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1973-11-21 第71回国会 衆議院 内閣委員会 第54号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十一月二十一日(水曜日)     午後一時五分開議  出席委員    委員長 三原 朝雄君    理事 奥田 敬和君 理事 笠岡  喬君    理事 中山 正暉君 理事 藤尾 正行君    理事 大出  俊君 理事 木原  実君    理事 中路 雅弘君       江藤 隆美君    越智 伊平君       大石 千八君    竹中 修一君       旗野 進一君    吉永 治市君       和田 貞夫君    東中 光雄君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 山中 貞則君  委員外出席者         防衛庁参事官  大西誠一郎君         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛庁長官官房         長       丸山  昂君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      高瀬 忠雄君         防衛庁経理局長 小田村四郎君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防衛施設庁長官 田代 一正君         防衛施設庁総務         部長      安斎 正邦君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         外務省アジア局         長       高島 益郎君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         外務省中近東ア         フリカ局長   田中 秀穂君         外務省条約局長 松永 信雄君         外務省国際連合         局長      鈴木 文彦君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 川崎 昭典君         日本ユネスコ国         内委員会事務総         長       西田亀久夫君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 三原朝雄

    三原委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 きょうは、防衛問題にからむミッドウエー問題の質問を先般いたしましたが、事前協議問題等で妙な答弁が出てまいりまして、あらためて大臣から御答弁をいただくということに理事間の話し合いで延ばして今日までに至ったわけでありますが、ただ当面の問題として、防衛庁皆さんは、何か石油危機があっても、訓練その他石油を使うことなんですけれども、一切そのままおやりになるというような新聞記事がありましたが、いずれにいたしましても、石油問題を避けて通るわけにもまいりませんから、当面の問題を、まず最初に少しの時間いただきまして、外務大臣に承りたいのであります。  そこで、目まぐるしい外務省あるいは政府外交政策という意味で、アラブ対策ということで、キッシンジャー氏が、この間、私が十六日に中曽根さんに質問いたしましたときにお見えになって、各種の会談が行なわれていたわけでありますが、そのときのやりとりも、どうやら最近表へ出てきています。非常に微妙でございますだけに、私の質問をする立場のほうも、なかなかむずかしいわけでありますが、残念ながら時間がありませんから率直に承りますので、ひとつずばりお答えをいただきたいと思うわけであります。  最初に、六七年の十一月二十二日に採択をされました安保理事会の二四二号決議がございます。これは、ここにこの決議案文そのものがございますけれども、「中東紛争解決に関する安保理決議二四二号、一九六七年十一月二十二日採択」こういうわけであります。「安全保障理事会は、中東における重大な事態について引続き憂慮を表明し、戦争による領土取得が認められないこと」これは重要なことでありますが、「戦争による領土取得が認められないこと、および同地域のすべての国が安全に生存できる公正かつ永続的平和のために努力する必要があることを強調し、更に、すべての加盟国国連憲章を受諾するに当って憲章第2条に従って行動する義務を負つていることを強調し、」という、これは前書きがついております。英国が主として立案をしたわけでありますが、その第一に「憲章の諸原則の履行のためには、次の両原則の適用を含むべき中東の公正かつ永続的平和の確立を必要とすることを確認する。(I)最近の紛争において占領された領土からのイスラエル軍隊撤退」これがこの決議の1の中の(I)であります。もう一ぺんいいますが、「最近の紛争において占領された領土からのイスラエル軍隊撤退」これに対して政府外務省は、どういう御見解をお持ちなのかということを、まずはっきりしていただきたいのであります。  私は、ここに憲章二条の引き合いも出ておりますけれども、まずもって戦争によって領土を拡張するということは許されない、この国際法上の大原則というものは、きちっと認めていかなければいけないと思っているのであります。そうでなければ、北方領土返還などという日本政府外交姿勢というものは消えてしまう。この点は私は明確にすべきだと思っている。  その意味では、官房長官談話なりいろいろな形でお出しになっているものの中に、国連中心主義でいっているのだから、この国連決議案は認めていくのだということはわかる。だが、この中身というものは、二つの解釈が背中合わせになっております。つまりイギリスの側、こちら側の提案——これは書かれたものは、英語フランス語であります。そういう意味で、片方の英語のほうには定冠詞がついていない。フランス語のほうには定冠詞がついている。「その占領地域から撤退をする」こうなっておる。だから、フランス語解釈から言うならば、その占領地域だから、当然シナイ半島その他からの全面撤退であります。ところが英語のほうの文章には、定冠詞がついていないということで、占領地全体から撤退をするという表現に受け取らずに、占領地域の一部の手直し返還であっても差しつかえないという解釈イスラエル側はとっている。ここに、アラブ側がとっているその占領地域という解釈で、戦争によって占領したが、終わったんだから、そして話し合いが行なわれて、停戦をして進んできて五年もたっているんだから、これは当然全面撤退であるという主張との大きな食い違いがある。まず、ここのところ。  私は、やはり全占領地域撤退ということが前提にならなければおかしいというふうに考えております。なぜならば、戦争によって領土を次々に拡張していくということが許されないからであります。だから、日本もその意味では、北方領土返還要求などというもの正当性をもって進められているはずであります。  そういう意味で、ここのところ二転三転しておりますけれども、近く外務省ものごとをはっきりさせたいというお気持ちのようでありますけれども、まず一体どう御解釈をなさるのか、はっきりしていただきたいのであります。
  4. 田中秀穂

    田中説明員 安保理決議二四二号の解釈に関しましては、御指摘のとおり英文、仏文に差がございまして、いろいろと解釈問題が議論されるわけでございますが、わが国基本原則といたしまして、武力による領土の拡張ということには終始反対をいたしております。したがいまして、占領が継続し、これが恒久化される、あるいは併合されるということは、とうてい認めがたいことでございます。
  5. 大出俊

    大出委員 ということになりますと、シナイ半島にしろ、ゴラン高原にしろ、そうでございますが、あるいはヨルダン川流域が、そうでございますけれども占領地域にある種の恒久的な施設を次々につくっていくというイスラエル姿勢というのは、戦争によって拡大をした地域を半恒久的に取得するという姿勢に見える。ならば、これに対しては反対だ、撤退をすべきであるということを明らかにするのは、国際道義という意味で正しいと私は思っておりますし、国連憲章の筋道からいって、そのことは許されていないのでありますから、二条が引き合いにこの条文の中に出ておりますが、日本政府がそのことを明確にする、これはできるはずだと思うのでありますが、大臣いかがでございますか。
  6. 大平正芳

    大平国務大臣 いま政府委員からお答え申し上げましたとおり、二四二号安保理決議なるもの解釈をめぐっていろいろな論議がございますこと、御指摘のとおりであります。  それで、わが国は二四二号を支持するということは終始一貫主張し、国連等における行動においても、そういう立場をとってまいったわけでございますが、いま大出委員が御指摘のように、一九六七年の六日戦争による占領地域からの全面的撤退というように、わが国態度を明確にすべきでないかという見解も内外にございまして、いま仰せのようなラインに沿いまして、政府部内でせっかく検討をいたしておりまして、近く明らかにいたしたいと考えております。
  7. 大出俊

    大出委員 私は、いま問題になっている、たとえばサウジアラビアヤマニ石油相ものを言っている言い方、これまた二転三転いたしております、相手に国があっての話でありますから。またアラビア石油方々なりたくさんの民間ベースで、あるいはその他のベースで話がいろいろ進められているのが目に見えるようなわけでありまして、ずいぶん克明に調べてみましたから、申し上げればいろいろあります。ありますが、いまこの時点でそういうこまかいことを申し上げてもしかたがない。一にかかって日本政府態度によることになる。  私は、今回の石油問題というのは、明らかに外交ミスである、その意味では政治ミスである、ここまで実は申し上げたいのであります。西ドイツのように、今度の中東戦争西ドイツから米軍武器弾薬その他を運ぼうとした、直ちに西ドイツ政府は厳重な抗議を申し入れて、取りやめさせた。一時西ドイツアメリカの間に非常に緊張した空気がただよった時点があった。だがしかし、西ドイツ政府は、これを押し切ってしまった。日本は、広島県の広の弾薬庫等から、弾薬中東戦争のさなかに運び出される。たいへんな心配をわれわれはいたしました。だが、これは安保条約上の当然なことであるといって、とうとうそのままにしてしまう。これはアラブ諸国にとってみれば、中立国といってみたって、アメリカとの関係、これはまさにたなごころをさすがごとくけしからぬという言い分になるわけでありまして、そういうアメリカに追随し過ぎる日本姿勢というものが、アラブ側からすれば、当然これは友好国と認めない、非友好国以上に悪いということになりかねない感情になるのは無理もない、そういう気がするのであります。したがって、EC諸国がこの間取りきめましたEC共同宣言、一九六七年の紛争以来イスラエルが行なっている領土占領必要性がなくなったという趣旨の、だからという趣旨言い方であります。  だが私は、この際、この問題を契機に、日本外交独自性自主性というものを確立するということとあわせまして、安川大使キッシンジャー長官と会っている新聞記事ども出ております。またキッシンジャー氏が日本に寄ったときのいきさつ、これらがいろいろなところにあらわれまして、アラブ側ものを言っているいきさつもあります。だから、なおのこと、この際、明確にするという意味で、撤退ということを明確にすべきである。つまり、六日戦争等によって占領した地域からのイスラエル軍撤退、これを明確にすべきである、こういうふうに思うのです。そこがひっかかるのでありますが、そこらのところはどう解釈をなさっておるわけでありますか。
  8. 大平正芳

    大平国務大臣 そういうことばづかいも含めまして、いま鋭意検討しておりまして、近く明らかにいたしたいと思います。
  9. 大出俊

    大出委員 この際、もう一つだけ明らかにしたいのでありますが、これはアラブ関係のある人からにいたしておきますけれども日本が何かキッシンジャー氏が来たことを契機に、特使派遣云々と言っていたのが消えてしまった。だから、もし日本政府態度変更をするとすればアラブ寄り——それはアラブ寄りではなくて、石油寄りなんだという言い方をしている記事がございましたが、石油寄りということであったのでは、外務省方針としてあまりにお粗末になる。だから、抜本的に、国連中心主義おいでになる日本外交ならば、そこをとらえて、それを基礎にして筋を通すべき筋合いであろう、こう思っているわけであります。  そういう筋論からいきまして、いま外務大臣が答えておられるのは、一体石油が切られるからということで態度変更をしようというのか。そうではなくて、この際、ひとつ日本政府は独自の外交姿勢を確立するという前提で、そういう踏み切り方をなさろうとするのか。そこらの基本的な点は、一体どうお考えでございますか。
  10. 大平正芳

    大平国務大臣 あなたの言われた後者でございまして、日本といたしましての中東紛争に対する基本的な立場を貫きたいと考えております。
  11. 大出俊

    大出委員 もう一つ承りたいのですが、当初のサウジアラビアあたり言い分は、イスラエルとの断交もしくは経済的な断交、国交をできなければ経済的な断交——武器輸出なんということは、日本国憲法もあり、三条項もありますから、これは説明すればわかることであります。それができなければ何らかの、つまり国連決議に従えという意味でのイスラエルに対する日本の努力、このことが行動によってあらわされる必要があると言っているのでありますが、その辺のところは、外務省としてはどう考えたらいいとお考えでございますか。
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 いま御答弁申し上げましたように、わが国中東紛争の公正かつ平和的な解決を早期に望むという立場におきまして、中東紛争に対するわが国立場を明確にするということに尽きるわけでございます。中東紛争の処理は、これから進んでまいることと思うのでございまして、私どもは、その過程を終始慎重に見守りながら、わが国のこの紛争に処する態度を貫いていかなければならぬと考えておるわけでございます。いま言う具体的な外交手段というようなもの考えておりません。
  13. 大出俊

    大出委員 そうすると、外務省——これは新聞で見る限りでありますが、外務省の中にも、官僚の皆さんの中にも、基調としては親米、親アラブというのはあるでしょう。そこらやりとりの中に出てきておりますように、アメリカといえども、これは一説には、キッシンジャー氏が火をつけて消しに入った、マッチポンプだという流し方の記事もあります。ある総合誌などにも、そこらがたいへん詳しく書いてあるものもあります。だが、それはそれとして、やはりアラブに対して、アラビアにエーキンス、エジプトにエルツというアラビア語に非常にたんのうな、その方面に非常に詳しい方々大使として置いている。おまけにアメリカは、有力議員有力財界人を総動員して、アラブ諸国に懸命な働きかけを久しきにわたって、すでにニクソンのエネルギー教書の以前から続けてきている。私どもの国は、五月に中曽根さんが一回り中近東をお回りになった。おそらくそれだけだろうと私は思うわけでありまして、メージャー中心に買ってきた石油でございますから、メージャーのほとんどは、アメリカ資本でありますだけに、日米関係をこわさない、安保条約をたてまえにしておく、だから、メージャーにくっついていれば何とかしてくれる、これが日本石油政策だったのだろうと私は思うのでありますが、ところがメージャーをあれだけかかえておるアメリカでさえ、これだけたいへんな精力を使っている。今回イスラエルを一辺倒に支持をしたアメリカでありますけれども停戦というものをめぐって大きな役割りをソビエトとともに果たしている。とすれば、それなりの打つ手は考えているはずであります。  きのうおとといの状況をながめましても、すでにサウジアラビアファイサル国王のところに、アメリカ武器輸出話し合いを再開して進めている。戦闘機を二十四機あるいは三十六機売ろうという交渉までしている。これは非常にみごとに転換姿勢が見えている、こういうわけであります。日本はそういった何らの外交手段も講じないというのでは、これは国民にとって外交ミスであり、政治ミスであることになってしまう。  きょう私が東京駅から国会に参りますまで乗りましたタクシー運転手さんが、プロパンを使っているタクシーでありますが、きょうからリットル当たり二十六円のものが四十五円になりましたと言う。二千円持っていきますとおつりがたいへんきた、車に一ぱい詰めて千五百七十円くらいだった、ところがきょうは何と二千七百円取られた。ハイヤー、タクシー一つとらえても、千五百何十円というものが二千七百円になっているんですね。ガソリンは六十五円なんだけれども、今回七十五円になった。こんなに上がるのなら、ガソリンのほうがいいのじゃないかという気が実はしていると言う。そのガソリンも、きょうリットル当たり六十五円から七十五円になっている。こういう現実をかかえている。だから、石油寄りになれと言うのじゃなくて、やはり独自の外交姿勢というものがこの際打ち立てられるべきである。  ならば、当然のことながら、やはりそれなりのしかるべき人が——大平さん自身がおいでになるなり、あるいは同等な方々おいでになるなり、早急に何らかの方法でこれらの国々との接触をはかる、またこれらの国々が求めていることで、日本政府において、国連中心主義外交をはずさない限り行ない得ることは行なうという姿勢があわせて出てこなければおかしいという気が私はする。国民全体にかかわる問題である。その辺のところは一体どうお考えでございますか。
  14. 大平正芳

    大平国務大臣 産油国等に対する外交姿勢についてのお尋ねでございます。他の国々が多彩な外交活動を展開しているという御指摘でございますが、わが国としても、できることとできないことがあるわけでございまして、他の国に武器を売るとか兵員を送るとか、そういうことができないことは御案内のとおりでございます。またわれわれがやり得ることというものの力の限界もわきまえてやらなければならぬことは当然でございまして、そういう制約の中で、仰せのようにあらゆる有効なことはやらなければならないと私も考えます。  ただしかし、この際、反省されますことは、わが国の場合、資源弱小国としてあるわけでございますが、今日まで幸いに商業的手段をもって必要な資源が必要なときに何とか確保できた、そういう状態が相当長く続きましたし、またその上に立って、わが国の経済の運営を官民とも行なってまいったその惰性のゆえに、そうでない事態を前もって予見いたしまして、事前に十分の手を打たなかったということについての御指摘は、私は甘んじて受けたいと思います。これは確かにわれわれが深刻に反省しなければいかぬ課題であると思います。  それから、特使の問題でございますが、われわれがやり得ること、そしてやって有効なことは何でもやるという意味で、特使も私は考えるべきだと思うのでございます。ただ、これも受け入れ国側空気を見ておりまして、十分それが成果を期待できる雰囲気でないと——雰囲気をよく見てやらないといけないと思いますし、同時に、わが国アラブ紛争中近東紛争に対する基本的な方針というものもきちんと踏まえておいでいただかなければいかぬこともございますので、そういう点は政府のほうも十分考えながら検討を続けておるわけでございまして、一口にいうと、適時に適切な手を打ちたいと精一ぱい検討いたしておるところであると御了解いただきたいと思います。
  15. 大出俊

    大出委員 この問題の最後に、一つだけ私、注文があるのですが、ある新聞が書いておりましたが、かつて佐藤さんが総理のときに、アラブの相当有力な方が日本を訪問した。この大事な賓客をつかまえて、日本ではいまイザヤ・ベンダサンの「日本人とユダヤ人」という本がたいへんな好評で売れておりますと言ったというんですね。そうしたら、そのイスラエルぎらいなこのアラブの大物は、たいへん驚いてこういうことを日本総理が言うのかというので、これはあとで大きな話題になったということが書いてありましたが、これじゃすべてぶちこわしでありまして、やはりこのアラブ地域というのは、非常にむずかしい民族感情のある地域でありまして、そこらのところを——たとえばイスラエルにジム・イスラエルなんという会社がありますが、海運関係をやっている方々が近づきますというと、アラブのほうからは一斉にこの会社を拒否してくるという。横浜にも極端なそういう例がございました。まとめるのに、私も仲へ入って苦労した時期もありました。また労働組合AA会議を開きたいという念願一で、私が総評副議長時代に、この地域を何回も歩いたことがございましたが、そういう感情については、たいへんに極端にむずかしいところであります。ピントはずれなことをやれば逆になる。それは、つまりアラブ地域に対する認識を、どこまで深く日本外交政策基礎に据えるかということにほかならぬと私は思っているわけであります。  これとからみまして、サウジアラビアファイサル国王は、メッカ、メジナ、エルサレムという三大聖地の保護、これをはっきりさせることが自分の使命である、いま石油攻勢の頂点に立っているとの方は、この問題が片づかない限りは、サウジアラビアにおける石油戦争は終わらない、こう言っている記事がございます。この地域方々にすれば当然な主張であります。回教、キリスト教ユダヤ教、三大宗教の激突するエルサレム国際化なんという問題も、たいへんむずかしい問題として存在をする。日本仏教国でございます。この辺のことについて、何か触れるとすれば、日本という国ならば触れ得る可能性はある。つまり難民の公正な云々という欧州型の言い分から一歩出た、アジア日本という国の立場からそこらまで触れてものを言える。そして単なる必要性という表現ではなしに、日本政府態度を明らかにするというならば、国連中心主義外交を進める日本立場に沿って、国連決議解釈を明らかにした上で、その解釈にぴしっと当てはまった和平取りきめを結ばなければならぬのだということを強調する姿勢ぐらいが出てこなければならぬと私は思うのでありますが、その辺のところを一体、これから必要とあればできることは何でもやる、こう言うのでありますが、外務大臣は、どういうふうに外務省の議論の中などでお考えでございますか。
  16. 大平正芳

    大平国務大臣 一口に申しますと、二四二の解釈があいまいで、明快でなかったという点を彫り深く検討いたしまして、明快なものにするわけでございます。そういうものが確立いたしまして、今後の事態の推移に応じて、その方針に照らしまして、私どもは時々刻々出てまいる問題に対処してまいるべきだと考えております。
  17. 大出俊

    大出委員 つまり国連中心主義外交を進める筋を追って日本がその立場を明らかにする。いま二四二決議解釈で私、考えておりましたのと同じことをお答えになっておりますから、その意味では、はっきりしていると思うのでありますが、ただ、それによって、サウジアラビアなんかは、アメリカに相談するなんというようなことをすれば、石油寄りだと判断して、日本が何を言ったって、それはリップサービスだと受け取るぞ、こう念を押しておりますね。にもかかわらず、どうも安川大使キッシンジャー氏に会っているということが国際的に報道されている。となると、どうもリップサービスじゃないか、石油寄りになっただけじゃないかという批判を免れぬ気がその意味ではする。そこらのところは、よほどお考えになってやらないと、結果的に日本という国は全くどうも手にもつかぬしようない国だということで、世界の孤児になりかねない。  そこらのところは、外交手段を通じて一つの先の見通し、展望をお持ちの上でいまのようなお答えが出てきた、こう理解してよろしゅうございますか。そこのところはいかがでございますか。たいへん大事なところでございます。
  18. 大平正芳

    大平国務大臣 これから先どういう事態が出来してまいりますか、確たる展望があるかと問われると、正直なところそんな自信私ありません。ありませんが、あなたがおっしゃるように、今後の事態の推移に従って、波のまにまに、そのときどき都合のいいことをやるんだということではいかぬと思うのです。ですから、わが国といたしましては、中東紛争についてはこういう基本的な考え方に立つということ、そのことを踏まえた上で起こるべき事態に対処していくというようにいたしたいと考えております。
  19. 大出俊

    大出委員 私は、アフリカはチュニジアのチュニスまでしか行ったことはないのですが、あれから南は歩いておりませんが、ここに国際自由労連の大立て者でトリリという人がおりますが、この人は当時解放軍の総司令官であった人でありまして、自由労連の副議長であります。こういう方々と話していてしみじみ感じることは、世界の大きな宗教の中心的な地域でございますだけに、信仰の厚い人が進歩的な人であるという解釈がまずある。だから、日常われわれが考えているような形のもの考え方は通用しない。あくまでも誠意をもって誠意を尽くす以外にこの方々はなかなか人を信用しない、そういう地域であります。  だからひとつ、くるくる変わることでなしに、石油寄りというふうにとられがちな時期でございますが、そうではなしに、日本独自の外交基本姿勢を確立するといろ、さきにさかのぼって反省があるなら、今日以後そういうことで変わることはないのだという、そういう姿勢で、先のことはわからぬとおっしゃいますが、それだけに誠意を尽くし抜くということしかないという気が私はするわけであります。どうかひとつ、そういう方向で——大平さんも立場上いま非常につらいところでございましょうから、あまりえげつない質問はいたしません。いたしませんが、ぜひひとつ、そういうことでお進めいただきたいと念願をいたします。  次に入らせていただきますが、私、先月の九日の内閣委員会のときに、ミッドウエーの寄港という問題をとらえまして、実は大河原さんにあのときにいろいろ質問をし、かつ防衛庁皆さんにいろいろ承ったのでありますが、未解決の問題がございます。  それは一口に申し上げてみますと、海の事前協議というのは、本来、三十年にこれをこしらえたときから今日まで十八年間、実は事前協議の対象となるべきものはなかったんだ、こう考えざるを得ない。なぜならば、海の事前協議の対象となるものは、タスクフォースということばが使われておりますが、一機動部隊である。これが事前協議の対象となる重要な変更である、こういうわけであります。しららば一体、そのタスクフォースというのは、航空母艦でいえばどのくらいのものなんだといったら、三隻ないし五隻だという。平時に返りました第七艦隊は、いま空母三隻であります。ミッドウエーなり、コーラルシーなりオリスカニーなりという三隻しかいない。ところが三ないし五ということになるとすると——ベトナム戦争中も多いときは七隻おったことがありますが、大体五、六隻でありました。三ないし五ならば、平時、戦時を通じましてアメリカの第七艦隊、つまり七十二機動部隊がほとんど全部日本に入ってくるのでなければ事前協議の対象にはならないことになる。空母一隻に六隻ないし七隻くらいの駆逐艦その他がくっついているわけであります。その他の艦船がたくさんついているわけであります。それが三隻の空母、つまりタスクグループが三つ、これが入ってこなければというのならば、二十数隻の大船が一緒に入ってこなければならぬことになる。五つのタスクグループだというならば三十七、八隻一四十隻近い大船が日本に入ってこなければ事前協議の対象にならぬことになる。そんなことは本来あり得ない。第七艦隊の中心は、いま申し上げた空母を中心にする打撃部隊だけであります。あとは台湾海峡のパトロールとかあるいは警戒部隊とか輸送部隊であります。  そういうことで詰めていきましたら、何とお答えになったかというと、いや、安保条約の改定をするこの時期、つまり安保条約六条に基づく交換公文を取りかわす時期、あるいは藤山・マッカーサー大使の間で取りきめた時期、これは口頭了解ですね。このときには戦時を予想していたのだというお答えが返ってきた。戦時ならば第七艦隊のほとんどが入ってきちゃうことがあり得るのだと言う。そこまでいったら、ほんとうにそうかと念を押したら、大臣がいないので大臣がお帰りになったら、あらためて答弁をする、こうなったわけでありますが、この問題について一体どうお考えなのか、あらためて御答弁をいただきたい。
  20. 大河原良雄

    ○大河原説明員 前回、十月九日の当委員会におきまする私の答弁に関連いたしまして、ただいま御指摘のありました点についてお答えいたしたいと存じます。  前回の委員会におきまして御質問ございましたのは、事前協議の対象となるべき重要な配置の変更が、海軍の場合にいかなる形をとるかということにつきまして、一九六〇年以来の日米間の了解は、海軍に関しましては、一機動部隊程度の兵力が日本に配置される場合に事前協議の対象となる形である、こういう御答弁を申し上げました。一機動部隊とはどの程度の編成かということにつきまして、空母で申しますと、三ないし五隻の空母をもって構成されるタスクグループ、こういうものをもって機動部隊が編成される、こういう御答弁を申し上げました。しかもそのタスクグループには、空母を護衛いたします駆逐艦が随伴いたします、こういう御答弁を申し上げました。  そういたしますと、タスクグループをもって構成される機動部隊が日本に配置される場合には、かなりのまとまった隻数の海軍艦艇が日本に配置されることになるはずである。しかし現実には、そういう配置はないではないか、そうすると、事前協議の対象となる機動部隊の配置ということは現実にはないではないか、おかしいではないか、こういう御質問であったわけでございます。  これに対しまして、私が御答弁申し上げましたのは、平常の状態においては、一機動部隊程度に相当するような艦艇がまとまって日本に配置されることは、おそらくないでありましょう。それでは、いかなる場合かというふうな御質問に対しましては、もしあるとするならば、それは平常でない事態であると考えられます、こういう御答弁を申し上げました。  そういたしますと、一九六〇年の交渉当時以来の事前協議に関する了解というのは、まさに空文ではないか、こういうあらためての御指摘でございましたけれども、この点につきましては、平常の状態においては、いずれにしましても、そういう一機動部隊程度の艦艇がまとまって日本に配置されることは、まず考えられないと思います、こういう御答弁を申し上げたわけでございます。  これに関しまして、平常時、非平常時という考え方を入れたのは新しい見解である、この点は一体政府としてどういうふうに考えるかを、明確に次の機会に答えろ、こういう御要求であったわけでございます。  この点につきまして、政府内部で十分検討いたしましたところにおきましては、いずれにいたしましても、現在の国際情勢のもとにおきましては、事前協議が必要とされるような事態は予想されないということは、すでにことしの一月の日米安保協議委員会の席上におきましても、日米両当事者におきまして合意を、意見の一致を見ているところでございまして、現在の情勢におきましては、政府としまして、一機動部隊程度の規模の海軍の部隊がわが国に配置されることは予想されないというふうに、引き続いて考えているわけでございます。  こういうふうな認識に立脚いたしますならば、平常においては、事前協議の対象となる形での一機動部隊程度の海軍の部隊が日本に配置されるということは、まず考えられない、こういうふうに考えているわけでございます。
  21. 大出俊

    大出委員 これは防衛庁の久保さんは、観念上の統一だ、実際にはそういうことはないという答弁をしているわけでありますから、その意味では、この関係方々御相談の上であの席では統一した御見解をと、こう申し上げておいたわけでありますから、その限りでは、いまの大河原さんの答弁は、外務省はもとよりのこと、政府としての統一をされた、御相談をなさってこういうことになった、こういう答弁でありますから、そう受け取っていいわけでございますな。
  22. 大河原良雄

    ○大河原説明員 内部におきまして、十分検討いたさせていただきました。
  23. 大出俊

    大出委員 そうしますと、この十八年間、記録をたどってみましても、事前協議の対象となるべきもの、この問題をめぐっての議論というのが幾つかありますが、事前協議というのは、戦時を対象にしているのであって、平時を対象としていない、こういう御見解はただの一度もない。いま初めて政府の統一された見解として、事前協議というのは、平時は対象にならない、戦時を対象にしている、こういうことになる。ということになると、これはおかしなことができる。ベトナム戦争が行なわれていた時期、日本国内の基地にはずいぶんいろんなことが起こりました。あるいはエンタープライズが佐世保にやってきた時期、いろんなことがありました。だが、このときも事前協議は一ぺんもなかった。となりますと、その戦時を対象にしたというのは、日本という国、この国の戦時を対象にするんですか。それとも朝鮮戦争みたいなことを想定するんですか。いまおっしゃるところの戦時というのは、どういう状況を対象に戦時とおっしゃいますか。
  24. 大河原良雄

    ○大河原説明員 事前協議は、平時においては一切行なわれないということではないわけでございます。平常の状態におきましては、そのような大規模な部隊を行動させ、しかも、それを日本に配置という形で置くということは、まず考えられない、こういうことでございまして、平常の状態においては、実際問題として、そういう形で事前協議が行なわれることはないでありましょう、こういう趣旨答弁であるわけでございます。  したがいまして、たてまえとして、平常の事態において事前協議が一切行なわれないということではなくして、実際上の問題として、そういうとらえ方をするのが至当であろう、こういう趣旨の御答弁を申し上げているわけでございます。
  25. 大出俊

    大出委員 だから、そうなれば、この七十七機動部隊、これが第七艦隊の主力でございます。で、大河原さんのこの間の答弁では、打撃部隊はこれしかない、七十七しかない、ここに今日三隻の空母がいる、あるいはベトナム戦争等を通じては五隻等の空母がいた、対象はこれである、台湾海峡の七十二やその他のものをさしてはいない、こういう前提で平時を想定をしていない、こういうふうに答えているわけです。  いまの答弁では、だから、通常の場合に三ないし五のタスクホースが一緒になって日本にやってくるなんということはあり得ない、実際問題としてない、こうおっしゃるのですから、実際問題としてなければ初めからこの事前協議の対象にはない。あるというのは、何かといったら平時ではない、つまり戦時だ。そうすると三ないし五の機動部隊が、タスクグループが、三ないし五の航空母艦が、これを取り巻いている艦船を含めて日本に入ってくるということ、これが事前協議の唯一の対象。  それでは、一体どういうことになれば、そういう可能性があるのですか。平時は実際問題としてないというのだけれども、平時でなければあとは戦時だ。戦争がどこかで起こったという場合に、アメリカの三ないし五の七十七機動部隊が、ほとんど全部ですが、全部が日本にやってくるなんということ、その戦時というのは、どういうことを想定しているのですか。日本が戦場になったとかなんとかいうのですか。
  26. 大河原良雄

    ○大河原説明員 米海軍の第七艦隊がどういうふうな艦船運用をするかということにつきましては、私ども直接には関知しておらないわけでございますが、万が一、日本をめぐる周辺の情勢におきまして、緊迫した事態がかりにあると想定いたしまして、それに対応する措置として、七艦隊の麾下にあります機動部隊が日本に配置されるということがあるのかどうか、こういう問題であろうかと存じます。しかしながら、そのような緊迫した情勢がさしあたり予見されないということにつきましては、先ほども答弁いたしましたように、ことしの一月の日米安保協議委員会におきましても、事前協議を必要とするような事態は予想されない、こういうことについて日米間の当事者の意見の一致を見ているわけでございまして、いま申し上げましたような平常でない事態が生起して、それに対応する形で一機動部隊程度以上の空母群が日本に配置されるということはまず考えられない、こういうことを申し上げているわけでございます。
  27. 大出俊

    大出委員 だから、私はこの間、アメリカには四つの艦隊しかない、第一艦隊、第二艦隊、第七艦隊、第六艦隊しかない。そして第一と第七、第一は太平洋岸のアメリカ本国にくっついている、第七は、この間議論しましたように、北は北海やべーリング海からペルシャ湾などまで含み、南は南極大陸までいってしまう、たいへん広大な範囲を持っておる。そうだとすると、その第七艦隊のほとんど全部になりますよ、七十七機動部隊というのは。打撃部隊はこれしかないのだから。これが全部やってこなければ、事前協議の対象にならないということ。つまり岸・ハーター交換公文できめたのは、日本に危険が及んでは困る、日本それ自体がかかわらない戦争に巻き込まれては困る、その歯どめなんだといって取りきめたのが事前協議なんだ。そうなると、全く物理的に、実際問題としてはあり得ないことを想定して三ないし五の機動部隊が一緒に入ってくる。七十七機動部隊全部だ、主ないし五といえば。それが全部入ってくるなら事前協議の対象になる、それ以外は対象にならぬのだということをきめていたのだとすれば、これは初めから事前協議というのは空文ですよ、あり得ないことをきめたのだから。そうでしょう。  だから、この間のように、十八年間一ぺんも答えたことのない戦時、平時なんてことを言い出す。それは世の中のうそというのは、一つつくと二つになって、二つつくと三つになる。十八年間うそをつきぱなしてくると、これを称してうそ八百という。最近になってそんなことを言い出したって、それならあっさり事前協議は空文であった、これでいい、そういうことになるのじゃないか。ほんとうに戦時を想定して取りきめられた安保条約改定ならば、安保条約というのは、逆に明らかに軍事同盟ですよ。それしかない。あなた方は十八年間、安保というのは軍事同盟じゃないと言ってきた。戦時を対象としなければ事前協議の対象が出てこないようなことならば、明らかにこれは軍事同盟です。そうでないと言ってきたほうがうそ八百のうちに入る。だから、そういう矛盾が出てしまう。  時間がないから、あまり長い論議はできませんけれども、ならば、明らかに事前協議は空文ですよ。実際あり得ない。原潜が入ってきたからといって、国民皆さんはなぜ事前協議の対象にしないかという。エンタープライズが入ってきたからといって、何でこれを事前協議の対象にしないかという。今回の横須賀の問題、これなんか明らかにうそ偽りの典型ですよ。まずミサイル巡洋艦であるオクラホマシティーがいます。これは第七艦隊の旗艦です。攻撃型空母のミッドウエーが入ってきて、一年のうち半分近く、百日以上いる。その前に、一昨年十一月に第十五駆逐艦隊、ガータ、アンダーソン、ボーセル、 ローアン、パーソンズ。これにミサイル・フリゲート艦のウオードン、これだけぞろっといるのですよ。このほかに、あとから申し上げますが、原子力潜水艦も最近は常時入ってきている。兵員交代も平気でやっている。横須賀は明確に原子力潜水艦の母港です。これだけのものが横須賀に配置されていても、これは事前協議の対象になる重要な配置の変更ではないという。それでは全くもって海上における事前協議というのは空文です。あなた方は十八年間うそを言っていた、そういうことになる。  あらためてこれは議論いたしますが、ここで一点確認しておきたいのですが、十月の三日付の米軍機関紙スターズ・アンド・ストライプス、ここに持っておりますが、この中に原潜の寄港目的に触れている。ガードフィッシュなる原潜が九月四日から十七日まで横須賀に寄港した。そして十月の二日ホワイトビーチに一時寄港した後、十月八日に再び横須賀に入港した。これに触れて、乗り組み員の交代のためというふうに表現している。この事実はあなたはお認めになりますか。
  28. 大河原良雄

    ○大河原説明員 潜水艦の問題にお答えいたします前に、先ほどの事前協議の問題について、もう一回御答弁させていただきたいと思います。  昭和三十五年の日米安保条約の締結の際に、交換公文の形で日米間で事前協議の対象となるものが合意をされております。その中に「配置における重要な変更」ということが項目としてあるわけでございますが、この「配置における重要な変更」とは、何だということにつきまして、海軍の場合には一機動部隊程度以上、こういう了解があるわけでございます。その意味で昭和三十五年以来、政府事前協議に関しまする答弁態度立場、これは一切変わっておらないわけでございまして、その間うそを申しておったということでは全くないわけでございます。  現在、先ほど御指摘ございましたように、横須賀には確かに第七艦隊の旗艦が家族を居住させており、また一昨年以来、十五駆逐隊の駆逐艦の乗り組み員の家族の居住もございますが、指揮系統から見ますと、今回のミッドウエーとは系統が異なっておりまして、そういう意味では、ミッドウエーと十五駆逐隊とは、タスクグループを指揮系統として構成していることはないという事実を私ども確認いたしております。  次に潜水艦の問題でございますが、原潜の寄港につきまして米側からそのつど通報を受けており、その目的が休養、補給というようなこと、あるいは場合によりまして兵員の交代ということがあるわけでございますが、ただいま御指摘ございましたように、十月早々の具体的な原潜の寄港の際の乗り組み員の交代の事実につきまして、私ちょっと事実関係を確かめておりません。
  29. 大出俊

    大出委員 これはアメリカの軍の機関紙に書いてあるものですから間違いない。うそを書いてはいない。お調べいただければ、これは明確にあります。これにちゃんと書いてあるのです。お読みください、あとで。  そこで、私、承りたい中心点は、いま御答弁がありましたから触れておきますが、このいま私があげた七隻のアメリカの巨大な艦船がいる、この事実をあなたはお認めになっているわけでありますが、指揮系統が違うからいいのだ、こう言う。これもずいぶん、どうもいいかげんな答弁でして、いずれも横須賀を母港にしている。戦争ということになれば、一緒に出ていく。間違いないことです。指揮系統が違えばいいんだというのなら、指揮系統の違うのを持ってきて、いざというときには編成し直せばいいんだから、そういういいかげんなことじゃ——これは、この間の議論の中に、さみだれ的に入ってきたんだ、さみだれ的に入ってきても、その規模がたいへんなものになるのならば、日本政府ものを言うということをあなたはお答えになっている。いまは、今度は、指揮系統が違うのだからいいと言う。それでは市民にしろ、国民にしろ納得しやしませんよ。これは、だから抜本的に、つまり事前協議というもの考え直さなければならない、明らかに空文だということを立証している。これではいけないと私は思います。日本の将来の安全と平和にかかわる、そう思います。  あわせて、いつの間にか平気で横須賀を中心に原潜乗り組み員の家族を含めてちゃんと住んでいて、交代をしている。外務省に、そのつどおっしゃるけれども、ここに外務省一つ例をあげます。十月の八日に、再び横須賀に入港したガードフィッシュこれは在日米大使館から外務省へ通告しているが、九月四日の横須賀入港時の乗り組み員の数、これが百十一人、十月二日のホワイトビーチ寄港時が百三十二人、十月八日の横須賀再入港時は百十四人、これは明らかに要員交代が裏づけられている。しかもこれは、モニタリングポストで原潜の放射能点検をしている方々が、タグボートで行って帰ってくる兵員交代をちゃんと見ている。そういう事実まである。これはあなた方は、安保条約上問題はないというお考えならお考えで、原潜についても、横須賀で、沖繩で、兵員の交代を平気でやっているとすれば、これは母港です。その現実をお認めになるでしょう。そして安保条約上どういう御解釈をなさっておいでになりますか。いかがでございますか。
  30. 大河原良雄

    ○大河原説明員 ガードフィッシュが横須賀に入港いたしました際に、前回離港した際と乗り組み員の数が違っておったということについては、その点を確かめてございます。ただ横須賀に、あるいは日本の港に原潜の乗り組み員の家族が居住している事実はないということも確かめてございます。したがいまして、ミッドウエーの乗り組み員が横須賀に居住しておるということと原潜の乗り組み員との関係においては、全く違う状態であるということを申し上げたいと存じます。
  31. 大出俊

    大出委員 いまの答弁、よく聞こえなかったのですが、そうすると、この人員の数が違っておることも確認してあるというのですな、いまの答弁は。つまり沖繩に行った、横須賀に来た、このやりとりの中で通告が来ていますが、乗り組み員の数が違っていることは、あなたはお認めになったわけですか。確認してあるのですか。  それからもう一つ、原潜の乗り組み員が横須賀等に住んでいないということも確認してある、こういうわけですか。
  32. 大河原良雄

    ○大河原説明員 先ほど御答弁申し上げましたのは、ガードフィッシュが横須賀に寄港いたしました際に、前回の乗り組み員の数と違った乗り組み員の数であったということを承知いたしておりますというのが第一点でございます。  第二点といたしましては、米側に確かめましたところ、原潜の乗り組み員の家族は、横須賀にもどこにも日本には居住しておらないということを確かめてございます。
  33. 大出俊

    大出委員 そうすると、一体その相関関係はどうなるのですか。これはモニタリングポストで作業している人が一々確認をしている。最近は非常にそこらを心配している職員もおりまして、調べている。何人出てきて、何人行った。全部調べている。だから、これは何人交代した、ちゃんとわかっている。目で見ている、すぐそばでやっているのですから。そこで数が違うことは確認をしたとあなたはおっしゃるのだから、数が違った。しかもこれは住んでないと言う。住んでなければ、その乗り組み員の数の違い、交代をした要員、これは一体どこから来たのですか。  もう一つ申し上げるけれども、これは神奈川の新聞ですが、これがあなた、みんな原潜が入ってきて、人が上に乗って、兵隊が立っているでしょう。岸壁で家族が出迎えて、手を振っているでしょう。写真がちゃんと載っている。モニタリングポストの人もちゃんとこれを見ている。それじゃこの家族や、何か手を振っているのは、一体どこから連れてきたのですか。冗談じゃないですよ、ほんとうに。アメリカに聞いてみましたなんというのじゃ困るじゃないですか。
  34. 大河原良雄

    ○大河原説明員 十月の二日にホワイトビーチに入港いたしました際の乗り組み員の数は百二十九人でございます。十月の八日に横須賀に入港いたしました際のガードフィッシュの乗り組み員の数は百三十三名でありました。この数の違いは、ホワイトビーチで新しい人員を乗せた、こういうことによるものであるというふうに承知いたしております。
  35. 大出俊

    大出委員 絵じゃない字というのもありますが、絵というやつは一番確かなんですね。ちゃんと写真になっているのですから、そんなことを言ったって。ホワイトビーチのときもちゃんと見ているのですよ。だから、乗員の交代を確認した。家族がいて一生懸命手を振っている。そういう現実が現にあるのに、あなたはアメリカのほうに聞いてみたらこうでしたで済む筋合いじゃないじゃないですか。これはさっそく調べてくださいよ。そんないいかげんなことじゃ困るじゃないですか。机の上でそんなことを言ったって、いままでだってそう。あなた方はいろいろなことを言うけれども、現場を見てみれば一ぺんでわかる。みんな違う。きょうは時間がないから、ここから先の議論はしたくない。あなたはさっそく調べてください。現に確認がしてある。
  36. 大河原良雄

    ○大河原説明員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、ガードフィッシュの乗り組み員の家族がホワイトビーチ、向こうに住んでおるという事実はないというふうに米側から確認してございますけれども、重ねての御質問でございますから、あらためて確かめてみたいと思います。
  37. 大出俊

    大出委員 てっぺんのほうじゃ、よくそういうのだけれども、あとになっていよいよ調べてみたら、実はこうでしたなんというのは年じゅうあるのだから、これは困るのですよ。先ほどのミッドウエーの問題とからみまして、いつの間にか原潜のどうも母港にまでなっちゃっている。アメリカの主力艦が七隻もいても、系統が違うのだという。それじゃ事前協議の対象は何だと言ったら、空母が三ないし五つだという。そんなことは現実にないじゃないかと言ったら、いや安保条約の改定をするときに平時を想定していなかった。平時じゃなければ戦時じゃないですか。そういうことじゃ、これは事前協議の対象になるものはないのだから——物理的にないとあなたはおっしゃった。現実にないとおっしゃった。それならば、これは空文じゃないですか。そうなれば国民の前にはっきりものを言わなければならぬですよ。実際には、事前協議というけれども、ないならないと言わなければいかぬ。それはずいぶんいいかげんな話です。ただし、時間がありませんから、いまの問題は、これで終わりまして、あと一言だけ聞いておきます。  一つずつお答えいただいて、それで終わりにいたしますが、レギュラスというミサイルが、ここに防衛庁の資料がございますが、資料によりますと、核である、こうなっておりますが、いかがでございますか。
  38. 久保卓也

    ○久保説明員 弾頭は核兵器と承知しております。
  39. 大出俊

    大出委員 ここにレギュラス1、このミサイル、SSM、地対地のミサイルでありますが、射程五百海里、高度が四万フィート以上、速度六百ノット、弾頭は核、誘導方式慣性誘導、推進装置ターボジェットサステーナ、固体ブースターロケット、カッコして入っておりますが、弾体、長さ三十四フィート、幅二十一フィート、直径五十四インチ、こういうものである。弾頭は核である。ここにミサイルの本もありますが、大体似たようなことであります。  ところで、この間、私は久保さんに、また大河原さんに、ミッドウエーというのは、タロスだとかテリアだとかターターだとかアスロックだとか、いろいろなものがあるけれども、何を載っけていますかと聞いたら、おわかりにならぬ。そこで、お調べになってはいるとは思いますけれども、私が調べた限り、ミッドウエーはレギュラスミサイルを載せている。これは、はっきりした資料がございます。いま久保防衛局長が核であると言った。だとすると、レギュラスミサイルを積んでいれば、レギュラスミサイルが発射できないように、核をどこかに置いてくることになるのですか。そこのところを、ひとつ外務省のほうからお答え願いたいのですが、レギュラスを載せている……。
  40. 大河原良雄

    ○大河原説明員 前回もミッドウエーの装備につきまして御質問がございまして、たとえばタロス、テリア、ターター、その他どうだ、こういう御質問でございます。ミッドウエーの装備につきまして米側に照会いたしましたところ、ミッドウエーは、対空火器でございますが、五インチ砲を三門装備しておる、こういう回答に接しております。
  41. 大出俊

    大出委員 あれだけの船を五インチ砲三門でどう防ぐのですか、攻撃されたら。困ったことをおっしゃる。これまた私がやりだしますと、たいへん長くなりますので、あとの方の時間の関係でいつも御無礼をいたしますからやめますけれども、このジェーン年鑑にしても、その他のものにしても、ミッドウエーに関するいろいろな資料がございます。五インチ砲三門を積んでいる、それだけでございますなんということは、どこにも書いてないのです。それでもあなたのほうは、アメリカに聞いたら五インチ砲三門だと言った、だから、そうなんだと。アメリカの航空母艦といえども、軍事専門家で乗っている方がいるのですよ。乗って演習まで見ている人がいるのです。ハーキュリーズを載せているのもある、アメリカのロングビーチなんかは。発射のボタンを押して上がっていって、どういうふうに飛ぶかまでわかっている。その世の中に、五インチ砲三門でございます、一体これだけの大きな航空母艦で、何千人の人を乗せていて、他の艦船が周辺を取り巻いているとはいいながらも、ソビエトという大海軍をも意識しているアメリカが、それだけではたして防げるとお思いですか。常識でお考え願いたい。久保さん、いかがでございますか。五インチ砲三門でいいのですか。この空母は。
  42. 久保卓也

    ○久保説明員 空母を囲みまして常に数隻の駆逐艦がございます。それは対潜であり対空であり、そういった装備を周辺の艦艇で行なっているということは、この前も申し上げたわけでございます。  ところで、いま米側に確かめたところでは、いまアメリカ局長からもお話がありましたが、横須賀の海上自衛隊のほうでこのミッドウエーを見たところ、外観でありますけれども、ミサイルが見当たらない。通常、艦艇は、対空あるいは対艦ミサイルは外見、写真で見れば大体わかっております。このミッドウエーについては、いろいろな写真を見ましたけれども、その点が見られておりません。  なお、レギュラスは、ちょっと何かお間違いではないかと思いますのは、私どもの資料では、これは古いSSMでありまして、かりては潜水艦でSSG、数隻ありますが、それと原子力潜水艦で一隻SSGN、それと巡洋艦、これに搭載されたことがあるということで、それはすでに六三年によそへ配置されている。ただ公刊資料によりますと、空母への搭載が可能であるという資料がかつてございましたけれども、私どもでは、現在これは使用されておらない、標的に使われておるというふうに承知をいたしております。
  43. 大出俊

    大出委員 久保さん、あなたは御勉強なさる方なんだが、「ミサイル・宇宙界への知識」というのを朝雲新聞が出しております。この中にも、ここにございますが、あなたはいまレギュラス1を空母へ載せてないとおっしゃるのだけれども、これには載せられるように書いてあるけれども、載せないとあなたはおっしゃる。朝雲というのは、堂場さんなんかのみんな専門家がやっておるのですよ。でたらめを書きはしないです。ここに全部紹介をしたあとに、「一九四七年設計開始、一九五七年三月五百回目の飛行が実施された。」というところから始まりまして、「現在潜水艦、空母に搭載されている。」他にバーベル、何と何というふうにいろいろなことがちゃんと書いてある。搭載されていないなんてあなた平気でおっしゃるけれども、これだって全くのしろうとが書いているのじゃないですよ。ミサイルのすべてがここに紹介されている。そうでしょう、朝雲新聞というのは、もともと装備年鑑だってそうじゃないですか、あなた方が監修をしたじゃないですか。そういういいかげんなことではいけませんよ。ただ時間がありませんから、きょうのところは、いまの議論はあとからやることにいたしまして、差し控えます。  それで、あと簡単な個条のお答えをいただければいいのですが、一つは、横浜の米軍一号住宅地、二号住宅地、さらにチャペルセンター、ボイラー地区、これは防衛庁に承りたいのでございますが、これは来年度予算に概算要求でどのくらい、四十八億ぐらいだと思うのですが、どのくらいをお組みになっているかということと、これは大蔵省にも承りたいのですが、一体この地域返還が、その後どういうふうな手順でどう進んでいるかというような点、そして少しこちら側から申し上げておきますけれども一つ間違うと、これは区画整理その他が間に合わなくなる。  順番に申し上げます。それでやめて、答えをいただきます。  四十九年の一月、これは実は、その場合の手順からいけば四十八年、本年十月までに——いま一生懸命やっているわけでございますが、十月は過ぎましたが、接収の境界をまず明確にしなければならない。接収の境界に網が張ってありますけれども、網だけでは実際の旧所有者の地籍と違う。で、境界をまず確認をしなければならない。この作業にたいへん骨が折れます。そして来年の一月、開発区域の設定をしなければならない。そして来年の四月までに設計の概要をつくらなければならない。なぜならば、都市計画審議会にかけなければなりませんから。そして都市計画事業の確定をしてもらわなければなりません。これを建設省に出さなければならぬわけです。そして来年の七月ごろまでに何とかして計画決定をしなければならない。それから事業計画の決定、これを何とか五十年の一月ぐらいまでには認可を受けなければならない。五十年の四月ごろまでには、区画整理委員会の委員の選挙をやらなければならぬ。五十年の七月ごろまでには取りかえる地域、換地設計をやっていかなければならない。つまり土地の高低ですね、高さ、低さなどを全部計算しなければいかぬことになっているわけです。それから用途地域、これを明確にしなければならない。住居、商業地域あるいは容積率から高度までみんな調べなければならない。そして電算機を使って計算するのですが、どのくらいかかるのかと聞いたら、回しっぱなしで半年以上かかる。それで仮換地の指定をしなければならぬ。そうしなければ権利の確認ができない。そして返還の前に上下水道だ何だ、いろいろこしらえなければならぬ。五十年の四月に、かりにもし解除されるとしてみても、それでやっていって、五十二年の一月から二月に着工する。だから、解除後一年以内に、皆さんのほうからいろいろ話がございますが、やることをやらないと、つまり米軍の住宅だのいろいろありますが、これをやらないと区画整理ができない。一年以上たったら、個々人がかってに不法占拠をしてみたり、旧地主が建てますよ。あるいは裁判なんかが出てきます。したがいまして、これはどうしても急がなければならぬ筋合いのものである。もしこの問題の決着をおつけになろうとするならば、そして区画整理を横浜市にやれとおっしゃるならば、だとすると、そうのんきなことを言っているわけにはいかない。  そこで、承りたいのは、何か知らぬけれども皆さんのほうでは、まあ昨年の八億四千万ですか、今回は四十八億、これは百三十六戸分だろうと思うのです。そうすると、これは七百からおつくりになるというなら、一号だけでは済まないはずであります。二号ということになっていく。当然そうならなきやならぬと思う。そこらのことを含めまして、ある種の特別作業班みたいなプロジェクトをおつくりになろうというようなお話も耳にするのでありますけれどもそこらは一体、大蔵省を含めましてどんなふうに進めていこうとお考えなのか、進んでいっているのか、さっぱりわかりませんので、承っておきたいのであります。
  44. 田代一正

    ○田代説明員 私、このたび施設庁長官になりました田代でございます。よろしくお願いいたします。  横浜海浜住宅地区の施設等につきましては、かつて一号だけを横須賀の海軍施設に移設するという話がございましたが、その後、ほかのたとえば本牧二号とか新山下住宅とか根岸住宅の一部とか横浜ベーカリー、チャペルセンターというものと合わせてこの問題を考えたほうがいいのじゃないかということを考えました。米側といたしましても、先月の中旬ごろに、そういう方向でよろしいのじゃないかということで、現在、その具体的な内容について協議しているという段階でございます。  そこで、予算でございますが、これは来年の特別会計に先ほど先生がおっしゃったような金額が一応概算要求としては入っております。
  45. 川崎昭典

    ○川崎説明員 お尋ねのような大きな返還財産につきましては、御承知だと思いますが、国有財産の中央審議会というところで基本的な方針をきめていただいて、それにのっとって具体的な処理を地方審議会でやるという手順になっております。  そこで、四十八年度中、来年の三月までに中央審議会で方針を出していただきたいということで目下作業中でございますけれども、私どものほうで、ただいま第一回目の詳細な打ち合わせを終わりまして、これは横浜市とやったわけでございますが、近く二回目の打ち合わせをやろうということでございます。  いずれできましたら、年内に返還小委員会で御審議を願えることと存じますが、そとで一応の結論が出ましたら、中央審議会の答申を得るということで、年度内に中央審議会の御審議を仰ぎたい。また地方審議会のほうは、その後のテンポによりますけれども、都市計画審議会と合わせまして、前後する時期にそういう措置をいたす、そういう考えであります。
  46. 大出俊

    大出委員 どうもえらい簡単な答弁で、もう少しこまかく承りたいのですが、時間がありませんから、あらためてひとつ聞かせていただきます。  予定の時間が過ぎましたので、山中防衛庁長官一つだけ。これは念のために申し上げたいのですが、ミッドウエーの寄港に基づいて、艦載機の訓練がしきりに行なわれております。沖繩で衝突事故がございまして、何人かの方がなくなっております。それから十一月の十二日に山梨県の河口湖町、ここでも墜落事故がございました。これは横浜、神奈川全体を通じまして、地域で非常に大きな騒ぎになっております。こういうことが起こるのではないかという心配がみんなにあったわけでございますから、騒然たる事情にあります。忘れておったのですが、どうしてもこれは防衛庁筋あるいは外務省筋に明確にしておいていただかぬと困る。この辺の事故の事情その他に納得できる理由がある、明確なことにならなければ、自後ひとつこういう訓練はやめてもらいたい、そういうたいへんきびしい地域からの条件等も出てきております。  ただ単に、富士山ろくの異常気象だから知らなかったんだというだけで済まない筋合いであろう。これは当方のブルー14の航路のすぐそばでもある。北でもある。これが入ってきたら、艦載機がやたら着艦訓練その他をやっているわけでありますが、そこら一つ間違うと、そういう意味では、えらいことになるというたいへん大きな心配がある。  そこのところを、防衛庁なり外務省なりは、どういう方針をこの種の事故に対しておとりになるのか。ついこの間やってきたばかりで、もうこれだけの事故がある。沖繩では艦載機同士の衝突事故が起こっている。神奈川では、これは非常に大きな、一体どうなったのだというので、民間まで騒ぎ出した事故です。そこらのところを、将来のこともございますので、一体どうお考えか、それだけ聞かしていただきたい。
  47. 山中貞則

    ○山中国務大臣 三沢の飛行場の天ケ森射爆場の問題なんかについても、あるいは補助飛行場として千歳の着陸についても、どうもいままでの空と違って海のほうは少し乱暴であるという気持ちがしまして、その点少し注意を喚起していたのですが、ただいまおっしゃったような事故等も起こりまして、やはり日本の特殊な列島の気象条件というものを熟知させなければいけないこと、さらに日本の国内航空法規というものをきちんと理解し守らしめてもらいたい、そして姿勢も乱暴なと思われるような態度は慎んでもらいたいということを、私どもも、また外務省のほうも、それぞれアメリカ側に申し入れました。アメリカ側のほうも、言われてみれば、日本の気象条件その他よく知らないで、しかもそう熟練していないと思われる者まで習熟飛行等をやらせることについては反省すべき点があったと見えまして、その点、今後慎重にやるし、日本の法規その他気象条件をしさいに検討して、今後事故の起こらぬようにしたいという明確な返答を得ております。
  48. 大出俊

    大出委員 これは航空事故調査委員会設置法をめぐりまして、私は念のために、米軍側で起こった事故であっても、日本側が納得し得る、国民が納得し得るような手続きを考えなければ、調査委員会をつくった意味がないということをだいぶこまかくここで念を押したことがある。そこらのところを踏まえて、向こうさんがこう言っておるからというだけで済まされる筋合いでないという気がする。だから、日本側もとくとその点は納得できる内容であり、だから、これはだめだというきちっとしたことにならなければこれは安心できない。日本人が死んでないからいいのですけれども、これはえらいことになりますよ。だから、そこのところを、そこまで踏み込んだ御調査をいただきたいのですが、いかがでございますか。
  49. 山中貞則

    ○山中国務大臣 航空事故調査委員会は、運輸省ということでありますが、私どもとしては、もちろんわが国の国土の中において、そのような事故が起こった場合において、そのしさいな原因あるいは結果に至るまでの航空事故について必要なデータというものは要求いたします。  大体、今回の場合は、地形ふなれ、気象条件ふなれというようなこともありますし、また夜間の飛び方についても、少し考えてもらいたい点がいろいろあるようであります。これらの点は、私どもの手に負えるだけのことはいたします。  なおまた、米側についても、日本が雫石事故の悲惨な体験から、わが自衛隊の訓練の非常な不満を押えている、非常につらい立場でありますけれども原則として海上に出して、日本列島の上は民航優先の航路帯をちゃんとつくってある、しかも自衛隊機といえども、練習海域に出るには、ジェットルートを通るについては、回路を設けて、それ以外には通れないような不便までかけて制限をさしてあるわけでありますから、それらの点を、アメリカも十分に日本の国内航空法規に準拠して行動するようにということを申し入れているということであります。
  50. 大出俊

    大出委員 国民感情もありますので、もう一つだけ念を押しておきますが、自衛隊がいま使っている石油にからむ各種燃料は、国内消費量全体の何%ぐらいに当たるのか。ある新聞にちょっと皆さんの側がものを言ったのが載っておりました。そうして国民感情もこれあり、どういうことがあっても訓練は完全にやるのだ、一滴たりといえども節約はしないのだということが載っておりましたが、そこらのところは、どうお考えでございますか。
  51. 山中貞則

    ○山中国務大臣 その最後のほうの、一滴たりとも節約しないのだというようなことは言ったことはないのです。というのは、しさいに順序どおり答えますと、日本の昭和四十七年の石油の総消費量は二億五千九百万キロリットルであります。それに対してわがほうは、大体六十四万キロリットル使用いたしましたので、これは、こまかくいいますと、〇・二四六%であります。ウエートは小さいのですけれども、しかし私たちは、やはり民苦しむときに、ひとり国防の姿勢のみを固持して、それをわれわれは十分に使うという気持ちはありません。  したがって、まず一般の官公署等においては、温度等においては二十度という室温を保つようにいっておりますけれども、われわれは、部隊は十八度でしんぼうせい、したがって、われわれは、本庁のほうもほかの官庁と違って十八度でがまんするということで、他の官庁と違った姿勢も示しております。またアメリカ等においては、若干飛行機の高さ、飛び方の速度あるいは艦艇の航行速度、その他等についても、やはり自粛らしいものをしておるように見えますし、また反面、アメリカは国防のための燃料というものについては確保する法律を発動するという姿勢も示しております。しかし、われわれは、やはり一般国民とともにある自衛隊でありますから、それらについては、陸海空のそれぞれ幕僚長通達をもって、さらに部隊において徹底して車両、飛行機、その他の燃料消費に関するもの、あるいはまた、いままで利用しなかった油の再生利用等についてまでこまかい通達を出させました。さらに、これについて、陸海空にいま一段の検討を命じておりますので、さらに統一して内局と相談の上、われわれの自衛隊の駐とん地というものが、国民の目から見て、自分たちはマイカーも自粛させられているのにという、感情をさかなでするようなことのないような姿勢をとってまいるつもりであります。
  52. 大出俊

    大出委員 本年は、二億五千七百万キロリットルだそうであります。これは中曽根さんの答弁です。来年は、約三億キロリットルですね。  通産省、お呼びいたしましたので、時間がないところ恐縮ですけれども日本は大体メージャー中心に買っているのが九〇%くらいでしょうけれども、大体どういう色分けで石油日本に入ってきているのか、そこのところをちょっと御説明いただきたいのです、私もよくわかりませんので。そしてできれば、あとから資料で、こういう色分けでこう入ってきているというのを、ここのところ三年分くらいいただきたいと思うのです。簡単にひとつ、どういう色分けで入ってきているかということを御説明いただきたい。
  53. 松村克之

    ○松村説明員 簡単に申し上げますと、現在、石油につきましては、御承知のとおりほとんど大部分が輸入でございます。国産はほとんど小量でございますが、一〇〇%に近い輸入量の中で約八〇%が中東から入ってきております。あと一六%程度がインドネシア、南方地域でございまして、そのほかアフリカ等が若干入っております。それで、まあ一〇〇%でございますが、その八〇%の中東原油の中で約四〇%がいわゆるOAPECアラブ諸国から入ってきているわけです。それ以外はイランのほうから入ってきております。  それから、いまお話のありましたメージャーからどれくらい入ってきているかということでございますが、メージャーのカバー率といいますと、これはいろいろな計算方式がございまして、メージャーだけでございませんで、その子会社を含めるとか含めないとかいうようなこともございます。メージャー自体を単純に計算いたしますと六割とかそういうことになりますが、その影響力というものはさらに大きい、こういうふうに考えております。  なお、先生からお話のございました資料等につきましては、取りまとめまして後ほど……。
  54. 大出俊

    大出委員 どうもありがとうございました。
  55. 三原朝雄

    三原委員長 藤尾正行君。
  56. 藤尾正行

    ○藤尾委員 ただいま同僚の大出委員から、いろいろな角度で御質問がございました。大平大臣が、この委員会に御出席をいただく時間はきまっております。その間に各党が全部質問をいたしたい、こういうことでございます。私は、そういったことを踏まえまして、四、五十分の間でいろいろな問題を大ざっぱに御質問をいたしたいと考えております。  そこで、まず第一に、当面のこの石油問題、こういったものが御案内のとおり、日本の非常に大きな政治、経済、社会問題といたしまして、今日これが提起をされておるわけであります。したがいまして、この問題をどうしても私どもといたしましては取り上げていかなければならない。  そこで、お聞きをいたしたいと思いますけれども、この一連の石油問題といいまするものが与えるいろいろな影響があるわけでありますけれども、その最たるものが、私どもが今日まであまりにも軽視をしてまいってきておった、日本の安全保障というものの上でたったこれだけのOAPEC諸国といいまするもののマヌーバーが私どもの国の根幹をゆるがすという事態を惹起いたしておる。これは私どもの国の安全保障というもの考えてまいりまする場合に、私どもの安全保障がいかに脆弱なものであったかということを端的に示しておる、私はかように思います。  私どもの今後の政治を考えてまいりまする上でも、この一連の問題といいまするものは、そういった意味合いで決して軽んずるわけにはまいらない、こう思うのでございますけれども、この問題を中心といたしまして、日本の安全保障というものに対してどのような反省があったか、また今後その安全保障を貫いてまいるという上でどういうことを考えていかなければならぬか、これを外務大臣並びに防衛庁長官それぞれ双方から御見解を御披露いただきたい。
  57. 大平正芳

    大平国務大臣 わが国の安全保障を考える場合に、御指摘のようにわが国の存立の基本的な条件を踏まえて、それに対応した措置を講じなければならぬと思います。わが国は経済力は相当なものでございますけれども資源的に申しますと、きわめて弱小な国であることは、御案内のとおりでございまして、ひとつ石油ばかりでなく、金へんのついておる資源ほとんど海外輸入でございまするばかりでなく、木材とか食糧とかいうものの限界必要量も輸入に仰いでおるわけでございますので、地球大にわが国の供給源を現に確保しているわけでございますし、今後も確保してまいらなければならぬ立場にあるわけでございます。したがって、それを確保してまいりますためには、それだけの支払い能力を日本が持たなければいかぬわけでございますので、海外に広く日本の市場を開拓してまいらなければならぬ。そういう両面の意味におきまして、国際平和が確立し、その中におきまして、わが国の国際信用が確立しておることが最も基本的な安全保障の要件であると考えます。  事、外交面におきましては、そこに足場を置きまして、わが国としては、国際平和の維持、創造に積極的に寄与をしなければならぬ。国際平和をそこなうものにつきましては、これに断固として反対をしていかなければならぬ、そういう立場にあると思います。経済的には、わが国の国際信用をそこなうことのないように、約束したことは守らなければならぬ、守れないことは約束してはならぬ、そういうことを基本にいたしましてわが国の外交を展開してまいることが、藤尾さんの言われる安全保障的見地に立ちましての外交政策の基本であろうと思います。  それから第二に、もっと狭い意味におきまして、国の防衛についてのことでございますが、これはわが党並びにわが政府といたしましては、わが国の独自の防衛力でもってはとうていわが国を守るだけの力を持ち得ないことでございしますので、日米安保条約を軸といたしまして、日米協力によりましてわが国防衛を達成しようという基本的な党是を持ち、国是を持ってやってきておるわけでございます。この安保条約の維持運営につきましては、最大のエネルギーを使って、われわれは運営を全うしてまいらなければならぬと存じておる次第でございます。
  58. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私は、就任にあたって、日本の現在の防衛は外交、経済と一体となって考えられなければならないということを全隊に訓辞したのですが、こんなに端的にそれがあらわれる時期を予測したことでは実はありませんでした。第一次大戦のときには、石油の一滴は血の一滴という有名なことばもありましたし、第二次大戦の勃発については、いろいろ言い分はあるにしても、ABCDラインというようなもので、日本が文字どおり封鎖されつつあるというようなことも現実にはあったんだと私は思っております。  しかし現時点において防衛の基本を考えるときに、日本の文化そのもの石油文化であったというような気持ちもいたしますし、油のない、燃料のない飛行機やその他の艦船、地上の武器がありましても、これはもう実際上は、張り子のトラということばがよく使われますが、それと同じであって、何の役にも立たない。要するに、たとえば航路帯が一千ノーチカルマイルが遠いとか近いとかという話もありましたけれども、私は、必ずその前に、そこまで到達した船があればということを言っておりました。しかし到達した船どころではなくて、出るほうがパイプを締めてしまうのですから、船が来ないわけですから、航路帯の問題も、実はナンセンスであったかもしれない。ましてや全体の防衛というものが、油というもので、液体でありながら、完全に息の根をとめることが可能であるということになれば、武器というものもほとんどが、小銃その他を除いては——まあ、火薬は厳密にいうと石油製品だと思うのですけれども、全体的にみんなお手あげになってしまう。  日米安保条約というものを背景に今後やっていくという外務大臣姿勢、私も同感であります。かといって、アメリカ日本の緊急な際に油をさいてくれるのかどうか、そういう疑問は、いまだ完全に解消しておるわけではありませんが、安保条約はそういうことも含めて相互信頼の上に立っておるものと信じます。しかし今日の時点における油騒動ともいうべきものの中では、わが自衛隊のいろいろの訓練その他連絡飛行等も大幅に削減をしなければ、飛ぶことそのことが不可能になるというようなことを考えますと、やはり石油というものは、戦略的な資材として完全にとらえなければならぬ、そういう気がいたします。したがって、われわれは、何も持っていないわけでありますから、〇・四%しか持っていない資源でありますならば、まず外交当局のただいままで述べてこられました外交政策というものを、十分に、日本の安全保障にも心配のないような、確保できる、てん補できる外交をやってほしいと心から望んでおります。  したがって、われわれは今後、これは全体の国策でありましょうけれども日本近海周辺のいろいろの調査において存在するといわれておる海底油田の開発あるいは天然ガスの開発等について、国策としてそれを大いに推進していかなければならぬ時代に来ておる、そして外交がまず優先すべきであるということをしみじみと考えておる次第であります。
  59. 藤尾正行

    ○藤尾委員 ただいま両大臣から、貴重な御意見を賜わったわけであります。しかし私ども国民立場から考えてみましたときに、ただいま特段と防衛庁長官から適切なお考えが展開されたと私は思うのでございますけれども、いわば防衛ということ、われわれがわれわれの安全を第一義的に託してきたわれわれの自衛隊、その自衛隊が装備をいたしておる兵器等々を考えてみましても、事と場合によれば、このような事態——どうなるかわかりませんけれども、しかし、もっともっと強い形で締められてくるということになると、それはまるっきり、極端なことばで申せば、ただいま御表現のとおり張り子のトラになってしまう。  現在、世界の経済大国であるといわれております日本の力の最も源泉であります経済力というようなものも、現にOAPEC諸国が展開をしてきておる世界的な油戦略と申しますか、そういうものの初動において、非常に大きな混乱をもうすでに始めておりますし、まだ事が始まっていない現在ですら、このような状態でありますから、これから、これがほんとうに展開をしてくる、おそらく来年の春以降ということになりますと、これが日本の経済全体あるいは国民生活全体に及ぼす影響というものは、全くはかり知れないぐらい大きいものがあろう。そういったものに対しまして、国民自体がみずから置かれておる立場も十二分な認識がない、そういうときに、こういうことが起こって御協力を願わなければならぬということになるわけでありますけれども、協力をしてくれ、はいさようでございますかといって、ぴしっとした日本の挙国体制というようなものを、政治的にも経済的にも、また社会的にも実現することはなかなか困難である、私はかように考えるのでございます。  そういったことから申しましたときに、今回のこの石油問題といいますものは、将来とも私ども考えていかなければならない政治の大本、つまり日本の安全、国民の生活の安全をどのように保障していくのかということを考えていきましたときに、非常に大きな一つの示唆を与えてくれておる。こういったことを前提にして、こういうことがあるんだ、あり得るんだということを考えながら、諸般の体制を整備していかないと、日本というものは非常に脆弱なところに追い込まれてしまうということになろうと思います。  こういった点につきまして、現在の田中内閣、自由民主党内閣といいますものの負っておる責任は、特段と重大でございますから、ひとつ両大臣におかれましても、その責任というものを十二分に考えられまして、これら問題の取り扱いについて最善をお尽くし願いたいということを御要望申し上げたいのであります。よろしゅうございますね。それぞれもう一ぺん御回答をちょうだいいたします。
  60. 大平正芳

    大平国務大臣 藤尾さんが言われたとおりの事態認識を持っております。  問題は、石油の問題としていま出てきておりますけれども、すでにこの前には、大豆の問題があったわけでございます。石油にいたしましても、中東事変が始まる前からすでに大幅な値上げが行なわれておったわけでございまして、したがって産油国が予定されておったような増産計画がそのまま実行されない、国際通貨も不安な状況でございますので、そういう状況にありましたので、すでに危険信号は出ておったわけでございまして、今度の事変でさらにそれがエスカレーションを起こしておるという事態だと思うのでございます。  したがって、先ほど私が申し上げましたように、いままでわが国といたしましては、商業的手段で必要な資源は必要な分量を、必要な時期に確保できるという安心感の上に経済も財政も国民生活も成り立っておったわけでございますが、それが、そういう保証はないのだという原点にもう一度立ち返りまして、そういう条件の中でどういう節度を守っていけば、われわれは生き長らえることができるか、そのためにどうしたらいいかという内政の問題があると思います。  しかし同時に、外交の問題といたしまして、わが国の信用と力量におきまして、可能な限り必要とする資源は確保せにゃならぬ、しかも、それを安定的に確保せにゃならぬわけでございます。そのために全力投球をしなければならぬと考えております。
  61. 山中貞則

    ○山中国務大臣 防衛庁としては、単独で行ない得る努力の範囲というものは、ほとんどゼロに近いと思うのです。たとえば近く文部省関係の科学者の方々をお乗せして南極観測船の「ふじ」を出発させなければなりませんが、いまの情勢では、自国産油はゼロであり、南ア連邦のケープタウンに行けないことになっています。しかし先般、マグロ船がケープタウンで、よその国の船にまでやる油はないということで断わられまして、これも外務大臣にお願いしたわけでありますけれども、南極観測船の「ふじ」一つを出航させるについても、あるいは途中で帰ってこいと言わなければならぬかもしれない。外交努力にこれはお願いする以外にないわけであります。  したがって、われわれも節約その他の自粛の措置はいたしますし、そのような恒久的な自粛を余儀なくされる場合の戦術というものは、またあらためて装備、編制等から考えていかなければならぬと思いますが、現時点は、そこまでの問題としてはとらえずに、外交努力で、なるべく日本が正常な状態に復元できるような努力をしていただきたいとお願いするだけでございます。
  62. 藤尾正行

    ○藤尾委員 ただいま山中防衛庁長官から、南極観測船「ふじ」について、具体的な問題の提起があったわけであります。この種のことは、たとえば日本郵船所属の一万トン級の貨物船が三隻すでにシンガポールで給油が保証されないまま係船をせられておる、どうしていいかその処置にいまから非常に苦しんで会社自身もお考えのようである、こういうニュースもあるわけであります。  こういったことを考えてみましたときに、日本の安全ということは、このOAPEC諸国が、もちろん日本を含む世界に自分の国の産油を制限しておるということで、直接的に受ける影響、こういったものがいま主として取り上げられまして、問題化しておるわけでありまするけれども、第二次的な、それなるがゆえに、今度は日本のように完全に貿易立国である、みずからのほんとうの生活資材と申しますか、基本的にその資源を持たないというところにおきましては、どちらにいたしましても、たとえば食糧なら食糧というものを例にとりましても、これはアメリカから運んでこなければならぬ、あるいは南米から運んでこなければならぬ、あるいは豪州から運んでこなければならぬ、東南アジアから運んでこなければならぬ、こういうことでございますから、それぞれの出先で油をくれないというようなことになりましたのでは、その面からも日本国民生活の安全ということは非常に大きな影響を受けてまいる、こういうことになろうかと思うのであります。私はそれを非常に心配いたしております。  そこで、外務大臣にお伺いをいたしたいのでございますけれども、こういったことは、単にひとり日本の船だけが外国の港で受ける扱いではない。場合によりましては、日本ももっともりと締められていけば、日本自体が外国船あるいは外国の飛行機というようなものに給油をしなければならぬ分もある程度制限せざるを得ないような事態になるかもしれないというようなことを考えてみましたときに、この問題は、日米間とかあるいは日本・シンガポール間とかというバイラテラルな問題でなくて、こういった問題こそワールドワイドに取り上げられるべき非常に大きな問題ではなかろうか、かように考えまするし、そういったものを定着をさせ、これを定立をさせていくということが緊急な世界的な課題である、私はかようにも考えるのであります。  そこで、こういった問題に対しまして、一体、日本外務省とせられましてはどのような対処をせられようとしておられるか。あるいはこういった問題は、特段とわが国が最も世界の中で大きな影響を受ける問題でございますから、こういうことこそを私どもが世界にひとつ提唱をして、そうしてその安全をそれぞれが保障をするというような世界的な理解が立てられなければならぬ、かように思うのでございますけれども、こういったことに対するお考えはいかがでございましょうか、もしお考えでございましたら、この際でございますから、ひとつこの国会の場でお示しをちょうだいいたしたい。
  63. 大平正芳

    大平国務大臣 いまアラブの一部の国からの供給制限という事態が現実に起こっておるわけでございまして、先ほど通産省からお話しのとおり、日本に対する石油供給量の四割が供給制限にかかっておるわけでございます。それがどの程度にとどめ得るかということでいま努力をいたしておるところでございます。  国内におきましては、そういうことが相当長期にわたって続くであろうという想定のもとに石油の緊急対策がいま練られておるわけでございまして、この中で生産あるいは原料あるいは電力その他にどれだけのものが必要か、輸送にどれだけのものが必要か、民生にどれだけのものが必要か、そういったことについての考え方、処理は通産省のほうで私はおやりになると思うのでございます。  いま言った日本の船舶あるいは外国の船舶にどのように給油してまいるかというのは、日本全体の石油の供給のメカニズムの中で日本がどのような取り扱いができるか、それがまず見定められなければならぬと思うのでございまして、日本はこういう措置を講ずるということを踏まえた上で、仰せのようにバイラテラルばかりでなく、国際的な規模におきまして、相互の話し合いの上で処置がとられなければならぬことは当然だと思うのでございまして、そういう手順で私どもも鋭意事態解決のために最大限に努力をいたしたいと思います。
  64. 藤尾正行

    ○藤尾委員 お話は、まあいろいろあるわけでありますけれども、先ほど大出委員との間の質疑応答の中でもこういった問題が出たわけでありますけれども、現在の中東紛争に端を発した石油問題を解決をするということが当面の一つの大きな問題でありますけれども、そういったものを踏まえて、中東紛争全体に対する国連の安全保障理事会紛争解決決議二四二号というようなものもあるわけでありまするが、こういったもののラインに沿って、わが国も、わが国自体の態度を明確にするということを、外務大臣は先ほど御表明になられたわけであります。おそらくそう長くない将来に、政府声明とかあるいは外務大臣声明とかいう形においてなさろうかと思うのでありますけれども、こういった問題を発表せられるということは、世界に対してわが国態度を表明をするということになるわけであります。  先ほどもお触れになられましたが、これは、ただ単にわが国石油に困っておる、その石油の安全をできるだけ早く回復をしたいのだという意味でこれを表明せられるという立場でなくて、本来の、世界の中の紛争、そういったものに対してかくあるべきであるという立場でやられるように承りましたが、間違いございませんか。
  65. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのとおり心得ております。
  66. 藤尾正行

    ○藤尾委員 そういうことになりますと、この問題は、わが国の世界の紛争に対しまする意見の表明であって、これが将来のわれわれの中近東問題解決のためにどのように寄与するかということには、必ずしも直接的にはつながりがないかもしれない。しかしながら、当面、国民が非常に心配をいたしております石油の問題というものが、非常に大きな緊急の問題として提示をせられておることも事実でございます。   〔委員長退席、笠岡委員長代理着席〕 こういったことを考えてみましたときに、一体、政府検討をしておられまするそういったお考えが、何らかの意味——この石油産出国に対するわが国見解あるいはわが国立場、そういったものを理解し、そうして間接的に石油問題に対して何らかの投影をするということを少しでも期待をしておられるのかどうか、こういった問題が問題になろうかと思うのでありますけれども、この関連は全くない、かように考えてよろしゅうございますか。
  67. 大平正芳

    大平国務大臣 石油問題との関連は、このように御理解をいただきたいと思います。  問題の産油国側の要請は、一口にいうと、わが国アラブ紛争に対する態度をもっと明快に、もっと積極的な姿で出すべきであるということに尽きるかと思うのであります。それは紛争の公正な平和的な解決をこいねがう立場にある日本といたしましても、当然考えなければならない一つの道行きであろうと思うのであります。日本が明快な態度をとるということは、そういう国々に、それなりの理解は得られると思うのでありますが、それが直ちに石油にどのように働くかどうかという点につきましては、私の立場から明快にすることはできません。
  68. 藤尾正行

    ○藤尾委員 私は、ほんとうをいいますと、ここのところが実は非常にむずかしいかね合いになると思うのであります。たとえば私どもの油の安全、経済自体の安全を保障する、国民生活の安全を考えていくということになりますと、先ほども大臣が御指摘になられましたように、油のみならず、金へんに至りまするまで、すべてのものの需給というものを確立をしなければならぬ、こういうことになるわけであります。  しかし、ともかくも油を産出しておられる中近東のそれぞれのOAPEC諸国というような国々立場に立ってみれば、自分のほうの持っておる切り札である資源というものは無限なものではない、有限なんだということになれば、自分の国の将来計画といいまするものを、何十年あるいは百年にわたり、何世紀にわたって考えておられるか知りませんけれども、ともかくもその間における自分たちの一番大きな力の根源である油というものを一日も長くもたせなければならぬ、こういうことは当然だろうと思いますし、同時に、価格面におきましても、いままではともかくも消費諸国から安く買われ過ぎた。したがって自分の国の将来ということを考えても、十二分の石油資源の安全を確保しつつ、なお価格面で自分の国において不利益がないようにということを考えていくのは、その立場になってみれば、私は当然だろうと思う。その当然の立場というものが、消費国われわれにとってみれば必ずしも当然ではない。そこに利害の衝突が起こり、調整を要する問題が出てくるであろう、かように考えるのでございまして、そういった意味で、問題の解決が非常にむずかしかろう、私はこう思います。  たとえば、先ほど通産省の方から一部その御指摘がございましたように、私どもの経済とか社会生活といいますもの、あるいは私ども防衛に至りまする、安全保障に至りまするものすべてが油の上に築かれておるということが言えると思うのでありますけれども、そうなりますと、かりにこれが中近東の油生産諸国に多少の理解がちょうだいできても、それがいままでのような、たとえば三億二千万トンほしいのだ、来年計画はそれだけでございます、われわれはそれに対する十二分の外貨も用意をいたしておりますということで、三億二千万トンが必ずしも確保できるものではないということが今回明らかになった、私はさように思います。  そうして考えてみると、今回の場合は、少なくともこの九月時点までは私どもの思いどおりに油の量そのものは入ってまいったわけでありますが、十月以降これが削減をせられるということで、いまわれわれが非常に大騒ぎをしておる、こういうことなのでございますけれども、来年以降のことを考えてみますと、三億二千万トンが二億八千万トンになった、来年以降もそれでは二億八千万トンが確保できるめどがあるのか、こういうことになると必ずしもそうではない、私はこう考えるのでございまして、そういったこれから定着をするであろう私どもの確保できる油の量、そういったものの上にすべてのものが、産業といわず、あるいは国民生活といわず、防衛といわず、そういったものが張りつけられていかなければならない、こういうことを考えてみましたときに、これは非常に大きな変革ということになろうと思います。  こういったことを考えてみました際、この際に、外務大臣やあるいは防衛庁長官も、国務大臣として同じでございましょうけれども、来年以降の展望をそれではどのようにお持ちなんだということを伺っても、なかなかお答えはちょうだいできぬだろう、こう思います。ですから、そういったところを詰めて御質問をいたすことはいたしませんけれども、少なくとも私どもの最小限、かりにそれが二億トンなら二億トン、二億二千万トンなら二億二千万トンというものを確保できるような対外政策の展開ということだけはしてみなければならぬ、これは絶対必要だと思います。  たとえば、先ほど言われましたけれども、私どもに対する油の購入といいまするものが、少なくとも六〇%はメージャーズというもの、つまり問屋さんを通ってきておるということになれば、アラブのほうは、それは特使であるとかなんとかいうことで何らかの手が打てて、そしてその削減量をある程度回復することが可能になるということがかりに期待できたといたしましても、そのことによって、それではメージャーズというものわが国に対する態度が硬化をしていく、こういうことになれば、わが国全体の油需要というものが受けるその影響というものは、どっちが大きいだろうかというような問題も、これは必ず起こってくるわけであります。  でございますから、この際におきまする外交姿勢というものは、非常にむずかしい、微妙なところがある。おそらく田中総理はじめ外務大臣も、その日本の今後の外交姿勢といいまするものをきめられる上で、中近東をたずねられて、その油問題をも含めて、この問題の紛争解決に当たってこられたキッシンジャーとの話し合いというものを、どうしても基礎にされなければならなかった理由も、何かそこでわかるような気がいたすのでございますけれども、こういったことを含めて、それでは、わが国がどのようなステップをとっていったらいいか、こういったことを、もし許されるならば、この機会に国民の前に明らかにしていただきたい。
  69. 大平正芳

    大平国務大臣 藤尾さんは、最初に、安全保障等の関連で問題を提起されたわけでございますが、わが国に対する石油の輸入から申しますと、昭和二十五年には原油百万トン、昭和三十年には原油が八百万トン、昭和四十年の数字は、私、はっきりわかりませんが、一億トン内外だと思うのです。それで、八百万トンではいけない、一億トンでなければならぬ、二億トンでなければならぬという絶対的な基準はないと思うのでございます。問題は、そういうところにあるのではなくて、わが国産業のいまの構造、それからわが国の生活水準が資源を食うような形になってきておるわけでございまして、これを、あなたの言われる、われわれの輸入可能量とマッチさせなければならぬわけでございます。それは、どういうようなところが目安になるのかという点の推移をどこに置いたらいいかという点は、あなたが先ほども同情を持って言っていただいたように、私どもにもまだわからぬのでございます。これは、いまから日本政府といたしまして、十分検討し、国民の理解を求めて、世界のこういう環境の中で日本がどう生き延びるかということにつきまして、全体の政策調整等含めて考えなければならぬことだと思うのでございます。  ただ、外交は、それがきまってから、それに応じたことをやっておるというようなことではいけないので、今日ただいまあらゆる努力をいたしまして、一トンでも多く可能なように道を開いてくるという努力は、寸時も怠ってはならぬと思います。  なお、あなたが御指摘になりましたように、これは価格の問題もあるわけでございまして、非常にべらぼうに高くなってきておりますし、いま紛争関係してない国々でも、最近の情報を見ると、世界のインフレの波に追われて、供給価格を思い切り上げなければならぬという声も聞こえておるわけでございまして、要するに、資源自体がもう非常に貴重品になってきているということでございますから、分量を節約するばかりではなく、これをいかに大事に活用するかということにもっとわれわれはくふうせねばならぬという、いろいろな問題があると思うのでございますが、私の立場で外交的努力はどうするんだと言われた場合は、そういうことは、いま国内で検討に入っておるわけでございますので、そのほうを鋭意やっていただくのとあわせて、私どもは、不断に、アラブ諸国ばかりでなく、グローバリーにそういう努力を続けてまいらなければいかぬと思います。
  70. 藤尾正行

    ○藤尾委員 その点が私は非常に重要な点であると思うのでありますから、あらためて御確認をいたしますけれども、今度政府がとられまする中近東紛争に関する見解というものは、これはこれとしてありますけれども、それはあくまでもグローバルな問題の中の一環であるという点を——これをくずしていくと、石油のための何か中近東声明というものを出さなければならないじゃないかというような誤解を生むかと思うのでございまして、その点はきわめて重大な点でございますから、あらためて確認をさしていただきますけれども、それはあくまでもグローバルなものの中の一つの位置づけとして中近東紛争に対する政府の声明をお出しになる。かように理解してよろしゅうございますか。
  71. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのとおりでございます。   〔笠岡委員長代理退席、委員長着席〕
  72. 藤尾正行

    ○藤尾委員 もう時間がございませんので、最終的な問題をお伺いをいたしたいと思いますけれども、そのグローバルな問題の提起という問題と関連をいたしますけれども、今日、この中近東紛争に関しまして、そのあおりを受けております国は、私ども日本の国だけではございませんで、これは西欧各国をはじめといたしまして、アメリカも大きなあおりを受けておりますし、また発展途上の東南アジア諸国も、あるいは近隣諸国も、あるいはともかくも油を必要としておる世界の各国がすべて、大なり小なり、私どもと同じ困惑にさらされておる、こう思うのでありまして、そういった意味では、国際的なワクの中でこの問題をあわせて解決をするステップというもの考えていかなければならぬ。たとえば国連なら国連というものの場で、どれだけのことができるかわかりませんけれども、この中でその問題を取り上げさせていくというようなことをやりませんと、これは日本日本なりに、あるいはドイツはドイツなりに、フランスはフランスなりに、イギリスはイギリスなりにそれぞれやっておるということでは、やはりこの問題の解決自体に対する力は非常に弱められるであろう。やはり基本的に世界の道義的なもの、そういったものが根底になって、そうしてこういった問題に対しましても、どのように処したらいいかというようなことを考えていく着想というものが非常に必要ではないか、かように考えるのでございますけれども、現在、そのような動きは、ともかくも新聞紙上等々ではあまりあらわれてきていない、まことに残念なことだと思うのであります。  こういったことをあわせお考えをいただきまして、こういった渦中にあります日本の国が、その置かれた立場といいまするものをさらに活用して、世界のために、いろいろな意味で、産業、国民生活、そういったものを通じて一つの安心感を得られるように国連にもひとつ動いてもらうというような考え方はできないものかどうか最後にお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。
  73. 大平正芳

    大平国務大臣 大きく考えまして、いま御提言があった道筋でこの問題を処理するのが世界のために望ましいことと思います。すでに、この中東紛争が起こる前から、エネルギー問題というのが世界的に非常に緊張を呼んでまいりまして、とりわけ石油の問題につきまして関心を高めてまいりまして、OECDを中心に作業グループができまして、鋭意検討が進み、非常の場合の融通のスキームなんというものにつきましても検討が進められておった矢先、この紛争が起こったわけでございます。  いま当面の問題といたしましては、この紛争をどう処理するかということが、国連の問題でもあるし、関係国、当事国はもとよりでございますが、関係国の関心であろうと思うのございまして、これを解きほぐしていくのと並行いたしまして、いま御提言がありましたような方向に国際世論をつくり上げていくためにわれわれも努力してまいらなければならないと思います。
  74. 藤尾正行

    ○藤尾委員 それでは終わります。
  75. 三原朝雄

    三原委員長 東中光雄君。
  76. 東中光雄

    ○東中委員 この十八日に、アラブ石油輸出国機構、OAPECEC諸国に対する十二月の原油削減措置を緩和することを決定しましたが、この決定は逆にいえば、日本では供給削減が一そうきびしくなるということでもあるわけであります。明らかにEC加盟国日本との間にアラブ諸国石油問題についての態度で差があるわけです。こういう差別が出てきたについて、日本アラブ諸国に対する外交上の原因は一体どういうところにあると外務大臣はお考えになっているのか、その点をお伺いしたい。
  77. 大平正芳

    大平国務大臣 これは関係国に聞かなければわからぬ問題でございますが、どういう基準で差別をしておるのか正確にわかりませんけれどもわが国が従来アラブ紛争にとってまいりました態度をもっと明確にしろという、そしてすることが期待されておるということを私ども承知いたしておるわけでございます。  いま東中さんのお尋ねの、なぜ、こういう国によっての差別が出ておるのかということは、的確に私はお答えできません。
  78. 東中光雄

    ○東中委員 向こうに聞かなければわからぬというのは、小学校の問答をやっているようなことであって、日本の外交を担当していらっしゃる外務大臣として、現実にそういう事態が起こっておるのについて、どういうふうに判断をされておるのかということをお伺いしておるわけであります。  だから、アラブ紛争についての日本態度を明確にしろということですけれども、それはどういう点がどういうふうに明確になってない、あるいはどういう態度日本がとっておったことについてそういうふうにいっているのかという原因が当然検討をされていなければいかぬことだと思うのですけれども、その点をお伺いしているわけであります。
  79. 田中秀穂

    田中説明員 十八日のOAPEC会議におきまして、日本ECが御指摘のごとく差別をされたような結果になったのでございます。なぜかということは、外務大臣が申し上げましたように、われわれにもいささか合点のいかぬことでございます。と申し上げますのは、ECは十月六日に中東紛争に関します立場を声明いたしております。  それで、その声明の内容と申しますのは、従来われわれが申してまいりましたわが国立場とほぼ同一内容のものでございまして、巷間この声明によって、アラブの好遇を非常に受けるようになったということが伝えられておりますが、はたしてそれがそのとおりなのかどうか、われわれにもいささかはっきりした判断がつきかねます。しかしながら、これまでECが一致いたしまして声明を出しましたのは初めてでございまして、その声明がもしそういうような効果を起こしたということでありますれば、われわれもその声明の内容をさらに分析をいたしまして、基本的には私、日本の従来の立場と変わらないと存じておりますが、その差を発見いたしまして、もし日本がそういう立場をとり得るならば、そうした態度をはっきり声明したいというふうに考えます。  また、われわれここで考えねばならぬのは、やはりヨーロッパとアラブ地域との長年の関係でございまして、いろいろな起伏がございましたでしょうが、その間におきまして、やはりアラブの国は、ヨーロッパからもいろいろなことをしてもらっておるということがあるのではないかと思うのであります。そういう意味におきましては、われわれこのアラブ中東に対しますいろいろな協力関係というものの過去も反省しなければならぬと思っておりますが、現在どのような態度をわれわれとして表明すべきか、EC声明との比較におきまして慎重に検討いたしております。
  80. 東中光雄

    ○東中委員 合点がいかぬというお話もあったのですけれども、端的に申しまして、日本の外交路線がアメリカ追従路線をとってきた。たとえばアメリカの軍事援助を含めてイスラエルに対するアメリカのいろいろな態度がありますけれども、それに事実上日本政府が同調する方向をとってきた。これがアラブ諸国に対して大きな不信を持たしていく一つの原因になっておるというふうに思うのですが、そういう点はお考えになりませんか。
  81. 田中秀穂

    田中説明員 アメリカとの関係は別といたしまして、この中東問題に関しますわが国立場は、つとに明白にいたしております。安保理決議二四二−——ほど大出先生が御指摘になりましたとおりに、撤退あるいはパレスチナ問題あるいは地域内の国家の安全というような問題をうたっております安保理決議二四二というものを明確に支持をしてきております。同時に、わが国立場といたしまして、武力による領土拡張には絶対反対であるという基本的姿勢も常に維持し続けてきております。したがいまして、わが国わが国としての立場を当初より明確に打ち出しております。
  82. 東中光雄

    ○東中委員 いま国連安保理の二四二号決議について言われましたが、わが国態度として、イスラエル軍アラブ占領地域からの全面無条件撤退ということを明確に表明されるのかどうか。もう一つ、パレスチナ住民の問題は、彼ら自身の意思と民族的利益によって決定する、解決する、こういう立場を、これも明快に出されるのかどうか。  いままでの国会答弁を見てみますと、いろいろその条件が整っていないから、撤退が進まなかったのであろうというような政府見解が出ていますけれども、条件なんというような問題ではなしに、むしろ前提として無条件に撤退する、撤退すべきものだというそういう態度を、わが国がはっきりとってきたのかどうか。それから、いまそういう態度をとられるのかどうかという点を、はっきりただしておきたいと思います。
  83. 田中秀穂

    田中説明員 全面撤退という問題は、二四二の解釈の問題でございまして、先ほど申し上げましたようなECとの言うなれば差別というものを考慮するに伴いまして、そういう面も含めていろいろと検討いたしております。  また、パレスチナ問題につきましては、一九七一年の国連総会決議以来、わが国はパレスチナ人の平等と自決の権利を承認するという決議を、七一年以来三年間継続して支持しております。これはヨーロッパの国々に先がけまして、わが国が賛成をした一つの例でございます。
  84. 東中光雄

    ○東中委員 外務大臣にお伺いしておきたいのですが、解釈の問題だということをいま局長言われているのですけれども、まさにその解釈の問題なんで、決議は賛成されたんだから、支持するということを言われるのは、これはあたりまえなんで、問題はその内容ですね。現実に起こっておる事態に対してどう対処するか、どういう態度をとるかということなんでありますから、この全面撤退あるいは撤退前提であるという立場、これは当然とられるべきことだと思うのですが、午前の商工委員会で中曽根通産大臣は、そういう趣旨の発言をされたと聞いておるのですけれども、いまここでは外務省検討中ということになっておるわけですが、その点はどうなんですか。
  85. 大平正芳

    大平国務大臣 占領地からの撤退問題、それからパレスチナ人の問題等も含めまして、二四二の決議をより明快にすべく鋭意検討いたしておりまして、近く政府見解を明らかにするつもりでございます。
  86. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、決議を支持するということを、一般的、抽象的に言われているけれども、まだ内容的にははっきりとした態度をとられていないというふうに、検討中だというふうに聞かざるを得ないわけですが、そのほか今度の中近東の紛争に際して、わが国から在日米軍武器弾薬を輸送したという問題があります。去る十月十九日の外務委員会で同僚の金子満広議員が質問しておるんですが、それに対して外務省は、まだ承知しておらぬという答弁であったようでありますけれども、速記録を持ってきておりますが、そうなっております。十月十七日から広島県呉市の広弾薬庫から、イスラエル向けの米軍弾薬輸送がグリーンフォレスト号弾薬輸送艦によって作業を開始されて、出港されたというふうにわれわれ聞いておるわけですが、在日米軍からの武器弾薬等の中東向けの日本からの輸送というのはあったのかなかったのか、どの程度のものがあったのか、その点はいかがでしょう。
  87. 大河原良雄

    ○大河原説明員 グリーンフォレストという米国の弾薬輸送船が、呉から武器弾薬類をイスラエル向けに輸送したという趣旨の報道が見られましたけれども、その事実は全くないということを米側から確認いたしております。グリーンフォレスト号が広から積み出しました弾薬類は、西太平洋に輸送されたということでございまして、イスラエルではないということがはっきりいたしております。  なお、これ以外につきましても、在日米空軍が、日本にあります施設、区域を使用して軍需物資をイスラエルに輸送したという事実は全くないということを確認いたしております。
  88. 東中光雄

    ○東中委員 それは米軍に聞いたら、米軍がそう言ったといういまの御答弁だったと思うのですけれども、西太平洋のどこへ武器弾薬を輸送されたと言われるのか。この問題は、十五日から二十二日まで広弾薬庫沖の海面使用制限をした非常に長い期間であります。しかも弾薬庫から十台のトラックでピストン輸送をやった。これは、いままでないぐらいの大量の輸送であります。そして一万五百七十七トンの物をグリーンフォレストに積んで輸送しているわけですが、アメリカがそう言っておるからそうなんだというふうに政府は言われますけれども、それなら一体米軍側は、どこへこの時期に緊急に、このグリーンフォレストが予定を変えてやっておるわけですから、送ったというのか、その点はいかがでしょう。
  89. 大河原良雄

    ○大河原説明員 グリーンフォレストは、いま御指摘ございました弾薬類を西太平洋向けに輸送したということを私ども承知いたしておりますけれども、それでは具体的にはどこかということにつきましては、ただいま申し上げ得る状況に至っておりません。
  90. 東中光雄

    ○東中委員 西太平洋といえば、わが国も西太平洋なんですよ。そんな、全くのごまかしみたいな答弁じゃないですか。アメリカ側がそう言うておる。国会で質問されて、それから調べてくるということで、どこかわからぬ。西太平洋に送っているのだ。もともと広の弾薬庫も西太平洋にあるわけですよ。北でもなければ東でもありません。実際に安保条約のたてまえからいって、そしてまた日本政府のいままでの見解からいけば、武器弾薬日本からどこへ運び出されようと、その移動が、かりにNATO諸国であっても、それは日本を出てからそちらへ行くだけであって、安保条約上は米軍が自由にやってもいいんだという見解外務省とってきておられますが、そうだとすれば、これはどこへ行っているのか行っていないのかということについてはわからなくなる。西太平洋とただ言っているだけだ。西太平洋を経過して、そしてインド洋へ行って、そしてそこから先へ行く。イスラエルへ行くという場合、必ずそういう経過を通るわけです。広の弾薬庫から西太平洋を通らぬで行きようがないわけですから、だから、広の弾薬庫から西太平洋に出た、アメリカ側はそういうふうに説明をする。そこから先どこへ行ったのかということについては知らないと言った。実際にはイスラエルへ行っても、それは日本関係していないんだ、こういう見解をとって、事実上日本が中近東へのアメリカ武器輸送の基地になってしまっておる、これが今日の実情じゃないですか。西太平洋へ移動したと言われる、しかもその場所がわからないということであれば、そういう解釈をせざるを得なくなるのですけれども、そうではございませんか。
  91. 大河原良雄

    ○大河原説明員 グリーンフォレストがイスラエル向けに武器弾薬類を広の弾薬庫から積み出しているという報道を見ました際に、私どもといたしましては、当然時節柄これに対して重大な関心を払わざるを得ないわけでございます。したがいまして、米側に対しまして、事実関係を照会いたしましたところ、行き先は西太平洋であるということを言ってきておりますと同時に、日本にあります弾薬類をインド洋を越え、ペルシャ湾を越えてはるばるイスラエルへ持っていくということは、まず常識的に考えられないということについても、米側から話を聞いているわけでございます。
  92. 東中光雄

    ○東中委員 それでは、それとの関連でお伺いしておきますが、十月二十五日から日本を含めて世界各地の米軍がデフェコンの体制に入った。日本においても、沖繩ではディフェンス・コンディション・スリーという体制に入った。これは入ったという事実をまず確認されているかどうか。確認されておるとすれば、何に対するコンディション・スリーなのか。在日米軍もこのアラート体制に入った。何に対する、どういう事態に対するアラート体制への移行なのか。その点はいかがでしょうか。
  93. 大河原良雄

    ○大河原説明員 中東をめぐる情勢にかんがみ、十月の二十五日から海外にある米軍は、国内、海外を含めてすべて警戒体制に置かれているという旨の通報を米側から受けておるわけでございます。中東をめぐる情勢ということにつきましては、当時非常に緊迫した情勢のもとに、ソ連側にいろいろな動きがあるという報道がございまして、これに対する対応措置であるというふうに考えているわけであります。
  94. 東中光雄

    ○東中委員 日本は、そのアラート体制に入ったことについての通告は、いつどういう経過で受けられたのですか。しかもこの通告なり、通報なり、通知なりの内容を、ひとつはっきり正確に言ってください。
  95. 大河原良雄

    ○大河原説明員 ただいま御答弁いたしましたように、十月の二十六日の朝、在京米大使館を通じまして外務省のほうに、中東をめぐる情勢の結果、昨日より在日米軍を含む米軍はプリコーショナリーアラートに置かれている、予防的な警戒体制というのに置かれているという通報をいたしてきております。
  96. 東中光雄

    ○東中委員 沖繩県はどうですか。
  97. 大河原良雄

    ○大河原説明員 ただいま御答弁いたしましたように、在日米軍を含める米軍だということでございまして、在日米軍、すなわち沖繩にあります米軍も含まれているわけでございます。
  98. 東中光雄

    ○東中委員 沖繩の場合は、コンディション・スリーの体制に入っていますね。明らかに本土と違うわけです。それも全く同じように通知をしてきたということだといわれるのかどうか。それから、日本側から聞いてじゃなくて向こうから通報してきたのかどうか。それから、米側から通報してきたとして、二十五日に入っているものを、なぜ二十六日になってから通報してきたのか。事後通報ですね。それはどういうことなんでしょうか。
  99. 大河原良雄

    ○大河原説明員 沖繩にあります米軍の置かれた警戒体制と本土にあります米軍の置かれた警戒体制は全く同じであります。すなわちデフェコン・スリーであります。米側は、先ほど御答弁いたしましたように、この警戒体制発令の翌日の朝通報をいたしてまいりました。もちろん米側といたしましては、安保条約上このような通報の義務を持っているわけではございませんけれども政府といたしましては、当然このような通報は十分事前に通報を受けてしかるべし、こういう考えのもとに米側に対してそのことを申したわけでございます。
  100. 東中光雄

    ○東中委員 いままでいわゆるキューバ危機のとき、あるいはEC121号の問題が朝鮮で起こったときに在日米軍がそういう体制に入った。アラート体制、コンディション・スリーであったかツーであったか、あるいはフォーであったかは別としまして、そういう時期しかなかったと思うのですが、こういうふうに中東とはうんと離れておるので、日本から武器なんかを輸送する、そういう関係は全くないのだというふうに一方で言われておるけれども、同時にこういう体制に入っている。コンディション・スリ−といえば、これは外出中の兵士には帰隊を命じておりますし、一般の兵員にはいつでも出動できるように待機もしくは連絡をとれるような体制に入れということであります。それは結局、緊急出動の準備体制ということになる。しかも全世界的にやられている大規模な軍事的脅迫であるということは、これはもう明白でありますが、それに対して、たとえば欧州諸国は、まあ例外もありますけれども、そういうことに対しての不満の意の表明をしていますし、特に西ドイツは、武器、兵員その他装備の西ドイツからのイスラエルへの移行については抗議をしている。日本政府は、西太平洋へ弾薬が出ていったというだけの論理で、こんなものはあたりまえのことですから。西太平洋へ出ていかなければ、それ以外に出ていくところはないわけですから。そこから先が問題なんです。あるいはアラート体制に入ったことについても、何の意思表示もしないという形で、事実上アメリカに追随し同調しているということ、そのことが、いまアラブ諸国が不信を表明している一つの要素ではないか、こう思うのでありますが、外務大臣その点いかがでしょう。
  101. 大平正芳

    大平国務大臣 日本が平和愛好国家である、平和憲法を持つ国家であるということにつきましては、アラブ関係の諸国におきましても、十分の理解を得ておると私は思います。
  102. 東中光雄

    ○東中委員 アメリカのとった、在日米軍を含めての全世界の米軍のアラート体制への移行、これはもう明白に力の立場で、軍事干渉者としての行動だ。私たちは、あの国連決議の二四二決議を見ても、イスラエルアラブ地域占領している、その占領撤退せよ、撤退ということばがあの決議の中にもあるわけですから、それが撤退されないままでこの六年間続いて、そしていまの戦争になっているという状態で、しかも在日米軍も含めてそういう力の政策をとっておるのに対して、日本政府は全く同調しているということであります。いま日本は、平和の立場をとっておるというふうにアラブ諸国が理解していると思うというふうに外務大臣言われますけれども、しかし外務大臣、先ほどは、EC諸国日本との間の差別については向こうに聞いてみなければわからぬ、こういうふうに言われているわけです。具体的な処置については、向こうについてはわからない。しかし日本の政策については、こういう具体的な不信を抱くような要素を持っておるにもかかわらず、それは間違いないだろう、こういう姿勢をとられておるのは、私は、日本の安全保障という点から見ても——これは日本の意思にかかわらず、在日米軍がまず行動に入っている。アラート体制の問題も、まず先に行動に入っている。弾薬の輸送にしましても、まず行動が先になっている。しかも米側の回答は、納得の得られないような、だれも理解できないような西太平洋というようなことを言っているという事態から見て、そういう中で日本は、たとえばアラブ諸国から差別を受けるというような事態を経済的に受けて、日本国民の生活が、あるいは日本の経済が非常に遺憾な状態の方向へ向いてくる、こういう事態にいまなっているわけですから、そういう点で、根本的に安保条約あるいはそういった体制を考え直さなければいかぬのじゃないか、こう思うのでありますが、外務大臣いかがでございましょう。
  103. 大平正芳

    大平国務大臣 安保条約考え直すつもりはないのです。ただ安保条約の運営につきましては、十分慎重に運営してまいりまして、諸外国から誤解を受けないようにしなければならぬ点につきましては、細心の注意を払っておるわけでございまして、いま、あなたが御指摘された問題点につきましても、そういう事実がないということを内外にクリアにいたしておるわけでございます。
  104. 東中光雄

    ○東中委員 時間があまりないのであれですが、その問題について、もう一点だけ重ねてただしておきたいのです。  アメリカ局長の言われたその西太平洋というアメリカ側の回答ですね。それは先ほど来言うように、日本はまさに西太平洋にあるわけですから、私が言ったような、西太平洋を経て、そこから先どこへ行くかは、日本は関知しないという意味で西太平洋と言っておるのか、あるいは西太平洋にある特定の地域、たとえばサイゴンならサイゴン、タイならタイという趣旨で言っておるのか、その点はどうなのか、事実関係だけをただしておきたいと思うのですが、どうでしょう。
  105. 大河原良雄

    ○大河原説明員 私、先ほど御答弁申し上げました西太平洋と申しますのは、西太平洋における特定の地点でございます。日本から積み出された以上、その行き先について日本は関知しないということではございませんで、イスラエル向けに輸送が行なわれた事実はないということをはっきりさせております。
  106. 東中光雄

    ○東中委員 いや、そんなことを言っているんじゃないんです。ことばの魔術みたいなことを言わないで、たとえば直接戦闘作戦行動に入ったか入らないかというときに、いつも直接ベトナムへ行くんではなくてフィリピンへ行くんだ、フィリピンからベトナムへ行っているかもしれぬけれども、それは関係ないのだという趣旨答弁をいままでずっとされてきているでしょう。そういうことが問題になっているでしょう。だから、西太平洋と言っている場合に、ベトナムじゃなくてフィリピンである、実際はフィリピンへ寄港してベトナムへ行っている、こういう事態になっている事例というのは、いままであるわけですから、それを米側が、いや、最終的にはベトナムへ行ったかもしれぬけれどもフィリピンである、第一次寄港はフィリピンであるという意味でフィリピンであるというふうに言っているのと同じ発想方法で西太平洋の特定の地というふうに言っているだけではないのか、こう聞いているわけです。もし、そうでないんだったら、どこだということをはっきりと明らかにすべきじゃないか。
  107. 大河原良雄

    ○大河原説明員 当該弾薬類の最終輸送先が西太平洋の特定の地点であるということでございまして、いずれにいたしましても、在日米軍は、日本におきまする施設、区域を使ってイスラエル向けに弾薬武器類の輸送をやった事実は全くないということをはっきりいたしております。
  108. 東中光雄

    ○東中委員 西太平洋のどこですか。そこまで言うのだったら、アメリカ側がそういうふうに答弁をしてきているのだったら、どこですか。
  109. 大河原良雄

    ○大河原説明員 特定の地点ということを私、御答弁申し上げておりますけれども、その地点を明らかにすることにつきましては、米側からもう少し具体的な情報と了解をとらなければ言えないことだと存じます。
  110. 東中光雄

    ○東中委員 だから、あなたとしては、いまわからないということなんでしょう、情報をとらなければわからないというのだから。それは寄港地点を言っているにすぎないということが、いままでもあったんだから、そういうことにすぎぬということをぼくは指摘しておるわけであります。
  111. 大河原良雄

    ○大河原説明員 繰り返して恐縮でございますが、特定の地点を経由地として最終的にイスラエルに送るということもない、またなかったということをはっきりいたしております。
  112. 東中光雄

    ○東中委員 アメリカ側の回答にそういうことが書いてあるのですか。そんなことで時間をとるのは、たいへんだけれども、あなたの先ほど言われたのでは、そうはなってないでしょう。アメリカ側の回答では、経由して行ったものでもないなんということは、冒頭に言われた中にはないのです。かってに、イスラエルへ行ったものではない、西太平洋に行ったものだという意味は、西太平洋の特定の地点へ行ったということだけをアメリカ側が言って、それから先のことは言っていないということにしかすぎぬじゃないですか。
  113. 大河原良雄

    ○大河原説明員 わがほうの関心事は、呉から積み出されました弾薬類がイスラエルに輸送されるかどうかということでございまして、その点が一番の焦点であります。そういう観点から米側に照会いたしました。西太平洋の特定の地点を仕向け地として弾薬を輸送した。したがいまして、イスラエルに向けてインド洋を越えて輸送されたことはないということを米側ははっきり言っておるわけでございます。
  114. 東中光雄

    ○東中委員 あなたの最初答弁のところでは、そういうふうには言われてなかったようにぼくは理解したのですが、いずれにしましても、特定の地点というように、日米安保条約の適用の範囲は、西太平洋全域ではないわけです。西太平洋の特定の地点、これは安保条約との関係でいうならば極東か、あるいは皆さん解釈にいう極東周辺か、あるいは西太平洋のさらにそのほかの地点か、いろいろ議論の存するところでもあります。それを、ただ西太平洋の特定の地点というふうな表現で、そして中東へ行ったのではない、こういうことでありますけれども、そこから先のことについて、西太平洋の特定の地点から先のことについてアメリカ側が言っておるとは思えないので、これはむしろ情報が不足だと先ほど言われているのですから、それでははっきりしてもらいたいというふうに思います。  時間がありませんので、次の問題に入りたいのですが、きのうの安保条約運用協議会で、米軍石油供給問題についても話し合いをしたというふうに報道されておるわけですが、在日米軍石油の使用量は一体年間どれくらいのものなのか、あわせて、在日米軍がいま日本に貯蔵している備蓄石油類の量ですね、備蓄量どれくらいあるのか、お聞きしたいのです。
  115. 大河原良雄

    ○大河原説明員 先ほどの弾薬類でもう一回御答弁させてもらいたいと思いますが、グリーンフォレストの件を含めまして米側にとくと照会いたしましたところ、イスラエルに向けて在日米軍施設、区域を使って弾薬武器類等を輸送した事実は全くないということを繰り返し米側は明らかに申しているということであるわけでございます。  在日米軍に対しまして、日本側から供給しておりまする石油類の数量は、今年一月から八月の間の期間で約五十五万キロリッターでございます。在日米軍が全体としてどの程度の石油の使用量を持っており、また貯蔵量が幾らであるかということについては、これは明らかにすることができないというふうに聞いております。
  116. 東中光雄

    ○東中委員 第一の問題について、アメリカ側の答弁は、在日米軍施設、区域を使ってイスラエルに行ったものはない、こう言っているということでありますから、まさにその表現のしかたこそ、特定のところへ行って、そこから先へ行ったときは、その基地を使って行っているわけですからという逃げ口上を、ちゃんとことばとして伏線の中に入っているということを、私は先ほどから指摘しているのであるということを申し上げておきたい。  それで、在日米軍の貯油施設は、八戸貯油施設、それから小柴、鶴見、吾妻倉庫地区、それから赤崎、奄崎、横瀬、針尾島弾薬集積所、ホワイトビーチ、那覇港湾施設、陸軍貯油施設というように、弾薬集積所も実際は貯油施設として使用している。これは防衛庁から、ことしの一月に私のほうへいただいた資料の中にあるわけですが、これの貯油容量というのは、あるいは貯油可能な量ですが、それはどれくらいのものになるのですか。
  117. 田代一正

    ○田代説明員 ただいま手元に確たる資料もございませんので、わかりません。
  118. 東中光雄

    ○東中委員 自衛隊としてはわかっておるのだけれども、いま資料がないからわからぬという意味ですか。
  119. 平井啓一

    ○平井説明員 沖繩にあります在日米軍石油の貯油施設のデータについては持ち合わせございません。本土にございますものにつきましては、これは持っております。貯油施設の容量でございますが、横浜の小柴にあります貯油施設が四十一万キロリットル、それから鶴見にございます貯油施設が十三万キロリットル、それから八戸は、これはあそこでタンカーから揚げまして三沢のほうへ送っておりますので、容量が少なくて一万キロリットル、それから横須賀の吾妻倉庫地区にございますのが四十万キロリットル、それから西のほうで佐世保に参りまして、赤埼貯油施設というのがございますが、これが百五十七万キロリットル、庵崎貯油施設がございますが、これが五十七万キロリットル、私の現在の手持ちの資料では、こういう数量の容量を持っているということであります。
  120. 東中光雄

    ○東中委員 いま言われただけでも、三百万キロリッターぐらいになるわけですが、ホワイトビーチあるいは那覇港湾施設なんかを入れると膨大なものになると思うのですが、この貯油している油は、日本で購入しているのか。日本での購入の程度ですね、どれくらいのものか。これは通産省から御説明いただきたいと思いますが、どうですか。
  121. 松村克之

    ○松村説明員 私どものほうで把握しております統計によりますと、米軍向けに日本の精製業者から出された燃料は、ことしの一−八月で合計で見ますと約五十五万キロリッター、こういうことでございます。
  122. 東中光雄

    ○東中委員 ことしの一月から八月まで五十五万キロリッター。昨年はどうだったか、その前はどうか、ここ五年ぐらいの分をひとつ言ってください。
  123. 松村克之

    ○松村説明員 四十七年が約三十八万キロリッターでございます。それから四十六年が二十八万キロリッター、四十五年が二十三万キロリッター、こういう数字でございます。
  124. 東中光雄

    ○東中委員 そのほか沖繩では、在日米軍ではなくて、フィリピン、タイ、グアム等の米軍にも沖繩石油精製株式会社石油製品を送っているようですが、こういう日本の精製会社でつくった油類を、在日米軍でない米軍に供給しているのはどれくらいあるのですか。
  125. 松村克之

    ○松村説明員 私、いま申し上げました数字は、特需用でございますが、それ以外、たとえば米国の本土に送っているといったようなものの仕向け地、仕向け先といいますか、については把握いたしておりません。
  126. 東中光雄

    ○東中委員 こういう米軍への石油の供給は、今後どういうふうにするつもりなのか。いま準備されている石油消費関係のあの法律要綱にも一切触れてないわけですけれども、そういう点はどういうお考えですか。
  127. 松村克之

    ○松村説明員 通産省といたしましては、今度の石油危機以来、政府全体としていろいろな節約をしていただくということでお願いをいたしまして、それぞれ関係のある省庁で、たとえば鉄道でございましたら運輸省といったようなところで節約の計画あるいは優先需要の計画といったようなものをつくっていただいているわけでございます。したがいまして、私どもとしては、その問題については、これ以上ちょっと御答弁できないので、御了承いただきたいと思います。
  128. 東中光雄

    ○東中委員 終わりのほうが聞こえなかったので……。
  129. 松村克之

    ○松村説明員 繰り返して申し上げますと、政府全体といたしまして、石油の節減計画について、それぞれのセクションにおいて検討いただいておる、こういうことでございます。
  130. 東中光雄

    ○東中委員 米軍並びに自衛隊の油関係の使用について、いま非常に危機的な状態で、民間でまた国民にその使用の節減を非常に言われておるわけですが、米軍に対してはその点どうするのか。  さらに自衛隊が十二月から三月期までの購入予定二十四万八千キロリットル、もう購入されたかどうか、今月そういう措置をとられたのかどうか、この量はそのまま全部確保していくという方向でやられておるのか、いや、先ほど防衛庁長官言われたように、節約をして二十四万八千キロリットルの計画は縮小する、訓練もできるだけ差し控えるというふうな処置をとられるのかどうか、その点いかがです。
  131. 山中貞則

    ○山中国務大臣 米軍のほうは、御承知のように直接調達をしておりますので、政府としては関与いたしておりません。  なお、自衛隊のほうは、パーセントは正確にまだ積み上げできておりませんが、約一〇%ぐらいの削減が下半期で可能になるように努力目標として設定しております。
  132. 東中光雄

    ○東中委員 二十四万八千キロリットル、まだ入札してなかった分がありますね。その分はどうされたのか、どうされる方向なのかということが一点。  それから米軍の問題については、地位協定の十二条二項で「その調達が日本国の経済に不利な影響を及ぼすおそれがあるものは、日本国の権限のある当局との調整の下に、」調達するということになっております。だから、いま、こんなに大きな問題になっているわけですから、当然調整のもとに動かなければいかぬわけですから、日本政府としてはどういう態度で臨むか。これは調達関係ですから防衛庁なんですが、対米交渉の関係になれば外務省なんですが、外務大臣防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
  133. 山中貞則

    ○山中国務大臣 初めの問題は、新聞等でも報道されておりますが、単価の問題等もありまして、実はなかなか契約できないでいるという状態ですが、最低の量は確保しなければならないことは当然でありますので、その努力は今後いたします。  なお、米軍への調達は、これはなるほど、いまおっしゃった十二条に書いてありますけれども、しかし米軍がいまだずっと直接調達をしておりますから、したがって政府全体の姿勢として、アメリカの飛行機も船も、あるいはその他の諸外国の寄港する漁船も含めた、いわゆる日本以外のものに対する油をどうするかという国策全体でとらえていくべき問題であろう、そう思います。
  134. 大河原良雄

    ○大河原説明員 米軍が現に日本で調達しておりまする石油類は、ただいま防衛庁長官答弁ございましたように、私契約の形で米側が直接調達しているわけでございますが、先般の閣議決定にございます石油緊急対策、こういうこととの関連におきまして、昨日、日米安保運用協議会が開かれました際に、日本側からこの問題を米側に提起し、米側は、日本側の事情並びにその背景についてはとくと伺いました、米側といたしましては、かねて別個の立場から、石油類の使用節減について十分配慮していたところであるけれども、いずれにいたしましても、日本側の話はよく伺いましたということであったわけでございまして、今後具体的な話を米側とするということを考えております。
  135. 東中光雄

    ○東中委員 時間がございません。最後に一言だけ申し上げておきたいのですが、アメリカ日本における貯油施設は、先ほど明らかにされただけでも三百万キロリットル、ホワイトビーチを入れればずいぶんごついものになります。そしてことしは、昨年に比べて飛躍的にふえているわけであります。そういう状態で、この容量あるいは貯油能力一ぱいだとずいぶん備蓄があることになるわけですから、こういうものに対する供給というのは、むしろ全く必要のないことではないか。さらに自衛隊の演習その他——この間も那覇空港で、民間航空のダイヤを変更して、三十分間緊急飛行をやったということで非難が起こっておりますけれども、西南混成軍の開設一周年記念ということでそういうことまでやられている。まさに不要不急の油の使用ということになりますので、こういう点は徹底した削減をやるべきであるというふうに思うわけであります。この点を要求して私の質問を終わりたいと思います。
  136. 三原朝雄

    三原委員長 鈴切康雄君。
  137. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中東紛争に端を発して、アラブ諸国石油戦略攻勢をかけてきたということで、日本の国自体は中立であるというふうに立場を宣明しても、向こうのほうとしては、非友好国であるというレッテルを張りながら削減をされている現状です。その影響というものは、日本経済に及ぼす問題として深刻に受けとめもし、またこれに対処しなくてはならないと思うわけであります。  先ほどからいろいろお話がありました。国民にも節減をしいるということを政府は要望されているわけでありますが、それに伴って当然自衛隊においても自粛をされるということで、先ほどから御答弁がありました。自衛隊が使っている石油総量というものは、日本の国の総需要量二億五千九百万キロリットル、その中において六十四万キロリットルを使っておるということでありますが、それをさらに先般、政府として石油対策要綱に基づいて閣議決定をしたという観点から、当然それに対しての節約をするという方向で検討されているわけでありましょう。  そういう状態で、先ほど下半期約一〇%くらいは節約ができるというようなお話でありますが、もう一度念を押して聞いておきたいと思いますが、節約の一〇%は、具体的にはどういう点を主として節約されるのか、その点について……。
  138. 山中貞則

    ○山中国務大臣 まだ、いま第一段階、第二段階くらいの見当で通達を流しておるわけでありますが、たとえば、いま陸海空、統合して方針として示しましたものは、「閣議決定により、現業部門においても、実情に応じ、非現業部門に準じた措置をとり極力節約を図ることとされており、自衛隊の訓練・演習においても極力燃料の節約をはかる方針であり、できうるかぎりの措置をとることとしている。(2) 現在実施をはかろうとしている具体的措置は、次のようなものである。」ただし内容は、もう通達してあります。「ア 実動の訓練・演習で可能なものは、当分の間延期するか指揮所訓練演習(CPX)に切り替える等の措置を実施する。イ 訓練・演習に参加する人員、装備、艦艇等の訓練演習又は訓練海域における滞在期間を延長し、移動回数を減少する。ウ 訓練演習は、できるだけ近傍の訓練演習場、海域等を使用するものとし、陸上においては可能な場合には、徒歩移動を実施する。」大体この線に沿って、各幕で具体的な計画をいま積み上げてきております。それを私の手元で集約して、さらに個々に指摘をして、あるいは艦船の速力とか、あるいは飛行機の飛び方あるいは使い方、そういうもの等、燃料をよけい食うものについて点検をして、第二段の指示を準備するつもりであります。
  139. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほど、在日米軍日本国で調達する石油の数量については、一月から八月まで五十五万キロリットルであるというふうに言われまして、これは米軍当局が当然民間ベースによって調達をされておる形になっておるという御説明があったわけでありますが、現在の石油危機にかんがみまして、石油業界としては、米軍が調達する石油納入を拒否するということでありますけれども政府は、この事実関係を御調査になられましたかどうかということ。それから、それに伴って民間企業の問題であって、政府は介入しないのだというお考えであるのかどうか、その点についてお伺いしたい。
  140. 大河原良雄

    ○大河原説明員 米軍わが国で調達しております石油製品類は、民間企業との私契約のかっこうで行なわれておりまして、年間契約というかっこうでございますから、契約期間が終わりますまでは、そのままという形が一つ考えられます。また契約期間が満了いたしました場合に、その次の契約をどうするかということは、これは民間会社の問題もあろうかと存じますが、しかし、いずれにいたしましても、このような石油の緊急対策を必要とする状況のもとにおきまして、日本政府といたしましては、米側に対して、昨日、運用協議会の揚を通じて問題の提起を行なったというのが昨日の状況でございます。今後、米側といたしましても、日本側の事情を十分理解の上で、いかに考えるかということを考えたいということを言っておるわけでございます。
  141. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、在日米軍と私企業との間において年間契約できめられている、それは、正常の場合においては、そうであるかもわかりませんけれども、まさしくいまの石油危機という、日本の国に対して大きな影響を及ぼそうとしておる状態の中にあって、それを遂行するということは、実に私はむずかしい状態になっているのじゃないかと思うのです。  そこで、もし調達について、民間企業が実際に拒否をした場合、私は、いろいろな問題が出てくるのではないか、そう思うわけであります。その問題というのは、このことは、どこまでも業者と米軍当局の問題であるからそれでいいというふうにその問題を片づけることができるかどうか。地位協定第十二条二項で、日本政府アメリカ政府あるいは米軍当局との間の政府間交渉の問題とならないのかどうかということ。また、いわゆる条約上からいいますと、米国政府日本政府に調達を要求する権利があり、日本政府は調達に応ずる義務があるということにならないのかどうかということ。これは純条約上の解釈としてお聞きをいたします。
  142. 大河原良雄

    ○大河原説明員 地位協定十二条の第一項には、まず調達にあたっての契約自由の考え方を記載してございます。その次に、同じ第一項の後段のほうで、これとあわせて、日本政府を通ずる調達、いわゆる間接調達の方式をも排除しておらないわけでございますが、十二条の第二項におきまして、わが国の経済に不利な影響を及ぼすおそれのある物資を調達する場合には、日本政府との調整のもとに、ないしは日本政府を通ずる間接調達の方式によって行なわれるべきであるという規定があるわけでございます。  したがいまして、いままでのところは、十二条一項にうたわれております直接契約の形での調達が行なわれておるわけでございますけれども、今日の状況のもとにおいて、これをいかに考えるかという問題は、当然出てまいっておるわけでございます。  そこで、米側に対しましては、日本における石油の供給、電力の供給の削減という措置をとることになった背景のもとに、米側としても、この問題に対する理解を深め、協力を求めるという措置を昨日とったわけでございますが、これのもとに民間会社が契約の実施についてどういうふうな考え方をとりますか、また米側との間にいかなる調整をはかっていくべきかということについて、実態を把握しつつこの問題に対処していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  143. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私企業であるから、年間契約で、一応政府は介入はしていないとはいいながらも、やはり十二条二項においては、日米間の取りきめとして当然そういう義務づけというものがされているわけです。そうなりますと、米国政府日本に対して調達を要求する権利というものはどこまでも失われていない。そしてまた日本としては調達に応ずる義務がある。そういう解釈というものは、これは当然そうなるのではないかと思うのですけれども、その点はどんなものでしょうか。
  144. 大河原良雄

    ○大河原説明員 十二条一項、二項を通じての考え方として、間接調達ということが考えられているわけでございますが、十二条二項には、日本の経済に不利な影響を及ぼす場合の調整ということを具体的に規定してあるわけでございます。したがいまして、これは私企業の私契約によるものであるからといって、今日の状況において、そのままそれを私企業の意思にまかしておくということもいかがかと思われる側面もあるわけでございますから、米側に対しまして、そういう意味の注意の問題の提起を行なっているということでございます。
  145. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実際に私企業が供給を拒否した場合、日本政府としては、日本の国の石油の事情を考えた上において、これは日本国の経済に不利な影響を及ぼすおそれがあるんだということで、アメリカにおいて調達してもらう、こういうふうな考え方で進んでいくというふうに考えてもよろしゅうございますか。
  146. 大河原良雄

    ○大河原説明員 先ほど通産省の担当の方から答弁ございましたように、この数年間の在日米軍日本における石油の調達量はふえております。といいますことは、おそらく全体の使用量の中における日本の国内における調達量がふえたということであろうと思われますし、そういたしますと、日本で調達しておらない、いわば本国で直接調達をして、在日米軍にそれを供与してきているというものもきわめて多く考えられるわけでありますから、それをどういうふうに考えるべきかという問題が当然あろうかと思います。
  147. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 わが国石油事情によって、米軍石油の調達をみずからの手段によって海外に求めるという事態に、このままでいきますとなり得るのではないかと私は想像するわけでありますけれども、その場合、調達に要する諸経費は日本政府の負担となることはないと私は思うのですけれども、その点については、どのようにお考えでしょうか。
  148. 大河原良雄

    ○大河原説明員 直接契約による調達は、もちろん米軍と供給先との契約によるものでございまして、日本政府は直接何ら関与いたしておりません。また間接調達の場合にも、その経費は、日本政府の負担すべきものではないわけでございます。
  149. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 歴代の自民党政府は、日米安保条約というものが日米間の基調である、先ほども外務大臣が、日米安保条約については、何ら変更するところはない、このように、日本政府の外交の土台であるということを強調をされてきておるわけであります。しかも日米間の経済問題も、日米安保条約の第二条によって解決をされるというふうに今日まで言ってきたわけでありますけれども、御存じのように、先般、アメリカにおける繊維製品の問題、これは明らかに、アメリカとしては第二条を援用して、日本の譲歩を求めてきたケースだ、私はそのように思います。  今度の中東紛争契機とした石油危機に際しては、日本政府は、例のキッシンジャー国務長官の訪日を契機といたしまして、大平さん、あなたと、それから田中総理大臣とお会いになって、善処を求めたところ、キッシンジャーのほうとしては、よりよい回答はなかったというふうに伝えられておりますけれどもキッシンジャーとのお話し合いの中身は、どういうふうな状態でしょうか。
  150. 大平正芳

    大平国務大臣 当時、公にいたしましたとおり、中東事情につきましてのアメリカ側の現状の認識、今後の展望、そういうものについて伺ったわけでございます。第二は、わがほうが直面しておる事態につきまして詳細に先方に説明し、理解を求めたわけでございます。  わが国アメリカとの間におきましては、御案内のように、貿易の三分の一程度が行なわれておる、たいへん濃密な関係があるわけでございまして、したがって問題が絶えないわけでございます。いろんな問題が過去においてありましたが、あなたが御指摘のように、相互の意見の違いは意見の違いとして確認して、それを相互理解で調整いたしまして、今日まで解決をしてまいったわけでございまして、石油問題につきましても、在日米軍石油問題も、日米間の問題の一つでございましょうし、わが国石油の供給を大きく握っておるメージャーの大半も、アメリカ国籍を持った企業でございまするし、かたがた、いろいろこれからこの問題につきましても、日米間に十分の意思の疎通をはかっていかなければならぬことでございまして、そういう点につきましては、キッシンジャー長官も全幅の理解を持っていると私は思います。
  151. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 キッシンジャー国務長官が、要するに全幅の信頼を持っているだろうというのですが、現実として、大平さんとしては、とにかくいまこういう状態じゃ、日本は困ります、石油アメリカのほうでひとつ何とか割り当て等も含めて頼むということを率直におっしゃったと私は思うのですよ。キッシンジャーさんは、それに対して、それじゃ、よしまかしておけというふうな御返事があったかどうかということですよ。私は、おそらくそういう御返事はないだろうと思うのですよ。具体的にそのところをもうちょっと……。
  152. 大平正芳

    大平国務大臣 そういう、アメリカ政府石油を掌握しておるのでありましたならば、アメリカ政府として胸をたたいて答えられるに違いないのですけれどもアメリカ政府がこの問題について、日本の通産省もそうでありますように、私企業の形態をもって石油の生産販売が実行されておるわけでございますので、日本側の事情を理解した上で、アメリカ政府の影響力がどのように行使できるか、それは十分検討しようということでございます。
  153. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 石油の海外依存度については、これはアメリカ日本とは、もう全然比べものにならない状態に実はあるわけです。それだけに、日本石油に対する危機感というものは大きいわけでして、それに対して、実際にアメリカのほうとしては、自国の国益優先という考え方で対処されているというふうにしか思えないところに、この間のキッシンジャーが非常に冷たくあしらったということを、私は報道されているというように思うわけでありますけれども、そこで日米安保体制のもとにある日本の外交が、常にもうアメリカサイドにあって、独自の自主外交ということがなかなかできない、そこに私は、非常に大きな問題があると同時に、今日までアラブ政策がなかったということが言えるのではないかというふうに思うわけでありますが、大平外務大臣は先ほども、近日中にアラブ寄りの政策をとるというようなことをおっしゃっておったわけですが、アラブ寄りの政策ということは、具体的にどういうことでしょうか。具体的にひとつお願いします。
  154. 大平正芳

    大平国務大臣 第一の点で、アメリカと同盟関係にあるから非常に不自由をしておるじゃないか。ごくあたりまえだと思うのです。全然不自由のない同盟関係というものはないと思うのです。そういうようなものは同盟関係と言えないわけなんで、そういういろんな不自由があるけれども、それが全体の国益として、そういう関係を取り結ぶことがわれわれといたしましては必要だという観点に立ってやっているわけでございますので、そのようにひとつ……。そういう制約は、あらゆる面において私はあると思うのでございます。  それから第二の点でございますが、私がきょう申し上げたのは、中東紛争に対するわが国政府見解を明確にすべく、いま検討をいたしておると申し上げたわけでございます。アラブ寄りという俗語がありますけれども日本は、そうすると石油ではアラブ寄りになって、食糧でアメリカ寄りになって、しょっちゅう方々へ寄っていかなければならないということになると思いますから、私どもは、そういうことでなくて、日本としては、この紛争についてはこういう態度をとるんだということを言おうとしておる、きわめてあたりまえなことをやろうといたしておることを御理解いただきたいと思います。
  155. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 まあ、私がアラブ寄りというふうに申し上げたら、アラブ寄りではないのだ、中東紛争に対する具体的な見解を出そうとするんだ、こういうお話ですけれども中東紛争に対する具体的な内容というのはどんなものでしょうか。
  156. 大平正芳

    大平国務大臣 いままでも、わが国といたしまして、中東紛争について、政府といたしましても、また国連の場におきましても明らかにしてきたわけでございますが、それではどうも明確さを欠く、積極性を欠くというアラブ諸国からのそういう要請もございます。したがって、私どもこの際、これをより明確なものにしたいということで鋭意検討いたしておりまして、近く発表いたすわけでございますので、いませっかく政府部内で協議を進めておる段階でございますので、たいへん恐縮でございますけれども、いま、ここでそれはこれこれだということを申し上げる自由を持っていないのでございます。いずれ、近く政府のほうで発表いたしますので、それまでお待ちを願いたいと思います。
  157. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、その内容を知る由もありませんけれども、少なくともEC、欧州共同体の共同声明とほぼ同じな線くらいはお考えになっているかどうか、その点はどうでしょうか。
  158. 大平正芳

    大平国務大臣 御期待の線に沿って検討いたしております。
  159. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこで、大平さんは、近いうちに、近いうちにと、こういうふうにおっしゃるわけですけれども、近いうちにでも、あしたでも近いし、きょうも近いし、それからあさってもということなんですが、実際には二十四日に外相会議がありますね。外相会議の前に、日本としては独自にせよ、やはりそういうふうな中東紛争に対する日本見解をお示しになるのか、あるいは外相会議が終わってからゆっくりと情勢を見て日本もやろうというお考えなのか、その点はいかがでしょうか。
  160. 大平正芳

    大平国務大臣 まあ、そういう状況も踏まえて考えております。
  161. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 踏まえてということは、どういうことなんでしょうか。その点がはっきりしないと、やはりちょっと次に進むわけにいかないわけですけれどもね。大体その目安というものを、近いうちに何とかしましょうというので、日中航空協定みたいに、近いうち近いうちといって、さあ、ことしも終わろうとしているのですけれども、そんなことはないと思いますけれども、一応どんなところをお考えになっているでしょうか。
  162. 大平正芳

    大平国務大臣 いま非常に、待ったなしの緊張した段階である、そして、いま仰せのようなことも、いろいろもくろまれておるというようなことも十分念頭に置いて処理いたしたいと思います。
  163. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中東紛争のいわゆる日本見解というのは、外相会議が開かれようが、何であろうと、日本政府見解なんですから、アラブ寄りということになりますと、いま、あなたが抵抗をお感じになったようなことなんですけれども日本のいわゆる政府見解というものを述べるについては、外相会議が開かれようがどうだろうが、一日も早く、日本の国は、こういう考え方だということを私は明らかにすべきじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  164. 大平正芳

    大平国務大臣 一日も早くいたしたいというわけで、鋭意検討を進めておるわけであります。
  165. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは結局、外相会議の前にも当然発表もし得る態勢にあるというふうに私は判断してもよろしゅうございましょうか。
  166. 大平正芳

    大平国務大臣 鋭意努力をいたしておるのです。
  167. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それで、この問題は、日本の国だけが、ただそれに対してこういう状態だということを発表しても、なかなかこれはアラブのほうも、ああ、それはもう日本の国が言ったから、それじゃ、あしたから削減をなくそうなんという、そういう態勢にはないというふうに私は考えるわけです。  そこで、やはりコミュニケーションをつくるという意味においても、また言うならば、相手方の状態を知るという意味においても、当然私は特使というものを派遣すべきであるというふうに思うのですが、その点はいかがお考えになっているでしょうか。
  168. 大平正芳

    大平国務大臣 受け入れ国側も歓迎し、そしてそれが非常に効果があるということでございますれば、当然考えなければいかぬことでございまして、先方の状況も見ながら、その問題も絶えず私ども検討の中にあるわけでございますが、いまの段階で、いつ、だれを出すというようなところまでは、まだ固まっておりません。
  169. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 アラブ日本の国の輸入の、言うならば八〇%ということになれば、当然アラブのその中の四〇%がこれに関連をするということになれば、特使アラブということになるでしょうけれども、しかしそれと同時に、そのほかの、インドネシアとかあるいはそういうふうな、石油等を日本の国に輸入しているところにも特使をやはり派遣すべきではないかというふうに思うのですが、その点のお考え方はありませんか。
  170. 大平正芳

    大平国務大臣 たいへん有益な御提言でございまして、そういう点も私ども考慮いたしております。
  171. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ヤマニ・サウジアラビア石油相が、日本石油の供給制限を免れるためには、イスラエルと国交を断絶しなければならないというふうに、そのように強硬な態度に出ているわけですけれども、これは向こうのほうにしてみるならば、それぐらい言わないとならない状態ではないかと思うのですけれども日本政府は、ほかのECのほうにおいては、そんなにまで実際にきびしいことを言っていないのだから、日本の国もEC並みでいいだろうというふうにお思いになっておられると思うのですが、なぜこんなにヤマニ石油相がきびしい態度に出ておられるかということについて、どのような分析をされておられましょうか。
  172. 田中秀穂

    田中説明員 サウジアラビアのヤマニ石油大臣断交云々ということを言われておることは聞いております。しかし私、ヤマニ大臣の言っておられますことは、日本態度を明確にしろということで、たとえばというような例示的な意味で述べられておるのではないかというふうに判断いたしておりまして、要するに日本態度を明確に打ち出すということが、現在最も必要なことではないかというふうに考えます。
  173. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そんな簡単なことでこの問題が好転するなんということは、とうてい考えられないと私は思うのですよ。それはなぜかというならば、ベトナム紛争において、日本の国がとった処置というものは、日米安保条約に基づいて、言うならば基地を貸与し、少なくとも国際法上の中立法規というものに対して、これを侵してしまったというふうに私はとっておるわけなんですけれども、その点はいかがに判断されておられましょうか。
  174. 松永信雄

    ○松永説明員 御質問趣旨、必ずしも私、的確に把握いたしませんでございましたけれども、いわゆる国際法上の中立義務を侵す云々という問題は、発生してまいらないというふうに考えております。
  175. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中立法規の中に三つの義務があるわけですが、その内容はいかがでしょうか。
  176. 松永信雄

    ○松永説明員 国際法上の中立義務の内容でございますか。——これは端的に申しますと、一方に加担しない、あるいは援助その他の具体的な行動をとらないということだろうと存じます。
  177. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 中立法規の中に三つの義務があるわけですね。その一つは、回避の義務です。この義務は、交戦国のいずれに対しても、戦争遂行上の便宜を与えてはならないということですね。それからその二は防止の義務であります。この義務は、中立国は交戦国に対して自国領域を戦闘目的で使用さしてはならないことであるということですね。それから中立国は、かかる行為を防止する義務があるということです。その三は黙認の義務であります。これは、交戦国は相互に戦闘行動をとるが、その際、戦争をしていない中立国の利益を害することがあっても、中立国はある限度においてこれを黙認しなければならないという、そういう三つの義務があるわけですね。これに完全に——言うならば、例のベトナム紛争においては、日本は中立的な法規というものを、もはや放棄をしてしまっているところに問題があるわけでしょう。となりますと、これまた日米安保条約というものが、先ほども外務大臣が言われたようになかなか制約があるのだということは、やはりそういうところにかなりの大きな問題点を残しておるわけです。  となりますと、たとえば中東紛争において、確かにいま現在は停戦状態にあります。しかし、まさしく中東問題は、これは実は宿命的な問題を帯びているわけであります。そうなりますと、いまは停戦でいいわけでありますけれども、今度、たとえばイスラエルアラブとの関係がまた再び悪化したような場合において、アメリカがこれに対して何らかイスラエルに応援をするという状態になった場合、日本の国は明らかに日米安保条約のもとにアメリカと共同の行動というものは、やはりしいられてくるということなんです。しかも補給基地として日本が使われるということになれば当然、アラブにしてみるならば、これは日本がどんなにうまいことを言ってみたって、しょせんは、これは日米安保条約がある以上は、日本の国というのは友好国ではないというふうにレッテルをつけるのはあたりまえのことではないか、私はそのように実は判断をするわけであります。  そして、それがゆえにヤマニ石油相というのは、日本の国の踏み絵として、いわゆるイスラエル断交しなさいという強硬な発言が出たというのは、私は、そういうところにすべての問題が存在をしているという、そういう観点から私はいま質問をしているわけでありますが、外務大臣、そういう点も多分にあるというふうにお考えになっておられるかどうか。
  178. 大平正芳

    大平国務大臣 私は、そういうように考えていないのです。日米安保条約があるということは、日米安保条約をよくお読みいただけば、私どもは、安保条約で日米間が約束をいたしましたその約束を忠実に守っていればいいわけなのであります。これは日本の国の安全と極東の安全を考えておけばいいわけなので、安保条約の目的の範囲内において私どもは義務を負っておるわけなのでございまして、イスラエルとこの問題とを結びつけるのは、私は間違いだと思います。
  179. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この間、私は大河原さんか何かに質問をしたときに、極東並びにその周辺地域ということで質問を申し上げました。そのときに、私が具体的な名前で極東並びに周辺地域はどこなんだと、こういうふうに申し上げましたところ、大河原さんが言われたことは、インドとか中東は、これは極東並びにその周辺ではないだろうという答弁が返ってきました。しかし、さらに私が、それではどういう範囲なのかというふうに聞いたところが、在日米軍行動できる範囲は、極東並びにその周辺地域であるということを言われた。となると、実際には、口では中東及びインドはそうではないとはいいながらも、いざという場合には、どういうふうな状態にならないとも限らないところに、日米安保条約の言うならば問題があろうか、私はそのように思うわけなんです。そういうことなんですが、その点いかがでしょうか。
  180. 大河原良雄

    ○大河原説明員 安保条約考えられております極東の範囲ということにつきましては、先回も御答弁申し上げましたように、昭和三十五年の政府の統一見解があるわけでございます。政府統一見解でいいます条約の地域と申しますのは、結局、日米が共通の関心を持っておるのは、すなわち極東における国際の平和と安全の維持ということでございまして、実際問題としては、両国共通の関心の的となる極東の区域といいますのは、在日米軍日本施設及び区域を使用して防衛に寄与し得る区域である、こういうのが政府の統一見解であるわけでございます。  それで極東の周辺と申しますのは、結局、極東の平和と安全に無関係ではない地域ということで、極東の周辺区域という観念が出てきておるわけでございます。前回御答弁申し上げたと記憶いたしておりますけれども、それではインド洋はどうだということになりますと、これは極東の平和と安全に直接無関係地域というわけにはまいらない、こういうことになってきておるであろうと考えるわけでございます。そこで、在日米軍イスラエルに対する補給の問題はどうだということになりますと、これは先ほど御答弁申し上げましたように、そういう事実は全くないということを米側が述べておるわけでございます。  いずれにしましても、政府としては在日米軍日本における施設、区域を使用いたします際には、あくまでも安保条約の規定に従った使用でなければいけない、こういうふうに考えられるわけであります。
  181. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは、これからそういう問題についてのこまかいことの、言うならば煮詰めというものは、また後日のあれにするわけでありますけれども、結局は、拡大解釈がどんどんされてきておるという事実、これはもういなめないことなんでして、そういうことから、たいへんにアラブ諸国が不安であり、言うならば日本に踏み絵をしいる、そういうふうな問題にまでなってきているということは、そういう意味において、普通の、ECとは違うというふうに私は考えているわけです。  それはそれとして、次には日中航空協定ですが、当初の政府の観測に反していまだに調印されないが、本年じゅうに調印にこぎつける予測がありますかどうか、大平さんひとつ……。
  182. 大平正芳

    大平国務大臣 いま政府におきまして、これまた鋭意検討いたしておるわけであります。なるべく早く仕上げをいたしたいと思っておりますが、いつまでにというくつわを入れられたのでは、それまでにできないと、これはうそを言ったことになりますので、そういうお約束はいたしかねますけれども、できるだけ早くいたしたいということでせっかく努力いたしております。
  183. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 できるだけ早くと言っても、ずいぶんできるだけ早くが続きました。もう本年も御存じのようにあと十一月、十二月とこの二カ月を残すだけでありますけれども、できるだけ早くということを来年まで持ち越すというようなことは、大平さんとしても、日中回交回復をされた、言うならば立て役者として、中国との信義にもとることになろうかと思うのですが、そういう点について、本年じゅうにやはり目安をつけたいというお考え方であるかどうか。
  184. 大平正芳

    大平国務大臣 本年と言わず、きょうでもあすでもつけたいわけでありますけれども、そして内外が御納得のいくところでやりたいというのが私の念願でございますけれども、いつまでにということはお約束いたしかねます。
  185. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 外務大臣は訪中をされるとかいうようなお話がありましたけれども、実際外務大臣はいつ訪中をされるのか、日中航空協定の調印がない限りは訪中をしないのか、あるいは日中航空協定の調印がなくても訪中はあり得るのか、その点についてはどういうふうなお考え方になっておるのでしょうか。
  186. 大平正芳

    大平国務大臣 私の希望といたしましては、これを仕上げてからにしたいと思っております。
  187. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 じゃ、外務大臣は日中航空協定を仕上げて、できるだけ早く行かれるということであるということは、少なくともいままでできるだけ早く、早くと言ってきたわけですから、これは中国とせっかく国交回復ができて、大きく前進をした以上は、その信義にもとらないように——鋭意検討検討ということをしょっちゅうお口にされる大臣としては、非常に歯切れが悪いので、もう少し歯切れのいいような外交を展開していただきたいと思います。  以上をもって終わります。
  188. 三原朝雄

    三原委員長 受田新吉君。
  189. 受田新吉

    ○受田委員 大平外務大臣、あなたは先般、田中総理とヨーロッパの諸国を訪問されたわけですが、西独において田中総理とブラント総理との会見にお立ち会いなされ、その後における記者会見に、同席されておられましたかどうですか。
  190. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せのように、終始田中総理に同行いたしておりました。
  191. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、お聞きしますが、総理はボンで西独の首相と会談をして、シベリア開発について次のような発言をしておる。間違っておれば御指摘願いたい。「チュメニの石油日本と西独が競合する問題では全くなく、共同開発が必要な、大きな、長期にわたるプロジェクトだ。開発に加わり、石油の供給を受けられない国はどうするかという問題は、私がいっているようにスワップの一環として考えるということだ。場合によってはパイプラインは日本海側に敷かず、西独に敷くこともありうる。その場合、日本が開発に加わる反対給付としては、中東石油をもらえばいい。」こういう発言がある。これは、こういう発言はなかったと言えるか、そういう意味の発言があったと理解されるか、どうですか。
  192. 大平正芳

    大平国務大臣 田中総理は、ドイツばかりではなく、ほかの国におきましても、いわゆるスワップ構想というものを提言されたわけです。それは、石油の開発という問題は、このように資源が緊張を呼んでくると非常に緊切な課題であるという認識が一つあるわけです。それには膨大な資金と高度の技術が要るということでございます。したがって、一国だけの力でなくて、多くの国の共同した努力が必要で、協力によってやるということが必要である。たとえば英国と日本との協力とドイツと日本との協力というようなもの考えていいじゃないか、そして、そこでかりに成功して生産された資源は、ヨーロッパに近いところはヨーロッパに持っていけばいいじゃないか、日本にわざわざ喜望峰を迂回して持ってくる必要はないじゃないか、同時に、日本に近いところで開発されたもの日本にちょうだいするというような、そういういわばスワップ構想というもの考えられないかという構想を、各首脳に話されたことは事実でございまするし、また、それに対しまして先方も、原則的に理解できるという態度を示されたと私は記憶いたしております。
  193. 受田新吉

    ○受田委員 他国の石油をかってに、ここの国のは君のほうが取り、おれのほうはこちらのを取ろうなどという、よそのものをかってに独断的構想で、しかも首相同士の会談の中で、たとえ雄大な構想にせよ、それをぶって他国に刺激を与えるというようなことは、外交技術としては適切かどうかです、あなたも外交の専門家になられたのですから。今度の中東石油の非友好国に対する大きな制約の問題なども、そこに原因の一点が発見できると思う。小国によっていま、小国ということは開発途上国、そのグループによって、大国はいままことにあざやかに振り回されているという状態です。そういうことに対して、開発途上国に対する権威を失っているというところに問題の根源が発生しておるんじゃないかという不安があるから、私はあえてこの田中総理の発言に不謹慎なそしりがあると指摘せざるを得ないのです。他国の物資を、おまえのほうはあの国のをもらえ、おれのほうはこの近いところのをもらうからというような、かってな構想を、しかも首脳同士が会談する席上においておぶちになったという、このことは謹慎を欠いてはいないか。随行された外務大臣としていかがお考えかです。
  194. 大平正芳

    大平国務大臣 現にイランにおきまして、日独で競合いたしておるプロジェクトもございます。フランスとの間で話し合いをいたしておるプロジェクトも幾つかあります。イギリスとの間にもあるわけでございまして、仰せのように、人のふところに手を入れて取ってくるというようなことを考えることがたいへん非礼なことは、それはよく田中総理も御承知でございまして、そういうことは大前提としてよく心得られておるはずでございまして、その資源保有国側とすでにそういう話も始まっておる、そういう場合の問題をほぐしてまいる、大きな構想としてはこういう構想が考えられるじゃないかということを田中総理考えたとしても、それは決して不自然なことではないと私は思います。
  195. 受田新吉

    ○受田委員 総理を擁護されておるのですけれども、結果論から、いまきびしい問題が発生しておる。  そこで伺います。今度のアラブ諸国の、OAPEC石油の規制措置、その中に日本は非友好国指摘されておる。この非友好国として指摘され、それに対する措置を要望されていることが、外交の正式ルートで日本国に伝わっておるかどうかです。
  196. 田中秀穂

    田中説明員 OAPEC諸国の消費国への扱いの三つのカテゴリーのうち、日本友好国に入っていないということは事実でございますが、それにつきまして外交ルートを通じて入っておりますのは、日本がもっと明確な態度をとってほしい、そういう要望でございます。
  197. 受田新吉

    ○受田委員 そのことに対して、日本国はその真意を照会しておるかどうかです。三つのポイントについて、その他のものを含めて、真意が那辺にあるかを照会されたかどうか。
  198. 大平正芳

    大平国務大臣 われわれも、外交を進めるにあたりまして、あらゆる触覚を働かしまして、産油諸国がどういう考え方を持っておるかにつきましては、あらゆる努力をいたしまして、その掌握につとめております。
  199. 受田新吉

    ○受田委員 大平さん、あなたは、このアラブ諸国日本を非友好的な国家と指摘したそのことについて、何らか反省をすることがあるかないか。へのかっぱでもないか、どうです。
  200. 大平正芳

    大平国務大臣 たいへん重大な関心と緊張をもって対処いたしております。
  201. 受田新吉

    ○受田委員 アラブの諸国は、歴史的に見てもイスラエルとの間に深刻な関係があることは、これは事実問題としてわれわれよく知っております。ところが、例の六日戦争のあとで決議された二四二のあの決定は、イスラエルの国境はどこに正確に置かれておるかということに対して明確でない。つまりアラブ諸国は、イスラエルの国境はここであるということをはっきり承知しているのかどうかです。つまりシナイ半島その他占領地域撤退せよと教えた二四二のあのきめ方は、イスラエルの従来持っておった土地、国土というものを完全に保障してきめられたごとか、そのことについては、アラブ諸国は承知しておることかどうか。
  202. 田中秀穂

    田中説明員 イスラエルが建国をいたしまして以来、アラブ諸国のこれについての考え方は、イスラエルという国家の存続を認めないという考えでございまして、それでずっとまいったわけでございます。六日戦争が終わりまして二四二という決議ができまして、この決議の内容そのものがいささかあいまいな点がございまして、したがいまして解釈の問題が起きております。しかしながら、このイスラエルの存在を認めるかどうかという点につきましては、はっきりこれを明言するとか、そういう措置はとっておりませんが、アラブ諸国のうちエジプトなどは、これを否認するという態度に現在出ていないようにわれわれは了解いたしております。
  203. 受田新吉

    ○受田委員 今度、アラブ諸国石油の規制に関しての要望の中に、シナイ半島その他に出かけておるイスラエルの軍隊が撤退するということの要望がある。その要望の中には、イスラエルの国土というものを認めているような解釈も成り立つのでございますが、いかがでしょうか。
  204. 田中秀穂

    田中説明員 まず、安保理決議の二四二号と申しますのは、六七年の六日戦争以前の状態になることを要求するのが基本的な考え方だと思うのであります。したがいまして、今度の停戦決議三三八、これは二四二のワク組みの中で問題の解決をはかりたい、こういうことでございまして、二四二の中に含まれます幾つかの要素をパッケージにして最終的に解決をはかりたい、こういうことじゃないかと思うのであります。
  205. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、アラブ諸国イスラエルの国土というものを、二四二の決議の線に沿うて一応認めた形になるわけですね。
  206. 田中秀穂

    田中説明員 今度の停戦決議、これはエジプトもシリアも受諾をいたしておりますが、この決議停戦決議でございますが、これは直接前の決議、二四二とリンクをされております。二四二の線に沿って解決をはかる、交渉を始めるということがうたってございますので、いずれにいたしましても、二四二の精神に沿いまして解決の措置がとられることをわれわれは希望するわけでございます。
  207. 受田新吉

    ○受田委員 ただ望むだけではなくて、はっきりした根底を示していただきたいのです。先ほどから論議を承っておると、どうもあいまいな点がある。つまり日本政府は、この中東紛争の処理にいかなる基本的な態度をもって臨もうとしておるのかがわからない点がある。非常にあいまいな点がある。私は、はっきりイスラエルの国土はこれだけが国土だ、それから後二四二の決議の線に還元されるように、日本政府は国連参加国の一国として忠実に外交努力をする、こういうような形になっているのかどうかです。イスラエルの国土はどれだけであるか、六日戦争の前の国土、すでに世界の大半が認めているイスラエルの国土が正しい国土であるということを、アラブ諸国にも理解と協力を求める処理をしようとしておるのかどうかです。
  208. 田中秀穂

    田中説明員 従来、国連あるいは国連の事務総長、特使などが続けてまいりました努力は、そのただいまの御発言の線で解決をしようとしているものと了解しております。
  209. 受田新吉

    ○受田委員 しからば、その線によって日本外交は強力に中東紛争の処理に当たってきたという反省があるか。なぜアラブ諸国日本に対してそうした不信感を持ったのか、どうでしょう。
  210. 田中秀穂

    田中説明員 安保理決議二四二で述べておりますのは、六七年戦争以前の線に下がれということをうたっておるわけでございまして、この国土という問題になりますと、これはアラブとの関係もございますし、したがいまして、安保理決議自体が、国土ということばは使っておりません。
  211. 受田新吉

    ○受田委員 どうもあいまいなんですがね。アラブの国土は、六七年の戦争の起こる直前の時点で明確に地図に示されておりますよね。それを日本政府は、その線をアラブ諸国にも理解させる、あれはイスラエルの国土ですよと、そういろかっこうで努力をしてきたのかどうかです。  それに、まだ質問します。サウジアラビアのファイサル王様も日本へ来たことがある。佐藤総理もちょっと誤解を招くような発言をしてもてなした、こういうことがある。あの王様自身が日本を訪問した、それに対してどういう答礼がしてあるか。こういう問題も外交上の大きな欠陥があると思うのです。王様が来た以上、元首が来た以上、それに対して何らのお返しもしていないような外交をアラブ諸国にしておるのじゃないか。大平さん、ちょっと派生問題に触れますが、いかがでしょう。
  212. 大平正芳

    大平国務大臣 元首の御訪問というのは、外交上の非常に重要な案件でございまして、これはやはり、おそらく相互主義をベースにして丁重にやらなければならぬものと思うわけでございます。  ただ、それぞれの国の事情によりまして、その年にできるかの時間帯のとり方はございますけれども、相互主義で完結をしてまいらなければならぬことは、当然の道行きでなければならぬと考えております。
  213. 受田新吉

    ○受田委員 アラブの諸国に対して、にわかに五千万ドルとか一億ドルとかの援助計画の構想を練られるとかいうこと、従来五十万ドル程度の援助しかない。しかし、これらの国々は膨大な石油資源を持っている。少々のお金でちょっぴりしたネコなでの贈りもので動くような国でないことも、われわれは知らなければならないのです。ほんとうにこれらの国々アラブ国々日本が友好親善の外交を進めようとするならば、どういう外交転換をやったらいいのだ、政策転換をやったらいいのだと、真剣に取っ組んでおられなければならぬと思うのです。その構想を、アラブ諸国に対する基本的外交構想を、転換構想を承りたい。
  214. 大平正芳

    大平国務大臣 アラブ諸国ばかりでなく、いずれの国に対しましても、最大の敬意をもって理解と親善の関係を深めてまいらなければならぬことは当然でございまして、そのために、あらゆる努力をあらゆる角度からやってまいらなければならぬわけでございます。そのことにおいてわれわれは、アラブ諸国に対しましてのいままでの外交が十全であったかと聞かれるならば、至らない点も多かったと考えて、今後一そう努力しなければならぬと思っております。
  215. 受田新吉

    ○受田委員 どういう根本的政策転換をしようとするのかを尋ねておるので、大平さんとも思えない。あなたは少しはっきり、思い切った構想を示してもらいたいのです。つまりアラブ諸国に信頼を得るための道があるはずなんです。大体イスラエル占領地域から早く撤退するようにというあの決議の線に沿うて、日本政府イスラエル撤退要求勧告なりをしたことがあるのですか、ないのですか、ちょっとお尋ねします。国連の一員としてやったかどうか。
  216. 田中秀穂

    田中説明員 毎年の国連におきまして、いろいろとこの問題に関します決議採択されております。その際に、たとえばヤリング特使による調停案、これを受諾するようにというような決議安保理決議二四二を順守せよというような決議、こうしたもの日本は賛成をいたしております。
  217. 受田新吉

    ○受田委員 そういう共同的な行為の中で、共同作業をしたようなことを取り上げる筋ではない。やはり国連の一員として平和へのスクリューになろうとするならば、日本政府として単独で、イスラエルに対して撤退勧告などすべきではないかと思うのです。そういうことはすべきではないと判断しますか、どうですか。
  218. 田中秀穂

    田中説明員 現在、この中東問題に対するわが国立場を明確にしたいということで検討いたしておりますが、それと同時に、ただいま御指摘のありましたようなことも頭に入れまして、わが国としてできることは何かという点を検討いたしております。
  219. 受田新吉

    ○受田委員 つまり努力が不足しているのです。平和への外交努力が不足している。外交が事務的に処理されておる。こうした膨大な石油資源をお世話になる国々に対しての平和友好親善外交というものに、もっと積極的に取り組むべきである。  一方で二四二の決議の中にはっきりうたってある。つまり、「領土保全および政治的独立および武力による威嚇又は武力の行使を受けることなく、安全な、かつ承認された境界の中で平和に生存する権利の尊重と確認」と、ちゃんと国土の中の平和安全を明確にうたったこの決議の線に沿うて、なぜ日本政府はもっと平和外交努力をしなかったのか。さわらぬ神にたたりなしというような感じでやってきたのではないかと思うのです。強烈な平和意欲をわかして、このイスラエルアラブ諸国との紛争の処理に忠実に、決議の線に沿うて勇敢に前進すべきであった。それが怠られておったために、非友好国のランクの中に入れられたわけです。  いまこの機会に、どうやっていくかという新しい事態を招いてきたわけですから、私は、あらためてここでひとつ最後に、この問題の処理について、大平さん、政府は何か中近東へ特使を派遣して、外交転換をはかろうとするようなことがあるんじゃないかと思うのですが、どうですか。あなたのほうの党から、著名の人を出そうという御意図がありますか、どうですか。
  220. 大平正芳

    大平国務大臣 政府におきましても、自民党におきましても、この問題は検討いたしておるわけでございます。ただ、いつ、だれをどこにというところまで具体的にはまだきまっていないわけでございますが、絶えず私どもの考慮の中にこの問題はあるわけでございます。やる以上、十分の用意がなければなりませんし、また、その時期を考えなければならぬと考えております。
  221. 受田新吉

    ○受田委員 その特使は、経済断交とか国交断絶とかしなくてイスラエル軍撤退をすすめる、イスラエルアラブ関係を、日本イスラエル関係を断絶しないで進めるという形のものかどうかです。
  222. 大平正芳

    大平国務大臣 ということは、もう申すまでもないことであります。
  223. 受田新吉

    ○受田委員 その特使が御苦労いただく構想がいまある。その構想をお持ちのあなたに一つ注文があるのですが、何だか強烈な、向こうさまから見てタカ派の存在のような形の方でなくして、ハト派の存在のような方が行って——みなハト派の方ではあろうと思うのですが、その中でニュアンス的に見て、ほんとうに平和のともしびをともしてきて、イスラエル軍撤退アラブ諸国との友好親善というようなところへ行けるような構想をあなたはお持ちいただくべきだ。特使の派遣、その時期、これもちゅうちょなくやるべきである。時期的にも急いでやるべきだ。いま日本をこれだけゆさぶるほどの大問題、世紀の大問題にぶつかっているときに、少なくとも中東問題の解決のためには、日本政府が従来のような場当たり的な事務外交でなくして、積極的に、できればあなた御自身がいらっしゃればいいです。外務大臣御自身がアラブの諸国を歴訪し、そしてイスラエル紛争問題の処理に当たる。その処理をやられたならば、全世界からあなたは英雄として皆さんにたたえられるわけです。その点は同じいぬ年生まれのあなたに対して、ぜひひとつ勇気をふるって、この問題は特使でなくして、あなた御自身が総理の親書を持ってひとつかけ回っていただくように。  どうぞ。あなたの御退席の時間が来ておる。
  224. 大平正芳

    大平国務大臣 せっかくいま検討いたしております。
  225. 受田新吉

    ○受田委員 あなたはどうぞお帰りくださいませ。時間が来たようですから、あなたがおられなくてもいいようにします。もう私の時間はあと十分ばかりしかないから。私はいまの問題、大平さん、あなたを含む特使でなくて、あなた自身が乗り出すということで検討するのですか、これをもう一ぺんちょっと。
  226. 大平正芳

    大平国務大臣 いろんな角度からせっかく検討いたしております。
  227. 受田新吉

    ○受田委員 どうぞ。  そこであとの問題ですが、山中さん、すでに国全体は、あらゆる面で石油対策危機に対して自粛、節減政策がとられておる。本土、四国を結ぶ三架橋も起工式を延期するというような運びにもなってきた。そういう状態の中で、自衛隊の第四次長期防衛計画も、これはこれだけを例外とするわけにはいかなくなる。アメリカ自身もすでにシンガポールでは、石油の供給全面停止を食らうというようなことで、アメリカの在外部隊の石油資源の枯渇が根本的に響いてきておる。在外部隊のある各国の中で、そうした石油供給の制限を受ける国々が十二も十五もできてきた。こういう状態の中で、アメリカ防衛力の行使について非常に大きな狂いができてきた。こういう事態に追い込まれているわけでございますが、日本も長期防衛計画の五カ年がまだ四十九、五十、五十一と三年残っている。四十七年、四十八年がいま進行中で、大体いま一兆七千億円程度の金を使ってきたわけですが、まだ四兆六千億円の中で六割が残っておる。この金の節約をして、四次防五カ年計画を一年ないし二年、三年と何かの形でスローダウンさせるという構想を、自主防衛立場を守りながら、この国策の線に沿うて、自衛隊も例外であってはならないのだというお考えをお持ちかどうか、山中さんですから、私はきっとこの国策に沿う立場をおとりいただけると思いますので、あえて質問をするわけです。
  228. 山中貞則

    ○山中国務大臣 基本的には、国民なくして自衛隊はない。国民が苦しむのに、自衛隊がその使命だけをたてにとって、ひとりゆうゆうと石油を浪費するという姿勢はとりません。  ただしかし、いまわからないことずくめであって、わかっているものといえば当然増経費ぐらいじゃないでしょうか。国民総生産、自然増収、控除要因の減税幅、そういうものをひっくるめて全部わからない。したがって歳出要因も、どのように配分するかについても、ほとんど義務経費、当然増経費以外は全部未定だと思うのです。したがって、いま本四連絡橋とかなんとかいろいろ話がありましたが、各五カ年計画が一ぱいあります。こういうものは、いわゆる五カ年を六年に延ばすだけという単純なものもあります。そういうものと、私どももよく横にらみをしながら方向を検討していかなければなりませんが、私どものほうは、単純に繰り延べるだけでは、当該年度に取得すべきものとして早期に契約し、ようやくその時期が来たというものについて、金を払わぬで会社に持っておれというわけにいかぬものもございます。  したがって、そこらのところは、今後の検討課題で、全体として政府がどうするかという問題の一環として、ひとり自衛隊のみとうとしという姿勢をとらないということで、今後の検討課題でありますが、現在のところは、既定方針ということで予算その他も要求しておりますので、議論はこれからの問題だと考えます。
  229. 受田新吉

    ○受田委員 議論の始まりをしましょう。自衛隊の演習の節約、これはすでにアメリカもそういうところへ追い込まれるであろうという予測がされておるわけですが、いま世界各国ともそうした平和への熱情が巻き起こっている段階でありまするし、緊張緩和の方向にあるわけですから、演習なども、空の演習を地上の演習、海の演習を地上の演習というチェンジもできるだろうし、その他演習の回数を減らすとか、スクランブルの分は減らすのができなければ、その他のものは、いずれも何らかの措置で節減をするとかいう措置ができる。こういう心づかいは、長官としてきっとお持ちだろうと思うのです。
  230. 山中貞則

    ○山中国務大臣 先ほど全部申し上げたつもりでありますが、もうすでにその措置はとっております。したがって今年後半期における自衛隊の演習、その態様、ただいまおっしゃったように空を陸でというわけにはなかなかいかない部門もあります。シミュレーター等で代替できるものがありますけれども、そういう部門も考えながら、移動等も、できる場合は徒歩でやれということまで、先ほど答弁いたしましたので、速記録には残っておりますが、各陸海空の幕僚長の通達をもって第一次の措置はすでにとらしてありますし、隊舎は十八度に、本来の各官公庁の二十度よりか二度低く、若者たちはしんぼうせい、そのかわり、われわれ防衛庁本庁も他の官庁と違って十八度でがまんするということ等を含めて、いま第一次の措置はすでに終わりました。
  231. 受田新吉

    ○受田委員 私は、先般、自衛隊の各部隊を視察したときに、兵員たちの宿舎があまりにもあわれである、戦後の荒廃の中にあるような二重寝台、赤さびの鉄のやぐらの中で苦労しておられるのを見て、これは近代的国家の自衛官の宿所としては悲惨であると思いました。そういう問題の処置は、これは当然新規の装置に切りかえていくべきだ。これは人間を大事にするという意味から、ぜひ勇敢に踏み切っていただきたい。しかし、先般の二法で増員計画がされたような問題については、その増員を遠慮して、そして給与の改善その他に十分の手当てをしながら、装備の新規注文等は繰り越しで延べ計画に切りかえていくとかいうような配慮を私はやるべきだと思うのです。そういう努力をしても、決して国民は国土、国民を守るための自衛隊に対して不安を感じない。むしろそこから精神面の高揚によって、自衛隊に対する敬意と感謝が必ず起こってくると思うのです。そうした装備の節減、新規注文を一応取りやめるというような努力を何かの形で始めにゃいかぬと思うのです。いまの三幕僚長への訓辞のようなものでなくして、具体的にどれとどれを節減できるか、どれを翌年回しにできるかというようなことは、さっそく庁内において検討を始められていいと思うのです。
  232. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ごもっともでありますが、全体の政府の予算編成の各省庁の態度というもの全部を見ませんと——防衛二法は成立したけれども、それはもとのままでしんぼうせいというお話もありますが、三年かかってやっと成立して、しかも、その内容は艦艇、航空機就航等に伴うものが大部分でありますから、陸の一千名を除いては、全くのどがからからにかわいて、やりくり算段をして待っていたものであります。したがって、その成立によって急速に充実をさせることが、末端の隊員の日常の作業量その他のためにも急務である。しかしながら、陸上定員の今後の充足その他については、来年度予算では、もう十八万名以上要求いたしておりませんし、また、充足率が八六%を上回ることがどこまで可能かという問題もありますから、このような事態に対して、平時定員、編制定員というようなもの等に分けて、編成、装備等については一応のものはきちんと整えておくが、しかし、ふだんは実人員の一定数をもって演練に励むというような体制にも入るべき時期に来たのではないか、そのようなことを考えて具体的に検討しております。
  233. 受田新吉

    ○受田委員 これは長官みずからが指示して、この世情騒然たる中で、歴史的にもこういう事態というものは、二度と私は来ないと思うので、そういう状態の中で、自衛隊の権威と、そして自衛隊の自粛態度というものが明確に国民に示されるような、思い切った配慮を長官に要望しておきます。  最後に、こうしてあかあかと電気をつけて審議するのは、私は非常に忍びない。もっと能率をあげて、官が先頭に立って民があとに従うという形をとるべきであると思います。先般も私、申し上げましたが、高級幹部の方々も夜ともしびがついたころから行動を起こすことをおやめになって、午前九時には官庁には必ず局長も次官もみな出勤、たとえ一時間おくれても、十分おくれても遅刻措置をぴしっととるように。防衛庁外務省局長は大体十時ごろに出勤する。先般、八月に指摘したことです。九時に出勤すべきものが十時に出勤したら、もう一時間の遅刻という措置を厳重にとってもらいたい。いや、われわれは夜の働きがあるということがあるならば、それは超過勤務手当が管理職手当として出ているわけですから、当然やるべきである。出勤は厳重に九時あるいは八時半、これをりっぱに官庁で実行してもらうことを私、要望します。官が先頭に立って自粛体制をしくべきだ。国務大臣たる山中先生、私の申し上げることに曲がったことがあるかどうか。正論であれば実行に移してもらいたい。
  234. 山中貞則

    ○山中国務大臣 曲がってなくてまっすぐだと思います。ただ、内心じくじたるものがあるのは、私自身がいつも一番最後までランプをともして役所におる、努力をするものですから、ときにははっと気がついてランプを消せと言って、ランプを消して勉強することがあります。  先ほど、たくさんのことをやっておりますから申し落としましたが、出勤等についても、幸い防衛庁の場合には、官舎がまとまった地域にございますので、そこらは一人一台の通勤車というものは禁止いたしました。相乗りをさせます。そして帰りは原則として電車、土曜日の午後の使用は禁止、そして日曜には一切公用車を動かさない、それらの処置はすでにとってございます。  ただいまの登庁時間の厳守、これはもう当然のことでありますから、防衛庁だけでなくて、政府自体、官吏全体が定刻に登庁できるように、国鉄の混乱等がなるべくないようにということを願っております。
  235. 受田新吉

    ○受田委員 今後、別に監視して、毎日九時に各官庁を見て、局長が出ておられるか出ておられないかを調べて歩くことも非常に骨が折れるわけだ。だから、これはぜひそういうことを官が先頭に立ってやってもらいたい。要望申し上げておきます。  最後に、一、二分で済むわけですが、国連大学の件でお尋ねしたいのです。国連の第二委員会において、日本に国連大学設置がきまったが、一体外務省、ユネスコ国内委員会は、この国連大学構想というものを外交的にどういうふうにして努力されてかちとったのか、これを引き受けるときには、どういう目的で日本に国連大学ができるのか、研究か教育か、そういう問題について具体的な構想というものがなければならぬ。せっかく日本が国連大学を設置する国に指定されながら、それに対する準備がのろまであっては、国際信用にも関する問題でありますので、この国連大学を日本に設置することになった事情と、そして外交努力の結晶と、そして国内はこれをどういうふうに受け入れるのでしょうか、国内における学校教育法に基づく大学との関係は一体どうなるのか、研究部門と教育部門はどうなるのか、世界からどういう人々を集めるのか、その経費はどういうふうになっているのか、それからこれを進めていくのにはどういう形をとろうとしているのか、また場所はどこを考えているのか、あわせて御答弁願って質問を終わります。
  236. 西田亀久夫

    ○西田説明員 国連大学は、当初ウ・タント国連事務総長がこれを提案されましたときから、わが国の朝野をあげまして、新しい国際問題の基本問題を解決するのに、いままでの国連やユネスコのような政府間機関とは別に、世界の学術的な頭脳を結集して問題解決の手がかりを得ようというので、この構想に大きな賛同の声があがりまして、これは政府のみならず、各地域方々も国連大学の実現を強く要望されてまいりました。これを背景にいたしまして、これまで多くの国々が必ずしも積極的でない段階においても、外交場面におきまして、日本が率先その実現について積極的な提案をし、今回の段階まで来たと了解いたしております。  私どもの担当しております国内的な準備の問題と、今後の仕事の進め方のほうを申し上げますと、現在の段階で、国連大学は日本にその本部を置くということが最終的にきまりますと、明年の春ごろに、まず国連大学の最高の管理機関であります理事会が結成されることになると思います。そして理事会が、明年の夏ごろまでには国連大学の学長という執行の責任者を決定し、それから具体的に国連大学の活動計画がきまってまいると思います。  したがって、受け入れ国としての第一になすべきことは、その学長等がきまりました明年の夏以降に、東京においてそれらの大学の首脳部が仕事を開始するための仮事務所を開設する。そして、われわれは大学当局と緊密な連携をとりながら、必要な施設の整備について、将来方針考え、そして首都圏内の適当な地域に、国連大学本部の恒久的な施設の建設にかかるというような順序になろうかと思います。  したがいまして、これらは、現段階では国連大学当局はまだないわけでございますから、すべて国連事務当局とのいままでの下の相談から、一応受け入れ国として準備すべき仮事務所の開設、本施設の建設計画の着手、かようなための予算を明年度以降に実現をし、大学の首脳部の決定をまって、逐次予算面あるいは人事面において日本側として最善の努力を尽くしたい、かように考えております。
  237. 受田新吉

    ○受田委員 いまの首都圏の適当な場所とは、一体どこを考えるのか。
  238. 西田亀久夫

    ○西田説明員 国連大学の本部の所在地の条件につきましては、これが大学本部として、世界にできます国連大学の研究教育施設、世界の学界との交通通信の便ということが最大の条件でございます。また、その大学本部は、その周辺に各種の学術研究機関との協力がとりやすいような条件、さようなことがいわれております。同時にまた、わが国内におきましては、どのような場所に最も効果的にいい環境が提供できるかという条件を考慮しなければなりません。  現在まで、これに対する幾つかの候補地としての申し出はございますが、現在は、それらの各地の候補地の条件を事務的に検討いたしまして、明年大学当局が日本に参りました時期に、これとの協議のもとに最終的な決定に持ってまいりたい、このような準備的な研究をいたしておる段階でございます。
  239. 受田新吉

    ○受田委員 最後に、国連局長、今後、国連がこれにどういう形で協力するのか、経費的に人的にどういう構想があるのか、承りたいのです。
  240. 鈴木文彦

    ○鈴木説明員 簡単にちょっと補足させていただきますが、国連大学につきましては、今月の七日に第二委員会で、先ほど言われましたように一応採択されたわけです。国連大学憲章及び国連大学本部を東京の首都圏に設置するという決議が成立したわけでございますが、最終的には、おそらく今月の下旬に行なわれます総会において、同じように採択されてはじめて本ぎまりになると思います。  それから、これができました場合に、先ほど西田局長からお話がありましたように、大学本部の設置場所につきましては、明年夏ごろに学長がきまりました段階で、学長と任命されるであろう二十四人の理事及び受け入れ国である日本との間の協議を通じまして、特に国連側の希望を尊重しまして設置場所が最終的にきまるというふうに考えております。  それから、この大学ができましたあと、国連がどういうことを期待するかということでございますが、何ぶんにも相当資金の要ることでございますので、国連大学基金というものを設立いたしまして、これはおそらく国連事務総長の管理のもとの特別なファンドになると思いますが、そこに応分の基金を拠出してほしいという要望が、特に主要国に対して強くあろうかと思います。わがほうも、この九月の終わりに外務大臣が国連で一般討論演説をいたしましたときに、日本もできるだけの協力をしたいという観点から、ある数字をあげまして、もちろん国会の承認を条件として、できるだけこれに協力する用意があるということを申したわけでございます。この財政的な手当てと、その次に日本に大学本部を置きます場合の物理的な施設の便宜供与、それからそこで働く人たちに対するある種の特権免除、そのための大学本部との協定の締結の問題、及び日本において相当程度日本人の職員を採用する必要があろうかと思いますので、それに対する日本政府に対する協力要請、こういうようなことがいまの段階で考えられる国連側の要望ではないかと思います。
  241. 受田新吉

    ○受田委員 終わりにします。      ————◇—————
  242. 三原朝雄

    三原委員長 次に、先般行政機構並びにその運営、自衛隊及び公務員制度の実情調査のため委員を派遣いたしました。  この際、派遣委員からの報告を求めます。奥田敬和君。
  243. 奥田敬和

    ○奥田委員 北九州地方の国政調査の結果を御報告申し上げます。  派遣班は、三原朝雄委員長のほか、奥田敬和、大出俊、中路雅弘、竹中修一、鈴切康雄、受田新吉の六委員で構成し、現地において藤尾正行委員の参加を得て、十月十五日から同月十八日までの四日間の日程で、行政機構並びにその運営、自衛隊及び公務員制度の実情調査を目的として、航空自衛隊西部航空方面隊、海上自衛隊壱岐警備所、厳原海上保安部、海上自衛隊対馬防備隊、対馬営林署、人事院九州事務局、九州管区行政監察局、佐賀行政監察局、福岡通商産業局及び建設中の海上保安庁オメガ送信局を、それぞれ調査したほか、九州松下電器株式会社において、週休二日制の実施状況の説明を受けてまいりました。  これら調査内容の詳細につきましては、時間の関係上口頭による報告を省略し、委員長の手元に提出いたしました報告書を会議録に掲載されるようお取り計らい願い、それによって御承知をいただきたいと存じます。また各機関より受けました資料等は、当委員会の調査室に保管してありますので、適宜ごらん願いたいと存じます。  以上、御報告申し上げます。
  244. 三原朝雄

    三原委員長 次に、笠岡喬君。
  245. 笠岡喬

    ○笠岡委員 北海道地方の国政調査の結果を御報告申し上げます。  派遣班は、笠岡喬、近藤鉄雄、大石千八、和田貞夫、坂本恭一の五委員で構成し、ほかに現地において越智伊平、横路孝弘の両委員の参加を得て、十月十五日から十八日までの四日間の日程で、行政機構並びにその運営、自衛隊及び公務員制度の実情調査を目的として、航空自衛隊稚内分とん基地(稚内レーダーサイト)、稚内海上保安部、陸上自衛隊第二師団、旭川行政監察局、旭川営林局、航空自衛隊長沼分とん基地(長沼ナイキ基地)、北海道開発局及び人事院北海道事務局をそれぞれ調査いたしました。  これら調査内容の詳細につきましては、時間の関係上口頭報告を省略し、委員長の手元に提出いたしました報告書を会議録に掲載されるよう、委員長においてお取り計らい願い、それによって御承知をいただきたいと存じます。  また、各機関より受けました資料等は、当委員会の調査室に保管してありますので、適宜ごらん願いたいと存じます。  以上、御報告申し上げます。
  246. 三原朝雄

    三原委員長 おはかりいたします。  派遣調査調査報告書は、これを会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  247. 三原朝雄

    三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時五十二分散会