○藤尾委員 私は、ほんとうをいいますと、ここのところが実は非常にむずかしいかね合いになると思うのであります。たとえば私
どもの油の安全、経済自体の安全を保障する、
国民生活の安全を
考えていくということになりますと、先ほ
ども大臣が御
指摘になられましたように、油のみならず、金へんに至りまするまで、すべての
ものの需給という
ものを確立をしなければならぬ、こういうことになるわけであります。
しかし、ともかくも油を産出しておられる中近東のそれぞれのOAP
EC諸国というような
国々の
立場に立ってみれば、自分のほうの持っておる切り札である
資源という
ものは無限な
ものではない、有限なんだということになれば、自分の国の将来計画といいまする
ものを、何十年あるいは百年にわたり、何世紀にわたって
考えておられるか知りませんけれ
ども、ともかくもその間における自分たちの一番大きな力の根源である油という
ものを一日も長くもたせなければならぬ、こういうことは当然だろうと思いますし、同時に、価格面におきましても、いままではともかくも消費諸国から安く買われ過ぎた。したがって自分の国の将来ということを
考えても、十二分の
石油資源の安全を確保しつつ、なお価格面で自分の国において不利益がないようにということを
考えていくのは、その
立場になってみれば、私は当然だろうと思う。その当然の
立場という
ものが、消費国われわれにとってみれば必ずしも当然ではない。そこに利害の衝突が起こり、調整を要する問題が出てくるであろう、かように
考えるのでございまして、そういった
意味で、問題の
解決が非常にむずかしかろう、私はこう思います。
たとえば、先ほど通産省の方から一部その御
指摘がございましたように、私
どもの経済とか社会生活といいます
もの、あるいは私
どもの
防衛に至りまする、安全保障に至りまする
ものすべてが油の上に築かれておるということが言えると思うのでありますけれ
ども、そうなりますと、かりにこれが中近東の油生産諸国に多少の理解がちょうだいできても、それがいままでのような、たとえば三億二千万トンほしいのだ、来年計画はそれだけでございます、われわれはそれに対する十二分の外貨も用意をいたしておりますということで、三億二千万トンが必ずしも確保できる
ものではないということが今回明らかになった、私はさように思います。
そうして
考えてみると、今回の場合は、少なくともこの九月
時点までは私
どもの思いどおりに油の量その
ものは入ってまいったわけでありますが、十月以降これが削減をせられるということで、いまわれわれが非常に大騒ぎをしておる、こういうことなのでございますけれ
ども、来年以降のことを
考えてみますと、三億二千万トンが二億八千万トンになった、来年以降もそれでは二億八千万トンが確保できるめどがあるのか、こういうことになると必ずしもそうではない、私はこう
考えるのでございまして、そういったこれから定着をするであろう私
どもの確保できる油の量、そういった
ものの上にすべての
ものが、産業といわず、あるいは
国民生活といわず、
防衛といわず、そういった
ものが張りつけられていかなければならない、こういうことを
考えてみましたときに、これは非常に大きな変革ということになろうと思います。
こういったことを
考えてみました際、この際に、
外務大臣やあるいは
防衛庁長官も、国務
大臣として同じでございましょうけれ
ども、来年以降の展望をそれではどのようにお持ちなんだということを伺っても、なかなか
お答えはちょうだいできぬだろう、こう思います。ですから、そういったところを詰めて御
質問をいたすことはいたしませんけれ
ども、少なくとも私
どもの最小限、かりにそれが二億トンなら二億トン、二億二千万トンなら二億二千万トンという
ものを確保できるような対外政策の展開ということだけはしてみなければならぬ、これは絶対必要だと思います。
たとえば、先ほど言われましたけれ
ども、私
どもに対する油の購入といいまする
ものが、少なくとも六〇%は
メージャーズという
もの、つまり問屋さんを通ってきておるということになれば、
アラブのほうは、それは
特使であるとかなんとかいうことで何らかの手が打てて、そしてその削減量をある程度回復することが可能になるということがかりに期待できたといたしましても、そのことによって、それでは
メージャーズという
ものの
わが国に対する
態度が硬化をしていく、こういうことになれば、
わが国全体の油需要という
ものが受けるその影響という
ものは、どっちが大きいだろうかというような問題も、これは必ず起こってくるわけであります。
でございますから、この際におきまする
外交姿勢という
ものは、非常にむずかしい、微妙なところがある。おそらく
田中総理はじめ
外務大臣も、その
日本の今後の
外交姿勢といいまする
ものをきめられる上で、中近東をたずねられて、その油問題をも含めて、この問題の
紛争解決に当たってこられた
キッシンジャーとの
話し合いという
ものを、どうしても
基礎にされなければならなかった理由も、何かそこでわかるような気がいたすのでございますけれ
ども、こういったことを含めて、それでは、
わが国がどのようなステップをとっていったらいいか、こういったことを、もし許されるならば、この機会に
国民の前に明らかにしていただきたい。