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1973-02-28 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年二月二十八日(水曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 佐々木義武君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂村 吉正君    理事 山崎平八郎君 理事 渡辺美智雄君    理事 柴田 健治君 理事 美濃 政市君    理事 津川 武一君       安倍晋太郎君    上田 茂行君       金子 岩三君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    小山 長規君       佐々木秀世君    正示啓次郎君       菅波  茂君   三ツ林弥太郎君       湊  徹郎君    森下 元晴君       安田 貴六君    井上  泉君       竹内  猛君    馬場  昇君       湯山  勇君   米内山義一郎君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       稲富 稜人君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         農林大臣官房長 三善 信二君         農林大臣官房技         術審議官    遠藤 寛二君         農林省農林経済         局長      内村 良英君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         林野庁長官   福田 省一君  委員外出席者         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   西銘 順治君     上田 茂行君   諫山  博君     津金 佑近君   中川利三郎君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   上田 茂行君     西銘 順治君   津金 佑近君     諫山  博君   不破 哲三君     中川利三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。美濃政市君。
  3. 美濃政市

    美濃委員 私は、この際、過般農林大臣から所信表明が行なわれましたので、大臣所信表明につきまして若干の質問をいたしたいと思います。  まず第一は、国際収支から円対策と、農産物輸入あるいは自由化輸入量増大について、これはお伺いしておりますと、かなり農林大臣としての主観的なお考えはわかりましたけれども、それでは農民生産に安心ができないと思いますので、田中内閣としての一貫した方針を明示して、そしてこの問題に対して、生産意欲が阻害されない、やはりきちっとした体制をとる必要がある、こう思いますので、いま閣議等で動いております田中内閣としての一貫した方針の中では、この問題についてこれからどう対処しようとしておられるのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  4. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 閣議の席上におきまして、貿易自由化の全般的な方針として、農林省通産省関係品目について検討をしてもらいたい、できれば自由化を促進したいので、その場合の国内対策考えてもらいたい、こういうような話があったことは事実でございます。これはその当時のそれぞれの閣僚の方の記者会見を見ましても、私は、閣議の際そういう協議があった、特に指示、命令のような強いものとは受けておらないのであります。それぞれ記者会見などでも、やはり大蔵大臣でも通産大臣でも、指示を受けたという表現では会見をしておらなかったようであります。私の受けた感じと大体同じだったと思うのであります。  そこで、私がたびたび申し上げておるのは、そういう検討を言われて、それをしないというわけにはいかないので、それは私はするんです。しかし、農林大臣基本的姿勢はどうかといえば、いままでのところ、農産物自由化については、残存品目はすべて日本農業全般に非常に大きな影響のあるものでございまするから、これについては私は消極でもあるし、基本的姿勢はやはり反対である、こう申し上げてきておるわけでございます。  この検討というのには、これは言うまでもなく、若干の時日を要するのでございまするので、私は一応、その検討の模様を三月中ごろには見たい。しかし、見通しはどうかと言われれば、見通しは、常識的に考えて、一つ一つのまた品目を見て、地域的な事情あるいはその他のいろいろな条件を見まするに、見通しは、なかなかやはり自由化はむずかしい、こういうふうに申し上げておるのでございまして、そういう検討をしておるということは事実で、これ以上ちょっとお答えしにくいと思うのですが、なお何かさらにお尋ねがあればお答え申し上げます。
  5. 美濃政市

    美濃委員 現況はわかりましたが、そこで、私は、国際収支円対策については、現在の日本状態からいけば、輸出に対する秩序——あまり相手方の国の不信をかうような輸出超過にならないように、その輸出額を何か変えれば国内経済に、たとえば農産物自由化すれば、いま大臣が言うように、国内農業破壊になるから、大臣としては反対だ、その気持ちはよくわかりますし、それなりに受けとめますが、そうだとするならば、やはり二重価格解消なりあるいは輸出産業に対する輸出部分課税特別措置の廃止なりという方向で、そうならないような輸出秩序をはかるほうに主体を置くべきであって、そうして何か日米経済委員会でもあれば、また自由化向こうから持ち込まれると、検討せよ、そうして農業団体全国農民に大きな不安を与える、こういうことを繰り返しておるということは、まことに田中内閣として私はどうかと思うのです。  いま、大臣のお考えはそれでわかりましたが、そういうけじめはしからばいつつくことになりますか。もう年中行事、ここ数年、国際収支黒字である限り、これをぶち返しておるわけですね。そのたびに、大会を開いたり、多くの経費をかけて、農民は不安で、そうして農業危機を絶叫しているのですよ。最近もそうじゃないですか。東京都に全国から集まって、膨大な経費をかけて、危機突破大会を開いている。これはまことに不親切だと思うのですね。ああいうことを一年に何回も農民が繰り返さなくてもいいだけの方針を示すべきだと思うのです。それはいつごろになりますか。まあ大臣も、田中内閣閣僚として、それは国民に対してやらなければならぬ義務があると思うのです。大臣の主観だけで、何とか押える、こう言っても、それは不安ですから、大臣気持ちはいまの答弁で了解できますけれども、それだけでは事は済まされぬわけです。絶えず検討せよ検討せよというようなことがないようにけじめをつけんければならぬと思います。その点についての、しからばこれをどういう方法でまたどういうことでいつごろまでの時期に、東京都で、膨大な経費をかけて農業危機を叫んで農民大会を開いて、そうして農林省国会議員に頼んで歩かなくてもいいような条件を、いつまでにきちっと整理するのか、これを明示してもらいたいと思います。
  6. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私は、御了解願ったように、終始一貫した姿勢をとっておるわけであります。しからば、私の姿勢に大きな変化が起こり得るかどうか、こういうことを私自身考えてみても、それは起こり得ないと思っておるのです。しかし、お話しのように、閣議でああいう話が出ればということから、不安感を起こしておるということはいなめない事実かと思うのでありまするが、本来いえば、こういう姿勢をとっておれば、それほど問題であり、不安を生ずるということはないと私は思うのですけれども、どうもそういうふうにまいっておらないということはまことに遺憾なことであります。  いま残されておる二十四品目をずっと見ましても、それじゃ、いろいろ対策を講じ、貿易自由化という理想に向かって現状においてはたしてやり得るかというと、私はまずない、こう思うのであります。かりに一つ二つ——場合によればです、そういうものが出るようなものがあるかもしれませんけれども、それはもうほとんど関係のないようなもの、そういうようなものがあるいは今度検討していった場合に、これならばというようなものが予想されるものが一つ、二つ出そうな気もいたしますが、これはまだ検討中のことでございますので、その結果を待ちたいと思うのでありますが、大局的には、三月半ばごろまでの検討を終わって、しからばどういうことになるのか。現在の基本的な姿勢には変わりがない、こういうふうに思っておるのでありますが、いつごろまでとこう言われれば、大体三月中ごろには一つ一つ品目についての検討というものがなされるでありましょうから、そのころにははっきりする、こう思います。
  7. 美濃政市

    美濃委員 私はいままで長い間いま残されておる二十四品目については、農林省から出されました「農産物需給展望生産目標試案」この将来の需給計画等を、必ずこの政策をやるというのであれば、二十四品目はもう検討する要はないんじゃないか。そういうむだなエネルギーじゃなくて、二十四品目はもう自由化を将来ともしませんよということ、それからもう一つは、大臣の御意見を承っておきたいと思いますが、たとえば円対策として、現在の状況の中で、これは入らないような内政措置をもって自由化をしたって、それは結局、それをするために国民税金を使って予算を消耗するだけで、円対策効果にならぬでしょう。効果になるような輸入量増大自由化をやれば、それを破壊するということであります。そうすると、自由化をしないことが一番いいんじゃないかと私は思うのです。内政措置で具体的に自由化しても、入らない障壁をつくって自由化するのであれば、これはその面でいたずらに国費をむだづかいする、国民税金をそこに消耗するだけであって、円対策にはならない。円対策になる、あるいは国際収支黒字幅解消になるような手段が行なわれれば、それは国内農業破壊に通ずるわけであります。ですから、一つ一つ品目検討ということはちょっとおかしいと思う。もう検討する必要はないのじゃないか。むだなことはやらぬで、農民が安心して再生産——価格の面は別といたしましても、需給の面で、ひとつこれこれのものについては国内農業でここまで責任を持って日本政府としては需給政策を確立するんだから、このとおりなんだから、安心して生産に励んでもらいたい、こういう姿勢をとるべきだと思うのですね。いかがでしょうか。
  8. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 美濃委員の御指摘には私は全く同感なんであります。ただ、相手から執拗に、貿易自由化、その中に農産物自由化も求めてくる、こういう姿勢でありますから、それに対して繰り返し繰り返し理解納得を求める上におきまして、この際においては検討の必要はないじゃないか、こう言われましたが、検討をしてさらに理解納得を求めるということを——これは相手のあることだからやむを得ないという判断に立っておるわけでございますが、お話しのように、国内対策を十分にして、障壁を設けて入らないようにして自由化、ということは信義にもとる。それよりは、むしろはっきりと、こういう事情でだめだということを言うほうがいいのはもとよりだと思うのです。  それで、当面、貿易の赤字の一番問題なのは、言うまでもなく、対米関係でありますから、アメリカから見えた関係者あるいは報道機関の方々には品目ごとによく説明をして、しかも、説明を受けた方はおおむねみな納得をしておるのであります。一番問題のあるオレンジとかジュースとかそういうものについて、日本は現在ミカンの非常な増産で暴落して、そこに多額の国費を費やして緊急対策をとっておる、その上に各県もまたそういう施策をとっておる、いまそういうことを言われてもできないことであるし、それが日米友好になるか、こう言えば、向こうもなるほどという理解は持つわけでございます。  現在、そのほかのアメリカ関心品目につきましても、一つ一つ懇切に説明をしておりまして、理解点に立っておると私は思うのでありますが、御承知のように、アメリカも国務省のようにちょっと実情から離れた大局論だけからくるものがございます。そういうことで、この機会にもっと徹底した説明をする必要もあるという気はいたしておりまして、その意味から、検討の結果を、また同じことになるでありましょうが、強調をいたしたい、こう思っておる次第でございます。
  9. 美濃政市

    美濃委員 もう一つの問題、この際ちょっと閣議の内容をお尋ねしておきたいのです。  私はやはり輸出秩序を持たすべきであると思う。これは、ガット協定から見ても、約束ごとの限度を越える超過輸出になって、相手方の国に貿易上の負債が大幅に発生して金で決済できないような、保有金を全部出してもまだ足らぬというような条件が出るということはやはりいけない。一番大きな問題は、私はそこにあると思うのです。ですから、閣議の中では、そうならないように輸出に対する秩序を主に考えるのか、それともあくまで物を買うという手段解消しようというのを主に置いておるのか、どうなんですか、閣議の中のものの考え方は。農林物資だけでなしに、全体を通じてどういう考えでこの問題が閣議の中で検討されておるのか。
  10. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 お尋ねでございますので、閣僚の一人として申し上げますならば、予想以上に輸出が上回っておるということでありますから、その場合に、貿管令で輸出を押えるとか、また全体のバランス上から関税の引き下げなどによって輸入を促進するとかいうようなことは、順次取り上げられてまいってきたところでございます。この秩序ある輸出といいましょうか、輸出の過熱がないようにということにつきましては、主として通産省関係品目になるところでございますが、その点については通産大臣も努力をせられておるところでございます。  これは私の見方でございますが、たとえば、こういう状況なら円の切り上げが必至であるということで、相手国が、そういうことならばこの際買い付けようというような、そういう非常に遺憾な事態が加わっておったのではないかと思うのであります。でありますから、今度のドル切り下げあるいは変動相場制への移行によりまして円が適正なところに落ちついてまいりますれば、そのような思惑というものもなくなるし、順次貿易が全般的に落ちついてくるのではないか。お話し輸出の面についても、田中内閣としては十分注意を払ってきたということはまぎれもない事実なんでありますが、残念ながら、それ以上のいろんないわゆる外圧というもの、あるいは国際的な諸状況があった、こう申し上げてよかろうと思うのです。
  11. 美濃政市

    美濃委員 次に、そういう状態を踏まえて、「農産物需給展望生産目標」これはきのうの竹内委員質疑を私、聞いておりましたが、これは単に農林省メモでなしに、いろいろ長期的な展望をしておりますから、時代の推移で多少出る面があっても、私よく見ましたが、一応の展望として、この程度で推移するのではないかと私は思うのです。いま把握できる範囲としては、まあこのような展望であろうと私も思うわけです。この展望に対しては、やはり政府できちっとして、これをもっと権威のあるものにしたらどうですか。たとえば農政審議会にこれをきちっとかけて、単に農林省の内部で、これからいろいろの農政を進める上の検討資料でありますというのでなしに、政策として閣議決定もして、基本的な農政指標として裏づけをしておく。そして、先ほどから申し上げておるように、外国から国際収支の問題や何かで自由化がいわれると、絶えず検討する検討するということのないように、やはりきちっとした体制をつくるべきである、こう思うのです。それがいま直ちにできぬでも、そういう方向できちっと農政というものを進めるべきであると思うのですが、その考え方に対して大臣はどうお考えになりますか。
  12. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いまのような「試案」で、これを重要な参考資料として、あるいはわれわれの農政方針一つの大きな材料として活用していく、これは私はきのうもずいぶん申し上げたが、なかなか御理解をしていただけないのでありますけれども、たとえば、昨年の十月の指標が出て以来のいろいろな国際情勢変化——十月ごろにでき上がったのでありますから、昨年の国際的な不作というようなものはあの「試案」の中には反映されてないと私は思います。それから、御指摘のあった中国との貿易関係、これも七月以降日中の国交回復がきたのでありますから、ある程度考慮はされておるが、もう一つ根本的な検討というものが足りないと思うのです。それから、そこへもってきて今回のドル切り下げ変動制相場というよなこと。さらには、皆さん方も御指摘のように、これから円の切り上げはもう既定の事実ではないか。この上げ幅等もいずれきまってくるということになりますと、いろいろ大きな要因が次々と変わってきておる、こういう段階でございます。そのつど一々この計画お話しのような審議会閣議にかけておりますと、それぞれまた手続をとらなければならないというようなところにまいりますので、私としてはこれを重要な参考にする。また、農林省として当面の方針はどうかと言われれば、せっかく学識経験者権威者が寄って御相談願ったのですから、私がこれを尊重すると言っても御非難は受けないと思うのです。しかし、いま言うようないろいろなことを考えると、これをもっとしっかりしたものにせよ、こういう御意見はわかりますけれども、しかし、いまの状況のもとでやっておることもまた御理解をちょうだいできるのではないか、こう思うのでございます。
  13. 美濃政市

    美濃委員 私はこういう指標をつくって——いま大臣の言われた海外豊凶等によって起こる変化というのはこれとは別なことでありますから、それはそのときにそういう事態が起きたことへの対応性なりはまたあると思う。日本の国土の中で、食料というものは可能な限り自給するということが一番大切だと思うのです。しかし、その中では、海外事情変化というようなものまで織り込んだ需給見通しまでは要らぬのではないか、私はこう思うのです。ですから、それに対応する策は、やはり国内自給率を高める、輸入に依存しないという政策を確立しなければならぬ、こう思うわけです。ですから、この需給展望に立ってどこまで自給率を保つかというそのことは、金融の問題もあるし、価格政策の問題、いろいろの農政上の問題はありますけれども、現時点に立った日本農政としてそれが一番大切だと思うのです。そこの日本政府としての骨がぴんとしなければ農民は安心できないわけですね。もうおまえのつくったものはどうでもいいぞ——私は、ミカンの問題、果樹問題で、だいぶ前ですが、ここで質問したわけですけれども、果樹振興法をつくって、そして農業基本法選択的拡大の中で果樹生産を開始する、これをやってきた中でオレンジ自由化の問題が出たときに、これだけ果樹振興法によってミカン畑をつくらせてそういうものを自由化するのであれば、それは需給破壊が起きる、その場合には、果樹振興法によってミカン畑に貸し付けた資金は全部棒引きにするんでしょうねという質問をしたはずなんです。その速記録もあると思います。それが現実に出てくるでしょう。ミカンは豊作で農民は困っておっても、東京都内くだもの屋に行けば、かなり輸入ミカンが入っておりますね、積まれておりますね。そういうことが起きるとするならば、生産拡大意欲はなくなっちゃうわけですね。それが最近あらゆる面で出てきたんじゃないですか。そのために、生産意欲の減退、喪失というものがいま起きてきているわけですね。それを食いとめるには、やはり政策で、そうならないぞ、心配するなということを明示してやらなければいかぬと思うんです。  ですから、別な資料でもいいですよ。しかし、幸いこれが出てきたから、きちっと、この将来の需要に対してここまで供給する、これは何としても国内生産するという政策を貫くから、農民需給の面でも安心して生産に励んでくれ、これを明示せんならぬと思うんですね。どうですか、私の言っていることは無理でしょうかね。それをせぬ限り、生産意欲は消滅してしまうんですね。あと継ぎも残らないし、嫁も来ないし、日本食料自給なんか言っておったって、やる農民農業から離れてしまう、こうなってしまうわけです。ですから、そこの政策めどをつけなさい、こう言っておるわけです。  ですから、そういうめどと、もう一つは、最近あらわれておる国際間の穀物豊凶によって起きてくる現象とは別なことだと私は思うんです。もちろん、それはそれでまた別の面で、たとえばえさであれば、もっと食管えさ会計をふやして備荒的にえさを買い付けておくとか、いまのような現況であれば。しかし、えさ穀物自給が高まれば、これはまた別でありますけれども、現況のような一〇〇%えさ用穀物輸入に近いような状態であれば、やはり食管買い付けをふやす対策をやる。それは需給展望とは別の政策だと思うんですね。別の政策で、そういうものに対する対応策をやっていかなければならぬ。これとは別だと思うんです。この中にそれまで入れろとは、私は言ってないわけです。国際間の豊凶の差に対する対応策までこの中に持ち込みなさいとは言ってないわけですね。とにかく国内農民が安心して、そうして政府が示す自給率に向かって生産意欲を喪失しない政策を確立せよ、こう申しておるわけなんです。
  14. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 美濃委員の御質問の御趣旨については、もう私は十分理解を持っておるのでございます。ただ、私は、この「試案」というものは繰り返し引用もしておるし、また昨日も、それほど重要視するならばもっとちゃんとした裏づけをと言われる、それも私はわかる。しかし、私の申しておることも、私自身がこの「試案」を見て、全く第三者的な気持ちですらっと見て、これはこの基調は全部賛成だが、最初から私はこの中では、資料関係については全く第三者のようなものだが、もうちょっと考えてもいいのじゃないか。たとえばこの表を見ると、需要生産の対比で五十七年に小麦は八%、大麦、裸麦は一三%、こういうことになっておりますが、先般来の委員会の御審議の中にも裏作問題が盛んに取り上げられておりまして、これはもう少し考える余地が、しろうと考えながら、あるのじゃないかというような、そういう私自身もちょっと意見があります。  で、こういうものを農林省として重要な資料にしておる。また、私もこれをこれから農政の上で重要視していく。しかし、また同時に、先生方の御意見も逐次できればここに反映させて、もっとしっかりしたものにする要素もあるいはあるのじゃないか。そこで、先ほどからのいろいろな要因を申し上げたのでございますが、国際的な関係はあまり考慮しないでもいいとは言われましたが、私がなぜ飼料のことが気になるということを常に言っておるかといいますと、やはりその国際的な関係から濃厚飼料などについてはなかなかこれは日本でもやれない、それが入ってこない、そうなってくると、それに何か補いをつける方法はないか。さらには、そういうことであるならば、粗飼料をもっとよくする必要があるのじゃないかとか、この稲作転換の場合の草地造成は相当重点は置いておりますけれども、これももう少し考えてみたいという気も起きてきているわけでございます。  ですから、おっしゃるように、国際的な問題は問題として、それはなるほど天候の関係でございますから、去年だけのことを、これを長い将来にわたって同じようなことが続くという考えではこれも不見識なことで、私もその点でなお長期的には、FAOの資料などを見ると、去年だけのことを頭に置くのもどうかということをお答え申し上げておるわけでございますが、こういうような点もひとつ御了解いただきまして、私は先生の御指摘は十分了解はいたしますけれども、いまにわかにこれを審議会閣議にまで持っていくということよりも、このままのほうがいいのじゃないかという気がまだしておるということをつけ加えて申し上げます。
  15. 美濃政市

    美濃委員 それはちょっとこの資料をたてにしたから大臣ははぐらかして答弁しておるのか、この資料資料として、大臣が言われたように、この資料の中にもしさいに検討すれば、資料そのものについて審議すると問題はあります。言いたいこともあるわけです。しかし、大綱としてそう間違っていないのではないか。しさいに検討すれば、いま大臣指摘したような面も当然あります。私が言っているのは、そうではなくて、この資料は別としても、需給見通しですから、この需給見通しを一応基礎にして、それに対して国内で何ぼ生産するという基本方針を、これは内部資料だと言うなら、それはそれにしても、しからば、また別の角度で長期の展望に立って、たとえば牛乳生産は何ぼ、あるいは麦の生産は何ぼ、こういう展望を掲げて、そして農民生産意欲をきちんと正常につなぎとめていく、この政策を打ち立ててもらいたい。この「試案」を農林省資料として使うことが悪いと言っておるわけではない。これはこれなりにするというなら、こういう一応の将来の需給という長期展望が出たわけですが、この資料以外の展望が別の角度から出るのですか。やはりこんなものでしょう、別の角度から展望をはじいてみても。その長期展望に対して、国内生産する自給率政策として明らかにせいということを私は言っておるのです。それを農民に紹介して、そうして農業生産意欲をきちっと正常に持っていくような政策が必要である。あえてこの「試案」は試案でこのままにしておくというならそれでもいいですが、この「試案」に基づく長期の需給展望に対する生産政策を明らかにせよ、こう言っておるわけなんです。それにはこの資料をもう少し中身の悪いところは検討して、この資料を即、権威のあるものにすることもいいでしょう。別の角度でつくってみても、およそこんなものになるのではないか。長期需給に対する展望というものは、いまの時点でこまかい点を言えば問題はあるでしょうけれども、大綱としてはこんなものではないかと私も見て思うわけです。それを政策の上できちっと位置づけをしなさい。国内需給の位置づけをしなさい。国内需給の位置づけをする中にも、もちろん大臣が言われたような、えさに対するこういう問題も出てきておるから、やはり自給率を高めてその展望を掲げるということもけっこうです。それも必要なんです。なおかつそれをやっても、おそらく、日本の畜産がいまの規模でいくということになって、肉や牛乳に対して、千六百万トン消費されておる配合飼料を完全自給といえば、えさ用の畑が三百万ヘクタールくらい要るんじゃないですか。それだけの開発余裕があれば、それも展望に入れてください。三百万ヘクタール畑地を造成して一〇〇%自給体制ができるならば、それも展望に入れる。しかし、限られた日本の国土の中において、急傾斜の土地にえさ用の作物をつくれといったってこれはつくれぬわけですから、そこで、展望はやはり展望なんですね。えさ用についてはどこまで自給するか、そういうものを、これに不足しておるものは検討して、それを日本政府としての農政の基本方針として掲げる必要がある、こう言っておるわけなんです。この資料を即どうこうせいということではなくて、そういう政策ですよ、それを政府として掲げる必要がある。これに対して大臣はどうお考えになりますかと、こういうことなんです。この資料にこだわっておるわけではないのです。
  16. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私、正直申し上げますと、この「試案」のできる経過を聞いたんです。そうしたところが、北海道から私どもの中国地方だとか、そういう地域的な事情その他も全部積み上げて、そうして最後にこの「試案」になっている、こういうことを聞いて、私は、これは相当丹念につくられたものである、したがって、自分としてもいろいろ御説明を申し上げたり、所信を申し上げたり、方針を言うのに、これはもう非常に重要なものであるという立場に立ったわけでございます。そしてまた同時に、この「試案」に基づく具体的な諸施策の必要がある、いま美濃委員の御指摘のとおりに私は考えております。そこで、その点についてはちょっと官房長のほうから補足の説明をさせますから……。
  17. 三善信二

    ○三善政府委員 先生御指摘のように、この「試案」に基づいて、今後この「試案」を実現するためにどういう施策をやっていくべきかという御質問かと思います。  私ども、この「試案」の経緯につきましては、昨日も申し上げましたように、いろいろの質度から、技術的にも地域的にも検討してまいったわけでございます。御承知のように、従来のままでやっていけば、自給率等は、総合自給率にしましても、おそらく低下していくであろうというような予想が当然立っていくんじゃなかろうか。この際にやはり国内自給し得るものはできるだけ自給する。ただ、外国の農産品と日本国内農産物との価格の差、これはどう生産性を上げてもそこまで追いついていけない。あるいは価格対策を講じて相当やってもなかなか無理じゃなかろうか。そういういろいろな問題も加味いたしまして、少なくとも十年後にはこの指標考えております——まあ経済成長その他のいろいろな与件はございます。そういう与件を前提に置きまして、ここに書いてありますような自給率七三から七七、その辺までは少なくとも確保していきたい。そのためには個々の農産物についてどうやっていったらいいか。農産物ごとに積み上げていってきているわけでございます。それで、私ども四十八年度予算につきましても、これを実現するために、十カ年でございますが、一がいにすぐ一年、二年で実現するというわけにまいりません。しかし、その方向に向かって一つ対策を打ち出していこうということを考えているわけです。  まず、具体的には土地改良の長期計画でございます。これも現在まで十カ年の計画をつくってやってまいりますけれども、まだまだ土地改良が進んでいないところが非常に多いことは先生御承知のとおりでございます。したがいまして、この「試案」を実現するために一体農地面積は幾ら要るであろうか、そういうことも考えておりますし、農地で五百二十万ヘクタール、草地で六十万ヘクタール、それを機械化し、経営を合理化し、近代化していくためには、まずもって土地基盤の整備が必要であるということで、十カ年の土地改良長期計画をつくり、これは閣議決定もいたすことにしているわけでございます。そういうことで、基盤整備、これを予算的に見ましても、前年より相当大幅にアップをして、できれば十カ年に農地の基盤整備ができる要土地改良面積の八割くらいはやっていきたいという計画で、十カ年計画を立てているわけです。そのために来年度からの予算も相当大幅にふくらませている。  それからもう一つ大きな点は、やはり将来の経営というのはどうやっていくかということが一つの大きな問題になろうかと思います。御承知のように自立経営ということも私ども育ててまいりました。なかなかそう容易に進まない。農地の流動化もそう簡単にはいかない。けれども、これはこれとして育てていきたいということで、農地の合理化の対策等も予算的にも充実してまいっております。ただ、今後はそれだけじゃなくて、やはりそういう集団的な経営組織、そういうものを育てていく必要があるのじゃないか。現に相当程度そういう傾向は多いわけでございます。水田の経営にしましても、やはり中核的な農家が中心になりまして、そういう専業農家が中心になって、他の兼業農家の土地を借り入れたり、あるいは作業の受委託を受けたり、そういうことで一つのまとまった経営単位というようなことを将来はつくっていく必要があるし、現にそれが進んできている。そういう点も地域ごとに相当調べましたので、そういう方向で経営も合理化、近代化していく、そして生産性を上げていく。そういうことで新しく四十八年度からも、そういう集団的生産組織育成のための予算も新しく芽を出させていただいているということでございます。  そのほかいろいろございます。それは価格対策もございましょうし、あるいは施設の近代化もございましょうし、私どもが昨年からやっております団地対策、これもやはり一つ方向のものでございますし、第二次構造改善事業、そういった点も充実して、この「試案」の目標を達成するために、自給率を上げるために、今後対策をどうやっていくかということにもいろいろこまかく配慮はしているわけでございます。至らぬところはまだたくさんあるわけで、今後ともこれが充実していってまいりたいと思っております。  それからもう一つ、基本的に、私どもはこの「試案」をつくりましてから、マクロ的なものではなくて、もっとやはり地域等にこれを掘り下げて考えていく必要があろうということを考えております。したがいまして、地方に農政局がございますし、農政局を中心に管轄の県と一緒になって、この「試案」に基づいたまた地域別なこまかい一つ対策、そういうことも考えていきたい、そういうふうに思っておる次第でございます。
  18. 美濃政市

    美濃委員 こればかりやっておれませんので、ではどうですか。大臣は、農産物はこれ以上おそらく、検討はするが自由化をされない、自由化方向反対であるということを言われておるのですが、これを角度を変えて言います。  これにちょっとかこつけて言うと、何かそれを田中内閣政策方向としてきちっと整理をして、国民に責任をもってはっきりと、こうなんだからということをやる意思がありますか。そういうふうにするべきであるということを私は言っておるので、これにこだわって言っておるわけじゃないのです。これはこれで農林省の内部資料に使うというなら、それをどうこう言っておるわけじゃないのです。  時間の関係で、この場合、いまの官房長の説明は、決して聞きたくないとか間違っておるとかいうのじゃなくて、そういう答弁を求めておるわけじゃないのです。いまの官房長のようなお話はまた一般ででもいいわけです。きょうはやはり大切な基本方針なんですから、基本方針の中で、自由化はされないのだ、われわれのつくったものはやはり国民食糧として十分政府が責任をもって消流に当たるのだ——もちろんそれは消費者生活のためにコストの問題はあります。コストの問題その他は十分別の角度で検討せねばならぬことなんだが、ただ、円対策国際収支関係で、最近のミカンのように、まともにつくったものが暴落しちゃって首をつらねばならぬというようなことが起きやせぬか。そんなことはしないという政策を明示すべきだと私は言っておるのです。それをいつの時期にやる意思があるのかないのか。それは単なる、いま言ったように、農林大臣としての個人、いうなら農林大臣だけのアイデアであって、田中内閣全体としてはそういう政策は明示されない。大臣は、これから努力して、したいというのか、そこをひとつ聞いておきたい。いまここですると断言できなければ、とにかくする方向でやるならやるとか、それはとてもだめだ、いま言っておることはあくまで農林大臣としての個人的なアイデアであって、田中内閣全体では、閣議ではそれは通りません、こう考えられておるのか、そこをひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  19. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これはきわめて重要なことだと思います。と申しますのは、貿易自由化という理想、こういうものは田中内閣として持っておると思うのです。しかし、その中におきまして、御承知の残存品目三十三の中で非常に多くの数を農産物で占めておる。こういうことで、貿易自由化の理想に向かうときに、一体二十四品目農林省関係をどうするということが常に問題になってくるのでございまするが、私もそういう理想というものはけっこうです。それに対応する施策は農林省はとっております。しかし、現在この二十四品目をかりに自由化するといたしましても、その起きる影響は甚大であって、とても応ぜられません、こういうことで一貫いたしておるわけであります。したがって、私は、基本的には、農産物自由化反対であるということを申し続けてきておりまするし、またその努力を繰り返ししてまいっておるわけでございます。  ところが、たまたま今回のドル切り下げに伴いまして、再々切り上げのようなことがあってはならないから、もう一度検討せい、こう言われたので、検討をしながら、しかし同時に、私の所信を繰り返し申し上げておるということは、そのことによって広く国内的にも国際的にも理解を求めたい、こういうことで、ねらいは、基本的に農産物自由化はできない事情にあるということを認識してもらおう、こういうところにあるわけでございます。
  20. 美濃政市

    美濃委員 もう一歩進んだ政策を明示することはできませんか。その気持ちは、大臣のいまの答弁の気持ちは私も悪いと言っておるわけではないし、あなたのいま説明したことをもう少し田中内閣政策として絶えず——ちょっと外国との経済委員会か何かが行なわれたら、そら、検討——それは新聞に出ますから、また始まったと農民は不安になるわけですね。それを日本政府の基本方針として、一年に何回も、八月に日米経済委員会が行なわれたら、雑豆の自由化だ、牛肉の自由化だと、がたがたしないようにもうちょっと整理をして、きちっとして、農民がこの問題で安心して規模拡大なり土地改良なりができるように、先ほどから言っておる円対策ならもう少し別の角度で——とにかく日本の外貨は多過ぎるわけですから、これはやはりガットの協定からいっても、貿易上の負債のできた国からいえば、これでは困るというのは、こういう国際貿易の中では私は一面それは当然だと思うのです。金で決済を要求された場合に、おれのところの保有金をみんな吐き出しても間に合わぬ、だから金で決済なんかしませんよというような緊急法律をつくって、対抗手段を講じるというようなところに問題があるのです。ですから、そういう別の角度で輸出秩序に主体を置いて、あまり農民をおどさないで、もう少し、いま大臣が言っておることで、国民が安心できる政策手段はないのかということです、わかりやすく言えば。それに対して大臣は努力する意思があるかどうか。機内農林大臣としては、田中内閣閣僚の中でいま申し上げておる答弁が精一ぱいですというのか、やはり基本政策を立てて、もう少し安心できる政策を打ち出すために努力するというのか、どっちですか。
  21. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 努力は一生懸命続けていく考えでございます。私が繰り返しこういうことを申し上げておる結果が新聞に出ておることでございまするから引用さしていただきますが、通産大臣農産物自由化は無理であるときのうあたりの記者会見で述べておられるようでございまして、これはやはり皆さん方の御支援のもとにこういう姿勢をとっておる成果が出てきておるものではないか、こう思うのでございまして、こういうふうに繰り返し申し上げておるうちにこのことが定着をして、そして貿易自由化というけれども、これこれは国際的に見ても残存品目としては決して多いものではない、この程度は欧米と比較しても当然だ、日本貿易自由化はこれでもう終わったのだというような情勢に次第になるものであるということを信じておるものでございます。
  22. 美濃政市

    美濃委員 これ以上、やはり大臣田中内閣閣僚として言えぬようでありますから……。いろいろ検討されておる事項も三月末ごろまでにというお話もございましたので、いずれ予算審議の中で大臣の出席が得られるときに、三月の中旬もしくは三月、この国会中にもう一ぺんこの質問をやりたいと思いますから、それまでにもっと農民が安心できる対策考えておいてください。  これ以上申しませんが、もう少し、ひとつ一年に二回も三回も——先ほどのを繰り返しますが、東京危機突破大会を開かぬでいいだけの政府姿勢というものを検討してくれませんか。大臣の言われておることはそれなりにだめだという感じでなしに私も聞いておりますし、それを農民がもう少し——こんなことを言っておるうちにだんだんと外国側も了解がつくだろうということも国際情勢の中であるかもしれませんけれども、もう一歩前進して、あまりにも生産意欲を欠きますから、それに対する政府としての方針というものを、もう少しきちっと姿勢をとってもらいたいという趣旨を申し上げておるわけです。十分検討してもらいたいと思います。いずれまた時期を見たときに、どうなったかとお聞きしたいと思います。
  23. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまのお話のとおり、もっと安心のできるような、明言のできるような機会を得たいと思います。それで、実際、私も就任して二カ月余でございますけれども、いまの農村の実情というものがほんとうに生産意欲を燃やしてもらえるものかどうかということについては懸念をしておる一人でございます。その原因の中にこういう自由化問題があるということは農政の責任者といたしましてはまことに申しわけないところでございまして、お話のように、もっとはっきりした姿勢のとれるように努力をいたします。
  24. 美濃政市

    美濃委員 それでは次をお尋ねいたします。  大臣所信表明の中で「高能率農業の展開」ということを言われておりますが、先ほど一応、需給展望政策について官房長からいろいろ懇切な説明が行なわれておりましたが、まず高能率農業の展開を考える場合、いま日本農政の中で非常に欠けておるのは農家の労働時間です。労働時間というのは、自由業の農業ですから、収穫の時期とか何とか一時的にかなり過重労働になる面もあります。たとえば北海道の一毛作のようなところはやむを得ないと思うのです、自営ですから。そういう意味でなくて、そういう時期があったとしても、年間の労働時間は、やはり他産業並み労働時間というもので、他産業並み所得が発生できる構造というものを考えなければ、全く労働時間を無視して、年間五千時間六千時間という労働時間が——いわゆる標準農家世帯、夫婦二人子三人で五千時間あるいは六千時間という家族労働時間がなければ完全管理のできないような経営構造を指導理念の中に、頭の中に描いてこれを消化せよなどということは愚の骨頂だと思うのです。また、それをやった農家は、いま全部つぶれておるわけですね。肉体的に、健康的につぶれて破壊してしまうわけです。ですから、気象条件あるいは労働時間というものが高能率農業の展開の指導の中で出てきておる。  それからもう一つは、最近の土地買い占めです。これはあとから流通の中で申し上げますが、御存じのように、第一番に木材でもうけて木材の不当利潤を上げ、それに味をしめて大豆に手を伸ばし、えさに手を伸ばし、最近は綿糸に手を伸ばしてきましたね。次、何をやるかということですが、この不当利得というものは私は膨大なものだと思うのです。こういう行為が行なわれ、それが全部だとは申し上げませんが、そういう大商社というものは、おおむね子会社として土地会社をつくり、ものすごい買い占めです。この間、宮城県へちょっと行ってみたら、二万四千ヘクタール買い占められている。北海道のような辺地の原野、山林というものは——農地は農地法がありますからちょっと手を出しても拘束されますけれども、とにかく買い占めが行なわれている。あれは何を目的に買い占めておるのか。時間があれば林業の問題もやりたいと思っておりますが、林業も土地買い占めで破壊されてしまうし、農業の規模拡大もまだこれから、先ほど説明のありました十年間で膨大な土地改良を進めて農業基盤の確立をはかるという面は、これはもう土地買い占めで大幅にだめになってしまうのじゃないですか。そういうところはもう買い占められちゃっておる。どんどん買い占めていくわけです。しかも、それが、いまの農産物価格では、そういう価格で買ってそれに自己負担をして土地改良をして農業生産の用途に供することのできない価格であります。そういう価格でどんどん買い占めている。それはあぶく金だから、将来使い道があろうとなかろうと——もうとんでもない不正常な手段——不正常な手段と私は申し上げている、不正常な手段によってあぶく金をもうけているのだから、値段なんかどうでもいいと思うのですね。預金してもたいした魅力もなかろうし、大きな商社ですから、株もそう持ちたくないでしょうし、えい、めんどうくさい、土地でも買っておけということになるのじゃないですか。とにかくいま官房長の言ったような政策でこれからすれば、草地なりあるいはそういうものに使える土地がどんどん買い占められているから——たとえば北海道の私どもの道東地区であれば、いままでは七千円か八千円、一万円以下でなければ、そういうところを買って、自己負担をして土地改良をして草地にして、その牧草を肉牛に食わしたのでは合わないわけです、それ以上高い土地を買ったのでは採算がとれないわけです。それを六万とか七万とか八万という、農業手段としてはどうにもならない価格で買い占められてしまうわけです。私どもの地元の町村長あたり、どうにもならぬと言って頭をかかえているわけです。私は、北海道における現況、あるいはこの間、宮城県で聞いてみた現況——他の県は知りませんが、そこらの率から推定していくと、一道四十何県をその率ですぽっと当てはめると百万ヘクタールぐらい買い占められたのではないかと思うのです。農林省はそれを、どのくらい進んでおるか把握しておりますか。何ぼくらい全国で買い占めが行なわれているか。具体的に行った県とか、地元の条件だけから測定すると、百万ヘクタールというのは単なる私の表現ですから、百万ヘクタールかどうかわかりませんけれども、現実に把握したものをずっと全国の面積に当てはめてみると、百万ヘクタールぐらい買い占めが進んでおるのではないか。農林省は把握しておると思うのですが、把握できていないということになるとこれはたいへんなことだ。どうなっておるのか、それをお聞きしたいと思います。
  25. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先般予算委員会資料といたしまして、各地方農政局で情報を集めましたものをお出ししております。「民間資本の土地投資と農業開発についての情報」ということでお出ししております。いまここに一例として、関東農政局管内における民間資本の土地取得状況というのがございますが、御参考までに申し上げてみますると、四十六年七月一日から四十七年六月三十日までの一年間に売買契約が成立したものが、取得面積全体で三万三千四百ヘクタール。山林二万五千三百十七ヘクタール、農地六千三百十三ヘクタール、その他が千七百七十ヘクタール。これは一例として出ておりまするが、各農政局の状況は、これは農政局によりまして少しずつニュアンスが違いますけれども、予算委員会資料としてお出ししておりますから、それを当委員会におきましてもいつでもお出しできると思います。  ただ、林野関係につきましては、保安林なんかについての制限がございますから、どの程度に転用されたかということについては詳細わかりますけれども、その他のことにつきましては、自信を持ってこうだという資料には現在欠けておると思います。
  26. 美濃政市

    美濃委員 いつごろ把握できますか、これは農政局を動員して現状把握すると。これに対する政策を持たなければ、いわゆる高能率農業の展開だとか農地の流動化だとかいったって、開発余裕のあるものは全部買い占められてしまうわけですから、買い占めた土地が何になるのか。それは全く国民生活に——たとえば土地利用というのは、申し上げるまでもなく、農業用の手段に供するだけが土地利用ではないわけですから、農業手段に供するよりもほんとうに国民生活によりよく貢献できる方向へその土地が利用されるのであれば、これも一つの理由があると思いますけれども、私はそうならないと思います。これだけの膨大な面積を、ほんとうにまじめに国民の生活あるいは農産物や林産物の自給——まあ林業も今度出した長期展望では九千数百万立米の木材を自給しようというのでしょう。いまの四千五、六百万立米の自給率の倍にしようというのでしょう。そうなっていかないと思いますね。この買い占めが起こってきますと、その方向へ向かわないのじゃないかと思うのだが、そこで、この実態をもう少し農政局を動員して把握するとともに、農林政策としてやはりこれに対するきちっとした手段を講ずるべきである。その取得の意図というものを把握して——その取得は必ずしもこういう「試案」の描いておる農産物需給展望やあるいは国民生活の見地に立ってない、それとずれた方向でその取得された土地の用途が展開されていくということになったら、これはたいへんな問題が起きると思う。日本の将来の経済動向の中で大きな障害になる問題が起きてくる。早期に手段を講ずる必要がある、こう思います。それに対して農林省としてどういう政策手段をとるか。いまわからないじゃ済まされぬと思うのですね。
  27. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これからの農林行政の一番の基盤になる土地の状況というものが不明確な点があるといたしますれば、美濃委員の御指摘のとおり、これは将来に非常に大きな問題を残すと思います。そこで、先ほどもお答え申し上げましたように、各地方農政局がそれぞれの立場で土地の流動状況というものをいろいろ調べておる。それについての資料はすでに予算委員会にお出ししておる。また当委員会にもいつでもお出しをする。しかし、私は正直に、それが十分なものであるというふうには考えておりませんから、お話のとおりに、各農政局に、最も大事な問題であるからもっとしっかり調査をするようにとか、あるいは林野庁の関係で営林局をして詳細な資料を収集させるとか、それはもう当然つとめなければならないことだと思います。  ただ、これは私として言いわけがましくなっていやなのでありまするけれども、この土地問題が大きく世人から関心が出てきましたのが、大体昨年の七、八月ごろから非常に問題になったと思うのであります。そういうことで、この膨大な日本列島の土地の状況というものの十分な調査をするのに、期間的にはややまだ足りなかったというように思えるのであります。私も就任後土地の実態というものは十分つかみたいと鋭意努力をしておるわけでございまするが、そういう時間的にも若干不足しておるかげんも御了承いただきまして、何しろ農林行政の一番基盤の、その基盤がしっかりつかめなければ、これからの施策の遂行上支障があるということは当然でございますので、お話のとおりに、詳細な資料を求めたいと思っております。  林野庁長官から、林野関係について補足して御説明申し上げたいということであります。
  28. 福田省一

    ○福田政府委員 私からちょっと補足説明をさせていただきます。  御承知のとおり、全国土の約六八%が山林でございます。その中の約三分の一が国有林でございまして、三分の二が民有林となっております。国有林につきましては、全国を八十の区画に分けまして、五年に一回経営計画を立てておりますので、山林がどのくらい変わっているかということは五年に一ぺん調査しておりますので、それをトータルしますと出てまいります。民有林につきましては、全国を二百五十六の区画に分けまして調査をいたしておりますので、山林がどう変わったかということにつきましては、それぞれの統計を集計いたしますとこれは出てまいりますので、いずれ御指摘の点については十分調査してまいりたいと思います。  なお、最近、御指摘のように、相当乱開発がございますので、今国会におきまして森林法の改正をいたしまして、林野の乱開発については防止規定を設けたい、かように考え検討中でございます。
  29. 美濃政市

    美濃委員 これは大臣、お話がありました八月ごろからものすごく出てきたわけですね。土地の買い占め、それから同時に、さっき私が申し上げた木材から始まって大豆、えさ、最近は綿糸と、こうなってきた。いわゆる不当な投機、買い占め行為などというものが、八月以降ずっと列島改造を言い出してから、こういういままでなかった問題が起きてきたわけです。列島改造というのと関係があるのですかな、これは。どうでしょう。列島改造などという表現が非常に国民の物欲を刺激して、もう刑法にかからなければ何をやってもいいのだという気持ちになってしまったんじゃないですか。列島改造という表現はいけないのではないかと思うのです。これはそう思いませんか。大臣はどうお考えになっておるか。列島改造という表現をもう少しあれしないと、列島改造という表現が行なわれると同時に期せずしてこれは起きてきたわけですね。大臣はそういう点はいまどうお考えになっておりますか。
  30. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 一般的にいまの過剰流動性、これを表現しておるのに、列島改造に伴うというようなことが報道されておる。それはそれなりの表現だと私は思うのです。しかし、これはやはり私どもとしてもちゃんと掘り下げて事態考える必要があると思うのですね。何といっても過剰流動性がある。その過剰流動性は一体どこから起きてきておるか。これは設備投資に向いておった意欲というものが、高度成長に対する批判、反省ということで、工場の拡張あるいは新規に同じような重化学工業もやっていくわけにはいかないというようなところで、そこに円の切り上げの際のドルの、当時、市場が開かれておりましたので、これをどんどん買うということで、そういうようなところが原因で、まあ原因が幾つか重なっておりますね。  そこで、大きな会社、商社、相当手持ちがだぶつくというようなことから、それが株や土地に向かったというようなことから起きてきておる。たまたまそこに日本列島改造という、まあ本来言えば、従来の諸施策を総合して、そしてこれからひとつ大きく政策を展開していこう。転換と展開とあったと思うのですが、それを日本列島改造という表現でやったが、たまたまそこにいま申し上げたような諸要因もぶつかって、そして土地、株に対する非常な投資が行なわれたということだと思うのであります。
  31. 美濃政市

    美濃委員 いまのお話を聞いておると、列島改造という打ち出しは刺激してまずかったと思いますか。どうでしょうか。あらわれている現象は、お話しのように、あまりいままでなかった悪い現象があらわれてきたのです。もう少し政策の打ち出し方に配慮が必要であったのではないかと私は思うのですね。どうもこの起きてきた土地買い占め、物欲はものすごい。いままでなかった膨大な物欲が起こっている。これをこのままにしておいたら、国民経済はその下敷きになるであろうし、何ぼ教育現場をやかましく言ったって、教育だけじゃ、国民、子孫の生活が悪くなれば悪化もしますし、とにかく膨大なもうけをするのをそのままにしておいたのでは、あまりにも程度があります。資本主義社会といったって、資本主義の正常な経済を越えた不当行為が起きるわけですから、これは早急にこの国会で法律的な手段を講じなければならぬのじゃないですか。法律的手段を講じて抑制する方向に向かわなければならぬだろうと思いますね。そこまで列島改造という一つ政策の表現が刺激したということになれば、これはやはり政策手段あるいは表現として直さなければならぬということになるのではないですか。直しても手おくれかもしれません。これは大臣が表現したことでないですから、これはどう考えるかとお聞きしても、結局、あなたは逃げる答弁しかできないと思いますから、十分閣僚としてこの点検討する必要がある、列島改造という問題、表現から国民の心理を刺激した面がある、これを十分配慮して、やはり政府全体としてこれは十分注意をしなければならぬだろう、こう思います。それだけ申し上げて、あえて答弁を求めません。答弁を求めても酷でありますから……。   〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕  次に、所信表明の中で、需要に見合う生産ということを言われた。需要に見合う生産体制をどうしてこれから形成していくか、これをお伺いしたいと思います。
  32. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 お尋ねの趣旨がちょっと私に理解しかねるのであります。簡単にお答えを申し上げれば、いまの農林省として大きな任務は、食料の安定的供給でございます。そして国民の嗜好も非常に多様化しておると思うのですね。そういうようなものを頭に置いて供給をする。こういうことになってまいりますれば、果樹とか畜産とか、そういうような需要の大きいもののほうへ重点を置くというふうに申し上げてよいと思うのであります。たぶんお尋ねは大体そういうところではないかと思うのでありますが、何かもう一つこういうところが問題だ、こういうことであれば、重ねてお尋ねいただきたいと思います。
  33. 美濃政市

    美濃委員 お尋ねしたいのは、需要に見合う生産の形成です。いま、先ほどからも言っておりますけれども、まことに困った買い占め習慣というのがつきまして、いままでもあったわけですね。蔬菜の流通や何かを見ておると、小規模な買い占めはありましたが、今回のような、木材、えさ、大豆というような、こんな膨大なものは今回初めて発生したんだけれども、あるわけです。ですから、よほどこの流通機構の改善なりそういうものをやらなければならない。それからまた、需要に見合う生産、当然なわけです。食料商品というものは、一〇%多ければやはり一割価格は下がるという作用を自由市場においては持っております。ですから、社会主義の国は全部計画生産です。計画生産にしても、豊凶の差が出てくる、こういう性格を持っているわけですね、農産物というものは。自然の中でつくってあれするのですから、豊凶の差はどうにもならぬです。どんな社会主義の計画経済を持ってきたって、豊凶の差はどうにもならぬのですね。そういう要素があるものであります。しかし、需要に見合う生産と一口に言えば、やはり平均収量、平年作で把握するよりほかに方法がない。その中で、その生産がいまの日本の流通機構の中では、大体一〇〇%需要に見合った生産であれば、必ず買い占めが起きてくる。そうして仮需要が起きる。がたがたとやって、その中で不当利得が発生してくる。それがだめであれば、結局、需要に見合う生産でなくて、一割ぐらいだぶつき生産にして、買い占めが起きないような条件をつくっていかなければならないというのが、いまの日本の経済の流通事情だと思います。これは、私の見方では、これからどんな法律をつくっても、小規模に行なわれる。そういうものに対して一々、どういう法律をつくるかわかりませんが、どこまでが暴利でどこまでが適正価格であるということで適用するといったって、たいへんなことだと思うのですね。その限界というものは、大きなでかいことをやれば、あるいは五千円した大豆が一万五千円にもなれば、それは暴騰だ、不当だということは明らかに判定できますけれども、なかなかこまいもの、たとえば時期的な野菜が一時的に行なわれる、こういうものに対して一々その法律を適用して取り締まり対象にできるかどうか、めんどうな問題だと思います。  そこで、この需要に見合う生産というのは、計画生産でやるか、もう一つは、自由社会においては需給の契約を促進するという方法があるわけです。これはかなりの国でやっておるのじゃないですか。生産需要とを結びつけて、契約事項によって適正規模の生産を的確につくっておる、これはたくさんあるのじゃないですか。自由社会においてはその方法一つあるわけであります。なかなか自由な社会においては行政で——計画経済であれば別ですけれども、計画経済体制がしけないということになれば、行政で需要に見合う生産をきちっと指導するということはなかなか困難だと私も思います。たとえば農林省が、いまの日本の流通機構の中で、需要に見合う生産の指導を的確にやるということはなかなか困難であろうと思います。そうすると、そこにはもう一つ手段が要る。生産者団体を強くして、そうして生産者団体と需要者との間の供給契約によって、その契約が即需要に見合う生産という体制に持っていくという手段は、進んだ国はみな講じておるわけですね。そういう手段を講じておる国もたくさん文化国家の中ではあるわけですね。  しからば、需要に見合う生産大臣所信表明で打ち出した以上、これはどういう方法でやるか。やはり時期的に一〇〇%であればいまの手段だけではだめですね。需要に見合う生産一〇〇%で、そうして国民の食生活も安定するように、また生産にもむだがないようにという配慮をしたら、そこに買い占めが起きるわけですね。いまの現状では買い占めによってそれは満たされてしまう。一割ぐらいだぶついておれば、まあまあという価格で推移していく。それじゃ生産する農民はかなわぬわけですね、だふつきの中ですから。そこに大きな問題があるわけです。こうなっておる国はいま世界の文明国では少ないと思うのですね、こんな流通の悪化事情は。流通を改善するというけれども、何もそういうところに根本的なメスを入れないものですから、流通改善は念仏だけでしょう。ここ十年、流通改善、流通改善——あとで流通の問題を申し上げますが、今度の所信表明にも流通改善をうたっておりますけれども、流通機構の改善というのはいままで羅列されただけだ。念仏みたいに羅列されただけで、全然その実効が上がった、流通改善が行なわれた例は日本の最近の歴史の中でない。どうですか、この需要に見合う生産というのは、具体的にどういう政策方法手段を講じて、むだを排除して国民の食生活を安定するか、むだな生産農民には起きないようにするか。ですから、農業が安定し、あわせてそれが国民の台所をうるおすというものでなければ、ほんとうの政策と言えないと思うのですよ。生産者はいいけれども、消費者はどうにもならぬ、こういうのではどうもならぬですが、それはどうお考えになっておりますか。どういう政策を展開しようとされるのか。
  34. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 たいへん示唆に富んだ御質問をちょうだいして、私も参考になりました。私がちょっと先ほど申し上げたように、畜産とか野菜というものが需要増大する、それに見合って生産をやっていく。それは美濃委員が御指摘のように、すべてが需要生産が見合うということで、きちっと十生産すれば十需要があるんだ、こういうことよりも、所信表明で、増大するものについてはどんどんつくるようにしようじゃないかという、私は先ほど申し上げたような多少ソフトな感じで申し上げておることを御了解いただきたいと思うのであります。  しかし、ものによっては、現にモチ米のように、本来、米の生産調整をやっておるのに、こういうものをタイから買い付けるというようなことは、われわれいかにも不手ぎわだった。そうであれば、モチ米だけはお話しのような契約栽培でもお願いしておいたらよかったな、こういうことで、モチ米については特に本年度はそういう配慮をしようじゃないかということも申し上げておるわけでございます。  また、ものによりまして、需要に見合っての生産をするといいながら、生産が八割、九割程度になる。この指標でもお示ししているように、野菜のほうは需給一〇〇%。需給一〇〇%ということは、生産需要がぴしっとそろうというよりも、これは自給しますという意味におとり願っていいと私は思うのですが、果実なんか見ますれば、大体八割からその前後、こういうことになります。そうすると、足らざる面は輸入に仰ぐということになりますから、肉なんかの場合は相当量輸入を必要とすると思うので、この委員会でも、これからの政策としては、全然輸入ということは考えないんじゃなくて、やはりある程度の弾力を持った考え方が必要ではないか、あるいは消費者のことをも考えた施策を十分に勘案しながらやる必要があるんではないか、こういうふうに申し上げておるわけでございまして、非常にかちっと、十つくれば十需要があるということでなく、少しソフトにお考えをいただきたいと思います。
  35. 美濃政市

    美濃委員 私が申し上げておるのは、十つくって十の需要といってみたって、農産物豊凶があるわけでありますから、そこはなかなか簡単にはいかないと思います。ただ、申し上げておることは、いみじくも大臣はモチ米の問題に触れましたが、米の統制を緩和して自主流通にしていると、モチ米は買い占めされる。モチ米の需要と供給はそのわりに不足でないんだけれども、買い占めされると高値を呼ぶ。台湾からでもモチ米を輸入して需給を一〇%ぐらいだぶつかさなければ、とてもじゃないが、高い価格になる。これが問題だと思うのですね。  ですから、私の申し上げていることは、需要に見合う生産、そしてその中から生産者価値を維持し、消費者に不当な価格にならないようにするためには、どうしても流通が簡素化される——いま、自由主義国家における流通というのは二元性は避けられないと思うのです。つくったものを集荷する行為、それが消費者に届くという流通の二元性は避けることのできない一つの窓口だと思います。それが三元になり、四元になり、あっちでひっかかり、こっちでひっかかりするところに問題がある。そこに買い占めが起きてくるわけです。  ですから、そういう点から流通改善を——日本の流通の最も劣悪な条件を放置しておいたところにいまの問題が発生してきたわけです。法律をつくって抑制せねばならぬというところまで問題が発展したわけであります。法律をつくって、法律の手段で抑制しようとしても、野菜までそれが適用できるのかどうか。私に言わせるなら、法律よりもやはり需要と供給がぴちっと結びつく契約手段というものも一方あるではないか。生産需要との間にできるだけ契約取引行為が行なわれれば、買い占めとか不当な問題は排除されるのじゃないか。進んだ国は、その手段でりっぱな効果をあげておるじゃないか。流通改善が行なわれた自由国家の中では、最近の日本のようなこんないまわしい経済現象が起きないだけのことが、契約手段という中で行なわれているではないか。その契約手段については、やはりそれだけの契約ができるように、法律による指導と介入が行なわれておる、それでやれる、こう思うのですね。  この需要に見合う生産という中では、こういう問題が特に起きてきたわけでありますから、そういう点を新しい方針として農林省は真剣に検討して、そういう手段方針の中から、生産国民生活を守るという行政の筋金が通ってこなければならぬのじゃないか。ただ、さっき大臣が言われたように、アイデアで、長期生産見通し需要の伸びるものは多くつくりましょうという、需要に見合う生産というのはそういうのですから、そんなアイデアだけでは済まされぬだろう。需要に見合う生産というのは、そんなアイデアでなしに、現実の経済行為として国民に迷惑のかからない、そして再生産が確実に行なわれ、つくられたものが中間経費が最も安く消費者に届く体制について、根本的な対策をやらなければならぬ。  最近やっておるように、農協が直売りするマーケットをつくればいいのじゃないか——私はあんなのはきらいですね。あんなものはばかな政策だと私は見ております。生産者みずから売ってみたって、そこに売り子を置けば人件費もかかるし、やはり中にはいままでまじめに流通をやってきた商店もあるのでしょうが、結局はそういうスーパーマーケットと小売り商とが結びついて、第三次産業の生産人口は過大になる。その中から、どうしても生きていかなければならぬから高いマージンが出てきて、そのマージンというものが消費者の台所を脅かしておると思う。農民が直接売ってみろ、それが近代的流通だ——私は、流通というものはそういうものじゃないと思います。大きな間違いをおかしておるのじゃないか。生産者みずから売るスーパーを拡大すれば、それで物価が下がるだろう——少し変でないかと思うのです。流通局も設けたのでありますから、流通がふくそうをきわめて、それで消費者物価が安定すると思ったら大間違いですよ。いままでまじめに流通をやってきた人たちだって、やはり生活だし、それをやめてどこかに職を求めるといったって、中高年齢になれば、履歴書さげて歩いても生活に見合う賃金を払ってくれるところはない。結局、それにかじりついていくしかない。結局、流通が太って、水ぶくれで、高マージン。その中で生活しようとすると、ああでもない、こうでもないといって、やはり中間マージンの増大になって、消費者に迷惑がかかる、一部生産者が買いたたかれる、こういう状況が出てきて、何らの役にも立たぬと思うのですね。流通というものはそういうものじゃないのではないか。日本の場合、いまのところ自由国家であります。自由国家には自由国家なりの筋の通った流通の方法手段はあるだろう。それすら真剣に検討してやろうとしない。ただ小手先の、生産者みずからがスーパーをつくって、連合会や農協がスーパーをつくって売り出す。この手段というものは、私は流通を簡素化して消費者のためになっておるとはあまり思いません。私も農協の組合長です。おかしなことをやるものだと思って見ております。そういうものじゃないのではないか。  農業協同組合というものは、やはり需要に対して——私がほしいのはやはり契約ですよ。他の国の例をあげて申しわけございませんけれども、デンマークの共販がどういうことで一〇〇%共販になって、そして農業は安定し、消費者に対してほんとうに流通が改善されて安く供給されておるか、どういう方式がとられているか、真剣に検討してみてください。私がほしいのはやはり契約です。それで農協はいいと思うのです、生産者団体なんだから。安定した農業生産の確保ができて、それができるだけ安く消費者に渡っていくという方式を考えなければ、農民がつくった大根からゴボウ、何でもかんでも農民みずからが売っていくというのでは、これは商店は全部首切りですよ。ほんとうの合理化といいますか流通というものは、東京都の中に農民が全部出てきて、東京都の皆さんに野菜を全部直売りしていく、そういうものじゃないはずです。契約なんです。契約でできるだけ大量のものが安定的に供給されるように流通の改革をやらなければならぬ。それを意味しておるんだろうと思ったのですよ、需要に見合う生産というのは。それが、大臣の答弁は、客観的なアイデアだという。客観的なアイデアでなしに、そこまで突っ込んでやってもらいたい、こう思います。
  36. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 現在、流通機構には非常に問題がある。また、そのためにせっかくつくられたものが消費者の手に渡るのに多額の中間マージンを取られるということで、非常な批判があるわけでございます。ただいまお話しのように、この流通機構については抜本的な改革の必要があると思うのでありますが、ただ、むずかしいことは、現在の流通機構の中で国民が食生活を営んでおりますから、私はこれを急角度に変えていくということについては非常に困難性があると思うのです。しかも各種各様の品物を扱っておる。そういうことを念頭に置く場合に困難性がありますが、しかし、それだからといって、いまの流通機構のあり方を是認するわけではないのでありまして、これはもう一つ根本的な考慮の必要があるということについては、私も十分よく理解をいたします。  契約栽培を御主張になられました。私はこの考え方は、従来米の場合、ほぼおっしゃっていることに近い生産のしかただと思うんですね。ですから、日本としても、主要なこういうものにいま御指摘考え方を活用しておるということは御否定にならないと思うんです。  ただ、農産物が非常に多種多様、品目が多いということから考えていきますときに、オランダの例を言われましたが、私もオランダの場合を勉強させていただきたいと思いまするし、また同時に、いま現に行なわれておるこの機構というものをあまり理想に走っていじり過ぎて、そのために問題を起こしてもいかがか、こういうことで、これは時間的に余裕もあり、また見識も高い方々によって掘り下げた研究をしていただくのがいいんではないか、こういうふうに思います。
  37. 美濃政市

    美濃委員 十分検討してください。需要に見合う生産、アイデアでない、現実に国民経済のためにほんとうに役立つ需要に見合う生産というもの。とにかく検討することはけっこうですから、専門家の意見を聞くというんですから、直ちに専門家の意見検討することを開始してください。そうしてそれを達成しなければならぬと思います。  それから次に、最後になりますが、これは所信表明の中では言っておりませんが、大臣海外からの安い農産物という。一体海外からの安い農産物というのはどういうことなのか、ほんとうに外国に安い農産物があるのかないのか、どういうものをさして安い農産物と言っておるのか、高安のものの見方をひとつ聞いておきたいと思う。
  38. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 たいへん痛い御質問でございます。安い高いをどこに基準を設けて考えるか、いまここにある資料で申し上げてみましても、たとえば小麦で輸出をする場合に、補助金をつけておるものが三六・八%もございます。それから非商業的な輸出が四〇・六%もある。商業的輸出は二二・六%だ。これはバター、チーズ、食肉等それぞれ相手国が政治的な配慮をしておる一覧表があるんですね。ですから、生産価格そのものでそのまま日本のほうに入ってきませんから、安いから買い付けようといっても、補助金つきの輸出になるという場合が出てまいることは考えなければなりません。そこで、一応農林省としては、最近数カ年の平均した各国の生産価格がこの表としてあるのでございます。それでいけば、米とか小麦とか大麦とか牛肉とか豚肉とか鶏卵とか、それが日本に対して各国はどの程度であるかという数字は出てまいります。そういう点から、日本アメリカに比較して一体大麦はどうか、こういえば、日本が一〇〇とすればアメリカは二九、非常に安くできておる。あるいはイギリスの肉はどうか、豚肉の場合でありますと、日本が一〇〇に対して八九であるというふうに、単純に日本に比較して外国のものが安いか高いかという御質問であれば、いまのようなことでお答えができるのでございまするが、しかし、安いからそれじゃそれで買えるかといえば、前段で申し上げたように、いろいろな政治的な配慮が行なわれる、こういうことで、高い安いということについては簡単にお答えができにくいわけでございます。その上に、よく米の場合などは、日本国際的に非常に高い、こう言うけれども、しかし、高いからといって、それじゃ安い米が日本人の嗜好に合うのか、あるいは品質はどうかということになれば、ただ価格の上では安くできるということであって、それが日本人の嗜好に合うようになるかどうかということについては、また問題がございまして、これも美濃委員がどういう意図でこの安い、高いの問題をこれから御質問いただくのか、次の御質問をお待ちしたいと思います。
  39. 美濃政市

    美濃委員 国際市場のその高、安の問題をどう考えておるかという点は、たとえば現在の問題と将来の問題と、こう二つに考えてみまして、非常に生産コストの安くない農産物があるわけですね。経営構造も小さいし、ただ原始生活ですね。原始生活に甘んじて、たとえば東南アジア等のあたたかい国に行くと、裸、はだしで、やっとパンツだけはくようになったというような生活で、五十アールか六十アールを円匙で起こして、それを国際市場に外貨、いわゆるパンツを買う手段として、外貨を得る手段として輸出しているようなものがあるわけです。それがほんとうに安いのか。それらの国々の生活文化がちょっと向上すれば、コストは安いものじゃない、こういうものが一つあります。  そういう問題に対して、日本貿易資本が貿易取引の上でそれらの状態を無視して貿易を開始していくと、最近のタイのような反日思想というものが出てくるのじゃないか。タイの反日思想なんというのはそんなところから出てきていると思うのです。これは十分検討せなければならぬと思うのですね。さっきもちょっと申し上げましたが、きめつけては申し上げておりませんけれども、列島改造なんという表現の中からこういう問題が出てきたのじゃないか。原因はあるわけです。いたずらにタイがイデオロギーで反日思想になったとは私は思っておりません。具体的な原因があって、タイ国の国民が反日思想になってきておる。そう考えると、一体国際市場に長期安定的に安いものがあるのだろうか。私はないと思います。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 ほんとうに日本の一億人に将来とも安く、日本国内生産するより安い価格で安定的に責任を持って供給してくれるという条件があるのだろうか、国際市場に。私は、ないと申し上げざるを得ないのですね。  そういうように、一時的な現象で、たとえば砂糖を見ても、砂糖の国際協定価格日本がほんとうに国際間から非難されないように、八〇%輸入国ですから、あの価格協定によって生産国から買い付けをすれば、精製糖にすれば、消費税をかける前の原価が百円ですよ。それを、ただ日本のいまの場合は、幸いにして国際間の砂糖生産が過剰で、余った砂糖が自由市場へ、海に投げても金にならぬから、協定価格の半分でもいいといって流れ出るものをたたいて買っておるのです。その値段が安い価格だと考えるのは大きな間違いです。  こんなことは、これから十年、十五年続くという保証はないのです。そこを聞いておるのですよ、その高いか安いのか。日本の一億の国民に、長期的に安定して安いものを食べさしてやるという保証は国際間になかろう。ただ、派生している原因は、余剰のものが安く自由市場へ流れ出たり、あるいは政策によって、大臣も言ったように、輸出奨励金を出して、投げるわけにはいかぬからダンピングをして余剰農産物を処理しておるものもある。そういうものをつかまえて、安いという判断をしておられるとするならば、それは食料需給上に大きなあやまちを犯す。私は、国際市場に基本的に、これから将来ともこういう価格食料を引き受けてやるという安定供給というものはないんではないか、こう思うわけです。  そこで、大臣としては、ものの高、安、一体これから農林大臣として食料政策考えていくときに、高いか安いかのものさしが必要だと思うのですね。国民生活に対して、国民一人当たり平均所得に対して最高のエンゲル係数の食料政策ですね。いわゆるエンゲル係数何%の政策の責任の義務があるのですよ。日本政府はずるいから、その政策を公表しない。しかし、これも先ほど申し上げたように、自由国家の中では、その政策をそれぞれの国民に勇敢に明言して実行している国が多いんじゃないですか。食生活のエンゲル係数は何ぼという義務と責任が政府にあります。日本政府はずるいからそれをやらないわけです、やれば責任が過重になりますから。そうしてテクニックでものの輸入をする。さっき言ったように、その中に大切な国民生活の食料品に対して、野菜の果てまで不当な買い占めや独占の不当利潤が、ときによっては需給市場でちょっと不足するか、あるいは適正規模の中でもかなりの買い占め行為や不当利潤が介入し、行なわれておるのがいまの流通だと思うのです。それ、どうですか。櫻内農林大臣国民に対して、食生活のエンゲル係数何ぼで責任を持って達成するという自信を持って農林大臣をおやりになっておるか、ないのかあるのか、所信を聞きたい。
  40. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ちょっと御参考までに。もう御承知かもしれませんが、一九六九年の日本のエンゲル係数を調べてみると、一人当たり可処分所得が千百九十五ドルに対して三四・六%になっておるわけです。  そこで、なぜ私こんなことを言ったかというと、それじゃ、この係数がこのままずっと固定していくのか、こういえば、もちろん美濃先生も、そういうことはない。これはこれからの食生活の多様化、高度化に伴いましてこのエンゲル係数は私は下がると思うのですね。下がるほうが私は好ましいと、こう思うのですよ。したがって、このエンゲル係数を基本にして、そして生産者にはどの程度、消費者にはどの程度、流通経費にはどの程度ということを、いまこの段階ではっきり仕分けていくということについては、少し困難性があるように思うのです。ただ、現状においてどうなっておるかというようなことは言えるし、また先ほどからのお話のように、流通面についてはもっと考えろ、そこのところはもっと縮めろというようなことについては私も理解できるわけです。しかし、これからの日本国民のエンゲル係数はなおまだある程度下がるものということを頭に置きますると、それに伴って予想していろいろ言うということについては、この段階では少し困難性がある、こう思うのです。
  41. 美濃政市

    美濃委員 いままで日本政府政策がずるくて逃げておるから、いま機内農林大臣に、いますぐ勇気を持ってここで言い切りなさい、これは少し酷だと思います。ですから、それはもう言いませんが、文化国家におけるエンゲル係数は三〇%です。去年物価の合同審査をやったときに、経済企画庁長官も、三四・六と言われた。これでは日本は文化国家でないのですよ。食生活のエンゲル係数が三四・六といったら、文化国家から転落しておる。最高三〇%でなければならぬ。それを二八で切るというのが望ましいが、最高三〇でなければならぬ。食生活のエンゲル係数が三四・六というのは、大臣、餓死ができる条件です。いかなる理由によろうと、凶作の理由もあるでしょう。餓死者が出る要件というのは食生活のエンゲル係数が四〇%をこえると低所得者は必要カロリーをとれなくなるわけです。いいですか。四〇%をこえると栄養失調が出るんですよ。四五%に達したときは、現実にかなりの餓死という問題が出てくるわけです。はっきりしております。私の言うことが間違っておると思ったら、歴史を調べてみてください。食生活のエンゲル係数が四五%に達したら、かなりの餓死者が出る。いいですね。それほど大切な行政であり、政治なんです。文化国家における最高限——最低じゃない、最高限度三〇でなければならぬ。日本は文化国家でないということであれば別だ。日本は少なくとも文化国家だと農林大臣みずからが自負されるならば、農林大臣は、流通局も設けたのでありますから、食生活のエンゲル係数三〇%、これを達成する義務があります。私はそう思います。その観念なしに、ただアイデアで農林大臣や各省大臣をつとめてもらったんじゃ、国民はありがた迷惑だ。信念もなければ自信もない、ときどきのごまかしのアイデアで事を済ますということは、大臣というもの、許されないんじゃないか。私はそう思うのですが、どうですか。(「大臣、もう少し勉強しなければいかぬ」と呼ぶ者あり)
  42. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 美濃委員のおっしゃることは私にはよくわかります。  ところで、勉強しなければというので、勉強してみたが、勉強してみると、ちょっと問題があるのです。もしここにある資料が間違っておったら別といたしまして、エンゲル係数三〇%まで持っていく、それはもうそれにこしたことはないし、六九年で申し上げておりまするから、大体それに近いところへいっておると思うのです。しかし、その場合、六九年で対比してみまするに、イギリスが三三・九、デンマーク三二・六、西ドイツ三〇・六、イタリア四三・九になっておるのです。イタリアの場合、六五年が四七・一、六八年が四四・四、そして六九年が四三・九、資料にはこういうことになっておりますので、私は、三〇%まで持っていくということについては、これはもう全くそれがいいことである、しかし、このイタリアなんかの場合からいくと、エンゲル係数が下がっていくほうのことは考える必要はないのですから、イタリアが四三・九で餓死者ということはちょっとどうかなと思うのですけれども、あるいは失業者も多いし、いろいろあるかもしれませんが、御参考までにちょっと、よけいなことでございますが……。その三〇%のエンゲル係数について、それを頭に置いて行政をやるということにつきましては、私は全く同感でございます。
  43. 美濃政市

    美濃委員 大体持ち時間がなくなりましたので……。いま大臣もすべての面で私の意見を肯定されたわけでありますが、いろいろいままでのこういう条件がありますから、一ぺんにとは私も申し上げておるわけではないのです。その基本を踏まえて、きょう意見を申し上げ、御質問申し上げましたが、大体、平行線をたどる、あるいは私の考え大臣考えが全く食い違ったという面はないわけでありますから、どうかひとつ、検討すると約束されたことについては、一日も早く大臣の手でそういう農政条件をつくるように、田中内閣の中で全力を尽くしてもらいたい。  あと十五分ありますが、馬場議員が、過般の質問で保留されておる部分を関連でやらしていただきますから……。
  44. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 関連しまして馬場昇君。
  45. 馬場昇

    ○馬場委員 ただいまから関連の質問、それから緊急質問でこの前残っておったものも関連するわけでございますので、質問をいたします。  委員長、ちょっとその前にお聞きしたいのですが、この委員会は成立しておりますか。——農民は実は塗炭の苦しみをなめておるわけでしょう。それで、それにどうこたえるかといって、いま一生懸命ここで議論しているわけです。それがこういうような状態だと、私は問題だと思うのですよ。こういうぐあいでやっているんだったら、私は農民にそう言いますよ。この前委員長は、私が質問いたしましたときに、委員長と言うのを忘れたら、注意をされました。私は注意を受けまして、まじめに委員長と言って発言しました。議事進行のため当然でしょう。しかし、こういう状態のときに何の発言もないということは、私は国民の期待に沿っていないと思うのです。わがほうの理事の方から、進めろというお話がありますから進めますけれども、これは十分考えていただきたいと思うのです。  それでは進めますが、自由化の問題で、大臣に何回となく答弁していただきましたが、どうしてもわからない点があるのです。農林大臣自由化をしないと言うのですか、それとも田中内閣自由化をしないという方針なんですか、その辺をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  46. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私が担当大臣として申し上げておるのでございまするから、それなりの評価はしていただきたいと思うのです。もし私が全く田中内閣方針に反しておるということであれば、おそらく罷免になると思うのですね。しかし、罷免とかどうとかよりも、いま農村の期待していることに私が最善の努力を払っていくということが現在私に与えられた責任ではないか。そこで、繰り返し繰り返しここで私の考えなり私のとってきた措置なりを申し上げておるのであって、農産物自由化については基本的には反対である。しかし、問い詰められて、閣議で何かあったんじゃないか。それは、貿易自由化全般としての検討ということを言われて、それを検討はできませんと言うわけにもいかないから、検討はしております、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  47. 馬場昇

    ○馬場委員 これはまだわからないのですよ。田中内閣閣議で正式に、農産物自由化はしない、こういう方針をきめておるのですか、きめておらないのですか。
  48. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 閣議の決定ということではございませんが、田中総理のとっておられる方針あるいは現在までの政府方針としては、貿易自由化ということは好ましい、こういうことででき得る限りの努力をしてきた、こういうことでございます。
  49. 馬場昇

    ○馬場委員 では、農産物自由化をしないということは、田中内閣閣議で決定していないということですね。
  50. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私は、現在閣議で決定しなければならないというようなことには考えておらないのであります。それは御理解願えると思うのですが、自由化が好ましい、その理想に向かっておる。従来、私どもの党も、国際的に見て自由化がいいのだけれども、しかし、これこれは国内的に整備されておらない、あるいは日本農業に対して大きな影響を与えるからこれはだめです、しかもそれに対して、ヨーロッパの場合などを引例して、各国においてもこういう措置をとっておって日本が不当ではないじゃありませんか、しかし、国際的に寄り合うとみんなお互いに、いや、それは自由化しましょう、こういっている現状にあるわけなんです。
  51. 馬場昇

    ○馬場委員 あっさり聞いているのですよ。農林大臣自由化をしないということだけれども、田中内閣全体ではどうもおかしいという国民の不安があるわけですよ。だから、聞いておるのですけれども、少なくともいまの答弁でも、これこれはという中で、農産物のこれこれは自由化をしないということは閣議決定をしていないという事実はそうなんですね、現状は。
  52. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 たいへん恐縮なんでございまするが、せっかく自由化をしないようにという、全力をあげてあらゆる努力をしておるときでございまして、いま御質問のようなことに、そうです、と言えば、それはかえって私の意に反するところがあるのですよ。事実はそういうふうに客観的に見られても、私はそういうことのないように最大の努力をして、そして農村の不安感をなくそうということなんですから、その辺の御了承を得たいと思います。
  53. 馬場昇

    ○馬場委員 それでは、農林大臣閣議の中で、先般からるる述べられております自由化をしないということで一生懸命努力をする、そしてそれが閣議決定になり得るように努力をする、これがもし押し切られてそういうことになった場合には、やはり責任を感ぜられるわけですね。そういう現状だということで理解していいですか。
  54. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 そういうふうに御理解いただいていいと思うのです。私が、先ほども申したところでありますが、努力をしておれば、いまこの自由化の対象になるのは通産省農林省ですけれども、通産大臣農産物自由化はちょっと無理だというような記者会見の談話まで出るような状況になっておりますから、皆さん方の御支援もあって相当効果はあがっておる、こう思うのでございまして、この上の御支援をお願いいたします。
  55. 馬場昇

    ○馬場委員 ぜひ全力をあげて努力してもらいたいと思うのです。  次に、この前の私の質問で園芸局長が答えたのですが、四十八年度の温州ミカン生産見込み量をどうだと言ったら、花が咲いてみなきゃわからぬ、こういう答弁があったわけですね。実は私は二、三日前に農村に行ってそれをずっと話をいたしました。農林省は要らぬじゃないかと農民は激高しておるのですよ。また、そういうことを国会で見過ごしていいのかというような非常に強い農民の要望もありまして、このことばは、政治姿勢にもかかわる問題だと思うし、行政の姿勢にもかかわりますので、まずかったのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  56. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私のことばが足りませんで御迷惑をおかけいたしましたこと、申しわけないと思いますが、問題はなかなかわかりにくい点があるわけです。専門家の方々ともいろいろお話をいたしておるわけでございますが、長期的な問題はともかくとして、四十八年度で具体的にどれだけとれるかというようなことの見通しというものは、なかなかいたしにくいという点があるわけでございまして、そういう意味で、私はそういうことを申し上げたわけでございます。人によりまして二百八十万トンあるいは二百九十万トンであるとかあるいは三百万トン、いろいろなことを申しておりますが、統計調査部のほうの統計の面積あるいはそれから着果状況、こういうものも統計調査部のほうでさらに詰めるように私のほうからもお願いをいたしておるわけでございまして、そういう意味で、できる限り早く四十八年度のミカン生産の数字というものを把握したいというように考えておるような次第でございます。
  57. 馬場昇

    ○馬場委員 それでは、花が咲いてみなければわからぬ、これはまさに侮辱したことばですが、それは取り消していただけますね。
  58. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 いろいろな見通しにつきまして……。
  59. 馬場昇

    ○馬場委員 いま言っているのは、花が咲かなければわからぬと言ったのを、取り消しますかと言っておるのです。
  60. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私は、最終的にということばを使ったと思うのでありますけれども、私のことばが足らない点につきましては、私は申しわけないと思います。
  61. 馬場昇

    ○馬場委員 それでは、いつ見込みが立ちますか。これはきちっとしたのは出てみなければわからぬと思うのですけれども、たとえば、それに対する対策を立てなければならぬわけでしょう。少し狂ってもいいから、大体この辺だ。だから需給計画はこうするのだ、それで、たとえばまた余るようだったら、こういう対策をとるのだという見込みを、いつごろ立てますか。
  62. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 五月ごろになりますと花芽の分化がわかってまいるわけでございます。その段階で秋の数字がかなり具体的にわかってまいるだろうと思うので、そこで摘果の問題ですとかいろいろな問題が処理できるというように私どもは考えておるわけでございます。
  63. 馬場昇

    ○馬場委員 いろいろな資料もあると思いますし、なるべく早くそういう見通しをつけて、そしてことしのようにならぬように十分、行政指導としての全力を上げてやっていただきたいと思うのです。  次に、この前質問いたしました第二次緊急対策の特別交付税交付金の問題。これは三億円は大体自治省と話がついておるというふうなお話がありましたが、その中身で、これは県だけでなしに市町村までにもやるのかという問題と、それから、どういうような基礎の上でこれを配分するのか、それから、配分する時期はいつごろか、これは自治省と話が大体ついているのか、こういうことについて質問いたします。
  64. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 いま自治省のほうにお願いいたしておりますのは、県の事業に対してやるということになっておるわけでございます。これは年度内に当然配分になるわけでございますから、遠からず配分ができると思います。私どものほうといたしましては、この配分につきましては、各県がやっております事業はこういうことでございますということを自治省に提示をいたしておるわけでございまして、自治省はそれを見ながらさらに各県のミカンの栽培面積等を勘案しながら配分することになるだろうと思っております。
  65. 馬場昇

    ○馬場委員 市町村にはだいぶ緊急対策をやっているところもあるのですけれども、県だけで市町村にはなぜ今度やらないのですか。
  66. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 今回の仕事につきましては、県が中心になってやるものについてめんどう見てやるということにいたしたものですから、県の段階でいろいろな助成事業に配分をいたしておる次第でございます。
  67. 馬場昇

    ○馬場委員 この前の私の質問で、第二次緊急対策で不十分な場合はさらに、第三次といいますか、その後も検討を続けるというようなお話があったのですが、私は、やはり市町村にもやるべきじゃないか、こういうぐあいに思うのです。この点についてはやはり今後十分検討していただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  それから、栽培面積で交付税交付金を配分するということをいまおっしゃったようですけれども、これはやはり、各県なり市町村がやった二分の一ぐらいの補助という方向ではいかないのですか。その額は二分の一ぐらいになりますか。
  68. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私は、まだ自治省から数字を伺っておりませんものですから、ちょっとわかりかねるわけでございますけれども、自治省もいろいろな角度から検討してくれておると思っておるわけでございます。自治省からよく聞いてみたいと思っております。
  69. 馬場昇

    ○馬場委員 自治省から聞いてみなければならぬということば自体がおかしいので、各県がこれだけ緊急対策を使いました、この中の最低二分の一は出してくれということで、それでここへ数字があるわけですから、その二分の一にならなければ、何分の一か知りませんが、農林省がそれをつくって、そして自治省と相談して、了解を受けて出す。いまのお話では、自治省がやるんだからこっちはわかりませんというふうに聞こえるわけです。それはどうなんですか。
  70. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私どものほうといたしましては、先ほども申し上げましたように、各県でこれこれの事業をこれだけやっておりますということを自治省に出してあるわけでございます。自治省は、それを基礎に考えてくれておるはずでございますが、まだ最終的な数字を私、承知いたしておりませんものですから、いま申し上げたようなお答えをいたしたわけでございます。私のほうからは十分資料を出してあるわけでございます。
  71. 馬場昇

    ○馬場委員 最終的な金額がわかっていないということですけれども、この前質問しましたときには、三億円という答弁があったんじゃないかと記憶しているのですが、それはどうですか。
  72. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 トータルで三億円ということになっておることは間違いございません。その配分の問題について、先ほども申し上げましたように、私どものほうとしては、各県がこれだけのことをやっておりますということを出してあるわけでございますから、それを自治省は当然尊重をしてくれておるはずと思っております。
  73. 馬場昇

    ○馬場委員 あなた方が出したトータルはどれだけになっているのですか。農林省、各県がやった部分は何百億だった。どれだけになっておりますか。
  74. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 六億の事業に対して半分の三億ということで出しておるわけでございます。
  75. 馬場昇

    ○馬場委員 六億というのは、私は、私の出身県の熊本だけでも一億五千万ぐらい使っておるんじゃないかと思うのです。そういう意味で、六億は、非常に少ないんじゃないかと思いますが、いまのお話では、府県が使った半分を見たいという気持ちは大体わかったような気がするのですけれども、六億自体が少ないような気がするのです。  それで、もう少し時間がありますと、その中身についても説明を聞きたいのです。どういうことがどこでどうだったかという各県の資料なんかも取りたいのですけれども、時間がありませんから、資料でこういうことを提示を求めたいのです。たとえば、各県がこういう内容でこういうぐあいにいたしました、そのトータルは幾らでございました、こういうことは、もう当然自治省に出してあるはずだから、わかると思うのです。それは資料として提示をお願いしたいと思います。ようございますね。  次に、加工原料用の果実価格安定対策事業、これを法律事項にしていただきたいという要望が非常に強いのです。これは農林大臣価格安定対策事業を法律事項にできないものですか。そういう意図はありませんか。
  76. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いま直ちに法律をつくってやるには、たとえばかん詰めにする場合、ジュースにする場合、その受け入れ体制が十分でないと思うのです。御承知のように、四十八年度の予算でさらにジュース工場を四工場つくるというような計画をいま進めておるときでございますから、そこで現在では、第一次対策のような隔離を三十万トンした、それは加工工場がフル回転すればそれだけはやれるということから、第一次対策をやったわけでございますが、またそれに対しての価格安定政策考えた、こういうわけでございますので、もう一つ準備体制が整って、そしていま言うようなことが引き続いてやり得るような体制ということになれば、そのときはそのときでお話しのようなことを検討さしていただいていいと思うのです。
  77. 馬場昇

    ○馬場委員 最後は検討さしてくれということでございますけれども、この前の質問でも出たのですけれども、総理大臣もそういうことをおっしゃっているのです。これは価格の保障制度とか新制度とかを研究してみたい。農林大臣もちゃんとおっしゃっていますね。今後価格安定制度、新制度の拡充に極力つとめてまいりたいと思いますという答弁も、本会議ですか、行なわれておるわけです。いまの安定事業の法律化もそうですけれども、やはり価格保障制度というものをミカンについても真剣に考えてつくっていただきたいと思うのですが、農林大臣がこの間、これは本会議ですか、答弁された、このほうはどういうぐあいに研究されるのですか。そしていつごろ結論が出るのですか。この安定制度とか保障制度とか新制度の研究をすると言われたわけですから、極力努力すると言われたのですから、現在どうしておられるのか、いつごろ結論が出るのかを伺いたいと思うのです。
  78. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 このミカンそのものについては、これはお答えも申し上げておるのですが、価格安定制度を適用するには、他の価格支持政策をとっておるものと比較していただきますと御理解できると思うのですが、温州ミカンと申しましても、品種と申し上げるとちょっとおかしいのでありますが、温州ミカンの中でも多種多様である。それからなまものである。このようなことで、ミカンそのものに対する価格支持制度はむずかしいので、そこで、加工のものに対して考える間接的な価格支持制度と申していいようなことにしたのだということを申し上げておるわけであります。そしてその制度の拡充につきましては、お話しのように、これを立法化せよというのもその拡充施策の一つだと思うのでございますが、それには準備体制をまず整えて検討いたしたいということを申し上げておるわけであります。
  79. 馬場昇

    ○馬場委員 それで、総理大臣が果実という答弁をされていますし、農林大臣も言っておられるのですが、それは生果ではないわけですね。種類としてかん詰めだけですか。
  80. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 それは私がいま御答弁申し上げたようなことで、果実につきましては、かりにまた種類をふやすという場合が起きましても、それは加工面で行ないたいという意味でございます。
  81. 馬場昇

    ○馬場委員 時間が来たのですけれども、この問題については、やはり生果というものも、完全にむずかしいのだというのじゃなしに、研究してもらいたいという希望を持っているのですが、需要の問題で、学校給食について、この生果なりあるいは果汁なりを給食に取り入れるというようなことについて、ぜひそうやってもらいたい。安定した需要にもなるわけですが、これは時間がありませんので、たとえば小中学校、義務教育について一週間一回給食に取り入れるとしたならばどれだけの量になり、国が助成する場合にどれだけの補助、助成が要るか、こういう資料をひとつ出していただきたいと思うのです。それに基づいて学校給食に取り入れるか取り入れないかという問題について議論をしたいと思いますから、これについては小中学校、義務教育について、たとえば一週間に一回やるという場合に、どれだけの費用が要り、どれだけの量が要るかということを資料として出していただきたいと思いますが、委員長、よろしゅうございますか。
  82. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 承知しました。
  83. 馬場昇

    ○馬場委員 それでは、甘ナツミカンについての長期の需給計画というのがありますか、ありませんか。
  84. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 甘ナツとしてはございません。
  85. 馬場昇

    ○馬場委員 これについても、やはり現在どういう状況になっておるか、将来の需給計画というものをいま立てておかなければ、温州ミカンみたいになる可能性もないではないということで、ぜひ長期の計画というものを立てていただきたい。甘ナツミカンの品質向上についての、品種改良とか向上についての手を打っておられるか、打っておられないか。
  86. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 甘ナツの関係につきましては、品質向上のために施肥、土壌管理の改善というようなことをやっております。それから病虫害の防除、特にビールスの問題がございますから、そういったことをやっております。それから品種の改良、ことに新しくできてきたものでございますから、そういう面で品種の改良ということに特に努力をいたしておるような次第であります。
  87. 馬場昇

    ○馬場委員 もう終わりますが、この前もちょっと言ったんですけれども、表年、裏年という関係でいろいろむずかしい問題があると思いますので、それはいまの技術でもってして、あるいは行政の力でもって、表年、裏年というものがないように十分やっていただきたいという点でございます。  それから、これはミカンの問題ではございませんけれども、私の郷里で、学校で調査いたしました出かせぎの問題ですけれども、一クラス三十人のところで七月に父親がいないのが二十五人です。父親がおるのはわずか五人しかいないのです。二十五人の中で、母親まで出かせぎに行っておるという農家の実態があるのです。これにつきまして、農民の出かせぎの実態、これをどういうぐあいにして解消していくのか、こういう点についてお聞きしたいと思います。
  88. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 たぶん御承知であると思いますが、大体地域的には東北地方が非常に多いのでございまして、三十四万人を少し上回るように農林省のほうでは把握しておるわけでございます。出かせぎは、結局、現在地において農業を営むよりも、あるいは付近の工場へ行って賃かせぎをするよりも、出かせぎに行くほうがより収入が多いという、その収入面からの問題が最大の原因になっておると思うのであります。そういうことで、私は、これからの農村が、いわゆる農閑期に適切な収入が、しかも、他地域へ行くよりも有利か、もしくは他地域へ行くよりも多少は収入は少ないが、この程度ならばいいというような、何かその農村、その農村に適応した適当な工場等の誘致が望ましい、こういうことで現に農村工業導入などについての施策をやっておる、こういうことでございます。
  89. 馬場昇

    ○馬場委員 いまの答弁を聞いておりますと、収入が多いからそれを取りに行く、まさにさかさまの感じです。農家として立っていかぬから出かせぎが起こるのであって、農業だけで食っていけるような行政が行なわれないというところに問題があると思うのです。そういう点につきまして、またいずれ議論する機会もあると思いますけれども、こういう資料等については十分お尋ねしますので用意しておいていただきたいと思います。  時間が来ましたので、質問を終わります。
  90. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十六分散会