来の修築事業の経費が足りなくなったときに、あるいは政府としましては初めてこれの検討に着手することになると思いますが、いまの段階では検討していないということでございます。また初年度の予算につきましては、これは政府できめられましたほかの公共事業との開発におきます物賃単価で整備いたしておりますので、初年度の予算は初年度の予算として、これは事業量が充足できるように努力いたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  53. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 水産業全体を発展させるためにはいろいろ問題があるわけですが、たとえば労働力の問題もあるでしょう。先ほど出た重要な課題公害対策であります。また漁民の健康管理の問題、そういうことはあらためて次の機会に、水産関係の法案が出た時分にまた論戦をするといたしまして、まず私は、施設改善漁港だけが先に進んでも、流通改善の中で一番問題になっておるのは道路だと思う。漁港を直しても、現在ある国道、県道に取り合わせる取り合い道路が、全国的に見て漁港の地域は非常におくれておる。いまガソリン税の見返り財源で何ぼかやっておる。幾らかやっておられるけれども、漁港を府県道につなぐ取り合い道路は忘れてはならない問題だと思うのですよ。この点について漁港整備計画ができるのなら、やはりそれに付帯する道路整備計画というものを立てる必要がある。この道路整備計画というものをお持ちかどうか、現状でいいと認定されておるのか、思い切って改良しなければならぬとお考えになっておるか、お答え願いたい。
  54. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいま御指摘のように、漁港が比較的都市から離れた貧村に面しているところが多うございまして、したがいまして、漁港はできても道路網が十分いっていないということはまことに御指摘のとおりでございます。したがいまして、今回の漁港整備五カ年計画を作成するにあたりましても、われわれといたしましては、全体の道路網の整備というものを十分念頭に置きながらこれらを整備してまいりたい、こういうふうに考えております。  なお、漁港と一般道路とを連絡する道路網につきましては、揮発油税をもとにいたしました漁港道路で整備してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  55. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 終わります。
  56. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 米内山義一郎君。
  57. 米内山義一郎

    ○米内山委員 私は、日本じゅうの漁港整備の実態とか実情というものは資料以外に知る方法もないから、今度の整備計画はどういう考えの上に成り立っているかということをお尋ねしたいと思います。  全国のことは皆さんよりは知らないけれども、青森県の漁港の実態、実情は皆さんより幾らか明るいつもりです。そういうことでお尋ねするわけです。  焦点は、今度の整備計画に初めて顔を出した三沢漁港の問題ですが、それをお尋ねする前に、今度一種として小舟渡漁港整備計画に入っている。三種として大畑港、四種として白糠港が入っているわけですが、それらの漁港は、経済効果といいますか、その漁村実情から見ますと、もう十年も前に片づいていなければならない漁港だったはずです。それが今日整備計画に乗る。大畑、白糠は前回の計画から整備されるようになったわけですが、そこで、経済効果とかなんとかいいますが、これを指定するについてどのような調査の上に立っているか。たとえば、水産庁の手元の資料では、小舟渡港の水揚げ高、数量及び金額の過去五年の平均をどのくらいにごらんになっているか。大畑港はどう押えているか。さらに白糠港でありますが、これは例の泊港を含めて、どの程度の重要性のある漁港であるから今度の整備計画に入れたのか、お尋ねしたい。
  58. 荒勝巖

    荒勝政府委員 今回の漁港整備計画をつくるにあたりまして、中央で単に国の経済力の発展に伴いまして一定のワクを設けて漁港整備計画をつくったのではありませんで、われわれといたしましては、過去二年間にわたりまして、都道府県あるいは市町村を通じまして、われわれのことばで表現いたしますと積み上げ方式というやり方をとっておりまして、一港一港全部、今後五カ年間にとるべき漁港整備計画の原案を一応つくってもらいまして、それを県の段階で調整し、さらに国の段階で調整いたしまして、総計五カ年計画の七千五百億円というものが計上されたのでありまして、一応全部積み上げ方式をとっておる、こういうふうに御理解願いたいと思うわけであります。したがいまして、地元の考えておられます計画の見込みといいますか、そういった計画が一応十分に織り込まれておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。  また、ただいま御指摘になりました大畑漁港あるいは白糠漁港の点でございますが、これにつきましては、一応昭和四十五年度の調査に基づきまして、大畑漁港につきましては、登録漁船数、これは動力船でございますが三百十二隻、しかもトン数にいたしまして一万二千トンということで、水揚げ高といたしましては、昭和四十五年度の数字としては一万七千三百六十七トンの水揚げがあった。白糠漁港につきましては三千百八十一トンというふうなかっこうで、それぞれに基づきまして第五次計画というものがつくられた。大畑につきましては、まだ整備計画も立てておりませんので、確定はいたしておりませんが、われわれの予想では大体三十二億円ぐらいの事業費、それから白糠漁港につきましてはおおむね二十一億円ぐらいの事業費、こういう形で今後整備を進めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  59. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そういうものだろうと思います。  そこで三沢漁港なんですが、ここには一体船が何隻で何トンくらいあるか、そのうち動力船が何隻あるか、そうしてどういう種類の魚をどの程度水揚げしておるか、どういう実態なんですか。
  60. 荒勝巖

    荒勝政府委員 三沢漁港につきましては、従来この三沢地区は多少へんぴであったといいますか、あまり漁港施設らしいものが実際はないわけでございます。これらにつきまして、今回の漁港整備計画では、この三沢をひとつ大きなものにしていきたい、今後の青森県におきます一つの漁港の基地のようなものにしていきたいというふうにわれわれとしては考えております。  現在の三沢の状態から申し上げますと、四十六年の時点におきましては登録漁船が百五十四隻というふうに一応私たちは見ておるわけでございまして、動力漁船としましてはそのうち二十六隻、水揚げ高としては四千トンということで、いまのところ地びき網が中心のように聞いておるわけでございます。それに対しまして今回の五カ年計画整備にあたっての指標といたしましては、昭和五十二年には登録漁船が百八十六隻、しかも先ほど、動力船が現在は二十六隻と申し上げたのが、百八十六隻全部が動力漁船に大体かわるのではなかろうかということ。さらに、イカ釣りの漁業基地といたしまして、水揚げ高も五百数百トンになるというふうに考えて、われわれといたしましては三沢漁港整備努力してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  61. 米内山義一郎

    ○米内山委員 実態は、長官がおっしゃるよりももう少し小さいかもしれませんね。確かにそれは船らしいものはたくさんありますよ。ところが、あそこでは、いまの漁業というのは、主として防衛庁から爆撃補償を取るのが一番の水揚げ高だというのが実態なんです。動力船だって、港がないものだから、船外機くらいのものはあるかもしれないが、それ以外のものはきわめてわずかだ。そこに港をつくるというから、これは二種じゃなくて、資源開発とか、あるいは海難防止とか避難港というような性質のものでなければならぬ。それが漁港法の精神である。ですから、これは四種であるべきが至当だと私は思うのだが、長官、その点、御見解はいかがですか。
  62. 荒勝巖

    荒勝政府委員 今回、私のほうといたしましては、三沢漁港につきましては今後大いに努力してまいりたい、漁港の資格を十分に引き上げてまいりたいということもありまして、この委員会で申し上げるのはあるいは妥当性を欠くのかもわかりませんが、一応一種漁港程度の水準ではなかろうかというふうに当初は考えておったときもあるのですが、さらにそれにつきまして努力して、いわゆる規格といいますか、格を上げることによりまして第二種漁港に指定することによって、あの辺の漁民の今後の生活向上に寄与し、かつ水揚げ量もふえるように努力してまいりたい。こういうように考えている次第でございます。
  63. 米内山義一郎

    ○米内山委員 いま長官、あの辺に港がないからつくるというようなお話なんですが、青森県には漁港というものは八十港あるそうです。だが、あの二つの半島や湾を含む海岸線の割合にしては実際に漁港の数が少ない。しかも、整備された漁港というものも少ない。非常に漁港整備状態がおくれている。大畑とか白糖なんというのはいまごろ整備されている実態なんですから。  これは何だというと、一つは財政上の問題です。先ほどの答弁を聞いていると、起債の裏づけがあるから財政が乏しくともできるというような御答弁もあったようですが、しかし、実態を見ますと、岩手県では一種、二種、国の補助が五〇%、県が四〇、市町村が一〇という割合で漁港整備をやっていますから、岩手の場合はこれだけの違いでも相当な進度が肉眼でも見えるわけです。ところが、青森県は漁港整備がおくれていながら、負担の割合というものは国五〇、県三三・四、市町村一六・六というような実態は、これはもう財政上の問題なんです。だれでも漁港整備を早くしたいが、そこに切ないところがあるので、補助率を上げるということも大事ですが、こういうふうな資源開発漁港とでもいうべき、ゼロの場所に雄大な港湾をつくるというときには、特に市町村は財政負担にたえ切れないのじゃないか。私の心配するのはその点なんです。  それでもいまたくさんの魚がとれて、八戸のような実態とか大畑のような実態ならば、市議会も議決を継続して、効果のある五年、七年を待つことも可能かもわからない。現在、漁業に対する依存度がきわめて少ない場合には、負担というものは市町村の場合につらかろう。県は何かの政策でぜひ港をつくってくれというから、県は持つ腹はあるかもしれないが、しかし、青森県だって、いま開発などということで、非常な県費多端の事態がここ数年、十年も続くかもしれない。そういうふうなことなので、三沢の漁港について私は非常な心配を持っている。本当にやる気ならばわれわれも協力しますけれども、政策でもない、政旧でもない、何らかから口をきかれたから、義理で漁港をつくってなんというのは政策でない。次元が違うと思うのです。  特にあそこの海の模様というものは鹿島灘と同じでしょう。小さい港をつくったってとてもつくれるものじゃない。深さが十メートルのところまで行くには千メートルなければ届きません。しかも漂砂の非常に多いところ、波浪の高いところ、どんな設計の港をつくるか知らないが、五億や七億でできるはずがない。この間三沢の市役所へ行きまして市長室を見ましたら、図面ができてあります。非常に広壮なものなんですが、これに期待をかけて、三沢市では、いままで漁民家もないのに市役所が漁政課をつくったのです。これに非常な期待をかけているわけだが、一体いまの水産庁計画としては、何十億ぐらいかけて、何年ぐらいでこれを完了する考えなのか、明らかにしていただきたい。
  64. 荒勝巖

    荒勝政府委員 この三沢漁港の点につきましては、ただいま御指摘のとおり、いろいろな技術的にむずかしい点がありました関係上、漁港らしいものをつくることができず、したがいまして、動力船の漁港としての機能が全然なかったというようなことで、自然と水揚げもほかの漁港のほうへ実際的にはとられてしまうというような実態でございました。したがいまして、県なり市で非常に御心配になりまして、三沢にぜひりっぱな漁港をつくりたいということで、三沢漁港調査費といたしまして、県でも単独事業で二カ年間に約六百万円近い事業費調査を進められておる。さらに、一億円近い金をかけまして、あの地区で試験堤ができるかどうかということにつきまして、農林省の土木試験場におきましても調査いたしまして、かりに漁港をつくりました暁にもむだな投資にならないように、いろいろな土木上の試験等、あるいは小型の水理模型実験等も行なって、ここに漁港整備するということに県も非常に力こぶを入れて決定された次第でございます。したがいまして、われわれといたしましても、今回三沢を漁港整備計画の対象として新しく修築事業で取り上げます以上は、援助につきましても相当力こぶを入れたい、こういうふうに考えておりまして、向こう五カ年間にぜひ全体の事業計画であります二十八億九千万円、約二十九億円の事業費漁港整備できますように努力いたしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  65. 米内山義一郎

    ○米内山委員 約三十億円の経費を何年でやるか知れないが、金の問題よりも技術的な問題のほうが困難ではないか。県が二年間数百万円かけて調査したというが、安心できるわけないですよ。  と申しますのは、この漁港予定地よりも十キロぐらい北のほうの同じ海岸に、防衛庁が全額国費で放水路をつくって、奥のほうの掘さくはできたが、河口部で導流堤をつくることに、もう飽きたのか、十年たっても効果を発生していない。防衛庁がやったって土木事業は土木事業です。水産庁がやったって、海は同じです。その問題を明確にしないでこういう整備計画に載ったって、これは速度がつくものじゃないのです。  だから、私は荒勝さんに申し上げたいのだが、あなたも印象深いことがあるでしょう、あのビートの問題で。われわれの地方の住民は、あなた方のやることに何十べんだまされてきたかわからぬ。今度はいい話だといってやるが、みんな途中で立ち消えになる。  そのために国の金が失われるだけならばまだしも、ビートをやるとき買ったトラクターからそういう農機具の一切がくず金になったし、七、八年手がけたことのない作物をやったその苦労も消えた。  魚をとっていないところに漁港をつくって、十年計画でやるということだって、それと同じような危険の度合いをわれわれは感ぜざるを得ない。あなた方を信用しないというわけじゃないが、その点を技術的にも財政的にも明確に裏づけしていただきたい。強く要望しておきます。  それからもう一つは、これは工業開発からきた漁港であります。八戸の工業開発のために、八戸の漁民は自分の前面の海を工業にとられた。その代償として三沢の沖に入り会いを要求した。三沢はそれにこたえた。その代償として港をつくるという、県独自の政策というか、窮余の策から出たのがこの漁港なんです。それ以外に理解できないのです。こういうふうな来歴等を考えると、私はこの漁港にはまだ確信が持てない。ほんとうに国が資源開発のためなり、操業の安全なりという観点から第四種でやるというならば、まあほんとうだということになるのですが、そういうふうな実態なので、私はこれに不安を感ぜざるを得ない。だから、すべて漁港というものがこういうふうな根拠のないことでやられているならば、何千億使って何百港もやるといったって、これはいままでどおりはかどらないわけだ。単なる政治的な思惑やいわゆる政治屋と称する者の策動で、こういうことが人民に過重な負担をかけたり、期待を持たせたり、そして結果は失敗に終わるということの繰り返しはもうやめてもらいたい。  ほんとうにやるというのなら、法制上、四種でやる可能性がありますか。私は本質から言うと、資源開発漁港、避難港としての機能ならば、当然これは二種よりも四種であれば適法だと思うのですが、いかがですか。
  66. 荒勝巖

    荒勝政府委員 この漁港につきましては、思いつきのような形でわれわれのほうで採択いたしたのではございませんで、先ほど来御説明申し上げておりますように、県におきましても、二年ほどかかりまして県単独で調査もされましたし、また農林省の土木試験場でこういった工事のむずかしい点につきましての解明も行ないました上で、しかもその経費は約一億円近い経費をかけて実験を行なった上の採択でございまして、われわれといたしましては、この工事が約三十億円近い金額のもとにぜひ向こう五カ年間の間にできますように努力してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。  なお、この漁港の種類でございますが、われわれといたしましては、やはり第二種漁港が適当というふうに、将来は有力な経済港として今後伸びていくものと理解をしておりまして、その点で指導、推進してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  67. 米内山義一郎

    ○米内山委員 五年間で港があそこにできるというのはまさに夢の実現で、われわれも大いに期待を寄せますし、信頼します。だが、どこまでいってもむずかしいのは技術の問題だと私は思いますので、ここでは議論する余地もないのですが、そのうち水産庁へ行きまして土木試験場がどういう結論を出したか、県がどんな調査の結果、可能性ありと断じたのかよく、説明を承りたいと思います。  きょうはこれで、あとは聞くところありません。
  68. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、湯山勇君。
  69. 湯山勇

    湯山委員 すでに前者がいろいろ質問をいたしましたが、私はやはりこの承認を求めておられる第五次の漁港整備計画、これがはたしてこの計画どおりできるかどうかということについて非常に危惧の念を抱いております。いろいろな点からそういうことが言えるわけです。  この計画事業費は第四次計画の三倍以上になっておることはもう御存じのとおりです。ところが、初年度の四十八年度予算を見ますと、これは五百三億ぐらいであって、このペースでいくと十年かかってもできないということになるかと思いますが、一体初年度どれだけ、次年度どれだけ、五カ年間のおおよその事業量、あるいは金額の上からでもいいのですが、見込みが立っておるかどうか、あればひとつお示し願いたいと思います。
  70. 荒勝巖

    荒勝政府委員 今回の第五次漁港五カ年計画の七千五百億円というものは、五年間に行なうべき国としての考えております、目標といたしております総事業計画でございます。したがいまして、いまのところ直ちに年次的な一年目から五年目に至ります各年度別の予算、事業規模というものはまだ用意はされていないわけであります。ただ、四十八年度に始まりますこの予算におきまして、対前年比約四〇%近い伸び率で漁港の予算がついたわけでございまして、われわれといたしまして、これを契機に今後非常におくれておりました漁港整備を強力に推進してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  四十七年度に対比いたしまして四十八年度の予算が約四〇%近く伸びてきました関係から、こうしたわれわれの判断では、これはまた一方的な考え方かもわかりませんが、四十八年度に始まります漁港予算に対しまして年率三三%増で伸びていけばこの五カ年計画は達成できるのではなかろうか、こういうふうに考えております。この三三%の伸び率というものにつきましては、過去の漁港の予算のこの二、三年来の伸び率等から判断いたしますと、平均的には三年間の平均をいたしますと大体三五、六%くらいにはなっておるのじゃなかろうか、こういうふうに考えまして、まあ三三%の伸び率の予算というものは十分に確保できる、また確保しなければならない、こういうふうに考えまして、ある程度この五カ年計画というものは達成できるもの、こういうふうに判断している次第でございます。
  71. 湯山勇

    湯山委員 四次計画というのは、総事業量は二千三百億でしょう。そうして今回のは七千五百億だから、これだけから見ても三倍になっておるはずです。年率四〇%の伸びではとてもじゃないがこれは届かない。そして四十七年度と四十八年度の比較というのは、これは比較になりません。というのは、四十七年度は第四次計画の中だし、それから四十八年度は第五次計画の初年度ですから、初年度がちゃんときまっておっても、およそあとの見通しが立っていなければ、やはり前と同じことを繰り返すのじゃないかという懸念を持ちます。その点はいかがですか。
  72. 荒勝巖

    荒勝政府委員 私たちの考え方では、年率三三%の伸びさえ確保できるならば一応計画的に達成できるのじゃなかろうかというふうに理解いたしておりまして、これについては多少先生との間に見解の相違があるかとも思いますが、私たちのほうといたしましては、予算の規模といたしましてはそれほどむずかしい数字ではない。むしろその点につきましては気楽、と言ってはちょっと語弊があることばですが、わりに安心して実行できるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。  たまたま第四次計画との間に予算規模が、事業計画として三倍にも及ぶ格差があるのに対前年比三八%くらいの予算の伸びで実行できるかという御指摘でございますが、第四次計画におきましても、初年度は非常に低かったのが第四年目におきましては相当予算も伸びてまいりまして、伸びた予算を踏まえましてことしの四十八年度予算をまあ三八%くらいの伸びで押えたということで、この事業量といたしましては相当確保できるというふうに判断している次第でございます。
  73. 湯山勇

    湯山委員 一応承っておきまして、今度新たに漁港整備の中へ、先ほどいろいろ問題に出ておりました廃油処理施設というのが入ります。これは入っておるのですか、入っていないのですか。
  74. 荒勝巖

    荒勝政府委員 この四十八年度の予算とともに、第五次漁港整備計画機能施設の一つといたしまして、廃油燃焼設備を四十八年度から入れていく。初年度は二カ所だけでございますが、今後、特定第三種漁港を含みますなるべく大きな漁港につきましては、公害防止という観点から、また、漁船漁港の水をよごすというようなことの非難を受けないように、廃油処理設備を設けまして実行してまいりたい、こういうふうに考えております。これはあくまで漁港整備計画の中に入っておりますということを御報告いたします。
  75. 湯山勇

    湯山委員 きょう審議しておる漁港整備計画のどこにそういうことが書いてあるのですか。
  76. 荒勝巖

    荒勝政府委員 この漁港廃油処理設備は、事業量といたしましては三千万円以下の金額でございますので、今回出しましたこの漁港整備計画の中にはこういった——失礼いたしますが、漁港整備承認を求むる件の二九ページをかりにお開き願いますと、ここに「特定第三種漁港」というのがございまして、そこに「整備を必要とする主な設備」ということで例示してありますけれども、この中には一応入っていない。三千万円以下だということでこの中には入っておりませんけれども、漁港法に基づく漁港整備計画の一つであるというふうに御理解願いたいと思います。
  77. 湯山勇

    湯山委員 理解できないのですよ。それは大きな質的な変化でしょう。長官、これはいままでと非常に大きな質的な変化があっておるわけで、そのためにあなた方は漁港法の改正まで提案しているんじゃないですか。それを、この整備計画承認を求めるときに一言も触れないで、これには書いてない。それで一体さっきのように安心してこの計画ができますか。どこでそれはわかるのですか。そして、漁港法の改正をするならば、やはりそういうこと提案なり何なりの説明のときに明らかにしておかなければ、これは審議できないじゃありませんか。
  78. 荒勝巖

    荒勝政府委員 今回、この燃焼設備につきましては、ただいま御指摘のように、漁港計画の中では非常に特記すべき新しい事業というふうに私たちも考えておりまして、さしあたりといいますか、スタートにあたりましては実験的な要素も多少入っておるのではなかろうか。われわれとしましては今後これを大いに拡大してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  ただ、いま整備計画承認をお願いいたします中には入れておりませんが、御指摘のように、漁港法の一部改正という形で、港湾法の改正の附則におきまして、運輸省のほうにおかれましてもほぼ同様な措置を今後とられるやに聞いておりまして、この港湾法の一部改正の中でこの漁港法整備計画漁港機能設備の一つとして燃焼事業を入れておりまして、漁港法の対象に、そこのほうへ法律的にはっきり明記した次第でございまして、漁港機能設備の一つであるということで、この事業は予算もついたということで御理解願いたい、こういうふうに思います。
  79. 湯山勇

    湯山委員 それは全然理解できないです。いま承認を求める中には、廃油処理施設は入るのでしょう。それは入るということが何も説明ないのですよ、いままで。そして一方、運輸委員会へは漁港法改正が入っておるからと言ったって、われわれそれは理解できないです。ここでそれを承認しなければ、あとこの計画の中に入っているのか入っていないのかわからないのですから、それを審議せいと言ったって、三千万円だから入れないとかそういう問題じゃなくて、現に国会へ法律を出すほど重要な問題であるにもかかわらず、それに触れてない。何の説明もない。これを見たってわからない。それではいかぬじゃないですか。
  80. 荒勝巖

    荒勝政府委員 三千万円以下ということで、この機能設備の一部ではございますが、まあ金額的に小さいということで、従来からそういった設備のある部分につきましては、三千万円以下のものにつきましては特掲せずに実行してきたというふうに御理解願いまして、そのためにまたわれわれといたしましては、国会の御審議をいただくのに全然説明もしていないわけではございませんで、法律を改正してまで、これは漁港法機能設備の一つであるということを明らかに姿勢として明示したというふうに御理解願いたいと思うわけでございます。
  81. 湯山勇

    湯山委員 納得できないです。というのは、試験的にやるというのはそれはいいです。しかし、そうじゃないんですよ。もうすでに昨年六月から、さっきの説明のように、やらなければならないということになって、そこで農林省はいまの港湾法の中でこの漁港法の改正をしておる。その中身はこれは関係あるのです。にもかかわらず、それを全然これには入れてないで、金額が少ないとか、一方に出してあるから承認してくれでは、それはわからない。そうでしょう。それがなければ、いまこの計画では、廃油処理施設というものが入るか入らないか全然わからない。しかも一方法律を出している。その法律とこれは関係深いほど重要な問題を、何の説明もなく、ただそれを通せと言っても、それはできないです。  なお、これに伴って当然施行令も変えなくてはいけないのじゃないですか。それから、五カ年計画の中で、単価は少ないかもしれませんけれども、全体としてはかなり相当な額になるのじゃないですか。それを全然入れないでそれで承認せいと言っても、これは無理じゃないかと思うのです。
  82. 荒勝巖

    荒勝政府委員 法律をお出しいたしまして国会で御承認をいただくほど、われわれといたしましてはこの燃焼設備については力こぶを入れておりまして、決してこれをネグレクトと申しますか、軽々しく扱っているわけではございません。ただ、先ほど来申し上げておりますように、漁港設備計画の中におきましては、機能設備の一つであって、金額としては三千万円以下ということで、単価が少ないものですから、これは機能設備の一環であるということで、機能設備という形でこれは処理しておる次第でございます。  また、別途予算のほうにつきましても、積算員数、単価等におきまして漁港の中で二カ所燃焼設備を設けるということも、予算で国会で御審議願っておりまして、政府側としてと申しますか、水産庁といたしまして十分にその辺につきましては配慮いたしたつもりでございます。
  83. 湯山勇

    湯山委員 いまのことについて初めてそういう話が出たことだし、この提案説明にも、いろんな事情漁港を拡張しなければならないということの御説明があったけれども、それには触れていない。そういうことでいいかどうか、私は大臣が見えてからこの問題を聞きたいと思いますから、ひとつ質問を留保します。  いまのような体制で、三〇%伸びていったらやれるというのは私は無理だと思うので、これは私は、いまその資料も配られてないし、どういうことをするかわかりませんけれども、しかし、まあいまの水産庁の体制では無理じゃないか。というのは、これだけ大事業をするのに、いまのスタッフ、数、機構、それで十分やれますか。もっと機構をふやして、人をふやして十分手が届くようにしないと、さっき米内山委員からの御指摘もありましたし、私もこれを見て、大事なときにこの法律について一つも触れてないのはどういうわけだろうという疑問を持ちました。はたしていまのスタッフでやっていけるかどうか。どうですか。
  84. 荒勝巖

    荒勝政府委員 別途農林省設置法の改正を今回内閣委員会のほうに現在提案いたしておりまして、今後御審議を願うことになっておるわけでありますが、その農林省設置法ということになっておりますけれども、全部が水産庁設置法についての改正でございまして、その中で漁港部の拡充強化ということを念頭におきまして、その法律の中のある部分はそういう形でお願いをいたしている次第でございます。  それで、漁港部の機能拡充ということで、従来の二課の制度を三課に改めまして、いわゆる計画課と、事業を行ないます課と、災害復旧並びに海岸保全を行なう課という三課で漁港事業整備をはかりますとともに、四十八年度ではございますが、定員の五名増員もお願いいたしまして、この漁港整備を今後推進してまいりたい、こういうように考えている次第でございます。
  85. 湯山勇

    湯山委員 それからもう一つ心配な点は、今度は経費の問題です。この計画は、すでにきめられておるように、国が五〇%なり六〇%なりを持つ、それから府県と市町村とがその残を持つ、そういう、これに出ておるような基準でやっていって、他に迷惑をかけるようなことはありませんか。
  86. 荒勝巖

    荒勝政府委員 漁港事業につきまして、国の補助率が五割なりあるいは六割なりにそれぞれ定められておりまして、それで補助を出しておるわけでありますが、そのほかのいわゆる裏負担と申しますか、地元負担と申しますか、都道府県の負担すべきものにつきましては、その負担割合につきましては、われわれのほうといたしまして、法律的にもその負担割合の率は定めておらないわけであります。したがいまして、県によりましては、残りの五〇%のうち四〇%を県が持ち、一〇%に相当する部分を市町村に持たせるとかあるいは協同組合に持たせるとかというふうなかっこうのようでありますが、県によりましては多少その辺はまちまちでございますが、おおむね四割程度を県が持たれ、一割程度を何らかの形で地元負担、市町村あるいは水産協同組合あるいは管理組合等が持っておられるやに聞いておる次第でございます。
  87. 湯山勇

    湯山委員 ここにも大きな問題があると思います。一つは、一〇%を市町村と言われますけれども、私の見た資料によれば、二五%というのがあります。それから二〇%というのは、県営で二〇%持っておるのが福島、静岡、島根、広島、山口、それから二五%が愛媛、ずいぶんあるのです。これはまた別に問題にします。  一体、漁業協同組合に持たせるというのは、どういう根拠によって持たせるのか、それを伺いたいと思います。
  88. 荒勝巖

    荒勝政府委員 漁港につきまして国が負担すべき補助率だけを明記しておりまして、あとだれがどう負担するかということにつきましては、漁港法では明確な負担割合というものにつきましては明示してないわけでございます。したがいまして、相当裕福な県におかれましてはあるいは相当な部分を持たれる県もあるようでありますが、また一部は市町村なり協同組合にも持たせるという形で、県なり市町村なりの協同事業というかっこうでこの漁港整備を行なっておられるようにわれわれとしては承っておるわけでございます。
  89. 湯山勇

    湯山委員 国、県、市町村、これはいいんです。これについて不都合だとは申しておりません。問題は漁業協同組合に持たせることが一体妥当なのかどうなのか、これをお聞きしておるわけです。さっき柴田委員の質問に、長官は、国が持つ分については国が持ちます、残余の分については、自治体が持つ分については起債の裏づけがある、それは自治省ともよく話がついているんだからということですから、あの御答弁のままでいけば、結局その他の団体である、つまり国とか県、市町村以外の漁業協同組合に負担させるということは出てこない。計画の金額が出ておりますね。それの五割なら五割は国が持つ。あとが四〇と一〇になるのか、二五と二五か、三〇と二〇か、いずれにしても、市町村が持つ分についてもちやんとその起債の裏づけをするようになっているのだからと、こういう御説明で心配ないと言うんですが、そこへもっていって漁協に負担させるというのは一体どういうわけですか。これは私は長官の御答弁が間違っていると思う。
  90. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先ほど申し上げましたように、漁港法では、それらの負担区分等につきましては明確な法律上の明記をしてないわけでございます。残りの残事業につきまして県なり市町村で共同で持つようにということでわれわれは指導しておりまして、水産協同組合等におきまして持たせることにつきましては、われわれとしては好ましくないということでありますけれども、法律的に違法性はないということもありまして、どうしてもやはり水産協同組合にも——漁港設備をほとんど一〇〇%使うのが漁協の組合員であるからということで、組合員に多少持たせる、五%なりあるいは一割弱というものを持たせるような機会がやはり間々あるようでございます。  これにつきましては、全然国としてめんどうを見ないというわけにもいきませんので、それらにつきまして、農林漁業金融公庫から漁港整備資金の一部としまして水産協同組合に対しまして補助残の融資を行なうという道を開きまして、利用される漁民の方々が不当に負担が重くならないようにこれを活用願うようにお願いしている次第でございます。
  91. 湯山勇

    湯山委員 これも地財法をよく読んでみてください。そういうことをしちゃいかぬとはっきり書いてある。そこで、おそらくやっておるのは、漁協が市町村へ審附するという形でそれが市町村負担の内容になっている、こういうことがあるいはあるかもしれません。それだって適正じゃないわけです。さっき長官がおっしゃったように、地方で持つ分はちゃんと起債でめんどうを見るという体制ができておればそういう必要はないし、できてないからそういうことをやるということになれば、結局この計画を進めていく上のネックはそこに一つあるということが出てまいります。おわかりでしょうか、言っておることが。
  92. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先生の御指摘になります点は十分わかっておるわけでございますが、ただ、この漁港法のたてまえからいたしまして、国と県と市町村だけでやれというふうな明確な整理になってない。地財法違反という形のものではない。やはり国と県と市町村のほかに、さらに協同組合にも持たしてもいいとは書いてありませんが、持たしてはならないというふうな表現は何らとってない。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 裏負担については、国の持つ負担以外のものについてはまかしてあるということで、その負担割合が県と市町村とあるいは単協との間にどういう負担区分になるかにつきましては、われわれとしましては県と市町村でなるべく持つようにという指導をいたしているわけでございますが、間々県によりましては利用者が協同組合だということで持たせるようなことになっておりますけれども、それを違法性だといってわれわれとしましては停止するわけにはいかないような法律体系になっているということは御了承願いたい、こういうように思います。
  93. 湯山勇

    湯山委員 地財法の二十七条ですね、それの二項、それから三項、よくひとつお調べ願いたいと思います。  それから、もし長官が言われるように、漁協の負担ということを認めておるのであれば、七千五百億の中のどれだけを一体漁協に負担させるのか、そういうことも当然見込んでいなければならないはずです。もしこれで完全にできるんならそういう必要はない。どっちかが間違っています。そういう間違いがやはりこの計画ができない大きな要素になっている。これをひとつ御検討願わないと、またいままでの繰り返しになる。なぜそうなるかについてもう一つ伺います。  この漁港整備の体制というのは、でたらめと言ったらことばが過ぎますけれども、私はこれではできないはずだと思いました。それは一種漁港で県管理のがあるし、二種、三種まで市町村管理のがあるし、その管理体制というのは全くまちまちです。ある県では、一種、二種、三種ともに県が管理者になっている。ところが、ある県では、一種、二種、三種ともに市町村が管理者になっている。同じ一種が、ある県では県営があるし市町村営がある。これは全くまちまち。しかも今度は国が持つ負担以外の分担も、少ないところは五、六%から多いところは二〇%、これも全くまちまちです。こんなにばらばらだと、さっきの起債といいましても、市町村が主体になっている場合には、起債は県の許可を得てまた自治省の許可を得て二段階、県のほうは一段階でいきます。とにかくこれを一体どうして今日までほっておいたんだろう。飛躍的にこれだけの三倍もの計画を実施する、機構も改革していくというのならば、まずその体制自体を整備してかからなかったら、これは絶対第五次整備計画もいままでの二の舞い、こう断言できると私は思います。どうしてこんなばらばらなままいままでほうっておいたのか。今度はこの機会にこれをきちっと整える、そういう御計画があるのかどうか、これを承りたいと思います。
  94. 荒勝巖

    荒勝政府委員 この漁港の管理者の指定につきましては、漁港審議会の議を経まして定めた基準に従いまして、関係都道府県知事の意見を聞いて農林大臣が指定するということになっておりますが、その基準におきましては、おおむねでございますが、第一種漁港につきましては原則として市町村、第二種または第三種漁港については原則として都道府県、また第四種漁港については例外なく都道府県、こういうふうにいたしておるわけでございますが、往々にしてこの辺の管理の基準につきまして、先ほど指摘のように、なお都道府県あるいは市町村においてまちまちの点もございますので、われわれといたしましては、漁港管理者は、漁港の維持管理費をはじめ整備事業に対する負担等の問題もございますので、今後できる限り都道府県知事が漁港管理の責任者になるよう指導してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  95. 湯山勇

    湯山委員 それはいつまでにできますか。
  96. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいま申し上げましたように、指導してまいりたいということでございますし、また過去におきましてわれわれとしましてもそういう指導をしてきておるわけでございますが、市町村によりましては、やはり漁港の管理の責任者であったほうが漁港の運営上都合がいいというようなこともありまして、小さな漁港につきましてはなかなか市町村長自身が管理者たることを返上することをがえんじないということもございますので、多少時間は食うんではなかろうか。しかし、われわれとしましては、極力都道府県知事に管理の責任者になるよう指導したい、こういうふうに考えているわけでございます。
  97. 湯山勇

    湯山委員 いまおっしゃったのは、一種、二種もそうですか。
  98. 荒勝巖

    荒勝政府委員 第三種につきましては、漁港の規模が大きいだけにほとんど都道府県知事ということに、大体そういう線に沿っているわけでございますが、むしろ小さな一種、二種のほうに市町村長が管理者になることを強く希望しているということもありますし、また、あるいはその辺の問題があるかもわかりませんが、自治省のほうで地方交付税の配分の対象に漁港の管理者たる者の経費を多少見込んでいるということもありまして、そちらの市町村長が漁港をなかなか手放さないという問題もあるやに聞いておる次第でございます。
  99. 湯山勇

    湯山委員 逆なこともあるんです。一種で県営のが三百二十二、市町村営が千八百三十六、二種で県営が二百七十一、市町村営が二百、それから三種で県営が八十七、市町村営が三、それから特三で県が十、市町村が一、四種はありません。ですから、これはおっしゃったように、きちっと整理も何にもできていない、いまの一種、二種は。これはきちっとしなかったら自治省だって迷惑ですよ。ここは市町村があるからとかなんとかでやらなければならぬし、いやここに一種の県もあるというのでは、自治省だってこれを整理してあげたらずいぶん人手も助かる。県も助かる。さっきの漁協の負担の問題も、持たせないようにするという方針だったら、やはりきちっとやらなければだめですよ、これは。それからこれも整理するというならば、きちっとやらなければだめです。  それから、これはたまに一割ぐらい例外ができるというのだったらこんなに言うつもりはありませんけれども、全く二種なんか大体半々ですよ。それをほっておいて金額だけふやしてこの計画をやると幾ら長官がおっしゃっても、私はできないと思う。ほんとうに今度これを整理する御意思はありますか。
  100. 荒勝巖

    荒勝政府委員 整理するという方針かとこう御質問でございますが、われわれとしましては、漁港審議会の議を経て、そういう線に沿いまして指導強化を続けてまいりたいというふうに理解しておりまして、無理やりに市町村長がどうしてもあの漁港はおれが管理するんだと言っておられるのを取り上げるというのもどうか、法律的な問題として別に違法性がないということで、これにつきましてはある程度やはり市町村長の希望も尊重してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  101. 湯山勇

    湯山委員 そこがはっきりしないでしょう、政務次官、お聞きいただいて。審議会の意見を聞いてと言っても、審議会の原案は水産庁が出すのでしょう。そうですね。それをはっきり答えてください。原案はあなた方が出すのでしょう。
  102. 荒勝巖

    荒勝政府委員 一応審議会というものは、大体政府の諮問機関ということもありまして、事務当局が当然に原案を出すのが従来の慣習的な、そういう筋道になっておるやに聞いております。われわれもそういうふうに実行しておりますが、しかし、あくまで審議会の議は尊重いたしますので、最近におきましては、いろいろな段階におきまして修正なりしかるべき訂正の御意見が非常に多いということも存じておる次第でございます。
  103. 湯山勇

    湯山委員 そういうことですから、さっきのように、その整理はしようと思って指導しておる、漁協等には負担させないようにしておる、それはいいのです。それならそれで諮問のときにそれを言って、それから今度はこれだけ大きい計画でこういうふうにやっていくのだ、水産庁の機構も変えてこういうふうにやっていく、したがって今度はこうしますという体制がなければ私はできないと思うので、ほんとうにこれはやってもらいたいし、今度は途中で腰くだけにならないようにぜひやってほしいという気持ちで、えらいきついことを言っておるのはそういう意味なんです。  ですから、これはほんとうにやるのなら、ほんとうにやりますと原案を出して、それで審議会でも——いまのように事を分けて話せば、わけのわからぬ人を選んでおるわけじゃないのです。ですから認められるはずです。どうですか、今度この機会にやる御意思はありませんか。
  104. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ケース・バイ・ケースの問題もあるかとも思いますが、やはり漁港につきまして、非常にしっかりした市なり町村で、漁港だけが一つの大きな事業であるというような市町村等がありまして、非常に漁港整備について努力されている市町村等がございまして、これらにつきましては、やはりその市町村が管理をどうしても留保するということになりますと、われわれとしましても、無理やりに取り上げるのはどうか、また、管理能力という点からもその市町村にも相当能力ありという判断をせざるを得ない場合もありますので、これらにつきましては、あくまできついことは言いにくいのですけれども、一つの指導指針としましては、あくまで都道府県知事がまず原則としては管理責任者というふうに指導してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  105. 湯山勇

    湯山委員 これも問題は大きいようですから、政務次官もお聞き願っておったので、政務次官、率直にお感じはどうですか。
  106. 中尾栄一

    中尾政府委員 問題点が幾つか多岐にわたったと思いますけれども、特に地財法の問題なども、二十七条の問題等も加味しまして少しく検討してみたい、こう思っております。  さらに、一種、二種、三種並びに四種、まあ四種は例外といたしまして、一種が市町村、並びに二種、三種が知事が管理経営しておるというような、いささか錯綜しておる場合が多いのではないかという御指摘、さらにまた、二種、三種の中におきましても半々くらいなバランスであるということはこれはどういうことかという御質問でございますが、まさに、聞いておりますると、種々考慮に入れて判断をしていかなければならぬ問題も多数あるかと思いますから、十分に検討課題にしていきたい、こう考えております。
  107. 湯山勇

    湯山委員 時間がありませんから、いまの問題も、私は、これはもう一つそういうふうに管理がきちっとしてくれば、今度は、その県と市町村との負担区分——これもとにかく百分の四十五と五ぐらいのところから二十五、二十五まで、全くまちまちです。これらも含めて一ぺん大きな整理を必要といたしますので、この最後の質問も大臣が見えてからに留保させていただきたいと思います。
  108. 佐々木義武

    佐々木委員長 諫山博君。
  109. 諫山博

    ○諫山委員 漁港整備計画は、第一次から始まって第五次にわたるようですが、第一次計画で採択された漁港の数は三百七十三、そのうち年次内に完成した漁港は四十一、完成した漁港の比率は一一%という数字が出ているようですが、この数字は間違いないでしょうか。
  110. 荒勝巖

    荒勝政府委員 漁港整備計画の第一次、第二次、第三次、第四次といままで事業計画を組んできたわけでありますが、第一次漁港計画では、漁港数四百五十港を選定いたしまして計画の対象にいたしまして、計画期間は昭和二十六年度以降ということになっておるわけでございますが、実績といたしましては、港数にして四百五十のうち、着工したのは三百七十五港でございまして、未着工が七十五港であったというふうにわれわれとしては理解しておりまして、三百七十五港着工したうち、完成したものが四十三港であったということは事実でございます。
  111. 諫山博

    ○諫山委員 この採択された漁港の四百五十というのはいつまでに完成する計画だったかという予定は、当時立っていなかったのでしょうか。
  112. 荒勝巖

    荒勝政府委員 当時の漁港整備計画では、先ほど私、ちょっと触れましたように、昭和二十六年度以降ということで、実は期限を付してない漁港整備計画であったというふうに御理解願いたいと思います。
  113. 諫山博

    ○諫山委員 それにしても、せっかく第一次の整備計画に出ておりながら、着工さえされなかった漁港が七十五もある、着工されても完成したのはわずかに十数%、これではあまりにも工事の速度がおそ過ぎると思いますが、この点をどうお考えでしょうか。
  114. 荒勝巖

    荒勝政府委員 この第一次の漁港整備計画におきましては、先ほど説明申し上げましたように、四百五十港を対象にしながら、着工したものが三百七十五港で、そのうち完成したものは四十三港で、未着工が七十五港ということで、われわれとしてはこの計画の実行についてははなはだ残念に思っている次第でございます。  なお、全体としての、昭和二十六年度から結果的には昭和二十九年度までの四カ年間というかっこうになっておりまして、そのあとに第二次漁港整備計画提出しているわけでありますが、その二十六年から二十九年度までの進捗率というものは、私たちの判断によりますと二二・三%の進捗率、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  115. 諫山博

    ○諫山委員 第四次計画について、いまの数字を御説明願いたいと思います。
  116. 荒勝巖

    荒勝政府委員 第四次につきましては、これは年次を区切っておりまして、一応昭和四十四年から四十八年度に至るまでというふうになっております。したがいまして、漁港整備計画の対象といたしましては三百七十港、このほかに沖繩二十二港というものを別に上乗せといいますか、プラス二十二港でございまして、計画期間といたしましては、いま申し上げましたように四十四年から四十八年。  そのうち着工いたしましたものは、三百七十港いたしております。そのほか沖繩について十九港着工で、これはほとんど全部着工したように理解しております。そのうち完成したものは四十八港ということでございます。  なお、進捗率といたしましては、全体計画で、四十四年から四十七年度までの進捗率でございますが、これは七七・五%の進捗率、大体最終年度の四十八年度までにかりに延ばしておれば九五%か一〇〇%近くまで行っておるのではなかろうかと思いますが、一応四十七年度末で整理いたしますと、七七・五%という進捗率というふうに御理解願いたいと思います。
  117. 諫山博

    ○諫山委員 前回の第四次計画についてもう少し聞きますと、とにかく着工した三百七十港のうち四十八港しか終わらなかった、この点は予想どおりの結果でしょうか、それとも予想と違った結果が生じたのでしょうか。
  118. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先ほど申し上げましたように、四十八年度、来年度でございますが、最終年度まで計画予定に従いましてこのまま事業を実施いたしておりますれば、あるいは一〇〇%近いところまで進捗したのではなかろうか、こういうふうに私どもの予想を申し上げたわけでございますが、この予算もこの三、四年来年率三〇%をこえる事業費がつくようになりまして、第四次漁港整備計画といたしましては、進捗率は相当進んだものというふうに私どもは考えておるわけでございます。しかし、その間また別の面で、いわゆる漁船大型化あるいは漁船数の増大、そのほか経済的な要請等がありまして、いつまでも古い型の第四次漁港整備計画にこだわっておるわけにいかないということで、新しく第五次漁港計画を年度途中で提出するような事態になった、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  119. 諫山博

    ○諫山委員 農村における労働者の賃金の上昇率を見ますと、この十年間に大体三倍以上ふえている。それから物価上昇もこの十年間に一八五%になっている。こういう点をどのように考慮しながら第五次の計画を立てられたのか、御説明願いたいと思います。
  120. 荒勝巖

    荒勝政府委員 第五次漁港整備計画をつくるにあたりまして、日本政府としてつくっております社会資本の充実計画というものがございまして、その計画をつくります過程で、それぞれの将来における公共事業に対する政府の投資額ということが一つの大きなめどになりまして、漁港整備計画も一応その中の一つにパートを占めておるというふうに御理解願いたいと思います。それがメルクマールになりました指標の一つでございます。  さらに第二番目といたしまして、漁業の展望という観点からいたしておりまして、将来国民所得の増大と非常に多角的な栄養摂取の形態ということも含めまして、魚類たん白に対します需要が非常に強い……。
  121. 諫山博

    ○諫山委員 私の質問と答えが食い違っているようですが、私は工事を進めていく経費の観点から聞いているんです。労働者に支払うべき賃金とか諸資材費が今後当然上昇するわけですが、その点をどういうふうに見込んでいるのかと聞いているんです。
  122. 荒勝巖

    荒勝政府委員 どうも失礼いたしました。  今度の七千五百億円の予算の全体計画をつくりますにつきましては、一応全体計画の中で現在の物価の上昇率というものを多少見込みながら、しかも、先ほど申し上げましたように五百億円の調整費というものを織り込んで、四十八年度の物賃単価でこの事業を繰り込んだ。したがいまして、物価その他資材等、今後その変動によりましてはその事業内容もあるいは多少変わってくるかもわかりませんけれども、われわれといたしましては、今後五カ年間耐えるものを今回提案いたしてみた次第でございます。
  123. 諫山博

    ○諫山委員 労働者の賃金も現在の賃金を基準にして計算しているんでしょうか。つまり将来の上昇というものを見込まないまま。
  124. 荒勝巖

    荒勝政府委員 一応政府でつくります各種公共事業等の五カ年計画と申しますか、そういったものにつきましては、さしあたり作業の要因といたしましては、将来における物価あるいは賃金の上昇というものは見込まない四十八年度時点におきます物賃というものを前提として作業をいたしておる次第でございます。その中の一環として漁港も同じ適用を受けている、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  125. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、現在の物価、現在の賃金が基準になっているようですから、この計画どおり実施されないほうが当然だというふうな見通しになるんじゃないでしょうか。
  126. 荒勝巖

    荒勝政府委員 したがいまして、事業がかりに三年なりの間に順調に年々の予算のつき方で伸びてまいりますと、あるいは途中で全体計画の七千五百億円という壁に突き当たることになるかもわかりませんが、そこに、先ほど説明申し上げましたように五百億という予備財源というものを一応用意いたしておりまして、この五百億で泳げる間は泳ぐ。泳ぐと言ったら失礼ですけれども、五百億円を調整として使っていく、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  127. 諫山博

    ○諫山委員 いままで四回にわたって年次計画が続けられ、そしてその実績を見るときわめて不十分だ、ほとんど計画どおり実施されていないということに私は問題を感じたわけですが、いまのような説明だとすれば、これは計画どおり実施されるほうがふしぎだと思えるような実情ではないかと思います。  そこで、私は、この問題に関して幾つかの漁港調査をしました。その一、二についてお聞き願いたいと思います。  一つの事例は、静岡県の伊東市にある富戸漁港。ここは局部改良事業ということになっております。事業主体は伊東市、事業の工事名は南防波堤、そしてこれを二十メートル延ばして、予算としては二千五百万円、このうち国の負担、県の負担、市の負担があるわけですが、漁協の負担が一〇%であります。  どういう根拠で漁協が金を出しているか調べてみますと、伊東市には伊東市補助金等交付規則というのがあるそうです。これで受益者負担という名目でいろいろ金を徴収している。しかし、この交付規則の中には、漁港整備を当てはめるような条項がない。だから、この規則に基づいて漁協に金を負担させることは法律的にどうも問題がありそうだ。しかし、漁協にはどうしても負担してもらいたいというので、まあ慣例ということで漁協に一〇%の金を負担させているというようなことがいわれております。漁協側はどうして金をつくっているかといいますと、何しろ小さな漁協ですから一〇%の金をつくるというのはたいへんです。しかし、それでも、たとえば四十七年一月の津波あるいは二月の津波で大被害を受ける、また四十七年の三月には作業中の漁船が沈むというような問題もあったから、たいへんだけれども金をつくらざるを得ないということで、自治体の規則にもないけれども、慣例ということで二百五十万の金をつくっている。こういうことがいわれているんですが、こういう実情についてどう考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  128. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先ほど来申し上げておりますように、国は国なりに漁港法に基づいて国の負担割合をきめておるわけでございますが、残りの県、市町村あるいはその他の組合の負担区分につきましては漁港法は明記していないということが基本的な原則でございます。大体、県によりましてもその点は相当まちまちでございますが、静岡県におきましては、御存じのように、国がかりに半分、五〇%持った。で、県費が残りの二五%を持ち、市町村が一五%を持つ、そして組合が一〇%を持つというふうな指導を行なっておるようでございます。  それで、われわれといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、県なり市町村なりが残りの全額を相当な割合で共同事業で負担するのが適当である、こういうように考えておりますけれども、法律的には、それを組合に多少五%ないし一〇%を持たせるということについて違法性であるということも言えないというのが現在の漁港法立場でございます。  なお、組合になぜ持たせるがということにつきましては、特定の漁民の方々がこの漁港を利用して多少でも経済的利益をあげるというのが漁港の一つの特徴でございますので、利用者が不特定多数ではなくて、組合員のメンバーに限られておるということで、しかもその方たちが漁港を利用することによって何がしかの利益が増大するということがあって、県としましては組合に一〇%程度の負担を持たしておるのではなかろうか、こういうふうに判断する次第でございます。
  129. 諫山博

    ○諫山委員 この金を漁協に負担させることが違法かどうかという論議が提起されました。この問題について政務次官のほうでは検討するというおことばですから、私はもうこの点は聞きません。ただ、漁協に負担させることが適当ではない、できるならすべてを自治体に負担させたいという御説明のようですが、これはそう聞いていいのですか。
  130. 中尾栄一

    中尾政府委員 先ほど湯山先生並びに諫山先生、ちょうど関連する御質問があったわけでございます。本来ならば当然これは国の負担が半分、さらにその残り五〇%は、四〇%が地元負担、一〇%は、地元負担の中においても県費ではなく、むしろその恩恵をこうむる地元が支払っていくというたてまえになっておるわけでございまして、御承知のように、私どもといたしましては、その漁業によって、しかもそこの漁港がよくなることによって利益を多少なりとも個人個人によって収入でき得るという上に立って、その負担を自分たちが任じていくという点は、いままで慣例によってやっておるようでございます。したがいまして、農林省側の意見としましては、いままでのそういう慣例があるのに、いまここで四角四面にとらえていくべきであるかどうかという一つの疑念を持ちながら答弁しているように感ずるわけでございまして、私もその理屈がわからぬわけではございません。かと申し上げまして、先生の御指摘でございますそのような慣例をずっと常用していっていいのかという御質問になりますと、これは私は前向きに検討させていただかねば相ならぬ問題である、また、研究の上この問題は判断を下すべきものである、このように考えたことを御答弁として申し上げた次第でございます。
  131. 諫山博

    ○諫山委員 長官も次官も漁港整備の金を漁協に負担させるということが適当でない、望ましくないことであるということはお認めのようですが、この点についていままでどういう行政指導をしてこられたのか、長官のほうにお聞きします。
  132. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先ほど来申し上げておりますように、水産庁といたしましては、国の負担割合については五〇%ないし六〇%ということを法律で明記されておりますので、その線で補助金を配分している次第でございますが、先ほど来申し上げておりまするように、残りの負担割合については、県なり市町村なり単協なりの段階において明確な法律上の負担区分が設けられていない。と申しますのは、受益者負担の原則というものも多少どこかに働いているものと思われまして、これにつきましては行政機関の姿勢にある程度ゆだねる。その結果、都道府県が三〇%前後を持たれ、そして市町村が一〇%くらい持たれ、残りを漁民の受益者の負担というふうに、従来からそういうふうになっておりますので、ことさら県と市町村の負担区分を明確に指導したというふうなあれは、われわれとしてはあまりそういう指導通達等を出した経緯はございません。
  133. 諫山博

    ○諫山委員 望ましくないという状態であるとすれば、行政指導するのが当然ではないですか。いまの状態が当然だ、全く問題にする余地がないというのであれば、行政指導はしておりませんで済みましょうが、望ましくない状態であるとすれば、それを是正するために行政指導をするのが当然だと思います。いままでは行政指導しなかったとして、これからは何らかのことをするつもりなのかどうか、もう一ぺんお答え願いたいと思います。
  134. 荒勝巖

    荒勝政府委員 漁港の一部につきまして非常に大型化してくる、たとえば特定第三種漁港で、従来どおりの方針でほっておくと非常に県なり市町村なりさらに漁民の負担も増大するおそれがあるというようなものにつきましては、むしろ積極的に国自身が国の負担割合を引き上げることによって、五〇%から六〇%というふうに引き上げることによりまして、この関係者の負担を結果的には軽減するような方針で従来臨んでおりまして、こういった負担割合についてわれわれとしましては従来からあまり明確な指導はいたしていないというのが現状でございます。
  135. 諫山博

    ○諫山委員 私は過去のことを聞いているのじゃないです。きょうの委員会を通じて、こういう状態が望ましくないという点では、あなた方の意見は一致したんじゃないかと思います。いままで行政指導しなかったとすれば、これからはやるつもりかと聞いているのです。いかがでしょうか。
  136. 中尾栄一

    中尾政府委員 望ましくないとか、あるいはそういう御質問になりますると、いささか私どもの答弁にもニュアンスを入れて考えた答弁をしなければならぬと思うのでございます。と申しますのは、これは漁港の問題に限らず、農村のあるいは市の道路の問題を画一的にとらえてみましても、県道、国道その他いろいろございます。国道は例外といたしましても、県道の場合でもあるいは町村の道路にいたしましても、国で負担する割合並びにこれが県負担あるいはその地元負担というのは通例行なわれておったわけでございまして、漁港にしましても私はそれが例外であるべきではないという感じを受けとめておるわけでございます。  と申しますのは、それが法律内の問題であるあるいは外の問題であるということは別にいたしまして、たとえば一つの特定の漁港というものに対して国家がそれだけのささえをしてやる、それによってその地元に大きな繁栄をもたらしていく、同時にそれは、受益者負担をして、自分たちの漁港をりっぱなものにしてもらうことで自分たちの利益にもつながっていくということによって、その特定地域の与えられた環境の人たちは非常に繁栄と同時に収入も得られるわけでございましょうが、全然それに関係されておらない沿岸の方々は、国によるメリットは何にもいただいていないということにおけるアンバランスは、これまた行政の面から考えますると、あまりにもアンイコーリティではないか、不公平ではないかということにもなるわけでございまして、私どもはあくまでもその地元民の要請に応じてやって差し上げる場合、当然国も応援をさせていただくが、同時にまた、全部これが自治体負担でもってやるべきであるという前提に立つよりも、地元の中において十分収入があげられていくというメリットを感じていった場合には、その各位の方々も、自分たちの収益につながっていく道として国が負担するのであるから、自分たちもそれに負担をしていくということは、決して私は行き過ぎた考えではないという事例として受けとめて繁るのでございます。
  137. 諫山博

    ○諫山委員 私の調べたもう一つの事例を紹介したいと思います。  福岡県宗像郡津屋崎町にある津屋崎漁港、これは今度の第五次計画で第二種漁港としてあがっている港です。ここに漁港組合がありますが、組合の実態は組合員の数が百三十五人、年間の水揚げ漁獲高が一億三千万円、その中の五%である年間六百五十万円が漁協に入って、これが漁協の運営に充てられているそうです。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕  この漁協には七名の役職員がおりますから、漁協に入ってくる金というのはほとんど人件費で食われるという実情です。もっとも幾らかの事業はやっているようですが、この収入はわずかだ。しかし、この地域でも、どうしても漁港整備してもらいたいというのでいろいろ県なんかに陳情したようです。そして五年間に六億二千万円で港を整備してもらいたいという要求を出した。これが今度の計画に盛り込まれているわけです。  これを見ますと、漁協が負担する金額というのは、津屋崎町が全体の経費の一〇%を負担する。その中の四割が漁協の負担というような計算になっております。そうすると、大体漁港整備のために漁協が受け取る収入の大半というのは消えてしまうというような状態になります。これを見ても、漁港整備のために漁協が出している金額がどんなに漁民にとって大きな負担になっているかということはおわかりだと思います。そういう状態を正常な状態だとお考えでしょうか。それともやはりこういう状態では漁民はたいへんだろうというふうにお考えですか。
  138. 荒勝巖

    荒勝政府委員 私、その港へ行ったことがないので十分なお返事になるかどうかわかりませんが、やはり漁港整備いたしますと、漁船の能力もいずれそれに即応いたしまして大型化し、あるいはそのほかの水揚げ設備等も近代化、合理化されまして機能的に一段と飛躍するわけでありまして、当該漁港のあります漁村、部落の利益にもつながるという結果を招来するのではなかろうか、こう思います。したがいまして、当該漁港地区、津屋崎の町民、漁民の方方も漁港整備を強く要望されておったのではなかろうか、こう思います。  ただし、これにつきましてその負担金を直ちに全部一年間にあるいは工事期間内に納めるという制度にはなっておりませんで、町村の一〇%のうちの四割が漁民の方々の負担だ、漁協の負担だという御指摘のようでございますが、これにつきましては、農林漁業金融公庫からその分につきまして低利の融資の道が開かれておりまして、一定の期間かかって返済する、この漁港大型化に伴う利益の一部を長年かかって返済していく。そういうことで今後それぞれの漁港が繁栄していくのではなかろうか、こういうように考えておる次第でございます。
  139. 諫山博

    ○諫山委員 いまの質問の中で津屋崎町の負担は金額の四割を漁協と言ったのは五割の間違いですから、これは訂正しておきます。  いま言われたとおり、こういうきびしい負担が漁民にかけられておっても、なおかつ漁民のほうでは漁港整備を希望しているというところに非常に深刻な実態があると思います。たとえば伊東市の富戸波止の場合には、早く工事を進めてくれ、計画にのぼっている二十メートルではなくて、四十メートル延ばしてくれ、当然そうすると漁民の負担も多くなるわけですが、それでもやはり漁港整備のほうが先だというのが実情のようです。福岡県の津屋崎町の場合も同様です。経費はたいへん高いけれども、それでも漁港を放置しておくわけにいかぬから、もっと早く進めてくれという要求を漁民が持っているというのが実情です。このことは、漁港整備がどのくらいいま緊急な課題になっているのかということを物語っていると思います。また、こういう希望が、非常に大きな負担があるにもかかわらず、漁民側から出ているということは、いままでの整備計画が、計画はできたけれどもなかなか実現しないという不満のあらわれでもあるわけです。私は二つの実例をあげたわけですが、これは漁港整備が余分なことだというのではなくて、こういう状態の中でもなおかつ漁民の人は漁港整備を熱望している。この点をぜひ考慮してもらいたいと思うのです。  さらに、いま日本全体の漁港の数が二千八百二十四だということがきょういただいた資料に出ております。これから見ますと、第五次の整備計画というのがいかに不十分であるかということも明らかだと思います。私はそういう立場から、まず国の負担率、補助率をもっと高める必要がある。そして工事をもっと進める必要がある。全体として国はもっとたくさんの金をつぎ込み、そしてすみやかに漁民が非常に重い負担を負わされている実情を解決して、漁民の負担がないような状態をつくり出してもらいたい。そのためには国の負担率については法律改正ということも当然議論になってくると思いますが、こういう問題も含めてぜひ農林省のほうで真剣に検討いただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  答弁はけっこうです。
  140. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、中川利三郎君。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  141. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は、今回の漁港整備計画変更の中で、特に太平洋区と日本海区の漁港の問題でお伺いしたいと思うわけでありますが、まず日本列島の地図を広げますとだれでも気がつくことは、太平洋区に比べまして日本海区には漁港が非常に少ないということであります。手持ちの資料によりましても、漁港総数、いろいろ海区はあるわけですが、日本海区と太平洋区の比較でありますと、漁港総数が日本海区で四百十八、太平洋区では八百十七あります。全国比で見ますと、日本海区がわずかの一五%、太平洋区が三一%です。今度の第五次計画の改築を見ましても、日本海区が六十港です。太平洋区は百二十五港です。たとえば一種の採択した今度のあれを見ましても、日本海区は八港ですかにすぎないのに、太平洋区は二十四港、三倍になっております。  そこで、お伺いしたいことは、なぜ日本海区と太平洋区でこのような漁港の差ができているのか、このことについてまずお伺いいたします。
  142. 荒勝巖

    荒勝政府委員 漁港の指定につきまして、海区によりまして漁港の指定を行なうということはおよそいたしておりませんで、やはり漁業の実態から見て必要なものについては漁港の指定を行なうという、従来からそういう方針で来ております。  なお、今回の第五次漁港設備計画につきましては、ただいま御指摘のように、全国四百二十港のうち、日本海岸につきましては全体で六十五港ということでございます。これにつきまして多少参考として私たちの一つのデータを説明させていただきますと、海岸線九・九キロメートルにつき一港というのが全国的なベースで、日本海については九・一キロメートルについて一港ということで、海岸線の延長からいたしますとそれほど不利にはなっていない、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  143. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 海区ごとに漁港の数はきめておらないんだという、そうでありましょうが、実態として日本海区と太平洋区とのたいへんな違いがあるわけですから、つまり、裏日本と称される沿岸漁民の皆さん方は、漁業そのものが、この中で太平洋区に比べますと非常に犠牲を受ける状態が出る、こう考えるわけです。  そこで、日本海区にそんなに少なければ太平洋区並みに新しく漁港をつくる、こういうことがやはり政治だと思うのですが、そこら辺についてどう考えますか。ただ、いままでこうだからその延長でやるんだということでは、全く日本海区のおくれは解決していかないと思うのですね。これについて、農林次官、あなたなんかどうですか。
  144. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先ほど説明申し上げましたように、漁業の実態を反映して漁港というものは整備されていくことになりますので、日本海側は、全体の漁業生産量からいたしますと、現在の時点では二%というふうにシェアが非常に少ない、あるいは船の数、登録トン数からいたしまして、これも一一%というようなこと等からいたしますと、港だけつくってもあと水揚げが少ないというのでは、やはりその経済効率があまりよくないということもありますので、それらを踏まえて、漁業振興状況と相並行しながら漁港というものは整備いたしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  145. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 漁業の実態を反映すると言いますが、歴史的に日本海側というのは、政府のそうした施策について非常に日が当たらなかったわけです。だから今日のような状況が起こっておるわけでありますが、そういう既定の事実の中で、現状を踏まえて漁業の実態云々ということであれば、永久に日本海側は日を見ることがないという状態が出てくると思うのですね。そうなれば政治はどこにあるかということを聞いているのです。次官、ひとつお答えいただきたいと思います。
  146. 中尾栄一

    中尾政府委員 あくまでも政治の要諦は、平等に、なおかつ日の当たらないところに日を、またそういう基本方針で愛情をもって貫いていかなければならぬのは為政者のとるべき当然の態度だと私どもは思っております。そういう意味におきましては、先生の御趣旨を前向きに十分検討させていただきまして、そのようにこたえていきたいと思っております。
  147. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今回の漁港整備計画提案理由説明を見ますと、「漁業動向に即応して、全国にわたり計画的に整備拡充」、私は秋田でありますが、「全国にわたり計画的に整備拡充」でありますから、つまり、皆さん方に言わせれば裏日本ですが、私たちは、日本海こそほんとうの表日本といいますか、新しい日本の姿だと思っているわけでありますが、当然裏日本も、もしなかったならば、太平洋側と同じようなかっこうでつくるという観点がぜひとも必要であると思うのです。こういうことについてもう一回お答えいただきたいと思います。
  148. 中尾栄一

    中尾政府委員 先生の御趣旨はよく尊重して考えていきたいと思いますが、ただいま長官が答弁いたしましたように、やはり自由主義国家の中におきます日本の経済的立場といいますと、いままでの歴史的なものを十分踏まえまして、経済効率等も考えて対処していくというのは、日本の経済伸長のために当然とっておったあたりまえの態度であったという感じもいたします。そういう意味におきましても、もっと政治の愛情というものを日の当たらないところに当てていくべきだという先生の御趣旨は当然のことと考えておりますので、その点も前向きに検討したい、こう考えております。
  149. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 先ほど次官は、快適な漁村過疎のない豊かな漁村、健全な漁村の建設ということをおっしゃいましたね。それで、いまの水産庁長官のような考え方をふえんしていきますと、日本の各海区とも調和のとれた漁業発展ということはなかなか出てこないわけですね。そういう点で、いま前向きに検討するというお話がありましたが、前向きの中身の問題にもなろうかと思うわけです。特に秋田県というのは、日本で六番目に海洋線が長い。二百二十何キロあります。そういうところにわずか十九しか漁港がないんですよ。それも内水面の漁港二つを含めての計算ですから、非常に少ない。こういうところに積極的にあなたのほうで——たとえば三沢が先ほど問題になりましたね。青森の三沢には何にも漁港のないところへつくるというんですからね。それなら、もっと日本海側に、そんなにたくさんの海岸線を持っているんですから、つくるということでひとつ、あらためて前向きに検討するというだけではなしに、そういうお考えはお持ちでありませんか。つまり、漁港はつくるものだという点で、政策的にひとつ日本海側の漁業発展させるというお考えの持ち合わせばないかどうか、もう一回お聞きしたいと思います。
  150. 荒勝巖

    荒勝政府委員 いま三沢漁港のことについて御意見がございましたが、これも青森県が非常な熱意を込めまして、ぜひああいった過疎地区に漁港整備したいという強い御要望がございましたので、われわれといたしましても、その熟慮を取り上げまして、設計上の問題点を克服しながらこれを整備してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  秋田県につきましても、また県のほうで適正な漁港候補地をあげられ、かつまたその漁港が魚類の水揚げ高等から検討いたしまして適当であると思われるならば、われわれといたしましても十分に県と協力いたしまして、実現に努力してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  151. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 水産庁長官、青森の場合は何にもそこに漁港がなかったところへつくるんだ。あなたはいま、水揚げ高を勘案して、秋田県でもそれだけの熱意があればやるというようなお話がありましたが、実績も歴史的な経過も何もないのに、熱意があるからつくる、片一方はいままでの水揚げ高とかそういうものを参考にしてつくるかもしれぬ、それも熱意いかんだということは、少しおかしいんじゃありませんか。あなたの答弁の矛盾じゃありませんか。
  152. 荒勝巖

    荒勝政府委員 青森の場合も、やはりいい漁場というものを背後地に持っておられまして、そしてそれがたまたま漁港がないがゆえに——砂地の場合、従来の工法では漁港をつくることがなかなか困難な場所でございましたが、新しい工法では漁港がつくれる、さらに背後地としては、いい漁場を持っておる、イカ釣り場としてはいい漁場を持っておるということで、漁港をつくられても十分経済的に採算が合うということで採択するというふうに私は申し上げたのでございまして、秋田の場合におきましても、いい漁場をバックに、さらに今後繁栄が期待できるような漁港候補地を選定されるならば、われわれとしてもそれについて協力をいたしたいと申し上げている次第でございます。
  153. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今回の第五次の修築の例を見ましても、修築漁港については日本海区が約六十で、太平洋区が百二十五ですね。全国比で見まして、日本海区が一四%に対して、太平洋区が三〇%です。こういう状態を推していけば、日本海側と太平洋側との格差がいよいよ増大していく、そういうことになると思いますが、このことはお認めになりますか。
  154. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先ほど来申し上げておりますように、漁港整備にあたりまして、背後地の漁場というものをにらみながら、十分に計画どおり水揚げが可能なような地点につきまして漁港整備計画を推進しておりまして、決して不当に日本海と太平洋との間のアンバランスをいろいろ検討の上というふうな考え方は持ってないわけでございます。ただ、今後、日本海側におきましても、水産庁といたしまして、日本海の栽培漁業の推進ということについてはさらに推進してまいりたいと思っておりまして、これによりまして日本海の漁業が繁栄することによって、あるいは漁港整備も今後さらにする必要があるかと思いますが、現在の時点におきましては、今回提出した計画どおり実施いたしたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  155. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 漁業に限らず、日本海側というのはいろんな面で、たとえば交通の問題でもほかと比べて大きいおくれがあることは事実なんですね。今回の皆さん方が出した漁港の指定基準というような文書がありますが、これを見ましても、日本沿岸、秋田、山形、新潟、富山、石川、福井、京都、兵庫、鳥取、島根、これらの漁港については、つまり普通の採択する基準の七〇%で採用すると、こう書いてありますね。このことは非常に日本海側の皆さん方に対する思いやりのようにも見えるのです。そういうようにも受け取れる節があるわけでありますけれども、そうしなければならないぐらい日本海区の漁業漁港の体質が弱っているところのあらわれだからそうしたわけですが、そうであれば、やはり日本海側に大きく漁港をつくっていくということが絶対必要な要件だと思うのです。いままでだめだから、普通ならば一〇〇%なければならないのを七〇%で採択してあげましょう——これはありがたいことだけれども、そういうことではほんとうの日本海の発展ということは、日本海を平和の海に発展さしていくということは望めないと思うのですね。そういうことで漁港の指定基準からも特別扱いというか、つまり差別扱いというか、こういう状態が現状だということについて、われわれ非常に屈辱感を覚えるのです。だから、地元が熱意がないからだとあなたは片づけますけれども、政府施策として日本海をこう位置づけるという位置づけがないから、地元も結局、私らから言わせれば、大きく要求していけないということもあると思うのですね。そういう点、あなたは政府ですから、地元云々ということではなくて、やはり為政者として、先ほど次官のああいう発言がありましたけれども、やはり私はここは何としても、あと大臣が来たらそのときお伺いしますけれども、そういう位置づけについて、何かおかしいじゃないかと思うので、これについてもう一ぺん御答弁いただければありがたいと思います。
  156. 荒勝巖

    荒勝政府委員 今回の漁港整備計画を立てるにあたりまして、数年かかりまして各県と国との共同事業のような形で調査を進めてまいりまして、それで結論的に申し上げますと、各市町村でつくられた漁港整備計画の原案を、原案のもとになったようなものを県の段階におきまして調整され、またそれが国へ上がってきて全体が四百二十港、七千五百億円の第五次漁港整備計画ということになって今回提案したいきさつがございまして、われわれといたしましては、十分に各県の御要望に沿うよう努力したつもりでございまして、その中で、国力なりあるいは日本の魚の将来の発展状況、千三百万トンのたん白を必要とするというようなことを勘案しながら今回の漁港整備計画を立てたいきさつがございまして、これらにつきまして、今後とも十分に地元の繁栄ということは今回の漁港整備計画の当初の段階におきましても十分念頭に置いて整備したつもりでございまして、この姿勢は今後とも続けてまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。
  157. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いま言ったように、私たち日本海側に住む者にとっては、そうした大きい太平洋区との格差の問題が一つ問題ですけれども、もう一つ申し上げたい問題は、第一種と第三種、つまり零細な漁民が必要としている一種漁港ですね、これがまた日本海側と太平洋側で非常に差別をつけられているという問題がありますね。一種にしてそうなんです。だから、日本海側の漁民の方々は二重に差別を受けている、こういう状況にならざるを得ないように私は思うのです。  そこで、お聞きしたいことは、政府計画採択率についてでありますけれども、今回の第五次の計画によりますと、名目だけの一種漁港整備であって、事実上の切り捨てにつながるという要素がある。実際この計画採択率を見ますと、非常にそういう感じがするわけです。なぜそうかといいますと、今回の五次のこれを見ますと、第一種漁港が全部で二千百五十六あるわけですね。このうち今回の計画で採択されたのは百十一で、パーセントからいいますと五%なんですね。ところが、第三種をこれで見ますと、九十六港ありまして、そのうち採択されたのが八十二港なんですね。そうすると八六%なんです。一方が五%、一方が八六%、これは何といっても片寄りというか、政府がどこを向いているのかということが非常に明らかになるところだと思うのです。特に特三種について見ますと、十三あるうちに採択されたのが十二で九三%、こういう状況になっています。そういうことでありますが、そういう点について、これでいいのかどうかということについての御所見を承りたいと思うのです。
  158. 荒勝巖

    荒勝政府委員 今回の漁港整備計画で修築事業の対象になっております港がございますが、これにつきましては三億円以上の事業規模になりますものを修築事業の対象として取り上げた。したがいまして、一種漁港のような小さな漁港で、既存の漁港で三億円もつぎ込むという事業は非常な過大な事業でございますので、なかなか乗ってこなかった。したがいまして、この第三種漁港のようなものは非常に大きな漁港でございますので、多少の計画の伸びでも直ちに三億円以上の事業になるということで、修築事業として取り上げるパーセンテージが非常に大きくなった、こういうふうに御理解願いたいと思います。したがいまして、今回の修築事業の対象にはならなかったけれども、改修事業の対象には、非常にこの第一種漁港等は対象にいたしておりまして、これは三億円以下の事業でございますので、数千万円から三億円以下の事業は改修事業という形で漁港整備を大いに援助いたしてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  159. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 この計画に採択されたのは、おもにいま答弁があったようなことで、小さい漁港は局部改良だとか、修築じゃないいろんなほうだからそうなんだけれども、しかもそれはそれなりにやっているという御答弁がありましたけれども、ちょっと私の調べたあれによりますと、実際第一種なんかいままでほんとうにやったのか。修築以外の改修や局部改良ですね、そういうのを少し調べてみますと、実際はそうじゃないんですね。やっていないんですね。これは第四次の計画の中でやられたあれを見てみたのですが、第一種が修築、改修、局部改良含めまして千二百二十八港ですか、やっているわけです。漁港総数が二千百十ですから五八%なんですね。ところが、第三種のものを見ますと、修築、局部改良含めまして百二十三港やっているのですね。漁港の総数が九十三ですから一三二%やっているのですね。一方は一三二%、第一種は五八%だ。こういうことでは、いまあなたがおっしゃったこととだいぶ違うじゃないですか。事業費の比較を見ましても同じことが言えると思うのです。私、ここに表がありますけれども、時間がないからやめますけれども、これはどうですか。
  160. 荒勝巖

    荒勝政府委員 今回の第五次の漁港整備計画のうち、全部でございますが、七千五百億円をもちまして全国的に漁港整備をはからなければならないというのは、これは全国の漁民の方々のみならず、国なり県なりの関係者の間におきましても、漁港整備こそ漁業振興の道であるということで今回漁港整備計画を立てた次第でございます。また、従来と同様な伸び率といいますか、進度の低い方法ではなかなか漁港整備というものは改善されないということで、今回思い切って相当大型な漁港整備計画の樹立に努力してまいったいきさつがございます。われわれは、これをもちまして今回小さな漁港も、また大きな漁港はますます大型化を要望されておりますので、それはそれなりに漁業の実態を反映して、漁港整備計画なり漁港の局部改良なりを今後それぞれ推進してまいりたいということで、これによりましてある程度この五カ年間に漁港整備は軌道に乗るのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  161. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いまの御答弁をお聞きしますと、大きな漁港は大きななりにもっと整備していかなければならない。それはそうだと思います。同時に、小さい漁港もそれなりに、漁民がめしを食えるような、もっと発展できるような、出かせぎしなくてもいいような、そういう状態につくり上げていかなければならないということも事実だと思うのですね。しかし、皆さん方のこれまでやった実績の中で評価していくならば、いま申し上げたように、計画に採択されたにいたしましても、第一種は五%、片一方は八六%になっている。こういうことはだれが見ても首肯できるものではありませんし、またいまあなたがおっしゃったように、三億円以下の局部改良やそういう改修、ほかのほうもやっているといっても、いま数字をあげたとおり実際やっていないのですよ。こういう姿勢で、あなたがいまここでりっぱなことを何ぼ言ってみたところで、ほんとうに漁民の不安といいますか、そういうものは解消するのかどうか。特に今回の提案理由説明によりますと、あなた方はこういうことを書いているんだな。「遠洋漁業根拠地として重要な漁港、沖合漁業根拠地として重要な漁港沿岸および増養殖漁業振興上重要な漁港」こういうポイントを出して、こういうものをもっとやるんだということを言っているんだな。漁民の大部分を占める日本海側だとか、あるいは零細なそういう君たちにはあなた方は一顧も与えていない。提案理由説明を見ますと、こういうところに問題があるように思うのでありますが、そうなりますと、日本漁業発展をはかると言いながら、一面ではたくさんの漁民を切り捨てていくし、円満な、つり合いのとれた漁業発展という角度から見ましても、これは問題があるような計画のように見えるのですが、こういうことについてどう考えますか。
  162. 荒勝巖

    荒勝政府委員 今回の漁港整備計画を立てます際に、ただいま御指摘ありましたように、大臣から提案理由説明を申し上げた点についての御指摘がございましたが、われわれといたしましては、この漁港整備がやはり漁業振興上たいへんに大事な問題であるというふうに考えておりまして、今回の漁港整備計画におきましても、従来ともすれば立ちおくれぎみであった漁港整備につきまして、今後非常に重点を上げて努力してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  なおまた、今回の漁港整備計画を立てるに際しまして、あるいはここの場所で申し上げるのは食言になるかとも思いますが、むしろ漁港の数が少し多すぎるんじゃないか、もっと重点的にしぼったらどうかという意見さえも一部の関係者の間にはあったわけでありますが、われわれといたしましては、やはり地域社会の重要な拠点であるということも配慮いたしまして、遠洋漁業の大事な大型化する漁港についてその重要性は十分認識しながらも、なおかつ小さな漁港でまたその地域社会にとっては水揚げ港として非常に重要な港というところにつきましては、漁港の数を減らすことなく、いままでともすれば置き忘れかけておりました漁港も全部今後五年間に取り上げて整備してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  163. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなたの御答弁を聞きますと、大型というか大きい漁港を伸ばす、小さいのも何ぼか考えるということでりっぱですけれども、提案理由説明を見ますと、実際問題として秋田あたりの漁港はみなつぶれてしまうんですね。何もこれに該当はしないのですからね。おそらく裏日本というか、日本海側の漁港というのはみな姿を消していく、こういうことは必然的にたどらなければならない道だと思うのです。  よしんばそうでなくても、たとえばあなた方の拠点主義、重点主義、つまり第三種漁港を重点にして、あとは何とかしていくというようなやり方でありますけれども、それがいま下々というか、末端の漁港にはどういう影響を与えているかということについて申し上げたいのです。つまり、国の指定基準に合わせるために、いま強引な漁協の合併なんかが進められておりまして、船だまり的な漁港、つまり指定外のものですが、こういうものが一切置き去りにされようとしているんですね。特に私のほうに男鹿半島というところがありますが、ここの船川の港のところに椿漁港というところがあります。これは船川の漁協がやっておりまして、組合員が千四十二人、漁獲量が七千八百二十七トン、十一億八千万円の水揚げを揚げておるのでありますが、これが椿港という一つの港になっているのです。ところが、実際は海岸線が十キロ以上もあるわけでありますが、そこにはそれぞれ部落がありまして、百戸くらいの村落が未指定の漁港をかかえてそれを利用しているわけですね。一口に椿港といいましても、門前、小浜、双六、台島、女川、増川の六つの港があるわけですね。つまり椿を整備するために六つの港が全く手をかけられずに置き去りにされているという状況があるわけです。ですから、あなたは重点主義、拠点何とか主義とか言っておりますけれども、実際は、地域のそういう漁民の暮らしの実態、漁業の実態とかけ離れた、漁民の要求ではない、押しつけの集中化というか、こういうかっこうのものにしかならざるを得ないわけです。こういうことについてどのようにお考えですか。
  164. 荒勝巖

    荒勝政府委員 漁港整備にあたりましては、国といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、それぞれの機能を一〇〇%発揮できるような形で、目的がそれぞれ違いますので、違ったような形でわれわれとしては整備計画を立ててきた。この作業をいたします過程で県なり市町村の御協力を十分に得て指導してまいった次第でございます。  また、ただいま御指摘のように、船だまり場のような漁港が多く点在している点もございますが、船だまり場のような漁港のみそれぞれ置いておきますと、いつまでたちましても大型な漁港発展せず、また大型な漁船の出入りがないということで、その漁港地帯が自然と何となくさびれていくというようなことをわれわれとしてはおそれまして、やはり財源の許す範図内で、その中から多少でも機能的に強化できそうな、あるいは計画的にも今後期待できそうな漁港から重点的に国としての助成をしていくという方針で、今回作業を進めておる次第でございます。
  165. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は秋田県の一区で委員長と同じ選挙区ですから、委員長もよくわかっているわけですけれども、秋田県の男鹿半島の根っこの部分に天王、船越、脇本というそれぞれ一種指定の漁港があるのですね。この三つの漁業協同組合員は総数六百十九人、昨年の漁獲高千六百九十八トン、一億七千九百九十四万円あげているのですね。これがその地域の産業に与える影響は非常に大きいし、また地域住民のたん白資源確保にも非常に大事なものになっています。  ところが、一種指定になっていますけれども、漁港とは名のみで、実際船を出すときは、そこは砂浜なんで、船をみんなでわっしょわっしょおっつけて波ぎわまでやっていく、こういう漁港なんですね。ここにもしも政府が、あるいは県当局でもけっこうですが、何か援助をしていただけばもっともっと発展するんだとみんな言っているんです。  ところが、この数年来の状況を見ますと、現段階の施策を見ましても、この数年、改修や局部改良が全くやられておらない。このままだとつぶれていくのですね。いまやっとやっているのがつぶれていかざるを得ないという方向になっているのですね。こういうことについて、ただいま天王、船越、脇本という三つの漁港の例をあげましたが、政府はどういうふうにしたらいいのか、私はひとつ教えていただきたいと思うのです。
  166. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいま御指摘になりました漁港につきましては、漁港整備の推進にあたりましてわれわれとしては改修事業として取り上げていく方針でございますので、今後、それらの漁港ついて補助金の配分につきましては十分に配慮してまいりたい、こういうふうに考えております。
  167. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いま言った男鹿半島の根っこの天王、船越、脇本、こういう漁港についてはそれぞれ重点的にものを考えていく、そうおっしゃったのですね。そうですか。もう一回念を押します。
  168. 荒勝巖

    荒勝政府委員 いわゆる漁港整備計画の修築の事業の対象としては今回取り上げておりませんので、これは新しく四百二十港の中に入れるということはなかなかむずかしいと思いますが、改修事業なりあるいは局部改良事業というものはそういった全体計画の中には入っておりませんので、特に、失礼でございますが、そういう小さな漁港につきましては、局部改良事業というところに一応重点を置きまして指導を強化してまいりたい、こういうふうに考えております。
  169. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そこで、あなたがせっかくそうおっしゃってくれたにかかわらず、それができないのです。いまなくなろうとしているのです。日本列島改造論の秋田県版の、秋田湾の大規模工業開発計画というのがあるのです。その計画によれば、この一種の天王、船越、脇本、三つとも埋め立てられてなくなってしまうのです。なくなったところへあなたはそういう手を加えようというのですか。取りつぶしの計画の中に入っている。これが零細な漁港の実態だということですね。先ほど来、公害問題でも大企業のそうしたあれが私たちの漁業をつぶしているという問題がそこに出されましたけれども、こういう事実を水産庁長官は知らなかったのですか。
  170. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいま御指摘になりました男鹿半島を中心とする港につきまして、脇本、船越、天王でございますか、こういった漁港と船川港を包含する埋め立て計画というものがあるやに聞いておりまして、現在秋田県において調査中ということは存じておる次第でございます。この秋田港と船川港との間には、いま申し上げました三港がありますが、埋め立て計画がこれらの三港に及ばします影響についても、今後県とも相談いたしまして、これら漁港の取り扱いについては十分配慮してまいりたい、こういうように考えております。
  171. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 これらの漁港の取り扱いについては慎重に配慮するといったところで、実際そうした秋田湾の大規模工業開発計画の中に組み入れられて埋め立てされようとしているのですね。海岸線二十六キロ、秋田湾を埋め立ててこういうものをつくるのですから、当然この港はなくなる。こういう小さい港だから、そうした大義名分の前にはなくなっても差しつかえないのだ、こういうことになるのか。  こういう例は、秋田湾だけではなくて、ほかにたくさんあるのですね。だから、こういうたくさんの零細な漁港をどんどんつぶしていくということではなくて、水産行政の当局としては、そういう状況に置かれた漁港に対する一つの方針なり考え方なり措置なり、あるいは抵抗なりというものがあると思うのですね。どういうことをお考えになっておるのですか。
  172. 荒勝巖

    荒勝政府委員 今回の漁港整備計画の個別の計画の中におきましても、臨海工業地帯の整備とかあるいは埋め立事業の反射的工事とか、こういったいろいろなケース・バイ・ケースがございまして、そういった産業的な立場からの事業を行なうとともに、また一方、それに伴う漁民の対策として、非常に大きな漁港整備する、またまとめて漁港整備するというふうな事業計画も相当ありまして、単に漁港だけがつぶれていくという場合があるとは必ずしも言い切れませんので、われわれといたしましては、そういった適正な新漁港整備があるものにつきましては、県あるいは市町村とも十分協議に応じまして、新しい漁港整備にも十分配慮して推進した次第でございます。
  173. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それではお伺いしますが、大規模工業開発あるいは地域開発、新産都市、こういうものに関連しまして、臨海の埋め立てに伴なってつぶされた漁港の数、面積はこの十年くらいで大体どのくらいありますか。あなた方、おわかりでしょう。
  174. 荒勝巖

    荒勝政府委員 手元に適切な資料を持ち合わせておりませんので答弁いたしかねますが、担当官の話を聞きますと、最近の二、三年間では、東京湾の埋め立て、伊勢湾の埋め立てで十港ほどの漁港が整理されたというふうにただいま報告された次第でございます。
  175. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私、ちょっと資料を控え室に忘れてきたのですが、一九七一年までにもものすごい数があるわけです。何百という漁港がこの十年間につぶされていっているわけです。また、何十万平米ものものがなくなっていっているはずです。また、公害発生で被害を受けている漁港あるいは漁場、その中に水産庁が認定して失格になった漁港もたくさんあると思うのですね。そういった点について、これも何か資料はありませんか。皆さんのところにありましたら、ちょっとお知らせいただければありがたいのです。
  176. 荒勝巖

    荒勝政府委員 第四次計画から今次計画までに漁港数の変動について検討した結果が多少ございますが、失格というわけではございませんが、港を取り消したりあるいはほかの港に合併ということで、再建整備といいますか合併によりまして二つなり四つくらいの港を一本の港に合併するとか、あるいはほかの港湾計画の中に組み込まれたというふうなものがございまして、それ自身で単独で取り消したというのは非常に少ない、こういうように御理解願いたいと思います。
  177. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いずれにしましても、そうした地域開発政策あるいは大規模工業開発計画、こういうものの犠牲になりまして、過去でもそうした漁港がつぶされ、漁場が荒らされたという例がたくさんあるわけです。皆さんそれを取り扱っているはずなんですね。脇本、船越、天王を整備するんだとあなたは前段のほうではそう言い、後段、私からいまこれをなくするんだという県の計画を話したら、それならばあらためて県のほうと話をするんだ、こういう態度なんです。こういうものは当然あなたのほうは事前にキャッチをしておって何らかの手だてを尽くさなければならぬものだと思うのです。あるいは、いままでの経験の中でこういう場合はどう措置してきたのか。たいがい漁民の泣き寝入りかそれとも代替の漁港がつくられたのか。いままでの経過もあると思います。またその中で水産庁長官の手腕というものもあるでしょうが、あなたは長官におなりになられてからまだ日が浅いようですが、これからも起こるであろうこういう問題についてどう考えたらいいのか、ひとつこれからのあなたの腕の見せどころとしてのものの考え方をお聞きしたいと思う。
  178. 荒勝巖

    荒勝政府委員 工業化の進む過程で、漁港が場合によりましては、港の整備関係上、犠牲になる機会も今後なきにしもあらずとわれわれも理解しておりますが、それにかわる代替の漁港整備計画という案が県段階におきまして取り上げられ、またそれが漁業振興上適切であるというふうにわれわれのほうで判断いたしますれば、またそれはそれなりにわれわれといたしまして、新しい漁港整備、新漁港開発ということでこれにつきましては努力してまいりたいと思っております。また、従来もこういったことにつきましては、新しい埋め立て事業にかわる代替の漁港整備ということは相当行なわれてきておりますし、今回の漁港整備計画でも、私の記憶でもそういった新しい漁港整備計画というものが相当あったやに記憶しておる次第でございます。
  179. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いま二、三の例で申し上げたんですが、これは秋田県内でも青森でも例外でないわけです。やはり男鹿半島の五里合という漁港が一種指定になっている。ここでも漁港施設は貧弱で、五トンの船が漁に出る場合には胸まで水につかりながら船を押し出す、こういう状況で、早く何とかしてくれとみな言っているわけですね。あるいは青森県の岩崎村、これも日本海側ですけれども、ここでは農家もあるわけですが、農家よりも漁家のほうが何とか暮らしていけるんだ、こう言って、出かせぎに行っている方も、農業の方よりも漁家の方が帰ってきているという。一戸当たり平均収入を見ますと、漁業をやっている人が五十二万円、農業の方が四十三万円です。ところが、岩崎村に三つ漁港がありまして、一種では大間越というのと森山という漁港、二種は岩崎漁港ですね。三つあるけれども、特に森山なんかは大謀網が二そう入りますと満ぱいになる。岩崎に避難していきたいけれども、岩崎も狭いということで、何ともかんともならない状況にあるわけで、日本海側の皆さんの言うことには、政府が何とかやってくれるならばおれたち出かせぎしなくたってこれでやっていけるんだというあれを共通して持っているのです。ですから、先ほど前段に私が申し上げましたように、太平洋側と日本海側とそれぞれ海区によって漁港を云々するのじゃないと言いますけれども、事実上そういうふうに極端にアンバランスがあるわけでありまして、日本漁業という全体の立場からいいますと、つり合いのとれた漁業発展、こういう方向でものを考えなければならないと思うのです。そういう点で、これは大臣があとで来たときにお話ししたいと思うのですが、根本的に検討して直さなければならないのじゃないか、こういうふうに考えます。  先ほど来いろいろ日本国際的な漁業の位置づけの話もありましたし、そういう中で沿岸漁業にしろ、遠洋漁業にしろ、いろいろ困難な条件が出てきている。おまけに世界の水産資源の枯渇という問題もありますし、加えて逆に水産物需要というものがふえてきているという傾向もあります。そういう関係からいたしましても、やはりここに、同じ開発でも同じ整備でも、民主的な開発、民主的な整備、つまり漁民の望むもの、漁民のそれなりの生産力に応じた施策がないと、日本漁業が全体として発展しないだけでなくて、来たるべき重大な困難に対応できない。その分輸入すればいいじゃないかといいますけれども、もちろん輸入も必要だと思いますが、えさの例みたいなことになりますとたいへんだと思うのです。いまからそういう全体のことを考えながら十分の施策をとっていただきたいと思うわけであります。これは最後の質問でありますので、次官にひとつお答えいただきたいと思います。
  180. 中尾栄一

    中尾政府委員 十分先生の考え方を考慮に入れまして、政策の上に反映していきたいと考えております。
  181. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 では、私の質問を終わります。
  182. 佐々木義武

  183. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画変更について承認を求めるの件について当局に質問をいたします。  この計画の中で「前項の計画方針に基づき、昭和四十八年度以降五年間に四百二十港の漁港について、それぞれの漁港に適応した外郭施設係留施設水域施設輸送施設および漁港施設用地等整備する。」こういうふうに五つのことが述べられておりますが、あとあとのために確認する意味でも、この「外郭施設」とは具体的にはどういうことを対象に考えて計画されておるのか。同じ理由で「係留施設水域施設輸送施設および漁港施設用地」これを分けてひとつ明確に最初にお答えをいただきたいと思います。
  184. 荒勝巖

    荒勝政府委員 今回出しました漁港整備計画についてでございますが、漁港法の総則に、この「外郭施設」という定義が書いてございます。漁港法の第三条でございますが、「外郭施設」と申しますのは、「防波堤、防砂堤、防潮堤、導流堤、水門、閘門、護岸、堤防、突堤及び胸壁」ということになっております。それから機能施設につきましては、「輸送施設」として、「鉄道、軌道、道路、橋及び運河」。それから「漁港施設用地」というのは、「各種漁港施設の敷地」というふうに漁港法に明記されておりまして、こういうことでわれわれといたしましては定義に基づいて助成をいたしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  185. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 今回の計画は、第一種漁港百十一港、第二種漁港百五十三港、第三種漁港八十二港、特定第三種漁港が十二港、第四種漁港が六十二港で、計四百二十港、こうなっておりますね。先ほど水産庁長官は、答弁の中で、第五次漁港整備計画四百二十港について七千五百億の予算を計上しておる、こういうふうに答弁があったわけですが、明確にするために、この七千五百億円の内訳をひとつ説明を願いたい、かように思います。
  186. 荒勝巖

    荒勝政府委員 この漁港整備計画について七千五百億円の内訳を多少説明申し上げます。  そのうち四千八百億円が修築事業でございます。それから千五百億円が改修事業でございます。それから局部改良事業が五百億円でございます。調整費が五百億円、それから県単事業というのが二百億円、計七千五百億、こういうふうになっております。
  187. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、さっきの答弁の中で、四百二十港について七千五百億円を計画しているということはどうですか、これは。そのように言えるわけですか。
  188. 荒勝巖

    荒勝政府委員 私、先ほどの答弁で、あるいはそういうふうに申し上げたかもわかりませんが、失礼いたしました。一応正規の手続といたしましては、修築事業に該当いたします四千八百億円が正式の漁港整備計画でございます。あとの改修事業あるいは局部改良事業、調整費、県単事業、これは漁港整備計画の一環としての全体計画、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  189. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 長官のただいまの答弁で明確になったわけですが、後ほど議事録を調べていただいて、必要があれば、訂正をしていただきたいと思うのです。さっきの答弁では、私が申し上げたような答弁でございましたし、誤解を招くと思うのです。  そこで、私は具体的な問題について質問をしてまいります。  この七千五百億の中に、漁港改修事業として千五百億が計上してあるわけですけれども、この千五百億円の漁港改修事業は、どのくらいの港を考えておられるのか、その点をお答えいただきたい。
  190. 荒勝巖

    荒勝政府委員 一応私たちの考えています改修事業といたしましては、三億円以下の事業を対象にいたしたい。逆に、修築事業という正式の漁港整備計画の対象になっておりますものは、大体三億円以上をめどに、修築事業。改修事業は三億円以下でございますが、これは全体で大体六百六十五——概数でございまして、まだ正式に決定はいたしてございませんが、六百六十五港で、そのうち、多少内訳を申し上げますと、第一種が四百四十三、第二種が二百、第三種が八、第四種が十四というふうにいたして内訳ができておりまして、大体六百六十五というふうに御理解願いたいと思います。  ただし、これにつきましては奄美は明年四十九年度におきましてあらためて奄美振興計画が樹立されることになっておりますので、奄美の分は一応はずされております。これにつきましては私たちの手元ではあらためて奄美の分が計上された暁におきましてはこれを取り上げてまいりたい、こういうように考えている次第でございます。
  191. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、約六百六十五港がいま言われたような内訳で説明があったわけですが、この中で四十八年度はそれぞれどのくらいを予定してこの計画をしておられるか、その点を明確にしていただきたいと思うのです。
  192. 荒勝巖

    荒勝政府委員 改修事業につきましては、五百四十一港を一応予算割り当ての対象にいたしたい、こういうように考えております。
  193. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 五百四十一港というのは、四十八年度でそれを対象として考えるというふうに理解していいのですか。
  194. 荒勝巖

    荒勝政府委員 四十八年度に着工する漁港、こういうように御理解願いたいと思います。何年かかるかにつきましては、それぞれの漁港事業規模によりまして多少変わると思います。
  195. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに関連して、漁港の局部改良事業、これは五百億円を計上してあるわけですが、これはどのくらいの港を考え、これまた四十八年度にはどのくらいを計画しておられるのか、この点を明確にしていただきたいと思います。
  196. 荒勝巖

    荒勝政府委員 局部改良事業につきましては、まだ十分なこまかい作業まで終わっておりませんが、一応千二百ないし千四百港くらいを対象に考えておる、こういうように御理解願いたいと思います。
  197. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そうしますと、まあ全国の港というのが、農林省の統計によりますと二千八百二十四港ある。そうしますと、現在四百二十港を第五次漁港整備計画で行ない、さらにそれぞれ漁港改修事業で、約六百六十五港、また漁港局部改良事業を千二百から千四百、こういうようになりますと、まあ二千二百八十五ないし二千四百八十五ということになるのですが、その差の四百ないし六百という港は、今後この五カ年計画を推進していく上で対象外になるということになっているわけですけれども、もちろん災害とかいろいろこわれたような場合は、そういった面でまた復旧をしていくということは当然でありましょうけれども、そういった港については現在心配ない、こういうふうに理解するのか、その点はどういうふうに当局は考えておられますか。その点を明らかにしていただきたいと思うのです。
  198. 荒勝巖

    荒勝政府委員 局部改良事業等につきましては、先ほど申し上げましたように、場所等につきましても十分検討した上で、まだ内定もいたしておりませんので、この千二百ないし千四百の部分につきましては、予算の許す範囲内で当該年度の必要な事業につきまして助成をしていくような形になると思いますので、どの港が放置され、どの港が乗るかということは、もとよりいまのところでははっきりしたことが申し上げられない、極力必要なものから助成していく、こういうように御理解願いたいと思います。
  199. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、今度は、漁港整備計画に弾力条項があるわけですね。「本計画の実施に当たっては、今後の経済、財政事情および漁業動向等を勘案しつつ、弾力的に行なうものとする。」。そこで、第四次計画では調整費というものが二百億円、今回は五百億円、こういうふうになっておるわけです。御承知のように、第四次計画自体が一年早まって第五次計画に入るわけでございますが、従来の経緯から、また先ほど来のいろいろ論議の中から考えまして、この計画が今後完全に遂行されることについてはいささか疑問が多いわけですけれども、この調整費について、漁港整備計画を実施する場合に、計画年次を完全に消化することなく次の新計画に移行するという従来の例を思いましたときに、はたして調整費の効果がどういうふうに出るか、また使い方が問題であるというふうに疑問を持つわけでございます。どういう場合にまたこの調整費を使うのか、具体的にどういうことを想定されて調整費を設けておられるか、今後のためにこれも明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  200. 荒勝巖

    荒勝政府委員 私たち、今回の漁港整備計画を提案いたしました現段階におきましては、あくまでこれを今後五カ年の間に実現するというつもりでこの計画を提案した次第でございます。したがいまして、七千五百億円のうち、調整費なりあるいは調整費の部分を差し引いた部分でこの事業を上げるのが本来のわれわれの姿勢でございまして、そういうつもりで今後計画を立てていく次第でございますが、御存じのように、経済社会が非常に変動的に動いておりますので、場合によりますと、物価なり賃金の異常な高騰というようなことで、途中で事業があるいは事業費どおりいかない場合もあるという意味で、この五百億円というものは、われわれといたしましては、予備費というふうな理解のもとに調整費として五百億円をリザーブいたしておりまして、相当事業費アップになりましたような場合におきましては五百億円を使うような事態があるかもわかりませんが、ただいまの段階におきましては、そういったことを利用しないという前提ですべての計画を進めてまいりたい、こういうように考えております。
  201. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 もう少し確認しておきたいことがあるんですが、今次の計画で、地方単独事業費が、先ほど説明の中に、二百億円があるわけでございますけれども、この地方単独事業は、漁港機能施設であるところの漁港施設用地のうち、国の補助対象となる公共施設用地をさすように聞いておるんですけれども、この点をひとつ明確にしていただきたいと思うのです。
  202. 荒勝巖

    荒勝政府委員 従来は、こういった地方単独事業費というのは第四次計画までは含まれてなかったのでありますが、今回初めて第五次計画で地方単独事業というものを表に出したわけであります。今回のこの単独費の目的といたしますところは、修築事業あるいは改修事業等の実施に伴ってその効果を一そう発揮するために、これらの事業関連して行なう補助対象以外の事業等、すなわち、主としてただいま御指摘のように、用地造成事業を考えておる次第であります。
  203. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 長官、そこで、これは新規事業として計画の規模拡大をはかるというふうにもとれるわけですけれども、用地取得の補助事業を対象とするということでございますが、その用地取得の対象という場合は、どういうものを想定しておられますか。
  204. 荒勝巖

    荒勝政府委員 従来の漁港の場合は、いわゆる漁港の主として堤防とか、あるいは機能設備というふうに、漁港に直接的に機能するような事業中心に行なわれてきたのでありますが、経済社会の発展でむしろ漁港の背後地、背後の漁港水揚げ場所の周辺の事業漁港との関連において非常に重要視されてきております。一言で申し上げますと、冷蔵庫を設けたり、あるいは自動車の出入りするターミナルといいますか広場を用意したり、あるいは道路を結びつけるための一つのそういった道路用地、こういったことが非常に重要視されておりまして、こういった関連設備なしにいかに漁港だけ整備いたしましても、なかなかその漁港自身の繁栄というものが期待し得ないような状況にだんだんなってきておるわけでございます。したがいまして、漁港をつくります際に、こういった背後地の用地をあらかじめ先行取得しておきまして、やがて漁港ができ上がります過程で、そこで冷蔵庫をつくって、水揚げが多い場合にはそこにストックしておく、あるいはそのストックしている冷凍類の漁獲物をトラックで市場に出入りが激しく出荷していく、こういうふうにするための用地を確保しておくことが大事じゃなかろうかということで、単独事業として今回予算として計上した次第でございます。
  205. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 長官からいま御説明ありましたけれども、この用地は、私たちは廃油処理施設等も一応考えてあるように理解をしておったのです。たとえば今後漁船が寄港した場合に、廃油等の処理については、海洋汚染防止の観点からも当然これは処理をしていかなければなりませんので、そういった処理施設等の用地等にも使うようになるんじゃないか、こういうふうに思っておるのですけれども、廃油処理施設の設置について国が今回補助をする、こういうふうに理解をして検討をしてきたわけですけれども、その点もあわせて明確にしていただきたいと思うのです。
  206. 荒勝巖

    荒勝政府委員 この廃油処理施設につきましては、あくまで漁港施設機能設備の一部ということで公共事業の対象にいたしております。したがいまして、これは補助事業の対象になっているわけでございます。  いまの県単独事業というのは、補助事業ではなくて、公共事業扱いにいたしてはおりませんで、いわゆる用地の取得というための、将来のそういう——あるいは建物、構築物はできると思いますけれども、これは公共事業の対象にはしてない県の一つの自主的な事業であるということで、これは補助金の対象にいたしておりません。したがいまして、廃油処理設備は当然に公共事業でございますので補助事業の対象になりますが、県単独事業はこれとは無関係事業、そういうように御理解願いたいと思います。
  207. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 長官にさらにお尋ねしますが、この第五次漁港整備計画をずっと見てまいりますと、先ほど来いろいろ論議があったわけで、重複を省いて若干私もお尋ねしますが、当初計画では八千二百億円の要求であったわけですね。それに対して七千五百億円ということで、一応各県から検討して吸い上げて、それをさらに農林省で検討して今回の第五次漁港整備計画が出たという経緯は、われわれは一応は了としておりますけれども、その差がかなりあるわけでございます。四十八年度は五百三億二千七百万円、こういうように計画はなっておりますけれども、当初八千二百億円と今回の七千五百億円の計画のこの差についてはどういうふうに削減をされたのか、当初計画からどういうところを計画変更されたのか、概要をひとつ説明をいただきたいと思うのです。
  208. 荒勝巖

    荒勝政府委員 今回当初八千二百億円出して七千五百億円に圧縮したということは、われわれといたしましても当初計画の要求の貫徹についてあらゆる努力をしたわけでございますが、いろいろな事情から七千五百億円に決定した。  しかしながら、われわれといたしまして、積み上げてまいりましたこの漁港整備のそれぞれの港の事業につきまして一律に何か事業を圧縮する、あるいはある部分を切り捨てたというふうな考え方はございませんで、むしろこのうちいわゆる堤防とか、港として必要最小限度重要な施設につきましては当初計画どおりおおむね採択する予定でおります。  ただ、港として最重要ではありますけれども、多少規模を圧縮しても差しつかえないようなもの等につきまして、今回八千二百億から七千五百億に圧縮する過程で、そういった事業を圧縮することによりまして、港本来の機能について少しもそこなうことなく今回事業ができるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  209. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 長官、いま建築資材等でセメント等の骨材がずいぶん上がっているわけですけれども、もちろん政府はいま輸出をとめ、さらに逆に今度は輸入をするというふうなことも考えて緊急対策を考えておるようでありますが、長官はいまセメントの価格が大体どのくらいしているか、何倍に上がっているか御存じでありますか。確実に答えてください。
  210. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先般来こういった漁港を構築されている方々が見えまして、二月から三月にかけてセメントの単価が非常に上がった。特に三月に入ってからは単価が上がるのみならず、さがしても自分たちのような小さな土建屋には手に入らない。特に中国、四国の一部につきましては需給が非常に逼迫しておるということについて先ほど来いろいろと陳情等お話があって、われわれといたしましても関係者に対しましてセメントの確保ということについていろいろと指導をしている最中でございます。  価格につきましては、どうもちょっときょうここでいま失念いたしましたので失礼させていただきます。
  211. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 長官はセメント価格がわからぬということでございますけれども、第四次漁港整備計画の進捗率が私の記憶では七七%ぐらいというふうに記憶しているわけですけれども、先ほどからしばしば論議されておりますように、この労働賃金もかなり上がってまいりまして、物価も上昇の一途をたどっておる。特にいま建築界でも問題になっております、長官が答えませんでしたセメントの価格が約九倍から十倍に上がっているわけですね。これは一時的現象と言われるかもしれませんが、かなり続いていく心配があるわけです。政府も緊急の対策をいまとっておられますけれども、そういったことを考えましたときに、第四次計画でさえも七七%の進捗で、先ほどからいろいろ問題になっておる今回の第五次計画、これがいよいよ四月から実施されていくわけでありますけれども、こういったことを考えましたときに、これは計画は相当無理をしているのではないか。それでなくても、従来の漁港整備というのは、これは政治家も反省しなければなりませんけれども、総花的で、いわゆる全国的にあっちこっち手をつけて結局完全なものはないということも批判をされておりますし、かといって、さっきから論議されておりますように、また先般農林大臣に対する質問のときも、私、申し上げましたように、日本海側の漁港整備、または養殖漁業についても瀬戸内海と日本海側とずいぶん趣を異にしているということを指摘したわけでありますが、そういったことをいろいろ思いますときに、この計画がまたぞろ第四次計画以上に進捗率が下回るのではないか、こういう心配がされてならぬのです。計画ができていよいよ出発にあたってその出鼻をくじいたように、セメント一つとってもそういうようなことでありますし、物価、労働賃金等を見ても今後相当上がっていく、こういったことを思いましたときに、たいへん心配なんです。この点は大臣にもとくとお伺いしたいと思っておるわけですけれども、当面の責任者である水産庁長官は、この見通し、これはそういったことを踏まえて十分この計画が遂行できる、こういうように決意をしておられるのか、その点もひとつ明確に御答弁をいただきたい、かように思います。
  212. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ことしの予算の編成過程におきまして、閣議で七千五百億円を確保したという段階におきましては、われわれといたしましては、これによりまして第五次漁港整備計画は十分に実施できるという自信を持っておったわけでございます。その後、最近、ただいま御指摘のように、セメント等の問題があるわけでございますが、われわれといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、調査費五百億というものを一応リザーブいたしておりますので、この五百億円を調整財源として十分に利用することによりまして今後五カ年間の事業は達成できるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  213. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官、いま長官からそういう答弁がありましたが、政務次官先ほどこういったことについていろいろ答弁をしておられたように思いますが、私もこの点たいへん心配するわけです。出発にあたって、まだ始まる前からそういうふうに見えますけれども、実際に物価の高騰、セメントあるいはまた骨材の高騰等を考えましたときに、計画の時点ですでにもう相当様子が変わってきておるというように思うわけですが、政務次官はこれに対してはどういうように考えておられるか、重ねて御見解を承っておきたいのであります。
  214. 中尾栄一

    中尾政府委員 瀬野先生御指摘のとおり、非常に異常とも思われるような物価の高騰でございます。例に漏れず土地並びに材木、御指摘のセメント、たいへんな高騰ぶりでございまして、いまやもう庶民大衆にとりましてはマイホームの夢は消えたといわれるような声さえも聞かれておる昨今でございます。御指摘意味はよくわかりますし、また憂慮される面も同様に私どもも分かち合っているのでございますけれども、そういうことを十分踏まえまして、先ほど長官が答弁しましたように、五百億円という財源調整費を十分踏まえまして五カ年間の計画の中で鋭意これに支障のないように弾力性、フレキシビリティーを持たせてこれに当たらせていきたい、このように考えております。
  215. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 五百億円の調整費で考えるということをおっしゃいますけれども、はたして今後五カ年間の間に経済の流動がどういうふうになるか、いろいろ予測されるところでありますけれども、この五百億円を五年といえば一年に百億となります。港の数その他を見ましたときに、はたしてこれで間に合うかどうかという心配もございますし、いままで一次、二次、三次、四次と見ましても、いまだかつて事業の推進が完全にできたためしがないわけですね。そういったことを思いますときに、相当慎重にこれに対処していかなければならないというふうに思うわけです。えてして港の整備というのはどうしても総花的になって、完全に地元の要望が達せられないという中途はんぱな漁港が多いわけでございまして、それが原因となって災害のときにはまたこわれるということを繰り返しておるところも数多くあるわけです。かといって、小さい漁港もまた大きい漁港についても、地元の要請が強ければある程度総花的にならざるを得ない面もありますけれども、十分ひとつこの整備にあたっては配慮をして、重点的なところについては重点的にこれを整備していくというふうにしていかなければ、ただ予算の浪費で、結局、結果的にはどちらにもつかないような漁港整備になったのではいかぬ、このことを私は憂えるわけであります。たまたまこういうように資材の値上がり、人件費の値上がり等でますますきびしい第五次漁港整備計画となりそうでありますので、第四次にもいやまして相当強力な対策を立てていただかなければこれの遂行はおぼつかない、かように思うわけです。特にそういった点を強く要望しておく次第であります。  そこで、これまた問題があるわけでありますけれども、漁港修築事業に対する国の負担率及び補助率の問題でありますが、もちろんこの負担率及び補助率を上げていただきたいということは各漁連また団体等のかねがねからの要請であるわけでありますが、この負担率及び補助率の中で若干お尋ねしておきたいのです。  北海道の第四種漁港の中で係留施設は百分の八十、輸送施設漁港施設用地は百分の八十以内、こういうようになっておるのですけれども、離島の場合、第四種漁港係留施設が百分の八十で、これは北海道と同じでありますが、輸送施設漁港施設用地は百分の六十以内ということで、北海道に比べて二十も低いわけですね。この低い理由はどういうわけかということをお尋ねしたいわけです。離島といえば、いろいろ離島にも種類があるわけですけれども、奄美群島にしても、また鹿児島の各離島にしましても、長崎県にしても、熊本県の場合も島の多いところでございますが、特に離島の場合、輸送施設漁港施設用地の補助率が低い。これはどういうところからこういうふうになっているのか、あらためてひとつ説明をいただきたいと思うのです。
  216. 荒勝巖

    荒勝政府委員 こういった事業を行ないます場合に、内地を一般的な補助率といたしますと、北海道、離島、あるいは特殊土壌地帯、あるいは公共事業で見ますと奄美だとか、今度の沖繩の場合また補助率が違うというふうに、それぞれの時代の要請と地域の実態に即しまして補助率が違いまして、北海道のような場合は、戦後の荒廃した北海道を一日も早く復旧して食料増産の基地としてという事情も背景にありまして、北海道の場合は比較的事業規模も大型であるというふうなことで、全体として公共事業関係につきましては補助率は比較的高い目にすべてきめられてきている次第であります。また、それとともに離島とかあるいは奄美というふうな特殊な地帯におきましては内地よりも多少引き上げるということで実行してきておりますけれども、結果的にはそこで補助率が何となく違いまして、現在の時点においてそれはそれなりに説明が多少むずかしいようなかっこうですが、内地よりはいいというかっこうでそのままおさまっておるわけでございますが、これをいじるとなりますと、またいろいろな問題がありますので、補助率は高いものはそのままなるべく高いほうがいいということで、われわれ事務当局としては無理にいじらないまま来ておりますので、場合によりましては、御指摘のように、不均衡なように見える場合もあることはやむを得ないのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  217. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官、いま長官の答弁を聞いておられたと思いますけれども、ことばじりをつかんで言うわけじゃないけれども、何となく説明がむずかしい、無理にいじるといろいろややこしいので、高いところはそのまま、低いところは逐次上げるというようなニュアンスの答弁なのですけれども、これは時間もあれですから全部を聞くわけにはいかないですが、特に格差のあるところをちょっとお聞きしたわけですけれども、九州関係は特に離島も多いわけでございまして、いつもこの補助率の問題に対する要請が強いわけです。政治的な配慮等いろいろあって、うるさいからまあ何となくというふうな意味にもとれるのですが、政務次官は率直にどう思っておられますか。これもまた大臣にお伺いしたいと思っておったのですけれども、政務次官せっかくおいでですから、政務次官の率直なお考えもお聞きしておきたいと思います。
  218. 中尾栄一

    中尾政府委員 先ほど来、この補助率の問題は各党の先生方からもまた出されておりまして、私どももこの問題は非常に教わるところが多かったような感じもいたします。しかし、私どもはいままでこの補助率の引き上げの問題は鋭意努力して考えていかなければ相ならぬという気持ちでもう一致点を見ておりますので、ひとつ政治の上にこれを十分に反映させていきたい。先ほど政治とは何かという的確なる御質問がございましたので、政治とは少なくとも愛情である、日の当たらないところに日を当てていくのだということで、私どもはバランスを保っていく政治というものにひとつ私どもの立脚点を置いて考えていくのだというたてまえから、この補助率の問題等も十分検討する余地があろうかと思いますので、その点は瀬野先生の御意見を十分くみ入れまして検討していきたいと考えております。
  219. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私は北海道の補助率の高いのを下げろと言うのじゃなくて、北海道はもちろん、長官も説明がありましたように、漁港としても大型であるし、また開発という面からもたいへんなところでございますので、力を入れてきたことも事実でございます。それはそれなりにわかるのですが、離島においてもなかなか恵まれない、周囲海にめぐらされて海に生きている人たち、こういった人たちを思うときに、唯一の港を整備してあげる、そしてまた負担を軽くしてやるということは当然です。だんだん過疎化が進んでまいりまして、最近はもう沖繩の例を見ましても、水産高校なんか卒業しても、ほとんど地元のタクシーの運転手とか会社につとめる、学校の内容整備されていないために、結局、海の仕事に従事するという人が少ない、後継者がなかなか育たないということで、沖繩の離島等においてもいろいろ悩んでおられる。しかも魚は鹿児島からわざわざ船で持ってくる。糸満の漁港に行っても、市場へ行きますと、近海ものはほんのわずかで、鹿児島から来る魚がほとんどであるという状態を見まして嘆かわしいものを感ずるわけです。そういったことをいろいろ思いましたときに、もっと漁港整備等がありますと、台風その他によって相当きびしい被害を受けるところであっても、今度は漁船も建造したり、また近海漁業に相当力を入れるということも、また近代化等もはかることができますが、そういったことがないために、くり舟で旧態依然たる漁法でもって漁をやっているという実情が至るところで見られるわけです。十分教わるところが多かったし、政治の上で反省をしていくということでございますが、どうかひとつそういった点、今後十分配慮していただきたい、このことをこの機会に強くお願いをしておく次第であります。  あと若干この計画に基づく内容の中でお尋ねしておきますけれども、今度の計画でいきますと、琵琶湖の場合の総合開発特別措置法があるわけですけれども、この琵琶湖における漁港の補助率を低くして、いわゆる差別扱いになるというふうに思えるわけですけれども、こういったことは許されないことでありますけれども、琵琶湖の場合、滋賀県等では問題があるということでいろいろクレームがついているようでありますが、詳しい説明は抜きにしまして、水産庁長官、琵琶湖の二つの港に対する取り扱い、補助の問題等どういうふうにお考えになっておりますか、この機会に明らかにしておいていただきたいと思います。
  220. 荒勝巖

    荒勝政府委員 今回の計画には琵琶湖の漁港を二港採択する予定にいたしておる次第でございます。この漁港については、従来の漁港よりも——補助率については、漁港法の附則によりまして昭和四十年度以降沿岸漁業構造改善事業が実施されているもので、構造改善に資すると認められるものについては百分の四十を百分の五十に引き上げるという方針で、滋賀県につきましてはこの構造改善事業が従来実施されてなかったのでありますが、琵琶湖の水産業振興をはかるため、今後構造改善事業の実施を予定いたしておられるようでございますので、したがって、今次計画の採択されます予定の二港につきましては、漁港法の附則の特例が適用されまして、逆に補助率が、先ほど申し上げましたように、百分の四十から百分の五十に引き上げられる予定で私たちのほうは作業をしている次第でございます。
  221. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 琵琶湖の件については一応了としますが、最後に、大臣にお伺いする問題を残しましてもう一点お伺いしておきますが、沖繩の大規模漁業基地の問題でございます。  先般、私、沖繩へ参りましたときにも強い要請がございましたが、南方海域における漁業開発拠点としての役割りというものがますます大きくなってくるわけです。また、地理的条件も控えておる。さらには、いま計画されている海洋博という問題があるし、今後沖繩の発展のためにもいろいろと事業がなされているわけでありますけれども、この沖繩に全国の漁船が利用するところの中継基地、また前進基地となるような近代的な大規模漁港というものを、これはもうぜひひとつ国営でやっていただきたいというのが沖繩の要望でもございます。またわれわれもそういうふうに思うわけです。先ほど説明で糸満港と二、三の港についていろいろ説明があったようでありますが、この沖繩に対する漁港の国営事業による整備、こういうことについて当局ではどういうふうにお考えになっておるか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  222. 荒勝巖

    荒勝政府委員 沖繩につきましては、今回本土に復帰いたしまして、沖繩の有利な地域的条件を大いに生かしまして漁業を大いに振興してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございまして、それに伴いまして、沖繩復帰後におきまする漁港整備につきましては、今後大いに推進するということになりますとともに、また、先ほど指摘のありました補助率等につきましても、百分の百という水準でさしあたり実施してまいりたいということでございます。  ただ、沖繩も、ただいま御指摘のように、復帰直後でございまして、いろいろな事業を一斉にやるとなりますと、それぞれ問題が発生してまいりますので、われわれといたしましては、今後計画的に漁港整備の対象にしていきたい。それで、現在あります漁港は六十港ということでございますが、そのうち、先ほど申し上げましたように、十港を第五次漁港整備計画の修築事業の対象にいたしまして、またそのほか改修事業といたしましては十二港を一応予定しておるということでございます。特にその中でも糸満、石垣、名護、泊等の漁港については一つの基幹的な漁業基地としてやっていきたい、こう思っております。  さらに、そのうちでもこの糸満の漁港につきましては、伝統的な沖繩におきます基幹的な漁港のみならず、内地の各県からの漁船もこの港を利用して、沖繩周辺におきます中継基地あるいは前進基地的性格を持っておりますので、そういった観点に立ちまして、この糸満の漁港につきまして流通及び加工の拠点も含めまして整備を進めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  223. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あと大臣に対する質問を若干残しましたが、農林大臣が参議院の予算委員会のためにずいぶん審議がおそくなるそうで、本日は大臣に対する質問がちょっと無理のようでございますので、大臣に対する質問は次回にまた譲ることにしまして、一応本日の質問はこれで終わりにいたします。
  224. 佐々木義武

  225. 湯山勇

    湯山委員 大臣をお待ちしてもと思ったのですけれども、もう、相当時間も経過いたしますし、政務次官その他皆さんお疲れと思いますので、この際、大臣にお尋ねすることを政務次官にお尋ねして、質問を締めくくりたいと思いますので、御了解いただきたいと思います。  最初、漁港法についてこの委員会でお触れにならなかったということは、これはきょうの大臣の提案説明の中にもそのことについてお触れにならなかったけれども、内容的には非常に重要なことであって、これの実施を含めてひとつ水産庁はしっかり取り組んでもらいたい。水産庁自体の組織ももっと大きくするし、しっかり取り組んでもらいたいという意図で申し上げたことであって、それについては、こういう場合ですから、できれば資料として、漁港法改正の内容はこうこうだというような資料もお出しいただくし、大臣の提案説明でも金額や分量はちゃんと御説明になりましたけれども、非常に大きな問題である漁港法改正の廃油の処理、これについてお触れにならなかったわけですが、このことは決して軽視しないで、金額が少ないとかそういうことじゃなくて、非常に大きい問題ですから、ひとつ一生懸命力を入れて、農林省としても大臣以下取り組んでいただきたいという気持ちで申し上げたことです。ですから、政務次官、ひとつその点についてよく御理解いただいて、御善処いただきたいと思いますが、御答弁をお願いします。
  226. 中尾栄一

    中尾政府委員 先ほど湯山先生の御指摘いただきました今次漁港法の改正問題、その中に廃油処理施設の問題等を含めないのは遺憾であるというような問題点、その他るる貴重なる御意見を賜わりました。私どももその御意見のあるところは十分アドバイスを賜わりまして、また行政に反映さしていただきますように鋭意努力をさしていただきますと同時に、またそのような方向づけの中に善処していきたい、こう考えております。
  227. 湯山勇

    湯山委員 第二点は、水産業協同組合の負担の問題です。これは柴田委員の質問を受けて私が質問しましたから、若干説明の足りなかった点もあるかと思います。私が申し上げたのは、漁港施設については水産業協同組合自体がやる場合もあります。これは法律によっても地方公共団体もしくは水産業協同組合しか施行者になれないわけですから、そういう意味での漁協の負担ということを言っておるのではなくて、水産庁長官がおっしゃったように、国のほうは国のほうで措置する、そして地方自治体が施行者であって、その分については地方財政計画でちゃんと見込まれているというような場合に、そうなっているものをさらに水産業協同組合に持たせる、負担させるということはいけないということを申し上げたので、これはお考えは同じだろうと思います。  ただ、受益者負担という意味では、これは漁港の施設については漁港法の三十五条ですかで、その施設については「利用料、使用料、手数料、占用料等その利用の対価を徴収することができる」わけですから、さっきおっしゃったように、俗にいう受益者負担とは意味が違っております。  そこで、国がいまのようにきめられた額の負担、補助をする、そして地方自治体が施行者であって、しかも長官のおっしゃったように、その公共事業についてはちゃんと財政計画で見られ、あるいは起債を認められているというようなものについて、なおかつそれを漁協等に持たせるということはしないようにしていただくということです。  そこで、言いたいことはもっとそのあとなんで、負担金等については、もし工事をやってそれで余ったら返すという規定があるはずです。これは漁港法にありますね。二十四条の三です。「国の負担金又は補助金の交付を受けた者は、当該負担金又は補助金に係る漁港修築事業事業費に剰余を生じたときは、遅滞なく、当該剰余金のうち国が負担し、又は補助する割合に相当する額を国に返還しなければならない。」こういう規定がちゃんとあるわけです。だから、余ったら返せということですが、そのためには国は、いまセメントの値上がり等がありましたが、実際に要った額の半分なり何なりを負担するということをきちっとしていただく、これが一つです。  もう一つは、地方財政計画の策定にあたって実態に合うような交付ができるように、これは漁港の責任者である農林省としても、ひとつその点をしっかり力を入れて、いやしくも、補助金やあるいは財政計画等の上から当然欠損を生ずるのだ、そのほうは漁協で持ってもらわなければならないというようなことにならないようにしてもらいたい。つまり国の補助、負担金というものも適正にやられる、足りないことのないようにやってもらうし、地方財政の面でもそういうことにならないように、見るようにしっかり努力してもらいたいということを申し上げたいので言ったわけです。  この点についてもさっき言われたような意味での受益者負担じゃないわけです。それはちゃんと規定がありますから、そういう意味で、地方自治体がこれをやっていくのに支障のないような財源措置を、自治省も含めて政府のほうでやってほしいということですが、ぜひ御尽力いただきたいと思います。この点についてやはり政務次官からひとつ伺いたいと思います。
  228. 中尾栄一

    中尾政府委員 湯山先生の御意思を十分尊重いたしまして善処したいと思います。
  229. 湯山勇

    湯山委員 第三点です。第三点は、もうお認めになられたように、管理区分というものが非常にまちまちになっている。これは直したい、ある方針を持っておられることもわかりました。しかし、これだけ大きな事業をこれだけ大規模にやっていくというときですから、こういう機会にいまの管理区分、これをできるだけ整理していく、それが行政を簡素化する道でもあるし、またこの計画を達成するためのやはり一つの大きな道だと思います。そこで、この区分をしっかりするし、できれば、同じ一種、二種の漁港で、県と市町村が二十五、二十五——国が五十持ちますから二十五、二十五の負担があったり、あるいは五と四十五の負担があったり、そういうあまりまちまちでないように、これはある程度地ならしをしていただくということが計画遂行上ぜひ必要だと思います。  そこで、これはあまり長い間かかったのじゃいかぬ問題で、こういうせっかく第五次計画を実施するという区切りのときに、そのことについて、ぜひひとつ早急にできるだけの努力をしていただきたいということですが、もちろんいま御答弁にあったように、市町村でどうしても手放したくない、博多湾なら博多、福岡なんかのように、元寇のいわれもあるし、何とか名所も兼ねておってというようなところもあるでしょうから、それまでどうこうということじゃありません。ただ、あまりまちまち過ぎるということでもありますので、とにかくできる分の整理は早急に手がけてやってもらいたい、できるだけやってもらいたいということです。これもひとつ政務次官から御答弁をいただいて、終わりたいと思います。
  230. 中尾栄一

    中尾政府委員 御指摘のとおり、各漁港はそれぞれ各県に配分されておりまして、そしてまた漁港のいろいろの条件のもとに生活を保っているわけでございますけれども、その漁港の中でも、先ほど先生まさしく御指摘のとおり、自分の市町村単位で持っておりまする漁港をそのまま県に委託してしまって自分の手元から離れるということは、生活権の問題にもなっていくという漁港も多々あるわけでございます。そういう点も考慮いたしますると、即時に一律のもとにこれをやって処理していけということはいささかむずかしい問題かもしれませんけれども、あくまでも正当な基準をこれに設けて、その方向努力をしていくことだけは私ども農林当局といたしましてもやぶさかでございませんし、またそれがごく正論かと思います。先生の御意思を十分尊重いたしまして取り上げていきたいと思っております。
  231. 佐々木義武

    佐々木委員長 次回は来たる二十七日、火曜日、午前九時三十分より理事会、午前九時四十五分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時十一分散会