○貞廣
説明員 海上保安庁からお答えいたします。
ただいま先生は、海上保安庁の監視体制は十分か、こういうお尋ねと思います。御案内のように、
海洋汚染防止法が制定されまして、従来海上保安庁が任務としておりました人命、財産の保護、それから一般の取り締まり、そういったことに加えて、
海洋汚染の必要なる監視という任務が新たに加えられたのであります。そのために海上保安庁では現在までのところ、この監視体制の
強化についてここ二、三年
努力してきたところであります。
具体的に申し上げますると、まず第一点、組織はどうか。いまお話ございましたけれども、海上保安庁に、本庁に海上
公害課を設けた。それから地方の第三、第四、第五、第六、第七の各管区本部に海上
公害監視センターを新設した。また本庁の水路部に、これは
海洋汚染防止法の四十六条に基づくものでありますが、
海洋汚染の科学的
調査を行なうために
調査室を設けた。それから、従来ありました海上保安試験研究センター、これに
公害担当の化学分析課を設けた。このようにして組織の
整備をはかりつつあります。
次に、これに必要なる要員についてはどうか。要員につきましてはいま申し上げました組織に対する充員、並びにいま申し上げました管区本部以外の管区本部、あるいはまた
海洋汚染の多発する東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海、こういった海湾に面する重要海上保安部・署に対して
公害担当要員を充員いたしまして、なお、来年度においてさらに十六名充員する
計画になっております。
それから、海は広い、監視せよといっても、なかなかたいへんであります。おそらくいつ、どこで、だれが、どのようにするか。陸上ならばまあその辺にだれかがいるでしょうけれども、海上は目につく人も少ない。こういったところで監視するのはたいへんでございます。何と申しましても海の上ですから、船が要る。そういったことですから、機動力の非常に大きな航空機が要る。基本的には船艇、航空機の
増強が必要でございまして、海上保安庁の現状は、言われるように、いま船は三百五隻持っておりますけれども、そのうちの三分の一近くは老朽船でございます。これらの老朽船を急速に監視に適合するような性能のいい船にかえる、それから
隻数をふやす、
増強するという
方向で
努力してまいりまして、来年度におきましても、これら船艇三十四隻を建造する
計画になっております。航空機につきましては——海上監視には航空機以外にはないといわれるほど大切なものでありますが、現在航空機は合わせて二十八機持っておりますが、従来、
公害監視の任務を与えられて以来四機
増強いたしましたけれども、来年度において八機新しく性能の
強化をはかっていく
計画をいたしております。
次に、監視用の機器等はどうか。実際に監視ができるのか。海上で取り締まりを
強化しますと、夜間にこっそり油をたれ流すという
傾向が出ます、人間のことですから……。で、夜間においてもこのたれ流しを監視、発見できるような赤外線による夜間監視装置をくふういたしまして、これを一台
整備しましたが、来年度においてもさらに一台これを
増強いたしまして、瀬戸内海方面に配置する
計画を持っております。それから
公害監視用の機動艇、これも
整備してきましたが、来年度さらに三隻
増強する
計画にしております。そのほか測定分析用の機器等を大幅に
増強してまいりましたけれども、来年度におきましても取り締まり用の測定器、それから鑑定のための精密な分析機器、こういうものを
増強する
計画を持っております。
それから、最後に職員に対する能力の付与と申しますか、教育訓練はどうなるのか。教育訓練につきましては、海上保安庁は教育機関を二つ持っております。呉の海上保安大学校と舞鶴の海上保安学校でございますが、この学校の教科目に
公害の科目を取り入れまして、なお、現場の担当官の専門的な知識を
強化するために、自来、研修につとめております。来年においてもやはりこの研修を続行いたすこととしております。
最後に申し上げますが、海上のこういった汚染の監視ということはなかなかむずかしい。以上のような措置でもって全力をあげて
努力いたしておりますけれども、きわめてむずかしい。要は、
関係者が海はよごさないのだという良識を持つように、その良識を喚起するように今後とも
努力を続けるとともに、船艇、航空機、特に航空機の
増強、それからこれら与えられた資材の有効な活用をさらに勉強する、職員の能力のさらに
増強をはかる、こういった監視用の機器の
開発等にも
努力し、少なくも海上の汚染による被害の出ないように、さらに進んで海上
環境の回復を目ざすという気持ちで
努力いたしてまいりたい、このように考えております。